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2015年9月11日 第88回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成27年9月11日(金)16:00~17:39


○場所

グランドアーク半蔵門 華の間


○議題

1.次回の診療報酬改定に向けた検討について 
2.平成28年度予算概算要求・税制改正要望(健康・医療分野)について(報告)
3.平成26年度の医療費・調剤医療費の動向(報告)
4.子どもの医療制度の在り方等に関する検討会について(報告)

○議事

○遠藤部会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第88回「医療保険部会」を開催したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 皆様におかれましては、御多望の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。

 まず、委員の異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。

 岩本康志委員が御退任されまして、新たに法政大学経済学部教授の菅原琢磨委員が就任されております。

 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。

 本日は、岩村委員、岡崎委員、柴田委員、福田委員、望月委員、横尾委員、渡邊委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、欠席委員の代わりに御出席される方についてお諮りをしたいと思います。

 柴田委員の代理として飯山参考人、福田委員の代理として山本参考人、横尾委員の代理として古田参考人の御出席につき、御承認いただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日は、まず、次回の診療報酬改定に向けた議論を行い、その後、平成28年度概算要求等の報告を受けたいと考えております。

 それでは、まず、「次回の診療報酬改定に向けた検討について」を議題といたします。

 また、委員提出資料といたしまして、「次期診療報酬改定の基本方針の検討について」に関する意見が望月委員から提出されております。本日は、望月委員は御欠席でございます。

 なお、この議題の参考資料として、前回の医療保険部会に関連する資料を、委員の皆様のお手元のファイルにまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。

 それでは、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。事務局、どうぞ。

○渡辺課長

 医療介護連携政策課長でございます。

 それでは、1点目の議題に関連いたしまして、お手元に本日お配りしております資料の資料1、資料2、参考資料1を御用意いただければと思います。

 まず初めに、私のほうから、資料1、資料2について御説明を申し上げます。

 次期診療報酬改定の基本方針の検討につきまして、前回、7月の部会では、今後の主なスケジュール感ということをお示しいたしまして、御了解いただきました。本日から、具体的な中身の御検討をいただきたいと思っております。

 初めに、資料1の3枚目、別添をテーブル席の方にはA3資料でお配りしてございますが、これまでの診療報酬改定の基本方針の骨格を先に御確認いただければと思います。

 この改定の基本方針でございますが、前回も申し上げましたが、平成18年度改定から社会保障審議会のほうで、まずは中医協の議論に先立って基本方針をつくることが決められまして、これまで5回、基本方針を策定しております。

 基本的な視点としましては、左のほうにございますけれども、「医療機能分化・連携の推進」から「効率化できる領域の適正化」までの4つの視点を基本的な視点ということで18年度改定で掲げまして、これまでの改定でも基本的にはこの視点が踏襲されてきております。

 ただ、時々の改定時の課題によりまして、例えば、平成20年度とか22年度のころはちょうど病院勤務医の疲弊等々が言われていたときでございまして、また、産科、小児科、外科等の医療の再建が急務であるということで、こういったことを重点課題として挙げた回もございますし、24年度改定は介護との同時改定でしたので、医療・介護の役割分担の明確化といったことをさらに重点課題として掲げている回もございます。

 また、前回平成26年度改定は、消費増税に伴う社会保障と税の一体改革という流れの中での改定でございましたので、そういった観点からの重点課題を掲げているということでございますが、基本的なこの4つの視点の骨格というものは継承されてきているということでございます。

 お戻りいただきまして資料1の1ページ目、最初の四角の中には、今、申し上げましたこれまでの基本方針の策定の経緯を示しております。

 こうしたことを踏まえまして、平成28年度の診療報酬改定の基本方針の策定に当たりましては、まずは改定に当たっての前提といいますか、基本認識として以下のことを考えるべきではないかということで、ここでは主に3つのことを掲げております。

 まず1点目は、超高齢社会における医療政策の基本方向という、基本的な哲学といった部分でございます。

 ここにつきましては、例として、これまでの基本方針でも掲げてまいりました、質が高く効率的な医療の実現ですとか、あるいは、国民皆保険の堅持、制度の持続可能性の確保、さらに社会保障国民会議の報告書などでもうたわれております、「治す医療」から「治し、支える医療」への転換等々を挙げております。また、前回のこの部会でも御紹介しました「保健医療2035」の提言といったことも踏まえつつ、この基本方向ということについて御議論いただきたいということが1点です。

 2点目の柱としましては、社会保障と税の一体改革の流れの中でもうたわれております地域包括ケアシステム、そして、効率的で質の高い医療体制の構築ということで、具体的には、昨年成立しました推進法を踏まえた対応ですとか、あるいは、次回28年度改定は診療報酬の単独改定でございますが、次々回は介護との同時改定でございますので、それを念頭に置いた介護報酬との連携といったことを例として掲げております。

 3点目は、経済・財政との調和ということで、本日もこの資料2に抜粋をつけておりますが、「経済財政運営と改革の基本方針2015」、いわゆる骨太方針ですとか、この診療報酬についてさまざまな形で政府のほうでも閣議決定文書の中で言及がございますので、そういった指摘事項への対応ですとか、あるいは、経済成長への貢献といった経済・財政との調和というこの点を基本認識として考えていってはどうかということでございます。

 2ページ目、ここが基本方針の骨格になっていくところでございますけれども、改定の基本的視点と具体的方向性についてということで、視点につきましては、先ほど御紹介しました、これまでの4つの視点をもとに「『視点』の例」ということで掲げております。この表現ぶり等々につきましても、御議論いただければと思いますが、まず最初の「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムを推進する視点」は、これまでの改定の基本方針でも挙がっておりますが、さらに今後の2025年ということを踏まえまして、地域包括ケアシステムの推進ということを明示的に視点に盛り込んだらどうかと考えております。

 具体的な「『方向』の例」としては、右にございますように、入院医療の評価、多職種連携の取り組みの強化、在宅医療・訪問看護、先般の医療保険制度改革法でも見直しを行いました外来医療の機能分化、チーム医療の推進等々を通じた医療従事者の負担軽減ということで、この「『方向』の例」につきましては、この後もそうでございますが、これまでの基本方針や、先ほど申し上げました骨太方針等々で指摘されている事項、さらに今、中医協で検証作業が進められておる事項なども参考に、たたき台としてつくっているものでございます。きょうも、またいろいろとこの例につきましても御議論いただければと思います。

 2点目の柱でございますが、「患者にとって安心・安全で納得できる効率的で質が高い医療を実現する視点」も、これまでの視点の中で掲げられているところでございますが、この例としましては、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、さらにかかりつけ薬剤師・薬局の評価ですとか、ICTを活用した医療連携やデータ収集の推進、さらに質の高いリハビリテーションの評価といった、疾病からの早期回復の推進ということを例として掲げております。

 3点目の柱は「重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点」ということで、特に個別の政策医療等も含めた領域で重点的に対応すべき分野ということで、ここでは、がん医療ですとか、新オレンジプランを踏まえた認知症対応、それから、精神医療、さらに難病につきましては、昨年、法律も通りましたので、これも踏まえた対応、救急、小児、周産期、歯科医療、さらに薬学管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化ですとか、イノベーションの評価といったことを例として掲げております。

 最後の4つ目の柱が「効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点」ということでございまして、方向性の例としまして、後発医薬品の使用促進ですとか価格の適正化等、退院支援等の取り組み等によります早期退院の推進、あるいは、残薬、多剤・重複投薬等への対応も含めました医薬品の適正使用の推進ということですとか、いわゆる門前薬局の評価の見直し、重症化予防、これまでも掲げられてきておりますが、医薬品、医療機器等々についての市場実勢価格を踏まえた評価ということで例を掲げております。

 この視点、具体的方向の例、いずれにつきましても、本日御議論いただくとともに、あわせて医療部会のほうでも議論をしてまいりますので、双方の部会の御議論を踏まえながら、またこれをさらに深めてまいりたいと考えております。

