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2015年7月23日 第90回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

○日時

平成27年7月23日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○議題

(1)専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて
(2)2014年度の実績評価及び2015年度の年度目標について
(3)平成26年度「能力開発基本調査」の結果概要について(報告) 
(4)その他

○議事

○吉永総務課長 定刻となりました。定足数に達しておりますので、ただいまから第90回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本年427日付けで委員の改選がありまして、本日は改選後最初の分科会ですので、冒頭事務局が議事進行をいたします。

 まず初めに、分科会長の選出について説明いたします。資料1-22ページを御覧ください。労働政策審議会令に、分科会についての規定があります。労働政策審議会令第6条第6項において、「分科会に分科会長を置き、当該分科会に属する公益を代表する委員のうちから、当該分科会に属する委員が選挙する」と記載されております。この規定に基づき、分科会に属する公益を代表する労働政策審議会本審議会の委員から、当該分科会に属する本審議会の委員が選挙することとなっております。本分科会においては、該当する公益委員は小杉委員のみですので、小杉委員に分科会長をお願いできればと考えております。以後の進行については、小杉分科会長にお願いいたします。

○小杉分科会長 職業能力開発分科会長に指名されました小杉です。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。今回の委員の改選について、改選後の名簿はお手元の資料1-1にあります。新たに職業能力開発分科会委員になられた方がいらっしゃいますので、御紹介いたします。公益代表委員として、学習院大学法学部の橋本委員です。

○橋本委員 橋本と申します。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 使用者代表委員として、全国中小企業団体中央会理事島村委員です。

○島村委員 島村です。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 本日は欠席ですが、キヤノン株式会社取締役人事本部副本部長中村委員です。なお、労働者代表委員には変更はありません。

 本日の出欠状況ですが、三村委員、高倉委員、田口委員、大隈委員、諏訪委員、中村委員が欠席です。次に、分科会長の代理を選任いたします。資料1-2、労働政策審議会令第6条第8項の規定により、分科会長に事故があったときにその職務を代理することが役割とされており、分科会長があらかじめ指名することとなっております。そこで、大久保委員にお願いしたいのですが、よろしくお願いいたします。また、本分科会の下に設置しております若年労働者部会についても、4月の任期満了に伴う委員改選が行われました。部会に属する臨時委員等については、参考資料の労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することとなっております。お手元の資料1-3のとおりとなっておりますので、この件もよろしくお願いいたします。

 それから、事務局に人事異動がありましたので、御紹介いたします。宮本能力評価課長です。

○宮本能力評価課長 宮本です。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 それでは、議事に移ります。議事次第にありますとおり、本日の議題は、「専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて」「2014年度の実績及び2015年度の年度目標について」「平成26年度能力開発基本調査の結果概要について」「その他」の4件です。まず最初に、専門実践教育訓練の指定基準の見直しの内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤育成支援課長 議題1、専門実践教育訓練指定基準の見直しについて、お手元の資料2-1及び2-2に基づき、概要を説明いたします。専門実践教育訓練ですが、この間本分科会でも御審議を賜り、それを受け、昨年平成2610月に現在の3つの課程類型で制度を創設され、本格的には本年4月から本専門実践教育訓練の位置付けの下での多くの講座、1,590余りが開講しているところです。本日は、この専門実践教育訓練の指定基準の見直しに関わり、御審議を賜りたいと考えております。

 大きくは2点あります。1ページは、論点として準備をした資料です。上の2つの○は、この間御意見を賜りました専門実践教育訓練の在り方に関わる基本的な考え方を改めてお示ししているものです。本制度の目的に照らし、より幅広い地域職種、非正規雇用労働者や子育て女性などを含めた幅広い労働者対象層に活用されるようなプログラムの充実の必要性。また、本制度は一般給付に比べ給付水準が高く、中長期的なキャリア形成を狙いとする成果発揮が図られる観点からの、対象とするプログラムの質の担保が必要ではないかという点について、改めてお示ししております。

 その上で、具体的に御審議いただきたい点の1点目は、3つ目の○です。後ほど別の資料で説明申し上げますが、現在、文部科学省において「職業実践力育成プログラム」という新たな仕組みについての検討、準備がなされているところです。本プログラムについて、今ほど申し上げました中長期的キャリア形成に資するかという観点からの検討を行った上で、一定の質、水準を満たすものについて、本専門実践教育訓練の対象としてはどうか。また、その際の具体的な基準の在り方について御審議を頂きたいと思っております。

 もう1点は、本検討に併せて、専門実践教育訓練のプログラム充実の観点から、現行制度では対象とされていないプログラムのうち、本制度の目的にかない、他の対象課程の類型と同等の水準を満たすものについてのプログラムの充実について検討する必要があるのではないか。その点について、本分科会で御審議も頂いた上で、さらに専門的・技術的観点からの検討が必要ではないかという点についてお示しをしております。以上2点について、2ページ以下の資料に基づいて、より具体的に説明いたします。

2ページの資料は、現行の専門実践教育訓練の指定基準の概要と、ただいま申し上げました、御審議いただきたいと考えております2点の位置付けを示したものです。現行の専門実践教育訓練については、2にありますように、業務独占又は名称独占資格のうち、いわゆる養成施設の課程、職業実践専門課程、いわゆる専修学校の課程の一部、また専門職大学院の3つの課程類型を設定し、ここにありますような訓練期間等の課程要件を設定するとともに、さらに講座ごとに受験率、合格率、就職・在職率の実績等の観点から、一定の要件を満たすものを指定する仕組みになっているところです。本日御審議を頂きたいと考えております新たな職業実践力育成プログラムについて、今ほど申し上げましたような課程類型への追加の観点で御審議を賜りたい。またさらに、これらと同等の水準を満たすもので、中長期的キャリア形成に資すると考えられるものについて、今後具体的な基準などについてさらに検討の上、御審議を賜りたい。これが、いわば御審議を頂きたいと考えている全体像です。

 このうち、職業実践力育成プログラムについて、さらに具体的に説明申し上げたいと思います。3ページです。この「職業実践力育成プログラム」ですが、現在、文部科学省において創設の準備を進めている新たな制度です。その端緒となりましたのは、本年3月の教育再生実行会議における提言です。この中で、大学、専修学校等が、社会人が職業に必要な能力等を身に付ける機能を高める観点から、国がこれら取組を支援、促進をする必要性、より具体的には、大学などにおいて実践的・専門的なプログラムを認定し、奨励する仕組みを構築する必要があるのではないかという旨の提言がなされたところです。この提言を受け、文部科学省において去る平成273月から4月にかけて、「大学等における社会人の実践的・専門的学び直しプログラムに関する検討会」という、本分野に関わる各界の有識者の参集を求めての検討会議が開催され、そこでの検討成果を踏まえ、現在、この新たな仕組みの具体的な要件案についての取りまとめが行われているところです。そのポイントを、下のオレンジの囲みで示しております。

1点目のポイントは、大学、大学院、短大及び高専、いわゆる高等教育機関4類型における正規の課程と履修証明プログラムが対象となります。履修証明プログラムとは、学校教育法に位置付けられた制度であり、各高等教育機関が有する教育資源を活用し、一定の特定の人材像を明確化した上で、係る人材育成のための弾力的、またまとまりのあり教育訓練プログラムを提供し、修了者に対して履修証明、サティフィケートを交付する仕組みです。これら高等教育機関の正規課程履修証明プログラムのうち、対象とする職業の種類、また修得可能な能力を具体的に明示をした上で、かかる職業に必要な知識、技能等を修得させるための教育方法、担保する具体的な方法として、ここにありますような実務家による授業、あるいは実地の体験活動が掲げられております。さらに、こうした目的を確実に達成する観点から、教育課程の編成、自己点検などにおいて、関連分野の企業等の意見を取り入れる。また、開講の形態について社会人が受講しやすい工夫を行うといった要件案が、現在予定されているところです。

 これら要件を満たす高等教育機関の正規課程履修証明プログラムについて、文部科学省においてこれを認定をする仕組みであり、こうした仕組みを設けることにより、社会人の学び直しの選択肢の見える化を図っていく。大学等におけるプログラムの企業や社会人にとっての魅力、また理解の増進を図っていくことを狙いとしているところです。

 また要件そのものではありませんが、今ほど申し上げました検討会の審議を通じ、女性の活躍、非正規雇用労働者のキャリアアップ、また中小企業の活性化に資するような認定プログラムについて一覧化をし、周知、活用、促進を図るべきといった提言、また、このプログラム認定制度と当初教育訓練給付制度との連携といった点についても、この検討会報告の中で提起がなされているところです。

 この職業実践力育成プログラム認定の専門実践教育訓練制度の中での位置付けがどのようなものになり得るかに関して、4ページにお示ししております。現行の専門実践教育訓練は、先ほど申し上げましたように大きく3つの類型があります。それを大別しますと、資格取得を目標としたもの、資格に着目をした類型として業務独占・名称独占の養成資格があります。もう1つの類型としては、学校教育法体系の中で職業教育の質をあらかじめ一定担保をしたものを対象としているものがあります。こちらの類型に相当するものとして、専修学校の職業実践専門課程と専門職大学院があり、今回文科省において準備がなされております職業実践力育成プログラムに関しては、この後者のほうの類型、学校教育法に基づく課程に着目した類型の新たなタイプで、かつ現在示されております認定基準の考え方などからして、既に位置付けがなされております職業実践専門課程、また専門職大学院とおおむね同等の、分野等については当然違いはあるわけですが、質保障がなされると期待され得るものと当省としては考えているところです。

 少し具体的なイメージをお持ちいただくために、資料2-2の参考資料を追加的に説明いたします。資料2-2では、専門実践教育訓練の概要等について、先ほど説明をしました資料を少し詳細化した資料を3ページにかけて付けております。こちらも、適宜補足説明を申し上げたいと思います。

4ページ、先の「日本再興戦略」改訂2015の中でも、この職業実践力育成プログラムと専門実践教育訓練との関わりについて、一定言及がなされているところです。総論の中で、生産性向上、あるいはそのための人材投資といったことがうたわれた上で、アクションプログラム、各論の中の1項として、この点について触れられているところです。職業実践能力獲得に資する教育プログラムへの教育訓練給付による支援の拡充ということで、具体的には下の3行です。今後、ただいま説明申し上げました「職業実践力育成プログラム」認定制度や、その次の「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」、これは別途中教審での審議が開始されたばかりで、これは本日御審議をお願いする具体的な事項には含まれていないところです。これらの実態を踏まえつつ、「専門実践教育訓練給付」の対象講座の在り方について、社会人の職業実践能力形成に真に効果的なものであるかなどの観点から検討を行い、速やかに結論を得るといったことが再興戦略の中でも触れられております。

 次の5ページ以下の資料は、先ほど紹介申し上げました文科省での検討会議の資料の中で紹介をされております現状の大学等における社会人を対象としたプログラムで、もとより文科省の基準を個々に満たし得るのかどうか、また、この後説明申し上げるような専門実践教育訓練の指定基準を満たしているかどうかを個々に確認したものではありませんが、あくまでもイメージということで文科省の検討会議の中で示されているものです。大きくは、正課と先ほど申しました履修証明プログラムとに分かれるものです。正規課程の例としては、こちらにあります大学院の経営管理研究といった分野、あるいは大学におけるシステムデザイン・マネジメント研究、いわゆる理系・文系共通のシステムエンジニアリング、あるいはデザイン思考に関わる理論、実践両面での教育プログラムといった内容が紹介をされております。

