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2015年7月31日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成27年7月31日(金)13:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(13名)五十音順

奥 田 晴 宏、 金 子 明 寛、 川 上 純 一、 神 田 敏 子、
鈴 木 邦 彦、 内 藤 幹 彦、 野 田 光 彦、 林  邦 彦、
平 安 良 雄、 増 井  徹、◎松 井  陽、○松 木 則 夫、
山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(7名)

加 藤 総 夫、 木 村  剛、 佐 藤 雄一郎、 武 田 正 之、
平 石 秀 幸、 古 川  漸、 村 田 美 穂

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森  和 彦 (審査管理課長)
宇 津  忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日は大変暑い中、先生方にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出席状況ですが、加藤委員、木村委員、佐藤委員、武田委員、平石委員、古川委員、村田委員より御欠席との御連絡を頂いております。現在のところ当部会委員数20名のうち13名の委員の御出席をいただいており、定足数に達しておりますことを報告いたします。

 それでは、松井部会長に以後の進行をよろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございます。それでは、本日の審議に入ります。事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~7については、あらかじめお送りしております。このほか、資料8は「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料9は「専門委員リスト」、資料10は「競合品目・競合企業リスト」、資料11は「ラジカット注30mg、同点滴静注バッグ30mgの医薬品第一部会審議を踏まえた対応について」を配布しております。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告いたします。資料10の1ページです。トラクリア錠62.5mgは、全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。2ページです。アイノフロー吸入用800ppmは、心臓手術の周術期における肺高血圧の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目はなしとしております。以上です。

○松井部会長 ただ今の事務局からの説明に対して、御意見はございますか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては委員のみなさんの御了解を得たものといたします。委員からの申出状況について報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況について報告いたします。議題1、トラクリア錠、退席委員なし。議決には参加しない委員なし。議題2、アイノフロー吸入用、退席委員なし。議決には参加しない委員なし。以上です。

○松井部会長 今の御説明で特に問題ありませんか。よろしければ御確認いただいたものとして、本日の審議に入りたいと思います。審議事項が2議題、報告事項が4議題、その他の事項が1議題です。審議事項の議題1に入ります。御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品トラクリア錠62.5mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。

 本剤は、エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタン水和物を有効成分として含有しており、2005年4月及び201211月に「肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスIIIII及びIV)」の効能・効果で承認されております。今般、全身性強皮症に伴う手指潰瘍を有する患者を対象とした臨床試験が実施され、全身性強皮症に係る効能・効果を追加する申請がなされました。なお、本剤は2015年4月現在、全身性強皮症に係る効能・効果について、欧州を含む28の国及び地域で承認されております。

 本品目の審査に関して、専門委員として資料No.9に記載されております委員を指名いたしました。

 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。審査報告書の6ページです。全身性強皮症に伴う手指潰瘍の既往を有する日本人患者を対象とした非盲検非対照試験が実施され、本試験は主に安全性を評価するために計画されておりますが、有効性についても探索的な評価が行われました。その結果、審査報告書の6ページ下から4行目以降にお示ししますように、投与開始から16週までに発現した新規手指潰瘍の発現数は、約0.4個という結果が得られました。

 次に、審査報告書の11ページです。海外においては、虚血性手指潰瘍を有する全身性強皮症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検試験が実施され、審査報告書の11ページ6行目以降にお示ししますように、主要評価項目とされた24週までに発現した新規手指潰瘍の発現数について、本剤群では1.9個、プラセボ群では2.7個であり、本剤群とプラセボ群との間に有意差が認められております。

 国内臨床試験については、臨床試験の対象となる患者数が少ないことから、非盲検非対照試験とされましたが、国内外臨床試験において可能な限り同様の組入れ基準や評価項目、手指潰瘍の評価方法を設けるなどの対応を行っていることから、海外臨床試験成績も併せて評価することにより、日本人全身性強皮症患者における本剤の有効性が期待できると判断いたしました。

 続いて、安全性です。審査報告書28ページの下から11行目以降です。安全性についても海外臨床試験成績を併せて評価することにより、日本人全身性強皮症患者における本剤の安全性を推定することが可能であり、国内外の臨床試験成績から全身性強皮症患者における本剤の安全性プロファイルは、肺動脈性肺高血圧症患者と大きく異ならないものと判断しております。しかしながら、本剤投与時の肝機能障害には十分な注意が必要であり、現行の添付文書で規定されている定期的な肝機能のモニタリングを確実に実施するとともに、肝機能障害の兆候を注意深く観察するよう、医療従事者への情報提供を行うことが重要であると判断しております。製造販売後調査については、国内での治験症例が限られていることから、全投与症例を対象とした使用成績調査を実施することを承認条件とすることが適切と判断しております。

 以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は新効能医薬品としての申請であり、追加される効能・効果に関して希少疾病用医薬品に指定されていることから、当該効能・効果及びその用法・用量について再審査期間を10年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、事前に林委員より3点の御意見、御質問を頂いております。1点目は、「海外臨床試験成績の解釈について、新規潰瘍発症数の解析方法及び欠測値の補完方法に多くの議論があったのかと思いますが、有効性があると判断した根拠を説明していただきたい」という御意見です。2点目は、「潰瘍発症数をエンドポイントとすることは良いとしても、効果サイズを平均±標準偏差で示すことは、ミス・リーディングなのでは」との御主旨の意見。3点目は、「本剤の有効性が期待される患者層やその特性についての分析結果などがあれば示してほしい」というものです。