 資料2は、先ほど申し上げました骨太等々の中で診療報酬改定等に言及されている部分の抜粋でございます。

 続きまして、参考資料1につきまして、医療課長のほうから御説明申し上げます。

○宮嵜課長

 医療課長でございます。

 本日の議論の御参考にということで、参考資料1を準備させていただいております。

 具体的な検討の「視点」というものにおいて、それぞれ前回の26年改定でどういう対応がなされたのか、あるいは、最近どういうことが話題になっているのかということを、事務局のほうでピックアップして準備させていただきました。内容はすごく大部ですので、一部だけ抜粋させていただいたということで、資料の中身というより、構成を若干御説明させていただきます。

 1ページ、4つあるうちの1つ目「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムを推進する視点」ということで、2ページ、前回の改定では入院医療につきましては、7対1の要件の厳格化とか、地域包括ケア病棟をつくりました、あるいは、有床診の機能に応じた評価を行いました。

 実際にどうなったかということが3ページ、4ページでございますが、例えば、7対1の届出病床数は、近年、2万から3万くらいに増加していたところですけれども、4ページ、26年の改定の後は、2610月で約1万4,000床が減っていますとか、4月までにさらに約2,300床が減っています。

 5ページ、地域包括ケア病棟という新しい概念の病棟をつくりまして、考え方としては、ここにマル1、マル2、マル3というものがありますが、急性期からの受け入れとか、在宅・生活復帰支援、あるいは緊急時の受け入れを目的として考えた病棟でございますけれども、実際はどうなっているかというと、6ページ目を見ていただきますと、一番下のところで、27年4月の段階で約3万床という状況になっている。

 7ページ、どういう病床が減って地域包括ケア病棟がふえたかということを参考資料でつけております。

 8ページ、在宅の関係でございますが、在宅医療を推進するという観点から、後方支援病院を評価するとか、質の強化を図るとか、量的確保を図るためのさまざまな改定を行っております。

 9ページ、10ページを見ていただきますと、9ページは在宅療養支援診療所の届出数とか実際の診療の状況、10ページは在宅療養支援病院の届出数とか診療の状況についての資料を準備させていただいております。

11ページは、看取りの状況に関連する資料でございます。

 外来の関係で申し上げますと、12ページ、大きな流れとしては、一般外来とは診療所あるいは中小病院、専門外来を大きな病院という大きな流れで26年改定も対応させていただいております。

 大病院のほうは、13ページ、14ページ、医療保険制度改革のときに当部会で御議論いただきまして、13ページの上のところにありますが、最終的に28年度から紹介状なしで特定機能病院等を受診する場合等については、原則として定額負担を患者に求めるということで選定療養を義務化するという方向で御議論いただきまして、中医協のほうでそれを具体的にどうするかという議論を進めていっている状況でございます。

15ページ目からが2つ目の視点で「患者にとって安心・安全で納得できる効率的で質が高い医療を実現する視点」ということで、こちらのほうでは外来機能の関係でいうと主治医機能を評価したということで、17ページ、18ページ、地域包括診療料とか、地域包括診療加算という新しい点数を26年改定でつくりましたけれども、その届出の状況でございます。

19ページ、20ページは「患者本位の医薬分業の実現に向けて」ということで、さきの規制改革会議のほうに、厚生労働省の考え方として示させていただいているペーパーをつけさせていただいておりますので、参考にしていただければと思います。

21ページ、22ページは、リハビリの関係の資料をつけさせていただいております。

23ページからが、3つ目の「重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点」ということで、これはたくさんテーマがあると思いますが、代表的なところで歯科の関係を24ページから掲載させていただいております。例えば、前回改定で歯科はこういう項目を改定した、取り組んだということです。

25ページ、26ページは、歯科医療の関係の大きな流れを示しておりますけれども、健常者に対して歯の形態の回復を中心とする治療から、もちろんそれも重要ですけれども、今後、高齢者がふえていったときに口腔機能の回復という視点がすごく重要ではないかということで、大きな流れで取り組んでいる。

26ページ、地域包括ケアとの関係でございますけれども、特に歯の形態回復を主体として医療機関完結型で取り組んできた歯科医療が、今後は地域包括ケアの中でどういうふうに続けて取り組んでいくかという視点が重要になってくるのではないかという絵でございます。

27ページ、診療報酬の関係で、医薬品とか医療機器の分野の保険適用とかに関連して、費用対効果の考え方を入れるべきではないかということは従前から御議論いただいておりまして、24年改定、26年改定では、引き続き審議することになっておりましたが、今、28年4月の改定に向けて、試行的な導入を進めていくという方向で、細部について御議論を中医協でいただいているところでございます。

28ページ、4点目、「効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点」ということでいくつか薬の関係の資料をつけさせていただいておりますが、29ページでいきますと、右下のほうに、患者本位の医薬分業を実現するために、調剤報酬をどう考えていくかということが大きなテーマです。

30ページからは、残薬の関係で、こういうところは効率化、適正化していく分野ではないかということで、資料をつけさせていただいております。

33ページ、34ページは、多剤投与とか重複投薬の関係の資料をつけさせていただいております。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 ただいまお聞きになりましたように、まず、資料1におきましては、基本方針の検討ということで「『視点』の例」と「『方向』の例」、これは事務局のたたき台という位置づけだと思いますけれども、御説明があったということです。

 さらに現在進んでいる事柄については、参考資料1で医療課長から御説明があったということでありますけれども、本日は、特段分野を決めませんので、フリーに御討議いただければと思いますけれども、御質問、御意見等があれば、御自由にお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 菊池委員、どうぞ。

○菊池委員

 資料1で事務局より提案されました4つの視点に賛同する観点で、意見を申し上げます。

 前回は、医療従事者の負担軽減、退院支援の強化、訪問看護の充実、認知症対応の充実の4点が重要だと申し上げました。

 本日は、改めて医療従事者の負担軽減と訪問看護の充実について意見を述べさせていただきます。

 まず、医療従事者の負担軽減ですけれども、国のほうでは、日本の持続的成長の実現と社会の活力の維持に女性の力の発揮が不可欠ということで、全ての女性が輝く社会を目指して、幾つもの戦略や方針を掲げています。

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の成立、骨太の方針2015、日本再興戦略などにおいて、子育てと仕事の両立や長時間労働の是正や働き方改革など、女性が活躍する社会づくりを目指しています。

 また、医療従事者の勤務環境改善につきましては、昨年の医療法改正で医療機関管理者の努力義務化が規定されるなど、重要な施策として掲げられております。

 医療介護従事者には女性が多く、例えば、看護では、就業している看護職員157万人のうち女性が94%を占めております。これまで多くの看護職員が勤務環境の厳しさゆえに家庭との両立が困難で離職して、潜在看護職員が71万人いるという状況がございます。このたび、国が女性の活躍や勤務環境の改善という方針を定められたことを心強く思っております。

 看護職員を初めとした医療従事者の負担軽減につきましては、医療従事者の確保及び医療の質、安全性、ひいては国民の命や生活を守ることに直結します。このような観点から、次回の診療報酬改定でも、引き続き医療従事者の負担軽減を基本方針において明確に示すことが重要だと思っております。

 もう一点、訪問看護の充実につきましては、これまでもさまざま強化策が医療、介護の両面から図られてきております。

 小児から高齢者まであらゆる対象者に対して、急性期の治療後から在宅での看とりにわたるまで、地域の在宅医療を支える訪問看護の強化、充実が引き続き必要です。今後、特に充実、強化すべき点としましては2つございまして、1つは、重症度の高い小児が在宅での療養を継続できるように、小児への訪問看護の充実です。2つ目が、高齢者の終の棲家となっている特別養護老人ホーム等、居住施設に対する訪問看護サービスの導入枠の拡大です。現状ではまだ十分とは言えない状況なので、これらを充実させていくという点も非常に重要だと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見はございませんでしょうか。

