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2015年8月21日 第32回先進医療技術審査部会
第32回先進医療技術審査部会
(1) 日時:平成27年8月21日(金)16:00~18:20
(2) 場所:経済産業省別館312各省庁共用会議室
(3) 出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、伊藤構成員
上村構成員、柴田構成員、関原構成員、大門構成員、
手良向構成員、直江構成員、藤原構成員、山中構成員、
山本構成員、斎藤技術委員
(事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 室長補佐
保険局医療課 専門官
議 題
1.新規申請技術の評価結果について
2.試験実施計画の変更について
3.協力医療機関の追加について
4.先進医療会議の審査結果等について
5.その他
議事録
○猿田座長 それでは時間が参りましたので第32回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。委員の先生方におかれましては大変暑いところ、また非常にお忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。今日は少し議題が多いですけど、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、本日の構成員の出欠状況でございますけれども一色構成員、佐藤構成員、田島構成員、田代構成員、松山構成員からは御欠席との連絡を承っております。18名のうち、13名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることお知らせいたします。なお、藤原委員がちょっと遅れていらっしゃるということでございます。それから本日は技術に関しまして木下技術委員に新しい案件の審査をお願いしております。本日どうしてもいらっしゃることができないということで、欠席の連絡を承っております。それから総括報告書の審査に関しましては斎藤技術委員においでいただいております。斎藤先生、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは配布資料、その他の確認は事務局のほうからよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 配布資料につきまして確認させていただきます。議事次第から始まりまして座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術委員名簿と続きます。
次に「新規申請技術の評価結果について」として、資料1-1~1-9がございます。次に「総括報告書の評価について」として資料2-1~2-3がございます。次に「試験実施計画の変更について」として資料3-1~3-9がございます。次に「協力医療機関の追加について」として資料4-1~4-2がございます。
次に「先進医療Bにおける試験実施計画に係る手続の運用について」として資料5がございます。次に「先進医療会議の検査等について」として資料6-1~6-3がございます。最後に参考資料です。会議資料の最終ページは270となります。
また、加えて構成員の先生方への机上配付資料として、A4の一枚紙が2種類、及びサマリーシートを2種類お付けしてございます。本日の資料は以上でございます。乱丁、落丁等ございましたら事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
それから利益相反についてです。申請医療機関との関係や対象となる医薬品及び医療機器等の企業等について、資料1-1、15ページに記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。
申請医療機関との関係。対象となる企業又は競合企業に関して事前に確認をさせていただいております。今回はいずれの構成員からも事前の届出はございませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。「該当なし」ということでよろしいですね。
また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等についてはタブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言される方は会議資料の何某ページ又はタブレットの何某ページとあらかじめご発言いただけますと議事の進行上、助かりますのでよろしくお願いいたします。以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。それでは早速、議事に入りたいと思います。
まず、「新規申請技術の評価結果」につきまして、これも事務局のほうから御説明をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 事務局より説明させていただきます。なお、撮影されている傍聴者の方がいらっしゃいましたら、ここまでとさせていただきますので、ご協力をお願いいたします。
では、資料1-1、15ページを御覧ください。今回、先進医療Bとしてご評価いただく技術は2件ございます。1件目、整理番号048、「従来治療抵抗性閉塞性動脈硬化症に対するデキストラン硫酸カラムを用いたLDLアフェレシスによる内皮細胞活性化療法」です。なお、本技術についての審議に先立ち、申請医療機関と所属を同じくする山中構成員につきましては利益相反との観点から本技術の審議に際し、一時、御退席をいただくことといたします。誠に恐縮ながら御協力の程、お願い申し上げます。
(山中構成員一時退席)
では、続けます。適応症は閉塞性動脈硬化症、ただし、以下のものに限る。すなわち1、年齢20歳以上80歳未満の者。2、Fontaine分類2度以上の症状を呈する者。3、膝窩動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有する等外科的治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない者、外科的治療が困難な状態とは本技術施工時から2週間後までの期間に血行再建術を実施しないと循環器内科医が判断したものをいうとなっております。申請医療機関は横浜市立大学附属病院です。審査担当構成員は主担当が山本構成員、副担当は田島構成員、手良向構成員でございます。
続いて資料1-5、39ページを御覧ください。審議に先立ち先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。まず、実施責任医師の要件ですが、診療科は腎臓内科、資格は日本アフェレシス学会認定専門医又は日本透析医学会専門医が必要。当該診療科の経験年数は5年以上が必要、当該技術の経験年数は5年以上が必要、当該技術の経験症例数として、実施者として5例以上必要、医療機関の要件といたしまして診療科は循環器内科及び腎臓内科、実施診療科の医師数は、具体的内容として当該技術の経験を5年以上有する常勤の日本アフェレシス学会認定専門医、又は日本透析医学会専門医が1名以上必要、その他診療科の医師数は循環器内科医師が1名以上必要、その他医療従事者の配置として臨床工学技士が1名以上必要、病床数は200床以上が必要、看護配置は10対1以上の配置が必要、当直体制は内科医1名以上が必要、緊急手術の実施体制は必要、24時間実施体制の院内検査は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、倫理審査委員会による審査体制ですが、2か月に1回以上開催されること。なお、毎月開催されない場合に随時審査を行う体制を有することが必要、医療安全管理委員会設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は5症例以上が必要となっております。
その他の要件については、特に定めはございません。以上でございます。
○猿田座長 どうもありがとうございました。案件の議論に入る前に今の施設条件に関して特殊な技術ということで、ここに書いてあるように、日本アフェレシス学会の専門医又は日本透析学会の専門医ということになっていますが、このほかに関してどなたか御意見はありますか。大体問題はないでしょうね。
○関原構成員 この診療科は、腎臓内科ですか。循環器内科が診療するのではないのですか。
○猿田座長 斎藤先生、これは腎臓内科でいいですね。
○斎藤技術委員 と思います、これは、循環器というよりかは透析の技術を利用しているので腎臓内科と考えます。
○猿田座長 やはり腎臓ですね。
○斎藤技術委員 そうですね。
○医政局研究開発振興課専門官 200床以上の病院規模となると、循環器内科と腎臓内科が分かれている病院が多く、今回はアフェレシスという血液透析技術を応用したような技術になりますので、その専門領域の方としては血液透析を経験されていることが挙げられているものと思われます。
○猿田座長 病気としては循環器がかなりメインですが、透析があってこういう形をとっているということですが、よろしいですか。ほかに御意見はありませんか。もしないようでしたら、施設条件はこういう形でお認めいただいたということで、それでは恐れ入りますが、主担当の山本先生から概要の説明と実施体制などについて、よろしくお願いします。
○山本構成員 資料1-2を御覧ください。先進医療B実施計画等評価表です。先進医療名称は、従来治療抵抗性閉塞性動脈硬化症に対するデキストラン硫酸カラムを用いたLDLアフェレシスによる内皮細胞活性化療法で、申請医療機関は、横浜市立大学附属病院です。主担当は私で、副担当が手良向先生と田島先生です。医療技術の概要は長いので、先ほどあったように、治療抵抗性の閉塞性動脈硬化症、しかも割と症状の強い方に対して、デキストラン硫酸カラム吸着法によるLDLアフェレシス療法を行うということです。主要評価項目は足関節上腕血圧比の変化量とVascuQOLの変化量、副次評価項目としては、他覚的臨床症状、自覚的臨床症状、安静時疼痛、血液検査等々を取るということになっています。資料1-4にまとめたシェーマがあり、通しで38ページにはロードマップがあります。
ということで評価ですが、私はまず実施体制の評価をして、そこについては「適」としました。幾つか事前照会事項を出していますが、修正されたので「適」としました。倫理的観点を田島先生、試験実施計画書の評価を手良向先生がそれぞれしていただいていますので、そちらの講評をお願いします。
○猿田座長 ありがとうございました。今日、田島先生はお休みですので、事務局からよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 田島先生の御評価に先立ち、事務局より一言御報告があります。今回の技術については、使用されるカラムがカネカのLA-15というカラムです。こちらは、血液を脱血してから機械の所で血漿と血液成分に分離をして、血漿成分にアフェレシスを掛けて、アフェレシスが掛かった血漿と血液成分をまた混合して返血するというシステムになっています。
一方、同じカネカの製品でAS-25というカラムがあります。こちらもアフェレシス専用のカラムがありますが、こちらはLA-15よりも新しいタイプという報告を受けており、AS-25は全血のままカラムに掛けるタイプということで、アフェレシスの掛け方が若干違うということですが、同じアフェレシスの目的に供するものになります。AS-25については、まず、足の虚血に対する広い適用をもって企業治験が施行されたのですが、こちらは残念ながら承認に至らず、今度は最重症のFontaine5度を中心としたものに絞って再治験を行う状況になっているとの報告を受けております。一方、今回御申請いただいたLA-15については、適用がFontaine2度から5度というやや広い適用で試験をされる予定になっていることを、追加で御報告申し上げます。
田島先生からの御評価に戻ります。田島先生からは、資料1-2、18ページのごとく、同意に掛かる手続、同意文書、補償内容ともに「適」との御判断をいただきました。
田島構成員からは、資料1-3、30ページをお開きいただきますと、申請者への事前照会事項を頂いています。それに対する申請者からの回答を踏まえ、資料1-2、18ページにお戻りいただきますと、コメントとして「説明文書についての事前の指摘に対して所要の修正が加えられた結果、問題点が解消されたので、適と評価した。補償は、臨床研究保険によってカバーされている。患者相談の対応も整備されている」との記載をいただいています。以上です。
○猿田座長 ありがとうございました。先ほど言ったカラムの問題は後で議論することにして、先に進めて、手良向先生から試験実施計画等についてよろしくお願いします。
○手良向構成員 試験実施計画書等の評価について、説明します。基本的に全て「適」にしました。事前照会事項をいくつか出しました。資料1-3の21ページからですが、デザインを単群試験にした理由、主要評価項目の評価時期等について照会して、そこは変更されています。
また、22ページで主要評価項目が2つあるということなので、統計的検出力について照会しましたが、それについても適切に回答されています。23ページについても、適切に回答されています。その後34ページで、これはマイナーな点ですが、またいくつか照会を出しまして、これについても適切に回答をされていると判断しましたので、全て「適」としました。以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。先ほど田島先生も修正されてよくなったということと、手良向先生もこういう形で修正されたということです。山本先生、総括的におまとめいただけますか。
○山本構成員 私も幾つか照会事項を出しました。それが資料1-3の25ページにあります。25ページを見ていただきたいのですが、実は薬事戦略相談に行っておられまして、その議事録も付いていたのですが、PMDAで非常に適切な御指摘がいろいろあったのですが、残念ながらそれが申請資料には余り反映されていませんでした。PMDAの薬事戦略相談のコメントをまとめたものが25ページです。
PMDAでは、検証的試験に先立って行う探索的臨床試験ということであれば、受入れは可能であるということと、検証的試験のときにちゃんと取る評価項目を探索的臨床試験でいろいろ調べてくださいということです。最終的には、検証的試験のときの主要評価項目は、臨床的意義のある評価項目であるべきであるということ。患者選択時のバイアスがいろいろ入る可能性があるので、特に症状で選ぶ場合には第三者委員会をつくってほしいということ、症状評価についても、できる限り標準化をしてほしいということがありました。
