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2015年7月8日 第4回政策評価に関する有識者会議労働・子育てWG 議事録

○日時

平成27年7月8日(水)10:00~12:02


○場所

中央労働委員会講堂(7階)


○出席者

阿部座長、渥美委員、高橋委員、安永委員

○議事

(以下、議事録)


○阿部座長

 では、定刻になりましたので、ただいまから第4回政策評価に関する有識者会議労働・子育てワーキンググループを開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は野川委員が御欠席、そして高橋委員が遅れて参加するということです。

 本日は議事次第にありますように、6つのテーマの実績評価書()について、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、配付資料及び「平成27年度に実施する政策評価について」の進め方について事務局より説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐(今宮)

 議事に入ります前に、本年4月以降、事務局に異動がありましたので紹介いたします。まず、政策評価官の大地です。

 

○大地政策評価官

 大地です。41日付けで政策評価官を拝命いたしました。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐(今宮)

 続きまして、政策評価官室長補佐の生沼です。

 

○政策評価官室長補佐(生沼)

 生沼でございます。41日付けで政策評価官室長補佐を拝命いたしました。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐(今宮)

 まず資料の確認をさせていただきます。配付資料は上から「議事次第」、「座席表」、「有識者会議参集者名簿」です。続いて資料16は、それぞれ6つのテーマごとに本ワーキンググループで御議論いただきます、実績評価書()とその添付資料です。参考資料1「政策評価実施予定表」、参考資料2「平成27年度実績評価書に新設された項目」、参考資料3「有識者会議開催要項」、参考資料4「厚生労働省における第3期基本計画」、参考資料5は、昨年3月の有識者会議における御意見を踏まえて作成しました「資料1~6に関する事前分析表」となっております。

 なお、本日は、それらの資料に加えて別途、カラーのパンフレットを配付させていただいています。「社会保障と税の一体改革」というタイトルのものです。こちらは、内閣官房、内閣府、総務省、財務省、そして厚生労働省が協力して作成、内閣府の政府広報室が発行したものであり、政府全体で取り組んでいる一体改革の趣旨、背景、内容等を分かりやすくまとめたものとなっています。委員の皆様方におかれましては、内容的には既に御承知かと存じますが、取組内容の御紹介として、参考配付させていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 また、事前に資料を送付させていただいておりますが、その中で一部変更がありますので簡単に御紹介します。資料1-1について、平成26年度の実績値の集計が終了しましたので、今までは集計中と記載していた所の数値を記載して、それに伴い判定理由等の欄の記載を一部修正しています。資料1-2についても、添付資料になりますが、平成26年度の実績に基づいた資料に差し替えています。資料2-1について、速報値として数値を出していましたが、確定値が出ましたので修正しています。最後に、資料3-1については、施策の概要、予算額・執行額等の欄に一部修正が入っています。資料に不足等がありましたら事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。

 それでは、議事の進め方についてご説明いたします。議事次第を御覧ください。本日は2の議事に1~6までありますが、この順番でテーマごとに担当課の入替えを行い御議論いただきます。6つのテーマがありますので、1テーマ毎の時間については約20分程度としておりますが、担当課のほうからは約3分程度で簡潔に御説明いただき、その後約15分程度、御議論いただくということで進めていただければと思います。続いて、参考資料1「政策評価実施予定表」を御覧ください。こちらの予定表は、ご存知のとおり厚生労働省の70の施策目標を3つのワーキンググループのうち、どのワーキンググループで議論していただくかを示したものです。平成24年度から平成28年度までの5か年で、それぞれの施策目標について、少なくとも1回は皆様方にお諮りして、御意見をいただくということを予定しております。縦に赤で囲んでいます所が今年度、平成27年度に各ワーキンググループで御意見を伺うもので、その中で表面の下ほうと裏面の上のほうに黒枠で囲んでいる部分に合計6つの赤丸がありますが、この6つの赤丸のついているテーマが本日御意見をいただくものとなっております。

 続いて、参考資料2ですが、3月に皆様方に御説明させていただきました内容のとおり、「平成27年度実績評価書に新設された項目」として確定させて、今年度以降しっかりと進めさせていただければと思っております。簡単ですが、事務局からは以上です。

 

○阿部座長

 はい、ありがとうございます。今の点で何か御質問ございますか。ないですか。それでは、早速議事に進んでいきたいと思います。「平成27年度に実施する政策評価について」です。最初に、「迅速かつ適正な労災給付を行い、被災労働者等の保護を図ること」について、担当課から3分程度で説明をお願いしたいと思います。御説明される方は、所属と名前をおっしゃってから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働基準局三浦補償課長

 基準局補償課の三浦と申します。よろしくお願いします。3分ということですので、かい摘んで説明しますので少し早口になるかもしれませんが御容赦願いたいと思います。

 まず、資料1-1です。施策目標名が迅速かつ適正な労災保険給付を行い、被災労働者等の保護を図ることということで、これは労災保険給付において迅速、適正なことをやろうということです。予算規模は、平成26年度で8,058億弱、執行率については大体95%前後で推移している状況です。8,058億のうち保険給付費等に充てます額が約98%以上ということで、ほとんどが労災保険給付の財源になっているということです。事務費については、145億円程度がこの中に入っていると御理解いただきたいと思います。

 指標1です。目標に掲げています迅速、適正な処理をするということで、特に脳・心臓疾患は複雑困難事案ということで非常に時間がかかる事案ですので、これについては、平成23年度の実績188日から10%減少させるということで処理期間を縮減させるという目標を立てております。指標2については、同じく複雑困難事案であります精神障害の事務処理日数を、平成23年度実績から毎年10%減少させるということで、230日以下にするということです。指標1については26年度で183日ということで、180日の目標から若干オーバーしておりますが、大体98%くらいの達成率を示しております。指標2については230日以下ということで、26年度は224日で目標をクリアしている状況です。

 総合判定に書いておりますが、指標1の脳・心臓疾患については26年度の目標を達成できませんでした。しかし、先ほど言いましたように達成率98%を超えているということで、おおむね達成していると判断しております。精神疾患については、224日ということで目標をクリアしている状況です。

 有効性の評価については、基本的に、迅速かつ斉一的な労災認定の観点から平成2312月に精神障害については認定基準を作成したということがあり、これに基づいて斉一的な事務処理ができたことによって、日数が減ってきたと評価しております。脳・心ですが、脳・心も精神も同じなのですが、もともとすごく長期化している事案がある地方の労働局については、個別指導という形で本省が何局か選定して集中的に指導した結果、全体的な日数が縮減されたと考えております。

 また、効率性の評価については、平成26年度の労災補償業務を行う職員の人件費は、23年度に比べて約4億円を削減しております。人数にして165人の削減としております。こういうことをやりながら効率的な取組を行っているという状況です。

 現状分析です。精神障害については、先日の625日に過労死の労災補償状況を新聞発表しております。これについては、過去最多ということで請求件数、認定件数とも非常に伸びているという状況です。

 資料1-2です。これは、先ほど言いました625日に新聞発表しました脳・心臓疾患の労災補償状況と精神障害の労災補償状況のグラフです。簡単ですが説明を終わります。

 

○阿部座長

 ありがとうございました。ただいまの説明について御意見、御質問はありますか。

 

○安永委員

 連合の安永です。私から質問を2点いたします。

まず、1点目として、この施策の総合判定はAとされておりますが、先ほど御説明頂いたとおり、指標1の脳・心臓疾患事案に係る労災保険給付の事務処理日数は、残念ながら3年連続で目標未達の状況です。加えて平成28年度の最終的な目標は170日とされており、その目標の達成に向けては相当な短縮が必要で一層の努力が求められると思います。それにもかかわらず先ほどの説明のとおり、施策に関する予算は継続して減額予算で組まれています。また、資料1-12ページの次期目標等への反映の方向性を見ても、真新しい施策を講じると受け止められません。そうした中、厚生労働省としては具体的にどのように目標を達成しようとしているのか、考えを聞かせていただきたいと思います。

2点目として、労災保険の請求から決定にいたる事務処理日数は短縮傾向にあるものの、資料1-2の中で御説明いただいたように、労災の請求件数自体は、脳・心臓疾患では高止まり、精神障害に至っては過去最高です。もちろん事務処理日数の短縮化は必要ですが、労災管理の観点から考えると、最も重要なことは労災件数自体を抑える。つまり、不幸にして労働災害に遭う労働者の数を減少させることが必要だと認識しています。また、労災件数を減少させることが事務処理日数の短縮化にもつながるものと思います。保険給付という課題から離れますが、労災請求件数が過去最高に上っている状況などをどう分析し、どう対応していくのかということについて御説明を伺いたいと思います。以上です。

 

○阿部座長

2点ありました。

 

○労働基準局三浦補償課長

 まず、最初のほうですが、予算の減額についてです。保険給付については精神、脳・心だけではなくて、障害とか遺族とかいろいろなものが入っております。全体から見れば脳・心臓疾患や精神障害の予算額は非常に少なくて、御存じのように災害が全体的に減っておりますので、少なくともトータル的な労災保険の財政という意味では減少してきているという状況です。

 ただ、それとは別に今お話がありましたように精神とか脳・心、脳・心は高止まりという形で、若干減ってはいますが、ここ5年間では大体同じようなペースで来ており、特に精神障害について非常に多くなっている。これは、先ほどもちょっとお話しましたが、23年の12月に精神障害の認定基準を策定いたしました。それによって、基準の明確化、具体化が図られ、今まで眠っていた方、要は請求すればもらえるのではないかという方が実は大分増えてきたので、請求が一時増えてきていると思っております。

 特に全体の件数が増えれば当然トータル的には増えます。ただ、それとは逆に、どうしたらそれをさせないようにするのかということですが、安全衛生の面やいろいろな所でメンタルヘルス対策などをやっており、災害防止という観点から安全衛生部という所でいろいろな施策を講じております。そういうこととあいまってやっていく。特に労災については、あくまでも起きた者に対する補償ですので、その起きた者に対してどれだけ迅速、適正に処理をするかが我々の目標となっておりますので、今後とも理解のほどよろしくお願いしたいと思います。

 

○阿部座長

 ほかによろしいですか。

 

○渥美委員

 ダイバーシティやワークライフバランスを研究している渥美と申します。大変、丁寧な御説明を頂いてありがとうございました。私自身は企業の現場で業務改善、効率化、見える化をコンサルしている人間です。今回の脳・心臓疾患や精神障害の認定は非常にセンシティブな話ですので、単に効率化だけではないと思っています。ただ、効率化を仕事にしている人間として伺いたいのは、先ほど日数が長くかかっている部署に指導に行かれているという御説明がありました。

