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2015年9月15日 第41回社会保障審議会児童部会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成27年9月15日(火)10時00分~12時00分


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

委員

大日向部会長   松原部会長代理      秋田委員     小國委員
権丈委員      新保委員          林委員       松田委員 
宮島委員      矢藤委員          山縣委員

事務局

安藤雇用均等・児童家庭局長   木下大臣官房審議官   古川総務課長
大隈家庭福祉課長          朝川保育課長        一瀬母子保健課長
竹林少子化総合対策室長     田村虐待防止対策室長  川鍋母子家庭等自立支援室長

○議題

(1)最近の児童行政の動向について
(2)その他

○配布資料

資料1 社会保障審議会児童部会委員名簿
資料2 「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針(案)」について
資料3 保育専門委員会(仮称)の設置について
資料4-1  子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会の議論のとりまとめ 概要
資料4-2  子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会議論のとりまとめ
資料4-3  子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン
資料5 保育士養成課程等検討会について
資料6  地域限定保育士制度の概要
資料7-1  すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議の開催について
資料7-2 すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議の構成員
資料7-3  ひとり親家庭・多子世帯等の自立支援応援プロジェクト(施策の方向性)概要
資料7-4 ひとり親家庭・多子世帯等の自立支援応援プロジェクト(施策の方向性)
資料7-5  児童虐待防止対策強化プロジェクト(施策の方向性)概要
資料7-6 児童虐待防止対策強化プロジェクト(施策の方向性)
資料8 児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会報告書について
資料9-1 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会について
資料9-2 ワーキンググループの設置について
資料10 遊びのプログラム等に関する専門委員会での検討状況について
資料11 子ども・子育て支援新制度の施行状況について
参考資料 平成27年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求について

○議事

○大日向部会長

 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより第41回社会保障審議会児童部会を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多用のところをお集まりいただきましてありがとうございます。

 会議に先立ちまして、今般、本部会の臨時委員の改選が行われましたので、新しく就任された方々の御紹介を事務局からお願いいたします。あわせて、委員の皆様の出欠状況についても御報告をお願いいたします。

 

○古川総務課長

 総務課長の古川でございます。

 本部会臨時委員に新しく就任をいただきました4名の方々を御紹介させていただきます。

 まず、小國美也子委員でございます。

 

○小國委員

 小國でございます。東京女子医大小児科で小児神経を専門にしておりまして、今は鎌倉女子大学で心理学の関係の医療的な立場から教えております。よろしくお願いいたします。

 

○古川総務課長

 続きまして、権丈英子委員でございます。

 

○権丈委員

 権丈でございます。現在は亜細亜大学で労働経済学、社会保障論などを担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○古川総務課長

 新保幸男委員でございます。

 

○新保委員

 新保と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○古川総務課長

 松田茂樹委員でございます。

 

○松田委員

 中京大学の松田と申します。少子化対策の観点から子育て支援などを研究しております。よろしくお願いします。

 

○古川総務課長

 次に、本日の出欠状況でございますが、本日は、奥山委員、大塚委員の2名が所用により御欠席と伺っております。

 

○大日向部会長

 ありがとうございました。

 次に、前回の児童部会以降、事務局に異動がありましたので、新しく就任された方々の御紹介をお願いいたします。

 

○古川総務課長

 ただいまお話がございましたとおり、事務局の異動がございました。

 まず、田村虐待防止対策室長でございます。

 

○田村虐待防止対策室長

 田村でございます。よろしくお願いいたします。

 

○古川総務課長

 川鍋母子家庭等自立支援室長でございます。

 

○川鍋母子家庭等自立支援室長

 川鍋でございます。よろしくお願いいたします。

 

○大日向部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ここから議事に入ります。

 最初の議題といたしまして「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針(案)」につきまして事務局から御説明をお願いいたします。

 

○一瀬母子保健課長

 母子保健課長です。私から基本的な方針(案)について説明いたします。

 こちらの前文に書いてありますとおり、児童福祉法の一部を改正する法律によりまして、小児慢性特定疾病児童等に係る法定給付の小児慢性特定疾病医療費の支給や、自立支援事業が法律に位置づけられまして、本年1月1日に施行されています。このお示ししています基本的な方針(案)につきましては、法の第21条の5に基づきまして、小児慢性特定疾病医療支援の良質かつ適切な実施を初めとしまして、国・地方公共団体等が取り組むべき方向性を示すことにより、疾病児童等の健全な育成を図ることを目的としています。

 この方針(案)は、医療関係者また患者団体、地方公共団体代表の方、また児童福祉の専門家、教育の専門家、就労支援の専門家から成ります検討会でおまとめいただいたものをパブリックコメントにかけまして、パブリックコメントでの御意見を踏まえたものです。この場で先生方の御意見を頂戴し、それらを踏まえた上で、最終的に事務局で取りまとめていきます。

 第一から第八まで分類していまして、まず、第一を御覧ください。こちらは総論の部分になります。疾病児童等の健全な育成に係る施策の推進の基本的な方向をお示ししています。

 まず一です。国並びに都道府県、指定都市及び中核市(以下「都道府県等」という。)は、小児慢性特定疾病児童等及びその家族が必要な医療や支援等を確実に、かつ、切れ目なく受けられるようにするため、当事者である小児慢性特定疾病児童等及びその家族の意見を踏まえつつ、小児慢性特定疾病児童等の健全な育成に係る施策の実施及び充実に努める」と記しています。

 二です。「疾病児童等の健全な育成に係る施策は、疾病児童等の社会参加の機会が確保されることを旨として、社会福祉をはじめとする関連施策との有機的な連携に配慮しつつ、総合的に実施されることが必要である」と記しています。

 三です。「国及び都道府県等が講ずる小児慢性特定疾病児童等の健全な育成に係る施策は、広く国民の理解を得ながら推進されることが必要である」としています。

 四です。「国及び都道府県等が講ずる小児慢性特定疾病児童等の健全な育成に係る施策は、難病の患者に対する医療等の施策との連携を図る観点から、難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針を踏まえつつ、実施されることが必要である」。児童福祉法の改正とあわせまして難病法が新しく成立し、難病法に基づいても同様に基本方針を作成していますので、それとの連携をとるようにということを書いています。

 2ページにまいります。

 五です。「国は、改正法施行後五年以内を目途とするその規定についての見直しの検討結果に基づき、必要があると認めるときは本方針の見直しを行う」と見直し規定を記載したものです。

 「第二 小児慢性特定疾病医療費の支給に関する事項」にまいります。

 一です。「法第六条の二第一項に定められた要件を満たす疾病を小児慢性特定疾病医療費の支給対象とするよう、国は、疾病について情報収集を広く行い、それぞれの疾病が置かれた状況を踏まえつつ、小児慢性特定疾病の要件の適合性について適宜判断を行う。併せて、国際的な状況も含めた医学の進歩に応じ・・疾病の状態の程度を見直すとともに、小児慢性特定疾病の診断の手引きの見直しを推進する」としています。

 二です。「国は、小児慢性特定疾病児童等であって医療費助成の申請をした患児に係る臨床データを収集し、管理及び活用を行うため、医学的データベースを構築する」旨、記載しています。

 「第三 良質かつ適切な小児慢性特定疾病医療支援の実施に関する事項」です。

 まず、一です。「国及び都道府県等は、日本医師会や小児慢性特定疾病に関係する学会等の協力を得て、指定医の育成を行うことが重要である」と記載しています。

 二です。「国は・・国際的な状況も含めた医学の進歩に応じ、診断の手引きの見直しの推進及びその周知を図る」こととしています。

 三です。「都道府県等は、小児慢性特定疾病医療支援を行うことが可能な医療機関に対して、指定小児慢性特定疾病医療機関の指定申請を促す等、小児慢性特定疾病等に対する医療提供体制の確保に努める」旨、記載しています。

 四です。「都道府県は、小児慢性特定疾病児童等への支援策等、地域の実情に応じた小児慢性特定疾病に関する医療を提供する体制の確保に向けて必要な事項を医療計画」、医療計画は医療法という別の法律に規定があり、この「医療計画に盛り込むなどの措置を講じるよう努めるとともに、それらの措置の実施、評価及び改善を通じて、必要な医療提供体制の構築に努める」としています。

 3ページを御覧ください。

 五です。「国は、成人後に主に成人医療に従事する者に担当が移行する小児慢性特定疾病児童等について、モデル事業を実施し・・主に小児医療に従事する者から担当が移行する際に必要なガイドを作成し、都道府県等や医療従事者に周知する。また、都道府県等は、そのガイドを活用し、小児期及び成人期をそれぞれ担当する医療従事者間の連携の推進に努める」と記載しています。

 六です「国は・・成人後においても主に成人医療に従事する者に担当が移行しない小児慢性特定疾病児童等」、つまり、児童等が成人になっても小児科医が診続ける小児慢性特定疾病児童等については、「成人後も引き続き主に小児医療に従事する者が、必要に応じて主に成人医療に従事する者と連携しつつ、必要な医療等を提供することについて、併せて周知する」としています。

 「第四 小児慢性特定疾病児童等自立支援事業に関する事項」を記載しています。

 一です。「都道府県等は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の積極的な実施に取り組むものとする」また「事業内容の充実に努める」ということを記載しています。

 二です。「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施に当たっては・・都道府県等は、慢性疾病児童等地域支援協議会に患者会又は家族会の代表者、小児慢性特定疾病児童等、その家族、医療従事者、福祉サービスを提供する者、教育関係者、就労支援関係者、事業主等を加え、事業内容を検討し、実施するよう努める」と、関係者の意見を踏まえることを記載しています。

 三です。都道府県等は、様々な関係者の協力のもとに円滑にこの事業を実施するようにということを記載しています。

 四です。「国は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の先進的事例や好事例等の情報提供を行うなど、都道府県等の取組を支援する」ことを記載しています。

 五です。「国は、成人後を含む小児慢性特定疾病児童等の就労状況や生活実態の把握をはじめ、療養生活、自立支援、家族支援など疾病児童等の健全な育成に資する調査及び研究の実施及び充実に努める」ことを記載しています。あわせまして「都道府県等は、小児慢性特定疾病医療費の支給や小児慢性特定疾病児童等自立支援事業等の実施を通じて、小児慢性特定疾病児童等及びその家族のニーズを把握することが重要である」と記載しています。

 「第五 小児慢性特定疾病児童等の成人移行に関する事項」になります。一部、前の部分と重複するところが出てまいりますけれども、重要であることから、重複した形であえて書いています。

