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2015年6月16日 厚生科学審議会疾病対策部会 第40回難病対策委員会 議事録
健康局疾病対策課
○日時
平成27年6月16日(火)15:00~17:00
○場所
労働委員会会館 講堂(7階)
○議事
○日野疾病対策課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから、厚生科学審議会疾病対策部会(第40回)難病対策委員会を開催いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
本日の委員の出欠状況です。金澤委員長、道永委員、小池委員、山本委員、本田麻由美委員から御欠席の御連絡をいただいております。まだ一部来られていない人もいらっしゃいますが、定刻ですので始めさせていただきます。また、事務局の福本大臣官房審議官は、所用により欠席させていただきますので御承知おきください。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。なお、金澤委員長からは、御欠席されるため、厚生科学審議会疾病対策部会運営細則第4条第4項に基づき、委員長の職務を行うものとして、あらかじめ福永副委員長を御指名いただいています。このため、以降の議事進行につきましては、福永副委員長にお願いいたします。
○福永副委員長 では、よろしくお願いします。まず、資料の確認をお願いいたします。
○日野疾病対策課長補佐 お手元の資料を御覧ください。まず、1枚目に議事次第、2枚目に委員名簿、3枚目に座席表、その後、右方に資料番号付きで、資料1「基本的な方針の骨子案」、資料2として「難病対策委員会における主な意見」、資料3として「基本方針の検討の進め方」の3つの資料があります。資料の欠落等がありましたら、事務局までお申し出ください。よろしくお願いいたします。
○福永副委員長 それでは、議事に入る前に、伊藤委員より前回の難病対策委員会での積み残しの御発言があるということですので、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。前回、終わり頃に、東京都のヘルプマークを示して、患者会へのアンケートを取ったのですがという簡単な報告をしたのですが、説明が不十分だったと思いますので、改めて時間を頂きまして、どういう趣旨でこのアンケートをしたのかを説明したいと思います。これは、従前から、難病対策の周知事業をどうするかというお話があって、その中で様々なプランが出ておりました。難病患者サポート事業の中でも、周知事業をGAPがやらせていただいておりますが、患者さんの中からは、難病というのをもっと端的に知らせる方法はないのかとか、あるいはバッジを作ってはどうかとか、あるいは電車などに乗るときに、人から見て分からない障害、困難を抱えている患者に対して、何か手助けをしていただけるようなマークはないのかというような声があったということで、簡単に私どもの協会で全国の皆さんの集まる機会ですので、御意見を伺つたところです。今日も大澤委員が配布しておられますが、これは東京都が作られたマークでして、これが非常に東京都内では浸透してきているということで、その参考例として出しました。特にこのヘルプマークがいいとか悪いとかということでのアンケート調査をしたのではないという辺りの補足をさせていただきました。
○福永副委員長 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、「基本方針の検討について」ということで、前回申し上げましたとおり、事務局から基本方針の骨子案を出していただいております。本日の進め方としては、まず、事務局から内容についてまとめて説明してもらい、その後、全体を4つに分け、項目1、2、項目3、4、項目5、6、項目7と8と9に分けて、おおむね20分ぐらいを目途に御意見を頂きたいと考えております。それでは、事務局から資料1、資料2、資料3について御説明をお願いいたします。
○日野疾病対策課長補佐 お手元の資料を御覧ください。順番が前後しますが、まず資料3を御覧ください。難病対策委員会としては、今年の2月、第36回から、基本方針について御議論いただいたものであります。法律に基づく基本方針に定める事項について、委員会ごとにテーマを決めて御議論いただきました。今日、6月16日、一連の議論が一通りこなせましたので、事務局のほうで基本方針の骨子案を提示をさせていただいております。その説明を今後させていただきます。このあと、今日の御議論を踏まえて、皆様方の御意見を反映し、骨子案を膨らました後に、まとまれば、7月上旬あたりの難病対策委員会で一定の整理をし、その後、パブリックコメント等の手続を経まして、8月以降に疾病対策部会に報告の上、告示をすると。そういった形の段取りを考えております。
続きまして、資料2を御覧ください。資料2は、第36回から前回第39回までの難病対策委員会において、委員、参考人の方々の御意見の主なものを項目ごとに並べさせていただいたものです。
項目としては1番から9番までありますが、主な意見としてはこういったものがあったということで、後ほど御覧いただければと考えております。
次に、資料1を御覧ください。こちらが今日のメインテーマです。「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針の骨子案」です。一番最初の[に書いてありますが、こちらの骨子案はこれまでの委員会の御意見を踏まえて、事務局で整理をしたものです。忌憚のない御意見を頂ければと思っております。内容の御説明をさせていただきます。
まず、一番目、難病の患者に対する医療等の推進の基本的な方向です。こちらは難病に対する基本認識、法の基本理念に基づいて施策を実施するという、大きなくくりの中で、1から4にあるようなことを基本としようということで書かせていただいています。1は、基本認識として、難病は国民誰でも発症する可能性があるという認識に立つということ、2として、基本理念である、難病の患者に対する医療等の施策は、難病の克服を目指し、社会参加の機会の確保、地域社会において、尊厳をもって生きることができることを旨として、関連施策の連携をしつつ、総合的に行う。これを基本理念としようということです。
3は、基本的な運用の仕方ですが、難病対策は難病の患者、御家族、医療従事者など、幅広く国民が参画することを基本とするというところを1つの方向性にしようということです。
4は、基本方針の見直しの関係ですが、対策の実施状況等を踏まえつつ、基本方針を少なくとも5年ごとに見直しをしていこうという考え方に立っております。
次に2番目の柱です。難病の患者に対する医療助成制度に関する事項です。こちらは、法律上の項目にはない項目ですが、検討委員会の中でも、結構御意見を頂いておりましたので、独自の項目として、新たに立てさせていただきました。医療費助成制度の運用に関しては、医学の進歩等の難病を取り巻く環境に合わせて、適時その運用を見直していくということを基本的な考え方にしております。具体的なものとして、1医学の進歩等を踏まえつつ、医療費助成の対象となる疾病を見直し、指定難病の診断基準、重症度分類等について見直しを行っていきましょうということ。
2として、難病の治療方法の開発に資する臨床データを定期的に収集をすると。難病患者の方々は、データの提供に協力していただくとともに、指定医につきましては、難病の患者データの登録に務めていただくということを、基本的な方向としております。
3番目です。こちらは法律にある項目ですが、難病の患者に対する医療を提供する体制の確保に関する事項です。この項目の基本的な方向といたしまして、難病を早期に診断できる体制を確保するということが1つ、もう1つは、できる限り身近な医療機関で適切な医療が受けられる体制を確保するということ。その際に、関係医療機関や診療科の連携強化に務めることを方向性としています。
具体的なものとして、1、国は医療提供体制の具体的なひな形、モデルというように考えていただければいいのですが、こちらの検討を進めて、地方公共団体は地域の実状に応じた医療提供体制の構築の支援をしていく。
2は、医療機関は難病患者に適切な医療を提供し、適切な医療体制の構築に協力をすると。指定医と医療関係者は連携強化に努めていただくということを方向性としています。 3は、国は国立高度専門医療研究センター、難病研究班、各分野の学会等が難病医療支援ネットワークの構築を努めるように、支援をしていくということを方向にしております。
4は、国及び地方公共団体は、小児期に長期にわたり療養を必要として、その生命に危険が及ぶおそれのある疾病等にかかった患者に対する、切れ目ない医療ケアを行うために、モデル事業を実施して、小児期、成人期を担当する医療提供者間の連携を促進していくという方向性を出しております。
5は、国は遺伝子診断等を実施できる体制整備を進めて、有望な投薬等を早期に利用できるように取り組むなど、早期診断、適切な治療ができるように支援をしていくということです。
4番目の項目です。こちらは、難病の患者に対する医療に関する人材の養成に関する事項です。こちらの基本的な考え方ですが、難病に関する正しい知識を持った人材が不足しているという認識の基に、正しい知識を持った人材を育成すると。これらを通じて地域において、難病患者の療養上及び日常生活の不安を解消していこうという考え方です。具体的な方向です。
