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2015年7月10日 第12回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成27年7月10日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)


○出席者

委員

佐藤座長、池田委員、石山委員、神吉委員、田代委員、中井委員、両角委員

厚生労働省

安藤局長、古川総務課長、蒔苗職業家庭両立課長、中條職業家庭両立課育児・介護休業推進室長、中井職業家庭両立課長補佐、川島老健局振興課長補佐

○議題

1 報告書素案について

2 その他

○配布資料

資料1 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書(素案)
参考資料1 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書(素案)に係る補足資料

○議事

○佐藤座長 定刻になりましたので、「第 12 回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」を開催いたします。お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

 本日は議事次第にありますように、これまでの研究会での議論をまとめた報告書の素案を御用意いただいておりますので、素案について御説明いただき、皆さんの御意見を伺えればと思います。これまでの研究会の資料をお手元のファイルにとじてありますので、適宜御利用ください。

 それでは議事に入ります。議題 1 「報告書素案について」事務局より御説明をお願いします。かなり長いですので、テーマごとに説明いただいて議論をいたします。最初に、「はじめに」と「総論」について御説明お願いいたします。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 はい。資料については、参考資料 1 「研究会報告書 ( 素案 ) 」を御用意ください。なお、参考資料 1 として素案に出てくる内容のバックデータをまとめたものを用意しておりますので、適宜御参考にしていただき、お聞きいただければと思います。

 では、資料 1 について、大部になりますので、ポイントのみにしぼって説明いたします。まず 1 ページ目「はじめに」です。 1 つ目の○の所、 5 人に 1 人が高齢者という「超高齢化社会」に突入しているとし、その中でも要介護・要支援の方の数も増えていることを述べております。

 また 2 つ目の○では、このような現状は、その介護に当たる家族の働き方にも影響を与えるとし、過去 5 年間で約 44 万人が介護・看護を理由として、離転職を余儀なくされていることを指摘し、こうした人材の離職を防ぐことは、企業の発展のためにも、また労働者にとっても重要となっているとしております。

 次の○の育児に関しては、子育てをしながら継続就業をしたいとの希望がかなわずに退職している女性も多く、こうした方の潜在的な力を活かしていく必要があるとしております。

 次の○で、こうした諸課題に対応するためには、男女とも育児・介護といった家庭責任を果たしつつ、それぞれの希望に応じて労働市場への参加を果たすことができる社会を実現することが求められているとしております。

2 ページ目の上段の○では、関係する各種政府決定や、次の○では前回改正の附則に規定された施行後 5 年の見直し規定、更に改正法の附帯決議について紹介しております。以上がはじめの部分です。

 次の 3 ページからは、 I 総論です。 (1) 仕事と介護の両立に係る現状です。これまでの成果として、仕事と介護の両立支援制度については順次制度が拡充されてきたところです。一方で、中ほどにある現在の状況における課題では、まず家族を介護する労働者の現状に対応できていないとまとめております。介護休業、また介護休暇の取得率は非常に低いこと、また、こういった両立支援制度を利用しない理由として、支援制度がないためとするものが最も多いことなどを挙げ、制度の存在を知らず有給休暇等の休暇を使いながら対応している現状がうかがえるとしております。

 介護は非常に期間のばらつきが大きく、また介護は労働者にとって予見性が低く、育児とは異なりいつまでの期間となるか分からないという不安があるとし、介護の状況も非常に個々の事情差が大きいため、介護を抱える労働者にとって、この先が見えづらいことが不安の一因となっており、企業にとってもそういった個別性への対応が難しいと考えられていることに触れております。

4 ページの 1 つ目の○では、認知症高齢者が増えてきていること、介護の原因疾患が変化していることを挙げ、家族に求められる対応も変化してきていることを挙げております。次の○では、三世代世帯が減少してきていることなどを挙げ、家族の在り方も変化してきていることを挙げております。

 以上を踏まえ、現在の育児・介護休業法における仕事と介護の両立支援制度が、介護の予見性の低さや個々の事情の多様性、家族に求められる対応の変化に十分に対応できているとは言い難い状況にあるとしております。

 次に (2) 仕事と育児の両立に係る現状です。これまでの成果としては、仕事と育児の両立支援制度については、累次の制度改正が行われてきているとしており、女性の育児休業取得率が、例えば 80% から 90% の間を推移していることなど、制度の普及は図られつつあるとしております。また、男性の育児休業取得の促進については、前回改正で各種制度が改正され、 5 ページの上辺り、育児休業給付の給付率を 67% に引き上げたとしつつ、男性の取得率は 2.3% と低水準にとどまっているとしております。

5 ページの現在の状況における課題では、女性労働者の多様な状況に必ずしも対応できていないとまとめております。育児休業を取得して継続就業をした割合について、パート・派遣といった非正規雇用の労働者は低い水準にとどまっていることを指摘しています。さらに、子どものいる家族形態も多様化してきていることで、例えばひとり親世帯が増加傾向にあることを挙げております。どのような就業形態・家族形態であっても、子育て期に継続就業を図ることができるようにすることが課題となっているとしております。

 次に、男性の育児休業取得が依然進んでいないとまとめております。育児休業の取得を希望しているが、取得できていない男性正社員が約 30% いる中で、取得率は低水準であること。特に、妻が無業の場合の男性の育児休業取得率は、妻が正社員の場合の男性の育児休業取得率と比較して低い状況にあることを挙げております。

 以上のような課題を踏まえ、 6 ページから「今後の両立支援制度の検討に当たっての基本的な考え方」をまとめております。その際、育児や介護を行う労働者のみが特別に支援される形では、労働者のキャリアアップや他の労働者の公平感などが損なわれる恐れがあることに留意する必要があるとし、企業全体としてワーク・ライフ・バランスが実現できる環境を整備することが重要であるとしております。

 基本的な考え方の 1 つ目は、多様な介護の状況に対応しつつ、継続就業できる制度の実現とまとめております。先ほど見たような介護の予見性の低さなどといった変化に対応できる制度に見直す必要があるとし、その際、労働者が 1 人で介護を行うのではなく、介護保険サービス等を適切に活用しつつ、継続就業することができる環境の整備が求められているとしております。

 また、介護におおむね共通する内容、ニーズとして、 (1) 集中的にある程度一定期間、労働者の対応が必要となる場合、 (2) 集中的にではないが、定期的、スポット的に労働者の対応が必要となる場合の 2 つがあると考えられるとしております。また、仕事と介護の両立を可能とするためには、法律に基づく両立支援制度の整備に加え、企業及び労働者自身が個々の状況に応じて適切に対応できるようにするという観点が必要であるとし、このため、職場を含めた環境の整備が重要であるとしております。

 例えば、厚生労働省の委託事業で策定した「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」に基づく取組を普及していくことも必要であるなどとしております。また、両立支援制度の整備に加えて、介護保険サービスやその他福祉サービスの適切な活用も重要であるとしております。育児・介護休業法と、介護保険サービス等福祉サービスは利用する側から見ると車の両輪のようなものであることに留意する必要があるとしております。

 基本的な考え方の 2 つ目は、多様な家族形態、雇用形態に対応した、育児期の柔軟な働き方の実現とまとめております。雇用形態にかかわらず、妊娠・出産・育児を経ても、継続的に就業できるようにすることが引き続き重要な課題であると指摘しております。また、総務省行政評価局長からのあっせんも踏まえ、育児休業の対象となる子の範囲の在り方を検討する必要があるとしているところです。

 次の 8 ページ目は、男性の多様な状況に応じた子育ての関わりを可能とする働き方の実現とまとめております。妻が無業や非正社員の場合でも、育児休業の取得を希望をしているが取得できていない男性が約 30% いることを踏まえ、このような男性の多様な状況に応じたアプローチを取ることによって、育児休業の取得を進めることが重要であるとしております。またこれは、専業主婦でも就業希望の方が一定程度存在することなどを踏まえると、妻の再就職の促進にも資すると考えられること、また、他の男性の育児休業取得促進にもつながると考えられるともしております。

 また、職場において育児休業取得を言い出しやすい環境を整えること、あるいは出産後 8 週以内の子育ての開始時期に、夫が育児に関わることができるようにすることが有効であるとしているところです。以上です。

○佐藤座長 先ほど御説明しましたように、分けて御意見を伺いたいと思いますので、今御説明いただいた 1 ページの「はじめに」と、 3 ページの「総論」から 8 ページの「各論」の上までについて、どなたからでも御意見を出していただければと思います。

 

○両角委員 結構いろいろあります。まず 1 ページの下から 3 行目、「出産・子育て期の女性が同時に介護の負担を担わなければならない」うんぬん、の所があって、ここだけではないのですが、確かこの研究会では介護というのは男女双方に係ってくる問題で、女性の問題ではないと。何かここの「はじめに」を読むとそこが余り伝わってこなくて、やはりこれは女性の問題であるような印象を受けてしまうので、そこは表現をもう少し工夫したほうがいいかと思います。それが 1 点目です。

 それから 5 ページの、現在の状況における課題の所の、有期契約労働者の数値を紹介している所ですが、育児休業取得率は分かるのですが、その後、「育児休業を取得して継続就業した割合を見ると」と続いていて、この関係がちょっと分かりにくくて、どういう関係の数字なのかが分かりにくい。非正規雇用の中身が違っていることもあるし、「取得したこと」と「取得して継続就業した」がどう違うのかというのが分かりにくいので、これも表現の問題だと思います。

6 ページの上の「基本的な考え方」の 1 番総論的な所、 2 番目の○ですが、育児、介護だけの人を特別に支援するというのには限界があると、もっと一般的にということなのですが、それは一般的な労働時間制度の問題と企業の自主的な取組の問題と 2 つあって、混ざっているように読めるのです。法律上の休業制度のみでは、介護に特化した休業だけではカバーできないということなのですが、そうすると一般的な労働時間制度で長時間労働の削減などを図っていくべきことと、それから更に企業でもっと自主的な取組をしていくことと、両方必要かと思いますので、ここもちょっと表現の問題だと思います。

 それから 8 ページの、「男性」の所ですが、前から議論になっていて「専業主婦家庭の男性」うんぬんですが、これは前の段落で、とにかく取りたいけれど取れない男性が 30 %いることも指摘されています。そもそも育児に関わりつつ雇用も継続するという利益は、その労働者自身の利益として、男女を問わないものであって、男性労働者の利益として、まず少なくとも望んでいる人については、妻が専業主婦であろうとなかろうと、その両立をする、育児もして、仕事もする。そういうことを保障することが法の目的であるというような、もう少しストレートな説明ができないのかなと。何かやはりもって回った感じがして、という辺りです。

