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2015年7月22日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第27回議事録
○日時
平成27年7月22日(水)12:37~13:00
○場所
全国都市会館(2階 大ホール)
○出席者
荒井耕部会長 印南一路部会長代理 田辺国昭委員 西村万里子委員 |
吉森俊和委員 白川修二委員 石山惠司委員 田中伸一委員 榊原純夫委員 |
鈴木邦彦委員 松本純一委員 万代恭嗣委員 長瀬輝諠委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員 |
土屋裕専門委員 田村誠専門委員 昌子久仁子専門委員 加茂谷佳明専門委員 |
<参考人> |
福田敬参考人 池田俊也参考人 田倉智之参考人 |
<事務局> |
唐澤保険局長 武田審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 佐々木医療課企画官 |
込山保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他 |
○議題
○費用対効果評価の試行的導入について(その2)
○議事
○荒井部会長
ただいまより、第27回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、花井十伍委員が御欠席です。
それでは、早速「費用対効果評価の試行的導入について(その2)」について議論を行いたいと思います。
事務局より、資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
○佐々木医療課企画官
医療課企画官でございます。
中医協費-1-1をお願いいたします。「費用対効果評価の試行的導入について(その2)」でございます。
前回、試行的導入のあり方について御議論いただきましたので、今回は、分析方法に関して御議論いただきたいと思います。
3ページ「分析方法について」でございますが、標準的な分析方法というものの大枠を提示する必要があるということと、その中身として、効果指標として何を用いるのか、費用の取り扱いとして、どのような範囲とするのかということが検討課題でございます。
まず、標準的な分析方法に関しまして、4ページ目からでございます。
費-1の参考資料というのをつけておりますが、これは、3ページから7ページ目までが関連する部分でございます。
これまでの議論でも費用対効果評価を実施している諸外国では、ガイドラインを整備しているということをご説明しておりますが、試行的導入に当たり、それをどうつくっていくかということにつきまして、具体的な対応を決めておりませんでした。
5ページ「標準的な分析方法の定め方(案)」でございますけれども、標準的な分析方法をガイドラインとして示し、企業による分析及び再分析を行う組織による、再分析の際に用いることにする。そのために、平成27年度厚生労働科学研究によりガイドラインを作成し、利用することとしてはどうか。としております。
具体的なイメージとしましては、24年度に研究者の視点で分析する際に利用することを目的として作成したガイドラインが既にございますし、また、具体例の検討において、企業による分析、研究班による再分析を実施する際に利用した実施要項を作成しております。
これらを参考にしながら、研究班でガイドラインの案を作成し、部会でお諮りをしたいと考えております。
2点目が、効果指標の取り扱いでございます。これまでは、質調整生存年(QALY)、生存年などを効果指標として複数の指標を用いるということで議論をしてきております。
そして、日本におけるQOL値の整備も必要であるという課題が、指摘されております。
こうした状況や具体例の検討結果を踏まえて、7ページ目でございますけれども、効果指標として3つの案を提示させていただいております。
まず、案1として、QALYのみを用いるという案でございます。
次に、案2として、QALYを基本としつつ、疾患や医薬品等の特性等に応じて、その他の指標を用いることができるというものでございます。
案3として、特に定めを置かず、分析者が自由に効果指標を設定できるというものでございます。
なお、いずれの場合におきましても、日本におけるデータ整備は引き続き進めつつ、外国データも使用できるということをさせていただいてはどうかというものでございます。
具体的には、8ページ目に、国内におけるデータ整備の取り組みを参考資料としてつけております。
9ページ、費用の取り扱いでございます。具体例の検討におきましては、公的医療費のみを費用に含めることを原則としながら、公的介護費、生産性損失を費用に含めた分析を同時に提出するということも可能にしておりました。