1として、まず国と地方公共団体については、指定医など、難病に関わる医療従事者の養成に努めていくと。医療従事者の方々は、難病に関する知識の習得、自己研鑽に努めていただく。各学会等は、これらの医療従事者が学べるような学習する機会を積極的に提供していく。こういった形でスクラムを組んでいこうという考え方です。
2です。国及び地方公共団体は、福祉サービスを提供する方への知識の普及を図っていくということと、具体的に言いますと、痰の吸引など、医療的なケアができるようなヘルパー等の人材を育成していこうという考え方に立っております。
5番目、難病に関する調査及び研究に関する事項です。難病対策につきましては、情報の収集をしていこう、医療水準を高めていこうという考え方がありますが、その上で各疾病の実態把握、自然歴の把握などを進め、疾病概念を整理し、診断基準等の作成をしていく、調査研究を実施しようということを、基本的な考え方としています。具体的な方向は、1として、国は難病の現状の把握、疾病概念の整理、診断基準の作成や改訂、診療ガイドラインの作成などを推進するための研究事業を実施していこうということです。
2です。国は難病医療支援ネットワークの構築を支援すること等により、積極的な症例の収集を通じまして、研究を推進していく体制の支援をしていこうということです。3は、難病の患者データベースは、現在構築しつつありますが、これを活用しながら、医薬品であったり、医療機器及び再生医療等製品の開発、iPs細胞などを念頭に置いていますが、それと、副作用等の安全性の情報収集も含めた、難病の研究に有効活用できる体制を整備していこうという考え方です。4として、国は各種の難病の研究班から得られた情報につきまして、難病情報センターを通じまして、国民に積極的に広く提供していくということを基本的な考え方としております。
6番目の項目です。難病の患者に対する医療のための医薬品、医療機器及び再生医療等の製品に関する研究開発の推進に関する事項です。基本的な考え方は、難病の克服に向けた研究開発を推進していくと。特に、患者数が少ないために、開発が進みにくに医薬品、医療機器、再生医療等製品の研究開発を幅広く支援するということをこの項目の基本的な考え方としております。1具体的な方向性ですが、国は難病の病因病態の解明、医薬品、医療機器及び再生医療等製品の開発を推進するための、難治性疾患実用化研究事業の実施をしていく。それを、難治性疾患政策研究事業との連携を推進していくという形で、両方の事業との連携を推進していこうということを考え方としております。
2ですが、研究者及び製薬企業等が主体になりますが、難病患者のデータ等を活用しつつ、難病患者に対する医療に必要となる、医薬品や医療機器、再生医療等製品に関する研究開発に積極的に取り組んでいただくということを考え方としています。
3ですが、国は、希少疾病用医薬品等研究開発促進に係る取組を推進していこうと。また、医療上の必要性が高い、未承認・適応外の医薬品等に係る要望について、引き続き適切な検討、開発要請を実施していくということにしております。
7番目です。難病の患者の療養生活の環境整備に関する事項です。こちらの項目の基本的な考え方は、難病の患者さんの療養上及び日常生活上の不安の解消を図りたいということで、社会参加の機会を確保したり、地域社会における患者さんを支えるネットワークの構築を図っていこうということを、基本的な考え方としております。具体的な方向ですが、1として、国は先駆的な難病相談支援センターに係る調査研究を行って、難病の患者を支えるネットワークの構築を支援していこうと。こうした先駆的な取組について、地域に広げていくということを、国の役割と考えております。
2として、地方公共団体においては、例えば患者会であったり、患者間の交流を促進していただくという方向を出しております。
3ですが、国は難病の患者及びその家族、関係機関等で構成されます、難病対策地域協議会などの、地域の実情に応じた活用方策について検討をしていくと。地方公共団体につきましては、その普及に努めていただくということにしております。
4ですが、主体は難病支援センターになりますが、そのセンーにつきましては、その職員のスキルアップに努めていただくということと、国及び地方公共団体は、センターの相談員の方々の資質が向上するための研究であったり、情報交換等であったり、そうした取組をしていこうという方向性を出しております。
5、難病の患者、その御家族については、ピアサポートが非常に有効だという話がありますので、その実施に努めていただくとともに、そういったピアサポートができるような人材を養成するために、国及び地方公共団体は人材育成をしていただくということを書かせていただいております。
6です。国及び地方公共団体は、難病の患者に対する保健医療サービス、福祉サービスを提供する方、その指導者を育成していく人材養成の事業と、難病の患者さんに対する訪問看護事業、今は医療保険を上乗せして訪問看護師医療をやっていまずが、それを推進するという方向性を出しております。
7です。国及び地方公共団体は、在宅の難病患者のレスパイトのために、必要な入院先の確保を行うために、必要な施策を実施していくということを書かせていただいております。
8です。こちらの項目は、難病の患者に対する医療と、難病の患者に対する福祉サービス、就労支援に関する施策、その他関連施策との連携に関する事項です。この項目の基本的な考え方ですが、難病の方が難病であることを安心して開示しながら就労できる環境を整備していくということを考えています。その上で、福祉サービスの充実を図りつつ、医療と福祉の連携を進めて、難病の方が地域で安心して暮らせる社会を実現していこうという考え方に立っております。
具体的な方向ですが、1として、国は障害者総合支援法で障害福祉サービスとの対象となる疾病につきまして、難病法における指定難病の検討を踏まえながら、見直しをしていただくということを書かせていただいております。
2、国は市町村において障害支援区分の認定調査、審査会における審査判定が円滑に行われるようにマニュアルを整備するとともに、市町村においては、難病に配慮した認定調査に努めていただくと。これは障害福祉サービスの前提になる認定調査の話です。
3です。福祉サービスを提供する者については、難病の患者のニーズに合ったサービスの提供に努めていただくということと、国は医療と福祉が連携した先駆的なサービスの普及に努めていただくということを書かせていただいております。
4ですが、こちらは雇用の関係です。国は難病患者の雇用に関する事業主の理解を促進していくということが1つです。
5ですが、ハローワークが中心になりまして、難病患者のための安定的な就職に向けて支援を実施するということと、難病患者の職場定着支援に取り組んでいくということを、方向性として出させていただいております。
6は小児の関係の話です。国は小児期に長期にわたって療養を必要とし、その生命に危険が及ぶおそれのある等の疾病にかかった患者に対する成人後の自立に向けた支援の実施をしていくというところを書かせていただいています。
9番目の項目です。こちらはその他、難病患者に対する医療等の推進に関する重要事項です。こちらに書かせていただいているのは、国民が難病の特性に必要な配慮などについて理解を深めることができるように、難病に関する啓発活動に努めるということを書かせていただいています。以上、簡単に御説明しましたが、あくまで骨子案ですので、皆様方の御意見を踏まえながら膨らませていきたいと思っておりますので、いろいろ御意見を頂ければと思います。説明は以上です。
○福永副委員長 それでは、骨子案の1、難病の患者に対する医療等の推進の基本的な方向及び難病の患者に対する医療費助成制度に関する事項について、御意見、御質問があればお願いします。
○福永副委員長 骨子案1「難病の患者に対する医療等の推進の基本的な方向「及び骨子案2「難病の患者に対する医療費助成制度に関する事項」について、御意見、御質問をお願いします。
○伊藤委員 基本的にはこういう方向なのだろうと思うのですが、幾つか質問したいことがあります。1つは、全体にこれだけやるのは大変な内容だと思うのです。実現に向けてどういう取組をしていこうとしているのか、あるいはスケジュールとしてもこれを一遍には無理なので、順番なり事業の取組のめりはりがあるのだと思うのです。その辺りはどのようにお考えになっているのかをお伺いします。
2の医療費助成制度についてです。「適宜その運用を見直す」とありますが、これはどういうことを意味しているのか。議論の中ではいろいろ確認してきたのですけれども、改めてお願いします。医療費助成の対象となる疾病の見直し。見直しというのが、ここに3か所出ているのですけれども、この見直しはどうするのか。これについては、いろいろ危惧を感じている患者もいるようですし、実際にはどのようなことを考えているのか。小児慢性特定疾病から、たくさんの疾患が難病対策に入ってきましたが、なおかつ、まだこういう病気も入れてほしいという声がいろいろ寄せられております。その作業も始まっていると思うのですが、どのようになっているのか。現時点ではどういう取組をしているのか、分かる範囲内で結構ですので教えてください。
これも何度も言ったことだと思うのですけれども、2の2「指定医は難病の患者データの登録に努める」ということですけれども、大変な負担をお医者さんにも掛けるわけです。この「データの登録に努める」ということだけでいいのか。何か具体的なインセンティブへ結び付くような取組をする計画はないのかを伺います。
