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2015年10月14日 中央社会保険医療協議会 総会 第306回議事録

○日時

平成27年10月14日(水)10:39~12:25


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(21階)


○出席者

田辺国昭会長 印南一路委員 松原由美委員 野口晴子委員 荒井耕委員
吉森俊和委員 白川修二委員 花井圭子委員 花井十伍委員 石山惠司委員 田中伸一委員
鈴木邦彦委員 中川俊男委員 松本純一委員 万代恭嗣委員 長瀬輝諠委員 遠藤秀樹委員
安部好弘委員
丹沢秀樹専門委員 宮島喜文専門委員 福井トシ子専門委員
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○先進医療会議の検討結果の報告について
○入院医療(その3)について
○その他

○議事

○田辺会長

 それでは、ただいまより第306回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。

 まず委員の出席状況について御報告いたします。本日は、西村委員、榊原委員、岩田専門委員が御欠席です。

 次に「○先進医療会議の検討結果の報告について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をよろしくお願いいたします。企画官、お願いいたします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 中医協総-1、中医協総-1参考を用いまして、御説明させていただきます。

 まずタイトルでございますが「『国家戦略特区における保険外併用療養の特例』の対象医療機関の選定について」でございます。

 特例の対象医療機関につきまして、若干の御説明をさせていただきたいと思います。中医協総-1参考をごらんいただければと思います。

 特例の対象医療機関でございますけれども、ここに経緯を少しまとめさせていただいてございます。

 1つ目の○でございますが、国家戦略特区における保険外併用療養の特例につきましては、次のような内容になってございまして、使用する医薬品等でございますが、米、英、仏、独、カナダ、オーストラリアにおきまして、承認を受けている医薬品等であって、日本においては未承認のもの、または日本において適用外の医薬品等を用いる技術。

 具体的な措置といたしましては、事前相談をやられるわけでございますが、これを特に手厚く、特別事前相談として実施をする。

 そして、先進医療技術審査部会、先進医療会議を合同で開催することによって、審査が迅速化される。現状、通常のルートであれば、先進医療技術審査部会を開催した後に、先進医療会議を行いまして、それで承認するかどうかを検討するわけでございますけれども、これらを合同で開催することにいたします。こういうことによりまして、通常6カ月程度かかる期間を3カ月程度の審査期間に短縮する。こういうものが特例の措置でございます。当然承認のレベルというか、承認する先進医療としての技術に関しましては、通常のものと一緒のものでございます。期間が短くなるという特例でございます。

 国家戦略特区における保険外併用療養の特例の対象医療機関に関しましては、中医協でこれまで御説明をさせていただいてきておりまして、どのような基準を用いるかについて、御議論をしていただいたところでございます。

 ここは割愛させていただきまして、裏のページにいっていただきまして、当初は臨床研究中核病院と同水準かどうかみたいな話があったのですけれども、現在のところは、そこの基準には必ずしもこだわらずに評価をしております。

 それが2ページの○のところに書いてございまして、国家戦略特区における保険外併用療養の特例を利用できる医療機関については、予算事業の対象医療機関、これは法律ができるまでの間に、予算事業で、早期探索ですとか、臨床研究中核病院を指定した、そういう予算事業のことを言っておりますけれども、そのうち、選定状況を参考とした選定基準により選定しているものであり、医療法に基づく臨床研究中核病院との同等性を評価した上で選定しているものではございません。

 また、本対象の医療機関として選定されることによりまして、実施可能な内容は、国家戦略特区における特別事前相談の実施、先進医療技術審査部会と先進医療会議の合同開催による審査の迅速化でございまして、例えば医療法に基づく臨床研究中核病院が行うこととされている、患者申出療養における意見書の作成などは、実施できるものではございません。

 こういう位置づけのものでございますけれども、これに関しまして、先日、10月1日に審査を行いましたので、御報告をさせていただきます。

 それでは、中医協総-1に戻りまして、御報告をさせていただきます。

 2つ目の○でございますけれども、医療機関から提出されました申請書をもとに、全構成員が事前評価を実施した上で、また、国家戦略特区でございますので、神奈川県と横浜市の担当者の方に御出席いただきまして、国家戦略特区における戦略性についても、意見を聴取したところでございます。判定に係る議論を進めて、次の1医療機関からの申し出に対しまして、適と判定をいたしました。

 公立大学法人横浜市立大学附属病院、評点は23.1ということでございます。

 それぞれ項目ごとに評点を書いてございますけれども、項目1が9点、項目2が6.8点、項目3が7.3点でございまして、項目1が人的な体制でございます。項目2が治験の実績であります。項目3がその他の体制の整備です。例えばデータをちゃんと取り扱える体制にあるかどうかとか、こういう観点でございますけれども、それぞれの評価を合わせまして、評点23.1ということで、適と判定されたものでございます。

 当日、神奈川県及び横浜市からの意見聴取を行いまして、構成員からは以下のような発言がございました。

 全体としてよい取り組みが進められており、評価したい。これらの取り組みは、病院としても、財政的な負担が見込まれるものであるが、行政が財政的支援を行っていただくことはよいのではないかということで、継続していただきたいということでございます。

 人材について、短期間でそろえてきているが、今後、拡充することが望まれる職種もある。確保に係る取り組みを継続するとの意思があることから、引き続き注視していきたい。

 医療機関のネットワークを構築していくとのことであるが、今後、県内他大学との連携を発展させていくとの追加発言もあったことから、有効に機能させていくために、行政側が積極的に調整役として参画することや、当該医療機関が県内の医療機関を取りまとめるリーダーとして、役割を発揮することが必要と考える。

 また、これらを実現させるためには、質の高い臨床研究計画の立案能力、研究倫理審査能力及び十分な研究支援体制が必要であるが、最近始められた研究計画の質の向上の取り組みが院内に定着し、優秀な人材がその能力を発揮できるようにするなど、院内の環境整備がより一層進められていくよう、これらの進みぐあいについて、引き続き注視していきたい。

 過去に歴史的な医療事故が発生したこともあったが、当該医療機関内の環境整備や意識改革といった取り組みが進んできていると言える。先進医療を含む臨床研究を適切に進めていくためにも、以前のような状況に戻らないよう、先進医療会議としては、先進医療技術の申請も踏まえつつ、取り組みがきちんと機能するか注視していきたい。

 これら神奈川県及び横浜市からの意見聴取の際の構成員からの発言内容につきましては、きょう、この報告の後に、当該医療機関に伝達するとしております。

 以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

 医療法上の臨床研究中核病院の承認要件に基づいた申請様式を用いるようですが、今もお話がありましたように、医療法に基づく臨床研究中核病院との同等性を評価した上で、選定しているものではないと書いてあります。横浜市立大学附属病院の評点23.1点というのは、医療法上の臨床研究中核病院の承認に際しては、点数をつけて評価するようなやり方ではないと理解しておりますけれども、例えば項目1は何点満点での9点なのか、全体の点数も、何点が満点の中の23.1なのか、それを教えていただけますでしょうか。

○田辺会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 御説明が漏れておりました。それぞれの項目は、10点満点でございます。ですので、全てが10点でありますれば、評点は30となります。21以上を原則として、適にするという運用でやらせていただいております。

○田辺会長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 わかりました。それがどのぐらい緩いのかというのは、わかりませんけれども、そういう基準で選んだということは、わかりました。ありがとうございました。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。松本委員、お願いします。

○松本委員

 ここにあります、2番目の○ですけれども、意見の聴取に、国家戦略特区における戦力性とございますが、これは具体的にどういうことを聴取しているわけですか。

○田辺会長

 この点、企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 それぞれ横浜市及び神奈川県が特区として申請しているわけでございますけれども、その中で、この位置づけというか、この医療をどのように考えて支援していこうとしているか、そういうことを聞いたわけでございます。

 以上です。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。引き続き、松本委員、お願いします。

○松本委員

 下に人材について、今後、拡充することが望まれるということの中で、確保に係る取り組みを継続するとあります。これは神奈川県と横浜市の人に聞いているわけだと思いますが、市立病院ですので、市の人間がお金を出すと言えば、拡充できることなのか。病院の方は、ここに出られているとは思えないのですけれども、そういうことでよろしいのでしょうか。