 一です。「国及び都道府県等は・・小児慢性特定疾病児童等の成人期を見据えて、福祉サービスに関する施策等の各種支援策との有機的な連携に配慮しつつ、包括的かつ総合的に実施することが重要である」と記載しています。

 二です。「国は・・指定難病の要件を満たすものについて・・成人後も医療費助成の対象とするよう検討する」と記載しています。

 三です。「国は・・小児慢性特定疾病児童等自立支援事業等と成人に対する各種の自立支援策との連携強化など、その自立支援に資する環境整備を図る」としています。

 四です。「都道府県等は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の内容の充実を図る。また、国は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の先進的事例や好事例等の情報提供を行うなど、都道府県等の取組を支援する」としています。

 「第六 疾病児童等の健全な育成に資する調査及び研究に関する事項」です。

 一。国は様々な研究事業を実施するという旨を記載しています。

 二。「国は、小児慢性特定疾病児童等データベース」、これは前にも出てまいりましたが、これを構築する旨、記載しています。

 三。「国は、小児慢性特定疾病児童等データベースを構築し、小児慢性特定疾病に関する調査及び研究に有効活用できる体制に整備する」としています。

 四。「国及び都道府県等は・・個人情報の保護に十分配慮するよう努める」としています。

 五も、第四のにも出てきていますけれども、「成人後を含む小児慢性特定疾病児童等の就労状況や生活実態の把握をはじめ、療養生活、自立支援、家族支援など疾病児童等の健全な育成に資する調査及び研究の実施及び充実に努める」としています。

 六。「国は、疾病児童等の健全な育成に資する調査及び研究の推進に当たっては・・調査及び研究との適切な連携を図るよう留意する」と重複して記載しています。

 七です。「国は・・調査及び研究により得られた成果について、ウェブサイトへの情報掲載等を通じて、国民に対して広く情報提供する」としています。

 「第七 疾病児童等に対する学校教育、福祉サービスに関する施策、就労の支援に関する施策との連携に関する事項」です。

 一です。学校教育、福祉サービスにつきまして、「都道府県等は・・疾病児童等の健全な育成に係る施策への関係機関等の理解と参画が得られるように努める」と記載しています。

 二です。「国は、都道府県等における小児慢性特定疾病児童等の健全な育成に係る施策の取組状況や課題を把握し、都道府県等に対し情報提供するとともに、教育機関等に対し、小児慢性特定疾病児童等の健全な育成に係る施策の趣旨や事業内容等を周知し協力を促すよう努める」としています。

 三です。「都道府県等は、その実施する小児慢性特定疾病児童等自立支援事業における相談支援を担当する者として小児慢性特定疾病児童等自立支援員を配置する等により、関係機関等との連絡及び調整を行い相談の内容に応じて関係機関等につなぐほか、個別に各種の自立支援策の活用を提案する等に取り組むよう努める」としています。

 四です。国は、障害者総合支援法に基づきまして「障害福祉サービス等の対象となる特殊の疾病について、小児慢性特定疾病の対象疾病の検討を踏まえて見直しを検討する。また、市区町村は、小児慢性特定疾病の特性に配慮した福祉サービス等の内容の充実に努める」としています。

 五です。「福祉サービスを提供する者は、訪問診療、訪問看護等の医療系サービスと連携しつつ、小児慢性特定疾病児童等のニーズに合ったサービスの提供に積極的に努める」としております。また「国は、医療と福祉が連携した先駆的なサービスについて把握し、普及に努める」としています。

 六です。「国は、疾病児童等の教育の機会を確保するため、疾病児童等に対する学習支援や疾病の自己管理方法の習得のための支援を含め、特別支援教育を引き続き推進する」としています。

 6ページにまいります。

 七です。「小児慢性特定疾病児童等の就労とその継続を支援するため、都道府県等は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施に当たり、学校教育段階から疾病の自己管理方法の習得のための支援を行うことや、資格取得等により疾病の状態等に合わせて働きやすい仕事に就けるよう就労支援機関等の協力の下での相談等の機会を通じた雇用情報の提供や職業訓練の実施等に取り組むことが重要である」旨、記載しています。

 八です。「国は、第四の五に規定する成人後を含む小児慢性特定疾病児童等の就労状況や生活実態の把握に努めるとともに、難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針を踏まえつつ、適切な就労支援等を含む小児慢性特定疾病児童等自立支援事業と成人に対する各種の自立支援策との連携強化に取り組む」としています。

 最後に「第八 その他疾病児童等の健全な育成に係る施策の推進に関する事項」を記しています。

 一。「国、地方公共団体及び関係団体は、小児慢性特定疾病に対する正しい知識と、疾病児童等に対する必要な配慮等についての国民の理解が広がるよう、啓発活動を行うことが重要である」。

 二。「国及び都道府県等は、医療費助成の申請方法、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業や相談支援の窓口の紹介など、小児慢性特定疾病児童等及びその家族をはじめとする関係者が必要とする正確でわかりやすい情報を充実させ、その提供に努める」。

 三。「国及び都道府県等は、小児慢性特定疾病児童手帳の一層の周知を行うことが重要である。また、国は、小児慢性特定疾病児童手帳や医療受給者証の取得に係る手続の簡素化等、これらの取得を促進する方策について検討する」となっています。

 以上が基本的な方針(案)の説明になります。

 

○大日向部会長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明について、委員の皆様から御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。

 小國委員、どうぞ。

 

○小國委員

 小児科の立場で御質問というか意見かもしれませんが、ちょっと検討していただきたいと思うことがございます。

 それは3ページの五、六に当たる問題なのですけれども、五のところで、小児医療から成人への移行というところでの問題が、今、かなり大変な状況になっております。特に車いすを使われている方々、それから、いわゆる精神遅滞といいますか、誰かの介助がないと生活が難しいような方々を成人期に受け入れていただける医療機関がないという状況です。全て断られてしまいまして行き場がないという状況が起こってきておりまして、小児科でずっと診ていくという状況が起こっております。患者様の御意向で小児科にいらっしゃる方というのはよろしいのですけれども、そうではなくて、断られ続けているという方々に関しましてはとても問題を感じております。

 そういう状況の中でやはり一番問題なのは、そういう方々を診るというときに、医療報酬が全く上がらないということがあるように思います。だから、いわゆる保険がもしそういう成人の方々を受け入れる場合に点数がつくという状況が可能になるならば、受け入れてくださる医療機関がかなり出てくるのではないかということを実感している先生方もいらっしゃいまして、検討事項に挙げていただけるとありがたいなと思います。そうしますと、今、行き場がなくて困っている方々の救済になるかと思います。

 あともう一点なのですけれども、六です。成人後引き続き小児科で見ると。今、現実にやっていることなのですが、小児科の病棟を一度見ていただくとわかるのですが、ベッドが小さいのです。小さくて、横に大人の方のベッドを入れて一緒に見ていただくということもしなければならない方もいらっしゃいます。例えば、小さいお子さんで、お母さんと一緒に入院を希望される方というのは、そういう形でベッドを入れて泊まっていただくのですが、この成人以降の方々というのは、その患者様自体、体が大きいので、小児ベッドではとても寝られないというか、間に合わないのです。

 もう一つは、男性でありますと、小児科の基本的な考え方として、成人は女性しか入院できない。風紀的な、倫理的な問題からなのですが、成人は女性という形が一般的になっておりまして、どうしても男性の場合には個室使用になるという状況もございます。個室がすごく少ないという状況と、ベッドが小さくて、いわゆる収容する施設が整っていないという問題があるということです。慢性の特定疾病に認定されている患者様は、いつ急変があるかもしれませんので、見ていく場合に、救急で主治医のもとに搬送されてくるわけですが、必ずしも小児科のベッドが確保できない。そういう状況で、成人のベッドを一生懸命探すわけですが、そうしますと、医療体制としましてかなり問題が生じてくる。遠いところで見なければいけないでありますとか、看護婦さんがなれていないとか、いろいろな問題が生じてきます。なので、そういう病棟の設備の確保というのも、もし小児科でずっと見ていくということであれば持ち得るということは以前から感じております。

 以上です。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 御意見として承るということでよろしいでしょうか。

 

○小國委員

 はい。

 

○大日向部会長

 貴重な御意見ありがとうございました。

 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。

 

○大日向部会長

 それでは、当該案件に関しましては、ただいま頂戴した御意見を踏まえて、事務局において引き続き告示の公布に向けて作業を進めていただくようお願いをいたします。

 次に「児童部会専門委員会の新設について」、事務局から御説明をお願いいたします。

 

○朝川保育課長

 保育課長です。資料3を御覧いただければと思います。

 現在の保育所保育指針は保育所における保育の内容を定めるものです。この保育所保育指針は直近は平成20年度に改定されてございますが、改定時から現在まで社会情勢の変化もございますし、今後のいろいろな変化も予想されますので、5行目のところで、その保育指針の内容がこれらの保育を取り巻く様々な社会の変化に沿ったものか検討する必要があるということでございます。

 また、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であります幼児期の教育につきましては、文部科学省が幼稚園教育要領の改訂に向けた検討も進められているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、保育所保育指針の改定等に資する検討を行うために、当児童部会の下に保育専門委員会を設置させていただきたいというものでございます。

 「2.構成等」でございますけれども、専門委員会の委員は、保育に知見のある学識経験者及び保育に携わる有識者等から構成する。(2)で、委員長を置く。(3)で、関係者の参加を求めることができる。(4)で、オブザーバーとして内閣府及び文部科学省が参加することができる。(5)で、庶務は保育課が行う。

 「3.主な検討事項」としましては「(1)保育所における保育の基本的なあり方の検討」「(2)保育所保育指針の改定等に向けた検討」等でございます。

 「4.その他」、委員会は原則公開でございます。

 裏をめくっていただきまして、想定しておりますスケジュールでございます。ここの場で専門委員会の設置を御承認いただければ、11月ぐらいに第1回を開催させていただいて、以降、各月1回ぐらいのペースで開催をしていければと思います。書いてございませんけれども、来年の春ぐらいに1回中間まとめという感じで進めていけたらと考えているものでございます。

 説明は以上でございます。

 

○大日向部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明に関しまして、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いをいたします。

 特段ないということでございましょうか。

 

○大日向部会長

 特段、御意見、御質問がないということでございますので、それでは「保育専門委員会(仮称)」の設置に関しまして御了承ということでよろしいですか。

(了承)

 

