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2015年9月30日 第1回中長期的なキャリア形成に資する資格・教育訓練の評価等に関する専門検討会議(情報通信技術関係)

職業能力開発局

○日時

平成27年9月30日(水)13:00~15:00


○場所

中央労働委員会事務局第612会議室


○議題

(1)中長期的なキャリア形成に資する資格・教育訓練のあり方
(2)その他

○議事

○伊藤育成支援課長 ただいまから第1回中長期的なキャリア形成に資する資格・教育訓練の評価等に関する専門検討会議(情報通信技術関係)を開催させていただきます。本日は大変お忙しい中、本会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。座長が選任されるまでの間、進行を務めさせていただきます。また、本会議の事務局を仰せつかっております、厚生労働省職業能力開発局育成支援課課長の伊藤と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 会議の開催に当たり、本会議の主催者である職業能力開発局長の宮川より、御挨拶を申し上げます。
○宮川職業能力開発局長 職業能力開発局長の宮川でございます。本日は皆様方お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。常日頃、職業能力開発行政、厚生労働行政に多大な御協力を頂いていること、厚く感謝申し上げたいと思います。
 本年6月30日に閣議決定されました再興戦略改訂2015におきましては、改訂の基本的な考え方として、「今後とも経済の好循環を維持し、そして持続的な成長路線をたどっていけるかどうかは、生産性革命を成し遂げられるかどうかにかかっている」とされているところでございまして、生産性向上のための鍵の1つとして、人材への投資というものが挙げられているところでございます。
 厚生労働省としましては、こうした業界、企業のニーズに即した人材育成を促す具体的な施策としまして、キャリア形成促進助成金をはじめとします各種助成金ですとか、認定職業訓練、いわゆる雇用型訓練のスキームなどを整備いたしまして、適宜その充実を図ってきたところでございますが、今回の再興戦略改訂2015の方向性、あるいはその前提となる産業競争力会議の議論、そしてこれまでの労働政策審議会職業能力開発分科会での議論などを踏まえまして、社会人の中長期的なキャリア形成を支援するため、平成26年10月に創設しました専門実践教育訓練制度につきまして、現行制度の枠組みを生かしつつ、メニューの多様化、充実化を図ることを考えておりまして、こうした観点から新たな取組の一環として、この専門検討会議を開催することといたしたところでございます。
 この会議におきましては、皆様方に具体的には、既存制度では課程の類型として位置付けられていない民間資格の取得を目的とした教育訓練プログラム、特にその中での情報通信分野の教育訓練プログラムを対象としまして、専門実践教育訓練の他の類型と同等の水準を満たすものとして、どのような類型があり得るのか、またこれに相当する資格、教育訓練の評価の在り方といった点について、御検討いただきたく、またこの会議としての方向性を取りまとめていただいた後は、それを踏まえて具体的な指定基準の見直しの内容につきまして、労働政策審議会職業能力開発分科会において審議を頂き、成案を得たいと考えているところでございます。
 情報通信分野は非常に技術革新、あるいはこれに応じた人材ニーズの変化のスピードが早い分野だと聞いております。御議論いただく上で、それゆえの難しさがあるやに聞いておりますが、この分野が将来にわたり高い人材ニーズがある、そしてそれぞれの労働者のキャリアアップ効果が特に期待される分野であることも承知しているところでございます。今後、皆様の専門的知見をお借りしながら、労働者の中長期的なキャリア形成を促進し、更には生産性向上に寄与する方策の具体化を図ってまいりたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。
○伊藤育成支援課長 引き続きまして、本日は第1回の会議ということですので、資料1に従い、本会議の開催要綱について事務局から御説明申し上げます。1が本会議の開催の趣旨です。ただいま局長の挨拶の中でも触れられましたように、中長期的なキャリア形成に特に資する教育訓練に関し、一定の基準の下で厚生労働大臣がこれを指定し、当該教育訓練を受講する雇用保険被保険者等を対象に、受講料に係るより手厚い給付を行う専門実践教育訓練制度を平成26年10月に創設したところです。本制度、プログラムの充実を図るという観点から、後ほど別途説明申し上げますように、現行の本制度は3つの課程類型が位置付けられ、更にプラス1ということで準備を進めているところです。これら、他の類型と同等の質の水準を満たすような中長期的なキャリア形成に資する教育訓練の類型、またその評価基準の在り方などについて、専門的見地から検討を行う必要があるというのが、本会議開催に当たっての事務局の基本的な問題意識です。
 その上に立って、労働政策審議会職業能力開発分科会、また産業競争力会議等のこの間の議論を踏まえまして、当面、現在対象となっていない民間資格の取得を目的とした教育訓練プログラム、取り分けそのニーズが高いと見込まれる情報通信技術分野のプログラムを重点に検討を行う必要があることから、本分野の専門家の皆様方にお集まりいただき、本中長期的キャリア形成に資する資格教育訓練の評価等に関する専門会議(情報通信技術関係)、事務局では「IT専門検討会議」と呼んでおりますが、この会議を開催させていただきたいというのが、1の「趣旨」の内容です。
 2「検討事項」としては、今ほど申し上げた趣旨を踏まえまして、情報通信技術関連分野をターゲットに、中長期的なキャリア形成に資する、すなわち専門実践教育訓練制度にふさわしい民間資格、またその取得を目標とした教育訓練の類型について、御議論を頂いた上で、具体的な対象となるような資格、次いで教育訓練の評価等の在り方について、御審議を頂きたいと考えております。また、その他関連事項についても、併せて御審議いただければという考え方でございます。
 3「会議の運営」です。冒頭に申し上げましたように、本会議は、職業能力開発局長が皆様方、有識者の御参集を求め、開催させていただくものでございます。座長に関しましては、参集者の皆様の互選により選出いただければと思っております。また、本会議の庶務に関しましては、私ども育成支援課が務めさせていただきたいと考えています。何卒、御協力お願いいたします。会議の公開については、後ほどお諮り申し上げたいと考えております。
 続きまして、本会議に御参集いただきました委員の皆様を名簿に従って御紹介いたします。五十音順で整理させていただいております。最初に、中央大学大学員戦略経営研究科の佐藤博樹教授です。株式会社NTT総務部の須藤博史人事・人材開発担当部長です。一般社団法人情報サービス産業協会の田原幸郎理事です。トランスコスモス株式会社の船津康次代表取締役会長兼CEOです。全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会の松原稔書記次長でございます。一般財団法人日本生涯学習総合研究所の吉川厚代表理事です。委員の皆様、よろしくお願いいたします。
 同席をしております、メインテーブルに座っております私ども事務局職員を簡単に御紹介申し上げます。同じ育成支援課の花咲指導官です。亀田専門官です。よろしくお願い申し上げます。
 なお、本日御参加の委員のうち、田原委員におかれましては、所用により14時半頃に御退席の予定と伺っております。また、私ども事務局で、職業能力開発局の中山審議官も参加の予定ですが、他の業務が終わり次第、こちらに入ることになっておりますので、あらかじめ申し上げたいと思います。
 続いて、座長の選任に移らせていただきます。改めて資料1の3の(2)を御覧ください。本会議の座長につきましては参集者の皆様方の互選により選出することとされておりますが、事務局としましては、佐藤博樹先生に座長をお願い申し上げたいと考えておりますが、いかがでごさいましょうか。
(異議なし)
○伊藤育成支援課長 ありがとうございます。参集者の皆様方に御賛同いただいたということで、本検討会議の座長を佐藤博樹先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○佐藤座長 適任かどうか分かりませんけれども、御指名ですので、進行役として務めさせていただければと思います。専門は人事管理で、人事管理といっても人がいる所はどういう業種、仕事でも対処するので、そういう意味では少しは勉強していて、JISAはではいろいろとお仕事をさせていただいているところもありますので、少しは貢献できるかなと思います。ただ、皆様の協力がないと進められませんので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に事務的な手続きになりますが、議事の公開について申合せをしておきたいと思いますので、事務局から御説明をお願いいたします。
○伊藤育成支援課長 資料1の3「会議の運営」の(4)を御覧ください。今ほど座長からお話のございました、本会議の公開方法について、事務局としてお諮りをしたいと考えております。
 (4)にありますように、事務局としましては、本会議の公開の取扱いについて、「本会議は公開とする。ただし特段の事情がある場合には、座長の判断により会議を非公開とすることができる」という取扱いにできればと考えております。
 若干の補足を申し上げます。私ども、厚生労働省をはじめ政府が開催する諸会議の公開の取扱いについては、ほとんどの会議に関しまして、今ほど申し上げたような原則公開で、ただし一部例外に該当する場合には非公開の取扱い。そういった意味では、政府関係会議と同等の取扱いということでお諮りをしているものです。
 「特段の事情がある場合」ということで具体的に想定しているものですが、1つには、個人、個別情報といった、一般的に公開することがふさわしくない内容が、資料あるいは議論の中で触れられる可能性が高い場合です。あるいは今回の検討会議のテーマに照らした場合には、個別の資格あるいは教育訓練施設、教育訓練プログラム等の評価に関わるような議論を行う場合につきましては、公開はふさわしくないという考え方を私どもは持っているところでして、以上のような会議運営に該当すると考えられる場合には、私どもは事務局として座長に御相談申し上げ、最終的には座長の判断の下で非公開とするという取扱いとしてはいかがかということです。
 このことに関しましては、今後の会議のスケジュールにも若干関わってきますので、資料の3ページの横長の「会議開催のイメージ」を御覧ください。この資料は、労働政策審議会職業能力開発分科会において、この時点では本会議の固有名称が決まっていなかったということで、「検討会」という抽象的な名称になっておりますが、本会議の趣旨、開催方針について、事務局から労働政策審議会に報告したペーパーそのものです。
