ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ)> 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ(第3回)(2015年10月30日)




2015年10月30日 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ(第3回)

○日時

平成27年10月30日(金) 15:30~17:30


○場所

中央合同庁舎5号館9階省議室


○出席者

委員

奥山委員 秋山委員 泉谷委員 磯谷委員
井上委員 加賀美委員 作本委員 笹井委員
佐藤委員 菅野委員 辰田委員 中板委員
西澤委員 浜田委員 平田委員 藤林委員
藤平委員 松原委員 武藤委員 山田委員

オブザーバー

法務省
警察庁

厚生労働省

吉本大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化対策担当) 横幕総務課長
一瀬母子保健課長 大隈家庭福祉課長
田村虐待防止対策室長 小松虐待防止対策室長補佐
芦田虐待防止対策室長補佐 大津総務課長補佐
竹中少子化総合対策室長補佐 寺澤家庭福祉課長補佐

○議題

(1)検討事項についての意見交換
(2)その他

○議事

○小松虐待防止対策室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第3回「新たな児童虐待防止対策システム構築検討ワーキンググループ」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 なお、本日、岩佐委員、岡井委員、加藤委員からは御欠席の御連絡をいただいております。

 初めに、ワーキンググループの運営に当たり、委員の皆様へお願いがございます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへ情報保障の観点から、御発言等をされる場合には発言者は挙手をする。挙手をした発言者に対し座長から指名する。指名を受けた発言者は氏名を名乗ってから発言するとしたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。

 最初に資料の確認をさせていただきます。

 まず、委員の皆様の机上に、右肩に「机上配布のみ」と記した資料を置かせていただいております。

 その下に議事次第。

 資料1、検討事項の整理。

 資料2、作本委員、資料3、中板委員、資料4、藤林委員、資料5、武藤委員から御提供いただいた資料を配付させていただいております。

 資料6といたしまして、事務局提出資料として「国家資格関係資料」を配付させていただいております。

 それから、ちょっと次第の方への記述が間に合いませんでしたが、加藤委員、佐藤委員から御提供いただいた資料を最後に配らせていただいております。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 なお、本ワーキンググループは公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。

 それでは、この先の議事につきましては奥山座長にお願い申し上げます。

○奥山座長 皆さん、よろしくお願いいたします。

 前のワーキンググループから引き続きの先生方にはすごくお疲れとは思いますが、あと2時間頑張っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料1にございます課題について、本日は残されたところを全部議論していきたいと考えております。1項目10分程度で行って、最後にまた全体として意見交換をしたいと考えております。

 かなり前にこの資料1を御説明させていただいたのですけれども、きっと皆さん、その辺のところはお忘れになっておられるのではないかと思って、委員の方々にはそこのリマインドという意味で、机上配付を配らせていただいております。皆様のご意見を出していただく刺激になればというところでの机上配付メモと考えていただいて、そこが何か例えば幹事会で決まったこととか、そういうことではございません。一番最初にお話しした資料1の御説明ぐらいの形でイメージしていただければと思います。

 時間も少ないので、早速議論に入っていきたいと思います。まず、子どもの権利擁護に関する機関の創設について御意見を伺いたいと思います。

 机上配付の方にも書いてありますけれども、子どもの権利に関する監視組織がないということ。児童相談所の処遇に問題があっても、親は声を上げられるけれども、子どもは声を上げられないということなどがその背景でございます。

 現在の施設の第三者評価も機能しているところとしていないところがどうもあるらしいというはなしもあります。真に子どもの代弁ができる機関は、権利擁護という意味では必要だろうと考えられます。もう一つは、監査・検証等といった機能をどうするのかです。権利擁護といったときに、この2つに機能が分けられるのではないかという話が出てきていると思います。あと、机上配布には私が考えて、必要な権限としてはこんなものがあるのではないかという部分を記載させていただきました。子どもの福祉に関わる機関に対して予告なしに立ち入れる権限を持つとか、インケアの子どもに面接する権限を持つとか、そういった幾つかの権限を持たせないと、本当の意味での監査にはならないのではないかというところまで含めて考えたいと思います。

 もちろん、一番重要なのはどこに置くのか。第三者といっても、なかなか宙に浮くのが難しいものですから、どこがどうすれば良いのか。例えば国からの委託のような形で児童福祉審議会がやれるのかとか、その辺のところも含めて御議論いただければと思います。

 いかがでしょうか。なかなか最初に口火を切るのは難しいですか。

 山田委員、お願いします。

○山田委員 私は基本的に国が出先機関みたいなところに設置したらと考えてはいるのですけれども、例えば今、奥山座長がおっしゃった、都道府県にある児童福祉審議会にこの機能を持たせるとしたときに、それが本当に機能するのかどうかというあたりをまず御検討いただけると整理がしやすいかなと思いました。

○奥山座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。松原委員長お願いします。

○松原委員長 私は関東の人間なので、東京都と神奈川県しか知らないのですが、児童福祉審議会の中に児童部会あるいは権利擁護部会があって、そこで一応奥山座長が示されたような権利侵害の事例、施設内虐待等の通告があると、そこで議論する機能は持っていると思うのです。ただし、地方自治体の事務局が調査に当たりますので、直接審議会メンバーが調査に当たっておりません。審議会に置くとすると、ここをどうするのかという、直接調査をするということを想定すると、相当審議会委員のメンバーの時間等の確保が大変になるのかな。ただし、恐らく、そこは事務局でということになると、やや不十分なところがあるかもしれないということで、かなり議論になるだろう。

 それから、もし、審議会と別のものを作るとしたら、審議会委員の他にまた誰か作らなければいけない。そうすると、東京、神奈川等の都市部なら良いですけれども、例えば大学等が余りないところでどれだけ担い手がいるのかという、現実的な課題があるのかなと思うのです。

○奥山座長 ありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。

 菅野委員。

○菅野委員 菅野です。

 滋賀県の場合、審議会とは別に外部の委員さんたち何人かに権利擁護の委員になっていただいて、滋賀県は施設が少ないということもあるのですけれども、2人ペアになっていただいて、最近、泊まりはないのですが、行っていただいて、子どもたちとお話をして、子どもたちから直接意見を聞くみたいな取組をここ数年やっています。

 その中で、子どもたちの意見で、施設側の対応で変えてもらわなければいけないところあたりは、委員の報告で勧告を出してもらって、改善を求めて、次の年にもう一度チェックするみたいなことをやっています。

 ただ、すごく手間暇かかりますし、本当に滋賀県は施設の数が少ないので逆にできるという状況はあります。だから、直接的に子どもたちから話を聞くというのは、かなり意味のあることではないかと思っています。

 以上です。

○奥山座長 山田委員。

○山田委員 児童福祉施設の監査という点では、児童福祉審議会の下の組織でも良いかもしれないのですけれども、実際には、児童相談所がきちんと子どもの権利を守っているかということも、この第三者機関の責務となると、第三者機関も児童相談所も同じ都道府県ということになったときに、幾ら第三者の方たちに審議会委員をお願いしたとしても、どこまできちんとした監査、調査ができるかというと、私は懸念を持っていて、組織の設置水準を国にした方が良いのではないかという意見です。

○奥山座長 藤林委員。

○藤林委員 藤林です。

 この監査、評価の対象なのですけれども、従来の施設であるとか、または児童相談所、一時保護所も含みますけれども、今後、在宅支援であるとか、相談支援を民間機関が担っていくという方向だと思うのですけれども、そうすると、こういった在宅サービスについても適切な評価、監査が、さらに、監査だけではなくてそのクオリティーが本当に十分なのかという評価も必要になってくるのではないかと思います。

 そう考えると、こういった入所も在宅支援も適切に評価するためには、かなり専門性とか経験がなければできないのではないか。単に児童福祉審議会の調査員で良いのかと思ったりいたします。その一つのモデルがイギリスにあるOfstedという国直属の機関がありまして、これにはチャイルド・ケア・インスペクターという、子どもケア監査官というのでしょうか、こういった専門家が1,000人以上雇用されていて、法律にも位置づけられ、こういった在宅支援も含めた評価、監査を行っている。そういったものがなければ、今後のいろんな自治体なり、社会福祉法人なり、民間なりがやっていくサービスの質が保たれないのではないかと思っております。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 辰田委員。

○辰田委員 八王子の辰田です。

 施設とか一時保護所についての被措置児童虐待の通告がある場合、先ほど松原委員がおっしゃったとおり、事務局の調査が入っております。

 今回、提案されているのは、児童相談所への処遇に問題や、不満に、子どもや親が声を上げたとき、児童相談所が適切かどうかの調査ということだと思うのです。

 その親御さんには、何故児童相談所が関わるんだという不満の方もあれば、例えば非行の子も指導を受けるのはおかしいとか、そういったギャップもあると思うのです。以前、適切に保護してもらえなかったという訴えもありましたけれども、そういったものは一個一個どこに課題があるのか。その調査を児童相談所が全部対応しなければならない。それを受理する機関の専門性・対応する力量等が問われてくる。なかなか課題があると思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 子どもの権利条約を批准して、子どもの権利を守るということを言われているのは国なのですね。ですから、国は絶対しっかりとやらなくてはいけないのですけれども、そこを国として、自治体に任せるといろいろなことがあるのでしょうけれども、そこのあたりの整合性も含めて考えた方が良いのかなとは思います。

 加賀美委員。

○加賀美委員 もちろん全ての子どもを対象に、子どもの権利を守るという仕組みの中でのシステムを考えるということだろうとは思いますけれども、先ほど来伺っていると、やはりその中で社会的養護を何らかの形で受けた子どもたちの権利侵害ということがたくさん出てきているように思うのです。

 そういう観点からいっても、日本の社会的養護は官制度、公制度ということであるから、官公の制度の仕組みとして作るとしても、官公と一歩距離を置いた第三者性を持ったシステムでないと本来機能しないのではないかと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 松原委員長。

○松原委員長 現行法でも、児童福祉審議会の機能の中に保護者の意向と児童相談所の意向が合わないというのがあって、それを少し拡大して考えていく、あるいは解釈を変えていくと、保護者側から児童相談所にやってもらえないんだという意向の違いが出てきて、それを受けとめるということもあり得るのかなと考えていますし、藤林委員がおっしゃるように、それを在宅支援のところまで広げていって、十分なサービスを提供してもらえないということで、現行の児童福祉審議会の役割を少し拡大するというやり方もあるのかなと、今、お話があって、考えていました。

 あとは、社会福祉協議会の中に施設運営改善委員会でしたか、苦情を受け付けるところもあるので、幾つか素材はあるのだろうと思いますのですけれども、今、委員の中に、あれは余り機能していないみたいな御反応もあったので、だとすると、児童福祉一般の中で考えると、その新たな組織を作りにくいような状況であれば、第三者性を担保できるという意味でも児童福祉審議会というのはあり得るのかなと思います。