 遠藤秀樹委員、お願いします。

○遠藤秀樹委員

 遠藤でございます。

 3点ほど意見として出させていただきたいと思います。

 歯科の立場からですけれども、現在、病院等におきましては、歯科のない病院のほうが多いわけでございまして、病院の中での口腔機能管理が手薄になっているかと思います。特に歯科のない病院、また、歯科があっても歯科医師1人のみの病院がほとんどでございますので、歯科医療に対するマンパワーが足りないという現状がございます。

 こういった病院においても、現在、口腔機能の管理、いわゆる歯科医療としての口腔ケアといったものが必要だということが言われておりまして、これは病院協会等からもそういった要望が出されているようでございます。

 そういった点に関連いたしまして、地域の中での医療連携ということで、個々の歯科医院が対応するだけでなく、地域における連携の中で、制度としてそういった歯科のない病院等に対する支援、協力することができるシステムづくりが必要なのではないかと考えます。

 また、医療連携の中での退院の支援に関してですが、歯科医療は、従来、外来がほとんどでしたので、なかなか訪問とか病院内での関与というものが少なかったのですけれども、どうしても高齢化の中で、入院されたりとか、転院され、施設等に移動されるというケースも増加し歯科医療の継続した管理といったものが途切れてしまうことが結構あります。こういった中で、退院支援として歯科の位置づけを強化していただければ、継続した訪問診療なり、連携した医療が可能になるのではないかと考えております。

 もう一点は、重症化予防という観点で、歯科においても重要な項目として挙がっております。歯周病、齲蝕を含めて、長期にわたって定期的な管理に努めた場合には歯がよく残っているというデータもございます。歯が残って口腔機能が維持されるということは全身の健康に対してもよいことであり、また、健康寿命の延伸に役に立つものと考えております。こうした点を通じて、持続可能な医療保険制度の確立にも寄与するのではないかと思っております。

 ただ、現在の長期にわたる定期的維持管理のあり方については、いろいろな制限もあります。また維持管理の方法も様々であると思うので、こういった点は、柔軟な対応をされて、より健康寿命の延伸に寄与していければと考えております。

 以上、3点ほどを意見として述べさせていただきます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。御意見として承りました。

 樋口委員、お願いいたします。

○樋口委員

 私事から始まり恐縮でございますけれども、この5月の連休から15日、ちょうど半月入院いたしました。理由は感染症ということで、敗血症、炎症反応が人様の数倍ということで、なかなか治らず、理由は何かというと要するに免疫力の低下です。

 皆様は感染しないのに、私は感染してしまった。83歳になる私の抵抗力が弱っているのです。その理由もよくわかっております。ここ1年ほど、食べ方が荒れているなということは痛感しながら生きて参りました。

 私は見かけによらず料理もするほうでございました。つれあいが亡くなってから1415年になりますので、独身歴も長いのですが、70代に一体自分がどうやって食事を作っていたか、余りにも日常的にしてしまっていたことなので、思い出せません。80を超えるころから、とてもおっくうになりました。

 今、私はこれを「中流栄養失調」とか「中流低栄養」と名づけています。中流ですから食べ物はあるのです。冷蔵庫も冷凍庫もほとんど満杯にあります。にもかかわらず、その調理が80を過ぎたらほんとうに嫌になってしまったのです。私は、年をとるとばあさんは簡単におやじ化することを、今、痛感しております。

 このことが、もしかしたら女子のほうが男子よりも健康寿命と平均寿命との差が大きいことに直結しているのではないかと思います。私は今まで、高齢期の女性が元気であってほしいと一生懸命言いもし、活動してまいりましたけれども、70代までくらいは高齢者はひとり暮らしでも女のほうが断然元気なのです。とにかく1人で炊事ができる。男性と違って、友達が多い。それやこれやで、高齢者のひとり暮らしは女性のほうが有利だと思ってきました。

 それはこれまで、調査対象の80代、90代が今までは少なかったから見えてこなかったのです。政府も人生90年時代とおっしゃっていますし、今、90歳代は大体160万人くらいおりまして、このところの新生児の数を90代ははるかに上回り、急上昇していっております。人生90年とおっしゃるからには、90代の栄養といいますと、本当にボリュームゾーンとして女性が多いから余計目立つのかもしれませんけれども、ひとり暮らしは圧倒的に女性のほうが多いです。

 ひとり暮らしの後期高齢者、75歳以上の、もちろん男性もですけれども、つい見落としがちな女性の栄養指導というものが実は本当に医療費削減のためにも必要と痛感しました。私がきちんと食事をしていれば、この5月の15日の入院はなくて済んだ医療費なのです。

 

 ここまでが意見で、ここから先が質問なのですけれども、診療報酬の上でとか、1つ目の箱の中身で、具体的には、食生活の向上という栄養指導などはどんなふうに実現していただけるのでしょうか。

○遠藤部会長

 御質問ですか。

○樋口委員

 その部分もございます。

○遠藤部会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜課長

 御質問をありがとうございます。

 前段のお話のあった、医療に入る前の予防的なところは、なかなか今の診療報酬の形では難しいと思いますけれども、それは地域保健の関係とか保険者の関係のほうで現在も取り組まれているし、今後も充実していく方向になろうかと思います。

 医療機関にかかるようになりますと、外来でも入院でもそうですけれども、またそれは医療機関の中で栄養士さんを中心に栄養指導をやっていただくのはすごく重要ですので、これまでもいろいろと指導料とか、幾つかの形で具体的に評価させていただいているところでございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 よろしゅうございますか。

 ほかにいかがでございましょうか。

 森委員、どうぞ。

○森委員

 ありがとうございます。

 調剤に関しての意見を述べさせていただきます。

 今回の骨太の方針の中で、明確にかかりつけ薬局を推進する方針が示されました。日本薬剤師会でも、これまで、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師の普及、促進に取り組んできましたが、地域包括ケアシステムの構築が進む中、地域において住民、患者から求められる、かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局という役割について改めて整理をしています。

 かかりつけ薬剤師なのですけれども、患者が使用する医薬品について一元的かつ継続的に薬学的管理指導を担い、医薬品、薬物治療、健康等に関する多様な相談に対応できる資質を有するとともに、地域に密着し、地域の住民から信頼される薬剤師としています。

 薬剤師は薬局がないと薬を扱えませんので、かかりつけ薬局に関しては、地域に必要な医薬品等の供給体制を確保し、その施設に従事するかかりつけ薬剤師が患者の使用する医薬品の一元的かつ継続的な薬学管理指導を行っている薬局と整理をしています。

 かかりつけ薬剤師、薬局の推進、そして、かかりつけ機能を強化して、服用薬の一元的、継続的な薬学管理指導による、例えば、重複投与であったり相互作用の防止、残薬の管理、後発医薬品のさらなる使用促進、在宅医療への取り組みなどを、地域のかかりつけ医などと連携して行っていきたいと思っております。

 次回改定はそのような視点で評価をお願いしたいと思っていることが1つです。

 後発品に関しては、2017年央までに70%以上として、その後、2020年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする、新たな高い目標が示されました。

80%以上というのはかなり高い目標で、それに向かってさらなる取り組みをしていきたいと思っていますが、骨太の方針にも書かれていますように、新たな目標の実現に向けて、例えば、安定供給であるとか、品質等に関する信頼性の向上等、追加的な措置が必要になってくると思います。

 先日の中医協の調査でも、ジェネリック医薬品に関する患者の使用意向調査で、後発品を使用したくないと回答した人がまだ11.9%いました。後発品への変更不可となっている医薬品がある処方箋が19.3%あったという結果も出ています。また、先発品と価格差が小さいものに関しては、患者さんが変更を希望しないケースというものもあります。そういうことに関して、関係者間での協力はもちろんですけれども、今後の進捗状況を踏まえて対応をしていっていただければと思っております。

 私のほうからは以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 白川委員、どうぞ。

○白川委員

 資料1で提示されました1ページ目の基本認識、2ページ目の視点と方向性は、おおむねこれでよろしいかとおもっておりますし、特に視点で例示されている各項目につきましては、私どもが想定している項目はほぼ網羅されていると思っております。

