ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会)> 第10回ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会議事録(2015年7月28日)




2015年7月28日 第10回ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成27年7月28日(火)10:00~12:00


○場所

航空会館5階 501・502会議室
東京都港区新橋1-18-1


○出席者

委員

小杉 委員長 (労働政策研究・研修機構特任フェロー)
大塩 委員 (全国母子生活支援施設協議会会長)
小林 委員 (松戸市子ども部長)
島崎 委員 (政策研究大学院大学教授)
新保 委員 (神奈川県立保健福祉大学教授)
堀  委員 (山形県子育て推進部子ども家庭課長)
宮岡 委員 (全国母子自立支援員連絡協議会会長)
枠島 委員 (全国母子寡婦福祉団体協議会理事)

参加人

赤石 参加人 ( NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)
片山 参加人 ( NPO法人 全国父子家庭支援連絡会代表理事)
新川 参加人 (NPO法人 ウインク理事)

事務局

木下大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭担当)
古川雇用均等・児童家庭局総務課長
大隈家庭福祉課長
川鍋家庭福祉課母子家庭等自立支援推進室長
山本家庭福祉課母子家庭等自立支援推進官
尾高家庭福祉課課長補佐

○議題

ひとり親家庭への支援施策の在り方について

○配布資料

資料1 「子供の未来応援国民運動」発起人集会 総理ご発言内容
資料2 ひとり親家庭・多子世帯等の自立支援に関する関係府省会議の開催について
資料3 専門委員会委員からの意見(概要)
参考資料1 「子供の未来応援国民運動」発起人集会パンフレット
参考資料2 母子家庭等及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針新旧対照表(第9回専門委員会終了時点版)
参考資料3 【島根県・浜田市】介護人材確保のためのシングルペアレントの受入れ(モデル)事業

○議事

○大隈家庭福祉課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第10回「ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会」を開催させていただきます。

 委員の皆様にはお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 出欠状況でございます。本日の委員の出席につきましては、全9名のうち8名の御出席でございます。中村委員が御欠席ということで伺っております。それから、小林委員が少し遅れていらっしゃるということでございます。

 まず、議事に入ります前に、新たに委員に就任された5名の方を、お手元に配付しております委員名簿によりまして御紹介させていただきます。

 松戸市子ども部長の小林邦博委員でございます。少し遅れてお見えになるということでございます。

 浜松市こども家庭部参事兼子育て支援課長、中村本子委員。本日は御欠席でございます。

 山形県子育て推進部子ども家庭課長の堀弘幸委員でございます。

○堀委員 堀でございます。よろしくお願いします。

○大隈家庭福祉課長 続きまして、全国母子・父子自立支援員連絡協議会会長、宮岡初恵委員でございます。

○宮岡委員 宮岡です。よろしくお願いいたします。

○大隈家庭福祉課長 全国母子寡婦福祉団体協議会理事、枠島和江委員でございます。

○枠島委員 枠島でございます。鳥取県出身でございます。よろしくお願いいたします。

○大隈家庭福祉課長 また、前回開催時から事務局に異動がございましたので、紹介させていただきます。

 雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長の川鍋でございます。

○川鍋母子家庭等自立支援室長 川鍋です。よろしくお願いいたします。

○大隈家庭福祉課長 同じく、母子家庭等自立支援室長補佐の尾高でございます。

○尾高室長補佐 尾高です。よろしくお願いいたします。

○大隈家庭福祉課長 なお、雇用均等・児童家庭局長の安藤は、大変恐縮でございますが、本日公務により欠席とさせていただいております。

 それでは、議事に移りたいと存じます。小杉委員長、よろしくお願いいたします。

○小杉委員長 それでは、皆さんよろしくお願いします。

 初めに、本日お手元にお配りしております資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○大隈家庭福祉課長 それでは、最初に資料の確認をさせていただきます。

 配付資料は、議事次第のほか、資料が3点、参考資料が3点ございます。

 資料1が「『子供の未来応援国民運動』発起人集会 安倍総理ご発言内容」

 資料2が「ひとり親家庭・多子世帯等の自立支援に関する関係府省会議の開催について」

 資料3が「専門委員会委員からの意見(概要)」でございます。

 参考資料1が「『子供の未来応援国民運動』発起人集会~輝く日本の未来に向けて 子供たちに夢を!笑顔を!~パンフレット」というカラーの資料。

 参考資料2が、横置きですが、「母子家庭等及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針(平成二十年厚生労働省告示第二百四十八号)新旧対照表(第9回専門委員会終了時点版)」でございます。

 最後の参考資料3、「【島根県・浜田市】介護人材確保のためのシングルペアレントの受入れ(モデル)事業」でございます。

 お手元に資料がない場合はお知らせいただければと思います。

 以上でございます。

○小杉委員長 次に、参加人の参加についてです。

 本日は、NPO法人ウインクから理事の新川てるえさん、NPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむから理事長の赤石千衣子さん、NPO法人全国父子家庭支援連絡会から、代表理事の片山知行さん。

 以上の参加を求めますが、よろしゅうございますか。

(一同首肯)

○小杉委員長 ありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入ります。前回の専門委員会では、母子家庭等及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針の見直しの改定案について、貴重な御意見をいただいたと受けとめております。

 前回の開催から今回までの間、政府内でひとり親家庭の支援の充実策についての検討などの動きがありましたので、まずは前回の専門委員会以降の状況について、事務局から説明をいただきたいと思います。

 その上で、皆様から追加の御意見や質疑をいただきたいと思っています。

 まず、事務局から説明をお願いいたします。

○山本母子家庭等自立支援推進官 まず、前回の専門委員会以降の状況につきまして、御報告をいたします。前回が1月30日開催という形でございましたが、それ以降の状況でございます。

 前回の専門委員会におきましては、参考資料2としてお配りしております基本方針の改正案につきまして、委員の皆様の御意見も踏まえて整理をさせていただいたところでございます。資料1と参考資料1について御参照ください。

 まず参考資料1は、4月2日に開催されました「子供の未来応援国民運動」発起人集会で配付された資料でございます。「子供の未来応援国民運動」発起人集会といいますのは、平成26年8月閣議決定の子供の貧困対策に関する大綱に基づきまして、国民の幅広い理解と協力のもとに、子供の貧困対策を国民運動として展開するために、パンフレットの2ページ目にある関係各界からの発起人が一堂に会しまして、国民運動の展開に向けたキックオフを行うことを目的として開催されたものでございます。

 この集会では、1ページ目に書かれてございますように、「I 国民運動の趣旨・目的」「II 国民運動事業の例」「III 国民運動事業の展開に向けた広報・募金活動」「IV 国民運動推進事務局の設置等」を内容としております「『子供の未来応援国民運動』の趣意書(案)」が採択されたところでございます。

 資料1でございますが、この発起人集会の中で安倍内閣総理大臣から、ここに掲載されておりますような御発言がございました。その中の3つ目と4つ目の○、太字で下線が引いてあるところでございますが、「今後更に、就労しながらも、経済的に厳しい一人親家庭や多子世帯の自立を応援していく必要があります。子育て、生活、就業、経済面などについて一層の充実を図っていくとともに、支援を必要とする家庭に対し、行政の支援が確実につながる仕組みを整えていく必要があります。」

 次が、「厚生労働大臣を始めとする関係閣僚に対し、充実施策の検討を指示し、夏を目途にその方向性を取りまとめ、年末を目途に財源確保を含めた政策パッケージを策定していきます。」という御発言があったところでございます。

 資料2でございますが、先ほどの資料1の安倍総理の御発言を受けまして、就労しながらも経済的に厳しい状況に置かれたひとり親家庭・多子世帯等の自立の支援を図る必要があることに鑑みまして、政府全体として関係府省が連携して支援の充実策を検討するために、ひとり親家庭・多子世帯等の自立支援に関する関係府省会議を開催することとしたところでございます。

 会議の構成員は、2のところに書いてございますが、内閣官房副長官を議長としまして、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)、法務省民事局長、文部科学省生涯学習政策局長、国土交通省住宅局長という形で構成されております。

 第1回目の会議が4月20日に行われたところでございます。

 ひとり親家庭の支援につきましては、各自治体でも取り組みが進められております。その一例を御紹介させていただきたいと思います。参考資料3は島根県浜田市で今年度から開始されたものでございまして、「介護人材確保のためのシングルペアレントの受入れ(モデル)事業」という形で、人材が不足している介護保険サービス事業所に対しまして、都市部で増加しつつあるシングルペアレントの受け入れを行い、一定期間の産業体験を行う場合に要する経費の一部を助成する事業が開始されたところでございます。これは自治体の好事例ということで御紹介させていただきました。

 資料1と資料2の説明は以上でございます。

 続きまして、横長の資料3につきまして御説明いたします。資料2で御説明いたしました関係府省会議の設置を踏まえまして、ひとり親家庭等の支援施策の充実策につきまして、有識者の御意見を踏まえながら検討するといったことを目的としまして、5月の中旬から下旬にかけまして、専門委員会委員の皆様に御意見の募集をさせていただいたところでございます。委員の皆様からいただいた御意見を大まかな項目ごとに整理したものが資料3になります。

 1ページ目「相談体制の強化」でございます。順次、いただいた御意見を御紹介する形で説明させていただければと思います。

 1つ目のところですが、縦割りではなく、ワンストップサービスが受けられるような体制づくりが必要。2つ目の○ですが、就業支援専門員につきましては、専門性確立のための研修や訓練をしっかりする必要がある。3つ目ですが、相談支援体制の中にリーガル・サービスを組み込むことがひとり親家庭の支援に必要不可欠であるということ。4つ目ですが、即時的にサービス提供の決定を行うことが必要であって、相談機関がその場でサービスの提供を行えることが望ましい。次の5つ目ですが、「総合性」「専門性」「即時性」の3つを満たす相談支援体制が不可欠である。それから、個々のケースに応じた多様な相談支援体制が整備されることが望ましいといった御意見もございました。次でございますが、訪問して働きかける人が必要であると。いつでも訪ねていけるような場所の設置が必要であると。次は、状況が違えば支援の優先順位は変わるので、支援のニーズをつかむための体制づくりがまずは必要であると。最後ですが、児童扶養手当の現況届(8月)の時期を活用して、集中的な相談支援の実施、その後のアフターフォローを検討するといったことが必要であるという御意見がございました。

