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2015年6月24日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第26回議事録

○日時

平成27年6月24日(水)10:48~11:53


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室(21階)


○出席者

荒井耕部会長 印南一路部会長代理 田辺国昭委員 西村万里子委員 
吉森俊和委員 白川修二委員 花井十伍委員 石山惠司委員 田中伸一委員
鈴木邦彦委員 松本純一委員 万代恭嗣委員 長瀬輝諠委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
土屋裕専門委員 田村誠専門委員  昌子久仁子専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人 田倉智之参考人
<事務局>
唐澤保険局長 武田審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 佐々木医療課企画官
込山保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○部会長の選出について
○費用対効果評価の試行的導入について(その1)

○議事

○佐々木医療課企画官

 委員の皆様、おそろいのようでございますので、そろそろ部会を始めさせていただいてもよろしいでしょうか。

 本日の中医協総会におきまして、費用対効果評価専門部会に属する公益委員が変更されたため、部会長が選出されるまでの間、私がかわって司会進行をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○佐々木医療課企画官

 ありがとうございます。新しい部会長の選任までの議事進行につきましては、私のほうで進めさせていただきます。

 それでは、ただいまより、第26回「費用対効果評価専門部会」を開催いたします。

 6月14日付で森田委員、6月23日付で堀委員がそれぞれ退任され、その後任といたしまして、それぞれ6月15日付で荒井委員、本日付で遠藤委員が発令されております。

 続きまして、委員の出欠状況につきまして御報告します。

 本日は、榊原委員、加茂谷専門委員が御欠席です。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日は、まず、部会長の選挙を行います。社会保険医療協議会令第1条第6項の規定によりまして、部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙することとされております。

 部会長につきましては、総会の例によれば、一号側及び二号側の御意見を伺った上で御賛同があれば決めていくということになっております。費用対効果評価専門部会の部会長につきましても、このような方法でとり行いたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○佐々木医療課企画官

 どうもありがとうございます。では、そのように進めさせていただきます。

 まず、一号側の委員から御推薦をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○白川委員

 一号側としては、荒井耕委員に部会長をお願いできればと思います。

○佐々木医療課企画官

 続きまして、二号側の委員、いかがでしょうか。

○鈴木委員

 二号側としても、荒井耕委員にお願いしたいと思います。

○佐々木医療課企画官

 一号側、二号側とも荒井委員を御推薦いただきましたけれども、荒井委員に部会長をお願いするということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○佐々木医療課企画官

 どうもありがとうございました。

 それでは、荒井委員に費用対効果評価専門部会部会長をお願いいたします。

 荒井部会長より、一言御挨拶をお願いいたします。

○荒井部会長

 先ほどと少し繰り返しになってしまう部分もありますが、一橋大学の荒井と申します。

 今回、初めて公益委員に任命されました。医療界とは、管理会計の研究という形で20年ほど関わらさせていただいておりますが、まだまだ勉強が足りない部分も多くありまして、今回、費用対効果評価専門部会という極めて注目の高い分野の部会の会長を務めさせていただくということで、これから、非常に勉強していかないといけないと考えておりますが、一生懸命頑張っていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○佐々木医療課企画官

 どうもありがとうございました。

 それでは、今後の議事進行を荒井部会長にお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長

 まず、部会長代理について、社会保険医療協議会令第1条第9項の規定によりまして、部会長があらかじめ指名するものが部会長代理をすることとされております。

 そこで、引き続き、印南委員に部会長代理をお願いすることとしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○荒井部会長

 ありがとうございます。

 それでは、部会長代理は、引き続き印南委員にお願いいたします。

 それでは「費用対効果評価の試行的導入ついて(その1)」について議論を行いたいと思います。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 資料は費-1と参考資料を用意しております。

 先般の部会の議論を踏まえ、費用対効果評価の試行的導入につきまして、少し具体的な内容も含めた資料を事務局のほうで用意をさせていただいております。

 今般は、そのうち試行的導入のあり方についての御議論をお願いしたいと考えております。

 1枚めくっていただきまして、3ページ目をお願いいたします。

 費用対効果評価の一連の工程の案でございますけれども、費用対効果評価については、中間的な整理や具体例の検討を実施して検討を行ってまいったところでございますけれども、具体例の検討では、企業から提出いただいたデータに基づいて再分析を行うということであるとか、その後、総合的な評価を行う、アプレイザルを実施するとか、その議論を踏まえて、意思決定に活用するなどの方向性が共有されたところでございます。

 下の工程案というのがございますけれども、試行的に導入していくに当たっては、4つの視点に分けまして、検討すべき課題などにつきまして、提示をさせていただきます。

 具体的には、データ提出と再分析とアプレイザルと評価結果を活用した意思決定でございます。

 4ページ目から、まず、1つ目のデータ提出に関してでございます。参考資料では、3ページ目から9ページ目でございます。これまでの議論の整理のうち、要請のあり方については、具体例の検討において、企業に対して任意のデータ提出を要請して検討を進めのすけれども、秘密保持契約の問題等ございますので、より協力を求められるようにすべきとの意見がございました。