そして、アプレイザルにおいては、生産性損失の確認をする場合もあるというお話がございました。
それらを踏まえまして、10ページ目でございますが「費用の取扱(案)」でございます。公的医療費のみを費用の範囲に含めることを原則とするが、公的介護費、生産性損失を費用に含めた分析を同時に提出することも可能とすると。しております。
なお、アプレイザルの際に生産性損失等を含めた分析結果が必要とされた場合等には、費用の範囲を見直した分析も追加的に求めることとしてはどうかとさせていただいております。
この3点につきまして、本日、御議論をいただきたいと思います。また、前回の御議論は、費-1-2にまとめておりますけれども、本日の議論を踏まえて、次回の部会におきまして、中間まとめの案を提示させていただき、議論をいただきたいと思っているところでございます。
説明は、以上でございます。
○印南部会長代理
部会長が退席されますので、この後、部会長代理である、私がそのまま議事運営を引き継ぎたいと思います。
企画官、どうも説明ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明に関して、御質問等ありましたら、お願いいたします。
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
まず、5ページでございますが、この標準的な分析方法の定め方というのは、これでいいと思います。
それと、7ページでございますけれども、この効果指標の取り扱い案でございますが、案1、案2、案3と一応ありますけれども、1と3がすごくかけ離れているので、これだったら2と言うしかないのではないかという感じもするのですけれども、そこもさることながら、その後、いずれの場合においても、日本におけるデータ整備は、引き続き進めつつ、外国のデータも使用できることとしてはどうかと言うのですが、1つ質問ですけれども、今回、新しくガイドラインをつくるということですが、その考え方というのは、5ページにある研究者がおつくりになったガイドライン及び、今回の実際の具体的事例の検討に使った実施要項、こういったものと考え方は同じと考えていいのかどうか、それを教えていただきたいと思います。
その上で、もし、そういうことでしたら、5ページを見ましても、実施要項に、国内データに基づいて開発されたQOL尺度を用いたものを優先的に使用するとありますので、国内データ優先ということを、もう少し強調したほうがいいのではないかと思います。このままですと、何となく外国データをそのままずっと使ってもいいと言っているような気がしますので、早く日本のデータを整備する必要があるということを、もう少し強調するという意味で、日本のデータを優先としつつ、当面外国のデータも使用できることとするとしたらどうかと思うのですが、事務局の見解を聞かせていただきたいと思います。
3つ目は、10ページの費用の取り扱いについてですが、これは、これでよろしいと思います。
以上、質問と意見を述べさせていただきました。
○印南部会長代理
事務局、お願いします。
○佐々木医療課企画官
医療課企画官でございます。
7ページ目のところでございますけれども、案2の場合でありましても、日本におけるデータ整備は引き続き進めつつとしておりますので、国内データがあるものにつきましては、それを使うということが当然だと思います。中間まとめに向けまして、本日いただいた御指摘を踏まえて、表現を整理させていただきたいと思っております。
○印南部会長代理
よろしいですか、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
ぜひ、お願いします。なぜなら国内のデータ整備というのは、かなり大変な作業なのです。ですから、これが加速されるような書きぶりがいいのではないかと思います。
それと、QALYについてですが、これは、最初から私がずっと一貫して話していますように、今まで我々の議論というのは自然科学の中の議論だったわけですが、これに、いわば経済学を持ち込むような話でありますので、医療経済学者は歓迎するわけですけれども、例えば、ドイツでは、憲法裁判所がQALYの使用を禁止しているなど、批判も多い状況があります。
QALYは高齢者には不利になるとも言われておりますし、長期のアウトカムには適していても、短期のアウトカムに適応するのは問題があるということも言われております。
また、QALYは、さまざまな疾患のあらゆる患者に横ぐしとして使用できるとおっしゃいますが、QOLの測定方法はいろいろあるので、実際には、全ての疾患を横断的に直接比較できるものではないとも考えられます。
さらに、QALYは単純でわかりやすいということですが、そもそも患者ごとに個別性のある複雑な医療を単純化してしまっていいのかという疑問もあります。
