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2018年9月20日 第41回 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(議事録)

健康局健康課

○日時

平成30年9月20日(木)13:00~

 

○場所

厚生労働省 9階 


○議題

<審議事項>
1.健康日本21(第二次)の中間評価(案)について
2.歯科口腔保健法に基づく基本的事項の中間評価(案)について
3.その他

<報告事項>
1.健康増進法改正及びたばこの健康影響評価専門委員会について
2.国民健康・栄養調査について
3.日本人の食事摂取基準(2020年版)について
4.標準的な健診・保健指導に関するプログラムについて
5.DHEATの派遣について


○議事

 

 

 

○木下健康課長補佐 定刻になりましたので、第41回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただき御礼申し上げます。開会に当たり、健康局長の宇都宮より御挨拶申し上げます。
○宇都宮健康局長 皆さん、こんにちは。7月31日付けで健康局長に着任いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。
 日頃より、委員の皆様方には健康行政に御協力を頂いておりますことを、この場をお借りしまして感謝申し上げます。また、本日は大変御多忙の中御参集いただき、併せまして御礼を申し上げたいと思います。
 実は、私は健康局に着任するのは17年ぶりでございまして、前回はちょうど厚生省と労働省が一緒になるとき、健康日本21を作ったときでして、そのときから、辻先生をはじめ何人かの先生に大変お世話いただいていたのですけれども、そのとき以来の健康局ということでございます。そのときに先生方にお作りいただいた健康日本21ですが、今は二次のものとなって、しかも中間評価ということで、大変個人的な話で恐縮ですが、感慨深く感じているところです。
 御存じのように、健康日本21は当時としては画期的だったのですけれども、初めて健康づくりに数値目標を入れるということ、それから、ハイリスクアプローチからポピュレーションアプローチにシフトするということを掲げて作られたわけです。特に、数値目標ということ評価可能な計画にするということで、それにのっとって今回の評価もされると理解しています。健康寿命の延伸、それから健康格差の縮小を目標に掲げて、スマート・ライフ・プロジェクトを展開しているということですけれども、当時に比べて企業、団体、様々な方々に協力いただいて、広く健康づくりに取り組んでいただいているということです。
 この後の報告事項にありますけれども、御存じのように、先般の通常国会で健康増進法が改正され、受動喫煙対策が今後更に強化されるということです。その法案に基づいて、現在政令、省令などの細かい部分について詰めをしているところで、できるだけ速やかに受動喫煙対策ができるように取り組んでいるところです。本日は、是非忌憚のない御意見を交わして、実りある評価をしていただけたらと考えているところです。是非よろしくお願いいたします。
○木下健康課長補佐 局長の宇都宮は、都合によりここで退席させていただきます。
 それでは、前回開催以降に委員の改選がございましたので、新しく当部会の委員に御就任いただきました12名の方々を紹介させていただきます。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事、兼国立健康・栄養研究所所長の阿部圭一委員。公益社団法人日本薬剤師会理事の大原整委員。健康保険組合連合会常務理事の木村文裕委員。公益社団法人日本栄養士会専務理事の迫和子委員。健康日本21推進全国連絡協議会幹事の増田和茂委員。公益社団法人国民健康保険中央会審議役の松岡正樹委員。全国町村会副会長・岩手県軽米町長の山本賢一委員。ほかに、本日は御欠席でございますが、全国知事会社会保障常任委員会委員長・高知県知事の尾﨑正直委員。なお、本日は代理として高知県東京事務所所長の沖本健二氏に御出席いただいております。全国市長会理事・京都府舞鶴市長の多々見良三委員。独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター副院長の松下幸夫委員。国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター理事長の水澤英洋委員。青森県弘前保健所長の山中朋子委員。以上となります。
 また、本日は井伊久美子委員、春日雅人委員から御欠席の連絡を受けております。本日は、全28名委員中21名の委員に御出席いただいておりますので、議事が成立することを御報告いたします。
 配布資料につきましてですが、座席表と委員名簿のほか、議事次第の裏に配布資料1から10の一覧がありますので、こちらで御確認をお願いいたします。もし、お手元に配られていないもの、あるいは落丁等ございましたら、事務局までお申し付けください。カメラ撮影等ございましたら、ここまでとさせていただきます。以降の進行は、辻部会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。本日の議題は、審議事項としまして、1「健康日本21(第二次)の中間評価(案)について」、2「歯科口腔保健法に基づく基本的事項の中間評価(案)について」、3「その他」となっております。また、報告事項として5件ありますので、どうぞよろしくお願いいたします。各議題につきまして事務局から御説明いただき、その後委員の皆様に御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず審議事項1「健康日本21(第二次)の中間評価(案)について」、事務局から説明をお願いします。
○相原健康課長補佐 よろしくお願いいたします。健康日本21(第二次)の中間評価(案)につきまして、資料1及び資料2を用いて説明します。
 資料1、健康日本21(第二次)中間評価報告書(案)が報告書の本文になっております。そして資料2は、この本文より作成した中間報告書(案)の概要になります。主に資料2を用いて説明いたします。健康日本21(第二次)推進専門委員会中間評価報告書(案)についてです。健康日本21は、2013年に計53項目に対し目標値を設定しており、現段階での直近値から4段階でそれぞれの項目について評価を行っております。この資料の左に書いてありますように、a、改善している、b、変わらない、c、悪化している、d、評価困難の4段階で評価を行っております。aの改善しているですが、aのうち現状のままでは最終評価までに目標達成が危ぶまれるものにつきましては、aの横に*を付けてa*と記しております。また、dの評価困難は、設定した指標又は把握方法が策定時と異なることにより、評価困難という項目としています。
 健康日本21の5つの基本的な方向ごとの進捗状況を、それぞれ説明します。健康寿命の延伸と健康格差の縮小につきましては、aの達成率は100%であり、a*は0項目でした。生活習慣病の発症予防と重症化予防につきましては、aの達成率は50.0%、うち6項目中3項目がa*でした。社会生活機能の維持・向上、社会参加の機会の増加につきましては、aの達成率が58.3%で、7項目中a*は3項目となっております。健康を支え、守るための社会環境の整備につきましては、aの達成率が80%、4項目のうちa*の項目数は0項目となっております。生活習慣の改善及び社会環境の改善につきましては、aの達成率は59.1%で、13項目中6項目がa*ということになりました。全体では、aの達成率は60.4%であり、32項目中12項目がa*という結果でした。なお、bの変わらないは19項目、cの悪化しているは1項目、dの評価困難は1項目でした。
 2ページ、健康日本21(第二次)中間評価における評価の結果です。全53項目につきまして5つの基本的な方向ごとに、それぞれa、b、c、dがどのような項目であったかを説明している資料になります。先ほど説明しましたとおり、cの1項目につきましては、資料右下の歯周病を有する者の割合の減少となっております。また、dの評価困難につきましては、資料の真ん中辺り、認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上という項目でした。
 3ページ、健康日本21(第二次)推進専門委員会による中間評価での目標の変更案です。健康日本21(第二次)では、今回の中間評価で幾つかの目標項目の変更、あるいは目標数値の変更を行っております。基本計画等の改定や他委員会による目標変更に伴う変更という項目です。健康日本21(第二次)が2013年か開始後に、他の基本計画等が改定され、目標値が変更されたものにつきましては、健康日本21(第二次)につきましても、目標値あるいは目標項目を変更することになっております。
 その他につきましては3項目あります。まず、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の率を、2008年と比べ25%減少させるという目標についてです。こちらの目標は2015年度の段階で設定されておりましたけれども、目標年度を最終年度の2022年度に変更を行っております。2つ目の項目は、先ほど説明しましたdの評価困難の項目でして、認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率10%という目標です。認知機能低下ハイリスク高齢者の把握は、介護保険制度における基本チェックリストを用いていたわけですけれども、2015年の介護保険制度の改正に伴いまして、チェックリストでの介護予防事業が必須の項目ではなくなってしまいましたので、目標項目の差し替えを委員会で検討しました。議論の結果、認知症サポーター数という目標項目に本項目の差し替えを行いまして、認知症サポーター数1,200万人を2020年を目標に達成すると変更を行っております。3つ目ですが、スマート・ライフ・プロジェクトの参画企業数3,000社という目標数です。地域のつながりは、企業のみならず自治体や組合等の相互の協力が非常に重要であると考え、スマート・ライフ・プロジェクトに参画している企業数のみならず、自治体等の団体数も全て算定したスマート・ライフ・プロジェクト参画団体数を7,000団体に増やすという目標に差し替えを行っております。変更項目については以上になります。