 ただ、この中で1点だけ気になるのが、2つ目の視点、患者にとっての安心・安全のところで、「かかりつけ医の評価、かかりつけ歯科医の評価、かかりつけ薬剤師・薬局の評価」と書かれますと、かかりつけ薬局に新しい点数をつけろと読めてしまう。私どもに言わせると、残念ながら医薬分業が進んだ中で、薬局が本来果たすべき機能を発揮する点ではまだ不十分だと認識をしておりまして、薬局として当然の機能を新しく評価するような表現はやめるべきではないかと。機能の充実とか、そういう形であれば理解はできます。「かかりつけ歯科医」と書かれていますが、我々はみんなそうですけれども、歯科医をはしご受診するわけでもなくて、いつもお世話になっている歯科医に通うということがごく普通の行動でございますので、これもちょっといかがかなという感じはしております。

 かかりつけ医につきましては、前回の改定のときは主治医機能という言い方で整理しましたが、そのときも随分ネーミングでこの場でも議論になったかと思いますが、ここの1行だけ少し気になりますので、御検討いただければと思います。

 もう一つ申し上げたいのは、前回、重点課題ということで、3ページ目のA3の紙に示されているとおり、「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等」というものを掲げて、医療課長から説明がありましたとおり、改定による一定の成果はあったと思っておりますけれども、全体的に見るとまだ不十分と私どもは考えておりますので、28年度改定においても、引き続き「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等」ということを重点課題ということで取り上げたほうがよろしいのではないかと考えております。

 この件に関連して、病床機能の報告制度が昨年から始まりましたし、地域医療構想で、二次医療圏ごとの必要病床数を策定していこうということが進んでおります。

 その病床機能報告制度の4つの病床機能と診療報酬上の病床区分が一致しておりません。将来的にこの2つの関係をどうしていくかということは、これは次回の改定までに整理するという意味ではなく、そういう方向性については、医療部会、医療保険部会、あるいは中医協においても議論していくべきではないかと考えますので、意見として申し上げます。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 初めの「かかりつけ医の評価」という文言についての御意見が第1にあったということでございますけれども、それは御意見として承ります。さらに細かい議論は中医協での議論になるかと思います。

 2番目でありますけれども、重点課題は、同じようなテーマとして来年度も残すべきではないかというお話でありました。

 3番目は、私もそのように考えておりますけれども、病床機能報告制度あるいは地域医療構想によって医療法上の病床の機能区分が新たにできましたので、それと診療報酬による事実上の医療機能の区分は必ずしも一致していないので、これをどう整理していくのかということは、今後、大きな課題になるだろうと思いますので、その検討をしかるべき段階から始めたらいかがかという御提案でございますね。

 ありがとうございます。

 ただいまのことについて、何かございますか。

 松原委員、どうぞ。

○松原委員

 病床の報告制度は、今、始まったばかりでございます。早急に結論だけを出しますと、大きな間違いを犯す可能性がありますから、十分に検討した上で御判断をいただきたいと思っているところでございます。

○遠藤部会長

 私の理解では、白川委員も今すぐという話ではなくて今後ということで、その視点で検討を始めたらどうかという御提案のように承りましたので、そのように申し上げます。確かに軽々にやるような話ではないと私も思っております。

 ほかにございますか。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員

 今後の高齢化や人口の減少を見据えた場合、病床機能の分化など、地域医療の見直しによる効率的で質の高い医療を確保することが必須です。

 現在、地域医療構想など、医療提供体制側において、地域包括医療の観点から医療提供体制の見直しが進められようとしております。

 医療制度改革をより一層進めるためには、診療報酬制度をはじめとして、医療保険側においても取組みを強化する必要があると考えております。

 その点、資料1の2ページ目、「『視点』の例」の1番目、「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムを推進する視点」の「『方向』の例」の1つ目のポツは「病床機能の分化・強化、連携に合わせた入院医療の評価」とありますが、これは「分化・強化、連携を促すような」とすべきではないかと思います。

 同じ欄の3つ目のポツ、「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」については、菊池委員も繰り返し「訪問看護の充実」という言葉でお話しされておりましたように、むしろこれは「確保」ではなくて「充実」とするほうがよいと思います。

 また、「『視点』の例」の4つ目にあります「効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点」については、医療保険財政を預かる保険者として、後発医薬品の使用促進など、医療費の適正化に向けた取組みを鋭意行っております。一方、多剤・重複投薬、頻回受診など、患者の適切な受診行動を確保する上で重要な課題も引き続き残っております。

 こうした問題に対応するためには、保険者のみならず医療提供側も含めた取組みが不可欠であると考えております。

 診療報酬も重要な政策手段の一つであることは事実であり、今回の改定においても、希少な医療資源が適切に配分されるよう、必要な見直しを行っていくべきだと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございます。

 ほかにございますか。

 先ほど高橋委員が先に挙げていましたね。

 それでは、高橋委員、和田委員という順番でお願いします。

○高橋委員

 ありがとうございます。

 私のほうから、幾つか意見ということで述べさせていただきます。

 まず、1ページ、基本認識の(1)マル1、基本方向というところなのですけれども、ここに幾つかの例が書かれているのですけれども、この視点として欠かせないのが、むしろ次の2ページの4つの視点の中の2つ目、患者にとって安心・安全で納得できる効率的で質が高い医療の実現ということが、まさに基本の方向ということで大事ではないかと思いました。

 1ページのほうに戻っていただいて、例として書かれている2つ目のポツ、国民皆保険の堅持と制度の持続可能性の確保ということで書いてございますが、これは非常に重要なことだと考えておりますけれども、これに保険者機能の発揮と被用者保険の納得性の確保を通じて、持続可能な制度を確立するという点をしっかり押さえていただきたいといったところでございます。

 マル3の経済・財政との調和というところについては、骨太方針などを読んでいますと、財政制約を口実に社会保障の給付抑制をするようなところが非常に懸念をされますので、制度の特性を無視した、そういった給付抑制は行うべきではないと思います。

 一方で、そうはいっても私たちの保険料の財源として、制度の持続可能性ということを確保するためには、これからいろいろと示されます医療の効率化・適正化は必要不可欠であると思いますし、先ほどからも出されています、多剤投与の是正や残薬解消とか、あるいは、後発医療医薬品の使用促進などを通じながら、医療費の適正化をしっかりと図っていくべきだと思います。

 退院支援の強化は視点の中にも書いてございますが、これもメディカルソーシャルワーカーが配置をされているところについては、非常に在宅復帰率が高いという調査結果も見ましたので、退院支援の強化については、患者が望む良質な療養環境を確保するという観点からも非常に必要であり、しっかり強化しながら、医療の効率化・適正化という方向でやっていくべきだろうと思います。

 2ページ目の視点のところで、先ほど来、幾つか御意見が出ていましたけれども、私どもとしては、この4つの視点については、基本的に継承することについては、支持をしているところでございます。その上で4点ほど少し意見を述べさせていただきたいのですけれども、1点目の医療機能の分化・強化というところで、機能分化は前回、前々回の改定でも重要課題とされたところでございますけれども、まだ道半ばというところでございますので、急性期病床が担う機能の明確化、患者の状態に応じた医療の提供、急性期後の受け皿病床や在宅医療の充実などを図る必要があるだろうと思いますし、都道府県では、地域医療構想の策定が現在は進められており、また、2018年度は医療介護の同時改定等も予定されておりますので、引き続き地域包括ケアシステムの構築に向けて、それと同じ方向感を持って機能分化と連携の指針を強く打ち出していただきたいと思います。

 2点目ですけれども、2つ目の「患者にとって安心・安全で納得できる効率的で質が高い医療を実現する視点」については、患者の納得という観点からも、これまで書いてございましたレセプト電子請求の推進と全ての医療機関における診療明細書の無料発行の推進は、医療の透明化につながりますし、結果的に安心で質の高い医療の発展につながると考えますので、この点については、引き続き盛り込んでいただきたいと思います。