○田辺会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 御説明申し上げます。

 人材につきまして、確保に係る取り組みを継続するとの意思があるというのは、横浜市立大学附属病院がそのように表明をしたということでございます。確かに先進医療会議の場に、横浜市立大学附属病院のスタッフはおりませんでした。行政から話を聞いたわけでございますけれども、ここにコメントをしておりますのは、確保に係る取り組みを継続するというのは、病院のそういう意思があるということでございます。

○田辺会長

 引き続き、お願いします。

○松本委員

 この場での発言ではなくて、病院の方はいないけれども、こういう発言があったというのは、構成員からの発言のように書いてありますが、今までのことをこの場で話したということなのでしょうか。

○田辺会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 医療機関の審査自体は、書面で行ってございます。それに関しまして、委員からこのような、確保に係る取り組みを継続する意思があると読み取ることができ、それを注視していきたいというコメントがあったということでございます。

○田辺会長

 松本委員、お願いします。

○松本委員

 それでいいとは思いますけれども、細かいことを言うようですが、神奈川県と横浜市からの意見聴取の中で、こういうことが出てくるというのは、ちょっとおかしいように思います。どういう質問をして、どういう答えがあって、こういうことが出てくるのですか。

○田辺会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 この場に私もおりましたけれども、具体的に、構成員は全員が横浜市立大学附属病院からの申請資料を見てございます。それを見て、このようにコメントがあったということでございます。このコメントに関しましては、引き続き注視していきたいというコメントも含めまして、医療機関に伝えたほうがよいと思っておりまして、ここに書かせていただいております。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 それでは、中川委員、どうぞ。

○中川委員

 特区という性格上、特区でうまくいけば、全国展開するというのが、特区の意味なのです。ですから、こういうものを選定するときには、非常に慎重にかつ厳格にやらなければならないと思っています。

 中医協総-1参考の2ページの最初の○のところに、予算事業の10病院の選定基準により選定しているものであり、医療法に基づく同等性を評価した上で選定しているものではないと書いてありますけれども、予算事業の10病院の選定をもとにということは、予算事業の病院と同水準と考えていいのですか。

○田辺会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 同等性を評価した上で選定しているものではないということですが、各項目におきましては、予算事業あるいは臨床研究中核病院よりも低いものがございます。ですので、必ずしも同じレベルではないと承知をしております。

○中川委員

 医療法に基づく臨床研究中核病院の水準はもとより、予算事業の10病院の水準よりも低いという評価なのですね。それでよろしいですか。

○田辺会長

 この点、いかがでございましょうか。企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 予算事業の病院の選定基準を参考につくったものでございまして、厳密に予算事業の病院と比べてどうかというところに関しましては、私どもでは何とも言えないところでございます。

○田辺会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 今、松本委員からも発言がありましたけれども、横浜市立大学の関係者がいないところで意見聴取をする意味は、非常に問題があると思います。行政が県庁や横浜市の方から意見を聞いて、実態が本当に反映できるのか、わかるのか。それが非常に懸念というか、疑念を持ちます。

 中医協総-1の1ページの3つ目の○以下、先進医療会議構成員から以下のような発言があったというところの内容で、4つの●の中で、本当に評価するというのは、どれに当たるのか。行政がお金を出した、今後、連携を発展させていくという追加発言があった、行政がリーダーとして役割を発揮することが必要と考える、取り組みが進んできていると言えるとか、何か抽象的なのです。ですから、私は中医協の場でも、医療法上の臨床研究中核病院の承認要件が近々まとまるのでと、何度も強調したのですけれども、なかなかそういう取り組みというか、見直しが進んでいない。今回のこの選定は、非常に緩いという印象を拭えません。医療法上の臨床研究中核病院の承認要件がしっかりできて、厳しい基準で臨床研究中核病院の審査が行われている中で、特区であっても、緩い審査では、説明責任が果たせないと思います。その辺のことを、ぜひ事務局で検討していただきたいと思います。

○田辺会長

 この点、コメントはございますでしょうか。企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 御指摘は受け止めさせていただきます。また、先進医療会議にもお伝えしておきたいと思います。

 付言させていただきますとすれば、先進医療としての審査、個別技術の審査自体を緩めるものではなくて、審査期間を短くするという特例の対象でもあるということだけは、御説明を追加させていただければと思います。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 これは報告事項でございますので、ほかに質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。

 それでは、次に次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「○入院医療(その3)について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 お手元の資料、中医協総-2に基づいて、御説明させていただきます。

 入院医療(その3)ということで、2枚目にございますが、入院医療における機能分化の推進、医療従事者の負担軽減とチーム医療の推進、短期滞在手術等基本料の3点につきまして、資料を準備させていただいております。

 おめくりいただきまして、3枚目、4枚目、5枚目、6枚目は、前回の改定のポイントとか、附帯意見でございます。

 7枚目は、前回の改定の7対1入院基本料等の見直しの内容でございます。

 8枚目に最初の論点を掲げさせていただいておりますが、平成26年度診療報酬改定において、7対1基本料を初めとする急性期病床の機能分化が図られたところですけれども、この取り組みの進捗について、どういうふうに考えるかということで、以下、資料を準備させていただいております。

 9枚目は、26年7月1日現在、データは更新させていただいていますが、病床の全体像でございます。

10枚目は、一度見ていただいたかと思いますけれども、7対1の病棟の届け出数の推移でございまして、改定前までは増えておりましたが、改定後、若干減少傾向にあるということです。

11枚目に、その数字をつけさせていただいております。

12枚目は、救命救急入院料とか、特定集中治療室管理料等の病床数の推移でございます。

13枚目は、一般病床の平均患者数・病床利用率の年次推移で、減少傾向にあるということです。

14枚目には、受診延べ日数の伸び率の推移を掲げさせていただいております。

15枚目ですが、これは7対1基本料を届け出ている病院の平均患者数、DPC病院について見ておりますけれども、26年度は、25年度に比べて減少しているという状況が見てとれるかと思います。

16枚目は、7対1病棟の入院患者さんの属性について、年齢別とか、入院区分別とか、入院理由別に掲げさせていただいております。

17枚目は、2つ目の論点として、急性期入院医療の機能分化を図るための評価指標として、例えば看護職員の配置数とか、平均在院日数、あるいは重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率が設けられておりますけれども、これも踏まえて、今後、機能分化をどのように進めていくかということを、掲げさせていただいております。

18枚目は、それぞれの施設基準でございます。

19枚目が、前回の改定での特定除外制度の見直しの概要です。

20枚目が、短期滞在手術等基本料の見直しの関係でございます。

21枚目でございますが、病床種別ごとの平均在院日数の年次推移を掲げさせていただいておりますが、一般病床でも減少傾向にあるところでございます。

22枚目が、7対1を届け出ていただいている医療機関の平均在院日数の分布をお示ししたものでございまして、横軸が平均在院日数、縦軸は棒グラフになっておりますが、医療機関数を掲げております。それぞれの日数のところに、4本の棒グラフがありますけれども、それぞれ平成23年、24年、25年、26年の医療機関数を掲げさせていただいております。

 細かくて恐縮ですが、例えば19日のところを見ていただきますと、23年度から24年度には大きく減少しておりますが、これは施設基準が19日から18日に短縮されたこと等の影響によるものと思われます。

 また、171819日あたりを見ていただきますと、25年度に比べて、26年度の医療機関数が多くなっておりますが、ここは26年改定における特定除外制度の見直しとか、短期滞在手術料等の見直しが影響しているのではないかと考えられます。

23ページに移りますけれども、短期滞在手術等基本料の見直しの影響がどんな感じになっているのかということを、お示ししたグラフでございます。横軸に平均在院日数をとらせていただいておりまして、短期滞在手術基本料の算定患者さんを平均在院日数に含めるか、含めないか。現行のルールでは、含めないことになっていますが、含めない場合が濃い棒グラフ、仮に含むとした場合には、薄い棒グラフです。左のほうに、短いほうにシフトしていますが、これを含める、含めないということで、平均で1.0日程度の影響があるのではないかというグラフでございます。

24ページは、同じように特定除外制度について分布を見たものでございますが、これは棒グラフ上、変わりがないように見えますけれども、平均値で見ますと、特定除外制度を含む、含まないで、0.2日ぐらいの影響があるのではないかというデータでございます。

25ページ目は、7対1基本料の見直しの経緯でございます。

26枚目ですが、前回、重症度、医療・看護必要度の見直しを行っております。例えば血圧測定とか、尿測定を削除したり、呼吸ケアを見直したり、専門的な治療・処置も見直しているところでございます。

