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2015年7月13日 第2回保育士養成課程等検討会

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成27年7月13日(月)


○場所

中央合同庁舎第5号館 6階 専用第23会議室


○出席者

構成員

汐見座長、小川副座長、網野構成員、河端構成員、近喰構成員、藤林構成員、前田構成員、
三代川構成員、村松構成員、矢藤構成員、山縣構成員

厚生労働省

朝川保育課長、楠目企画官、田野保育課長補佐、馬場保育指導専門官

○議題

(1)保育士試験の実技試験について
(2)その他

○議事

○田野課長補佐 それでは、少し時間前ですが、皆様お揃いになりましたので、ただいまから、第2回保育士養成課程等検討会を開催いたします。構成員の皆様方におかれましてはお暑い中、またお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は構成員11名に御出席をいただいています。なお、阿部構成員、石渡構成員におかれましては、本日御欠席との御連絡をいただいています。ここで、前回御紹介できなかった構成員の方々を御紹介いたします。1人目が甲南大学マネジメント創造学部教授の前田正子構成員です。

○前田構成員 皆様、おはようございます。前田でございます。よろしくお願い申し上げます。

○田野課長補佐 続きまして、岡崎女子大学子ども教育学部教授の矢藤誠慈郎構成員でございます。

○矢藤構成員 矢藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、新たに78日付で保育課に着任をいたしました、事務局の職員を御紹介いたします。企画官の楠目でございます。

○楠目企画官 おはようございます。よろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 最初に資料の確認をさせていただきます。本日配付いたしました資料ですが、議事次第、資料1から4まで、参考資料1から参考資料4までとなっています。参考資料4については、村松構成員から御提出いただいた資料を、お付けしています。また、席上配付資料として、625日付で厚生労働省のホームページに掲載されております「平成27年度子ども・子育て支援推進調査研究事業」で公募されております調査研究課題のうち、調査研究課題2ということで、「保育士養成のあり方に関する研究」についての資料を席上配付しております。これにつきましては、実技試験を講習又は実習に代えるという議論の後に、御議論いただく養成課程と試験の問題の内容の整合性についての比較検証に関する検討課題に関係する調査研究の課題です。資料の欠落等がありましたら、事務局までお申し付けください。

 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。傍聴される皆様方におかれましては、事前にお知らせしております、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移ります。汐見座長、よろしくお願いいたします。

○汐見座長 おはようございます。よろしくお願いいたします。それでは、本日の議事に入ります。議事は2つありまして、1(1)保育士試験の実技試験についてです。これについて、事務局より説明をお願いいたします。

○田野課長補佐 資料の順番で御説明いたします。資料1です。資料1は前回の第1回に御意見をいただいた主なものということで書き出しております。1つ目が講習又は実習をどこで受けるのかという御質問がありました。2つ目が一律講習又は実習を受けさせるのではなくて、保育士試験の受験前に講習又は実習を受けることによって、実技試験を免除するという方法がよいのではないかという御意見をいただいております。

3つ目は評価についてです。講習又は実習に合否判定を設けるのかということ。合否判定を設ける場合はその判定を誰が行うのかという御意見をいただいております。その次は、実習による場合には、現状を考えると保育所において受講者の受け入れはなかなか困難な状況があるので、配慮が必要という御意見です。また、次が評価のマニュアルが必要ではないかということです。1つ飛びまして、保育所の現状を踏まえて、講習と実習を組み合わせた形で実施してはどうかという御意見を頂いています。保育の関係を知らない方がいきなり実習を受けることになるので、実習の質が担保できるようなやり方ができるのかという御意見をいただいています。また実習に当たっては、保育所だけではなくて乳児院や児童養護施設等も含めてはどうかという御意見をいただきました。

 平成28年の保育士試験の実施時期について、これまでは8月に行っていたものを4月に変更するのであれば、早目に周知したほうがよいという御意見をいただきました。これについては、平成2769日付で事務連絡を発出しておりまして各都道府県あてに423日、424日に筆記試験、実技試験については73日ということで、同日に行うことを都道府県に対してお願いをしております。これにつきましては各都道府県、あるいは実際に試験を実施していただく全国保育士養成協議会のホームページにも、試験日について周知を図るということでお願いをしています。一番最後は、資格取得後の保育士の質の向上を図る必要があるのではないかという御意見を頂いております。

 これらの御意見を踏まえまして、資料2に今回考えている「実技試験に代えて講習又は実習を実施する場合の実施方法等の骨格()について」ということで、先生方の御意見を踏まえて作成したものを資料としてお作りしております。

 「1 考え方の主な論点」として、大きな枠組の整理ということで書かせていただいております。(1)が試験の受験者に多様な選択肢を提供するという観点から、実技試験に代わる講習又は実習を、「保育実技講習」と仮に申し上げますが、この講習を受講した方については実技試験を免除するということにしてはどうか。

2つ目がこの講習について、実習を行う場合は、保育現場をよく理解できるようにすることが必要。実習に行くまでに予め必要な表現技術等を身に着けておく必要があることから、実習のみを行うのではなく、講習と実習の両方を組み合わせて行うことにしてはどうか。2の意図するところは、講習だけというやり方と実習だけというやり方を前回御提示させていただいたのですが、なかなか実習だけということですと、本来求める効果が得られないのではないかということで、今回は講習のみのやり方と、講習と実習を組み合わせるやり方の2パターンで考えてはどうかということで整理をさせていただいております。

 「保育実技講習(仮称)の骨格()」ということで書かせていただいています。(1)は時間数です。これは30時間程度、日にちにしますと4日から5日程度を目安としてはどうかということで整理をしています。30時間といいますのが、※の所で考え方を整理しておりまして、保育士養成課程の「保育の表現技術」の修得単位が4単位となっています。この「保育の表現技術」の中身としましては、「身体表現」「音楽表現」「造形表現」「言語表現」の4つで構成されておりますけれども、保育士試験の実技試験では、このうち、「身体表現」を除く3つが出題範囲となっています。このことを踏まえて、実技講習の時間数を考えたときに、「保育の表現技術」が4単位というのが45時間に相当するものであるということを踏まえますと、4科目のうち3つを実技試験で出題範囲としているということで、45時間の概ね3/4程度の時間数ということで、大体30時間程度にしてはどうかという整理をしています。

 続きまして2ページ、(2)講習の内容ということで整理をしています。1「講習のみ」あるいは「講習及び実習」を組み合わせて行うやり方のいずれかで実施をしていくことにしてはどうか。2「講習のみ」の場合については、「保育の表現技術」にある「音楽表現」「造形表現」「言語表現」の3つを全て実施するということとし、「講習及び実習」を行う場合は、時間数等の関係もありますので、保育士試験の実技試験と同じように、3つのうち2つを実施する。これについては実施する機関が選択をして、2科目を実施するということにしてはどうか。3が実習については前回、御議論いただきましたときに、養成施設と違いまして、御自身では勉強されていることと思いますが、何も保育について学んだことがない方について、いきなり実習に入っていくのは難しいのではないかという御意見もいただいております。実際、保育士養成施設の養成課程の中で実習を行う場合も、まずは見学実習から入って、そのあと観察実習、それを踏まえてから小さいお子さんの中に入って参加実習ということで、段階を踏んで行うというお話があります。今回、いきなり実習ということで入っていただくというのは難しいのではないかということで、見学実習を2日程度という形でカリキュラムを組んではどうかということで整理をしています。

4は、実習に当たっては事前のオリエンテーションと、実習後の振り返りの時間を設けるということにしてはどうか。5は、実習については、講習を実施する機関が適切と判断した保育所において行うことを原則とするのですが、可能であれば、保育所以外の児童福祉施設、乳児院や児童養護施設で実施するということも望ましいということで書いております。2日間ですので、1日は保育所、1日はそれ以外の児童福祉施設で実施するということも望ましいということで書いています。

6「講習のみ」を実施する場合も、保育の現場が理解できるように、DVD等の映像を活用して理解を深める。7は評価についての部分です。原則として、講習に全ての時間出席をしたことをもって講習を修了するということ。ただし、その受講態度が著しく不適切な場合は修了としない。修了としない場合の判断の基準は、それぞれ講習を実施する機関が基準を決めていただいて、適正に判断、評価をしていただくということにしてはどうか。

(3)です。講習を実施する機関ですが、基本的にはあらかじめ都道府県に届け出た指定保育士養成施設に担っていただくということ。「又は」ということで書いていますが、指定保育士養成施設が少ない地域もありますので、そういったところは都道府県が適切な団体等に委託をして実施するということも可能としてはどうかということを書いています。

