ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第4回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WG 議事録(2015年7月2日)




2015年7月2日 第4回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WG 議事録

○日時

平成27年7月2日(木)10:00~11:56


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○出席者

高橋座長、梅田委員、菊池委員、堀田委員、山田委員

○議事

(以下、議事録)

○高橋座長

 定刻になりましたので、第4回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGを開催いたします。足元の悪い中、また、御多忙の中、御参集いただきましてありがとうございます。今日の議題ですが、お手元の議事次第にありますように4つのテーマの実績評価書について委員の皆様に御審議を頂くという予定にしております。

 それでは、今日の配布資料及び「平成27年度に実施する政策評価について」の進め方について事務局より説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐(今宮)

 議事に入る前に本年4月以降、事務局に異動がありましたので紹介いたします。まず、政策評価官の大地です。

 

○政策評価官

 本年41日に政策評価官を拝命いたしました大地でございます。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐(今宮)

 続きまして、政策評価官室長補佐の生沼です。

 

○政策評価官室長補佐(生沼)

 生沼でございます。本年41日付けで政策評価官室長補佐を拝命いたしました。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐(今宮)

 まず、資料の確認をいたします。配布資料は、上から議事次第、座席表、有識者会議の参集者名簿です。続いて、資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料3-1、資料3-2、資料4-1、資料4-2です。参考資料は上から参考資料1が「政策評価実施予定表」の1枚紙、参考資料2が「平成27年度実績評価書に新設された項目」、参考資料3が「有識者会議開催要項」、参考資料4が「厚生労働省の第3期基本計画」、参考資料5が昨年3月に皆様方の御意見を踏まえ作成した「事前分析表」です。

 なお、本日はこれらの資料に加えて、別途「社会保障と税の一体改革」というカラーのパンフレットを配布させていただいております。こちらのパンフレットが置いてあります。こちらは内閣官房、内閣府、総務省、財務省、厚生労働省が協力して作成し、内閣府の政府広報室が発行したものであり、政府全体で取り組んでおります一体改革の背景、趣旨、内容等を分かりやすくまとめたものとなります。委員の皆様方におかれましては内容的に既に御承知かと存じますが、政府の一員である厚生労働省の取組内容の紹介として参考配布させていただきましたので、よろしくお願いいたします。

 なお、事前に送付しております資料から、何点か変更点がありますので、その紹介を簡単にいたします。資料1-2に関して624日に2025年度に向けた介護人材にかかる需給推計確定値が公表されたため、これらに関する資料を別途、追加配布しております。資料2-1について、測定指標2の目標値の設定根拠について記載を一部、修正しております。また、同様に資料2-1ですが、測定指標13、参考指標6の平成26年度実績値の集計が終了いたしましたので、数値を記載しております。それに伴い目標達成度合の測定結果等の記載内容も修正しております。

 資料2-2についても、4589ページを細かい内容や数字の修正に伴いページそのものを差し替えております。最後に、資料4-2に関して、こちらは表紙を付けておらず大変恐縮ですけれども両面2枚の資料を別途配布しております。資料に不足等がありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。

 それでは、議事の進め方について説明いたします。こちらは例年どおりです。まず、議事次第を御覧ください。本日は、議事次第上の2の1~4の順番でテーマごとに担当課の入替えを行い御議論いただきます。1テーマごとの時間については、約25分程度とし、まず担当課より10分程度、御説明を行っていただきまして、その後、約15分程度で御議論いただくという流れで進めていただければと思います。

 続きまして、参考資料1「政策評価実施予定表」をご覧ください。こちらも例年、説明している内容ですが、厚生労働省の70の施策目標をどのWGでご議論いただくのかを示したものです。平成24年度から平成28年度までの5か年の基本計画期間中に少なくとも一度は実績評価書について各WGの委員の皆様方から御意見を頂くことを予定しております。

 平成27年度という所の赤枠が縦にずっと裏面にまでわたっておりますが、こちらが今年度3WGにおいて意見を頂くこととなる施策目標となり、て福祉・年金WGにおいては、4テーマそれぞれについて、具体的には資料の裏面になりますが、社会福祉に関する事業に従事する人材の養成確保を推進すること等により、より質の高い福祉サービスを提供すること。中国残留邦人等の円滑な帰国を促進するとともに永住帰国者の自立を支援すること。企業年金等の適正な運営を図ること。高齢者の介護予防・健康づくりを推進するとともに生きがいづくり及び社会参加を推進すること。これら4つのテーマについて、本日、御意見を頂くことになっております。

 最後に、参考資料2をご覧ください。です。こちらは、昨年3月の有識者会議において皆様方に御議論いただいた内容と同じものですが、3月の時点で我々から提案いたしました内容のとおり確定させた上で、今年度以降、こちらの内容にのっとって対応しております。事務局からは以上です。

 

○高橋座長

 議事に入ります。「平成27年度に実施する政策評価について」ということで、1つ目のテーマは施策番号7-3-1、「社会福祉に関する事業に従事する人材の養成確保を推進すること等により、より質の高い福祉サービスを提供すること」について担当課から10分程度で御説明いただくということで、よろしくお願いいたします。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 高橋座長を始め先生方には、日頃からいろいろと御助言、御指導をいただきまして、ありがとうございます。社会援護局の福祉人材確保対策室です。まず、社会福祉に関する事業に従事する人材の養成確保推進による質の高い福祉サービスの提供についてです。実績評価書()がお手元にありますが、先週、介護人材の需給推計について大きな動きがありましたので、それを1-2として補足的にお配りしておりますので、適宜、参照しながら説明いたします。

 実績評価書()で施策の概要については、福祉・介護に従事する人材を養成確保するということです。施策の背景・枠組みの所に書いてありますが、将来的な労働力人口の減少が見込まれる中で、他方で介護需要が高まるということで2025年には248万人の介護職員が必要と推計されている、暫定値と書いてあります。

 この部分について先週、新たな数字が公表されましたので、資料1-21ページを御覧ください。こちらは、先週の火曜日に公表いたしました介護人材の需給推計の確定値です。初めて都道府県ごとに2025年に向けてどれぐらいの介護人材が必要で、今のままでどれぐらい供給できるのかということを推計した結果です。こちらを御覧いただきますと、足元の2013年度は171万人なのですが、2025年度においては需要は253万人、供給は215万人ということで、現行の取組だけでは37.7万人の人材のギャップが生じるということが明らかになっております。

 供給の部分については現状推移シナリオということで、生産年齢人口減少などの影響も加味した供給量、すなわち自然体でどれぐらい供給できるかというものです。この37.7万人のギャップを埋めるために法律、予算、介護報酬の取組を総合的に行っていくということで取り組んでいきたいと考えております。

 もう一度、実績評価書に戻ります。介護分野の有効求人倍率は依然として高い傾向があるということ、今後もこの傾向が続くということが懸念されますので、引き続き安定的な人材確保が喫緊の課題と認識されております。施策の予算額・執行額については、かなり大きな数字となっております。これは介護人材に直接フォーカスした施策ということが、抽出するのがなかなか難しいところもありますので、こちらには社会福祉諸費として計上されているものを掲示しております。このうち7割ぐらいが、退職手当の共済事業の給付金です。

 測定指標は、具体的に介護職員数を指標に設定しております。2025年に確定値では253万人となっております。そこまで到達するために、そのギャップをそれまでに要する期間で除すと毎年プラス7万人を安定的に確保していくことが必要であろうということで、介護職員数を設定しております。この部分では23年度151万人を基準値とし、その後、毎年度プラス7万人ずつ確保していくことを目標に定めています。

 なお、この部分は先ほど申し上げた2025年度時点での需要予想値が253万人となっており、2013年度では171万人という数字になっておりますので、今後はギャップをその期間で除して設定していくことが必要と考えております。たまたまですが、今はプラス7万人となっておりますが、確定値に基づいて計算した場合もおおよそプラス7万人ずつということで増加ペースとしては同じペースでやっていく必要があると考えています。

 評価結果と今後の方向性です。結論として年度ごとの若干のばらつきはあるもののプラス7万人という増加ペースは守って進んでいるということがいえるかと思います。施策の分析の有効性の評価の所に書いてありますが、23年度から25年度までは平均10万人程度増加しているということで、施策の取組は有効に機能していると考えております。

 ただし、現状分析の所にありますが、介護職員数については目標値7万人を上回るペースで増加を見せているものの今後、懸念があります。1つは、生産年齢人口の減少局面に入ってくるという外的要因をどう考えるのか、また、景気が回復するとともに他産業への人材流出、すなわち他産業との人材の奪い合いという側面が出てきます。したがって、量の確保、質の確保向上の両面から総合的な取組を進めていきたいと考えております。