27枚目、28枚目も一度見ていただいているデータではございますけれども、27枚目はそれぞれの項目についての該当患者さんの割合で、呼吸ケアなどは要件が厳しくなっておりますので、減っている。それから、専門的な治療・処置については、実態に即したように中身を見直したということで、増えています。

28枚目は、それぞれの入院料別に該当患者さんの割合を見ていますけれども、大きな変化はなかったところでございます。

29枚目でございますが、7対1病棟につきまして、一般病棟と特定機能病院に分けて、該当患者さんがA項目、B項目で、それぞれどのくらいいるかということを見た表でございます。

 左側がA項目でございますけれども、A項目に該当する患者さんは、特定機能病院のほうが全体で多い。あるいは一番下の専門的な治療・処置では、特定機能病院のほうが多いという状況になっておりますが、右側のB項目で見ますと、B項目に該当するケースは、一般病棟のほうが多くて、特定機能病院のほうは、軒並み少ないというデータになっております。

30枚目でございますが、これはそれぞれの重症度、医療・看護必要度別に見て、お医者さんの指示の見直しの必要な頻度がどのくらいあったかということを、帯グラフで見たものでございます。

 3つありますが、真ん中は、Aが2以上かつBが3以上という、今の施設基準の要件にある患者さんでございますけれども、その患者さんについて見ますと、24時間体制での管理が必要とか、1日数回の指示の見直しが必要とか、毎日指示の見直しが必要というのが、半分ちょっとくらいということでございます。

 該当患者さん以外にどういう患者さんがいるのかという御指摘もありましたので、3番目の帯グラフのほうに、準備させていただいておりますが、上記以外、該当しない患者さんについて、どういう状況かを見ますと、24時間体制での管理が必要から毎日指示の見直しが必要までの患者さんは、該当患者さんでなくても、34%ぐらいいるという状況になっているということでございます。

31枚目は、看護師さんの処置の頻度について、同じように見たものでございますけれども、該当患者さんについては、真ん中の帯グラフでございますが、約70%の人が、それなりに処置が必要という頻度でございます。

 該当患者さん以外の患者さんがどういう状況になっているのかというのが、3番目の帯グラフでございますけれども、39%ぐらいの人が、それなりに処置が必要だという状況にあるところでございます。

32枚目のスライドは、7対1入院基本料の届出医療機関において、医師による指示見直しの頻度別の患者さんの割合について、医療機関の分布を見たものでございますけれども、枠で囲ってあるところが、週1回程度またはそれ以下に該当する患者さんが50%を超える医療機関の割合でございまして、こういう状況になっているところでございます。

33枚目は、一度見ていただいているかと思いますが、在宅復帰率の関係で、基準は75%ですけれども、平均は92%になっているということです。

 平均在院日数と退院できない理由について、年齢階級別に見たものが34枚目のグラフですが、左側で見ますと、高齢になるほど在院日数が長くなっている。右側のグラフですと、高齢になるほど、入院先とか、入所先が確保できないとか、家族の希望で退院できないとか、入院されている状況になってございます。

35枚目、36枚目も一度見ていただいているかと思いますが、地域連携室・退院支援室の設置状況とか、退院支援に向けた院内の取り組みの状況の表でございます。

37枚目、38枚目は、7対1入院基本料を届け出ている理由、あるいは転換した理由についてでございますが、以前、26年度調査を見ていただいているかと思いますが、今回、27年度調査を載せてございますが、同じような傾向になっているところでございます。

39枚目は、今後の病床の届け出の意向について調べたものでございまして、39枚目は7対1病棟を持っている医療機関で、左側が該当する病棟がない場合、今後、新たに設置したい病棟はどういうところかというと、地域包括ケアが一番多くなっている。

 右側は、当該病棟を持っている場合ですので、増床したいということですけれども、中身は、地域包括ケア病棟とか、回復期リハビリテーション病棟とか、あるいは7対1を増床したいという意向がこのくらいあるというデータでございます。

40枚目は、10対1の病棟について、同じように見たものでございますが、新たに届け出をしたい、あるいは増床したいということでは、地域包括ケア病棟が一番多くなっている状況でございます。

41枚目に取りまとめておりますが、論点として、急性期入院医療のさらなる機能分化を図るために、急性期医療の必要な患者像の適切な評価を図るなどの取り組みを進めていくべきではないか。あわせて、早期退院や在宅復帰に向けた支援を充実していくべきではないかとさせていただいております。

42枚目からは、医療従事者の負担軽減とチーム医療の推進に関連する資料でございます。

43枚目から46枚目までは、前回の改定での医療従事者の負担軽減に資する取り組み、点数設定、改定内容でございます。

47枚目から50枚目までは、チーム医療の推進に資するような点数設定、改定内容について、お示しさせていただいております。

51枚目は、医師の勤務状況について、検証調査で出てきたデータでございますが、左側は、病床規模にかかわらず、現在の勤務状況について、改善の必要性が高いというお答えが多いということです。

 右側は、特に医師の過重労働により患者が不利益をこうむる可能性があるということで、改善してほしいという理由が一番多くなってございます。

52枚目は、医師の勤務状況についてですが、左側の図は、業務の分担状況ですけれども、特に下のほうの3つでは、他の職種と分担している割合が高くなっております。採血とか、静脈注射、留置針によるルート確保などは、他の職種と分担しています。

 右側の図ですけれども、他職種への期待ということでは、退院に関する調整業務などは、さらに他職種でやってほしい、補助してほしいというのが、高くなっているところでございます。

53枚目は、看護師さんについて見たものでございますが、病床の規模にかかわらず、負担軽減に取り組む必要性があるというお答えを多くいただいております。

 特に必要な取り組みとして、右側でございますが、事務職による事務業務の補助とか、臨床検査技師による採血等について、取り組んでほしいというか、期待が高いという状況でございます。

54枚目は、看護師さんと看護補助者さんの業務分担状況でございますが、それぞれの項目について、真ん中より左側は主に看護師さんが行っている業務、右側は看護補助者、あるいは看護補助者と看護師さんが共同で行っているものです。

 棒グラフで示しておりますが、下のほうの入院案内とか、夜間の患者さんのADLや行動の見守り等は、看護師さんが主に行っている。上のほうの寝具やリネンの交換、ベッド作成、配下膳、物品搬送などは、補助者の方がやられている、あるいは共同でやっている割合が高いところでございます。

55枚目でございますが、負担軽減に関する診療報酬項目をいろいろ設定していますが、どの項目は効果があったかということをお伺いしておりまして、特に80%以上効果があったとか、どちらかといえば効果があったという回答があったのは、医師事務作業補助体制加算、精神科リエゾンチーム加算、病棟薬剤業務実施加算等で高くなっております。

56枚目は、実際の算定状況ですけれども、病棟薬剤業務実施加算とか、栄養サポートチーム加算の算定回数が多くなっているところでございます。

57枚目は、チーム医療に関して、同じような形で、診療報酬項目の効果についてお尋ねしておりますけれども、病棟薬剤業務実施加算とか、周術期口腔機能管理後手術加算で効果があったという割合が高くなっております。

58枚目は、病棟における薬剤師さんの配置状況と効果ですけれども、配置状況は60%ぐらいが配置ありでございまして、実際、病棟の薬剤師さんが担っている業務は、患者さんへの説明とか、退院時の薬剤指導とか、あるいは持参薬の管理ということで、どのような効果があったかということでは、業務負担の軽減とか、速やかな情報把握に役に立っているということでございます。

59枚目は、歯医者さんとの連携の効果についてですけれども、連携は、院内、院外を含めて40%弱なのですけれども、実際に連携している業務としては、口腔の清拭等ということで、効果としては、周術期口腔機能管理に対する理解の向上とか、病棟職員による適切な口腔清拭等の実施というところが挙げられてございます。

 これらを踏まえまして、論点として、60枚目にまとめさせていただいておりますが、これまでのチーム医療の取り組みにより、業務負担の軽減や医療サービスの向上への一定の効果が見られているけれども、多くの医療従事者がさらなる取り組みが必要だと考えているということで、チーム医療の推進につきましては、個々の分野の評価に関する議論の中で、引き続き検討していってはどうかとまとめさせていただいております。