(4)です。「実技試験が免除される期間」ということで、一度講習を受けて、例えばなかなか筆記試験が合格できなくて、10年間かかりましたという場合も、講習を有効とするのかというと、適当ではないと思いますので、筆記試験の一部科目免除が合格した年を含めて3年間、科目合格が有効となっていますので、同じように考えまして、講習を修了した後、引き続いて行われる地域限定保育士の3回の実技試験について免除するというようなやり方にしてはどうかということで整理をしています。

3ページは講習のカリキュラム()です。(A)ということで、講習を実施する場合ということで書いています。全体を見ていただきますと、保育の表現技術の総論、音楽表現、造形表現、言語表現、まとめということで構成しています。音楽表現、造形表現、言語表現の概要につきましては、保育士養成施設でのカリキュラム、シラバスと同じ内容を記しております。表現技術を受けていただく前に総論ということで、180分時間を設けて、「ねらい」ということで書いていますように、表現技術についての意義や目的について理解していただく。「教育に含むべき事項」ということで、意義とか子どもの発達への影響、あるいはDVD等の映像教材を活用して、保育の現場を理解していただくというようなことを、総論の中でやってもらったらどうかということで書いています。

 以降、音楽、造形、言語については演習ということで、それぞれ450分、5コマの時間数でやってはどうか。「ねらい」の所に書いていますが、保育の内容を理解し、子どもの遊びを豊かに展開するための必要な知識や技術を習得すること。2つ目に音楽、造形、言語の表現活動に正しい知識や技術を習得する。3つ目が表現活動に係る教材等の活用及び作成と、保育の環境構成及び具体的な展開のための技術を習得するというのを「ねらい」にしまして、それぞれ「教育に含むべき事項」ということで、音楽でいきますと、音楽の表現に関する知識と技術、身近な自然やものの音や音色、人の声や音楽等に親しむ経験と保育の環境、子どもの経験や様々な表現活動と音楽表現とを結びつける遊びの展開ということで、養成課程のシラバスと同じ内容になっております。同じような内容で造形表現と言語表現についても整理をさせていただいています。

 まとめということで、これらの音楽、造形、言語について学んでいただいたあとに、今後の展開について理解するということで、実際にそこで学んでいただいた内容について、グループで成果の発表ということで、何か劇をやっていただいたりとか、この時間内でできる範囲でということですが、成果の発表をしていただいて、その成果について、今後、実際に保育の現場に出たときには、こんなふうにするといいですよという評価や課題を講習を実施する機関で提示していただくということをしてはどうかということを書いています。

5ページは「講習及び実習を実施する場合」のカリキュラムです。最初の総論や音楽表現、造形表現、言語表現までは講習だけを実施する場合と同じなのですが、ただ、音楽表現、造形表現、言語表現の時間数が少し短かくなっています。講習だけでやる場合は5コマになっていますが、3コマということで、その時間数が減っているところについては、見学実習ということで、実際に保育の現場で表現技術を学んでもらうということにしてはどうかということで、時間数を設定しております。

6ページ目です。「見学実習」ということで書いていまして、見学実習の前に事前指導ということで、講義90分を設けております。「ねらい」は見学実習を行うに当たっての配慮事項や、ポイントについて予め学んでいただくということ。「教育に含むべき事項」も、実習の目的、ポイントと配慮事項ついて事前に知っていただいた上で、見学実習を2日間やっていただくということにしております。見学実習の「ねらい」としては、保育所の役割や機能を理解する。2つ目が保育士の業務内容や職業倫理について理解する。3つ目が保育の表現技術の実際について理解するというような「ねらい」を書いています。

 右側の「教育に含むべき事項」ということで書いていますが、(1)で見学実習による保育現場の理解ということで、保育所における生活と一日の流れ、子どもの観察とその記録、次が子どもへの援助やかかわり、保育計画や子どもの発達過程に応じた保育内容、その次は生活や遊びと保育環境、子どもの健康と安全。(2)で専門職としての保育士の役割と職業倫理というのもそうなのですが、保育士養成課程でいきますと、保育実習1から引っ張ってきた内容になります。

 見学実習なのですが、基本は見学をしていただくということなのですが、可能であれば、受け入れていただく保育所によっては、子どもの中に入って、読み聞かせなどをやっていただけるような形ができればと思います。

 その次の7ページです。「教育に含むべき事項」の「(3)保育現場における保育の表現技術の実際」ということで、状況に応じた保育表現を見ていただくということです。※の1つ目に書いておりますのは、見学実習各日の最後に30分程度、実習施設の保育士さんとの質疑応答ということで、見学実習をして感じたこと、あるいは疑問に思ったことなどを質疑応答をしていただくと理解が深まるのではないかと考えました。

 ※の2つ目ですが、見学実習各日終了後におきまして、講習を受講した方の態度や行動等について、特記事項といいますか、気になることがあれば、実習先の施設から講習実施機関に伝達していただくようにしてはどうかということを書いています。見学実習ですので、そんなにトラブルになるかどうかは分かりませんが、例えば保護者の方と何かトラブルを起こしてしまったということがあれば、重要なことですので、そういったことは実習する機関にちゃんと伝えていただくということにしてはどうかということです。

 一番最後が「保育見学実習(事後指導)」ということで、演習150分を設けております。これは反省会というか、振り返りをしていただくということで、「教育に含むべき内容」ということで、見学実習の総括と自己評価、課題の明確化、場合によってはレポートを書いていただくといったことをしてはどうかということで、カリキュラムを組んでおります。どちらも30時間、見学実習がある場合も講習16時間と2日ということで同じ時間数に設定をしております。

 続きまして資料3です。資料3は「保育実技講習を含めた保育士試験の流れ(イメージ)」ということで、資料を作っております。右側のほうが、保育実技講習(仮称)をやる場合の流れということで、保育実技講習(仮称)による受講、下から上がっていくイメージなのですが、実技の免除を希望する方については、あらかじめ保育実技講習(仮称)を受けていただいて、講習終了後に受験申請があって、筆記試験があって、実技試験については講習を終了しているということで免除をして、保育士の資格を取得するという流れで考えてはどうかということです。

 注意が必要なのは、保育士の筆記試験、例えば先ほど申し上げましたように、実技講習の有効期間が3年と考えた場合には、筆記試験が3年の間に合格しないと、講習の修了というのが適用されないということになりますので、そういったことをあらかじめ講習を受講される方にはよく御理解いただいた上で実施することが必要と考えています。

 続きまして、資料4です。資料4は「保育実技講習(仮称)」と「保育士養成課程」の「保育の表現技術」を比較をしたものです。左側が今回、カリキュラムを御提示した「保育実技講習(仮称)」のカリキュラムで、右側が保育士養成課程の「保育の表現技術」の内容となっております。ざっと見ていただきますと、項目はほぼ同じような項目で、保育実技講習(仮称)が30時間、養成課程が実質45時間ということで違っていますが、内容については同様の内容で設定していますということを図で表したものがこの資料です。

 もう1つ簡単に御説明しますと、参考資料3です。プレスリリースをしましたカラー刷りのものを添付しております。これは「地域限定保育士試験の実施について」ということで、710日にプレスリリースをしたものです。平成27年通常国会において、78日に「国家戦略特別区域法及び構造改革区域法の一部を改正する法律」が成立をしております。この「地域限定保育士」につきましては、試験合格から3年間は国家戦略特区の区域内のみで保育士として通用する資格であり、3年を経過した後は地域を限定せずに、日本全国で保育士として働くことを可能とする資格ということです。8月に全国で行われる試験とは別に、2回目の試験ということで、筆記試験について平成271024日、25日、実技試験については1213日に実施をいたします。実施自治体につきましては神奈川県・大阪府・沖縄県・千葉県、千葉県については対象地域が成田市だけになりますが、実施をします。先週の金曜日にプレスリリースということで、閣議後に大臣にも御発言いただきました。ホームページにも掲載しております。資料の説明は以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。今の事務局からの説明を受けて、自由に意見交換をしたいと思います。どの部分からでも結構です。御質問、御意見をお出しいただきたいと思います。

○山縣構成員 2点質問させていただきます。1点目は実習の2日間という案ですが、養成施設側は、実習場面は全く立ち会わない、事前の書類とか事後の報告で良いというように理解をしていいのでしょうか。訪問とかも行かなくていいという、そういう意味です。

2点目は最後のプレス発表に関連する部分ですが、これを見ていると、実技試験を課していますが、今と全く一緒ということですね。これで通ったとしても、やはりこの日程で受けた人については、「地域限定保育士」という形になってしまうという理解でいいでしょうか。以上、2点よろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 事務局です。ちょっと説明漏れした部分があり、大変申し訳ございませんでした。1つ目は、例えば養成施設が実施する場合は立ち会わなくていいのかということについては、立ち会っていただけると一番いいのですが、なかなかそこまでは難しいのではないかとも思っていますので、必ずしも立ち会っていただくことを想定しておりません。コーディネートというか、ここがあなたの実習場所ですというところまできちんとやっていただき、事前の指導、事後の指導ということをお願いしたいと思っております。

