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2015年9月11日 第14回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課

○日時

平成26年9月11日(金) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 6階 専用第23会議室


○議事

○今野浩一郎教授 それでは少し早いですが、皆さんおそろいですので始めたいと思います。ただいまから「第14回中央訓練協議会」を開催いたします。本日お集まりの方々の御紹介については、お手元に座席表と参考資料1に出席者名簿がございますので、御覧いただきたいと思います。本日は経団連の高橋本部長が急用で御欠席ですので、お知らせいたします。また、事務局に新たに職業能力開発局の波積課長、松瀬企画官、職業安定局の松原訓練受講者支援室長が御就任になりましたので紹介いたします。

 それでは、まず冒頭に宮川職業能力開発局長より、御挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○宮川職業能力開発局長 職業能力開発局長の宮川でございます。委員の皆様には御多忙中にもかかわらず、本中央訓練協議会に御出席を賜りまして誠にありがとうございます。

 昨年の7月に職業能力開発行政改革検討チーム報告書として、新しい職業能力開発行政の姿ということがまとめられた件については、昨年12月の第12回中央訓練協議会においても御説明したとおりです。その中で、一体的な訓練計画の策定については、我が国の持続的な成長を支えていく重要分野である職業能力開発行政が、関係者間の緊密な連携の下で、今後より効果的に運営されていくための土台となるという指摘があったところです。昨年12月の本協議会において、今後、公共職業訓練と求職者支援訓練の一体的な訓練計画の策定を推進してまいりたいという旨、私から御説明させていただきました。

 本日は、公共職業訓練と求職者支援訓練の両訓練について、一体的な訓練計画の案を皆様に御議論いただきたいと考えております。なお、現在、国会において審議中の勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律の中で、職業能力開発促進法の一部改正が内容としてあります。その中で公共職業訓練の全国計画である「職業訓練実施計画」については、厚生労働大臣がこれを定めるに当たって、あらかじめ関係行政機関の長、その他関係者の意見を聴くとの規定が新設される予定です。本法律が成立された後には、中央訓練協議会を公共職業訓練に係る関係者の意見聴取の場としたいと考えておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。

 本日の協議会を終了すると、各都道府県の地域訓練協議会において、今月から来月にかけて、それぞれの地域ニーズを踏まえた訓練計画の策定、それから、公的職業訓練の総合的かつ効果的な運営の在り方について御議論いただくことになっております。本日は、全国の地域訓練協議会における議論の方向性をお示しいただくこととなりますので、様々な見地からの御意見を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。

○今野浩一郎教授 ありがとうございました。それでは、議事に入ります。お手元の議事次第を御覧ください。本日は3番目の「平成28年度全国職業訓練実施計画の策定方針について」を中心に議論いただければと考えております。その前に報告事項ですが、議題の(1)(2)について、事務局から資料の説明をしていただき、意見交換をしたいと思います。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 資料1を御覧ください。1つ目の報告事項です。平成28年度の概算要求についてです。1枚目は公共訓練からはじまり、2枚目の黄色のセルの1つ上が求職者支援訓練といった構成です。まず1枚目の公共訓練全体についての説明です。右端の1番上、括弧書きが本年度の予算規模です。訓練予定は、本年度は30.4万人、それに対して来年度は30.0万人を予定しており、受講生の実勢に合わせて若干の減少という設定です。

 次ページです。求職者支援訓練については本年度5.4万人ですが、こちらも減少傾向が続いております。平成28年度は、3.8万人の設定で概算要求をさせていただいております。

 続いて、ポンチ絵が3つありますが、これは、いずれも公的訓練関連の予算の主なものです。ここでは一番下を御覧ください。これまで公共訓練においては、子育て女性等を念頭に置きまして、短時間訓練コースや託児サービス付きの訓練を実施していましたが、来年度は、これを求職者支援訓練についてもやっていきたいということでお願いしているところです。

 これは求職者支援訓練の制度にかかるもので、審議会において議論を始めていただいているところですが、予算の枠取りの関係で、あらかじめ概算の中に盛り込んでいます。

 資料2は、現在、御審議いただいている「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案」です。下の職業能力開発促進法の一部改正の部分ですが、当局の所管について簡単に御説明申し上げます。1つ目はジョブ・カード、つまり職務経歴等記録書です。今般、初めて法に書式の様式を定める旨を記載し、その普及に努めることを国の責務としております。また、キャリアコンサルタントの登録制も法定することとしております。先ほど、局長の御挨拶の中にありましたが、職業能力開発促進法の第15条の8に新たに第2項を付け加えて、公共訓練の計画についても、あらかじめ関係者の意見を聞いて策定する旨を追加することを予定しております。以上です。

○今野浩一郎教授 それでは、御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。

○小林信労働・人材政策本部長 概算予算、今年のことはいいのですが、長期的に見て、現在、雇用情勢自体は非常に良い状況にあり、訓練施設の受講者は、予算上も若干減少しているような形になっています。こうした時期に訓練施設の充実として、修理や耐震の見直しをしていただきたい。

 一番感じるのは総合大学校です。相模原から小平に移転して、施設が非常に狭くなっています。機構自体の5か年計画があると思いますが、その5か年計画の見直しと合わせてでも結構ですが、総合大学校の施設の在り方、改修の在り方とか、その辺のものを見直していただければ有り難いと思います。これは要求でございます。

