ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ)> 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ(第2回)(2015年10月22日)
2015年10月22日 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな児童虐待防止システム構築検討ワーキンググループ(第2回)
○日時
平成27年10月22日(木) 13:00~15:00
○場所
中央合同庁舎4号館1208特別会議室
○出席者
委員
奥山委員 | 秋山委員 | 泉谷委員 | 磯谷委員 |
井上委員 | 岡井委員 | 加賀美委員 | 作本委員 |
笹井委員 | 菅野委員 | 辰田委員 | 中板委員 |
西澤委員 | 浜田委員 | 平田委員 | 藤林委員 |
藤平委員 | 松原委員 | 武藤委員 |
オブザーバー
法務省 |
警察庁 |
厚生労働省
吉本大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化対策担当) | 横幕総務課長 |
大隈家庭福祉課長 | 田村虐待防止対策室長 |
小松虐待防止対策室長補佐 | 芦田虐待防止対策室長補佐 |
大津総務課長補佐 | 寺澤家庭福祉課長補佐 |
○議題
(1)検討事項についての意見交換
(2)その他
○議事
○小松虐待防止対策室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第2回「新たな児童虐待防止対策システム構築検討ワーキンググループ」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
なお、本日、岩佐委員、加藤委員、佐藤委員、山田委員から御欠席の御連絡を、磯谷委員からは若干遅れるとの御連絡をいただいております。
議事に入ります前に、10月1日付で事務局に人事異動がありましたので、紹介いたします。
審議官の吉本でございます。
総務課長の横幕でございます。
総務課調査官の源河でございます。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
初めに、ワーキンググループの運営に当たり、委員の皆様へお願いがございます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへ情報保障の観点から、御発言等をされる場合には発言者は挙手をする。挙手をした発言者に対し座長から指名する。指名を受けた発言者は氏名を名乗ってから発言するということとしたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。
最初に資料の確認をさせていただきます。配付資料は座席表、本日の次第です。
資料1、改正事項の整理。
資料2、幹事会提供資料。
資料3、磯谷委員からの御提供資料。
資料4、岩佐委員、浜田委員からの御提供資料。
資料5、笹井委員からの御提供資料。
資料6、菅野委員からの御提供資料。
資料7、辰田委員からの御提供資料。
資料8、中板委員からの御提供資料。
最後に事務局提出資料としまして、資料9、児童相談所関係。こちらは議論の中心に1つ児童相談所の見直しが挙がっておりますので、児童相談所の概要や職員配置、資格に関するような資料を御用意しております。
資料10、国家資格について。他の国家資格制度も含めて議論の参考としていただきたいと思います。
資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。
なお、本ワーキンググループは公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。
それでは、この先の議事につきましては奥山座長にお願い申し上げます。
○奥山座長 ありがとうございました。
では早速、議事に入って参りたいと思います。
まず本日の議事ですけれども、資料1をご覧ください。理念、子どもと家庭への支援ということは、第1回目の委員会でかなり皆様から御意見をいただいたということで、前回は国、都道府県、市町村の責務、児童福祉法の対象年齢の問題、そして子ども家庭支援を担う専門職の資格化というところに関して皆様の御意見を伺いました。実は前回、通告初期対応システムとか介入支援の分化というところまで議論に入る予定でございましたけれども、そちらが私の不手際で入れなく終わっております。本日はそこを含めまして児童相談所関係全体を議論させていただければと思います。そして、第3回で残りの部分の御意見をいただいて、4回目でこちらのワーキングのまとめという感じで全体をまとめていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は第2回目ということで、今、申し上げましたように児童相談所関係というところの検討事項を御議論いただくことになるわけですけれども、それに先立ちまして幹事会の方でまとめた資料2をご覧いただきたいと思います。幹事会の方で児童相談所等のことを考えるに当たって、全体像を考えておく必要があるだろうということで、まとめさせていただきました全体像です。これはあくまでも大きな流れでございます。2回の幹事会、そして頻回のメールのやりとりでここまでまとめさせてはいただいておりますけれども、細かい点はこれからの議論というようにお考えいただきたいと思います。
1枚目に書いてありますように、骨子(案)でございますけれども、基本的に子ども家庭への相談支援業務というのは基礎自治体が中心になる。そして、都道府県を中心とした設置自治体に関しましては虐待、非行を中心にして、その調査、評価あるいは措置の業務、そしてそういう措置という行政処分を受けているお子さん、御家庭に関する支援のマネジメントを行うというような形で整理をさせていただいてりおります。
それをさらに少しイメージが湧きやすくということで、2枚目をご覧いただきますと国、都道府県と基礎自治体の責務と役割ということで絵を描かせていただいております。前回のこちらの御議論で責務をきちんと考えるべきという御意見があったのですけれども、責務はこれから役割を考えた上で考えていきたいと思って空欄になっております。
左側の青い線で括ってあるのが、児童相談所設置自治体に必要な機能だけ並べさせていただいてあります。右側は基礎自治体の役割ですが、基本的にここに書いてありますように一般養育支援から虐待ケース、在宅支援まで総合的子ども家庭支援を民間とも連携して行うということが中心でございまして、この下に書かれているのは今の事業などを入れ込んだだけでございまして、これの中身はこれからの議論となります。
そして、基礎自治体の役割の中に小さくブルーで囲ってございますところは、これまで児童相談所の機能とされていたものが、市区町村、基礎自治体の方に移すべきと考えている部分でございます。これも先ほど基礎自治体でも虐待は対応するというような意見もありましたけれども、これもイメージですので児童相談所が今、担っているものの中で移すとしたら、こんな形でしょうかということが書いてございます。
次の3枚目に移っていただきたいのですけれども、これはその中で虐待対応システムという形で取り出したときに、どんな形になるかというのも、これもイメージ図でございます。ですので、ここが全て機能を全部網羅して、この中に書かれているというわけではございません。概ね16年改正で行われた市町村に一義的な児童相談対応をするということになっていたわけですけれども、それをもう少し拡張する、そしてきちんとした基盤整備をして、しっかりとしたものに作り上げていくというのが今回の大きなイメージでございます。
新システムの方の吹き出しのところをご覧いただきますと、どちらかというと児童相談所の現在の機能は、自治体として持つ機能としても少しスリム化しようというようなイメージです。ただ、スリム化といっても非常に専門的な対応が必要ということになってくると思います。
そのための移行プロセスという下をご覧いただきますと、非常に大変な作業がございまして、専門性の向上であるとか人材の確保、体制整備、財源の確保といった基盤を整備しなければこれが成り立たないということで、ここが非常に重要になってくるのだろうと思います。
最後に、今申し上げた役割を成すための検討事項ということを挙げさせていただいておりますけれども、本日の段階では、これは幹事会のメンバーで概ねの全体のイメージを作ったものですから、その大まかな流れ、考え方というものに対して、できれば幹事会以外の先生方からも、このような考え方を基盤にして、これから先の議論をしていくことでいいのかどうかというところを御意見いただきたいと考えております。いかがでしょうか。
恐らく幹事会で踏み込んでしまっているのは、児童相談所機能を中核市、特別区も責務とするという点かもしれないのですけれども、それも細かい点で後で議論はさせていただきたいと思います。概ね支援というのは市町村にお願いをする。児童相談所は虐待とか非行あるいは措置という機能、そして支援マネジメントの機能を中心にするという大きな図、イメージに関していかがでしょうか。御賛同でも反対でも構いませんので、是非御意見をいただきたいと思います。
武藤委員、お願いします。
○武藤委員 質問ですけれども、この点線の振り分けと書いてあるではないですか。新システムのところの。この振り分けというのはどこの機関とか、誰がやるのかというのを質問させてください。
○奥山座長 それも2ページ目の図に戻っていただきますと、今のところ児童相談所設置自治体の機能とは考えておりますけれども、市町村との連携なしにはできないことだとは思っていますので、あるいは市町村と一緒に作るんだという考え方もあるかもしれません。そこの細かいところはこれから議論させていただきたいと考えております。
○浜田委員 確認なのですけれども、今、武藤委員がおっしゃった3ページのところの新システムにあるように、今のところのイメージは虐待通告は振り分け機関のところに入るのであって、市町村のところにも直接入るという形は今は想定していらっしゃらないということでよろしいですか。
○奥山座長 そこのところもまた細かいところでして、大きな流れは恐らくこの振り分け機関に入るでしょうけれども、地域の中で普段からやりとりしている中で出てきて、養護ケースみたいな形で相談に乗っていたら虐待だったみたいなところに関してどうするかということは、さらにまた議論が必要なところかなと思います。
○浜田委員 ありがとうございます。
それを踏まえてなのですけれども、市区町村の役割がいわゆる支援のところであって、児童相談所とどちらが何をやっているか分からないような形ではなくて、機能を振り分けるといいますか、市区町村が支援に当たるところなんだというところが明確になされると、それはそれでとてもいいことなのだろうなと思っています。
あとはこれこそ細かい話になってくるのでしょうけれども、市区町村がそのような役割をどうやってうまく担っていけるかという形を考えたときに、例えばそこに支援センターみたいな組織を中に作っていくとか、そういう枠組みも含めて是非御検討いただければといいますか、検討がなされていくといいなと思います。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
ここの図の中にも子ども家庭総合支援拠点と書いてありますけれども、そういったものが必要だろうということで、もう一つのワーキンググループで今、その辺を御議論いただいているところでございます。
辰田委員、お願いします。
○辰田委員 八王子の児童相談所の辰田です。
振り分けのところについて、前回のワーキングでも発言させてもらいましたが、児童相談所の外に出して振り分けをすることが本当に適切かどうかというのは、慎重に議論しなければならないと思っています。
1本の電話での、通告の中で、これは児童相談所、あれは市町村と判断するのはとても難しいです。調査をする中で保護を必要とする案件も出てきますし、地元に密着しているところが通告を受けたほうが、社会資源だとか、いろいろな調査の方法を活用できる。外に出してしまうとちゃんとアセスメントできるのか懸念があります。
○奥山座長 ありがとうございます。
