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2015年7月29日 第52回 がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成27年7月29日(水)9:30~11:30


○場所

航空会館 501~502会議室(5階)
(東京都港区新橋1-18-1)


○議題

(1)会長の選任等について
(2)がん対策の推進について
(3)その他

○議事

○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第 52 回がん対策推進協議会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん対策健康増進課がん対策推進官の秋月と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座長が決まるまでの間、私が進行を務めさせていただきます。まず初めに、会の開催に当たりまして、健康局長の新村より御挨拶を申し上げます。

○健康局長 健康局長の新村と申します。よろしくお願いいたします。本日は委員の皆様方に御多用中にもかかわらず、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、日頃より、がん対策について、それぞれのお立場で御尽力いただきまして厚く御礼申し上げます。

 今回、がん対策推進協議会委員の改選がありました。引き続き委員をお願いしている皆様方もおられますが、新しく委員になられた方々もおられますので、是非よろしくお願いしたいと考えております。

 国のがん対策については、平成 24 6 月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」に基づき推進しているところです。改選前の委員の皆様方からいただいた御意見を踏まえ、この基本計画、これは第 2 期の基本計画ですが、その中間評価をいただき、また今後のがん対策の方向性についても取りまとめていただきました。また併せて、 6 1 日に「がんサミット」が開催され、その中で年末に向けて「がん対策加速化プラン」という、この基本計画の対策を更に加速化させていくという趣旨での加速化プランを作っていくということも決まったところです。

 今回、改選後、第 5 期の皆様方になりますが、委員の皆様方からは、この中間評価の内容と、今後のがん対策の方向についての提言を踏まえつつ、時期がん対策推進基本計画、そして、それに向けての加速化プランの策定に向けて御意見を頂きたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、それぞれのお立場から、御自身の知識、御経験に基づいた有意義な御意見を賜りますようお願い申し上げます。それに基づき、がん対策の更なる推進を進めていきたいと考えておりますので、是非、活発な御議論をいただきますよう、お願い申し上げます。以上、簡単ですが、御挨拶とさせていただきます。

○がん対策推進官 続いて、委員の皆様方の御紹介をさせていただきます。恐縮ですが、お名前をお呼びいたしますので、御起立いただき、一言御挨拶をお願いいたします。株式会社ケアーズ白十字訪問看護ステーション統括所長の秋山正子委員です。

○秋山委員 秋山です。今期から初めて出席させていただきます。私は、在宅の訪問看護の分野での、がん患者さんと家族への支援、そして、今「暮らしの保健室」という相談支援の場を持っていて、がん相談に乗っています。それを発展して、「マギーズセンター」を東京にという運動をしております。よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院副院長の大江裕一郎委員です。

○大江委員 国立がん研究センター中央病院の大江と申します。私は、腫瘍内科医の立場で、この会に貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 公益社団法人日本看護協会常任理事の川本利恵子委員です。

○川本委員 おはようございます。日本看護協会の川本と申します。私は引き続き委員をさせていただいております。前回の委員会でも、非常にいろいろなことを学ばせていただきました。これから、患者さんの一番身近かな所にいる看護職の代表として、いろいろ発言させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 一般社団法人 CSR プロジェクト代表理事の桜井なおみ委員です。

○桜井委員 桜井と申します。よろしくお願いいたします。今日は私にとっては特別な日で、 10 年前の今頃は手術を前の日にして 1 人の怯えた患者だったと思っています。抗がん剤が体の中に入る一滴一滴を見ながら、がん対策基本法ができ、山本議員の「救える命を救う」というこの言葉を治療を受けながら見ていた日々を想い出します。

 現在、患者委員という立場で非常に大切な時期に拝命したと思っております。責務を十分果たしていきたいと思います。皆さん、よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官  NPO 法人 AWA がん対策募金理事長の勢井啓介委員です。

○勢井委員 皆さん、おはようございます。 AWA がんの勢井と申します。 AWA は徳島県ですので阿波の国の阿波と、それと、みんなの輪と掛け合わした AWA です。私は姓は勢井なので覚えやすいかと思います。よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一委員です。

○中川委員 中川でございます。私はがんの放射線治療、また緩和ケアも担当してきましたが、臨床医です。第 1 期から継続して委員をさせていただいております。個々の臨床活動を長くやっていますと、がんの啓発とか、あるいは学校でのがん教育といったところを充実させていかないと、この増え続けるがん死亡を減らすことができないと、そういう思いで活動してまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 一般社団法人シンクパール代表理事の難波美智代委員です。

○難波委員 皆様おはようございます。一般社団法人シンクパール代表理事の難波と申します。私は、今回から初めて患者委員として参加させていただきます。私自身が 2009 10 月に子宮頸がんを患いまして、たまたま受けた検診で見つかり、そのときにどう思ったかと言うと、ラッキーだと思ったのですね。なぜそれがラッキーかと言うと、これだけ身近な病気であったりだとか、リスクが高い病気であるにもかかわらず、教育の現場で一度も習ったことがなかったとか、そういった情報を共有する場面がなかったというところで、それでもなおかつ、こうやってピンピンしていられるのはラッキーなだけだったなと感じまして、病気を発症したときから一般向けに子宮頸がんの予防啓発のキャンペーンを約 6 年間取り組んでまいりました。 6 年間取り組んできた中で、啓発というのは本当に活動に限界がありまして、国の仕組みとして、やはり社会の必然としてがん対策を進めていただきたいと思っていたときに、こういった協議会に参加させていただいて、とても光栄に思っております。 2 年間は、あっという間かと思いますが、皆さんと一緒に議論させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 国立大学法人群馬大学医学系研究科医科学専攻病態腫瘍制御学講座病態腫瘍薬理学分野教授の西山正彦委員です。

○西山委員 お騒がせしております。群馬大学の西山でございます。実は私、そちらのほうの担当でもありまして、皆様には一刻も早くきちんとした形のものを出したいというように考えております。ただ、ここへ参加させていただくのは、「日本癌治療学会」の理事長として参加させていただいているのだと自覚しております。私どもの学会は、外科も放射線科も腫瘍内科も、それから、緩和医療の方も全て含まれる集学的治療の領域を中心にしております。そのフィールドからの意見を述べさせていただければと思います。

 今回、時期がん対策基本計画を決める前のがん対策加速化プランの策定が(審議内容に新たに)入っていますので、この第 5 期は大変重要だと自覚しております。どうぞ御指導をよろしくお願い申し上げます。

○がん対策推進官 国立研究開発法人国立がん研究センター理事長の堀田知光委員です。

○堀田委員 堀田でございます。国立がん研究センターは、この 4 月から「国立研究開発法人」に名称を替えまして、研究成果の最大化を図ることを目標とする法人となりました。がん領域で研究の成果の最大化を図る一方で、がん対策としては、国のがん対策の中核機関としての使命があると自覚しております。特に「がん対策情報センター」を中心にして、がんの情報収集、発信、あるいはがん登録、そして、がん連携拠点病院協議会の運営と、様々な役割がありますが、こういったことをきちんと国と連携しながらやってまいりたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センターセンター長の堀部敬三委員です。

○堀部委員 皆さん、おはようございます。名古屋のセンターの堀部敬三と申します。私は小児がんに関わっている小児科医です。ここへの出席は日本小児血液がん学会の理事長の立場で、小児がんに関わる医師はじめ、医療者を代表して意見を述べさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 京都府健康福祉部長の松村淳子委員です。

○松村委員 おはようございます。京都府で健康福祉部長をしております松村と申します。日本衛生部長会の代表という形で今回から出席させていただくことになりました。京都府の状況は分かっても、全国の状況は分からないというところもありますので、回を重ねるごとに全国の状況も把握する中で、その職責を全うさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 公益社団法人日本医師会常任理事の道永麻里委員です。

○道永委員 おはようございます。道永と申します。日本医師会でがん対策を担当しております。産業保健、学校保健も担当しております。がん対策においては、がん教育、就労支援、そちらのほうで少しお話をさせていただければと思っております。引き続きになりますが、よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 東京大学大学院医学系研究科分子病理学教授の宮園浩平委員です。

○宮園委員 宮園でございます。私は、日本がん学会の理事長を今年の 1 月から拝命いたしまして、その立場から参加させていただいているというように思っております。私の専門は、がんの基礎研究から、いわゆる橋渡し研究 ( トランスレーショナルリサーチ研究 ) をいかにうまく円滑に行うかということかと思います。最近は、次世代シーケンサーとか、新しい技術がどんどんできてきまして、多くのことが一気に分かったのですが、逆にいろいろなことが分かりますと、これから乗り越えなければいけないことがたくさんということにも、非常に強い印象を持っております。今年から、 AMED( 日本医療研究開発機構 ) ができまして、いろいろな形でがん研究も大きく加速していくと思います。今年の夏は本当に委員会が多くて、本当にきついですが、頑張ってやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 小児脳腫瘍の会代表の馬上祐子委員です。

○馬上委員 おはようございます。ちょっと名前が変わっていまして、ま行の「も」のもうえと申します。子どもが 1 5 か月の折りに悪性脳腫瘍になったことから、患者会活動を 2003 年からやっております。難治性であったり、障害や合併症が多いものですから、陳情も行ってまいりました。

 こちらの堀田先生と道永先生と共に「希少がんに関する検討会」にも出させていただき、患者からの声を届けております。また、小児がんの検討会にも出ております。どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 公益財団法人がん研究会理事・名誉委員の門田守人委員です。

