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2015年11月9日 第1回保育士等確保対策検討会

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成27年11月9日(月)


○場所

中央合同庁舎5号館 17階 専用第20会議室


○出席者

構成員

駒村座長 吉田副座長 秋田構成員 井内構成員代理 池田構成員
伊原構成員 清水構成員 寺田構成員 西村構成員 宮崎構成員
宮本構成員

厚生労働省

香取雇用均等・児童家庭局長 朝川保育課長 楠目企画官 里平課長補佐 田野課長補佐
加藤課長補佐

○議題

○加藤課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第1回「保育士等確保対策検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 検討会開催に際し、雇用均等・児童家庭局長の香取より御挨拶申し上げます。
 なお、所用により、途中で退席させていただくことになりますので、御了承ください。
○香取雇用均等・児童家庭局長 おはようございます。雇用均等・児童家庭局に10月から戻ってまいりまして、局長になりました、香取でございます。よろしくお願いいたします。きょうは、午前中、朝早い時間からお集まりいただきましてありがとうございます。
 きょう、お集まりの皆様方、日ごろから、私ども児童家庭行政、特に保育行政の発展につきまして御尽力をいただいております。
 また、本検討会の御参加、御承諾いただきましたこと、心から感謝を申し上げます。
 この検討会のテーマ、保育の問題でございますけれども、第2次安倍内閣は、御案内のように、新しい三本の矢というのを掲げておりまして、2本目の矢が夢を紡ぐ子育て支援ということで、仕事とライフステージ、結婚、妊娠、出産の同時実現というのが、この2本目の矢の大きな柱ということであります。
 具体的に、この中身をどのように議論していくかということで、政府部内でも、さまざま、今、施策の組み立てをしておりますけれども、これは、これまでも長らく議論されてきたことではありますけれども、仕事と家庭が両立すると、さまざまなライフステージを踏んでいくことと、自己実現をしていくこと、仕事を継続することが同時に実現できる、これは、従来からの大きな課題ですが、これを実現していくということで、育児休業の取得の問題あるいはさまざまな保育サービスの拡充をしていくという両立支援と、全児童対策としての総合的な子育て支援というのを同時に実現していくと、従来にもまして、この施策を進めていくということになります。
 保育に関しては、御案内のように、今、待機児童加速化プランということで、待機児童解消に向けてのさまざまな保育サービスの拡充の前倒しの作業をしておりますけれども、それを担っていく保育士の確保、これが、大きな課題と、これまでもそうでしたが、今後も大きな課題になっていくということです。
 現在、御案内のように保育士確保プランというのがございます。29年までに6万9,000人を確保するということで、1つは入口対策で新規の取得者を確保していくと。
 2つ目は、現に働いている方々の就労の継続を支援する。
 3つ目は、潜在保育士を初めとする、市場にある人材を活用していく、再就職支援をしていくということで施策を組んでいるわけですけれども、今回の総理の三本の矢を踏まえて、さらなる保育サービスの拡充ということを考えていくということが必要でございまして、その意味では、また、ことし御案内のように、待機児童がふえたと、これは、さまざま景気回復の問題でありますとか、新しい制度が始まったということもありまして、期待も高まっている等々で、待機児童もふえたということもありまして、保育士確保対策については、さらに一段の取り組みということを官邸からも、あるいは大臣からも御指示をいただいているところでございます。
 今回、この検討会を開催させていただきまして、保育の担い手の確保対策というものについて、改めて幅広な見地から御検討をいただきたいと思っておりますけれども、特にその中では、ことしから来年にかけて足元の対策、今できること、今やらなければいけないこと、今、緊急に取り組めることについては、全体的な体系に先んじて御検討していただかなければいけないのではないかと考えておりまして、もうすぐ来年度の保育所、新しくあく保育所の保育士の採用確保というのが始まるわけでございますけれども、ある程度、そのスケジュールも頭に置いて、現場で柔軟な取り組みができるような対策というのを、まずは、詰めて御議論をいただかなければいけないと思っておりまして、後ほど、検討のスケジュール等々につきましては、担当課長等から御説明があろうかと思いますけれども、少し詰めて議論していただかなければいけないと思っておりまして、大変先生方、お忙しい中、恐縮でございますけれども、ぜひ、よろしく御指導をお願いいたしたいと思っております。
 この構成員のメンバーの方々は、それぞれの御専門の立場からお願いをしてございますので、できるだけ、専門的かつ自由な御議論をいただいて、これまでのさまざまな、いろんな常識にとらわれない新しい発想で御議論をいただければと思っている次第でございます。
 簡単でございますが、私からの御挨拶といたします。よろしくお願いします。
○加藤課長補佐 それでは、カメラの撮影は、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○加藤課長補佐 また、傍聴される皆様におかれましては、事前にお知らせしている傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、資料の確認をさせていただきます。
 配付資料は、議事次第と資料1から6までと、参考資料の1、2となっております。
 資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 次に、本検討会の設置の趣旨について、私から御説明させていただきます。
 資料1の設置の目的にありますように、保育の担い手の確保が喫緊の課題となっているとともに、保育の質を担う保育士等の役割は重要となっております。
 これらの背景を踏まえつつ、現在、取り組みを進めている保育士確保プランに基づき、保育士をはじめとする保育の担い手の確保に向けた対策を検討するため、雇用均等・児童家庭局長の私的懇談会として参集を求め、検討を行うものでございます。
 また、本検討会の構成については、資料2のとおりでございます。後ほど構成員の御紹介をさせていただきます。
 次に、資料1の3、検討事項でございますが、本検討会では、保育士等確保に向けた課題の検証に関する事項、保育士確保対策に関する事項、保育の担い手の確保対策に関する事項、その他等について御議論いただき、取りまとめをお願いしたいと考えております。
 また、資料3ですが、本検討会は、公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきますが、必要に応じ、一部非公開とする場合もございますので、よろしくお願いいたします。
 では、本日は、第1回目の検討会になりますので、構成員の皆様の御紹介を順にさせていただきます。
 資料2に名簿を掲載しておりますので、名簿の順に紹介させていただきます。
 まず、東京大学大学院教育学研究科教授の秋田喜代美構成員です。
 秋田構成員は、本日は、所用により、11時前に御退席と伺っております。
 次に、富山県厚生部長の井内努構成員の代理で車谷市朗次長です。
 独立行政法人労働政策研究・研修機構企業と雇用部門副主任研究員の池田心豪構成員です。
 千葉県松戸市子ども部幼児保育課長の伊原浩樹構成員です。
 事務局より座長をお願いさせていただきました、慶應義塾大学経済学部教授の駒村康平構成員です。
 後ほど、駒村座長より一言御挨拶をいただきたいと思います。
 次に、帝塚山大学現代生活学部教授の清水益治構成員です。
 東京成徳短期大学幼児教育科教授の寺田清美構成員です。
 仁愛大学名誉教授の西村重稀構成員ですが、少し遅れているようです。
 次に、東京都三鷹市子ども政策部調整担当部長の宮崎望構成員です。
 横浜市こども青少年局子育て支援部長の宮本正彦構成員です。
 事務局より副座長をお願いさせていただきました、株式会社保育システム研究所代表の吉田正幸構成員です。
 それから、中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹構成員につきましては、本日は、所用により御欠席との連絡をいただいております。
 なお、参考資料2にありますとおり、今回、清水構成員より意見提出をいただいておりますので、また、後ほど、意見交換の中でいただければと思います。
(西村構成員入室)
○加藤課長補佐 今、御紹介していたところでしたので、一言お願いします。
○西村構成員 済みません、私、仁愛大学の名誉教授をしています、西村でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 ありがとうございます。
 では、次に事務局の紹介を簡単にさせていただきます。
 雇用均等・児童家庭局長の香取です。
 保育課長の朝川です。
 保育課企画官の楠目です。
 保育課課長補佐の里平です。
 同じく課長補佐の田野です。
 私は、同じく課長補佐の加藤です。お願いいたします。
 それでは、先ほど申し上げましたが、駒村座長より、一言御挨拶をお願いいたします。
○駒村座長 座ったまま御挨拶をさせていただきたいと思います。慶應義塾の駒村でございます。
 専門は、経済で社会保障を研究しております。このたび、保育士等確保対策検討会座長を仰せつかりました。
 子育て支援は、非常に重要でありまして、保育所確保がその鍵になるわけですけれども、さらにその鍵になるのが、現在は、保育士確保ということになっているかと思います。保育士の確保ができないボトルネックが、サービス供給量を制約するということではまずいかと思っております。質を確保しつつ、供給、需要、両サイドで量的拡充の議論ができればと思っております。
 若輩ですけれども、よろしくお願いいします。
 当研究会、また、いろいろと皆さんから御意見をいただきたいと思いますけれども、円滑な運営、御協力をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 ありがとうございます。
 それでは、以降の議事進行につきましては、駒村座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○駒村座長 では、早速、始めたいと思います。
 議事の第1ですけれども、保育士等における現状、それから、検討の方向性について、事務局より説明をお願いいたします。
○朝川保育課長 保育課長でございます。
 それでは、まず、資料4をごらんいただければと思います。横紙の資料です。「保育士等における現状」という表題のものです。
 1ページ、今の保育士の求人・求職の状況を経年的にグラフにしてみたものでございますが、折れ線グラフのところを見ていただきますと、これが、有効求人倍率です。まず、ピークは、毎年1月ぐらいに有効求人倍率のピークが来ておりますが、年々高まってきているというのが見てとれると思います。
 ことしの1月、平成26年度のところの欄で、一番のピークは2.18というのが昨年度のピークでございました。
 一方、今年度に入りまして、9月の時点で、有効求人倍率1.85ということで、これは、一昨年のピークをもう既に超えておりまして、1月がピークだとしますと、恐らく昨年のピーク、2.18は超えていくのではないかということで、大変保育士確保が厳しい状況にあるということが見てとれます。
 2ページ、その中でも最も求人が厳しい東京都の状況でございますが、昨年のピーク時、有効求人倍率5.37ですけれども、既にことしの9月の段階で5.44ということで、昨年のピークを越えてございます。
 さらに、1月に向けて上がっていくことが見込まれますので、非常に保育士の確保が難しい状況になっているということでございます。
 3ページ、この傾向は、都市部に必ずしも限られた状況ではございませんで、都道府県別の状況を表にしたものでございますが、右の表の一番右の欄、これが有効求人倍率でございますが、ざっと、各都道府県、縦にずっと数字を追っていっていただきますと、ほぼ全ての都道府県で1倍を超えているということです。2倍を超えているところも、9月の時点ですけれども、それなりにあるという状況でございます。
