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2015年9月29日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成27年9月29日(火)13:00~15:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

部会委員

大野委員(部会長)、石井委員、尾崎委員、佐々木委員、佐藤委員、永山委員、根本委員、二村委員、宮井委員、由田委員、鰐渕委員

分科会委員

岸委員(分科会長)、安藤委員、川西委員、岸田委員、倉根委員、栗山委員、河野委員、古野委員、 寺本委員、西委員、毛利委員、若林委員

事務局

山本基準審査課長、黒羽課長補佐、飯塚専門官、小川専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局農産安全管理課 峯戸松補佐
農林水産省消費・安全局農産安全管理課 久保補佐
農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 山木専門官

○議題

(1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について
  ・動物用医薬品2-10-性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁体・ジフテリアトキソイド
   結合物を有効成分とする牛の注射剤
  ・農薬オキサチアピプロリン
  ・農薬トリアファモン
  ・農薬メトラフェノン

(2)その他
  ・農薬に係るリスク管理に関する最近の動向について 等

○議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。
 本日は由田委員より御欠席されるとの御連絡をいただいておりますが、農薬・動物用医薬品部会の委員14名中13名の御出席をいただいており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立していることを御報告いたします。
 審議に入る前に、利益相反に関しまして、過去3年間における寄附金等の受取について、事前に各委員に確認を行ったところ、該当される委員はいらっしゃらなかったのであわせて御報告させていただきます。
 それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大野部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
 最初に本日の審議の流れについて御案内させていただきます。本日は、前半は、通常どおり残留農薬等にかかわる残留基準の設定について審議を行っていただきます。後半は、議題(2)の「農薬に係るリスク管理に関する最近の動向について」ということで、食品の安全性だけではなくて、ミツバチへの影響等も含めた農薬にかかわるリスク管理に関する最近の動向について農林水産省からも御説明をいただく予定でございます。
 これは、3月に食品衛生分科会において、岸分科会長から御提案いただいたことを受けて、事務局で準備していただいたものでございます。
そのため、後半の午後2時からは、分科会の委員の方々も加わっていただく予定としておりますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。また、予定どおり14時から議題2を開始できるように、円滑な審議になりますように御協力をよろしくお願いいたします。
 初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。
 本日、お配りしました資料は、まず、議事次第と配付資料一覧、さらに委員名簿と関係省庁の方の出席者の名簿をつけた資料の次に座席表がございます。
その後に本日御審議いただく品目について、それぞれ、資料1-1、資料2-1のように報告書を資料4まで配付させていただいております。
その次に資料1-2、資料2-2のように、食品安全委員会の評価書についても同様に資料4まで配付させていただいております。
その後ろに議題(2)の資料5と資料6をお配りしております。
 不足している資料等がございましたら、事務局までお願いいたします。
○大野部会長 皆さん、よろしいでしょうか。
 それでは、審議に入りたいと思います。
本日は、農薬について3剤、動物用医薬品について1剤、それらについて審議を行います。なお、報告書の作成に当たりましては、皆さんに事前にいろいろ御意見を伺って資料をまとめさせていただいたところです。どうもありがとうございます。
 それでは、議題(1)の「食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について」の御審議をお願いいたします。
「動物用医薬品 2-10-性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁体・ジフテリアトキソイド結合物を有効成分とする牛の注射剤」ということでございます。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、1剤目の2-10-性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁体・ジフテリアトキソイド結合物を有効成分とする牛の注射剤について、事務局から御説明いたします。資料1-1を御覧ください。
 本剤について、動物用医薬品の製造販売の承認申請がなされたことに伴って、食品安全委員会で評価が行われ、今回、残留基準の設定について御審議いただくもので、今回が初回の審議となります。
 本剤は、2-10-性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁体・ジフテリアトキソイド結合物を主剤とする牛の注射剤で、雌牛の発情行動を抑制することを目的として使用される予定でございます。本剤を投与することで抗体を産生させ、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの作用を抑制するということで、間接的に卵巣からのエストロゲン等の分泌が阻害され、発情行動の発現が抑制されると考えられております。国内では、本製剤と同一の主剤を用いた豚の製剤が既に承認されております。
 「(4)諸外国における使用状況」ですけれども、本製剤はニュージーランド、豪州、ブラジル及びメキシコで承認されております。
 次に、1ページ目の下段の「2.食品健康影響評価」について概要を御説明いたします。羊、ラット及び豚を用いた試験の結果から、経口投与において性腺刺激ホルモン放出ホルモン様作用及び抗体応答を示さず、毒性影響も認められないことから、ヒトの健康に影響を与えるものではないと食品安全委員会は判断をしております。本剤の主剤はペプチドであり、胃液中でより小さなペプチドやアミノ酸に分解されてしまい、その作用は消失するということが示唆されているとしております。
また、添加剤につきまして既存の評価等を考慮して、本製剤の含有成分として摂取した場合のヒトへの健康影響は無視できると判断をしております。
 食品安全委員会は以上のことから、「本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると考えられる」と結論しております。
 「3.基準値の取扱い」につきまして「食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないこととする」としております。
 (答申案)は、4ページ目に記載してあるとおりでございます。
 それでは、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。これは初回審議ですね。
 それでは、順々に御審議いただきたいと思います。これは物理化学的な性状というのはないのですけれども、化学名とか名称といった面で吉成先生、何か御意見はございますでしょうか。
○吉成委員 特にないです。
○大野部会長 よろしいですか。
○吉成委員 はい。
○大野部会長 薬理作用と用途のあたりについて、尾崎先生、いかがですか、よろしいですか。
○尾崎委員 はい。
○大野部会長 宮井先生もよろしいですか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 代謝の面では、ヘプタイドだから特に問題ないでしょう、経口で摂取する分には。
 安全性の面で、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 とじで記載されてあるとおりで、十分に説明されていると思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 これについては、分析ということは行っていないのですけれども、その他、化学面で何か御意見はございますでしょうか。
 ないようでしたら最終的な結論で、食品安全委員会では「食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できる」ということですので、「2-10-性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁体・ジフテリアトキソイド結合物については、食品規格(食品中の動物用医薬品の残留基準)を設定しないことが適当である」という答申案でございますけれども、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。