○門田委員 おはようございます。門田でございます。私も中川委員と同様に、私ががん治療学会の理事長をやっているときからここに関係するようになって、最初からのメンバーです。ちょっと最近、死亡率の減少が鈍ってきているとか、対策が十分ではないのではないかとか、加速化プランが必要ではないかというように言われてきますと、どことなく自分の責任と感じるようになっています。皆さんと一緒に是非いいものを作っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 静岡県立静岡がんセンター総長の山口建委員です。

○山口委員 山口です。どうぞよろしくお願いいたします。私は国立がんセンターから静岡がんセンターへ移りました。その過程で、「がんという病気の研究」も非常に大事なのですが、同時に、「がんの患者さんの研究」、これを更に推進しなければいけないと考えまして、静岡県では主にそこを一生懸命やってまいりました。その一環として、多分、秋頃までには、 10 年前に実施したがん患者の悩み・負担の調査を再度、ほぼ同じ設問で調査した結果を皆さんにお届けできると思っております。がん対策基本法のビフォーアンドアフターということになりますので、どのような成果が出るか検討しているところです。

 もう 1 点は、がん拠点病院の計画には、最初の 2000 年からずっと参加させていただいております。現在は垣添先生の後で「適否を審議する検討会」の座長を務めさせていただいております。これもがん対策という観点では、非常に重要なプロジェクトだと思います。これまで、がん医療の地域格差という点では、随分勉強してきたつもりですので、その辺りを、この会に生かさせていただこうと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 株式会社足利銀行人事部業務役の湯澤洋美委員です。

○湯澤委員 湯澤でございます。私は企業内で産業保健スタッフとして、御病気の方の復職支援、治療と就労の両立のサポートを担当させていただいています。引き続き、皆様に御指導を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 読売新聞東京本社編集局医療部長の吉田清久委員です。

○吉田委員 吉田でございます。おはようございます。私は、元来が政治記者で医療取材の経験は余りないのですが、本来は取材するほうという形で、こういった所に立っているのは若干気恥ずかしい気がいたしますが、そういう立場での発言とか、指摘もできるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官  NPO 法人がんフォーラム山梨理事長の若尾直子委員です。

○若尾委員 皆様おはようございます。山梨県からまいりました若尾直子です。私がこのような活動、アドボカシー活動をするようになったのは、自分の乳がんの告知体験がきっかけでした。聞くと見るとでは大違いで、患者になってみると、今まで見えていたものが見えず、見なくてもいいものを見るという状況に戸惑い、驚きました。その経験から私 1 人の問題ではなくて、がん医療政策を変えてみたいというようなことに足を踏み入れまして、山梨県のがん対策推進協議会の委員をさせていただいております。今回、国のがん対策推進協議会の委員もさせていただくことになりましたが、国の方向性と、それから各都道府県のボトムアップと両方がうまく絡まって、より早いがん対策の推進に貢献できたらいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 なお、京都府立医科大学疼痛・緩和医療学講座教授の細川豊史委員からは、本日御欠席との御連絡をいただいております。

 続いて、事務局の紹介をいたします。厚生労働省健康局長の新村です。厚生労働省大臣官房審議官がん対策担当の牛尾は、本日は公務のため欠席となっております。健康局がん対策・健康増進課長の正林です。同じく、健康局がん対策・健康増進課課長補佐の濱です。同じく、課長補佐の益池です。

 続いて、文部科学省及び経済産業省からの出席者も御紹介いたします。文部科学省研究振興局の阿蘇研究振興戦略官です。同じく、小林先端医科学研究企画官です。文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課の濱谷課長補佐です。経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課のトミハラ課長補佐です。同じく、ヘルスケア産業課医療・福祉機器産業室の小宮室長補佐です。経済産業省商務情報政策局生物化学産業課の福田総括補佐です。事務局の紹介は以上です。

 続いて、資料の確認をいたします。資料 1 「がん対策推進協議会委員名簿」資料 2 「これまでの検討経緯と今後の検討テーマ等について」資料 3-1 「がん関連検討会等の取組状況について」資料 3-2 「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業説明資料」資料 4 「希少がんの診療体制、研究体制、病理診断体制、支援に関する要望」資料 5-1 「がん対策推進協議会委員の皆様へ」ということで、勢井委員から資料を頂いております。資料 5-2 は、 NPO 法人 AWA がん対策募金のほうから、「がん検診率向上プロジェクト」の資料です。参考資料 1 「がん対策基本法」参考資料 2 「がん対策推進協議会令」参考資料 3 「がん対策推進基本計画」参考資料 4 「がん研究 10 か年戦略」参考資料 5 「がん対策推進基本計画中間評価報告書」参考資料 6 「今後のがん対策の方向性について」参考資料 7 「日本がん情報センターの設立について」です。資料の不足や落丁等がありましたら、事務局までお申し出をお願いいたします。以上をもちまして、撮影はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

 資料に問題がなければ、会長の選任等に移ります。参考資料 2 に、本協議会の運用規定を定めております。その政令の第 2 条において、「協議会に、会長を置き、委員の互選により選任する。」「会長は、会務を総理し、協議会を代表をする。」「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。」と定められております。本日は委員の皆様方が新たに選任されて、初めての協議会ということになりますので、本規定に基づき、委員の互選により会長を選任させていただきたいと思います。どなたか御推薦はありますでしょうか。道永委員、お願いします。

○道永委員 前期の会長を務められました門田先生にお願いできればと思っております。

○がん対策推進官 ただいま門田委員の御推薦がありましたが、そのほかはいかがでしょうか。それでは、門田委員に本協議会の会長をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                   ( 賛成多数 )

○がん対策推進官 ありがとうございます。それでは恐縮ですが、門田委員、会長席へ御移動をお願いいたします。

 続いて、門田会長より改めて一言御挨拶いただけますでしょうか。

○門田会長 門田でございます。改めまして御挨拶させていただきます。ただいまこの協議会の会長に選任いただきまして、先ほど自己紹介のときにちょっと申し上げましたが、少しこの対策の状況の課題が多いのではなかろうかというような話が出ているということで、是非、よろしくお願いしたいと思います。着席させていただき、もう少しお話を続けさせていただきます。

 先ほど、新村局長からもお話がありました。また、後ほど事務局からも、これから我々がしなければならないことの報告があると思いますが、この協議会委員の任期が 2 年間で、皆さんと今日から初めてスタートすることになります。一方で、 5 年単位で基本計画の見直しをやるということと、 2 年と 5 年が順番にくるのですが、今回の協議会は、第 3 期の基本計画を検討しなければなりません。正式には、厚労大臣が策定するときには我々が意見を述べるということになっております。内容的なことは相当ここでディスカッションしていき、煮詰めなければならないという大きなミッションがあります。そういった意味で、今期の第 1 のミッションであると言えると思います。

 それから、これも話題に出ておりましたが、この 6 1 日に、がんサミットが開かれまして、そこで安倍総理大臣の命として、がん対策の加速化プランを年内に策定するのだということを、これは多分、我々よりも政府の中の厚生省に対しての話ではないかと思いますが、厚生省側がこれを作るときには、当然ながら、我々の意見ということも多分求められるというように想像いたしますし、そうしなければならないし、我々の存在というのはそのためにあるのではないかと思います。そういった意味で、年内に加速化プランのことも皆さんと一緒に検討しなければならないと思います。

 また、 2006 年に、がん対策基本法が制定されています。それが来年でちょうど 10 年の節目になります。ということで、国会で超党派議連がこれを見直す必要があるのではなかろうかということを検討されています。考えてみると、がん対策基本法が発足するスタートの段階は、やはり当時のがん患者さんやいろいろな患者会が活動されたことが一つの景気になったというように私は考えておりますし、まず間違いないだろうと思います。また、そのようなことでできた基本法の 10 年の見直しということになると、そのときにできたこの協議会が、これも何らかの意見出しということも考えなければならないかも分かりませんし、これは国会の中での話なので、我々が呼ばれて行って意見を述べるということになるかも分かりません。いずれにしろ、我々とすれば、ある方向性を検討しておく必要性があるとも思っております。そうすると、僅か 2 年間の間にする仕事が非常にたくさんあるということです。是非皆さんにできるだけ、この協議会に出席していただき、 100 %ぐらいの出席率でもって、確実に検討を進めていただきたいと思います。事務局にはできるだけ早め早めに予定を立てていただきたいと思います。是非、御協力のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○がん対策推進官 ありがとうございます。続いて、門田会長より、会長代理の御指名をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○門田会長 私に事故があったときは、堀田委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。これは私が指名したらいいのですね。

○がん対策推進官 はい、そうです。

○門田会長 では、そういうことで、よろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 ありがとうございます。それでは、以降の進行は門田会長にお願いいたします。

○門田会長 それでは、本日の議題 2 「がん対策の推進について」です。本日は多くの委員の皆さんが初めてということですので、今までの検討状況についての報告をまず聞いていただきたいと思います。事務局のほうから御報告をよろしくお願いいたします。

○がん対策推進官 資料 2 です。「これまでの検討経緯と今後の検討テーマ等について」という資料です。 1 ページは、がん対策基本法、こちらは平成 18 年に成立し、平成 19 4 月から施行されていますが、がん対策を総合的かつ計画的に推進するための法律です。左の枠ですが、国においては、厚生労働大臣の下、政府としてのがん対策を定めた「がん対策推進基本計画」、これは少なくとも 5 年ごとに検討を加えることになっていますが、こちらを作成しております。その際、このがん対策推進協議会からの御意見を頂くことになっております。一方、都道府県においては「都道府県がん対策推進計画」を策定しております。こうした計画に基づいて、右側ですが、第一節から第三節に掲げられてるような政策を進めております。