○今野浩一郎教授 ありがとうございました。

○新谷信幸総合労働局長 関連して申し上げます。今、小林委員の御発言がありましたが、私も全く同感です。やはり総合大学校の担う機能、特に「ものづくり」を中心とする職業訓練指導員育成という、正に先生を育てる所ですから、是非これは拡充に向けてご検討をいただきたいと思います。確かにおっしゃったように、以前は橋本にあった施設を全部、今は非常に手狭な小平に押し込んでしまっているので、教員の方もお気の毒ですし、学生も気の毒な状況になっています。是非、長期的なプランを立てて、拡充の方向で検討いただきたいということを、私からも申し上げたいと思います。以上です。

○今野浩一郎教授 ありがとうございます。お聞きしておけば良いと思いますが、何かありますでしょうか。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 御指摘ありがとうございます。総合大学校については、平成22年度の閣議決定に基づき、平成25年度から施設の集約を始めまして、現在の小平キャンパスに集約されました。しかしながら、委員の御指摘のとおり、職業訓練の円滑な実施のためには、訓練施設の充実が十分に整っていることが重要であるということは我々も認識しておりますので、これから我々も具体的に考えたいと思っております。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。それでは、次の議題に入ります。本日のメインテーマです。先ほども申しましたが、平成28年度全国職業訓練実施計画の策定方針について、事務局から説明をお願いします。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 お手元の資料4-1から枝番が振られているものまで、まとめて御説明いたします。まず資料4-1です。冒頭、局長から御紹介があったとおり、今回の協議会から公的訓練、すなわち公共訓練と求職者支援訓練を併せて御議論いただくことにしております。資料45ページを御覧ください。これは昨年度まで御議論いただきました求職者支援訓練です。変更点を申し上げます。2は基礎と実践の割合です。来年度は基礎コース、実践コースを、それぞれ50%にしたいと考えております。これは後ほど御説明いたしますが、実績が基礎コースが伸びていまして、実践コースがやや縮小基調にあるといった実勢を反映するものです。

 3は、実践コースの中の主要分野の内訳です。これについては、かねてより地域訓練協議会から可能な限り自由度を求めるという要望が出されてきたところです。今般、どこまでそれをお認めするかということを事務方で考えましたが、やはり主要分野と設定してきたものは引き続き残したいということで、下限を残し、上限を外すことにさせていただきました。主要3分野の上限を外すことに伴いまして、その他の分野についての55%程度という条件も外しています。4は上限値ですが、これも後ほど説明いたします。基礎コースについては、新たな新規参入の要望が非常に強くなっております。その実勢に照らした見直しを行いたいというものです。それでは、1ページに戻ってください。

 公共訓練の部分です。これは現行の全国職業訓練計画を左に来年度分を右側です。現行計画では、政策目標値、求職者支援訓練にも公共訓練にもあるのですが、計画の中には、この公共訓練について目標値を入れてなかったものですから、それを入れたいということが1点です。したがって、各訓練の種類ごとに冒頭の目標値の所が新たに加わっています。

 2の訓練内容ですが、公共訓練について、現在、委託訓練についての記述から始まっておりますが、施設内訓練の記述から付け加えるというものです。そして、右下の「ひとり親」の所に下線を付しております。本年828日に「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」が打ち出され、公共訓練の中で託児サービスや短時間の訓練をすることもこのパッケージに含まれていることから、この記述を追加しております。次ページは、以下、現行の公共訓練の計画を置いたものです。就職率を定めてあるものについてはそれを付け加えております。

4ページの障害者訓練の一番最後ですが、平成28年度予算においては、障害者訓練の中でもこれまで高い実績を出してきている実践能力修得コースを拡充する方向で予算要求をしております。これに伴う記述の追加です。

 資料4-2です。現在、審議会において求職者支援制度の在り方について御議論を始めていただいているところです。これが98日の分科会でお示しした資料です。全体は御説明できませんが、あらましを御紹介いたします。1617ページを御覧ください。

 見直しの論点を大きく4つ提案させていただいております。1つ目の○は、訓練カリキュラムの在り方です。昨今、早期就職を求める求職者、受講生のニーズは非常に強くなっておりますので、これに対応するカリキュラムの在り方。2つ目は、育児等でキャリアを中断した女性等、一定の社会人スキル、職業スキルを既に持っておられる方については、従来よりは、もっと短期のカリキュラムでも対応できるのではないかというものです。3つ目は、他方、いまだに離転職を繰り返している非正規の方々にとって、より確実に就職に結び付けるようなカリキュラムの在り方ということです。

17ページは、2.女性の活躍促進です。育児等でキャリアを中断した女性が、より訓練を受けやすいような環境整備、これにはどのような配慮があるかという論点です。3ですが、全国的に人手不足感が非常に強い建設分野について、求職者支援訓練で何か対応できないかという問題意識です。4は訓練実施機関の確保の問題です。

 次に資料4-3に行きたいと思います。計画を御議論いただく際の中心の資料になると思います。3ページを御覧ください。公共訓練、求職者支援訓練の実績です。一番右端の就職率です。上のほうに公共訓練の離職者訓練、政策目標は皆さん御存じのとおり、施設内においては80%、委託訓練においては70%と、現在、いずれも目標値をクリアしているところです。下の求職者支援訓練については、基礎コース目標55%、実践コース60%ということで、現時点では、やや下回っていますが、下の注書きの※1を御覧いただければと思います。平成26年度については、平成2610月末までに終了したコースということになっております。また、雇用保険適用就職率ですので、従来お示しした就職率よりも低くなっており、年度末までいくと、これが上がってくるのではないかと期待しているところです。次は都道府県ごとの内訳ですので飛ばします。

