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2015年3月18日 歯科医師の資質向上等に関する検討会 女性歯科医師の活躍に関するワーキンググループ(第1回)

医政局歯科保健課

○日時

平成27年3月18日 10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用22会議室


○議題

○女性歯科医師の現状及び課題について
○女性の活躍の取組について
○その他

○議事


○高田歯科医師臨床研修専門官
 それでは、委員の皆様おそろいですので、ただいまより歯科医師の資質向上等に関する検討会 女性歯科医師の活躍に関するワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は第1回ですので、初めに本ワーキンググループの構成員を御紹介いたします。なお、本ワーキンググループの座長は、参考資料に付けております開催要綱の第4条第3項において検討会の座長は作業部会の座長をあらかじめ指名するとされておりまして、今年1月16日の検討会において、江藤座長から、国立保健医療科学院の三浦構成員をワーキンググループの座長に御指名いただいておりますので、三浦構成員に座長をお願いしております。よろしくお願いいたします。
 以降、名簿順に御紹介いたします。日本医師会常任理事の笠井構成員です。


○笠井構成員
 日本医師会からまいりました笠井でございます。日医の、厚労省委託事業男女共同参画女性支援センターの担当をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 九州大学名誉教授、福岡学園理事長の水田構成員です。


○水田構成員
 水田です。どうぞよろしくお願いします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 日本歯科医師会副会長の富野構成員です。


○富野構成員
 日本歯科医師会の富野です。よろしくお願いします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 日本歯科大学生命歯学部学部長の羽村構成員です。


○羽村構成員
 おはようございます。日本歯科大学の羽村と申します。妻が開業歯科医です。よろしくお願いいたします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 大阪大学大学院歯学研究科歯科保存学教授の林構成員です。


○林構成員
 大阪大学の林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 東京医科歯科大学歯学教育開発学教授の森尾構成員です。


○森尾構成員
 おはようございます。森尾でございます。よろしくお願いいたします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 また今回、参考人といたしまして内閣府男女共同参画局推進課の大地課長です。


○大地参考人
 大地と申します。どうぞよろしくお願いいたします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課育児・介護休業推進室の飯野室長です。


○飯野参考人
 おはようございます。飯野と申します。よろしくお願いいたします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 続きまして、事務局の紹介をいたします。
 歯科保健課長の鳥山です。
 歯科保健課課長補佐の中祖です。
 歯科保健課課長補佐の大島です。
 歯科医療専門官の和田です。
 最後になりましたが、私は歯科保健課の高田と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局を代表いたしまして鳥山歯科保健課長より、御挨拶を申し上げます。


○鳥山歯科保健課長
 改めまして、医政局歯科保健課長の鳥山でございます。本日は先生方、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。また、平素から何かと厚生労働行政に御協力いただいておりますことを、改めてお礼申し上げます。
 さて、去る1月16日に第1回歯科医師の資質向上等に関する検討会を開催し、歯科医師の需給問題、女性歯科医師、更に歯科医療の専門性の3点について、それぞれワーキンググループを設置することとなっております。
 女性の歯科医師は20歳代では既に4割を占めておりますが、これまであまり議論される機会がなく、今回、厚生労働省としては初めて検討の場を設けた次第でございます。現在、あらゆる分野で女性の活躍の支援が必要とされており、本日の会議では、まずその取組について、内閣府男女共同参画局及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局から説明いただき、社会的背景を踏まえた上で、女性歯科医師の活躍の場所や働き方について、御議論を頂くものでございます。
 今回のワーキンググループには、特に女性の歯科医師や医師として長年御活躍いただいている方に御参加いただいており、御自身の経験なども踏まえまして、積極的な御提言を頂くことを期待する次第でございます。以上、簡単ではございますが、私の冒頭の御挨拶とさせていただきます。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 今回のワーキンググループにつきましては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第座席表構成員名簿ほか、資料は資料1~4。参考資料も1~4をお配りしております。参考資料につきましては、皆様の机上にブルーのファイルが置かれているかと思います。ワーキンググループのみに参画される先生方も多くいらっしゃいますから、こちらはそのほかのワーキンググループ及び親会と言いますか、検討会そのものの資料を随時追加して机上に置かせていただいております。こちらは個人の持ち物ではなく、次回、別のワーキングでは、本ワーキングの資料を足して、その委員に提供いたしますので、書込みなどはなさらないよう、ご協力の程よろしくお願いいたします。
 また、資料について乱丁・落冊等ございましたら、お申し付けください。過去の資料について、個人用フィル御所望の先生におかれましては、事務局までお知らせいただければ御用意させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、以降の進行については、三浦座長お願いいたします。


○三浦座長
 座長を仰せつかりました国立保健医療科学院の三浦でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 本ワーキンググループは、今、御説明がありましたとおり、女性歯科医師の今後のキャリア展望に関する初めての公的な検討会ということになります。そのため、非常に背負っている責務が重いところでございますが、皆様方の御協力をもって、次世代を担う女性歯科医師の活躍を推進するような取組に資するような検討を行っていきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、時間もございますので、早速、議事に移らせていただきます。まず事務局から資料1と資料2の説明をお願いいたします。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 構成員名簿と座席表につづきまして、資料1女性歯科医師の活躍に関するワーキンググループの概要について簡単にご説明いたします。本ワーキンググループでは、3行目後半から歯科医師についても近年女性の割合が増加し、女性歯科医師の活躍の場や歯科医師の働き方についても議論を行うということを目的としております。
 想定される議論の内容は女性歯科医師の働き方、キャリアパスについて、どのようなことが考えられるか。また、結婚・出産などに伴う離職・復職を想定しつつ、女性歯科医師が活躍する場について、どのように考えられるかということを想定して、論点等を適宜追加して議論を深めてまいりたいと思っております。
 最後にスケジュールですが、本日平成27年3月18日に第1回ワーキンググループを開催いたしまして、その後、3か月に1回程度で開催したいと思います。次回は7月を目処で、日程調整をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 資料2は女性歯科医師の現状としまして、女性歯科医師について、厚生労働省で把握しているデータなどについて御紹介いたします。まずスライド番号1に、女性歯科医師の数・率について示しております。こちらの出典は医師・歯科医師・薬剤師調査というもので、2年に1度免許を持っている全ての歯科医師が保健所にその勤務先などを届け出るという制度があり、これを活用した調査です。女性歯科医師は棒グラフに歯科医師の数、折れ線グラフに割合を示しておりますが、数・率ともに右肩上がりで上がっていることがお分かりいただけるかと思います。
 次ページに歯科医師数の推移です。女性歯科医師は増えているが、どこで増えているのかということを示しています。緑色で示しております、平成14年に8,251人だった診療所の勤務者ですが、平成24年には1万2,210人ということで、増えているのは診療所の勤務者です。上の枠の中にも記しておりますが、平成14~24年にかけて診療所で雇用されている女性歯科医師は約1.5倍になっています。
 3枚目のスライドです。年齢階級別の歯科医師数の推移で、歯科医師全体の数を、男性歯科医師の数がブルーのラインで、女性歯科医師の数を赤のラインで示しています。歯科医師の数のピーク、又は女性歯科医師の数のピークが御覧いただけると思います。49歳以下の年齢階級別で、歯科医師総数については減少しています。
 4ページは年齢階級別の男女別の歯科医師の割合を示しております。全ての階級を100としたときに占める割合を示していますが、女性歯科医師の割合は59歳以下、全ての世代で増加傾向を示しておりまして、30代、20代の増加が顕著になっています。平成24年の29歳以下においては42.1%が女性となっています。
 5ページは女性歯科医師の入学者数と率を示しております。緑が男女合計の棒グラフで、入学定員の減少などにより昭和56~60年の棒グラフをピークに右肩下がりになっております。しかしながら、女性歯科医師の数は減少しておらず、比率についても上がってきています。折れ線グラフを見ますと、傾きについては、平成6年から平成10年以降は緩やかになってきています。
 6ページは女性の歯科医師国家試験受験者数・率、合格者数・率を示したものです。深い緑が女性の受験者数、淡い緑が女性の合格者数で、受験者に占める女性の割合と合格者数に占める女性の割合を示しております。常に合格者に占める割合が高くなるということは、女性のほうが合格率がいいということです。参考までに昨年行われました第107回歯科医師国家試験の合格率は、総数では63.3%が合格率でしたが、男性が59.8%、女性が69.1%です。
 8ページからは女性歯科医師の働き方について、働く場を中心に御説明いたします。9ページは勤務先別の歯科医師の割合ということで、今回は医師と歯科医師を比較して提示しています。これは働く場を見ていただければ分かると思いますが、医師のほうはエンジ色の病院と、ピンク色の医育機関、つまり大学又は大学付属病院で働いている方が約65%を占めています。逆に歯科医師は9割が診療所の管理又は開設になっています。医師と歯科医師では、例えば復職支援のあり方や、職場環境の整備などについても、大きく異なるということを押さえた上で取組を考えなければいけないということです。
 10ページの勤務先別の歯科医師の割合(男女別)です。まず左側が男性です。男性のピークは60~64歳で、91.4%が開業をされており、勤務をされている方は4.8%で、残りは大学又は病院で働いている方です。この詳細について調査をしたデータはありませんが、30代後半から40代にかけて皆様が開業され、60~64歳をピークに御子息なりに世代交代をされていくということではなかろうかと想定しております。
 逆に女性を見ますと、女性は開業の率は生涯をかけて50%前後を推移するということです。勤務者も7割から5割ぐらいを推移するということです。しかしながら、女性の勤務者については男性も同様ですが、どういう形で勤務をしているのか。つまり、配偶者なり御両親が開業をされていて、そこで勤務をしているのか、それとも血縁等について無関係な方の診療所で勤務をされているのかという区別については、このデータからは見ることができません。
 11ページです。歯科診療所の従事者数ということで、平成2年~平成23年の医療施設調査のデータを並べています。医療施設調査は3年に1度全ての医療機関を対象に調査をしており、全数調査になっています。平成23年は総職員数、受付の方、歯科技工士、歯科衛生士の全てを足した歯科診療所の平均の勤務者数は4.6人で、非常に小さな事業所であることを示しています。また1診療所当たりの歯科医師は1.4人ですが、常勤で働くのは1.2人、非常勤で働く方が0.2人となっています。いずれにしても非常に小さな事業所で様々な取組を行わなければならないということを示しています。
 12ページは研修歯科医が予想する10年後の働き方です。こちらの出典は平成25年度臨床研修修了時アンケートということで、厚生労働省では臨床研修を修了された新しく生まれる歯科医師たちに様々なアンケートを取っております。また、その質問の中の1つに10年後にどのような働き方をしていると思うかという質問を設定しておりますが、赤いバーが女性、青いバーが男性です。まず、こちらのアンケートを回答している総数は1,981人です。その中で660人、つまりおよそ6割の方が自分は10年後に管理者、開設者になっているだろうと回答をしております。また、歯科診療所に勤務するだろうと考えている女性は53.3%の436人です。男性では自分が管理・開設又は勤務、診療所に関わっているだろうと予想されている方が約8割で、女性では75%が歯科診療所を自分が開設・管理をするか、又は勤務をすると予測をされています。
 14ページの歯科医師の需給問題です。女性歯科医師の復職又は就業などについて、切っても切れない、今の歯科医師の抱える課題として挙げられる需給問題について簡単に御説明します。
 15ページは歯科医師数の年次推移です。女性歯科医師数についても右肩上がりですが、歯科医師の総数についても右肩上がりで、人口10万人対歯科医師数は昭和45年は35.2人だったのが、今は80.4人ということで、大きく増えています。また医療施設に従事する歯科医師の伸び率が鈍化していることを考えますと、どのような場で新しい働き口があるのか、若しくは働いていない人が増えているのかなどの実態は分かりかねるところがありますが、診療所数についても鈍化をしています。
 16ページは施設の種別に見た医療施設に従事する歯科医師数の年次推移です。医育機関の働く場が増えているわけではなく、病院歯科と呼ばれる一般の病院の口腔外科が増えているわけでもありません。つまり、増えた歯科医師は全て診療所に行っているということをこのグラフで示しています。
 最後になりますが、歯科医師数が多いということで、平成18年8月31日に文部科学大臣と厚生労働大臣が歯科医師数の養成数の削減に関する確認書というものを取り交わしております。具体的には文部科学大臣に対しては、歯学部定員について一層の定員減を要請、厚生労働大臣については、歯科医師国家試験の合格基準の引上げ、つまり資質向上を要望ということで、確認書にサインをしております。それに基づいて文部科学省では入学定員の削減を実施し、厚生労働省としては新規参入の歯科医師の資質の確保に取り組んできているところです。私からは以上です。