2 ページです。「がん対策推進基本計画」の現在の計画の概要を示したものです。全体目標として、 (1) 「がんによる死亡者の減少」 (2) 「すべてのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」第二期で新しく入ったものですが、 (3) 「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」を入れております。重点的に取り組むべき課題も 4 つ掲げており、 (4) 「働く世代や小児へのがん対策の充実」を新しく入れております。さらに、分野別の施策については全部で 9 つありますが、赤丸で囲っている所が第二期の際に新しく盛り込まれたものです。 1 5 「医薬品医療機器の早期開発・承認等に向けた取組」というのは、ドラッグ・ラグあるいはデバイス・ラグの解消に向けた取組と御理解いただければと思います。 7 8 9 の「小児がん」「がんの教育」「がん患者の就労」といったところを新しく盛り込んで進めてまいりました。

 下のスライドですが、「がん研究 10 か年戦略」の概要です。こちらは厚労省のみならず、文部科学省、経産省の 3 省で策定しております。内容は「がん対策推進基本計画」を踏まえておりますが、計画自体は 10 か年ということになっております。

 中ほどの「今後のあるべき方向性」に、 3 つの重視する観点を挙げております。「がんの根治を目指した治療、がん患者とその家族のニーズに応じた苦痛の軽減」「がんの予防と早期発見」「がんとの共生」の 3 本の柱を基に現在、進めているところです。

3 ページです。現在、こうした戦略を踏まえて行われている最も大きいがん研究に関するプロジェクトとして、今年 4 月に発足いたしました日本医療研究開発機構 ( 通称、 AMED) で行われている事業である「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」があります。中ほどに 3 つ枠がありまして、主に文部科学省が担当している「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム」、右に、厚労省が主に担当している「革新的がん医療実用化研究事業」、青い枠ですが、経産省が担当されている「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」 ( がん関連部分は内数 ) 3 つのプロジェクトの内容に基づいて、トータルとしてジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトを進めているところです。

 下のスライドですが、少し態様が変わりますが、がん対策基本法においては、第 9 条に、「少なくとも 5 年ごとに、がん対策推進基本計画に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならない。」と定められております。現在の基本計画においても、 7 番に基本計画の見直しということが決められておりまして、一番下の行ですが、「がん対策の進捗状況と評価を踏まえ、必要があるときは、これを変更する。」と記載されています。

 この評価に関してですが、次のページにありますとおり、これは今年の 6 月に発表されたものですが、「がん対策推進基本計画」の中間評価の概要です。全体目標それぞれに対して、どの程度進捗しているかということです。例えば (1) 「がんによる死亡者の減少」に関しては、 75 歳未満の年齢調整死亡率の 20 %減少を目指しているわけですが、年齢調整死亡率の推移を見ると、減少傾向ではあるのですが、やや全体目標の達成が難しいというような予測も出ております。赤字であるとおり、「喫煙率の減少、がん検診受診率の向上をはじめとしたがん対策のより一層の推進が必要」となっています。ほかにも「緩和ケア等の提供体制の検証と整備が必要」「がんの教育・普及啓発、がん患者への社会的苦痛の緩和等の取組をより推進することが重要」となっております。そのほか、「重点的に取り組むべき課題」についても 4 つありますが、それぞれについて現在の進捗状況、また今後求められていくことを記載しております。

 下のスライドは同じく、がん対策推進の基本計画の中間評価の概要ですが、それぞれの分野別の施策について、現在の状況と、今後求められることということで記載しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。

 次のページです。こちらも今年の 6 月、中間評価と同じ時期に、今後のがん対策の方向性について取りまとめを行いました。この方向性は、特にこれまで取り組まれていない対策に焦点を当てたものとなっています。「 1. 将来にわたって持続可能ながん対策の実現」ということで、社会保障制度の改革や費用対効果、個人に適した先制医療、あるいは大規模データベースの構築といったところが盛り込まれています。「 2. 全てのがん患者が尊厳をもった生き方を選択できる社会の構築」ということで挙げております。 3 番には、 AYA 世代のがん対策、遺伝性腫瘍、認知症対策と連動した高齢者のがん対策といったところが提言の中に入っております。

 下のスライドですが、先ほど、中間評価のところで触れましたが、 10 年の目標として、がんによる死亡者の減少ということを掲げております。一方で、このグラフを見ていただくと分かるとおり、目標に対して減少傾向がやや鈍化しており、現在、この目標が達成できるか少し危ぶまれている状況です。

 次のページです。こうした中、今年の 6 1 日に厚生労働省のほうで初めて、がんサミットを開催いたしました。サミットの冒頭で総理より「がん対策加速化プラン」を策定せよという指示を頂きました。その後、厚生労働省としましては、 3 本の柱を掲げております。 1 つが「がん予防」、 2 つ目が「治療・研究」、 3 つ目が「がんとの共生」ということになっております。この加速化プランについては、年内目途に策定する予定としております。

 下のスライドは「わが国のがん対策の歩みについて」ということで、「法律」「がん対策推進基本計画」「研究戦略」、それぞれについて時系列で並べさせていただきました。「法律」のほうですが、平成 25 12 月には、「がん登録推進法」が成立しております。加速化プランを年内目途に策定することとなっていますが、平成 28 6 月頃、これはまだ正式な時期は未定ですが、議連のほうで、がん対策基本法の改正の動きがあります。また、平成 29 6 月頃には「第 3 期がん対策推進基本計画」を閣議決定する予定としております。

 次のページです。「がん対策加速化プラン」の 3 本の柱ということで、「予防」「治療・研究」「共生」の 3 つの柱について、それぞれ具体的な項目を挙げております。「予防」では、「がん教育・普及啓発の推進」「感染症等によるがん予防」「受動喫煙の防止」「早期発見」といったところがあります。「治療・研究」では、「難治性がんの克服」「革新的な医薬品等の開発」「ライフステージを意識したがん対策の充実」、また「共生」に関しては、特に地域医療を掲げておりまして、「がんと就労の調和の推進」「緩和ケアを含む地域完結型のがん医療・介護の推進」といったところを現時点においては課題として挙げております。

 最後のスライドですが、「今後の検討テーマとスケジュール ( ) 」ということです。スケジュールの下の枠ですが、現在は 7 月ということで、 12 月までには、「がん対策加速化プラン」を作りたいと考えております。その間は 1 2 か月ごとに、この協議会を開催することになります。また、その後ですが、平成 29 6 月に向けて基本計画の見直しを進めておりますが、まだここは具体的な進め方は決まっておりません。また、協議会の委員の皆様の御意見を伺いながら、進め方については御相談させていただければと思います。下に緑で小さく書いておりますが、「関係議連で基本法改正に向けた検討」ということで、こちらのほうも随時、進んでいくかと思います。

 続いて、資料 3 は、「がん関連検討会等の取組状況について」ということです。現在、健康局のほうで、当課で実施している検討会の状況を簡単にまとめさせていただきました。 1 つ目が「がん登録部会」です。こちらは平成 25 12 月に、「がん登録等の推進に関する法律」が成立いたしました。それまで、がん登録については、「健康増進法」に基づいて行っていたわけですが、このがん登録の法律が成立したことによって、より推進することを決めております。現在、この部会のほうでは、政省令や、その運用に係るマニュアル等の作成を行っており、今後もまた開催して、マニュアル等の整備を行っていく予定にしております。

 次のページは「がん検診のあり方に関する検討会」です。こちらは随時開催しておりますが、現在は、乳がんの検診や胃がん検診の検診の項目について検討しております。項目だけではなくて、この検診のあり方に関する検討会のほうでは、受診率の向上施策や精度管理といったところも、幅広く議論しております。

 次のページは「緩和ケア推進検討会」です。こちらのほうでは、最近の動きとしましては、在宅緩和ケアを含めた地域完結型のがん医療・介護サービスの提供体制のあり方について議論しております。今年の夏を目途に報告書を取りまとめていく予定としております。

 次のページは「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」です。こちらも、基本計画で初めて「希少がん」というものが取り上げられたことを受けまして開催しております。現在の進捗状況ですが、 5 回開催しており、こちらのほうも、本年夏頃までには報告書を取りまとめていく予定としております。緩和ケアと希少がんのほうでは報告書を取りまとめておりますので、この内容についても、加速化プランのほうに、そのエッセンスを反映していくことになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、「学校におけるがん教育の在り方について」ということで、文部科学省の学校健康教育課のほうから説明をお願いいたします。

○文科省スポーツ・青少年局学校健康教育課 文部科学省です。今、学校教育における「がん教育の在り方」については、 6 ページにありますとおり、平成 26 年度から検討会とモデル事業を通じながら検討させていただいております。 5 ページの報告書が、平成 26 年度に検討した結果です。この協議会の委員でもいらっしゃる道永委員や中川委員の御協力も頂きながらまとめたものです。その中身としましては、 2 番の中に、基本的な考え方として、がん教育の定義や目標を初めて定めたところです。

 がん教育の目標の1ですが、これは主として中高校生についてですが、がんについて正しく理解することができるようにする。2は、主として小学生になるのだと思いますが、健康と命の大切さについて主体的に考えることができるようにするといったことです。発達段階に応じた目標を定めながら、中身についても (3) 9 つの内容に個別で取り組んだり、複合的に取り組む必要があると考えております。

