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2015年7月7日 社会保障審議会障害者部会(第66回)議事録
社会・援護局障害保健福祉部
○日時
平成27年7月7日(火) 14:00~
○場所
TKPガーデンシティ御茶ノ水カンファレンスルーム3C
(東京都千代田区神田駿河台3丁目1-1三井住友海上駿河台新館3F)
○出席者
駒村康平部会長、朝貝芳美委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、石原康則委員、伊藤たてお委員、大濱眞委員、小澤温委員、河崎建人委員、菊池馨実委員、北岡賢剛委員、久保厚子委員、小西慶一委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、玉木幸則委員、藤堂栄子委員、中板育美委員、永松悟委員、中村耕三委員、野沢和弘委員、樋口輝彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、田口道治参考人、原田勉参考人
○議事
○駒村部会長
定刻になりましたので、ただいまから第 66 回社会保障審議会障害者部会を開会します。委員の皆様におかれましては、御多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日もやや長くなるかと思いますが、初めから長めの設定になっていますけれど、毎回お願いしていることですが、質疑の時間においては、事務局におかれましては、まず資料説明をできるだけ簡潔にお願いします。また、委員におかれましても、いつもお願いしていることで恐縮ですが、なるべく簡潔に御発言いただきたいと思います。引き続き円滑な会議運営に御協力いただきたいと思います。それでは、事務局より委員の出席状況、資料の確認をお願いします。
○福井企画課課長補佐
事務局です。まず委員の出席状況ですが、本日は伊豫委員、松本委員から御都合により欠席との御連絡を頂いています。また、本日は橘委員の代理として田口参考人、湯崎委員の代理として原田参考人に御出席いただいています。また、事務局ですが、部長と企画課長が国会業務の関係で少し遅れて到着します。
続いて本日の資料の確認をさせていただきます。資料 1-1 、第 4 期障害福祉計画 ( 目標集計 ) 。資料 1-2 、第 4 期障害福祉計画 ( 都道府県別 ) 。資料 2 、財政健全化に係る最近の動き。資料 3-1 、常時介護を要する障害者等に対する支援について。資料 3-2 、団体ヒアリングにおける意見 ( 常時介護を要する障害者等に対する支援 ) です。
なお、参考資料として、 6 月 29 日に行われた、国と障害者自立支援法違憲訴訟団との定期協議において配布されました、障害者自立支援法違憲訴訟団の要請書を配布しています。このほか、大濱委員から提出資料があります。以上、お手元にございますでしょうか。過不足等がありましたら、事務局にお申し付けください。
○駒村部会長
ありがとうございました。それでは、本日の議題に入る前に、前回の団体ヒアリングで全国知事会への質疑ができませんでしたので、ここで質疑を行いたいと思います。全国知事会の意見書がお手元に配布されていると思いますが、ここから前回途中で終わってしまった知事会に対する質疑を再開したいと思います。御意見、御質問のある方、引き続き御質問中心だと思いますが、挙手をお願いします。河崎委員、お願いします。
○河崎委員
日本精神科病院協会の河崎です。全国知事会の原田さんに、 1 点お教え願いたいと思います。前回の御発表の折に、精神障害者に対する支援の在り方について、精神障害者の介護保険サービスの利用促進と、長期入院患者の地域移行について、重要な御提案をしていただきました。この辺りについて、地元広島で現実的に何か試みなり、あるいは具体的なことを行っていらっしゃるようでしたら、少しお教え願えたらと思って、質問させていただきました。
○原田参考人
ありがとうございます。広島県障害支援課の原田です。河崎委員の御指摘ですが、結論として申し上げましたら、広島県で独自に皆様方に御紹介できるような先進的な取組は、特段行政のほうに情報は入っておりません。この度の国の平成 27 年度新規事業についても、手を挙げるようなことはありませんでしたので、今は状況を見守っているということです。
ただし、私の個人的な情報では、ある病院が敷地内に共同住宅を建てられて、入院されていたのですが退院後、その共同住宅で生活を送り、そこから通院しながら生活しているという施設があるのは存じ上げています。
○駒村部会長
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員
日本難病・疾病団体協議会の伊藤です。これは質問というよりお願いなのですが、難病が総合支援法の対象になって 3 年目になりますが、なかなか従来の障害福祉担当の部局、特に現場が大事なのですが、そこの現場の中ではなかなか難病が対象だということが浸透していかないわけです。
是非そういう点でも、全国知事会の中でも、この御意見の中になかなかそういうところが見当たらないのですが、是非今後とも、従来は医療サイドと言いますか、保健衛生サイドでやっていた難病についても、障害者福祉のサービスについては同じように取り組んでいただけるようお願いしたいと思います。以上です。
○駒村部会長
何か原田さんのほうでありますか。行政における難病の情報です。
○原田参考人
広島県の取組になりますが、国から通知を受けまして、すぐ市町に対して通知を発出するとともに、市町会議を開きまして、担当課長あるいは担当者に周知徹底を図っております。それと、関係機関と連携して、現在まで周知徹底を図っているというのが、広島県の取組の現状です。
○伊藤委員
よろしくお願いします。
○駒村部会長
ほかの委員の方は。竹下委員、お願いします。
○竹下委員
3
点ありまして、今日は先週の資料がないので、多分入れていないと思うのですが、まず
1-1
の所で「地域格差がなく」とあるのですが、もともと制度上は、個別給付については地域格差がないのが本来の制度だと思うのですが、現実に市町村段階での支給料等の格差が生じている現状の原因は、どこにあるとお考えなのでしょうか。それが
1
点目です。あるいは、それの是正のためには何が必要だということになるのでしょうか。
それから、 3 の後段というメモになっているのですが、「通勤・通学への支援」の所で、支援をする主体を明らかにすべきだという指摘があったのですが、これは具体的には何を意味しているのでしょうか。すなわち通勤・通学をするのは、例えば通勤でいえば福祉行政ではなく、他の行政又は企業というサービスで行うべきだとか、あるいは通学でいえば教育行政によるべきだという、そういう趣旨なのかどうかの確認が 2 点目です。
それから、 3 点目の質問は 9-3 だったと思うのですが、 65 歳問題の介護保険優先に関する所での御指摘で、「市町村における支給決定の実態に即して」というようにおっしゃったと思うのですが、この「実態に即して」というのは、具体的にはどういう実態に即してという趣旨なのかについて、もう少し御説明を頂ければ有り難いと思います。以上です。
○駒村部会長
原田参考人、 3 つお願いできますか。
○原田参考人
障害福祉サービスの地域的な格差は、やはりマンパワーが地域的に偏在しているため、その辺りが障害者の方々の事情に的確に対応できていない。都市部、中山間、過疎地域での差があるのではないかと思っています。仮に地域支援事業が個別給付に移行しても、その辺りのところが課題になってくるのではないかと考えています。これが 1 点目です。
それから、 2 点目です。障害者等の移動支援におきます、通勤や通学等における支援ということですが、これは竹下委員が御指摘のとおり、障害福祉部門だけではなくて、教育や企業といったものも含めての主体ということで考えていただければと思っています。
それから、 3 点目の介護保険優先制度についてです。なかなか答えにくいところですが、県においては介護保険優先というのを機械的に適用するのではなくて、状況に応じて併給等をしてくださいというように、広島県においては市町に対して要請をしていまして、行政に対してサービスが受けられなかったというような情報は受けておりません。また、「個々の市町村の支給決定の実態を踏まえ」というのは、やはり各市町村が国からの通知を受けながら、どのような実態でやっているかということを踏まえて議論すべきだろうということがありますので、ここの文言としては、「支給決定の実態を踏まえ」という言葉をあえて入れさせていただいたということで、御理解を賜りたいと思います。
○竹下委員
ありがとうございます。 3 点目の所は、確かに一朝一夕に実態というのは出てこないのかもしれませんが、多分国の文書で、これは私の表現で恐縮ですが、国が総合支援法 7 条の適用の関係で、介護保険と障害者福祉の適用関係や組合せのところでいろいろな文書を出しているわけですが、それの理解が不十分なのか、その受止め方に何らかの事情から取扱いの差が生じているのか。それとも、あえて言うならば自治体ごとの判断が、国の文書等々とは少し離れて、独自の判断が入ることによって生じているのかということについて、できれば少しお聞かせいただければと思ったのですが、そこまでは無理でしょうか。
○原田参考人
市町村の思いからしましたら、介護保険優先適用というのが原則になっていますので、そちらの方にという思いがあるのだろうと思います。また、財政負担のことを考えて、そういう心情が働いているのかなと思っていますが、こちらについては併給等も可能になっていますから、やはり障害者の方々の思いや需要に沿った適切なサービスが選択できるように、実務的にもやらないといけないと思っています。
○駒村部会長
広田委員、どうぞ。
○広田委員
意見と激励です。来年この国はサミットを、真珠で有名な伊勢志摩でやるそうですが、広島でやるほうが良いと思う。広島に行ったときに平和記念公園へ寄ってますが、「人類が再びこの過ちを犯さない」という所に、核保有国全部に署名してもらいたい。日本が、アメリカが過ちをではない、全人類です。そういう格調高いものをやっていただきたいということと、外相会議は長崎で、伊勢志摩は日精協アドバイザリーボードで御一緒した元小泉総理秘書官の飯島勲さんが、週刊誌で話をされていますが、「アッキー、安倍さんの奥さんがなかなかの人だ」と。私もなかなかの奥さんだと思います。彼女をホスト国のホステスにして、「首脳の奥さんたちで会議をやればいい」と。「自分の故郷の○○で」と言うけれど、それは手前味噌で良くない、すばらしい真珠を知っていただくためにも伊勢志摩でやったほうがいい。私が日本政府のコンサルタントならそう提案した。今後そのように広島をアピールしていただきたい。私は 5 月 29 日の第 62 回社会保障審議会障害者部会で発言しています。「戦争が最も障害を生む」と。原爆の被災者も、病気だったり障害を背負っている。
この国の唯一の精神医療の被害者として、国が勇気を持って 15 年前、私を委員として精神医療サバイバーの肩書で入れた。誰もその後続けられない、たたかれすぎるということで。広島と長崎の知事さん、市長さんも頑張って、国連でもどこでも演説して、「日本が唯一の核被爆国として、安全保障理事国に立候補する」ことが世界の安全保障にも寄与できる。
今後何かやるときにはネガティブな日本ではなく前向きな、原田さん、ここでは「ちょっと原田さんの発言って」と、思われていたかもしれない。私のことはみんな慣れて、「また広田さんが。」ということなのですが、姉弟のようなものですから、どうぞ知事と市長によろしくお伝えください。頑張ってグローバルに、やるときはわかりやすく、ダイナミックに。中国が大変な状態、そこは端折ります。
それで藤井さん、あなたの前任の蒲ちゃん、官房長になったでしょう。ときどき「よろしくね」と言ってあるから、本人に会わなくても守衛さんを通してとか、佳境に入ってきたら蒲ちゃんと政務官をお呼びして下さい。民主党さんのとき出席だったから。生活困窮者の特別部会は、副大臣も出席していましたよ。
○駒村部会長
ありがとうございます。ほかの委員はいかがでしょうか。
○小澤委員
資料 10 の最後のページの (4) 障害福祉サービス分析システムについてです。これは私もいろいろと計画策定に関わりましたが、この PDCA サイクルというのは現実に動かそうとすると相当に課題が多くて、広島県さんのほうで何かいいアイディアがあれば、この記述を見ると「何かすべきである」というのに、もう少し提案があったらすごく有り難いと思いました。以上です。
○原田参考人
広島県の取組について、併せて情報提供させていただいたのですが、市町村国保が 65 万人、後期高齢者医療が 35 万人、協会けんぽが 100 万人ということで、その医療レセプトと介護レセプトについて、保険者の全ての同意を得まして、国保連合会と、協会けんぽさんも本部からなのですが、データを取得するとともに分析システムを整備しまして、市町単位、あるいは介護保険につきましては日常生活単位、これは被保険者を、そういう行政単位がありませんので、 GIS を使って分析をしているのですが、それで受給動向も全て分かるようにしております。患者の個人情報ではなく、こういう患者さんが地元では医療が受けられないため、中山間地域から都市部の方に移動している。この過疎化を止めるためには、ここの所の医療機能を強化したらダム効果になりますというような、政策的な議論ができるシステムを作っています。そして、リアルタイムというわけではないのですが、四半期ごとにデータをもらっているので、そこで受給動向が分かるようにしております。
同じように障害福祉ですが、今頂いているデータが可視化して目に見える形になっていませんので、そこのところを障害福祉のサービスもシステムを入れてやっていけば、この市町の計画は、ここまでのサービス量を目標にしていたのだけれど、実際はこうなっていますよと。では、これはどういう原因がありますかねといったことについて、政策的な対話が各市町とできるのではなかろうかということで、こういった分析システムを全国的に整備していただければ大変有り難いという書きぶりにさせていただいたところです。
○小澤委員
モデル事業、執行事業的に、何か広島辺りでやっていただくと、すごく参考になると思って聞かせていただきました。
○原田参考人
これについては、国から 10 分の 10 の補助金を頂きましたら、是非実際にやらせていただきたいと思っています。すみません。
これは障害福祉となりますので、地域医療介護総合確保基金が使えないものですから、一般財源でやらないといけないという状況がありますので、制度設計は既に行っているのですが、まだ予算措置が広島県においてできないという状況になっています。
○駒村部会長
前半のほうは、介護の受給動向の分析ですか。
○原田参考人
はい、介護の方もやっています。
○駒村部会長
これは何か発表を、定期的に住民に対してとか、発表しているのですか。そうではなくて、行政内部だけで。
○原田参考人
報告書という形で取りまとめておりまして、これは一般住民というわけではなくて、市町行政に対して、あるいは事業者さんに対して提供していまして、地域包括ケアというのが推進されますから、在宅と施設系のサービスを見ましたら、やはり地域包括ケアが進んでいる所については、施設ケアよりも在宅ケアが進んでいるということが、データ的に広島県の場合ははっきり出ているということが分かった結果が出ております。
○駒村部会長
ほかの委員は。石野委員、どうぞ。
○石野委員
意志疎通支援事業に関して伺いたいことがあります。 2 ページの 7 になります。 (1) の関係の質問ですが、聴覚障害者にとって社会資源が非常に乏しいという現状にあります。また、環境整備も重要な問題だと考えていますが、例えば手話通訳の設置事業においても全国的な動向を見ますと、平均しても 30. 何パーセントという、非常に少ない率になっています。
広島の場合には、県の役割と市町村の役割というのを明確に分けていると思いますが、その設置事業の実態について、少しお伺いしたいと思います。以上です。
○原田参考人
基礎自治体の役割というのは、養成のところで手話通訳者は県がやって、手話奉仕員は市町がやって。
○石野委員
いえ、県のレベルについては手話通訳者、市町村については手話奉仕員というように分けていますが。
○原田参考人
そのように分けて、養成に取り組んではいます。
○石野委員
すみません、手話通訳設置の状況を教えていただきたいと申し上げたのですが。
○原田参考人
それは養成人員が何人かという意味ですか。
○石野委員
いえ、そういう意味ではありません。意志疎通支援事業の中に手話通訳設置事業という言葉がありまして、市町村の手話通訳、仕事を持って、手話通訳に行政におかれてという、そういうイメージですが。
○原田参考人
はい、御指摘のとおりというイメージで御理解ください。
○石野委員
では、後で説明申し上げますので、結構です。ありがとうございます。
○駒村部会長
ほかの委員からはよろしいですか。では、これまで行われた団体ヒアリングについては、これで終了したいと思います。ここからの議事は、 3 年後見直しの個別課題の議論に入りたいと思います。本日は常時介護を要する障害者等に対する支援についての議論を行います。まずその前に事務局から、議題の 1 つ目の障害福祉施策等に関する最近の動きについて、報告をお願いします。
○川又企画課長
企画課長でございます。資料 1-1 と資料 1-2 を用いまして、第 4 期障害福祉計画の各自治体の目標の集計の状況について、まだ単純集計ですが、御報告をさせていただきます。資料 1-1 です。都道府県・市町村が障害福祉計画を 3 年を 1 期として定めております。今回、第 4 期は平成 27 年度、今年度から平成 29 年度を計画期間として定めております。
なお、昨年この計画の策定に当たって、国の基本指針というものを踏まえることになっておりまして、そこで幾つかの成果目標を定めております。資料
1-1
では、この成果目標に対しまして、全国の集計がどのような状況になっているかということを御報告させていただきます。資料
1-2
のほうがそれぞれの都道府県別の状況になっておりますので、併せて参照いただければと思います。
1-1
の
1.
