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2015年6月3日 歯科医師の資質向上等に関する検討会 歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ(第2回) 議事録

厚生労働省医政局歯科保健課

○日時

平成27年6月3日(水)17:00~19:00


○場所

経済産業省別館108各省庁共用会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1丁目3番1号)


○議事

○和田歯科保健課課長補佐
 ただいまより、「歯科医師の資質向上等に関する検討会 歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ」の第2回を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
構成員の出欠状況でございますが、南構成員から30分ほどおくれるという御連絡を頂戴してございます。
 なお、三塚構成員は、所用により中座する旨の御連絡を頂戴してございます。
 今回のワーキンググループにつきましては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
 まず、お手元の資料について確認をお願いいたします。本日配付している資料でございますが、議事次第、構成員名簿、座席表。以降、資料1から資料5まで。参考資料といたしまして、パワーポイントの資料、参考資料1。そのほかに、これまでの会議資料をファイルで御用意させていただいてございます。
 乱丁・落丁などございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、以降の議事進行につきまして、森田座長、よろしくお願いいたします。
○森田座長
 皆さん、こんにちは。お久しぶりでございます。最初に簡単に御挨拶させていただきます。いろいろと医療をめぐる議論も活発になってまいりましたし、今月の終わりぐらいに、いわゆる昔の骨太方針ですか、そちらへ向けて、医療界の外でも議論が少し騒がしくなってきたかと思っておりますけれども、来年の診療報酬の改定に向けて中医協のほうでもさまざまな議論が盛り上がってきているところでございます。
私自身は、今月で一応中医協の公益委員の任期が切れますので、以後のことにつきましては後任の方が御議論してまとめてくださると思っておりまして、ほっとしたと言うとちょっと無責任かもしれませんけれども、そういう気分でございます。けれども、医療は大いに重要な問題ということで関心を持っておりますので、またいろいろと外からお手伝いさせていただきたいと思っております。
 余計なことはこれぐらいにいたしまして、議事のほうに入らせていただきます。
初めに、事務局から資料1から3の説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○和田歯科保健課課長補佐
 それでは、資料1から3につきまして順次御説明させていただきます。
 まず、右肩、資料1という資料をごらんください。「『歯科医師の資質向上に関する検討会』当面のスケジュール」をお示ししてございます。これまで各ワーキンググループの第1回目の議論が終わったところでございまして、今後、8月末を目途にいたしまして、それぞれワーキングの第2回目の議論を終える予定でございます。議論が終わった後に、9月目途で、第2回目の検討会を開催する予定でございます。
 続きまして、資料2-1をごらんいただきたいと思います。各ワーキンググループで議論が一巡したことを踏まえまして、各構成員から御発言のあった内容についてまとめた資料でございます。1、2ページは需給に関するワーキンググループを中心にまとめてございまして、3ページは女性歯科医師の活躍に関する部分、4ページ、5ページは歯科医療の専門性に関する部分の発言の要旨となってございます。1月の検討会でお示しした論点につきまして、どのワーキンググループで御発言があったのか、発言の最初の部分に括弧で表示してございます。各ワーキング、相互に関連してございますので、例えば1ページ目の(1)1、1)の下から1つ目、2つ目、これは歯科医療の需要という論点ではございますけれども、歯科医療の専門性のワーキングで関連した発言がございましたので、こうした内容も含めて該当する項目ごとに発言内容を整理してございます。幾つか項目ごとに発言内容を御紹介させていただきたいと思います。まず1ページの1でございます。「歯科医療を取り巻く状況を踏まえて、国民や患者が求める歯科医師像はどのようなものか」ということでございます。これに関連いたしまして、1)歯科医療の需要に関しては、一番上でございますが、在宅歯科医療や障害者に対する歯科診療を担当する歯科医師が少ない、国民が求めているのは一般的な歯科医師だけではないというような御意見ですとか、あとは、下から3つ目になりますけれども、高齢者は何年後かで減少するため、今後歯科医師になる方が将来みなければいけない患者数は急速に減少する可能性がある。供給の在り方との相互の関連性をみながら養成を考えていかなければいけない、などの御発言がございました。中ほどから下にかけてでございますが、2)といたしまして「歯科医療の供給(提供)について」に関連する御発言でございます。こちらにつきましても発言内容を幾つか御紹介させていただきますけれども、上から2つ目でございます。「1人開業制がどう変わっていくと世の中のニーズに対応できるのかというシミュレーションが必要」という御意見ですとか、あとは、その下でございますが、「歯科診療所はほとんどが無床診療所であり小規模であることから、少人数で経営、医療安全、医療倫理等の全て担わないといけないため色々な問題が生じている」という御意見。ページをおめくりいただきまして2ページ目でございます。2ページ目の一番上でございますが、「高齢者のニーズに対応する訓練を必ずしも受けていない歯科医師もいるが、ニーズが発生した以上は対応せざるを得ないため、こうした歯科医師を育成していくのが供給側の問題」などの御発言がございました。また、3)といたしまして歯科医師のキャリアパスに関する御発言でございます。一番上の発言でございますけれども、「高齢者、障害者などは在宅で診療を望まれている人が多く、今までとは違った形の歯科診療が始まっているが、歯科医師も現状のままでは対応できない」という御意見。また、下から2つ目でございますが、「歯科医師は、国民が期待する役割など青写真に沿って社会的使命を果たせるよう教育や研修制度を進めてもらいたい」などの御意見がございました。また、2から4でございます。こちらに関しては、特に他の分野への進路変更等々に関する御意見を中心に論点を出していただいたところですけれども、ここでは、2といたしまして、「歯科医師の養成課程において、コミュニケーション能力や一定の学力等の基本的資質を有さない学生や歯科医師国家試験を繰り返し受験し、歯科医師臨床研修やその後の歯科診療に支障を来す者について、どのような対応が考えられるか」という論点につきましては、「途中でドロップアウトする学生は早い時期に違う方向を考えさせることが必要」などの御意見がございました。また、3といたしまして、「歯科医師又は歯科大学在学時の知識や技術を活用し、他職種での活用等の対応が考えられるか」。この内容に関しては特に御発言がございませんでした。4といたしまして、「その他、他職種や他分野での需給に関する取り組み等を参考として、どのような対応が考えられるか」という論点に対しましては、司法試験では数をふやしたことによって、OJTに近い指導が出来ずに、質が低下しているのではないかという意見が非常に強い」という意見がございました。また、3ページ以降は参考でございますけれども、3ページ目の(2)に「女性歯科医師」に関する論点といたしまして2つほど掲載してございます。1つ目は、「女性歯科医師の増加に伴い、歯科医師の働き方やキャリアパスについて、どのようなことが考えられるか」という論点。2つ目は「結婚・出産などに伴う離職や復職を想定しつつ、女性歯科医師が活躍する場について、どのようなことが考えられるか」という論点に対して発言内容を掲載してございます。また、3点目といたしまして、おめくりいただきまして4ページ目でございます。こちらは「歯科医療の専門性」に関する論点、大きく3つほど掲載してございます。1つ目は、「国民が求める歯科医療の多様化に対応しつつ、安全・安心な歯科医療を提供するために、歯科医療の専門性についてどのように考えるか」。同じく4ページの中ほどから下にかけてでございますが、2といたしまして、「歯科医療の中で既に位置づけられている専門医についてどのように考えるか」。ページかわりまして5ページ目、中ほどになりますけれども、「専門性についての情報の在り方について」に関して、発言内容をまとめてございます。
 続きまして、資料2-2をごらんいただきたいと思います。あわせて、参考資料1、パワーポイントの資料につきましても御説明させていただきたいと思いますので、一緒に御参照いただければと思います。資料2-2でございますが、こちらは「歯科医師の需給問題に関するワーキンググループで更に議論すべき論点」をお示ししてございます。各々の御議論いただきたい論点を1-1から、最後、3ページ目の4-1まで記載してございます。また、この論点に関連するデータ、あるいは情報につきまして囲みで記載してございます。これらの論点と新たに追加いたしました参考資料1の資料を中心に御説明させていただきたいと思います。まず、論点1-1でございますが、「人口減少社会に入り、当面、高齢者人口は増加するものの、ある時点から高齢者人口は減少するため、どの時点を想定して検討すべきか」という論点を提示させていただいてございます。これに関連した資料が参考資料1のスライド2から4に該当させてございます。スライド2と3は既出の資料でございまして、日本の人口の推移ですとか人口ピラミッドの推移形をお示ししたものでございます。スライド4は今回初めて提示する資料でございまして、棒グラフが歯学部の入学定員、細い、薄いブルーの折れ線グラフが18歳人口、これを単純に割り算したものが18歳人口当たりの歯学部の入学定員数で、太い濃いブルーの折れ線グラフで記載してございます。平成26年時点では、仮に18歳で歯学部に入学すると仮定した場合は、480人に1人が入学することを示す資料でございます。このデータに関してどう考えるのかというところも論点になろうかと思います。続きまして、資料2-2の論点の1-2でございます。「高齢者の受診患者は増加しているものの、例えば基礎疾患を有する患者等は相対的に治療に要する難度や時間が要求されること等を考慮した需要と供給の検討が必要ではないか」という論点でございます。
 これに関連した資料でございますが、参考資料の5ページ、6ページでございます。参考資料のスライド5でございますけれども、こちらは既出の資料でございまして、歯科診療所を受診する65歳以上の患者さんが相対的に増加していることをお示しするものでございます。その下のスライド6でございますが、こちらは初めてお示しする資料でございますけれども、上から、医科の外来、医科の入院、一番下の濃いブルーの実線が歯科診療所の外来の受療率をお示ししたものでございます。特徴的なのは、歯科診療所は、75歳以上の後期高齢者の方に関して、受療率が医科の外来、入院と比べると下がるというところが特徴的かと考えてございます。