3. 「今後の検討課題」です。こちらは平成 29 年度以降の全国展開を目指して、 (1) (5) について検討することとしております。特に (1) がんに関する教材や指導参考資料の作成については、本年 6 11 日に 1 回目の会議を開きまして、全部で 5 6 回かけて、本年中に、ある程度固めたいと思っております。 (2) (5) がまだ検討課題として残っておりますが、本日の委員でもいらっしゃる NPO 法人の AWA がん対策募金さんから、教育だからといって文科省に偏らずに厚労省も含めて手を組んでほしいという御要望もありますので、厚労省さんとも連携しながら、こういった中身について今後、検討してまいりたいと考えております。以上です。

○がん対策推進官 ありがとうございます。続いて資料 3-2 について、経済産業省のほうから御説明をお願いいたします。

○経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課医療・福祉機器産業室 経済産業省医療・福祉機器産業室の小宮と申します。はじめに、経済産業省のがん対策について簡単に一言説明させていただきます。経済産業省では、実用化のフェーズとして、文科省さんで進められています基礎研究、がんのシーズ発掘などと、厚労省さんで進められています臨床研究から実用化の間をつなぐ、実用化に重点を絞った研究開発を担当させていただいております。先ほど、がん対策推進官から御案内のあったとおり、「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」に携わらせていただいております。

 また、ジャパン・キャンクサーリサーチ・プロジェクトとは別に、生物化学産業課で「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発」について担当させていただいております。詳しくは生物化学産業課から説明させていただきます。

○経済産業省製造産業局生物化学産業課 経済産業省の福田でございます。私のほうから、資料 3-2 について御説明いたします。 1 ページです。経済産業省ですが、基本的に、やらせていただいておりますのは、事業者の方々とうまく連携させていただきまして、より出口に近いほうを担当させていただいております。特に文部科学省さんなどでやっていただいているプロジェクトの中で良いものが出てきたものを、最後の実現化のところまでつなげていくといったような活動をさせていただいております。

 本日御説明させていただくものですが、この中で、経済産業省が担っております、「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発」の中の「低侵襲サンプリング診断」のところです。こちらについて特に、がんの早期診断の関連の技術開発に関してやらせていただいております。

2 ページです。経済産業省ですが、この中でやらせていただいておりますのは、採血という簡便かつ低侵襲の手法により、 13 種類のがんの診断技術を開発しております。特に、この診断については、マイクロ RNA と言われる物質に着目をして、国立がん研究センター様や、国立長寿医療研究センター様と連携して、その情報基盤の開発、そして、診断のやり方について、先進医療の実現を目指して開発を進めているという状況です。

 体制です。次のページの事業者様のほうですが、 TORAY 様、東芝様、 Precision Systen Science 様、 arkray 様という方々に入っていただきまして、実際の取りまとめは、新しくできました AMED に取りまとめいただき、そして、皆様方に入っていただいた形でマネジメントさせていただきながら進めているというものです。

 最後のページで、少し御紹介させていただければと思います。これまでの成果というか、今、ちょうど整理させていただいていますが、実際に多くのデータの中で、この技術を用いて、乳がん患者と健康な方の判別が、ある程度の高い確率で出てきているというようなところが見えてきております。また、大腸がんについても同様の結果が少し見えてきているというような状況です。

 このような形で、なるべく早く、簡単に、そして正確な形で発見することができる、診断することができるというものについて、早く実現化につなげていければいいなと考えておりまして、むしろこういった技術については、海外においても高いニーズがあるのではないかと考えておりますので、しっかりと対応させていただければと考えております。以上です。

○がん対策推進官 説明は以上になります。

○門田会長 ありがとうございました。今、 3 省から御報告いただきましたが、本日は詳細についてはともかくとして、大きな流れで、どなたか御質問はありますか。

○若尾委員 ありがとうございます。山梨の若尾でございます。本当に大きな流れというところの確認になりますが、「がん対策加速化プラン」と「がん対策推進基本計画」との関係というようなこと。それから、国の方向性と各都道府県の方向性が足並みをそろえられるかどうか。トップダウンで行われるシャワー効果のがん対策と、ボトムアップで行っている各都道府県のがん対策推進計画との連携といいますか、そういったことに関しては、厚生労働省のほうではどういうふうに考えているのかということをお伺いしたいです。

 まず、加速化プランにおいては、安倍総理の御意見の下にということであったので、安倍総理のほうから各都道府県のトップである各都道府県知事に対して連絡が行っていただけると有り難いなと思いますし、私たちが今ここで、こうやって議論している「がん対策推進基本計画」においては、各都道府県の健康対策を行っている所との連携がうまくできて、それがマッチングするといいなと思うのです。その辺りを私たちはどう理解したらいいのかを教えてください。

○がん対策推進官 まず 1 点目の、がん対策の加速化プランと基本計画の関係ですが、現在、第 2 期の基本計画が動いているところですが、その中でも、先ほどグラフに示したような、死亡率の減少が鈍化しているだとか、検診の受診率については、ものによっては 40 %、 50 %という目標を掲げておりますが、幾つかの分野で、この残された期間で、より強く進めていかなければいけない分野があるかと思います。

 基本計画自体の見直しということではないのですが、特に強く進めていかなければいけない分野、具体的には 3 つの柱を立てておりますが、それを加速化プランのほうに盛り込んで、残りの期間、そのプランに基づいて進めていくことになろうかと思います。

2 点目の都道府県との関係ですが、今回の加速化プランというのは、国のプランということになりまして、もちろん厚生労働省のみならず、関係省庁とも連携して進めていきたいと思っております。都道府県に対して、この加速化プランをもって、都道府県の持っている計画を見直すというところまで行くかどうかは、県のほうでの判断ということにはなるかと思うのですが、ただ、やはり、どういった分野を国としては、より推進していかなければいけないかということを明示することによって、県によって状況は違うかとは思うのですが、それぞれの県において、きちんとそのプランを踏まえた上で、残された期間のがん対策を進めていくことが期待されるかと思います。

○桜井委員 ありがとうございます。桜井です。 4 つほど質問があります。まず最初に、やはりこの協議会というのは、救える命を救うという原点から始まったと思っているのですが、この中で、マイクロ RNA もそうですし、検診の話もいろいろ出てきておりますが、今、世界の潮流としては、なる前を見つけていく。そこに対して治療を施していく。あるいは未然に予防していくという先手医療の考え方もかなり進んできていると思っています。そういった意味で、この家族性腫瘍や遺伝性腫瘍の話は非常に重要だと思っております。現状の日本においては、検査も全額自己負担で、予防、対策についても全額自己負担です。その家族に対する血縁者全部に対する支援もないという現状の中で、これからいろいろな創薬の研究等々を進めていく上でも、参加する患者側においては、民間の保険に入れるのかとか、いろいろな意味でかなりの不安を抱えていくことになるわけなのです。そういったところの、いわゆる予防的な治療の話や、最初のデータの管理の話、あるいは、諸外国にあるような GINA といったものの整備まで含んでいくのかとか、そういった部分までやっていくのかというところを、やはり少し具体化していかないといけないのではないかと思っております。

2 点目が、来年からの問題として、 HTA の対策、患者申出療養制度への対策というのがあるかと思うのですが、今回の資料の中には、まだ今国会を通ったばかりですので、余り詳細は上がってきておりません。これに対しても、やはり諸外国のようにキャンサー・ドラッグ・ファンドのようなものを別途に作っていく必要があるのかとか、 CU 制度としての救済措置、金の切れ目が命の切れ目にならないように対策を施していくのかとか、そういうところも併せて検討していく必要があるのではないかと、私自身は思っております。

 それから、就労等々に関しても、企業任せというか、十分に今の施策を理解し、活用していくことが重要と書いてはありますが、やはり現況の社会保障制度というのは、戦後できた長期療養型、症状固定、部位欠損というのがベースの考え方になっていますので、外来中心になってきているがん医療には、ちょっとそぐわない部分があるかと思います。この辺りの介護保険制度、傷病手当金制度、既存の法制度の活用のところが周知されていないということに対しても、もう少し具体的な方向性というところまで言っていいのかどうなのかということも少し検討していただきたいと思います。

 最後に、このジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト等々が進んでおりますが、やはりこういうものを進めていく上で、研究というのはどうしてもブラックボックスに入りがちですので、社会を巻き込んでいかないと、これからは理解されないと思っています。そういった意味で、やはりリサーチ・アドボケートを育てていくということ。これは学会でやるのか、どこでやるのかは分からないのですが、どこにおいても、この研究のプロトコルの作成から、 HTA もそうですが、患者委員が入って、訓練を積んで、そして育てられていっておりますので、そういうところまでも、ソフトの面も含めてやっていっていただきたいと思っております。以上です。

○門田会長 ありがとうございました。本日は個々の項目についてはこれから検討する内容で、またディスカッションしたいと思います。本日はこういう御意見を出していただいたということで置いておきたいと思います。

 全体的なことで、そのほか何かありますか。

○中川委員 基本法の改正の動きなのですが、基本計画の策定に関わってきた者として、やはりこれまでの流れは非常に重視していただく必要はあるだろうと思います。ダブルスタンダードになってはいけませんし、また、確かに、基本計画の中に、例えば、がん登録のこともうたわれていないとか。一方で基本法の基本計画のほうにはうたわれているとか、そういう時間的な齟齬を埋めるという形で改正が行われていくのであれば理解できるのですが。そういうふうに我々が理解してよろしいのかどうか、事務局のほうから御回答いただきたいと思います。