菅野委員、お願いします。
○菅野委員 各論に入ってしまってはまずいですね。この振り分け機関のことについては資料を出しているので、そのときにしゃべった方がいいですか。
○奥山座長 はい、できましたらこれは全体の大きな流れに関して御議論いただければと思います。
○菅野委員 そうしたら、またそのときに発言させてもらいます。
○奥山座長 それに関しては時間を用意してございます。
他にいかがでしょうか。
では、この大きな流れに関して、大きなイメージに関しては少しこれを念頭にこれからの御議論をいただくということでよろしゅうございますでしょうか。では、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
本日の課題に入っていきたいと思います。まず、もう既に少し辰田委員から踏み込んでいただいたのですけれども、通告、初期対応システムの整備ということで通告を受けて振り分けてというようなことに関して御議論いただきたいと思うのですが、それに関しまして菅野委員、笹井委員から資料も用意していただいていますし、辰田委員からは全体の資料を用意していただいております。資料も含めまして御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 急かしたような形になりましたけれども、菅野です。
お手元にあります資料6を見ていただいたらと思います。基本的にどんな位置に立っているかというと、児童相談所はいっぱいデパートのようにあらゆる相談を受けるという機関から、現在、どちらかというと虐待対応を中心に対応しているところになっている。子どもの育ちを応援するというところで1ページなんかはどんなことを支援するのかということを示しています。これは、児童相談所も市町村も実は同じような相談を受けるといまして、二重構造になっています。 この重なりの部分を整理をしていく必要があるのではないかというところです。
3ページ目のところに移っていって、児童相談所が持っているいわゆる初期対応の部分、安全に対するアセスメントと安全確保という機能と支援の部分についてです。支援の部分の中の専門職がたくさん必要な専門的支援もあります。児童相談所になるのか、分かれた機関になるのか分かりませんが、基礎自治体レベルでは無理で、少し広域で対応していくようなところが必要になってくるのかと思います。
次に、通告もいろいろな種類があるだろうなということとか、対応の形態というところを少し整理させてもらったのと、一時保護の機能というのも幾つかある。一言で語られているけれども、その中身がいろいろだというところです。
5ページのところは区分対応システムということで、これは現在、畠山先生のもとで隣の笹井委員とか加藤委員もこの研究のメンバーになっているのですけれども、昨年と今年でアメリカの区分対応システムを研究されていて、この辺が振り分けの機関になるのかなということで、論文を読ませていただいて、少し提示をさせていただいています。
調査・介入型の対応を児童相談所も市町も中心にやってきたのですが、もう一つの流れとして支援型の対応の部分と3種類ぐらいあると考えます。予防型対応ということもありますし、どこへどういうふうに持っていくのかというところを一定のルールのもとで振り分けて、こちらのシステムに流していこうという感じです。
私がこれを読ませてもらって思ったのは、児童相談所なのかとか、市町村なのかということよりも、どのような機能を持って、どれぐらいの規模の機関が必要なのかという発想で構築し、それをどこが担うかというように誰がするのかは後から考えればいいのかなと思ったりもしました。
このまとめている中で、5ページの図を見ていただいて通告受理・スクリーニング、ケースの振り分け、安全確認調査、調査介入型対応というあたりが児童相談所が今やっているところでしょう。振り分けをして支援型の方へ流していくあたりが、今、直近で必要なことになるのかなと。ただ、ここから後の在宅支援とか家庭外措置、親子分離、この辺のところを振り分けするところが一緒に持ってしまうと、今の児童相談所と何ら変わらなくなってしまうので、ここはやはり別機関にするべきかなという形で、私なりに括っています。
少し児童相談所の機能をスリム化していく、いわゆる支援型対応でやっている児童相談所の部分を基礎自治体の方へというところが必要なのかなと考えています。以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
菅野委員の御意見に何か御質問ありますでしょうか。後でまた御議論いただけると思うのですけれども、笹井委員からいかがでしょうか。
○笹井委員 沼津市のこども家庭課、笹井です。
私からは通告・初期対応システムの構築について、市町村の状況を踏まえての意見を申し上げます。
まず現状認識の部分ですが、通告先の一本化は必要なことと考えますが、これまで通告先を複数にしていたのは、国民の通告義務を履行しやすくするためであることに留意をする必要があると考えます。また、通告をトリアージすることで通告段階が整理できたとしても、それ以降の状況に応じて児相は市町村への振り分けも必要となると考えます。そのためにはほぼ全ての市町村に設置された要保護児童対策協議会の場で児相の後方支援をやってもらって、それで対応していく。その際、アセスメントが重要であって、児相は市町村の全国共通のアセスメントシートの開発が急務ではないかと考えます。
具体的な意見を6点申し上げます。
1ですけれども、一般通告は189で、要保護児童対策協議会構成機関等からの通告は原則市町村を窓口とするということです。これは近隣など一般からの通告は3桁番号の189に一本化することで通告の促進に効果的であると考える一方で、現状の児相市町村の相談経路別の状況を24年のところを見ても、一般からの通告は3割程度で、それ以外は関係機関からの通告であって、その多くは要保護児童対策協議会の構成員とも見込まれるようなところです。当該機関や市町村が児童や世帯の情報を持っていることや、通告手順の周知などもそこの機関に対しても可能である。それから、学校等からの通告として市町村が受理している中には、当初、学校等に通告意図がないものが少なくありません。その部分に早期の対応につながるというように考えます。
書くのを忘れましたけれども、要支援児童とか特定妊婦、ここについてもこれにあわせて検討する必要があると考えます。
2点目ですけれども、189に一本化する場合、児相が担うことが現実的であると考えますが、振り分けを担うということであればケースワークを行う部署と分離する必要があると考えます。
裏にいきまして3点目です。189のトリアージで市町村による訪問調査という判断がなされたとして、その調査結果に基づいてアセスメントをした上で適切な部署を確定させて対応していかないと、現状と変わらず、受けたところがそのままやってしまうという形になるので、市町村と児相と共同した作業が必要と思います。
番号がダブっていて申しわけありません。4点目ですけれども、市町村の虐待対応窓口を要保護児童対策協議会調整機関というところに統一をした方がいいだろう。要保護児童対策協議会は協議機関で調整機関はケースの進行管理など事務局としての業務は明確にされていますが、虐待対応窓口としては必ずしも明確にはされていません。今後、児童家庭支援者の資格化の具体化などに向けても、市町村の要保護児童対策協議会に専門的な役割を集中させるべきと考えます。
その次に、児童相談所の市町村支援は要保護児童対策協議会を最大限に活用して行うこととして、児相はケース処遇を行う構成機関の1つとして参加するとともに、要保護児童対策協議会のスーパーバイザーとしての役割を果たすことが必要ということで、現況の市町村の状況を考えると児相のコミットをしていかないと、結局同じような形になるのではないかと考えます。
最後に、今後189から警察、児相、市町村へとケースが動いていくようなことになるとしたら、共通言語としてのアセスメントシートが必要ということを思います。特に市町村は専門職が少ないですし、移動も頻繁ですので、この共通のアセスメントシートを使うこと、それから、今かなり転出入が多いですので、こういうものが共通になれば転居に伴うケース移管のときにも非常に有効ではないかと考えます。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
先ほど辰田委員から児童相談所が一本的に受けた方が、そこでの情報があるというお話があったと思うのですけれども、つまり調査をする機関でもともといろいろな情報を持っている機関でないと、その振り分けができないのではないかという御意見ではなかったですか。
○辰田委員 別の機関ということではなくて、地域に根づいている児童相談所あるいは市区町村で受けた方が、そこでの社会資源、機能のいろいろな聞き取りもできるし、1回どこかが受けたものをまた伝聞でもらって対応するのはなかなか厳しい。初期のところできちんと調査する必要があると思っています。
○奥山座長 菅野委員、笹井委員は、どちらかというと同じように児相が受け持つのがいいだろうという御意見と伺っていいですか。そして笹井委員はそれとは別に、要保護児童対策協議会にも受け付けることは受け付けましょうというような形と受け取ってもよろしいでしょうか。
○菅野委員 児相で振り分けというふうになると今、全国208カ所になるのです。ただ、もう少し数が要るのではないか。例えば滋賀県ですと今、児童相談所は2つです。1つは管内人口85万、もう一つが55万となっています。それぐらいの規模で、振り分けるための情報をもっているかと考えるとそれは難しい。もう少し小さい規模で、市区町村のレベルになるのか、ここのところはまだ私の頭の中でもまとまっていないところではあるのですが、、ある程度の情報、過去に通告を受けた経過があるというような情報でしね。そういう情報があった方がいいのかなと思ったりしています。いろいろ調べたり、考えていく中でどんどん考えは動いているのですけれども、現時点ではそんな感じになっています。
○奥山座長 通告する側からすると、いろいろな細かくいっぱいあるところにお電話をするというのはなかなか難しいですね。189は今とてもそれで時間がかかっています。その辺のところをどのようにクリアできるのでしょうか。
○菅野委員 私は189のイメージしかなくて、その番号にかければ最寄りにつながるというシステム、これは多分、進化させていかなければいけないと思うのです。今、確かに189で実際にかけてつながっているのが1割ぐらいと聞いているのです。だから今のシステム自体はもちろん開発してもらわないといけないと思うのですけれども、情報の量と管理の問題、その辺のことになるのかなと思います。
○奥山座長 ありがとうございました。
他に御意見ありますでしょうか。井上先生、どうぞ。
○井上委員 今の2点のお話を聞いていまして、最初の受け入れのところは市町村の要保護児童対策協議会が現実的だと思います。理由は既に把握している情報がたくさんありまして、現実、見させていただきますと、ある事例の報告があって児童相談所に報告した。児童相談所で調べようとするとすごく時間がかかって市町村に連絡した。市町村に連絡するとほとんど3時間から長くても半日ぐらいでデータがぱっと揃ってきて状況が分かります。ですから市町村中心の要保護児童対策協議会がいいと思います。
もう一点は、先ほど先生が言われていた区域のことなのですけれども、これは医療の方で2次医療圏というものがあるのですけれども、その範囲を考えていただくと、ちょうど動きはいい方向になると思います。ですから東京などの特別区の分は東京だけですし、中核市にしては20万以上のところという形になるのですけれども、その中で分けていく状態でも、ちょうど2次医療圏の感覚で整理していった方が実際的な動きになるのではないかと思っています。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございました。
ということは189は先生の場合、どのように考えられますか。
