ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループ)> 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループ(第1回)(2015年9月30日)




2015年9月30日 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループ(第1回)

○日時

平成27年9月30日(月) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎4号館1208特別会議室


○出席者

委員

松本委員 秋山委員 井上委員 加賀美委員
草間委員 佐藤委員 塩田委員 菅野委員
辰田委員 西澤委員 平井委員 藤川委員
卜蔵委員 星委員 武藤委員

オブザーバー

法務省
警察庁

厚生労働省

安藤雇用均等・児童家庭局長 木下大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化対策担当)
大隈家庭福祉課長 田村虐待防止対策室長
小松虐待防止対策室長補佐 芦田虐待防止対策室長補佐
大津総務課長補佐 寺澤家庭福祉課長補佐

○議題

(1)座長選任
(2)幹事会の設置及び幹事について
(3)検討事項及びスケジュールについて
(4)検討事項について
(5)その他

○議事

○寺澤家庭福祉課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第1回「新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループ」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 なお、本日、泉谷委員、木ノ内委員、奥山委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 初めに、ワーキンググループの運営に当たりまして、委員の皆様へお願いがございます。

 視覚、聴覚障害をお持ちの方などへ情報保障の観点から、御発言等をされる場合には、発言者は挙手をする、挙手をした発言者に対し委員長から指名をする、指名を受けた発言者は、氏名を名乗ってから発言するということとしたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。

 カメラの撮影は、ここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

 それでは、資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、机の上に置かせていただいておりますが、最初に座席表がございます。座席表の下に、法改正のための検討事項の整理というA4で1枚のペーパーがございます。

 クリップでとめてありますが、議事次第。

 その下に、9月7日の子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会での塩崎厚生労働大臣の冒頭挨拶がございます。これは、大臣の御発言を踏まえ、御議論いただきたいという趣旨でございます。

 資料1、ワーキンググループの委員名簿がございます。

 資料2、幹事会についてというペーパーがございます。

 資料3-1、ワーキンググループ検討事項(案)でございます。

 資料3-2、児童虐待防止対策の強化について(案)でございます。

 資料4、検討スケジュール(案)でございます。

 資料5、児童養護施設等における親子関係再構築支援。

 資料6、18歳に達した者に対する支援。

 資料7、検討事項としまして、事務局で作成させていただいた実現のための論点を提示させていただいております。

 資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 なお、本ワーキンググループは、公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。

 本ワーキンググループは、9月7日に開催されました第1回新たな子ども家庭福祉のあり方専門委員会において、幅広い課題を深く御議論いただくため、テーマを分けて議論を進めるため設置されたものでございます。

 その後、委員の御意向を踏まえまして、ワーキンググループメンバーを構成させていただきました。本ワーキンググループのメンバーにつきましては、資料1のとおりでございます。

 時間の都合上、御紹介は省かせていただきます。

 続きまして、ワーキンググループ座長の選任でございます。本ワーキンググループ座長には、松原委員長の御指名により、松本委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○寺澤家庭福祉課長補佐 御異議がありませんようですので、松本委員には、本ワーキングの座長をお願いしたいと思います。

 松本委員におかれましては、座長席へお移りください。

 それでは、これより先の議事につきましては、松本座長よりお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○松本座長 どうも、こんにちは。

 座長に御指名をいただきました、松本でございます。不慣れでありますし、いろんな不行き届きもあるかと思いますけれども、この場におられる委員の方々のお力を借りて、何とかまとめていきたいと思っておりますので、どうぞ、御協力をよろしくお願いいたします。

 よくこういう会議でまとめていきたいというのは、余計なことを言うなという含みを持たせるときがありますけれども、そういうことではございません。積極的に御発言をいただくというふうにしたいと考えておりますので、それは、本心からそう思っております。

 それで、議事に入ります前に、1つワーキングの中にメンバー表がございますけれども、この後、磯谷委員から、本ワーキングにも参加をいただけるというふうな御意向を伺っておりますので、ここに追加をしたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○松本座長 これで、このワーキングにも法律家が入っていただけることになりました。よろしくお願いいたします。

 議事に入ります前に、先ほど、私、実は第1ワーキング、最初のワーキンググループの方は、メンバーではございませんので、そちらの傍聴席の方におりました。それで、大変積極的に、第1のワーキンググループに出られた方は、おわかりかと思いますけれども、積極的に御発言をいただきました。

 それで、第1、第2のワーキンググループ、それぞれ独立をしておりますけれども、連携をとりながら、ということでございますので、もし、この中で、第1で入らないけれども、傍聴可能な方が、お時間調整可能でしたら、是非、今後そうしていただけると議論が早いかなと思っております。

 もう一つ、第1のところでも奥山先生が座長になられて確認をされたのですけれども、お手元の資料の最初のところで、第1回新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会という、前の専門委員会のところで、大臣がお見えになって、御挨拶を頂戴いたしました。そのときの文章がつけてあります。

 それで、確認をしておきたいのですけれども、大臣の御発言の中で、1ページ目の下側ですけれども、さらには、新たな子ども家庭福祉のあり方についての検討を速やかに開始、次期通常国会に児童福祉法等の改正法案の提出を目指すということを申し上げました。これは、8月28日の第3回子どもの貧困対策会議においてということでございます。

 ですので、この同じ日に出されました、前の報告書をもっと充実させる形で、次期の通常国会に児童福祉法等の改正案を提出するということを目的に取りまとめていきたいと、後で事務局の方からスケジュールの提案がございます。かなりタイトな形になるかと思いますけれども、これをお含み置きの上、具体的にどのような法案改正が、今、必要であるかと、その後につなげていくことは、どういうことが大事であるかという観点から御議論をいただければというふうに考えております。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 まず、幹事会の設置及び幹事について、事務局より資料が提出されておりますので、御説明の方をお願いします。

○大隈家庭福祉課長 事務局の家庭福祉課長でございます。

 幹事会の設置について御説明させていただきます。

 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会のもとには、2つのワーキンググループが設置されておりますけれども、それぞれに幅の広い、また、深い議論が必要な課題がございます。

 また、ワーキンググループ相互に関連する課題も出てくると考えております。

 これらについて、資料4にスケジュールの事務局(案)をお示しさせていただいておりますけれども、先ほど、座長からも御説明がありましたとおり、次期通常国会法案提出を目指すということになると、12月までという短期間の中で会議を開いて、おまとめいただくということになってまいります。

 そこで、幹事会を設置させていただきたいということでございますが、これについては、資料2でございます。

 資料2が幹事会についてということでございますが、これは、松原委員長を中心に、ワーキンググループ間の連携を図りつつ、専門委員会の運営を効果的に進めて、より深い議論を行うために、幹事会を設置したいということでございますが、これも松原委員長に御相談させていただいた上で、松原委員長を中心にワーキンググループ相互の議論の調整、連携、それから、議論の実務的な整理を行って、専門委員会の運営を効果的に進めることとしたいと考えております。

 幹事会の構成員につきましても、委員長とも御相談の上、ここに記載のある10名の方とさせていただきたいというものでございます。

 幹事会についての、事務局の説明は、以上でございます。

○松本座長 ただいま御説明いただきました、幹事会の設置について、何か御意見等ございますでしょうか。

 お認めいただけるということで進めていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 それでは、続いて、本ワーキンググループで議論をする検討事項及びスケジュールについて、事務局の方から資料をいただいておりますので、その御説明をお願いいたします。

○大隈家庭福祉課長 事務局の家庭福祉課長です。

 検討事項とスケジュールにつきましては、まず、資料3-1と3-2がございます。

 まず、資料3-1ですけれども、これは、先日、9月7日の専門委員会に事務局から提出させていただいたものと、基本的に同じでございますが、2つのワーキンググループの主な検討事項をそれぞれ並べたものということで、こちらのワーキンググループは、下の2ということで、主な検討事項を書かせていただいております。

 これについて、資料3-2というA3の横になった13枚の資料がございます。これは、8月28日の専門委員会の報告書に記載された事項の順番に、記載事項を並べて、尚且つ左側に法改正を要することがあり得る事項、右半分に運用予算関連事項という区分で、事務局として振り分けた資料でございます。

 それから、スケジュールにつきましては、先ほどごらんいただいた資料4でございます。

 事務局として、考えておりました資料3-1の検討事項を第1回、第2回、第3回という、それぞれの議事の中に振り分けて作った、これは、事務局のたたき台としての資料でございます。

 この検討事項でよいのかどうかも含め、本日御議論ということになるかと思いますが、別途、法改正のための検討事項の整理という資料がございますので、こちらとあわせて御議論をいただければと考えております。

 以上でございます。

○松本座長 それでは、今、事務局から御説明のありました資料について、何か御質問等ありましょうか。法改正のための検討事項の整理というのは、この後で御説明いたします。

 それでは、よろしいですかね。スケジュールの方を見ていただくと、大変タイトな形になっております。先ほど申し上げましたように、次期の通常国会に法案の改正という形で提案できるとすると、11月のしかるべき時期までには、大体の方向を、ここでも取りまとめて、専門委員会、親委員会に諮るということになりますので、ただでさえお忙しい方々に、もっとお忙しくさせることになりますが、どうぞ、よろしくお願いいたします。

 それと、検討事項でございますけれども、先ほど、事務局の方から御説明いただきましたように、前回の委員会で出されたことを機械的に割り振っていただいたのが、この案ということになります。

 その後、松原委員長、座長、奥山先生と私と内々御指名を受けまして、3人でもう少しどういうふうなことが検討事項になり得るかということの整理をいたしました。それが、法改正のための検討の整理ということの一覧であります。

 今日は、まず、これについて御説明を申し上げて、こういう事項でよいのかどうか、2つのワーキングのあるうちの、こちらのワーキングでは、どれを検討するのかということを御説明と御提案を申し上げて、まず、そこで整理をしてから議論に入りたいと考えております。

 第1のワーキングの方で、お聞きになっている方もいらっしゃるかと思いますけれども、もう一度改めてというふうに思います。

 もう一つは、左側の総論とか、全体に関する制度とか、市町村とか書いてありますけれども、これも、何か項目の分け方があった方が少し見やすいだろうというぐらいのことでございますので、ここにかなり固定するというよりも、幾つかにまたがるということもありますので、これは、便宜的な分け方だと御了解ください。

 下の方にも注意書きを入れていただいております。

 それで、理念ということでございますけれども、総論というところに、まず、理念とありますが、法改正ということであれば、それは、どういう方向で、どういう理念のもとで考えるのかということが大事だということになりますので、これについて議論をしようということであります。