○がん対策推進官 基本法については、もともと議員立法ということもありまして、現在は議連を中心に進められています。ただ、実際に厚生労働省としましても、現在の基本計画を見たときに、今、中川委員が御指摘のとおり、基本法に記載されていない、記載されていないといいますか、広く読めるのかもしれないのですが、がん登録の話や、小児がんや、がん教育といった幾つかのキーワードとなるようなところが基本計画には既に入っております。ですので、基本法の改正は、これからどういった動きになるか、我々としてももちろん追っていかなければいけないのですが、現在、基本計画が、やや基本法よりも更に深く、がん対策を捉えているところもありますので、そこの、基本法をより充実していくという形にはなっていくのではないかと思っているところです。

○門田会長 よろしいですか。これを、今ここでディスカッションをしても、法律の問題は、これから少なくとも我々の協議会から、今、我々自身がテーマと言いますか、問題、あるいは提案するべき内容があるかどうかという辺りは、やはり我々のミッションのうちだと思いますので、幾つかの問題点について提案するものがあれば提案する。あるいは問い掛けるなりという形で、法案についても協議会として、つい私は先ほどのご挨拶のところで言ったのですが、この協議会としても正式にそういう方向で行くということでよろしいですね。この加速化プランもそうですし、基本法についても進捗状況を見ながら、我々の意見も出していく方向で検討を進めたいということでよろしいですか。

                                   ( 異議なし )

○門田会長 はい。では、一応、協議会の方向性としてお認めいただいたと。その方向性を取り入れて、今後、検討会でディスカッションをしていきたいと思います。よろしいですか。それでは今、御報告頂いたことについては、今後、そういうディスカッションの場で更に突き詰めていきたいと思います。

 それでは、本日、資料 4 5 と出ていますが、馬上委員と勢井委員より意見書を出していただいていますので、その内容を御紹介していただきたいと思います。そして、その内容についての意見交換もありますし、その後、時間があれば、せっかくですので皆様方に今の段階での御意見なり、あるいは感想なりを述べていただきたいと思います。最初に、馬上委員、お願いします。 

○馬上委員 ありがとうございます。資料 4 です。希少がん医療・支援のあり方に関する検討会に患者 8 団体で提出した要望書を本協議会にも提出いたします。説明いたします。

 先日行われた厚生労働省主催の「がんサミット」で、塩崎厚生労働大臣から、小児がん、希少がん、難治性がんについて、「がん対策加速化プラン」で展開していただける旨があり、大変心強く思っています。希少がん全体では、がん人口の 22 %、がん死の 35 %を占めていると言われています。一般的生存率 65 %に対し、希少がんの生存率は 47 %と大きく差があります。小児、成人も含めて希少がんには大変多くの種類があります。希れであるがために様々な問題や不利な状況が基となり、難治性となっている疾病が多くあります。希少がんは誰もがなる可能性があります。早急に公平な支援をお願いしたいと思っています。

1 番目の要望です。希少がんの診断、病理の問題は、発症後、その症状から正確な診断に至らず、また、診断に至るまで 5 年、もっとそれ以上かかる方がいます。専門病院がどこにあるか分からず予後が悪くなっています。専門家が少ないこと、また病理が大変難しいこと、中央病理診断が診療報酬にのっていず、限界があること、病病及び病診連携がないこと、希少がんが一般にも、また医療者にも知られていないことが大きな壁となっています。特に、全身に発症する可能性のある希少がんの場合、多くの診療科を受診し、確定診断が付かず、専門病院に辿り着けず、治療が遅れて取り返しのつかないことになっています。専門病院、専門医の「見える化」を強く希望します。

2 番目、 3 番目の要望です。診療体制、研究について。希少がんは数が少ないために患者が散逸しています。臨床試験が行いにくいため、国際共同治験も踏まえて、ある一定程度の集約と研究推進が強く求められています。全身に発症する希少がんには集学的治療が必須ですが、診療科間の連携がなされていない場合があります。希少がんの多くの種類、それ 1 1 つについて学会や研究グループがあるわけでなく、研究が全く行われていない疾病もあります。そうした疾病に関しても公平な支援が必要です。多くの種類の疾病の治療開発を行っていくために、今後、長期的に継続した対策が必要だと考えています。海外では、研究のデザイン段階から患者が参画していくことがスタンダードになっています。医療資源が少なく、早急な研究展開が必要な希少がんであるからこそ、研究の初期段階から患者が参画し、患者のニーズを把握した研究が求められています。患者が少ないこともあり、先ほど桜井さんも言われていましたが、海外で行われているような患者教育についても御支援をお願いしたいと思っています。希少がんの中には、遺伝子解析を行ってから治療に臨んでいる疾病もあります。少ない医療資源を活用し最も効果を上げるためにも、必要である場合はまず遺伝子解析を行っていただき、そのデータに関してもプールして、後に活用できるようにお願いしたいと思っています。

4 番目の要望です。心理社会的支援、高額な薬剤費への配慮です。希少がんは、小さなお子さんがいる家庭など比較的若い世代の発症が多く、経済的基盤が脆弱であったり、少ない治療薬の中でも、分子標的薬など高額な薬価に苦しんでいる方が多くいます。専門病院が少ないため遠い病院での治療を余儀なくされています。相談支援はもちろんのこと、交通費助成や高額医療費の減額なども考慮いただければと思います。

5 番は、情報公開と評価に関してです。希少がんは、そもそも情報が大変少ないことがあります。患者にとってどこが専門病院であるのか分からず、情報があったとしても患者に行き渡っていない実態があります。細心で正確な希少がん全般の情報が患者へ行き渡るような仕組みが必要です。現在、研究が行われている評価指標についても、事業化をしていただき、希少がんに関する指標調査、患者体験調査を行って、実態把握をした上で効率的な PDCA サイクルを実施していただきたいと思います。対策の進捗状況を把握し、希少がんの新たな課題に対する新たな施策の発案のため、そして全ての希少がんに対する対策を行っていくためにも、患者家族、そして関係者が参画した検討会についても継続して行っていただきたいと思います。

 次ページの希少がん患者からの声には、神経内分泌腫瘍、精巣腫瘍、メラノーマ、サルコーマの患者さんの実体験からの切実な問題提起が挙げられているので、是非お読みいただければと思います。

 少し、小児がんとがん教育についても述べさせていただきます。小児がんは成人がんに対する言葉で、血液、固形がんを含めても超希少疾患の集まりであり、種類、年齢、悪性度により治療法が異なります。そして、予後も全く異なってきます。現在、子供の病死原因の第一位であり、特に、お薬については成人に比べても非常に少なく、難治性の治療開発、臨床試験展開を早急にお願いしたいと思っています。

 小児がん全体で捉えると、 7 8 割の方々が克服され社会に羽ばたかれています。しかしながら、発達時期に強い治療を行うために、様々な障害、合併症を抱えている方は約半分と言われています。大規模なコホート研究がなされていないため、その実態は分かっていません。合併症で自立できないまま障害者支援制度の狭間に落ち込んで、未だに、その対処に苦しんで自立できない方が多くいます。 20 年たってから二次がんで命を落とされている方もいます。小児期の医療から成人医療への移行についても、診療科間の壁がありスムーズにフォローが行われているとは言えません。全国がん登録と学会の登録により長期にわたって何が起こるのか研究を行っていただき、経験者の健診も含めて、障害や合併症の改善、自立支援、就労への御支援を頂ければと思っています。

 先ほど文科省の方の御説明もありましたが、がん教育についてちょっと事例がありましたので御紹介します。これまでのこちらの協議会では、小児がんや遺伝性疾患など予防できない疾患に関しては、がん教育について御配慮頂けるというお話でしたが、最近、神経芽腫で再発された小学 5 年生のお子さんが、学校で生活習慣病の授業を受け、小児がんと告知を受けて御自分は治ると理解されていたのですが、がんは国民の死亡原因第一位、がんは治らないというニュアンスを伝えられたと思い、傷ついて、まだ周りへの告知はされていなかったのですが、自分が小児がんであることを周りに言うのは、「小児がん」イコール「死」であると思われてしまうので、それはできないのではないかと心を痛められたということです。

 先に行われたがんサミットでも、今や疾病別の時代ではなく、遺伝子解析の上でそれに見合った治療開発の時代になっていると伺いました。がんだけでなく、難病も含めた疾病、そして生物の多様性、人間の命とその尊厳に関しての根本的な理解から始まる教育が必要だと考えています。多感であり、また理解が完全でない小学生などへのがん教育については、細心の配慮とともに、成人がんに対する小児がんの違いなど、指導する教師へのがん教育も含めて正確な情報の伝達とともに、がんの負のイメージを払拭し、病気になっても排除せず共生していく社会の実現のための啓蒙など、早急な施策を心からお願いしたいと思っています。以上です。

○門田会長 ありがとうございました。続いて、勢井委員からの紹介をしていただいてから、御意見を頂戴したいと思います。

○勢井委員 手短にできるだけ済ませたいと思います。この 2 年間で、私は何をやろうか、やり切ろうかと思ったときに、こういうことをやりたいなということで、もちろんほかのことにはいろいろ協力しますが、自分なりにまとめました。患者会活動、それももちろんやっているのですが、本業を別に持っているので、そちらをいつも優先しながらやっています。そのような中で、いつも患者さんのほうから言われるのですが、病院はどこへ行ったらいいかとか、やはりそういうのは残っているのです。

1 番目に、がん登録ということで書かせてもらいました。これをきちんとすることによって、患者や国民のメリットとして、がん患者の医療機関を選択する際の情報源になると、そういう文言があるのですが、果たして今のままで本当になるのでしょうかということが 1 つです。ほとんどの情報というのは、医療者側から、提供側からの情報であって、医療を受ける側、患者国民側からの意見、そういうものをまとめているのは多分ないのではないかと思うのです。山口委員が先ほどお話されましたが、静岡県立がんセンターのほうで患者さんの声をまとめたものをまた出していただけると、 10 年後こう変わりましたと。そういった患者の声、それをしっかりと入れていくような仕組みを作ってほしいと思います。

