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2015年5月29日 社会保障審議会障害者部会(第62回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年5月29日(金) 9:30~


○場所

TKPガーデンシティPREMIUM神保町プレミアムボールルーム(東京都千代田区神田錦町3-22 テラススクエア3F)


○出席者

駒村康平部会長、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員 石原康則委員、伊藤たてお委員、伊豫雅臣委員、小澤温委員、大濱眞委員、河崎建人委員、北岡賢剛委員、久保厚子委員、小西慶一委員、佐藤進委員、橘文也委員、中板育美委員、中村耕三委員、野沢和弘委員、樋口輝彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、松本純一委員、鈴木康仁参考人、江藤修参考人、原田勉参考人

○議事

○駒村部会長

 定刻になりましたので、ただ今から「第 62 回社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。委員の皆様におかれましては、本日も御多忙のところをお集まりいただきありがとうございます。本日もよろしくお願いします。

 まず、事務局から委員の交代、出席状況、資料の確認をお願いいたします。

 

○川又企画課長

 よろしくお願いいたします。はじめに、会場の御案内が不十分で分かりにくかったかと思います。申し訳ありませんでした。次回も同じ会場です、よろしくお願いいたします。

 委員の交代がありましたのでお知らせいたします。到着が遅れているようですが、地域生活支援ネットワークの方が大原委員から北岡賢剛委員に変更になっております。それから、全国市長会の清原委員の後任で大分県杵築市長、永松悟市長は本日御欠席でございます。代わりに江藤参考人に御出席をいただいております。

 委員の出席状況ですが、本日は朝貝委員、菊池委員、竹下委員、藤堂委員から御都合により欠席との御連絡をいただいております。なお、広田委員からは遅れて到着するとの御連絡をいただいております。本日、玉木委員の代理として鈴木参考人、湯崎委員の代理として原田参考人に御出席をいただいております。

 事務局は、藤井部長が国会業務のため若干遅れて到着する予定です。よろしくお願いいたします。

 本日の資料の確認をいたします。資料 1 、団体ヒアリングのスケジュールです。以下、資料 2 から資料 11 まで、各団体から御提出いただきましたヒアリングの資料になっております。もし不足があればその都度、事務局にお申し付けください。

 なお、会場がやや広くなっております。マイクを少し口元に近づけてお話いただいたほうがよろしいという話を聞いております、御協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます、それでは本日の議事に入ります。本日から関係団体のヒアリングを行います。まず事務局から資料 1 について御説明をお願いします。

 

○川又企画課長

 企画課長です。資料 1 、今後の本部会における団体ヒアリングのスケジュール ( 予定 ) です。本日は第 62 回、 5 29 日ですが、御覧の団体のヒアリングとなります。順次来週火曜日、 6 2 日、 6 9 日、 6 15 日とやや頻回になりますけれども、合計 45 の記載団体からヒアリングをいただく予定としております。よろしくお願いいたします。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます、それでは本日のヒアリングを行います。まず、本日の進め方について事務局から説明をお願いいたします。

 

○川又企画課長

 企画課長です。机上のみの配布ですが、本日のスケジュール ( 予定 ) と書いた A4 1 枚紙があると思います。本日は御覧の団体について、 3 つのグループに分けてヒアリングを実施いたします。なお、 1 団体 10 分以内で御発言いただき、各グループの御発言が終了後に質疑の時間をまとめて取っております。なお、各団体の発言が 8 分を超えた段階で事務局から合図をさせていただきます。また、 10 分の終了時にも御連絡をさせていただきます、御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 2 グループ終了後に 15 分の休憩をはさみ、全体で 3 時間を見込んでおります。長時間のヒアリングになりますので時間配分に御協力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○駒村部会長

 最初のグループのヒアリングを始めます。まず、一般財団法人全日本ろうあ連盟からお願いいたします。

 

○全日本ろうあ連盟松本理事

 皆様、おはようございます。

 ただ今より通訳を止めてもらいます、御覧いただけますでしょうか。

(手話のみ、読み取りなし)

皆さん、いかがでしたでしょうか、私の発言は届きませんね。手話はろう者にとっては非常に大事な言語です。また、ろう者の発言は手話通訳者を通さないと皆さんに届けることができません。つまり、手話通訳がいなければ皆様とのコミュニケーションを図ることが大変難しいということです。

 言いたいことが伝えられない、そのことを皆さんに今経験いただいたと思います。逆に皆様方が発言されることは、通訳がなければ我々ろう者には伝わりません。そういう意味で、私たちろう者は手話通訳がなくては人間らしい暮らし・生活・人生というものを送ることができないということになります。しかし、現在でも自由に手話通訳を利用できるという現状ではありません。私たちろうあ連盟は 70 年前から手話通訳の必要性、また手話の必要性をずっと訴え続けてまいりました。しかし、まだ手話通訳制度というのは充実しておりませんし、実現に至っておりません。こういう会議の場において、もし手話通訳がいない場合には皆様に自分の思いを伝える術がないわけです。また、皆様方が私たちに聞きたいことや伝えたいことがある場合どのようにコミュニケーションをとりますか。そういう意味で、手話通訳が非常に重要だということを御理解いただければ幸いです。また、手話通訳の養成・派遣、設置という 3 つの基本の柱があります。手話通訳派遣事業・養成事業では十分だと言えませんが、充実しつつありますが、設置事業は非常に遅れを取っております。全国都道府県を見ますと、設置がされているのは 37 %に過ぎません。そのような状況の中で、本当にろう者が自由にコミュニケーションできるでしょうか。コミュニケーション環境基盤がまだ整っておりません。

 この現状の中で障害者権利条約が批准されました。障害者はほかの者との平等を基礎として、豊かな生活を送るという記述があります。まさにそのものだと思います。従って、意思疎通支援事業をこれからどのようにしていくのかを考えた場合、自由に、いつでもどこでも、どのような時でも手話通訳が使えるシステムというものを構築しなければならないと考えております。以上です。

 

○駒村部会長
 御発言は以上でよろしいでしょうか。

 

○全日本ろうあ連盟松本理事

 失礼いたしました、非常に緊張して時間のことを失念しておりました。

 例えば、手話通訳の一番大きな課題というのは身分保障問題もあります。意思疎通支援事業の大きなポイントは手話通訳設置事業をどのように拡大していくのかと考えております。また、私たちろう者に、差別の実態についてのアンケートを実施いたしました。差別と日常的に感じる部分、また合理的配慮が必要な部分がどのようなものかをアンケート調査しました。その結果コミュニケーションが一番大きな課題ということが浮かび上がってまいりました。

 登録通訳者という方が各地におります。この方は日中動ける人が非常に少ないわけです。そのような状況を考えますと、手話通訳の身分保障をしっかり確立し、手話通訳設置事業も増やしていく。そして、豊かな情報・コミュニケーション保障ができる環境が必要だと考えます。ありがとうございました。

 

○駒村部会長

 連盟から意見はよろしいですか。よろしければ、次の団体の方からお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 続いて、一般社団法人全国日本難聴者・中途失聴者団体連合会からお願いいたします。

 

○全日本難聴者・中途失聴者団体連合会新谷理事長

 おはようございます、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の新谷と申します。今日はヒアリングの機会を与えていただきましてどうもありがとうございます、座って意見を述べさせていただきます。

 お手元の資料、まず 1 、課題として提起されておりました支給決定プロセスと障害支援区分の在り方の問題なのですが、私たち中途失聴・難聴者の受けているほとんどの障害福祉サービスというのはこの障害支援区分の判定に従って受けているのではなくて、障害者手帳の等級によって受けております。そういう意味で、総合支援法の障害支援区分の在り方と障害者手帳によるサービスの在り方についての議論が十分行われているのか疑問を持っております。手帳制度と区分の在り方についての議論をこの場でも深めていただきたいと思います。
 2 番目、意思疎通支援事業の内容・運営についてどう考えるか。一番の問題は意思疎通支援事業の対象者の範囲です。私たち中途失聴・難聴者のうち、恐らく手帳保持者というのは 1 割に至っていないと思います。それ以外の方、 90 %は手帳を持っておりませんので、現在手話通訳、要約筆記の派遣サービスが受けられないという状態になっております。これは法の規定によって聴覚障害者となっておりますので、いかんともし難いところがあるかも分かりませんけれども、身体障害者福祉法別表でもやはり障害認定の範囲を世界水準に広げて、利用者の範囲を広げることが非常に大きな課題ではないかと思います。
 2 番目、現在、地域生活支援事業で私たちは意思疎通支援を利用しておりますが、利用範囲による制限が加えられております。例えば民事訴訟は駄目とか娯楽は駄目など、そのようないろいろな制限事項があります。基本的に、コミュニケーションは人が生きていくためという視点にとれば、ほとんどの場合の利用は認められないといけないのではないか。特別、社会の公序良俗に反するような場面は駄目でしょうけれども、基本的に自由な利用を認めるべきではないかと思います。

 次の論点として、都道府県の意思疎通支援事業の利用の拡大という問題があります。現在、私たちは既存自治体の実施要綱に従ってほとんど利用しておりますので、複数の市町村から人が集まってきて、そういう場で意思疎通支援事業を利用するという方法については専門性のある派遣を認めるという、法の第 78 条の規定に従って今は利用させていただいております。

 その利用目的、制限事項が非常に厳しい。例えば東京都の場合、派遣の内容が広域的かつ公益的でないと利用を認めないという厳格な適用がされております。そういう意味で、複数区市町村から集まってきた集まりの場の情報保障を都道府県、東京都なら東京都から受けられないという状態があります。私たちの希望としては、都道府県内の複数市町村の居住者が参加する又は、都道府県単位の活動をする障害者団体の行事や会議等へ意思疎通支援をする者を派遣する事業を都道府県の事業として位置づけていただきたいという思いがあります。
 4 番目の問題なのですが、都道府県にはそのような制度設計ができたとして、都道府県の人が集まって会議をする時にどうするのかという制度は今全くございません。ということで、私たち参加者が会費を持ち寄って自己資金で情報保障を求めるしか現在方法がない状態です。障害者の活動が活発になりますと、どんどん都道府県の人間が集まってきて全国レベルの集まりを持つことが多いのですが、こういうところへの意思疎通支援者の派遣を国の費用の下に、開催地の実施事業体に派遣を依頼するとか、少なくとも費用負担はやはり全国レベルのものは国レベルで御用意いただく必要があるのではないかと思います。

 ページが飛びますけれども、意思疎通支援事業についての財政措置の在り方をどう考えるか。これは意思疎通支援事業を地域生活支援事業に置いたままにするのか、それとも個別給付にするのかという論点に関わってくるわけです。これに関しては、コミュニケーションというのは本質的に個人に求められるのではなく個人と相手、若しくは多数の個人が集まってきた場に求められるというコミュニケーションの本質に立てば、私どもは個別給付にはなじまない内容ではないかと思っております。もちろん同行支援を必要とされる方、視覚障害者や盲ろう者の方というのはそのような意思疎通支援にプラスして同行支援・介助が必要になるわけですから、それは別の問題として考えていく必要があるのではないかと思います。

 次に、ちょっと飛びますが 6 番目の、意思疎通支援に関わる支援機器の活用、開発普及についてどう考えるかという論点なのですが、現在私どもが利用している福祉機器、例えば補聴器などは福祉機器として支援法の中で対応を受けているわけです。ただ、それと似たような人工内耳は医療機器ということで、現在の福祉サービスに入っておりません。手術段階では医療保険の対象となりますけれども、手術が終わったあと、人工内耳の外部機器というのは消耗機器なので 5 年、 10 年たったら交換が必要です。若しくは電池においては消耗品なので、常時私たちが買う必要があるわけです。これについては、医療が終わってしまうと今は補助がない、完全な自己負担ということで私たちはこの外部機器、例えば 100 万円くらいするものを自己負担で 5 年に一度、 7 年に一度換えないといけないという状況になっています。この点も福祉サービスの適用の問題を考えていただきたいと思います。

 最後になりますが、情報コミュニケーション全体の問題になりますけれども、情報コミュニケーションというのは個人と個人の場合もあれば個人と多数、それから多数と多数という様々な場面があります。手話通訳や要約筆記などの人的支援は個人対個人というような関係で処理されますけれども、多数対多数の場合には個人に対するいろいろなサービス、例えば福祉サービスであれ合理的配慮であれ、そういうもので手当をしていくということが多いかも分かりません。多数対多数の場合にはほとんどの場合、やはり環境の整備として典型的なのはテレビの字幕ですが、そのような字幕があれば全ての人が内容を見て理解できるということがあります。意思疎通支援事業からちょっと広がった意味でコミュニケーション全体のことを考えれば、福祉サービス、合理的配慮、それから環境整備という総合的な取組みの中で私たち中途失聴・難聴者若しくは聴覚障害を持った者が十全な社会参加ができるような施策検討をお願いしたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続いて社会福祉法人全国盲ろう者協会からお願いいたします。

 

○全国盲ろう者協会福島理事

 全国盲ろう者協会の福島と言います、座ったままで失礼します。私どもは A4 1 枚で意見を出しております。本日はこのレジュメに書いていないことも含め、補足的なお話をしようと思います。

 盲ろう者のことはよく御存じの方もいらっしゃると思います。確認を含めて、改めて少しお話しようと思います。まず、意思疎通支援について、この時間は私たち団体側から要望しているわけですが、既に 2 つの団体からもお話があったようにコミュニケーションというのはいかに人間にとって大事か。目や耳の障害もそうですし、のちほど知的障害の立場での広い意味でのコミュニケーションの大切さのお話があると思います。

 私自身が 18 歳の時に見えなくて、聞こえなくなった時、コミュニケーションとか、周りの情報が伝わるかどうかというのは水や空気、食べものと同じくらい大事なものだというように実感しました。生きていけないと思ったのです、コミュニケーションがないと。生物学的には生きていけるけれども、文化的な存在としての人間の生というものを考えると、やはりコミュニケーションは必須だなと実感しています。

 これは私だけでなく多くの盲ろう者、日本で手帳を持っている人で 1 4,000 人、手帳を持っていない人も含めると大体 2 万人位はいるだろうと思います。ほぼ全員の盲ろう者がやはりコミュニケーションが一番しんどいこと、つらいことと言います。コミュニケーションがないことがですね。制度設計や事業のことを考える上ではニーズ、何を必要としているか、何が困っているかというところから逆にどういう事業が必要かを考えていくほうが基本だと存じます。では、盲ろう者の場合はどのようなニーズがあるか。見えなくて聞こえないというのが二つ重なってきますと、ものすごく複雑になってきます。

 複雑な対話というだけでは、なかなかイメージしていただきにくいと思いますのでちょっと申し上げます。例えば私のように、全然見えなくて聞こえないという人もいれば、ある程度見えるけれども全然聞こえない、その逆である程度聞こえるのだけど全然見えない人が多い。どっちだったかな、自分でもどちらだか分からなくなりました。ある程度見えてある程度聞こえる人とか、いろいろなパターンがある。

 更に生まれつき、赤ちゃんの時から目と耳の両方に障害を持っている人もいれば、最初は視覚障害で耳は聞こえていたのだけれども、のちに聞こえなくなったタイプ、私自身そうですが、そういう人がいる。その一方、生まれつき聴覚障害で最初は目が見えていたのですが、例えば進行性の病気で視野が狭くなったり、だんだんと夜見えなくなる病気があります。それが最終的に 20 代、 30 代で全然見えなくなるケースの方もいる。