 続きまして、資料2-2の1-3でございます。「人口構造や疾病構造の変化に伴い、今後、歯科医療のニーズで増加・減少する要因としてどのようなものが考えられるか」という論点でございます。この内容に関連して、参考資料は7枚目から13枚目にお示ししてございます。スライド7でございますが、こちらは、今から10年前の厚生労働科学研究の研究班で調査した内容を掲載してございます。上の濃いブルーの棒グラフが、増加が予想される分野についてまとめたものでございまして、その下が、減少が予想される分野について掲載したものでございます。それぞれ回答率が高かった3つの項目につきまして、その理由を聞いているものがその右のところになります。各々見てみますと、増加が予想される分野といたしましては、予防歯科、インプラント、高齢者と回答している者が多く、他方、減少が予想される分野につきましては、小児歯科、保存、補綴という分野を回答している者が多い傾向です。これらに関連いたしましてデータを幾つか並べてございますけれども、スライドの8番目、9番目は既出の資料でございまして、スライドの8は20歯以上の歯を有する者の割合が増加しているというのを示したものでございます。スライドの9は、中医協資料で過去出されたものでございますが、特に介護保険施設に対する訪問診療の実施件数が伸びていることをお示ししたものでございます。その下のスライドの10枚目でございますが、インプラントの状況に関しては、定量的なデータが非常に少なく、あくまで材料の傾向ですが、「歯科用インプラント材の生産・輸入数量」をお示ししたものでございます。一番左の平成14年、15年から比較して見ていきますと、直近の平成25年で倍にまで増加しているという状況になってございます。続きまして、1枚おめくりいただきまして、スライドの11、12。こちらも既出の資料でございまして、上のスライド11は、子供の虫歯数も罹患率も減少していることをお示しするものでございます。また、スライドの12でございますが、入れ歯やかぶせものなどの補綴物の状況を示したものでございまして、あくまでも保険診療の算定回数ですが、平成10年を100とした場合に、直近の平成25年までの、それぞれクラウン、ブリッジ、局部義歯、総義歯の算定回数どう変わっているかお示ししたものでございますが、いずれも平成10年と比較して減少しております。続きまして、スライドの13でございます。こうした状況を踏まえ、中医協で出された資料でございますが、いわゆる高齢者型と称される赤の破線で囲まれた部分の患者さんが今後増加してくるというのをイメージしたものでございます。 
 続きまして資料2-2にお戻りいただきまして、ここからは歯科医療の供給について、御説明させていただきます。まず論点といたしまして、1-4でございますが、「質的側面に着目した場合、超高齢社会に対応する歯科医師を輩出するため、需要との関連性を考慮しつつ、卒前教育、卒後臨床研修、生涯研修でどのような対応が求められるか」という論点でございます。こちら、資料を1枚おめくりいただきまして2ページ目でございますが、平成18年、約10年前の検討会の中間報告の記載を抜粋してございます。例えば歯学部入学時及び在学中の学生に対しては、特に重視すべき資質として、コミュニケーション能力や一定の学力等が必要。また、臨床研修については、制度の中核的役割が期待される研修管理委員会の役割の強化等、臨床研修の充実方策について今後検討を行うべき。また、生涯研修については、玉石混交の状態にあり、研修内容の質の評価が必要、と報告されてございます。続きまして1-5でございますが、「国民や患者に安全な歯科医療を提供するため、医療安全・医療倫理等の医療管理的な対応についてどのような形態で提供すべきか」という論点でございます。この内容に関連いたしまして、参考資料のスライド14以降にお示ししてございます。スライド14も既出の資料でございますが、高齢化の進展、あるいはう蝕の減少等により、歯科医療機関の提供自体も従来の歯科医療機関で完結する形態でなくて、地域包括型の中での歯科医療の提供形態が求められていくということをお示ししたものでございます。また、スライド15以降でございますが、こちらは歯科医師数、スライド16が歯科衛生士数、また、それ以降が歯科医療機関の規模感を表したものでございます。スライド15、16をごらんいただきたいと思いますが、歯科医師数、歯科衛生士数は右肩上がりに増加しているということでございまして、特に歯科衛生士の数につきましては、予防などの需要の高まりによって歯科医師以上に増加しております。続きましてスライド17、18でございますが、こちらは常勤換算の歯科医師数、あるいは常勤換算の歯科衛生士数として、規模感を見る一つのポイントとして比較したものでございます。特にスライド17ですが、常勤換算の歯科医師数別で見てみますと、平成17年、20年、23年と6年間での変化を見たものでございますが、特に大きな変化は認められてございません。その下のスライド18でございますけれども、こちらは常勤換算の歯科衛生士の数でそれぞれ比較したものでございますが、一番左の0人以上1人未満の歯科診療所は減ってきてございますが、2人以上とか3人以上など比較的中規模以上の診療所では歯科衛生士が若干増えてきているということが見て取れると思います。また1枚おめくりいただきまして、スライド19番目でございます。もう少し違った観点で歯科診療所の規模感を見てみますと、こちらでも特に顕著な変化等は見られてございません。また、その下のスライド20でございますが、こちらは開設者を医療法人と個人別でそれぞれ常勤換算の歯科医師数別の診療所を示したものでございますが、特に平成17年と23年で大きな変化等は認められてございません。また、スライド21、22をごらんいただきたいと思います。こちらは病院における歯科の位置づけに関してお示ししている資料でございますが、上のスライド21でございますけれども、こちらは平成23年の医療施設調査をもとに、各都道府県別で全病院の中で歯科関連診療科を標榜している病院がどれぐらいあるのかを数で示したもので、赤のプロットしているところはそれを割合で示したものでございます。実数としては東京都が一番多いという状況なのですが、割合で見てみますと、その2つ隣の新潟県が一番多いという状況になってございます。また、その下のスライド22でございますけれども、つい先日、中医協で公表されました平成26年の診療報酬改定の結果検証に係る特別調査でございまして、この中で病院に従事する歯科医師数及び歯科衛生士数を把握したものでございます。平成25年の10月と平成26年の10月で見ていただきますと、特に400床以上の大病院ではやや増加傾向にございますけれども、特に中小病院に関しては、全体として見ると、歯科医師、あるいは歯科衛生士の数は非常に少ない状況になってございます。
 続きまして、資料2-2の論点の1-6でございます。「量的側面に着目した場合、今後の歯科医師数は地域間格差や世代間格差はもとより、女性歯科医師数の増加や労働力もある程度考慮されるべきではないか」という論点でございます。この内容に関連して、スライド23番目から26番目、これは全て既出の資料でございまして、スライド23は人口10万人対の歯科医師数をお示ししたものでございます。その下のスライドの24でございますが、こちらも既出資料でございまして、仮に平成24年末の歯科医師数が変わらないという仮定で、それぞれ将来推計人口をもとに人口10万人対歯科医師数を算出したものでございます。全ての都道府県におきまして、今後人口が減少しますので、相対的に人口10万人対歯科医師数は増加するといったものをお示しする資料でございます。続きましてスライド25、26でございますが、こちらは年齢階級別の歯科医師数の推移を示したものでございます。いずれも既出資料でございますが、ブルーが男性、ピンクが女性で、特に若年層での女性の割合が多いということをお示ししている資料でございます。
 続きまして、資料2-2の3)、歯科医師のキャリアパスに関する論点でございます。1-7でございますけれども、「次世代を担う歯科医師が国民の期待する役割に応えるために、自身のキャリアパスが描けるよう、卒前教育や卒後臨床研修においてどのような対応が考えられるか」という論点でございます。これに関連したものといたしましては、参考資料の27~29でお示ししてございます。いずれも既出の資料でございますけれども、スライド27は、主として従事している歯科医師の就業場所をお示ししてございまして、特に40歳以降になると診療所の開設・管理の方が多くなっているという状況を示してございます。その下は、こういった医師、歯科医師、薬剤師調査のデータなどをもとに、歯科医師のキャリアパスについて、現状をイメージしたものでございます。臨床研修までは基本的に、皆さん、同じキャリアパスをたどられるのですけれども、臨床研修修了後は、最初は、特に病院、あるいは診療所に勤務される方が多いのですが、年数が経過するにつれて診療所の開設・管理になる方が多いという現状を示したものでございます。また、最後のスライド29でございますけれども、こちらは主として臨床研修を受けている施設をお示ししてございますが、基本的に、グラフの右側にお示ししている国立大学の歯学部附属病院、あるいは公立、私立と、基本的に歯学部附属病院で臨床研修を主として受けている方が約8割いらっしゃるということをお示ししているものでございます。
 資料2-2にお戻りいただきまして、ここらは少し論点が変わりますが、3ページの2から4につきましては、歯科医師の養成課程において基本的な資質を有さない者、あるいは歯科医師国家試験を繰り返し受験する者に対する対応、あるいは在学時の知識などを活用した他職種への貢献という論点を幾つかお示ししてございます。
 これらの論点につきましては、前回余り踏み込んだ御発言なかったのですが、様々な課題があり議論が深掘りしにくいところですが、これらの論点につきましても本日議論を深めていただければと思います。
 続きまして、資料3につきまして御説明させていただきます。こちら、パワーポイントの資料の1枚でございますけれども、1回目の各ワーキンググループでの議論を踏まえた検討の方向性について、イメージ図としてお示ししたものでございます。
まず、縦の流れから御説明させていただきますが、それぞれ、オレンジが歯学教育の部分、緑が歯科医師国家試験、ブルーが臨床研修、生涯研修を示しており、この一連の過程を経まして、これからの歯科医師が、社会を取り巻く状況も踏まえながらどのように対応を行っていくのかというところにつきまして、患者視点、歯科医師のキャリアパス、歯科医療機関という3つの点を中心に、どのような視点で対応方法を検討していくのかということをイメージとしてお示ししてございます。
他方で、それぞれの過程において、右側にお示ししているものですけれども、例えば歯学部に入学したけれどもなかなか進級ができない方、あるいは、国家試験に何度も受験を繰り返す方などに対しましては、例えば早期の段階での他分野への進路変更、または在学中などで得た専門的な知識を活用した他分野での活躍、こういった対応も必要になってくるのではないかと考えてございます。この点につきましてもあわせて御議論いただければと思います。
私のほうから資料の説明は以上でございます。
○森田座長
 ありがとうございます。
それでは、続きまして、本日お配りしております資料4、歯科医師の就業場所に関するアンケート調査につきまして、羽村構成員から御報告をお願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○羽村構成員
 羽村です。私、このワーキンググループと、あと、女性歯科医のほうのワーキンググループにも出ているものですから、私どものほうで、日本歯科大学の卒業生で、どのようなキャリアパスを持って今の仕事についているかということの基礎調査をしたいということで行いました。
 資料をごらんください。目的については、今言ったとおりでございます。対象が日本歯科大学の卒業生ということで、女性については、私どもの大学で女性歯科医の集いというのがありまして、それが今年度4月19日に開催されていました。そこで93名ほど出席されたものですから、その93名全員に対してアンケートをとることができました。そのほかに、校友会の本部役員、それから、特に東京都の校友会の方々が本学に来られたときにお願いしてアンケートをとりました。