 まず、1点目の「解析方法及び欠測値の補完方法」について、331試験において実施された新規手指潰瘍の発症数の解析方法であるPitmanの並べ替え検定は、401試験で得られたデータが「手指潰瘍数が0である被験者が多く、データの分布が左右対称ではなかった」ということを踏まえて計画されたものであり、受入れ可能と考えております。また、主要な補完方法の前提となる新規手指潰瘍の発症数が経時的に一定であることについては、欠測のなかった被験者集団での経時的な新規潰瘍の発症数から示唆されました。また、感度解析として計画されていたほかの補完方法による結果は、主要な補完方法の結果とおおむね同様の傾向を示しております。したがって、主要な補完方法に基づき本剤の手指潰瘍の発症抑制効果を評価することは可能と判断しております。

401試験の経験を踏まえて、説明しましたとおり解析方法や補完方法等を工夫してデザインされた331試験において、主要評価項目について本剤群とプラセボ群に有意差が認められており、各投与群の平均値や中央値の結果なども踏まえ、本剤の手指潰瘍の発症抑制効果は示されたと判断しております。

 2点目の「効果サイズを平均±標準偏差で示すこと」についてですが、本剤の有効性について、審査の際には平均値だけではなく中央値なども踏まえて評価しておりました。しかしながら、林委員の御指摘のとおり審査報告書には平均値及び標準偏差のみしか記載しておりません。この点については、中央値や四分位点の値なども記載する方が結果の示し方としてはより適切であったと考えており、今後の報告書作成に当たっては留意したいと考えております。

 3点目の「有効性を期待する患者層やその特性」について、331試験で実施されたサブグループ解析の結果、ベースラインの手指潰瘍数が3個以下の患者と比較して3個を超える患者では、新規手指潰瘍の発現数が多く、本剤による手指潰瘍数の減少効果がより多く認められる傾向にあることから、投与開始時に手指潰瘍数が多い患者では少ない患者より高い有効性を示す可能性があります。

 しかしながら、ベースライン時の手指潰瘍数が少ない患者においても新規潰瘍の発生数は本剤群においてプラセボ群よりも少ない結果となっていること、手指潰瘍の発生が患者のQOLを大きく損なうものであることなどを考慮すると、本剤の適用を投与開始時の手指潰瘍の数で限定する必要まではないと判断しております。また、種々の患者背景因子によるサブグループ解析が実施されておりますが、手指潰瘍の新規発現数の群間差について、各サブグループ間で明確な差は認められておりませんでした。

 以上について、林委員に事前に回答して内容について御了解いただいているところです。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございました。まず、林委員から3つの御質問の事項について補足事項があればお願いいたします。

○林委員 統計的に見ると非常にまれな状態のデータになっていると思い、特に発生するかしないかというところはプラセボと比べて差はないのですが、極めてたくさん潰瘍数が出る人の数を減らすという、少しややこしい形かと思ったので、一応、それで有効性があると判断されたのかということを確認して、先ほど言われた回答を得たということです。

○松井部会長 私もこの点について、重症度と数が必ずしも同義ではない場合があるのではないかと思ったわけですが、その点についてはいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 重症度については、今回、潰瘍の重症度の定義等はしておりませんので、どういう重症度のものに効くという点は今回のこの薬の効果としては検討はされておりません。

○松井部会長 ほかの2点について、林委員、よろしいですか。

○林委員 はい。

○松井部会長 それでは、ほかの委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○内藤委員 11ページの図1のグラフを見ると、縦軸は手指潰瘍が完全治癒した被験者の割合ということになっています。24週以降の所を見ますとプラセボ群が非常に上のほうまで伸びていて、治癒した人が非常に多い、一方、投与群が横になってしまって治癒した人の割合が少ないという結果ですね。この結果だけを見ると薬を投与しないほうが治癒した人の割合が多くていいのではないかと読み取れますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 この試験の投与期間として、基本24週間と決められており、24週までは31例、34例という形である程度の患者が確保されているのですが、恐らく28週までという所は少しアローワンスがあったところで28週まで投与された患者が、4例、0例ということになっていて1例の動きがかなり大きな結果となってしまうということで、解釈自体は24週の所までを範囲として解釈すべきと考えております。

 御指摘いただいたように24週まで見たとしても、この薬を投与したことによって潰瘍が早く治るという傾向は認められておりませんので、その旨を添付文書上でも注意喚起する形としております。

○松井部会長 いかがですか。

○内藤委員 24週で見るという根拠は何ですか。

○医薬品医療機器総合機構 この試験のデザインで評価時期が24週と決められておりましたので。

○内藤委員 そのデザインの根拠は何ですか。

○医薬品医療機器総合機構 デザインの根拠は、この試験の海外試験の1つ前の試験として401試験を実施しており、その中で、潰瘍の発生をどのぐらいの程度の期間で抑えられるかということを検討しております。

○松井部会長 401ですか。

○医薬品医療機器総合機構 401試験です。

○松井部会長 何ページですか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の7ページから記載しております。401試験の中である程度探索的な位置付けとして、どれぐらいの評価期間を設けるかということも見る目的があって実施されたものと思います。ここで主解析の結果はプラセボと本剤との間で有意差が認められなかったという結果なのですが、このぐらいの解析の方法の妥当性や評価期間の妥当性も含めて、この試験の中で検討しており、24週間あれば潰瘍の発生についての評価ができるであろうということで、次の試験をデザインしたということになっております。