 評価対象の選定に関しましては、具体例の検討に関して、中医協であらかじめ決めた基準に基づいて対象を選定しました。

 また、提出までの準備期間に関しましては、今回は、企業が提出するに当たっては数カ月を要しましたけれども、1年程度を見込んでほしいとの意見もあったところでございます。

 これらの点を踏まえまして、この3点について、どのように取り組んでいくかというところでございますが、まず、5ページ目を見ていただきますと、データ提出に関してでございます。

 データ提出に関しましては、任意の協力ではなかなか進んでいかないということもございますので、たたき台と書かせていただいておりますが、費用対効果評価の対象となる品目の選定基準を設定して対象品目を選定した上で、データ提出を義務づけてはどうかとしております。

 また、対象品目以外の医薬品・医療機器について、企業の希望があった場合にも、任意での提出を認めることを検討してはどうかとさせていただいております。

 次に、6ページ目でございますが、選定基準についてさらに具体的な検討が必要としておりまして、例えば、補正加算の何パーセント以上のものとか、原価計算方式で算定されるものなど、といった基準もありますし、製品単価や売上高が一定以上のものという選定基準もあり得るかと思っております。

 なお、具体例の検討のときも、基準を設定し、選定したところでございます。

 しかしながら、希少疾病に対する治療、また、代替性のある他の治療が存在しないようなものにつきましては、除外要件の設定することが必要ではないかとしております。

 提出までどの程度の準備期間を設けるのかということでございますけれども、企業からは1年程度必要という意見がございました。ただ、治験と並行して分析を進めるということをすれば、期間を短縮できるのではないかという意見もございました。

 なお、長期にわたる準備期間を確保すると、十分な分析が期待できる一方で、新規収載品目の場合には、工程の組み方にもよりますが、ドラッグラグ、デバイスラグにつながるおそれもあるという意見もございました。

 7ページ、再分析に関して、これは、企業から提出いただいたデータを専門家による分析を行うというところでございます。参考資料では、の11ページから14ページまでが関連しております。再分析の必要性に関しては、企業が提出したデータを、具体例の検討では参考人を中心とした研究班で再分析していただきましたが、このような工程が何らか必要であることが確認されたと理解しております。

 ただ、実施体制は、諸外国においては数十人規模の公的な専門体制を敷いて対応しているということでありますし、外部の専門家との連携も含めて柔軟に対応しているということでありました。

 また、本邦においては、専門家がまだ不足しているというような御意見もございました。

 以上のような論点を踏まえて、どのような体制を組んでいくかということに関してですが、8ページ目の実施体制に関してでございますけれども、公的な専門体制で実施するべきではないかと思っております。

 その際に、厚生労働省内の既存の組織で対応する場合もありますし、既存の組織の中で、そういった担当する機能を持ち得る部署を設けていく場合もあります。

 さらに、公的な組織を新たに設置し、連携するということを検討するというようなことが考えられるのではないかそしております。

 更に検討を深める事項としては、1)利益相反の管理の徹底等の観点が大事ということで、再分析に対しては独立性の担保という御意見もございましたし、諸外国においては、大学等と連携して、外部に委託しているというようなこともございました。

 ただし、人材が不足しているということもあるので、さまざまな専門的な知見を有する外部の専門家との連携も含めて検討すべきではないかという御意見もいただいております。

 また、再分析に必要な期間に関しましてですけれども今般は、おおむね90日以内で、研究班で非常に迅速に検討していただきましたが、参考人の御意見の中では、3カ月から6カ月程度いただければ、もっと詳細な検討ができるという意見もございました。

 さらに、再分析に当たって、独自に新たなデータ収集を行うということが、必要になりますと、長期化するというような指摘もありました。

 9ページ目でございます。アプレイザルでございまして、参考資料は15ページ目から26ページ目までが関連でございます。アプレイザルの役割としては、分析結果に基づき、さまざまな観点から総合的な評価を行うということで必要ということでございました。

 また、アプレイザル分析そのものとは違いますので、科学的な分析に加えてアプレイザルもする必要があるというようなことでございました。

 それから、具体的な観点については、さまざま倫理的な側面とか、様々な視点がありますので、それについても議論が必要というようになっております。

 実施体制については、今回の具体例の検討では、部会を非公開で開催し,アプレイザルと見なさせていただきましたが、諸外国では、公的な組織で対応しており、保険者、医療関係者、患者関係者、医療経済学者等を構成員とした議論の場を設定しているということでございます。

 検討を深める事項ですが、10ページ目に、2つの案を提示させていただいております。具体例の検討のように、費用対効果評価専門部会でアプレイザルを実施する場合には、非公開の会議で実施するということにはなります。

 案の2としては、下の例のほうに書いてありますとおり、薬価算定組織や保険医療材料専門組織のように、非公開の会議の場として、新たに費用対効果評価専門組織を仮称ですけれども、設定させていただいて、その中で、アプレイザルに期待されるな議論を非公開で実施することも考えられるのではないかとしております。

11ページ、アプレイザルで取り上げる視点は、さまざまございまして、今後、御議論していただく必要があるかと思っておりますが、ここには、イギリスやスウェーデンやオーストラリアには、どういう場合に、いわゆる科学的な議論以外に、総合的な視点で議論する場合の考慮すべき観点を記載しておりますけれども、さまざま、各国とも検討して位置づけておるというところでございます。

