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2015年9月4日 平成27年度第1回血液事業部会安全技術調査会

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成27年9月4日(金)17:00~19:00


○場所

厚生労働省6階 専用第23会議室


○出席者

出席委員:(9名)五十音順、敬称略、○委員長

内田 恵理子 大戸 斉 岡田 義昭 白阪 琢磨 長村 登紀子
新津 望 ○濱口 功 山口 照英 脇田 隆字

欠席委員:(2名)敬称略

溝上 雅史 横田 恭子

参考人:

大隈 和 水澤 左衛子

日本赤十字社:

佐竹 正博 豊田 九朗 五十嵐 滋 平 力造

事務局:

浅沼 一成(血液対策課長) 近藤 徹(血液対策課長補佐)

○議事

○近藤血液対策課長補佐 それでは、定刻より少し早いですけれども、「平成27年度第1回血液事業部会安全技術調査会」を開催いたします。

 なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日は、本年1月の委員改選後の初めての安全技術調査会となりますので、初めに事務局の御紹介をさせていただきます。

○浅沼血液対策課長 血液対策課長の浅沼でございます。本日から、どうぞよろしくお願いいたします。

○近藤血液対策課長補佐 私、血液対策課の課長補佐で参りました近藤と申します。よろしくお願いいたします。

 新たに委員となられた先生方、引き続き委員として任命された先生方におかれましては、今後ともよろしくお願いいたします。

 また、委員の交代がございましたので御報告いたします。

 座長の吉澤委員が退任され、新たに東京大学医科学研究所附属病院セルプロセッシング・輸血部准教授の長村登紀子委員です。

○長村委員 長村でございます。よろしくお願いします。

○近藤血液対策課長補佐 本日は欠席されておりますが、独立行政法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長の溝上雅史委員、東京工科大学医療保健学部臨床検査学科教授、横田恭子委員に御就任いただいております。

 次に、本日の出欠状況ですが、安全技術調査会全委員11名中9名の御出席をいただいております。

 本日は、日本赤十字社血液事業本部より佐竹正博血液事業経営会議委員、豊田九朗製造販売総括管理監、五十嵐滋副本部長、平力造安全管理課長、以上4名に参加いただいています。よろしくお願いいたします。

 また、参考人として、国立感染症研究所血液・安全性研究部より大隈和先生、水澤左衛子先生に御参加いただいています。よろしくお願いいたします。

 議事に入らせていただく前に、本日の議題に関して「薬事分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、大戸委員、岡田委員から関連企業より一定額の寄附金・契約金等の受領の申告がなされておりますので、議題2から議題3に関しましては意見を述べていただくことは可能ですけれども、議決には加わらないこととさせていただきます。

 以上、委員の出席の報告と事務局の紹介とさせていただきます。

 カメラの頭撮りは、ここまででお願いいたします。

(報道関係者退室)

○近藤血液対策課長補佐 それでは、議題1の「座長の選出について」、これまで安全技術調査会の座長をお願いしていた吉澤委員が退任されたことから、安全技術調査会設置要綱第4条に基づき、委員の互選により新しい座長を選出したいと思います。座長候補の推薦等はございますでしょうか。

 では、山口委員お願いします。

○山口委員 感染研の浜口先生に座長をしていただくのがよろしいかと思うですが。

○近藤血液対策課長補佐 ほかに御意見ございますでしょうか。浜口委員を座長にすることについて異議等ある方は御意見ください。

 特に異議がなければ、浜口委員を座長としたいと思います。

(浜口委員 座長席へ移動)

○浜口委員長 ただいま座長を拝命いたしました国立感染症研究所の浜口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入る前に事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

○近藤血液対策課長補佐 事務局から、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をごらんください。

 まず1枚目、議事次第。

 次に、座席表。

 安全技術調査会委員名簿。

 その次に設置要綱があり、その後から議題2に関しての資料1-1が4枚、8ページまでです。

 資料1-2が合計7枚あります。14ページまでになります。

 続いて、議題3に関して資料2が22ページまで、11枚あります。

 議題4に関して資料3が4枚、8ページまであります。

 議題5に関して資料4が2枚、4ページまであります。

 議題6に関して資料5が1枚、別添資料1が2枚、別添資料2が2枚あります。

 最後に、議題7に関して資料6が2枚となっております。

 また、1枚、横長のA4の紙で別に配らせていただいておりますけれども、これは資料1-1の参考資料となります。

 資料の確認は、以上です。不足がございましたら、事務局までお知らせください。以上となります。

○浜口委員長 ありがとうございました。

 それでは、議題2に入りたいと思います。日本赤十字社より、資料1-1の説明をお願いいたします。

○日赤・平安全管理課長 私のほうから、御説明をさせていただきます。

 こちらの資料1-1を御説明する前に、先ほど最後に出てまいりました参考の資料をまずごらんいただけますでしょうか。

 この資料自体は、個別NATを私ども昨年の8月に導入いたしまして、その導入に伴うHBs抗原検査陽性の場合の追加検査のあり方や、遡及調査のあり方を少しわかりやすく記載させていただきました。

 上のほうを見ていただきますと、まず変更前、個別NAT前でございます。こちらは、献血いただいた血液につきまして血清学的検査、HBs抗原検査、HBc抗体、その他やっておりますけれども、そこで陰性となったものについて次に核酸増幅検査、20本プール検体にしてNATを行って、そこで陰性の場合は製品判定、適正として製剤の原料として使用させていただいております。

 このときに、今までやっている方法でいうと、HBs抗原陽性の場合における遡及調査については追加検査としてHBs抗原抑制試験をやったり、個別NATをやる。そして、いずれかが陽性の場合、前回をさかのぼるということをやらせていただいております。

 ところが、昨年の個別NAT導入後の体制を見ますと、こちらは下を見ていただくとおり、献血血液について全て血清学的検査もやりますし、個別検体によるNATもやるという制度に変わってまいりました。

 そこで、今までは陰性のものをプールしてやっていたものは全数個別NATでやるという制度になりまして、陰性の場合、製剤原料として使用させていただくという流れに変わっています。

 こういう中で、このHBs抗原の抑制試験のあり方です。この検査自体は製品の出庫にかかわる検査ではなくて、遡及調査であったり、通知のところにかかわる検査でございます。これのあり方について検討いたしましたので、少し御説明させていただきます。

 資料1-1をごらんください。「HBs抗原検査陽性検体のHBs抗原抑制試験の廃止について」です。

 日本赤十字社では、献血血液に対するB型肝炎ウイルス(HBV)スクリーニングとして、HBs抗原検査、HBc抗体検査及び核酸増幅検査(NAT)を実施し、いずれかの検査で陽性の場合には輸血用血液製剤や原料血漿としては使用しておりません。それで、HBc抗体またはNATが陽性の場合は献血者へ結果が通知され、必要に応じて遡及調査が行われております。HBs抗原検査が陽性の場合は、先ほど申したとおり確認試験としてHBs抗原抑制試験を実施し、それが陽性の場合にHBs抗原陽性と確定をして、当該献血者への検査結果通知と遡及調査が実施されております。

 今般、一昨年に実施したHBc抗体検査の判定基準が強化され、また全検体について個別NATが導入されたことに伴い、抑制試験を廃止することを検討いたしました。

 検討の1といたしまして「スクリーニング検査結果等からの検証」ということで、個別NAT導入後、2014年8月1日~2015年1月31日、6カ月間のデータを解析いたしました。この6カ月間で2504,000本余りの検体のHBVスクリーニングが行われております。その結果、HBs抗原陽性、s抗原が陽性になったものが1,083本、0.04%でございました。それで、510本になりますが、約半数が抑制試験が陽性でございました。そのうち、抑制試験が陽性、個別NAT陰性であったものが24例ということでございます。ということは、抑制試験を廃止した場合、この24例が漏れるというか、そういうことになります。

 しかし、この24例のうち19例はHBc抗体陽性で陽性でございました。ということは、HBc抗体検査が陽性ですので、これに基づく通知、遡及調査が開始されることになります。それで、残る5例につきましてはHBc抗体は陰性でございました。この5例のうち、4例については別法ですね。今の方法以外の試薬を用いて検査させていただいたところ、HBs抗原検査が陰性であり、当初のHBs抗原検査と抑制試験の両方が非特異反応であったと考えられます。残る1例につきましては、別法によるHBs抗原検査とHBc抗体検査が陽性でしたが、初回の献血者であり、遡及調査が発生するということはございませんでした。

 一方、抑制試験判定不能とされた91例のうち、88例は個別NATが陰性であり、HBs抗原スクリーニング検査の非特異反応であったと考えられます。残る3例についてはNATが陽性というとですので、こちらに基づいて通知、遡及調査が行われております。

 そこで、めくっていただきまして別紙のところにデータを示させていただいております。

先ほどお話ししたとおり、ここでs抗原の抑制試験を廃止した場合、問題となるところは黄色で出している24例になろうかと思います。この24例のHBc抗体とs抗体の詳細な結果を下に示しております。このうち、6番から24番につきましてはHBc抗体が陽性ということですので、これによる通知と遡及調査が起こる。

 その上の1番から5番についての結果が、次にまためくっていただきましてこの5名の検査結果、スクリーニング結果と別法の検査結果を示しております。それで、このNo.1からNo.4までの4名につきましては別法のHBs抗原検査が陰性でしたので、こちらは非特異反応であろう。

 その下、先ほどもお話をした1つの方ですね。これについては陽性という結果ですが、感染既往の初回献血者である。当然、この方は次回来られたときもほぼ同じ検査結果を示しますので、s抗原は陽性となって輸血用には使われないということになります。

 続きまして、HBs抗原とNATの感度がどんなものなのか、文献的な調査をさせていただきました。個別NATHBs抗原検査よりも感度が高いということが一般に知られておりまして、特にHBV感染初期の連続血漿パネルによる評価において、個別NATHBs抗原よりも早い時期に陽性となることが示されております。

 これは、めくっていただきまして5ページから8ページまでですが、5ページはNATのガイドラインのところでs抗原とNATはどれが早いかという日にちを示しております。

 めくっていただきまして、こちらはいわゆる連続パネルというものでございます。この一番上を見ていただきますと、PHM919-1からPHM919-9まで、これが1人の方のパネルを示します。これでCLIA法を見ていただきますと、プラスになるまでが12日かかる。NATは1の個別のところを見ていただければD0から出ている。全ての例においてもNATが早い、感度が高いということを示させていただいております。

 それで、戻らせていただきまして、結論といたしましては、6カ月の調査において抑制試験と個別NATの検査結果の一致率が97.6%であり、これらは個別NATの結果に基づいて献血者への通知や遡及調査というものを実施することができております。結果が不一致の検体のうち、献血者への通知や遡及調査に影響を及ぼす可能性のある24本につきましては、HBc抗体陽性または個別NAT陽性の結果に基づいて適切に通知、遡及調査を行うことができております。