○三浦座長
 ありがとうございました。統計資料等を活用して、現在の女性歯科医師の現状と取り巻く環境についての御説明でした。続きまして、資料3女性活躍の推進について、内閣府の大地課長から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


○大地参考人
 内閣府男女共同参画局推進課長の大地です。資料3の女性活躍の推進についてという赤字のタイトルの資料を使用し、時間の関係もありますので、少し端折ってご説明いたします。
 1ページの男女共同参画社会についてはお読みいただければと思いますが、男性も女性も全ての個人が喜びも責任も分かち合い、その能力・個性を十分発揮することができる社会の実現のための施策を担当しております。
 ページをおめくりいただくとジェンダー・ギャップ指数の資料があります。各国における男女格差を図るジェンダー・ギャッブ指数が、日本は、142か国中104位と非常に低いものとなっております。これは4つの分野から構成されていまして、健康と教育はあまり男女の差がないのですが、経済の参画あるいは、政治の参画が弱いのが特徴です。
 半分から下に、M字カーブのグラフがあります。就業を希望していながら働いていない女性が315万人で、我が国最大の潜在力となっているということで、こういった方が労働参加をした場合にはGDPが大きく上昇するという試算もあります。
 こういった状況において、安倍政権がどのようなスタンスで臨んでいるかについての資料が4ページ以降です。安倍政権は女性の活躍に対して本気で取り組んでいます。第68回国連総会、世界経済フォーラムといった所で女性の活躍について強く言及しているというのが総理の基本姿勢です。また総理から経済界へ女性の活躍を推進していただくように直接要請をしております。
 平成25年4月19日の総理の要請の内容はブルーの四角の中で、2020年は30%の政府目標の達成に向けて全上場企業において、積極的に役員・管理職に女性を登用してくださいというものですが、202030(ニイマルニイマルサンマル)と私どもは省略して言っておりまして、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするというのが政府の目標です。後ほど申し上げますが、この30%の指導的地位という中には、専門職の方々、歯科医師も含まれており、歯科医師も女性が30%になることが目標です。
 更に団体における意思決定にも参加するため、各団体おける役員も30%の女性比率の達成に向けて努力をしていただきたいというのが政府のスタンスです。
 次は、資料の右下の6ページですが、平成26年6月24日の経済界に対する要請の内容です。(1)女性登用に向けた目標を設定してくださいとか、自主行動計画を策定してくださいといったことや、(2)ですが、有価証券報告書における役員の女性比率の記載をはじめ、女性の登用状況等の情報開示を進めていただきたいと要請し、各企業で取組がなされているところです。
 (3)は新たな法的枠組構築への協力を要請しているということで、既に前国会にも提出をしておりまして、解散により廃案になってしまいましたが、再度、今国会に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案を提出しております。
 7ページは政策・方針決定過程への女性参画の拡大というタイトルを付けていますが、指導的地位に女性が占める割合ということで、少し細かく分野ごとのどのぐらいの割合になっているかという現状を示したデータです。ブルーの帯が長い分野ほど女性の活躍が進んでいるというもので、短いものは女性の割合が少ないということです。30%のところに202030を意識して点線が付いています。
 歯科医師についてはグラフが細かくて恐縮ですが、下から4つ目の棒グラフで、女性割合は21.5%です。先ほど拝見したデータと若干違うようですが、ほかの分野に比べると、相対的には女性の参画が進んでいる、活躍している分野と言えると思いますが、いまだ3割までは進んでいない状況です。一般企業の管理職・役員の方に比べれば、ずっと多いのですが、十分には進んでいないという状況です。
 先ほどいろいろなデータを御説明いただきまして、非常に興味深く見せていただきましたが、29歳以下では女性が42.1%、30~39歳では33.5%ということで、これらの若い層の方々が順調にキャリアを積んでいけば、202030というのはそう遠くない将来に実現できるのかと思うのですが、特に女性の場合には就業継続が困難であったり、家庭との両立が難しかったり、何かの事情で子育てや介護をする方で離職せざるを得なかった場合に、復職に困難を抱えるとか、専門職であるがゆえの困難があるのかと推測しております。そういったところが今後の課題かと思います。歯科医師になるところ、入口においては女性が増えていて、これで十分だと申し上げるつもりは全くありませんが、歯科医師の道に進まれた方のその後の育成がとても重要なのではないかと思った次第です。
 それから、データは資料には添付しておりませんが、私どもでは歯科医師会、医師会にも御協力いただき、職能団体の役員を男女別に調査をさせていただいています。決して歯科医師会だけではなく、総じて職能団体は、手元に医師会、歯科医師会、薬剤師会、獣医師会、弁護士会、司法書士会、弁理士会、公認会計士会、税理士会連合会などのデータを持っておりますが、女性役員の割合がとても少ない。先ほどデータを拝見しましたように、女性の参画が進んできたのが最近であるということで、年齢層が高い所での女性の人数がとても少ないということはよく分かりますし、。全体の女性比率よりも役員の比率が少ないということが歯科医師会だけでは全くありませんが、そういったところも取り組んでいただけると有り難いと考えます。
 時間の関係もあり、あとは一般の民間企業などのデータが中心ですので、御参考にしていただければと思います。世界と比較すると、全体として日本は非常に遅れております。また、本ワーキングの対象の歯科医師は臨床に携わる者のみを指すのか、研究者や行政職なども指すのかなどの定義は分かりませんが、一般的に、研究者の中でも女性割合がなかなか増えないという状況があります。歯科の分野に限った話ではありませんが、一般的な研究者の話として、よく聞きますのは、研究と家庭との両立は困難を抱える方が多いということで、そういったところへの対応も重要ではないかと思います。
 あとは時間の関係で割愛させていただきますが、最後の13ページの下に、先ほど少し言及しました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案の概要を記載しております。事業主に行動計画を作ってくださいというもので、労働者数が301人以上の民間事業主が対象となるもので、今国会に提出をしています。御参考にしていただければと存じます。私からの説明は以上とさせていただきます。