 私たちは、部署別に業務効率に関しては、業務フローのチャートでいうと、それぞれの工程別に短い部署をどういう業務プロセスで工夫しているのかというところで、高きにそろえる施策をします。低い所に指導するというのは、そもそも高い所の行動パターン、コンピテンシーを抽出して低い所にそれをレクチャーする、高い所に合わせていくということで、そちらであれば、労働局別の状況を「見える化」して、競わせるようなやり方を企業ではやるのです。そういうやり方が適切なのか分からないのですが、日数の目標があって、それを達成している局があって、達成したい所があってとか、あるいは改善状況に濃淡があるとすれば、目標に準じてうまくいっている所のやり方を広げるというやり方を私どもはするのです。そういうことはお考えなのかということと、あと、そもそも先ほど御質問があったように起こさないというのは非常に重要ですので、特定の事業所で頻発している状況があるとすれば、やはりそこは見える化ということも考え得るとは思うのですが、そういう議論はあるのでしょうか。

 

○労働基準局三浦補償課長

 まず、最初のほうですが、実は脳・心疾患や精神疾患は事案ごとに内容が全然違うのです。1つの案件でも、先ほど言ったように時間がかかるものもありますし、かからないものもあります。特に精神とか脳・心については、労働時間がどれだけかかったかということを調べるために、実は非常に苦労しているということがあります。特に被災者の労働時間や既往症の有無の確認は非常に重要になっております。それに非常に時間がかかります。また、勤務状況については、同僚や上司に聞き込みをします。あとは、既往症、病気にかかっていなかったかとかも全部調べます。

 それをやるためには、当然ある程度の日数が必要で、それをいかに効率的にやるかというのは正にケース・バイ・ケースで、その案件1件、1件によって全然違います。

 

○渥美委員

 分かりました。案件が複雑でパターン化しづらいというのは、企業の現場でもよくある話です。ただ、それも基本的には樹形図のフローチャートを複雑にしていって、ここまではかなりパターン化できる、ここまでのところは省力化しよう、でも、ここは慎重にやらないと逆に目的は達成できなくなるから、ここはもうカスタマイズしようというふうに濃淡を分けるのですが、そういうことはお考えなのですか。

 

○労働基準局三浦補償課長

 給付ごとには考えています。労災の場合は、休業補償給付や療養補償給付とか給付ごとになっています。特にその中で、脳・心臓疾患と精神は異質なパターンなものですからパターン化は困難と考えています。それ以外については、今おっしゃったようにいろいろなパターンを考えて1か月以内にするとか、そういうことをやっております。

 

○渥美委員

 分かりました。本当にセンシティブな話なので効率化が全てだとは思っていません。ただ、これは素人考えですが、例えば、お医者様の関わる部分は、うちの父も精神疾患を抱えているし、うちの息子も脳の小児がんなのですが、そういう部分は慎重に個別の対応だと思うのです。ただ、そもそも事務的なところは、もっと省力化できることというところで効率化はあり得ると思います。

 

○労働基準局三浦補償課長

 先ほどもちょっとお話ししましたが、長期未処理事案を多く持っている局については、実は個別ということで本省から個別対応という形で指導しております。そういうことによって、長期化している局の当然、統計を持っていますので、そういう所をピンポイントで、今年はどこの局へ行って指導するということをやりながら、全体的に縮めている状況です。

 

○渥美委員

 ありがとうございました。2つ目の質問というか。

 

○労働基準局三浦補償課長

2つ目は。

 

○渥美委員

 見える化の話です。事業所別に疾患が頻発しているような。

 

○労働基準局三浦補償課長

 労災認定の部署とは異なりますが、正に今で言うブラック企業と言われている所については、うちの監督課で個別に指導が入っており、そういう対策は片や違う方面でやっておりますので、そういうところで対応していきたいと思っております。

 

○渥美委員

 ブラック企業は離職率とかの話だと思うのですが、こっちはさらにもっと悪質だと思うのです。

 

○労働基準局三浦補償課長

 そうですね。残業で幾らでも働かせてしまうとか、サービス残業を多くしているとか、そういう所については、監督署は監督行政も補償行政も一緒にやっているところですから、そういうところでお互いに行ってやっているという状況です。

 

○渥美委員

 もちろん、労働時間はあると思うのですが、職場ストレスの話でこういうものは起きると思うので、ストレスは定量化しづらいので、ある程度これは結果ではありますが、職場の状況というのは分かるものだと思います。たまたまだと、それは事業所だけの責任ではないかもしれませんが、頻発しているとすれば、そこはある程度、結果責任を負わせるべきかと思います。御担当ではないのに失礼しました。以上です。

 

○阿部座長

 時間もなくなってきたのですが、私から1つだけ。施策の概要の所には、今ずっと話題になっていた迅速あるいは効率化ということが書いてあるのですが、同時にかつ公正な保護をすると書いてあります。公正なことに関する評価というのは、どのようにされているのかということをお聞きしたいと思います。

 

○労働基準局補償課児屋野職業病対策室長補佐

 今おっしゃっていただいた公正なというのは、我々でいいますと日本全国が同じ基準でできるということで、そのためには先ほどから認定基準と出ておりましたが、それが守れているかと。それには我々は監察という制度を持っており、やった事案について確かにそれが基準どおりにやられているかということで、中のいわゆる監察あるいは業務指導とかで担保していると考えております。あと、少し話がそれるかもしれませんが、不正受給については厳正に対応しております。

 

○阿部座長

 監察した結果、どのようなことになったのか、不正受給がどのくらいあったのか、それを今後どのようにするのかというのは、やはり評価としては大事かと思うのです。それは言及しておくべきではないかと思います。

 

○労働基準局補償課児屋野職業病対策室長補佐

 一般的な話になりますが、監察については常に現場にフィードバックして改善していくという方法を取っております。

 

○阿部座長

 では、時間もまいりましたので所管課におかれましては、ただいまの議論を踏まえて実績評価書の修正等をよろしくお願いいたします。

 それでは、次のテーマに移りたいと思います。メインテーブルの入替えをお願いします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長

 続きまして、施策目標名は「労働保険適用促進及び労働保険料等の適正徴収を図ること」について、担当課から3分程度で説明をお願いします。先ほど同様、まず所属と名前をおっしゃってから説明をお願いします。

 

○労働基準局山本労働保険徴収課長

 労働保険徴収課の山本と申します。よろしくお願いいたします。資料2の労働保険適用促進及び労働保険料等の適正徴収について説明いたします。測定指標の所です。指標1については、労働保険料の収納率を掲げております。目標値としては前年度以上という目標を掲げており、基準値98.0%に対して26年度は98.3%ということで目標を達成したという状況です。

 指標2は、未手続事業場対策をしっかりやった上で、労働保険に加入した事業場数について、前年度以上の実績を目標とすることになっております。達成については、基準値である25年度の48,072件に対して、26年度が47,121件ということで前年度よりも若干、下回っているという状況ですので、△です。

 ただ、22年度からの5か年間の実績を見ていただきますと、2224年までが38,000件から4万件程度となっておりますが、2526年度については約48,000件ということで、ここでぐっと実績が上がっております。ここについては、把握できた未手続事業場数が24年度に比べて2万件ほど増えており、そのため加入した事業場数が増加したものと、私どもは理解しております。そういうこともあり、△になってはおりますが、目標を事実上達成できている程度の実績が残されていると評価しております。

 評価結果と今後の方向性についてです。達成度合いの測定結果については、1つ△がありましたので、3区分になっております。総合判定については、まず、労働保険料の収納率は目標を達成しており、次に、未手続事業場の加入事業場数については△でしたが、先ほども説明申し上げたとおり5か年間での実績を考えた場合には、達成できたと言っても差し支えない実績が残されているため、総合評価としての判定はA評価にしております。

 有効性の評価及び効率性の評価についてです。指標1の収納率については、滞納事業場に対する納入督励や滞納整理が有効に機能したと思っております。ただ、未手続事業場に対する対策については、未手続事業場の候補となるデータを法務局の登記簿からの情報等も加味して作成しておりますので、この中に労働保険の適用事業場としては既に廃止された事業場が含まれていたりする、という問題があり、有効性の観点からすると課題となっております。

 効率性についても、保険料の収納率については、先ほど申し上げたとおり、効率的な取組ができていると思っております。また、指標2の未手続事業対策については、委託事業で実施しております加入促進事業について、26年度から市場化テストを導入し、コストの抑制を図っております。翌年度からの市場化テスト導入決定に刺激を受けたこともあり、25年度からは実績がぐっと上がってきております。こういう意味では効率的な取組ができている言えるところです。

 次期目標への反映については、未手続事業対策、収納率向上について成果が上がってきておりますので、引き続き取り組んでいくこととし、また、労働保険加入促進業務については28年度以降も市場化テストの対象となっているということもありますので、しっかりとこれを踏まえて効率的な実施に努めていきたいと思っております。私からは以上です。よろしくお願いいたします。

 

○阿部座長

 ありがとうございました。ただいまの御説明について御意見、御質問があればお願いいたします。指標2なのですが、先ほどの説明の中で、25年度の実績値が上がったのが未手続事業場数の把握が増えたためとおっしゃっていたと思うのです。そうすると、未手続事業場数の把握が増えるというのが、まずあります。それから、そこが加入するというのがあります。この2段階があって初めて指標2が達成されるのだろうと思うのですが、悩ましいのは、どちらを指標とすべきかを考えてみると、結局、把握するのが増えるのは登記簿上増えているというのがあるからということになるのでしょうか。それとも、精査することによって把握が増えるということになるのでしょうか。

 

○労働基準局山本労働保険徴収課長

 まず、登記簿上の事業場とは別に、労働保険の適用事業場という概念があります。適用事業場というのは労働保険の加入の対象になる事業場でございまして、これがここ2年で増えてきております。実際に加入している事業場数は25年度が302万事業場、それ以前は290万台だったのですが、ここで増えておりますし、26年度は306万事業場ということで、またこれも増えてきております。その中には、事業場の入れ替わりがあります。要するに廃止したり新しく成立したりということです。適用事業場数が増加している中で、労働保険の加入の対象になっているけれども、加入していない事業場の数、未手続事業場数も全体として2万件程度の増加になっているという実態です。

 

○阿部座長

 適用事業場の条件が変わったりはしていないわけですよね。

 

○労働基準局労働保険徴収課木村中央労働保険適用指導官

 条件は変わっておりません。

 

○阿部座長

 ですから、新しく生まれた事業場が増えたとか、そういうことだけで変わるわけですよね。

 

