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2015年6月25日 第11回労働分野経済協力に係る政労使懇談会

大臣官房国際課国際協力室協力調整係

○日時

平成27年6月25日(木)
16:00~17:50


○場所

厚生労働省国際課会議室


○議題

1 労働分野の国際協力の実施状況について
2 今後の労働分野国際協力の進め方について
3 平成27年度予算等について
4 その他

○議事

議事要旨

議題1

※事務局から資料1~4について概要説明、意見交換が行われた。参集者からの主な意見等は次のとおりである。

 

○国際労使ネットワーク等を通じた組織化による草の根支援事業(資料4-8)について

 

(労働者側)国際労働財団(JILAF)が実施する草の根支援事業に対して日頃からのご理解に感謝するとともに、この種の事業は安定性・継続性が重要であるので長期的な視点でご配慮いただきたい。また、ILOマルチバイ事業との共催・協働について今後も継続した働きかけをお願いしたい。

(政府側)今年のILO総会でもインフォーマル経済からフォーマル経済への移行に関する勧告が取り上げられるなど、インフォーマル労働を解消するために手を打つべきだと考えており、我々としては本事業を継続性を持って実施していきたいと考える。一方、インフォーマル対策は行政だけの努力では進めることが難しく、民間との協力が非常に重要。

 

○事業成果とその評価について

 

(使用者側)国民の税金を使って実施している事業なので、説明責任は果たしていくべきであると考える。PDCAを適切に回す、KPIなど数値目標を管理しながら、結果を分析するべきと考える。わかりやすいように資料を示してもらえれば事業への理解が促進される。

(政府側)事業については、少なくとも3つの観点から評価を実施。厚労省内で年に1度、行政事業レビューとして前年度の事業が予算額に見合う成果を出したかについて事業成果を評価し、結果を公表している。2つ目は会計検査院による会計監査が5年に1回実施され、事業費の使途が厳しくチェックされている。3つ目は、ILOの内部評価として各事業に対する第三者評価が行われており、事業の効率性や妥当性など国際的な指標から事業を評価し、報告書を作成・公表している。今後もできる限りPDCAの視点を持って説明させていただければと思う。

(使用者側)ILOでの第三者評価について、どういう人が実施するのか。事業実施前の評価はあるか。

(ILO駐日事務所)プロジェクト開始にあたっては、全てのコンセプトノートや実施計画はいろいろな部署で承認をもらう必要がある。本部の労働者活動局と経営者活動局からも承認を得なければならないので、それぞれの局が労働者・使用者にとってベネフィットがあると判断しないとプロジェクトは立ち上がらない。100万ドル以上の規模であれば外部の評価者に依頼するが、100万ドル以下のプロジェクトの規模であれば、第三者評価は行わず、ILO内部の評価をする部署に所属する利害関係の全くない者が評価を実施。

(使用者側)明確な評価をするにはプロジェクトデザインの段階から評価項目を留意しながらつくりあげていくような配慮が必要であると思う。各事業について、何をアウトカムとして求めるのか、今後も問い続けていきたい。

 

○アジア展開日系企業等ビジネス基盤整備事業(資料4-6)について

 

(使用者側)この事業のように企業に裨益するものは10年前には受け入れられなかった概念であるのでありがたい。当事業では好事例収集とあるが、セミナーの資料なども含め是非とも広く情報共有していただきたい。情報共有の仕方はどのようなものか、日本語で共有できないか。

(政府側)好事例の情報共有については、まずはILOアジア太平洋地域総局(ROAP)のウェブ上で共有していく。日本語での情報発信については、今後各国の情報を整理した上で、対応していきたい。

 

議題2

※事務局から資料5~6について説明を行った後、意見交換が行われた。参集者からの主な意見等は次のとおりである。

 

○アジア社会セーフティネット構築支援プログラム改定案(資料5-1)について

 

(使用者側)重点分野の順序を変更した理由は何か。重点分野の(4)労働市場への参入・復帰を促す制度整備が最初にあり、(1)インフォーマルが(4)と違ったレベルで存在し、次に(2)適切な労働条件確保、最後に(3)所得保障という順序が適切であると考える。

(政府側)重点分野の順序についてはご意見をいただいたので再検討させていただく。

(労働者側)プログラム改定案に賛同させていただく。特に留意点(2)「ILO条約の批准を含む国際労働基準の実施を促進する」に関しては、援助対象国だけでなく、我が国みずから155号(労働安全衛生)や183号(母性保護)等の批准に向けて取り組んでいただきたい。

(政府側)留意点(2)についての我が国の取組については常に国会など様々な場でご指摘いただいているところ。引き続きご指摘いただきながら個別に進めさせていただきたい。

 

○その他

 

(労働者側)G7エルマウサミット首脳宣言においては「持続可能なサプライ・チェーンを促進し、ベストプラクティスを奨励する」とある。日本の好事例を10月のG7雇用労働大臣会合の中で是非披露していただきたい。また、来年の日本開催のG7でも、サプライ・チェーンにおけるディーセント・ワークについての考え方を引き継ぐ考えはあるのか。また、同首脳宣言は救済へのアクセスにも触れている。OECD多国籍企業行動指針のためのNCPのピア・ビューを日本は2011年の指針改訂後に任意で初めて実施した。引き続きこのような取組を行っていただきたい。

(政府側)ドイツが言うベストプラクティスは児童労働・強制労働をラベリングする、といったことを含む概念であり、消費者への説明など厚労省だけでは対応できないものも含まれる。厚労省としてはベトナムでのCSRの取組などについてPRできるよう検討したい。

(労働者側)社会セーフティネットの構築に関しては、アジアでは中間層が育っておらず、貧困層が多い。これについては特に最低賃金への対応が重要。ILO条約87号・98号を批准していない国では、最賃が政府によって決められている、最賃制度自体がない、制度があっても守られないなどの状況があり、特に三者協議の体制が弱いところでそれが顕著である。そのような意味から、留意点(1)の「社会対話の促進」には特に賛同する。アジアでは中核的労働基準の批准をしていない国が多く、社会対話の基盤を整え、ディーセント・ワークを実現することが重要である。来年のILOアジア太平洋地域会議(APRM)までに少しでも進捗がはかられることを願っている。

(政府側)労使対等の場で話し合うことは重要。ILOマルチバイ事業のほとんど全ての事業で、政労使で集まり、話し合う場を設けるようにしている。最低賃金についても、そうしたノウハウが活かされてくると思う。2016年のAPRMでは、日本としてどのような貢献ができるか考えていかなくてはならない。

 

 


<照会先>

国際課国際協力室協力調整係
03-5253-1111(内線7314)

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