 以上のように、HBc抗体検査の判定基準の強化と個別NATが導入された現状においては、HBs抗原抑制試験を実施しなくても献血者への通知及び遡及調査への影響はないことが確認されたため、当該抑制試験を廃止することとさせていただきたいと思ってまとめさせていただきました。

 私の説明は、以上でございます。

○浜口委員長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見がございましたらお願いいたします。

 では、大戸委員どうぞ。

○大戸委員 2つ質問したいと思います。

 別法でHBs抗原を再検したということですが、別法とは具体的に何法のことですか。

 もう一つは、1例は別法により陽性であることがわかったということですが、この陽性になった方のジェノタイプとか、誤判断してしまうような検査法が今は使っているのかどうか。

○日赤・平安全管理課長 まず、最初の御質問は今、日赤が使っている方法とは別の試薬メーカーの検査試薬を用いてやらせていただきました。多分、こちらも一般的にCLIA法を使わせていただいています。これが1つです。

 2点目ですけれども、これは個別NATが陰性ですので、ジェノタイプというものはやはりつかまえることができませんので、特異的な方というよりは多分感染既往の晩期の方というような捉え方になるのかなと思います。そういう意味では、解析はできていない。遺伝子型の解析はできておりません。

○浜口委員長 よろしいでしょうか。

 では、ほかはいかがですか。

○岡田委員 このNo.5の症例のことですけれども、個別NATは陰性といいましても例えばHIVの場合にウイルスが存在していてもNATのプライマーがその検出すべきウイルスと一致しない部分があって偽陰性ということが報告されていますが、このNo.5も実はプライマーとこの本当のウイルスとの間で不一致があったために偽陰性になっているという可能性はないのでしょうか。それで、それをこのHBs抗原が検出しているという可能性はどうなんでしょうか。

○日赤・平安全管理課長 一応先生が言われるとおりHIVのドイツでの事例でミューテーションがあって捉えられなかったという事例があって、多分あのときはその変異プライマーを入れるようなやり方で乗り切ったと思いますが、今HBVに関していいますと、そのメーカーさんも私どももNATといろいろな技術を使ってチェックしていますけれども、そういうもので変異等でとれないものがあったということは経験していないということが1つです。

 それから、このデータでHBs抗原のCOI値を見ていただきたいんです。これは3.1というかなり低いというか、こういう値を示されている方ということで、感染既往の晩期で整理できるかと思っております。

○岡田委員 あとは、HBs抗原の確認試験を廃止する一方で、HBc抗体の試験に関しては、例えばこれは生体の反応ですから非特異的な反応なのか、特異的な反応なのか、ちょっと確認ができないと思うので、HBc抗体陽性というだけだとなかなか、今はそれで遡及とかやっていますけれども、一部には本来は非特異的であって陰性だという症例が入っていると思います。それはリスクがないとは言えないぐらい遡及しているということですので、そうなるとHBs抗原の確認試験をしないリスクと、HBc抗体を拾い過ぎるというリスクがあると思うんですけれども。

○日赤・平安全管理課長 確かにHBc抗体で擬陽性のお話がありますけれども、輸血用の血液の安全性という観点からいきますと、擬陽性を陰性と見てどうのという評価をするよりは、そこで輸血用と使用していないというところの安全性の観点で論ずるべきかと私も思います。その観点でいうと、c抗体の非特異というよりはそこら辺で整理すべき点かと私は認識しています。

○岡田委員 NATは非常に感度がいい。これは誰しもが認めるところである一方で、プライマーの設定がウイルスと合わなかったりすると偽陰性になるということで、それを補うということでお互いにNATと血清学的検査というのは相補い合って、それで安全性を高めるということなんですけれども、そうなるとHBs抗原が本当に陽性なのかどうかということはNATで検出できないB型肝炎が存在するかもしれないということを補っている可能性もあるんですね。

○日赤・平安全管理課長 確かに補っているかもしれませんけれども、s抗原で検査不適としているわけですから、安全性には何ら問題はないということですか。

○岡田委員 一応使わないということなので製剤化しない。要するに、s抗原は本当の陽性か、擬陽性かはわかりませんけれども、それは一応使わないということで、安全性は担保できる。その一方で、NATシステムが本当に正しく機能しているかどうか。偽陰性があるか、ないかということを一方ではHBs抗原というのは見ている可能性もあるんですけれども、それを確認試験をなくすことによってNATで検出できないBを発見できるチャンスを失ってしまうということでデメリットがあるかと思います。

 質問の一つには、そのデメリットを防ぐためにはHBs抗原の確認はされなくても陽性になった方が次に来たときに、例えばHBc抗体が陽転化していないかどうか。そういうことを確認することによってNATシステムがちゃんと動いているということが、少し時間がかかりますけれども、評価はできるということで。

○日赤・平安全管理課長 先生が御心配のところは私どもも常に監視しておりまして、今回もここに示している判定不能の群、特にこれは通知を差し上げまして判定不能となった場合は通知を差し上げないということになっていますので、判定不能の方の88名のその後の献血の調査を常に見ています。そこで40名再来されていまして、その中でHBcが陽性になった例は一つもございません。どちらかというと、s抗原のほうが陰性になったものが6割~7割、それは同じ結果を示したもので、抑制試験もまた同じ判定不能というものが3割くらいの結果です。これに関しては監視させていただいておりますので、そういうものが出た場合は中央研究所のほうに検体を送るなりして、早急な解析という体制は既に準備されております。

○岡田委員 そのことは、この確認試験はなくなっても、s抗原陽性を示したものに関してはある程度のところをしてということですね。わかりました。

○浜口委員長 わかりました。

 では、山口委員どうぞ。

○山口委員 今、議論になっていた5番の例なんですけれども、確かにコア抗体で陽性になれば陽性のものを皆はねるという方式になったので、その意味で運営委員会でも出されているように、遡及調査で残ってくるものはすごく少なくなった。多分そこは大きいだろうと思うんです。

 ただ、もう一点、遡及だけの話ではなくて、これはHBVに対して陽性反応がみられたときの献血者への情報提供サービスという面もありますね。要するに、そういうものがプラスになって判定不能となった場合に、その方に推奨しないということが判定不能だからできないのはわかるんですが、例えば一応陽性はあったのだけれども、判定不能でB型肝炎に感染されているかもしれませんという話になれば、それはそれでそういう情報を提供するというのも一つの情報提供のあり方かなという気がいたします。要するに、献血者に対するサービスという意味合いはもちろんあるのかなという気がいたします。

 それからもう一つ聞きたいのは、今、抗原ポジティブで、後でコア抗体ポジティブにならなかった例が結構、数が残っている。これは抗原検査を何年か前に新しく導入されたものの、今のお話を聞いているとコア抗体プラスにならないということは既往歴でないという、いわゆる結構な数の非特定的反応が出ていると考えてよろしいのでしょうか。

○日赤・平安全管理課長 それを結構と言うかどうか、私もこれは数を計算してどんなものかと、非特異例と試薬並みに見ると、その全体の250万本で検討しても非特異例は99.98ぐらいだから、これをどう評価するか。

 ただ、一般的に試薬からいうと非常にいい試薬かなとは認識しています。

○山口委員 感度の点ではそうなんだろうけれども、もう一つは献血者のサービスという面から考えるときにコア抗体を後で測っていただいてネガティブであれば、先ほどもちょっとリエントリーされるかどうかという問題もあるんですが、その場合にはその献血者に関してはB型肝炎には感染していませんよということを明示していることになりますね。それで、そうならなかった場合にはそれが明示できない。その辺のサービスの問題も考えていただく。もしその辺が例えばコア抗原、HB抗原試験でもう少しさらに明確になるのであれば、そういうところはひょっとしたら救えるのか。要するに、サービスという意味で救えるのかなという気がするんです。

○日赤・平安全管理課長 次の検討というか、その次のステップに入った中での検討課題かと思いますので、サービスという観点も見ながら進めていきたいと思います。

○浜口委員長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、意見が出尽くしたようですので、幾つか委員のほうから特に献血者への連絡のサービスについて今後検討していただきたいと要望が出ていますので、そこを考えていただきたいと思いますけれども、この試験の廃止については委員会としてはこれを認めるということでよろしいでしょうか。

(委員 異議なし)

○浜口委員長 では、そのようにしたいと思います。

 それでは、日本赤十字社は今の意見をよく参考にされて対応していただきたいと思います。

 続きまして、資料1-2について日本赤十字社より資料の説明をお願いいたします。

○日赤・平安全管理課長 引き続きまして、私のほうから説明させていただきます。

 「ALT検査による製品除外の見直し」についてでございます。

 日本赤十字社では現在、ALT61HU/L以上の献血血液は、他の病原体検査が陰性であっても製品検査「不適」として輸血用血液製剤や原料血漿に使用しておりません。これにより、年間約500万献血中11万~14万献血が廃棄されております。

 我が国のスクリーニング検査体制は、感度及び特異性の高い検査法を導入させていただいて、ALT検査は過去の肝炎ウイルスを初めとする病原因子の代用マーカーとしての機能が乏しいことから、製品検査としての必要性について検討させていただきました。

 「スクリーニングの現状」でございます。まず、1989年にHCV抗体検査とHBc抗体検査を開始し、1999年にプール検体によるHBVHCVHIVの核酸増幅検査を導入しました。その後、プールサイズの縮小を経て、2014年8月より個別検体によるスクリーニングNAT、個別NATの導入をいたしました。また、2012年よりHCVの判定基準の強化ということで、HBs抗体価200mIU/mL以下のHBc抗体陽性血液をすべて排除しております。

ALT検査は、non-A non-B型肝炎の代用マーカーとして1981年より開始をしておりますが、当時は36カルメン単位を上回る血液を製品から除外しておりました。現在は、旧カルメン単位との同等性から61IU/L以上を製品の「不適」とさせていただいております。

 そういう中で、AUTの見直しに関して少し問題となるものは何かということで、次の「ALT値と血液の安全性について」ということでまとめさせていただきました。

 まず、HEVが挙げられるのではないかと考えています。北海道血液センターにおいて、2005年1月から2006年2月まで、この当時は20本プールでございますが、それまでの間の献血341,174本中、HEVの陽性件数は45件、0.013%でございました。このうち、ALT61IU/L以上のものは6件、HEVの陽性の45件中で見ると13%で、全体の0.0018%でございました。それで、ALT60以上にフォーカスを当ててみても、この件数は0.08%と極めて低い頻度でございます。その後、2014年8月の個別NAT導入により、ALT61IU/L以上のHEV陽性血の比率はさらに低くなっております。