 その中で、1、2については、先ほど申し上げました要綱とほぼ同様の内容を書かせていただいているところです。スケジュールに関して、平成27年9月に第1回検討会、結果として委員の皆様の御協力により、ぎりぎり予定どおり9月中に第1回を開催できたというところです。
 私どもといたしましては、大変御多用の委員の皆様でございますが、御協力いただきまして、月に1回あるいは1回強程度のペースで、このペーパーでは「3、4回」と書かせていただいておりますが、恐らく4回程度ということになろうかと勝手に心積もりをしているところでございますが、会議を開催させていただき、できますれば本年内をめどに、本検討会における成果を報告書におまとめいただければと考えているところです。
 今後の会議の持ち方そのものに関しましても、座長また各委員の皆様方から、本日の審議の中で御意見を頂ければと思っておりますが、この要綱に基づく検討事項に係っての実質的な御審議を頂く上で、例えばIT分野の資格プロバイダ関係者、教育訓練プロバイダ等の方からのヒアリングといった手続きについても、有用、必要ではないかと事務局としては考えております。また、こうしたヒアリングなどを踏まえ、個別の資格、教育訓練の評価にわたるような議論になり得る可能性が高いといった回については、先ほど申し上げましたような考え方の下で、座長と御相談の上、適宜非公開とすることがあり得るという考え方です。なお、本日の会議に関しましては、事前にプレス等も含めまして、本会議の開催の旨については広くお知らせをし、関係機関あるいは報道機関の方も傍聴されているということを、念のため申し添えさせていただきます。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○佐藤座長 事務局の御提案としては、資料1の3「会議運営」の(4)で、会議は公開とする。特段の事情がある場合には非公開にすることもできると。これでやりたいということです。政府全体の審議会、研究会のやり方ということもありますので、このような御提案ですが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○佐藤座長 そういう形で進めさせていただきたいと思います。あと議事録などについての御説明をお願いします。
○伊藤育成支援課長 公開の会議に関しましては、これも通常の審議会あるいは各種研究会と同様の形で、もちろん御発言いただいた委員の皆様方に内容を御確認いただく等の手続きを取った上で、公開ということを考えております。ただし、非公開の回に関しましては、議事録そのものを公開したのでは非公開とする意味がございませんので、議事録の公開は考えておりませんが、最終的な成果物に関しましては、当然私どもは公開を考えております。議論のプロセスが全く見えないというのもいかがなものかと考えており、そういった意味では、非公開の回の議事録の取扱いに関しましては、先ほど申し上げましたような、個別評価等にわたる事項について公開されないような形で、議事概要という形で取りまとめさせていただき、座長、また必要に応じて各委員の皆様方に御確認を頂いた上で、事後に公開という手続きではいかがかと考えているところでございます。
○佐藤座長 ですので、研究会の議論の骨子を公開ということではなくて、議事録という形で、もちろん誰が発言したかということは載せないにしても、議事録が公開されるということです。非公開の場合は議事概要、それ以外は議事録として公開ということです。それでよろしいですか。
(異議なし)
○佐藤座長 そのようにさせていただければと思います。
 今日は第1回ということで、既に局長をはじめ御説明いただいていますが、まず本日の議題にある「中長期的なキャリア形成に資する資格・教育訓練評価等の在り方について」、議論の前提となる専門実践教育訓練制度の概要等を含めて、事務局で資料を用意していただいていますので、まず御説明をお願いいたします。
○花咲指導官 順番が前後いたしますが、まず資料3から御説明させていただきます。「中長期的なキャリア形成に資する資格・教育訓練の評価等についての関係資料」ということでまとめさせていただいております。1「専門実践教育訓練の概要」です。2ページを御覧ください。今回御議論いただく専門実践教育訓練制度ですが、平成10年に創設された教育訓練制度を拡充する形で、平成26年10月に、「労働者の中長期的なキャリアアップを支援するため」という目的の下、拡充された制度でございます。基本的な仕組みとしては、労働者が費用負担し、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受けた場合に、その費用の一部を雇用保険により給付する制度となっております。
 具体的な支援の内容については、下の2つ目の箱と3つ目の箱で御説明しております。具体的には、専門実践教育訓練給付金と、教育訓練支援給付金が支給されることになっております。順に御説明いたします。
 まずは2つ目の箱の「専門実践教育訓練給付金」です。これは、在職者又は離職後1年以内の者が、厚生労働大臣の指定する専門的・実践的な教育訓練を受ける場合に、訓練費用の一定割合を支給するというものです。給付の内容につきましては受講費用の40%ですが、上限が年間32万円と定まっており、それが支給されます。また、訓練修了後1年以内に資格取得等をし、就職等をした場合には、追加的に受講費用の20%が支給されます。こちらにつきましても、上限が年間16万円と定まっております。
 支給を受けるための要件として、雇用保険の被保険者期間が10年以上であることが原則として求められており、ただし初回の場合のみ2年以上で足りるとされております。
 続いて、3つ目の箱「教育訓練支援給付金」の概要です。こちらは平成30年度末までの暫定措置ですが、専門実践教育訓練を受講する45歳未満の若年離職者に対して、訓練期間中の受講支援として、基本手当日額の50%が支給されることになっております。その下の「指定講座の基準等」につきましては、次のページで御説明いたします。
 3ページを御覧ください。「専門実践教育訓練の対象となる教育訓練の指定基準概要」です。1「基本的な考え方」として、非正規雇用労働者である若者をはじめとした、労働者の中長期的キャリア形成に資するものということがございます。具体的には就職可能性が高い仕事において必要とされる能力や、その効果がキャリアにおいて長く生かせる能力の教育訓練をするということです。
 続いて、2「教育訓練等の基準」です。1ポツ「訓練内容の基準」です。この基準については、資格等のレベルと講座のレベルということで、2段階で指定の可否を判断しております。まず、1つ目の類型として、(1)業務独占資格又は名称独占資格のうち、いわゆる養成施設の課程です。期間は1年以上3年以内で、かつ取得に必要な最短期間のものとなっております。業務独占資格等の具体的な内容は、4ページに列挙してございます。一番左の箱です。具体的には看護師、介護福祉士、美容師等がございます。
 3ページにお戻りください。これらの資格に関して、国又は地方公共団体の指定等を受けて実施される課程のうち、訓練修了により資格を取得できるもの、又は資試験の受験資格を取得できるもの、また公的資格試験の一部が免除されるようなものという、いわゆる養成施設の課程が、形式上対象となっております。
 その上で講座レベルの要件として、受験率、合格率及び就職・在職率等の実績から見まして、当該訓練に十分な効果があると認められるものが、この対象となってまいります。
 (2)専門学校の職業実践専門課程です。専修学校の専門課程のうち、企業等との密接な連携により最新の実務の知識を身に付けられるよう、教育課程を編成したものとして、文部科学大臣が認定しているものです。こちらの具体例も、同じく4ページにございます。真ん中の列の上ですが、具体的には商業実務、動物、情報処理と、多岐の分野にわたっております。
 3ページにお戻りください。期間は2年で、そのほか講座レベルの要件として、就職・在職率の実績から見て、当該訓練に十分な効果があると認められるものという要件がございます。
 3つ目の類型は、専門職大学院です。高度で専門的な職業能力を有する人材育成にその目的を特化した課程ということで設けられており、具体的にビジネススクールや法科大学院などが、これに当たります。期間は原則として2年以内ですが、資格取得につながるものにあっては3年以内で、取得に必要な最短期間まで認められております。講座レベルの要件としては、就職・在職率、大学等の認証評価、定員充足率等の実績などから見て、一定の数字を満たす必要があるとされております。
 このほか、2ポツ「教育訓練機関の基準」として、施設責任者、苦情受付者、事務担当者を配置することが求められているとともに、一般教育訓練についても適用される教育訓練を継続的に安定して遂行する能力など、教育訓練機関としての一般的な適格性についても求められております。
 また、3ポツにあるとおり、受講状況や訓練の到達状況等について証明していただくことが求められております。
 5ページを御覧ください。こちらは、参考として、専門実践に対して、一般教育訓練給付金の概要を説明させていただいております。一番上の箱にあるとおり、給付内容が受講費用の20%と割合が低くなっており、支給要件についても、雇用保険の被保険者期間3年以上、初回は1年以上というように、やや緩やかなものとなっております。
 6ページを御覧ください。専門実践教育訓練の受講に対する、個人・企業双方に対する支援について御説明したものです。専門実践教育訓練は、労働者向けの支援としましては先ほど御説明しましたとおり、受講者本人が受講費用を負担した場合に、専門実践教育訓練給付金が支給されるほか、使用者側に対する助成としまして、訓練費用を企業が負担した場合には、キャリア形成促進助成金という助成金の中の1メニューである政策課題対応型訓練(中長期キャリア形成コース)というコースの助成金が支給されます。具体的には右下の箱にあるとおり、従業員の職業能力開発についての計画に基づいて、雇用保険の被保険者たる従業員に専門実践教育訓練を受講させ、又は受講を支援する場合に、訓練経費及び訓練期間中の賃金を助成することとなっております。具体的な助成額については、訓練経費の場合、中小企業に対しては経費の2分の1、それ以外のいわゆる大企業に対しては3分の1、また訓練期間中の賃金については、中小企業の場合は時間当たり800円、それ以外の場合は時間当たり400円となっております。なお、その下の※2にあるとおり、1事業所の1年度の受給額の上限については、500万円となっております。
 7ページは、今、御説明しましたキャリア形成促進助成金全体のメニューをお示ししたもので、先ほど御説明した中長期的キャリア形成コースについて赤枠で囲んでおりますので、後ほど御覧いただければと思います。
 続いて、2「労働政策審議会職業能力開発分科会における論点」です。9ページを御覧ください。これは7月23日に行われた能力開発分科会に提出させていただいた「専門実践教育訓練の指定基準の見直しに係る論点」です。1つ目と2つ目の○として、専門実践教育訓練がより幅広い地域や職種、より幅広い対象者に活用されるよう、プログラムの充実が必要ではないか。一方で、専門実践教育訓練の給付率が高く、中長期的キャリア形成の観点から成果発揮が期待されること等を踏まえると、対象とするプログラムの質の担保が重要ではないかとしております。
