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2015年6月9日 第14回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会

○日時

平成27年6月9日(火) 14:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室(12階国会議事堂側)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館


○議題

1 学校教育における公害、人権の取扱いについて(報告)
2 「薬害を学ぼう」指導の手引き(案)について
3 視聴覚教材(案)について
4 薬害に関する資料調査等について(報告)

○議事

衞藤座長 皆さん、こんにちは。定刻を少々過ぎましたが、ただいまより、第14回「薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会」を開催いたします。

 皆様にはお忙しい中の御出席をいただき、まことにありがとうございます。

 本日は、花井構成員が御欠席と伺っております。また、大平構成員は御到着になってらっしゃいますね。間もなくお席に着かれると思いますけれども、始めていきたいと思います。

 本日、まず、文部科学省から、現行の学習指導要領の記載内容についての報告を受けた後、教材を用いて授業をする際に活用していただく指導の手引きの案についての議論を進めたいと思います。次に、同じく授業の際に利用していただくための映像教材について御議論をいただきます。その後、厚生労働省から1点報告を受けたいと思っております。

 前回の検討会を開催いたしました11月以降に事務局の人事異動があったとのことですので、事務局から御紹介をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、私のほうから御紹介させていただきます。

 4月に異動してまいりました、医薬食品局医薬品副作用被害対策室の會森でございますが、ただいま少し外しております。

 主査の飯島でございます。

 係員の寺田でございます。

 申し遅れましたが、私も12月に副対室に参りました花咲と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○衞藤座長 また本日は、薬害教育教材に関する議題がありますので、前回に引き続き文部科学省の方にも参加いただいております。

 事務局から紹介をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 文部科学省初等中等教育局教育課程課米原課長補佐でございます。

 なお、もう一方、文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課西田係長は、公務により遅れておいでになるか、または検討会を全てにわたって御欠席となると伺っております。

○衞藤座長 それでは、資料の確認をお願いいたします。

 事務局から御説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 まず、資料1-1といたしまして「学習指導要領における公害に関する主な記述」。

 資料1-2といたしまして「学習指導要領における人権に関する主な記述」。

 資料2といたしまして「『薬害を学ぼう』指導の手引き(案)」。

 資料3といたしまして「視聴覚教材(案)について」。

 資料4といたしまして「薬害に関する資料調査等について」。

 そのほか参考資料といたしまして「薬害を学ぼう」というパンフレット、また関係する教科書の記述の例をお配りしております。教科書につきましては著作権の関係等もございまして本日机上配付とさせていただきますので、お帰りの際には机の上に置いていっていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料に過不足等ございましたら、おっしゃってください

○衞藤座長 それでは、資料の確認が終わりましたので、1番目の議題に入りたいと思います。

 最初の議題は「学校教育における公害、人権の取扱いについて」です。薬害教育教材に関連しまして、文部科学省より、学校教育において公害や人権がどのように取り扱われているのかについて、直近の状況を御報告いただきたいと思います。

 それでは、御説明をお願いいたします。

○米原課長補佐(文部科学省) 文部科学省教育課程課でございます。

 それでは、前回の会議におきまして、学習指導要領における公害と人権の取り扱いについて御質問いただいておりましたので、その件につきまして今回御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料1-1をごらんください。

 指導要領における公害に関する記述について御説明させていただきたいと思います。

 公害につきましては、小中高それぞれで取り上げるということになってございまして、まず、小学校におきましては、第5学年の社会におきまして、下線がありますけれども、公害から国民の健康や生活環境を守ることの大切さということを指導することとなっております。あわせまして、小学校学習指導要領解説のほうでは、指導する際に押さえるべき事項としまして、大気の汚染、水質の汚濁などの中から具体的事例を取り上げ、公害と国民の健康や生活環境とのかかわりについて調べ、公害を防止することが大切であることを理解できるようにすることが述べられているところでございます。

 続きまして、次のページにいきまして、中学校でございますけれども、社会の公民的分野におきまして「私たちの経済」という内容の中で、国民の生活と政府の役割ということで公害の防止について指導要領において記述がございます。この中では、市場の働きに委ねることが難しい諸問題に関しまして、国や地方公共団体が果たしている役割について考えさせると指導要領ではなっております。また、解説におきましては、この「公害の防止など環境の保全」については、地理的分野、歴史的分野の学習との関連を考慮しながら、個人の生活や産業の発展などに伴う公害など、環境汚染や自然破壊の問題について理解させることを学ぶように記述がしてございます。

 続きまして、次ページでございますけれども、高等学校でございます。教科、公民におきまして、科目の「現代社会」と「政治・経済」において記述がございます。

 まず「現代社会」でございますけれども、内容の「現代社会と人間としての在り方生き方」という中で、内容の取り扱いの部分におきまして、個人や企業の経済活動における役割と責任については公害の防止について触れるということが記述されておるところでございます。

 指導要領の解説につきましては、その部分について事例を取り上げながら、その解決には行政による公害防止規制と環境保全のための適切な対応とともに、個人や企業は法的、社会的に責任ある行動が求められていると理解させるなどについて記述がなされているところでございます。

 続きまして次ページでございますけれども、同じく公民の政治・経済につきましても公害防止というのを取り上げてございまして、解説をごらんいただければと思いますけれども、公害防止と環境保全ということについて、外部不経済の視点から取り扱うということになされてございます。

 以上が公害についての記述でございます。

 続きまして、資料1-2でございますけれども、指導要領における人権の記述についての御説明をさせていただきます。

 まず、小学校ですけれども、指導要領のまず総則におきまして、道徳教育の部分で人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かすことというのが記述されております。それによって道徳性を養うことを目標とするということが掲げられてございます。この部分につきましては、小学校だけに限らず、小中高全てにおいてこういった記述がなされているところでございます。

 各教科における記述としましては、社会で第6学年におきまして、日本国憲法について学ぶ中で国民としての権利を学ぶことが記述されております。こちらの解説では、国民としての権利及び義務など国家や国民生活の基本となる事柄を調べることによって、国民主権の考え方と深くかかわっていることを日常生活における具体的な事柄と関連づけて考えることというのができることになるように指導することとなっております。

 また、次ページでございますけれども、「国民としての権利及び義務」について調べるということは、日常生活に見られる国民の権利、義務に関する具体的な事例を取り上げて調べ、生命、自由及び幸福の追求に対する国民の権利は侵すことのできない永久の権利として国民に保障されたものであり、それを保持するためには国民の不断の努力が必要であるということが記載されているところです。

 続きまして、次ページでございますけれども、中学校におきましては、まず、総則で先ほどの小学校と同じように道徳教育についての記述がございます。

 各教科では、やはり社会の公民的分野におきまして、人間尊重についての考え方を基本的人権を中心に深めさせるということが記述されてしおります。こちらにつきまして解説のほうでは、日本国憲法の基本的考え方を理解させるということ自由・権利と責任・義務の関係を社会生活の基本として広い視野から正しく認識させることであったり、人間の尊重についての考え方を基本的人権を中心に深めさせ、次ページでございますけれども、全ての国民の自由と平等が確保され、実現するものであることについて理解を深めさせることなどについて記述をしているところでございます。

 続きまして次ページでございますけれども、高等学校の指導要領でございます。こちらにおきましても道徳教育については先ほどと同じ記述がなされているところでございます。各教科におきましては、教科公民の現代社会におきまして、同じく基本的人権の保障について理解を深めさせることという記載がございます。また、個人の尊重と法の支配というところで、個人の尊重を基礎として国民の権利の保障について、日本国憲法と関連させながら理解を深めさせることという記述がなされているところでございます。

 解説におきましては、基本的人権の保障の充実と発展が民主政治の究極の目標であることについての認識を深めさせること、また、現実の政治において、どのように基本的人権が保障されていくかについて理解を深めさせることが記述されております。

 また、同じく解説では、個人の尊重というところにつきましては、全ての国民は尊厳を持つかけがえのない人格として一人一人が尊重させなければならないことであったり、国民の権利保障については、日本国憲法が保障する基本的人権の基礎となる価値や概念について理解を深めさせるということ、また、自由・権利と責任・義務については、自由・権利と責任・義務は切り離すことができない関係にあることなどについて理解させるということが記載されているところでございます。

 続きまして、次ページですけれども、政治・経済におきましては基本的人権の尊重、基本的人権の保障について学ばせるということで、解説では、基本的人権の保障と法の支配について憲法が定められ、国民の自由や権利が保障されていることの意義を理解させることなどについての記述があるところでございます。

 指導要領における公害と人権についての記述の内容につきましては、説明は以上でございます。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明は次の議題とも関連いたしますので、質疑はまとめて伺おうと考えております。