12ページは、模擬パネルを実施した内容でございます。その際には年齢や救命原則など議論をいたしましたので、参考としてつけております。

13ページ、評価結果を活用した意識決定でございます。参考資料でいいますと、27ページから33ページに関連する部分がございます。これまでの議論としまして、結果の活用時期に関しては、保険収載時と収載後一定期間後の2つに大別されます。

 活用のあり方としては、保険償還の可否と、保険償還価格への反映があります。適応症の限定というような形で諸外国では用いられるような例もございます。

 解釈の目安に関しては、今後とも議論をしていただく必要があると思いますけれども、諸外国や国際機関などで提示されているものについて御紹介しております。

 検討課題としては、現行の医薬品・医療機器の保険収載の方法を踏まえながら、活用の時期と具体的なあり方の組み合わせに関して検討する必要がある。

 解釈の目安についても、それを実施するまでには検討をしておく必要があるということでございます。

 具体的には、4つの案を14ページに書いておりますが、先ほどの項目の組み合わせになりますけれども、保険収載時に費用対効果評価に基づき、保険償還の可否の判断を行う。

 それから、保険収載時に、費用対効果評価に基づき、償還価格への反映を行う。

 次が、収載後一定期間後に、費用対効果評価に基づき、保険償還の可否の判断を行う。

 最後に、収載後一定期間後に、費用対効果評価に基づき、再算定を行うというようなことにさせていただいておりまして、今後、14ページの下のほうにありますが、企業のデータ提出準備期間に関しての視点でありますとか、再分析に必要な期間など一定程度必要ということを踏まえながら、どういう形の適用をしていくかということの議論が必要ということでございます。

15ページは、現行の医薬品、医療機器の保険収載価格づけの手順ということで、再算定や、市場実勢価格による見直しの部分を含んでおりますが、手順の御紹介でございます。

16ページ目が、解釈の目安についての運用方法に関してですけれども、諸外国の運用方法を参考にすると、具体的な額を設定するという例1のような場合、目安となる額の一定幅を設定した上で、個別品目ごとに判断するという例2のような場合であるとか、目安になる額を特段設定せずに個別製品ごとに判断するような場合、例3のようなものが考えられるところでございます。

 いずれしましても、こうした点についても引き続き議論が必要でございます。

17ページ、具体的な取り扱いですけれども、保険償還の可否に用いる場合と一言で申しましても、いろんなパターンがございまして、単純に償還する、しないという使い方もあれば、幾つか適応症があるような医薬品等の場合、非常に費用対効果がよい部分は適用を認めるようなことも考えられます。

 それから、価格の一部分のみ償還して、残りは企業が負担しているような場合もございます。

 保険償還価格への反映に用いる場合でも、新規収載の医薬品等を費用対効果がよいという価格に設定する場合もありますが、収載後一定期間後、現行の価格算定ルールで算定した上で、費用対効果評価の結果を踏まえて、再算定するというようなこともあるのではないかということについても御議論いただければと思います。

 最後に18ページ、収載後一定期間後に一連の工程を実施する場合のイメージ図をつけております。これは、具体例の検討を参考にしまして、実際に価格設定につなげていくには、ある一定程度期間が必要ということの例示としてお示ししておるところでございます。

 説明は、以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明に関して、御質問等がございましたら、お願いいたします。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

 幾つか意見と質問をさせていただきたいと思います。

 まず、費-1のところで、4ページ以降のデータ提出についてでございますが、5ページに「データ提出のあり方(叩き台)」というのがあります。これにつきましては、対象として基準を設けて選定したところに対してのデータ提出の義務づけ、及び企業の希望があるかどうかわかりませんが、任意での提出、これはよろしいのではないかと思います。5ページの左側の「中間的な整理」のところ、これは、以前に出てきたものでございますが、この中に、希少な疾患の定義とか、あるいは安全性、有効性が一定程度確立とありますが、これがどの程度のものか、それらは前もって決めておく必要があると思います。これは、意見でございます。

 次に、再分析のところで、8ページでございます。ここにまた、たたき台が載っておりますけれども、これは、今まで私が発言して来たことから言いますと、3)の公的な組織を新たに設置して、厚生労働省と連携することを検討するというのが一番望ましいと思いますが、例えば、2)の既存の組織の中で、費用対効果を担当する機能を持ち得る部署を設ける。こういうものもあり得るのではないかと思います。

 以前から発言しておりますけれども、私は、例えば、既存の組織としては日本医療機能評価機構が考えられると思います。

 1)の厚生労働省の内部で対応する。これは、利益相反だけでなく、独立性とか中立性、そういった意味からも問題があると思います。

 さらに、検討を進める場合には、再分析を行う専門家とは別の異なる専門家によるチェックも必要ではないかと考えられますが、これも以前から言っていることでございます。

 それから、現在、再分析を行う研究チームというか、研究班があるわけですが、そういった方に、いつもお願いするのではなくて、ある程度、競争するような仕組みもつくっておかないと、なれ合いになってしまうことが考えられます。