 男性については、校友会の本部役員、東京都の校友会の役員、それから東京都の校友会主宰の保険講習会の参加者ということであります。5月13日までアンケート調査はしておりました。
調査方法等については資料1、この後ろにつけてありますけれども、「歯科医師のキャリアパスに関するアンケート調査」ということで、このような形でアンケートをとりました。
私ども、卒業回数1回から、現在、104回生までいますので、回数を言うと、そのキャリアが卒後何年かすぐわかるということで、回数でほとんど書いてあります。それから性別ということであります。
最初の質問が「卒業直後~卒業後30年後までで、主たる就業場所について○してください」ということをお願いしました。「『その他』の場合には、就業場所を記入してください」ということで、縦に、「卒業(免許取得)直後」としました。というのは、やはり浪人生もいますので、あくまでも免許取得後ということにいたしました。
 横軸に大学歯学部附属病院、病院歯科、それから診療所については、開業しているか、もしくは勤務医かということ。それから、その他。大学院生などは「その他」に書いていただくということ。そして、就業してないということを○していただきました。
 それから2番目の質問です。1番目の質問について、診療所開業または勤務医を1つでも○された方にお聞きするということで、現時点の状況について、両親から配偶者まで書いて、とありますけれども、これはちょっとミスプリントで、4番の子供・孫というのもあって、かなり広い範囲の調査をしましたので、既にお子さんが開業されていたり勤務医であったりというところもたくさんありましたので、4番も入れてあります。当てはまるところに○してくださいということです。両親、兄弟、配偶者がいない場合は空欄でということにしてあります。縦軸に両親、兄弟・姉妹、配偶者、子供・孫ということ。それから横軸に、いずれも歯科医師でない、全員またはいずれか歯科医師であるということで、開業しているか勤務医であるかということに○していただきました。男性の歯科医はこれまで、女性の歯科医はこの裏に行きます。
3番目の質問として、「医療機関に勤務していた時に一時的に離職されたことありますか」ということで、「ある」「ない」「医療機関に勤務したことがない」という3つの答えにいたしました。
4番目の質問では、3番目の質問で「ある」と答えた方に離職期間、複数回離職された方は最も長い離職期間を○してくれということでお願いしました。
5番目の質問ですけれども、離職したことがあるという方で、4番目の質問で復職する予定はないと答えた方以外の方に答えていただいたということで、復職直後の就業場所に○をして、就業年数を記入してくださいということで書いていただいたということでございました。
結論から言うと、最後の就業年数というのが結構皆さん大変みたいで、なかなかこう書いてくださらない方が多くて。というのは、ほかの会のときにアンケートを急いで書いていただくということがあったので、ここら辺の就業年数についてはもうちょっと調べなければいけないということになりました。
 速報ですので、簡単に結果についてお話ししたいと思います。また1枚目の結果というところをごらんください。アンケートの回答者と調査対象者ですけれども、女性の場合、回答者95名で、調査対象者、113と書いてあるのですけれども、すみません、これは107名に修正してください。間違えています。88.8%の方が回答してくださったということになります。
 この107名というのがどのぐらいの規模かというと、私どもの校友会の会員数が9,050名です。5月30日の時点で総会の資料として出てきたのが9,050名ということでありましたので、その中で女性歯科医が1,408名おります。ですから、1,408名のうちの107名ということで、7.5%の方に回答いただいたということになります。
 それから、男性についてですけれども、132名が回答数で、調査対象が187でなくて、170でありました。170人ということで、77.6%の回答率ということになります。この男性のほうは対象者どのぐらいいたかというと、基本的に東京都の校友会の会員ですので、1,399名中の170名ということで、12.2%の方々に回答いただいたということになります。
 女性の場合、95名中93人が読み取れましたので、有効回答数が97.9%、それから、男性が132名回収はできたのですけれども、126名ということで95.5%ということになりました。
この方々の卒後年数ということになりますけれども、女性がちょうど卒業回数が50回から100回ということで、卒業が4年から54年ということになりました。平均で28.4年。それから、男性が41回から89回の卒業生ということで、15年から63年ということで、37.8年ということで、どうしても男性のほうが卒後年数に幅ありました。この幅のキャリブレーションをして対応しなければいけないのですけれども、そこまで時間がなかったので、今回、生データのままお話をしたいと思います。
 まず、一次歯科医療開業勤務に至った時期でありますけれども、これが一次歯科医療、現在勤務している人たち、もしくは開業している人たちが、女性で80人、男性で123名おりました。女性の場合、開業されている方が52人、勤務している方が28人、男性の場合は115名が開業で、8名が勤務ということで、ほとんど開業医ということになります。
 女性の80人に対して、一次歯科医療、開業、勤務医に至った時期ですけれども、直後に既に勤務、もしくは開業したという方々が33人いました。ただ、全て勤務医でございました。男性の場合は、123名中68名が直後に一次医療の場にいます。2人が卒業直後に開業していますた。
 現在は、もちろん、研修医制度がありますのでこれは無理ですけれども、66名が勤務医ということになりました。5年の時点でどのような動向があるかというと、女性の場合は15名がその時点で開業している。23人が勤務でした。男性は、逆に人数的には58名がこの時点で開業していおり、る勤務が14名でした。10年後になりますと、女性の場合、数は少ないですけれども、開業と勤務医がほぼ同じで、11名と9名という結果になりました。男性の場合はやはり開業が多くて39名、それから勤務が10名ということで、この文書に書きましたけれども、女性の場合、卒業30年以上と比較すると、それ未満の対象者は卒直後に一次医療の場につく人は少なくなっています。開業時期は卒業30年以上で5年後までが最も多かったが、それ未満では、15年後までが最も多かったという結果になりました。
男性の場合には、卒後年数にかかわらず、10年後までに開業している対象者が最も多いということで、男性のほうが早目に開業するということが出てきていました。
次に、家族に一次医療者がいるかどうかということになりますけれども、女性の場合、80人中67人ですから、72.0%にどなたかが歯科医だという結果が出て、親が41人、配偶者が35人ということで、親が51.3%、配偶者が43.8ということで、半数近くの方が御主人が歯科医師であるということでありました。
 男性の場合には、78人、62.0%が近親者に一次歯科医療者がいるということで、親が51人、41.5%で、女性とそんなには差がないと思いますけれども、配偶者が11人で、8.9%なのですね。ここら辺が随分、男性歯科医と女性歯科医の違いかとおもいます。女性歯科医のほうが配偶者に歯科医、同業者と結婚されている方が多いという感じがいたしました。
 離職経験ですけれども、約半数の女性に離職経験がありました。48名です。51.6%の女性、半数以上に離職経験がございました。
その離職期間ですけれども、6カ月未満が16名で、33.3%、6カ月から1年未満というのが8人で、1年未満までの離職期間というのが50%、半分の方々がやはり半年から1年の離職をしていたということになります。
ちなみに、復職予定なしという方が3名いらっしゃいましたけれども、そのうち1名はいつかはまた戻りたいというような回答をされていました。
離職後の就業ですけれども、離職後、ほぼもとの職場に復帰しているという状態でありました。開業であれば、やはり開業の場所、勤務であれば勤務。附属病院や歯科病院であったら、一度その場所に戻っているというようなところが読み取れました。先ほど申し上げたように、その勤務年数なのですけれども、ちょっと読み取れないところが多くて申しわけありませんけれども、解析して御報告申し上げたいと思います。今日のところはこのぐらいの報告にさせてください。
以上でございます。
○森田座長
 ありがとうございました。
続きまして、また本日お配りしている資料5「歯科医師需給問題に関する日本歯科医師会の意見」について、日本歯科医師会の三塚構成員より御説明をお願いいたします。
○三塚構成員
 前回のワーキンググループの中で、日本歯科医師会の需給問題に対する見解の説明をさせていただいて、ワーキンググループの最後に、次回のワーキンググループのときには日本歯科医師会から意見書を出させてくださいというお話をしました。それをもとに、本日、意見書を持ってまいりました。
「はじめに」の部分は、私どもがどういった形で、どういった位置づけで歯科医療を考えているかというところと、それから、現段階における私たち日本歯科医師会からの適正歯科医師数についてのことは前回お話ししたとおりのことでございます。そこのところを述べさせていただきながら、2025年問題を含めて、今後の歯科医療提供のあり方を踏まえた対策を具体的に以下にとりまとめたものでございます。
 めくっていただいて2ページになりますが、1つは歯科医療提供体制の在り方、もう一つは歯科医師の供給の問題と、論点を2つに分けて、需要と供給というところで書かせていただきました。先ほどお話ししましたように、2025年以降を含めての超高齢社会の中でどのように歯科医療を提供していったらいいかということでございますが、大きく分けて3点述べさせていただいております。
1点目は「社会環境の変化に即した歯科医療提供体制と生涯研修の在り方」ということ。これも前回のときにお話をいたしましたが、超高齢社会の中で切れ目のない歯科医療提供が確実に社会から求められておりますので、こういった視点の中での歯科医療提供をどうやってやったらいいかということを書かせていただきました。こういった状況の中では、チーム医療推進会議に私ども出ておりますが、チーム医療とか医療連携、医科歯科連携等がキーワードであるということ。それから、病院とか施設への訪問歯科を充実させることを含めて患者に対応するために、先ほど和田課長補佐のほうからお話がありましたように、歯科診療所の単位が、1人診療所とか、非常に小さな規模の診療所であると。先ほどのパワーポイントのデータにありますように、一人の先生が訪問診療等に取り組んでしまうと、一般的な診療が今度おろそかになってしまうというのが現状であります。
したがって、いろんな患者さん、病気を抱え込んでいる患者さん等に対応するためには、一人で全てを賄うことはなかなか難しいわけですから、郡市区歯科医師会単位とか、これはいろいろ問題あると思いますが、歯科診療所が、グループ化の中で機能分化や対応できる仕組みの構築が必要であると思っております。
こういったことに対応するために、病院歯科や歯学部とか歯科大学だけではなくて、地域の病院と、それから、支えております地域の歯科医師会との連携がもっと重要となってくるので、それらの協議会を設置していかなければなかなか難しい状況ではないかと提案させていただいております。
生涯研修に関しましては、私ども一生懸命やっているのですけれども、さらに、超高齢社会に対応するための生涯研修をもっと充実させていって、歯科医師が自己研鑚の中で、先ほど来お話がありますように、国民に安心・安全な歯科医療提供ができるように、私ども、生涯研修をしっかり充実していきたいと書かせていただいています。
