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2015年6月26日 第11回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成27年6月26日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(6階)


○出席者

委員

佐藤座長、池田委員、石山委員、神吉委員、田代委員、中井委員、両角委員

厚生労働省

安藤局長、蒔苗職業家庭両立課長、中條職業家庭両立課育児・介護休業推進室長、中井職業家庭両立課長補佐、川島老健局振興課長補佐

○議題

1 平成26年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業結果報告(再集計)(三菱総合研究所)

2 個別課題についての検討

3 その他

○配布資料

資料1 平成26年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査結果概要(介護開始時雇用者限定)
資料2 個別課題についての検討(1)(2)
資料3 特に議論いただきたい事項
参考資料1 特に議論いただきたい事項に係る補足資料
参考資料2 要介護状態の判断基準に対する石山委員御指摘事項

○議事

○佐藤座長 ただいまから、第11回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会を始めます。御多忙のところ、御参集いただきありがとうございます。本日は武石委員が所用で御欠席です。本日は議事次第にありますとおり、まず三菱総合研究所の宮下研究員より、平成26年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業結果報告の再集計について、御説明を頂きます。4月10日の第8回研究会で、調査結果の概要については御発表いただきましたが、その後、そちらについての委員の皆様の御意見を踏まえ、再集計していただいています。その後、議題2として個別課題について検討することにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最初に議題1、平成26年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業結果報告の再集計について、御説明いただければと思います。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 資料1に沿って、2ページから御説明させていただければと思います。まず、主な調査結果です。本日は労働者調査の再集計結果ということで御報告申し上げたいと思います。前回、多様な雇用形態の全てを含んだ形で集計したものをお示し申し上げたところですが、今回は介護開始時点で雇用されていた方に限って再集計を行ったものです。この再集計に当たっては、2ページの上段に表があります。1,666という数字が、集計の 大元 の母集団の数です。

 2)が介護期間別の集計対象です。本調査では介護の開始時点をおおむね3か月とし、それから中間期、介護が終了する時期ということで、介護終了までの3か月間程度というように、大きく3つの区分で状況をお聞きしている設問が複数あります。それらについて、それぞれ集計対象ということでお示ししております。一番下の表が3期間の経験期間別回答者数です。3つの期間全てを経験し、それぞれのサービスの利用状況や休暇の取り方を分析できる一気通貫した経験をお持ちの方が、介護期間6か月以上というようにカテゴリーされております。この群が1,211件となります。

 3ページ以降の3)が介護の状況です。これは前回御報告した所と大きく傾向が変わるものではありませんが、(2)の介護期間についてはおおむね10年以内というところで、過半を示す形になっております。カテゴリーで回答いただいたものを数値で換算したものが、4ページの下段に付いております。介護の平均月数は45.2か月、中央値31か月でした。疾患別の数字については、恐らく後ほど厚労省からも御説明があると思います。やはり疾患別に、それぞれ少しバラ付きが出ています。介護の状況については縷々資料がありますが、少し飛ばして9ページの(7)に、介護の終了に関する数字が出ております。介護の終了はどういった形で終えられているかということで、前回、委員の皆様から御質問のあった所です。全体の87.5%が、要介護者本人の死亡による終了でした。

 10ページからが介護と仕事の両立支援制度の状況です。こちらでは介護開始時の勤務先の両立支援制度ということで、雇用されている方の6割が「不明、知らない」も含めて、「いずれも当てはまらない」という回答です。雇用形態別に見ますと、非正規雇用の方が「いずれも当てはまらない」、要するに認知していないというのが71.5%という高い値になっています。

 (2)が介護休業制度の概況です。ここは仕事と介護の両立のための勤務先の制度として、介護休業を挙げられた方に対しての質問です。ここでは期間設定、その他分割可能回数、所得保障の状況を伺っております。介護休業の期間設定は、雇用者全体の方からの回答では「3か月」という所が24.2%ということで、最も多いわけです。分割取得の可否は46.8%、つまり半数弱の方から「分割可能」という回答を頂いております。休業中の所得保障はやはり「雇用保険からの給付」という御回答が一番多く、32.6%でした。休業期間の所得保障水準は、例の4割が2割弱でした。ただ同率で「5割超6割以下」という御回答も寄せられております。

 12ページが介護休暇に関する質問です。日数を回答いただいた方に関して、雇用者全体で「要介護者1人当たり年5日」という回答が13.9%で、最も多くありました。取得可能単位については「1日単位」が4割以上で、最も多い数でした。有給・無給の別では、正規雇用で6割弱の方が「有給」という御回答です。非正規雇用のほうでは有給は51.4%ということで、正規雇用の方と比べると、少し無給の割合が高いという回答結果でした。

 13ページからが仕事と介護の両立状況ということで、必要性と実績に関してお尋ねしたものです。介護開始時点で勤務されていた職場を、その後に離職された方がどれぐらいいたか。雇用者全体では80.9%の方が、離職をせずにその後も続けていらっしゃったと。辞められた2割程度の方のうち、介護を理由として離職されたというように回答いただいた方が、全体の中で1割ぐらいいらっしゃいました。また、下段のイ)の部分にありますように、介護開始から離職までの期間も算出しております。次のページの2つ目の表です。恐らく最も介護の影響が大きい方々ということになると思います。離職理由として介護に関係のない回答、定年などを除いた形で見ました。更にこの方々は、「主たる介護者」という回答を頂いています。雇用者全体で見ますと、平均月数25.8か月ぐらいでお辞めになっていて、中央値は13か月でした。

 15ページが両立支援制度の利用状況ということで、介護休業の取得の状況です。両立支援制度として介護休業を認識されていた方のうち、4割程度の方が介護休業を利用されています。介護休業制度を使って休んだ日数は、複数回休みが取れる方の場合は通算でお答えいただいており、「1週間を超え2週間以内」という回答が24.1%ということで最も多かったということです。次いで「2週間を超え1か月以内」というのが2割弱の17.7%でした。

 17ページが介護休業の取得日数を換算したものです。カテゴリーをまた数字に直してみました。こちらは週換算と日換算になっており、カテゴリーを直したものですから、少しぶれが出てくるかと思いますが、今後の御議論の御参考にしていただければと思います。

 19ページが介護休暇の取得の状況です。こちらは最も介護休暇をたくさん取得された年1年間に、どれくらい休まれたかを御回答いただいております。雇用者全体で74.5%の方が、「介護休暇は取得していない」というように回答されています。ただ取得者のうち、やはり「5日以内」という回答が最も多く見られました。次いで「5日を超えて10日以内」です。これを主たる介護者に絞りますと、「介護休暇を取得していない」という回答の方は6割前後まで減少していきますので、やはり主たる介護者か従たる介護者かでこの辺りは差が出てきます。

 雇用形態別に見ますと、正規雇用では非正規と比較し、「介護休暇を取得していない」という回答割合が若干低い傾向にあります。介護の時期別で見ますと、開始時から中間期、終了時に向けて、徐々に「介護休暇を取得しなかった」という回答が減少していく状況が見られています。これを介護が3期間全て、要するに介護期間が全体で6か月以上に及んだ方に絞って見ますと、6か月以上の介護を行った者のみの集計ということで見ています。後ろのページに付いておりますように、こちらでは介護開始時では介護休暇を取得しなかった方が4割前後でしたが、中間期で23.7%、終了時で22%ということで、こちらも段階的に減っていきます。

 次に24ページを御覧ください。ここからが年次有給休暇の取得状況に関する御報告です。介護を理由として年休を使ったかどうかということで、こちらも1年間単位で伺っています。雇用者全体で51%の方が「取得をしていない」に御回答いただいております。取得者に限ると「5日以内」という回答が22%ということで、最も頻度が高かった。それを主たる介護者に絞りますと、「取得していない」という回答が40.3%ということで、1割程度減少していきます。介護の時期別に見ますと、これもだんだん介護期間が長くなるにつれて、「取得しなかった」という回答が減少していく傾向がありました。

 続いて29ページを御覧ください。ここからは労働時間の短縮に関する制度の利用の状況です。まず、勤務時間に関して利用した制度です。勤務時間の変更に関する制度を特段活用しなかったという回答が、3期間全てで7割を超えてきました。ただ、雇用形態別では非正規雇用と比較して、正規雇用では制度利用の割合が少し高く、この山が全体的に非正規に比べると高めになってきました。原因疾患別に見ますと、脳血管疾患で制度利用されている方が、今回の回答の中では多く見られました。

 33ページが勤務時間の調整です。雇用者全体で最初、真ん中、最後の3期間全てで、「勤務時間の調整は行わなかった」という回答の割合が一番多く見られました。こちらも年休等と同様の傾向があり、最初から中間期と介護終了時にかけて、「勤務時間調整を行わなかった」という御回答者の割合が低下していくという傾向でした。

 次が37ページです。先ほどの設問の中で、所定労働時間を短縮したという回答を頂けた方が195名ほどいらっしゃったので、その方々に、どういう形で短縮を行ったかという質問をしております。所定労働時間短縮の方法については、正規雇用全体では「勤務形態を変更せずに、短時間勤務制度を利用した」という方が4割ということで、最も多いところでした。これを主たる介護者に限定いたしますと、短時間勤務制度を使わずに、同じ勤務先で所定労働時間が短い形態に変更された方が最大です。

 39ページが短縮された労働時間の長さについての質問です。こちらは正規雇用の主たる介護者に注目いただければと思います。「30分を超えて1時間以内」が41.1%ということで、最も多く御回答いただいております。この「30分を超えて1時間以内」の次に多かったのが、「2時間を超えて3時間以内」という御回答でした。

 40ページが所定労働時間を、どのくらいの期間継続して短縮されたかという質問です。正規雇用の主たる介護者に関して申し上げますと、「1か月を超えて3か月以内」の期間で短縮された方が4割弱ということで、最も多い回答を寄せていただいております。次いで「3か月を超えて6か月以内」が22.2%ですので、6か月以内で過半になるということです。

