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2015年7月10日 厚生科学審議会疾病対策部会 第41回難病対策委員会 議事録

健康局疾病対策課

○日時

平成27年7月10日(金)16:00~18:00


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14C(14階)


○議事

○前田疾病対策課長補佐 それでは、定刻でございますので、ただいまから「厚生科学審議会疾病対策部会第41回難病対策委員会」を開会いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況ですが、金澤委員長、道永委員、小幡委員、小池委員、千葉委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 また、山本委員も遅れて来られるということで聞いてございます。

 また、事務局ですが、福本大臣官房審議官は所用により欠席させていただきますので、御承知おきくださればと思っております。

 傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 なお、金澤委員長からは、御欠席の御連絡をいただいておりますので、厚生科学審議会疾病対策部会運営細則第4条第4項に基づきまして、委員長の職務を行うものとして、あらかじめ福永副委員長を御指名いただいております。

 このため、以降の議事進行については、福永副委員長にお願いをしたいと思います。

 カメラの撮影はここまでとさせていただきたいと思います。

 それでは、よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○福永副委員長 では、始めたいと思います。

 まず、資料の確認をお願いいたします。

○前田疾病対策課長補佐 資料の確認をさせていただきます。

 左にクリップどめでとめてございますが、議事次第、その後、委員の名簿がございまして、座席表、その後、資料でございます。

 資料1「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針(案)」でございます。

 資料2「基本方針検討に向けた難病対策委員会における主な意見」でございます。

 資料3「基本方針の検討の進め方(案)」でございます。

 最後は、参考資料として、横ですが、「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針(案)概要」という形で御用意しております。

 不足等がございましたら、事務局までお願いをいたします。

○福永副委員長 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日の議題は、「基本方針の検討について」でございます。

 前回の難病対策委員会以降の委員の皆様方から御意見などを踏まえて、事務局から基本方針の案を出していただきたいと思います。

 本日の進め方としては、基本方針案の各項目ごとに、事務局から説明をしてもらい、その内容について御意見等をいただくようにしたいと思います。

 また、各項目ごとに議論いただいた後、最後に、全体を通して御意見をいただく時間も設けてあります。

 当初は、各項目ごとに御意見をいただこうと思っていたのですけれども、先ほど打ち合わせをしまして、前文と第一を1つの区切りで、それから、第二は独立で、それから、第三から第六までを1つの区切りで、七か7ら九までを最後の区切りとして、そして、最後に全体の討論をしたいというように考えております。

 それでよろしいでしょうか。

 それでは、事務局から、基本方針の前文と第一について御説明をお願いいたします。

○前田疾病対策課長補佐 それでは、資料の御案内をさしあげたいと思います。

 まず、資料1と資料2の位置づけについて御報告をさせていただきたいと思います。

 資料1は、前回第40回の難病対策委員会において骨子を御提示させていただきました。40回の意見、あるいは、36回から39回まで種々意見をいただきましたので、その意見を踏まえて、資料1という形にまとめてございます。

 また、その各項目の取りまとめに至る過程ですが、資料2にございます「基本方針検討に向けた難病対策委員会における主な意見」としてまとめております。各意見を頂戴いたしまして、その意見を踏まえまして、基本的な方針を定め、案を作成させていただいたという位置づけでございます。

 それでは、資料1を御説明させていただきたいと思います。

 今回は、基本方針の案をこのまま最終的に基本方針に向けた議論として活用させていただきたいと思っておりますので、説明が少々長くなりますが、読み上げをさせていただきたいと思います。

 それでは、まず、前文から読ませていただきます。

 我が国の難病に関する施策は、昭和47年の「難病対策要綱」の策定を機に本格的に推進されるようになり、難病の実態把握や治療方法の開発、医療水準の向上、療養環境の改善及び難病に関する社会的認知の促進に一定の成果を挙げてきた。しかし、医療の進歩や、難病の患者及びその家族のニーズの多様化、社会及び経済状況の変化の中で、類似の疾病であっても、研究事業や医療費助成事業の対象とならないものが存在していたこと、医療費助成について都道府県の超過負担が続きその解消が強く求められていたこと、難病に対する国民の理解が必ずしも十分でないこと、難病の患者が長期にわたり療養しながら暮らしを続けていくための総合的な対策が求められていることなど様々な課題に直面していた。

 こうした課題を解決するため、難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号。以下「法」という。)が平成27年1月1日に施行された。

 本方針は、法第4条第1項に基づき、国及び地方公共団体等が取り組むべき方向性を示すことにより、難病(法第1条に規定する難病をいう。以下同じ。)の患者に対する良質かつ適切な医療の確保及び難病の患者の療養生活の質の維持向上などを図ることを目的とする。

 第一をそのまま読まさせていただきます。

 第一 難病の患者に対する医療等の推進の基本的な方向

 (1)難病の患者に対する医療等の施策の方向性について

    法の基本理念にのっとり、難病の患者に対する医療等の施策(以下「難病対策」という。)は、以下の基本的な考え方に基づき実施するものとする。

 (2)基本認識について

    難病は、一定の割合で発生することが必然であり、その確率は低いものの、国民の誰にでも発症する可能性があるとの認識を基本として、広く国民の理解を得ながら難病対策を推進することが必要である。

 (3)基本理念について

    難病対策は難病の克服を目指し、難病の患者が長期にわたり療養生活を送りながらも社会参加への機会が確保され、地域社会において尊厳を持って生きることができるような、共生社会の実現に向けて、難病の特性に応じて、社会福祉その他の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ、総合的に実施されることが必要である。また、国及び地方公共団体のほか、難病の患者、その家族、医療従事者、福祉サービスを提供する者など、広く国民が参加し実施されることが適当である。

 (4)本方針の見直しについて

    本方針は、社会の状況変化等に的確に対応するため、難病対策の実施状況等を踏まえ、少なくとも5年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときは見直しを行う。

 以上、前文及び第一について御説明をさせていただきました。

○福永副委員長 ありがとうございました。

 それでは、前文と第一について、御質問あるいは御意見があれば、どうぞ御自由にお願いいたします。いかがでしょうか。

 伊藤委員。

○伊藤委員 だんだん具体的な法律になるとやむを得ないのかもしれませんけれども、201112月の「難病対策委員会中間的整理」での基本的な認識、それから、2010年8月の「中間報告」にある難病対策の基本理念、そして、難病法第2条の基本理念というように、そして、この基本的な方針に行くに従ってだんだんトーンが弱まっているような印象を受けるのですね。文言も少し違っております。

 そういう中で、例えば、一番最初、基本的な認識が出たときに、私ども患者団体は非常に驚きました。そして、同時に、こういうことならこの難病対策をやっていけるなという希望が湧いてきたわけです。例えばこの文章で言いますと、「希少難治性疾患は遺伝子レベルの変異が一因であるものが少なくなく、人類の多様性の中で一定の割合発生することが必然であり、したがって、希少難治性疾患の患者、家族を我が国の社会が包含し、支援していくことがこれからの成熟した我が国の社会にとってふさわしい」と。このことを基本的な認識としたというのが一番最初にありまして、とてもすばらしい文章だなと思いましたけれども、ここで言う、この第一の基本的な方向での(2)「基本的認識」の中では、「誰にも発症する可能性があるとの認識を基本として」まではいいのですけれども、その後、「広く国民の理解を得ながら難病対策を推進することが必要である。」と。何か非常に印象が薄まってしまう。もっと高い理念があってこの難病対策をしようとしたのではないかと、そういう文言に私どもは大変感激したわけですけれども、国民には理解をしていただきたいということと、この我が国で包含して支援していくということが、これからの我が国の社会にとってふさわしいという、こういう表現とではかなり乖離があるような気がいたします。

 ついでに言えば、「基本的認識」の第1行目は、「難病は一定の割合で発生することが必然であり、」と、これもいきなり唐突で何が発生するのかという感じがするわけですけれども、基本的認識というところをもう少し当初からのみんなが一緒に難病対策をつくろう、やろう、難病法に向かっていこうというときのこの気持ちも大事にされた文章にしていただきたいなと思います。

 そういうことで言えば、(3)の「基本理念について」も、社会参加への支援を行うということがいろいろ出ているのですけれども、ここでは、「社会参加への機会が確保され、」というところでとどまっているかなと。そして、最後、「広く国民が参加して実施される」というようなことで、このところでもう一工夫検討して、少し理念を高く掲げてほしいなという印象がありますので、発言させていただきました。

○福永副委員長 この点に関していかがでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 今、御指摘を賜りましたのは、本日、参考みたいな形で資料を用意しておけばよかったのですけれども、「今後の難病対策のあり方」という形で、平成24年、25年のときに「中間報告」「提言」という形でおまとめをいただいた中に、「希少難治疾患の患者の家族を我が国の社会が包含し、支援していくことがこれからの成熟した我が国の社会にとってふさわしい」という形の文言を「基本的な認識」として使わせていただいたというところがあります。

 ですので、この基本方針はそういう考え方をベースに法律をつくって、かつ基本方針をまとめてきたというところもございますので、これは理念としては入っておりますというお答えでございますし、これは絶対入れてはだめだという意見がないのであれば、基本的には入れる方向で、また、文言のてにをはみたいなところはありますけれども、整理をさせていただければと存じます。

○福永副委員長 今の御意見いかがでしょうか。

 どうぞ。

○山本委員 元の文章のときにも、そのまま我々は「いいでしょう」と言ったにもかかわらず、また、ここで言うのもおかしいのですが、これだけ取り出して出てくると、その前に遺伝子とか何とかという話があってからの話と違って、この「基本認識について」ということで、この文章だけちょっと見ますと、「難病は、一定の割合で発生することが必然であり、その確率」と、ちょっと見ただけでも余り心が穏やかにならない、「発生」と「必然」と「確率」なんていうことがあって、もう少し優しい言葉で言っていただいたほうがいいのかなと。別に「発生」じゃなくて「発症」と。その次に「発症」がありますけれども、そこでは「罹患」という言葉を使うとか、難病は一定の割合で発症することが必然かどうかはわかりませんね。というのは、臨床性の腸疾患というのは、ほとんどないものが今ふえているわけですね。これは一定の割合で発症する必然ではなくて、環境がこうなってきたということなのです。だから、わからないことばかりですね。ですから、こういうところで「必然」と言うと、なられた患者さんも何か確率が悪かったなという、それは違うのではないかという気がしますので、ここはもう少し。ここで議論することではないと思いますけれども、この言葉が以前の文章にあったのは間違いないと思うので、それはそれで、そこを引いてきたのだと思うのですけれども、これだけ見てみると、ちょっと表現が必ずしも適切ではないかなと思いますので、よろしくお願いします。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○鶴田委員 途中からの参加で、正確でないかもしれませんけれども、表題が「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」であれば、もともと一から九は決められているとは思うのですが、「難病の患者に対する医療等の総合的な推進の基本的な方向」についてここで述べられているように思うので、平仄を一致したらどうかなというのが1つの意見です。