それから、2つ目は「歯科大学・歯学部の教育体制の整備・見直し」であります。今日は文科省の寺門課長もいらっしゃっておりますが、これは文科省に関連する部分が非常に多いわけで、私も出ておりますが、文科省の歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の中で、多様な歯科医療ニーズということで、在宅歯科医療とか、具体的に挙げられております。それがモデル・コア・カリキュラムの中に反映されていますが、こういったものをやはり実効的に推進するためには歯学教育の充実が必要であるということと、それに応え得る教員をしっかり養成していただかなければいけないということであります。
再三、私ども話しておりますが、入学者の質の確保ということと、それに伴っての教育が重要だということで、今日いらっしゃっております大学の先生方にも、ぜひ私どもと一緒に取り組んでいただきたいと思っております。
それから、3つ目の「臨床研修等における対応」ということで、臨床研修の場がこれから非常に重要となってくるわけで、歯科医師の資質の向上のためには、卒業直後の臨床研修医の教育、そして、臨床研修が終わった後の2年目、3年目の教育がこれから非常に重要となってくるだろう。現状で言いますと、歯科を標榜する病院は約2割にとどまっているという中で、病院歯科の役割が非常に重要となってくるわけで、入院患者の口腔機能管理を含む歯科医療の提供や、地域における歯科診療所に対する後方支援などがこれからの病院歯科の役割として求められる。そういった研修とか人材育成がこれからは絶対的に必要だろうと述べております。
それから、幾つかそれに関して書かせていただいておるのですが、歯科を標榜する病院での臨床研修施設が策定するプログラム研修の必須化が実はできていないという状況がありますし、それから、臨床研修施設としての規模と内容の充実を図るための検討をぜひ加えていただきたい。いろんな検討すべき課題が多いのですが、法的な部分とか、診療報酬上でそこのところを担保できるような仕組みをぜひ厚労省のほうでも考えていただきたいと思っております。
歯科訪問診療の必要性が非常に高くなってくる中で、対応できる歯科医師の供給体制が、はっきり申し上げて、なかなかできておりません。医療・介護総合確保基金を用いて、各都道府県で研修制度、それからマンパワーの確保等を行っておりますが、まだなかなかうまくいきませんので、やはり卒後研修においても歯科訪問診療の充実を図るような形のものをやっていただきたいと思っております。
以上、ざっくりとした需要の問題について書かせていただきました。
それから、2番目の「歯科医師供給への対応」。これは、その入り口の問題、それから歯学教育の問題の文科省の部分、そして国家試験の問題の厚労省の部分になってくるわけです。まず歯科大学と歯学部の入学定員については昭和61年に20%削減が提案され、その後のさらなる10%、通算して28%の削減が提案されている中で、私立歯科大学・歯学部ではそこの削減が達成されていないところがまだ多く見られるというのが現状であります。
私どもは質の確保の観点から、入学定員を守っていただく中で、質の高い学生を入学させていただきたいという論点で主張しており、ただ数を削れと言っているわけでは全くありませんので、その辺、誤解のないようにしていただきたいと思っております。
また、定員削減に取り組む中で、例えば国家試験の合格率が非常に低い大学等に関しては、これは文科省マターになってきますが、非常に難しい問題だということは十分認識しておりますが、法科大学大学院制度において補助金の対応を文科省はおやりになりましたが、そういったことも一歩踏み込んで、ちょっと考えていただきたいというのがお願いでございます。
それから、2つ目は共用試験の全国判定基準の統一化。これは文科省の検討会の中で毎度私ども日本歯科医師会のほうから申し上げていることでありますが、共用試験の持つ座学のチェックの意味は非常に大きいということを毎度お話をさせていただいております。共用試験の合格基準が各歯科大学に任されているというのが現状でありますので、医学部では、御存じのとおり、共用試験が全国統一をされた中で、座学の部分の軽減になって、国家試験の一般問題に関しても次回から100問減らすというのが現状であるわけです。これは医学教育、歯学教育同じようにやっていくべきだと思っておりますので、ぜひ共用試験の合格基準を、各歯科大学だけではなくて、やはり医学部と同じように全国統一したものをできるだけ速やかに文科省のほうで検討していただきたいと思っております。
共用試験のところを度々、私たち日本歯科医師会が言っているのは、もう一点の側面として昨今、国家試験浪人が非常に多いことが問題になっておりますので、国家試験浪人になる前に、各歯科大学で、ある歯学部の学生教育の中で、この学生は歯科医師に向いてないというところの判断として、共用試験が一つの基準になろうかと考えております。そのためには、共用試験の判断基準の全国統一というのを速やかに導入していただくことによって、国家試験の受験に至る前に、その学生がまだ、例えば22歳とか23歳とか、そのぐらいの段階で、あなたは歯科医師に向いてないということをぜひ大学教育の中で、多分おやりになっていると思っておりますが、これをやることによって方向転換を早い時期にさせてあげるというのが歯科大学・歯学部の一つの役目ではないか。言い方がまた非常に語弊あるかもしれませんが、そのように考えておりますので、ぜひその辺のところもお考えになっていただきたいと思っています。
それから、3つ目の国家試験の対応でございます。御存じのとおり、国家試験の合格率が60%台というのが現状であります。現在は、必須問題が絶対基準で、一般問題、あと臨床実地は相対基準でやっているわけですけれども、これは厚労省マターですが、国家試験はあくまで選抜試験ではなくて、資格試験であるというのがやはり私どもの認識であります。
今年、歯科医師国家試験制度改善検討部会がスタートするということは十分承知しております。そこのところに関して、厚生労働省では、合格基準を含め試験問題のあり方とか、非常に不適切な問題も多いというのが現状でありますので、国家試験の形式とか、それから問題数とかについて、今年設置予定の制度改善検討部会の中で具体的にかなり検討を加えていただきたいと思っております。
先ほど申しましたが、厚労省のほうでは医師の国家試験制度から医師の共用試験のあり方等含めて、そういったものを参考にしながら、歯科医師の質をとにかく担保するための資格試験の実施方法について、制度改善検討部会の中でより具体的に取り上げていただきたいと思っております。
最後に幾つか書いておりますが、国民に安全で安心な歯科医療を提供するということが私たち歯科全体の役目だと考えております。実は今日出ております村岡常務含めまして、私たちの任期は再来週の19日で終わりますので、その後、私たちも新しい執行部にここのところはしっかりと申し送っていきたいと思いますが、この場をかりてお願いしたいことは、この検討会が本当に無駄にならないように、今日、文科省のほうから寺門課長もいらっしゃっておりますので、厚労省、文科省、そして各歯科大学、そして各歯科団体の方々が本当に横断的に意見を出しながら、歯科医師がこれからどうやっていくのかということをより具体的に認識しながらこれから検討していただければと思っておりますので、今後ともぜひよろしくお願いいたします。
○森田座長
 ありがとうございました。
それでは、これから議論に入っていきたいと思います。資料2-1におきまして、各ワーキンググループにおける各構成員の意見が示されているわけでございますけれども、この資料をもとに、このワーキンググループでさらに議論すべき論点というものが、先ほど御説明ありましたように、資料2-2のほうに示されていると思います。このワーキンググループでは資料2-2をもとにいたしまして、進行上、2つの部分に分けて御意見を頂戴できればと思っております。
2つの部分といいますのは、最初の1、2ページの1歯科医療を取り巻く状況を踏まえて、歯科医師像や歯科医療について、2番目が、3ページからになりますけれども、2の歯科医師の養成課程において基本的資質を有さない学生や国家試験を繰り返し受験する学生の対応から、4の他職種や他分野での需給に関する取り組みを参考とした対応。この2つで、初めの部分は需給の話と、2番目のほうはキャリアパスということになるのかもしれませんけれども、そうした部分に分けて御議論いただきたいと思います。これはよろしゅうございますね。
また、資料4、資料5、その他のワーキンググループに関連する御発言につきましても、別にこれは差し支えないと思いますので、どんどん御発言いただければと思っております。
それでは、最初に資料2-2の1、2ページの1)歯科医療の需要から、そして3)の歯科医師のキャリアパスについて、この部分について御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
初めに私から余計なことを申し述べさせていただきますと、私自身、今現在、国立社会保障人口問題研究所というところにおりまして人口推計をやっているところでございまして、昨年以来、地方消滅その他いろいろと地方創生で話題になっているところでございますけれども、日本の人口は全体として確実に減ってまいります。高齢者はあと20年かそこら、まだ増え続けますけれども、その後は確実に減ってまいります。
そして、現在、地方創生でできるだけ少子化を食いとめるためにさまざまな策を講じようとしているわけですけれども、人口学の観点から言いますと、そう簡単に増え始めるというわけではございませんので、ここ何十年か、21世紀の少なくとも前半に関して言いますと、人口は、少しずつですけれども、減り続けるという前提で考えていかなければならないと思っておりまして、これは医科のほうでも同じような問題がございますし、さらに文科省の方もいらっしゃいますけれども、教育のほう、大学も含めて人口が減ってくるところで、どういう形で供給体制というものを考えていくかというのは共通の問題ではないかと思っております。
私が余り余計なことを申し上げるのはいかがかと思いますので、歯科に関して申し上げますと、安藤構成員のほうから御発言いただいたほうがよろしいのでしょうか。これまでの過去の研究班の報告書その他から、需要が増加、あるいは減少する要因その他、そのあたりにつきまして御知見を聞かせていただければと思います。
○安藤構成員
 私、平成21年から、厚生労働科学研究で行ったのは、過去のマクロ的な資料を用いて、四半世紀、25年間分の統計を患者調査のデータを用いて行ったのですが、大きくその要因として出ているのは、最もはっきりしているのが、高齢者の受診率が歯科ではかなり上がってきている。これは間違いありません。
その理由は何かというと、歯の数がふえているわけでして、歯の数が大体15本ぐらいですと、残っている歯の治療もある、それから、失われた歯の補綴治療も行わなければいけないという、恐らくそういった理由で受診率が最も高まります。ですので、ちょうど高齢者の方が15本に向かってふえているという傾向が高齢者の受診率の増加の大きな原因であろうと結論しております。これはマクロ統計だけではなくて、幾つか、国のミクロデータを使って分析したのですけれども、この傾向はほぼ間違いないと見ております。
その一方で、虫歯が減少したことによる受診率の低下という傾向もあります。ただ、これは年少者では実は受診率下がっておりませんで、ほぼ横ばいで推移しております。一方、それよりもう少し上の15歳から44歳ぐらいの年齢では、傾向として、小児のう蝕の減少。う蝕の減少というのは、治療の対象になる未処置歯の虫歯を中心に行っているのですが、それの減少と、受診率の傾向というのがある程度はっきり出ていて、あとその上の高齢者になる少し手前の年齢ではほぼ横ばいで来ておりますので、大まかに見ますと全体としてはふえています。