 3点目ですが、切れ目のない医療提供、安心・安全な医療を維持するためには、人材確保が不可欠だと思いますので、医療機関の勤務環境、看護職などの夜勤時間や時間外労働など、労働時間管理をめぐる課題がまだ改善されていないのではないかと思いますので、そういった労働時間管理の徹底を進めることが必要だと思います。

 最後の4つ目ですが、前回の改定で、消費税率8%への引き上げに伴って行われた診療報酬の上乗せの対応ということで行われましたが、これにおいては、貴重な保険料が消費税を負担した医療機関に適切に配分されたのかどうかということの検証が必要ではないかと思っております。

 また、その検証結果によっては、配分の見直しということもあってよいのではないかと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。御意見として承りました。

 和田委員、お待たせしました。

○和田委員

 ありがとうございます。

 2つ目の患者にとって安心・安全で納得できるという部分でございますけれども、患者さんへの相談支援体制の充実ということが、前回及び前々回の診療報酬改定でも一つのポイントとして手当てされてきたところでございます。そこで、1つは、病院機能の分化、連携というシステムが大きく変化していく中で、先ほど高橋委員から指摘がありました退院支援などの部分でもそうですけれども、最終的にはインターフェースの部分は人と人のかかわりということになって、恐らくこういう相談業務の充実度ということは、より一層必要になってくるのではないかと思っています。

 さらに加えて、実は来月からになりますけれども、新しい医療事故調査制度が発足いたします。これもその制度の中で、院内事故調査が中心になりますので、事故調査報告書の患者さん側、御家族への説明、あるいは、その調査過程での患者家族側へのケアといったことも病院の中では新たな重要な役割となってまいります。これらの背景から、今後も患者対応、患者相談ということが必要になってくるかと思っています。

 そこで、今回も引き続き、患者相談支援体制の充実ということは念頭において検討していただければと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、堀委員、藤井委員の順番でお願いします。

○堀委員

 「次期診療報酬改定の基本方針の検討について」という資料1の1ページ、2ページについては、過去の方向性を継承しつつ、前向きな展望が示されており、概ね妥当であると思っております。

 この資料の1番「超高齢社会における医療政策の基本方向」に挙げられている例示、全て適当であると思ってはいるのですが、この中に「『保健医療2035』の提言」というものがございます。

 私がこちらのメンバーであったということもございますが、現在、厚生労働省内でも「保健医療2035」の実現に向けた推進本部というものが立ち上げられ、120項目にわたる政策提言についての実現可能性等を検証していると伺っております。この中にも、短期的にできるもの、長期的にしかできないもの、いろいろとございますが、診療報酬に関するものも幾つかはございます。長期的なものは時間を要すると思いますが、短期的にできるものについては、この場でも検討を是非していただければと思っております。

 特に、これは2番の「地域包括ケアシステムと効率的で質の高い医療提供体制の構築」にかかわるところでもあるのですが、切れ目のない医療・介護を提供するためには、前提として、地域での暮らし、在宅生活を支援するコミュニティがあるかなども少なからず関係してくると思います。地域によって、医療・介護の資源、提供体制のあり方も異なりますし、実情が違います。そのような地域性をふまえますと、基本的に診療報酬というのは中央で決めるものだと思うのですが、一部、地域包括ケアシステムにかかわるようなところであるとか、医療と介護にかかわるような部分的なものに関しては、地域の実情に応じた診療報酬というものがあり方として検討できないかと思っております。

 2ページ目、「『視点』の例」に挙げられております「患者にとって安心・安全で納得できる効率的で質が高い医療を実現する視点」、「効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める視点」とありますが、一般的に、質と効率化というのはなかなか両立が難しいように思われるところもあると思うのですけれども、革新的な技術やサービスの提供態様や患者の受診行動の支援などを通じて、医療サービス全体の質を高めることによって、医療費の適正化、効率化が進むところもあると思います。両立をすすめるためにも、費用対効果の高い革新的な技術の推進であるとか、あるいは、それらを評価するためのアウトカム指標の構築とか、そういう中期的な視点もふまえて、検討していただければと思っております。

 以上、意見です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。次期改定ということもありましょうけれども、むしろ今後の診療報酬体系のあり方についてのお考えと受けとめさせていただきました。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員

 ありがとうございます。

 以前にこの席で問題提起をさせていただいていた残薬の問題については、2ページ目に記載されている内容で御検討いただければ大変結構なことだと思っております。

 付け加えますと、医療用医薬品はほとんど単味製剤ですので、組み合わせることによってどうしても服薬量が増えてしまう傾向があります。そのための対策としては、あらかじめ組み合わせた複合剤である漢方薬や保険制度に負担をかけないOTC医薬品の活用が効果的だと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございます。

 武久委員、お願いいたします。

○武久委員

 中医協は細かな点を決める場所だと思いますけれども、この場は医療保険についての大きな方針を決めるところだと思っております。

 参考資料1に基づいて、4つの視点について少しずつ意見を言わせていただきたいと思います。

 最初のところ、4ページですけれども、7対1の減少は、当初思っていたより少ないのではないかと感じておりますが、10対1のほうに行ったり、地域包括に行ったりしているところについては、どういうことなのか。

 当初、昨年のときには、医療課長が9万床くらい将来はふやしたいと、将来というのは2年後ではないと思うのですけれども、減らない理由は、いわゆる在宅復帰率が75%と仮定したのに、実際は92%だったとか、オペが包括だったとか、特定除外が結局7対1でほとんど温存されているということもあると思いますが、この辺のところをもう少し検討していただけたらと思います。

 8ページの在宅療養後方支援病院というクライテリアがきちんと出されておりますけれども、これと在宅療養支援病院との機能の差というのも非常にわかりにくうございまして、在宅療養後方支援病院にはどういうことを期待しているのかという大きなテーマです。

16ページの地域包括診療料のところにも関係しますけれども、地域包括診療料のところで病院の届出が非常に少ない。これは予想どおりかどうかわかりませんが、なぜか在宅療養後方支援病院には認められておりません。一方で、在宅医療用支援病院には、地域包括をとる場合には救急指定をとるようにとされておりますけれども、この辺の2つの後方支援病院の機能分化というものをもう少し明らかにしていただけたらと思います。

2122ページの費用対効果のところ、リハビリが効率的で質の高いという視点の中に出てきておりまして、リハビリをいろいろと改革されるのではないかとは思いますけれども、地域包括ケア病棟では、昨年リハビリが2単位の包括になっております。

 入院の調査・評価の分科会の資料を見ますと、実際は2単位以上のリハビリを行っている病院がむしろ多いという結果も出ておりますし、また、回復期リハ病棟は、退院時から入院時の機能を引いたら、FIM利得という、要するに、どのくらいよくなったかということが1割ちょっとしかよくなっていないということもあり、出来高というよりはどのくらいよくなったかということで競争するのが適切ではないかとは思います。

34ページ、病院の院内薬局の件につきまして、いわゆるかかりつけ薬局というのは非常に結構だと思うのですけれども、私どもの例で申しわけないのですけれども、薬剤師外来というものをやっております。

 そのときには、他院とか健康食品等で何を飲んでいるかということを薬剤師がちゃんと聞いて、その指導をしている。これが院外薬局でないと点数がつかないというのでは、少しおかしいかなと思うので、院内での薬剤師の活躍の場を少し広げていただければありがたいと思います。

 最後に、先ほどのものに医政局のほうで行っております病床機能の4つの機能というものがありますけれども、これが保険局のいわゆる病棟種別と非常にパラレルでないのです。

 ここのところで一番困りますのは地域包括ケア病棟でして、医政局の資料によりますと、3等分して報告している。すなわち、急性期だと報告しているところ、回復期だと報告しているところ、慢性期だと報告しているところ、現実にはそれぞれの機能がごっちゃに入っているのだろうと思うので、できれば、医政局と保険局との病棟種別というのは、病床機能を病棟別に見るわけですから、やはりできるだけ合わせていただくほうが、我々も届出をするときに迷わなくて済むということもありますので、今、医療と介護、医政局と保険局と老健局で緊密に連携をとってやられていると思いますので、これらの点についても、御協力いただけたらありがたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。重要な御指摘が幾つかあったかと思いますけれども、御意見として承りました。