6ページ以下が、履修証明プログラムです。先ほど申し上げましたように、制度的にも非常に多様なプログラムが認め得るものですが、ここに幾つかそれぞれの分野の代表的な例として、例えば大学における「リカレント教育課程」、育児あるいは配偶者の転勤などにより離職をした女性の再就職を目指すキャリアアップのための総合的なプログラムや、地域・中小企業における経営上必要な専門知識修得のための専門職大学院の科目などをいかしてのプログラムです。

7ページは、特定のエンジニアリング分野において、知識、技術をアップデートをするための短期集中型のプログラムです。ここで挙げたのはごく1例ですが、このようにこの履修証明プログラムそれぞれの大学あるいは大学院が有する教育資源を、一定の職業人材像の下でアレンジをした、時間数でいいますと120時間から400時間程度のものが一番のコアゾーンですが、長いものについては600時間、また期間に関しても45か月程度のものからおおむね2年程度と、期間についても時間数についてもかなり幅広い形態のものが位置付けられており、念頭に置いている受講層に応じた設定がなされております。

 資料2-1に戻ります。5ページです。今申し上げたような正規履修証明を含めての職業実践力育成プログラムに関わる私どもの専門実践教育訓練としての指定基準の案です。最終的には、この指定基準、現在は大臣告示で、先ほど申し上げました3か点について定めているところで、告示の改正を予定しているところですが、本日はそのポイントとなる考え方をこの資料で示しております。いずれにしても、今ほど申し上げました文科省が準備をしております「職業実践力育成プログラム」、職業教育の質という観点からの一定の基準を設定しておりますが、この専門実践教育訓練の目的に照らし、さらに課程及び講座について一定の要件を設定をした上で、それら要件をいずれも満たすものを指定するという考え方です。

 具体的には、課程レベルに関しては、1点目として高等教育機関4課程の正規課程又は履修証明プログラムのうち、文科大臣がその基準を満たすものとして職業実践力育成プログラムとして認定をしたものであること。期間、時間数に関しては、現行3類型の要件との整合性、また履修証明プログラムそのものの要件との整合性を勘案し、正規課程1年以上2年以内、また履修証明プログラムについては120時間以上かつ2年以内といった要件を考えております。さらに、これらいわば外形要件を満たすものの中で、中長期的なキャリア形成に資するものとして、能開局長が定める基準に該当すること。具体的に念頭に置いておりますのが、職業教育を目的としたものであったとしても、その内容水準が入門レベルのもの、あるいはボランティア活動促進といった非常に特化した目的の課程といったものも、今後文科省における基準の下で認定をされる可能性があると私どもは認識をしており、そういった中長期キャリア形成という観点から必ずしもふさわしくないものについて、今後具体的な基準を精査をした上で、この中長期キャリア形成に資するものに限定をしての指定が可能な基準を設定したいということです。

 また、講座レベルに関しては、現行の3類型の考え方を踏襲し、訓練修了後の就職等の実績は、現行の3類型でも80%といった基準を設定しておりますので、そういったものを踏まえた基準設定、また、大学院の正規課程については、現在専門職大学院について定員充足率といった要件も設定をしておりますので、こういった要件を設定することによって、社会人のニーズに即した形で運営をされているのかを確認する必要があるのではないかと考えております。以上が、今回御審議いただきたいと考えております職業実践力育成プログラムの位置付けに関わる事務局()の考え方です。

 もう1つの新たな類型に関わる検討に関しては、資料の4ページのイメージ図をもう一度御覧ください。先ほども触れましたように、現行の専門実践教育訓練は、大きな資格取得を目標としたもの、それから学校教育法体系に基づく課程に着目をしたものと大別をされるものです。後者に関しては、学校教育法体系の中で相当するものが整備をされた場合に、順次続けていくという考え方の下で、今回この(4)の部分について具体的に御審議を頂きたいと考えております。他方、資格取得を目標としたものですが、現状ではこの間の御審議も踏まえ、公的資格のうち業務独占資格・名称独占資格の養成施設の課程として、1,000弱のものを現在指定している現状です。ちなみに、この989のうち、業務独占資格に関わるものとしては、看護士など600余りです。名称独占に関わるものとしては、介護福祉士や保育士などで、300余りあります。この図を御覧いただくと分かりますように、資格取得を目標としたもので、世の中には公的資格以外にいわゆる民間資格といわれるものがあまたあるわけですが、これに関しては現状ではこの専門実践教育訓練の対象としては全く指定をしていない状況です。

 こうした分野に関して、冒頭、論点として申し上げましたこの専門実践教育訓練の目的に照らして、非正規雇用労働者、あるいは子育て女性等を含めた方々のキャリアアップという視点で有効活用し得るプログラムがないかどうか、あるいはそういったことに関し、今説明申し上げました職業実践力育成プログラム、履修証明プログラムとの関わりで120時間以上といった基準案について説明申し上げているわけですが、こういった基準案を援用することによって、今までの3課程類型にはないような、より受講しやすい、また非正規雇用労働者等が短期集中型で専門能力を身に付け、いわば「10年間労働市場で食べていける」ような能力あるいは資格取得に資するようなプログラムがあり得ないかという基本的な問題意識です。

 この民間資格あるいはそれに関わる教育訓練プログラムは極めて多岐にわたっており、端的にその図を示すことは難しいのですが、資料2-2の最後のページに「一般教育訓練の指定講座の概要」を示しております。一般教育訓練に関しては、御案内のように公的職業資格取得を目指すものと、これに準じ、訓練目標が明確なもの、大きくはこの2つの類型があります。この一般教育訓練は、専門実践とはもちろん目的イコールではありませんが、関連する制度ということで、この一般教育訓練の講座指定の状況は、1つの参考材料になるのではないかと考えております。そういった観点から、それぞれの分野ごとに公的資格、民間資格の内訳はどうなっているのかを示しております。ざっと御覧いただいてお分かりになりますように、ほとんどの分野については、公的資格がその取得目標として位置付けられているものが圧倒的多数です。

 ただ、その中でマル4の情報関係とマル5の事務関係に関しては、逆に民間資格取得を目標としたものが圧倒的多数ということで、ここは異彩を放っているところです。この中には、語学系あるいは簿記など事務系、また情報関係でもいわゆるユーザー資格といったものも多数含まれており、これらについては今ほど申し上げました目的からすると、少し性格が違うのかなと思っております。情報関係の民間資格の中には、いわゆるベンダー資格と言われるようなネットワーク系であったりデータベース系であったり、それらに関わるセキュリティー、共通言語といった市場においても非常に高く評価をされている資格も含まれていると思っております。今申し上げましたいわゆる民間資格取得を目標としたもので、例えば情報分野の有力な市場において評価される民間資格取得を目標としたものなどが、1つ考え得るのではないかと私どもとして考えているところです。

 以上、2つの論点についての基本的な考え方を説明申し上げましたが、最後に考えておりますスケジュールだけ補足をさせていただきます。1点目の職業実践力育成プログラムに関しては、今日この後、この基準案について御審議を頂いた上で、次回以降改めて告示案という形で諮問させていただき、御了解いただきましたらこの後具体的な指定の手続きに入ります。次の終期は、平成284月指定となってまいりますので、先ほど申しました文科省の新たなプログラム認定開講も、平成284月を予定しております。でき得るならば、それと同期する形で今後の作業を進めさせていただきたいと考えております。いわゆる民間資格などを含めた同等水準を満たすものについては、今日は本当に大枠の方向性・着眼点の、さらにたたき台のみ御提示させていただいているつもりですので、今日のこの審議会の中でこうした着眼点、方向性についてさらに御審議を頂いた上で、事務局として論点を整理し、専門家等の御助力も頂きながら、さらに具体的な基準案を検討の上、そうしたものがまとまった段階で改めて具体的にお諮りを頂ければと考えております。議題1の説明は以上です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ただいまの説明について、御質問、御意見を受けたいと思います、いかがでしょうか。

○新谷委員 ありがとうございました。専門実践教育訓練は本分科会でも随分と論議をしてきて、昨年10月から講座の開講にこぎ着けたわけです。ただ、これは振り返ってみますと、もともと最初は「社会人の学び直し」ということで、「日本再興戦略」の2013年版に出てきたものです。確か3つのパターンで記載されてあったと思います。恐らく、文部科学省、経済産業省、厚生労働省の各省がそれぞれで記述されたのだと思いますけれども、それぞれの思惑の中でこの制度は労使が反対する中で、労使が拠出する雇用保険の保険料を財源としてスタートしたという経緯があるわけです。非常に短期間でその指定基準を決めたという経緯もあり、我々労働側としても、その指定基準の在り方について、早期に講座を増やしていくための見直しをしていただきたいということを申し上げておりましたので、今回、見直しに当たっての考え方をお示しいただいたことについては、これまで御苦労いただいたことと思っております。

 ただ、いきなりこれは資料2-11ページ目の一番下の所に有識者によって検討を行うということが記載されておりますけれども、もう少し本分科会での論議が必要ではないかと思います。と言いますのも、昨年の10月から制度がスタートして、現状を示すデータがほとんどないわけです。講座の数は確かにデータとして出てきてます。これも資料2-23ページに講座の一覧が書いてあって、昨年10月開講分を含めて1,591講座というのがデータとして出ているわけです。昨年10月に制度がスタートしたときには16講座だったものが、既に1年弱、制度が実施されてきていますので、お金の動きはまだもうちょっと後になるかと思いますけれども、例えば受講者の数が一体どのくらいだったのでしょうか。講座の数は分かるのですが、受講者が一体どのような状況になっているのかというのが全然我々に開示されていないわけです。

 また、お聞きしたいのは、この専門家の会議を立ち上げる前にもう少し我々、本分科会に情報の開示をしていただきたいということともに、この専門家会議でも資料としてお使いになるでしょうから、アンケート調査等の実態調査を実施する意向があるのかどうかをお聞きしたいと思います。新たな制度の立ち上げということでは、リーマンショックの後にできた基金訓練から求職者支援制度を立ち上げる際は、かなり詳細なアンケート調査をハローワークを通じて実施したと思います。その結果は求職者支援制度の立ち上げや具体的な内容の検討に当たって随分参考になったと思うのです。今回もアンケート調査を実施しないとどういう方々が受講されていて、どんな課題があるのかが表に出てこないと思うのです。そうしたアンケート調査を実施するのかどうかをお聞きしたいと思います。その上で、既に始まっている講座について、昨年10月から始まっている分と今年4月開講の分で一体受講者が何人いるのかというのをまず、お分かりになれば教えていただきたいと思います。

○小杉分科会長 解答をお願いします。

○伊藤育成支援課長 お尋ねの点についてお答え申し上げます。新谷委員からお話がありましたように、現行1,600弱の講座のうち、平成2610月に開講したものが16講座、本年4月以降に開講したものが1,570講座ということで、圧倒的に本年4月以降開講のものが多数です。それぞれの受給者を含めた定員ベースですけれども、平成2610月開講の16講座については定員という観点で760名です。平成274月以降開講のもの1,575講座について、これも総定員という観点ですが、78,000人余りという状況です。