 あるいは大人まで普通の状態でいて、脳腫瘍などの病気、あるいは交通事故などでいきなり盲ろうになる人もいるというように様々なケースがあります。様々なケースがあると一体何が変わってくるのかというと、コミュニケーションの方法、その人が使えるコミュニケーションや理解できるコミュニケーションの手段が非常に複雑多様になってきます。例えば、世界的に一番一般的に使われているのは掌に指で字を書くという方法です。これは大人になって急に盲ろうになった人でも使います。平仮名だったらあいう、海外だったらアルファベットで書くわけですね。日本語だと平仮名が得意な人、片仮名だと読める人、漢字でも読める人などいろいろいます。こういう手書き文字という方法がまずあります。

 それから手話、松本さんなどが使っていらっしゃる手話です。普通の手話だけど盲ろう者の場合は見えないから、手で触って手話を読み取る。そうすると、手で触って読み取りやすいように手話を工夫する。更に弱視手話といって、視野が狭かったり視力が弱い人のために見えやすい工夫をした手話を行う。指文字というのも、日本語指文字のあいうえおからアルファベットの指文字、 ABCDE とやるのですが、こういうアルファベットの指文字をローマ字式に綴る人もいます。

 私が使っているような指点字という方法もあります。ある程度聴力が残っている人には、その人が聞こえやすい方法で行う音声の通訳があります。あと、ブリスタという点字のタイプライターを使う人がいる。あるいはパソコン通訳で、その人の見えやすいコントラストや文字の大きさなども工夫しながらパソコン通訳をしたり、点字に変換するパソコンを使う通訳があります。そして、紙に大きな字を書いて通訳する場合もある。今申し上げたものを全部足すと 11 種類です。

 この 11 種類を盲ろう者への通訳者というのは適宜使いこなしていくので、どれだけ複雑か。盲ろう者が大勢集まっている大会などすると、何が何だか分からないような頭が混乱する状況になります。だけど、共通しているのはみんなコミュニケーションを持ちたいということです。だけど、一人一人バラバラな条件を抱えているということが特徴です。

 具体的にどうするのか。お配りしてある資料の裏の段、上から 4 行目あたり、「以上のようなことから」ということで具体的にどうするかという提案あるいは要望を書いています。基本的にはこれまでの地域生活支援事業をベースにして、全国的に薄く広く、セーフティーネットとして通訳者や介助者の派遣事業がなされるということは基本の施策、これまでも実施されてきてここ 10 何年の間に随分広がってきたと思っています。ただし、それだけではやはり限界がある。先ほど申し上げたような 11 種類のコミュニケーションがあるという、そういう個別性が非常に強く一人一人違う支援が必要です。本来的には個別給付がふさわしい事業ではないかと思っています、盲ろう者の支援ですね。

 例えば、全身性の人たちが使っている重度の訪問介護の枠組みに類似した形で、その中で盲ろう者向けの工夫をしながら個別給付をやる。だけど、余り人数がいない都道府県では難しいので、差し当たりは大都市圏などを中心に個別給付に移行していく。しかし、一方では地域生活は残していく。こういうやり方が現実的かと思っております。

 時間ですのでここまでにいたします。

 

○駒村部会長

 続いて、全国手をつなぐ育成会連合会からお願いいたします。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 はじめに、本日は参考として 14 ページにわたる文章を、この後に付けておりますが、 2 ページにまとめたものを中心にお話していきたいと思います。足りない部分に関しては、後ほどこれを御覧いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず会として、今回の 3 年後の見直しについては共生社会の実現に資するための改善、なおかつ持続可能な制度であることを求めております。知的・発達・精神障害の多くは、現在、家族との同居により生活を維持しています。生活の住まいの場を親亡き後という視点で考えた場合に、グループホームでの確保を期待しているわけですが、現実的には今、必要な数を確保し切る見通しは持ち切れない状況になっています。また、入所施設に関しても、計画的に数を減らしていく方向にありますし、入所施設そのものが高齢者を受け止める前提になっていないことも含め、今後、住まいの確保の支援体制を今後考えていくことが、非常に重要だろうと思っています。その際は地域再生と復興として、地域のつながりの再生・活性化に向かう視点で、施策をまとめていっていただければと思っております。

 ポイントとしては「公助」の拡充を基本としつつ、地域資源としての「共助」の活用も視野に入れて、対応を模索していただければと思います。また、人材不足、予算の制限といった厳しい現実の下、パイの拡大ではなく、貴重な資源をより効率的に必要な支援に関わる人に、重点的に投下するという意味で、専門性についても改めて深く掘り下げて、充実させていただければと思っております。

 それでは、設問の幾つかに触れていきたいと思います。常時介護を要する方については、「介護」という言葉そのものが見守り・声掛けを含んでいませんので、知的・精神・認知障害に対応する場合は、名称の変更そのものが必要ではないかと思っております。その上で常時介護を要する障害者として位置付ける場合には、行動障害のある人、反社会的行動を取る人、地域に移行した人など、区分などによらず、暮らしの見通しを自分一人では見通せない者と位置付けていただければと思います。

 この常時介護を要する人が、必要なときに必要な支援を受けられるようにするケアマネージメントの見立てを検討していただきたいと思います。支援区分や状態像だけで対象となるならないを線引きしないということを確認した上で、生活場面が細切れにならないように、隙間を埋める接着剤効果、以前の会議でも「シームレス」というのが出されておりましたが、その視点で効率の良いサービスを作っていく必要があると思います。ですから公的な関わりだけでなく、ボランタリーベースのサービスを生み出す視点の検討も必要だと思います。

 ただしパーソナルアシスタントなど、重度包括、行動援後、重度訪問介護といった様々な専門性が必要なサービスをきちんと位置付けた上で、そこから漏れる常時介護が必要な方を対象にした一定の時間枠を支給する形で、サービスの中身については一番融通性が高い重度訪問介護に倣って、自分の望むサービスを移動支援や身体介護、身上監護などに拘束されずに活用できるようにする視点が必要だと思います。ただ、財源の確保の視点から、 24 時間埋め尽くすような制度設計とはしないということで、必要な時間数の配分と、サービスを支給する行政が易きに流れるサービスとならないような、マネージメントの充実が必要だろうと思っております。

 次に、障害者の移動支援についてです。移動支援に関しては地域生活支援事業でそれぞれの自治体の特色を生かし、様々なサービスが生まれておりますので、それを維持することが重要だろうと思っております。特に知的の方たちの場合には、レジャーガイド的に余暇支援が位置付いています。ホームヘルプなどの個別さにこだわらずに、グループ支援などを充実させるところがありますので、それらを継続していただければと思います。また、介護給付における移動支援として、通院時の付添いがホームヘルプで認められております。その内容について、国のほうからの通知が出ていますが、十分把握できていない自治体が多いようですので、周知徹底をしていただければと思います。

 次に、障害者の就労支援についてです。就労移行・就労継続 A B ・生活介護それぞれの枠組みから、少しはみ出ている人がいることが気になっています。その意味では、まず就労移行を 2 段階に分けて、積極的な就労を図る群 ( 就労移行 I ) と、無期限に就労のニーズを受け止める群 ( 就労移行 II ) というように分類します。今、初めての福祉利用を就労継続 B から始めないという国の規制が、現場において大変混乱状況を来していますので、この改善策にもなるのではないかと思っております。そして就労継続 B に関しては、生活介護とグループホームの一元化のように一体化し、名称も改め、働くことに重きを置いたワークショップ型と、創作余暇活動に重きを置いたアクティビティ型に分けてはどうかと思っております。また、賃金補填についてはニートや引き籠もりなどの社会参加支援を求める対象者が 100 万~ 200 万人を超えているという現状の中では、検討する余地もないと思っております。

 次に、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方についてです。現行の支給プロセスの基本は、大きく変更する必要はないと考えております。ただしセルフプランが、本来の趣旨から逸脱しています。特に知的や児童の親御さんが、本人が望む望まないに関わらず、セルフプランに誘導されていくという実態があって、混乱が生じております。希望や暮らしの不安を把握するのであれば、計画相談として行うべきですし、初期の情報が欲しい場合には、自治体が区分認定や勘案事項などで把握した情報で済むはずですから、いたずらにサービス等利用計画に落とし込んで数字を確保していくことは、無用な対応だと思っております。

 更に課題となる検討事項として、今の支援区分と支援内容に整合性がない点が気になります。具体的には、行動障害のある方の支援が提供されることで日常の不穏な状態が収まったことを見て、今の判定では区分が低く出ると、支援が低く評価されるという危険性がありますので、この点について深く検討していただければと思います。また、障害者の意思決定、成年後見の利用促進については、意思決定支援は各地で意思決定支援の研究が行われておりますので、用語の定義や概念の整理、現在の実践の収集など、議論の前提条件を整備し、共通事項を作っていただければと思います。特に意思決定支援では、計画相談、個別支援計画、モニタリングで活用されるという見通しを持って、その位置付けの中でガイドラインが示されていく必要があると考えております。成年後見については、民法の改正も含む課題ですので、現在早急な改善策は見当たりませんが、中長期的な課題として取り上げていただければと思います。

 次に、意思疎通支援についてです。知的障害の人に分かりやすいように漢字にルビを打つ、片仮名や平仮名で表記するなどの工夫がありますが、かえって分かりにくい状況があります。当会でも研究事業として冊子を作っておりますが、文書の見やすさ、文字数、時刻の書替え、片仮名語の書替えなど、様々な工夫が必要ですので、是非ガイドラインを作っていただければと思います。

 最後に、高齢の障害者に対応する支援の在り方についてです。 65 歳以上の障害者が対応する枠組みとして介護保険がありますが、高齢化した障害者に対する支援のノウハウが乏しい障害福祉分野と、障害者に関する支援のお互いのスキルの向上が必要とされていますので、間に携わる相談支援専門員とケアマネージャーの調整を図っていただければと思います。また、親亡き後と位置付けている状況に関しては、追加資料の参考資料 11 ページに詳しく載っておりますので、そこを参考にしていただければと思います。グループホームや入所施設といった仕組み以外の、新しい多様な住まいの工夫を研究していただければと思っておりますし、当会としても提案してまいりたいと思います。

 

○駒村部会長

 第 1 グループの 4 団体から意見表明がありました。ただいまの意見について、委員の皆様から御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 

○原田参考人

 広島県障害者支援課自立支援担当監の原田でございます。全国盲ろう者協会からの意見について、質問をさせていただきます。盲ろう者向け通訳介助員派遣事業については、都道府県の立場としては 16 大都道府県の障害福祉主管課長会議において、これまで個別給付の対象としてくださいということを厚生労働省に要望しているところです。

 資料 4 2 枚目では、「現行の意思疎通支援事業の枠組みにおいても財政的には対応可能と思われる」という書きぶりですが、これは全国で 1,000 人程度の方が利用されているからと思います。広島県では約 25 名の方が盲ろう友の会という形で、会員がいらっしゃって使っていると思うのですが、これは県のほうも財政的な制約等があって、これぐらいの利用対象者になっているというところがあろうかと思います。財政的にも対応可能というのは、都道府県としても大変危惧しているところがありますので、制度設計に当たっては資格者、支援者をどのような形で制度設計するかという悩ましいところがあるのですが、こちらについては個別給付を検討していただければというのが、都道府県の考え方です。

 

○全国盲ろう者協会福島理事

 おっしゃるように、地域生活では全体の枠が決まっておりますし、様々な障害種別の皆さんのサービスの中で、盲ろう者は後から出てきたというか、後から発掘されたところがあります。そうすると、割り込む感じになってしまって、これまで様々に長く運動して制度を勝ち取ってこられた方々を削らないと、盲ろう者が入り込めない感じになってしまうのです。今おっしゃったのは広島県ですか。

 

○原田参考人

 広島県です。

 

○全国盲ろう者協会福島理事

 広島だったら比較的大きいと思いますが、通常の人口というだけではなく、盲ろう者の人口は非常に少なく、発見されていないような所だと、地域生活の部分で何とかできることもあるかもしれませんけれども、それでもやはり予算確保が難しいということになります。私どもは、本来的には全ての盲ろう者一人ひとりの支援が個別給付になるほうが、将来的には理想だと思っているのです。ただ現実問題を考えたときに、ある県の盲ろう者の把握が 3 人とか 4 人しかいないという状況では、事業者が個別給付で盲ろう者のことをやっていくことが、現在の制度設計上は現実的ではないだろうと思うのです。

 将来的には個別給付に移行するほうが有り難いですし、盲ろう者ももっと発掘していきたいのですが、そういうこともあって、当面は地域生活でセーフティーネットを張りつつ、可能な所、具体的には東京や大阪は既に 100 人ぐらいの盲ろう者が把握されていて、どうにか事業所もやっていけるかなというレベルだと思いますので、何人以上だったらできるかとか、その辺ははっきり分かりませんが、できる所はなるべく個別給付を試みると。

 もう 1 つ、レジュメには書いてありますが、かなり障害の軽い盲ろう者と非常に重い人がいます。やはり重い人の場合は常時介護が必要なケースが多いわけですが、軽い人の場合は単独で移動できる人もいます。その場合は必要な部分だけを、地域生活の事業の中で手当てしていただくこともできるかなと。そういうことで地域生活を基本にしつつ、個別給付に移行することで結果的には財政的にも、自治体の負担が軽くなる可能性もあります。更に将来的には全体的に個別給付に移行するための、いわば呼び水と言いますか。いきなりはできないので、試行的な取組ですね。全国一律ではなく、可能な所からやっていく。それが大事かなと。

 あと、支援者のことをおっしゃいましたか。私たちは支援者というか、通訳介助者の養成も重要だろうとは思っているのですが、今のところ一応 5,000 人程度、全国で登録されていますので、このほど標準養成カリキュラムというのを作りました。 84 時間ほど研修を受けていただいたり、現任研修などもしながらレベルアップを図っていく。それにしても謝金の額なども含めて、一定程度の身分保障がないと、支援者もなかなか定着しませんので、そういったことも含めて個別給付への移行、支援者の養成やレベルアップ、そして盲ろう者自身の発掘・発見といったことを、総合的に進めていければいいかなと思っております。

 

○河崎委員

 日精協の河崎です。全国手をつなぐ育成会連合会の今のお話に、少しお聞きしたいと思っております。 1 番目の「常時介護を要する障害者等に対する支援について」で、「介護」という言葉は検討が必要だろうという御指摘でした。精神の関係で見ておりましても、正しく私たちもそのように感じているところです。ここに書かれていますように見守りや声掛けということが、精神障害の皆さん方にとっても極めて重要な関わりの要素になるだろうと思っております。具体的にはどういう名称あるいは表現がよろしいとお考えなのか、もし何か具体的な御提案があればお教え願いたいと思います。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 まだ適切な表現を見いだし切れていないのですけれども、行動援護が制度化されるときに「見守り・声掛け」という言葉から始めて、事業に向けての言葉の整理をしていったのですが、やはり「見守り・声掛け」では、支援の強さというか度合が薄まった表現になるということで採用されなかったのです。結果としては「行動援護」という言葉にたどり着いたのです。「行動援護」という言葉が 1 つのきっかけにはなるかと思いますけれども、介護ではない援護で見守り・声掛けも含むという辺りを、余り重々しくない言葉で拾えるといいなと思っています。ただ、今のところは適切なキーワードにはたどり着けていないという状況です。一緒に考えていただければと思います。