 もともとこの試験は、潰瘍の新規発生数を見るための試験で、先ほどの11ページにある図の試験は一緒に潰瘍の発生と、もともとある潰瘍を治すという別の目的も見る試験でしたので、潰瘍を治す評価期間として24週が良かったのかというところは、この結果からは何とも言えないのですが、少なくとも発症抑制を見るための期間としては24週間は妥当であったのだろうと判断しております。

○松井部会長 いかがですか。

○内藤委員 大体、結構です。図1に戻りますと、要するに24週以降で差が見えているけれども、それは症例が少ないから、たまたまそういう患者がいて大きな差になって見えている可能性があるという理解でよろしいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そう解釈をしております。

○松井部会長 よろしいでしょうか。

○内藤委員 はい。

○松木部会長代理 今の点ですが、24週で最初に計画を組んだのならば24週までがデータだと思います。それ以降のデータをアローワンスに入れてしまって、たまたまこうなったからということがあるのですが、非常にミス・リーディングだと思います。そもそも24週の計画をしたわけですから、これは非常に紛らわしいと思います。

 それと、図では数値の24がどこに当たるのか分からないのですが、ちょうど重なっている辺りですか。

○松井部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 手元に詳細なデータはないのですが、恐らく、ボセンタン群の点線が平坦になり初めた所があると思うのですが。

○松木部会長代理 24週で終了だと思うのですが、もしこういうデータを出して、このグラフを審査報告書に載せるのならば、やはりこの段階でおかしいということを是非PMDAで気付いてほしいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 以後、気を付けます。

○松井部会長 結局、スタディ自体は有意差がなかったということですね。

○医薬品医療機器総合機構 潰瘍を治癒する効果としては認められなかったということです。

○松井部会長 ですから、24週以降も有意差がないと判断すべきことだと思います。よろしいでしょうか。それが、ここに目立ってしまっていることが問題だということを内藤委員はおっしゃりたいのだと思います。ほかにいかがでしょうか。

○金子委員 海外長期継続投与試験の副作用です。

○松井部会長 14ページですか。

○金子委員 はい。私、気になりますのは、5%以上に口腔内潰瘍が出ておりますので、現時点で分かりましたら、潰瘍という、いわゆるSLEに見られるような口内炎もどきみたいな潰瘍なのか、メソトレキセートみたいなリウマトレックスのときに出てくるような口腔内潰瘍なのか、それは薬剤中止だとかそういうことで、メソトレキセートの場合だと改善していきますけど、どういう種類の潰瘍であったかということを教えていただければと思います。

○松井部会長 お分かりになりますか。

○医薬品医療機器総合機構 口腔内潰瘍について、何に起因するものなのかというデータは現時点では持ち合わせてはおりませんが、これについては、恐らく原疾患に起因する潰瘍ではないかと考えております。

○金子委員 原疾患ではそんなに口腔内潰瘍は出ないと思います。

○医薬品医療機器総合機構 確認して後ほどお答えいたします。

○松井部会長 後ほどというのは後日という意味ですか。

○医薬品医療機器総合機構 今、手元にデータを持ち合わせておりませんので確認させていただければと思います。

○松井部会長 金子先生、後日ということでよろしいでしょうか。

○金子委員 はい。

○松井部会長 ほかにございますか。

○川上委員 効能・効果の表現について伺います。手指潰瘍の発症抑制「ただし、手指潰瘍を現在有している、又は手指潰瘍の既往歴のある場合に限る」とありますので、その場合に「発症抑制」という表現が良いのか、例えば、「再発・悪化の抑制」のような表現と、どちらが良いと思われますか。

○松井部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回、試験の対象とした患者は潰瘍の既往歴があったり、現在有していたりする患者でしたが、評価したのは新しく何個できるかということでした。もともとあった潰瘍を悪化させるのを抑えるところは検討していなく、また、言葉の定義がなかなか難しかったのですが、欧州のインディケーションの記載等も考え合わせて、再発というよりは発症抑制という言葉のほうが評価したものと合っているという形で表現いたしました。

○川上委員 ありがとうございました。

○神田委員 私も今の同じ所なのですが、括弧の中のただし書の所をどのように受け止めたらいいのかと思いまして、「ただし、潰瘍を現在有している」というのは現在、発症しているということで分かりました。そういうときに使います、抑制のために使いますよ。もう一つ、既往歴のある場合に使っていいということですが、それは現在は発症していないけれども既往歴があれば使えますよと受け取るのですよね。その場合、発症していないけれども過去にそういうことがあった人は、いつでも抑制のためにこれを使って抑制し続けるのでしょうかということが一つと、その場合の用法・用量も同じように発症している人に対して使うのと同じような分量を使うのでしょうかという、その辺りの関係などがよく分かりません。

○医薬品医療機器総合機構 本剤の開発に当たって、どういう患者を対象にするのかと検討したときに、先ほど少し説明しましたが、本剤の肝機能障害はときにはかなり重篤なものが起こるというリスクがあります。そのため、御指摘いただいたようにどのような方でも使っていいのかというと、やはりそこは潰瘍が出るリスクの高い患者に投与するべきであろうという議論がありました。では、どのような患者でリスクが高いのかと考えたときに、何回か潰瘍の既往を有している方や今現在潰瘍のある患者さんというところを対象にするべきだろうということで臨床試験も国内外ともにそういう患者さんを対象にして行われております。