 平成274月開講講座の、今申し上げました78,000人余りの定員のうち、この専門実践教育訓練給付者がどれだけいるかということに関しましては、御覧のように受講開始から半年後に支給申請という手続ルールになっていますので、本年10月以降でなければ正確な数字を把握することは難しい仕組みになっています。ただ、この支給申請に先立ちまして、受講者が受給資格を確認できるという仕組みがありまして、この件数が近似値、ヒントになるかなと思っております。この平成274月講座も含めまして、受給資格の確認を行っている件数は6,000人強という状況です。可能性レベルとしては、今申しました6,000人強の内数、かなりの比率になるかと思いますけれども、受給に結びついてくる可能性が高いのではないかという一定の見立てをしているところです。

○吉永総務課長 専門実践教育訓練の大きな見直しにつきましては、3年後の見直しにおいて、雇用保険のデータを活用しながら抜本的な見直しを行う形で考えています。今般の見直しについては、現状でまだそこまでデータが取りきれない、詳細な講座ごとのデータがまだ確定が出てないという状況ですので、なかなか抜本的なアンケート調査を行うというところは難しいかと思っています。いずれにしても、業界ニーズあるいは労働者のニーズというものについて、いろいろな形で把握をしていく必要はあるかと思っていますので、そういったものを踏まえながら、新たに必要な講座について指定を考えていくということではないかと考えているところです。

○新谷委員 昨年10月開講分の定員760人に対する受講者の数をお答えいただいてないので後で答えてほしいと思います。いずれにしてもこの制度は鳴り物入りと言いますか、政府としてまず閣議決定をされて、それを受けて労働政策審議会でその枠組みを決めてきたという経緯があるわけです。その際に、財源の問題等々について労使ともにこの専門実践教育訓練は一般財源で実施するべきではないかという主張をする中でも、政府・厚生労働省の側が雇用保険の本体を使って実施したいということをおっしゃったわけです。その財源規模も中途半端な額ではなくて、これまでの職業能力開発行政の年間予算の半分を超えるぐらいの金額をここに投入するということで立ち上げてきた制度です。ですからこの金額面で見ても、巨額なお金がこれから動いていくということになりますし、その財源は労使が負担している雇用保険の本体を使っているのだというこの重さについて認識していただきたいと思います。これはもう再三申し上げているように、ユニバーサルサービスとして、地方による講座の偏在があってはいけないわけですし、全国の労働者と事業主は全て雇用保険料を強制適用で支払っているわけですから、その保険料を使うということの重みを受け止めていただきたいと思います。

 それと、雇用保険法は申し上げるまでもありませんが、雇用保険法第1条に目的が掲げてあるわけです。雇用保険法の目的の中に、平成10年に、一般教育訓練を追加したときに教育訓練というのを法の目的の中に追加されたのですが、いずれにしても労働者の職業生活の安定と維持を図るという雇用保険の大目的があるわけですし、また専門実践教育制度の概要を取りまとめた際の本分科会報告の中にも書いてありましたように、我々として一番気になるところは、もっとも不安定な雇用に置かれている非正規労働者にとっての中長期的な雇用安定に資する制度にしないといけない、ということです。そうした観点から雇用保険の財源を使うということに我々は納得したつもりなのです。したがって今後のプログラムの見直しの際には2-11行目に記載されているとおり、非正規労働者の方々がこのプログラムを活用することによって、長い職業生活の中で中長期にわたってその資格を使って、あるいはこの受講したことを使ってキャリア形成が発展していけるものになるようなものにしなければいけないと思っています。

 今日の日経新聞を見ますと、ちょっと残念な報道がありました。専門実践教育訓練は中小企業の幹部向けの講座なのだと、いかにも我々の狙っているところと違うところがニュースに出ていまして、それはちょっと違うのではないかなと私は思っております。したがって今回の指定基準見直しに当たっては、申し上げたような雇用保険法の目的や、本分科会でまとめた報告書の趣旨をもう少し前面に出したものにしていただきたいと思います。

 それと、「職業実践力育成プログラム」、これは文部科学省で立ち上げられたシステムで、私も検討会の委員にさせていただいたので発言すべきことは発言しましたけれども、これについても専門家会議の中で検討されるのか、それとは別に先出しで検討されるのか、ちょっとそこが先ほどの説明ではよく分からなかったところです。これも制度の趣旨に沿うような形で展開できるようにしていただきたいと思っています。

○伊藤育成支援課長 先ほど御説明の中で、平成2610月開講のうち、専門実践教育訓練受給者のニーズについて報告を漏らしておりました。先ほど定員760名と申し上げましたが、専門実践の受給者は46名という実態と把握をしております。新谷委員から御指摘をいただきました、現行の専門実践教育訓練指定コース及び受給者の動向に関して、今ほど申しましたように、平成2610月については、受給者という観点で非常に少数ということで、平成274月開講以降分でようやくある程度まとまった数になりつつあるということも踏まえまして、それぞれの施設ごとの現況については当然仕組みの上で今後把握をすることになっています。この受講者の受講の実態、効果といった点に関しましても、平成274月開講分の受講者、受給者も含めまして、この専門実践教育訓練の目的に照らした形で必要な把握を行い、またこの分科会で御報告したいと思っています。

 職業実践力育成プログラムについて制度の本旨に沿ってという御指摘がありまして、今回の論点の1つ目、2つ目の○でお示していますのが、私どもの今回のこの職業実践力育成プログラムの追加も含めての当然基本的な考え方ですので、こうした意図、目的が活かされるような形で文科省とも今後も調整をしていきたいと思っています。この専門実践教育訓練に関わる周知に当たっても、こうした趣旨がしっかり伝わるような努力を一層していきたいと思っております。

○宮川職業能力開発局長 新谷委員から御発言がありましたとおり、この専門実践教育訓練の給付というものは雇用保険制度で行わせていただいているところです。そのためにも地域的な面あるいは職種、業種的な面での偏在があってはならない、なるべくそれをあまねくやっていこうと。それから対象者についても、特にこの雇用保険という仕組みですので、安定的な仕事に結びつけられるという、正に雇用保険の最終目的に沿った形で運用されるべきだろうと考えています。

 その観点から今回、専門実践教育訓練の対象となるプログラムについて、これはもう少し広げるべきところはあるのではないかという観点から、1つは、文科省が今取り組んでいる新しいプログラム「職業実践力育成プログラム」の、趣旨目的は恐らく方向性としては雇用保険が狙っているところですが、ただし、実際の中身はそれぞれ見ていかなくてはならない。そういう意味での文科省の基準を満たした上で、雇用保険的な世界、能力開発行政的な世界から見て、一つ基準をつくっていくべきではなかろうかということで今回お諮りしているところです。また更に具体的なものは具体的な告示案という形で、今後お諮りしたいと思っております。

 一方、これに対象とされていない、特に民間資格につきまして、私どももそういう資格があるのだろうとある程度想定はされるわけですが、やはりこれは専門的な知見を持った方の、特に実際に現場に近いような方々の御意見をよくくみ取った形で進めていく必要があるのではないか、そういうことをよく知った上で、今後この分科会のほうにお諮りする資料を作っていくべきではないかと。そういう意味で有識者による専門的見地からの検討をまずは先にさせていただいた上で、並行して必要なものをまとめて、そのまとめた段階で必要な議論をこの分科会で行っていただく。こういう段取りを考えておりますので、その際には当然のことながら、職種、業種、それから非正規の方や女性などが活躍できるような観点というものを我々の意識として持って検討を進めていきたいと思っています。

○高橋()委員 

先ほど新谷委員がメンションされましたけれども、今日の日経新聞の4面に、中小企業の幹部育成に補助金という見出しで、今日の審議会に関係の記事が出ています。何とも不可解な記事で、それによると「人手不足に悩む中小企業の幹部人材育成や女性の再就職を支援する狙いだ」と書いてあります。でも今、正に宮川局長から御答弁いただきましたけれども、この制度は別に特定の人材を育成するための制度ではないので、こうした記事が書かれること自体非常に残念で、記者さんの勉強不足もあるのですが、他方で、厚生労働省の皆さんも、是非クラブの人たちにしっかりとこの制度の内容、目的などについてはよくレクチャーしていただいて、こうした誤った記事が書かれないようにしていただきたいというのがまず1点。

 もう1点気になるのが、その記事の中で「文部科学省が2016年度に始める職業実践力育成プログラムから、厚労省が対象講座を選ぶ。英語や会計、ITなどを組み合わせたカリキュラムも想定する」と書いてありますけれども、英語がこの専門実践教育訓練のプログラムとして、果たして適当なのかというのが非常に違和感があって、この点も2点目の記事の違和感としてあったのです。なのでこうした記事が書かれること自体問題なのですが、他方で一般の皆様方は新聞記事を通じて情報を入手する部分がありますので、取り分けこの後者の「英語や会計、ITなどを組み合わせたカリキュラムを想定する」という記事に関して、現時点における厚生労働省の事務局の皆さんのお考えをお示しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 それでは、事務局から。

○伊藤育成支援課長 高橋委員からお尋ねがありました語学能力修得を専ら目標としたものは、現在の履修証明プログラムの中には含まれていますけれども、そういったものを私どもとして、今日御説明申し上げているような指定基準案の下で指定をするという考え方はありません。それに関してこの間のこの分科会での御審議を踏まえ、専門実践教育訓練の目的から外れたものであると考えております。

 先ほど申し上げましたように、履修証明プログラムの内容を、育成を目指す人材像との関わりで、大変多岐多様にわたっており、人材像の中でプログラムの一部にそういったものが入ってきて、なおかつこの間も御審議いただいているような、当然のことながら入門的、基礎的なものはそもそも対象としないという考え方も含めて、そうした要件を満たしかつ合理的である場合に、そうした内容を一部含むものが全体として整合性、基準を満たすものである場合に、専門実践教育訓練の対象となることが在り得るかどうかという意味では、それは在り得るであろうと。そこは個々に見ていく必要があるだろうと私どもとしては考えています。

○小杉分科会長 よろしいですか。

○島村委員 初めて出席するのでいろいろと分からないところがあります。1つ、審議という言葉は採決を出すという意味だと理解をしているのですが、今日この場で全部結論が出るわけですか。やりますとか、やらないとか、このとおりやりますとか、そういうことですか。

○伊藤育成支援課長 先ほども少し出ましたが、これについては今日結論を出していただくという考え方ではありません。この基準案について、今ほどいただいていますような御審議をいただき、精査をした上で、次回以降具体的には告示案という形で、正式にお諮りをしたいと。

○島村委員 今はいろいろ意見を出しているということですか。

○伊藤育成支援課長 はい。

○小杉分科会長 はい、そうです。

○島村委員 それでは、2つあるのですが、新谷さんがおっしゃったことも高橋さんがおっしゃったことも、私も全く同感で、これは雇用保険から出る以上はしっかりと社員のために使われるものだろうと思うのですが、資料2-11行目にあるとおり、非正規雇用労働者はいいのですが、「子育て女性等を含めたより幅広い対象者」は、非常に曖昧な表現になっているため、どういうところまで幅広くなるのかというのは、私は初参加ですけれども、これが明確にならないまま審議で採決という話になるのは非常に危険があるような気がします。