 ほかにございますか。

 松原委員、どうぞ。

○松原委員

 お年寄りが多くなってきて、どれだけ薬をもらったかわからなくなって、押し入れにいっぱいためておかれる。私は、これはぜひ改善しなければならないことだと思います。

 ただ、期限を切ってある程度の余裕はないと、その週に外来に行けなかったりといったこともございますので、残薬全てが悪いのではなくて、適切でない残薬をどう減らしていくか。

 それと同時に、多剤についても多剤が悪いとおっしゃる方が多いのですけれども、昔の薬は1包の中にいろいろな種類の薬が入っていました。今は1剤が1錠になっていますから大変錠数が目立つわけでございますが、患者さんによってはいろいろな症状がございますので、単純に多いから悪いという考え方で対応されるのは、私どもは実際に医療をしていていかがなものかと思っております。

 そのあたり、本当に不適切なものをどのように削減していくかということでぜひ御議論いただきたいと思っております。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 山本参考人、どうぞ。

○山本参考人

 ありがとうございます。

 今、各都道府県では、地域医療構想の策定を進めているところではありますけれども、栃木県の場合、やはり受け皿である地域包括ケアや在宅医療がそろわないとなかなか進められないという意見を多くいただいています。

 菊池委員の御意見にもありましたが、家や施設におられる高齢者を医療がどう支えるのか、在宅医療という言葉なのか、居宅等医療という言葉なのか、いろいろな言い方があるかとは思いますが、家や施設におられる方を支えることについての評価をどのように行っていくのかという部分については、御検討いただきたいと思います。

 また、重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点の中に、がんや認知症が入っていますが、いずれも高齢者に多い疾患ということになるかと思います。

 それぞれ重点的な医療分野を充実するためには、縦串で充実を図る部分もありますけれども、その中に必ず介護が必要であったり、地域包括ケアが必要な部分もありますので、横串的な地域包括ケアとしての充実を、縦串的ながん医療や認知症医療でどのように評価していくのかという部分も、実際の現場にあっては必要な視点であるかと思いますので、意見を申させていただきます。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございます。

 ほかにございますか。あるいは、ほかの委員がおっしゃった内容について、何かコメントがあるという御発言でも結構でございます。

 よろしゅうございますか。

 ただいま、いろいろと非常に貴重な御意見、ご指摘を皆様からいただきました。

 中には、少し中長期の議論の対象になるかなと思われるものもございました。しかし、それも非常に重要な内容であると思いましたし、次年度の診療報酬改定に非常に関係するものもございました。

 これはまた医療部会のほうでも議論がされますので、それを調整しながらこの場で再度御議論いただく形になりますので、御意見、御発言内容がそのまま報告書に載るということは必ずしも言えないわけでありますけれども、その辺のところは御了解いただければと思います。

 まだ多少は時間がございますけれども、もし何かあればお聞きしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

 基本は事務局原案の内容について、大筋で認めたと理解させていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。

 それでは、1番目の議題でありました次期診療報酬改定の基本方針につきましては、これくらいにさせていただきたいと思います。

 次に、「平成28年度予算概算要求・税制改正要望(健康・医療分野)について」を議題としたいと思いますので、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

○大島課長

 総務課長でございます。

 資料3-1の予算、3-2の税制改正要望の資料をごらん願います。

 資料3-1ですが、平成28年度予算概算要求は、8月31日に厚労省から財務省に提出しました。そのうち、健康・医療に関連するものです。

 1枚おめくりいただきますと図がついていまして、それから、1ページと振ってありますが、「安心で質の高い医療・介護サービスの提供」という副標題をつけております。

 団塊の世代が75歳以上となり、医療・介護等の需要の急増が予想される2025年、さらにその先の2035年を見据えた課題解決に向け、医療・介護サービス提供体制の改革を本格的に進めるため、地域医療介護総合確保基金による事業や認知症対策などを推進する。

 また、医療分野の研究開発を促進することなどにより、革新的な医療技術の実用化を推進し、あわせて医療関連産業の国際競争力を向上させるとともに、予防・健康管理の推進などにより、健康長寿社会の実現を目指すという方針を示しております。

 幾つかの分野に分かれています「1 医療・介護連携の推進」ということで、この中には、地域医療介護総合確保基金の項目も入っていますが、社会保障と税の一体改革関連の事項につきましては、全ての項目につきまして、金額の要求は夏の段階ではせずに年末の予算編成過程の中で決めるという、いわゆる事項要求としての位置づけになっておりまして、この基金に関しましても、具体的な金額は示さずに予算要求をしています。

 2ページ、「2 医療提供体制の機能強化」に関連するものであります。

 5ページ、「3 安定的で持続可能な医療保険制度の運営の確保」ということで、いわゆる3制度と言われる、国保、後期高齢者医療、協会けんぽに対する国庫負担金などが含まれていますので、額も大きくなっています。114,523億円ということでありますが、5ページの一番下のところですけれども、「また、平成28年度診療報酬改定の取扱いについては、予算編成過程で検討する」となっておりまして、診療報酬改定の改定率に関する影響も年末の予算編成過程で決めるということで、要求の段階ではそれを入れない形で要求をしております。

 6ページ、国保の関係で1つ、社会保障と税の一体改革関連のものがあります。マル1ですけれども、「国民健康保険の財政安定化基金の造成」につきましても、事項要求で金額は年末の予算編成過程で決めるということで、金額を示さずに要求をしております。

 「4 安心で質の高い介護サービスの確保」でございます。

12ページ、「5 革新的医薬品・医療機器の創出、世界最先端の医療の実現など」でございます。この中に後発医薬品の使用促進等も入ります。

19ページ、「6 予防・健康管理の推進等」ということで、データヘルスや重症化予防、データ活用などの項目が入っております。

 こういった項目につきまして、新しい政策的なものは優先課題推進枠といいまして、最初の表紙を1枚おめくりいただいた扉の裏のほうに出てまいりますが、厚生労働省予算概算要求のフレームというものがございまして、各省からたくさん要望できるという形になっております。

 一方、その部分は相当査定も厳しくなるということになりますので、これにつきましては、年末の政府の予算として仕上がった段階で、もう少し実際上の姿が見えると思いますが、要求段階では、各省から幅広くいろいろな事項を盛り込んだ要求をしている状況でございます。

 資料3-2は、税制改正要望のうち、健康・医療分野関係の抜粋でございます。

 1ページ、健康・医療関係ということでいろいろと項目が並んでおりますが、セルフメディケーションの関係でしたり、健康増進・疾病予防のための所得控除の関連や、たばこに関するもの等がございます。

 2ページ、医療に係る消費税の課税のあり方の検討ということで、今後総合的に検討して結論を得るという形の要望内容になっております。具体的なものを示しているわけではございません。

 3ページ、医療保険関連で、国保の課税限度額の見直し、これは今年度も行いましたが、来年度につきましても、引き続き引き上げに向けた見直しの要望を出しております。

 説明は以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 いかがでございましょうか。

 予算要求と税制の改正要望でございますけれども、何か御質問があれば承りたいと思います。

 よろしゅうございますか。

 もしまた御質問があれば、さかのぼって御質問いただくということで、少し先に進ませていただきたいと思います。

 次に、「平成26年度の医療費・調剤医療費の動向」について御説明をいただきたいと思います。

 事務局、どうぞ。

○秋田課長

 調査課長でございます。

 去る9月3日に、平成26年度の医療費の動向、調剤医療費の動向について公表いたしましたので、御説明をさせていただきたいと思います。

 資料4-1と資料4-2になります。

 まず、4-1の医療費の動向から御説明をさせていただきます。

 医療費の動向でございますけれども、こちらは厚生労働省のほうから公表している医療費の資料といたしましても、国民医療費があるわけでございますけれども、こちらは、保険者等からの報告に基づいて積み上げているものでございますので、若干時間がかかるということでございます。