4番で、「吸引等ができるヘルパー等の人材の養成」というのは、これは介護保険のほうでも、障害者福祉サービスのほうでもいろいろ課題になっている所です。これを、難病対策として上乗せして実施するということだけでいいのか。もっと大きく介護保険の事業や、あるいは障害者福祉サービスとの連携を具体的に進める時期だと思うのですが、それをどのようにしようとしているのかを伺います。
○福永副委員長 1番と2番について順番にやりたいと思います。ヘルパーも後に回させていただきますので、3点についてお願いします。
○日野疾病対策課長補佐 事務局です。1つ目ですが、全体の大きな内容で今後どういう取組をしていくのかというお話がありました。こちらの基本方針の位置付けは、単年度で来年度で全てをやるという性格のものではなくて、今後5年間を見据えて、どういう方針でやっていくかという位置付けのものです。ですから、来年度に全てをやるというものではありません。5年後に向けて、実際こういう方向に取り組んでいこうという方向性を示しております。
具体的にその政策化する場面においては、当然予算が必要なものについては予算要求も必要になってきます。予算が要らないものについては運用の見直しだったりということがあります。個々個別の項目によっても結構濃淡があるのだろうと思っております。基本的には今後5年間の方向性を示していくものだと認識していただければと思います。
2番目の医療費助成のお話です。見直すという話には若干の危惧を覚えるというお話がありました。基本的に念頭に置いておりますのは、難病とか指定難病の要件がありますけれども、こちらに該当するものは追加をするなり、しっかりと公正・公平な観点から制度運営をしていこうという趣旨です。医療費助成の対象の有無だけではなくて、当然医療の進歩であったり、そういうところで診断基準が変わったり、重症度分類とか、重症度の基準が変わったりということは当然あります。そういうところもしっかりと見直しをしていこうというものです。
3点目の、難病患者指定医のデータ登録のインセンティブのお話がありました。こちらは、難病データベースのデータ登録の仕方などについては、現在検討を進めている段階です。インセンティブまで入れるかどうかというのは、まだ確たることは言えませんけれども、御指摘を踏まえて考えていきたいと思います。
○福永副委員長 伊藤委員、よろしいでしょうか。
○伊藤委員 はい。
○春名委員 全般的になのですけれども、総合的な社会参加の支援だとか連携ということがあります。難病というものが、今までの福祉の対象の障害者とどう違うのかを、ちゃんと認識しておかないと、そこがうまくいかないのではないかと思うのです。今までの障害というのは、固定していると障害なのですけれども、難病のある場合には治療が継続していて、体調が安定しないことが、社会参加上の一番大きな課題になっております。
例えば就職だと、体調の良いときには就職できるのですけれども、仕事を続けられなくなるようなことが起こります。2で「社会参加の機会の確保」と単に書くだけではなくて、長期に渡る治療と両立できる社会参加の機会の確保であるとか、1番の基本認識の所で、難病というのは病気の治療と並んで、治療と両立できる患者の生活や人生を支えることが重要である、ということも基本認識として含めることが、全般的に抜けているのではないか。入れたほうがいいのではないかという意見です。
○福永副委員長 難病の特性に配慮したという感じですが、そういうことでの認識はいかがですか。
○日野疾病対策課長補佐 ありがとうございます。そういうところがちょっと足りていないと言われれば、確かにそのとおりかもしれないと思いながらお話を聞かせていただきました。入れる方向で検討させていただきます。
○駒村委員 伊藤委員の御質問に関わるところです。2の1番目の○の説明で、事務局は「医学の進歩」ということで分かるのですが、ここに「等」という言葉があえて入っているのは、例えば何を見直しの際に考えているのか、例示をいただければと思います。
全般的にこれは委員会の報告ですので、委員のメンバーはこう書いているわけです。第三者というか一般の方が読んだときに、確かに難病とか指定難病、難治性疾患というように言葉を使い分けています。もちろん、これは意図して使い分けているのだろうと思います。読む方が、違いをちゃんと認識できるように、報告を出すときには少し説明を加えたほうがいいと思います。これの読み方によっては、難病はどのように考えるか、報告書の基本は、誰が読んでも同じ読み方ができるのが一番望ましいわけですから、そういうところは明確にしたほうがいいのではないかと思います。
○日野疾病対策課長補佐 1点目の、「医学の進歩等」の「等」の所ですが、社会経済の状況とか、そんなに大きな意味はないです。難病対策委員会の報告書の中で、医学の進歩とか、社会経済状況の変化といったもので難病というのは変わってきますという記述がありましたので、そこを書かせていただいたものです。
2点目の言葉のことですが、難病であったり、指定難病であったりという所は、御指摘のとおり誰が読んでも分かるようにということで、用語の整理をさせていただいて、分かりやすい表現を考えさせていただきます。
○福永副委員長 私は、難病相談支援センターでいろいろな電話を受けたりするのですけれども、重症度分類がまだ余り行き渡っていないのか、患者さんが認定から漏れたということで不服申請というか、クレームが多いのは、難病指定には入っているのに、重症度分類で認定されなかったときに、それに対する不満というか、不平というか、そういうのが非常に多いと感じています。
○本間委員 3番の1「国は」うんぬんで、「具体的なひな形」という件があります。それと同じような意味だと思うのですが4「国及び地方公共団体」うんぬんという3行目に、「モデル事業等を実施し」とあります。この2つは具体的には。
○福永副委員長 今は1と2を議論していますので、また後でお願いします。
○本間委員 大変失礼しました。
○小幡委員 今回は5年ごとという基本方針なので、要するに基本的なことをここに網羅しておくことが大事だと思います。伊藤委員が御指摘のように、具体的にどのような施策をそれについてやっていくかということが、これから大変な課題になっていきます。その中には予算措置が必要なものとか、かなり大掛かりなものもあるので、まず先に何をやるかという、その辺りについて、これから更にもっと深めていく作業が大変なのかと思います。
その中で今回の骨子の中で、予算は公費なので、難病の特性を踏まえて国民に理解を求め、公費で様々な施策を展開していく。1番の1で、「難病は国民の誰にでも発症する可能性があることを基本認識とする」というのは正にそうだと思うのです。ただ、基本認識とするから何かということを言わなければいけません。難病対策にこれからいろいろな施策をするためには、公費が必要ですから、そのために国民の理解を広く求めるというところが一番ポイントだと思うのです。難病というのはそういうものだと。もちろん医療費助成にしても、他の対策、例えば福祉対策をするにしても、常に国民の理解を求めてやっていく、その辺が大事かと思います。
難病の特性という話は9番の重要事項の所に書いてあります。1番と9番が一緒になって、難病の特性があるから、常に国民の理解を求めていくという辺りを基本として強く書き込んではいかがかと思います。
○福永副委員長 本当は難病の要は今言われたところだと思います。事務局から意見はありますか。
○日野疾病対策課長補佐 今回出させていただいたのは、骨子案ということで表現はかなりシンプルにさせていただいています。これを膨らませる段階で御指摘の部分も取り込みながら表現できるように考えさせていただきます。
○伊藤委員 基本的には分かるのですけれども、今の説明の中で、2の「医学の進歩等を踏まえ」という所での駒村委員の御指摘に、大きな意味はないという答えがありました。もう1つこれはどうかなというのは、社会経済の変化も「等」の中に入るとしたら、社会経済が変化し、例えば国の財政が非常に難しくなってくるとかいろいろなことがあったら、難病対策の医療費助成も見直すのかとか、もっと対象患者を絞るとか、自己負担を増やすとか、そういうことまで含めている、社会経済の変化がこの「等」の中に入るとしたら、これは今までの議論とはちょっとずれてくるのではないかという気がするのですが、いかがですか。
○日野疾病対策課長補佐 今のところ、財政面までは余り考えてはいないです。そこまでをここに書けるかどうかという問題もあります。そこは、何ともお答えしにくいところかと。ちょっと歯切れの悪いお話で申し訳ないです。
○伊藤委員 大事なところなのではないかという気がするのです。難病対策で、難病というのはこのような社会的な意義を持っている。だから、国はこの対策を進めるのだ、国民全体に関わることなのだということを前提として、基本認識や基本理念のところから始まっていったような気がするのです。社会経済うんぬんとか、財政という言葉を曖昧にしたままでいくと、そこのところでいろいろ危惧も感じてしまいます。
私としてはそういうお答えではなくて、「医学の進歩等」の中には、「等」と書いてあるのは何だという話になるのですが、少し明確にしたほうがいいのではないか。どんなことがあっても、難病というのをこの国、この社会は守るのだと。難病対策を守るのだというような決意が感じられるような書き方にしていただきたいというお願いをしておきます。
○田原疾病対策課長 御懸念の趣旨はよく理解いたしましたので、具体的な表現を整理したときに、また御意見を頂ければと思います。