○労働基準局労働保険徴収課木村中央労働保険適用指導官

 基本的には新規で成立して労働保険に加入していただく条件を満たせば、加入しなければならないのですが、未手続の対策は何が問題かというと、新しく生まれた事業場のような加入勧奨の候補となる事業場が、実際に加入条件を満たしているかどうかも分からないということなのです。加入条件を満たしている事業場の事業主さんが自主的に手続を行って頂けるようにもっていくのが一番確実で、労働保険は自主申告が原則でもありますので、一生懸命に制度の周知をしているのですが、事業主さんの理解不足からなかなか加入していただけない状況にあります。加入勧奨候補のデータは、先ほど事例的に法務局の登記簿データと言ったのですが、ほかにも厚生年金のデータ、NTTの電話番号簿、独自で収集したデータとかをかき集めて、労働保険の成立手続を行っていない事業場のリストを作っております。

 なぜ加入条件を満たしている未手続事業場だけのリストを作れないかというと、どこが対象かというのが分からないからです。加入勧奨の候補になる、成立手続を行っていない事業場のリストを作って、そこを順番に当たるのですが、候補を把握すればするほど当たらなければいけない所が増えるものですから、中には廃止している事業場もあるので空振りもあって、なかなかそこがうまくいかない。それで、なるべく空振りが起きないように精度を上げて頑張ってやっております。

 

○阿部座長

 そうすると、この実績値は1つ指標としてあるのだろうと思うのですが、把握した中でどれだけ未加入のままなのかというのと、どれだけ把握できたのかというのも大事な指標のような気もします。未手続事業場を。

 

○労働基準局労働保険徴収課木村中央労働保険適用指導官

 そうですね。まさにいかに把握して、いかにそれを減らしたかというのが大事になってきますので、施策としては先ほども御説明がありましたとおり、把握するためのデータの精度を上げることと、そのうち把握した分の解消率を上げること、この2本立てでいっております。

 

○阿部座長

 施策の分析の所で、その辺りを少し追加して書き加えるということと、あと、何となく気になるのですが、指標2がこのままでいいのかどうかというところです。また今後とも、例えば、目標値を前年度以上としますか。例えば、景気が悪くなれば新規の事業場数は減っていきます。そうすると、この実績値は当然ながら減っていくわけです。それで前年度以上と言っていていいのかというのは考えておくべきかと思います。

 

○労働基準局山本労働保険徴収課長

 今の景気状況の中では、前年度以上でいいと思います。それを期待しておりますが、もし状況が変われば、その段階で、また目標設定について検討していきたいと思っております。

 

○阿部座長

 多分、この指標は、今回この5年間で作って終わりですが、多分ずっと今後もこの業務は続くわけで、やはり、ある程度ずっと一貫した指標ができると、むしろ過去との比較とかができていいのかなと個人的には思いました。ですので、指標のことについても御議論いただければと思います。私が長く話しましたが、ほかにいかがでしょうか。

 

○高橋委員

 大変難しいことはよく分かりますが、全国にある未手続事業場数の総数は、大体何事業場くらいであると推計され得るのですか。要するに指標23万とか4万とか最近増えてきたといいますが、年によって変動するのでしょうが、母数がどのくらいあるのかということが知りたいです。

 

○労働基準局山本労働保険徴収課長

 今、私どもで把握している範囲では、26年度で127,000件程度。

 

○高橋委員

127,000件。

 

○労働基準局山本労働保険徴収課長

 はい。

 

○高橋委員

 先ほどの阿部先生の話を聞いていて感じたのですが、未手続事業場数を減らすことはとても大切なことだと思うのですが、それと併せて、未手続事業場で働く労働者の数を減らしていくということも、とても大切なのではないかと。要するに極端な話、1人とか2人しか雇っていない事業場と、例えば100人とか200人とか働いている事業場では、やはり重みが違うと思います。指標の考え方かもしれませんが、未手続事業場で働く労働者数を減らしていくということも、サブシークエントな指標として考えていってもいいのではないかと思いました。

 

○労働基準局山本労働保険徴収課長

 確かにおっしゃるとおりです。未手続の加入促進をする際には規模の大きな所からやっていくのだということで当然、取組はしております。先ほども少し申し上げましたが、未手続事業場の情報自体があまりはっきり分からない。何人働いているのかも分からない。とりあえず人を雇っているので労働保険に入る必要がありますが、入っていませんねと。そういう所にアプローチしていくしかないということもあり、今、指標として事業数で掲げておりますが、未手続事業場の労働者数が何人いるから何人に減らしますといった指標化をすることについては、なかなか情報がまだ精査されていないということもあり、厳しい状況かと思っております。

 ただ、今年、省全体でいいますと、社会保険情報として稼働法人情報の精査がされたものが私どもにも一定程度、提供いただけるという話もあります。そういう形で入ってくる情報が徐々に精査されてくれば、情報も精査されて把握できていくと思っております。今後の推移を見ながら考えていきたいと思っております。

 

○阿部座長

 ほかに御意見等ございますか。それでは、所管課におかれましては。ただいまの議論を踏まえて実績評価書の修正等をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは、少し早いですが、次のテーマに移ります。メインテーブルの入替えをお願いいたします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長

 続きましては、「雇用保険制度の安定的かつ適正な運営及び求職活動を容易にするための保障等を図ること」について、担当課から3分程度で説明をお願いします。同様に所属と名前をおっしゃってから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○職業安定局奈尾雇用保険課長

 職業安定局雇用保険課長の奈尾です。実績評価書について簡潔に御説明いたします。施策目標としては、雇用保険制度の安定的かつ適正な運営及び求職活動を容易にするための保障等を図ることということで、施策の概要が2点柱で書いてあります。1点目は、雇用保険制度の中心的な施策目標である求職者、特にこの場合は雇用保険受給者の早期の再就職支援。目標の2点目は、安定的かつ適正な運営ということで、雇用保険の給付を適正に行うこと。

 施策の背景・枠組みはここに書いてあるとおりですが、給付は大きく4つあります。中心になるのは求職者給付です。施策の予算額・執行額は記載のとおりです。平成25年度で見ると、当初予算が約17,500億円に対して、執行は約14,970億円です。測定指標としては、先ほどの施策の概要の目標1、目標2を踏まえて2つ書いてあります。指標1が、雇用保険受給者の早期再就職割合です。これは、公共職業安定所における主要業務に係る指標ということで、雇用・失業情勢であるとか、実績見込値を踏まえて、各年度の目標値を策定しております。平成26年度の目標値は30%以上です。これは、公共職業安定所における主要業務ということで、主要な指標は○と書かせていただきました。指標2は、不正受給の件数です。これは目標2に係るものですが、不正受給の件数が前年度以下となることということで、平成26年度は5,573件です。平成25年度以下ということで、この目標を設定しております。

 次のページで総合判定として、指標1、指標2のいずれについても目標値を達成しているということで、私どもとしては判定結果Aと書かせていただきました。この施策の分析ですが、有効性としては、早期再就職促進の観点から見て、公共職業安定所の需給調整機能が有効に機能しているという評価を書いております。指標2は、平成25年度に要領を作りました。「不正受給対策業務関係要領」ということでまとめ、それに基づいて全国のハローワークに対して指示を行いました。こういう指示を行うとともに、改正を随時行っていくということで、不正受給対策業務については機能していると評価できるのではないかと書かせていただきました。

 一方、効率性の評価ですが、早期再就職促進の指標1については、職員向けの研修等により、効率的な取組をやっています。指標2は、システムを活用して循環的、例えば数年間に3回以上受給されている方、離職されている方に対するシステムによる把握、それを端緒にして重点的な調査を行う、ということで効率的に取組をしていると考えています。

 現状分析としては、指標1と指標2のいずれも目標を達成ということで、引き続きこれらによって、早期再就職、適正給付に取り組んでいきたいというものです。

 最後に次期目標等への反映の方向性です。指標1の早期再就職については、次年度に向けて、人材不足分野を中心としてマッチング強化に取り組んでいく。指標2は、今年度からの新たな取組として、各労働局の雇用保険担当課長を集め、ブロック会議を開催し、そこで問題意識や好事例等について意見交換をして、情報の蓄積を図っていこうということで考えております。3分程度ということで、ごくかい摘まんでの説明で恐縮ですが、私からは以上です。よろしくお願いいたします。

 

○阿部座長

 ただいまの説明について、御意見、御質問等があればお願いします。

 

○安永委員

 連合の安永です。指標1について質問を2点させていただきます。

1点目は、早期再就職の割合が年々上昇して、目標も達成していること自体は一定の評価ができると思います。ただし、これは昨今の雇用情勢の大幅な改善の影響もあると思いますし、昨年の雇用保険法改正で再就職手当を拡充したことも大きく影響しているものと思います。こうした状況を勘案すれば、一概に経年変化を見るということにはならないのではないかと思います。こうした大幅に条件が変わった点を考慮すると、次年度以降については、目標数値自体の見直しが必要になってくるのではないかと思いますが、その見解をお聞きします。

 続いて2点目です。2014年の雇用保険法改正における再就職手当の拡充はかなり大がかりなものであったと認識しております。その影響がどのようにあるかという点は十分精査する必要があると思います。再就職手当の拡充については、2014年改正の元となった労政審の建議でも、使用者側委員から制度の効果検証の必要性について提起がありました。厚労省としては、再就職手当の拡充の政策効果をどのように評価しているのかをお聞かせください。

 

○職業安定局首席職業指導官室杉原職業紹介係長

 職業安定局首席職業指導官室の杉原です。1点目の回答をさせていただきます。再就職手当の拡充も踏まえつつ、今年度の目標は実績以上ということで、34%という目標を立てています。その再就職手当の効果がどのぐらいあるのかも含め、今後の目標については検討していきたいと考えております。

 

○職業安定局奈尾雇用保険課長

 一昨年の雇用保険法改正の関係を私から御説明いたします。御指摘のとおり、再就職手当が拡充し、就業手当も創設しました。御案内のとおりで、この仕組みとしては早期再就職した方が、賃金の低下があった場合に、再就職後6か月の定着を見て支給するという枠組みです。これは、昨年4月から施行されているわけですけれども、6か月定着した後で払う仕組みですので、理論的には昨年10月から最初の支給者が出てきます。受給者の支給申請の手続には一定の期限がありますので、それから更に若干遅れて支給申請するだろうということがあります。

 そうなると、本格的に制度の検証はいつ頃になるかというと、多分今年の夏から秋にかけてかと私どもは見ております。当然これについては御指摘のように、効果検証はしていくべきだろうと考えております。それを踏まえながら、その活用者の実績や再就職の状況を踏まえた上で、この指標1についても当然検討していくべきだろうと思っております。今後、関係審議会を含めて議論していきたいと思います。