○奥山座長 児童福祉審議会が、親と児童相談所の間が違うからというのがあるのですけれども、子どものことを本当に守っているのかということを監査する権限を与えればできそうですか。

○松原委員長 機能を付与していけば、もし、児童福祉審議会にしないとしても、どちらにしたって新たな機関を作らなければいけないわけですから、それは法改正の中でこういう権限、こういう機能を持つという規定をすればできないことはないと思います。

 ただ、児童福祉審議会の構成で非常に苦労されるような地方自治体もおありになるかと思うのですけれども、そこは余計に独自でそういう知見のある方を確保するのは難しいでしょうから、それは無理だとすると、あとは国直轄しかないのですけれども、ちょっと考えにくいかなと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 西澤委員。

○西澤委員 西澤です。

 私は自分の仕事のことを考えるので、これからシステムを変えていくというので、それも計算に入れなければいけないのは分かっているのですけれども、今、子どもの権利が守られていないという、それは広い意味ではそうなのかもしれないけれども、例えば市町村の支援の案と、都道府県と支援プランが対立した場合に、それを調整する機関としても位置づくのですかというのが一点。

 私は児童福祉審議会というのは、法律的に児童福祉法で規定されているのを知っていますけれども、あれの人事はどうなっているのかなとか、都道府県の、私のおる県などでは、多分事務局をやっている県の意向がすごく重んじられて、例えばあれだけ重鎮だらけながら加賀美先生が入っていないのですね。というような人事的な部分でも不信感があって、東京都は多分。ごめんなさい。余り言わない方が良い。

 そう思いますので、何か別立ての機関とか、児童福祉審議会でそれをやるのだとしたら、そこの人事的な部分の透明化とか何かしておかないと、お手盛りになるかなと思います。

○奥山座長 児童福祉審議会が先ほどおっしゃったように、事務局は県がやっているというところを考えると難しいですね。県が児童相談所を持ってるレベルなわけですから、そこはできないということになるのだろうと思います。だから、そこの組み立て方を整えていかないと、児童福祉審議会にお願いするとしても難しい面はあるのかなとお聞きしました。

 ありがとうございました。では、次に進めていきたいと思います。

 次に「特別養子縁組制度の見直し」ですけれども、これは藤林委員の方が丁寧な資料を出してくださっているので、私の方ではメモを作っていないので、藤林委員の方から御発言をお願いいたします。

○藤林委員 藤林です。

 資料4に現状の問題点を書いております。

 1つは、特別養子縁組制度が児童福祉法の中に位置づけられていないという問題、または、永続性の意義、国連のガイドラインには書かれていますけれども、それが児童福祉法に位置づけられていない。そういったことが関係しているかどうかは定かではありませんけれども、都道府県や児童相談所によって特別養子縁組の取組に格差があるのは事実かなと思っております。これは一つの問題点です。

 その意味で、特別養子縁組制度を児童福祉法に社会的養護の一つのオプションとしてしっかり位置づけていくということが必要と思います。

 2番目の問題点は、これは非常に大きな問題点なのですけれども、現場でいつもこの壁にぶつかるわけなのですが、特別養子縁組の申し立ては養親のみです。養親が生みの親、父母と子どもとの親子関係の終結と、養親と子どもとの縁組の2段階を一遍に申し立てることになっております。そのために、父母の同意がない場合に、なかなか決定されるかどうか非常に不安定な状態の中で、養親が養子縁組里親として委託され、申し立てていくというのはかなり心理的な負担が大きくて、到底一般の養子縁組里親さんに委託できないというが現場の声です。なお且つ、その場合に、審判書には養親の氏名住所が記載され、実父母に知られるといった問題もあります。中には、非常に知られたくないような、虐待を繰り返してきた父母もいらっしゃるわけなので、そうしますと、このことも養親さんにとっては大きな負担かなと思います。

 3番目、民法上は、親の同意がなくてもよい場合と明記されてはいますけれども、上記の理由から、父母の同意がなくても申し立てるといったことがなかなか躊躇されてしまうという現状があります。そのため、結果的に特別養子縁組に移行できないまま、社会的養護にとどまる事例が少なくないと私どもは思っております。

 4番目は、年齢制限の問題です。父母の同意がなかなか得られなくて、やっと得られたとしても、6歳を超えているといった場合を経験しております。また、その後の成立後の養親と子どもへの支援については特に規定はされておりませんので、中には孤立されていらっしゃる方、精神的な負担が大きい方もいらっしゃると聞いております。

 もう一つ、最後ですけれども、出自を知る権利は子どもの権利条約には規定されておりますけれども、このことについては児童福祉法上には明記されていません。子どもが知りたいときにアクセスする方法も規定されておりません。裁判記録は5年、審判書の保存は30年、児童相談所記録については特に明記されていないということがあります。子どもが20歳になって、30歳になって、35歳、40歳になって、自分の出自を知りたいという年齢になったときに、どこに行けばアクセスできるのか、どこが保管しているのか。そういったことも特に決められていないというのが現状ではないかと思います。

 そこで、改善案を幾つか挙げておりますけれども、1つは、先ほどちょっと触れました永続性の意義を児童福祉法の理念の中に位置づけていくということが必要かと思います。

 もう一つは、特別養子縁組を社会的養護の中に位置づけていくということも重要かなと思います。そうすることによって、各自治体も特別養子縁組に押しなべて取組んでいくことが期待できるのではないかと思います。

 3番目、父母の同意が得られない事例、または虐待事例などの場合に、養親さんが申し立てるというのは非常に負担感が大きいとは述べましたけれども、これを児童相談所も行えるようにしていく。

 第1段階として、児童相談所が申し立てて、特別養子縁組の可能な子どもであるかどうかといったことを家庭裁判所で判断いただき、その次に、第2段階と書いていますけれども、家庭裁判所に対して養親となろうとする者が適切かどうかといった許可を求めるという、1段階、2段階で段階構造を作ることによって、より必要な子どもが特別養子縁組にいけるのではないかと思いますし、同時に、父母に養親の個人情報が伝わらないといったこともクリアできるのではないかと思います。

 4番目、年齢制限の見直しです。

 5番目に、このように特別養子縁組をより積極的に進めていくこととなりますと、養子縁組里親の研修のあり方とか、認定のあり方もより一層検討していく必要があるのではないかと思います。

 また、出自を知る権利をどのように明確に保障していくのかといったことも、じっくりと検討すべき課題ではないかと思います。

 ただ、残された検討課題、今回の中で議論ができるのか、できないのか分からないのですけれども、幾つか重要な問題が残るのではないかと思います。

 民法817条の7の、父母の不同意でも成立させるものとする、この要件が果たしてこのままで良いのか。諸外国の要件と比べてどうなのかということも、じっくり検討するべきではないかと思います。

 2番目に、民間養子縁組あっせん機関の問題点があるかと思います。これは時間がないので余り触れませんけれども、現状、問題点があるということで、今まで指摘されておりますが、その認可や業務のあり方について検討すべき問題と思います。

 3番目、それに関連するのですけれども、縁組成立後の養親や子どもからの相談に応じ、支援を提供する責務を明確にするということは必要と思いますが、では、それはどこが担っていくのか。児童相談所があっせんを行った場合には児童相談所には記録も残り、その後の相談または養親、子どもへの支援を行っていくわけですけれども、養子縁組あっせん機関が行った場合には、それはどこにも義務規定がないわけなので、その場合、責任の所在はどこが負うべきなのか、と思います。私見では、本来、大阪、神戸の家庭養護促進協会さんのように、養子縁組あっせん機関が縁組後の支援を担うべきではないかと思いますが、ここがなかなか整理されていないというところがあるのかなと思います。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 非常に広範に全部をまとめていただいたのですけれども、御意見あるいは御質問を含めて、ありますでしょうか。

 佐藤委員。

○佐藤委員 佐藤です。

 特別養子縁組が入っています、養子縁組里親にしても、都道府県単位で考えられているところがあろうかと思うのです。私たちのところの医療機関でも、こういう都道府県だと相談するとしても児童相談所になるから、それは絶対嫌だから、それで民間にというところもあるのです。

 ですので、地域性のところをどう考えるかというのも、片や非常に特別養子縁組を考えている方にとってはかなり大きい問題なようですので、そこら辺のところもこの次の段階になるかと思うのですけれども、検討を要するところだなと思っています。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございました。

 何か御意見ありますか。

○藤林委員 せっかく質問のような意見をいただいたので。

 特別養子縁組のあっせんは児童相談所が独占するものではないと思いますし、こういった行政機関には余り関わりを持ちたくないという方がいらっしゃるのも事実と思います。その意味で、民間のあっせん機関の意味というのは非常に大きいと思うのですけれども、ただ、民間あっせん機関がどのような基準で、どのような業務を行っていくということが、いまだ曖昧なままというところが一番大きな問題点かなと思います。あっせん機関の中にも非常にとてもすばらしいあっせん機関もあれば、そうでないところもあるというのが現状ではないかと思いますので、ここの整理というのは必ず必要ではないかと思います。

○奥山座長 よろしいでしょうか。

○佐藤委員 追加して。

 渡す方にしますと、医療機関が渡すことが多いのだろうと思うのですけれども、民間の団体にしても、例えば命をせっかく預かって、そこで生んでいただいた子どもさんが、そういう団体が子どもを引き取りに来られたとしても、親御さんがそれに納得しているにしても、果たして渡して良いものだろうかというように、非常に迷うこともあるわけなのです。

 ということで、民間団体のところが非常にいろいろなばらつきはあるとは言いつつも、それを公的なところがある程度責任を持って把握している、あるいは、何らかの形で介在するということが必要ではないかと思っております。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 他に御意見のある方おられますか。

 そうしましたら、また最後に少し議論の時間を設けたいと思いますので、先に移らせていただきます。

 次に、統計(データベース)の整備と検証の強化ということについてでございますけれども、現在の状況では、虐待相談対応件数というものがどんどん上がって、数が多くなっていっているというのが分かっているだけで、実際に本当に虐待と判断したのかどうかというのは不明な部分もございます。虐待防止に関していろんな手だてを考えようというときに、根拠となるデータがないというのが、日本の状態ではないかと思います。

 そこについて、少し御議論いただきたいと思うのですけれども、幾つか分けて考えても良いと思うのは、前回も御議論が出た地域のデータベース的なものが必要だろうということと、それと国が把握して施策等に生かせるようなデータ。もう一つは、死亡事例等でも虐待の見逃しとか、そういうこともありますので、その辺のシステムで今、チャイルドデスレビュー、CDRについても結構議論が盛んになってきているかと思いますけれども、小児科学会としてもCDRはやるべきだといっておりますし、その辺の幾つかの問題に分けて考えることはできると思うのですが、どこからでも結構ですので、御議論いただきたいと思います。

 山田委員、お願いします。

○山田委員 山田です。

 今、御指摘があった虐待統計に関しても通告件数、および、通告とは違う形で情報が入ってきた件数、それを調査した結果、虐待、ネグレクト認定がされたか、されなかったか。その後、どういう対応が行われたかというのが、ちゃんと逐一分かるような統計をとるというのがまず基本だとは思います。