○福永副委員長 そういうことでよろしいでしょうか。
○伊藤委員 はい。
○葛原委員 駒村委員が質問されたことを、私も全体を読んでいて思ったことがあります。資料1にしても、資料2にしても、今まで数年間の議論を非常にきちっとまとめてあるという点では極めてよくできているというか、網羅的というか、大体見落としている所はないような書きぶりになっていて、それは非常にいいと思います。ただ、どこから手を付けたらいいのかという感じのことを、やはり皆さんお感じになることだろうと思うのです。
言葉の使い方で、これは一体どう考えたらいいかと思うのは、ここにずうっと書いてある「難病」という言葉なのです。昔は56疾患ぐらいが難病ということで割合分かりやすかったのです。もうすぐ306疾患になるわけです。それに加えて、難病法案とか、難病の定義を見ると、難病とは原因が不明でということは、今で言えば遺伝子とか加齢とかあるのでしょうが、原因がはっきりしていなくて、有効な治療法がなくて、しかも長期に渡って過大な負担が生じて、しかも希少性という、これだけの条件を満たせば難病だと書いてあります。そのうちの一部が指定難病だという説明なのです。
これを見ると、ウワーッといっぱいある難病全部を指しているとしか読めないのです。ですから、その辺ははっきりさせないと、指定難病だけでも306、これは難病の定義から言うと、恐らく何百何千とあると思うのです。そういう話になっているのかどうかというのはきちんと書かないと、あるいは最初の所に、ここでいう難病とは指定難病のことを指すというようにしないと、今まで難病と指定難病の区別をしてきた人間にとってみれば、やや異質な感じがするのです。それが第1点です。
もう1つは、この2の2の「指定医難病での患者データの登録に努める」というのは非常に大事なことだと思うのです。ただ、現実的な問題として考えると、患者登録を今までやっているのは、例えばある研究で、筋萎縮性側索硬化症などの自然死を調べるとか、治療薬のためのというのは、単に患者さんの状況を登録するだけでも、全部同意書を取ってやっているわけです。ですから、単に診たら登録するというのでは済まないというのが、今の日本の研究とか、登録制度の現状だろうと思います。
これをするためにはものすごいお金がかかる、手間暇かかる。外国でこういうことをやっているのは、医者1人に5人ぐらいの助手が付いて、そういうお金を付けてやっていますので、1行で済ませるには、こういうのは非常に重い課題だということも一緒に議論しないと、単に診た人が登録すればいいという問題ではないだろうと。実際に有効なデータを入れるにはそのように思います。これは私の意見です。
○福永副委員長 難病の要件としては、診断基準がはっきりしているというのを、もう1つ一応付けていただくと。
○葛原委員 診断基準もそうです。もう1つは、難病はどんどん進行する病気ということで先ほど春名委員から質問がありました。それは一般的にはそうなのですが、この辺は非常に医学の進歩だと思うのです。免疫性の神経疾患に関しても、あるいは胃腸疾患も、上手に免疫抑制剤を使えば、今は寛解状態でほとんど症状のない人がいっぱいいます。ですから、脳の病気でどんどん障害度が上がって、有効な治療法がない方と、ある薬を使えば普通の生活が長期間できている方がいます。私が持っていた患者さんで、20年以上何の症状もない重症筋無力症の方がたくさんいらっしゃいます。やはり、その辺は一概には言えないことも念頭に置いておいたほうがいいと思います。
○春名委員 必ずしも「進行する」ということではなく、症状が安定しないと。例えば、仕事に就いて体調を崩してしまって、それで辞めてしまう人が多いということがあります。就労支援というのも、症状を安定させるという治療の効果を上げるための側面がある。そういうことが難病の特性と考えています。
○福永副委員長 難病の定義そのものが、今回疾患が増えたこともあって難しくなってきているのだと思います。この前、難病の中で指定難病と難病を分けてあったと思います。
○前田疾病対策課長補佐 事務局です。難病の定義自体、この基本方針自体難病法に基づいて作成するものですので、法律に明確に位置付けられております。先ほど葛原委員から御指導のありました、発病の原因が明らかでないという話から、長期の療養を必要とするものまでの4要件で、特に306にこだわってといいますか、限定してこの基本方針を書いているものではありません。
先ほどの御意見を踏まえると、2の「難病の患者に対する医療費助成制度に関する事項」という項目で、これ自体は今の指定難病にこだわって306だけというわけではありません。特に「難病」という言葉のままの定義のままでよろしいかと思うのです。例えば、2の「難病の治療方法の開発等のデータを集める」という所で、指定難病の申請のときに当たってのデータ収集ということを念頭に置いていますので、それをベースに考えさせていただくところもあろうかと思っています。
○葛原委員 よく分かりました。そのほうがいいかもしれません。
○福永副委員長 そうですね。よろしいでしょうか、次に骨子案3「難病の患者に対する医療提供をする体制の確保に関する事項」及び骨子案4「難病の患者に対する医療に関する人材の育成・養成に関する事項」の2つの点について御意見、御質問をお願いします。
○本間委員 先ほどはすみませんでした。もう一回繰り返しますが、3番の1の最初の行の「国の医療提供体制の具体的なひな形」という件、それから4の3行目の「モデル事業等を実施し」というように、「モデル事業等」とあります。これは、具体的に何かイメージみたいな、あるいは既にやっているのでこれに目を付けてといいますか、これをもとに考えたいみたいなものがあったら教えてください。
○前田疾病対策課長補佐 これを書かせていただいた問題意識のベースとしては、難病対策委員会でまとめていただいた提言では、ピラミッド構造を作るということになっていました。前回の第39回会議の際に、希少な疾病で遺伝子検査の体制を取っていくという話。あとは非常に数が多いときに、逆照会をどういう形でしていくかということで、やはり306の疾患の特性であったり、患者数で相当ばらつきがあるのではないかという御意見を頂きました。今回は、モデル的なひな形を幾つか検討した上で、どういう形で指定するのがいいかという段取りかと考えております。
具体的には、例えば神経難病で数が少ない疾病で、特定の所で遺伝子検査が集約されているとか、そういうモデルであれば、ある程度モデルとして提示した上で、それに適応になる疾病というのはどういうところかを当てはめた上で、そういう疾病に即した拠点体制を提示していく順番になろうかと考えております。
4番に関しては、現在2つトピックがあります。1つは難病の中で今回指定させていただいた先天性心疾患などは、もともと大人への移行ということで御議論いただいていたもので、そこを拡充していくところもあります。逆に、今は小児慢性特定疾病のほうでも、どういう形で成人に移行するかということで、モデル的な疾患を幾つか特定した上で、どう移行していくかという事業を進めております。それを念頭に置いて、これは引き続き持続していく、強化していくというところを念頭に置いて記載しております。
○福永副委員長 そういうことだそうですが、よろしいでしょうか。
○本間委員 はい。
○五十嵐委員 3の4に関しては、母子保健課が予算を組んでいただき、小児慢性特定疾病の中で、幾つかの疾患群を選んで、そこの病気の子供たちが大人になっていくときに、どういう支援が必要かを検討し、小児学会の分科会や小児の外科系の学会と協力して、ガイドラインなどを作る事業が今年度から始まりましたので、私も協力してやりたいと考えています。
○福永副委員長 よろしくお願いいたします。
○春名委員 難病対策委員会が改革の提言のときに、就労支援の意義の中で、単に社会参加の支援だけではなくて、治療効果を上げるためにという医療の面の意義もあるのだと。今回、ここに医療体制ということで適切かどうか分からないのですけれども、就労支援と医療のクロスオーバーを具体的なイメージとして明確にするために、例えば6番で「安定した医療、再燃予防、体調悪化時の早期対応を可能とするため、就労支援と連携する」だとか、何か少し具体的に書いておくと、医療と就労支援の連携とはどんなものかというイメージが明確になるのではないかと思います。これは意見です。
○本田(彰)委員 4番で、人材養成に関する対象となるような所に関しては、医師の所は「等」という形で書かれています。実際にこれから多様な連携を取っていくときには、医療者と医療従事者というよりも、福祉的なところを踏まえた人たちの役割のほうが重要視されるようになるのではないかと思います。例えば退院支援だとか、地域での連携を取っていく、ケアマネジメントをやっていくというようなところも踏まえた医療従事者の所を強調していただいたほうがいいのではないか。指定医というか、医学的な勉強をしたほうがいいという意味合いだけになってしまうと、これからの体制整備に行くときには、本当にこれで人材育成は足りるのかというところの疑問が出てきたので、そこのところを少し加えていただければいいかと思います。
○福永副委員長 私もそのように思うのですけれども、よろしいでしょうか。
○前田疾病対策課長補佐 先ほども申し上げましたようにこれは骨子ですので、具体的な文言に何を追記していくかというところはこれからだと思います。御意見の中で、例えば御提案を頂いて、それはふさわしくないとか、そういう御議論がない限り、基本的には載せる方向で整理させていただければと思っております。