61枚目からが、3点目の短期滞在手術等基本料についてでございます。

62枚目、63枚目は、前回の改定の内容でございます。

64枚目に、短期滞在手術等基本料を入れたことによって、実際、問題があったか、なかったかという形でお伺いしておりますけれども、特にないという回答が多かった項目がほとんどなのですけれども、64枚目にお示ししていますように、水晶体再建術につきましては、複数回実施するために、8日以上あけて再入院が必要という診療実態が変わったというような御回答がございます。

 それから、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術につきましては、点数が低過ぎて、採算がとれないという御回答を半分ぐらいいただいているところでございます。

65枚目は、短期滞在手術基本料を設定した患者さんの点数の分布を見たものでございまして、実際には、仮にということで、出来高で点数を積み上げたものと、実際の短期滞在手術の基本料の点数の差を改定前と改定後で比較したものでございまして、改定後のほうは、左側に分布がシフトしているということで、効率化という表現がいいかどうかはあれですけれども、医療の提供内容が一定程度効率化されたのではないかということが示唆されるというデータになっております。

 論点といたしましては、66枚目に1つ目を掲げさせていただいておりますが、水晶体再建術のように、改定後に診療形態に大きな変化が見られた項目とか、あるいは年齢によって出来高実績点数の分布に大きな違いが見られる項目等の取り扱いについてどう考えるかということと、透析患者等の高額な医療を要する患者がいることを踏まえて、包括範囲についてどう考えるかということを掲げさせていただきまして、以下、データを準備させていただいております。

67枚目は、水晶体再建術の算定状況でございますが、改定前は2つの山がありまして、左側が片眼、右側が両眼の手術という山ですけれども、26年改定後を出来高点数の分布にして見てみますと、1つの山になっておりまして、片眼中心で、片眼の占める割合が92%という状況になっているということです。

68枚目は、乳幼児の症例が多く見られた項目ということで、特に右側の鼠径ヘルニアの手術のほうを見ていただきますと、大きく3つの分布になっておりますが、それぞれ3歳未満が一番点数が高くなっています。3歳から6歳が真ん中、それ以外が左側というように、年齢によって3つの分布が認められるような状況になってございます。特に高い点数を多くやられているところは、点数が低くて、採算がとれないというような、先ほどの指摘につながると思っております。

69枚目のスライドは、主な入院料等の包括範囲ということで、横軸は短期滞在手術等基本料からDPCまで、縦軸はそれぞれの診療報酬項目を掲げさせていただいておりますが、この表で見ていただきたいのは、○×ではなくて、○のところに、それぞれ何々を除くという項目がついていると思います。

 例えば下から5段目のJの処置のところを見ていただきますと、地域包括ケア病棟とか、回リハとか、ほかのところも、人工腎臓を除くとか、一部の処置を除くということがありますが、短期滞在手術等基本料については、そういう項目がない。

 実際に透析患者さんにおける点数がどうなっているのかというのが、70枚目のスライドでございますが、例えば50tile値のところで比較していただければと思いますが、一番上の水晶体再建術ですと、全体では1万4,776点ですけれども、透析患者さんですと、1万8,259点とかなり点数が違っております。ほかの手術も同じような傾向にございますが、これについて、どう考えるかということでございます。

71枚目ですけれども、2つ目の論点としては、現在、対象となっていない手術等のうち、在院日数が短く、出来高点数のばらつきが少ない点数というのは、当該基本料の対象に加えることについてどう考えるのかと掲げさせていただいておりまして、以下、データを準備させていただいております。

72枚目のスライドにありますような要件で、抽出した結果でございますけれども、仮にということで、73枚目から75枚目の手術等を拾ってございます。

73枚目は、経皮的シャント拡張術・血栓除去術でございますが、これにつきましては、入院5日目までに99%の患者が退院しているということと、入院5日以内の特掲診療料の算定点数が、25から75tileの幅というのは、50tile値の20%程度であったという状況でございます。

74枚目は、体外衝撃波腎・尿管結石破砕術でございますが、入院5日目までに95%の患者さんが退院しているということと、入院5日以内の特掲診療料の点数が、25から75Tile幅は、50tile値の15%程度であったという状況でございます。

75枚目は、ガンマナイフによる定位放射線治療でございますが、入院5日目までに98%の患者さんが退院されているということと、入院5日以内の特掲診療料の点数の25から75tile幅は、50tile値の2%程度であったということで、これはかなりばらつきが少なくなっていると思いますが、こういう状況であるということです。

76ページは、入院分科会の取りまとめです。

77枚目に論点としてまとめさせていただいておりますが、短期滞在手術等基本料の評価につきましては、改定時に出来高実績点数に応じた設定を行い、引き続き診療の標準化と効率化を図っていくべきではないか。

 2つ目の○ですが、水晶体再建術については、両眼の手術と片眼の手術に対する評価を分けることとしてはどうかということ。また、年齢によって、出来高実績点数に大きな差が認められる手術については、年齢によって評価を分けることとしてはどうか。

 3つ目の○として、人工透析など、必然的に発生する高額な医療であり、頻度の低いものについては、他の包括入院料の例を参考にして、包括範囲から除外することとしてはどうかということ。

 4つ目の○として、在院日数が短く、出来高実績点数のばらつきが少ない項目については、新たに短期滞在手術等基本料の対象に加えることとしてはどうかとまとめさせていただいております。

 以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 本日は、宮島専門委員から資料が提出されておりますので、あわせて、資料の説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○宮島専門委員

 ありがとうございます。

 それでは、私からは、臨床検査の視点でのチーム医療の推進状況について、報告をさせていただきます。

 平成26年度診療報酬改定の検証結果に係る特別調査では、先ほど事務局から報告されましたように、中医協総-2の51ページでございますが、医師の勤務状況として、多くの医師が勤務状況の改善が必要だと感じているということ。

52ページでは、採血などの業務分担が進んでいるとされております。採血、この後、出てきます検体採取につきましては、医師の指示のもと、看護師、検査技師のみができる医行為になっているわけでございます。

53ページの看護師の勤務状況を見ますと、いまだ9割以上が看護師の負担軽減に取り組む必要があり、事務職等による事務補充や臨床検査技師による採血などが必要とされているところでございます。

 私が提出した資料でございますけれども、こちらでは、チーム医療における臨床検査技師の役割について、述べさせていただいております。

 2ページ、3ページは、先の51ページから53ページのグラフの中身を並びかえたものでございますが、採血など、臨床検査業務は、医師から看護師へと業務が移行しているのではないかと推察されるわけでございますが、看護師の負担軽減といたしましては、採血及び検体採取の介助、検査前後の説明や結果の管理等が必要な取り組みとされているわけでございます。

 4ページ目は、私ども日本臨床衛生検査技師会が、昨年、調査したものでございます。

 採血は、外来を含めて55%ぐらいが実施しているわけでございますが、病棟でも14%が実施するところまで、きているところでございます。

 チーム医療としての検査は、さまざまございますが、これは2030%進んでいるという状況でございます。

 5ページは、この調査において、一部実施または今後病棟で臨床検査技師が実施できる業務、それにより期待できる効果について、記載されているところでございます。

 医行為であります検体検査等は、昨年の法改正のもとで、医師の指示のもとに、検査技師も実施できるようになりました。病棟等の現場では、検査の説明、採血、検体採取、ベッドサイドの検査など、一連の業務が可能となってきております。

 以上、臨床検査技師の業務を例に、チーム医療の中における現状とその取り組みの状況を報告させていただきました。

 医師、看護師の業務負担の軽減、医療の質の向上、患者サービスの向上について、今後も取り組んでまいるつもりでございます。このような状況におきまして、適切な評価が必要と考えておりますので、ぜひ御検討いただきますよう、お願い申し上げます。

 以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

 初めに、入院医療(その3)について、全体的な意見を述べさせていただきたいと思います。

13ページのグラフが示しますように、一般病床の1日平均患者数、病床利用率は、経年的に徐々に減少する傾向にあります。資料はありませんが、病床数は平成3年から平成13年の10年間に13万床減少するなど、年に約1万床ずつ減少しています。

21ページのグラフが示しますように、一般病床の平均在院日数は、経年的に減少してきています。平成26年度の診療報酬改定は、現状でも医療現場に激変をもたらしております。