2つ目ですが、先ほどきちんと御説明していなくて申し訳ありませんでした。今回御議論いただいている実技試験を講習実習に代えるという部分は、平成28年の地域限定保育士試験からの適用をお願いしたいということで考えております。今回の平成27年にやる試験については、時間的な問題もありますので、通常の保育士試験と同じように筆記試験、実技試験を受験していただくことで整理をしております。

○山縣構成員 それでも、同じだから実技試験を受けても、その地域でしか働けないという、そういう理解でいいですね。

○田野課長補佐 そのとおりです。

○山縣構成員 分かりました。

○汐見座長 よろしいでしょうか。

○矢藤構成員 矢藤です。3点お願いします。1つは技術的なことですが、このスライドの1ページの保育の表現技術4単位45時間と書いてらっしゃいますが、これは実質そうだと思いますが、大学で何単位何時間という場合に、1時間を45分として算定していますね。これは実質45時間と書いていただかないと、資料を御覧になった方は、ちょっと混乱されるかもしれません。それが1点です。

2点目は、次ページの講習及び実習を行う場合に、3つのうち2つを実施するということですが、本来、表現技術は4つ領域があって、それが実技試験で3つになっていて、今度、講義及び実習になると、また2つになってしまうということですが、それで大丈夫かなということです。例えば時間をもっと減らして、全ての領域をやるかということも検討の余地があるのではないかというのが2点目です。

3つ目は、村松構成員の参考資料にも出ているのですが、見学の中身、2日間14時間、じっと見学するのか、子どもの中に入って少し実践するのかといったようなことも中身を示すときに組み込めないかなということを考えています。実際、実習などで最初は見学実習とかの段階を踏みますが、でも、じっと見ているのではなく、実際に少しは観察したりもしますが、子どもの中に入って学んだことを試してみるようなことを、どこまでやるのかということをしっかりコンセンサスを作っておかないといけないのではないかと思いました。以上です。

○汐見座長 今の件については、どうですか。

○田野課長補佐 最初の「45時間」と書いた部分は、申し訳ありません。次のときに訂正させていただきます。

2点目は「講習及び実習を実施する場合」に、音楽表現、造形表現、言語表現のうち、3つのうち2つで実施するということで取りあえず整理をしております。これについては、時間数の関係もあったので、どうかと思ったのですが、先生方の御意見で、多少短かくしても、あるいはほかの時間を調整して、もうちょっと、ここの時間数を増やすといったことで、3コマにすることはもちろん検討の余地はありますので、そこの点については御意見を頂ければと思います。

3つ目は「見学実習」の中身ですが、正直申し上げて、いきなり何も学んでいない方が保育の現場に入って行くというのが少し抵抗があるのかなと思いましたので、見学実習という言い方をしております。思いとしては、できればお子さんの中に入って何かしていただくということが一番良いのですが、保育所側の負担も考えまして、迷いながら作っている部分です。この辺りも御意見を頂ければと思います。

○汐見座長 ありがとうございます。今の件については、また後で御意見をそれぞれいただきたいと思いますが。

○河端構成員 大変分かりやすい資料を作成してくださり、ありがとうございました。3点確認と、意見を述べさせていただきます。1つ目は、資料22ページの(2)3、ほかの構成員からも先ほど意見があった項目ですが、「実習は見学実習(2日程度)により行うこととする」と書いてあります。これは時間数についてもある程度の目安を書いておいたほうがよろしいのではないかと思いました。例えば17時間程度とか。そうでないと11時間とか2時間で済ませてしまうようなことがあり得るのではないかという懸念があります。

2点目は、(2)7で、「ただし、受講態度が著しく不適切な場合は、修了としない」と書いてありますが、「著しく」とあえて書く必要があるのかと思いました。著しくではなくても、子どもに対して不適切な態度を取るような方は修了としなくてもいいのかと、この辺の判断が分からないのですが、気になったので意見を申し上げました。

3点目です。(4)実技試験が免除される期間について、「地域限定保育士試験の3回の実技試験を免除する」と書いてありますが、3回は3年間という意味でしょうか。ほかの資料3で、「講習修了※3年間有効」と書いてありましたので、この3回が3年なのかを確認させていただきたいと思います。以上です。

○汐見座長 では、その3番目の答えについて。

○田野課長補佐 「3回」と書いてありますが、3年と同じ意味です。3年の間に引き続き行われる3回の試験ということで、「3年」と書いてある所と、「3回」と書いてあるところがあり、整合性が取れなくなっていますが、同じ意味で使っています。

○河端構成員 分かりました。

○汐見座長 その他の文言については、また後で検討していきますが、ありがとうございました。

○村松構成員 先ほど、「見学実習」の具体的内容についてお話がありましたが、私たち保育の現場では、見学実習であろうと、養成校の学生の実習であろうと、同じようなスタンスで実習生の皆さんを受け入れているのが現実です。

 今議論されているこの見学実習を引き受けることになったとした場合、園長もしくは主任保育士が見学実習の目的や方法等に関する話を、実技試験に代わる講習・実習を行う養成校等からうかがって、実施することとなると思われます。その実習の質の担保をするために、実習指導者のための事前講習会を受講するのは園長や主任保育士です。そうしたときに、見学実習の目的や方法等に関する事前講習会の内容が、実際に実習生の対応を行うこととなる現場の保育士たちまでにはなかなか伝わりにくいと思われます。現場における実習の際には、養成校の実習生に対する実習内容と、この見学実習に来られる方に対する実習内容とを明確に線引きして別のものとして実施することは、なかなか難しいのではないかと思われます。

 実際の実習の際、「子どもの中に入って活動してね」と言う保育士もいるでしょうし、「そこで見ていてください」と言う保育士もいるかもしれません。ですので、どのような実習を行うのか、どのような形で実習生を受け入れて欲しいのかといったことを明記したものが必要だと思います。

 それと同時に講習の総論について述べられる科目で、保育の現場とはどのような所かということを、きちんと御説明をしていただければ、非常に有り難い。そうした説明なくして、いきなり実習に入っても、そこで行われている保育の意味が分からないという方たちが出てくると思います。確かに何年か保育現場を経験してきたという方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう方たちにとっても、きちんとした講習を受けていただくということは必要かと思います。

その上で、実習という保育の体験となれば、お話だけ、講義だけではなかなか理解できないことが解決できるのではと考えます。このようなプロセスは試験に合格した保育士の質にも関わってくると思いますので、是非、取り入れていただきたいと思います。

○汐見座長 ありがとうございました。村松構成員からは(参考資料4)として、「保育士試験の実技試験を講習又は実習に代えることに関する意見」という文書が寄せられています。今、御発言くださったことと重なるので、特に2つ目の○ですが、「実技試験を講習または実習に代えるに当たっては、実習の質の担保(標準化)が必要」ということで、担当者の実習指導者講習会を受講することが社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士の資格取得のための実習で要求されているということで、これに相応するような何かということで、今、御発言になったのは、例えば文書でということでしょうか。

○村松構成員 はい、せめて文書にしていただきたい。それと同時に、実習を受ける側の事前講習もあれば有り難いです。

○汐見座長 これについて、事務局で何か考えていることはありますか。

○田野課長補佐 今後、検討させていただきます。

○藤林構成員 今、講習だけと、講習プラス見学ということで提示されていますが、2日間の見学で、どこまで質が上がるのかという議論もしなければいけなくて、正直言って、2日間の見学レベルで期待できることは大きくなく、体験するだけであれば別に今までやっていた地方などで、いわゆる都道府県試験と同じようにやるのであれば見学は要らないかもしれないなと、具体的なこういうカリキュラムを提示していただいた上で、今、考えている状況です。

 かえって現場のいろいろな負担を考えれば、講習だけではいけないのかなという印象を受けているとともに、先ほどの実技試験の実習指導者講習会は、保育士養成全体の問題で、今回のこの問題とはまた別で、切り離さないと社会福祉士や介護福祉士とは違いますので、社会福祉士、介護福祉士は、いわゆる養成の中で全体で行っていることであって、ちょっとこれはまた別だと思います。確かに将来的に保育士としては、実習指導者養成は考えなければいけないけれども、今回とは切り離すとすると、見学はやはり受入れ側の負担と、受入れ側の指導者の質の担保を考えると、まだ難しいのではないかという印象を受けました。