○葛原委員 事務局でもいいし、五十嵐委員でもいいのですが、私は小児の慢性特定疾患と難病とのつながりがいまひとつよく分からないところがあります。小児慢性特定疾患の中で、障害のところでつながったというのは分かるのですが、難病のほうにつながった部分というのが、今度新たに増えた306の中で、小児慢性特定疾患のほうから入ってきたのはかなりあるのですか。
○五十嵐委員 日本小児学会は小児慢性特定疾患検討委員会を持っています。そこには、小児科学会の分科会と、小児神経学会、小児の外科系の関連学会から代表の委員に出ていただいております。約300を超える疾患を、小児慢性特定疾患の中から、指定難病として新たに指定していただきたいという要望を本年3月末に出しました。
それと前後して厚生労働省から二次案が出ました。二次案の中に、私どもが要望した約180疾患が入っておりました。ただ、残念ながらまだ100を超える疾患が指定難病としては二次案に入っておりません。現在、厚生労働省が定めている指定難病の基準として、診断基準があること、重症度分類もあるなど、いろいろと決まりがいろいろあります。できるだけそれに沿うような形のものを、選ばれていない疾患について現在作業を進めているところです。
今後のことですが、秋までに千葉先生が座長を務めている指定難病検討委員会に出させていただいて、秋以降は千葉先生の委員会で検討していただきたいと考えています。
○福永副委員長 事務局はいかがでしょうか。
○前田疾病対策課長補佐 先に五十嵐委員からお話を頂いてしまって申し訳ございません。小児慢性特定疾病は704あります。今はその大体4割ぐらいが指定難病になっております。そこで欠けている一番大きな部分である小児の悪性腫瘍については、他の制度で施策体系を講じているものについては、難病法の医療費助成とは別に議論させていただくというところがあります。そこで対象になっていないところがあります。その他では相当な割合で現在は入っています。
今回は子供の基準だけで、成人で客観的なものでまだ検討が必要なものも残っていると伺っております。これは、秋以降指定難病を改めて議論する際に、どれぐらい知見があるかということで情報収集をさせていただきたいと考えております。
○春名委員 本田委員の御意見と同じようなものです。就労支援に関して、就職時の就労可能性や留意事項の意見書を出すとか、休職したときの復職支援だとか、そういうことに関してほとんど担当医だけがやっている状況が調査で明らかになりました。本来業務との兼務という面で、すごく負担が大きすぎるという話もあります。今まではかなりインフォーマルにやられていることなので、それをもう少しフォーマルな形にするのであれば、他の医療従事者であるとか、関係機関との役割分担だとか連携を進めないと、ちゃんとしたシステムとして機能しないのではないかと思います。これは追加の意見です。
○福永副委員長 この点に関しては、是非考慮していただきたいと思います。
○葛原委員 4番の「医療に関する人材の養成」というのは、先ほどから皆さんがおっしゃっていることに、私も賛成です。例えが良いか悪いかは別なのですが、難病の患者さんで、特に日常生活が非常に制限されている方というのは、高齢者の医療と福祉と非常によく似ていることがあります。医療ができる、あるいは医者ができることというのはほんの僅かで、どちらかというと介護をやっている人とか、リハビリテーションという、生きていくために最低限必要な、体の動きとかそういうことをどう支援できるかというのも非常に大きな問題だと思います。これは、医療に関するというよりは、医療・福祉・介護という3つを一緒にした形でやっていただかないと、皆さんが一番必要としているのはそういうところではないかという気がするのです。そのぐらいを全部含めた形で検討していただきたいと思います。
○福永副委員長 非常に重要なポイントだと思いますので、事務局はよろしくお願いいたします。
○伊藤委員 先ほどまとめてお話した中に入っていることなのですけれども、吸引ができるヘルパー等の人材養成で、障害者福祉のヘルパー、介護者の派遣事業をしている所、あるいは介護保険でのヘルパーの派遣事業所というものと、この難病のヘルパーの養成をどう結び付けるかというのは大事だと思うのです。具体的なイメージが湧かないのですけれども、何かイメージしているものがあったら教えてください。
○日野疾病対策課長補佐 ヘルパーの養成ですけれども、今は医療的なケアができるヘルパーについては、一定の研修を受けて、実技をやって、登録された方ができる形になっています。ただ、実際にその研修時間がすごく長かったり、実技の回数が多かったり、都市部では特にヘルパーが足りないという状況があります。今ちょうど社会福祉法が出る中で、ヘルパーの痰の吸引の研修の仕方の見直しも行われております。それに併せて実務的な問題として、研修の実習先がなかなかないという問題が現場ではあります。そこをどうするかを考えたいと思っております。それと併せて、報酬の問題とか様々な問題がありますので、そこは関係部局と連携しながら対応策を考えたいと思っております。
○福永副委員長 ちなみに鹿児島では、ALS協会がやっているのですけれども、予算的措置が余りないものですから持ち出しでやっているようです。これも、予算的な措置も含めてよろしくお願いします。
○伊藤委員 障害者基本計画の見直しが今行われていて、第4次基本計画の準備も進んでいます。そういう中でも吸引できるヘルパーとか、介護者だけではなくて、訪問看護の充実ということが、難病も含めてですけれども非常に大事になってきています。具体的にうまく進めるにはどうしたらいいか、という議論がされています。そことリンクして議論されるのか、難病は難病だけで増やしていこうとしているのか、そこが具体的に見えないのです。今は、どうしても介護保険とか、障害者福祉サービスと結び付かなければならないのですけれども、そこのところはどうされているのかをお聞きします。
○前田疾病対策課長補佐 実際に難病の医療だけで独立して行うものではなくて、当然障害であるとか、介護であるとか、そういうところと連携して体制を整えていくということで進めているものです。そういう観点で基本方針でいくと、8の「その他関連する施策」にも関わってくるところですので、また改めて議論を頂く必要もあるのかと思います。難病でいくと、ヘルパーの人材育成というところについては、一定の指針ができないかということで行っております。それをベースに、そういう各事業者が実際に利用しやすいような形で、難病の方を見た場合に、インセンティブが働くであるとか、そういうものは一定程度のものは評価の中にもあります。そういう複数の評価なり、インセンティブを組み合わせて、最終的に見ていただける体制を講じていきたいという状況です。
○福永副委員長 是非ここは、保健医療それこそ福祉の連携ということが重要な点ですので、その辺もお願いします。
○葛原委員 吸引ができないとか、養成が必要だというのは、基本的には医師法の関係なのですか。職務独占とかそういうことなのですか。
○前田疾病対策課長補佐 もともと医師法に基づく医行為ではないかというところが出発点になっています。お医者さんであるとか、お医者さんの指導の下の看護師、その他どこまでそういう吸引を認めるかというのは、主に資格と、その資格に応じたできる範囲というところで議論を行ってきた経緯があります。その中で、ヘルパーに関しては一定の研修を受けた方について、やはり奥まで吸引すると非常に危険だというところもあります。研修を修了した方については吸引を行えるという形で整理しました。今のところ、資格によるところは一定の整理が付きましたので、逆にそのルールに基づいて、実際従事していただける方をどうやって増やすかという議論に移行している状況です。
○福永副委員長 この点は平成17年度に委員会が設けられて、散々議論したところで、前田さんが言われたようなところだったと思います。ほかにございますか。そうしましたら、また御意見があったら、後で戻ります。
次に進みます。次に骨子案の5「難病に関する調査及び研究に関する事項」、6「難病の患者に対する医療のための医薬品、医療機器及び再生医療等製品に関する研究開発の推進に関する事項について」、この2つの点についての御意見、御質問があれば、よろしくお願いいたします。
○伊藤委員 特に5、6のことというのは、医学的な分野については、そんなに我々も意見があるわけではないのですが、前にも繰り返しお願いしたと思うのですが、難病に関する調査・研究というところでは、難病の患者の基本的な生活の中におけるニーズ調査、実態調査が並行しないとならないと思うのですが、そのことはここに加えて書かれないものかどうかということです。
○前田疾病対策課長補佐 そういう意味では、現状と御意見というところで踏まえますと、現状でも幾つか患者会の方にも御参画いただいて、療養支援でどのような形で、患者サイドから見たときにどのようなニーズがあるのかということを、難治性疾患の研究事業の中で実施しておりますし、そういったところでいけば、医薬品開発の辺りに特化しているところはありますが、御意見を頂いたところでしっかりと書かせていただきたいと思います。
○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。この2点については、大分今回はヒアリング等をして、いろいろな御意見を承ったところだと思うのですが。
○春名委員 ほとんど伊藤委員の意見と同じなのですが、こういう治療研究の部分だけではなくて、慢性疾患を持ちながらの生活機能の向上に関する福祉、就労、生活の質に関する体系的な調査・研究も重要だと、そういう位置付けになるといいかなと思いました。