 

○佐藤座長 最初の 1 ページの話は確かに男女ともにというのは、全体を見直して、それは御指摘のとおりだと思います。

5 ページの所は少し御説明をいただき、今までも議論していたのですが、このデータの違いですね。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 基本的にこちらはデータの違いということで、育児休業取得率のほうは雇用均等基本調査のほうで出している数字ですけれども、そもそもその分母に、妊娠した時点で辞めてしまわれた方というのが入っていない。調査の時点で雇用されている方を分母に取っているものですので、その中で育児休業を取得されている方の率になっています。

 一方で、育児休業取得による継続就業の所は、第 1 週産前後の継続就業率というものを育児休業を取って継続している方、あるいは取って継続就業をしている方などを見ているものですので、そもそもデータにそういう違いがあるというものです。

 

○佐藤座長 それぞれ間違っているわけではないけれども、どう読むか分かるように丁寧に書いていただくようにしたいと思います。 6 ページは、今回はまだ分からない、労基法改正などがあるので、ほかのものもあるので、どうかと。はい、分かりました。 8 ページの書き方も少し検討させていただきます。

 事務局から、取りあえず伺っておくということでいいですか。

○中井職業家庭両立課長補佐 はい。

 

○佐藤座長 ほかによろしいですか。

 

○田代委員 細かい表現の問題ですけれども、 3 ページの、介護に関する現状に対応できていないという所で、手助け・介護のために利用する制度としてですが、有給休暇を取る人が多いのは、両立支援制度の存在を知らないからというような表現になっていますけれども、これは必ずしも知らないだけではなくて、給与の問題とか、そもそも分割ができないとか、多分いろいろな背景があってそうなっているので、ちょっと存在を知らないというだけで断定するのはどうかなと思いました。

 

○佐藤座長 そこだけでよろしいですか。

 

○田代委員 はい。

 

○佐藤座長 確かに現状で言うと分割できないので、いざというと。後ろのほうに書いてありますよね。

 

○田代委員 はい。

 

○佐藤座長 分かりました。その辺をお聞きしておくということでよろしいですか。

 

○中井委員  5 ページの部分で、先ほど両角先生からもあった部分になりますけれども、出産時点で在職している場合は有期契約労働者でも 69.8 %の育児休業取得率ということで、在職している場合は取得率が高いことを示しているという記載があります。しかし、実際は前回、相談事例等でも提示があったように、出産前に雇止めになったりとか、御自身自らで働けないということで退職をされたりといったことがあるかと思いますので、このデータ自体が有期の育休取得の本当の実態を表わしているかというと、若干疑問で、そうではないと思います。例えばパート・派遣の取得率 4 %といったところのほうが実態に近いのかなというところもありますので、非正規雇用の方の就業継続が困難だといったことが、もう少し明確になるような表現に見直していただければと思います。

 続いて 6 ページになります。 2 2 つ目の○ですが、「両立支援制度を充実させる一方、育児や介護を行う労働者のみが特別に支援されるという形」であったりとか、「キャリアアップや、他の労働者の公平感などが損なわれる恐れがあることに留意する必要がある」というような一連の文章があります。今後、育児や介護の時間的制約がある労働者は増えていくことが想定されますし、我々労働組合などはいつでも誰でも起こり得ることだから、よくみんなが対象だというような言い方もしているのです。そうしたことを考えると、「特別に支援される」とか、「公平感」といったようなネガティプな考え方に非常に違和感を受けました。ここで伝えなければいけないのは、下 3 行の、「育児や介護を抱える従業員以外も含め、企業全体として」とありますが、国も挙げてワーク・ライフ・バランスに対する理解を深めていく、実現できる環境整備をするというようなことが重要であるという、この 3 行が非常に重要なので、上の所は削除すべきだと私は考えます。まず、 2 点お願いいたします。

 

○佐藤座長 両角委員も言われた、 5 ページの、ここは書き方を逆にしたほうがいいのではないですか。後ろのほうを先に書くと。後ろの議論にも出てくると思うのですが、育休を取ってという所で、いわゆるこれは社人研のものですよね。正規職員は 43 %で有期が 4.0 %。ただし、有期の人でも産休を取って育休にいくわけだから、それが取れている人は育休も取っているので高い、そうできるようにするというのが多分後ろの議論なので、そのほうが後ろの議論とつながるかなと。現状でも継続している人は取れていると、だから継続できるようなことを少し検討しなければいけないと、多分後ろの議論だと思いますので、そういうことだとお 2 人の質問にお答えできるかなと思います。その辺でよろしいですか。

6 ページの上の辺りは書き方をどうするのか、ほかの方の御意見があればですが。

 

○武石委員 ここの部分は確かに後ろの 3 行が大事な部分なので、ここがきちんと書かれているというのが重要だと思います。多分その前の言葉が少し足りなくて、「両立支援制度を充実させる一方」というのが、例えば今の働き方を放置したままで、制度を充実させるとこういう問題が起きるということだと思うので、そういう言葉を補うと、もう少し分かりやすいのかなという気がしています。この 3 行だけ残すと何となく全体で言いたいことが伝わらないので、やはり、今の働き方を前提にしたままでの制度の構築というのが、いろいろな課題につながっていくというほうがいいかなと思います。

 

○佐藤座長 そこは現行の短時間勤務を取っている人だとなかなか自分の能力に見合った仕事が与えられにくいとか、あるいは評価でということがいろいろで、 8 時間フルタイムの人たちの働き方が 8 時間ではなくて、やや極端にいうと、 8 時間プラス 2 時間みたいな職場だと、なかなか 6 時間勤務は出しにくいと。このようなことは、その例だと思うのです。やはり全体を見直さないとその制度が趣旨に沿ってうまくワークしないということで、入れたいということだったと思うので、そこはまた御検討いただいて、また見ていただくようにしたいと思います。

 ほかの委員、何かありますか。

 

○池田委員 細かい点ですが、 4 5 ページの男性の育児休業のこれまでの成果の所で、最後 5 ページの上の段落で、依然として男性の育児休業取得率が 2.3 %と低い水準にとどまっているというような評価になっているのですが、参考資料の 20 ページのスライドで、男性の育児休業の取得率の推移を見ると、低いことは変わりないのですが、一応、前回改正から後、数値は上がってはいるので、やはりやっただけの効果は出ているということは書いてもいいのではないかと思います。そうしないと、要するにやってもやっても低いままだということになると、これからの取組にかけても、もう一つ勢いがついていかないので。 2005 年の次世代法と 2010 年の改正で大きく 2 つの上昇機運が高まった、実際現場の雰囲気としても 2010 年改正のときに、取るという雰囲気がもう一段階上がったことは私も調査とかして感じますので、そこにもう一段階のてこ入れをしていく、そういうニュアンスのほうが前向きでいいかなと思います。

 

○佐藤座長 傾向線を引けば多少凸凹はあるけれど、少しずつ上がってきているのは間違いないので、それを評価した上で更にどうするかと。多分皆さんこれには反対はないと思いますので、その辺御検討いただくようにします。

 両角委員からの、今の「男性」の所の書きぶりは事務局として確認はよろしいですか。

 ほかにありますか。

 

○神吉委員  4 ページの、仕事と育児の両立に係る現状の、これまでの成果の評価の所ですが、 4 行目の最後で、「このような状況を踏まえ、育児について法定制度は整ってきているとの意見もある」ということで、これは今までのまとめでも、一意見としては出てきたと思うのですが、これをあえて「総論」の所に入れるのは私は反対です。というのは、今までいろいろなメニューを設けてきて、特に育休取得率は女性で 7 割とか 8 割という数字は出てきていますが、そういうことがあるにもかかわらず、この「はじめに」の所で M 字カーブに触れているように、これだけ普及している制度にもかかわらず、まだ現状が改善されていないというところを見れば、これは法定制度が整ってきていると評価するよりは、未だに問題が生じていると言えると思います。特に「各論」で出てくると思いますが、非正規労働者で、この取得要件など、法定制度の改善によって対応していく課題というのは非常に大きいものなので、この 1 文を入れることによって、過小評価されることのないように御配慮いただければと思っています。

 

○佐藤座長 そろそろ委員にお伺いし、そこは私はこう思うということがあれば伺っておいたほうがいいと思うので。確かに、後ろのほうでいろいろ見直しの課題があるというのと、つながりをはっきりしておかないと、そこは少し大事な論点なので、そういう趣旨だろうと思います。

 さっきの育児休業との話は、いろいろ取組をしてきたのは間違いない。だけどもうそれで課題が残っていないかというなら、後ろのほうで課題があると書いていますから、その辺は確かに検討いただければと思います。今までいろいろと課題をそれぞれ解決するような取組をしてきたという点では、整備されてきたというのは間違いないので。もし何かその辺で御意見があれば伺います。

 

○中井委員 追加で申し訳ありません、 7 ページになります。真ん中ぐらいに、介護に関して、特養の入所者が要介護 3 以上になるということで、「在宅介護から始まるケースが多くなると想定される」と。その後に続くのが「利用する側から見ると車の両輪」であると、介護休業法と介護保険サービスが両輪であるものということに留意する必要があるという記載があるのですが、確かに両輪であって、留意していかなければいけない内容だとは思います。在宅介護からスタートするケースが多くなる、特養に入るタイミングが変わってきて、介護自体、そのものが変わってくると考えられるので、こういう視点で、今まで以上に就業継続の観点での制度の見直しが重要になってくるということを、もう少し直接的に書かれたほうがいいのかなと感じました。

 

○佐藤座長 初めから要介護 5 とかで、要介護者も施設を希望してという、そういう施設で始まる人ももちろんあるし、しかし、全体としては在宅を希望する、在宅からの方が増えてくるだろうということで。そうすると、御意見は在宅を前提とした両立の在り方みたいなのが重要だということをもう少し書くということですか。

 

○中井委員 そうですね、前提と言いますか、在宅から始まるケースがこれまで以上に多くなる、そういう視点で更に就業継続可能となるような見直しが重要になってくる。

 

○佐藤座長 両立できるような、ということですね。

 

○中井委員 はい、両立できるようなという視点で、制度の見直しをしていくことが必要ではないか、ということが書かれていたほうがいいのではないかと思います。

 