 子ども、家庭の支援ということですけれども、現行は、児童福祉法で、児童ということが対象でございますけれども、親、家族ということも含めて、積極的に支援という枠組みに入れていくためには、どういうことがあり得るかということについて、大きな方向として考えてはいかがかということでございます。

 もう一つは、これは、他の具体的な制度との関わりになってきますけれども、国、都道府県、市町村の責務と、どこが何を、責任を持って遂行するのかということについて、きちんと整理をすることが必要であろうということがあります。

 ここまでが総論ということになります。他にも総論に関わるところがありますし、3番目の責務というところは、各論の具体的な制度と深く関わりますけれども、総論というふうにして、両方のワーキングでやりたいと考えております。

 この辺のところは、左側のところを第1、ここのワーキングを第2と便宜上呼びたいと思いますけれども、第1ワーキング、第2ワーキング両方でやりたいと考えております。

 全体に関わる制度というところで、児童福祉法の対象年齢の見直しということであります。

 1つは、例えば、措置延長のような形で、18歳から20歳ということでありますけれども、それだけでいいのかとか、親権の問題とかがあって、成人年齢の20歳と18歳の狭間で起きるようなさまざまな現場での困難ということをどう考えたらいいかということがあります。

 もう1つは、児童養護施設の対象児童等を含む社会的養護なり、養育のもとで育った子どもさんたちの自立支援ということを考えるときに、これは、現行児童福祉法の年齢要件でいいのかどうかということも含むということになります。

 前の委員会でも、ここは、例えば20代前半ぐらいまでをめどとすべきではないかとか、いろんな意見が出ていたと思いますので、両方に関わるということになりますので、これも両方で行うとしたいと考えております。

 これは、松原委員長と両座長、当時は候補でありましたけれども、その提案ということになります。

 次に、子ども家庭支援を担う専門職の資格化ということがありますけれども、担う人の専門性をどう高めるかということと、資格要件をどう考えるか。特に、現行の任用資格あるいは資格でいいのかということの検討ということであります。これは、第1グループでやりたいと思います。

 その下に、専門職の配置、任用要件の見直しと、資格化ということと分けてありますけれども、両方を第1グループでやりたいということです。

 次に、子どもの権利擁護に関する機関の創設ということでありますけれども、これは、特に、例えば、子どもさんの保護ということにかかわって、それが円滑に、あるいは正当に行われているのかどうかという観点からの第三者の審査あるいは苦情といいますか、審査ということもありますし、また、ケアを受けている子どもの措置に関わる、子どもさん本人の処遇なり、措置ということに関わるようなこともありますので、これは、両方で行いたいということになります。

 後は、特別養子縁組制度の見直しということでありますけれども、特に現行の年齢要件をどういうふうに考えるのか等も含めて、これは、児童相談所の措置のあり方あるいは児童相談所が、ここにどう関わるのかということも含めて、第1グループでやりたいとなります。

 後は、統計のデータベースの整備と検証の強化ということでありますけれども、現行の子ども虐待に関わる統計資料の整備ということで、これは、どういうふうに整備していくかということと、検証というのは、特に現行の死亡例事例の検証をどのように強化するか、あるいはもう少し子ども死亡例一般に広げてやるのかということも含めて、第1グループでやりたいと考えております。

 次に市町村というところでありますけれども、地域子ども家庭支援の拠点の整備ということですけれども、特に虐待の予防あるいは再発防止ということにかかわって、地域での要支援あるいは支援を要するような家族への支援の強化ということを考えますと、その拠点をどういうふうに形成していくのかということが、大変重要な課題になってまいります。

 これは、むしろ社会的養育という形で、いわゆる施設措置以外のところも含めた地域でのアウトリーチも含める支援ということになりますので、ここということになります。

 もう一つは、それと関わりまして、やはり、就学前の保育・教育の質の向上ということですが、地域での支援ということを考えますと、現行の保育制度抜きには考えられませんし、これの、例えば待機児童問題という観点だけではなくて、質の向上という観点もここに含めて議論をしたいということですので、これは、こちらのグループでやりたいと考えております。

 後は、虐待対策における母子保健の位置づけということですけれども、現行の母子保健制度でも虐待の対応ということは、既に議論になって、既に始まっているところでありますけれども、それをもう少しどのように強化していくのかということがあります。これは、第1グループでやりたいと思います。

 もう一つは、通告・初期対応システムの整備ということであります。

 特に189が始まってということもありますし、現行幾つかのところで重層的に通告を受けると、通告を受けるところは個々に対応するという仕組みになっておりますけれども、それを一本化するというふうにするのか、そうではないという形をとるのかということも含めて議論をしたいと。特に、それは、初期介入、初期アセスメントの問題と大変関わりますので、通告・初期対応システムというふうにして、これは、第1グループでやりたいということになります。

 次に、介入・支援機能の分化ということでありますけれども、特に、児童相談所が両方の機能を現行は持っていると。そこについて、この機能として、あるいは組織として分けていくという方向をとるべきかどうかというのは、大変大きな論点かと思います。ですので、大変議論の分かれるところでもあるかと思いますけれども、これも第1グループでやりたいと考えています。

 その後、一時保護でありますけれども、一時保護・アセスメント機能の整備ということで、現行の一時保護の機能あるいは一時保護所の基準なり現状をどんなふうに考えて強化していくのか、あるいは、そこにアセスメントという問題をどういうふうに考えるのかという、一時保護について議論をしたい。

 ただ、一時保護のところは、例えば、社会的養護の出発点でもありますので、子どもさんの側からしたときに、まず、一時保護で保護されて、次に施設に送致あるいは里親に委託されると考えますと、こちらの方の社会的養育というところの出発点、保護という観点からスタートしたときの出発点でありますので、こちらの方も、そういう観点からここでは議論したいと考えています。

 次に、司法関与のあり方でございますけれども、これは、大変多様な論点を含みます。初期介入、28条をどういうふうに考えるのか、あるいは家庭裁判所の関与というものをどんなふうに考えるのかということで多様な論点を含みます。これは、特に初期対応あるいは親と対立したときの司法介入ということも含めますので、これは1番で行いたい。

 通所・在宅支援における措置のあり方ということでありますけれども、特に分離して施設で保護をするというだけではなくて、在宅で支援をするということが、自治体に通告、つまり、虐待受理をしたケースの中の大半を占めますので、そこで、もう少し有効な支援なり、措置あるいは通所のリソースの拡大なり、そこでの措置という形での自治体のコミットの仕方ということも含めて議論をしたい。これは、第1グループで行いたいと考えております。

 継続的な自立支援システムの構築ということですけれども、特にこれは、前回の専門委員会でも幾つか話題になったかと思いますけれども、特に、25歳を自立支援、児童養護施設を出た子どもあるいは措置を受けた子どもの自立支援ということを考えたときに、現行の年齢要件18歳で、児童福祉法上のコミットが切れてしまうということ、それでいいのか、もう少し年齢を拡大するのか、あるいは別法を作るのかということも含めて、大変大きな課題と考えておりますので、これは、こちらの側、第2グループでやりたいと考えております。

 特定妊婦の保護・支援のあり方ということでありますけれども、これは、特に在宅支援、子ども、家庭への支援あるいは親への支援というところを考えたときに、特定妊婦のところにどんなふうに介入あるいはリソースにつなげていけるかということは大事な観点でございますので、これは、第1の方でやりたいと考えています。

 母子生活支援施設の機能の見直しということでありますけれども、これも施設ということの枠組みです。ただ、これも総論のところの家庭への支援あるいは親支援という観点から、現行の母子生活支援施設の機能というものをどんなふうに強化していくのか、あるいは追加していくのかという観点で、こちらの方で、社会的養育システムの一環と考えて行いたい。

 また、里親・養親支援の強化ということであります。特に、この後、施設ケアの小規模化の推進と機能の向上、乳幼児の里親養育等の推進とありますけれども、特に、里親養育をどのように推進していくか、乳幼児のところで、どんなふうに、それをもう少し促進するような手立てがあるか、あるいは施設規模そのものをどんなふうに小規模化して質の向上を図るか、あるいは里親委託をする、あるいは養子縁組をするというときの前後の支援のあり方ということについてということでございますので、この3点は、養育システムのワーキンググループでの検討事項としたいと考えております。

 今、ざっと申し上げましたけれども、改めてこちらの方で検討したいというのは、上の方からいきますと、理念、そのところの3つでございます。あと、全体に関わる制度というところで対象年齢の見直しと、権利擁護機関の創設というところ、市町村のところで言うと、地域での拠点の整備と、保育・教育の質の向上と、後は、児童相談所関係でいきますと、一時保護・アセスメント機能の整備。社会的養護のところでいきますと、特定妊婦への保護・支援のあり方を除く全ての継続的な自立支援システムの構築から最後のところまでということになります。

 これが、両座長、当時は候補と委員長の方で整理をした論点と両方の役割分担ということになります。

 本日、初めて見て、これでいいのかどうかと言われてもあれでしょうけれども、これが、また抜けているところがあるとか、こちらの方は、もっとこっちでも議論した方がいいとか、そういうようなことがありましたら、ここで、こういう論点で、ここは進めていくということでよろしいかどうかということで御意見を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。

 草間委員、お願いします。

○草間委員 福祉大学の草間です。

 大まかは、このような形でよろしいかと思います。私は記載方法として、全体に関する制度の中で、子どもの権利擁護に関する機関の創設とあるのです。これは、具体的な事業名になっているのですね。それは、1つの手法ですので、関する整備と言った方が、よりもっと幅広いと思います。この表記ですと、機関の創設ありきになってしまうので、子どもの権利擁護に関する整備というのは、もっと多方に分かれるのではないかという観点から、「関する整備」の方が、より幅広い議論ができるのではないかということで提案したいと思います。

○松本座長 わかりました。御提案として、もう一度、先ほどお認めいただいた幹事会の方に報告をしたいと思います。

 整理ということでは、今の権利擁護の広い観点を排除するということでは、もちろんないということと、ある程度絞った方がいいかもしれないという議論も出るかもしれませんので、これは報告で整理にお任せいただければと思います。

 加賀美委員、どうぞ。

○加賀美委員 今の話と絡むところですけれども、それは、理念のところで明確に議論しておくことであって、ここは、そのための手立てを提起していくということだと思うので、機関という言い方になっているのだろうと思います。

○松本座長 わかりました。今の御意見も含めて幹事会に報告したいと思います。基本的には、理念というときに、例えば、権利という観点をどのように文言として入れていくことができるかということも、大変大きな検討事項だと考えております。