○福永副委員長 ほかにいかがですか。
○葛原委員 厚生労働省の代わりのことを言うのではないのですが、生活の質などに関しては、確か難病の生活とADL、QOLの向上のための研究班というのがあったのと、もう1つは、確か重点研究の中に診療の質の向上というので、10課題ぐらいの課題があると思うのです。ですから、華々しくはないですが、相当たくさんの研究班がそういうことをやって、診断基準の確定、検討あるいは医療の質の均てん化という形の研究班が幾つかあるので、そういう大きな課題というのが入っていると。ここにはっきり書いていませんが、それはあるので、厚生労働省もそれを放っているわけではないと。私が言うのも変ですが。
○福永副委員長 そうですね、今までずっとベースとしてやってきた研究があるわけですね。
○葛原委員 だから、ずっとやってはきているわけです。地味ですけれどもね。
○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。今後、もっと推進していきたいという意気込みは書かれていると思うのですが。
○伊藤委員 念押しをしておきたいと思うのですが、そういう研究をいろいろされるのも大事なのですが、やはり患者や家族の生活をどう支えるかというのが大きな狙いの難病対策なわけですから、治療研究ももちろん大きなことなのですが、患者、家族たちの生活実態調査あるいはニーズ調査はしっかりとやるのだということを、ここではっきり書いておいていただきたいと思うのです。
○益子委員 難病に関する調査研究の○の所に、「各疾病の実態や自然歴を把握し」と書かれていますが、この委員会の中でも議論になってきましたが、継承者からの登録が議論になっていました。「継承者の登録は非常に難しい」という議論があったと思いますが、この「自然歴等を把握する」という所で、それをやる、それはこういう所に含まれると理解していてよろしいのでしょうか。
○前田疾病対策課長補佐 この「自然歴」で書かせていただいたのは、2の「医療費助成の方に対するデータ登録」という所もリンクしてきますが、軽い方も含めて登録できるシステムを作っていく中で出てくる成果だと思っておりますので、それを込めて記載させていただいたというものです。
また、患者のニーズに関しては、先生方に御意見を頂いたところですし、「そんなものは駄目だ」という話は特に頂いておりませんので、記載させていただく形でお預りさせていただきたいと存じます。
○福永副委員長 ほかにございますか。そしたら、また後で意見がありましたらお願いします。
次に、骨子案の7、8、9に入ります。7「難病の患者の療養生活の環境整備に関する事項」、8「難病の患者に対する医療等と難病の患者に対する福祉サービスに関する施策、就労の支援に関する施策、その他関連する施策との連携に関する事項」、9「その他、難病の患者に対する医療等の推進に関する重要事項について」、御意見や御質問はございますか。
○伊藤委員 7も私たちは大変関心を持っているところですがこれはたった2行だけで、骨子だけが書いてあるから具体的ではないと思うのですが、「地域社会において難病の患者を支えるネットワークの構築を図る」と書いています。これは書いてしまえば簡単ですが、実際はどのようなネットワークを構築するのかというのは大変難しい問題ですし、難病に関わっている医師、患者団体あるいは行政だけでできるものではなくて、様々なところを抱え込まなければならないわけですから、ここのところのイメージについて具体的なものがあれば、そういうものを書いていただいたほうが分かりやすいのではないかという気がしました。
次のページですが、4に「難病相談支援センターは職員のスキルアップに努め」とあります。これも私は再三発言していると思うのですが、スキルアップの前に、本当にひどい状況の中で、相談支援センターの方々は頑張っているわけです。この「スキルアップに努め」という前に、処遇の改善が必要だということはきっちりと捉えなければならない問題だと思います。「努め」だけを強調するのではなくて、国や地方自治体も、もしもこれを大事にと考えるのであれば、処遇の改善は書かなければならないこと、あるいは具体的に「処遇の改善」と書けないのであれば、また違った角度からでも、何か書かなければならないところなのではないかと思います。
それから、9にも「難病の特性、必要な配慮などについて理解を深めることができるよう、啓発活動に努める」とありますが、これも書いてしまえばこういうことなのでしょうけれども、具体的にどういう啓発をするのかというイメージがあれば、そういうイメージもここで書いていただければと思います。
あと、基本的な方向に関わることなのですが、1の3に、「進めるに当たっては、難病の患者、家族も、広く国民が参画することを基本として」となっています。そういう意味で言えば、今回の骨子の討議についても、もう少しまとまって書き直した後でも結構なのですが、患者団体への説明会あるいは意見を聞く会というのも、きちんと設けなければならないのではないか。それが「難病の患者、家族、医療従事者など、広く国民が参画することを基本とする」ということに直接結び付くのではないかと思いますので、この3点について御意見を伺っておきたいと思います。
○福永副委員長 いかがでしょうか。
○前田疾病対策課長補佐 3点ございましたうちの1つの、「地域社会において難病患者を支えるネットワーク」というところは、お題としては壮大だと思っております。壮大だと思っているのですが、具体的なものとしては、1個1個の積重ねだと思っておりますので、例えば相談支援センターの結果の充実も求められているところだと思います。予算上は、昨年度は増額させていただいて、今年度はその規模を維持しているという状況ですが、それを十分に活用していただいて、体制を整える、あるいは好事例という所は、今回の難病対策委員会でも御披露いただいたものが幾つかございますので、そういったものを我が町に当てはめたときに、どういう形でできるかという検討いただけるような情報提供を差し上げるとか、そういった要素だと思っております。
また、「以下」の部分にあるような、例えば患者会に対する強化、レスパイトのための体制整備というところ、幾つかの組合せが、最終的にネットワークの構築のキックオフになるのではないかと考えているものです。
続いて、スキルアップについてです。これは先ほど申し上げたような予算上の増額は昨年度実施させていただいているところですので、この執行状況、執行した中で何が変わったかというところ、患者に対してどういう新しいアウトカムが出てきたのかという話を集約させていただいて、引き続きどういう形で支援をしていくのがいいかという良循環ができればと思っています。
最後の啓発活動については、かなり御議論いただいているところですので、これは啓発ツールの開発というのは難しいところではありますが、今のRare Disease Dayだけではなくて少し普及啓発の機会。難病の医療費助成の話についても、GAPに御協力を頂いて、各ブロックで説明会を開いたりもしましたので、どういう形で普及啓発をさせていただければいいかということは、また御相談の機会を作っていきたいと思っております。
○伊藤委員 普及啓発の中で、Rare Disease Dayにも触れていただきましたのでいいのですが、rare diseaseだけではない難病対策でもあるので、何か前にいろいろな世間話のような、この委員会でも出たかと思うのですが、「難病対策の日」というのを作ったらどうかとか、それがいいのかどうかは分かりませんが、確か難病法が通った日のことを言ったと思うのですが、そういうのを作ったらどうかとか、いろいろなことものあったのですが、そういうような具体的な小さなことの積重ねみたいなものも考える範疇に入っているのかいないのかぐらい、お願いいたします。
○前田疾病対策課長補佐 伊藤委員のほうで、「Rare Disease Day以外に記念日ではないのですが、節目をしっかり認識してもらうために必要ではないか」という御意見は頂いているところですので、ほかの疾患でも普及啓発は苦労しているところではありますので、キックオフとしてふさわしいものを少しずつ御意見を頂いて、普及啓発というところは予算、事業化ということについては厳しい面もあるところですので、逆に理論武装をしっかりとさせていただいて、形にしていくことかなと思っております。「別立てで必ずやります」とお約束できるほどではないのですが、そういう形で進めていきたいとは思っております。
○福永副委員長 伊藤委員はアイディアが豊富ですので、是非。
○伊藤委員 そうではなくて、実際に患者会の中では、腎移植などの中でも「腎移植月間」とか「肝臓週間」といって、地域の中で、行政やいろいろなところが一緒になって街頭に出て訴えたりしているのがありますので、それも参考にということでお願いします。
○前田疾病対策課長補佐 例えばですが、難病の研究の発表会などでも、そういうのを発表しますと、研究者だけのマニアックなお話会のようにも見えるのですが、実際はその患者であるとか、患者の御家族の方々がお見えになって、相当積極的に御質問されたりしていますので、あれをもっと裾野を広げるような形でできればなとか、そういう機会を使って普及啓発というのも横にらみしながら進めていきたいと存じます。
○福永副委員長 いいアイディアだと思います。ほかにはいかがでしょうか。
○駒村委員 8、9で3つほどあります。1つは、8の○です。医療、福祉の後に、就労なども入れておいたほうがいいのではないかと思いました。