○佐藤座長 施設でも実は結構呼び出しがあったりとか、そういう意味で施設に入れれば両立は簡単だというわけでもないので、車の両輪の所は施設の場合も関わるというように書く。在宅だけではなく、施設に入る場合も、当然両方、介護保険サービスでカバーされているので。趣旨は分かりました。

 ほかにはよろしいですか。それではまた戻ってくるようにしますので。それでは次に、 II 「各論」、介護離職、 8 ページ以降の 2 回目で議論していた所を御説明いただければと思います。

 

○中井職業家庭両立課長補佐  8 ページの下の「各論」の (1) 仕事と介護の両立支援制度の整理及び介護休業についてです。次のページの中ほどの仕事と介護の両立支援制度の整理の所、 9 ページの仕事と介護の両立支援制度の整理の 2 つ目の○ですが、介護休業については、急性期や在宅介護から施設介護へ移行する場合や末期の看取りが必要な場合など、介護の体制を構築するためにある一定期間、休業する場合に対応するものとして整理すべきであると考えられるとしています。また、次の○で、介護の体制を構築した後は、日常的に介護する機関において、スポット的に休まざるを得ない場合に対応するものとして、引き続き介護休暇を位置づけるべきと考えられるとしています。

 また、 10 ページの○の 1 つ目、介護の体制に変動はない場合であって、介護に伴う日常的なニーズに対応するもの等として、介護のための柔軟な働き方について検討すべきと考えられるとしています。

 今後の対応の方向性ですが、介護休業については、在宅介護を行ったのち、施設介護へ移行する場合や、急性期対応、介護施設間の移動など、複数回、介護体制を構築する場合が考えられることや、また短期間の休業を複数回分割して取得できるというニーズが高いことなどから、介護休業の分割取得を認めるべきである。この場合、介護休業の分割回数の上限については、介護の始期及び介護の終期、またその間の時期にそれぞれ 1 回程度、休業を取得する必要があると想定されることなどを考慮して、その回数を検討すべきであるとしています。

 一方で介護休業期間については、労働者が介護のために連続して休んだ期間についての調査では、 2 週間以内との回答が 75.0 %など、短期間の介護休業に対するニーズが高いことなどから、休業期間については分割取得が可能となった場合には、現行のまま通算して 93 日とすることが考えられる。なお、この点については施設に入れるまでの間に限って当該期間を延長すべきとの意見もあったということです。

 また 10 ページの一番下の、介護休業を取得できる要介護状態の判断基準については、現在の介護保険制度の状況から見ると範囲が狭すぎるため、緩和する方向で見直しを行うべきである。更に介護休業等の対象家族は、三世代世帯の減少に伴い、同居しない親族の介護を行う事例も見られることから、同居していない兄弟姉妹や祖父母も対象にすることも検討すべきである、などとしています。

 次に、 (2) 介護休暇についてです。現行制度の状況等の部分では、介護休暇の創設の趣旨などを御紹介しています。少し飛びまして、次の 12 ページ、今後の対応の方向性です。現状では多くの労働者が年次有給休暇等の休暇を取得し、対応しているものと考えられるが、介護のために必要な休暇については、介護休業や介護休暇でカバーできることが望ましいとの指摘がみられたことから、日数の延長や取得単位について検討を進めるべきであると考えられる。このうち、介護休暇の取得単位については、介護保険関係の手続等、丸 1 日休暇を取る必要はない場面も想定されることから、時間単位や半日単位での取得を検討すべきであるとしています。

 次に、 (3) 所定労働時間の短縮措置等についてです。現行制度上は、介護休業と通算した 93 日間のうち、介護休業を取得しない日数について、所定労働時間の短縮措置等、いずれかの措置を講じることを義務づけている、選択的措置義務となっているところです。

13 ページの、今後の対応の方向性ですが、これらの選択的措置義務について、介護休業と通算して 93 日間という期間から切り出した上で、措置の期間の延長を行うべきとの意見があった。またこの点について、特にフレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げは、労働時間を原則変更せずに柔軟化するのみであること等を踏まえて検討すべきという意見や、所定労働時間短縮措置については、単独の措置義務とすべきとの意見もあったところであるとしています。

一方で、労働者のニーズと事業主の負担を見極めた上で、講ずる措置について検討を深める必要があるとし、具体的には以下のような案を含め、検討することが考えられる。所定労働時間の短縮措置を単独義務として措置する。選択的措置義務という枠組みを維持したまま期間を延長し、措置義務を課す。

 さらに、分割も視野に入れることが適当であるとし、また期間の設定に当たっては、介護離職に至る期間のデータ等を踏まえることが適当であるとしているところです。

 次に、 (4) 所定外労働の制限についてです。所定外労働の制限制度は、仕事と育児の両立支援制度として事業主に義務付けられている一方で、介護については今現在入っていない状況です。

 次に、 14 ページの今後の対応の方向性についてです。介護についても措置すべきではないかとの意見などがありました。また、事業主に義務付ける場合には、上限を定めない制度の在り方も検討すべきではないか、との指摘もあったとして、例えば期間の上限を定めず、事業主に義務化すること、期間の上限を定めた上で、事業主に義務化すること、選択的措置義務のメニューに加えることの案も含め、検討することが考えられるとしているところです。なお、この点については介護を行っていない通常の労働者を含めた働き方について、残業を前提としない働き方へと転換を図るべきであるとしています。

 次に、 (5) 仕事と介護の両立に向けた情報提供です。労働者が法律上の両立支援制度や自社の両立支援制度、介護保険制度の仕組み等について、十分に情報を得ていることが重要であると考えられる。まず、労働者個人への情報提供について、地域包括支援センターや市役所の窓口等公的機関や、あるいはケアマネジャーが労働者に適切に支援、情報提供ができる仕組みが効果的であると考えられる。 15 ページで、市町村の介護保険申請窓口や地域包括支援センターでは、サービスに関する情報提供のみならず、介護を行いながら継続就業するにはどうすればいいかという観点からの情報提供を、必要に応じ、労働者が受け取ることができるようにすべきと考える。また、ケアマネジャーについて、必ずしも両立支援制度について理解しているとは限らない現状があるため、介護休業制度等、仕事と介護の両立支援に関する基礎的な知識を付与するような取組を検討すべきであるとしております。

 企業を通じての情報提供として、企業がその従業員を支援するに当たって、必ずしも従業員の介護に関する状況が把握できていない状況にあるため、まずは相談窓口の設置等により、従業員の介護に関するニーズを把握し、その上で両立支援制度等、必要な情報を提供できることが望ましい。また、介護が必要になった労働者のみならず、介護が必要になる前の労働者への情報提供も重要であるとし、先ほど出ました「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」に基づき、各種取組が求められるとしているところです。以上です。

 

○佐藤座長  8 ページの下から、仕事と介護の両立の所で、介護休業の分割、介護休暇の在り方、あと所定労働時間の短縮措置等、残業まで、この後半の 2 つは幾つかの議論が出て、皆さんいろいろ意見があって、それを一応検討のこういう考え方があるという形で後半のほうは整理しています。分割については結構皆さんそれが大事だろうということで、ですから分割介護休業、あと介護休暇の趣旨、利用の仕方と、御議論をまとめてあります。そういうところですがいかがでしょうか。

 

○中井委員  10 ページの介護休業期間について、各種データや皆さんの御意見で「 93 日間とすることが考えられる」という記載があります。その下に、「施設に入れるまでの間に限って、当該期間を延長すべきとの意見」という記載がありますが、こうした状況に限ってということではなく、延長を含めた見直しを検討していただきたいということを、前回発言させていただいたかと思います。改めて発言させていただきますけれども、やはり介護は様々な多様性があり、先日も事例として、介護に 1 年間かけた、施設を探し更にならしというような形で対応をし、 1 年間フルに使うことで離職が防げたというような実態もあります。様々な複数の要因が発生するようなケースもありますので、是非、延長も含めて見直しを検討すべきというような、ケースを限ったことではなく、記載をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○池田委員 今の件に関してですが、現状の介護休業というのは、趣旨というか、想定している場面は制度設計に当たってあるわけですけれども、そのとおりにその期間を過ごさなければいけないというわけではないですよね。要するに準備だと言ってもずっと介護に専念してそのまま 3 か月後に戻ってもいいわけで、そういう意味では、ある特定の場面に限って議論するということになると、ちょっと、そもそもの介護休業の趣旨と合わなくなる。例えば準備だからだと言って、ずっとケアマネと 1 回も会ってなかったら、それは休業と認められないのかといったら、そのようにはなっていないわけですから、そういう意味では、場面を余り特定して、そのときに延長うんぬんというように書くのは、その制度全体のつくりとも整合性が合わなくなるかなと思います。

 その上で、 93 日を更に延ばすという、個別のケースについて、当然 93 日では足りないという場面が生じたときに、法定制度自体を例えば 3 か月から 6 か月、 1 年と延ばすことについて、この研究会でまだ議論が煮詰まっていないという印象があります。ただ、個別のケースがあった場合に、例えば育休の場合だと 6 か月の延長規定というのがあります。例えばターミナルケアでよく佐藤先生がおっしゃっている、余命 3 か月と言われたけれど、 3 か月たってもまだ長生きしていますというときに、戻れませんとか、そういう予定が変わったときに、ちょっと救済措置みたいなのが必要なのかどうかということは、今後検討していく。その中でその多様な介護の状況に、より柔軟に対応できる期間を摸索していくことは方向性として有りかなという、そういう感想を中井委員のコメントから持ちました。

 

○佐藤座長 多分、 9 ページの下から○ 2 つですか、介護休業の趣旨を考えたときに、 93 日が適切かどうかと。もちろん個別にはいろいろあるので、それは否定しないのですけれど。

 あと、 10 ページの下の書き方も結構難しくて、「入れるまでの間」というのをどう考えるかで、もう決まっているけれど、入れるけれど 3 か月というのと、探していますというと、では、これを 2 年まで延ばすのかとか。結構難しいかと思います。労経局のあれで、実際の待機で上がっているうち、実需は 15 %とか、 2 割ぐらいとか議論はありますけれども、実際、入れればということで申し込んで、本当にニーズがあるのはそんなに多くないみたいです。ただ現状としては不安なので早めに施設にという人もあります。そうすると待機は待機です。でもそこまでやると実際に運用上は難しいかなと思います。決まっていてというのは有り得るかも分からないですけれど。それまでで 2 か月先ならばと言われていますとかというのはあるかと思います。これもどういう意味で「入れるまで」かなというのがあるかと思います。