 もう1つ、資料2-23ページにいろいろと専門実践教育訓練の講座名がありますけれども、例えば真ん中の下のほうに、「職業実践専門課程(動物)」など、本当にこういう方たちに雇用保険財源を使った支援が必要になっているのかどうなのかというのも、ミクロの部分ではありますけれども、何か知らないうちに我々が一生懸命稼いで、納めている雇用保険が、全然関係ない所に使われていくような気がしてならないのです。余りにも短期、早急に決められると、何か嫌だなと感じます。私どもは全印工連と言って、全国に5,130の中小印刷会社が集まった、同業組合としては大きな団体だと思っています。中小印刷会社が一生懸命納めている雇用保険の財源で、本当にこれが必要なのか。国で必要とされている専門実践教育訓練の内容なのかというものまでが入っていくとなると、これはちょっと疑問を呈さざるを得ないという気がしました。意見です。

○吉永総務課長 雇用保険制度におきましては、基本的には在職中も雇用保険に入っていただきますし、離職した後も雇用保険の受給という形で、離職した方についても一定期間は雇用保険制度の対象になることがあります。

 あとは、育児などで退職された方については3年ぐらいは雇用保険の対象になるという枠組みになっており、受給を延ばせるという意味で対象になっています。また育児休業などを取って、働きながらあるいは休業している方、そういう方も対象になります。あくまでも雇用保険制度の対象となる方を前提とした上で、子育て女性についてもそのキャリアアップをしていただくということで、完全に専業主婦で長期間離れてしまった方は雇用保険の対象になりませんので、そういう方を念頭に置いたものではありません。

○島村委員 ここには書いてありませんが、完全に雇用保険の対象になる人ということですね。

○吉永総務課長 はい。あくまでも雇用保険の対象となる方についての施策ということです。

 あと2点目が動物の関係についてそのような御議論があるのですが、現状において非常に就職がいい職種です。文部科学省とも話をしたことがあるのですが、実際にはかなりしっかりしたプログラムがあって、単にトリマーとかそういう形ではなくて、例えば動物の看護やそういうものを含めてということで、一定のレベルは担保されています。いずれにしても私ども一定の審査をした上で対象にしたわけですが、最終的には3年後にまた就職状況等をきちんと確認をするということで、実際に動物の専門学校に通いました、ただ就職はできていませんということであれば対象から外して、事後的にも外していくという枠組みで考えていますので、現状において対象となることについて特段問題はないのではないかと考えているところです。

○小杉分科会長 ほかにありますでしょうか。

○大久保委員 ちょっと全然違う観点で2つほど意見を。1つは公的資格以外のいわゆる民間資格の領域のところからも適正なプログラムを選ぶ話で、特に情報関連のところに、今焦点が当たっているというお話でした。方向としてはよく分かるのですが、一方で、情報関係の「プログラミング、CAD、ウェブデザイン」と書いてありますけれども、この辺は非常に変化の激しいところで、今回の「日本再興戦略」の中でも生産性革命というような言い方で、IoTとかAIとかビッグデータとういう話が出てくるわけです。そういう所でこの変化にキャッチアップしていく、民間企業はすごい大変な思いをしてやっているわけです。逆に言うと、この分野の技術というのは簡単に陳腐化するので、その追い掛けっこをやっているという状態なのです。つまり既存のものがどのぐらいで中長期的のキャリア形成に資するのかというのはかなり難しいところもあるので、情報関連のところに本当に手を付けるのであれば、相当精緻に検討しないと難しいだろうと思います。学習が終わった頃にはあまり使えるニーズがないみたいな感じになりやすい分野なので、慎重にやっていただきたいというのが1つです。

2つ目は、ある程度時間はたったのですが、専門実践教育訓練について、私も時々周りの人間にこの話をすることがあるのですが、本当に知らないのですね。もう既にこの名前が馴染みにくいというか、本当は「学び直し助成金」と言ってもらったほうがよっぽど分かりやすいのですが、これは個人に対してどのぐらい伝わっているのか。先ほど指定講座の数に対して、資格確認6,000人強が多いのか、少ないのかちょっと評価は分かりませんけれども、やはりちゃんと個人に対してメッセージが伝わっている状態にまだなっていないことが、誤解の入ったような記事にもつながっていると思います。制度の趣旨がしっかりと周知されていない感じがするのです。

 改めて今回のタイミングでこの制度趣旨を、働いている人、中長期のキャリア形成をしたいと思っている働いている個人に、ちゃんとメッセージが伝わるように工夫をしていただきたいと思います。それから、新たに追加する講座もあるのであれば、やはり講座を設定している所がその講座に、専門実践教育訓練の給付が適用されるわけですから、その講座の告知を通じて、趣旨をちゃんとその個人に伝えていただくとか、その辺の告知、周知ルートについて、もう1回工夫をしてみてもいいのではないかと思います。何かまだ分かりにくくて、少しずれていきやすい状態になっているのかなという感じがしています。

○伊藤育成支援課長 大久保委員から2点の御指摘をいただきました。後者の行き届くような周知、確かに非常に大きな課題であると思っています。私どももこれまでの一般的な行政のPRでなかなか本制度が浸透しにくい層にも認識をしてほしいということで、本年度に入りまして、これは例えばですけれども、ユーチューブなども活用しまして、指定機関あるいは受講者などにも登場してもらい、より分かりやすい周知に努めたりといったことにも順次着手をしていますけれども、まだまだ十分ではないという認識も併せ持っています。いただいた御指摘も踏まえそこは更に工夫をしたいと思っています。1点目に関しても、この様々な検討の中で、言わばその賞味期間に関わる課題と受け止めさせていただきまして、この辺りの観点も含めてよく論点整理をしてみたいと思っています。

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかに皆さんありますでしょうか。このタイミングで日経からあのようなものを出されるかと、正にこの制度が十分知られていないことが大きな要因ではないかと思います。是非記者クラブにも詳しくお伝えいただければと思います。以上、この議題はここまででよろしいでしょうか。それでは、事務局は本日の議論を踏まえ、引き続き検討を進めていただきますようにお願いいたします。

 議題の2に移ります。次は、2014年度の実績評価及び2015年度の年度目標についてです。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○吉永総務課長 ただいま議題になりました2014年度の目標と実績評価について、併せて2015年の目標について、資料3-1及び資料3-2を用いて御説明いたします。3-1に概要としてまとめていますけれども、3ページ目に表となっているものがありますので、これを併せて御覧いたたければと考えています。当分科会関係の目標として、2014年度については3ページのマル1~マル5について目標として設定されているところです。マル1ニートの就職決定については、2013年度の実績が19,702人に対して、2014年度の目標が2万人でしたが、20,106人で目標を達成しています。この間、サポステについては設置数の増大とかサポステ職員に対する研修、業務指導の実施をしてきたところです。こうしたものを通じて、サポステの実績が上がったところですが、今後についてもこうした取組を進めて、サポステ事業を広く普及し、周知・広報していきたいと考えているところです。

 マル2の目標がジョブ・カードの取得者数です。2013年の実績が22万人です。新規取得者ですが、2014年はこれの1割増しという形で232,000人を目標として掲げたところです。ただ、残念ながら2014年度実績については、191,000人で、2013年を下回るとともに目標も下回っているという状況です。この要因については、2013年は若者チャレンジ奨励金などの助成金制度がかなり給付を行ったということがありましたが、これについて訓練が終了したということがあります。また、昨今の景気の動向の中で求職者支援訓練の受講者数も減少しているという状況もありまして、職業訓練受講に伴うジョブ・カードの発行が減少してきたという状況です。

 こういう中で雇用型訓練について更なる取組を進めていきたいと考えています。また、ジョブ・カード制度については、現在、内容について見直しを進めているところです。現在、国会で審議中の勤労青少年の福祉の増進に関する法律の一部を改正する法律案に基づきまして、若者雇用促進法の中でも記載がありますし、また職業能力開発促進法の部分についても明記していくこととしておりますので、今後法律に基づく制度として運営していくということです。様式の改正と併せてキャリアプランニングあるいは職業能力証明のツールとなるような形で積極的に活用されるような形にしていきたいと思っています。またこれにつきましても、在職者、学生等に対しても普及を図っていく形で、周知・広報等を徹底してまいりたいと考えているところです。

 マル3の目標が公共職業訓練の就職率です。2013年の実績が施設内訓練82.2%、委託が72%です。2014年の目標がそれぞれ80%、70%ということです。2014年の実績については、2013年の実績を上回るとともに目標も達成するという状況です。施設内で82.9%、委託訓練が72.5%という状況です。これについては求人、求職ニーズに合致した訓練を実施してきたということと、ハローワークと訓練実施機関の連携の取組が有効だったと思っています。こうした取組を今後とも進めていき、ニーズに合致した訓練設定、あるいは「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」を設定していますが、こうしたものの活用を促進し、訓練の質の確保を進めていきたいと考えています。

 マル4の求職者支援制度に基づく職業訓練の就職率についてです。2013年度においては、基礎コース83.5%、実践コース84.5%でした。2014年については雇用保険被保険者になるという形で限定していましたので、極めて短期あるいは短時間の就職を外すということで、目標設定としては率としては大幅に落ちていますけれども、基礎コースで55%、実践コースで60%、雇用保険被保険者になる率という形で目標を設定したところです。これに対して、2014年の実績については、目標値を若干下回っているという状況です。51.7%と55.9%です。これは速報値ですが、年度前半に開講したコースの数字にならざるを得ない部分があります。数字としては2014年度に開講したコースという形になるわけですが、開始して終了まで最短で3か月、その後3か月という形で、半年ぐらい時系列としてある中で、普通で年度後半に就職率が上がるという状況の中で、数字として若干下回ったということです。いずれにしても就職支援を一層強化するということと、目標水準に達するような形で取組を進めていきたいと考えているところです。

 最後に自己啓発を行っている労働者の割合です。2013年度実績については正社員で44.3%、非正社員で17.3%でした。2014年度の目標については正社員50%、非正社員25%という状況ですが、2014年度については2013年度の実績も若干下回る形で、目標も満たすという状況です。この理由については、能開基本調査等々の要因として出てきますのは、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」という労働者が増えてきています。今年度自己啓発を支援するためのキャリア形成助成金のメニューの見直しとか、教育訓練給付制度の活用促進も行っています。また、労働者の自己啓発の時間の確保を図る観点からのキャリア形成促進助成金の拡充というような形、あるいは教育訓練給付のメニューの拡大を考えています。こうした中で体制整備を図っていきたいと考えているところです。

 資料3-2が今年度2015年度の目標です。最初のニートの縮減ですが、2014年の実績については2106人、先ほど御紹介したとおりです。これについては必ずしも雇用保険の被保険者になっていない方の数字も入っていますので、今年度は雇用保険被保険者になるということを前提として17,000人という数字を目標として掲げているところです。ちなみに2014年の雇用保険被保険者になった数は大体16,000人余りと推計している状況ですので、2014年の数字を若干上方修正する形でニートの方の就職、更に安定的な就職という形につなげていきたいと考えているところです。進路決定者数については今年度同様2万人を参考値として掲げていきたいと考えているところです。

 マル2のジョブ・カードの取得者についてです。先ほど申しましたとおり、2014年度については下回っていますが、制度の見直しを徹底して行うということと、普及啓発を取り扱うことにより、今年度は昨年度目標である232,000人をクリアしていきたいと思っています。勤労青少年福祉法の改正法案が国会を通っていませんので、法律の施行に伴う周知ということができる状況ではありませんが、その施行に合わせて様式を見直し、周知を徹底していきたいと考えているところです。