 そちらをめくっていただきまして、5ページを見ていただければと思います。まず、この5ページの上のところが北海道ブロックセンターで、20プールでやってきたところでございます。これを見ますと、60以上のところで陽性が6本、ここの60以上を示した検体数が7,169本ですので0.008%となっております。

 下には、去年の8月以降の個別NATの状況を示しております。これを見ますと、頻度自体は下、60以下のところでの陽性が若干ふえているかと思っています。

 また戻っていただきまして、ALT61以上のHEVの捕捉率という観点で見ますと、HBc抗体の陽性全排除、いわゆる範囲基準の強化ですが、これよりもかなり下回る。すなわち、両方のスクリーニングによる陽性率のオッズ比、リスク比はともに8.2です。CI3.618.7で、ALTによるHEV検出効率はHBcによるオカルトHBV検出の8分の1以下でございます。また、検査法としての的中率から比較しますと、ALTによるHEV的中率、先ほど0.08%でしたので、それの数です。0.0008HBc抗体による個別NAT陽性的中率、0.0194、これから見ると単純に20分の1以下ということでございます。

 さらに、ALT検査にしきい値を設定した場合としない場合で、その捕捉率の有意差はあるかということで確認しましたが、有意差というものはございませんでした。

 こちらについては、一方、食品衛生法に基づく規格基準の改正によって、HEV感染の主たる原因である豚の食肉を生食用として販売することが禁止されたことから、さらにHEVの陽性の献血は少なくなることを予想しております。

 続きまして、問題として挙がるウイルスとしてはサイトメガロとEBVがあるのではないかと思っています。サイトメガロ、EBVともに、その初回感染時にはしばしば肝機能障害を伴いますが、そういう観点からいうとこの障害を伴ったALTからサイトメガロ、EBVウイルス陽性の献血を排除できる可能性はございますが、日本の輸血用血液製剤は全て保存前白血球除去が実施されております。CMVEBVは、ともに血中では通常白血球に結合しており、保存前白血球除去によってそのほとんどが除去されております。

 なお、白血球除去後の血液によるサイトメガロの感染性は極めて低いことは、既に多くの今までのスタディーによって示されております。

 さらに、CMV感染のリスクのある受血者、極低出生体重児等につきましてはCMV抗体陰性血を供給する体制を既に私どもは持っております。また、輸血によるEBV感染が問題となった例はこれまでも世界で報告されていないというところから見ましても、こちらの2つのウイルスに関しても特段大きな問題はないと認識をしております。

 引き続きまして、では日赤としてどういうものがやれるかということで「ウイルスの網羅的解析」をやらせていただきました。これは、ALT60以下と61以上のこの献血血液について、次世代シークエンサーを用いまして、そこにはどういう病原体のウイルスがいるかという核酸塩基配列を網羅的に解析させていただきました。それで、ウイルスの中で最も高頻度で出たものがAnellovirusでございますが、そのほかHHV-6GBV-Cがともに1%の頻度で検出をされています。いずれも病原性はないとされているところから、ALT高値群献血者から病原性のあるウイルスというものは検出されず、一般的にウイルスや細菌の塩基配列の検出率と多様性に関しては、ALT値に何か差があるというような関連性は認められませんでした。

続きまして、では今まで日赤が持っているデータの解析を少しさせていただきました。「献血者におけるALT上昇の原因について」でございます。こちらは、2011年から2013年に採血された血液1,5909,375本を対象に、クラスタリング手法と決定木手法によってデータマイニングを行いました。ALT60以下、または61以上であることと強い正の相関を示したものがBMIとγ-GTP、及び年齢であり、今、私どもがやっている肝炎関連の検査の項目は全く関連性を示していなかったということが示されました。それで、こちらが日赤の安全性の中で評価したところでございます。

 次に、「ALT値による献血血液の排除の状況」でございます。こちらは、めくっていただきまして別紙2、7ページのところでございます。この肝機能ALT値、赤で四角で囲っていますが、この緑というか、これは平成9年が183,271本、ALT検査によって廃棄をされたということです。それが年々減少したというか、今は大体11万から14万で、24年であれば12万程度で検査をしているような状況です。

 その下のところは、2014年の8月から2015年の1月までの250万の献血者の分布を示しております。これはちょっと御参考までにということです。そういう意味では、現在でも年間11万人が不適となっているというのが現状でございます。

 では、ALT値で海外の行政等はどう取り扱っているのかということを少し調査いたしました。WHOについては、ALT検査を血液の安全性を高める意義はないと結論づけております。それで、米国のFDAについては精度の高い検査が導入されたことにより、1995年にALT検査を廃止しております。

 欧州の状況ですが、欧州46カ国中、ALT検査を施行していると記載されているものはロシアとルーマニアのみでございます。スイスは2010年にALT検査を中止していますが、こちらはALT検査を中止したことによる輸血後感染症の発生状況等は変わってございません。アジアでは、台湾がALT検査を継続しているところでございます。

 まためくっていただきまして、9ページでございます。これはWHOのスクリーニングのトランスフュージョン・インフェクションに関するリコメンデーションでございます。こちらは下のリコメンデーションの表の4のところ、ALT検査のスクリーニングは表記しない。

 次をめくっていただきまして、こちらはAABBのブルーティンでございます。こちらは、AABBのブロットバング・トランスフュージョンのスタンダードの16改正のときにALTのテストは必要ないということが出て、右の下のところに括弧囲いをしていますけれども、斜線で消された。17改正からは、ALTに関する記載はなくなったというところでございます。

 それと、ドイツもほぼ同じような見解が2003年に国のほうから出て、2004年に検査を廃止しております。その波で、フランス等についても中止という流れが行政的に必須じゃないという流れで進んでいるところでございます。

 次のページが先ほどのヨーロッパの状況を示したもので、こちらはめくっていただきますと13ページ目、赤線にあるルーマニアとロシアがエブリドネーションにやっているという記載がございました。

 次のページがスイスの状況で、こちらは2010年よりALT検査を終了しておりますので、その前後のヘモビジランスのフュージョン・トランスミッド・インフェクションと抜き出しました。こちらについても何らやめたことによってウイルスか何かが出てきたとか、そういうことは確認されてございませんでした。これが、一応海外の状況でございます。

 5番目、「献血者の確保対策」でございます。我が国では、本格的な少子高齢化社会の到来により、献血可能人口の減少と血液製剤の需要増加が予想されております。種々のデータから、2027年には延べ数ですが、545万の献血数が必要と推測される一方、期待される献血数は459万と試算されております。献血数が約85万不足することが予想されております。

 それで、献血可能人口が減少するばかりの今後、この85万の献血を新たに得ることは極めて困難なことが想定をされております。そういう意味では、現在の採血状況では何らかの効果的な戦略の導入が必須な段階にあるのではないかと考えております。そういう意味では、現在ALT値により製品から除外している12万の献血血液を有効に活用することは、将来予想される不足分を相当の割合まで充足させるとともに、献血者の善意に応えるのではないかと考えております。

 こういう中で「結論」とさせていただきまして、特異的な高感度検査法が導入された今日、HBVHCVの代用マーカーとしてのALT検査の意義は既にない。また、肝障害を起こすその他のウイルスを検出するマーカーとしてのALT検査の意義もほとんどなく、かつ非効率的であり、献血血液の安全性向上には寄与していないと考えます。これらのことから、ALT検査を製品検査から除外することとさせていただきたい。

 なお、こちらについては献血者の健康サービスでの通知の中で、生化学検査サービスとしてのALT検査は継続することといたしますが、ALT検査の製品という観点から除外することにしたいと考えております。

 私の説明は、以上でございます。

○浜口委員長 ありがとうございました。

 それでは、委員の皆様からの御意見をお願いしたいと思います。

 では、山口委員どうぞ。

○山口委員 まず2点ほど教えてください。

ALT検査については今度継続されるというか、これはサービスとしてやるということですけれども、その場合に非常に高値なALTも輸血をすると全部使えるとするのか。

○日赤・平安全管理課長 そこは次の議論かと思いますが、今パニック値というのが1,000となっていますけれども、それ以上のものについては輸血用には使用しないとか、そういうやり方の手だては講じる必要はあるのではないかと思っています。

○山口委員 その辺はある程度きちんと分けておかないと、サービスとやる話と、確かに当初、昔やっていたnon-A non-Bの代替マーカーというのが余り役に立っていないというのが非常によく理解はできるし、ドイツがやめたときもちょっと議論にはなったんですけれども、ただ、ではALT値を青天井にしていいのかという話とはちょっと別の問題のような気がいたします。

 その辺は、やるとしたら明確なこれ以上、あるいは他の病気との関連もございます。要するに、ウイルス感染以外のものですね。そういうものも含めて、もし変えていくんだとしたら一斉に青天井にしていいんだとか、そういう議論とある程度区別をすべきというところを議論させていただいたほうがいいのかなという気がちょっとするんですけれども。

○日赤・佐竹経営会議委員 それは、全くそういうふうに我々は考えています。

 ただ、基本的には今100を超えますと本人への通知のところには全員に医療機関の受診を勧奨していますので、そういう意味では100でも1,000でも受診はするのですが、さらにもうひと押しでドナーの方への例えば1,000とか、パニック値のときはこれから考える必要があるかと思います。

○山口委員 そうすると、例えば今その議論を聞いていると、100というものに対して一応アナウンスするというサービスをする。要するに、ある程度のリスクを考えておられるとしたら、その青天井にされるという議論とはちょっと矛盾しているような気もするんです。その辺は、御説明にあったようにもう廃止する。血液製剤として使用を判定するにはもう使わないという話と矛盾とは言わないんですけれども、そういうふうにサービスされている話とちょっとそごがあるのかなという気がいたします。

 それから、先ほど60以上で分けて説明していただいたんですけれども、層別した場合に例えば高いALT、いろいろALTを層別化したときのウイルスの検査のデータとか、そういうものがありますし、要するに60100、あるいは100200200以上という話として。

○日赤・平安全管理課長 次世代シークエンサーのウイルス網羅的解析ですか。そちらはデータとしてございまして、高いからといって何かがということはないような結果が出ていたと思っています。

○山口委員 高いものは出てこないということでしょうか。

○日赤・平安全管理課長 特に出ていなかったデータが出ています。

○白阪委員 ALTが高い方はBMIが高いのと相関しているという御指摘があったように、臨床の現場では脂肪肝とか、そういう方も多いので、医療を進めていただくのはいいことで、それは感染症を余り念頭に置かれていないという考え方でいいようには思います。

○長村委員 61以上という事なのですけれども、私も先ほどの山口先生と本当に同意見で、レンジが書かれていないのでマックスは幾らなのか、中間値は幾らなのかというのはわかりますでしょうか。一般診療でも既往の方とか、割と飲酒で150200とか、結構みかけますけれども、そうした場合、結局本当にこの61は関係ないからいいのかという判断にはいきなりはならないかと思います。