したがって、今後ともQALYの取り扱いは慎重にするとともに、我が国の費用対効果の導入に当たっては、これも以前から申し上げておりますが、改めてQALY偏重のイギリス型ではなくて、バランスがとれたフランス型を参考にすべきであることを、最後にお話しさせていただきたいと思います。
以上です。
○印南部会長代理
ほかに、御意見、御質問等、白川委員、お願いします。
○白川委員
御提示いただいた議論の整理のところで申し上げますと、最初にガイドラインの件は、27年度の厚生労働科学研究でまとめるということで、案も御提示いただくようでございますので、それでよろしいかと思っております。
それから、効果指標の取り扱いのところですが、鈴木先生は案2でやむなしで他に選択肢がないという御意見でしたが、私もそのように思っておりまして、案2しかないという感じがしております。
QALYにつきましては、鈴木先生も色々な御意見をお持ちだと思いますし、私もこれで全て解決するなどとは全く思っておりません。
ただ、今のところ、共通で使える指標が見つからない現状でありますので、とりあえずは、QALYを基本としてそれ以外の指標も組み合わせて効果を測定することでスタートせざるを得ないかと考えております。
それから、費用の取り扱いでございますが、9枚目のシートの上にありますとおり、生産性損失を費用に含めた分析結果を確認した上でアプレイザルを行うべきという意見があったことは承知しておりますが、私自身は、生産性損失を入れ込むことは評価をゆがめる可能性、懸念が高いと思っております。例えば、費用の取り扱い案がその下にございますが、生産性損失を費用に含めた分析を同時に提出することを可能とした場合、企業側からそのような資料を出しても良いということかもしれませんが、生産性損失をどのような形で計算するのかが不透明です。保険会社の損害保険等でも生産性損失の計算があると思いますが、さまざまな指標があると考えられ、費用にこれを含めた場合、恐らくかなり恣意的な部分が発生するのではないかと懸念しております。
それから、アプレイザルの際に、生産性損失等を含めた分析結果が必要とされた場合とありますが、これがどのような場面かということは想像できませんが、それに比べると、公的な医療費、介護費といったものは点数ではっきりしており、確実な数字が使えるということからも、この案自体に断固反対という気持ちはありませんが、生産性損失については慎重な取り扱いをするというスタンスでよろしいという意見を申し上げておきたいと思います。
○印南部会長代理
万代委員、どうぞ。
○万代委員
今日の3つの事務局提案の取り扱いについては、2番目の効果指標については案2ということで、それ以外については、そのとおりでよろしいかなと思います。御苦労さまです。
今の生産性損失のことでございます。私は、従来から主張しておりますように、生産性損失も費用に含めた分析をぜひ行ってほしいと主張しております。
10ページのところで、矢印が2つございまして、矢印の1つ目の懸念は、白川委員のおっしゃるとおりでございます。
2番目の矢印については、学問的に見れば、医療費の効率性という観点で、純粋に、それを費用対効果という指標を取り出すには、学問的には、やはり、生産性損失を入れないほうが、それは、当然きれいなデータが出るというふうに思いますけれども、費用を削減するという観点、そちらのほうが、私は上位の概念だと思いますから、その削減するという意味では、矢印の2番目にあるような費用のほとんどを生産性損失が占めて、なおかつそれによって費用が削減されるということであれば、それは、大いに参考にすべきだというふうに思っております。
もう少し申し上げれば、生産性損失を含めないということは、医療の技術を認めないというふうにも、こちらには聞こえます。
逆に申しまして、こちらとしましては、医療者の技術、外科医だけとは申しませんけれども、そういった技術によって、あるいは医療に先進的な技術をとり込むことによって、生産性損失をより少なくできるというような姿勢でいるわけですから、そういったところはぜひ認めていただきたいというのが、私の主張でございますので、その点については、白川委員とは全く反対の意見ということでございます。
以上です。
○印南部会長代理
石山委員、お願いします。
○石山委員
今の損失の部分ですが、これは、ここに書かれてあるとおり、かなり難しい面もあると思います。
例えば、客観的に定義なりがきちんとしないと、個別ばらばらにやられたら、何の意味もなくなってしまうわけですね。そういう点では、やはり、基本的には厳格に数字的に把握できる部分を核にしながら、いろいろ応用的に使うことは結構だと思うのですけれども、やはり、中心的に費用の取り扱いをする場合には、原則は守るべきではないのかなと。