最初の計画書その他にはこれがまだ余り反映されていませんでしたので、こちらは全て反映してくださいということでお願いして、適切に反映していただきました。そして、創傷治癒、患者選択の第三者委員会についても構成していただきました。そういうことで事前の照会事項は全てクリアしていただいたという認識です。
評価の資料1-2の19ページに戻っていただきまして、その上で総合評価としては「適」としました。コメント欄には、PMDAの薬事戦略相談でも指摘されていますが、本臨床試験は探索的試験です。臨床試験で検証的試験に進むための、そこで使うべき主要評価項目その他を探索していただいて、この後検証的試験に進むという前提であれば、薬事戦略相談でも言われているように、臨床試験を先進医療Bとして実施する意義はあると考えていますので、そういう意味で、これをやればすぐ承認が取れるというものではない。その前段階の臨床試験として位置付ければ、やる意義はあると考えています。
○猿田座長 ありがとうございました。それと、先ほどのカラム、LA-15とAS-25で。
○山本構成員 そちらはまだ上市されていないのではないですか。上市されていますか。
○医政局研究開発振興課専門官 AS-25はまだ未承認となっております。
○山本構成員 カネカのホームページを見たのですが、少なくとも製品リストには入っていないので。
○医政局研究開発振興課専門官 そうです。今、治験中ということだと思います。
○山本構成員 今、治験中で上市していないのではないかと思うのです。
○猿田座長 先ほどお話があったように、LA-15の場合には、Fontaineの2~5までと幅広く取れますから、そういった点でもこの形ではいいのではないかと取りますが。
○山本構成員 個人的な意見ですが、似たものとは思いますが、これは既に売っているもので、先進医療Bで医師が入手して行うとすれば、これを使わざるを得ないだろうと思います。カネカの開発とは切り離して考えるべきではないかと思います。カネカがどういうことでこちらに力を注がれるか分かりませんが、特に、医療機器の場合、後で良いものが出たとしても、現状でそれが通るかどうか分からない状況であれば、現在使えるもので先進医療していただく。
もう1つは、これは探索的な試験としてやられますので、そういう意味で下肢のASOの特に症状の悪い方の試験の評価をどうするかは、今も非常に問題になっていますので、例えばこれに最終的にではなくて、上市されるであろう新しいものに途中でターゲットが変わったとしても、主要評価項目を探索するという意味では、この試験にはやる意義はあると思いますので、これイコールこの機器がすぐに上市できるわけではないことを考えれば、この試験としてはやってもいいのではないかと思いました。
○猿田座長 ありがとうございました。構成員の皆様方、どなたか御意見はありますか。全体的には修正されての形を取って、今のカラムの問題はまた別として、探索的な試験としてはいいのではないかということですが。
○伊藤構成員 これはda Vinciとかもそうだったと思うのですが、次世代の製品が出てくると、企業としては次世代のほうに移ってしまうので、この試験のように探索的な試験の後で、検証的な試験は企業がやらないという話になると、この試験そのものの位置付けがどうなるのかというのが多少気になりますが、何か情報とかはありますか。
○山本構成員 こちらにはそういう情報は何も入っていないので、推測ですが、恐らくこれは計画されていらっしゃるドクターもカネカの新しい機器の開発のことは余り御存じないのではないかと思います。そういう情報は、まず出てきてはいないです。
○伊藤構成員 AS-25というのはネットで探すと、2012年にある大学病院の治験審査委員会に名前が出てくるのです。「株式会社カネカの依頼による閉塞性動脈硬化症に対する吸着型血液浄化器AS-25の有効性・安全性の探索的研究-多施設単群試験-」が、2012年、多分この頃に終わった試験として出ています。気になったのが、薬事相談のときに会社の方も一緒にいらしていて、その手の記録が全く残っていないのも違和感があって、気にはなっています。
○医政局研究開発振興課専門官 カネカについては、我々が本技術に係る先進医療事前相談を受けた際に一緒に来られていて、この先進医療については、カネカからカラムが無償提供されるということですので、そこはカネカが全く力を貸さなくなるわけでもないのかと推測します。一応、私どもが事前相談でお伺いした段階では、カネカがこれでいいデータが出れば、医師主導治験あるいはロードマップに書いてありますが、治験を検討しますということはおっしゃっているので、このようなロードマップを描いていただいたということになります。
○猿田座長 ありがとうございました。よろしいですか。この症例はかなり多い病気ですから、すぐに症例を集められると思うのですが、ほかにどなたか御意見はありませんか。もしなければ、これは探索的試験ということで入るので、伊藤先生、いいですか。
○直江構成員 私は素人ですが、内容はいいと思うのですが、治療法の名称を見ますと、カラムを用いたLDLアフェレシスによる内皮細胞活性化療法となっていて、多分おっしゃりたいことは、LDLがアフェレシスで取れるだけではなくて、いろいろなものが取れてというメカニズムのことだと思うのですが、これはあくまでも1つの推測というか、いろいろなマーカーを用いた推測ですよね。細胞活性化療法というと、何となくどうなのだろうと。例えばこれはアフェレシス療法ではなぜいけないのかと思ったりするのですが、いかがなものでしょうね。
○猿田座長 そのあたりどうでしょう、山本先生、何かありますか。
○山本構成員 アフェレシスするのでアフェレシス療法でいいのではないかと思いますが。
○医政局研究開発振興課専門官 ただいまの議論を踏まえて申し上げますが、先進医療技術名は告示名ですので一般に公開される名称です。ですから、直江先生の御指摘通り、誤解を招くことであっては困るということでしたら、例えばLDFアフェレシス療法と告示名を変更していただくという条件を付けるということでしたら、私どもは承ることはできると思います。
○山本構成員 条件付き「適」にするのであれば、先ほど出た新しいカラムとの開発の切り分け、ロードマップで書いていただいているのでうそはないと思いますが、一応念のためそこは確認をとった上で、告示名の変更と併せて条件付き「適」とさせていただいてもいいのかと思いますが、いかがですか。
○猿田座長 ここはどうしますか。
○医政局研究開発振興課専門官 それは私どもから申請者に照会を掛けることでもよろしいかと思います。
○山本構成員 一応、照会を掛けると、文書として残ると思いますので、その上で通したほうが委員会としても気持ちがいいかと思います。
○猿田座長 ですから、今の直江先生の御意見を相手側に話していただいて、直江先生、それでよろしいですか。
○直江構成員 はい。
○猿田座長 もしほかに御意見がなければ、そういう形で、これは探索的な試験ということですので、一応今の形でご承認頂けますか。
○関原構成員 この同意書に、「先に行われた臨床試験によって対象として動脈硬化が改善したと、長期的な効果は得られるということが明らかになりました」と記されています。これがもう少し具体的な記述があれば、患者はみんな受けたいと思うわけです。これは説明文書の200ページに予想される効果及び危険性の箇所に具体的に書いたほうがいいのではないかと思います。実際の効果はどうだったかは分からないのですが。
○山本構成員 確かに私も照会の中で、今回の探索的な評価では、これは10回ぐらいやるのですが、一連の治療プロトコールが終わった後10日ぐらいのところで評価するのです。でも、それだと、これは慢性的な疾患なので、長期的な効果を見ないと意味がないのではないですかということはお聞きしているのですが、今回はちょっとそれはということだったのです。結局、長期に、つまり1クールこれをしたからといって、長期にどのぐらいまでこの効果がちゃんと保てるかは、実はあまり明らかになっていないのが実情だと思います。一時的には良くはなっていらっしゃるみたいですが、問題は1クールやって、それが何か月続くのか。結局、また効果がいずれは消退してしてしまうのでは、良くなりましたというのは、一時的の状況を取れば良くなってはおられると思いますが、例えばそれが後もうしばらくしたら戻ってしまったら、こういうものでは余り意味がないので、そういうところがまだはっきりしていない治療だと思います。
○猿田座長 では、そこは言葉をもう1回検討していただきます。
○関原構成員 これは長期的効果を得られることが明らかになりましたとしてあるから、では、これはどのぐらいの症例なのかです。
○山本構成員 ある程度あるみたいですが、ちゃんとした形では、エビデンスが取れる形では示されてはいないという認識だと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 ただいま頂きました御意見を事務局で簡単にまとめてみました。まずは告示名の「内皮細胞活性化」に係る名称の変更が1点目、カラムの種類と開発状況の照会が2点目、同意文書中の「良くなった」という所の短期的なものと長期的なものとして、どのぐらい分かっているのかを書き加えていただくと、この3点を承りましたが、これでよろしいですか。
○猿田座長 先生方、よろしいですね。それでは、そういう形で048は「条件付き適」という形にして、今、事務局からお話のあったとおり、相手側にもう1回それを確認していただきたいということで、よろしくお願いします。それでは、048は「条件付き適」という形でおまとめいただいたということにします。それでは、山中先生も呼んでください。
(山中構成員着席)
○猿田座長 続いて、整理番号049の評価に移ります。これも事務局から、まず御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-1の15ページです。2件目は、整理番号49、「難治性眼表面疾患(翼状片)に対するハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建」です。適応症は難治性眼表面疾患患者(再発翼状片)となっています。申請医療機関は富山大学附属病院です。審査構成員は、主担当が上村構成員、副担当は佐藤構成員、柴田構成員です。また、木下技術委員にも御担当をいただいております。
資料1-9、77ページです。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。まず、実施責任医師の要件として、診療科は眼科、資格は、日本眼科学会専門医が必要、当該診療科の経験年数は5年以上必要、当該技術の経験年数は1年以上が必要、当該技術の経験症例数として、実施者として2例以上が必要、そのほか、凍結保存羊膜の移植手術実施経験(類似技術)を、上記の当該技術の経験ともみなすとされています。
医療機関の要件としては、診療科は眼科かつ産婦人科が必要、実施診療科の医師数は、経験年数5年以上の眼科医3名以上が必要、他診療科の医師数としては、経験年数3年以上の産科、婦人科医2名以上が必要、その他、医療従事者の配置として、薬剤師、衛生検査技師が必要、病床数は200床以上が必要、看護配置は10対1以上の配置が必要、当直体制は眼科1名以上が必要、緊急手術の実施体制は必要、24時間体制の院内検査は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、倫理審査委員会による審査体制は、隔月1回以上の倫理審査会を行っていることが必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数2例以上が必要、その他、凍結保存羊膜の移植術実施経験(類似技術)を、上記の当該技術の経験とみなす。
その他、別紙1として種々の条件が付いております。まず、HD羊膜を製造する施設としては、施設要件、乾燥方法の要件、施術医師の要件として、こちらの記載の要項が設けられており、HD羊膜を使用して治療を行う施設として、同じく、施設要件、施術医師の要件が、こちらの記載のように定められております。以上となります。
○猿田座長 まず最初に、今の医療機関の要件に関して、特にこれは羊膜を使うということで、それに関する第2項が付いていますが、どなたか御意見はありますか。これは眼科の領域のものです。一番問題の所は、そこのところかもしれませんが。あとの所は問題ないかと思います。もしよろしければ、この医療機関の要件はこの形でお認めいただいたということにさせていただきます。
○伊藤構成員 気になるのですが、これは衛生検査技師ですか、臨床検査技師ですか。
○医政局研究開発振興課専門官 当初の記載では衛生検査技師ということに間違いはないと私は伺っていますが、そこは再照会を掛けることはできますので、再確認をいたしますが、私が聞いた段階ではこれで合っているということでした。
○伊藤構成員 現行は、臨床検査技師に代わってきていると思うので。
○猿田座長 ありがとうございます。それではもう一回確認をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。確認いたします。
○猿田座長 ほかはよろしいですか。それでは早速ですが、主担当の上村先生のほうからよろしくお願いいたします。特に概要と実施体制について。
○上村構成員 難治性眼表面疾患に対するハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建ということで、これは翼状片に対する新しい治療法ということなのです。翼状片は、Tenon嚢の線維芽細胞が異常増殖を起こし、角膜に侵入した状態で、重篤なものになると、不正乱視や矯正視力の低下を引き起こします。眼球の制限等も伴うこともあり、患者さんのQOLも低くなることがあるということです。
この新しい研究ですが、従来は、切除した翼状片に代わり、自己結膜や、凍結して保存していた羊膜を再建のために切除した所に貼り付けていくというようなことがなされてきたわけです。この研究の新しいところは、ハイパードライという手法を使い、乾燥した羊膜を作成するところです。
手術自体は、概要にも書いてありますが、一旦、翼状片を切除した後に、マイトマイシン、これは細胞増殖を抑さえ込むために使用するわけですが、これを用いて、その後、ハイパードライ羊膜を添付していくということになります。最終的には再発をさせないというところが目標になってまいりますので、当初御提案いただいておりました主要評価項目は、48週での再発の有無ということです。副次的な評価項目として、少数視力、眼圧、各観察項目のデータ点数化と、眼底検査の結果等、予定症例数としては20例ということで御提案をいただいております。