 マル3公共訓練の就職率についてです。今年度についても昨年同様、施設内訓練80%、委託訓練70%を掲げています。昨年と同様実績値が上回っていますが、景気の動向で上げ下げする指標では必ずしもないのかなと考えている状況です。

 マル4の求職者訓練の就職率については、数字が未達だったわけですが、数字の取り方を2014年度については2014年にその訓練を開始したということで数字を取っていますが、2015年度は2015年度に訓練を終了した形にして、年度内の数字がきちんと取れる形にして、先ほど申しました、年度の後半に少し数字が上がるというものについてもきちんと取り込んだ形で、年度の中の数字をきちんと把握した上で、実績を確保していければと考えているところです。

 最後に、2014年度について、このほかに自己啓発についての目標について掲げていたところです。これについては昨年の分科会において、公労使それぞれから中間評価をできない目標を設定することが適切か検討すべきではないか。あるいは政策効果を図る行政指標として違和感があるのではないか。あるいは自己啓発を行ったものの割合は結果目標でしかない。というような見直しについて御指摘をいただいたところです。これについて変わる指標について検討を行ったところですが、いずれも帯に短しというところです。今年度は自己啓発について目標から削除しているという状況です。こうした取組の中で進めていきたいと思っています。何卒よろしくお願い申し上げます。

○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして皆様から御意見、御質問を受けたいと思います。高橋委員、どうぞ。

○高橋()委員 ジョブ・カード取得者数の実績が目標を下回ったことについて、まず伺いたいと思います。3月に行われた本分科会で中間評価がありました。その中に、ジョブ・カードの新規取得者数が10月時点で105,000人という報告がありました。通期で191,000人ということからすれば、10月以降は86,000人くらいしか取得がなかったということで、先細りだったのではないかという感じがいたします。この中間評価のときも、目標を達成するためにいろいろ活用促進を図っていく旨の御説明を頂いたわけですが、結果的には目標が達成できなかった。この点についての厚生労働省の御見解、コメントをまずいただきたいと思います。

○吉永総務課長 先ほど若干御説明させていただいたところですが、ジョブ・カードにつきまして、現状では雇用型訓練あるいは職業訓練に伴って発給されるのが非常に多くなっているという状況から、これについてはもう少し見直しを行う必要があるのではないかということで、法律に基づいた制度として様式の見直し等々を進めることとしているところです。

 ただ、訓練が中心であるという現状の中で、一番大きいのは求職者支援訓練の受講者が昨今、大分落ちてきているということです。景気が改善する中で従来は就職が困難であった方々についても、求職訓練を経ることなく就職している状況があるということで、このあたりの数字が、特に年度後半の伸びが少なかったことに影響しているのではないかと考えています。

 いずれにいたしましても、ジョブ・カード自体は雇用型訓練以外についても有効なものだと考えていますし、正に見直しは、そういう中で生涯を通じてキャリアアップのツールとして、あるいはキャリア・コンサルタントに合わせて活用するようなツールとして活用することが重要だろうと思っています。雇用型訓練は雇用型訓練として非常に重要ですし、訓練体系の中で活用することはもとより重要ですが、それと合わせて活用を促進していくということで、実際にこういった数については達成できるよう取り組んでまいりたいと考えているところです。

○高橋()委員 今の御説明の中で、景気が良くなったので減ったというのもあるという御説明は、なるほど、そうかもしれないと思いますが、そういう状況にもかかわらず、2015年度の目標というのは引き続き232,000人で、昨年並みということになっています。ジョブ・カードの制度を作った以上、どうしても枚数は気になりますけれども、ジョブ・カードの目的からすれば発行枚数をたくさん出すことが目的ではなくて、それを使って実際に就職できた、または就職できなかったというところが問題になるわけですから、労働市場の中でジョブ・カードというのはいいものだねと評価してもらえる、そういう制度にしていくことが大事なのではないかと思っています。

 また、今回の法改正を機会に、こういうジョブ・カードに関する目標というのは新規発行の数だけでなく、今、申し上げたようにジョブ・カードを使って就職に至った方の数とか、ジョブ・カードを人事上の施策として使っている企業の数とか、そういうような視点でもう一度見直すべきではないかと感じていますので、これもまた御検討いただければと思います。

○吉永総務課長 御指摘の点も踏まえまして、検討を進めていきたいと考えています。

○板垣委員 目標設定の在り方について発言させていただきます。自己啓発を行っている労働者の割合を政策目標に掲げる問題点については、本分科会でも指摘されてきたところですが、この目標を2015年度から削除するということであれば、それに代わる新しい目標が必要なのではないかと考えています。次の議題である「職業能力開発基本調査」の2ページに能力開発責任主体に関する統計が掲載されています。この中では、能力開発は企業主体と考えている割合が圧倒的に多い。特に今回の調査では、平成25年調査よりも「企業主体」と考える割合が上昇しています。こうした統計から見ても、仕事に必要な能力は企業がしっかり行うといった政策誘導をしていくことが、国の職業能力開発行政の目標の1つになっていると思います。今年度の目標として掲げられているニートの縮減、公共職業訓練、求職者支援訓練、こちらも非常に重要だと認識していますが、企業における職業能力開発という能力開発の主流部分に関する政策目標がない点は、少し違和感があります。企業内で実施する能力開発としてのOJTが最も効率的な手法ではあるものの、それ以外としては、OJTと重ね合わせたOFF-JTの実施割合などについても目標に設定すべきだと考えますが、この点について厚生労働省の見解を伺いたいと思います。

○吉永総務課長 企業内における職業訓練が非常に重要である、正に実践的であるということについては論をまたないわけです。その中で、企業の中のOJTOFF-JTの割合を目標として設定することについて御提案がありました。これについては傾聴すべき提案であると考えますが、産業あるいは業種、規模において、かなり数字についての考え方が大きく異なる部分もあるかと思います。そういう中で政府全体の1つの目標としてどういう数字が適当かについて、考え方がまとまれば目標とすることは可能だろうと思いますが、引き続き、どういうものが可能かについては検討してまいりたいと考えています。

○大久保委員 関連して、今、出た自己啓発を行っている労働者の割合に関するところですが、先ほど御説明があったとおり、目標としてはもともと馴染まないと私も発言したところです。というのは、マル1、マル2、マル3、マル4の目標については、それぞれここで議論して実施している事業についての成果を見ている。マル5はそうではないのです。国全体の結果だけをここに取り出してきて因果関係が分からないので、目標としてあまり適切でないだろうなと思うわけです。ただ、自己啓発を促進していくこと自体は重要なテーマです。目標から外すだけだと、今度は自己啓発について全く振り返られないで、なくなってしまうのは問題があると思います。

 基本調査のほうでも、自己啓発の問題点というのは聞いているわけですが、その中で実際に自分が学びたい講座がないとか、費用がかかりすぎるというのは結構大きな理由になっていて、それは教育訓練給付とか専門実践教育訓練といった施策が、多分、その問題を解決する方向に機能するのだろうと思っています。実際に自己啓発の問題点と、ここで打ち出している施策が、それにどういうふうに応えているのか。先ほどのアンケートの話ではありませんが、専門実践教育訓練給付を受けた人は、たまたま「この講座を受ければこんなものが使えますよ」と言われて受けたのか、それとも、それがきっかけとなって自己啓発が促進されたのかというのは見ていかないといけないと思います。そういう意味で目標から外すだけでなく、それとは別に自己啓発についてのもう少し構造的な施策展開の方法の考え方とか、それを促進するための施策のあり方というのは、別途、どこかで検討していただくことを前提にした上で、目標から外すのだったら外していただきたいと思います。

○吉永総務課長 私どもとしても自己啓発について、これまで目標として掲げてきましたので、これについて何らかの指標が必要ではないかと考えて検討したところですが、なかなかこれに代わるものがないという形で、今年度については目標から削除したという状況です。ただ、御指摘にありましたとおり教育訓練給付の状況といったものが、現状では非常にカバレッジが低いものですので、直接、自己啓発の目標として適正かどうかという観点から今回は目標としてはおりませんが、いずれにしても自己啓発について何らかの成果が見られるような指標について、今年度については目標として掲げていませんけれども、引き続き検討してまいりたいと考えています。

○小杉分科会長 検討されるということですね。

○河本委員 ニートの削減の項目について意見と質問を述べたいと思います。今回、ニートの削減について目標を達成したというのはよかったと思っています。その分析の中にもサポステ職員の品質の向上があったということで、私自身の経験を述べさせていただくと、委員として一度、御案内を頂きましてサポステの見学に行かせていただきました。本当に職員の方が熱意を持って、ニートの方に寄り添ったケアをされているのを身をもって感じました。ニートの方も参加してくださって少し意見交換もしたのですが、本当に粘り強く長いスパンでその方のフォローをされているなと感じました。なので、短期的な数だけではなくサポステ職員の質を上げていく。そのための研修をここにも向上させたとありましたが、本当にこれは長い人材育成として非常に大切なものではないかと思っていますので、引き続き、よろしくお願いしますというのが意見です。

 質問は、そういった目標を達成したという意味では、一般的に言えば目標を達成すればその目標をストレッチしていったり、あとは2020年までの目標も少し見直していくとか、そういったことも一般的に言えば考えられると思いますが、今回、次の目標はあえて今までよりも下がっているものになっているということで、その辺についての今後の長期的な数値目標の立て方について、御意見を聞かせていただければと思います。

○藤浪キャリア形成支援室長 目標の考え方ですが、これまで中期目標にもありましたように、就職等を含めた進路決定者ということで、進学あるいは職業訓練に進んだ方も含めて、進路が決まった方について目標にしていたところですが、今年度から雇用対策の重点化を図っていくということで、サポステの実績につきましては就職者、それも雇用保険の被保険者資格を取得できうる者ということで限定した目標としたところです。それを踏まえて、今年度につきましては17,000人という数字としたところですが、これは先ほど総務課長からも説明がありましたけれども、昨年度の進路決定者数2106人のうち、就職した者の数が17,687人と、17,000人を超えているのですが、この数については雇用保険の被保険者にならない者、短期的な就職をした者を含めた全体の数です。この内訳ですが、サンプルデータを使って被保険者となりうる者の割合を出しますと95%なので、これを掛けると16,800人となり、17,000人を切る実績ですので、今年度については17,000人を目標に掲げて、この達成に向けて取り組んでいきたいと考えているところです。今後も就職ということに限定した形でサポステの運営を行っていきたいと考えているところです。

○小杉分科会長 目標を下げたということではないということですね。

○河本委員 そこは理解しているつもりだったのですが、今もおっしゃったようにパーセンテージを掛けたものであったとしても、まずストレッチしていくというのが必要なのではないかということと、2020年に向けても、このままの累積でいけば目標を超えるような見込みであれば、どこかの時点で見直したりする考えはないのかという観点での質問です。

○藤浪キャリア形成支援室長 今後の目標ということですが、ここに掲げている中期目標につきましては、2010年に閣議決定された累計10年間で10万人というものですが、これについてはまだ10万人は実現していませんので、取りあえず、当面はこれでいきたいと思っています。今後、この状況を踏まえて、この就職者数あるいは進路決定者数が大幅に超えていく状況になりましたら、またその時点で適切な目標等について検討していきたいと思っています。

