ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 情報化担当参事官室が実施する検討会等> クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会> クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会(第1回) 議事要旨(2015年6月30日)




2015年6月30日 クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会(第1回) 議事要旨

○日時

平成27年6月30日(火)10:00~12:00


○場所

総務省7階 省議室


○議事

出席者

■構成員
 金子座長、秋山構成員、大山構成員、久野構成員、近藤構成員、津下構成員、友池構成員、長瀬構成員、長谷川構成員、武藤構成員、山崎構成員、山本構成員


■オブザーバー
 内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室及び健康・医療戦略室、経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課、(一財)NHKエンジニアリングシステム、(株)NTTドコモ、(株)エムティーアイ、(株)カナミックネットワーク、(株)セールスフォース・ドットコム、(株)東芝、(株)日立製作所、KDDI(株)、ソフトバンクモバイル(株)、日本電気(株)、日本電信電話(株)、日本ユニシス(株)、富士通(株)


■厚生労働省
 橋本厚生労働大臣政務官、今別府政策統括官、安藤情報政策・政策評価審議官、神ノ田研究開発振興課長、迫井老人保健課長


■総務省
 長谷川総務大臣政務官、南政策統括官、池永大臣官房審議官、田邊情報流通高度化推進室長

 

 

議事要旨

(1)   開会

 

(2)   長谷川総務大臣政務官挨拶

長谷川総務大臣政務官による挨拶が行われた。

 

(3)   橋本厚生労働大臣政務官挨拶

橋本厚生労働大臣政務官による挨拶が行われた。

 

(4)   金子座長挨拶

金子座長による挨拶が行われた。

 

(5)   事務局説明

事務局より、資料1-1、1-2及び1-3に基づき、本懇談会の趣旨等について説明が行われた。

 

(6)   プレゼンテーション

山本構成員より資料1-4、武藤構成員より資料1-5、日本電信電話(株)及び(株)NTTドコモより資料1-6、(一財)NHKエンジニアリングシステムより資料1-7に基づき、それぞれプレゼンテーションが行われた。

 

(7)   各構成員より挨拶及び意見交換

(秋山構成員)

       私は、岡山県の川崎医療福祉大学に所属し、医療情報を活用できる人材の育成に従事しているが、学生は日常的にクラウド、スマートデバイスを利用しており、こうした時代に即したガイドラインの必要性を痛感している。一方、岡山県で実施している「晴れやかネット」の運営にも携わっている。大病院の 50 %以上が「晴れやかネット」を活用している一方で、診療所の利用は 17 %にとどまっており、診療所にはまだ十分に参加してもらえているとは言えない。しかしながら、基盤の整備により、1:1ではなく、 N N のお手紙機能として「晴れやかネット」を利用している診療所もある。こうした点を踏まえ、診療所にも利用してもらえるようなコンテンツを検討しているところ。

       また、病院では DWH Data Ware House )をどのように整備しくべきかが検討されている。地域医療連携用の SS-MIX2 を利用したデータ二次利用の基盤を整備し、ビッグデータを研究に活用していきたいと考えている。

 

(大山構成員)

       私は、レセプトオンライン等、医療の電子化には 35 年以上取り組んでおり、現在は保険証のオンライン資格確認について総務省とともに検討している。今日は色々なお話を伺ったが、(株) NTT ドコモに対して、クラウドの中の情報も暗号化されているのかお聞きしたい。また、(一財) NHK エンジニアリングシステムに対しては、 SHV (スーパーハイビジョン)になるとなぜ広色域化が可能なのか、そういう規格なのか。また、 8K を病理に活用するとなると、カメラにおいて色の計測をできるようにするなどの対応が必要かどうかをお伺いしたい。

 

((株) NTT ドコモ 有田オブザーバー)

       クラウド上のデータは暗号化されている。また、暗号化するだけでなく、ファイアウォールや、ウイルスチェックを毎日3回実施するなど、3重の仕組みでセキュリティを担保している。

 

((一財) NHK エンジニアリングシステム 藤澤オブザーバー)