 

○高橋委員

 指標2の不正受給件数の実績値は分かりますけれども、それと併せて大切なのは金額ベースです。こちらのほうも順次減らしていかなければならないと思います。その実績値の傾向について教えていただくとともに、もし実績値が下がっているならば、そのことについても有効性を高らしめる要因として記述をしていくべきではないかと思いました。その辺を教えてください。

 

○職業安定局奈尾雇用保険課長

 額ベースで申しますと、平成25年度の実績は、不正受給処分金額ベースですが、約107,400万円というオーダーです。この107,400万円というオーダーですが、例えば平成24年度は124,400万円、平成23年度は129,400万円、平成22年度は145,700万円です。平成22年度から平成23年度は若干上がったのですけれども、平成232425年度にかけては低下傾向です。これは、ほぼこの実績値見合いの低下かと思っております。

 この要因ですが、不正受給対策については、平成25年度から要領を作ったりして取り組んでいるということと、あとは過去3年間に3回以上離職したような方については、システム上自動的にチェックされるようになっています。そういうのを含めて調査の端緒にしていくということでやっております。当然ながら実績値としては低下していくべきだろうと思っております。受給者の減に比例して実績は一般的に減少するだろうと思っております。

 私のほうで、試しに受給者実人員と比較したらこれがどうか検証してみました。受給者実人員というのは、各月当たりで見て、どのぐらいの人が雇用保険を受けているかという人数です。それに対する割合も低下傾向にはありました。平成25年度でいうと1.19%ですが、平成24年度は1.24%、平成23年度は1.33%でした。減っているとは言えるかと思います。ただ不正受給ですので、当然ゼロにしていくべきだろうということで考えておりますので、この辺は引き続き都道府県の現場とも意見交換をしながら、どういう対策が実効性があるかということで考えていきたいと思っております。

 

○阿部座長

 私から1つだけ。先ほど安永委員が2点目でお話になったことと関連するのですが、やはり施策の分析のところで、指標1に関しては有効性の評価で、需給調整業務が有効に機能している、あるいは効率性の評価のところでは、各労働局での職員向けのキャリア・コンサルティング研修等を実施し、ハローワーク職員の専門性を向上させると書かれています。実は、雇用保険制度そのものの記述ではないのです。

 全体として失業者を減らすということに資しているというのは、そのとおりなのですけれども、やはり雇用保険制度の安定的かつ適正な運営及び求職活動を容易にするための保障等を図ることが施策目標名ですので、やはり雇用保険制度の記述は必要かなと。実際に就職手当の話は、分析は我々自身研究者も難しいだろうと思うのです。だから、それをやってくださいというのを、ここで言うのはちょっと酷なのです。でも、これだと雇用保険制度を離れて評価をされているので、ここはもう少し工夫はすべきではないかと思うのです。何かサイドインフォメーションなどがあれば、追加してお書きいただければと思います。

 

○職業安定局奈尾雇用保険課長

 御指摘のとおりです。制度的な要因は非常に大きな比重を占めていると思っております。そこは課が2つに分かれますけれども、調整して考えたいと思います。

 

○阿部座長

 よろしくお願いします。他にないようでしたら、所管課においてはただいまの議論を踏まえ、実績評価書等の修正をお願いします。ありがとうございました。次のテーマに移ります。メインテーブルの入替えをお願いします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長

 続いては、「技能継承・振興のための施策を推進すること」について、担当課から3分程度で説明をお願いします。同様に所属と名前をおっしゃってから説明をお願いします。

 

○職業能力開発局宮本能力評価課長

 職業能力開発局能力評価課長の宮本です。私のほうからは実績評価書について簡単に御説明いたします。施策目標名は、「技能継承・振興のための施策を推進すること」です。施策の概要は飛ばします。施策の背景については、職業能力開発促進法に基づき、第9次職業能力開発基本計画が策定されております。その中で、技能者の処遇面を含めた社会的評価の向上を図るということ、若年者が進んで技能労働者を目指すような環境を整備することという大きな目標が示されております。それに基づき、下のポツで、若年者に対する積極的な受検勧奨に加え、技能五輪全国大会などの競技大会の実施など、技能者に対する各種表彰により、技能の魅力や重要性の啓発を図ることが必要であるとされておりますので、それに基づいて施策を進めています。

 施策の予算額、執行率についてです。平成23年度、平成24年度については67億円程度でしたが、平成25年度から約40億円となっております。これは、平成25年度に、指標3に関係しますが、ものづくりマイスター事業を約33億円で創設しましたので、その関係で約40億円と大幅に増えております。その他については方向性に変更はありません。執行率は9割を超えています。

 続いて測定指標についてです。指標1ですが、1つは3級技能検定の受検者数となっております。技能検定については、技能者の技能を測るもので、3級、2級、1級、特級と複数あります。3級は、エントリー級と言われています。高校生とか、入職されるレベルの方が受けるものです。3級を受けていただくと、その後2級、1級、特級とキャリアのラダーを上がっていくことができ、技能に対する関心が深くなるということで、3級技能検定の受検者数についてを目標と定めています。この理由により、若者への技能の振興が効果的・効率的に行われているかが把握できると考えています。

 実績値は、平成22年度から平成25年度にかけて、平成22から23年度については増加しておりますが、平成23年度以降はやや減少傾向にあります。達成については△にしておりますが、これについては後ほど御説明いたします。

 指標2は、技能五輪全国大会来場者の若年者層のうち、大会をきっかけに職業能力の習得に意欲を持った割合で、目標値を8割にしております。この実績値については、平成24年度の77%のように目標を下回っているところもありますけれども、おおむね高い数字で、特に平成26年度は96%と高い割合になっております。

 指標3は、ものづくりマイスターの認定者数です。平成25年度に30億円超の大きな予算を設定しておりますので、それに関するものとして、ものづくりマイスターの認定者数を設定しております。ものづくりマイスターというのは何かというと、1級技能士などの非常に優れた技能を持っている方で、かつ実務経験年数があり、後進の指導に熱意を持っている方のことです。その方を認定し、その方が実際に中小企業の現場などへ行って、若い方への実技指導をしていただくことを通じ、若者の技能の向上や、団塊の世代で徐々に失われていきつつある技能の継承を図ることを目的とする事業です。

 年度ごとの目標については、平成25年度の1,400人というのは初年度ですので少ない数字でしたが達成しております。平成26年度は4,500人ということで、こちらについても5,000人を超え、目標を達成しています。

 次ページの総合判定についてです。判定結果はAとしております。指標1について目標を達成できていないことから、少し御異論があるのではないかと思って資料を用意しております。3枚めくると参考データがあります。1つ目のデータは、若年労働者数の推移です。最近は少子化が進んでいる中、若年者の数も減っているということで、まず若年労働者自体が減っていることが背景にあります。

2つ目のデータが非常に大きいのですけれども、3級技能検定の受検者数を、ものづくり職種と、ものづくり職種以外に分けております。ものづくり職種については、平成22年度以降徐々に増えていて、平成22年度から平成25年度にかけては7,000人ほど増えています。

 一方で、ものづくり職種以外の方が、平成22年度は約26万人ということで1桁違うのですが、そのうちファイナンシャル・プランニング職種が約23万人と非常に大きなものを占めています。ファイナンシャル・プランニング職種は、技能検定の中でも大きなボリュームを占めるところですが、創設して以来、言わば溜りがあったということで、金融機関の方が積極的に受けるということで、毎年たくさんの方が受けているのですが、それがほぼ一巡し、平成23年度から減少傾向にあります。したがって、平成22年度から平成25年度にかけて、ファイナンシャル・プランニングの職種の方が5万人減少しています。ものづくり職種については増加していますけれども、その増加分でファイナンシャル・プランニング職種の減を埋めることができなかったということです。

 戻って実績評価書です。確かに3級技能検定の受検者数自体は減少しておりますが、そもそもこの施策自体が技能の継承・振興ということですので、ファイナンシャル・プランニング職種を加えていたことが適切ではなかったのではないかと思っていて、実際上は目標を達成できているのではないかと私どもは考えております。

 有効性の評価ですが、指標2については目標を達成しておりますので、若者に技能の素晴らしさ、重要性を伝えるために有効であったと評価しております。実際の場で技能に一生懸命取り組まれている若い方を見ると、大人も非常に感動されますので、若年者へも影響が大きかったのではないかと思います。

 指標3ですが、ものづくりマイスターは謝金ベースでお願いしておりますので、言わば本業を休んで参加していただく方もいるので、マイスターになっていただくこと自体ハードルが高いのですけれども、そういう中で目標を達成できました。このことは、産業界の中でも技能の継承について非常に危機感がある、後継者不足について非常に危機感がある中で、産業界のニーズにも合った施策という観点から認定につながったのではないかと思い、有効であったのではないかと思います。

 効率性の評価についてです。指標2、指標3について記載しております。予算についてはおおむね横ばいの中、指標目標を達成していることから、効率的であったのではないかと考えております。

 現状分析についてです。技能継承・振興の観点から、技能に対する若者の意欲と、技能を教える者の両方の存在が必要であると思います。この施策については、その両方から支援しており、その支援について、それぞれ目標を達成していることから、相乗効果のある施策だと評価できるのではないかと考えております。引き続き効率的・効果的な業務運営を行っていきたいと思います。

 次期目標等への反映の方向性についてです。現在の指標1では、先ほど御説明しましたとおり、この施策の効果を適切に反映できるような指標となっていないのではないかと考えております。なお、ものづくりマイスターの事業においては、技能検定128職種ではなく、ものづくりに限った112職種を切り出し、ものづくりマイスターを認定しております。今後、ものづくりに関連するものについての3級の受検者数について指標としていく、というように検討していきたいと思っております。御説明は以上です。

 

○阿部座長

 ただいまの説明について、御意見、御質問等があればお願いします。

 

○渥美委員

 御説明をありがとうございました。総合判定に関しては全く異論はないのですけれども、そもそも技能継承・振興のための施策ということです。私も民間でのワークライフバランスのコンサルとか、ダイバーシティのコンサルの中で、技能承継というテーマがある企業であって、やったことを御紹介します。その会社でもマイスターをつくりました。ただ、ものづくりマイスターというのは年配の方がなられる。マッチングが難しい、そもそもそういう人に指導してもらいたい現場と、マイスターが離れているということは、今回の国の施策でも同じことが起きていると思います。

