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2015年7月17日 第31回先進医療技術審査部会

(了)


第31回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成27年7月17日(金)16:00~17:40

(2) 場所:中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(19階)

(3) 出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、一色構成員、
伊藤構成員、上村構成員、柴田構成員、大門構成員、
田島構成員、田代構成員、手良向構成員、藤原構成員、
松山構成員、山本構成員、坂本先進医療会議構成員

  (事務局)

医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 室長補佐

議 題
1. 新規申請技術の評価結果について
2. 試験実施計画 の変更について
3. 先進医療の継続の可否について
4. 協力医療機関の追加について
5. 先進医療の取り下げについて
6. 先進医療会議の審査結果等について
7. その他

議事録

○猿田座長 時間がまいりましたので、第31回先進医療技術審査部会を開催いたします。本日は悪天候の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。
 本日の構成員の出欠状況ですが、佐藤構成員、関原構成員、直江構成員、山中構成員からは御欠席の連絡を頂いております。
 本日は18名の構成員のうち、14名の構成員にお集まりいただいております。なお、藤原構成員は外来の関係で遅れていらっしゃいます。
 それから、本日は有識者として先進医療会議の構成員の坂本先生においでいただいております。坂本先生、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 本日の配布資料の確認をいたします。議事次第から始まりまして、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術委員名簿と続きます。
 次に「新規申請技術の評価結果」として、資料1-1ないし1-5があります。次に「先進医療Bの試験実施計画の変更について」として、資料2-1ないし2-5があります。次に、「先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について」として、資料3があります。次に「先進医療Bの協力医療機関の追加について」として、資料4-1、4-2があります。次に「先進医療Bの取り下げについて」として、資料5-1、また、「先進医療Bに係る協力医療機関の取り下げについて」として、資料5-2があります。次に報告事項として、資料6-1に、群馬大学医学部附属病院及び千葉県立がんセンターより提出された、「先進医療における自主点検報告について」、また、資料6-2に「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下腎部分切除術(告示番号50)について」があります。最後に、参考資料となります。会議資料の最終ページは166となります。
 また、本日は机上配布資料として、関原構成員よりのコメント1枚紙。また、新規技術に関するサマリーシート1枚をお付けしております。
 本日の資料は以上です。乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
 それから、利益相反についてです。申請医療機関との関係や対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-1の15ページに記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業に関して、事前に確認をさせていただいております。今回も、事前に事務局にて確認いたしておりますが、いずれの構成員からも運営細則に定める利益相反に該当する届出はありませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。該当なしということでよろしいですね。
 また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等については、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料のページ又はタブレットのページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○猿田座長 今、お話がありましたように、かなり資料が多いですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 早速、議事に入ります。事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 撮影されている傍聴者の方がいらっしゃいましたら、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 資料1-1の15ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に評価いただく技術は1件あります。整理番号047「自己心膜製ステントレス僧帽弁置換術」です。適応症は、僧帽弁閉鎖不全症。ただし、「手術適応があり、僧帽弁形成術(MVP)困難あるいは不適当なものに限る」となっております。なお、当該技術の薬事承認状況につき、申請書類には「適応内医療機器の使用」と記載されているところではありますが、医薬食品局の事前評価により、本技術にあっては「適応外」との見解が示されたため、本資料では「適応外医療機器」と記載を改めさせていただいておりますことを申し添えます。
 申請医療機関は、公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院です。
 審査担当構成員は、主担当が一色構成員、副担当は大門構成員、田代構成員です。また、有識者として、坂本先進医療会議構成員にも審査をお願いしております。
 資料1-5の79ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。
 まず、実施責任医師の要件として、診療科は心臓血管外科又は心臓外科。資格は、心臓血管外科専門医が必要。当該診療科の経験年数は5年以上が必要。当該技術の経験年数は不要。症例数も不要となっております。
 医療機関の要件ですが、診療科は心臓血管外科又は心臓外科。実施診療科の医師数として、僧帽弁形成術の経験年数5年以上の心臓血管外科医が2名以上必要。他診療科の医師数ですが、具体的に僧帽弁形成術の術中経食道エコー評価の経験2年以上の循環器内科医師2名以上が必要。その他医療従事者の配置として、心臓血管外科手術に対応できる臨床工学技士が必要。病床数は100床以上が必要。看護配置は、7対1看護以上が必要。当直体制は、循環器内科2名、心臓血管外科2名、加えて、心臓血管外科手術に対応できる臨床工学技士2名が必要となっております。緊急手術の実施体制は必要。院内検査(24時間実施体制)は必要。他の医療機関との連携体制ですが、実施施設で対応不可能な診療科の受診が必要な場合には、各施設連携病院に対応を依頼するということで、必要。医療機器の保守管理体制は必要。倫理審査委員会による審査体制ですが、年4回以上で臨時開催・緊急開催が可能であることが必要。医療安全管理委員会の設置は必要。医療機関としての当該技術の実施症例数は不要。
 その他の要件として、1)僧帽弁形成手術年間20症例以上を実施していること。2)心臓血管外科修練認定施設であること。3)日本成人心臓血管外科手術データベース(JACVSD)参加施設であること。4)実施医は僧帽弁形成手術通算50症例以上の経験を有することが必要となっております。以上です。
○猿田座長 特に保険医療機関の要件が、今までの場合に比べて今度の場合は、僧帽弁の手術ということで特殊な形を取っております。特に、心臓血管外科の先生が2名以上、循環器内科の先生が2名以上ということです。
 次のページに、今お話いただきましたようなこの施設の条件がありますが、どなたか御質問はありますか。よろしいでしょうか。そうしましたら、施設要件はお認めいただいたことにいたします。
 早速ですが、主担当の一色先生から概要の説明と実施体制についてお話いただけますか。
○一色構成員 概略の説明をいたします。この手術は斬新なアイディアを導入したもので、細かい説明は後で坂本先生からお願いできるかと思います。
 重症の僧帽弁閉鎖不全症に対する外科手術では主に弁置換術と僧帽弁形成術という2つが行われています。特に近年では、乳頭筋腱索などの弁下組織を温存することが、術後の心機能の保持に有用であることから、弁置換術よりも弁形成術が積極的に行われている現状にあるかと思います。
 しかしながら、僧帽弁形成術では腱索と乳頭筋の長さの調整など、細かい作業を必要とすることから、必ずしも安定した成績が得られるとは限らず、経過中の弁逆流の再発などによって、結局、再手術すなわち弁置換術を余儀なくされる症例もまれならず存在しておりました。このような背景から本技術が開発されたものと理解をしております。