8ページは、分野ごとの実績です。下から2番目の介護系ですが、施設内90%、委託83%ということで、いずれもその目標値を10%ポイント以上上回っています。これが一番就職率としては高い分野です。上から23つ目の建設系、製造系については、いずれも目標をクリアしています。それに続く事務系、情報系については、委託訓練においては70%をいずれも超えていますが、施設内では若干目標を下回っているところです。続いて、求職者支援訓練に関するデータです。これは昨年までお示ししているデータ傾向とほとんど変わりありません。

 今般の枠の設定等に関連する部分について御説明申し上げます。13ページ、基礎コース、実践コースです。黒い網掛けの所が3ページで御紹介した今般から御紹介する雇用保険適用就職率に基づく就職率です。その右にあるのが、従前お示ししていた就職率です。平成26年度については、引き続き高い数値となっています。

14ページです。枠の設定に当たっては、求人ニーズを我々も参考にしています。上が産業別、下が職業別の求人ニーズです。主要3分野は、介護、情報、医療事務となっていますが、上の産業別を見ると、医療・福祉分野が大きくなっています。また、下の職業別については、サービスの中でも介護サービス、一番左端の情報処理・通信分野に次いで事務分野等、こういったものが高くなっていることがお分かりいただけるかと思います。

15ページからは、それぞれの分野の応募倍率や定員充足率等の推移をお示ししております。御覧のとおり、平成26年度から年度が1つ更新しているだけですので、傾向が大体これまでと一緒だということがお分かりいただけるかと思います。

17ページ、これは求人ニーズではなく、実際に訓練がなされたその実績です。平成25年度、平成26年度と、ほぼ同傾向ですが、主要3分野、介護、医療事務、ITのほかに、営業・販売・事務というのも非常に多くなってきております。また、デザイン、美容といったものも一定の割合を占めています。

18ページは、分野ごとの就職率です。一番下の従前の就職率に加えて、その1つ上の雇用保険適用就職率が今般初めてお示しするものです。医療事務、介護分野は目標値の60%を超えています。それに続いてIT、営業・販売・事務が続いています。他方、5割を切っているのがデザイン、美容、その他となっています。

19ページです。先ほど新規枠について後ほど御説明すると申し上げましたが、下の表の新規枠の所を御覧ください。基礎コースについては、申請ベースで徐々にパーセンテージが上がってきていることが分かります。他方、実践コースは、横ばいとなっており、平成26年度については申請定員ベースで言うと、基礎が13.4%、実践コースで15.5%となっています。

 資料4-4です。1は現行の全国公共訓練の計画、2は求職者支援訓練の全国計画です。御紹介にとどめたいと思います。

 資料4-5は、本年度の地域職業訓練実施計画の一覧表です。これを見ると、それぞれのセルの下の所に括弧でパーセンテージがありますが、中には当方がお示ししている目安枠を若干ずれて設定しているところも出てきているのがお分かりになると思います。

 資料4-6は、毎回お示ししている地域訓練協議会で出された意見です。これは各地域の事情とか、その発言の前後の文脈なども見ないと、意味の通りにくい発言もあり、前回より発言全体の傾向をまとめて最初の1枚目にその概要をお付けしています。大きく4つのグループをお示ししております。1つ目、周知の在り方についてです。概してハローワーク以外の場面でのその周知を強化すべきではないかというものがあります。2つ目は、地域それぞれですが、設定してほしい訓練科目の要望です。3つ目は、現在、御議論いただいている制度見直しにかかる意見です。例えば、建設関係・介護分野での人手不足に対応してほしい。女性への配慮をしていただきたい。電話のかけ方等のビジネスマナーの訓練科目を強化してほしい等々です。4つ目は、より自由度を持った計画を定めさせていただきたい等々、その他の意見です。以上です。

○今野浩一郎教授 全体の総括表は、表4-1になります。ここで幾つかの論点及び今年度の計画の変更点について記載がありますので、その論点を主要な変更点ごとに取りあえず議論させていただきます。それで足りない部分はまた別途皆さんから提案していただき、議論したいと思います。まず、公共訓練の離職者訓練です。そこにおいて、特に推進すべき分野について変更があります。これは資料4-1だとどこに当たると考えればいいですか。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 1ページの2を中心です。

○今野浩一郎教授 これについてはいかがでしょうか。

○関口正雄常任理事総務委員長 少し先の資料の見直しの論点にも関わってしまうのですけれども、人手不足分野における訓練ということで、特に建設関係の所がいつも話題になっています。以前にこの席で、専門学校はそちらの分野の協力はできないのかという御質問がありました。その時は現状ではなかなか難しいとお答えしました。その後ずっと気になっていて、建設・土木関係の専門学校の人と、そんな観点で話をしました。