○大日向部会長

 それでは、設置をさせていただくことといたします。

 次に「関連施策の最近の検討状況等について」、御説明いただきたいと思います。量がかなり大部でございます。最初に資料4から6について事務局から御説明をお願いいたします。

 

○朝川保育課長

 保育課長です。まず、資料4-1を御覧いただければと思います。

 子どもの預かりサービスのあり方についてでございます。この件は、左上にございますけれども、お子さんが亡くなるという昨年の3月の事件を契機に検討を進めてきているものでございます。この専門委員会を昨年設置し、一番右側に4つほど項目がありますが、方向性として4つ打ち出してございます。

 1つ目は、認可外の保育の届け出制度ですけれども、その対象範囲を広げることを検討したらどうか。2つ目は、指導監督の基準について見直したほうがいいのではないか。3つ目は、事件がマッチングサイトを通じて起こりましたので、マッチングサイトへの対応のあり方。4つ目は情報提供のあり方ということで議論をしてまいりました。

 裏を見ていただきますと、昨年の11月の段階で方向性、取りまとめをしていただいたわけですが、まず、(1)の届け出の対象範囲であれば、一番上にあります5人以下の施設・事業についても都道府県への届け出義務を課す。現在は6人以上のものが対象になっているのですが、それを5人以下でも対象にする。また、施設でやらない、訪問をしてやるベビーシッター型のものも対象にするということです。(2)のところで指導監督基準を見直す。(3)のところでマッチングサイトとのガイドラインを作成する。そういったことを決めてございます。

 これを受けて、その後でございます。資料4-2は今の専門委員会の議論と取りまとめですので御参照いただいて、資料4-3でございます。今見ていただいた(3)のマッチングサイトへの対応に該当するところですが、ことしの6月3日に私どものほうから「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」を作成させていただいたところでございます。私どもはこのベビーシッターに関するマッチングサイトを十数個把握してございます。そういった事業者さんに守っていただく法的な拘束力ということではございませんけれども、ガイドラインという形で定めたものでございます。

 例えば1枚開いて1ページ目を見ていただくと「3 マッチングサイト運営者が遵守すべき事項」というのがございますが、その中で、2ページ目の一番上のところで、都道府県知事等が定める者の実施する研修を修了したことを証明する書類であるとか、本人確認の証明書をちゃんと提出するとか、研修の受講状況を確認するとか、あるいは(2)のところで、複数登録を禁止するとか、そういったことをマッチングサイトの運営者側に遵守していただくということを定めております。

 また、3ページ目の下のほうの4でマッチングサイトの利用規約を定めていただいて、その定める事項についてのガイドラインを定めているところでございます。4ページ目の(1)で、例えば事前の面接です。保護者はこのマッチングサイトを経由して利用する保育者と事前の面接を行うということを利用規約に定めるとか、(2)のところで、都道府県知事への届け出を証明するものを提示するとか、そのようなことを定めさせていただいたところでございます。

 これを遵守していただくということで、運営者側にもお願いをしているところでございますが、実際、遵守がどのようにされているかについては、今年度の予算の事業で、第三者の機関に私どもから委託し、ネットの状況を監視させていただくという事業を予算計上しているところでございます。現在、その第三者の事業者さんを公募して決定し、その決定された事業者において、今、準備を進めているところでございます。

 これが1つ目の報告事項でございます。

 次に、資料5を1回飛ばしまして資料6を御覧いただければと思います。横紙で「地域限定保育士制度の概要」と書いてあるものでございます。御案内のとおり、保育士の国家資格を取得するためには、養成校を卒業するか、あるいは保育士試験に合格するか、そのどちらか2つのルートがあるわけでございます。その保育士試験については、児童福祉士法上、都道府県が実施することになっておりまして、年1回以上都道府県は実施すると定められています。したがって、法規定上は年2回以上試験を実施することが可能なのですけれども、これまでのところ、全ての都道府県において年1回の実施になっているところでございます。現在、保育士の確保が非常に難しい状況になってきておりまして、そういうことを背景に、都道府県にできる限り試験の2回実施を実施していただきたいという思いを私どもは持っております。そのきっかけとして、都道府県が取り組みやすい仕組みを国家戦略特区の枠組みでつくったらどうかという議論がございまして、今年の現在開かれております通常国会で法律改正がされて公布されております。

 この地域限定保育士制度の仕組みは、基本的に、3番目のところに、実施自治体は神奈川、大阪、沖縄、千葉と書いてございますけれども、例えば神奈川県に実施していただく場合は、神奈川県の試験を受けた方で合格された方は3年間はその神奈川県内でのみ保育士として働くことができる資格。4年目以降は通常どおり全国で働けるようにするということで、神奈川県が保育士試験の2回目を実施する、そのインセンティブづけを図るという仕組みでございます。この趣旨に賛同して、今年度10月に実施しますが、その10月に実施していただく都道府県が今見ていただいた神奈川、大阪、沖縄、千葉ということでございます。

 ちょっと裏を見ていただきますと、今、申し上げたのは今年度の試験の話でございますが、来年度における保育士試験の2回実施についてでございます。冒頭申し上げましたとおり、保育士試験は、現在でも都道府県は2回実施できるということになっておりまして、必ずしもこの地域限定保育士試験の仕組みを使わなくても保育士試験が実施できるわけです。今年度は地域限定保育士試験に限って2回目の試験を実施いたしますが、28年度以降は、通常の試験も含めて、年2回の実施を都道府県に御検討いただければということで、今、検討をお願いしているところでございます。

 その際、真ん中の欄の実施時期についてです。今年は大丈夫だったのですけれども、昨年度などは8月に1回目の試験をしているときに台風の影響で大分実施ができなかったという事情がございました。試験を2回実施する上では、こういう台風の影響などを受けにくい時期に実施することが重要でございますので、1回目の試験は4月に今後実施時期を改めさせていただいて、2回目の試験は10月に実施する、今、そのように考えてございます。その方向で、今、準備を進めているところでございます。

 一番下のところは、ちょっと細かい話ではありますが、学生のみなさんから心配の声をいただいているのであえて書いてございます。4月に1回目の試験を実施することになりますと、今までは8月に実施しているので、卒業見込みという形が試験申し込みの時点でとれたのですけれども、4月に実施するとなると、まだ卒業見込みというのがはっきりしない学校があるということでございます。この4月実施に変更することに伴いまして、短大の卒業見込み等により受験資格要件を満たす受験者が受験できなくなるおそれがありますので、引き続き短大卒業見込み等の受験者が実施できるよう所要の見直しを実施したいと考えてございます。

 これが資料6でございます。

 1回戻って資料5を御覧いただきますと、地域限定保育士試験制度に関連しまして、保育士養成課程等検討会。これは局長のもとに参集いただいております検討会でございますけれども、この検討会を現在開かせていただいているという御報告でございます。3のところにこの検討会で検討いただく事項が大きく分けて4つございますが、現在、検討いただいておりますのは「(3)地域限定保育士試験における実技試験に代わる講習又は実習に関する事項」という項目でございます。保育士試験は、まず、筆記試験を実施して、その合格者について実技試験を受けていただく。それに合格したら晴れて保育士試験合格ということになるわけですけれども、この地域限定保育士試験について、これは特区の仕組みですので、試みの制度という性格もございますので、講習あるいは実習を受けた場合には実技試験を免除するという仕組みが考えられないかということで、その内容について、今、検討を進めていただいているところでございます。

 もう一つは、喫緊の課題として検討をお願いしておりますのは(4)でございまして、保育士になるルートが2つあると申し上げました。養成校を卒業するルートと試験で合格するルートがありますが、その合格者のレベルについて整合性がとれているのかどうか、そういったことが政府内で課題として挙げられてございますので、その点について専門の先生方に少し検討を深めていただけたらということをお願いしております。

 もともとこの検討会は、こういう個別トピック的な話以外に、(1)(2)という養成課程そのものの在り方を時代の状況に合わせて見直しをしていく、検討していただく場でございますので、こういうトピック的な議論が終わりましたら、そういう内容に議論を移していただければと考えておるところでございます。

 当部会の委員には、裏に書いてございますように、矢藤先生、山縣先生にも加わっていただいているものでございます

 以上、報告でございます。

 

○大日向部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明に関しまして、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 山縣委員、どうぞ。

 

○山縣委員

 ちょっと聞き漏らしたのかもしれないのですけれども、子どもの預かりサービスの云々のところですが、報告書で大きく4つの課題、方向が示されていると。3番目はもう明らかに対応しておられるのですけれども、1番と2番はまだ改正等は行われていない。今後どんな感じになるのか、もしわかれば教えてください。

 

○大日向部会長

 お願いいたします。

 

○朝川保育課長

 ありがとうございます。

 資料4-1の裏を御覧ください。(1)の届け出の対象範囲のあり方につきましては、ちょっと細かいですけれども、6人以上の施設はこれまでも対象でしたが、今年の4月から6人以上の訪問型の事業はここの届出制の対象に範囲を一回拡大しております。その上で、5人以下のところについては、都道府県の事務処理の実施体制の準備とか、事業者側の準備がありますので、1年間置きまして、来年の4月に届出義務を課す方向にしておりまして、所要の法令上の措置については現在取り組んでいるところでございます。いずれにしても、来年の4月から実施することにしています。

 指導監督の基準についても、それに合わせて見直しをしていく必要がありますので、それについてはこれから措置をするということです。今年4月の事業型のものを対象にする分については最低限の見直しをしてございますけれども、いずれにしても、5人以下に対応するところについては改めてということでございます。

 

○大日向部会長

 よろしいですか。

 

○山縣委員

 はい。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 小國委員。

 

○小國委員

 すみません、質問です。

 1つは、非常に質の高い保育士を養成するという意味合いもあって2回試験にして、質の高い保育士をたくさん養成するという意味ではないかと思っているのですけれども、足りないということもあるのですが、子どもの預かりサービスということになると、保育士の質が下がるという懸念はないのでしょうか。

 

○大日向部会長

 どうぞ、お願いいたします。

 

○朝川保育課長

 まず、試験2回実施につきましては、今までの保育士試験と同じレベルの試験を2回目実施するということですので、質を上げるというよりも、質を下げずに質を維持しながら、保育士になっていただく数を増やしていきましょうという政策目的を持って行っています。