具体的方法は、研究チームのほうから出していただいた資料1-8の写真等に非常にうまくまとまっていると思います。羊膜を取り出しまして、それを特殊な乾燥装置を用いて乾燥させていくということになります。そこで、赤外線、マイクロ波等を用いて乾燥した後に、更に、研究チームが御提案されている手法として、ガンマ線滅菌という手順が入ります。これをすることによって、感染のリスクが著しく、ほぼゼロに近い形にできるのではないかといったところで、感染リスクの軽減というところは非常に大きな期待をされているということになります。出来上がったものを、実際に手術がどういう形で行われているかというのは、左側の下の写真の翼状片、卵の白身のような形で少し白濁した膜があると思うのですが、これを切除した後に、このヒト乾燥羊膜を用いて再建していくといった技術になります。
○猿田座長 ありがとうございました。本日は技術委員の木下先生はお見えにならないのですが、事務局のほうからコメントをお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 木下技術委員からは、資料1-6、44ページのごとく、実施体制は全て「適」との御判断を頂きました。同時に、コメントとして、「凍結羊膜を用いた羊膜移植が保険収載されており、ハイパードライ羊膜が、対感染症対策を考慮した、安全性に勝る方法との考えを持つのは納得できる。ただし、有効性評価の観点からは、凍結羊膜と乾燥羊膜には様々な相違点があり、少なくともダブルアームによる評価が必要と思われる。以下のコメントを記す。1、帝王切開は、予定帝王切開の妊婦とすること。2、ワンアームでヒストリカルデータとの間で評価するということで有効性を評価することは困難であると考えられ。今回の検討は主として安全性試験と位置付けていると思われる。3、手術においてマイトマイシン塗布を同時に施行するようであるが、ハイパードライ羊膜による再発阻止効果を評価するには不適切と思われる。これを施行するのであれば、羊膜単独治療、マイトマイシン併用羊膜移植、そしてマイトマイシン単独治療を比較する必要があり、本先進医療B申請が最終的な臨床試験への安全性の試験という位置付けにしかなり得ないと思われる」との御意見を頂いております。
○猿田座長 非常に貴重な御意見だと思います。少し先まで行かせていただいて、その後、総合的に討論させていただくということで、続きまして、本日御欠席ですが、佐藤構成員のコメントもよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 佐藤構成員からは、資料1-6、45ページのごとく、同意に係る手続、同意文書、補償内容ともに「適」との御判断を頂きました。コメントとして、「説明文書には幾つか不備があったが、適切に修正された。レシピエント側補償内容は限定的だが、やむを得ないと判断する。ドナー側、レシピエント側、双方について、相談等の対応もなされている」との記載を頂いております。また、佐藤構成員からは、加えて、構成員の先生方のお手元に机上配布資料としてお示ししています意見書を頂戴しておりますので、事務局のほうで代読させていただきます。
まず、ドナー側に関して、「帝王切開の必要性の判断が先にあり、その後で研究参加(羊膜提供)について判断するので、後者によって前者に影響が与えられるという問題はないと判断した。複数の使われ方の中からドナーが許容するものに○を付け、その中ではどのような使い方がなされるかは研究者に一任するというスタイルであるが、その範囲はドナーが選べることから、問題はないと判断した。資料の保存について及び同意の撤回についても説明がなされている」。
レシピエント側に関して、「既存の治療法との優劣は、本技術の安全性・有効性の評価によって変わってくるが、上村構成員、柴田構成員からの御指摘で、適切に修正されたと判断する。補償は、医薬品副作用被害救済制度の1級若しくは2級に該当する場合のみなされるが、やむを得ないと判断した」。以上の御意見を頂いております。
○猿田座長 それでは、柴田構成員のほうから、試験の計画書に関して、よろしくお願いいたします。
○柴田構成員 計画書の評価を担当いたしました。資料1-6の45~47ページに結果を書いております。細かい所は後ほど御説明しますが、結論としましては、45ページの10番「有効性及び安全性の評価方法」、13番「試験に係る記録の取扱い及び管理・保存方法」、16番「個人情報保護の方法」の所に「不適」と付けております。「不適」と付けておりますが、これは適切に対応していただければ「適」と直し得る範囲のものであろうと考えております。それらの理由や全体的な問題点について、これからコメントいたします。
資料1-7の62ページです。こちらの一番最初に、この試験計画に含まれる問題点を指摘した所があるのですが、何が問題かということを、これから簡単に御説明いたします。今回提出された、この臨床試験実施計画書によりますと、本試験は、適格基準を満たした対象患者にHD羊膜を用いて治療し、治療手技、治療効果、期間結果を、凍結保存羊膜による治療法、これは文献的なコントロールですが、それと総合的に比較する探索的試験とされています。
このように計画されているのであるならば、今回の臨床試験に入る患者さんが、既存の凍結保存羊膜による治療を受けることが適切でないような患者さんであると、そもそも話が成り立たなくなってしまうという問題が生じます。ですので、基本的にこの試験のコンセプトが凍結保存羊膜との比較をするということであるならば、今回の試験の対象になる患者さんは、既存の技術の適用範囲と同じ、あるいはそれよりも狭い範囲でないとまずいであろうということを指摘いたしました。
この評価を、将来にわたって初発例にやってはいけないということではありませんが、今回の段階での試験が、凍結保存羊膜との比較ということを主に考えておられるのであれば、初発例は外していただくべきであろうと考え、そのように指摘いたしました。それが、45ページのコメント欄の[1]で記した所です。これに対して、いろいろ、試験の計画上の問題点は細かいことを書いておりますが、ここで読み上げるのは省略させていただきます。
2番目の問題点です。46ページの[2]ですが、この試験で示そうとしていることが曖昧であるのが問題だと思います。再発例に対して、HD羊膜が既存の凍結保存羊膜と同じ程度の有効性を示すことを示したいのか、安全性上のメリットがありますので、それでも十分、臨床的に意義のあることだと思いますが、あるいは製造方法がちょっと違うので、より治療効果が高くなるということが理論的に期待されるのかなどということを整理した上で、試験を組む必要があると思います。これについては、照会の回答を拝見しますと、現時点で治療効果の有効性が勝るというところまでを求めているわけではなく、既存のものと有効性が同程度であれば十分に受け入れられるという認識でおられると、こちらとしては解釈しております。
そういうスタンスで解釈される試験を組まれることは問題ないとは思うのですが、そのときに、この試験の閾値の設定根拠が曖昧です。既存の治療法における再発率と比べた場合に、今回のものが有効であると結論付けるときの基準の幅が余りにも広すぎて、これでは余り有効でないものも間違って有効であると結論付けてしまうのではないかという危険性があると思います。そこのところが2点目の問題点です。
その辺りについては、木下先生の御指摘にもありましたが、この試験で有効性があったという結論を導くのは、やはりもともと無理であろうということですので、当方の受け止め方としては、著しく効果がないというような場合には排除する。この試験の結果がポジティブだったからといって、有効だと結論付けるのは厳しいですが、無効であるようなものであれば排除するという第1段階の振り分けにすぎず、将来、検証的試験を組むときに、そこでしっかりと有効性を証明していただくというスタンスの試験であれば許容可能ではないかと考えております。そのようなところが大きな問題点ですが、実施条件欄の所に書いております点としては、統計解析方法のセクションに具体的な解析方法や、そのような記述がないので、それは追記していただく必要があるとコメントいたしました。そのところについて回答されていませんので、これは修正が必要だろうと思います。
2点目ですが、これは少し細かい所ではあるのですが、非常に長期にわたって使用の記録を保存するというものですので、個人情報の取扱いがうまくいかないと、その記録が管理できなくなってしまいます。現状では、富山大学のほうで厳重に保管されるということになっていますが、実際には、富山大学以外のよその施設から登録された患者さんの個人情報は、実際には富山大学に送るのか、送れないのか、そこの手順が、現状では送れないという規定になっていると読めます。その場合、富山大学での台帳が20年保存されていても、各施設でのカルテが、その台帳との番号との対応表が紛失してしまうことになると、20年間の保存は不可能ですので、現状の仕組みでは、長期に保存するという目的は達成されないことになります。そこのところは、手続をきちんと整理していただく必要があろうかと思います。
3点目は、細かい所ではあるのですが、試験実施計画書の改訂を、各施設の責任者が改訂できるというふうに読める部分があるのですが、多施設臨床試験でこれをやってしまうと、てんでばらばらの試験が動いてしまうことになりますので、これはやめていただきたい。
47ページに関しては、細かい所ですが、追記をしていただくほうがよいのではないかということをコメントしております。私からの評価の結果は以上ですが、「不適」とした所については、先ほどの繰り返しになりますが、適切に修正していただければ「適」と変えることは可能であろうという範囲の「不適」であるということです。以上です。
○猿田座長 ありがとうございました。細かく見ていただきました。それでは、総括的に上村先生にもう一回よろしくお願いいたします。
○上村構成員 この先進医療の中で、この研究をどのようにポジショニングしていくかに関しては、これも資料1-8に、研究チームのほうから少し整理して出していただいております。今回はあくまでも探索的な研究ということで、少数の患者さんで有効性と安全性について検討した後に、検証的な試験については、また改めて、治験という形で検証試験を行っていくという戦略をお持ちだということで、ここに関しては我々も理解いたしましたし、研究チームの理解も、我々も確認しているところです。
少し細かい所になるのですが、やはり新しい作り方で羊膜を製造していくわけですので、ここの手順に関しては整備をして、プロトコールの中でも、そういった手順がきちんと規定されていることを示してください、ということに関して、研究チームのほうからも、その指摘に対してレスポンスがありました。 既に、ハイパードライの設定の条件や、ガンマ線の滅菌の条件などに関しても追記するという対応をしていただいております。
将来的には、品質の規格が問題になってくると思いますが、このことに関しては、また新たに議論が必要になります。今回は非常に少ない患者さんでの研究ということなので、安定性のデータも最小限のデータで臨まれるということでしょうけれども、ここも将来的には、規格というところで課題が残ってくるのかもしれません。
今後、治験に進まれる、若しくは承認まで持っていかれるというところで、非臨床のデータをもう整備していく必要があるかと思いますが、今回の探索的な臨床研究に関しては、現状持っておられる非臨床試験のパッケージでも十分サポート可能ではないかと考えています。
実施の計画の部分で、もう既に柴田先生のほうからかなり細かな所を御指摘いただいていますが、少し細かい所からなのですが、プライマリーエンドポイントの所は48週という御提案だったのですが、少し分かりやすいように、ちょうど1年ということで52週で、少しアラウアンスを入れていただいて、4週ぐらいのアラウアンスを入れていただければ、48週から52プラス4ということで56週ぐらいの間で、最終的な評価をしていただくというところでどうですかという議論をしてまいりました。チームのほうからも、それでいきますということですので、そういった訂正が今回、入ってくるということになります。
選択の基準等については、柴田先生からの御指摘と、更に木下先生のほうからも、現実問題として、初発の患者さんで基準を満たすような方はほとんどいらっしゃらないのではないかという指摘がありましたので、これも再発の翼状片のみでいくということで御了解いただいております。
探索的に有効性を見ていくということで構わないのですが、20例という症例数の設定が、少し根拠が曖昧だったということもありまして、照会事項を出す中で、かなりいろいろな検出力のことなども議論させていただいたのですが、前提として、既存の治療法が、仮に5%程度の再発率であったとしたときに、ヒストリカルデータを根拠として、非劣性マージンを仮に20%というところを置くとした場合に、少なくとも70%ぐらいの検出力は確保していただければ、何とかいけるのではないかと、私は個人的に思っています。それで、40例ぐらいにすると、恐らく80%を超えるぐらいの検出力になるということなのですが、40例とは言わないにしても、検出力で70%ぐらいのところでも、探索的な研究は可能であるかなと考えています。
それから、木下先生のほうから、これはメジャーのコメントとして、マイトマイシンと羊膜単独のことは、やはり分けて考えたほうがいいのではないかという御指摘も受けています。確かにそれは1つの考え方ではあるのですが、今回のこの探索的な研究に関しては、マイトマイシンも込みでの技術の評価を考えていただくということでよろしいのではないかと考えております。
まとめますと実施に関しては、本試験を探索的な試験として位置付けていただくということを、まず確認するということ。それから、もう既にこれは対応されていますが、標準作業手順書が存在しているということを、研究計画書の中で引用していただくということ。その中で、手順を追記していただく。これはもう訂正済みです。それから、最低限の製品の安定性を確認すること。これは木下先生からの御指摘を採用しているのですが、帝王切開に関しては、予定帝王切開でお願いしますということ。対象として翼状片の初発例は外すということでお願いします。それから、実施計画書の統計解析のところは、柴田先生からも御指摘がありましたが、少し記載を整備していただくということと、プライバシーの配慮を、多施設共同試験の中でも矛盾がないように整備していただくということで、条件付き「適」ということでしております。実質的にはほとんど、照会事項の回答の中で御対応いただいているということで、きちんとしていただければ、このまま進んでいただいてもよろしいかと思っております。
○猿田座長 ありがとうございました。詳細にお話いただきました。一応、探索的な試験ということの考え方で、先ほどいろいろな問題がありましたが、条件付き「適」という形でどうだろうかということです。委員の先生方から御意見はありますか。
○山口座長代理 この紙の資料で62~64ページに回答がないのがありますが、これはこれでストップですか。この後、全く回答はないと理解してよろしいですか。