 41ページが労働日数の削減です。こちらも勤務時間の調整で「労働日数を減らした」という御回答を頂いた方に伺っております。正規雇用の主たる介護者に限って申し上げますと、「月単位で特定の曜日に勤務しない」という方法をとる方が、34.8%ということで多かったところです。次いで「週単位で特定の曜日に勤務しない」というのが2割です。非正規雇用の方の場合には正規の方と比べますと、「週単位で特定の曜日に勤務しない」という方法をとるということでやられている方が多いということです。

 42ページが労働日数の削減の実際の日数です。正規の主たる介護者では5割弱、半数弱が「月に4日を超えて8日以内」という御回答でした。これは非正規の方の数が少ないのですが、「月に12日を超える」という回答の方も見られました。

 43ページでも、労働日数を削減された期間を伺っております。こちらは正規の主たる介護者で「1か月を超えて3か月以内」という方が、33.7%ということで最も多く見られました。こちらも6か月以内ということで過半を成すということです。原因疾患別ではがんの方が「1か月以内」の回答ということで、他の疾患と比較して少し短めの方が多かったところです。

 44ページが、残業制限の方法について伺った質問です。正規の主たる介護者で1週間に残業できる時間を決定し、それを守るようにしていただくというのが3割弱でした。次点で1か月に残業できる時間を決めていたという方が、23.6%です。非正規の場合、正規の方と少し傾向が違う所は、「残業は一切しない」という御対応をされていた方の回答割合が少し高く出ています。

 45ページが残業制限の継続期間です。正規の主たる介護者で「3か月を超えて6か月以内」の方が3割弱ということで、最も多い回答でした。こちらは3か月以内ということで、「1か月を超えて3か月以内」が26.4%ということで、この2つで過半になります。

 46ページが(3)介護のための連続した休みに関する状況です。こちらは必要性と、実際に取れた日数を分けて伺っております。まず46ページでは、必要であったと考えられる連続した休みの日数を伺っています。こちらでは雇用形態を問わずに、主たる介護者である約半数の方が「連続した休みが必要だった」と認識されています。一方、従たる介護者の場合は「連続して休む必要はなかった」という回答の方が8割弱ということで、かなりたくさん御回答いただいています。

 48ページが在宅と施設の介護別、要するに家に要介護者がいらっしゃるかどうかで、この辺りのニーズが変わってくるのではないかということで、分けて集計したものが下段にあります。こちらを見ていただきますと、全期間在宅介護をされていた方では「必要性を認めなかった」という方が61.7%ぐらいだったのですが、全期間施設でやられていた方が72.1%ということで、10%ほど差が出てくるという結果でした。

 49ページが、実際に取得した連続した休みの日数です。雇用形態を問わずに主たる介護者で見ると、約半数が「取得実績あり」という御回答を頂いています。これを在宅・施設別で見た結果が、51ページの下段です。こちらも全期間在宅介護かどうかということで、3区分に分けて出しております。在宅の場合のほうが必要性を感じておられて、実際に取られていたという結果です。

 52ページでは、1週間以上の連続した休みを取っているかどうかを伺っております。ここでは1週間を超える連続した休みを取得された方のうち、主たる介護者の場合には「2回取得」という御回答が34.4%で、最も多かった結果でした。従たる介護者の場合は「単回取得」が最も多い回答です。1週間を超える連続した休みを取得されている場合、「1週間を超えて2週間以内」という方が42.2%で最も多く、複数回の取得者では通算「2週間を超えて1か月以内」というのが多かったという傾向でした。原因疾患別では脳血管疾患と認知症で、2回取得の方が多いかなという結果です。

 54ページが、必要であったと認識していた連続した休みの日数と、実際に取れた日数を総当たりで見たものです。一番下の小さな表で見ますと75.2%が、どうも必要だと感じていた日数以上の休みを取れていると。24.8%の方が、必要だと感じた日数より取得率が少なかったという結果になりました。

 55ページが、この休みを取るために活用した制度です。主たる介護者では介護休暇を取った方が26.7%、次いで介護休業を取った方が22.1%でした。

 56ページが(6)介護のために連続した休みを取得した理由です。正規雇用の主たる介護者では、従たる介護者と比較しますと、「介護サービスの利用可能時間に合わせた」とか、「自分以外に介護する家族がいないから」とか、「介護と仕事の両立が困難になったから」といった回答の割合が高くなっているという傾向でした。

 57ページが、介護のために取得した休みの間に行った活動です。主たる介護者の場合は「病院の入退院、介護施設の入退所の手続・付添い」が、54.6%ということでたくさんの回答を頂いています。次いで「食事の仕度や掃除、洗濯などの家事」「介護に関する情報収集や相談」といったものが続いています。原因疾患別に見ますと、悪性新生物などでは「情報収集等」は少なく、「要介護者とともに過ごす」と。これは終末期の方が多いからなのかもしれませんが、「思い出づくり・旅行等」というのが32.5%と多くなってきたり、認知症の方の場合は「金銭管理」や「関係機関からの呼出し対応」が、少し多く回答が寄せられているところです。

 58ページが、介護のための年間の休暇・休日日数です。制度を問わず、休みを取られた年休と介護休暇の合算したものがどれぐらいになるかをお尋ねしました。換算日数というのが真ん中に出ていると思います。これもカテゴリーで伺ったものを、数値に換算して計算してみたものです。雇用者全体で見ますと平均値で年7.5日、中央値になりますと2.5日でした。これを主たる介護者に絞りますと、平均12日、中央値5日、正規の方の場合は平均値14.7日、中央値7.5日といった形になっております。労働者調査の御報告は以上です。

 

○佐藤座長 御説明にありましたように、前回の調査は育介法の対象にならないので、それぞれの介護の方はもちろん重要なのですが、基本的には育介法の対象になる人についてここで議論をするので、その人に絞って集計していただいたということです。ですから、それ以外のデータは較正で使っていただくというのはいかがかと思います。

 膨大な集計結果ですけれども、御質問あるいは御意見を伺えればと思います。

 10ページで、これ自体はすごく大事で、介護に直面した人でも勤務先の法定の制度があることを知らない人がすごく多く、正規の人でも15.1ということで、ただ、雇用形態で見ると介護休暇のほうが知っている人が多いのはなぜかというのはよく分からないですが、もしかして、積立て、有給の繰越しの何かを考えているのかも分からないですけれども、取りあえず認知度が低いということです。

 あと、これはデータの読み方で、15ページの「介護休暇制度を使いましたか」は、あると思っていた人が分母になっているので190ですが、ただそれが一貫していなくて、19ページは全員が分母になっています。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 そうですね。19ページのほうはおっしゃるとおりで、「取得していない」が入って、どうしても調査設計上。

 

○佐藤座長 前のほうで「知っている」という人を分母にはできないのですね。どっちでもいいのですが、これが違うので。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 そうですね、恐らく質問、絞込みをすることは可能ですけれども、ちょっとこぼれてしまうnがあったので、こちらは1,666のほうで。

 

○佐藤座長 37ページは絞り込んであるわけですね。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 そうですね、こちらは絞込みをかけています。

 

○佐藤座長 だから、そこを両方載せるか、分かるように書いていただけますか。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 はい、分かりました。

 

○佐藤座長 あと、細かい点で、65ページの企業調査では介護休暇の有無を聞いていて、(1)「特に定めていない」と「ない」もあります。それはいいのですが、同じように介護休業は聞いていないのですね。つまり、ない会社も答えているのですか。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 これは恐らく回答の中にはないという。

 

○佐藤座長 選択肢はないでしょ。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 ないです。

 

○佐藤座長 だから介護休暇だけは「ない」とか「定めていない」を聞いているけれど、介護休業は聞いていない。それでいいですか。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 はい。

 

○佐藤座長 もしかすると結構あるかも分からないけれど。読み方としては気を付けたほうがいいかな、ぐらいです。

 

○三菱総合研究所宮下研究員 はい。

 

○佐藤座長 いいですか。集計の報告書を作るときに御配慮いただければと思います。

 あと、これはテクニカルの話で、第8回の研究会に出た資料が、研究会のホームページに載っているのですね。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 配布資料として。

 

○佐藤座長 配布資料として載っていますよね。それを見た人はあれを使う可能性がありますね。だから載せないわけにはいかないけれども、それを使わないで今回のを使えと書いておくかどうか御検討ください。それは間違いではなく、全ての集計結果だということが見た人にちょっと分からないと思うので、雇用者だけの分は何回に載っていますとかというように書いて、そちらを見てくださいとかそのようにしておいたほうが親切かもしれないので、その辺、御検討ください。よろしいですか。どうもありがとうございました。あとでまた読ませていただきます。

 それでは、個別課題に続いて検討に入りたいと思います。先ほど御説明しましたように、大きく3つのテーマに分けて、皆さんの御意見を伺いたいと思います。最初に仕事と介護の両立の在り方について御説明いただいて、御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 資料につきましては、資料2、資料3、参考資料1、参考資料2を使わせていただきます。資料2はこれまで個別課題について、(1)(2)の御検討を頂いていたものです。これと第7回で追加で頂いた御意見と、及び第10回で頂いた御意見をそれぞれ下線部の形で追加をしているものです。こちらは追加部分だけ簡単に御紹介します。議論のほうは資料3で、特に議論を頂きたい事項を取り出していますので、こちらで頂く形でお願いできればと思います。資料2についても簡単に下線部だけ御紹介します。

 まず、3ページ、介護休業の対象家族の範囲について、同居していない兄弟姉妹や祖父母も対象にすることもあり得るのではないか。特に介護休暇については対象を広げることがあり得るのではないかという御意見を頂きました。さらに、次の4ページの介護休暇の日数について、仮に半日単位で取れるとする場合、10回分の休暇が確保されることになるという御意見や、半日単位・時間単位の取得の必要性について、年次有給休暇とは趣旨が違いますとか、手続的には1日休む必要がないケースも多いという御意見も頂いています。5ページの所定労働時間の短縮措置等では、93日から切り出したとしてどれぐらいの期間にすべきか。あるいは選択的措置義務のままにするのか、単独の措置義務にするのか。あるいは複数のメニューがあったほうがいいのではないか。短時間勤務については7割の企業が導入しているということ。期間について、育児の勤務時間短縮の措置とそろえてしまっている企業も多いという御意見。あるいは分割できるとするのかどうかの観点。そもそも期間設定に馴染まないのではないかという御意見もありました。6ページの所定外労働の免除について、93日の中に入れるのかどうか。これまで所定外労働の免除が選択的措置義務の中に入れられていなかった理由などについて御議論を頂いたところです。こちらが介護になります。

