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2015年6月23日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成27年6月23日(火)16:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(9名)五十音順

遠 藤 容 子、◎鈴 木   勉、 関 野 祐 子、 妹 尾 栄 一、
曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹、
○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(2名)五十音順

石郷岡   純、 桐 井 義 則

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
赤 川 治 郎 (監視指導・麻薬対策課長)
 他

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催いたします。本日は大変お忙しい中、委員の先生方には御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は石郷岡委員、桐井委員から欠席の御連絡を頂いております。現在のところ、当部会委員数11名のうち9名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 本部会の公開・非公開の取扱いについては、総会における議論の結果、会議を公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、予め御了承いただきたいと存じます。以後の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に事務局より資料の確認をお願いします。

○事務局 資料が1と2、参考文献は1~7、参考資料が1~3です。

○鈴木部会長 資料がお手元にない場合には、お知らせ願います。よろしいでしょうか。

 本日の議題は指定薬物の指定についてです。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回御審議いただきたい物質については、国や都道府県で試買調査等をして製品の分析を行った結果、国内で流通実態が認められた物質になります。資料1は各物質の名称、別名、構造式が1~3まで、それぞれ記載しております。これらの物質について、指定薬物として指定し、規制対象とする必要があるか否かについて御審議いただきたいと思っております。

 資料2は、各物質について行われた国内外の各種動物実験や基礎研究等のうち、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。

 資料2-1を説明いたします。通称FDU-NNE1ですが、指定薬物であるFDU-PB-22と構造が類似する化合物です。CB1受容体への親和性について、FDU-NNE1及び陽性対照物質のdose-response curveを作成し、IC50を検討したところ、FDU-NNE1が16.3で、陽性対照物質が7.48となっております。また、過去に同等の測定方法で試験をした麻薬JWH-018では169となっており、FDU-NNE1がCB1受容体に強い親和性を有することが確認されております。

 運動活性については、マウスにFDU-NNE1(mg/kg)を腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を測定した結果、1時間ごとの累積自発運動量は、投与1時間後及び5時間後において、陰性対照と比べて有意に減少し、6時間ごとの累積自発運動量は0-6時間後において有意に減少する結果が得られています。FDU-NNE1はJWH-018と比較して作用時間は弱いものの、マウスの行動を抑制することが確認されております。

 まずは、以上の1物質について、指定薬物として差し支えないと考えておりますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 事務局より説明のありました1物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。□□委員から流通実態をお願いいたします。

□□委員 □□□□で行っている分析調査の結果、このFDU-NNE1に関しては、植物細片の6製品から検出されております。

○鈴木部会長 ほかの委員の方々、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。CB1受容体への結合性も明確になっておりますので特に問題ないかと思いますので、まとめさせていただいてよろしいでしょうか。

 発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただきました1物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 引き続き事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 資料2-2を説明いたします。通称25-NBOHですが、指定薬物である25-NBOMeと構造が類似する化合物です。セロトニン受容体の親和性については、ヒト由来の5-HT2A及び5-HT2B受容体とラット由来の5-HT2C受容体に対する親和性について、Ketanserin、LSD、Mesulergineとの競合置換反応によりpKiを検討したところ、5-HT2Aについては25-NBOHが9.21、指定薬物25-NBOMe8.70、指定薬物の25-NBOMe8.67となっております。

 セロトニン受容体の親和性については、このほかの文献においても、4ページ上段の表に記載しているとおり、5-HT2Aについて25-NBOHのpKiが9.21、指定薬物25-NBOMe9.30、指定薬物25-NBOMe8.80、指定薬物25-NBOMe8.67、麻薬2C-Iが8.14、指定薬物25-NBFが8.57、指定薬物5-MeO-DMTが6.04となっており、25-NBOHが既に指定薬物に指定される物質や麻薬である2C-Iと比較して同等以上の親和性を有することが確認されております。

 また、セロトニン受容体への活性について、ホスファチジルイノシトールの加水分解を指標として、pEC50を検討したところ、5-HT2Aについて、25-NBOHが9.43、指定薬物25-NBOMe9.40、指定薬物25-NBOMe8.31、指定薬物25-NBOMe9.14、指定薬物25-NBFが6.21、指定薬物5-MeO-DMTが7.73、指定薬物DOIが8.54となっており、25-NBOHが既に指定薬物に指定されている物質と比較して、同等以上の活性を有することが確認されております。

 モノアミントランスポーターの阻害作用については、ヒトのドパミントランスポーター又はセロトニントランスポーターを発現させたヒト胎児由来腎臓細胞を用いてIC50を検討したところ、ドパミンについては、25-NBOHが9.5×10-5乗、陽性対照であるコカインが3.4×10-7乗となっており、阻害作用はコカインよりも285倍程度弱いことが確認されております。セロトニンについては、25-NBOHが1.3×10-5乗、コカインが9.0×10-7乗となっており、阻害作用はコカインよりも14倍程度弱いことが確認されております。