 答申案は事務局の案どおりといたしました。全体として、特に文章的なものはよろしいですね。結論とこの報告案については、事務局案のとおりといたします。ありがとうございました。
 次の品目ですけれども、農薬ですが、オキサチアピプロリンの審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 2剤目、オキサチアピプロリンについて御説明をさせていただきます。資料2-1を御覧ください。
 今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値設定依頼が農林水産省からなされたことに伴って、御審議いただくものでございまして、今回が初めての部会審議となります。
 「(2)用途」は殺菌剤でございまして、お示ししているとおりの作用機序がございます。「(3)科学名」「(4)構造式及び物性」につきましてはお示ししているとおりです。
 2ページ目「2.適用の範囲及び使用方法」についてですが「国内での使用方法」を示しております。ばれいしょ、トマト、きゅうり、はくさい、レタス、ぶどうに対して、適用の登録の申請がなされております。
 「3.作物残留試験」についてです。親化合分に加えて、代謝物B、C、Dを測定対象とした分析が行われております。
3ページに「2. 分析法の概要」を示してございます。
 「(2)作物残留試験結果」につきましては、5ページ目の(別紙1)を御覧ください。親化合物を除く代謝物につきましては、どれも定量下限以下の結果が得られております。
 3ページ「4.ADI及びARfDの評価」についてです。まず、ADIについてですが、ラットを用いた繁殖試験において得られた無毒性量に、安全係数100で除したADI 3.4mg/kg体重/dayの値が得られております。一方、ARfDにつきましては「設定の必要なし」と評価がなされております。
 「5.諸外国における状況」についてですが、JMPRにおける毒性評価がなされておらず、国際基準も設定されておりません。
主要5カ国・地域の基準の設定の状況ですが、米国においてトマト、ぶどう等に基準値が設定されております。
 4ページ目「6.基準値案」についてです。「(1)残留の規制対象」は、親化合物のオキサチアピプロリンのみとする案としております。先ほども説明させていただきましたが、作物残留試験において、代謝物はどれも定量限界未満であることから、代謝物B、C及びDについては残留の規制対象に含めないこととしております。なお、食品安全委員会における暴露評価対象物質も同じくオキサチアピプロリン(親化合物のみ)と設定しております。
 「(2)基準値案」についてです。6ページ目の(別紙2)を御覧ください。今回、申請のあったばれいしょ、はくさい、レタス、トマト、きゅうり、ぶどうにお示ししている基準値案を設定する案としております。
 これらの基準値案に基づき、暴露評価を行った結果が7ページ目の(別紙3)でございます。TMDIにより試算が行われておりまして、最も高い幼小児において0.03%のADI占有率となっております。
 最後の9ページ目が答申(案)でございます。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、初回審議ですので、順を追って御審議をお願いいたします。まず、化学名、化学構造、物性のあたりについて、吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。
 薬理作用と用途のあたりについて、尾崎先生、いかがでしょうか。
○尾崎委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 宮井先生、いかがでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ちょっと適用でわからなかったところが、2ページ目の「適用病害虫名」でばれいしょとトマトについて「疫病」と書いてあるのですけれども、疫病というとすごく幅が広くてどうなのかなと思ったのですけれども、調べてみたらばれいしょ疫病というのがある。
○宮井委員 これで構わないと思います。
○大野部会長 構わないですか。
○宮井委員 はい。
○大野部会長 わかりました。ありがとうございます。
 今の部分で先生方、いかがでしょうか、よろしいですか。
 代謝の体内動態について、吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 この化合物は、動物あるいは植物とも非常にたくさんの代謝物ができますが、多くのものは今回測定されている代謝物CやDのような、アミドが切れたような分解物ですので、作残試験の結果、少なかったということもありますし、特段構造的に問題はないと思いますので、測定対象も親化合物ということでよろしいのではないかと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 私も吉成先生と同じように考えています。代謝で親以外に代謝物のCとかDといったものも出るのですけれども、今、御説明いただいたように作残試験では出てこなかった。親のものは検出できたけれども、他は出てこなかったということで、親のみでよろしいのではないかと思いました。
 今までのところで、先生方、御意見ございますでしょうか。
 安全性の面で、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 記載のとおりで結構でございます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 急性参照用量を決めていないということです。これはよろしいですか。
○鰐渕委員 急性毒性が高いところでということですので、大丈夫です。
○大野部会長 ありがとうございます。
 分析法、分析結果、その他についていかがでしょうか、よろしいですか。
 この結果に基づいて、基準値が定められているわけですけれども、基準値と国際的整合性のあたりについてはいかがでしょうか。いずれにしても基準値は設定されていない、国際基準も設定されていないということですけれども、よろしいですか。
 全体を通して、御意見はございますでしょうか。
 これについては、特に御意見がありませんでしたけれども、この事務局案をもって、部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 次の品目は、農薬のトリアファモンについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 3剤目のトリアファモンでございます。資料3-1を御覧ください。
 本剤は、米への新規農薬登録申請に伴う基準値設定依頼と、米へのインポートトレランス申請について御審議いただくものでございまして、初回の部会となります。
 トリアファモンは、スルホンアニリド系の除草剤でございまして、アセト乳酸合成酵素を阻害することによって殺草効果を示すものと考えられております。「(3)化学名」「(4)構造式及び物性」については記載のとおりでございます。
 2ページに移りまして「2.適用の範囲及び使用方法」についてですが、2から3ページに国内の使用方法について記載しておりまして、海外においては4ページに韓国の使用方法を記載しております。
 「3.作物残留試験」の分析法についてですが、分析対象は親化合物と代謝物M1、M1の抱合体のM2、M20でございまして、国内の分析方法は4ページに、韓国は5ページに記載してございます。作物残留試験結果につきましては、7ページに国内の残留試験、8ページに韓国の残留試験を記載しておりまして、いずれも定量限界未満となっております。
 5ページに戻っていただきまして、ADIの評価については、慢性毒性/発がん性併合試験をもとに0.019mg/kg体重/dayと評価されております。
 ARfDの評価については6ページになりまして、本剤の単回経口投与等により生じる可能性のある毒性影響は認められなかったため、ARfDの設定は不要と評価されております。
 「5.諸外国における状況」についてですが、JMPRによる毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。その他の国や地域についても基準値は設定されておりません。
 「6.基準値案」の「(1)残留の規制対象」については親化合物のみとしております。代謝試験で主要残留物がM1とM20であり、M1に関してはもみ米において0.02ppmが検出されてはおりますが、米の検体である玄米においてはいずれの代謝物も定量限界未満であり、代謝物M1はラットにも見られる代謝物であるため、毒性試験での暴露が担保されていること、また、急性経口毒性試験で親化合物と代謝物M1のLD50が2000mg/kg体重を超える低毒性な化合物であること、遺伝毒性試験の結果、M1の遺伝毒性は陰性であること、M1は極性が増し、より代謝、排泄されやすい構造となること、以上のことから規制対象は親化合物のみとする案としております。