 そうした中で、3点目の○として、文部科学省が進めている職業実践力育成プログラムについて検討を行い、一定の質を満たすものについては、専門実践教育訓練の対象としてはどうかという論点がございまして、この件につきましては、能力開発分科会での御議論等を経まして、先日の親会分科会でも、告示案要綱について御了承いただき、実際に制度化されることが予定されているところです。
 また、4つ目の○にある論点ですが、現行制度においては対象とされていないプログラム等のうち、中長期的なキャリア形成に資すると考えられ、他の対象課程の類型と同等の水準を満たすものについて、新たに対象にすることを含めて検討する必要があるのではないかという論点が、先ほどから局長、課長を含めまして、御説明させていただいておりますとおり、本検討会議の設置、開催につながっているところです。
 10ページを御覧ください。現行の専門実践教育訓練制度の類型と、それに代えるもののイメージを、1枚の資料としてお示ししたものです。(4)の「職業実践力育成プログラム」につきまして、詳細は後ほど11ページを御覧いただければと思いますが、こちらのプログラムは、大学等における社会人や企業等のニーズに応じた実践的・専門的なプログラムを文部科学大臣が認定するというものです。大学等の正規課程のみならず、履修証明プログラムが対象となり、期間は2年以内、かつ120時間以上のものとなっております。今回、情報通信技術分野の民間資格の取得を目指す課程について御検討いただく際は、他の専門実践教育訓練と同等の水準を満たすものについて御検討いただくこととなりますが、この120時間という時間数も御参考にしていただければと思っております。
 講座レベルでは、他の類型と同様に、就職・在職率等を勘案することとして設定することを予定しており、そのような内容の具体的な基準を定めるべく、現在告示の制定等を進めております。(5)が今般皆様に御議論いただくことになる類型です。
 これら5つの類型をイメージ図にしたものが、12ページにございます。12ページを御覧ください。広く教育訓練全般を考えました場合、その中でも中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練に当たり得るものが、緑の部分で、一部限定された部分になるかと思います。また、教育訓練全般を見た場合に、その切り口として、目的とする資格に着目する場合と、学校教育法に基づく課程に注目する場合が考えられると思います。後者の学校教育法に基づく課程に注目したものが、先ほど御説明した中の(2)から(4)の各プログラムに当たるかと思います。一方で、資格に注目しました場合、(1)の業務独占資格・名称独占資格のうち、養成施設の課程というものは、いわゆる公的資格を目的とした課程でして、現在のところ公的資格以外の民間資格につきましては、専門実践教育訓練の対象類型に含まれていないということがお分かりいただけるかと思います。今回皆様に御議論いただきたいのは、繰り返しになりますが、情報通信技術分野における民間資格の取得を目的とした教育訓練プログラムを対象としまして、この波線に該当するようなものとしてどのような類型があるかという点です。
 続いて13ページを御覧ください。「日本再興戦略改訂2015」の抜粋です。先ほど局長からの挨拶にもございましたとおり、「生産性革命を成し遂げるための人材への投資が必要だ」という基本的な考え方が示された上で、具体的に専門実践教育訓練制度の見直しについて触れられております。
 続いて14ページ、15ページは、産業競争力会議において厚生労働大臣から御説明させていただいた資料です。後ほど詳細は御覧いただければと思います。
 続いて、16ページ以下、3「情報通信技術分野の人材ニーズ及び情報通信技術関係資格・講座の位置付け」です。17ページです。17ページ以下、何ページかにわたりまして、情報通信技術分野の人材ニーズについてのデータをお示ししております。まず17ページです。日本銀行企業短期経済観測調査によれば、情報サービス産業における情報サービス業の雇用判断は2012年3月から不足が過剰を上回り、全産業よりも上回った状態が続いているとされています。18ページを御覧ください。こちらも同じくIT人材白書から頂いたデータですが、IT企業に対して、「事業戦略上必要なIT人材を現在十分に確保できているか」と質問した際の回答に関するデータです。2008年後半のリーマンショックにより、IT企業のIT人材ニーズは一旦減少したものの、その後量的不足感は高まり続けているということです。19ページです。これは厚生労働省で取っている職業安定業務統計のデータです。情報処理・通信技術者という中分類で見た場合、有効求人倍率は全職種合計の約2倍となっております。また、小分類で見た場合も、有効求人倍率が高いものが多いのですが、特に、プログラマーを含むソフトウェア開発技術者につきましては2.47倍と高い値を示しております。
 20ページを御覧ください。総務省の実施したICTの経済分析に関する調査報告書からのデータです。これによりますと、2012年時点では、情報通信産業の生産活動に伴う付加価値誘発額は87.4兆円、雇用誘発数は765万7,000人でして、いずれも各産業セクターの中で最大となっているということです。
 21ページを御覧ください。こちらはIT企業及びユーザー企業に、IT資格・試験の活用理由を尋ねた結果です。公的資格である情報処理技術者試験は、普遍的、汎用的な知識、スキルを社員に習得させられるからという理由が最も高い一方で、ベンダー系資格・試験につきましては、専門分野、担当業務の知識・スキルを社員に習得させられるからとなっており、ベンダー系資格試験のほうがより専門的という評価がされていることがうかがわれます。
 22ページは、先ほど1度御覧いただきました一般教育訓練の概要です。上の箱に指定講座の数等が示されているのですが、分野ごとの枠の右下に、公的資格と民間資格に分けて数字をお示ししております。御覧いただくと分かりますが、民間資格については4の「情報関係」、5の「事務関係」に多くが集中しております。その具体的内容を23ページでお示ししております。情報関係については、Microsoft Ooffice Specialistのようなエンドユーザー向けの資格とともに、例えばOracle認定JAVAプログラマーのような技術者向けの資格が混在しております。また、事務関係につきましては、簿記や語学関係が含まれております。
 続いて、机上配布資料として別に用意しました1枚の紙について御説明いたします。この資料は議論の参考になればと思いまして、一部の資格を例として挙げた上で、事務局で試行的に作ってみたものです。系統の分け方やITSS レベルとの対応関係など、いろいろな御意見があるかと思いますので、今後皆様の御議論を踏まえて、更に精査していきたいと思っております。その下に、皆様の知見をお借りしたい点についても書いておりますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、資料2について御説明させていただきます。縦置きの資料で、この専門検討会議で御議論いただきたい主な論点です。まず、1「検討の前提・基本的枠組みについて」という総論部分です。1つ目の○として、現行の専門実践教育訓練の指定対象課程・講座の実態やこれまで労働政策審議会職業能力開発分科会の審議の経過を踏まえて、現行制度においては対象とされていないプログラムのうち、中長期的キャリア形成に資する他の類型と同等の水準を満たすものの検討の着眼点として、どのような点が重要と考えられるか。
 2つ目の点として、その際に特に情報通信技術に関する民間資格や、その取得を目標とした教育訓練の位置付けについては、どのように考えられるか。3点目として、労働者全般の中長期的キャリア形成や生産性向上への寄与等の観点に加えまして、特に重要な政策ターゲットと考えられる非正規労働者や子育て女性等のキャリアアップの観点から、特に情報通信技術分野の人材ニーズや労働市場の実態をどのように捉えるか。このような論点を挙げさせていただいております。
 続いて、2以下、各論に入ります。まず、2「中長期的なキャリア形成に資する資格の捉え方について」です。1点目として、情報通信技術分野の民間資格の実態をどのように捉えるか。その実態として、具体的には括弧にあるように、資格の種別、各々の受験・合格等の実態、各企業や労働市場における資格取得者の評価などを挙げております。2点目として、専門実践教育訓練の目的に鑑みまして、中長期的なキャリア形成に資する情報通信技術分野等の民間資格として、どのような観点から評価・選定を行うことが考えられるか。このような論点を挙げさせていただいております。
 その観点の例としまして、例えば実施規模、分野、職業との関わりでの分野、水準体系、キャリアアップ上の効果などが考えられるのではないかということで、例を挙げさせていただいております。3点目として、これらを踏まえまして、中長期的なキャリア形成に特に資する、すなわち専門実践教育訓練への位置付けがふさわしい情報通信技術分野の民間資格として、具体的にはどのようなもの、種別やレベルにおいて、具体的にどのようなものが挙げられるかという論点を挙げさせていただいております。
 裏です。3「中長期的なキャリア形成に資する資格取得を目標とした教育訓練プログラムの捉え方について」ということで、2点挙げております。1つ目として、一般教育訓練の指定講座の状況等も参考に、情報通信技術分野の民間資格の取得を目標とした教育訓練プログラムの実態をどのように捉えるかです。その実態として、同じく括弧の中で具体的に例を挙げさせていただいておりますが、種別や講座数、講座の時間数などの形態、プログラムの特徴、目標としている資格の受験・合格等の実態、その訓練講座修了者の就職キャリアアップの実態等があるかと思いますが、それらをどのように捉えるかという論点です。2点目として、先ほどの2にあった中長期的なキャリア形成に特に資すると考えられる情報通信技術分野の民間資格の取得を目的とした教育訓練につきまして、どのような観点から評価・選定を行うことが考えられるかという論点について、御議論いただきたく思っております。具体的な観点の例として、時間数、指導体制、受験・合格の実績、就職等キャリアアップ上の効果などが考えられるかと思います。資料につきましては以上です。
○佐藤座長 ありがとうございました。この後、メインは、資料2の今回の研究会での論点について御意見を伺うわけですけれども、その前に、議論する前提として資料を御説明を頂きました。これについてもう少し説明してほしいとか、ここが分からないということについて御意見を伺いたいのですが、一応、最初の確認ということで、資料3の2ページに「専門実践教育訓練給付金」の概要があります。今回、皆さんに御議論いただきたいのは、この給付金の対象として、新しい資格プログラムを情報通信技術分野の指定の仕方について考えてほしいということ。見ていただくとかなり高額の給付金が出ますので、当然、全て審議会のほうで、それに見合った質の担保と人材ニーズがあるかどうか。あるいは日本経済の成長に貢献するかどうかを踏まえていうことになると思いますが、この対象だということです。