 他に、いかがでございましょうか。

 では、よろしゅうございましょうか、武藤委員、お願いします。

○武藤委員 先ほどのワーキングでも話をしたことなのですけれども、社会的養護のところの、ちょうど真ん中のところに、母子生活支援施設の機能の見直しというのがあります。

 これは、これまで検討してこなかったことで、新たに入っている課題というような認識をしております。

 是非、母子生活支援施設の当事者が、このワーキングに入っていないので、是非、何らかの形で、当事者の人たちにも来ていただいて、現状だとか、それから、こういうあり方を今検討しているよということなども、是非、出していただきたいということで、意見を申し上げて、松原委員長の方から、何らかの検討をするというようなことでありましたので、よろしくお願いしたいと思います。

○松本座長 承知いたしました。私も、その後ろで傍聴しておりましたので、やりとりは聞いておりました。この場でも、もう一度同じ趣旨の御発言があったということは、幹事会の方で報告したいと思います。貴重な御意見だと思います。

 他に、いかがでございましょうか。

 もちろん、この論点の整理は、今の時点は整理でございますので、議論をしていく過程で、新たなことが加わるとか、中で、もう少しこういうことが入るだろうということは、当然出てくることだと考えておりますので、どうぞ。

○草間委員 草間です。

 この中では、どこに入るのか、ちょっとわからないのですけれども、近年、割と出てくる父子家庭への支援というのがあると思うのですけれども、こちらの観点も、どちらかに盛り込んでいく必要があるのではないかということで意見を申し上げす。

○松本座長 それは、父子家庭への支援として、例えば、もし、入れるとしたら、どういう文言でということになりますかね。どこか項目として立てると、貴重なことだと思うのですけれども。

 理念の、特に2番目のところで、家族への支援ということをもう少し積極的に打ち出そうというところが1つあるかと思うのです。その中に、1人親、母子世帯だけではなく、父子家庭もというのは最近の流れかと思いますので、理念ベースのところで議論するということと、後は、法改正となったときに、どういう形かというのは、この場で意見を出し合うということよりも、そういう御意見があったということを踏まえて、全体の議論に反映させていくと、そこについても、少し皆さんでお考えいただくとしたいと思います。ありがとうございます。

 他に、いかがでございましょうか。今、内容について、母子生活支援施設のところで、新たに出てきた論点であるので、関係者のコミットメントを何らかの形でというようなことが1つありました。

 もう一つは、最近の流れとして、父子家庭の問題があるので、その点も含んで議論をしてはどうかと御意見になりました。

 どうぞ。

○平井委員 平井でございます。

要保護児童対策地域協議会 のことは、市町村の部分に入ってきますかね。 要保護児童対策地域協議会 の役割と強化という部分が、この市町村のあたりで、1つほしいところだと思っております。

○松本座長 わかりました。それは、幹事会に伝えます。 要保護児童対策地域協議会 の問題をどういうふうに考えるかということは、ここというよりは、むしろ第一のところできちんと検討してほしいという要望が出たということでございますね。承知いたしました。

 他に、いかがでございましょうか。

 それでは、一旦これで、こういう形で論点の整理と検討事項の整理と、このワーキングの課題ということについてお認めいただいたということにして、ここを出発点にしたいと考えております。

 それで、今後の議事の進め方なのですけれども、本来であれば、こういうことで議論をするので、それぞれメモなり、資料なりということがあるかと思うのですけれども、本日は、こういうことの準備が余りなくて、御指摘の方がほとんどだと、これもぎりぎりまで整理をしておりましたので、私自身の何か提案ということができる状態でもないのですね。

 それで、本日ですけれども、少し私の方からも、この整理をしながら、こういうところを特に御意見をいただきたいとか、そういうようなこと、私の今の時点での考えを少し述べさせていただいた上で、特に後は、全体に関わる、両方に関わるようなところについて、少しざっくばらんに意見を述べるというふうにしたいと思います。

 その後で、特に、第1のグループのところで、年齢要件のところで、かなりいろんな議論が出ましたので、それを少し御紹介して、こちらの方としても、今の時点で、それぞれの委員の方がどんなことを、どういうふうにお考えかということについて意見を出すというふうにしたいと思います。

 後は、全体を見まして、ここは少し検討事項として入れたいとか、こういうことについて検討してほしい、資料がほしいとか、そういうような御要望があったら、最後に伺う時間をとって、次回からの検討につなげていきたいと、本日は、これについて、こう決めたということよりも、ぱっと出し合うということで、幹事会で整理をさせていただくと。次回からは、法案の整備に向けて1つずつ潰していくような形をとりたいと考えております。

 そういう進め方でよろしゅうございますかね。

 それで、まず、理念のところでありますけれども、特に子どもの権利と、あるいは権利を守ると、あるいは権利を擁護するということをどういう形できちんと打ち出していけるかということが大事ではないかと、私自身は考えております。

 もちろん、子ども家庭福祉というふうなことについて、いろんな大事なことがあるということですけれども、あるいは子どもの福祉を守るときには、やはり、子どもの権利という観点が一番ベースにあるような気がいたしますので、もし、理念というところで、戦後70年、我々の先人が培ってきた児童福祉法あるいは児童憲章の精神を踏まえながら、70年たった今、どういうことをそこに、この間の議論の成果として、あるいは人類が獲得できた過去の成果を盛り込んでいけるかというときに、子どもの権利という観点がどのように入れられるかということが大事かなと思っております。

 家族への支援ということも、これも子どもの権利を考えるときには、家族の支援なり、養育者への支援ということがセットであるというのは、子どもの権利条約等でも確認をされていることですので、それをどのように理念というレベルで我々が共有できるかということも、今後の子ども家族福祉の推進ということを考えるときに大変大事な点かと思いますので、そのあたりは、後で、それぞれのお考えということをいただければと思っております。

 後は、市町村の責務という分担点に関しては、これは、各論のところと大きく関わるかと思います。ただ、民間のいろんなリソースを、いろいろ多様にできてくるという中で、逆にどのように市町村なり、公的なコミットメントが重要かということは、特にいろんなところで違うと思いますので、こっちの方は、後の方で、また議論になっていけばと、この委員会の何回目かのところで具体的な形で議論ができればと思っております。

 対象年齢の見直しでございますけれども、特に、これは、その後の継続的な自立支援システムの構築というところとかかわって、このワーキンググループの最重要課題の1つだと個人的には考えております。

 これについては、例えば、社会的養護の議論のところでも、現行、児童福祉法の18歳を超えてどのように支援が可能なのかということは、ずっと議論になってきていることですので、これは、この時点で、制度的に18歳あるいは20歳を超えた中で制度的にどのような枠組みが可能か、あるいは法的にどう可能かということは最重要課題として議論をしたいと考えております。

 これは、児童福祉法の見直しなり、現行の運用ということでいくのか、それにプラス、これは12月に間に合うかどうかは別にして、例えば、イギリスのケアリーバー等のような別法を作るというようなことも含めて議論ができればと考えております。

 権利擁護に関する機関の創設ということでありますけれども、これについても、現行の制度は、こういうふうに機関の創設というよりも、やはり、子どもさん個人の意見の表明ということも含めて進んできていると思いますけれども、これは、やはり、そういう機関を創設するなり、仕組みをちゃんと作るのかどうか、作るとしたらどういうことかということも含めて議論したいと思います。

 私は、子どもさん自身が何か意見を述べるということを、もう少し積極的に推進するような制度が必要ではないかと考えておりますけれども、これは、具体的にどういうことがあり得るかというのは、さまざまな御意見があるかと思いますので、これも積極的にやっていきたい。ケアリーバーの問題と深く関わるかと考えております。

 後は、地域での拠点整備なり、地域でのリソースをどう考えるかということについては、これも実際の取組等があると思いますので、そういうようなものを含めて、やはり、在宅支援ということを強化していくというときに、やはり、具体的なリソースをどう考えるのかという観点から議論をしたいと。特に、施設一時保護なり、あるいは施設措置で退所した後の支援も地域でできるのかということも大変重要な点だと思いますので、これは、是非とも重要課題の1つとして議論をしたいと考えております。

 後は、一時保護・アセスメント機能のところを言うと、やはり、現行の一時保護所の方は、社会的養護の出発点と考えたときに、子どもさんから見たときにしんどいような気がします。アセスメントの問題なり、一時保護の初期介入の問題についてどう考えるかということは、第1グループでいろいろ議論が出るかと思いますけれども、ここのグループでは、特に社会的養護のための保護の出発点というものがどうあったらいいのかという大きなところの議論も含めて、何か提案ができればと、考え方ということも含めて提案ができればと考えております。

 また、継続的な自立支援システムの構築ということは、先ほど申し上げたとおりで、このワーキングの最重要課題の1つとして、できるだけ時間をとって考えたいと思っております。

 あと、以下について、母子生活支援施設を含む施設機能をどんなふうに考えるか、あるいは里親、つまり代替的養育の仕組みをどんなふうに強化、推進していくのかということについても、これは、こういう施設措置がちゃんとしているということが、初期介入を活性化させていくというふうにつながると思いますので、いろんな御意見をいただければと。

 その中でも、特に出口の問題のところから追っていくという考え方で、ここはできればと、それは、個人的な意見として考えております。

 それで、第1のワーキングのところでいいますと、理念、責務というのはちょっと後回しにするかというようなことと、対象年齢の見直しのところで、かなり具体的な議論が出ました。

 それで、第1のワーキングで言うと、やはり、18歳以降の継続的な支援をどう考えるのかという観点から、それは、積極的に推進すべきだという意見が多く出て、それは、第2の方で検討してもらおうというような奥山座長のまとめでもありましたけれども、これについては、そういうふうな議論がありましたということの紹介をしたいと思います。

 以上でありますけれども、この中で、まず、理念なり、子ども、本日はもう、言いっ放しも含めて、こういうことが大事ではないかということを積極的に出していただくというふうにしたいと思いますけれども、まず、総論のところで、理念であるとか、子ども、家庭への支援というところで、例えば、法改正ということを考えたときに、どういうことが根っこにある考え方であるべきか、ということで御意見をいただければと思います。子どもの権利という観点をもう少し積極的に位置づけるということも含めて。

 どうぞ。

○加賀美委員 加賀美でございます。

 今、何故、新たな社会的養育というようなテーマになっているのかということの根源的な意義ですが、基本的には虐待問題が端緒になっているということでありますが、つまり、虐待の問題をずっと1990年代半ば以降議論をしてきて、その中で、我が国がとってきた子どもに関する制度、施策というのが、従来、戦後の直後に作られた法律に基づいて、保護を中心とした制度、施策であったというところにあります。