 ただ、虐待の統計だけだったら児童虐待防止法の方に盛り込んでも良いわけですけれども、その他にも子どもの福祉を考えるためのパラメーター、インジケーターに応じたデータというのはあり得るわけで、例えば貧困家庭に育つ子どもの数とかは最近取り沙汰されていますけれども、昨年、国際子ども虐待防止学会の国際学会、世界会議が行われて、その本部主催講演で、キャロル・ジェニー先生がアメリカの歴史を語られたときに、OECDのデータをもとにして国際比較をしたところ、日本はデータが足りなくて、調査結果が出ていないという講演の内容があったのです。これはとても恥ずかしいことだと思います。もう一つの視点としては、国際比較に耐え得るだけのデータをきちんととっていくというのは国の責務だと思いますので、その点、児童虐待だけではなくて、子どもの福祉全体のパラメーターをきちんと確保していく。それを国の水準で国際比較に耐え得る形でとっていくということも検討していただければと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 本当にこれはあり方検討会の初めのころから申し上げてきたところで、とにかくどういうものを虐待として上げているか。児童相談所と市町村の二重構造が解消されていないというところもありという中で、非常に大きい、根本的な問題を抱えていると思うのです。片手間ではできることではない。なので、みんながこれを必要だというのは納得しているところだろうと思います。ただし、それが個別の支援に生かせるか、あるいはどこかいろんなところをうろうろ所在が不明になっているような子どもたちも把握できるようなシステムにするのか、個人情報を抜いてどこまで共有できるかということと、あとは、統計全体のところをどうするかという2つの問題があって、前者の方はがん登録とかも既に個人情報を抜いたところ登録システムが進んできていますので、是非それも生かした形で、例えば通告があった場合でも照会できるような形でという、一石二鳥、三鳥のところで進めていくべきだと思います。

 感想じみたところで申し訳ないです。○奥山座長 ありがとうございます。

 他にいかがでしょうか。

 山田委員。

○山田委員 山田です。

 今、佐藤委員が御指摘の所在不明のお子さんについてですけれども、もうすぐ多分、今年の結果が出るのだと思いますが、昨年度の5月の時点で2,900人いた所在不明児童が秋で141人まで減ったのですが、その際に、住民票を移動させていないでDV加害者から逃れているDV被害者親子の情報が本当にその親御さんの許可をとって、元の自治体に情報を戻しているかどうかというところはやや疑問です。

 というのは、2,900人いた所在不明児童が、いろんなことで減っていったのは良いことなのですけれども、141人まで減ったというのは、私の印象では減り過ぎです。やはり、親の承諾なしに元の自治体に情報を交換している可能性があるのではないかということがあって、そのルートから、もし、DV加害者に被害者親子の居場所が漏れた場合に、このシステムの安全性の担保ということで、課題が生じるので、そこをきちんと保障した制度を作るということも、国の責務ではないかということで、この点については私の民間団体の方から国にも要望書を出しているところです。

 それから、チャイルド・デス・レビューですけれども、これについては児童福祉法に規定するものなのか、それとも、今、検討されている死因究明推進基本法のようなところに規定するのか、その辺はまだまだ検討課題だと思いますけれども、児童虐待によって死亡した子どもたちの見逃しだけではなくて、事故で亡くなる子どもたちもたくさんいます。自殺で亡くなる子どもたちもたくさんいます。そういう意味では、子どもの福祉に直結した問題だと思うのです。

 本来、予防できる死因で亡くなっている子どもたちがたくさんいるという問題は、まさしく児童福祉の問題なので、是非その点、子どもの死のうち、虐待死だけではなくて、防げる死亡はできるだけ防いでいくという制度をきちんと構築するためにも、このデータベースを法的にちゃんと担保した形でとっていく必要があると考えています。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 他にいかがでしょうか。

 菅野委員。

○菅野委員 菅野です。

 この統計というものと、データベースというものが2つ議論になっていると思うのです。統計のデータとなったら、それはどこかで、今のレベルでいえば児童相談所も市町村も、共通のフォーマットがあって、共通のルールで入力すれば自動的にそれがどこかに集約されるみたいな、全国共通のシステムを作っていただいたら、多分、解決することなのかなと思います。

 データベースとなると、今度は情報ですね。そこにどれだけの情報を載せるのか、どう管理するのかという、やはりそこには名前が入ってきたり、必要な情報があると思うので、そこの部分と統計と分ける必要がある。ただ、今、児童相談所もシステムというか、ソフトが入ってきて、例えば記録を打っていって、こういう記録があったらこれはこちらに統計データとして反映しますみたいなものもあったりするのです。それが各都道府県ばらばらにいろいろなメーカーのシステムが入っています。

 統計のとり方もシステム面でも違ったりします。生活保護のように統一のものであれば良いのになという思いです。現場的には業務が煩雑にならないように、人的に非常に苦しいので、なるべく簡易に精度の高いデータが出るようなシステムを誰か作ってほしいなと、すみません、これは感想と雑談です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 ただ、最初におっしゃっていただいたように、データベースの問題、前回も情報共有が必要だという話が出てきていて、そういう意味でもデータベースが利用できるのかというところですね。

 先ほどの国と市町村の統計をばさっととおっしゃっていましたけれども、同じ人をカウントしないためにどうするのか、きちんとやらなければならない問題になってきますね。

○菅野委員 非常に苦労しています。かなり苦しいですけれども、年度末に市町村と児童相談所がケースを実際につけ合わせて、重なっているケースが何ケースあるのかと、かなりみんな忙しい中で、データを突き合わせてもらって、重複をなくすようにして、統計は出すようにはしていますが、かなり苦しいですね。

 正確な統計というのは、県と市町村の重なりを解消するみたいなところはかなり難しい。

○奥山座長 ただ、これも多分佐藤委員が先ほどおっしゃったような、いろいろなデータベースの作り方があって、生年月日ともう一つ何かを入れると大体重複が避けられるとか、重複を避ける技術というのはそれなりにあると思いますので、その辺のところの組み合わせも必要になってくるのかもしれないと思いました。

 他にいかがですか。よろしいでしょうか。

 次に移らせていただきます。では、次、虐待対策における母子保健の位置づけというところで、私の方のメモには、母子保健における虐待への関与というのをきちんと位置づける、特に母子保健法の中にきちんと位置づけができないかという問題、それから、出生届を出さない場合、母子保健対応ができていないのです。それこそ権利侵害の大きなものだと思います。

 そういった幾つかの問題をここに挙げていますけれども、他にもあると思いますが、この母子保健関連で子どもの権利を守るという意味から、何か位置づけという点で御意見がありますでしょうか。

○佐藤委員 佐藤です。

 関与というところの意味が非常に広いように思うのです。母子保健は本当に親子の心身の健康ということで、それは養育環境も関係いたしますので、子どもの虐待予防という広い意味では取組んできているとは思うのですが、関与というところで、実際にネットワークの中での支援ということになってくると、要保護児童対策地域協議会の中の位置づけということにもなろうかと思うのですけれども、もう既に母子保健担当課は母子保健単独課と児童福祉課と統合しているところを合わせますと、99.6%が入っていて、検討された中で保健師の役割、母子保健の役割ということでは動いていっていると思うのです。

 母子保健はそもそもが児童福祉法から、母子の健康のことに関して派生した法律でして、児童虐待防止は究極の目的は本当に広く国民としての目的だとは思うのですけれども、母子保健の中に虐待に関与しなさいということになると、市町村は専門職がいないだけに、母子保健法で書いてあるから、保健師はこれが役割なんだとなりはしないかということをすごく危惧しております。

 ですから、母子保健の役割の中に児童虐待を書くのではなくて、連携の中でというか、他の法律との連携の中でという文言が出てきていて、その中で今までは児童福祉法とか学校保健安全法等々との調和において支援というところに、児童福祉法に加え児童虐待防止法を追加して、その他の法令に基づく母性及び児童の保健及び福祉に関する事業との調和としたらどうか。ちょっと細かい話になってしまったのですけれども、母子保健ということに一挙に虐待を位置づけることの怖さというのを危惧して、少し細かいところまで踏み込んだ発言をさせていただきました。

○奥山座長 ありがとうございます。

 基本的なところで、非常に虐待の分野では有名なクルーグマン博士などは、虐待問題はヘルスの問題だと位置づけている部分もありますので、その辺をどのように入れ込んでいくのかというのは一つ大きな課題ではないかと思うのですけれども、他にいかがでしょうか。

 では、井上先生。

○井上委員 今までの議論も含めてずっと考えていますと、やはりスタートの段階では母子保健でスタートしていく。そして、その中で問題が出てきたときに子ども福祉の方につながるのですが、前回の委員会で中板委員も言われていたのですけれども、児童福祉の方で気になるケースが出たとしても、母子保健の方から情報が出てこないとか、そういう話もあったのですが、その辺はある程度制度の枠を決めることによって改善できるのではないかと思っています。

 それを変える方法を今回、決めることが、今までの委員会でずっと話してこられたものの肝になるのではないかと私は思っていますので、その辺の議論を少し中板委員とか、佐藤委員の方から直接出していただいた方が良いのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○奥山座長 中板委員、いかがでしょうか。

○中板委員 前回も少しだけお話しさせていただきました。やはり虐待の通告ケースから始まるというよりは、母子保健は母子保健活動のプロパーとして知り得る情報が非常にたくさんあります。精神保健的な問題、医療的な問題、親の経済的な問題、親の教育背景など生活関連情報として入るという状況があります。

 その情報と、虐待の可能性や、虐待のリスクというものをマッチさせることができる場合とできない場合、できないまま、できる人とできない人が残念ながらいます。漏れていく、看過されてしまって大きな問題になってしまうということがあります。予防ということを考えたときに、情報管理の仕組みを是非整えていただきたいと思っているところです。

 ファミリーカード、市の中でも先ほど佐藤委員がおっしゃったように、児童福祉と母子保健のところが同課の自治体もありますが一部です。個人情報という形でシャットアウトされるというのもありますので、そのファミリーカードとして、市全体としての情報管理システムが整って、一体的に判断できるような、一元化できるような形にしていただければと思います。

 もう1点情報管理システムと、いわゆる統計というものとは分けて考えていただいて、統計はあくまでも日本全体の集団を政策的に見るもので、公益であり、情報データ管理システムについては、個別に寄与する情報だということを整理していただきたいと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 山田委員。

○山田委員 具体的に、母子保健法に児童虐待の責務を担うと書いてしまうことと、佐藤委員がおっしゃる他法との調和というところに、例えば児童福祉法や児童虐待防止法を入れ込むという方と、一体どちらの方が保健師さんは仕事をしやすいのでしょうか。