 後ろの資料につきましては、本文の今後の課題・対策を抜粋したものになりますので、今後の都道府県や自治体における健康増進計画等に利用いただければと思いまして、添付しております。以上になります。
○辻部会長 ありがとうございます。この審議事項について、委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがですか。
○沖本委員代理(高知県東京事務所所長) 高知県です。本日、高知県は議会開会日になっており、知事に代わり、私は東京事務所長ですが、御説明させていただきます。健康日本21の取組に関係します全国知事会の活動について、少し御報告をさせていただきたいと思います。本年7月の全国知事会において、持続可能な社会保障制度の構築に向け、健康寿命の延伸などQOLの向上を図りつつ、社会保障に係る負担を軽減することと併せて、少子化対策など社会保障制度を支える力を強くする施策を、地方として強力に推進するための健康立国宣言を行いました。
 具体的には、糖尿病の重病化予防の取組など都道府県で既に行っております先進優良事例を、お互い学び合い、進化させ、横展開を進めることにより、全国的なレベルアップを図ろうとするものです。
 各都道府県は、それぞれの事情に合わせ工夫しながら取組を進めているところでして、横展開にふさわしい事例を全国に照会したところ、250件を超える事例の報告がありました。健康日本21において、目標設定されている項目にも貢献するであろう事例が大変多く報告されたところです。今後、各取組のカテゴリー分けを行い、ワーキングチームを立ち上げ、勉強会を進めてまいります。
 持続可能な社会保障制度の構築に向けて、地方は地方の責任をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。本日、御出席をされております関係の皆様のお力添えをよろしくお願い申し上げます。御報告は以上です。ありがとうございました。
○辻部会長 ありがとうございました。ほかにどなたかありますか。
○本田委員 1つだけ意見です。重々議論はされていることだとは認識しているのですが、目標値の変更のその他の認知機能についてですが、背景の理由は十分理解できますし、納得もしているのですが、認知機能低下ハイリスク高齢者把握率という目標が、認知症サポーターをこれだけ増やしましょうというのは、少し目標の意味合いにねじれがあるかということだけ、意見を申し上げておきたいと思います。
 認知症のサポーターを増やしていくことは、社会的な意義とか認知症についての理解を増やすという点では大変意味があることだと理解しておりますが、そのことと、認知機能低下のハイリスクの高齢者を把握してサービスとか支援につなげようということとは、必ずしもイコールではないと理解しています。そのためには、認知症サポーターの方々にきっちりと活躍していただけるような環境とか土台とかいうものを、各自治体なりがつくっていくことが必要ですので、ここは健康局の議論ですが、老健局にもそういうことをしっかりお伝えするというか、そういうことがないと意味合いが違ってくるということを、改めて一応意見として言わせていただきたいと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。
○羽鳥委員 先ほど高知県からの御指摘がありましたが、好事例の横展開はとても大事です。実は昨日も、日本医師会、埼玉県医師会、埼玉県医師会長と3者で、糖尿病の重症化予防のことで、日本医師会が展開しているJ-DOME事業を是非各都道府県で展開したいということで、知事会会長の上田知事からも、副会長の尾﨑高知県知事とこれから頑張っていくということですので、是非協力をお願いします。
 もう1つ、今の認知症のこととも関係するのですが、3ページ目、今の正に認知症サポーター数で、これはほかのものがみんな2022年になっているのに、ここだけ2020年度になっているのは、どういう意味なのか教えていただけたらと思います。
○辻部会長 事務局、何かありますか。
○羽鳥委員 ほかの事業目標が全部2022年なのに、これだけ2020年になっているのは。
○相原健康課長補佐 認知症サポーター数の目標年度が2020年度となっておりますが、こちらは老健局との協議の結果、こういうことになっております。
○辻部会長 ほかにどなたかありますか。
○大原委員 先ほどの2020年という部分については、新オレンジプランの中で2020年と指定されているのではないかと思うのですが、それとはまた違うのでしょうか。
○相原健康課長補佐 確認をさせていただけたらと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。ほかには、どなたかいらっしゃいますか。
○迫委員 先ほどの認知症の関係でハイリスク高齢者の把握についてですが、先ほどおっしゃったようにサポーター数に変えることは妥当だと思うのですが、ハイリスク高齢者の把握に関して、何らかの研究であるとか、これは継続する取組とかということは、検討しなくてもいいのかどうかと。今後、これは保健事業等を推進していく中で非常に重要な数字になってくるのかとも思いますので、その辺を御検討いただければと存じます。
○辻部会長 よろしいでしょうか。ほかにどなたかいらっしゃいますか。
○松岡委員 国保中央会の松岡です。国保中央会においては、国保の保険者、後期高齢者医療の保健事業を支援する業務を行っており、その観点から幾つか意見を申し上げたいと思います。
 1点目は、健康寿命と健康格差の縮小の部分です。これは目標というより、本文に関わる話ですが、健康寿命の延伸を図っていく上で、高齢者の要介護状態の期間を短くすることが重要ではないかと思います。今、厚労省の保険局・老健局では、高齢者の保健事業、介護予防事業などが実施されておりますが、こういった事業も視野に入れておく必要があるのではないかということです。
 2点目は、健康格差の縮小という点では、生活保護受給者、生活困窮者への健康管理も重要な課題であり、社会・援護局ではこういった取組を進められておられますが、こういった取組も視野に入れておかれるのが必要ではないかということです。
 国保の関係ですが、国保の保険者努力支援制度において、市町村国保等による糖尿病重症化予防や特定健診、特定保健指導の実施率の向上などが取り組まれております。後期高齢者医療制度においても、同様のインセンティブ事業を実施しているところです。また、データヘルス計画に基づき、被保険者の健康支援、これを通じた医療費適正化対策が実施されております。このような保険者における保健事業の取組はかなり大きなものがあると思われますが、今後、健康日本21の取組を進めるに当たっては、保険者のこういった取組も十分考慮していただければと思います。
 4点目が、今申し上げましたような保険者における各種保健事業の実施に当たりましては、都道府県・市町村のレベルでの国保の担当部門と一般衛生部門との連携が重要でありまして、この両者の連携の強化が図られることで保険者の事業の効果が上がり、そういったことが健康日本21の目標などの達成の推進にも役立つものではないかと思いますので、連携の強化に御配慮をお願いしたいということです。
○小峰健康課長補佐 今、御質問いただきました受動喫煙についての回答をさせていただきます。法律の内容については、後ほど参考資料を用いて御説明させていただきますが、こちらの望まない受動喫煙のない社会の実現という目標についてです。こちらは、もともとは左側に書いてありますとおり、医療機関は0とか飲食点は15とか、数値で書いていたところですが、場所ごとに分けるのではなく、社会全体として望まない受動喫煙がない社会をつくるということにさせていただいております。数字で書いていないということですが、望まない受動喫煙がないということは、すなわち、それはゼロであるということで考えておりますので、全ての場所においてゼロを目指していくということで取組を進めてまいりたいと思います。
○辻部会長 よろしいですか。
○松岡委員 はい。
○武見委員 資料2の2ページで全体の評価の結果があるのですが、改善しているとか変わないという判定の仕方で、例えば下のほうの一番左の栄養・食生活で言えば、bの変わらないの中に「適正体重を維持している者の増加」、その下が「適切な量と質の食事をとる者の増加」とありますが、実はこの中には、複数の項目があって指標があると思うのです。そういう所はほかにもあるかもしれないのですが、そういう複数の項目があった場合に、今回の中間評価は、それらをまとめて変わらないとか改善しているという判定になってきていると思うのです。その辺はどういうふうに、変わらないとかというところ至ったのかといったことを御説明していただいたほうが有り難いと思うのです。
○相原健康課長補佐 ありがとうございます。こちらについては、それぞれ項目の中に対して幾つか数値があって、例えば中に1つは改善していて1つは悪化している場合、どういう評価にするのかということですが、健康日本21(第二次)推進専門委員会の中で委員の先生方に議論いただき、議論の中で評価をどの辺りにするのかということを決めていっているという形で、最終的にこの評価を行っております。