 4ページ、保育士さんの出入りの状況でございます。
 まず、真ん中の左のほうに、就職4.9万人という数字がありますけれども、直近の数字では、1年間に4.9万人ぐらい就職をし、現在、働いていらっしゃる方が41万人ぐらいいらっしゃり、右側で離職されている方が3.3万人ということでございます。
 4.9万人から3.3万人を引きますと、約1万5,000人ぐらいは、定着されているということですけれども、やはり、離職されている数が多いということが見てとれます。
 あと、左上でございますが、新たに就職されている4.9万人のうち、新規に資格を取得されている方がどれぐらいいるかということでございますが、保育士さんになるのは、養成校を卒業されるか、あるいは保育士の試験を合格されるか、2つのルートがございます。
 養成校を卒業されて、保育士になるルートとしては、毎年4万人ぐらい養成施設を卒業されますが、その約半数、2万2,000人が保育所に就職をされています。
 プラス、保育士試験の合格者は、直近で1万4,000人ぐらいいらっしゃるという状況でございます。
 さらに、左下を見ていただきますと、資格を有しながら保育所で働いていらっしゃらない方、これは、仮に潜在保育士と名づけますと、その方々は、約70万人ぐらいいらっしゃるという状況でございます。
 5ページ、保育所に勤務する保育士さんの数の推移でございますけれども、一番右の上に書いてある数字が常勤換算して、約41万人保育所で勤務されていると。
 ブルーの下のほうの数字が常勤の方の人数で32万人、非常勤の方が8万9,000人ぐらいいらっしゃるという状況でございます。
 6ページ、賃金などの状況でございますけれども、網かけしているところが保育士さんですが、その左側の欄、男女計の欄を見ていただきますと、保育士さんは、上から2段目ですけれども、平均年齢は34.8歳、平均勤続年数7.6年、現金給与額は、約21万6,000円ということです。
 これは、1個上の全職種の欄と見比べますと、勤続年数も短い、12.1年に対して7.6年、給与につきましても、約10万円強の差があるという状況でございます。
 下の欄の表を見ていただきますと、短時間労働者の賃金1時間当たりの状況でございますけれども、やはり、全職種と比べても、あるいは類似の福祉職員などと比べても賃金が低い状況、980円という状況でございますので、低い状況になってございます。
 7ページ、保育士さんの経験年数について見たものでございますけれども、青い四角囲みをしているところ、8年未満の勤続年数のところに特に「うち私営」と書いてあるところですが、私立の保育所の場合は、8年未満のところに、半数以上の方がいらっしゃるということですので、やはり、勤続年数がかなり短いというところが、構造的な課題となっていると思います。
 公営のほうは、右側14年以上のところに40.4%いますので、比較的長く働いていらっしゃる方が多くいらっしゃるわけですけれども、私立のほうが、特に短い方が多いという状況でございます。
 8ページ、これは、東京都のデータを持ってきておりますけれども、保育士さんが、現在の職場で改善を希望しているものが何かというものでございます。
 左から高い順に、まず、給与が上がっております。次が職員数が足りないということで増員してほしい。
 3つ目でございますけれども、事務・雑務の軽減というのが3つ目に挙がってきております。保育士さん本来の業務というよりも、周辺の業務といいますか、そういう事務系の負担を軽減してほしいというのが3つ目。
 4つ目は、未消化の有給等の休暇の改善ということでございます。
 2つ目、3つ目、4つ目を見ますと、やはり、給与以外でも働き方が非常に厳しいという状況が見てとれます。
 9ページ、こちらは、数年前、平成22年ですけれども、保育士さんの働いている中身をタイムスタディーという形で、どういう業務に、どれぐらいの時間を割いているかというものをはかったデータでございます。
 左の上から順番に長くなっておるわけですけれども、1番は室内遊びということで、これは、保育そのものの中身でございますが、2番目に挙がってきておりますのは、会議・記録・報告ということで、1時間弱、こういった時間に業務時間がとられているという状況でございます。
 その下は、大体保育の内容そのもののものがずっと続きます。
 右側のほうに、上から2つ目、保育の計画・準備・調整と、そういったものが8.8分になってございますか、評価の仕方がいろいろあると思いますけれども、これは、重要なところでございますけれども、業務時間が余り割けていないという状況が見てとれます。
 あるいは保育の記録です。下から5つ目にありますけれども、6.8分ということでございます。
 10ページ、潜在化している保育士さんの数についての数字ですけれども、青い棒グラフは、保育士として登録されている人数、これは、毎年類型として積み上がってまいりますが、今、119万人ぐらいいらっしゃいます。その中で、働いていらっしゃる方が40万人強、いらっしゃいますので、緑の折れ線グラフですけれども、潜在保育士さん、資格を持っているけれども、保育所で働いていらっしゃらない方が約70万人強、いらっしゃるという状況でございます。
 資料4は、以上でございますが、資料5に入る前に、1回、参考資料1をごらんいただければと思います。
 資料5に入る背景として、現行制度の御理解をいただくための資料でございますが、参考資料1の2ページ目をごらんいただければと思います。
 保育所につきましては、最低基準として、職員の配置基準と設備の基準というのが定められております。
 特に、このうちの職員配置基準が、きょうあるいは次回の議論に関係してまいりますので、見ていただきますと、保育士の配置については、年齢別に0歳児であれば3対1、1・2歳児であれば6対1、3歳児であれば20対1などと職員の配置が決まってございます。
 その中で、※印の2つ目ですけれども、保育士は、最低2名以上配置してくださいという基準が上乗せでかかってございまして、仮に6対1とかいう基準を満たしていても、例えば、1・2歳児が3人しかいなければ、6対1でいけば、保育士さんは1人という計算になるわけですけれども、それでも保育士さんは2名配置してくださいと、そういう基準になっているというのが1つでございます。
 6ページ、今、見ていただいた2人以上の配置のところについて、ことしの3月に私どものほうから都道府県宛ての事務連絡を出してございます。保育士の確保が非常に難しいという状況が、ことしの4月もございましたので、特例的に27年度、今年度に限って、朝夕の時間帯で子どもが少人数の時間帯、その場合には、2人保育士と言っているところの1人は、保育士でない者を当ててもやむを得ないということを自治体にお願いをしている事務連絡でございます。
 この件に関しては、4ページ目で、まず、地方分権のほうから、この取り扱いの延長等について御意見を厚生労働省がいただいているということ。
 さらに、5ページ目のところで、日本再興戦略、成長戦略のことですけれども、これは、政府で閣議決定したものでございますけれども、この取り扱いについて、来年度以降のあり方を、今年度中に検討して結論を得るということになってございます。
 こうした保育士確保が難しくなっている状況の背景としましては、8ページ目をごらんいただきますと、今、冒頭局長から御挨拶の中で申し上げましたが、待機児童解消加速化プランというものを進めてございます。
 5年間で40万人分の受け皿拡大をするということですが、真ん中に表があります、その一番右、今年度、市町村の取り組み状況を把握したところによりますと、5年間で45.6万人という受け皿拡大の見込み値が把握されております。40万人という目標に対して、より多くの受け皿拡大を進めていただくという状況になってございます。
 9ページ、受け皿拡大の状況の推移を挙げてございますけれども、左下のほうの折れ線グラフですけれども、平成23年、24年ぐらいは5万人弱ぐらいの受け皿拡大量で推移してきておりますが、平成26年、昨年度につきましては、14.6万人ということで、3倍ぐらいの受け皿拡大が行われています。
 今年度も11万7,000人ということで、かなりハイペースでの受け皿拡大が進んでおりまして、この11.7万人という数字が、来年4月の受け皿拡大につながりますので、まさに、ここに対応する保育士さんの数が、新たに必要になってくるということでございます。
 このことにつきましては、ずっと資料が飛びまして、41ページ目を見ていただきますと、これは、ことしの10月29日に一億総活躍の国民会議に、私どもの厚生労働大臣から提出した資料でございますけれども、43ページ目を見ていただきますと、一番下の「主な数値目標」というところでございます。
 25歳から44歳の女性の就業率と、1・2歳児の保育の利用率というのが、過去のトレンドで見ますと、かなり強い相関関係がございます。
 足元の女性の就業率は71%ぐらいでございますけれども、この数字、徐々に上がってきておりますし、特に近年は、アベノミクスということで、かなりハイペースで、この割合が上がってきております。
 一番右側、欧州の出生率の高い国を見ていきますと、おおむね、この年齢層の女性の就業率は80%になっておりますので、日本の就業率も、恐らく上がっていくということが見込まれます。
 それに対して、1・2歳の保育の利用率は、ことしの4月で38.1%、待機児童解消加速化プランが終わった段階では、46.5%になると見込まれますが、この数字が、さらに上がっていくということも見込まれるということで、保育の受け皿拡大は、今後も力強く進めていく必要がある。その結果として、保育士確保も非常に重要な課題になってくるということでございます。
 資料5でございますけれども「保育の担い手確保の取組強化」ということでございます。
 1ページ、現在、待機児童解消加速化プランに対応した形で、ことしの1月に保育士確保プランというものを厚生労働省として策定しております。29年度末までに追加で6.9万人の確保を図っていくと。
 図っていくポイントになりますのは、3つのポイントがあると考えてございまして、図のほうを見ていただきますと、左下、(1)として保育士資格の新規取得者の確保ということで、人数をふやしていくということ。
 (2)としまして、保育士の就業継続支援、こちらは、先ほど、平均勤続年数7年ちょっとという数字がございましたけれども、離職者をできるだけ減らして、勤続年数の長期化を図っていくというのが2つ目のポイントだと思っております。
 3つ目は、既に離職をされている方、資格を持っているけれども、保育所で勤務されていない方、そういった方々の再就職支援、この3つが重要なポイントになってくるかと思います。
 したがって、就職者の4.9万人というところを(1)と(3)の対策を強化することでふやしていくということと、離職者3.3万人、こちらを(2)の就業継続支援の対策を強化することで減らしていく、そこが重要なポイントであると考えてございます。
 それぞれ(1)、(2)、(3)ごとに、2ページ以降に、どういった対策を、今まで講じてきて、今後、どういう対策を講じていくか、現時点で考えているものを整理してございます。
 まず、2ページ目は、(1)としまして、新規取得者の確保についてです。これまでの取り組みとしましては、今年度、地域限定保育士試験ということで、通常、今まで年1回保育士試験を行ってきてございますけれども、2回試験ということを、今年度から始めております。
 2つ目は、養成校、先ほど4万人ぐらい卒業している中、2万2,000人が保育所に就職していると申し上げましたが、残りの3割ぐらいは幼稚園に就職しておりまして、2割弱が他産業に行っているという状況でございますので、その他産業に行っているところについて、しっかり保育所のほうに来てもらう、そういう就職促進を支援するということでございます。
 3つ目は、保育士宿舎借り上げの支援、あるいは4つ目、修学資金の貸し付けなどをやっております。
 今後の取り組みとしましては、保育士試験2回実施を行う都道府県を大幅に拡大していきたいと考えております。
 3ページ目は、参考に、地域限定保育士試験の資料でございます。今年度は、神奈川、大阪、沖縄、千葉の4圏で実施していただきまして、受験者数は、1万人ぐらいの受験者数がいらっしゃいました。