 ですので、去年潰瘍が出た若しくは、その前のシーズンに出たといったような患者であれば使えるようになってくるのですが、潰瘍の出る時期が四季を通じてというよりは冬場に出やすい傾向にあるということですので、人によって冬場の潰瘍ができやすい時期に飲んで夏場の暖かい時期にはお休みするという投与の仕方もあると思います。そのときの用法・用量ですが、少なくとも投与が必要なときについては、今回、臨床試験で検討した以外の用法・用量よりも下げたときに効くかどうかも分かりませんので、今回、臨床試験の中で投与された用法・用量で投与していただいて、医師がもう大丈夫でしょう、必要ないでしょうという判断をされたときにはお休みするという選択肢もあるのではないかと考えております。

○神田委員 なかなか難しいところだったと思いますが、ただ、一律に既往歴の確認期間も規定しないということで、今、1年というお話がありましたが、期間を決めないということも、この中にもその理由を書いてありますが、なかなかリスクの高いというのが見極めが難しくて使う方がきちんと使えるのかしらというのが、肝臓に副作用が出るということもありますので、とても、その辺のあんばいが難しいなと思ったので、もう少し見極めるための物差しがあったらいいなと思いつつ、何かないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。どのぐらいの期間を見ればいいのかというところは私どももかなり議論を行い、専門協議において、専門に全身性強皮症を診ていらっしゃる先生方にも御意見をお伺いしたのですが、なかなかそこを3年なのか5年なのかで評価するのが難しいとのことでした。ただ、実際に診ている先生方からすると、この人は今年も出そうだということをある程度予測がつく患者もいるということでした。かなり専門の先生が診ることになると思われますので、添付文書で何年という規定をするよりも臨床試験で投与されたのはこういう方でしたとか情報提供をしっかりしつつ適正使用を推進したいと考えております。

○松井部会長 ほかにはいかがですか。

○松木部会長代理 添付文書の2~3ページにかけての副作用の表現です。肺動脈性肺高血圧症のほうに下線を引いてあるというのは、今回、また追加したということで括弧の下の最後の効能追加申請時は今回の効能ということですか。次のページは、手指潰瘍のことなのですが、そもそも、同じなのに分けて書くというのがよく分からないのと、これは肺動脈性肺高血圧症患者だけのデータですか。

○松井部会長 いかがでしょう。この副作用ですよね。

○松木部会長代理 そうです。投与経路も同じなので、副作用はどちらの治療に使っても同じように出ると思いますが。

○医薬品医療機器総合機構 ここについては、記載整備にはなるのですが、どのような記載整備を行ったかといいますと、そもそも肺動脈性肺高血圧症の承認自体はクラスIIIIVを対象としたものと、クラスIIを対象としたもの、2回承認申請がなされて承認されているという状況です。これまでの添付文書上ではクラスIIIIVの試験結果とクラスIIの試験結果を分けて記載していたものを今回クラスIIIIIIVを全てまとめた形に記載を整備したということになります。

○松井部会長 そうですか。何か大丈夫ですか。

○松木部会長代理 この効能追加申請時の効能追加というのは、今回のことではないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 この効能追加申請時という所に詳細が書いていないため、分かりづらくなってしまっているのですが、これについては、肺動脈性肺高血圧症のクラスIIを効能追加した申請時ということです。

○松井部会長 紛らわしいので、はっきりしましょう。

○医薬品医療機器総合機構 この点については、分かりづらい点が確かにありますので、申請者に修正を指示したいと思います。

○松井部会長 どのように修正したのかも教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 はい。承知いたしました。

○松井部会長 お願いします。少なくとも私と松木委員には御報告をください。

○医薬品医療機器総合機構 はい。報告いたします。

○松井部会長 ほかに何かございますか。もし、御質疑がこれ以上なければ議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、今、御指摘された点です。口腔内潰瘍の実際の状況がどうだったのかということを可能な限り確認すること、それから、添付文書の副作用の欄について曖昧な文章を訂正すること。こういう条件の上で本議題について承認を可として、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題2に移ってください。医薬品機構からお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、医薬品アイノフロー吸入用800ppmの外国製造医薬品製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。

 本剤は、血管内皮由来血管弛緩因子である一酸化窒素を有効成分として含有する吸入製剤であり、2008年7月に「新生児の肺高血圧を伴う低酸素性呼吸不全の改善」の効能・効果で承認されております。今般、心臓手術の周術期に肺高血圧が生じた患者を対象に臨床試験が実施され、それらの臨床試験成績を基に心臓手術の周術期における肺高血圧に関する効能・効果を追加する申請がなされました。

 本品目の審査に関して、専門委員として資料No.9に記載されております委員を指名いたしております。

 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書7ページ表1及び8ページ表2を御覧ください。心臓手術の周術期に肺高血圧が生じた日本人患者を対象とした非盲検非対照試験において、小児では補正中心静脈圧及び動脈血酸素分圧と吸入気酸素濃度の比が主要評価項目とされ、成人では平均肺動脈圧及び動脈血酸素分圧と吸入気酸素濃度の比が主要評価項目として、本剤投与24時間後のベースラインからの変化量が検討されております。その結果、小児の補正中心静脈圧及び成人の平均肺動脈圧について改善が認められております。動脈血酸素分圧と吸入気酸素濃度の比について、平均値では減少を示すような集団も認められましたが、成人及び小児ともに被験者間でのばらつきが極めて大きく、個々の症例についての検討も行い、当該評価項目以外の評価項目等も加味して検討した結果、本剤による肺血行動態の改善効果が示唆されていると判断しております。さらに、海外臨床試験及び国内外のガイドライン等での記載及び文献報告等では、心臓手術の周術期に生じた肺高血圧に対して、本剤の使用が推奨されており、本剤の血行動態の改善効果は、小児及び成人ともに期待できると考えております。