○三浦座長
 どうもありがとうございました。近年非常に動きが大きい、女性の活躍を推進する施策の動向。そして、全体の統計データと合わせて、女性歯科医師の動向にも言及された御説明だったと理解しています。
 引き続きまして、今度は資料4ということで、仕事と家庭の両立支援対策についてという資料になります。雇用均等・児童家庭局の飯野室長から御説明をお願いします。よろしくお願いします。


○飯野参考人
 それでは、私から資料4について御説明します。まず表題仕事と家庭の両立支援対策というのは、あまり聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれません。私どもの仕事としまして、仕事と家庭を両方とも両立できるような施策・対策をやっている部署です。平たく言いますと、男女ともに継続就労ができる、就労が継続できるような施策を行っている部署でして、特に私どもの部署におきましては、働くということに着目して、その働くという局面から、労務管理などを中心に施策を行っている部署です。
 なお、私どもの部署が取り扱っている人が働くという業務におきましては、業種・職種にかかわらず、業種・職種に横断的な施策を行っている部署でして、本当に申し訳ないのですが、特に歯科医師に注目したデータというのはありませんので、その点は御容赦いただければと思っています。
 ページを1枚めくっていただいて、1番のシートを御覧いただければと思います。仕事と家庭の両立をめぐる現状ということで、2枚のシートに分けて整理しています。この1番のシートの左側を御覧ください。棒グラフが2種類あります。出典が異なるため、若干データは違うのですが、左側のデータを見ていただきますと、出産後継続就業率が38%と書いています。右のほうですと、出産後継続就業率は45.8%ということで、いわゆる6割の女性が、出産・育児により退職をしている。これは全業種の平均値ですが、そういう状況です。
 右を見ていただきますと、実はこれは妊娠・出産前後に退職した理由というのを、アンケート調査で平成20年に取ったものですが、左下の黒枠で囲んだ部分を御覧ください。仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めたというのが26.1%、約4分の1の女性労働者からこのような回答を頂いています。この26.1%を分析したものが下ですが、両立が難しかった具体的理由として、一番多かったのが勤務時間が合いそうもなかったということ。2番目が職場に両立を支援する、いわゆる仕事と家庭が継続できるような雰囲気がなかったというもの。この2つが約5割以上のものです。そして、その下は自分の体力がもたなそうだったというのが45.7%。その下が、育児休業を取れそうもなかったというのが25%、4分の1ということで、これを見ますと、どうも職場で継続就業できる雰囲気がなくて、勤務時間が自分ではなかなか仕事と家庭を両立させるのが難しそうな雰囲気で、かつ職場で育児休業を取れなかったという傾向が伺われるかと思います。
 その下の2番目のシートを御覧いただきますと、これは主に女性のほうの調査が1枚目のシートだったのですが、男性に少し目を向けたものです。男性の意識なり継続就業というのは関係あるのかということですが、実は私ども、男性の働き方が女性の継続就業ですとか少子化対策に寄与するということを考えていまして、その調査ですとか施策も進めています。まず、このシートの左側の上を見ていただきますと、育児休業を利用したい男性は平成20年のアンケート調査では、約3割を超えているということになっています。
 では、そのような育児休業を利用したいという男性、そのような意識を持っている男性はいるのですが、実際にどうなのかということで、下のグラフを見ていただきますと、これは赤いのがすごく目立つのですが、女性が育児休業をどれだけ取ったかというのが、赤いグラフになっていまして、その下に小さく青っぽいグラフと数字が書いてあります。これが男性の育児休業の取得率です。一番下ですが、平成25年度の男性の育児休業取得率は2.03%という状況でした。
 実は下に目標値と書いてありますが、男性の育児休業取得率は、閣議決定している日本再興戦略ですとか、まち・ひと・しごと創生総合戦略では、平成32年に13%にするということですが、足下は2.03%ですので、まだまだ遠いかなということで、今努力をしているところです。
 右のほうのグラフを見ていただきますと、これは夫が家事とか育児時間をどれだけ毎日使っているか、家事・育児にどれだけ従事しているかという、時間で示したものですが、一番下を見ていただきますと、1日当たり4時間以上、夫が家事・育児をしている場合、女性が第2子以降を出生している割合が71%。その1つ上の2時間以上4時間未満を見ても68.6%ということで、概ね7割以上の方が第2子以降を出産している割合が高いというデータです。
 その上を見ますと、2時間未満になると5割前後ということで減りますし、更に家事・育児時間が全くないということになると4割を切ってしまうということで、やはり男性の家事・育児時間の影響が大きいということが伺われるかと思います。これについても左下の目標値を御覧いただきますと、平成29年には1日当たりの男性の育児・家事関連時間を2時間半にしようという目標を持っているのですが、足下では1日当たり67分ということで、2.2倍に伸ばさなくてはいけないという状況になっています。
 次のページの3番目のシートを御覧ください。このような現状を踏まえて、私どもの課でどのような対策・施策を行っているかというのを、1枚のシートにまとめたものです。左側の囲みの1つ目の法律に基づく両立支援制度の整備ということで、1つは妊娠中・出産後の母性保護、母性健康管理という施策を行っています。これは労働基準法と男女雇用機会均等法で、例えば皆さん御存じだと思いますが、産前・産後で産前6週間、産後8週間の休業をしましょうとか、軽易な業務への転換、時間外労働・深夜業の制限をしましょうというような法制度を持っています。
 2つ目ですが、育児休業と両立支援制度の整備ということで、これは育児・介護休業法で定められていますが、原則、子供が満1歳になるまで育児休業を取りましょうということ。そして、もしお父さんとお母さんが共に育児休業を取った場合には、1歳2か月までの期間に1年間の育児休業を取れるということ。また、保育所に入所できない場合には、最大1歳半まで育児休業を取れるという休業制度を持っています。
 3つ目について、法制度、雇用保険法の中ではありますが、昨年の4月に法が改正されまして、育児休業中、雇用保険から経済的支援が受けられるようになっていまして、育児休業給付が50%から、昨年の4月以降は67%ということで、大体3分の2程度、手取収入で考えると概ね8割程度の経済的支援が受けられるようになっています。
 あと、真ん中の囲みですが、両立支援制度を利用しやすい職場環境作り。先ほど女性にアンケートを取ったところ、職場に両立を支援する雰囲気がなかったというのもありますので、やはり職場で両立支援制度を利用しやすい、職場の環境作りというのが必要だと考えていまして、1つ目に次世代法に基づく事業主の取組推進と書いてあります。私どもの所管している法律にもう1つ、次世代育成支援対策推進法という法律がありまして、この法律の中で、仕事や子育てを両立しやすい環境の整備に関する行動計画を作っていただきましょうということになっています。この行動計画を作っていただきますと、各都道府県にある都道府県労働局に届出をしていただく。そして、従業員の方々に周知していただく。そして、世間一般に公表していただく。そして、実行していただくということを、従業員101人以上の企業において、義務としてやっていただくようになっています。ここにはくるみんという小さいマークが描いてありますが、大体2~5年間の計画を実施していただいて、一定の水準に達した場合には、各都道府県労働局長から認定証を差し上げていまして、このくるみんマークをいろいろな所で使っていただけるという制度も、合わせて運用しています。
 先ほど各先生方に名刺交換をさせていただきましたが、その後ろ側を見ていただきますと、もう1つ違ったマークがあります。今年の4月からは、更に高い水準を達成していただいた方々の企業におかれましては、プラチナくるみんマークということで、12色のマントから選んでいただけるマークを使っていただけるという新しい、昨年法改正をしましたので、そのマークを使っていただくようになっています。
 2つ目ですが、助成金等を通じた事業主への支援。やはり主に中小企業ということになるのでしょうが、なかなか財政的な事情から両立支援策が進まないという企業さんへの支援ということで、いろいろな助成金を私どもは御用意しています。これは後ほど全体的に説明しますので、ここでは細かい説明を省略させていただきます。あと、表彰等による事業主の意識の醸成ということで、この両立支援策をいろいろ取り組んでいただいて、一定の水準以上になった企業さんに対して、表彰制度というものを持っています。
 その他として右側に何点か示しておりますが、実は私ども、両立支援ということで極力男女ともに離職しないで働き続ける、家庭生活も職業生活も両立していただくということが、一番の政策の中心ということでやっているのですが、残念ながら何かの事情で離職した場合に、また職場に復帰しやすい、もしくは職場復帰してもらいやすい支援というものもやっていまして、御存じかと思いますがマザーズハローワークということで、全国の各ハローワークの中にこのような部門、更にそこまでたどり着けない方々に託児付再就職支援セミナーということで、私どものほうでセミナーをやったり、また、厚生労働省のホームページにカムバック支援サイトというものを持ったり、また、リターン&ステップということで、再就職を果たした方々の好事例などを集めて、パンフレットをお作りしまして、世の中に周知をしているというのもやっています。このようなことも含めて、その下にありますとおり、女性の継続就業率を平成22年、足下では38%だったものを、平成32年には55%までに上げようということを目標として持っているものです。