 個別課題についての検討(2)、すみませんが育児のほうも続けて御説明いたします。この資料の10ページで派遣労働者について、派遣独自の問題があるという御意見です。12ページで、育児休業等の対象となる範囲について、里親制度の全てを育休の対象とすることはそぐわないのではないか。飛びまして、17ページの男性の仕事と家庭の両立の促進の所で、男性の育児参加を進める目的との関係で、法の目的を修正する必要はないかという御意見を頂いています。

 次の18ページは男性の育児休業についてです。まずは取りたいけれど取れない点について問題提起をする必要があるのではないかということ。最後の20ページで、育児休業を育児の体制構築のための期間と見るとどうなのか、あるいは各両立支援制度の趣旨の整合性について検討する必要があるのではないかといった御意見を頂いたところです。

 次に資料3です。こちらは先ほど申し上げたとおり、本日特に御議論を頂きたい事項についてまとめた資料になります。初めに介護休業の分割取得について、分割の方法の定め方ということで、介護休業の分割取得をする場合に分割の方法をいかに定めるかという論点です。この点は(1)の取得回数の上限を定めるという案がありました。その場合、取得回数の上限となる回数が問題となります。この点、介護期間中、一定程度の長期の休業が必要と想定されるタイミング、例えば介護の必要性の発生時であるとか、あるいは回復期等々になるかと思いますけれども、これにおいて取得できる回数とすべきかという観点があろうかと思います。これについては参考資料の1-1-(1)になりますが、介護休暇の取得回数について現状の法定どおりが64.9%、2回以上が30.4%、3回以上が27.4%となっています。また、介護のために1週間を超えて連続して休んだ回数を見ますと、3回までで89.4%、4回までを含めると92.4%がカバーされている状況です。

 次のページの参考資料の1-1-(2)は、要介護者の原因疾患について、平成10年のときと比べたものになっています。例えば脳血管疾患の割合が多く、認知症やほかの原因割合が上がってきているデータになります。この点について次の参考資料1-1-(3)、4~11ページまでの資料になりますけれども、介護の原因疾患別に、介護開始時、介護期間中、介護終了時にどのような休み方、勤務時間の調整の仕方を行っているかのデータをまとめたものです。先ほど三菱総研様からも少し御紹介がありましたけれども、それをまとめたもので、疾患別に違いがあるのが分かります。例えば6ページの脳血管障害については、介護開始時、最初の3か月間に連続した休みを取る必要性が高いのが52.7%に比べて、8ページの認知症においては、真ん中で、介護期間中にも連続して休みを取る必要性が高く、52.7%となっています。9ページの骨折・転倒なども介護開始時に高く出ています。全体として介護開始時のみでなく、介護の途中や終了時にも連続した休業の必要性というのが見られます。

 次の資料の1-1-(4)は、平成6年の介護休業制度に関する専門家会合報告書に提出されている資料を付けています。少々古い資料になりますが、脳血管性疾患の場合に必要とされる世話の図や、次のページだとアルツハイマー性認知症、その次は骨粗鬆症者の圧迫骨折に必要とされる世話の概念図になりますので、こちらも御参考いただければと思います。

 特に御議論いただきたい事項の資料に戻ります。分割の方法については、取得回数の上限を定める方法のほか、最低取得回数を定めるべきかという発言もありました。その場合、現行制度は、最低取得単位について制限をしていないことに留意する必要があるかと思います。また、単位期間の定め方により、介護休暇等の違いを整理する必要があろうかと思っています。

 次に、介護休業を分割取得できることとする場合、介護休業と介護休暇の位置付けの整理の仕方が問題になろうかと思います。この点は参考資料1-1-(5)、15ページに現行の介護休業と介護休暇の制度趣旨を載せていますので、こちらも御参考いただければと思います。

 論点のペーパーでこれまでの御議論を整理します。介護のために仕事を休むニーズには(1)として、集中的にある程度一定期間、労働者の対応が必要となる場合。(2)として、集中的にではないけれども、定期的、スポット的に労働者の対応が必要となる場合の2種類あるという御議論でした。このことを踏まえると、仮にですが、以下のように整理できるのではないかということで、介護休業については、その後の介護の長期的方針を定め、介護の体制を構築するために一定期間休業する場合。場合の例としては、看取りを含めて急性期の対応、あるいは集中的なリハビリ、在宅介護から施設介護への移行、あるいは施設から施設への転床、こういったものが想定されるところです。介護休暇については、介護の長期的方針を定め、介護の体制を構築したあとに定期的な対応としてスポット的に休まざるを得ない場合に対応する場合で、場合の例として、要介護認定の更新やモニタリングの対応など、家族に対応が求められる場合が考えられるところです。これらについて御議論を頂ければと思います。また、上記の整理を踏まえ、介護休業及び介護休暇の取得手続は現行どおりのままでよいのではないかとしています。

 こちらについては、参考資料1-1-(6)に現行の取得手続の比較について掲載をしています。例えば介護休業については原則2週間前までに申し出ることとされ、休業を開始する日、終了する日を明示し、介護休業申出書により申し出なければならないこととされています。一方で、介護休暇については、申出は当日に電話でもいいとされている、というような違いがあります。

 論点のペーパーに戻りまして、介護の範囲についてです。介護とは労働者本人が歩行、食事、入浴等の日常生活に必要な便宜を供与することを言うが、特に介護休業について、上記のような位置付け、つまり体制を構築するために一定期間休業する場合で、在宅介護から施設介護に移行を行うような場合と整理する場合に、介護のための体制整備の調整等を行うことも介護休業の対象に含まれていることが分かるようにすべきとも考えられるため、このようにしているところです。

 次に、介護休業の期間について、分割取得が可能であれば、介護休業期間の延長は必要ないのではないかとしています。これについては、参考資料1-1-(7)です。介護休業の分割できた労働者について、継続している者の割合が6.2%上昇するのに対して、介護休業が3か月超の場合については2.2%の上昇となっているデータを御紹介しています。その次の1-1-(8)の資料では、介護のために1週間を超えて連続した期間、仕事を休んだ日数が通算日数で2週間以内が64.8%です。また、事業所において介護休業の日数が法定どおり93日までとしている所が79.8%となっています。

 次に短時間勤務制度等の措置(選択的措置義務)についてです。そもそも現行制度の趣旨があるわけですが、例えば育児休業を分割取得できることとした場合や、介護休暇の趣旨を踏まえて、どのような位置付けの制度が必要かについて御議論を頂ければと思っています。この点、参考資料1-1-(11)、21ページですが、こちらは現行の制度を御紹介しています。いわゆる選択的措置義務は、介護休業と通算して93日の範囲内で、それら4つのうちから事業主が選択して措置するという義務があります。このうち、所定労働時間短縮措置については、※にあるように、週又は月の所定労働時間を短縮する制度、あるいは週又は月の所定労働日数を短縮する制度、このような制度も含まれるとされています。

 参考資料1-1-(5)で、先ほどの介護休業の現行の趣旨が書いてありますが、そこに短時間勤務制度等の措置、現行制度の趣旨についてもあります。家族による介護がやむを得ない場合の緊急的対応措置について、介護休業を何らかの理由で取らない労働者に対する措置という位置付けに現行はなっているところです。

 論点のペーパーに戻ります。このような現行も踏まえて、どういう趣旨のものと考えるかということですが、先ほどの介護の制度の趣旨ということを考えると、例えば2ページの一番下の例のように、介護の体制構築のために必要な場合への対応と考えるか、体制構築のあと定期的、スポット的に対応が必要な場合への対応とするかという御議論ができるのではないかと考えて、そのような整理にしています。その場合、これまでの御議論でも出ましたとおり、3ページの最初の、1日の所定労働時間を短縮する措置や所定外労働の免除を定常的に行う以外のニーズが、介護の場合は生じやすいのではないかという観点があることも考慮する必要があるということです。

 次に、このような上記のような評価を踏まえて、現行上、介護休業と合わせて93日とされているものを切り出すべきかについてです。切り出した場合に、期間はどうするか、介護のトータル期間を見定めることが難しいことをどう捉えるか。単独の措置義務として切り出すか、選択的措置義務のままとするか。単独の措置義務として切り出す場合には、読み合わせることのできる介護サービスなどを介護の多様性を踏まえて、それぞれその措置が仕事と介護の両立のための最低基準として特別必要であると評価できるか、という観点が必要になるかと思います。あるいは、切り出すよりも介護休暇の日数を増やすことで対応するほうがよいかというような観点が考えられます。

 これについては、参考資料の1-1-(9)、19ページです。現行で「制度あり」の75.8%が93日間の最長利用日数を設定しています。また、参考資料の1-1-(10)では、例えば真ん中の表では、勤務先の制度の有無にかかわらず、所定労働時間の短縮を行った者についての比較は、継続就業率が0.4%の上昇。その下の所定外労働の免除制度がある事業所については、その人が利用したかどうかにかかわらずになりますが、12.8%の継続就業率の上昇になっています。

 論点ペーパーに戻ります。所定外労働の免除について、育児・介護休業法の中に位置付けるべきか。あるいは位置付けるとして現行の選択的措置義務の中に位置付けるべきかどうか。育児・介護休業法の中に位置付けるとして、単独の措置義務として位置付けるべきかどうかという整理が必要ではないかと思います。