 通常1回目の試験は、5万人から6万人ぐらいの受験者数ですので、4府県で1万人ですので、相当人数を受けていただいたという状況でございます。
 4ページ目は、来年以降、2回目の試験をふやしていくということでございます。
 5ページ、2つ目のポイントである就業継続支援でございます。
 こちらは、今まで取り組んでいる内容としましては、何といっても、保育士資格は、やはり、処遇改善が一番重要でございますので、今年度、新制度における公定価格3%相当の処遇改善を実施してございます。
 それ以外としましては、離職防止のための研修支援などに取り組んでおります。
 今後の取り組みとしましては、先ほどデータで見ていただきましたとおり、賃金以外にも勤務環境の改善、非常に、朝から夕方まで、ずっとお子さんがいらっしゃいますし、長期休暇はございませんし、土曜日もあいておりますので、非常に働き方が大変であるという保育士さんの勤務環境、そういったところの改善について検討していく必要があると思っております。
 2つ目は、やはり、長く働いてただくためには、キャリアアップのことも考えていく必要がございますので、それに対応できるような研修体系の再構築も考えていく必要があると思っております。
 3つ目は、財源確保を行いながら、さらなる処遇改善を実施するということでございます。
 7ページ、3つ目のポイントでございますけれども、離職されている方、潜在保育士に対する再就職支援を強化するということです。
 今まで取り組んできております内容は、ハローワークでありますとか、あるいは保育士・保育所支援センターという専用のマッチング機関でございますが、その両面からのマッチング支援をしてございます。
 特に、ことしの3月においては、4月に向けた取り組み強化ということで、集中取り組み月間ということで、マッチング強化をやったりしております。
 それ以外に、いろんな働きかけ、呼びかけであるとか、就職相談会、セミナーの開催、そういったことに取り組んでおります。
 今後の取り組みとしましては、保育士さんの登録簿というのが、都道府県にございますので、その登録簿を活用した就職促進を図っていくでありますとか、あるいは保育所を一旦出産などで離職されるときに、しっかり保育士・保育所支援センターに届出をしていただいて、今後、いろんな情報提供をすることによって、早く復帰していただく、そういう取り組みでありますとか、ことしも来年度の採用に向けたマッチング強化を、ハローワーク、保育士・保育所支援センターにおいて行うでありますとか、あるいは、来年度の概算要求しております内容として、保育士さんのお子さんを保育所に入れるとき、それで、復帰するときに保育所に入れる必要がございますので、その保育料支援をするとか、あるいは、復帰するときに、いろんな経費がかかりますので、そういう就職準備金のようなもの、そういったものを潜在保育士さんが復帰するときに出すとか、そういう内容を概算要求で要求してございます。
 10ページ、ここからが、この検討会において検討いただきたい内容にかかわってくる内容でございます。幅広く御検討いただければと思いますが、特に、年内において集中的に御検討いただきたい内容にかかわってくるところでございますが「2.保育の担い手確保に向けた課題と新たな取組」ということでございます。
 1つ目の○、保育の担い手確保については、これまでさまざまな手を打ってきておりまして、今後も引き続き取り組んでまいりますが、待機児童対策として、受け皿拡大を大幅に進めている状況下で、保育所の有効求人倍率は年々高くなるなど、保育の担い手確保は喫緊の課題であり、その対策が必要な状況でございます。
 2つ目の○で、このため、保育における労働力需給に対応するよう、保育の質を落とさずに、保育士が行う業務について、要件を一定程度柔軟化することにより、保育の担い手の裾野を広げるとともに、保育士の勤務環境の改善となるよう検討を行うことが必要ではないかと考えております。
 具体的には、先ほど見ていただきましたとおり、朝夕の保育士配置の要件緩和を、現在、やっておりますけれども、など、保育士要件にかかわるものにつきまして、保育所等における保育士等の採用に間に合うよう、本年中に先行して検討を行い、28年度から事業者の選択により実施できることとしてはどうかと考えてございます。
 また、この措置は、待機児童対策による受け皿の拡大が一段落するまでは、継続する必要があるのではないかということでございます。
 11ページ、今のことを、先ほど見ていただいたポンチ絵にあらわしますと(4)ということで、3つのポイントに加えて、保育の担い手の裾野拡大ということで取り組みを強化できないかということでございます。
 12ページ、これは、現行の取り扱い、先ほど少し見ていただきましたけれども、子どもの人数が少ない時間帯、例えば、2人とか3人しかいないときには、最低基準の計算上は、保育士さん1人でいいのですけれども、そこのところを最低2人は配置してくださいということを上乗せで最低基準をかけておりますので、その2人のところのうちの1人については、資格を有しない者で代替できるようにということを今年度やっている、そういう状況にございます。
 そういう内容の来年度以降の継続でありますとか、それ以外について、何か現場での取り組みを裁量性を持って現場が取り組みやすくなるような、そういうような余地がほかにもないのかどうか、そういったことをここで検討いただければと思います。
 説明は、以上でございます。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
 では、ただいまの事務局からの説明を受けて、構成員の皆様から、きょうは最初ということでございますので、自由に議論をしたいと思います。
 最初に秋田先生が、途中で出られるので、秋田先生のほうから、御意見をいただきたいと思います。
○秋田構成員 ありがとうございます。東京大学の秋田でございます。
 既に、今、御説明がありましたように、さまざまな形で既に対策を打ってくださっているわけではございますけれども、それでも保育士が足りなくて、しかも、質を落とさず進めるためには、まずは新規の採用を、先ほども課長のほうから御説明がありましたが、残り2割について、やはり、養成校で育てた人材が一般の企業に就職するというような形になっておりますので、そこをもう少し地域で、いわゆる保育士養成の大学のネットワークをつくり、採用の側との連携を密にすることが必要かと思います。いろいろ聞いておりますと、実は、中学、高校のときのキャリア教育で、「あなたは、女の子だし、多少学業が苦手だったら保育士がいいと思うよ」というような、大変失礼な進め方で、そういうキャリア進路指導がなされているというような話を聞きます。
 そう考えますと、これは短期的な問題ではありませんが、長期的に、やはり中高の段階から、いかに保育士が専門性があって、見通しを持って生涯働き続けられる仕事であるかというような進路就職指導も含めて、養成校との連携が、まず、1つは必要であろうと考えます。
 2つ目としては、現状の問題として継続して働いていただくというところに関してでございます。私は、基本、保育に当たるところに関しては、質を落とさないためには、保育士が保育に当たることが必要と考えております。朝夕の特例に関しても、まさに時限で緩める場合にも、その緊迫した時限のみであってほしいと思っています。
 そうしますと、先ほど、御説明がありましたように、会議等、それから、清掃とか、保育に直接子どもにかかわるのではないところの補助的な業務を誰が担うのかというところを代替の、いわゆる保育士でない人が園の中で、保育士をサポートするというようなことはできないのかと考えております。
 これは、私は、学校教育にもかかわっておりますので、今、日本の教員は、OECD諸国で、最も長時間残業が長いために、チーム学校というような発想で、教員以外の人が、事務的なところや、雑用と言ってはいけませんが、そこの部分については、専門家以外の人がサポートする体制を組んでいくという発想がございます。
 園に関しましても、いわゆる専門家である保育士以外が担える部分について補助者導入を少し考えていく必要もあるのではないかと思います。
 例えば、保育士の待機児対策でうまくいっている海外の諸国の1つにノルウェーがございますけれども、ノルウェー等では、もちろん、いわゆる保育士の資格を持った人が保育に当たっていますが、補助員というような仕組みをもって、クラスの人が、保育士だけではない形も、ある部分ではやっていくことで待機児対策をして成功している例もあるかと思います。
 あくまでも中心は保育士ですが、それをフォローするところを考えるということが必要であろうかと考えているというところでございます。
 また、これは、いろいろな団体や関係者に聞いてみますと、現在、保育士が離職することによって、現職で働いている人たちの労働環境が、さらにきつくなっているというようなところがあります。いわゆるオン、オフがとれなくなって、常に働き続けて疲労困憊していくというのが保育士並びに、そこでの施設長の実態になっていると聞きます。
 また、幼稚園、認定こども園等でも聞くのが、休みが長期休暇的なものがなくなっていくことによって、切りかえができないので、燃え尽きてやめていかざるを得ない。
 そう考えますと、いわゆる長期の研修や休暇をとりやすくする体制も、先ほどから業務の環境ということが言われていましたが、検討が必要であろうと思います。
 そして、3点目ですけれども、再就職を促すと同時に、これは、幼児部分については、例えば、保育士以外に幼稚園教諭、今、免許併有を促進していますが、幼稚園教諭であったり、それから、幼児部分に関しては、例えば、今後、ある研修を受けていただくことによって、小学校の教諭や養護教諭の免許を持っている人など、誰か代替でも確保できる人たちに、少し幅を広げていくような方向も、これは慎重に行わざるを得ませんが、必要かと考えております。
 ちょっと長くなりましたが、以上、3点、お話しさせていただきました。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
 具体的な御意見があって、大変参考になりました。
 ほかの皆様からも、きょうは、最初ということですので、切り口とか、あるいは、これを議論するに当たっては、こういう資料とかデータとかがないと、どうしても曖昧な話になるのではないかと、そういうような御意見を自由にいただければと思います。
 参考資料2は、清水さんからのものですね。これを説明されますか。
○清水構成員 ありがとうございます。
 帝塚山大学の清水です。よろしくお願いします。
 私の意見は、参考資料の2をごらんいただけたらと思います。
 先ほど、秋田構成員のほうから、幼稚園教諭も可能ではないかという話がありましたけれども、幼稚園教諭にこのような保育士と同じ仕事をしていただくに当たっては、どういうように考えたらいいのか。これは、まさに保育の質にかかわる部分だと思います。
 質を確保するには、何に基づく質かが重要ではないでしょうか。そして、恐らく、それは、法令なり指針なり、そのようなものに基づく必要があると思います。
 保育士という仕事は、児童福祉法に、「専門的知識及び技術をもつて、児童の保育・・・」というのが書かれていますので、そこの部分こそが保育者の専門性の部分だと考えられます。私の図で3歳以上児の、いわゆる幼稚園のあたり、1日4時間程度、このあたりのものを専門的知識及び技術に基づく教育というように位置づけることができるのではないかと思います。こう考えるなら、この部分については、逆に幼稚園教諭でもうまくかかわれる部分、それ以外が、保育士がしっかりかかわる部分、そういう形も可能かなと思います。
 そこで、例えば、量の確保ということに関しまして、幼稚園教諭に関しても代替えが可能ではないでしょうか。ただし、そのときに、ちょっと意識しないといけないのは、養護と教育の一体的提供という形ですので、養護に関しての研修といいますか、それが必要だろうと思います。
 また、保育課程というものを各園がつくっていますから、これは、各園が研修するべき部分、それが必要ではないかなと思います。
