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2015年8月6日 クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会 第3回議事概要

○日時

平成27年8月6日(木)10:00~12:00


○場所

総務省7階 省議室


○議題

出席者
■構成員
 金子座長、秋山構成員、大山構成員、久野構成員、近藤構成員、津下構成員、友池構成員、永井構成員、長瀬構成員、長谷川構成員、武藤構成員、山崎構成員、山本構成員

■オブザーバー
 内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室及び健康・医療戦略室、経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課、(一財)NHKエンジニアリングシステム、(株)NTTドコモ、(株)エムティーアイ、(株)カナミックネットワーク、(株)セールスフォース・ドットコム、DeSCヘルスケア(株)、(株)東芝、(株)日立製作所、KDDI(株)、ソフトバンク(株)、日本電気(株)、日本電信電話(株)、日本ユニシス(株)、富士通(株)

■厚生労働省
 橋本厚生労働大臣政務官、今別府政策統括官、安藤情報政策・政策評価審議官、片岡医療技術情報推進室長、迫井老人保健課長

■総務省
 長谷川総務大臣政務官、南政策統括官、池永大臣官房審議官、今川情報流通振興課長、吉田情報流通高度化推進室長

■ゲストプレゼンター
 公益社団法人日本医師会常任理事 石川氏、学校法人自治医科大学地域医療学センター長 梶井氏

○議事

(1)   開会

 

(2)   長谷川総務大臣政務官挨拶

長谷川総務大臣政務官による挨拶が行われた。

 

(3)   橋本厚生労働大臣政務官挨拶

橋本厚生労働大臣政務官による挨拶が行われた。

 

(4)   プレゼンテーション

公益社団法人日本医師会より資料3-1に基づき、プレゼンテーションが行われた。

 

(5)   意見交換

永井構成員

       かかりつけ連携手帳は素晴らしい試みである。 大学病院でも検査結果が比較的すぐにわかるようになり、血液検査、処方、画像や心電図、退院時に医師が書いたサマリなどはなるべく患者に渡している。かかりつけ連携手帳を電子化する際には患者の同意とセキュリティの担保、集積された情報を知識としてどう活用していくか、が重要。

       K テレビは、医師の教育や手術室のモニターとしてすぐにでも利用したい。どういう局面で使うか研究は必要だろうが、遠隔医療への活用も考えられる。また、デバイスとしては、内視鏡手術の際のカメラ、モニターはすぐにでも現場で利用したいのではないか。

 

津下構成員

       かかりつけ連携手帳では、連携に必要な情報項目を絞り込むことが重要である。現場で出てくる患者のさまざまなデータの中で、連携に必要な情報は何か、どの情報をどのくらいの頻度で修正・更新するか、よく検討しなくては、情報が多すぎて使えないものになってしまう。また、現場で既に稼働しているシステムの情報を再入力せずに取り込めることも重要。加えて、医療の質の向上、地域包括ケアに向けた動きとして、このシステムの導入によりどのようなアウトカムが得られたのかデータを残す必要がある。アウトカムとして、医療の質、社会保障費等への影響を示すデータが取れると、かかりつけ連携手帳を推進する大きな後押しになる。まだ導入段階であるが、並行して効果の指標を考えて進めていくとよい。

 

(秋山 構成員

       岡山の晴れやかネットで実証事業をした際にかかりつけ連携手帳を参加医療機関を通じて患者に配布したが、事務局で患者 ID を別途記載し、会員証としても使うことができ有用であった。但し、患者が地域をまたがって複数の地域連携に関係している場合、手帳が重複してしまわないかなど課題が残る。電子版になると、医療等 ID により解決可能であるかもしれないが、医師会では現状どのように考えているか教えていただきたい。

 

(公益社団法人 日本医師会 石川氏

       今のところ、簡単なファイリング以上は考えていない。手帳の記入に際しては、手帳が厚くなりすぎないよう、医師にはサマリとキーデータ、キー画像だけを入力してもらうことが重要。介護の情報は、医師等に伝えたい内容だけを1,2行で書いてもらうなどの工夫が重要。