 本技術については31ページから35ページの図を御覧ください。若干分かりにくいかもしれませんが、32ページに出ているように、開胸し自己心膜大きく採取します。その後、31ページのような型紙に合わせて切り取って、それを33ページの図のように人工リングに縫着することにより人工弁を体外で作成し、これを用いて弁置換を行うという手順が採られます。本技術のメリットは、図ではイカの足のように見える脚部を乳頭筋に縫着することによって、弁置換術では失われていた弁下組織との関連を確保することにあります。
 本技術の開発については、資料にありますように体外での実験や動物実験、そして安全性試験等を慎重に行ってきた経緯があります。本技術が先進医療の俎上にあげられたことについては、これが保険診療を目指した形での医療技術として可能であるかが申請の対象となっていると理解をしております。概略の説明が以上ですが、細かい評価は坂本先生にお願いしたいと思います。プロトコールについては構成員の先生方から伺うことと致しまして、まず最初に私の実施施設としての評価を述べさせていただきます。
 36~39ページをご覧くだい。私からの事前の問合せに対する回答を頂いてまとめさせていただきました。もっとも重要な点として指摘させていただきましたことは、ここには記載されておりませんが、実施責任医師が非常勤医師として申請された点です。当医師は実質的に当該技術を推進してこられたということで、申請施設に対する寄与は大きいものがあることは理解されますが、先進医療の体制としては望ましいものではありませんので、私としては、申請施設の常勤医師が責任医師になっていただくべきであると判断し、「不適」とさせていただきました。実施責任医師については心臓血管外科部長などの適切な常勤医に変更していただくように求めたいと思っております。
 その他につきましては事前の質問事項に適切に対応し、適宜追加修正がなされましたので、「適」とさせて頂きました。
 私からは以上です。あとは、皆様の御意見を伺った上で、総合評価をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○猿田座長 では、後ほど総合的な評価をお願いいたします。技術に関しては、本日おいでいただきました坂本先生から、実施体制、その他の御意見を頂けますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○坂本先進医療会議構成員 資料の31ページを御覧ください。これは、最初に申請者から提案の、先ほどイカの足うんぬんというお話があった絵があります。後ほどこれが修正された絵が出てきます。図1・左側の大きなものが前尖で、図1・右側の両足ステテコ状ものが後尖です。弁が閉鎖した時に、どこが一致するのか。この図1・左右では余りにも横幅の狂いが大きいと同時に、後尖のエッフェル塔の下を歩くようなトンネルがありますが、これがギリギリ前尖に引っ掛かり接合して閉鎖時に弁が漏れないようになっている。少しずれた時に、これが狂う可能性がないか。
 図2は若干小さな写真ではありますが、これは彼らが300回ほど訓練して作った弁です。よく見ると、これはデュランリングというリングの縫い代が楕円形状にあり、その左右上のほうにグリーンの糸が目印に付いて、この間が弁人工輪・円周の3分の1を示しています。実際、このリングだけを普通の弁形成術に使う場合は、線維三角という大動脈弁と僧帽弁の接合部にここを合わせて固定し、それから周りのリングを僧帽弁輪に縫い付けるという手技であり、この2箇所のグリーン糸・目印間は極めて重要な解剖学的意味を持ちます。
 しかしながら、彼らが心膜で作った弁、これはシミュレーター用の弁なのですけれども、左右、円の中心を通る所の真ん中、すなわち左右1/2の箇所に交連があるわけです。そこが解剖学的におかしいのではないかというのが第1点です。
 もう1つは、下のほうに後尖という小さな弁が付いています。逆にここは、小さな三日月型の弁に対して、左右均等な所に2箇所で縫った跡があります。縫ってしまうと、果たして弁が開くのか。後尖が閉まるときには形がいいのですが、後ほど人間の弁が出てまいりますが、人間の弁はここに皺がありますけれども、解放する時に備えて縫ってはいません。
 続いて54ページを御覧ください。シミュレーター用の弁です。これは私自身が図を拡大して、前尖、後尖と名前も付けました。やはり、先ほどのグリーン糸の三等分の所、前方の3分の1部分に前尖が付いておらず、左右の全く平等な水平線上に付いている。これを透視下で見ると、この下図のように完全に中心を通る水平線になっています。人間の弁というのは、何ゆえに円周3分の1に付いているかというと、これは本来ノーマルなのです。何ゆえ3分の1なのかというのは、発生学的裏付けがあるわけです。今回作成したモデルで説明しますが。最初に、基本的に正常な僧帽弁では、3分の1の所に前尖が付いていて、閉鎖時にはこの辺で閉まるわけです。開くときにはここまで開くのです。したがって、3分の1のこのピッとした線の所でしっかり止まっても、これだけ弁の開口面積は取れるわけです。次のモデルは今回のシミュレーター用弁を真似た弁ですが、逆にこの弁のように、2分の1でやったときにどういう現象が起こるかというと、開け閉めでこうなります。前尖を円周の対極に引っ張られて固定していますから、ここに動かない所が面積的には半分できます。私は、外科医として、それがどうしても腑に落ちないのです。
 したがって、申請者はテクニカルにそこをどうやって逃げているかという図が62ページにあります。僧帽弁が閉まった瞬間のエコーが、グリーンとか赤の線の中に見えています。そうすると、自己心膜で僧帽弁を作成するときにここの交連部間の紐を緩めているわけです。開くときに、糸が交連部をピシッとして縫い付けてしまうと、弁は先ほどのように落ちませんから緩めておけばいいと。緩めた現象として、心臓が収縮した時にどういうことが起こるか。左室圧で前尖は左房側に上がります。それが、ここにポコッと赤の水平線の2本目の上にポンと飛び出して、多分、一色先生は御存じだと思うのですが、このように飛び出して膨らんでいる弁というのはバーロー症候群という、弁が壊れている1つの症候群があります。逆に最初からそれを作って支持しているのかなと。どうしてもその形状に合点がいかないのです。
 続いて63ページを御覧ください。シミュレーターで確認されたNormo弁の良好な挙動ということで、上がNormo弁、下がブタ正常弁と書いてあります。閉まっているときにはよく閉まってピシッといっていますけれども、開くときに先ほど説明した、真ん中の水平線の中に固定されているがために、前尖が壁のほうに余り寄っていません。これが3分の1の交連部であると、先ほどお話したように、この開け閉めですから僧帽弁輪部まで寄るわけです。ブタ弁のほうは、きれいに円型を取って開口しているではないですか。そこの点が、形状からいってNormo弁。ノーマルという名称の割には、ちょっとアブノーマルではないか。
 もう1点は226ページを御覧ください。これは何ゆえに動物の心膜弁を用いてきたかという歴史的な問題です。心臓外科医・Ionescuが1976年代に論文を出しています。226ページにアンダーラインで示しましたが、既にここでいろいろ自己心膜弁を試みたけれども、その柔軟性や素材の厚さにむらがあるためウシの心膜弁を使いだすと、製品管理がきちんとしたものができるので、私はそれに乗り換えたという論文が1976年ぐらいに出ています。これがアイオネスク弁の開発と商品化への歴史になっています。
 続いて235ページを御覧ください。ここにノーマルの弁がきれいに出ています。先ほど言った線維三角の印が235ページの左側の絵になります。破線で斜めに交連部に対して入っています。したがって、これだけの膨らみがあって、ポンとこの弁が閉まって、もちろん弁の・後尖皺の所に縫った跡はないです。正常僧帽弁の形状はそういう形になるのですが、Normo弁ではあらかじめ後尖のほうは縫ってある。前尖は、水平線上に交連部がある。その結果、逆に開くのに制限があるのではないか。その辺が、外科医として、あるいは正常の弁をよく見て、いろいろ形成術を研究している人間としては、若干の不満が残ったというのが私のレポートです。
○猿田座長 モデルを使って御説明いただきましたけれども、後ほど構成員の先生方から御質問を受けます。先に、各委員の先生方のお話を伺います。坂本先生にはちょっとお待ちいただいて、先に進ませていただきます。
 続いて、倫理的な観点からお話を伺います。田代先生からお願いします。
○田代構成員 資料の40~46ページまでをご覧くだい。事前にかなり細かく指摘させていただきました。いろいろな点が入っていたのですが、中心になってくるのは、多分この技術全体に関わると思うのですが、既存のものとの比較で、利益・不利益が非常に入り組んでいて、非常に分かりにくいということです。最終的には、一覧表を説明文書に入れていただきました。恐らく現実にはそれを見ながら丁寧に説明していただくということになるかと思いましたので、今回はそこで一旦「適」ということにさせていただいています。
 いずれにしても、今ある治療法の弁形成と人工弁との関係が複雑になっていて、そこが説明文書に関しても非常に分かりにくくさせている1つの原因かと思います。それについては、私のほうとしては、可能な限り誠実に対応していただいたとは理解しています。