 建設を中心とした工業系の専門学校の集まりというのは、私どもの団体の発足の有力団体として40年以上続いています。全国にいるその協議会の実務担当者は、カリキュラムであるとか、どういうコース設定機関がいいのかということを、それぞれの地域や現場のニーズを知っていますので、彼らと打合せをする機会があれば、私などが間接的にお伝えしたりお話をするよりも現実的なプランが出てくるのではないか。これは、情報処理や介護についても、同様の分野別の団体がありますので、もし可能ならば、そんな検討を研究会みたいな形でしていただけたらいいのではないかという提案です。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 求職者支援制度については、審議会で議論していただいています。その御議論の結果、制度見直しということになって、ある程度次なる在り方の中で設定すべき訓練とか、モデルカリキュラムを設定しなければいけないということが出てくるかと思います。そうしたときに、委員御提案のように、実務者から御意見を頂くことはあり得ると思いますので、それは検討していくように、JEED、機構にも伝えてまいりたいと思います。

○今野浩一郎教授 他にこの点はよろしいですか。それでは、事務局案どおりにさせていただきます。次は、求職者支援訓練についてです。資料4-14ページで、基礎コースと実践コースの割合を変更しています。4ページの5の求職者支援制度の2になります。基礎コースと実践コースの割合について変更したいというのが事務局案です。この点についてはいかがでしょうか。

○新谷信幸総合労働局長 資料4-1に変更割合が書かれています。その一方で資料4-217ページに「訓練実施機関の確保について」という論点が記載されてあります。私の聞き間違いでなければ、基礎コースへの新規参入のニーズが高いとお聞きしました。その一方で資料4-217ページには、「訓練実施機関の撤退が特に地方部で進んでいる」旨の記載があります。今の説明と、この記述との関係はどのように読めばいいのかを教えてください。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 説明がちょっと雑で申し訳ありませんでした。資料4-217ページの4ですが、これは具体的には求職者支援訓練を実施していただく訓練施設が全国的に減少傾向であるのですが、特に実践コースについての減少の割合が大きくなっています。基礎コースも、新たに入っていきたい、要するに増やしたいというニーズも一方でありますので、それを判断いたしました。また、予算規模を全体的に絞ってくる中で、小さな県において、例えばその割合を3割とすると、非常に規模が小さなものになってしまいますから、それを緩和する意味もあります。説明が至らなくて申し訳ありませんでした。

○新谷信幸総合労働局長 求職者支援制度自体は、別途、職業能力開発分科会のほうで見直しの論議が始まっています。特に重要な訓練を実施していただく機関がないと求職者支援訓練は実施できないわけです。これは訓練実施機関にとっては、冒頭に説明のあったような公共の委託訓練を実施する所と、求職者向けの訓練を実施する所は重複してくるのだと思います。それは要件がそれぞれ違っていて、求職者支援訓練の場合は撤退条項などもあって、かなり結果が厳しく問われるということであるからだと思います。

 訓練実施機関へのお金の流し方はそんなに遜色はないと思うのです。本日は訓練を実施される方がお2人お越しになっているので、もしその辺の2つの訓練を、事業としてみれば委託されるときに、公共の委託訓練で実施されるか、求職者支援訓練のほうで実施されるか、事業として見たときの魅力といいますか、あるいは難しさというのを、もし何かお聞かせいただけるものがあれば、参考にお聞かせいただけますか。

○関口正雄常任理事総務委員長 専門学校の場合は、本体の授業は2年課程が中心ですが、3年課程もあります。そちらで校舎を使っていることがありますし、基本的に校地・校舎は自前のものでなくてはいけないということですから、投資をしてやっています。そうすると、何とか委託訓練、あるいは求職者支援訓練にお応えしようと、あるいはそういうところまで広げていこうという学校側の意図があった場合に、校地・校舎のうち、特に校舎、施設をどうするかといったときに、新たに借りてそういうものをやるときには、またそこで投資が必要になります。集まり具合はこちら側の努力もあるわけですけれども、そういう投資を回収できるだけの基本的な単価等については、全体的に厳しいという実感を持っています。

 つまり、そこで大いに剰余金が出なくてもマイナスにはならない、少し次へ投資できる程度の剰余金が出るぐらいの見通しが立てば、積極的にやっていく。現状では、地方を中心に、こういうことを言うのもなんですが、18歳人口の減少とともに、校舎に空きが出てきたのをそのままにしておくよりはということで、申込みをさせていただいているとか、活動している所が対応しやすいといった事情もあります。逆に言えば、地方でも大都市でも、有力で現に活発にやっている所については参入しにくくて、少し活動が不活発になった所はむしろそちら側にという現象になっています。単価的については、もう少し投資魅力のあるものという観点からの改善があるといいという点が1つです。

 それから、専門学校は技術や技能を教えることにプラスして、今は就職させていく。そのために必要なキャリア教育的な要素も、専門的教育の中、あるいは独立した学科としてやっています。先ほど転職を繰り返す人のお話がありましたが、専門学校では、職業人としての意識とか、キャリア教育的な諸能力ということを合わせた教育の上で就職をさせています。そういう機能を生かしてということになると、専門学校は今は2年課程が主流ですから、職業訓練もできるだけ長期のほうがよい。就職活動をするに際しても、それは後半のほうからできるというようになります。現在の専門学校が持っている機能を、可能ならば生かしていただく、少し長期を考えていただければ、それが十分できる。これがその2です。このお金の面と、期間の面と両方が、我々サイドからの素直な感想です。