○日赤・平安全管理課長 一応、日赤が持っているデータとしては、基準をつくったときに全データ平均は18になっています。そういう意味では、一般的に今、基準値と申すところの平均プラスマイナスが2SDで大体とられているかと思います。その値が全部データで49ということになっていますので、今、日赤の研究室ではサービス通知にお出しするところの基準値といたしましては上限を49ということでさせていただいております。

 それに、先ほど佐竹が言った101という値は、以前の肝炎の診断の中で100以上というところと、その施設上限値の2倍というところがありましたので、100というところを定めさせていただいて、この通知のおはがきにはマークがつくようになっているということです。

○長村委員 そうしますと、マックスというのは大体どのくらいですか。陽性者の中での層別化ですか。陽性というか、61以上ということですか。

○日赤・平安全管理課長 こちらは別紙2の下のところに示させていただいておりますが、これは200以上ということでまとめさせていただいていますが、データを見たときに1,000の方はいなかったと記憶しています。

○山口委員 それと、HEVのデータについて恐らく今ちょうど過渡期にあるというか、確かに古いデータと個別NATをやったときのデータから比率だけを出すとそうなんですけれども、個別NATをやることによってHEVの陽性率が5倍くらい上がったんでしょうか。結局、前のステージではそれだけすり抜けていたということですね。要するに、20ミリプールでやっていたときには。

○日赤・平安全管理課長 そういう言い方をするとですね。

○山口委員 それで、実質上、それほどの目立った有害事象までは報告されていない。

 ただ、陽性血がどう使われていたかは実際になかなか考察することも難しいとは思うんですけれども、ただ最初のころに北海道の解析をしようとし始めたときにも、ALT高値の方の中に多かったとか、そういう説明を日赤はされていたわけですね。だから、そのころはそういう発想からまずきていたのでしょうし、今もしHEVの個別NATになることによって、実際上キャリア率というのは結構高いとも考えられるかもしれない。すなわち個別NATになって、そういうことがまた新たなデータがわかったわけですね。そういうデータをむしろさらに蓄積して本当に個別NATでどのくらいの陽性率があるのか、またつい最近開始されたブタレバーの生食の禁止措置とか、いろいろ状況が変わりつつあります。従って、そういう状況変化が起こることも含めて今ちょうど過度期にあるようにおもうわけで、そういうものもきちんとしたデータをもう少し蓄積されてから実質、青天井でいくのか。例えば60101未満にするのか。そういう議論は、やはりしたほうがいいのではないかという気がするんです。

 それで、そのついでにちょっと聞きたいんですけれども、60101とすることによって先ほど今、使用できなかった血液製剤はどのぐらい救えるのか。その辺がわかりましたら、かなりの数になるんではなかったでしたか。

○日赤・平安全管理課長 これは資料にございますけれども、10万くらいには。

○山口委員 そうですよね。それで、将来のことを考えた輸血の人口、献血人口を確保するという意味でもかなりの改善になるような気がするんです。

○日赤・平安全管理課長 先生、ちょっと教えてもらっていいですか。今、HEVのキャリアと言われましたけれども、その言葉はちょっと違いますね。定義自体、不顕性感染もいっぱいおられて、多分低濃度をつかまえているということですから、この方々は発症も何もされていない方で、そこはまた教えてください。

○山口委員 わかりました。

○浜口委員長 ほかはいかがですか。

○岡田委員 今ALTで基準を設けて、それで実際感染症と関係なくALTが高いという人を救おうということですけれども、今、脂肪肝の人が大分恐らく対象になっていると思うんですが、やはり原因がわからないのに肝機能が高いという人はちょっと安全面では不安があるんですけれども、一方、体重とか、γ-GTPとかから脂肪肝の状態だというふうに考えられるような人を救うというか、そういう条件を満たしている人であればALTが上限をつけて100とか200以内であれば採血するということで、ALTが上昇している原因が脂肪肝に結びつけそうな人からはとるけれども、それから外れているような人はまだ安全性がわからないので使わないという選択肢でもいいと思うんです。そうすると、かなりの人が救えるのではないかと思います。

 例えば、相関があったときに外れている人がいるわけですね。そういう外れている人は使わないほうがいいかと思います。

○浜口委員長 その脂肪肝のチェックまでできますか。

○日赤・佐竹経営会議委員 それは非常に難しい話かと思います。ということは、シンプルにいえば60以上に上がった人で脂肪肝と診断された人は受けるという形になるわけです。それは、問診の現場といろいろなところでは不可能ではないかという気がいたします。極めて臨床的な話になると思います。

○岡田委員 そこにBMIとγ-GTPは相関があるということで、その確定は無理だとしても一応体系的に、そうしないとなかなかALTが上昇している原因というのが不明のままということだと、なかなかその安全性を考えると厳しいのではないかと思います。

○白阪委員 非常に難しい議論になっているように思います。感染症とそれ以外に分けて考えていただく必要があると考えます。今、日赤が示されたデータからは感染症についての危険性は非常に少ないんじゃないかと考えます。そういう意味でALTを外しても良いのではと思いました。

 しかし、サービスという観点からは、脂肪肝であるとか、アルコール性肝障害とかの健康上の問題を、日赤さんがつかまえて、献血者にお知らせされるのは理解ができます。ただ、献血者の健康維持の目的でサービスの一環としてALT検査をされても良いと考えます。ALTを感染症の発見の目的で継続されることについては、議論のとおりでALTを外されてもいいんじゃないかと思います。

○浜口委員長 ほかにいかがでしょうか。

 では、新津先生どうぞ。

○新津委員 例えば自己免疫性肝炎とか、甲状腺の機能の亢進症とか低下症の患者さんでやはり肝障害が出ている方がいて、症状がないのでほとんど調べられていない方がいるのですが、そういうデータとの相関性とか、ちょっとALTだけ上がっていて、最近やはり自己免疫性肝炎とか、甲状腺を調べると異常があるという方が結構いらっしゃるんですけれども、その辺の抗体がやはり入ってしまうということがありますが、その辺との相関は調べていらっしゃいますか。

○日赤・佐竹経営会議委員 これは問診のレベルですけれども、自己免疫性肝炎とか、その辺のところは問診のレベルでは全部排除された形にはなっております。それから、その他の自己免疫性疾患も多くのものは問診のレベルで外されています。

 それで、実際にそういった患者さん、それでも申告なし、あるいはわからないで献血された方が問題だということだろうと思いますけれども、そういったことが献血の血液からわかるということはほとんどあり得ないので、そういった相関というのは見ることはできません。

○浜口委員長 どうぞ。

○長村委員 1つ教えてください。EBウイルスの伝染性単核球症とかありますけれども、ちょうど若い年代がなる20代、1825とかくらいですが、これをディテクトするのはどのようになっているんですか。問診でしょうか。海外はEBも例えばNATのようなものでやられているのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。

○日赤・佐竹経営会議委員 海外でEBNATでやっているところは一つもございません。

 それから、実際にこの輸血医療の現場で、世界でEBウイルスの輸血による感染そのものが問題視された事例はこれまで報告として一例も聞いておりません。

 もう一つは、EBウイルスもヘルペスウイルスの一つとして白血球とのアソシエートがありまして、現在白血球除去を全部ユニバーサルでやっておりますので、万一それが白血球による持ち込みが危惧された場合でも、ほとんどのものがEBウイルスは白血球とともに除去されることは予想されますし、そのことに関する論文も既に出ておりますので、そのこともCMVと同様のレベルでリスクというものは極めて低いのではないかと思っております。

○長村委員 造血幹細胞移植後の患者さんにかなり輸血がされますね。それで、HHVとかの脳炎とか、それからEBに関しても全否定されたわけではなくて、たしか1例、それは移植によって感染したという報告があったと思うんですけれども、その辺は実は私もこの前ちょうど伝染性単核球症でやはり800とかGOTとかになっていた症例を見ましたので、ある程度やめていくにしてもちょっと段階は要るのかなとは思います。

○浜口委員長 ほかはいかがでしょうか。

 では、どうぞ。

○山口委員 EBとか、その辺の話で、要するにFDAのガイドラインでHBVとかHCVとかHIVもちろん検査をするということになっていますけれども、ほかのいわゆる一過性の感染症に関しては費用対効果から検査の必要性をする。でも、全検査をするということまでは求めないという考え方だと思うのです。実際上、非常にまれな感染だと思いますし、リスクがゼロという話ではもちろんない。要するに、リスクはあるのだけれども、一過性の感染のものに関してはその費用対効果からそれほどの投資をするのは必ずしも合理的ではないであろうという考え方だと思うんです。そこがちょっと違うのかなという気がいたします。

○浜口委員長 ほかはいかがでしょうか。

 委員からの意見も出たところなんですけれども、今後血液をどう確保するかという観点からは、できるだけ救えるものは救って使うという方向性については皆さんの了解をいただいたと思います。一方で現状において例えばALTの基準値を設定せずにやめるということでなく、段階を踏んで考えたほうがいいのではないかとの意見が出ました。

 それから、先ほどの疫学調査のデータも少し参考に入れながら、念には念を入れてはどうかとの意見も出ましたので今後の継続的な検討課題とさせていただきたいと思います。今日委員のほうから要望として出た内容についての回答が出ましたら、検討していきたいと考えますが、それでよろしいでしょうか。

○岡田委員 例えば、このALTが高い血漿をとりあえずは原料血漿に使うというのはどうなんでしょうか。メーカーさんは嫌がるかもしれないですけれども。

○浜口委員長 いずれにしても、その数値をどこにするか。そのときのリスク評価を決めてということではないと、血漿だったら大丈夫というのはちょっと今ここでは考えにくいかと思いますので、検討を少しやっていただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 それでは、皆さん御異議ないようですので、そういう方針でいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして議題3、「血小板製剤に係る病原因子低減化技術導入の検討状況について」、日本赤十字社から御説明をお願いいたします。

○日赤・五十嵐副本部長 それでは、資料2をお願いいたします。「血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入について」です。

 まず1ですけれども、「感染性因子低減化処理血小板製剤の検討の経緯」ということです。日本赤十社では、第1に重篤な副作用が懸念される細菌感染症、第2に新興再興感染症に対する対策として、血小板製剤への感染性因子低減化技術を評価してきました。その結果、薬剤の安全性が確立しており、日本の血液事業への適合性の高いミラソル(リボフラビン十UV照射)について検討することと、血液事業部会でそういう結論になりまして、これまで事業部会、運営委員会、安全技術調査会においてその導入に向けた検討を続けてまいりました。

 その間、日本赤十字社では問診の強化、皮膚消毒法の改良、白血球除去・初流血除去の導入、出庫時における外観確認等の細菌対策を進めた結果、200610月の初流血除去導入以降、毎年1例弱の輸血感染と数件の輸血を回避できた細菌混入例の報告はあるものの、幸い輸血細菌感染による死亡事例は発生しておりません。