 今のところ、国民医療費は平成24年度までの報告がされているということでございまして、こちらは医療費の動向を迅速に御報告をするということで、医療機関からの診療報酬の請求に基づきまして、医療保険と公費負担医療分の医療費を集計したものでございまして、毎月「最近の医療費の動向」ということで公表をさせていただいているものでございます。

 このたび、26年度分の集計結果がまとまりましたので、御報告をさせていただきます。

 国民医療費とこちらの概算医療費の関係でございますけれども、概算医療費のほうでは、労災とか、こちらは「全額自費」と書いてありますけれども、主に自賠責などがここに当たりますけれども、こういったものが含まれないということでございまして、概算医療費と呼んでいるということでございます。国民医療費の約98%を占めるということになってございます。

 目次がございますので、2ページほどおめくりいただきまして、26年度の最近の医療費の動向というページでございます。

 まず、制度別の概算医療費ということで、平成22年度から並んでおりますけれども、平成26年度は約40兆でございます。正確に申しますと、この概算医療費は399,556億円で、若干40兆を切っているという状況でございます。

 医療費の伸び率でございますけれども、1.8%ということでございます。平成23年度くらいまでは大体3%を超える伸びを示していたところでございますけれども、平成24年度以降はおよそ2%程度の伸びで、伸び率がずっと低く推移している状況でございます。

 おめくりいただきますと、今度は1人当たり医療費で、人口で割ったものになりますけれども、平成26年度は31.4万円になってございます。75歳未満が21.1万円、75歳以上が93.1万円になります。

 こちらを伸び率で見ますと、人口が若干減っているということもありますので、26年度は約2%の伸びになっております。

 右側のページは診療種別です。入院、入院外、歯科、調剤等に分けたものでございます。

 伸び率でごらんをいただきますと、入院、入院外が1.7%、1.3%、歯科が2.9%、調剤が2.3%といった伸び率になってございます。

 4ページ、受診延日数の推移は受診の頻度を示す指標になってございます。

 5ページ、1日当たり医療費でございます。こちらは医療の単価を示すような指標になっているというイメージでございます。

 受診延日数のほうを伸び率で見ていただきますと、近年、ずっと受診延べ日数は減少してきたということでございます。24年度、25年度は0.9%、2.8%とそれぞれマイナスでございました。26年度もマイナスで若干減っているのですけれども、-0.3%ということで、受診延べ日数のほうは減少したという状況でございます。

 右側のページが1日当たり医療費でございまして、こちらも伸び率でごらんいただきますけれども、26年度は2.1%でございます。前年度は3.1%でございますので、1%くらい低い伸びになっております。

 ページをおめくりいただきますと、こちらは休日等の影響を補正した医療費総額の伸び率で、うるう年であるとか土日の日数などが医療費の伸び率に影響を及ぼしますので、こちらの補正をしたものになります。

 右側のほうに、対前年同期差ということで何日前年と違ったかということが書いてございますが、日曜日が1日多くて、土曜日が1日少なかったということでございまして、若干これが医療費を押し下げるようになっておりますので、これを補正しますと先ほどの1.8%が1.9%になるということでございます。

 7ページ以降にはまた細かい資料が掲載されておりますが、こちらの御説明は省略させていただきたいと思います。

 続きまして、資料4-2の調剤医療費の動向でございます。

 この調剤医療費の動向につきましては、調剤医療費は電算化が早かったこともありまして、電算処理分のレセプトを集計しまして、さらに詳細な内容について分析したものを公表しているものでございます。

 1ページ、調剤医療費の全数と電算処理分の比較というものがございまして、この表1で全数と書いてあるものは、先ほどの概算医療費と同じものでございます。その下の電算処理分と書いてある分が電算で処理をした分でございまして、こちらがこちらの分析の対象になっているものでございます。調剤医療費は全数ですと26年度で7兆1,987億円でございますけれども、電算処理分は7兆1,515億円ということで、全体の99.3%となってございます。

 おめくりいただきますと、調剤医療費の内訳でございまして、調剤医療費の中身です。技術料と薬剤料に分けて記載をしております。調剤医療費は、先ほどの7兆1,515億円のうち、技術料が1兆7,682億円、薬剤料のほうが5兆3,711億円ということになってございます。

 表2-2に1枚当たり調剤医療費の内訳と構成割合ということで記載してございますけれども、調剤医療費は、処方箋1枚当たりということになりますと8,899円になります。技術料の構成割合が24.7%で、薬剤料が75.1%ということになっております。

 3ページ、処方箋1枚当たりの調剤医療費につきまして、年齢階級別に比べたものでございます。1枚当たりで8,899円でございますけれども、0歳以上5歳未満で3,245円、75歳以上になりますと1万1,010円ということでございますので、およそ3倍以上になっております。

 4ページ、後発医薬品についての御説明をさせていただいてございます。まず、一番上に26年度における後発医薬品割合ということで記載させていただいておりますが、4月から3月までの推移につきまして、数量ベースの新指標あるいは旧指標、薬剤料ベース等で比較したものでございます。ごらんいただきますとおり、27年3月で58.4%ということで、6割弱という水準まで進んできたということになります。

 4-2のほうは、年度ごとに見た後発医薬品の割合になります。お気をつけいただきたいのは、こちらは調剤医療費だけで、いわゆるロードマップで示されている目標値そのものではございませんので、そこはちょっと御注意いただきたいと思います。

 右側のページでございますけれども、処方箋1枚当たりの薬剤料を3要素分解したものでございます。これは内服薬ということで、内服薬ですと、例えば、何種類が何日に出たという形で分析できますので、内服薬に限りまして分解をしたものでございます。

26年度は、処方箋1枚当たりを内服薬で見ますと5,526円ということでございますけれども、そちらの処方箋1枚当たりの種類数が2.88、1種類当たりの投薬日数が22.3日、1種類1日当たりの薬剤料が86円でございまして、右側の伸び率のほうを見ていただきますと、投薬日数のほうは伸びておりますけれども、薬剤の種類数と、1種類1日当たりの薬剤料は減少している状況でございます。

 あと、ことしから新しく掲載するようになった資料といたしまして、21ページのほうに薬効分類別の後発医薬品割合ということで、新指標になりますけれども、こちらの薬効分類別に後発医薬品の割合を掲載させていただいてございます。

 私からの説明は以上でございます。どうもありがとうございました。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございます。

 それでは、ただいまの医療費及び調剤医療費の動向についての御説明に、御質問、御意見等があれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。

 武久委員、どうぞ。

○武久委員

 我々医師が現場で処方していくわけですから、調剤医療費が非常に大きな部分を占めていることは我々にも関係することですけれども、この中で、ちょっと私はわからないのでお聞きしたいのですが、ジェネリックをたくさん使ってくださいという方針はわかるのですけれども、いわゆるジェネリックでない、オリジナルの薬価とジェネリックの薬価との割合はどのくらいかということは、今、私はわからないのです。

 要するに、単価が高ければ、シェアを上げてもそう薬剤費は減らないかなと思うのです。単価がオリジナルに比べて半分以上だとすると、それは算定根拠がみんなあると思うのですけれども、なかなかオリジナルとジェネリックとの薬価差が少ないまま推移しますと、幾らシェアが上がっても、それほど大きな薬剤費の削減にはならないと思うのですが、平均で結構ですから、現在のオリジナルの薬価とジェネリックの薬価は大体どのくらいの差があるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

○遠藤部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中井管理官

 薬剤管理官でございます。

 今、それらを平均したデータは持っていないのですけれども、最初にジェネリックの薬価を決めるときは、先発の薬価掛ける0.6で、10品目以上ある場合は0.5掛けという算定ルールがありまして、それで計算された額になります。

 その後、2年に1度の診療報酬改定で、市場実勢価格を踏まえて、先発も下がりますが、後発品も競争の中においてどんどん下がっていくという構図になってございます。

○遠藤部会長

 武久委員、どうぞ。

○武久委員

 そうすると、オリジナルの医薬品というのは10種類くらいを研究していって1つくらいが物になるという話を聞いたこともありますけれども、そういうオリジナリティーとかいわゆる研究開発の費用とかというものとジェネリックとの差を4割と見ているというのは、何かの根拠に基づいているのでしょうか。