 子どもの預かりサービスについては、特に今回問題になっていますのは、いわゆる認可の体系に入ってきていないサービスですので、そもそも法令上の基準があまりかかっていないサービスです。したがって、担い手については、保育士の場合もあるのですけれども、保育士でない方がサービスを行っているケースが多くございます。したがって、認可の対象外で行われている訪問型のサービスあるいは施設型のサービスについて、少しでも質を上げていく必要がある、安心できるサービスを確保していく必要があるという観点から、この預かりサービスの検討をさせていただいているという関係にあります。

 

○小國委員

 1つ。私は今、非常に専門性を持って保育をやっている大学にも行っておりまして、その先生方が感じておりますのは、保育士の専門性が非常に問われるというか、身分を保証していただけると、今の保育士の地位をもうちょっと向上していただけると、給与の問題もそうなのですが、たくさんの方々が保育士を目指すという形になるのではないか。

 一方で、こういう預かりサービスとか、そういう無認可の、保育の専門性のない方々のことを認めて、それをどんどん充実させていくということは、それに反する方向性になってしまうのではないかという危機感をすごく持っていらっしゃって、そのあたりが、預けるお母さんの心配にもつながるのではないかなと思いますので、その辺はどのようにお考えになっているか。拮抗しているように思っているのですが。

 

○朝川保育課長

 まず、保育士の身分保証を高めていくというか、質を高めていく、そういうことは非常に重要な課題でして、保育士の確保が難しい状況下で、量を増やさなければいけないのですが、その量を増やす上で、保育士に魅力のある資格になっていく必要がございますので、研修制度をしっかりしていくということ、あるいは賃金を上げていくこと、職場環境を良くしていくこと、さらには、そもそも養成課程についてもう少し他資格に遜色のない形のものに不断に見直していく必要があると思っています。それはそれでそういうことなのですけれども。

 一方で、医療系のサービスと違って、いわゆる保育であるとか子育ての預かりとかは業務独占になっていませんので、自由にサービスが提供できる状態になっております。したがって、無資格の人でも子どもを預かるということは法律上規制がされていないわけです。そういう中で、非常に心配なサービスの提供形態が世の中にあるという実態がございますので、そこをいかに安心できるレベルまで上げていくか、そこが課題でございまして、別にそういう事業を振興しようとしているわけではございません。今ある比較的低いレベルのサービスについて一定程度の底上げをしていく。そういう観点からの検討を進めているということでございます。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 では、松田委員、次に宮島委員、お願いいたします。

 

○松田委員

 地域限定保育士制度で、今、議論されたことについて私の意見を述べます。

 複数回実施することによってこうした保育士のなり手を増やすことができるのであれば、これは非常にすばらしいことだと思いますが、この資料に書いていないだけかもしれませんけれども、今、幾つかで実施するということの効果の検証といいますか、そうしたものをあわせてしたほうがいいのではないかと思います。それは、2回にすることで質が下がるという懸念も一般にはあると思いますし、また、2回やってどれだけ増えるか。業務負担も教育機関のほうは増えますので、そうしたものを含めて、これで効果があれば他にも展開したほうがいいと思いますし、なかなか難しいということであれば再検討したほうがいいと思います。いずれにせよ、効果の再検討というものをしたほうがいいのではないかと思います。

 

○大日向部会長

 関連していますか。宮島委員。

 

○宮島委員

 いいえ。

 

○大日向部会長

 では、今のことについてお答えください。

 

○朝川保育課長

 まず、効果の検証をちゃんとやりながらということだと思っております。現状だけ申し上げますと、まだ数をちゃんと集計していませんので、はっきりと申し上げられませんが、1回目の試験は、通常、今は5~6万人ぐらい受験者がいて、1万人ぐらい受かっているという状況です。今年10月に実施するこの地域限定保育士試験、2回目の試験は、4県トータルで恐らく1万人は超すのではないかという感じになっていますので、それなりに人気があるというか、受けていただける数は多いという実感を持っています。

 実際にこれをやることによって保育士さんが増えていくのかどうかという点については、やはり受けていただく人数がそれなりにいることは重要なのですが、それとともに、保育士試験というのは合格率20%ぐらいなのですけれども、すなわちそれは1回で受からない試験になっていまして、3回ぐらい受けて受かるという感じの実態になっております。8科目あるうちの一部合格というのが認められていて、一部合格したものは、次の試験とか、さらに次の試験に合格を引き継げますので、受験回数が増えれば増えるほど受かりやすくなるという効果はございます。それで、質を下げずにそういうことが期待できますので、まずは実施をしていきたいと考えています。効果はしっかり検証していきたいと思います。

 

○大日向部会長

 よろしいですか。

 それでは、宮島委員、お願いいたします。

 

○宮島委員

 時間のない中で申し訳ないですが、預かりサービスのことでちょっとわかれば聞かせていただきたいのです。

 公的な保育サービス等の質の向上をずっと目指していたら、想定外のところで私的な、かなり危ないような預かりが広がっていたと。これを放置してはならないと。でも、それを余り締め過ぎると、実際のニーズがあって、むしろ低所得者の方などが利用している実態を阻んでしまう。十分バランスをとることが非常に難しい課題だったと思うのです。そういう中で具体的な対策を個々にとって、本当に納得のできるような方向性を出してくださったなと思って、これを着実に進めていただきたいと思っています。

 このプロセスの中で実態を把握して検討したということなのですが、実際にこういった預かりサービスの保育の担い手の方は、どんな人たちがどのぐらいやっていたということが把握できたのかできなかったのか。例えば、今後、研修を求めるということになったとしても、半年ぐらいでちょっとついてすぐやめてしまうような保育従事者の方が多く登録されているような実態があったとすれば、またそこはそこで考えなければいけないなと素人的に思ったものですから、もしその辺で把握している状況があったら、簡単で結構ですが、御紹介いただけたらと思うのです。

 

○朝川保育課長

 この資料4-1の表のほうですけれども、まずは、3月に事件が起きて、その後、実態の把握に努めたわけです。ここの真ん中辺の上から2番目の「事業者」の欄にちょっと書いてありますけれども、事業者さんにおける採用時の研修というのは、やられていることはやられているケースが多かったわけですが、短時間の研修にとどまっている。昨年の段階でそういう把握はされています。

 今、おっしゃっていただいたような量的にどれぐらいでやめてしまうかとか、そういったところまでは把握が及んでいなかったと記憶していますけれども、今回の対応策としては、届出の義務付けに関係させて、それに付随して研修をちゃんと事業者に受けていただく。事業者といっても個人の場合があるわけですけれども、事業者側にちゃんと動機づけをしていく。そういうことを狙っています。

 ただ、個人でやられている方が実際にどれぐらいいるのかというのは、届出制をやってみて、届け出ていただける範囲が実際どれぐらいになるのかというのはやってみないとわからないところもございまして、そのような状況でございます。

 

○大日向部会長

 よろしいですか。

 

○宮島委員

 一言だけ。

 ありがとうございます。届出制をすることによって、今後、把握が進むということを期待いたします。それが進んで、逆に、もっとブラックのほうに隠れたところでそういったことが生じないかということもあわせて見ていっていただきたいなと要望します。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 矢藤委員が先に手を挙げられました。それから松原委員、秋田委員の順でお願いいたします。

 

○矢藤委員

 岡崎女子大学の矢藤です。

 保育士試験を取りやすくするということで、保育の質の問題に懸念があるというのはわかるのですが、それは試験の質とかを下げるということではないと理解しています。そのあたり御配慮いただきながら進めていただきたいと思うのです。

 一方で、養成校のほうは大丈夫なのかということをしっかり確認していかないといけないと思っています。養成校の質の問題にも配慮する必要がある。例えば、保育士試験で幼免を取得した者が児童福祉に関連する課目を履修していれば、事実上、全ての科目を免除した形で取得することができると理解していますが、これを利用して、実習に出せないような学生に何とか無理矢理幼免だけを取らせておいて、それで関連科目は学内で実習させておいて試験に出願させて取らせるといったことを組織的に行っているのではないかと懸念されるようなケースがないとも言えないように聞いています。これはレアケースだと信じたいですが。

 それに関わらず、今、もちろん最低基準を確認するために地方厚生局の指導調査があるかと思いますが、それに加えて、例えば卒業生の保育士の資格の取得状況であるとか、勤続年数であるとか、何らかの客観的な情報をしっかり収集して提供するようなことを促すような、要するに養成の質を把握して公表するような何らかの施策が必要ではないかと思いますので、そういったこともセットで御検討いただきたい。もちろん、私もかつて養成課程等検討会の委員ですので、そういったところで検討していきたいと思いますが、ここでもちょっとそのことを申し述べておきたいと思います。

 以上です。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 まとめていただいてからお答えいただくということにいたしましょうか。

 それでは、松原委員、お願いいたします。

 

○松原委員

 まとめてお答えいただくときに確認なのですが、この地域限定保育士については、保育所以外の児童養護施設等についても勤務できると理解してよろしいかということを確認します。その上で、一般的に保育所の保育士不足が大きく取り上げられますけれども、最近、社会的養護を担う施設でも、職員、特に現行、保育士が中核になっておりますので、保育士を確保していくのは非常に難しいということですので、この養成課程とあわせて、保育所以外の児童福祉施設での保育士確保。

 あと、せっかく養成のことを議論されていらっしゃるので。今の養成の中身というのは、例えば児童養護施設等に関わる部分の履修時間がそう長くない中で、社会的養護に関する部分での学習等も少し検討していただくようにお願いしたいと思います。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 それでは、秋田委員、お願いいたします。

 

○秋田委員

 東京大学の秋田です。保育士養成課程等検討会での検討の内容に関する個人的意見と要望です。

 保育士の質の向上というのはとても重要で、子ども子育て支援新制度で質の改善を図るということがここにも書かれており、それはとても重要なことだと考えております。子ども・子育て支援新制度の中で、幼保連携型の認定こども園や保育所型の認定こども園というものもできてきているわけですけれども、実は私、文部科学省のほうの教員養成部会の委員をしておりまして、その中では、小・中だけではなくて、幼稚園やこども園の共有も入って、いわゆる養成だけではなく、養成採用、それから現職の研修の切れ目ないあり方を検討していくということが報告書の中でも体系的に書かれるようになってきております。

 保育士に関しましても、例えば保育所であったり、社会的養護の様々な施設であったり、そういうところというのは、この「養成課程等」になっている「等」の意味合いというところを、単純にその養成段階の試験や課程をどうしたらいいかという実務だけではなく、今後、やはり質を高めていくために、養成採用、さらにはその研修を継続的に保育士に関して行っていくことがどのように行われたらいいのかということについて検討するところが従来の検討会の中になかなか設定されていないと思います。この検討会が「養成課程等」になっておりますので、時間が許す範囲で委員の先生方に御検討いただけるとちょうどマッチングができて、子ども・子育て支援新制度の両面からもよろしいのではないかと思います。