 「(2)基準値(案)」につきましては、9ページの(別紙2)に記載しておりまして、国内の残留試験をもとに0.05ppmとしております。なお、今回韓国の基準値を参照して、インポートトレランス申請がございましたが、韓国の基準値は現在まだ設定されていないことから、国内の試験をもとにしております。
 これらの基準値案により、長期暴露評価を行いましたものが10ページの(別紙3)でございまして、TMDI試算により、一番高い幼小児で1.37%のADI占有率となっております。
 最後に12ページが答申(案)となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 これも初回審議ということですので、順を追って御検討をお願いいたします。
 まず、化学名、化学構造、物性のあたりについて、吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 薬理作用、用途のあたりについては、いかがでしょうか。
○尾崎委員 よろしいと思います。
○大野部会長 宮井先生もよろしいですか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 体内動態についていかがでしょうか。
○吉成委員 この剤も非常にメトキシ基が多いというのもあるのですけれども、代謝物が非常にたくさんできまして、先ほど御説明いただいたM1、M2、M20などたくさんできますが、実際、M1、M2が残るので、それらを入れてもどうかという議論も少しありましたけれども、今回御説明があったとおり、安全性試験でラットでの暴露が担保されているということで、M1を入れないということでしたが、それでも結構かなと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 私の通常の今までのやり方だと毒性が特に弱くて、実際に検出もされていないということで入れないというやり方でいってきたと思うのですけれども、それについていかがでしょうか。私も同様に考えたのですけれども、事務局からも随分丁寧に説明していただきましたが、そういったことで御意見はございますでしょうか。
 佐藤先生、何か御意見はございますか。
○佐藤委員 結構です。
○大野部会長 他の先生、よろしいでしょうか。
 代謝物と測定対象物質についても、親化合物だけでよろしいということでよろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 安全性の面で鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 記載のとおりで結構でございます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 これについても、急性参照用量は設定する必要はないということですけれども。
○鰐渕委員 そうですね。2000mg/kg体重でも全然毒性が出ていないということです。
○大野部会長 ありがとうございます。
 今までのところで、先生方、御意見ございますでしょうか。
 分析法、分析結果のあたりについてはいかがでしょうか。あらかじめ見ていただいて、気がついたところは修正させていただいているので、追加で何かございますでしょうか、よろしいですか。
 基準値、国際的整合性についてはいかがでしょうか。これも国際基準が設定されていなくて、外国でも基準が設定されていないということで、その辺を検証する必要がないかもしれませんけれども、いかがでしょうか。暴露評価でもADI比で、最高で0.05%であるということで特に問題ないかと思いますけれども、よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 それでは、全体を通して御意見はございますでしょうか。
 これについても、特に修正意見はございませんでしたので、事務局案をもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 次の品目は、農薬のメトラフェノンについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 農薬メトラフェノンでございます。資料は4-1を御覧ください。
 こちらは先日、9月10日に行われました本部会によりまして、審議を行っていただきました。その際に委員の先生方から御意見をいただいておりまして、試験法につきましては御意見を踏まえまして、修正して反映をしております。大きなところといたしましては、基準値案についてでございます。
 15ページ(別紙2)を御覧いただきたいと思います。まず、小麦の基準値案についてですけれども、前回の部会ではEUの基準値を参照いたしまして、0.5ppmを提案しておりましたけれども、EUでは小麦及びライ麦に同じ作物残留試験の結果といたしまして、0.01未満から0.04をもとに小麦には0.5ppm、ライ麦に0.1ppmをそれぞれ設定しておりますけれども、小麦の0.5ppmというのは少し高いということから、今回、国際基準であります0.06ppmを参照する案としたいと考えております。
 かぼちゃについてですけれども、前回の部会では、韓国の基準値を参照しまして1ppmを提案しておりましたけれども、韓国での作物残留試験がGAPどおりになされておらず、また、2例の結果でもありましたので、作物残留試験の結果からすると高目の設定となっておりますことから、GAPに従った試験に基づく基準値を採用している米国の基準といたしまして、0.5ppmを参照する案としたいと考えております。
 最後ですが、いちごの基準値案につきまして、前回部会では韓国の基準値を参照して5ppmを提案しておりましたけれども、韓国での作物残留試験がGAPどおりになされておらず、また、2例の結果でありましたので、作物残留試験の結果からすると高目の設定となっておりました。GAPに従った試験に基づく基準値を採用しているEU基準、0.6ppmを参照する案としたいと考えております。
 簡単ではございますが、御説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。
 今、御説明にございましたように前回審議していただいて、他の部分は了承していただいたと思いますけれども、基準値について、たしか根本先生から御指摘をいただいて、検討していただいたというところでございますけれども、いかがでしょうか。根本先生から御意見を伺いたいと思います。
○根本委員 今回の案で適切に設定されていると思います。
○大野部会長 ありがとうございます。他の先生、いかがでしょうか。
 一応、前回御審議していただきましたけれども、追加の何か気がついたところとか、そういうところはございますでしょうか、特にございませんか、事務局に修正いただいた基準値ということでよろしいでしょうか、全体の表現についてもよろしいですね。
 この事務局案をもって、部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 それでは、本日の審議結果の食品衛生分科会での取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 分科会における取扱いについて、記載されている1枚紙を御覧ください。
 平成22年3月3日に了承されました、食品衛生分科会における確認事項に基づき、本日の部会で御審議いただいた農薬3剤、動物用医薬品1剤についての分科会での取扱い原案を御用意させていただきました。本日、御審議いただいた品目のうち、オキサチアピプロリン、トリアファモン、メトラフェノンにつきましては、本表の3から6までのいずれにも該当しないことから区分1といたしました。
 最後に、2-10-性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁体・ジフテリアトキソイド結合物を有効成分とする牛の注射剤につきましては、食品健康影響評価の結果から食品中の残留基準を設定しないため、区分5といたしました。
 以上になります。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ただいまの分科会での取扱いについて、御意見はございますでしょうか、特によろしいですか。
 特にないということでしたら、この部会として、このような扱いでよろしいかどうか、分科会長の承認を得たいと思います。
 事務局から今後の手続について、説明をお願いいたします。
○事務局 本日、御審議いただきました農薬3剤、動物用医薬品1剤につきましては、食品安全委員会からの通知を受けていますので、本案をもって部会報告書とさせていただきます。
今後の手続につきましては、パブリックコメント、WTO通報、消費者庁協議等、必要な手続を進める予定としております。
○大野部会長 ありがとうございました。その他、何かございますでしょうか。
 それでは、30分ほどありますけれども、14時、午後2時まで一旦休憩とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(休  憩)

○大野部会長 時間になりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を再開させていただきます。
 議題2の農薬のリスク管理に係る最近の動向についてということでございます。