○猿田座長 本日御欠席の関原先生からもコメントを頂いておりますので、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 本案件に関して、本日御欠席の関原構成員より、本件の同意説明文書の記載に関してコメントを頂戴しております。構成員の先生方には机上にお配りしております一枚紙を御覧ください。構成員の先生方には原文のままお配りしておりますが、一部個人情報等が含まれておりますため、事務局より概要を御紹介させていただきます。
 コメントの前段には、心膜を用いた本弁置換術が他の治療に比べての優位性が不明な点が多く分かりづらいこと、さらに、本治療には、まず心膜採取が必要なところ、心膜採取に全くリスクがないとの記述が少し気になるとの御心配を述べられております。
 後段では、主治医、あるいは執刀医がどう説明するか、患者と医師の信頼関係如何であり、患者が正しく伝えられ、納得して主体的に治療を受けることが大切で、その意味で、タイトルの「協力のお願い」との文言は、医師がお願いする話でなく、違和感があると述べられております。以上です。
○猿田座長 関原構成員は、医師ではないということで、こういう形で述べられております。これを踏まえて、もう一回田代先生にお願いいたします。
○田代構成員 前段の話なのですが、基本的には一度指摘をさせていただいて、可能な範囲では追加していただいたところなのですが、やはりそれを読んでも難しいところがあるということかと思いますので、これは実際の説明のところでもしっかり工夫していただくことが重要かと思います。
 心膜採取の件も、一色先生から指摘があり、これも説明文書の不利益の所に追加していただきました。それでもまだ指摘をいただいたということは、この手技をやっている先生方と、これを初めて見た方との間でなかなか認識が一致しないということだと思いますので、ここもより丁寧な説明が必要だということかと思います。いずれにしても、関原先生からご指摘いただいた生体弁置換との比較と心膜切除に関するリスクについては、しっかり丁寧に説明していただくことが大事かと思います。
 後段のほうですが、もちろんこういう研究ですので信頼関係が重要だというのは当然かと思います。ただ、研究の場合は表題に「協力のお願い」ということが書かれるのは一般的かと思います。当然この試験に関しても、患者さんが最終的にはしっかり内容を理解して、主体的に選択することは重要ですが。文書としては「研究に対する協力のお願い」というのは、他でも一般的に使われているので、削除を求めるというほどのことではないかと考えています。
○猿田座長 また後ほど議論させていただきます。先に行かせていただき、大門構成員から、試験実施計画についてお願いいたします。
○大門構成員 試験実施計画書等の評価を担当させていただきました。評価結果は19ページに示すとおりでございます。これは、以前に審議案件として挙がった折に、私が事前評価を担当いたしまして、その時に実施計画書の内容についてはすでにかなり指摘させていただきました。その該当部分を拝見しますと、改善がなされております。また、以前の申請時と比べてデータセンターや手順書も整備され、実施体制としては強化されているように見受けられました。それ故、このような評価結果にさせていただきました。
 今回の事前評価で指摘・確認させていただいた点は21ページを御覧ください。この評価技術は「自己心膜製ステントレス僧帽弁置換術」という名称が今回与えられております。もともとこの案件は当初、「拡大僧帽弁形成術」として申請されていました。そのもとで数例実績が積まれ、現時点で12例の実績が積まれている状況です。今回、「僧帽弁形成術」から「僧帽弁置換術」と名称が変更されました。その変更過程で手技としての改善もなされているのでしょうけれども、いまいち両者の違いが分かりにくかったことを指摘しております。
 より具体的には、薬事承認の観点から見ると、先ほど事務局の真田先生からご説明いただいたように、今回の技術を「僧紡弁置換術」と位置付けると、デュランフレキシブルリングは適応外使用になると思うのです。その点も含め、この評価技術が「僧帽弁形成術」あるいは「僧帽弁置換術」のどちらに位置するのかをもう少しはっきりさせていただきたいと指摘いたしました。これは、田代構成員、関原構成員からもご指摘があったように、結局標準治療は何かという点とも関連し、この置換術に対する標準治療は何なのかをとらえるためにも、明確にしていただきたいと申し上げました。
 こういったところを踏まえまして、この評価技術は新たに「僧帽弁置換術」と位置付けられて実施され、かつデュランフレキシブルリングが適応外使用されることも考慮しますと、この評価技術は、開発戦略として、どのような形でその開発が進められていくべきかを、PMDAと協議したほうがよろしいのではないかと感じました。
○猿田座長 御指摘のありました、適応外使用という問題が出てまいりました。これまでのところで、坂本先生からのお話と今のお話を併せて、構成員からまず御意見を頂けますか。その後に、総合的に検討していただきます。大門先生、これは適応外使用というほうが近いということですか。
○大門構成員 真田先生に御説明いただいたとおり、もともとこれはデュランフレキシブルリングの使用目的の添付文書によると、房室弁の輪形成術に使われると書かれている点から考えても、そうなのではないかと感じました。そのことも含めまして、本評価技術そのものの開発戦略をもう一度練り直していただいたほうがよいと感じました。
○猿田座長 坂本先生、今の辺りも含めていかがですか。
○坂本先進医療会議構成員 タブレットの8ページを御覧ください。ここに「申請医療機関においては、患者10例に対して」と。過去の手術症例10例をもって始めた期間が2011年6月です。術後平均うんぬんで、「MRは確認されていない」と、きちっと書いてあります。
 同時に、72ページの英語の論文を御覧ください。これは、今年の1月にペーパーになった英語論文です。「The Annals of Thoracic Surgery」という、胸部外科では一流雑誌です。72ページの下のほうに7例、これは論文にしたときまでの症例です。スタートは同じ2011年6月ですが、その7例のうち、それにPost-というのは、術後のMRがいかなるものかというので、2例がマイルドの逆流で、トリビアル、僅に逆流があるというのが1例、合計7例中3例に超音波で逆流が認められております。これが申請書では全くないという話になっているので、私は倫理的にといいますか、責任感がそこにないと思います。
 その後に3例が追加されていますが、もし7例でこの弁を使ったとして、多かれ少なかれ軽度、あるいは極めて僅かであるものが3例。7例中3例で逆流が認められている人工弁というのは、本当に良い人工弁なのかという疑問がそこで湧くべきではないか。まして、歴史的に一度は否定された自己心膜という問題があったときにです。
 そこが、私の師匠の鈴木章夫先生は、アメリカで人工弁を最初に開発したり、大動脈弁置換を手作りのテフロンでやったりということで、オハイオにいたときに、オハイオの新聞に載っている35歳の時の写真を、よく自慢話で聞かされました。その時の苦労が歴史的に失敗を繰り返すべきではないという感じで、あえて今回は厳しく発言させていただきました。
○猿田座長 今の御意見に御質問はございますか。
○山本構成員 デュランフレキシブルリングの添付文書を確認しました。高度管理医療機器ということで、恐らくクラス3かクラス4、クラス3だと思うのです。使い方が非常に特定されていて、かなり詳しく使用方法まで説明があります。これと全く違う使い方で、今回は使われますので、恐らく適応外使用で、何らかの治験なのか、ある程度臨床実績を含むデータがないと、これを使っていくのは、大門先生がおっしゃるように、難しいレベルのものではないかと思います。大門先生もおっしゃいましたけれども、出口を考えるのであれば、PMDAに相談をなさるほうがいいのではないか。無駄になるのが一番良くないので、やはり相談してからされたほうがいいのではないかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 ただいま頂きました御議論の中で、適応内、適応外の区分に関するところです。本日は医薬食品局の出席がないものですから、私が代弁いたします。この技術については、この申請内容で事前に医療機器室等にも確認をしております。そこで適応外という見解がなされておりますので、一応適応外ということを前提に御開発いただくことになります。今後開発計画ということだと、薬事承認を含む保険収載までの計画を考えていただくことになろうかと思います。
○猿田座長 それは、事務局のほうの考え方ということですね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○山本構成員 事務局に確認ですけれども、この申請者の方々は、事前相談を含めてPMDAには行っていないのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 そのように認識しております。
○猿田座長 坂本先生にお伺いしますが、先ほどの逆流の問題というのは、手術後の時間的な関係でも随分違ってくるでしょうね。この報告の7例、あるいは10例のところで、時間的なことはどうだったのでしょうか。最終的に評価のところで、この試験法としてそこでまた問題になってくると思うのです。