 その上で、課長のほうから3+1というお話がありましたが、現行でその専門実践教育訓練の対象になっているのは、6ページを見ると(1)(2)(3)が既にもうあります。(4)は文科省のほうで大学なり大学院のプログラムの中から新規に認定する。かつ、厚労省のほうで、この専門実践教育訓練の対象にするのにふさわしいというものがあれば、その中から選ぶということになるだろうと思います。ですから、プログラム自体は文科省のほうで選ぶ。給付の対象にするかどうかは厚労省のほうですから、そういう意味で(4)は文科省のほうで考えているものが出てくる。今回は(5)なのです。(1)~(4)の類型と同等の水準を満たすもの、ここを御検討いただく。それを情報通信技術関係分野を念頭に置きながら考えるということです。
 もう1つ大事なのは、今回の研究会で情報通信技術関係は括弧が入っています。ですから、新しい類型の(5)の最初のものとして情報通信技術関係から始まるので、横展開されていく可能性がある。もちろん、今回議論していただくのは情報通信技術関係ですが、そういう意味では資格の選び方とか教育訓練プログラムは横展開できる。つまり新しい資格をやっていくときにも使えるようなものということ。つまり、今回やるものだけに当てはまるというよりは、横展開できることを視野に入れながら御検討いただければいいということだろうと思います。
 そういう意味では、12ページの所も既にきれいに書いていただいていますけれども、12ページの点々の中です。ここは最初に情報通信技術関係が作っていき、これが横に増えていく可能性もある。そういうことも考えながら、どういうものをここに入れたらいいか。あと横並びです。グリーンに横がありますので横のレベルも考えながら、この中に入るものを選ぶということのようです。
 4つ目として12ページの(4)です。ここは文科省で認定する教育訓練の時間が120時間です。この120時間は後で議論しますが、一応、そういうものも考えながら我々はこの点々の中を考える。そういう御検討を頂きたいという御説明があったかと思います。そういうことを少し踏まえた上で、間違っていたら言ってください。まず資料3についてもう少し説明してほしいということがあれば、その辺の事実確認なりから入りたいと思います。よろしくお願いします。
○須藤委員 1点、質問させていただいてよろしいですか。
○佐藤座長 どうぞ。
○須藤委員 NTTの須藤です。今回、民間資格というところがターゲットになっているということでしたが、私、ちょっと調べ切れなかったのですけれども、公的資格と呼ばれている(1)の中で、情報通信分野で既に対象となっているものにどんなものがあるかは、ちょっと知りたかったなと思いました。ちょっと私は見つけ切れなかったので、そこが分からなかったのと。
○佐藤座長 今の所にありますけど、12ページの公的資格の中にあればというので、それはどこを見ればいいですか。
○須藤委員 ここの資料の中には、それが見受けられなかったということと、Webで調べますと、一般教育訓練給付金についてはかなり細かい話があって一覧が載っていたかと思いますが、かなり対象にされているのです。最後のページですが、こういったものが既に一般では対象になっていて、これはかなり基礎的なものが恐らく対象になっているのだと思います。今回、専門というところを新たに議論するに当たって、専門実践教育訓練の対象で情報通信分野で対象になっているものが存在するのでしょうか、という質問です。
○佐藤座長 4ページのでいいですか。お願いします。
○伊藤育成支援課長 今、正に座長に触れていただきました、お手元の資料の4ページが現行の専門実践教育訓練で、最初に申し上げた現行の3課程における現在、指定されている類型をお示ししたものです。この中で須藤委員から御質問いただいた関係で言うと、左側の業務独占・名称独占資格の養成課程、ここに掲げている各資格が、現在、1つ目の類型の位置付けで、専門実践教育訓練の指定対象となっている講座が目指している資格です。この中には、私どもが今回、この会議で御議論いただくことを考えている情報通信技術そのものに関わる資格は、現状ではないということです。
○須藤委員 そういうことですね。ですから確認としては、要は公的資格については、今、この箱の中で対象となっているものは存在しないという前提で、話をするということですね。
○伊藤育成支援課長 はい。ということになります。
○須藤委員 逆に、そこは考えなくてもよろしいですかというのが、質問だったのですけれども。
○伊藤育成支援課長 そういう御理解で結構です。将来的には別の関連する課題として議論になることはあり得ると思っていますが、この検討会議で御議論をお願いしたい点には含まれていないということです。
○佐藤座長 確認ですが、専門実践教育訓練の対象とは関係なく、公的資格に情報処理関係はないということ。
○伊藤育成支援課長 そういう意味で言いますと、皆さん、御専門である情報処理・技術者試験に関しては公的資格、いわゆる国家資格というものとほぼ同義と捉えていただいて、法令に基づく資格という意味では情報処理技術者試験はあります。
○佐藤座長 そうすると、これの対象にはなっていない。
○伊藤育成支援課長 はい。この講座指定の要件の1つである当該教育訓練を修了することにより資格が得られる。若しくは受験資格が得られるといった養成課程として要件を満たすものが、現実に現行制度の建て付け上、ないと。
○宮川職業能力開発局長 ですから、ここで公的資格と略称していますけれども、実はこれは業務独占資格又は名称独占資格なのです。例えば変な話、情報技術とは関係ありませんけれども、中小企業診断士という資格は法律に基づく資格ですが、あれは実は業務独占でもなければ名称独占でもない。ですから、逆に指定されていないのです。特に例えば社会保険労務士とか、そういうサラリーマン向けのでよく宣伝がされていますが、今の段階では業務独占資格でも名称独占資格でもないから、やっていないということです。
○佐藤座長 なるほど。そうすると公的資格ということ自体、ちょっと変なのですね。
○宮川職業能力開発局長 ちょっと、ややミスリードです。
○佐藤座長 業務独占資格、名称独占資格と言うほうが、現行の運用上は正しいのですね。
○伊藤育成支援課長 左様でございます。
○佐藤座長 よろしいですか。今のに関連して、ただ、真ん中の専門学校のほうには入っているわけですね。
○伊藤育成支援課長 左様でございます。正に今、座長から御指摘いただきましたように、現行の3類型の中で情報関係がないかというと、そういうことではありません。2つ目の類型の専修学校職業実践専門課程の中には、4つ目にございます情報処理関係ですね。
○佐藤座長 そうですね。いわゆる広い意味での公的資格が取れるようなものが、ここには入っている。
○伊藤育成支援課長 資格取得にも寄与しうる。
○佐藤座長 それは、もちろん。
○伊藤育成支援課長 制度的に直結ではありませんけれども、そういった性格のものは含む。ただ、これは制度の建て付け上、専修学校が運営する専門課程で文科省が定める職業実践専門課程としての要件を満たすもののみですから、2年コースの職業実践的な専門課程で社会人にも開放されて、先ほど花咲から申し上げたような諸般の条件を満たすものが、ここに位置付けられているということです。
○船津委員 トランスコスモスの船津です。今の12ページで議論の対象となる青点で囲んでる公的資格以外、いわゆる民間資格をこれから議論していくということですが、専門実践教育訓練の対象としている民間資格というのは、現在、存在しているのですか、いないのですか。全くゼロからやるのか、既に幾つかあって、これは漏れていませんかとか、あるいは先を睨んで、こういうのが必要ではないかということを議論するのかなとイメージしていますが、一度、そこを整理してほしいのです。
○伊藤育成支援課長 専門実践教育訓練の指定基準との関わりで言いますと、資格に着目して基準を設定し指定をしているものは、現行の3類型のうち、先ほど御議論になりました業務独占・名称独占資格だけです。これは専ら公的資格ですので民間資格は入っていない。残りの2つの類型で、例えば専修学校の職業実践専門課程のうち、これは情報通信分野に限らずですけれども、民間資格の取得にも資することを教育目標の1つに位置付けて運用されているものはあります。ただ、これは私どもの専門実践教育訓練制度上の指定要件には含まれていないということです。したがって、船津委員の御質問に関わって申し上げるならば、現行3類型で、民間資格取得を目標としているという当該教育訓練の性格に着目して、指定基準を設定し指定しているものはないと。ただ、事実上、そういったものと紐付いているものは全くないわけではないと。
○佐藤座長 もう1つ確認ですが、12ページの真ん中を議論するわけですけれども、このときに既存の民間資格が議論対象なのか。新しく作る、これができるのだからというのも議論対象になるのか、そこはどうなのですか。
○伊藤育成支援課長 当然、専門実践教育訓練制度による給付制度、これをインセンティブと御認知を頂いた上で、新たなプログラム開発等が行われる。あるいは、その前提としての資格の開発が行われることはあり得ると思っています。ですから、この議論では、取りあえず今あるものを前提に御議論いただくしかないわけです。結果として、本会議の議論を通じ専門実践教育訓練の新たな類型が構築され、そのできた制度を1つのインセンティブとして、新しく資格なり教育訓練プログラムができることがあり得ることも念頭に置きながら、御議論いただければということです。
○佐藤座長 多分、指定するときに実績がないと駄目ということが入ってくると思うので、そういう意味で、まずは既存のものからということ。ただ、そういうものがあると実績を積みながらというのが出てきて、何年後かに指定されることはあり得るという理解でいいですか。
○伊藤育成支援課長 はい。
○佐藤座長 そういうことのようです。ですから、まずは当面、今ある民間資格から議論するということのようです。
○船津委員 今の話の続きですが、今、既に専門でなく一般のほうで対象になっている民間資格がたくさんあると思います。そういうものに対して追加的に今回の専門実践教育訓練の対象として入れるということは、あり得るのですか。それは対象外ですよと言うのか、そこをちょっと整理しておきたいのです。
○伊藤育成支援課長 分かりました。改めて一般教育訓練給付に関わる講座指定の状況に関して、資料22ページ、23ページをお開きください。一般教育訓練に関しては専門実践に先立って既にやった教育訓練給付制度です。こちらについては専門実践に比べて給付率が低いということで、指定の基準についても、先ほど申し上げた専門実践に比べて緩やかです。あるいは、もともと、より小ロットの教育訓練プログラムを対象としているということです。一番分かりやすい例で、例えば訓練期間、時間数等に関して申し上げると、専門実践のほうの3類型は類型ごとに異なりますが、いずれにしてもごくごく例外はありますが1年以上です。それに対して一般教育訓練に関しては、通学制については1か月以上、1年以内と1年のところで期間についての線を引き、かつ、訓練時間についても50時間以上といった基準で行っています。したがって、現行の専門実践の3類型に比べると小ロットのものが対象となり、必然的に訓練給付の率についても低い率で設定している。そういう教育訓練の性格、あるいは給付率の仕分けがされているということです。