 今回、部会の冒頭で説明しましたように、ここからは分科会の委員にも参加していただきます。時間の御都合もありますので、お一人ずつの紹介は省略させていただきます。お手元の名簿に委員の先生方の名前が記載されていますので、それで参考にしてくださるようお願いいたします。
 今、申し上げました議題については、ことしの3月の食品衛生分科会においてネオニコチノイド系農薬の残留基準について審議した際に、岸分科会長から食品の安全性だけでなくて、農薬のミツバチや環境への影響も含めて農薬にかかわるリスク管理にかかわる最近の動向について関係省庁から説明を聞く機会を設けてはどうかという提案をいただきました。そういうことならば、この農薬・動物用医薬品部会のメンバーも一緒にそういったお話を伺うのも有意義ではないかということで提案させていただきました。
 その結果、今回このような形で合同でこういった説明を伺う場を設けることができました。協力していただいた事務局の皆様にお礼申し上げます。
 ただ、この後3時から別の会議室で食品衛生分科会を開催することになっておりますので、1時間しかないということで、時間の関係上、円滑な議事進行に御協力をしてくださるようお願いいたします。
 それでは、早速説明をお願いしたいと思いますけれども、岸分科会長から何か補足はございますでしょうか。
○岸分科会長 格別なことはございませんが、今、大野部会長がおっしゃられましたように、このような我々の勉強する機会を設けていただいて、事務局を初め関係の皆様方に感謝しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、まず厚生労働省から食品の安全性における農薬の残留基準について説明を伺いたいと思います。
 食品の安全性については、日ごろからこの審議会で審議していただいているところでございますので、既に皆さん御存じのところでございますけれども、おさらいという意味も含めて説明を伺いたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○事務局 資料5、厚生労働省説明資料を御用意ください。
 厚生労働省より食品のリスク管理における農薬の残留基準について御説明いたします。
 1ページのスライド2枚目を御覧ください。
 残留基準設定の流れについて、御説明いたします。図の右上が出発点となりますけれども、農薬を国内で使用する場合には、申請者が農林水産省に登録申請を行う必要があり、これを受けて、農林水産省から厚生労働省に対して残留基準の設定依頼がなされます。
 また、申請者が諸外国の残留基準を日本国内の残留基準として設定を希望する場合には直接厚生労働省に申請がなされます。厚生労働省では、申請の内容を確認いたしまして、食品安全委員会に対してリスク評価を依頼します。
 食品安全委員会では、各毒性データを評価して、ADI及びARfDを設定し厚生労働省に通知します。通知を受けた厚生労働省は、食品安全委員会の評価結果に基づいて薬事・食品衛生審議会での審議を得て残留基準の設定を行います。
 2ページ、次のスライドを御覧ください。
 食品安全委員会でのリスク評価の結果、健康への影響を判断するための指標としてADI及びARfDが設定されます。ADIは農薬を生涯にわたり摂取し続けた場合に健康への影響がないかの指標であり、一日摂取許容量のことです。ARfDは農薬を短期間に通常より多く摂取した場合に、健康への影響がないかの指標であり、急性参照用量のことです。このARfDは、平成26年度から順次食品安全委員会での評価に導入されています。食品安全委員会が科学的な評価に基づいて各農薬のいわゆる上限となる指標を設定します。厚生労働省では、食品を通じた農薬の摂取量が、これらの指標を下回ることを確認して、残留基準を設定しています。
 スライド4枚目を御覧ください。
 左側は、ADIに基づくリスク管理の方法についてですが、食品を通じた農薬の摂取量がADIを下回ることを確認しています。この際、摂取量をADIの80%以内に抑えることを目標にしています。これは食品以外からの農薬の摂取量を最大20%と想定しているからです。ここで比較すべき農薬の摂取量は長期間、理論的には生涯ですが、その生涯における平均的な一日摂取量です。お示しした図は、ある一つの農薬についての長期間での平均農薬摂取量ですが、食品A、食品Bから食品Zまで、それぞれの食品から農薬をどれだけ摂取しているかということを一つ一つ積み上げて摂取量を推定し、ADIの80%を超えないことを確認した上で、基準値を設定しています。
 スライド右側は、ARfDに基づくリスク管理の方法についてですが、食品を通じた農薬の摂取量がARfDを下回ることを確認する必要があります。食品からの農薬の摂取量をARfDと比較する際には、各食品からの農薬の摂取量の積み重ねではなく個々の食品で最大どれぐらいの農薬を摂取する可能性があるかを推定し、ARfDを超えないことを確認した上で基準値を設定しています。
 次のページ、5枚目のスライドを御覧ください。
 これまでの説明により、残留基準値は、農薬の摂取量が健康に悪影響を及ぼさないことを確認して設定していることがおわかりいただけたかと思います。その前提のもとで、個別の残留基準が設定されており、農作物の種類や農薬の使用方法に応じて異なります。
 同じ農薬であっても、農作物によって使用方法が異なれば、基準値も異なることになります。また、同じ農作物であっても、国により農薬の使用方法が異なれば、基準値も異なることになります。
 6枚目のスライドを御覧ください。
 具体的な残留基準の設定についてですが、残留基準は使用方法を遵守して農薬を適正に使用した場合の残留試験結果に基づいて設定しています。
 農薬ごとに使用できる作物や、使用方法が決められていますので、このスライドの例ですと、農薬Aをブドウに使用した場合の作物残留試験が実施され、最大の残留が予測される使用方法にしたがって、実際に農薬を使用して分析します。
 その結果、実際に農薬が残留した結果に基づいて残留基準値として2ppmを設定します。ただし、食品を通じた農薬の摂取量が、ADI及びARfDを超過する場合には、その使用方法を見直すことになります。
 次のページの7枚目を御覧ください。
 厚生労働省では、農薬の残留基準値を設定するとともに、実際の食品中の残留農薬の実態を確認することにより、食品の安全性を確保しています。具体的には、厚生労働省検疫所や都道府県等において輸入食品や国内流通食品の残留農薬検査が実施され、残留基準違反の食品は廃棄などの措置がとられます。
 また、食品中の農薬の一日摂取量調査を実施しています。こちらは自治体の協力を得て、毎年マーケット・バスケット調査を行っており、流通する食品をスーパーマーケットなどで購入し、そのままもしくは簡単な調理を行い食品中の残留農薬を測定します。その結果、通常の食事からの農薬の摂取量は、ADIより十分に下回っていることが確認されています。
 厚生労働省では、残留基準を設定するだけでなく、こうした残留農薬の実態の確認を行うことで、食品の安全性を確保しております。
 厚生労働省からの説明は以上です。
○大野部会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明について、御質問があるかもしれませんけれども、時間の都合もありまして、この後、農林水産省の方から説明を伺った後に、まとめて御質問を受けたいと思います。御了承ください。
 それでは、食品の安全性以外の観点も含めて、農薬にかかわるリスク管理について農林水産省から説明をお願いいたします。
○農林水産省 農林水産省で農薬の登録の担当をしております、峯戸松と申します。本日はこのような機会を設けていただき、ありがとうございます。
 私ども農林水産省から農薬の必要性とそれについての規制、また、ミツバチについて詳細な御説明をという御要望がございましたので、私とミツバチの担当をしております者と2人で分けて御説明をさせていただきたいと考えております。
 私から、まず農薬の必要性と農薬に関する規制ということで御説明をさせていただきたいと思います。資料6を御覧ください。
 まず、下のスライド2を御覧いただければと思いますけれども「農産物生産における農薬の役割」ということで書かせていただいております。
 まず、農林水産省の役割としては、安全な農産物を安定的に国民の皆様に供給するということが最も重要な役割であると考えて我々は日々業務を行っているところですけれども、この農産物を安定的に供給するということのためには、農産物を生産する際に発生する病気によって農作物が枯れることがございますし、害虫に収穫物を食べられてしまうということもございます。こういった被害を防いで、国民の皆様に十分な量の農産物を供給するということが必要になってまいります。
 特に、日本の場合温暖湿潤な気候ということもございまして、一部の欧米の国に比べては比較的こういう病気や害虫が発生しやすいという状況がございますので、これを防ぐということが農産物の安定的な生産ということには重要になってまいります。
 この安定供給に当たって、農薬というのが必要な資材ということになるのですけれども、同時に使用する人、環境、そして収穫物を食べる消費者の方々、国民一般の方々に対しても安全であるということが必要であると我々は考えております。
 次のページを御覧ください。
 実際に農作物への病気ですとか害虫による被害を防ぐ方法なのですけれども、これは農薬以外にも幾つかございまして、全般的なところでまず御説明をさせていただければと思います。