施設入居者の地域生活への移行です。平成
29
年度末における地域生活に移行する者の目標です。目標の
1
が、平成
25
年度末時点の施設入居者数の
12
%以上が地域生活へ移行するということ。目標
2
は、平成
29
年度末の施設入居者数を平成
25
年度末時点の施設入居者数から
4
%以上削減するという成果目標です。その状況は、下の黒い枠で囲った所ですが、目標
1
については
12
%以上という目標に対し、集計値は
13.3
%、指針を満たす都道府県が
29
都道府県。全体
47
のうちの
29
ということです。目標の
2
につきましては、
4
%以上という目標に対し、集計値は
3.8
%、指針を満たす都道府県が
28
ということになっております。
2
ページ目です。入院中の精神障害者の地域生活への移行。目標が
3
つあります。目標
1
、入院
3
か月時点の退院率
64
%以上ということですが、集計値が
64.0
%となっております。指針を満たす都道府県が
42
都道府県です。目標の
2
、入院後
1
年時点の退院率を
91
%以上とするということです。集計値の
2
は
9.9
%、指針を満たす都道府県が
44
都道府県です。目標値の
3
、平成
29
年
6
月末時点の長期在院者数
(
入院期間が
1
年以上の者
)
を、平成
24
年
6
月末時点の長期在院者数から
18
%以上削減するという目標です。集計値が
16.6
%、指針を満たす都道府県が
33
となっております。
3.
地域生活支援拠点等の整備。目標としては、地域生活支援拠点等について、平成
29
年度末までに各市町村又は各圏域少なくとも
1
つを整備するという目標です。この指針を満たす都道府県が
41
です。
3
ページ目です。福祉施設から一般就労への移行ということで、福祉施設の利用者のうち、就労移行支援事業等ということで、ここには生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援などが含まれますが、平成
29
年度中に一般就労へ移行する者の目標値ということで、平成
24
年度の一般就労への移行実績の
2
倍以上という目標です。集計値は
1.9
倍、指針を満たす都道府県が
34
となっております。
5
番、就労移行支援事業の利用者数、就労移行支援事業所の就労移行率です。目標
1
、平成
29
年度末における就労移行支援事業の利用者数を、平成
25
年度末における利用者数の
6
割以上増加ということで、
1.6
倍以上という目標に対しまして、集計値が
1.6
倍、指針を満たす都道府県が
34
。目標値の
2
、就労移行支援事業所のうち、就労移行率が
3
割以上の事業所を全体の
5
割以上とするという目標に対しまして、集計値の
2
は
50.2
%、
41
都道府県が指針を満たすという状況になっております。
資料 1-2 はそれぞれの成果目標に対する都道府県の状況をまとめたものです。なお、一部目標を設定していない「 - 」になっている県がございます。そこにつきましては、設定していない理由を資料の下のほうに記載をさせていただいておりますので、御参照いただければと思います。以上が 1 つ目の御報告事項、障害福祉計画の集計値です。
もう 1 点、資料 2 を御覧ください。「財政健全化に係る最近の動き」です。これから、制度改正等の議論を行うに際し、今の財政をめぐる制度の全体の動きがどうなっているかということについて、御紹介をさせていただきます。
資料
2
の
2
ページ目です。財政健全化計画等に関する建議、これは今年の
6
月
1
日に財政制度等審議会、これは財務省の関係の審議会ですが、建議が行われております。そこでは、財政健全化に向けた大きな考え方として、
1
の➁にありますように、
2020
年度
(
平成
32
年度
)
までに、プライマリーバランス
(PB)
を黒字化すると。プライマリーバランスというのは、そこに囲んでいますが、税収・税外収入と国債費を除く歳出とのバランスをさせるということです。要するに、国債の分を除いて、収入と支出のバランスをするという状況を指すのですが、
2020
年度までに黒字にするという目標です。
II
に社会保障の関係費に関する記述がございます。下線を引いた部分ですが、今後
5
年間の社会保障関係費の伸びを、少なくとも「高齢化による伸び」に相当する伸び
(
年
0.5
兆円弱
)
の範囲内としていく必要があるとの指摘です。これは、社会保障における次世代への負担の先送りを拡大させないための最低条件というように記述があります。
なお、
(3)
の所で、障害福祉についての記述もあります。下
5
行の下線の部分です。障害者総合支援法の施行後
3
年を目途とした見直しを行うこととされている。この見直しに当たっては、不合理や地域差の改善など、執行面における適正化に加え、地域の実情に応じ、効率的にサービスを提供する仕組みの活用など、障害者の自立や就労を支援するための効率的なサービス提供の在り方、障害支援区分の導入対象サービスの拡大など、必要となる支援の度合いに応じたサービス提供の在り方、制度を支える財源・利用者負担の在り方等について幅広く検討を行い、制度の持続可能性の確保を図るべきであるとの指摘です。
3
ページからは、この財政制度審議会の中で、財務省のほうから提出をされております資料です。今の
5
行を具体的に説明した内容となっております。
3
ページは今後取り組むべき課題として、制度の持続可能性という観点から、障害者総合支援法の
3
年後の見直しにつきましては、➀自立や就労を支援するための効率的なサービス提供の在り方、➁必要な支援の度合いに応じたサービス提供の在り方、➂制度を支える財源・利用者負担の在り方について検討を図るべきと指摘がされております。
4
ページ目は、それを更に具体的に、➀執行の適正化として、財務省のほうから指摘されておりますのは、事業者に対する実地指導について、実施率が低い所があるということで、そこを徹底すべきではないかというのが
1
点目です。➁として、障害程度区分から障害支援区分に昨年度から変更されておりますけれども、その判定結果を見ると、従来と比べ、全体としてより重度の区分にシフトしており、総費用額の増大につながっているのではないか。
2
次判定における上位区分の変更においても依然として地域差が生じているとの指摘です。この辺りの改善を図るべきではないかとの指摘です。下半分はそのデータになります。
5
ページ目です。これも財務省の資料の引用です。制度上の見直しとして、ショートステイにおいて、
1
か月間利用している事業所がある。生活介護につきましては、常時介護の必要性を検証すべきではないかというような指摘。
2
つ目の○に➀から➃まで各論的な指摘がありますが、➀としては、居宅介護のうちの家事援助、ヘルパーの在り方について、介護保険における議論などを踏まえつつ、給付の在り方を見直すべきではないかとの指摘。➁においては、インフォーマルサービスをもっと活用すべきではないかとの指摘。➂として、支援を必要とする度合いに応じて、サービスが提供される仕組み、具体的には就労支援、あるいはそのグループホームなど、障害支援区分が必要とされていないサービスについても、こうした支援区分のようなものを導入すべきではないかといった問題意識があります。➃として、通所サービス利用者に対する食費負担軽減措置の見直しを含む利用者負担の在り方の見直しといった形で、具体的に提案が財政制度等審議会の中でなされております。
最後の 6 ページ目ですが、これは今年の 6 月 30 日に閣議決定をされました、経済財政運営と改革の基本方針 2015 、いわゆる「骨太の方針」と言われる経済財政全体の大きな方針を示したものです。この中で、 1 点障害者について触れておりますのが、 2 の (1) の女性、若者など、多様な人材力の発揮という所において、障害者等の活躍に向けた農業分野も含めた就労・定着支援、文化芸術活動の振興など、社会参加の支援等に取り組むとされております。
その下半分ですが、骨太の方針の中では、社会保障という中で、障害福祉サービスについて個別の記述はありませんでしたが、全体として、先ほどの財政審と同様の問題意識が示されております。下 4 行に下線を引いております。社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び (1.5 兆円程度 ) となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を 2018 年度 ( 平成 30 年度 ) まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む、この点も含め、 2020 年度 ( 平成 32 年度 ) に向けて、社会保障関係費の伸びを、高齢化による増加分と、消費税率引上げと合わせ行う充実等に相当する水準に収めることを目指すということが閣議としてされているところでございます。説明は以上です。
○駒村部会長
ありがとうございました。およそ 2 つの資料がありまして、資料 1-1 と 1-2 はセットで、計画の状況を把握したもので、資料 2 は財政制度等審議会とその骨太方針の概要ということですので、後半のほうはいろいろ御意見があると思いますが、まず前半の資料 1-1 の計画のほうについて何か御意見、感想はありますか。では、佐藤委員、松下委員の順で。ここは、なるべくシンプルにしたいと思います。
○佐藤委員
今頃になって指針のことについて、以前にこの会議でも議論してきたわけですけれども、改めて概要というか現状を聞いたわけですけれども、そもそもこの指針というのは、障害のある人たちが安心して暮らせるような地域、社会を作っていくのだということが目標だったと思います。しかし相変わらず、障害者、あるいは精神障害者の入院問題、入所施設・病院からの地域移行ということが、数字の上では表現されるわけですけれども、実際に障害者の施設入所も、例えば最近問題になっていますのは、親の高齢化によって家庭での介護が難しくなったというようなことで、やむを得なく選択される、あるいはまた精神病院の場合は、いわゆる社会的入院ということで、地域に移行したくてもその受皿がないということが常に問題にされてきたわけです。したがって、この障害福祉計画の基本に立ち返れば、いわゆる地域移行だけをいうのではなくて、その受皿をどう整備していくかということをきちんと議論しないといけない。むしろそのことが中心で、指針の基本であるところの障害を持つ人が安心して地域で暮らせるという社会の実現が可能になるということで、いつもここが問題だと思っていたし、それなりに意見を言ってきたつもりです。
ところで、そういう中で、平成 29 年度末の施設入所者、あるいは病院長期在院者数がこのように減るだろうということですが、例えば障害者施設でいえば、 4,000 人減るということになります。精神病院で言えば 3 万人減るということになっていますが、その空いた所はどのようにするのでしょうか。そこをちゃんと言わないと、それは厚生労働省の所管する所がいろいろありますから、一概に言えない部分はあると思いますが、少なくとも障害福祉課なり、障害保健福祉部の思いとしては、余るというか、この時点では恐らく減るだろうと思われている定員については、どのように考えるおつもりなのかということをもう少し伺いたい。
それから、グループホーム等、地域で生活をしていくための仕組みについて、具体的な目標を持つことも大事ですけれども、仕組みそのものをもっと変換していかないと、全部をグループホームにするわけにもいかないだろう。そうすると、少し色合いの違う仕組みも含めて検討する必要があると思うのですが、その辺り、地域社会の様子を変えていくという辺りについて、何か今お答えをしていただけることがあるだろうか。この 2 点についてお伺いしたいと思います。
○田中障害福祉課長
まず、障害福祉施設の入所者数の削減については、そもそも定員自体、入所者数を減らしていくということですので、減った部分をどうするかということではないのではないかと思います。グループホームについては、地域生活を支えていくのはグループホームだけではなくて、単身でアパートに住まれて、必要な支援を定期的に受けながらというようなこともあると思います。その 1 つのやり方として、生活支援拠点などの御提案もさせていただいているところですし、今回の見直しの中でも、そういったようなところも含めて議論がされているというようには思っています。
○佐藤委員
病院のほうはどうですか。
○冨澤精神・障害保健課長
精神科病院についてです。今、佐藤先生から御質問がありました 3 万人の件ですが、確かに減りますとどのようになるかということで、基本的には各施設でお考えになるというのが原則だと思いますが、余ったというか、だんだん入所者が減ってきて手がすいてきた人材、働いている方については、他の病棟に回っていただくことによって、他の病棟で高い点数が取れるというような仕組み、あるいは例えば 3 か月以内に退所していただくような、いわゆるスーパー救急と言われている病棟がありますので、そうすれば早く出ていただくこともできますので、人材についてはできるだけ有効に御活用いただいて、社会復帰されるような施設を作っていただいているというのが現状だと思っております。全てだとは思いませんが、私が拝見させていただいている限り、人材については振り向けて、他の病棟で働いていただいているというように認識しております。
○佐藤委員
現行の病床は、 3 万人分、基本的には減らしたいということでよろしいでしょうか。
○冨澤精神・障害保健課長
病院様によって違うと思うのですけれども、療養病棟を抱えている所については、全部ガッと減るわけではないと思いますけれど、多くの病院については、急性期病棟を新しく作ることによって、そちらのほうに人材を回すことができますので、考え方については、各病院によって変わってくるのではないかと思います。
○広田委員
病床削減。
○冨澤精神・障害保健課長
病床削減については、もちろん多くの病院で病床を削減して、余った人材ついては、急性期病棟なりで働いていただくことになっておりますので、病床削減ということは、当然出てくると思っております。
○広田委員
国の政策でしょう。
○冨澤精神・障害保健課長
そうです。そのように点数も組んでおりますし、我々もそのようにしたいと考えております。
○竹下委員
竹下です。
3
点お伺いしたいのですが、
1
点目は、指針のときにも申し上げたと思うのですが、指針段階で数値目標を立てることの積極面と消極面があると思います。すなわち、積極面はもう指摘する必要はないわけですが、消極面というのは、数値目標が結局のところは上限になってしまうということが、この都道府県の結果を見ても現れているのではないかと懸念するわけですが、その点についてはどのように分析されるのかというのが