       SHV の広色域化は、これまでのハイビジョンよりも広い色域を表示できる BT.2020 という規格となっていること、表示装置としても FPD の性能として改善しているほか、レーザー光源の採用等による広色域化が期待できること、の両面から実現可能と考えている。一方、カメラに計測機能を付け加えるべきとの点に関しては、カメラからデータを取得できるようにすることも一つの課題と言える。

 

 

(久野構成員)

       私は、自治体と一緒に、地域での健康づくりに取り組んでいるが、 1 つ目の課題として、 ICT リテラシーが低い、ヘルスリテラシーが低いという課題があり、特に高齢者において顕著である。リテラシーが低いと、優れた技術があっても、それを使いこなすことができない。 2 つ目の課題として、有料でも使いたいというサービスがない。 3 つ目として、健康・医療・介護分野の情報を繋げる仕組みができていない。個人情報の保管・利用に関して、情報漏えいなど何かトラブルが発生すると、自治体職員は必要以上に委縮してしまい、情報を連携させて利用する仕組みがある程度できかけていても、あっという間に後戻りしてしまう。最後に、健康情報の二次利用がなかなか進まない状況にある。二次利用を推進するためには、住民からの懸念等に対して、自治体が説明のよりどころとすることのできる法整備、あるいはガイドラインがないと進まない。

 

(近藤構成員)

       秋田県は高齢化率一位。そのため、本懇談会に呼ばれたのではないかと考えている。今まで地域医療連携ネットワークの構築に取り組んできたが PHR の場合についても、どのように院内システムと連携していくかが課題となる。人的な負担が大きければ普及が進まないこともあり、共有すべきデータを医師等の負担なく自動的にアップロードするような仕組みが必要ではないかと思う。

       また、院内の画像サーバのデータを他院のリクエストに応じて開示する場合、誤作動や悪意で同意が得られていない患者の情報がリクエストされてしまうことも懸念される。そのため、同意が得られた患者データのみを置く PACS サーバを立てたがそれなりのコストがかかっている。セキュリティとコストのバランスをどのようにしていくか、病院側のリスクはどの程度免責されるのかは重大な課題。

       PHR のための費用について、行政的な公益サービスとみなすのか、あるいは利用者の費用負担はどうあるべきかなども、検討を深めていく必要がある。

 

(津下構成員)

       PHR を進めていくメリットを国民が理解する必要がある。例えば、長く同じ会社で働いている人であれば健診結果を時系列的に比較していくことが可能であるが、転職や退職した際にはデータが分断してしまう。健診結果を時系列で比較できれば、たとえ保健指導の対象にならない人でも、数値がだんだん悪化してきているなど病気の予兆が分かる。データが分断することのデメリット、健康に関するデータを自分のものとして、時系列的にみていくことの重要性を本人が理解する必要がある。また、健診を受けた人と受けない人のデータを比較することにより、政策にも反映できる。

       自治体では健康増進法第十七条の一項により、健康手帳を作ることができ、個人が健康手帳を持つことにより、自分の健康データを見て自分に合った健康サービスを利用できるが、現状では自治体により健康手帳を作ったり作っていなかったり、作っても利用されていたり利用されていなかったり、まちまちである。 ICT 化することで個人が健康手帳を持つことの意義を評価することができるのではないか。それと並行し、データ活用の出口を見せていく必要がある。

 

(友池構成員)

       20 年以上、 HIS Hospital Information System (病院情報システム))に取り組んできたが、今、クラウドなどの ICT が簡便に HIS に利用できるようになり、 HIS にとって大きな転換期が来たと感じている。一方、 HIS の運用上、気になっているのは個人情報をどのように扱っていくかである。例えば、 DPC Diagnosis Procedure Combination )ではいわゆる個人情報は保有していないが、希少疾患であれば、地域と病名で、個人がある程度絞り込まれてくる。今後、個人情報をどのように匿名化するかとともに、 EHR から PHR への情報の提供・引出しの在り方についてもテーマの一つ。

       また、 HIS に患者データを入力するのは医師、看護師の仕事であるが、 ICT 化がこれだけ普及した時代にあっても、病院では病床で血圧などのデータを手書きし、ナースルームで入力するのが慣習となっている。もっと簡便にデータ入力仕組みができると思うが、なぜかできていない。さらに、私の病院では Windows XP を使ってシステムを作り込んでいたため、 XP のサポートが終わることになり、大変な思いをした。時代が変わっても柔軟に OS に対応できる仕組みを作っていく必要がある。