 

○河崎委員

 今日は、事務局にお伺いするようなことはよろしいのでしょうか。

 

○駒村部会長

 はい、結構です。

 

○河崎委員

 常時介護を要する障害者等に対する支援について、どう考えるかという論点の整理の所で、「どのような人が常時介護を要する障害者であると考えられるか」、あるいは「常時介護を要する障害者のニーズのうち、現行のサービスでは何が不足しており、どのような対応すべきか」ということが具体的に出ているわけです。平成 26 年度に、この内容についての調査等が行われたと聞いているのですけれども、この辺りは何か具体的なことがあるのでしょうか。

 先ほどの表現をお借りしますと、いわゆる精神障害者の長期在院の方たちの地域移行を考えていく際に、やはり現状では地域で生活されている精神障害の皆さん方と比べて、生活障害などの部分で常時援助や見守り等が必要な人たちがいらっしゃる、という実態だろうと思っております。どのような状態でどういうサービスが地域へ移行した際に必要なのかというデータ的なことを、しっかりと具体化しながら議論をしないといけないのではないかと常日頃思っておりますので、この辺りで何か調査的なことが行われているのかどうかということも含めてお聞きしたいと思います。

 

○駒村部会長

 事務局からお願いします。

 

○田中障害福祉課長

 常時介護を要する障害のある方のタイムスタディーというものを、研究事業の中でやっていて、個別の論点を議論させていただく際に、可能なものをデータや状況などとしてお示しさせていただきたいと思います。

 

○河崎委員

 よろしくお願いいたします。

 

○橘委員

 日本知的障害福祉協会です。「常時介護」という言葉は、身体への直接的な介助という印象が強いことから、「常時介護」という名称を「常時支援」という名称にしたほうがよいと思います。また、「生活介護」も社会生活全般の支援を行っておりまして、創作活動もありますし、余暇活動もあります、いろいろな形態で各事業をやっているので、「生活介護」を「社会生活支援」に置き換えたほうが柔軟な対応ができるのではないかと捉えております。また、 6 2 日のヒアリングの際に本会の政策委員からも意見を述べさせていただきます。

 

○阿由葉委員

 全国手をつなぐ育成会連合会にお聞きします。就労支援の所で、就労移行や就労継続 A B ・生活介護といった既存のサービスの枠組みからはみ出している人たちがいるというお話でした。具体的にどのような方たちなのかを教えていただきたいと思います。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 実態を本格的に調査したわけではないので、データとしては提示できないのですが、いろいろ聞き及ぶところでは、まず就労移行に関しては、直接 B から始められないということで、卒業に当たって夏休みなどを使って、就労移行の事業所に 2 3 日通って、就労移行を経験したというように位置付ける実態があったのです。就労移行に関しては、就労継続 B の事業所から就労移行する段取りもありますので、直接 B に行かないということでの歯止めが、就労継続 B に抱え込まれないようにしていくということでの視点が強い。逆に言えば、チャンスを失わないようなきっかけづくりが必要だと位置付けた場合に、夏休みの数日間だけ関わる就労移行では、余り功を奏しないと思っています。ですから就労移行に関しては、 B との関連付けをより強化して整理したほうがいいのではないかという考え方を持ちました。

 生活介護と就労継続 B に関しても、働くということにものすごく強い意向があって、程度区分が 4 5 の方も就労継続 B を利用しているという実態も聞き及んでいます。そういったことでの不整合が生じないような工夫として、提案の内容を思い付いたという経緯になっています。

 

○阿由葉委員

 具体的に既存の枠組みで、その枠組みの中に入れない方たちがおられるということでしたので、どういった方たちが該当するのかと思いお聞きしました。各事業のサービスの実態についての問題意識ということで理解しました。

 

○橘委員

 もう 1 つ言い忘れていました。手話通訳の人材養成は、私はとても大切なことだと思っています。私も少しだけ手話ができるのですが、とても難しいです。この年齢になると難しくなりますが、若い人だとすごく覚えもよいと思いますので、資料にも「高等教育機関等での手話通訳士養成が行えるようにする」と書いてありますが、高等学校などのそれぞれの学校単位で実施することが必要ではないでしょうか。これは文部科学省辺りにお願いするのがよいのでしょうか。これは是非、推進していくべきではないかと思いながら聞いておりました。

 

○駒村部会長

 それは御質問と言うよりは。

 

○橘委員

 そういうアタックをされているのかということを聞きたいのです。

 

○駒村部会長

 それでは松本理事のほうからお願いします。

 

○全日本ろうあ連盟松本理事

 松本です。手話通訳について将来的なことを考えますと、高等教育機関も必要です。聴覚障害者のことを理解していくという、まずベースのカリキュラムが必要になりますし、その後に専門的な部分に入る。例えば、入門講座的なものもそうでしょう。学校の単位の中にそこをきちんと入れ込んでいくという。これは文科省に働き掛けをしなければいけない部分です。

 

○広田委員

 おはようございます。広田です。非常に初歩的な質問です。自立支援法が総合支援法になって、総合推進法に来ているのですね。自立支援法の与党側の参考人で、内閣府の総合福祉部会の委員をさせていただいてここにいる。昨日も私は横須賀に行ってきました。今の日本、風雲急を告げる国会なので、米軍基地と自衛隊は大丈夫かしらと思ったら、しーんと静まっていて穏やかでした。米軍基地の前に神奈川県警の若者たちが警備をしていたから、激励して帰って来た。

 そういう風雲急を告げる、日々刻々と社会情勢が変わってきている中で、今回 3 年後の見直し皆さんが、今あるものに、こういう所が足りない、こんな提言という形の視点なのか、それとも全体を見渡してそぎ取って、という形のどちら側だったのでしょうか。新たなるプラスなのか、きちんと全体を点検して、ここは削れる、ここはこうして欲しいという総合的な提言なのでしょうか。それを各団体から教えていただきたいと思います。

 

○駒村部会長

 では、全団体ということですね。

 もし御準備があれば、松本理事のほうからお答えいただきます。

 

○全日本ろうあ連盟松本理事

 少しお時間をいただけますか。

 

○駒村部会長

 では、もしあれば新谷理事長からお願いします。

 

○全日本難聴者・中途失聴者団体連合会新谷理事長

 私どもの今の大きな関心事は、総合支援法の中の財源問題でいろいろ議論をするというのが、 1 つの大きな論点としてあるのです。来年 4 月から差別解消法が始まりますね。そのときに福祉サービスではなく、障害者支援で事業者が担う範囲というのが、これから非常に大きくなってきます。国の財源の負担部分、事業者の負担部分、個人の負担部分をどういうバランスで、これからの共生社会でイメージしていくのかというのが、大きな関心事になるのです。合理的配慮の社会への普及というのは、やはり事業者が障害をどう理解するかに関わる部分が非常に大きいので、来年 4 月から私どもは、いろいろな場面で社会の皆さんの理解を求めることが非常に大切だと理解しております。

 

○広田委員

 私の質問は、今回の皆さんの提言は、全体を見渡してそぎ取る所をそぎ取って、足りない所を足しているかという話を伺っているのです。お金は国も、県も、市もない、厳しい時代です。そういう視点で回答をお願いします。

 

○駒村部会長

 広田さん、なかなか厳しい質問で。

 

○広田委員

 厳しいのよ。国民国民の視点は。どこだって、その辺で。電車の中で。

 

○駒村部会長

 福島理事のほうで、もしお話がありましたらどうぞ。

 

○全国盲ろう者協会福島理事

 私たちは全体的に見た上で、現実的な要望を考えました。本当はもっとドラスティックな、非常に抜本的な、全体を変えるような要望ができれば一番いいのですが、おっしゃるように現実的に予算的な制約もあるので、今ある制度をなるべくうまく利用していくということを考えています。ですから全く新しい予算を付けてほしいということではないのです。ただし、例えば個別給付の重度訪問介護に移った場合、これまで盲ろう者は対象になっていなかったのです。先ほど申し上げたようなたくさんのコミュニケーションの種類があるので、相当特殊な能力がないと支援ができないから、その辺りできちんと人が集まるような、盲ろう者には加算したり、コミュニケーションの部分については配慮してほしいと思っています。しかし、それは運用面でのことで、制度の根っこの部分を変えていただきたいということではないということです。

 

○広田委員

 要するに福島委員、削るという視点を含めて全体的な見直しはしてない、ここには出てないということですよね。

 

○全国盲ろう者協会福島理事

 マイナスがないということ。

 

○広田委員

 単純に答えていただければ。

 

○全国盲ろう者協会福島理事

 単純に言うと、特別にここを削ってここを増やすという意味での、削る所はないですよね。あると言えば、先ほど広島の方もおっしゃっていたように、地域生活支援の事業から個別給付に移ることで、少し自治体の負担が軽くなるということはあるだろうと思います。それから障害者本人が、場合によっては自己負担が発生しますので、その点では公的な財政の負担が、若干軽くなるという側面も少しはあります。そういう感じかな。

 

○広田委員

 福島理事は友達みたいなものだから。各団体から。

 

○駒村部会長

 田中総括からも今の点を。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 私たちの会としては、資料 5 の「はじめに」の文章に書かせていただいたように、基本的にはパイの拡大は難しいという前提を持ちつつ進めていかなければいけないと思っています。特に住まいの確保です。家族同居から移り先を求める知的障害の御本人の皆さんがいらっしゃいますので、住まいの確保における規制の緩和をしていただいて、住まいを確保しやすい状況をつくらないと、義務的経費の中でのグループホームや施設入所などをどんどん需要に応えていくと、伸びざるを得ない現実があると思っています。

 

○広田委員

 もちろん、住まいは大事です。私が聞いているのは、全体を見直してそぎ取る所はそぎ取っていますか。国民の関心はそこです。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 そぎ取る所をつくることは必要だと思いますけれども、特に今回、ここはそぎ取れというように書いての要望はしていません。

 

○広田委員

 見直さなかったということですか。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 いやいや、見通しとして、まず大きな前提としての住まいの確保をしていくということにおいての視点を持ちましたので、そぎ取るということから入って整理はしていないということです。

 以上です。

 

○駒村部会長

 もし御準備ができていましたら、松本理事のほうからよろしくお願いいたします。

 

○全日本ろうあ連盟松本理事

 全日本ろうあ連盟の松本です。全体的な予算はやはり増やしていただきたいと思っています。ただ、現実的には難しい、厳しいということは一定の理解をしています。では、どこを減らすかということについては、まだ十分な議論はしておりません。どうしてもマイナス、引くことができない部分の予算については、例えばコミュニケーションが必要だけれども、予算がありません、通訳を依頼するお金もないといった場合に、これを諦める必要はないわけです。どうしても必要なものです。 と言いますのは、コミュニケーションというのは双方向性を担保しなければいけないものです。 1 1 、あるいは不特定多数の人も含めて、やはりコミュニケーション保障は必要です。また、何かをマイナスにしてという考えではなくて、コミュニケーションは双方向性なので、国民にとって必要なことです。

 

○駒村部会長

 よろしいですね。

 

○広田委員

 質問があります。育成会の何とおっしゃった。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 田中です。

 

○広田委員

 前回も発言していますが、内閣府の総合福祉部会のとき「相談支援、相談支援」と騒ぐから、結局それが通っていった。それで育成会からでていた大久保さんに聞いたのですよ。住宅もほっぽらかして全て相談支援でやっていたから、「そんなに相談支援がなければ駄目ですか」と言ったら、大久保さんが「いや、世の中がみんな広田さんのような人だったら相談支援は要らないんです」と。相談支援についての田中さんとしての個人的見解でも結構です。いかがですか。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 今の仕組みで、暮らしの見通しを自分一人では立て切れない人については、相談支援が不可欠だと思っています。

 

○広田委員

 国民から聞かれたときに、住宅と相談支援のどちらが大事ですか。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 それが二者択一にはならないと思いますので選びません。以上です。

 

○駒村部会長

 広田さんの切り口というのは大変重要な切り口で、私たちも議論しなければいけない話だと思います。

 では、最後に野沢委員からお願いします。

 

○野沢委員

 野沢です。これは質問ではないのですが、多分これからもいろいろ出てくるので確認したいと思います。常時介護とかパーソナルアシスタンスというのは、今回の大きな焦点だと思います。それぞれがいろいろなイメージで語られているので、確認をしておきたいのです。いわゆるパーソナルアシスタンスというのは、まずマン・ツー・マンの支援であること、長時間の支援であること、利用場面に制限がなく、必要だと思われる場面に使えること、利用者、障害者側がコントロールというか、雇うということ。これらを要件とした場合に、育成会の意見としては時期尚早だということですよね。ただし、その中でマン・ツー・マンで、利用の場面に制限がないということについては進めていこうと、そういう理解でよろしいのですよね。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 はい、そのようにポイントで関われるような対応を、融通さを持ってお願いしたいと考えています。

 

○野沢委員

 私は本当に思うのです。これはとても大事な視点だと思っています。この 10 年ぐらい、予算も増えてサービスの種類も増えてきたし、量も増えてきた。しかしどれだけ増えていっても、やはり用意されたサービスの中から選んでいくものですよね。ところが自分たちで好きな、必要と思える所を自分の生活をデザインして、新しいサービスを自分のオーダーメイドで作っていくという、もう 1 つ先の福祉というか支援を見いだすためには、予算の制限やいろいろな意思決定能力の問題などもある中で、もう少しここを踏み出したいと思っているのです。ですからこの辺りを、もうちょっといろいろ議論していきたいと思っています。

 

○全国手をつなぐ育成会連合会田中総括

 お願いします。

 

○駒村部会長

 もう少し議論したいところもあるのですが、時間がきていますので、次のグループに移りたいと思います。最初のグループの 4 団体の皆様、ありがとうございました。次のグループの着席をお願いしたいと思います。

 

○川又企画課長

 事務局ですが、交代された北岡委員が遅れて到着していますので、御紹介させていただきます。

 

○駒村部会長

 御準備はよろしいでしょうか。それでは、引き続きヒアリングを続けたいと思います。まず、公益社団法人日本看護協会からお願いいたします。

 

○日本看護協会中板常任理事

 日本看護協会の中板と申します。お時間を頂きありがとうございます。私からは、論点を挙げていただいているうち 4 点について看護という立場から意見を述べさせていただきます。

 まず、 1 点目は論点 IV 、障害支援区分の認定についてです。難病の患者の認定調査には、保健師あるいは看護師などの医学的知識を持った専門職が不可欠であるということを述べさせていただきたいと思います。難病は治療に複数の選択肢が存在するようになりまして、最終的な治療方針の決定についても患者自身が関与するという機会が広がっております。

 いわゆる、 QOL を重視する方向性は他の障害と何ら変わりありません。一方、進行性の病であり進行速度もそれに伴う心身の不具合も多岐にわたっております。疾患を理解し、その現状と今後の予測を踏まえた上で主治医と確認し、さらに患者さんとの対話を通じながら生活の背景を踏まえた認定を行っていく必要があり、そのためには医療専門職の関与が不可欠であると考えております。