○井上委員 私は189はかなり難しいと思うのです。実際に使うところはですね。方向としてはいいのですけれども、その中で分別していくという流れがなかなか、実際に使う側から言うと難しくなってくる。受けた側もなかなか分からないということが多いので、その考えは残しながらも実際に使う場面、例えば要保護児童対策協議会の中にその入り口が最初からできるという形になれば、そちらの方に直接連絡していくという形になっていってもいいのではないかと思っています。
○奥山座長 藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 福岡市の場合、政令市ですので児童相談所と各区要保護児童対策協議会とが同じネットワークを作りまして、虐待履歴にしても共通で持っておりますので、189でかかってきたときに、そこは十分な情報をもとに振り分けていけるのではないかと思います。
先ほど奥山委員が少し言われた児童相談所を設置する自治体として、例えば中核市、特別区というところまで踏み込んだ意見だったと思うのですけれども、これは1つの自治体の中で児童相談所の機能と支援する機能とか同じ自治体にあるということの非常に大きなメリットを考えると、これは1つの方向性ではないかと思います。しかし、全ての自治体が児童相談所機能を持つことが不可能なわけですから、そうしますと児童相談所を持っている都道府県と市区町村がケースについてのネットワークを構築していくことも、今後の方向性として大事ではないか。
そういったネットワークがある中で、菅野委員が提案されたような区分対応システム、いわゆる安全確認型の調査と、または支援型の調査といったことが適切に行われていけば、それは非常に円滑な今後の支援とか、または介入保護が可能になるのではないかと思っております。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。笹井委員、どうぞ。
○笹井委員 要保護児童対策協議会なのですけれども、市町村に作られていて人口規模が相当違うので、要保護児童対策協議会という一括りの言い方でしてしまうと、それがうまく機能するところと、要保護児童対策協議会は形だけというところもなくはないと思いますので、その辺を少し整理していただかないといけないかなと思います。
○奥山座長 ありがとうございます。
他に御意見ありますか。どうぞ。
○藤平委員 浦安市の藤平です。
私も市町村の立場で要保護児童対策協議会の実態についてですが。今回、要保護児童対策協議会の機能強化というところで検討をしていますけれども、実際はかなり市町村レベルでは要保護児童対策協議会の実務者会議をやる時点でも年数回であるとか月1回という中で協議会運営に苦慮しながらやっています。そういった中では運営自体の担当職員配置という問題がありますので、通告関係に関しましても全体的に要保護児童対策協議会も含めたて職員の配置についての支援であるとか、そういったところも枠組みで入れておかないとなかなか対応が難しいかなと思っています。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございました。
他に御意見ありますでしょうか。どちらかというと、今の児相区分よりもさらに多い窓口が必要という御意見なのですけれども、いかがでしょうか。実際にかける側としてどうなのかなというのが。
○菅野委員 議論しながら考えているので、だから笹井委員が言われたように189で受ける部分と、いわゆる通告は2種類あると書かせていただいたのですけれども、機関からの通告の場合にはある程度そこで情報の精査なりアセスメントがされている。その窓口といわゆる189、一般から入ってくる通告に対応すると場所を分けていくことがいいのかなと。189に関しては入ってそれを調査する、動き回る人間たちもまた必要になってくる。振り分けて市町村が動けるような体制を作っていくのか、いろいろあるとは思いますが、189の問題と機関から来る通告というものを分けて考えていた方がいいのかなと、笹井委員の意見を聞いて感じています。
○奥山座長 他いかがでしょうか。辰田委員、どうぞ。
○辰田委員 まず通告を受けて大切なのは、子どもは安否確認。保護するかしないかという判断だと思うのです。そうなると児童相談所がきちんとアセスメントをしていくことが必要です。そのまま在宅でやっていける、すぐに保護を視野に入れた調査に行かなくても大丈夫だというものであれば、今回、提案されている市区町村に送致もありますので、連携してやっていくことの方がいいのかなという感じがします。
○奥山座長 浜田委員、その次、笹井委員。
○浜田委員 各委員の先生方の御主張をちゃんと理解できているかよく分からない中で申し上げるのが、ずれてしまっていたら申しわけないのですけれども、通告を受ける側が細分化され過ぎると、先ほど座長からかける方も大変だというお話がありましたが、受ける方も結局のところ限られた御自身の対応、地域の情報しか持たないままでやらざるを得なくなってくるので、そうすると例えばですけれども、その狭い枠内の中では適切に対応できる機関などがぱっと思い浮かばない。でも隣だったらあるのになということが出てきたらちょっと困るなと思いました。
こんなことを申し上げるのは、児童相談所の方のお話などいろいろ聞いておりますと、実際に例えば通告が入って、ここは児童相談所が行こう。ここは市町村にお任せしようという振り分けをするときに、現実的には失礼な言い方になるかもしれませんけれども、その市町村の実態と申しますか、あそこだったらお願いできそうだとか、ここだったらどきどきしてしまうよねというのが実態としてはあるように受けとめて、そうおっしゃったわけではないですよ。私がそのように受けとめてしまっただけですけれども、そのように思っております。
そうなりますと、そこの流動性と申しますか、より適切な対応ができるというようなことを考えますと、余り細分化してしまうことになると、そこが適切に確保できないのではないか。漠としたイメージですけれども、思いました。
○奥山座長 笹井委員、どうぞ。
○笹井委員 まず現行の189が虐待通告の専用ダイヤルなのか、子育ての相談までやりますという形になっているので、そこら辺でまず189を明確に虐待の通告ダイヤルとして位置づけることが必要ではないかと思います。
それから、今の要保護児童対策協議会とか市町村の格差の問題で考えると、例えば市町村に通告が入ってきたときに、市町村がそれを児相に言った方がいいかどうかという判断が今できないもので、持ってしまっているからややこしくなっているところがあると思うのです。それは何かというとアセスメントがちゃんとできていないということ。それから、児相に持っていこうとしても児相が受けてくれないというような形のところも現実的にあるとしたら、もし市町村が要保護児童対策協議会で受けた部分で、その部分が市町村がやり切れないというように市町村が判断するのであれば、189に市町村が電話をすればいいのではないか。そこが児相とは独立しているのであれば、そこで判断をして、これは児相に回すのか、市町村にするのかみたいな形のことを考えてもいいのかなと思うぐらい、要はケースの見立てが違ってくるので市町村で大丈夫だと思って見ていたものが、それは本当はもっとやらなければいけなかったのではないかというところになっているから、入力を一本化してどこかで1つのフィルターをかけた方がいいということだと思うのです。
泣き声通告だとかというのは市町村に来ようが189に来ようが全く突発的なものなので、余りよく分からないので、これは189でいいと思いますので、市町村がある程度つかめているものはそこである程度のアセスメントができるので、要保護児童対策協議会中心にできるのではないかとも思います。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
井上委員、どうぞ。
○井上委員 今、つかめているかどうかということに関しては、乳児全戸訪問が始まって以来、実際に97%近くの方たちの状態の把握は既にでき上がってきているわけです。ですから以前のケースに関してはいろいろ大変だったのですけれども、平成20年以降のケースで見ていきますと、その中の子どもさんであればほとんどすぐその方がどういう状態かというのはデータとして出てきます。ですから、そこも徐々に進化して変わってきているんだぞということを認知しながら考えていく必要があるのではないかと思いました。
○奥山座長 基本的な情報の共有ということについて、中板委員からも資料をいただいているので、これはどちらかというと母子保健と福祉の共有なのでしょうけれども、情報共有ということで一言何かありますか。
○中板委員 ありがとうございます。
情報共有が非常に重要です。今の課題は通告受理から始まる話ですが、母子保健の立場では、妊娠届情報が積み重なって、その情報を活かしながら、結果的に予防的に支援につなげている。畠山先生の研究班の資料を見せていただいて、この中で予防的支援というところから虐待を判断できるパターンがありまして、そのときに同じ市行政で母子保健の情報と児童福祉、要保護児童対策協議会の情報が途切れてしまうことが多い。私の資料の3ページに書かせていただいていますが、発見から虐待と判断するまでの危機意識の持ち方とかに差があって、結果的に発信、提供される情報にばらつきが生じてしまい、包括的な視点で早目に予防対策につながりにくいという側面がどうしても生じてしまいます。ハイリスクに限る話ではなくて、全ての健康関連情報が市の中で一元化できる情報管理システムがないと、本当の予防がなかなか充実しないと思っております。
○奥山座長 ありがとうございました。
では、かなりいろいろな御意見をいただきましたので、また幹事会でもまとめていきたいと思うのですけれども、2つ大きな問題があって、1つは通告をどこで受け付けて、どこで振り分けるのかという問題。もう一つは情報をどういうふうに管理するのかという問題、そこのあたりを少し詰めていく必要があるのかなと思いました。
辰田委員、何かありますか。
○辰田委員 ケースの振り分け機関とは外れてしまうかもしれませんけれども、ケースの振り分けについて資料7の7ページの(6)です。これは8月に前の専門委員会の報告書を受けて、全国児童相談所長会で相談体制の充実に関する要請を雇用均等・児童家庭局長宛てに出したものです。
7ページの(6)ですが、少年警察活動規則の改正について、警察からの通告が児童相談所に逼迫しています。特に面前DVの件数が増えてきていて、児童相談所の業務も逼迫している状況です。ゼロ歳児の前で見せた夫婦げんかが心理的虐待に当たると通告を受けているのですが、DV相談を解決していくに当たって、児童相談所が対応しても子どもの前で夫婦げんかはやめてくださいという注意でとどまってしまう。DV被害を受けた方への支援というのは児相ではなくて市町村の方が適切だと思っております。
ですので、指導福祉法の第25条、要保護児童の通告先については発見者が市町村、福祉事務所、児相、いずれかの機関に対して行うことができるとされているにも関わらず、少年警察活動規則第38条2項においては、通告先は児童相談所だけに限定されています。つきましては活動規則についても市町村を加えていただき、DV、または泣き声で臨場したものについて、全て児相ということではなくて、市町村への振り分けの検討をしていただければと思っております。
○奥山座長 中板委員、どうぞ。
○中板委員 今のお話を伺って、先ほど私がお話をした部分と重なりますが、例えば児童福祉部署に自分は電車に飛び込みそうになるといった相談があったときに、児童福祉部署が、その方の健診受診状況と母子保健に連絡を入れたとします。母子保健担当者は「健診」について聞かれたので、健診は問題なかったですとお答えいるわけです。そういったときに、ただ、問診票を見ますと既にお母さんは乳児健診のときに自分はいらいらする、眠れないといったことも言っておりまして、そこについては情報提供がなされない。それは健診の目的はあくまでも子どもの発育、発達の情報提供ということになってしまって、お母さんの方の重要な状況が提供されないで終わってしまうということがありましたので、やはり情報が活かされない段階で共有できるような仕組みが必要なのではないかと思ったところです。
○奥山座長 ありがとうございます。
では、先へ進ませていただきたいと思います。