○汐見座長 ありがとうございました。今の件については、そうすると見学は必要ないと。

○藤林構成員 私はそう思います。

○汐見座長 つまり、2つのパターンに分けた。

○藤林構成員 講習だけのほうで。

○汐見座長 講習だけにしておいたらいいのではないかということ。

○藤林構成員 気持は分かりますが。

○汐見座長 分かりました。

○網野構成員 網野です。今、藤林先生のお話もありましたが、確かに村松構成員の御指摘は非常に重要なことですが、保育士養成課程等検討会の中で、ほかにも検討課題があるということで、その中で考える保育士養成の中での実習の位置付けというのは、これまでもどうもちょっとまだ弱いかなという部分がありますので、正に指摘されたような実習指導者講習会、これを今後の保育士養成のシステムの中で位置付けるということを大きな課題として、今後もし可能ならば是非検討していただきたいと思います。更にはもう1つ指摘されている初任者研修のようなことも大切にという、これも本当に大きな課題だと思います。したがって、養成課程での、もっと充実させなければいけない部分と、実際にフィールドに関わってから実践している場での、更に質の維持・向上とかということで、参考資料4の御意見は非常に貴重だなと私は読ませていただきました。むしろ、今、課題になっていることの検討も十分素材にして、是非とも今後、深く検討する機会をいただければと思います。

 更に、今回このような特別の保育実技講習を設けたという背景は、ほぼ私ども共通に理解しているとは思いますが、前回、ちょっと変な言葉を使わせていただきましたが、どうしても保育士試験は頭でっかち的なディメリットがあるという話をさせていただきましたが、やはりそのようなディメリットを解消する意味でも、今回は特区だけで平成28年度以降ということで進めておりますが、これも考えてみると、非常に大きな保育士試験全体に関わることと関係していると思います。

 私はどちらかと言うと、今回のこのような方向性については、1つの方策として進めていく上で、内容的にいろいろ前向きにできる部分もあるかなと思っております。先ほどの御意見のような、単に見学実習なら、というようなことが正にこれからいろいろ詰めていって、マニュアルもできるでしょうし、そういう中ではやはり、どうしても保育士試験が持っている限界を1つ打破する方法としても貴重かと思いますし、これを通常試験まで考えると、とてつもない数の受験者がおられるし、受験前にと言ったら、それこそパンクしてしまいますよね。だから取りあえず特区の場合はおおよその見通しも付きますし、現状としても可能だと思いますので、より意味のあるものとしてどうしたらいいかということで、もう既に御意見はいろいろ出ていると思いますが、それを深めていくことが大事だと思いました。

 それから、もう1つよろしいですか。資料22ページに、(2)講習の内容の5ですが、原則として、保育所でということで、「可能であれば、保育所と他の児童福祉施設等の複数の施設で実施することが望ましい」と指摘されております。保育士の仕事のうちでは、もちろん乳幼児時期の保育が、圧倒的なウエイトを占めていますが、やはり保育士としての有資格者という意味で、この点はきちんと踏まえておいたほうがいいと思いますので、例えば一番適切というか、可能性が高いと思うのは、障害児のための様々な施設、入所施設とか発達支援センター、通所施設とかも完全に視野に入れて、そのときのその表現とか言葉、音楽、これはやはり、特別な保育の力も必要ですね。ですから、保育園では統合保育とか障害児保育とかいろいろ進めていますし、それとも連動できるでしょうし、そういう点でやはり保育所ということだけに限らない視野で捉えて、しかも他の児童福祉施設の希望者がいたら、それは非常に結構なことだと思います。

 そういう点では、同じ資料26ページで、表現として変えていただけるとしたら、「保育見学実習」の1で「保育所の役割や機能」と書かれていますが、やはりここは「保育所等児童福祉施設の」と書くほうがよろしいのではないかと思いました。以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。確認させていただきますが、今の網野構成員の御意見は最初、ある程度地域限定的に行うけれども、長い保育士養成の在り方の今後の見通し等も考えた場合には、こういう方向での新しい一歩にはそれなりの意味があると考えるといった御意見です。

 その場合に藤林構成員から、ある意味では見学的な実習だけであれば、現場の負担のほうが大きい割には効果は期待されないので、むしろ、それぐらいだったらなくしてもいいのではないかというよりも、それはなくてもいいではないかという御意見だったのですが、網野構成員は、では、「見学実習」という言葉をとってしまうということで、例えば実習というようにもう少し広げてという、そういう御意見なのか、その辺の確認をしたかったのです。

○網野構成員 私は「見学実習」と絞ると、かなりこのような議論は出ると思いますね。全体の保育士養成の中では、「保育実習」という言葉ですので、その中の何を重視するかを検討して、ガイドラインのようなものの中で、どこにウエイトを置くのか、どのようなことをするのかを明らかにしていくことがよろしいかと思っております。

○汐見座長 ありがとうございました。このことについて、もう少し御意見を頂きたいのですが、その前に、今、網野構成員から資料26ページ、「保育見学実習」の所に、「保育所の役割や機能」ということを、「保育所等児童福祉施設の」という言葉にしたほうがいいのではないかと、この件について事務局はどうでしょうか。

○田野課長補佐 皆様がよろしければ、そのように修正をしたいと思います。

○汐見座長 このことについては、どうですか。

○小川副座長 小川です。私はもともとこの全国の保育士試験のあり方そのものに疑問を持っている人なので、今回は「保育士」と言っても、保育所の保育士が足りないというところから、2回目の試験が行われるという理解をしているのです。ということは、今、網野構成員がおっしゃった児童福祉施設、今現在、保育士は保育所とその他の児童福祉施設でお仕事はできますが、例えば保育所の保育と、児童福祉、障害を持っているお子さんたち、そのような所でお仕事する方たちと、それぞれもっと高度な質を持った、保育士という名前は分かりませんけれども、実はそちらになるのではないかと。

 保育士養成も、保育所の保育士と、そうではない保育の所でもうちょっと差別化を図って、それぞれ専門性を高くしたほうがいいのではないかということを考えて来ましたので、網野構成員が今おっしゃったことをここに入れてしまうと、今現在、保育士試験で5万人以上の人が受験して、3年間かけて保育士の資格を取っている人がたった9,000人。その9,000人の人が一体どのぐらいの人が保育園に実際に就職しているのか、あるいは児童福祉施設に、その他の児童福祉施設に就職しているのだろうか、その辺りの実態も分からない中で、今回特区のためのこの試験で、児童福祉施設の所へも実習という形で見学、あるいは行くということは、これ、ちょっと思ったのですが、例えば小学校以上の教員免許以上の方たちは、今、介護などの体験に行きますので、2日プラスで5日で7日間行っていますが、あれはもうそのように進められていますが、その一部にも重なってきます。もっと教育現場も混同していくのではないかと心配もあって、今回のこの「地域限定保育士試験」はあくまでも保育所の保育士のための試験でないのかなと、ちょっと私は考えたのですが、そこまで、網野構成員がおっしゃるようなところまで広げてしまっていいのかなと思っています。

○汐見座長 分かりました。今、大事な論点がいくつも出てきましたので、では、御自由にどうぞ。

○山縣構成員 進行の仕方ですが、藤林構成員が言われたように、「見学実習」をもし廃止したら、今の議論は飛んでしまうのですね。

○汐見座長 そうです。

○山縣構成員 先にそちらの議論を決めてからのほうが効率的ではないかと。

○汐見座長 そうですね。

○山縣構成員 それで、見学について意見を述べさせてください。私もなくてもいいのではないか。あるいは1日でいいのではないかと。それを上乗せすると、180時間の3課目でいけると。それは先ほど、矢藤構成員が言われた3分の2でいいのですかという部分を、時間は短かくなるのですが、カバーできる。それが養成校側と現場の負担の問題を私は実感ができていないので、養成校でいうと、1日でも2日でも見学実習をやると、そのための負担は相当大きいのではないかと。調整やいろいろな準備から。もう思い切って講義は負担になるけれども、全部講習方式にして、そこに資料2ページにあった「映像等活用して行う」ということをもっと強調して、しっかり現場も映像だけでも見せてくださいというようなやり方でいいのではないかと思います。

○汐見座長 今の御意見は、2パターンはあってもいいけれども、実習と講習をやる場合は、実習は1日にしてということですか。

○山縣構成員 究極の案は実習はなくてもいい。ただ、どうしても実習がやりたければ1日でいいのではないかという、第2優先順位です。

○汐見座長 その場合には、先ほどのように3科目中2科目ではなくて、3科目ということですね。

○山縣構成員 そうです。いずれにしても3科目やったほうがいいのではないかと。1日でも。ゼロの場合は当然3科目ですが。という意見です。

○汐見座長 分かりました。

○矢藤構成員 矢藤です。名称と実施の段階についてお話したいのですが、多分、「実習」という名前が議論を混乱させる部分があって、これも「表現技術実習」といった形で、はっきりその表現技術に関わる部分だということをしっかり出さないと、多分、養成校教員でも保育士試験の「実習」を本当に明確に理解している方はどれだけおられるかは、若干疑問があるかと思います。まず、名称の問題です。