 それでは、本日の大きな議題であります「『薬害を学ぼう』指導の手引き(案)」に移りたいと思います。

 昨年度の検討会でも少し議論をいたしましたが、平成28年度から配布、使用できるよう、今年度中に内容を検討することになっているところです。

 それでは、まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 資料2について御説明いたします。

 まず、内容の説明に先立ちまして、今後のスケジュールについて事務局としての考えを御説明いたします。

 事務局といたしましては、本日の検討会での御議論を踏まえまして、手引き(案)に必要な修正を施した上で、より教育現場での使用に即した形とすべく、教育現場の方にも御意見を伺うなどして、よりわかりやすく実用的なものに改良していくことを予定しております。その上で、秋ごろに再度本検討会を開催いたしまして、修正案について御議論いただき、来年度から学校にて使用できるよう、今年中の完成を目指したいと考えております。

 続きまして、内容の説明に移らせていただきます。

 まず、総論として申し上げますと、この手引き(案)につきましては、本検討会でのこれまでの御議論を経て作成されたパンフレットで示された流れをより詳細に具体化したものだということを御理解いただきたいと思います。

 それでは、具体的に御説明いたします。

 まず、1ページ目でございます。このページでは、上段で「薬害を学ぼう」というパンフレット教材のねらいや使い方について説明するとともに、下段で学習指導要領との関係を説明しております。学習指導要領との関係の記述は、本検討会でも御議論いただき、毎年の教材発送時に併せて学校に送付しております活用の手引きと同じ内容になっております。

 2ページ目は授業の流れ(案)です。この部分は、特に教育現場の先生方の専門的な御意見を踏まえて今後大きく修正が必要かとは存じますけれども、事務局で一応の授業の流れを考えて記載させていただいております。

 続きまして、3~8ページ目について御説明いたします。この部分は、パンフレットの1ページ、2ページ目の年表部分に対応しております。手引き全体に共通する体裁なのですけれども、ページごとの学習の狙いをまず示した上で、教材に掲載された学習のポイント、問題、質問が書いてあるのですけれども、その設問ごとに回答例と、その回答例を導くための指導上のポイントを示しまして、さらに、先生方が指導のための参考にするほか、生徒の理解を深めるために利用できるよう、適宜必要な情報を補足情報などという形で掲載する形をとっております。

 さて、内容に話を戻しますけれども、パンフレットの年表部分は、中学生が薬害というものに恐らく初めて触れて薬害というものを知る導入部分になるかと思います。そこで、このページの狙いは、薬害の歴史を概観した上で、単なる副作用との違いに注目しながら、薬害発生の共通点を考えるというようにしております。

 具体的な学習のポイントのうち、ポイント2につきましては、これまでの御議論も踏まえまして、回答例を単なる副作用とは異なり、薬の安全性を守るために関係者が果たすべき役割がきちんと果たされていなかったために起きてしまったという解答例にさせていただいております。

 また、続く指導上のポイントといたしまして、年表中の解説が付された事例から、3つの共通点をマル1~マル3として抽出した上で、パンフレット内の解説文章をそのまま転記いたしまして、実際、その該当部分がどういった点を表しているかを対応させて示す形にしております。

 続く5ページ以降は、薬の役割や製造から販売までの流れ、副作用などの薬の医薬品に関する基礎的な情報の解説とともに、7ページ以降に、年表中に出てきております用語に関して用語解説を掲載させていただいております。

 続きまして9ページは、パンフレットの3ページ、4ページに対応しております。このページのねらいは、被害者の方々が心身両面で苦しんできたこと、薬害のない社会を実現してほしいと願っていることを理解するとさせていただいております。被害者の皆様の声を聞くことで、薬害の再発防止という本教材で中学生に伝えたいとしている大きなテーマにつなげる形とさせていただいております。

 手引き(案)の10ページ目から12ページ目は、パンフレットの5ページ、6ページの上段、スモンとサリドマイドという具体的な事例をもとに考察を深めていく部分に対応しております。この部分のこのページのねらいは、具体的な薬害について、なぜ起こったかを考えさせる。それを踏まえ、国、製薬会社、医療従事者がそれぞれどのような役割を果たすべきだったかを考えるとともに、薬害発生を受けてさまざまな制度が整備されてきたことを知るとさせていただいております。

 学習のポイントのポイント1で、国、製薬会社、医療従事者は何をすべきだったかを考えてみようという問いになっておりますので、それぞれの主体ごとに回答例を示させていただいております。

 この部分につきましても、続く指導上のポイントでパンフレット教材中の具体的な記述を示した上で、それらと回答例に挙げられた、例えば国であればマル1~マル5、製薬会社であればマル1~マル5、医療従事者のマル1というそれぞれの項目と照らし合わせて対応させられるようにしております。

 また、11ページにございますポイント2では、スモンとサリドマイドの被害の発生を受けてできた各種制度の回答例といたしまして、パンフレットの記述そのものから回答例を抜き書きますとともに、さらに、その言葉が意味する具体例がしっかりとわかりますように指導上のポイントで解説を加えております。それが12ページになります。

1315ページについて解説させていただきます。こちらの部分はパンフレットの5ページ、6ページの下段に対応しております。ここまでの間で中学生が医薬品やその薬害の歴史について学び、それを踏まえてどういった制度が整備されてきたかということについても学んできたところで、中学生に、自分自身が社会の一員であること、その上で薬害が起こらない社会にするためにはどうしたらいいのかを総論的に理解してもらう非常に重要な部分かと思います。

 そうしたことを踏まえまして、このページのねらいは、薬の消費者である自分たちは社会の一員で安全の担い手であることを理解させる。薬害の起こらない社会にするために、みずからが消費者として社会に関心を持ち、情報発信して社会参画するように促すとさせていただいております。

 この部分のパンフレット教材の学習のポイントにつきましては、既に教材の中に解答が記載してあるのですけれども、念のため解答例としてその解答例を転記しております。その上で、その下、指導上のポイントといたしまして、パンフレットの5ページの図と6ページ下段に示されましたもっと詳しい役割をみてみようという中のもっと詳しい役割を一体化させた図を手引きに掲載するとともに、それぞれの役割の中でどのような情報が実際やりとりされているのかを図示するようにしております。それが14ページの図でございます。この図によって、情報の重要性をより深く理解していただければと思って作成しています。

 なお、この図の中の矢印の色の違いでございますけれども、黒い矢印はパンフレットの5ページの図に既に示されている図、白い矢印は6ページの詳しい役割の中に示されているものでございます。

 そして、その下、補足情報の中で、薬の副作用をめぐる最近の具体的な事例をもとに、これまでにつくられてきた安全対策の仕組みがどのように機能しているか。ほかに考えるべき問題点はないかを見てみようとしまして、イレッサの事例を取り上げております。イレッサの事例の取扱いにつきましては、前回の検討会でもいろいろな御意見があったかと思います。今回、この指導の手引き(案)を作成するに当たりまして、事務局といたしましてもいろいろと検討させていただきましたけれども、まず、教材の1~2ページの年表が中学生を対象とした学習の導入部分であることを踏まえますと、わかりやすい事例を取り上げるべきというように考えており、やや複雑な事例であるイレッサをパンフレット教材そのものに記載することは難しいと考えました。

 他方で、イレッサの事例も重要であり、取り上げるべきという御意見があったことを踏まえまして、最近の具体的な事例であるイレッサを御紹介できるようにするのであれば、医薬品や薬害の歴史、それを踏まえて整備された安全対策の仕組みを順に学んだ上で、教師及び生徒の理解が進んだ教材の最終段階であるパンフレットの5ページ、6ページ、下段に関する補足情報として丁寧に取り上げるのが適切ではないかと考えまして、今回のような案を作成しております。

 具体的な記載内容につきましては、そこにございますように、スモンやサリドマイドの被害の発生も踏まえまして、現在整備されている医薬品をめぐる安全対策の制度がイレッサの事例においてどのように機能したかというのを解説した上で、さらに、仕組みが整備されているだけではなく、それをきちんと機能させることこそが重要であるとしております。その上で、厚生労働省といたしましては、イレッサの事例が示した大きな課題として、インフォームドコンセントの徹底の重要性があると考えておりますので、インフォームドコンセントの話を含めまして、消費者を含む全ての関係者が医薬品に関する情報を共有した上で、それぞれの役割を果たすことが必要であるという記述でまとめております。