 また、論点 I の常時介護を要する障害者支援についてです。こちらについては、介護保険等の療養通所介護事業小規模多機能型の通所介護事業等がありますが、平成 27 年度障害福祉サービス等の報酬改定におきまして、これらに加えて基準該当サービスとなりました看護小規模多機能型居宅介護事業を推進していただきたいと思っております。これまでの療養通所介護事業等におかれましては、医療依存度が高い重心の障害児、難病の患者等、緊急時対応などの不十分さから利用が困難という声も聞かれております。

 また、療養通所介護事業については全国で 90 と、まだ少ない状況です。看護小規模多機能型居宅介護事業については訪問看護がセットとなっており、急変時、救急時の医療的対応も可能です。家族の負担軽減、レスパイトケアなどについても充実してきており、平成 27 2 月現在においては 183 か所が整備されております。医療依存度の高い難病、あるいは重症心身障害児において家族の負担軽減についても安心できるサービスとなっておりますので、こちらについての人材育成、財政措置も踏まえた上での環境整備が必要と考えております。
 2 点目は、 2 ページの切れ目のない支援です。論点 III の就労支援です。こちらも難病の患者においての就労支援について述べたいと思います。社会参加又は就労するということは生きる意欲にもつながっています。医療の発達に伴って難病の進行を遅らせ、生命予後も長くなってきています。そういう現状も踏まえた上で、難病の認定を受けても就労しながら生活をすることが可能になってきており、その際にも進行する病であるということを鑑みますと主治医、当時者、就労先との連携は大変不可欠になります。

 がん等においても治療と仕事の両立が進んでおります。同様に難病の患者本人の意思や病状含めた上で医師、事業所をコーディネートしながら就労支援につながっていく仕組みが必要で、こちらにおいてもコーディネーターの設置を要望したいと思っております。

 論点 VI です。意思疎通支援事業についての日頃からの充実強化が必要だと考えております。先ほどヒアリングでお話がありましたが、私からは平時と有事の切れ目ない体制作りが必要だということを述べたいと思います。障害者においては障害児に起きている状況がつかみにくく、情報を確保する方法すらないという状況に陥りやすくなりました。

 特に視覚障害者、聴覚障害者におきましては例に漏れずです。これまでの手話通訳の派遣等、要請についてももちろんですが、情報のアクセスにおいて健常者と障害者において災害時に不平等を招かない工夫が何より必要で、そのためには通訳の派遣はもちろんのこと、小規模の自治体におきましても通信機器を設置し、災害時に麻痺しがちな情報のアクセスを担保することが必要ではないかと考えております。

 日頃からの手話通訳等とのネットワーク構築ももちろん、視覚的な情報伝達方法の獲得、情報伝達のための機器に触れるということが有事のときのスムーズな情報伝達につながるのではないかと思いますので、こちらにおいても充実、強化をお願いしたいと思っております。以上です。ありがとうございます。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。続いて、公益社団法人日本精神科病院協会からお願いいたします。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 日本精神科病院協会の常務理事の千葉でございます。私からは、精神科医療サービスを提供する側からということで、幾らかの現状からの意見を申させていただきたいと思います。主に VII の領域、精神障害者に対する支援の在り方についての部分と、 IV の障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方についての部分です。 VII については私から、 IV については江原からお話を申し上げます。資料を斜め読みしながら見ていただければと思います。

 現在の精神科の長期入院者の是正のために、すぐにでも取り組みたい事項という対策に、まず、取り付きたい 2 つの問題があります。 1 つは、精神科病院の中に長期入院者の中で精神症状の小康が保たれていて、そして介護状態、要介護の認定が出る方々が多く存在しております。ただ、この方々は精神疾患を有しているために一般的な介護サービスの提供施設から敬遠され拒絶されております。このため通常の介護サービスを受けることができずやむを得ず精神科病院に長期入院になっているという現実があります。

 介護サービス提供側の受入拒否の理由の主なものは、精神疾患を有するものに対する対応能力が未熟であるということによるものもあります。また、もう 1 つは、昨今の精神科の薬剤の進歩によって薬剤そのものが高額になっていることから、包括性を取っている介護サービスの施設等においては、自分たちの持ち出しが多くなってしまうということから、それらに対して受入れを拒絶されているという状態があります。まずは、介護サービス施設等の受入側の条件整備をしていただき、精神科病院の長期入院者を、そちらのほうに移行させていくということで病院から地域へ移行していっていただきたいと思います。

 また、もう 1 つは、福祉的な対象者の方々です。生活障害をお持ちで精神症状の小康が得られている方々についてです。その方々について、地域移行を進めるために重要な方法として 3 つあります。 1 つは、精神科病院側で必要とされる問題。それから、それらを地域で支えるための地域事業者側での必要とされる取組。また、それらをつなぐリンクする場所、リンクする組織という問題です。

 まず、地域移行を進めるために病院側として何が足らないのかといいますと、地域での支援についての知識の理解が不十分である。それから、障害の程度や内容についての科学的な分析がきちんと行われない。また、それに基づいて積極的な焦点化された個別のオーダーメイドな治療が行われる体制になっていない。また、地域での地域精神医療に対しての積極的な支援が行われていない。また、入院外治療ということに対しての進化がなされていないという問題があります。

 一方で、地域移行をするために地域支援側での問題といいますのは、精神疾患についての知識が希薄であるということです。このために病状の変化を察知することができない、あるいは病状の対応の技能が低い、疾患管理の技能を有していないという問題が起こっております。また、どこに相談するか分からないという、気軽に相談する場がない、医療との連携体制が構築されていない、医療専門職を配置する構造や財源がないということが起こっております。

 双方での技能を高め合うということが、今最も必要とされており、また、そこをうまくリンクさせていくという仕組みが必要になっております。このために精神科病院の窓口として地域連携室というようなものをどの病院にも設置して、それを積極的に進めていくインターフェースの役割をするものが必要なのではないかと考えており、それを進める必要があると思っております。

 また、地域移行を行うために一番大切なのは住居の問題です。残念ながら昨今、消防法改正が非常にこの整備を進める足止めになっております。消防法等の様々な問題も分かるわけですが、精神障害者の方々にとっては、一般の住宅と同様な形のシェアハウスという形のグループホームでありたいと思いますが、これが消防法のために非常に大きな改築を余議なくされてしまって、なかなか予算が取れなくなっています。これは、どこがどのように整備していけばいいのかという具体的な方策が今望まれているところにあると思います。

 次の視点は、精神障害者の特徴に応じた地域生活支援の在り方についてどのように考えるかという問題です。これについては、従来より日本精神科病院協会では、多機能型地域支援センターを創設してくださいということを提案しております。

 精神の障害は、御存じのように他の 2 障害と異った特徴を有しております。それらの異った特徴に対して、しっかりとしたバックアップをする体制が地域の生活者を支えていくことになるだろうと思います。いわば、モデル事業で行われていたような安心センターというものをしっかりと置き、地域の中の様々な事業者のバックアップをしていくということで、余り専門性の高くない地域の事業者の方々に様々な支援の提供ができるということがあります。

 最後のほうに多機能型地域支援センターの役割、機能ということを載せております。

また、視点 3 、障害者総合支援法における意思決定支援と精神保健福祉法附則第 8 条に規定する精神科病院に係る入院中の処遇、退院に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方との関係をどう整理するかという視点についてです。

 そこにありますように、障害者総合支援法における意思決定支援と精神保健福祉法附則第 8 条とは関連性はあるものの、精神保健福祉法においても改正後 3 年後の見直しが規定されております。精神保健福祉法附則第 8 条については、障害者総合支援法の見直しの中で論ずる問題ではないと思っているところです。

続いて、障害支援区分のお話をいたします。

 

○日本精神科病院協会江原地域移行推進委員会委員長

 江原です。障害支援区分の、今回出されました審査判定の実績を見てみますと、全体的には一次判定の結果の変化率は、障害程度区分に比べると少なくなっております。しかしながら、精神障害が 15.3 、知的障害が 12.1 で身体障害が 7.5 と比べますと非常にまだまだ高いです。また、そこに二次判定の結果の図がありますが、身体障害、知的障害では区分 6 が最も多いのに比べまして、精神障害では区分 2 3 で約 75 %を占めております。

 この傾向は、以前の障害程度区分でも同じでありました。もともと障害支援区分を作るのに当たりましては、障害程度区分のデータを基に作られたものであったと思います。つまり、もともと障害程度区分 2 3 が多いところから求められたものであり、新たな障害支援区分では、精神障害は低区分に寄り過ぎているのではないかと考えられます。

 その結果、精神障害者の障害福祉サービスの利用状況を見てみますと、住まいの場としてのグループホームと就労系のサービスを利用している人が多いといえます。訓練等給付の利用が多く、訪問系のサービスである介護給付の利用が少ないことが示されております。しかし、昨年行いましたニーズ調査では、退院後に最も利用したいサービスは訪問系のサービスでありました。障害支援区分の高い入院患者さんが退院可能になるためには、通所に利用を前提としない訪問による訓練などのサービス、医療と障害福祉に加え介護との連携が強いサービスが必要ではないかと考えます。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。ただいまの 2 つの団体の御意見について御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。最初に伊藤さん、その次に小澤さん、それから石野さんと回っていきます。では、伊藤さんお願いいたします。

 

○伊藤委員

 初めに看護協会さんにお伺いしたいと思います。難病の認定等について着目していただきまして大変ありがとうございます。日本難病疾病団体という協議会の伊藤といいます。論点 IV の区分、支給プロセスの在り方といいますか認定の問題は、実は大変、我々にとっては大きな関門になっているわけですが、その中で医学的な知識を持った専門職が関わるということについて、この認定マニュアルにも書いてあるのですが、これがなかなか進みそうもないという背景には、従来の福祉と医療、看護との間の意思疎通という連携が十分ではないということのほかに、看護職の方が非常に少ないというニーズを満たせないのではないかという少なさがあると思うのです。論点 III についても同じですが、コーディネーターに専門職の方々が入っていただくのは、大変我々も望ましいことだと思っているのですが、どういうところから、こういう部分に関わる方々の人数を振り向けていったらいいのか何かお考えがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。

 

○駒村部会長

 質問者が多いので、回答の方も質問の方もなるべく簡潔にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 

○日本看護協会中板常任理事

 御質問ありがとうございます。まず、障害支援区分の認定に関して、調査者として保健師や看護師など医学的な知識を持った専門職が必要であるという点については、述べたとおりでございます。これにつきましては、障害者総合支援法における障害支援区分 難病患者等に対する認定マニュアルにも記載されております。それから、保健所等の方向性の中でもそのように言われておりますが、その人材を確保していくことや全国的に公平な枠組みをしっかりと構築するには、何分その位置付けを明確にするということが求められています。要するに、マニュアルや規定の中に調査員として保健師や看護師の医学的知識をもった専門職が必須であると記載されることは重要であり、望ましいというレベルでは弱いと考えます。

 障害者の就労支援にかんするコーディネーターについては、産業の領域に保健師が活動しております。がん患者さんへの就労支援については、産業領域にいる保健師、看護師等が事業所はもちろんのこと、医療機関とも連携を取りながら切れ目のない支援が必要だと考えております。こちらについても要望書を出させていただきながら進めておりますので、難病の患者さんにおいても同様に進んでいくといいと考えております。

 

○駒村部会長

 小澤委員、お願いいたします。

 

○小澤委員

 私は、日本精神病院協会さんにお聞きしたいのですが、 3 点ほど結構、重要な提案がなされていると思って見ていました。 1 点は、地域連携室を設置すべきであると、それから多機能型地域生活支援センターの設置、さらに医療強化型グループホーム。提案に際して例えば財源とか予算をどう考えるかというのは、検討されたのかどうかです。 2 つ目は、これらの取組というのは、例えば第 4 期障害福祉計画でしょうか、地域支援拠点の整備とか、その他、関連施策が結構あるので、それとの整理は何かされていたのかどうかというところです。

 医療強化型グループホームというのは、結論を言うと現行のグループホーム制度に対するある種の上乗せみたいな議論なのか、それとも新規に考えることなのか、この辺りを教えていただけたらと思います。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 率直に言って財源論のことは全く考えておりません。ただ、頭を出さなければ財源も来ないと思っておりますので、大きな声を出させていただき必要なものは必要と言わせていただきたいと思っております。精神障害については、これまでほぼ障害の財源を使ってきたことはありません。ほぼ精神障害の地域移行及び地域の整備については、精神医療を行っている病院等が母体となってそれらを整備してまいりました。そろそろ国にもきちんと出していただきたいと思っているところです。

 多機能型の支援センターは、もちろんお話のごとく御指摘のとおり拠点事業をベースに頭に置いて、それらを参考にしながら、ただ、精神にとって適切なことは何かということを取り上げております。現在は宿泊型の自立訓練施設の中に様々な事業を入れていただいております。従来は、精神保健福祉法の時代に行われていた援護寮、生活支援センターが母体となっておりまして、それらは専門職がたくさん配置されていて、これらの役割を果たしていたものです。これが新法移行ということで自立支援法で、こちら側に移行した際に見事に消されてしまったというわけでして、これらについての復活というのが願いの 1 つです。

 医療強化型のグループホームについては、現在のグループホームにオンする形が一番、手っ取り早いといいますか、早く実現させていただけるのではないかと思っています。必要な理由は、そこにありますように精神の障害者に対する精神疾患の管理という意味で非常にベースとなる部分の管理をきちんとできるということが、かなり病状の安定をもたらすと同時に、やや症状の残っている方々も退院して地域で生活をすることを支えることが、できるのではないかということが発想の原点です。以上です。

 

○駒村部会長

 石野委員、お願いいたします。

 

○石野委員

 石野でございます。看護協会の方に質問させていただきたいのですが、論点 VI の意思疎通支援に関する記述の部分です。 4 年前、東日本大震災が発生しました。多くの方々が犠牲になりました。特に障害者の死亡率は、一般の方と比べると 2 倍以上と聞いております。特に視覚障害者や聴覚障害者の方の死亡率もさらに 2 倍という形になっており、非常に過酷な状況にありました。

 看護協会といたしましては、当時者団体ではないという部分で質問をするのもおかしいかも分かりませんが、今まで議論した経過、背景などを御教授いただければと思います。以上です。

 

○日本看護協会中板常任理事

 議論した経過が非常に熟しているとは言い難いわけなのですが、日本看護協会といたしましては、災害支援ナースを 3,000 人ほど派遣しております。その際に視覚障害者等との接触が実際にあったかということについては、かなり少なかったと聞いております。要するに、そこまで視野が広がっていなかったということだと思って反省しております。

 それに伴いまして、行政、それから災害支援をするナース等にこれからの養成に向けての教育の中に、障害者への配慮を加えていきたいと思っていることと、コミュニケーションを取るに当たって手話通訳の派遣、これはかなえばもちろんなのですが、なかなか特に小規模自治体においては、そのリストも持たないという状況の中で、そのリストを作っていただくことが、まず重要であるということと、それから機器の利用によってコミュニケーションが可能であれば、その機器を設置するということも、これは災害時のときに使えばいいという話ではなくて、日頃から使うことによって有事のときにも、それが応用可能になるのではないかというそういう議論をしてきたところで、今日はその話をさせていただきました。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。広田委員、お願いいたします。