介入支援機能の分化ということに関して挙がっておりました。全体の図の中で支援として、支援の主体は基礎自治体というような大きな流れですけれども、措置した事例のマネジメントであるとか、支援の構造を作っていかなければならないケースというのも中にはあるということを考えますと、その支援と調査をしていく保護、介入のところの機能と、そこを1つの機関でやるべきなのか、分けるべきなのかという点に関してはいかがでしょうか。
菅野委員、お願いします。
○菅野委員 先ほどの資料で見ていただいて、3ページ目あたりの議論なのかなと思います。虐待の対応ですので完全に全面受容による支援まで繋いでいくというのは難しくて、子どもが被害を受けるようなことは認められないというスタンスの部分受容による支援をしていくことになるのです。まず、時には不同意のままいろいろな情報を集めアセスメントしながら評価をして支援につないでいくという形になります。対立から始まる関わりです。今、児童相談所の中でそれを一手にやっています。もちろんそういうことに長けたベテランの職員が上手に立場や方法を使い分けてやっていけばできないわけではないのです。ただ、現状を考えて若い職員とか経験の少ない職員たちが、それをやっていくようになれるには随分と時間もかかるし、専門的な関わりというところで分けていった方がいいのではないかと私なんかは思っています。
初期の介入の部分では法的な対応であるとか、介入の仕方とか、過誤があれば裁判が起きたりというようなこともあるのかなと思います。いわゆる初期対応、子どもの安全についてのアセスメントと安全確保という部分は、全国共通で同じようなツールを使って、同じような手法で同じような判断が行われて、同じような対応が行われるというようなところが必要なのではないかと思います。
支援の部分に関しては、都市部であれば民間とか、いろいろなところがあるかもしれません。地方の方へ行けば公が担わなければならないようなところもあるかなと思うので、それぞれの地域の事情に合わせた専門的支援をする機関、それから、基本的に生活にまつわるサービスは基礎自治体でやるというように分けていった方がいいのではないかと私自身は考えています。
○奥山座長 ありがとうございます。
藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 菅野委員とかぶるわけですけれども、基本的には児童相談所で介入と支援を所の中で分けているところが多くありまして、実際に介入しながらその後も非常に強権的な保護を行った後に、同じセクションの者が支援を行うというのは、よほど「スーパーケースワーカー」でなければなかなか難しいというところがありまして、基本的には介入と支援を分けていくというのは非常に重要なことと思います。し、保護と支援が分かれることで、より積極的な子どもの安全を第一にした保護が可能になっていくのではないかと思っています。
もともとそういったことを考えた場合に、児童相談所の中で介入と支援を分けていくというイメージを思っていたのですけれども、支援を考えていきますと遠方の児童相談所まで通所するといったことであるとか、または都道府県はそもそも支援メニューをそんなに持たないわけですから、基本的には支援は基礎自治体が行っていくのがより効果的ではないかと思いますので、この資料2のイメージ図にありますように、保護・介入を児童相談所が中心に行い、その後の支援については、一般的な支援もこのような強権的な保護を行った後の支援も、基礎自治体である市区町村が担っていくというのは非常に分かりやすいのではないかと思っています。
ただし、問題は児童相談所が行った保護ケースのその後の支援を市区町村に引き継いでいくわけですけれども、ここの連携というのはとても難しいのではないかと思っていまして、これは先ほど言いましたように政令市とか中核市のように、同じ自治体の職員であれば可能になってくると思うのですが、自治体が異なっていく場合に個々の連携はかなり十分な共通アセスメントであるとか、または支援の方向性についての共通のゴールを持たなければうまくいかないのではないかと思っています。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
辰田委員、どうぞ。
○辰田委員 安全確認、調査、一時保護の場合は、児童相談所は保護者と当然対立することも多いわけなのですが、初期対応時の保護者の対応や子どもの状況の援助が当然出発点になっております。介入はその法的対応で議論もあるのですが、虐待対応において援助は保護者の意に反しても保護者がとるべき行動上の枠組みを示し、その指導に応じてもらうという構造上の改善を促していかなければならないと思いますので、介入から支援、指導まで一貫して行うことが効果的だと思うのです。当然それは児童相談所だけでできるわけではりあませんので、市町村や民間機関が実施し、児童相談所の援助の一環としたプログラムを作っていく。そういったことが必要だと思っています。
○奥山座長 ありがとうございます。
松原委員長、どうぞ。
○松原委員長 一委員として発言させていただきます。
私も今、議論になっている介入と支援で分けるべきだと思います。ただ、その場合に市町村が支援をやるんだということをきちんと法律に分かりやすく書く必要があると思うのです。
今でも現場に基礎自治体の職員の方が行くと、私も児童相談所の職員だと思われていますというようなことで、やはり保護者からそんなに区分はついていない、同じ役所でしょうという感覚があるので、きちんと法に明記すると同時に、これは地域の実情によるかと思いますけれども、本日の冒頭の資料の3枚目に書いてある、一番下のところに民間機関というものが図の中に入っています。この民間機関の活用というのも状況が許せばするし、これは法上の規定というよりは、その先の運用の話なのでしょうが、今いろいろ支援をするよと言ってもメニューがほとんどないという状況ですので、こういう区分ができたらロードマップの中で是非在宅支援メニューの開発を促していくこともしていくべきではないかと考えております。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
松原委員長に1つ質問なのですけれども、委員長がおっしゃっている介入と支援を分けるというのは、分けた後で支援は全部市区町村という形でしょうか。
○松原委員長 幹事会でもその辺が議論になっていて、そのマネジメント、進行管理のところは児童相談所を設置する自治体の役割になるのかなと考えております。
○奥山座長 ありがとうございます。
他いかがでしょうか。基本的に支援が基礎自治体へというのは恐らく皆さん納得されているのだと思うのですけれども、その都道府県等に残るマネジメントの部分を調査、介入、保護というラインから分けるのか分けないのか。その辺についての御意見をいただけますでしょうか。
○松原委員長 1点補足させてください。
全てのケースを児童相談所に残すわけではなくて、介入的な関わりを持ったものについて一定期間マネジメントするという意味で、最初からいわゆる養育支援という形で関わる部分については、支援を担う基礎自治体に任すのでいいのではないかと思います。補足です。
○奥山座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
加賀美委員、どうぞ。
○加賀美委員 私は前の委員会でも申し上げたのですが、保護のパラダイムから養育のパラダイムをどのように振り分けていくのかというのが、今回の新しいシステムの肝になるところだと私は思っているので、支援という言葉を使って全てを表現するのは難しいなと思っています。
基本的には養育の部分、子どもの全人的な養育の部分は市町村という身近なところでやっていくという大きな流れの中の支援であって、虐待を受けた子どもあるいは非行の子どもというように、保護を必要として治療を要する支援の子どもたちの問題を扱う支援のメニューは従来どおり児童相談所が中心にやるのだろう。それは培ってきた社会的養護という保護のシステムと連携しながらやるという枠組みは、従来どおり変わらないのではないかと私は思っています。
○奥山座長 それは子どもも親もという考え方ですか。○加賀美委員 親の問題は別に分けてということもあり得るだろうと思いますけれども、それはテーマによってだろうと思いますので、一概にそうは言い切れないだろうと思います。
○奥山座長 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 1時間は黙っていようと思ったのですが、55分で果ててしまいましたが、今のは議論の原点の部分だと思うのです。分離した機関ですね。例えば児童相談所が分離して、それを今度例えば28条をやって、その親に対して同じ児童相談所が支援ですと言ったっていう話はもともとあったはずなのです。それに関わらず、子どもの支援をやっていくというのは分離したケースのうちで、おうちに帰れるとか再統合できるのは10%台ぐらいというデータが出ていますので、ちゃんとした再統合ですけれども、90%は自立支援のままでずっといくのです。そうなると、それは児童相談所のワーカーが責任を持ってそれに寄り添っていくというのが望まれるのだけれども、一方で家族の支援はそれを分離するということを原則にしていったはずなので、それは市区町村というか基礎自治体の方に支援をお願いして、でもハードなケースでしょうから、そこをバックアップしたりする機関あるいはマネジメントをする機関を都道府県単位というか、児童相談所を設置する自治体が、児童相談所とは別にそういう機関を作るというのが私の中ではイメージとしてはあります。
○奥山座長 親に対しては市町村ではなくて、そういう機関を作るということですか。
○西澤委員 ではなくて、そこはアメリカでトレーニングを受けたので、アメリカのイメージしか湧かないのですけれども、例えばCPSが分離をして、親は民間の機関がサポートするという口頭オーダーが出たときに、社会福祉部のワーカーがそれにつくのです。ついて、その支援がうまくいっているかどうか。いっていないときにはまたそこでアレンジしたりとか、ソーシャルワーカーがずっとその家族についていく。その人たちは基本的にはマネージャーなのです。それはDSSの公務員です。ソーシャルワーカー公務員で、でも実際に支援をやっているのは民間機関なのです。そういうイメージなのです。
○奥山座長 DSSとはDepartment of Social Servicesです。
加賀美委員に質問よろしいでしょうか。先ほどの養育に関しては基礎自治体だということになると、例えば分離した子どもがちょっと障害を持っている。そこが今、時々二重措置みたいな形で、なかなか障害に対する支援を市区町村で受けられないという実態があるわけですけれども、そういうことに関してはどのようにお考えでしょうか。
○加賀美委員 現在できないというのは、基礎自治体そのものにそれを支援できるようなツールがないということが一番問題なのだろう。あるいは人の問題も含めて。だからそういう専門性を含めて市町村にどのように機能させるかということは、これからの問題ではないですか。
○奥山座長 実際に例えば療育のグループがあるにも関わらず、そのグループに入れないという事態が今、起きている状態です。
○加賀美委員 私はちょっとその辺の情報を持っていないので、どなたか。
○奥山座長 井上先生。
○井上委員 入れないというか、私たちのところでは児童養護施設の園長先生が親がわりになられて、その方が子どもさんの状態で必要と判断してくださったら、訓練施設にきちんと受診するという形で行くことは普通にできているという状況です。それができないという状況があるのですね。
○奥山座長 無理と言ってしまう市区町村もあるようなのですけれども、それよりも今後のあり方としては、当然それは基礎自治体で担うべきと考えてよいでしょうか。児童相談所が担うべき問題ではなくて、養育に関するものは分離された子どもであっても基礎自治体の役割で、先ほど西澤委員がおっしゃった自立に関しては児童相談所設置自治体の役割、と括ってもよろしいでしょうか。ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。武藤委員、どうぞ。
○武藤委員 基本的には菅野委員の3ページ目にある介入と支援の分離をするという方向で進めることについて賛成であります。