○奥山座長 中板委員、お願いします。

○中板委員 個人的に、保健師だったら母子保健法の一環の中で虐待予防という視点を持つということが書かれることは問題ありません。虐待の部分という責務が母子保健の中に入ってくることで、いわゆる母子保健の本来の意図というものが薄くなってしまう部分だけが残念です。

○奥山座長 ただ、WHOでも一番の課題は今、暴力になっていますね。保健問題と国際的には捉えられていると思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。つまり、ぐっと入ってこられるとどうして困るのでしょうか。

○中板委員 母子保健が虐待を発見するための制度になってしまっては困るということで、法律に明記されて整理されれば通じる話ではないかと思います。

 母子保健の中で、DVについても扱っている自治体は多分圧倒的に多いとは思いますので、暴力と母子保健は切っても切り離せないし、まして、貧困の問題も含めて、母子保健は要するに総合的な視点で関わっているので、制度ができれば、それについていくという感じではあると思います。

○奥山座長 井上委員。

○井上委員 井上です。

 今のお話を受けて、具体的に考えていきますと、こんにちは赤ちゃん事業という母子保健の方が中心になってやっていくもののまとめを私たちのところは3カ月に1回で年に4回、その3カ月に1回のところに養育訪問の方も入れまして、児童福祉の方の保健師さんが入ってくる。そこに保健所の保健師さんも入ってくる。基幹病院の保健師さんも入ってくるという形で、あと、スーパーバイズが1つつくという形で、継続訪問の中身を検討するという形に入っていって、その中でさらに詳しく見なくてはいけないものが養育訪問につながりますよという形で出していって、それを継続して3カ月に1回ずっとやっていきますと、大体視点が整ってくるという状況に私たちのところはなっています。

○奥山座長 ありがとうございます。

○佐藤委員 乳児家庭全戸訪問事業は児童福祉法の事業です。ですけれども、その地域の中では児童福祉法と母子保健法の事業というのを切れ目なく上手くつなぎ合わせて支援しているところがほとんどだと思います。このように細やかにやっているかどうかは別として。

 母子保健でそれがというよりは、中板委員が先ほど言ったような情報の共有をして、ストーリーとして親子を見て、支援してくというところに集約されるのかなと思います。

 以上です。

○奥山座長 作本委員の方が資料を出してくださって、母子保健のことも結構書いてくださっていると思うので、御意見いただけますでしょうか。

○作本委員 志免町の作本です。資料の方に提出しておりますけれども、先ほどの母子保健法の位置づけというところが、今まで局長から平成14年からずっと通達が来て、母子保健サイドの保健師はこの虐待を含めてしっかり見たいという気持ちはあります。ただ、市町村の保健師というのが母子保健法から来ておりますので、数とか、そういった部分があって、妊娠、出産、育児というところをやりたいという気持ちは十分あります。しかし、この間の課長さんの説明の中では、地域包括支援センターも1人の保健師が100人ぐらいの妊婦さんしか見られないだろうというお話があったのですけれども、私の町を含めた1市7町の保健師サイドに今回、こうやって虐待を市町村の役割というところを担うんだという話をしたときに、それは当然だと思っております。

 ただ、今の中にも、厚労省のガイドラインには乳児の全戸赤ちゃん訪問を母子保健法の新生児訪問と兼ねて良い、そこでふるい分けて、養育支援をしていきなさいということなのですけれども、全部の市町村は養育支援というのは市町村の保健師、養育の必要な要保護の児童あるいは特定妊婦さんたちというのはきちっと正職の保健師がずっと見ていった方が良いだろうという思いは十分、そして、特に人間不信の家庭が多いので、継続的にやっていきたいねという思いは十分あります。

 児童福祉法の中の大きな意味では、私は虐待も含めておりますので、ここを変えるというところの文面はどうかなというのは、多くの自治体の方も、そこに虐待となったら母子保健法の保健師には甘くなるというか、重責があるというところの声もありました。

 現在、福祉部門でも児童福祉の方に専属の保健師が行っているところもあるのですけれども、まだまだ市町村はそこの部分が十分ではないので、連携をとるというところもどのようにしていくかというところも課題だと思います。

 財政のことを言わせていただくと、市町村は地域保健法の影響で全部一般財源か、妊婦健診も一部4年間の補助があったのですけれども、志免町は出生が550人ぐらいありますので、かなりの妊婦健診の補助の方とか、子どもの予防注射などは1億を超えているというところで、保健師を増やしてくださいというのがなかなかできないというところが本当に現状です。

 今回のある町は、地域包括的に子育て支援センターを作りたいのだといったら、そこには正職の保健師を置きたいという市町村だったのですけれども、それは補助の対象ではないというところと、いろいろあって、論議の中の母子保健法の全て一般財源になっておりますので、ここにどういう形で事業をつけるという形であれば少し市町村は重いのかなと思っています。

 その辺の、本当に財源のことを言ったら恐縮なのですけれども、市町村の保健師は虐待を踏まえた特定妊婦さん、あるいはハイリスクも含めた母子保健からのハイリスクという部分もしっかりしてあげたいというのは、十分ではないですけれども、現在もしております。切れ目ないというところでは人材あるいは妊娠に関しては助産師さんも私たちは必要だと、市町村には助産師はいません。そういった人材の確保というところも含めて、位置づけして、骨子案にもあるように基礎自治体はすべきですから、新たな補助内容の検討は強く望みたいと思っております。

○奥山座長 ありがとうございました。

 ということは、法律ではなくて事業としておろしてほしいと。ただ、事業をおろすということになると、法律に書かれてているかとか、だから調和を図るというところで、何とか行きたいというのが佐藤委員の考えということでよろしいですかね。

 中板委員。

○中板委員 今のお話の中で、養育支援訪問事業がありますけれども、井上先生のようなところで本当に丁寧に、システマチックにやられているというところは良いと思うのですけれども、恐らくは特定妊婦も含めて、養育支援訪問事業を上手く使いながら、ケアプランを立てて、ケアマネジメントをしていくという制度が、養育支援訪問事業として書かれてはいますが、実際は評価したことがありません。それをより丁寧にしてしっかりと制度化されて、そこに予算がつくと、市町村も特定妊婦などにも活用がし易い資源です。

 保健師が全て訪問から何から全部というのは無理ですので、養育支援訪問事業の中で、例えば育児スキルの提供、カウンセリングも、保育など、目的に合わせてどの職種の人たちにどのような形でサポートするかというのは、やはりケアプランを立てることが必要で、ケアマネジメント機能をしっかりそこにつけていただけると、より効果的なのではないかと思っています。

○奥山座長 ありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。

 実際、もうやっているからというのが、かなり大きな部分なのでしょうが。

○井上委員 今みたいに言われると、私たちのところだけが別個という感じがすると思うのですけれども、私たちは今まであるものをずっとみんなで考えながら、どうしたら無理なくやれるかなということをやってきた結果がそうなったというだけなのです。

 先生方が今まで議論されてきている大事なポイントというのは、私たちも把握しているのですけれども、それを具体的にどうしたら良いのというところに答えるためには、今までそうやって積み上げた地域が、私たちのところもあるし、佐藤先生たちのところもあるし、東京も一気通貫の場所があると思いますが、そういったところの話を前に乗せて、それをもとにして基準を作るという話をした方が、次に進めるのではないかと思って、あえて出しています。どうぞよろしくお願いします。

○奥山座長 よろしいでしょうか。

 他になければ、先に進ませていただきたいと思います。iPadのタイマーを使ってみようと思ったら失敗したので、時間管理が余り上手くいっていません。失礼いたしました。

 次に、特定妊婦への保護・支援のあり方について、御意見をいただきたいと思います。特定妊婦が児童福祉法に盛り込まれたことに関しては、死亡事例検証から、妊婦さんの問題は大きいことがわかり、特定妊婦ということが出てきたわけですけれども、具体的に支援のあり方がそれほど進んでいるわけではありません。それから、支援のツールも少ないといっても良いのかもしれません。

 そういう意味で、どのように対応するかということを少し議論したいと思うのですけれども、いかがでしょうか。どなたでも口火を切っていただければ。

 資料を出していただいているのが佐藤委員と藤林委員ですかね。

○佐藤委員 藤林委員と話をして、藤林委員がまとめたのをしゃべっていただいてから私がしゃべります。

○奥山座長 分かりました。

 では、藤林委員。

○藤林委員 藤林です。

 私の方から御説明したいと思いますけれども、今の母子保健の話の中でも、特定妊婦さんを登録した場合にどういうマネジメントを行っていくのかといった場合に、なかなか支援メニューが多くない。特に、産前産後から継続的な入所支援策というのがあったら良いなということは、よく現場で声を耳にするわけなのですが、それについてもう少し考えてみました。

 資料4の3ページ目のところに挙げております。

 1つは、未成年とか、DV被害、ホームレスとか、精神不安定な方とか、親族はいてもなかなか支援がない特定妊婦さんという方が大勢いらっしゃるわけなのですけれども、こういった方に安全な出産を保障していくためには、出産前から対応できる入所施設というのも必要ではないかと、佐藤先生と話し合ってきたところです。

 ところが、出産前から対応できる入所施設というのは婦人保護施設のみで、子どもがまだ生まれていないわけですから、母子生活支援施設は出産前から入所ができないというのが現状ではないかと思います。

 また、児童相談所の立場では、最近、よくあるのですけれども、特定妊婦、また、特定妊婦だけではなくて、飛び込み出産のケースも含めて、「このお母さんはとても不安定で、病院から退院して、私が育てると言われるけれども、とても危なっかしくて見ていられない、病院から真っすぐ新生児の一時保護をしてほしい」という要請がありますが、同意があればまだしも、同意なしで職権保護をするということはとても限定的な場合ですから、なかなか養育実績なしで職権保護をするということは非常に困難な場合が多いかなと。

 もし、そういった形で分離したとしても、乳児院や里親に子どもを保護したとしても、その後の母子支援とか母親支援というのはなかなかできないというのが現状ではないかと思います。

 よくよく考えてみますと、特定妊婦さんの場合に、何か分離するとかということではなくて、出産前後に必要なのは「実家」のような安心して過ごせる場所であるとか、母親モデルがそこにあるとか、泣き声とか、困ったときにすぐに対応してくれるような、そういう安心感というのが大事なのではないかと思うのです。

 そこで考えたのは、下のところですけれども、特定妊婦として登録された人、または「等」と上に書いていたのは、飛び込み出産みたいに事前に特定妊婦として登録されていない方も含めて産前産後にわたって継続的な入所利用ができるような「母子ホーム」のようなものがあると、よりきめ細かな母親、母子関係に対する支援ができるのではないかと思います。

 設置主体は婦人保護施設さんがその後も見ていただけたら非常に良いと思います。母子生活支援施設においても産前から入所できると良いのかなと思っています。

 また、上記以外にも、乳児院であるとか、助産院であるとか、または産科医療機関とか、NPOも加えることによって、より身近な地域での支援を受けることができれば良いのかなというのと、その後の継続的な退所後の通所なり、アウトリーチなりが期待できるのではないかと思っています。