16ページでございます。このページは指導の手引き(案)の最終ページになります。パンフレットですと、裏表紙の上段の緑の部分に該当いたします。前のページで情報の共有が重要であると中学生にも認識してもらった上で、では、社会の一員である自分は具体的にどうしていくかを考えさせる授業のまとめの部分かと思います。そういった位置づけを踏まえまして、パンフレットに示された学習のポイントに対する回答例を示すとともに、この学習のポイントが薬に非常に特化した質問になっているので、もう少し一般的な学習のまとめを行う場合の回答例もあわせて指導上のポイントといたしまして記載しております。

 資料2に関しまして御説明は以上でございます。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 それでは、先ほどの文部科学省からの報告及びただいまの御説明に関して、御質問や御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。なお、進行を滑らかにするために、御質問、御意見のある方は名札を立てていただきまして、発言が終わりましたら戻していただくと大変ありがたいと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。

 どうぞ。

○高橋浩之構成員 指導の手引き(案)に関して気づいたこと、考えたこと、3点申し上げます。

 全体としてとてもよくできていると思うのですけれども、1つ気になったのは、指導の手引き(案)が、パンフレットとの対応が見づらくて、実際、使うときには今の(案)では3ページ以降、このページとは書いてあるけれども、パンフレットの何ページかも書いていないことです。できることならば、パンフレットを縮刷というか小さいもので入れる。学校の教科書などでは教師用の指導書としてよく使われる手なのですけれども、パンフレットの該当の部分を小さくして入れたりとか、それができないにしても、はっきりどのページのことかがわかるように書いたほうがいいかなというのが1点です。

 2点目は、中身にかかわることです。1ページ目についてもそうなのですけれども、典型的なのは3ページ以降、このページの狙いというところがそれぞれのセクションごとに書いてあると思うのですが、狙いの記述というのがいろいろまじっている。どういうことかというと、例えば3ページに書いてあるのは、概観するとか、考えるということで、これは、ここを使って子供が何をするかということですね。しかし、例えば9ページなどになると、理解するということで、何をするかではなくて、ここで学んだ結果、子供がどうなるかという狙いが書かれているのだと思うのです。

 さらにいきますと、13ページでは、社会参画するように促すと書いてあって、これは教師のほうの話になっているのだと思うのです。いろんな書き方があると思うのですけれども、やはり教育の世界では子供がこういう姿になってほしいという形で狙いを書くのが一般的で、そのほうがはっきりと狙いが達成されたかどうかということがわかるので、そういう形に統一したらどうかと思います。

 もう少し詳しく、例えば3ページの薬害の歴史を概観するなどというのは、日本において薬による健康被害が繰り返されてきたことを知るとか、そういうようにどうなってほしいのかという形で書いたほうがはっきりと論点というのか、学習活動が明確になってよろしいのではないかということが2点目です。

 もう一つですが、これはすごく小さなことですけれども、1ページ目で、私、保健が専門なのでぱっと思ってしまうのですけれども、下のほうの四角で、学習指導要領との関係の3行目に、医薬品の適正使用という言葉があります。全然問題はないのですけれども、一般には保健では医薬品の正しい使用とか、医薬品の有効活用という言い方なのだと思うのです。適正使用というのは正しい使用と変わらないと思うのですけれども、できれば教科書とか学習指導要領に書いている形で書いたほうがいいのかなというところです。

 以上です。長くなって済みません。

○衞藤座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○館構成員 1つは、教科書の例で御質問があります。

 中学校の教科書例を見ていきますと、人権のところが多いかなと思って見させてもらいました。中には、消費者の保護を挙げられている場所があるのですけれども、高校と比較しますと、高校ではほとんど消費者問題だったり消費者保護で扱われており、年表等で薬害の問題が扱われている場合もあると思うのですが、中学校においては消費者の保護だったり消費者問題のところでもう少し記述はなかったのでしょうか。私もはっきりしないもので中途半端な質問になってしまうのですけれども、そこを最初に確認させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○衞藤座長 米原補佐、お願いします。

○米原課長補佐(文部科学省) ただいまの御質問ですけれども、高校におきましては、薬害問題というものを公民の現代社会ないし政治経済において消費者問題の事例として取り扱って、行政や企業の責任にも触れるようにということが指導要領の解説で記載がございますので、教科書会社もそれに従って教科書をつくっておるということでございます。ただ、中学校につきましては、具体的なそこの記述がございませんので、教科書会社の判断でどういう形で薬害というものをテーマとして捉えて、どこで活用して考えさせるか、理解させるかというところを判断しているものでございますので、教科書会社によっては人権というものを理解させるための一つの手段としてテーマで取り上げて、場合によっては消費者問題として取り上げるということの違いができていると理解しております。

○衞藤座長 よろしいでしょうか。

○館構成員 わかりました。

○衞藤座長 ほかに。

 どうぞ。

○館構成員 了解いたしました。多分1ページ目に書かれています学習指導要領との関係で中学校の公民的分野には「(2)私たちと経済」「イ 国民の生活と政府の役割」のところの下に、消費者の保護として出てきているだけでありますし、その後にこれらの諸問題に対して国や地方公共団体が果たしている役割というかなり限定をかけたような記述になっているというところから、薬害問題が直に扱いにくい面もあるのかなと思ったもので、もしかすると、年表等で挙げられていることはないかと思って質問させてもらいました。

 授業の流れ等に関することで幾つか意見を言わせていただきたいと思います。先ほど高橋先生からありましたようなパンフレットとの対応が見にくかったり、授業の流れのところでポイント1とかポイント2とかあるようなものが、最初ぱっと見たときに何を意味しているのかと本当に戸惑ってしまったりしてしまいました。今後、見やすさに関しては多分改良されていくのではないかなと思うわけですけれども、一番気になったのが、薬害を学ぼうという、ここで一番の目標としているものが一体何なのかということです。

 つまり、指導案を書いたときに、教育実習生などに指導するときに、目標が明確でないとそれに沿った指導展開ができないのだということは常に心がけるように言うわけですけれども、そのときに目標というのが、解説のほうでは狙いということで幾つかに分かれて書かれているわけですけれども、最終的に一番大きい目標はこれである。その大きな目標に立ったときに、次に2番目、3番目、4番目ぐらいの下位に来るような目標が出ているのでしょうが、くる。でも、一番大事なのはこれであるということが明確にわかったほうが、より授業者としては授業の展開がしやすいという気がします。

 特に、このように薬害に関してのさまざまな実際の問題が年表等で書かれているときに、中学校段階で一つ一つを全部理解するということは、正直言ってかなり難しい問題ではないかと思っています。ですから、例えば年表を概観するということよりも、そもそも薬害の事実を知らないとなったときに、薬害は何だろうという薬害そのものの事実理解がまずあって、原因とか対策という具体的な目指すべきものと言ったらいいのでしょうか、まず薬害の現状を知って、そして、患者さんたちの声が生で聞こえてくるというように、こうした問題をしっかりと受けとめるというところが非常に重要だと思うのです。単純に年表があってこんな事件があったということだけではなくて、この事件ではこんな悩みなりこんなつらさなり、こういった問題を抱えているのだなということが中学生にまず伝わっていかないことには、この問題を考えようとはならないのではないかという気がするわけです。

 ですから、まず、薬害の事実をしっかりと受けとめ、では、なぜこんなことが起こったのかという問いが次にきっと出てきて、どんな対策を実際にとられたのかというような順序立てたものが多分あるのだろうなという気がしています。ですから、そのあたりのめり張りがより明確に見えるような授業の流れであったり、あるいはそれの示し方があるといいかなと感じました。

 以上です。

○衞藤座長 そのほかいかがでしょうか。

 栗原構成員、どうぞ。栗原構成員に続いて倉田構成員という順番でお願いします。

 発言中でもほかの方で御意見があれば立てておいてください。そうすると、次々と円滑に回していけます。

○栗原構成員 栗原です。

 ただいまの館先生の、まず薬害という事実を知る、あるいは被害者のつらさとか思いを知る、これが大前提だというお話は本当にそのとおりだと思います。そこがおろそかにされると、その後が恐らくうまく展開していかないのだろうと。私たちの思いとしても、そこがかなめであるということは改めて確認しておきたいと思います。

 その上で、大小さまざまなことを申し上げますが、まず、この資料を拝見したときに、前回、私たちが強くお願いをしたイレッサの問題がゼロではなかったというところに、多少と言うのが適切かどうか、正直なところ、驚きました。ただし、悩まれた結果として、これが提案されてきたのだろうとは思うのですが、例えば14ページの下2行、多くの人では効果があって、一部の人には死亡の事実があったという、そのあたりの表現ですけれども、多くとか一部というよりも、もっと具体的な例えば死亡の数があるわけですね。そういったものを入れるほうが客観的であり、伝わりやすいのではないかなという類いの表現の見直しが何点かにわたって必要ではないかなと。