2ページ目は「支援につながる仕組み」という形でまとめさせていただきました。

 1つ目ですが、支援が確実につながる仕組みが求められていて、県、市町村、民間団体等の機関の一覧の周知を誰もがわかりやすく入手しやすい方法で行う。相談を担える人材がどこに配置されているかを理解し、つなげることが必要であるという御意見がございました。次は、行政がひとり親世帯や多子世帯を認知したときに積極的に相談機関に結びつける、定期的なフォローアップで支援につなげる、包括的支援のための情報共有等が必須という御意見がございました。次は、児童扶養手当の申請に来たひとり親を手当の受給要件に合わないとか、受給申請書類がそろわないといった理由で追い返すことをせず、次の施策につなげることを積極的に行うようにすると。次は、戸籍課や住民課などに福祉の手がかりになるパンフレットを配置して、ひとり親であれば案内することが必要であるという御意見がございました。

 次の3ページ目は、まず「分かりやすい情報提供」でございますが、1つ目は支援メニューは豊富だけれども合理化を図るべきであって、利用できる制度の周知を徹底する必要があると。次の○は、必要となるそのときに支援メニューが確実に利用できるよう、相談機能や情報発信機能を強化する必要があると。その次は、スマートフォン用のサイトの開設などを通じた周知の方法を検討する必要がある。その次はちょっと似ていますが、困っている人向けのアプリをつくるといったことを検討する必要がある。次は、母子世帯等の交流サイトやSNSによる情報発信の検討。最後でございますが、読みやすさに配慮したリーフレットの作成。漫画でわかりやすく解説したチラシの配布といった御意見がございました。

 その次は「生活困窮者自立支援制度等の他制度との連携」についてでございます。

 1つ目ですが、生活困窮者自立支援制度との運用上の連携で、制度を理解する研修事業やケースごとの具体的支援での連携の実例を紹介する資料作成といった御意見がございました。それから、関係機関で十分な連携をとれる体制の整備と、専門的な人員配置の促進という御意見。最後ですが、研修会やケース検討会を通じての人材育成、支援スタッフの育成プログラムの開発などについて御意見がございました。

 4ページ目は「子育て・生活支援に関するもの」でございます。

 1つ目の○ですが、掃除や調理などができない人には、訪問して教えるような人を派遣する。少しずつ生活力をつけるための手助けが必要であるということ。次ですが、子供の見守りなどの手助け、育児不安について聞ける人が必要であるという御意見。ひとり親当事者目線による乳幼児を抱えるひとり親の親子交流事業が必要であるという御意見がございました。

 次、「一般の子育て支援施策に関するもの」で、1つ目の○ですが、一般の子育て支援にひとり親家庭への支援を上乗せして、支援の充実を図ることが必要である。保育園に子供を預けられないひとり親家庭がふえているので、総合的な相談に応じて、緊急対応が必要であるということ。次の○ですが、病児保育の充実や病児保育民間サービスのチケット配布、ファミリーサポート・緊急サポート事業の低所得世帯への減免措置への国庫補助の拡大、一定所得以下のひとり親の場合には学童保育の無料利用、障害児の児童デイサービス以外での預け場所、ショートステイ・トワイライトステイ、一時保育事業の国庫補助の拡大といった御意見がございました。次の○は、待機児童を解消して親の就労や求職活動を支援する、夜間保育を充実させて、ネグレクト家庭への養育支援や親の就労を支援することが必要であるという御意見がございました。それから、学童保育機能の充実という御意見もいただいております。

 5ページ目は「子供の支援に関するもの」という形でまとめておりますが、1つ目の○で「子どもへの訪問事業(ホームフレンド事業の活性化)」が必要であるということ。子供が学校から帰ってから行ける居場所づくりと学習支援、安価で食事が食べられる施設が必要。その次ですが、食事の現物給付を検討することが必要で、その際にはフードバンク事業の活用を検討する。最後ですが、フードバンク事業の拠点や「子ども食堂」などの拠点を増やしてマップづくり、そこから支援につなげる仕組みが必要であるという御意見がありました。

 「母子生活支援施設に関するもの」で、母子生活支援施設の地域支援機能を強化する必要がある。母子生活支援施設の機能を拡充して、離婚直後のひとり親家庭だけではなく、DV被害者や離婚を前提とした別居中の母子も入居できるようにすることが必要であるという御意見をいただいております。

 「住まいに関するもの」としまして、1つ目の○ですが、住宅問題の解消のために、空き家を有効利用するということ。次の○で、ひとり親世帯が優先入居可能な公営住宅を確保する必要があるということ。その次の○で、ひとり親家庭が、安心して子育てや就労に取り組めるように、住居費に対する補助や、住環境の確保に対する支援が必要であるという御意見をいただいております。

 6ページ目【就業支援に関するもの】で、1つ目の○は、「就業支援施策全般に関する関するもの」という形でまとめております。

 1つ目の○ですが、生活の安定を確保した上で、中長期的な視点で「就業支援策」を講じるべきであると。2つ目の○で、安定的な就労へと雇用の安定を図ることが必要であって、企業などを巻き込んだ対策が必要であると。その次の○で、公的機関のひとり親家庭の雇い入れについての促進が必要であるといった御意見がございました。その次で、ジョブコーチを配置して、継続的な就労を支援することが必要であると。次の○ですが、中間就労の場をつくる必要があるという御意見。その次は子供の学校卒業後(退学も含む)に対する就労支援が必要であるという御意見。企業内保育所の設置を助成して、子供の養育と親の就労を支援することが必要であるという御意見がありました。

 「高等職業訓練促進給付金等に関するもの」としまして、これは自立支援教育訓練給付金事業の拡充によって資格取得と就労を支援することが必要である。高等職業訓練促進給付金事業を拡充して、就労を支援。その次も同じですが、高等技能訓練促進費事業の2年間から3年間への期間延長が必要であるという御意見をいただいております。

 次の3つ目のくくりですが、今年度から開始した事業でございます「高等学校卒業程度認定試験合格支援事業に関するもの」で、ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業の周知と総合的な支援が必要であると。漫画入りパンフレットなどをつくって、周知する必要があるという御意見をいただいております。高校卒業資格取得のための授業料の助成という御意見もいただいております。

 7ページ目、【経済的支援に関するもの】という形でまとめておりますが、1つ目の「養育費の確保に関するもの」で、裁判所と厚生労働省・法務省が連携した仕組みをつくって支援を行うことが必要であると。「明石市こども養育支援ネットワーク」に見習う点も多いという御意見をいただいております。

 「児童扶養手当に関するもの」では、1つ目の○で、児童扶養手当の増額など直接的な経済支援への期待は大きいということ。次ですが、児童扶養手当等の増額を希望。特に2人目5,000円、3人目以降3,000円の加算額の増額が必要であるということ。次の○で、児童扶養手当の支払いを年金と同様に2カ月ごとにすることが必要であるという御意見をいただいております。その次ですが、子供への手当金などを保育所や小中学校、施設等に給付して、子供に直接支援が届くようにすることが必要であるという御意見をいただいております。

 その次、「母子父子寡婦福祉資金貸付金に関するもの」でございます。

 予定外に私立校に通学させることになって入学支度金が間に合わないケースが多いので、手続の簡便化と学校側への間に合うような要請が必要であるという御意見をいただいております。

 8ページ目は「その他」という形でまとめております。

 1つ目の○で、ひとり親支援は対象者が多いとは言えなくて、市の人口規模によっては、各種支援事業を実施しづらいので、一定程度の広域で、ひとり親支援センターなどが支援事業を実施するのであれば、支援対象者が多くなる分、市単位では困難な就業支援(在宅就業など)など、必要とされるメニューやノウハウを積んだ充実した事業が可能であるという御意見をいただいております。それから、重複している事業の整理・統合、補助体系が違っても一緒に事業化できるなどの柔軟な運用ができるようにしてほしいという御意見がございました。生活支援員を配するグループホームを提供して、養護施設等を退所した者やニートなどに対しまして、生活指導等を受けながら就労自立できるように支援することが必要であるという御意見をいただきました。次の○で、地域に「(仮称)子どもサポーター」を根づかせて、大きな問題になる前に、子供のSOSに地域が気づくよう子育てと地域を連動させることが必要であるという御意見をいただいております。次の○ですが、スクールソーシャルワーカーの設置は、さまざまな点から効果があるので、今後も設置促進が必要であるという御意見をいただきました。その次で、子供の進学に際しては、貸付型の資金ではなく、より利用しやすいよう給付型の資金創設が必要であるという御意見をいただきました。最後ですが、生活保護費の高校修学旅行費の支給や、入学支度金の増額が必要であるという御意見をいただきました。

 資料の説明は以上でございます。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 それでは、ここから委員の皆様からの御意見、御質問を受けるということになりますけれども、今の話の流れは、第9回で基本的な方針で既に一回まとまったわけですが、その後、事情が変わってさらに総理の御発言などもあって、新たに年末をめどに政策パッケージをつくっていくという事態になっていると。そこで、皆様からの御意見をいただいて、できるだけこれを今後のパッケージの中に生かしていきたいという位置づけだと考えてよろしいですね。

 ということで、委員の皆様からの御意見を資料3にまとめたわけですけれども、非常に細かく小さくまとめておりますので、これでは言い足りなかったということもございますと思いますので、まず委員の皆様から、資料3に追加して、あるいはそのほかのことでも結構です。御意見あるいは御質問がございましたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 では、堀委員からお願いします。マイクを発言するときにオンにして、終わったらオフにしてくれということですのでお願いします。

○堀委員 山形県の堀でございます。

 ちょうど山形県は今年度、ひとり親家庭の自立促進計画の改定に取り組む予定でおります。これとあわせまして、子供の貧困対策の推進計画も今年度つくろうということを考えております。

 そうしたときに、貧困対策に関しての大綱が出ましたので、大綱に沿った形での計画立案という形になってくるのですけれども、そうした際に、ひとり親家庭の計画と内容的に非常にダブる部分が多くて、それをどのような形で調整を図っていこうかと考えているところなのです。

 特に、貧困対策のほうにウエートが置いてあって、ひとり親の自立促進に余り割かれていない部分がいわゆる教育の支援と、子供に対する就労に係る部分なのです。山形県でもひとり親家庭に対しての実態調査を行った際に、悩んでいること、今後支援してもらいたいことで、教育が多くなっています。

 参考資料2でも、全国調査の中で悩ましいところは、教育よりもほかのところもあったのですけれども、山形ですと教育に係る部分が非常に多かったものですから、そこのところをどうしたらいいだろうかと非常に悩んでいるところです。

 これは文科省さんからも積極的に教育支援を進めるという動きを聞いておりますけれども、それをあわせて地域における教育の支援も非常に強く打ち出されているのかなと思っているところです。

 学校の中だけでは当然教育の支援はできないので、地域での支援も非常に大きなウエートを占めることになるかと思うのですが、その一方で、ひとり親家庭でお子さんの教育の支援を行う場所とか何かを行政がせっかくつくっても、近くにいる方は利用できるのですけれども、少し離れたところの方が利用できなかったりなどということで、なかなか結びつけられないところが悩ましいとお聞きしたりもしています。