○坂本先進医療会議構成員 今回の術後のチェック項目を見ても、退院時から2か月ぐらいの間のエコーで評価して、その後は全くフォローアップがないのです。その問題はちょっと危険なことではないか。まして急性期を過ぎた僅か2か月ぐらいで、7例中3例、10例中3例かもしれませんけれども、あるのはどうかなと。
 そうした場合に、確かに金属性の人工弁でも、ワッカ(チタニウム製弁輪部)とパイロライトカーボン製の弁葉部分という極めて軽い材質の間で、どうしても若干の漏れは機械的にあります。それは、逆に3%ほどなのですが、それは、そこで漏れるがために血栓が予防できるというシステムでもあるわけです、機械であるがゆえに。これは生体なので、どうしてもピシッと軟らかくフィットしますので、よほど糸の掛け方を間違わなければ、本来はゼロであるべきなのです。
 もう1点ずっと考えていたのですが、こういうものを手作りして、人工弁として植え込んだ場合に、PL法はどのようになるのか。どこかで保険を掛けておかなくて、逆にいいものなのか。まして適応外使用というものまでやったときに、デュランリングはそこでPL法の保険から外れるでしょうから、そのときにどういうバックアップがあるのか。幾ら信頼関係があっても、従来の市販の人工弁がピシッと止まるものに対して、あえてチャレンジするというのは危険因子があるのではないかと思います。手術を受ける身になってみると、その辺がどこまでインフォームドコンセントで説明されているのか。いろいろ指摘する度に、申請者からはご指摘のとおりですという返事が返ってくるのですが、それなら進行する中でもっと変わってもいいのではないかという気もしていました。
○山口座長代理 私の専門のほうでは、余り自己材料を使わないので教えていただきたいのです。資料の92ページに長期耐久性のことが書いてあります。これによると206例で大丈夫という書き方をしています。これは外国のデータで、人種間での差とか、そういうものは耐久性に対してないのでしょうか。例えば、白人とアジア人とは違うとか、そういうデータはあるのでしょうか。長期の耐久性について、東洋人のデータはあるのですか。
○坂本先進医療会議構成員 Carpentierのグループの自己弁を使ったデータというのは、年とともにいろいろ弁の劣化も起こりますので、そこは大動脈弁でも漏れてはいないのですが、大動脈弁のぶつかる所が、お互いにそこでもって残留が起きている例はあります。したがって、僧帽弁でももともと病変のある弁を縫い縮めますから、その辺がイベントフリーで若干漏れてもいいのかというようになるかと思います。ただし、術後急性期は、今は経食道心エコーで見ていますから、何回ももう一回閉めてみたりしています。
 私どもの大学では、ビーティングハートで、心臓を動かしたまま弁形成をやっています。その方が、もっとノーマルに近いだろうというので、人工心肺の技術を、左室圧が動脈圧を絶対に超えないような人工心肺の回し方をして、その間にビーティングハートで弁を動かしながらやっています。そこまで努力して、ほぼ90数%の例で自己弁を修復できています。しかし、年齢とともにまた漏れてきたり、腱索が断裂したりということは起こり得るかと思います。最初から3割、4割にあるというのはいかなるものか。
 それから、どう考えてもノーマルと弁の形が違いすぎますので、デュランリングの使用法も、デュランリング製造元が規定したポイントをここだと示してあるにもかかわらず、そこに違う当てはめ方をして、真っ二つにして両方に分けているというのも、デュランにとって失礼な話ではないか。
○松山構成員 坂本先生にお伺いします。主要評価項目が2週間の段階で、経胸壁的心エコーで評価されています。プロトコールを見ると3か月、6か月でも心エコーされています。これを2週間で評価するということは、プロトコールとして、こういう弁形成に関わるものとして適切であるのかどうかというのはちょっと引っかかります。この点のコメントを頂けますか。
○坂本先進医療会議構成員 2週間では早すぎると思います。まだ癒着が完成していませんので。癒着が完成したときにまた変わってきます。まだ術後で、まして心膜がないですから。恐らくゴアテックスの人工心膜を使ったとしても癒着は起こります。そのときにまた、前壁が癒着したという、後壁とのバランスで心臓内は変わってきますから。論文でも引用したのがあって、人間というのは、運動負荷をやったときには大動脈の高さは変わらないので、横隔膜が下がったときに、左室をこう引くと左房は深呼吸の度に下がりますので、僧帽弁が流入する角度はもっと左室に対してきつくなります。その時に、前尖が大きいからスポッと僅かな角度で、脈が150になっても血液がスポスポ落ちる。そのワイパーの角度が短いときに、どれだけの回転数ができるかを考えれば明らかなことです。2週間では短く、やはり2年、3年のデータが本来は必要ではないかと思います。
○猿田座長 他に構成員の先生方から御意見がないようでしたら、難しい問題ですので、一色先生からここでひとまとめしていただけますか。
○一色構成員 心臓の手術が、生命に非常に大きな関わりを持つだけに、先生方の御意見は非常に重いものだと改めて感じています。先進医療としてどういうものを認めて、どういうものを推進していくのかという、その立場も非常に問われているかと感じています。私の評価としては、「条件付き適」とさせていただきました。坂本先生から御説明いただいた厳しい御意見からは、まだ評価が甘いと言われるのかもしれません。種々の立場や考え方を参考に推敲した上での結論ということになるかと思います。
 坂本先生のご指摘のように、本技術には複数の問題点があるということは否定することのできない事実だと思います。しかしながら、本技術は少なくともそれなりの時間をかけて練り上げられてきた実績が示されています。様々な実験の経過の中で、不具合があれば、ここまで来なかったであろうとも感じています。
 また、本技術には複数の専門家の支持があることも無視できません。この技術が日本から発信していく形で、将来的に貴重な技術として定着する可能性があるものであれば、何とか推進していきたいと期待するところでもあります。。
 一方、術後の評価として、今のプロトコールでは甘いのではないかという御指摘は非常に重要と思います。坂本先生がご指摘されたように経時的に僧帽弁逆流が起こる可能性は十分に想定されますし、その他の不具合が出現する可能性を考慮すれば、術後の評価項目に定期的に経食道心エコー図を行うなどの方法を取り入れる必要があると考えました。
 また、イベントが起こった段階で、いち早くそれを感知することはとても重要だと思います。そこで、第三者で構成されるイベント評価委員会による確認は必須と考えました。イベント評価委員会において複数の眼でイベントの1例ごとに評価をしていただくことにより、バルブの安全性・有効性について、フィードバックしながら進めることは最低限必要と考えるところです。
まとめますと、これらの2つの条件を付与した上での「条件付き適」とさせていただきました。以上です。
○猿田座長 先進医療というのはどういうものかというときに、今、先生がおっしゃったことだと思うのです。確かに患者さんにとってメリットがあるということと、実際に出された施設は、非常に多くの症例を研究しながらここまで持ってきた。それが先へ行って、患者さんのために非常に役立つということであれば、それをいかにだんだん修正して、最終レベルに持っていくかということは非常に重要だと思うのです。
 坂本先生、これからの進め方で御意見を頂けますか。
○坂本先進医療会議構成員 最大のポイントは、インフォームドコンセントの在り方ではないかと思います。先進医療をやる上で、正直なデータに基づいて、こういうことも起こり得るよと。過去の症例では軽度の逆流は残っている例もあるけれども、進行していないとか、そういうものをきちんと出した上で、そして今の市販の弁に比べてどういうメリットがあるのかというのは、5年、6年たったときに、その辺が全然違う。左心機能もどうなるかという問題に持っていって、そこのインフォームドコンセントが、1例も逆流はありませんとか、ちょっと我田引水的なところが目立つというのは、特に先進医療におけるインフォームドコンセントの在り方ではないと思います。危険性、逆にまだ歴史が浅いだけに、果たしてCarpentierとかみたいに10年、15年。それが8年しか持たなかったのが15年もある。20年というのは、歴史でグルタルアルデハイドの濃度とか、いろいろ変えてきてウシ心膜弁でも何でも持つようになってきていますので、それに対応するだけに、何も処理していない自己心膜。
 あと危険なのは、榊原記念病院単独ではなくて、共同施設もやると。ここのばらつきが、私は手仕事に対していかなるものかという危惧を持っています。それに対しても、先進医療で10例までやって、5年見てうんぬんときちんと腰を落ち着けてやるのなら、何も共同施設でやるのではなくて、1施設でピシッとした、執着したデータを出してもいいのではないか。それが本当の先進医療で、将来の道の大きさを見た場合にはいいのではないかという気もします。
○猿田座長 それは、一色先生がおっしゃった実施体制の医師の問題もあります。そこは非常にポイントになります。