DPCは、固定した組織で検討が行われているわけですが、費用対効果の場合、利益相反が非常に重視されますので、少し違うあり方が必要ではないかと思います。

 それと、公的組織は、事務局機能として、実際の仕事は外の研究者に委託する形ということですが、これは、事務局、公的組織の負担を軽減し、実際、研究者も少ないので、外部の研究者を活用する形はよろしいと思います。

 海外では、さらに外国の研究者に委託することを考えているところもあるようです。日本の場合は、言語の問題もありますので難しいとは思いますが、国内の研究者は少なくても、海外にはいるということだと思います。

 それと、9ページからのアプレイザルについてですが、ここで質問がございます。アプレイザルは、評価と訳されておりますが、そもそもイギリスにあるということですけれども、ドイツやフランスにはあるのかどうか、それを確認する質問をさせていただきたいと思います。

 それは、後でお答えいただければいいのですが、それを踏まえて、質問や意見を先にお話しさせていただきます。9ページでございますが、そもそもアプレイザルは、○1の2つ目のポツのところの2行目ですけれども「科学的な分析とは別に」とありますが、アプレイザルそのものが非科学的ということではないと思いますので、そこは誤解されないようにしたほうがいいのではないかと思います。アプレイザルを行っている国においてでもです。

10ページのたたき台のところです。これもこれからの議論なのでしょうが、この中では、案2がより近いということになるのでしょうが、ただし、一般的な専門家だけで意思決定をしてしまうと、方向性を誤る可能性があると思います。イギリスでは、その分野、分野によって専門家を集めるとか、あるいは患者や家族代表も入れることを、行っているようですので、そういった意味では、これだけでは大ざっぱではないかと思います。

11ページです。先ほどドイツ、フランスはどうなのかという話をしたのですが、ここに例が出ている国々は全て医療制度上税方式の国であり、少なくともイギリス、スウェーデンは公営医療で、我が国の社会保険方式とは違った方式をとっている国々です。私は議論の中でずっと言ってきておりますけれども、費用対効果を考える場合、公営医療の国々と我々のような社会保険方式の国々ではあり方が違うのです。公営医療の国々では、ある意味で配給制になりますので、償還しないという考え方が出てくるのだと思いますけれども、社会保険制度の国では、保険料を払えば、受診は権利ですので、公営医療の国のようにはできません。ヨーロッパの医療制度を比較検討いたしますと、大きくイギリス、北欧型、現地ではビバリッジモデルと言いますが、それと、ドイツ、フランス型、これはビスマルクモデルと言いますがこの2つに分かれます。これらは、どちらかというと、対立概念でございまして、我が国の社会保険制度はビスマルクモデルに属すると思いますが、その国に、ビバリッジモデルの仕組みを入れることは、そもそも、木に竹を接ぐような、非常に違和感があると、考えられます。

12ページの模擬パネルと言うものですが、これは、いつ行われたのかと、私も考えたのですが、そういえば、いつだったか、直前に突然そういうものがあるので、よかったら来ませんかというお話があって、他の予定が入っていたので一部しか出られませんでしたけれども、そういうことを行ったことは、確かにあったのですが、このようなことまで話していたとは、参考資料まで含めて、知りませんでした。この中にも、いろいろあるのですが「3.主な議論の例」を見ますと、年齢に関する考慮について、若年者を優先した判断がなされるべきではないかとか、あるいは救命原則、これも参考資料のほうを見るとわかるのですが、こうした考え方は、イギリス的な、公営医療の国の発想だと思います。イギリスの医療は、公衆衛生学的な考え方が強いので、多数の利益のためには、少数は犠牲になってもやむを得ないという発想になります。この考え方を推し進めますと、例えば、高齢者は医療を制限してもいいとか、もっと進めますと、人工透析の高齢者は、例えば、イギリスで実際に行われたわけですけれども、70歳以上の方は人工透析の初期導入はしないとか、そういう発想につながっていくので、社会保険制度の国としては、問題ではないかと思います。

 それから、12ページの3.の3つ目のポツのところです。限定使用の話もありますが、これは、このアプレイザルで決めるのではなくて、医療経済分析のモデル構築に含めて、分析の段階で検討して、その情報が提供された上で、パネルによる意思決定が行われるべきだと思いますので、ここで決めるとするのは、問題があると思います。

 そもそも、今回模擬パネルということですけれども、患者代表が入っていないとか、あるいは分野の専門家ごとにパネルがつくられるべきだという問題もございますので、本格的にやるにしても、さらに今後、意思決定のプロセスあるいは総意形成のあり方なども示されるべきと考えます。

 評価結果を活用した意思決定というところでございます。14ページにたたき台がありますが、これを見ますと、私どもは、社会保険制度の国として、償還の可否の判断に用いるのは非常に問題があると思いますので、償還の可否ではなくて、再算定、当面はデータの収集の関係上、案4のように、一定期間後の再算定に、先々は案2のように、収載時の価格への反映に用いるのがよいと思います。