 そこで、ひとり親の中でも教育に係る支援、特に学校だけでなく地域における教育の支援に関しましても、ぜひさまざまな、組み合わせられるようなメニューを具体的に打ち出していただければ、大変ありがたいと思っているところです。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 ほかの委員の方々、教育に関してでも、関しなくても結構です。いかがでございましょうか。

 では、先に枠島委員からお願いします。

○枠島委員 枠島でございます。初めて参加させていただきました。

 先ほどから聞いておりますと、教育支援というのも大変。これからの問題だと思います。これをしますのには人材も大変ですが、地域で今、鳥取県倉吉市では1カ所開催しております。県としては、交通費を支援しております。これから各地域、地方の市町村で1カ所ぐらいずつそういう学習支援の場所を設けてほしいと思っておりまして、その点につきましては、県も交通費を助成するので、地域の首長の方々に母子会から要望してもらったらいいではないかというお話がございました。

 もう一点、よろず相談所というのを設置したらどうかという御意見があるようですが、これは確かに本当に大切なことだと思います。私もきのう出る前に、子供が家出をしたという相談を受けまして、大変苦しんでいるお母さんがおりますけれども、よろず相談所は必要だと思います。

 そのためには、よろず相談所を設けた民間に対して、家賃まではと申しませんが、せめて光熱水費ぐらいは補助してあげて、そういう場所を設けていただけたらありがたいと思います。

 よろしくお願いします。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 では、大塩委員、お願いします。

○大塩委員 大塩でございます。よろしくお願いいたします。

 私から2点お願いがあるのですけれども、まず「相談体制の強化」についてです。それぞれ委員の皆様から、出された意見が書いてあるのですが、ここの中で母子家庭、ひとり親になろうとされている方とか、どうしていっていいかわからないという方のために、「『総合性』『専門性』『即時性』の3つを満たす相談支援体制が不可欠。」とありますが、この相談体制をぜひ立ち上げなければいけないと思っています。

 行政に相談に行くまでのところ、自分がどのようにしていいかわからない、これからひとり親になってどうやって生活していったらいいのだろうとかというような、ひとり親になられるまでの相談をきちんと受けていくということがとても大事なことだと思います。

 全母協ではひとり親家庭の相談窓口として将来ビジョンの中で「ひとり親家庭支援センター」というものを立ち上げたいと書き込みました。相談窓口に、「ひとり親」という冠をつけることによって、ひとり親になることに抵抗が薄らいだり、ひとり親というものが社会で認知されていくようになることを願ってそのような名称をつけております。ひとり親家庭のニーズを地域で受けとめていくことがとても大事なことだと思います。

 その後、そこで相談をされた方たちが行政の中でワンストップサービスが受けられるようにつないでいくということは別物だと思いますので、体制としては、地域の中でひとり親家庭になろうとされている方、ひとり親家庭の方たちが、今、困っておられること、ニーズを把握し、きちんと必要なところにつなげていくことが大事なことで、行政ではワンストップサービスによって漏れなくサービスが受けられる支援体制が必要だと思います。

 もう一点ですけれども、5ページの「子供への支援に関するもの」で、ホームフレンド事業の活性化とか、子供たちが帰ってから行ける居場所づくりと学習支援、安価で食事が食べられる施設が必要ですとか、食事のこと、フードバンクのこととかが非常にたくさん書いてございます。確かに、ひとり親家庭の子供たちが、お母さんとかお父さんが働いておられるために夕食が準備されなかったりして、おなかをすかせていて、まずお腹を満たすことが第一なのですけれども、やはりそこは食べ物はもちろん人との関係性が大切です。どういう人がかかわってくれるか、どういう人が一緒に食べてくれるか、どういう人がつくってくれるかがとても大事だと思います。子供の支援に関するものも、特別なものを立ち上げなくても、例えば母子生活支援施設がひとり親家庭の子どもたちの居場所になるとか、民間のNPO法人さんが立ち上げられているところもあると思いますが、そういう子供の居場所としてやっていくところにきちんと人を配置するというような予算をつけていただきたいと思います。

 以上、2点です。

○小杉委員長 ありがとうございます。

 前半におっしゃっておられたのは、サービスとしてはひとり親家庭に限るものではないワンストップサービスの場所があって、その入り口としてひとり親と冠した入り口が必要だという御意見ですね。ありがとうございます。

 ほかの委員の方々からも少し少し補強をするような、お願いいたします。

○島崎委員 今の大塩委員がおっしゃった点なのですけれども、この検討会でも私も同じことを何回か繰り返して言ってきたと思います。

 大塩委員とおっしゃったことと同じなのか違うのかよくわからなかったのですけれども、私がかねてから申し上げていることは、ひとり親であるとか、多子であるとか、ということに限定しないほうがよい。つまり、例えば、障害を持ったお子さんがいる、ひきこもりの子どもがいる、家庭内暴力がひどいといったように、子育てをしていく中でいろいろなことが起こるわけです。

私は、ひとり親家庭向けとか、障害児をお持ちの家庭向けとか、といったように施策を個別化していくのではなく、まずは「子育て」という幅広い裾野を持った方がうまくいく。比喩的にいえば、その上、八ケ岳のように、この峰は障害を持ったお子さんに対するこういうサービスができるとか、あるいはこのひとり親の家庭の場合にこういうリーガル・サポートとこういう形で結びついているとか、そういう形で施策を展開していったほうがよい。要するに、ひとり親家庭施策を特殊なものとして切り離すのではなく、子育てという全体の文脈の中に位置づけるほうが、普遍性が広がるし政策としても展開しやすいと思います。

 先ほどの御意見にもあったかもしれませんが、いろいろな施策を個別的にやっていくと、特に自治体からしますと、どうしても財源制約や人的な資源の制約がある中で、なかなか展開が難しいと思います。また、そのように考えると、生活保護を受けておられるお子さんも、例えば先ほどの教育であれば、当然対象にするということになると思います。

○小杉委員長 ありがとうございます。

 大塩委員の意見とかなりベースのところは、基本的に特定の人をというよりは子育て全体の支援をしていくという仕組みの中で、相手からわかりやすいようにひとり親ということを出してみたり、あるいは特別にその人たちに必要なリーガル・サービスの部分だけをプラスアルファにしたりというようなことで、全体の中での部分と考えたほうがいいという御意見ではないかと思います。

 新たに政策パッケージを出していくということですから、そういう全体的な物の見方というのはここで強調してもいいのかなという気がします。

 ほかの御意見を皆様からお聞きしたいと思います。一応、皆様に発言いただくようにとここに書いてありますので、では、新保委員、お願いできますか。まだまとまっていないですか。

○新保委員 ほかの方にお願いします。

○小杉委員長 では、順番を譲りたいということなので、どうですか、宮岡委員。

○宮岡委員 宮岡です。

 私は地方都市で母子自立支援員をしております。その場でいろいろなお母様方、お父様方の話や相談を受けたりしているのですけれども、私のところに来る人というのは、もう既に相談につながった方々が見えております。相談を受ける中で私たちがしてあげられる社会資源というのがまだとても不足していて、相談を受けてもどうしようもないというところがあります。そういうところは細やかに充実していただきたいと思います。

 例えばこの中であるように、児童扶養手当を4月に1度というのを、年金と同じように2月ごとにという意見がありました。これを今、この資料で伺ったときに、そうしていただくとお母様、お父様方はとても家計のやりくりが楽になる。皆さん一生懸命はしているのだけれども、後払いですが、入ってきた4カ月分を1月ずつ繰り延べて使うということが絶対できなくて、入ってきた4月分はその月に使ってしまう。本来なら4月分を4月の生活費に回すべきなのだけれども、苦しくてたまらないのでそのときに使ってしまっている。

 児童手当も子供に使うのではなく、児童手当と児童扶養手当が収入の中心、当てにしてしまっているもので、それが入れば何とか借金を払って家賃を払う、電気代を払う、電話代を払うでしのいでしまっているというので、手当はあるのはあるのだけれども、生活の充実につながっていかないという、とても苦しいところで生活している方々が多いので、例えば2カ月ごとにするというのは、できればとてもいいと思いました。

 児童手当なのですけれども、これも自分の生活に使ってしまっているので、なかなか子供に行かない。例えば長子の幼稚園の授業料を滞納しているので、2番目の子は幼稚園に入れないという事例があって、ためているのは4万足らずなのですけれども、それが払えなくて2番目の子を幼稚園に行かせられない。私たちの係でどうやって行けるようにしようか、お母様にいろいろなことを提案して、何とか幼稚園に行かせるようにするのですが、お金を払うのはお母様なので、この児童手当が6月に入るからこれで払って入りましょうとか、母子の小口の貸し付けがあるのでこれで行きましょうなどと言っても、なかなか動かないのです。

 最終的には教育委員会で分割払いを承知してもらって、月々の児童手当とか児童扶養手当が入ったときに5,000円ずつでも返済していこうと、私たち自身が約束をして、教育委員会にかけ合っていったという事例があったりしています。ひとり親の政策がたくさんあるのですけれども、なかなかそれを上手に使っていけていないというところがあるので、もう少しスムーズにやっていけないかと思います。

 例えば、幼稚園の費用は無料。一旦払いをしなくてもいいように、どちらにしても免除はあったりするのですけれども、それをもともと無料にするとか、給食費も一旦払いなのですがそれをなしにして無料にするとか、修学旅行の費用も結局就学援助で戻るのですが、一旦払わないといけない。ちゃんと就学援助で戻ってきますという制度はあるのだけれども、お母様方はそれを余り理解していないので、修学旅行があるとしたら、お金がないから行けないとか言ってしまい子供が萎縮してしまう事態になっている。

 制度はあるけれども、末端のお母様方が理解していなかったりすることが多いので、もう少し温かい制度に変えていったほうがいいなと、日々の支援の中で思っております。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 では、新保委員、いいですか。

○新保委員 発言の機会を与えていただいてありがとうございます。

 考え方として、住むところと食べるところをどう確保するのか。そのプロセスで就労を支えることと進学をすることを支えるということをどう継続的に支援するのか。入り口として、身の安全を守るという保護のところをしっかり押さえるということ。これらのことがまず必要かと思います。

 住まうところ、食べること、就労支援などを行う場所とするならば、既存の資源の中では母子生活支援施設という資源が集まっている場所がありますので、この母子生活支援施設を拠点として、住まう場所としての公営住宅をその周りとの関係の中で確保していくことが多分政策の基本的な枠組みになるのではないかと思います。

 母子生活支援施設は全国あちこちにあるわけではない。残念ながら数が不足すると思いますので、そういうところは多分総合相談の窓口、子育て相談一般とひとり親家庭に対する支援を組み合わせるような窓口が必要だろうと私は思います。