 次に、介護休業の対象となる要介護者について、要介護状態の範囲が適切かという論点を挙げています。少し長くなりますが、紹介いたしますと、現行の育児・介護休業法の判断基準は、昭和62年の「特別養護老人ホームへの入所措置の基準」を参考に、医療・介護等の専門家の意見も聴きつつ、平成7年の改正時の局長通達において規定されたものです。今回の医療・介護総合確保推進法の改正により、特別養護老人ホームへの入所については、原則要介護3以上の高齢者に限定されることになったため、今後の介護は在宅介護から始まるケースが多くなると考えられ、現行の判断基準では範囲が狭すぎるのではないかと考えられるところです。昨年の第2回の研究会においても、石山委員から現在の介護の在り方に合わせた形で判断基準の見直しを検討する必要があるとの御意見も頂いているところです。

 参考資料1-1-(12)、22ページが現行の判断基準になります。育児・介護休業法の常時介護を必要とする状態について、3の全部介助が1項目以上、及び2の一部介助が2項目以上という厳しい基準となっています。この点について、石山委員から事前に御指摘を頂いており、そちらが参考資料2としているものになりますので、参考資料2を御覧ください。

 現行の要介護状態の判断基準は、現在の介護保険制度の状況から見ると範囲が狭すぎるのではないかということ。日常動作について、1つでも一部介助が必要な場合には生命維持に関わる危険性もあり、また現在では介護保険における要介護状態に該当する考えられるため、判断基準を緩和するべきではないか。次の○として、福祉用具等も時代により変遷があるため、必要な措置を施す必要があるのではないかということで、例えばスプーン等について自助具が含まれることを示すなど、必要な表現の修正を行う必要があるのではないか、こうした御指摘を頂いております。

 また参考資料1-1-(14)にありますとおり、国家公務員の介護休暇における規定ですが、こちらは日常生活に支障があるもの、あるいは正常な日常生活を営めない状態にある場合と広く規定されているところで、こちらの規定なども参考にすると現行の判断基準では範囲が狭すぎるのではないかとも考えられるところです。ただしですが、この判断基準の見直しについては、医療や介護等の専門家の御意見も必要ですので、この研究会では見直しの方向性をお示しいただいた上で、事務局のほうで育児・介護休業法の改正の施行までの間に専門家の意見も聴きつつ、見直しを行うことにしたいと考えています。

 次に、論点のペーパーに戻ります。介護休業等の対象家族の範囲について、今後ニーズがあると考えられるため、同居・扶養をしていない祖父母・兄弟姉妹・孫についても対象とすべきではないか。次のポツとして、特に介護休暇については日数を増やす等の対応の代わりに、介護に関わることのできる人を増やすという対応も考えられるため、対象を広げることがあり得るのではないかとしています。この点については、参考資料の1-1-(16)~(18)に、要介護者との続柄についての割合、あるいは世帯構成の変化の状況、各事業所において介護休暇制度の対象としている家族の範囲のそれぞれの割合のデータをお付けしていますので、こちらも御参考いただければと思います。介護について、資料の説明は以上です。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。なかなか難しい問題ですけれども、1つは介護休業の分割ということで、これは多分データを見ても、皆さんの御意見も分割が必要ではないかという方が多かったかと思います。そうすると、どう分割するかで日数か回数かということと、分割できるとなると介護休暇との関係をどうするか。

 あとは分割ができて、何回も取れるようになると、短時間勤務等の措置も中に入っているので、これとの関係をどうするかというようなことも、御意見を伺えればと思います。

 その前に確認なのですが、介護休業、介護休暇、短時間勤務等のところですが、導入の順序的には、介護休業が導入されたときにも短時間勤務はあったのか。介護休暇が一番新しいのか。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 介護休暇が前回改正で、短時間は、介護休業が努力義務に入ったのが平成7年でして、平成11年に義務化されたときに、所定の短縮措置も入っております。

 

○佐藤座長 義務化されたときに入ったのですね。そのときは分割できなかったから、考え方としては、どちらが先か分かりませんけれども取って。そのときは残りの部分で短時間勤務も1回なのか。短時間勤務等は分割できないでいいのですか。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 平成11年から17年までの間は1回限りということで、平成17年のときに、要介護状態に1回ということで。

 

○佐藤座長 短時間勤務のほうは現行で1回、要介護状態ごとで。なかったと言ったときはどうなっているのだろう。

 

○蒔苗職業家庭両立課長 ちょっとごめんなさい。見ています。

 

○佐藤座長 分からないですか。できない。

 

○両角委員 分割できないと思っていました。

 

○佐藤座長 調べておいてください。分かりました。つまり、介護休暇に入るとき。今そういうような順序で入ってきたことを踏まえながら、それぞれの関係で。一応、事務局から資料と論点を出していただいていますので、どなたでも。

 

○中井委員 分割とかそういったところではないのですが、介護休業の期間のところで、分割をできれば一定程度、93日で延長の必要がないのではないかというまとめになっておりますが、今後介護の対象者の人数が増えていくというようなことも想定されますし、また認知症患者が実際として増えているというようなこともあります。また都市部を中心に施設に入所するまでの期間が、非常に時間が掛かっているというような実態もあります。

 電機連合のほうで休業を取られた方、1年間休業を取られた方にヒアリングを行っているのですけれども、その方がどのようにして使われたかというと、一緒に介護をしていた御兄弟が病気になられたということで、急遽入所施設を探し始めました。見付かった後、施設に入ることを要介護の方が嫌がったというようなことがあって、慣らしの期間で徐々に慣らしていくことができたと。それで1年間フルに活用ができて、この1年間の休業があったからこそ、離職をしないで済んだというようなことを言われています。

 ですので、93日で十分だというような限定ではなくて、延長も含めて選択肢を提示して、今後分科会等でも検討していただくことになるかと思いますけれども、そういったことで検討いただければと考えています。

 

○佐藤座長 ほかには。これは意外に組合せがあり得るのですね。法律で複数の組合せがいいと。選択させるのは、それは構わない。これは組合せがあるので、どのように考えるかはありますけれども。

 

○田代委員 介護の問題は、非常に個別のケースで、人によっていろいろ状況が違うので、法律という観点でどう整理するかというのはすごく難しいのかなと思っています。遠隔地の介護を抱えている人とそうではない人で、全然状況が違うので。

 やはり今の法律の趣旨が、飽くまでも準備をするための措置なのだという定義をするのであれば、これはいろいろな統計を調べていただいて、大体それに類する平均的な日数がその辺だというのであれば、法の最低の定めとしてそれを基準にしないといけないのではないかと思うのです。ただ、個々のケースではいろいろな御事情があって、もう少し長ければ継続就業できたなどというのは、確かにあると思うのです。どこで最低限として線を引くかという観点で、整理をしていかないといけない。

 

○佐藤座長 確かに子育てと違って、なかなか期間の決め方が非常に難しい。今回でも介護に要する期間が10年ぐらいの人もいれば、すごく短い人もいる。どこがいいかと言ったら、実際難しいのも事実で、子育てに例えば短時間勤務は3歳までとか、そうすると一応育ち方みたいなのが分かりますからね。

 そういうように、田代委員や中井委員が言われたことも、どちらも間違っているというわけではなくて、非常に難しいと思います。1つは池田委員が言われたドイツのようなこともどう考えていくかを少し整理する必要があるかなと。もちろん法律を前提にしながら、どういう回数とか期間、個別的に非常に高いとか。

○両角委員 法律の考え方として、非常に多様なので、もちろん最低基準を定めるとともに、できるだけ選択肢を実質的に増やして、辞めないで済むようにするということがやはり法律の目的になるのではないかと思います。

 例えば育児休業を分割できるとか、介護休暇を半休で取れるようにするとか、対象家族の範囲を拡大するというのは、その方向は私は全部賛成です。それ以外にもいろいろ難しい問題があるとは思うのですけれども、取りあえずそういう方向になるのではないかと思います。

○池田委員  介護は非常に個別性が高くて多様だということは大前提とした上で、今回、三菱総研さんに委託したところ、全介護期間に対して在宅介護期間 33.9 か月 という 数字が 、この参考資料のちょうど 1-1- (3) 数字が出ています。疾病ごとに全介護期間の長さも違うし、在宅介護期間の長さも違うのですが、例えば仮に全介護期間が 10 年に及んだ場合に、 10 年全部在宅でやっているのかという問題が多分あると思うのです。

 感覚的に我々が今まで聞いてきた話は 3 年ぐらいというのが、 1 つの在宅介護期間の目安になるのかと思うのです。問題は、この 3 年の間をどうしのぐかのパターンを、法律として考えるかということです。その考え方の 1 つは、最初の 3 か月と最後の 3 か月は始期とターミナルで、どうもそれぞれニーズがありそうだということです。

 真ん中のところは長かったり短かったりするわけです。そのときに例えばですが、 1 つの考え方として、休業については最初と最後は 1 回ずつ必要だろうと。真ん中が仮に延びた場合に、先ほど施設に入るための準備というのもあるだろうし、介護サービスの組替えということがあるでしょうから、それで大体 3 回ぐらいというのが 1 つの考え方としてあるかなと思います。

ちょうど 93 なので、 3 で割れる数のほうがいいのではないかと。 2 だと 1 日余ったほうをどちらに使うかと、ちょっとややこしい。偶数よりは 3 で割れるほうがいいかと。 あとは、時短勤務に関しては、もう 1 つの参考になるかなと思うデータが、先ほど三菱総研さんから御提示いただいた資料 13 ページの介護開始から離職までの期間ですが、期間に関わる重要なデータとして、 13 ページのイ ) 介護開始から離職までの期間で、介護に関係のない 理由 を除く と、その 期間が大体平均 2 年。中央値で大体 13.3 か月、 1 年ぐらいというところです。次のページに、主たる介護者のみ の結果が載っていますが 、もう少し短くなります。大体中央値単位で見ると、最初の 1 年ぐらいの間をどうしのぐかというのは結構大きな問題ではないかと思うので、そこにその時短勤務とかを当て込んでいくという、そういう発想が実情に合うかなという気がします。 つまり、介護休業に時短勤務がプラス 6 か月か 1 年ぐらいのところというのが、この三菱総研さんのデータから見る標準的な形かなと思います。

 

○佐藤座長 介護休業は、期間はそれぞれ別として、3回ぐらい取る。それで介護休暇はある面でそれぞれの間で使うから、そうすると短時間勤務等は。

 