 その意味では、次期目標に向かって介護職員の確保についての総合的、計画的な推進を着実に実施していきたいと考えております。その上で、平成27年度からは総合的な取組を大々的に進めていきたいと考えておりますので、その点も紹介したいと思っております。先ほど資料1-21ページで2025年に向けての需給推計の確定値を紹介し、37.7万人を総合的な確保方策や様々な取組によって埋めていこうと説明しました。これに取り組むに当たって基本的な考え方と、どういうことをやっていくのかということを少し付言いたします。

 資料1-22ページです。「総合的な確保方策」目指す姿です。介護人材の構造転換を目指していこうという基本的な考え方を示しています。左側が現状の介護人材をイメージにしたものです。オレンジ色の専門性の高い人材と青い色の専門性の相対的に低い人材が混在していて、介護の専門性が不明確であるとか、役割が見えなくなってきているという部分が将来展望を持ちづらい、あるいは早期離職をしてしまうという問題の1つの構造的要因になっていると考えております。

 その上で、昨年度1年間かけて議論をしてきまして饅頭型から右側の富士山型に転換していきたいと考えています。下に15まで書いておりますが、介護の資質を高めていく、オレンジ色の矢印で山の高さを高くしていくとともに、山のすそ野を左右に広げていくということを基本的なコンセプトとしたものです。

 下の参入促進、労働環境・処遇の改善、資質の向上です。1つ目は、すそ野を広げるです。様々な多様な人材の参入促進を図っていく、緑色の部分の中高年齢者や就業していない女性などです。2つ目は、道を作るです。本人の能力や役割分担に応じたキャリアパスを構築していく。3つ目は、長く歩み続けるです。一旦、介護の仕事に就いた方々の定着を促進していく。4つ目は、山を高くするです。専門性を明確化・高度化していくことによって質の向上を促す。5つ目は、標高を定めるです。山に点々が入っていますが、限られた人材の有効活用のために機能分化を進めていくということをやっていきたいと考えております。

 これらについて、追加資料1-22ページです。「総合的な確保方策」の主要施策です。ただいま申し上げました15までの目指すべき姿、方向性について今年度から展開していく主要施策を右に一覧にしております。一番右に予算、法令、報酬、検討という様々な政策手法に応じて整理されております。すそ野を広げるという部分については、介護の魅力のイメージアップ、特に高校教師・親の理解促進などに力を入れていきたいと思っております。2つ目でいえば、離職した介護福祉士が離職する際に情報を届け出ていただいて、離職しやすい切っ掛け作りや情報提供していく。これを今国会に提出している社会福祉法等の改正案の中に盛り込んでいます。

3つ目でいえば、処遇改善に向けた介護報酬の改定のほか、2つ目にあるような人材育成に積極的に取り組む事業所の認証・評価制度による取組の見える化、これは京都府で先行的に行われていますが、そういうものを普及させる。4つ目でいえば、介護福祉士の資格取得方法の見直しということで、国家試験の在り方、義務付けを平成34年度に実施していくということを法案に盛り込んでおります。5つ目は検討によるものですが、限られた人材を有効活用するために役割分担や養成の在り方を数年かけて検討していきたいと考えています。

 そうしたものを支えるものとして国・地域の基盤整備ということで、国においては人材確保指針の中に介護サービス全般を取り込むということを今回の法改正でやっていきたいと考えております。もう1つ重要なことは、地域ごと都道府県ごとに関係主体が連携して人材確保について議論する場が県によってあったりなかったりするので、まず、そういうプラットフォームを作っていただくことが必要と考えています。

3ページです。人材確保の取組は、ややもするとこれまで旗は振っているけれども、非常に抽象的な取組、定性的な取組になりがちだった側面があります。より定量的、計画的に取組を進めるためにPDCAサイクルを今年度から入れていきたいと考えております。具体的には都道府県の策定している介護保険事業支援計画の中で、2017年度、2020年度、2025年度にどこまでの人材確保をしていくのか、需給ギャップがどれぐらいなのか、それを埋めるためにどういう取組をするのかということを定量的にしっかり書き込んでいただくということをお願いしています。

 今年度からは地域医療介護総合確保基金という90億円のお金を投入して介護人材の確保を梃入れすることにしておりますので、そうしたお金を活用して各都道府県において総合的な取組をしていただくということにしております。先ほど申し上げた計画、基金を活用した事業、これら両者が相まって取組を強化していきたいと考えております。これに関して、まず計画に関しては31期ごとに、どれぐらい取組が効果を達したのか人材需給推計も3年ごとに行う、各県の取組の進捗状況も3年ごとに行うというプロセスを埋め込みました。また、基金を活用した事業については、毎年、事後評価を行って、その事業効果を点検していくというプロセスを埋め込みました。

 こうしたことによってPDCAサイクルを確立し、また、定量的にきちんとターゲットを設定した取組を展開して、必要に応じて取組の内容の優先順位の変更や拡充などを行うことにより、より実効的な政策の展開をしていきたいと思っております。以上です。

 

○高橋座長

 それでは、ただいまの説明について御意見、御質問があれば。大体、質疑は15分程度と考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 

○堀田委員

 基盤となる仕組み、極めて重要な政策でしっかり取り組んでおられると思います。簡単なことを幾つか伺わせてください。追加資料によると、すそ野を拡げる中で中高年齢者の地域ボランティア参画等の促進というのが3つ目に挙げられていますが、これは人材の中に中高年齢者の地域ボランティア等も入っているのですか、数は。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 そこは、すそ野を担われる方々として、いろいろな方々を想定しています。もちろん中高年齢者の方もいらっしゃいますし。

 

○堀田委員

 ボランティアが入っているのですか、それともボランティアは入っていない雇用されている人のことを。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 ボランティアは基本的に入っています。

 

○堀田委員

 人材に入っているのですか。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 入職する前というか、体験的ボランティアということはありますが、働く現場においては雇用されているというか、きちんと働いていることを前提にすることになろうかとは思います。

 

○堀田委員

 現場の人材としては。では、現場以外というのはどんなものかよく分からなくもないのだけど、いいです。長く歩み続けるで、賃金、これは極めて決定的な要素を持つと思うのですが、この賃金対策は、ずっと今後とも続けることを前提にして人数も算定されているわけですか。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 人数の算定に賃金体制がどうなるかということが変数として組み込まれているということではないです。ただし、労働環境とともに処遇の改善は大きなテーマだと考えています。それに関しては、1つは、もちろん介護報酬の中でしっかりやっていくということもありましょうし、もう1つは、働いている中で自分がスキルアップをしたり成長していくのに応じた処遇の在り方を確立することも大事だと思っています。

 例えば、事業所によっては、キャリアの介護スキルに応じて、どうステップアップしていったらどういう処遇になるのかというのが明確になっているケースもあれば、全くその辺がなくて単に年功序列でということもありますし、その辺が曖昧なケースもいろいろあります。介護報酬自体をどのようにするかという話とミクロのそれぞれの事業所や法人においてスキルアップしていけばどう上がっていくのかというのがきちんと見えていくような事例を作ったり、それを横展開していくこともやっていきたいと思っています。

 

○堀田委員

 あと2点は簡単な質問だけですから。1のすそ野を広げるという施策で、昔に3級、2級があった頃ですが、中学生に資格を取らせるという動きがありましたけれども、そういうもう少し先のレベルから育てていくという施策はやめてしまったのですか。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 中高生とか若者の方々に資格ということの前に、今、若者の方々に介護のことを知ってもらう、あるいは正しいイメージを持ってもらうということ自体にかなり問題意識を持っています。なぜかといいますと、若い方々がいろいろな介護体験や介護の授業をやった場合に関心を持って親御さんや先生方が、もう介護はやめておいたほうがいいというストップを掛けることがかなり出てきているということにかなり強い問題意識を持っています。まず、その部分をしっかり徹底的にアプローチしていこうと思っています。そのために文科省と連携して土曜日授業の中にしっかり入れていっていただく、介護体験を養成施設や事業所などで地域に開放してやる取組を広げていただくということを、まず地道にやって若い方の認識をきちんとするという辺りをやっていきたいと思っています。

 

○堀田委員

 外国人は入っているのですか。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 外国人は入っていないです。外国人は人材確保のためではないという、ここはゆるがせにできないところとしてスタンスを持っておりますのでこの人材確保については、国内人材でやるという考え方に立っております。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。いかがでしょうか。

 