○武見委員 結構ですが、詳細を見ていかないと、実は何が変わって何が変わっていないのかというのが分からなくて、対策がなかなか打ちにくいので、そこら辺が全体の取りまとめによってぼやけてしまうことだけを危惧したので、質問させていただきました。
○辻部会長 ありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。
○髙野委員 高齢者のフレイル予防対策においても、基本チェックリストは有効な項目なので、今後においてもこの活用を考えてほしいと思います。直接ではないのですが、よろしくお願いします。
○辻部会長 ほかにどなたか御意見はありますか。
○青柳委員 全国保健師長会の青柳です。先ほど松岡委員からも御意見としても出ましたが、健康格差の縮小といいますと、今はどちらかというと地域差を重視していると思います。全国の自治体の保健師の活動の中でも、経済格差が非常に深刻な問題になっていますので、そこの健康管理支援を充実させていくことが、これから本当に重要案件になるということを感じています。現在、生活保護受給者をはじめとする生活困窮者の食生活や口腔の健康状態問題があるという実態も出ておりますが、その要因となる生活実態がまだ明らかになっていないところが、大きな課題と思っています。既存データや先行研究の活用や、新たに検討が必要な調査研究なども含め、是非、量的・質的な調査研究を進めていただき、丁寧な分析を行い、それを踏まえての有効な対策の検討をお願いしたいと思います。そこには、先ほどのご発言にもありましたが、生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会も引き続き社会援護局で開催されるようですので、こちらの健康日本21に関する検討会議は豊富な蓄積データや、いろいろな対策も検討してきた実績がありますので、是非そことの連携やすりあわせを行い、有効な対策を検討していただきたいということが1点です。
 もう1つ、健診の受診率の向上に向けた対策の検討について、意見を申し上げたいと思います。これまでのようなポピュレーションの対策では、健診受診率の向上は難しく、現場の活動の中で限界を感じている保健師も多いところです。その課題解決のため、仕組みの中でどうやって受診率の向上につなげられるか、日々、試行錯誤しながらいろいろな活動あるいは施策を展開しているところですが、十分な成果が出せていない状況です。未受診者の調査の結果を見ますと、未受診理由の上位に、「医療機関にかかっているから健診は受けない」が挙がってきていますので、これまでも医師会との連携等は地域活動の中で強化してきておりますが、さらにかかりつけ医との連携が重要だということと、その他の理由として、「いつでも受診ができる」という方も圧倒的に多く、そのような方々に関しては、コール・リコール等の受診を後押しする作戦が非常に有効と考え、さらに対策を充実する必要があると思っているところです。
 併せて、60歳以上の未受診者の理由を見てみますと、パートやアルバイトなど非常勤で勤めている国保の方が、職場の健診を受けていらっしゃるという実態も明らかになっています。しかし、現状ではその結果を把握できる体制が十分ではないことから、受診結果を受診率に反映できるしくみづくりと、そのために職場で受けた健診を特定健診とみなすことができるよう健診内容を充実する対策の検討も進める必要があると思っております。
 加えて、がん検診に関しては、職域では法定の健診の中に加えられていないというところもありますので、企業の方たちに積極的に職員のがん検診を職員健診として位置づけていただくために、今の職員に対しての福利厚生の中で受けていただくということではなく、法的に義務付けることで受診につなげ、職域の方たちの受診率を高めることが、全体の受診率アップの大きな要因になると思っておりますので、是非これらの対策の充実につきましてもご検討のほどよろしくお願いします。
○辻部会長 ありがとうございました。
○田畑委員 ここでは変わらないというほうに書かれているものがたくさんあるのですが、例えば目標値に対して変わらないのですが、歩数だと男性では目標値は2,300歩、女性では1,700歩と、各目標に対しての差がすごくあるものがあると思うのです。ですから、変わらないというのは変わらないのですが、科学的エビデンスを基に作られた目標値に対して、かなり違うとかいうことも是非書いてあればいいと思いました。
○辻部会長 この話は、武見委員のお話とも似かよった話かと思うのですが、全体として出すだけではなくて、各セグメント別に状況をもう少し細かく説明して、それぞれについての対策を考えていったほうがいいという御意見ですよね。ありがとうございます。ほかにどなたか。
○上谷委員 日本食生活協会です。3ページの認知機能低下ハイリスク高齢者についてですが、右側に理由として、法改正により基本チェックリストでの介護予防事業は必須項目でなくなったためと書いてあるのですが、認知症サポーターが1,200万人という数字のたたき台はいったいどういう所から出ているのか、こういう把握した場合に、これぐらいの認知ハイリスク高齢者がいるから、これぐらいの人たちがいるのだということから考えると、この項目を差し替える部分が、やはりたたき台がないと1,200万人の必要性が分からないと思うのです。この1,200万人という数字はどういうところからできたのかというのが1つです。
 もう1つ、スマート・ライフ・プロジェクトの部分です。この何年かを見てみますと、この立ち上がりのときには、企業体を増やしていくことから3,000という数字が出たのは、とても素晴らしいと思うのです。当初は50を100にするという目標で始まったと記憶しています。それが、これぐらい協力者が出てきて、企業自体も考えるようになったとは言うのですが、このほどを見ていると、スマート・ライフ・プロジェクトの部分の取り掛かりは、自治体とか組合とかいうところまで網羅しておいでになるのですね。健康日本21という協議会があるのですが、そちらも企業、自治体という所の取組とかを強化しておいでになる。このダブったところをもう少し整理しながら、ここに相互互助という形が出ておりますが、スマート・ライフ・プロジェクトが自治体の所まで入ってこなくてもいいのではないかと思うのです。総合でやっていくことの必要性は分かるのですが、それが歴然と同じような事業をやっているのです。
 そういうところをもう少し、縦割りなり横の連絡を密にしながら、地域の企業はまだまだ経済低迷ですので、健康づくりまで入っていくという中小企業はなかなか難しいところがあると思うのです。そういう所にスマート・ライフ・プロジェクトの力を入れていただけると、地域拡大にもつながっていくのではないかと思います。スマート・ライフ・プロジェクトの活動を見ながら、大変広範にやっていらっしゃいますが、報告を見ると比較的行政とのタイプがとても多くて、基本的なところはそうではなかったのではないかというふうに記憶するのですが、いかがでしょうか。
○相原健康課長補佐 まず前半の認知症サポーター数の部分の御説明になりますが、認知症サポーター数1,200万人という数字は、新オレンジプランの数字から設定させていただいております。認知症サポーター数の推移ですが、平成26年度ベースで545万人でしたが、2年後の平成28年が880万人という形で今のところ数字としては推移しております。これらの数字等から新オレンジプランでの目標値が設定されたのではないかと考えております。
 後半のスマート・ライフ・プロジェクトについてです。今回、企業数のみならず、自治体等を含めた参画団体数という目標値を設定したわけですが、もちろん企業の参画数はとても重要で、平成28年の今回の中間評価で用いました直近の実績値においては、スマート・ライフ・プロジェクトの参画企業数は2,890社、スマート・ライフ・プロジェクトの参画団体数、自治体等も含めたものですが、こちらは3,673団体ということになっており、依然としてスマート・ライフ・プロジェクトの主な加入者は企業になっておりますので、当初の目標設定における時点に関しては企業が主体となっているということで、そちらに関しては、企業がやはり主体となっていると考えていただいて結構だと思います。以上です。
○羽鳥委員 健康日本21(第二次)について、はじめの策定委員会から参加させていただいていますが、先ほど青柳委員から御指摘がありましたように、健康寿命の格差は都道府県で見るのではなくて、(1)収入別とか、(2)大企業に勤める人か、中小企業か別の集団で見るのはどうかと辻部会長に提案しました。今期はまだ解析が無理だということだったのですが、第三次とか次のときには、そういう見方もきっと大事ではないかと思うのです。というのは、公務員の方とか大企業に勤めていらっしゃる方は、皆さん健康に対する意識も強いし、しっかり健診も受けていらっしゃるのですが、私たち医師会員が日頃接する中小企業、商店街の経営者は、懸命呼び掛けないと検診にも来てくれないということもあります。
 あと、別の検討会で職域がん検診任意型検診で福利厚生でやっているために、データを保険者などには提供してもらえない。事業主は、検診を受けてもらえれば、それでいいというだけで、二次精査が必要である二重読影などの精度管理が必要となるとかいうことには積極的には内密でもらえない。そこは厚生労働省としては、仕組みとして精度管理を担保し、受診率向上のために検診を行う。検診で行ったデータをきちんと吸い上げることを、是非やっていただけたらと思います。その辺がこれからの肝ではないのかと思いました。
○辻部会長 ありがとうございます。今の羽鳥委員のお話ですが、正に健康格差は、第二次では都道府県格差、地域間格差というところに終わっていますが、次は社会経済格差あるいは仕事による格差を当然出さなくてはいけないと思うのです。実際問題として、厚生労働省のデータでも、国民健康・栄養調査の中で年収別に生活習慣等々を比較して格差があることを出していらっしゃいますので、こういったこともまた広げていけば、積み上げていけば、また健康寿命の社会経済格差を議論できるようになると思いますが、恐らくそれは第三次の課題であって、それに向けてこれから各種の調査研究あるいは行政的なこともやっていかなければと思っていますので、全く同感です。ほかにどなたかいらっしゃいますか。