 事務局に伺いたいのですけれども、適応外使用のことで、これはPMDAとの話合いも必要なのですか。そこはどうしたらいいのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 申請を頂いた当初は、適応内使用という申請を頂いて、これは薬事承認のことは全く念頭になかったものですから。そこに必要性が出てきたということになると、今後の開発計画も多少なりとも変わってまいることが予測されます。そこを踏まえた開発計画及び一色先生の総合評価のところからも、「パイロット試験と位置付ける」というような記載もありますので、そのような位置付けも含めた先進医療の位置付けと、それから承認までのロードマップをブラッシュアップしていただくことになろうかと考えております。
○猿田座長 大門先生、今のような考え方はどうですか。
○大門構成員 結構です。
○猿田座長 大体の方向は一色先生におまとめいただいたように、一応「条件付き適」として、特に指摘されたところを検討していただいて、非常に努力してやってこられたものですから。
○医政局研究開発振興課専門官 今の御議論から幾つかの条件を頂いたものと認識しております。その確認をさせていただきます。1つ目は、実施責任医師の適切な選任をする。2つ目は、坂本先生のお話にもありましたように、インフォームドコンセントに関する精緻な説明をする。例えば、軽度の逆流の話だとか、現時点での長期データ、利益・不利益の再生などを含めたもの。3つ目は、今後の開発計画についてロードマップを整備し、PMDAと協議・相談をする。4つ目は、一色先生の御指摘にもありましたように、経食道心エコー図などを含めた、より長期の、年単位のフォローアップということ。5つ目は、第三者によるイベント評価委員会を作り、1例ごとに経過を確認する。このようなことを、こちらで条件として頂いたものと認識しておりますが、それでよろしいでしょうか。
○猿田座長 田代先生どうですか。
○田代構成員 それでよいかと思います。特に利益についての説明については、少し強すぎる表現もあり、すでに細かくいろいろと直してはいただいたのですが、恐らくまだ不十分だという御意見かと思います。特に先ほどご指摘のあった、軽度の逆流のケースですとか、これまでのことについて、ネガティブなことも含めてしっかりとお伝えすることは重要だと考えていますので、先ほどの条件でよいかと思います。
○猿田座長 関原先生の部分もそうです。ちょっと気になるところがあると。
○柴田構成員 リスクがあるものを、どう開発するのかという話だと思うのです。リスクがあったら駄目だということではないと思うのです。一方で、何か問題が起こったときに、速やかに対処できるようにしておくことは必要であろうと思います。坂本先生がおっしゃったような、例えば逆流の話などが、仮に軽度にとどまらないようなものが起こったときには、一旦全ての施設で登録を停止すべきです。そのような形の対応が取れるような仕組みを組み込んでいく必要があると思います。どういうイベントが起こったら、どういうアクションを取るべきかというのは、私は分かりませんけれども、可能性としては、まだ実施された症例数が少ないために重大な問題が見付かっていないだけ、という可能性があることですから、この25例全員登録した上で見るということではなくて、途中で何かが起こったら、一旦登録を停止するような仕組みというのは入れておくべきかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、了解いたしました。こちらも併せて照会いたします。
○猿田座長 他に御意見がないようでしたら、「条件付き適」という形で、ここでは決定させていただきますが、よろしいでしょうか。
○田島構成員 インフォームドコンセントを丁寧にということの延長なのですが、タブレットの156ページで、説明文書の17番に問合せ先が記載されています。ここには代表電話番号しか書かれていません。研究代表者の氏名等は書かれておりますが、これで時間外でも通じるものなのか。やはり内線番号なり、代表の時間が限定されているものであれば、その時間外の連絡先等も書いていただく必要があると思います。
○猿田座長 その点も非常に重要な点だと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、併せて照会します。
○猿田座長 それでは、どうも御協力ありがとうございました。そういう形でこの案件は終わらせていただきます。坂本先生どうもありがとうございました。
(坂本先進医療会議構成員退席)
○猿田座長 次に移ります。次は、試験実施計画の変更です。
○医政局研究開発振興課専門官 では、続けて事務局より御説明いたします。先進医療Bの試験実施計画の変更について、本日は5件の申請がありました。
 まず資料2-1、81ページを御覧ください。1件目が福島県立医科大学附属病院からの申請で、告示番号15「重症低血糖発作を伴うインスリ依存性糖尿病に対する脳死ドナー又は心停止ドナーからの膵島移植」についてです。
 適応症は重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病となっております。
 本試験は、血糖不安定性を有するインスリン依存状態糖尿病に対して、血糖の安定性を図ることを目的に、他人より提供された膵臓から分離した膵島組織を局所麻酔下に門脈内に輸注する方法で、免疫抑制剤併用下に膵島移植を複数回実施する多施設共同非盲検単群試験です。
 主要評価項目は初回移植から1年後のHbA1c値が7.4%未満であり、かつ初回移植後90~365日にかけて重症低血糖発作が消失した患者の割合です。予定試験期間は平成23年2月21日~平成31年5月20日。予定症例数は20例で、本回の申請時点で5例、6回分が登録されております。
 主な変更内容は、海外臨床試験プロトコールにおける推奨血中濃度の変更に伴うタクロリムス投与量の増量、それに伴う統計学的考察の追記及び記載整備です。
 変更申請の理由ですが、本技術のプロトコールは、北米を中心に実施されている「CIT-07」という臨床試験のプロトコールを参考に計画され、本試験の結果と当該試験の結果を踏まえ、今後の展開を検討する方針としているところ。今回、CIT-07において、タクロリムスのトラフ濃度目標を「タクロリムスの投与量を目標トラフレベル3-6ng/mLとする」ものから、「術後3か月は目標トラフレベル10-12ng/mL、術後3か月以降6か月までは8-10ng/mL、それ以降は6-8ng/mLに達するように調整する」と変更されました。
 免疫抑制剤投与量の増加は、リスクの増加につながる可能性がありますが、今回設定された濃度は本邦での腎移植及び肝臓移植の分野で使用されている用量を比べても高くなく、臨床的には副作用を助長しないと思われ、本邦においても倫理的に許容されると判断したこと。また、PMDAの薬事戦略相談においても、「可能な限り海外のプロトコールに沿ったものであることが望ましい」とのコメントを頂いた経緯があること、また、本臨床試験の独立データモニタリング委員会に用量設定の見直しについて審議を依頼し、用量設定を見直すべきとの判断を得たということです。なお、タクロリムスに代わり使用が認められ、本臨床試験でも使用しているシクロスポリンについては、目標血中濃度の変更はなされていないため、これまでどおりの用量で使用します。
 一方、免疫抑制剤の目標濃度設定の変更により、これまで実施された症例との間で統計学的考察が困難になる可能性が懸念され、また、試験の進捗が遅れていることから、試験期間内に目標症例数の達成が困難な可能性があります。これに対して試験期間内に目標症例数達成の更なる努力は継続するものの、この試験はドナーの有無に依存しており、確実な進捗が保証されないため、万が一目標症例数に達しない場合の統計学的考察方法につき、「目標症例数に達しない場合の対応」として、「登録期間内に目標症例数に到達しない場合、有効性についての統計的評価は困難なことから、実施症例の安全性の評価を主に行う。有効性については個別に詳細な検討を行い、安全性と有効性を総合的に評価した結果を記述し報告する。」との追記を行うものとのことです。
 御審議をお願いいたします。
○猿田座長 ちょっと難しい説明です。御存じのとおり、これは非常に早くから先進医療として認められたのですが、なかなか進まなかったのです。一番進まなかったのが、やはり膵臓の提供というのが難しくて、本当に良い膵臓があったときには、そのまま膵臓移植のほうに持って行ってしまい、膵島移植とはいかなかったからです。しかしながら、非常にいいテクニックですから、それをどう進めるかということで、申請機関では随分努力されてきました。
 1つ目は、いかにしてその細胞を集めるかです。2番目は、細胞を分離しなければいけないので、その酵素をどういうものを用いてやるかという酵素の問題が非常に大切でした。もう1つが免疫抑制剤の使い方です。今度出てきたのは、日本と欧米の使い方の問題で、濃度的に同じような形で行ったほうがいいだろうという考え方もあるものですから、外国のほうで濃度を変えたから、こちらのほうも変えたいということです。しかし実際に、もうこれだけの期間が掛かって、まだ6例しか行っていないわけです。ここでまた濃度を変えてやったときに、果たしてどれだけ集まるだろうかと。そうすると柴田先生、評価もなかなか難しいですよね、これだけの少ない量をどう評価するか。