 それを前提に、こうした性格を持った一般教育訓練についての現行の指定講座の概要について、先ほど花咲から申し上げたような状況で、この一般教育訓練に関してはジェネラルルールとして、公的資格の取得を目標とするか、修士・博士学位の取得を目標とするか、またはそれに準じて訓練目標が明確であるかという設定になっています。したがって、この一般教育訓練の対象講座については、この表にありますように公的資格を目標にするか、9にありますように修士・博士等を目標とするか。それに準じたものということで民間資格取得を目標としたというものも、この一般教育訓練の中に位置付けられているという構造です。目標が3種類ある。公的資格、民間資格、修士・博士等学位と3種類あります。その中で民間資格を目標としたものは、制度上、許容されていますけれども、当然、分野によって公的資格が卓越した分野と、民間資格が比較的アクティブである分野があって、多くの分野は、この資料にありますように公的資格が卓越していることから、現実に市場ニーズに照らして民間資格取得を目標とした講座というのは、ほとんど今の定率給付の一般教育訓練給付の世界ではない。その中で、ほぼ唯一、民間資格が一定市場性を持って一般教育訓練の対象として稼働しているものが、4の情報関係と5の事務関係の2分野です。冒頭、局長から申し上げた今回の検討の前提となる競争力会議の議論等々、あるいは中長期キャリア形成に真にふさわしいようなプログラムとなると、この情報関係が、いの一番に考えられるのではないかという私どもとしての考え方です。
○佐藤座長 現状で言うと、今、伊藤課長から説明があったように今の認定基準というのはかなり緩やかです。ただ、その中に時間数が多いのも入っている。
○伊藤育成支援課長 はい、中には入っています。
○佐藤座長 ですから、今度新しい認定ができると、そこに抜けていく可能性がある。
○伊藤育成支援課長 おっしゃるとおりです。
○佐藤座長 どういうことかと言うと、例えば22ページの9に修士・博士等学位とあります。つまり、今回の専門にMBAが指定される前はここに入っていた。ですから、給付額の低いところでビジネススクールに行く人はもらっていたのです。ところが、今年から高いほうに認定してもらえるようになったので、そっちに抜けたわけです。ですから低いほうのは使っていないのです。そういうことが情報処理関係でも可能性として起こり得ると思います。もちろん、教育プログラムがどっちを選択するかはあると思いますが、抜けられるものも入っている可能性はあると思います。質問はそういうことですね。
○船津委員 そうなんですけど。
○佐藤座長 精査していくと、一部入っているものもあり得るかもしれない。
○宮川職業能力開発局長 今、民間資格のものは「一般」か「ない」か、どっちかしかないわけです。
○佐藤座長 そうなのです。
○宮川職業能力開発局長 今後、作れば「一般」と「専門」ができる。「一般と専門はどう違うのですか」とよく人に聞かれて、私がざくっと説明するのは、専門は10年間の被保険者期間を求めていますので、要は10年に1回しか使えない制度なのです。ですから、それだけレベルの高い。あるいは期間がある程度長くしっかりしたものです。逆に言えば、一般のほうは3年で被保険者期間が必要だと言われていますので、そうすると3年に1回使えるようなものです。そういう意味で言えば気楽なと言ったら語弊がありますが、例えば1か月程度の講座で資格をサッと取れるようなものでも入れますよ、という説明をしているところです。ですから、今回、この情報通信関連分野に専門の民間資格が導入されれば、レベル的には、そちらになるような民間資格をやっている教育訓練プログラムの方々は、恐らくそちらを選んで、そちらのほうの指定を受けたいとなると想定しています。
○船津委員 分かりました。感想ですけれども、競争力を付けていくという目的、あるいは、これで言うと子育て女性、非正規労働者までキャリアアップの観点からというような、もう少し面で日本の競争力を高めていくには、たまたま私はIT関係の仕事をしていますので、そこの感覚で言うと、あまりにも今の御議論はレベルが高過ぎて、それが国民全体にどのぐらい寄与できるのかというのは甚だクエスチョンマークです。これは大前提がそうなので感想にすぎないのですが、ちょっとその辺は、現場的には違和感を感じるところがありますという話です。もうちょっと幅広でいくのかなと感じていたのですが、そうすると、なかなかマーケットに即したものが意外と出にくいのではないか。これは、これから3回の議論を通じてやっていくことになると思いますが、そういう印象をちょっと受けたのです。
○佐藤座長 ですから12ページで、今回は専門のほうの対象ですが、一般のほうでカバーできるものも当然ある。あるいは、そっちのほうでやっていただくものも考えながらやっていただければいいと思うので、あるものは一般からこっちに移るのもあるかもしれませんし、ここの議論とは別ですけど、もう少し一般のほうもいろいろ入って来ていいということもあり得ると思います。そういうことも入れるかどうかは別として、考えてもいいかなと思います。両方、セットで考えていただくことになる。今回は12ページにあるように、特に文科省のほうで職業実戦力育成プランができますので、これとの並びで新しい公的資格、先ほどの業務独占資格ですか、名称独占資格以外のカバーできるようなものを創設するという趣旨です。
○須藤委員 先ほどの質問の確認になりますが、名称独占で書かれているもの以外という言い方をされたので、例えば先ほどの中小企業診断士のような、いわゆる公的資格のための課程というのも対象に入り得るということですか。可能性はあるということですか。
○伊藤育成支援課長 これは議論の前提の部分ですが、私どもの考え方としては、いわゆる公的資格の取得を目標とした課程の専門実践教育訓練制度の位置付けに関しては、既に走っている業務独占・名称独占資格取得を目標とした、養成施設課程の実態等も踏まえた上で、これを広げるべきかどうか。広げるとしたらどういう広げ方があり得るのかということを、また別途、議論いただく必要があるという考え方を持っています。今回は全く新たなジャンルである公的資格以外には、いわゆる民間資格取得を目標としたもので特に情報通信技術に関して御議論いただくという考え方です。
○宮川職業能力開発局長 先ほど座長からも御紹介がありましたように、括弧で正に情報技術関係と書いてありますが、ここを言わば先例というか、ここで議論するいろいろな議論の仕方も含めて論点をまとめていただき、それがほかの分野にも活用できないかというのは、正にこれの成果次第というところです。いずれにしても、別に情報技術分野だけに限ったものではないですが、一応、情報技術分野というのが優先度は高いですし、素人の我々から見ても、ある程度、こういう民間資格というのが業界の中で位置付けられているのではないかと想定したところです。ここでの議論の経過とか成果の経験が、ほかの分野にも役立つものと考えています。
○佐藤座長 もう1つ、12ページの一番上の職業実践専門課程の所で、中小企業診断士があるかどうかは別ですが、そういうのが出てくれば、こっちでは認定できる可能性がある。あるいは大学で社会人向けにそういうのを始めれば、そちらで受けることは可能ではある。
○須藤委員 もう1つ確認ですが、民間の提供の中には、今、想定されているのは会社が提供しているような資格があると思いますが、それ以外にもNPO系の所が出している、いわゆるオープンソース系の資格みたいなものもあって、そういったものも恐らく含まれるという理解でよろしいですか。
○伊藤育成支援課長 基本的には、そういう御理解で結構です。我々も分かりやすくイメージ喚起するために、ベンダー資格などという言い方をすることはありますが、御検討いただくカバレッジとしては、いわゆるベンダー資格限定ではなく、今、お話がありましたようなものも、もちろん公的資格ではありませんので対象になり得ると考えています。
○佐藤座長 ただ、社内資格みたいなものは駄目です。外にオープンになっていて広く受けられるということ。社内だけみたいなのは対象外です。
○須藤委員 そうですね。公のものですね。
○佐藤座長 そういう意味で、まずはNPOを含めて既にある資格を想定して議論を始めるのですが、ただ、これはちょっと横道ですけれども、12ページの(4)の職業実戦力育成プログラムは、これから大学がそういうプログラムを作って文科省が認証し、厚労省もいいと言うと、そこに新しいのができてくる可能性はあるのです。そちらのほうとしてはですね。ただ、これは学校教育法に基づいて課程として作っていくと、別に今なくはない資格でもあり得る。例えばビッグデータどうこうとか、セキュリティのどうこうみたいなのを作り始めると、できなくはないのです。大学のほうがやろうとすればですね。文科省の基準に合うプログラムでということになりますが、ただ、それはここでの議論対象ではないですけど。
○田原委員 1点だけ確認します。勉強不足で申し訳ないですが、12ページの真ん中の部分を議論する範囲は情報通信技術、要は私どもはITの専門業者ではありますけれども、IT単独でなかなかビジネスは成立しづらくて、要はアプリケーションであるとか、マネージメントの分野と融合させるようなビジネスになるわけです。ちょっと分からないのが、例えば専門職大学院のところでいけばMOTとか会計を含めて、要はビジネス寄りの資格というか課程がいっぱい入ってきますね。この真ん中の部分の情報通信技術で議論するときは、技術オリエンデッドな資格が対象になるのですか。
○伊藤育成支援課長 これも大変重要な議論の前提です。私どものいささか拙い考え方を申し上げるならば、一般的に情報通信技術と言う場合、今日の説明資料で言いますと例えば19ページに、情報処理・通信技術者に関わるハローワークでの職業紹介業務統計について御紹介申し上げています。厚生労働省編職業分類で、日本標準職業分類ともほぼ同義ですけれども、ここで定義している情報処理・通信技術者は、この職業分類の解説によりますと、情報処理・通信技術に関する専門的、科学的知識、手段を応用した諸々技術的仕事と、これがある種、狭義の情報通信技術という捉え方ではないかと思っています。この部分に関しては情報通信産業、また、それ以外の業種においても普遍的にそれぞれの生産性向上を支え、必然的に労働市場における価値の高い中長期的キャリア形成に資する可能性の高い分野として、是非とも御検討いただきたいと考えています。
 今日の机上配布の資料も合わせて御覧いただければと思いますが、今、申し上げたような言わば狭義の情報通信技術者、ここでは非常にざっくりと、世に言うところのIT分野ということで表示していますが、必ずしもそれに限定されるという考え方ではありません。例えばユーザーレベルの技能・技術ではあるけれども、別の意味での専門性があるという意味で、Web、CADなどを捉える。あるいは下にありますように、これは正に私どもとして皆さんに御議論いただければと思っていますが、上で例示的に掲げている以外の系、ジャンルがないか、あるいは正に今、委員からお話いただきましたようにITプラス何とか、ビジネスにおけるIT活用、アプリ、業務上の活用といったものも、それに類するものではないかと思っています。情報通信技術から完全に離れたものについてまで御議論いただくという考え方ではありませんが、情報通信技術と密接に関連し、市場ニーズが認められ、当該教育訓練が、先ほど局長が申し上げたように10年食っていける可能性があるということであるならば、そういったことも含めて是非、御議論いただければというのが私どもの考え方です。そういうアイディアを具体的に紹介できればと思います。
