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2015年4月9日 第24回ILO懇談会議事要旨
○議事
1.日時:平成27年4月9日(木)10:00~12:00
2.場所:厚生労働省共用第9会議室(19階)
3.出席者:(敬称略)
(1)労働者側
日本労働組合総連合会国際顧問 桜田 高明
日本労働組合総連合会総合労働局長 新谷 信幸
日本労働組合総連合会総合国際局長 吉田 昌哉
(2)使用者側
日本経済団体連合会国際協力本部長 川口 晶
日本経済団体連合会労働法制本部長 輪島 忍
日本経済団体連合会国際協力本部副本部長 松井 博志
(3)政府側
厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当) 伊澤 章
厚生労働省大臣官房国際課長 井内 雅明
厚生労働省大臣官房国際課統括調整官 大鶴 知之
4.議題
(1)第323回ILO理事会について
(2)未批准条約について
・第105号条約について
・第111号条約について
5.議事要旨
議題1:第323回ILO理事会について
伊澤総括審議官からの挨拶、政府側からの出席者紹介に引き続き、政府側より資料1に基づき第323回ILO理事会の概要説明がなされた。
(労働者側)
1)2016-2017年計画予算案について
ILOは2019年に100周年を迎えるため、2016年、2017年はその節目に備えるための期間という位置づけにして、様々な事案について取り組んでいきたい。技術支援のあり方についても、より強力なものとなるよう検討していくべきと考えている。
2)労働安全衛生分野を含むISOとの協働について
労働者側として意見を集約し、労働者側の意見を作ろうという動きが出始めている。11月理事会での進捗状況のレビューに向けて、日本の労働者側としても、政労使で情報を共有しながら知見を深め、検討していきたい。
3)フィジーにおける政府による労働組合弾圧への対応について
日本政府にもご尽力頂き、良い方向に導くことができたと考えている。感謝申し上げたい。
4)カタールにおける労働条件の問題について
カタールでは、70万人もの移民労働者が劣悪な状況を強いられている。カタールの案件については、適正な労働条件が確保されるよう、労働者側として、今後も力を入れていきたい。
5)第106回(2017年)以降のILO総会議題について
労働者側としては、2017年の総会において「職場における男女への暴力」を議題として取り上げたいと考えている。政府側、使用者側にも同意いただけるよう、説明してまいりたい。
(使用者側)
1)2016-2017年計画予算案について
2016年から2017年の計画予算の政策指標について、ガバナンスの指標なのか、結果を求める指標なのか、非常にオーバーラップしている。日本として、指標設定の仕組みについてILOに確認を求め、適切な指標作りを求めていくべきだと考えている。
2)監視機構の問題について
今後複数の監視機構の仕組みを整理することになっており、使用者側として問題意識を高く持っている。申立てのあった案件について、ILOが受け付け、審議すべきかということを含めて検討することについて、使用者側として訴えていきたい。
3)労働安全衛生分野を含むISOとの協働について
ISOは国際機関でありながら、民間の組織でもある。11月の理事会にはISOの労働安全衛生マネジメントシステムが実質的に完成するが、ILOの考える文言とは異なるものとなれば、ILOとして賛成していないと主張しなければならないのではないかと危惧している。
4)カタールにおける労働条件の問題について
カタールは労働条件が劣悪であると言われているが、言われているほどひどくはないという意見もあり、労働者側と使用者側の両方の意見を聞くことが重要である。ILOのハイレベルミッションを送るようにと主張する国もあったが、まずは、カタール政府が適切な対応していくことが重要ではないかと考えている。
5)第106回(2017年)以降のILO総会議題について
労働者側は「職場における男女に対する暴力」について議論したいとのことであるが、国際労働基準を設定することは困難だと考えている。セクハラやパワハラに関する議論が行われると思うが、各国それぞれで対応を検討すべきである。
議題2:未批准条約について
○第105号条約
(労働者側)
1)105号条約に批准の障害があるということは理解したが、障害を除去していく取組はしているか。
2)安倍総理が国際的な国家や世界トップレベルの日本を作るというのであれば、積極的に批准に向けた対応を行ってもらいたい。人権擁護の点で日本は批准国に比べて遜色があるとは思わないが、国際社会の場で、批准していないことを政治的に利用される危険性があることも否定できない。世界の4分の3が批准しているため、日本が批准しないことによるリスクは大きいと考えている。
(使用者側)
1)公務員の政治的見解の発表に対する懲役刑さえなくなれば批准できる、遵守しているということになるのか。公務員の政治的見解の発表に対する懲役刑の代替となるものはあるのか等について、議論を深めていく必要がある。
2)ILOが、小中学校の教員の政治的活動の制限について、改善を検討すべきと指摘している事例があるが、日本においても同様に対応すべきかどうかは慎重に検討すべきである。
(政府側)
1)厚生労働省だけでなく、関係省庁も問題の所在を認識しているが、各省庁の考え方もあるため、どのような形で今後進めていくべきかを含め相談していきたい。
2)懲役刑が1つの批准の障害となっているのは事実だが、懲役刑をなくせば批准できるという確証はない状況である。条約と国内法との整合性をどのように確保すべきか、そのためにどのような方法があるのかについて関係省庁と相談の上、検討する必要があると考えている。
○第111号条約
(労働者側)
1)111号条約の未批准国は13ヶ国と少数である。日本は批准について慎重に検討し、適切に対応しようとしていることは敬意を表するが、少しでも批准について具体的に前に進めてもらいたい。
2)国内の専門家は、国内法令が条約の内容とひとつも乖離しないことを確保した上で批准できればよいが、それでは半永久的に批准できないと言っている。批准後、個別的に矛盾点を是正していくことで、条約の義務を果たしていると言えるのではないか。
(使用者側)
1)中核8条約を批准しないリスクについては理解できるが、ILOの専門家委員会が指摘している事項が日本においても本当に問題かということについては、十分に整理しなければならない。
2)外交官や公務員の採用について国籍条項がついているが、これも差別にあたるのか。外交官や大臣は自国民としても問題ないと思うがどうか。
(政府側)
1)日本政府としては、条約に関する国内法を整備した後に批准するという閣議決定がある。日本政府としては、法整備が不十分な状態で批准すると、国際的な信頼を損なうということもあるのではないかと考えている。
2)条約中に明確にこれは差別ではないと定められているものがいくつかある。例えば、一定の技術を要するような特定の業務に対して設けている除外や優先は差別待遇とみなしてはならないと記載されている。外交官や大臣に国籍要件が定められていることが差別待遇に該当しないといえるかについて、ILOの考えが明確に示されているものは把握できていないので、精査したい。
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