 もう一つは、基本理念は、いろいろ意見はありましたけれども、「何々が必要である」とか、「何々が適当である」というのが基本理念ではなくて、その前にある共生社会の実現を目指すとか、そこまでが基本理念ではないでしょうか?一般的に基本理念とかいった場合には、そのためには以下のことをするというような表現のような気がするのですけれども、そこは何か意見があれば教えてほしい。また、基本認識は、可能性があることの認識が基本なのか。それプラス、国民の理解を得ることも基本認識に入っているかどうか。2つを基本認識とするのかどうかをお伺いしたいと思います。

○福永副委員長 いかがでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 まず、文言としてですけれども、このタイトルの「難病の患者に対する医療等の推進の基本的な方向」という言葉については、これは難病法の法律の「基本方針」に掲げる事項の言葉をそのまま引っ張っております。実は、続きで申しますと、第二だけは抜けている形になっていまして、第一と第三以降は、法律で定められた項目をそのまま記載をした形としておりますので、法律に基づく基本方針でありますので、基本的には同じ言葉を使わせていただきたいと思っております。

 基本的な方向については、理念的なところと、あと、アウトカムと申しますか、参加をしていただけるという成果を書くところで、そういう大きな理念のところとで、成果としてどういうところが出てくるかという形でまとめておるところが難病対策のまとめの部分でございますので、特にこれが、こう決まっているので、この範囲だけ書いてくださいという形で決まっておるものではございませんので、形としてふさわしいかどうかという形で御意見を賜ればと思います。

○福永副委員長 これは、字数とか、コンパクトにしないといけないとか、そういう縛りは何もないのですか。

○前田疾病対策課長補佐 特にございません。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤委員 今、山本先生は非常に重要なことを言われたと思うのですけれども、何によって遺伝子のレベルが変化するのかは僕たちはよくわかりませんけれども、環境の因子みたいなことをおっしゃっていたのですね。もともとの難病対策が始まったときには、薬害とか公害みたいなところから始まっていったのもありますけれども、その環境因子みたいなこととか、あるいは環境の変化によってとかということもここで認識しておく必要があるのかないのか、専門の先生方の御意見もちょっと伺っておきたいと思います。

○福永副委員長 これはいかがでしょうか。

○山本委員 それはそうです。ここに盛り込むのは難しいかなとは思いますけれどもね。ですけれども、明らかにふえている疾患、それほどふえない疾患があって、遺伝子が急に変わるわけはないので、やはり環境の激変によって起こってくる疾患があることは間違いないですね。

 それをここに盛り込むのはちょっと無理かなと思います。

○福永副委員長 そうしましたら、先ほど伊藤委員が言われた部分というか、最初議論したところをもう少し盛り込むような形で、事務局で考えていただけるでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 はい。

○福永副委員長 伊藤委員、それでよろしいでしょうか。

○伊藤委員 はい。

○福永副委員長 後で、思いついたら、また出してもらっても結構ですので、一応次に行きたいと思います。

 第二をお願いいたします。

○前田疾病対策課長補佐 それでは、資料1の1ページをおめくりいただきまして、2ページ目、第二の「難病の患者に対する医療費助成制度に関する事項」について説明をさせていただきます。こちらについても、骨子をベースに意見を踏まえて書かせていただいたものでございます。

 それでは、読ませていただきます。

 第二 難病の患者に対する医療費助成制度に関する事項

 (1)基本的な考え方について

    難病の患者に対する医療費助成制度は、法に基づいて適切に運用することとし、医学の進歩等の難病を取り巻く環境に合わせ適宜その運用を見直すとともに、本制度が難病に関する調査及び研究の推進に資するという目的を踏まえ、指定難病(法第5条第1項に規定する指定難病をいう。以下同じ。)の患者の診断基準や重症度分類等に係る臨床情報等(以下「難病患者データ」という。以下同じ。)を適切に収集する。

 (2)今後の取組みの方向性について

   ア 指定難病については、定められた要件を満たす疾病を対象とするよう、国は、疾病について情報収集を広く行い、それぞれの疾病が置かれた状況を踏まえつつ、指定難病の要件の適合性について適宜判断を行う。併せて、国際的な状況も含めた医学の進歩に応じ、診断基準や重症度分類等についても随時見直しを行う。

   イ 法に基づく医療費助成制度の目的が、難病の患者に対する経済的支援を行うとともに、難病に関する調査及び研究の推進に資することであることに鑑み、国は、指定難病の患者であって医療費助成の対象とならない患者に係るデータを含めた難病患者データの収集を行うため、データベース(以下「難病患者データベース」という。以下同じ。)を構築する。難病患者データベースの構築及び運用に当たっては、国及び都道府県は、個人情報の保護等に万全を期すとともに、難病の患者は、必要なデータの提供に協力し、指定医(法第6条第1項に規定する指定医をいう。以下同じ。)は、正確な難病患者データの登録に努める。

 以上でございます。

○福永副委員長 ありがとうございました。

 では、第二についての御意見あるいは御質問があれば、お願いいたします。

 どうぞ。

○伊藤委員 第二のことで2点考えたいと思います。

 1つは、難病患者データベースは、どの範囲までをこのデータベースに入れるのか、個人の診療記録まで入れるのか、もう少し違うものなのかというのをちょっとお聞きしておきたいと思います。

 もう一点は、これもずっと言ってきたことですけれども、例えばここでは、「医療費助成の対象にならない患者に係るデータを含めた難病患者データの収集」と言っておられる。これは大事なことだと思います。「難病の患者は、必要なデータの提供に協力し」ということになっています。この協力をするのもいいのですが、「協力する」ということの見返りがあるのかないのか。例えば、福祉サービスの利用とか、就労支援の対象になるとか、何かを使うときに、医療費助成の対象になっていない患者さんは、診断書をもってその証明をすることになっていますけれども、その都度、診断書を取るのか。しかも、診断書は有効期限があります。

 先日もこういう具体的な話があったのですが、身障手帳も取れないし、診断書で福祉サービスを利用するということで行ったのですが、期限が切れていたということで、また取り直したと。大変お金かかるのですね。これはその都度そういうことをするということと、データはもちろん協力したいと思うわけですけれども、そのための関係がどうも対照的ではないと。データの収集を行うためには協力してもらいたいと言うと同時に、何かのサービスを利用するのは自分で一々診断書を取って、それで証明をしろというようなことはやはりちょっと不十分だと思うのですね。

 このところについて、本当にそういうデータを集めるためには重要なことですので、これから重くなるかもしれないし、もっとよくなるかもしれない、そういう患者さんたち、しかし、身障手帳は取れなくて、福祉サービスは利用したいという方々のためにも、もう少し簡易な方法をここで考えていただきたい、そのように思っております。これは強くお願いをしておいたところだと思います。

 以上です。

○福永副委員長 今の2点いかがでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 1点目のデータベースの範囲でございますが、基本的には、今、局長通知でお示しをしています「診断基準に必要な項目」ということで、課長通知で「臨床調査個人票」の様式を示してございますけれども、あそこがベースになってございます。あれをベースに、あとは、臨床調査個人票の項目になっていないけれども、幾つか継続的にデータをとったほうがいいという形で専門家の先生方から御意見をいただいたものについては、入力の負担というところもありますので、数を限った上で、臨床調査個人票プラスアルファという形で情報収集を行って、登録をしたいという形を考えてございます。

 続いての医療費助成の対象にならない方のデータ以外も収集をするところの部分ですが、まず文言のたてつけとして説明させていただきますと、これは医療費助成の範囲の見直しというところと必要に応じてデータ入力の必要性というところについて記載をしております。具体的なサービスの利用が、第三以下の医療提供から療養環境、その他というところに続いていきますので、恐らくその軽症を入れた形の人をどう活用するかというのは、第三以下にはかかわってくるとは思うのですけれども、入れられる形で、あと、入れたことがわかるという形にはしてまいりますし、第三以下の利用というのが、指定難病の患者さんだけに限って使えるという形にはしておりませんので、実際それを利用するときのツールとしても利用し得るものだとは思いますので、そういう活用方法は、また、具体的なフォローアップと運用というところにかかわってくるとは思うのですけれども、そういう形で使っていけるものだとは思っております。

○福永副委員長 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤委員 ちょっとわかりにくかったのですけれども、それぞれのデータには入れていくようにすると。だけど、それをどうするかとか、その患者さんたちに対するインセンティブを働かせるようなものについては、第二ではなくて、それ以外のところ、次のところでお話をしますということでよろしいのですか。

○前田疾病対策課長補佐 説明がわかりにくくて、申しわけないのですが、第三以下に書いてありますところは、決して指定難病の患者さんだけが利用するサービスという形でまとめているわけではないので、そういう軽度の方も含めて使える形、使えない形ももちろんあるのですけれども、相談支援とか、そういった以下に出てくるものは使えることが多いと思います。そこは差をつけておりませんので、恐らく利用できる形にはなっているとは思います。

 他方、実際、証明書みたいな形で出せるかどうかというところは、実際にその入力している幅で使っておりますし、入れていただくことによって、高額な医療費がかかっているときには速やかに使えるとか、そういったメリットもあるとは思うのですけれども、そういう中で、最後どういう形で、その入れていただいたことを位置づけするかというところは、確かに宿題として残っているところではありますので、そういう方々がうまくサービスを使えるために、具体的にどういう形をとるのがいいかという形で、また、実際、運用の段階で御相談をさしあげるような形かなというふうには承知をしてございます。

○福永副委員長 この部分は大分議論したのですね。医療費助成以外でメリットがあるかどうかということに関しても議論したと思うのですけれども、この部分については、事務局でちょっと整理していただけたらありがたいですね。

○前田疾病対策課長補佐 はい。

○福永副委員長 ほかに。

 どうぞ。

○益子委員 それに関してですけれども、患者さんの登録に関しての了解というか、拒否権というか、そういうのはどうなのでしょうか。患者さんが嫌だと言うと載らなくなってしまうと、頻度とかが違ってくる可能性もありますし、患者さんの文句なしに自動的に登録されるものなのでしょうか。

○福永副委員長 これはどういうふうにお考えでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 基本的には、二通りあると思うのですけれども、1つは個人情報として扱うかどうかというところで、医療費助成の申請に必要な項目というところは、最低これは提出をしていただきますので、それを個人がわかるような形で提供しない場合は、申請に必要な情報で、その情報が統計的にどうかというような形という形は、恐らく悉皆的に使うという形になろうと思います。申請のときにそういうのをいただくという前提で申請書を書いていただきますから、そういう形で悉皆的に利用するという形になろうかと思います。例えば、何県に何人いるとかは全部出していますけれども、そういう統計的なデータとして活用するというところはあると思います。