○遠藤部会長

 薬剤管理官。

○中井管理官

 まず、これが全て開発云々ということで説明できるわけではないのですけれども、もちろん先発の場合は、先ほど先生がおっしゃいましたように、非常に低い確率の中でいろいろな開発をしていって、かつ、治験で非常にお金と長い時間がかかる。

 一方、ジェネリックの場合は、生物学的同等性試験、その他幾つかあるのですけれども、そういった比較的簡単な試験で上市できるということで、その費用は違います。

 ただ、26年改定において後発品の新規収載の価格が先発の0.6掛けになったということについては、過去をひもときますと、先発より低いというルールだった時代があったりだとか、0.7掛けの時代があって、26年度改定で、0.7掛けだったものを、最初にジェネリックが販売された市場実勢価格と一定程度の差があったので、26年度改定で10%下げて最初の値づけの価格を0.6掛けにしたという経緯になってございます。

○遠藤部会長

 武久委員、どうぞ。

○武久委員

 いや、高くても私は別にいいのですけれども、ただ、一生懸命ジェネリックにしろと言われておる現場のものとしては、使い慣れた薬をどうしても書いてしまうというところがありますので、その差が一体どのくらいかということをちょっと知りたかったのです。

 ここにお集まりの皆さんが、オリジナリティーとジェネリックの差が40%しかないというのは適正か適正でないかということは、皆さんがお考えになったらいいことでございますけれども、ちょっとわからなかったので質問させていただきました。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 よろしゅうございますか。

 今、武久委員がおっしゃった内容については、中医協の薬価部会でかなり詳細に議論されてきた経緯がございますので、そのあたりの資料もあることはあり得るかなと思います。ありがとうございます。

 次は、「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会について」について、御説明をいただきたいと思います。

 事務局、お願いします。

○大島課長

 総務課長でございます。

 資料5の御用意をお願いします。

 「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」という3局長の私的諮問会議を立ち上げました。

 趣旨等につきまして、1ページめくっていただいて、開催要綱がございますので、こちらをもとに御説明したいと思います。

 少子高齢化が進む中、子育て支援、地方創生、地域包括ケア等に関して実効性のある施策の展開が求められており、子供の医療分野において、そうした観点から今後のあり方等についての検討を行うため、有識者で構成する「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」を開催するという目的です。「2.検討事項」は、子供の医療に関する現状、受診状況、提供体制、自己負担など、それから、子供の医療に関する課題・対応として、子供の医療のかかり方、医療提供体制、自己負担のあり方、国保の国庫負担のあり方などであります。

 この会議は、4の(2)、医政局、雇用均等・児童家庭局、及び保険局の各局長が主催するということで、3局長の連携による会議ということになっております。

 構成員のメンバーの方々はその次のページにありますが、遠藤先生に座長をお願いしているところでございます。

 1回目の会議は9月2日に行われました。資料は、1枚おめくりいただいたカラーのところから大量におつけしておりますが、各種データや政策の資料集のようになっています。

 検討会の進め方ですけれども、2回目以降は、月に1回程度をメドに開催する予定にしておりまして、メンバー以外の有識者の方々のヒアリングも行いつつ、議論を進めていく予定にしています。

 来年の夏ごろに検討会としての報告を取りまとめる予定にしております。この検討会の報告を踏まえて、内容に応じて、この医療保険部会で御議論をお願いすることもあろうかと思います。以上報告させていただきます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 何か御質問、御意見はございますか。

 向こうの検討会で議論している内容の一部は当審議会で議論するものも含まれていることもありまして、今、御報告があったということでございます。

 よろしゅうございますか。

 藤井委員、お願いいたします。

○藤井委員

 子どもの医療を支援することは制度の面からも絶対に必要なことだと思います。しかし、最近気になりますのは、自分の健康は自分で守るというセルフメディケーションの考えは、もともと家庭内で世代を超えて伝承されるべきものではないかと思うのですが、そういうことを余り考えず、すぐに保険制度に頼るようになってしまうと、以前はあった世代間の伝承というものがどんどん減ってしまって、将来、悪循環のようなものが生じるのではないかということを非常に危惧おります。実際、消費者の相談窓口の事例などを見ていますと、以前では考えられなかったような質問内容が増えてきておりまして、やはり生活者のリテラシー向上というのは重要な課題ですので、それを阻害しないような形でしっかりと子どもの医療を支援するということをぜひ考えていただければと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 よろしゅうございますか。

 それでは、御意見はほぼ出尽くしたと思われますので、唐澤保険局長からです。

○唐澤局長

 おくれて参りまして、申しわけございません。

 先ほど厚生労働省で、今回の大雨に関して、これは栃木、茨城、宮城県等でございますけれども、第2回の災害対策本部が開催されております。きょうは山本参考人も御出席いただいておりますけれども、大変大きな被害が発生しておりますので、保険局といたしましても、昨日、保険証を持っていなくても受診ができますということと、一部負担金、保険料につきましては、減免ができる。

 それから、国民健康保険、高齢者医療につきましては、減免に対応いたしまして、国の調整交付金による支援が行われるということにつきまして、全国の都道府県、保険者に対しまして、御連絡をさせていただいております。

 全国と申しますのは、通勤をしている人もおりますし、たまたま出張しているという方もいらっしゃいますので、そうしたことを保険者のほうにお願いをしたところでございます。

 また、災害の被害の状況等が具体的になってまいりますと、またこの審議会で御議論をいただいて御意見をいただくようなことも出てくると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 何か御質問はございますか。

 川尻委員、どうぞ。

○川尻委員

 ありがとうございます。

 ちょっと場違いな発言をさせていただくようなことになろうかと思いますけれども、資料3-1、19ページの「6 予防・健康管理の推進等」ということに絡んで、私的な意見でございますが、述べさせていただきたいと思います。

 地域でいろいろな集まり、特に高齢者に限らず、いろいろな意味でのサロンが開催をされている。そういったところで、健康管理という意味において御協力をいただけるような体制が組めないかということを日ごろ感じているところでございます。

 それには、介護と絡んで、関係する地域包括支援センターあるいは保健所等を巻き込んで、そのサロンの中で健康維持管理という、毎回サロンでこういうかた苦しい話になるとなかなか難しいのですけれども、月1回くらいはそういう講座的なものも短時間の中で御協力をいただけるような体制ができないかということを考えております。

 これはこの場ではちょっと場違いと冒頭に申し上げましたけれども、予防・健康管理という意味においては、ぜひ私たちもそういう会合の中で取り組んでいければと思っております。

 論外のことを申し上げて、大変失礼をいたしました。

○遠藤部会長

 いえ、とんでもございません。予防・健康管理は非常に重要なファクターでございますので、もちろん医療保険部会の管轄の中でできることとできないことがございますけれども、大変重要な御指摘をされていると思います。

 メディアの人たちも後ろにいらっしゃるので、何か取り上げてくださるかもしれませんし、ほかの検討会、審議会等々でもそういうことを議論しているところもあるかと思いますので、そういう派生効果もあるかと思います。

 総務課長。

○大島課長

 今、川尻委員からいただいた御指摘、御提案は、ありがたく、重要な御指摘だと思います。

 今まで、メタボということで中高年の疾病予防を対応の中心に据えていましたけれども、今後はもっと高齢の方の予防ということも、介護保険の予防と連携をとりながら進めないといけないと思っております。その際には、地域資源や地域の人材をうまく巻き込んでといいますか、地域に溶け込む形で予防を展開することが重要だろうと考えます。地域のサロンとか、お集まりになっているところに専門家が出向いて予防を進めていくというスタイルなども考えていきたいと思いますので、ぜひまた御指導をお願いできればと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 そういうことで、決して場違いなお話ではなかったということでございます。ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。

 よろしゅうございますか。

 それでは、次回の開催日につきましては、追って事務局より連絡をするようお願いいたします。

 本日は、御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。


(了)

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