○医政局研究開発振興課専門官 こちらについては、1番の回答の所に書いていますが、初発例を対象疾患から外したということで、もう既に議論が済んでいるので回答を差し控えましたということで、初発例は外すということは、既に対応いただいております。
○山口座長代理 それから、条件付き「適」ということで、例えば、今、御説明がありましたが、最低限の製品の安全性を確認とか、使用期限を設定すると。これは結構大変な作業ではないかと思うのです。そういう基本的なところが押さえられていなかったら、やはり「適」とはできないのではないかと思うのです。それはやはり「適」ではなくて「継続審議」で、そこをきっちり出してもらわないと「適」とは言えないと思うのですが、いかがでしょうか。
○上村構成員 一応、既に経験的なところで、3年というようなところで進んでいるということなのです。ですから、臨床的な経験というところでは、もう既にそれなりのところをやっておられるということなのです。
どう規格を担保するかということに関しては、照会事項の中でも少し議論があったのですが、1つは、タンパクの変性の問題などです。それはきちんとされたほうがいいのではないかということ。それから、引張試験というような試験の中で、実際に出てきた物が、きちんと強度等が保証されているか。研究チームのほうでデータをお持ちですので、少なくともその辺りについては、実際に試験をやりながらでも、順次、例えば最初は4週間、次は8週間等、オン・ゴーイングで安定性のデータを確認していきながら進めていくことは十分に可能ではないかというディスカッションがありました。
○山口座長代理 ということは、使用期限については、割と短めに設定されているわけですか。つまり、きちんとしたデータはないので短めに設定したわけですよね。
○上村構成員 そうですね。 最終製品の規格というのを決めないといけないということだと思うのですが、その規格については、まだ決まっていないという理解でおります。ですから、少なくとも、その規格を今後どの時点でしっかりとしたものを作るかという問題も、今後かなりのディスカッションが必要になってくると思うのです。やはり検証試験をするまでには、どういった規格であれば最終的な製品として臨床に使えるものであるかといったことをきちんと評価することです。それは重要になってくると思います。
例えばですが、これも照会事項の中での議論になったのですが、検証試験の前にメジャーな製造方法の変更が起こったときに、果たしてその製品の規格が担保されるのかといったことが、問題になってくるわけです。そういったことが起こると、今回せっかく20例とか30例とかで一生懸命、探索的に研究されても、その結果が、次の検証的な試験のところにつながっていかないということにもなりかねません。そこはしっかりと研究チームの中で、議論を進めていかれて、PMDAとの間での議論等もしっかりやっていただくことは必要になると思っています。
○山口座長代理 普通、薬剤であれば、これはちょっと考えられないようなことだと思うのです。私が聞きたいのは、余りよく分かっていないから、使用期限についてはかなり厳しい制限が掛かっているかどうかということ。つまり、短めになっているかということです。それはどういう具合に設定されているのでしょうか。
○上村構成員 今のところ、3年ということは言われていますが、その3年については、経験的に3年ということだという理解です。少なくとも、例えば無菌性の担保などといったことは、今後、規格の中で当然、議論していかなければいけないわけです。ただ、乾燥させて、更にガンマ線を使うということですので、物自体の安全性ということで言えば、今、単に凍結している物に比べると、かなり良くなるということは想像がつくわけです。あとは、規格のところがどうなるかというところ、で、例えば、製造して4週目などに、何らかの強度の試験やタンパクの変性の試験などを入れていけばいいわけで、そこはきちんとしていただきたいし、あと、無菌性の問題や、エンドトキシンの混入がないなどといったものも、当然、今後きちんとやっていくという理解でおります。
○山口座長代理 つまり、最小限のデータはあって、報告がないということだけと理解してよろしいですか。今言ったような、例えば無菌性のことなどです。これからやって、報告されるわけではないと。
○上村構成員 今のところ、そこに関して、きちんとした戦略について我々は把握はしていないです。規格が決まっているわけではないのですが、幾つかの試験を組んでいくことで、例えば無菌性の試験や、当然、ウイルスやバクテリアの混入がないかというのも評価されるわけですが、そういったものは今後も実施されていくと理解しています。
○山口座長代理 今の時点ではされていないわけですか。
○上村構成員 されているのだと思います。そこは確認したほうがいいです。
○医政局研究開発振興課専門官 概要図が73ページにありますが、まず、ドナーから羊膜を取るところで、これは感染性についてですが、一応、まずスクリーニングチェックをします。製品となってから3か月後に再検査をして、そこでチェックを通過した物だけが製品として認められるという関門は全例につき付いているということになります。では、これがその先どこまで持つのだという話とは直結はしませんが、一応、3か月のところではクリアしているというところが、この製品の製品たる条件であるということは。
○山口座長代理 チェックされて長期間置くわけではないということですよね。
○医政局研究開発振興課専門官 そのようです。
○山口座長代理 分かりました。
○伊藤構成員 この手のものを見ると、ヒト乾燥硬膜によるヤコブ病のトラウマがあるのですが、これは一人ずつ調整をして、一人ずつ滅菌をしてするのですよねという確認と、拒絶反応は起きない代物なのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 私は専門ではありませんので、一応、申請者からの回答をそのままお答えすることになってしまうかと思うのですが、まず、今回のことに関しては、当然、検査はいたします。ただ、プリオン等々に関しても、チェックはするとは書いてありますが、そこは乾燥硬膜と同じような理屈で、完全に防げるかどうかというのは100%ではないということはあるのです。ただ今回は、先ほどおっしゃったように、一例一例調整するということは間違いありません。ドナーの方が、今回は分かっている状況で試験が行われるということですので、そこである程度担保されているということ。それから、細胞成分が死滅していますので、薬事法のカテゴリーでも、これは医療機器ということになります。さらにガンマ滅菌が掛かっているということもあり、感染性としては、今使われている凍結乾燥羊膜からすると、はるかに安全性は向上しているという理解なのだと認識しております。
○猿田座長 木下先生の所は、実際にかなりやっていらっしゃるのではないですかね。
○医政局研究開発振興課専門官 木下先生は、この技術をそのままやっておられるわけではございません。
○猿田座長 それでも経験はかなりあられるということですね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○直江構成員 手続上、これをずっと見たのですが、一人ずつ調整するという記載がないので。
○医政局研究開発振興課専門官 それは、記載をしていただくことは求めることはできると思います。
○直江構成員 要するに、ヒト由来材料の医療機器なのですが、2つぐらい質問があります。これは結局、今回の先進医療は富山大学が製造業者になるわけなのですが、最終的に出口としては、どこかのメーカーが委託をされるという話があって一緒にやられているのかというのが1つ目の質問です。
2つ目の質問は、今の伊藤先生のお話とよく似ているのですが、1人のドナーから何人分かできるのか、それとも1人に対して一人ずつやるのか、そうすると、今の話としてはトレーサビリティなどがありますよね。その辺りの担保はちゃんとされているのかという2つです。
○医政局研究開発振興課専門官 まず1つ目の質問ですが、企業のサポートは、将来的にはあると伺っております。実際、本品の開発を富山大学さんのデータを元に手掛けるという企業は、名前は明かせませんが、あります。
2番目です。トレーサビリティの件について、1人の患者さんから1人に当てがわれるのか、1人の患者さんから複数に当てがわれるのかということですが、大きさ的な議論からすると、複数に当てがわれてさもありなんということを考えますが、そこは申請者に確認したわけではありません。これを確認することは可能です。
○直江構成員 ロットやトレーサビリティのことから言うと、やはりその辺りは非常に気になります。
○猿田座長 そこはもう一回確認して下さい。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○柴田構成員 先ほど山口先生から御指摘があったので、少し補足いたします。資料1-7の62~64ページ辺りは、回答が飛ばされている所があります。これについては初発例を含めないことにしたので、質問自体がもう該当しなくなったということで、こう書いておられるのですが、資料1-8の74ページのロードマップを見ますと、現状のバージョンでも、治験の中に、対象翼状片(初発を含む)と書いてあります。ここの所は、基本的には現時点では初発を含む根拠はないと私は解釈しておりまして、もしここの所で入れていただくのであれば、今回スキップしていただいたような内容は、当然、速やかに御回答いただくべきであろうと考えております。そもそも、こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、申請資料の中に提示されている臨床試験の計画書の中に初発例を含むと書いておられるにもかかわらず、ここに対する回答がスラスラと出てこないというのは、もしこれが良いものであったとするならば、速やかな開発を妨げるような行為であろうと、ちょっと不満に思うところもあります。ただし、今回については、再発に絞り込むということですので、この回答がないことについては、これ以上は突っ込まないということでよろしかろうとは思っておりますが、今後、こういうところはきちんと詰めていただかないと、遠回りをすることになってしまって、もし有望なものであったなら、非常に残念な結果になってしまいますので、そこは整理していただきたいというのが1点です。
もう1点ですが、これは生物統計専門家の先生の名前が入っているのですが、いろいろ回答を拝見しますに、きちんと生物統計の専門家の方と事前に相談をされているのか、ちょっと手薄なのではないかと思われるところがあります。実際に、どのような臨床的メリットがあるものを評価しようとしておられるのかというのが、生物統計の専門家に伝わっていないのではないかとか、あるいはその逆に、統計家の意見が臨床の先生方、プロトコールを書かれた先生方に伝わっていないのではないかと思われるところがありますので、そこはきちんとコラボレーションしていただいて進めていただかないと、やはりまた同じことを繰り返すとか、次の検証試験を組もうとしたときにPMDAから、また指摘が出てやり直しになるなどということが危惧されますので、体制のところもきちんと整備して進めていただきたいと思います。
○猿田座長 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 ただいま頂きました意見を事務局で簡単にまとめてみました。まず、上村先生の総評で箇条書きにて整理いただいている所のうち、1番目と3番目、4番目、6番目、7番目のことについては、照会事項として照会して、2番目と5番目については既に回答を頂いているという整理でよろしいでしょうか。
また、5番目の所ですが、70%の検出力ということが明示的に出てきましたので、そちらを中心に照会させていただくということ。6番目については、この試験計画を多施設共同臨床試験とするに当たって、個人データの移送等についての取決めを明示するということもお伺いしていたやに認識しております。あと、調整について、一人ずつ調整するのかと。トレーサビリティのことはどうなのか。ロードマップの初発と書いてある表現の所は、紛らしいので、今回は外しておいてくださいということを頂いたように思いますが、それでよろしいでしょうか。
○上村構成員 よくまとめていただいて、ありがとうございます。
○猿田座長 ほかにどなたか御意見はありますか。もしなければ、今のような形で戻していただいて、条件付き「適」という形でよろしいでしょうか。それでは、そういう形にさせていただきます。詳細に御検討いただきまして、どうもありがとうございました。
それでは次に移ります。次は総括報告書の評価です。事務局のほうからよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-1の79ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する評価をいただくのは、平成26年9月に開始された告示番号50、「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下腎部分切除術」です。申請医療機関は神戸大学医学附属病院です。審査担当構成員は、主担当が藤原構成員、副担当が山中構成員です。また、斎藤技術委員にも御意見をお伺いするため本日御出いただいております。
試験の概要ですが、腎部分切除可能な腎がん患者を対象としてヒストリカルコントロールに本邦における腹腔鏡下腎部分切除術の多施設共同観察研究。すなわち、54施設からなる1,375例分のデータを用いて、da Vinciサージカルシステムを用いたロボット支援腹腔鏡下腎切除術の有効性及び安全性を評価する多施設共同単群試験となっております。以上です。
○猿田座長 それでは、藤原先生から御説明をお願いできますでしょうか。
○藤原構成員 資料の79ページからは技術の概要です。試験結果は、有効性の所を見ていただきますと、この試験のプライマリーエンドポイントは腎機能が温存されて、なおかつ根治切除されているという割合がヒストリカルコントロールに比べて優れているかどうかという所が検討されております。今回のプライマリーエンドポイントの達成は、91.3%で腎機能温存と根治切除術の達成ができているということで、事前にヒストリカルコントロールで設定した閾値、23.3%よりも大幅に上回っているというプライマリーエンドポイントはきちんと達成された結果となっております。
安全性に関しては、重篤な死亡例もなく有害事象としては仮性動脈瘤が何例か報告されておりますが、従来の方法に比べてそれが大きく増えているということはなかったと考察されております。したがって、総括報告書の80ページの一番下の結論の所に書いてありますが、本試験結果はロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術が既存の腹腔鏡下腎部分切除に比較して、低侵襲がんの根治性腎機能を同時に実現し得る有用な術式と考えられたと記載されています。