それは、今申し上げた2つの高齢者の歯の数がふえて受診率が上がった分から、比較的若い成人層の虫歯の減少によって減った分を差し引いて、全体的には、将来予測も少し行ったのですけれども、人口の減少よりは少し相対的に高目にこれからも推移するであろうと、そういう予測でございます。
ただ、先ほどちょっと申し上げましたけれども、虫歯が減っているのに子供の受診率が変わってないというのは、恐らく定期的な受診に代表される予防的な行動というのが、特に親も、自分はさておき子供を優先すると思いますので、恐らくその辺が出てきて、あるいは医療費の助成措置等の影響などが出てきているのではないかなと思いますが、その辺の理由についてはあくまでも推測だけで、特にこれが原因であろうというところまではちょっと分析できておりません。
以上が私が行った内容のサマリーでございます。
○森田座長
 ありがとうございました。ただいまの御発言につきまして、さらに補足とか。
では、伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員
 幾つか、今までの参考資料も含めまして、課題となる需給についての問題点の大まかなところはわかってきたということであります。今せっかく安藤先生のほうから御発言がありましたので、できれば、次回以降で結構でありますけれども、今の御発言を具体化していただけるような需給推計、この資料を少し提出いただければ非常にありがたいなと思いますので、ぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○森田座長
 これは事務局のほうはよろしいでしょうか。
○鳥山歯科保健課長
 また座長と安藤構成員と御相談させていただいて、次回、間に合うようでしたら、御発言の機会を設けさせていただければと思っております。
○安藤構成員
 私も、今申し上げたデータもちょっと古くなってきておりますので、新しいデータを追加しなければと思っていたところですので、できる範囲で何とかやりたいと思っております。
○森田座長
 では、三塚構成員、どうぞ。
○三塚構成員
 安藤先生にはいつもいろんな場面で、私ども、お世話になっております。ありがとうございます。先ほど、私どもの意見書の中で述べましたが、2ページの下段のところにありますけれども、超高齢社会の中で歯科医療を患者さんのいろんな状況に対応して提供するためには、先ほど言いましたように、歯科診療所は1人単位の小さいところが主でございますから、郡市区歯科医師会単位とか診療所がグループ化するなどの機能分化とか、そういったものが必要であるということ。それから、基礎疾患を有する患者さんに対する口腔機能の管理を進めるためには、病院における歯科の位置づけとかかかわりは重要だと思っているのですが、実は先ほど和田課長補佐のほうからの説明にありましたスライドの20、21で出されてきておるのですが、歯科関連を標榜する病院の数と割合、それから、病院に従事している歯科医師と歯科衛生士の数がスライドの21、22で出てきているのですけれども、次回検討会の中でより議論を深めていただくためには、今お話ししましたように、歯科疾患を有する患者さんに対する口腔機能の管理とかそういったことが、具体的に病院歯科の中で出ている先進事例があれば厚労省のほうから出していただいて、それをもとに次回のワーキンググループの中でいろいろ議論を深めていただきたい。そうすると、病院歯科のあり方の中で卒後研修のあり方の具体的なものも出てくるのではないかなと思っておりますので、ぜひ事務局のほうで検討いただければと思っております。
○鳥山歯科保健課長
 今、三塚構成員から御指摘があった点でございますけれども、私ども、現段階では、断片的な個別な情報ではありますけれども、歯科に関連する標榜科がある病院においても、歯科の診療部門とは別に、病院の中央診療部門のような形で入院患者の口腔ケアなどを相当するような部署が全国で相当数出てきておるということも聞いておりますので、何か実態がわかるような調査をして、次回以降お出しできるよう準備を進めたいと思っております。
○森田座長
 ありがとうございました。今、一応需要サイドという形でお話をいただいておりますけれども、今度は供給面も含めてですけれども、大学関係も含めて御発言あれば。
では、高梨構成員、どうぞ。
○高梨構成員
 すみません。ちょっと需要のことについて申し上げたいことがございましたので、ちょっと御発言させていただきます。
法曹界の恥ずかしい話をまたすることになるので申しわけないのですけれども、需要がある場合に、財政的な手当てをしてないと、その需要が実行化しないという問題に、今、法曹界が直面しています。これは何かというと、2年前に家事手続法を改正しまして、子どもの手続代理人という制度を導入しました。これは、例えば児童虐待をしている場合に、未成年者は法的には単独で法律行為はできなくて、親が親権者として法律行為を行います。
ところが、その親が虐待しているから親権者として適切なのかどうかという議論をしているときに、親権者が親だから、子が独自の意見表明や権利保護が自らの意思で図れないというのはおかしいではないかと。それ以外に、離婚でどちらが親権者になるのかという場合にも問題になりますが、そういうために、両親から離れた子供の独自の地位や権利、利益を守るために代理人をつけられる制度を導入しました。
ところが、導入して2年間で、今申し上げたように、社会的ニーズは相当あったはずなのですけれども、日弁連が把握しているところ、2年間でこれが選任されたのが14件しかございませんでした。これはなぜかと申しますと、基本的に未成年者である御自身が弁護士費用を負担するという建てつけで法律をつくってしまったのですね。例外的に親が任意で払う場合は親が払えばいいという制度になっています。
そのために、結局、裁判所としては、子供は負担能力が当然ない。親が例外的に払う能力があって払ってもいいというときだけ選任するという運用をしてしまったために、社会的ニーズが高かったにもかかわらず、2年間で14件しかない。そのために、今、日弁連と最高裁の協議で何とかこれを国費化できないかという議論をしております。
このように、歯科の在宅診療のことを先ほど三塚先生もおっしゃられましたけれども、そういう社会的ニーズがあったとしても、例えばその保険点数が仮に低かったとすれば、時間のロスが大きいことをあえてそこまで歯科医の先生がやるのか。それは私、門外漢だからよくわからないのですけれども、やらないとしたら、それは社会的ニーズがあっても需要が実効化されないという事態が起きるのではないかと思います。要するに、私どもが経験したような財政的な措置が十分とられてないために、社会的ニーズがあるためにその需要にプロフェッションが応えられない状況がつくられてしまうということも考慮する必要が需要に関してはあるのではないかと思っています。
○森田座長
 ありがとうございました。難しい話で、診療報酬にも係りますが、では歯科保健課長からお願いします。
○鳥山歯科保健課長
 まず、診療報酬の問題につきましては、長年、森田先生が公益委員、あるいは会長として従事されてこられ、私も診療報酬の実務を何度か担当しておりますが、おおむね2年に1度の改定のたびに、在宅の歯科診療についても、ある面は充実し、ある面は適正化をしたということを繰り返しております。
もう一つ、昨年成立いたしました医療・介護総合確保法におきまして、これは診療報酬をある意味側面から支援するために、各都道府県に基金を設置して、多くの都道府県におきましては、歯科診療所が購入する在宅のポータブルの機器、これの補助事業などに充てているところがございます。
 ただ、将来的に、これはまさに医療保険財政、あるいは、私ども、厚生労働省全体の財政だとか予算とかいうことにも大きく関係してまいりますので、今の段階で予見を持って御説明させていただくことはなかなか難しいかなと思っております。
○森田座長
 財務省の代弁をするわけではありませんけれども、財源が非常に厳しくて、限られておりますので、どこかを手当てした場合にはどこかをその分だけ減らすというか、効率化せざるを得ないわけで、そこの調整が非常に難しいということだと思います。
 それでは、お待たせいたしました。川添構成員、どうぞ。
○川添構成員
 供給といいますか、大学のほうから少し、苦しんでいることというか、よく理解できないことが2~3ございますので、その点、特にこの資料5に関して、あるいは三塚構成員から先ほど御説明いただいた中に、少し誤認識もあるのではないかと思うこととよくわからないところがあります。
まず、資料5の2ページですけれども、1は少し置いておいて、2.の「歯科医師供給への対応」1のところ、これに関連して、いつも大学側には国家試験の合格率と、あるいは入学定員、入学者の質的な向上というか、もっと質の高い学生を入学させるようにという両面をどんどん迫ってくるわけでございます。
 あるとき歯科医師会のほうに聞いてみたら、今の国家試験の難易度のもので90%以上、あるいは100%の合格者を出して、そのために入学定員が、社会への参入が1,500人はおろか、2,000を少し超えることがあったら、それでもよろしいのでしょうかと聞いたことがあるのですけれども、それもやはり困ると。優秀な学生を採ってほしいのだけれども、やはり卒業させるには1,500人を守ってもらわんと困るのだということを言われるのですね。
そうすると、大学で国家試験の難易度を目指して学習しなさいと、あるいはそういう高い人を入学させてやっても、6年間どんどん勉強させて、卒業する段になって、1,500人を推計した卒業生しか出せないと聞こえてくるのですね。ですから、そういうところがまだ、教育目標と、6年間も実習も含めて講義、もう人生の大半をかけて進めるわけでありますから、それを質は上げろ、国家試験で制限せよ、それでもし1,500人にならなかったら、国家試験がやさし過ぎるからもっと難しくして、最終的な数の問題で1,500人にしてほしいのだと。そのようなのには、大学側といいますか、教えている側にとって、学生にどのようなモチベーションをつけて優秀な人材を育成していくか、それを学生から教員に問われた場合に、はたと困るわけですね。定員を先に決めておいて、しかも、その中で優秀な人材を残せというふうに聞こえるということ。そういったことが1点ございます。
 それから、2のところで共用試験の全国判定基準の統一化。これは歯科のほう、目のCBTとOSCE、そういったものを再試験しないとか、1回で終わるとか、それは統一化に向けてほとんど、もう来年からでもできる状態になっていることは事実であります。医学部はもう既に全国統一化されているようにおっしゃったのですけれども、そんなことはございませんで、この共用試験機構というのは医科と歯科とはほぼ同時、同じ様式でモデル・コア・カリキュラムのところからずっとやっているので、特に統一化に関しては、高木会長も言われるように、これは医学部で準備ができていても、歯学部を待ってでも一緒にやろうと、そういうことで進んでいるので、ちょっと認識を変えていただきたいと思います。
 それから、3のところですね。「歯科医師国家試験における対応」ということで、これはいろんな改善委員会でそのようにして決めていくのはいいのですけれども、どうもあるときから、私が昔、委員をしていたころは、これは資格試験だから絶対評価でいくのだという時代も随分長かったのですけれども、近年、毎年のように相対評価でもってそれを大きな波がないように徐々に難しくしているようにみんなとられているので、その辺のどうも入り口と出口に確固たる教育のあれがもう構築できないような感じになるわけですね。
それから、国試浪人の件に関しては少しまた議論が要ると思いますので、その点はよしますけれども、今までのところではそういった点をはっきりと情報共有といいますか、御理解いただければと思います。
以上です。
○森田座長
 三塚構成員、御発言あると思いますけれども、ほかに大学関係の方でさらに御発言ございますか。