 他方、一定程度個人が特定される形でという形の利用法ということになると、当然、同意が必要ですし、データのほかも含めて必要な話になりますから、そこはあらかじめ同意を取っていただくわけにもなりますし、かつ、そういう使い方をしたくないという場合は、そういう具体的な、例えば治験に参加していただくとか、そういうときにはそのまま使えるようにならないですし、お一人お一人の情報をこのデータベースをベースに出すという考え方で物を考えているわけではないので、恐らく、具体的に私の情報を私に返ってくるというところでは、別途、そういう治験の段階での同意とか、そういうところの形が必要かなという、2段階の形かなと思っております。

○福永副委員長 どうぞ。

○益子委員 そうすると、難病患者データベースの登録は申請なのですか。申請だと、申請したくなければ拒否できますね。

○前田疾病対策課長補佐 ちょっとわかりにくくて申しわけありません。

 このデータベースは、医療費助成の申請に伴って各データを入力をしていただくという形になりますので、申請に伴って、当然、診断に必要なための各データというところは必ず御提供いただかなければいけないですし、それを補完をするということをいたします。それをデータ的に補完をするという形にはなっています。なので、それが実際どういうデータであるかという形は、そういう事業の統計的な使い方というところは、法に基づいてデータをいただいて、法に基づいて使うというところなので、申請というのは、医療費助成の申請に伴ってそういう行為が発生するという形になります。

 他方、治験とか研究とかそういう個人にアプローチするような形の研究ということになりますと、そういう申請の仕方だと、包括的な同意をいただいているわけではありませんので、そういう第二次的な利用のときには、そのきっかけを用いた上で、改めて、個人が見える形で使わせてくださいというような場合には同意をいただきますし、そうではない、それで同意を得られない場合は、そういう研究とかには協力をされないということは出てくると思っております。

○福永副委員長 これは手帳をもらえない、いわゆる軽症者の人にも、カードというか、あれを渡すのでしたか。

○前田疾病対策課長補佐 今のところは、カードという形にはなってないのですが、御申請をされるからこそ、一定程度医療費助成を念頭に置かれているからこそ入力をされるという形だとは思っていますので、どうしても一定程度医療費助成の申請というところとのリンクは避けられないと思っています。どちらにせよ情報を登録することはあるのですけれども、結局、それがまず個人に生かされるかどうかというところは、医療費助成というところで出てくるという形になりますので、しばらくはただ入力をしていただくという形になって、入力に伴って診断書なりが出てきて、それが出て、却下通知なり何なりというのが最後判定が出てくるという形なので、入れたことをもって何かすぐそれが出てくるかというと、今のところはそういう形にはなっていないという形にはなります。

○福永副委員長 いかがですかね。

 どうぞ。

○葛原委員 説明を聞けば聞くほど、文章を読んだよりわかりにくくなってしまっているのですけれども、僕の理解では、これを読んだ限りでは、医療費助成の対象となるのは、指定難病の中のある症度以上の人と、それ以外の人はなってないと。だから、そういう人に関しては、例えば、発生頻度を調べるとか、さっき山本先生がおっしゃっていたような食べ物とか環境によって随分ふえたり減ったりしている病気もあるというときは、その動向を調べる、あるいは遺伝子を調べたり、新しい薬というときには、これは全く別の形でやっていかなければいかんだろうと思うのですね。そのときは、インセンティブで何かサービスしてくれるかどうかというようなそんなレベルの低いことではなくて、新しい治療法を見つけるとか、世界と連携して何かやる、そういうのをちょっとインセンティブにしてもらわないと、何か受けて診断書をもらったら何をしてくれるかというようなレベルではあんまり考えないほうがいいと私は思っていますし、これは法律の書いてあるところの外にある、もうちょっと高尚な内容だというふうな理解をしている、それではないのですかね。

○福永副委員長 どうでしょうか。

○葛原委員 そうでないと、こういう場合に単に登録するというのは、法律の対象にはならないわけでしょう。

○前田疾病対策課長補佐 済みません。私の説明が、個人情報保護を念頭におきつつ利活用について説明をしていて非常にわかりにくくて申しわけなかったのですけれども、基本的には入れていただく形で、その入れていただいた形によって、その入力されたマスで実態がどうなっているか、年齢階級がどうなっているかとか、とある検査のデータの範囲がどうであるかというところは一定程度見えると思いますし、そういう使い方は、医療費助成の申請に伴って実態としては出せるものだと思っています。

 他方、一人一人が一体どういう方で、どういう御病状でみたいな細かい話になってくると、このシステムで得られたデータだけでは活用できない限界がありますし、そういう同意の取り方をしているわけではありませんので、また、これは研究という形で別途申請をいただいて、研究という形の同意をいただいた上で、個人情報を活用していくというような形になろうかと思っていますので、確かにインセンティブというところでは、葛原委員のおっしゃった高尚な部分というところの要素も結構大きいという形になろうかと思います。

○福永副委員長 どうぞ。

○葛原委員 私が現在書いている限りでは、一応申請すれば認定されるなというレベルの人の診断書しか書いてないと思うのですが、現実的には、それ以外もどんどん新しい申請方式は登録か何かされている形になっているのですか。

○前田疾病対策課長補佐 これは、実は先生御指摘のとおり、課題ではあります。基本的には、医療費助成の申請に伴って入力をしていただく行為ということを念頭に置いていますので、恐らく一定程度重症の方は必ず入れるでしょうし、軽い方については、入れないという選択肢も出てくるというところで、悉皆性はそこで若干弱っているところはあると思います。

 ただ、そこは、システム上入れられないようにしてあるかというと、それは入れられる形で設計を組みたいと思っていますので、軽度の方で、今後、例えば医療費助成という観点から見た場合であれば、非常に高額な医療費がかかれば、速やかに申請したいとか、そういった思いがあれば、早い段階から入れていただけると思いますし、かなり貴重な疾病で、診察される先生が非常に限られているというところであれば、当然、研究班とのリンクも強くなってくると思いますので、そういう軽い段階からそれなりに入れていただけるのではないかなというふうには考えてございます。

○福永副委員長 大体内容としては、皆さん御理解できたのではないかなと思います。これはあくまで基本方針ですので、細かいところまで全部書かないといけないかというと、また、非常に難しくなりますので、伊藤委員どうでしょうか。今、話を聞いた中で大体理解できますか。

○伊藤委員 僕はこの話ではない感じだったのでいいですけれども、益子先生の話はそれでいいのかなと思います。

○福永副委員長 よろしいでしょうか。いかがでしょうか。

○益子委員 いいです。

 健康保険で、診断をするのに医療費がかかりますね。それで、自動的に登録になるという理解でよろしいのですか。

○前田疾病対策課長補佐 おっしゃるとおりです。

○益子委員 難病の医療費の助成というわけではないわけですね。私ちょっと混乱してしまって申しわけありません。

○田原疾病対策課長 ここに書かれておりますデータベースは、難病の医療費助成に関連して臨床調査個人票を指定医の先生がお書きになるときに、今は手書きで書いておりますけれども、将来的にはデータベースでコンピュータに登録するという形を想定しておりますけれども、そういうことを行って、自動的にそのデータベースに登録をするということを想定しているものです。

 ですから、医療費助成の申請を患者さんがしようと思って指定医の先生のところへ行った場合には、必ずそれに付随してデータベースに、その申請に必要な指定難病に関するデータが登録されるということになります。

 それ以外の先ほど葛原先生からお話のあったような、どういう食事をしてとか、そういう直接患者さんの病状とは違うようなもの、あるいは、指定難病の診断に直接関係のないようなことを、もし、知りたいということであれば、それは、改めて、別の枠組みでその患者さんの同意を取って、患者さんの情報を得ないといけないということはあると思いますけれども、この指定難病に関係するデータベースは、医療費助成の手続に伴って、基本的には、自動的に集められるというものです。

 そういうシステムをつくりながら、軽症の方で医療費助成の申請をされない指定難病の患者さんについても、データを登録するシステムはつくっておくということになります。これは患者さんのほうで希望される場合、もしくは、指定医の先生が登録をしたいというような場合、この辺はちょっと運用になるかと思いますけれども、そういうデータも登録できるような仕組みを想定して、準備をしております。

○益子委員 わかりました。

 そうすると、軽症の場合には、患者さんが登録したくないという場合は落ちてしまうわけですね。つまり、診断されたら、診断と同時に登録されるわけではないわけですね。

○田原疾病対策課長 軽症の方についてはそのとおりです。そこのところについては、全員を登録すべきだというような御意見も一方であり、そこは運用でどういうふうにするかということは、また、これから考えていくことになるかと思いますけれども、そのシステム自体は、軽症の方のデータが入らないような状況ではなくて、いつでも入れられるというようなシステムを組んでいこうというのが、この基本方針に書かれてあることになります。

○福永副委員長 よろしいでしょうか。

○益子委員 わかりました。

○福永副委員長 どうぞ。

○鶴田委員 2ページ(2)今後の取り組みの方向性についてイの3行目の「指定難病の患者であって医療費助成の対象とならない患者に係るデータを含めた」の文章ですけれども、大きく分けると、難病は、法第1条に規定するいろいろな難病があって、法第5条第1項に規定する指定難病があるという理解でいいのですね。

○田原疾病対策課長 一般的な法律で定める難病と、そして、その中に医療費助成の対象になる指定難病とがあります。

○鶴田委員 指定難病があって、その指定難病の中には、重症度に応じて医療費助成がされる人とされない人がいるわけですね。

○田原疾病対策課長 そうです。

○鶴田委員 (1)基本的な考え方にある上の文章との整合性からして、指定難病患者のデータが難病患者データですね。そうすると、ここは「国は、指定難病患者データの収集を行うため」でいいのではないですか。医療費助成があるもなしも指定難病患者だから。

○田原疾病対策課長 ただ、これまでの御議論の中で、軽症者も含めてデータを収集するべきだというようなお話がありましたので、ここでこういうふうに明記をしているということです。

○鶴田委員 軽症患者も指定難病でしょう。指定難病ではないですか。

○前田疾病対策課長補佐 指定難病の診断基準を満たしているのですけれども、重症度分類を満たしてない方になるので、指定難病の方になります。

○鶴田委員 指定難病ですね。

○前田疾病対策課長補佐 はい。

○鶴田委員 助成の対象になる人もならない人も指定難病ですか。

○田原疾病対策課長 おっしゃっていることは、軽症や重症にかかわらず、医療費助成の対象になるかどうかにかかわらず、指定難病のデータベースをつくるというふうに書けば問題はないのではないかというような御指摘だと思いますので、その辺については、少し整理をしたいと思います。