○佐藤座長 ですから情報通信技術の範囲についても、皆さんから御意見を伺うのがいいかなと思います。その中でもう1つ大事なのは、今、不足しているという話と、これは長期的なキャリアということなので、今食べていけるというだけでなく、その人にとって10年後のキャリアまでプラスになるような資格ということで、選べということのようですから、今、足りているから資格を持っている人を増やせというだけだと、今回の議論はちょっと困ってしまうのだと思います。なかなかこの分野で10年後と言っても、2年後、3年後が分かるのかという議論があるわけで、そういう意味でも、確かに中長期的なということが議論できるのだろうかという話はありますが、ただ、今というだけでなく、少し先を見てどういう資格にするかを考えていただきたいという趣旨のようです。結構、入口のところは大事だと思いますので、ここは分からないというところがあれば伺ってから論点に入りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 あと、先ほど言った子育てとか、非正規という話がありますね。これは中長期的キャリア形成に資する教育訓練評価等に関する、その全体の話の中で取り上げればいいのか、あるいは今回の情報通信技術を議論するときに、非正規の人もエントリーしやすいとか、主婦の人もということを考えなければいけないのかどうか、それはどうですか。
○伊藤育成支援課長 本制度に関しては、資料の前半のほうにございますように、雇用保険被保険者あるいは被保険者であった者として、その期間等の一定の要件を満たす方が全て対象になり得るものです。したがって、もっぱら子育て助成、非正規雇用労働者が対象ということではありません。
 それを前提として申し上げた上で、本制度創設に当たっての労働政策審議会における公労使の議論の中で、これは本制度が目的とする中長期的キャリア形成ということで、逆に言うとキャリア形成上の課題を抱える各層にとって、特に有用なプログラムが開発されることが期待されるということについて、審議会の場でも御議論いただき、したがって、制度的にはこういった方々に特化したものではありませんけれども、これらキャリア形成上の課題を抱える層にも有用なプログラムが、全体として開発されるべきであると。こういう御指摘も頂きながら、今、まず3+1の類型の中での開発を図っているところです。
 したがって、今回、御議論いただく情報通信技術関係分野の民間資格取得を目的とした、教育訓練プログラムだけに特に特化して、子育て助成あるいは非正規労働者のキャリアアップに資するプログラムが、位置付けられるような考え方をということではありませんけれども、今、申し上げた専門実践教育訓練制度に対する一般的、全般的な期待のもとで、この新しいジャンルについても、こういった方が事実上、全く受けられないということではなく、先ほど船津委員からもそういった観点の御指摘を頂いたと思っていますが、この分野についても子育て助成、非正規雇用労働者にとって有用なものが出てくるような、そういう制度設計につながるような御議論を頂ければという趣旨です。
○佐藤座長 そうすると12ページの絵で、まず全体の枠組みとして子育て中の女性の再就業とか、非正規層のキャリアアップのものがあることを前提に、例えば職業実践力育成プログラムで女子大などは、自分の所の卒業生で専業主婦になっている人のリカレントのためにやっていますね。そういうのが出てくるのだと思います。まず全体としてそういうものを考えながら、もちろん、今回議論する真ん中にもそういうものが入ればいいけれども、マストではないということ。
○伊藤育成支援課長 ですから、例えば先ほどの船津委員の御質問の関連で申し上げるならば、この専門実践教育訓練のそもそもの制度目的から、いわゆるエントリー近傍のものというのは対象にならないであろうと。これは情報通信技術であれ、それ以外の分野で思っています。ただ、あまりにもハイエンドのものだけ対象という建て付けにした場合には、ここでお示ししているような需要、ターゲット層にとっては、ほとんど空振りになってしまうという両面を見据えた上で、今日の机上配布資料ではありませんけれども、レベルについてどのぐらいまで拾うことが、両面を勘案して適当かといった点についても、今後、御議論いただければという課題構造としての認識です。
○佐藤座長 かなり中身に入るような御質問とか多く出ていますが、まず何か入口であれば、いいですか。
○船津委員 本会議の目的は、制度設計はもう出来ているので、メニューを選びましょうということなのだと思うのです。いろいろ資料を見て考えれば考えるほど、例えば120時間であるとか、金額でこれだけかかるからというのは、その考え方そのものがICTのことを考えるときの時代感と合わないと。軽いから競争力がないということではなくて、生産性を上げるものというのは、意外とお金はびっくりするほどかからないし、中間的なソフトウェアで言うとそんなにアカデミックにやるという話ではないけれども、非常に有効なのだというものがどんどん出てきていると思うのです。
 ただ、それは余り先のことを言ってもしようがないのですけれども、1枚配られたこれではWebとかこの辺はこれから考えることになっています。そこの分野は非常に重要なのです。これは、明らかに我々のデバイスがここまで来て、もっと進んでいくことを考えれば、雇用の量からいっても、明らかにその辺はボリューム感があるだろうと。皆がやらないだけで、そんなに時間をかけなくていいものを、方向感として示して、こういうことはあの制度があるのだということで、ICTと言われるもののジャンルそのものをもっと気付かせることをやっていくことが大事のように思うのです。いずれ選んでいくときの議論にも多少入るのだと思うのです。ただ、ちょっとその印象が強いのです。
○佐藤座長 今回、専門の対象にする民間資格のところを議論して選ぶということですけれども、他方で一般のほうとも少し連携しながら見ていく。つまり、必要なものも一般にもっと入れるのであれば、あるいは教育プロバイダーが増えてもいいのではないのということであれば、そこも議論していただいていいかと思うのです。全体をセットとして、必要な人材が供給されるような、あるいは働く人たちが受けたい教育訓練、助成金額が高いか低いかは別として、受けやすくなるということを考えてもいいと思います。そういう意味では今回のところだけではなくて、それほど時間をかけなくても話せます。そこもちゃんと議論して、もしかしたら一般のほうにそういうのに入っていただくようなことも考えるということではどうですか。
○松原委員 この専門実践教育訓練制度の目的の1つは、その財源が雇用保険から出ているということがありますので、やはり雇用につながり、雇用を増やすことが非常に重要な役割になってきます。そういう意味で専門性に特化したプログラムということで言うと、この枠組みがはっきりしすぎてしまっている中では、本当にその枠組みの中で雇用を増やしていけるようなものを類型として、若しくはプログラムのメニューとしてこの場で用意できるのかどうかにすごく疑問があります。
 結果的に見ると、すごく限られたプログラムしか出てこなくなってしまうのではないかという不安もあります。座長がおっしゃったような形で、少し幅を広げてその資格保有であったり、教育を受けるということが、今後の雇用につながっていくような視点でも少し御検討いただけると有り難いと思います。
 特に専門性型で10年という縛りが結構大きいと思っています。IT業界で言うと、本当に2、3年ですぐ技術が変わってしまう中で、2、3年たったら陳腐化する技術や資格がほとんどなのに、10年という中長期的キャリアということでやっていけるものなのかどうか。ここをいじるのは難しいのでしょうけれども、柔軟性みたいなところも含めて議論できれば有り難いと思います。
○宮川職業能力開発局長 もともと、これは松原委員からお話がありましたように、一般制度があって、だけど一般制度ではちょっと率も低いし、それならこれを単純に上げればいいのかというと、そういうわけにもいかないだろうと。もともと一般を作ったときに、乱脈と言ったら語弊がありますけれども、教養的なものがどんどん入ってしまったり、不正受給があったりして、相当問題視されて現在ここに至って、この割合になっています。ただ、この割合のままではまずいでしょう。ただし、このまま率を上げるわけにもいかないでしょう。それでは内容を絞った形で率を上げていく。そのときのコンセプトというのは専門性なり、費用がかかるなり、時間がかかるなりという形で、そういう意味で非常に範囲が厳しく、限定的に作ってしまったのは間違いないと、10年のところも含めてです。
 ただ、ここは制度論ですので、この場なり能力開発審議会だけで議論できる話ではありませんが、いずれにしてもある意味IT業界にとって、あるいは日本の産業全体にとって必要なIT人材を、この仕組みがどれだけ生産性の高い人材を育てる上で役に立つものにするのか。その意味では松原委員のおっしゃるような雇用の増加、良質な雇用の増加につなげていくというポイントも含めて、それにふさわしいような資格ないし教育訓練とはどのようなものなのかを示していただくと、逆に他の民間分野の資格、これ以外の部門の民間資格というものも同様に考えていけばいいだろうというような広がりになっていくのではないかと思います。
○佐藤座長 あとは船津委員から、少しレベルが高いのではないかというお話がありました。12ページですが、従来やった学校教育法の職業実践専門課程とか、専門職大学院に比べると、今度新しく出来る職業実践育成プログラムは、そういう意味でもう少し受けやすいものを作るという話なのです。
○宮川職業能力開発局長 本日の資料には付けていませんけれども、職業実践育成プログラムの、従来の2番や3番は正規課程だったものですから、1年とか2年というかなり長期のものだったのです。ところが、職業実践育成プログラムはもちろん正規課程でもできますけれども、短い期間のものでできる。例えば、毎週土曜日何時間ずつぐらいやっていく。実際に今検討しているところでは、文部科学省の認定基準では120時間でいいということになっています。これが資格取得のほうで考える際においても、その程度ぐらいのものは、学校教育法の課程に着目したものがやるのであれば、それとバランスを取った形での資格取得で、ある程度の時間数を考える場合に、今までよりも短い時間でもいいのではないかという議論にはなろうかと思います。
○佐藤座長 専門職大学院などは見ずに、文部科学省が今度新しく支援するほうの並びでと考えていったらいいのかと思います。4のほうはどうなるか分かりませんけれども、例えば専門職大学院で言うと、そこの科目を幾つか、この科目とこの科目を合わせて、例えば医療福祉関係のマネジメントコースとか、そのように設定して、もし通ればそのようなものが出てくるようなイメージなのです。