 1つ目が(耕種的な防除)と書かれていまして、よく農業関係のものにはこのように書いてございますけれども、農業ですとか農法そのものを改善することで病気や害虫を防ぐという方法になります。例えば、1つが病気にかかりにくい品種です。同じ作物でも病気への抵抗性というものは違いますので、抵抗性のある品種を利用するということが一つございます。
 また、2つ目に同じ畑で同じ作物を続けて栽培しないとありますけれども、連作障害といいまして、同じ作物をずっと同じ場所で栽培し続けますと、その作物に発生する菌の密度がふえたりしてどうしても同じ作物を続けると被害が大きくなってしまうということがございますので、例えば何度か栽培した後には、その病気にかからないような作物を植えて、そういう障害が起きにくくするというのは、これは作付する側での対策になります。
 もう一つが物理的な対策になりますけれども、例えば土壌中にいる病原菌等への対策として、熱水等を用いた消毒というものもございますし、果実に袋かけをするということをしまして、外から来る害虫ですとか病気を物理的に防ぐことができますので、よく果樹の生産地帯では袋がかかっているものがあるかと思いますが、そういう物理的な方法ということで防ぐこともできます。
 もう一つは、化学的な対策ということで、農薬を用いて病気や害虫を防ぐということになりますので、農薬はこの病気や害虫を防ぐ方法の一つということで、農家の方はその栽培方法ですとか、病害虫の発生状況に応じてどれかを選んでいく、もしくは組み合わせて対策をとられるということになっております。
 次に、スライドの4枚目を御覧いただければと思いますが、こちらは農薬取締法において、農薬として規定されている資材になります。
 左から殺虫剤、殺菌剤のような一般的によく農薬とイメージがされやすいものもございますし、真ん中には植物の成長の調整に用いるような薬剤、3つ目の無種子化剤というものがよくわかりやすいかと思いますが、種なしブドウをつくるような薬剤になります。
 最後に、病害虫防除に利用する天敵です。天敵を資材として販売するような場合、これは農薬に該当するということになります。具体的な定義は下のほうに少し小さい字で申し訳ないのですが、書いてございますので、またお時間のあるときに御覧いただければと思います。
 次のページを御覧ください。
 スライドの5枚目ですが、このような農薬でどのようなことができるのかということを少し具体的に書かせていただいております。
 1つ目が、まず病気や害虫、また、雑草の被害などから保護することで収量を増加させる。右に棒グラフがございますけれども、これは過去のデータですが、農薬を使用した場合の収穫量を100とした場合に農薬を使わないで実際に生産した場合の収率を示したものになります。作物において多い少ないはございますけれども、農薬を全く使わないでいくと、収率が下がってしまうことがあります。
 2つ目のリンゴのところがすごく下がっておりますけれども、数年前「奇跡のリンゴ」ということで話題になりましたが、農薬を使わないとこれだけ収量を維持するということが難しい作物の一つだということで、それができたということで大変な話題になったということかと思います。
 2つ目で、手作業などに比べて、例えば雑草の防除に要する労力を軽減できるということで、右下に折れ線グラフでございますけれども、昔除草剤がそれほどなかった時代、手作業なりで草を抜いていくとか、今は草刈り機などもございますが、そういったもので実際に農家の方が作業するのに比べて除草剤をまくということのほうが非常に労働力の軽減につながるということがメリットの一つとしてございます。
 次が、先ほども少しお話ししましたが、種なしのブドウをつくるとか、稲を倒れにくくするというのはわかりにくいかもしれませんが、稲がどんどん高く成長してしまいますと例えば台風が来たときなどに倒れやすくなってしまうということがございますので、成長を調節して効率的に生産ができるということをすることも農薬で行っております。
 最後の一つは毛色が変わっていますけれども、小麦の生産時に赤カビ病が発生することがあるのですが、これが発生しますとそのカビの糸状菌が産生するカビ毒が生産物に残ってしまう、残留してしまうということがございます。これを例えば農薬で、殺菌剤で防除することを行えば、生産物に残るカビ毒を減らすことができますので、そういうリスクの低減を行うということも農薬についてできるということになっております。
 次のスライド6枚目を御覧いただければと思います。
 このように、農薬というのは病気や害虫などの被害を防ぐために有効で、生産量の向上ですとか労力の低減ということでメリットがあるのですけれども、ただ、その成分ですとか使用方法によっては消費者の健康に悪影響を与える、または農作物そのものに害を与える、また、農薬を使用する農家の方の健康に悪影響を与える、また、農薬は施設で使う場合もございますが、農作物の生産は野外で行われていますので、環境中に放出されてしまいます。その結果として、場合によっては環境に悪影響を与えるというリスクが考えられます。
 そのため、消費者の健康等に悪影響を与えないと同時に農作物を安定的に供給するために病気や害虫を防除する、そういう必要がある場合にちゃんと使えると両立をさせることが重要だと我々は考えております。そのために、農薬の成分に関して毒性等の評価を行うとともに、農薬の適切な使用方法、これをしっかりと決めて登録をするということが必要と考えております。
 次のページ、スライド7枚目を御覧ください。
 このように農薬には一定の規制が必要だと考えておるわけですけれども、では、具体的にどのような規制を受けているのかという全体像を少し御説明させていただきたいと思います。
 まず、先ほど厚生労働省さんの御説明でもございましたが、農薬は登録されていないと製造・輸入の禁止、製造・輸入ができません。左上にございますけれども、まず、つくること、輸入することができません。
 次に、下の段に行っていただくと無登録農薬、今度そういうものがあった場合にこれを売ることも禁止されています。これは売ってしまった場合は、回収命令をすぐかけるということになります。
 また、次に、使用者の段階に行ったときには無登録農薬、登録されていない農薬の使用の禁止ということを明確にしております。また、次に使用者の上のほうに行っていただけると、使用基準の遵守とございますけれども、登録されていない農薬はそもそも使用禁止ですが、登録されている農薬であっても使用基準をしっかり守って使っていただく、この範囲から出た使用方法は禁止をするという形の、まず、農薬の製造から使用の段階全体をカバーするような形で規制がかかっております。
 この規制をしっかり守っていただいて、農家の方が生産した農作物が食品として流通すると、今度は厚生労働省様のほうで食品衛生法の食品としての規制がかかるという形で、全般的な規制をかけさせていただいております。
 次、スライド8枚目を御覧ください。
 このように、農薬というのは製造、輸入、販売、使用するために、まず登録が必要ということになっていますが、その登録の申請までの流れを御説明させていただきたいと思います。
 まず、農薬は病気や害虫の被害を防ぐという目的がございますので、生産現場で農薬の使用に関するニーズを農薬メーカーでは収集いたします。全くニーズのない使い方、ニーズのない病気や害虫で登録をしてもこれは売れませんので、まずニーズを収集することになります。
 例えば、ある作物にどういう病気や害虫が問題になっていて防除が必要なのかですとか、どういった時期に使用が必要となるのか、そういったことを収集しております。それで、農薬もそれを登録したいメーカーは、防除したい病気や害虫に効果があって、作物に害が生じない、これも重要です。農作物の生産性を上げるために使っているのに、作物に害を生じてしまっては全く意味がございませんので、作物に害が生じない、そういった適切な使用方法を検討します。内容としては、具体的には散布するときの農薬の濃度ですとか何回まで使ってよいか、または収穫の何日前まで使ってよいかということを検討いたします。
 また、あわせて安全性の評価のために必要なさまざまな試験、毒性試験ですとか、残留試験、その他さまざまな試験を実施して、登録申請を農林水産省に対して行ってまいります。
 次のページを御覧ください。
 スライド9枚目なのですけれども、数字が消えていて申し訳ないのですが、申請後の農薬が登録されるまでの国の各省庁の役割をまとめたものになります。
 まず、右から農薬メーカーは登録申請を農林水産省に対して行います。このときに使用方法(案)と、評価のためのデータ添えて申請が行われます。農林水産省から環境省と厚生労働省へデータを送って、評価を依頼いたします。厚生労働省では、まず食品安全委員会へ評価の依頼を行って、御存じのとおりADI、ARfDが設定されて回答が行われます。それを指標としまして、こちらの審議会で御審議いただいておりますけれども、食品の残留基準値の設定ということをしていただいております。
 また、中ほどの環境省のところですけれども、こちらは環境への影響を評価しておりまして、魚などへの毒性を評価して、公共用水域の基準値の設定を行っております。具体的には、また後ほど御説明をさせていただきます。