 あともう 1 つ結構難しいのは、家族介護に戻すのかどうかで、介護の世界観ということを原則とすると、長くするとどうしても家族がというようになりがちです。それで女性がということになるというようなことも考えておいたほうがいい。介護の社会化を考えた上で、どのように設計するかが大事かなと思っています。

 

○田代委員 具体的にどこの表現というより、全体観なのですが、今池田委員からもお話がありましたとおり、やはり介護の問題でいろいろな個々のケースのニーズはどうしても出てくると思います。それを一つ一つこういうケースがあるからこうだというのは、法律として最低限の基盤を整備するという趣旨からすると、そこはやはり基本的な考え方をしっかり押えた上でやらないと、あれもこれもというのはいかがなものかなと思います。

 もちろん、個々のいろいろなニーズを踏まえて、企業の状況や職場の状況を見て、労使あるいは従業員としっかり話し合ってやっていくことはあると思いますし、現実にそうやっていると思います。法律としてどう整理するかという観点で、そこはきちんと整理すべきかなと思います。

 それから、例えば 10 ページの真ん中の回数制限の上限についてということで、最後のほうに「働き方の権利の確保と事業主にとっての負担の兼ね合いを考慮して」という文章が入っておりますが、後で出てくる介護休暇の分割の問題であるとか、いろいろな働き方の多様なメニューに関しても、やはり全体に対してここの表現はかかってくるのかなと。必ずしも、事業主にとっての負担だけではなくて、先ほど中井委員から指摘がありましたように、 6 ページ目の公平感みたいな話、つまり、職場の周りの人の負担ということもあります。したがって職場あるいは事業主の負担との兼ね合いで考えるべきだという点は、ここの分割の問題だけではなく、全体にかかる表現ではないかなと思います。

 

○石山委員  2 点あります。先ほどの議論の 10 ページの下から 3 行目のなお書きの所ですが、「施設に入れるまでの間」というのは各論的な表現かなと。それから、介護保険法との両輪の制度であるところを考えますと、介護保険法では可能な限りその居宅において有する能力に応じということで、居宅を基本としている考え方ですので、施設がゴールとなるようなイメージが持たれないような書き方をしなければならないかなと思いました。

 もう 1 点は、 9 ページの一番下の○ですが、「介護の体制を構築した後は、主に介護保険サービスを利用しつつ」とあるのですが、今、地域包括ケアシステムを構築していくというような考え方の中で、いわゆる社会保障制度だけではなく、介護というのは地域のインフォーマルサポートも含めて支えていくのだという考え方なので、「介護保険サービスや地域のインフォーマルサポートを利用しつつ」というような表現のほうが適切ではないかなと思いました。

 

○佐藤座長  7 ページの下から 3 つ目の○、地域包括ケアシステムの所に、インフォーマルも含めてですよね。

 

○石山委員  7 ページのどこですか。

 

○佐藤座長 下から 3 つ目の○ですね。

 

○石山委員 はい、こちらも併せて。

 

○佐藤座長 そのように書かれているので。介護保険制度の趣旨もこの辺りに入れればいいのかなと思います。

 

○両角委員 細かい所ですが、 10 ページの真ん中辺り、今後の対応の方向性の 1 つ目の○の下から 4 行目で、「労働者の割合が約 9 割」と書いてあるのですが、何の 9 割か分からないので、何を 10 とした 9 なのかを明示したほうがいいと思いました。

 

○佐藤座長 書き方の問題で、あとは多分それぞれの所に図表幾つとかが入るようにはなると思うのです。ですからそれで済む場合と、解説しなければいけない場合については、あとで整理いたします。次回は、後ろの資料が付くように、図表番号がここに付くように。例えば図表幾つで処理できるのかという辺りは対応いたします。

 

○池田委員 勤務時間短縮等の措置の期間を延ばすかどうかの議論ですが、大きなこの育児・介護休業法の制度設計の中で、特に前回改正のときに、従来の介護休業は要するに急性期対応だと。要するに、緊急対応を想定したものから、少し安定期のサポートのメニューを増やしていきましょうという議論があり、それで介護休暇ができたと思うのですね。今回の勤務時間短縮の措置も、やはりこの報告書を見るとそういう趣旨が盛り込まれているということで、少し総論の所に戻ってしまうのですが、全体の制度設計の考え方として、始期と終期と中期それぞれに必要な措置を整備していくという観点で、期間の延長を考えていくとしたほうが、報告書としては改正の哲学が明確になるかなという感想を持ちました。

 それから、もう 1 つは細かい話なのですが、看護休暇の日数について、議論したようなしていないような。何となくいろいろな意見が出た中で、石山委員からお話があったように、ケアマネと月に 1 回会わなければいけないとか、そういうことを考えると、今の。

 

○佐藤座長 介護休暇ですね。

 

○池田委員 介護休暇のほうですね。 1 日単位で 5 日というのが何となく足りないのではないかという雰囲気が、研究会の中でも共有されているのではないかと思います。その上で、報告書の 12 ページの記載になっていると思うのですが、今後の対応の方向性の 2 つ目の○と 3 つ目の○の関係なのですが、時間単位や半日単位での取得を検討するべきであると書いてあり、なお書きに、就業時間中に中抜けを認めている場合は就業継続が高いというのは、当機構の高見研究員の分析、報告書に載っているものを踏まえての御指摘だと思います。この続きで読むと、何となく半日よりも時間単位のほうがいいというか、中抜けと言われると昼休みを挟んで 3 時ぐらいまでの間に、例えばケアマネと会ってまた戻って来ますみたいなことを多分想定している。それとも、特にそういう含みがなくただ並列で書いているのか。サーッと読むと時間単位で細々取れていたほうがいいのかなというニュアンスで読めてしまうのですが、そういう書き手の意図として何かあるのかどうかを確認したいと思います。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 これは、時間単位や半日単位の部分の参考のデータとして、池田先生に出していただいたデータで出てきたものですから、それを一応忠実に書いていると言ったら変ですが、これに関してはこういうデータがあり、こういうことが望ましいという記述にしております。

 

○池田委員 今のところは、どちらがいいということはまだ議論していないようなのですが。

 

○佐藤座長  12 ページの最初の○は、日数延長や取得単位ということで、多分ここは、つまり 1 日単位にして増やすのか、 11 ページの石山委員の報告ですと、月に 1 回はということで、 12 日必要になるわけじゃないですか、しかし、実際は丸 1 日は必要ないと。そうすると、半日すれば、分割にすれば 5 日でも半分、 10 日とか。その辺りは、多分両方の組合せなのですよね。それも、そこに書く必要があるかどうかは分かりませんが、趣旨は多分そうだと思いますので、日数を考えるときに分割か時間単位かで日数のほうも議論にはなると思うのですね。基本的には、現状、つまり両立をマネジメントするために、例えばケアマネジャーと会ったりする時間がどう確保できるかというような趣旨だと思います。あとは、池田委員の言われたことも御検討いただければと思います。

 

○武石委員 今、池田委員がおっしゃった前半部分は私も同感で、今の介護休暇の制度は全体として継ぎ接ぎだらけの制度という印象があります。要は、介護休業と例えば短時間勤務の選択的措置勤務等を合わせて 93 日という当たりの考え方が、どうして合わせてなのかなという辺りも実態に合っていないと思います。そういう意味では、各論の所は介護休業や介護休暇がそれぞれ書かれているので、総論の所でやはり現行の法律に関しての課題をまとめほうがよいのではないかと考えます。具体的には 6 ページに介護について、集中的に必要な場合と、スポット的に必要な場合と書いてあります。例えば、スポット的なところはこれは介護休暇をイメージしているような気がするのですが、スポットのほうは短時間やフレックスでも対応できるものだと思うので、まとまった休業としての集中的な対応と、介護休暇や選択的な措置を含めたスポット的な対応を、きちんと書き分けたほうがいいかなという印象を受けました。

 

○佐藤座長 これは、ところどころ書いていただいているのですが、これまでの歴史的経緯を少し書いておいたほうがいいかもしれません。介護休業に入ったときは、まだ介護保険制度はなかったのですね。ですから、大きくは次に介護保険制度ができて、それを前提にして介護休業も少し見直したりとやってきたので、その経緯を少しまとめて書いて、継ぎ接ぎにならざるを得ない側面があったことも大事で、一番最初は介護保険制度がなかったという前提でつくられていて、それを結構引きずっているのですよね。やはり、介護の社会化が入ったこともあるので、当然介護保険制度ができたときは、今度は家族が働いているというのもそんなに高くなかったのですね、それが家族が働く人も増えた。介護保険制度も多分見直す必要があると思うのですが、そういう意味では、全体として見直さなければいけない状況にあるということが事実です。ただ、見直さざるを得ない状況が出てきてしまった背景もありますので、その辺りは分かるように書いていただくといいかもしれません。

 

 

○田代委員 所定時間外の制限制度で、今後の対応の方向性の最初の部分ですが、全体の意味が余り理解できていなくて、デイサービスの延長が盛り込まれたことに対して、所定労働時間制度のうんぬんと書いてあります。これは、デイサービスが延びたから、残業を制限さえすれば、ほとんどフルタイムで働けるようになったという意味なのでしょうか。サービスが延びたら、勤務配慮しなくてもいいのではないかとも思いますが、これはどういう議論の中で出てきてこういう表現になったのですか。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 ここは、 13 ページの下から御覧いただくと分かるのですが、育児のほうには今は入っているのですね。その理由は、保育サービスと組合せをして残業を免除してもらい迎えに行って両立ができるということなのです。

 介護のほうは、現状ですと 93 日の中に入っていますので、急性期の対応としてそういった介護サービスが当時なかったということで、そこと組み合わせるサービスがなかったので、介護のほうにはこの所定外労働の制限は入っていないのですね。ただ、現状の介護保険制度において、このデイサービスの延長等が出てきましたから、保育サービスに似たようなサービスが出てきていますので、場合によっては所定外労働を免除したら組み合わせて両立が可能となるのではないかというところで、ここに入れてあります。

○佐藤座長 休業を取らなくてもということですね。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 そうですね。

 

○佐藤座長 休業を取らなくてもということですね。休業との代替なのかな。これがないと休業せざるを得ないのだけれども、休業を取らなくても所定外労働免除で両立できるのではないかということですね。そうすると、その辺りは分かりにくいですね。御検討いただければと思います。