 支援内容は、ここに書いてあるようなことです。

 対象は、飛び込み出産のような登録されていないケースも、要支援と認定した場合には対象と思います。また、母子生活支援施設の場合にはパートナーがいないことが前提ですけれども、特定妊婦さんの場合にはパートナーがいても、パートナーはまだ若かったり、パートナーさんも精神不安定だったりしますと、パートナーのいる、いないを問わず特定妊婦さんを産前産後、入所でじっくりと支援していくことが必要かなと思います。

 もう一つ、最後、私はなかなか悩ましいのですけれども、婦人保護施設の場合には措置制度で入所になります。母子生活支援施設は契約制度になります。どちらが良いのかということを考えますと、私は措置制度が良いのかなと思うのですが、ここがなかなか難しいところかもしれません。

 でも、基本はいろんな特定妊婦さん、特にハイリスクを持っている方というのは契約であるとか、お金を払うというのはもうほとんど不可能な方も大勢いらっしゃることを考えると、そういう措置という選択肢もあった方が良いのではないかというのと、婦人保護施設の場合には、都道府県が措置主体になるのですけれども、その場合には、継続性という観点から、市区町村ではないかと思っております。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 では、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 佐藤です。

 前段のワーキングで、母子生活支援施設は妊婦も受け入れるようにという、たしか通知が出されていて、妊婦さんにも動き出しているところはあるのですけれども、なかなか一般的ではないのではないかということがヒアリングで御報告いただいた母子生活支援施設の方とのやりとりであったところでした。

 私は資料が間に合わなくて議事次第には出ていないのですけれども、一番最後に1枚ついています。

 何回か申し上げているのですが、妊娠・出産・生後間もなくの子育てというのは個人の責任としてはいけないのではないかというのが私の論点で、その延長線上に特定妊婦という支援を要する人を考えていった方が良いのではないかということです。

 1番のところ、先ほどの藤林委員の産前産後母子ホームに通所型のものもあった方が良いのではないかと思います。

 ホームで入所ばかりにすると、キャパもかなり制限があるかと思うのですけれども、近くにあったら通えるような人もいるのです。これは加藤委員とともにニュージーランドのプランケットを視察に行ったときに、お母さんの抱えているいろいろなものごとにこのプランケットがありまして、アルコール問題とかの親に対応しているプランケットとかがあったのですが、新生児を抱えて通所して、お母さんが夜眠れない体を休めて、子どもの沐浴等のケアを学んで育っていくのです。また、お菓子を食べながら茶話をして心理的にサポートを受けるという、これは余り手間がかからないといいますか、例えば、このホームができているとそこに併設する形でかなり良い効果が期待できるのではないかと思いましたので、これをくっつけたらいかがかなと思いました。

 2番のところは、根本に個人の責任にしないための妊娠・出産・新生児に関する考え方で、保険制度を適用したらいかがかということです。

 これは前のあり方の検討委員会の中でも出しているのですけれども、ベースとして妊婦健診等の未受診による分娩でも3割に経済問題があるし、子ども虐待の死亡事例が、今回はちょっと見つけられなかったのですが、第1次から第10次だと0日死亡では20%に経済問題があります。

 妊婦健診、14回の受診券が出ていてほとんど無料になっているとは公式上は言われておりますけれども、足が出ますし、出産費用そのものも健康保険に入っていましたら出産育児一時金が39万円と産科補償制度の3万円で42万ほどが出ているのですが、平均費用はそれをはるかに上回っていることと、さらに新生児は保険もきかず、新生児管理保育料として1日1万円前後がかかります。

 日本の場合は、今、非常に自己負担で高額の妊娠・出産をしなければならないということは、特定妊婦という支援のところでも非常に基本的に整備するところではないかと思いまして、書かせてもらっています。特に北欧諸国が無料であることは皆さん方も御承知のところもあるのでしょうけれども、保険制度を適用しているという諸外国もありますので、我が国でも病気ではないから妊娠・出産・新生児の管理には保険は使えないということではなくて、大きく法の改正云々というところではないのですけれども、仕組みのところでこれが適用されたら良いのではないかと思って、強く望んでおります。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございました。

 泉谷委員、どうぞ。

○泉谷委員 泉谷です。

 今の特定妊婦のところの支援のところで、産前産後母子ホームという形の名称が出てきましたけれども、書いていただいているように、受け入れ先というのはいろいろと必要かなと思います。

 というのも、乳児院だとか母子生活支援施設がない地域というのもありますので、そういった意味では、助産院さんですとか、産院とかというところを活用していく。先ほど佐藤委員の方から通所ということおっしゃいましたけれども、その中には里親さんも入っていただけると地域の中での支援というところでいいのではないかと思っています。

 ただ、受け入れ先のところで1つ、婦人保護施設というものが出ていましたけれども、婦人保護施設の利用者の中には、自分自身が子どもを児童養護施設に預けている利用者も非常に多くおります。精神疾患や知的障害を抱えている人もいて、子どもの声に非常に反応して、実際に母子さんが入っていたところのお母さんとトラブルが起こって、そのお母さんのお子さんが重大な被害を受けたという事例も以前にあります。

 なので、どこの施設でやっていくかというところは、母子生活支援施設だとか、乳児院さん、助産院、医療系のところということを中心に考えていただく方が良いのかなと思います。

 先ほどパートナーの有無というところが出てきましたけれども、実際に地域では精神疾患を抱えているお母さんでパートナーの方がいらっしゃる方もたくさんいらっしゃるかと思うのです。実際に報道等を見ると、母親が不在時に父親が乳児に手を上げてという事件も起きているということがありますので、ここのパートナーがいる方に対しての支援のところでは、パートナーを巻き込んだ形の支援というものを考えていかなければいけないかなと思います。

 シングルの特定妊婦さんの場合は、もともとホームレスですとか、精神疾患を抱えてということで、その特定妊婦さん自身の生活を立て直さないことには子育てには行き着きませんので、そこの部分の支援というのは、多分、生まれる前から、生まれた後についても必要になっていくので、その部分ではやはり福祉事務所等との連携、医療機関との連携が必要かなと思います。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございました。

 笹井委員、お願いします。

○笹井委員 笹井です。

 奥山先生の資料にありますように、特定妊婦というのは要保護児童対策地域協議会等を中心に支援という枠組みの中でやっているので、拒否をされてしまうとやりようがないという形になってしまう。

 一方で、妊婦さんは別として、そのお子さんの視点でいくと、安全に生まれてくる権利を侵害されていると思いますので、胎児虐待の問題と指摘されているわけですけれども、お子さんの方をいかに守るか。

 これが妊婦さん、母子保健保護施設も契約という形のところにあるわけですけれども、生まれてくるお子さんの視点に立った特定妊婦への支援だとか対応とかが非常に大事ではないかと思います。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 山田委員、お願いします。

○山田委員 すみません。ちょっと話を戻すようなのですけれども、特定妊婦を把握してからの話もとても重要だと思うのですが、特定妊婦をどうやって把握するかというところも重要な課題だと思っていて、例えば、母子保健とかの行政や医療機関、学校というところが把握するのだとは思うのですけれども、妊婦さんの段階のときはまだ子どもが生まれてきていないので、虐待通告にならないわけです。通告とならないので、情報提供という枠組みになっていると思います。

 情報提供と通告はどう違うのかといったら、通告は加害者とか被害児から承諾、同意をとらなくてもできるという枠組みになるのに対して、情報提供の場合、基本的に保護者、親権者の同意をとらなければなりません。

 ただし、平成241130日に発出された通知によれば、要保護児童対策地域協議会の構成員からの場合、例えば、要保護児童対策地域協議会の構成員に医療機関が入っている場合は、同意がなくても情報提供できることになっているのですけれども、医療機関は別に行政単位で仕事をしているわけではないので、自分が参画していない要保護児童対策地域協議会の市町村の住民票の子どもさんのことを情報提供したいこともあるわけです。でも、そうするとそれは同意をとらなければいけないとかということになっていて、例えば、特定妊婦や要支援児童を通告の対象に広げるという発想はできないものでしょうか。

 ここを広げるとき、特定妊婦や要支援児童を要保護児童対策地域協議会の枠組みに入れましょうというところで情報提供するといったときにたくさん議論されていることなので、蒸し返すようで申し訳ないのですけれども、やはり通告の対象にするというわけにはいかないのでしょうか。そして、必要に応じて妊婦さんであっても措置を提供していくということができるようにはできないものなのでしょうか。生まれてくる子どものお名前はまだ分からない段階ですが。

○奥山座長 法的にはいかがでしょうか。

 磯谷委員、お願いします。

○磯谷委員 マイクが置いていないのはしゃべるなという意味かと。

 今の山田委員のお話は、ちょっと誤解しているかもしれませんが、他の地域の要保護児童対策地域協議会から病院に対して特定妊婦の情報提供をしてほしいと言われて、それに従うことが個人情報保護法に違反するのではないかということですか。

○山田委員 いえ、要保護児童対策地域協議会から求められたものは当然答えていいわけです。

 そうではなくて、例えば、その医療機関は伊勢原市というところにありました。でも、妊婦さんは相模原市というところに住んでいる人でした。その病院は、伊勢原市の要保護児童対策地域協議会には参画しているけれども、相模原市の要保護児童対策地域協議会には参画していません。

 そうしたら、相模原市から妊婦さんが来ていて、この人が特定妊婦だと思ったけれども、この人は絶対に情報などを相模原市に言ってもらったら困ると同意をしてくれなかったときは、情報提供すらできないというのが現状だと思うのです。それはいかがなものなのでしょうかという疑問です。

○奥山 事務局の方から何かありますか。

 通達の内容としては、要保護児童対策地域協議会のメンバーであればということでしょうか。

○佐藤委員 すみません。事務局がちょっと答えにくいようでしたら。

 まず、そういう対象者がいるというのは、所在地主義に近いと思うのです。感染症の患者が発生したときでも、そこの地元のところに情報提供をすると、そこが住所地のところに情報提供するのです。そういうことで考えられるのではないかと思うのですけれども、

○奥山座長 ただ、この児童福祉法の世界では、児童相談所への通告にしても、市区町村への情報提供なり、子どもだったら通告になるわけですけれども、住んでいるところにというのが常識にはなっていますね。

○佐藤委員 発生地主義です。

○山田委員 いや、発生地主義が特定妊婦や要支援児童の情報提供で適用されるということは、少なくとも私は通知とかで見てはいないのですけれども、いかがでしょうか。

○奥山座長 児童相談所は、多分、住んでいるところの児童相談所に通告していると思います。例えば、うちなどは幅広ですから、栃木県のお子さんだったら栃木県の児童相談所に通告をするという形で、東京都にはしないです。違いますか。