15年前に全国保育士養成協議会の現代保育研究所が保育士試験について調査を行いました。今、詳細なデータを記憶していませんが、試験保育士の方も一定の経験を経ると、割と慣れるのですが、入職当初の不安がやはり大きいことがそのときの研究で明らかになっています。ですから、現場を1回見てみて、実際に映像ではない、生の現場を見て子どもに触れる機会があるというのは、ないよりましだと思うのですね。ないよりましというときに、更に、「まし」の度合いを高めたいときに、講習をまず受けて試験を受けるやり方をするのか、つまり講習を受けてから3年経って忘れた頃に現場に入っていくのか、試験をクリアした上で講習を受けて、要するに試験も受けて、ほぼ保育士になれることが分かった段階で、現場へ1日、2日なり行って、「表現技術」の実習を行う場合で、まだそのほうが、いずれにせよ、現場に負担を掛けざるをえない中で、しっかりやる気を持ってというか、そういった状態で講習に、実技の実習に臨まれるというのがより望ましいのではないかと思います。以上です。

○汐見座長 今の御意見だと、このスケジュールも根本的に変えたほうがいいのではないかという御意見とお伺いしてよろしいですか。

○矢藤構成員 はい、可能であれば。

○藤林構成員 今の御意見を聞いていて思い出しました。介護支援専門員がそれなのですね。いわゆる現場の経験がある人たちを、先に試験を受けてから講習会なのです。いわゆるケアマネジャーは。だから、そういうのもありかなと、今、一瞬思いました。ただ、介護福祉士にしても、介護支援専門員にしても現場経験はあるという前提で行っていくのと、全くない、そういう保育士はまたちょっと議論の土壌が違ってくるので、何とも言えませんが、多分いろいろな考えがあるから、どれに落ち着くのかちょっとあれですが、現場の負担をやはり軽減するためには、見学というのも何もなしのほうが私はいいと思います。その代わりにゲスト講師として、現場の人を呼んで来て、先ほどの山縣構成員がおっしゃるように、映像と現場の声を講習の中にフルに活していくというマニュアルを作っていくというのも1つの考えかなと思います。いろいろな考え方があるので何とも言えませんが、1つの御提案です。

○朝川保育課長 保育課長です。この検討会で今のテーマを議論していただいているきっかけのようなお話を申し上げますが、その上で、この専門的な検討会で結論を出していただくことは、それでいいのですが、なぜ2回目の地域限定試験をやるときに、実技試験ではなくて、実習あるいは講習かという議論が出てきたかということなのですが、1つは受ける側の心理的なハードルを下げてあげるということがあったと思うのです。我々の検討の過程なのですけれども、そういう中で実技試験と、しかしながら同レベルと言えるような質を担保できるような講習あるいは実習といったものは、どのように構成したら実現できるのか、そこを検討したいということです。

 当初、我々が考えていたのは、1回目の前回の議論でも提案したとおり、講習という道が普通は考えられますが、実習というルートでもいいのではないか。それはなぜかと言えば、矢藤構成員の御発言の中にもありましたが、試験ルートで来る人は、一生懸命に勉強されて試験を受かって、試験に受かれば、保育現場に入って行ってしまうというそういうことで、そのほかの児童福祉施設があってもいいのですが、保育所等の現場をもしかしたら全然接点なく入って行く可能性があるだろうと。それであれば、少し現場の感覚を得ていただき、試験ルートでもそういう機会を確保するルートを作ってもいいのではないかということで、選択肢として御提案を申し上げたわけです。

 その上で、しかし実習だけだといろいろな課題があるということで、前回御議論いただきましたので、実習と講習を組み合わせて今回の提案に至っておりますので、できれば実習が少し入ったような形のものが残ると、非常に意味のある形になっていくのではないかと思います。ただ、それが現場感覚あるいは専門的な質を確保する観点から、やはりちょっと難しいということであれば、それはその結論でよろしいのですが、一応、提案した趣旨はそういうところにあります。

 あとは、先ほど小川構成員がおっしゃった2回目の試験、地域限定試験をする意味ですが、保育所で働く人だけを想定しているかと言われると、そうではないと言わざるを得なくて、きっかけは確かに保育所の保育士が足りないから2回目の試験をするのですが、地域限定保育士試験で、仮に、例えば一部の科目を合格された方は次の年の通常の試験にそれを引き継げたりしますので、やはりこの試験は普通の保育士試験の一環の中に位置付けられていますので、必ずしも保育士になる人たちだけのために実施するものではないという位置付けにしたいと思いますので、そういう意味ではそのような実習のように位置付けられるのであれば、もしそれは保育所に限られなくてもいいのではないか。児童福祉施設、養護施設に関心を持ってらっしゃる方も受けるかもしれませんので、ということです。

○汐見座長 ありがとうございました。国のほうとしては、試験を受ける方の中に、現場が全く分からないまま現場に行かざるを得ないという人が多分いるだろうということで、試験の中に少しでも現場を知る、あるいは触れるという体験を入れていくという方向で試験を進めたいと。今回は地域限定ですが、多分、保育士養成の在り方、試験の在り方の大きな流れの中では1つのモデルケースだと考えているのだと思います。なるべくならば、それを少し、ある意味では実験的な意味もあるのだと思いますが、残していただきたいというような御意見だったわけです。

○村松構成員 先生方のお話を伺って、なるほど、それもそうだなと思うことがたくさんあるのですが、でもやはり実習という形を私は残していただきたいと思います。私の園では以前保育士が足りないとき、ハローワークに「保育士資格のある方求む」と出しました。そのとき応募してきた方たちは保育士試験を合格されて保育士資格を得た方たちでした。1回うちの園をのぞいて見てくださいとお願いをし、実際に保育の現場を見ていただきました。その方たちは、最終的に採用に至らなかったのですが、それは、お互いに保育現場で働いていけるのか疑問に思ったからだったように思えます。応募された方が保育の現場はどのような所なのかを実際に感じてみて、はじめて理解し、どうも自分には合ってないようだということでお断りをされたという経緯でした。それが私のトラウマになっていて、ハローワークを通じて保育士を求人することがためらわれ、保育士不足の解消に至っていない自園の現実があります。

 ですので、是非、どんな順番になるにせよ、実習と言いますか、現場をのぞいていただく機会を作っていただいて、それによって、自分がこの場でご自身の能力を発揮できるかどうかをご自身で感じていただくことは、その後、資格を得て、現場で仕事をするときにはとても大きな力になるのではないかと思います。非常に概念的なものの言い方で申し訳ありませんが、実習という形をどこかで残していただきたい。確かに現場には負担になります。しかし、それも現場の専門性の質の底上げにもつながってくるというように前向きに捉えたいと思います。

 ただ、専門性をどう捉えるのかという別の課題があります。私は話を聞きながら、理論的な専門性と、私たちが今使っている現場における専門性のどちらだろうか。やはり現場では、子どもたちとどう関わるかという部分における専門性の比重が大きくなる。しかし、そこには理論も携えてなければならない。そういう意味では、現場で子どもと向き合うことの実際と基本的な概念の両方を学んで資格を得ていくことが求められるかと思っています。

 幸いこの度、幼保連携型認定こども園ができ、今までの保育所だけではなく、3号認定の子どもたちを受け入れる施設も増えました。3歳未満児を受け入れる間口も広がっていると思われるので、その意味では、保育士の確保が大変かもしれませんが、保育士試験では、実習をしていただくことが、その後の現場で働いていただく皆さんにとっては必要なことかと思います。

 保育士試験合格者が、今どれくらいの保育現場で仕事をしているのか、保育現場とその方たちがのどれくらいマッチできているのか、統計データはないかもしれませんが、そうしたことも把握し、課題があれば対応していくことが必要だと考えます。いずれにしても、実習を実施していくことで、ミスマッチングを防ぐことにつながるのかと、現場としては考えています。以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。現場の側からで、全く保育所を知らないまま来られる人の、何て言うか、そういう人をうまく弾けるという意味でも、意味はあるのではないかということです。現場で引き受けるというのは大変だけれども、捉えようによっては、それは現場の力にもなるという御意見をいただきました。今、2つの意見が出ているのですが、どうぞ、御自由に。