 では、三塚構成員、お願いいたします。
○三塚構成員
 ここで議論をしていたら話が進みませんので、簡単に、今の川添先生のお話に対しての私どもの考え方を示します。先生がどなたに聞いたのか私は全くわかりませんが、私どもは1,500人にしろとは全く言っておりません。前回からも、私ども、説明していますように、超高齢社会に対応するためにはこのぐらいの人数が必要だろうということで、1,500人にしろなんて一言も言った覚えがございませんし、私もこの会議で言った覚えもありませんし、村岡もこの会議で言った覚えもありません。ですから、論点から言いまして、1,500人にしろとか一切言っておりません。これはあくまで日本歯科医師会が超高齢社会に対応するための試算でございます。これは何度も何度も繰り返し私説明しておりますが、試算で1,500人というのが出てきているだけの話でございます。
それからもう一点、共用試験に関しましては、先生も出られております歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議の中で、医師のスチューデントドクターというものがもうできてきております。その形で来年の国家試験も一般問題を減らしているということが現にあります。ですから、その点ぜひ誤解のないようにしていただきたいと思います。
 それから国家試験の問題は、私どもが言っているとおり、絶対評価、相対評価で構成されています。では、絶対評価に全部すれば今までの国家試験の合格率より上がるのか。実際問題、これは僕は上がると全く思っておりません。全部絶対評価にすれば、もしかしたらもっと落ちる可能性もあります。ですから、そういったことを含めて、よく考えていただきながら今後検討していただきたいということを言っているだけでございます。
以上でございます。
○森田座長
 ありがとうございました。ほかに御発言。
 では、村岡構成員、どうぞ。
○村岡構成員
 先ほど座長の森田先生から論点2つあって、先に需要で、後で供給のほうだということで、今、供給のほうにまで踏み込んだ議論になっておりますので、その部分で発言させていただいてよろしいでしょうか。
○森田座長
 どうぞ。
○村岡構成員
 三塚のほうから、ただいま、我々の出しました見解については説明をさせていただいたとおりでございます。あれは試算に基づいてどうするかということを今現状で考えるとこういう形だということであって、そこはひとつ御理解いただきたいと思いますが、なぜそういうものを出したかというと、先ほど座長のほうからもございましたが、20年ぐらいは高齢者もふえてということでございますが、その先になりますと今度減ってくるということでございます。
 そうすると、大学教育は、今、臨床研修もありますので、7年かかります。今入ったとしても7年後にしか出てきません。20年に対して7年で出てきたときに、あと13年ぐらいでもう減少傾向にあるわけですから、その中で合理的に考えどういったことをやるかというと、今いる現存の歯科医師を社会ニーズに合わせるように臨床研修をし、社会に対応できるようにするかが重要です。マンパワーとしては、社会コストも考えると余ってくるのではないかなと思っておりまして、ああいう数字を出させていただいているところでございます。
 したがって、その数字、あるいはどういった歯科医師の固まりが日本の国の中で必要だということを考えていったときに、どうせ歯科医師を養成するのであれば、当然、質のよい歯科医師を世に出したほうがいいと。その中の方法論として、では教育としてはどういったことに重きを置けばいいかという議論をさせていただいているつもりでおりますので、その辺で今後進展していただければと思いますし、我々、そういう立場で考えておりますので、その辺を御理解いただければと思っております。
○森田座長
 川添構成員、どうぞ。
○川添構成員
 1,500人に関しましては、こういった委員会でそういった資料として出るのならいいのですけれども、それまでにもうほとんどの新聞にはそのように載っているし、かてて加えて、大臣がそれについて1,500人ということを言及している。そういった資料は我々ずっと集めておりますので、後からそのように言われても、歯科医師会の意見は、先に1,500人がありき、そして大臣もそのように言った、そのデータの供給源はどこにありやと、そういうことを言いたい。
 それはそれとして、議論をここで打ち切りますけれども、もう一つ、質の問題に関しましては、現在、主として文科省の歯科医学教育の改善・充実に関する調査協力者会議、これをもうずうっと3期まで続けて、そこには、入学定員も含めて、合格率、充足率、留年率、ずうっとそれについての、我々はそれを文科省の通信簿、通知簿と言って、そこについたバッテンというか、黒丸を少しでも消すために、これは国公私立大学が全部足並みそろえて質を上げようとしてやっているのですね。それは全ての新聞、メディアに公開されるわけでありますので、改善しているわけです。それをもとにモデル・コア・カリキュラムを少し変えて、それについてやる。それが十分達成してないとこれは実地調査まで入って、全部やってもらっている。ですから、そっちに向かって本当にそれはまさに進めておるところであります。
○森田座長
 ありがとうございました。だんだん時間が少なくなってまいりましたが、まだ御発言になってない方。
それでは、栗原構成員、どうぞ。
○栗原構成員
 教育研修に関して、先生方御指摘のとおり、急速に高齢化している状況で、大学の臨床実習における教育が十分かと問われたときに、必ずしも全ての大学で、十分だと胸張って大きな声で言えるかどうか別として、研修医制度等が同時に発しておりますので、そこで充実していくと思うのですね。
 ただ、これは社会的な要請がどのようにあるかによって、ちょっと後手後手と言っては何ですが、どうしても社会的なニーズが先行するというのがあるかと思います。それを考えてみますと、いわゆる高齢者の問題に関しては在宅における歯科医療提供ということもあるかと思いますけれども、一方で、歯科医師会でも大きな声で発言されていますが、健康寿命の延伸といった面での医科歯科連携ということが非常に大きなテーマになっている。そこで働く場、あるいはそれに必要な教育、あるいは研修のあり方をやはり考えていかないといけないと思いますね。
今月号のクインテッセンスで高齢社会に関して、鹿児島で御開業の先生が、書かれていたのですが、医科歯科連携で在宅に歯科医師が行けるということを誰から聞いているかという調査を厚労省でやっておられるのですけれども、訪問に来ている医師とか看護師から紹介されたのは2%程度と、ほとんど無いのですね。ですから、今後、地域包括ケアシステムが進めば、そういったことも一段と進んでいくかと思うのですけれども、三塚先生から先ほど協議会というお話がございましたので、そういうことも進んでいくかと思います。
 でも、一方で、大きな病院でさえもより効率化を目指すというか、そのホールディングカンパニー的なものが病院を集約化していくと。その中に歯科医療といったものが入ってくるのかということも、片方で緩い協議会といった構想もある。結局のところ、歯科医療も含めて仲間に直接入れてしまうという方策が、高齢者、あるいは健康寿命延伸に有利であるということになれば、それはやはり進んでいくかと思うのですね。そこで初めて、違う教育体制、また後手になるかもしれませんが、教育内容も進展していくと考えています。
○森田座長
 ありがとうございました。
西原構成員はいかがでしょうか。
○西原構成員
 少子高齢化いう視点で教育を考えると、少子化で、「全入時代」という言葉で象徴されるように、歯学部、医学部だけではなくて、多くの大学が入学者について考えなければいけない時代となっています。御承知のように、文部科学省はさまざまな機会を通じて審議会等で答申を出している中で、例えば高大連携の問題にも関わりますが、いよいよ18歳をターゲティングするのではなくて、生涯研修の意味に近くなってくるのですけれども、さまざまな人たちが入れるような大学づくりということが言われるようになりました。だんだんこの会議の場で、私自身、感じ始めているのは、歯科医学教育という視点では、厚生労働省と文部科学省がボーダーレスになってきている気がします。
そのような意味でも、三塚構成員のほうからのまとめにもあったように、厚生労働省、文部科学省、大学等が連携することは大事なのですが、今は連携の段階ではなくて、それぞれの組織が、4者、あるいは3者が介して語る場をつくらねばならないレベルと思います。我々、歯学教育の現場を少し御案内すると、私立大学や国立大学等があって、その集合体がここ数十年、有機的な議論ができてきたのかと。これは反省しなければいけない点ではないかと私自身,感じております。
 歯科大学のなかで、公立大学は唯一私どもだけですので、少し客観的に両方の動きを見させていただくと、国民の目線、あるいは患者の目線で考えた議論が大学側も真摯にしてきたのかという思いは、正直なところ、今強く起きています。6月からそれぞれ、国立大学の会議、あるいは29大学の会議がある中で、私自身、この検討会の議論も踏まえて、この視点で発言していきたいと思っています。
 一方、高齢化に向けて考えるときに、衛生士もそうですし歯科医師もそうですが、高齢者は、ある一定の年齢にいった人たちが診察しないと難しい面があります。卒業生すぐの研修医にすぐに高齢者の診察といっても、今の核家族で育ってきた子たちになかなか6年間の教育だけでは難しいという現状も考えながら、我々、教育の世界も、教育対象となる年齢層を変えていかなければいけないのだろうと思っています。
 以上です。 
○森田座長
 ありがとうございました。今の関連で何か。では、三塚構成員、どうぞ。
○三塚構成員
 申しわけありません。僕、そろそろ出なければいけないので、供給の問題でちょっと発言させていただいてよろしいですか。
○森田座長
 どうぞ。
○三塚構成員
 先ほど和田課長補佐のほうからお話があったスライド4の、またしつこくここで言うと怒られてしまうかもしれませんけれども、「18歳人口あたり歯学部入学定員数」のところを見ていただきたいと思います。平成26年のところを見ると、18歳の人数、18歳人口、それから定員数、先ほど課長補佐からお話がありましたように、計算すると、18歳人口、480人に1人が入学するというデータが出てきております。こういうデータの中で480人がどうなのかという議論が出てくると思いますけれども、今の状況のままだと、質の高い入学者を確保するのが、非常に困難な状況に陥ってくると思うので、寺門課長、今日いらっしゃっておりますので、こういった18歳人口等を踏まえた上での入学定員の設定を引き続き文科省の中で検討していただいて働きかけを行っていただきたいと思っております。ぜひよろしくお願いします。
申し訳ありませんが、所用により中座させていただきます。
○森田座長
 ありがとうございました。
それでは、あと30分ぐらいになりましたので、まだ別な論点もありますので、そちらのほうにも移っていきたいと思います。
次の論点といたしましては、ページ3のほうになるかと思います。ただいま、学生の質の問題というのも議論になりましたけれども、例えばキャリアを途中で、これで見ますと資料3の図にありますけれども、他分野に変更していくとか、あるいは専門的な知識等を活用した活躍やほかの社会貢献の可能性をどうするかとか。このことは裏返して申し上げますと、国家試験を何回も受験する学生さんがいる、そういう人たちの将来のことも含めてどのように考えるかということにもかかわってくるかと思いますけれども、こうした問題も織り込みながら、さらに御発言をいただければと思っております。