 市町村のレベル、自治体のレベルでは養護について、全体的にこういうものが求められるという話と、それを実際に行うに当たっては、各園がしっかり責任を持って研修する。これは、先ほど出てきました研修のシステムにもかかわると思います。いかによい研修システムを各園が構築するか。その研修システムは、うまくもっていけば、離職者を減らせる、そこにもつながると思います。メンターみたいな制度であれば、ひょっとしたら、私は、メンターについてそれほど詳しくないですけれども、減らせる可能性があるかなと思います。
 他のアイデアとしまして、2枚目のほうを少しごらんいただけたらと思います。
 養成施設の活用に関しまして、私は、以前、保育士の養成校としては、かなり初期から保育士の養成をやっていたところに勤めておりまして、そういうところでは、同窓会のようなものが確立されていることがあります。私も、その同窓会をつくったうちの1人だったのですけれども、その同窓会のようなものをうまく活用すると、各養成校が、養成校としても活性化しますし、再就職をするものを確保することにもなっていいのではないかというのがアイデア1です。
 インターンシップなども入れていくといいかなと思います。
 先ほど、研修という話をしましたけれども、記録というのが、どうも難しいなと思っている方が多いように思いますので、ある程度、国とか自治体のレベルで、最低限このような記録をとったら、保育として、しっかりできますよというのができるといいかなと思います。
 3番目としまして、先ほど、資料の中で見させていただきましたように、どうも、10月ぐらいから保育者が不足するというのが多いように思いますので、これは、途中からどんどん子どもが入ってきますので、それに絡めまして募集の仕方といいますか、そんなことをちょっと変えていくとどうかというアイデアです。
 これは、ある市で保育士確保を担当されている方がおっしゃっていたことです。「時期については、御相談ください」とすると、ある程度確保しやすくなったと。最終的な収入の上限のことを言われますので、10月以降なり、1月以降なり、かなり遅くからであれば、上限の金額を超えないというようなことも聞いておりまして、こういうやり方も1つかなという気がいたします。
 保育士の働き方の多様化、あと、5番目ですけれども、事務職員、先ほど、秋田構成員の話にもありましたけれども、実は、私のデータの中で、事務的な仕事が、保育とか教材研究とか、記録を書く時間を妨げているというようなデータを出したことがあります。
 そこで、保育の中で何が必要なのかというのをさらに精査した上で、事務的な仕事は、少なくとも保育士は、うまく避けられたらいいかなと思います。ただし、ここでちょっと気をつけていただきたいのは、事務的な仕事は何かという部分で、記録を書くのが事務的な仕事というように考えておられると困りますので、これは事務的なこと、これは保育の一環、それをしっかり定義づける必要があるかなと思います。
 6番目は、各自治体が来ていただいている中であれですけれども、教育委員会の制度について見直してはどうかというのもいろいろ考えられていると思うのですが、教育委員会の制度に関して、保育を指導するような、そういうポストの人を入れたらどうかなと思います。そうすれば、現職の保育者の方で力のある方をそういう立場にしていくと。その方をふやしていけば、それは、保育の質の向上にもつながるかなと思います。場合によっては、幼稚園と保育所の方がペアで各園を回るということも可能かもしれませんし、監査なども、これは、以前にかかわらせていただいた西村構成員のデータだと思うのですが、指導監査の際に、保育をわかっている方、現場の方が、それについていくことによって、保育内容についても監査が可能になる、そんなデータがありましたので、教育委員会の指導主事のような立場の人を、各市町村で、自治体で設けるというのは、研修という点でいいかなと思います。また、先ほどの養護に関する研修も、この方達にうまく担っていただけるのではないかと思います。
 あと、キャリアパスに関して、幼稚園教諭として学級担任を3年ぐらい経験した方であれば、3歳以上の保育は十分可能であると考えられますので、そういうことも金額にある程度反映していくと、幼稚園教諭の免許を持っておられる方が、潜在幼稚園教諭という表現はありませんでしたけれども、そういう方もたくさんおられると思いますので、そういう人たちにも保育に来ていただく、その機会になるのではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
 量的な部分のアイデアと、質な部分の向上のアイデアをいただいたかと思います。
 きょうは、最初ですので、ひとあたり、皆さんから御発言いただきたいと思います。
 いかがでしょうか、挙手でもいいですし、五十音順でお願いしてもいいのですけれども、いかがでしょうか。
 では、池田構成員、お願いします。
○池田構成員 労働政策研究・研修機構の池田です。
 いわゆる人事労務管理という観点から、この問題を捉えたときに、資料の6ページ、7ページ。
○駒村座長 資料のナンバーは。
○池田構成員 人事労務管理の観点から、この問題を捉えたときに、資料4の資料の6ページ、7ページにあります、賃金と勤続年数の問題、ここはちょっと整理しておく必要があるかなと思います。
 まず、賃金の問題に関して言うと、勤続年数とある程度相関があるとはいえ、1つの大きな問題は、非正規雇用の問題です。要するに、正職員とパート、ないしは派遣で働く保育士さんとの待遇格差。当然、非正規の人たちには、それでは食べていけないので離職していくということになりますし、特に若い人が、最初の入り口で臨時職員みたいなところから入っていくと、長くいるというわけにはいかないと、当然、そういうことになります。

 もう一つが、年齢構成です。私、実は保育園に通っている子供がいて、私が住んでいる地域でも、最近、どんどん民営化が進んでいるのですけれども、そうすると、公立の保育園は新規採用しないので、ベテランの人ばっかりなのです。これは、公営の勤続年数が割と長めというのは、要するに新規採用は少ないのではないかなと。そうすると、ベテランの先生ばっかりになってくる。
 今度、私立は、新規開設して、新規採用するので若い先生ばっかりになってくる。そういうミスマッチが起きて、そうすると、当然、経験的な部分もミスマッチというか、保育の質という面で、未経験の先生が多い園と、経験豊かだけれども体力的にちょっとしんどいとか、そういう問題が出てきて、そういうところをうまくミックスできないのかなというのが思うところです。
 例えば、喫緊の課題として、公立ないしは、例えば、定年した先生を私立のそういう若い先生が多いところとか、人材難のところで嘱託で働いてもらうのはどうでしょうか。先ほど、働き方の多様化という問題がありましたけれども、若い人は正社員で定着した方が良い。一方、もちろん非正規雇用の人は必要なのですが、すき間というか、人が部分的に足りないところには高齢者をうまく活用していく。そういうことというのはできないのかなと思います。あるいは、公立園から私立園へ、例えば、出向とか、そういう形で経験のある先生を派遣していくというようなことができると、先ほど言った保育の質という面も1つクリアできるのかなと、単純な民間企業の発想で思うのです。それと公立・私立の賃金格差の問題をどういうふうに捉えていくか、そういうところがちょっと気になったところです。
○駒村座長 ありがとうございます。
 私も資料4、5、6、7ぐらいまでですかね、これは、もう少し正確にいろいろいただかないと、議論を深められないなと、例えば、5については、公務員は入っていないのですかね、5の正規、非正規の割合というのは、経営形態別で、私立と公立と、それから、最近は株式会社、余りデータとしては多くないのかもしれないですが、実態はどうなっていて、非正規率はどこで上がっているのかとか、あるいは、平均賃金についても35歳7.7というのが、何か整合性があるのかどうか、これも分布によって、ちょっとどうなっているかわかりませんし、非正規に至っては、45歳で経験5.3であると、これもどういう形になっているのか、ちょっとよくわからない部分があって、しかも、977円というのが、これはオールジャパンの話ですけれども、これも地域によってどうなっているのか、977円の意味は全然違いますから、こういうところは、もう少しデータをいただかないと、賃金面でも処遇の問題とか、人事面の処遇の問題というのは、余り議論できなくて、これは、事務局のほうから、また、用意していただきたいと思いますし、これも御存じだと思いますけれども、データのクロスできない範囲というのは、多分あると思うのですけれども、そのクロスができなければ、別データがあれば、また、やっていただくとか、ほかにもの改善規模についての8ページも、これも経営形態別に何か差があるのかとか、9ページのほうの業務量も経営形態別に何か差があるのかとか、そういったことは、もう少し知らないと、緊急でやる部分と、今後のやる部分というのは分けなければいけないとは思うものの、エビデンスは必要かと思いましたので、また、構成員の皆様からも、これは必要ではないかというのを言及していただければ、事務局でできるだけ対応してもらいたいと思います。
 ほかに、いかがでしょうか。
 では、寺田構成員、お願いします。
○寺田構成員 東京成徳短期大学の寺田でございます。
 ただいま、膨大な資料を短期間の間にまとめていただきました事務方の皆さんに、大変お礼を申し上げたいと思っております。
 私は、現場に長く、公立の保育園でございますが、公立の保育士、それから管理職として26年間在職しておりました経験と、それから、その後、大学の養成の教員の立場、この2つの立場から発言させていただきたいと思います。
 まず、1点でございますけれども、資料4の8ページのところにあります、保育士における現在の職場の改善希望状況、今、駒村構成員のほうから、いろいろ御指摘をいただいたと思うのですが、現場で働いてきた、経験知から言わせていただきますと、まさに、この数値というのは、ぴったりなのだろうなという感じがいたします。
 給与、それから職員数の増員、そして、3番目に挙げられます、この事務・雑務の軽減というのは、恐らく全国でも同じような数字なのではないかなと思います。
 また、6ページのところの保育士の賃金でございますが、これも、もう少し詳しいデータということもございましたが、実際に管理職として勤務していたときに、例えば、緊急でパートさんを、アルバイトさんを募集しなければいけないというときに、調理、栄養士さん、それから、看護師さんよりも一番低いのが保育士のパートの賃金で、どうしてこんなに、同じ保育園であるのにもかかわらず、看護師の賃金はとても高いのだけれども、栄養士は高いのだが、保育士は、何でこんなに低いのだろうと、自分で計算をしていたときに思ったことがございました。それが、12年前の状況でございましたが、今もそんなに変わらないのではないかという感じがいたします。
 先ほどの資料4の8ページにございました、事務・雑務の軽減でございますけれども、それとの関連内容が、1人当たりの主な業務の時間及び業務発生率のところにも、同じようなタイムスタディーからも読みます。私も、このみずほ総研と一緒にタイムスタディーに関わらせていただいた経験があるのですけれども、この様子を見てからも、保育の中で、子どもに接する以外の業務が余りにも多いという現実があると思うのです。
 例えば、記録の中の連絡帳、日誌、個別記録、計画、立案、児童票、保育要録、これは、全く同じ内容を6回から7回書くことになるのですね。
 ということは、例えば、パソコンの中で、ババット打った内容が6カ所に飛べば、これで、まず事務改善ができますね。ですから、私、そのことをずっと現場で思っていたので、大学教員になったときに、一番にやったことは、このことで、それでソフトをつくって、こういうものをつくったら、絶対現場の保育者の方たちが、事務軽減につながるだろうと思って、その本をつくらせていただきました。
 もう一つですけれども、別に宣伝するわけではないのですが、「アッというまに書けて☆伝わる 保育者の伝える力」という本を刊行いたしました。保育者の書く力とか、伝える力というのは、やはりこつがあって、だらだらと書けばいいわけではなくて、事務改善の1つとしても、記録の改善としても、書き方のポイントだとかを、工夫をすることにより効果が見えてくると思います。それから、パソコンを使うこともそうですが、書き方によって、時間が軽減されたり、スムーズな書き方に、私はつながっていくと思うのです。