10ページのグラフが示しますように、7対1入院基本料の届け出病床数は、平成26年以降、減少傾向に転じております。

15ページのグラフが示しますように、7対1のDPC病院における平均患者数は、改定前後で減少してきています。

 この傾向が続けば、徐々にあるべき姿に収れんしていくことが考えらます。

 現在、現場では、平成26年度の改定への対応と、病床機能報告制度に伴う地域医療構想への対応に追われており、経営を維持しながら、自院の将来像を描きつつ、地域医療連携を推進するためには、全体を調整する方策と時間が必要であるため、7対1病床の要件のさらなる厳格化は、バナナのたたき売りではないので、現場にこれ以上の不安と混乱をもたらさないように、慎重に行うべきです。

12ページのグラフが示していますように、より診療報酬の高い特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料の病床が増加傾向にあります。今回はまずそれらと7対1病床との要件の整合性を図るべきであると考えます。

 従来は急性期の大病院と中小病院の機能が病院単位で分かれており、国民も病院単位で判断しておりましたが、現状では、急性期の大病院も連携強化により対応できない病院を中心にして、高度急性期や急性期に特化せずに、38ページの表にありますように、自院内の機能分化の方向に進みつつあります。病院としての姿が見えなくなってきているのが現状です。特に公的病院では、休眠病床以外の病床削減のメカニズムが働いておりません。地域包括ケアを構築するためには、その外側で、地域の最後のとりでとなる高度急性期、急性期に特化した病院の確保が必要です。

 また、それと同時に、地域包括ケアにおいて、地域の急性期を診る中小病院の確保も必要です。今回、単に7対1の要件を厳格化するのではなく、急性期の大病院と中小病院の機能分化と地域医療連携が再び進むような診療報酬の設定がなされるかどうか、全国の医療関係者が固唾をのんで注目していることを忘れてはなりません。

 次に具体的なお話をさせていただきます。

30ページを見ますと、医師の指示の見直し頻度とありますが、医師の指示の見直し頻度については、まずその定義を明確にすべきです。治療経過が順調であれば、入院時のパスに沿って、想定された臨床経過をたどるものとなり、急変症例と比べて、指示の変更はおのずと少なくなりますが、急変が多いことは、患者さんにとっても、現場にとっても、好ましいことではありません。

34ページのグラフが示しますように、年齢が高くなるほど、在院日数が長くなる傾向があるため、35ページ、36ページにありますように、地域連援室や退院支援室の設置及び入院時に早期退院に向けた多職種のカンファランスの充実が必要です。

60ページの論点については、チーム医療の推進は、医師を初めとする医療従事者の負担軽減に有効であり、今後とも急性期を中心にさらにその充実が必要であると考えます。

77ページの論点につきましては、4つの○に書かれてある事項は、いずれも妥当であると考えます。

 以上です。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ほかに御意見ございますか。松本委員、お願いします。

○松本委員

 スライドの41で教えていただきたいのですけれども、課題の1つ目のポツの上から3行目に「7対1病棟における入院患者数や病床利用率の経年的な傾向に大きな変化はみられなかった」とございますが、スライドの15を見ていただきますと、DPC病院の7対1でございますけれども、この折れ線グラフを見て、大きな変化は見られないとは思えないのですけれども、経年的な傾向という意味の中での大きな変化ということなのでしょうか。これは教えていただけないでしょうか。まず1点です。

○田辺会長

 この点は、医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 御質問をいただきまして、ありがとうございます。

41ページ目の1ポツ目の3行目のお話ですが、近年、入院患者数が緩やかに減少傾向にあるという、13枚目の左側のページの大きな流れの中で見たときに、今、御指摘がありました、15枚目の違いをどういうふうに考えるかということですけれども、改定前後の流れで見ますと、全体の流れで見て、こういう減少傾向があるという大きな流れで見ると、一連の大きな流れの1つではないかということで、特に改定前後で大きな傾向の変化があったとは考えていないということを、記載しているものでございます。

○田辺会長

 松本委員、お願いします。

○松本委員

 入院患者数は減少しているということで、よろしいわけですね。

○宮嵜医療課長

 全体的には、経年的にそういう傾向にあるということは、お示ししているとおりでございます。

○松本委員

 わかりました。

 もう一つ、病床利用率に変化はないという根拠を教えてください。

○宮嵜医療課長

 患者数を利用率に戻しているだけですので、考え方は同じでございます。ですから、大きな流れとしては、13ページにお示ししているように、利用率は下がってきているということでございます。

○松本委員

 スライドの13は、一般病床全体を捉えているかと思うのですけれども、それでも7対1に置きかえると、一緒だということなのでしょうか。

○宮嵜医療課長

 詳細には区別した形で分析されていないですけれども、同じような傾向ではないかと考えております。

○田辺会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 恐らく事務局はデータをお持ちなのでしょうけれども、我々にデータを示さないで、そういう結論を導くというのは、いかがなものかと思いますので、機会があれば、そのデータを出していただきたいと思います。

 同じく課題の最後のポツの下から2行目に、いわゆる7対1入院基本料から10対1入院基本料に移行を希望する医療機関もあると書いてございますが、39のスライドを見まして、例えば左の表を見ると、新たに届け出した10対1病棟、n369でございます。これはあると言えばあるでしょうけれども、非常に少数、ごくわずかに見えます。これはほとんどないように見える、私ならほとんどないと書きますけれども、医療課としては、あるということなのでしょうか。

○田辺会長

 お願いします。

○宮嵜医療課長

 事実を淡々と記載させていただいたので、両方とも、上も下もですけれども、10対1希望もあれば、7対1希望もあるということで、書かせていただいております。それ以上深い意味はございません。

○松本委員

 深い意味はないということで、わかりました。

○田辺会長

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 今の発言の繰り返しになりますが、10番のスライドは、非常に意味があると思います。改定前後で大きな変化はないということではなくて、大転換だと思います。7対1は、間違えなく減少に転じているわけです。

13番のスライドは、残念ながら、一般病床全体のものですが、1日の平均患者数も、大きな流れとして、減り続けているのです。ですから、前回の改定前後のことを強調するのは、余り意味がないと思います。患者数が減り続けて、病床利用率も減り続けているわけです。

 そして、鈴木委員が申し上げましたが、最近10年間で、病院数、病床数は7%も減っているのです。これは医療機関の経営的な努力もあって、何とか維持しているのが現状なので、その象徴は、15番のスライドのDPC病院、7対1における平均患者数は、明らかに改定前後で変わっています。これは明確です。出来高の7対1病院のことを考えると、さらに減っていることが予想されます。

 そういうことで、先ほどのまとめの大きな変化は見られなかったというのは、文言を修正していただきたいと思います。この紙はいろんな方面に影響力を持ちますので、正しい表現にしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

○田辺会長

 お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 御意見も踏まえまして、表現、書きぶりについては、検討させていただければと思います。

○田辺会長

 ほかにいかがでございますか。白川委員、お願いします。

○白川委員

 様々な御指摘がありますが、前回の改定の議論は別として、ここ数年、確かに入院患者や平均在院日数の減少傾向にあるということは、事実だと思っております。資料にはありませんが、1日当たりの入院単価あるいは1入院当たりの患者の単価は、ここ数年ふえておりますので、在院日数等が減少しても、高度な医療を提供することで、医療機関の経営はかなり安定した状況にあるのではないかと認識をしております。

 論点1で、前回の改定結果についてどう考えるかという問題提起がございますが、以前も申し上げましたとおり、前回の改定の際に、特に7対1、10対1といったいわゆる急性期をどのように考えるかということに関して、随分、議論をさせていただきました。

社会環境、あるいは患者の疾病状況等も変化していることから、急性期から回復期、あるいは慢性期の療養病床、最終的には在宅医療という方向にシフトすべきではないかという御意見を申し上げました。それにより、病院側が急激に経営的・財政的な影響を受けるのは困るので、ソフトランディングすべきだという主張をさせていただきました。そのため、地域包括ケア病棟の診療報酬の点数等も考慮していただいたと思っておりますが、私としては、今回、7対1が1万6,700床程度減少したという数字では、時代の変化に追いつかないのではないかと考えております。

 以前、7対1で、重症の患者が15%で、残りの85%はどのような患者像なのかということがありました。患者像と言っても、患者自身も入れかわりますので、どのように区分するのかは非常に難しいことは理解しておりますが、今日の事務局の提出資料では、週1回程度の医師の指示の見直しが必要ということが示されております。

 スライド30ですが、7対1の病院の一部で、、病状の安定した、むしろ回復期や慢性期のほうがふさわしいのではないかという患者が、かなりの数いる病院があると読み取っております。