1
点目です。
2
点目は、それと関連はするわけですが、都道府県ごとの数字を一覧表で比べることはしていませんが、集計値での数字を見ていて非常に気になるのは、都道府県ごとの地域格差といいますか、自治体によって努力の差が出てくるとすれば、どういう形で自治体の主体性を維持しながらも、目標値を上げていくということになるのかについて、数値から見た見通しのようなものを考えておられるのであれば教えていただきたい、というのが
2
点目です。
3
点目は、数値を出す場合、どうしても障害種別ごとの動きというものが見えてきません。端的に申しまして、私が気になるのは、視覚障害者で申しますと、就労支援事業の中で、一般就労等に結び付いたのが、視覚障害者で言えば、どれだけの実数で現れたり、方向付けが実践されているのかということについて非常に気になるので、その辺はどういうふうに分析されるのかについて質問いたします。以上です。
○駒村部会長
事務局からいいですか。
○川又企画課長
企画課長でございます。指針の目標値の消極面ということですが、この指針の成果目標を立てるときに、これまでのトレンドでありますとか、あとは、かなり上位の、取組の進んだ自治体の指標なども参考に、この成果目標を定めておりますので、ある意味で一定のトレンド、良い方向でのトレンドを目指す一定の指標としての役割は果たし得た、果たしているのではないかというように思っております。この全体の集計値を見ても、ほぼその状況が出ているのかなと思います。ただ、上限になってしまっているという指摘もありますけれども、ある意味でその指針を作った時点でのかなり良いほうの自治体の平均値などを成果目標としておりますので、そういう意味では全体を引き上げる効果はある程度見られているのではないかなと思っております。
2
点目の地域格差という点ですが、今回はこの都道府県別のデータにつきましても、各自治体に全てフィードバックをし、ほかの自治体と比較をしていただくということがあります。また、それぞれの自治体の取組ももう少しよく話を聞いてみたり、分析をしたいと思いますが、全体を比較をしていただく中で、それぞれの自治体が主体的に目標の設定、あるいはその目標の実現に向けて努力をしていただけるのではないかと思います。
3
点目の、種別ごとの状況が細かく見えないということですが、この集計では、確かに大雑把な全体の傾向での集計ですので、きめ細かく見るためには、それぞれの県の計画、あるいは市町村の計画を見ていかなければならない面はあろうかと思いますが、我々としても、今単純集計をした段階ですが、今後これを基に、もう少し分析をしていけるのかということは、研究、検討をしていきたいと考えております。
○野沢委員
入院中の精神障害者の地域生活への移行についてなのですが、長期在院者数が、平成 29 年までの 5 年間で 3 万人減らすというような目標なのですが、長期入院者は毎年 1 万人ぐらいが亡くなっているのです。そうすると、自然減だけで 5 年で 5 万人減らなければいけないのに、 3 万人にとどまっているというのは、むしろ 2 万人増やすということではないのかなと思うのです。さらに、樋口先生が座長をされた検討会で私も委員だったのですが、そこでは急性期や外来にシフトすることによって、長期入院者を減らしていくのだということを明確に打ち出されているわけで、これを実施すれば、もっとかなりの数が減らないとおかしいと思っているのですが、 18 %以上というのは、非常に慎ましやか過ぎるというように感じているのですが、いかがでしょうか。
○江浪精神・障害保健課精神保健医療統括推進官
精神・障害保健課精神保健医療統括推進官の江浪です。まず、 1 年以上の入院患者の動態ですが、 1 年以上入院されている方は、毎年 5 万人ほど新しく 1 年超に動かれていまして、 1 年超の方の中から、死亡単位も含めて 5 万人出ておられて、結果として 20 万人、 1 年超の方がいらっしゃるというのが、ある程度その状態としてはございます。ですので、野沢委員御指摘の 1 万人というのは、新たに発生している、新たに病床から出られる 5 万人の中の 1 万人ということで、 1 万人亡くなられているからといって、長期在院者数は減らないということです。ですので、これを 3 万人減らすのには、かなりの努力が必要だろうと考えております。この 18 %の目標値に関しては、企画課長がお伝えしたものと同じ形になりますけれども、過去のある時点での患者の減りを見て、減っているトップ 5 県のデータを基に目標値を設定しておりますので、数値としてはなかなか達成が難しいぐらいの水準なのではないかなと考えております。
○野沢委員
従来の施策をやっていけば、それはそうだと思うのですけれども、この前の検討会では、それを根本的に変えようということをやっているわけで、しかもそのときに敷地内のグループホームで散々我々は批判されながらも、でも病床を削減するのだという大きな目標を掲げてそれをやったわけで、それが崩れてしまうと、本当に多くの人を失望させてしまう。この辺は踏ん張って頑張っていただきたいと思います。
○江浪精神・障害保健課精神保健医療統括推進官
精神保健医療統括推進官の江浪でございます。この目標値は、当然ほかの検討会の報告がまとまる前に 1 回作ったものです。これから先いったいどういう形の目標値を設定していくべきかということに関しては、検討会の報告や専門家の御意見を踏まえて、しっかり検討していきたいと考えております。
○広田委員
数字が古いということ。
○江浪精神・障害保健課精神保健医療統括推進官
お答えいたします。数字は取れる直近の数字を取って、それで客観的に示せる数字で示しております。今後、我々としては重度、慢性の定義もありましたので、そちらの定義もきちんと踏まえた上で、どのぐらい増やしていけるのかということは客観的な数字で、更にもう少しきちんと詰めていきたいと思っております。先生がおっしゃるとおり精神で入院されている方をどのぐらい減少させていくかということは非常に命題ですので、今まで与えられたことをしっかりやっていきたいと思っております。
○小西委員
日身連の小西です。一般就労の問題です。確かに数字的にいえば目標値を目指して順調に進んでいるように見えるのですが、これだけのデータからいくと落とし穴というか、実際に自分も就労というか携わっていた身として、就労よりも定着するのがすごく難しくて結構辞めていく方が多いので、その辺のフォローアップをきちんとしていかないと、結果的に就労が先に進んでいかないというのが少し疑問なので、これは質問と言えばいいですか。
○駒村部会長
御意見です。
○小西委員
意見でいいですか。
○駒村部会長
計画自体の話とは。
○広田委員
3
ページの地域生活拠点等の整備という所、神奈川県が
14
番で
11
個しかない。これは昨日の事前説明で伺った、政令市が入ってないという話ですが、政令市が県内に
3
市あり人口も圧倒的に多い。今後必ず数字に入れてください。
地域移行の、佐藤さんが直球でいい質問をした。冨ちゃん、精神・障害保健課ではやり切れない。藤井さんも。障害保健福祉部でも、やり切れない。なぜなら、住宅施策を打てない、グループホームとか、限られたものしか。
だから、国交省とか内閣府とかを巻き込んでやるためには、国家プロジェクトをやったほうがいいですよ、社会的入院の。
今日はマスコミも見えています。朝日新聞も、ニューヨークタイムズとワシントンポストに、慰安婦さんの誤報広告を出してないから国連もアメリカの下院も取り下げてない。マスコミが自民党の若手とけんかする前に朝日新聞はやるべきことをやってほしい。野沢さんの毎日新聞も、かつて外務省機密漏洩事件を女性問題にすり替えられてしまった、社会党の代議士に情報を渡して紙面で勝負しなかったという全くジャーナリズムのない、この国のマスコミがこういう国家プロジェクトに。
○駒村部会長
本流に戻りましょう。本流の話に戻りましょう。
○広田委員
いいから。
○駒村部会長
いいえ、良くありません。
○広田委員
国家プロジェクトに。
○駒村部会長
良くないので、本流の話に戻りましょう。
○広田委員
この国難とも言えるこの時代に、マスコミの責任であり国の責任であるところの社会的入院の国内の拉致被害者をどうするかということに頭を使ってもらいたい。各紙。「まるで戦争を煽るような新聞記事ね」と感じている国民は多い。すべてに節度ある報道が求められている。私は、新幹線の自殺も言いました。「自殺を騒がない。」厚生労働省の記者クラブに電話して「社会部を抑えて」と。マスコミが、国家プロジェクトが実現できるような意識を持ってほしい。住宅施策が最重要施策なのに、相談ばかり突出してる。
15
年間ここに入り続けているのに何ら変わってない。その間にも社会的入院の仲間は年をとって、私は若がえり綺麗に、離れているけど彼に支えられて。
○駒村部会長
政令市が入っていないという点です。
○川又企画課長
企画課長です。神奈川の 11 は、政令市も入っております。政令市と障害福祉圏域に 1 個ずつということで 11 個です。
○広田委員
例えば横浜市の生活支援センターは全市 18 区展開している。どういうのが生活支援拠点か私は分からない、国民も。分かるような資料にしてください。
○駒村部会長
もう 1 個の議題がありますし、今日はいろいろと多いので、この辺でこの話は終えて、もう 1 個の財政健全化に対する政府のいろいろな動きについてはいかがですか。すみません、陰でお名前が見えない状態になっています。
○朝貝委員
朝貝です。
○駒村部会長
朝貝さん、次は原田さんです。
○朝貝委員
朝貝です。 3 ページの今後取り組むべき課題等の所に障害福祉関係予算額の推移という図があります。その中の障害児施設給付費等、赤い所です。 2014 年、 2015 年と少しずつ幅が広くなっています。これは何か理由が分析されているのですか。私ども医療型障害児入所施設から見ますと、入所している子供たちがかなり重心になってきていて、地域生活を支援するための訓練・治療施設としての機能がだんだん失われて、重症児の収容施設化してきていて給付費が上がっているのではないかというような印象があるのですが、いかがですか。
○駒村部会長
手を挙げていますので、幾つかまとめて原田委員からお願いいたします。
○原田参考人
資料の 4 ページの適正化の所の実地指導率が都道府県、政令市、中核市について低いということで、財務省から指摘を受けております。権限と財政負担の関係が乖離しているという制度的な課題があると考えております。地方分権の立場からしますと、財政負担を最終的に支弁する所が一元的に権限と責任を持って指定と指導をしていかないと、なかなか、都道府県は中間団体ですから、国と市町村の間に立って、市町村が最終的に支弁するのにどこまで都道府県がやらないといけないのかというところでインセンティブが取組に働かないと思っております。ニア・イズ・ベターと近接性の原則からしましたら徹底的に基礎自治体に権限を移して、そこの所でチェックしていただく。そういう体制が必要だと思いますので、ここの所は権限と財政負担の関係の乖離を解消していただき、権限の在り方を変えていただくように御検討いただければと思っております。
○駒村部会長
ほかにございますか。野沢委員、どうぞ。
○野沢委員
6
ページの一番最後の所です。社会保障関係費の伸びを高齢化による増加分と消費税率引上げと合わせて行う充実等に相当する数字に収めるとなると、消費税の使途は障害者福祉に入っていないです。そうすると、障害者福祉は今後、一切伸びないみたいな読まれ方をしてしまうので、ここは「等」の所に是非、障害者を含めるか、あるいは、もう消費税の使途に障害者も含めるぐらいに働き掛けていただきたいと思っております。どうしても、経済財政諮問会議等で議論すると福祉は負担という面で捉えがちなのですが、上のほうでも書いておりますが、障害者福祉は今、いろいろな地域に行くと地方再生に非常に貢献していたり、あるいは雇用や産業振興など新しいものをどんどんやっている所が増えてきている。
もう 1 つは、文化芸術です。北岡さん御本人では言いにくいでしょうから私が言います。日本の障害者の芸術は海外で非常に高く評価されている。国内では良く分かっていないのです。新しい文化や産業分野として、むしろ成長戦略として大いにアピールできるところだと思うのです。ただ単に障害者福祉イコール負担増ということではなくて、今の政権の新しい成長戦略等にも貢献できるものということを大いにアピールしていただきたいと思っております。その点だけ要望いたします。
○駒村部会長
今の前半の所は、消費税は 4 経費になっていて、そこもかなりがっちりと使い道が決まっているので、障害というのがなかなか議論としては難しいと思います。「充実等」の「等」は一体何なのかという話が入ってこないと福祉分野はどうにもならないという話になってしまいますから、かなり厳しい話が書かれている。後段の部分は非常に希望のある話だと思います。では、事務局より原田さんと朝貝さんの御質問、御意見について回答いただければと思います。
○田中障害福祉課長
障害福祉課長です。朝貝委員の御質問にお答えいたします。資料の中にあるオレンジ色の部分、障害児施設給付費等、これは施設のみならず様々な子供の関係のサービスの給付で、この部分が伸びております。これについては、放課後等デイサービスなどの新しい事業の伸びが非常に大きくなっておりますので、むしろ、そういうことが期を押しているのではないかと考えております。
○駒村部会長
新しい事業が原因であって単価が上がっているとか人数が上がっているという話はないということですか。
○田中障害福祉課長
もちろん、障害児のサービスを使っていただく人数は増えておりますが、施設に入る方が多いとか重症化しているということよりは、むしろ新しい放課後のサービスが増えているのではないかと思います。
○川又企画課長
企画課長でございます。実地指導等については、指定権者である県がある程度、責任を持っていただく面はあろうと思います。県の財政的な負担も入っておりますので、市町村と協力の上、できる限り、だんだん障害サービスも規模が大きく事業所も増えてきておりますが、市町村と県が協力してできる限りやっていただければと考えております。
野沢委員の御指摘ですが、具体的に来年度予算をどのようにするかという点については、具体的な予算編成過程において、これから概算要求、年末の予算編成を通じて決まってきます。私どもとしては障害福祉サービスに必要な予算をきちんと確保できるように財務当局とも協議していきたいと思っております。