 入り口として、今までついつい離婚後来てくださいという話が多かったように思いますが、離婚について考え始めてから現実に離婚するまでの間というのは、一般的に考えられているより長い時間ある場合が多いので、それらのことを考えると離婚前から相談に応じるという仕組みを用意するという仕組みは必要なのではないかと思います。

 現金給付については、何人かの方がおっしゃっておりましたし、ペーパーにも書いてありますが、児童扶養手当という仕組みについて少し強化をするということ。するならば、2子以降、多子のところを強化したりすること、2カ月ごとに支出するということなども検討の余地があるのではないかと考えます。

 児童扶養手当は現況について8月に対応するということで、現況調査をすることになっているわけですが、そのときにせっかく出会う機会になるわけです。相談する方と相談をしたいと思う方とが出会う機会になりますから、この機会を大切にしながら支援を進めて行くという考え方は基本的に重要なのではないかと思います。

 ただ、8月に物すごく忙しくなりますので、制度上8月に現況届を出すということになっていますけれども、少し余裕を持たせたほうが現場では仕事がしやすいのではないかという気がいたします。

 以上でございます。

○小杉委員長 ありがとうございます。

 それでは、小林委員、いかがでしょうか。

○小林委員 松戸市子ども部の小林と申します。初めて出席させていただきます。

 今、お話を聞いていて、行政の現場、最前線でやっていて、皆さん非常に多様な御要望がある。島崎委員がおっしゃったように、非常に行財政資源が限られている。その中でさまざまな要求がある。生活保護もこんなにふえている。待機児童もいっぱいいる。

 政策の優先順位の中で、ひとり親家庭とか子どもの貧困、議会でも質問がよく出るのですが、なかなかそこまで手が回らないという現状があると思います。

 したがって、ソーシャルインクルージョン、社会的な包容力みたいなものを高めていかなければいけない。古きよき時代は周りで面倒を見たというのがあります。行政はおのおのをやるのですが、それはどうしても限られてくるし、穴もあいてくるし、手が回っていかない。

 だから、やはり教育に力を入れて、そういう包容力というか優しさというか思いやりみたいなものを高めていく社会というものをつくっていかないと、なかなか解決できない。幾ら行政がちょっとした支援、助成をしても、なかなかそこは解決できない。

 だから、法制度も含めて民法、家族法の部分、その辺も含めて大展開しないと、なかなかこの少子化みたいなものは変えられない。法制度に加え、社会の包容力みたいなものも含めて、長期的な視点になってしまうかもしれませんけれども、そういうところに力を入れないと、個人主義がちょっと行き過ぎているところもあるような気もしますし、何というか社会的な包容力を高めることに力を入れていかないと、どうしても断片的な支援や個別的なことで終わってしまうような気がします。

 その辺が非常に難しい大きなテーマなのですが、そこが一番肝心なところではないか。思いやり、優しさみたいなものを社会として高めたいという視点で松戸市の子ども政策を進めております。

 以上です。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 これまでの皆様の御発言の中から触発されて、もう一つしゃべりたいとかいうことはございますか。

 大塩委員、どうぞ。

○大塩委員 よろしくお願いいたします。

 先ほど新保委員から、もっと母子生活支援施設を活用してほしいということを御発言いただいて、とてもうれしく思っています。

 昨年9月だったと思いますけれども、千葉県の銚子市で、生活困窮の為家賃が払えなくなってしまった世帯が県営住宅から退去命令が出されたため、生活を苦にして、お母さんが中学2年生の女の子を鉢巻きで首を絞めて虐待死させてしまったという事件がありました。そのときに、生活に困窮しているということがわかっていたのに、何ら手が差し伸べられていなかった、立ち退きだけを迫られていたという状況の中で、母子生活支援施設も紹介されていなかったという記事を読みました。

 全国に今、母子生活支援施設は230カ所くらいあるのですけれども、あいている施設もあって、とてももったいないと思います。そこには支援ができるスタッフがおりますので、ぜひ行政の窓口でも、母子生活支援施設を希望される方には母子生活支援施設を勧めていただきたいということを強くお願いいたします。

 もう一点ですけれども、先ほど小林委員から、みんなが包容力を持つ社会に醸成していかなければならないという御発言があって、私も本当にそのとおりだと思います。そこを社会全体の仕組みとしてやっていかなければいけないと思っています。今、このように社会が穴ぼこだらけになっていて、すき間からこぼれてしまって虐待死事件などが起こってしまっていますので、公的な機関と民間とがきちんと手をつなぎ合って、セーフティーネットをより緻密なものにしていかないといけないと思います。ぜひ相談に来られた方たちをこぼさないような相談支援機関を立ち上げてほしいと思います。立ち上げてというか、子供のことを包括的にやっていくところが必要だと島崎委員もおっしゃいましたし、私も本当にそのとおりだと思います。

 その中の一つを、専門的に「ひとり親家庭支援」というように特化してやっていってほしいと思います。高齢者とか障害者の方には包括支援センターがありますけれども、子供にはありませんので、きちんと子供支援の目線と、ひとり親家庭の貧困率をこれ以上上げないことと、もっと相談に行きやすくするために、ぜひ相談機関の充実をお願いしたいと思います。

 以上です。

○小杉委員長 ありがとうございます。

 それでは、委員の方からの御発言も一巡いたしましたので、参加人の方々からも御発言をお願いしたいと思います。御発言はございますか。どうぞ。

 では、最初に片山参加人からお願いします。

○片山参加人 ありがとうございます。

 2つございます。大塩委員ですとか島崎委員、皆さんがおっしゃっているような、包括的支援というところで、私の体感なのですけれども、ひとり親の方々を見ていると、なぜ生活困窮になったのかとか、なぜ仕事が見つからないのかですとか、子供の学習というところがあるのですが、何か一つ一つの支援を見ていると、現状に対する対策だとか対応というようなものだけで、例えて言うと傷口にばんそうこうを張るような形になっている。

 本当は、なぜ貧困になったのか、なぜこういう生活になったのかという根本的原因を探っていかないと対策は立てられないと思うのです。解決策も見つからないというところで、それは福祉六法などに知的障害者支援法ですとかさまざまなものがあるのですけれども、私たちはひとり親支援というところから見ていると、精神障害とか発達障害だとかというところにまで目が届かないので、根本的な原因というのはなかなか探れないのです。なので、包括的支援というところで、現状をどのようにするのかではなくて、何でそうなったのかという原因を探るシステムが必要だと思います。

 そうすると、ばんそうこうを張るだけではなくて、ちゃんと縫合するだとか、もともと栄養が足りないだとか、何でこのように鬱病になってしまったのかというところの鬱病になった原因を取り除いてあげないと、なかなか治らないとは思うのです。

 そのような連携ですとか、先ほども言われていたように、包括支援センターというのが障害者ですとかはあるのですけれども、ひとり親というのもそういう側面からも見ていく必要があるのかなと思います。

 それから、学習支援なのですけれども、学習支援も子供が学習を支援してもらって、学力をつけていくと上の高校に上がれる。ワンランク上の高校に上がれて、その後に大学に進めるという道が出てくる中で、要は目的ですとか目標を設定して、どのぐらいの学力に照準を合わせていくというところですと、将来的にその子は稼ぐ大人になっていきますので、要はGDPが上がるということで、支援がないよりも多く納税してくれるというところを、カリキュラムをしっかり組んでやっていただきたいと思います。

 以上です。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 では、赤石参加人、お願いします。

○赤石参加人 ありがとうございます。赤石です。

 まず、専門委員会の開催の前に、幾つか厚生労働省から資料などが発表されているかと思うので、できればそういったものを御紹介いただけたらいいなと思います。

 「ひとり親家庭への支援施策に関する事例集」を5月に発表されておりまして、学習支援ボランティア事業とか総合相談窓口とか面会交流支援、地域生活支援事業など御紹介されております。地域の中で、学習支援で来てもらう支援と、ボランティアさんを派遣してくださっているような支援とかいろいろありますので、こういった事例集ができたのはとてもすばらしいことだと思いますし、自治体の方、いろいろな民間の方が悩んでいらっしゃると思いますので、こういったものを御紹介されるのは、ぜひこの専門委員もこれを踏まえた議論があるべきかと思います。

 あと、4月20日のひとり親と多子世帯の関係省庁会議での資料で、ひとり親家庭の現状についてというのが出てきていますので、それも拝見してすごくいい資料だと思いました。後で言及します。

 聞くところによると、いろいろなひとり親支援の団体にヒアリングをされていたと仄聞しているのですが、その結果も何かここに反映されるのかと思っておりましたのですけれども、きょうは資料としてはなかったので、それがあるとよいかと思います。

 シェアハウスで事実婚の規定にひっかかって児童扶養手当が支給されなかったということがございまして、事実婚の規定に追加の通達をお出しになっているかと思います。35年ぶりに追加の通達が出たということはありがたいと思いつつ、自治体の方がすごくお悩みの中で児童扶養手当の支給をやっておられると思うのですが、しかし、問題がゼロになったわけでもないのかなと思っておりますので、まず情報提供があるといいと思っておりますというのが前段です。

 私も本当にこのごろ、ひとり親に関する悲惨な事件がたくさん起こっているのをすごく危惧しております。去年の9月24日に銚子の県営住宅明け渡しということで、お母さんが子供を殺してしまったという事件、6月に裁判員裁判がありましたので傍聴に行かせていただきました。本当に複合的な問題があったということを認識させていただきました。

 まずは、債務がずっとあったということです。それは夫名義の借金を数百万円にわたって肩がわりしてしまっていた。しかし何年間も返しているわけですから、多分債務整理の情報があれば、この方は救われたかもしれない。

 中学入学のときに闇金に手を出してしまう。それは中学の制服代とかが払えなかったのです。ずっと毎日闇金から督促の電話がかかってきて、それでもうほかのことは見えなくなってしまっていた。何か学術用語でトンネリングというらしいのですけれども、そういった状態になっておられたのではないかと思います。

 このときに、先ほどの母子生活支援施設のことも含めて、本当に有効な情報があったらよかった。川崎の上村遼太君の事件もありましたけれども、こうした悲惨な事件をどうやったら防げたのか、これ以上ひとり親の子どもが死なない社会をつくるという決心をここできちんとやっていただきたいと思います。

 私どもしんぐるまざぁず・ふぉーらむは小さな団体ですけれども、ことし7~8月に食料支援団体と連携して80世帯に食料支援のパッケージを送る予定をしております。夏は給食がないので、お母さんたちは本当に大変です。ですので、そういった細々とした支援もしております。