 どうぞ。

○井上委員 山田先生の提示例だったら、私たちのところで気になる子どもさんがいますと別の市町村の方に連絡するでしょう。それは、要保護児童対策地域協議会に入っている、入っていないということに関して問題はないですね。

○山田委員 でも、それは個人情報を伝えなければ意味がないので、個人情報を伝えているわけですね。

○井上委員 段取りが1個いるのです。気になる妊婦さんについて通告として連絡をして、その連絡をしたときに、そこから今度はそこの要保護児童対策地域協議会に話が行って、その要保護児童対策地域協議会から、先生、すみません、その方について情報をいただけませんかと言われたら出せると。

 だから、そこの段取りに関しては、今の段階では本当に問題はないですよ。

○奥山座長 分かりました。

 発生地主義なのかどうかというのはよく分からないのですけれども、もし発生地主義にしてしまったら通告する方は楽ですね。私の所属している病院だったら全部世田谷へ電話してしまえば良いとなるわけですね。

 藤平先生。

○藤平委員 浦安市の藤平です。

 特定妊婦の経済的な問題の中で出産費用の関係なのですけれども、今、助産の施設については、本市の場合は年間で1件か2件なのですけれども、実際に地元に助産の病院がないと他の地域の助産の病院を回るのですが、実際にそういった場合になかなか受け入れができない。具体的には地元の方が優先だとか、本市の場合は、千葉県内と東京と聞けるのですけれども、東京だったらやはり都民の方とか、実際にそういったところでなかなか受け入れ体制がとれなくて、結果的にはせっかくそういう助産の費用の関係で対応できるものが生保の方に組みかわっていって一般病院となっていくのですが、生保だけの費用では、先ほど佐藤委員が言ったように、約40万くらいで、あと20万くらい出さないと足らないということになると、本人が分割して支払うようになったりというところもありますので、そういったところでは、少子化問題とか産科医の不足というのはあるかとは思うのですけれども、せっかく助産制度があるということであれば、その利用の仕方や費用負担の発生についても問題がありますので、そういったところの改善だとか、受け入れ方法についても検討が必要かと思っています。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 磯谷委員、お願いします。

○磯谷委員 先ほどの山田委員の御質問のところですけれども、基本的には山田委員の認識というのは正当なものだと思いますし、先ほど幾つかの方法が示されましたけれども、実際に多くのお医者さんたちが、特定妊婦を発見したけれども、それを通告することが個人情報保護との関係で大丈夫かどうかというところで迷っていること自体が、状況として望ましくないのだろうと思うのです。

 でも、これはもともとは個人情報保護法の問題で、個人情報保護法の中で第三者提供の許される事由として公衆衛生の向上のために特に必要がある場合ということがあって、公衆衛生というものに入るのかどうかというところが若干疑義はあると思いますけれども、一つの方法としては、法律上はそういうことになっているわけですから、通知などでそこを明確にした形で、特定妊婦についても情報提供することは個人情報保護法上違反ではないということを明記するか、もしくは法律の中で、通告という話が良いのかどうか分かりませんけれども、情報提供することを許容する仕組みを設けるというのは、私は意味があると思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○芦田虐待防止対策室長補佐 事務局の芦田です。

 今の特定妊婦の情報の関係でございますけれども、この専門委員会の前身の「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」の8月28日の報告書でも、特定妊婦の情報を関係機関から市町村の方につなげる工夫が必要だ、検討する必要があるとは盛り込んでいただいているところでございます。

 また、これも9月7日の初回の専門委員会の資料で出させていただいていますけれども、同じ8月28日に、「児童虐待防止対策強化プロジェクト(施策の方向性)」という副大臣等の会議でまとめられたものの中に、支援を要すると思われる妊婦を把握した学校、病院等の機関等が、市町村に対して通知を行うという仕組みについて検討することが盛り込まれておりますので、今、山田委員から最初に御指摘のあった点につきまして、今後、制度化も含めて検討していくべきことかと考えております。

○奥山座長 ありがとうございました。

 作本委員の資料の中にも、妊娠・出産・育児支援というところが入っているのですけれども、何か一言ございますでしょうか。

○作本委員 作本です。

 特定妊婦さんは、本当にいろいろなところから、学校で、引きこもっていて妊娠したということで情報が入ったりということで、現場は母子手帳を交付すれば分かるのですけれども、していない、駆け込み出産というところがまだあるというところで情報はいただきたい、特に医療機関あるいは地域から情報はいただきたいと思っています。

 ほとんどの市町村は、きめ細かく母子手帳交付のときにいろいろとお話を聞きながら、特定妊婦さんというところで、そこの保健師が判断してまた御自宅に訪問に行って良いですかというところで、継続的、積極的にみんな進めております。ただ、毎月行ってあげたいのだけれども、2回とか、本当に出産までに1回というところ、そこは少し不十分なところはあります。

 特に先ほどもお話ししたけれども、特定妊婦さんはやはり人間不信というところで、本当にそこの関係を作るのにやはり時間がかかるなというところが、今、関わっていて感じております。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 磯谷委員。

○磯谷委員 特定妊婦の関係で母子ホームの構想があって、その中で措置か契約かというところがありましたけれども、措置にしようとする理由というのはどういうところにあるのか、つまり、何らかの強制力を考えられておられるのかどうか。仮に強制力という場合には、どういうことをイメージされるのか、そのあたりを明確にしておく必要があるのではないかと思います。

○奥山座長 藤林委員、いかがでしょうか。

○藤林委員 措置だからといって別に強制力があるわけではないと思っているのですけれども、ここは私も未整理です。イメージとしては、基本は無料で利用できるということが重要かなと思っているのです。契約制度でも無料で利用できるのかなというのは、私は未整理なのです。

 産後ケア施設というものがあって、あれも基本は契約で入れるようになっているわけですけれども、その場合には負担が発生してくるわけなので、そういったややこしいがあるとなかなか入れないというところがあるわけなので、契約、措置でどちらが良いのかという問題と、基本は無料で迅速に使えるというところが一番大事かなとは思っています。

○奥山座長 磯谷委員。

○磯谷委員 措置にした場合の強制力をどの程度設けるのかというのは、確かにそれは議論があり得るところだと思います。

 ただ、基本的には措置というのは恐らく行政処分というものが一番妥当するのかなと思っていますので、果たして成人の方になじむのかどうかという問題はあると思います。

 一方で、今の藤林委員の関心はむしろ費用の問題が大きいとすると、そこはやはり契約であろうと、とにかく費用をきちんとサポートするという手当てを講じることがむしろ眼目なのかなと理解しました。

○奥山座長 西澤委員。

○西澤委員 今の関連です。

 これは、養護施設とか社会的養護の措置がどうなのかということと関連してくる。若年で、例えば、1516歳といった、親権が及ぶ範囲の場合に措置にしておくというのは、その親権者の意向をある意味でシャットダウンするというか、若年の妊婦さんを守るという意味での措置制度というのはあり得る。

 今、成人年齢がごちゃごちゃしていますけれども、成人になっている場合には、例えば、措置入院というものがすぐにイメージに浮かぶのですが、あれはやはり強制するための入院制度なので、そこで成人か未成年かによって措置のニュアンスが変わってくると思うのです。その辺のことはちょっと最終的には整理しないといけないのではないか。

 ただ、おっしゃるとおりで、やはり費用負担をどうするかというところ、余り措置制度と絡めないで、措置の場合も費用負担はある意味で収入に応じて生じるので、そういう形での社会的コストの入れ方を考えれば良いのかなというのが意見です。

 質問なのですけれども、先生、これはイメージとしてはハードウエアを整備するのですか。それとも、今あるものを活用して、助産施設みたいに、要は、助産施設と看板をかけているところはどこもないわけですね。でも、助産事業をやったときには助産施設化するというか、そんな感じなのですかね。その辺のイメージがしたかったので、教えていただければと思います。

○奥山座長 藤林委員、お願いします。

○藤林委員 私は全部のイメージを持っているわけではないのですけれども、イメージとしては、既存のものに、例えば、このお部屋が産前産後母子部屋ですみたいな、そんなイメージかなと思うのです。

○西澤委員 お部屋が決まっていないといけないのですね。

○藤林委員 お部屋があった方が、例えば、いろいろ母子生活支援施設のタイプがあると思うのですけれども、集団生活が苦手な方もいらっしゃるので、やはり個室が良いのではないかというイメージです。

 ついでに今の措置制度についてもちょっとコメントしたいと思うのですけれども、そもそも措置制度で負担金はあるべきなのかなというのは前から思っていて、ここは言い出し始めると長くなるのですけれども、児童福祉法56条の負担金は、児童相談所にとって負担なのかなと思うのですけれども、虐待で保護して28条で入れておきながら負担金でお金をくださいというのは、本来あるべきなのか。

○西澤委員 それは介護も同じだよね。

○藤林委員 イギリスにも負担金があるのかと聞いたらそれはないという話でした。実はこれも大きな課題だと思っています。

○奥山座長 素直な疑問だということで、受け取らせていただいて、泉谷委員。

○泉谷委員 泉谷です。

 母子生活支援施設は、今、基本的に全て個室化されているのですが、逆に母子生活支援施設の方たちが非常に難しいと感じているのが、お部屋に入りたくても、そこがおうちだということでどこまで踏み込んでいけるかということなのです。

 なので、特定妊婦さんを受け入れる際に、やはり先ほど来から出ている人間不信とかがある場合に拒絶されるという可能性のところを、日々皆さんは非常に格闘していらっしゃるところがありますので、いろいろなタイプがあって良いのかなと思います。

 共同というわけではないのですが、お部屋は個室だけれども、例えば、食堂は兼用だとか、いろいろなタイプのものがあることで、利用者さんのニーズに応じた形で対応できることが望ましいかなと思います。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございました。

 では、特定妊婦のことはかなり御意見をいただいたと思いますので、最後、少しお時間がかかるかなと思って最後に持ってきたのですけれども、児童相談所設置自治体の任用要件と定数の問題です。

 前回、前々回ですかね、資格の問題についてお話ししたのですが、資格とも関わってはくるのだろうと思うのですけれども、その点について御議論いただきたいと思うのですが、まず、大きく任用要件のところで考えますと、今、任用要件があるのは、所長と児童福祉司だけです。心理士さん、保健師さん、医者も児童相談所の中で働いているのですが、任用要件はないので、医者なら何でも良いのかというところもあるかなと思います。

 そういう意味で、ざっと考えるとこんなものかなということを私なりに考えたものを挙げておきました。ただ、これは何も縛るものでもございませんので、皆さんの刺激になれば良いなというところです。

 次の裏を見ていただきますと、前回御議論いただきました児童相談所設置自治体の機能というところを考えると、そこにどんな人が何人くらいいるべきなのかという表を作ってみたのですけれども、とても入れ込めないのです。