 私が、マイスターが現場へ行かなくてもいいように、今はWebカメラの解像度が高いので、国も勧めているテレワークと絡めて、マイスターが自宅で助言できるようなシステムをその会社で作りました。これは、非常に有効活用されています。

 つまり、マイスターに認定して終わりではなく、その人たちが実際に現場から、特に若い人たちからアドバイスを求められて活用されるというのが、次のステップで大切だと思います。是非、国の他のテレワークの施策と絡めて、マイスターの有効活用、そのためにはデータベースを作って、ナレッジを「見える化」する。これだけの人数がプールされていくと、それぞれのマイスターのスキルにアクセスできるアクセシビリティもきちんとしていかないと、マイスターの認定をして終わりになりかねない。そこはお考えだと思いますけれども、きちっとなさるといいかと思います。

 指標123も多分関連している話だと思います。指標1の定義の組換えは全く異論ないのですけれども、例えばその応募者数の中で、マイスターと接点があって、そこで応募につながったとか、あるいは技能オリンピックをきっかけに、単に関心を持つだけではなくて、習得のために受検したとか、それぞれの中での割合を高めていくことも考え得るのかと思いました。素人考えではあるのですけれども、今、私が企業の現場でやっていることは、そういうことです。何かもし参考になったらと思って申し上げました。

 

○職業能力開発局宮本能力評価課長

 御指摘をありがとうございます。おっしゃられたように、マイスターについては平成25年度に創設し、これまではマイスターを認定するということでやってまいりましたが、徐々に事業の形も整ってまいりました。実際にマイスターの方というのは、仕事を抱えながらされていることもありますので、マッチングが非常に難しいということを私どもも聞いております。次の課題かと思っております。

 テレワークについては、まだそこまで考えておりませんでした。今年度から、実施体制について47都道府県にコーナーがあるのですけれども、その47都道府県ごとの委託先を、これまでは厚生労働省が個別にやっていて、言わばバラバラだったのです。今年度から、ジョイントベンチャー方式にして、47都道府県と中央団体にジョイントベンチャーということで一括して受託していただくことになりました。したがって、各コーナーごとの連携とか、ノウハウの蓄積もやりやすくなっていくのではないかと思っております。

 それから、A県にはいたけれども、B県にはマイスターがいないということもありましたが、全国一括ですので、広域の活用も今後やっていきたいと思います。御指摘のとおり、いかに認定したマイスターを活用していくかというのが今後の課題だと思っておりますので、御意見を参考にしながら進めていきたいと思います。

2点目の指標3です。御指摘のとおり活用していくことが、今後の事業の新しい展開の課題ということであれば、指標についても認定するだけということではなくて、少し違う指標も考えられるのではないかと思います。平成26年度については、まだ十分な数のマイスターが認定されておりませんので、このままにさせていただきたいのですが、次年度以降については、活用という方向で何らかの指標が立てられるように検討していきたいと思います。

 

○渥美委員

 マイスターの活用なのですが、宮本課長は少子化対策にも造詣が深い方なので御存じかと思います。地域版のキッザニアみたいなものが、今はかなり立ち上がっています。そういうフェスタとかメッセ、子供たちが集う場所に、こういうマイスターが行って技術を見せるとかなりうけます。ものづくりに対する関心も本当に深まります。三重県とか、幾つかの自治体では、このマイスターと絡んでいるかは分からないのですけれども、技能を持った熟練工の方々が、その熟練の技を見せて、子供たちに仕事に関心を持ってもらう、できれば地元でその企業に就職してもらう。地方創生のような絡みと連携したり、あるいは子育て支援と絡めたり、マイスターというのはいろいろ有効活用できると思うのです。その辺も他部署と連携を深めていただければと思います。

 

○高橋委員

 次期目標等への反映の方向性で御説明いただいた方向性は、そのとおりではないかと思います。他方で参考データを見たときに、ものづくり職種の受検者数の水準が余りにも低いのではないか。エントリーレベルの受検者数にしてはちょっと低すぎて、将来的に2級の受検者数がこのぐらいという形を目指すのが本来あるべき姿なのではないか。3級というのは、1桁ぐらい少ないのではないかという感じがしますので、次期の目標の設定をし直すときに、目標の立て方も、前年度実績以上とするのがよいのかどうなのか、その辺りについては御検討いただいたほうがよろしいのではないかと思います。

 もう1点は指標2です。もともと技能五輪にやって来ようという人は、そもそも関心がある人なので、そういう人の指標として80%という水準の程度がいいのかどうかというのは、私はちょっと疑問があります。本来なら90%以上というほうがよろしいのではないかと思います。また、指標としても、技能五輪に来ないような若者に、どうやってものづくりとか、技能について関心を持ってもらって、職業能力を高める意欲を持っていただくのかというほうが、より重要なのではないかという気がしております。今回の実績評価とは直接関係ないのですけれども、将来的にはそうしたことも指標の可能性として模索し、検討していただければと思います。

 

○職業能力開発局宮本能力評価課長

 ものづくりについての3級の受検者が少ないのではないかというのは、本当におっしゃるとおりです。3級については、必ずしも全ての職種で設定されている状況ではありません。私どもといたしましては、3級について設定をするということで、順次作業を進めております。具体的に本年度からは家具製作、平成28年度からは鉄筋施工というように、試験問題を作るには2年ぐらいかかりますので、1度に幾つもというわけにはいきませんけれども、少しずつ産業界の方とも相談しながら、3級の設定を進めていきたいと思います。

 指標2は、確かに大会にいらっしゃるのは、そもそも関心の高い方なので、8割は低すぎるのではないかという御指摘でした。数字を見るとやはりばらつきがあります。これは何かというと、開催地が違うのです。競技大会にはどういう趣旨があるかというと、全国の若者にとって技能を目指していく上での非常によい目標になるということで、若者に技能を目指していただくために、技能向上のインセンティブを与えるというところもあります。また、その地域における技能に対する関心や取組を振興していくという側面もあります。

 平成26年度は愛知県で開催いたしました。愛知県は、ものづくりについての関心が非常に高く、技能五輪全国大会の出場者数も全国最多です。県全体に取り組んでいただいていて、非常にたくさんの企業に協賛していただいております。結果として96%と非常に高い数字です。

 一方で、県名は申し上げませんけれども、数字の低い所もあります。過去の例としては、例えば岩手県で開催したことがあります。岩手県では、それまで参加者数は非常に少なくて1桁ぐらいしか参加していませんでした。それが開催に併せ、開催県として選手を130人出すという目標を決めて、実際に130人の選手がその大会に参加したということがあります。その後も、岩手県からの出場者は多かったのですが、その効果は延々と続くわけではなくて、だんだん減っていくのですけれども、やはりそういう効果もあったということです。

 御指摘に答えておりませんけれども、いろいろな地域で開いていく中で、やはり地域によって温度差がありますので、少し数字が低く出る所もあります。御指摘については、将来に向けて検討していきたいと思います。ありがとうございました。

 

○阿部座長

 私も、高橋委員がおっしゃったことは非常に重要ではないかと思います。1点目の次期目標で、製造・建設系職種のところに絞ってしまうと人数は相当少なくなっていて、予算との見合いでいくと、これは効率的に行われているかどうかというのが、パッと見るとちょっと心配になります。実際にはもっと幅広くやっているのですけれども、指標1でこの人数かとなってしまうと、見せ方としてはまずいのではないか。見せ方と言うと変ですけれども、それが果たしていい指標になるのかということがあります。ものづくり職種以外の職種の受検者数を入れたのは、もしかしたらそういう理由があったのかもしれません。なぜこれが入っているのかというのは、調べたほうがいいと思います。

 もう1つは技能五輪全国大会の来場者数というのは、高橋委員もおっしゃっていたように、関心があるからそこには来るので、どの県でやるとしても、多分そういうことだろうと思うのです。これは技能の振興ということで指標化しようとした、あるいは若者に関心を持たせるための指標ということだろうと思うのですが、何かもうちょっと他に指標はないのかという気がします。ちょっと検討していただいたほうがいいのかと思います。

 

○職業能力開発局名田能力評価課長補佐

 能力評価課課長補佐の名田です。技能五輪大会、また、ものづくりマイスターの事業の担当をしております。決して反論というわけではありませんが、技能五輪全国大会の来場者は、もともと関心を持っている人ばかりなのではないかという御指摘に関しては、一般論的には多分そうなのだろうと思うのですが、最近の傾向では、小中学校、あるいは高校でも工業高校だけではなくて、普通科の学生にも足を運んでもらうことを、かなり積極的に進めております。

 特に平成2611月に愛知県で開催された技能五輪全国大会については、来場者数が、同時に開催された障害者の技能競技大会(アビリンピック)と合わせて22万人ということで過去最高になっています。なぜこんなにたくさん集まったかというと、いろいろ要因はあるのですけれども、愛知県が、やはり若者の大会なので、若い人たちの励みにならないといけないと。特にものづくりの中核的な県ですので、次の世代の人たち、より多くの人たちに、ものづくりに目を向けてもらわないといけないと。これは大村知事のお考えであったと聞いております。

 そういうことで、技能五輪全国大会は、雇用・労働部門の取組なのだけれども、教育部門の文教政策のほうとがっちりスクラムを組んで、より多くの子供たちが、できれば学校公式行事として足を運んでくれるようにするべきだということで、愛知県の中で、各教育委員会にも声を掛けて、土・日の大会だったのですけれども、学校がバスを仕立てて相当数、各市町の小学校、中学校あるいは高校生が足を運んだということがあります。

 先ほど渥美先生から御指摘のありました、各地域での地域版キッザニアのような所でという取組もやっております。私はものづくりの分野で行こうという進路をある程度固めた人たちだけではなくて、そのもう1つ前の段階の人たちにもウイングを広げて、技能の振興を図っていこうというのが、今の私どもの方向性で、実際にその方向で動いております。技能五輪の来場者は、みんなやりたい人ばかりなのではないのかということについては、少しそういう状況ではなくなりつつあることは御説明申し上げたいと思います。御指摘はごもっともですので、指標の在り方についてはいろいろ考えていきたいと思います。

 

○阿部座長

 意欲を持ったことだけでいいかというのがありますので、意欲から実際に受検だとか技能を磨くといったところに行ってもらわないといけないわけです。ですから、その辺りも少し念頭に置かれて、指標は考えていっていただければと思います。他にないようでしたら、所管課におかれては、ただいまの議論を踏まえて実績評価書の修正等をお願いします。ありがとうございました。次のテーマに移ります。メインテーブルの入替えをお願いします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長