新谷委員 先ほどの板垣委員と大久保委員の御意見のあったところに関連して、2015年度の目標のところで、2014年度までは設けられていた「マル5自己啓発を行っている労働者の割合」を削除してしまっているのですが、これは非常に違和感があります。自己啓発というのは企業内の職業能力開発、国などによる公共職業訓練と並ぶ、職業能力開発における大きな柱の1つです。仮に、この「マル5自己啓発を行っている労働者の割合」自体を削除するとしても、自己啓発に関する何かしら別の目標は代わりに設けるべきであると思います。

 本分科会の審議範囲というのは、厚生労働省設置法や労働政策審議会令に記載のあるように職業能力開発行政に関する重要事項です。ところが、資料3-2を見ると、「マル1ニートの縮減」があって、次いで「マル2ジョブ・カード取得者数」、「マル3公共職業訓練の就職率」、「マル4求職者支援制度による職業訓練の就職率」が記載されている。ですが、企業内の職業能力開発に関する目標がありません。我が国の職業能力開発行政と言ったときに、本当にこれだけでいいのか、最も対象者数が多く、かつ、職業能力開発の主流であるべき在職者に対する企業内の職業能力開発について何ら目標がなくてもいいのか、と思います。

 今回、閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」の中では、かなりのボリュームを割いて我が国の生産性向上のための職業能力開発の重要性というのが記載されております。今、働いている労働者、雇用者の数が会社の役員を含めて5,500万人おります。それに対して職業能力開発行政としては、例えばキャリア形成助成金のようなもので、企業の職業能力開発に対して政策誘導を行っているわけです。企業内での職業能力開発というボリュームが一番多い、あるいは生産性と政府が言っているところに対する政策目標が何も入っていなくていいのか。これが違和感の根本的なところなのです。政策目標として大事なところが抜けているのではないかと思います。確かに自己啓発については指標の取り方、ベンチマークがうまくいかなくて、そろそろやめたらという論議があったのですが、それとは別に企業内訓練という、労働者の数が一番多くて、かつ、効果を発揮させなければいけないところに対して、国がどういうことを取り組むのかという目標がないことについて、本当にこれでいいのかと思っているところです。

 指標の取り方が難しいというのはありますけれども、実際に助成金などを付けて政策誘導を行っているわけですから、ここは速やかに目標のあり方を検討するべきではないかと思います。単に自己啓発についての目標を削除しましたと、そんなものではないのではないかというのは意見として申し上げておきます。この意見については、目標設定についての分科会委員の意見を記載する欄があったはずです。その欄に是非収録しておいていただきたいと思います。以上です。

○吉永総務課長 企業内訓練につきましては、例えばキャリア形成助成金などの助成金の政策ツールなどを活用している状況です。ただ、政策目標で助成金の、例えば執行率というのが政策に馴染むかどうかというと、それを単純に書くのはなかなか難しい。ただ、御指摘の点を踏まえて、どういう目標が可能かについては検討を進めていきたいと考えています。

○小杉分科会長 マル5の所がなくなった分について、検討するということは必要だと。直ちにその数値が何というのは出ない状態ではあるけれども、今後、検討するという方向でよろしいですか。それでは、2015年度目標のマル5の部分については幾つか御意見がございました。この発言と事務局からの回答を踏まえまして、現段階の本分科会としては、2014年度の実績評価及び2015年度の年度目標について、基本的にこの案のとおりとしてよろしいでしょうか。

○島村委員 ジョブ・カード取得者の目標があります。これについてもいいのですか。

○小杉分科会長 はい。

○島村委員 これは、相当高い数字で目標を立てていますけれども、可能なのですか。

○吉永総務課長 実現に向けて努力するということにはなるのですが、いずれにしても現状ですと、先ほど申しましたとおりほとんど雇用型訓練など訓練の関係しか出ていませんので、いずれ法律が通ったタイミングで様式の変更について、また御審議いただこうと思っていますが、様式を変えて使い方をかなり拡充することを予定しています。そういう中で周知啓発を徹底して行うことで実現をしてまいりたいと考えているところです。

○島村委員 今、3-2の表を見ると、2014年度までの累計が128万人で、6年後、300万人ですよね。当然、それに向けて、2015年度はこういう数字にしなければいけないのだと思いますが、実際に企業を経営している立場でこの数字を見ると、絵に描いた餅になるかどうかは知りませんけれども、あまりにも実態に合わない数字が単に並んでいるようにしか見えないのです。どのようにするのかが全然分からない。

○豊島委員 関連して、今、島村委員がおっしゃっていることと同じことを考えながら、そろそろ座長がお閉めになりそうなので、また改めて聞こうかと思ったのですが、正に今、ジョブ・カードを見直して更なる普及を図るということを方針立てして、今、見直しをして300万人に向けて頑張ろうと言っている矢先に、232,000人の目標が191,000人と下がってくるというのは、ちょっとがっかりだなと思っています。

 先ほどの説明で、景気が良くなったから職業訓練を通じてジョブ・カードを取得する人が少なくなったという話もありました。まずちょっと質問ですが、職業訓練受講者以外の方がジョブ・カードを活用することが増加しているという説明があります。それはどういう場所か。例えばハローワークみたいな所なのか、どこなのかということです。それと、求職者訓練の受講者等の減少等により、職業訓練の受講に伴うジョブ・カード取得者が減少したためと考えられるというのであれば、資料3-15ページに記載のあるように、公共職業訓練の施設内訓練の人数、委託訓練の人数、それから求職者支援制度における職業訓練の受講者数の人数が減ったということなのだろうと思いますが、そういうことをもうちょっと細かく検証していただきたい。我々が検証の中身を共有できるものでないと、300万人ということが本当に達成できるのか不安になると思います。

 今回の説明で、ジョブ・カード新規取得者数について目標達成できなかった理由が、「したためと考えられる」という所は、「したためである」と言えるような証拠を見せていただきたいと思います。別に今すぐということではないですが、そう思いますし、今、おっしゃっているように300万人という数字を掲げ、しかも新しいジョブ・カードを見直して、教育の場でも使うようにして普及していくということであれば、もう少し積極的に、300万人を目指して達成できるということが、この場で共有できるような材料を提供していただきたいと思います。

○吉永総務課長 まず先に2点目の豊島委員からの御指摘ですが、恐らく9月になるかと思いますけれども、現在、国会で審議中の勤労青少年福祉法が成立した後に、施行の関係で様式の見直し等々についてお諮りする予定ですので、そのときに、その状況につきましては改めて御説明させていただければと考えています。

1点目の御指摘ですが、現状でトレンドで伸ばしていくと恐らく250万人に満たないぐらいの数字にしかならないと思っています。そういう意味で現状のままでの制度ということであれば、かなりチャレンジングな目標になるというのは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、私たちが考えているのは、そのベースの上に在職中の方なり、様々な方が使うことができるような形にしていこうと考えていますので、そういう意味では、容易に達成できる目標ではもちろんないと思っていますが、決して不可能な目標ではないと思っている状況です。そういう意味で、先ほどから能開行政の周知や広報が徹底していないのではないかと、いろいろな場面で御指摘いただきましたが、このあたりにつきましても制度が大きく変わりますから、それを機会に積極的に周知を図っていきながら、やっていきたいと考えているところです。

○島村委員 私が申し上げたいのは、このジョブ・カードの人数を増やすには、恐らく中小企業が多く使うことで数字は達成できると思います。大企業よりも中小零細だと思いますが、では我々業界の経営者は人数を増やすために何をしたらいいのか全く分からないのです。私の会社には150人ぐらい社員がいますが、ジョブ・カードを持って来た人はいません。我々は経営者として、社員あるいは社員になろうとしている人たちに、この業界としてどう指導したらいいのか全く見えてこないので、この辺から始めないと、数字は分かりますから指南書ではないですが、何かそういうものがほしいなと思います。そうでないと、ただ単に目標達成しませんでしたということではいけないのではないか。もちろん役に立つものなので、そうであればどのようにするのか。今後はきちんと指導と言うといけないですが、使っていくのは我々なので何かうまくコラボレートしていかないといけないですね。

○吉永総務課長 それは是非とも、よろしくお願いしたいと思います。恐縮ですが島村委員も従前は、ジョブ・カードについてあまり御存じなかったと思います。あるいはジョブ・カードという名前を御存じでも、制度について御存じない企業の方が非常に多いという状況の中で就職の際にもなかなか活用ができない。ただ、現状ではジョブ・カードの中に、あなたの課題はこういうものだということも書いてあるので、それを就職で持って行くわけにもなかなかいかない状況であったことも、ひとつ使いにくかったという理由だったと思います。このような使いにくい要素は全部取り除きましたので、その上でまた様々な企業の中で御活用できるような形で、その中では手法も含めてお知恵をお借りしながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○小杉分科会長 よろしいですか。ジョブ・カードについては昨年から抜本的な見直しを図っていて、それを踏まえてこの数字になっているということ、これまでどおりのトレンドではないものを作っていくということで、今、議論してきたという経緯があります。そこを御理解いただきたいと思います。ほかによろしいですか。幾つか皆様から御意見が出されましたので、いただいた意見を踏まえて私と事務局で相談し、その上で当分科会として取りまとめるということで、今回の2014年度の実績評価及び2015年の年度目標についても、それで了承いただくということでよろしいでしょうか。なお、これらの資料については8月に開催予定の労働政策審議会に報告することになると思います。

 では、次に、平成26年度「能力開発基本調査」の結果概要についてです。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○稲原基盤整備室長 基盤整備室の稲原でございます。今回、平成26年度「能力開発基本調査」についての報告が、今年度の審議会が今に至りましたので少し遅れてしまったことを、この場でお詫び申し上げます。今、お手元に報告書そのものの冊子もお配りしていますが、今年の331日にプレスリリースさせていただいたものに基づきまして御報告申し上げたいと思います。

 冒頭、中段に書いてありますが、この「能力開発基本調査」について若干御説明申し上げますと、国内の企業・事業所、労働者を対象として、正社員、正社員以外別に、平成13年度から毎年実施しているものです。規模ですが、企業及び事業所についてはそれぞれ約7,000ぐらいです。労働者については約21,000人を対象に調査しています。今、申し上げたとおり、「企業調査」「事業所調査」「個人調査」についてのポイントだけ、このリリースで囲んでいる部分について若干補足的に御説明申し上げます。

 「企業調査」について、1ページを見ていただくと、OFF-JTに支出した費用の労働者一人当たり平均額は、3年間分しかここには載せていませんが、リーマンショック以降、ドンと落ちて、大体こういった金額で推移しています。ただ、自己啓発支援に関しての平均額が最近のトレンドでは右肩上がりで上昇しております。また、先ほども少し触れていただきましたが、2ページで能力開発の責任主体について調査しています。昨年度の調査結果では、企業主体又は企業主体の決定に近いという部分が75%ほどでしたが、今回の調査では78.3%で、そういった傾向も進んでいるということです。これは正社員ですが、正社員以外についても61.2%から64.9%という形で、企業主体で決定するというトレンドが明確になっているところです。

7ページをお開きください。「過去3年間」と「今後3年間」におけるOFF-JT及び自己啓発支援費用の実績等の傾向ですが、ここで特筆すべき点について御説明申し上げると、「今後3年間」について「増加傾向」と答えた企業は37.3%になっています。これは前回の回答に比べて6.9ポイント増加していて、この件について過去の経年比較をさせていただいても、今回、平成26年度版については7ポイント近く上昇したという非常に大きな傾向が出ています。