○森信介専務理事・総務委員長 御紹介があったとおり、私ども事業者としても単価的なところです。事業者としては、訓練を継続的に行っていくことで、質の高い訓練を維持していきます。体制にしてもそうですし、講師にしてもそうなのですけれども、そのためにはある程度の単価があることによって、毎年継続して提供していって、そこで様々なノウハウを全国各地で蓄積することもおのずとできます。私ども会員の中には、全国で訓練施設を提供している所がありますけれども、そういう所での継続性を維持するには、御意見があったとおり単価的なところがあれば、おのずと継続的に、どのような雇用情勢になっても、安定的に提供していけるということではないかと思っています。

○今野浩一郎教授 新谷さんの御質問に関連してですが、今回の変更点の50-50にするのはいいかということですか。特に新谷さんが問題にされているのは、求職者支援制度と委託訓練との間が、ビジネスで言うと競合関係になっていて、サービス提供者は一緒で、どっちかで行くぞという競合関係になっている。一般論で言うと、両方をちゃんと視野に入れた総合的な視点で政策を作ってくださいということだと思います。それは分科会の仕事ですよね。

○新谷信幸総合労働局長 そうです。

○今野浩一郎教授 ここの仕事ではないですよね。

○新谷信幸総合労働局長 はい。

○今野浩一郎教授 そういう意見があったということです。新谷さんは、分科会のメンバーでしょう。

○新谷信幸総合労働局長 そうです。

○今野浩一郎教授 それでは、頑張ってください。

○新谷信幸総合労働局長 はい。

○今野浩一郎教授 他にはいかがですか。

○新谷信幸総合労働局長 先ほど、新たにデータを提供していただいた雇用保険就職率のデータが資料4-318ページに掲載されています。これが、今回初出の資料になります。従前の就職率で見てきたものと、今回の雇用保険就職率を見たときに、かなり違う様相というか、新しいファクトの発見があるのではないかと思うのです。従来の就職率とのギャップの大きい所が結構あります。特に美容とか、デザインという所はかなりギャップが大きくて、美容では従前の就職率の半分以下になってしまっています。この要因として、雇用保険の被保険者資格である週の労働時間とか、雇用の見込み期間というのが要件としてありますけれども、なぜこういうギャップが出ているのか、もし分析ができてれば教えてください。

○今野浩一郎教授 今の論点は、私の計画からすると、次の重点分野をどうしようかのところで議論したいと思っています。取りあえず、先ほどの基礎コース50、実践コース50を片付けてからそこに入りたいと思います。この50-50については、事務局案でいいですか。

○小林信労働・人材政策本部長 先ほどの説明では、基礎コースのほうはいろいろな研修支援機関が新規で参入しているが、実践コースでは充足率に満たない所が多いのだと思います。これは、研修機関の問題なのか、それともそのコースに派遣するハローワークの問題なのか、両方あると思いますが、充足するための問題や研修機関がそのコースを設定したが定員に満たないなど様々な問題がある。

 それぞれ各地域の実情、研修をする施設、学校の問題、ハローワークの問題があるため、これは50%ずつの割合でもよいのではないでしょうか。ただ、基礎コースを受講すれば就職できるという問題ではないと思います。一番いいのは、先ほど言っていたように、長期間の研修をした上で、それぞれの専門分野のいろいろな知識を得て、それぞれの専門分野に合った形の教育を受けた人間が、受け入れるほうとしても有り難くその研修の受講者も自信を持って行けると思います。

 その辺は、地域の実情に合わせて検討していただいて大いに結構です。それぞれの地域が決めた以上は、基礎をどれだけにするとか、実践をどれだけに決めたというからには、それぞれ地域のニーズもあるのでしょうが、もっと協力体制として、送り出す側のハローワークや研修機関も、こうした分野で、もっとこういう人材を育てて、地域でもこういうニーズがあるのだとか、そういうのを十分検討した上で、それぞれの実践コースの比率を決めていただきたい。

 基礎コースは、IT関係の基礎の研修が多いと思うのです。どこの研修機関でも実施できる。専門学校でもいろいろな専門学校があって、IT系の教育というのは必ずやります。どこの専門学校でも、どんなコースでもIT系の教育はやると思います。それを、新規のいろいろな研修機関の参加の条件として、従来から実践コースや基礎コースを実施していると思います。施設が余っているので実施しているところもあります。研修機関というのは、それぞれの地域でそんなに多いわけではないです。数が多くあるわけではないので、そのバランスも見ながら、新規参入も考えて、それぞれ決めていただければいいと思います。これは、中央でどうのこうのという話ではないのだろうと思っています。

 従来、30%と70%にしていた理由というのは、新規参入を減らしたい、しっかりやる所にしっかりやってもらいたいという理由があったと思うのです。過去にそのような経緯があって、それに変わりはないのです。50%ずつであろうと、30%と70%であろうと別に構わないのではないかという気持ちはあります。

○今野浩一郎教授 小林さんがおっしゃられたように、ハローワークの対応の問題とか、訓練機関の問題とかいろいろあると思います。今回一番大きいのはマーケットの問題で、市場がグーッと良くなって、求職者支援の規模をグーッと小さくしたときにどうするかということの対応の1つだと思うのです。そういう意味では状況が変わってきたので、極端に言うと、そういう新しい状況になったときにどうするかについては、何か新しい問題を考えなければいけないのかもしれないと思います。