 続いては、「地域における子育て支援等施策の推進を図ること」について、担当課から3分程度で説明をお願いします。これまでと同様に、所属とお名前をおっしゃってから説明をお願いします。

 

○雇用均等・児童家庭局総務課楊井少子化対策企画室長補佐

 厚生労働省雇用均等・児童家庭局少子化対策企画室で室長補佐を務めております楊井と申します。よろしくお願いします。私からは「地域における子育て支援等施策の推進を図ること」という目標について御説明します。こちらの施策は、全ての子ども・子育て家庭の状況に応じた支援を行うために、各地域の実情に応じて、必要な事業を実施するというものです。

5年前の平成221月に閣議決定された「子ども・子育てビジョン」の中でも、「地域における子育て支援の拠点の整備、機能の充実を図る」ということが盛り込まれています。そのビジョンの中では、平成22年度から平成26年度までの5年間を目途とする数値目標を掲げています。このビジョンに掲げられた数値目標を、こちらの測定指標でも目標値として掲げています。つまり、こちらの測定指標では、7つの項目を指標として掲げていますが、これは全て、5年前に閣議決定された「子ども・子育てビジョン」に盛り込まれた目標値となっています。

 全体の判定結果はBとしています。各指標とも、平成26年度の目標値というのは達成していませんが、毎年度とも全て前年度よりも実績値は増加しており、施策目標の達成に向けて適切に実施はしてきていると判定しています。

 また、事業の有効性ですが、ビジョンで掲げた数値目標の達成に向けて、少子化対策ですので、厚生労働省のみならず、関係省庁と連携して取り組んできたところであり、その結果として前年度を上回る傾向にはありますので、適切な取組を進めてきているということで、有効性の評価の所に、その旨を記載しています。

 また、効率性については、各指標とも、全ての事業は基礎自治体である市町村が実施主体となっており、実施主体である市町村の実績を踏まえながら、必要な経費に限定して予算要求をしています。また、実際に交付金を交付するときも、対象経費を本当に必要な経費に限定していますし、特にショートステイなどは既存施設を活用しながら事業を実施しているといったことから、効率的に取り組んできていると評価しています。

 今後の5年間ですが、今年の3月に、5年前に閣議決定された「子ども・子育てビジョン」に代わる新たな少子化対策として、内閣府を中心に少子化社会対策大綱を取りまとめたところです。これは、平成27年度から平成31年度までを期間として閣議決定しており、大綱の中で、平成31年度までの新しい目標を設定したところです。この新しい目標は、市町村がそれぞれ家庭に調査票を送って実施したニーズ調査に基づき、市町村が、今後の5年間の市町村計画を取りまとめます。その市町村計画で、それぞれの事業についてのニーズを把握して、そのニーズを積み上げたものを、国の目標として設定しています。今後は、平成31年度までの目標として少子化大綱に掲げた目標に向けて、施策を実施していきたいと考えています。説明は以上になります。

 

○阿部座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問等があればお願いします。

 

○安永委員

 連合の安永です。2点申し上げたいと思います。

まず1点目です。指標1の乳児家庭全戸訪問事業についてです。この事業は、児童虐待リスクを減らす、また、親の子育て不安などに対応する意味で重要な施策であると認識しています。しかし、残念ながら100%になっていないということは大きな問題だと思っていますし、訪問できていない数パーセントにこそ、課題を抱えているケースがあるのではないかと想像するところです。困難さも重々認識していますが、資料5-22ページの表を見せていただくと、県ごとに実施状況にばらつきがあります。ついては、今後、総務省などとも連携を取っていただいて、実績が極端に低い自治体に対しての、集中的な対策を取る必要があるのではないかと思います。この点に関する御見解をお聞きしたいと思います。

2点目です。指標5のファミリー・サポート・センターは、都市部を中心とした子育て支援の重要な拠点、資源の1つだと思っていますし、指標6の地域子育て支援拠点事業も、子育て中の親子が気軽に集って、相互交流や子育ての不安・悩みを相談できる場として、それぞれニーズが高いと承知しています。人材確保の課題もあると思いますが、達成できていない原因も分析しながら、これも市町村に対してどのような助言をしていくべきか、検討する必要があるのではないかと思っています。

以上2点です。

 

○雇用均等・児童家庭局総務課楊井少子化対策企画室長補佐

 御意見ありがとうございます。委員の御指摘のとおりであると、我々も認識しております。児童虐待の問題というのも非常に重要な課題として、厚生労働省でも検討を進めているところです。

 また、ファミリー・サポート・センターや拠点事業というのも非常に重要です。これらについては、これまでも事業の実施はしてきていましたが、今年の4月にできた子ども・子育て支援新制度においては、地域子ども・子育て支援事業として、新制度の枠組みの中でしっかりと消費税財源が投入される仕組みになりました。新制度の枠組みの下、消費税の引上げ財源を利用して、これらの事業もしっかりと実施していこうと取り組んでいるところです。それぞれ基礎自治体が責任を持って、事業のニーズを把握して、しっかりと消費税の財源を投入しながら進めていくということで、御意見のとおりにしっかり進めていきたいと考えています。

 

○阿部座長

 ほかはいかがですか。

 

○渥美委員

 少子化対策を研究している渥美と申します。今の安永委員の御質問とかぶるのですが、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業に関して、未実施の市で活動しているNPOの女性たちなどとしゃべったときに伺ったのですが、市の姿勢がかなり頑なで、未実施の理由というのは把握なさっているかと思いますが、保健師さんがとてもお忙しくて、やはり高齢者対応に追われていて、子育てのほうにはなかなか手をさけないという、これが共通している課題です。

 これも御案内になっていますが、今はネウボラがすごく広がってきていますよね。民生・児童委員さんとか地域住民を活用する、NPOを活用するというのが、多くの市区町村でなされているし、それで優良事例というのも厚生労働省は把握されていると思います。ネウボラの全国展開というのをなさっていますから。

 そもそもやっていない市というのは、やはり地域住民には任せられないとか、あるいは行政側の論理で、なかなか国からの働き掛けでも未実施ということだと思うのですが、そこはきちんとやり方を教えてあげないと。こういうやり方もありますよ、こういう成果を上げていますよ、そのためには単にNPOに任せていいわけではないから、きちんと教育訓練としてはこういうシステムを作っていますよという、そういうベスプラを教えてあげないと、100%に行かないのではないかと思います。

 あと、もう1点の御質問はファミサポの件ですが、これは有効な施策だと私も思います。ただ、これも既に把握されていると思いますが、死亡事故が起きていますよね。それで裁判沙汰になっています。その死亡事故が起きた市の見解などを聞いていても、無責任だというのは感じるのです。生徒として民間同士ですので、まさかのリスクのときに保育園やほかの居場所と違って、ファミサポの場合はブラックボックスになりやすいですし、あくまでも民と民との話だというところで、国の関与する余地が極めて少ない。やはり万が一のリスクというのは顕在化してしまっているので、そこに対する対策。例えば私もささやかな地域活動をやっている人間で、子どもとしょっちゅう接していますので、毎年、もう20年くらい子どもたちを連れてキャンプに出掛けているのですが、そういうときは必ず保険を掛けています。子どもたちを守るためでもあるし、私自身も守るため。何かそういうリスクヘッジの施策も国として講じないと。ファミサポはここまで広がってきて、死亡事故はあってはいけないし、それが起きたときの双方の受けるダメージ、サポーターと預けた親、そこのリスクヘッジ策というのをもし何かお考えであれば、お聞かせいただきたい。以上です。

 

○雇用均等・児童家庭局鈴木職業家庭両立課長補佐

 職業家庭両立課の課長補佐の鈴木と申します。委員が御指摘の事故の関係ですが、大変痛ましい事故であったと認識しております。原因等はいろいろとあるかと思いますが、事故が起きた後、提供会員という実際に子どもを預かる人に対して、24時間の講習という安全の対策を含めた形の講習内容をお示しし、講習を受けてくださいとお願いしております。さらに、病児、病後児の事業という加算事業があるのですが、そちらについては24時間講習の受講を必須ということでお願いをしておりまして、そういった対策を講じております。事故に関しては、いろいろと御意見等があるかと思いますが、そういった御意見を踏まえながら、今後どうしていくかも含めて考えていけばと思っております。

 

○渥美委員

 ありがとうございます。

 

○高橋委員

 資料の2ページ目の評価結果と今後の方向性の所です。すごく細かいのですが、総合判定の判定理由の出だしの所、「各指標平成26年度」というのは脱字があるような気がします。同じように施策の分析の現状分析の出だしも、「各指標平成26年度」になっていて、脱字があるので直していただいたらいいのではないかと思います。

 

○雇用均等・児童家庭局総務課楊井少子化対策企画室長補佐

 かしこまりました、失礼いたしました。

 

○高橋委員

 あと、ここの評価結果と今後の方向性の判定理由にも出てきますし、有効性の評価にも出てきますし、施策の分析の現状分析にも3回同じことが出てきて、それは何かというと、毎年度の実績値が増加傾向であるということで、繰り返し出てきます。

 しかしながら、私が理解する上において、要は単年度の評価はどうなのかということも、とても大切で、過去からトレンドが増加であればいいのかというのは、少し違うのではないかと思っています。それだったら、ほかの事業だって、トレンドとして増加していればいいということが適用されてしまい、政策評価とは一体何を基軸にするものなのかという疑問なしとしないと思うので、この毎年度の実績値が増加傾向だからよしとするかのような記述については、余りにも多すぎますし、御再考いただいたほうがいいのではないかという感想を持ちました。以上です。

 

○阿部座長

 私も高橋委員に比べればもう少し厳しいことを言うと思うのですが、まずそもそも厚生労働省のこの施策が、一体何を目標にしているのかということが、余りちゃんと書かれていない気がします。多分これは市町村がエージェントになって、国民に接するのは市町村で、厚生労働省は市町村にどのような施策をしてもらうかという。そこが多分、本当は目標というのは国民の幸せだとか、健康だとか、いろいろあるのですが、だけどここでやっている施策というのは、市町村にどのように対応するか、あるいはどうやって施策を進めてもらうかというところですよね。その辺りがちゃんと書けていないのではないかということが1つあります。

 ですから有効性だとか、効率性だとか言ったときに、この書きぶりでは何が有効で、何が有効ではなかったのか、何が効率的で、何が効率的ではなかったのかというところが、意味不明なのです。だから、もう少し書き方はちゃんとしたほうがいいのかなと思うのです。