 中枢・自律神経症状観察です。マウスに1.11127.5mg/kgの各量を腹腔内投与した結果、1.1mg/kg投与群では、投与30分後に攻撃性、洗顔運動、触反応、立ち上がり動作がやや抑制されており、自発運動は抑制が認められております。投与1時間後には自発運動、攻撃性以外の投与30分後に認められた症状に加え、眼裂がやや抑制されております。投与2時間後には、触反応以外の投与1時間後に認められた症状に加え、自発運動、外界反応、攻撃性、払いのけ動作がやや抑制され、洗顔運動、立ち上がり動作の抑制がより強く認められております。また、腰を落として寄りかかる腹ばい姿勢、上下の首振り運動、腹ばいでの屈伸動作(ライジング)が見られ、全体的に動きが鈍いことが観察されております。

11mg/kg投与群では、投与30分後に外界反応がやや抑制され、痛反応、耳介反射、角膜反射、瞳孔散大がやや強く見られ、洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動の抑制が認められております。投与1時間後には自発運動、外界反応以外の投与30分後に認められた症状に加え、払いのけ動作がやや強く認められております。投与2時間後には、角膜反射、払いのけ動作以外の投与1時間後に認められた症状に加え、自発運動がやや抑制され、眼裂抑制が認められております。また、1.1mg/kg投与時に認められた異常行動に加え、鼻部を床敷きにすりつける行動(スニッフィング)が観察されております。

27.5mg/kg投与群では、投与30分後に耳介反射、角膜反射がやや強く見られ、洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動の抑制が認められております。投与1時間後には、耳介反射、角膜反射以外の投与30分後に認められた症状に加え、痛反応、眼裂がやや強く認められております。投与2時間後には、痛反応以外の投与1時間後に認められた症状が認められております。また、1.111mg/kg投与時に認められた異常行動も、同様に観察されております。

 資料2-3を説明いたします。通称25-NB34MDです。指定薬物である25-NBFと構造が類似する化合物です。セロトニン受容体への活性について、セロトニン受容体5-HT2Aと発光タンパク質を発現させたレポーター細胞を用いて、25-NB34MD及び対照物質が受容体に結合することで誘導される発光強度を測定してEC50を検討したところ、25-NB34MDが30、陽性対照物質TCB-2が0.56、指定薬物の5-MeO-DMTが3.8となっております。25-NB34MDは、指定薬物である5-MeO-DMTの0.13倍程度のアゴニスト活性が認められております。

 運動活性については、マウスに25-NB34MD(mg/kg50mg/kg)を腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を測定したところ、1時間ごとの累積自発運動量は陰性対照と比較し、5mg/kg投与群では自発運動量に明らかな変化は認められませんでしたが、50mg/kg投与群では、投与1時間後までで有意差はないものの減少傾向が認められております。また、3時間ごとの累積自発運動量は、3-6時間後において、有意に減少する結果が得られており、25-NB34MDがマウスの行動を抑制することが確認されております。

 以上、2物質について指定薬物として差し支えないと考えておりますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 事務局より説明のあった2物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 受容体の親和性の辺りのことで教えていただきたいのですが、参考の指定薬物の25-NBOMeだとセロトニン2Aに対するEC502.31nMということで、その隣にある「p」が付いたEC50は単位がないのです。文献3、文献4でのセロトニン受容体から出たデータというのが、pのKiとか、pのEC50なのですが、文献3と文献4を引用されているので、これを読めば詳しく分かると思うのですが、さっと今見たのですが、nMとかサブnM単位とは書かれているのですが、この単位というのは比較の数値なのですか、それともnMとか、そういう単位で表示できるものなのでしょうか。

○事務局 pはマイナスログになるので、ナノが付くと9になります。

□□委員 これは8とか9という値は、どういう計算でこういう値になっているのですか。

○鈴木部会長 事務局、いかがですか。

□□委員 調べていただいている間に、別のことでいいでしょうか。

○鈴木部会長 どうぞ。

□□委員 同じ資料2-2ですが、5ページの「中枢・自律神経症状観察」で、文献5を見ても分からなかったので教えていただきたいのですが、ここに出てきている症状というのは既存の指定薬物との比較のデータが全くないのですが、症状としてはかなり強く出ていると判断していいのでしょうか。

○鈴木部会長 今の御質問から先にお答えいただけますか。

○事務局 文献5を参照しているのですが、こちらの後半部分に出てくる評価表があります。引用した文献なので、右下に「149」、「150」と書いてあるのですが、これがIrwinの多次元観察法を改良したスコア表で、色が濃くついている部分が、生体影響が観察されているような結果が出ていると理解していただいてよろしいかと思います。

□□委員 そういう基準があって、その基準と照らし合わせて、そのように評価していると。分かりました。

○鈴木部会長 正常動物との比較ということですね。

□□委員 少し気になったのは、親和性の試験の結果と比べて、細胞を使ったトランスポーターの阻害作用の実験が2桁ぐらい活性が落ちているので、もしかしたら動物を使った系ではあまり活性が強くないのではないかと思ったものですから、質問させてもらいました。