○衞藤座長 それでは、倉田構成員、お願いいたします。

○倉田構成員 今の栗原構成員の御意見と関連がないのですが、いいでしょうか。

○衞藤座長 はい。

○倉田構成員 この資料2のうちで2点気になったことがあったのでお話しします。

 まず最初は、一番後ろの16ページのちょうど中ごろの回答例の3ポツ目なのですが、もらった薬と書いてあるのですが、これは余りふさわしくないような気がします。処方された薬や市販薬というようにしたほうがいいのではないかと私は思いました。

 もう一点ですが、同じ資料の10ページ、ポイント1の国、製薬会社、医療従事者は何をすべきだったか考えてみようというものの医療従事者のところなのですが、これは1つしか書いてありませんが、もう一つ言えると思います。それは、医師が薬を処方して患者が服用した後に、患者の様子をよく観察して、そして、有害事象が出ていないかを聞き取る努力というのが必要ではなかったかということです。患者からの訴えに応えてこなかったということもあるのではないかと思いました。これは当事者の方もお見えになっていますので、どうぞ確認してください。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 では、高橋構成員、お願いします。

○高橋寛構成員 この指導の手引き(案)に対する意見を言いたいのですけれども、恐らく、これをやっていると2時間でも足りなくて、指導の手引き(案)が出てきたということは非常にいいのですけれども、今、言ったように、指導の手引き(案)を作成する段階で専門の方を入れてつくるプロセスをされたらいいのではないでしょうか。恐らく、これは何回出てきても、ここで意見の収集をやるとこの表現は違うとかこうではないというのでなかなか案が固まらないというのが一つあります。

 それと2ページ目ですけれども、こういうようなスケジュール案が出てくることは非常にいいのですが、実際にやってみるとグループディスカッション10分というのがすごく短いというのが分かるかと思います。ですので、どこかで1回、中3の中学生を対象にスケジュール案をやられたらよいと思います。本当にこのとおりの時間配分でうまくいくのかというのが非常に疑問になります。

 今、倉田構成員からありましたけれども、大人が想定する答えではなくて、あくまでも対象が中3の子供ですから、中3の子供が答えられるレベルのことをしないと具合が悪いのかなというのを感じました。

 以上です。

○衞藤座長 では、手嶋構成員、お願いします。

○手嶋構成員 今、倉田先生、高橋(寛)先生が言われたとおりだなと私は思います。自分自身がC型肝炎に感染して、私は何で感染したのだろうというのが物すごくわからなかった。今、そのわからなかったことをどうしてだろうというので自分自身追及していったのですけれども、この文章、いろいろ書いてあるところを何回もめくって読んでも、薬害というものの本質というか、子供たちや中学生にはこれではわからないだろうなというところなのです。具体的な薬害、C型肝炎のウイルスはこうだ、ああだというのは書かれてあるけれども、結局、子供にはこれはわかりやすくないと思います。

 私が考えるところによると、私のいろいろ調べたところによると、C型肝炎ウイルスというのは、はっきり言って江戸時代とかというのにはほとんどなかった。明治も余りない。では、何で昭和になってそんなにふえたのか。私たちが受けた血液製剤はどこから入ってきたのか。私も一生懸命自分なりに調べたのですけれども、やはりいろんなニュースで海外を見ましたけれども、そういう具体的な例というのは幾らでもあると思うのです。アメリカのそういう刑務所の汚染された血液製剤が日本に入ってきた、血液製剤の原料として入ってきたということすら書かれていない。これでは、具体的に何でC型肝炎ウイルスで私たちは薬害の被害者になったのかというのがわからないと思うのです。だから、そういうのは今、両先生が言われたように、厚労省の事務方だけでするのではなくて、こういうのは聞いていただきたいなと、議論していただきたいなと思いました。

 あと、イレッサの件についても、私はずっと去年もその前から言っていますけれども、今回、こちらで教師向けのそういう中に入れていただくということは本当によかったとは思いますけれども、なぜそこでもう一つ、そういう一言、何でイレッサは薬害なのに、先生は言うけれども、表に出せないというのは何か事情があるのでしょうか。薬害を学ぼうという中にイレッサのことに関しては、やはり入れていただきたいというのが私の本心です。ただ、補助的な情報として伝えるというよりも、一言、年表の中に入れていただきたい。これはイレッサの薬害で苦しんで亡くなっていった何百人もの人たちの声を私は代弁して言いたいのです。済みませんけれども、よろしくお願いします。

○衞藤座長 御質問が含まれているように思いますので、お願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 今の御意見は、イレッサを指導の手引きではなくてパンフレット教材そのものに入れるべきではないかという御質問だと理解いたしましたけれども、先ほど申し上げましたように、まずパンフレット との年表部分は最初に中学生が薬害というものは何かというところに触れるところで、非常にわかりやすい、薬害はこういうものなのだなという部分にしておかないと全く理解が進んでいかないのではないかというように考えております。

 先ほども申し上げましたけれども、イレッサにつきましては複雑な事例ということもございまして、冒頭部分に中学生に最初に示すものとしては余り適切ではないのではないかと思いまして、現在のような形にさせていただいておるところでございます。

○手嶋構成員 イレッサを入れるのは適切ではないということですか。適切ではないという意味はどういうことでしょうか。

医薬品副作用被害対策室長補佐 お答えします。

 パンフレットを中学生が理解しやすいものとするという目的がある中で、イレッサというのは非常に複雑な事例なので、わかりやすいものを提示するという目的からは余りそぐわないのではないかと考えたということでございます。

○手嶋構成員 全部わかりやすい薬害というのはないと思うのです。みんなそれぞれ大変な思いをして、被害者になりたくなくてなっているわけですかうら、声も出せないイレッサは年表の一部にでも入れていただきたいというのが私の気持ちなのですけれども、もちろん、これはつくっていただいた厚労省の方たち、教材の先生方の教えるほうの中に入れていただいたということは本当に評価しております。だから、もう少し頑張って入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○衞藤座長 先に望月構成員、お願いいたします。

 どうぞ。

○望月構成員 幾つかあるのですが、まず学習指導要領との関係でございます。先ほどの館構成員のほうの御意見に少し重なる部分があると思うのですが、教科書のコピーをざっと拝見しまして、私たちが薬害を学ぼうという指導書、パンフレットをつくった狙いというのは、薬害が起こらない社会の仕組みをつくっていこうという、薬害を防止できるような社会にしていこうということを子供たちに学んでもらうということが狙いだったというように、最終的なゴールがそこにあると思っていますが、何となく教材、公民の教科書等を拝見していて、どうもそことのつながりがきちんと理解できるようなつながり方になった教科書には余りなっていないなと。

 それはどこに原因があるのかなということなのですが、恐らく医薬品の教育は、きちんと学習指導要領の中に医薬品という文言も出てきまして、きちんとこういうことを到達させるということが明確になっているのですが、薬害という言葉はなかなかそこには出てきていないので、そこが難しいところがあるのかなとは思いました。これはどうしろ、こうしろという話ではないのですが、そこに課題があるために、教科書は薬害について学んでもらうのには、教科書からは学びづらい形に今はなっているなという印象を持ちました。

 そうしますと、教科書よりも私たちのつくった教材というか「薬害を学ぼう」を利活用して上手に私たちが皆さんに薬害が起こらない社会にしていっていただくような考え方に到達していただくのが適当ということになると思いました。そこで、今度、資料2のほうになるのですけれども、いろいろな御指摘があると思うのですが、割と細かな点ですけれども、気づいた点を申し上げたいと思います。

 まず、5ページになりますが、指導のための基礎情報というところがございまして、ここが薬害について教えていただく教員の皆様に、バックグラウンドの情報をきちんと御理解いただくというところになるのかなと思います。この中で、一番この医薬品開発の流れ図のところの中で大事なこととして説明が不足しているものとしては、やはり市販前のデータと市販後のデータでかなり異なる。要するに、市販前の段階でのデータというのには限界があるということをきちんと伝えていただくことが必要であって、医薬品というのは必ずしも新発売の段階で全ての情報が十分にそろっているわけではなく、その後、幅広いいろんな人たちに使われたときに新たな副作用等が発見されることも含めて、では、その情報を早く医療者に伝え、医療者はそれをキャッチしたらすぐに国なりに報告するという仕組みが必要なのだということをきちんとここに入れていただくということ。

 また製造の段階も非常に重要です。製造するときの原材料に起因している問題もあった薬害というのもございますので、製造段階での品質の確保にどれだけきちんとしたルールを設けてやっているかというようなことも、この中には入れていただく必要があるかなと思いました。