 それで、これは相当な資料と議論を重ねなければいけないと思うのですけれども、1つ皆さんに御議論いただきたいのは、現在、大体児童相談所の設置自治体は省令で人口比になっていますし、児童福祉司さんが人口4~7万人といった形で考えられているということに対して、持っているケース数で考えた方が良いのではないかという意見もあります。そこを考えてケース数で考えるとこんな感じになるのかなと思いつつ書いて、あとを埋めるのはどうするのだろうかと思い、提示させていただきました。アセスメントは一体どのくらいの数になるのだろうかとか考えながら、この辺は皆さんで御議論いただきたいと思って、少しだけ入れてみましたというところです。

 ですので、この2つについて、どちらからでも良いのですけれども、御議論いただければと思います。よろしくお願いします。

 藤林委員、お願いします。

○藤林委員 藤林です。

 口火を切って、私の方も児童相談所職員の専門性、特に児童福祉司の専門性は今のままで良いのかというのは日常的に思っているところなので、たたき台として問題点と強化案についてまとめてみました。

 言うまでもなく児童福祉司の専門性というのは一層高度なものが必要になっているわけですが、現在の任用資格で大丈夫なのかというところがあるかと思います。

 任用資格の図があるのですけれども、この分厚いファイルの中にあるので後で見ていただくとして、1つ問題なのは、1号資格の児童福祉養成校、全社協がやっている養成校のカリキュラムで十分かということを検討するべきではないかと思います。

 4号資格というものがあるのですけれども、社会福祉主事として実務経験2年で任用となっているのですが、社会福祉主事のいわゆる3科目履修だけで本当に良いのだろうか、それとプラス実務経験で良いのかというのはいつも疑問に思うところです。

 そもそもこれらの1号から5号までの任用資格を満たすだけで果たして任用して良いのかというところがあって、現場的には無理ではないかと本音としては思うところなのです。

 本音としては思うところですけれども、非常に多忙で待っていられないので、数カ月ですぐ地区担当を任せてしまうというところも多いと聞いています。

 5番目、実はスーパーバイザーの役割はとても重いというのは、本日ここにいる児童相談所関係者は思っていると思うのですけれども、ところが、児童福祉のスーパーバイザーは法的に規定されていない。また、どういう人がスーパーバイザーになるのかというところも、運営指針にはちょっと書いてありますけれども、十分に書いていないし、養成課程についても定められていないというのが現状ではないかなと。配置基準も都道府県によってさまざまで、以前いただいた資料には置いていない県もあったと思います。

 児童福祉司以外の職種については、置いているところもあったり、置いていないところもあったり、弁護士は置くようには書いていませんけれども、活用方法も都道府県によってさまざまということを問題点として書いております。

 では、あるべき任用資格、国家資格化の問題は置いておいて、当面の任用資格の考え方について私なりにこんなふうに考えています。

 4号要件の社会福祉主事または上記以外の職員については、基本的には児童福祉養成校を経るべきではないかと思います。

 児童福祉司任用前についても、やはり本来は半年、1年のじっくりとしたスーパーバイザーからのトレーニングであるとか、何らかの任用前研修を行っていくことが大事だと思います。これについては、人数が多いので国が集めて研修というわけにはいかないので、何らかのガイドラインをもう少し明確にしながら自治体が実施していくべきではないかと思っています。

 スーパーバイザーは非常に重要な役割だと思います。スーパーバイザーの位置づけを生活保護の査察指導員のように法的に位置づけを明記していくということと同時に、スーパーバイザーとして任用する前の研修も義務化するべきでなはいかと思っています。

 では、どのようなスーパーバイザー任用前研修が必要なのかというのは、これはやはり任用要件またはカリキュラムをじっくり策定しながら、スーパーバイザーについては国が実施するべきではないかと思っています。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。

 ここで細かい数字まで決めるというわけではないので、大きな流れとしてどのように考えたら良いかというところで御議論いただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 西澤委員。

○西澤委員 西澤です。

 数字を扱うなとは言われつつ、スーパーバイザーの経験年数は5年というモデルが提示されているわけです。そうすると、今の人事ローテをどうやって変えていくのかということを考えないといけないと思うのですけれども、そのあたりはいかがお考えでしょうか。

○西澤委員 確かにそうですね。

 人事ローテは今のままでいったらこういう養成はできないことになって、今の虹の研修情報センターの研修でも、3年以上とやったら誰も来られない。児童福祉士3年以上というものが今は誰もいないという状況で、1年でも受けられるようにしてほしいという要請が虹の方に行くみたいな体たらくのわけです。

 そういう中で、スーパーバイザーを養成していくということが鍵になるとしたら、そこの人事的な守りというものを考えないといけないことになるかと思って発言しました。

○奥山座長 ありがとうございます。

 菅野委員。

○菅野委員 一応、虹の研修は児童福祉司で5年たったらSV研修を受けられるとなっています。

 それと虹の研修で、苦肉の策だとは思うのですけれども、5年に満たないでSVのポジションになってしまった人たちのための研修というものもあります。

○西澤委員 本当に苦肉の策ですね。

○菅野委員 本当に苦肉の策です。

 逆にいうと、本当はSVが5年では無理だと私は思います。やはり10年くらい、さまざまな相談活動をしてからではないと無理なのではないかというのは、実感としてはあります。

 ただ、そんなことは言っていられないです。

 滋賀県の場合に、児童福祉司任用資格で採用試験をしています。現実問題、それで採用されている人がいますが、なかなか人が集まらないし、続けられないというのもありますし、今、県のレベルでは、対人援助の現場が少ないのです。滋賀県では、町が少なくなって、県職員で生活保護を担当しているワーカーが、1.5人とか2人くらいです。

 そういう環境の中で、任用資格で採用された人間が40年くらい児童相談所にいるとなると、なかなか難しいことはあって、専門職でとったらとったでまた悩みが増えます。いろいろな課題があるのかなと思います。まとまりませんが。

 人事のローテーションの問題ですけれども、一律ではないです。所長になってみて、いろいろな交渉の仕方によって、本人が望めば、児童相談所の間での異動はあるにしても、優先してその専門を深めていきたいという職員にはそのラインで人事と交渉していくという道は、ないことはないです。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 辰田委員。

○辰田委員 八王子の辰田です。

 資格の話が出たのは、児童福祉司の質のレベルがまだ一定程度にないのではないかというところで始まっているのだと思います。任用資格について改めてもらったり、心理司についても基準を示していただくことは必要だと思っています。

 ただ、任用資格が変われば質が保てているかというと決してそうではなくて、質を高めて維持させていく、どう育成していくか。また、大変な思いの中で燃え尽きてやめていってしまったり、異動を希望したりと、5年をなかなか満たす職員があらわれてこないということだと思っています。ですので、そこをどう育成していくか。

 配置基準につきましては、福祉司以外にプラスしてスーパーバイザーとか育成する職員配置を示して、サポートしていく。座学だけではなくて、見て習うといったところの体制を整備していかなければならないと思っています。

 例えば、児童福祉司は、1つは人口の割合でという、奥山委員長の方からありました持ちケース分は、ケースの発生率にも負ってくるのかなとか、例えば、大阪、神奈川だとか、警察からの通告がとても多いので、ケースが出てくるのかなと思います。

 場合によっては、児童人口の割合で配置をするとか、そういったことも考えても良いと思っています。

○奥山座長 2つ組み合わせるという手もあるのかなと思います。最低人口比で、ケース数が多いところはさらにプラスしなさいというような形の方が良いのかなとも思うのですけれども、御意見はいかがでしょうか。

 山田委員。

○山田委員 そのケース数というところも、何をもってしてケース数と言うのかというところで、障害、非行、育成、養護、保健とあったときに、全ケースを入れれば確かに100ケースを超えることはあり得ると思うのです。

○奥山座長 山田委員、ごめんなさい。前回の御議論の中で、幹事会で出した資料の中で児童相談設置自治体の機能というのがあったので、その機能ごとにどのくらいの人数を決めたら良いかというのをここに書いたのです。ですから、多分、他の障害相談とかをやる想定ではない。

○山田委員 ということは、これは児童虐待ケースでという理解ですね。

○奥山座長 はい。

○山田委員 分かりました。

○奥山座長 どうぞ。

○菅野委員 菅野です。

 ちなみに、山田委員のおっしゃった研究がたしかあって、障害相談1に対して非行相談はどのくらいの比率かとか、虐待相談はどれくらいかかるかというのは過去に何回か研究でデータとして出ていると思います。業務でどれくらい手間暇がかかるかという研究はあるので、市町のところ、基礎自治体のところで相談活動をするときなどの参考にもなるのかなと思います。

 蛇足ですが。

○奥山座長 ありがとうございます。

 それに対して、山田委員は。

○山田委員 その研究の話は私も聞いたことがあって、ざっくり児童虐待は障害の10倍の分量があるとか聞いたのですけれども、そういう印象なのでしょうか。

○菅野委員 たしか10以上あったと思います。

○奥山座長 ありがとうございます。

 藤林委員。

○藤林委員 ケース数の考え方で、これもざっくりイメージで言いますと、虐待の初期対応、通告を受けて、その後、調査して何らかの判断を行っていくという部分の必要な最適な人数と、いわゆる非行、養護相談、養護相談もほぼ虐待に近い養護児童ケースがいっぱいいるわけですけれども、非行、養護相談の地区担当としてのケース数に応じた最適な人数というものはあるのかなと。

 もう一つは、多分これは児童相談所によって分け方はさまざまなのですけれども、社会的養護に措置した後の子どもをどのようにマネジメントしていくのかという部分についての適正な人数というのはあるのかなと。

 この3番目のところが、多分どこも手薄になっていて、その後のマネジメントが十分にできていないということを考えると、実はここに対しても十分な児童福祉司を置くべきではないかと思っています。

 それから、先ほどの西澤先生のローテーションの考え方についてちょっと言っておきたいのですけれども、各自治体によってソーシャルワーカーのローテーションとか育成の仕方はそれぞればらばらなのですけれども、やはりスーパーバイザーは5年とか10年といった明確な基準を置くことによって、それに沿ってローテーションが行われていくのではないかと思います。

 その意味で、やはり明確な任用要件を国として定めていく必要があるということと、本来は児童相談所運営指針に10年と書いてあるのです。菅野委員が言うみたいに、本来は10年だと思います。でも、10年となると誰もいなくなってしまうので、ここは現実で5年かなと思うところです。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 他にありますでしょうか。

 武藤委員。

○武藤委員 基本的な考え方として、社会的養護の現場もそうなのですけれども、まずは職員の配置基準をきちんとすべきだと思っています。

 児童相談所の福祉士の1人当たりで100ケースくらいを抱えているというケースは結構東京などではざらにあるわけなのですけれども、それでは非常に丁寧な支援ができないと思いますので、ケース数をしっかり出しながら、できれば30ケースだとか、そういうことをちゃんと明記しながら配置を目指すということが必要になってくると思います。