 

○池田委員 前回の議論ですと、もともとデイサービスの時間が短かったのですよね。 4 時ぐらいで終わるケースが多くて、朝もわりと始まりが遅いということで、全体的に短かった。それを前提にすると短時間勤務をもっと延ばしたほうがいいのではないかと、中井委員から御提案があったことに対して、介護保険法の改正で、デイサービスの開所時間が延びたので、必ずしも短時間勤務でなくても、一応フルタイムでも残業がなければ両立ができると。そういう前提で考えていくことも 1 つの方法だということを踏まえての、今の蒔苗課長の御発言だとすると、整理できると思います。

 

○田代委員 そうですね。先ほどの両輪のような話の正に象徴的な話だと思いますので、ちょっと分かりやすく表現していただければと思います。

 

○佐藤座長 デイサービスの現状、変化を御説明いただけますか。法改正でかなり変わってきたみたいですので。

 

○川島老健局振興課課長補佐 そうですね。デイサービスについては、今回の報酬改定の中で延長が大幅に認められております。介護者の更なる負担軽減や、仕事と介護の両立の観点から、延長加算の対象範囲が拡大されており、 12 時間以上 13 時間未満、さらに 13 時間以上 14 時間未満が新たに加算で追加されております。

 

○佐藤座長 その場合は、事業者が延長すれば加算される保育園と一緒の趣旨ですね、今の加算は。

 

○川島老健局振興課課長補佐 そうです。さらに、同じく通所のサービスであるデイケアも今回の報酬改定の中で、デイサービスと同じように延長が 14 時間まで、報酬で延長加算が付けられるという改正を行っているところです。

 

○佐藤座長 ただ、実際にどのぐらいサービスを提供されているかという話ですね。

 

○石山委員 制度としてはできたのですが、実際にそれが利用する側から自由に選択して希望どおりに利用できる状況の環境が整っているかというと、なかなかそうではありません。延長するからには、そこには人員配置が必要で、例えばそのデイサービスには希望される方がお一人しかいないけれども、体制を整えられるか。あるいは、今は介護人材が大変不足している中で、延長分のところの人員が確保できるかは、現実的にはかなり厳しい状況があります。これが、デイサービスの時間延長が盛り込まれたから、即労働者たちが残業なしにとか、短時間労働なしに就業継続できるかというと、そこはまだイコールではないというところですね。可能性は出てきたというような捉え方のほうがいいのではないかと思います。

 

○佐藤座長 残業はしないにしろフルタイムで、もちろん短時間勤務も必要な場合はありますが、できればフルタイムで残業をしないで両立できるような介護のほうもサービスがあるのは望ましいかなと思います。ただ、仕組みができたのは非常にいいことですが、過渡期でまだなかなか利用できないと。では、その辺りも踏まえて少し。逆に言えば、こちらが対応しようとしても、ずっとやってくれないのも困るので、そういう意味では、そういう方向で介護者である家族に残業までしろというのは問題があると思いますが、普通にフルタイムで介護も両立できるようなということを、介護保険のほうでもやっていただくことが大事かなと思います。

 

○中井委員 今の話にもつながるのですが、フルタイムで働きながら介護も両立していくのが理想だというのは、承知しているところではあります。繰り返しの発言ではありますが、どうしても製造現場等でフレキシブルに働けないというような労働者は非常に多くおりますので、是非この短時間勤務を日数、制度的にも切り出していただくことを、改めてお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長 ここは、一応議論の中には入っているのですよね。

 

○蒔苗職業家庭両立課長  13 ページの (1) 単独措置なのか、あるいは (2) 選択的措置の枠組みでなのかということです。

 

○佐藤座長 切り出したときの期間がまた難しいのだけれども、それはここだけでは議論できないので、どうするかはなかなか難しいですね。

 

○両角委員 今のお話なのですが、 12 13 ページぐらいにかけてがそのようなお話だと思うのですが、そこに今のような、つまり体制を構築したとしても、十分にフルタイムで働けるだけのサービスが得られるとは限らないので、このような短縮措置が必要な面があるということをはっきり書いたほうがいいのではないかと思います。

 

○佐藤座長 皆さん御存じのように、育児休業の半年延長も、基本的な原則のところは法律を変えていないのですよね。そのような趣旨も含めて。それから、石山さん、 14 から 15 、今までの育介法、介護などの議論ですと余り言っていなくて、やはり介護保険制度の両輪というときに、地域包括やケアマネジャーの役割は大事だということで書いていただきましたが、何か御意見はありますか。

 

○石山委員 特にはありません。

 

○佐藤座長 ここは、今までは余りなかったところなのですが、よろしいですか。それでは、また戻っていきますが、次のブロックについて説明をお願いいたします。

 

○中井職業家庭両立課長補佐  16 ページは、「多様な家族形態・雇用形態に対応した育児期の柔軟な働き方の実現」についてのセクションです。 (1) 育児休業の対象となる子の範囲です。こちらについては、現行制度の状況等で、本年 3 月に総務省行政評価局長から特別養子縁組を成立させるために子を監護している期間について、法律上の子に準じて育児・介護休業法に基づく育児休業の対象とすべきとのあっせんが発出されたことに触れているところです。

 今後の対応の方向性として、育児・介護休業法が雇用の継続を図ることを目的として制定されたものであることや、全ての事業所に適用される最低基準ということなどを踏まえて検討していくことが必要であるとし、少なくとも法律上の親子関係に準じる関係と言えるか否かという観点から、検討することが適当であるとしております。

 特別養子縁組の監護期間と養子縁組里親については、法律上の親子関係を形成することを目指していることから、法律上の親子関係に準じる関係と言えるため、子の範囲に含めることを検討するべきであるとしております。養育里親等については、関係性が異なるという意見があったことにも留意しつつ検討するべきであるとしております。

 次に、 (2) 有期契約労働者に係る育児休業の取得要件です。現行制度の状況等についていろいろ書いてありますが、少し飛ばします。一番下の今後の対応の方向性について説明いたします。有期契約労働者の取得要件のうち、 (2) の要件、「子が 1 歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること」の要件について、申出時点で将来の雇用継続の見込みがあるかどうかを有期契約労働者が判断することは困難であり、また労働者側と事業主側とで判断が分かれるところであり、紛争の原因になりかねないといった意見等があったとしております。このため、 (2) の要件や (3) の要件をなくし、少なくとも育児休業の申出時点から当該雇用契約の終了までの期間については、育児休業の取得が可能となるようにすべきとの意見や、 (2) の要件を子が 1 歳に達する日までの間に労働契約期間が満了し、かつ労働契約の更新がないことが明らかである者のみ、育児休業が取得できないこととすべきとの意見があったとしております。

 要件の見直しを検討するに当たっては、育児・介護休業法の目的に加え、事業主の雇用管理上の負担を十分に考慮し、さらに検討を深める必要があるとしております。また、労働契約法の改正も踏まえるべきであるとの指摘もあったとしております。なお、そもそも産前産後休業を取得できることを知らないために、育児休業の取得率も上がらない可能性があるとし、有期契約労働者でも産前産後休業・育児休業制度等を利用できることについて、引き続き周知することが重要であるとしております。

 次に、 (3) 有期契約の派遣労働者に係る育児休業の取得促進についてです。有期契約の派遣労働者については、登録型派遣労働者が育児休業から復帰したときには、新たな派遣先が見つからならければ、その時点で雇用契約が終了する問題があること。また、育児休業の取得等について、派遣元の責任について必ずしもよく理解されていないことも課題であること。さらに、派遣労働者自身が産前産後休業や、一定の要件を満たせば育児休業を取得できることについて知らないということを挙げ、今後の対応の方向性ですが、育児休業取得後の派遣労働者の継続就業の機会の確保の努力を派遣元において行うべきことを、何らかの形で徹底することを検討すべきと考えるとしております。また、派遣元において、育児休業の取得等、事業主の責任を負うこと、派遣労働者も産前産後休業・育児休業を取得できることについて周知を徹底するための方策を検討すべきとしております。

 次に、 (4) 子の看護休暇についてです。こちらは、今後の対応の方向性ですが、子の看護休暇の日数については、現在の日数で適当であるとの意見があった一方で、丸 1 日休暇を取る必要はない場面も想定されることから、時間単位や半日単位での取得を検討することが望ましいとしております。なお、ひとり親世帯の場合に、子の看護休暇及び育児休業の期間を延長することについては、かえって当該労働者の雇用機会を狭める可能性が考えられるため、同一のルールとすべきとの意見があったとしているところです。

 次に、 (5) 所定労働時間の短縮措置及び所定外労働の制限措置の対象年齢についてです。 20 ページの中ほど、今後の対応の方向性ですが、制度の対象となる子の年齢の上限を引き上げるべきとの意見に対しては、結果的に女性の活躍を阻害する可能性があるため、慎重に検討する必要があるとしております。一方で、子どものライフ・ステージごとに求められる対応が異なること等を考慮すると、制度の対象となる子の年齢の上限を引き上げた上で、通算の取得期間を設定するなど、何らかの条件を設けることで、勤務時間をより柔軟に設定することが考えられるとしております。

 次に 3 の男性の子育てへの関わり、 (1) 男性の育児休業取得促進についてです。今後の対応の方向性ですが、課題として専業主婦家庭の男性を含め、育児休業を取得したいと考える男性が、その置かれた状況に応じてどのような時期に育児休業を取得すれば、効果的か等について分からないということが考えられるため、これに対して母体の変化や子どもの成長に伴う効果的な育児休業の取り方等について、具体的な情報を提供すべきであるとしております。

21 ページの○の 2 つ目ですが、また、前回改正によって創設されたパパ・ママ育休プラス等の制度について、ほとんど知られていないため周知を行う必要があるとしております。さらに、上司を含め、職場に対して育児休業取得を言い出しやすくすることが必要であるとし、そのために上司が育児休業の取得計画書の提出を求めることなどにより、取得希望を把握するようにするような取組が進む方策を検討すべきこと。また、事業主による育児休業の取得を理由とした不利益取扱は禁止されていることを周知徹底する等、何らかの措置を検討すべきと考えるとしております。

 さらに、妻の出産後 8 週間以内の期間の育児休業取得について、少子化社会対策大綱において、出産直後の休暇取得率を 2020 年までに 80 %にする目標が掲げられており、この期間における休みの取得のための社会的な機運の醸成を、政府全体の取組として進めることが求められるとしております。