ただ、ここの黄色の部分、本日は支援と介入と在宅支援だとか分離、分離も統合と自立というのがあると思うのですけれども、この援助効果の評価、ここのところが今、児童相談所は十分できていないのです。結局その子どもたちが安定しているのか、自立できているのかどうかということも含めて、援助効果の評価という部分はとても大事なところで、是非児童相談所として、措置権者としてこの社会的養護のニーズの高い子どもたちの分離や在宅支援もあると思うのですけれども、その子どもたちがどうなっているのかということのちゃんと把握をしながら、施設や里親等がもっとこういった支援をしてよとか、もっと市区町村はこう関わってよということを含めて、評価とその後の把握支援といいますか、そこのところも重要だと思っていますので言わせていただきました。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございました。
菅野委員、何かコメントはありますか。
○菅野委員 一番大事なポイントはお話いただいたかなと思います。だから援助方針の決定、それがどういう援助をするのか、結果どうなのかということをと踏まえて、さらに援助方針を考え直していくというサイクルをどこかで確立しなければいけないだろう。それは在宅であれ分離であれ、パーマネンシーで自立という形でも一緒なのかなと思うのですが、ここら辺のところが今、悩みどころです。介入と支援とそこをちゃんと評価するという、本当は決めたり評価する場所も要るのではないかという思いもどこかにあって、3つの機関にしてしまう…またややこしいなとか、頭の中がぐるぐるしているところです。
援助の効果の評価に関しては、児童相談所がいいのかというのはまだ私の頭の中でもまとまっていませんが、このポイントは御指摘のとおりすごく大事なところだなというようには感じています。
○奥山座長 井上委員、どうぞ。
○井上委員 井上です。今、援助の効果の評価のところなのですけれども、小さい子どもさんたちで例えば体重増加不良があったりとか、身長が伸びないという状況があったり、あるいは一見知的に遅れているというのに入所する段階で判断された子どもさんに、同じスケールを使って適切な関わりをしてもらえるような施設に入った後、3カ月とか6カ月という形で、急速に改善するケースは3カ月でかなり変わるのですけれども、そういったところをきちんと評価して、短期間に改善している、改善率が通常の改善率よりはるかに高いということであれば、それだけで措置が正しかったという判定になるのです。子ども側にとってみたら。ですからそういったものをきちんと行うことさえすれば、必ずこの評価というのはできるわけですので、そういったものを標準化していくというか、どこでもしましょうというようにやっていった方がいいのではないかと思います。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
今のお話を伺っていると、現在の児童相談所では、介入分離のところで疲れてしまって、分離してはいおしまいというのが多いことを考えると、やはり違う組織としてしっかりと支援の評価までできるような機関を作るということも、1つの考え方なのかもしれないです。
他にいかがでしょうか。どうぞ。
○平田委員 今の井上委員の意見に加えてなのですが、特に乳幼児の子どもの発達は非常に課題が見えづらいので、今後、里親さん等への委託が進んでいったときにも、何故育てづらいのかが分からなかったりすることも多くあると思います。そういう意味で、現在、乳児院にお預かりするお子さんが発達課題に沿えば、3カ月、4カ月でキャッチアップしていく姿があります。きちんと評価されれば今後の支援の手だてとしても有効だと感じました。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。また最後に時間がありましたら総合的に議論したいと思いますので、先へ行かせていただきます。
一時保護・アセスメント機能の整備というところに行きたいと思いますが、どなたか御意見ありますでしょうか。先ほど菅野先生からも少し御意見が出ていたと思いますが。
○菅野委員 一時保護に関しても、今、児童相談所がやっている一時保護を少し見直してみる必要がある。一時保護所で行う業務になります、いわゆる私の資料でいくと4枚目のところに一時保護所の役割というように書いてみました。大きくここ2つに分けたのですけれども、実は4つぐらいに分かれるのかなと思っています。
1つは安全を確保するという意味でのシェルターの機能です。これは緊急的に相談所の保護所であったりとか、病院である場合もありますし、施設である場合もありますが、そのように緊急に安全を確保するシェルターの機能ということです。もう一つ虐待対応の中でポイントになってくるのが、子どもを分離・保護した状況で子どもからの聞き取りをしたり、安全確保をしながら調査をするという形での調査保護という形で、それを利用する場合があります。
もう一つ、昔から一時保護所として利用されているレスパイトでのケアみたいな形で支援の一環として使われている場合があります。それと例えば心理教育をちょっと集中的にやりたいということで、短期に集中して一時保護を利用するという形で、要は4つぐらいのパターンで今まで一時保護所は利用してきたなというように思います。
現在はその中でいわゆるシェルターの機能と調査保護という形のところにエネルギーを割かれるというか、量的に対応することになっています。だからこのあたりの使い道と年齢、それと子どもが抱えている問題というか課題というように、幾つかの軸があり、それが交錯しているというのが現状になります。ただ、それをそれぞれが独立した形でというようになると、かなりこれは難しいことになると思います。このあたりのことをうまく機能するようなシステムを考えていかなければいけないと思っているところです。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございました。
幹事会の方では、里親さんとか施設とかの一時保護委託をもう少し活用すべきではないかという意見が結構大きかったのですけれども、どの機能がとはなかなか難しいかもしれないのですが、もしそういう方向だとすると、どのあたりが委託ができて、どのあたりが委託ができない問題なのかというのを教えていただけますか。
○菅野委員 まず一番イメージとしてあるのは、養護の部分です。これは里親さんたちとよくお話をしているのが、滋賀県でも中学校区に1つの里親さんは必ず確保したいよねという話で、里親さんたちとか行政の中でお話をしているのですけれども、そういう里親さんに委託をするとするならば、レスパイト的なところであるとか、少し養育のサポートという形で子どもが極端に不自由をしないというか、同じ学校に通えるようなレベルのところでお願いできる。一番分かりやすいのはそういう部分になるのかなと。逆に言うと使いにくいのは、例えばシェルターとしてというようになったときに、その里親さんのご家庭の安全をどう確保できるかということも大切になります。そのような危ないケースに関しては里親さん、地域で暮らしておられますし、守りという意味では弱い部分もあるので、中身によっては使えるもの、使えないものというのはあるのかなと考えます。
○奥山座長 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 一時保護機能については菅野委員が言われたとおりなのですけれども、一時保護所がいっぱいという現実があって、一時保護ができない児童相談所自体もたくさんあるわけなのですけれども、機能だけではなくて、どのような一時保護をイメージしていくのかというのがとても大事かなと思っています。
どうしても一時保護所というイメージで皆さんイメージすると思うのですけれども、一時保護所も小規模化とか、または地域化という流れの中で元里親さんであるとか、または一時保護に特化した里親制度を構築していくといったことも必要ではないか。そうした場合にある程度専門性を持った里親さんの育成といったことも必要かもしれませんし、その中でよりトリートメント的なことも可能になっていくのではないかと思います。
現在の都市部を中心にした20人、30人、40人、70人といった大規模な一時保護所のあり方がそれでいいのか。これは社会的養育ワーキンググループの課題かもしれませんけれども、そこについて見直していくべきではないかと思います。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。加賀美委員、どうぞ。
○加賀美委員 アセスメントという機能の問題のところで、先ほど菅野委員からお話があったところです。
一時保護所をスタートとするアセスメントの問題というのは、実は大きく今回のシステムの中で保護と養育という組み分けをしたときに、保護を必要とする子どもたちというのはある意味で重い発達課題を抱えている、つまり治療的支援を必要とする枠組みの子どもたちだという流れを最初に作るのがこの位置づけだろうと思っているのです。だからそういう意味で一時保護という、どういう形態でというのは議論はいろいろあると思いますけれども、いずれにしてもその時点から治療的養育支援に乗せていくという子どもたちであるという意味で、極めて重要だと考えます。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。平田委員、どうぞ。
○平田委員 乳児院の方で乳児の一時保護をずっと受けてきた感じで申し上げると、中板委員がおっしゃってくださった母子保健のときからの情報がつながれていくことが非常に大事かなと思います。それと未妊健での飛び込み出産で緊急保護というのも非常に多く、そのリスクをどう見るかによっては、乳児の里親さんへの一時保護のあり方も専門性というかアセスメントというか、手順が必要かなと感じています。
○奥山座長 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。武藤委員、どうぞ。
○武藤委員 藤林委員と多少同じような意見になってしまうのですけれども、都市部において一時保護所は全く足りないという状況があります。それから、午前中のワーキングでもちょっと話をしたのですけれども、余りにもひどい状態になって一時保護というのではなくて、もう少し初期的な利用型というか、一時保護という部分を子どもたちの育ちを考えてみると必要なのではないかということを考えております。
そういう意味からすると、絶対数が足りなくなってしまうのではないかと思いますので、先ほど藤林委員からは里親ということがあったのですけれども、今、乳児院はどちらかというと一時保護的な状況になってきているのですが、児童養護施設も家庭的養護でグループホームだとかファミリーホームだとかそういう形で地域化するということであれば、施設として一時保護機能を、全ての施設が持つことには多分ならないと思うのですけれども、地域の子どもたちが利用できるような一時保護というのが将来的には必要なのではないかと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 今の話に触発されたのですが、どうやって一時保護のキャパを、欧米型みたいな里親一時保護ができれば、そこは調整弁があるというかあれなのですけれども、日本みたいに一時保護所というキャパがあるところでどうやったらいいのかなと思っていたのですが、ふと思いついたというか、市町村の施設でショートステイを受けている施設がありますね。そのショートステイの中に、この前のワーキングで塩田先生がいるところなんかは一時保護を受けているのです。法的にどうなっているのかよく分かりませんけれども、そうするとそのように一時保護された子どもというのは個室対応になって1対1のケアワーカーがつくのです。そういう既存のショートステイの枠組みをうまく利用することで、柔軟な一時保護対応というものが可能になるのかなと思ったのは、今、武藤さんが言ったみたいな形で施設に入れるというのもいいのですけれども、集団の生活の中で生活せざるを得ないので、ちゃんとしたアセスメントができるのかというと、そこは不安が残るので、そのようなショートステイの活用ということが現実あり得たとしたら、1つの解決策になるのかなと思いました。
○奥山座長 井上委員、どうぞ。