○梅田委員

 実績評価書の在り方という観点から2点ほど意見を申し上げたいと思います。1つは、有効性の評価から最後の次へ向けての反映というストーリーの中で1点申し上げたいです。有効性評価は一応目標が達成されているということで有効性の評価はいいと書いてあって、これは良しとして、それから次に現状分析で課題が書いてあるといえば書いてあるなという感じはいたしますので、これもこの程度の書き方なのかと思いますが、次の次期目標等への反映の方向性の所です。

 事前に頂いた資料を読んでいても同じ疑問があって、今回もっと詳しいというか、確定資料に基づく、改めて説明を聴いて参考資料も詳しく変わっています。先ほど2つ見せてもらった丸形、山型。山型になる具体的項目が今回いろいろ書いてあります。私はこれを聴いて分かるのですが、実績評価書のストーリーというかシナリオは、改めて釈迦に説法ですが、厚生労働省の実施要領を改めて読んでみたのですが、ちゃんと書いてあり、この実施要領は良くできておりまして、改めて読んでいただきたいのですけれども、現状分析で課題を押さえて、次の次期目標等への反映への方向性の中で取組の具体的なことを改善方策の、具体的といってもスペースに限りがあるので難しいとは思いますが、せっかくこれだけのことを取り組まれているので、もっと書くべきであろうと、書くべきであるというか書かないと実績評価書をパッと読んで国民が分からないですね。私も分かりません。

 参考資料を見て少し分かる。これはもっと書いてもらわないといけないと思って本日臨んだのです。御説明を聴いてもっと書かないと、なければ別ですが、これだけ方向転換と明確におっしゃっているのだから、一読して方向転換するということが分かるように書いていただきたい。そうしないと実績評価書としてはおかしいというのが1点です。

 もう1点は、この評価書だけではなくて共通の課題なのですが、効率性の評価です。特に指摘させていただきたいのは、このシートは有効性の評価と同じことが書いてあって、一目、これはちょっとおかしいなと思って、また厚生労働省の実施要項を読み直したのですが、これも良く書けていまして、効率性の評価は有効性の評価と全く違って効率性ですから、今は行政事業レビューで書いてありまして、効率性については施策目標を全体としてではなく個別の事業単位で測定されるものであることを踏まえ、行政事業レビューにおいて指摘された問題点や課題についても記載すると記載要領にきちんと書いてありまして、ほとんどの実績評価書の共通の問題点だろうと推測しますが、少なくとも有効性の記述と効率性の記述がほとんど一緒というのは論理上あり得ないというか、もう一度、実施要領を読んでいただいてスペースに限りがありますから、もちろん、それはよく分かっておりますが、その点は改善していただきたいと思います。以上です。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 御指摘のとおり、これはより詳細に書き込みたいと思います。せっかくこういう取組を今回展開することになりましたし、なによりこれは事業者の方々、あるいは働いていらっしゃる方々も関心を持たれるところなので、そこはきちんと分かるように書き込みたいと思います。

 あと、効率性の評価の記述など、実施要領にも沿って、そこはよくもう一度検証して分かりやすく、また、記載をしっかりしたものにしていくということをやっていきたいと思います。ありがとうございます。

 

○山田委員

 私からは2点です。実績評価書で介護職員数が確実に目標を達成しているということは理解しているのですが、1つは、線形に7万人ずつ伸ばしている。その7万人を達成するだけでも生産年齢人口の縮小からして難しいことであったと思います。ただ、2025年以降は団塊の世代が全員75歳以上に突入しているので、非線形に必要な職員数が伸びる可能性があります。もちろん3年に1回は見直しているということではありますが、万が一、2025年以降、急激に非線形に伸びていったときに、2025年まで7万人ずつ直線で伸ばしていって、果たして非線形の増加の部分を吸収できるのかどうか。もちろん、非線形の増加があったらという前提のもとにお話をしていますが、そこの部分を少し検討していただきたいということが1点です。

2点目は、今、詳細な御説明で「総合的な確保方策」が非常にきめ細やかに考えられているということが理解できました。ありがとうございます。そこで、やはり戻ってくるのは、もちろん、今フォーカスされているのは取りあえず量を確保しなくてはいけないということなのですが、今回のいろいろな施策を拝見するに質についてもかなり力を入れているということですので、実績評価書の裏にある次期目標等への反映の方向性かどうか分からないのですが、測定指標について質の部分についても、せっかく新たな施策を入れようということですから、何かしらの工夫があって量プラス質、両面が見られるような測定指標を御検討いただきたいと思います。私からは以上です。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 まず、1点目の線形にしていた部分、非線形の部分要素を考えるべきではないか。ここはおっしゃるとおりだと思います。これまでは詳細な推計もなく、また年によって12万人増えたり8万人増えたりガタガタしております。取りあえずと言ってはあれですが線形でビューと引いて、それで達成しようということでやって来ました。

 ただし、今回、需給推計をして地域ごとにいろいろな差はある中で、将来推計値の伸びが必ずしも需要の見込みが線形ではないということが明らかになってきています。今回、201720202025というタイミングで見ました。その際に、単純に線形になっているわけではなくて、地域ごとに労働人口の減少も加味されて少し丸みを帯びた形になっているケースがありますので、それを踏まえて今後の目標値の設定も考えたいと思います。

2点目も質のことについてしっかり書き込むべきだということも全くそのとおりだと思います。ともすれば、とにかく量だけを集めればいいという議論になってしまうのは全く本意ではありませんし、私どもも今回の法案も含めて様々な質の部分での取組を入れ込んでおりますので、検証を受けた人がどれぐらいいるのかとか、それはどういう形になるのか分かりませんが何か工夫して質の要素というのも少し入れるように考えていきたいと思います。

 

○菊池委員

 私も今、山田委員がおっしゃられた後段の質問と全く同じなのですが、非常に重要だと思うので繰り返してお願いしておきたいです。本施策目標はより質の高い福祉サービスを提供するというのが目標ですので、もちろん、量というのも質の重要な要素ではありますし、厚労省としては取りあえず介護職員数をいかに増やすかというところに施策の重点があるというのもよく分かります。ただ、質ということを考えると、ちょうど最後の所で、そういう問題意識を持っていらっしゃるということで測定指標の見直しということにも言及されていますので、それがどういう指標になるのか、資格の保有者数とは何なのかなどと、いろいろあると思いますが、是非、次期に向けて測定指標の所で御検討いただきたいとお願いしておきます。

 

○高橋座長

 よろしゅうございましょうか。少し私からコメントをしたいのが、どうもいつも福祉人材の話で分からない所があります。これも施策目標が社会福祉に関する事業という定義があって、そして、より質の高い福祉サービスという話があって、その次が福祉介護に従事する人材というのがある。私は、これはカテゴリー的になかなか揺らぎがあって、もう1つのポイントは、どうしてもボリュームが大きいものだから介護保険の介護サービスにシフトして議論されてしまうのだけれど、実は福祉人材はそうではないはずで、むしろ、もう少し深刻なのは障害関係だと思っています。そういうことが全くリファーされていないことがどうもいつも釈然としない。ボリュームが大きくて関心が高いから、しかもデータも介護サービスまで割とリアルタイムに取れているので、最新の直近のデータが出てくるとかそういうことも含めて、やはり障害のこと、それから当然、所管の関係があるので児童関係の人材のことは一応、所管外になっていますか。福祉基盤課というと入るような気がします。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 福祉人材という意味では、広く高齢者も障害も保育もそれ以外の福祉も大きく傘がかぶれているものの、その後の歴史的な経緯の中で児童の部分は人材も含めて雇用均等・児童家庭局のほうに、障害は障害のサービスと財政、人材も含めて障害保健部にという形で実質的には少し役割分担が進んでいるというのが実状で、今、社会援護局では全体のうっすらとした共通の部分を見ているもののメインが介護になっているというのが実態です。

 

○高橋座長

 そこら辺がどうも予算の構造に反映しているような気がしていて、確か先ほど共済関係が費目としてすごくボリュームが大きいとおっしゃっていた。お話になっていることと予算の関係はどうも、ここでは予算と重要政策に書いてあるにもかかわらずそれが見えてこない。これは実績評価の場合にどういう書き方をするかというのは、私は知恵がないので分からないのですが、見掛けの大きさと実質的に展開しようとしている間にギャップがあるという気がします。