 別紙1ですけれども、3ページ目に別紙1をつけてございます。苦情品、あるいは製品抜き取り試験における細菌検出状況ですけれども、平成24年度、25年度、26年度の実施件数として見つかった細菌等を記載してございます。

 戻っていただきまして、日本においても、デング熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などのように、新興再興感染症の新たな輸血感染症発症の懸念が高まりつつあります。

 今般、感染性因子低減化処理血小板製剤の臨床試験の準備を進めるに際し、上記の状況や各国の導入状況等を6月23日に開催された血液事業部会運営委員会に報告したところ、血小板製剤への感染性因子低減化技術の導入目的等について、改めて本委員会の御意見を伺うことになりました。

 運営委員会に報告したときに添付した資料が、6ページ以降に添付してございます。6ページには、感染性因子低減化技術で日赤で評価したミラソルのデータ、それと対比する形で文献等より抜き出してまいりましたインターセプト、Cerus社のデータを掲載してございます。

 7ページ以降、何枚かにわたりまして各国の導入状況等についてまとめた表を添付してございます。血小板製剤に対して国として全製剤を処理、低減化処理をしているというのは8ページ目のスイスとその隣のベルギー、欧米諸国ではこの2カ国のみとなっております。

 それで、11ページ目のクウェート、カタール、それとその裏にいきましてサウジアラビアあたりについては産油国ですけれども、全数を処理している。ほかの国につきましては、製造所ごとで導入するかどうかを検討しているような国が多いということになっています。

 さらに、13ページ以降には先般AABBが開催した低減化技術のシンポジウムの要約がABCニュースレターに出てございましたので、それの本文と仮訳を17ページ以降に掲載してございます。

 最後に、細菌感染の年次推移ということで、日赤の結果と、下のほうにはFDAの死亡報告の結果が出ております。日本においては、2006年の白血球の初流血除去導入以降、細菌感染による死亡例は出ておりませんけれども、血小板製剤につきましては年に1例程度の感染症としての報告があるという状況になってございます。

 1ページ目に戻っていただきまして、「2.感染性因子低減化処理血小板製剤の導入について」ということで、細菌対策または新興再興感染症対策として、血小板製剤に感染性因子低減化技術を導入する際の考え方や問題点を下表に整理しました。また、ミラソルとインターセプトの比較を別紙2に示しております。

 まず、血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入目的とその考え方ですけれども、冒頭に述べましたように血小板の導入目的としては細菌対策と新興再興感染症対策ということできております。それで、細菌につきましては血小板製剤に起因する死亡事例は極めて低くなってきています。ただ、輸血感染事例や輸血前に回避できた細菌混入例が発生していることは事実です。細菌感染症は重篤となる可能性が高く、低減化技術を導入する第一の目的というのは今でも変わらないと考えております。

 一方、新興再興感染症対策としてですけれども、発生時には赤血球製剤や血漿製剤への対策も考える必要がありますので、まず献血制限や新たな検査法の導入を検討することになります。これらの対策で対応できない場合に、血小板について低減化処理製剤の供給を考慮するというような考え方になろうかと思います。

 そのときの供給体制ですけれども、細菌を対象とした場合は常時、全ての血小板製剤を処理する必要があろうかと思います。

 一方、新興再興感染症の場合は緊急時、地域限定で当初は行い、必要に応じて全国展開になるかということになります。

 課題としては、細菌対策として採血、製造時の機材・資材の変更及び供給体制の見直しが全面的に必要になるということと、全国展開、全製剤の処理ということになりますと、その処理、経費がかなりの額になるということが挙げられます。

 一方、新興再興感染症としましては、対象とすべき感染性因子の輸血感染症としての評価、感染性でありますとか流行の拡大性、重症度、低減化効果などについて定まっていないということがあります。

 さらに別紙2ですけれども、4ページ、5ページになりますが、これにつきましてはこれまで報告してきたものをまとめたものとなりますので、随時参考にしていただければと思います。

 戻っていただきまして、2ページ目です。新興再興感染症が発生した場合は、赤血球製剤や血漿製剤についても対応する必要があり、新たな献血制限や検査の導入を考慮することになります。一方、輸血細菌感染症はまれではあるが、発生した場合は重篤となる場合が多いため、低減化製剤を導入する主目的は細菌対策と考えていますが、採血から供給まで大規模な業務の見直しも必要となるため、供給開始時から全ての血小板製剤を低減化処理することは困難だろうと思っております。

 そのため、当初は、地域または医療機関を限定するなどして処理製剤を供給することから開始をしていきたいと思っております。また、免疫抑制状態など、感染症に対するリスクが高い状況にある患者には、医師の要請に基づいて供給することも考慮できるかと思います。さらに、新たな輸血感染症が発生し、献血制限や検査で対応できず、低減化処理が適切と考える場合には、速やかに製造地域や製造本数を拡大していきたいと思います。

 一般にミラソルによる病原因子の低減化率はインターセプトよりも低いということは事実でございますけれども、必要最小限の細菌の低減化は期待できます。ミラソルを選択するに当たっては、次の利点を考慮しております。

 まず、現行の血小板製剤を原料としてそのまま使用できる。

 残存する光増感剤等の吸着除去工程が不要なため、より短い時間で製造可能である。

 リボフラビン及びその光分解物に慢性毒性の懸念がないということ。

HEVなどのnon-envelopeウイルスに対しても一定の低減化効果が認められていること。

 インターセプトも現状の血小板製剤を原料として使用可能との情報は得ておりますけれども、4時間以上の吸着処理時間を要する上、臨床使用の実績についてはまだ情報が得られておりません。

 以上より、現時点においてはこれまで検討を進めてきた100%血漿の血小板をミラソル処理した血小板製剤の臨床試験の準備を継続することとしたいと考えております。

 また、今後、血漿の多くを血小板用添加液(PAS)で置換した血小板製剤へ移行することを計画しております。これについては今後検討していくわけですけれども、こちらのPASを置換した血小板用の低減化技術についても並行して検討していくこととしたいと考えております。以上です。

○浜口委員長 ありがとうございました。

 皆さんの意見を伺う前に、少し私の頭の中の整理をしておきたいのですけれども、これまで日赤ではミラソルの検討をずっと行ってきて、主に血小板の細菌感染に対する対応が十分であろう検討している一方で、新興再興感染症に対する対応については場合によってはミラソルでは不十分かもしれないというようなデータがこの中には入ってはいます。

 それで、今後日赤がこのまま血小板における細菌感染に対しての対応を優先してやっていくのか。それとも、一方でこういう低減化ということはやはり新興再興感染症を対象にしてやっていったほうがいいのか。そうなった場合には、ミラソルとは異なるものについてもさらに検討を加えたほうがいいのではないか。そういうことを、悩んでいるということなのでしょうか。

○日赤・佐竹経営会議委員 まずはミラソルで進めていきたい。細菌感染症に対する対策としてミラソルを進めていきたいということです。

 ただ、状況によってこれからも非常に広い範囲での新しい新興再興感染症が出てミラソルでは対応できないということであれば、別の方法もこれからもちろん考えなければならないというふうには考えています。

○浜口委員長 そうすると、今やられていることに対してもう一度ここで確認をしたいということでよろしいでしょうか。

○日赤・佐竹経営会議委員 はい。

○浜口委員長 わかりました。

 それでは、委員の先生方からの御意見をお願いいたします。

○大戸委員 2つ確認しておきたいのですが、1つはこの新しい技術、ミラソルにしろ、ほかの技術にしろ、かかるコスト、初期投資及び維持経費、その観点からの判断材料を出してほしいということです。

 もう一つは、多くのこれらのデータはアメリカ、ヨーロッパでやられたデータを私たちがそのまま黙って使っているという方法できたわけですけれども、これからまたそれを踏襲するのか。それとも、日本できちんとした介入試験を行って、日本からも後々、評価できるデータ、臨床研究を行っていく必要があると私は思っている。その2つを提案したいと思います。

○日赤・五十嵐副本部長 経費については今後計算をさせていただきますけれども、今、佐竹が申しましたようにミラソルについて一歩進める段階に今はきております。それは、実際に臨床試験を始めるという段階にきておりますので、今回改めてこういう目的でやらせていただいていいかということをお伺いしているということです。

○浜口委員長 臨床試験は日本でのデータを当然これからとっていくということになるんですか。

○日赤・五十嵐副本部長 はい。

○浜口委員長 ほかはいかがでしょうか。

 では、岡田委員どうぞ。

○岡田委員 これまでに何回も病原性の因子の低減化ということで議論が行われてきたんですけれども、これまでの流れでミラソルか、インターセプトかということで、今、実用可能な方法としてはこの2つしかないんですが、過去の議論でインターセプトに関しては欧米使用のキットなので日本に合うようなキットがなかったので、欧米向けのキットに合わせるようなシステムにせざるを得なかったんです。そうなると、すごいコストがかかってしまう。

 一方、ミラソルのほうは不活化に用いる化学物質がビタミンなので安全性が高いし、しかも日本のシステムをそんなにいじらなくても実施できるということで、その当時は一応血小板の細菌感染が問題になっていたので、そういうことでウイルスに対する不活化効率は悪いけれども、細菌は十分対応できるだろうということでミラソルのほうを進めるということになったんです。

 それで、これを見ると4ページにありますけれども、インターセプトに関しても一番下に日本の現状に合ったようなキットが可能だということが書いてあるんです。そうすると、前に障害になっていたシステムを大幅に変えるという必要性はなくなったというか、低減したと思うんです。

 一方、細菌感染に関しては今、白血球除去と初流血除去と、あとは臨床の現場ではスワリングを非常によく確認しています。その効果によって、スワリングがない血小板を使わないとかということで、血小板の細菌感染の混入があってもその患者さんに使用する前に一応発見できるということで、今、年間に1例弱ぐらいの症例まで不活化を導入しなくてもいっているんですね。

 その一方で、新興再興感染症に関しては去年デングが起こったりとか、ことしは韓国でMARSが起こったり、それが直接輸血の安全性にどの程度影響を及ぼすかは別にしても、やはり新興感染症というのは今、毎年のように起こっているということを考えると、過去に議論した細菌感染に重きを置くよりも、やはり新興感染対策のほうに重きを移さざるを得ないというのが現状だと思います。

 そう考えると、ウイルスに対する反応、不活化効果が高いというものに方法を変えるというほうが、今後ある程度お金がかかると思うんですけれども、より適切ではないかと思います。以上です。

○浜口委員長 コメントをお願いします。

○日赤・佐竹経営会議委員 この3ページのところに「苦情品・製品抜取試験における細菌検出状況」というものがございます。先ほど五十嵐が申しましたように、感染例としましては年に1例かそのくらいということではあるんですけれども、実際には外観試験等をいろいろやっておりますと、ここにありますようにやはり年間に4~5例くらいの細菌にコンタミしたものが見つかっております。