 下の4番目のシートですが、先ほど法制度を持っていると申し上げました。1つ目は育児・介護休業法の概要です。一番大きな肝は一番上に書いてありますとおり、育児休業・介護休業制度でして、先ほど御説明しましたように、子供が満1歳になるまで、男女ともに希望される方が育児休業を取れるようにということで、周知ですとか、事業主に対して相談、指導を行っているところです。その下には短時間勤務ですとか、時間外労働の制限、所定外労働の免除。また、右のほうでは子供の看護休暇制度等と、法令等に規定された内容がありまして、これに対する周知、指導を行っているところです。
 1枚めくっていただいて、その次の5番目のシートを御覧ください。これが先ほど申し上げました次世代育成支援対策推進法です。実はこの法律、時限立法でして、今年の3月31日までが有効期限だったものを、昨年の4月、国会で改正法をお認めいただきまして、今年の4月1日から10年間の延長ということになっています。大きな内容は先ほど御説明しましたが、101人以上の規模の企業におきまして、一般事業主行動計画というものを策定していただきまして、各企業で取り組んでいただくというものになっています。この取組の中には、幾つか示しておりますが、男性の育児休業に係る基準を目標で持っていただくとか、女性の育児休業取得に係る基準を持っていただくこと。また、やはり働き方が、先ほど男性の働き方で、男性の家事・育児の時間で、女性の第2子以降の出産に大きな影響があると申し上げましたが、その男性、女性を含めた働き方についてのいろいろな目標に取り組んでいただくという内容が盛り込まれているものです。
 下の6番目のシートを見ていただきますと、これが助成金の全体の概要です。助成金については、いろいろな利用の状況を見まして、新たなものを作ったりしているものです。今、一番大きいものは左側にあります、事業所内保育施設の設置・運営等助成金というのがあります。これは各企業が事業所内保育施設を作ったり運営するときに、助成金をお支払いしているというものです。また、今年の4月以降は子ども・子育て支援制度の中におきまして、この助成金との関係もありますし、この助成金の内容も見直す予定にしています。なお、病院内の保育施設というものを、医政局さんのほうでお持ちだと承知していまして、病院内では専らそちらのほうの助成金をお使いになっている所が多いと承知しています。
 あと、特に中小企業に向けた助成金というのが、真ん中の囲みです。実は今年度廃止するもの、又は来年度廃止する予定のもの等がありまして、現在は主に左上の代替要員確保コースということで、育児休業取得者が育児休業を取る際に、代替要員を各事業主さんが確保しようとする場合に、支給対象の労働者1人当たり30万円を支給する。これは今年度まで15万円なのですが、来年度は30万円に拡充をしようというもの。また、育児休業取得者が特に期間雇用者の場合は、10万円加算をするという制度があります。また、その下に育休復帰支援プラン助成金ということで、育休復帰プランナーというものを私どもは別の事業で持っていまして、労働者がスムーズに育児休業を取れて、また育児休業から職場に復帰をしていただくということを考えまして、この育休復帰プランナーから支援を受けて育児休業を取ったり、また職場に復帰をしたという場合に、それぞれ30万円の助成金をお支払いする。計60万円の助成金をお支払いできるというものになっています。ただ、この育休復帰プランナーから支援を受けた場合に、各企業で取り組んでいただくことが必要になりますので、その点を御留意いただければと思います。
 その次のページの7番目のシートを御覧ください。先ほど男性の働き方が、女性の継続就業に特に重要だと申し上げましたが、特に男性の育児休業に着目してということになるのですが、男性が積極的に育児をしつつ、職場でも頑張って仕事をしていただけるということを応援しまして、イクメンプロジェクトというものを立ち上げています。平成22年度から実施しているものです。イクメンという言葉は、もう聞き及びの先生方も多いと思いますが、この平成22年度から事業を実施している成果かなと思っています。
 先ほど冒頭に申し上げたように、私どもは仕事と育児の両立を、特に人が働くという職場のほうから捉えているということですので、昨年度、平成25年度から創設したもので、左下の黒い枠ですが、イクメン企業アワードということで、安心して子供を生み育てることができる労働環境の整備推進を目的として、男性従業員が育児と仕事を両立するための、企業のキラリと光る取組に着目して表彰する制度ですとか、また、右の囲みにありますが、平成26年度に創設ということで、部下が育休取得ですとか短時間勤務等に際し、業務を滞りなく進めるための工夫をしつつ、会社としても事業運営がスムーズであるとともに、上司の方も、自らの仕事も生活も充実されているという、そういう上司の方を表彰するという取組を行っているところです。
 一番最後として、8番目のシートを御覧ください。先ほど私どもの取組を3番目のシートで説明した中で、一番冒頭に母性健康管理ということで御説明したことについて、少し詳しく説明のシートを用意しました。今日は特に女性歯科医師ということだったので、母性健康管理ということで、少し御説明をしたいと思っています。
 左上の囲みで示しておりますが、母性保護規定というのがあります。労働基準法の中で、母性を保護するということで、幾つか法規制が規定されています。1つは皆さん御存じのとおり産前・産後休業ということで、女性が請求した場合に産前の6週間、産後の8週間、女性を就業させてはならない、いわゆる休ませてくださいというものがあります。
 もう1つは妊婦の軽業務転換ということで、重い荷物を持ったりとか、立ちっぱなしの業務があった場合、女性が請求した場合に他の簡易な業務に換えていただきたいというお願いです。
 3つ目は妊産婦の危険有害業務の制限ということで、今は女性がいろいろな所で働いています。やはり母性に影響があるような業務、例えば有害物を扱ったり、危険有害業務があった場合には、そこから違った業務に換えていただくというものが3点目です。
 あと、もう1つは出産後、職場復帰をした場合に、生後満1年に達しない生児を育てる女性については、1日2回、少なくとも各々30分、計1時間、60分の育児時間を女性が請求することができるというものがあります。
 あと、右のほうでは母性健康管理の措置ということで、これは法が違いまして、実は男女雇用機会均等法の中に定められているのですが、妊産婦に対して、母性健康の管理を行ってくださいという規定があります。1つは妊産婦の妊娠が分かった後、健康審査の受診ですとか、保健相談等を受ける時間を確保していただきたいということ。もう1つは健康審査を受けたときに、このままの働き方ではどうも母性に影響があるなといった場合に、軽易な業務に換えていただくようなお願いをしています。
 なお、なかなか女性従業員の方が事業主の方に申し出にくいという場合に、母性健康管理指導事項連絡カード、通常私どもは母健カードと呼んでいるのですが、このような母健カードを産婦人科の先生にお見せいただいて、一定記入をしていただいたものを事業主さんのほうにお出しいただいて、事業主さんとの相談の上で軽易な業務ですとか、危険有害な業務から転換していただくという準備もしているところです。
 一番下が妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場作りナビということで、私どもはサイトの運営もしていまして、このサイトの中で企業に向けた情報、このようにするといいですよ。また、働く女性に向けた情報ということで、妊娠初期から育児中までの、働く女性のための法律や制度なども御紹介しているというナビも展開しています。このようなものを周知しながら、女性が母性にも十分留意しながら、継続就労できるという施策を行っているところです。以上、お時間をありがとうございました。


○三浦座長
 どうもありがとうございました。ワークライフバランスの達成のために、近年国が行っている政策を、非常に簡潔にまとめていただいた御説明だったと思います。今、御発言がありましたとおり、女性の働き方というのは、実は男性の働き方にも非常に直結しているということで、同じことが多分女性歯科医師にも言えるかと思います。すなわち女性歯科医師の働き方を考えるということは、男性歯科医師の働き方にも大きく関与するというところで、両者は密接な関連性を持っているということを改めて感じたところです。どうもありがとうございました。
 これまで資料を使って御説明があったところですが、歯科特有の状況、そして、女性の就労支援に関して、基本的に共通している問題点。そういったものが、これらのデータからある程度先生方の頭の中でも整理整頓されてきている頃かと思っているところです。それでは、ここで構成員の先生方に、女性歯科医師の活躍について、様々な視点から御意見を頂ければと思います。今回は第1回目ということですので、ある程度ブレーンストーミング的に自由な意見出しをお願いしたいと思いますが、一応目安としては、女性歯科医師の就業上での課題と思われる点、特に構成員の先生方御自身が女性歯科医師であられた場合、過去において御苦労されたこととか、あと、どのようなサポートがあればよかったかということ。そして、御所属の組織において、女性歯科医師の活躍のために取り組まれている事例等がありましたら、御紹介いただければと思います。併せて、今後、もし可能でしたら具体的な資料等の提出をしていただけるかどうかという可能性についても言及していただけますと、当方とすると大変ありがたいところです。
 それでは、全員の御意見を聞きたいと思っているところなので、大変恐縮ですが、笠井構成員からよろしくお願いします。