 

○広田委員

 日精協さん。この間も野沢さんに招かれて東大でお話をしたのですが、日本の精神科病院に入院している患者の多く、社会的入院ここは長期入院と書いてあるけど、かつて社会を守るために社会防衛のために入院させられた仲間もいる。これは国の責任で、ずっと私は「国に謝罪してほしい」と言っています。厚生労働省のキャリアでさえ、ただ「日精協が悪い」という話に乗ってしまい国の責任をあっちへほっぽって、“精神障害者をのばなしにするな”とあおったマスコミのこともみんな忘れてしまっている。私は精神医療での医療ミスによる後遺障害のため薬を服薬していますが、離れていても、彼がいたり、お花を植えたり、幸せな生活をしていますが、社会的入院の仲間のことを思えば本当に涙が出る思いです。

 住宅施策は、さっきの知的障害者と同じように最優先課題だと思いますが、 1 戸当たり 3,000 万として 5,000 戸という根拠は何ですか。ここにこの財源はどうするのですかと赤く出ているので、これは誰に聞いているのですか。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 私が書いたので私がお答えを申し上げます。端的に申し上げまして、 4 人が住むキッチン付きの 4 部屋の 1 軒家を建てるという場合に、その土地とその建物の建築費を日精協の全国の各病院の先生方に、お宅のまわりはどれぐらいでしょうか?と聞いて大体の平均値を出させていただきました。今、少々、建築単価は上がっているかもしれませんが、新築すればそのぐらいは掛かるということになります。時間がないので簡略に述べますが、今までは結構、住宅をそのまま譲り受けたり借りたりして、そこをグループホームとして利用させていただいておりました。

 しかし、特に高齢者の方々のグループホーム等で火災事故が起こり、大きく犠牲者が出たりしたことを受けて消防法がどんどん変わっていき、そういう建物を使うことがほぼできなくなりました。よって、そこを改築すると建てるよりもお金が掛かるという状態が今、うまれています。日本では空き家がいっぱい出てきているのだから、それを利用すればいいのではないかと言われた方々がおられますが、実際にはそのようなことは不可能な時代になっておりまして、お金がたくさん掛かるということになっています。どのように、このお金を捻出していくのだろうかということが一番心配です。

 

○広田委員
 5,000 戸という数の根拠です。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 ですから、 2 万人を、 2 万人が地域移行。

 

○広田委員
 2 万人の根拠です。私は 20 万人の社会的入院と思っています。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 そこのところは、今いろいろな研究班が立っておりますので、そこの図の中に入れさせていただきましたように重度で大変症状の重い方々、介護は、これからもっとしっかりした治療を続けざるを得ないだろうという方々、身体合併症の方々がおります。それと、介護状態になっている方々は介護のサービスヘ行っていただきます。その残った方々の中で程度の軽い方々を大体 2 万人と、病院協会の調査で見込んでいるということです。

 

○広田委員

 軽い人は、グループホームに入らなくても、先生方、患者の可能性を信じて。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 ありがとうございます。その 2 万人はちゃんと自宅に行かれる方が 2 万人を含めて、一人暮らしをされる方を含めてその半分の方々がという意味ですので。

 

○広田委員

 多機能型地域支援センター、こんなてんこ盛りに、地域住民と何を調整するか知らないけど、本人不在の業界体質で。これは国民に出る資料なのだから、分かりやすく簡潔に。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 ありがとうございます。御意見いただきました。

 

○駒村部会長

 原田参考人の後に伊豫委員にお願いしますので、先にお願いいたします。時間もあれなので簡潔にお願いいたします。

 

○原田参考人

 障害者の方々の施設とか病院から地域移行を考える際には、国民が負担する社会保障費全体がどのようになるかということについて、考えなければいけないと思っています。せっかくの機会ですので御質問させていただきますと、長期入院された方々が地域移行をされる際には、市町村で考えましたら、例えば公営住宅を用意して、さらに世帯分離して、生活保護を措置するとかそういう議論もあるわけです。そうしますと、長期入院によって掛かっている精神障害の医療費と、それ以外に経費が掛かることについてのトータルコストを考えてどうなのかと、厚生労働省としても制度設計をしていかないと、なかなか行政のインセンティブは働かないのではないかと思っています。
 2 点目です。精神障害者の方々の地域移行を進める際に市町村の役割は、どのようなところがあるかということです。平成 27 年度、国の新規事業も創設されているわけですが、例えば市町村、国保の保険料が高い市町があるのですが、これについては高齢化が進んでおり高いところがあるのですが、医療費の分析をしましたら、 40 50 代の働き盛りの方々が、そこの市町には精神病院がないので、他の市に入院されていて医療費が高い、保険料が高いという形になっているのです。そういう状態にあったときに行政が、外の市町の病院に入院されているときにどのような関与をすればいいかという問題があって、病院と地域が分断されているのではないかというところがあるのです。これは厚生労働省さんにも問題意識を持ってもらってどのように取り組めばいいかということについて、何かお知恵がありましたら、この機会を利用しまして御質問させていただければと思います。

 

○駒村部会長

 では、お答えいただければと思います。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 私が答えていいのか、どうやら質問のほぼ内容は、そちら側にあったように思いますが、今おっしゃっていただいたことは全く同感です。ただ、行政縦割とよく言われますが、医療費の枠は医療費の枠で、障害の枠は障害の枠でということで、こちらが減るからこちらにスライドしてはいいのではないかとか、そういう柔軟な流用は、どのようにできるのかというのは、私どもでは存じ上げません。国保の問題もしかりだと思います。これは私が答える領域を外れていますので、答え切れません。

 

○駒村部会長

 今の御意見に対してだけをお答えいただければ結構でございます。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 正しくそのとおりだと思います。

 

○駒村部会長

 伊豫委員からお願いいたします。

 

○伊豫委員

 日本精神科病院協会さんにお伺いしたいのですが、入院から地域ということになりますと、当然、医療の密度は地域に行くと薄まるわけです。一方で、今の長期入院の方々は、生活支援も医療が合わせてやっているような部分があります。そうすると地域に行きますと、ある意味、医療、看護が薄まるのですが、そのときにその薄まり方に傾斜が生じるということに基づいているということでしょうか。例えば重度の方々には御提案のある、医療強化型グループホームというものや、何らかの危機があるときに一時的に医療、看護が介入すればいいもの、又は定期的にチェックするぐらいでよろしい、というような医療の提供密度が変わってくるということで、よろしいのかということです。もう 1 つは、それらは入院で今実際に携わっているスタッフが地域に出ていくということによっても補われるのかということを教えていただきたいです。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 ありがとうございます。大変、重要な問題だと思っております。正しく、そのために多機能型の地域支援センターというのは、そこの間を埋めるものという形で考えております。つまり、いろいろな地域の事業者といいますか、そういう生活の支援をされている方々と医療の間をつなぐものと、そこをセンター的にし、その重さによって、そこへの出張サービスなりコメンテットサービスを行っていく。ある意味、イギリス等のヨーロッパ式に、それらの施設をファシリテートして回って歩くというのが精神科医の仕事として、重要な役割を持つような形を考えております。

 また、外来としても、そういう所によりアウトリーチ的にどんどん関与していくということが大切であろうと考えています。

 

○駒村部会長

 樋口委員、その後、大濱委員よろしくお願いいたします。

 

○樋口委員

 精神科病院協会、千葉委員に伺いたいのですが、これは確認だけの話です。今日、ここに出て来ている精神障害者に対しての地域移行に向けての支援の在り方、これはこれまでも議論がずっと重ねられてきたことなので、全くそれに対して異論はないのですが、この中で認知症問題をどのように精神科病院協会の中で位置付けられているかということ、すなわち認知症といっても認知症本体、いわゆる認知障害というものだけではなくて精神症状、行動の異常障害、 BPSD といわれているもの。そういうものに対する対処の仕方と認知症本体、慢性の変性疾患として進行していくものと、そのキャラクターが 2 つあると思うのですが、これは、やはりこの中で精神障害者と同様の対処、対応の仕方という、症状がどの程度の重症度であるかとか、精神病症状をどれぐらい判っているかとかという、そのレベルで判断していくと理解しておいていいのか、それとも全く別な認知症に対しては認知症に対する少し違った角度からの検討を協会の中では、されているのか、その辺りを教えてください。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

病院協会ではそれらの専門領域をやっている者がおりますので、私は概略にしか過ぎないお答えになると思います。基本的に認知症は精神疾患である、老年期精神障害であるという認識のもとに我々はいます。よってベースとなる基本の処遇の概念は一緒でいいと思っておりますが、やはり疾患によってといいますか、大きく異なる対応も様々あります。特に介護保険領域等との連携、地域福祉との連携の部分で、それらについては別途違う形が生まれてくる。ベースは一緒ですが、出てくる形は違ってくるのではないかと思っております。いずれにせよ、そのほかの精神障害や認知症にしても、必要なのは精神障害に対する地域包括ケアという形のものが、これからどのように組んで作られていくのかということについて、真剣に私はそれらを体系化していかなければならない、構造化しなければならないというスタートに入っているのだという認識でいます。

 

○駒村部会長

 大濱委員、お待たせいたしました。お願いいたします。

 

○大濱委員

 全国脊損連合会の大濱です。日精協の方に伺います。重度の精神障害者の地域生活を支援するためということで、看護職の配置が多い医療強化型グループホームを提案されていますが、この意味がよく分かりません。看護職の配置が多いということは、医師の配置は特に多くなくてもよろしいということなのでしょうか。また、資料を拝見していて、この対象として認知症の方も想定されているのかなとパッと思ったのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 最初に認知症については、介護保険上で認知症のグループホームの対応というのは既に制度としてきちんとあります。その部分に対して医療強化型というのを考えているということではありません。もちろん、認知症のグループホームにおいても看護職を配置することで、看護職配置加算という形で、それらに対応しているということが現在でもありますので、そちらのほうは今の形でやれるのではないかと考えておりますので、そのこととは切り離しています。

 グループホームですので、医師の配置は最初からありません。看護職の配置も実は今は全くゼロです。やはり疾患と障害を両方、有している方が生活する施設なので、疾患の管理をきちんとするということが障害を安定させておくということにつながりますし、また、同じ障害とはいいながら時間をかけてリハビリをしてケアしていくことで、少しずつでも状態が良くなる障害の程度が軽くなるほうに向かう可能性があると我々は思っておりますので、そこに専門職を配置して、それらに手厚く支援するということから生まれてきている発想です。以上です。

 

○大濱委員

 重度の精神障害者といいますと、かなり長期入院されている方々だと思いますが、そういうことになるとおそらく医師も必要になるし、介護職も相当必要になると思います。それを病院から全く切り離された地域で設置することも可能ということでしょうか。

 

○日本精神科病院協会千葉常務理事

 もちろん、完全にここからこことスイッチでふたつに切り分けできるわけではありませんので、程度もずっと重い人から軽い人までグラデーションになっていますから、その症状に合わせて、配置の数とかは障害支援区分に合わせてという形になってくると思います。ただ、医師を配置していくということは、基本的には、つまりそれだけの障害報酬の単価が上がってくるとか、財源の問題がまた大きくなってまいりますので、それはなかなか望めない。よって、それをバックアップする施設として多機能型の生活支援センターが、それらの後ろに控えていて、それら幾つもの支援に回っていくという形の選択を考えたということです。効率面を考えてということになりますか。

 

○駒村部会長

 もう時間もオーバーしていますので、よろしいですね。時間をオーバーしてしまって大変申し訳ございませんが、ここで一度、休憩に入りたいと思います。団体の皆様、大変ありがとうございました。通常では 15 分想定していますが、 15 分遅れています。

 

○川又企画課長
 10 分目安で皆さん、できるだけ早くお戻りいただいて、始められるようであれば早めに始めます。

 

○駒村部会長
 40 分から再開ということで。

 

○川又企画課長
 40 分からでお願いします。

 

                                    ( 休憩 )

 

○駒村部会長

 再開します。全国社会就労センター協議会からお願いします。

 

○全国社会就労センター協議会叶副会長

 こんにちは。全国社会就労センター協議会、通称セルプ協と言いますが、副会長をしております叶と申します。よろしくお願いします。セルプ協は、障害者の「働く、くらす」を支えることを基本としながら活動していますが、障害者総合支援法の施行後 3 年目途の見直しに向けて、組織の中で繰り返し、繰り返し議論をしてきました。今、その取りまとめの意見をここで発表させていただきますので、よろしくお願いします。

 意見は資料 8 になります。最初に、障害福祉サービスの在り方等に対する基本的な姿勢、特に障害者の就労支援についてのものですが4点上げています。
 1
つ目が、様々なニーズや状態に応えられる多様な就労の場を設けることを基本として、一般就労は促進しつつも福祉的就労の場は確保するということです。一般就労を促進しつつも就労継続支援 A 型、 B 型も含めた福祉的就労の場もしっかりと確保していくべきということであり、この基本姿勢の下で福祉的就労、特に就労継続支援B型事業で働く障害者の労働者としての権利向上を図る制度を導入しつつも、ハードルを上げ過ぎて障害のある人たちの働く場が失われないように現実的な対応を進めるということです。
 2 つ目が、福祉的就労の底上げを図るためにも、工賃・賃金の向上を目指す事業所を支える制度を拡充していくということです。
 3 つ目、 4 つ目ですが、本人が希望する働く場の選択を保障するということと、何よりも地域における自立生活を可能とする所得保障を実現していくということです。 4 つ目の所得保障に関しては、前回の障害者部会で本会の阿由葉会長が、就労支援の関係の団体と協議し共有できたものについて意見しましたが、この所得保障の点はどうしても必要だということで意見が共通したものと認識しています。

 続いて、各論についての意見を 8 点でまとめています。➀~➃は就労支援に関するものです。

まず➀です。制度的な枠組ですが、就労支援については所得保障とセットで考えるべきであって、工賃+障害年金+その他の手当の組合せで地域での自立生活を実現できる所得を保障するべきと考えます。その他の手当の 1 つとしてグループホーム利用の際の家賃助成があります。今この額は 1 万円ですが、都市部では家賃が高いということ、福祉ホームで生活する障害者には適用されないということがありますので、その辺りの見直しが必要と考えます。

 ➁です。就労継続支援、就労移行支援の機能やそこでの支援の在り方について 4 点です。 1 つ目が、平成 25 4 月より優先調達推進法が施行されていますが、この推進には、共同受注窓口の設置と運営費の確保が不可欠です。設置のための 2 年間の補助はありますが、それ以降の運営が厳しい状況にありますので、例えば地域生活支援事業の必須事業として位置付ける、障害福祉サービス等の給付費を活用する、障害福祉計画の指標に盛り込むなど、様々な方策を駆使して、何とか共同受注窓口がきちんと運営できる体制をつくっていただきたいということです。
 2 つ目が、目標工賃達成加算です。これは、工賃を多く支払った場合に加算される仕組みですが、今年度から前年度の工賃を超えることが条件になり1つハードルが増えました。最低賃金の 2 分の 1 3 分の 1 以上の高い工賃を出していたとしても、どうしても今年度は良かったけれども次の年は少し厳しかったという波があり、本当に頑張っている所がこの加算が取れないことがあります。是非、これは最低賃金の何割をクリアしているかということだけで判断していただければと思います。
 3 つ目が、営業職員についてです。目標工賃達成指導員ですが、仕事を確保し工賃向上につなげていくうえで重要な役割を果たすこの指導員を雇用できる水準の報酬にしたうえで、配置義務化も検討いただきたいということです。
 4 つ目が、重度者支援体制加算です。働くことを希望する障害の重たい人たちを多く受入れている事業所に対する加算ですが、これは働くことを希望する方にその機会を提供する、働く場を確保するという意味でとても大切な加算です。現在は、その要件は障害年金 1 級受給者の割合が指標となっていますが、障害年金1級を受けているかどうかは必ずしも支援の度合いを表していません。障害支援区分で高い区分認定を受けている方、重度区分の障害者手帳を取得している方なども要件に加えて、本当に支援が必要な人を受け入れている所にきちんと加算が付く仕組みにしていただきたいという提案です。