我々の評価は、私と山中先生でやらせていただきました。83、84ページで山中先生がいろいろコメントしていますので、彼に聞いてから総括したいと思います。
○山中構成員 主要評価項目は、藤原先生から指摘がありましたとおり、根治切除と腎機能温存の両方を同時に達成した割合です。腹腔鏡下の成績を参考に、同時達成率の閾値として23%が設定されていました。つまり、23%以下であることが統計的に否定できれば今回の試験の結果はポジティブと解釈されます。同時達成率の期待値は37%と設定されていました。試験の結果は91%ということで予想をはるかに超えて良好な成績でありました。
これだけ成績が高いとシングルアームの試験ですので、患者、施設、執刀医等に係る選択バイアスがかなり入っているのではないかということを思ってしまいます。又は、閾値の計算自体は妥当であると思うのですが、そもそも閾値の計算に用いられた過去の観察研究の結果が、外挿性があったのかということが疑問に思えてきます。そういう検討材料が残るのですが、少なくともこの試験における成績としては、腹腔鏡下、開腹等と比較して、ほぼほぼ従来の医療技術を用いるよりも、やや有効であることは言えるだろうと判断してBといたしました。
そのほか副次評価項目については、切除の完遂率、開腹やラパロへの移行率等も満足のいくものですし、許容範囲内の有害事象率であったということで、従来の開腹、ラパロに比べて腎機能を温存できる、低侵襲である、というプルーフ・オブ・コンセプト(POC)に関しては、ほぼほぼ、この試験のデータとしては確認できたのではないかと思っております。
安全性についてです。有害事象に関してもほぼ予想の範囲内と判断できます。1点だけ動脈瘤が研究計画時に予想されていたよりも高頻度であったようなのですが、個々のケースに関しても詳細に報告されており、それらをつぶさに見ていきますと、同一施設で結構動脈瘤が起っていたりしておりますので、もしかしたら術者の技量が関係していた可能性はあるかもしれません。ただ、総じて問題になるほどの高頻度な有害事象はありませんので、安全性に関しても余り問題なしBと判断いたしました。
最後に技術的な成熟度です。今回、登録があったのが計14施設です。主幹施設の神戸大学病院を含む3施設から全体の6割弱が登録されております。4割強に関しては残りの11施設から複数例の登録がなされており、100例というこの試験における評価としては比較的多施設からの成績が得られた、その同時達成率の成績が91%であったと判断します。
今回の試験の施設の参加基準としては、この技術の経験症例数が10例以上ということが求められております。この経験症例数の10例は決して高い要求水準ではありませんので、この要求水準と91%という高い結果からはラーニングカーブに大きなハードルがなく、経験を積んだ医師の下であれば実施できることが示唆されるかなという気はします。ただ、示唆はされるというだけで、これは100例での評価ですので、より多数例の評価を積まないとこの点は確認できないと思います。ということで、私の評価としては、判断が難しく、まだ判断できないということで「Dその他」といたしました。私からは以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。それでは斎藤先生、特に技術面も含めてよろしくお願いいたします。
○斎藤技術委員 ……泌尿器科臨床医として見させていただきましたが、非常に短期間でよく100例を集めたなというのが、まず第一の印象です。前立腺がんと異なり腎がん自体の数が非常に少ない、それに、このオペの適用となるような症例が非常に少ない中で、よくこれだけの施設で集めたなということです。成績に関しては今、御報告がありましたように予想以上にいい成績が出ておりますし、阻血時間も予想以上に短く済んでいるということで、ラパロよりか非常に有用な技術であるという印象があります。
有害事象に関しては、今も御報告がありましたように既存の技術よりも悪いということはなく、ほぼ同等のような印象を受けております。以上より有効な技術であると解釈いたしました。
○猿田座長 ありがとうございました。それでは、藤原先生、もう1回簡単にまとめていただけますでしょうか。
○藤原構成員 お手元の81、82ページを御覧ください。まず、有効性の判断の所は先ほど申し上げましたようにプライマリーエンドポイントは達成されているところです。ただ、技術審査部会でプロトコールの審査がされた2014年4月のときにはT1bといいまして腫瘍径が4~7cmの間の比較的に大きなものに関して、こういうロボット手術のほうがいいのではないかという議論がされる中で、今回は10例しか4cm以上のものが入っていませんので、余り大きなものに関して、この技術の有用性はいえないだろうと考えます。
総括報告書の症例登録期間が不明だったのですが、今回、先月のこの審査委員会でも議論になりましたが、100例の目標の所が118例登録という症例登録の超過という問題点がありました。これは8月6日に開催の親会議で今後は先進医療Bにおける予定試験期間や登録数について、こういう方向で審査していきましょうということが決まりましたので、それは解決されていると考えました。
安全性に関しては、先ほど山中委員からもありましたが死亡例もありませんし、仮性動脈瘤についてもそんなに高い頻度であるわけではないので、安全性に関しては余り問題ないと思いました。ただ、やっている機関が全国にあるたくさんの医療機関のうちの10数施設でこれをやっていますので、普及性という観点からするとそんなに高い普及性ではなくて、これをやるためにはかなりの技術的な力を持った医療機関ではないと難しいと考えます。
最後の82ページの総合的なコメントの所を御覧いただきたいのですが、これは、試験が成功したか否かというよりも今後このロボット手術が医療の中にどのように展開していくかという観点で少し考察してみました。対照のヒストリカルコントロールの症例登録が行われたのが、1998~2008年という非常に古い時期のものです。実際、ヒストリカルコントロールのデータの掲載されているJ Endourol誌の論文を見てみますと2007~2008年という割と最近に近いという症例と差を見てみるにしても、余りにも昔のデータとの比較ではないかと懸念を持ちまして、85ページからの追加の指摘で、こういう古いデータをヒストリカルコントロールとして、今回の試験結果との差を見ることに関してどうなのでしょうかというお話を投げ掛けて、それに対して神戸大学の先生から種々の回答を頂いております。
お手元のパッドの690ページの総括報告書の考察の所にエンドポイントの個別のデータに関しての記載があります。今回、阻血時間という、腎の部分切除をしたときに血流を止めて結紮処置をするのですが、血流を止めている時間が当然短いほうが血流再開の後の腎機能の回復が高いのです。総括報告書の80ページ、お手元の資料の690ページでは今回のロボット手術での阻血時間の平均値と標準偏差は19.0分±6.4分とあり、ヒストリカルコントロールという約10年ぐらい前に行われた腹腔鏡下での腎部分切除の阻血時間の平均値と標準偏差は41分±19分で2倍ぐらいの改善があります。
ただ、今回、提出していただいた85ページからの回答をめくっていただいて幾つか最近の国内での報告を見てみますと、阻血時間を見ると大体25分とか20分ぐらいに収斂してきており、ヒストリカルコントロールよりは、今は腹腔鏡下で腎部分切除のときのテクニックは全国的にすごく向上しているのだなという印象を持ちました。
それが一番大きな懸念で確かにプライマリーエンドポイントはクリアされているのですが、高価なda Vinciを使った手術をしなくても腹腔鏡下でやった手術でも阻血時間が、20分と25分ぐらいだったらそんなに大して変わらないという印象を持つので、本当にコストベネフィットの観点から考えて、これから先、これを診療に持っていくときに意味があるかなというのが私の大きな懸念です。以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。この案件に関してはスタートのときに随分、山口先生からもいろいろな御意見を頂いて、山口先生、コメントをお願いいたします。
○山口座長代理 藤原先生のおっしゃったことに尽きると思うのですが、これは胃のときでも直腸のときでも一緒で、まず、出してくるこのコントロールが時代的に差がある。それから、施設間に差があるのに、ごく一部の先進的な施設が集まってやって比較するというのが指標になっているわけですよね。ですから、これは決定的な証拠にはならないと思いますし、今、藤原先生がおっしゃったようにあらゆる腹腔鏡の技術は、やはり時間とともに、つまり年代とともに手術時間も短くなっていますし、出血時間も短くなっています。合併症も少なくなっています。
例えば、直腸がんでも開腹移行率が出ていましたが、がん研ではほとんど年間1例か2例しかありません。そこに昔のデータを持ってきて、それがいいという話になってくると非常にまずいのではないかと思います。ただ、これで言えるのは、ある程度、安全性とか腹腔鏡に比べて劣っていないということは、これでよく分かったと思います。ただし、動脈瘤が結構多いのですが、私は余り見たことがありません。これは普通にこういうパーセンテージであるのでしょうか。
○斎藤技術委員 一般的には起き得ると想定して我々は手術に入ります。
○山口座長代理 実際に10%ぐらい起きるのですか。
○斎藤技術委員 最大10%というとかなり多いなと思います。
○山口座長代理 場合によっては破裂したりすると危ないですよね。
○斎藤技術委員 はい。そうです。
○山口座長代理 我々、消化器外科医からしたら、これはどうしてこのようなことが起きるのかと、10%で起きるのならばこんな怖い手術はしたくないと思います。
○斎藤技術委員 インターベーション、その他で、いろいろ対処はできます。これは開腹の手術のときも現に起きていましたから、そんなにコントロールができないものではないということです。
○山口座長代理 その開腹手術における動脈瘤のパーセンテージは実際にデータがあって10%ぐらいあるわけですか。
○斎藤技術委員 印象としてはもっと低いと私は思っております。
○山口座長代理 印象ではなくて事実をしりたいのです。
○斎藤技術委員 今はデータを持っていないので申し訳ないのですが。
○山口座長代理 もう1つ聞きたいのは、例えば、開腹とか腹腔鏡の場合とda Vinciの場合では、血管処理の方法は違うのですか。使うデバイスとかあるいは糸で結ぶとか。
○斎藤技術委員 腎摘の場合はオートスーチャーのGIAでガシャっとやってしまう場合が多いのですが、今回は腎茎部をクリップして放すということが大事なのです。腹腔鏡手術と比べ技術的にはほとんど変わりありません。ですが、da Vinciを使うということは、操作性が全然違うのです。要するにラパロで腹腔鏡下でやる操作をはるかに越えた稼動性がありますので、安全に裏側も操作できるという意味です。あと、視野が立体視なので全然違う。その2点が全然違うので、やはり短時間になる1つの要因になると思っております。
○山口座長代理 例えば、動脈瘤のできる率は変わらないのですか。
○斎藤技術委員 これは結構、後に起きてきますので。
○山口座長代理 申し訳ないのですが、例えば、消化器外科で10%の動脈瘤ができるのだったら糸できちんと縛るとか、発生した場合に非常に重大な結果を招くことがあると思うのです。ですから、何か少しこれは恐ろしい技術だなと、私は感じました。
○斎藤技術委員 開腹でもほぼ同率で起きますので、目で見えている範囲で、開腹でやっても後では起き得ることなので、手術時点ではきちんともちろん絞めております。
○山口座長代理 消化器外科でも起きないと言っているわけではなくて、脾動脈などで起きますけれども非常にまれで、こんな頻度では起きません。ただ、泌尿器科の領域で確かに開腹でも10%起きるというのであれば、そうかなと思いますけれども。
○猿田座長 ほかにどなたか御意見ございますか。
○藤原構成員 先ほどの山口先生の仮性動脈瘤の頻度に関しては、お手元のタブレットの691ページ、総括報告書でいうと80ページですが、そこの安全性の所の後半で議論されていて、この申請者の方々は、開腹手術で動脈瘤の発生頻度は0.4~4.2%で、腹腔鏡下の手術では1~12%、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除で過去の報告を見ると0.2~10.2%であるという論文成績からすると同じような範囲ではないですかという議論はされておられますが、その辺は、私はやっているわけではないので分からないところです。
○猿田座長 ほかにどなたかございますでしょうか。総括報告書ということで、この形で一応まとめていただいたものを先進医療会議に回させていただくということでお認めいただけますでしょうか。どうもありがとうございました。斎藤先生もどうもありがとうございました。それでは、この形で先進医療会議に回させていただきます。
続きまして、試験の実施計画の変更について事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 先進医療Bの「試験実施計画の変更」について本日は9件の申請がありました。資料3-1、117ページを御覧ください。1件目、東京大学医学部附属病院からの申請で告示番号5、「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法」についてです。適応症は腹膜播種又は進行性胃がん。ただし、腹水細胞診又は腹腔洗浄細胞診により遊離がん細胞を認めるものに限るとなっております。
本試験は腹膜播種を伴い、腹膜播種以外の遠隔転移がなく主要臓器機能が保たれた初発胃がん症例を対象として、画像診断及び診査腹腔鏡により腹膜播種を確認した後、施設や前治療の有無及び播種の程度を調整因子としてS-1+パクリタキセル経静脈腹腔内併用療法、すなわちA群と、S-1+シスプラチン併用療法群、すなわちB群の2群にランダム割付を行い有効性と安全性を比較検討することを目的とした多施設共同前向きランダム化比較検証的試験です。
主要評価項目は全生存期間。副次的評価項目は治療成功期間、抗腫瘍効果及び安全性。予定試験期間は平成23年10月から平成27年9月まで。予定症例数はA群120例、B群60例、計180例で今回の申請時点で183例が登録され、169例にプロトコール治療が施行され登録終了となっております。主な変更内容は、予定試験期間の平成28年11月までで1年2か月間の延長と副次評価項目に「3年全生存割合」を追加し、登録完了3年後に解析を行うよう規定する点です。