社会参加や芸術などアピールできるところをアピールということは、そのとおりだと思っております。骨太の方針、あるいは成長戦略などでも障害者の社会参加、あるいは芸術活動、オリンピック、パラリンピックもありますので、そのような機会を通じてアピールをしていきたいと考えております。
○駒村部会長
この議題はよろしいでしょうか。今日は大変申し訳ありませんが、今、既に 30 分遅れて動いております。次の議題に入ります。 2 つ目の議題の、常時介護を要する障害者等に対する支援について事務局から説明をお願いします。
○田中障害福祉課長
障害福祉課長でございます。資料 3-1 、 3-2 について説明いたします。まず、資料 3-1 です。論点整理案の 1 つ目の常時介護を要する障害等に対する支援についてということで資料を用意しております。
論点の整理案として、どのような人が常時介護を要する障害者であると考えられるか、また、検討の視点例として 2 ページのポツ 2 つが挙がっております。そこで、 3 ページです。常時介護を要する障害者等を対象とする現行のサービスについて整理しております。現行の総合支援法上、常時介護を要する者を対象とした事業としては、重度訪問介護から重度障害者等包括支援までの 5 つがあります。
重度訪問介護です。支援区分 4 以上で肢体不自由であるか知的障害、若しくは精神障害により行動障害を有する者。具体的には、行動関連項目等の合計点数が 10 点以上の方で、常時介護を要する者という対象の方に居宅での入浴、排泄又は食事の介護、その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与するサービスです。なお、行動障害がある知的障害、若しくは精神障害のある方については、前回の総合支援法の改正で対象に追加されたもので、平成 26 年 4 月から新たに対象となっている方々です。
行動援護です。障害支援区分 3 以上で行動障害のある方で常時介護を要する方に行動する際に生じる危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、その他の省令で定める便宜を供与するというサービスです。
療養介護です。
ALS
患者等の人工呼吸器を装着している方など、病院への長期入院による医療的ケアに加えて常時介護を要するという方に対して、主として昼間において病院等において行われる機能訓練、療養所の管理、看護、医学的管理の下における介護及び日常生活上の世話を行うというサービスです。
4
点目は生活介護で、通所系のサービスです。常時介護を要する障害者は、具体的には区分
3
以上の方について、主として昼間において障害者支援施設や通所施設に通っていただいて、入浴、排泄又は食事の介護、創作活動、生産活動の機会の提供、その他、厚生労働省令で定める便宜を供与するというサービスです。
重度障害者等包括支援です。最重度の常時介護を要する障害者等について、居宅介護、重度訪問介護、動行援護、行動援護、生活介護、短期入所自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助、総合支援法に基づくサービスについて包括的に提供するというサービスです。このように常時介護を要する障害者に対するサービスですが、提供するサービスの内容、対象となる方の状態像もそれぞれサービスによって異なっております。
4
ページです。それを図示したものです。それぞれのサービスをどの程度使っていただいているかというのは
5
ページです。例えば重度訪問介護でいえば、全体として約
1
万人の方が利用されており、それにかかる費用額としては
1
月の事業費ベースで
50
億となっております。
6
ページです。次の
2
つ目、
3
つ目の論点として、常時介護を要する障害者のニーズのうち現行のサービスでは何が不足しており、どのように対応すべきか。同じ事業の利用者であっても障害の状態等により支援内容に違いがあることについて、どう考えるかという論点です。
7
ページは、常時介護を要する障害者と申しましても様々な状態像の方がいらっしゃいますので、平成
25
年度の推進事業で行った調査などを基に主な状態像、現行の利用できるサービス、どのような支援ニーズが考えられるかということをまとめたものです。
まず、
1
つの状態像としては、医療的ケアの必要な最重度の障害のある方、人工呼吸器を装着している
ALS
患者の方や重度心身障害の方が状態像として想定されるのではないかと思います。こういう類型の方については、現行のサービスとしては重度訪問介護、それから日中活動としては療養介護、生活介護の対象になりますし、また、重度障害者等包括支援の対象でもあります。その次の状態像としては、行動障害のある知的障害・精神障害の方があると考えております。こうした方についても重度訪問介護、行動援護、生活介護、状態像によりますが重度障害者等包括支援の対象になっております。
3
番目の類型として、日常生活全般にわたり頻回に身体介護が必要な方という類型があるのではないかと考えます。こういう類型については、具体的には肢体不自由の方などで、重度訪問介護、生活介護、状態像によって重度障害者等包括支援の対象になっております。
4
番目は、それ以外の行動障害のない知的障害、精神障害のある方が状態像として考えられます。
こうした類型の方については、現行では日中活動として生活介護で支援を受けるほか、入浴、排泄、食事等の介護、調理や洗濯などの家事、生活に関しての相談や助言、その他の生活全般にわたる援助を居宅介護という形で受けることが可能です。なお、訪問系と昼間のサービスを中心に申し上げましたが、夜間のサービスとしては施設入所支援、共同生活援助の対象になっております。こういう常時介護が必要な方については、支援のニーズの例に挙げているとおり、体調の変化等に柔軟に対応できる支援が必要であるということや急なパニック等で家族が対応できない場合の緊急時の支援。それから、頻回の身体介護は要しなくても一貫した日常生活上の援助、見守りという支援ニーズ、また、通勤・通学、入院中の支援という支援ニーズがあることが考えられます。
また、こうしたニーズをどのような担い手が満たすのかです。障害福祉サービスを利用いただければサービスの事業者が支援を提供するということになりますし、また、家族、ボランティア等のインフォーマルサービスが支援を行うことも考えられます。また、企業や学校の合理的配慮で対応できる範囲のもの、こういう様々なものが考えられるところです。特に家族については※を付けておりますが、家族が支援の担い手となるかどうかということについては、想定度も含めて一人暮らしをされている場合と同居の家族がおられるような場合では大きく異なると考えられますので、支援のニーズをどのように満たすかということについても異なってくる部分があるのではないかと思われます。
こういう支援ニーズですが、これに対応していくために既存のサービス、施策、それからほかの制度ではどのような工夫がされているのかという例を参考までに次ページ以降で紹介いたします。
8
ページです。障害者の高齢化、重度化に対応して地域での生活を支えて、緊急時にもすぐに相談ができて、必要に応じて緊急的な対応が可能となる体制を整備するということで、各地域の実情に応じた体制の整備をしていただくことを地域生活支援拠点の推進ということで進めております。今年度モデル事業で立上げの支援を行っておるほか、地域の良い事例を発信して平成
29
年度までに各市町村、若しくは圏域に
1
か所以上整備いただけるようにということで進めております。
9
ページは、介護保険の例です。支援を受ける方の日々異なる状況や希望に応じてどのような支援を提供できるかという例として挙げております。小規模多機能型居宅介護という事業です。通所を中心としながら随時訪問、泊まりを組み合わせてサービスを提供するというものです。平成
18
年に創設されております。制度の趣旨としては、地域に密着して重度となっても在宅での生活が継続できるように支援するというもので、事業所が人員配置を固定するということではなくて、通所、訪問、泊まりのどれでも同じ事業所でなじみの職員によるサービスを受けられるとなっております。なお、報酬については、要介護度に応じた定額制です。
現在、障害のサービスには同様のサービスがありませんが、小規模多機能型居宅介護事業所で障害のある方を受け入れてサービスを提供されている場合もあり、こうした場合、通所、訪問、泊まりを組み合わせるということになっております。通所の部分については、生活介護の基準該当として、また、泊まりの部分については短期入所の基準該当で障害福祉サービスとして評価して報酬を支払うという仕組みになっております。
11
ページです。日中、夜間をとおして定期的に巡回、随時対応することで在宅での生活を
24
時間支えるサービスとして、介護保険で導入されている
24
時間対応の定期巡回・随時対応サービスの例を紹介いたします。重度の方については
24
時間の対応が必要になりますが、定期に巡回するほか、情報通信機器なども活用して利用者からの通報を受けて訪問等の随時対応を行うということを可能とする仕組みとして、平成
24
年から実施されているサービスです。これも報酬は要介護度に応じた定額です。
12
ページです。今まで介護保険の例を紹介しましたが、障害福祉サービスにおいても
1
つ日常生活の援助を提供する例として、平成
26
年度から実施しているグループホームの新たな支援形態の
1
つですが、サテライト型住居の例をここに挙げております。本体住居と密接な連携を確保しながら、本体住居とは別の場所、単身生活のできる民間アパート等の
1
室を利用して、グループホームの世話人が巡回支援するという形で生活を支えるグループホームのサテライト住居の運営を可能にしました。
サテライト住居は、本体グループホームからおおむね
20
分以内で移動可能な距離に設置するということになっており、グループホームの世話人が定期的にサテライトも巡回して日常生活の支援を行うということで、具体的に現実にサテライトの世話人が行っている日常生活の援助の例を
12
ページの右の箱の中に書いております。金銭管理の支援や水道使用料の管理の支援、それから来訪者の用件の確認という日常生活全般にわたる援助を行います。このようにすることでサテライト型住居の利用者は、共同生活住居の本体にいらっしゃらなくても世話人によって日常生活全般にわたる援助を受けることが可能です。
13
ページです。地域生活支援事業で実施している意思疎通支援事業です。この事業は、平成
21
年度の調査ですが、
9
割を超える市町村で実施されており、この事業の一環として、入院中のコミュニケーション支援が必要な方に支援者の派遣を行うことも可能となっております。実施自治体の
6
割以上で入院中の支援を行っております。入院中の支援については、現行、原則医療機関で行っていただくということになっておりますが、そこで足りない必要な支援については、このような形で工夫して実施しております。
支援する人材の確保、資質向上の方策評価についてどのように考えるのかという論点です。次のページですが、支援するサービスに従事いただく方の従業者資格としては、介護福祉士のほかに実務者研修の修了者など一定の研修を受けていただくことによるものがあります。
サービスによってどのような資格の方がサービスを提供できて報酬の対象になるかです。例えば資格区分の➃については、いわゆる 3 級ヘルパーで居宅介護を行う場合は 30 %の減算という報酬の扱いになります。例えば、こうした方は重度訪問介護では減算はないということになっております。それぞれの資格について、介護福祉士は国家資格ですが、それぞれ、以下の研修でございます。
資格によってどのような時間数の研修を受けることが必要かをまとめたものが 16 ページです。資格によって 500 時間の講習が必要な介護職員、基礎研修もあれば、基礎部分については 10 時間の講習となっている重度訪問介護従業者養成研修まで、その求められる内容によって様々に異なっております。介護保険制度、居宅介護、重度訪問介護のサービスを行うに当たって、どのような人員を備えなければならないのかという要件を比較したものが 17 ページの上の表です。基本的には訪問介護の基準、介護基準を踏まえながら居宅介護、重度訪問介護の順にやや広い基準でサービスの提供資格が設けられています。
このようにサービスが異なってはおりますが、実際に各事業にどのような方が従事されているかというのが
17
ページの表です。どのサービスを見ても介護福祉士が
4
割超となっていて大きな相違はないという状況です。従業者の質の向上が進んでいることもありますし、サービスを
1
種類だけ行う事業所ばかりではなくて、例えば、介護保険のサービス、ほかの障害のサービスということを合わせて行っている場合も多いということが現れているのではないかと思われます。従業者の
OJT
です。特定事業所加算の中の必須の要件として盛り込んでおります。ほかの要件の満たし具合によりますが、
5
~
20
%の加算ということで評価させております。
19
ページです。パーソナル・アシスタンスについてどのように考えるか、また、パーソナル・アシスタンスと重度訪問介護との関係についてどのように考えるかという論点の整理の部分です。パーソナル・アシスタンスの参考になるものとして外国の制度があります。
20
ページです。イギリスのダイレクト・ペイメント、スウェーデンのパーソナル・アシスタンス、日本の重度訪問介護を主体、対象者を比較できるように並べてみたものが、この表です。
まず、イギリスです。制度自体はダイレクト・ペイメントという名前の制度になっており、実施は地方自治体です。支援を受けたい方は支援を受けるのに必要とされる金額が決定され、その金額が直接支援を受けたいという方に支給されます。利用者はその範囲内、又は自費で追加して介助者を直接雇用するか、サービス事業者から介助者の派遣を受けるかという形で支援を受けるということになっております。この介助をする方がパーソナル・アシスタントと呼ばれております。金額の使途に幾らで派遣を受けるか、雇用するかという制限、それから支援の内容にも制限はないと伺っております。
一番右がスウェーデンです。これは制度そのものがパーソナル・アシスタンスと呼ばれております。イギリスの制度と違いスウェーデンでは必要な時間数を決定するということで、その時間数の範囲で自らヘルパーを募集して雇用する。また、サービス事業者から派遣を受けるということで支援を受けることになっております。受ける支援の内容です。利用者が主導でパーソナル・アシスタンスが手となり足となるということで、特段の制限は設けられていないと聞いております。