 幸いに、幸いにということは失礼かもしれないのですが、がん対策情報センターでは非常に良い取組をされているのではないかと思っています。というのは、患者、国民目線が入っている調査、そういうのがいろいろあります。ところが、それをほとんどの医療機関はなかなかやらない。それはなぜかと言うと、どこまでの権限が情報センターに与えられているか、そういうことにも多分つながるのではないかと思うのです。権限を与える、与えたら当然責任は付きまとうのは当たり前なのですが、そういうふうにして、今やっていること、それを国民、患者さんみんなに分かるように、もっと広報していただけたらと思います。吉田委員から、「私がここにいるのは、なぜ」とそのようなことを言われましたが、それが一番大きい広報ではないかなと思っています。吉田委員を初め、ほかにも多分メディアの方はいると思うのですが、たくさんの、たくさんと言うか、周知を図っていただいて、そして、このがん対策は他人事ではないと、それは自分事にやっていくと、そういうことをやっていただければと思っています。

 その中では、もちろん教育というのは非常に重要だと思っています。子供にがん教育の大切さを教えること。それは、将来にわたってのこともありますが、教育を通じて今できること。例えば、大切なお父さん、お母さんに、「検診に行ってね」とか、そういう言葉だけではなくて、文字で。徳島ではメッセージカードと称して、はがきを送っているのですが、そういう取組は絶対に心に響くと思うのです。患者会でもそのような話をしますと、「それは勢井さん、私だったらもう子供からもらったら検診に行くわ」とそのように皆さん言ってくれます。患者さんからは体験談を話してもらうので、それほど教科書どおりの話ではなくて、御経験されたことを淡々と話してくださっています。それで生徒さんの反応はどうかと言うと、非常に大きいです。私も何回か話をしに行きましたが、講演が終わった後にたくさんの生徒さんが寄ってきてくれて握手を求められたことがあります。それは単に学術的な教育ではない。やはり心に響くようなことができているのではないかと思うのです。それは、患者さんの強みでもあるし、また、それが子供らを取り巻く御両親のためにもなるかと思っています。あと、就労についてもあるのですが、これは話をすると、また長くなるので、又の機会にやりたいと思っています。以上です。ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。ただいま、馬上委員、勢井委員から御自分のお考え、意見事項として出していただきましたが、どなたか、このお二方に御質問、あるいはコメントがありましたら。

○桜井委員 すみません、度々。先ほどの希少がんの話ですが、この中で、やはり難治性がん、それから若年性のがんにおいては、家族性の腫瘍がかなり影響していることが分かってきています。この中で、研究を進めていくこともすごく大切なのですが、安心して研究に参加できる。それから、本人だけの問題ではなくて、これは本当に遠い血縁者全部に関わってきてしまうことですので、そういう人たちの権利擁護というところも含めての考え方、両輪でやっていかないと非常に難しいのではないかと思っています。そういうことが原因で、例えば、未婚率が高くなってしまったりとか、離婚があったりとか、あるいは、今後、高額なお金が発生してきたときに保険に入れないので払えないとか、そういうことも出てきかねないので、是非、そういうことも含めてやっていただきたいと思います。

 それから、患者申出療養制度の部分もありますが、やはり今、馬上委員が言われたように、リサーチ・アドボケイトを育てていかないと、本当の意味で患者が欲している研究がなかなか進まないかと思っているので、こういうところも是非この協議会等を含めて一緒に、ものを言っていければと思っていますので、是非よろしくお願いします。

○門田会長 堀田委員、希少がんの検討会の座長を務めていただいているので、その辺りを含めてよろしくお願いします。

○堀田委員 馬上委員からご紹介のあった希少がんについて要望者は、検討会のほうでも説明をしていただき、その内容を取り上げて、希少がんについて報告書をまとめる段階であります。

 希少がんの置かれた状況は、今までどちらかと言うと、がん対策は 5 大がんを中心に、均てん化という方向で進めてきて一定の成果を示しているわけですが、次のステップとして、ようやく希少がん、あるいは難治がんといったがんの特性とライフステージに見合った適切な医療を構築していく段階に入ってきたのだと思います。その中で、希少がんは、希少ではありますが、それらを足せば、先ほどのように全がんの 22 %ぐらいを占めるということで、決してまとめれば希少ではないと言えます。ただ、個々の希少がん種について見ると、病理診断の問題、あるいは専門医が少ない、あるいはそれが散在しているという問題をどう解決していくかが一番悩ましいところです。例えば、小児がんのように拠点を全国に幾つか、小児がんの場合は 15 ですが、そういうふうにまとめれば解決するかというと、どうもそうではないわけです。疾患ごとに専門科も違いますし、治療法、あるいは患者会の育ち方も違うというところからしますと、ある程度ネットワークで集約化していくしかないだろうというのが我々の結論に近いものです。ただ、自然に任せておいて進むのかというのがあるので、これはできるだけ情報を集約する場所が要るし、それから、病理診断については、病理医がそれほど潤沢にはいない中で、コンサルテーションシステムをきちっと作るなどの問題を解決しなければなりません。あるいは、先ほど提案がありましたが、専門家や専門医療機関へアプローチをするためには、県内にあればいいですが、そうではない場合に、そのアクセスをどうするかという問題は、検討会の中でも一番重要な課題としてディスカッションしてきたことです。近々に、検討会の報告書を上げますので、協議会の場でも、それを実践できるような形で建設的な御意見を頂ければ有り難いと思います。

○門田会長 ありがとうございました。そのほか何か。

○中川委員 先ほど馬上委員が言われた、小児がん経験者、あるいは患者さんが配慮の足りないがん教育を受けた場合の問題点を御指摘されましたが、実は、文科省での検討委員会でもそのことは議論されていて、資料 3-1 、これの 5 ページ目にあります、報告書の概要の所の左下の (4) の留意点、これの4で「がん教育で配慮が必要な事項」というのがあります。これは 1 枚紙でこれだけしか書いてないのですが。では、これは一体どういうことが議論されたかと言うと、報告書に詳しくありますが、その中に、 1 つは小児がん患者、経験者に対する配慮というのがあります。それからまた、生活習慣病であると言い切ることの問題点、あるいは近親者等に、がん経験者がいる、あるいは亡くなった方がいる場合の配慮。そもそも、がん教育の必要性の議論の中で、現行の学習指導要領では、がんは生活習慣病の中にくくられているのです。ですから、まともに今、がん教育をこのまま進めれば、やはりそういう誤解が出てくるのです。ですから、そういうことでこれを変えていく必要があり、また実際、議論の中で言われたことが、配慮が必要であると報告書の中でもまとめられています。

○門田会長 ありがとうございました。そのほかにもあるかと思いますが、せっかく初めての会ですので、まず、先ほど言いましたが、患者委員の方、それと、できましたら、今回新しく委員になられた方の、何かのコメントがあればおっしゃっていただきたいと思います。まず、最初に、桜井さん、先ほどから御発言頂いていますが、改めてコメント、あるいは抱負を。

○桜井委員 いや、もう十分言わせていただいたかなと思っていますので。

○門田会長 そうですか。

○桜井委員 とにかく、 5 年先を見ているのでは遅いと思っています。 10 年先を見ないといけないと思っています。 10 年先のがん医療がどうなっているのかというのをやはり考えて、それから経済情勢、人口の構成の違い、そういうところを考えた上での困らないプランをこの場で考えていく必要があるのかと思いますので、サイエンティフィックな部分と倫理の部分と、それから法制度の運用の部分とを合わせてやっていく必要があるのかと思っています。

○門田会長 ありがとうございました。非常に重要なご指摘と思います。

○堀田委員 今、桜井委員が触れられた問題は非常に重要です。今、ゲノム医療としてラボでいろいろ調べた遺伝子情報を臨床に戻して最適な薬の選択や副作用の予測などにより問題を解決していこうという、この流れにあります、がんになってからの体細胞変異というのは遺伝するわけではないので、一般的な検査なのですが、網羅的な遺伝子解析は germline と言って、遺伝性のものが引っ掛かってきてしまうのです。これがだんだん重みをもってきたのが現実だと思うのです。そうすると、必然的に遺伝関係を明らかにしなければいけない。では、そういった情報というのは誰がどのように伝えるのか、あるいは、どのようにそれを医療に展開していくのか、これを今から考えておかないと、現実のほうが先走ってしまうのではないかと危惧します。要するに、遺伝子ビジネスみたいなものが世の中に蔓延することを含めて考えると、遺伝子情報を適切に取り扱うバイオインフォマティシャンや遺伝カウンセラーをきちっと育てて配置しないと、大変大きな問題になるという気がします。

○桜井委員 ユネスコ、 Global Alliance for Genomics and Health(GA4GH) でも、ビッグデータの活用、あるいは、遺伝情報は患者のペイシェント・ライトだと言われて、グローバルな協議会等々も今年行われていますので、やはり、その辺りの部分で、評価の部分ですね、それの誤差もかなり今、変わってきているとは聞いているので、日本からも、アジアのビックデータというのを是非うまく活用して、創薬と、それから、今まで使えなかったものはひょっとしたら可能性が出てくるかもしれない、希少がんにも良いものがあるかもしれない、そういうものも含めて考えていくことができればと思っています。ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。それでは難波委員、お願いできますか。