 その上で意見というか、これは結局基本方針を書きかえると認識させていただいていいのか、政策パッケージをつくるための意見交換ということなのか、そこがよくわからなかったのですが、ぜひそこの位置づけがあるといいと思います。

 2ページ目の児童扶養手当が受給できない方、要件に合わなくてできない方というのはいらっしゃるわけです。そうすると、そこでできませんということで、行政とのパイプがなくなってしまうということがありまして、私は川崎市で男女共同参画センターがシングルファザー30世帯に聞き取り調査をしたときにかかわらせていただき、シングルファザーの方は所得が高い方も多いので、何かの支援がほしいと思っても児童扶養手当がないということで、もうそこで行政と切れてしまっている方がいらっしゃるとか、母子家庭でも不安定で要綱に合わないという方が事実婚の規定も含めてあって、もらえないということですごく対立的な状況になってしまい、その後の支援につながらない。この方たちにどうやってつなげるのかというのはすごく大切かと思います。

 あと、所得証明を持っていらっしゃいと言って、次に持ってこなかったのが大阪の2児置き去り死事件のお母さんであったということも、よくよく考えてみるべきかと思っております。

 ホームフレンド事業について言ったのは私なのですが、フィンランドでは男友達という派遣事業があるそうなのですけれども、どうしてこういうことを強調するかというと、家に訪問できるとか入っていけるということはすごく大切で、子育て支援もそうなのですが、ファミリーサポートとかは子育て支援がおうちに入っていける。そこで危機的な状況があったら見られるということです。それがすごく大切なことで、アウトリーチの一つになるということを認識していただけたらいいと思います。

 きのう東大和市が、急に熱が出たときには病児保育のほうが保育士を保育園に派遣して病児保育園まで希望があれば連れていきますという制度をつくったということで、これは多分働くパパ、ママみんなにいい制度なのですけれども、ひとり親にとってもこれは職を失うかどうかもすごく大変なところなので、こういうユニバーサルな制度が本当に働くひとり親にとってもすごく大きいのではないかと思います。

 清瀬市も、ファミリーサポート事業とひとり親のホームヘルプサービスをつなげて、病児の方、朝6時に熱が出ているのがわかった方を病院受診まで連れていくというようなことをやっておられると聞きましたので、この辺の子育て支援をより対象に近く、ニーズに近いものにつなげていく。今の日常生活支援事業はすごく使いにくいです。ほとんど支援員がいないということになっておりますので、ちょっとだけ予算費用を上げて、使いやすくなったらいいと思っております。

 それから、総合相談で母子生活支援施設あるいは子供の居場所があるというのはとても大切だと思います。

 住まいに関しては、空き家を有効利用ということが書いてございまして、そこら辺の知恵を絞るのはすごく大切かと思っております。私どもの小さな団体にも不動産業の方がたくさんお見えになって何かしたいとおっしゃるのですが、私どもはノウハウがないので、余り申し上げることがないということがあります。でも、本当に空室というのはすごく大きな問題になっていますので、知恵を絞る時期なのだろうと思っております。

 児童扶養手当のことで何人かの方かが発言してくださってすごく心強く思っております。せめて2人目の5,000円、3人目以降3,000円の加算を増額することが、子供が複数いるひとり親世帯の貧困率を削減することにつながると思っております。

 4月20日の厚生労働省のひとり親家庭等の現状について、きょう配られていないのですが、その中でも児童のいる世帯の状況の中で、複数子供がいると非常に支出がふえるとか、大変な状況であるというデータが出ておりまして、本当にこんな資料をつくってくださった厚生労働省さんありがとうと思うのですが、こういう資料を生かして、本当にわずかなお願いですので、2人目5,000円を1万円にとか、3人目以降3,000円をとか、これがどういう基準で定められているのかもわかりませんので、基準も示しつつ加算を増額したらいいなと思っております。

 質問なのですが、例えばこれで幾らかかるのでしょうかということを知りたいと思います。

 あと、児童扶養手当の支払いを年金と同様2カ月ごとにする。これもすごく大切で、本当に残念なのですけれども、なかなか金銭管理の難しい方はいらっしゃるのです。先ほど大分の母子自立支援員さんからもありました。本当にそこを何とか経常的にやるということで、8月の現況届から10月の支払いが多分ネックなのだろうと思うのです。では、本当に10月を抜かしてもいいし、児童手当が偶数月の2、6、10なので、児童扶養手当がその合間の奇数月でもいいから、11月からでも何か2カ月ごとのことはできないかと思っております。

 明石市さんは、この間明石市長さんにお会いすることができたのですけれども、児童扶養手当の増額を市として考えておられるとおっしゃっていて、すごくありがたいと思いました。

 そのほかすごく言いたいことがたくさんありますけれども、一人で時間をとるといけなのでこのくらいにさせていただきます。

○小杉委員長 最後の質問とおっしゃっていたところで、幾らというのは何がですか。

○赤石参加人 児童扶養手当の加算額の増額で、予算的にはどのくらいにかかるのか。

○小杉委員長 加算額、増額案がそこに出ているのです。それを皆さん共有していないのです。

○赤石参加人 幾らにというのがないのであれなのですが、例えばで結構ですので、どのくらいかかるのかが示されるといいと思います。

○小杉委員長 幾つか、厚生労働省、事務局への質問という形になっておりますので、今のお金の話と、一番最初に事例集なども出ているのではないか、公表されているものがどんなものがあるかとか。

 もう一つ、ここでの議論は基本方針の書きかえにつながるのか、その先のパッケージの話までつながるのかという御質問があったかと思います。

 お願いします。

○大隈家庭福祉課長 まず、ひとり親の事例集で、平成26年度に幾つかの自治体で学習支援とかさまざまな補助事業という形で取り組んでいただいたものの中の好事例を5月にまとめました。かなり分量も多いものなのですけれども、本日は御用意ができていなくて恐縮ですが、また委員の皆様に共有できるようにしたいと思います。今の事業でいいところの事例なので、これも広めつつ、今回、充実策ということで、それを参考にさらに予算的、制度的に充実できるものがあれば充実していきたいということでございます。

 それから、4月20日の関係府省会議で、官房副長官のもと厚生労働省とか文部科学省、各省庁が集まった1回目の会議がございまして、その資料もホームページには掲載されておりますけれども、委員の皆様にも後ほど共有したいと思いますが、こちらは1回目の会議ということで、ひとり親家庭の現状、世帯数がどれくらいあるとか、平均就労収入が年間いくらだとか、そういう基本的なデータと現行の取り組み、子育て生活支援、就労支援、養育費の確保、経済的支援としてどういう取り組みを行っているかという一番基本的な資料を配付したということでございます。それもまた、共有させていただきたいと思います。

 本日のこの場の議論ですけれども、最初に御説明させていただきましたとおり、総理の御発言もあって、ひとり親家庭の充実策の政策パッケージをまとめていくという新しい流れが出てきましたので、それに反映させられるようないろいろな御意見をいただきたいのがまず一つなのですけれども、それとあわせまして、ことしの1月に2回この委員会の場でこれから5年間の基本方針の議論をいただきました。

 委員長一任ということで一旦の取りまとめはできているのですが、新たな流れがございましたので、きょうの御意見も含めて、基本方針につけ加えるべき部分があればつけ加えるという側面も今回の議論ではございます。

 それ以外いろいろ御意見をいただきましたので、今後の充実策で検討させていただきたいと思いますが、御質問であった児童扶養手当の多子加算の増額で、いろいろなパターンがあるのと、今、正確な数字がすぐあるわけではないのですけれども、例えば第2子の加算は5,000円ですが、仮に1万円にすると、おそらく3桁億円くらいは必要になると思います。3分の1が国で3分の2が地方なのですけれども、いずれにしても公費がかなりかかる事業ですので、100億とかそれ以上ぐらいはかかると思います。

 以上です。

○小杉委員長 よろしいですか。まだありますか。

○赤石参加人 基本方針のパブリックコメントをされた結果があったかと思うのですけれども、それもあれですよね。

○山本母子家庭等自立支援推進官 パブリックコメントは公布後速やかに行いたいと考えております。まだ基本方針の公布をしていないので、御意見の公表はしていないということです。

○赤石参加人 3月の初めに最初に書いた基本方針のパブリックコメントをされておりますよね。私はホームページで発見しまして、知らなかったと思ったのです。

○山本母子家庭等自立支援推進官 パブリックコメントの御意見募集は3月に行いました。その件は前回のは委員会のときに申し上げていたかと思います。

○赤石参加人 ありがとうございます。

 おっしゃっていたと思いますが、当然結果がここの委員会で報告が来るかと思っていました。

○山本母子家庭等自立支援推進官 パブリックコメントの御意見の結果につきましては、公布後速やかに行うこととしておりますので、まだお出しできない状況です。

○小杉委員長 よろしいですか。

○赤石参加人 基本方針を書き直すという時期でございますので、ぜひそれも参考にするのが手続かと思っております。

○小杉委員長 パブリックコメントは今、ここでは御用意がないですね。

 どういたしますか。

○山本母子家庭等自立支援推進官 ございません。

○小杉委員長 追ってパブリックコメント結果というのは委員の皆様に御提供はいただけるということですね。

○大隈家庭福祉課長 ちょっと通常と違って、1回パブリックコメントを行って、それを手直ししようというので、少し通常と違う手続にはなっておりますけれども、いずれかのタイミングでパブリックコメントとしてこういう意見がありましたという情報は、委員の皆様にはお伝えしたいと思います。

○小杉委員長 わかりました。ありがとうございます。

 済みません、新川参加人、お待たせしました。

○新川参加人 ウインク新川です。

 私からは一つだけ。7ページの「子どもに直接支援が届くようにすることが必要。」という部分がすごく心に響いたのですが、というのは、ウインクではアンファン先生という事業をやっていて、そこに離婚家庭で育った子供たち、といっても大学生なのですが、今、50人弱の登録があって、交流会等を行ったときに聞いた話の中で、奨学金を受けながら大学に行っている子が半数以上いて、その子たちが実際にアルバイトをしながらお母さんに仕送りをしている現状とかがあるのです。

 その子たちの言葉で言うと、もううちの親はだめ親だからと言うのですが、一概に本当に親がだめだからという問題ではなくて、皆さんがこの場でお話しされたような、支援がしっかりと行き届いていないひずみが子供たちに行ってしまっているのだというのが、話を聞いていてすごく心苦しく思うのと、本当に高校時代に保険証がなくて医療を受けられなかったという現状とかも、実際に学生さんの中にあったりとかするので、本当に子供にしわ寄せが行っているということを現場の声としてお届けしたいのと、それに付随して最後のページの概要にある「子どもの進学に際しては、貸付け型の資金ではなく、より利用しやすいよう給付型の資金創設が必要。」というのは、本当にそのように強く思っていまして、ぜひ子供たちに支援がしっかりと届くようにつくっていっていただければと。