 これも社会保険制度の国と公営医療の国の違いになるのですが、アプレイザルについて、なぜ、私が質問しているかというと、アプレイザルは、最初はイギリスにもなかったのです。ところが、保険償還をしないという判断が続いて、例えば、抗がん剤の使用が非常に制限されたために、それが社会問題、政治問題になって、それで、後からアプレイザルができて、その制限を少し緩和するようになったので、そもそもの発想が違うということを、誤解されないようにすべきだと思います。

16ページ、解釈の目安についてです。質問でございますが、フランスやドイツでは、解釈の目安として、ICERが使われているのかどうか、教えていただきたいと思います。

 我が国にもその数値があるということですけれども、それは、一部の方が出された根拠の非常に不十分なものでありますし、そうした数値ができますと、それが一人歩きするおそれがありますので、解釈の目安は、私は安易につくるべきではないと思います。そうした意味では、例の1、2、3の中では、例3のように個別に判断されるのがいいと思います。

 以上、意見と質問でございますので、質問についての御回答をお願いいたします。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 質問のうち、私がお答えする内容と参考人から回答いただくほうがいい内容がございます。

 まず、全体的には、まさに、さまざまな御意見をいただくために、本日の資料を作成いたしました。例えば、10ページ目から12ページ目までのアプレイザルのところについては、科学的な分析の上に、さらにさまざまな視点で考慮するというものことです。

 今、鈴木委員から英国では後づけでできたというご指摘がございましたが、費用対効果評価を我が国に導入する場合は、先駆的に取り組んできた諸外国の経験を踏まえながら実施することになると思います。そこで、我が国の場合は、当初からアプレイザル的な視点で議論ができる場をつくってはどうかということで御提案をしているところでございます。

 そして、12ページですが、3月2日に開催いたしました。アプレイザルをどういう形で進めていくかと、まさに試行錯誤の状況で事務局としても何か課題が抽出できないかということで開催いたしましたが、中医協委員に御案内が少しおくれましたのは、大変失礼いたしました。この中でも年齢や救命原則、費用対効果の悪い技術に対する意見というのもあったのですが、具体的な医薬品や医療機器を対象にして議論しないと、なかなか議論が集約できないというのが結論でございました。そういう意味では、今後、具体的な品目をもとに取り扱いを決めていくということによって、また、そういったいろんな視点が明らかになってくるのかなと思っております。

 アプレイザルがドイツ、フランス等でどうであるとか、目安となる価格の取り扱いなどについては、参考人のほうから回答いただければと思います。

○荒井部会長

 では、福田参考人、お願いします。

○福田参考人

 では、御質問いただきました、ドイツ、フランスの状況について補足をさせていただきます。

 まず、アプレイザルに関してなのですけれども、ドイツに関しましては、以前も御紹介いたしましたが、現時点で経済評価、費用対効果のようなものは使われていない段階で、新規の医薬品に関しては、追加的な有効性、有用性を評価するAMNOGという仕組みのもとでやられています。

 ということですので、経済評価についてはアプレイザルという言い方をしているものは、ドイツにはないというふうに思います。

 フランスに関しましては、昨年から新規の医薬品についても導入が始まって、個別に企業からの提出に基づいて再分析をするという形で動いておりますが、HASの資料の中でもアセスメントと、その後に、それに基づいたアプレイザルをやるというような記載になっておりますので、フランスの場合には、アプレイザルというところが存在をするという状況と理解をしています。

 もう一つ目安に関するところなのですが、明確に、このくらいのものを目安にというのを出しているのは、イギリスのNICEだけでありまして、ドイツに関しましては、先ほどのとおり、経済評価は、まだ実際に使われている例がございませんので、示されておりません。

 フランスに関しましても、昨年から提出が始まったというところで、私の承知している範囲では、現時点ではフランスでも、目安はまだ示されていないという状況と思っています。

 以上でございます。

○荒井部会長

 白川委員、お願いします。

○白川委員

それぞれの論点について、かなり具体的な提案をしていただき、事務局に感謝を申し上げます。

 現実的に今後どうするかということですが、今、事務局のほうで出していただいた資料、あるいは鈴木先生からも一部、項目ごとにこれがいいのではないかという御意見をいただきましたが、問題点として、データ提出に期間を要すること、再分析にも一定の期間が必要なこと、また、専門家の数が非常に少ないことがございます。さらに費用対効果評価の導入により、いわゆるドラッグラグ等の問題を惹起しては元も子もございませんので、それは避けなければいけません。

 そのような制約条件をいろいろ考えますと、大きな流れとしては、来年4月の試行的導入までの日程を考えれば、おそらく、新規収載品についてはデータがそろっておりませんので、来年の4月からの実施については、例えば、薬事申請のときに、費用対効果の測定に必要なデータをできる限り添付していただくことでスタートするのが現実的だと思われます。

 一方、既に市場に上市しているものについて、例えば薬であれば市場拡大再算定という仕組みがあり、上市後の再評価が行われます。したがって、これも基準を決めて上市から何年後に行うかはこれから議論するにしても、そのときに必要なデータを追加で頂戴をして、価格の再評価の形でこの費用対効果評価を使うことがおそらく、事務局の描いていらっしゃるイメージではないかと思いますし、先ほど申し上げたような制約条件がある中で、実施しようとすれば、私もその方法が現実的ではないかと思っております。