 もう1つは、これは大変気になるのですが、どうしても介護人材のボリュームが大きくて中心の担い手だからやむを得ないのだけれども、現場で話題になっているのは、要するに福祉サービス、介護サービスで働く看護師やSTとか、医療関係の人材をどういう形で介護、福祉の現場で働いてもらうかというのが課題になって、これは差し当たり、このスキームには入っているのか入っていないのか分からないのですが、少なくとも福祉サービスに従事するということになれば、この福祉サービスは介護職員が提供する福祉サービスではないと思うのです。介護職員を中核としつつ社会福祉士、ソーシャルワーカーや医療介護職が総合的に支援する。これが地域包括的支援の趣旨ですから。そこら辺のことをある程度、目配りしたスキームを作っておかれて、その中である種のプライオリティーとかという説明がどこかでほしい。

 何となく社会福祉に従事するといいながら介護人材の話で終わってしまうというのは、少なくとも福祉基盤課に社会援護局があることも含めて、いろいろな意味で、要するに政策の実績評価ということを考えると、ちょっと不十分ではないか。これはスキームの作り方とも関係があるのですが、私は前々から気になっていることなのですが、時間がありますが、何かありましたらコメントをお願いします。

 

○社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

 おっしゃるとおり福祉といってもイコール介護というだけではないので、予算の部分をどうするのか、測定指標の部分、他の職種も含めてどう位置付けて整理するのか、これは御指摘を踏まえて良く考えて趣旨に沿った形で工夫してみたいと思います。

 

○高橋座長

 ありがとうございます。先ほど堀田委員からも御指摘がありましたが、実はそこにプロの仕事と同時に地域のいろいろな人たちの参加が組み合わさって、要するに今までは社会福祉に関する活動を行うものという社会福祉上の定義で整理されていたのが、包括的規定になると絡み合ってきているのです。そういうことも多分、全体の目配りの中でスキームとしてはある程度見える形にする時代というか、次のステップでは必要なのかということも付言させて、いろいろ御意見いただきましたが、少し御意見も踏まえてより良い実績評価書を作っていただくための作業に役立てていただければと思います。よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。

 

(メインテーブル交替)

 

○高橋座長

 それでは、続いて施策番号7-4-3、「中国残留邦人等の円滑な帰国を促進するとともに、永住帰国者の自立を支援すること」について、担当課から10分程度で御説明をお願いします。まず、所属とお名前をおっしゃってから説明をお願いします。よろしくお願いします。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長の井上と申します。どうぞよろしくお願いします。それでは、資料に沿って説明いたします。まず、実績評価書資料2-1です。ただいま御紹介いただいたように、中国残留邦人等の円滑な帰国促進を図るとともに、永住帰国者の自立の支援を行うという目標です。この目標に関して、施策の背景、枠組みについて説明いたします。実績評価書の3つ目の枠です。中国残留邦人等の円滑な帰国の促進、並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律。これは平成6年に施行されています。これに基づいて、中国残留邦人等の帰国受入援護、定着・自立援護等を行っているものです。

 続いて添付資料です。資料2-2を御覧ください。1ページです。中国残留邦人等に対する支援策の概要をまとめたものです。中国残留邦人等の帰国援護、研修施設等での支援ということで実施しています。帰国に際して帰国旅費等の援護も実施していますが、中国残留邦人等が帰国すると中国帰国者定着促進センター、これは埼玉県所沢市にありますが、そこにおいて帰国後6か月間入所施設での日本語教育、生活指導等を実施しています。その後、地域に定着していただき、それぞれの居住地において最寄りの中国帰国者支援・交流センターに通所していただく形になっています。この施設は全国7ブロックに設置してあります。こちらの施設では、いわゆる永住帰国した方が通所しながら日本語の習得、それから生活相談、交流事業などを行っていただくものです。生活支援として、2つ目ですが、満額の老齢基礎年金等の支給、それから、支援給付及び配偶者支援金の支給を行っています。地域での支援として、地域でのネットワーク等を活用しながら地域で安定して生活できる環境を提供するということで、主に日本語教育支援、それから、言葉の分からない方に対して自立支援通訳の派遣、交流事業等を実施しているものです。

 背景等について若干触れたいと思います。添付資料10ページを御覧ください。中国残留邦人等のこれまでの支援の経緯です。中国残留邦人等については、今次の大戦に起因して生じた混乱等により、日本に引き揚げることができず中国等の地域に引き続き居住することを余儀なくされた方を言っています。中国残留邦人等については、樺太においても同様な事情があったということで、法律の中で樺太についても支援を実施しています。

 それで、旧来の支援策ですが、そもそも日中国交正常化、昭和47929日の正常化以降、帰国援護、それから帰国後の定着促進のための日本語教育等の支援を実施していましたが、平成6年以降、従来の支援策について、平成6年法律第30号として支援法を法定化し、これに基づいた支援を実施しています。平成13年以降、旧来の支援策が不十分だということで集団訴訟が提訴されていて、ここでの判決については、おおむね10地裁、1高裁で判決が出ましたが、1地裁での判決を除いて国側が勝訴したところです。

 一方で、当時の安倍総理の指示により、裁判とは別に中国残留邦人等の支援の在り方について検討、それから支援策を講ずべきという御指示をいただき、平成1911月に与党PTの「新たな支援策」をベースとして支援法の改正を行っています。その際に、満額の老齢基礎年金の支給、支援給付の支給等を実施しています。それから、平成2512月、永住帰国する前からの配偶者に対して、中国残留邦人等の死亡後に新たに配偶者支援金を支給する支援法の改正を実施しています。資料1112ページは支援法の概要ですので資料として添付しています。

 続いて、事業の中身について概要を説明いたします。添付資料の2ページです。自立支援通訳派遣事業の状況について概要を説明しています。主に、医療や健康相談を受ける際に、日本語が理解できない場合の援助として通訳業務を行う自立支援通訳を派遣しているものです。

 資料3ページは自立支援通訳の派遣事業の内容を示したものです。

 資料4ページは平成26年度の自立支援通訳の派遣実績を整理したものです。

 資料5ページは、支援給付の監査について、その趣旨、実施方法について記載したものです。支援法の改正が行われてから、支援給付については平成204月から実施しています。これを受けて、支援給付監査を平成21年度より実施していますが、本省において都道府県並びに指定都市に対して4年に1度の割合で実地監査を実施し、その際に、管内福祉事務所においても実地監査を実施しています。支援給付の適正な施行等の観点から監査を実施しています。

 資料6ページです。支援・相談員ということで、支援給付の実施機関に中国語が理解できる支援・相談員を配置しています。7ページで支援・相談員の事業の仕組み、それから89ページにおいて支援・相談員の配置状況を示しています。

 続いて、実績評価書の説明に移ります。測定指標です。指標1については、自立支援通訳の派遣事業での通訳派遣実績を示したものです。中国残留邦人等の多くは言葉の問題を抱えているということで、特に、中高年以降に日本に帰国された方は日本で日本語の学習支援などを行っていますが、なかなか日本語が身に付かない方もいます。そういうことで、特に医療機関とか介護の支援を受ける際の言葉の通訳の問題ということで、この自立支援通訳の派遣実績を掲示していますが、おおむね実績値については増えていて、平成26年度については15,537ということで、予定値を派遣実績が上回っています。

 指標2です。先ほど申し上げた支援給付監査を実施していて、こちらについては目標値を25%刻みということで、4年に1回ずつ実施して4年後には全地域の監査を実施するという趣旨ですので、このような手法で実施しています。

 指標3、支援・相談員の配置割合です。それぞれの実施機関に支援・相談員を配置して、目標値については前年度の実績値、平成26年度でいくと目標は96.3以上ということです。実績についても96.3で達成しているところです。指標4以下については参考指標ということで数字を挙げています。

 続いて、実績評価書の裏面、2ページの評価結果と今後の方向性です。目標達成度合の測定結果については、測定指標が全て○ですので、目標達成ということで2を記載しました。それから、目標達成により、判定結果についてはAと記載しました。

 施策の分析です。有効性の評価として、中国残留邦人等に日本で老後の安定した生活をしていただくようにということでの支援を目標にしていますが、これまで、老後の生活安定のための生活資金として、支援給付及び満額の老齢基礎年金、それから言葉の支援、介助などを行う自立支援通訳の派遣等でそれらの目標を掲げ、それらに向けて取り組んできたところです。

 効率性の評価です。指標13までについて着実に目標達成しているということで、本施策については、効率的に実施されているということで評価しました。

 現状の分析です。中国残留邦人等の高齢化という現象が切実な問題ですので、これらも通訳の派遣等で対応していきたいと考えています。それから、次期目標等への反映の方向性です。これについては、中国残留邦人等の置かれている現状を踏まえて、測定値を見直すなど施策の更なる効率的かつ効果的な実施を図ることとしたいと考えています。以上です。

 

○高橋座長

 ありがとうございます。丁寧に御説明をしていただいたので、時間的に少しきつくなりましたが、何か御質問があれば。

 