○近喰構成員 私自身も実習の必要性は感じます。というのは、生きた子どもの姿であるとか、保育の営みを直に触れることの意味というのでしょうか、意義というものは非常に強いのではないかと思います。今までの実技試験ですが、絵本の読み聞かせであるとか、あるいは課題画を書くという形での試験が行われていますが、それよりもはるかに現場を知ることのほうが大事ではないかと私は思います。ただ、保育現場に対する負担を考えたとき、これがベストのやり方なのかどうかについてはやはり考慮しなければいけない部分もあるかと思いますし、また検討しなければいけないかと思います。以上です。

○前田構成員 私も、実習は大変現場の負担だと思うのですが、できれば残していただきたいと思うのです。つまり、皆様方にとって、保育の現場にとっては次の年の仲間になる保育士さんかもしれませんので、受け入れられる先生方にとっても、自分たちの能力ある後輩、仲間を育てられたほうが、逆に長期的に見れば現場の負担が、減るのではないかと思いますので、保育現場になるべく負担をかけない形で、実習を何らかの形で考慮していただきたいと思います。

 それから2点目は、地域限定保育士は御存じのとおり、3年たちますと全国で保育士になります。私の政令指定都市の行政にかかわっていた経験によりますと、むしろ保育園はいいけれどもということで、もっと深刻な人手不足は児童養護施設、一時保護所、それから障害児施設や障害児関係のデイセンターも今は大変増えているので、そこの保育士が圧倒的に足りません。

網野構成員に言っていただいたとおり、保育に関わるということ、子ども養育に関わることはどれくらい幅広く奥深いものかを、是非少しでも見ていただければ全然違うと思うのです。私も行政に入って初めて、訓盲院と言います全盲の子専門の児童養護施設なども見学しました。こういう場面でも保育士さんが働いているのかということを私も初めて見ました。そういうふうに保育士養成校を通ってきても無論のこと、幅広い児童福祉の現場をなかなか見ることはできませんので、そういうチャンスを与えてあげればと思います。

 それから3点目です。今回は表現技術の実技試験を講習で置き換えるかどうかということであくまでも議論をしているわけで、今から私が申し上げることは、むしろ第4回以降の指定保育士養成施設の養成課程と保育士試験との整合性の検証に関わることですので、すぐどうこうというわけではないのですが、少しだけ私の問題意識をここでお伝えしたいと思うのです。

 私がこの検討会にいるのはなぜかと言いますと、「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会」というのが立ち上がっていて、私はそこの委員をしているからだと思います。御存じのとおり、毎年、認可外、認可含めて10数人の乳幼児が命を失っていて、もちろん不慮のお子様の病気などもあるのですが、残念ながら認可保育園においても事故があることも否定できない事実です。養成校ではプログラムを見ると、「子どもの保健」というのがあって、養成校の方々はしっかりそこで受けられると。資格試験の方も「子どもと保健」という試験を受けられるわけなのですが、6割取れれば合格ということで、例えばこの重大事故で大変問題となっている水分摂取とか、おやつの選定の仕方とかも、非常に基本的な保育の現場における注意点がどのぐらい徹底されているのかというのがかなり疑問です。これはもちろん現在保育士をなさっている方も、保育の現場において何が正しいかとか、どういう技術が求められるかということはもう日々、変わっていきます。子どもたちの状況も御存じのとおりアレルギー児が増えるなど非常に変わってきていますので、新任研修も必要、途中の主任研修も必要だと思うのです。

 特に、地域限定保育士の特区を申請する地域は待機児童が多く保育所は足りない所です。ですので、この地域限定保育士の試験を受けた方だけでなく、もちろん養成校の方も新人の保育士さんがどんどん保育現場に入られます。御存じのとおり保育時間も長い、保育現場も定員割増しでいっぱいお子さんがいる。そして、中堅の保育士さんも取り合いという状態で新任保育士さんの指導にもなかなか十分な時間が取れないという現場です。こういうふうに地域限定保育士、すぐには無理なのでしょうが、このように新任保育士がどんどん増える、保育士がどんどん増える特区のこういう地域では、できれば保育安全管理や、乳児に関するような留意点みたいなものの講習も入れていただければ、保育士さんになられる方も少し安心感があると思います。こういうことが起こっているのを知ることもできるし、もちろん、先ほど村松構成員が言われたとおり、そういう保育士さんが現場に来るわけですから、少なくとも養成校ほどではなくても、何らかの形で基本的な安全管理に関しての知識は持っている、救急法などの訓練も受けているみたいなものがあれば、将来的には現場の負担も減るのではないかと思います。

 これは本当に中長期的な課題ですが、現在、ちょうど今日、本日また午後からこの会議もあるのですが、同じように、これは新制度が始まって、認定こども園、家庭的保育、全ての新制度の公費が入る保育施設のみならず、認可外保育園も重大事故に関しては、すぐ内閣府、厚生労働省、消費者庁に通告の義務が発生するというシステムがもう始まっています。そういう環境の中で、この地域限定保育士試験が始まるということを皆さんに改めてお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○汐見座長 ありがとうございました。今の前田構成員の御意見の3番目となるのでしょうか、どのように受け止めたらいいかちょっと確認させてください。実は、御理解いただいていると思いますが、今回の、現場に少しでも行ってもらったほうがいいのではないかというのは2つのことが混じっているのです。

 実技試験の所を少しハードルを下げるために講習等に代えてはどうかということだったのですが、もう1つ、現場を全く知らないまま試験に受かっていくという人が出てきている問題を克服したいというのがクロスしていて、実技試験の代わりに講習をする、その講習部分を少し削って現場に行っていただくことになりますから、現場に行って表現指導の所を実技をやるとは必ずしも限らないのです。ですから、表現のことについてはもちろん現場に行ってやっていただくこともあるのですが、今日提案されている、例えば26ページの所などでは、「保育所の役割とか機能」を実際に具体的に現場に行って可能か、理解しろということですから、これは表現とか何とかを超えているわけです。今、その中で、6ページの「保育見学実習」の「教育に含むべき事項」と右に書いてある(1)の最後に、「子どもの健康と安全」というのがあります。現場に行って、特に安全管理のことについてしっかり理解してくることをこの中に少し強調して入れてはどうかという御意見とも受け止めたし、もっと長期的に、これは大変なことだからということで根本的にその辺の所をやらなければいけないという御意見だとも受け止めたのです。例えば、今のは差し当たりこういう所も強調しろということで受け止めてよろしいのでしょうか。

○前田構成員 私がやはり実習があったほうがいいのではないかと思ったのも、今回の事務局の提案から、(A)の「講習のみを実施する場合」と(B)の「講習及び実習を実施した場合」という所に、正に今、汐見座長が言われたように、「子どもの健康と安全」ということが入っていたので、やはり実習をして現場を見ることはそういう知識や感覚も付くと思ったので、実習があるほうがいいと思いました。

○汐見座長 そうすると、例えばガイダンスのようなものを作った場合にそのことをきちんと強調したようなということですね。

○前田構成員 安全管理の講習については遠い先のことです。

○汐見座長 分かりました。どうもありがとうございました。

○山縣構成員 何度も申し訳ありません。今の最初の所の議論ですが、関係者の方々が実習が必要だということで、私は先ほど言いましたように、絶対不必要だと思っていませんので。そうすると、あとは養成校の動きをどこまで短時間で意向を把握できるか分かりませんが、今、選択肢になっていますね、実技講習だけでいけるのと。そうすると、養成校が実技講習だけ選んで決まったらもう計画は飛んでしまうわけですよ。

○汐見座長 そうですね。

○山縣構成員 ですから、そこでこの検討会が実習が是非必要だというならば、逆に今度は実技講習をなくしてしまうということにならないか。そういう意見を言わないと矛盾してこないかなと。いや、養成校側が、下のほうの、実習を含めたスタイルをほとんどが取るのですというのであるならばそれはそれでいいけれど、私、負担を考えたらひょっとしたら講義負担だけでいくのではないかという感じがあって。言うならば、逆に見学を含めたプログラムのみというほうが主張が矛盾してこないような気がする。なおかつ、それを言われると、今度は本体の保育士試験のほうに、今はすぐ議論はする必要はないと思いますが、本体の保育士試験のほうが矛盾してくるという状況ですね。そういうことまでやはり視野に入れていく必要があるのかなという意見です。

 ですから、もうあまりきっと発言機会はなくなってくると思うので、しゃべりすぎていますから。網野構成員が言われた分の、今の課題から少し離れますが、仮に実習をやるとしたときに、網野構成員が児童福祉施設と言ってくださったので私はそれでいいと思っているのです。そこには認定こども園も入っていることを併せて、はい。