 ただ、ここに書いてある趣旨は、そういうことを明確にするという趣旨で書いているということです。

○鶴田委員 読み方によっては、上の文章があるからそういうことはないけれども、「難病患者のデータ」とすると、「幅広い難病患者」と読めなくもない。上のほうに難病患者データは限定しているからいいけれども、読み方によっては、もっと幅広い難病の患者さんのデータを集めるとも読めなくはない。文章が「難病患者データ」と「難病患者データベース」というから、同じものだからわかるけれども、そう読もうと思えば読めなくもないということから一つ意見を述べました。

 もう一点は、「定められた要件を満たす疾病を対象とするよう」という、この意味がよくわからなくて、これが必要ですか。

○前田疾病対策課長補佐 これ自体は、難病法の成立のときに一番議論をいただきました、医療費助成は当時56疾病が、同じような疾病なのに医療費助成の対象になるものとそうでないものがあるというところがありましたので、ここは、指定難病を医療費助成の対象の疾病というのは、難病法に規定されている要件を満たせば、そこの判断をされれば速やかに医療費助成の対象になる疾病とするというところで、これは法律にも見える形で書いておりますけれども、基本方針で改めて記載をさせていただいたという形になります。

○福永副委員長 どうでしょうか。

○鶴田委員 「定められた要件を満たす疾病を対象とするよう」それがあるなしにかかわらず、国はこういう対応をするわけですね。

○前田疾病対策課長補佐 もちろんそうなります。

 なので、「法律を読めば明らかでしょう」ということは間違いないのですけれども、そういうことを改めて確認をさせていただいて、基本方針を書くことによって、基本方針のフォローをしていくという形になろうと思いますから、そのときに、しっかり定められた要件を満たす疾病がちゃんと対象になっているかどうかという形で御評価をいただくという流れになろうかと思っております。

○鶴田委員 対象になるために情報収集を行うわけではないような気がします。後ろの文章との整合性の話です。

○前田疾病対策課長補佐 これは一応言葉の形としては、情報収集する目的は、疾病は幅広く情報収集を行って、これは指定難病以外の疾病についても情報収集を行うつもりであります。なので、医療費助成の話の中の記載でございますから、これはそういう情報収集を行った結果、指定難病の要件を満たしているものがあれば、速やかにそういう検討にかけるという形でございますので、その目的を書かせていただいているというところであります。情報収集を行った上で、それぞれの疾病の置かれた状況、これまでの疾病の概念の整理とか、疾病の原因とか、そういったところを考えながら最終的には適否を御議論するという、これの書いてあるところで行う行為は2つありまして。目的としては、定められた要件を満たす疾病を速やかに対象とするという形でございます。

○福永副委員長 どうですか。

 後で、また、整合性をちょっと。

○鶴田委員 はい。

○福永副委員長 ほかにいかがですか。

 どうぞ、大澤委員。

○大澤委員 結局、難病だけれども、重症度の点から言って医療費の助成は得られない、そういうグループの方たちは、将来的にその医療の研究を進めるという観点からいくと、データ登録して頂くことが必要なわけですけれども、御本人にとって、結局、この難病の申請をするということは、医者が診断書を書く必要もありますし、病院を受診する必要もあり費用の点で診断書料、申請料は御本人が払わなくてはいけないですね。そういうことで、御自分にメリット、さっきの伊藤委員の御意見でも、何かメリットがありますかというお話もありましたけれども、何もなければ特に申請しなくてもいいというふうに思われる方が多いのではないかなということが一点と。

 それから、疫学的なデータの観点から言ったときに、私の患者さんでも「申請しますか」とお話ししても、「いや、まだいいです」とおっしゃる方もいらっしゃるので、今後、運用方法をいろいろと考えていただくことが重要になっていて、現段階で即これが動く状況ではないと思います。

○福永副委員長 わかりました。

 ここの部分は最初は入っていなかったのですけれども、この前の議論の中で、ぜひ入れたいということで、ちょっとわかりづらいところがあるかもしれませんけれども、一応これは、基本は医療費助成が柱になっていますので、済みませんけれども、またあるかもしれませんけれども、後で御意見があったら伺いたいと思います。

 そうしたら、第三から第六項目まで御説明をお願いいたします。

○前田疾病対策課長補佐 それでは、資料1の2ページ目下段部分、第三の部分から読み上げさせていただきます。基本的には、医療提供体制とそれに伴う人材確保、あるいはその研究といった部分でございます。

 第三 難病の患者に対する医療を提供する体制の確保に関する事項

 (1)基本的な考え方について

    難病は、発症してから確定診断までに時間を要する場合が多いことから、できる限り早期に正しい診断ができる体制を構築するとともに、診断後はより身近な医療機関で適切な医療を受けることができる体制を確保する。その際、難病の診断及び治療には、多くの医療機関や診療科等が関係することを踏まえ、それぞれの連携を強化するよう努める。

 (2)今後の取組みの方向性について

   ア 難病については、できる限り早期に正しい診断ができ、より身近な医療機関で適切な入院医療や在宅医療等を受けることのできる体制が肝要である。このため、国は、難病の各疾病や領域ごとの特性に応じて、また、各地域の実情を踏まえた取組みが可能となるよう、難病の診断及び治療の実態を把握し、医療機関や診療科間及び他分野との連携の在り方等について検討を行い、具体的なモデルケースを示す。

   イ 都道府県は、難病の患者への支援策等、地域の実情に応じた難病に関する医療を提供する体制の確保に向けて必要な事項を医療計画(医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第1項に規定する医療計画をいう。)に盛り込むなどの措置を講じるとともに、それらの措置の実施、評価及び改善を通じて、必要な医療提供体制の構築を図る。

   ウ 医療機関は、難病の患者に適切な医療を提供するよう努め、地方公共団体や他の医療機関とともに、地域における難病の診断及び治療に係る医療提供体制の構築に協力する。また、指定医その他の医療従事者は、国や都道府県の示す方針に即し、難病の患者ができる限り早期に正しい診断を受け、より身近な医療機関で適切な医療を受けることができるよう、関係する医療機関や医療従事者と顔の見える関係を構築し相互に紹介を行う等、連携の強化に努める。

   エ 国立高度専門医療研究センター、難病の研究班、各分野の学会等が、相互に連携して、全国の大学病院や地域で難病の医療の中心となる医療機関と、より専門的な機能を持つ施設をつなぐ難病医療支援ネットワークの構築に努められるよう、国は、これらの体制の整備について支援を行う。

   オ 国、都道府県、指定都市及び中核市は、長期にわたり療養を必要とし、その生命に危険が及ぶおそれのある等の疾病に小児期にかかった患者に対して、成人後も必要に応じて医療等を切れ目なく行うため、モデル事業を実施する等の取組みにより、小児期及び成人期をそれぞれ担当する医療従事者間の連携を推進する。

   カ 国は、難病についてできる限り早期に正しい診断が可能となるよう研究を推進するとともに、遺伝子診断等の特殊な検査について、倫理的な観点も踏まえつつ幅広く実施できる体制づくりに努める。

 第四 難病の患者に対する医療に関する人材の養成に関する事項

 (1)基本的な考え方について

     難病はその患者数が少ないために、難病に関する知識を持った人材が乏しいことから、正しい知識を持った人材を養成することを通じて、地域において適切な医療を提供する体制を整備する。

  (2)今後の取組みの方向性について

    ア 国及び都道府県は、難病に携わる医療従事者の養成に努める。特に、指定医の質の向上を図るため、難病に関する医学の進歩を踏まえ、指定医の研修テキストの充実や最新の難病の診療に関する情報提供の仕組みの検討を行う。

    イ 医療従事者は、各々の職種ごとの役割に応じて、難病の患者の不安や悩みを理解しつつ、難病の患者のニーズに適切に応えられるよう、難病に関する知識の習得や自己研鑽に努めることとし、難病に関連する各学会等は、これらの医療従事者が学習する機会を積極的に提供するよう努める。

    ウ 国及び都道府県は、在宅で療養する難病の患者の家族等の介護負担等を軽減するため、喀痰吸引等に対応する事業者及び介護職員等の育成に努める。

 おめくりいただいて、4ページ目でございます。

 第五 難病に関する調査及び研究に関する事項

 (1)基本的な考え方について

難病対策のために必要な情報収集を行うとともに難病の医療水準の向上を図るため、難病の患者の実態及び難病の各疾病の実態や自然歴等を把握し、疾病概念の整理、診断基準や重症度分類等の作成や改訂等に資する調査及び研究を実施する。

(2)今後の取組みの方向性について

  ア 国は、難病対策の検討において必要となる難病の患者についての情報収集を行うとともに、難病の患者の医療、生活実態及び生活上のニーズ等を把握するための調査及び研究を行う。

  イ 国は、難病の各疾病に関する現状の把握、疾病概念の整理、診断基準の作成や改訂、適切な診療のためのガイドラインの作成を推進するための政策的な研究事業を実施し、第三の(2)のエに規定する難病医療支援ネットワークの構築を支援すること等により、積極的な症例の収集を通じた研究を推進する体制を支援する。

  ウ 国は、難病患者データベースを構築し、医薬品、医療機器及び再生医療等製品の開発を含めた難病の研究に有効活用できる体制に整備する。難病患者データベースの構築に当たっては、小児慢性特定疾病のデータベースや欧米等の希少疾病データベース等、他のデータベースとの連携について検討する。

  エ 国は、難病の研究により得られた成果について、直接国民に研究を報告する機会の提供やウェブサイトへの情報掲載等を通じて国民に対して広く情報提供する。

 第六 難病の患者に対する医療のための医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発の推進に関する事項

 (1)基本的な考え方について

    難病の治療方法が確立され、根治すること、すなわち難病の克服が難病の患者の願いであることを踏まえ、難病の病因や病態を解明し、難病の患者を早期に正しく診断し、効果的な治療が行えるよう研究開発を推進する。特に、患者数が少ないために開発が進みにくい医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発を積極的に支援する。

 (2)今後の取組みの方向性について

   ア 国は、難病の病因や病態の解明、医薬品、医療機器及び再生医療等製品の開発を推進するための実用的な研究事業を実施し、第五の(2)のイに規定する政策的な研究事業との連携を推進する。

   イ 国は、希少疾病用の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発を促進するための取組みを推進する。また、医療上の必要性が高い未承認または適応外の医薬品、医療機器及び再生医療等製品に係る要望について、引き続き、適切な検討及び開発要請等を実施する。

   ウ 研究者、製薬企業等は、難病患者データベースに集められた難病患者データ等を活用しつつ、医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発、副作用等の安全性情報収集に積極的に取り組む。