 それで、我々の認識としましては本当に汚染としてセプシスを引き起こす本当にすれすれの直前の段階でようやく抑えているというのが現在の日本のPCの安全性の状況ではないかと思います。ですので、わずかなタイミングの違いとか、あるいはバクテリアの種類の違いで感染症は起こり得るものだということが我々の認識ですので、やはりバクテリアのリスクは去ったものというふうには、もちろんここで委員の方も去ったとは言っておりませんけれども、そういうものであって、やはり潜在的に非常に大きなリスクを抱えているという認識でおります。

○濱口委員長 ほかはいかがですか。

 では、山口委員どうぞ。

○山口委員 先ほどからお話を聞いていると、細菌感染のほうを主にしたいのだけれども、実質上、全例にすぐ導入できるわけではない。要するに、時間がかかりそうだとのことかと思います。それで、結局その全例に導入すると毎年500万本のものをやることになるわけですね。それだけの費用対効果というか、先ほど岡田先生がおっしゃったようにかなり臨床現場ではそういう細菌汚染に対して使用前の厳密な検査が得られているという状況を考えると、これは全例に全部変えていくのだという趣旨であればもうそういうことなのかもしれませんけれども、それだけの費用対効果があるのかどうか、ちょっと疑問に思う点がございます。

 それからもう一つは、やはり新興再興感染症に対する対応ということにした場合、むしろミラソルのほうがそういう対応が広く使えるのであればその検討もすべきではないかという気がしているのです。

 それで、前のときに日赤が出されたデータで今回も出していただいているのですけれども、ミラソルとインターセプトでどれだけの不活化効果があるかということを表にしていただいています。この場合もミラソルの会社のほうのデータと日赤のデータが少し差異差があったように記憶しております。幾つかのウイルスについては、ミラソルを日赤でやられたときには十分な効果がなかった。そうすると、例えばインターセプトをもし候補として挙げていただくとしたら、それもやはり日赤できちんと評価をしていただく必要があるかと思います。

 だから、もし新興再興感染症にもターゲットを広げるのであれば、そういうふうな評価もした上で、今こっちしかやられていないので、こちらもやった上でどれが一番いいのかという判断をしていく必要があるのではないかという気がするのです。

○浜口委員長 コメントをどうぞ。

○日赤・佐竹経営会議委員 その御意見はよく理解できますので、そういったことも考えながら進めていきたいと思います。

○浜口委員長 ほかはいかがでしょうか。

 では、ちょっと私のほうから、実は海外の会議に出たときにこういう不活化を導入した後に非常に血小板の需要が高まったという発表を聞いたことがあります。それはどうしてだ聞いたら、非常に安全性が高まったので皆、好んで使うようになったという答えが返ってきましたが、それは果たしてそれだけなのかなというのもあります。

 今日資料をたくさんいただきました。一部にはこれは不活化を入れても基本的には医療費もそれほど圧迫していない。それから、そんなに血小板の活性化のほうにも大きな影響を与えていなさそうだという資料は入っているんですけれども、果たして各国の血小板の需要がどういうふうになっているのか。個人レベルでいったときに大して差はないということでしょうけれども、場合によってはかなりのバック数、同じ治療をするにしても血小板が必要になるとか、そういったようなデータというのもぜひ見たいと思います。

 それで、今日のデータとして入っていませんけれども、もしそういったものも見せていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○日赤・五十嵐副本部長 先ほど500万本という話でしたけれども、血小板だけですと80万本くらいです。それで、新興感染症の対策として血小板だけでいいのかという話がありまして、例えばウエストナイルですと我々はNATを実施できるような対応をとっているわけで、赤血球や血漿についても考えなければいけないというところがございます。

○山口委員 多分、新興感染症で検査ができるときはいいんでしょうけれども、検査が確実でないときとか、そういうときには当然その対応が求められるだろうという気がいたします。

○岡田委員 確かに今、赤血球製剤の不活化の方法はないので、対象となるのはFFPと血小板なんですけれども、感染症の種類にもよりますが、例えば赤血球であれば有効期間は3週間なので、ドナーが発症するか、発症しないか、ある程度経過を見るんです。そこで選別することが可能ですけれども、血小板に関しては4日間しか有効期間がないのでそういう選別もできないということで、その検査体制が確立するまでのつなぎとして地域限定で導入するということは、私はメリットがあると思うんです。

 ですから、例えばある地域で何か起こったときにすぐ翌日からNATができるかというとそんなことはあり得ないので、ある地域限定でこの不活化を導入して、その間に検査法を立ち上げて、それで検査に移す。こういう不活化はある程度血小板の機能が低下しますので、安全性も含めて非常時に使うというのが今のところいいかと思います。そうなると、あくまでもつなぎの意味ということは意義があるんですね。そうなると、どうしても新興感染症だとかウイルス感染が多いと思いますので、ウイルスのほうに不活化効率が高いものを選んだほうがいいんじゃないかということが考えられます。以上です。

○浜口委員長 ほかはいかがでしょうか。

 では、どうぞ。

○長村委員 いろいろデータ的にはもしかしたら足りないところもあるかとは思うんですけれども、やはりやりやすい方法とするとミラソルなのかなと思いますので、置換をしなくてもいい。または、置換をするとその液も検討しなければいけないということを考えると、まずはやり始めるということも大切かと思います。それで、将来的にはどちらにするか。結構、両方入れている国もありますし、片方に何か問題があったときにスイッチングできるということを考えれば、両方検討しながらまずはミラソルを導入してみることはいいのではないかとは思います。

○浜口委員長 ちょっと確認ですが、導入というのは一応この方法自体を国内で検討する。それで、その後、場合によってはその検討が終わった場合には血小板に全てこれを入れるというところまでがセットになっていると考えるんですか。そういう意向でしょうか。

○日赤・佐竹経営会議委員 それは、2ページに書かれていますように、即日全国というのは物理的には無理ですので、これは地域とか、あるいは医療機関と契約して少しずつ進めていかざるを得ないかと思います。それで、その効果を見ながらやはりこのテクニックそのものも様子を見ながら拡大していくステップが必要かと思いますので、一遍にということは考えてはおりません。

○浜口委員長 わかりました。

 そうしますと、一応皆さんの御意見ではこの不活化法についての導入に向けた試みというのは重要であろう。ただ、一方でやはりコストの面だとか安全性の面については十分に気をつけていただきたい。また現状において血小板の細菌感染においては氷山の一角かもしれないですけれども、それほど表に出てきている状況ではないので、そこには十分留意をしていただきたい。

 それから、それと並行してやはり新興再興感染症に対しての対策というのが非常に求められるところでもあるので、場合によってはミラソルではカバーできないようなものについての備えというものを同時に考えておく必要があるだろう。そうなったときに、ミラソルだけで検討が終わるというわけではなくて、場合によってはもう一つのほうについても十分な検討を進めておく必要があるだろうという御意見だと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。皆様、よろしいでしょうか。

(委員 異議なし)

○浜口委員長 では、そういう形で検討を進めていただきたいと思います。

 それでは、議題の4に移りたいと思います。「日本赤十字社における平成26年度のヘモビジランスについて」、日本赤十字社から御説明をお願いいたします。

○日赤・豊田製造販売総括管理監 資料3をごらんください。日本赤十字社における平成26年度のヘモビジランスの状況について御説明申し上げます。

 下のグラフをごらんください。これは2008年から2014年までの輸血による「副作用・感染症報告件数の推移」を示したものでございます。毎年、非溶血性副作用はおよそ1,500件、溶血性副作用が約20件、GVHDの疑いが数件、感染症が100件前後で推移しておりますが、2014年では感染症は約81件とやや減少しております。また、GVHDの疑い事例は全て輸血との関係は否定されております。

 次のページをごらんください。上の円グラフは「非溶血性副作用の症状別報告件数」でございます。その1,451件の内訳でございますが、例年どおり、ほとんどがじんま疹、アナフィラキシーショック、アナフィラキシーが占めており、TACO44件、TRALIは9件でございました。TRALIの9件にはポッシブルTRALIが7件含まれております。

 下のフローをごらんください。2014年に医療機関から報告を受けましたTRALIの疑い症例とTACOの疑い症例についての評価の結果でございます。TRALIの疑い症例156件のうち、TRALIと評価されたものは2件でございます。ポッシブルTRALIは7件でございました。その156件のうち、「➃4その他、の74件」と書いてございますのは診断基準外のものや情報が不足していたために評価ができなかったものでございました。

 また、73件に心原性肺水腫が見られたために、TACOの疑い症例の4件と合わせて評価し直しまして、44件がTACOと評価されております。

 次のページの上のグラフをごらんください。これは、2004年~2014年までのTRALITACOの症例を棒グラフで、評価件数の推移を折れ線グラフであらわしたものでございます。2011年から供給本数の最も多い400mL献血由来のFFPを主にしまして、男性由来のものに切りかえております。それ以降、さらにTRALIは減少しております。

 ちなみに製造比率でございますが、2010年の実績で男性由来のFFPは、200mL献血由来のものは約13.6%、最も多い400mL献血由来のものは98.8%、血漿成分献血由来のものは63.7%でした。また、TACOにつきましては2012年の4月から評価を始めておりまして、やや増加傾向にございます。

 その下の表をごらんください。これは、2004年~2014年までのTRALI症例203例についての抗HLA抗体の検査結果を示したものでございます。患者にHLA抗体が認められたものが27件、患者と輸血した製剤の両方に抗体が認められたものが28件、製剤のみに認められたものが54件、ともに抗体が認められなかったものが94件でございました。また、交差試験を実施できたものは合計49件で、陽性を示したものは29件でございました。

 次のページをごらんください。上の表でございますが、2014年に輸血による感染の疑いで医療機関から報告のあった病原体別の件数とその解析結果を示したものでございます。全部で81件の報告がございますが、その中で輸血による感染が確認されたものはHBVの2件とHEVの4件の計6件でございました。

 その6件について、下の表をごらんください。HBVの2件のうち1件は医療機関からの自発報告、もう一件はHBs抗原とHBc抗体の陽転化に伴う遡及調査によるものでございました。ともにウインドウ期によるものでございます。

HEVの4件のうち3件は医療機関からの自発報告で、もう一件は自発報告で判明しました片割れ製剤の遡及調査によるものでございました。

 次のページをごらんください。「輸血による感染が確認された症例の推移」でございます。これは、血液製剤の採血された年であらわしております。HBVHCVHIV、ともにNATを導入しましてから減少傾向でございますが、特にHBVにつきましては2004年に20プールNATを実施してからはさらに減少しております。2008年に検査システムの新たな高感度化を図って以降は一時的な増加は見られますが、やはり減少傾向にございます。また、2012年にHBc抗体の基準を強化いたしましてからさらに減少し、昨年8月に個別NATを導入しましてから感染事例は発生しておりません。