 また、農水省ではそれと並行いたしまして、薬効があるのか、作物への害がないのか、また周辺の作物に使った場合、周辺に飛散して害がないのかとか、そういったものを評価します。また、使用する農家の方に安全性、こういったものについても評価を行います。これらの各省庁の評価が終わりまして、効果があって安全性が十分、その使用方法で担保できるという場合のみ農薬メーカーからの提案は使用方法(案)でしたけれども、その(案)がとれまして、使用方法が確定して登録をされるという形になっております。
 各省の下に少し細かいですが、根拠となっている法律も書かせていただいております。農水省と環境省は農薬取締法に基づいてやっておりますし、厚労省様は食品衛生法に基づいて基準値をつくっておられますし、食品安全委員会は食品安全基本法に基づいて評価を行うという形になっております。
 次、スライドの10枚目御覧ください。
 登録の評価の過程で、審査の観点と必要となるデータというものを簡単にまとめさせていただいております。これは各府省ごとに分けておりませんが御容赦ください。
 まず、1つ目は当然品質、農薬の品質がちゃんとしていなければ、どんなに評価をしても後で問題が生じることがございますので、ちゃんと品質についてまず評価を行っております。
 また、薬効・薬害です。ちゃんと効果があって害がないかということを評価しております。
 次のページ、スライド11枚目を御覧ください。
 安全性として1つ目に農薬を使用する農家の方への安全性、これは主に急性ですとか刺激性になります。
 2番目で農薬が使用された農作物を食べた方、これは急性毒性、慢性毒性、残留性についてそういったデータを出していただいて評価を行っております。
 3番目は環境への影響ということで、魚類、甲殻類ですとか、ミツバチ等への影響を評価しております。
 次、スライド12枚目を御覧ください。
 こちらの資料の内容は、形は違いますが、先ほど厚労省様のほうで御説明がありましたので、詳しいお話はさせていただきませんが、一つございますのは「使用基準の見直し」という右下でございます。先ほど、厚労省の担当からも御説明がありましたが、推定の摂取量がADIなりARfDを超えるということになれば、使用方法そのものを見直すということが必要になります。その使用方法を見直したときに、結局そういう効果がないということになりましたら、それはそもそも登録されないということになります。
 先ほどのお話のとおり、農薬は野外で用いますので、効果がない使用方法で野外で使用するというのは生理活性のある物質を無駄に環境中に放出することになりますので、そういったことは化学物質の管理として我々は適切ではないと考えておりますので、これは見直して効果がある範囲内で見直せるのであれば、それはできるということになります。
 次のページを御覧ください。
 スライド13枚目ですが、こちらは使用方法と各種基準値の例として、先ほどのものは残留基準でしたが、こちらは水産動植物に関する登録保留基準値、つまりこちらは法令の用語でわかりにくくて申し訳ないのですが、そういう基準値がございまして、その関係を示したものになります。こちらの評価は環境省の担当ですが、本日私から御説明をさせていただきます。
 残留と同じで、まず使用方法(案)というものがございますけれども、その使用方法から環境値の予測濃度を推定いたします。これを水産PECと言っておりますが、推定方法としては3通りございまして、Tier制になっておりまして、第1段階で合格すればそれで終わるという形になりますが、第2段階のほうで、第1段階は一律のパラメータで使用濃度等から計算するのですれども、第2段階では幾つかの試験から算出した個別の農薬ごとのパラメータを用いて算出することになっております。こちらが、こちらの審議会で御検討いただく魚介類の残留基準値の設定する際の魚介類中の推定濃度です。その算出に使用していただいている環境中の予測濃度になります。こちらが食品の残留基準値の検討でいえば、暴露量に相当するような予測濃度になります。
 一方で、この保留基準の検討に当たっては、魚類、甲殻類、藻類を用いた毒性試験を行っておりまして、その試験の結果から、それぞれの生物種ごとに急性影響濃度、急性影響が生じる可能性がある濃度というものを算出します。そのうちの最も小さい値、いずれにも影響がないだろうという値を登録保留基準値という形にいたします。
 その登録保留基準値と水産PECを比較しまして、予測濃度である水産PECが登録保留基準値を下回れば使用方法が確定して登録される。登録保留基準値を超えてしまえば、使用方法をそもそも見直すか、登録できないという形になっております。
 食品の残留基準について使用方法に基づいて行った作残試験が基になっておりますので、使用方法が変わるたびにこちらで御検討いただいておりますけれども、この登録保留基準値はどちらかというとADIのような形になりますので毒性試験から直に出したものになりますので、一度設定されたものは新たなデータがない限りは変わらないという値になります。
 次、スライド14枚目を御覧ください。
 これらのような評価を行った結果、確定した使用方法の例ということで、御参考までを書かせていただいております。
 次のページを御覧ください。
 スライド15枚目ですが、ここまで登録までのお話をさせていだたきましたが、登録後、農林水産省で行っている使用の一例を御説明させていただきます。
 まず一つが使用者への指導ということで都道府県、JAですとか、販売業者を通じて行われますけれども、まず、必ずラベルを確認すること、先ほどの1つ前のスライドであったような使用方法がしっかりラベルに書いてございますので、それを確認してその範囲内で適正に使用していただくように指導しておりますし、使用時に帳簿を記載する、要は後でちゃんと誤使用がないかが追えるように帳簿に記載していただく。そういったことを指導させていただいております。
 また、農家、使用する方を指導する指導者のランクの方へのいろいろな情報提供ということで、不適正使用の事例ですとか名前や形状が似ていて本来使えない農薬を間違って農家の方が使ってしまうということがございますので、そういう例を情報提供させていただいて、農家の方が間違って使わないようにという指導をしっかりしていただくということで、登録後も適切に使用されるようにということを対策として行っております。
 私からは以上です。
○大野部会長 ありがとうございました。
○農林水産省 よろしいでしょうか。
 先ほど峯戸松から農薬取締法全般のお話をさせていただきました。私、農林水産省の久保と申しますけれども、農薬の指導のほうを担当させていただいております。今、ちょうどミツバチの関係の説明がありませんでしたので、その部分について私からお時間をいただいて説明をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 今の資料6の後ろに「農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組」という縦紙の紙があると思います。こちら下にページがございまして、ページを幾つか前後しながら説明させていただくことになりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 大きく分けて3つのことを説明させていただきます。
 まず、我が国のミツバチの被害の現状、2つ目としてそれに対する農林水産省としての対策、3つ目として、EUや米国の規制の状況というものを説明させていただければと考えております。
 大変申し訳ありませんが、こちらの資料の6ページ目をお開きいただけますでしょうか。順番が前後しながらの説明になりますけれども、よろしくお願いいたします。
 こちらでQ3.日本では、農薬によるミツバチ被害はどの程度発生しているのですかという資料となっております。
 農林水産省では2013年度からミツバチの被害事例について、より詳細な調査というものを行っております。3カ年程度という形で予定をさせていただいておりまして、ミツバチ被害、これを減らす対策を考えるためには、被害の発生状況をよく知る必要があるということで、実際の発生要因、これを明らかにしていく必要があるということを考えております。
 真ん中になりますけれども、まず2013年度に5月30日から年度末まで、2014年度は4月から3月までという形で、実際に調査を開始した日がずれておりますが、2013年度に被害事例を調査した結果、全国で69件の被害の報告がございました。そして、2014年度は79件という形で被害の報告がございます。こちら、被害の生じた巣箱が置いてあるところ、蜂場といいますけれども、そこでの巣箱の数の合計は約3,000箱という形になっております。
 では、それはどれぐらいの量なのですかというお話になりますと、前年の8月から9月の全国の巣箱の数が大体40万箱となっておりますので、0.7、0.8%、ほぼ1%未満となります。それよりも前の年の調査ではなかなか養蜂家から被害が出てこないというところもありまして、呼びかけを強化した結果、こういった形で出てくるようになりました。
 専門家によりますと、農薬によるミツバチ被害、これの特徴というのが巣箱の入り口に死んだ虫、死虫といいますけれども、これが観察されます。2014年度の報告では、大体半分くらいの事例が死んだ虫の数1,000匹から2,000匹ぐらいとなっております。一般的には、巣箱1箱の中に数万匹、2万から3万くらいのミツバチがおりまして、そのうちの1,000匹から2,000匹が被害という形です。