 以上、第三から第六まで御説明をさせていただきました。

○福永副委員長 それでは、この4つの項目について、どこでも結構ですので、御意見あるいは御質問を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

 どうぞ。

○本田(彰)委員 第四の人材育成のところについて教えていただきたいと思います。

 ここでは、方針としては、病院施設だけではなく地域で療養を続けていくこともその前の第三のところで書かれてあります。ここでも、地域においてということがあるのですけれども、取組みの中では、3つ指定医のところはかなり詳しく、研修テキストの充実というところまで書いてあります。

 3番目のウでは、喀痰の吸引というところで介護職に対する育成のところも具体的に示されています。その中間にあるところですけれども、ここは地域で療養を支援していく人たちに対してのどういう役割があって、その人たちに対する求められるこれからの役割とか機能とかというところもきちんと提示していかないと、何か指定医、介護職の吸引、その間がすごく抜けていて、これから必要になってくるのが、それを取り持つような形での地域連携とか、人々が、それぞれの職種、他職種連携みたいなところでの、今まで縦割りでかなり仕事がしにくかったこととか、その恩恵をうまく受けられないような仕事ぶりになっていたところが患者さんのほうにもあったと思うので、そこを解決するような形の保健・看護とか、福祉の人たちのところももう少し入れていただけるといいかなと思います。治療・診断に係る医療と生活の療養を支援する保健・福祉・介護の連携の役割を重視するというふうな形で入れていただいて、そこで必要になってくる人材育成の内容も盛り込んでいただけると、何か学会に任せてしまうような感じがあるようなところがあると、そこのところを国や地方自治体というところでの動きももう少し欲しいところだと思っております。

○福永副委員長 事務局いかがでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 第四の部分で、指定医だけ特に強調させていただいたところは、指定医だけは難病法の中で特に位置づけをさせて、新規につくらせていただいた概念でございますので、この方々の確保とか、指定医の先生方に臨床調査個人票を書いていただくとかその辺のところの充実というところがございますので、ここは特に記載をさせていただいたというところでございます。

 その他の先生方、指定医でない医師の先生方からさまざまな職種が関わっているところは事実でございまして、基本的には、「医療従事者」という単語の中にまとめてございますが、当然、イにございますとおり、各々の職種ごとの役割に応じて適切に応えられるように情報収集をしていく、あるいはそれを提供していくというところも必要だと思っておりますので、他職種の連携とかそれぞれの役割を果たすというところは、ここで読み込んでいただいて、実際、具体的なフォローのときに、それぞれどの職種でどういうところができているかというところで、また、御評価を賜れないかなという形で考えてございます。

○本田(彰)委員 そうすると、職種ごとの役割に応じてというところに加えて、職種を超えて共に働く中での重要な点を人材育成の中に盛り込んでいただけるような文言を少し入れていただけると、縦割りから連携というところの意味合いもうまくあらわせるのではないかというふうにも思っております。

○福永副委員長 では、それはよろしくお願いいたします。

 伊藤委員。

○伊藤委員 幾つか質問とお願いが1つあります。

 質問は、第三のところでは、細かな話ですけれども、(2)のアで、在宅医療はわかるのですけれども、「在宅医療等」となると、在宅医療のほかに何が考えられるのかなということが1つです。これは質問です。

 それから、これも質問ですけれども、第三の(2)のカです。「遺伝子診断等の特殊な検査について、倫理的な観点も踏まえつつ幅広く実施できる体制づくり」は、具体的にはどういうようなイメージを持っておられるのかがちょっとわからないので教えてください。

 それから、第四の(2)のウで、喀痰吸引等に対応する、介護職員の育成はわかるのですけれども、事業者も育成するのかなと。どんなふうにして育成することを考えておられるのかをお聞きしたかった。

 あとは、全般にですが、結構具体的に「実施する」とか「提供する」とかというようなものから、「努める」から「支援する」とかというまでさまざまにあるのですけれども、これだけのものを第三から第四、第五、第六と、非常に重要な部分ですが、これはこのように非常にたくさんあるのですが、こういうことをやりたい、こういうことをしたい、こういうことを支援します、でも、やるのは都道府県だったり事業者だったり医療機関だったり学会だったりしている。それで、こういう具合に書いておいたけれども、その後どうなっているかという点検はするのかしないのか。点検するとしたら、障害者の年次ごとの計画のように、「障害者基本計画」のように何%ぐらい、全国でこれについてはどのぐらい進んでいるのかとか、どのぐらいの地域に浸透したか、都道府県ではどのように取り組んでいるかというところまで、データも集めて、きちんと点検をしていくという取組み姿勢を、これはお願いですが、ぜひしていただきたい。言葉だけで「努める」とか、「支援する」とかということだけでないのがここは必要になるのではないかというお願いもしておきたいと思います。

○福永副委員長 今の点についていかがでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 まず御質問からお答えをいたします。

 第三の(2)のアの「入院医療や在宅医療等」というところですけれども、これは「医療」という形でまとめてしまっても構わないのですけれども、入院医療や地域の療養を考えると、個別のものも気になるという形の御意見もいただきまして、入院や在宅という形で例示で挙げさせていただいております。もちろん「等」の中には、外来とか、リハビリテーションとか、その他の医療に関するものがたくさん入っていると思うのですけれども、全部書くと物すごく長くなってしまうので、代表的な例示として2つを挙げさせていただいているという形になります。

 また、カのところですけれども、これは問題意識としては、客観的な診断基準で難病かどうかを診断というときに、なかなか利用しづらいとか、あるいは、特定の機関しかできないという声を聞いておりますので、疾患によってはより普遍的な検査体制を目指す部分も出てくると思いますので、そういった特定の先生だけにお願いをするような体制から、より組織が見える形とか、あるいは、検査体制が見える形という形で進めていかなければいけないというところで書かせていただきました。

 一方で、そういう遺伝子検査なりそういうところは、どうしても倫理的なところと密接に関わってまいりますので、ただ野放図にその裾野を広げればいいというものでもないというところの御意見をいただいておりますので、そこで、「倫理的な」というところは書かせていただいたという経緯になります。

 また、第四のウの介護職員と事業者というところで書かせていただきましたが、これは1つは施策もございますし、フォローというところもあると思います。それぞれ両方ふやさなければいけないという形の御意見をいただいておりますし、現にそういう形で施策を進めているところではありますから、これは職員だけをふやすだけではなくて、その対応をその職員が所属されているところが積極的にそういう事業を引き受けていただかないといけませんから、そういうところを強調すべく書かせていただいているという状況になります。

 フォローについては、第一に戻りますけれども、第一の(4)の「本方針の見直しについて」で、「少なくとも5年ごとに再検討」という形にさせていただいておりますから、実施状況等を踏まえて検討するという形で書かせていただいておりますので、この文言に即して実施状況を把握させていただいて、検討を行うというプロセスに持っていきたいという形で考えてございます。

○福永副委員長 よろしくお願いいたします。

 駒村委員。

○駒村委員 4ページの第五の(2)のアです。「生活実態及び生活上のニーズ等を把握するための調査」と書いてあるのですけれども、この調査目的は、(1)の「難病の医療水準の向上」のためというふうに限定されて読むのか。あるいは、難病を持たれている方の関連する施策、例えば医療費助成の水準を見直すときにどうするかとか、そういうものも含めてそういう必要な施策が出てきた場合に、それがどういうふうな状況になっているか把握するための調査という理解でいいのかどうか。そこが1つ目です。

 「生活ニーズ等」というこの守備範囲は、ちょっと第八に飛びますが、これは関連しているようなので確認させてください。第八の(2)のエです。「国は、難病の患者の就労に関連する実態を踏まえつつ」と書いてあるのですけれども、この「実態調査」は、別途、何かどこかに書いてあるのか。それとも、この生活実態のニーズ調査をイメージして、そこで就労も含めてつながっているのかというのをちょっと確認させてください。

○福永副委員長 お願いします。

○前田疾病対策課長補佐 1つ目のお答えとしては、「生活実態及び生活ニーズ等を把握」というところは、医学的なところ以外の幅広なところでありますので、そういう限定した目的以外も当然含まれるという形で考えてございます。

 その他、以降のところで、就労とかで実態を進めるというところは、ツールとしては、こういう研究という形を使うのか、あるいは実績報告みたいな形で使うのか、いろいろ手段はあると思いますので、それぞれの中で実施していくことを考えておりますので、何らかの排除規程を設けているという形では考えておりません。

○駒村委員 後半のほうは後で結構です。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○春名委員 2ページの第三の(2)のアの「身近な医療機関で適切な入院医療や在宅医療等」で、外来とかリハビリについてはちょっと省略というお話もありましたけれども、難病患者さんの中にはかなりの部分が、非常に安定して月1回の外来の方とか、必要に応じて通院は必要だとか、そういう軽症の方もなるべく身近なところで治療を受けたいとか、そういうニーズも大きいと思いますので、こうやって省略されてしまうと、そういう軽症の方があえて除かれているような、何かそういう印象がありますので、「外来、リハビリ」ぐらいは非常に短いですので、そこにちょっと入れて、今後、検討したり、モデルケースを示したりするということにすればいいのではないかなと思います。

○福永副委員長 どうですか。それでよろしいですか。

○前田疾病対策課長補佐 私が資料説明のときにちょっと不十分だったかもしれないですが、当然含まれておりますし、最後、それを文言に生かすか、あるいは、これをフォローするときにその要素も入れてチェックをするかというところもありますので、そこは整理をして、また、最終的な形の文言という形に整理をさせていただきたいと思います。

○福永副委員長 それでは、よろしいでしょうか。

 第七から第九まで一応説明いただいて、また伺いたいと思います。

○前田疾病対策課長補佐 それでは、第七の「難病の患者の療養生活の環境整備に関する事項」資料1の5ページ目でございますが、そちらから御説明をさせていただきます。

 第七 難病の患者の療養生活の環境整備に関する事項

 (1)基本的な考え方について

    難病は患者数が少なく、その多様性のために他者から理解が得にくいほか、療養が長期に及ぶこと等により、難病の患者の生活上の不安が大きいことを踏まえ、難病の患者が住み慣れた地域において安心して暮らすことができるよう、難病の患者を多方面から支えるネットワークの構築を図る。

 (2)今後の取組みの方向性について

   ア 国は、難病相談支援センター(法第29条に規定する難病相談支援センターをいう。以下同じ。)がその機能を十分に発揮できるよう、運営に係る支援や技術的支援を行う。特に、難病相談支援センター間のネットワークの運営を支援するほか、地域のさまざまな支援機関と連携して難病の患者に対する支援を展開している等の先駆的な取組みを行う難病相談支援センターに関する調査及び研究を行い、全国へ普及を図る。