 ➂です。就労定着に向けた支援について、これは就労移行支援事業所ですが、就職実績が非常に高い結果として定員割れを起こしている事業所には、報酬の定員払い化や就職後の一定期間報酬を支給する仕組みを是非取り入れてほしいと考えます。

 ➃です。就労支援を考えていく際に労働施策と福祉施策との連携は欠かせないものだと考えます。特定求職者雇用開発助成金や在宅就業障害者支援制度など、労働施策として実施され事業所に給付される制度がありますが、これらを働く障害者の所得保障にも活用できるような検討ができないかという提案です。

 ➄です。これは支給決定の在り方の論点に対する意見です。支給決定プロセスの在り方についてですが、ここで一番言いたいことは、本人の意向を大事にし、障害支援区分による利用制限などは改善してほしいということです。特に就労継続支援事業B型利用の前に就労移行支援事業所のアセスメントが課される問題、就労移行支援事業所のアセスメントを経ずに利用することは「直B」といわれますが、平成 27 年度よりサービス等利用計画の作成が全件で求められていますので、利用者の負担を増やさない意味でも、相談支援専門員が利用者の意向を踏まえて作成するサービス等利用計画で支給決定できる仕組みが考えられないかという課題意識をもっています。必ずしも就労移行支援事業所のアセスメントを課す必要はないという意見です。

 ➅です。高齢の障害者に対する支援の在り方の論点に対する意見です。介護保険優先原則についてですが、これは各自治体等での判断で、その人にとって必要であるにもかかわらず、 65 歳になったら障害福祉サービスが利用できないという例がやはりあります。基本は、利用者の状況や意向に応じた選択を可能とする仕組みとすることだと考えます。介護保険優先という一律な対応が各自治体でされないように、ということです。

 ➆です。その他の障害福祉サービスの在り方等についての論点に対する意見です。制度・運用面の見直しが必要な事項ということで、 3 点意見します。1つ目です。給付費の日払い、月払いについてはこれまでもずっと議論があったことですが、少なくとも人件費などの固定費部分に関しては月単位の給付とし、 2 階建て方式での給付を是非検討していただきたいということです。利用者負担が増えますので、これまでも述べた所得保障とセットでの検討が必要と考えます。
 2 つ目です。加算の複雑化による事務量の増加がかなり現場ではあります。加算は頑張っている所を評価するという仕組みですが、結果として頑張っている事業所が苦慮しているという実態がありますので、事務職員を配置できる仕組みを是非導入してほしいということです。
 3 つ目です。就労継続支援 A 型事業所の利用の際に、雇用契約と利用契約の 2 つの契約が必要な状況にあります。雇用されているのに利用者になるということで、その人のプライドというか、尊厳が奪われている面があります。雇用契約の締結をもって利用契約とみなすということをお願いしたいということです。

 最後になりますが➇です。これも、その他の障害福祉サービスの在り方等についての論点に対する意見です。利用者負担の在り方について、 ILO の国際基準に基づき一般所得区分も含む「働く場」における利用料負担は解消するということを、是非お願いしたいということです。

以上です。

 

○駒村部会長

 続いて全国就労移行支援事業所連絡協議会からお願いします。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井と申します。よろしくお願いいたします。本日はこのような場を頂きまして、ありがとうございます。早速ですが、障害福祉サービスの在り方について、協議会の意見を述べさせていただきたいと思います。ただ、当協議会の性格上、就労系サービスに特化した意見となることをお許しいただきたいと思います。

 資料 9 に沿って意見を述べさせていただきたいと思いますが、 1 点目が、障害者の就労支援に関する制度的枠組みということです。障害別のサービスから障害者自立支援法によって 3 障害一元化、並びにニーズ別へのサービスへと転換されたと認識をしております。これによりまして、就労系サービスは、まだまだ頑張っていかないといけないのですが量、質とも向上したと私たちは考えております。骨格提言では、日中活動についても再編するということがうたわれ、 2 つに再編しようということがうたわれておりましたが、今後もニーズ別にサービスが提供できる仕組みを維持していただいて、少なくとも現行制度と同等程度にサービスメニューが用意されて、利用者の方にとって利用の判断がしやすい仕組みをつくっていただきたいと考えております。その中で特に就労移行支援事業は、利用者の方が障害福祉サービス受給者から経済的・社会的に自立した被雇用者へと転換することを支援する、大変重要な事業だと思っておりますので、今後もより 1 人でも多くの障害のある人を一般就労へ送り出すということに軸足を置いた施策を検討していただきたいと考えております。
 2 つ目ですが、賃金補填についてということで、これも論点の中の視点で示されておりましたので、意見を述べさせていただきます。賃金補填という考え方は、障害を持たない労働者や失業者との公平性という観点、障害年金等の所得保障ということからも、整合性という観点から問題があると感じております。何よりも賃金補填が導入された場合、一般就労への移行が阻害されるのではないかということを一番危惧しております。また、加えて使用者・本人の職業能力の向上の意欲を低下させる可能性があるとも考えておりまして、必ずモラルハザードが生じると思っております。

 

○広田委員

 モラルハザードを日本語で。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 簡単に言うと、そういう制度があるから、頑張らなくてもいいかと。

 

○広田委員

 上限の支払い?

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 進めさせていただいてよろしいですか。賃金補填は、持続可能なサービス提供を行う財政面という観点からも、現実的に課題も大きいですし、検討にも値しない事項だと考えております。

 移動の保障というところから、移動支援についても意見を述べさせていただきます。私たちの国は、労働法規が非常に詳細に整備をされております。そういう中で恒久的に単独通所が困難な障害のある方に対しての課題として、通勤支援という問題があるのですが、現在、通勤も労働災害の守備範囲に含まれることですから、通勤支援の利用中に事故等が発生した場合の責任の在り方など、労働法との整備が必要であると感じております。企業の合理的配慮の義務の観点からも、検討する必要があると考えております。反対に言うと、サービスというか国の援助を受けるのも、障害のある方という考え方もできますが、雇用する企業への援助という考え方もできますので、現在もそういう通勤に関する労働施策の制度もありますが、制度活用も含めて検討されるべきだと考えております。
 2. 就労系サービスの在り方についてです。就労移行支援事業についてですが、福祉から一般就労の流れを促進する上で、労働施策だけではなく、身近な地域で就労支援を受けられる就労移行支援事業の存在は大きいと考えております。そういう中で制度発足時と比べまして、現在は本当に精神障害や発達障害の利用のニーズが増える中で、それらに対応する事業所も増えてきております。

 そういう中において、今年度の報酬改定によって長期のマッチング・職場定着を評価する仕組みが取り入れられたことに関しては、非常に有り難いと思っております。今後もその職場定着状況や支援の内容について、我々もデータを積み重ねていきたいと考えております。

 ただ、定着する職場ですが、何をもって就労実現かというところが、まだ曖昧なところがあり、例え短時間労働、週に数時間のアルバイトも就労実現となっていたり、あるいは、昨年度までは A 型事業所への移行も就労実現といいうふうに定義をされておりました。多様な働き方が用意されるのは素晴らしいことですが、就労移行支援事業が本来すべき就労実現はどういうものかというところで、そろそろ議論を深めていく必要があるのではないかと私どもは思っております。

 一方、就労移行支援事業所の中でも、就労移行支援という看板を上げておきながら実績の上がっていない事業所が 3 4 割あるということで、これは私たちも非常に残念に思っているところですが、報酬改定でもメリハリはつけていただきましたが、今後も自治体等からの指導を徹底していただきたいと考えております。

 就労移行支援事業は、先ほども申しましたように発達障害の方々あるいは精神障害の方々のニーズが非常に増えてきています。そういう中において福祉施設には馴染まない、昔からあるような福祉施設には行きづらい方の就労移行支援のニーズも、どんどん高まっております。そういう中で建築基準法・消防法・バリアフリー関連法等々の問題で、ビルの一角で就労移行支援事業を提供しようと思っても、なかなかできない状況もあると聞いておりますので、そのあたりの関連法案との整備も検討していただきたいと思っております。

 就労継続支援事業 (B ) についてですが、本人にとって一般就労が困難だが生産活動が有益な方々とか、一般就労まで 2 年以上の期間が必要な方々に対して、このようなサービスが非常に有効なサービスだと考えております。そういう中で特別支援学校から卒業生のアセスメントをやっております。私はふだん、大阪で就労支援事業の運営をしております。大阪市は先駆けて昨年度から経過措置の期間ではあるのですが、特別支援学校の卒業生の方を全員、 B 型に希望される方に対するアセスメントを直接するということになっています。昨年度、 6 名をアセスメントしましたが、 2 名の方が B 型に直接行くというよりは、就労移行支援事業のサービスを受けて一般就労できるのではないかと、そう判断された方がいらっしゃいまして、改めてこの制度は必要だと感じております。このシステムは、今後も引き続き続けていただきたいと思っております。

 労働者性に関する問題は、これまでも議論されております。労働者性、生産活動を行う障害のある人に対して、生産活動を保護する法整備も何かしら検討できないかと考えております。

A 型についてですが、福祉サービスを受けながら雇用契約を締結すると、新しい働き方です。こういう働き方を希望される方もたくさんいらっしゃいますし、今後もこういう事業は必要ではないかと考えております。ただ、一方でいろいろな問題が生じているとも聞きますので、その実態を把握する必要があるのではないかと考えております。そういう中でこの前昨年度のハローワークの就職件数が公表されておりましたが、いったいその中で A 型に就職されている方がどれぐらいいるのだろうかということも、日々疑問に感じているわけですが、労働行政にいろいろと要望させていただいても、それはシステム上把握できないという一点張りですが、そのようなことは求人票を受け取っているわけですから、帳票を付き合わせれば大体の数が分かってくると思うのです。一番最後に書いておりますが、まずは障害福祉部局と労働部局が連携あるいは協力依頼をしていただいて、 A 型の実態の把握に努めていただき、今後の在り方について検討いただきたいと考えております。時間が来ましたので、以上にさせていただきます。

 

○駒村部会長

 続いて、特定非営利活動法人全国就業支援ネットワークからお願いします。

 

○全国就業支援ネットワーク高井代表理事

 全国就業支援ネットワークの高井です。本日はこのような機会を与えていただきまして、大変有り難く思っております。当ネットワークは、現在、 240 の団体で構成しておりまして、「能力開発施設」「就業・生活支援センター」「就労移行支援事業」の 3 部会を設けて事業展開しておりますが、会員の多くは就業・生活支援センターの者が占めている状況です。私たちの役割として、「地域で」「連携して」「実践に基づいて」「政策に関与して」を運営理念として、障害のある人が人たるに値する就業生活の確立を目指して活動してきました。毎年、定例研究会を開催しているのですが、資料の中にも添付させていただきましたが、今年は第 17 回定例会を東京で開催させていただきますので、お手元のパンフレットを御高覧いただければ大変有り難いと思っております。
 2 です。次に、障害者の就業に関する制度的な枠組みについてですが、総合支援法においては、就労系、日中活動系が 2 分類で再編成されようとしておりますが、私自身は現行の多様な働き方のある事業形態でよいと思っておりますが、以下のことを改善していただきたいと思っています。

 当ネットワークは、障害支援に関して、労働・厚生系の事業にこれまでも深く関わらせていただいてきました。省庁再編後も労働・福祉には隔りがある反面、近年は制度の枠組みがとても曖昧になり、施設福祉がまるで金儲けの道具にされているように思えてなりません。地方自治体は、明確な福祉計画を立てて、数量規制や事業の内容の規制ができるような権限を持つべきではないでしょうか。

 次に、就労移行支援事業です。施設福祉から雇用への道筋をつけた点では、高く評価される事業だと思っております。しかし、成果が上がれば上がるほど、利用者確保が困難で経営が圧迫されています。良質な事業提供者には高い評価をし、安定的経営ができるような仕組みが必要だと思っております。

 次に、就労継続支援事業 (A ) についてです。雇用契約を締結しながら人たるに値する労働の質・量とも担保できないでいる事業所が余りにも多いです。規制してください。賃金補填や支援を受けながら、働くことが必要な方もいらっしゃいますが、一般就労可能な方までも A 型に流れている状態を目の当たりにしております。

 次に、 B 型事業ですが、工賃向上計画で最賃の 3 分の 1 2 分の 1 達成可能だと私は思っております。けれども、毎年前年度を上回る目標工賃達成は非常に困難です。日本の経済状況や産業構造を見ても、よく御理解いただけると思います。また B 型事業の中をしっかり見ていると、一般就労が可能な方が、施設の都合であるとか家族の都合で、長期在籍している人たちが多数いらっしゃるのではないかと見受けられます。個別支援計画に基づき PDCA サイクルをしっかり充実したものにして、地域移行を促進する仕組みが必要です。 次に、就労支援に向けた支援体制ですが、当ネットワークの会員の多くが就業・生活支援センターに所属しておりますので、特にここに視点を絞りお話させていただきたいと思います。障害のある方が職業を得て社会人として当たり前の生活を送るのは当然です。しかし、障害のある人たちが、障害以外の、要件で「就職困難」に陥る今日的な要因は、とても多いです。例えば、家族に関わること、金銭のこと、生活全般、健康管理、異性の問題、犯罪に関わること、人間関係、個人的な問題、交通、移動手段、自然災害など、たくさんのことがあります。また、就労が促進されればされるほど、予想もできない生活困難に遭遇することが考えられます。このようなことから、厚生労働省の誕生時、厚生サイドが生活面、労働サイドでは就業面で支援して、「障害者の働く機会・働き続ける機会」を 1 つの体系にするという発想が生まれ、それが具体化されたのが障害者就業・生活支援センターです。これは厚生・労働サイドの制度を繋ぎ、障害者総合支援法の様々な制度を繋ぐ社会資源でもあり我が国が誇るべき就業支援制度であると、私は確信しております。

 しかし、就職支援の時代から、今、定着支援を求められる時代に移りました。世の中は情報が錯綜し、複雑化が一層深まってまいりました。このような状況の中で年々増え続ける支援対象者は、就業面よりも生活面でつまずくことが多く長期的な生活支援の必要な方が急増しております。この事業は、労働サイドの雇用安定等事業費と厚生サイドの生活支援等事業費から構成されていますが、いずれも事業費は非常に脆弱です。しかし、地域ニーズ、企業ニーズは非常に高いです。そういう状況のため、最近、労働サイドでは少しずつではありますが職員体制等を改善していただいているのが現状です。