 大きなところだけ指摘をさせていただきますが、14ページの図でございますが、私たちがこの資料をつくったときからかなり制度が変わっておりまして、この図が少し古い状況になっているというように拝見いたしました。

 まず、その前のページの13ページの一番下のところに関連する情報として、教員の方に知っておいておきたい情報が、13ページの指導のための基礎情報というところに、国、製薬企業、医療従事者、国民の役割という言葉が出てまいります。これは新しい医薬品医療機器法、あるいは薬機法という法律では、法の第1条にそれぞれの責務と国民の役割というものが明記されておりますので、そのことはここの資料の中にぜひ書いておいていただきたいと思います。

 その次の14ページのところのいろいろな関係を矢印であらわした図でございますが、この中には、まず国民から国/PMDAに対する逆方向の矢印が1つは必要であると思います。現在、PMDAでは、患者さんみずからが副作用を報告できる仕組みの試行が始まっていますので、それについては、試行だから書かなかったということではなくて、点々点でも入れていただくなりをしていただきたいと思います。

 製薬企業から国民に対する矢印も必要だと思っております。これに関しましては、緊急安全性情報あるいは安全性速報、イエローレター、ブルーレターについては、患者さんあるいはその家族の方向けのわかりやすい説明をした通知文というようなものも今は発信しなければいけないというようにC型肝炎の検証検討会の議論を踏まえた新しい法改正の制度改正の中で行われておりますので、製薬企業が国民に直接発信するという部分が必要ではないかと思います。

15ページになりますが、イレッサの事例を挙げていただいたという中に、せっかくでございますので、もしかして、このイレッサをきっかけに何か制度改正につながった部分がありましたら入れていただくとよいかなと。私は、今、記憶を勘違いしていたら大変失礼なのですが、市販直後調査というのはどこの時点で入れられたのか記憶にないのですが、イレッサだったかもしれないかなと思ったのですが、そこは定かではないので、何か今まで薬害が起こった後にそれの対応策としてどういう制度改正がソリブジンですか、そこがはっきりしていないので、ごめんなさい、ここは私の勘違いの部分があるかもしれません。

 一番最後の16ページ、私たちにできることの回答例のところでございますが、薬を飲むという表現が気になりました。飲む薬もあれば張る薬もあればというので、使用するとか、使うとかという表現でもよいのかなということを思いました。

 全て、読んでみるとか、調べてみるとか、そういう形の行動だけが記されているのですが、私が薬害のワークショップを中学生向けにしたときに、大抵子供たちが最終的に到達するのが、薬害についてきちんとした知識を持つことと理解をすること。誰が何をすべきかをきちんとわかることというようなことを挙げているのです。なので、ここは薬に対する添付文書を読んでみるだけではなくて、きちんと知識と理解という部分を入れていただきたい。このことは、薬機法の第1条の国民の役割の中にも、知識を得ることと理解をするということに努めなければならないとなっておりますので、きちんと子供たちが到達してもらえたほうがいいかなと思っています。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 では、栗原構成員、お願いします。

○栗原構成員 2010年7月ぐらいからこの検討会が立ち上がっていると思うのですが、ですから、数えてみると、もう6年目に入っていると思います。ただ、当初、出発時点で、それぞれの事件のアウトラインなどについても、この場で確認をした上での教材づくりではなかったという、そのあたりにしまったなと私個人は思ったりしているのですが、きょうの皆さんの発言も、これまでの検討会でところどころで教材に対する思い、問題指摘が出ては消え、出ては消えを繰り返している。しかし、もうこれは6年目に入っているわけですから、こうして指導の手引きが新たに登場し、そして、授業場面にふさわしい映像教材づくりというところまで進んできたわけです。ですから、随時見直しをしていくのだという、これはここで確認しようがしまいが当然のことなのですが、そこをきちんと確認の上でとりあえず前に進めるということが大事なのだろうなということを思いつつ、先ほどイレッサの細部の表現なども発言したわけなのですが、最初のイレッサの発言に関して補足します。

 このパンフレット、あるいは指導の手引きというものは、中学3年生社会科を中心とする授業のためのものではあるわけなのですが、やはりこういうものが厚生労働省によってつくられたという事実はこれまで初めての出来事なわけですね。そういう点で、中学生にとっての意味だけではなく、日本の国民全体の一つの財産あるいは負の財産なのかもしれません。そういう点では、やはりせっかく指導の手引きのところでイレッサの問題が記載されているのであれば、年表の最後に、例えば夢の抗がん剤と言われたイレッサの被害で裁判が起こったという事実を書き添えておくとかということをしないと、この補足情報がなぜ出てくるのだということになるわけで、かといって、決してそれを必ず授業で取り上げなければならないものでもない。そこは現場の先生方の柔軟な判断が当然あるわけなので、この年表は現状のままですと、最後の事件ですとんととまっているわけです。だけれども、今後、常に起こり得ると。イレッサがそうであったように、そして、また今、ワクチンの問題が日本社会にはある。そういう現実を次世代の皆さんの中学生の学習の課題なのだよということを示唆する、暗示するという意味合いというか、どうも適切ではないなと思いながら言っていますが、そういう意味合いでぜひとも年表にも記載が必要だと考えています。

○衞藤座長 少し待ってください。ほかの発言の方はいらっしゃいますか。

 高橋構成員、どうぞ。

○高橋浩之構成員 今、栗原構成員が社会で使うこととおっしゃったので、もうその辺が議論済みだったら申しわけないのですけれども、最初の1ページに、この手引きというのがどこで使われるのかということについてもう少し具体的に書いた方が良い。何となくこの内容などにも関連しますという書き方になっているのですけれども、社会の授業のこういうところで使えますとか、あるいは特別活動の時間等もあると思うので、はっきりと学校の先生に、こういうところでぜひ使ってくださいという形で明確に書いたほうが実際使っていただけるのかなと思いました。

 それとも関係するのですけれども、もちろん、我々はこれを価値があると思いますし、子供たちに学んでほしいと考えているのですけれども、やはり先生がいいと思わなければやってくれないわけで、これを使ってもらうこと、こんないいことがありますと、もちろん薬害とかさまざまなことについてわかるだけではなくて、社会とかいろいろな医療、そういうものについての見方が育つとかという売り込みといいますか、学校の先生に、これを使うとこういういいことがあるというようなことを書くというのが、もっと使っていただく上で大事なのかなと思いました。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 それでは、大平構成員、倉田構成員、矢倉構成員という順番でお願いします。

○大平構成員 今回の資料をお見せしていただいて、結構具体的に何をすべきとか、何を考えるかという回答例を見ていても、いろいろ具体的に指摘されているので、そこはだんだんこなれてきているのかなと思います。ただ、多くの委員から発言がありましたけれども、この薬害の発生というのは第一現場というところは、患者がそこの医療機関でかかっているときに起きる問題なので、そこの医療機関の処方と発見と、それに対しての対応というところが余り書き込まれていないのかなと感じました。一番そこで理論的に患者が考えるとか、きちっと理解してやれるというような状況で病院にかかっているわけではないので、そこでの病院の対応というのが一番最初の問題点だと思います。

 もう一つの流れとしては、製薬会社の隠蔽体質みたいな、きちっとした公にしない体質というのがこれまでもあったわけなので、そういう問題と、あと国の対応のおくれという。それを多分14ページの制度のいろいろな整った基礎資料として、付録情報として出ているのですけれども、これは先生が、教師の方たちが見てもなかなか理解はしにくいのかなと思います。

 この問題というのは、これ自体は端的にいうと医薬品のリスク管理の問題ということで、リスク管理がどういうようにできているのかというところをきちっと明示するということが大事ではないかなと思いました。ここの中での医療従事者、薬局の役割というのは余り整理されていないなというのがあって、そういうところが本来は一番の第一発見者とか、そういう第一人者のところでは医療現場の人たちが問題点を把握するというところが一番大事だというところが薬害の発生を未然に防ぐか、それとも早期に対処できるかというところにかかっていると思います。それをどういうように国の仕組みとして、きちっと役割と責任みたいなものを明示していくかというのは、もう少し考えていただきたいというのがあるのですけれども、この図式自体もわかりやすいような感じにしないと、先生方は大変有能な方だと思われますけれども、余り時間のないところでこれを見ても理解しづらいというところがあると思います。

 あと、この薬害を知る、そして、薬害を学ぼうという原点というところは、これまでの薬害の被害というのをちゃんと直視するという、それが基本だろうと思います。私たち被害者としても、きちっとそこは知っていただきたいというのと、その知っていただく上でいろいろな制度の問題とか、そういうものを一緒に考えていける、また学校で考えていただけるというところは大変重要かなと思います。