 そうしたことから、今回の改定に当たっては、スライド17に記載をされているとおり、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率等については、見直しの方向で議論をすべきだと思います。

 特に先ほど申し上げた重症患者を15%以上とする基準は、資料を見ると、現在の医療・看護必要度のA項目、B項目を使うと、特定機能病院でも16%しかないことからも、重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直し等により、急性期にふさわしい適正な評価項目とした上で、「15%以上」という患者比率について議論をしていくべきではないかと考えております。

 それから、アウトカム評価で、在宅復帰率が出ておりますが、これが92%となっております。急性期ということもあり、当然一定の期間がたてば、在宅に復帰していただくことになりますが、そのことを加味しても92%は余りに高いと感じます。これは在宅復帰ではなくて、ほかの病院に転院した場合等も含んだ計算式になっていると思いますが、それが良いかどうかも含めて、在宅復帰率については詳細な分析をする必要があると思います。また、必要に応じて、計算方式の見直し等も議論していくべきだと考えております。

 平均在院日数は、短期滞在手術等基本料や特定除外制度の見直しにより、ふえてきているというデータになっておりますが、安定してくれば、平均在院日数は減少する傾向にあると思っておりますので、何日減らせという議論をするつもりはありませんが、一定の検討は必要であろうと考えております。

 入院医療については、以上でございます。

 チーム医療につきましては、今まで中医協において、様々な仕組みを導入したこともあり、それなりの効果が表れていると思います。これだけ端的に効果が出ることは、非常に良いことだと考えております。

 それにもかかわらず、医師や看護師等の状況を見ると、現状を改善してほしいという要望が、まだ強く残っているということですので、どのようなチーム医療の充実が必要かということについては、中医協で議論すべき重要な項目だと考えております。

 最後に短期滞在手術等基本料でございますが、スライド66で、白内障について、医療課長は端的に単眼と両眼で2つの項目に分けたらどうかとおっしゃったと思いますが、私もその方向が実態に合っていると思いますので賛成です。

 2つ目の透析患者の件ですが、ほかの入院料等でも一部が包括外になっているケースが多いことはよくわかりますが、短期滞在手術等基本料は比較的軽い手術が多いと考えられる中、透析患者がなぜ高くなるのかがわかりません。

 スライド70に4つの例が示されており、いずれも透析患者は高いということになっておりますが、どのような理由で高くなっているかを一度お示ししていただいた上で、議論をさせていただければと思います。

 スライド71以降では、3つほど例示をされておりますが、在院日数が短く、出来高点数のばらつきが少ないものを対象として追加することは賛成でございます。包括化を進めることで、患者、国民にとってどこの病院に行っても、同じ入院で同じ費用となることは、非常にわかりやすいと思いますので、積極的に包括化を進めていただきたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 医療課長、どうぞ。

○宮嵜医療課長

 1点、69ページ、70ページに関連して、透析患者さんのお話が出ましたが、短期滞在手術とはいえ、4日とか、5日とか入られていると、透析の患者さんは、1日置きぐらいに透析をしなければいけなくなります。正確な点数は覚えていないのですけれども、1回当たりの透析は、何千点とかかりますので、白内障の患者さんでも、透析をしない人は、そのままなのですけれども、透析をする人は、何千点という点数が、1回とか、2回とか、上乗せでかかってきてしまうので、それを全部、今の短期滞在の手術料の中で見てくださいというのは、余りにも酷ではないかということで、ほかの包括点数は外出ししているのですが、短期滞在手術については、どう考えるかということを、論点としてお示しさせていただいているところでございます。

○田辺会長

 白川委員、お願いします。

○白川委員

 わかりました。

 透析の費用まで、包括に入っているということですか。例えば、白内障の手術であっても、透析に行けば、その分も包括されているということですか。

○宮嵜医療課長

 はい。

○白川委員

 それは確かに矛盾があります。わかりました。

○田辺会長

 それでは、ほかにございますか。中川委員、お願いします。

○中川委員

 議論を聞いていると、1号も2号もそうですが、7対1病床の削減が進むことが、機能分化が進むことという表現がときどき見られるのですが、それは違うと思っています。7対1病床削減が進まないイコール悪だというニュアンスに聞こえるので、非常に気にしています。これは意見です。

 白川委員は、7対1は1万6,000床しか減っていないとおっしゃいました。現在、364,000床あるのですが、病床稼働率を考えると、8掛け以下なのです。それが経年的にずっと大きな流れとして減ってきている。次の改定で、さらに強力に減らすような議論をするべきではないと思います。現場の混乱が助長するのではないかと思っています。

 重症度、医療・看護必要度の患者さんが、大病院ですら15%しかいないという疑問を呈されましたけれども、大学病院の病棟でさえ、患者さんは日々病態が変化していきます。非常に悪い時期から、急性期になり回復期になった、ときには、慢性期の状態まで、そういう患者さんは大学病院にもいまます。そういう中で、患者さんの15%以上が該当するということは、私はかなり率だと思いますし、そういういろんな病期の患者さんが、7対1病棟であろうといること自体が、病棟、医療の包容力だと思っています。現場に従事している人は、みんなそれを理解していると思いますが、そういうふうに考えていただけないかと、強く希望します。

 それから、医師の指示の見直しの頻度が少ないのではないかということも、おっしゃいました。それについて、現場感覚として説明をさせていただきたいと思うのですが、例えば7対1病棟があるとします。医師は毎日最低1回回診をします。患者さんを一人一人診て、今の指示の内容でいいのかどうかをしっかりと検討します。そして、病態を見て、今の治療のままでいい、指示のままでいい、このままでよくなるはずだという判断も、ある意味、医師の指示の見直しの範疇だと思います。ですから、医師の指示の見直しの頻度というデータについて、定義をしっかりしないでしたために、かなり誤解を受けているのではないかという気がします。

 在宅復帰率も、前回の改定であのような定義に決めて、75%にして、結果として92%だったわけですから、もしそうではない、純粋に在宅となれば、はるかに低い復帰率の設定をしなければならないことになると思いますし、この辺は、前回の改定で決めたばかりのことを、次の改定で、朝令暮改的なことにならないように、もう少し様子を見たい、経過を見ていただきたいと思っています。

 以上です。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 白川委員、お願いします。

○白川委員

 順不同になりますが、中川先生の御意見について、私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。

 在宅復帰率については、前回計算式等について合意をして75%以上という基準をつくったわけですが、結果をみると、92%という数字となりました。別にこれがおかしいという話ではなく、現実に92%になっているのであれば、計算式からもう一度見直して、75%で本当にいいのかということを議論すべきではないかと申し上げているだけでございます。

 医師の指示の見直しの話で、中川先生の意見も理解しますが、実際にこのように調査をするとこれだけの分布が出ているということは、定義がはっきりしないことで誤解されている病院もあるのかもしれませんが、これだけ違うという結果が出ておりますので、データとして大事にすべきではないかと思っております。

 基本的な話に戻りますが、重症度、医療・看護必要度の基準を議論した際に申し上げましたが、残り85%の方は、受けた医療のサービスに対して、負担すべき額以上に負担させられている懸念があることから問題提起をしているわけでございます。もう一つは、患者像や症状が大きく変ってきていることから、時代に合った形にしていくべきではないかということで、この両面を踏まえて申し上げております。

 一方で、病院の経営を考えなければいけないという、中川先生の御指摘は、前回から申し上げているとおり、大事にしなければいけない問題だと思っております。とはいえ、そもそも急性期や回復期と言いますが、今の7対1は、7対1だから急性期と言っているだけで、単に看護配置が急性期病院としてそのように設定されているだけという印象しか受けておりません。従って、急性期の要件は、重症度の患者比率や平均在院日数等になっているわけですが、本当にそれだけでいいのかという議論もあると思っております。急性期と言うからには、こうした体制の病院が、患者にとってありがたいという方向で考えていくべきではないかと考えております。

 ただ、病院の経営のことを考えますと、すぐに考え方を変えるわけにはいかないことは、十分に理解しておりますので、急性期の要件は将来に対する検討項目と考えて、現行の7対1の要件について、議論を深めていくべきではないかと思います。

○田辺会長

 中川委員、お願いします。

○中川委員

 白川委員、ありがとうございます。

 もう一度、在宅復帰率について申し上げますが、92%というのは、見方を変えると、機能分化が非常にうまくいっているということが、あらわれているのではないかと思っています。ですから、その点は評価していただきたいと思っています。