変更申請の理由です。先進医療届出書を提出した時点では、平成23年9月から平成25年9月まで症例登録を行い、登録完了2年後の平成27年9月に主要評価項目の解析を行うことを予定していたところ、登録完了が平成25年11月にずれ込んだため主要評価項目の解析はその2年後の平成27年11月に行う方針となったところです。
一方で、本年7月現在で試験治療群116例のうち21例が試験治療を継続されており、主要評価項目の解析を行う本年11月の時点でも試験治療を継続中の症例が存在することが予想され、本年11月の生存解析により試験治療の標準治療に対する優越性の検証が可能とは考えられますが、試験治療のより長期の有効性の評価のため、主たる解析の1年後までの試験期間を延長し副次的に3年全生存割合を評価することが必要と考えられるとのことです。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 症例数はかなりの数になっているのですが、最終的に見るときにもう少し先に延ばしてきちんと評価したいということですが、どなたか御質問ございますか。よろしいでしょうか。それでは、これはお認めいただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、続いて2番目の試験実施計画の変更について事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-2、121ページを御覧ください。なお、本技術についての審議に先立ち、申請医療機関と所属を同じくされる藤原構成員及び全国の試験計画策定に関わられる柴田構成員におかれましては、利益相反との観点から本技術の審議に際し一時、御退席いただくことといたします。誠に恐縮ながら御協力のほどお願い申し上げます。
(柴田・藤原構成員一時退席)
○医政局研究開発振興課専門官 2件目、国立がん研究センター東病院からの申請で告示番号36、「インターフェロンα皮下投与及びジドブジン経口投与の併用療法」についてです。適応症は成人T細胞白血病リンパ腫、ただし、症候を有するくすぶり型又は予後不良因子を有さない慢性型のものに限るとなっております。本試験は、症候を有するくすぶり型と予後不良因子を有さない慢性型成人T細胞白血病リンパ腫を対象に天然型インターフェロンα製剤とジドブジンの併用療法の有用性を検討する多施設共同前向きランダム化比較試験です。
主要評価項目は無イベント生存期間。予定試験期間は平成25年9月から平成30年9月まで。予定症例数は対照群37例、併用療法37例、計74例で現在までに11例が登録されております。主な変更内容は、(1)JCOG共用基準範囲の使用に伴う適格基準及びエンドポイントの定義の修正、(2)ST合剤の投与開始日の明確化、(3)推奨される支持療法としてG-CSFバイオシミラーの運用に関する変更、(4)患者登録方法の変更、(5)その他記載整備です。
変更申請の理由です。1は、これまで施設基準値を用いてATL病型分類等を行ってきたところ、平成26年4月から全JCOG試験で施設基準値に代わり、JCOG共用基準範囲を用いることとなったため、本試験でも施設基準値の替わりにJCOG共用基準範囲を用いることにしたものです。ただし、慢性型ATLの細分類に用いる予後不良因子はJCOG共用基準範囲の上限値の BUN:20mg/dL、LDH:222U/L及び下限のアルブミン:4.1g/dLをそのまま適用すると少なくない施設でこれまでの「予後不良因子」の有無の判断と乖離が生じるため、慢性型ATLにおける予後不良因子の定義に用いる検査値のカットオフ値を下記の絶対値、すなわち血清BUN>25mg/dL、血清LDH>300U/L、血清アルブミン<3.5g/dL。以上のいずれか1つを満たすものとしています。また、本試験の対象の1つ「予後不良因子を有さない慢性型」のLDH値の基準が適格基準の中で重複しているため、今改訂に合わせ修正したものです。
2番目は、プロトコール治療で対照群は登録日から、一方、併用療法群は登録後14日以内にプロトコール治療を開始と規定していましたが、ST合剤を投与するタイミングが明確でなかったため、ST合剤投与開始日を両群共に登録後28日以内に開始することとしています。28日という設定理由に明確な根拠はないものの、両群共に細胞性免疫の低下を直ちに来す治療ではなく、登録後28日以内にST合剤を投与できればニューモシスチス肺炎等の発症を十分に予防できると考えたものです。
また、併用療法群では、試験薬剤とST合剤を同時期に投与して有害事象が生じた場合、どの薬剤が原因で有害事象が生じたのか判断しづらいため、これらの投与開始日の間隔を7日以上空ける規定を設けたものです。そのほか表記の整備を行っております。また、本文中の「プロトコール治療」という用語がST合剤を含めているのか否かが不明確な箇所があったため、該当箇所を修正したものです。
(3)は、併用療法群において発熱と好中球減少の合併症が生じた際の救済療法として使用するG-CSFについて、本邦で平成25年5月31日に発売されたバイオシミラー製品を本試験でも使用可能とする追記の変更です。(4)のその他は登録方法をWEB登録に統一したことです。(5)は、表現の整備です。研究費や研究所情報の更新、誤記訂正等の記載整備です。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 幾つかの訂正がありました。直江先生、いかがですか。
○直江構成員 恐らくATLの分類の所だと思いますが、これはしょうがないのではないですかね。それから、ST合剤のタイミングとかG-CSF、2、3はもちろん全然問題ないと思います。トータルとしては問題ないのではないでしょうか。
○猿田座長 ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。いろいろな細かい所、JCOGの訂正などがありますが、よろしいでしょうか。それでは、2番目の案件に関しても、変更をお認めいただくということにさせていただきます。
それでは、3番目の試験計画の変更について事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 進行の都合で、ここで順序を変更して先に国立がん研究センター及びJCOG関連の試験計画変更を続けて御審議いただくことにいたします。資料3-5、137ページを御覧ください。3件目、埼玉医科大学国際医療センターからの申請で、告示番号43、「放射線照射前に大量メトトレキサート療法を行った後のテモゾロミド内服投与及び放射線治療の併用療法並びにテモゾロミド内服投与の維持療法」についてです。
適応症は初発の中枢神経性原発悪性リンパ腫。ただし、病理学的見知からびまん性大細胞型B細胞型リンパ腫であると確認されたものであって、原発部位が大脳、小脳又は脳幹であるものに限るとなっております。本試験は初発中枢神経性原発悪性リンパ腫に対する照射前大量メトトレキサート療法+テモゾロミド併用放射線療法+維持テモゾロミド療法の標準治療である照射前大量メトトレキサート療法+放射線治療に対する有用性をランダム化比較試験にて検証するものです。
主要評価項目は全生存期間。予定症例登録期間は平成26年9月~平成29年9月。主な解析は登録期間終了からさらに追跡期間の3年を経た時点で実施される群ですが、より正確な二次がんの発現頻度を把握するため、先進医療の枠外で患者登録終了後、10年間追跡を行うことを予定しています。予定症例数はテモゾロミド投与群・非投与群、各65例の合計130例で現在まで6例が登録されております。
主な変更内容は、(1)選択基準の文言追記、(2)併用薬剤投与方法の修正、すなわち大量メトトレキサート療法投与方法の記載変更、コース開始基準及び減量規準の変更、(3)放射線治療のコース内休止/再開基準の修正、(4)Karnofsky performance status(KPS)データの収集、(5)B型肝炎再活性化予防について規定とする併用療法・支持療法の追加、(6)予期される安全性情報の追記、その他、(7)~(11)は記載整備です。
なお、机上配布資料として先生方のお手元にお配りしております書類を御覧ください。本件に関しては、試験計画変更の承認から技術審査部会への報告までに1年ほどタイムラグがあったこと、また、試験計画の変更内容が技術審査部会における検討に先んじて既に実施されていたこと、以上2点が発生しております。その旨、研究代表者から別途その説明資料として、「先進医療に係る変更届出書の提出の遅れについて」という資料が提出されておりますので、こちらも併せて御参照ください。
変更申請の理由です。(1)は、一次登録適格基準でヨードアレルギーなどにより造影CTが行えない場合、各部位の単純CTに加えて全身PET検査も必須とするとの規定における判断基準の明確化。また、不適格となる免疫不全、若しくは免疫抑制状態にある症例の定義解釈の明確化及び二次登録適格基準とプロトコール治療中止の基準の規定内容の齟齬の修文です。
(2)は、大量メトトレキサート療法時に併用するロイコボリン、7%炭酸水素ナトリウム、アセタゾラミドについて、併用薬剤の希釈液や投与のタイミング等における施設ごとのバリエーションにつき、いずれの方法でも安全性には問題がないことから、それらの方法を追認して実施できるように記載を変更したもの。メトトレキサート排泄遅延を認めた場合の減量規準につき、日常診療から血中濃度の確認後にメトトレキサート投与を再開しており、排泄遅延のみを理由に投与レベルを減量することはないため、減量規準を削除するもの。大量メトトレキサート療法のコース開始基準に規定された開始延期期間に関し、7日以内に開始できなかった場合は同療法を中止としていたものを大量メトトレキサート療法では毒性が遷延する場合もあり、7日を超えても治療を継続することが臨床的に妥当と考えられることから、14日以内に変更したものとなっています。
(3)は、放射線治療の総治療期間、総線量に基づく中止基準につき、両群の記載に齟齬があるための記載の修正です。(4)は、海外での悪性脳腫瘍の臨床試験のほとんどが現在KPSを用いているため、本試験でも従来のECOG performance status scoreに加えKPSも収集することとしたものです。(5)は、平成25年の「B型肝炎治療ガイドライン」改訂により、免疫抑制薬や化学療法により発症するB型肝炎再活性化予防の指針が変更されたことを受け、本試験を始めJCOGプロトコールマニュアル全体でも、この改訂に合わせてHBs抗原陽性に準じた検査と支持療法を行うことを従来の「推奨」から「規定」へと変更したものです。
(6)は、全脳照射の際に眼病変を有する中枢神経原性リンパ腫患者に対しては、眼球も照射野に含め、それに伴う予期される有害反応の追記と安全性評価の項目追加を行い、同じく大量メトトレキサート療法による予期される有害反応、肺臓炎と放射線治療により予期される皮膚及び皮下組織障害及び脱毛症も安全性評価の定型項目として収集することとしたものです。(7)以降は、それぞれ記載整備となっております。以上です。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 今、お話いただきましたが、症例の関係もあるかもしれませんが、予定数が130例で、現在のところまだ6例しか登録されていないと、これは長期にわたるものです。それと、今、出てきたプロトコールの変更のことが気になるので、これはきちんと実施施設に言っていただくことが大切です。
○医政局研究開発振興課専門官 申請医療機関は埼玉医科大学国際医療センターで、JCOGはマネージメントを担当している所ですので、JCOGは直接の申請医療機関ではありませんが、私どもからも強く申し伝えたところです。今後、先進医療会議等でも御検討をいただくことになると認識しております。
○猿田座長 一応、そこだけはきちんとしておかなければいけないと思いますので、お願いします。ほかにどなたか御意見ございますか。
○山本構成員 私は、この変更について特に何もないのですが、この変更を届けなければならないというのは書いてあるから仕方がないということですが、毎回、変更のために各施設は何をしているかというと、自分たちの倫理委員会をとおしてここに出して、それを待って、さらにまたここでもし変更があったら、それをもう1回倫理委員会に掛けて変更しているのです。
例えば、それを多施設でやりますと結局1つの変更をする度に何か月も掛かってしまって、それをやりますと、その間に倫理委員会で掛かって先に先進医療でOKになって、通った所は変更後のプロトコールを使うけれども、何らかのことで倫理委員会の、例えば、参加医療機関の倫理委員会の審査は、先進医療技術部会の見解を待って、その次に掛けるとしている場合には、場合によっては多施設共同試験なのにプロトコールが一部は変更前、一部は変更後のプロトコールで動かさないといけないとか、いちいち全部、施設の倫理委員会へ掛ける、ここで掛けるという二重審査をすべてに言っているので、結果として現場では、ものすごく煩雑な手続が生まれています。
私は以前から、実際こちらで審議もしていますけれども自分の医療機関で先進医療も動かしていますので、現場から見ると明らかに今、審議が二重審査になっており、その結果が何か月も掛かる手続、先進医療に掛けることで、むしろ場合によっては変更することで、より患者の登録が進むとか、より先進医療Bを効率的にやりたいがための変更なのに、あるいはその患者の安全性をより守りたいための変更なのに、それが遅れていくことが生じていますので、それは今後、対応を考えていかなければならないのではないかと思います。
○猿田座長 実際にプロトコールの変更で、特に長く掛かっている例では既に良くないことが起こっています。ですから、その点も少し踏まえて、もう1回検討させていただきたいと思います。
○山本構成員 結局、例えば、安全性の問題で変更する場合は、変更が掛かるまで事実上リクルートを止めないといけないなど、そういうことが起こってきますので、それだと逆に先進医療の技術部会が効率的な臨床試験の運用を阻害していることになってしまいますので。
○猿田座長 例えば、この前も出た膵島移植の問題がそうです。長期に掛かっている。そういうことで少し検討させていただきます。
○山本構成員 また改めてそれは検討していただきたいと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。
○保険局医療課企画官 今の御指摘は、大変重要なことですので議論いただきたいのですが、患者申出療養や保険外併用について議論していますと、先進医療は、通常の臨床研究とは違って、保険と併用できるということ点を意識させられます。厳密にやったら切りがないと思いますが、保険を併用して、実施しているということを踏まえて、求められる水準はどこなのかということをきちんと議論していただきたいと思っています。
推進する観点も大事ですが、質といいますか、きちんとやっているということも期待されていると思っております。