 個人的な意見でございます。

 

○大日向部会長

 ありがとうございました。

 それでは、まとめてお願いいたします。

 

○朝川保育課長

 まず、矢藤委員からいただいた意見は、それはそのとおりだと私どもも思っておりますので、養成課程等検討会でもしっかり検討していきたいと思います。

 松原委員の御質問の点については、まず、地域限定保育士試験は、3年間地域限定がかかるという点以外は通常の保育士と全く同じ資格ですので、当然、社会的養護で働くことも可能なものとして設定しています。

 人材確保という意味でも、これは別に保育所だけの問題ではないと私どもも認識しております。この資格のところでもそうですし、処遇改善なども社会的養護も横並びで3%のアップということもやってきています。

 秋田先生からいただいた御意見も、まさにおっしゃるとおりでございまして、養成のところも重要ですけれども、その後、現場に入って継続的にちゃんとした研修が受けられる環境をつくっていく。しかも、それも、必ずしも今、体系立った感じになっていません。体系立ったものをしっかり用意していくということは課題でございますので、養成課程等検討会も含めてちょっと検討を進めていけたらと思います。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 ほかはよろしゅうございますか。

 

○大日向部会長

 この資料4から6で御説明いただきましたことは、子どもの環境、子どもの保育をめぐって非常に重要な点でございまして、しかも喫緊課題であるということで、委員の皆様からも貴重な御意見をいただいたことをありがとうございます。いずれにいたしましても、今、朝川保育課長からお答えいただいたとおりかと私も思います。皆様がおっしゃるような保育の質の維持・向上を目指した専門委員会の取りまとめであり、検討会であると思いますが、なお、皆様からいただいた御意見を反映して、これからも保育の質の維持・向上に努めていただければと思います。ありがとうございます。

 それでは、次に資料7から11につきまして、これも一括して事務局から御説明をお願いいたします。

 

○大隈家庭福祉課長

 家庭福祉課長でございます。資料7-1から、ひとり親、自立支援の関係を御説明させていただきます。

 資料7-1を御覧いただけますでしょうか。「すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議の開催について」の資料でございます。これに至る経緯を若干補足して説明させていただきます。

 ひとり親の自立支援に関しましては、この4月に「子供の未来応援国民運動」の発起人集会というところで総理から指示がございました。経済的に厳しいひとり親家庭や多子世帯の自立を応援するための支援の充実策について検討すること、夏を目途に方向性を取りまとめて、年末を目途に政策パッケージを策定することという御指示がございました。

 それから、この6月に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針の中でも、ひとり親家庭の支援の充実、あわせて社会的養護の推進と児童虐待防止対策の強化についても年末を目途に政策パッケージを策定するという命が盛り込まれております。

 こうした状況を受けて、この資料7-1でございます。それまで、ひとり親についてはこの4月から、児童虐待については昨年の夏から、それぞれ世耕官房副長官のもとで検討を進めておりましたけれども、この8月28日の副大臣等会議で、両者の検討を併せるという形で、「すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議」を設置したところでございます。

 この会議の構成メンバーは、2のところにございます。ひとり親関係、それから児童虐待についても、厚生労働省だけでなく様々な省庁が関係するということで、関係省庁の副大臣等が構成員として加わっておるところでございます。

 この副大臣等会議でで取りまとめられたものがひとり親家庭・多子世帯の施策の方向性でございます。資料7-3が施策の方向性の概要となっておりますので、こちらで御説明させていただきます。

 表紙をめくっていただきまして、1ページに「ひとり親家庭・多子世帯等の自立応援の方向性」を記載しております。この経済的に厳しい状況に置かれたひとり親家庭や多子世帯の自立に向けての課題が上半分にございます。まず、支援が必要な方に行政のサービスが十分に行き届いていないという課題。それから、複数の困難な事情を抱えている方が多く、一人一人に寄り添った支援が必要であるという課題。それから、ひとりで過ごす時間が多いひとり親家庭等の子どもたちに対して、学習支援も含めた温かい支援が必要であるという課題。それから、ひとり親家庭の親についても安定した就労による自立の実現が必要であるといった課題がございます。

 これに対応して方向性といたしましては、下にありますとおり、ある自治体の窓口のワンストップ化の推進、それから子どもの居場所づくり、子どもやその家庭が抱える問題への対応、それから子どもの学習支援や親の資格取得支援などの各種サービスの充実を進めていくこととともに、経済的支援につきましても、財源確保とあわせてしっかりと検討を進めていくという形になっております。

 これは、夏の段階では施策の方向性ということでございますので、今後さらに具体的な内容の検討を進めまして、年末を目途に財源確保も含めた政策パッケージを策定するということとされております。

 具体的な内容については2ページでございます。今回の施策の方向性につきましては、全体を6つのカテゴリーに分けてございます。まず、この2ページに「支援につながる」とあります。ひとり親家庭の方がなかなか行政のサービスにつながっていないというところでございますので、まず「支援につながる」というのを最初に置きまして、それから、それぞれの課題に応じて「生活を応援」「学びを応援」「仕事を応援」「住まいを応援」「社会全体で応援」という6つのカテゴリーに分けて、行政の支援が確実につながる仕組みを整備するとともに、総合的な支援が可能となるような施策を盛り込んでいるところでございます。

 幾つか具体的に挙げますと、「支援につながる」のところでは「相談窓口のワンストップ化の推進」ということで、窓口の愛称、ロゴマーク、それからスマホで窓口を検索できるような仕組み、あるいは窓口で相談員が寄り添って支援ができるような体制整備などを方向性として掲げております。

 それから「生活を応援」につきましては、子どもの居場所づくりや児童扶養手当、それから養育費の確保支援などを盛り込んでおります。

 「学びの応援」のところでは、文部科学省の取り組みが多いところですけれども、学習支援の充実、それから教育費の負担軽減の推進、それからスクールソーシャルワーカーの活用などの子どもやその家庭が抱える問題への対応などを盛り込んでおります。

 それから「仕事を応援」では、就職に有利な資格の取得支援、それからハローワークによる自治体への出張相談など、ひとり親全力サポートキャンペーンの展開などを盛り込んでおります。

 また「住まいを応援」では、公的賃貸住宅や民間賃貸住宅におきます子育て世帯の居住の安定の確保などを盛り込んでおります。

 一番下の「社会全体で応援」では、この4月から「子供の未来応援国民運動」が始まりまして、この10月から本格的に実施することとなっておりますが、この「子供の未来応援国民運動」の中で、ひとり親家庭等の支援についても取り組んでいくということを盛り込んでおります。

 以上のような施策を夏の段階での方向性としてまとめております。

 3ページ以降は、ただいま申し上げた内容をさらに詳細にまとめたものでございます。時間の関係もございますので、説明は省略させていただきます。

 以上です。

 

○古川総務課長 続きまして、児童虐待防止対策関係について説明をさせていただきます。

 まず、資料7-5でございますけれども、この「児童虐待防止対策強化プロジェクト(施策の方向性)」というものが8月28日に「すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議」で取りまとめられたという経緯につきましては、先ほど家庭福祉課長から説明を申し上げたとおりでございますので、そこの件については省略をさせていただきます。

 そして、その取りまとめを踏まえまして、年末において虐待に関しても政策パッケージを取りまとめることにつきましても同様の整理になっているところでございます。

 このプロジェクトの中身でございますけれども、順番が逆になりますが、資料8を御覧ください。これは、本児童部会で御了承いただきまして、昨年9月から児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会を開催させていただいております。松原先生に委員長を担っていただいておりまして、議論を積み重ねていただき、同様に8月28日にこれまでの議論をおまとめいただいたところでございます。いわば、この虐待に関します専門委員会のエッセンスが資料7-5、7-6にあります施策の方向性の中に盛り込まれております。資料8は40ページぐらいの大部でございまして、ポイントは7-5、7-6で説明できると思いますので、こちらを説明させていただきます。

 順番が逆で恐縮でございますが、まず、7-6「児童虐待防止対策強化プロジェクト」を御覧ください。「はじめに」のところでございますけれども、基本的なスタンスでございます。社会の変容等に伴う子どもと家庭を取り巻く今日的な課題に対応するという観点から、中長期的な視点で児童虐待防止対策を初めとする子ども家庭福祉のあり方について包括的に検討するということでございます。

 特に深刻な状況にある児童虐待の問題につきましては、その課題克服に向けて「児童虐待防止対策について」に盛り込まれた事項の着実な実施に加えまして、発生予防から自立支援までの一連の対策のさらなる強化を図る。

 今後、財源確保も含めて、強化策の具体化に向けた検討を更に進めて、先ほど説明をさせていただいたとおりでございますけれども、「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」と併せまして27年末に政策パッケージを策定することといたします。

 さらに、新たな子ども家庭福祉のあり方についての検討を速やかにスタートさせ、そうした議論も踏まえて、次期通常国会への法案提出を目指すということが提示されております。

 また、こうした虐待問題を中心に、1回の見直しだけで完結するものではありませんので、必要な検証を行い、定期的に見直しを行うということも整理をされております。

 2番目の「今後の児童虐待防止対策の在り方」につきまして、大きな課題ということで考え方が整理されてございます。子ども家庭福祉の軸となる理念は、単なる安全確保を超えたもの、全ての児童の健やかな成長と実現のための養育支援だということ、全ての児童は適切な養育を受ける権利を有するとともに、その自立が保障されるべきであること。そのためには、官・民のパートナーシップの構築や民間の創意工夫を積極的に活用することも重要。こうした理念を踏まえまして、児童相談所が介入と支援の両方の機能を有している点、国、都道府県、市町村の役割と責任の明確化などについてもきちっと整理をするべきだという指摘があります。こうした指摘を踏まえながら、新たな仕組みの在り方について早急に検討を開始するということ。また、見直しの実効性の検証や専門職員を含む体制強化等についても検討するとされております。

 同時に、3番目の「当面の児童虐待防止対策の強化の考え方」でございますけれども、望まない妊娠など、初期対応から自立に向けて様々な広範な議論をしていただいたということが整理をされております。