 もう1つは文部科学省に確認していただきたいのですが、この120時間は何かです。文部科学省基準だと、大学などでは実質教育時間が120時間ではないのです。予習・復習を入れて120時間なのです。それは、厚生労働省の時間とは計算の仕方が違うのです。つまり、予習・復習をするという前提で大学の時間数は決まっているのです。もしそのルールで言うと、120時間授業を受けるのではないのだと。60時間とか80時間の可能性もあるので、それは文部科学省に確認していただいたほうがいいと思います。
○伊藤育成支援課長 座長御指摘の点ですが、文部科学省といろいろと確認・意見交換をする中では、座長から御指摘のあった点に関しては、文部科学省側の120時間の解釈としては実120時間という考え方である旨説明を受けています。私どもの120時間というのも、一応その考え方を踏まえています。今後の運用の中では、更に実態の中の縛りがあるのだと思います。
○佐藤座長 大学側がそれを知らずに認定を受けてくる可能性がある。そうすると、大学側は既存のものを入れられなくなります。大学の授業がそのようにできていないので、120時間で作ってみたら、80時間だったということが起きる可能性があります。
○船津委員 その辺は座長からいろいろな話が出たからということではなくて、これから我々がメニューを考えるときに、ガチガチにこれは10時間足りないから駄目と言うのではなくて、その運用のところで「程度」というか、「など」というか、そういう感じで最終的に落ちてもしようがないのですけれども、ノミネートしていく段階ではそういうこともやっていかないと、割と殺伐とした議論になりそうな気がしないでもないです。
○佐藤座長 よろしいですか。資料2の論点と、もう1つこれも大事だと思うので、どんな範囲なのかとか、その辺を本日は1回目ですのでざっくばらんに。そこに民間資格がなければしようがないのですけれども、ただこの分野は結構対象になるような技術というか、資格はないからあれですけれども、こういう技術を持った人があり得るしとか、既にあるとか、そのことも含めて両方。そろそろあれなので、全体でお気付きの点を、田原委員は少し早く出なければいけないと伺ったので何かありますか。論点でも、この範囲でも、うちの自社だとどうかというお話もありましたので。
○田原委員 もうちょっと進んでから。
○佐藤座長 それでは、須藤委員からグルッと回りましょう。この論点とかで、何でもいいです、御意見があればお願いします。
○須藤委員 1つの論点としては、どのぐらいのレベル感という話は重要なのかという気がしています。余りに入門的なものだと、それは専門に値しないとは言えという話です。余りにプロフェッショナルなものは、本当に限かられた人にしか取れない。例えば2年ぐらい働いた方が一遍退職されて、もう一回就職しようと思ったときに、キャリアアップもやりたいと。1年間かけて勉強して、その後10年働けるよねという位置付けのもののような感じに見えるのです。そういうものに値するようなラインというのは、どの程度のスキル、資格なのか。私の中にも答えはないのですけれども、例えばこれをパッと見ると、私は通信事業者なので、どうしてもシスコの認定のところに行ってしまいます。
 例えば、CCNAというアソシエイトの資格があるのですけれども、これは比較的入りやすい資格で、既に一般でも対象になっています。それだと高さからしてもそんな気はしないけれども、その1つ上のエキスパートというのがあります。このエキスパートは結構なお金がかかります。それで、かなり難しいです。対象にしてもいいかもしれませんが、素人がポッと入って、すぐにできるようなものでもないので、やはり経験者でないとなかなか入れないところもあります。この線引きはなかなか難しいというのが今の感想です。
○佐藤座長 今のアソシエイトというのを私は分かりませんけれども、これを取るための学習時間、つまり何か試験を受ければいいのか分かりませんけれども、何時間ぐらい勉強すればいいのですか。
○須藤委員 すみません、時間までは知らないです。もし基礎からちゃんと勉強すると、それなりの時間は結構かかると思います。ただ、1年とは要らいなと思います。我々のような仕事をしている人間が勉強すると、数箇月もあれば十分取れます。
○佐藤座長 これは、資格ごとに多少調べて分かるのですか。アソシエイトを取るためにやっている学校があったりすると、その時間がどのぐらいというのはあるのですか。
○伊藤育成支援課長 私どもも本日の会議に向けて、現行の一般教育訓練の講座指定の範疇での実態把握、教育プロバイダーからのヒアリング等も一部それに着手しています。本日は、まだそこまで十分な材料は御提示できておりませんので、本日の議論を踏まえて、次回以降の議論に資する客観的材料については私どもも準備してみたいと思います。1つ難しい点としては、資格に関して申しますと、資格の一部に関し、運営主体の側ではなかなか公開できる情報の範囲に、サーバーに隙がある。ヘッドクオーターが海外、例えば米国などにあり、そことの関わりで具体的なレベル設定とか、受験者数とか、学者数等の情報についてもフルオープンにすることは難しいという実態が一部あります。須藤委員から御指摘のあった点について、どこまでお示しすることができるのか、そこは工夫が必要かと思います。そういう部分を補う、1つの手法として、非公開型でのヒアリングということも含め、次回以降の会議を設定していく必要があるのかと思います。
 それから、時間数については当然私どもでも把握しております。先日も特定のプロバイダーのヒアリングを行いました。これは、どこまで説明内容を問われているということの説明だったのだと思いますけれども、必ずしもその資格取得だけを目標にしているわけではなくてプラスアルファ、資格合格はもとより、すぐに修了後に就職をして戦力になるようにということで、資格取得上のスペックを超えた教育訓練もやっているのだという説明もあり、そういう意味では資格取得、合格の標準時間数が何時間というところを、きれいに切り出すというところまではなかなか難しいかと思います。ただ、そういうプラスアルファの部分も含めて、こういう目標を設定している、今一般のほうで指定している講座の時間数は大体これぐらいですということについては、例示的にお示しできるのではないか。工夫してみたいと思います。
○佐藤座長 私もこれはよく分かりませんけれども、この資格を取るためにどこか専門学校でそういうのがあるのか、あるいは社内で勉強させて取るのか分かりませんけれども、そうすると標準的な時間がないものもあり得ます。あっても100時間とか、全部120時間ばかりではない可能性があるから、そういう意味では船津委員が言われたように、わざわざ厳密に。既に100時間で取れるようにしているのを、120時間教えろなどというのは変な感じなのです。その辺は資格のレベルでそろえておけば、そこは少し考える。フレキシブルに既存の資格でいくとなるとそうなります。
○船津委員 本日はあれですけれども、この予定で言えば、赤い点線の中にWebというのは外れています。例えば、データベースの中にWebの解析というものも一緒になってきます。Webというテーマは、今の話の100時間ないから落ち着いているのかもしれませんが、ここにITと書いてありますけれども、今はICTとていうわけです。Web系の話は、サービスも含めてIT系で一番人が足らない所です。自分らがやっている分野で言うと、一番人が足らないところなので、そういうところをどこまで睨むのかという話です。
 横軸の立て方も、今だとセキュリティはセキュリティだけで1本立ちますから、セキュリティは必要だろうと。先ほどもお話が出ていましたけれども、いわゆる運用管理系というような話になってくると、プロジェクト・マネジメントというだけでも1本立つ。この横は少し広げて、縦にどれだけあるのか、これは次回以降の各論になりますけれども、そういう部分をカバーしていく必要があるだろうと思います。ビッグデータのところは、統計と解析の話なので、そこにも様々な資格があると思うのです。その辺は強化するのが、これから大事なところだろうと思います。
○佐藤座長 この絵で、オレンジの点々があって、こっちが抜けているというのは、事務局としてはWebからこっちは対象外の予定だったということですか。
○伊藤育成支援課長 と申しますよりは、対象になり得るという認識は持っているのですが、左側に例示で掲げた資格ほど、社会的認知度、あるいは我々が把握している範囲内での実施というのが、大きなものについて具体的な把握に至っていない。むしろ、具体的にこの分野の需要で、かつこういう資格が少数ながらもちゃんと評価として確立しているものがあれば、御教示いただければ大変有り難いと思います。
○船津委員 須藤委員の所から各論で出てくると思いますけれども、仮想化とか、クラウドとか、その分野が縦にガッと並ぶぐらいいろいろなものがあると思うのです。
○須藤委員 新しい分野に関しては、資格の制度というのがなかなか成熟しない側面もあって、そこはなかなか難しいです。
○船津委員 でも、テーブルには乗せたいということですね。
○須藤委員 はい。
○佐藤座長 この辺は資格が育ちつつあるかどうかも載せておいていいと思うのです。ただ今回あるものでやらなければいけない。
○田原委員 退席する前に私も一言言わせていただきます。前回と同じ発言になるのですけれども、このマップの中で足りないのは、これは運用管理があるのでいいのですけれども、要はデータベースから開発関係プロセス系のところまでは、要は開発の要素を技術でカテゴリー分けしています。もう1つこの上に要件定義というのがあって、要件定義の意味はビジネスなのです。そこの部分でいかにこの開発につなげるかという部分の考え方がないと、どうしてもこれは偏るような気がしますので気になります。ただ、それが今回の対象になるかどうかは別にしても、全体としてはそういう整理が必要ではないかと思います。
○佐藤座長 開発関係のプロジェクト・マネジメントをやる、その辺の資格はないのですか。
○伊藤育成支援課長 あります。
○佐藤座長 あることはあるのね。
○松原委員 そういう意味で言うと、私もこの類型の切り方というのは気になっています。この一つ一つは基盤技術でしかなくて、現在は1つのビジネスを提供するときに、これらが全て融合して提供する形になっています。例えば先ほどから例に出ているようなセキュリティとか、ビッグデータだとか、クラウドだとかいろいろあると思うのです。1つのビジネスを起こすときには、こういうものを全て体系立てて提供できることが、この会社にとってはビジネスになるものになってきます。この部分はビジネスをやっていく部分の一つ一つの部分でしかないのです。本当に各社の皆さんが資格を持っていることだけを求めているのかというとそういうことではなくて、それを統合して何かを提供できるような、例えばプロジェクト・マネジメントみたいな業務だったり、そういうところがすごく求められるはずです。
 セキュリティなどで言うと、セキュリティの技術というのは様々な技術を組み合わせた形で生まれています。ネットで見るといろいろな資格があります。有名な資格もありますけれども、まだ中小企業が中心となったもので、幅広く認知されているということではないのかもしれません。そういうところも分野を広げて見ていかないと、どうしても基盤技術だけに目が行きすぎてしまっている。ビジネスを展開する、それがまた雇用の話になってしまうのかもしれませんけれども、人を採用して、そういう技術や資格を持った人が必要なのだというところにつながるような切り口の部分にも幅を広げていただきたいと思います。