○猿田座長 また少しいろいろな議論をさせていただければと思いますし、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○医政局研究開発振興課専門官 ただいまの議論について補足いたします。そもそもの議論もありますが、医政局研発課では、運用として変更の申出があった場合にIRBに掛けていただく内容に付き、事前に情報を頂いて事務局サイドでまず内容を確認するということは行っております。それによって、実質的な審議から変更、承認までの期間の短縮に努めていることを補足いたします。
○猿田座長 それでは、時間の関係もありますので、今の告示番号43の試験計画の変更は、お認めいただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。山本先生からの御意見は承ってきちんと検討したいと思います。
続きまして、4番目の試験実施計画の変更の説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 次は資料3-8、157ページを御覧ください。続けてJCOGです。4件目、静岡県立静岡がんセンターからの申請で、告示番号54「術前のS-1内服投与、シスプラチンの静脈内投与及びトラスツズマブ静脈内投与の併用療法について」です。適応症及び試験の概要については、少々時間がなくなってきたので私からの報告は割愛しますが、資料を御覧ください。主要評価項目は全生存期間、予定症例登録期間は平成27年3月から平成30年3月で、主な解析は登録期間終了から更に追跡を3年を予定しております。130例の予定症例数のうち、現在まで登録症例はまだありません。主な変更内容は、(1)術前補助化学療法のスキップ・減量規準の変更。(2)予想される危険と不利益の記載修正。(3)手術の合併切除臓器に関する記載文言の修正。(4)術前化学療法の投与量決定方法に関する記載の補完。(5)試験計画書の臨床試験タイトルの修正。(6)予期される安全性情報の追記。(7)B型肝炎再活性化予防について、規定とする併用療法・支持療法の追加。(8)インフルエンザ及び肺炎球菌起因性肺炎に関するワクチン接種の推奨に関する追加。(9)ないし(10)は記載整備となっております。理由については記載を御覧いただければと思いますが、簡単に申し上げると、(1)はJCOGで実施中のS-1を用いた他の臨床試験と共通の記載内容に修正したもの。(2)はトラスツズマブの上乗せによる毒性について、投与する分としない分で危険と不利益が異なるために、そこを書き直したというもの。(3)は脾臓の温存/非温存の術式について、その温存手術、非温存を選択する基準をきちんと決めたというもの。(4)はクレアチニンクリアランス推定値と実測値で、実測値を満たす場合には適格としていて、実測値で適格となった場合には、この投与量の決定にも実測値を用いることを新たに規定したもの。(5)は名称の変更です。食道胃接合部腺癌を含むということに関する臨床試験タイトルの修正。これは告示名の修正には至っておりません。(6)は全身麻酔に伴う予期された有害事象の追記。(7)はB型肝炎、(8)はインフルエンザ及び肺炎球炎菌ワクチンに関する規定の追加。(9)以降は記載整備となります。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 これはまだ症例が130例で、1例も入っていないということで、ここでもう1回しっかりとプロトコールの検討をしていただくということで。特に御意見はありませんか。それでは告示番号54の試験計画の変更を認めていただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは柴田先生と藤原先生にお入りいただいてください。
(柴田・藤原構成員着席)
○猿田座長 どうもすみませんでした。それでは続いて、5番目の試験実施計画の変更について。これも事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 次は資料3-3、125ページを御覧ください。5件目、慶應義塾大学病院からの申請で、告示番号39「腹腔鏡下センチネルリンパ節生検」についてです。適応症と試験の概要については説明を割愛させていただきます。資料を御覧ください。主要評価項目は術後5年無再発生存割合、副次評価項目は術後3年無再発生存割合、無再発生存期間3年・5年全生存割合、センチネルリンパ節同定率・分布・転移状況・転移検出感度、術後QOLです。予定試験期間は平成26年5月~平成33年5月。予定症例数は225例で現在まで11例が登録されております。変更の内容は資料に記載されたとおりです。変更申請の理由ですが、まず、試験の相の名称変更については、先の探索的先進医療、大臣告示番号13を受けて、将来的に本試験は保険診療や導入を目的とした検証試験の位置付けであることを反映したもの。また、試験中止基準の明記については、新たに統計学的検討に基づく試験の無効基準を「再発症例14例を超えた場合には、試験の中止を検討」との旨、新たに追記するもの。術後治療の追記については、当初明確に規定されていなかった術後の追加手術及び郭清の適応基準を明記し、追加切除を行う場合に、プロトコールは逸脱となるが、追跡は継続することを追記したもの。本試験における有害事象の明確化と実施体制の追記については、予測される有害反応及び合併症等の評価項目を術中のもの、術後早期のもの、術後晩期のものに分けて記載するものとし、記載項目の詳細を追加して有害事象との発生における対応をより明確に定義したものです。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 これは大分長くからやっている胃のセンチネルリンパのことですね。何かありますか。
○山口座長代理 問題ないと思います。
○猿田座長 ほかにどなたか御意見はありますか。
○山中構成員 変更自体には全然異論はないのですが、これは今、予定登録期間が去年の5月から来年の5月までになっていて、ちょうど1年ちょっとたっていて、今は11例という状況です。以前、さっきの大臣告示番号13でされていたものが、登録ペースが1年間で100例弱だったと記憶しているので、そこから2年間で225例ということを予想されたのだと思うのですが、実際には慶應大学だけから11例あるのみで、かなり予定を下回っているというか、下回り過ぎている感があります。
記憶が正しければ、乳がんのときのセンチネルリンパなどはかなり速いスピードで集まったと思うのですが、これに関しても疾患で登録がしづらいとかしにくいというのはどうしてもあるのだと思うのですが、早期がんでセンチネルリンパという明確な、ある意味シンプルな介入でやりやすいのではないかと思っていて、それが事実、前回の大臣告示番号13では、比較的順調なスピードで、良い結果が出て今回の臨床試験をやっているということですよね。ところが慶應病院の11例にとどまっているというのが、胃癌におけるセンチネルリンパの状況は変わっているのか、位置付けは変わっているのかということも思っていて、その辺をもしご専門の山口先生方から何か御意見伺えれば。
○山口座長代理 なぜ登録されないか、手続の問題ではないかと思うのですが。
○山中構成員 これは全部の各施設の登録、IRBなどが終わっていないのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 いえ、IRBの登録は終わっている所が追加施設になっておりますので、終わってはいるのですが、直近に追加されたことも1つの要因としてはあるかもしれません。こちらは本日の時点ではなく、申請された時点ですので、ある程度のタイムラグもあるかと思います。それと、あとは慶應大学病院以外の施設についての技術的に進行しにくい理由等々に関しては、我々は確認しておりませんので、よく分かりません。
○猿田座長 ただ、施設に対してもう1回それをよく言って、できるだけ早く症例の何が障害となっているかを、確認するように、よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 確認をいたします。
○猿田座長 ほかにありませんか。もしなければ、告示番号39の計画変更もお認めいただいたことでよろしいですか。ありがとうございました。
それでは6番目の試験実施計画変更について、よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 6件目は資料3-4、131ページを御覧ください。なお、本技術についての審議に先立ち、申請医療機関と所属を同じくする山本構成員におかれましては、利益相反の観点から本技術の審議に際し、一時御退席を頂くことといたします。誠に恐縮ながら御協力のほうお願いいたします。
(山本構成員一時退席)
○医政局研究開発振興課専門官 6件目、国立循環器病研究センター病院からの申請で、告示番号41「アルテプラーゼ静脈内投与による血栓溶解療法」についてです。適応症、試験の概要については資料を御覧ください。主要評価項目は90日後のmRSは0~1の割合、副次評価項目は試験開始24時間後、7日後におけるNIH Stroke Scale値のベースライン値からの変化。試験開始90日以降におけるmRSスコアに関連した臨床的改善率。安全性評価項目は試験開始後24時間以内のsICH発現率。試験期間中の大出血発現率。試験期間中の全死亡となっております。予定試験期間は平成26年5月から平成29年3月、予定症例300例のうち現在まで10例が登録されております。変更内容ですが、(1)患者登録基準を「治療前のNIHSSスコア5~25」から「2~25」に。また、最終未発症確認から治療開始までの時間を「4.5~12時間」から「4.5時間超」に変更すること。また、(2)急性期脳梗塞に対する血管内治療の安全性や有効性が確立したことに伴う患者説明文書の改訂。(3)研究資金変更に伴う研究計画書の改訂。その他記載整備となっております。変更申請の理由ですが、(1)については、欧州を中心として同じ目的で行われているWAKE-UP試験と研究結果を統合解析するため、登録条件をできる限り一致させることで合意し、まず、欧州で同じ目的で行われている本試験ではNIHSSの下限が設定されていないこと。また、2014年の現在まで行われてきた全てのRCTのメタ解析で、NIHSSが0~4でもアルテプラーゼ静注効果の有効性が示され、我が国の一般臨床でも治療効果が期待できる場合にアルテプラーゼを投与しているということ。また、登録開始から1年3か月経過した現在全登録症例数は10例と少ないが、同期間中にNIHSS2~4が登録基準であれば対象症例増加を見込めることができ、以上3つの理由で対象患者のNIHSS値の拡大、また同じく欧州のWAKE-UP試験では、最終未発症確認時刻から12時間を超える症例も登録されており、最終未発症確認時刻から12時間を超えても頭部MRIのFLAIRで初期虚血病変と考えられる明らかな高信号所見がなければ、実際の発症からの時間は4.5時間以内である可能性が高いと考えられるため、対象患者の発症後推定時間はこの拡大を図ったものです。なお、本資料の末尾に記載のとおり、変更項目の(6)患者相談窓口の記載に係る変更については、倫理委員会審議で相談窓口の一本化が認められたところですが、結果的に研究者のみの窓口対応となってしまうため、新たに申請者から今後速やかに研究者以外の相談窓口を追加整備するべく再修正し、直近の倫理委員会に再審議を依頼する方針が示されたものです。また、登録患者基準の変更に伴う統計解析の影響に対する意見としては、今回の患者登録基準の変更は、これまでの登録症例との結果を知ることなく行われるが、最初に登録した10例と今後登録される290例では登録基準が異なるため、統計解析に影響する可能性があるものの、今回追加で提出した過去のアルテプラーゼに関する無作為割付試験、全てを統合解析した新規参考文献、こちらはタブレットの2351ページに収載しております。2353ページの右上の図2に示されているように、軽症例では、アルテプラーゼで治療することにより主要評価項目であるmRSO-1が48%増加することが示されており、非軽症例よりもアルテプラーゼの効果が劣る可能性が低く、研究計画書に示している目標被験者の設定が介入群対対照群でmRS0-1を50%の増加と想定していることから、統計解析への影響は小さいものと予測している一方、登録基準の変更が試験に与える影響は、実際に登録された症例で検討しないと評価が難しいと考えられるので、統計解析において副次解析として、そのような検討を含める予定であると述べられています。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 これもまだ、300症例の中で10例までということで、今度、欧州のガイドラインに合わせるということと、症例の登録をもう少し早くするということも含めて、こういう変更をしたいということですが、どなたか御意見はございますでしょうか。これはお認めしてもいいのではないかと思いますけれども、もし特に御意見なければ、告示番号41番の試験計画の変更を認めるということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、そういう形にしていただきます。
では、続きまして7番目です。よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 山本先生は所用でお帰りになられましたので、そのまま継続します。7番目、次は資料3-6、145ページを御覧ください。藤田保健衛生大学病院からの申請で告示番号51「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術」についてです。適応症と試験の概要については、資料を御覧ください。主要評価項目はClavien-Dindo分類のGrade3以上の全合併症の有無。主な副次評価項目は同分類のGrade2以上の全合併症の有無、術後QOL、医療費、無再発生存期間、ロボット支援下胃切除術完遂の有無、開腹移行の有無、術中有害事象の発生の有無となっております。予定試験期間は平成26年10月から平成30年9月、予定症例数は330例で現在まで31例が登録されております。主な変更内容は使用する医療機器、da Vinci Xi サージカルシステムの追加による新ロボット導入に関する手順書の添付及び記載整備となっております。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 今、御説明を頂いたように、新しいロボットの導入に関する手順書の添付ということですが、どなたか御意見ございますでしょうか。
○山口座長代理 これは要するに第4世代といっても、ドッキングが容易になっただけと理解してよろしいですか。ものは全く同じで。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、主にアップグレードされたのはドッキングのところです。