○三浦委員 次に向けての評価に関する所に関連する内容かと思いますが、社会環境の整備は、健康日本21(第二次)で着目をしていたところです。ところが、それを評価する指標として、どうしてもアウトプット評価に頼らざるを得ないというところで、実際にどのような対策が効果をもたらしたかを評価する指標の開発を、今からやらないと間に合わないので、是非そういった新しい観点からの評価指標の開発について、厚労科研等をうまく活用して整理をしていっていただければ大変有り難いと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。私も全く同感です。そろそろ時間になりましたが、最後にどなたかよろしいでしょうか。それでは今回、事務局から御報告いただきました中間評価報告書ですが、今、委員の皆様から頂いた御意見としては、第二次を後半更に進めるにはどうすればいいか、あるいは今後の展開をどうするかということで、非常に貴重な御意見をたくさん頂きましたが、評価書、報告書の文言そのものを修正ということではないようなものかと思いましたので、健康日本21(第二次)の中間評価(案)について御了承いただけるということでよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○辻部会長 ありがとうございます。それでは、御了承いただいたということで、次の議題に移りたいと思います。審議事項2「歯科口腔保健法に基づく基本事項の中間評価(案)について」、事務局から御説明をお願いします。
○宮原歯科口腔保健推進室長 歯科口腔保健室長の宮原でございます。私のほうからは、歯科口腔保健に基づく基本的事項の中間評価(案)について御説明いたします。資料3が中間評価報告書(案)の本文資料、資料4が中間評価(案)の概要となっております。本日は時間の関係もございますので、健康日本21(第二次)と同様に概要の資料4を中心に説明させていただきます。
 それでは資料4の1ページ目を御覧ください。歯科口腔保健法に関する基本的事項は、平成23年に公布、施行されました歯科口腔保健の推進に関する法律に基づき、平成24年に1ページ目の下段中央にあります5つの基本方針に沿った形で策定されております。歯科についての基本的事項も健康日本21(第二次)と同様に作成後、5年を目途に中間評価を行うこととされており、本部会に設置されました歯科口腔保健の推進に関する専門委員会におきまして、これまでの成果の検証や、最終評価に向けて重点的に取り組むべき事項等の検討を行っていただき、本年2月に資料3の中間評価報告書(案)として取りまとめられました。
 続いて2ページ目を御覧ください。中間評価の概要となります。なお、こちらは概要となりますが、詳細につきましては、資料3の15ページから17ページに中間評価(案)の総括として記載されておりますので、適宜御高覧ください。
 まず、基本的事項の直近の実績等も踏まえたそれぞれのライフステージにおける中間評価としまして、上のほうにございますが、乳幼児期・学齢期におきましては、う蝕は減少傾向にあるが、う蝕有病率の高さや社会経済的な要因による健康格差が生じているとの指摘も勘案し、エビデンスに基づく効果的・効率的なポピュレーションアプローチの推進が必要とされております。また、成人期におきましては、歯肉炎・歯周炎を有する者の割合は改善が見られず、更なる実態把握及びその対策の検討が必要とされております。高齢期におきましては、8020達成者の増加に見られるように、残っている歯の本数が増加している状況にありますが、他方、う蝕や歯周病の有病率は増加傾向にあり、高齢者の口腔機能の評価や、要介護者の口腔内の実態把握が必ずしも十分ではないことから、今後は幅広い実態把握とそれを踏まえた取組の検討が必要であるということが示されております。
 また、基本的事項には先ほど申し上げましたように、口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の縮小など5つの基本方針を掲げており、中間評価(案)の中では、その方針ごとに取り組むべき事項として、資料の中段以下にあるとおり整理されております。
 次に3ページ目、4ページ目を御覧ください。歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の19項目の直近の実績値と目標等をお示しております。全指標19項目のうち、改善している項目が約7割の13項目、変わらない項目が16%の3項目となっておりますが、残りの3つの項目につきましては、先ほど健康日本21(第二次)の中でも触れられましたが、悪化している項目となっております。
 具体的には、3ページ目の歯科疾患の予防における目標の中段から下に記載しておりますが、(3)成人期の40歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少。また、(4)高齢期の60歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少。また、4ページ目に飛びますが、4ページ目の中段にあります定期的に歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健における目標の(1)障害者支援施設及び障害児入所施設での定期的な歯科検診実施率の増加です。これらの項目につきましては、中間評価(案)の中で、高齢期の歯周病に関しては残っている歯の数の増加に伴い、歯周病だけではなく、う蝕にも罹患する可能性が高まることから、単に歯を残すだけではなく、残っている歯が健全な状態や機能を維持できるための取組の必要性が指摘されております。また、成人期の歯周病に関しましては、専門的な指導や管理も必要なことから、定期的な歯科検診が普及するような取組などの予防への対策を進める必要が指摘されております。さらに、障害者支援施設及び障害児入所施設での定期的な歯科検診実施率の増加につきましては、引き続き、国、都道府県、市町村等のそれぞれの単位で、関係部局との連携、医療機関、医療関係職種との連携を図りながら、実態把握等により個別の課題を把握した上で対応を検討する必要がある等の指摘もなされています。これらの点を踏まえながら、また、本日頂戴します御意見を踏まえながら、既存の8020運動・口腔保健推進事業等といった事業も、適宜活用しながら取組を進め、指標の改善に努めたいと考えております。
 また、目標の見直し案につきましては、引き続き資料4の3ページ目、4ページ目を使って御説明いたします。目標を達成している項目は6項目あり、具体的には、1つ目が、3ページ目の歯科疾患の予防における目標、(2)学齢期の中学生・高校生における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少です。これにつきましては既に目標に到達しているものですが、過去に増加傾向を示した年もあるなど変化しやすい指標であるため、今後も引き続き慎重な評価が必要とのことで、現行の目標を維持するとなっております。
 2つ目は、(4)の高齢期の60歳で24歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加、3つ目は、80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加です。これらにつきましては、健康日本21(第二次)と同じ目標を設定しているものですが、既に目標に到達しております。平成28年度のデータによりますと、今後も増加することが見込まれるため、新たな目標を設定することとし、資料に赤文字でお示ししているとおり、それぞれの目標を70%から80%、または50%から60%へ引上げを行う見直し案として整理されております。
 続いて4ページ目になります。下のほうに掲げておりますが、歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備における目標の中に残りの3項目がございます。3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加、12歳児の1人平均う歯数が1.0未満である都道府県の増加、歯科口腔保健の推進に関する条例を制定している都道府県の増加です。これらにつきましても、既に目標に到達しております。今後も増加することが見込まれることから、新たな目標を設定することとし、それぞれの目標について、いずれも47都道府県に見直す案として整理されております。なお、3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加と2歳児の1人平均う歯数が1.0未満である都道府県の増加、につきましては、健康日本21の第二次と同じ目標の設定となっております。事務局からの説明は以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。ただいまの御報告につきまして、委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○髙野委員 40歳とか60歳の歯周病が出ていると思いますが、8020の運動はかなり国民にも周知してきていて、歯を残そうという意識がかなり働いて、厳しい歯も残されていることは事実かもしれません。あと、フッ化物の洗口とかフッ化物の添加された歯磨き粉等などの、フッ化物の応用におけるう蝕の罹患率が下がっていることで、歯科医に行かないという習慣がかなり多く国民にあるのではないか。そうすると20歳以上において、歯周病について痛みは余り伴わないことで歯科受診されてないがために、歯周病が早期に治療されず悪化をたどり、多くなっているのではないかという捉え方です。私見を交えてですが、そのような感覚があるので、このような値かと思うのです。今後、これについては見守って精査していきたいと思います。以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。ほかにどなたかいらっしゃいますか。