 続いて、安全性について説明いたします。審査報告書16ページの下から10行目以降を御覧ください。本剤の有効成分である一酸化窒素の薬理作用に起因して、血圧低下、出血及びメトヘモグロビン血症が起こることが想定されますが、これらの有害事象について十分なモニタリングを実施する旨、及び適切な対処方法等を添付文書上で注意喚起することで許容は可能と判断しております。製造販売後調査については、国内での治験症例が限られていることから、全投与症例を対象とした使用成績調査を実施することを承認条件とすることが適切と判断しております。

 以上のような審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しております。本剤は、新効能・新用量医薬品としての申請であり、今回追加される効能・効果について希少疾病用医薬品に指定されていることから、追加される効能・効果及びその用法・用量について、再審査期間は10年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では、報告を予定しております。御審議の程、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○内藤委員 今の説明の中にもありましたが、変化量が個々の患者できちんと認められていたことを根拠に有効であると判断されたと思うのですが、そういうデータがここには示されていませんね。全体の平均値と変化量の平均値が出ているだけです。そうしますと、個人差の非常に大きなデータで、しかも症例数があまり多くないようなデータの場合、こういう平均値だけを示されても、それが本当に有効なのかどうかをこの表だけから判断するのは、不可能ですね。その辺りの元のデータを機構の方は御覧になって判断したと思うので、その判断は多分信じて構わないと思うのですが、こういう所に資料を出すときにそういう個々の患者の変化量を示すようなデータを出したほうが、我々としても判断しやすいかなと思います。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。その点については、御指摘のとおりだと思いますので、今後こういったような品目がある際には、そのような形で対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○松井部会長 よろしいですか。ほかにはありますか。今の点は、個々の症例で確かに効果があったと考えられる、量的にではなくて、そういう印象は持たれたのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 個々の症例については、各担当医師等が全般改善度等も踏まえて、ほかの評価項目など総合的に判断して、各患者の有効性が認められていると判断しております。

○松井部会長 その点は、専門委員の先生方の一致した御意見で、反対意見はなかったという解釈でよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。その点については、専門委員の先生方から御同意いただいております。

○松井部会長 いかがでしょうか。ほかに御質疑はありませんか。

○松木部会長代理 一酸化窒素には毒性があった気がするのですが、ただそれは非常に高濃度だと思います。今回は20ppmということなのですが、万が一レギュレーターなどが故障したりしても大丈夫ということでしょうか。動物実験では致死量とかいうのは分かっているのですか。

○松木部会長代理 多分、ものすごく高濃度になったら酸素不足というのはあると思うのですが、それを除いてNOがどのぐらいの濃度まで大丈夫かぐらいのことはちょっと知っておきたいと思うのですね。

○松井部会長 もちろんNOxですから、トキシックであることは事実ですが、これはもう既に使われてきているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○松井部会長 新生児の肺高血圧症についても使われてきているし、大人にも使われてきているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○松井部会長 ですから、そういうデータはあると思うのですが。

○医薬品医療機器総合機構  すみません。今お配りしている資料の1.10というタブがあるかと思うのですが、毒劇薬指定審査資料が付いております。

○松井部会長 何ページですか。

○医薬品医療機器総合機構 それを2枚めくっていただきますと、毒性試験のラットで300ppm、イヌで640ppmというようなデータは得られております。急性の毒性です。

○松井部会長 これは、松木委員の質問にお答えするものと考えてよろしいですか。

○松木部会長代理 分かりました。たとえ全量入ったとしても、致死的ではないということですね。はい、分かりました。

○松井部会長 ほかにはありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告といたします。

 それでは、報告事項に移ります。

○事務局 資料No.3を御覧ください。議題1、医薬品アーチスト錠2.5mg、同錠10mg、同錠20mgの製造販売承認事項一部変更承認について、報告いたします。本剤は、アドレナリンαβ 受容体遮断薬であるカルベジロールを有効成分とする経口剤であり、本邦では、1993年に「本態性高血圧症(軽症~中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症」、2002年に「次の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療を受けている患者、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全」の効能・効果で承認されております。

 今般、心房細動患者を対象とした国内臨床試験の成績を基に、第一三共株式会社より「頻脈性心房細動」の効能・効果及び用法・用量を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。なお、2009年3月に、本剤に心房細動の効能を追加することに関する要望書が、循環器関連主要5学会から厚生労働省に提出されております。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、資料No.4を御覧ください。議題2、医薬品トレシーバ注フレックスタッチ及び同注ペンフィルの製造販売承認事項一部変更承認について報告いたします。本剤は、インスリンデグルデク(遺伝子組換え)を有効成分とする持効型インスリンアナログ製剤です。今般、ノボノルディスクファーマ株式会社から、小児の臨床試験成績が追加され、小児の糖尿病患者の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、小児の糖尿病患者における有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、資料No.5を御覧ください。議題3、医薬品イクセロンパッチ4.5mg及びリバスタッチパッチ4.5mg他の製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。本剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるリバスチグミンを有効成分とした貼付剤であり、「軽度及び中等度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を効能・効果として承認されております。本剤の用量の漸増方法は国内外で異なっており、海外同様に維持量到達までの期間を短縮することを目的として、新しい用法・用量を追加するための開発がなされました。