 私からはその部分がすごく心に響きましたので、現状としてお伝えさせていただきます。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 片山参加人、どうぞ。

○片山参加人 しょうもない質問なのですけれども、私だけ知らないのかわからないのですが、児童扶養手当が今、4万2,000円だと思うのですが、なぜ4万2,000円なのか。私はいろいろな人に質問されるのですけれども、答えられないのです。

 多分生活物価指数か何かから計算されて出してきているのだと思うのですけれども、それがなぜ6万円でないのか、なぜ3万円ではなくて4万2,000円なのかという計算論拠を探したことがあるのですけれども,見つからないので、それを一つ教えていただきたい。

 もう一つは、ひとり親支援とありますけれども、離婚というのがすごく今、多くなっていて4組に1組とか3組に1組が離婚になっていることのそもそも原因を厚生労働省は把握しているのかというところと、子供がいますので、そこの子供が私の肌感覚ですと、発達障害ですとか軽度の知的障害の子供がひとり親の家庭の子供には多いのかなと思います。

 あと、親の軽度の発達障害もかなりの数見受けられるのです。二人親世帯に比べるとひとり親世帯の子供ですとか親の障害が何となく多いのかなというようにあるのですけれども、そのデータはありますか。

○小杉委員長 わかる範囲でお答えただければと思いますが、どうですか。

○大隈家庭福祉課長 まず、児童扶養手当の4万2,000円なのですけれども、児童扶養手当は昭和30年代半ばにできていますが、死別の母子世帯に母子福祉年金という仕組みができて間もなく、生別母子世帯にも同様の手当が必要ということで、児童扶養手当が発足しておりますが、その当時の母子福祉年金の額にまず合わせるような形でスタートしていて、それがその後物価の上昇などに伴って、物価スライドのような形で徐々に引き上げられて現在に至っているというのが一番大ざっぱな御説明で、それが現在4万2,000円でございます。

 今は物価スライドが入っておりますので、去年4万1,020円だったところが4万2,000円という形で、物価指数に応じて動いているということでございます。

 2つ目はひとり親の原因ですか。数字としてよく使っているのは、死別か離婚かそれ以外かという数字で、それは追ってみると、死別が多かったのが離婚がふえて、あと未婚の母も増えてきているということなのですけれども、そのさらに奥の要因までの数字は詳しく把握しているわけではございませんし、あと、ひとり親家庭の子供に発達障害などが多いかというところも特に把握はしておりません。

○小杉委員長 どうぞ。

○片山参加人 そうすると、母子年金から遺族基礎年金になって、遺族厚生年金に分かれていて、その年金からなぜ4万2,000円になったのかというのがわからないのです。年金は大体8万円か9万円ぐらいだと思うのですけれども、その半分でいいみたいな感じで決められたのか、なぜ半分ぐらいの金額なのか。

○大隈家庭福祉課長 母子福祉年金は、昭和60年代の初めに年金制度が変わったときに、拠出型の年金制度の中にある意味吸収された形になっておりますので、そちらは半額は公費が財源で、残り半分は保険料で賄っているということなので、そのときに年金制度のほうは拠出制も入ったということなので額が上がった。そこの違いがその後の違いになってきているということでございます。

○片山参加人 要は税金と年金基金の1対1というか5050で、その50ぐらいの金額が妥当だというところで、もっと言うと、年金というのは生活保護の金額から算出されてきているのですか。それはまた。そこら辺はわかりました。

○小杉委員長 よろしいですか。

 今、改めて委員の方からありますか。

 どうぞ、島崎委員。

○島崎委員 せっかくなので、議論することが大別して2つあるように思います。というか、率直に委員あるいは3人の参加人の方にご意見を伺いたいことがあります。

 1つ目は、いろいろな施策を打っていくときの前提として、どういうひとり親家庭像なり人間像なりをイメージしていけばよいのかということです。というのは、先ほど宮岡委員は、いろいろな施策は打っているけれども、なかなかそれを使いこなせない人がいると言われました。また、複数の方が、児童扶養手当の支給が4月に1回だと、日常的な金銭管理ができず受給すると使ってしまうということをおっしゃった。

 しかし、これまで前提としてきたイメージは、日本のひとり親家庭はほかの国とは違って、福祉にどっぷりつかっているのではなく、一生懸命働こうという意欲はあるし生活管理もきちんとしていこうとしている。一言でいうと自立意識は高い。ところが、いろいろな事情があり、また、ニーズが非常に多岐にわたっているので、それに対して多様な支援のメニューを用意し、それが使い勝手が悪いのだったら、使い勝手をよくする必要はあるけれども、いずれにせよ、前提となっているのは、そういう施策を使いながら自立を目指し生きていこうというイメージであったように思います。

 それに対し、「そうではない。それはもう机上の空論であって、そんなのは実態とかなり違っている」ということなのか。違ういい方をすれば、「一口にひとり親家庭と言ってもいろいろなタイプの方がいらっしゃって、そういう自立型の人ばかりではないので、いちいち申請とかさせるのではなく、一定の要件に該当したら給付してしまえ」という意見のように聞こえたのですけれども、それはどう考えるべきなのか気になります。

 もちろんきれいごとで済まないことは承知していますが、要するに、一定の要件に該当すれば一方的に給付してしまえというのが、本当に児童福祉法の理念というか、自立を支援していきましょうと理念に適合しているのかなという気になるということです。

 そう言いながら一方では、そういうことに必ずしもうまくフィットしない人もいっぱいいて、そこがむしろ行政として待っているのではなくて、積極的にコミットしていかなければいけない人もいるのだろうという気もしますけれども、その点についてどのように考えていけばよいのか。いろいろな支援施策を組むときの前提をどう捉えるかによって、支援の仕方も変わってくるのではないかという気がするものですから、その点について御意見があれば是非お伺いしたいと思います。

○小杉委員長 ひとり親家庭像の皆さんが持っているベースのイメージですね。多分時代とともに変化があるのではないかということだと思います。

 参加人の方を含めて、皆さんから御意見をお聞きしたいということなので、枠島委員、どうぞ。

○枠島委員 この会議に出席していて、死別の母子家庭は私だけかなと思って、ほかの方もあるかもしれませんけれども、実体験をしているのは私かと思ったりして、発言させていただきたいと思います。

 私は年子4人を産みまして、今、多子世帯かもしれません。上の子が5歳のときに5、4、3、1.5歳の子供を抱えて母子家庭になりました。夫は死別なのです。

 そのときの夫の職業は鳥取県名産二十世紀梨の果樹園を経営しておりました。本人が亡くなると全くできない。退職金も年金も何もないという状態だったのですが、私が最後の子供を産む6カ月前ぐらいまで勤めておりましたものですから、その後に1年ほど国民年金をかけておりました。それで母子年金がおりまして、それが児童扶養手当をいただかれる方より少し上で、それで生活していかねばならない。

 この4人の子供を育てるのにどうしたらいいか、そこで一生懸命働きました。働いても月給3万円から。3万円は普通の方の給料にならない。それで家族手当も何もなかった。ただし、何とかしないといけない。その間に3番目の子供が病気をして入院した。

 このときにどうしよう、親子がどうしよう。親族があったから助けてもらったという点はありますけれども、一人で子供を育てようという覚悟。今の方がどうのこうのではないのですけれども、今、別れても児童扶養手当があって、何とか生活できるのではないかと私は思いますけれども、やはり覚悟を持って生活するというのは非常に厳しい。

 また、子供が勉強ができても大学にどうしてやれるのだろうかと考えました。そこに交通遺児手当、交通遺児の奨学資金がありまして、全部奨学資金を借りて一番上の子は高校までですけれども、次は大学、短大に行かせた。

 今は本人たちも返したり、本人たちは一生懸命働いております。でも、私が借りたのだから私も返さないといけない。こういう覚悟で今も生活しておりますけれども、今、母子家庭の非常に苦しい生活を目の前にして、何とかこの方たちの助けにならないといけないと思って、空き家を利用して子供たちに学習支援をしております。

 私は一切補助もいただいておりません。そこに子供たちは夏休み、冬休みと来て、遊んだり勉強したり、算数がわからない、算数は今も昔も私たちが習ったことと変わらない。だからおばさんが教えてあげるということで、中学までの算数、私は書道ができるので習字を無料で教えている。夏休みに宿題があるから、明日でも来たいという子供がおりますそれから習字も教えてやる。そして、論語を教えてやる。教えるというか論語を一緒に読む。そういうことをやっておりますので、今の若いお母さんたちに何とか生き延びてほしいと思うのです。

 ですから、児童扶養手当があるのだ。母子会の先輩たちが発言してこれがつくられたと聞いておりますので、私たち全母子協としては、児童扶養手当をつくったのは私たちなのだと自負しております。

 非常に申しわけない、自分自身のことなのですが、頑張ってきた者として今後もひとり親家庭のお母さんに頑張ってほしいと思います。

○小杉委員長 ありがとうございます。

 そういう像が多分原型だと思うのです。

○大塩委員 私は母子生活支援施設にいますので、母子世帯の方々の生活を支援させてもらっていく中で、母子世帯の生活の苦しさを実感しております。

 今、枠島委員がおっしゃったように、こういうお母さん方もいらっしゃいます。それから、個々の事情がさまざまなので、児童扶養手当を一括して使ってしまわないといけない方もありますし、きちんと管理できる方もあります。

それぞれの方々に個別の状況がおありだと思います。その中で私が先ほどから相談体制を強化してほしいというのは、母子生活支援施設では、入所されたばかりでどこから何をしていいかわからないという方に対して困っておられることから施策につなげていくことができます。その方たちが何に困っておられて、何を必要としておられるのかということを、入所されたときからアセスメントしながら、今後の方向性について御本人と一緒に確認していくことができるので、それが自立支援につながっていくと思うのです。

 母子生活支援施設にいていいと思うのは、生活の中で支援ができることです。母子生活支援施設は生活の場ですので、利用者の方も子供たちも職員に対してかなり近い距離で困りごととかを相談してくださることがいいと思っています。

 ですけれども、地域にいらっしゃる方にはそういうわけにはいかないので、地域の方たちが困っておられる方たちにどうやってたくさんある施策をつなげていくかがすごく大事なことだと思っています。コーディネートしていくということがものすごく大事だと思っていますし、そこが課題だと思います。

 もうひとつ、先ほど母子家庭の方々が児童扶養手当をまとめて使われるという御発言がありましたけれども、児童扶養手当はひとり親家庭にとって命綱です。これがあるから生活ができるというのが実感だと思います。ひとり親家庭に厳しい就労環境の中で、児童扶養手当があるから子供を育てていけるというくらい大切なものですし、ひとり親家庭にとって児童扶養手当は命綱だと思っております。