○佐藤座長 確認なのですけれども、これは人の側に着目すると、こういう資格はもちろんいいのだけれども、もう1つこういうのをまとめるような仕事をやる人の資格も入れてほしいという理解でいいですか。
○松原委員 そうです。セキュリティなどで言うと、CISSPという資格があったりします。そういうものも当然出てくるはずなのだろうと思うのです。この後の論議の各論では出てくるのかと思っています。そういうところも、忘れないように入れていただきたいということです。
○吉川委員 今までの御意見をいろいろ聞かせていただいて、私も幾つか考えているのがあります。これを見せていただい資料の、1番の3つ目の、「労働者全般のキャリア形成」と書いてあります。この中で本日の机上資料を見ますと、これはどちらかというと、ベンダーの中のキャリアアップとしか見えない部分があります。ただ、それは大事な側面ではあります。その人たちが、ベンダーの中だけで生きていく指標としてであるのかという話と、この人たちがむしろ発注者側に転職するときのビジョンと広がりは全然違うのです。
 そういうことを考えていくと、先ほど高原委員がおっしゃっていましたように、要はITプラス何かとか、IT掛ける何かという言い方をしていますけれども、そっちのほうが比較的大きいのかなと。そういうことを考えて、次の生産性向上を考えても、先ほど松原委員からも御意見がありましたように、これの再整理の見せ方がもう1つ要るかなと。例えば情報を使っていくことになると、今は人を使いますので、プライバシーの話も必要になってきますという話になります。日本は、EUからプライバシー認定を受けていない国ですので意識が低いと言われています。船津委員からありましたように、データアナリシスの分野というのはこれからものすごく拡大していって、今や当たり前のようにベースに使っていますよねという話になっています。そういうところで、ある意味産業を広げていく上での見せ方と、ベンダー内でのキャリアアップとは違う話で少し考えていかなければいけないのかと思います。
 もう1つは、産業を育成していくような2番目のポイントに行くと、先ほどから10年という議論がありました。むしろ考えなければいけないのは、民間を使っていくもう1つの理由だとは思うのです。いかに早く資格認定をしていくかとか、逆に認定を取り消していくかといった方針の出し方というのは、この議論の俎上に乗せていかないとまずいかと思います。一旦決めたら何年も持っていくという話では、多分この分野ではないと思います。民間を使う意味は、そこが半分になってしまいます。民間はすぐに資格を作りますけれども、松原委員からありましたように、すぐに小さな所をたくさん作ります。それが10年後、20年後にあるかというと結構なかったりします。でも、あるということは必要だから作るわけで、その瞬間はある意味業界人はみんな知っている資格になってくる。このような鮮度がどうしてもある分野がありますので、そこの認定の仕方が議論の中では要るかと思います。
 もう1つ議論になっていた120時間という話です。これは須藤委員にもお聞きしたいのですけれども、先ほどおっしゃっていたように、IT業界にいる人たちであれば簡単に取れる資格です。そうでない人だったら何時間かかりますかという話になってくる。要は、勉強の時間の基準が違うのです。さらに先ほどありました、アソシエイトからエキスパートのほうに行くという話になってくると、IT業界の中にいても大変だという話と時間の意味が違います。例えば何かの資格を持っているのであれば、何時間勉強したという換算みたいなものをしても悪くはないのかなと。もし、講座ということでどうしてもやるのであれば、本来的にその講座を受けるために120時間要るのではなくて、実はこの人たちであれば、もう50時間分ぐらいの勉強した時間はあるのかな、ということは考えても悪くない分野だと思うのです。
 ITの特殊性というのは、本当の上位の人たちは専門性がすごく強いですけれども、データベースの下のほうだったら、他の技術をある程度知っていると出てしまう部分があります。4ページで見せていただいたのは、名称独占・業務独占というように分野が独立して資格化とは少し違う部分がありますので、そこの整理の仕方という、要は我々の時間の考え方の整理をしてもいい議論なのかとは思っています。
○佐藤座長 幾つも大事な論点があったかと思います。まずは既存の民間資格かなということです。ある程度実績が新しくできて、実績があったらそれを対象に指定するというのも、そんなに時間をかけなくても早めに指定して、駄目なら取り消す。駄目と言うのは変ですけれども、実績が出なければというやり方も確かにあります。特にこの分野は考えたほうがいいのかもしれません。それは大事な論点だと思います。
 もう1つは、確かにこれをどうするかです。先ほどのシスコの所でアソシエイトがありましたけれども、基本的にはエントリーを取ってからになるということでいいのですか。そうすると、全然関係のない人が下から来るので、まあそれはあれかなという気がします。確かに全員が120時間を受けるかどうかというのは、ものによっては考えたほうがいいかも分かりません。実績でここの部分はもう取れています、という認証し合うというのはあり得るかも分からないです。
 これまでに出た御意見は、まず情報通信分野全体としてどのような技術分野なり、その辺は今資格としてある部分はどこなのか。それぞれレベルが違うと思いますので、ものによっては一般のほうでやってもらったほうがいいものもあれば、ここからは専門でいけるというような腑分けを少ししていくということだと思うのです。そういう意味では、この絵を描いたそれぞれがどのぐらいのものかを横で切っていかなければいけない。その時の切り方としては、今回の文部科学省の職業実践育成プログラムを見ながら、その水準でということがあるのかと思います。
○船津委員 これは実践教育なので、今のお話を伺っていて思ったのですけれども、A、B、Cぐらいのジャンルに分けて、この3つをセットという考え方ができると非常に実践的でいいと思います。ここ1個の資格だけで言うとなかなか引っかからないけれども、ここのジャンルで1個取って、ここもやったときにカバーしましょうみたいなのがもしできたら非常にいいと思いますけれども、運用が難しいかもしれません。
○佐藤座長 それは、個人の技術者が、複数の資格を持つということですね。
○船津委員 そういうことです。実践という意味はそうではないのですか。1個の話ではないでしょう。
○須藤委員 そこだけというわけではないですからね。
○佐藤座長 あるいは、持っている人が横に取るというのもあります。そういうのは、既にある人が、別の資格を取ることによって実践力、経営の貢献度とか、自分のエンプライアビリティが高まるみたいなのはあり得るかと思います。
○伊藤育成支援課長 船津委員から御提案を頂きましたが、習得目標とする知識・技能に相当共通性があり、かつある種の多能工化した場合に市場のバリューが広がる、そういう領域であるとするならば、複数の資格取得を目標とした教育のプログラムについて、それをより評価していくという考え方は大いにあり得るのだろうと思います。ただ、その前提としては先ほど御指摘を頂きましたように、言わば短冊型だけではなくて、横串の視点も必要です。私どももこれらの横串で、例えば「セキュリティ系」などと書かせていただいているように、そこは問題意識を持ちつつも、なかなか構造が分からないことで中途半端な整理になっています。ある程度要素分析的な整理もした上で、各委員から頂いているような統合的な整理、実質的に整理をする部分と、御指摘を頂いたように見せ方と両方あるかと思います。重要な点を多々御指摘を頂いておりますので、そういう意味ではこの資料を膨らませる形で更に点検いただくような議論を今後させていただきたいと。その中で委員から御指摘を頂いたような点も含めて位置付けができればと思います。
○佐藤座長 最初に出てきた、中長期的なキャリア形成をするというのをどうするか。この分野をどう議論していくかを少し検討しなければいけないところもあります。
○宮川職業能力開発局長 お聞きしていて、私自身言い方を変えたほうがいいかと思ったのは、これはもともと10年に1回というのは、10年を食えるようにと。端的にこの世界で言えば、その資格で10年ではなくて、その資格を取ったこと、さらに、業界に入ることによって10年間そこの業界なり、それをできるという言い方をしたほうがより適切なのかと、本日の議論を聞いていて感じました。
○佐藤座長 入って、その後また取って変わっていく。入れる。
○宮川職業能力開発局長 入って仕事をして、自らいろいろ。しかも何年かでどんどん変わっていくのに付いていける。そうすればこの業界で、あるいはこの職種で、この技術を生かす技術者で10年間はやっていけるでしょうという、正に取っかかりだということかもしれません。
○佐藤座長 それは、確かにいい説明かもしれません。自分で間違って笑われてしまう感じはあります。そんなのがあるのかなどと言われる。そんなのはなくなってしまうではないかと言われそうなのです。これがあればそこに入って貢献できる。それで5年も10年も食べていけなくて、また次の勉強をしなければいけないということはあるけれども、まず入って貢献できるというのは、確かに大事な点かもしれません。
○船津委員 先ほどキャリア形成のお話が出ていましたが、キャリア形成の主語は何なのかと考えたときに、働く人ということを考えれば、何か1つの技術の話ではないのです。そこを勘違いというか、外形的にこういう資格を並べてしまうと、何かこの資格がアカデミックで深いものが10年だというのはすごく違うと思うのです。今言われたような、主語がどこにあるのかを押さえると、私が言った複数というのもそういうことなのです。大事だと思います。
○佐藤座長 本日は1回目ということで、大体どういうことを議論し、少し広めに議論して、最終的には実践のほうの認定対象となるこの分野の資格をどうするかということになるかと思います。ただ、そこだけ議論するわけにはいかないことも本日よく分かりましたので、少し広めにある面では一般のほうの改善に結び付くような、あるいはそこに入ってきているような資格も増えることが大事だと思います。そんな形で議論するということでいいですか。議論はここまでにさせていただいて、事務的な連絡があればお願いいたします。
○花咲指導官 次回の日程については、可能であれば来月下旬をめどに開催させていただきたいと考えています。具体的な日程については、今後日程調整をさせていただき、それを踏まえて決まり次第、別途事務局から連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○佐藤座長 お忙しい中を御参加いただき、積極的に御意見を頂きましてありがとうございました。次回以降もよろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

職業能力開発局キャリア形成支援課 中長期的キャリア形成支援係
03-5253-1111(内線5390、5398)

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