 特定の地域だと、どういう地域を想定するかですが、全体的に規模の小さい地域だと、30-70でやると基礎コースが全然設定できないような問題も起きるかもしれません。ある一定のサイズのときはいいのですけれども、縮小してくると。取りあえずそういう問題を考えて、今回は事務局案として50-50ということだと思います。そういう新しい状況になったときに、この比率の問題をどうするかということは、私たちは取りあえず50-50にしておいて、これで実績を見て、それがまた問題だったら、設定の仕方をどうするかを来年考えるのが一番いいのかと私は思っているのですが、言いすぎかな。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 委員、御意見ありがとうございます。50-50と示した上で、各地域訓練協議会で、例えば40-60にするとか、45-55にするというようなことはあり得べしだと思っています。そういうことを明記して各地域に通知するのは可能かと思います。正に地域の実情に応じてです。

○小林信労働・人材政策本部長 過去は、マーケットが大きいというわけではないですけれども、求職者の人数が多かったのです。今ここに来て受講生も減っている。こういう景気の状況で就職しやすい環境があったこともあると思うのです。前は数が多かったので、基礎もそれだけのパイがありました。基礎的な習得をする必要な人数というのが、基礎コースの対象者はこれだけあるのだけれども、それだけのパイがありました。なおかつ、実践的なコースで、介護、情報、医療の分野で求職のニーズも多いし今も変わりはないと思うのですが、勉強してもらいたい方を受け入れる素養が、それぞれの地域にもあったのだと思いますが、今はどうなのか。

 求職者の予算も減って人数も減っている中で、基礎を増やしたほうがいいというのが多分考え方なのでしょうね。

○今野浩一郎教授 いろいろな考え方があると思うのです。例えば、30-70でセットしておいて、これはめどですけれども、全体が小さくなってきたときに、30の基礎はなくなってもいいような状況を我々は適正と考えるか、全体サイズが縮小していっても、最低のボトムラインというのがあって、それは基礎コース、実践コースでもあり得るかもしれませんが、それはちゃんと維持することを考えておかなければいけないという考え方もあるし、幾つか考え方があると思うのです。ですから、サイズが小さくなったときにどういう考え方が一番適切かということだと思うのです。

○新谷信幸総合労働局長 今野先生にまとめていただいたので大分理解が進みました。確かにマーケットは縮小していると思います。かつて基金訓練から始まったときに、ゆるゆるの要件で一気に多数の事業者が参入してきて、その後に大分淘汰が進み、かつ、雇用の状況も良くなってきているので、デマンド側のマーケットも小さくなってきているのもよく分かります。30-7050-50でいいのかという判断要素については、30-7050-50で適正だという判断を検証するデータはないと思います。おっしゃるように実施してみて、どういうことが起こるかを検証する方法があります。これは、マーケットが縮小したときに、サービス・プロバイダー側の訓練機関のニーズと、ユーザー側のニーズとどのように図っていくのかということを検証するものです。

 もちろんそれは受講者のニーズだけでは駄目で、最終的には就職につなげなければいけないので、本人がこんなことをやりたいと言っても、それが就職につながらなければ、訓練を受けていただく意味が大分減ってしまいます。そういう意味では就職率をにらんだ、サービス・プロバイダーのニーズと、受講者のニーズをどうマッチングさせていくか。いろいろな変数がある中で、この50-50というようなものが決まってくると思うのです。その観点から検証するためのデータがなければ、来年検証する際に、また同じ論議がなされるのではないかと考えられます。

 いろいろな所でデータを出してほしいというお願いをしているのですけれども、例えばハローワークでもキャリアコンサルタントなどが絡んでくる。受講者にどのようなニーズがあって、かつサービス側のニーズがあって、いろいろな受講者が来られる中で、それぞれ基礎コースを受講される方と、実践コースを受講される方の扱いの違いとかいろいろなものがあって、基礎のほうをやりたいと多分おっしゃっているのだと思うのです。したがって、その辺がもう少し分かるようなデータをこの1年をかけて取っていただきたいと思います。来年にはこの協議会を法の裏付けに基づく協議会に格上げするということですから、もう少しデータに基づく論議をしたらどうかと提案いたします。

 私は間もなく退席しなければなりませんので、もう1点だけお願いします。マーケットの問題について、先ほどの地方の意見が出されている中で、やはりハローワークに来て初めて求職者支援訓練の存在を知るという、情報が入ってくる経路はハローワークが接点になっている模様です。この制度は国民的に本当に知られているのか。特に74万人もおられる1年以上の長期失業者で、ハローワークに来られていない方だけを対象に訓練をしていただいても、労働市場に戻っていただく方のマーケットは結構あると思うのです。したがって、そのようなマーケットの開拓をどうしていくのか。確かにマーケットは小さくなってきています。そのような場合、ユーザー側のマーケットの開拓をどうするのかというのは、普通、民間企業ならば考えることなのです。

 それは待ちの姿勢ではあってはなりません。ハローワークに来る求職者だけを待っているのではなくて、手を差し伸べなければいけない長期失業者を含めて、どのようにアプローチしていくのかも行政側で考えなければいけないと思っています。それも、是非検討していただければと思います。