   イ 都道府県は、国の施策と連携して難病相談支援センターの機能が十分に発揮できるよう、当該センターの職員のスキルアップのための研修や情報交換の機会の提供等を行うとともに、難病の患者が相互に思いや不安を共有し、明日への希望をつなぐことができるような患者会の活動等についてサポートを行う。

   ウ 難病相談支援センターは、難病の患者及びその家族等の不安解消に資するため、当該センターの職員が十分に活躍できるよう環境を整えるとともに、職員のスキルアップに努める。

   エ 国及び都道府県は、難病の患者及びその家族等がピア・サポートを実施できるよう、ピア・サポートに係る基礎的な知識及び能力を有する人材の育成を支援する。

   オ 国は、難病の患者、その家族、医療従事者、福祉サービスを提供する者、教育関係者、就労サービス従事者などにより構成される難病対策地域協議会(法第32条第1項に規定する「難病対策地域協議会」をいう。以下同じ。)の地域の実情に応じた活用方策について検討するとともに、都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、難病の患者への支援体制の整備を図るため、早期に難病対策地域協議会を設置するよう努める。

   カ 国及び都道府県は、難病の患者に対する保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者またはこれらの者に対し必要な指導を行う者を育成する事業を実施する。また、訪問看護が必要と認められる難病の患者が適切なサービスを利用できるよう、他のサービスとの連携に配慮しつつ、訪問看護事業を推進する。

   キ 国及び都道府県は、在宅で療養する難病の患者の家族等のレスパイトケアのために必要な入院先の確保に努める。

 続いて、6ページ目でございます。

 第八 難病の患者に対する医療等と難病の患者に対する福祉サービスに関する施策、就労の支援に関する施策その他の関連する施策との連携に関する事項

 (1)基本的な考え方について

    難病の患者が地域で安心して療養しながら暮らしを続けていくことができるよう医療との連携を基本としつつ福祉サービスの充実などを図るとともに、難病の患者が難病であることを安心して開示し、治療と就労を両立できる環境を整備する。

 (2)今後の取組みの方向性について

   ア 国は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法第123号)に基づき障害福祉サービス等の対象となる特殊の疾病について、指定難病の検討を踏まえて見直しを適宜検討する。

   イ 国は、全国の市町村において難病等の特性に配慮した障害支援区分の認定調査や市町村審査会における審査判定が円滑に行えるようマニュアルを整備するとともに、市町村は難病等の特性に配慮した認定調査等に努める。

   ウ 福祉サービスを提供する者は、人工呼吸器を装着する等の医療ケアが必要な難病の患者の特性を踏まえ、訪問診療、訪問看護等の医療系サービスと連携しつつ、難病の患者のニーズに合ったサービスの提供に積極的に努めるとともに、国は、医療と福祉が連携した先駆的なサービスについて把握し、普及に努める。

   エ 国は、難病の患者の就労に関する実態を踏まえつつ、難病の患者の雇用管理に資するマニュアル等を作成し、雇用管理に係るノウハウを普及するとともに、難病であることをもって差別されない雇用機会の確保に努めることにより、難病の患者が難病であることを安心して開示し、治療と就労を両立できる環境を整備する。

   オ 国は、ハローワークに配置された難病患者就職サポーターや事業主に対する助成措置の活用、ハローワークを中心とした地域の支援機関との連携等により、難病の患者の安定的な就職に向けた支援及び職場定着支援に取り組む。

   カ 国、都道府県、指定都市及び中核市は、長期にわたり療養を必要とし、その生命に危険が及ぶおそれのある等の疾病に小児期にかかった患者が、療養生活の相談や患者の相互交流などを通じ、社会性を身につけ将来の自立が促進されるよう成人後の自立に向けた支援を行う。

   キ 国及び地方公共団体は、難病の患者の在宅における療養生活を支援するため、保健師、介護職員等の難病の患者や家族への保健医療サービス、福祉サービス等を提供する者に対し、難病に関する正しい知識の普及を図る。

 第九 その他難病の患者に対する医療等の推進に関する重要事項

 (1)基本的な考え方について

難病に対する正しい知識の普及啓発を図り、難病の患者が差別を受けることなく、地域で尊厳を持って生きることのできる社会の構築に努めるとともに、難病の患者が安心して療養しながら生活を続けていけるよう、保健医療サービス、福祉サービス等について、周知や利用手続の簡素化に努める。

 (2)今後の取組みの方向性について

   ア 難病については、患者団体等がその理解を広げるための活動を実施しているほか、一部の地方公共団体による難病の患者の雇用を積極的に受け入れている事業主に対する支援や、民間団体による「世界希少・難知性疾患の日」のイベントの開催等の取組みが行われている。今後、国、地方公共団体及び関係団体は、難病に対する正しい知識と難病の患者に対する必要な配慮等についての国民の理解が広がるよう、啓発活動に努める。

   イ 国民及び事業主等は、難病は国民の誰にでも発症する可能性があるとの認識を持って、難病を正しく理解し、難病の患者が地域社会において尊厳を持って生きることができる共生社会の実現に寄与するよう努める。

   ウ 国及び地方公共団体は、法に基づく医療費助成制度や保健医療サービス、福祉サービス等を難病の患者が円滑に利用できるよう、難病相談支援センター等を通じた周知や、各種手続の簡素化などについて検討を行う。

 以上でございます。

○福永副委員長 ありがとうございます。

 非常に幅広い問題についての項目ですけれども、五十嵐委員どうぞ。

○五十嵐委員 お願いですが、6ページの第八の(2)のカの辺りに、もしつけ加えることができましたらお願いしたいのは、ここでは就労のことが大変よく書かれているのですけれども、その前の段階として、入院中あるいは在宅医療を受けている青年あるいは若年青年の方たちが就学したり、あるいは学業を継続するための支援も必要だと思いますので、ぜひ追記することを御検討いただきたいと思います。

○福永副委員長 よろしくお願いいたします。

 どうでしょうか。

 どうぞ。

○本間委員 これは全般的に関わる話ですが、第三の(2)ですね。「今後の取組みの方向性について」。国は、具体的なモデルケースを示すとか、その下のイ、県の医療計画に盛り込むとか、あるいは、いろいろなところに具体的な施策が入っているのですね。これがここに書いただけにとどまらないように、実際に進捗させるために、一番最後の7ページの第九の(2)のエ辺りでいいのですけれども、今後の取組みの方向性の中の1つとして、いわゆる具体的な工程表ですね。何年頃までにこれを実現させる、ネットワークを構築するとか、そういったものを入れたほうが政策を担保する意味で有効だと思うのですが、「日本再興戦略」とかいろいろな政府の施策でそれをやっていますね。それと同じような意味合いでやったほうがより確実に進むのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○福永副委員長 五十嵐委員のと両方をお願いします。

○前田疾病対策課長補佐 五十嵐委員の御指摘のところは、もちろん就労以外の学業というところでございますので、これは改めてお預かりをさせていただいて、検討させていただきたいと思います。

 特に、これは小児というところに着目しますと、今、難病を議論していただいておりますけれども、別途、小児慢性特定疾病、別制度でちょっとややこしいのですけれども、子子供のほうでもどうフォローしていくかというところの議論を並行して実施しておりますので、そちらの重みも結構多いところはあるのですが、全体的なバランスを検討させていただいて、また、文言として御提供させていただきたいと思います。

 工程表というところですが、これは基本的には文言に書くか書かないかというところはあるとは思うのですけれども、実施状況を踏まえて検討をするというところで、第一でお約束をしているところでございますので、そこの実際どういう形でフォローをしていくかというところで、何らかの見える形では御提供をしなければいけないというふうに考えてございます。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 伊藤委員どうぞ。

○伊藤委員 ここのところではたくさんあるのですけれども、順番に整理していきますが、大事になってくるのは、ほかのところの施策とどう連携していくかというのが非常に大事だと思うのですね。今のような病弱児あるいは病気で入院しているお子さんたちの学業的な支援あるいは社会参加への支援は、福祉の施策のほうでもいろいろ議論になっているところですが、そういうところと十分に情報を交換していただきたいなと思います。

 それから、学業とはちょっと関係ないのですが、連携ということで、こんなことが最近ちょっとあったので、どうお考えになるかを聞きたいのですが、第七のキとか、第八のウに絡んでくるのですが、例えば福祉施策の連携の中でも療養介護という制度がありまして、これは福永先生は詳しいと思いますが、そういう神経筋疾患や重症心身障害児のお子さんたちの入院や入所の介護ですけれども、ここは筋ジストロフィーとか重症心身障害児は、福祉のほうですけれども、支援区分5から利用できるのですけれども、ALSの患者さんは、人工呼吸器をつけているという条件と支援区分6からでないと使えないのですね。同じ制度なのにどうしてALSの人はそういう厳しい条件があるのかというようなことなんかもお話しできると思いますし、そのほかにもう一つ、重度障害者包括支援がありまして、これも非常に利用者が少なくて、この制度自体が要らないのではないかという声も出ているのですけれども、これは在宅の重度の患者さん、特に人工呼吸器をつけているような患者さんたちには使える制度なのではないだろうかというようなこともあるわけです。そうすると、こちらの難病対策だけで考えていくのではなくて、そういう制度を同時に使えることも考えていいのではないかということなのですね。

 特に、この2つの制度はレスパイトケアにも使えると思いますし、在宅のサービスも使える制度なわけですから、これは1例ですけれども、せっかくほかのところであるのをこちらで十分把握してないのではないかと思いますが、そこら辺りどういうふうに具体的にはお考えになっているのかなということです。

 もう一点、これも前回言ったと思いますが、介護保険制度との絡みですね。介護になってきますと、介護保険優先ということになってきます。そうなると、さまざまな年齢制限とか、難病の中でも幾つかの疾病だけが指定されて、40歳からというようなことがある。それは介護で使うのはいいのですけれども、「優先」ということを強調されてしまうと、これはどうなのかなというところがあるものですから、そこら辺り、これはそれぞれのところでも問題になっていると思いますので、難病対策のほうでも具体的に御検討いただいたほうがいいのではないかと思いますので、ちょっとそこのところを先にお伺いしておきたいと思います。

○福永副委員長 結構幅広い問題で、ここだけで議論できない部分もあるかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 伊藤委員にまず包括的にお答えをしますと、これはもちろん閣法で、これは厚生労働疾病対策課だけが出した法律ではありませんから、当然、各局連携して、あるいは各省連携して基本方針をフォローしていくというところは重要だと思いますので、各施策を統合した形でフォローをさせていただきたいと思います。