 ですから、伝える力だとかというものを、もう少し可視化するだとか、見える化するのだとかということを、保育の質を上げるということも同時ですが、そういう研修を同時にしていくということが、保育者が疲弊しないで済むことの1つにつながるのではないかなと思います。
 先ほど、香取局長がいらっしゃる間に、ぜひお話ししたかったのですけれども、香取局長が、以前、雇児局にいらしたときに、1時間ぐらいいろいろお話をした経験があるのですが、そのときに、寺田さん、現場を知っていて大学の教員になった立場なら、ぜひ、現場の保育者に連絡帳を書くときに、連絡帳の向こう側に親の顔を思いながらぜひ書いてほしいと。昔、香取局長が保育園にお子さんを預けたときに、夜中の2、3時になって疲れて帰ったときに、我が子を見ると、とても癒され、そして、連絡帳を見て、こんなふうに元気に遊んでいたのかと思ったら、本当に疲れが吹っ飛んだのだよと、妻と2人でそういう会話をしていた。ところが、その後、保育園を転園したときに、ただ、事実だけが羅列された連絡帳で、どこどことみんなで散歩に行きました、御飯をいっぱい食べましたというような連絡帳だと、どこを切っても、金太郎のあめのような連絡帳だと、全然自分の楽しみがなかったと。
 そういう伝える力、書く力というもの、それを書ける表現のある保育士にぜひなってほしいということを、研修等で伝えてほしいということを何年か前に言われたことを思い、そういうことを研修の中でも強化していく。
 先ほど、清水構成員もおっしゃってくださいましたが、事務と、それから記録との意識の分業も大事だと思います。それと、保育士がしなければいけない内容と、そうではなく、保育士の資格を持たない方が改善できること。先ほど、秋田委員もおっしゃっていましたが、会議の中でちょっと子供を見ているとか、お昼寝のときに見ているとか、そういうようなことは保育士でなくても十分パートさんでも役割として担えると思いますので、そういう方を導入していくこと、早朝の時間、それから、夕方の時間も同様に、私も思います。どうして子供が1人なのに保育士が2人でずっといるということは、やはり、これだけ保育士不足のところでは、緩和することは十分必要ではないかと、もちろん、やり方はいろいろ吟味する必要はあるかと思いますが、必要ではないかと思います。
 もう一点だけお話しさせていただきます。中高時代に、保育の職場体験ということで、中学生、高校生が、いろんな保育園に訪問に行かれる、これは、とってもすばらしい内容だと思うのですが、ただ、そこで、今、学生からの声なのですけれども、余りにも保育の現場が一貫性がない、いろんな先生が言うことが違う、主任、施設長が言うことが違う、それによって、私は保育園で仕事をするということを続けていいのだろうか、と迷うようでございます。例えば、実習などもそうでしょう。同様のことから、そこから、私は保育園で働くことを躊躇し、幼稚園を選択するとか、一般企業を選択するという学生が若干です。数とすれば少ないですけれども、そういう声も現状として挙がっているということでは、やはり、所長、主任クラスへの研修の強化というのも、これも喫緊の課題ではないかと感じております。
 以上でございます。
○駒村座長 ありがとうございます。
 今までだと、3つぐらい話があって、1つは労働条件、労務管理、賃金の話。2つ目が、供給の強化、入職、離職防止、経験者の活用。3つ目が、今、お話があった保育の必要量の少し見直しがある、業務内容の見直しも必要なのですが、むしろ、それが質の向上につながるのではないかというお話もあったかと思います。
 ほかに、どうぞ。
 では、西村さん、お願いします。
○西村構成員 仁愛大学の西村でございます。
 これの問題を考える場合には、今、緊急にしなければならないことと、中長期にかけてやる場合と、2つに分けて検討したほうがいいのではないかと考えています。
 緊急にやる場合ですが、資料にも幾つか出ていますが、保育士試験を2回やるということも重要ですが、子育て支援員についての研修内容を見ますと、結構、乳幼児の保育を実施することに必要なことについて研修をやっているわけですね。
 そして、各都道府県では必ず研修を実施しています。
 特に地方では(福井県の場合)、子育て支援員を必要とするような事業というのは非常に少ない。
 そういう場合に子育て支援員を、1歳児、2歳児のクラスに限定して、活用するという方法が考えられないか、これが緊急対応の一つです。
 それから、幼稚園教諭、割に私立幼稚園を見ていますと、就職後5年ぐらいすると、幼稚園をやめさせられるというのが、私立幼稚園の場合には結構あるのですね。
 それで、今、認定こども園の幼稚園型では幼稚園教諭を3歳以上児のクラスに活用していますので、保育所でも活用することができないかということを思っています。緊急的な対策はまだ幾つかあると思うのですが、今、思い出すのはこれくらいです。
 先ほど、秋田構成員も言われましたが、私もノルウェーに行って、ノルウェーの保育の状況を調べたり、昨年度はスウェーデンに行ったりしてスウェーデンの保育を見てきたのですが、両国とも、クラスの職員の構成は3人で構成していまして、1人は、保育関連の大学を出た職員が保育の中心になり、あと2人は、1カ月ぐらい研修を受けた人です。このようなことを考えますと子育て支援員の活用も使えるのではないかと思います。
 例えば、1・2歳児のクラスで職員が3人以上になったら、3人のうち1人は子育て支援員でもいいのではないかとか、そういうような形で子育て支援員を使えないか。
 昔、乳幼児保育で看護師を活用していたのですが、この場合に、乳児が9人いれば、1人だけは看護師でもいいというような活用をしていましたので、緊急のために活用するということは、1つの手段ではないか。
 次に、中長期計画では、キャリアアップの問題です。これを処遇改善費と絡めてという活用ができないかということです。
 保育士養成協議会の専門委員会が、平成21年ですか、石川先生が委員長のときに保育士養成施設卒業生について報告書を出しているものがあるのですが、就職後、2年ぐらいで、20%ぐらいの学生が離職していくのです。
 理由は給料だけの問題ではなくて、人間関係とか、保育観の違いなどでやめていくわけですね。
 この問題は、人事管理の問題と、もう一点は、やはり、見通しですかね、自分がどれだけ経験したら、また、どのようにキャリアアップしていけば良いのか、保育士としての将来の見通しが分かるようなものを準備していくべきではないか。
 私も公務員時代が長かったわけですが、例えば、公務員の場合、次に係長になって、課長補佐になってというような見通しがずっとあるわけですね。保育士の場合は、保育士から、極端に言うと、もう主任保育士までないという状況になっているのです。保育士のキャリアアップを結びつけることによって、1年でも長く保育士として働く意欲にならないかということです。これは、長期的な対策の考えです。
 保育所は常に保育の質の向上というのを考えてもらわなければいけないのですが、この資料を見ると、保育士が6、7年でやめてしまうというのは、保育の質の向上を考えると大変寂しいことではないかと思っています。
 もう一つですが、地方で起きていることですが、今、公立の保育所は、臨時保育士、1年の契約の保育士がすごくふえています。多いところでは最高70%。現在は民営化してくることによって割合が減ってはきているのですが、それでも4割から5割近くいます。
 この人たちは、1年か2年なり3年で、自分が嫌になったらやめてしまうということです。こういう人たちをできるだけ登録する方法をもう少し考えられないかとか、それから、私立の保育所などで、やめた保育士の登録をどうするかとか、そういうようなことをもう少し考えなければいけないのではないかと思います。
 今、思い出したものをそのまま話したので、あまりまとまりがありませんが、よろしくお願いします。
○駒村座長 西村先生、確認ですけれども、6、7年でやめてしまうというのは、寂しい以上に、質的にも問題なのですね、保育の質の上でも問題なのですね。
○西村構成員 そうです。
○駒村座長 ありがとうございます。
 ほかの委員も、自治体の委員も、きょうは、自由に御発言をいただければと思います。
 では、車谷次長、お願いいたします。
○井内構成員代理(車谷次長) 富山県でございます。
 本県の状況を申し上げますと、市から来ておられるところとは違って、富山県については、保育所の待機児童というのは、16年度以降ゼロになっております。
 その原因というか、養成校からの入職者が、70%ぐらいが保育所に入っていると。ただ、幼稚園教諭とか、あわせて持っている人、また、障害の施設とかへ行かれる方等を含めると、90%以上の方が、そういうほうに就職していただいているということもありまして、ゼロになっております。
 ただ、本県でも問題になっているのは、年度途中に、主に未満児の方ですけれども、やはり、出産されて、富山県も共働きが多いものですから、お子様を預けて働きに行くというケースがふえておりまして、そういう方々がタイミングよく御自身の希望する園に入りたいと言われると、なかなか厳しいものがあって、その地域では、必ずどこかは受け入れできるのですけれども、例えば、勤め先の行く途中でとなると、ちょっと難しい面があるというようになっています。
 それで、うちの県では、年度当初から加配人員を配置できるようにということで、雇用する場合に、助成をしていたり、また、保育士・保育所支援センターにおける、そういうマッチングですね、潜在保育士の掘り起こしに力を入れております。
 それで、うちの県の規模で言いますと、養成校からの就職された方が、大体200人ちょっといるのですけれども、そのマッチングによりまして、昨年度は30人ぐらい、ことしも既に30人ちょっと、ですから、養成校と比べると、1割強の方がマッチングで勤めていただいているというようなことになります。
 やはり、ちょっと気になるのは、ブランクが長いと、最近、発達障害とか、アレルギーとか、そういうようなところで結構、もう一度勤めるのに、ちょっと逡巡されるといいますか、そういう方々がいらっしゃるものですから、それらの方々の訓練とかというのを県でもやっておりますけれども、また、そういうところで、先ほども言われましたけれども、働き方の柔軟さとかに加えて、そういう研修もしっかりやれるようになれば、もう少し働いていただける方もふえてくるのではないかと思っております。
 あと、先ほど、幼稚園教諭とか云々ということもありますけれども、地域の実情に応じて、やはり、そういう方々を活用していく必要があるというところは、私どもも理解しておりますけれども、富山県では、幸いなるかな、春先には、ほぼ需要が満たされておりますので、ですから、保育所を経営している理事長さん方は、やはり、保育の質の低下を招かないようにということで、歯を食いしばってといいますか、保育士の確保に努めていただいています。 それで、ちょっとお話ししたいのは、そういう基準も見直されるということは、やはり、地域の実情に応じて、どうしても必要だと思います。だけれども、今、富山県のように、一生懸命といってはおかしいのですけれども、頑張っているようなところについては、それなりの何かインセンティブが働くような、何か仕組みを設けていただければいいかなと思っているところです。
 以上です。
○駒村座長 ちょっと確認したいのですが、これは、事務局のほうがいいかもしれませんけれども、養成校から出られた方が9割ぐらいは、ちゃんと保育関係に行ってくださっているということ。これは、全国だと半分ということですね。これは、どうなのですか、さっきのデータは、全国は半分でしたか、これは地域間格差というのは、物すごい大きいのですか。
○朝川保育課長 今のあれでいくと、全国では保育所に5割、幼稚園に3割です。8割は、保育、幼稚園関係に勤めていらっしゃいますので、富山県は、その割合が9割だということですから、全国値よりも高いということだと思います。ただ、8割は全国値でも、幼稚園か保育所には勤めている。
○駒村座長 この半数というのは、幼稚園も入れると、8割ぐらいになるということですね。それで、富山は両方あわせて9割ぐらいいっているということですね。
 これは、県内の施設で働いていらっしゃるということですね。
○井内構成員代理(車谷次長) そのとおりです。
○駒村座長 東京とかに移動しているというわけではないと。
○井内構成員代理(車谷次長) うちの県の場合は、そんなに多くないはずで、ほとんどが県内就職だと聞いております。
○駒村座長 ただ、有効求人倍率は1.72で、全国平均よりは高いということはありますね。この辺は、どうなのでしょうか。