○友岡委員 この中間の評価報告書とは直接関係しない事項なのですが、1点だけ、よろしかったらお答えいただきたいと思います。主にこの事項に関しては、都道府県レベルでの数値として出されていると思うのですが、推進条例を見ますと市町村も作ってますね。そうすると、都道府県を主に狙いとしているから、今回は都道府県で出していると。条例の制定と、それからこういった評価事項に関する設定の評価がここになされている。そういう位置付けは構わないのだけれども、主に市民と接する市町村レベル、小さな自治体のレベル、ここら辺りにちょっと意識した評価というのはないのかなと。もちろん、直接的に関係がないんだというのであれば、どうしてかなという辺りを、簡単に御説明いただければ幸いです。よろしくお願いします。
○宮原歯科口腔保健推進室長 具体的には、政令市や、例えば保健所を設置する市等については、比較的把握がしやすいという状況がございますが、全市町村にもれなく、これは必ず作りなさいというものでもございませんので、なかなかその実態把握というのは難しい面があろうかと思います。ただ、厚生労働省医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室を中心に状況把握等を行っておりますので、都道府県の状況については、的確な情報提供、情報把握ができるかと思います。ただ、市町村のほうについても何らかの把握方法がないか、担当として検討したいと思います。
○辻部会長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんか。それでは、この歯科口腔保健法に基づく基本的事項の中間評価(案)というものにつきまして、御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○辻部会長 はい。どうもありがとうございました。それでは次の議題に移りたいと思います。審議事項3「その他」につきまして事務局から御説明をお願いします。
○相原健康課長補佐 資料5を御準備ください。健康日本21(第二次)推進専門委員会の設置について(案)というものです。この健康日本21(第二次)推進専門委員会は平成26年6月3日に当部会で了承を頂きまして、こちらの設置についての要綱を制定いたしました。もともと、こちらの要綱では、1の目的の所の3段落目ですけれども、「目標設定後5年を目途にすべての目標について中間評価を行う」というところまでで、今年の文章は終わっております。また、この3の構成の(2)の部分ですけれども、委員の任期は健康日本21(第二次)の中間評価までとすると記載がありましたが、今後、目標設定後10年後の最終評価に向け、この推進専門委員会を維持し、その最終評価に向けて議論を続けていきたいと考えておりまして、この推進専門委員会の委員の先生方の任期を最終評価報告までに変更したいと考えております。以上になります。
○辻部会長 ありがとうございました。それではこの審議事項につきまして、委員の皆様から何か御質問、御意見ございますでしょうか。もともとが中間評価までといったところを、最終評価までということに変更するということですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○辻部会長 はい。それでは、健康日本21(第二次)の推進専門委員会設置要綱の改正につきまして、御了承いただけたということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは次の議題、報告事項に移りたいと思います。時間の関係上、報告事項1から6まで続けて事務局から御説明していただきまして、最後にまとめて委員の皆様から質疑応答の時間を設けたいと思います。では、報告事項1「健康増進法改正及びたばこの健康影響評価専門委員会について」、事務局から御説明をお願いします。
○小峰健康課長補佐 それでは報告事項の1番目、健康増進法改正等につきまして御説明をさせていただきます。資料6を御覧ください。受動喫煙対策のための健康増進法の一部を改正する法律の概要です。先の通常国会に提出させていただきまして、7月に成立、公布をした法律の内容です。8ページほどございますが、最初の3枚が全体像の説明で、4ページ目以降は個別の論点になりますので、最初の3ページを中心に御説明させていただきます。
 まず、1ページ目です。今回の改正の趣旨をお示ししております。今回の改正の趣旨ですが、望まない受動喫煙の防止を図るということで、多数の方が利用する施設等の区分に応じて、一定の場所を除き喫煙を禁止すると。また、施設の管理する方がどのような措置を講ずべきかというところを定めたものであります。
 基本的な考え方は3つあります。まず1つ目としましては、望まない受動喫煙をなくすということです。考え方の2つ目としましては、受動喫煙による健康影響が大きい子供さんですとか患者さん、また「等」と書いておりますが、こちらは妊婦さんです。そういった方々には特に配慮をして、そうした方々が主たる利用者となる施設につきましては、受動喫煙対策を一層徹底するということとしております。基本的考え方の3つ目としましては、施設の類型・場所ごとに対策を実施するということです。考え方の2番とも関係しますが、それぞれの施設の類型・場所ごとに、主たる利用者の違い等もありますので、そうしたものも踏まえまして、施設ごとに禁煙にするですとか、若しくは喫煙場所を特定して、そこには標識の掲示を義務付けるといった対策を講ずることとしております。その際ですけれども、既存の、既存のというのは、今、既にあるという意味ですが、そうした飲食店のうち、経営規模が小さい事業者が運営する所につきましては、事業の継続に配慮いたしまして一定の経過措置を設けることとしております。
 以上の考え方を踏まえまして、具体的に法律としてどのような内容を定めたかというものが、1ページ目の後段以降の改正の概要です。まず、1番目ですが、国及び地方公共団体の責務というものを定めております。(1)ですが、国、地方公共団体というものは、国民ですとか住民の健康を推進していく立場ですので、望まない受動喫煙が生じないように、受動喫煙を防止するための措置を総合的かつ効果的に推進するよう努めるということとしております。
 (2)としまして、国、地方公共団体といった行政だけではなく、それぞれの関係者も受動喫煙対策を連携、また協力をしながら推進していく旨の規定も設けております。こうした規定も基にいたしまして、受動喫煙を望まない方を喫煙場所に連れて行くとか、若しくは歓送迎会とかで喫煙可能な店を選ばないようにするとかといったことについて、いろいろな事業主団体などに周知をしていくこととしております。
 (3)としまして、国は受動喫煙の防止に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するよう努めるということで、具体的には、最近新しく出てきております加熱式たばこというものがありますが、こちらにつきまして更に調査研究を進めていくこととしております。
 2ページ目を御覧ください。2番の所の上のほうに青のグラデーションが入った図があるかと思います。こちらが具体的にそれぞれの施設について、法律においてどのようなルールになるのかというものを定めたものです。今回の法律におきましては、原則は屋内は禁煙になるというものでして、喫煙場所を設ける場合は、こうしてくださいということとするルールです。まず、AとBということで、施設類型2つに分けております。
 まず、Aのほうですが、先ほど基本的な考え方で申し上げましたとおり、受動喫煙による健康影響が大きい子供さんや患者さんが主たる利用者となる施設、具体的には学校、病院、児童福祉施設等と、これに加えまして、自らが対策を推進するという責務を有する行政機関、こちらにつきましては、その他の施設よりも一段厳しい規制を入れております。具体的には、「禁煙(敷地内禁煙)」と書いてありますが、敷地内と言いますのは屋内のみならず屋外です。庭のような場所も含めて、屋内、屋外にわたって原則は禁煙になるというものです。ただし、※1を下のほうに注で付しておりますが、屋外であって受動喫煙を防止するために必要な措置が取られた場所であれば、喫煙場所を設置することができるということとしております。
 次は下の段のBです。Aに入っているもの以外の全ての多数の方が利用する施設です。こちらは、原則は屋内は禁煙とするというものです。喫煙をする場合には、喫煙専用室内でのみ喫煙を可としております。喫煙専用室というものは喫煙のみする場所になりますので、例えば、飲食をしながら吸うということはできず、喫煙だけする部屋に行って、そこで喫煙をしていただくということになります。
 以上が原則のルールでして、右のほうに経過措置を2つ定めております。まず、1つ目ですが、真ん中の加熱式たばこについての経過措置です。加熱式たばこにつきましては、ニコチンとか発がん物質といった有害物質が煙の中に含まれているということは明らかになっておりますが、販売されて間もないということもありますので、現時点において受動喫煙を生じた場合に、将来的に紙巻きたばこと同じように健康影響が出るかというところは、まだ明らかにはなっていないという状況です。こうしたことも踏まえまして、当分の間の措置といたしまして、紙巻きたばことは異なる規制の在り方を設けたということです。具体的には原則屋内禁煙というところは変わりませんが、喫煙室、ここでいう喫煙室というのは喫煙専用室とは違って飲食等も可能な場所になりますが、そうした喫煙室で喫煙をすることは可能ということです。もう1つの経過措置ですが、既存特定飲食提供施設、今ある飲食店のうち経営規模が小さいところに対する経過措置です。具体的には、個人又は中小企業の運営する店舗であって、かつ、客席の面積が100m2以下の飲食店につきましては、喫煙専用室を作らずとも標識の掲示等を行うことによって、店内での喫煙が可能になるという仕組みです。