 次に、 22 ページ、 4 その他の (1) テレワークの活用についてです。「世界最先端 IT 国家創造宣言」において、ワーク・ライフ・バランスの実現の観点からテレワークを推進することにより、仕事と介護の両立と、仕事の家庭の両立、仕事と介護の両立等を推進することとされております。また、在宅勤務でのテレワークは、例えば遠距離介護を行う場合や、半日ケアマネジャーと打ち合わせた後に半日在宅勤務する場合などには、特に有効であるという意見もあったところです。一方で、テレワークは全ての子育て家庭にマッチするわけではないということ、あるいは現状、テレワークを導入している企業は少ないことなどを挙げているところです。このようなテレワークの普及状況なども踏まえ、仕事と育児・介護の両立促進のためのテレワークの在り方について、好事例をまずは積み重ね、引き続き検討すべきとしております。なお、労働者全体の働き方のフレキシビリティを高めることによって、両立支援を進めることを目指すべきとしております。

 次に、 (2) 経済的支援です。育児休業に関しては、昨年の 4 月に給付率が 67 %に引き上げられ、実質的に 8 割程度の所得が保障されており、この改正の効果も今後見極めつつ、引き続き取り組んでいく必要があるとしております。また、介護休業に関しては、雇用保険制度における介護休業給付や企業や互助会等による経済的支援が行われているとしております。

 次に、 (3) 転勤配慮です。育児・介護休業法の転勤配慮の規定については、その実効性を高める必要があるとの意見があったところです。また、育児期・介護期の転勤配慮については、現在の企業における転勤の在り方そのものを踏まえる必要があるとの意見があったところです。このため、まずは企業における転勤の実態を把握し、これを踏まえて検討を行うべきであるとしております。

 最後に、 (4) 介護保険サービスの充実についてです。仕事と介護が両立しやすい職場環境の整備に加えて、介護保険サービスの充実も不可欠であり、介護を要する高齢者の生活支援の観点と、高齢者を介護する家族の負担の軽減の観点から、サービスの在り方を検討することが求められるとしております。資料の説明は以上です。

 

○佐藤座長 今の部分について御質問、御意見がありましたら、お願いいたします。

 

○中井委員  17 ページの有期契約労働者に係る育児休業の取得要件の部分になります。全体的に、この有期契約労働者に係る部分の表現、言い回しが、意見があったというような書きぶりが多く、この状態ですと、研究会としての方向性や意思がなかなか見えにくいのかなと思いました。今までの議論や今回のまとめにもあります、対応の方向性の意見が幾つか書いてありますが、そういったところを見ると、全体的には要件は見直すべきという発言が多かったのではないかと。そういったことを踏まえれば、要件を見直すべきという方向性を確実に明記していただいたほうがいいと考えます。

 その上で、前回も発言いたしましたが、育介法の趣旨である就業を継続する者がきちんと働き続けられるようにそれを支援するというような法の趣旨を考えて、この要件のやり方はいろいろあると思いますが、削除すべきという発言をさせていただきましたので、そちらも意見として記載していただきたいと考えております。

 それから 18 ページですが、○の 2 つ目に周知のお話を記載していただいております。ここは、個人に向けた情報提供が有効であるので、そういったところをやっていくというようなお話が書いてあります。前回の報告の中でも、企業側が制度を知らないとか、誤まった解釈をしているというようなことがあり、トラブルも発生している事実もありますので、是非企業に対する周知もこの中に含めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長 前半の要件の件は、やはり要件は見直したほうがいいという御意見だったかなと。ただ、見直しの仕方については、例えば経営側の雇用管理の点ももちろん含めながら、企業としてきちんとやれるかどうか、理解できるかどうかという辺りについてはいろいろ意見があったと思いますので、その辺りの書きぶりはいかがですか。

 

○田代委員 見直したほうがいいかどうか以前に、継続雇用、継続就業をするためにこの育児休業があるのだという、もともとの趣旨があると思います。雇用を継続するかしないかは、いろいろな要素がありますので、どうしてもそこが正直何か判然としないですね。ですから、明らかに継続雇用をする人は当然取得しますよねというのは明らかなのですが、継続雇用は不明確なのだけれども、しかし両立支援のためには育児休業は取るべきというところがつながると、どうも継続就業を前提とした法の立て付けとの間でどうか正直悩むところです。したがって、法として見直すべきかどうかは分からないというのが正直なところです。

 

○中井委員 そういう意味では、現状ですと残念なことに、明らかに就業継続が見込まれるような、それまでに 1 年以上雇用継続していて、スポット的な業務ではなくて常態的な業務に従事をしながら有期契約をしているというような方が、やはりこの法の捉え方によって育児休業が取れないというような事例も多く聞きます。手法はいろいろあるというお話はありましたが、そういった視点で、働ける、就業継続を希望する人が働き続けられるといった視点で、是非、見直しをしていただければと思います。

 それから、今は女性活躍が非常に政府としてもうたわれております。残念ながら、その女性の 4 割が非正規だということも含めて、その方々が就業継続できるようにといった視点での見直しをすべきだと考えております。

 

○池田委員 前回の改正のときに附帯決議になっている項目でもありますし、この研究会でも私が言い出しっぺみたいになってしまいましたが、かなり盛り上がった議論でもあるので、報告書の中でも割としっかりした書きぶりでまとめておいたほうが、今回の改正に直接つながるかどうかは別にして、やはりきちんと議論をしたという跡は残しておいたほうがいいかなというのが、まず最初の感想です。

 後で、法律の専門家の 2 人の先生にも御意見を伺いたいのですが、今回研究会で何を議論してきたかといったときに、有期契約労働者の育児休業の対象範囲の要件の見直しといったときに、対象の要件を広げるか狭くするかという話がまずありました。それから、今は要するに見込みという言葉が分かりずらいから、要件を明確にしましょうと、何となくぼんやりと、この辺の人たちとなっているのを、もう少し輪郭をはっきりしましょうという 2 つの議論があったと思うのですね。この輪郭がはっきりしない部分については、そもそも有期契約の雇止めに関する基準自体が非常に分かりずらいという発言が、確か両角委員からもあったと思いますし、やはり研究会でも明確化はしたほうがいいという話になったと思います。それは、今の範囲がたとえ正しかったとしても、それがもう少しはっきりするようにということです。野球に例えれば、ストライクゾーンの範囲がはっきりしないので、ストライクかボールかはっきりしないところをはっきりさせましょうという、そういう議論については、ある程度研究会で合意があるかなと思います。

 その上で、田代委員がおっしゃるような、本来継続の見込みがあるとかないということに関して言うと、例えば前回、前々回、 2005 年の改正法施行前から指針で言われている、実態として期間の定めがない労働契約と異ならない状態になっている人は、育児休業の対象ですという趣旨と、現行の規定がきちんとフィットしているのかどうかということのチェックなど、いろいろ検討しなければいけないことは非常に多いと思います。そういう意味で、田代委員がおっしゃる違和感や判然としない部分というのは、つまりその範囲、規定をもっと緩和したほうがいいのかどうかについては、正直議論が深まっていないと思います。そういう意味で言いますと、今回の現状の報告書の書き方としては、要するに範囲を広げるとか狭くするとかよりも、明確化の方向性はしっかりと議論の議題になったということを書いておくのがいいかなと思います。

 その観点で言いますと、 (2) とか (3) の要件をなくすという話は、結論としてはかなり性急なものになるかなと。研究会全体で議論した内容を踏まえたかということでは、かなり性急なものになるかなと思います。はっきりとそういう発言が出たかどうか、何となく議論の流れを事務局が踏まえて書かれたのだと思いますが、子が 1 歳に達する日までの間に労働契約期間を満了し、かつ労働契約の更新がないことが明らかである者のみ育児休業が取得できないこととすべきというのは、これは要するに、はっきりしないものを明らかだと。こういうことが明らかな人は取れないですよと。逆に言えば、こういうことが明らかな人は取れますよという形で書くことは、これまでの研究会の議論での問題提起を一応踏まえたものになっているのかなという感想を持ちました。

 その他、不利益取扱のことや反復更新されたときというのは、結局雇用の継続性に関する今の判断基準が非常に分かりにくいということを放置した状態では、ここの部分を議論しても答えが余り出ない。そういう意味では、意見があったとか指摘もあったぐらいの書きぶりで、今後の検討課題として残っているという整理になるかなと思いました。つまり、範囲ではなくて、輪郭というか、要件の緩和ではなくて明確化という方向で報告書をまとめていくのが、研究会の議論を一番正確に反映しているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○両角委員 池田委員の言われることも分かるのですが、それがはっきり分けられないように思います。というのは、やはり雇用の継続が法の目的であることを本当に前提として (2) のような要件を残せば、それは明確化はできなくて。つまり、もちろん何かそれについてほかの法律ができて画一的に切るようになればとかそういうことはありますが、取りあえず現在の状況を前提とする限りは、 (2) のような要件を明確化するのがちょっと困難で、そうすると原則としては取れるようにして、前回議論があったかと思うのですが、明らかに見込みがないのは使用者側が示すとすると。それは、結局拡大することになると思うのですよね。ですので、それは理屈としては分かりますが、実際はそんなに分けられなくて、結局要件を緩めるという話になるのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。

 

○池田委員 今、曖昧であるがために取れていない人が取れるようになるという意味では、取れる人が増える可能性はあると思うのですね。それは、前回のときに出た相談事例のように、使用者側は要するにもう見込みなしと言ってしまったために取れないという人が、取れるようになる面はあるのですが、そういう意味で言うと 18 ページの 3 行目から出ているような、続かないことが明らかな人は取れないと、 (2) の要件を書き換えるというのが研究会の議論で出たお話としては、一番落としどころで、意見を反映しているかなと私自身は思うのですが。

 それ以上、例えば前回の研究会で田代委員がおっしゃったように、育児休業を申し出た時点で、でも 1 歳の時点で仕事があるかないかどうか分からないよと言ったときに、それは要するに育児休業取得、不利益取扱に当たるかどうかという判断になるかと思います。それも、やはりなかなか当事者同士では判断しづらいという問題は残ると思うのですね。ですから、そういう意味では割とはっきりした規定に書き換える方向でいったほうがいいと思います。