 一応一番言いたかったのは、薬害の発生の一番の現場である医療の問題と医療機関の問題と会社の体質の問題。国全体のリスク管理がどういうようにきちっと動いているかというところが、制度として整えているからこれでうまく動くのだよというような感じではなくて、実際に次々といろいろな問題が起きている中の欠点というのはどういうところにあるのかというのは、随時いろいろ補足していっていただきたいなと思いました。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 では、倉田構成員、お願いいたします。

○倉田構成員 今、大平構成員からも御指摘がありました。先ほど望月構成員が14ページの表について、製薬会社から国民に矢印が行くべきというお話がありましたが、私は国民を真ん中にして、全ての矢印は双方向ではないかと思っています。製薬会社に対して、こんなことがあるとか、こういう症状が出ているのだけれどもという直接の報告というか連絡というか、そういうところも現在も開かれていますね。これからもそれは必要だと思いますし、もう一つの矢印、医療従事者等の矢印になりますが、これも双方向の矢印になるべきだと思います。

15ページの一番最後のところに、このように薬を適切に使用していくためには、消費者を含む全ての関係者が情報を共有した上でそれぞれの役割を果たすことが必要であると書いてあるのですから、共有という意味では双方向の矢印になるのではないかと思っています。

 以上です。

○衞藤座長 では、矢倉構成員、お願いいたします。お待たせいたしました。

○矢倉構成員 ちょうど14ページの図示されたお話が出ましたので、重複するかもわかりませんが、ここに書かれてある4つの囲みで、国民が一番下にあるわけですね。国民からは、もう矢印はどこにも出ていません。これはおかしいと思います。なぜなら、国民が主体であるからです。国民のための薬なのですから、国民から医療従事者へ、薬局へ、あるいは国へ、PMDAへ、あるいは製薬会社へといった、そういう働きかけがないと、これが本当の平等な作業だとは言えないのではないかと。まず、これは1つ大きく思いました。

 次に、同じページになりますのでついでに言いますが、やはりイレッサの問題なのですが、これほど世間を騒がせたがんの薬というのはないわけです。本当に夢の抗がん剤といってマスメディアがどれだけ取り上げてきたか。そして、医師も最初はほとんど添付文書、ちょっとしか載っていなかったのです。それで医師がどんどん進めていって患者がたくさん死亡しました。余りたくさん死んでいくものだから、あれよあれよと思って添付文書をちょこちょこ変えていった経過があります。そういうことからして、このイレッサの問題は、どなたか先ほどおっしゃいましたけれども、過去の誤った財産として受けとめていかなければ、例えばこのイレッサの問題を契機にして、薬事法の改正の中に添付文書のあり方ということが非常に明確になされてきたと思うのです。だから、イレッサの果たした役割、裁判には負けましたけれども、これほど大きな薬害に関する問題があったのだというように私たちは考えたほうがいいのではないかと思います。

 以上です。

○衞藤座長 そのほかいかがでしょうか。

 藤原構成員はまだ御発言がないのですけれども、何かいかがですか。

○藤原構成員 もう先ほど望月構成員がおっしゃったことの繰り返しなのですけれども、やはり国民の役割というものが今回薬事法の中で明記されたので、その記載場所がないなというのが一番大きいところです。14ページか15ページでせっかくここに同様のことが書いてありますので、今回、第1条の6に国民の役割というものが明記されて「医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない」と薬機法に入ったということは補足資料の中に入っていいのではないかなと思いました。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 矢倉構成員、どうぞ。

○矢倉構成員 評価書のほうを見させていただきますが、薬害の記載がたくさん出ていて、本当にいいと思います。ただし、薬害と教育と結びつけようとするとかなり困難性がある。なぜなら、こういったものを消費者問題として捉えているわけです。だから、PL法の中にいろんなものがあるわけです。そういうのが羅列してあるわけです。だから、薬害をPL法と捉えて羅列していくというのは、薬害を教育するには無理かなという思いがありますので、文科省としてもう少し配慮していただきたい。薬害は薬害なのです。命の問題なのです。そういうように捉えていただきたいと思います。

 以上です。

○衞藤座長 では、望月構成員、お願いします。

○望月構成員 この「薬害を学ぼう」の割とゴールになる14ページの図が、ある意味では象徴的な図だと思っておりまして、先ほど大平構成員も矢倉構成員も倉田構成員もこの図について言及されて、患者さんから発信する矢印がないというのは、私も確かにそうだなと。私は副作用の報告のところしか気づかなかったのですが、あったほうが絶対いいと思います。

 その上で、先ほど大平構成員がわかりづらいと。私たちはある程度制度を知っていますので、どういう矢印はどういう意味があるというのは、この四角の中の解説を読まなくてもよくわかってしまうところがあるのですが、一番肝心な図ではないかなと思うのです。それが比較的もう少しこれを教材として使われる方にわかりやすい図にするのか、図を解説する文章をつくるのか、そこを工夫していただけるとよいのではないかなと思いました。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 それでは、この薬害を学ぼうの指導手引き(案)につきましては、本日皆様にいただきました意見を踏まえながら事務局において修正作業をしていただき、また次回の検討会で引き続き議論したいと思います。

 先ほどプロセス自体の御意見もいただいてはいるのですけれども、次回もう一回話す機会があるというていでおりますけれども、高橋寛構成員、このことに関して御意見ございますか。

○高橋寛構成員 いつも議論すると皆さんの思いが出てくるのですけれども、厚労省が指導の手引き(案)を作ることをやりたいというのは非常に評価します。だけれども、しょせん中学校で1時間の授業をやるのは中学校の教員で専門家ではないというところで、ここで指導の手引き(案)に対しみんなの意見を出すのは非常にいいのです。でも、どんなにいろんな注文を入れようが、資料をたくさん揃えてやったとしても、教える立場の先生が明日1時間授業をやると言って、膨大な資料のページを見た瞬間に、大変だから授業はやらないほうがいいねというようなことにはしてもらいたくないのです。ですから、この資料をつくるプロセスの中に今みたいな専門家の方を入れて、これだけは資料に入れてもらいたいと意見を聞く。しかも、授業は1時間、もしくはそれを2つやれればいいとは思いますけれども、まずそこからのスタートで、さらに栗原構成員が言っているように、資料はいっぱいあってどんどん公開してもらえば、それは国民の財産として非常にいいと思うので、そういう切り分けで作業をされていってはいかがでしょうか。

 当然、注学校の先生は、1回授業をやれば内容を覚えますので、2回目以降はもっと詳しいことをしたいとかという慣れもありますので、指導の手引き(案)に沿った授業は今年1年のキャンペーンではなくて、この案に沿ってもうずっとやるという位置づけだと思いますので、そんなようにされたらいいのではないでしょうか。

○衞藤座長 ありがとうございました。そのことも含めて検討いただきたいと思います。

 それでは、次の議題に移らせていただきます。本日、もう一つの議題であります視聴覚教材について移りたいと思います。この視聴覚教材につきましても、先ほど御議論いただきました指導の手引きとあわせて、平成28年度に向けて作業を進めていくこととされております。

 それでは、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、私のほうから、資料3の「視聴覚教材(案)について」という資料について御説明いたします。

 資料2と同様に、まずは今後のスケジュールについて事務局としての考えを御説明させていただきたいと思います。

 視聴覚教材につきましては、外部の業者に製作を発注することを予定しております。業者の選定手続や実際の製作期間などを考えますと、来年度から教育現場において視聴覚教材を使用できるようにするためには、本日お示ししております視聴覚教材の大枠についてきょう御議論をいただいた上で、本日のうちに皆様が御了承いただけるような形としていただいた上で、それをもちまして業者の選定手続などを進めさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、内容について御説明いたします。

 まず、「1.基本的な方針」でございます。

 前回検討会で御議論いただました資料でもお示ししていたところですけれども、1つ目の○にございますように、視聴覚教材につきましては、パンフレットの使用を前提とした補助教材としての位置づけとし、パンフレットの流れに沿ったものとしたいと思っております。このため、先ほど御議論いただきました指導の手引きと同様に、視聴覚教材につきましても本検討会での御議論を経て作成された「薬害を学ぼう」というパンフレット教材で示された流れを具体的に映像化するというものでするということで御理解いただきたいと思っております。

 また、2つ目の○にございますように、1時限の授業での活用を前提とした時間、具体的には20分程度のものとしたいと考えております。

 続きまして、「2.具体的な内容」でございます。

 パンフレットの構成と同様に、4つのパートからなるものとした上で、教育現場の先生方の使い勝手がいいように、それぞれパートごとで視聴が可能なものにしてはどうかと考えております。以下、それぞれのパートについて内容案を御説明いたします。