 今般、ノバルティスファーマ株式会社及び小野薬品工業株式会社により、軽度及び中等度アルツハイマー型認知症患者を対象とした国内臨床試験の結果に基づき、既承認用法・用量に1日1回9mgから開始し、4週後に9mg増量し、維持量として1日1回18mgとする用法・用量を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、資料No.-1~6-3を御覧ください。議題4、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料No.-1は、一般的名称はフィナステリド、販売名はプロペシア錠0.2mg及び同錠1mgの再審査報告書になります。資料No.-2は、一般的名称はポリドカノール、販売名はポリドカスクレロール0.5%注2mL、同1%注2mL及び同3%注2mLの再審査報告書になります。資料6-3は、一般的名称はミコフェノール酸モフェチル、販売名はセルセプトカプセル250の再審査報告書となります。

 こちらの品目については、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。以上です。

○松井部会長 ただ今の報告事項について、何か御質問がありましたら出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。奥田先生、何かありますか。

○奥田委員 特にありません。

○松井部会長 野田先生、よろしいですか。

○野田委員 特にありません。

○松井部会長 特になければ、この報告事項について、委員の皆様の御確認を得たということにいたします。

 それでは、その他の事項に移ります。

○事務局 その他事項議題1、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、説明いたします。資料No.7を御覧ください。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、3品目順に説明いたします。1ページを御覧ください。一般社団法人日本リウマチ学会より、ミコフェノール酸モフェチルのループス腎炎に対する効能追加の要望が提出されております。医療上の必要性については、同じく1ページを御覧ください。適応疾病の重篤性について、ループス腎炎は、全身性エリテマトーデスの主要な臓器病変の中でも高頻度かつ重篤なものの一つであること等から、「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断されました。また、医療上の有用性について、米国リウマチ学会ガイドラインをはじめ、欧米におけるループス腎炎の治療に関する主要なガイドライン、海外臨床試験成績から、「欧米において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境等の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できる」と考えられると判断されました。

 続いて、1819ページを御覧ください。国内の使用実態調査の結果を記載しております。国内においては、ループス腎炎のベースの治療薬として使用されている実態があるものの、日本人の推奨用量に関する公表文献等からの情報は限られていたことから、要望者の学会等において国内における本剤の使用実態調査が実施されました。なお、国内使用実態調査の結果に基づき、日本リウマチ学会、日本腎臓学会、日本小児リウマチ学会、日本小児腎臓病学会から、ループス腎炎に対する本剤の使用に関するステートメントが作成され、推奨用法・用量等について見解がまとめられました。

 本剤の公知妥当性については、19ページの最下段から22ページを御覧ください。成人及び小児ともに、国内外の公表文献、国内使用実態調査の結果から、本剤のループス腎炎に対する有効性は期待でき、安全性については現行の添付文書に順じ、ループス腎炎における免疫抑制療法に精通している医師等の下で使用されるのであれば、安全上新たな問題が生じる可能性は低いと考えられました。また、海外ガイドライン及び国内ステートメントで、本剤がループス腎炎に対する治療薬として推奨されていること。小児については、ステロイドやシクルホスファミド等が使用されているものの、それぞれ成長障害や性腺障害等の問題があり、他の治療選択肢が必要とされていることを鑑み、成人及び小児ループス腎炎の効能追加は、公知申請とすることが妥当と判断されました。

 効能・効果については、24ページを御覧ください。導入療法、維持療法いずれにも有効性が期待できると考えられたため、効能・効果は「ループス腎炎」とすることが適切と考えました。また、投与対象となる患者については、効能・効果に関連する使用上の注意の項に、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に判断する等と記載することが適切とされました。用法・用量については、25ページを御覧ください。国内使用実態調査の用量範囲かつ既承認の腎移植時の用法・用量の上限を超えない範囲で設定することが妥当と考えました。また、用法・用量に関連する使用上の注意の項では、海外ガイドライン、国内ステートメントを参考に、投与開始時は原則ステロイドと併用する等と記載することが適切と判断されました。以上より、本剤は公知申請を行うことが適当であると判断されたものです。

○事務局 続いて、アミトリプチリン塩酸塩の公知申請への妥当性に関わる報告書について説明いたします。同じ資料の33ページを御覧ください。日本ペインクリニック学会及び厚生労働省がん性疼痛研究班から、末梢性神経障害性疼痛の適応追加に関する要望が提出されております。医療上の必要性の評価は、33ページ下段に記載がありますが、適応疾病の重篤性については、本疾患は日常生活に著しい影響を及ぼす疾患に該当するとされており、医療上の有効性については、末梢性神経障害性疼痛を対象とした複数の臨床試験で一定の有効性を示しており、海外でも標準的療法として位置付けられていると判断されております。