 続きまして、(2)を御覧ください。今、説明させていただきましたとおり、喫煙専用室ですとか加熱式たばこの喫煙室ですとか、喫煙可能な場所が幾つかありますが、いずれにしても喫煙をすることができる場所には、20歳未満の方は立ち入らせてはならないということで、20歳未満の子供につきましてはしっかりと守るということとしております。また、(5)ですが、原則は屋内が禁煙になるということで、屋外は禁煙といった規制は基本的には設けておりませんが、そういった屋外若しくは家庭等のプライベートな場所において喫煙をする際も、周囲の方に望まない受動喫煙を生じさせることがないように配慮しなければならないということで、配慮を求めることとしております。
 3番ですが、施設等の管理権原者の責務等という所になります。それぞれ施設の管理権原者は、喫煙が禁止された場所に灰皿等を設置してはならないということとしております。
 4番ですが、改正後の健康増進法の規定に違反した方につきましては、罰則規定を設けることとしております。また、(3)ですが、5年経過後には必要な検討をして、必要な場合には見直しを行うということとしております。
 施行期日につきましては、2020年の4月1日です。具体的には、後ほど8ページ目で説明をさせていただきます。
 3ページ目を御覧ください。今、申し上げましたそれぞれの施設類型ごとの喫煙場所のルールにつきまして、分かりやすく絵に示したものがこちらです。繰り返しになりますが、学校、病院等につきましては敷地内禁煙、それ以外の施設につきましては、原則は真ん中の段ということになりまして、屋内禁煙とするか、こういった電話ボックスのような喫煙専用室を設置していただく、若しくは加熱式たばこ専用の喫煙室を設置していただくということです。経過措置の対象となります既存の飲食店のうち経営規模の小さい店舗につきましては、一番下の段にありますとおり、店内で標識を掲示する、また、20歳未満の立入りを禁止するという前提の下で、店内で喫煙が可能になるものです。以上が全体像でして、4ページ目以降は個別の論点になります。4ページ目は先ほど申し上げました国、地方公共団体の責務についてですので、割愛させていただきます。
 5ページ目を御参照ください。右側の範囲という所を御覧ください。今回、既存の飲食店の経過措置の対象となる所が、おおむねどれくらいあるのかをお示ししております。中小企業又は個人が運営する店舗であって、客席面積が100m2以下のものということで、今ある既存の統計の中で大まかに計算したところですが、最大で飲食店全体の約5.5割程度が経過措置の対象となるということで推計をしております。ただし、右の下の図の一番右、緑の枠で囲ってある所に書いてありますが、今回の経過措置というものにつきましては、あくまで今ある店舗についての経過措置ですので、これから新しく開設する店舗につきましては原則屋内禁煙というルールに従っていただくことになりますので、法施行後、新たに開設する店舗が段階的に増加していくと、すなわち、受動喫煙対策も段階的に前に進んでいくというふうに考えているところです。
 続きまして6ページ目です。今回の改正健康増進法におけます義務内容や義務違反時の対応についてです。基本的には全ての方について、喫煙禁止場所で喫煙をしてはならないという義務、また、施設の管理する方々に対して、喫煙禁止場所で灰皿等を置いてはならないという義務を掛けるということにしております。それぞれ、義務の内容に応じまして、罰則のフローは下に記載のとおり若干違うところもありますが、まずは都道府県知事等が指導して、それにも改善が見られない場合につきましては、勧告ですとか、命令、公表という段階を踏みまして、それでも改善が見られない場合には、最後には罰則、具体的には過料を適用するという流れとしております。国といたしましては、まずは最終的には罰則ということもありますが、罰則ありきということではなくて、まずは制度の周知をしっかりとして、皆様にルールを遵守していただくような環境をつくってまいりたいと考えております。
 7ページ目です。従業員に対する受動喫煙対策についてということです。特に喫煙可能な場所がある施設で働く従業員の方につきましては、従業員さんの受動喫煙を防ぐという対策も講ずることが必要かと考えております。そちらにつきましては、まず1番ですが、今回、20歳未満の方は喫煙場所には立ち入らせてはならないということとしています。こちらは、従業員であっても20歳未満の方は喫煙可能場所には立ち入らせてはならないということになりますので、こちらをしっかりと守るということです。また、2番目の所ですが、それ以外の20歳以上の大人の方につきましては、それぞれ、国のガイドラインによりまして、どういった対策を講じるのが効果的かということをお示しをして、取組を支援してまいりたいと思います。具体的には、喫煙室などを作る場合に助成金等で支援するですとか、若しくは勤務シフトの工夫ですとか、そういったところを具体的にお示しすることとしています。「また」という所ですが、今後は従業員の募集を行う際に、自らの施設がどのような対策を講じているかというところを求人の際に明示するという義務も課すということで、あらかじめ勤める前に、自分が勤める施設はどういった環境なのかということが分かるように、しっかりと対策を講じてまいりたいと思います。
 最後のページですが、法律の施行スケジュールです。先ほど申し上げましたとおり、最終的な施行は2020年の4月1日ということで再来年の4月、東京オリンピック・パラリンピック前です。こちらは飲食店等で対策を講じる場合に喫煙専用室を新たに設けるという必要がありますので、その工事に要する期間を考慮いたしまして、2年弱の期間を見込んだというものです。
 一方で、学校、病院、児童施設等、それから行政機関という所につきましては、敷地内禁煙になりますので喫煙専用室の工事等は必要ありません。したがいまして、もう一段階早く、来年の夏頃までには施行するということで考えております。さらに、国、地方公共団体の責務のようなものにつきましては、公布後6か月以内に速やかに施行をするということで、順次できるところから施行をして、最終的にオリンピック前までには全面的に施行するということです。
 今、この法律に従いまして、それぞれ政令ですとか省令に委任をされている事項が多数ありますので、政令、省令の策定に向けて準備を進めているところです。特に、喫煙専用室や加熱式たばこ専用の喫煙室等の喫煙室の基準につきまして、当部会の下に設置をされております「たばこの健康影響評価専門委員会」、こちらは祖父江委員に委員長を務めていただいておりますが、そこにおきまして今、議論を進めさせていただいているところです。そうした議論も踏まえまして、政省令をしっかりと策定し、また、周知、啓発等、円滑に制度が施行できるように取組を進めてまいります。事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。それでは、続いて報告事項2「国民健康・栄養調査結果について」、並びに報告事項3「日本人の食事摂取基準(2020年版)について」、事務局より御説明をお願いいたします。
○清野栄養指導室長 報告事項2の国民健康・栄養調査結果について御説明をさせていただきます。資料7を御準備ください。1番の平成29年国民健康・栄養調査結果概要ですが、こちらは9月11日に公表した内容で、そこからの抜粋となっています。昨年11月に実施したものですけれども、平成29年の調査については、毎年実施している基本項目に加えて高齢者の健康、生活習慣の状況を重点項目として、高齢者の筋肉量や生活の様子について、初めて把握をいたしました。
 調査結果のポイントです。1番目は高齢者の健康・生活習慣の状況です。65歳以上の低栄養傾向の者の割合については、男性が12.5%、女性が19.6%で、この10年間で有意な増減は見られていません。
 次ページの表2ですけれども、四肢の筋肉量を把握しておりまして、こちらについては男女ともたんぱく質摂取量が多く、肉体労働時間が長いほど有意に増加ということです。表を御覧ください。下位群、中位群、上位群というのがたんぱく質摂取量を3部位に分けたものとなっております。左側は男女別に肉体労働をしていない、1時間未満、1時間以上ということで、人数の隣に骨格筋指数の平均値というものを示しています。一番高くなっているのが、例えば男性であれば、1時間以上肉体労働をしていてたんぱく質摂取量が上位群の所が一番高くなっているというところで、女性のほうも同様です。
 図5のグラフです。外出していない男性の低栄養傾向の者の割合は、外出している者に比べて約20ポイント高いという結果になっております。
 図6のグラフです。「何でもかんで食べることができる」者の割合や20歯以上歯を有する者の割合は、60歳代から大きく減少ということで、60歳代から減少している様子が見受けられています。
 続いて(2)の女性のやせの状況ですが、グラフは次ページに記載しております。20~50歳代の女性のやせの者の割合は、いずれの年齢階級も10%超であり、特に20歳代では21.7%ということで、年次推移を見ていただくと、近年は一時減少していましたけれども、また上向きになっているという状況が見て取れます。