○難波委員 ありがとうございます。先ほどもお伝えさせていただいたのですが、現在私は 42 歳なのですが、約 6 年前に子宮頸がんになったのは 36 歳だったのですね。その当時はもちろん、教育に関しては全く国の取組というのが見受けられなく、この何年かの間に中川委員を始め、いろいろな現場現場で教育が進められていると思うのですけれども、実際に今、啓発活動を AYA 世代向けにしているなか、やはり啓発もそうですし、今、治療に向かわれている方々の治療であるだとかの対処が必要だなと思う反面、教育をするに当たって、世代間ギャップというか、情報の受取り方が大分違うなというのを今すごく肌感覚で感じております。

 私はやはり子宮頸がんの患者なので、特に子宮頸がんのリスクがある AYA 世代に目を向けたいなと思っているのですが、そういった教育プログラムの内容に関して、検診に対してのモチベーションをどう持っていくのかであるとか、あと、今はやはり子宮頸がんワクチンに関して、国のほうでも調査が進められているとは思うのですけれども、それに関して調査を進めるであるとか、補償を考えるであるだとか、と同時にワクチンに対する教育も行っていかないことには、その都度問題が起こったら対処していくというような状況が、これからも繰り返されるのではないかなと感じているのです。

 私のほうで今回参加させていただいて皆さんに貢献できるのではないかなと思っている点は 2 点ございまして、 AYA 世代、これから未来を担っていく女性たちのがん対策というところで、教育と予防をどう行っていくかというところに関して、意見を述べさせていただけたらいいなと考えております。

○門田会長 ありがとうございました。それでは患者委員で最後になりますが、若尾委員お願いします。

○若尾委員 ありがとうございます。私は自分ががんの当事者だったということで、患者委員としてここに入れていただいているのですけれども、普通は、こういった政策は医療の場合でしたら医療の提供者側とか、それから施策を組み立てる側の論理で進められて行くわけです。けれども、このがん対策は当時者が参画することができています。そういった流れの中で私が何をしたらいいのかということは、とても重要だなと思っているのです。今回たまたま国のトップである総理から、加速化プランが必要ではないかという言葉を頂いて、このがん対策推進基本計画を考える中で、その話ができるという、このすごいチャンスというのを生かしたいなと思うわけです。それで、 5 年先、 10 年先という見方とともに、トップからのシャワー効果をすごくうまく使いたいなということを思いますので、その効果を各都道府県の隅々まで行きわたせる、均てん化を起こさせるような方向性も考えながらやっていきたいと思います。

 山梨県は小さな県ですが、乳がんに関しては遺伝子に関することをちょっとやっているのですね。でも、その中でそこに関わる先生が、「せっかくこんなにいい環境にあるのに、受け手が拒む」というようなことを言うのですね。そこは多分、科学的な視点と医療の受け手側の患者の倫理感というか社会感というか、生活習慣というか、そういったもののギャップがすごく大きいのだと思います。私たちは患者としてその部分を埋めながら、せっかく進んでいる科学的な利点というか、おいしい果実をどう十分に行きわたらせて、先ほど堀田先生もおっしゃいましたけれども、遺伝子に対する本来の目的とは違うものが先走るようなことがないよう、その辺に対してもコミットしたいと思っていますので、 2 年間という中ですけれど、いろいろな視点で意見を言わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○門田会長 ありがとうございました。まず、患者委員の皆さんの御意見を頂きまして、自分としてどう参画し、どうするのが自分の役割なのかという形で、皆さんにおっしゃっていただいたと思います。是非、 2 年間よろしくお願いいたします。

 それでは、まだ時間がございますので、今回新しく委員として加わっていただきました方で名簿の上のほうから順にお願いしたいと思います。まず最初に秋山委員、お願いできますか。

○秋山委員 私は日々、予約なしで来られる相談者を受け入れる「暮らしの保健室」というのをやっております。それとともに、訪問看護の現場で、退院したがん患者さんたちを在宅で引き受けるという役割を担っているチームの管理をしているところなのですけれども、がん対策加速化プランの 3 本の柱のうちの「共生」としての地域医療のところを、ある意味で担っている立場であると思います。

 それで、非常に先進的で先端的な、 10 20 年先を見越した、先を読む立場もとても重要だと思って伺っていましたけれども、現実に治療を受けたり治療後の方たちが、いろいろな不安や不満なことを直接、病院の中では言えなくて、受診前、受診直後の相談が本当に多いのですね。ということはやはり、病院の中で、患者さんというか病気を抱えながらどうやっていくのかという些細なことを聞けなくて、とても困っていながら生活をしている。

 そういう中での問題解決をよくよく聞いてみますと、病院の中の科別の連携がうまく取れていない。それから病院の中での医師、看護師、そういう役割分担がきちんとしているがゆえに、トータルに患者として見てもらえていない。どこに相談に行っていいか分からないといったような、本当に切実な相談を寄せられて、その相談に乗っているという状況です。様々な相談の窓口が、がん拠点病院にも備えられ、地域にも備えられているのですけれども、やはりまだまだ十分には浸透していないのではないかなと感じております。やはり早めに様々な不安を取り除いていかないと、心理社会的な面で、ダメージを受ける方たちがたくさんいらっしゃると感じているので、その辺のことも現状認識をした上で、解決策をきちんと立てていかないと、大勢の患者さんたちへの声には添っていけないのではないかなというのが 1 つです。

 それともう 1 つ、経済産業省の方が示された、非常に侵襲の少ない、そして早く分かる検査の方法は、こういう研究が進むことは、とても患者サイドとしても歓迎するところなのですけれども、私は中皮腫の方の非常に早めの診断をした結果、可能性があると言った方が不安を抱いて生活をするという、一方でそういうことがありますので、こういう研究とともに、それをサポートする、先ほど遺伝子の検査の話もありましたけれども、本当にそこを支え続ける人を育てないと、片手落ちになるなと。これが進んでいくのはとても歓迎だけれども、もう一方、人を支える仕組みを是非、考えていただきたいという思いです。ありがとうございました。

○門田会長 ありがとうございました。それでは、今度は行政の立場になりますか。松村委員、お願いできますか。

○松村委員 今回初めて参加させていただいて、行政から来ている私にとって、きっと役割が 2 つあるかなと改めて感じているところです。皆さん御存じのように、少子高齢化が進み、過疎の地域というのが非常に増えていく中で、これからの動きとして地域創生というのがあるかなと思っております。がん対策を進めるに当たって、地域の中で、がんに対する医療体制をどのように構築していくかというのは、私ども行政が、都道府県がその役割として考えていかなければいけない大きな課題かと思っています。

 そういう中から考えますと、それを進めるためには、先ほど冒頭に言いましたように、私は京都府の状況は分かるのですけれども他府県の状況は今の時点で知っているわけではありませんので、京都府以外の他府県の状況もある程度分かった上で、今回、加速化プランであるとか、あるいは基本計画を作成するところにどんな形で伝えさせていただくか。どういう形で都道府県の状況をお伝えすることによって計画が、より実りのあるものに、都道府県としてやっていける計画にしていただくかということが大きな役割かなというのを改めて感じたところです。そういう意味では、今回いろいろなお話を聞かていただく中で、少し、次回に向けて勉強してやっていきたいと思っているところです。

○門田会長 ありがとうございました。それでは、静岡がんセンター総長の山口先生、お願いします。

○山口委員 今日初めて参加させていただいて、なかなか難しい問題がいろいろあるなと感じているところです。 2 つだけ申し上げたいと思います。第一に、選択と集中をどこにかけるかということをしっかり考えないといけないだろうと思います。ゲノムというお話がさっきから出ていますが、私自身、 2000 年頃に指針をワーキンググループの座長として作らせていただいて、それが今、 3 省合同の指針という形で動いています。そのときにいろいろ議論した生命保険の問題とか個人情報の問題などが、今、大きな問題になってきているのですけれども、当時から解決は難しいねといろいろな人と話し合っていました。それは今も本当の意味で解決はしていない。しかし、ゲノム解析が広く行われる時代に、それをどこまで政策的に考えるかというところが、やはり大事なのだろうと思います。しかし、なかなか結論は出しにくいでしょう。

 第二に、希少がんの問題が今日は随分取り上げられています。確かに、これは重要なのですが、堀田委員がおっしゃったように、希少がんというのは様々な病気の寄せ集めとして議論していますので、研究や医療の世界では、 1 つのがんを取り扱うようには行かない。何十もあるがんをまとめて対象とする手法は、研究からいうと非常に難しい形になります。従って、希少がんの中でも、どのように選択と集中をかけていくかということも大切だと思います。

 ある対談で、河合隼雄先生という文化庁の長官をなさった方と御一緒させていただいたときに、彼が「医学は科学、医療は物語」という趣旨の発言をなさいました。物語は「思い」に言い換えればいいと思うのですけれども、正にこの協議会は非常に医学的な部分、がん対策をどうするかという部分と、患者さん、御家族の思いをどうかなえていくかということを一緒に討議しながら結論を出していくという意味では、非常に貴重な協議会だと思います。一方で、結論を出すこと、落とし所をどこにするのかということが、医療費の問題もありますし、なかなか難しいなと思って伺っておりました。

 けれども、患者さん、御家族の思いをどうかなえていくかというのが、そもそものがん対策基本法の精神です。先日、故山本孝史参議院議員の奥様とお話をさせていただいたのですが、山本議員は生前、静岡がんセンターを訪ねられ、その「思い」も含め、いろいろ議論させていただきました。そういう「思い」を念頭に、施策として、どこまでやっていけるのかということを、この協議会としては考えていくべきであろうと感じた次第です。