34ページから、欧米等6か国の承認状況をまとめております。37ページにありますとおり、フランスで成人における末梢性神経障害性疼痛について承認されております。4556ページにかけて、海外の臨床試験等について記載しており、多くの報告で末梢性神経障害性疼痛においてアミトリプチリンの有効性が示され、安全性も問題ないことが報告されております。なお、各試験における開始用量又は最少用量は、1025mg/日、最高用量は、30200mg/日までとなっておりました。58ページからは、国内外の教科書、ガイドラインの記載をまとめておりますが、末梢神経障害性疼痛に使用する際の用量範囲としては、10150mg/日とされております。

6263ページを御覧ください。要望内容に関する有効性と安全性について検討を行った結果、フランスにおいて本剤の効能・効果として、末梢神経障害性疼痛が承認されていること。国内においても、臨床試験及び症例報告から有効性が認められており、教科書、ガイドライン等に標準的な治療法として記載されていることから、末梢性神経障害性疼痛に対する本剤の有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。なお、既に知られている副作用を除き、日本人において本剤を末梢性神経障害性疼痛に用いた場合に、重大な安全性上の問題は認められておりません。

64ページ()の効能・効果については、国内外における臨床試験、教科書等で確認された神経障害性疼痛は、いずれも末梢性の神経障害が対象とされていることから、既承認薬であるリリカカプセルの記載を参考に、末梢性神経障害性疼痛といたしました。また、()の用法・用量については、海外の承認状況、国内外の文献報告、教科書等を考慮し、通常成人1日10mgを初期用量とし、1日150mgまで漸増としております。

 続いて、リドカイン塩酸塩の公知申請の妥当性に関わる報告書について説明いたします。69ページを御覧ください。日本手外科学会から提出された上肢手術における局所静脈内麻酔(以下IVRA)に関する要望になります。医療上の必要性の評価は、69ページ下段に記載がありますが、本要望に関する適応疾病への重篤性については、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患に該当するとされており、医療上の有効性については、欧米等において標準的治療法に位置付けられているとされており、国内においても有用性が期待できると判断されております。

 欧米6か国の承認状況については、7078ページにかけて記載されております。カナダ以外の5か国でIVRAについて承認されております。79ページからは、国内外の臨床試験等の報告に関する内容となっておりますが、多くの報告でIVRAにおいて0.5%リドカイン40mL又は3mL/kgが使用され、有効性が示され、安全性も特段の問題がないことが報告されております。86ページから、国内外の教科書、ガイドラインに関する内容となっておりますが、上肢手術におけるIVRAに使用する際の用量範囲として、0.5%リドカイン40mLがおおむね共通して記載されております。

90ページを御覧ください。要望内容に関する有効性と安全性について検討を行った結果、欧米5か国において本剤の効能・効果として、IVRAが承認されていること、国内においても、臨床試験及び症例報告から有効性が認められており、教科書、ガイドライン等に標準的な治療法として記載されていること、既に知られている副作用を除き、日本人において本剤をIVRAに用いた場合に、重大な安全性上の問題は認められていないと考えられることなどから、IVRAの目的で本剤を投与したときの有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断いたしました。90ページの効能・効果については、国内外における臨床試験、教科書等で確認されたIVRAは、上肢手術が対象とされていることから、リドカインによるIVRAの適用は上肢手術時に限定することが適切と考え、日本麻酔学会作成の麻酔科学用語集の記載も参考に、静脈内区域麻酔(上肢手術時に限る)といたしました。また、用法・用量については、海外の承認状況、国内外の文献報告、教科書等を考慮し、0.5%製剤を40mLまで、リドカイン塩酸塩としては200mgまでといたしました。

92ページの備考欄については、必要な注意喚起について記載しております。海外の添付文書、国内の標準的な教科書等における記載内容を踏まえ、注入後20分以内は駆血帯を解除しないこと。静脈内区域麻酔にはアドレナリン等の血管収縮剤を添加しないことを注意喚起することが適切であると判断いたしました。説明は以上となります。

○松井部会長 ありがとうございます。最後の95ページ及び96ページの、公知申請の説明についてはお願いできますか。簡単に、我々が今どういう位置にあるかを委員の皆さんに御説明いただければ有り難いです。

○事務局 一番後ろの「検討会議における検討の進め方」という絵を御覧ください。学会や患者団体等からの要望にもとづき、検討会議において医療上の必要性の評価を行い、適宜、このスキームに乗っているかどうかを判断します。真ん中の左下辺りに「審議会の事前評価」という所がありますが、最終的には、企業等が公知申請等を希望した場合、その申請の妥当性について検討会議において判断を行い、妥当であるとされた場合は本審議会にて事前評価をしていただくことになります。今回、このスキームにのっとり「公知申請が妥当」と判断されたものについて、3品目御報告させていただき、事前評価を行っていただくところに当たっております。

○松井部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。委員の皆様から何かございますか。

○内藤委員 委員になって日が浅いものですから、公知申請についてもよく理解できておりません。公知申請されると具体的にどういうことになるのか、少し御説明願えますでしょうか。

○審査管理課長 かいつまんで申し上げますと、今日の部会で、未承認薬・適応外薬検討会議で、医学薬学上で実際に広く使われていて、有効性安全性について、実はよく知られています、改めて臨床試験等を行うことがなくても、既存の資料で評価できるものとして、報告しております。

 今日の部会での報告をした段階で、既に医療保険での適用もされるようになるということで、できるだけ早く当たり前に使っているそういう薬の使い方が、広く認知されるような格好にはなるのですが、医薬品医療機器法上の承認はこれから各企業が、そういう公知の文献、あるいはこういう報告レポートを基にして、申請をしてまいります。