あと、その中で、費用の取り扱いのアプレイザルの際には、この分析を始めて、ある程度企業からデータをもらった後の段階となりますね。そうなりますと、その企業として、生産性損失を出すのか、逆に客観的な機関のほうで、先ほどのように定義が決まれば、そちらのほうで評価を出したほうが、私は逆に中立的ではないのかと思っています。
ここで、企業の方にお聞きしたいのですけれども、こういう分析の数字は出せるのですか、御意見を聞きたいなと思ったものですから。
○印南部会長代理
では、土屋専門委員、お願いします。
○土屋専門委員
済みません、私は専門家ではないので、正確にお答えできないのですが、計算は可能だと聞いておりますので、できないことはないと思います。
ただし、おっしゃるように、それは、状況によって、また個々の製品によって変わると思います。
○石山委員
費用対効果分析自体の費用の核になっている部分について、例えば半年後、ぜひ企業の意見を聞きたいというときに、追加的に、費用の範囲を見直した分析は本当に簡単にできるのですか。
○土屋専門委員
簡単にお答えできないのですが、むしろ、参考人の方にお答えいただきたいと思います。○印南部会長代理
それでは、福田参考人、お願いします。
○福田参考人
参考人の福田でございます。
今、御指摘がありました生産性費用を含めるかどうかは、この御議論かもしれませんけれども、計算するときに、確かにやり方が幾つかございますので、これもどこまでの定義として、どこまでのものも含んで、どういう時間計算なり、単価計算なりをしていくかというところは、やはり、ある程度標準的な手法を決めてやったほうがいいと思います。
なので、きょう御議論いただいていると、例えば、ガイドラインみたいなものを、今後、検討させていただくのであれば、その中で、ある程度標準的な手法を盛り込んで、やはり、ここで御議論をいただくようになると思います。
いずれにしても、標準的に生産性損失をどこまで入れて、どう計算するというのはガイドラインに書き込むべきと思っています。
同様のことが、ちょっと前の鈴木先生からあった御質問ですが、QOLの評価とかに関しても、確かにいろんな手法があって、結果が異なるということはあり得ますので、これもある程度こういう形のもので評価すべきだというところを、ある程度ガイドラインに入れておくほうがいいのではないかと思います。
そこで、いずれの場合も標準的な手法をある程度ガイドラインに盛り込む方法で御議論をいただくのがいいのではないかと思います。
○印南部会長代理
よろしいでしょうか。
○石山委員
完全に納得したわけではないのでけれども、この部分というのは、非常に生産性損失を計算することは難しいのではないのかなというのは本音です。一応、そういう可能性のあるときに、附帯的に残しておくのはいいですけれども、最初からこの議論をする必要はないのではないのかなと思っているものですから、これは、私の意見です。
○印南部会長代理
ほかに、土屋専門委員、お願いします。
○土屋専門委員
5ページの標準的な分析方法に関して、企業側のコメントを申し上げます。今年度、ガイドラインを作成するという御提案ですが、そのプロセスにおいて、ぜひ企業側の意見を反映させる機会をいただきたいというお願いでございます。
○印南部会長代理
ほかにございませんか、田村専門委員、お願いします。
○田村専門委員
ガイドラインについては、医療機器業界も同様にお願いをしたいと思います。
加えて1点ですが、効果指標の取り扱い、特にQALYについて1点だけ意見を述べさせていただきます。
費-1-1の参考の22ページにありますとおり、ここでもう既に意見、議論としてまとめていただいていますが、医療機器は比較対照試験が少なく、QALYを用いた分析は困難な場合があるのではないかと書いてありますが、そのとおりだと思います。
また、上の黒ポツにありますように、十分な時間とデータさえあれば、医療機器であってもQALYを用いて分析することは可能だとも思いますが、前回も述べましたとおり、十分な時間がたった場合には、既に医療機器は、改良、改善がされている場合があるので、分析そのものは意味があるかもしれませんが、意思決定に用いるというのは、困難な可能性かあるのではないかと考えます。
ということで、医療機器の効果指標の選択に至っては、QALYの活用が容易でないということを十分御理解いただければと思います。
以上です。
○印南部会長代理
ほかに、御意見、御質問等はございませんでしょうか。
それでは、この議題については、このあたりとしたいと思います。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会とします。
<照会先>
厚生労働省保険局医療課企画法令第1係
代表: | 03-5253-1111(内線)3288 |
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