 そのときに考えなければいけないのが、現在の薬価算定基準、また医療機器も同じでございますが、これらとの関係をどう整理していくのかということが、非常に重要な部分であると思っております。これも以前から、大分この部会でも議論がありましたが、現在の薬価算定基準を廃止するというお考えは、おそらく委員の方々や私も含め、余りないのではないかと思います。これについては、一度はっきり確認しておいたほうがいいと思いますが、その上で、費用対効果をどう絡ますのかということを整理をしていかないと議論がスタートしないかと思っております。

 もう一つは、これも前から議論になっておりますが、全製品を対象にするのか、それとも一定の幅に入るものを対象にするのかということで、これについては再分析する組織、体制など、全てに影響する話となっております。薬を100個評価するのか、10個評価するのかで全く違いますし、市場規模で行うのか、薬の単価、例えば1日当たりの薬価の高低で行うのか、またここにもありますように、加算がついているもの、あるいは加算が必要なものについて対象とするのかなど、対象となる製品の基準等も早目に設定しないと、次のステップに進めないのではないかという感じがしております。

 御提案いただいた資料に関しての意見は以上です。特に、質問はございません。

○荒井部会長

 花井委員、お願いします。

○花井十伍委員

 これまでの議論を踏まえて、若干具体的な選択肢というのを出していただいたと承知していて、今、白川委員からも話が出ていたのですが、少なくとも、4月から試行的導入ということを考えており、試行的導入をしたかといって、1回やったら、やっぱりやめましょうというのは、事実上考えにくいので、より適切にしていく方向になると思うのです。

 例えば、新薬の場合でも、もちろん、新薬は導入しないということには、最終的にはなりようがないので、いずれにしても新薬とか新しいデバイスもそうかもしれませんが、この評価の対象になっていくと思うのですけれども、そういったものは、やはりデータが少ないので、先ほど、白川委員から薬事承認のときに出せばと言っていますけれども、承認のときに出すためには、メーカーとすれば、治験段階から準備とか、準備が前々になるわけで、一般の医薬品であれば、その中に1年間、審査期間があるので、その間に何かするという形で逆算していかないと、今、決めなければいけないことというのは、必然的に決まると思うのですね。

 だから、今、白川委員がおっしゃったことはそうだし、あと、例えば、組織体制でも理想的には、8ページの実施体制の中で、鈴木委員も2の既存の組織の中で、費用対効果評価を担当する機能を持つ部署というのは、結構リーズナブルだという意見だったのですが、それにしても、4月以降、お金の話になると、行政というのは前々で動くので、例えば、今、6月だと、8月までに決めておかなければ、8月にある程度予算として準備しなければいけない項目があるのであれば、それは、前に決めておかないといけないとか、やはり、そういうスケジュール感と、それから、実際にやるのだけれども、現実に不可能なことを無理、無理やることはできないのだから、それに対して準備として、どのぐらいの期間を持つかという形で詰めていくと、現時点で、少なくともこの部会でコンセンサスを得なければいけない部分という優先順位がついてくると思うので、今回は全体像として出ているのですけれども、やはり、そういうスケジュール感のもとに、とりあえず、これは決めなければいけない、これは決めなければいけないという優先順位を提案してもらって、そこで合意が、この部会で得られるかどうかというふうにしていくほうが、ちょっと現実的かなというふうに思うので、そういう進め方は、いかがでしょうか。

○荒井部会長

 専門委員、お願いします。

○土屋専門委員

 既に白川委員、花井委員、鈴木委員からいろいろと御指摘をしていただいていますが、この評価のデータを出す側である業界としてのコメントをさせていただきます。まず、データ提出に関して、5から6ページにございますが、ここで実際のモデルの構築、データの収集、結果の分析等を行うためには、今、おっしゃっていただきました人的なもの、金銭的なものも当然発生します。

 したがって、準備期間がこの中で記載されておりますが、それに加えて、企業側の負担や体制整備について御理解をいただいた上での御検討を今後していただきたい。

 そういう点に関して言えば、企業にとって予見性というのが非常に大事ですので、したがって、選定基準に関しては、非常に透明性のある厳格なものとされるべきと考えております。

 それから、データの提出に関して、もちろんこれはどういうものが選定されるかという基準にもよりますが、ここに義務づけるという表現がされております。具体的なルールや運用が決まっていない段階で、義務づけるという非常に強い表現は、業界として違和感のあるところでございます。

 あと、最後の14から17ページの評価の活用に関して、これも白川委員が、かなりいろいろと踏み込んでいただきましたが、現行の保険収載の方法を踏まえて検討することが業界としても非常に大事だと思っております。

 日本では、既に皆保険制度のもとで、保険収載ルール及び新薬、既収載品における算定ルールが確立されており、それに加えて、現在、新薬の加算等に関しても定量的な評価をはっきりさせようという点で透明化も進められていると理解しております。

 その上で、費用対効果のファクターをどう盛り込むかというところでありますので、十分、現在の仕組みの上で、それに加えて企業、評価側の先生方、他のステークホルダーがどう関係するかということを負担も含めて、慎重に検討していただければと考えております。