 では、その被害が一体いつ生じているのかを調べたところ、その多くが水稲、稲の開花期、花が咲いている時期に多いとなっており、カメムシ防除のときに散布されたさまざまな農薬、殺虫剤を水田に来ていたミツバチが直接浴びたことが原因ではなかろうかと考えられるというのが調査の状況となっております。
 続きまして、3ページ目を御覧ください。
 先ほど、峯戸松から農薬の登録の話も含めてさせていただきました。登録の際に実はミツバチに対する影響試験も実際にやっております。これは、登録の前に農薬の成分をミツバチの体に塗ったりとか、砂糖水に混ぜて与えるということですね。そういった試験をして、ミツバチに対する毒性が比較的強いということがわかれば、下の1)2)とございますが、散布のときに巣箱とかその周辺にかからないようにしましょうや、養蜂が行われているところでは、周辺への飛散に注意するなど、ミツバチの危害防止に努めましょうと注意事項を農薬のラベルに表示するという形にさせていただいております。
 ことしの7月から、農薬を使用する農家と養蜂家、この方々がお互いに、今、農薬を使用しますよ、ミツバチを外に出さないでくださいねという情報交換ができるようにするため、農薬のラベルの注意事項の中に、新しく追加してくださいということを農薬メーカーにお願いをしております。
 下の括弧ですけれども、関係機関に周辺で養蜂が行われているかを確認して、養蜂が行われている場合は、関係機関に農薬をいつ散布しますといった情報を提供して、ミツバチの危害防止に努めましょうという注意事項を追加でつけているところです。
 現在、日本で使用されている有機リン系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系などの殺虫剤の場合は、ほんの少しミツバチに付着しただけでもミツバチが死ぬ可能性がございます。そういった中で、今言った注意事項を守って使用していただくように農家を指導しているということが現状でございます。これだけだとなかなか情報交換というものがうまくいきませんので、まずミツバチに農薬がかかるのを防ぎましょうということで、養蜂家と農家との間の連携を密にするように指導しているところです。
 下の段落になります。養蜂家は実は1カ所にいない場合があります。その地域で花があればいいのですけれども、花がなくなる時期があります。その場合は、転飼といいますけれども、北に移動したり、南に移動したりと、移動されます。このため、農林水産省では巣箱がどこにあるかや、いつ巣箱を置いているのかというお話、それから、いつ農薬をまくのかといった情報を、都道府県を通じて、農家と養蜂家で交換して、その間は巣箱をよけておきましょうといった対策が打てるような指導をしております。
 具体的には、下にポツがありますけれども、巣箱のマップとか養蜂家の連絡先を交換したり、農薬を散布する前には農家が周辺の養蜂家に連絡しましょうという取り組みをしたりしています。
 4ページ目の上2つです。
 県の方とか農協の方が、農薬の使用時期に無人ヘリコプターで農薬をまくこともあります。そういった計画をあらかじめ養蜂家に提供したり、逆に定期的に協議会を開き、養蜂組合が参加して、そういった情報を養蜂家から積極的に伝達しましょうということで、情報交換をすると。
○大野部会長 すみません。質問時間がなくなってしまうので、あと数分でお願いします。
○農林水産省 わかりました。
 こういった形で、農林水産省としての対策を実際にやらせていただいております。
 最後ですけれども、10ページになります。EUで農薬の規制というものが行われております。EUでは、農薬のまき方が欧米と日本と違うということで、畑地で大型機械でばっとまく、粉状のものを種子につけてまくという形で日本とは多少違うというところ。、そういった中でEUでは2013年5月から下の2つの対策を打っているということで、使用の一部を制限することを決めております。
 一方で、12ページになりますけれども、アメリカは環境保護庁が4種類のネオニコチノイド系農薬について新しい使用方法は認めませんという形で、既に登録されている使用方法の変更は今のところしないということです。今、登録されているものについては扱っていい、それ以上の拡大というものは認めないという規制をかけております。
 農林水産省としては、今後実際にどのような被害が生じているかという情報を集めつつ、今後ネオニコチノイド系農薬とか、それにかわる殺虫剤ということを用いるようなことによる防除効果への影響とか、ミツバチへの悪影響の程度、そういったものなどのバランスを考慮して、農薬の使用方法の変更が必要かどうかというところを検討して、必要があれば変更していくという形の対応をとっていきたいと考えております。
 以上です。すみません。長くなりました。申し訳ございません。
○大野部会長 ありがとうございました。
 45分までしか時間がなくて申し訳ないのですけれども、先生方から御質問、御意見を伺えればと思います。お願いいたします。
 川西先生、お願いします。
○川西委員 品質にかかわるところなのですけれども、安全性とかかわるのでどうやって規制しているかということをお尋ねしたいのですが、ある占有期間が過ぎると農薬の場合は、例えば医薬品でいうジェネリックに当たるものというのはあるのでしょうか。
○農林水産省 私も医薬品を昔担当したことがありまして、よく分かるのですけれども、医薬品でいうようなジェネリックというものはございません。全く同じ有効成分を別の会社が申請することはありますけれども、現実的には全てのデータセットもう一度用意して、もう一度評価を受けるというシステムになっています。
○川西委員 そうすると、個別に例えば不純物、農薬の場合は非常に強力な不純物が入っている可能性もありますけれども、そういうものは全部規格が個別にされていて、別にそれが公表されていなくて個別に審査して、不純物が違う場合は安全性の試験も改めて申請ごとにやっているというシステムと理解してよろしいでしょうか。
○農林水産省 おおむねそのとおりだと思います。規格を公表しておりませんし、その原体をつくった会社ごとに結局わかりませんので、それぞれに同じと言うことができませんので、結局慢性毒性試験も含めて一通りやり直し、要は全ての評価ができるような状態で申請されるということになります。
○川西委員 そうすると、何かが起きたときも個別の製品ごとに捕捉できるようなシステムにはなっている。どこかの農薬で何かまいた後おかしいみたいな話が生じたときに、それはAという農薬ということではなくて、A社の何かということは捕捉できるようなやり方はしているということですか。
○農林水産省 不純物を検出する形でそれができるかどうかというのはあれですけれども、先ほどお話ししましたように、農家の方に使用した農薬の記帳をお願いしておりますので、何かあればその周辺でどういった農薬が使われたかということを追いかけていくということができるかと思います。
○川西委員 ありがとうございます。
○大野部会長 他にいかがでしょうか。
 岸先生、お願いします。
○岸分科会長 分科会長をさせていただいております、岸でございます。
 今回、農水の方からお話を伺う機会になりましたのは、ネオニコチノイド系クロチアニジンの食品の残留基準がホウレンソウで3ppmから40ppmと、むしろある意味では規制を緩和するような方向になってしまった。その原因が日本の場合、例えばこのホウレンソウならホウレンソウで、栽培している農家のところで直前まで畝で農薬を使用しているという使い方があるものですから高くせざるを得ないといいますか、基準が高くなってしまう。
 要するに消費者の方が口にする食品の中のネオニコチノイド、クロチアニジンについてはEUですとかEFSAですとか、そういうところが出している方向性と逆なのではないかという、これは市民の強い危惧もございまして、こうなりますと、たとえ安全であってもそのような基準を緩めるようになってしまうことが結果として起こるようなことになりますと、むしろ作物のつくり方というのでしょうか。その辺から実際にどうなのかということを農水のほうでもうちょっと指導していただけないだろうかという、安全基準の数字の問題ではなくて、ホウレンソウというのはみんなが食べるものですし、栄養価も高いですし、食べないでおこうというわけにはまいりませんので、その辺の説明を少しいただきたいのです。
○農林水産省 クロチアニジンのホウレンソウの基準値について経緯を含めて御説明させていただきたいと思うのですが、まず、今回クロチアニジンのホウレンソウの残留基準値が3ppmから40ppmに上がったということになりますけれども、実はこの3ppmという基準値はもともとクロチアニジンをホウレンソウに使ってよくて設定された基準値ではなくて、クロチアニジンはホウレンソウに登録はございませんでしたので、今まで使うことはできませんでした。ただ、このクロチアニジンという農薬なのですけれども、ほとんど構造式が同じチアメトキサムという農薬がございまして、こちらをホウレンソウに使うことはこれまでできました。チアメトキサムを使うと、作物中で代謝をされてクロチアニジンを生じるということで、その関係もございまして、チアメトキサムの使用に由来するクロチアニジンの残留量に基づいて3ppmという基準値がございました。
 今回、新たに農薬メーカーからクロチアニジンをホウレンソウに使いたいというニーズがあるということで、使えるようにしたいという申請がございまして、当然今度はチアメトキサム由来の場合はその代謝物の一部としての基準値でしたので3ppmでしたが、同じような殺虫剤なのですけれども、同じように効果を発揮するそのものを散布するということで、どうしても高い残留基準値が必要な残留濃度になってしまったという経緯は一つあるかと思います。