 ですので、今、個別の事業の状況について問題提起をいただきましたけれども、恐らく今の基本方針は、基本的には包括的に進むべき方向という観点で案文を書かせていただきましたから、その個別の議論をする際に、こういうところの実態はどうだとか、その辺の発注をいただきましたら、また、担当者に声をかけまして、状況を報告するという形でフォローをさせていただきたいと思います。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○本田(彰)委員 そのことに関係するのですけれども、第七のキで、レスパイトのために必要な入院先ということになると、入院となると医療施設、病院ということなのですけれども、地域において安心して暮らすことができるようにという基本的な方針の場合には、先ほどおっしゃいましたように、介護保険等もあると思うのですけれども、入院とか、介護施設への入所もありますけれども、今の場合では、療養通所介護とか、地域ベースでレスパイトも支えていけるようになってきているので、通所の文言等も少し加味したような形で表現していただけるとありがたいなと思います。

○福永副委員長 よろしくお願いいたします。

 ほかにいかがでしょうか。

○葛原委員 本質とはちょっと外れているのかもしれませんが、小児が関係したところで全体で2か所あったと思うのですが、さっき五十嵐委員もおっしゃった6ページの第八の(2)のカで、「長期にわたり療養を必要とし、その生命に危険が及ぶおそれのある等の疾病に小児期にかかった患者が」がたしか2か所あったと思うのですが、何となく難病の全体からすると、小児期に生命に危険が及ぶおそれがある等というのはいろいろな病気があるだろうと思うのですね。だから、ここら辺はもうちょっと表現を考えておいたほうが、ほかはすぐに生命には危険はないけれども、長期の療養を要する疾患の中で、特に過去がどうのこうのというのはちょっとぴんと来ないところもあるのですね。現在どういう状態なのでこういう難病の中に含められているかということがわかる表現にされておいたほうがいいのではないかなという気がするのですね。それが1つです。

 それから、もう一つは、今御指摘のあったレスパイトに関しては、今は特養なんかの中には必ずレスパイトのベッド数が一定程度確保されていますので、少なくとも病院に入院するよりは、レスパイトはこういうところのほうが快適ですからね。そういうことも含めて、介護保険との関係になると思うのですが、難病の患者さんも相当介護度が高くて、高齢の方もありますし、それから、難病であれば介護保険の対象になりますので、入院先ではなくて、入所先とかそういう形にされたほうが実際的ではないかなという気はいたしました。

○福永副委員長 今の2点はいかがでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 1点目の子供との関係で書かせていただいたところの疾病を特定している「長期にわたり療養を必要とし、その生命に危険が及ぶおそれのある等の疾病」というところは、これは小児慢性特定疾病の規定を想定しておりまして、問題意識としては、小児慢性特定疾病の方々が成人期に移行されるときに、まだ引き続き療養の必要な方について、どういう形で医学的な連携をとっていくか、あるいは福祉サービス的なところの連携をとっていくかというところは、これは法律の議論のときから指摘をされているところですので、これは実際としてフォローをさせていただきたいというところで書かせていただいているものでございます。

○葛原委員 具体的なそういうことも書かれたほうが、いろいろな病気が僕らにはばーっと浮かぶわけですね。命の危険があるような、何か後遺症があるような人とか、交通事故だって多分そうだと思いますしね。

○前田疾病対策課長補佐 済みません。これは文言を実はちょっと工夫をさせていただいたところがあります。ずばり「小児慢性特定疾病」という形で書いてもいいという御意見もあるのですけれども、他方で、小児慢性特定疾病として指定をされていなくても、そういう要件を満たすかもしれない疾病というところがあるのではないかというところがあって、難病と指定難病みたいな関係でもあるのですけれども、逆に、特定の定義が明確なものを使い過ぎると、ほかの人を除外するのではないかみたいなところもありまして、余り限定せずに、その近しいところも含めて変動を含めて飲み込まさせていただいているという形でそういう記載ぶりにしてございます。

○葛原委員 全体の流れから言うと、ちょっと違和感のある言葉ですね。

○福永副委員長 五十嵐先生いかがでしょうか。

○五十嵐委員 障害の定義の1つ、クライテリアの1つなのですね。生命に危険があるというのが4条件の1つとして入っているので、これはそれが出てきたのではないかと思いました。

○福永副委員長 もう一つは何でしたか。

○葛原委員 それはさっきあった、入院先だけでなくて入所先というのが今はもっと便利なのではないかということですね。

○前田疾病対策課長補佐 これは実際フォローをするときにどういう形で行うかというところがあると思うのですけれども、事業として、少なくともレスパイトという形ではっきりわかるものということで言えば、例えば疾病対策課では、病床確保のための支援事業なんかも行っておりますので、例えばそういう事業の実績とか、あるいは、ほかのものも含めて評価をするということであれば、もうちょっと幅広に書けるとは思うのですけれども、今のところ念頭に置いているのはそういうところだったのですが、それはフォローの形としていいところだと思いますから、そこは、最後は文言をちょっと工夫をさせていただきたいと思います。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 伊藤委員。

○伊藤委員 時間が来てしまったら困りますので、先に幾つかまとめて言っておきます。

 第七の基本的な考え方については、具体的なイメージはちょっとわかりませんけれども、(2)以下が具体的なイメージだと思うのですが、そのうちのアで、非常にひどい条件の中でやっている難病相談支援センターの相談員について処遇の改善を図っていただきたいとお願いしてあったのですが、それがどこかに入っているかどうかをお聞きしたいと思います。

 それから、もう一つは、一番最後の第九の(2)ですが、例えば今後さまざまな形でこの難病問題を周知していくという中で、具体的な取組みとして、地域でやっている雇用の問題とか、あるいは事業名としては「世界希少・難知性疾患の日(Rare Disease Day))のイベントなども具体的に書いてありますが、それ以外のアイデアが検討されているのでしょうか。あるいは、これからそういうアイデアを募集するというのでしょうか。そこをちょっとお聞きしたいと思います。

 それから、(2)のウ、一番最後ですが、「各種手続の簡素化などについて検討を行う。」と書いてありますが、これはどのような検討を行うのか。あるいは、これは各種手続を簡素化するためのカード化とか、あるいは、軽症患者には認定証を出すとか、今までの制度では認定証は出ていたわけですから、とりたてて新しく困難な事業でもないとは思うのですが、そういうようなことも含まれているのかどうかをちょっとお聞きしておきたいと思います。

○福永副委員長 では、その3点をお願いいたします。

○前田疾病対策課長補佐 1点目、第七の難病相談支援センターについて記載をさせていただいたところですが、これは、基本方針のまとめ方としては、大きな方向づけ、「基本的な方向性」というところで文言を記載していただいております。実際、その方針を満たすためにどういうところに注意しなければいけないか。あるいは、どういう意見があってこういう形に記載をさせていただいたかというのは、資料2になりますが、主な意見の中に第七の「難病患者の療養生活の環境整備に関する事項」の2つ目の「・」で、職員の処遇の改善が必要ではないかという形で、これは伊藤委員から御意見をいただいたところを書かせていただいておりますが、これは、基本方針の文言も大事ですけれども、それをフォローするときには、当然、こういう意見があってこういう形の文言にまとめたという位置づけでございますので、そういうところにも実際こういうことを踏まえてこういうものを書いているのだから、そういう形のフォローができるかどうかという形でチェックをしていただくものかなというふうに思っております。

 第九の部分ですけれども、第九のアの部分ですが、これは、現在、具体的に念頭に置いて何らかの日をつくりましょうとかそういうことを考えているわけではございませんけれども、Rare Disease Day がほかの記念日に比べてメジャーかというと、そうではないように伺っておりますけれども、こういう形の節目で難病について広く思っていただけるという形のものは、何らかの形で既存のものを使うのか、節目という形でつくるのかという形で、これは必要性があるところでございますので、その形についてもフォローの中で検討させていただきたいと思っております。

 簡素化というのは、これは実は難しいことだと思っておって、具体的にこうしますというところを確たるものを持っているわけではないのですけれども、これは今後フォローをしていく中で、あるいは、医療費助成制度で法に基づくものを開始したときに、相当文書量が多いのではないかという御指摘を受けているところでございますので、逆に、これを意識して文書量を減らさないとこれは簡素化につながらないのではないかという形でありますので、これはあえて基本方針に書かせていただいているというのが現時点の位置づけでございます。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○葛原委員 5ページの難病の患者の療養生活ということのこれは一般的な話ですが、基本的には、これは国と都道府県レベルの事業になるのですか。というのは、例えば今年の1月に出た「新オレンジプラン」なんかですと、認知症の患者さんが地域で共生できるためとよく似た文章で、あれはたしか市町村でしたかね。認知症何とか対策協議会をいろいろなところにつくれというので、多分、地方自治体はこれをたくさんつくるので大変なのではないかと思うのですが、ところが、やっている事業の内容は、介護保険なども含めて非常によく似ていることが多いのですね。そこら辺の地方自治体辺りにどういう点で整合性を求めて、例えば一緒にできる事業にもあるのではないかという気もするのですが、そこら辺は、向こうは老健局、こっちは健康局で、全然局が違うと言えば違うのですけれども、実際やっている現場は非常に近しい点もあるので、一緒にできる点があるのではないかということに関してはどうなのですか。

○福永副委員長 お願いします。

○前田疾病対策課長補佐 これは一応法律のたてつけと実務というところで申し上げますと、法律に基づいて、難病に対する医療費助成とか、そういうところである主体者というところは都道府県の役割が大きくなっております。他方、介護保険は市町村という主体ですので、そこの書き方の差がある一つの大きな理由は、その主体者がどこかというところは若干ございます。

 一方で、5ページ目のオの部分ですが、例えば難病対策地域協議会みたいなものは、地域地域でつくっていただかなければいけないものですし、小さな単位で状況を把握しなければいけないということで、これは法律にも市レベル、特別区レベルで記載をさせていただいていますけれども、そういうフォローはやっているという形になりますので、法律上の主体者が異なるところで若干違和感が出ているところはございますけれども、実際のところはそういう枠組みを使っていただいて市町村に入っていただいたりというところは当然あり得るものですし、利用していただけものだと思ってございます。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 伊藤委員。

○伊藤委員 毎度、毎度しつこい話で大変申しわけありませんけれども、最近の医療は、重くなってからもちろん真剣に取り組まなければならないものもいっぱいあると思いますが、その前に、比較的初期の症状のうちとか、軽度なうちに、きちんとした治療を行って重症化を防ぐ、あるいは、むしろ寛解を目指していくという医療の傾向がさまざまあちらこちらに見られるわけですし、分子標的医療とかそういうのもそういうような延長線にあると思うのです。