 以上です。

○荒井部会長

 松本委員、お願いします。

○松本委員

 スライドの5でございますが、今、専門委員も言われましたし、先ほどの白川委員も言われました。いわゆる対象品目をどう選定していくかということなのですけれども、それに加えて、データ提出の義務づけという文言が出てきます。

 ということは、はっきり言って、その前に任意でのデータ提出が企業によっては困難だったと。4のスライドで、そういう言葉もあります。

 それを踏まえて、こういう義務づけという言葉が出てきたのだと思うのですが、これに対して、例えば、選定基準あるいは対象品目をどうするか、あるいはデータ提出を義務づけるということに対して、事務局は、たたき台とは書いてありますけれども、事務局に何か私案のようなものがあるのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 企画官でございます。

 5ページは、今回、具体例の検討を実施して、やはり、任意の協力によるデータ提出を求めても、企業側のほうでも内部的な手続なども大変というようなこともございました。

 中医協で費用対効果評価を試行的に導入していくということで議論を進めていくというのに当たって、やはりデータを出していただかないと、それに対して検討して実施するということができないものですから、まずは、試行的導入に当たって、一定の範囲の条件をつけた医薬品・医療機器については提出を義務づけるということでなければ、試行的導入ということが始めることができないと思います。これは、最低条件として、まずはこの点については合意いただく必要があるのではないかということで、ここは案とはせず、御提示をさせていただいております。

○荒井部会長

 安部委員、お願いします。

○安部委員

 同じ5ページで、データ提出の選定基準に関して、読んでいてイメージができないので教えていただきたいのですが、2)で「諸外国において複数の評価機関により費用対効果評価を提出しており、詳細な分析結果が公表されているもの」とあります。つまり、HTAが終わってデータがはっきりしたものと読めるわけでありますけれども、これが日本の国に入ってくるときに、今の仕組みとして、外国平均価格調整をやっている。費用対効果評価が終わって、各国で価格がつけられていて、その価格を見て、日本で極端に高くならないように、安くもならないようにということで調整するわけなのですが、そのプロセスを経た中で、さらに日本でオリジナルの費用対効果というか、医療技術評価をやって比較をするというところが、私には必要性があるのかという疑問があるのですけれども、素人なものでよくわかりませんので、その辺、教えていただければと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 5ページに関しましては、「データ提出のあり方(叩き台)」より上の部分は、非公開の部会で議論して頂いた、具体例の検討の対象品目を選ぶための基準でございます。

 医薬品も医療機器も2)が入っておりますのは、諸外国においても費用対効果評価の分析が行われていないような品目を対象にした場合に、企業にとっては、新たに全く一からデータをそろえるのは大変だろうということで、具体例の検討に当たっては、経験のある企業に御協力をいただくという狙いを込めて基準に入れたところでございます。

 ですので、この基準自体は、今後、御議論をいただく試行的導入に向けた選定基準とは、別でございます。試行的導入に向けた選定基準については、今後、また御議論をいただければと思います。また、外国価格再算定等で医薬品も医療機器も最初の段階で外国価格で比較を行っておりますが、あくまでもそれは、その品目が外国で幾らで流通しているかというようなことの比較でございまして、費用対効果評価という場合には、ある医薬品、医療機器と、その同じ疾病等に用いる医薬品、医療機器と他の薬剤との比較という視点でございますので、若干視点も違っておるのかなと思うところでございます。

○荒井部会長

 田村専門委員、お願いします。

○田村専門委員

 医療機器の固有の状況に関連して2点申し上げさせていただきます。

 1つは、13ページにあります、評価結果の活用方法の中で「『保険償還の可否の判断』に用いる場合でも、単純な償還の可否の判断に活用する以外に、適応症の限定に用いる等の活用方法も考えられる」とある点です。

 医療機器でも大型の医療機器のようなものの場合には、薬事承認の適用範囲が広くなっていて、適応症を絞るという考え方はあるかもしれませんが、今回、費用対効果評価の対象としている特定保険医療材料の場合には、薬事承認の段階から適応部位がある程度制限されていて、また、臨床データがあったとしても症例数が少なく、サブグループごとに有効性を解析あるいは検証することが難しく、費用対効果評価の結果により適応症を絞るという活用方法は、医療機器ではとりづらいと考えます。

 したがいまして、償還の可否の判断に用いますと、その医療機器自体の流通がとまってしまうということになる可能性が大ということを申し上げさせていただきます。

 もう一点は、下の14ページの評価結果を活用した意思決定に関してです。

 今までここでも何度も議論になりました、収載後一定期間後に、費用対効果評価を行うという選択肢でありますが、これに関しては、既にこの部会でも述べてまいりましたとおり、医療機器は製品の改良、改善のサイクルが短く、分野によっても異なりますが、1年くらいのサイクルで新たな製品が導入されていることがあります。

 そうしますと、収載後の既存製品の費用対効果評価を行う場合、そこで用いることができる臨床データは、一世代、二世代前の製品である可能性が高く、適切な費用対効果評価を行うのが難しい状況になることが想定され、この点について慎重な御検討をいただければと思います。