○笠井構成員
 私ども日本医師会として、厚生労働省の委託事業である女性支援センターなどの事業を行っています。具体的な事例等を説明する資料を、また提示したいと思っています。その辺りで問題点の整理、あるいは対応方について、御理解いただきたいと思います。
 ただ、なかなかこれは私ども医師にとりまして、問題点は需給関係のあっせんという、いわゆるバンク事業というのをやっています。これのマッチングというのは、なかなか難しい問題があって、厚労省から御指摘を受けているのですが、その辺りがまた需給バランスということで、少し違った観点からの意見が出てくるかと思います。歯科のこの場合にあるかどうかということについては、また少し疑問があるだろうと思います。その辺りについて御説明申し上げたいと思います。
 その中で、働き方を考えてという問題と、もう1つは働く場の提供、検討というのもやはり必要になってくるだろうと思います。その辺りの希望とか、いろいろな問題がありまして、総論だけでは解決しないという問題に、よく私どもは対峙しているわけです。
 今、いろいろな制度的な環境についてお示しいただきまして、その中に、それに則ってできる物理的環境と申しますか、現実的環境というのをいろいろやっていますので、その辺りが参考になれば、御質問を頂ければお返事できると思います。以上です。


○三浦座長
 どうもありがとうございました。需給との問題も含めて、非常に示唆に富む御提言ということで、働く場の提供というのは非常に重要なところだと思います。引き続きまして、水田構成員からお願いします。


○水田構成員
 私は歯科医師ではなく医師であり、今の福岡歯科大学での経験はまだありません。ただ、うちの大学でも現在、女性歯科医師というのが非常に入学者が多く、卒業生も多く、そして国家試験合格者も多いのですが、大学に残る人とか、大きな病院に行っている人が、やはり女性歯科医師は少ないというのが現状で、去年、全卒業生のアンケートをしたのですが、非常に少ない状況です。それで、それは何とかしなければということで、やっと今、いろいろな女性歯科医師たちと考え方を話し合うことになっています。
 私自身の経験としては、九州大学の病院長のときに文部省の研究費を頂きまして、きらめきプロジェクトというものを作りました。その中で普通に辞めた人とか、そういう人たちを、女性は結婚・妊娠すると、やはりお辞めになる方が多いのです。そういう方が、なかなか大学に帰ってくるということができない状況ですので、そういう方たちをパート的な、時間制限的なことをしながら、大学全体でそういうプロジェクトを作りました。そしてその方は所属する教室の教授とお話になって、例えば外来だけするとか、自分は研究がしたいという方は研究のほうでもいいのですが、そのように年間何人か登録されて、それをやっていくということです。
 ただし、その人たちは3年間という制限を付けました。といいますのは、九大の病院の職員であるということは保証されます。それから、朝の10時から3時ぐらいまででいいといえば、もう自分はそれでいいわ、十分だという人が出てくるのです。だから、それをずっと続けたいとおっしゃる方が出てくるので、それは甘えではないかということで、3年間だけ、子育ての間だけというやり方にしました。
 そして、そういう方は必ずフルタイムに戻るということを条件にしていまして、その成果は非常に上がりました。もう8年ぐらいになるのですが、その人たちがフルタイム勤務に戻ることができた、学位や専門医の取得できた、という成果が出ています。
 それから、医師ではなくて女性研究者の措置としては、九州大学の理事のときに私が担当でして、女性研究者養成システム改革加速というプロジェクトで、加速制度という、やはりこれも文科省の研究費を頂きまして、女性のポジションを教授職とか、そういうので全国公募して、それが非常に優秀な方に来ていただいて、女性の占める割合が、それが始まる前はものすごく少なかったのですが、今はどんどん上がっていっています。非常にこれは成功した例だと思っています。
  それから、1つだけ聞かせていただいてよろしいでしょうか。両立支援対策について、5番目のスライドの所で、法律の改正などを行いまして、法律の有効期限が平成17年4月から平成27年3月31日まで、時限立法だったとおっしゃったのですが、それを延ばしたというお話でしたよね。これを延ばしたのは、成果があったから延ばしたのか、あるいはなかったから延ばしたのかということを伺いたいです。10年間やっていたら、それのアウトカムということも教えていただければと思います。


○三浦座長
 飯野室長、よろしくお願いします。


○飯野参考人
 では、私から御説明します。少子化、いわゆる出生率等を含めますと、この10年間で少し上向いてきているという状態で、一定の成果はあったと承知していますが、まだまだもう少し頑張ろうということで、更に10年間延長したと考えています。


○三浦座長
 更に政策を強化して、勢いを付けるということですか。


○飯野参考人
 そうです。ある意味で集中的、短期的に頑張りましょうという感じです。


○三浦座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。


○水田構成員
 はい。


○三浦座長
 水田構成員、どうもありがとうございました。非常に興味深いグッドプラクティスの御紹介だったと思います。これまでの説明の資料の中にもありましたとおり、働く環境支援というのは、非常に女性の就労には大きいところでして、各種統計データが示すとおり、第1子目のお子さんを生んだ後に、どのように継続就労していくのかというのは、非常に全体の専門職としてのキャリアパスにおいても大きなところで、それをうまくいい形でつないでいって、一番大変なときを環境が支援するという形の取組だと思います。また次回、資料を提出いただけるということで、大変ありがたく思っています。ありがとうございます。


○水田構成員
 少し追加します。先ほど申し上げたきらめきプロジェクトは、医科だけではなくて、歯科の人たちも一緒に、研究費をもらったり、パートでポジションをもらったりして、やっていらっしゃいます。


○三浦座長
医科であっても歯科であっても大体同じぐらいの効果ですか。


○水田構成員
 同じです。審査はしますが同じようにやって、年に1回発表会をして、きちんと報告もしています。


○三浦座長
 分かりました、どうもありがとうございました。引き続きまして、富野構成員から御発言をお願いします。


○富野構成員
 まず、女性歯科医師の活躍というのは、どこをもって活躍と言うかということに疑問があります。例えば、臨床サイドの話になると、自分で診療室を持っていて院長として開業していれば、それは地域歯科医療に貢献しているということで、1つの社会での活躍として世の中は認めるのでしょうけれども、一方において、極めて少ないですが、勤務歯科医として活躍している方もいらっしゃるわけなので、そこを活躍として認めるかどうかということの線引きをするときに、勤務医の方もいろいろいらっしゃると思うのです。例えば親が院長でそこに勤めていて、あまり表に出てこない。御主人が開業していて、奥様が歯科医で、少しお手伝いをする程度。子育てがあって、アルバイト的に診療所を手伝っている方々。そういう方々が、勤務医でもいろいろな中身が違いますので、そのデータが余りにも不足しているということがあります。もう少しこの辺りはお調べになったらいいのではないかと思っております。私ども歯科医師会としても、正直に申し上げて、勤務医がどういう勤務形態の実態があるのかということは把握しておりませんので、そこは1つ問題があるのではないかと思っております。
 このワーキングでは、特別、管理職というのは、歯科医師会の役員についての話はしなくてよろしいのですね。


○三浦座長
 関連している事項ですが、そこに特化する必要はないかと思います。


○富野構成員
 分かりました。活躍ということは、やはり第一線で地域の歯科医療を担っている方々で、その方々が非常にパーセンテージでは低いということです。これはやはり、1つは経済があります。門構えするために数千万円かかるわけですので。それから、自分が結婚、出産したときに、その空白を誰が埋めてくれるのかというシステムができていないということ。それと、先ほど医師会の先生からお話があったかもしれませんが、やはりマッチングがありまして、こういう方にお願いしたいのですが、なかなか適当な方がいらっしゃらない。得てしてピンチヒッターで、診療所の経営が傾いていくことも結構多いものです。極端に言ってしまうと、数箇月間閉めたほうが良く、開けているがゆえにだんだんと、経営状態が悪くなり、患者さんも離れていくということもありますので、その辺りが1つ、この組織として、歯科医師会なら歯科医師会の組織として、また、地方と組んで後方支援していくようなことをしていかないと、なかなか女性が社会で活躍するというところを支えきれないところがあるのではないかと思っています。漠然として余り申し上げることもなく、申し訳ないと思っているのですが、そこが一番問題だということ。
 もう1つ。女性歯科医師はおおよそですが、今までは小児歯科や予防歯科、パーセンテージは低いですが矯正など、余り外科などという分野ではなく、歯科としてはそちらのほうで開業する方が多かったのですが、世の中に子供が少なくなってきていますし、虫歯もほとんどないとなりますと、そういう働く場所も、社会の環境として少なくなってきているのも事実だと思っています。ですから、医療保険のシステムとして、予防なら予防というものが、疾病ではないから保険には入れないという国の考えが今までありましたが、しかし、国そのものの考えが、健康寿命延伸ということになりますと、やはり小さいことの積み重ねが最終的に健康寿命の延伸に結び付くわけですから、医療保険の構造自体も少し変えていかないと、ある面、女性の働く場も今まで以上には拡大していかないのではないかと思っています。誤解してもらいたくないのは、そういう分野で女性歯科医師が働いてくださいということで申し上げているわけではなくて、今までの傾向からすると、そちらのほうが就労としては濃い側面がありましたので。ですから、社会の流れと、女性歯科医師の今までの仕事の場とが、少し乖離が出てきているのではないかと思っております。