 もう 1 つは、研究会のときにきちんと言っていなかったのですが、妊娠、出産期に育休を取れる、取れないという問題に直面した有期契約の方と私がお会いしてお話ししたときに、やはり妊娠、出産のときは非常に身体の状態がデリケートですから、取れるとか取れないとかという解釈論争を事業主とするだけの元気がある人は、そんなに多くないですよねと。均等室に相談に行けばいいと言いますが、つわりがすごくひどかった人もいますし、精神的に非常に不安定になった人もいます。そうすると、そういう意味では解釈の余地があるルールというのは、それ自体が妊娠、出産期の女性にとって余り易しくないので、もう白か黒か割に瞬時に判断がつくようなものがいいかなと、余談めいていますが。そういう点も含めて、何か明らかという言葉が報告書に載っていると、何か議論したかなという感じに思うのですね。

 

○佐藤座長  17 ページの下から 2 つ目の○から、 18 ページの所で、 18 ページは意見があって、つまり検討すればこういう観点というので、これはまとまったわけではない。

 池田委員が言われたように、 17 ページの最初の○をどう書くかですが、つまり、現状でいいかということについて言うと、見直す必要があるという点は、ある程度意見が一致したのかなと。ただ、どうするかは田代委員が言われたようなことも含めながら、これはいろいろと意見があります。ただ、現状がいいかというと、これもいろいろと問題があるというのはあったかなという私の理解ですが、その辺はいかがですか。

17 ページの最初の○の所は、今でいうと労働者と企業側も現場で困るような、分かりにくいところがあるので、これは見直す必要がある。ただ、どう見直すかについては、もちろん今のままで分かりやすくするとか、範囲どうこうというのはあるけれども、ここはいろいろな意見が出て、例えば参考として挙げているというようなところで、取りあえずは整理させていただければと思います。

18 ページの 2 つ目の○は、御指摘のように、有期契約の方については、人事も若干理解が十分ではないと。特に大事なのは現場の管理者で、特に有期の方は、例えば小売業などで言うと、店舗で採用されるということで、人事ではない方が雇用したり、あるいはパートの方が「妊娠して取れるのですか」と言われると、悪気があるわけではなくて、知らなくて、有期労働者は取れないのではないですかということも実際に多いので、その辺のデータもありますし書かせていただいて、また次回に御意見を伺えればと思います。

 そういうことも踏まえた上で、企業にも現場の管理者にも理解していただくと同時に、なかなかそれも進まない点があるので、直接個人にという。特に有期の方については情報提供が大事なので、現状でいうと、母子手帳を見て知ったという人は結構多いです。見ていただくと、産休のことも書かれていますし、育休については「男性も取れます」ときちんと書いてあるので、そういう意味では、こういうものも特に理解を進める場合に大事かなと思います。

 

○両角委員 今のところなのですが、研究会では議論にならなくて、その後に考えていたことなのですが、何で有期雇用のところがよく分からないかというと、 1 つは、育児休業というのは雇用契約があることを前提にした休みなので、有期雇用だと休業中に期間が満了するわけです。そうすると、どうなるかということが、つまりその契約は 1 回終わるのか、それとも法定更新のような形で更新するべきなのか、それとも 1 回フリーズして止まってしまうのかとか、はっきりしない。これは今ここで議論することではないのですが、法律関係を整理したほうが今後の議論のためによいということを、もし指摘できるのであれば指摘したほうがいいかなと思いました。

 

○佐藤座長 私の理解でいうと、前回に有期について、一定の条件について、今は曖昧だという議論がありました。更新の可能性があるからということで取れるようにしても、取れる期間は雇用契約があるところまでで、更新してから育休を延ばすというような、審議会での議論の整理だったと思います。雇用関係が延長される見込みがあるのだけれども、そこまで育休を取れるとするのではなくて、現状の雇用契約の期間まで取って、見込みがあるから更新するのですが、更新したときに育休も取れるように延ばすというような議論の整理だったと思います。特にそれは経営側の方が言われていたのですが、育休を取ることで雇用関係のほうが先に更新されるのかと、それはおかしいのではないかということでした。

 実態としてそのようにやっているかどうかは別で、実際上、企業としては取りたいところまで雇用関係をして延ばしてやっているというのが多いです。ただし、原則はそういう整理だったと思います。もし間違っていれば御指摘いただければと思います。

 

○神吉委員 その点に関してですが、報告書 ( 素案 ) でいうと 18 ページの上の所の前段、「 (2) の要件や (3) の要件をなくし、少なくとも育児休業の申出時点から当該雇用契約の終了までの期間については」取れると。これが今おっしゃったことかと思うのですが、この意見もかなり問題が含まれていると思っています。

 議論できなかったので、ここで言うのも何なのですが、これをそのまま適用すると、どんどん契約期間を短くしようというインセンティブにしかならないので、そういったことは本来問題にされるべきなので、 3 か月の契約をずっと更新してきた人に関して、一旦更新した後、 1 か月あるいは 2 か月で妊娠してということになると、もうほとんど期間は残っていないということにもなりかねないので、そういった場合の問題など、とにかく検討すべきことが非常に大きい論点なので、これは最初に発言したこととも関わるのですが、法定制度の在り方として非常に深刻な問題を含んでいるので、検討すべき問題だということを明らかにしていただければと思います。

○佐藤座長 はい。これを言ったのは、忘れてしまったのですが、 1 つは契約が明らかに更新されないという人についても、明らかに更新されない人は現状だと取れないわけですが、その期間は取れるようにという、つまり、限定的に言った話です。確かに御指摘のことは分かるので、ここは趣旨も含めて検討させてください。確かに、これだけが出てきてしまうと誤解を招きますし、マイナスもあるかもしれません。

 

○池田委員 そういう意味でいうと、後要件をいきなり全部なくすというのは、この後の宿題が増えていくだけの話になるかなと思うので、どちらかといえば、今の (1) (2) (3) の要件の考え方は残しつつ、 (2) の見込みがあるかどうかというところについて、あと 1 回の研究会の中で、この後につながるような話が出てくればいいかなと思うところです。

 というのは、 2005 年にこの改正法が施行されてから、今年で 10 年ですから、検討すればするほど宿題が増えていく状態になると、この後 5 年後、 10 年後というと、 2020 年を超えていくことになってくるので、前回附帯決議になっていることを踏まえて、 1 つでも解決策の糸口になるようなセンテンスがあったほうがいいのではないかと思います。

 

○佐藤座長 前もお話をしましたが、雇用継続の話と、所得補償の話があって、雇用継続しなくても育休を取れれば給付金があるという問題も、実はあります。取りたいのになぜ取れないのかという議論が出てきます。雇用継続をしないと、何で給付金がもらえなくなってしまうのか。育休が取れれば、別にその先は雇用関係はなくてもいいのだけれども、それはそう思っていたと。ただ、 給付金があるかないかというのは結構大きいという議論は実はあります。

 これは、育介法の話の中ではないので、これはなかなか難しい話で、正社員の方でも、育休から復帰して、辞める人もいるわけです。その人はもらえているわけです。そうすると、何で私たちはという意見は、確かにあるのは事実です。ただ、この議論とは別です。

 

○石山委員  23 ページの一番最後、 (4) 介護保険サービスの充実という所です。これらについて、両立支援できる社会を実現するためにはという所ですが、「職場環境の整備に加えて、介護保険サービスの充実も不可欠である」とされているのですが、介護保険サービスというものをどのように考えるかというところです。

 いわゆる社会保障としての国が給付する介護保険サービスだけと考えるのか、それとも先ほど申しましたように、地域包括ケアシステムということを考えれば、地域全体で支えていくという考え方になろうかと思います。

 現実的には、社会保障制度だけとか、企業の努力だけで両立支援をやっていくことはかなり厳しいと思いますので、国民は待っていればよいのではなく、自らも参加して、社会全体でやっていくのだということを考えると、地域のインフォーマルサポートであるとか。厚生労働白書にも書かれているのですが、全員参加型社会というものもあり、それこそ地域支援事業の中で、シニアの方々のボランティア活動であるとか、雇用の創出というものもありますので、こういったところに結び付いていくような考え方も盛り込まれるといいのではないかと思いました。

 

○佐藤座長 御指摘のとおりで、特に認知症などでどこかに行ってしまったということも、地域全体で支えることが大事なので、少し膨らませて書いていただく。

 前半のほうで、介護保険制度、車の両輪というようなことを言っていたのも、ここで書くというのもあるかもしれませんね。

 

○神吉委員 今の点に関して、私は違うことを考えており、最後の (4) 介護保険サービスの充実の所です。研究会でも何度か発言したのですが、そもそも育児・介護休業法の法の設計上、介護というのは高齢者介護に限られないわけです。そういった場合に、むしろ介護保険サービスを使える世帯とそうでない世帯との間に、本当は格差があって、それにもかかわらず法律がそれらを一緒に扱っているということ自体に、問題があるのではないかと私は考えています。

 ただ、研究会では議論できなかったところなので、それについてここに入れるということは言いませんが、介護保険サービスとのマッチングというのを、特に重視するということで起きる弊害にも目配りすべきなのではないかと思います。

 今、障害世帯というのは、この対象としても少ない、 1 割にいっていないということはありましたが、それは法律の介護保険とのマッチングに重点的になっているから、そうなっている結果かもしれないといったことです。

 あと、今、要介護状態の見直しもしていこうという話であれば、これは今後広がっていく可能性もあると思います。そうしたときに、育介法と両輪となるのは介護保険サービスだけではないということを、少なくとも明らかにしておくべきではないかと考えています。その他の福祉サービス、今おっしゃったように地域に関してもそうですし。介護保険サービスだけ充実と書いていますが、育介法を広く見れば、育児もここに入ってくるはずなので、そういった視点で、余り介護保険サービスだけの充実を言うと、違和感があるというところです。

○佐藤座長 育介法上の介護休業の対象範囲は高齢者だけではないので、そうすると介護保険制度だけでも、障害者でいえば自立支援法などのほうかもしれませんが、その辺の書き方。

 もう 1 つは、ここは保育のことも書いたほうがいい気もします。もちろん子ども・子育ての新制度もできたわけですが、その趣旨にのっとって、きちんとやれるようなということも書く。介護だけではなくて神吉さんが言われたことや、保育のことも含めて書いたほうがいいかなというのは考えました。

 

○両角委員 まず、 19 ページの子の看護休暇の所です。多分ほとんど議論しなかったので、今から無理かもしれませんが、子の看護休暇の使途を広げるということは全然考えなくていいのかなと思って。病気、けが、予防注射だけではなく、学校の面談であるとか、行事もあって、それにも使えたらいいなと思っており、それは議論していないので、私の個人的な意見です。