○池田委員 6か月から1年ぐらいか、今の三菱のデータから見ると。

 

○佐藤座長 それは当然分割できるという前提ですね。短時間勤務もね。外に出して分割。

 

○池田委員 休業とは異なった感じで。

 

○佐藤座長 それで分割もできる。

 

○池田委員 分割できるかは、どうなのか。それが日ごとに分割できるとこれはかなり煩雑になる。

 

○佐藤座長 それは難しいですね。

 

○池田委員 はい。

 

○佐藤座長 介護休暇も半日というのは、前は議論していましたね。現状は一日単位ですね。ただ在宅でケアマネジャーに会うことを考えると、半日単位分割ぐらいの回数がないと難しいという議論は、ここで前にしていたので。

 

○両角委員 そうすると、資料で頂いた21ページの、現行制度の図があるのですけれども、池田先生のお考えに沿って考えると3種類あって、介護休業が分割できるけれども93日ぐらいあって、ずっといつまでも取れるのが介護休暇と時間外と深夜業の制限があって、新しく半年か1年か3年か分からないけれど、もうちょっと長期的に選択的に使える制度として、例えば短縮制度とかフレックスとかというものがある、そういう感じですか。

 

○池田委員 イメージとしてはそうです。

 

○両角委員 短縮制度を93日、介護休業に入れるか、長い方に入れるかというのは、1つ考えるところかなという気がします。

 

○佐藤座長 今両角委員が言われた、時間外労働、深夜業の制限はこれはあるわけです。現行法であって、それとは別に短時間勤務等があるのです。ですから時間外労働、深夜業の制限をどうするかがありますけれども、それがあるということを前提としたときに、仕事と介護の両立で短縮やフレックスなどが、どの程度必要かというのがまだよく分からないところがあります。両立する上で。

 

○中井委員 やはり組合員の方から伺ったところ、どうしても在宅勤務をせざるを得ない。特に今、施設介護の割合が少なくなってきますので、在宅介護をするときにデイケアのお迎えの時間とかで、どうしても時間を短縮しなくてはいけないというケースを聞くことが多いです。

 そうしたときに、もちろんフレックスとかで柔軟にできる方はいいのですが、以前もお話したように、どうしても勤務的にフレックスができないような、勤務時間にフレキシビリティのない勤務をされている方も、私たちのような製造業にはいらっしゃいますので、そういった方も含めると、短時間勤務を是非切り出していただければと思っています。

 期間なのですけれど、先ほどの離職の期間といった視点もあるかと思うのですけれども、併せて在宅勤務の期間というのが今回症例ごとに出ていますが、それの全体の平均を取って、そちらを参考にするということ。そういったときには分割といったことも視野にあるのですけれども、そういった検討もできるのではないかと考えています。

 

○佐藤座長 はい、ほかには。今はデイサービスが10時から4時か、現状は延びたのでしたか。

 

○石山委員 選択肢として、長い時間の施設を選べるようになりました。

 

○佐藤座長 今は何時から何時ですか。

 

○石山委員 今、大体7時間9時間枠というところです。

 

○佐藤座長 9時間というのもある。

 

○石山委員 ただ実際にはそこまでは。5~7時間、6~7時間ぐらいが一番多いかなと。

 

○佐藤座長 じゃあ10時から4時というのは、余り変わっていない。

 

○石山委員 10時から4時はほぼ変わっていないです。あとデイケアについては、デイサービスよりも利用時間の単位というのが短くなっています。

 

○佐藤座長 そちらもどうするかという話があって、昔の育児休業も、今も1年プラス半年というのは、保育園に入れられないという、入れられない方に問題があるので、それをどうするか。今は現行制度としてこっちが対応するのだというだけだと、ちょっとおかしいので。多角的に必要なのは私もそうなのですけれど。フルタイムで働く人が増えてくると考えたとき、そういうのをどうするかは多少議論した上で。もちろん今課題なのはよく分かるのですけれど。

 

○石山委員 疾患別に見ていった場合なのですけれど、脳血管疾患とか骨折・転倒などにつきましては、介護開始時、最初の3か月というところでの取得のパーセンテージが高く出ています。正にはっきり開始が分かる疾患ですね。今日この日から始まったという人たちについては、取得しやすいというのがあるのですが、認知症に関しては何となくおかしいと思い始めてから、明らかにおかしいという状態、疾病があるのではないかと思われるのは、13ページで申しますと明らかに第2期に入ってきたところではないかと思います。

 認知症に関しては、やはり介護期間中の取得がパーセンテージ的に多いというふうに考えると、 介護期間中 をどう乗り切るか。しかも原因疾患の2位に上がってきて、700万人800万人時代と言われてきていますので、いかにここを乗り切れるかということを考えると、短時間の勤務という期間をどういうふうに設定するかというのが、今後とても重要なところになると思います。

 

○佐藤座長 あとは、両角委員が言われるように、いろいろな要介護の原因を踏まえて、石山委員が言われたように、制度の利用のニーズが違ってくる。それに合わせた制度というのはもちろんそうですけれども、今度利用者がそのことを分かって使うようにしないと、間違えると使えない。

 そういう意味で今の話は、利用者がどのようにいろいろな会社の提供する介護休業なり介護休暇を、うまく組み合わせて使っていくかという情報提供が大事だということですね。それを間違えて、制度はあるのだけれど使い方を間違えると、辞めざるを得ないということが起こるということがよく分かると思いました。

 本当はどんどん議論しないといけないのだけれども、まだあるので。要介護状態のことはちょっと見直さなければいけないところがあると思います。ここをもう少し議論していただきたいというのがありますか。

 

○石山委員  もう 1 。この要介護状態を判断する者は誰なのかというところで、現行制度では労働者が判断することになっていますけれど、そうなると申告ベースということになろうかと思います。そこで介護休業であれば4割の所得保障というのも発生してくるわけですけれども、専門職ではない方の判断でよいのかというところについては、議論がなされていなかったというのを、1点思っています。

 現行制度で行くのであれば、少なくとも専門職であるケアマネジャーであるとか、地域包括支援センターに相談をするというような、そういったものも入れていただけるといいのではないかと思っています。

 

○池田委員  細かい話なのですけれど、介護休業の申出というのが 2 週間前までとなっているのだけれども、大体発生した話を聞くと、突然電話が鳴ってお父さんが倒れたといって飛んで行って、そこから休業に入るとなる。どういうことかと言うと、介護休暇と介護休業の境目というのが、実は結構曖昧で、突発的に対応するのに差し当たり何かの休暇を当てて、そこから本格的な介護休業に入るまでの期間が別にあるという、そういう流れになるみたいなのです。

 ドイツの場合はその前の部分は 10 日間の別立ての休暇があって、 6 か月の介護時間という立付けになっていたのですけれど、日本の場合はこの間は、介護休暇でしのぐというニュアンスになるのでしょうか。

 

○佐藤座長 もともと介護休暇は最初はなかったわけだから。作ったときはそう考えていなかったのだと思います。その間は有給休暇とかで。

 

○池田委員  実態は年 で。

 

○佐藤座長 実際は今もそうだと思います。ただ、有給が残っているかどうかがというのがあるので、有給休暇を使って介護休業が一般的ですよね。その後の時々のポイントは、介護休暇というのが実態はそうだと思うのですけれど、これをどうするかはありますね。

 

○石山委員 今のことについてなのですけれども、突然発生するというところでは、要介護状態の原因疾患別に見ると、脳血管疾患とか転倒・骨折というのが多くの割合を占めると思うのですが、こちらについては最初、救急搬送をされて病院で処置をしている期間というのがありますので、全て介護者が担わなければならないという期間ではないので。

 

○佐藤座長 まあ確かにそこは病院ですね。

 

○石山委員 そういう考え方ができるかと思います。

 

○佐藤座長 では、あと2つあるので、いいですか。事務局の方も先に進んでよければ、戻ってください。

 それではもう1つ、それぞれ何か大きな課題なのですけれど、期間雇用者の育児休業について、資料の御説明を頂きます。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 資料の5ページからになります。育児の論点で、期間雇用者の育児休業取得の課題の整理をしております。期間雇用者の育児休業取得が進まない理由として、以下が挙げられます。そもそも、産休が取れていない・取れると認識されていない。期間雇用者の取得要件について知られていない。期間雇用者について、産休・育休・子の看護休暇の取得要件が異なっていることが知られていないこと。また、期間雇用者の取得要件の後要件、これは下に現行の要件を載せておりますので、こちらも参考にしていただければと思います。期間雇用者の取得要件の後要件(引き続き雇用されることが見込まれる)について、事業主も労働者自身も契約更新の可能性の判断が難しいということが挙げられていたかと思います。

 これを踏まえて、まず取得要件の在り方についてです。期間雇用者については育児休業の取得に関し、育児休業からの復帰後の雇用の継続の見込みを求めないこととすることについてどう考えるか。これは、雇用の継続を図るためという育児休業の趣旨であったり、育児休業給付が雇用保険から出ていることも踏まえ、どう考えるかという御議論になろうかと思います。さらに、具体的に考えると、この後要件の(2)について、その趣旨をどのように考えるか。例えば、以下のような場合が考えられるが、それぞれについて育児休業を認めるべきかどうか。まず、育休復帰後の雇用の継続について、可能性が全くない場合。育休復帰後の雇用の継続について分からない場合。育休復帰後の雇用の継続について見込みがある場合。こちらの3つ目が、現行制度の後要件の(2)の内容になろうかと思います。それぞれについて、どう認めるべきかという御議論になろうかと思います。

 この点は、これまでの御議論で出ましたが、仮に例えば期間雇用者については少なくとも契約更新までは育児休業を取得できるようにする場合、期間雇用者については(1)(2)の場合にも育児休業を認めることとなる、というような論理的な整理になろうかと思います。また、次のポツですが、前要件の(1)について、それまでの雇用実績(現行は1年引き続き雇用されていること)がある程度ある場合には、その後の雇用継続がある程度見込まれると考えることが可能かという点も挙げております。