       そのような課題はあるが、様々な医療のデバイスを作ることができるとともに、どの病院でも工夫することで様々なサービスを提供できる時代がきている。また、在宅医療は決して特殊なものではなく、病床を家庭のベッド、訪問看護ステーションをナースセンターと捉え、院内医療のコピーと考えて取り組めば、もっと進むのではないか。 8K の優れた点は小さいものをより高精細に見ることができると理解しましたが、カメラの超小型化により内視鏡ができ、心臓バイパス手術が発達したように、見えないところのものが見えるというメリットもある。こうしたデバイス発展にも期待している。

 

(長瀬構成員)

       北海道は日本全土の 22 %を占める広大な敷地に全人口の 4 %しか住んでいないという、日本の中でも特殊な地域であり、医療の状況も他の地域とは大きく異なっていることから、 ICT を使うことに大きな意味があると考えている。私は介護保険制度ができたときに創設された北海道総合在宅ケア事業団の理事長として、 90 の訪問看護ステーションを経営している。北海道では、 20 の地域医療連携のネットワークが構築されているが、将来的に複数の医療連携ネットワークを統合したようなネットワークを構築したいと考えている。北海道における医療、福祉、介護の現場で長く活動してきており、本懇談会で ICT の利活用方法を勉強し、北海道に応用していきたい。

 

(長谷川構成員)

       現在の所属は群馬大学附属病院だが、本懇談会には、日本遠隔医療学会の一員として参加しているという意識を持っている。医療の ICT 化を地域に展開するためには、地域での医療 ICT リテラシーの低さをどう解消するかという課題はもちろんあるが、基盤がないと何もできないと考えている。かつて遠隔医療では通信するだけで費用が掛かっているが、昨今は技術が進み安価に簡単に利用できる。技術は必ず進歩すると信じており、リテラシーが低い人でも簡単に使える技術が開発されるようになると考えている。医療 ICT の今後の展開が期待される。

 

(武藤構成員)

       基盤をつくることと、各地域の行政のリスクを下げることを本懇談会に期待している。行政が安心して医療連携に取り組むための指針作りというのは、個々の地域単位ではできないことである。本懇談会を通じてあるべき指針を検討していきたいし、本懇談会を通して何らかの結論を出していきたい。また、スマートフォン利用のガイドラインについても議論したい。

 

(山崎構成員)

       柏市では電子母子手帳に試行的に取り組んでいる。私自身は、これまで厚生労働省、千葉県で医療の電子化に取り組んできたが、なかなかうまくいかないというのが私の感想。一方、母子手帳と言う仕組みは大変うまく機能しており、母子手帳がないと乳幼児健診や予防接種が受けられないなど、使い手にメリットがあることから非常に普及している。そこでこの母子手帳を電子化することに、今、大きな期待を持っている。

 

(山本構成員)

       アメリカのブルーボタンの事例は HHS (健康福祉省)や OCR Office of Civil Rights HITECH 法に基づく個人情報保護等に関する施行規則の改訂などを行う組織)も関わっている。 OCR が関わるのは患者が自分の医療情報にアクセスする権利を保障するとの考えがあるからである。

       健康・医療情報は自分で管理することが求められるが、ヘルスリテラシーの向上のためには健康・医療情報を自ら活用しながら向上させて行く必要があるのではないか。

         

 

((株)東芝 西原オブザーバー)

       PHR は日本では進んでおらず、 PHR が提供できる環境が整備されないと進まない。本会でその環境整備が進むことを期待するともに、弊社としても PHR が普及していくための基盤作りに貢献していきたい。

 

(8)   長谷川総務大臣政務官及び橋本厚生労働大臣政務官ご発言

最後に長谷川総務大臣政務官及び橋本厚生労働大臣政務官からご発言があった。

 

(9)   閉会

以上

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 情報化担当参事官室が実施する検討会等> クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会> クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会(第1回) 議事要旨(2015年6月30日)

ページの先頭へ戻る