○汐見座長 今、もし実習もということであれば、これを実施する養成校等がその判断によって、Aコース、Bコースあるとしたら、Bコースだったら初めから設定しないということが起こり得るということですね。ということで、両方必ず置かねばいけないとするのか、養成校に委ねるとしたら、むしろBコースのほうを標準としてというようにしていかないと、どちらも負担が大変になりますから、これは。その辺が曖昧になってしまうのではないかということで、これをはっきりさせたほうがいいという御意見なのです。ありがとうございました。

○小川副座長 養成校は既に平成28年の実習はほとんど決まっていると思います。地域によるのですが、地域で養成校で話合いをして実習の期間とか場所を設定する所もあるのですが、例えば関東はもう自由にやっているので、大体2年前には依頼をしてオーケーをいただいている。ということは、平成28年からという、今回は特区からですが、もうこの地域も既に、園は実習生はいつどこから来るかというのもほとんど年間計画に入っていると思うのです。その中にこの人たちが何人入るか分かりませんが、入るという具体的な所では、多分養成校は勘弁してよだと思うのです、少なくとも平成28年に限っては。次の年からはもう少し考えてやりましょうとなるかもしれないのです。

 具体的な作業をする人は、今現在、実習担当をしている教員であったり事務職であったりすると思うのですが、それが保育所に1日であれ、その他の児童福祉施設に1日であれ、これはあとオリエンテーションをするのも倍になるのです、場所が違うと。ですから、その辺りで一体どのぐらいの所が用意ができるのかというのを、具体的なことを計画していくことを考えると、養成校は普段でも学生対応だけでも結構大変なところがありますから、あえてこの方たちのためのというのをよほど何か考えていかないと、養成校はちょっとノーサンキューと言ってしまうのではないかと思ったりしました。

○汐見座長 まあ、これ実習校開拓と言いますか、皆さん、大変な思いをしてやっていますので。これは限定していますが、沖縄、大阪、神奈川辺りは養成校は大変かということになりますね。実際にこういう人たちの実習をどこに、いつ頃スケジュール的に組み込むのかということは相当また大変なことになりますので、ある程度シミュレーションをしてみないとできるかどうかというのが。それから、先ほどの御意見の中に、仮に全てを実習と講習コースにしてしまった場合には膨大な数になっていくという可能性があるので、これをこなせないということが出てきますね。ですから、両方設定したというのはそういうことの配慮もあるのだと思ったのです。

○河端構成員 保育士の資格を取る前に、現場を知る、実習をすることの重要性については本当にそのとおりだと思うのですが、今回の保育士資格は実技試験の受験コースが残るわけですね。そうすると実技試験で行う内容は表現技術に限っているわけです。しかし、今回実習についての皆様の議論を聞いていると、表現技術プラスアルファが多く、例えば資料26ページ目に書いてあるような「保育見学実習」の(1)(2)は実技試験コースの人はやらない、やらないというか、やっていないわけです。そうすると、実習にどこまで内容を盛り込むかについてもきちんと考えないと、実技試験を受けた人と、実技試験免除で実習を受けた人との間で現場に対する知識などについて差が出てしまうと思うのです。理想は(1)(2)も全て盛り込んで現場をよく知った上で実技免除ということなのですが、そうすると実技試験だけの人は表現技術に限っているのでどうしたらいいのだろうかという懸念が生じました。あるいはもう、保育見学実習を保育の表現技術実習にしてしまうか。ただ、そうすると、現場で重要な子どもに対する安全だとか、健康を守るとか、そういうことは知らずに来てしまうことになるので、どうしたらいいのかと私自身御意見を伺っていて悩んでいます。すみません、意見です。以上です。

○朝川保育課長 これも、よく御議論いただいた上で考えたいと思いますが、こういう考え方ができるかどうかなのです。今、河端先生がおっしゃったことについてですが、当然実技試験に代えて議論をしていますので、基本はやはりこの実習も表現技術を中心に念頭に置きながら実習をすることが課題です。ただ、現場に行って表現技術を学ぶ際にも、その現場でどのように保育が一日流れているかということを理解せずに見ていても、余り理解が深まらないというか、そういうこともあるのではないかということで、7ページの(3)「保育現場における保育の表現技術の実際」を見るところに力点は置いてあるのだけれども、ちょっと無理があるような気もしますが、(1)(2)も位置付けられているのだと。実技試験と全くパラレルにならないというのは、(1)(2)を位置付けてしまうと、正におっしゃるとおりのような気もするのですが、そのような整理が可能かどうか議論いただければと思います。

○汐見座長 前回のデータでもありましたが、実技試験はかなり高い率で合格しているのですね。以前から、今のような実技試験をやることにどれだけの意味があるのかという意見ももともとありましたので、それが背景にあり、ここをもう少し現場のことを知るという時間にしてもいいのではないかというような提案が出てきているのだと、私は理解しておりますが。

○三代川構成員 現場の意見を言わせていただきますと、やはりこの保育の見学実習の(1)(2)は非常に重要で、今まで小さい子と触れ合ったことがない方に対して非常に重要なことではないかと思います。今度、「保育の表現技術の実際」という所で、実習を念頭にということになりますと、自分の中で今シミュレーションをしているのは、例えば0歳、1歳、2歳の乳幼児に実習に入られる場合、0歳、1歳の中の「表現技術の実際」が果たしてどこまで伝えればいいのかなというところが、疑問というか悩んでいるところです。つまり、どうしても対象が3歳、4歳、5歳ですと、表現活動に対する具体的なものは示せるとは思うのですが、乳児についての表現活動は本当に素のままの保育で、一人一人読み聞かせをするとか、食事の前に少し手遊びをすることを見せればいいのかなというところは、少し迷いました。

○汐見座長 それが先ほどから出ている、実際に実習のときに最低限これだけはというガイダンスをつくらなければいけない。しかし、それは意外と難しいのではないかということですね。

 かなりいろいろな意見が出ましたが、矢藤構成員、先ほど後のほうがいいのではないかという御意見がありましたが、先のほうがいいのではないかという御意見、その辺りは今はいかがでしょうか。

○矢藤構成員 先ほど申し上げたとおりなのですが、1つには要するに全く試験でまだ合格していないときにポンといくというのと、一応勉強して合格して、つまりある程度知識が身に着いた人という前提はありますよね。それがないままに、要するに落ちる可能性のある人も全部いくというような状態なのか、ある程度何とか勉強して頑張った人がいくのか。それから、多くの科目は合格しているということは、入職する可能性が非常に高い中でいくときのモチベーション。それと、モチベーションのある人を受け入れるという現場の側の、どうせ負担を負うならしっかり頑張ろうと思っている人を受け入れたいといったようなことに鑑みて、後のほうが理にかなっているのではないかなと。繰り返しですが。

○汐見座長 後でやると、これは現場の負担の数が大分減るのですよね。これは、実際はどうですか。

○田野課長補佐 もう少しよく考えてみないといけないのですが、事務的なことだけを申しますと、この受験申請の段階で実技試験を必要とする人か、必要でない人かが分からないと、今の試験の仕組みの流れの中ですと、実は試験の流れにのせるのは難しいというのが正直あります。ただ、これは事務的な部分のお話ですので、何か工夫できるのかは考えてみないといけないのですが、なかなかクリアするのが難しいなというのが正直なところです。

○汐見座長 関連した論点なのですが、もし実習を現場へ行くことをあるコースとして課すとした場合には、この図でまず最初に受けたい人は全員が対象になりますから、行ってすぐ、やはり止めようという人も引き受けなければいけないことになります。それよりも、まず筆記試験に受かって、可能性のある人にさらに実技なのか、それとも講習なのか、講習と実習なのか、それを選択してもらったほうが、遥かに効率的ではないかという御意見です。この流れをそれでうまくつくれるかが、実務的には問題になるということなのですね。

○網野構成員 矢藤構成員の御指摘は、私も一番筋の通った御意見として受け止めております。そもそも、実技試験を免除という発想があって出てきたことからいえば、筆記試験に合格した人が前提なのは、もうこれは当然のことだと思うのですね。やはり、実際に進める上で、現実に先ほど座長からもお話がありましたが、筆記試験で合格してそのあと実技試験で不合格という人の割合は極めて低いこともありますので、方法によっては可能性はないとも言えないかもしれません。ただ、恐らく筆記試験をやって合格者が決まって、その次の段階、一体いつ頃の時期で養成施設が特にどういう体制になっているかは、机上の議論だけでは見えてこない部分があまりにもあります。これが1つ理由としてはあると思うのですが。