○井内構成員代理(車谷次長) さっきも申し上げましたけれども、春先についても加配といいますか、各保育所が、最低の配置基準よりも、2人とか3人とか余計確保すると。途中で、先ほど申し上げましたように、未満児の方が中心に入ってこられるものですから、その途中のさらなる確保といいますか、それとか、病児、病後児とか、特別保育の保育士さんもあわせて確保していくような関係で、ちょっと高くなっているのかなと。
 今、富山県は、新幹線が開通し、大きなスーパーや企業が進出しているものですから、そういう面もあって、昨年よりは全体的に雇用の確保が厳しい状態になっています。
○駒村座長 相対的なものですね。要するに、一般の仕事の魅力が上がってくると確保しづらくなると。だから、一生懸命この専門校生を教育をしていたり、やっていても、後発的な問題に対しては一般の労働市場が過熱してくると確保できなくなる。そういう意味では、相対的な動きも考えておかないと、後手に回ってしまうということですね。
 では、どうぞ。
○西村構成員 今の件なのですが、4年制大学の場合と短大とはちょっと違うと思うのですね。短大の場合は大体幼稚園と保育師と2つ取れるところが結構あるわけですが、そこですと、幼稚園と保育師で大体9割十分超えますね。大学ですと、小学校が取れたり、状況によっては一般の会社に行ったりしますので、この率がずっと落ちるのだろうと、こういうぐあいに思いますね。そういう点では、大学とは違うのではないかと思います。
○駒村座長 この辺は何か資料みたいなものはあるのですか。養成校の種類によって進路状況が違っていると。
○朝川保育課長 ございますので、次回にちょっと。
○駒村座長 ほか、きょうは御自由にどうぞ。
 お願いいたします。
○宮本構成員 横浜市でございます。
 横浜市は平成25年に待機児童ゼロになりまして、そこからゼロにはなっていないのですけれども、非常に保育士確保は喫緊の課題だと、朝川課長がおっしゃったとおりでして、特に今まで定員を超えて一定の割合で受け入れてくださっていたのが、保育士確保が困難なことから、定員外の入所ができないという状況が一昨年あたりから出現しております。
 幸いに、定員は入れられないという形にはなっていないのですけれども、来年の4月あたりはそういう状況が出てくるかもしれない、あるいは、新規で整備をしているのだけれども、保育士の確保が困難で、断念せざるを得ない事態も想定をされるような状況にはなっております。
 特に、事業者の方から声が多いのは、朝夕の保育士確保が困難だという状況を聞いております。潜在保育士の活用に横浜市も力を入れておるのですけれども、資料にもございましたとおり、やはりパートを希望される方が多い。特に、昼間の時間帯のパートを希望される方が多くて、どうしても朝夕の時間帯がパートで賄いきれないという状況があって、その部分では、朝夕の時間帯の緩和というのは考えていいのかなとは思います。
 ただ、一方で、横浜市の場合、国の配置基準を超えて、さらに厳しい配置基準を事業者に求めております関係上、保育の質の確保ということが議論になって来るだろうと。これは、市の議会の中、あるいは市の子ども・子育て会議の中からもこういった懸念が既に表出されているというような状況でございまして、なかなかその辺が、質の確保と待機児童対策を両立させていくのがどういう形であれば可能なのか考えています。
 それから、幼稚園教諭につきましては、やはり3歳児以降、幼稚園教諭の活用は非常に効果的だなとは思っておるのですが、これは、ここで申し上げるべき話ではないのかもしれませんけれども、私ども、実は幼稚園も所管をしておりまして、一方で、幼稚園からは、幼稚園教諭のなり手が少ないのだというようなことも聞いておりまして、ここで保育所に幼稚園教諭の活用ということを打ち出すことで、幼稚園の関係団体からどういう御意見をいただくのかなというのが、ちょっと懸念はしております。
 それから、今、保育と教育の一体的提供とか、養護と教育の一体的提供という話がございましたけれども、教育の中身がかなり事業者により、あるいはその親御さんによって求めるものがかなり違ってきているような印象を持っておりまして、ともすれば、小学校教育の前倒し教育に幼児教育を当てるというような考え方が多いような気がしております。これは横浜市としては違うなと考えています。今、文科省のほうでもいろいろ議論をされているようなアクティブラーニングみたいな流れもあり、その中で、子供の主体性をどう育てていくかというところと、そういった親御さんが求める前倒し教育みたいなところを、どう整合性をつけていくのかが課題になっております。
 その意味で、小学校教諭も、いい部分はあるのですけれども、小学校の先生方が子供に接する接し方と、保育園、幼稚園で子供に接する接し方というのは全く異なるものがあって、そこのところがうまく現場でいくのかなというのを懸念しております。ただ、小学校でいいますと、私は養護教諭は十分活用が可能ではないかと思っています。養護教諭は、実は看護師資格を持っている方もかなりいらっしゃるというお話も聞いておりまして、現行制度でも、看護師を保育士の枠に1名当てるということも可能ですので、そういった活用もあるのかなと考えてございます。
 もう一点は、研修の問題が先ほど来出ておりますが、私どもも園外研修をかなり充実させてきてはいるのですが、研修に出る時間がないよと、研修に参加できる体制をつくってくださいと言われておりまして、その部分で、ひょっとすると、昼間の時間帯で保育以外の部分で保育士が担わなくていい業務を保育士以外の方に代替していただくことで、時間が生み出せるのではないかと考えております。ただ、現場的には、昼間の時間帯のアルバイトは割と見つけやすいという話も聞いておりますので、ある意味ではその部分、雇用費の部分を何とか手当をすれば賄えるものでもあるのかなという気はしております。
 横浜市は、園外研修が難しいとなると、これは園内研修を充実していただくしかない。園外研修に出ていた方が園内研修をきちんとしていただく。そこで、先ほど清水先生から指導主事の制度のお話がありましたが、実は、私どもも指導主事の制度には着目をしておりまして、文科省に幼児教育アドバイザーという制度があるのですが、これは福井県さんでたしかやっていらっしゃいますね。福井県さんのほうにこの間、視察に行かせていただいたのですけれども、これは保育現場にとっても非常に有効な制度だということをヒアリングさせていただいたので、少し来年度に向けて指導主事的な役割を担って、園内研修を充実させられるような、そういった施策も今、検討しているところです。
 以上です。
○駒村座長 他職種の話と、やや中長期的な課題かもしれませんが、研修のお話がありましたが、横浜では、准看護師も一部できると厚労省から通達があったと、これについては今、どう対応されていますか。
○宮本構成員 これは条例改正をさせていただきまして、准看護師も適用できる形にしております。
○駒村座長 その際、なかなかこの問題は難しくて、利用できない方への量的対応をしなければいけない一方で、利用している方の質的向上、維持というのもあるわけですけれども、この辺は議論はあったのですか。
○宮本構成員 これは大議論がございまして、そもそも保育士と看護師の役割は違うのではないかという意見が多くありました。確かに保育士が看護師の役割を担える部分もあるし、看護師が保育士の役割を担える部分があるのですが、やはり保育士と看護師の役割はきちんと分けるべきであります。その上で、例えば保育士が、看護師がいない場合に0.1の部分を看護師が担う業務をやっているとするならば、看護師を雇うことで、その0.1を看護師さんにお任せすることで、その部分を保育に充てられるのではないかと。そうしたことで質と量の確保を両立させうるような説明をした経過はあります。
○駒村座長 もう少し進めて、朝夕の問題に入ると、これまた質の問題で懸念される方もやはり多くいる。
○宮本構成員 そうですね。どうしても保育は保育士がという部分はございますので、その部分の懸念は多いです。ただ、先ほど来出ている、保育士でなければできない業務と、保育士でなくてもできる業務という意味では、資料にも清掃というのがございましたけれども、実は清掃というのは非常に大事な部分でして、今、実態としても保育士さんが、保育が始まる前、終わった後に、清掃をしたり、保育で使うおもちゃ、用具をきれいに消毒したり、壊れているものがあれば直したりしているのです。この部分は保育士でなくてもできる業務、あるいは、登園時、降園時の車で来たときに、非常に地域とのトラブルになる可能性が高くて、その辺の交通整理をしていただいたり、この辺も保育士でなくても当然できるだろうなと。
 保育士でなくてもできる業務を今、保育士が担っているという実態があることを考えれば、朝夕の時間帯に保育士以外の方がいるということもあっていいかなとは思います。
○駒村座長 この配置基準は随分昔に決められたものでありますけれども、現実の業務の状況に合わせてウエートづけというか、めり張りをつけたほうが効率的であるし、質も上がるし、過剰な保育士の需要につながらないかもしれないと、こういうお話。
○宮本構成員 個人的にはそう思っているのですけれども、オール横浜市で考えるといろいろな議論が多分沸き起こるだろうなという気はします。
○駒村座長 丁寧に議論したほうがいいということですね。
 ほか、いかがでしょうか。まだ御発言がない方。
 伊原さん、お願いいたします。
○伊原構成員 松戸市の伊原です。
 3点ほどございまして、まず、1点目が今、現場で起こっている状況ですけれども、先ほどの資料4の8ページのところに、いろいろな改善希望状況というのがありますけれども、この中にちょっと見えてこない部分で、一番今、現場で負荷がかかっているのが、やはり障害児であったりとか、発達障害の方、あるいは医療行為が必要なお子さんであったりとか、アレルギーがあるお子さん、こういった方の対応が非常にふえてきていて、私どものデータでいうと、21年度で1カ所当たり大体6人ぐらいのこういったお子さんがいたのですけれども、今、27年度ですと、それは大体倍の12人ぐらいにふえておりまして、全体でも、公立保育所の中で1割ぐらいこういうお子さんがいるような状況になっているので、この辺の負荷が非常にかかっているのが、この資料の中ではちょっと見えてこないですけれども、やはり職員数の増員というところの理由には、こういう部分が入っているのかなと考えております。そのほかにも、あと、DVの対応であったりとか、保護者のクレームもあったりとか、ネグレクトなども最近多くなってきているので、そういった方へのケアなども含めますと、配置基準を多少変えていって、なおかつ、先ほども出ていた補助員みたいな方もつけるとか、そういった方向も一つ考えられるのかなと考えています。
 2点目が、幼稚園との整合性とかバランスという部分は、厚労省さんのほうの調整になるのかもしれませんけれども、先ほどの資料のほうでもやはり50%が保育所に行っていて、30%が幼稚園ということで、今、保育士との新規の部分とか、潜在保育士を確保するのにいろいろな優遇策をやっている中では、今のままだと30%の幼稚園に行っている方々のとり合いになるのではないかと危惧をしております。
 横浜市さんからもお話がありましたけれども、やはり幼稚園協議会とかの方からも、いろんな市で保育士の宿舎の借り上げの補助などをするというニュースが出ると、幼稚園教諭が採用しづらい現状の中で、松戸市はやるのかというような御意見もいただいておりますので、その辺は実際、文科省のほうの私学助成にそういったメニューが入っているのかどうか、ちょっと私ども、わからないのですけれども、そこが整合性がとれてバランスがとれると一番いいと思っていますし、もし、やるとしても、保育士の確保の部分で、例えば今、幼稚園で11時間ぐらい預かり保育をやっている幼稚園に対しては、市のほうでも補助を出してやっていますけれども、そういったところに関しては、この保育所の宿舎借り上げとかも、新しく預かりの保育士を雇う場合には対応させるという形にしていただけると、非常に使いやすくて、待機児童の解消にもつながるかなと、このように考えております。