 虐待問題は、そもそも家庭における養育の問題という観点から考えれば、そういう実態に直接、制度、施策を転換していくという点から、保護から、養育という方略を考えた社会システムにしていくべきであろうと、私は考えています。

 そういう中で、これは、大臣の御発言の中にもあったように、明らかに子どもの権利ということを明確にしろということもおっしゃっておられるし、そういう意味からも子どもの権利擁護を明確にすべきと考えます。特に、国連子どもの権利条約を批准するときに、なるべく国内法に触れずといった動きがあって、そのことが、やはり法律の条文の中になかなか入れてこられなかったという流れもあったように、私は思っておりますので、戦後70年、そこも含めて思い切って改革をしていくというときではないのかなと、私は思いますので、子どもの権利あるいは子どもの自立支援ということも含めて、明確にした法律、理念を挙げていくべきであろうと思っております。

 なお、大臣が国民全体でというか、社会全体で、子どもの問題を共有して、そのあるべき姿に向かってということもおっしゃっていますので、全ての子どもを社会全体で見守っていくのだと、そういう理念もここに当然入れていくべきだろうと、こういうふうに思っています。

 以上でございます。

○松本座長 ありがとうございます。

 他にいかがでございましょうか。

 お願いします。

○武藤委員 武藤です。

 加賀美委員と同じような意見になりますけれども、理念のところの第1条のところですね。第2項のところで、全ての児童は等しく生活を保障され、愛護されなければならないということで、この等しく生活が保障されと、この等しくという部分が、本当に低いレベルの等しくではどうしようもないわけで、国連の権利条約ではないですけれども、最善の利益を追求するという方向性をきちんと明確に打ち出すということが必要なのではないか。

 それから、愛護という、これも前回出ましたけれども、愛護という言葉は、どちらかというと、権利主体ということでの尊重ということにならないので、この文面も見直しをしてもいいのではないかと思っているところであります。

 それから、特に第2条のところで、国家責任だとか、地方公共団体の責任、それから、保護者とともにという部分で、これは、西澤委員も前回おっしゃっていましたけれども、責任の所在が非常に不明確という部分があるので、あるいはそこの第2条に全部書くということには、多分ならないと思いますけれども、第2条の解説のところで、やはり、そこの責任という部分はどうとるのかということについて、明確にしないと、非常に曖昧なのではないかと思っています。

 以上です。

○松本座長 他にいかがでございましょうか。

 今、権利という観点をきちんと入れていくということと、責任の所在あるいは社会的責任という観点をきちんと入れていくと、こういう立場からの御発言をいただきましたけれども、他に、いかがでございましょうか。

 どうぞ。

○草間委員 草間です。

 私も第1条の第2項に関するのですけれども、愛護という言葉、西澤先生からも御指摘がありましたように、あるいは武藤先生からもありましたように、愛され、養育されるというような表現に変えた方が良いと考えます。私は、かつてカナダの人たちを日本に招聘したときに、カナダの、いわゆる当事者3人が登壇して共通して強調していたことは、愛されることがとても重要であるということです。この言葉が、こちらに当たるのですけれども、やはり、権利の主体以前に子どもは愛されるという、この愛されるという言葉を法の中に盛り込んでいくというのはとても大事なのではないかと思います。その中で権利の行使主体であるとか、あるいは最善の利益を追求されるべき存在ということが求められれて来ると考えています。繰り返しとなります、愛されるということが最初にくることが必要なのかなと思います。

○松本座長 他にいかがでございましょうか。

 子どもの権利というときに、中身の構成、権利というのは、どういう内容であるかという中に、今の草間委員のお話なども入るのだろうと、個人的には考えているのですけれども、これは、いろんな御議論のあるところかと思います。今、同じ御意見をいただいていますけれども、いかがでしょうか。

 これは、両方の共通の大変重要な課題でありますので、他の項目もそうですけれども、もし、それぞれの委員の方で、いろいろなお考えがありましたら、いろいろおありだと思いますので、できれば、御発言だけではなくて、メモの形でもいただけますと、具体的に話が進められるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、子ども家庭支援というか、つまり、これは家庭というのか、家族というのか、養育者なのか、表現については、いろんな議論があるということを前提に、子どもを中心にしながら、子どもの権利あるいは利益を守るために、養育者の支援ということを積極的に法文の中に入れていこうではないかというような方向でございますけれども、そこについては、どのようにお考えでございましょうか。

 後は、具体的にどのように書けるかということも含めてだと思いますけれども、方向としては、むしろそういう方向ということを前提にして、今後の各論のところも考えようという、今のところの確認でよろしゅうございますかね。

 市町村の責務ということについては、後の方で、いろんな各論が出てから、それとの関係で議論ができればと思います。

 どうぞ。

○西澤委員 西澤です。

 今、足早に通り過ぎてしまったので、子どもと家庭への支援というのは、家庭に対して支援をやるのだと、この法律を根拠にやるのだということで、とても大事なことだと思います。それが後々の、例えば、母子生活支援施設の機能の見直しであるとか、ここには、直接の話題にはなっていませんけれども、今の児童養護施設における家族支援というようなことに対しての重要なバックアップになると思うので、とても大事なのですが、一般的な家庭支援というのではなくて、やはり、社会的養護だけではないのですけれども、子どもの利益をかなえるための家庭支援という、そういう脈絡というか、文脈ははっきりしておかなければいけないのかなと思います。

 それから、今、松本先生が何度か市町村の責務とずっと言っておられるけれども、国の責務もとっても大事な部分なので、総論の部分でも、国の責務というのが、今、やはり国自体が地方公共団体と横並びになってしまっていて、保護者とも横並びになってしまっているので、ある意味、国の、例えば、ナショナル・スタンダードをしっかり監視するといったようなところの部分は、やはり、重要な位置づけがあるので、入口の部分でも、ここの項目は大事なのかもしれないと思います。

 以上です。

○松本座長 分かりました。今、大変貴重な御意見をいただきました。2つありました。

 1つは、家族なり、家庭への支援というときに、子どもの権利なり、利益ということを中心にして構成するという観点が必要ではないかというような意見でした。

 もう一つは、私、端折って読んでしまいましたけれども、これは市町村だけではなくて、特に国のスタンダードなり責務をどう考えるかということは、きちんと議論すべきだという御意見だと思います。

 では、そこに戻って、今の西澤さんの2点目の御意見にかかわって、何か他に御意見がございましたら、どうぞ。

○加賀美委員 また、先に戻ってしまって申し訳ないのですが、今のことと関連するのです。大臣発言の中で、全ての子どもには適切な養育を受け、健全に育つ権利があり、その自立が保障されるべきという理念を明確に、法律に位置づけたいと、こういうふうに明確に言っておられると、つまり、適切な養育を受けられるという家庭、それを作っていくのだという意味と解釈をして、つまり、その理念のもとに子ども、家庭のあり方を議論していくということだろうと、私は思います。

○松本座長 適切な養育というものが、それの中身をどう考えるかとか、どういう形で、誰がということも含めて、具体的な制度の問題になっていくのだろうと思います。大変貴重な御意見をいただいたと思います。

 他にいかがですか。もちろん、今のように戻っていただくのは全く構わないです。

 どうぞ。

○菅野委員 菅野です。

 子ども、家庭への支援ということで、今の児童相談所の現実からすると、要するに、子どもが生まれてからの関わりというところはあるのです。だから、特定妊産婦の課題であるとか、いろんな課題が、子どもが育っていく、生まれる前からいろんなことにかかわっていこうということがあるので、その辺のニュアンスをどういうふうに、この中に入れていくのかということだと思います。それと、1点議論を聞いていて思うのは、子どもの権利というのを、どういうふうな位置づけをするのか、だから、現場で、いわゆる発達支援だというふうに思っていて、子どもが発達していく権利というか、そこを中心的に、それをひずめてしまうのが児童虐待であったりだと思います。子どもの権利というところを、もう少し細かく見ていく必要がある。多分議論の中にいろいろ出てくると思うのですけれども、そのあたりも、この法律の中にどうなるのかは分かりませんけれども、どこかで議論をしていく必要があるのかなと感じました。

○松本座長 そうですね、子どもの権利というふうに、ざっくりまとめてしまっている中身は、どういうファクターで構成されているのかということは、どこかで議論しないと、各論のところで、いろんな制度を、もう少しこういうところをてこ入れと、子どもの何に対応することなのかと、特に、今、おっしゃったように、成長する権利、発達権というのは、子どもの権利の、個人的には中核として考えるということがあるのだと思うのですけれども、そういう考え方でいいのかどうかも含めて、各論ともかかわって議論すべき点、今後、整理をすべき点だと思います。

 他に、いかがでしょうか。特に、今、総論全体のところにかかわって、いろんな御意見が出ているということですので、もう少しここは時間をとって出し合いたいと思いますけれども。

 特に家庭の支援のときに、後で、各論のところで第1のところに出てくるような通所のところでのリソースをどう作っていくかとか、そういうことも随分深くかかわるかと思いますので。

 では、もし、今のところで御意見なければ、少し先に進めて、他のところでも意見を出していただくというふうにしたいと思います。

 ただ、今のように、本日は、何かを決めたいということではありませんので、前に戻って意見を出すのは、本日はありとしたいと思います。それは、制限をいたしません。

 次に、対象年齢の見直しのことについては、これは、前に行われました第1のワーキンググループも、かなりいろんな、積極的な意見が出ました。これについて、特に継続的な自立支援システムの構築ということともかかわって、皆さん、それぞれ御意見なり、お考えをお持ちだと思いますので、ここは、今、自由に御発言いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○磯谷委員 磯谷です。

 児童福祉法の対象児童の年齢を未成年、要するに、成年年齢に合わせるということが、やはり望ましいのだろうと思います。いろいろ大変なところはあると思いますけれども、実際の現状を見ると、やはり、児童福祉の現場で親権が問題になってくることというのは、非常に多いわけですね。

 さらに、児童福祉法では、親権停止などの申し立てについては、児童相談所長も、18歳を超えても、またできるということにもなっている、なっているというか、そういうふうにしてきたのは、結局、18歳を超えたところで縁が切れるということではだめなのだと、やはり、さらに親権の問題というのが、児童虐待などと密接に関係し続けているのだという理解があるからだと思うのです。

 そういうふうなことを考えると、やはり、成年年齢と、それから、児童福祉法の対象年齢というのは一致させていくというのが、現状に照らしても適当なのだろうと思っていますので、そういう方向で提案ができるといいなと思います。