 ただ、どうもいろいろな御意見の中では、実技試験を免除するという趣旨も確かにあるのだけれども、保育士になるためのプロセスとして、保育実技講習的なものを受けて試験を受けるという1つの方向性は、やり方として今はかなり考えてもいいという内容になっていると思います。現実に保育実技講習を経験してみて、私は向かないかなとか、筆記試験を受けるのをやめようかなという人は少ないとは思いますが、村松構成員がおっしゃった、実践としての専門性を先に経験することのメリットがどこまでを本当にしっかり位置付けられるのか、そのことをどこまで大事にするのかということで、この流れを考えるのが出てくるかなと思います。

 ただし、先程来のお話のように、通常の保育士試験との格差は間違いなく出てくると思うのですね。ですから、当面、今、待機児童対策でこんなに大変だから、しかも限られた地区でということで受験する人たちに配慮するという趣旨があるにしても、ひょっとしたら、これから特区試験だけでなく、もっとパースペクティブに見て、何か保育士試験の在り方も出てくるかもしれません。その場合は筆記試験に合格したあとの流れでいくのか、筆記試験前にいくのかということも、結局またもう1回議論があると思います。そういう点では、私も矢藤先生のおっしゃることが一番筋が通っていると思うのですが、ここでは筆記試験前ということでどうしたらいいかということで進めていろいろ検討したほうがよいのではないかと思っております。

 もう1つ、実際の実施体制ですが、それが結局、実技試験免除という趣旨でその時期となると、本当に期間が限定されますね。それに対して、保育実技講習を前倒しする場合、養成校としてはいずれにしても年間のカリキュラムや事業計画など、プラスの部分をどう組み入れていくかということになるかと思います。先ほど、小川先生もおっしゃったように、平成28年度ももうほとんどどんどん計画を進めていますね。具体的には、いくつかの学校の例でいいますと、エクステンション的な講座やいろいろな仕組み、社会人の講習などの仕組みに組み込んでいくようにすると、その学校によってはかなり時期が限定されて、かなり筆記試験の前になる可能性もあります。

 いろいろとそういうことを考えたときの可能性を、現実には結構検討する必要が出てくるのではないかと思います。つまり、正規課業以外の部分にどう組み入れていくかということで対応を図っていく。その場合は、結構養成校でも実施しておりますが、エクステンション的な中で組み込んでいく。ひょっとすると、週に1日とか2日とか、飛び飛びのことも起こり得るかもしれませんし、そういうことでいいのかどうかもありますが、いろいろなモデルを次回あたりまでにはいくつか示したほうがいいかと思います。

○汐見座長 ちょっと確認したいのですが、仮に現場への実習は出るとした場合に、現場ではその養成校からの実習生が9,000人ぐらいですか。

○小川副座長 養成校ですか。全国で4万人です。

○汐見座長 1学年です。

○小川副座長 1学年は4万人ですよね。

○汐見座長 そうすると、4万人の実習生を受けているということですよね。

○小川副座長 そうですね。

○汐見座長 それにこの試験で、例えば何割が2日間受けると、大体計算でどのぐらいを考えておりますか。今、保育士試験を受かっている人は、大体何人ですか。

○田野課長補佐 大体9,000人です。

○汐見座長 こちらが9,000人ですね。そうすると、例えばこういう形でこうやって、受かった人の中で現場で最後にということはあり得ないのですか。つまり、もうここは実技試験はなくていいですとか、講習にしますと。けれど同時に、現場のことを分かっていないで行くのは非常にリスキーだということで、受かった人に限って現場に必ず行ってくださいと。それで9,000人ですか。特区ですから、もっと少ないですが。

○朝川保育課長 数について言いますと、今年度ですと4府県しかやりませんので、今受験されている人が5万人ぐらいいる中で、限定的に、例えば受ける人が1万人ぐらいの人数に減ると思うのですが。合格する人はさらにもっと減ると思うのです。ですので、従って人数はかなり特区試験であることから減ると思います。問題は、筆記試験が終わったあとに実習に行くとしたときに、うまくロジが回るのかどうかを、今日そういうお話を聞いてまだ頭の整理ができませんので、もう一度頭の整理をしてみます。直感的には、なかなか難しいような気がするのは、期間が限定されている中で、筆記試験が終わってからいつまででもいいですよともなかなかいかないでしょうから、ある一定の期間の中で保育所なりに行ってもらう。それが、うまくロジが組めるのかどうか。さらには、あとから実習に行くことになると、受験申請のときには完全に実技試験免除だと言い切れないので、何かその辺りのロジがうまく回るのかどうかが今のところ自信が持てませんので、シミュレーションはしてみますが。

○汐見座長 これで合意したというのはなかなかないのですが、実習というコースを仮につくったとしても、「見学実習」というはっきりとした言い方では必ずしもないほうがいいのではないか。そこは、きちんとしたある種のガイドラインをつくって、その中では実際の表現指導の実習に近いようなことをある程度組み込む等のことを入れておいたほうがいいのではないかという御意見が出ました。これについては、一応確認されたと考えてよろしいでしょうか、ただ、やる場合にですね。

 御提案された今日の原案については、いくつか実施の時期を先にするよりは後のほうがいいのではないかということも含めて、意見が出ております。それから、養成校からしたら、やはり両方しなければいけないというような縛りがないと、実際にはどちらかにしてしまう可能性もありますので、その場合は養成校の負担等を考えたときに、それは可能かどうか、シミュレーションを丁寧にやったほうがいいというようなことも出ておりました。検討課題がいくつか出ております。

 それから3つの実習のうち、現場に行く場合には2つでいいということに対しては、そうすると、4つのうちの2つになってしまいますから、そこは少しまだ問題が残るのではないかと。むしろ、3つしたほうがいいのではないか。そうすると、実習を1日でもいいという考え方もありますし、実習の時間を少し制限して、全体としてはおおむね30時間ぐらいに収まるような形で3つの科目をやるという形を考えてもいいのではないかという御意見も出たと思います。改めて検討していただき提案していただきますが、ほかに検討すべき御意見はありませんか。

○山縣構成員 確認なのですが、前回筆記試験はウエイト的には共通だということは、相互のルートがあるということですね。単純なものではなくて、実技に落ちたけれども、翌年の早めのこれを受けたら即、地域限定の保育士にはなれたと、正規保育士にはなれなかったけれども。それは駄目だと。こちらから全部は通ったから、では実技試験のほうにいこうかと、正規ルートにいこうかという、全く同じならば、それができるのではないかと思ったのですが。左ルートの場合は全科目通っていますから。

○朝川保育課長 確かにおっしゃるとおりのような気がいたします。お恥ずかしい話ですが、今は考えていなかったので考えます。

○汐見座長 お願いします。それから、仮に実習先は保育所だけではなくて、児童福祉施設、その他の所をきちんと残しておいてもいいのではないかという御意見については、そういう確認がされたと理解したいと思います。異論はもちろんありましたが、意外と様々な児童福祉施設の保育士が足りないという現実もありますので、入れておくことにしたいと思います。

○小川副座長 ラストになると思いますが、検討のところで実習の中身もそうなのですが、評価ですね。先ほど、著しくというのは要らないのではないかという御意見もあったのですが、評価者がこれは今のところだと養成機関がしますよね。実習先には、この人変だったよというのは報告はいただきますが、では変だったというので、即、この人はバツと、どういう基準でそれが言えるのか。例えばコミュニケーションが取れないとか、様々なことが具体的には出てくると思うので、その辺りももう少し具体的なことを詰めていく必要があるなと思います。

○汐見座長 この辺りも、もう少し丁寧にしておかないと、養成校ごとに全く違うやり方ということになりますので、そこも少し検討いただきたいと思います。それから、意見は出ませんでしたが、最初の資料1で、第1回の会議で出された主な意見の最後ですが、試験を受けた人の初任者研修は全員でやらなければいけないかもしれませんが、つまりここで全部詰めるのではなく、採ったあとの研修でもう少し丁寧に詰めていく枠組みを考えておかなければいけないのではないかという御意見が出ました。これは今回の検討ではなく、もう少し大きな枠の検討課題になりますので、議題としては残っていると解釈してよろしいですね。

 あとはよろしいですか。時間も余りないのですが、論点がかなり整理されたような気がいたしますので、実りのある議論だったと思います。特にないようでしたら、本日の議論はここで打ち切らせていただきます。次回以降の日程について、事務局からお願いいたします。

○田野課長補佐 本日は誠にありがとうございました。次回の日程については、構成員の皆様方と調整させていただきたいと存じますので、後日また事務局より御連絡をさせていただきます。次回は本日いろいろ御提示いただきました議論を踏まえ整理をさせていただき、引き続き、「保育実技講習」の案について御議論をいただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○汐見座長 それでは、今日はどうもありがとうございました。


(了)

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