一番左が日本の重度訪問介護です。日本の重度訪問介護は、必要な時間数が決定されるということで、サービスの額自体については報酬という形で支払われますので公定価格です。それで、給付の額が決定する。その時間数の範囲でサービス事業者からヘルパーの派遣を受けるということで、サービスを受けていただくことになります。直接募集して雇用するということはできない形になっておりますが、事業者からヘルパーの派遣を受けるという形態については、イギリス、スウェーデンでも可能な似通ったものとなっております。支援の内容としては総合的に提供されるものですが、通年かつ長期にわたる移動の支援、それから、ほかの通所サービスを利用している時間の支援はできないという一定の制限があります。
21
ページです。外国の例に加えて、札幌市のパーソナル・アシスタンスです。札幌市の自治体がやっておられます事業についても合わせて紹介したいと思います。札幌市の事業ですが、対象となる方は重度訪問介護の支給決定を受けている方ということで、受けておられる方が決定の範囲内で金額を利用できるということになっております。重度訪問介護の支給決定を受けている方ですので、パーソナル・アシスタンスを使うと決めた金額分は、重度訪問介護の支給決定時間から減るという形です。
利用者自身が募集したヘルパーと雇用契約を締結します。サービスの内容としては、重度訪問介護と同様になっておりますが、 1 つ入院中のコミュニケーション支援が可能というところが異なると伺っております。直接雇用になりますので、ヘルパーには労働基準法が適用されないということ、それから利用者が契約主体になりますので、様々な条件はヘルパーと利用者が直接交渉の上、決定する。事業者が介在しませんので、指導、監督の対象は利用者本人となる。
それから、事業者が介在しないということは請求締めや支給料の管理なども御本人に行っていただくということがあります。これはヘルパーの労働条件等が不安定になるということに加えて、自己決定が難しい場合もある知的・精神障害者の対応をどうしたらいいのかという課題があるといえるかと思います。なお、現在の札幌市のパーソナル・アシスタンスは、身体障害のみが対象と伺っております。
以下のページは参考資料で、障害福祉サービス全体の予算額とともに各サービスごとの状況やそれぞれのサービスの概要、事業者数の伸び等も資料とともに付けておりますので、適宜、御参照いただければと思います。資料 3-2 は、これまで 4 回のヒアリングにおきまして頂いた御意見を論点ごとに整理して掲載している資料です。こちらについても適宜、御参照いただければと思います。長くなりましたが、説明は以上です。
○駒村部会長
これから 3 年後の見直しの常時介護を要する障害者に対する支援に関する議論に入っていくわけですが、この議論は委員の意見を表明していただくということを中心に進めたいと思います。今日、頂いた資料は現状どのようになっているかという資料と問われている部分が混ざっていますので、事務局、特に議論したいというか見るべき所は、例えば、 2 ページ、 6 、 7 ページ、 12 ページ、 14 ページ、 19 、 20 、 21 ページぐらいですか、こういう所を中心に、あとは現状の資料という見方でよろしいですか。そういう所を中心に委員の中で意見を頂くと、事務局に対して現状どのようになっているかという質問は限られた時間の中で少しもったいないと思いますので、意見表明を中心に議論を進めたいと思います。
ところで、既に 30 分遅れで動いていますが、このまま続けると 70 分か 80 分は終わらないという見込みですが、どうですか、 5 分ぐらい一息つきますか。 5 分だけ一息つきましょう。 5 分たったら自動的に始めますので、遠くに行かないでください。体を動かすだけにしてください。
(
休憩
)
○駒村部会長
では、再開したいと思います。先ほども申し上げたとおり、御自身の意見、先ほど幾つか見たページについて御意見を頂きたいと思います。どのテーマからでも結構ですので、挙手でお願いできますか。
○小西委員
日身連の小西です。 7 ページの「福祉サービス、支援ニーズは次のように考えられるのではないか」ということで、常時支援を要する障害者支援の担い手として考えるものの中の、ボランティア等のインフォーマルサービスという点で少しお伺いします。現在、自分の場合は、地域ではやはり移送の問題でなかなか人手がないということで、ボランティアのサークルを立ち上げて肢体障害者の送迎をやっています。病院送迎も含めていろいろやっているのですが、このような送迎のお手伝いなどというものを含めた上のボランティアというお考えでいるのかどうかを聞きたいということです。以上です。
○駒村部会長
ちょっと意見を中心にと思っていたので。
○小西委員
そうしたほうがいいのではないかというか。
○駒村部会長
行政側の見方等、広く捉えたいと、そういうサークルも含めてと。
○小西委員
はい。入れてもらえれば。
○駒村部会長
恐らく、ボランティアが望ましい分野とそうでない分野とあると思いますのでという御意見だったと思いますので。ボランティアとはどう考えるのかという御意見、サークルみたいなものもあるのですがということだと思います。
○北岡委員
では、意見をということですので、
3
つほど言わせていただきます。
1
つは、今日資料で配られた
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ページの、日常生活の援助の提供という所のサテライト型住居にも関連することについてです。私達が福祉サービスを提供している経験や実感からしますと、今のグループホームの中で、障害支援区分
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又は
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という方々の中に、サテライト型で暮らすことが可能であるという人たちが相当数おられるのではないかと思います。そういう意味では、グループホーム制度そのものの利用者のイメージをもう少し重度の方に絞り込み、そういう方については、世話人が訪問をして支援をするという類型をしっかりと立ち上げ、よりノーマライゼーションに近い形を求めていかれてはどうかということが私の意見の
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つ目です。
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つ目は、資料の
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ページある常時介護を要する障害者の状態像の所です。厚生労働省からイメージが示されております。このことついての各団体の意見をお聞きして感じたのは、常時介護の対象者について、やはり多くの団体がどちらかと言うと足し算方式で、こういう方も常時介護は必要なのだというイメージをおっしゃっている印象を持ちました。しかし、本当に、常時介護は何をもって常時と呼び、介護と言うのかをもう少し議論をしたほうがいいのではないかと思います。例えば、私も常時介護を要する障害者のイメージを考えてみたのですが、
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つは、やはりそういう介護や支援がないと生命の危機に瀕する可能性が高まる方であるとか、
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つ目のグループとしては、常時の介護などがないと日常生活を営むことができないとか、
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つ目には、いつ介護や支援が必要になるか予測できず、突発的に命の危機に瀕する可能性があるという人たち。
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つ目が同様に突発的に日常生活を営めなくなるという、大きく分けて
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つのグループに分類できるのではないかということをこの間のヒアリングの中で感じていました。
この中で、本当に、常時介護が必要だと言われている対象者像について、意見を言えということですから言いますと、 1 グループ目の命の危機に瀕する可能性がある人たち、また、 2 つ目の、日常生活を営むことができなくなるという人たちの中に、ある一定数の方がいるかもしれないと思います。あとは、言わば、地域生活支援拠点が整備され、随時必要なときに必要な支援をするというサービス類型を立ち上げて、その中で丁寧に支援していくことでよいのではないのかと思います。そう考えたときに、そういう人たちを常時介護が必要だというように呼んでいいのかということを考えました。
ですから、意見としては、常時介護の中身についてもう少し、調査が必要だということです。今、厚労科研でも調査されているという話も聞いていますが、そういう材料を集め、しっかり検討をする必要があるのではないかと思います。また、常時介護の中身についても、分類すると大きく 7 つぐらいの項目があって、医療的なケアと介護、介助、それから 3 つ目が家事援助の代行、 4 つ目が意思疎通、 5 つ目が促しや注意喚起、そして 6 つ目が見守りと、こういうことを組み合わせてサービスを提供していくことになるのではないかと思います。
それから、 3 つ目です。パーソナル・アシスタンスについて私の意見を申し上げます。パーソナル・アシスタンスについては、恐らくこれはスウェーデンと同じ言葉だということで言えば、スウェーデンの 1 つのモデルを我が国に持ち込もうという御意見なのではないかと思っています。私の結論を言えば、今、田中課長の御説明にもありましたが、重度訪問介護や重度障害者の包括支援とか行動援護、こういうものをしっかりと障害のある人の実態に合わせて提供できれば、もう 1 つの類型でパーソナル・アシスタンスというものを立ち上げる必要はないのではないかと思います。
実は、 2014 年にスウェーデンに行ってきまして、このパーソナル・アシスタンスのことも見てきました。やはり日本にまだ紹介されていない幾つかの課題も分かりました。 1 つは、障害による支援度合の判定について、スウェーデンの方も政府の関係者も非常に悩んでいることがわかりました。それから、デイケアセンターなどに行くと、パーソナル・アシスタンスの方もそこでケアをしているんです。ところが、デイケアセンターにも職員の方はいるという実態でした。日本でいうといわゆる二重給付にあたる実態があったわけです。それから、市と国の財政負担についても課題を感じました。 20 時間でしたか 30 時間でしたか忘れましたが、どちらかの時間を市がパーソナル・アシスタンスとして財政を負担する義務をもちますが、それ以上については国が負担することになっているので、市のほうも、積極的に国のほうに、このパーソナル・アシスタンスのほうにサービスを促していくというような現状もあるやに感じました。そういうことから、国の財政的な負担が大きくなる。そういうことで言うと、だんだんグループホームなどの在り方の見直しもここでもう一度議論されていたと思います。
こういう所でこういうことを言うとまた怒られそうですが、基本的にはどんな支援が必要かや誰に支援してほしいかも全部自分自身で決めていくと、何もかも本人に任せればいいということに対して、いろいろと検討する部分があっていいのではないかと思いましたので、重度訪問介護や重度包括、行動援護などを更に充実していくことで良いのではないかと思いました。以上です。
○駒村部会長
ありがとうございます。意見表明、意見交換ということですので、今、北岡さんから踏み込んだお話もあったと思います。常時というのについては、少し重み付けと言うか、優先順位と言っていいのでしょうかね。
○北岡委員
そうです。
○駒村部会長
はっきり言えばそうだと。これは、大濱さんも命に関わるというのが一番大事ではないかとあのときお話されたという記憶があります。こういう論点が出てきたと。それからもう 1 つは、パーソナル・アシスタンスについても、少し日本型と言うか、重度訪問のほうで実質的には同じようなことができるのではないかという、自分で決めて自分で使うというのが本当にというところについて、少し踏み込んだ御意見もあったと思うので、もしこれについて、逆の御意見なり、賛成する御意見があったら挙手いただければと思いますが、いかがですか。
○本條委員
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ページの
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に「意思決定支援が必要な知的・精神障害者や障害児に対する支援手法」、こう書いてありますから、こういう意味においては、私はやはりパーソナル・アシスタンスというのが必要ではないかと思います。意思決定の表明、あるいは決定そのものを援助していく、支援していくことにおいては、ちょっとこれ、後ろのイギリスのダイレクト・ペイメントとは違う形で、是非これは実現していただきたいと思います。
それから、 6 ページのインフォーマルサービスについてです。前回まで意見が分かれていたようですが、私は、ボランティア、あるいは家族のインフォーマルサービスは是非とも活用していただきたいと思います。ただし、無償ではなくある程度の費用弁償はして行うべきであると思います。
○広田委員
本條さん、隣に座っていてごめんなさいね。
○本條委員
はい。
○広田委員
亡き弟が、母が亡くなったときに、「遺体を」「あれだけ帰りたがっていたから家に持って行きたい」と言った。我が家で御遺体を見たときに誰もいないと思って、私が「ほっとしたわ」と言ったら下の弟が、「気持ちは分かるけど人前で言うなよ」と言った。心配症の母親。何度も言いますが、弟は「史上最悪の母親で、最大の被害者」が私だと。私の父である夫はもっとすごい最大の被害者ですが。そういう家族を持った精神医療の被害者として、ここには出てないけど、家族同士のピアサホートをやった方がいい。今、私自身がいろいろな人から、頼まれた仲間が「元気」とかと電話かけてくる。「広田さん元気」とあちこちで心配して、その人たちはかならずしも心配症ではない。心配症の親を持ったために被害を受けている精神障害者が精神医療の被害者になっている、遅れている精神医療の中で。そして、ノーと言えない日本の文化。マスコミを批判すればワーッと袋だたきにされる。そうではなくてきちんと論議した方がいい、こうやって対等に。