○松本座長 他にいかがでしょうか。おおむね第1のワーキンググループでも同じような観点からの意見が幾つか出ましたけれども。

 どうぞ。

○辰田委員 八王子の辰田です。

 成年年齢を合わせるということは、理想としてはいいと思っています。

 最初のワーキングにも出ていましたが、その施設に入っている子たちの社会的養護の枠をどのように確保していくのか、都市部の問題かもしれませんけれども、本当に児童養護施設も逼迫している。そこに20歳になるまで子も入れることになると、逆に今度は入らない。児童養護施設の場合というのは、なかなか法人も手を挙げてくれなくて作れていない状況の中で、対象児童だけが広がってしまう。そこをどうしていくかということもあわせて議論しないと、本当に手詰まりになってしまうと思います。

○松本座長 そうですね。特に18歳を超えてから、20歳を超えてから、第1グループでは受け皿という表現も出ましたけれども、そこのリソースをどんなふうに拡大していくのかということとセットでないと、これは絵に描いた餅になってしまうと思います。

 他はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○井上委員 井上です。

 本日は自由にということですので、現場が浮かぶような形で話したいと思うのですけれども、子どもさんたちを実際に見させていただくと、特に社会的養護の場合、非行の問題とかいろいろなものがありまして、思春期の課題の問題が入りますので、小学校高学年から中学生、高校の初めくらいまでは、通常のアドバイスをしてもなかなか話が通じない。

 それを超えてきたところで、その間にずっと施設の職員の方とかいろいろな周りの方たちが継続してその子のケアをしていると、子どもが通り抜けたところで初めて、自分はこんなふうにやっていったらいいのではないか、ひょっとしたらこの人から愛されているのかもしれない、いろいろあったけれども、ここから自分は変われるかもしれないということが始まってくるのは、やはり16歳、17歳くらいの年齢からになってくるわけです。

 そのときに、例えば、自分は看護師さんになりたいとか、自分は何になりたいといういろいろな夢を持ってスタートを始めるのですけれども、それを始めている途中で18歳が来たときに、その子の先がぱっと変わってしまう。あるいは、外に出て自分で頑張りなさいと言われた途端にだめになってしまうということがあるのです。

 だから、皆さんも御存じのとおり、この辺のところ、その子どもさんの今はどうかと考えて、この子どもさんに先を考える能力が出てきて、自分で続けたいものが明確にあるという方の場合は、後からつけてくる教育というところをしっかり保障してあげるといった観点から、それを進めていってもいいのではないか。そういう考え方で、18歳を超える例として考えていっていいのではないか。そういうことを私は考えます。

 ですから、磯谷先生が言われますように、成年年齢と児童福祉の年齢は一致させる。これはそのとおりだと思います。ですが、それを超えていくときは、どういうことが整っているときにそれを超えていっていいのか、そこだけを明確にする。そういったことが必要ではないかと思います。

 以上です。

○松本座長 今、対象年齢の見直しということを、特に後ろの方の継続的な自立支援システムの構築ということとセットで御発言いただいたと思うのですけれども、これはこのワーキングにすると切っても切れない話ですので、そこも含めて御発言いただくということでいいと思います。このワーキングでは、同じイシューですので。

 どうぞ。

○西澤委員 西澤です。

 また思いついたことがあったので新たにしゃべりますけれども、1つは、磯谷先生が言うみたいに、対象年齢を成人年齢まで引き上げるというのは私も大賛成で、それは大いにやっていただきたいというか、やりたいと思うのですが、1つ懸念するのは、今、成人年齢を引き下げようという議論がある中で、実際に引き下がって18 になったらどうしようかみたいな、そっちの部分はちょっと心配事項としてあると思います。これは私の勝手な思いなのですが、20歳までになると、例えば、大学に入学した者については、入学金、授業料等が措置費で支援できるわけです。それが短大だといいのですけれども、4年制大学だと途中で形式上は切れることになるので、措置延長も、22とか23とかという形で、そこまでをターゲットに考えるのがいいのかなという思いがちょっとしました。

 もう一つは、先ほど言われているように、現実に、受け皿の問題というか、児童養護施設が本当にキャパシティーを持ってケアできるのかというのは、児童養護施設だけではなく里親もそうですけれども、そこのキャパをちゃんと増やしておかないと本当にだめだろうと思いますが、とりあえずそれは両方ともやっていくということで、前に進まないといけないとは思うのです。やはり余りよくないケアをしているところなどでは、例えば、高校を中退したらもう出ていきなさいみたいな、今の児童福祉法で18歳までを保障していながらも、実際にケアができないから中退した子は施設にいられないみたいなことは、実践レベルで行われているし、それを児童相談所も容認しているわけですね。

 実情としては、例えば、高校をやめて、日中どこにも行かずにぶらぶらしている子をどうケアしたらいいのか分からないということがあったり、アルバイトをして有職少年になると、そういった社会との接点が濃い子どもとそうでない子どもが一緒にいるとろくなことがないみたいな、そういうことで児童福祉法が保障する18歳すら守られていない現状があるということを考えると、法的にどうこうできることかどうかは分かりませんけれども、そっちに対する手だても一緒に考えていかないと、仏作って魂入れずになるのではという気はします。

 ○松本座長 大事な発言だと思います。

 どうぞ。

○平井委員 平井です。

 済みません。今、ちょっと頭がこんがらがっているのですけれども、先ほどからの年齢の御意見なのですけれども、成人年齢が下がるから、18歳でそのままでいいという話なのですか。今、西澤委員が言われたように20歳まで引き上げるというどちらですか。

○松本座長 今は現行の20歳を考えて、引き上げるという考え方です。

○平井委員 そちらですね。

○松本座長 ここで出ている御意見はそういう観点です。

○平井委員 そこで成人年齢が下がったらどうしようかと。

 私も、自立援助ホームの立場で、今、20歳までは措置ができるものですから、それは継続して20歳まで児童養護関係もやっていただければ、20歳までの延長はなしでも、そのまま20歳まで措置ということが可能になればいいかなと思っておりますけれども、後は、前から出ています年齢の年度末の問題です。18歳の年度末、20歳の年度末という、そこまで措置をと。本当に誕生日が早いか遅いかでかなり子どもたちが不利になるものですから、その辺はちょっと考えていただきたいということと、後からも出てくると思いますけれども、児童養護施設等は大学の進学の問題が出てきますので、短大、4大がございます。そうすると、特例ではないのですけれども、そういった延長も考えて、大学進学して、必要な子は大学を卒業するまで可能というような、そういった部分を少し考えていただければ、子どもたちにとっては助かる部分だと思っております。

○松本座長 どうぞ。

○磯谷委員 関連して、まさに今、いろいろと出てきたように、年齢の問題は、1つは成年の年齢と一致させていくというところが第1段階としてあるけれども、もう1つは、成年を超えた場合でも必要性がある場合が、特にこの社会的養育の場合にはあるわけで、そこのところを、さらに必要な場合には延長ができるようにするということはあり得るのだろうと思います。

 2つ目は、受け皿の話が出ていまして、決してそれが間違いだと言うつもりはありませんけれども、それが準備できなければ年齢は上げられないという問題なのかというと、私はそうでもないのかなと思います。

 まず1つは、18歳を超えてなお養護が必要だというのは、人数的にはそんなに多いわけではないのではないか。もちろん自立をしていく子どもたちもいますので、そういう点もありますし、現実に、今、年齢が18歳と20歳のギャップがあることによって、例えば、28条の問題とか、できるのか、できないのかとか、そういった問題が常につきまとっているところからしても、受け皿はできるだけ準備するということは決して消極的ではないのですけれども、それを待たなければ年齢見直しができないということだと、それはちょっと違うのではないかと思います。

○松本座長 どうぞ。

○塩田委員 世光寮の塩田です。

 私は、児童養護施設の現場にいて、どの子も18歳ではやはり出せないと思っています。家族の問題が十分に解決されていない状況で家庭引き取りを選ばなくてはいけない子たちもいます。18歳を過ぎて家庭に帰ったらそれは安全なのかというと、そうではなくて、逆に搾取の対象になったりする場合もあります。できる限り成人するまで施設に置いておくことで社会自立が円滑に進むということもありますし、子どもが将来を見据えて自分の進路を考えるときにも、少なくとも20歳まではいられて、そこから進路を考えるのだというゆとりが必要です。

 また、大学に進学したら、卒業まではそこから大学に通っていいのだという安心感があるだけで、ずっと心豊かに大学進学して社会に出ていくことが可能になるのだということを、いろいろなケースを見ながらそう考えていますので、どの子にも最低20歳まで、ケースによっては、例えば、大学を卒業するまでと活用できる方向に変えていただければと考えています。

 以上です。

○松本座長 どうぞ。

○辰田委員 八王子の辰田です。

 おっしゃっていることはわかります。

 ただ、入所している子どもたちの延長だということはわかるのですけれども、児童相談所は、在宅の子たちもいるわけで、社会的養護に入れたい必要な子たちもたくさんいて、急に延長の対象児童が増えて、でも、社会的養護の枠は増えない、でも、入所できないとなると、守れる子も守れなくなってしまう。そこは全体とリンクして考えてほしいと思っていますし、20歳を超えた子は、前の会議でも言いましたけれども、大学卒業まで、何年もあるわけで、24歳、26歳まで大学にいったり、どこまで措置で見ていくということが果たして本当にいいのだろうか。

 また、その費用徴収も親に負担をさせていくことで、本当に20歳ということは馴染むのだろうか懸念はあります。○松本座長 どうぞ。

○磯谷委員 磯谷です。

 そのあたりは制度設計としてはいろいろと有り得るわけで、20歳を超えても引き続き措置なのか、別途利用契約なのか、それはいろいろと有り得るだろうと思います。

○松本座長 どうぞ。

○菅野委員 今、中心がいわゆる社会的養護というか、施設の中にいる子どもということになるのですけれども、社会的養育と考えていくと、例えば、ハンディを持って在宅で暮らしている子どもたちもいますね。その子たちの就学であるとか、就労支援であるとかというところとも、どこかで整合性ではないですけれども、バランスも考えなければいかなければと思っていて、施設に入っている子はいろいろとケアしてもらえるけれどもとなったら、そこだけが優遇されるようなことになったらまずいということが、今、ふと浮かんだのです。それはただ単に思った部分です。

 確かに必要ですし、児童相談所的にも磯谷先生が言うように、私自身は、20歳を超えた子を措置とか、児相長の権限でというのはちょっと困るなと。そこは成人としての主体を持たせてあげることで考えていってもらうことが自立へのステップにもなるということを、ちょっと頭の中がまとまりませんけれども、御議論を聞きながら感じたところです。