 それと、重症になってから医療費助成の対象になるのですよという、患者の人は喜んでいいのかどうかわからんような状況が出てくるよりも、本当に初期のうち、あるいは軽症のうちに、きちんとした医療にずっと継続してかかる、あるいは、そこで先進的な医療を受けることによってもっと軽快するような、あるいは寛解するような方向を目指す。あるいは、そういう治療を受けることによって就労が継続できる、あるいは、新たに就職することができるというようなのを本来的には目指しているわけですね。そうすると、今のうちから、そういうような医療に対して、難病の医療の中でも重視していくのか、やはり重症患者を中心に考えていくというようなことなのかを、ちょっと先の話になるのかもしれませんけれども、患者の側として、あるいは、生活が目の前にある者としては、どうしても軽症の人のほうがつらいということが往々にしてあるわけですから、その辺りについての方向性なり何なりお考えを聞かせていただければと思います。

○福永副委員長 いかがでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 これは、法律からもともと議論しなければいけない話かと思うのですけれども、医療費助成というところを考えた場合に、理解としては大きく2つ側面があると思っております。1つは、医療費助成を通じて患者さんの情報、データをいただくという調査・研究の目的と、重い方ほどやはり医療費がかかるというところがありますので、そういう生活を支援すると。これは難病対策提要からの大きな理念かなと思っておりますので、そこの両にらみで、どこでバランスをとるかというところで、日常生活、社会生活に支障のある方からお願いをしているところでありますが、もちろん軽症の方々に対するデータ収集とかそういうところを外すわけではございませんので、そこはどうしてもそういう医療費助成という強力な情報収集のツールを使わない形になりますけれども、そこは調査・研究という形か、あるいは、最終的には、葛原先生のお言葉を借りれば、高尚な立場でデータを次の治療に活用してくれというようなところで御協力をいただくというところで、若干インセンティブは弱いところではありますけれども、そういう形で、決して重視をしないわけではありませんけれども、そういうたてつけでやらせていただけているものだと思ってございます。

 なので、相談支援とかそういうところは、軽症の方々に対する支援は重要だと思いますし、そこは実際実態を見させていただいて、そこでうまくやられている例がございましたら、また、それを紹介させていただくというような形で提供させていただきたいと考えてございます。

○福永副委員長 医療費助成という観点では、軽症高額とか、多少はそういう観点から入れたのではなかったかなと思います。

 どうぞ。

○山本委員 ずっとこの問題について議論をしてきて、伊藤さんが言われたことがちょっと忘れていたことだったのかもしれないですね。要するに、限られた疾患のときは、全員に対して助成をしていたわけですね。それは不公平だろうということで、対象疾患を広げたけれども、財源はそれほどふえないので、ですから、上のほうというか重症の方だけというふうになったときに、それと一緒に、難病全部の研究も含めたものが入ってしまったので、何となく焦点が重症の方だけに行くというふうに見えてくるのは少しよくないと思いますね。

 ですから、そこのところを、もし可能であれば、例えばデータベースのところであっても、医療費助成の対象にならない患者さんも研究の対象になるのであるからとか、そういう文言を入れつつ、一番は軽症の患者さんのうちに重症化しないで寛解に持っていくというのは理想であるのだというところも少し強調したほうがいいかもしれないですね。そういう議論はちょっとなかったので、今そういうふうに考えてみれば、それを強調しろというのはちょっと無理ですけれども、そちらのほうの文言も入れておくほうが幅広くこの対策としての価値が上がるのかなという気がします。

○福永副委員長 そうですね。ぜひ、これはどこかの文言として検討していただければありがたいと思います。

 どうぞ。

○鶴田委員 全体の中で発言しようと思ったのですけれども、時間の関係上、ここで発言させていただきます。

○福永副委員長 全体でもいいですよ。

○鶴田委員 例えば、6ページの第八の(2)のアに、「検討を踏まえて」「検討する」とか、最後に「検討する」という言葉が5か所ぐらい出てきます。7ページの一番最後の「検討を行う」とかですね。そういう文章は、これは検討会なので、例えば前のほうであれば、6ページの第八の(2)のアについては、「検討を踏まえて、適宜見直しをしたい」とか、「見直しを行う」とか、もう少し表現を変えられたらどうか。例えば7ページの「簡素化などについて検討を行う」についても、「簡素化などの推進に努める」とかですね。「検討する」という言葉を少し別の言葉で置き換えられたらどうかという気がします。

 次に、私は都道府県の立場から発言させていただきますけれども、都道府県、政令指定市、中核市、または保健所設置といろいろありますけれども、都道府県でも、例えば人口60万人前後の県と東京都のように1,300万人を超える都市、また、政令指定市の横浜市だと370万人ぐらいある中で、例えば3ページの第三の(2)のイの「都道府県は、」の最後が「構築を図る」と書いてありますけれども、今後、都道府県等に打診されると思いますが、小さな県からは「図ることができない」という意見が出てくるということだけコメントしておきたいと思います。

○福永副委員長 それでは、全体を通して何か御意見とかございましたら、よろしくお願いいたします。

○葛原委員 確認ですけれども、2ページのさっきから聞いていて、結局、よくわからなくなってしまったのですが、第二の(2)のイの3行目「国は、指定難病の患者であって医療費助成の対象とならない患者に係るデータを含めた難病患者データの収集を行うため、データベース云々」と、これは非常に大事なことだと思っているのですが、ここの最後の「難病患者データ」は、指定難病も何もかも含めた難病一般のことですか。さっきちょっと説明を聞いていたら、指定難病の中で医療費助成の対象にならないという話のように聞こえたりして、聞いてもよくわからなくなってしまったことですが、これはどうですか。

○福永副委員長 確認ですけれども、どうでしょうか。

○前田疾病対策課長補佐 済みません。この部分は、私の説明が不十分だったのですけれども、これは、最初の文言の定義のところで、「基本的な考え方について」のところで、「指定難病の患者の診断基準や重症度分類等に係る臨床情報等」というところを念頭に置きまして、それを「難病患者データ」という形で申し上げております。

 ですので、これは基本的には、指定難病患者さんの診断基準を満たしている方ということで、重症度の軽い方も含めて対象と考えておるという形になります。

○葛原委員 ということは、最後の「難病患者データ」は、指定難病患者データという意味になるのですか。

○前田疾病対策課長補佐 指定難病の方の診断基準を満たしている方ということになります。

○葛原委員 前のごちゃごちゃした修飾語を全部取ってしまったほうがわかりやすいのではないですか。要するに、指定難病患者データを医療費助成の対象になるもの、ならないものを含めて集めるとかと書かれれば、指定難病というのがわかりますが、こういう形で、前に指定難病があって、後ろに難病だと、いわゆる定義としての難病かなという概念にも思えるのですけれどもね。私は、むしろ、定義としての難病を集めていただいたほうがいいようにも思う。

○田原疾病対策課長 その点が、先ほど鶴田委員から御指摘をいただいたことで、一方で、山本委員から、そういった方々を対象にした調査・研究が必要であるというような御意見もありましたので、ここの部分を、こういう修飾語をつけるのかどうかはまたちょっとありますが、こういう方たちが研究の対象になることをはっきり明記してほしいというような意見もこれまでありましたので、そこはちょっと工夫をしたいと思います。

○葛原委員 例えば厚労省の研究費の募集の中には、昔から、症例研究と言っている診断基準なんかがはっきりしてない難病について、それをはっきりさせる研究費もあるわけですから、指定難病というのに余りこだわらないでちゃんとやっていただいたほうが、それは基本方針としてやっていただいたほうが私はいいように思います。

○田原疾病対策課長 調査・研究は、難病に対して広く調査・研究を行うということで、このデータベースのところは指定難病に係る患者さんのデータベースということになります。

○福永副委員長 そういうことです。

 ほかに、全体を通していかがでしょうか。

○大澤委員 確認をさせていただきたいのですが、1ページの基本的な方針の6行目に「都道府県の超過負担が続きその解消が強く求められていたこと」という文言がありますね。後のほうを見ていくと、「国は」「国は」と書いてあるので、国の費用という形になるとは思っているのですけれども、この前文を受けたものはどこにもないのかなという気がしました。

○田原疾病対策課長 この超過負担の解消の部分については、医療費助成制度ができたということで、その法律ができたと。そして、それまでは予算事業で2分の1補助すると言いながらも、それだけ補助できていなかったことを、負担金として必ず2分の1国が負担をするというふうになったこと、そのものがこの問題点を解消する対応というふうになります。ですから、端的に言えば、法律ができたことがその解決になったということでございます。

○福永副委員長 ほかに。

 どうぞ。

○益子委員 その他のところでは、保健医療サービスとか福祉サービス等の利用手続の簡素化もとても大切かもしれないのですけれども、ここでは、難病の普及啓発とか、今まで触れなかった社会教育的なことがとても大切であることを、私はもう少し強調していただきたいと思います。

 もちろん、今後の取組みについて、普及啓発等々のことが書かれていますけれども、保健医療、福祉サービスから離れて、全国民の意識改革という意味で社会教育的なものもすごく大切であることをうたっていただければと思います。

○福永副委員長 そういうことも一応念頭にいただければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○大澤委員 今、益子先生がおっしゃったことに関連してですが、そこまでここに書く必要はないのかもしれませんけれども、研究班で研究をするわけですね。その研究班の報告会のときに、必ず市民公開講座をつけるとか、そういうことが一つの条件になっていくのがその啓発を強める一つの方法ではないかなと思いました。

○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 では、一応ここで締めてみたいと思います。

 長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。基本方針の案については今回の議論をもって委員会としての一定の整理とさせていただきたいと思います。

 また、軽微な修正等が必要な点については、一旦、委員長に御一任いただきまして、そして、その後、パブリックコメントにかけさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○福永副委員長 では、そういう形でとり行いたいと思います。

 事務局から何か追加事項がございましたら、よろしくお願いいたします。

○前田疾病対策課長補佐 委員の皆様方、ありがとうございました。

 今後のスケジュールですが、資料3をごらんいただきたいと思うのですけれども、本日7月10日の第41回難病対策委員会でございます。パブリックコメントにかけるというところを御了解をいただきましたが、直前、幾つか相当御指摘を賜りましたので、それを基本方針に生かす、あるいは基本方針のフォローということで御意見の中に生かさせていただくという形で整理をさせていただいた上で、パブリックコメントにかけさせていただきたいと思います。おおむね30日程度パブリックコメントにかかりますので、8月の下旬頃に、難病対策委員会開催予定とさせていただきまして、そこで最終的な取りまとめとさせていただいて、疾病対策部会に御報告をさせていただきたいと思っております。

 なお、次回の難病対策委員会の日程等については、改めて御連絡をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○福永副委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、本日の難病対策委員会はこれで閉会にいたします。御出席の皆様、どうもありがとうございました。

 


(了)

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