 そこをどう考えるかということで、1つのやり方としては、日本のデータとしてこのまま目的の症例数まで何とか行ければということです。脳死のいろいろなこともあって、この1、2年で少し症例が増えていますから、それで行くのか、やはり申請者が言ってきたとおり一応変えるのか。そうすると、少し判定が変わってくるかもしれません。それがどうだろうかというのが結局、今の御質問です。こういう場合にはどうしたらいいのですかね。これから先を見ても集めにくいと思いますね。本当にフレッシュというか、しっかりした組織が出てくると膵臓移植になってしまうのです。ただ、ここに出してきている施設は非常に努力してやっているものですから、その努力も認めたいので、どなたか御意見を頂けないでしょうか。松山先生、何かありませんか。
○松山構成員 事務局に確認をさせてください。PMDAの事前面談では、「可能な限り海外のプロトコールに沿ったものであることが望ましい」ということですが、そもそも論として、まずPMDAに対してどのような形の相談を持って行ったのか。それから、事前面談というのは、あくまでもパーソナルな場でやって、それがフィックスしたPMDAのコメントでもないということもあって、こういう形で根拠にするのが望ましいかどうかというのは、私自身はクエスチョンマークなのです。
 まず1点目として、PMDAにどういう形で御相談を持って行ったのか。例えば膵島移植の膵島そのものを再生医療等製品のようにプロダクトとして持っていくのか、あるいは免疫抑制剤のパッケージングとしての治験を考えておられるのか。それによって当然、先方からのお答えも変わってくると思います。膵島という形であれば、「プロトコールの変更は望ましい」というコメントはしなかったかもしれない。どのような聞きぶりをしていたのかというのは、事務局で把握しておられるのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 まず、薬事戦略相談のコンテクストですが、本技術は最終的には膵島移植に用いられる免疫抑制剤カクテルの薬事承認を目指しているものです。薬事戦略相談のタイミングとしては、この試験計画が始まる前になされたもので、必ずしも現在のような進捗などを想定しているわけではないと認識しております。
○松山構成員 PMDAに対して持って行ったのは免疫抑制剤へのパッケージの話なので、当然先方としては、こういうコメントをするのでしょう。今回の場合は膵島移植に関しての先進医療の評価なのか、免疫抑制剤のプロトコールによる評価なのかということも、この場で御議論する1つの判断基準になろうかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 松山先生が御指摘のとおり、まず膵島移植の技術そのものを保険収載するか否かです。それから、薬事戦略としては膵島移植に用いられる免疫抑制剤パッケージを、どのように薬事に落とすかという2つの課題があり、これをどのような順序で、どのような戦略で解決していくかということです。究極の目的は薬剤の承認というように、私としては伺っているという認識です。もちろんこの両方が解決されないと、最終的な薬事の案件が解決されたことにはなりませんので、やはり膵島移植だけが承認されても、そこは院内製剤並びの技術に過ぎないという解釈も成り立つわけです。そこはどこまで薬事戦略で開発を目指しているかというところですが、究極の目的は、免疫抑制剤パッケージの薬事承認ということになっております。
○松山構成員 ということは、今ここで先進医療評価会議をやっているものは、いずれにしろ治験では使えないデータになるのでしたか、使えるデータでしたか。
○医政局研究開発振興課専門官 私が今申し上げるのが適当かどうかは分かりませんが、そこは恐らくPMDAと、このデータが使えるか使えないかを含めた薬事相談を進めていかなければならないのではないかという見解は持っております。
○松山構成員 GCPの問題などもですか。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○猿田座長 やはり先のことを考えれば、それが一番迷惑が掛からない。ただ私としては、ここの施設は本当に努力してきていますし、ものすごく苦労してやってきて、ここまで何とか6例来たので、それを生かしてあげたいのです。
○山本構成員 例えば今から変更して、6例とか7例とか積んでいけるのであれば、そして膵島移植に対して免疫抑制剤を使うという適応追加を会社が考えて出すときに、多分メインの資料は海外のデータになると思います。メインの資料である海外のデータと設定が違う日本のデータを出されても、恐らくPMDAは困ると思います。どちらにしても日本のデータは参考資料扱いになると思いますが、メインのデータと合わせられるのであれば、合わせたデータが国内に存在するほうが望ましいのではないかと思います。恐らくPMDAとしては、全くトラフ値の違うデータを集められて、しかもそれが低く、より高い濃度では良い効果を出しているけれども、低いデータで出されたときに、国内でこの高いトラフ値で設定していいのかといったら決めようがなくなると思います。そういう意味で私自身は、免疫抑制剤の設定用量を変更することはリーズナブルではないかと思います。
 もう1つは、確かに特殊な状況での試験ですので、完遂しないことを考えてその対応を今から決めておくことも、リーズナブルなことではないかと思います。10年も20年もできればいいのですが、それはもう自ずから無理だということは分かっておりますので、例えば海外の試験が成功を収めたときに、こちらもある程度のところで求めてしまって中途終了にしてしまうと。しかしデータとしては使える状態にすることは重要なことだと思います。そうしないとこの試験をやっている意味がなくなりますから。現実的なことを考えれば、今回の変更申請というのはリーズナブルではないかと思いました。
○猿田座長 先生の考え方としては、一応これを認めるけれども、その辺りはPMDAとよく相談していただいてということですね。
○山本構成員 はい。
○猿田座長 そういう形でよろしいでしょうか。
○山口座長代理 私もそれでいいと思うのですが、ちょっと教えていただきたいのです。5例やっていますよね。これは1年後のHbA1cとか、結構評価もされているわけですね。それは非常にプロミッシングなのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 現在6例のデータがありますが、ごめんなさい、その情報は私どもは頂いておりません。
○山口座長代理 それで全然駄目だったら、非常に寂しい気がしますね。
○猿田座長 症例によって差があるのですね。
○山口座長代理 これでもうちょっとプロミッシングなデータが少しでもあればいいですね。
○医政局研究開発振興課専門官 今のところ、解析するのに症例が不足しているという状況にあって、悩まれて申請を持ってこられたものだと認識しております。やはり5例でプロミッシングなデータというのも、もしかすると難しいのかなとは思っております。
○猿田座長 そうしたら、ここのところはお認めして、PMDAともよく相談して、少しでも早く進めて。とにかくデータを有効にしなければいけないということで、よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 そのように進めさせていただきます。
○猿田座長 では、そういう形でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長 では、そういう形でお認めいただいたということでありがとうございました。続いて、2件目の計画変更をどうぞ。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2、85ページを御覧ください。2件目は大阪大学医学部附属病院からの申請で、告示番号19「急性心筋梗塞に対するエポエチンベータ投与療法」についてです。
 適応症は急性心筋梗塞(ただし再灌流療法の成功したものに限る)となっております。
 本試験は、急性心筋梗塞発症から6時間以内の急性心筋梗塞患者を対象に、経カテーテル的に再灌流療法が成功した後、無作為にプラセボ群、エポエチンベータ低用量群、エポエチンベータ高用量群の3群に分け、試験薬を1分間以上かけて単回投与し、発症7日目以内と発症6か月目の左室機能を測定し、急性心筋梗塞に対してエポエチンベータ投与が安全かつ慢性機能の心臓機能回復に有効であることを確認すると同時に、至適用量を探索する多施設共同前向き二重盲検試験となっております。
 主要評価項目は左室機能の改善。予定症例登録期間は2011年9月1日より2016年8月31日まで。予定症例数は600例。ただし198症例で第1回中間解析、396症例で第2回中間解析を施行することとなっており、今回の申請時点で198例が登録され、現在第1回中間解析途中となっております。
 主な変更内容は、患者除外基準を決定する血液検査の実施タイミングの変更及び試験期間の1年間の延長です。
 変更申請の理由ですが、試験薬であるエポエチンベータには副作用として易血栓性があり、本試験ではヘマトクリット高値の症例を除外するため、試験薬投与直前の経カテーテル的インターベンション治療後の検血にて、ヘマトクリット値を使用していたところですが、再灌流治療後から登録までの短期間に採血を行い、結果を確認する作業が煩雑なことから、入院時の検血におけるヘマトクリット値を使用する旨変更するとのことです。