○松本座長 今、年齢の要件の見直しから、基本的に社会的養護のプリンシプルをどう考えるか、自立をどの時点でどう見るのかということで、かなりの議論が出ております。

 ここは大事なことなので、もう少しいろいろな意見を出し合いませんか。

 総論としては、18 でぶつっと切れるのはまずいというのはここのコンセンサスだと思うのです。

 秋山先生、お願いします。

○秋山委員 秋山です。

 地域にいますと、学校も18歳まで、 要保護児童対策地域協議会 18歳まで、児相も18歳までになると、その後は本当に支援がなくて困っています。これが20歳になったとしたら、その後の支援は何の法律がこの子たちを守ってくれるのか。切れ目のない支援となっていますので、妊娠期からだけではなく、成人になっても切れ目のないような体制を作っていただきたいと思います。

○松本座長 加賀美先生。

○加賀美委員 これもまた基本に立つわけですが、この法律の理念のところに何を盛るかということなので、子どもの自立支援ということを明確に謳うということであれば、その自立ということをテーマにしてさまざまな社会システムを作らざるを得なくなるのだということを、私は思っております。

 まず、今の児童の年齢の話からその他の自立支援のシステムの問題まで広がってしまっているのですけれども、ここでは年齢の問題に限っておいて、このワーキンググループでは、その他に地域の子ども家庭支援の拠点の問題や、拠点の整備の問題であるとか、あるいは、社会的養護のところで継続的な自立支援のシステムの構築ということがテーマとして挙がっていますので、そちらの方とまたダブってくるので、どうでしょうか。

○松本座長 年齢のことに限ってという、座長に対して大変サポーティブな御意見をいただいたのですけれども、そこに限ると、今のところで御発言をまとめるわけではないですけれども、18歳でぶつっと切れるのはまずい、それはどうするのかというときに、今の措置延長という仕組みをもう少し強化する。それはそれであるけれども、今度は成人になった後、どうするのか。例えば、児童福祉法の枠のような形のものを考えるのか、それとは別の形を考えるのか、そこはいろいろな考え方がある。そこの成人を超えたところもないと、どこかで切れてしまうというのは、現実の現場から見ると、やはり支援が途切れてしまうことになるということまでは確認ができている。

 もう1つは、措置された子ではなくて、在宅の子どものことも含めてどう考えるのか、地域支援のことも含めてどう考えるのかということまで広がってはきたのですけれども。

 どうぞ。

○井上委員 井上です。

ここで話すのはどうかと思うのですけれども、子どもたちへの対策ということで考えていきますと、1つはひとり親家族対策です。

 もう1つは、子どもの貧困対策で第3次の発表が既にされましたが、私がそれをちょっと見させていただいていますと、文科省も含めて、教育の学び直しのことから、大人になった後、親御さんになった後でもう一度学び直しを作るとか、これが財団も含めたいろいろな形で一つの案として出てきているということはあると思います。

 その施策と本委員会の検討は全く別個ですよと考えるのではなくて、日本の子どもなのですから、日本の政策と考えていった場合は、すでに報告された施策を踏まえながら、今、いる子どもに関しては延長してケアする人たちも必要かもしれない。

 ですが、今後の人たちに関しては、新たな政策の方を取り入れていく中で見ていくと、100%とは言いませんけれども、全体のうちの半分くらい、あるいは7割くらいの方たちがいい方向に向かってくれるかもしれない。そうすると、今まで出てきたたくさんの大変な子どもたちが減ってくるかもしれない。そういう考え方で、この時期、7年間くらいを1つの目途として見ていきながら、変化を評価しながら考えていくことも必要ではないかと思いました。

 以上です。

○松本座長 全体のフレームワークに関する、大変貴重な御意見をいただいたと思います。

 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員 先ほどのいろいろな御意見を聞きながら、1つは、秋山先生が言われたような、児童福祉法の後、20歳を超えた後に関していえば、例えば、イギリスは松本先生とか磯谷先生がお詳しいと思いますが、アメリカなどは、社会的養護が18歳までになっていても、多くの州でその後の自立支援をする法律というものが28歳くらいまで。

 何故28歳で出してきたかというと、一般調査をして、アメリカの子は結構自立が早いと言われていますけれども、精神的自立まで含めると一般調査で28歳くらいというものが出ているので、それに合わせようという動きで各州が整備していったと聞いていますので、そういったことを日本でも考える。

 だから、児童福祉法ではなくても、そういう法律を別に立法を促すという形で考えるということが1つはあるかなと思っています。

 キャパシティーの問題は、社会的養護のキャパシティーがないから年齢のことは検討しないというのは、やはり情けないと思うのです。

 だから、キャパシティーを増やしていくということと、多分、これは後で話題になってくると思うのですけれども、先ほど加賀美先生が言われたような、地域の支援の拠点をきちんと整備することで地域支援を充実させたり、あるいは、通所措置というような中間的な措置を設けることでキャパシティーも一定数は拡大できるかなと思うのと、やはり里親を増やしていかないといけないと思うので、本気になって里親を増やすような誘導を同時に考えていくことになるのではと思っていました。

 もう1つは、今、言われた、大学に入ったから22歳までとか、それから26歳まで見るのかという話については、これは個別に判断していく。集団主義的に全部を決めるみたいなことではなくて、22歳を超えた場合にはやはり個別に判断していくし、措置が馴染むのかということについては、私の理解では、措置は行政が養育の責任を持つために措置行為にしているのだと思っているので、それはこれまでにいろいろと話が出ている、一旦、家庭外措置にした子の養育の責任をしっかりと行政がやるための行政処分だと私は理解しているので、もちろん子どもの方の参加権とか、そういうものもあるし、成人になったら措置はなじまないという意見があることは分かっていますけれども、一方で、彼らの自立を支援する責務は措置した側にあるということも考えていかなければいけないのではないか。

 でも、今後を考えたら、要は措置費が使えればいいので、大学の授業料とかを公費で何とか負担できれば、それで何とかなるのかなと。そこは契約になってもいいのかなとか、そんなことを考えていました。

○松本座長 今、西澤さんがおっしゃった、最後の責務という観点でいうと、例えば、自立支援計画みたいなことで、措置という形かどうかは別にして、自治体の中に、ケアリーバーの自立の支援をするようなセクションをきちんと独立して設けるとか、そういういろいろなやり方は考え得ると思うのです。それは個人的に思っているのです。

 他は、特に年齢の要件の話で、受け皿、リソースの充実ということまで話が来ましたけれども、年齢のところに絞ってとなると、何か他に御意見はありますか。

 どうぞ。

○星委員 星です。

 自立援助ホームからの発言ですけれども、長く置けばいいというものではないと、非常に現実的に我々はいつも困っていまして、やはりタイミングを見て出していかないとどんどん長くなってしまう。1人退行を始めて、みんなにそれが伝染して全員マグロになってごろごろしているとか、そういう状況です。

 例えば、病気になりたい人はやはり多いです。自分は虐待を受けて心の病気だと言われて喜んでいる人がいたり、私たちはできれば病気にしたくない、もちろん適切に医療との連携は持っていかなければいけないのですけれども、病気や被虐待を売り物にしてしまうようにはなってほしくないという思いと、生活保護などもそうなのですけれども、みんな一時的にそれを受給するけれども、働いて頑張って跳ね返すのだということを言いつつも、なかなかそれが難しくなってきて、それが泥沼にはまってしまうと、20歳を過ぎても25歳になっても自立できないでいることになってしまうので、我々は、要するに適当なタイミングを見計らって一旦出す。出した中で、出すけれども、切れないというのが自立援助ホームのやり方だと思っていますから、措置は20歳までと決めてしまって、切れないための方策を何か考えるべきであって、例えば、被虐待、要支援という認定をきちんとしたら、その人は自分の人生設計の中で、大学に行きたいと、高校でもいいですね、高校中退の子がもう一回勉強がしたいのだというときには、きちんとそれは学費を出してもらえるとか、格安、無料の下宿とか寮のようなところがあるとか、何か別の方法を考えるべきであって、それは法律を作らないとできないのかどうか知りませんけれども、一律に措置の年齢を引き上げるということは良いことはないと思います。

 ですから、どういう形で考えていったら良いのかまだよく分かりませんけれども、1つは、私は勉強したい人が、安く、ただで使える相談付きの下宿みたいなものがあちこちにあって、そこで優遇を受けるということがあったり、いろいろと考えることはできると思います。

○松本座長 今、星委員が、出ていっても切れないための方策とおっしゃったことはとても大事なことだと思います。

○西澤委員 ちゃんと反論しておきます。

 星さんの言っていることはよく分かりますけれども、星さんがかかわっておられるお子さんたちは、こんな言葉を使ったらいろいろなところからひんしゅくを買うかもしれませんが、粗末なケアを社会的養護で受けてきた子どもたちの状態で、その青年期の子どもたちを見られているから、そういうふうに思われるのだろうと私は思うのです。

 ここで発達心理学みたいなことをかじった人間としては、大学を出るころになると、誰でも親から分離したくなるもので、自分で自立して生きたいと、皆さんも18歳から22 にかけて強く思われたのではないかと思うのです。それは皆さんがちゃんとしたケアを受けられて、多分、親から愛されて育ったから、そういうふうに普通に親から分離したいと思えるようになるので、病気になって、例えば、星さんのところで、マグロという表現がどこから出てきたかよく分かりませんけれども、ごろごろとしていらっしゃるということは、その病んでいる部分はやはり社会的養護が作ってきた部分もたくさんあると思うのです。

 そういう意味で、この改革をやるのであれば、そういった子どもたちを生まない改革、そのためには、大学進学等を保証するような制度設計にしてあげれば、星さんみたいな思いをされる方も減っていくのではないかとは思っています。

○星委員 そうなのですよ。自立だから、例えば、10代後半の子たちの問題か、20歳か、30歳かという話なのですけれども、要は、ちゃんと土台ができているか。

 虐待を受けて保護されて施設で育ったけれども、ちゃんと補修されてその上に乗っけることができるような土台がちゃんとできているかどうかによって全然違ってくると思うし、昔は、結構ひどいところから来た子でも、自信を持って現場仕事をして、1718歳でアパートを借りていたのですけれども、今、来る子はほとんどがいかにしてここに1日でも長くしかも仕事をせずにいてやろうかと。そういう人たちとの攻防戦をしておりますので、私たちはなかなか見方が偏ってしまうのかもしれません。