 参考資料としては、期間雇用者の育児休業取得に関するデータを、参考資料1-2-(1)~(5)までに付けております。これは、前回の研究会において三菱UFJリサーチ&コンサルティングから御発表いただいたものの再掲になりますので、適宜御参考いただければと思います。

 参考資料1-2-(6)については、前回の研究会でお求めのあった、復帰後の雇用継続の見込みに関する要件を特に定めていないとする企業における有期契約労働者の育児休業取得率について集計したものです。こちらは、全体では88.5%のところ、90.1%という数字になっております。さらに、参考資料1-2-(7)については、前回の研究会においてお求めのありました雇用均等室に寄せられた期間雇用者の育児休業取得に関する相談について、幾つか内容をまとめたものになります。時間の関係で詳細な説明は省きますが、38ページの左側は、例えばアルバイトは産休・育休は無理ではないかと事業主から言われたというのは、そもそも産休や育休を取れることを知らなかったケースです。同じページの右側及び、次の39ページの左側は、後要件(2)の1年後雇用継続の見込み要件について、正しく判断されていなくて、事業主が取れないと判断してしまったケース。同じく39ページの右側については、これは後要件の2つ目、2歳児前で更新されていないことが明らかでないというような要件について、こちらは正しく当てはめられていなかったので、事業主が取れないと言っていたケースになりますので、こちらについても御紹介をさせていただければと思います。

 論点ペーパーに戻ります。その他の取得促進策についてです。そもそも産休が取れていない・取れると認識されていないことについて、以下のような対応案が考えられるか。産休は、特別の要件なく取得できることの周知。それにより、期間雇用者が妊娠時点で辞めてしまうことをある程度防ぐことができるのではないか。あるいは、期間雇用者の取得要件について知られていない、期間雇用者について産休・育休・子の看護休暇の取得要件が異なっていることが知られていないことについて、以下のような対応案が考えられるかということで、期間雇用者の育児休業取得要件、あるいは産休・子の看護休暇の取得要件の周知徹底としております。さらに、派遣労働者の育児休業取得について、派遣労働者については有期契約労働者としての問題と、派遣労働者特有の問題があることが指摘されております。この派遣労働者特有の問題として、例えば以下のようなものがあります。派遣労働者が育児休業から復帰した場合、派遣元において適当な派遣先を探すべきであるが、派遣先がなく雇用が終了してしまう問題がある。あるいは、育児・介護休業法に関し、派遣元が雇用主として責任を負うこととなっているが、派遣元の責任について必ずしもよく理解されていないとしております。期間雇用者の育休取得についての資料は、以上です。

 

○佐藤座長 ここは6ページにも関わりますが、期間雇用者の方も契約期間中であれば、産休が取れるとか、介護休暇は条件はあれですので、周知はまずやらなければいけないだろうと思います。ただ問題なのは育休のほうで、育児休業の趣旨、継続雇用と、給付金が雇用保険から出ているということで、基本的に継続雇用が前提になっていることを考えると、一番大きな議論としては後要件をどうするかが課題になります。それについて、今の事務局の説明をベースにしながら、御意見を伺えればと思います。

 

○中井委員 まずは、前回御質問させていただいた回答について、ありがとうございました。相談内容を資料1-2-(7)で御紹介いただきましたが、平成25年度は394件あったかと思います。その前の年よりも増加をしている傾向になっております。今回は件数には公表されていないのですが、増加しているのではないかと考えております。報告いただいた事例は4件ありますが、この事例について発生すること自体が課題ではないかと考えておりますし、制度そのものが知られていないこともあるのですが、周知だけでは解決ができないのかなと考えております。

 有期雇用者が育休を取れないことには、取得要件が厳しくて分かりにくいことは間違いないと思いますし、制度そのものが分かりにくいということであれば、それを周知してもなかなかそれが取得につながらないのかなと考えております。育介法の趣旨が、就業の意思がある労働者の就業継続を支援するというものであるならば、制度を取りたいという労働者がきちんと取得できる、制度を取れるような法律にすべきだと考えております。この非正規労働者の適用要件については、前回、前々回と2回にわたり、附帯決議に挙げられておりますが、見直しに至っていないことがあります。女性活躍と言われておりますし、労使のトラブルを避けるというようなこともありますので、是非この有期雇用労働者の要件については削除すべきと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 

○田代委員 非常に悩ましい問題だなと思います。当社は、有期雇用の方がほとんどいないので、職場の実情として申し上げることはできません。したがって推測なのですが、現実に期間雇用者を多く雇用されているような業態というのは、かなり一人一人の職務、ポジションが明確という仕事で、決して育休を妨げる意図はないにしても、現実に人が抜けると誰かがそのポジションを明確に埋めないといけない。そうすると、新たな雇用で誰かを雇ってきて埋める所も多いのではないかと思います。無期雇用の職場ですと、どちらかというとこれで1年間抜けるなと分かったら、周りでカバーできるような仕事も多いのではないかと思いますが、有期雇用をメインにされている業態はかなりその辺りが、周りの支援というよりも、明らかにポジションが1人抜けると、代替を雇わざるを得ない所も多いのではないかと思います。そうなると、誰かがそこで入ってくると、今度復職したときにどのようにポジションを再度当てがうかということで、その辺りの要員管理などで現実に悩ましいところを経営側は考えるのではないかなと思います。

 そういう観点で、継続雇用ができるかできないかというところは、現実にはほとんど分からないのが正直なところではないかと思います。そうすると、分からないけれども、やはり育児は支援したいというジレンマの中で、どう落としていくかは非常に悩ましい問題だと。したがって、育休を取らせることが、イコール雇用を保障するというようにつながるとどうかなというところがあります。やはり、現実の雇用の量というか、雇用の現実も踏まえないといけないので、正直、育児休業の趣旨と現実の要員配置は非常に悩ましい問題は今後もあるのではないかと思います。

 

○佐藤座長 お二方の議論を踏まえて、現状の有期契約がどうなっているかというと、日本の場合は契約更新型の有期契約です。半年間だけ雇う、つまりここで、この期間以上で更新がないですというのは、それほど多くないのですね。ただ問題なのは、契約更新型は、更新時期が来たときに仕事があれば更新するという契約更新が多いので、その場合、契約更新型だけれども仕事があったら更新する、なければ更新しませんというような場合の育休取得をどうするかだと思うのですね。

 ですから、先ほども言いましたように、限られていてこれ以上更新しませんということについて取れるようにするという議論ではないだろうと。問題は、契約更新型の人も全く可能性がないわけではなくて、あれば更新するのだから、その期間は取れてもいいのではないか。そのときに、今、田代委員が言われたように、ない場合に契約更新、つまり育休が取れて復帰したときに仕事がないときに、経営側が契約しなければいけないかどうかということが問題になるので、なければそれは契約更新しなくていいですというようになれば取れるということはあるかと思いますが、そちらとのリンクがあるのかなと思っております。

 

○池田委員  1 つ押さえておいたほうがいいと思うのですが、現状でもある程度取れているということはあるのですよね。そこでは、取れている人の間では、田代委員がおっしゃるようなやりくりもある程度できていて、パートの人でも多少の担当替えはある程度柔軟に行われているという実態の下で、例えば百貨店などは有名ですが、ある程度戦力化されているパートの人が取っている実態があります。

 トラブルを防ぐという意味でいろいろと問題になるのは、双方の見込みに関する理解が食い違ったときですよね。はっきりしているのは、私も企業と労働者の両方の方のヒアリングなどもしているのですが、使用者が 見込みがある」と言った場合は、もう 何も問題なく 取れるわけです。問題は、先ほどの相談事例であるように、使用者が「いや、どうも見込みがあるとは言えない」と言ったときに、いや、でも法律に照らして取れるのですよということが今の条文ではなかなか 言い出しにくいと言う点です。 その都度均等室で全部解決してくれればいいのですが、そうもいかないでしょうから、当事者で解決できるようなルールにしたほうがいいのではないかと 思います 。要件を緩和しろとか、広げるとか、狭めるという話ではなくて、そういう労使のトラブルを誘発するような 条文の 書きぶりは余りよろしくないのではないかと思います。

 

○佐藤座長 現状で言いますと、有期契約がたくさんある小売業などでいいますと、復帰したときに人が足りないのでまた採るのですよね。新規に採っている状況があるのです。それから、池田委員が言われたのは、5ページの後要件の「全く可能性がない」は、お互いこの辺りは割と合意しやすいと。問題は「分からない」というところで、経営者側も嘘ではなくて分からない。ただ、働いている人からすると、半分ぐらい自分も更新されてきたし、もちろん更新されない人もいたけれども、更新されてきたことがあるから平気じゃないかというところですよね。現状でいいますと、「分からない」だと取れない形のほうが多くなってしまっているのを、池田委員が前に言われていたのは、「全くない」は取れないけれども、「分からない」は取れる可能性があるのだから取れるようにと。ただ問題は、復帰したときに仕事がない場合にどうするか。ここが多分、雇用を継続しないのはやむを得ないと。つまり、今度はそこでのもう1つの理解も大事になるかと思います。

 

○田代委員 おっしゃるとおりで、育休を取らせるまではもちろん継続雇用の意思があったのだけれども、いろいろな事情でそうならないといったときに、育休を取ったことがそもそも、もう見込みがあるのだと判断したのでしょと言われてしまうと、ちょっと悩ましいなと思います。

 

○神吉委員 その点なのですが、それは法律上は全く別に考えられるのではないかなと思います。私が考えているのは、分からないというような状態も基本的には継続雇用の前要件を満たしている場合は、取れることを原則にして、事業主に全く見込みがないということの立証をさせればいいのではないかと思うのですね。基本的には取れるということにして、もし見込みがない場合はそれを立証することで拒否できる。そして、基本的にはそれができなければ、分からないという状態は取れると。それは、取る段階なのですが、復帰したときにそれがどれだけ拘束性があるかは全く別な話で、そのときに結局仕事がなかったので契約更新ができないということになれば、その契約の不更新の時点で雇止めが適切かどうかという別の話になるだけなので、もしそこで仕事が本当になくなってしまったのであれば、それは育休取得とはまた別の話として、要件を判断できるのではないかと思います。