論点を整理させていただきますと、人口が減ってきて、当然のことながら、需要は総量として減ってくる。ただ、人口の減り方と必ずしも同じではないというお話でしたし、その需要の内容のほうも、どちらかというと今まではお子さんだったのが高齢者の方に変わってきたということです。それに対しまして、現在の歯科医をやっていらっしゃる方の数というのは相対的に多くなってくるということです。さらに、新しく歯科医師になってこられる方が、経済学的に言うと市場に参入するというような言い方をしますけれども、歯科医師の世界に入ってこられるということになる。これは今までの歯科医師のほうからおやめになる方と同じだけ新しく歯科医師になられる方が生まれたとしても、過剰になるという話に計算上はなり得るわけです。
ただし、こういう需給のギャップがあるときの考え方としては、需要を新しくふやしていく、そして社会的に今まで欠けていた機能というものを埋めていくというのもあれば、あるいはその供給サイドをやはり絞っていかざるを得ないということにもなってくると思いますし、供給サイドのところも、大学の入学定員と歯科医師になるというところのゲートが2つあるということで、それぞれのところで別の進路というものを考えていきながら、すぐにとは言いません。先ほど20年というお話がありましたけれども、20年よりもっと長くなるかもしれませんけれども、少しずつ日本の社会のあり方というものをシフトしていかなければいけないのではないか。そういう課題だと思っておりまして、それぞれ、供給サイドの御立場、あるいは歯科医師会の御立場から御発言ございましたけれども、そうした状況を勘案しながら、どのような問題があり、それに対してどのような解決策、あるいはあるべき姿というものが見られるのかという観点から少し御発言いただければと思っていまして、今申し上げましたけれども、在学中の教育といいましょうか、そのクオリティの問題も含めて、少し論点を移して御議論いただければと思います。
羽村構成員、どうぞ。
○羽村構成員
 申しわけありません。2点ちょっとお話をさせていただければと思います。
まず需要と供給の問題に戻るのですけれども、私、歯科医師という職種は、決して病気を治すという職種だけではないと理解しているのですね。それこそ、おなかの中にお子さんができてから死ぬまでの間、いかに口を通じて健康維持するかというところになると、今までの病気を治すというところの需要と供給の論議をしていたら、我々の職業の正確な将来的なのも含めて議論にはならないのではないかと、私、危惧しています。
実際に、先ほど安藤構成員からお話があったように、少子化であるにもかかわらず、子供たちの歯科の通院状況、変わってないというのが私はよく証明していると思っていて、それでも100%、子供たちが歯科医院に来て、口腔内の健康を維持するために何らかの行動を起こしているかという状況ではありませんので、生まれて死ぬまで、健康にいるためにはどうしたらいいかという観点からの論議も、我々のこの中ではしなければいけないのだろうなと思います。特に教育を担当している私どもとしては、それは強く押し出していきたいなと思っております。
次に、大学人として、歯科学生の質が悪いという論議が出ること自体、本当に恥ずかしく思っていますし、反省させられております。そういう論議が出ないようにとは思いますけれども、この中で歯科医師、また歯科大学在学時の知識や技術を活用して、他職種での活用等の対応を考えられるかというところで、今まで特に発言ないということなので、申しわけありませんけれども、発言させていただければと思います。
先ほど申し上げたように、国家試験に合格しないということ=学生の質が悪いと捉えていることについて、本当に我々は反省しなければいけないと思っていますし、深刻な問題として受け取っています。
ただ、国家試験については、今年度設置される制度改革で検討されるということなので、その上で、例えば6年間、我々、大学人としてはしっかり教育しているつもりです。これはどこの大学でも同じだと思います。その学生たちが国家試験に通らないというだけで、こいつは質が悪いと烙印を押されるのは、私どもとしては本当に、少なくとも私としてはいたたまれません。知識や技術はある程度あるし、少なくとも私ども大学で卒業させたということは十分に歯科医師としての素養はあるだろうということで卒業させているわけですから、選択肢をふやすことはできないかということをぜひとも論議していただきたいと思います。
現在は、歯学部を卒業すると、歯科技工士試験、そして臨床検査技師の国家試験を受けられるわけですけれども、その他の職種についてもぜひともここで議論していただければと思います。今日深める必要はないと思いますので、ぜひとも次回から議論していただければと思います。
○森田座長
 ありがとうございました。
村岡構成員、どうぞ。
○村岡構成員
 先ほど西原構成員のほうからお話がありました点で少し私のほうからもお話をさせていただきたいと思います。
今、学生の質という話がございますが、これは別に医学部、歯学部に限らず、どの学部においても、いわゆるコミュニケーションがとれない等ということがよく言われております。したがって、我々、超高齢社会においてそれらの方々に対しての医療が量的にも質的にもふえてくるだろうという議論の中で今話をしておりますので、そこに対しての供給サイドでどういった歯科医師がそこに臨んだらいいかということで言えば、もとに戻りまして、西原構成員の言われたように、今既に既存の歯科医師を充実させていくというのは一つの一番近い将来像だろうと思いますし、また、その中でできることできないこと、あるいは施設等の問題で、あるいはもう少し専門的知識ということで言えば、病院歯科のあたりを充実させていくことによって地域の連携もとりやすいということから言えば、そういった方向で供給も考えていくことが非常に大事だろうと思います。
今、論点が学生の質についいきがちですけれども、学生教育をして、すぐに、臨床経験がないところでどのぐらいできるかということもやはり考えなければいけないと思いますので、そんなことを勘案して、この供給に対しても対処していくことがよろしいかと私は思います。
○森田座長
 ありがとうございました。
では、安藤構成員、どうぞ。
○安藤構成員
 この会そのものの目標といいますか、落としどころとちょっと関連するのかもしれませんが、資質向上といいますと、何となく個人をどうするかという話、そういう響きがあると思うのですが、それはもちろん大事ですけれども、全体としての資質向上を図るためにどのようにしていったらよいかというところが、いろんなところでこれからの歯科保健医療はこうあるべきだという話はされているとは思うのですけれども、ただ一方で、特に需給の話になってきますと、本当に昔の歯科医師のモデルで推計しているような部分もございます。
また一方で、例えば今の学生、あるいは若い歯科医師がどのようなことを言われてきたかということも、これはちょっと私の想像なのですけれども、例えば自分自身どうだったかというと、私は1958年生まれで1983年に大学卒業したのですけれども、学生当時の歯科の状況というのは後から知ったのですけれども、歯科医院の開設者、開業医、院長先生は30代が3割ぐらいを占めていまして、つまり、身近なロールモデル、ちょっと上の先輩が多くいましたから、このようにやっていけば10年後の自分はこうなのだと物すごく明確なものがあったのですね。
ところが、今一番多いのは自分の父親ぐらいの世代でして、そういった方々が大学にもいっぱいいらっしゃって、ちょっと昔のイメージを持っていらっしゃる方が結構多いと思うのです。大学でいろいろ、もちろん努力されて、これは決して大学に対する批判とかそういうことでないのですけれども、何となく昔のイメージを引きずっていて、これからの歯科医療はこうあるべきだ、こういう人材が必要だというところが断片的に出てくるだけで、一つの、今の若い人をどう育成していくかというメッセージになってないところがやはりあると思うのですよ。
そのあたり、定性的な面ではいろんなところから出てきているところはあると思うのですが、そこに定量的にやるのは難しい。限界もあるかもしれませんが、ある程度そういう意識したところを考えていくというのがこの検討会の一つの役割ではないかなと思いますので、そういう意味では、全体の資質向上するための最適化というのですか、そういったあたりを意識すると、先ほどのいろんな立場の方が同じテーブルに立つようになった、西原先生おっしゃったような話もより生きてくるのではないかなと思っています。
ちょっとまとまらない、全体的な方向性の話になったかもしれませんけれども、以上です。
○森田座長
 では、伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員
 今日、事務局から提出いただいた資料の中で16ページに初めて、歯科衛生士さんの数、年次推移が掲載されておりますが、少し教えていただきたいのでありますけれども、こちらの数も歯科医師の数を急速に上回って、平成20年で就業者数を追い越しておりまして、この現状でありますけれども、先ほど羽村先生の御発言もございましたが、今、歯科医師の先生方、いわゆる口腔ケア、治療というよりもケアのほうがこれから需要がふえるのではないかということもおっしゃられておりました。
そうした中で、歯科衛生士さんというのは、歯科医師さんと同様に、少し簡単な言葉で言えば、足らないのか、まだ足りているのか、どういう状況にあるのか。この歯科衛生士さん、大切なパートナーだと理解いたしておりますけれども、歯科医師の皆さん方から見られた現状の中ではどのような状況にあるのか、少し教えていただけたらありがたいと思います。
○森田座長
 これはどなたにお答えいただくのがいいのかな。やはり事務局からお答えいただきましょうか。
○鳥山歯科保健課長
 歯科衛生士につきましては、一般に言われておりますのが、需要がかなり供給を上回っておると、不足傾向だということが近年特に言われております。
○森田座長
 よろしいですか。
○伊藤構成員
 ということは、歯科医師さんのパートナーのほうは足らないのだけれども、私どもの感覚でまいりますと、治療ではない、ケアということになりますと、歯科衛生士さんプラス、その衛生士さんの数というのは、大変重要なマンパワーの中でもこれから大いに効果を発揮してくるのではないかということが予想されるわけであります。
改めまして、本来、日本国民がこれから要望していく中で、衛生士さんがやられるのか、実際にドクターがやられるのか、そのあたりのところは私は門外漢でわかりませんが、そうしたところもこれからぜひ考慮に入れて、大学の中、もしくは教育の中でも取り組んでいただけたらなということを思っております。現状がだんだん理解できてまいりましたので、またもう少し議論を深めていきたいと思います。
○森田座長
 ありがとうございます。
では、村岡構成員、どうぞ。
○村岡構成員
 伊藤構成員からいいお話をいただきましたけれども、実は口腔ケアという言葉を我々は簡単に使えない言葉として受け取っております。といいますのは、例えば在宅、あるいは入所者で施設で暮らしていらっしゃる方々のうち、健康な方は、お口の中が健康です、病気がありませんという方はまずいらっしゃいません。必ずそこには診断行為があって、歯周病であるとか、何々であるということの上で、その治療するスケジュール、あるいは診断のもとにどんなことをしていくかという形になりますので、ある種簡単な、御家族がやる、いわゆるお口の中をきれいにしてあげます、清拭というようなことの範疇であればそうですけれども、それ以上、例えば歯科衛生士が実施するということであれば、そこは必ず診断行為があって行われるというものと私は思っております。したがって、そのもとでさまざまな治療行為が行われるということであるとケアではなくなってきますので、そこのところの区別だけはちょっと皆さん方の共通認識としていただければまことにありがたいと思っております。
○森田座長
 ありがとうございました。
○羽村構成員
 先ほど衛生士のお話が出ましたので、私の大学でも短大の衛生学科ありますので、それについてちょっとお話しさせていただきたいと思います。