○松本座長 どうぞ。

○塩田委員 塩田です。

 多分、この問題は、一番下の社会的養護の施設ケアの小規模化の推進と機能の向上とも関係してくるお話なのだろうと思っています。

 社会的養護の養育の質が向上してくれば、西澤委員が言ったように、いろいろな発達上の課題がインケアのうちに解決して、自立が促進され、潤滑に社会に出ていくということが可能になるので、何年も置かなくてもと社会的養護自体が変わっていくと解決することが出てくるだろうと思っていますので、この18歳を超える問題も多岐にわたっていて、いろいろなところをみんなで討議しながら、良い方向を見つけていくことが必要だと思いました。

○松本座長 他に今のこのことに関していかがですか。

 かなり多様な御意見が出たと思います。これは大変貴重な論点で、本日ここで早急に取りまとめてこういう方向でワーキングのまとめとはしないというふうにしたい。

 今、いろいろな議論が出ているということを前提に、プリンシプルに、全体の原則に関わることが、年齢の問題からずっと広がってきていると思いますので、この議論は継続をしたいと思います。

 他の論点について少し御意見を出していただくという形をとりたいと思いますけれども、今のところに関連して戻るということはもちろん妨げるものではありません。

 私はこの問題をここの重点課題にしたいと申し上げましたけれども、そのことに多くの御意見をいただけるのでしたら、具体的に制度設計なり法改正なりあるいは新法の必要の提案ということをするのかどうか、するのであればどういう形が有り得るのかということも、この2カ月くらいの間で、どこかで一度きちんとそのことに時間をとって議論ができればと思っていますので、是非それまでにもいろいろな御意見を頂戴できればと思っています。

 次に、子どもの権利擁護の問題については、特に権利擁護機関のようなものの必要性があるかどうかとか、現行制度との関わりでどうなるのかということについて、先ほど、機関の創設だけではなくて広く権利擁護のという御意見もいただきましたし、そこは理念のところでという意見もありますけれども、この点については、御意見、御提案等があれば、何か御発言いただければと思います。

○磯谷委員 子どもの権利擁護に関する機関、特に第三者性のある機関の必要性は、日弁連も以前から提案しているところでもありますし、非常に重要なものだと思っております。ですから、私もこういった機関の創設というのは非常に重要なことだと思っています。

 一方で、今回、児童福祉法を主に改正するということを考えると、その枠の中で作るのがいいのか、それを超えて広く子どもの権利一般を対象とする制度として構築する方がいいのか、このあたりはなかなか難しい問題だと思っていまして、まだ結論が出ておりません。

 今、お話ししたいのは、2つ、少し見方を変えたものですけれども、1つは、子どもの権利擁護という点からすると、子どもが、例えば、措置について不満を持ったり、あるいは、何かいろいろな行政、児童相談所の対応や施設の対応について不安を持ったりという場合に、その声をサポートしてあげて、きちんとそれが届くようにしてあげるという仕組みというのも1つは重要で、いわゆる子どものアドボカシーというものだと思いますけれども、そういう仕組みも1つ考える必要があるのではないかと思います。

 東京はカリヨン子どもセンターというところがありまして、弁護士が中心になって子どもの権利擁護ということで、それぞれの子どもに、いわゆる子担、子ども担当の弁護士がつきまして、子どもだけだとなかなか発言できないところをしっかりサポートしていくということもございます。

 こういうふうに、子どもの権利、子どもの利益、そして、その子どもの権利の主体性ということを考えるのであれば、それをサポートする仕組みも1つは有り得るということです。

 もう1つは、それともやや重なるのですけれども、未成年後見の問題があります。

 これは以前の児童虐待防止のあり方検討会で浜田弁護士も報告していたかと思いますけれども、確かに、平成23年の法改正で法人も未成年後見人になることができるようになったというところで、比較的最近に改正があったところであります。

 未成年後見というのは、子どもに1対1でつきましてサポートをするという意味で、とてもいい制度なのだろうとは思いますけれども、従前は本当に私的なイメージでした。要するに、自然人が1人だけで対応しなければいけないということでやってきたわけです。

 ただ、先ほど申し上げたように、いろいろと法人もそういった後見ができるということになって、少し公的な位置づけに変質していっているのではないか。そして、それはやはり歓迎すべきことなのではないか。こういったことを私的な関係のみに押しつけておくのではなくて、やはり公的なというか、それは公共機関ではないのですけれども、団体性という意味で公の関わりで未成年をサポートしていくという、この未成年後見、特に法人後見をより積極的に支援をする必要があるのだろうと思うのです。

 これは、漏れ聞くところによると、今、確か厚労省の施策で、お金がないお子さんについて後見をやるときには月額幾らという形で予算が出ていると聞きますけれども、一方で、予算の限界というところなのかもしれませんが、児童相談所が未成年後見の申し立てに消極的であるということを、弁護士の間でもちらちらと聞いています。

 このあたりをしっかりと見直すことが、ひいては子どもの権利擁護につながっていくのだろうと思います。

 そういうことで、子どものアドボカシーというところと、さらに未成年後見について少し発言をいたしました。

○松本座長 ありがとうございます。貴重な具体的な御発言をいただきました。

 特に、個人的な意見を述べますと、権利擁護センターというときに、何か事があったときに発動するというイメージがどうしてもつきまとうのですけれども、そうではなくて、いつも担当のような人がいる、子どもの側から見たときに、何か事件があってクレームを言うようなスタートではない形の、後見なり担当なり、何と呼ぶのかは別にして、そういう人がいるのは一方でとても大事な観点かと思いますので、そういうことも含めて少し御議論ができればと思っています。

 いかがでしょうか。

○草間委員 草間です。

 カナダの取組というのは、そういう意味では非常に参考になると思うのです。先ほど磯谷先生がおっしゃったアドボカシーオフィスであったりとか、重層的に子どもの権利を擁護するシステムが整備されています。

 だから、子ども自身が権利を行使できる仕組みづくりです。クレームだけではなくて、アドボカシーもそうですし、リーガルサポートを受けられる、行使できる、そういう機関に申し出れば受けられる、それで大人と同等の場、法廷で争える、あるいはいろいろと権利保護ができるという仕掛けがある。

 それから、表明する場というのですかね、意見表明権がありますが、具体的には意見表明できる場を作っていく、そういう仕掛けが考えられる。それから、彼らのパブリックコメント等を担保された制度設計が求められる。

 子どもたちが権利を行使する、そういう仕組みづくりが必要ではないか。単にクレーム対応の場だけではなくて、具体的によりよい生活をするため、あるいは、生活防衛するため、そういった多面的なの生活向上に資するための場の設定、サポート、そういう仕掛けというものが、子どもの権利擁護といった場合に必要ではないかと思います。

○松本座長 他、いかがでしょうか。

 分かりました。

 それでは、次の論点に移りたいと思いますけれども、権利擁護というところは、参加権とか参加を通したエンパワーメントみたいな観点から考えても、社会的養護の内実を考えるときに大事なことだと思いますので、これも含めてまた別の議論を。

 どうぞ。

○西澤委員 今の子どもの、要するにアドボカシーの制度というか、整えていくという点は全然異論はないのですけれども、それだけでいいのか。

 後見人制度の話も出ましたけれども、例えば、本当に小さな話ですけれども、例えば、児童相談所が保護すべき子どもを保護していないというような、今回、私はよく知らなかったのですけれども、長崎でそういうことで未成年後見人がついていたから訴えることができたということがあったので、それは先ほどの未成年後見人とか、そういうものと関連するかもしれません。

 例えば、赤ちゃんとか、そういう事態で児童相談所がある意味で不作為で、子どもの保護される権利が満たされていないみたいなことについてはどうするのかというのは、それもアドボカシーでカバーできるのだというのであればそれでいいのだと思うのですけれども、施設内虐待の事例などもそこが扱うとすれば、単にアドボカシーだけでいいのかなというのは、単にと言ったらもしかしたら語弊があるかもしれませんけれども、もう少し幅広なのではないかとは思いました。

○松本座長 どうぞ。

○菅野委員 権利擁護というところで報告しておかなければと思うのは、滋賀県では、随分前から外部の委員にお願いをして、定期的に年に1回、最近は泊まりはしてもらっていないのですけれども、前は施設の方に1泊2日で行ってもらって、子どもたちから直接話を聞くという取組をしていて、それをまとめて、権利擁護の委員さんたちの意見として報告をもらって、それを公開してというようなことはやってきたかと思います。それをどういうふうに形にするのか。

 それから、権利ノートの中にはがきみたいなものが入っていて、子どもが直接はがきを出していろいろなことを訴えられるというようなシステム作りはいろいろなところでなされているとは思うのですけれども、それを拾い上げて、それをどう使うかという辺に多分なっていくのかなというところと、未成年後見の辺は、非常にどこでどういうふうに使うのかということも絡んで、事例の数の問題で、例えば、滋賀県で余り経験していないということがあったりとか、これから学んでいかなければいけないところがいろいろとあるのかなと、お話を聞いていて感じました。

○松本座長 ありがとうございます。

 他のことも、簡単にですが、網羅的に伺う時間をとりたいと思いますので、残り15分になりましたので、一旦、権利擁護のところでは、いろいろな論点があるということをここで確認したということにして、次に進みたいと思います。

 市町村のところでもう一回潰していくと、地域拠点なり地域でのリソースなり、それを統合するような拠点形成をどう考えるかということだと思いますけれども、これについては、大変大きいといえば大きい話なので、具体的にどのように進めたらいいのか。あるいは、法改正と考えるときにどういう考え方が有り得るのか。

 加賀美委員、お願いします。

○加賀美委員 私は新たな社会的養育システムの基本的なところにつながる話だろうとは思っているのですが、これはもちろん一般の子育ても含めての話ではありますけれども、社会的養護に関わるところでも、虐待通告の7万3,802人のうちの9割以上の子どもたちは、保護できずに、見守りあるいは在宅支援、在宅指導という名のもとに、余り手をかけられていない。それでまた翌年通告の対象になるという悪循環が、この10年以上続いているという現実をどう考えるか。

 それに対しどう役割を考えていくのかというときの一つの手だてとして、市町村とここでは言っていますけれども、児童相談所の方の機能の問題は1のグループでやるとして、その中で児童相談所が本来やってきている、あるいはこれからもやるはずであろう相談支援というところの具体的な支援の窓口、その先の役割がこういう拠点事業というところに落とされていくのだろう。

 そういうときに、地域の総合型の子ども家庭支援センターという言い方もしたことがあるのですが、そういう役割を作って、在宅措置の問題は1の方のグループになっていますが、在宅措置あるいは通所措置という言い方で考えているような考え方とつながる中で、具体的な支援のプログラムを行う専門性というか、機関としてそういうものを整備する必要があるであろう。それが1つ。