前にも言っていますが、英語でアイルランドにわずか 4 日間のホームステイでも、事故選択、自己決定、自己責任ですよ。それで、「アイアンタースタンドユースピーク、」分かりました、となればハグですよ。この繰り返しをやれば意思が出せる。ところが日本では、こういうお母さんがいっぱいいます。「広田さんて有名なのよ、国で。相談員もやっている、今日、お招きしたから」と言う、敬語を使って。お寿司取ったり、よそ行きの料理が出てくる。統合失調症の息子さんが傍にいる。アルバムを持ってくる、いっぱい。そしてアルバムひろげて、「うちの息子は銀行員なのです」と。「それはお母さんよかったですね」。「お母さんお幸せね、こんな立派な息子さんがいて、あらこれはお孫さんの写真」と言ったときに何て言ったと思います、お母さんが「こいつさえいなければよかった、」こいつさえですよ。精神障害者のことを。私は御飯を御馳走にならないで、「後で息子さんと一緒に食べて下さい」とそれでこう言いました、出てきて。「お母さん、あの息子さんはお母さんを殺しはしないけど、もし刺し殺したという新聞を見たとき、私は裁判で息子さんを援護しますよ」と。そういう家族が多すぎる。それは日本の文化の中で、「あそこにおかしな奴がいる」とか、それはマスコミのたたく報道も影響しています。昔のライシャワー事件を見るまでもなく。そういうマスコミがたたく報道を変えない限り、日本の社会は変わらない。
是非、ここには入っていないけど、家族もピアサポートを、自分の息子や娘の意思を分かろうとしない親、家族がこういう所でパーソナルアシスタント等を求めることに私は不思議な思いがする。全国の精神病院を泊まり歩いた。いろいろな所、以前有名な事件の舞台だったところも泊まっています。 1 人も話が分からなかった患者さんはいない。ピアだから、精神業界の被害者だから寄り添っている。他の障害のこと私は踏み込まない。精神障害、安直に「重度をやりたい」と手を挙げたら横浜市もグループホームを作りましたが、申し訳ない、軽い障害者も大してサポートできない従事者を支援者と呼ばせている行政、業界。パーソナル・アシスタンスとかに走らないほうがいいと思います、精神は。誰が障害が重いということを決めるのか、自分の人間性や力量は棚に上げて、すぐ相手をラベリングしたがる、精神の場合には。他力本願をせず、日本語でしゃべっている場合、いいですか、河崎先生。日精協 1,600 、きちんと目の前の患者さんに向き合って、背後霊の家族は幾らお金を払っていても本人が何を言っているか聴き取らなきゃ。疲れたらカラオケに行って私みたいに歌ったりおどったり。シルバーなら 1 時間で 200 円。ということで、安直に精神の場合に重度障害者という、言葉の一人歩きさせないでください。重度とさせているのは医療であり、家族であり、地域住民であり、福祉従事者であり、社会であることが多い。もちろんマスコミのたたく報道が巨大な影響をおよぼしていますが。
○駒村部会長
ありがとうございます。
○大濱委員
今日、資料を提出させていただきました。それを御覧ください。「常時介護を要する障害者等の支援について」ということで意見です。まず「論点の設定について」の「訪問系サービスの市町村の負担の在り方」について、これは次ページ以降に資料があります。冒頭の広島県の原田参考人の質疑応答で、市町村格差の原因として担い手が少ないからという御意見があったと思います。ですが、実際、人口が 2,000 名ぐらいしかいないような小さな市町村もあるわけです。そこに ALS 患者のような、 24 時間介護が必要な重度障害者が出た場合に、市町村に 25 %を負担しろと言ってもこれは無理です。このように、人口規模だけに着目しても市町村格差が生まれざるを得ませんから、やはり市町村の負担の在り方については是非この場で検討していただきたいというのが 1 点目です。
今日の意見書の次の項目ですが、「就業中及び学校内におけるヘルパーの支援について」ということです。通勤及び通学は今日の俎上に上がっていますが、できましたら、就業中やその他の学校内にいる時間帯について、あるいは職場にいる時間帯について、この辺りも検討していただきたい。重度障害者は、やはりヘルパーがいないと学校の授業も受けられませんし、働くこともできません。
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点目の論点は、入院中の介護の問題です。前回までの団体ヒアリングでは
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団体ぐらいが、入院中のヘルパー利用は是非必要だという意見でした。そういうことも踏まえて、現行のようにコミュニケーション支援事業としてだけではなくて、もう少し広い範囲で重度障害者を対象としたヘルパー制度が必要ではないかというのが意見です。
最後に、「人材の資質向上」について。介護保険では国家資格などの資格制度を非常に重んじています。しかし、私たち重度障害者が利用する重度訪問介護については、やはり OJT が必要不可欠です。例えば、介護福祉士を持っているからと言って私の介護はできません。率直に申し上げますと、そのような国家資格の問題でないのです。そうではなくて、どれくらい私の介護できちんと OJT ができるか、やってもらえるか。その人の資質の問題もありますが、やはり OJT を経ることで初めて私たち重度障害者の介護ができるようになります。これに近い事情が恐らく行動援護にもあるのではないかと思います。そういうことで、これを俎上に上げてきちんと検討していただきたい。
先ほど北岡委員のお話を久しぶりに伺いましたが、全く私もそのとおりだと思います。 1 つは、是非、常時介護を要する人の分類をきちんとやっていただきたいということ。それから、スウェーデンのパーソナル・アシスタンス、これについて私も同様に思っています。本日の資料では報酬が 1 時間当たり 284 クローナとありますが、これを日本円に直すと約 4,000 円です。したがって、これと同様の制度を創設すると、恐らく日本の財政は破綻します。スウェーデンで実現できているのは、恐らく所得の 60 %ぐらいを税金や社会保険料で持って行かれているからです。その点、日本はまだ 40 %ですから、非常に国民負担率が低いのです。そういうことを考えると、日本として福祉国家を目指す、本当にパーソナル・アシスタント制度を実現するということであれば、消費税やその他の税金を相当上げなければいけません。あと、スウェーデンの問題点は、週 20 時間を超える介護時間は全部国が支給するということで、市町村は重度障害者をみんなパーソナル・アシスタント制度に持って行きたがることです。先ほど北岡委員からも御指摘がありましたが、全くそのとおりで、やはり制度的にもいろいろまだ問題があると思っています。以上です。
○駒村部会長
ありがとうございます。
○日野委員
身体障害者福祉協議会の日野です。
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点意見として。ヒアリングのときも同じようなことを申し上げたのです。
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つは、私どもの協議会の中で、昨年の調査で、会員施設の施設入所支援利用者のうち
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%、
2,538
人に対して今、痰の吸引を行っています。それから、
9.7
%、
2,459
名の方に対して経管栄養を実施しているという実態があるわけです。そのほか、人工呼吸器を付けている方とか、いろいろな医療的なケアの高い方がいるのです。やはり、生活介護事業者であっても、こういった実際の利用者の状態像は療養介護事業に該当するような方が増えつつあるということで、この支給決定が、生活介護の場合はマイナス
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日で、上限が
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日の支給。ですから、これは状態が療養介護ということもあるので、やはり最大限
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か月の支給決定をしていただきたい、すべきではないかと思っています。
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つ目は、制度の縦割りを超えた支援を可能とする仕組み作りを是非検討していただきたいということです。つまり、施設入所支援を利用されている方においても、個別支援であるとか社会生活支援、例えば移動支援の必要性のある方もいるわけですので、そういうように、施設入所支援と地域生活支援の組合せを可能とするような仕組み、これも重要ではないかと思っていますので、御検討をよろしくお願いします。
○藤堂委員
藤堂です。常時介護を要するという所で少し当てはまるのかどうかなのです。 2 つあります。意思疎通支援事業というのは、発達障害の中でも、特に自閉症の重い方に関しては非常に意思疎通が難しいところがあります。そういう意味から言うと、常時介護は必要なのだと考えるところなのですが、ここの文言を見ますと、全て「その他」の所に入ってしまっていて、実際に必要となったときに、発達障害者支援法で随分知られてはきていますが、その他、例えば聴覚は問題ない、言語機能はある、音声機能もある、視覚も大丈夫という発達障害の人には付かない場合が出てくるとか、この事業内容の所にもそういう人たちの通訳に代わるような人が必要になるわけですが、そういうところが全然書いていないというところで、そういうものも含めていただくことが必要なのかなというのが 1 つあります。
もう 1 つは、パーソナル・アシスタンスなのですが、これにも、スウェーデンもイギリスも発達障害、ディスレクシアとかも含まれているのです。非常に軽い人たちも含まれている。これはどういうことかと言うと、常時何らかの福祉の世話にならなくても自立的に生きていけるのだけれども、ある場面に遭遇したときにパーソナル・アシスタンスが必要になる人たちがいるということで、それを自分が必要なときに選んで使えるというシステムなのかなと考えています。そういう意味から言うと、それを使うことによって社会参加が十分にできて、仕事も十二分にできるのであれば、社会的なコストではなくて、それによって得られる社会的な利益もきちんと計算した上でシステムを作っていただきたいと思うのです。その人たちが十分に本来の能力を発揮して働く、それによって会社がきちんと儲けられる、その人がお金を受けることができて、それでまた税金に戻るというようなシステムにしていかないと、多分この社会保障、日本は破綻するということなのかなと思いました。意見です。
○玉木委員
常時介護を要する障害者の状態像ということで、原則的には、北岡委員とか大濱委員がおっしゃっていることには異論はないのですが、ただし、一時的に常時介護が必要になるということは、多分出てくると思うのです。例えば、前段議論になった地域移行の件について言いますと、例えば、一人で暮らしたことがないからとか、要は施設から出た、病院から出たときの生活のイメージがついていない方については、いろいろな不安もありますから、その不安をやはり取り除いていくために、一時的に常時介護が必要な状態であるということは十分想定ができます。それを踏まえた上で、例えば相談支援専門員であれば、地域移行支援とか、あとは、地域に出た後でも生活介護等のサービス提供のプログラムの中できっちりと本人さんと向き合って、どこに介助が必要で、どこは一人でも大丈夫だよねという、そういう基本的なやりとりができるプログラムがきちんとあった上で、一時的に常時介護が要る人であっても、例えば、 1 年後、 2 年後にはその状況も変わっていくということも十分考え得るので、そういう意味では、常時介護を要する障害者の状態像についてはもう少し丁寧な書きぶりなどが必要かなと思っています。以上です。
○竹下委員
竹下です。重度障害者の関係では、入院中の支援について非常に気になっているので、その 1 点で意見を申し上げます。 7 ページのイメージにおいて、行動障害のない重度障害者に対しては、居宅介護、ないしは生活介護ということでイメージされているわけですが、それはそれでいいと思うのですが、具体的なサービスの場面で、はっきりと「通勤・通学、入院中の支援」として位置づけされているわけですから、これはこれで本当に必要だと思っています。ただ、その中の、入院中の支援について考えたときに、今度は、最後に担い手の所で「企業、学校等」で、「等」の中に含まれてしまうのかもしれませんが、病院職員による支援というものはここに含まないとするならば、そこを医療給付との関係で二重給付うんぬんという議論を避けるためにも明確にしておかないと、担い手の関係で混乱を生じるのではないかと思うわけです。その点で、入院中の支援というものを、ここの担い手で言うならば、障害福祉サービス事業者、家族、ボランティア、全て構わないのですが、ここの「等」の担い手の中には企業、学校以外の病院職員は含まないのか含むのかを明確にしておく必要があると思っています。基本的には、ここは、例えば看護助手などの業務の中に一定含まれる可能性があると思っていますが、ここを明確にしておくべきではないかというのが 1 点です。
その絡みもあるわけですが、墨字で 13 ページの意思疎通支援事業で、入院中の支援が例に挙がっているわけですが、これは実態との関係を明確にしておく必要があると思っています。すなわち、コミュニケーション支援の中では、端的に言えば、視覚障害者に対する代筆、代読などが入院中には極めて重要な意味をもつわけですが、入院時に受けるコミュニケーション支援の実態として、 63 %、 1,735 自治体中 1,099 とあるのは、これはほとんどが手話通訳の実施であって、代筆、代読はほとんどの場合は実施されていなくて、私の認識では 100 自治体前後にとどまっているという認識です。その点からも、こうした取扱いの地域差が生じない形での安定した病院生活中における安全・安心というものが確保できる制度にすべきだと思っています。以上です。
○駒村部会長
ありがとうございます。「等」はどうなっているのかと。今日は特段事務局の代わりに確認はしませんが、いろいろ議論があったことは、事務局、今日の意見交換というのは、またまとめて反映して整理していくと理解してよろしいですね。いいですね。はい。
○佐藤委員