○関口正雄常任理事総務委員長 新谷委員からデータを取ってというお話がありましたけれども、そのときにずっとお願いしています受講者プロフィールに基づいた分析も是非、加えていただきたいと思います。ハローワーク等の情報発信のお話もただいまありましたが、そのときに受講したらどういうゴールなのかについて、よりはっきり示すことが必要です。例えば先ほどの建設などでも、地方協議会の意見にもありますが、単純労働者ではなくて、技術者を養成するというのなら、今、レベルが単純労働者でもすごい1日の日当なのです。ですからそういう人たちがわざわざ技術的なものを勉強したときに、その間に例えば3か月なら3か月職を離れるわけです。その結果、今もらっている日当、年収水準のどのくらいのところを目指せるのかということが明確にないかぎり、単純労働者、あるいは今そういうところを目指そうかなと思っている単純労働者でいいやと思っている人が、より高いところを目指すことはないと思います。受講結果がどうなるのかをより明確にしてアピールすることも併せて必要ではないかと思います。

○小林治彦産業政策第二部長 私も今の意見に大賛成ですが、新谷委員から話がありまして、この制度自体が実態として、主婦の方であるとか、離れた方というのが本当に分かっているのでしょうかということをまず最初に議論すべきではないかと思っています。目標を決める以前の問題として、その制度を利用していくことを推進していくべきだと思っています。特に4-6の地方訓練協議会で出された意見で、スマホなども利用してPRしていったほうがいいのではないかという意見が多々出ていると思うのですが、この辺りを1回やっていただいて。公共職業訓練、求職者訓練という言葉自体が、多分皆さん分からないと思います。この辺りも少し改めて専門用語でなくて、分かりやすい言葉でやっていくことが、この人手不足対策につながるのかなと思っています。これだけの就職率があるわけですから、基本的にもっとPRしていけば良い制度につながっていくのではないかと思いました。以上です。

○今野浩一郎教授 今、新谷さん、ほかの方も含めて2つの論点がありました。1つの論点は先ほどから私が出している50-50の問題で、この問題ともう1つはもう少し広い、この訓練全体の進め方です。マーケティングはどうするか、認知サーベイはどうするか、政策効果をどう図るか。そういうことだと思うのです。

 まず、前者の問題、事務局の考え方は、やはりどの地域でも基礎については最低レベルは維持したいし、プロバイダーからのニーズ等も考えて、そちらの全体的な需要も大きいので、取りあえず今回は50-50にしておく。ただ、地域ではそれを踏まえて少し弾力的に40-60でもいいからやってもらうということでやろうではないかと。それを踏まえて一度やってみて、これは新谷さんの意見を踏まえているのですが、来年もう一度その結果を検証してみようと。そして、もし問題が多ければもう一度考えてみようということだろうと思いますので、この問題についてはその辺でいかがでしょうか。一度、事務局の考え方を踏まえて、一応我々としては理解して、結果を見るということにさせていただければと思います。

 後者の問題はもっと大きい問題ですが、司会者としてはここで議論することかという気持ちもあるのです。どこか違う所でないかという気持ちがあるのですが、どうでしょうか。我々のミッションですか。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 委員の皆様からかねてより御指摘がありましたので、現在まだ実現はしておりませんけれども、我々としては世論調査、あるいはハローワーク庁舎外での広報、周知の強化、こういったものについては何らかの形でやっていきたいということで、今、検討中です。

○吉永職業能力開発局総務課長 若干補足いたします。今、全体として様々な見直しを進めております。先ほどの資料の中の見直しの中で、例えば、訓練コースの見直しなど、全体の配分を変えていこうということもやっております。また広報についても、基本的な見直しのコンセプトは、求職者訓練の利用者が二極化しているのではないかということで、それぞれにターゲットを合わせた形のPRも必要ではないかと考えております。全体として更にどういう形でやっていくかがあるわけですが、現状においても例えば、非常に生活が難しい方、正に生活保護に近いような方については、福祉施設との連携を強化していく形で訓練の広報をやっていく。一方で専業主婦になられてしばらくして、そろそろという方もかなりいらっしゃいますが、そういう方にどういう形で情報提供するのか、なかなか難しいところですが、今年度については、例えば主婦向けのリビング雑誌の中で、訓練の特集を組んでいただく形などで、なるべくそういう方たちに訓練の情報が届くような形で取り組んでおります。また今後ともYouTubeの活用など様々なことをやっていきたいと思っております。正にどういう層が求職者訓練の対象なのかという辺りをうまくセグメント分析しながら、その方々に直接届くPRの仕方を十分に考えていきたいと考えております。

○今野浩一郎教授 いずれにしても大問題なので、もしこの問題を真っ正面から議論をするのだったら、別途違う場を設けてやる。時間も余りないですし、それがここなのか、分科会なのかは私は知りませんけれども、各委員から非常に重要な御指摘があったので、御指摘があったということを受け止めていただくことぐらいに今日はさせていただければと思います。

 では、次は先ほどから見ていただいている資料4-1、今の50-50の所のすぐ下です。求職者支援訓練において重点を置くべき訓練分野についての所です。これは実質上、上限を外すということですよね。そこが論点だということですね。この点についてはいかがでしょうか。その点に関連して、新谷さんはお帰りになりましたが、新谷さんの質問は何でしたか。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 4-3の資料の18ページ、デザイン、美容について、従来の就職率と雇用保険適用就職率の差が大きいのはどうしてかです。データに基づいてまだ詳細に分析してはいないのですが、これは全国のJEED支部に対してヒアリングを行いました。例えば、デザイン、美容であれば、実態としては店舗、事務所で勤務しながら雇用契約を結ばないような事業所が中にはあるというのが1つです。