 下の表は従来の20プールNAT2014年に導入しました個別NATの感度を比較したものでございます。ごらんのとおり、高感度化が進んでおります。

 次のページをごらんください。これは、「1年当りの輸血後HBV感染症例の比較」でございます。一番左側のカラムをごらんください。上半分が、感染既往の血液による感染です。小さな数字で0.3とありますのが個別NAT陰性、3とございますのが個別NAT陽性のものです。下半分がウインドウ期の血液による感染をあらわしております。1.5とあるのが個別NAT陰性、3.2とあるのが個別NAT陽性のものでございます。

 これは旧NATシステムの20プールのNAT実施時の感染症例数でございます。それが隣のカラムをごらんください。新しいNATシステムを導入しましてから、下半分のウインドウ期の血液による感染が減少しておりますが、上半分の感染既往の血液による感染の数はほとんど変わっておりません。しかしながら、3つ目のカラムでございますが、2012年にHBc抗体の基準を強化しましてから感染既往の血液による感染が発生しておりません。さらに、昨年の個別NAT導入からウインドウ期の血液による感染も発生していないという状況でございます。

 それから、下のグラフでございます。「輸血後HEV感染の推移」を報告年別にあらわしたものでございます。2011年にIgA抗体測定試薬が保険収載されまして、それ以降報告がふえております。

 なお、今年度に疫学調査を実施したいと考えておりまして、具体的な実施時期、方法につきましては運営委員会と血液対策課にお諮りした上で決定したいと考えております。

 それから、次のページでございます。「CMV感染疑いの報告数の推移」でございます。2014年のカラムの紫色の2件について御説明いたしますと、1件は超可変領域2領域の塩基配列を比較したところ、母乳と患者のものが100%一致した。もともと輸血用の血液のCMVDNAが陽性だったことから精査したわけでございますが、母乳と患者のCMVDNAの塩基配列が一致したということでございます。

 それで、2件目がDNAは陽性だったんですけれども、ウイルス量が少なかったために相同性が確認できなかったという状況でございます。

 それで、昨今CMV感染が増えております。これらは全て輸血との関連は否定されておりますが、日赤では感染の原因を追及するために感染防止を目的として今年8月から医療機関と協力しまして原因調査の体制をとっております。以上でございます。

○浜口委員長 ありがとうございました。

 それでは、委員の皆様からの御意見をお願いいたしたいと思います。どうぞ。

○山口委員 E型肝炎について、全国調査でよろしいのですね。

○日赤・豊田製造販売総括管理監 疫学調査は実施場所も含めまして協議させていただきたいと思っております。

○山口委員 それは、先ほどおっしゃられた運営委員会と協議をしてどういうふうなやり方にするか。多分、一番問題になるのは今まで東京都で抗体保有率が非常に高くて、実際にそれだけ感染しているのかどうか。その辺も含めて輸血、献血血液で調べていただけると期待しておりますけれども、その中にどれだけ頻度があるかということを明らかにしていただくと、本当に今、北海道だけでいいのか。これについては少し心配をしているわけで、EDQMなどでもやはり血漿分画製剤ですけれども、E型肝炎に関する検査というものを推奨しているような状況ですので、その辺は個別NATになってちょっと頻度が上がっているので、その辺も含めてきちんとした調査をしていただけるとありがたいと思います。

○浜口委員長 ほかにいかがでしょうか。特にありませんか。

 私のほうからコメントですけれども、B型肝炎については非常にうまくいっているなという印象です。それで、このままもしゼロが続くようであれば、これは世界にアピールできるようないい結果だと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 それでは、この議題は終わりにしまして、次に議題5の「感染症安全対策整備事業の報告について」、大隈参考人からお願いします。

○大隈参考人 では、よろしくお願いいたします。

 資料4をごらんください。 感染症安全対策体制整備事業の昨年度の実績を報告させていただきます。

 まず「事業の目的」ですけれども、輸血用血液製剤を含む血液製剤は、ヒトの血液を原料とするためウイルス等の病原体混入のリスクが存在します。社会問題となりました輸血後肝炎を初め、既存の感染症については国内献血血液のスクリーニング検査の精度向上等により、安全性は高まってまいりました。

 しかしながら、デングウイルス、チクングニアウイルス、ウエストナイルウイルス等の世界の一部の地域に限局的に発生する新たな感染症の病原体についても、今後日本国内に移入されることが想定されます。デングウイルスについては皆さん御存じのように昨年、国内の感染の報告がございました。

 献血血液への混入のリスクはますます高まっておりまして、血液の安全性の観点からも新たな対策が必要とされております。

 これに対応しまして、平成25年の4月からですが、新たな病原体、特にデングウイルス、チクングニアウイルス、ウエストナイルウイルスが移入した場合に備えまして、実効性の高い対策として厚生労働省血液対策課、日本赤十字社との連携のもと、本事業により感染症リスク管理体制の構築を行ってまいりました。昨年度は、本事業において以下のことを実施しましたので御報告させていただきます。

 具体的な「実施内容」ですが、まず(1)として「国内感染報告が柤次いだデングウイルスに対する高感度核酸検査法の開発」です。それから、(2)は「献血で検査落ちとなった血液検体及びコールバック検体におけるデングウイルス核酸検査の実施」です。それから、(3)は「海外における血液安全に関する情報の収集及び交換」ということです。

 まず、(1)の「国内感染報告が相次いだデングウイルスに対する高感度核酸検査法の開発」ですが、血液製剤の安全性を担保する上で病原体の血液混入を防止することは極めて重要な課題でありますが、国内に輸入されるリスクのある病原体に対する高感度な検出法はまだ未整備な部分が多く、将来の国内感染発生時に万全に対応できるような体制には至っておりません。本事業では、これまでに優れた感度で検出できることが十分に確認できていないそれらの病原体について高感度の核酸検査法を整備して、将来的な血液への混入に備えることを目的としました。

 対象となるデングウイルス、チクングニアウイルス、ウエストナイルウイルスの中で、まずはデングウイルスの検出系に注目しました。従来のデングウイルス核酸検査では、献血血液や血液製剤の原料血漿等に極めて低濃度で混入したデングウイルスを検出可能であるかについてはこれまで十分に検討されておりませんでした。そこで、デングウイルスの各血清型、デングウイルス1~4についてRT-PCR用のPrimerセットを大規模スクリーニング後、新規Primerセットを同定して効率よく検出するための高感度核酸検査法を構築しました。その経緯については、表1にまとめてあります。

 簡単に申しますと、まず➀として「デングウイルス検出のためのPrimerセットの大規模スクリーニング」を行いまして、100前後のセットから設計して出発をしました。

 ➁として、「デングウイルス検出のためのTaqman RT-PCR用のPrimerセットおよびProbeのスクリーニング」を次に行いました。

 最後に➂として「スクリーニング後のTaqman RT-PCR用のPrimerセットおよびProbeの臨床検体を用いた感度の確認」を行いまして、以上のことから最終的なPrimerセット及びProbeを決定しました。

 次は(2)ですが、「献血で検査落ちとなった血液検体及びコールバック検体における核酸検査の実施」です。日本赤十字社の協力のもと、平成26年度内(6月以降)に東京都内で得られた献血血液のうち、以下の臨床検体について(1)で開発した核酸検査法を用いて、小規模ではありますがスクリーニング検査を行いました。これについては、確認のため日本赤十字社にも御協力いただいて、同検体を用いて同方法で測定をしております。

 まず検体ですが、➀として検査落ちした血漿の20人プール100検体、計2,000人の血液検体を測定しました。

 それから➁ですが、9~11月の期間に献血後の発熱やデング熱の疑いがあると申し出があったコールバック検体、23検体を用いました。

 検査結果ですが、調べた全ての検体において、デングウイルス1~4の核酸は陰性と判定されました。また、陽性コントロール検体は全て陽性、陰性コントロール検体は全て陰性ということで、検出系としても問題ないことも確認いたしました。これは、表2にまとめてあります。

 (3)ですが、「海外における血液安全に関する情報の収集及び交換」を行いました。WHOの血液安全に関するカンファレンスに参加するとともに、各国の血液行政に携わるネットワーク会議(Blood Regulators Network)に加盟し活動することにより、感染症リスクの早期察知及び評価に基づく安全対策の検討を行いました。また、国立感染症研究所の病原体関連部署と連携して情報の収集や情報交換を行いました。

 3番、以上の「考察」になりますけれども、デングウイルスは平成26年度の8月に約50年ぶりの国内感染が発生しまして、当該ウイルスに対する血液製剤の安全性確保は喫緊の課題となっております。本事業にて行った高感度Primerの大規模スクリーニングによって、優れた候補を得ることができました。臨床分離株の検討により、これまでの検査法に比べて高感度の検出法が構築できたと考えられます。

 また、日本赤十字社の臨床検体を用いて約2,000人ですが、小規模ながら実際に検査を行いまして、結果を判定できたことは意義深いのではないかと考えました。

 一般的にNATに求められております感度は100IU/mLでありますけれども、デングウイルスには国際標準品が制定されておりませんので、現在のところIU/mLという国際基準に基づいた正確な感度の測定は不可能であります。

 しかしながら、in vitroで合成したRNAの絶対値の検量線を使用して感度を測定しましたところ、これまで国立感染症研究所の依頼検査で使用されてきた検出法では、血漿にスパイクした100コピーのデングウイルス1~4の検出は可能でありました。このことから、新規検出系は100コピー以下の検出感度があると予想されます。

 本事業で確立されました高感度デングウイルス核酸検査法は、今後のデングウイルスの血液への混入をモニターする有力なツールになると期待されると考えております。

 4番、最後ですが、今年度の実施計画です。

 (1)として、今年度も引き続きまして献血で検査落ちとなりました血液検体及びコールバック検体における高感度デングウイルス核酸検査を実施したいと考えております。

 (2)は、国内移入が危惧される次の対象ウイルスとしてチクングニアウイルスに対してですが、高感度核酸検査法の開発を行いたいと考えております。

 また、(3)は昨年と同様に海外における血液安全に関する情報の収集及び交換を行っていきたいと考えております。

 説明は、以上です。

○浜口委員長 ありがとうございました。

 委員の皆様の御意見をお願いします。

○岡田委員 デングウイルスの検出できるプライマーとプローブができたということなのですけれども、将来的にスクリーニングを考えると、やはりユニバーサルプライマーにして血清学的なものの1~4までを一つのアッセイで検出できるような系をつくっていたほうが、試験の労力を4分の1にすることができるし、逆に検討する検体数を4倍にすることができますが、実際にそれが可能かどうかはわからないので、ぜひそのユニバーサルプライマーの系が可能かどうかの検討をお願いしたいと思います。