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つのことで申し上げたいと思います。まず、常時介護を要する障害者というのはどういう人を指すのかを、この間いろいろ議論をしてきました。しかし、それはそれぞれの方々がみな頭の中に想定している像が必ずしも一致しないということだと思うのです。私は、よくよく考えてみれば、障害福祉サービスをどうあれ受給している人たちは、それが時間単位なのか日単位なのか、あるいは月単位、あるいは年単位とそれぞれ違いはあったとしても、何らかの意味でそれは常時介護を受けている人たちと理解したほうがいいのではないかと考えるようになりました。どうも常時介護と言うと、
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時間、あるいはそれに近い時間、誰かがべったりくっ付いているという想像をします。しかも、それは重度の人だから重度訪問介護が必要なのだというある種の共通理解みたいなものがあるのですが、少しフォーカスを引いて考えると、いろいろな質、内容、あるいはいろいろな量のサービスを定期的に繰り返し、それは先ほども言ったように、時間単位で考える人もあれば、日単位、週単位、月単位とそれぞれ頻度や内容は違うと思いますが、いずれにしても継続的にサービスを要する人という意味においては同じことではないか、まずそういう認識が必要だと考えています。
それと併せて、パーソナル・アシスタンスのことです。今、障害者総合支援法、自立支援法以来の制度的な仕組みは、例えばスウェーデンで提供されているパーソナル・アシスタンスとコンセプトの上ではそれほど違いはないと思っています。それは、サービス利用計画を作り上げていくプロセスに当然のように当事者の意見が反映されるべきであるということになっているわけですし、サービス利用計画を作成すること自身が個別的な支援計画を作る、すなわちパーソナルなアシスタンスをどういうふうに進めればいいかということであるわけです。パーソナル・アシスタンスは、スウェーデンで確かに
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時間以上支援が必要な人は国の負担でパーソナル・アシスタンスをしますよといいますが、
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時間というのは週に
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時間という意味ですので、
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日に直せば
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時間ないしは
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時間ぐらい以上のサービスを受ける人はパーソナル・アシスタンス制度で補充をしますということになっているわけですから、必ずしも、我々がついイメージしがちな
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時間べったりくっ付いているサービスではないということをもう一度整理して、本当にその人が、それは状態像から言うのではなくて、いわゆる医療モデルとしての状態像からだけではなくて、いろいろな状況を勘案しながら、そのことも原理的にはそのようにしなさいということになっているわけですが、そういうことをきちんとやることが大切ではないかと。
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つだけ例を申し上げると、私がかつて関係していた社会福祉法人で、重症心身障害者だけのケアホーム、今はグループホームに変わりましたが、それは全員を重度包括支援でやろうと、これだったらば同じようなパターンのものが次々に出来るかもしれない、
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個
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個全部個別のサービスを積み上げると相当膨大な額になってしまって、こういうサービスを各市町村がどんどん広げていこうとならないかもしれないということで、ちょっと記憶があれですが、去年の
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月一杯までそれで
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年間か
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年間かやりました。しかし、どうしてもやはり、その限度額では追い付かないのです。それで積み上げ方式に変えてもう
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年少したちますが、運営は何とか成り立つようになりましたと聞いています。重度包括のあれは、今、全国で
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人とか
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人しかいないです。つまり制度としては破綻しているわけであって、これをまだなおここに入れて、常時介護が必要な人うんぬんという所に入れるのは。ですから、あたかもそのパッケージの中でやらないと駄目ですよという話になってしまう。ですから、必要な人には必要なだけ、必要なものをきちんと精査をして提供するし、そうでない人にはそうでないような形、先ほど北岡さんの提案もありましたが、そういうことを考える必要があるのではないか。
つまり、制度はきちんと運用されるべきだと。誰かの得になるような形で運用する。つまり事業者が得をするとか、そういうことがないように厳格に運用するようにすれば、今、我々が持っている制度の中でもかなり解決できるものはあるのではないかと。私は、決して保守的に今のままでいいのではないですかということを言っているのではなくて、今、現状が制度そのものを有効にいかし切っていないということを指摘したいわけであって、有効にいかし切る中で制度の様々な限界が分かるし、次に改革すべき方向性もみんなで共有できるのではないかと思っています。以上です。
○駒村部会長
では、回っていきます。あと 30 分ぐらいで終わればいいのだと思っていますが、大事な議論ですから余り時間は切りませんが。お願いします。
○菊池委員
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点あります。
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点目は、
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時間支援の仕組みづくりの点です。御紹介いただいたサービス、小規模多機能などは、言ってみれば包括払いの仕組みだと思います。施設事業者に対して費用の支払いをする場合には、大きく分けて包括払いと出来高払いがあるわけですが、医療保険の場合は診療報酬での包括払いが半分ぐらいになっていると思います。介護報酬の中にもそれが入ってきました。その中で、この障害者総合支援の中身をどうするかということだと思うのです。私は法律学の専門ですが、憲法第
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条が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障しているわけです。その権利というのは、金銭的な給付、あるいは所得の保障だけで尽くされるのかという論点があり、必ずしもそうではないだろうと。幾ら金銭的な給付が行われても、保障し切れないもの、サービス、介護といった保障は、それ独自で生存権保障の中に独自の規範的な意味があると考えており、そういった考え方を採る法学者が最近結構出てきております。
そういった中で、例えば 24 時間の直接介護が必要であるということで、全国で幾つかの訴訟も提起されております。例えば大阪高裁や札幌高裁などで幾つか判決も出ておりますが、相当重度の方でいらしても今の総合支援法の枠組みの中で 24 時間の介護サービスが義務付けられるという法の枠組みにはなっていません。
その中で、そういった非常に重度の方に対しても、またそうでなくても、必ずしも
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時間直接介護が必要な方でなくても、今日御紹介のあった小規模多機能や定期巡回・随時対応型訪問介護看護といった、介護保険の制度をヒントに、是非
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時間支援のための仕組み、そのためのメニューを豊富に構築していただきたいというのが、私の意見です。
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点目は、これは先ほど異なった御意見も出ていたのですが、介護従事者の資格要件に関してです。私は、これは基本的には引き上げる必要があるのではないかと考えております。とりわけ、従来の
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級ヘルパーについて、介護保険では認めていない部分が、人数的には少ないようですが認められている。この辺りは、やはり引き上げていく必要があるのではないでしょうか。幾つか理由はありますが、
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つは介護従事者の専門性を高めることによって、従事者の方々の処遇を改善することにもつながっていくでしょうし、また専門性を高め、ひいては職業としての地位を高めることにもつながっていく面があると思います。
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つ目は、公費が入っているサービスですので、何らかの形で適正なサービスが提供されていることの担保が必要であるということです。
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つ目は、サービスの質の向上の側面です。特に、精神・知的障害の方においては、権利擁護の視点、虐待防止、あるいは安全性の確保といった面から、一定の資格要件を設けて然るべきではないかと思っております。
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点目は、小さい話なのですが、
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ページで御紹介いただいた仕組みについてです。いわゆる富山型といわれている富山県などで先進的に進んだサービスの一環だと思うのですが、障害サービスを受けていらっしゃる方、それから介護保険適用の高齢者の方、そして子供や赤ちゃんが
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つの場所で同時にサービスを受けられるといった、それぞれの福祉の領域の垣根を低くしていき、多様なサービスを柔軟に受けられる方向性は、今、厚労省としてもいろいろな場面で進めており、地域づくりに適合すると思うのです。ですので、こういった制度があり、少しずつ垣根を低くしているのは非常に評価できると思っていますし、もしまだ何かハードルがあるとすれば、それを是非調査されて、随時ハードルを下げていくことをお考えいただければと思っております。
○小澤委員
私は、本日一番重要事項だと思っている 1 点だけに限定いたします。常時介護を要する障害者の状態像等なのですが、今後の議事の進め方に関しても 1 点申し上げたいと思います。私は、実は事前に団体ヒアリングの意見を一番読んできたのですね。 45 の団体が、一生懸命準備されてきたわけですから、ここが一番重要事項だと思っていたのです。例えば、ここで言われていることを私なりに整理いたしますと、常時介護ではなくて名称を変更し、かつ常時支援のほうが望ましいのではないかと言っている団体も少なからずあるのですね。本日の委員の皆さんも、そういう団体もあるのですから。これに関してどう考えるかと思っております。そうすると、やはり常時支援のほうがいいだろうというのが私の意見です。
それから、これまでの団体はどのようなことをおっしゃっていたかといいますと、 1 つは機能障害から派生するので緊急性が高いし、かつ常時介護だと言っている背景の団体と、それから社会的状況からして緊急性が高くて、そこから見たときに、そういう団体は大抵常時支援のほうを言っておりましたが、常時支援が必要だと。これは、かなり違う立場なのですよ。どちらも甲乙つけ難い話で、そうするとそれに対してどのような整理を行うかが多分こちらの部会に課せられている話なのかなと思っております。そのときに、究極な問題は、なかなかこれを一元的に並べるのは難しいので、普通の考え方でいいますと、これはアセスメントや支給決定の話に還元せざるを得ないのではないか。そうすると、やはりケアマネジメントとかそういう話にならざるを得ないのではないか。これを、もし常時介護とは何ものかと定義したら、きっとその定義に当てはまらない緊急性の高い話も多いわけです。そういったようなことを、多分この見直しで検討するのではないかといったことを、意見として申し上げたいと思います。以上です。
○伊藤委員
なかなか結論が出難い問題ですが、今日の議論の一部分だと思いますが、入院時の介護の問題です。入院中重度の方々には、そういう介護の支援が必要だというような議論が少しあったと思いますが、なかなか難しい問題です。少し整理をしないといけないと思っているのは、入院をしている状態の場合に、様々な介護、支援というのは、病院側、つまり医療保険制度の側に責任があるのか、福祉サービスでやるのか、あるいは介護保険でやるのかという問題が発生するわけです。どこでやってもいいのだと思うのですが、そのことイコール医療側に対して免責を与えてしまうのではないか。つまり、重い患者、重い障害者は自分の所でヘルパーを連れていらっしゃいということになるか。そのときに、その制度を利用している人はいいけれども、そうでない人は自己負担で自分で付けなければならないのか。つまり、 1973 年までは病院に付添婦というものがいたのですね。自費で入れていた。ところが、医療制度の改革の中で、病院の中のことは病院が責任を持つと、看護が責任を持つのだといって始まったけれども、実際は看護婦の増員が思うようにいかなくて、やがて病棟婦になり、今の看護助手という制度になっております。いずれにしても、医療保険制度の中から支払いは行われていないわけですが、そういう状態に戻していいのか。特に、在宅医療ということが出てくると、それは医療の側にも責任を持たせるのか、全部福祉サービスでやるのかというところも議論しないと、これは被害者は患者、重度障害者本人、あるいは家族になるわけですから、ここのところの議論も併せてお願いしたいと思います。以上です。