 海外との比較ということになりますと、日本国内と海外では大分農作物の生産方法も異なりまして、日本は非常に小規模な農地で多品種、もしくは少しずつ栽培時期をずらして栽培することがございます。要は連日に少しずつ出荷できるようにという形でやることもございます。
 一方、海外では大きなほ場でたくさんつくって一斉に収穫してしまうという方法もございますし、日本ではあまり使われていないような航空防除、飛行機を使っての農薬の散布ということもございます。そうすると計画的な使用になるわけですけれども、少しずつとって少しずつ出荷する場合、なかなかそういうことも難しいということで、農薬の必要とされる使用方法が少しずつ違うということになります。
 ただ、これは必ずしも直前に使える、前日までに使える登録になっているから前日に使うということではなくて、前日に発生すれば使えるようにしておくという形の登録にはなっております。
 具体的には、例えば今回適用病害虫としてアブラムシというものがあったのですけれども、アブラムシ、小さい虫がホウレンソウについた場合、これを取り除くことも難しいですので、その場合はホウレンソウを1束廃棄という形になってしまって、もしそういうことがあった場合、それは防ぎたいというニーズがあってそのような申請があったと、我々も当然使用方法について農薬メーカーに理由を聞くわけですけれども、そのような状況があるためにこのような使用方法が必要とされているという回答がございました。
 また、EU等の方向性と逆ということでしたけれども、先ほど久保から御説明させていただいたとおり、欧米での今の規制の動きというのはミツバチへの影響があるのではないかということが発端になっております。
 そういう意味でいうと、ホウレンソウについては花が咲く前に収穫をしてしまう作物でございますので、花が咲かないということはミツバチが蜜をとるために来ない、花粉をとるために来ないという作物になりますので、一昨年から行われているEUの規制でもそういう花が咲く前に収穫されるような作物は対象外となっておりますので、特段逆行するということでは、我々は捉えておりません。
 以上です。
○大野部会長 いろいろ他にも御質問あると思いますが、岸先生もまだおっしゃりたいことがあるかと思いますけれども、時間もありませんので、ただ、今、質問いただいて、回答していただく時間はないと思うのです。質問がもしありましたら、御意見がありましたらいただいておいて、後で事務局でまとめていただいてそれで回答いただくという形にしたいと思うのですけれども、そういうことで御容赦願いたいのですが、そういう意味での御質問、御意見はございますでしょうか。
 二村委員、お願いします。
○二村委員 ありがとうございます。
 農薬の登録から使われなくなるまでというライフサイクルのようなものがあったとして、それぞれの段階、登録されるときなどに外部から意見を聞くような仕組みがあるのかどうかということを質問させていただきたいと思います。
 食品の安全の基準の場合は、各段階でこのような審議会もございますし、報告書等は必ずパブリックコメントという形で一般からの意見を聞くようになっています。農薬の場合、先ほど伺ったようなプロセスですとなかなか難しいのかともと思いましたが、全体の中で外部から何か知見や意見を聞くようなプロセスが組み込まれているのかということを教えていただきたいのです。
○大野部会長 それについてはまた後で返事でよろしいですか。他にいかがでしょうか。
 河野先生、お願いします。
○河野委員 これは消費者からのお願いです。先ほど岸分科会長もおっしゃっておりましたけれども、今回こういう場を設けていただいたのはクロチアニジンの残留基準値を変えるときのパブリックコメントの多さ、1,600を超えるパブリックコメントが来たということも一因だと思います。パブコメの多くはミツバチへの影響を心配するもので、厚生労働省さんではミツバチは家畜なので対象外だと思うのです。今回のパブリックコメントでミツバチのことがいっぱい書かれていても、それは食品としての残留基準値を決めるのであるからということで、恐らく省庁としては対応ができにくいものだったのだろうと思いました。
 ただ、回り回って農薬に対する社会の理解が不十分な結果、よくわからないことに対して不安を持つということがあります。今回パブリックコメントは厚労省さんにいっぱい来たのですけれども、実際このクロチアニジンを含めてネオニコチノイド系の農薬に関するQ&Aは、今日の資料にあるように農林水産省さんのホームページにこんなに丁寧といいましょうか、経過も含めて書いてあるということで、そのあたりの当然のことながら監督する部分というのは違うと思いますけれども、情報は共有化して、厚生労働省さんでやられている基準値の設定のところに多くの消費者を含めた国民が関心を持っているのに肝心の答えは農林水産省さんのほうにあったというところを、ぜひ情報の風通しのよさといいましょうか、片方のホームページに行ったらそこにリンクして飛べて、少なくとも情報を知りたいという人にとって見るとそこにも飛べるという形で今後対応していただければと思っています。
○大野部会長 ありがとうございます。
 パブリックコメントに対する回答にそういうところも記載したほうがいいのですね。
○河野委員 できれば。
○基準審査課長 その点は私どものいただいたパブリックコメントに対する回答をホームページにいつも出すのですが、その回答のところで農水省さんのホームページ等リンクを貼って御紹介しております。御意見ありがとうございます。
○大野部会長 他にございますでしょうか。
 鰐渕先生、どうぞ。
○鰐渕委員 今、御説明していただいた中で、3つ目のところで環境への影響というところで、環境省さんとの関係というのはどういう形になっているのか、お教えいただけたらと思います。
 今回例えばミツバチのことなどでも、ある意味でいうと環境省の担当なのかというところも若干感じましたし、あるいは無人ヘリコプターの農薬などは環境省が担当してやられているのですけれども、その辺もあって、どういう連携をとられているのかというのを少し教えていただけたらと思います。
○大野部会長 それもまとめて後で返事でよろしいですか。
○鰐渕委員 はい。
○大野部会長 他にございますでしょうか。
 それでは、3時から分科会がありますので、先生方、まだ言い足りないことはいっぱいあるのではないかと思いますけれども、これで締めたいと思います。
 岸先生、何かございますか。
○岸分科会長 私からもし一言言わせていただくとしましたら、ぜひ農林水産省も農作物をつくっている方々ばかりでなく、私どもの薬事・食品衛生審議会は学識経験者の他に消費者、食品をつくる会社の方々、皆さんが要するにステークホルダーがきちんと入っている審議会がございます。そこでいろいろな意見を私どももある意味で考慮しながらといいますか、私は学識経験者の立場ですけれども、考えて発言しているつもりです。ぜひ、そういう審議会のようなものをつくっていただきたい。そうすれば国民にとっても非常に安心してあるいは安心というのはなかなか難しいのですが、農水省のお仕事の大変さも国民の側も理解できるかもしれない。ただ、一方的にされますと市民の側もいろいろな疑問を持つことになると思います。ぜひよろしく御検討をお願いしたいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 最後に私から一言、無人ヘリコプターからまく農薬というのは、普通で使っている人がまくものの100倍ぐらい濃度が高いのです。それに対する対応はもう十分されているのではないかと思うのですけれども、それを前提にしてミツバチの影響というか、そういうものもやっていると思うのですが、その辺をそうやっているのだということを回答でいただければと思います。
 時間が少なくて申し訳ないのですけれども、この議題についてはこれで終わりにしたいと思います。どうも申し訳ございません。
 その他に事務局から報告事項はございますでしょうか。
○事務局 他に議事はございません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、次回の予定をお願いいたします。
○事務局 次回の本部会の開催日程につきましては、平成27年11月4日水曜日午後を予定しております。
 最後に事務連絡ですけれども、部会委員の先生方、机上に配付しております委員必要事項連絡表はこの会議終了後に係員が回収いたしますので、机上に置いたままで結構でございます。
○大野部会長 ありがとうございました。
 岸先生、どうもありがとうございました。また、峯戸松さん、久保さん、どうもありがとうございました。
○事務局 すみません。御案内でございます。
 分科会の委員におかれましては、この後15時より食品衛生分科会を開催いたしますので、12階の専用第12会議室へ御移動をお願いいたします。傍聴の皆様におかれましては、分科会委員の円滑な移動のため、いましばらくお席にてお待ちいただければと思います。
 御迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省生活衛生・食品安全部基準審査課
03-5253-1111 内2921

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