 

(大山構成員)

       近頃はセキュリティへの関心も高まっているが、かかりつけ連携手帳では、システムにたとえて言うと、 ID 、パスワード等のアクセスキーを含めた全ての情報が手帳に入っていると見ることもできる。本人が管理しているから、そのような情報を手帳に記載しても問題ないと整理できるかは、今後も議論が必要ではないかと思う。この点、電子化のほうがアクセスキー自体に鍵をかけさえすれば端末を落としても大丈夫なのでより安全なのではないかと思うが、お考えがあれば伺いたい。

       全面的な電子化は難しいとしても、紙の手帳だから安全で電子化すると安全が担保できないというわけではなく、むしろ電子化によるメリットもたくさんあるので、医療に使える安全なネットワークを整備していくことも必要ではないかと思うが、お考えを伺いたい。

 

公益社団法人 日本医師会 石川氏)

       電子化された「かかりつけ連携手帳」を利用する際、例えば認知症の高齢者などは本人が ID ・パスワードを覚えられないので、家族など代理の人が入力したりカードをかざしたりすることになると考えられ、この点は紙媒体の手帳についても同じである。

       お薬手帳は素晴らしい発明だと考えている。もともと 20 年くらい前に薬の飲み方などを書いたものをお薬手帳として配ったことから始まり、次第に改良を重ね、薬歴を記録する今の形に進化した。医療・介護連携についても歴史を重ねていくとスキルも蓄積されていくものであり、かかりつけ連携手帳についても、まずはこれを利用する中でより良いものにしていきたい。

 

(経済産業省ヘルスケア産業課)

       現在審議中である改正個人情報保護法案が成立した場合、診断情報など医療情報は要配慮個人情報となる可能性があり、本人の同意がなければ第三者に渡すことが出来なくなるが、このかかりつけ連携手帳は、提供する情報を本人が把握した上で提供するかどうかを判断することになるため、法律上の安全性は担保される。

       一方で、同意を得た範囲でしか第三者に提供できない情報をクラウド上で管理していいのか、法律上の安全性を担保するためにセキュリティはどうあるべきかについて明らかになれば、非常に良いものになる。

 

(内閣官房 IT 総合戦略室

       改正個人情報保護法案の審議を早く進めていただくべく、我々としても努力していきたい。

 

(山本構成員

       医療等情報連携は、本人の同意を取ることが第一原則である。トップダウンの医療連携では、同意をどの段階で取るか検討が必要となり、手続きの煩雑さ故に実証等で医療連携ネットワークの参加者数が伸び悩むというケースも少なくない。 PHR では情報はすべて本人が管理しているため、手続きをかなり簡略化できる反面、管理する情報が増えて全体がわかりにくいという問題はある。また、電子化には情報セキュリティの課題もあるため、今後も検討していく必要がある。

 

(大山構成員

       オフラインの手帳の代わりにスマートフォン等で電子的に管理すればそれが本人管理になるかというと別の問題で、他方、情報をクラウド上で管理することがすなわち危険というものでもない。個人情報保護の問題は、管理されている情報に誰がアクセスできるのかを本人が同意している観点から議論されるべきものであることを確認しておきたい。

 

(武藤構成員

       在宅医療の現場では、本人が情報を記入できないので、家族が代わりに記入するケースが多い。こういうケースも法律上、本人管理が必要な情報となるのか。

       また、お薬手帳であれば記入するのはもっぱら薬局であり薬剤師会が主体となって推進できるが、かかりつけ連携手帳では医療・介護の多様なステークホルダーが関わってくるため、運営主体が誰で、どのように普及を進めていく予定なのかを伺いたい。

 

(経済産業省ヘルスケア産業課

       個人情報保護法上、誰が書いたかは関係なく、本人について書かれた情報は本人のものである。電子化したときの最大の問題は、本人が管理している内容がわからなくなってしまう点。本人が自ら管理する情報の範囲を認識できる仕組みをまず担保し、それを外部とつないでどう活用していくかという観点が必要。