 時間の関係で少し端折りますが、「事業所調査」について御説明申し上げます。19ページをお開きください。人材育成に関する問題がある事業所が平成24年、25年、26年と出ています。右肩上がり傾向で68.7%から75.9%といったトレンドで、問題があると答えている事業所が増えてきています。また問題点の内訳としては、「指導する人材が不足している」「人材育成を行う時間がない」「人材を育成しても辞めてしまう」、こういった傾向は過去からも同様の数字でした。

 最後に、「個人調査」について御説明申し上げます。36ページをお開きください。自己啓発を行った労働者の割合について記載していますが、自己啓発を行った労働者は正社員で43.3%、正社員以外で16.4%と、自己啓発を行った労働者が徐々に減ってきているという減少傾向にあります。40ページですが、自己啓発に問題があるとした労働者の問題点は何かについては、正社員、正社員以外とも傾向として、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」と答えた方が非常に多く、「費用がかかりすぎる」「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」といったところが問題点として多く出ています。この傾向についても、過去からの経年比較で同様な傾向であったことを御報告させていただきます。

 簡単ですが、調査についてのポイントのみ御説明申し上げました。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見を伺いたいと思います。

○板垣委員 企業の職業能力開発に対する支出に関して発言させていただきます。資料412ページ、図23OFF-JTを実施した事業所についての掲載があります。平成24年~26年までの3年間で、正社員に対してOFF-JTを実施した事業所の割合は増えていますが、一方で、正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所の割合については増加の傾向は見られていません。この動向傾向について、厚生労働省としてはどのように考えているのかについて見解を伺いたいと思います。

○稲原基盤整備室長 ありがとうございます。今、委員の御指摘のとおり、OFF-JTの実施事業所は正社員以外についての傾向は進んでいません。これについてリーマンショック以降の傾向として、経済情勢にも左右されていることが出ているわけです。この3か年についての傾向も、34%台ということで大きな減少傾向ではない。正社員についても69%、70%と若干の増加傾向ですが、いずれにせよ、どちらに対してもトレンド的に大きくは出ていないというのが現実です。ただ、先ほど申し上げましたように企業調査においては、今後3年間にOFF-JTにかける費用は確実に増加傾向だと答えた企業が多くなっているのも事実ですので、今後、更に注視して分析はしていきたいという考えです。

○板垣委員 一番課題になっているのは、本当にこのままでいいのかという正規との差ですね。教育機会の差が、このままにしておいていいのかというのが最大の課題だと感じています。正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所が約3割、OFF-JTを受講した正社員以外の労働者数を見ても正社員の半分の2割、更には資料417ページにありますけれども、計画的なOJTを実施した事業所を見ると正社員の半分の3割、3社に1社の割合でしか実施されていません。これらの結果を見る限りでは、資料4のプレスリリースで企業がOFF-JTなど、能力開発を支出する費用は今後は増加する見込みだというのは、この非正規の現実を見ると、少し表現に問題があるのではないかと思っています。企業の能力開発に対する投資はまだ戻っていない。特にここの非正規と正規の教育機会の差というところには、是非、着目していただきたいと思います。以上です。

○小杉分科会長 御意見として、よろしいですか。ほかに。

○浅井委員 調査報告書の264ページ、265ページで、改めて自己啓発という所について確認したのですが、自己啓発の定義というのが改めて264ページを見ますと、職業に関する能力を自発的に開発し向上させるための活動であり、265ページのほうの回答項目を見ると極めて広く捉えている。ラジオ、テレビ、専門書等によって自分が自学自習しても自己啓発である。にもかかわらず、今回の資料436ページでも、むしろ過半数の方が自己啓発を行っていない。そして38ページにいって自主的に本を読むことも行っていないということが、逆に極めて大きな問題ではないかと感じました。つまり、この自己啓発を行うことのできる労働環境がないという悲鳴が聞こえるのではないかという気もします。

 一方で、このアベノミクス第2ステージの「日本再興戦略」改訂2015では、従来の単なる延長ではなく全く新しい発想をもってということ。そして生産性革命を劇的に進めたいということですので、となれば、この自己啓発を行うことができるような労働環境をいかに作っていくか。今回から目標値において自己啓発を削除するにしても、これを行えるような労働環境というのが担保されないと、「日本再興戦略」改訂2015で言われている「従来の単なる延長ではなく全く新しい発想」というところに、行き着くことができないのではないか。この辺のところをむしろ逆読みすると、ここに危機感が現れているのではないかと思いました。是非、この辺の労働環境をいかに作っていくかということを、また改めて考えていく必要があるのではないかと思っています。

○吉永総務課長 御指摘の点につきましては、資料6の「日本再興戦略」改訂2015について後ほど改めて御説明いたしますが、2ページのマル3に教育訓練休暇制度・教育訓練短時間勤務制度の導入促進という記載もあります。これは、御指摘のとおり忙しくて自己啓発する時間がないということ。政策としては教育訓練給付などの拡充、専門実践の拡充などを進めてていて、それが政策としてはありますが、個々の労働者にとって絵に描いた餅になっているのではないかという中で、こういった休暇を取って学校に通える、あるいは勤務時間が終わってから学校に通える、あるいは週末など受けやすい環境を作っていくということで、専門実践教育訓練の見直しなども進めていきたいと考えていますが、そういう取組を全体として進めていく中で、労働者の個々の能力を高めていくようなモチベーションを高めていただくことが重要ではないかと考えています。そういう意味で、先生が御指摘の点につきましては、日本再興戦略の中にも別の意味で盛り込まれているものではないかと考えています。

○原委員 今回のことではなくて、今年度以降、また調査を実施されるときにお願いなのですが、個人調査に関連して、この調査自体が企業、事業所、個人の3つの調査が組み合わさっています。総務省のほうもかなり厳しいと伺っているので、そういう制約がある中で設計されているのは非常に難しいところがあるかと思いますが、事業所調査の中では計画的OJTについて聞いているところがあって、OJTの実施について把握しようとしている項目があります。個人調査については、昔、OJTについての項目があったのですが、何年か前になくなりました。今、OFF-JTと自己啓発については非常に手厚く聞いていて、また政策に関する情報を収集するということで、キャリア・コンサルティングなどについて最近では一生懸命聞いていて、でも政策の流れのある中で収集したい情報というのは変わってくると思います。企業調査でもOJTを重視するという回答も見られるようなので、個人レベルで、どのくらい職場で仕事をしながら学びの機会があるかというのは、把握しておく情報なのかなと思いますから、もしできるようであったらそうした項目を復活していただいて、あるいは、もうちょっと分かりやすいように工夫していただくようなことをしていただけたら、奏効的な情報提供になるのかなと思いました。お願いです。

○小杉分科会長 調査設計のあたりで、できれば受け止めていただきたいということだと思います。

○稲原基盤整備室長 ありがとうございました。原委員が御指摘のとおり、平成24年度まで質問調査項目がございましたが、当時、調査項目が非常に多いということで精査した中で、25年度以降、その項目が外れているわけです。毎年、スクラップ・アンド・ビルド的に調査項目については総務省と審議させていただいているところですので、先生の御指摘も踏まえながら、調査項目につきましては検討していきたいと思います。

○小杉分科会長 それでは、この件について御意見等、よろしいですか。では、次の議題に移らせていただきます。次の議題はその他ですが、技能実習制度推進事業運営基本方針の一部改正についてです。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○高橋海外協力課長 海外協力課です。資料5により御説明申し上げます。外国人の技能実習制度については、この制度の推進事業運営基本方針を2点改正しております。1点目は公的評価システムにおける認定主体への変更です。これまで技能実習2号移行対象職種ということで、技能実習の2年目、3年目に進む際に、一定の評価制度を運用して、それを受けていただいて合格しないと進めないという枠組みになっていますが、その対象職種の追加に当たり、これまで厚生労働省が委託する技能実習制度推進事業の実施機関、いわゆる受託団体としてこれまで国際研修協力機構が受託しておりましたが、そこに設置しておりました公的評価システム認定会議において、御審議の上、認定していただいた経緯があります。この度、これを厚生労働省に引き上げ、職業能力開発局長が参集を求めて実施する「技能実習評価試験の整備に関する専門家会議」において、御審議いただき、認定する形式に改めております。

 また、対象となる職種・作業の追加については、今年41日をもって3つの職種・作業が追加になっております。(2)にあるように、食肉処理加工、惣菜加工が新規職種として追加になっております。また従来からある耕種農業については、作業ということで果樹作業が追加になっており、合計で次のページにあるように71職種130作業がこの対象職種になっている状況です。この改正については、この41日に大臣公示ということで、公布して即日施行にしております。

 なお、冒頭に申し上げた専門家会議の運営について1点追加で御報告いたします。これまで新たな職種・作業の追加については、業界団体から希望が出てまいりまして、それを私どもも含めて関係省庁で協議の上、基本的には具体的な公的評価システムの構築について、作業を業界団体に対してゴーサインを出し、その最終段階でこれまで専門家の委員の皆様方に出口の所でのみ、御審議いただき決定していただいていた経緯があります。これを若干改めて、3ページのフローの冒頭のマル1の関係者の合意の所の一番右に書いているマル2の所です。入口の所でも業界団体から私ども関係省庁に打診があり、その上で関係省庁と協議して、その次に具体的なシステムの構築・整備に入る前に専門家会議を開催して、委員の先生方にあらかじめそうした情報を提供し、意見等を拝聴してまいりたい。そういうプロセスを追加したいというような運用改善をしましたので、その点も併せて御報告いたします。以上でございます。

○小杉分科会長 ただいまの説明について、御意見、御質問を受けたいと思います。

○新谷委員 技能実習制度については、従来からさまざまな課題があって、人権問題を含むような課題があって、今般、法務省と厚労省と共管で審議が行われて、いわゆる技能実習新法という名前の法律がもう出ていっていることは承知しております。早く成立すればいいなと思いますけれども、あの法案の中にも書かれてある管理の強化という所、それと職種の拡大、期間の延長など両方入っておりますが、従来からの課題の1つであった対象職種の拡大の検討プロセスについて、今回見直しをされるというのが提起の内容だと思います。2枚目に現行と改正点で書かれていて、現状は実習制度の推進事業の実施機関、JITCOですね。この中に評価委員会を設けるということであり、管理する側と推進する側とが両者一体になっていることが問題であって、管理が全然できていないのではないかということで、総務省の行政監査でも引っ掛かってくるような状況の中から、ここの評価の部分については厚労省内のほうに移すとのことですので、これ自体は良い方向で動いていると評価したいと思います。ただ改正後のものをみてもらっても分かりますが、この専門家会議は技能実習制度の技能の評価を中心に評価方法があるのか、試験の実施主体等々、正しく技能評価に着目した専門家会議という性格であると思います。

 今回、追加された所は3つあり、特に果樹作業の所については青森のりんごなどが本当に東南アジアでできるのかという、基本的な、根本的な技能実習制度という本来の国際貢献という意味から、東南アジアでりんごはできないでしょうという話からもともとあって、ミクロの面で見ると技能評価だとこの専門家のシステムでいいのですが、全体的な日本の雇用、労働市場へ与える影響というものは労政審との関与が必要ではないかと思っているのです。今回のこの見直し自体はそれでいいと思うのですけれども、そういった労働市場への影響を新規職種の追加というところで、どのように労政審との関係で関与させていくのか。させるつもりがあるのかないのかといったところを聞かせていただきたいと思います。