 

○両角委員 神吉先生の言われるとおりで、戻ってきたあとで更新するかどうかは、育休を理由として不利益に取り扱ってはいけないというルールがあるので、それを理由として不利益にしたのか、それともそうではなくて、本当に仕事がなかったのかという問題になるので、それはそうだと思います。もともと法律の制度として、可能性が全くないときは、そうすると契約期間は残っているけれども、事実上、途中で辞めるということになるのですね。

 

○佐藤座長 一般的には、期間によるけれども、産休は取れると思うのですね。

 

○両角委員 産休が終わった時点で。

 

○佐藤座長 契約期間がどうかによると思います。

 

○池田委員 復職して契約期間一杯働けば。

 

○両角委員 もちろん、産休だけで戻ってくればそれはそうなのですが、戻らない場合は産休が終わったところで契約は終わるのですか。

 

○佐藤座長 多分そうでしょうね。

 

○両角委員 退職したということになるのでしょうかね、戻ってこないわけだから。

 

○佐藤座長 本人が育休が取れないので、復帰しようと思わないということでしょうね、多分。

 

○両角委員 はい、自主退職したという形になるのでしょうね。

 

○佐藤座長 多分そうでしょうね。

 

○両角委員 何か、それでいいのかなと。つまり、これが今すぐどうのこうのできる話ではなくて、何度も言って申し訳ないのですが、中期、長期的な問題だとは思うのですが、やはり給付をもらえるかという話と休業を取れるかという話を切り離す必要があって、そうではない限り永遠にこの問題が解決しないと思います。ちょっと、今後の課題として分ける方向で。

 

○佐藤座長 はい、分かります。ですから、これは給付金の問題と別だと、また議論が違ってくると思うのですね。給付金だけもらえるという話があり得ると、また状況が違うのですが、現行で言うとそこに問題があるのは事実です。あともう1つは、神吉さんが言われたように、全く可能性がなく取れないなんてことは、取れる場合でも、問題は半年契約とかですよね。そうすると、取れる期間をどうするかということもあり、やはり育休が1歳まで取れますというと雇用契約期間が制約されるので、半年契約であればそこから半年しか育休は取れないと考えるか。育休を1歳まで取りますというと、1年更新にするのかというのもちょっと変な話なので、そこはもう1つ難しい議論ではあります。法律上、どうなるかはよく分かりませんが。

 

○池田委員  後要件の 2 番目の話ですが、 1 つは育児休業給付と雇用保険を切り離すというのは、私もそのほうがいいと思います。実態として、 たとえば大学の 1 コマ単位の非常勤講師がそうだと思いますが 、雇用保険に入っていないけれども、育休を取っている人は現にいるので、雇用関係の継続とそこに保障が付くべきかどうかは分けたほうがいいかなと思います。

 もう 1 つは、これは事務局に伺いたいのですが、雇用関係を継続しない人を対象から外すというのは、実は育介法の中に 2 つルールが混ざって います。 1 つは問題になっている見込みの要件です。もう 1 つは、労使協定で申出から 1 年以内に退職することが明らかな人は対象から除外できると いう規定 。これは、割とルールとしてシンプルだと思うのですね。そうすると、雇用関係が継続しない人を対象から外すということに 2 つルールがあり、その両者の関係はどうなっているのでしょうか。もともとの除外規定は、最初に育休法があったときからあったのですか。労使でいろいろ事情があって 育休にふさわしい人とふさわしくない人がいたり、あるいは 1 歳まで取ることが適切な人とそうでない人がいるということであれば、そういう人は労使協定で対象から外せば、本法でいろいろ言わなくても 良いのではないか。 田代委員がおっしゃるようにその企業や事業場の実情に応じて、例えば 1 歳まで取ることがふさわしくない人は半年までにするというルールにすればいいのではないかと。乱暴な話ですみません。 疑問点 は、申出から 1 年以内に退職することが明らかなことと、 1 歳以降見込まれることは、同じなのか、違うのか。違うとすれば、どういう法律上の仕分けになるのか、教えていただければと思います。

 

○佐藤座長 定年後の再雇用を切り離してしまうときに、除外できるような形で、労使協定でというやつですね。それは、ちょっと調べていただけますか。今、すぐ分かれば別ですが。分からなければ調べてください。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 調べておきます。

 

○神吉委員 労使協定についてなのですが、多分法律の原則からいうと、やはりそのような多様性のある職場においては、法律で決めるよりは労使の話合いで誰に取らせるのが適切かというものを決めておくべきというのが、恐らくそれは原則であるべきだと思うのですね。ただ問題は、別の話になるかもしれないのですが、この労使協定を結ぶ相手方が組合であればまだいいと思うのですが、今は組合がある組織がそんなに多いわけではないので、そうすると過半数代表者で個人がそれを全部決められるかというと、それはかなり形骸化していると思うのですね。ですので、これを余り重視してしまうと、結局経営側の出してきたルールに個人の過半数代表者が応じざるを得なくなってしまって、ということで、基本的に想定していたのとはずれた結果になっていく可能性もあるかなと思います。

 

○佐藤座長 もう1つは、現状で言いますと、産休について言うと、今の後要件で育休が取れない人が自動的に産休が取れないというように、働いている人も基本的に誤解している部分がかなりあるので、産休は取れると。取る人が増えてくると、育休へのつながりについてはもう1つ状況が変わってくるかなと。これは、それだけで問題が解決するとは言いませんが、多分育休が取れない人は産休も取れないみたいに思われてしまっているのはすごく多いのは間違いないと。結構難しいですね。論点は、大体出たかなと思います。

 あともう1つは、少し先ですが、労働契約法で基本的に有期が5年までになってしまって、またちょっと状況は変わる可能性もあるかなと思っております。それで、どうなっていくかが分からないところがありますので、先も見ながら議論したほうがいいかなと思います。

 それでは、次に勤務時間の短縮と所定外労働免除、それから男性の仕事と家庭の両立促進についての説明をお願いいたします。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 資料の6ページからの勤務時間短縮の措置、所定外労働免除等についてです。こちらは、これまでの御意見で、現行の短時間勤務制度、所定外労働の免除等の制度を単純に延長することは、本人のキャリアへの影響を考えられるという御議論が多かったところです。仮に、これを行わないとする場合に、短時間勤務が取得可能な子の年齢を引き上げて、その中でトータルで一定期間を取得できることとする、という御意見が出ておりました。このことについて、以下のような点も踏まえ、どう考えるかとしております。各ライフステージのニーズに合わせて取得することが可能なのではないか。事業主の雇用管理の負担をどう考えるか。法律で縛るのではなく、企業と本人の話合いの中で柔軟に短時間勤務をできるようにすることがいいのではないか、としているところです。

 次に、男性の仕事と家庭の両立の促進についてです。これについては、男性の子育てへの関わりの促進のため、特にターゲットとすべき層として、以下が考えられる。まずは、育児休業を取りたくても取れないという男性。そして、育児に関わらなくてもよいと思っている専業主婦の家庭の夫としております。参考資料1-2-(9)~(12)を御覧ください。(9)においては、育児休業制度を利用希望だが、利用できていない男性正社員が30%いるというデータになります。また、1-2-(10)については、妻が正社員の男性に比べて、妻が無業の男性のほうが育児休業取得率が低くなっているというデータがあります。1-2-(11)は、共働きの母親よりも専業主婦の母親のほうが子育てに関する孤立・孤独感を感じることがよくあり、パートナーへの子育ての関わりを求めているという調査結果になります。また、(12)では、男性の育児休業を取得しなかった理由として、配偶者等、自分以外に育児をする人がいたというものが高くなっているというデータになります。

 男性の子育てへの関わりの促進のため、特にターゲットとすべき期間として、以下が考えられるとして、産後休業期間中で妻が活動できない期間としております。また、男性の育児休業取得数推進のための制度についてということで、パパ・ママ育休プラス、出産後8週以内に育児休業を取得した場合の再度取得制度について、現場では知られていないことにどう対応するか。また、男性の育児休業取得促進のため、休業期間の上限の延長や、休業期間の分割を行うべきではないかという御意見も出ているところですので、このことについて現時点の状況を踏まえ、どの程度のニーズがあるかとしております。この点については、参考資料1-2-(9)の右のグラフでは、男性正社員の育児休業制度の取得日数の現状、また参考資料1-2-(13)については、1歳2か月超で育児休業を取っている率がどれぐらいあるかの調査結果を御紹介しております。現在、1歳2か月超で育児休業を取っている率が0.7%、その他の休暇を合わせても9.8%となっている調査です。

 最後に、両立支援制度を利用しやすい職場環境の在り方についてということで、育児休業を取得しやすい、したいと言いやすい職場にするために、例えば以下のような内容について企業の取組を促す必要がある。男性による育児休業の取得計画書の提出などにより、取得希望を把握する。育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いは法で禁止されていることの従業員への周知としております。資料の説明は以上です。

 

○佐藤座長 短時間勤務のほうは、今まで出た議論では、例えば短時間勤務は子が3歳になるまでを変えない。もう1つは延ばす。もう1つは、期間を3歳ではなく、3年とかとして、例えば小学校入学までとか小学校3年までというようなやり方がどうかということです。それから、男性の子育て参加は、やはりターゲットごとに考えようということで、当然妻が働いていて、働いてない人も含めてですが、男性が取りたいという人が取れるように。もう1つは、特に妻が専業主婦の人は、やはり妻が子育てしているのだから取らなくていいと思っている男性が結構多いわけですね。ただ、他方で妻の側からすれば、積極的に関わってほしいという人がいると。ここをどうするかです。本人は取らなくていいと思っているけれども、実は妻側から見れば、やはり子育てに関わってほしい。そうすると、例えば産後休業はないわけですから、その産後休業に相当する期間などは取ったほうがいいよみたいなことが挙げられました。

 