 

公益社団法人 日本医師会 石川氏

       地域包括ケアシステムをどこが中心になって進めていくかという観点から、私は「地域包括支援センター」を中心に活用していただくことを考えている。

       なお、かかりつけ連携手帳においては、患者の状況について家族が書くことは想定しておらず、食事など若干の情報を除き、基本的には医療・介護の連携スタッフが記入して情報を交換、共有するという発想を採っている。

 

(金子座長

       マイナンバー等分科会では、本人に委託された代理人が管理するネット代理人という考え方が議論されている。電子化の危険性も当然あるものの、誰が見て誰が書いたかということを管理、把握するためにも、そのような制度整備が必要ではないか。

 

(6)プレゼンテーション

学校法人自治医科大学地域医療学センターより資料3-2、長谷川構成員より資料3-3、株式会社東芝より資料3-4に基づき、それぞれプレゼンテーションが行われた。

 

(7)意見交換

公益社団法人 日本医師会 石川氏

       医療情報は個人情報の中でも非常に機微な情報であると考えており、医療・介護分野で ICT 化を進める上でも、こうした考えを根幹に置いて取扱いを検討していくことが一番重要。なお、レセプトデータには、記入した医療機関や医師の個人情報も入っているという点にも留意いただきたい。

 

(友池構成員)

       東芝の事例では、単に不整脈や血圧の変化等をモニターするための従来の機能を超えて、つぶやきによってこれまで得られなかった多種多様な情報が入ってくる点がユニーク。医師が情報をインテグレートする力を持っていないと情報の意味するところを正確に把握できないかもしれない。誤診や診断の遅れをを克服する方法をあわせてつけていただけると利用も多くなるのではないか。

 

((株)東芝 西原オブザーバー)

       現時点でつぶやきは、あくまで柔らかいコミュニケーション支援のツールであり、正式な介護記録として使うことは想定していない。介護者が重要と思うことは、つぶやきからピックアップして介護記録として転記するので、医師には、この記録により必要なことが伝わる仕組みである。なお多くのつぶやきの中から患者の状態変化に関わる情報を見つけやすくするため、自動キーワード抽出などの支援機能を開発中である。

 

(友池構成員)

       私も電子カルテを利用しているが、記載された内容だけではわからないこともある。そこで、記入した本人に直接聞いて二言三言補足してもらうと、電子カルテに記載された内容がわかるということがある。このように、つぶやきも今後うまく使えればよいと思う。

       他方で、データが増えるとそれをすべて扱うことは不可能。ビッグデータとして得られる情報の取り扱い方法についても視野に入れておかないと、せっかく取得したウェアラブル端末等の情報も利用できない。

 

(8)橋本厚生労働大臣政務官ご発言

退席に際し、橋本厚生労働大臣政務官からご発言があった。

 

(9)意見交換

(津下構成員)

       長谷川先生のお話に関連して、年間 70 万人が受けている特定保健指導の継続支援ではメールや Web が活用されており、遠隔医療でいうところの NtoP の形態として、かなり普及してきている。得られた情報の中で、患者自身がわかるべき情報と、日常の生活管理上で必要な情報と、医療の意思決定に関わる情報とを整理することが必要。

       糖尿病患者は定期的な通院が必要だが、就労世代では半数が治療を継続していない実態がある。専門医による治療が欠かせない1型糖尿病では、受診と学業・仕事との両立に苦労されている。今は血糖、体重のセルフモニタリングが可能であり、診療報酬などの制度とあわせて遠隔医療が進むと、処方は患者の近いところで受けることが可能となり、患者さんにとってベネフィットが大きいのではないか。

       時空 ID では他の施設の情報まで誰でも見えてしまうこととなると、情報が誰に見られるのかわからず、医療機関など情報の発信者としては不安になるのではないか。情報が見られる範囲の整理をどのようにされるのかを伺いたい。