 また求職者支援訓練は非常に女性が多く、半分は結婚している、配偶者のある方です。例えば103万円の壁を超えないようにアルバイトで入られる方が雇用保険の適用から外れるケースがあるのではないかというようなことが言われております。これは詳細な分析ではなく、今、ヒアリングをまとめるとそういう声があるということです。

○今野浩一郎教授 ここについて議論をしていただきたいのですが、この資料を見ていて私は思うのですが、上限値の問題とは違うのですが、重要3分野のIT、医療、介護のうちITだけが雇用保険適用就職率が悪いのです。重点と言っているのですが、これは何ですか。何かありますか。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 昨年までは恐らく81%という非常に高い。今回少し雇用保険適用就職率が低く、我々もぎょっとしているのです。実態としては地方ではデザインと言いましても、実際はウェブを使ったITに含まれるものが多くて、かつ求人ニーズも高いということで、これまで重点分野に入れていたと思われます。

○今野浩一郎教授 皆さん、御意見をどうぞ。

○関口正雄常任理事総務委員長 今の点ですが、美容は我々の就職指導の実感としても小さい店舗という所が多いです。そういう店舗を転々とすることが、調理師もそうですが、キャリアアップという性格も一部あります。受講者側の要因もあるかと思います。

 デザインに関しては、大きなデザイン事務所など、組織化されている所への就職は専門学校の2年課程、3年課程を通じて、キャリアセンターなり就職部がそういう所との関係の中で就職させるということでないと、きちんとした雇用関係というものは、短期のものではなかなかそういうことは難しい点もあるのではないかと思います。期間の問題が影響していると思います。

○今野浩一郎教授 先ほど事務局から説明があったことは、大いにあり得るということですね。

○関口正雄常任理事総務委員長 はい。

○今野浩一郎教授 いかがでしょうか、上限値を撤廃しよう、要するに柔軟化しようということですが。特にございませんでしょうか。重点分野のITが低いのが気になっていると議事録に書いてください。気になっていますので。それでは、この変更についても事務局案どおりということにします。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 分かりました。

○今野浩一郎教授 その次です。今度はすぐ下の新規枠です。基礎コースの上限を10%で、上限値を20%にしようという、この変更ですね。これは先ほどの変更と連携しているのですね。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 はい、連携しております。実態、引き合いと言いますか、申請のための相談に来る事業者さんの動向を見て、基礎コースについては上限値を上げたほうが地域が困らないのではないかという判断です。

○今野浩一郎教授 なるほど。いかがでしょうか。これはよろしいでしょうか。それではこれも事務局案どおりということにいたします。こちらが事前に想定した論点はこの辺ですが、それ以外について皆さんからこういう論点があるのではないかということがあれば出していただければと思います。

○堀有喜衣主任研究員 先ほどから論点の1つになっていると思いますが、今回事務局資料の4-238ページ、訓練実施機関の確保についてということで、資料をお示しいただいていますが、これを見て少しびっくりしました。本当に実施できる機関がなくなってしまう都道府県が出てくるのではないかと、一瞬思わされるようなデータが示されたわけです。今後も現行の形で進めていった場合に、地域において、本来であればユニバーサルサービスとして提供されるべき求職者支援訓練がきちんと提供し続けられなくなるのではないかという懸念が若干ありますが、事務局の考えをお伺いできればと思います。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 この資料4-2については、制度見直しということで分科会において御議論を始めていただいておりまして、分科会の委員の皆様も問題意識を持っていただいておりますので、何らかの解決策を導き出していただけるものと考えております。

○堀有喜衣主任研究員 これからの議論なのですよね。

○松瀬職業能力開発局就労支援企画官 今、議論していただいているところです。

○吉永職業能力開発局総務課長 若干補足させていただくと、今回、全国職業訓練計画を定めるに当たり、公共訓練と求職者訓練の計画を1つにまとめさせていただいた基本的な考え方は、地域における訓練資源について、今まで完全に別々に動いていて、片や都道府県で片や労働局が中心になってという形でやっておりましたので、地域の資源配分の最適化がなかなかできてこなかったのではないかということを、1つ課題として考えております。一本化することによって、地域の実情に応じて可能であれば、こういう形での公共訓練、こういう形での求職者訓練という、資源配分がトータルで出来上がることを期待しております。仮にそういう方向に行けば、求職者訓練が必要なものがあれば、公共訓練の資源を少し使うことなども、将来的な課題としては可能になるのではないか。短期的には困難な面もありますが、、私どもの課題認識としては、地域の訓練資源の最適配分というコンセプトの中で、こういうような計画は地域で展開できればいいなと期待しております。

○今野浩一郎教授 分科会ではそういう点も含めて、議論をされている、あるいはしていくということです。よろしいですか。それでは、今日は議論をしていただきありがとうございました。いろいろ意見も出されましたので、そういうことも踏まえて、来年度の全国職業訓練実施計画について事務局は更なる検討作業をしていただきたいとお願いいたします。

 用意した議題は以上ですが、全体を通じて何か御質問、御意見があればどうぞ。もう既に十分にお話になりましたでしょうか。よろしいですか。それでは今日は終了させていただきます。次回の開催ですが、来年1月を予定しております。別途、事務局から連絡をいたします。ありがとうございました。終わります。

 


(了)

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