○三浦座長
 どうもありがとうございました。具体的に不足しているデータの御指摘も頂いた御発言だったかと思います。先ほど高田専門官からの御説明のときにも、勤務医の状態に関しては、更にデータを追加していく必要があるというお話も少しあったところなのですが、御指摘があったとおり、確かに女性歯科医師の勤務医としての活動状況というのは、親族が歯科医院を経営している場合と、そうでない場合と、かなり大きく違うことが想定されます。しかし、残念ながら、それを指し示すエビデンスがありません。ここは政策を打っていく上で、やはり整備が必要ではないかと思います。


○富野構成員
 私が大変気になっているのは、女性歯科医師で、結婚をして、歯科医師という仕事をほとんどしなくて、その分野からリタイアした場合、その女性歯科医師にとっては、そのほうが幸福があるかもしれないのです。はっきり申し上げて、もう現場には出たくないと。自分はもう家庭の主婦で結構なのだということが、そちらのほうに幸せ感を感じる歯科医師もいらっしゃることはあると思うので、そこまで引っ張り出してくるということになると、かなり問題が複雑になりますので、やはり、勤務医や開業歯科医師で、結婚、出産、勤務医だったら、常勤になっても極めて経済的に報酬が少ないということが問題にすべきことであって、女性がリタイアして幸せで歯科医療から離れている、その方たちまで女性歯科医師の活躍の場がないうんぬんという論議には、ちょっと一線があるべきではないかとは思っています。


○三浦座長
 追加の御発言、どうもありがとうございました。このワーキンググループは、やる気があって、継続した就労を希望している女性歯科医師が不利益にならないように支援をしていくために提言をするというところですので、是非御安心なさっていただければと思います。
 あと、富野構成員から先ほど御発言があった後半の部分です。診療科の特異性があるのではないかということかと思います。医科の分野でも明確に差異があると言われている論文等がありますので、この辺りはデータなどは国のほうでは持っていらっしゃいますでしょうか。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 医師・歯科医師・薬剤師調査の中で、どの標榜下で主に働いているかというデータはありますので、歯科で言うと、例えば小児歯科など、標榜ができるものについては偏りを見ることができます。あとは、それぞれの学会にどれぐらいの男女比で入っているかということも各学会に協力いただき、調べることができるかと思います。


○三浦座長
 ありがとうございました。統計データから追い掛ける方法と、学会データを使う方法と、何かそういったデータも次回以降あると、更に議論が進むのではないかと思います。
 引き続き御意見を伺いたいと思います。羽村構成員、よろしくお願いいたします。


○羽村構成員
 自分の組織の取組や、経験ということですので、幾つかお話をさせてください。
 まず、私どもの大学ですが、2年前まで病院長をしておりましたので、病院の状況からですが、日本歯科大学病院の歯科医師は、講師、助教は女性のほうが多いです。ということで、病院で働く歯科医師は完全に女性優位ということになるのですが、現状で私どもの病院で11診療科、診療科長がいるということになりますが、女性の科長は1名だけなのです。ただ、この4月に教授会で認められれば、もう1名、女性科長ができますが、まだまだ少ないと。ちょうど本日の資料と同じように、管理職が少ないというところと同じ状況にはなっていますが、恐らく何年か後には逆転していくだろうとは考えております。
 今、学部長として、病院は病院長に任せておりますので、大学の学生についてですが、資料にあるとおり、私どもの大学でも一昨年、100年以上の歴史がありますが、開校以来初めて女性の入学者のほうが多くなりました。私自身が入学時の面接、それから、1年時と4年時にワークショップで、将来像を描くということをやっているのですが、ほとんどの女子学生は、やはり何かで一生働きたいという意識を持って入ってきているのです。ですから、現状で、もしも女性歯科医師の働く活躍の場がないとすれば、現状の社会を変えないといけないだろうとは思うところです。
 では、どういう取組をしているかということになりますが、1つは、大学に卒業生にお願いして、女性歯科医の会というものを作っています。私どもの大学の同窓会はあるのですが、同窓会に入っていようが、入っていまいが、女性の歯科医であればそれに入ってくださいとお願いして、年に1回から2回、いろいろな活動をしております。その中で、女性のコンピテンシーモデル、サクセスモデルをちゃんと提示して、どういう仕事をしているのかということを見せてくれとお願いしています。ただ、これは大学が直接やるというよりも、卒業生にお願いしてということにはなります。
 では、大学の中では何をしているかというと、先ほど申し上げたように、女性歯科医のほうが多いので、どの診療科にも女性がおりまして、男性しかいないということはないのです。私が病院長のときに、口腔外科にも女性が比較的多く、特に助教は非常に多くなっているのですが、口腔外科ですと、紹介患者さんから、女性で大丈夫なのかという質問が来るのです。それに対しては丁寧に説明していくということはしております。
 一方、研究者のほうですが、私どもは講座と診療科は分かれていますので、講座のほうの構成員に関しては完全に男性優位です。女性は非常に少ないです。ただし、大学院生は今、3分の2は女性になっています。これは講座、研究室によってかなり偏りがあるというのは事実で、例えば、麻酔科若しくは麻酔学については、今は非常に女性が多くなってきている状況です。先ほど小児歯科、矯正という話が出ましたが、確かに小児歯科、矯正は女性が多いのですが、それと同じように麻酔科が多くなっているという現状であります。
 私ども卒業生ですが、基本的に私立歯科大学で、もともと開校の目的が一次医療者を作るという学校ですので、開業されている、一次医療の場で活躍されている先生方が多いのですが、その先生方の診療室で、保育所を作っている所が最近、何件か出てきています。本日も雇児局の飯野室長から報告がありましたが、補助を出していただけるので、そういうところでやっている所が多くなりました。これは、実は女性歯科医のためだけではなくて、歯科医院経営のためには、実は女性の力は非常に大きいと思うのです。例えば、受付、歯科衛生士等です。そういう方々が出産を機に辞めていくというのが、病院経営としては非常にマイナスということで、自分の所で自前で保育所を作る所が出てきています。
 私の経験ですが、実は私は2人、娘がいて、先ほど申し上げたように、妻が歯科医ですが、妻は、卒業してからしばらく大学病院にいて、その後、開業医に勤めて、出産しました。同僚が育休を取ったり、特配休暇を取ったりしているのは非常にうらやましくは思っておりました。子供ができてからしばらくは、有給休暇枠はフルに活用して子育てはしていたつもりなのですが、特に2人目の子供ができたときは、1人目の子供がまだ小さかったものですから、どうしても誰かが行かなければいけないということで、ずっと休ませていただいて、休むというのは、休暇届は出すのですが、仕事がどうしても残っているので、上の子をおぶりながら大学に行った覚えも実はあって、周りの人たちが結構助けてくれたというのがありました。今でも先生は、よく子供を連れて来たよねとよく言われていますが、職場の環境として、今、男主体の環境ですが、その環境を変えるというのは、やはり医育機関から変えていくのが非常に大事なことではないかと思います。以上です。


○三浦座長
 非常に興味深い、実体験も踏まえたお話をどうもありがとうございました。非常に示唆に富む事柄が多く、これだけ先進的なお考えを持っていらっしゃる学部長を擁している大学であっても、やはり講座は男性優位であって、その一方で院生は3分の2が女性という、このギャップは、今後解消されていく方向なのでしょうか。


○羽村構成員
 エレベーターとは言いませんが、下から押し上げていくわけですから、当然、変わっていくと思います。また、変わらなければいけないと思いますし。ただ、同じ職場、研究室同士で結婚されてお子さんができると、必ず女性のほうが辞めていくのです。何人かにはお前が辞めろよという、余り言ってはいけないことかもしれませんが、大学としてはどっちが大事かというと女性のほうが大事だったりするところがあって。そんなことも経験としてはあります。