 それにつきましては、順番を逆に戻っていきますけれども、7-5の資料で説明をさせていただきたいと思います。

 2ページでございますけれども、まず、何より虐待を発生させないということが極めて重要だということで「発生予防の強化」ということが1つ目の整理でございます。望まない妊娠、若年者の妊娠などにつきまして、関係機関からの情報提供の新たな仕組み、子育て家庭へのアウトリーチ型支援によって行政や民間と子育て家庭の接点を確保して支援につなげる。これによって虐待を未然に防止するということを方向性として整理されているところでございます。現行の虐待防止法では、虐待のおそれのある子どもを発見した場合については通告いただくということになりますけれども、虐待死の場合、ゼロ歳児で亡くなる子どもが非常に多いということを踏まえまして、その一歩手前の段階から、妊娠段階から支援が必要だということを把握させていただいて支援につなげるという考え方があるところでございます。

 マル2は「関係機関の情報共有による最適な支援」でございます。こうした未然防止につなげたとしても、虐待が直ちにゼロになるというわけではございません。虐待事案が発生した場合において、児童相談所、市町村などの関係機関が共通の判断基準によりアセスメントを行う新たな仕組みを通じて情報を共有する。これによりまして対応の遅れを防ぐことを目指すところでございます。

 恐れ入りますが、1ページの真ん中に円がぐるっと描いてございます。これは、関係機関が多岐にわたりますけれども、例えば児童相談所と市町村の関係ということであれば、市町村で一旦対応しても、その子どもや御家庭の状況が変われば児童相談所で受けとめるということが当然あっていいし、一旦児童相談所で受けとめたらずっと児童相談所で受けとめ続けるということではなくて、また状況が変われば今度は市町村で受けとめるという、その時々に最適な状況を最適な支援機関が最適な支援を行うという工夫を行うべきだということが今申し上げたマル2のところの説明の趣旨でございます。

 お戻りいただきまして、マル3の「自立支援とフォローアップ」でございます。個々人の状況を踏まえまして、里親委託や養子縁組など家庭的な環境で養育することを推進するとともに、施設入所、里親委託等の被虐待児童について個々人の発達に応じた支援を行う。新たに施設退所児童などからの相談に応じるなど、心のよりどころとなる居場所づくりの推進などのフォローアップを行うことで、確実な自立に結びつけることを考えるまた、そうした点を継続的に見直すということでございます。

 こうした施策を行うに当たりまして、横串的に常に意識すべきというのが右側に書いてございます。先ほども申し上げましたけれども、多くの方のお力をおかりして対応していくということ、民間との協働ということで、NPO、児童委員等の地域における民間とのパートナーシップ、ソーシャル・インパクト・ボンドの活用、民間事業者による取組等々、あらゆる力をおかりすることが必要だということ。また、何らかの理由で行政側に接点を自ら持とうとしないという方もいらっしゃるということでございますので、待ちの姿勢ではなく、より積極的にアウトリーチの姿勢でメニューを展開していくことも、こうした議論を深めていく中で、常にこの意識・視点を持って考えていくということが整理をされたというところでございます。

 以下、あと数分でございますけれども、簡単に申し上げます。

 3ページ以降、妊娠期からの切れ目のない支援などにつきまして具体的に書かれているところでございます。ポイントだけ申し上げます。今、申し上げましたが、支援を要する妊婦の情報を初期段階から把握するという支援メニューを考えたらどうかということがまず1つ。それから、マル2でございますけれども、法的知識を要する相談や心理面に配慮するような相談ということが大変多くなってございます。そうした点に対応できるような児童相談所や市町村の体制整備を目指すべきだというところでございます。

 4ページは、要保護児童対策地域協議会の機能強化ということで、多くの件数を対応されておる要保護児童対策地域協議会がより迅速に、より的確に対応できるようにということで、2つ目ですけれども、協議不調時の主担当機関指定ということで、2つ目のポツにありますが、協議が整わない場合においては主たる支援機関を指定するような権限を付与するということで対応の遅れを防いだらどうかということ。

 それから、マル2ですけれども、これは児童相談所などが案件処理の対応に追われて遅れてしまうケースがあり得るということでございますので、児童相談所や市町村から児童やその保護者の心身の状況に関する資料等の提供を求められた場合は、関係機関はその調査に協力するということが何か仕組めるということができれば、迅速な対応ができるのではないか。

 そのほか、緊急時の臨検・捜索なども簡素化することによって子どもの安全を確保することができるのではないか。

 6ページ以降につきましても、一時保護などの取組についても、その取組、あるいは心理的対応などもよりできるような体制にすべきではないかと。児童養護施設等による親子関係再構築の支援についてもより支援を強化していくべきではないか。

 マル3、(2)ですけれども、施設にいる児童の自立支援ということで、18歳に達した者に対する支援、あるいは施設退所後のアフターケアの推進ということも、18歳に達したこと、または施設を退所したことで即座に自立するというのはなかなか難しい状況にあるということを現場からよくお聞きするところでございますので、そうした観点から何らかの支援ができないかということでございます。

 6ページは先ほど申し上げたとおりでございますので、重複は避けさせていただきます。

 こうした観点が方向性として整理をされました。

 続きまして、資料9-1でございます。こうした整理をいただきましたけれども、それだけで全ての方向性を深掘りして議論に至っているというわけではございません。児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会において取りまとめていただいた報告書を中心といたしまして、さらに大きな方向性で議論をしていこうということで、今般、御承認をいただきまして「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」の設置をさせていただきました。趣旨といたしましては、社会の変容に伴う子供の家庭を取り巻く今日的な課題に対応するため、新たな子ども家庭福祉のあり方について包括的に検討する。こうしたより幅広い視点から議論することによって、虐待防止策を中心として様々な子ども家庭福祉の支援というものが見えてくるのではないかということで御議論いただくところでございます。

 テーマといたしましては、9-2を御覧いただきたいと思います。児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会などでも御議論いただきましたけれども、そこまで方向性が明確に見えていないものなどを中心に丁寧に議論いただこうと思っているところでございます。<主な検討事項>というのが中段に書いてございます。ここに書いてあるように、かなり大きなテーマも含まれておりますけれども、そうしたテーマにつきましても正面から受けとめて議論を深めていきたいと思っているところでございます。

 以上が児童虐待防止対策関連でございます。

 続きまして、資料10をお願いしたいと思います。育成環境課長として説明をさせていただきます。

 「遊びのプログラム等に関する専門委員会」の設置につきましても、本年5月に御承認をいただいているところでございます。この経緯を申しますと、昭和60年に国が設置をいたしました「こどもの城」が本年3月末に閉館となりましたが、これまでの先駆的な遊びのプログラムの蓄積があり、そうしたものを今後も地域で活用していただくために、国が「こどもの城」の取り組みを引き継ぎ、さらに進化をさせて、地域に展開していくという役割を担うとともに、全国の児童館のあり方についても、併せて検討していくということにいたしました。そうした国の役割を具体的にどのようにしていくか、どのように地域の児童館と連携を進めていくかという観点から議論する場といたしまして、この「遊びのプログラム等に関する専門委員会」を立ち上げさせていただいたということでございます。

 この夏にも、全国的の児童館での活動プログラムの実施状況などにつきまして調査をさせていただいておりますので、より具体的な根拠をもって今後の遊びのプログラムの開発などにつきまして検討を進めていきたいと思っております。

 報告は以上でございます。

 

○竹林少子化対策企画室長

 それでは、資料11を御覧いただきたいと思います。少子化対策企画室長でございます。

 本年4月に施行されました子ども・子育て支援新制度に関しての御報告でございます。

 子ども子育て支援新制度につきましては、これまでも本部会で施行準備状況等につきまして随時御報告をしてまいりました。本年4月1日には、内閣府に子ども子育て本部が設置されまして、ここを中心に文部科学省、厚生労働省が連携して施行に取り組んでおります。消費税率の引き上げが延期される中で優先的に取り組んでいく施策として位置づけられまして、初年度から必要な予算を確保し、実施されているところでございます。

 資料11の最初のページの【趣旨】というところでございますけれども、本年度はこの新制度の施行初年度に当たることから、現在、3府省の管理職が手分けをいたしまして、47の都道府県全て回りまして、運営上の課題に関する情報交換、意見交換などを行っておるところでございます。【開催状況】というところに書いてございますけれども、今日までに25県に出向きまして、それぞれ管内の市町村の方を集めていただきまして、現場の状況の把握などをしてまいりました。

 また、未実施のところにつきましても、12県は具体的な県との日程調整のやりとりができております。記載のない自治体につきましても、現在、調整をしておるところでございます。最終的には47県全て回りたいと思っております。

 そこで出ました主な御意見等につきまして下に書いてございます。全てを御紹介することはできませんが、良く言えば、きめの細かい制度、悪く言えば複雑な制度をつくってしまったということで、いろいろな認定事務などにつきまして、きめ細かくなった分、自治体や事業者の事務負担がかなり増えているというところの御指摘をいただいております。

 また、おめくりいただきまして、2ページになりますけれども、予算の編成が年明けにずれ込んだり、我々のいろいろな基準を示すのが遅れたこともありまして、新しくできたいろいろな加算の認定の事務が間に合わずに、制度施行当初は施設側に十分な加算なども含めた給付が行き渡らないという事態が指摘されております。私ども、それに対して、施設側からの申請内容に基づいて、まず概算で払っていただきたいと。そして、認定事務が追いついてきたら精算をしていただきたいというお願いをしました結果、ほとんどの市町村でそのようにやっていただいていると承知しておりますが、それはそれで事務量としてはまた市町村側に御負担をおかけしているという状況でございます。

 これにつきまして、真ん中のあたりにかぎ括弧でくくっておりますけれども、私どもとしましては、このような自治体あるいは事業者からのいろいろな御意見、要望を踏まえて、できる限り事務処理の簡素化・円滑化を図っていきたい。法律の枠内でできる運用の改善を検討したいと思っております。

 また、3ポツにございますが、「新制度の移行により改善した点」とうたわれておりまして、従来、財政支援の対象外でありました様々な認可外保育所等が地域型保育事業という形で取り込まれましたので、安定的な運営ができるようになりましたというお話や、保育士、幼稚園教諭等の職員の処遇の改善が行われていますという話でありますとか、従来、なかなか展開が難しかった地域の実情に応じて実施する地域子ども子育て支援事業といったものも、消費税の財源が投入されましたので、しっかり取り組めるようになりましたというようなお声も聞いているところでございます。