○鈴木部会長 □□委員からの質問にお答えいただけますか。

○事務局 こちらの数字ですが、Ki値を出しているものですので、そもそもKi値には単位がない。

□□委員 私が気が付いた所は、文献3の30ページで、冒頭のパラグラフだと「In general most of the compounds had high affinity for the -HT2A receptor with Ki values in the low-nanomolar to sub-nanomolar range.」と書いてあるのです。このTABLE4も、nM単位だという解釈でよろしいのかというのが。

○事務局 pKiというのが、Kiのマイナスログの数値になるので、例えばpKiが9であれば10-9乗molという数字になってきます。このpKi自体は単位というものが、そういう意味ではないということなので、この場合は数字を端的に比較していただければ、より大きな数字の方がより強いアフィニティがあると考えていただければと思います。

○□□委員 通常はnMというmolの単位の方が分かりやすいので、この値だと、文献3と文献4ではnMになるのだろうと推測したのですが、そういう解釈でよろしいのですか。

○事務局 それで結構でございます。

○□□委員 文献4に関しても、244ページの「RESULTS AND DISCUSSION」の所の冒頭ですよね、「The results from the binding affinity measurements showed that the majority of the compounds bind to both -HT2A and -HT2C receptors in the low nanomolar range」と書いてあるのですね、「with several compounds having subnanomolar affinities」、それで「pKi above 9」と書いてあるのです。

○事務局 nMの低いところなので、9よりもpKiが上になるという意味合いです。

□□委員 計算というよりは、この意味はnM単位だということでよろしいのですか。

○事務局 そうです。

□□委員 それを教えていただきたかったのです。

○事務局 nMということでよろしいと思います。

□□委員 分かりました。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 資料2-2の「モノアミントランスポーター阻害作用」のドパミントランスポーター阻害作用の値です。文献5では157ページに記載されていますが、「9.7×10-5乗」だと思います。

○事務局 資料2-2の4ページの下段の表の左上の9.5×10-5乗が正しくは9.7×10-5乗になります。御指摘のとおりで間違いありません。失礼いたしました。

□□委員 7ページ、資料2-3です。その表記の中に、「運動活性に対する影響(文献7)」のまとめて書かれている所なのですが、3行目に「50mg/kg投与群では投与後1時間後まで有意差はないものの減少傾向が認められ、投与後3-6時間後の合計自発運動量は陰性対照と比べて有意な減少が確認された」ということで、下に図が描いてあります。

 この図表の方では、0-3と3-6が出ていて、文章と図の整合性が取れていないので、誤解を招きます。つまり、0-3の方では減少傾向は出ていませんが、文章の方では「1時間後まで有意差はないものの減少傾向が認められ」とはっきり書いてあって、次の投与3-6時間後は合計の自発運動量になって、「陰性対照と比べて有意な減少が確認された」と書いてあるのですが、混乱する表記なので、「1時間後まで有意差はないものの減少傾向が認められ」というのは書く必要がない。

○鈴木部会長 上の図を示しているのだと思うのです。

□□委員 では、「合計自発運動量については」ということで、参照にする図が違うということを明記していただけたらいいかと思います。「減少傾向が見られた」で句点を打って、上の方の図だけを見て、「その後、合計自発運動量については3-6時間後に有意な差があった」と文章を分けていただけたらと思います。

○事務局 ありがとうございます。次回以降、資料作成に注意を払いたいと思います。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただいた2物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、事務局より本件に係る今後の手続、スケジュール等について、説明をお願いいたします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については、現在確認されておりません。いずれにしても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応する所存です。

○鈴木部会長 本日の議題は以上です。事務局から、その他の連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 本日の配布資料の「薬事・食品衛生審議会 薬事分科会における審議参加の取扱い等について」を御覧ください。薬事分科会の部会、調査会において、規程に沿った対応が行われなかったことが判明し、6月5日に公表しておりますので、御報告いたします。

()ですが、薬事分科会委員8名が、薬事に関する企業の役職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任していた事実が判明し、これらの8名の委員については辞任いただく運びになっています。本部会においても、企業の顧問等に就任した際は、辞任いただくことになりますので、御注意いただきますようよろしくお願いいたします。企業の顧問等に就任される際には、事務局まで速やかにお知らせいただきますよう、お願いいたします。

()及び()については、本部会に適用されない規程に関するものではありますが、他の部会等において、寄付金・契約金等の申告誤りが判明した事例がございました。こうした事例が発生しましたのは、事務局による規程の内容の周知徹底や委員就任時の確認が不十分であったことも一因であり、審議会の事務局として至らなかったことをお詫び申し上げるとともに、委員の先生方におかれましては、今後とも規程の遵守に御協力いただきますよう、お願い申し上げます。

 次回の部会の日程については、7月中を予定しております。正式に決まり次第、御連絡させていただきます。また、本部会の資料は回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして、平成27年度第3回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。

 


(了)

備考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 渕岡(2779)

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