 具体的に実は問題も既に起こっていて、これも新聞報道等もされていますしネットでも結構話題になっていますが、経産省が3月にコンビニエンスストアの店舗の運営について外国人の技能実習制度という形で職種の拡大をしたいという報告書の取りまとめをしました。ネットではいろいろなことが書かれていまして、コンビニにいよいよ奴隷を入れるのかような厳しいところが書かれているのは見ていただけば分かるのです。やはり今の技能実習新法が通って施行されればもう少し管理が強化がされるので、修正されると思いますが、やはり途上国から来られる方と我が国との経済格差がそのまま処遇の格差で持ち込まれてくる可能性があるわけです。最低賃金でももう十分働くという方が来られますので、このときにこの制度の根本である日本人と同等以上の報酬を払うというものがないと、チープレイバーが技能実習という形で入ってくることになりかねません。それがどんどんこのシステムを使って、単に試験ができて、評価ができてということだけでどんどん職種が拡大される。そのときにやはり労働市場のチェックがどこで働くのかが一番気になるところでありますので、その辺の考え方について教えていただきたいと思います。

○宮川職業能力開発局長 技能実習そのものについては、先ほど新谷さんからお話があったとおりです。技能実習制度については、3年間で技能を身につけていただいて帰っていただく。今後、優良な方については5年間になりますが、一定の程度の技能を身につけてもらったら帰っていただく制度です。そういう制度ですので、私どもの関与としては、技能を身につける、技能という問題についての関与という形で法務省とセットでやらせていただいています。法務省は入国管理という立場から、私どもは能力開発という立場から行っております。先ほど申しましたようにこういう仕組みですので、その過程の中でこれが労働・雇用市場問題としての問題かどうかという点については、今、申し上げたとおり、これはあくまでも技能実習という形での国際協力という位置付けになっておりますので、そういう観点での御議論の形のものは、この制度そのものの本質的な制度としては入っていないところです。

 したがいまして、この労政審、特に能開審との関係で申し上げれば、この制度そのものについては、先ほど申したように制度そのものが両省の境界にまたがる所ですので、両省の、具体的に言えば有識者会議等で制度設計についての御意見を伺うなどの仕方で今回やらせていただきましたし、今後もその考え方は基本的には変わらないと思っております。したがって能力開発行政の観点あるいは広く労働行政の観点から、御意見等があれば、その御意見等について審議会の中で御議論いただくことはあり得るべしだと思っております。基本的な考え方としては、これが能力開発としてきちんとなっているのかどうかという点でのチェックが、今、申し上げました新しい能力開発局長の下での整備に関する専門家会議の役割だということは御理解いただきたいと思います。

○新谷委員 仕組みについては十分理解した上で申し上げております。従来、業界団体から業所管官庁に対して、この業界は人手が足りないので外国人技能実習生を入れてほしいというような要望があって、それを受け取った農林水産省、経済産業省が厚生労働省に持ち込んでくるという流れで、その中でJITCOが絡み、公的評価システムという会議体で対象職種を拡大していくというプロセスだったと思います。それを今回、厚生労働省の職業能力開発局長に引き取るということで、専門家会議に意見聴取をするというのがマル1の右端に書いてあります。我々としては専門家会議に委員として参画させていただいているのですが、専門家会議で我々の意見、専門家はいろいろな方がいらっしゃいますので、専門家の方々それぞれ意見をおっしゃると思うのですが、是非、そこでの意見の尊重をしていただき、総合的な判断を職業能力開発局長としてお願いしたいということを重ねて申し上げておきます。

○小杉分科会長 御意見を受け止めていただければと思います。

○宮川職業能力開発局長 趣旨を踏まえて、専門家の御意見については十分に尊重したいと思います。

○小杉分科会長 この件については、ここまででよろしいでしょうか。最後にもう1つ議題があります。簡単にお願いいたします。最後の議題は「日本再興戦略」改訂2015についてです。事務局からお願いします。

○吉永総務課長 議題となりました「日本再興戦略」改訂2015について御説明申し上げます。今年630日に閣議決定されたものです。この中で雇用労働関係の問題がかねてから取り上げられておりまして、そのうち能開局関係、当分科会所管関係も入っておりますので、時間が押しておりますので、かい摘んで御説明いたします。

 資料のマル2に「セルフ・キャリアドック(仮称)」の導入促進があります。セルフ・キャリアドックというのは定期的に労働者の方の職務能力を見直して、その後どのようなキャリアに歩むべきかを確認した上で、身につける知識、能力、スキルを確認する機会という形です。こういった機会を助成金等を拡充して普及を図っていくことが記載されております。

 マル3は先ほど申した浅井先生からの御指摘で、若干御説明しましたが、教育訓練休暇制度・教育訓練短時間制度、自己啓発促進の観点から普及を図っていく。これも助成金の関係で活用していくものです。マル4が能力評価制度の取組の促進で、先般、御議論いただき、現在の勤労青少年福祉法の改正の中で取り組んでおりますが、業界検定について普及促進を図るとともに、その前提として社内検定の普及も図っていこうというものです。マル5については、雇用型訓練を拡充していくものです。

3ページのマル13です。先ほど冒頭に御審議いただいたものですが、職業実践能力の獲得に資する教育プログラムへの教育訓練給付の支援ということで、職業実践力育成プログラムの認定制度等々を対象とするよう検討するという記載があるものです。以上、簡単ですが御紹介させていただきました。

○小杉分科会長 この件について御質問、御意見をお願いします。

○豊島委員 今、御説明がありましたセルフ・キャリアドックの導入促進ということについて、「『日本再興戦略』改訂2015」ということで閣議決定されたということですが、大変細かいことまで、この「『日本再興戦略』改訂2015」には書かれております。この「セルフ・キャリアドック制度の導入・実施促進を図る企業に対する雇用保険を通じた積極的な助成支援」、それから、「働き手個人がこれを受けた際の経費の一部について、一般教育訓練給付の対象とすること等個人への支援策について検討し、本年度中に結論を得る」ということまで決められております。このテーマについて本分科会でも雇用保険部会でも労働政策審議会でも、議論した経過は存じ上げておりません。こういう細かい制度設計や労使が負担している雇用保険を財源とすることについて、閣議決定でいきなり決めるというのはいかがなものかと考えていることを申し上げておきます。

 厚生労働省があずかり知らないところで閣議決定されるということはあり得ないと思いますので、事の経過について、お聞かせいただきたいと思います。それから「『日本再興戦略』改訂2015」れを受けて、本年度中に結論を得るということになっておりますが、議論の進め方についてどう考えているのかをお伺いしたい。それから雇用保険財政を活用してどの程度の助成制度を設けようとしているのか、現時点でのお考えを伺いたい。

 この3点ともう1つ疑問があるのは、この間キャリアコンサルタントの議論があったり、先ほど来、ジョブ・カードの議論がありますが、そういったことも関わってくるような気がしていて、ある助成制度は今まである別の助成制度と何か重複する所があるのかないのかよく分からないということもあります。こういうことがいきなり決まったことに対する違和感があります。それと同時にもう少し、今日は時間がありませんが、これから議論するに当たり、今の疑問について簡単に説明していただきたいと思います。

 基本論ですが、ずいぶん昔に雇用保険財政が極めて逼迫したとき、失業給付の切り下げ等について労働側も苦渋の判断をして、それを受け入れたことがありました。それから雇用保険財政は好転して、景気の動向もあったのでしょうが、今はそれなりに資金があるとのことです。それを次から次へと一般教育訓練給付などのようなものを拡大していき、あれもこれも、どれが何なのか分からないような感じに少しなってきております。もう少し雇用保険を財源とするときに、メニューが分かりやすくなるようにしてもらいたいということです。それこそ行政の担当者だけがよく分かっていて、ほかのメンバーはよく分からないということがあってはいけないと思うので、先ほど来いっぱい出ていますが、雇用保険の本来の趣旨に沿って分かりやすい形で運用していただくようにお願いしたいと思います。

○吉永総務課長 時間が押しているので、かい摘んで御説明します。もちろん閣議決定ですので、厚生労働大臣を含め、官邸から内々の調整が行われて、了解した経緯があります。その上で、先ほども繰り返し申し上げましたが、勤労青少年福祉法の改正の中で、キャリアコンサルタントについて法定資格化する形で、これを活用する形で個々の労働者の能力アップを図っていこうということは基本的な課題だと考えております。

 これの導入促進についての助成金は今年度から導入しているということで、基本的な枠組みは大きく変わるものではないと考えております。その上で御提案いただいているのは、定期的なキャリアコンサルタントを受ける機会を普及させていこうということですので、そういう意味では現行の枠組みを若干マイナーチェンジする必要はある部分はあるわけですが、いずれにしてもこれらの制度化に当たりましては、施行に当たりこの分科会における議論をしていただくことだろうと思っております。

 最後の一般教育訓練給付の部分については、職業安定局で担当する形で考えております。能開分については、そういう形で考えていくことだと思っております。

○宮川職業能力開発局長 もともとこれは産業競争力会議で厚生労働省も入った形で議論している中で、もちろん産業競争力会議は非公開のものもあれば、公開のものもあるのですが、いずれにしても私どもとして現行の方向性の中で、今、総務課長が申したように、いわばマイナーチェンジすることで、いろいろなものができるものがあるのではないかという形でのプレゼンはさせていただきました。それを踏まえて閣議決定になったという点については、そういう経緯であったということは経緯として御了解いただければと思います。

○豊島委員 手順前後の話だけはまた念頭に置いて、今後も対応いただきたいと思います。

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかにございましたらどうぞ。

○新谷委員 今日はもう時間がきておりますが、今日は議題がたくさんあって、本分科会はもともと公労使それぞれから意見がたくさん出ますので、いつも時間が足りないと思っています。冒頭の事務局の説明が30分近くかかって、会議全体の時間のうち4分の1も時間を取っています。今後は会議の運営について、もう少し事務局も考えていただきたいと申し上げておきます。議題1の重要な内容が次回、政省令の改定について諮問する話が先ほどありましたが、中身は全然詰まっておりません。予算はどうなるのか、この概要がまだ見えていない中で、十分論議は尽くされていないと思います。1回説明して、次回に政省令の改定で諮問するということになると、我々も判断はつきかねますし、まだまだ論議したい点が今日、たくさんありましたが、議題が多いので話ができていないのです。したがってこの重要な第1のテーマについて、改めて次回論議をする時間を取っていただきたいとお願いしておきます。

○小杉分科会長 その件についてどうぞ。

○吉永総務課長 説明の時間配分につきまして不手際があり恐縮です。次回以降、きちんとした議論ができるような時間配分を考えていきたいと考えています。いずれにしても今回で決めるということではありませんので、今後の分科会の場でいろいろな御意見を頂戴しながらまとめていく方向で調整させていただければと思いまうす。

○小杉分科会長 よろしゅうございますか。それでは本日の議論はここまでといたします。次回の日程については改めて事務局から連絡いたします。本日の議事録の署名人は労働者側は豊島委員、使用者側は高橋委員、よろしくお願いいたします。それでは本日はこれで終了いたします。御協力どうもありがとうございました。


(了)

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