○菊池委員

 ありがとうございました。参考指標5にあるように、御説明の中でもありましたが、多分この人員数は頭打ちでこれから減少に向かっていくということでしょうか。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 そもそも永住帰国者については、中国残留日本人孤児の方で身元の分からない方がいらして、その方々の日本での身元調査を実施しました。これは、昭和56年から実施しているのですが、その後、その方々のほとんどが日本に帰ってこられたということで、帰国者のピークというものがありました。それは、年間数百人の方が帰ってこられた時期もありますが、直近ではそういった帰国希望者がほとんど日本に帰ってきているので、参考指標4ですが、平成26年度については中国残留邦人御本人が1人です。それから御家族が一緒に帰ってこられたと。ちなみに平成25年度は4人、平成24年度ですと5人ということで一桁の帰国者なのです。そういう実態で、日本に帰ってきたいという御希望の方についてはおおむね受入れが完了したのではないかと私どもは評価しています。ただ、永住帰国という形態のほかに一時帰国ということで、一旦日本で滞在されてまた中国に戻られて中国で現在生活している方もいて、これらの方々が、今後日本へ永住帰国したいという御希望を表明されれば、受入れを継続していくということで対応していきたいと思っています。ただ、そういう方は数十人と今のところ見込んでいますが、いつ帰ってこられるかはまだはっきりしていません。現状で、一時帰国された際にお聞きしているところでは、すぐに帰りたいという御希望者は今のところ、この8月にお一人帰ってきますが、それ以降については希望は上がってきていないという状況です。

 

○菊池委員

 ありがとうございます。その上でちょっと2点あるのです。一方で、減少傾向にあるということですが、お話を伺っていますと、それから最後の「次期目標等への範囲の方向性」を拝見しますと、今後はいろいろ豊富な支援メニューを用意していかなければいけないといった、むしろそういう方向性になるのかと。そうすると、この測定指標についてももう少し増えていく可能性もあるのかという辺りですね。例えば、最後にある「医療・介護サービスの需要増加」その他ですね。その点を1つ確認したいです。

 もう1点は、指標3「支援・相談員の配置」です。96とか97とか、ほとんど配置されているようですが、資料を拝見すると、配置されていない自治体は23人の支援者数でゼロ。20人以上でもゼロという所があります。他方で、23人でも配置している自治体もあるのです。そうしますと、前年度以上というより、ここまできたらもう100パーセントを目指すというのが、指標の目標の立て方としてはあり得べきなのではないかと思うのですが、その点、そうはできない何か御事情等があればお聞きしたいというのが2点目です。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 まず、今、委員の御指摘があった支援メニューの関係です。中国残留邦人等の支援施策としてどうするかということで、これは平成196月ですが、厚生労働省に有識者会議を設けて、今後の中国残留邦人の支援の在り方というのを検討いただきました。その中で、中国残留邦人の方が高齢になっているということで、高齢化に対応できるような支援を行うべきではないかという御指摘も頂きました。それらの柱としては、生活支援がまず重要ではないかと。従来、帰国者が生活に困窮すると生活保護ということで支援を実施していましたが、それに替わるものということで、支援給付を支給しようというのが1つの柱です。それから、それに加えて、満額の老齢基礎年金が受給できるように改善してはという御指摘も頂きました。それらの経済的な支援に加えて、通訳さんの派遣ですとか、あるいは高齢化に伴っていろいろ交流を希望したいとか、あるいは日本語を勉強したいという方も引き続きいらっしゃるので、それらの方をどのように支援していくかという枠組みを有識者会議の先生方に御検討いただいて示していただきました。それを受けて、平成1911月に当時の与党PTにおいて支援策をまとめていただいたところです。支援法の一部改正ということで法体系の中で支援法を整理したものです。先ほど申し上げたように、高齢化の中でどのような支援が必要かと。例えば地域でボランティアの方を含めて支援ができるような体制作りとか、言葉の問題だけではなくて交流事業にも参加できるようにしようとか、そういう全体的な枠組みを平成20年の制度改正、それからそれの前の検討段階で整理していただいたので、それに基づいて現在実施しているということです。

2点目の支援・相談員の配置状況です。これについては、先ほど資料で説明いたしましたが、被支援世帯が20世帯の所でも配置されていない所があるということです。現在、いわゆる支援・相談員の配置については、それぞれ帰国者の数に応じて配置されている実態があります。ただ、これまでの制度の枠組みで、支援・相談員というのは平成2041日以降自治体に配置していただいたのですが、それ以前には、通訳業務を担当していただく方とか、生活面での相談に乗っていただく自立指導員という方もいました。制度の変遷として平成20年が1つの区切りなのですが、それ以前から、例えば自立指導員とか通訳業務をやっていた方がいますので、そういう業務をやっている方に言葉のフォローをしていただくとか、兼務をしていただいている実態があるのです。実際には、通訳の業務をやっているし、支援給付の窓口で支援・相談員として業務の支援もやっているということですので、兼務をしている方については、ここでちょっと数字を表せないものですから、支援・相談員という枠組みの統計としてはこのような表を作成させていただきましたが、支援する体制としては、ほかの肩書で支援をしていただいている方もいるということです。私どもは、必要に応じて支援できる体制を構築してくださいということで自治体にお願いしていて、一人の帰国者がいる所でもやはり支援体制は必要と認識していますので、できる限り自治体の実態に即した形で支援体制を構築していただくようにお願いしているところです。

 

○梅田委員

 簡単にお答えいただければ結構です。私も簡単に質問します。行政課題が変わってきたので測定指標を見直したいと明確に書かれているので、その方向でいいと思うのです。それは、これは評価官室にでも聞いたほうがいいのかもしれないですが、来年から変えると言うか、まず原局、来年の予算が決まってくるとその対応の仕方も変わったりするので、それを見ながら測定指標を変えられるということでしょうか。これは去年の実績評価ですからこの評価書はいいのですが、測定指標を見直すということは行政価値を変えるということですから、行政価値の追求を変えていくということですから非常にいいこと、いいことと言うかとてもいいことなので、それは来年から変える予定ですか。それとももっと先ですか。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 今回御審議いただいているのは平成26年度の実績評価で。

 

○梅田委員

 それは過去ですね。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 平成27年度の測定指標については既に事前に協議分析等を頂いて、平成27年度は自立支援通訳の派遣状況、それから就労相談員を配置して就労支援した自治体数としています。

 

○梅田委員

 それはどこかで決められているのですか。事前分析表か何かに書いてあるのですか。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 平成27年度の事前分析表です。

 

○梅田委員

 簡単に言っていただいて結構です。事前分析表にもう既に書いてあるのですか。

 

○政策評価官

 平成27年度のものについては昨年度末に事前分析表について、もう指標は作ってあるということです。

 

○梅田委員

 何かに書いてあるのですか。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 はい、書いてあります。

 

○梅田委員

 そうですか。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 既に今回提出したものとは変えた形で見直しています。

 

○梅田委員

 はい。平成27年度から変えると書けば一番。書けないですか。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 平成27年度、また平成28年度もですね。

 

○梅田委員

 変えると書けばもう明確なのですが、検討すると書いてあるので。役所にありがちな、いつまでもほっとかれると困るなと。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 平成27年度は変えてあります。

 

○梅田委員

 変えたのですね。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 はい。

 

○梅田委員

 それさえ言っていただければ。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。それでは、ちょっと議事進行で。今、いろいろ御意見が出ましたので、よろしくお願いします。

 

○山田委員

 ごめんなさい。指標に関して、これはコメントなのでお答えいただかなくても結構だと思います。次期目標等へ反映の方向性として、2世及び3世の経済的な自立の支援の必要性ということで、行政の目標というのも変わっていくことの1つの重要な方向性として、是非これは重要な点なので推進していただきたいと思います。それとともに、中国残留孤児等の2世、3世以外にも、やはり外国人をルーツに持つ方の社会的な包摂というのは、日本語、そしてもう1つはやはり就労等による自立という点が重要になってくるので、併せてどういった大きな政策目標の中でこれを位置付けていくのかというのも、是非考えていただきたいと思います。これはコメントですのでお答えいただかなくて結構です。

 

○高橋座長

 いわゆる、援護行政という意味では、戦後処理の一環としての行政の位置付けと、これから新しい状況の中で、このノウハウがいろいろな形で生かされる可能性もあるのではないかというコメントであったかと理解しています。どうも長い間、ありがとうございました。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