 以上です。

○小杉委員長 赤石参加人。

○赤石参加人 先ほど、滞納とかそういった話をしたので、生活の能力がない方がふえているという印象を島崎委員が持たれたのだったら、ちょっと違うかと思います。

 家賃とか、光熱費、携帯代、そういう家計の中の固定費は結構多いのです。今、通信費も皆さんどうしてもかかっていますので、その点が1020年前と違うと思います。この固定費は月々払いが多いです。ところが、お給料は月々入る方が多いと思いますけれども、児童扶養手当とか児童手当は4カ月に1遍です。そうすると、そこの管理がうまくいかなくなって、うまく見計らいできなくなって滞納されているという方が多いのかなと思います。

 結局児童扶養手当が入ってきたときに、今まで光熱費とか滞納していたものを払うみたいなサイクルになってしまっておられて、その中でもうきゅうきゅうなので、例えば入学のとき、たくさん10万円ぐらいかかるとか、先ほど幼稚園とおっしゃいましたけれども、そういうまとまったお金が必要なものがもう出せないみたいなことなのかなと思うので、すごく金遣いが荒いとか、そういうことを申し上げているのではない。

 それだけぎりぎりの暮らしになっている。それはこの1020年で非正規化が進み、お給料は上がらず、しかし子供たちのいろいろな欲求はふえてきてしまっているのです。携帯を中学のときから欲しいという子もいるかもしれないし、そこで仲間外れになったらかわいそうと思って持たせてしまうということもありますので、そういう中で必要経費が上がってきていて、お給料はかえって下がっている状況の中で起こっていることであって、管理能力がもちろん中には大変な方もいらっしゃると思うのですが、収入の地盤沈下の中できゅうきゅうになっている方が多いという印象を持っております。

○小杉委員長 ほかの御意見はありますか。

 片山参加人、どうぞ。

○片山参加人 私は皆さんと若干違うのかもしれないですけれども、そもそも日本のひとり親家庭の生活は、フランスみたいに子供がたくさんいると働かなくても普通の生活を送れるという風土ではなく、労働ありきだと思っているのです。

 私も父子家庭でサラリーマンを続けられなかったという原因があって、私が知っている父子家庭ですとか一部の母子家庭の方も、正規雇用で働いていたのに、日本は世界まれに見る長時間労働大国になっています。生産性も非常に悪いです。OECDの数字を見ても先進7カ国でワーストですし、1時間当たり40ドルしか稼げないという日本。

 その中で何が原因なのかと見ていくと、何でひとり親世帯は所得が低いのかといったら、やはり正規雇用が非正規雇用になってしまうですとか、毎日私も夕飯をつくったり、朝、弁当をつくったりということをしているので、6~7時には家に帰りたい、御飯をつくるとなると残業ができなくなる。そうすると、正規雇用にはなれなくなってリストラをされたり、いづらくなって退職する。そういう世の中がよくないのではないかと思っています。

 ということは、今、私がやっているのは企業に出向いてワークライフバランスのコンサルティングを企業に対して1年ぐらいじっくり取り組んで、労働生産性を上げて残業を圧縮していくという作業と、テレワークということで、クラウド技術ですとかITインフラを企業に安価で提案をして、それで介護ですとか、子育てですとか、子供が突然病気になったときに在宅ワークができるようにというのを実際に厚生労働省の補助金とかも使って進めています。

 何でこういうことをやっているかと言うと、ひとり親であっても働いていくと、一般の方々が残業がそんなになくなって、普通の奥さんがいるお父さんも早く帰れるような世の中ができれば、ひとり親も普通に正規雇用で働けると思うのです。そこを目指していきたいと思います。

 イギリスはブレア政権が誕生したときに、ワークライフバランスをイギリス全土でやるぞとかけ声をかけているのです。それを安倍さんにも期待したいと思っています。

 それと、精神障害ですとかさまざまな原因でどうしても働けない人は別の支援があってもいいと思うのですけれども、やはり日本のひとり親は中福祉中負担ということで、労働ありきだと私は考えています。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 ほかの御意見はございますか。

 では、宮岡委員。

○宮岡委員 先ほど母子家庭の方々の生活能力みたいなお話があったのですけれども、私のところは九州の地方都市で、人口7万のうちにひとり親家庭が約1,000人、標準的な地方都市と考えてもらっていいのではないかと思うのですけれども、1,000人のひとり親家庭のうち1020%が私たちの相談につながる。生活保護につながっている人は5%です。

 離婚したときは私たちが一度皆さんとお話をするのですけれども、80%ぐらいの人はそのときのお話で、何とか自分自身で生活を維持できる。その後の相談にはつながらない。残り1020%の人たちが先ほど言った幼稚園のお金が払えないとか、修学旅行だとか、お金がうまく使えないだとか、ネグレクトだとかで相談につながってきています。

 今、福祉のこういう施策についてのお話なのですけれども、20%の方ばかりに余り目が行くのも変。でも、全体100%の方々が福祉の施策にあずからないといけないと思います。

 全体で考えることは必要で、ただし1020%の人も漏れないようにしないといけない。余りできない方ばかりの施策に、もちろんそこばかりに意見が行ってしまって、議論がそこに集中していくと、残り80%の人が残されていくのではないかと思いますので、そういったどこに目を当てていくかは考えていかないといけないのではないかと思います。

 よくわからないのですけれども、全部の方々がなかなか生活しづらいということではなくて、多くの方はきちんとできている。ただ、今、できていない少数の方々の問題が今、一番話題になっていて、もちろん支援をしていかないといけないのは当然なのですが、公の席で議論するときはバランスよくいろいろな方向で話をしていただきたいと思っています。

 もう一つ、80%の方々が1020%の生活困窮にならないための方法を考えていただきたい。例えば就労支援だとか、その地域全体の最低賃金を上げるだとか、家賃を補助するだとかいろいろあると思います。そういった施策も考えていただきたいと思います。

 昨年度、ようやく年金受給者も児童扶養手当を一部受給できるとなってよかったと思うのですけれども、もう少し広げていただいて、例えば親が亡くなって子供を引き取ったおじいさんおばあさんが、老齢年金というか国民年金の一番最低な部分を受給していた。でも、年金受給者だから児童扶養手当は該当しませんとなっているのです。

 それとか、お母さんが子供を養育しているのだけれども、障害年金を受給するようになった。厚生年金の3級だと子の加算もつかなくて、5万程度しかもらえないのですけれども、児童扶養手当は受給できない。差額ももちろんありませんので受給できないというところなのです。

 普通の人は働いて年収120140万で児童扶養手当をもらって生活しているのですけれども、そういったおばあさん、おじいさんは自分の年金70万ぐらいをもらっているだけなのに、就労もできていないのに児童扶養手当が受給できない。障害のお母さんはやはり70万程度の年金をもらっている。もちろん就労できない。でも、児童扶養手当も受給できないという、働いて児童扶養手当をもらっている方と、働けなくて年金をもらって、その年金額は平均年収にもとても満たないのだけれども、児童扶養手当は受給できない、そこの不都合なところがあるのが以前からとても気になっていました。

 昨年、年金と児童扶養手当の見直しができたので、こういうことをきっかけにもう少し見直しを進めていただきたいと思っています。

○小杉委員長 ありがとうございます。

 では、小林委員、お待たせしました。

○小林委員 大塩委員がおっしゃったワンストップサービスとかコーディネートみたいな相談支援体制の必要性についてですが、私は介護の課長をやっているときに、地域包括支援センターは松戸市で当時3カ所しかなくて、11カ所に思い切ってふやしました。

 今、相談支援体制のお話を大塩委員から聞いて、子育て世代包括支援センターが松戸市には、一つもありませんので、新年度政策立案して予算をとって、何としてでも立ち上げたい。

 ただ、やはり財源的な制約とか、人を配置しないといけないとか、その辺の制約が非常に大きいのですが、そこはいろいろ考え工夫して、相談支援体制を整えていかなければいけないということが一つであります。

 先ほど、働くひとり親家庭の中で病児保育のお話がありました。松戸市は病後児保育はやっているのですが、病児保育はまだやっていません。ことし厚労省から職員の派遣をしてくださって、国と自治体の連携も非常に今、緊密になってきております。松戸市に派遣していただいた参事監が一生懸命病児保育の立ち上げを医師会に対して働きかけて、かなり現実のものになってきました。この場で、そういういろいろなお話を聞く中で、それを政策に結びつけていかなければいけないと痛感しました。

 はじめから、十分なものといかないかもしれませんが、一つ一つとにかく前に進めなければいけないので、子育て世代包括支援センターとか病児保育の重要性をよく認識して、ちゃんと政策に結びつけたい、予算も獲得したいと意を強くしました。

○小杉委員長 ありがとうございます。何か答弁していただいたみたいですね。

 新川参加人、どうぞ。

○新川参加人 島崎先生の質問は、支援が必要と考えていて支援の対象とする人のイメージということだったと思うのですけれども、私も児童扶養手当を受けている人全員がその対象だとは思っていなくて、ただ、対象とする人がすごくいっぱいいると思っていて、なぜかと言うと、どんな支援があってどれを自分の生活の中に生かしたらよりよい生活ができるのかということすらわからない人がすごくたくさんいるのではないかと思っているのです。

 私自身が母子の時代があって、でも、私はこういう活動をしているので、どんな支援があってというのをよく知っているし、自分でも生かせたので、例えば子供が大学に入るときには母子福祉資金の貸し付けも受けられました。でも、実際には当事者にそんなことすら知らない人たちがたくさんいるので、そういう人たちが全般的に対象のイメージだと私は思っています。

○小杉委員長 どうぞ、島崎委員。

○島崎委員 これ以上ここで議論する必要はないのかもしれないのですけれども、私が何を言いたかったかというと、「プッシュ型」という言葉があるのですけれども、ある行政施策の対象になる人がいて、その要件に該当したら申請も何も一切なしで行政がサービスを「押し込んでいく」ということが今後の政策の展開のあり方として必要なのか。そうではなくて、多様な人がいるわけだから一緒くたにはできないかもしれないけれども、建前的には、それぞれの人たちが、用意されたメニューのどれを選ぶかどうかということは、自分で決め申請していくのだという前提に立ち、その橋渡しがうまくいっていないのだとすれば、普及方法なり使い勝手をよくすることを考えていくというのでは、施策の展開の仕方が違うので、そこはどう考えるべきなのかを聞きたかったということです。