 まず、パート1といたしまして、この部分は導入部分になります。誓いの碑の設立の経緯、多くの薬害が生じた歴史、薬の基礎知識といたしまして、主作用と副作用とか、承認や販売の仕組みといったものを紹介することが考えられるかと思います。

 続くパート2は、パンフレットの3、4ページの被害者の方々にお話しいただく部分に相当いたします。現在のパンフレットの内容に即したお話を1人2分半程度でお話しいただければと考えております。視聴の際には、このパートの中でさらに授業の時間とか、先生方や生徒の関心に応じて、どの方の証言を視聴するのかを選択できるようにしてはどうかと考えております。

 パート3といたしまして、こちらはパンフレットの内容に沿う形で、スモンとサリドマイドのそれぞれの事案の概略や、それを踏まえてできた制度を説明してはどうかと考えております。

 また、最後になりますパート4につきましては、医薬品をめぐる社会の仕組み、それぞれの役割。先ほど御議論を多くいただきました手引きの14ページにあったような図ですけれども、そういったものを解説してはどうかと考えております。

 最後に「3.今後の進め方」といたしまして、冒頭御説明いたしましたとおり、本日、大枠について御了承いただくことができましたら、それをもとに事業者の選定手続を進めまして、この秋までに完成を目指していきたいと思っております。

 御説明は以上でございます。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問や御意見がありましたらお願いしたいと思います。また御発言があると思いました瞬間に名札を挙げていただくと、順番に御発言をお願い出来ますので、よろしくお願いいたします。

○高橋寛構成員 とてもいいプランだと思っております。特にパート4のところ、なかなか専門家でないと説明できないところがこういった形で説明していただけるようであれば、授業の組み立てが楽だと思います。

 パート2のところですけれども、これは実際に被害者の皆さんにお話していただきたいのですが、なるべく多くの被害者の人の声を採用していただきたいなと思います。1人何分がいいかはわかりませんが、中3の子供たちがすっと聞けるとなると、もう少し時間が短くてもいいのかなと思います。ただ、被害者さんの思いが十分伝わる時間ということで時間を設定していただければと思います。

○衞藤座長 栗原構成員、どうぞ。

○栗原構成員 この映像の中で一番大事なのはパート2であるわけですね。パート1の3つの項目がありますが、この3番目、薬の基礎知識というのがここに入ってくると流れが途絶えるかなというような懸念を感じています。それだけとりあえず。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 それでは、高橋浩之構成員、お願いします。

○高橋浩之構成員 実際のものを見ないとわからないところがあるのですけれども、視聴覚教材を使うということは、視聴覚教材の有利な点と不利な点があるのだと思うのです。そう考えると、パンフレット全部をこういうようにバランスよく置くというのが果たして効果があるのかなと疑問を感じます。

 特にパート4などは大事だと思うのですけれども、視聴覚教材はどんな示し方をするのか。静止画みたいなものが多いとすれば、それはむしろパンフレットを見ながら先生が話したほうがずっとわかりやすくて、先ほどおっしゃったようなパート2などは本当に語る言葉というのは全然違って見えるものだと思うので、そう考えると、こういう全体を網羅するというのはどうなのかなと感じました。それは実は20分でするとすれば、学校は1単位時間45分か50分で動くので、DVDになるのかもしれませんが、DVDでパート4の終わりのところまで行ってしまうと、後の時間を何に使うのかなという話になると思うのです。ですから、やはり1単位時間で動く中で視聴覚教材が有利なところで、それを利用して1時間が豊かなものになるようなつくり方というのは必要ではないかと考えます。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 そのほか意見はございますか。

 館構成員、お願いします。

○館構成員 この視聴覚教材をつくるに際して、先ほど提示されました授業の流れとの関連は何か考えられているのでしょうか。そのあたりを確認したいと思ったのです。よろしくお願いします。

○衞藤座長 事務局からお願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 お答えします。先ほどの指導の手引きに載せた授業の流れにつきましては、まだ視聴覚教材が完成していないこともございまして、それを踏まえた授業の流れにはしておりません。

○館構成員 先ほども話しましたが、やはり被害者の声をどう拾うのか。そのときに声だけではなくて、実際の写真であったり、どこまで使えるかどうかは私もわからずに発言していますけれども、そういった声と同時に実際の状態等がわかるような視聴覚教材であれば、かなりインパクトも強くなるという気がするのです。今DVDで、もしこういう視聴覚教材ができるようになると、部分的に使うことができるので、導入ではこの部分、そして、最後のまとめでは例えばパート4を映像でするという形で、20分全部流さずに途中で切りながら、そして、その後に説明をしていったり、話し合いをしていったりという使い方が可能になるのかなとも思います。DVDの視聴覚教材が中学3年生にとってみると、薬害を知る、それも実感を持って知るには結構効果的になっていくし、それをうまくこの授業の流れやパンフレットと合わせて使っていくといいものになる可能性が出てくるかななどというように思いました。

 以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 それでは、手嶋構成員、お願いいたします。

○手嶋構成員 今、パート2の結局ビデオを見てもらうというので言われていると思うのですけれども、よくよく見ると、これは全部で20分程度と書かれていまして、パート2つは結局2人だけしかビデオに出ないということですね。5分とるということになれば、結局上が6分、4分、5分だから、5分程度する、2人だけ選択ということだから、これは全員を子供たちが見られるというものではないわけですね。そうなると、内容的に2人の発言しか見られないというのはどうかなと思います。

○栗原構成員 15分ですか。

○手嶋構成員 15分ではない。20分全部で、パート1が6分。

○栗原構成員 こちらの理解ですが、ここの部分は、当事者の映像は、ここに6人ありますね。だから、2.5分の6人として15分と書いてあるのではないですか。そこから2人を採用して、全体で20分ですか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 先ほど館構成員がおっしゃっていたように、私どもとしましても、授業のときに必要な部分をパンフレットも使いつつ映像も見ていただいて順番に細切れで使いやすく使っていただくことを念頭に置いておりますので、栗原構成員が今おっしゃったように、全体として6人分の映像を撮った上で、もし先生方がその証言部分を非常に重要視してこれを全員見せたいということであればそれを6人見せていただくこともできると思いますし、そのように先生方にとって授業を進めやすい形で使えるようなものにしていきたいと思っております。

○手嶋構成員 そうすると、活用を前提した時間、20分ではなくて、2030分という枠が入るということですね。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 そうですね。全体を視聴した場合を考えれば、2030分ということはおっしゃるとおりです。

○衞藤座長 では、望月構成員、どうぞ。

○望月構成員 先ほど栗原構成員のほうからパート1で薬の基礎知識が入ると、ここで流れが途絶えるのではないかという御発言があったのですが、私は違った意味で薬の基礎知識をここに入れるのはどうかなと思っております。

 たしか薬害を学ぶ前提として医薬品の教育が行われていることという前提があったような気がするのです。そちらが先行して行われていた上で薬害をきちんと学んでいくということなので、この薬害の歴史が話された後に薬の基礎知識というのは、流れ的には大前提を崩している形になるかなと思います。ここで医薬品というものと薬害というものの混乱が生じないようにするためには、ここに入ることは、私は余りお勧めできないなと思います。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 そのほか、ございますか。

 それでは、視聴覚教材に関しましては、本日、皆様にいただいた御意見も踏まえながら御説明のあった方針で進めるということでよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○医薬品副作用被害対策室長 副作用被害対策室長でございます。

 いろいろと先生方に御意見を頂戴しまして、ありがとうございました。

 現場の方でなかなか使用が進んでいないという状況の中で、どうすれば皆さんに使いやすくなるか。これはすぐにも100%完璧なものはなかなか難しい面もあるかと思います。そういう意味で高橋(寛)先生からも御指摘がありましたように、一つには、11月、もう一度議論していただきますが、それまでの間に現場で教えていらっしゃる先生にも少し御意見を伺って、その上で完成を目指していきたいと思いますし、また、これから取組を継続していく中で、ここは違うのではないか、ここはこうした方がいいのではないかという点も出てくるかと思いますので、そこはそういうような形で継続的に改善をしていけばいいのかなと思っております。

 基本的には、このパンフレットと指導の手引きを随分御議論いただきましたので、今まで委員の方がおっしゃっていたことがこのパンフレットにしか集約されていなかったので、それを少し広げる形で手引きというので共有化をしていくのだと認識をしております。