 それでまた改めてこの部会に、「公知申請の評価を行いました」ということで、PMDAからの報告をもらって、御説明させていただいて、承認をするという、道半ばのところではありますが、一応、そういう新たなデータを作らずとも評価可能なものとして判断をしているということで、報告している状況です。

 薬事法の中には、基本的には医薬品の承認申請については、臨床試験の成績、品質や有効性、安全性についての資料を添付して申請するということになっているのですけれども、ただ、中で医学薬学上公知とされる、皆さんよく知っている、いろいろな学会や文献やそういったものでよく分かっているというものについては、そういう資料の添付を省略することが一部若しくは全部できるという規定がありまして、そういうものを基にしてやる申請を、いわゆる公知の申請と言っております。そういうパターンに該当するものでございます。

○内藤委員 大変よく分かりました。ありがとうございます。

○松井部会長 委員の先生方には、今、こういう公知のプロセスにあるということを御理解していただければいいということでございます。ほかにございますでしょうか。

○平安委員 アミトリプチリンの神経性疼痛障害の件で公知申請されると、今までうつ病などに適用されていた用法・用量が、そのまま神経性疼痛障害にも同じように適用されると考えたらよろしいのでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○事務局 用法・用量について御説明いたします。64ページの資料を御覧ください。下線が引いてある所からになりますが、末梢性神経障害性疼痛と記載があると思います。その下に「アミトリプチリン塩酸塩として、通常、成人1日10mgを初期用量とし、その後、年齢、症状に応じて適宜増減するが1日150mgを超えないこと」ということで、これが用法・用量となります。

○松井部会長 よろしいでしょうか。

○平安委員 分かりました。ただ、海外のものなどには、高齢者には投与しないほうがいいといったことを明確に書いてあるものも、確かあったような気がするのですけれども、実際には年齢も考慮してと書いてあるので、この辺りのことは注意されるとは思うのですが。

 三環系抗うつ薬はやはり、高齢の方に投与すると、かなりせん妄やいろいろな問題が起きてきて、併用薬が様々あると非常に抗うつ薬というものは血中濃度が上がったり下がったりコントロールが難しいので、ちょっと乱用をされないように気を付けることを御指導いただいたほうが。要はこの診断を付ければ、またもう1つ抗うつ薬が投与できるといったような形に使われないように、是非、何らかの指導を頂ければと思います。

○松井部会長 ありがとうございました。

○審査管理課長 今回、道半ばということで御報告していますので、これから公知と申しましても審査はちゃんと行いますので、今、御指摘頂いたような注意点をPMDAの審査において十分考慮をし、注意喚起等の手立ても具体的に検討した上で、またこちらの部会のほうに御報告させていただきたいと考えております。ありがとうございました。

○松井部会長 いかがでしょうか。野田先生、糖尿病性ニューロパチーなどに使う薬なのでしょうか。

○野田委員 かなり使っておりまして、先ほど平安先生が仰っていましたように乱用ということは問題だろうと思いますけれども、ただ、糖尿病性神経障害の疼痛ではかなりファーストラインに近い所で出てくる場合もある薬ですので、これがなされるということは非常に意義があるのではないかと思います。

○松井部会長 ありがとうございました。ほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。それでは事務局から今の報告事項につきましては、委員の皆様の御確認を頂いたということにしたいと思います。ほかに事務局から何か御報告ありますか。

○事務局 前回の部会にて、1点、委員の先生から御指摘、御質問を頂いた点につきまして、この場をお借りして御報告させていただきたいと思います。

○事務局 前回の5月部会で御審議頂きました、ラジカット中30mg、同点滴静注バック30mgについて、委員の先生方から御指摘頂きました用法・用量につきまして、御報告させていただきます。

○松井部会長 資料No.11ですね。

○事務局 はい。当日資料として席上に配布しております、左上に資料No.11と記載された資料を御覧ください。

○松井部会長 お願いします。

○事務局 5月部会では、松木委員より「用法・用量の記載で28日間を1クールとすること、1クールが14日間の投与期と14日間の休薬期からなることが分かりにくい」との御指摘を頂き、記載整備の内容を後日、松木委員、松井部会長に御確認頂くことで、承認を可として差し支えないと結論を頂いたところです。

 頂いた御指摘を踏まえて、部会後に総合機構及び厚生労働省にて用法・用量の記載を検討させていただいた結果、新旧対照表の左側に記載しておりますとおり、「通常、成人には1回2管(エダラボンとして60mg)を適当量の生理食塩液等で用時希釈し、60分かけて1日1回点滴静注を行う。通常、本剤投与期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし、これを繰り返す。第1クールは14日間連日投与する投与期の後14日間休薬し、第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬する」のように整備させていただき、松木委員、松井部会長の御確認、御了承を頂いておりますので、御報告させていただきます。以上になります。

○松井部会長 よろしいでしょうか。松木委員いかがでしょうか。

○松木部会長代理 分かりやすいと思います。

○松井部会長 先生の御指摘によってはっきりしたかと思いますが、よろしいでしょうか。はい、では御確認いただいたことにいたします。ほかにございますか。

○事務局 次回の部会は平成27年8月28日金曜日午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 午後3時からでございますので、お間違いないよう、お願いいたします。それでは本日はこれにて終了いたします。どうも御苦労様でございました。


(了)

備 考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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