 資格の問題についても、辰田委員がおっしゃっているように、資格と育成と定着というのですかね。私たちの養護現場もそうなのですけれども、一遍にやらないとどこかだけやって良いということには多分ならないと思いますので、今回、こういう案がどうだろうかということで出されていますけれども、こういうことを総合的に定着策も図りながらやるということを国を挙げてやらなければいけないのではないかと思っております。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございました。

 他に御意見はありますでしょうか。

 秋山委員。

○秋山委員 医師のところでよろしいでしょうか。

 先生がたたき台で出してくださっているところなのですけれども、今、厚労省で子どもの心の診療医の育成ということがあります。その子どもの心の診療医は3段階になっていて、3つ目の一番専門性の高いところがここに書かれている精神科の専門医、子どもの心の専門医を指してくるのではないかと思いますので、「子どもの心の診療医」という文言も使用していただけると良いかなと思います。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 他に御意見はありますでしょうか。

 また細かい数字はいろいろなところを見ながら検討していく必要があると思いますし、先ほど来、出てきていますように、任用の問題とトレーニングの問題、資格の問題、3つのことを総合的に考えていくという方向性で考えていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 松原委員長。

○松原委員長 基本的には賛成です。

 この間、ここで議論しましたように、少し児童相談所の役割を変えていくということで、基礎自治体の方に障害等の相談を渡していく中で、児童相談所にどういう人間が必要で、その任用資格を、今ある児童福祉士、児童心理司と分けていったときにどうかという議論と、同時に、基礎自治体にどういう人間がいるのか、そこにどういう資格を担保するのか、これはやはり並行してやらないと、我々の描いたグランドデザインが実現しないのかなと考えております。

 以上です。

○奥山座長 その意味で、一番下の定数の考え方には基礎自治体も入れてありますので、またそこも含めて考えていきたいと思います。

 では、私のタイムキープが上手くいかずに、時間は少なくなってしまったのですけれども、最後に少し今までのところを踏まえてのフリーディスカッションをしていきたいと思います。

 それに先立ちまして「その他の課題」というものを最後に1枚書いたのですけれども、やはり制度の問題としても今までいろいろな議論がなされてきた中で、落ちていると思われる課題もあって、たまたま私が思いついた2つだけを挙げておきました。他にも皆さんはあると思うのですけれども、1つ説明をさせていただきますと、里親支援制度については課題の中に入れたのですけれども、里親制度そのものに関しても、職業里親といった里親制度を入れるべきではないかという御議論もあるかなと思いました。

 もう一つは、山田委員の方からかなり司法面接のことが出ていたのですけれども、それが余り今回は議論ができていないので、簡単に少し議論ができれば良いかなと思いましたし、他にも皆さんからこれをもう少し制度として法律として考えてほしいというものがありましたら挙げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 菅野委員。

○菅野委員 すみません。今の座長の提案とはちょっと違うのですけれども、今、県と基礎自治体という話をしているのですが、例えば、滋賀県、うちの管内に町が幾つかあります。そうすると、県の福祉事務所があって、そこに県の家庭児童相談室があるのです。だから、3段階くらいになってしまったりしているのです。

 ちょっとイレギュラーですけれども、そういう違うシステムがあるので、その辺の課題も、これは県のレベルでそれぞれ考えれば良いのかもしれませんが、ちょっと意識の中に置いていただけるとありがたいです。単に児童相談所と基礎自治体だけではなくて、県の福祉事務所というものもそこに絡んでくる場合があるということだけ、ちょっと発言させてください。

 以上です。

○奥山座長 ありがとうございます。

 その他、御意見はいかがでしょうか。

 松原委員長。

○松原委員長 ちょっと気になるのが、座長が示された里親制度の中で、里親と養子縁組の分離についてという課題があって、先ほどの特別養子縁組の方では、むしろ特別養子縁組を社会的養護にという御発言もあって、委員長としてどういう方向でまとめていくのか、ここが迷うので、議論していただければありがたい。

○奥山座長 これは、要するに養子縁組里親みたいになって、今は里親というひと括りになってしまっているというところが、全部が社会的養護の中ではあるのですけれども、養子縁組のラインと養育里親のラインを制度の中で分けた方が良いのではないかと。

○磯谷委員 基本的には、今、養子縁組は里親と分かれていますね。

○奥山座長 入り口がほとんど一緒なのです。

○西澤委員 ごめん。入り口とは。

○奥山座長 基本的に、里子に出しておいて、そこから養子縁組という形をとらせていますね。

○藤林委員 藤林です。

 短い時間でここを説明するのは難しいのですけれども、多分これは社会的養育のワーキンググループの中で議論になっていくのではないかと思うのですけれども、養育里親をやっていらっしゃる方にとって、やはりいまだに里親というのは養子縁組のイメージが非常に強いという声が一方にはあるわけなのです。

 ですから、養子縁組里親という名称で良いのか。養子縁組候補者とか、養子縁組という一つのまとまったものに分けてクリアにしていくべきではないかという議論が確かに一方にはあると思います。

 そこのネーミングの問題であったり、そもそもその民間あっせん機関から特別養子縁組になる方は里子でもないわけなので、そこの整合性だったり、非常に難しい問題かなと思います。

○奥山座長 加賀美委員。

○加賀美委員 前回から私は言ってきたのですが、その里親という言葉、制度の名前の問題も言ったと思うのですが、つまり、社会的養護の制度としての里親制度ということであれば、全く別名称の方が良いのではないかと考えたので、むしろ養子縁組里親というのはそのまま残しても、里親制度そのものを別の名前にしていくという括り方の方が良いのではないかというのが、多分、前回の議論だったと思います。

○奥山座長 すみません。全部を捉えて書いたわけではないかもしれません。

 どうぞ。

○磯谷委員 ひとつには、養子縁組里親であっても里親と同じように支援やケアが必要だという点があります。もうひとつ、東京都では一般に児童を預かって養育する養育家庭と、養子縁組を想定している養子縁組里親を、全く別に登録をしていて、措置する段階でも、養子縁組を想定していれば養子縁組里親に、そうでなければ養育家庭に、それぞれ措置をしているのですが、ケースによっては、養育家庭として入ったけれども、やはり養子縁組したいというニーズもあったりするようです。そういう観点からすると、最初から養育家庭と養子縁組里親を截然と分けてしまうことが常にベストなのかというと、分ける理由もあるのですけれども、疑問に思うときもあります。 だから、そういう意味ではやや複雑なのかなとは思います。

○奥山座長 いろいろと御意見が出ました。基本的にこれは書いていないものを、今までご意見として出たものを入れましたということになります。司法面接のことで、よろしいですか。

○山田委員 司法面接の話をしてよろしいですか。ありがとうございます。

 この会議で資料ばかり出させていただいたのですが、議論の俎上に乗らなくて残念だと思いきや、おととい雇児総発1028第1号ということで、1028日に厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長さんから都道府県、指定都市、児童相談所設置市の児童福祉主管部(局長)宛てに、子どもの心理的負担等に配慮した面接の取組に向けた、警察、検察とのさらなる連携強化についてという通知が出ました。某児童相談所の某課長さんが早速私にファイルで送ってくださいまして、読ませていただきました。

 ここに民間団体のことが書いていないのはちょっと残念なのと、司法面接ではなくて、誰が考えてくださったのか、協同面接という新たな名前が出てきてはいるのですが、画期的な通知を出していただいて、私がこの専門委員会に入った意義があったかなと非常に感謝しております。

 特に、本通知については法務省刑事局及び警察庁と協議済みであるということで、私に知られないようにかどうかは知りませんが、事務方で一生懸命に法務省や警察庁とやりとりをしていただいたのだということがこの文書を読ませていただいてよく分かりました。本当にありがとうございました。

 試行的にやるという感じの通知ではありますけれども、是非この協同面接というものが制度化されて全国に広がっていくことを切に期待します。

 実は、この会議の前に平塚で講義をしてきて、私の後の演者が児童相談所の職員さんで、その児童相談所の職員さんに、通知は出たけれども、おたくはやる気はあるのですかと言ったら、面接の前にいろいろとハードルがありましてみたいなことをおっしゃっていて、まだ認知、認識というものは高まっていない現状はあるのですけれども、この通知が呼び水となって司法面接もしくは協同面接というものが法律に定められるような確たる制度になっていくことを切に望みます。ありがとうございました。

○奥山座長 ありがとうございました。

 本当に私のタイムキープのミスで時間が来てしまいました。次回に全体に関する部分をまた議論することになります。それに関しまして、前回、前々回のこのワーキンググループの中で、児童福祉法の対象を成人年齢に合わせた方が良いのではないかという議論がありました。ここのワーキンググループではそれで一致したのですけれども、成人年齢が下がるという方向が、実現されようとしている状況だと伺っております。

 それに関しまして、本日は法務専門官の中島さんに来ていただいておりますので、少し御説明いただけるとありがたいと思います。次回に向けてということで、御説明いただけますでしょうか。よろしくお願いします。

○中島法務専門官 法務省でございます。よろしくお願いします。

 今、座長からもありましたけれども、成年年齢の引き下げの状況についてちょっと御説明を差し上げたいと思います。

 御案内のとおり、いわゆる成年年齢でございますけれども、民法の中に年齢20歳をもって成年とするという規定がございます。

 この20歳というものを引き下げるという議論でございますけれども、実は法務大臣の諮問機関としまして法制審議会というものがございます。平成21年の法制審議会の答申の中で、この成年年齢を引き下げるべしという答申が既に出されております。

 ただ、早急に引き下げろというものではなくて、新たに成人となる18歳、19歳がいわゆる犯罪の被害者にならないように、消費者教育などを充実すべきという文言が付されております。そういったこともありまして、消費者庁、文科省とも連携をしながら、消費者教育の充実にこれまで努めてきたところでございます。

 他方、これも皆さんは御案内のとおりでございますけれども、国民投票権、選挙権の年齢を18歳に引き下げることとなりました。このような状況を受けまして、法務省としましては、民法に規定されている成年年齢の引き下げについて必要な検討を今まさに始めているところでございます。ですので、引き下げに向けて動いているという状況でございます。

 ただ、具体的なスケジュール感というのは、今、ここで具体的に申し上げることはできませんが、仮に法改正がなされた場合、直ちに実施するということは考えておりません。少なくとも十分な周知期間を設けて実施したいということでございますので、仮に法改正がなされた後であっても、その後、数年間は周知期間を設けるということで考えております。

 以上でございます。

○奥山座長 ありがとうございました。

 逆に、児童福祉法はもともとが成人年齢に合ってはいないので、成人年齢ということだけではなくて、本当にいつまでを児童福祉法の対象にすべきか、その根拠は何なのかというあたりのところを、次回、もう一度議論できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、事務局の方にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小松虐待防止対策室長補佐 次回、第4回の日程につきましては、1112日、木曜日、1430分から、本日と同じ省議室を予定しております。正式な御案内は追って事務局より送付いたします。

○奥山座長 では、皆さん、長い間、 ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ)> 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ(第3回)(2015年10月30日)

ページの先頭へ戻る