○井上委員 西澤先生が今、言われたのはすごく大切で、私たちのところで小学生のときにDVで離婚された後、お母さんが今度は子どもを育てて、おばあちゃんと一緒に育てていたら、そのお母さんががんになられて亡くなった。おばあちゃんとその子どもさんは育っていって、その子が中学生になったときに今度はおばあちゃんが認知症になってしまったのです。その1対1で子どもさんがとても大変だからということを訴えたら一時保護されたのですけれども、一時保護先が普通の一時保護をされてしまったために、その子どもさんは、そこでとてもここでは生活できないということでまた帰って、そのおばあちゃんとまた1対1で、認知症がどんどんひどくなるおばあちゃんと過ごしてしまった。そのときに次どうしたかというときに、先ほど言いました西澤さんが言われた児童家庭福祉センターの保護を使いまして、ショートステイで少し預かっていきながら近辺で里親的なものがないか探しながらやっていくということをしたのですけれども、たまたまその里親さんが近辺にいない。本人がはっきり里親に行きたいと言っているのだけれども、その行かせるところを考えたら別府しかなかった、遠いところしかなかったということがあって、そういったときにどういったやり方がいいのかというのを考えなければいけないと思うのです。
ですから菅野委員も言われたように、一時保護対象となる子どもさんのタイプがどういうタイプがあるのか。菅野さんは4つと言われたのですけれども、今みたいに多様な状況になってきたらもう少しあると思いますので、そういうものをある程度グループ化して、一時保護のタイプを分けていかないと、今後大変になるのではないかと思っています。
以上です。
○奥山座長 辰田委員、どうぞ。
○辰田委員 当然、今、児童相談所も一時保護を実施するに当たって、まず第一に一時保護所だけということでは当然ないです。相談の主訴に応じて里親さんにお願いをしたり、児童養護施設に一時保護委託をかけて、また、地域とのつながりを持ち、学校にも通える形をとっています。ただ、一時保護所の保護は都市部という話になりますが、一時預かり所になっているところがあって、きちんと子どもの行動観察とかケアにはなかなか手が回っていない。また、非行の子、虐待の子が入り交ざっており。保護所の体制をきちんとっていくことが必要だと思っています。
○奥山座長 ありがとうございました。
他にありますか。お願いします。
○泉谷委員 一時保護の問題は、今どうしてもキャパが足りないということが多く議論されるかと思うのです。けれども、私は女性の一時保護に携わってきたところから、一時保護をされるときというのは多分、子どもにとって非常に緊急事態であって、そこに寄り添うことと、あなたが今ここに来なければいけないことがあったとしても、大丈夫だからねということをちゃんと寄り添えるだけの人がいなければ、子どもにとっては一時保護をされることによって逆に傷つき体験が増えてしまうことがあると思います。キャパの問題とあわせて人をどれだけつけていくかとか、手厚くできるかということも考えていかなければいけないかなと思います。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。非常に重要な点だと思います。
藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 ここは重要なところで、一時保護のキャパが都市部中心に、ニーズに対して非常に小さい。もっと大きく必要がある、という点は大体いいと思うのですけれども、その場合に、定員を増やしていくのか、また新たな一時保護所を作っていくのか、それとも私が提案したような地域化とか、または小規模化といった方向で増やしていくのかという、大きな分かれ目ではないかと思います。
西澤委員が言われたみたいに、欧米型の里親型の一時保護を増やしていくという方向が多分望ましいのではないか。または子どもが遠くの一時保護所に行くのではなくて、なるたけ安全面も考慮しながら、より住みなれた地域の中で一時保護を行っていくことが重要かなと。そうした場合にどのようにしてそのような専門性を持った里親を育成していくのかという問題であるとか、または里親さんに対するバックアップ体制、サポート体制をどうしていくのかというのは、次の大きな課題と思っております。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
課題がかなり大きいものが多く見えてきたような感じですけれども、他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。大体いろいろな御意見は出たようですので、次に行かせていただきます。これも非常に大きな問題で司法関与のあり方ということで、浜田委員から資料が出ておりますので、少し御説明いただけますでしょうか。
○浜田委員 ありがとうございます。浜田です。
資料4として、岩佐委員と私の連名での資料を今回出させていただいておりますので、これの若干御紹介を差し上げようと思います。
最終的にはお読みいただければと思うわけですけれども、一言で申しますならば、今回のレジュメに書かせていただいたことはとても重要なことなのではあるのだけれども、実現になかなか時間がかかりそうだなということでございます。
順番にレジュメに沿って御紹介を申し上げます。まず現状は飛ばしまして、意見1で一時保護のところですけれども、実際問題として、親の親権でありますとか、子どもに対しても大きな影響を与えているということから考えますと、本来であれば一時保護たるものは行政の一方的な判断ではなくて、司法が関与する枠組みがあるべきだというように考えられます。もっとも、ではそれがすぐにできるかというと、次のような(2)のところの課題があるのではなかろうかと思います。これらは既に児童虐待防止のための親権制度研究会等での指摘もあるところですけれども、下の○のところです。
まず裁判所が判断する要件が明確になってこないと、現状のように必要があるときはというような形では多分、裁判所としては判断のしようがないということになりかねないと思います。
次、親権者の同意がある一時保護というものも、もちろんかなりの数あるわけですけれども、そういうことについても司法手続を必要とするのかどうかという話です。虐待ケースを念頭に置くと親御さんが反対をしてということになるわけですが、実際にはそうではないものもたくさんあるわけですので、それを司法手続に乗せるのか乗せないのかというところは、大きな論点の1つになってくると思います。
あと一番下のところで下線が引っ張ってあるところなのですけれども、一時保護に司法が関与するということで、これが杞憂に終わればいいのですけれども、例えば人的にも体制や専門性の確立が十分でないと、本来、一時保護がなされるべきなのに、そこで躊躇なされてしまうということがあると困るなと思います。
あと、司法関与があるということになると、恐らく現行のようにまず2カ月、その後、必要に応じてというような長い期間というのは、到底認められない方向になると思われますので、そうなってくると今よりもかなり限定された期間の間に、果たして28条等が必要なのかどうかということを判断せねばならない。そこは急いで判断せねばならないということも懸念されるところです。
その下のところですけれども、児童福祉司さんそのものがきっちりとした専門性に基づいてきっちりとした判断をしていただけるという体制を確保できないと、あとは裁判所にとりあえず投げてしまえ。あとは裁判所の判断に従おうということになったら、これは本末転倒な気がするということがもう一つです。
その下ですけれども、虐待への対応件数、全国的にかなり多いところ、少ないところの差異は大きいところですので、このあたりの制度を作るに当たっては、どうしても都市部の意見がということになってしまわないように、地方の実情も十分踏まえて検討がなされる必要があるであろうと考えています。
次のところで、意見2は今度は支援の段階において司法を関与させるか否かというあたりです。このあたりは、例えば治療命令とかもそうですけれども、いろいろ意見が分かれるところであろうと思っておりますが、何よりも、どんな制度を目指すのかということがここでは明確にされ、そこをきっちり議論するところからスタートせねばならないと思います。
真ん中より少し下のところで立法事実の検討というところを書いています。全体の法改正でカバーできていないのはどんな事案で、そこを是正するためにこんな法改正が必要だというたてつけになっていかねばならないと思うのですけれども、そこの検討が果たして十分であろうかということです。
その下、親権停止制度を活用することによって、実は実質的にこのあたりについての幅広の裁判所の関与というのが実現できるのではないか。典型的に申しますならば、例えば一時保護をしました。そのときに親御さんが大反対をして児童相談所に毎日押しかけてきておられるというときには、速やかに親権停止の、正確には保全処分を申し立てて、その親権、まずはそこで裁判所の早目の判断をいただければ、そこで親権が一旦とまるわけです。そこで親権代行者を誰か選んで、その方も絡んでいきながら親御さんとの話を進めていく。その後、改善が見られないのだったら最終的には親権停止の本案でも親権がとまっていく、という形がもしとれれば、この既存の親権停止の制度を使いながら、実質的にこのあたりの幅広の司法関与が実は実現できるのでなはいかというのも、方策として考えられるところかなと思っております。
というところも踏まえまして、先に行きますけれども、司法の関与に関連した抜本的改正というものが3ページのところに出てきていますが、このような、まずは児童相談所側の人的な体制もそうですし、資格化、専門化というところもきっちり確保されないことには、実は司法関与といったときにも、あり方がむしろ歪んでいってしまったりしては困るなと思います。
あと、例えば支援段階でこんなメニューを受けさせたいので、そこを裁判所からの命令でお願いしますとなると、そこでどのような支援メニューが考えられるのか。幾つも支援メニューがある中で初めて、この人にはこれが適切だと思うんですよねという選択が可能になってこようかと思います。そうなって参りますと、支援のメニューが充実していかないことには、その前提を欠くのではないかということも考えておるところでございます。
その他等にも書いていますけれども、大きなところとしては以上です。
○奥山座長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。基本的に司法関与というのは本来のラインなのだけれども、時間をかけてそこに到達をしていかなければならないという御意見だと思いますが。
○西澤委員 教えていただきたいのですが、非常にまとまったものを出していただきましてありがとうございました。
1点だけ聞きたいのは、司法の関与により一時保護の期間が一定の期間に限定されるためのというのは、いわゆる今、言う上限2カ月以内になるだろうというように推測される何か根拠はおありですか。
○浜田委員 まず一般論としまして、例えば逮捕とか勾留なども1つ参考にはなるかと思いますけれども、逮捕だったら基本的に1日、2日のところですし、勾留でも10日間、20日間というところです。司法が関与してここを判断するということは、基本的にはそれが主に親権、子どもの権利もそうですけれども、その制約に当たるからこそここで司法の判断が必要だというのが基本的な発想としてございます。
そうなってくると、そのときに絶対に短くならなくてはならないというところまでの論理的必然性はないと思いますが、権利の制約というのは通常は必要最小限であるべきだというのが一般論ですので、そこからスタートすると司法が関与して例えば1回の審理で2カ月というような、今のような長い期間はおよそ認められにくいだろうということです。
○西澤委員 ということは、司法だとおよそ認められないことを児童相談所は行政権でやっているという、逆説的に非常にねじれているわけですね。
○浜田委員 現実的にそういう側面は否定できないと思います。
○奥山座長 藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 浜田委員の非常に積極的な提案は概ね賛成したいと思います。