 その際、冠動脈インターベンション手術は、動脈穿刺などの治療行為に伴う出血が不可避で、また、静脈確保に伴う補液も行うことから、入院時に確認されたヘマトクリット値が術後に低下する症例はしばしば見受けられる一方、入院後の一連の治療によりヘマトクリット値が上昇する可能性は極めて低く、入院時の検査で代用することは、かえって安全性をより厳しく担保できると考えられるとのことです。また、試験期間の延長にあっては、登録症例に時間を要したためとのことです。
 それと、ただいま御準備しました資料の86ページですが、本技術の「現在の登録状況」の下から2行目に誤植がありました。大変申し訳ございません。(30)で「昭和大学藤が丘病院B」となっておりますが、この「B」は誤植で「藤が丘病院」が正しい記載です。謹んで修正させていただきます。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 これはヘマトクリットの問題で、入院時のを使えばもっと症例が増えるだろうということですが、一色先生、どうですか。御意見はありますか。
○一色構成員 本当にそれで増えるかどうかというのは分かりませんが、理論的には全く間違っていないと思いますので、それでよろしいのではないかと思っております。
○猿田座長 よろしいですか。これも少しでも早く症例を進めていただくことが大切です。今までの検討で安全性は大丈夫そうだということで、お認めいただくことにさせていただきます。
 続いて3例目ですね。
○医政局研究開発振興課専門官 では資料2-3、89ページを御覧ください。3件目、静岡県立静岡がんセンターからの申請で、告示番号23「ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法」についてです。
 適応症は肺がん(ただし扁平上皮肺がん及び小細胞肺がんを除き、病理学的見地から完全に切除されたと判断されるものに限る)となっております。
 本試験は、完全切除された非扁平上皮非小細胞肺がんに対するペメトレキセド+シスプラチン併用療法の有用性を、標準療法であるビノレルビン+シスプラチン併用療法とランダム化比較において評価し、術後補助化学療法における標準治療を検討するものです。
 主要評価項目は全生存期間。予定試験期間は2012年1月~2019年12月の8年間。予定登録症例数は800例で、現在568例が登録されております。
 主な変更内容は、EGFR遺伝子変異の測定に係る被験者の適格基準の記載変更、予定症例登録期間の2年間の延長となっています。
 変更申請の理由ですが、EGFR遺伝子変異は、当初より登録前に測定することを規定しており、割り付け調整因子にもなっており、登録時の測定を確実に行うために適格基準に明記したものです。なお、従前の登録症例においてもEGFR遺伝子変異は、登録開始前に全例が測定されております。
 また、その他の記載変更は、変更前の記載をより詳細に規定するための変更であり、内容的には変更ないものとのことです。
 試験期間の延長に関しては、約50施設の体制にて試験を実施中ですが、多数の施設で試験開始のための院内決裁手続等の時間を要した背景から、当初予定より試験進捗に遅れが出ているために変更を申請されたものです。なお、「引き続き試験実施に尽力し、1日も早く本臨床試験を終了させるために全力で取り組む所存です」との記載もあります。
 御審議をお願いいたします。
○猿田座長 EGFR遺伝子変異の測定の時期の問題ということで、そんなに大きな問題ではないかと思います。これによってかなり症例が増えそうだということで、かなりの症例まできておりますので、お認めいただいてもいいかと思うのですが、どうですか。藤原先生、御意見はありますか。
○藤原構成員 いいと思います。
○猿田座長 そうしたら、この変更もお認めいただくことにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは4番目の案件に行ってください。
○医政局研究開発振興課専門官 それでは資料2-4、93ページを御覧ください。4件目、日本医科大学付属病院からの申請で、告示番号38「トレミキシンを用いた吸着式血液浄化療法」についてです。
 適応症は、特発性肺線維症(ただし急性増悪の場合に限る)となっております。
 本試験は特発性肺線維症(以下、IPF)の急性増悪患者を対象とし、従来の薬剤投与、すなわちステロイド大量療法、好中球エラスターゼ阻害薬及び免疫抑制剤の併用療法による治療に、エンドトキシン除去向け吸着型血液浄化用浄化器トレミキシンを用いた吸着療法を追加したときの、有効性及び安全性を検討するものです。
 主要評価項目は、トレミキシンを用いた吸着療法開始後4週間の生存率と有害事象発生率です。予定試験期間は承認後2年間。すなわち2014年10月29日から2016年10月28日まで。予定登録症例数は20例で、現在6例が登録されております。
 主な変更内容は、研究期間の明記及び約2か月の延長、ラベルの変更、登録時適格性(急性増悪)の確認内容の修正、その他記載整備となっております。
 変更申請の理由ですが、実施計画書の記載では承認後2年間としていたところ、試験開始が2014年10月29日に決定したことで、この日程を明記し、併せて現在の症例登録状況から必要な期間を鑑み、約2か月延長して2016年12月末日までとしたものです。ラベル変更は、販売業者の所在地変更に伴うもので、記載整備です。
 除外基準との整合性及び実情に合わせた修正についてですが、除外基準におけるDダイマー及びBNP測定値についての扱い、さらにエンドトキシンの測定結果が出る前に迅速に治療を開始するための検査値確認のタイミングを柔軟に定め、適切な記載へ修正したものです。ただしエンドトキシン値については、検査結果を待たずに治療を始めた場合でも、検査結果が陰性でなかった場合には中止することも確認したものです。
 御審議をお願いいたします。
○猿田座長 研究期間の問題と、ラベルの変更と、エンドトキシンの測定結果が出るか出ないか、そのときの始め方についてです。どなたか御意見はありますか。
○山本構成員 最初の記載がちょっと。DダイマーとBNPというのは、陰性とか陽性で分けるものではないので、正しい記載整備だと思います。エンドトキシンも測定で時間が掛かりますから、これは急性増悪で使うということですので、スケジュール上、これでリーズナブルだと思います。
○柴田構成員 念のために確認させていただきたいのです。登録はするけれども、検査結果が陽性か陰性か分かるまで治療はしないのか、もう治療は見切り発車でやっておくのか、どちらですか。
○医政局研究開発振興課専門官 検査のための検体を取った後に治療は開始いたします。ただ、後から分かった試験結果で除外基準に判定された場合は、これを中止又は脱落とするという規定を設けておりますので、いわゆるITT解析に含まれるかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○柴田構成員 いや、その規定では含まれないと扱われることになると思います。安全性のデータはここの範囲で評価して、有効性のデータはここの範囲で評価するというところは、きちんと規定しておかないといけないような気がするので、そこは検討してもらうようにしていただく必要があると思います。この変更自体は、そういうこと以外で臨床的に問題はないですね。問題がないのであれば良いと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 今、柴田先生から御指摘いただいたようなデータ解析基準に基づいているものと理解しております。必要に応じてその記載を明記するようにお願いすることにいたしますが、いかがいたしましょうか。
○柴田構成員 解析のところはきちんとそれが分かるように、今後対応していただければいいと思いますし、見切り発車で登録して治療を開始すること自体、臨床的に問題がないのであれば、私は特に気になりません。
○猿田座長 では、今の点をしっかりしていただいて。
○上村構成員 どの段階で中止・脱落という、そのタイミングの問題です。これはすごく重要で、ずっと出なかったらずっと続くのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 エンドトキシンの結果が判別するまでには、約半日掛かるということですので、その半日の間に第1回の治療は開始するけれども、それが分かり次第の判断とするということになっております。
○猿田座長 よろしいですか。ほかに御意見がなければ、4番目も変更をお認めいただくということで、今の点を向こうに言っていただくと。
 続いて第5番目、最後の変更をよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-5、97ページを御覧ください。5件目、大阪大学医学部附属病院からの申請で、告示番号49「ベペルミノゲン ペルプラスミドによる血管新生療法」についてです。
 適応症は閉塞性動脈硬化症又はビュルガー病(ただし血行再健術及び血管内治療が困難なものであって、フォンタン分類3度又は4度のものに限る)となっております。
 本試験は、ヒトHGF遺伝子(cDNA)を組み込んだプラスミドDNAを血流が低下した患部に直接注入することにより、導入された細胞内にて産生されたHGFたん白質が血管新生と血流増加をもたらすことを期待し、虚血症状の改善によって慢性動脈閉塞症、すなわち閉塞性動脈硬化症及びビュルガー病に対する安静時疼痛や潰瘍の改善を検証するものです。
 主要評価項目は、施術12週間後又は中止時の安静時疼痛のVAS及び潰瘍の大きさ。予定症例登録期間は2014年9月から1年間。予定登録症例数は6例で、現在1例が登録されております。