 里親の問題についても、実は課題と将来像で里親を急速に推進しようという動向の中で、確かに拡大はしつつあるのですが、その一方で、ぼちぼち里親不調と言われるような実態も起こり始めて、つまり、里親の支援のシステムがきちんと機能していないというか、ないと言った方がいいのかもしれません。そういったものも構築しなければいけないだろう。そこはどこがやるのかという議論、そういうもろもろのものを含めて総合的な支援センターを一定人口圏ごとに設置するというプランが立てられていく必要があるのではないかということでございます。

○松本座長 草間委員、どうぞ。

○草間委員 草間です。

 前回、厚生労働省で示された、子育て世代包括支援センターというものが具体的に一つのワンストップ拠点にしていく構想を拝見しました。これをイメージしたときに、厚労省内である程度シェアされている地域包括支援センターの子ども版みたいな形とすれば、すでにわが国には、地域包括支援センター制度という先行事例があるわけです。子育て世代包括支援センターの子育て世代包括支援センター制度はその点で導入しやすい。これは具体的には落としどころになるのではないかと考えられる。

 具体的な拠点整備については虐待はどこかの地域で発生するとことが特徴なので、現状でいえば、市町村の中で設置をしていくことが求められる。社会的養護のケアパスを見ていきますと、里親とか施設を離れた場合に、施設や里親の手から退所児が離れるケースは8割以上あるわけです。つまり、退所した本人がコンタクトしてこない限り、施設や里親では本人の動向やニーズは把握出来ないという状態の中で考えてみると、現実的には、施設や里親を出た子はそれぞれの生活する市町村で対応していくことになる。生活困窮者自立支援法と絡めて考えると、この生活拠点がある市町村でリンク(対応)させることによって子育て世代包括支援センターは機能していくのではないか。

 私は子育て世代包括支援センター具体的ないい制度設計ではないかと感じています。

○松本座長 佐藤委員。

○佐藤委員 佐藤です。

 地域でのこういう支援の場合は、例えば、妊娠・出産包括支援事業の妊娠・出産包括支援センターというものも、妊娠届け出からそこで受けて、アセスメントをして、ハイリスクの妊婦さんを支援していく。そこに母子保健コーディネーターのようなものも置くということも、片や考えられつつあるのです。

 私が思いますに、ある程度のカ所数を多く設けるポピュレーショアプローチでの支援の仕組みのところと、今の子育て世代包括支援センターのように求められている支援がある程度の専門職を置いた、本当の拠点というものが必要だろうと思うのです。

 今、いろいろなことが同時進行で進められようとしているのですけれども、そこのところを児童福祉法だけではなくて少し整理もして、児童福祉法の中に一般的な子育て支援のことも書いて、尚且つ、先ほどの里親不調の話もありましたし、在宅支援の8割から9割の子どもたちのところも利用するような、後は、親子の再統合まではいかないですけれども、ペアレンティングプログラムもここで受けることができるような、そういう制度設計をしていくことが求められているのではないかと思っています。

 尚且つ、母子保健のところに虐待対策における母子保健の位置づけとだけ書いているのですけれども、思いがけない妊娠の相談窓口をやってきて、やはり妊娠葛藤の相談窓口というものは、NPOがやるのではなく、やはり行政が責任を持って匿名相談でも対応するという、今、20万人を切りましたけれども、中絶される子どもたちの中にも、産もうと思っても産めない親もいるわけですし、そういうこともあわせて総合的に考えていくと、ある程度、公益のところでやるような専門職も入って、妊娠葛藤の相談も匿名で受けられるような拠点のところと、フィンランドのネウボラのことが考えられての妊娠・出産包括支援センターは、もうちょっと地域が小さい、数千人単位のところに1カ所くらいずつ設けていくという、母子保健と児童福祉と子ども・子育て新制度というものを重ね合わせた形で是非作っていっていただきたいと思います。

 受け皿の市町村にすると、いろいろなものをセンターで作りなさいということがおりてきていて、今、非常にどちらに向かって進んでいったらいいかということが整理されていない状況だと思っています。

 長くなりますけれども、もう1つ言いたいことを言わせていただきたいのですが、産後ケアの仕組みも作られようとしているものが妊娠・出産包括支援事業なのですけれども、その産後ケアもお金を支払えるような、ポピュレーションで使える人たちが使えるという整備は各地で進んできているのですが、今、問題なのは、本当に特定妊婦で赤ちゃんを産んでから地域に帰せるか、帰せないかという人たちが、一時的にもうちょっと赤ちゃんと馴染むようなところが必要なのです。

 そうすると、産後ケアの仕組みの中でも本当にこういうリスクの高い人たち向けの制度設計も必要だろうと思っていますし、それも合わせると、やはり妊娠・出産包括支援事業と、子育て世代包括支援センター事業と、新しくいろいろなところで始まってきている思いがけない妊娠の相談窓口のところとか、これをチャンスに、そこら辺のところを是非一緒に整理を進めていくことが必要だと思っております。

 以上です。

○松本座長 既存のものもどういうふうに統合するかということも含めた御意見を、大変具体的にいただきました。

 平井委員、お願いします。

○平井委員 平井でございます。

 今、御意見がいろいろと出ていまして、私も同感する部分もあります。

 ある意味、やはり児童家庭支援センターです。これが市町村と連携して、市町村の求めに応じて専門的な相談を受けると明記されておりまして、そういった意味では、今の児童家庭支援センターというのは、まだ全国に105カ所くらいしか設置されておりませんが、伸び悩んでおります。

 それもやはり経費的に厳しいとか、人員配置が少ないということもありますが、現状、児童家庭支援センターは本当に妊婦さんからずっと継続的というか、長い目で見ながら、本当に子育て支援から幅広い相談に応じたり、訪問したりをやっているわけです。

 ですから、これは本当にせっかくの児童家庭支援センターという第2種の施設と位置づけられていますから、これをもう少し機能拡大して、設置数も多分増えていくというか、結局、今の厚労省の将来像の中にも、乳児院、児童養護施設に標準装備ということも言われていますね。施設に附置という感覚ではなくてそこの施設がある区域から別に離しても児童家庭支援センターはもちろんできるわけですから、そういった意味では、児童家庭支援センターの機能を拡大しながら予算もつけていただいて、ここを利用していただければ一番いいのかなと私は思っております。

 以上です。

○松本座長 児童家庭支援センターと関係をどう考えるかという御意見をいただきましたけれども、残り5分ですので、他の話題に行かないで、ここのところでもう少し御意見があればと思っています。

 どうぞ。

○井上委員 この児童家庭支援センターの話はすごくいい話で、私たちもそういうふうに見ていたのですが、 要保護児童対策地域協議会 の中で、実際の学校と児童相談所の全部で本当にチームができてしまった場所で、こういう形のところができそうなのだけれども、どうですかという意見を聞いてみました。

 そうすると、例えば、今まで若年のお母さんで妊婦さんという形で来た場合、すぐに学校に行って、その学校の中でその妊婦さんになった子がどういう状態で、その子の兄弟がどういう状態で、その子のお父さん、お母さんがどういう時代を過ごしたかということがすぐに分かっていたという情報が、独立してしまうと、その顔の見える連携が無くなるのではないかという不安もありますということは、1つ、知っておいていただきたいと思います。小規模でやっていて、そういうチームワークができてしまうと、逆の意見が出ているということもちょっと知っておいていただきたいと思います。

 ですから、形として新たなものをどんどん作っていき、そちらに移転してという形で、役場の中から保健部門がいなくなってしまうと、現場では混乱が起こってくる可能性もあるのではないかというマイナスの意見ですが、そういう意見もあるということを知っておいていただきたいと思います。

 以上です。

○松本座長 こういう形での拠点が必要だということについては御異論がないように思いますけれども、具体的に既存のものあるいは既存の活動とどう整合性を持たせるかとか、あるいは、それを発展させるような形をとることができるのかという観点から幾つか御意見が出ているかと思います。

 それでは、幾つかの論点がありました。本日は、総論のところと全体に係る制度からここでいうところの拠点の整備というところまでのお話で幾つかの御意見を伺ったということになります。それと、年齢要件との関係で、社会的養護のあり方そのものについては、幾つか付随的に御意見が出たということになります。

 ただ、一時保護のところはそれとしては御意見を頂戴する時間はありませんでしたけれども、継続的な自立支援システムの構築及び全体の受け皿をどう考えるのか、養護の仕組みはどうなるのか、そこのところはまだ十分に御意見が出ているということでもないかと思います。幾つかの御意見は出たということだと思います。

 本日のところで何か方向づけをするというよりは、御意見が出たということを踏まえて、次回から1つずつ個別に、潰していくという言い方は変ですけれども、中心的な話題を決めて、それについて具体的な検討を行うとしたいと思います。

 これはお願いでありますけれども、ここにお集まりの方は、それぞれ皆さん貴重な御意見をお持ちで、且つ、いろいろな経験をお持ちですので、個別のここにある論点について、何かメモのようなものをいただける、あるいは、資料を提供していただけるとありがたいと思います。そのときに、もちろん枚数の制限とかはありませんけれども、できれば要約のものを1枚にして、その後で何か資料なり長いものがあってもいいという、全体のサマリー、要約の1枚というものをつけていただけると、全体で共有して議論の促進につながるかと思います。

 もう1つは、冒頭に申し上げましたけれども、法改正ということを一方で念頭に置きますので、具体的に法改正をするとしたらどういうことが有り得るか。あるいは、別の制度設計をするとしたらどういうことが有り得るか。例えば、12月のまとめ以降も継続すべきことというのは、その中ではどういうことかということも整理をしていただけるとありがたいと思います。

 後、これは事務局にお願いでありますけれども、最初のワーキングの方に出られていない方もいらっしゃいますので、そこでの配付資料はできればお互いに共有できるという形で、事後でも郵送なり何らかの形で送っていただけるとありがたいと思います。

 以上でありますけれども、他に何か特段の御発言はありますでしょうか。

 それでは、第1回のワーキンググループをこれで終了したいと思います。

 事務局にお返しをいたします。

○寺澤家庭福祉課長補佐 本日はありがとうございました。

 次回日程につきましては、改めて委員の皆様の日程を確認させていただき、追って御連絡いたします。

○松本座長 どうもありがとうございました。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループ)> 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会新たな社会的養育システム構築検討ワーキンググループ(第1回)(2015年9月30日)

ページの先頭へ戻る