もちろん、広大等々もきちっとした養成をしておりますけれども、実は日本の歯科衛生士は、歯科衛生士ということで一括りになっておりますが、特に北ヨーロッパの国々に行くと、歯科看護師と歯科衛生士、しっかり業務分担されているわけですね。それぞれ業務が異なっているということになりますけれども、日本の場合は全部一緒ですから、そういう点では、やっとこの数がふえてきて、きちんとした業務分担もできるようになってきていると私は思うのです。そうなると、この数では全然足りないと思っています。それぞれの衛生士の特性によって、また自分の、能力と言っては変ですけれども、それによってきちんと業種内の職種分担というのがしっかりできてきているかなとは思っております。
○森田座長
 ありがとうございます。少し議論がそれてきたような気もしますけれども、ではどうぞ、安藤構成員。
○安藤構成員
 今、伊藤構成員がおっしゃったことの補足なのですが、厚生労働科学研究、平成21、22の研究で行ったのですけれども、歯科衛生士が多い歯科医院は患者も多いという傾向が出ております。これは先ほど高梨構成員がおっしゃった需要の有効化というところに歯科医院で歯科衛生士を雇う。そして、主に歯周病に対するケア的な内容が有効需要化されるという一つの例ではないかなと。もちろん、これは保険のほうではまだなかなか要望が完全に認められてないという難しさがあるのですけれども、一つの例と捉えてよいのではないかと思っております。
○川添構成員
 今の議論は、途中で進級できなくなったり、あるいは国家試験に通らないので、他職種へどのように移転させるかということですね。この問題に関して、確かに今のままですと、6年間行かないと卒業証明書も、中退だけでは本当に次の、端的に言えばコンビニの売り子さんでも就職できないという形になって、親は歎き悲しんでいるわけですね。それで、3年生で、それ以上進級、具体的に言うと、CBTの前にどうしても通らないから、もうそこで、文科省なんかは早目に方向転換させてくださいのようにいただいているのですけれども、そのときに、単位がしっかりしているとほかの技術系のほうに編入学ができるのですけれども、共通の単位がないといけないですね。
 それから、アメリカとか、あるいは発展途上国でも、例えばベトナムでも、6年生でいって、3年で一つの資格を得られる。それは開業まである程度の制限された資格でもって勤務して収入が得られるというのがある。それを6年間行ったらフルの歯科医師の活動ができると。
それから、アメリカでは有名な、北米地区にデンチュリストというのがあって、なかなか歯科医師、過疎などは届かないから、いわば限られた義歯のつくりかえだとか修理だとか、総義歯を入れるとかいう職業がきちんとあって、結構それが歯科医師不足を補っておりますし、それから、本学でもそれがあるのですけれども、途中で技工士さんのほうに行くように言っても、歯科医師を中退して技工士さんのほうを受けるというのは本人よりも親御さんが抵抗あったりすることが多いのですけれども、臨床検査技師とか放射線技師とか、そういったところへ編入したり再入学して、本当に親子そろって喜んでお礼に来られる人も最近はふえてきていますので、歯科医師は6年間行かないと全く何の資格も得られないのだという今の単一構造の資格では今後非常に苦しくなるのではないかと思いますね。
○森田座長
 それでは栗原構成員。その後、南構成員、お願いします。
○栗原構成員
 先ほど羽村先生が歯科医師のキャリアパスに関するアンケート調査のざっくりした数字とおっしゃったのですけれども、その中でも特に家族に一次歯科医療者がいるかというこの数字が、他職種であったり医師であったり、おそらく私ども広島大学だとこんなに高くはなくて、そういった背景というのを少し勘案して、どこまで世話しなければいけないのかと。親が歯医者だから必ず歯医者になる、そこまで担保しましょうというのはなかなか難しいのかもしれないので、他職種で、法曹界は知りませんが、どういう状況であるのかというのは、背景として理解しておく必要があるのかなと思います。
○森田座長
 羽村構成員、では、簡潔にお願いいたします。
○羽村構成員
 例えば今年の私どもの入学者ですけれども、保護者の職業からすると50%は歯科医の子弟です。30%ぐらいが医師の子弟で、あと20%がそのほかのということで、恐らくどこの学校でも同じだと思いますけれども、特に私立歯科大学では歯科医師の子弟というのが多い状況になっているのだと思います。
○森田座長
 ありがとうございました。
それでは、南構成員、お願いいたします。
○南構成員
 すみません。おくれてまいりましたので、ちょっと見当違いなことを申し上げるかもしれませんが、2点だけ申し上げたいと思います。
 今の、もっと選択肢を広げて、中途でもいろんなことができるようにするということです。もちろんそういう選択肢を模索するということは十分あってよろしいと思います。ただ、それを果たして制度として担保することはちょっと違和感あるかと思います。文科省で以前、歯科教育の協力者会議のときにも申し上げたのですが、歯学部の入学事情でどうしても違和感があるのは、教育だから、どういう方でも引き受けて、6年きちんと教育をして向上させ、卒業させるのだという、教育していらっしゃる大学関係者のその気概は本当に敬意を表したいと思うのですけれども、いかなる国でも、バカロレアなりいろいろな試験があって、医学部、歯学部に入学できるラインは、先進国では少なくとも厳しく決まっているわけですし、それを無視していろんな方法で進学をしても、結局、それは本人も社会も幸福ではないという現実をもう少しきちんと受けとめないといけないと思います。私学でも全て税金が入っているわけですから、そこはやはりきちんと検討する必要があると思います。
本人のためにも決してプラスにはならないような事態が現実にみられ、気の毒なような学生さんもいる現状があるのは事実です。残念ながら、そうしたことが歯科医全体の質にまで影響を及ぼしてしまうのはという非常に不幸なことだと思いますので、ぜひ入学の問題は検討していただきたいと思います。
それからもう一つですが、医科と歯科をもっと近づけて一緒にやるべきというのは、必ずしも高齢社会というだけではなくても、社会のニーズとして当然のことだと思います。にもかかわらず、現実には歯科医の研修先が、スライド29で見ても、大部分は歯学部の附属病院になっている。例えばですけれども、一般の総合病院に歯科があって、医科と歯科がきちんと協力ができるというような体制を、制度的に少しずつでもとっていただけないかと思います。別のたとえになりますが、精神科医療の提供も町のメンタルクリニックが増えて、総合病院での精神科医療を持つところが減少した事情があり、総合病院精神医学会が、危惧を感じて、アピールなどをたびたびしておられました。総合病院にとって、精神科を置いておくと採算上で足を引っ張るものですから、精神科をやめてしまう傾向があるのです。とはいえ、一方では、精神科が一般的に心の病として求められているわけで、必ずしも単科の精神病院に長期入院する方のニーズだけではない現状からすると、これは非常に深刻な問題だと思います。
同じように、歯科というのも一般医科と一緒に医療現場で対応していただく状況になりませんと、特に高齢者の場合、抜歯一つでも、麻酔の問題からさまざまな生活上の問題があるわけですから。歯科の単科病院だけでの研修なり実施では、こと足りる状況にはないわけで現状はやはり見直していただいたほうがいいのではないかと思います。
○森田座長
 ありがとうございました。
ほぼ時間が参りましたのでそろそろこのあたりにしたいと思いますけれども、最後に一言という方、いらっしゃいますか。
では、高梨構成員、どうぞ。
○高梨構成員
 要するに受からない方のほかにどう行くかというのは、我々の業界も非常に大きい課題でして、企業の法務部さんで採っていただくとか、あと、地方公務員が試験科目が若干重複していますから、年齢のほうがひっかからなければ受けられる方もいます。ただ、一番大きい制約なのは、歯科の世界はわからないですけれども、自分がこれを目指していたのだという思いが多分キャリアチェンジに一番大きい障害になっているのだと思います。ですので、今、南先生もおっしゃいましたが、要するに、最後は御本人の問題だと思うのですね。それに対してキャリアチェンジする道の情報提供を教育機関なり職業団体のほうからしていくということくらいしかやりようはないのではないかとは思っています。
○森田座長
 ありがとうございました。
まだいろいろと論点、議論が尽きないところもあると思いますが、時間が参りましたのでこれぐらいにさせていただきますが、最後に一言、私も言わせていただきますと、18歳人口がどんどん減ってきているわけですね。大学の定員というのはそれほど変わっていないわけで、そうしますと、昔は大学に入るために一生懸命勉強しないとなかなか入れなかったわけですけれども、だんだん皆さん、楽に入れるようになってきたといいましょうか。そういう状態になってくると、当然のことながら、学生の質にも影響が出てくると思いますし、そのときに、正直申し上げまして、過剰な定員といいましょうか、それをつくった例がロースクールの問題だと思っております。
ですから、そういう意味で言いますとやはり社会が変わってきているわけでして、先ほど安藤構成員がおっしゃいましたけれども、安藤構成員がなられたときには、若い人たちが開業されていたということですけれども、そのときには団塊の世代の人たちが多分、学校を出て、その後で、皆さん、歯がいっぱい悪くなって、そういうときにマーケットが広がったということだと思います。けれども、その形が全くと言っていいほど変わってきているという状況だと思います。その中でこれからどうあるべきかという御議論をこれからしていただきたいと思います。
今後の進め方ですけれども、今日も幾つか資料の請求など御要望がございましたので、それにつきましては可能な限り事務局のほうで御準備をお願いしたいと思います。そして、それらについてさらに議論を深掘りしてまいりたいと思いますけれども、基本的には、このカラフルなイメージ図がありますけれども、これを念頭に置きつつ、この中でそれぞれのところを具体的にどう肉づけし解決していくかというような方向といいましょうか、それをある程度念頭に置きながらこれから御議論をいただきたいと思っておりますし、その具体的な中身につきましては、資料2のそれぞれの構成員の方の御発言その他、論点を肉づけしていくという形で会議を進めさせていただきたいと思っております。
それと、これはちょっと事務局と相談してまいりますけれども、問題について、それぞれの御立場はともかくとして、認識についてはかなり共通されてきたところもあろうかと思いますので、それぞれ、今日もございましたけれども、この問題状況全体としてどのように解決すればいいのかというようなことについて御意見とか御提言を出していただくというのも一つのあり方かなと思っております。今後そういう形で進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○森田座長
 ありがとうございました。
それでは、そろそろ終わりにいたしますが、事務局のほうから何かございますでしょうか。
○鳥山歯科保健課長
 次回の開催でございますが、冒頭、スケジュールを御説明させていただいたとおり、9月にできれば全体会議を開催したいと思っておりますので、それ以降、改めて座長と相談させていただきまして、第3回のワーキングを開催させていただく予定でございます。
○森田座長
 ありがとうございました。
本日は長時間にわたりまして熱心な御議論、ありがとうございました。次回の日程は以上のとおりでございますので、これで今日の会議は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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