 一方、厚生サイド、つまり生活支援等事業ですが、事業費は年々大幅に削減されています。今、全国に 325 のセンターがありますが、みんな事業の存続も含めて非常に危機感を持っている状況です。ですので、平成 27 年度に新しい事業として就労移行等連携調整事業がまず全国 47 センター分つけられましたが、こういったものをしっかり全センターにつけていただいて、このマイナス面を補填していただける制度に組み入れていっていただきたいと思います。

 ところで、就業・生活支援センターを利用される人たちはどのような人かと言いますと、ハローワークや職業センターの支援だけでは就職が困難な人ですが、福祉サービスを利用していない人、また、馴染まない人が多いです。けれども、その人たちは、実は納税者として地域で普通に暮らしています。様々な生活面での支援が必要ですが、福祉サービスでは利用手続や利用料金が発生したり、決められた支援が決められた時間しか提供できない上、緊急時には対応してもらえません。

 しかし、就業・生活支援センターの生活支援等事業は、もしかのときのセーフティーネットも含めて対応、また、事業所や企業全体の支援ネット形成に即対応しております。実は東日本大震災においても、東北 3 県の人たちは、この就業・生活支援センターを中心に家も会社も含めて流されてしまったけれども、支援員が現地に行って、「大丈夫」、一緒に働くために向き合って話を聴くような仕事をいっぱいしてきました。

現在全国で 325 センターが活動しておりますが、基本職員配置は、就業支援担当者がたった 2 名です。生活支援事業を担当する人は、たった 1 名です。この 3 名で下に書いてある事業をしております。事業の実績報告はここにも書かせていただいておりますが、生活支援事業費は 501 万円です。登録者は 125,286 人で、 1 センター約 400 人が利用して,相談件数は 1 359 575 件、1センターあたり 4 234 件です。就職者は 14,363 人で、 1 センター 45 人です。ここには A 型事業所は入っておりません。このように、順調に増設されたことは費用対効果が高く評価された結果だと思っています。

 この相談の内訳を見ていただきますと、就業・生活の両面にわたる相談支援、日常生活・社会生活に関わる相談支援が、いかに多いか。 35 %の人たちが生活面を中心に支えられており働き続けるための生活支援が絶対必要だということが、この表を見ていただいても分かります。生活が安定すれば働き続ける可能性は極めて高く、納税者であり続けることができるのです。コストパフォーマンスも非常に高いわけですから、是非、これからも就業・生活支援センターの生活支援事業が充実できますように、お力添えいただきますことをお願いして終わらせていただきます。

 

○駒村部会長

 続いて、きょうされんからお願いいたします。

 

○きょうされん赤松常務理事

 きょうされんの赤松と申します。本日はどうもありがとうございます。全国に私どもの会員事業所は 1,800 を超える会員がおられますが、その皆さんの声を代表する形で、意見を述べさせていただきます。資料は 11 です。

 この度、非常に大事な総合支援法の 3 年後の見直しということで、昨年批准した障害者権利条約の実施、骨格提言の段階的、計画的な実現という観点から、意見を述べさせていただきます。

 まず、障害者の就労支援についてです。条約 27 条にある「障害者が自由に選択し、又は承諾する労働によって生計を立てる機会を有する権利」、これを実現する観点から検討していただきたいということで、骨格提言においては、現行の事業体系を労働法規の適用と最低賃金補償等を特徴とする障害者就労センター、そしてデイアクティビティセンター ( 作業活動支援部門 ) に再編することを提起しておりますが、このことを検討する体制を是非設けて、適切な就業の機会を確保するための試行事業を実施する必要があるのではないかということです。

 セルプ協も強調なさっていましたが、障害のある人たちの所得保障の在り方について、本格的な検討が必要だろうと。働くことを通じた所得や年金など、現行の所得保障制度に加えて、それらだけでは最低生活に及ばない場合の新たな所得保障制度の導入について、現行の制度との調整の仕組みも合わせて、検討する必要があるのではないかということです。

 こうした中長期の課題に向かいながら、当面は例えば就労、現行の事業体系でいうと就労継続支援事業 A 型における、短時間の利用への報酬の一律の減算、あるいは B 型における本人の意向を踏まえない利用制限等、こういった課題を解消する必要があるのではないか。また、地域活動支援センターというものが全国にもたくさんございますが、これが市町村事業であるがために、他の就労支援事業と運営面での格差が大きいということがありますので、私どもはこの地域活動支援センターも個別給付に位置付けて、他の就労支援事業との格差を解消する必要があるのではないかと考えております。

 障害のある人たちが一般就労して働くということを考えたときに、通勤の支援というものは非常に重要だと考えておりますので、これを個別給付事業として制度化する。財源については、非常に厳しい折ではありますが、労働施策との新たな連携も含めて、この財源問題も何とかクリアした上で、通勤支援の個別給付化を実現できないものかと考えております。

 続いて、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方です。この観点についても、権利条約 19 2 項にある「地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービス、その他の地域社会支援サービスにアクセスすること」を実現する観点から、検討する必要があるだろうと。骨格提言において、支給決定に関しては、国及び市町村が障害者等の参画を得て公開されたプロセスの下で策定した支援ガイドラインに基づき、障害者及びその意思決定を支援する者との協議、調整によって行う仕組みへの変更を図る。こうした検討を具体化する必要があるのではないか。

 当面においては、障害支援区分が実質上、利用制限の要因となっているというか、支援利用の要件となっているということが、本人の意向に沿った地域生活の実現と相入れない事例もたくさん出てきておりますので、私もこうした要件はなくすべきではないかと考えております。

 続いて、「障害者の意思決定支援、成年後見制度の利用促進の在り方について」に関しては、権利条約 12 条の「他の者との平等を基礎とした法的能力の享有」を実現する観点から検討する必要があると考えています。併せて意思決定支援については、総合支援法の守備範囲で申し上げますと、障害福祉サービスの利用の場面になってくるわけですが、そもそも意思決定支援に関しては、障害のある人たちの生活全般にわたるので、ここだけを取り出して検討するというよりは、むしろ全般的な検討をやった上で、方向性を享有した上で、障害福祉サービスの利用に関する手だてを打っていくという手順が必要なのではないかと考えております。

 「精神障害のある方にとっての支援の在り方について」は、条約 19 条「居住地及びどこで誰と生活するのかを選択する機会を有する」を実現する観点から、骨格提言において、地域移行とは自ら選んだ住まいで、安心して自分らしい暮らしを実現することであるということを踏まえ、そのための予算措置を伴う地域移行プログラムの策定に着手すること、併せて地域基盤整備 10 か年戦略の策定に着手するということも具体化に向けての検討に入る必要があるのではないか。

 具体的には、当面はこの点に関しては 1 点、精神科病棟転換型の居住経営施設は、病院の中に退院する、病院敷地内の退院ということでは inclusive な社会を目指す条約の理念とは相反するのではないかという観点から、これは撤回するべきではないかと考えております。

 続いて、「高齢の障害者に対する支援の在り方について」です。これも条約 19 2 項を実現する観点から、現行の介護保険優先原則を見直して、障害者総合支援法に基づく支援と、介護保険に基づく支援を選択あるいは併用できるような仕組みの検討を進めるべきではないかということです。

 その他の論点として、 4 つに絞って私どもの意見を述べさせていただきます。財源論に関して、本当に厳しい状況であるということが度々議論にも上っております。それはそのとおりなのですが、もう一方で国際比較をしてみますと、まだ OECD 諸国の中で、障害関連予算の対 GDP 比というのは、日本は平均に及ばないという現実もありますので、日本の国力にふさわしい障害関連予算の支出を計画的、段階的に具体化できないものかということが、 1 点目です。
 2 点目は、人材及び支援の質の確保というのが、本当にこの分野の喫緊の課題となっております。せめて、他産業の平均並の賃金を支払うことのできる水準の報酬とするという観点から、我々は現行の報酬の加算方式は取りやめて、本体報酬を引き上げる必要があるのではないかと考えています。

 また、報酬を利用者支援に関するものと、事業運営等に関するものに分けて、前者は日払い、後者は月払いと、これはセルプ協もおっしゃっていましたが、こういったことにする必要があると思います。

 続いて 3 点目です。常勤換算方式という現在の職員配置の方式が、支援者のパート化を進める要因となっているのではないかと考えております。支援の質の担保という観点からも、この常勤換算方式も見直す必要があるのではないか。

 最後になりますが、障害に伴う支援、利用料の問題ですが、これは骨格提言にもあるように、原則無償とする必要があるのではないかと考えております。以上、私どもの意見でした。

 

○駒村部会長

 ただいまの意見について、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○野沢委員

 ありがとうございました。それぞれの団体に 1 つずつ質問したいのですが、まずセルプ協です。「特定求職者雇用開発助成金の支給方法や対象を見直して、所得保障に活用できるようにする」とあるのですが、もう少し具体的に教えていただきたいのです。どのようにするのかということです。この特定求職者雇用開発助成金というのは、財源は雇用保険の事業主負担部分も含まれていますよね。これを働く人の所得保障に活用するというのは、法的にどういう整合性が取れるのかというのが気になるので、教えていただきたいと思います。

 全国就労移行支援事業所連絡協議会には、「就労移行の中で、一般就労と A 型への就労の定義を分けるべきだ」とあるのですが、その意味するところは何ですか、ということを聞きたい。それによって、就労移行支援事業所の実績の評価を変えろというところまで踏み込んで考えているのかどうかです。

 もう 1 つは、ほとんど輩出できていない事業所が 3 4 割ある、これは報酬改定のときに散々問題になりました。これを「自治体からの指導を更に厳しくする必要がある」とあるのですが、自治体が障害者の就労促進をさせられるノウハウだとか、余裕はあるのだろうかと思うのです。むしろ、そういうところは就労移行ではなくて、ほかの事業に事業内容を転換したほうがいいのではないかと私は思っているのですが、この辺の意見を聞きたいと思います。

 そして、全国就業支援ネットワークさんにお聞きしたいのですが、最後のところの触法障害者、生活困窮者など、これは生活困窮者自立支援事業のことを指しているのだと思うのですが、これも相当な予算を使ってやっている事業です。かなりの部分が自治体直営とか、社会福祉協議会がやっています。こういう触法や生活困窮者を自立させて、就業まで持っていくというのは相当難しくて、私はやっている人も知っているのですが、ものすごく苦労しています。それを自治体や社協にできるのかどうなのか。そのように見なければいけないと思います。

 できないとすれば、むしろ実積のあるナカポツセンター(就業・生活支援センター)と困窮者の事業を統合して、それを飲み込んで、ナカポツセンターのこれまでのノウハウをもっとダイナミックに困窮者までいかすぐらいの発想があっていいのではないかと思うのですが、意見をお聞きしたいと思います。

 最後に、きょうされんさんです。通勤の個別給付化、私はこれに賛成しているのですが、その財源が必要であれば労働政策と新たな連携ということですが、これを具体的に教えてください。労働政策のどこからどのように財源を持ってくるのかのプランがあったら教えていただきたいと思います。

 

○駒村部会長

 今の野沢委員の御質問に関連することがありましたら、併せてお聞きできればと思います。特になければ、各団体から回答をお願いいたします。

 

○全国社会就労センター協議会叶副会長

 特定求職者雇用開発助成金の活用について、法律面でどうクリアしていくかなど、具体的なシミュレーションができてはいないのですが、労働施策と福祉施策との連携について検討が必要であるという趣旨で意見しています。

 ただ、就労継続支援 A 型事業に関しては、利用者はそこで雇用契約を締結していますので、この助成金から報奨金が出ています。就労継続支援 B 型事業に関しては、雇用ではなく障害福祉サービスなので、この報奨金は出ていません。

 こうした状況を踏まえ、我々がずっと主張してきたのが、同じ働くということの中で、労働と福祉との連携の中で予算も含めたトータルな検討が、今後前向きにできないかということの 1 つの例として意見しています。

 

○野沢委員

B 型にも出せということなのですか。

 

○全国社会就労センター協議会叶副会長

 そういうことも含めて何か検討できないかということですが、報奨金をただB型にも出すようにということではなく、その財源をB型の利用者の所得保障にも活用することが検討できないかということです。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 就労移行支援事業所連絡協議会です。まず、実績についてということですが、昨年度報酬改定について議論されていたときから、私たちは、 A 型への移行というのは一般就労の実現ではないというような観点から、そもそも就労移行支援事業所が制度創設時に想定していたのは、より 1 人でも多くの一般就労を目指すということでしたから、ふさわしくないだろうということをお伝えしてきたつもりです。

 そういう中で、昨年度までは就労移行体制加算というものがありましたが、体制加算を取っている所というのは、昨年の実績で全事業所の半分ぐらいだと思うのですが、その中身は 3 %、 4 %が A 型にしか就職させていない事業所があるということも聞きましたので、本当にこれは意図的にやっているのではなかろうと判断していますし、今後就労移行支援事業がやっていく就労実現とは、一般就労に特化していくべきだと私どもは考えております。

 それから、実績の上がっていない事業所ですが、法律に書いてあることを 3 4 割やっていないわけですから、非常に問題だと認識をしています。ただ、実績の上がっていない事業所の理由が、 1 つはノウハウ不足が挙げられます。もう 1 つが、自立支援法に変わるときに、人員配置の問題もあり、もともとそれほど活発にやるつもりはなかったのだろうという事業所も見受けられます。

 もう 1 つは、地方によっては 1 つの事業所が就労継続支援も、 B 型も、移行支援も、全て担わなければいけないというような地域もあるのではないかと推測しております。そういう中で、アプローチの仕方というのは、全てが移行支援をやめればいいというわけではないのではないかと思いますので、実態も把握する上で、自治体の実地指導等を強化していただきたい。これは書面だけではなくて、就労実績ということについても、きちんと精査をするような実地指導をしていただきたいと考えております。

 

○全国就労支援ネットワーク高井代表理事

 全国就業支援ネットワークです。生活困窮者、触法の方ですが、制度を受けてやっているというより、やむにやまれず自治体などから、ナカポツセンターは就業に特化したノウハウを持っているので助けてほしいということで言われてくることが、よくあります。特に現実の問題として、東北地方はそれが顕著に表れている状況です。

 触法については、地域生活定着支援センターはありますが、各県に 1 か所しかありませんので、直接弁護士等から相談があって、就労生活支援とか、手帳を取るための支援も含めてするということが日常的に発生しています。

 でも、これが制度として、例えばナカポツセンターに来るのであれば、それなりのきちんとした体制をしてもらわないと、何でもかんでもナカポツセンターに来るという状況なので、それはお断りです。

 

○きょうされん赤松常務理事

 通勤支援のことですが、正にやるという方向を決めた上で、いろいろな知恵を議論したいと思っているのですが、 1 つの考え方としては、例えば職場の合理的配慮として通勤支援することをベースにするのだけれども、経営状況や経営の規模によって、それが難しい場合、埋められない部分を福祉サービスでカバーするとか、そういった福祉と労働の連携による通勤支援の実現が考えられないかなと思っております。

 

○駒村部会長

 ほかに御質問などがあればお願いいたします。

 

○日野委員

 身体障害者施設協議会の日野でございます。今セルプ協の叶さんから、介護保険優先原則について御発言がありましたが、介護保険サービス利用を優先する判断をする自治体があるということは、自治体によって格差があるという意味でしょうか。