 5ページの(3)睡眠の状況です。1日の平均睡眠時間が6時間未満の者の割合は、男女とも40歳代で最も多く、それぞれ48.5%、52.4%でした。下の図9ですが、睡眠で休養が十分にとれていない者の割合は20.2%であり、平成21年からの推移で見ると有意に増加し、年齢階級別に見ると40歳代で最も高く、30.9%となっております。
 6ページの(4)受動喫煙の状況です。受動喫煙の機会を有する者の割合について、場所別に見ております。飲食店では42.4%と最も高く、次いで遊技場37.3%、路上31.7%という状況になっています。
 7ページの2番、今後の国民健康・栄養調査の方針です。こちらについては、前回の部会でもお示しをさせていただいているものですが、国民健康・栄養調査企画解析検討会で御審議を頂いて決定しているものです。この国民健康・栄養調査については、健康日本21の指標となっている項目のモニタリングや、方向性として示されている地域や所得等による健康格差の縮小及び社会環境の整備に関する基本的なデータの収集・分析を行うということになっております。
 下の(3)に今後のスケジュールについて示しております。今年度、平成30年については、所得等社会経済的状況について把握することとなっています。来年、平成31年については社会環境についてです。そして平成32年となっていますが、2020年については地域格差ということで、規模を拡大して調査を実施することとなっております。報告事項2については以上です。
 続いて、報告事項3の日本人の食事摂取基準(2020年版)について御説明いたします。資料8を御準備ください。食事摂取基準は、健康増進法に基づいて策定をしているものです。健康の保持・増進、生活習慣病の発症予防を目的として、エネルギー及び各栄養素の摂取量について、1日当たりの基準を示したもので、5年ごとに改定を行っております。2020年度から使用する日本人の食事摂取基準(2020年版)では、更なる高齢化の進展や糖尿病有病者数の増加等を踏まえて、栄養に関連した代謝機能の維持・低下の回避の観点から、生活習慣病の発症予防と重症化予防に加え、高齢者の低栄養予防あるいはフレイル予防、こういったことも視野に入れて検討をしているところです。
 検討会については次ページに示しておりますけれども、4月20日に検討会を立ち上げています。現在、ワーキンググループにおいて内容の検討をしていただいており、最終的に今年度中に報告を取りまとめて告示をする予定となっています。以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。それでは、次の報告事項4「標準的な健診・保健指導に関するプログラムについて」、事務局より説明をお願いいたします。
○相原健康課長補佐 報告事項4について御説明いたします。資料9を御準備ください。平成30年3月に改定された標準的な健診・保健指導プログラムの主な変更点について御説明いたします。標準的な健診・保健指導プログラムとは、健康増進法に基づく生活習慣病対策を推進するための効果的な健診・保健指導を実施するに当たり、健診・保健指導実施者が理解しておくべき基本的な考え方や実施する際の留意点を示したものです。平成28年から平成29年に開催された「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」で検討された内容を基に、今回の改定を行いました。
 資料の1~5ページについては目次の変更点でして、全体的な構成の変更になります。具体的な変更点については、6ページ以降で御説明いたします。大きな改定点について、かいつまんで御説明いたします。6ページの第2章の健診項目を御覧ください。脂質検査において中性脂肪が400mg/dL以上である場合又は食後採血の場合には、LDLコレステロールに代えてnon-HDLコレステロールでも可といたしました。血糖検査においては、やむを得ず空腹時以外に採血を行った場合、更にHbA1cを測定していない場合には、食直後を除いて随時血糖にて血糖検査を行うことを可としました。詳細な健診の項目に、血清クレアチニン検査(eGFRによる腎機能の評価を含む)を追加しております。
 8ページです。別紙2の詳細な健診項目の(1)12誘導心電図、(2)眼底検査を実施する判定基準を、以前は「血糖高値、脂質異常、血圧高値、肥満の全ての項目の基準に該当した者」ということだったのですけれども、今回、血圧と血糖に着目した内容に変更しております。昨年までは、前年の健診結果等を用いるように記載されていましたけれども、実施すべき対象者については早期の検査が望ましいことから、次年度に詳細な検診を実施するのではなく、対象者を明確とした上で速やかな受診勧奨を行うために、当該年度に変更を行っております。
 11ページです。第3章の3-9、特定保健指導の対象とならない非肥満の脳・心血管疾患危険因子保有者に対する生活習慣の改善指導の部分です。特定保健指導の対象者には、内臓脂肪蓄積により肥満がある者に限定されております。しかし、特定保健指導の対象にならない者においても、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣は、脳・心血管疾患の発症の危険因子であることから、食生活や身体活動、喫煙習慣等の生活習慣に対する保健指導が、これらの生活習慣病の予防や進行の抑制に効果があることについて、追加を行っています。
 最後に、この下の第3章の3-10、宿泊型新保健指導プログラムについてです。従来の保健指導では十分に効果が得られなかった者に対する保健指導の新たな方法の1つとして、体験学習や相談の機会の増加、グループダイナミクスの相乗効果等を特徴とする宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)プログラムの追加を行いました。以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。それでは最後ですが、報告事項5「DHEATの派遣について」ということで、事務局から御説明をお願いいたします。
○風間地域保健室長 健康局地域保健室の風間と申します。よろしくお願いいたします。資料10を用いて説明させていただきます。私からは、「災害時健康危機管理支援チーム」、英語の頭文字を取って「DHEAT」と呼ばれておりますけれども、これは本年3月に制度として仕組みを作ったもので、本年7月の豪雨の対応のため、16の都道府県、指定都市から、岡山、広島、愛媛の3県にチームを派遣していただきましたので、その報告をさせていただきます。
 2ページです。まず、そもそも聞き慣れない言葉と思いますので、DHEATとは何かということから御説明いたします。まず、これまでの経過の説明です。平成23年3月に発生した東日本大震災において、その対応で行政が業務過多になり、回らなくなった事態を経験し、被災都道府県の保健衛生部門におけるマネジメント機能を支援する必要があるとの指摘が出され、そこで出てきたのがDHEATの構想です。全国衛生部長会等において検討がされ、議論と並行して、厚生労働省において平成28年度からDHEATの養成研修を開始いたしました。
 ここから次の3ページで御説明いたします。5行目ですけれども、そのような中、平成28年4月に発生した熊本地震における初動対応に関して、平成28年7月に内閣府がまとめた検証レポートにおいて、多くの医療チームや保健師チーム等が被災地に入り、被災者の支援を行いましたが、被災都道府県及び保健所における指揮・連絡・調整を十分に行うことができず、保健医療活動が効率的に行われない場合があったこと等が課題として挙げられており、今後、「被災地に派遣される医療チームや保健師チーム等を全体としてマネジメントする機能を構築する」べきこととされました。
 こうした点を踏まえ、この3ページが通知の抜粋なのですけれども、平成29年7月5日付けで、厚生労働省から各都道府県宛てに、大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備に関する5部局長等連名の通知が発出されております。この中で、3ページの赤字の下の所になりますけれども、都道府県は、当該都道府県に係る大規模災害が発生した場合には、保健医療活動チームの派遣調整、保健医療活動に関する情報の連携、整理及び分析等の保健医療活動の総合調整を行う保健医療調整本部を設置することとされました。
 1枚飛ばして、5ページです。これらを踏まえ、本年3月20日に健康局健康課長通知をもって、「災害時健康危機管理支援チーム活動要領」を発出し、DHEATは制度化されました。活動要領は、このような構成で作られております。
 6ページです。DHEATは、訓練を受けた都道府県等の地方公務員によって組織されたチームで、具体的には、派遣先においては、保健医療調整本部や保健所に配置され、保健医療活動チームへの指揮・派遣調整、保健医療活動チームとの情報連携、保健所で収集された情報の整理、分析等を行うことが役割となります。
 8ページをお願いいたします。被災した都道府県がほかの都道府県等にDHEATの応援派遣を要請する方法について説明いたします。方法として、各地方公共団体間の相互応援協定に基づいて応援派遣を要請する方法と、被災都道府県から厚生労働省に応援派遣に関する調整を依頼する方法の2つがあります。厚生労働省に派遣調整の依頼があった場合には、厚生労働省は、全国の都道府県、指定都市に照会させていただき、その回答を基に調整、マッチングを行うこととしております。
 9ページは、平成30年7月豪雨におけるDHEAT派遣実績です。7月の豪雨を受けて、岡山、広島、愛媛の3県において、健康危機管理対応をしていくためには、ほかの自治体からの応援が必要であると判断され、応援派遣調整の依頼がありました。厚生労働省で調整いたしまして、7月12日からDHEATが制度化されて初めてとなる派遣として、まず岡山県に長崎県のチームが入りました。以降、3県に合計16の都道府県、指定都市からチームを派遣していただき、8月31日をもって全ての派遣が終了しております。説明は以上です。