1つだけよろしいですか。私ども2世、3世の経済的自立の問題についても、過去に検討しています。やはり、1世の方とその配偶者の方の状況に比べると。1世の方の場合には中国残留という、残留を余儀なくされたということ。それから、日本に帰国が遅れたことで、いわゆる老後の生活面での不安があることに着目して経済的支援等を行うという整理をしています。その枠組みの中で現在の支援を行っています。先ほども、いわゆる今次の大戦、主にソ連参戦後、中国に残留を余儀なくされたという状況、その中での混乱等の中で帰国が遅れたという部分に着目した支援を行っているところです。

 

○高橋座長

 ご苦労様です。それでは、どうもありがとうございました。

 

○社会・援護局援護企画課中国残留邦人等支援室長

 ありがとうございました。

 

(メインテーブル交替)

 

○高橋座長

 よろしゅうございましょうか。続いて政策番号9-1-4、「企業年金等の適正な運営を図ること」について担当課から10分程度で説明をお願いします。所属と名前をおっしゃってから説明をよろしくお願いいたします。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

 年金局の企業年金国民年金基金課長の内山です。企業年金の担当です。まず資料3-2です。年金制度の我が国の体系があります。御案内のことかと思いますが、我が国の年金制度は三階建てになっておりまして、一階部分国民年金、二階部分厚生年金。私どもの企業年金で担当しているのはその上、三階建て部分ないし上乗せ部分といわれるものです。左から赤丸が付いている国民年金基金があります。そして確定拠出年金、DCというのがあり、確定給付企業年金DBがあります。また、厚生年金基金、この4つの制度から成り立っております。この企業年金の部分ですが、今、追加で配った資料があり、企業年金については政策評価は2項目、項目を立てておりまして、本日御審議していただく企業年金の「適正な運営」というもの。それから今、追加で配りました、これは昨年度このワーキンググループで御審議していただいたものですが、「健全な育成」という2項目にわたっております。実は平成24年に作ったときに2項目に分けましたが、今、改めて考えると、厳密に2項目に分けられるかは若干どうかなと思っておりまして、そういう意味で今日、追加資料をお配りしております。

 追加資料2ページ、我が企業年金課の予算が書いてありますが、2項目に分けたのは予算の項目として健全育成費と適正運営費に分かれておりまして、健全育成費は昨年、御審議いただいたもの、適正運営費は今年、御審議いただいたものという分け方にしております。そのようなところで今日、御説明するのは資料1-4、「適正な運営」に戻っていただきますが、運営面について指標を立て、目標を立てております。項目の2つ目の施策の背景・枠組の所は主として2つの項目を立てていて、まず1つは企業年金の未請求者対策。即ち企業年金で未請求の方、まだ請求されていない方について今後、請求していただくようにいろいろな努力を行っていくところが1点です。

 もう1つの指標として、国民年金基金の給付費の負担を挙げております。施策の予算額自体は平成23年度から予算額自体は上がっておりますが、後から御説明しているように、義務的経費の部分が多いところがありますので、そういった要因がこの増加要因です。2項目のうち、未請求者対策は測定指標のところに指標を書いております。企業年金連合会、厚生年金基金、そして国民年金基金における未請求者です。未請求者自身は見ていただければ分かるように、未請求の割合は現在順調に減ってきております。

 裏面は評価の結果です。この未請求の数値については順調に減少しているので、目標を達成しているのではないかと思っております。ただ次期目標等への反映等の方向にも書いているように、未請求のところは順調に減少しておりますが、「適正な運営」という意味ではこうした項目、未請求で良いのかどうかは、少し検討させていただきたいと思っていますし、またそもそも政策評価の項目として、健全育成と適正運営という2項目に分けるべきかどうかも平成29年度からの政策評価の計画を作るに当たっては、検討させていただきたいと思っております。

 もう少し補足的に説明すると、今お配りした追加資料の3ページ、今回の予算額、実績評価様式では全体をまとめておりますが、その内訳を書いております。平成27年度で238,000万円となっておりますけれども、その内訳自体は国民年金基金の給付費負担金と存続厚生年金基金等の未納掛金の交付金から成り立っております。国民年金基金の給付費負担金というのは、国民年金基金の一部国庫負担分があり、その部分の義務的な経費です。存続厚生年金等未納掛金等交付金というのは、厚生年金保険の保険給付及び保険料納付の特例等に関する法律が平成19年にできております。いわゆるネコババ法と言われているもので、加入者が保険料を払っているにも拘わらず、国ないし基金に納められていなくて、事業主がいわゆるネコババをしたのではないか。そういうものに対する年金給付の部分は国庫から交付金が出ているという仕組です。これも義務的経費です。そういう意味で、予算のところは義務的経費から成り立っておりますので、少し今後はこの指標も見直ししたいと思います。ちなみに当初、計画を作ったときには今の3ページの表で、国民年金基金連合会に対する事務費補助金がありました。いわゆる団体補助金がありましたが、平成24年度までで、団体補助金を廃止しております。そういう意味では今、「適正な運営」の部分については、義務的経費のみの予算額となっております。企業年金制度自体は、昨年度御審議いただいた健全育成にもあるように、これから公的年金と組み合わせて、制度全体としてはここのところの普及を図っていくことが重要だと思っております。また適正運営のところも今、未請求のところを指標としておりますが、もう少し、例えば各基金の監査の状況あるいはDC制度であれば投資教育や資産のスイッチングが適正に行われているか。そういったような指標も少し混じえて評価をしなければいけないのかなと思っております。繰り返しになりますが、「適正な運営」の所は予算的には義務的経費のみとなっており、指標としての未請求のところについては、現在は十分と言えるかはありますが、順調に未請求の方の数字は低下している状況です。以上、よろしくお願いいたします。

 

○高橋座長

 ただいまの説明について、御意見、御質問等があればお願いします。

 

○堀田委員

 おっしゃるとおり2つに分けず、両方絡んでいるので併せてやられて、そうすると一つ一つの問題の重要性のようなものがはっきりしてきますね。例えば未請求よりも未加入のほうが何と言っても重要でしょうし、その辺の全体的な判断、おっしゃるとおり良いと思います。

 

○高橋座長

 御質問もないようでございますが、よろしゅうございましょうか。

 

○梅田委員

 なかなかこの制度が難しいので、ピンボケの質問になるかもしれませんが、施策体系的というか、評価体系的に変えたいというのは大前提、規定路線ですか。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

 そうですね、これは厚労省自体の政策評価は平成243月に第3期の基本計画を立てて、基本的に5年ごとになっていますので。

 

○梅田委員

 そういう意味で平成29年ということですか。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

 はい、次の第4期にはこの。

 

○梅田委員

 何を聞きたいかというと、そのように統合したいという原因ですが、企業年金については課題が解決されてきたという認識になるのですか。そこをどう理解したらいいのかが、要するに施策は広いですよね。部分ではなくて、全体なので重点が移るということと、重点がAからBへ移りましたということと、課題自体が縮小してというのと少し違うのですね。それのいずれでもって施策の統合を発想されているのかが、少し分かりにくかったので質問しました。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

 そうですね、そういう意味では堀田委員にも御指摘いただいたように、施策の中心が移ってきたということになるかと思います。と申しますのも、まず、企業年金、これはそもそも自由、任意の制度ですし、企業でやるかどうか。あるいは個人で入るかどうか、基本的には任意の制度です。今、公的年金制度ではマクロ経済スライドなどがございまして、給付水準が次第に調整されていくということもございます。そうした中でこの私的年金というのは以前に比べて重要度が増してきていますし、より多くの方に加入をしていただきたいという施策がございます。社会保障審議会の企業年金部会でもそうした観点から、昨年度来検討を行っていますし、企業年金部会で御検討いただいた際に、DC、確定拠出年金についてはより中小企業の方を中心に加入をしやすくするような法律改正をしております。そういった意味で御指摘のように施策のウエイトというか、中心となるべきものがより広く加入していただくというところに移ってきているのではないかなと感じております。

 

○梅田委員

ということから施策の統合のシナリオになるのですね。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

 はい、そうです。

 

○梅田委員

 具体論はよく分からないので、と理解すればいいのですね。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

 はい、それで結構だと思います。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。時間も少し押しておりますので、ここで打ち切らせていただきますが、ただいまの議論を参考にしていただくようにお願いいたします。どうもありがとうございました。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

 どうもありがとうございました。

 

(メインテーブル交替)

 

○高橋座長

 よろしいでしょうか。

 それでは今日の最後の、施策番号9-3-1「高齢者の介護予防・健康づくりを推進するとともに生きがいづくり及び社会参加を推進すること」について、担当課から10分程度で説明をお願いいたします。

 