 主な変更内容は、対象疾患の選定基準記載の明確化及び症例登録期間の1年間延長となっております。
 変更申請の理由ですが、本臨床研究では、閉塞性動脈硬化症又はビュルガー病を対象としているけれども、選択基準のうち「観察期間足関節血圧平均値70ミリHg又はABIは0.6以下の者」との記載は、閉塞性動脈硬化症に特化した基準であり、ビュルガー病と診断された際には適用されないことから、当該内容の記載を明確化したものです。
 また、臨床研究期間の延長は、協力医療機関の遺伝子治療臨床研究に係る院内審査や当局への申請遅れから、予定していた臨床研究期間内での目標症例数6症例の集積が困難な状況ですが、協力医療機関2施設での本臨床研究が開始され、本臨床研究期間を1年間延長することにより、目標症例数6症例の集積は可能と判断し、申請されたものです。
 御審議をお願いいたします。
○猿田座長 これは、もともとビュルガー病と閉塞性動脈疾患を一緒にしてやっているのですが、病気のタイプも違うし、年齢も違うし、いろいろな点で違うのですが、結局、ビュルガー病は余り入っていないのですよね。
○医政局研究開発振興課専門官 まだ入っておりません。
○猿田座長 閉塞性のほうがはるかに症例が多く進むわけですから、そうなれば血圧とABIのデータでやっていただいていいのではないかと思うのです。
 どなたか御意見はありますか。せっかく治療法としてここまで来たものですから、これも早く進めていただければということです。特に御意見がなければ、お認めいただくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長 ありがとうございました。それでは、これもお認めいただくということにさせていただきたいと思います。変更は5つだけでしたね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○猿田座長 次に、先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について、これも事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3、101ページを御覧ください。先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について御評価いただくのは、告示番号55「上肢カッティングガイド及び上肢カスタムメイドプレートを用いた上肢骨変形矯正術」です。
 申請医療機関は大阪大学医学部附属病院です。
 本技術は、本申請医療機関が参考資料165ページにてお示ししている臨床使用実績の効率化要件に該当するため、使用実績のない状態で申請され、承認・告示されたものです。
 適応症は骨端線障害若しくは先天奇形に起因する上肢骨(長管骨に限る。以下、この号において同じ)の変形又は上肢骨の変形治癒骨折(ただし1上肢に2以上の骨変形を有する者に係るものを除く)となっております。本試験の概要は101ページないし104ページに記載のとおりです。
 試験予定期間は、平成27年1月1日から平成29年7月31日までです。
 104ページを御覧ください。初期的に継続可否の評価に必要な症例数として設定された3例の手術後13週の観察終了時点で進捗状況並びに症例ごとの有害事象等の発生状況の検討が終了し、独立した委員会による評価の結果、継続問題なしの旨の報告がなされております。以上です。
○猿田座長 これもそんなに大きな問題はないと思うのです。3例の症例に対して評価をして、問題ないということですが、どなたか御質問はありますか。これはもうよろしいですね。
 特に御意見がなければ、これもお認めいただいたということにさせていただきます。
 続いて、今度は協力機関の追加です。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-1、105ページを御覧ください。これまでに大臣告示されている11の技術について、協力医療機関の追加申請がありました。
 資料4-1に、各々先進医療名、適応症、申請医療機関、追加協力医療機関について記載しております。
 また、最後に記載されている大臣告示7の技術については、欄外の脚注にお示ししましたとおり、既に先進医療の協力医療機関として承認されておりますが、医療機関移転のため新たに保険医療機関として指定されたことから、改めて申請を御提出いただいたもので、該当医療機関においては引き続き先進医療を実施しております。
 資料4-2、107ページないし117ページを御覧ください。事務局において、協力医療機関として提出のあった先進医療実施届出書等を確認した結果、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、すなわち様式第9号を満たしていることから、協力医療機関の追加として御了承いただきたいと存じます。
 特に御意見がなければ手続を進めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○猿田座長 見ていただくとお分かりかと思いますが、追加の各施設はしっかりした所です。かなり多くの施設になりますが、私も見たところ、問題ないのではないかと思うのです。どなたか御意見はありますか。特にないようでしたら、これもお認めいただくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長 ありがとうございます。それでは、これもお認めいただいたということにさせていただきます。
 続いて先進医療Bの取下げについて、これも事務局からよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5-1、119ページを御覧ください。告示番号29「自己口腔粘膜を用いた培養上皮細胞シートの移植術」について、この度申請を取り下げる旨の申出がありました。
 取下げ理由として、本技術に係る保険外併用療養期間が終了したため、先進医療としての取下げを申請されたものです。
 続いて資料5-2、121ページを御覧ください。告示番号40「オクトレオチド皮下注射療法」について、協力医療機関を取り下げる旨の申出がありました。
 取下げ理由として、協力医療機関である東海大学医学部付属病院にて実施責任医師の退職に伴い、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たすことができなくなったため、該当医療機関の登録取下げを申請されたものです。以上です。
○猿田座長 今の御説明のように、これはもう施設として駄目になってしまったということで、やむを得ないかと思います。お認めいただくということでよろしいですか。
(異議なし)
○猿田座長 ありがとうございました。それでは、お認めいただくことにさせていただきます。
 続いて事務局から、この間の先進医療会議での説明を、もう1回お願いできますか。
○医政局研究開発振興課専門官 資料6-1、123ページを御覧ください。去る7月2日に開催された第32回先進医療会議では、先般5月7日開催の第30回先進医療会議において、先進医療の実施状況に関する自主点検を要請された3医療機関のうち、群馬大学医学部附属病院及び千葉県がんセンターから提出された報告書に基づいた審議がなされ、この2医療機関においては先進医療の新規症例組入れ再開が了承されたものです。
 続いて資料6-2、163ページです。大臣告示50「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下腎部分切除術」において、幾つかの医療機関で研究計画書を逸脱した形での患者登録が行われ、それに対し先進医療会議で御審議の結果、当該医療機関における先進医療実施状況の自主点検を求めることを決定したことの御報告です。以上です。
○猿田座長 特に問題なのは、最後の自主点検をお願いした所です。これには逸脱等、いろいろなことがあったものですから、しっかりときちんと報告してくれということで、先進医療会議のほうで自主点検が申し渡されたわけです。
 何か御質問はありますか。この頃、こういうものがときどきあるものですから、しっかりやっていただくということで、自主点検をお願いしたということです。もし御意見がなければ、これもこういう形で進んでいるということを知っておいていただければと思います。
 今日審議する議題は一応ここまでですけれども、先生方、どなたか御質問はありますか。今日は特に一色先生には、難しい問題でお世話になりました。
 特になければ、これをもちまして第31回先進医療技術会議を終わりますが、次の予定だけお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回の日程ですが、8月の開催は21日の金曜日、16時~18時とさせていただきます。場所については別途御連絡いたします。
 また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開とさせていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○猿田座長 ほかに先生方からなければ、これで終わらせていただきます。御協力、どうもありがとうございました。

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