 

(学校法人自治医科大学地域医療学センター 梶井氏)

       情報を出す医療機関側と受ける患者側の双方が同意することで、 NFC を通して患者が情報を取得した上で、患者が、例えば過去1年分の画像を自ら出していくことになる。ここで、情報を提供した医療機関の承認なく他の医療機関が情報を見てよいのかという点については、いったん患者に提供された情報は患者に帰属するものと判断している。

 

(津下構成員)

       患者を通して情報を入手する者が、善意とは限らず、悪意をもって分析したり間違ったサービスにつながったりする危険性もある。

       また、医師の判断が入った情報は患者だけのものかという微妙な面があり、検査値など客観的な情報とは異なる。こうした情報が他からも見られるということについて、行き過ぎたことにならないか心配している。

 

(経済産業省ヘルスケア産業課)

       時空 ID と紐づいた情報については、時空 ID が本人であれば、医師の判断が入っているといないとにかかわらず、本人にとっての個人情報として法律上保護される。

       もっとも、時空 ID は非常にユニークでいいアイデアだが、本人に紐付くものではなくデバイスに紐付くものという理解なので、他の人がそのデバイスを使うと誰のデータなのかわからなくなるという問題が起こりうる。

       また、リアルタイムのデータ収集を行うとデータ量が莫大になるので、サーバを維持できなくなると思うが、どうお考えか。

 

(学校法人自治医科大学地域医療学センター 梶井氏)

       サーバについては検討中。

       時空 ID は確かにスマートフォンに紐付くものであるが、例えば虹彩認証のようにスマートフォン上の個人認証を確実にする手法を検討している。また、現在 NFC がすべての医療機関に導入されているわけではなく、スマートフォン以外の方法により医療機関からデータの提供を受けることも考えられるため、完璧ということにはならないかもしれないが、乗り越えられる課題と考えている。

 

((株)東芝 西原オブザーバー)

       現在取り扱っている活動量計などから取得するデータは、今でもスマートフォンアプリで取得しスマートフォン上で管理できる量であり、今のところ問題となっていない。ただし将来的にはデータの圧縮等の検討も必要となるかもしれない。

 

(大山構成員)

       我が国は国民皆保険であるため、いつ、誰が、どこで受診し、どのような治療を受けたのかという情報がわかれば、支払いが終わるというのが本来あるべき姿。これは、 GPS やユニバーサルタイムのようなものと本人確認とを組み合わせればできるという意味で、時空 ID の話は重要な点を指摘している。

 

(近藤構成員)

       高齢の患者の場合、多くは家族が付き添うケースが多い。かかりつけ連携手帳を電子化し、例えばスマートフォンになると、付き添ってきた家族が管理することになる。患者本人に判断能力はあるので本人の同意を確認すべきだが、スマートフォンを手にしている家族の前で本人に向かって同意を求めるというのは不自然である一方、本人は自分の健康情報として何がスマートフォンに入っているか見ることすらできない状況で家族による代諾をどのように扱うかということについても整理が必要ではないか。

       また、遠隔病理については、病理医が少ないから広まらないという面もあるが、デジタルスコープ等の設備投資が必要なのは小さい方の病院で、そちらに多くの金銭的負担がかかってしまうという経済関係の逆転現象も原因なのではないか。

       CPAP(睡眠時無呼吸症候群)の遠隔医療に関して、「モニタリング」ではなく「管理」となると、例えば、緊急時に何かしらコマンドを逆方向に送るようなことまで将来想定されていくように感じた。その場合、CPAPのような生命に絡む機器を遠隔で何かしらモニタリングできる機能を進めていく中で、逆向きの脆弱性に対する配慮というのもこれまで以上に必要になると感じた。

 

(10)長谷川総務大臣政務官ご発言

最後に長谷川総務大臣政務官からご発言があった。

 

(11)閉会

 

 

以上


(了)

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