 それから、7対1が算定できたから急性期というのは、違うと思います。患者さんの内容として、急性期の患者さんが大半ではないのに、7対1がとれたから、急性期と言っているということは、実態としてはないので、それはぜひ御理解いただきたいと思います。

 今、看護師さんの募集でも、患者さんの内容が、急性期でないのに、7対1だから行くという、そういう甘い状況ではないのです。希望する看護師さんで、寝たきりの患者さんしかいないところで、7対1だから、そこに行きたいということは、現場的にはなかなかないので、ぜひその辺の御理解もいただきたいと思います。

○田辺会長

 今のことに関連ですか。白川委員、お願いします。

○白川委員

 私が気になったのは、7対1から他の入院料へ移行しない理由の中で、施設基準を満たしているからという回答が一番多かったことです。鈴木先生の話の中でも、地域包括ケアや地域医療構想の話が出てきましたが、我々が期待しているのは、個々の病院が、地域の中でどういう機能を果たしていただくかということであり、これから議論が進むと思いますが、それが住民の期待している方向性だと思っています。そうした観点で、病院側にも考えていただきたいということでございます。施設基準を満たしているから、今のままでいいだろうという考えだとすれば、考え方を改めていただかないといけないのではないかということが、私の意見でございます。

○田辺会長

 福井専門委員、お願いします。

○福井専門委員

 よろしくお願いいたします。

 7対1入院基本料と看護必要度のことについて、お話がありましたが、特定機能病院の場合には、特定機能病院の役割や機能を考えると、ICUCCUHCUSCUNICUMFICUといった特定入院料の病棟が相当数ございます。特定入院料の病棟にそれ相応の患者さんたちが入っておられるので、一般病棟の看護必要度の割合が低いから、重症の患者さんが少ないという見方は、もう少し精査する必要があるのではないかと思います。一般病床における必要度が低いという議論は、特定入院料の割合を見ながら検討する必要があるのではないかと思います。

37ページに、7対1から転換しないで、引き続き7対1を続けている医療機関もありますけれども、入院患者の状況に応じて、自助努力で看護配置を行っている医療機関もありますから、適正な看護配置を行っている医療機関に対する評価についても、ぜひ検討していただく時期ではないかと思っています。

 もう一つは、在宅復帰率のことが議論になっていますけれども、早期退院や在宅復帰に向けた支援、退院調整ですが、今、退院調整部門に幾人かの看護師やワーカーさんなどが配置されていて、地域を巻き込んだ退院調整を行っています。今、入院している患者さんの状況が、回転率が非常に早くなっていることとか、高齢化が進んでいること、独居であることを踏まえると、病院の1つの退院調整室の機能だけでは、もうもたなくなってきていると思います。こういったことについて、一般病棟の看護師たちが一緒になって、地域の資源を活用しながら、退院できるような方向に、今、とりくんでいますので、このような病棟ごとに行われている退院調整と、看護職だけではなくて、さまざまな職種がチームをつくって退院調整を行うといったことが進められていくような、向かわせ方が必要なのではないかと思います。

 それと、現在、診療報酬では、退院調整の項目がたくさんあって、退院調整の項目の評価がさまざまにされていますけれども、こういったことは、実効性のある、効果的な退院調整ができるように、まずは今の評価の仕組みを整理していただきたいと思います。

 以上です。よろしくお願いしたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。万代委員、お願いします。

○万代委員

 御意見を申し上げます。大きなところから細かいところまで、時間の関係で、取り混ぜて申し上げますが、資料の順番に沿いまして、お話いたします。

 8ページの入院医療における機能分化ですが、ここは急性期に焦点を当てた機能分化だと考えますけれども、その進捗状況について、どう考えるかということでございます。

 これまでの議論のように、7対1病棟が本当に急性期医療を提供している病棟か、あるいはそこだけを指標にしていいかということは、おきまして、進捗状況につきましては、10ページの色が変わっているグラフに示されるように、現場の感覚から申し上げましても、進捗は行われていると思いますし、課長は若干と発言されましたけれども、本当に若干なのか、あるいは若干が続けば、それが累積することによって、徐々に減っていくと思います。

 白川委員は、時代の変化についていっていない、追いつかないとおっしゃっていましたけれども、ドラスティックな変化をさせて、医療が崩壊するというのは、また考えるところでございますので、ソフトランディングとおっしゃっていただいていますので、その言葉を重く受け止めさせていただいて、進捗していると評価するべきだと考えております。

17ページに論点2がございます。ここは、急性期入院医療の内容について、どのような形で機能分化を図っていくかという論点でございますけれども、ヤガシラの1つ目に幾つかの項目がございます。これまでの入院医療の調査評価分科会での中間取りまとめ等にもありますように、現在の指標が本当に急性期の患者像をあらわすのかというと、甚だ疑問であります。それは、従来から、こちらも主張しているところでございます。

 この中で、第2段落のヤガシラですけれども、3つ目に患者像や医療提供内容とございます。それを重症度、医療・看護必要度という言葉であらわすのが、適当かどうかは別としまして、いみじくもここに書かれてありますように、患者さんの病像、どんな病態で、どのような病気に入っているかということと、それに対する医療提供内容を十分に重く見て、現在も事務局から提案がございますけれども、そこを主体とする急性期医療の要件設定を図っていくべきだと思っております。その方向性については、私どももその方向があるべき方向だと思いますし、賛成でございます。ただ、該当患者が何割ぐらいが適当かということについては、今後、議論していくべきだと思っております。

 少しミクロ的に申し上げますと、患者さん個人ということからすると、例えばある病気で急性期の期間が1週間と規定された場合、あなたは急性期が終わりました、次の病棟に行ってください、あるいは次の病院に行ってくださいというのは、患者さんにとって余り優しくないと思っておりますので、そこら辺のマージンというか、そこはある程度の幅が必要だと思っております。

 患者像や医療提供内容につきましては、平成28年の改定だけでなく、次回改定に向けても準備するという意味で、いろんな項目を検討していって、第1段階、第2段階という形で、ブラッシュアップをしていけばと考えております。

 前回の中医協総会でも議論いたしましたけれども、現在の重症度の項目は、どうしても外科系と循環器系に偏っていることは、皆様お認めいただけると思います。内科側からはなかなかいい提案がないかもしれませんけれども、それも含めまして、内科的な急性期像というものも、やはり中医協の場で探っていくべきと考えている次第でございます。

 次に在宅復帰率の議論がございましたけれども、その議論は議論といたしまして、34ページのところで、入院医療別の退院できない理由ということで、先ほど御紹介がありました。

 その理由に対する対応として、次のページから、いろんな支援で退院に取り組んでいるということです。現場感覚から申し上げますと、どの病院も相当これに取り組んでいる。その中で、家族の方の思いが十分にこちらと合致しないところから、なかなか退院できない理由がありますので、今後こういった支援をどのような形で充実させていくか。充実させると書いてございますけれども、その際に、従来から申し上げておりますように、人員要件ばかりで縛りますと、現在、機能を発揮している現場がそれに対応できないことになりますので、要件については、細かいところですが、事務局としても十分に考慮した上での提案にしていただきたいと考えております。

39ページと40ページに今後の届け出の意向についてとございます。これも議論がございましたけれども、地域包括ケア病棟が、どの表でも、バーの長さとしては、最も多いという比率になってございます。これは、見方からすると、一番移行しやすいということでございまして、例えば10対1の病棟を新たに届け出したいと思っても、7対1の病院が変更しようとしますと、病院全体を変更しなければならないということで、かなりの決断になります。そういうこともありますので、松本委員が言われたように、ここへ移る意向はほとんどないのではないか、経営する側から言いますと、移行しにくいところが、ここに大いにあらわれているのではないかと考えております。

 機能分化は、どういう形の機能分化が理想かどうかは別としまして、機能分化をしていかなくてはならないというのは、現場も非常に感じておりますし、必死に対応しているということは、間違いございません。そういうことであれば、制度設計としまして、従来、病院の団体側から提案しておりますような、入院基本料について、病棟群別の入院基本料を算定できるということも、1つの選択肢とすれば、39ページ、40ページにありますような、地域包括ケア病棟だけが突出して、今後の移行の比率が高いということにはならず、いろんな選択肢の中で、それぞれの病院とか、あるいは地域、患者像に合った機能分化が進んでいくのではないかと考えております。