○池田委員  まず、男性の育児参加です。前回、神吉委員から、女性の就業支援という法の趣旨と比べてどうなのかという問題提起があった記憶があります。やはり、産後 8 週の時期は、就業の可否にかかわらず、かなり重要な時期だと思います。それは、母体との関係もそうなのですが、最近 、先ほどの非正規の話もそうですが、一旦出産を機に退職したけれども、すぐに再就職をする意思がある女性の夫というのは、専業主婦の妻を持つ男性に少なからず含まれていることがあります。ある時点、出産前後の時点で仮に無業であっても、その後妻が働きやすい体制をつくる意味でも、産後の初期の時期に夫が子育てに関わる時間を設けることは、やはり法の趣旨にも合うのではないかと思います。そういう意味では、産後 8 週の時期を手厚くすることは、すごく賛成です。

 もう 1 つは、短時間勤務について、こんなに議論が大きくなると思っていなかったのですが、小学校 3 年生までで 3 年間という話 ですが 、これ を考える上で 企業、事業主の負担の問題はすごく大きいと思います。実は、このアイディアの 大元 になったのが、企業の人事の方と話していたときに、ずっと短時間勤務で固定されてしまうと 困る、 要員管理が今は限界にきているという声 でした。 ある程度繁忙期には 短時間勤務を 解除 して働く とかメリハリを付けて、フルタイムと短時間勤務は行ったり来たりしてもらわないと、要員が回らなくなっているというエピソードを 聞いたのです。 それと小 1 の壁みたいな新しい課題とがうまく折り合うかなというので、半分思い付きで言ったことです。そうすると、使用者の負担は その 都度 管理 を時短からフルタイムと書き換える手間と、要員管理上これから短時間勤務をする女性がますます増えていくということで、どちらが負担として大きいのかなというところの兼ね合いかなという印象を持っております。

 

○佐藤座長 法律上3歳までやめてしまうのではなくて、いろいろなものがあるというような決め方もありますし、あとは労使でというのもあると思いますので、いろいろな議論の仕方があると思います。

 

○中井委員 短時間勤務の上限なのですが、池田委員が言われたようなやり方も十分考えられると思いますが、いろいろとライフステージで小1の壁、小4の壁といったところを考えると、純粋に年齢を引き上げることも検討をすべきではないかと思います。東芝の例になりますが、小学校6年、卒業するまでになっておりますが、分割取得ができますので、ずっとというケースももちろんあるのですが、分割取得をして、例えば小1のときに取得をする。あとは、夏休みに取得をするようなケースもあったりといった、それは特殊なケースかもしれませんが、そういったこともできますので、純粋に年齢を引き上げるということも検討できるのではないかと思います。

 

○田代委員 電機の大手は、もうほとんど小学校6年生までと認めています。ただ、逆に職場のマネジメントの中で、やはりそこは取れるからずっとということではなくて、セイフティネットとしてその期間を与えたのだということです。したがって、ただ長くするというように法で整備してしまうのは、やはり柔軟性の観点でどうかと思いますので、もちろん労使の話合いでもっといい条件にするのはいいのですが、最低限という部分で考えたときには単純に期間だけを長くするよりも、何らかのニーズの実態に合わせて、通算で何年とか、制約と言ったら言いすぎですが、何か設けたほうがいいのではないかと思います。

 

○両角委員 私も、条件は3年という制約を設けた上で、取れる期間を長くするのがいいのではないかと思います。それは、実際に諸外国の中にはそういう制度も入れている国もありますし、そんなに例がないということではありません。それから、例えば妻が管理職になったりということも考えると、いろいろなニーズが考えられるので、やはり選択肢は広いほうがいいですから、8歳までとか10歳までとかが望ましいと思います。

 

○佐藤座長 現状で言うと、育児休業だけでなく、短時間勤務を取るのは女性なのですよね。ですから、両方取っていればいいのだけれども、そうするとやはりまた長く女性が取るみたいになってしまうと。それから、実際に取っている人は、男性の労働時間が長い人なのですよね。それで、男性は余り子育てしていない人なのですね。ですから、その状況を変えていかないと。もちろんやりながらです。

 

○神吉委員 私も、取れる年齢の条件を上げて、期間としては総計で幾らまでとするのがいいのではないかと思います。ただ、そうすると、使用者側の負担ももしかすると大きくなることを考えると、年休とパラレルに時季変更権みたいなものの行使の余地を考えることもできるかなと思っています。韓国は、育休も8歳までだったと思います。もしかしたら公務員だけかもしれませんが。そういう意味では、上限が1歳、1歳半、それから時短は3歳というのは、もしかすると日本は割と年齢制限がきついほうなのかなと思います。

 それは時短の話なのですが、池田先生からの指摘に戻るのですが、私も前回の研究会からいろいろ趣旨を考えていたのですが、やはり先ほど出てきた有期の取得の話も、雇用継続という趣旨から考えてきたわけです。そうなってくると、主婦の孤立感を解消するというのは、いかにも筋が悪いと思うのですね。ただ、池田先生が言われたことも私も考えていまして、現時点で非労働力化している女性であっても、その方が再就職しやすくなると。再就職促進という意味であるのが1つです。

 もう1点は、育休を取りたくても取れないという男性に対して、職場の雰囲気で取りにくいのだけれども、専業主婦の妻を持っている人であっても取れるのだといったら、男性労働者全体の育休取得であるとか両立を間接的に促進するというような趣旨もあり得るかなと思います。

 あとは、恐らくこれは男性が育児に協力的であれば、第2子が生まれやすいといったような社会的な観点もあって、全面的に出すかどうかはともかく、将来の労働力の再生産みたいなものに資する。つまり、就業継続と再就職の趣旨から言うと、それぐらいかなと思います。やはり、孤立感を解消しようというのは、ちょっと筋が違うかなと思います。

 

○佐藤座長 無理に言えば、妻が育児ノイローゼになってしまうと、男性が就業継続できなくなると。やはり、そのときから積極的にそうならないように子育て参加することが、男性の就業継続にとってプラスだと無理矢理言うのは、なきにしもあらず。

 

○神吉委員 ただ、内心取りたくない人に取らせることになってしまうと、内心への介入だと見なされてしまって、クオータ制を取り入れるときに、どうして取りたくない人にまで取らせるのかという反発が出てきます。それと同様で、必要性はどうなのか、法的正当性はどうなのかという問題は、必ずそういう疑義が出される可能性があると思いますので、やはり働く人の権利を守るのだという育介法の趣旨は貫くべきなのではないかと思います。

 

○佐藤座長 私は、基本的に例えば妻が専業主婦で子育てしているから取らなくていいという人に、実は子育ての負荷が高い人は多いのですよという情報提供をする。その上で、自分は取らないというのまで取らせるということではなく、ただ知らなくてあとから気付いてみたら大変だったという男性も結構多いので、その辺りも何か考えなければいけないかなと思っております。全体を通じて、何か御意見はありますか。

 

○石山委員 介護についてなのですが、私は三菱総研さんからの御報告を頂いているときに、何となく違和感を感じながら、この違和感が何なのかなということを考えていました。原因疾患で見ると、認知症が一番多かったというのは、これは厚労省のデータと違って、実際に介護をされた方では認知症の方が多いのだけれども、55ページ以降に実際に介護のために休みを取得したという活用したところを見ていくと、脳血管の方々が多いことが出てきます。そうすると、現行制度では脳血管の方は比較的取りやすい制度になっているということが考えられるのではないかなと思っております。

 介護保険制度についても、今は大分変わってきましたが、やはりベースとしては脳血管疾患をベースにつくられている制度なので、やはりその方々はプランを立てやすいというか、サービスの選択肢が十分にあると。認知症についても、認知症対応型の例や様々なものは整備されつつあるものの、まだ十分ではないところです。認知症の方が何のために休暇を取ったかを見ると、関係機関からの呼出しなどが入っております。これは、やはり認知症特有だと思っており、行方不明者が1万人を超えていたり、行方不明に至らなくても、実際に私もケアマネをやっていて御家族が突然仕事中に呼び出されてどうにもならないケースが増えてきております。ですので、脳血管や骨折・転倒というのは、ある日突然始まって、目に見えて家の中のことができなくなる、自分のこともできなくなるところで分かりやすいですし、医師から診断がされるというところで家族も認識しやすいものだと思うのですが、認知症に関しては鑑別診断もほぼ受けていない方が多く、医師からも宣言をされていないですし、じわじわ悪化していくものなので、家族自身が何となくつらい、大変と思いながら何とかやっているものだと思います。ですので、この育介法の介護休業などが認知症の方も使えるのだということを全面に出していかなければならないと思いますし、また介護の準備期間だけではなく、認知症の方に関しては介護期間中にこんな使い方ができるのだというような周知を今後展開としていかなければ、実際には広がっていかないだろうと思います。

 話がずれていくのですが、虐待の数が大変増えており、被虐待者の特性としては認知症の方々です。やはり、どうしても虐待は特別なことではなく、介護のあるところには発生し得るものだと思うのです。普通の人が耐えきれなくなってやってしまう部分は多いです。働きながら自分の親に虐待をしてしまったとなると、自分を責めます。こういう状況ではいけないというので離職に至るケースもあるのではないかなということを考えると、やはり今後増えていく認知症について使えるのだ、使っていいのだ、使い方はこうなのだというような周知を今後展開していくことが、就業継続性につながるのではないかと感じました。

 

○佐藤座長 どうもありがとうございます。特に、いろいろな意味で認知症の場合は、医師の判断というか、ある一定の時期まで分からないので、そういう意味でもいろいろな情報提供は大事かなと思いました。

 今日は、それぞれ大事なテーマを短い期間に御議論いただきました。まだまだ十分ではないと思いますが、とりあえず今日は時間ということで、ここまでにさせていただければと思います。次回は、これまでの議論を踏まえて、報告書の素案を御用意いただけると思いますので、それについて御議論いただければと思います。それでは、次回の日程について説明をお願いいたします。

 

○中井職業家庭両立課長補佐 本日は、どうもありがとうございました。次回の日程は、7月10日(金)午前10時から12時です。場所については、厚生労働省19階の共用第8会議室になっておりますので、お願いいたします。

 

○佐藤座長 どうもありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。


(了)
<<照会先>>

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
電話 03-5253-1111(内7864)

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