○三浦座長
 ありがとうございます。この辺りがなかなか難しいところですね。ジェンダーでどうしても分けがちであるというマインドから、歯科医師側も抜けられないというところがあるのではないかと思います。
 もう1つ、羽村構成員からの有益な情報提供としては、以前は、国立大学に比べると、私立大学には保育所が比較的少ないと言われていた時期が非常に長かったのですが、いろいろな制度をうまく活用して保育所を建設されて、それが、別段、女性歯科医師のみならず、ほかの職種にも非常に良い影響を与えているという御発言があったところは、非常に考慮しなくてはいけないところかと思います。


○羽村構成員
 残念ながら本学ではまだ、私が声高に言っているだけで、全くその計画にもなってはいないのです。


○三浦座長
 まだ計画にもなっていないのですか。


○羽村構成員
 はい。ただ、病院の改築をしなければいけない時期に来ていますので、そのときには、私が学部長であれば絶対に入れたいとは思っています。


○三浦座長
 ありがとうございます。すみません、若干勘違いをしておりました。私が見た統計データですと、やはり先ほど申し上げたように、私大と国立では国立のほうが保育所の設置率が高くて、私大であっても、医学部を持っている大学では保育所の設置率が高いという傾向にあるようです。
 引き続き、林構成員からお願いいたします。


○林構成員
 私自身は大学に勤務しており、大学の教室は45名を預かっていまして、6割以上は女性です。今、たまたま、託児所の話が出ました。大学の中には託児所がありますが、全職員がそこにアプライしますので、3倍ぐらいの競争率ということで、みんながみんなそこを利用できるわけではありません。先ほどもありましたが、女性の大学院生も、もちろんたくさんいまして、みんなキャリアを続けたいと思うのですが、そこがバリアになっているというのは明らかです。具体的に言えば、0歳、1歳児のところが非常に競争率が高くて、0歳で受け入れてもらえないと、1歳児には持ち上がりますので、もうそこでキャリアが切れる。これがやはり、臨床歯科医になる方、あるいは研究者になっていく方、両方にとってバリアになっているのは間違いないと感じています。
 キャリアについて、臨床医になるのか、あるいは大学に残っているのかということで考えてみたいと思いますが、先ほど来、働き方であったり、働く場所の提供のこと、そして、需要と供給のことがお話に上がりましたが、やはり女性活用ということにおいては、もちろん家族に果たす役割もあるわけですから、フレキシブルな勤務形態を公権として認めるという社会の考え方が必要なのではないかと思います。
 たまたま先週の週末に富野構成員たち歯科医師会が高齢者に対する歯科医療を考える世界会議2015というものをなさいまして大成功だったのですが、24か国以上の方がお集まりになって、高齢社会に向かって、多業種連携で、歯科がどんな働きをできるかということを議論なさいました。そこで私が学びましたのは、もう歯科医院に来られない患者さんがどんどん増えていくのだろうという御説明がありました。ですので、我々のほうから向かって出ていってというふうな、事業所でやるのではない、出て行って活動するという勤務形態もあるということで、実際、私の教室の中の教室員がアルバイトのような形でそういう所に行っていまして、女性は大活躍をしております。経済的な負担がないこと、今のいろいろな診療所はいっぱいだと言われていますよね、それと、社会のニーズ、そして時間の使い方ということにおいては、そういう在宅支援であったり、介護施設というところは非常にポテンシャルがあると思いました。
 ただし、教育がそれを、我々の所が支援できているかというと、羽村先生の所は高齢者歯科でやっていらっしゃるのだと思いますが、我々は結構断片的に、義歯は義歯、う蝕はう蝕というふうになっておりますので、そういう系統だった教育が必要でしょうし、多職種が連携ということですので、そういうプログラムを医師会の先生方、そして歯科医師会が、コーディネーターというような何か勉強の啓発プログラムも要るのではないかとも思います。
 また、登録制度というのがあれば、女性歯科医師も活躍できるのではないか。それは、地方自治体であったり、歯科医師会であったりかもしれません。具体的なビジョンはちょっとありませんが、そういう勤務形態を変えて社会のニーズに合うような女性の活用、これも1つなのではないかと考えました。まだ雑ぱくなアイデアで恐縮なのですが、そういう意見を持っております。
 それと、研究活動なのですが、我々のほうは、研究も推進しているときに、女性は大学院を終わりましたら大体30歳前後になります。結婚して出産をしてということを思いますと、やはりそこで育児の支援がないと難しい。どの研究者もそうかと思いますが、大学院を出て、そこで特任のポストを得て、そして更に講師などのポストに行く。やはりそこが大きなハードルだと思うのですが、そこに育児が重なってくると、非常にストレスというか、難しいところになっていると思います。ですので、託児の施設はうちの大学はもちろんあるのですが十分ではないというお話をしました。それが1つ。
 あとは、指導するほうにおいては、キャリアパスが続くような研究課題を考えてやるのもそうでしょうし、我々の大学で始めているのは、研究支援リサーチアシスタントみたいな制度で、もちろん遺伝子や細胞を扱うと24時間の仕事になりますので、そこのところは雇用契約で支援してやるというようなこと。これはまだ成果が、そろそろデータとして出てくる途上ですが、具体的に言えば、そういう支援がキャリアアップには必要なのではないかと感じています。


○三浦座長
 ありがとうございました。臨床面、そして研究面から、実際の教育現場に立たれているお立場から、貴重な御提言、コメントだったと思います。まさしく林構成員からお話があったとおり、今、ニーズは変わりつつあって、地域完結型の歯科医療が求められている今こそ、女性歯科医師が活躍できる可能性があるのではないかというところ。あとは、30代というのは、キャリアを伸ばすのに最適な時期でもあるのだけれども、子育てで、どうしてもリタイアメントしがちである時期で、これをどういうふうに支えていくのか。教育現場としてもどういうふうに支援していくのかという、そういった基盤となるような事柄についての御発言だったと思います。
 林構成員からお話があった、ちょうど日本歯科医師会が世界大会を開催されたところですが、富野構成員は非常に御尽力されたので、何か多職種の連携の中で、女性歯科医師の活躍の場などといったことで何かありますか。


○富野構成員
 今、林先生がお話になったことは、時代がそのように流れていると思います。私は、女性歯科医師を支える仕組みは、高尚な理論の下に組み立てるのはなかなか難しくて、極めて身近な、原点は身近なところがあると思うのです。それはなぜかというと、男親でも女親でも、体が非常に弱ったときに、自分の子供たちが見舞や介護をしてくれるときに、娘なのです。息子は余り役に立っていないのです。娘が来ると、親はほっとするという、安らぐということがあるかと私は思っているのです。
 それで、在宅の話になるのですが、訪問歯科診療と私たちは言っていますが、そういう在宅関係の家庭に行きますと、おじいちゃん、おばあちゃんがそこに寝ていまして、洗濯物も家の中に干してありますし、雑然としている家庭もありますし、台所を覗かれるのが嫌な家庭もいろいろある中でそういうことを行っているのですが、そこはやはり、男性の歯科医師よりも、女性の歯科医師のほうが、こんにちはと言って入りやすいのではないかと思っているのです。


○三浦座長
 まさしく生活支援の立場からの歯科医療と。


○富野構成員
 はい。ここは林先生がお話しになったように、女性の歯科医師が在宅のほうで活躍する場というのは、そういう親子関係のどちらの子供が来たときに安らぐかということの延長線上で、やはり在宅関係の医療というものがあるのではないかと思っています。そこをベースにしながら、今回、多職種連携の、医師会と歯科医師会が手を組まなければならない立場ですが、なかなかそこが近くて遠い仲という現実もありまして、これからの時代は、そういうところの連携を取りつつ、時代とともに在宅のほうにシフトしていくのではないかと思っています。林先生のお考えなども、非常に今後の方向性としては正解ではないかと思っております。


○三浦座長
 ありがとうございました。あと、復職支援のためのシステム作り等を日本医師会が既にいろいろ取り組まれていて、そういったものを私たちも学ばせていただいて、取り入れるものは取り入れてということをすべきではないかとも思っているところです。
 それでは、森尾構成員からよろしくお願いいたします。