○老健局総務課長

 老健局の総務課長を務めます高橋と申します。大変お世話になっています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 評価書の細かい字があるのですが、参考資料で、添付資料4-2を御覧ください。「高齢者の介護予防・健康づくりを推進するとともに」という表紙があるものと、もう1つ、横長で、「新しい地域支援事業の全体像」という緑色の字が付いたものを、別とじで用意しました。高齢者の介護予防を進めるのに、介護保険では、この図は介護保険の全体像ですけれども、一番上の介護給付、介護予防給付が小さく書いてありますが、ボリューム的にはこれが一番メインです。この介護給付、予防給付の中でリハビリテーションやデイサービス、そういう所でやっているわけですが、介護予防というのはこういう所だけでやるよりも、もう少し住民主体の活動とかいろいろな所でやっていくのがより効果的であり、費用も少ないということです。制度上はその下の緑色の現行の所であれば介護予防事業、1次予防事業、2次予防事業とあります。こういう地域支援事業という自治体が裁量で使える予算、これにも国庫負担が付いてきますけれども、介護予防事業というものや、一番下の任意事業とか、更にこういう介護保険の費用も使わずに地域住民の活動としてやっている部分、こういうところで介護予防活動が行われています。今年施行になった法律改正では、今までの予防給付の中の通所介護や訪問介護もこの緑色の介護予防事業にくっつけて、新しい介護予防、日常生活支援事業ということで、自治体の実践をもってできるようにする仕組みに今回改正しています。そういう意味で、自治体の自由に使える財源を確保し、使いながら住民主体の取組を普及させる活動を、今後3年間で全国の全市町村で実施していただくように推進してまいりたいと思っています。

 実施状況ですが、資料4-2を御覧ください。これまで取組が進んでいる先進的な自治体事例ですけれども、例えば1ページの大阪府大東市の事例は、住民主体で、平成17年に「大東元気でまっせ体操」というのをつくり、自治体、町内会単位で住民主体の活動をしてきました。実施活動数がどんどん増えてきてこういう活動をやったところ、左下の要介護認定率も全国平均よりも少なく推移しており、上昇が抑えられているという効果も挙がっています。介護予防活動で、地域住民の見守りとか助け合いとかそういう地域の互助の力が育っています。

 次のページは岡山県総社市ですが、徒歩圏内に、歩いていける範囲に住民主体の活動の場、公民館や個人のお宅で毎週1回開催していまして、市内に110も会場があるということです。これも少ない費用で非常に介護予防の効果を上げています。左下のように認定率の上昇も抑えられています。

 次のページは愛知県武豊町です。ここも同様に徒歩15分圏内にサロンを置いて、住民が参加して、「憩いのサロン」というような形をやっています。

 次のページの茨城県利根町は、シルバーリハビリ体操指導士という専門家の指導も受けまして、資格ではないのですがこういうものを作り、少し身体の筋肉の構造とかいろいろな専門知識も含めて勉強することにより、格調高くやっています。そうすると非常に広がりやすく、延べ1万人も参加しています。要介護認定率の効果も出ているというところです。

 次のページの長崎県佐々町は、介護予防ボランティア活動として、生活支援の見守りまで含め、予防と生活支援の全体のボランティア活動をやっています。このような活動を、今後、先ほどの冒頭に説明いたしました、総合事業などの財源も使いながら、全国に広げていこうという取組をしているところです。

 資料の7ページの、比較的従来型の事業で、老人クラブ活動への助成というのがあります。これは今、27億円使っています。年々、老人クラブという組織は余り今様ではないので、こういうものが流行らなくなってきて、老人クラブ数は段々減ってきてはいるのですが、むしろそういう形ではない、いろいろな地域での活動が増えていく、こんなことだと思っています。しかしそれでも老人クラブ活動現状で10万クラブもありまして、627万人も参加しているということで、大変大きな活動になっています。

 縦長の実績評価書では、介護予防の健康づくりを推進する、生きがいづくり、社会参加を推進することを施策目標にして行っています。予算に計上しています844億円は、地域支援事業全体の経費ですので、介護予防だけではない経費も全て含んだものですが、政策事業としては、介護予防に資する住民の自主活動の実施会場数というのを予てから指標にはしておりまして、年々増えてきたということです。平成25年度には43,000か所で先ほどの体操活動のようなものや住民主体の介護予防に資するような活動、自治体のお金が出ているものも出ていないものも含めての数の調査ですが、年々増えているという実績です。老人クラブ活動も10万クラブということで、若干数は少し減りつつありますけれども、大変活発に行われているということで、このような取組を今後とも積極的に推進してまいりたいと考えているところです。

 来年度の予算については、基本的に現状と同じ形で、ただ、冒頭に説明しました新しい介護予防、総合事業がスタートしていきますので、そういうものにシフトしながら推進してまいりたいと思っています。以上です。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。委員の皆様から今のプレゼンテーションに対して御意見、御質問等があればお願いします。

 

○山田委員

 慶應大学の山田です。詳細な御説明をありがとうございました。私からは2点ありまして、ちょうど20143月に「第20回政策評価に関する有識者会議」が開かれた際、同じ指標が出てきて、これが増えたら生きがいづくりとか社会参加を推進したことにつながるかどうか分からない、という意見が委員から出ているのです。その後、少し検討するという話が出たのですが、結局今回出てきたものは同じで、繰り返し私も同じ印象を思ったのです。もちろん増やすことはいいと思うのですが、会場数が増えたからといって、生きがいづくりとか社会参加を推進するという成果につながっているかどうかは、ちょっとよく分からないところがあります。一体どれぐらいの実施会場数が今必要とされていて、それに対してどのように会場数の実際の増加が近づいていっているのかということでないと分からないと思うのです。これは既に1年以上も前に指摘されていて、出てきたものは同じだということになると、やはり同じコメントが出ると思うのです。これではこの施策目標に対して、評価できないと。書いてあることは分かるのですが、これでは評価がしにくいと言っている指標が同じくもう一回出てきて、これで目標達成したかどうか判定してくださいと言われても、やはりこちらからとしてもちょっと困ったなというのが正直なところです。それが1点目です。

2点目は、老人クラブの活動実績なのですが、これはやはりいろいろそれ以外にも代替的な活動というのがありまして、これも最初のコメントに関係することですけれども、ほかに代替的な活動が活発になれば老人クラブの活動実績というのは落ちてくることは当然あり得ることなので、これが落ちたからといって主要な目標が達成されなかったかと言えるのかどうかはちょっと分からないです。介護予防に関しては代替的なものというのはあまりないかもしれませんけれども、こちらの老人クラブの活動についてはいろいろと高齢者の趣味とか専攻も多様化してきて、ほかにもいろいろな活動があるわけです。そうすると1年以上前にほかの委員がコメントしたことと重なるのですが、これがなぜここに役に立つのかというのが、すみませんが、今回拝見して同じく思った意見になります。

 

○老健局総務課長

2014年に御指摘を受けていながらこのままということで、何を隠そう私もこの評価書を見てこの指標ではないなと思って、この評価書を書き替えたいと思ったのですが、実施段階でこういう目標を立てているということで、今回はこれで評価書を出さざるを得なかったということですけれども、次回、考えます。

 

○山田委員 

 前回、そのための会議でコメントがあったにも関わらず、全く同じものが出てくるのであれば、前回やった意味がなくなると思うのです。

 

○老健局総務課長

 ちょうど今回の制度改正で新しい総合事業というのが今年度からスタートしたところなので、その新しい制度に合わせてどのような指標ができるかというのを考えたいと思っています。ただその場合にどういう指標を取るか、数がどのくらいあったらいいという、数量の目標があるというわけではないのだろうと思うのです。こういう地域活動というのは、活発にしていくということが大事であって、どこまであれば十分かと、そういうのがあるわけではないと思うのです。また、この会場数がいいのか、参加人数がいいのかとか、それはいろいろ指標の立て方があると思います。こういう住民スタイルの活動というのは、人数を把握していけるものなのかどうかとか、いろいろな課題はあろうかと思っていまして、いろいろある中で、いい指標もないなということで、またこうなっているわけですけれども、また新しい制度に応じて考えていきたいと思います。

 

○山田委員 

 やはり対象者数というのは。

 

○老健局老人保健課課長補佐

 老人保健課課長補佐の担当官の福本です。住民の通いの場の数と、参加回数とで、その地域の高齢者の健康の指標が改善するというエビデンスは徐々に出てきてはいますので、先ほど高橋が申し上げましたように、測定可能なもので代替するのであれば、今のところエビデンスは全くないかというと、やはり通いの場の数の充実というのは非常に相関関係はあると我々は考えています。おっしゃるとおり直接的ではなくて、適切かどうかという御意見は確かにそうなので、そういった観点がなるべく可能なものを検討をしていきたいとは思いますが、通いの場を見ることが、では間違っているかというと、やはりエビデンスはあるということを申し添えさせていただきたいと思います。