8は、これは余り議論がなかったのかもしれないのですが、家族に対する言及がもう少しあってもいいような気がします。8のどこかで、きちんと書いたほうがいいと思います。
9の○ですが、国民だけではなくて企業も、これは雇い主という意味での企業ではなくて、様々な民間サービスを提供する主体としても、難病の方に対しての配慮した商品といったものを考えてもらいたいので、「国民等」というとよく分かりませんが、「及び社会を構成するような組織」、「主体」というべきでしょうか、そこに国民も含まれると言われればそうかもしれませんが、そのように広く読めるようにしておいたほうがいいのではないかと思います。
○福永副委員長 ごもっともな御意見だと思います。いかがでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○小幡委員 今の駒村委員とほぼ同意見なのですが、今までの骨子案の中で、主に誰に要望するかというのが、それぞれのところであったと思います。医療従事者、介護福祉の方、今、企業という話も、広く国民の理解を深めていく中で、特に就労ということで企業の方には頑張っていただきたいということがあります。
7、8の辺りで、自治体、市町村、県など、いろいろなレベルがありますが、国がある程度のネットワークの仕組みを作り、あとは具体的には市町村にやっていただくとか、いろいろなところで、行政に求めるところがあります。
ここはやや乱暴な言い方をすれば、行政は本来は一番やってもらいやすいはずなので、このようにやるべきだと思えば是非具体化して、一番早く取り組むことが行政はできるはずだと思いますので、これは是非率先してやっていただきたいと思います。
それから企業です。特に就労については企業などに御協力を求めていく。最初にも申しましたように、そうすると国民全体に対して難病への理解を広めることが、一番の出発点かなと思います。
○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。
○春名委員 8の4と5の就労支援の部分です。ここは既に障害者雇用促進法が改正されて、平成28年度から施行される。それによって、障害者差別の禁止、合理的配慮提供の義務化がありますので、もう少しこの辺りを具体的に書けると思いますし、そのほうが医療、生活、就労の総合的な支援という共通認識がしやすいのではないかと思うのです。
具体的に言うと、4などは「事業主の理解を促進し、難病であること自体を理由とする就職差別の解消を図る」とか、具体的に就職差別というものがあるので、それの解消を図るということであるとか、5の「患者の職場定着支援に取り組む」という部分も、「医療と連携して企業内の安全配慮、合理的配慮の提供」とか、「及び体調悪化時の休職、復職支援の推進により、職場定着に取り組む」とか、そういう具体的なことがいえると思いますので、そういうところで共通認識を持てるようにするといいかなと思います。
○福永副委員長 その点、よろしくお願いいたします。
○本間委員 今の春名さんの意見に連動するのですが、もう少し進めて障害者の法定雇用率がありますが、今度から精神障害者が加わるのですが、難病患者もその中に入れる方向での労政審との連携、厚生労働省の内部で調整するという文言は入れにくいのでしょうか、視野に入れるとか、そういった形で。
労政審側では話は出ていますが、入る雰囲気は今のところはないですが。
○福永副委員長 いかがですか。
○伊藤委員 今のお話に付け加えてですが、いろいろな実態調査の中では、難病患者の場合は新たな雇用というよりも、いかに病気による退職や離職を防ぐかというのが大事だというか、そちらの数のほうが多いのです。
障害者の法定雇用率の問題でも言われているのですが、新たに採用する場合は法定雇用率の対象とか、いろいろな助成の対象になるけれども、既にそこで仕事をしていて、それから病気や障害になった人というのは、雇用率には算定されないのです。そうすると、病気を持った人、障害を持った人たちを抱えている企業としては、やりにくいことになるのでしょうか。そのようなことも考慮に入れた上で、雇用率の問題というのは課題になっていくのであろうと思います。既に雇用されている人は雇用率の対象にならないですよね。
○本間委員 なりますよ。
○伊藤委員 なる。
○春名委員 助成金の対象にはなりませんが、雇用率の対象にはなります。
○福永副委員長 恐らくそれはあるのではないでしょうか。
○日野疾病対策課長補佐 私の記憶ですと、雇入助成のような助成金の対象にはならないのですが、法定雇用率には算入されるという仕組みだったと記憶しております。
○福永副委員長 これは調べておいていただきましょう。ほかにいかがですか。
○益子委員 9だけ具体的なものがないので、先ほどの春名委員ではありませんが、難病の患者が自ら進んで障害を社会にディスクローズして、支援が求められる社会の構築を目指すとか、もっと具体的に書いていただいて、前回に目に見えない障害者版の何かがありましたが、デザインは余り気に入らなかったのですが、ああいうものの普及を目指すとか、何か具体的なものがあってもいいのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○福永副委員長 御検討いただきます。ほかにいかがでしょうか。
○葛原委員 7の5にあるピアサポートというのは、恐らく患者にとっては一番実感として役に立つことではないかと思うのですが、これは、ほかのところは国だと自治体だの国民だのというのが主語になっているのですが、これは「難病の患者、その家族は」ということから始まっているので、具体的には患者団体などにこういうことをお願いしていくということなのですか。もう少し頑張れという形なのでしょうか。
○前田疾病対策課長補佐 こちらに関しては、もともと先ほどの相談支援という一環の中で、スキームとしては一定程度の支援可能という形の仕組みになっています。
ですので、あとは制度論と実際に御協力いただけるのは地域によって異なるところもあると思いますので、実際にその利用状況等を把握させていただいて、どこかの県ではこういうところをうまくやっているとか、そういうことを御紹介していくという形で、患者会に無理に「どうだ」という形でいくものではないとは思っています。
○伊藤委員 これも前のほうにも「患者団体の育成」ということが書いてあったので、連動するのだと思うのです。必ずしも患者会に強制的にやれという話でもないし、人材の育成も必要なのですが、具体的に患者団体は様々な相談を受けていたり、人材を内部で育成するために様々な研修会を設けたりしていろいろやっているのですが、難病法ができるという過程と、自治体の財政が芳しくないというのと時期的に一致しているのか、むしろ患者団体が頑張っている相談会や、そういうところに付いていた自治体、公共団体からの助成金などが減らされてきている傾向なのです。傾向というかはっきりしています。
片方では、そうやって患者団体の活動に対する助成や援助が後退していながら、ここのところで「それは大事だよ」と言っても、余り現実的でないので、是非自治体が頑張って乗ってこられるような表現にしていただければ有り難いと思います。
○福永副委員長 そういうことでよろしくお願いします。ほかにいかがですか。
○本田(彰)委員 7の療養生活の環境整備に関するところで、例えば訪問看護、レスパイト、地域対策協議会という形で、いろいろな働き掛けの形、療養者に対する、医療者だとか、いろいろなサービスをどのようにやっているかというのが、かなりばらばらな形で出ている気がしたのですが、今地域包括ケアシステムの構築という考え方でいきますと、訪問看護の場合でも、ただお宅に行くだけではなくて、お泊まりしたり、通所したりというような、複合的な療養支援という形で、今後は進んでいくと思います。
そういう関係で見ていくと、それぞれの項目を1つずつ挙げていくよりも、地域で、自宅にいたり泊まりをしたりというような、複合的な支援を受けながら、地域の中で完結して、ずっと生活できる、継続して療養ができるというところを支援する意図での、それぞれの療養支援を位置付けていただけると、ばらばらになっているような地域での療養支援がもう少しまとまりのある形になるのではないかと思います。
○福永副委員長 その点もよろしくお願いいたします。ほかにございますか。
○春名委員 9の啓発活動に努めるという部分です。佐賀の難病相談支援センターのヒアリングでの例もありました。佐賀での啓発では、新聞連載などで理解を深めたり、シンポジウムを実施していろいろな理解を深めたりしているのですが、そこの新聞記者とか、シンポジウムの企画などで特に強調されているのが、「難病患者は何にもできない」とか、「支援が必要だ」とか、そういうステレオタイプな見方ではなくて、難病を持ちながらも生活をしている、社会で生活をしている人間なのだということが実例で分かるようにしましょう、ということが非常に強調されています。これは、障害者の支援で言われてきたことでいえば「Normalization」ということなのですが、難病患者の支援に関してもnormalization的なところも強調した啓発活動というのが重要なのではないかと思います。
○福永副委員長 最初の理念の所に、「地域社会で尊厳を持って生きる」ということがうたってあると思います。全体を通して御意見があれば伺いたいと思います。
○鶴田委員 保健医療、福祉、介護までを対象とするのであれば、福祉機器とか、そういう機器開発をどうするかも課題としてあると思います。課題とするかしないかを検討して欲しいというのが第1点です。