○門田会長 ありがとうございました。それでは吉田委員、お願いいたします。

○吉田委員 ちょっと大きな話ですけれども、最近、医療をめぐる話で、患者のほうから加速化プランという御指示が出てくる一方で、医療費抑制とか今後のがん対策の方向性について、費用対効果の話とか病床削減といったような医療費抑制的な話が聞こえてくると。そういう中で、がん対策はどういう位置付けなのかなという気がちょっとします。

 また、前の計画の後から、今の京都府の話もありますけれども、人口減少社会がより本格化し、消滅都市、消滅自治体が出てくると。そういう中で地域のがん対策がどのように語られているのか、どのようにやっていかなければならないのか。そういう視点が大切だという気がします。

 あともう一点、遺伝子ビジネスの話ですけれども、これについて、経済産業省の方から、今後の在り方、いろいろな分野からの参入が出てきていて、その情報をどう扱うとか、いろいろな問題があるかと思いますので、今後の遺伝子ビジネスに対してどういう規制があるのか、その辺の話についても御報告を頂きたいと思います。

 それと、低侵襲の早期診断の話ですけれども、これは本当に画期的な話で、普通の健康診断とか現場の所に、いつもどのようにして、あるいはどれぐらいの価格で実用化に向けた話があるのかという、そういった今後のスケジュールについても知りたいところです。以上です。

○門田会長 ありがとうございました。それぞれの立場で、それぞれに非常に幅広い御意見を聞かせていただきました。新しくお入りいただいた皆さんの御意見を頂いたわけですが、今まで引き続き委員を務めていただく先生方、順番には当てませんので、是非発言したい方は挙手していただいて、思いを語っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中川委員 低侵襲の早期発見は、大変重要なことではあるのですが、一方、今後この場で協議すべきことの 1 つが過剰診断だと思っております。全てのがんを早期に見つけるということが善ではありませんので。例えば韓国では、甲状腺がん検診が広まった結果、男女を合わせたがんの罹患のトップになり、女性のがんの 4 分の 1 が甲状腺がんということです。ただ、死亡率は全然下がらないという状況になっています。

 福島で行われている県民健康調査でも、小児甲状腺がんの方がもう 100 名以上になっています。ただ、この方たちに、果たして本当の意味で早期発見をするのがいいかどうかというのは検証するべきだと思います。私は個人的には、被ばく量が非常に少ないという面では、早期発見がかえってマイナスになる可能性もあると思っています。そういったことを含めて、がんを早期に見つけるということをエンドポイントにするべきではない。そういう研究自体は非常に価値があるのですけれども、常にそういうことを念頭に置いた計画をしなければいけないのではないかという気がします。

 もう 1 点は、むしろ御報告ということになるのですが、資料 2 4 ページ目の上、中間評価の概要の中に、放射線治療に関する評価がございます。重点的に取り組むべき課題の (1) です。放射線治療、化学療法等の所ですけれども、その下の赤の括弧でとじられている所、四角にとじられている所に、先進的な放射線治療機器の適正配置ということがございます。この中で今、粒子線治療が一つ話題になっておりまして、これまで全ての限局性がんに対しては、先進医療 A という形で行われてきたわけですね。しかし、今、その見直しが行われていて、これは日本放射線学会としてもそれを求めてきたのですが、保険収載にしていくもの、例えば小児の陽子線治療、あるいは脊索腫、軟骨肉腫等ですね。一方、前立腺がんに関しては、十分なエビデンスが出ておりません。今後こういったものを、どう区分けしていくのか。これは患者さんにとって大きな問題になってくると思います。 8 6 日に先進医療会議がありまして、そこで学会としてもプレゼンテーションをするのですが、今後この場でも情報提供をさせていただいて、日本は世界でも最も粒子線治療施設の数が多い国であります。今後それをどうするかということは議論させていただきたいと思っています。

○門田会長 ありがとうございました。今日はいろいろな形で問題提起していただいておりますけれども、これから検討したいと思います。

○堀部委員 私にとって小児がんが一つの大きなテーマですが、小児がんが第 2 期のがん対策推進基本計画の中に重点課題になったことで、あらゆる場面で「小児がん」を耳にするようになってきており、国民の皆様に一定認識されてきたと思います。しかし、この中間報告では、拠点病院の指定や中央機関の指定といった、外形作りにとどまっています。今後、それがどのような果実を実らせていくか、患者さんたちが望んだことが「見える化」されていくかが、これからの課題であると思います。

 また、一方で、希少がんが取り上げられ、がん対策の重要課題の1つになっていますが、正に小児がんは希少がんの集まりであり、ある意味で希少がんのモデルになるのではないかと思います。つまり、小児がん対策として、拠点病院や中央機関が作られましたが、これらがどのように機能するかによって、希少がんのがん腫ごとの拠点化が、それぞれの医療体系の中での位置づけを教えてくれるかもしれません。また、小児がん拠点病院の役割として、集約化の拠点とともに地域の連携拠点という意味合いがあります。一方、成人がんは患者数が多いので、そのような領域においては、各地域での均霑化が進められていると思いますが、希少がんでは、発生数が少ないので限られた数の施設に集約化しないと、専門家が育ちにくいという問題もあります。かといって、患者さんの利便性への配慮も必要なため、集約化とともに連携がキーワードであると思います。

 小児がんが希少がんとして最初に着目された理由は、小児という特定のライフステージであることと、小児特有のがん種が一定の数あるからだと思います。とはいえ、小児期にみられるがん種は非常に多様であり、中には必ずしも小児特有でないがん種も多くあります。

 次のライフステージである A A 世代も話題になっていますが、結局、その世代ごとの特殊性に配慮をした医療体制が求められるため、小児がん、次に AYA 世代が注目されますが、希少がんということになりますと、それぞれのがん種がどの世代に多いかを把握し、その世代に合った対策が求められます。また、各がん種の診断治療の改良や医学の発展という点では、がん種別の対策も重要です。がん対策は、これらを上手にクロスさせなくてはいけない課題であると思います。

 先行する小児がん対策はまだ始まったばかりであり、第二期で終わりということではありません。第二期のがん対策推進協議会においてライフステージを強く意識した検討がなされてきていることが非常に重要であると思います。それぞれの世代が抱える問題、小児がん患者も病気が治れば、次は思春期を迎え、そして成人になっていくわけであり、がん患者およびがん経験者の世代に共通した問題が存在します。常にライフステージを見据えた医療面での対策と、がん種ごとの医療提供体制の整備の両論で推進されることが重要であり、小児がんが拠点病院・中央機関の整備が1つのモデルになって、さまざまな希少がんの対策に繋がっていくと良いと考えています。

 その意味で、この2年間、がん対策推進協議会委員として、小児がん対策の進捗、特にまだ未着手の長期フォローアップの体制整備をはじめとする中央機関の整備に注目して取り組んでいきたいと思います。

○門田会長 ありがとうございました。

○勢井委員 情報の発信の仕方ということで、確か、前委員の濱本さんが何か書いていましたけれども、私は詳しく読んだけれども、よく分からないです。ただ、情報というものは非常に患者にとっては重要です。ある意味、生きる希望になるところがあります。できましたら次回のこの協議会に、がん対策情報センターのほうから若尾先生なりを呼ぶということは可能でしょうか。ちょっと私も聞いてみたいこともあるので。

○がん対策推進官 なるべくお答えはしたいと思うのですが、正直、がん対策の加速化プランを年内に策定しなければいけないというのが一番の優先課題とありまして、あと、先ほど提案がございましたとおり、基本法に対する御意見というのも、次回、時間をある程度確保しなければいけないのだと思うのですけれども。ちょっとスケジュール感も見ながらということにさせていただければと思います。もちろん必要があればお呼びすることは可能だと思いますけれども。

○門田会長 ということで、ここに総長がいらっしゃいますので、個別なり何なり。情報が重要ということはそのとおりだと思いますし、先生の意見もその場に反映できる可能性もあると思いますので、是非コミュニケーションをうまく取ってやっていただければと思います。

 ちょうど時間になってきました。今日は初めてということで、皆さん方のそれぞれの違った立場のお考えというのか方向性を述べていただいたと思います。あえて私が会長として申し上げますと、今回、加速化プランということが出てきております。その加速化プランというのは、政府内のことといえばそれまでということになると思うのですけれども、加速化する意味で、シャワー効果という表現もあったり、また行政は行政の立場であったり。この協議会の一番の特色というのは、いろいろな立場の人たちが一堂に会して話をしているということだと思うのですね。特に患者委員の皆さんが多いということで、私は患者委員の皆さんに何々してくださいとか、こうあるべきですよねという表現も、ものによれば必要ですが、どういう形で患者さん自らが、あるいは国民が参画できるのか、能動的に参加するのかといった見方を入れて、そういったことを加えながら、加速化プランということを見直していくというのが、多分ここの、こういうメンバー構成の中からすると、非常に重要ではないのかなという感じがいたします。

 これからまた、大いにディスカッションをしていくことになりますが、是非よろしくお願いしたいと思います。ちょうど時間になりましたので、これで終わりたいと思います。事務局のほうから連絡をお願いいたします。

○がん対策推進官 次回の協議会は平成 27 9 17 日木曜日の 14 時からを予定しております。場所は追って御連絡させていただきます。お忙しい中、恐縮ですが日程の調整のほど、よろしくお願いいたします。以上です。

○門田会長 ありがとうございました。それでは本日はこれで終わりたいと思います。どうも御協力ありがとうございました。


(了)

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