 そういった中で教材に加えて映像の方は一度撮ってみないとわからない面もありますので、ひとまず撮ろうと思いますが、その際に、少しパンフレットの5ページで国民のところから矢印がないといったようなお話、指導の手引きの方がそういった形になっているわけですが、教材そのものの方が今こういうような状況になっているということがございますので、ここのところを少しどう工夫をしていくのかということ。

 もう一点は、最後に望月先生からお話のありました薬の基礎知識、ここで取り上げるのはどうかということであるのですが、年表の中で単なる副作用と薬害はどこが違うのかということを考えていこうというときに、何もなしにすぐにそのまま入っていくのはやや難しい面もあるのかなとは思っておりますが、いずれにしましても、今日、お伺いした意見を踏まえて進めていければと思っております。

○衞藤座長 望月先生、どうぞ。

○望月構成員 やはりそこは整理していただきたいと思います。薬害の歴史とかいろいろなことが入った中に医薬品の基礎知識がここで入ってくるというのは、医薬品の教育を考えますと、子供たちにとって、基本は中学生ですね。混乱を招くと思いますので、そこは整理していただいて、大前提としては、医薬品がどういうものであるのか、どういう目的でつくられていて、どういうように使われていて、ただし、課題として主作用もあれば副作用があるということを学んだ上で、薬害というのを学んでいっていただきたいと思うのです。薬害の場合、必ずしも医薬品そのものの問題というよりも、周辺の課題のほうが大きいので、それがゆえに公民とかで扱われるというような状況もあるので、そこは整理していただきたいなと思います。

○衞藤座長 どうでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長 ここで触れるよりは、むしろ前提としてという方ですね。今、中学校の現場でどういうような形なのか、そこも現場の話を聞きながら御相談していければと思います。ありがとうございます。

○衞藤座長 それでは、この検討会としては、きょういろいろいただいた御意見、今の補足の説明も含めて、この教材の作成に向けて一応スタートしていただくというようなことを御了解いただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○衞藤座長 ありがとうございます。

 それでは、議題としては4番目の最後になりますけれども、薬害に関する資料調査等についての直近の状況の御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、資料4につきまして御説明いたします。

 まずは「1.予算関係」でございます。今年度の予算ですけれども、「(1)薬害に関する資料の調査・目録作成費」がございます。

 マル1といたしまして事業概要をお示ししておりますけれども、先ほど御議論いただきました視聴覚教材につきましては、こちらを財源といたしまして製作を進めさせていただくことになります。金額につきましては、マル2にございますように、前年度同額の1,1971,000円でございます。

 続きまして「(2)厚生労働科学研究費」がございます。昨年度まで2カ年にわたりまして法政大学の金先生に研究を行っていただき、資料等の統一的、体系的な整理・保管方法に関する基準を作成してきていただいたところですけれども、その結果を踏まえまして、今年度も引き続き研究を行っていただいております。

 今年度の予算額はマル2にございますように500万円でございます。

 続きまして「2.平成26年度の実施状況」でございます。平成26年度は、今、御説明したとおり、厚生労働科学研究によりまして各団体の皆様が保有する資料の整理・保管方法に関するマニュアルや目録作成を進めますとともに、薬害被害者の方の証言を薬害再発防止に生かす観点から、スモン被害者5名の方の証言映像の収録を行ったところでございます。

 簡単ですが、以上、御報告でございます。

○衞藤座長 ありがとうございました。

 報告事項ではありますけれども、もし、特段の御意見や御質問がありましたら、ただいまの件に関しましていかがでしょうか。特にございませんでしょうか。

 それでは、また今年度の進捗状況につきましては、次回以降、いずれかの機会でまた御報告をいただければと思います。

 栗原構成員、どうぞ。

○栗原構成員 こういう厚生労働科学研究費の報告書というのは、どんな形でいつごろ世間に出ていくのでしょうか。

○衞藤座長 これはお答えいただけますでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長 基本的にはホームページ上で厚労科研の成果というのは一応公表する形にはなっています。今、昨年の前の研究状況がアップされているか手元にはありませんが、確認して御連絡差し上げるようにいたします。

○栗原構成員 例の保健医療科学院のデータベースのお話ですね。厚生労働省の図書館に入るとか、関係の大学等への配付とか、そういったことも行われるのでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 保健医療科学院のデータベースと厚生労働省の図書館への登録は行う予定でおります。また行い次第、御連絡差し上げます。

○衞藤座長 そのほか何か御質問とか御意見ございますか。

 それでは、また今の厚労科学研究の報告書の件も明らかになりましたら、次回以降、御紹介いただければと思います。

 そのほか若干時間を残しておりますが、何かそのほかのことでも、この検討会にかかわることでも御発言がございますでしょうか。

 どうぞ。

○栗原構成員 大体この検討会で毎回学校現場からのアンケートの結果集約などがあったと思うのですが、今回それはいかがでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 今年度教材を発送する際にアンケートを同封いたしまして、締め切りを7月に設定しております。ですので、次回の秋の検討会でまたアンケートの結果等を御報告できればと思っております。

○衞藤座長 配付の時期がことしは年度が変わってからであったことに係わる事情だと思いますけれども、そのほかございますか。

 手嶋構成員、どうぞ。

○手嶋構成員 もう2年以上前に、最後、秋ごろの検討会で薬害研究資料館をどういうようにつくっていきましょうかという話を高橋(寛)先生やら皆さん、話を出されていましたけれども、それが途中で頓挫したままになっているのですけれども、それは今後どうなるのでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 資料館につきましては、先ほど資料4で資料調査等について御説明したとおり、今、厚労科学研究等でそれぞれの団体がお持ちの資料の整理等を進めているところかと思います。当然、それを利用して、いかに活用していくかというところも重要な議題というか、重要な点だと思っておりますので、今の厚労科学研究の進捗状況等を踏まえまして、また、ここの検討会の場でも御議論等をいただきまして、今後について進めていければなと思っております。

○手嶋構成員 わかりました。一応資料を会のほうも集めているのですけれども、さて、それをどこに置こうかという点で今話し合いもしているのです。だから、そういう準備をして、資料を集めたけれども、そういう資料を置けるようなところを厚労省のほうで考えていただけるのでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長 大臣と肝炎の原告団の皆さんともお話し合いの中で、すぐに箱物とかというとなかなか厳しいという中で、できるところからやっていけるところは何なのかということで、今の研究費なり進めさせていただいているという形で御理解いただければと思います。

○手嶋構成員 わかりました。今、順次集めていますので、もし集まったところで、一応それは厚労省の方々に御相談に来ると思うので、よろしくお願いします。

○衞藤座長 栗原構成員、どうぞ。

○栗原構成員 今の資料の保存の関連で少し紹介させてもらいますが、年表の一番最初の1948年の京都、島根、ジフテリア事件の件ですが、数年前に京都市役所の地下書庫でさらに今まで誰も知らなかった資料が発見されました。それについて、京都市の歴史資料館のほうに、日時未定なのですが、移管される。既に写真撮影も終わってという、この教材の中で一番古い事件である資料がほぼ、国も京都府、島根県、GHQの資料も、恐らくかなりと言っていいほど完璧に近い状態で残っているのではないかなと思っています。

 それと、私たちの各団体の中では、最近、この検討会が立ち上がってから、つい去年の話ですけれども、弁護団が持っていた資料がもう少しタイミングが悪かったら廃棄されていたという。それを会が受け継いで保管をしている。ところが、個人の住宅の2階の一室に段ボール箱が30箱ぐらい、床が心配だという、どこかで受け入れてくれる場所がないかという緊迫した情勢でありますので、厚労省に期待するところです。

○衞藤座長 矢倉構成員、どうぞ。

○矢倉構成員 同じことが言えるのです。今いろいろ資料の整理をしていまして、登録表をつくっておりますが、さて、それをどこへ保管するか。私のところは賃貸の事務所ですので、スモンは高齢化と重度化して、これを維持するためにはどうしていったらいいか。本当に大きな問題ですので、ぜひとも厚労省に考えをお聞きいただきたいと思います。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 そのほか特に御発言はないでしょうか。

 それでは、本日は全ての議事が終了いたしましたので、会議を終了といたします。次回の日程等について、事務局のほうから御案内をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 次回の日程について御案内する前に、まず机上配付資料について再度注意喚起させていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、教科書につきましては、本日、机上配付資料という扱いでございますので、会議後、お持ち帰りにならないようにどうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、次回の日程ですけれども、次回は秋ごろに検討会を開催する予定でございます。日程調整等につきましては、追って事務局より御連絡させていただきますので、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。

○衞藤座長 ありがとうございます。

 それでは、本日の検討会はこれにて終了いたします。どうも御協力をありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局総務課
医薬品副作用被害対策室
TEL 03-5253-1111(内線2718)

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