 以上でございます。

○荒井部会長

 石山委員、お願いします。

○石山委員

 非常に資料としては読みやすくなってきました。しかし、先ほど、花井委員も指摘したとおり、再分析やアプレイザルを実施する組織の新設等、いろいろな要素が絡んでくると、予算等を考慮しなければいけません。

 そうした流れのなかで、まず、スライド6ページのデータの提出という項目には、具体的な選定基準が書いてあります。こうした選定基準を前提にすると、その後のスケジュールや組織のあり方等、実際に実行しなければわからない側面が多々あります。

 それで、スライド14ページについて、鈴木先生、白川先生がご指摘されたとおり、例えば、薬に関しては、案の4のとおり意思決定を行うと、応用が利くのではないかというイメージがあります。

 しかし、今から新薬について費用対効果を議論しようとしても、組織から見ても、人的に見ても難しいのではないでしょうか。ですから、具体的に、先ほど申し上げた6ページの選定基準のもとに、保険収載され世の中で活用されている既存の薬品について、14ページの案の4のような方向に持っていく議論に進めていき、来年度以降、既存の薬品以外に費用対効果評価を浸透させればよいのではないかというのが意見です。

 以上です。

○荒井部会長

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 私も石山委員の御意見に大賛成でございます。

 試行的導入をするということですので、何らかの具体的な方策をどれかとらなければならないと。

 その中で、工程表ということで、3ページでお示しいただいておりますが、まだ、事務局も案の段階で、頭の中がもやもやしている中での工程表かなというふうには考えます。ただ、一定程度整理していただいたことについては大変感謝申し上げます。

 この工程表で「データ提出」矢印「再分析」矢印という、この順番を、もう少し変える必要があるかなと考えます。

 具体的には、再分析について14ページにありますように、保険収載時というときと、収載後の一定期間経過後という2つのカラムに分けた工程表というほうがわかりやすいと思います。

 そんな中で、石山委員のおっしゃるように、やはり、新規収載については時間的なものも非常に少ないかなと思っておりますので、例えば、上市後一定期間を経た抗がん剤であるとか、そういったものについて、費用対効果の考え方を試行的に導入するというのがよろしいかなと思う次第でございます。

 と申しますのも、費用対効果については、非公開の会議もありまして、委員の間では、かなりの知識が、参考人の先生方の大変な御努力もあって高まっているとは思うのですけれども、やはり現場の医師であるとか、あるいは実際に、この薬なり、医療材料を使う患者さんにとっては、費用対効果というのは何だということになってしまいますので、そういったことも考えますと、やはりわかりやすいところから進めていくのが必要かなと考えております。しつこいようですが、石山委員の方法論に賛成で、そのように御提案申し上げようと思っておりました。

 次が質問でございますけれども、例えば、5ページのところにもありますように、諸外国という言葉があちこちに出てまいります。もちろんHTA、ヘルスケア・テクノロジー・アセスメントについて、日本から諸外国に目を向けますと、日本は非常に遅れていることは間違いないという認識の上で質問いたしますけれども、諸外国というのは、そういうHTAをやっている国全てではないというふうにも受け取れます。あるいは、ページによって、諸外国というものが指すものが、ある特定の国のように見えるスライドもあるように思います。そこで、質問ですけれども、諸外国とした理由というか、諸外国の後ろにある具体的な国名というのは、それぞれのスライドで例えば、5ページにおいては、どんなことをイメージしているのかという事務局の考えを教えていただければと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 企画官でございます。

 諸外国の用例に関してですが、確かに特定の国を指すものや、費用対効果評価を導入している国全体を指すような場合、いろいろございまして、今後、中間取りまとめなどでは、違いがわかりやすくなるように表現ぶりについては、きちんと整理したいと思っております。ありがとうございます。

○万代委員

 ぜひ、お願いしたいと思います。

○荒井部会長

 土屋専門委員、お願いします。

○土屋専門委員

 ちょっとこだわるようで申しわけありませんが、先ほどのデータ提出のあり方で、義務づけのところですけれども、前回の事例研究においては、企業はできる限りの協力をさせていただいたと考えております。

 その中で、出すことができなかったデータがあったということですが、それは、今回の事例の中で、海外でやったものをそのまま日本に置きかえて、短期間でやるという制約の中でやったがゆえの、その中において発生したことであり、基本的に企業としては、要請されたものに対しては応えていくことになります。

 もう一つ、実際に企業が分析をして、それをもう一度ある一定の機関が再分析する場合に、最初から全くその方法論に対して合意のないままやるということはなく、ある程度、こういう形のものを出すということを事前に議論して出すというのが、海外でもやられている通例です。そういう点でいきますと、新たにスタートした場合に、そういう協力関係のもとにやっていくという点を考えれば、ここで義務づけるという根拠が、言葉にどこまでこだわるかということはありますが、企業は言わないと出さないのではないか、ということはないということを御理解いただきたいと思います。

○荒井部会長

 特にほかにないでしょうか。

 ほかに御意見がないようでしたら、この議題については、このあたりにしたいと思います。

 本日は、ほかに特にないですので、本日の議論は、このあたりにしたいと思います。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会といたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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