 もう 1 つ、 3 つの団体にお伺いしたいのですが、きょうされんさんは、先ほど介護保険優先原則について触れられましたが、きょうされんも含めて、そういう介護保険優先の実態が、それぞれあるのかどうか、いかがでしょうか。

 

○全国社会就労センター協議会叶副会長

 簡単に事例だけ紹介します。生活介護事業で生産活動をしている人が 65 歳になって、あなたは介護保険事業所に行ってくださいといわれてそこを出なければいけないケースです。就労継続支援 B 型事業で働いている人が 65 歳になったからということで、介護保険事業所にとなるケースもあります。就労継続支援A型事業も含め、こうしたケースが結構出てきていると聞きます。

 これらのことについて、厚生労働省から一律な介護保険での対応をするようなことはいけないという文書は出されていますが、自治体によっては本人の状態や意向に沿わないような判断をする実態が出ているということです。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 介護保険との問題というのは、就労移行支援事業所連絡協議会としては実態は把握しておりません。私の実践の中でも、それで就労継続支援が利用できなくなったという方はいらっしゃいません。

 ただ、ホームヘルプサービスについては介護保険優先ということで、そちらを勧められている方もたくさんいます。

 

○全国就労支援ネットワーク高井代表理事

 介護保険のことですが、相談支援事業所が少しずつ機能していっているのと、地域包括支援センターとうまく連携できている所は、その人の状態の中で何が必要かということをしっかり話し合って、その人にとっての優先順位を決めて進めていくというような地域は結構あります。私は兵庫県なのですが、我々の地域では杓子定規に何が何でも介護保険からという状況ではなく比較的うまくいっていると思っています。

 

○きょうされん赤松常務理事

 先ほども簡単に触れたのですが、生活介護あるいはホームヘルプ、グループホームなどでも、そういった利用制限あるいは利用できないということが事例として上がってきていました。

 厚生労働省の通知の後、改善された自治体ももちろんありますが、その後も一律に優先原則を適用している自治体が後を断たないというのが印象で、我々としては基本的には総合支援法の 7 条は必要ないと思っているのですが、当面は厚生労働省の通知を各自治体に徹底することが必要なのだと強く感じております。

 

○広田委員
 1 点は、皆さん毎日のニュースはどういう形で見ていますか。私は米軍放送を聞いて、 AP ニュースを聞いて踊っています。それが 1 点です。

 それから、皆さん自身の就労の体験は。

 

○全国社会就労センター協議会叶副会長

 テレビ、新聞で見ています。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 新聞、テレビ、ネットです。もう 1 つは何でしたか。

 

○広田委員

 自分の就労体験。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 就労体験をしたことがあるかということですか。

 

○広田委員

 そうです。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 職歴が幾つかございますので、それが就労体験に当たるならば。

 

○広田委員

 キャリアでしたか、きちんと働けてた。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 そうではないこともあります。数箇月で辞めたこともあります。

 

○全国就労支援ネットワーク高井代表理事

 主婦ですので、朝 6 時から NHK のラジオを聞きながら御飯を作っています。いっぱいいろいろ情報はあります。それから、就業支援ネットワークの仲間とやり取りするというようなことも、新しい情報をもらえます。

 それから、私は今の施設に来るまで 5 回転職しました。けれども、しっかり働いていたので、大人になったら障害があってもなくても、働くのは当たり前だと、今も昔も、これからもずっと言い続けます。

 

○きょうされん赤松常務理事

 皆さんと一緒で、新聞、ネット、テレビで情報を得ております。仕事は、今は運動団体にいますが、それまでは障害者の皆さんと作業所で働いておりました。

 

○広田委員

 横浜市内の社会資源の運営委員として、「あなたたちは民間では通用しないわよ」と常勤職員に言いました。企業だったら潰れる話を平気でやっている。長年の多くの職員との交流の中で行政に何とかしてもらう話ばかり。そうすると、依存だから、行政に対して、お金もください、指導もしてください。当事者に対しても、多くの職員が共依存だと感じました。

 今この瞬間、沖縄で裁判にかけられた海上保安庁の人たち、又、昨日の横須賀ではないけれど、妻や子供たちのいる自衛官の目が光るような話を聞いて、それでも日本国民が“国防に命を掛けている姿も認知できない、”その現実の中で鬱になっている自衛隊員がたくさんいます。その人たちも含めた多くの関係者が固唾を飲んで国会を見守っている。

 神奈川県警も、たたかれてもたたかれても、「県民の信頼回復」と、食事もままならず寝ないで仕事をしている。そういう人たちの姿に日々、接していますと、私たちの業界は甘い、大変さも分かる。

 分かるけど、全国の障害者の声というのは、「社会のことを知らない、ソーシャルワーカーと言いながら。」。だから、障害の話とか業界の話とか、やれ厚生省にどうしてくれとか、名もなき多くの仲間が望んでいるのは、そういう話ではない。

 いろいろな世界の話題とか、多くの国民の関心事と同じです。そういう会話が対等にできる人間関係。それが企業にいって続く要因です。人間関係で続かない人が多いから。

 そういう視点をもっと入れて、乙武君のように一流の、被災地まで救援している、ああいう「五体満足ではない」と言われながら、「何でお前、手も足もないのに子供ができたんだ」と育ての親が言ったとか。対等で信頼関係があって他者が「人権侵害」と言っても乙武君はビクともしない。 tax payer になり、普通の生活をしたいと思っている障害者も多いけど、関わっている職員の質とか、生活ぶりとか、この業界でのどっぷり運動とか、それに対してうんざりしている障害者がたくさんいるということを、私は精神医療サバイバーとして個人で入っているから言わせていただきます。私が財務省なら付けられませんと思うことが多々あります。

 それから、きょうされんが言った、精神障害者の社会的入院は国家プロジェクトだと思います。ケネディが脱精神病院やった後に、我が国は隔離収容、ここにいる藤井さんとか冨ちゃんを幾ら私たちが責めても、無理。国家プロジェクトで。私は生活困窮者の特別部会でなぜか知らないけれど呼ばれ、民主党政権時、精神医療サバイバーだから、ここは「辞めたい」と何度も言った、「精神よりもここは言論の自由がないけど」とひきとめられて。それで「昭和枯れすすき」まで歌った。

 あの時民主党の政務官は来ていた、ここも然るべきときには。、今は自民党政権、政務官とかが来て、侃々諤々、本音で、各団体は本音があるのに言えないのでしょうね。

 ということで、社会を直視して、世界の中の日本、アジアの中の日本。今、日本国民はどこに注目しているかということを、共に考えて。そして誰もが障害者にならないように、戦争というのは障害を生みますから。それは日本国民だけではない。大事な生命は、自衛隊員だけではない、アメリカ兵も、韓国兵も。そういうグローバルな視点も大事だと私は思います。少し今日のみなさんの話は甘すぎます。

 だから冒頭に聞いたのです。そぎ取る所はそぎ取って、足す所は足すのですかと、「違う」というから、これでは私は財務省なら出せない。高校時代に私は業務監査委員をやっていましたが、民間企業経験も豊富です。民間の営業はドンパチミーティング等で論議します。

 他者に求める前に、まず自己努力をと思いました。

 

○本條委員

 セルプ協にお聞きします。また、厚生労働省からも御回答を頂きたいと思います。

 資料 8 1 ページに障害者の就労に関する制度的枠組みとして、「工賃プラス障害年金、その他手当の組合せで」とあります。 1 つのモデルであるとは思います。 2 ページには、➃に「労働行政との連携」とあり、これも私は賛成したいと思います。
 1 つ問題が、障害年金で、これは精神、知的、発達障害、そういう有期認定の場合は就労が 1 つの条件というか、そういうものになって、級が下がってしまったりということが起こるわけです。私は思うのですが、障害の程度は法律によって違うのではなくして、全て整合性のあるように、日常生活の困難度に合わせて障害程度、また年金の等級を統一する必要があるのではないか。

 そういう意味から言いますと、障害者の定義あるいは障害者の範囲というものを、ここでもっと議論する必要があるのではないかと思うわけです。

 

○駒村部会長

 今の部分はセルプさんへの質問ですか、コメントですか。

 

○本條委員

 コメントですね。それでは、厚生労働省はどうでしょうか。定義、範囲ですね。法律によって、基本法と総合支援法、あるいは年金等、それぞれ範囲が違っていると思うのですが。

 

○川又企画課長

 企画課長です。障害者の範囲というのは、それぞれの法律の趣旨、目的に沿って決めている部分があるかと思います。当然横の関係性、連携、整合性というのは取らなければならないと思っております。

 障害年金のほうも、特に発達障害、知的障害、精神障害の方の地域のバラ付きがあるということで見直すような検討も行われております。

 そのようなものも勘案しながらということになろうかと思いますし、障害者の範囲という意味では、前回お示しした論点の中でも、障害者総合支援法の障害者の範囲についてどう考えるかというような論点も掲げておりますので、今後御議論いただければと思います。

 

○駒村部会長

 横串の議論は大きな話になると思いますが、不整合がないように、 step by step になると思います。

 

○原田参考人

 参考人の原田です。就労関係について意見を述べさせていただきます。

 野沢委員がおっしゃった関係ですが、都道府県や市町村が事業者に対して人員基準、施設基準を中心にして指導していますので、なかなか事業者に対して政策的な指導ができていないという状況がある中で、就労関係について、株式会社が増えている状況にあって、利用者の意向、事業者の施設運営、経営方針、受け皿となる企業側の考え方で、障害者の方々が働くということについて、色々なところでミスマッチが発生しているのだろうと思っています。

 これは最終的には、障害福祉サービスの質的評価に関わってくることになるのだろうと思うのですが、介護保険では地域包括支援センターで、多職種、多機関の方々が集まり、作られたケアプランが最適かどうか、本人に合っているかどうかについて、横断的な検討をされているということがありますので、知的障害者に対するセルフプランがまだまだあるという状況の中にあっては、キーとなるのが質的向上を図らなければならない相談支援専門員、今年度新規事業で立ち上げられた地域支援の拠点整備がありますが、そういったところを中心にして、就労関係についてのサービスの在り方を重層的に、地域で検討するようなシステム、制度というものを、どんどん推し進めていかないと、いいことにならないのではないかと思っています。これが 1 点目です。

 

○伊豫委員

 セルプ協と全国就労移行支援事業所にお伺いします。

 精神障害の中には、例えば重度の社会恐怖又は対人恐怖といって、引き篭ってしまっていて、直接対人交流はできないのですが、インターネットなどを通じての交流は持てるという方たちが結構いらっしゃると思うのです。そうしますと、先ほどセルプ協の方のいう「本人が希望する働く場の選択」ということになると、そのような人たちでは働く場が自宅、仕事内容はインターネット上、ということになります。現実的に、そういった内容で行われている支援というのはあるのでしょうか。もしないのであれば、是非そういうことも可能である方向にお願いしたいということで、コメントさせていただきます。

 

○全国社会就労センター協議会叶副会長

私がいる事業所がそうしたことをしていないので詳しくはないのですが、在宅就業障害者に対する支援制度があるので、今お話しされたような形の働き方に対する支援をしている事業所も、若干はあるのではないでしょうか。

 

○全国就労移行支援事業所連絡協議会酒井副会長

 いわゆる在宅就労に向けた就労移行支援の必要性も感じていますし、現在検討されているということも耳にはしております。

 ただ、そういう必要性はあるのですが、一方で、このままこの就労支援事業の内容をスライドさせるというのは性格上も合わないですし、制度上何らかの枠組みを決めないと、なかなか厳密に事業所として制度を遂行していくような事業にはならないのではないかとも感じています。

 

○河崎委員

 日精協の河崎です。きょうされんにお伺いします。「精神障害者に対する支援の在り方について」の所で、総合福祉部会の骨格提言の中にもありました地域基盤整備 10 か年戦略は是非推進しないといけないと私は思っております。ただ、今日の話の中でも、ずっと底辺の流れにあったと思いますが、これだけ国の財源が厳しくなっている中で、どういうところからそれが確保できるのかという議論、これは非常に大きな話ですが、大事なのだろうと思うのです。

 ただ、そういうときに、よく精神障害者の医療にかかっている部分、そして福祉のサービスにかかっている額を比較すると、医療の部分が非常に大きいから、その部分を福祉財源に回すべきだということを主張なされる方たちがいらっしゃるわけです。私はそのことには首肯しません。

 医療は医療で地域移行が進めば進むほど、入院医療も含めて、より濃密にしないといけませんし、地域で支えるための医療としては今の精神科医療費はもっともっと必要だろうと思っております。その辺りについて、どのようにお考えなのか、御意見を聞かせていただければと思います。

 

○きょうされん赤松常務理事

 非常に重要で大きなテーマで、私どもで確固たる方向性があるというわけでもないのですが、おっしゃるとおり骨格提言で 10 か年戦略、あのときの議論の中でも、財源というものの確保の厳しさというのはあったと思うのです。しかも、そのことを一気にやるということではなくて、現実的な対応として 10 か年という時間軸を取りながら、必要な資源を確保しようではないかというのが、 10 か年計画の議論の背景にあったと思いますので、正にその議論を引っ張っていただいた河崎先生などの公言でできた提言だと思いますので、そういったように時間軸を取るというのは、 1 つの大きな考え方だろうと思います。その中でも、財源確保の厳しさは当然あるのでしょうけれども、基本的な 1 つの考え方としては時間軸の問題。

 それと、私は地域生活支援というステージにおりますので、先生がおっしゃった、今過度に医療のほうに財源が振り向けられているのではないかという印象を持っております。ですので、大きな流れの中でそれを地域生活支援のほうに振り向けるということが 1 つの案としては考えられるのではないかとは考えておりますが、スタッフなど、そういった方々も、例えば今病院で働いておられる方々なども、そういった地域生活支援の中で働く場を確保するということも併せて、トータルなお金の分配を検討していくことになるのだろうなとぼんやりと思っておりますが、今のところ明確に先生がお求めの部分に関して意見を持っているわけではないので、こういった曖昧なお答えになってしまいます。

 

○駒村部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 先ほど佐藤委員から御発言がありましたように、今の河崎委員の御質問が、私としては一番いい質問の方法ではないかと。御自信の御意見と違うところをヒアリングの先方と確認するような形でお話いただければと思います。一方的に関係のないところで、御自分の御意見を頂くというのは、今日はそういう場ではないですし、次回以降も、あくまでもヒアリングの中でのやり取りということに徹底していただきたいと思います。そうしませんと、今日のように、私の運営がまずくてオーバーしておりますので、次回以降また冒頭に御注意いたしますが、そういう形でお願いしたいと思います。

 時間をオーバーしておりますが、本日は大変ありがとうございました。団体の皆様におかれましても、ありがとうございます。

 最後に事務局から、今後の予定をお願いいたします。

 

○川又企画課長

 次回は 6 2 ( ) 15 時より、本日と同じ会議室ですので、よろしくお願いいたします。

 

○駒村部会長

 

 本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

【社会保障審議会障害者部会事務局】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課企画法令係
TEL: 03-5253-1111(内線3022)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(障害者部会)> 社会保障審議会障害者部会(第62回)議事録(2015年4月28日)

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