2点目は、3の1「国は医療提供体制の具体的なひな形について検討を進め、地方公共団体は地域の実情に応じて、必要な医療提供体制の構築を支援」と書いてありますが、今病床報告制度が始まり、地域医療ビジョンを来年の3月までに作る方向にありますので、それまでにある程度のひな形が示されないと、都道府県では難病対策の医療提供体制は組めないのかもしれないと思います。したがって、その点を考えて欲しいと言うのが、2点目です。
また、今の医療提供体制というのは、例えば救急とか、災害とか、精神科救急のように、重症度に応じて対応する体制と、疾病に着目した体制としては、がんみたいに患者が多い疾病では、都道府県拠点、国の拠点、地域の拠点病院とかがあります。、他に肝炎、エイズ、認知症の拠点病院はありますが、がん専門病院のような拠点病院は、ほかの疾病、今回の難病などではないと思います。
そうした現状を踏まえ、どういう形の核(拠点病院)を作るのかを示してもらわないと、県としては対応がしにくいけれども、現実的にそれはできるのかということになると疑問があります。
例えば静岡県で言えば、肝炎対策の拠点病院は幾つかあるけれども、それ以外の病院は協力病院として名前を出して、患者が選ぶような形です。だから、難病のように、これだけの疾患数があったら、どの病院も拠点病院として、どの疾患にも対応することは不可能だと思います。そうすると、どういう形で患者が病院を選ぶかは、かなり難しい気がしますので、その点にも配慮して、ひな形を示して欲しいと思います。特に回答は結構です。
○福永副委員長 あとで検討していただきます。よろしくお願いします。ほかに全体を通していかがでしょうか。
○葛原委員 医療体制の中には「相談センター」はあるけれども、「拠点病院」という言葉が1つも出ていないですよね。拠点病院というのは法律にあったか提言にあったか、とにかくそういうものがあったと思うのですが、その位置付けというのは、例えば難病の「医療の提供」に当たるのか、もっと後のほうに当たるのかは分かりませんが、以前には全体のポンチ絵にも出ていたような気がしたので、是非それを入れた形のものにしておいていただきたいと思います。特に、これだけ難病の数が増えて、しかも法律に書かれている難病というのは500、1,000とあると思うのです。だから、そういうものに関しては、診断というのはできるものも、できないものもありましょうけれども、大体1県に1つ、これは確か特定機能病院で、大学病院にはまずそれをお願いするということになっていたと思うのですが、それに関しても、「医療の整備」という中に入れる必要があると思います。
もう1つは、この前、東埼玉病院長の川井先生がおっしゃっていたことで、結局難病の患者はみんな東京に行ってしまっていて、動けなくなったら地域に帰ってくるので、その時点では遅いということです。それで、例えば今は大学病院や大きな病院に患者が集中しないように、地域の病院に患者を誘導するという形を厚生労働省はやっていると思うのです。場合によっては、難病の患者も全部東京に行くのではなくて、地域の病院に行きなさいという形の誘導をしないと、生活支援の準備ができないというのは、この前何名かの医療関係者がおっしゃっていたと思うのです。
そういうところは、好き勝手なことをやっていては駄目だということも、行政からある程度の指導は必要なのではないかと思うのです。
○福永副委員長 ついでに言えば、「難病コーディネータ」と「難病医療保健専門員」という言葉が消えているのですが、キーワードで言えば、先生が言われた「拠点病院」です。そういうのは議論があったのですが、この中には取り上げられていませんので、よかったらお願いしたいと思います。
○鶴田委員 拠点病院が消えた理由は、前回私が「拠点病院として成り立つのか」ということを言ったから、消えたのだと思います。いわゆる、がんの拠点病院とは明らかに違うし、その他の疾病の拠点病院とも違うと思います。従って、大学病院が対応するといっても、対応できるだけの医師も専門家もいないと思うので、難病センターぐらいの話にしかならないと思います。
医療のレベルをどう確保するかが大事だと思います。ただ単に、症状の軽い人の相談に預るレベルの医療は開業医の所でもいいだろうし、高度医療はどういう高度医療をするかによって、「こことここではこんな高度医療ができる」というようなことかもしれない。ある特定機能病院が対応できると言っても、全部の難病に対応できるかというと、それはできないと思う。その辺りを勘案し、どのように病院の役割を位置付けるかによって、書き方が違うのだろうと思います。
○福永副委員長 何かございますか。
○前田疾病対策課長補佐 これは先ほど御案内する際に、もう少し補足をすればよかったところです。もともと難病対策の提言のときには、ピラミッド構造で、3次医療圏に1か所作る、2次医療圏に1か所作る、専門病院を別に建てるという形で御案内していたところはあるのですが、一つ一つ疾患の状況を見ていきますと、希少な疾病であれば、最終的な診断も治療も、極めて専門的な所でやっている例もありますし、診断だけは専門の病院でやって、治療は比較的地域の病院でできるというケースもあります。非常に数が多くて、むしろ専門病院で治療するよりも、どうやって地域に戻していくかという形の課題が多い疾病もあります。前回の委員会の中でも、研究と絡めたような表現もありましたが、そういった御意見があったと承知しております。
ですので、拠点という形で、名指しで「この病院です」という前に、まず幾つかの疾病で、こういう医療連携体制が望ましいという形を構築した上で、そこが幾つかの疾患で、とある機能を持っている病院がキーになっているというところであれば、そのキーにふさわしい名前を付けるという順番が必要ではないかということで、今回は名前を設けた記載はしておりません。
同じような形でいくと、正に医療機関の連携のためのコーディネートということを考えると、今は一般的に医療機関同士の退院支援とか、その辺の強化は進めているところですので、例えば難病の幾つかの疾患で、通常の退院指導とは違う要素が出てくるのであれば、その具体的な要素をひも解いて、そういう能力にふさわしい方について、難病のうちの何々病のコーディネータだという名前付けをしていくという順番かというところがありましたので、今回は具体的な仮称は落として記載しています。
○千葉委員 私は、がんにも関わっていて、例えば私の大学の場合はがん拠点病院になっているわけですが、それに比べるとこちらの拠点というか、そういうものは非常に難しいというのを感じています。
例えば小児科の場合は、五十嵐先生がおられますが、基本的に小児科の先生方は全部診られるというスタンスでされておりますので、例えば子供病院とか、そういったような所が拠点病院になることは可能だと思うのですが、成人の場合は難病については非常に難しい。したがって、例えば神経疾患は非常に多いですが、それについては神経を専門としている病院が中心にならざるを得ないところはあると思うのです。一方で、その他の疾患について言えば、やはり大学病院のようなところがいいかと思うのです。したがって、分担するというのは非常に重要だとは思いますが、しかしながら、例えば大学なら大学が全部カバーするというのではなくて、ヘッドクォータ的な、オーガナイズするところはあって、ネットワークを作っていくというような、どういうやり方が最もいいのかというのはまだまだ検討の余地はあると思うのですが、そういうことが必要かなと感じています。
○福永副委員長 ほかにいかがでしょうか。
○春名委員 8の最初の○の所に、「難病であることを安心して開示し、就労できる環境」とありますが、「安心して開示し、治療と就労を両立できる環境を整備する」としたほうが、難病対策としての特徴が出るのではないかと思います。
○福永副委員長 その点はよろしくお願いいたします。そうしましたら、資料の議論としては一応終わりたいと思います。長時間にわたり、闊達な御議論をありがとうございました。本日までの御意見、御議論を踏まえて、次回の委員会で基本方針の案を検討していただきたいと思っています。そういうことでよろしいでしょうか。それではそのようにいたします。
事務局は次回までに準備をお願いいたします。
長時間にわたり御議論ありがとうございました。また、本日の御意見、御議論のほか、お気付きの点がありましたら、18日(木)の次回の取りまとめに向けて、事務局まで御意見を頂ければ有り難いと思います。今後の予定について、事務局から説明をお願いいたします。
○前田疾病対策課長補佐 委員の皆様方、ありがとうございました。先ほど福永副委員長よりお話がありましたとおり、本日の骨子について、お気付きの点がありましたら18日(木)までに御意見を賜ればと存じます。
また、本日まで、あるいは18日(木)までに頂いた御意見等を踏まえ、基本方針の案を早急に作成し、次回会議までに委員の先生方に何度か意見照会をさせていただき、案として会議に提出させていただきますので、御協力お願いいたします。
次回の難病対策委員会の日程等については、改めて御連絡させていただきたいと考えております。基本方針について、委員会としての御意見を取りまとめいただきますよう準備いたしますので、御議論いただき、御結論を頂けますよう、重ねてお願い申し上げます。
○福永副委員長 本日の難病対策委員会はこれで閉会とします。御出席の皆さん、ありがとうございました。
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