 3つ目は、公立の問題ですけれども、今、実際小規模保育所につきましては、割と投資が可能で撤退もしやすいということで、民間の保育園も割と乗り気というか、参入がしやすい状況になっているのですけれども、認可園については、子供の数が減ってくるという危惧が一つある中で、投資意欲が湧かないというか、どちらかというと遠慮がちになっていて、その原因というのは、やはり民間の園からすれば、経営を安定させるには一定の待機児童がいたほうが経営上は安定しやすいというところがあるのですね。その辺も絡んできておりますので、余り整備していって、待機児童がなくなってしまうと、自分たちが定員割れしてしまうという危惧もあるので、その辺は公立の保育所が調整弁になって、将来撤退していくんですよといった道筋は見せていますけれども、そういった部分で、公立がしばらくの間は認可園の役割をまた担っていかなくてはいけないのかなということで、私ども、9月の補正で公立の保育園の園庭にプレハブの園舎を一時的にリースして、5年とか10年という間で、そこでしのごうという形もやっていますので、そういったときに、一番ネックになっているのが、先ほども臨時の保育士が皆さん、公立は多いということで、なかなか時給1,000円とか1,200円出しても来ない状況がありますので、実際、我々の市では任期つきの短時間制度というのを使って、6時間ぐらいの短時間勤務の職員を配置してやっております。
 こちらも総務省のほうで、これも厚労省さんにちょっとお願いというか、総務省などは定数をふやすなという圧力というか、それがある中で、フルタイムの保育士をふやせないという現状がございます。そうなってきますと、やはり定数に換算されない任期つき短時間の保育士をたくさん雇うしかないということで、それは6時間勤務という部分では非常に働くニーズも高いので、採用はしやすいのですけれども、やはり処遇が総務省から昨年7月に昇給を可能とする内容の通知がありましたが、まだ手当を出してはいけないというようなことになっておりまして、それがなぜかというと、公務員の再任用職員と同じ考えで任期つき短時間制度を運用しろということになっているので、再任用職員というのは年金の支給期間が延びたことに対する制度ですので、それと労働者というのはちょっと一緒にしてはなかなか集まりづらいところがあるので、その辺を緩和できるような措置を検討いただけると非常にありがたいかなと考えております。
○駒村座長 それはなかなか御苦労なすごいことをやって、それはどのぐらい、今、任期付の方というのは、パーセンテージでも人数でもいいのですが。
○伊原構成員 半々。正規が350ぐらいで、任期つきも大体320近く今、いますので。
○駒村座長 いかがでしょうか。
 宮崎構成員、お願いいたします。
○宮崎構成員 いろんな御意見が出ましたので、私からは、即効性のあるというところよりも、基本的に、長期的に見てもどういうことが理想なのかという点も含めてお話ししますと、三鷹市は今、約18万人の人口に対して9,000人ちょっと、約5%が就学前児童ですが、出生率は1.16ということで、26市では最低です。東京都内の平均ぐらいなのですが、それでも子供の数がふえておりまして、待機児童も、資料の11ページにありますように、全国で第25番目、去年より30人もふえています。
 そういったところでは、最優先課題で取り組んでおりますが、待機児童ゼロということを全ての自治体が目標にされておりますけれども、育児休業とか休職中とか、待機児童の定義の取り扱いについては自治体によってまちまちだということで、絶対的な比較はできないのかなと思われます。あとは、新制度の移行前、移行後においても単純に比較ができないのかなというところです。また、先ほど松戸市さんからもありましたように、待機児童がゼロになった後の課題、例えば保育事業者の淘汰の問題とか、いろんな問題がありますので、それが実際には保護者にも影響が出てきますから、事業者を潰さないでどうやっていくかということも大事だと考えています。
 ここで、保育士確保上の問題提起をしますと、まず、公定価格における地域区分の問題というのがありまして、国家公務員の地域手当に基づいて公定価格の中でパーセントが決まっておりますけれども、三鷹は10%ということで、近隣よりも5%ぐらい低くなっております。これが意外と保育士の確保に影響しております。やはり生活圏、経済圏、こういったものが同じ地域の中で格差がありますと、当然、確保、待遇に影響が出てくるということでございますので、こちらは東京都内で26市と23区の2区分ぐらいはあってもいいですけれども、市ごとに全部違うというのは、保育所を運営していく中では事業者からも非常に多くの苦情が来ております。そういったことがまずあります。
 次に、待機児童の実際の保育需要と、年齢別の待機児童数というのは乖離があるのではないかと思っています。特に三鷹市はゼロ歳児保育を最初にやった市ということで有名なのですけれども、今はどちらかというと、1~2歳が重要かなと思っておりまして、先ほどの話の中でも1~2歳児の保育利用率の目標というのがありましたが、最初に定員を設定しますと、持ち上がりがいるものですから、1歳、2歳で入ってくれる枠というのはなかなかふやすのが難しい。今は1歳児が一番待機児童が多いのですが、実際、ゼロ歳児の待機児童の中にも、潜在的な1~2歳児の待機児童が多いのです。本当は十分育児休業をとって復帰したいのだけれども、入れないので、早くから「ダメもと」で申し込むという方の待機児童数がすごく多いのです。ですから、特にゼロ歳児は人材もお金もかかるところなので、本来の需要に合わせて定員設定をして整備をしていくべきだということからすると、1~2歳児で入れる枠をどうやってふやしていけるのか、これは即効性があるかどうかわかりませんが、その辺が大事なのかなと思っておりまして、そこにすごく今、人とお金がかかっているということがあると思います。
 あとは、設備運営基準につきましても、このように最初のページに出ておりますけれども、現在、実際は都内の保育所で1歳児を1対6でやっているところはほとんどないと思います。基本的に1対5です。それぐらい配置しないと、まず、1歳児は保育できないと思っています。そういったところについては、公定価格で一定の加算を要求しましたけれども、なかなか7,000億円あるいは1兆円の中で実現が困難ではないかということで課題になっております。そういった加配が現実には行われておりますし、ゼロ歳児保育を行っているところには保健・看護職を基本的には旧都基準ということで、加算でつけているのが実態です。そういったことからすると、保育士だけではなく、保健・看護職にも人材の不足が出てくるのではないかと考えております。そういった配置基準と公定価格の加算上の問題もあるということであります。
 先ほどご提案のあった、朝夕の保育士配置の要件緩和というのは、私どもの市においても保育の現場からも多い要望でございまして、実際、東京都の指導検査上、一時的にそれが確保できていなくて指導を受けているケースがふえてきています。質の確保という面で、子育て支援員の活用とか研修とか一定の条件を付したうえで、要件の緩和はある程度必要なのかなと思っております。
 また、新たな課題としましては、市町村が今年度から地域型保育というのを始めまして、ゼロ歳から2歳児に特化したものをやっているのですが、その行き先である3歳児の受け入れ先の確保、これが新たな待機児童の問題につながっています。新制度では受け皿を確保しなければいけないということなので、認可外の認証保育所とか、そういったところからの行き先が危ぶまれている。そこで、幼稚園の一時預かりの活用あるいは充実、こういったものが課題になっています。現状の保育資源をうまく活用して、無駄な投資をしないで、どうやって効果的な、それも質を確保して、待機児童を解消していくかという、これは限られた財源と人材の中でやっていくということでございますので、その辺のところを、ちょっと即効性があるかどうかわかりませんが、そのような提案をしたいと思います。
 最後に、やはり保育の現場が魅力があって楽しい職場にするためには、処遇改善、特に都道府県も上乗せキャリアアップのようなこともやっていますので、ここは大事だと思います。これが即効性があればいいのですが、長期的に見れば、今の旧民改費相当の基礎部分ですけれども、ここがもう少し先まで伸びればいいかなと、例えば14年ぐらいの障害福祉施設みたいなところとまず合わせる。もっと言えば、保育の現場で施設長あるいは主任保育士になるには15年から20年の経験は普通必要だと思われていますので、そこまでインセンティブがない加算措置というのは、そこまで勤められないということになりますから、そこはこれから改善していくべきなのかなと思っております。
 もう一つのご提案である、幼稚園教員等の活用については、3歳以上の幼児クラスであれば可能だと思いますが、幼稚園教諭の需要とのバランスということがありますので、なかなか簡単にはいかないのかなと思っています。そういった課題を、会議の中で議論させていただいて、勉強していきたいと思います。よろしくお願いします。
○駒村座長 ありがとうございます。
 公定価格の中で、賃金というのはどういう考え方で厚労省は整理されていて、しかもそれはある程度の勤続期間があり、なおかつ、恐らくその労働圏というのでしょうか、経済圏の中での相対賃金でなければいけないと思うのですけれども、この改定とか、この辺はどこかで一度整理していただきたいと思います。どういうふうにこの賃金を評価しているのか。
 それから、相対価格という意味では、この有効求人倍率と、当然、絶対的な賃金では相関があるかと思いますけれども、一般的な仕事との相対的な賃金として、果たしてこの有効求人倍率が高いようなエリアで魅力のある賃金が確保できているのかどうなのか。絶対額ではなくて、相対的な意味で確保できないと、居ついてくれないということだと思いますので、これもちょっと資料を整理してもらいたいと思います。
 吉田さんがまだですね。お願いいたします。
○吉田構成員 第1回ということで、少し広い話も含めて五月雨的にお話を申し上げておきたいと思います。
 先ほども少し御意見がありましたが、今回、一番メーンである緊急的な対応と、当然、短期的対応と、中長期的対応と、全体を視野に入れながら当面、緊急対応をどうするかという整理を多分しなければいけないだろうと思っています。
 いろいろ御説明が事務局からあったように、保育士確保対策の基本というのは、新規資格取得者の確保、つまり、入れるという話、それから、既に保育士である方の就業継続支援、いわゆるつなぐという話、それから、離職者にもう一度再就職を支援する、呼び戻すと俗に言っていますが、入れる、つなぐ、呼び戻す。基本はやはりつなぐということで、質の確保の観点からもしっかりと職員に定着してもらうというのが基本だと思います。
 今回は、それに対して、とりあえず来年、再来年これをどうするんだということの緊急対応で、いわば補うという話であろうと思います。それに当たっては、担い手の拡大ということで、必ずしも保育士資格を有していない者でもいろいろな条件つきで対応することによって、いろんな副次的な効果も生むだろうという話だろうと思います。
 とりわけ、私もいろんな全国の現場でお話を聞いていて、朝夕の保育士配置の要件緩和というのは、かなり現場的にも大きい課題だとは思っています。ただ、その際、当然、一番重要なことは、では、質の担保をどうするんだというのは、必ずこれはまた同じように現場で出てまいります。そうすると、今回、新制度でいわゆる保育標準時間11時間可能でございますが、保育そのもの原則8時間ということは動いてございませんので、朝夕というのは解釈によっては8時間外の部分ということで、その質という議論からすると、8時間の質は全員お子さんがそろって、しっかり担保していますよと。それ以外の時間は、来ている子もいれば、来ていない子もいるのだから、逆に、それは個別対応も含めて、いわゆるコアタイム的なものではないという解釈は少し可能ではないか。それにしても、質の担保に十分配慮するということだと思います。
 もう一つは、これはどのぐらい効果を生むのか、つまり、先ほど来、保育士が約41万人いるが、近い将来7万人近く確保しなければならない、という話がありましたが、今回のこの緊急対応によって、どの程度不足する保育士がカバーできるかという予測される数なり期待値なりをある程度推測を立てなければ、それでも足りなければ、さらに別の手を講じなければいけないわけですから、ある程度期待値的なものを少し、次回、事務局からお話をいただけるといいのかなと。