○猿田座長 あと、330例で今、31例ということで、これもできるだけ早く進めていただきたいということかと思いますが、ほかに御意見なければ、告示番号51番の試験計画変更を認めていただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは続いて、8番目の試験計画の変更をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 8番目は資料3-7、147ページを御覧ください。8件目、国立国際医療研究センター病院からの申請で、告示番号52「腹膜偽念液腫に対する完全減量切除術における術中のマイトマイシンC腹腔内投与及び術後のフルオロウラシル腹腔内投与の併用療法」についてです。適応症、試験概要については資料を御覧ください。主要評価項目は5年生存割合、副次評価項目は無再発生存期間、無病生存期間、全生存期間です。安全性評価はプロトコール治療終了後30日後まで有害事象の収集を行い、CTCAE v4.0に従ってGrade判定を行います。予定試験期間は平成26年9月~平成36年7月。予定症例数は75例で現在まで21例が登録されております。主な変更内容は、(1)予測される有害事象に関する規定の変更。(2)術中温熱化学療法に用いるマイトマイシンC投与量及び術後早期腹腔内化学療法に用いる5-FU投与量の調整の許容。(3)有効性に関する観察項目、安全に関する観察項目、スタディーカレンダーの変更、及びそれらに伴う同意説明文書の記載変更。その他の記載整備となっております。
こちらの記載が多岐にわたっておりますので、ちょっと時間を要しますが、私のほうからまとめたものを御報告いたします。変更の理由ですが、(1)はこれまでの試験実施計画書で有害事象は腹腔内化学療法を使用する上で予測されるものを重点的に記載していたのですが、試験期間中には減量切除が原因となる肝逸脱酵素の上昇など様々な有害事象が起こり得るため、効果安全性評価委員会と相談して、新たに減量切除時に予測される危険性について、腹腔内化学療法によるものと分けて、試験実施計画書及び同意説明文書に明記したものです。(2)は腹膜偽粘液腫の患者の多くが大量の粘液が腹腔内に貯留していて、大量の粘液を貯留する場合は、栄養不良にもかかわらず計測上BMIが30を超える高度肥満と計算される可能性があり、また、実体重は手術中には体重計測は困難なことから、抗悪性腫瘍剤の用量設定には、スクリーニング時の体重を用いざるを得ないことから、過剰な投与を避けるために必要な場合は、スクリーニング時の体重から計算した投与量より、減量可能とする規定を設定したということです。(3)は別紙1~3がありますが、本試験は完全減量切除を施行した被験者に対する腹腔内化学療法の有効性の検討を主な目的として、全登録症例から姑息的減量切除を除いた症例を全適格例として有効性の解析対象にしていると。姑息的減量切除では腫瘍が残存するために再発を評価する対象にはならないので、本試験の登録へのうち姑息的減量切除になった場合には、再発を評価するために設定した腫瘍マーカー及びCT検査は不要としたと。また、安全性評価項目において、一部の血液生化学検査等の測定項目は評価する必要性が乏しく、被験者への過剰な負担につながっていると判断したため削除したと。それから、これらの有効性及び安全性の観察項目の変更等に伴い、スタディーカレンダーも変更していますが、本試験開始時から予定していた腫瘍の解析や目標症例数の設定に影響を与えることはないと述べています。以上、ほかは記載整備です。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 これは一番最初にお話がありましたように、私の所にも随分有害事象の届出が来ました。やはりAST、ALTの上昇です。ところがこれはどうも薬ではなくて、一時的な影響だということが分かってきまして、そういった点でも少し変更したほうがいいだろうということです。どなたか御意見ございますか。
○山口座長代理 2番目ですが、投与量の変更はもっともなことだと思うのですが、これは考えてみたらそういう可能性があるので変えるということなのか、あるいは今までやった21例の中で、やはりちょっと具合の悪いのが結構散見されたので変えるということなのでしょうか。どちらでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 私はデータを見ていないので、分かりません。そこは確認することでよろしいですか。
○猿田座長 どちらかと決めるのは、私も見ていて非常に難しかったですね。ですから、確かにそこは検討していただくことは必要かと思います。
○山口座長代理 いずれにしろ、変えるのは必要だと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 では変更理由に付き確認いたします。
○猿田座長 ほかに御意見ございますでしょうか。もしなければ告示番号52の試験計画変更を認めるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは認めるということにさせていただきます。
最後、9番目の計画変更をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-9、161ページを御覧ください。9件目、東京大学医学部附属病院からの申請で、告示番号59「カペシタビン内服投与、シスプラチン静脈内投与及びドセタキセル腹腔内投与の併用療法」についてです。適応症と試験概要については資料を御覧ください。主要評価項目は1年全生存割合、副次評価項目は奏功率、腹腔洗浄細胞診陰性化率及び安全性です。予定試験期間は平成27年4月~平成29年4月。予定症例数50例で現在は18例が登録されております。主な変更内容は投与量の変更基準の修正、検査項目の追加、その他記載整備です。変更申請の理由は(1)は従来投与量の変更基準としてGrade2の非血液毒性が2回以上発現した場合、カペシタビンのみを1段階減量することが規定されていたところですが、新たにシスプラチンも一段階減量することが適切であると判断し、追加したものです。(2)は試験実施計画書で、腫瘍マーカーとしてCEA、CA19-9、CA125を測定することを規定していますが、新たにCA72-4を追加するよう提案があり、全参加施設が合意したため追加したものです。なお、これまでの登録症例では全例測定済みとなっております。なお、(1)のGrade2の非血液毒性が2回以上発現したものというのが、過去の18例にはないことは確認しております。
○猿田座長 今の投与量の変更の件と、それから腫瘍マーカーの件、これは問題はそんなにないかと思いますが、どなたか御意見ありませんか。もしなければ、59番の変更を認めることにいたします。ありがとうございました。
それでは、「協力機関の追加」に関して説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 協力医療機関の追加、資料4-1、163ページを御覧ください。これまでに大臣告示をされている8つの技術について協力医療機関の追加申請がありました。
資料の4-2、165~173ページに示しているように、事務局において協力医療機関として提出のあった先進医療実施届出書等を確認した結果、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることから、協力医療機関の追加として御了承いただきたいと存じます。特に御意見がなければ追加の手続を進めたいと思います。以上です。
○猿田座長 これを全部見させていただくと、ちゃんとした所で施設は大丈夫だと思いますので、これもよろしいですね。ありがとうございました。それではこの全てを認めていただくということにさせていただきます。
それでは最後、「先進医療Bにおける試験実施計画変更に係る手続の運用」をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5、175ページを御覧ください。まず背景として、先進医療Bにおける試験実施計画の変更に関しては、先進医療通知にて医政局へ提出することが定められており、また、提出された試験実施計画の変更については、通知及び開催要項に基づき、先進医療技術審査部会において試験実施計画の変更に関して検討することが定められているところです。現在、提出された試験実施計画の変更に関しては、有効性、安全性等の技術的妥当性に直接影響を及ぼさない「軽微な変更」と考えられる『様式第9号の要件に抵触しない実施責任者あるいは実施施設の人員配置等、すなわち実施体制の変更』を除き、部会にて当該変更に係る有効性、安全性等の技術的妥当性及び試験実施計画を検討し、部会にて当該変更が承認されたことを確認した後に、変更後の試験実施計画による先進医療の実施を認める運用を行っているところです。しかし、課題点として、試験実施計画変更に関する通知その他の定めには、当該変更について部会の承認事項である、すなわち部会で承認された後に初めて変更後の試験実施計画による先進医療の実施が認められることは明示的には記載されていないとの指摘があるところです。そこで今後の対応案として、先進医療Bにおいて提示された試験実施計画の変更に関しては、現行の運用どおり、すなわち、前述の軽微な変更を除き、部会にて当該変更について、検討及び承認された後に、変更後の試験実施計画による先進医療の実施を認めることを部会として確認することにつき、御審議をお願いいたしたいと存じます。
○猿田座長 この件も実際こういう形で行くべきであって、何か御意見ございますでしょうか。よろしいですね。それでは、特に御意見がなければ、その形でお認めいただくということにさせていただきます。どうもありがとうございます。
あと、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 報告事項となっております。こちら資料6-1は先進医療会議で報告された粒子線に関する資料で、先進医療Bに提出予定とされているものがスライド69番と70番にありますので、御確認をいただければと思います。資料6-2は報告事項ですので御参照ください。6-3についても同様の報告事項になっております。こちらも御確認いただければと思います。時間がありませんので説明を割愛しましたが、以上です。
○猿田座長 特に一番最初の6-1で、この間、先進医療会議で日本放射線腫瘍学会からおいでいただいて議論していただいたということで、その中で一部のものがこの先進医療Bとして、こちらに回ってくる可能性があるということでございます。ほかに特に御意見ありませんでしょうか。
○石川構成員 これと、前に先進医療会議で群馬大学の話がありましたね。あの重粒子線とこの話というのは余りリンクしないと考えてよろしいのでしょうね。
○保険局医療課企画官 今回資料6-1の関係ですが、現在、先進医療Aの中で陽子線、重粒子線による治療を実施していただいておりますけれども、各施設で個別に実施した結果を後向きに分析しても、十分な評価が出きないというような御報告が日本放射線腫瘍学会からありました。また、同じご報告の中で、一部を前向き研究である先進医療Bとして、多施設連携で準備を進めているとの話もありました。ですから、早ければ年内、遅くとも年度内には、対象臓器等を限った形の先進医療Bの申請が出てくるという状況とのことです。なお、今後、先進医療会議で平成28年度診療報酬改定に向け、どの先進医療の技術を保険収載するか、継続するか削除するかという議論は、行う予定ですので、今回、腫瘍学会から提出されたデータも参考にしながら、先進医療会議で議論していただくことに成ると思われます。
○猿田座長 石川先生、この間のときには、放射線腫瘍学会にお願いして全部の今までやったデータを出してもらいました。各腫瘍に対してどのくらい効果があるか、実際にどのくらい信頼性のあるデータかということを見させていただいて、かなりいろいろな問題があることが分かりましたが、その中でこれから特に先進医療Bとして、一部やらなければいけないというのは、今日ここに出していただけたということ。それから、先生が一番心配な群馬大学のものでは、かなりリスクがあったのですが、あそこまでいろいろな形の症例に対してやられていたということがありまして、それを全部整理しているということです。
○石川構成員 分かりました
○猿田座長 ほかにどなたか御意見ございますでしょうか。
○関原構成員 今の重粒子線の話ですが、効果のあるというのは希少ながんで結構あるわけですが、逆に余りエビデンスはないというものも引き続きこれはどのように扱うのですか。こういう結果が出て、余り効果はないというものを、結局どうしようとしているのですか。
○保険局医療課企画官 各先進医療技術の取扱を中医協に対して提案する内容を先進医療会議で議論していただくことになります。これは保険に入れる、これは継続、これは削除というような仕分けを粒子線治療だけではなく、他の先進医療技術も含め全体を議論して、提案をまとめていただくことになると思っています。
○関原構成員 つまり、削除ということもあるということですね。今の話だと。
○保険局医療課企画官 毎回、幾つかの技術が削除されております。
○関原構成員 重粒子線について。
○保険局医療課企画官 実際の例では、実績がないものなどが削除で提案されておあります。粒子線については今後の議論ということになると思います。
○猿田座長 この間の議論では、いろいろな腫瘍に対してどのぐらい効果があるかとかは出していただいたのですが、結局、信頼性が置けるデータがどのぐらいあるかというと、前向きのものは少ないのですね。ですから、後向きのデータが多かったということもあって、それをよく整理させていただいているということです。
ほかにどなたか御意見ございませんでしょうか。今日は非常に時間が過ぎてしまいましたが、議論していただくことは以上でございますけれども、特に先生方から御意見がなければ、次の予定だけ、よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回の日程でございますが、9月の開催は17日、木曜日、16時~18時とさせていただきます。場所については省内を予定していますが、別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いして、その後、公開とさせていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○猿田座長 どうもありがとうございました。時間が過ぎてしまいましたけれども、本当にいろいろと活発な御意見を頂きまして、本日はどうもありがとうございました。
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