 次、3ページを御覧いただきたいと思います。この4月の認定こども園の数につきましての調査結果でございます。最初に「調査結果の概要」のところに書いてございますけれども、本年4月1日現在の認定こども園の数は全国で2,836件ということで、前年度1,360件でございましたので、1年間で倍増以上しているという状況でございます。

 認定こども園につきましては、従来、二重行政の話でありますとか、財政支援の不十分さといった課題が指摘されておりましたが、今回の新制度ではそれに対する制度的な対応を実現しておりますので、そういったことがこういう成果に結びついたのかなと考えておるところでございます。

 もう一ページおめくりいただきまして5ページになります。こちらも新制度で新しい保育の受け皿として制度化されました地域型保育事業の認可の件数について、本年4月1日の状況を調べております。表が書いてございますけれども、それぞれ事業のタイプごとに家庭的保育事業につきましては931件、小規模保育事業については3タイプ合わせて1,655件、居宅訪問型事業につきましては4件、事業所内保育事業につきましては150件、合計2,740件の認可が行われております。

 公私の内訳といたしましては、私立のほうが圧倒的に多くて2,520件となっております。また、私立の中での内訳でございますけれども、社会福祉法人287、株式会社等622、個人1,197、その他634となっております。個人が多いのは、家庭的保育事業が個人中心に行われていることによる影響かと思います。

 その下のほうにそれぞれの事業ごとの認可の状況、あるいは認可が行われている都道府県の名前を書いてございます。制度施行当初は大都市部中心の展開、保育待機児童対策等に活用されているような実態が見てとれます。

 私からの説明は以上でございます。

 

○大日向部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明について、委員の皆様から御質問、御意見ありましたらお願いいたします。

 宮島委員、どうぞ。

 

○宮島委員

 すみません。あと35分だと思いまして手を挙げさせていただきました。

 ひとり親家庭等の応援の関係と虐待対策の関係でそれぞれ感想と意見等を述べさせていただきたいと思います。

 まず、ひとり親家庭等応援の貧困対策の中心にあると思いますけれども、これについて、昨年のこの会議でぜひ生活応援を具体的に進めてほしいと。従来から行っている支援等についても表出しをぜひすべきではないかということを発言させていただいたことを思い出すのですが、私の予想などを大きく超えて、具体的に生活支援、住まいの支援、学びの支援、仕事の支援が進められることが具体的に述べられている。しかも、それが確実につながる工夫として、阻害要因を取り除く。あと、アクセスの仕方を改める。アクセスのための人も手当てする。すばらしいなと思っているのですが、ぜひこれを確実に実現していただきたいと思うと同時に、1つだけこれに視点。既に考えられているのかもしれませんが、述べさせていただきたいと思いました。

 保護者の方がどんなに忙しい生活の中でも、こういう工夫の中できちんと援助につながっていけばいいのですけれども、一方では難しい面もある。やはりつながりやすくするためには、子ども自身の状態から福祉ニーズが発見されるということが何よりも必要ではないかと。子どもの表情とか、子どもの言葉だとか、子どもの行動だとか、あるいは問題行動とか、そういったことをきちんとそばで見ている人が、この背景には何かあるぞと。そこには、福祉ニーズが満たされていない状況があるのではないかということが考えられて、それをきっかけとしてきちんと支援につながるということが大事なのではないかと思っています。

 保育士の養成課程等では、家族支援論というのがたしか入っていますけれども、先生方の教育の養成プログラム等については、この辺がそれに比べて十分ではないのではないか。実態を詳しく知らないので軽々には申し上げられないのですけれども。たとえスクールソーシャルワーカーを配置したとしても、先生方とスクールソーシャルワーカーの間で信頼関係がなかったり、あるいはクラスの子どもたちの顔つきだとか表情だとか様子の変化を先生方が気づかなければ、それをスクールソーシャルワーカーにつなげて、各専門機関につなげることが難しいのではないかと。学校の福祉力を上げる、あるいは担任の先生の福祉力を上げる、この辺にもつながるための工夫としてぜひとも取り組みを進めていただきたいなと要望します。これは厚生労働省を超えてむしろ文科省等との協議等が必要だと思います。そちらでの手当てが必要だと思うのですが、ぜひともその辺の視点をつなげていただきたいと思います。

 続いて、いいでしょうか。虐待のことについて幾つか御意見をさせていただきたいと思うのです。本当は専門部会のほうで丁寧な検討がされていますので、そちらに委ねるべきであると思いますし、既に検討されているかもしれませんが、気になる点等が何点かあるものですから、申し上げさせていただきたいと思います。

 1つは、既に古川課長さんからアウトリーチが必要だ、予防が重要だということが述べられていますので、その中に含まれると思うのですけれども、児童虐待対策になりますと、問題の保護者、あるいは問題の行為を見つけて通告して、そこでその人に自覚を促すといったイメージがどうしても強くつきまとって、その方に実は福祉ニーズが不足しているのだ、生活の基盤がかなり危ういからこそ余裕がなくてこんな状態が起こっているのだということがすごく大事なことだと思いますので、ぜひとも先ほどのひとり親家庭貧困プロジェクトとこちらを一体的に進めていただく。また、子育て支援についても一体的に進めていただく。

 保育の入所要件も、保育に欠けるという概念から保育を必要とするということの概念にかわって、そこで児童虐待等のことについても明確に規定されたところですので、ぜひ児童虐待対策については、福祉ニーズ、子どものニーズが満たされていない、そういうさまざまな生活ニーズが満たされていないという視点で、そこをつなげているケースマネジメントの視点等をちょっと強く打ち出していただきたいなと願います。

 それにちょっと関連するのですけれども、説明の中というよりも資料の中で見て、主担機関のあり方というもの。児童虐待に主に対応する調整機関の主担機関という言葉がありますけれども、実践現場においてこれが少し混乱している気がしています。本当は主担機関は情報の集約をする。そして、支援の全体状況を把握して責任の所在が明確にならなかったり、漏れてしまうことを防ぐための取り決めだと思うのですけれども、現場の話を聞いていますと、主担機関以外は自分は担当ではないみたいなのです。逆に主担機関の強調から、ほかの機関が総体的に自分が担当であるということの自覚を低下させてしまうようなことが起こっているように懸念しています。複数の機関がそれぞれ子どもと家族に丁寧にかかわって、自分の法令上の役割をきちんと担って、その全体を主担機関が調整するといったあたりがちょっと薄れているのではないか。その辺であるからこそ、どちらが主担機関かということの押しつけ合いが生じて、市町村と児童相談所の間で押しつけ合い、あるいは母子保健と市町村の児童福祉主管部署との間の押しつけ合いが生じている可能性があるのではないかと懸念しています。主担機関が決まらない場合には決めなければならない。待っていられませんので、とにかくきちんと迅速な対応をしなければならないのですけれども、本当は複数の機関がきちんとそれぞれの責任を。その辺についてちょっと。

 もう一点だけ済みません。DV事案のことが児童虐待の通告件数の増加の中心にあるということが統計上明らかになっているのですけれども、実際、そのDV事案をどのように各児童相談所のほうで対処しているかということ。いろいろな児童相談所へ行ってもはっきりした答えが返ってこなくて、混乱しているな、明確になっていないなということを思っています。警察との連携においてもこの辺は重要なテーマだと思いますので、掘り下げた議論を期待します。

 長くなってしまいまして申しわけありません。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 時間も残り少なくなりましたので、まとめていただきます。手短にお願いできればありがたいです。

 松田委員、お願いいたします。

 

○松田委員

 そうしましたら、手短に2点申し上げます。

 1つは、ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクトのほうです。既にこちらの部会などでも御検討はされていて、恐らく重複する意見かもしれませんけれども、ひとり親の実態に関しては、私の所属する家族社会学のほうでも研究されていますが、基本的にさまざまな支援が必要だというのが今回の売りですけれども、特に経済的な支援が欠かせないというのが今でも現状認識としては共有されております。そこにいきまして、これまで就労支援をすることによって自立支援という方向に我が国は長く来ていたかと思いますけれども、経済的支援のところをもう一度現状認識された上で、文言として書いたほうがいいのではないかというのが私の意見です。

 具体的には、「経済的支援」という文言が資料7-4のほうにはかなり曖昧な感じで1カ所入っているのですけれども、少し寂しいかなと思いました。

 2点目です。児童虐待プロジェクトのほうに関しても、これはあくまでも表現上の話ですけれども、ちょっと気になりましたので申し上げます。

 資料7-5の2ページ「発生予防の強化」ということで、望まない妊娠、若年者の妊娠等についてのどうとかとあるのですけれども、かなりステレオタイプ的な見方ではないかというのが私の意見です。家族研究でいろいろ分析されてきたところによりますと、児童虐待というのが必ずしもこうしたケースだけで起きているわけではなくて、いわゆる通常と言われる括弧づきの通常家庭ですけれども、孤立ですとか、育児不安ですとか、さまざまなものから発生されていますから、ここを取り立てて書かれているということに対してもう少し表現的な配慮が必要ではないかと思いました。

 以上です。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 では、山縣委員、お願いいたします。

 

○山縣委員

 私も2点です。

 新たな専門委員会の立ち上げ、そのグループに期待をしたいことですが、1点目は、都道府県はまだしも、市町村のほうでは子ども子育て支援新制度と社会的養護の関係が必ずしも十分計画に組み込まれていないという実感があります。

 その中で私が非常に重要だと思っているのは利用者支援だと思うのですが、これが今、現場では恐らく、就学前の保育・幼児教育系といいますか、そういうところで展開、あるいは母子保健のところで新たに展開しようとしております。特に母子保健も絡めて、この報告書にも書いてありますような児童家庭支援センター等を積極的に活用できるようなところを応援したらどうか。その辺、検討いただいたらどうかと思います。社会的養護をメーンとする利用者支援事業というイメージです。

 2点目は、児童福祉士の国家資格化についてという提案といいますか、検討の中身に入っていますけれども、今、児童福祉士が全国に3,000人ぐらいいらっしゃいますが、社会福祉士を持っている人でさえ、恐らくそんなにいないのではないかと思うのです。その状況下で児童福祉士を国家資格化するということを積極的に検討されると、都道府県の児童相談所設置者とのそごが生じそうな気がする。むしろ、社会福祉士をベースにした研修とか、今、問題なのは、児童福祉法の13条の2項の5号あたりで、知事が認めたらオーケーというところ。そういうところの研修の義務化とか、今、配属される人たちの質を上げていく方向で積極的に検討会のほうで検討していただけたらと思います。

 以上です。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 では、矢藤委員。ここで1回切ります。

 