実質、一時保護が2カ月以上超えているのは本当にどうなのかと思うのですけれども、それはさておき、本日の幹事会提案資料の資料2のイメージ図を見ながら、要するに将来的には児童相談所は保護介入機関として特化していき、その専門性が高まっていくということと、今の浜田委員の前提として児童福祉の体制強化、専門性の強化というのは、ほぼイコールではないかと思っています。私もこのような一時保護に対する事前審査であるとか、または司法が直接親権者に関与することが、すぐには実現可能とは思っていないのですけれども、多分このイメージ図を実現していく専門性を高めるプロセスと司法関与とは、表裏一体で進めていくというゴールを示すことで、同時にやっていけるのではないかと思います。
もう一つは、イメージ図の中で児童相談所はマネジメント、強制分離した後の親権者、保護者に対するマネジメントを行い、支援は市町村が行うといったイメージは、ある程度司法的なフレームがしっかりあることで、市町村または民間機関もしっかりとした支援ができていくのではないか。現在の行政処分である2号措置では、なかなかここは非常にぐらぐらしてしまってうまくいかない。そこが、より強固なフレームが結びつくことでスムーズにいくのではないかと思います。
先ほどの親権停止の活用というのも、1つのプランとしてはいいのではないかと思っています。
残りは質問なのですけれども、司法、裁判所の事前審査については、一時保護が1つの代表すけれども、例えば立入調査であるとか、面会交流制限とか、こういったものは現在、児童相談所だけの判断で行われているわけなのですが、法律家としてそれでいいのかというところで御意見をいただければと思います。
○浜田委員 今の御質問の件なのですけれども、1つのあり方としては本当にその辺、例えば立入調査にしたって住居の不可侵というところをある意味侵すということでもあるわけですから、そこらにもすべからく司法審査ということは発想としてはあり得ないものではもちろんないと思います。あとはそれが合目的的な観点からどうなのか。また実際、そこで実現したい目的から考えたときに、それが手段として相当かどうなのかというところの現実的なところも考えつつ、そこは判断がなされるべきことであろうと思います。もちろん1つの選択肢といいますか、理念から考えていったときの1つの帰結ではあろうと思います。面会交流制限も同様に、今みたいな形でやっているのが、今の話とほとんど同じ話でして、それも権利制限に当たるというところを重視すれば、同様にそこも司法審査ということはあり得る話だと思っています。
○奥山座長 ありがとうございます。
浜田先生の資料にも臨検捜索のことも書かれているのですけれども、そこも少し触れていただいていいですか。
○浜田委員 私と岩佐委員の資料の3ページ目の下のところに、いわゆる臨検捜索についてということで、これは従前の専門委員会でも出ていましたとおり、再出頭要求というところまであることが手続として重過ぎるのではないか。適時にできていないのではないかという御意見もあったところです。今回のところでは再出頭要求まで要らないのではないかということをうたわせていただいております。
その次ですけれども、臨検捜索としては考え方としては今そこにも書きましたように、何もなくと申しますか、まだ全く入ったこともないようなところにいきなり例えば令状をとってきて臨検捜索をしようということも今、申し上げたように理念的なところから考えるとあり得る話だろうと思っています。そこから先が今の話のところでして、では通常の、今児童相談所の判断でやっているような立入調査なんていうものは変な話、なくしてしまって、全て裁判所の関与のもとに臨検捜索の名のもとに置いてやるということだってあっていいのではないかとか、もしかするとそれの方がふさわしいのではないかという議論にまでなっていく可能性はあって、そうなってくるとそこで先ほど申しました、果たして目的が果たせるのかというところが、それと対立する価値として出てくるのだと思います。そのあたりで最終的にどのあたりの制度が選択されるかという問題ではなかろうかと考えています。
○奥山座長 ありがとうございます。
浜田委員に私から質問なのですけれども、3ページ目の司法関与に関連した抜本改正というところなのですが、児童相談所の人的体制の強化、専門性の強化というところで、これは非常に漠然と書かれているのかなと思うのですけれども、どういう点を一番強化しなければいけないのか、何故この強化が必要なのかというあたりをもう少し説明していただいていいですか。
○浜田委員 すみません、ここが漠然としてしまっているのは、まだ漠然としか我々としても協議できていないというところもあるわけなのですけれども、1点申し上げたいのは、先ほど触れましたが、司法の判断を得て児童相談所が動くことになりますと、それは今までの専門委員会でも例えば児童相談所の方からも出ていましたように、そこである意味、お墨つきを得てといいますか、力強い、だって裁判所が言っているのだからということで裏づけにはなるのだと思います。
ただ、そこが逆に進み過ぎて、依存みたいなものが変な形で進んでしまいまして、児童相談所における例えば判定とかで意見がかっちり明確にならないままで、それでとりあえず保護したのだから裁判所にあとは判断してもらおう。あとは裁判所がこう言っているのだからということばかりになってしまうと、それは結局のところ、例えば判断のところが裁判所に過度に依拠することになり過ぎてしまって、それはそれで児童相談所としての本来あるべきパワーが発揮できないことにもなってしまわないかというところを危惧している。そういうことでございます。
○奥山座長 ありがとうございます。
松原委員長、お願いします。
○松原委員長 一委員として、質問なのですが、たしか一昨年の統計で臨検捜索ゼロなのです。その前の年は2件でした。立入調査もそんな数は行われていない。これは児童相談所側から今のシステムは使いにくいとか、何か理由かあって少ないのですか。その状況を教えていただきたい。
○浜田委員 私からよろしいですか。この専門委員会といいますか、この前身の専門委員会のときにも実はそういう話を差し上げまして、臨検捜索の件数が少ないのは紛うことなき事実なわけですが、その原因が果たしてどこにあるのか。すなわち手続が重過ぎて使いにくいのか、それともそんなところでは全然違う理由で件数が少ないのか、そのあたりは実態をもう少し知りたいという話をここで申し上げて、厚労省で調査をいただくような話もあったかなと理解しております。
○奥山座長 いかがでしょうか。事務局は何かございますか。
その間に感覚としてで、結構ですので児童相談所の方は如何ですか。
○辰田委員 都内におい、昨年たしか臨検捜索は1件あったと思います。そこは立ち入、再出頭要求をする中で安否確認ができている。会えないものについて手続が煩雑だから、やらないとか、そういうことは一切ないと思います。
○奥山座長 ありがとうございます。
菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 都市部の話がありましたので、田舎の方の滋賀の児相の菅野です。
似たような状況でした。臨検捜索のシステムが無駄なのかと言われると、それはあった方がいいなと私は思っています。ただ、手続が確かに何回にもわたるというのはあります。ただ、そのプロセスを経ていく中で安全確認ができたりというような途中の段階まではいくけれどもというところなのです。だから最後までいくようなレアなケースのためには、それこそ100年に1回の災害ではないですけれども、これは非常にレアなケースにも対応できるようなシステムとして構築してもらったらいいなと私なんかは思っているのです。このプロセスを歩むことで、そこの途中段階で親とコンタクトをとれたり、子どもの安全確認ができたり、子どもの保護ができたりということも実際にはあるので、使いにくいというよりも、そのプロセスが最後まで完遂するケースがそんなに多くないと理解していただいた方がいいのかなと思っています。
○奥山座長 藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 今の意見と反対のことを言うのですけれども、余りレアではないと私は思っていまして、うちは5年前から常勤の弁護士を置いているのですが、自宅で安全確認を行う、または子どもを保護するといった場合に施錠されていて入れない場合というのは想定するわけです。本格的に家庭に入って立入調査をするときに、臨検捜索のことは常に意識しながら入っていきます。それは内部にリーガルなサポートがあることで、より発想が進んでいったというのがあるのかなと思いまして、実際に臨検捜索の件数はないのですけれども、この2年間ぐらいでその準備は行いつつ、立入調査を行い、結果的には入れたというケースがあったりしております。
○奥山座長 皆さん同じことをおっしゃっているような気がします。
○菅野委員 そうです。同じことを言っています。もちろん準備をしていって、そのプロセスの中でそこまでいかないで途中で終わるという感じです。
○奥山座長 ありがとうございます。
事務局お願いします。
○大津総務課長補佐 浜田先生がおっしゃった調査については、集計でき次第、お示ししたいと思います。
○奥山座長 ということでよろしいでしょうか。
臨検の方に話を流してしまって申しわけありませんでした。大きな流れの中で司法関与の方向に向かうことに対して危惧を持っていらっしゃる方あるいは行政処分だけでいいのではないかという御意見などはありますでしょうか。よろしいでしょうか。将来的には本来、司法が関与すべきなんだという考え方に関しては御異議がないと考えてよろしいのでしょうか。武藤委員、どうぞ。
○武藤委員 3、4年前に司法関与のあり方について検討した際に、もちろんここの3ページの3の司法関与に関連した抜本的な改正についての児童相談所の人的体制だとか、各市町村の体制、ここはとても大事なのですけれども、その当時の議論ででていた課題としては司法側といいますか、家裁側の体制整備がなかなか難しいのではないかという課題も出ていたのです。それなので必要はあるけれども、実態は難しいだろうという意見も結構出ていて、そのハードルは越えられなかったということも1つの理由としてあるのではないかと思います。
以上です。
○奥山座長 16年改正のときもそうでしたので、多分そうだと思います。
よろしいでしょうか。では、先へ行かせていただきます。通所・在宅支援における措置のあり方。これに関しましては今のところ司指導というのが一応、措置にはなっておりますけれども、実際に例えば司指導を受け入れなかったらこうなるとかいうところがない、それから、例えばどこかに通った方がいいだろう。先ほど親の支援ということもありましたけれども、何らかのプログラムを受けるあるいは民間団体に通った方がいいのではないかというのがあっても、その手立てがない。通所に関する措置というのは今のところ情短と児童自立支援施設ですね。それ以外、通所措置というのはないということになっていますので、そこを新設して、もう少しその支援を受け入れてもらえるような仕組みを作ってはいかがかというこれは案でございます。それに関しての御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。加賀美委員、よろしくお願いします。
○加賀美委員 午前中の話ともつながるところでございますけれども、保護し切れない子どもたちの問題をどうするかという話の中で、市町村にその役割をということから地域の拠点を作りながら、そこで支援をしていくという構造を立てていこうというときに、その子どもたちの具体的な支援をしていく市町村に人を準備し、専門家をそこへ置いていくということも踏まえて、その財源の問題も考えながらということになると、当然そこに措置あるいは措置費といういわゆる公的扶助、公的支援の問題、財源支援の問題が出てくるのだろうと思います。そこは切って切れない話なので、そういうことも踏まえて、その子どもたちがたくさん放置されているに近い状態を考えたときに、そこに手を打つということであれば、今回の新しい社会的養育システムの中の重要な課題になるのではないかと思っております。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。秋山委員、どうぞ。