 もう一つ、私がどう考えるべきかと、特に官邸からもっときちんと考えろという話が来たときに、押さえておかないといけないというか議論しておいたほうがよいと思っていることがあります。それは、一方では明石市のようにいろいろ積極的な取り組みをしているところもある。また、そこに倣って、もっと子育て問題、あるいはひとり親家庭の問題について積極的にかかわっていこうと思っている自治体もある。実際、先ほど言った子どもの貧困問題について、自分のところできちんと調査・分析の取り組みをしているところもあります。その一方で、ひとり親家庭の問題はプライオリティーが高くないと思っている自治体もあると思います。つまり千差万別なわけです。

ひとり親家庭の施策が昔でいう機関委任事務今でいえば法定受託事務であれば、国がパッケージをつくって各自治体にこれをやれと押しつけていくことはできる。しかし、ひとり親家庭の施策はそういう性格のものではなく、自治事務になってしまっているわけです。

 自治事務である以上、国は制度上できることは、補助金を流し誘導する、あるいはこんな好事例がありますということを紹介するのが限度であって、自治体に対し必ずこれをやれと命令することはできない状態になっているわけです。

 もちろん児童扶養手当を幾ら出すかどうかというのは別ですが、多くのひとり親家庭の施策、先ほど来議論になっている相談事業とかは基本的には自治事務であって、国ができることはせいぜい、先ほど言ったような補助金や好事例集の策定とかに限られるわけです。

 だとすると、一方で、子供の貧困は非常に大切なのでそれを解消することは非常に大切で、国の基本的なありようにかかわるのだということとは、どのように考えていけばいいのですか。あるいは、そこをここで議論しても意味はなくてということであれば、それはそれで構わないのですけれども、せめて伺いたいのは、自治体からしてみると国に対しどのようにしてほしいのかということです。

 例えば、国として自治事務を今さら法定受託事務にするなどということはできないかもしれないけれども、もっと国として旗を振ってほしいと思っているのか、それはもうそれぞれの自治体のプライオリティーの問題なのだから、むしろそれはこれまで以上に自由にしてほしいと思っておられるのか。せめてそのぐらいは、せっかくだから議論しておく必要があるのではないかと思います。

○小杉委員長 自治体にということで質問が投げかけられましたが、いかがでしょうか。

 もしお答えできれば。堀委員、お願いします。

○堀委員 やはり行政的には、基本的には地方自治体がそれぞれどのような形で施策を考えていくかは各地方自治体で考えなければいけないと思います。ただ、その段階で全てを例えば単独事業なりで考えていくというのは、財源的にも非常に困難であるということはあるかと思います。ですので、メニュー化を非常にお願いしたいということなのです。

 例えば、子供なりひとり親であってもそうなのですけれども、ひとり親のライフステージ、そのお子さんのライフステージに合わせた形で、さまざまな施策が必要になるかと思います。それは小さいときからまさに就労までという形での、継続的な長期にわたる施策が必要になるかと思います。その段階で、それぞれに応じた施策をその人に合わせて展開できて、それがつなげられるのが一番いいのだと思います。

 そのためには、さまざまなメニューをつくっていただいて、それをいかにその人に合わせて組み合わせていくかというのが行政であり、もしくは直接ひとり親家庭に対して相談に乗っている支援員さんなりのコーディネート力が生かされることだと思います。ですので、ぜひ必要であるメニューをふやしていただく。

 あと、要望としてあるのは、これはモデル的になるのですけれども、さまざまな施策を組み合わせた結果として、それがどのような形で、例えばひとり親世帯なりの貧困からこのような形で抜け出すことができたとか、こういうことでこれを組み合わせることによって、貧困家庭から抜け出すことができるというプロセスをぜひお示しいただけると大変ありがたいと思っています。

 ほかの委員の先生がおっしゃったところもありましたけれども、どうしても施策に関しては、ばんそうこうを張るような施策にどうしてもなってしまうときが多いのです。

 それだけではなくて、長期的にわたって継続的な施策が必要なのです。ただ、継続的な施策がプロセス的にその人に最終的に合っているのかどうかという評価がなかなかできないでいるのです。

 ぜひそういう施策のプロセスを示した上で、さまざまなメニュー化をお願いしたいと思っています。

 ますます長くなって申しわけないのですが、先ほど宮岡委員がおっしゃったように、8割の何とか頑張っていらっしゃる方、1~2割のどうしても福祉的な支援が必要な方は、実際に相談なりとかお話を聞いていらっしゃいます。そこは分けないといけなくなると思うのです。

 8割の方に対してはいろいろなメニューを提示することによって、コーディネートとか相談に乗ることで、御自身たちがそれを自分のものとして考えていけるという力をお持ちになっていらっしゃる。

 ところが、残りの1~2割の方に関しては、そういう方をまず発見することから始めないといけないという状況にあると思います。そうなるとやはり、施策としては違う施策になってくるし、連携先も大きく違ってくることもありますので、そういう面は分けた上で考えた上でさまざまな施策を組み合わせていかないといけないのかなと思っているところです。

○小杉委員長 では、小林委員。

○小林委員 正直言って、自治体としては国庫補助をふやしてほしいというか、はっきり言うと私は高齢者も、今、子供をやっていますが、高齢者に使う予算を減らして子供に使う予算をふやしてほしいというのが国にお願いしたいことです。

 あと、自治体として財源的な枠の中でやって、優先順位をつけていくわけですが、それはひとり親家庭に対する支援も子供の貧困も非常に重要なのですが、自治体としては人口減少ということもありまして、松戸市としては、担税力が脆弱でありますので、担税力を高めたい。

 そのためにそういう子育て世代を多く取り込みたい。そうすると、政策的には今言ったようにいっぱいあるのですが、待機児童をゼロにするとか、子育て世代に対する売りみたいなものを政策としては優先的にやっていかないと呼び込めないものですから、本当に大事な問題はいっぱいあるのですけれども、どうしても政策順位で財源的な制約上そうなってしまう。あれもこれもはできないというのが実態であります。

 以上です。

○小杉委員長 そろそろ時間が迫っています。

 新保委員で最後にしたいです。よろしいですか。

○新保委員 ありがとうございます。

 幾つかあったのですが、まず、対象となる方がどう変わったのか変わらないかという話です。昭和20年代、40年代、60年代、現在という形で、社会保障制度の仕組み自体が大きく変わってきたと思いますが、今回のテーマとの関係で言うならば、社会の仕組みで変わったのは家族のイメージの中で、親族による支援がどの程度受けられるようになったか。つまり、同居する家族がどうであるのかというのは、ひとり親家庭ということで、比較的私たちは目の前に見えやすいのですが、その背景にある親族のイメージが昭和20年代、40年代のころは支え合うという親族の仕組みがまだ機能していた。親族間での支えあい機能が弱くなってきたというのが昭和60年代、現在に続く時代の流れの中での大きな変化なのだろうと思います。

 親族による支えあいがあるときというのは、死別であれ離別であれひとり親という状態になっても、親族の中の誰かが支えてくださる。親族の中の誰かが少なくとも心の上で支えてくださる。場合によっては、経済的なものも含めて支えてくださるということがあったけれども、最近はそれがしにくい時代になってきた。これがひとり親家庭をめぐる背景として、とても大きなテーマだろうと思います。

 それがゆえに制度が用意されても、その制度の中のどれを活用してどれをどのような優先順位で使っていくのかについてのコーディネート力がどうしても不足してしまって、そのために当事者の立場にたって相談に応じてくれる人が必要になる。これが母子生活支援施設の専門職であったり、母子・父子自立支援員であったりするわけですけれども、そういうコーディネート力を持つ人が必要になった背景には、親族同士がお互いを支えあう力が弱まってきているということがあるのだろうと思います。

 それから、重点施策の話です。これはイギリスがひとり親家庭とか貧困家庭の施策については比較的早くから取り組んでいるわけですけれども、相対的貧困について政策課題になり始めた1960年代以降のイギリスのひとり親家庭施策を見ると、時間の推移と共に重点施策は変化しかつ追加されてきた。最初に就業を支えよう、就業を支援しようという動きが出てきた。次の段階で、進学を支えようという動きが出てきた。その次に学習を支えようという動きが出てきた。その次に出てきたのが就学前の教育が必要であるということ。学校に入る前に基礎的な学力を身につけていく必要があるけれども、就学前の教育が必要であろう。その次の段階で乳幼児期の食の問題が出てくる。

 こういう重点施策でやってきて、相対的貧困率が下がり始めたのが就学前教育についてウエートが置かれ始めたころからだろうと思います。

 イギリスの例は、文化が違うし、家族制度も地域性も違う国ですから、どこまで参考になるのかはわかりませんが、基本的な子供の貧困対策、ひとり親対策で言うならば、私たちが今やっている就学、進学支援は大切だ。学習支援が大切だ。その次にやらなければいけないのは就学前の教育。これは今般の子ども・子育て支援制度の中で粛々とやる必要がある。

 では、ここの分科会、特別部会で何をやるかというならば、それの中の相談機能を支えると同時に、ひとり親家庭における乳幼児期のことについてもう少しウエートを置くことが必要なのではないか。その中で核となるのは、食べるということ、乳幼児期、特にゼロ歳児のとき、1歳児、乳幼児のころにしっかりとした食を確保し、栄養確保をした上で、その後一生懸命学ぶということを支える基礎的な力をつけるというのが物すごく大事になってくる。これはイギリスの政策の流れ、その後の相対的な貧困の歴史的な変遷から考えると、日本の今にとって有効な施策になってくるだろう。少し試行錯誤が必要なのかもしれない。イギリスはいろいろ実験しながら来て、ようやくそこに到達した。日本の現状は、就労支援、進学支援というところで悪戦苦闘している段階かもしれない。しかし、少し先の社会をイメージしながら、ひとり親家庭の子の乳幼児期の食の問題を政策としてより重視する必要があると考えます。

 以上でございます。

○小杉委員長 ありがとうございました。

 まだ議論があるかもしれませんが、申しわけございませんが、時間が既に来てしまいましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。

 皆様からいただいた御意見を踏まえて、きょうの一つのテーマである基本方針を追加する、改正案を追記するということが必要かと思います。

 必要な文言の修正については、私のほうに預からせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、事務局については、引き続き本委員会での議論を踏まえて取り組みを進めていただきたいと思います。

 最後に、事務局から今後の予定などについてお願いいたします。

○大隈家庭福祉課長 事務局としては、本日いただいた御意見を踏まえまして、基本方針の見直しを進めてまいりたいと思います。

 最終的には厚生労働大臣の告示として定めることとしておりまして、そのために必要な手続を進めさせていただきたいと思っております。

 引き続き御指導のほど、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○小杉委員長 では、これにて本日の専門委員会を閉会といたします。

 どうも御協力ありがとうございました。


(了)

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