○浜口委員長 コメントをお願いします。

○大隈参考人 今の御指摘は非常に重要なポイントだと私たちも考えておりまして、具体的には実際に検討を行いました。それで、現在ここでお示ししているのは確かにセロタイプごとの検査結果でありますけれども、今後は、4プレックス等の同時検出系をほとんど今、開発が終了しているところですので、その開発した系を用いまして今年度はぜひ検査をしたいと考えております。

○浜口委員長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、ありがとうございました。続きまして、議題の6に移りたいと思います。「NATコントロールサーベイ事業の報告について」、水澤参考人からお願いします。

○水澤参考人 よろしくお願いします。

 まず「事業の目的」ですが、NATガイドラインに基づいて我が国で使用する分画製剤の製造所と、輸血用血液製剤のスクリーニング実施施設はHBVHCVHIVの3つのウイルスのNATを実施しています。

 当該施設において実施するNATのバリデーションと、精度管理がNATガイドラインによって求められていますので、安全技術調査会の指示に基づいて、平成18年以来NATの精度管理の実情を把握するためにコントロールサーベイを継続的に実施してきました。

 平成25年に国内の分画製剤製造所の原料血漿プールのNATがマルチプレックス法のTaqScreen MPXに更新され、上述の3つのウイルスを識別して検出することが可能になりました。また、平成26年8月には、日本赤十字社は輸血用血液製剤のNATスクリーニングの試験法をUltrio Elite Assay に変更すると同時に個別NATを導入しました。このような技術の進歩を踏まえて、平成26年にNATガイドラインの改訂と献血個別NAT導入に伴う検出限界の改正が行われました。

 そこで、平成26年度は現に実施されている試験法において、改訂後のガイドラインに従って3つのウイルスの検出と識別ができているかの実情把握を目的として、分画製剤製造所と輸血用血液製剤のNAT実施施設とを対象にしてコントロールサーベイを実施することといたしました。

 2の「実施内容」ですが、(1)でまず「パネル原料とする国内標準品の精査」を行いました。感染研に平成25年度に導入したTaqScreen MPXの性能評価の過程で、HCV-RNA国内標準品とHIV-RNA国内標準品への微量なHBV-DNAの混入が示唆されました。そこで、感染研、ロシュ、日本赤十字社中央研究所が、それぞれ異なるHBVNAT法を用いてこの2つの標準品を測定した結果、それぞれに微量のHBV-DNAが混入していることが判明しました。このことは、平成26年度第2回安全技術調査会に報告するとともに、利用者にも周知いたしました。

 次に、2番目の「実施要綱の作成」ですが、従来の試験法と比較して今回対象とするいずれの試験法もHIVとしてHIV-2の検出が可能になりました。

 しかし、分画製剤製造所が使用するTaqScreen MPXは対象とする3つのウイルスを識別と検出を同時にできるのに対して、輸血用血液製剤のスクリーニング施設が使用するUltrio Elite Assayはスクリーニング試験と同定試験が別です。そこで、対象施設を分画製剤と輸血のスクリーニング施設とに分けてNATコントロールサーベイを実施することとして、それぞれの試験法の特性に応じた実施要綱を作成しました。

 次のページに別添資料1がございますが、もう1ページめくっていただきますと表があります。サーベイで使用するパネルの材料にはHVC-RNAHBV-DNA及びHIV-RNA国内標準品と国際標準品を用いました。これは分画製剤の実施要綱なのですが、分画製剤についてはプール後の原料血漿のNATの検出限界がHCVHBV及びHIV、それぞれについて100IUを担保できるべく精度管理を行うこととされていますので、それぞれの検出限界が担保されていることを確認するために、その3倍濃度に当たるそれぞれ300IU/mLの検体からなるブラインドパネルを作成しました。それが、パネルのAです。

 さらにパネルBですが、ほかのウイルスが高濃度に共存しても目的ウイルスを識別できることを確認するものとして製造しました。

 次に別添資料2ですが、それを1ページめくっていただきますと、また表があります。これが輸血用血液製剤のNATで使うパネルの説明なのですけれども、一方、輸血用血液製剤の個別NATに用いる検査用検体の血漿で必要とされるNATの検出限界はHCVHBV100HIV200IU/mLと定められたことから、同様にその3倍濃度のHCVHBV300HIV600IU/mLの検体からなるブラインド化した感度パネルC、それとHIVについてはEを加えました。それと、ほかのウイルスが高濃度に共存しても目的ウイルスを識別できることを確認するためのパネルDを使用することとしました。

 パネルBとDの調製には共存する高濃度ウイルスの材料として国内標準品を使用しますが、先ほどの(1)でHCVHIVの国内標準品には微量のHBV-DNAが混入していることが判明していましたので、その影響を無視できるようにそれぞれの標準品を10倍以上希釈して使うようにしました。その他の測定法や結果の提出等については、別添資料のほうを御参照ください。

 本文に戻ります。「(3)参加施設と試験法」ですが、「➀分画製剤製造所」は参加施設は国内3、海外2、オブザーバーとして試薬メーカーが1、参加します。試験法は、ロシュのTaqScreen MPXです。

 それから、「輸血用血液製剤のNAT実施施設」としては、参加施設は検査施設8、研究施設1、それで今これは交渉中なのですが、オブザーバーとして試薬メーカーが参加施設になります。試験法は、Ultrio Elite Assayです。

 「パネルの配布と結果の報告」については、8月に➀の参加施設に、9月上旬に➁の参加施設にパネルを配布する予定で、参加施設はパネル受領後50日以内に感染研に結果を報告することになっています。

 3で今年度の実施計画ですが、()で昨年度に引き続き実施中のNATコントロールサーベイの結果の解析とNATの精度管理の評価をいたします。

()で、分画製剤製造所と輸血用血液製剤スクリーニング施設を対象としたHBV遺伝子型パネルを用いたNATコントロールサーベイの材料の入手と実施要綱を検討する予定でございます。以上です。

○浜口委員長 ありがとうございました。

 それでは、委員の皆様から御意見をお願いしたいと思います。

 では、山口委員どうぞ。

○山口委員 前のコントロールサーベイでは、たしか100_IUという値でやったのではなかったのではないでしょうか。

○水澤参考人 100_IUが一応基準というか、求められているので、100_IU300と両方やっていたのですけれども、諸外国の例を見ますと、こういう場合は大体基準の3倍で必ず測定できるようにということで見ているので、今回からウイルスの種類も多いということもあったのですが、単純化してシンプルにそういうふうにいたしました。

○山口委員 遡及調査ガイドラインの中も、100_IUと血漿分画製剤メーカーに関してはと書かれているので、前のときに100_IUでクリアできていなかったところもあったので、少し議論になったのだと記憶しております。実際に自分たちでダイリューションをつくった場合には割とコントロールしやすいのですけれども、あらかじめ希釈された低濃度の検体をデリバーするときには意外と100_IUに全てちゃんとそろえてデリバーするというのは難しいという一面もあるかと思うのです。

 ただ、100_IUというのは一応決められているのは95%の検出感度で100_IUですので、その場合、100_IUで必ずしも全てボジティブにならないといけないのではなくて、300_IUはポジティブであればもちろんそれはいいわけで、100_IUにネガティブなものが出た場合には、それはその95%の残り5%に入ってしまったという考え方もできると思うんです。

 さらに、コントロールサーベイの目的が、それぞれ原料メーカー、あるいはそういうメーカーの検出能を試験をするのではなくて、その実態はどんなものかということを把握するということが真の目的であれば、その実態を把握するという意味では100_IUをやったほうが私はいいような気がするのです。

○水澤参考人 わかりました。今回はこれでパネルをもう製造して交付も始めてしまったのですが、今後は参考にさせていただきたいと思います。

 ただ、次回はジェノタイプでパネルのメンバー数が非常に多いので、100_IUも含めて3回ずつのパネルは非常に困難なので、どういうふうにしたらいいか、また考えさせていただきたいと思います。

○山口委員 100_IUをクリアできなかったところもあったんだけれども、逆に言うとそれで新たなこともわかったわけですね。どういうふうなことが問題かという、そういう問題を抽出するというか、拾い上げることもコントロールサーベイの大きな目的かと思いますので、そういうことはちょっと検討していただけるとありがたいと思います。

○水澤参考人 検討させていただきたいと思います。

○浜口委員長 よろしくお願いします。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、議題6はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

 最後に議題7、「その他」に移りたいと思います。事務局から、「薬事・食品衛生審議会薬事分科会における審議参加の取扱い等について」の説明があるとのことです。御説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課長補佐 配付資料6をごらんください。薬事分科会の分会、調査会において規程に沿った対応が行われていなかったことが判明し、6月5日に公表しておりますので御報告いたします。

 1の(1)ですが、薬事分科会委員8名が薬事に関する企業の役職員、または当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任していた事実が判明し、これらの8名の委員については辞任していただく運びになっております。

 (2)ですが、昨年度開催した審議会について、寄附金・契約金等の申告内容を確認したしたところ、8名の委員について受領なし、または50万円以下の受領と申告されていたものが、正しくは50万円を超えて500万円以下の受領であったことが判明しました。このため、本来議決に参加できない委員が議決に参加していた事例がありました。

 ページをめくっていただき、(3)についてですが、同じく16名の委員について受領なしと申告されていたものが、正しくは50万円以下の受領であったことが判明しました。

 「今後の対応」としましては、既に御案内のとおり、寄附金、契約金等の申告内容を製造・販売業者に確認する運用を試行的に開始し、また申告様式の見直しを行っております。

 さらに、企業の顧問等に就任した際の辞任、申告対象年度、家族の受領分も申告することなどの規程の重要事項を会議開催のたびに注意喚起させていただくこととしており、先生方に送付いたしますので、自己点検に御活用していただきますようお願いいたします。

 こうした事例が発生したのは、事務局による規程の内容の周知徹底や、委員就任時の確認が不十分であったことも一因であり、審議会の事務局として至らなかったことをおわび申し上げるとともに、委員の先生方におかれましては今後とも規程の遵守に御協力いただきますようお願い申し上げます。以上です。

○浜口委員長 ありがとうございました。

 本日の議題は全て終了しました。議事が余りうまくなかったかもしれませんが、今後ともどうぞよろしくお願いします。何かほかに御意見等はございませんでしょうか。

 それでは、事務局に議事を戻したいと思います。

○近藤血液対策課長補佐 浜口座長、ありがとうございました。

 次回の安全技術調査会の日程は、別途御連絡差し上げたいと思います。

 本日は、長時間にわたり委員の皆様は本当にありがとうございました。これにて、「平成27年度第1回血液事業部会安全技術調査会」を終了いたします。

○浅沼血液対策課長 どうもありがとうございました。


(了)

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