 次の論点は、チーム医療でございますけれども、チーム医療については、前回改定でも導入されたということが、提示されております。全部とは言いませんけれども、例えば要件としまして、人を多く配置すれば、従事者の負担を軽減するという要件をつけられている項目が多うございまして、今後、これについても、事務局からデータが提示されるとは思いますけれども、なかなかとれないところもございます。どこまで急性期の病院を集約するかにもよりますけれども、日本のこれまでの医療提供体制のよいところを保持しつつ、ソフトランディングするとすれば、多くの病院で、医師、医療従事者の負担軽減策がある程度算定できる形にすべきだと思っております。それは皆様がおっしゃるように、51ページ等にありますように、まだ負担があるという現場があるということからも、言えるところでございます。

 次の短期滞在に関してでございますけれども、方向性としては、ここに書かれているとおりで、よろしいと思います。

 ただ、71ページのところで、短期滞在手術基本料の対象手術をふやそうということですけれども、事務局のデータとしまして、平均在院日数が1日延びたということでございますので、そういったことからすれば、さらなる短期滞在手術等基本料の導入により、平均在院日数についての影響が非常に懸念されます。それで多くの病院は対応できると思いますけれども、いろいろな病院がございますし、病院はそれぞれの地域で立脚していると思いますので、大きな影響が地域の医療に出ないという形での設定が必要だと考えております。

 最後ですけれども、73ページに短期滞在の基本料の1つとして、シャント拡張術が提案されてございます。例えば特掲診療料のグラフを見ていただくと、他の2つは算定点数の幅が狭いものですから、診療内容としては、かなり単一化されていると思いますが、シャントにつきましては、特掲診療料の算定点数で見ますと、かなり幅が広いと思います。

75tileが3万567点でございまして、下のグラフの軸のバーが細かいものですから、どこが3万点かわかりにくいですが、類推しますと、一番高いバーから3つ目のところが急に低くなっていますが、ここら辺が3万点だと思います。そうしますと、ここで1つ肩があって、あとは、裾を引いているということですので、ここである程度手のかかる患者さんがおられるだろう。

 先ほど26年改定のデータで、透析患者さんについては、包括の中で見ているので、コストがかかって大変だということで、御理解いただきましたけれども、経皮的シャントにつきましても、腎不全の方でございますので、入院期間がそれほど長くはないので、どこまで影響があるかは、今後の議論かと思いますが、これについては、少し議論して、裾を長く引いていって、一定程度手のかかる患者さんがおられる。そういう方が難民にならないような考えを入れていくべきだと思っております。

 前回改定での2つの短期滞在手術基本料については、必ずしも正しい設計でなかったということもありますし、前回の改定でも、水晶体の手術につきましては、少しまずいのではないかという議論もあったと思いますけれども、それも踏まえまして、前回の反省を踏まえた上での制度設計にしていくべきだと考えております。

 以上です。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 丹沢専門委員、お願いします。

○丹沢専門委員

 専門家として、30ページの医師の指示の見直しの頻度で、急性期がどうのこうのというお話のところは、誤解があるのではないかと思って、少しだけ発言させていただきます。

 通常、患者さんの状態が非常に悪くて手術になる場合、1日に何度も指示を変えるというのは、急性期というよりも、救急自体です。人間の体というのは、10日間とか、2週間ぐらいでタンパクが一巡するわけで、傷も10日、2週間ぐらいで治るわけです。決して3日で治るわけではないのです。手術などが終わった後に、状態が落ち着いてきて、術後3日ぐらいになったら、同じ指示が3日ぐらい続くのは、当然なのです。3日ぐらいたったときに、見直して、評価をして、薬が変わるとか、そういうことがあります。

 薬をどんどん変えていったから、傷が良くなっていくのではなくて、回復する状態を支えるのが医療なものですから、手術をしたり、特別な化学療法などをやった人に関しては、週1回程度の指示見直しが必要というぐらいのところまでが、急性期だと思っています。この前に患者さんを動かすと、例えば傷が割れてしまって開いてしまうとか、そういうことも起こりかねないような状態、あるいは大きな手術をやると、開腹手術などでも、腸の癒着とか、いろんなことが起こる状態ということで、私などの目から見ると、青色ぐらいのところ、週1回程度の指示見直しが必要というところまでが、そうだと思います。

 ところが、逆もあり得て、手術とか、大きな処置をしなかった人に関しては、白川さんが仰っしゃったようなことがあって、患者さんの状態によって、急性期と定義できるのか、そうではないと定義するのかが、混ざってしまっている図なのです。そういうふうに理解していただきたいと思います。

 実は特定機能病院では、バックグラウンドが物凄く激しい人などを治療しています。DPCの場合には、そういったバックグラウンドのある患者さんと、無い患者さんで、手術した場合、支払いはDPCですから、同じですけれども、かかる医療経費は、1.6倍とか、1.7倍とか、2倍とは申しませんが、特定機能病院は物凄い持ち出しでやっているのです。そのために、現在、特定機能病院は、ほとんどの病院が赤字なのです。全国で80億とか、そういう赤字が出てしまっています。

 そういうことで、表の解釈は、余り詰めて解釈しない方が良いのではないかというのが、私の専門家としての意見でございます。参考にしていただければ、有難いと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。安部委員、お願いします。

○安部委員

 きょうの資料の60ページ、チーム医療についての課題と論点については、適切におまとめいただき、こちらについては、全く依存がございません。

 その前の58ページの病棟における薬剤師配置の効果というところで、医療課長から御説明がありましたけれども、時間の関係で、説明はございませんでしたので、補足をさせていただきたいと思います。

 病棟薬剤師の配置による効果のところで、上部の率が高いところは、負担軽減のところが大きく見えているわけでありますが、一番下に書いてある、インシデントの減少というのは、チーム医療を推進する上では、大変重要なポイントだと思っております。パーセントはそれほど高くありませんが、今後、チーム医療を適切に推進していくための議論が進む中で、負担軽減のほかに、インシデントの減少のようなポイントも忘れずに議論をしていかなければいけない。

 補足的な発言でございますが、一言、申し添えさせていただきます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 遠藤委員、お願いします。

○遠藤委員

 チーム医療の推進に関して、1点、要望がございます。医科と歯科の周術期口腔機能管理等についての連携ですが、48ページから50ページのところに、前回改定の内容が載っていますけれども、連携に対する加算設定等もあって増加傾向にあると思っております。

 また、それなりに効果があるという評価も、データの中でいただいていますけれども、59のスライドで見ますと、院内の歯科医師の連携のほうが多くて、院外の歯科医師の連携は半分程度に留まっています。歯科のある病院は2割ぐらいなので、逆に歯科のない病院での連携がまだまだ進んでいないと思っておりますので、歯科のない病院での連携とか、歯科があってもマンパワーが足りないようなところにおける連携が、さらに強化されるような方策をぜひとっていただきたいと、歯科から要望いたします。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。中川委員、お願いします。

○中川委員

 繰り返しになりますが、白川委員は、先ほど37番の資料のところで、施設基準を満たしており、特に転換する必要は認めないということを御指摘になったのですね。

○白川委員

 はい。

○中川委員

 これは複数回答ですので、次の7対1相当の看護配置が必要な入院患者数が多いというものと、両方を選択している人が大半だと思います。そういう意味では、最初のほうは、施設要件が変わったのだけれども、クリアしているということも含めて、答えていると思いますので、そういうふうに理解していただきたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、ほかに質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。

 本日の議論を踏まえまして、引き続き、次回以降、さらに議論を進めて、深めてまいりたいと思います。

 本日の議題は以上でございますけれども、事務局から「○その他」として資料が提出されております。

 報告事項でございますけれども、事務局より説明をよろしくお願いいたします。保険医療企画調査室長、よろしくお願いします。

○三浦保険医療企画調査室長

 保険医療企画調査室長でございます。

 お手元に中医協総-3-1、中医協総-3-2という資料が2点おありかと思います。中医協総-3-1が「主な施設基準の届出状況等」、中医協総-3-2が「主な選定療養に係る報告状況」でございます。

 昨年7月1日現在のものでございまして、昨年同様、お手元に配付する形で御報告にかえさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ただいまの件に関しまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。よろしゅうございますか。

 それでは、ほかに質問等もないようでございますので、この件に関する質疑は、このあたりとしたいと思います。

 本日の議題は、以上でございます。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の「総会」は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表: 03-5253-1111(内線)3288

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