 それから、 19 ページのひとり親世帯のことです。これはどちらかというと特別な配慮にネガティブな意見だけ書いてあるのですが、確かにそういうディスインセンティブを与えるというリスクはあるかもしれませんが、他方で配慮が必要なことは確かで、かつ採用時からみんながひとり親とは限らないし、途中でなる人もいる。一部のこれから就職活動する人にはディスインセンティブかもしれないけれども、それによって助かる人もいるわけなので、両方の意見、配慮も必要だということも少なくとも入れていただきたいと思いました。

 それから、 20 ページの短縮勤務の期間延長の今後の対応の方向性です。これは言葉使いだと思うのですが、 1 番目の○の所に、制度の対象となる子の年齢の上限を引き上げるのは女性のキャリアの阻害になると書いてあるのですが、年齢を引き上げるというか、制度の対象となり得る期間を延ばすということが議論になっていて、ただ年齢をどんどん上げろという意見はなかったと思うのです。だから、誤解のないように、 2 番目の○にはそれらしいことが書いてあるのですが、期間を延長して柔軟化するという話であることがもう少し分かるようにしていただきたいと思います。

 

○佐藤座長 分かりました。前半の看護休暇の使い方の部分は、御意見を伺っておくと。確かに議論をし始めると、どの範囲にするか。確かに、御指摘のことはよく分かります。あと、ひとり親世帯の書き方ですね。法定としてどうするかということと、企業の人事管理としてどう配慮するか、そのこともあると思います。

 

○池田委員 男性の育児休業のことです。これは研究会のことで、私が質問したことと関連するのですが、 21 ページですが、前段で、育児休業をもっと取りやすくしましょうという話がある所です。不利益取扱禁止の周知徹底等といったくだりの後、産後 8 週の所で、配偶者出産休暇とか、要するに特別休暇、年休も含めて取れる割合を伸ばしていきましょうというくだりにつながっていて、この研究会で、大きな政策目標として休めるということは大事だということはあるのですが、育児休業につながる課題に言及しておくことは、配偶者出産休暇とか年休との関係ですね。つまり NEC さんのように恵まれた配偶者出産休暇制度があって、そういう所でそれを取っているから、それでもいいのかというと、少なくともこの研究会ではそうではなくて、育休そのものも取りやすくしていきましょうという趣旨だと思いますので、そこの部分の書きぶりをうまくしてほしい。書いてある内容自体は悪くないと思いますので、誤解のないように書いてほしいと言うことです。これだと、育休を取らなくても年休でもいいではないかとか、現にそういう男性はいます。それでもいいのかというと、政策的にはそうではないというニュアンスを出しておいたほうがいいかなと思いました。

 あと、これは研究会で問題提起はされつつ、きちんと議論できていないのですが、転居転勤の配慮の話なのです。結局、研究会できちんと議論したような、していないような、残ったままだなという印象があります。配慮というのが、もう一つ分かっているのか分かっていないのかということが大元であって、配慮義務というのは政策担当の方にはストレートに分かることなのですが、現場にとってはすごく分かりにくい、強制力があるのかないのかよく分からない規定なので、その辺についてきちんと議論できていないのですが、報告書の中で「配慮」ということの意味することなども書き込んだ上で、今後の課題を示したほうがいいかなと思いました。

 

○佐藤座長 前半の 21 ページの所は、後ろのほうの「どのような形でも、有給も含めて取ればいい」というところが前面に出なくて、まず 8 週間、できれば育休を取ってほしいということが分かるような形で書けということですね。

 

○池田委員 そうです。

 

○佐藤座長 転勤配慮はどうするか。内容がを検討したり、実効性を高めると。その辺は考えさせてください。

○中井委員  22 ページの経済的支援の○の 2 つ目の介護休業に関してです。介護休業給付というのは余り議論はしていないのですが、今の書き方になると、経済的支援が十分と取られかねないと思っています。

 実際、育児休業給付と比較すると低いですし、あと介護休業を取る方の年齢層を考えた場合に、十分なのかということもありますので、もし書くのであれば、議論になっていないので書けないのかもしれないのですが、「改善を検討する」とか、そういう思いはあります。

 あと、その後に「企業や互助会等による経済的支援が行われている」と記載がありますが、行われているのはごくごく一部の企業かと思います。これをもって、全て満足なのかと取られてしまうといけないので、書き方の工夫をお願いいたします。

 

○佐藤座長 ここは正直言って、余り議論していなくて。もう 1 つ、介護休業を分割した場合ということもあるのですが、それは要介護状態が変わった場合などでは給付されているそうなので、そちらはカバーできるようなのです。水準についてどうするかは、御意見があれば伺っておきますが、今は 4 割です。育休のほうは動いてきたのですが。同じ水準だという議論、何が基準かは難しいのです。ただ確かに、育休のほうは少子化対策の問題もあるのだけれども、何が望ましい水準かというのは、育休と……というと動いたのは確かです。でも、今回上げたのは別の話で、その前の 5 割とのバランスがあるかもしれません。

 もう 1 つは社会保障の免除がないのですが、 3 か月だからということもあるかもしれません。育児のほうは、広い意味では年金財政に寄与するという趣旨なのだけれども、介護もそういう解釈ができなくはないので、辞めてしまうよりもということはあるので、そこは解釈次第です。 3 か月なのにということはあるかもしれません。

 

○武石委員  1 つは、転勤配慮のところです。書きぶりはこれしかないかなという気がしていています。ただ、転勤の話を聞いていくと、育児・介護の人たちが増えてきて、相当転勤が難しくなっているという現状があるので、転勤そのものがどのようにやったらいいのかという検討が必要だと、転勤というものの在り方を検討する必要が出てきているということがあります。

 また、 20 ページから 21 ページの所、特に 20 ページの書きぶりなのですが、男性の育児休業の部分です。男性の育児休業の所が、全体にテクニカルな、「産後 8 週間」とか、「専業主婦の場合は」とか、そういう書き方になっているのですが、 20 ページの最初の部分について、共働きか専業主婦かによって、要は共働きは取得しているから余り問題がないというように読めてしまうのです。しかし、そもそも男性の育児休業を取りたい人が取れていない状況があって、両角委員が最初に言っていた点とも関連するのですが、女性と非常に大きな差があってという、世帯構成にかかわらず男性の育児休業が非常に問題で、そこはきちんと対応すべきであるということを書いていただきたいと思います。

 

○佐藤座長 前半の転勤のところは、育児とか介護ということだけではなく、カップルが両方とも働いている子育て世帯が増えているという話がまずあって、そういう中で、子育て、介護期に転勤というのがある、従来と違った状況になっているということもある。この趣旨は変えなくていいのですが、なぜより議論しなければいけないかというのは、介護と子育てだけではなくて、夫婦ともに働いている子育て期、介護期の人が増えているということからだと思うので、そうすると触れたほうがいいかもしれません。全体としていかがでしょうか。

 

○石山委員 前半の介護の所で、 14 ページから 15 ページにかけてです。まず、労働者個人への情報提供という所ですが、この段落の前半が、恐らく介護の導入期、必要になったときに適切に情報を与えてくださいということ、後半のケアマネジャーの部分は、その後継続的に介護をやっていく中において、適切にその場面、その場面で情報提供してくださいという意味合いではないかなと思いますので、その辺りがもう少し明白に見えるといいのかなと思います。最初の部分もきっちりとキャッチし、その後も継続的にきちんと必要な情報を提供していくという趣旨が見えるといいかなと思います。

 あと、導入期において、ケアマネジャーが入っておりませんで、地域包括と市役所の窓口だけなのですが、最初の部分でもケアマネジャーは関わりますので、この 3 者を入れていただければと思います。

 同様に、 15 ページの○の 1 つ目ですが、「市町村の介護保険申請窓口や地域包括支援センターは」となっているのですが、ここにもケアマネジャーを入れていただければと思います。

 それから、 15 ページの 2 つ目の○の所の、「したがって」以下です。「ケアマネジャーに対し、介護休業制度等仕事と家庭の両立支援に関する基礎的な知識を付与し」とあるのですが、ここでは、「制度等」の中に何が入るかというところです。

 もちろん、制度は知っていなければならないのですが、ケアマネジャーがこのような両立支援を行うためには、「制度や支援のために必要な配慮等」とするほうが、制度プラス専門技術があって、初めて支えられるというところが見えると思いますので、こういったものをもって基礎的な知識と考えることができるというのがいいのではないかと思います。

 

○佐藤座長 最後の部分は、例えば要介護者の自立支援のためにどのようにケアプランを作ったらいいかという、広い意味でのスキルと同じようにということですね。

 

○石山委員 はい。

 

○佐藤座長 家族が両立できるために必要なスキルというような話ですね。

 

○石山委員 そうですね。それなので「支援のために必要な配慮」と。

 

○佐藤座長 分かりました。ケアマネジャーのところも、確かに先にケアマネジャーを探してしまって、認定の手続をお願いしてもいいわけですね。

 

○石山委員 はい。

 

○佐藤座長 そういうこともあるのでということだと思います。

 

○田代委員 全体なのですが、研究会の報告書の書きぶりの流義がよく分からなくて、いろいろと書いてある最後に「見直すべき」「検討すべき」「検討することが必要」「意見もあった」と、語尾が違うのですが、次回までにもう少し整理をされて、意思を込めて整理されるのか、すでに現状である基準をもって書き分けておられるのか、その辺はどうなのでしょうか。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 そこは、ある程度研究会でおおむね合意を得られたところは「すべきである」という書き方をしていますし、そうではないところは「という意見があった」「考えられる」と、そういう意味で使い分けをしております。

 

○田代委員 その違いを検証していないところもありましたが、再度それを踏まえて見させていただきたいと思います。

 

○佐藤座長 それでは、今日はここまでで、お気付きの点があれば事務局に個別に意見を出していただくのは歓迎です。

 今日の御議論を踏まえて、もう一度バージョンアップしていただくという形で、次回としたいと思います。次回の日程について御説明いただければと思います。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 本日は誠にありがとうございました。次回は 7 30 ( ) の午前 10 時から 12 時となっています。場所については、中央労働委員会 7 階の講堂です。本省ではありませんので、御留意いただきますようにお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

 

 


(了)
<<照会先>>

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
電話 03-5253-1111(内7864)

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