○奥山座長 ありがとうございます。
今のお話はどちらかというと二重措置の問題ですかね。例えば里親さんに行って、そこから保育園に通うことができるかできないかとか。
○西澤委員 それはできます。
○奥山座長 施設がだめなのですね。
他に御意見ありますか。松原委員長、どうぞ。
○松原委員長 先ほど私、在宅支援メニューが足りないという話をしました関連で、通所等を是非実現していく法改正をお願いしたいと思いますし、そのときに専門的な機能を付加をしたという前提で児童養護施設、母子生活支援施設等への通所と、場合によっては宿泊というような支援のやり方もあるので、一定期間ショートステイといいますか、母子の場合は親子でショートステイになるのでしょうけれども、そういったものを法のサービスメニューの中に、施設の提供できるものとして書き加えることを検討できたらいいなと思います。
○奥山座長 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。どうぞ。
○泉谷委員 今の委員長の発言にプラスさせていただくところなのですが、通所とか在宅支援、とにかくどこでやるかではなくて、何をやるかのプログラムの部分と、利用者にとって利用しやすい場所で使えることを考えたときに、どこでやるということを決めてしまうとすごく狭まってしまうと思います。ですので、そのプログラムというものをきちんと確立して、それを請け負えるところがきちんと研修なりを受けて実施をしていくという体制を整えていただけるといいかなと思います。
以上です。
○奥山座長 いかがでしょうか。藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 通所措置のイメージは、いわゆる民間の心理センターのような、または虐待防止センターのようなところが例えば愛着形成プログラムや他のケアプログラムを行う。それに対して十分な措置費が支払われるということで、そのようなNPOなり民間機関が全国各地かどうか分かりませんけれども、ある程度広がっていくのではないか。そうすると今、言われたように身近なところで通所が可能になっていくのではないか。遠くの情短まで到底行けないわけなので、それが各全国いろいろなところで広がっていくようなイメージをすると、一定の措置費を投入していく必要があるのではないかと思っています。
以上です。
○奥山座長 ありがとうございます。
西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 通所という言葉のコンセンサスができていないのではないかと思っていて、もともとアメリカから引用したものなので、デイケア、デイトリートメントなのです。どこで話したか分からなくなっているので重なるかもしれませんけれども、例えば朝8時半から夕方4時ぐらいまでそこのプログラムに行くわけで、子どもが通うわけです。それを通所と呼んで、例えば私が虐待防止センターでやっているような、通ってきてもらって外来でやっているのは通所ではない。だからそれは外来の治療なわけですから、そこが一緒になってしまうと思うので、在宅にいながらも支援を受けるときに、それが措置費が使えるようなというような括りなのかなと私は理解しました。
○奥山座長 そうすると、通所という言葉は使わない、つまり西澤委員がおっしゃる通所に限るのではなくて、広くとっていいというようにとっていいですか。今の御意見は。
○西澤委員 もう一回言いますと、そういう意味での通所というものが手当されたのは情短施設だけなのです。ただ、今、情短施設はほとんど通所をやっていないというのが現実だと思います。
○奥山座長 いかがでしょうか。通所という言葉がある一定のイメージを持たれるということで、広くもう少し支援に通う手当みたいな形で考えていただくということなのですけれども。
○加賀美委員 在宅支援の中にも入っている。
○奥山座長 在宅もそうですけれども、在宅支援の中にどこかに通うということも入れるという考え方ですかね。
平田委員、どうぞ。
○平田委員 在宅支援という考え方が有効だと思うのは、一時保護をお受けしたときに子どもの状態を不安に思いながらもとりあえず一時保護ということでお返しすることが多くあり、多分、お母さんは在宅で子育てのいろいろなことに困っているのだろうと心配しつつ手が出せなかったところに継続して支援が入れられます。そうすれば、一時保護委託解除後、在宅で死亡事故が起きるということも防げていくのではないかと思います。
○奥山座長 家事支援のような支援も含めて、そういうものも入れていくということですね。
菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 先ほどの西澤委員の話です。児童相談所がこれまで通所指導という名称でやっていたのはどんなものかというと、例えば週に1回親子で通ってきてカウンセリングを受けたり、いわゆる治療的なところを児童相談所の中では通所指導と言っていたなと思って、用語をある程度精査しておかないと、通所措置と言われたら今までどおり児童相談所で親と契約的にやっている26条による継続指導とか、27条での措置による児童福祉指導で家庭訪問及び来なさいという命令を出して来てもらうというところです。
ただ、もちろん措置だからといって罰則があるわけではないので来ない人は来ない。そのまま実質的には同じことになるのですけれども、だから在宅での通所指導といったときにイメージされるものは、多少みんなの中で違うなというのはここではっきりさせておいた方がいいかなと今、感じました。
○奥山座長 では、在宅措置というイメージに関して、もう少し何か御意見のある方はいらっしゃいますか。
井上委員、どうぞ。
○井上委員 利用者の方から考えていきましたら、特に要保護の親御さんたちとかは通う段階でどういうところだったら行きやすいかというのがすごく個人差が大きいのです。ですからこういうところに1カ所というように決めてしまうと、なかなかそれに準じてくださらなくて、そのお父さん、お母さんたちが行きやすい場所、例えば少人数の似たような方たちが集まるようなところだったらいいとか、全く普通の親子さんが行くようなところがいいとか、例えば地域の子育て支援センターとか、そのようないろいろな場所を選択する利用者側の気持ちを大事にしないと、なかなかこれは乗ってこないよということをお伝えしておきたいと思います。子どもさんだけの治療だけではなくて親御さんの治療を考えたときに、いろいろな場合が必要ですということをお伝えしたい。
以上です。
○奥山座長 いかがでしょうか。辰田委員。
○辰田委員 通所指導の中で当然その親にこういったところに通いなさいということはありますが、民間となると金がかかる。その金はどこから出してくれるんだ。児相が出すのかとなかなか難しい問題であります。ここをどう補填してあげるのかが必要だと思っています。
○奥山座長 財源の問題が1つ大きな問題であるというのは、皆さん認識しているのではないかと思います。藤林委員、お願いします。
○藤林委員 そのプログラムというか支援策を措置費で行っていくという方向で私もいいと思うのですけれども、そうした場合に、そこで提供されるプログラムの質をどう担保するのかというのはとても重要な課題になってきて、中身はどうでもいいということではなくて、その質の担保をする仕組みを作り出すということが同時に必要ではないかと私は思っています。
○奥山座長 ありがとうございます。
藤林委員、どういう仕組みを考えたらいいですか。
○藤林委員 また今度までに考えておきます。
○奥山座長 先ほどの2つに分けるといいますか、支援のマネジメントをするところがある程度認定していくみたいなイメージなのですか。それとももっと違うところが認定していくのか。
○藤林委員 もっと全体像が見えるようなところが、在宅支援プログラムを認定するとか、評価するとかいったものをイメージしているのですけれども、マネジメント機関ではなくてです。
○奥山座長 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、議論が出尽くしたようですので、議論はここまでにしたいと思います。もしお時間がありましたら最後に全タオの議論をしたいというお話をさせていただいたのですけれども、残念ながら時間がなくなってしまいました。申しわけございません。また本日の御意見をベースにしながら幹事会の方でも考えていきたいと思います。
○磯谷委員 済みません、一時保護とか保護者指導に対する司法審査については、議論は済んだということでよろしいのでしょうか。
○井上委員 まだです。
○磯谷委員 そうですか。ではそれについてはまた別の機会に。
司法関与については本日は余り議論になっていないということですか。
○奥山座長 司法関与については議論いたしました。資料4の岩佐委員、浜田委員の提出資料で、浜田委員からかなり御説明をいただき、全体としては司法関与は最終的に必要であろうというところでの反対意見はないのですけれども、時間のかかる問題だという認識はみんなが共有をしたということあたりです。
○磯谷委員 では1点だけ。28条の今のあり方について、これは運用ではありますけれども、施設種別を特定した形で審判が出ているというところを見直すべきであろうというのが私の意見です。もう既に出ております中では、児童相談所の主張する施設種別と裁判所が考える施設種別とが合わないということで、却下決定が出るという事態に至ったこともあるわけで、これは非常に矛盾した話だろうと思っております。
そもそも地域での社会資源の現状とかバラエティーというのは、裁判所よりは児童相談所の方がよく把握しているはずですので、基本的に裁判所としては親権をとめるであるとか、そういった権利を抑制するところについてのチェックというところに機能すべきであって、施設種別の選択といったこの子にとって福祉としてどういうリソースがいいのかというところについては、なるべく児童相談所に権限を与える方が望ましいと考えております。
以上、お時間ないところ申しわけありません。
○奥山座長 ありがとうございました。
今の意見に何か反対もしくはご意見はありますか。
○西澤委員 大賛成です。
○奥山座長 菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 非常にありがたいお話で、実際問題あそこの条文に書かれていて、極端な話、里親とファミリーホームが別の項目で、点で括られているので、里親及びファミリーホームといったときに、どちらか1つにしてくださいと言われて苦労した覚えがありますので、やはりそこの適切な施設選択ですね。だからいろいろ選択をしていって、どこかで不調が起きてきたときに施設種別を変えるときに、再度28条を出さなければならないということが起きないようにというのは、子どもの福祉を守る上でもすごく大きなポイントだと思います。ありがとうございます。
○奥山座長 よろしいでしょうか。
平田委員、どうぞ。
○平田委員 すみません、別の件で、幹事会にお願いをしたいのですが、もうほとつのワーキングで里親の支援と乳幼児の里親養育のところで、そちらの方に私は委員として出ておりませんので、本日母子生活支援施設のヒアリングを行うかもしれないとおっしゃっておりましたので、もしよければそのときに一緒にヒアリングをできるような機会を設けていただけるか、検討していただければと思います。
○奥山座長 要するに第1、第2ワーキングが合同でヒアリングをしたいということですか。
○平田委員 いえ、もうひとつのワーキングでヒアリングをされるときに、そのヒアリングのところだけさせていただきたいという依頼です。
○奥山座長 分かりました。了解いたしました。
よろしいでしょうか。では事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小松虐待防止対策室長補佐 次回、第3回の日程につきましては、10月30日金曜日15時30分から、厚生労働省省議室で予定しております。正式な御案内は追って送付いたします。
○奥山座長 では、本日のワーキンググループの会議を終わりにしたいと思います。皆さん御協力ありがとうございました。
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