○矢藤委員

 岡崎女子大学の矢藤です。

 資料11にかかわることですが、新制度に関して、自治体によって理解や取り組みの差があるというおそれに関して、様々な説明会、資料等で積極的に取り組んでおられるということは評価できるかと思うのですが、なお現場レベルで課題があると思っております。例えば、幼保連携型認定こども園は、当面の間、ニーズにかかわらず認可をなるべく進める方向ということで理解していたかと思うのですけれども、自治体あるいは担当者のレベルで移行を認めないというケースを幾つか聞いています。それには事務がまだ追いついていないとか、制度がなかなか理解されていないとかというだけでなくて、地域の園や団体等から例えば保育所が申し出たときに認可しないようにみたいな強い圧力が実際にはあるように聞いています。多くないのかもしれませんが。

 今回の制度が、自治体が主体となって進めるものとは言え、制度の趣旨に合致しないようなおそれのあるケース等について、国から何らかの働きかけですとか、そういったことを検討する余地があるのかということについて教えていただきたいと思います。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 それでは、ひとり親に関して大隈課長から、虐待と新たな子ども家庭福祉のあり方に関して古川課長から、それから新制度に関して竹林室長から、この順でお答えいただけますか。

 

○大隈家庭福祉課長

 最初、ひとり親関係で2つ御質問をいただきました。ひとり親家庭支援につながるということで、宮島先生御指摘のとおり、今回の施策の構成では、ひとり親の親ルートを中心に最初のほうに書いてございます。児童扶養手当の届けに来たときに、ニーズを把握するなどですけれども、子どものルートという意味では、これも先生おっしゃったとおり、学校をプラットホームとした仕組みとして、スクールソーシャルワーカーの活用という形で、学校と福祉部局の連携という形で考えております。

 それ以外に、教員ルートというところがどこまで実際にできるかどうかというのは、今後、このプロジェクトを進めていくに当たって、厚労省と文科省でいろいろ連携しながら進めていきますので、先生の御視点も踏まえて対応していきたいと思います。

 それから、児童扶養手当などの経済的支援につきましては、夏の段階の方向性では、財源の確保との関係もありますので、具体的な内容が定まっていないということもあり、児童扶養手当の機能の充実について検討するという書き方にさせていただいております。児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活の安定と自立促進に寄与するというものですので、その機能が十分に発揮できるようなあり方を検討して、年末までに財源の確保とあわせてしっかり考えていきたいと思います。

 

○大日向部会長

 どうぞ。

 

○古川総務課長

 虐待関連でございますけれども、幾つか御指摘をいただきました。恣意的な取り組みをするということですとか、関係機関がお互いみずからの意識を持ってやるようにするべきだと。それから、DVに関する児童相談所の対応など、全て我々が心にとめるべき点だと思いますので、こういった点に配慮しながらさらに議論を深めていきたいと思っております。

 それから、資料の書きぶりの点について松田委員から御指摘がございました。望まない妊娠、若年者の妊娠等についてステレオタイプ的な表現ではないかという点でございます。表現が適切さを欠いているとすれば、概略ということでございますので申しわけないと思いますけれども、おっしゃるとおり、虐待というのは様々な要因から発生するということでございますので、こうした要因だけではないということでございます。

 ここで、先ほど例示として申し上げたのは、望まない妊娠、若年者の妊娠などが結果的にゼロ歳児で産み落として死亡事例につながるケースとしてかなりあったということで例示として挙げたということでございますけれども、今後は、説明文については配慮したいと思っております。

 それから、国家資格化に関しまして、その国家資格化と同時にといいますか、それのみならず、今、実際に働いている方について、質の向上に向けて研修を義務化するなどの工夫が必要ではないかという御指摘もございました。専門委員会の議論の中でも同様の指摘がございまして、それだけではなくて、いろいろな形から、職員の質の向上に向けては取り組むべきだという御指摘がございましたので、そうした点も併せて検討を進めていきたいと思っております。

 

○大日向部会長

 もう一つ、新たな利用者支援に関しては。

 

○竹林少子化対策企画室長

 それでは、新制度の関係の御質問を2点、私のほうから御説明させていただきます。

 最初に、山縣委員から、利用者支援事業のあり方について社会的養護をメインとするようなタイプのものもあってもいいのではないかという御指摘でございました。現状においては、利用者支援事業、いわゆる地域子育て支援拠点事業や、保育所を実施場所として事業展開を始められたところが多いと承知をしております。

 この利用者支援事業の守備範囲につきましては、昨年の秋、ガイドラインを出させていただきまして、どこが実施場所であろうと、あらゆる家庭の個別の事情をちゃんと把握した上で、この新制度の施設や事業のみならず、新制度外の、それこそ障害もあれば社会的養護もあると思いますし、もっと言うと、もっとインフォーマルなサービス、あるいは医療関係、教育関係があると思いますけれども、そういったところにもつなぐことが役割であるということをしっかり書いておりまして、その中で社会的養護の支援が必要な方には当然社会的養護につなげていくことも必要であるということは書かせていただいております。その上で、社会的養護の実施施設、事業者をメイン、母体とするような利用者支援事業が立ち上がるということも、私としてはそういうのがあって十分いいと思っております。

 いずれにしても、個別の御家庭の事情はいろいろでございますから、どなたが実施主体となるにしても、分野を閉じずにあらゆる支援につなげていくように運用していただきたいと思っております。その点、ガイドラインを一応出しておりますけれども、これからも自治体の説明会等々のときに周知徹底していきたいと思っております。

 矢藤委員から、幼保連携型認定こども園の展開が自治体の担当者の意向によって阻まれているのではないかという御指摘でございます。委員は十分御承知かと思いますけれども、制度的には、今回、そのような自治体の恣意的な運用ができずに、透明化できるように、認可制度、認定制度の中で基準を満たし、かつ、供給不足の地域であれば、これは必ず認可・認定しなければいけないという制度に切り替えましたし、認定こども園の場合は既存の幼稚園や保育所から転換する場合が多いと思いますが、その供給過剰地域、もう既に定員に空きがあるような地域での移行も進むように、その需要と供給のバランスを見る際に、既存の幼稚園、保育所から認定こども園になるときには、その需要を少しかさ上げして、それを判定するようにといった特例の仕組みも入れておりまして、制度的な対応についてはそういう支障がなく、かつ、担当者の恣意が入らないような仕組みを整備したつもりでございます。

 昨年の秋にもそのようなお声を少し聞いたものですから、全国の自治体のほうに事務連絡を流しておりまして、もう一度そのような制度に対する趣旨につきまして徹底をしたつもりでございますけれども、担当者も4月で替わられたりもしているかもしれませんので、引き続き、今回の制度改正の趣旨等についてはしっかり周知をしていきたいと考えております。

 

○大日向部会長

 ありがとうございました。

 ほかに。

 林委員、どうぞ。

 

○林委員

 今までの御質問と重複するところですが、家庭福祉課と総務課との連携・協働ということを含めて、子どもの居場所とかというのも虐待防止対策に出てくることかと思います。その上で、キーワードとして、市町村と都道府県との役割分担も重要なのですけれども、その連携・協働です。それから、民間との連携・協働ということが非常に重要であるなということを私自身は実感しております。

 例えば、資料7-5の1ページ目の図のところに「市町村で対応」「児童相談所で対応」という表記があるのですが、先ほどの家庭福祉課の居場所事業なども含めて考えますと、児童相談所で対応というのは、都道府県として対応していく。居場所事業などですと、市町村が主体でやる中で、財政的には都道府県が支援する。そういう財政的な裏づけを都道府県も含めて考えていくということが極めて重要なことかと思います。

 それから「児童相談所で対応」の矢印のところに「養子縁組」から「児童養護施設」が出ているわけですが、今後、民間との協働ということを考えたときに、例えば養子縁組のあっせんとかは、むしろ民間主導でやっていくべきだという声のほうが高いかと思います。45%の児童相談所で養子縁組の成立ケースがゼロという中で、経験を積み重ねて、児童相談所が主体で養子縁組をやっていくということは困難な実態もある。

 それから、里親に関してもそうです。民間との連携・協働といったときに、どうしてもこの図が前提で考えるもので、一部事業を児童相談所と協働してやっていくというような捉え方です。だから、民間に委ねないわけです。すると、どういうことが起きるかというと、例えば、2ページ目の「民間との協働」の2つ目のところに「ソーシャル・インパクト・ポンド(SIB)の活用」ということがあります。現実にこれはある財団とある実在の児相とが連携して、特養、特別養子縁組のあっせんに関してこれをやっているわけですけれども、児童相談所総体としての業務は減らないのです。やはり措置業務とか委託業務というのは児童相談所が責任を持って業務を遂行するべきだという考え方、価値観が強いです。諸外国と違うところというのはそのあたりです。だから、行政として何をしなければならないかというのは、要するに、そのプロセスをモニタリングするとか、レビューするという責任を持ちつつ、SIBなどを活用しながら業務をいかに委ねていくかということが非常に重要なことかと感じております。

 以上です。

 

○大日向部会長

 ありがとうございます。

 貴重な御意見、ありがとうございました。時間の関係もございまして、御意見、御質問はここでとさせていただきます。

 今の林委員の御意見、何かお答えありますか。

 

○古川総務課長

 まさに御指摘いただきましたように、あえて資料の2ページにも横串で全てのパーツにおいて「民間との協働」というのを書かせていただいたというのは、従来の行政機関だけで対応し切っているわけではなくて、幅広くお力をかりながらやっていくべきだと。パートナーシップというのをあえて書きましたのは、まさに対等な関係としてやっていけるようにという趣旨もあえて書かせていただいたということでございます。

 同時に、その措置の権限を行政が手放すかどうかも含めて、そこは今直ちにはさすがに議論が深まっているところではございませんで、そうした視点も含めて議論していければと思います。

 

○林委員

 私は、措置権限と措置業務を分けてということであって、措置権限は都道府県のままというようには考えておりません。誤解がないように。

 

○古川総務課長

 失礼いたしました。

 今、申し上げたとおり、できる限り民間のお力をかりながら進めていくということについては、まさにその方向で議論を進めていきたいと思っております。

 

○大日向部会長

 ありがとうございました。

 それでは、最後になりますが、お手元に参考資料として、平成28年度の当局の予算概算要求資料でございます。こちらも含めまして、本日全体を通して御意見、御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

 よろしゅうございますか。

 

○大日向部会長 特に御発言がないようでございますので、それでは本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。




(了)

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