 

○山田委員

 今の御意見は非常に首肯できるのですが、効果があるというのと、それでどれほど効率的に計画が進んでいるのかというのはまた別のものだと思うのです。繰り返しになるのですが、例えば潜在的にどれくらいの人にやればどれくらいの効果があるのかと。前回出た議論については、こちらの今日の資料でお示しいただいたように、効果があるというのがよく分かる状況を示していただいたのですが、例えばそれで要介護認定率がどれくらい下がったのかとか。それをやることによって下がったとおっしゃるのであれば、どれくらい下がったのか、それを目標にしたらいいと思います。直接的な相関関係を見るのは難しいということで資料を出したのであれば、逆に言えば、今こうした効果があるというように示されたものが、前回の御意見とはちょっと、介護予防というのはほかにいろいろな要素があるのだから、これだけでは分からないですという、前回の御発言と何か齟齬を感じてしまうものですから、もう少し工夫が必要だというのを繰り返しお願いしたいと思います。もちろんその指標をつくるのがどれだけ大変かというのを理解した上でのお願いということで御納得いただければと思います。

 

○堀田委員

 同じ点に関係して、介護予防の自主的な活動で認定率、それから保険料が下がるという効果もありますよね。それをどう測定するか自主的な活動だから当然全部把握できないと。把握している以外の自主的なものがたくさんあるわけですから、そういう状況の中の把握できるもので、何が一番よく、何が実状に近いかというと、1つ通いの場というのは基盤作りの決め手ですから、これを指標に取られることは私は難しい中でいい指標の選び方だなと思います。あとは、説明の仕方、エビデンスの付け方を工夫いただければ端的に1つこれはいい指標だと思います。もう少し突っ込んで言えば、この新地域支援事業の自主的な活動を見るならば、B型と通いの場というのは1つありますけれども、B型及びD型、B+Dこれが助け合いですから、それがどれだけ増えてきているかというのが一番端的にどれだけ自主的に住民が動いているかが分かるわけです。これは行政も簡単に把握できる数ですから、そういう指標の取り方もあるのかなと感じました。

 もう1点、この認定率の資料は大変住民の方に説明するとき、非常に有効なので、認定率がこれが始まると下がるというのは大変説得力がある資料ですが、認定率が下がると、保険料の上がる率が下がってきますよね。今回の改定にはまだ余り出ていないのですが、それでも奄美大島の大和村みたいな5,800円を4,800円にされた所も出ているわけです。だから助け合いが広がっています。ですから必ずその効果、今度は3年後にはかなり顕著に出てきて、相関関係が見えるのではないかと思いますので、その辺りの統計の集め方も、統計というか、この資料は簡単に取れますよね。ちょっと見ていただければと思います。

 

○老健局総務課長

 介護予防効果があって元気になったのか、それともできるだけ無駄なサービスを使わないようにしてもらったのか、多分いろいろな要素で介護保険料は決まっていくので、こういうものはできるだけ統計として、あるいはホームページにもっとチャート化して見える化をするという、それを今進めているところですけれども、そういう所の分析などにも努めてまいりたいと思います。

 

○菊池委員

 これは事務局に伺ったほうがよろしいかと思うのですが。先ほど梅田委員から施策の重点が移行するというお話がありましたが、明らかにここ数年で厚生労働省では地域包括ケアという施策にシフトしていて、その一環が昨年の医療介護総合推進法と思うのですが、それにもこの課題、施策の評価が関わっていると思うのです。これからは全体として地域包括ケアの在り方についての取組をどう評価するかをどこかできちんと捉えていく必要があると思うのですが、例えば1-10-1の、どういう捉え方をしようとお考えになっておられるのか。あるいは複合的に介護も関わってきますが、その辺はどういう方針というか取組というか、現時点でお考えの部分があればお伺いしたいと思います。

 

○政策評価官

 菊池委員がおっしゃるように、政策の体系というのは大きく時代とともに変化をしていくもので、そのために中期の政策評価の基本計画、現行ですと平成24年度から28年度までの基本計画を策定しています。その中で政策体系を定めており、それに基づいて、一度に70を超える施策目標について有識者の御意見をいただくことはできないので、ローテーションで見ていただいているというものです。政策の骨格についての大きな変更については、1つの節目としては次期の基本計画の見直しのときではないかと思います。そのほかにも毎年度末に、次年度の実施計画を御審議いただいて、その中で基本計画についても、例えば他省庁に所掌が移るようなものは反映させています。御指摘の地域包括ケアに関しては1-10-1が来年度の評価に当たっているものですが、それをこのまま行うのか変更を加えるか等は今年度末に、来年度の測定指標等について御意見を賜るときに、併せて御審議いただければと考えています。

 

○高橋座長

 これ自身が大問題で、やはり医療介護の新しいスキームもできるとすると、多分個別の部局の政策評価の話と、今度は施策目標として挙げたものがある種の総合化されていくというのとはまた今までやってきたのとは違う視点を加えないといけないので、これは宿題として事務局にお出しするということで。今老健局のほうから出ている評価は、何か付け加えはありますか。

 

○梅田委員

 参考意見として申し上げたいと思いますので、別にお答えは求めません。いろいろ指標について検討していくということで、そのための参考意見としてお聞きください。基本的にはこの予算は、例えば平成26年度は688億ですか、それの大半について本来測定指標を置くべきというのが原則ですね。そうは言っても主要な部分、5割以上を占めるのは必ず置かなければおかしいし、全体の中の3割ぐらい占めるものは置いてほしいという感じです。それでも施策全体を捉えるのにこの測定指標だけでは足りないと思ったときに、参考指標というのは御存じのように、今でも生きているわけですよね。参考指標は書けるようになっていて、それでこの施策の範囲が広くなればなるほどそれをもっと活用して、参考指標について何もコメントしてはいけないというルールは何もないので、測定指標だけが相手ではないので、測定指標は今、申し上げたようにメインのところは必ず置くというのは原理、原則だと思いますが、それでも足りないと思ったときに、参考指標というのは置けるわけです。参考指標の推移についてのコメントも有効性の評価とか、今後の方向性の分析とか、2枚目のほうですが、こっちのほうが大事なのです。先ほどエビデンスとか言われていたけれども、エビデンスを参考指標として測定指標にするにはちょっとあれだけれど、という場合は参考指標として掲げておいて、分かりやすく言うと、介護認定率ですが、測定指標にするのはちょっとあれだから、参考指標に書いておいて、それを有効性の評価の中で評価するときの論理の一環としてコメントしていくというのが分かりやすいというか、これは評価官室にも申し上げたいのですが、施策全体にわたって施策の範囲が広くなればなるほどその必要性は出てくるというか、測定単位についてのコメントだけ書いていると薄っぺらになるのですよ。この評価書は何なのと。こんなんで評価なのと言われがちというか。簡略化もいいけれども、簡略化しすぎるとこうなるのです。はっきり言うと様式を簡略化するという方向性で来たけれども、それはそれで是として、簡略化するとこうなる。だからそれを補うものとして参考指標という制度がいきているわけだから、それを生かしていただいて、評価として書かないと説得力がないですよ。説明したことにならないですから。それは評価官室においてよろしく御指導いただきたいというか、全般にわたる問題と思います。誤解だったら結構です。

 

○高橋座長 

 時間も押していますので、今の御意見をこれからの参考にしていただきますようにお願いいたします。どうも御苦労様でした。

 以上でこのワーキンググループで議論を行う実績評価書については終了となります。様々な議論をいただきまして大変ありがとうございます。最後に事務局から。

 

○政策評価官室長補佐(今宮)

 本日いただきました御意見等につきましては、今後、担当課において実績評価書に反映させるとともに、評価書の中にある「学識経験を有する者の知見の活用」という欄に記入させていただき、評価官室で取りまとめの上、総務省へ通知するとともに、公表させていただきます。また、併せて、最終版については皆様方にもお送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上ですが、本ワーキンググループの閉会に当たりまして、政策評価官の大地より一言よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官

 本日は長時間にわたり御議論いただきまして、本当にありがとうございました。本日は4つの施策についての御審議をいただいたわけですが、実は本日が今年度の初回で、ほかのWGを残しているわけですが、最後に梅田委員がおっしゃっていましたように、それぞれの各4つの施策についての御指摘は、ほかの分野についても、本日いただいた数々の貴重な御意見は反映させていただかなければいけないと感じました。本当に本日はありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。



(了)

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