 「総合判定」の判定結果がBなのですが、Bというのは少し良すぎかなという気はします。ですので、もう少し何が問題なのかというのをはっきり書くべきだろうと私は思います。なぜこんなに強く言うかというと、やはり子育て支援だとかというのは、今の日本経済、あるいは社会の持続性の上で、少子化問題というのは、非常に大きな関心事なわけです。このままでいくと、少子化は進んでいますよね、出生率は上がっていませんよね、でもBなのですかということになりかねないですよね。だから、やはりそれは何が駄目だったのか、もっと次にやるためには何をすべきなのかといったところは、しっかり書くべきだろうと思います。そういう意味では難しいかもしれないですが、少しお考えになっていただきたいと思います。

 言いたいことは、つまり厚生労働省の目標は何だったのか、その目標は実際にどう達成できたのか、達成できないのはなぜだったのか、その問題をどうやったら解決できるのかということで、この辺りを明らかにすべきだろうと思います。市町村が間に入っていることは重々承知しています。

 

○雇用均等・児童家庭局総務課楊井少子化対策企画室長補佐

 かしこまりました、再検討したいと思います。

 

○阿部座長

 ほかに何かありますか。

 

○安永委員

 ここの施策目標の所だけではないのですが、財源の所での言及がありましたので一言申し上げたいと思います。子ども・子育て支援新制度が4月から始まりましたが、財源については、当初は質の改善に1.1兆円が必要だとお聞きしていました。しかし、質の改善のために確保できた財源は残念ながら0.5兆円の措置に留まっているということだと思います。

 それぞれの施策において、財源が確保できなかった影響を受けているものがあるとすれば、次に向けて必要なものとして、明記しておくことが必要ではないでしょうか。財源の話が出ましたので、そのことについても申し上げておきたいと思います。

 

○雇用均等・児童家庭局総務課楊井少子化対策企画室長補佐

 今の御意見ですが、子育て支援の質と量の充実のためには、合わせて1兆円超の財源が必要というのは御指摘のとおりですが、そのうち0.7兆円については、消費税10%への引上げ財源を充てるということになっていたのです。0.7兆円分は、消費税が満年度化する前の平成27年度に置き直すと、0.5兆円になります。子ども・子育てについては、消費税引上げが延期になりましたが、平成27年度にも、0.7兆円ベースの必要な財源が確保されたところです。

 ただ、おっしゃるとおり実際は1兆円超の財源が必要であり、消費税引上げのみならず、消費税財源以外も含めて、約0.3兆円以上の額が必要になりますので、その消費税引上げ財源以外で確保する分というのは、今後の予算編成過程で検討していかなければいけない課題となっています。

 従って、0.7兆円必要だったのが0.5兆円に減ってしまったというのではなくて、0.7兆円というのは、あくまで消費税が満年度化したときに0.7兆円ですので、消費税引上げ分の0.7兆円を、平成27年度に置き直すと0.5兆円ということで、消費税分については、子育てについては、確保していただいたというところであります。

 

○阿部座長

 では、ほかになければ時間もありますので、ここで終わりにしたいと思います。所管課におかれては、ただいまの議論を踏まえて、実績評価書の修正等をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、次のテーマに移りたいと思います。メインテーブルの入替えをお願いします。

 

(メインテーブル交替)

 

○阿部座長

 次が最後ですが、「保育所の受入児童数を拡大するとともに、多様なニーズに対応できる保育サービスを確保すること」について、担当課から3分程度で説明をお願いします。同様に所属と名前をおっしゃってから、説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○雇用均等・児童家庭局竹野保育課長補佐

 雇用均等・児童家庭局保育課の竹野と申します。課長補佐をしています。よろしくお願いします。

 施策目標です。保育所の受入児童数を拡大するとともに、多様なニーズに対応できる保育サービスを確保することです。施策の背景・枠組みの3パラ目です。現在は、平成254月に策定した「待機児童解消加速化プラン」に基づいて、保育ニーズのピークが見込まれる平成29年度末までに約40万人分の保育の受皿を新たに確保する。これにより待機児童解消を目指すことを目標に取り組んでいます。

 施策の予算額・執行額等です。平成26年度が4,895億で、平成27年度が840億となっています。※の所に書いていますが、本年4月から子ども・子育て支援新制度が施行されたことに伴い、従前の保育所運営費相当分が、平成27年度からは内閣府のほうに移行したということで減額になっています。

 測定指標を簡単に御説明します。まず指標1の保育所受入児童数です。これは、平成26年度の目標値を246万人としていて、現在、集計中ですが、おおむね達成できる見込みがついているということで○としています。

 指標2の家庭的保育事業、それから指標3の延長保育、指標4の病児・病後児保育、これらについては目標値と若干乖離があるということでして、それに応じて指標3については△、指標2と指標4については×と評価をしています。

 指標5の認定こども園の認定件数です。これは、先ほど説明がありましたが、「子ども・子育てビジョン」という平成22年度の閣議決定、これに基づいて平成26年度に2,000ヶ所という目標を定めていますが、これも新制度の施行に伴い、認定こども園制度の改善が行われたということで件数が増えたということです。2,836ヶ所で目標達成ということで○としています。

 評価結果と今後の方向性です。まず、施策の分析からです。有効性のうち、指標1については、「待機児童解消加速化プラン」を推進して、昨年9月に公表した集計結果では、平成25年度、平成26年度の2か年の保育拡大量19.1万人。保育の受皿の増加分のみを積み上げた場合は20.1万人ということで、順調に推移しています。指標5については目標を達成しています。指標234については現状分析の欄でまた申し上げます。

 効率性です。都市部を中心に待機児童が多いという状況があるので、都市部の自治体中心に、国からも積極的に働き掛けを行って保育所の整備を進めています。延長保育、病児・病後児保育の予算事業については、交付要綱できちんと必要な経費に限定をして効率的に取組を進めています。

 現状分析です。1点目は、保育の受皿の確保を引き続き推進していく必要があるということです。家庭的保育の利用児童数については、要するに家庭的保育事業は小規模なもので、それよりも保育所の整備をしっかりやってきたということで、家庭的保育事業自体は小幅な伸びとなって目標値を達成していません。平成27年度から平成29年度までの3年間で約20万人の保育の受皿の確保。これは保育所と合わせてということですが、併せて受皿の確保を引き続き推進していくとしています。

 延長保育については、これも事業展開がなかなか図られずに目標値を達成できなかったということです。先ほど説明がありましたが、子ども・子育て支援新制度の下においては、市町村のほうで、潜在ニーズも含めてどれくらいの量が必要かという計画を立てていただいて、それに応じて整備を図っていくとしていますので、これに基づいて事業展開をしていくということです。

 病児・病後児保育については、これは病気のお子さんが対象になるものですので、利用児童数が季節によってばらつきがあったりとか、安定的な運営を確保することがなかなか難しいといった課題がありました。これも新制度の下において、消費税増税分の財源を充当して単価の改善などを図っていて、これで受皿拡大を進めていきたいということです。以上をもちまして、総合判定についてはBと評価をしています。 次期目標等への反映の方向性です。「少子化社会対策大綱」が閣議決定されたので、これに基づいて引き続き取組を進めていきたいということです。説明は以上です。

 

○阿部座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○安永委員

 何点か申し上げたいと思います。

1点目が、指標1の保育所受入児童数の目標値と実績値246万人となっていますが、保育所入所待機児童数は昨年10月時点で43,184人となっています。今後、女性の就業率が更に向上するとともに保育ニーズも高まっていくことが想定される中で、再度、地方自治体の子ども・子育て支援事業計画を検証して、目標数の上乗せも必要なのではないかと思いますが、見解をお聞かせ願います。

2点目は、指標3の延長保育についてです。延長保育に関する指標の達成が十分でないとしていますが、延長保育利用児童数が多い施設には、非常勤保育士を1名加配するという施策が、財源が確保できなかったために先送りになったと聞いています。この施策については、財源が確保されていれば実施できたという話も聞いています。その辺についてお聞かせいただきたいと思います。

3点目は、指標4の病児・病後児保育についてです。病児・病後児保育は、私どもの連合の組合員からも非常にニーズが高い課題です。実施施設が限定されていることや、看護職員の確保が難しいという問題もあると思いますが、財源が確保されているにもかかわらず広がっていない状況について、原因分析して対応を進める必要があると思います。

4点目は、指標5の認定こども園についてです。そもそもこの子ども・子育て支援新制度に入っている幼稚園は2割程度に留まっています。また、地域的なばらつきもあるようです。しかし、新制度は全ての子どもに対する支援を理念としていると認識をしているので、地方自治体がそれぞれの幼稚園や関係団体としっかり話し合って、新制度の下での運営が図られるよう理解を進めていく必要があると考えます。この点についても見解をお聞きしたいと思います。以上です。

 

○雇用均等・児童家庭局竹野保育課長補佐

4点御質問、御意見を頂きましてありがとうございました。まず、1点目の待機児童数の件についてです。御指摘があった43,000人という数字は、平成2610月の段階の数字でして、これは市町村によって取り方がばらばらなことがあるので、厚生労働省できちんと待機児童数と公表する場合には4月時点での数字を用いています。平成264月の数字は21,371人となっています。整備量ほど待機児童が減っていないのではないかという御指摘もいただきますが、やはりかなり女性の就業促進ですとか、そういうところでニーズが伸びてきているという事情もあるのかと思っています。いずれにしても、昨年度までの整備実績についてはこれから把握集計をして、また整理をしていくので、そういうことも踏まえながらこれからしっかり取り組んでいきたいということです。

 指標3の延長保育の非常勤職員の件についてです。これは、先ほどお話があった消費税財源を充当する質の向上の部分と、消費税財源以外の財源を確保して質の向上を図る部分と両方あって、今、御指摘いただいたのは後者のほうに当たります。これはしっかり財源を確保できるよう我々としても努力をしていきたいということです。

 病児保育については原因分析をしてしっかり対応していくべきということですが、これについては全く御指摘のとおりでして、今年度は質の向上により単価の改善を図ったところですので、これを市町村等にしっかり周知をして、その状況なども踏まえながらまた必要な対応を考えていきたいということです。

 最後に、認定こども園制度について地域的なばらつきがあるのではないかということですが、これは、新制度の法案の国会審議の過程において、全ての施設を認定こども園に強制するということではなく、地域の実情に応じて施設の選択に委ねるとされました。ただ、御指摘のとおり、認定こども園は教育と保育を両方とも提供するというメリットがあるので、これは移行を希望する園がきっちり円滑に移行できるように対応していきたいと考えています。確かに、今年度、今年の4月を迎えるに当たって、国から公定価格の公表が若干遅くなったという御指摘がありますが、そういうことにより、なかなか平成27年度の収入が見込めないということで認定こども園に成り切るという判断ができなかった園があると承知しています。こういった所に対しても引き続き丁寧な説明に努めて、もし御希望される場合には円滑にできるように支援をしていきたいと考えています。以上です。