 それから、もう一つは、現実には恐らく地方自治体によって温度差が出てまいります。例えば今回の小規模保育にしても、B型は国レベルでは有資格者2分の1以上となっていますが、ある自治体では3分の2以上という条例にしていますし、別の自治体では4分の3以上という条例にしていますし、今回の朝夕の2人保育士資格も緩めていいというのも、小規模保育はいい、しかし、認可保育所はだめだとか、あるいは、極端な場合は認定こども園はとにかくそういう緩和は一切まかりならぬ、幼保連携型はだめだというような温度差が自治体でかなり出てまいりますので、この違いに対して一体国レベルではどう考えを整理しておくかと、そのことも予測値、期待値に多分変わってくると思いますので、その整理をしてほしいと思います。
 もう一つは、緊急対応とかなり密接に絡んで、少なくとも3年から5年スパンの短期対応も早急に組み合わせなければいけないだろうと。そうすると、保育士人材の需要と供給ということでいえば、1つは需要を減らすことはできませんが、需要の緩和は地域によって可能だろう。つまり、育休をとれるのだけれども、1歳児が今、かなり入れなくなっているので、育休を返上して、ゼロ歳の早い段階で保活というケースがかなり23区でございます。そうすると、逆に言えば、1歳児の枠が保障されていれば、ゼロ歳児に来ない方がある程度あるだろう。そうすると、職員配置から言えば、ゼロ歳は3対1、1歳児は6対1ですから、倍違いますので、人材確保的な効果から言うと、ゼロ歳ニーズをいい意味でワーク・ライフ・バランスも含めて、もし、縮小することができて、しかし、1歳児ニーズの希望を全部かなえられるようにしていくと、かなり人材の需給関係は緩和される可能性があるだろうと思います。
 それから、先ほど御意見が出ていたように、公立、私立の非正規パート保育士の問題も絡みますけれども、いわゆる職員が比較的余裕がある施設も現在、現実にあって、一方で、切迫した施設があって、そこにサッカーではありませんが、何か保育士のレンタルみたいなことが、期間限定レンタルみたいなことができれば、特にゼロ歳児というのは年度途中入所がほとんどでございます。ところが、期待に反してうちはゼロ歳児の定員が埋まらなかったというと、完全に一人職員が浮いている。ただ、来年来るかもしれない。でも、今年はあいている。一方、こちらは定員以上に希望が来て、募集しても来ないという場合の需給のミスマッチを、多少一人貸してあげても大丈夫だという施設から、足りないという施設に何かうまくインセンティブをつけて誘導することができれば、お互いにメリットがあるのだと思うのです。余剰を抱えると、施設としては人件費をかなり払わなければいけないわけですから、そこをうまく何かやる仕組みができないか。
 それから、もう一つは、保育士・保育所支援センターですが、これはやはり本来は47都道府県全てに設置をされて、かつ、県内のセンター機能だけでなくて47都道府県のネットワークで、例えば保育士さんが結婚して、旦那さんの仕事の関係でほかの県に転勤しましたとか、あるいは、若い保育士さんの親の関係で家族が転居したので私も転居しますとか、地域を移動したときに、県をまたぐと支援センターがネットワークでつながっていれば、かなりそこでまた需給調整、マッチングをやることが多分できるだろうと思いますので、都道府県の支援センターの全国ネットワーク化によって、もうちょっと広域マッチングにつなげられればいいのかなというのが一つです。
 それから、非正規パート保育士についても、公立はかなりコスト問題で、正規職員を採らずにとにかく非正規をふやすということで、恐らく私立よりも圧倒的に非正規とパート保育士が公立は多いのだろうと思います。一方で、私立のほうは、むしろかつて勤めた職員で一遍結婚して、退職して、子供が生まれて、子供がちょっと大きくなったので、でも、子供がいるからフルタイムは無理ですということで、パートで日中中心に来る方がかなり園によってはあります。そうすると、再雇用のママ保育士さんの場合は、まさに朝夕の体制整備ができていれば、かなりそこで人材確保ができるし、かつての職員ですから、園としても非常にやりやすいという部分があるのだろうと思います。
 それから、都市部では、実はかなり派遣の保育士に依存しているケースがあって、派遣業が相当あります。これが需給調整をやっている部分もありますが、これが一体どの程度の規模なのか、私も全国データ、あるいは首都圏のデータを見たことがないので、恐らく無視できない数だし、存在だと思いますので、人材派遣業が保育士派遣を一体どの程度のスケールでどのようにやっているかと、もし、何か調べられるなり、あるいは場合によってはその方をヒアリングに読んで、ちょっと情報提供していただくなりができると、これはこれでおもしろいのかなと思っています。
 もう一つ、京都府の養成校が府内の保育園団体と組んで、今、おもしろいことをやっていて、これは短期的か、中長期的かもしれませんが、高校生の保育ボランティアをしっかりした研修的な形で養成校があっせんして保育現場にやる。すると、ちゃんと修了証を出す。その修了証が今度は自分が養成校に行くときの推薦状に実はなっていて、そうすると、子供の保育にかかわって、おもしろい、しかも、それで推薦状つきの修了証をもらう。そうすると、高校の進路指導が、あなたの成績は優秀だから養成校に行かずにこちらに行けというケースが現実にあるわけですが、でも、そういう経験をし、その修了証が推薦状みたいなというと、割にその養成校に行く。そのときに現場のほうは、そういう学生さんが養成校にそういう形で行ったら、うちは2年間奨学金を出してあげてもいいと、そのかわり、2年間最低うちに戻って勤めてねとか、そういう話は出ていましたが、そういう養成校と現場と、あるいは高校段階、進路指導段階がうまくマッチングをすると、かなり安定的に、養成校に行って、かつ、企業に逃げずに保育現場に行く方がひょっとしたらもう少しふえるかもしれない。そういうことも複合して考えてもいいのではないか。
 最後ですが、中長期的には恐らく特別な地域を除くと、保育士は今度は過剰人材となる可能性があるので、しかも、高齢化が進むと、保育士の年齢構成のアンバランスも発生してくる。その中で安定的に質の高い保育をどうするかということも少し視野に入れて、いい意味で配置改善のチャンスだと私は思っていますので、少しその先のイメージをしながら、当面、次回以降は、緊急対応をとにかく何とかうまく機能させなければいけないという整理が大事かなと思っています。
 以上です。
○駒村座長 どうもありがとうございます。
 ちょっと今のところで、先ほどの横浜のところでも気になったのは、准看護師や看護師を使う。一定割合認める。あるいは、資料の12ページの朝夕の配置については、要件緩和を行って、実際に対応をお願いしたいとなっているわけですけれども、今、お話があったように、自治体間で多様に格差が出てきている。この実態というのは厚労省は集めていらっしゃるのか、やはり実態を把握して明らかにしてもらわないと、これからの議論はいろいろ考えても、別のところでブレーキがかかっていると余り効果がなくなってしまうと思いますので、ちょっとこの辺の自治体の対応を、横浜はわかったのですけれども、これがどうなっているのか、ちょっと教えてもらいたいと思います。今、お話を聞いて、必要な対応かなと思います。
 ほかにいかがでしょうか。つけ加えたいことがございましたら、多少時間は残っておりますので。
 どうぞ、お願いします。
○吉田副座長 もう一点だけお願いします。
 東京とか市区町村が割に多い、ほかの自治体もあるかもわかりませんが、年齢別定員を引いているところがいまだにあって、そうすると、ゼロ、1、2歳児がもう定員がいっぱい、あるいは若干定員超過、それに対して3、4、5歳児はちょっとあいている。つまり、部屋もある。3、4、5歳児の職員もいる。少なくとも、来年は別だけれども、ことしゼロ、1、2歳児を入れてあいている部屋も職員を回すことができるけれども、年齢別定員になっているので、そこでストップがかかってだめだというケースが実はかなり都内はあるやに聞いているのです。三鷹市さんもよく御存じかもしれませんが、この問題は何とかならないのかなと思うのですが。いろんな背景があると思うのですが。
○駒村座長 何かありましたら。
○宮崎委員 運用定員の弾力化というのは必要に応じてよくやっているのですが、年齢別定員というのはやはり持っておりまして、特に、3、4、5のところは縦割りの保育をよくやるのですが、ゼロ、1、2については部屋の使い方とか、それも年齢別にやっていまして、一部の園ではそういうゼロ、1、2の部分でも年によってはそういう弾力対応をしているところもありますが、やはり年齢別定員というのはしっかりまだ維持しております。
○駒村座長 池田構成員。
○池田構成員 次回以降にちょっと追加で情報があればと思ったのが、資料4の10ページで、たびたび議論されている潜在保育士、それがどういう人なのかということですね。先ほど副座長からお話がありましたように、多分、いろんな年齢、属性の方がその中に入っていて、具体的に、リクルーティングするとなると、どういうタイプの人をどう引っ張ってくるかという話に多分、なると思うので。資料の数字で言うと、平成18年から、特に25年にかけて約倍にふえているのがどういう人たちなのか。例えば一回定年を迎えて働いていないけれども、まだ働ける高齢者なのか、あるいは、先ほど言った結婚、出産で一回退職して、まだ家庭にいる人なのか。そういうことによって、リクルートのかけ方が変わってくると思うので、ちょっとそこを次回以降、次回ではなくていいですよ。次回以降、いつか教えていただけたらと思います。
 あと、いわゆる民間企業の人事労務管理は雇用ポートフォリオというのですけれども、やはり限られた人件費制約の中で、正職員と非正規の人、それをどのように組み合わせていくか。公立と私立で大分基本パターンが違うみたいです。それぞれの自治体の方は御存じだと思うのですけれども、何か基本形みたいなことをシェアして議論したほうがいいのかなという感想を持ちました。これも次回でなくて次回以降、いつかお願いします。
○駒村座長 ありがとうございます。
 民間の保育所がどういう労務管理を、いわゆる科学的な労務管理をやっているのかわかりませんが、ヒアリング等々でまた補うことができればと思いますし、あとは、潜在的保育士さんの構成、資格を幾ら出しているかというのは多分、把握されていると思いますけれども、どこまで情報が厚労省の中にあって、あとは何かサンプルの調査ができるのか、あるいは過去に取った時期から推測して、こういう年齢構成にどうやらなっていると推測するのか、何ができるかわかりませんけれども、事務局にわかる範囲で対応と、いずれにしても、急がなければいけない議論と、先ほど言ったように中長期の議論、あるいは、先ほどもお話があった新しい課題を子供たちが持っていて、より人手というか専門性が必要になっているところと、そうでない部分との丁寧な切り分けをしていかないといけない。これはちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、丁寧にやらなければいけない部分というのは2段になっていると思います。
 それでは、時間も来ましたので、きょうの議論はこれで終わりたいと思います。次回の日程について、事務局から御説明をお願いします。
○朝川保育課長 資料6をごらんください。1枚の縦紙です。
 第1回はきょうでございますので、次回は第2回、来週の16日月曜日、9時から12時、5号館の12階14会議室で予定しております。
 内容は、まず、先行して検討すべき事項、年内に一定程度の結論を出したいことについて、きょうは朝夕の話を少し頭出ししておりますけれども、もう少しきょう出た意見も踏まえながらですが、具体策を幾つか御提示できればと思います。
 それに対しての意見も含めてですけれども、関係団体からヒアリングをしたいと思っておりまして、関係団体といいますのは、実際に保育士を採用している保育所を運営している方々、社会福祉法人、民間株式会社両方含めてですけれども、ヒアリングをしたいと考えております。
 その上で、あと、年内に1~2回やって、一定の結論が出せればと思っております。
 以上でございます。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
 それでは、きょうの検討会はこれで閉会としたいと思います。皆様におかれましては、御出席どうもありがとうございました。失礼いたします。

(了)

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