○森尾構成員
 私が最初にお聞きしたいなと思ったのは、資料2にある、今、女性歯科医師の働く場所や、将来働いてみたい場所などについての調査の結果です。今御議論があったように、開業して患者さんを待っているのではなくて、在宅でどんどん出ていくということもあるだろうとは思ったのですが、資料2の12枚目のスライドを見ても、歯科医院を開設をしたいのか、勤務医でいいのかというのは、男性とのコントラストがあまりにもはっきりしているので、この辺りのところはもう少し詳しく調べてみたら面白いのではないかと思いました。
 実際に多様な働き方というか、これから結婚もして、出産もして、医院に縛られたくないということで開業を希望されないのか、本当は開業したいのだけれども、今のこういう状況などで、何かバリアがあってできないのか、その辺りのデータが少しあったらいいなと思って見ていました。
 私が勤務している大学の状況は、20年、30年前に比べると大分変わったと思います。20年、30年前と言いますと、大学を卒業して、どこか専門的な教育を受けるために大学院に入りたいということであっても、はっきりと女は要らないと言われる教授の先生もいらっしゃいました。大学院にいる間は、結婚、ましてや出産なんて、そんなのは駄目みたいなことを言われていました。今はそういうことを言ったら大変なことになると思いますが、当時はそういった状況でした。現在の学内の状況ですが、本学も国立大学で大変遅ればせながら、学内の保育園がようやく設置されました。わくわく保育園というのがあります。ただ、文京区という都心にありますので、そこに子供を連れて来るのがいいのかどうかというのは、なかなか悩むところで、住まいの近くで保育園を探される方も多いかと思いますが、取りあえず、学内の保育園もできました。先ほど林先生がおっしゃっていましたように、女性研究者には、研究支援員を付けていただけるようなシステムもあります。また、お子さんが急に病気になったとき、仕事に行けないと困るということで、病児保育の支援といった制度も利用できるようになりましたので、随分、20年、30年前に比べると変わったなと思います。
 ただ一方で、女性研究者の支援をしていらっしゃる方から聞きますと、20代、30代の若い女性の先生で、これからというところなのですが、お辞めになっていく方がいるのは事実で、そ何となく残れないような環境なのか、自分のほうから、迷惑が掛かるのではないかという形で辞めていかれるのか、その辺りははっきりしないのですが、そういう現実は確かにあります。数年前なのですが、女性研究者支援ということで、歯学系の教授の先生に御意見を伺いたいと思ったことがありました。現在、女性の教授も何人かは本学にはいるのですが、男性の教授に聞きますと、お子さんがいて、奥様が働いていらっしゃる方はほとんどいないことが分かったりしました。本学の大山前学長が、奥様が働いていらっしゃって、ご夫婦で歯科の教授でいらっしゃいましたが、それぐらいで他にはいないという現実がありましたので、こういう状況が変わるのは、時を待つしかないのかなと思いました。
 そういった状況ですので、これから大学の中で教育や研究に携わりたい、もちろん診療もですが、そういう女性歯科医師の方たちをどう支援していったらいいかというのは、これから調査が必要です。非常に優秀な先生なのだけども、お子さんがいることで、いつ休まないとも限らないなどといった不安を抱えて、迷惑は掛けられないという形で自分のほうから辞めていらっしゃる方も少なからずいるような感じがします。そういうことに関しては、大学としてサポートをしないと、なかなか女性を引き止めることは難しい。恐らくほかの国立大学も同じかと思いますが、女性は、助教などが若い年代では割合は比較的多いのですが、職位が上がるにつれて、比率が激減していくということがあるので、その状況を変えるためには、取組が必要だと思います。今、具体的にはありませんが、必要性は感じています。以上です。


○三浦座長
 どうもありがとうございました。森尾先生、サポート、支援が必要ということで、そこに、多分、東京医科歯科大学には、男女共同参画に関する室があるのではないかと思います。そこは中核となってそういった取組をされる可能性が非常に高い機関ではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。


○森尾構成員
 数年前から、本学には女性研究者支援の部署がありますが、これからは女性、女性と言うのではなくて、男女共同参画であるとか、ダイバーシティ推進といった形で名前が変わってくると思います。先ほど言ったいろいろな支援策や、やはり若い世代のサポートということで、いろいろ事業は展開しておりますので、学内的にはそこが中心になって行っていくのだろうと思います。


○三浦座長
 ありがとうございました。私を除いて全ての構成員の先生方から御発言いただきました。最後は私のほうから少しだけ、私が取り組んできた内容の辺りを御紹介できたらと思います。
 国立保健医療科学院では、子育て期間中の職員のために、これは男性、女性、限らず、テレワークシステムを使えるということで、これは厚生労働省の方針もあり、それを運用しております。たまたまですが、私が今部長を務めております部で適用者が1人おります。それで、ちょうど子育て期間中で、テレワークを使うことによって、彼女は逆に十分な研究時間を確保することができたということで、かなり有効に働いています。
 ただ、どうしても、テレワークを使える業務は限られていまして、その者の研究テーマがデータ分析を中心としていたのでテレワークが使えたという状況です。実験を行う、ないしは臨床研究を行うとなると、やはり、大学、所属機関に来なければいけないということで、そうなると、家族の絶大なる支援が得られる方たちだけが何とかサバイブでき、そうではない方は、なかなか就業が苦しくなって、本意ではないけれどもリタイアメントするというところも全くないわけではありません。ただ、国の機関なので、幸いなことに、公的な制度に関しては使える道筋が残っており、時短を行って、時短制度の活用で子育て期間を乗り切っている女性研究者も何人かはいます。
 常々思うことなのですが、先ほど御説明があったとおり、国は非常に一生懸命考え、多様な支援策を出されてはいるのですが、その実際上の利用率がなかなか伸びておらず、実数としてまだ十分に活用されていないような状況にあるのではないかと思っております。私のほうからは、本院で行っている、そのような取組等を御紹介することも次回以降可能ですし、私のほうで集めた女性歯科医師の就業に関する調査論文も提供することは可能というような状況です。
 これで全員から意見を聞けましたが、何か最後にあれば。


○水田構成員
 要するに、こういうのがあるときは、対象が必ず若い女性だけなのです。ですが、皆さん女性は、私もそうでしたが、介護というのが大きな問題になります。


○三浦座長
 おっしゃるとおりです。


○水田構成員
 介護は、結婚していらっしゃる方は、男性のほうもある程度手伝ってくれるけれども、やはり女性の肩に掛かってくるのです。ですから、それもちょっと頭の中に入れて、若い人も大切ですけれども、介護で辞めていく人も何人かはいらっしゃるということも考えていただきたいと思います。


○三浦座長
 非常に重要な御指摘をありがとうございます。正しく我が国が抱えている超高齢社会における問題と直結しているところで、やはり女性は育児の担い手でもあり、介護の担い手でもあるということで、その両面を考えていく必要があるということで、このワーキンググループで今後検討していくときに、その視点を是非しっかりと入れていきたいと思います。


○笠井構成員
 1つだけ意見の追加をさせていただきます。今与えられた環境の中で、国が良い制度を作っていく環境の中で、行っているわけですが、その中だけで考えるのではなく、私どもがこの協議会で何ができるか、何をしてもらいたいかという提言まで行ければいいなと、実は思っております。今、地域医療の介護の一括法案で、これから正しく、富野先生がおっしゃいましたような協働・連携が必要で、私どもも是非それに対して一生懸命やっていきたい、口腔内ケアについては大事なことはよく分かっておりますから。
 ただ、1つ、それに対するコストが要るわけです。例えば、今、保育所などというハードは国の補助金でできますが、時短にするとか、いろいろなところで現場に負荷が掛かってくる。それに対して診療報酬しかないわけです。そういう面についても、やはり取り組んでいただかないと、ただやろう、やろうと内部だけの議論ではなく、外に向かっての働きかけをしていただければと思っております。


○三浦座長
 どうもありがとうございました。実現可能性と持続可能性、両面を追い掛けるということは、制度を作る上で非常に重要なところで、その点をしっかりと御発言していただいて、本当に感謝いたします。あと何か、追加発言等、御質問等ありますか。大丈夫でしょうか。
 本日は本当に多様な意見をお伺いすることができました。本当に感謝いたします。いろいろな議論をしていく上で、共通で認識を持っているところ、また、ちょっと異なる意見だけれども、今後同じ方向を向きそうな意見があったところ、いろいろなものが出てきたかと思います。そろそろ時間になりましたので、この辺りで議論を終了したいと思います。
 最後に、次回以降、今、御発言の中で、こういう資料を出せるかもしれませんというお知らせをくださいました先生方、是非、次回以降、資料の御提出に御協力していただければと思います。また、コメントの中で、こういったデータがあるといいですねという御発言もあったので、そこに関しては事務局に御準備をよろしくお願いしたいと思います。あと追加で何かありますか。大丈夫でしょうか。そうしましたら、私のほうから高田専門官にバトンタッチをしたいと思います。


○高田歯科医師臨床研修専門官
 本日は御審議いただきましてありがとうございました。念のため確認ですが、三浦座長から先ほどありました、次回に向けてのデータですが、専門別の男女比、雇用されている歯科医師の実態、また、大学なり学部大学院、大学院生などの男女比のようなものが議論の中で出たかと思いますので、順次、準備させていただきたいと思います。その他ありましたら、後日でも構いませんので事務局までお申し付けいただけたらと思います。
 また、事務局からのお願いですが、例えば、現場の先生方で、こういう方にヒアリングをしたらよいのではないか、例えば、こちらに来ていただける方でも、又はこちらが御意見を聞かせていただくように、もちろん現場に足を運ばせていただくことも可能ですが、推薦していただける方がおられましたら、後日、事務局まで御連絡を頂けたらと思います。
 第2回につきましては、7月頃を予定しておりますが、日程については改めて調整をさせていただいた上で御連絡させていただきます。


○三浦座長
 それでは、本日のワーキンググループはこれにて閉会とさせていただきます。先生方、本当に貴重な御意見をありがとうございました。


(了)

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