○辻部会長 以上で報告事項1~5について説明は終わりましたので、委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。どの順番からでも結構です。
○上谷委員 日本食生活協会です。国民健康・栄養調査の質問事項についてちょっとお尋ねしたいのです。低栄養傾向者が2割弱という形で出ているのですけれども、これの場合は家族構成というのが、多分健康寿命の延伸にも関係してくると思います。1人住まいの方たち若しくは家族と同居しておいでになる、そういうような質問は更にしてあるのか、それともないのかをお尋ねしたいと思うのが1つです。
 もう1つですけれども、日本の食事摂取基準についての中で、この度、高齢者の低栄養予防やフレイル予防も視野に入れてと書いてありますが、結構な話だと思います。身体能力といった形の予防ということで、筋肉の強化ということになろうかと思います。私どもの代表理事である鈴木代表理事は老人医学の権威者でもあるのですが、平成25年から私どもはこのフレイルを入れながら予防強化をしているところです。
 この場合に、配食サービスとか、若しくは老人食について立ち上げたという報告がありましたけれども、現在、配食サービスを受けている高齢者というのは何パーセントぐらいいるのか。その場合、私どもが調べた東京都内の数字から言うと、800円~1,200円という高い1食の単価の数字が食事代として出ましたが、高齢者が購入できる単価で網羅できているのか、若しくは市町村から補助が一部出ているのか、その辺も含めた形での御検討を頂ければ、高齢者も配食という形を活用できるのではないかと思うのですが、その辺について質問いたしたいと思います。
○清野栄養指導室長 今回の平成29年国民栄養健康調査については、同居の有無というものを把握しておりますが、同居の有無別に低栄養傾向の者の割合というのは、今回はお出ししていませんので、申し訳ございません。
 食事摂取基準に関連しての配食サービスですけれども、今、手元には配食サービスをどのぐらい受けているかというデータはないのですが、お弁当の代金も地域によっていろいろかと思います。あるいは運営主体によっても様々かと思います。こういったところは、こちらでもどのぐらいの値段で配食がされているかというデータは持ち合わせておりませんが、高齢者にとって栄養管理もされた配食サービスが、適切な値段で提供されることが必要です。先生方御存じかと思いますが、平成28年度に配食サービスに関してきちんと栄養管理をしていこうということで、ガイドラインを公表していますので、しっかりと市町村のほうでも活用していただけるようにしていきたいと考えております。
○武見委員 健康増進法の受動喫煙の所でちょっと伺いたいのですけれども、飲食店が対象になっているということで、飲食店のいわゆるバックヤード、従業員の方が休憩されたり、そういう場所というのは、この場合は対象に入っているのか、どういう扱いなのかというのを伺いたいのです。
 なぜかというと、私が理事長をしている日本栄養改善学会がほかの関連の学会に声を掛けて、主食、主菜、副菜がそろった栄養バランスの良い食事を提供している飲食店や弁当などの中食業者を認証する制度を始めたわけです。その中の必須項目として、外食の場合には飲食店は必ず禁煙という、喫煙室の設置も不可という形にしたのです。そうしたところ、応募される所からバックヤードはどうなのですかという質問を受けて、そのときは学会で関わってくださっている日本公衆衛生学会のたばこ対策委員長の中村正和先生に御相談して、直接お客様に関係しない所というのは少し別の扱いでもいいのではないかということでお答えしたのですけれども、ちょっと今、これを聞きながら気になったので、バックヤードについてはどういう判断なのかというのを教えてほしいと思いました。
○小峰健康課長補佐 お答え申し上げます。今回の法律においては、施設の屋内であれば原則は全て禁煙になります。従業員用の場所ですとか。
○武見委員 休憩室であっても、従業員しか出入りしない場所であってもですか。
○小峰健康課長補佐 お客様用だとか、そういう用途に応じた分け方はしていませんので、建物の中であれば、すべからく禁煙です。
○武見委員 分かりました。
○小峰健康課長補佐 ただし、先ほど申し上げたように、飲食店については経過措置ですので、そこはまだ別ということです。
○武見委員 そうですね、分かりました。ありがとうございます。
 それと、もう1つ意見なのですけれども、全ての施設で喫煙可能部分には20歳未満の者は立ち入れないというすばらしい法律になったと思うのですが、これは経営されている事業者様がこういうことを知るだけではなくて、やはりこういう所で実はアルバイトをしている学生たち、未成年も含めて結構いると思うので、そういう子供たちが、きちんと自分たちがこういう法律で守られているということを学んでいくことも、とても大事だと思います。それは恐らく中学とか高校でやっている喫煙防止教育プログラムとか、そういうこととも関連するのではないかと思うので、管轄としては文部科学省なのか養護教諭の先生たちなのか分かりませんが、やはりそういうところにもこういうことをきちんと周知して、国民の中で広く皆が理解できるようになるといいのかなと思いますので、是非その辺の連携をよろしくお願いしたいと思います。
○辻部会長 ほかにありますか。
○岡村委員 健康増進法の部分なのですけれども、結局これは、一番もめたところが、恐らく飲食店の売上げが増えるとか増えないとかというところが、非常に議論になった記憶ももちろんあるのですが、これは基本的に、今後計画されているかもしれないのですけれども、意識として法律施行後にそういう店に行きやすくなったか行きにくくなったか、逆に施行されることによって増える人も多分いるかと思うのですが、その辺の意識みたいなのを聞いておくというか、そういうことをされていたほうがいいと思います。恐らく何か動きだすと、増えたとか減ったとか、それぞれの立場からいろいろな意見が出てくる可能性があるので、国民の意識としてどういう変化があったかというのが、モニタリングとして非常に大事になってくるかと思うので、そういう情報は持っておかれたほうがよろしいのではないかと思います。公的な調査でやるのか、研究班的なところでやるのかは、私では分かりませんけれども、その辺は是非また御検討いただければと思います。
○辻部会長 ほかにどなたかありますか。
○谷川委員 資料7の5ページの睡眠の状況というのを、もう一回これを見てつくづく思うのですけれども、40、50代で5時間未満の睡眠が10%を超えているのです。先生方は、どれぐらいが正常値というか、睡眠があったらいいと思われますでしょうか。大体これを見ると、やはり6、7時間ぐらいが妥当かなと思われるかもしれませんけれども、恐らく人間の睡眠というのは、多分7時間以上取らないと本当は駄目なようにできていまして、NHKの調査でも、この30年間でどんどん睡眠の時間が減っていますし、なんとなく睡眠時間が短い人がこれだけいるということに慣れているような状況なのです。
 今年のアメリカの睡眠学会でも、基調講演の1つに、1999年にランセットに睡眠負債が糖尿病の元になるということを出したグループが、改めてそれを示したのですけれども、やはり4時間の睡眠を1週間取らせると若い人で耐糖能が悪化すると。ましてや40、50代が恒常的に5時間未満の方が10%もおられるということは、実はすごいリスクなのです。実際、我が国の疫学研究でも、5時間未満で循環器疾患の死亡率が上がるということも示されていますし、先生方もいろいろとされていますし、ということは、もうほとんど分かってはいるのですけれども、これで5時間未満がこれだけいて、また6時間未満が結構いらっしゃって、これが実はみんな普通だと思っているのが非常に大きなリスクだと思います。
 先ほど、糖尿病の重症化予防という話を熱心にされているという話を聞きましたけれども、是非ともこの中で睡眠時間というのを聞くのはそれほど難しくないと思いますので、5時間未満の睡眠時間と、それと耐糖能の関係とか、どんどんこういうデータを出していただければと思います。
 ちなみに、私は今、医師の働き方改革ということで、パイロットスタディで数百人ですけれども、現場の医師のいろいろな分析をしているのですが、やはり6時間以上睡眠を取っていると、たとえ月120時間以上の時間外就業をやっていても、鬱度との関係は出ないという非常に面白いデータが出ています。ということは、いかに労働時間を増しても、全部増やしてもまずいですけれども、ある程度増えても睡眠時間を6時間以上取っていると、そのリスクが減るのではないかということを示唆しております。これはまだ断面調査で、非常にスモールサンプルサイズですけれども、こういう研究を今後やっていきながら、かつ国民にもっと睡眠時間をしっかり取ろうという働き掛けができないかなと考えております。以上です。
○辻部会長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。ほかに御意見はないようですので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
 最後に、今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。
○木下健康保健課長補佐 それでは、今後のスケジュールについて御案内申し上げます。次回の部会については、各専門委員会の進捗に合わせて開催を予定しておりますので、追って日程調整等の御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 それでは、本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

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