○原田参考人
時間を頂きましてありがとうございました。パーソナル・アシスタンスですが、これはシームレスな新しいサービス提供形態で、それ自体は御本人の希望に叶うものだと思っております。全国知事会としての意見書では、慎重な検討が必要であると結ばせていただいております。これは、行政感覚からしますと、現在、既存のサービス提供自体について、実地指導も含めて行政による十分なガバナンスが働いていない状況にある中で、個人による給付を可能とするようなサービスには大きな課題があるのだろうと思っております。
北岡委員がおっしゃっておりましたように、ここは既存のサービスを充実することで対応する、あるいは介護保険の定期巡回・随時対応型もありますが、そういった新しいサービスを導入することによって対応するのが現実的ではないかと考えております。
○野沢委員
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年後の見直しの論点で、意思決定支援やパーソナル・アシスタンスや、グループホームや高齢化などいろいろあるのですが、それぞれのパーツで議論を深めていくことはとても大事なのですが、トータルでそれぞれが関連していると思うのですね。私は、そういう意味で思うのは、イギリスに行ってグループホームについて話すと、「まだグループホームなんて言っているのか」と言われるのですよ。我々の感覚では、日本は家族だけが抱え込んでいて、そうではないものとしては入所施設かなと。しかし、入所施設はもうやめようよねというようなことで、それに代わるべきものとしてグループホームを作っていこうと。今、
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万人以上になったわけです。
グループホームというのは、絶対的にいいものだということで考えてきたと思うのですが、明らかにイギリスはそうではないですよね。これは誤解されてはいけないのですが、イギリスも現実には家族が抱え込んでいる人たちが大勢いますし、入所施設もありますし、病院の中にも障害者はたくさんおります。しかし、政策の議論の軸としては、明らかにもうポストグループホームを目指しているわけですよ。実際に、具体的な政策も出てきているわけですね。
考えてみますと、我々も普通は子供の頃は家族で暮らしていますが、大きくなったら独り暮らしを求めるし、好きな人ができれば恋人や結婚相手と一緒に暮らしますし、そこでまた家族ができるというのが、割と普通ですよね。家族でもない、恋人でもない人たちが、管理された環境の中で集団で暮らしていくというのは、どうなのだろうか。これは、普通我々はそういう生活を、合宿や部活などの一時期はそれでいいかもしれないですが、ずっとそういう生活を続けていいのだろうかと。ほとんどの方がいいとは言わないと思うのですね。では、なぜ障害者だけそういう生活を絶対的にいいものだと見てきたのだろうかと。これは、我々の中に、やはり障害者だからしょうがないよねという思いがどこかにあるからだと思うわけです。これを、軸を変えていくことを、この 3 年後の見直しの一番大きな焦点にできないかなと、私は思っているわけです。
そこで考えられるのは、ではパーソナル・アシスタンスのような常時介護の人を付ける、個別的なサービスを付ければ、グループホームではない第 3 の暮らし方があるのではないかと考えてきたわけです。しかし、パーソナル・アシスタンスは先ほどいろいろな委員の方がおっしゃるように、いろいろな問題がありますよね。判断能力にハンディのある人たちが直接雇用をするというのは、一体どうやってやるのだろうかとか、予算の膨張などはなかなか難しいですし、悪用もあります。そして、もう 1 つは、ずっと付くことによってむしろストレスを高じてしまって、行動障害を引き起こすような例もあるわけですよね。ですから、先ほども言いましたように、常時介護の「常時」という考え方、「介護」という考え方をもう一度整理していく必要があると思います。
必ずしも、グループホームではない人には、もっと別の方向もあるでしょうし、重度の人にとっても、あるいは行動障害のある人にとっても、グループホームではないほうがいいのかもしれないなと思うこともあるのですね。例えば、イギリスでもそうです。行動障害がどうにも改善できず、施設やグループホームでの暮らしが難しい人をどうするのかというと、最終的には独り暮らし、あるいは 2 人ぐらいの暮らしで落ち着いている例も聞いてきました。日本も、北海道のはるにれの里をこの前見に行ってきたのですが、びっくりしたのは150人がグループホームで暮らしているのですが、そのうち100人以上が支援区分 6 で、行動障害がある人ばかりで、暴れたり、かみついたり、壊したり、そういう人たちを入所から引き取って、グループホームで落ち着かせる。それでも、どうしても暴れてどうしようもない人がいるのですね。では、入所に戻すのかというと、そうではなくて独り暮らしをしたら落ち着いたというわけですね。それを考えると、我々はやはりこれまで考えてきたことを疑ってかからなければいけないのではないかと思ったりしました。つまり、そういう行動障害のある人、言葉を自分でしゃべらない人、判断能力に難がある人というのは、そういう独り暮らしの体験がないから、こちらとしてはグループホームや入所が必要ではないかと思ってきましたが、必ずしもそうではないのかもしれないなと。ここは、もう 1 つ選択肢を広げて、お試しでもいいので、一度やはりそういう体験をする機会をこの見直しで、そういうものをつくっていけないかなと思います。
イギリスなどの例ですと、例えば住宅に IT やセンサーなど、いろいろな機器を組み込んで、むしろ人がいるとストレスがかかるような人は、人がいない独り暮らしというものを様々な努力をして組み込んでいたりしているわけです。そのような試し方もあるのではないかということを思ったりしています。過渡的かもしれませんが、私はやはりスウェーデン型のパーソナル・アシスタンスはちょっと現実的ではないなと思いますが、それでももう一歩、「障害者だからしょうがないよね」ということではない暮らし方を実現するための踏み込んだサービスを求めたいなと思います。これを、日本型パーソナル・アシスタンスというのか、何というのかは分かりません。どういうことかというと、 1 つにはイギリスにおけるようなベストインタレストを含む意思決定支援というものをきちんと組み込んだ上でのサービス等利用計画を作るとか、それをチェックするということを前提として、利用場面の制限を広げていきたいと思います。やはり、その人の価値観やライフスタイルは千差万別ですので、限られたサービス類型や定められた利用場面だけで選ぶのはどうかなと思います。その代わり、利用時間を膨張しないようなことを工夫しながら、この 3 つの条件を満たすサービスの実現をしたいと思います。新しいサービス類型をつくるのか、それとも重包や行動援護の運用をかなり変えていくのか。パーソナル・アシスタンスを求めてきた人から見れば「何だそんなもの」と思われるかもしれませんが、私は、判断能力に問題のある人の福祉といいますか、生活を根底から大きく変えていく可能性をそこに芽生えさせることができるのではないかと考えております。これを、是非 3 年後の見直しの改定で、一歩踏み込んでいただきたいと思います。以上です。
○久保委員
育成会の久保です。先ほどから御意見がいろいろありますように、私どもも常時介護ではなくて、常時支援という言い方に変えていただきたいと思っております。介護というのは、どうしても直接ベッドから移乗したりということをイメージしてしまうのが一般的ですので、見守り、声掛けなども含めていただきたいという意味からも、常時支援と名称を変えていただけたら有り難いなと思っております。
それから、先ほど北岡委員からお話がありましたように、常時介護を少し整理をして分類をする必要があるなと思っております。分類をして、こういう支援のときにはこのぐらいと、 24 時間べったりではなく、この人に何時間というような感じで、その人がその時間をどこにどう使っていくのかを選択する形がいいのかなと思っております。
一方で、知的障害の場合は、本人がそこをできないというのがまた一方でありますので、そこはやはりサービス等利用計画等でうまくコーディネートしていく必要があるのだろうと思っております。パーソナル・アシスタンスも同様で、意思決定支援をどうするのかというのが、今の日本のこの制度でまだはっきり示されていない中で、本人が契約をし、雇用し、そしてこうしてほしい、ああしてほしいという指示を出しながら支援をしていただくことは、知的障害の場合は大変難しいと思っております。そういう意味でも、サービス等利用計画等でコーディネートをして、その人の生活の先の見通しを少しもちながら、どんなサービスをどう使っていくのかを周りの人の代理支援を受けながらの意思決定みたいなことも十分考えていただきながら使っていかないと、パーソナル・アシスタンスは知的障害には今の段階では使いにくいようなものだと思っております。
私の地元ですが、区分 5 で入所施設にいた人がグループホームを出て、そして 60 歳を過ぎてから独り暮らしをしています。ですから、それは支援の方法や環境で、 60 歳を過ぎて区分 5 の人でも独り暮らしができることがありますので、支援の方法を私たち周りの者が、どういう支援があればこの人は地域で暮らせるのかを、その人を通して学ばないと、その人は地域で暮らしていけないと思いますので、そんな視点を持ちながら暮らしの部分を、その人の先の見通しを持ちながら組み立てていくことをしていただけたら有り難いなと思っております。
○田口参考人
日本知的障害者福祉協会の田口と申します。私は、先ほどの久保委員とほぼ同じような考え方ですが、常時介護ではなくて、「常時支援」に改めていただきたいというのが、協会の考え方です。この障害者総合支援法では理念規定として第 1 条の 2 が入りました。そこでは、「身近な地域で暮らす」「社会参加」「障壁の除去」の 3 つが挙げられております。地域生活というと、グループホームや地域生活支援拠点に焦点が当たりがちですが、日中活動の場も同様に考えていく必要があると思います。
その中で、「生活介護」という事業ですが、どうしても現場サイドでは狭く限定されたイメージを感じます。地域の中で暮らすとなると、やはりこれから社会生活という面に焦点を当てていく必要があるのではないかということで、例えば事業名を「社会生活支援事業」にするといったことも今後、理念に沿って考えていく必要があるのではないかと思います。
○中板委員
資料 9 ページの小規模多機能型居宅介護の所の追加になります。こちらの介護保険法の中の参考例ですが、平成 18 年 4 月に創設されております。しかしながら、改定もされており、平成 24 年改正の介護保険法により、医療依存度の高い方もショートステイ等が使える形で、訪問看護も加わった複合型のサービスになっています。日本看護協会では、それぞれ病院や訪問看護ステーションあるいは在宅で療養されている方たちからヒアリングをさせていただきました。家族に負担をかけずに在宅療養を続けることを阻む要因として、病院へのヒアリングでは、家族が疲弊するので、レスパイト的に入院される方がいる、そのような方たちへの対応が難しい。それから、訪問看護ステーションなどでは、在宅の介護力不足、結果的には病院に入院せざるを得ない。それから、在宅療養されている方においては、医療依存度が高い場合には、なかなか必要な時に使えるショートステイがないといったことが、出てきました。介護報酬分科会等でも意見を言わせて頂いており、 24 時間、 365 日安全・安心な在宅療養を続けられるよう常時支援でときどき常時介護が必要になるといった場合に、この訪問看護と小規模多機能型の居宅介護を一緒にした看護小規模多機能型居宅介護が整備されています。こちらは、既に 190 箇所を超えており、伸びとしてはよいと思われます。 24 時間、 365 日、それこそ通所、それから宿泊、相談訪問看護、訪問介護をパッケージできることもあり、これまでより幅広い対象に使える仕組みではないかと考えます。委員の皆さまからでている入院時の介護も含めて、このような看護の居宅介護の形になれば、日頃から顔の見える関係、それから会話も通じ合える関係ができる中でのショートという形もできますので、これは介護保険法のサービスですが、障害総合支援法の中でも価値があるのではないかと思っております。
○駒村部会長
一回りしたと思います。今日、意見を取りまとめるわけには当然いかないわけで、幾つか重要な指摘がありました。軸を変える、あるいはアプローチを変えるというお話や、パーソナル・アシスタンスの所は、 19 ページの注の 1 を見ると、これが本質なので、私は字面にこだわるというよりは、実質的にこの 3 つの要素をいかに達成するのが大事なのかなとお聞きしておりましたので、ここはすり合わせ可能なのではないかという感じがしました。
あとは、意見が必ずしも合わない部分もあるかと思いますが、これは事務局に一度整理していただくということで、今日はこれで終了したいと思います。最後に、事務局からお願いいたします。
○川又企画課長
次回ですが、 7 月 14 日 ( 火 )14 時から、 TKP ガーデンシティの竹橋ホール 10E で開催をいたします。次回は、一当たり論点を議論していただきたいということで、障害者等の移動の支援、それから障害者の就労支援の 2 つの論点の議論を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○駒村部会長
本日は、大変ありがとうございました。これで閉会いたします。
<照会先>
【社会保障審議会障害者部会事務局】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課企画法令係
TEL: 03-5253-1111(内線3022)
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