 

○渥美委員

 少子化の研究をしている渥美と申します。私は企業の現場で女性活躍のコンサルをしていますので、今お話があった中で、多分抜け落ちていることが2点あり、それをまず申し上げます。

 企業は今、女性活躍の流れで、できるだけキャリアを阻害しないために育児期間を短くしようということで、インセンティブを付けて。ですから、それは待機児童を押し上げる要因に絶対になります。あと、女性活躍推進法案で見える化もあるので、採用も進めていて、特に、一旦離職した、妊娠したときに辞めた6割の女性たちをターゲットに再就職をという動きも一部企業に見られるので、これも待機児童の押上要因にはなると。本当にゼロを目指すのであれば、やはりM字の底がもっと高まることを前提に、もう少し大胆に施設を増やさないと。これもよく御案内かと思いますが、どんどん作れば作るほど発掘しますので、そこは難しいだろうと。これはマクロの話です。

 ミクロの話として是非御検討いただきたいのですが、今、企業で女性活躍を進めるときに、そもそも、産む前に待機児童の少ない所に居住地を移すことをアドバイスする企業が徐々に出てきています。これは、厚生労働省で発表している待機児童の市区町村別のデータなどでは、それがそもそも入れることを期待するなというようなことなのですが。

 市区町村別にかなり取組に濃淡があって、これも御案内かと思いますが、千葉市が待機児童ゼロを2年続けていますが、あれは熊谷市長がかなり大胆に予算配分を変えて、高齢者給付を削って児童給付に充てていますし、職員数の配分もかなり子育てにウエイトを移してコンシェルジュやってゼロを2年維持したと。ですから、そもそも入りやすい自治体があって、そこを本当は見える化するだけでも随分、親の利便性というのは改善されるのです。要は、そういう所に移動すれば、市区町村の努力の中で作る、国が目標を掲げるだけではなくて、それぞれミクロで地域別に努力する所に人が集まる。

 構成世帯は納税世帯ですから、お金がかかるだけで未収穫だと多分自治体は困るのですが、そのまま定住していただければ自治体財政も潤うという戦略に打って出るところが、千葉市以外にも港区とか最近増えているのです。そもそも待機児童数が年に1回、厚生労働省の発表を待たないと分からない状況というのが、結構親としての利便性が低い、そこが改善されると随分違ってくると私は思っています。

 実は私は、待機児童の過半を占めている東京都の少子化のタスクフォースの委員でもあるのです。都内の全市区町村の待機児童数はもう、子ども・子育て支援新制度で都は把握できるのだから、それの情報をどんどんアップすればいいではないかと。おっしゃったような定義の違いとか、そもそも今、リアルタイムでは何人ですと、これは入れるかどうか分からないけれども、産む前に移動しておくことはあり得ますということで、考え得るようなデータを出せばいいと言っているのですが、絶対出さないのです、かなり頑なに。これは民間が幾ら言ってもしようがないので、厚生労働省が、そもそも新制度で把握できることはできるだけ情報をアップするような通達を出せば、ちょっと頑なな姿勢も変わるのではないかと思いますので、是非そこはお願いしたいところです。

 あの年に一度の待機児童数、研究者とかメディアは今年参考にしていますが、親があれを参考にしたいのは4月のタイミングではなく、2月とか、要するにこれも御説明不要かと思いますが、そもそも、翌年度に入れるかどうかを考えるタイミングで、今どこが入りやすいのか。それは妊婦が産む直前に引っ越しというのはかなり考えにくいので。それを四半期に1回とか、もう少し頻度を高く情報を公開していただくだけでも随分違うと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。以上です。

 

○雇用均等・児童家庭局竹野保育課長補佐

 ありがとうございました。マクロのお話とミクロのお話を頂きました。まずは1点目のマクロのお話です。現在の子ども・子育て支援事業計画を踏まえて、平成29年度には、今、12歳児の利用率が35.1%なのが46.5%に上がると見込んでいまして、同じ年度の3歳以上児が48.5%となっていることから、3歳以上児と12歳児が大体同じ水準に近づいてくるということで、かなり潜在ニーズに対応できるのではないかというのが今の計画です。ただ、御指摘のとおり、更にどんどん増えてくるのではないかということがあるので、その趨勢もしっかり見定めながら対応したいと思っています。

 それから、2点目の自治体によって取組が違うのではないかということですが、これは全く御指摘のとおりでして、我々も強く感じているところです。やはり、一生懸命やっている自治体と、なかなか少し腰の重い自治体があるということは事実でして、そういう腰の重い自治体に対してもしっかり働き掛けをして保育所整備を進めていただくことが重要です。積極的に取り組んでいるような自治体の取組の事例などを紹介をしながらやっていくことも大事だと考えているので、御指摘に踏まえて今後とも引き続き取り組んでいきたいと考えています。

 

○渥美委員

 是非、待機児童数の見える化を頻繁にやっていただけるとすごく有り難いです。

 

○高橋委員

 基本的には、先ほどの事業と全く同じことですね。指標5つのうち、見込みを入れて達成は2つですが、未達が3つで、しかも先ほどの説明では若干の乖離と言っていますが、指標の24は若干の乖離どころか相当程度の乖離があるわけで、余りにも甘すぎる評価結果と今後の方向性と言わざるを得ない。また、少しでも改善しているからいいみたいな話はやはりやめていただいて、未達の原因などをもっと厳しく分析していただくような規律振りにしていただければと思いますし、判定結果のBというのはあり得ないのではないかと思います。以上です。

 

○阿部座長

 私はまた別の角度からお話ししたいのです。指標全て最後良ければ全て良しと言っていいかどうかという問題があるのではないかと思うのです。というのは、例えば指標1ですと、平成22年度から平成23年度は4万人、平成23年度から平成24年度は5万人、最後平成25年度から平成26年度が12万人で、目標値平成26年度246万人を達成しているのです。これが○だということなのです。確かに分かるのです、例えば保育所を準備したり、定員を拡大するには時間がかかるというのも。ただ、やはり上に書いてある毎年7万人ずつ増加する目標値等を設定しているわけですから、そうすると、4万人、5万人という数字は7万人には達していないというのが普通に考えられることではないかと思います。ですから、最後良ければ全て良しと言っていいかどうかの問題なのです。多分、待機児童はこの間ずっと発生していたわけですから、そこの評価をどのようにしていくか。それでもって、こういうことが起こったことを、今後また続けてやるのかどうかということです。続けないほうがいいわけですが、そのためにはどうしたらいいかというのは、やはり評価としてはしておくべきではないかという気がしました。

 それから、待機児童の話で、渥美さんが出すべきだと。それはそのとおりなのですが、むしろ、国民はどの地域でも同じようなサービスを受けるべきですよね。ですから、あそこは待機児童が減っているから、では我々その地方自治体に移動してそこに行こうとなると、またそこに待機児童が発生するとか、そういうことが起こるということは、結果的には少子化の改善にはつながらない可能性があって。

 現に、研究では、確かに地方自治体は一生懸命やっている所では出生率は上がるのですが、それはなぜかと言うと、周りから若い人が移って移住しているからです。そうすると、その周りは全部出生率は下がるのです。ゼロサムゲームが起こっていて、日本全体では少子化は改善していない。ですから、先ほど、いや確かに自治体によって温度差があるのですよとおっしゃる、それはそのとおりなのです。その温度差があっていいかどうかというのは、また問題ではないかという気がするのです。

 ですので、少し厳しいですが、今、少子化の問題というのは非常に注目されていますので、やはりしっかりやっていただきたいという気が我々のほうにあって、いろいろ注文させていただいているのではないかと思います。

 

○雇用均等・児童家庭局竹野保育課長補佐

1点、指標1の所で、平成25年度、平成26年度で整備量が上がっているということでした。これは、実際に平成25年度に策定をした待機児童解消加速化プランで、補助率のかさ上げ、これまで国の補助が2分の1だったものを3分の2にするというかさ上げの措置を講じて、緊急集中的に取り組むという取組を進めてきたので、保育所整備が急に進んでいるという状況があります。指標2や指標3で、関連の保育事業との関係でも、やはり保育所を整備してほしいという声が結構あるもので、そこのところで保育所の整備にシフトをしているという状況は若干あるかと思います。

 いずれにしても、阿部委員から御指摘があったように、どこの自治体でも入れるようにすることは基本的には大変重要なことだと考えていますので、自治体の取組姿勢も何かムラがあるということではなくて、国全体、自治体と連携しながら一生懸命取り組んでいくというような気運の醸成にも努めていきたいと考えています。これからも引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。以上です。

 

○阿部座長

 では、よろしくお願いします。ほかに皆さんから御意見、御質問がなければ、これで終わりたいと思います。所管課におかれては、ただいまの議論を踏まえて実績評価書の修正等をお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 本年度、当ワーキンググループで議論を行う実績評価書については以上で終了です。本日も、いつもと変わらず誠に熱心かつ有意義な御審議を頂きまして、ありがとうございました。それでは、事務局より本日の議論の取扱いについて一言お願いします。

 

○政策評価官室長補佐(今宮)

 本日頂きました御意見等については、今後、担当課において評価書の内容にしっかりと反映させていただくとともに、「学識経験を有する者の知見の活用」という欄がありますので、頂いた御意見を評価官室のほうで取りまとめの上、総務省への通知、そして、公表手続を進めさせていただきます。また、併せて、最終版を皆様にも送付させていただきます。事務局からは以上ですが、本ワーキンググループの閉会に当たり、情報政策・政策評価審議官の安藤より御挨拶をさせていただきます。安藤情報政策・政策評価審議官、よろしくお願いいたします。

 

○情報政策・政策評価審議官

 情報政策・政策評価審議官の安藤でございます。本日は、本当に長時間にわたりまして御熱心に御審議を頂き、誠にありがとうございます。また、先生方におかれましては、長年にわたり厚労行政に御支援、御協力いただきまして、誠にありがとうございます。改めて御礼を申し上げます。

 御案内のとおり、私どもの行政は国民生活に極めて密接に密着して進めているものでございますので、PDCAサイクルをしっかりと回しまして、国民のニーズにしっかり合うような形で常に作り変えていくということが必要になってまいります。政策評価がその中核でございます。本日も大変有意義な非常に有り難い御意見を多数頂きました。これを踏まえまして、きちっと政策評価を実施していきたいと思っております。どうか、また引き続き、よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

 

○阿部座長

 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。


(了)

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