ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 雇用均等・児童家庭局が実施する検討会等> 保育士養成課程等検討会> 第1回保育士養成課程等検討会(2015年6月5日)




2015年6月5日 第1回保育士養成課程等検討会

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成27年6月5日(金)


○場所

中央合同庁舎第4号館 1階 共用108会議室


○出席者

構成員

汐見座長、小川副座長、阿部構成員、網野構成員、石渡構成員、河端構成員、近喰構成員、
藤林構成員、三代川構成員、村松構成員、山縣構成員

厚生労働省

安藤雇用均等・児童家庭局長、朝川保育課長、田野課長補佐、馬場保育指導専門官

○議題

(1)座長の選任
(2)今後の進め方について
(3)保育士試験の実技試験について

○議事

○田野課長補佐 おはようございます。定刻前でございますけれども、皆さん、おそろいいただきましたので、ただいまから第1回「保育士養成課程等検討会」を開催いたします。

 私、保育課の田野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本検討会の開催に際しまして、雇用均等・児童家庭局長の安藤より御挨拶を申し上げます。

○安藤雇用均等・児童家庭局長 皆様、おはようございます。厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の安藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日御出席の皆様方におかれましては、日ごろから児童福祉の発展に御尽力をいただき、また、今回この検討会への参加を御快諾いただきまして、誠にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。

 皆様御承知のとおり、厚生労働省におきましては、待機児童の解消を図るために、平成25年に公表されました「待機児童解消加速化プラン」に基づいて、40万人の保育の受け皿の拡大を進めているところでございます。このため、保育を担う保育士の確保は非常に喫緊の課題ということになっております。また、今年の4月に施行されました子ども・子育て支援新制度によりまして、小規模保育や家庭的保育、事業所内保育といった事業が新たに市町村の認可事業となりまして、これらの事業につきましても拡大がされていくということに伴いまして、従事する人材の確保が必要となってくるわけでございます。

 このため、今年の1月に「保育士確保プラン」を策定いたしまして、平成29年度までに追加で必要となる6.9万人の保育士について、これを確保するために、離職の防止でありますとか、潜在保育士の復帰の支援、保育士養成といった取り組みを引き続き確実に実施していくほか、子ども・子育て支援新制度の公定価格におきまして、3%相当の処遇改善を行うということになったわけでございます。

 また、現在国会で議論されております国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案におきまして、地域限定保育士という制度が盛り込まれておりまして、この法案が成立すれば、この地域限定保育士のための試験というものの実施が可能になるというような背景もございます。

 このように保育士確保のための取り組みを進めていく中で、保育士としての質も確保しながら、保育士を目指す方にいろいろな選択肢を提示して、より保育士を目指しやすくするということも必要ではないかと思っております。

 このため、この保育士試験で行っている実技試験のあり方について、まず御検討をいただきたいと考えております。

 また、指定保育士養成施設を卒業して保育士資格を取得した方と、保育士試験を合格して保育士資格を取得した方につきまして、保育士として同程度の質の水準を確保するという観点から、保育士養成課程の内容と保育士試験の問題の内容との整合性につきまして検証するということを考えておりまして、これらを含めまして専門的な検討を要する事項につきまして、この検討会の場で御議論をいただきたいと考えております。

 構成員の皆様方におかれましては、それぞれの専門的なお立場から闊達な御議論をいただけますように期待しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上、簡単ではございますが、開会の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

○田野課長補佐 それでは、傍聴の方のカメラの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 傍聴される皆様方におかれましては、事前にお知らせしております傍聴時の注意事項を遵守いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 初めに、検討会の運営に当たりまして、構成員の皆様方にお願いがございます。視覚・聴覚の障害のある方などへの情報保障の観点から、御発言等をされる場合には、発言者が必ず挙手をしていただくということと、挙手をした発言者に対しまして、座長のほうから指名していただくということ。指名を受けました発言者の方につきましては、氏名を名乗って発言していただくという運営を徹底したいと考えてございますので、御協力をよろしくお願いいたします。

 まず最初に、資料の確認をさせていただきます。

 本日配付させていただきましたお手元の資料でございますが、議事次第がございまして、その後ろに資料1から7。開催要綱から始まりまして、公開の取り扱いについて、当面の検討項目、試験の概要、資料5が養成課程と試験の科目を比較したもの、資料6が介護福祉士の国家試験の概要、資料7が論点を書き出したものでございます。

 参考資料といたしまして1から5までとなっております。試験と養成課程の関係資料というのが参考資料1になっていまして、参考資料2と3、雇用均等・児童家庭局長通知が2つ入っております。参考資料4と5につきましては、小川構成員と前田構成員からそれぞれ資料を御提出いただいたものをお配りいたしております。

 あと、机上配付ということで、平成27年、今年の保育士試験の「受験の手引き」と、平成26年、昨年行われました保育士試験の実際の問題をお配りしております。

 資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。大丈夫でしょうか。

 それでは、最初に、本検討会の設置の趣旨について御説明をさせていただきます。

 資料1の開催要綱をごらんいただけたらと思います。設置の目的でございます。ここに書いてございますように、子どもや家庭を取り巻く様々な環境の変化等に伴います子どもの育ちの課題や保護者支援の必要性など、保育所や保育士に求められる役割や機能が深化・拡大をしてきているということと、今年の4月から子ども・子育て支援新制度が施行されまして、現在、受入児童の拡大の量的拡充を進めるということをしてございますけれども、その量的拡充に密接に関連する質の改善も図っていくということにしてございますので、保育の質を担う保育士の役割が重要になってきているという状況でございます。

 これらの背景を踏まえまして、保育士養成課程の見直しですとか、今後の保育士養成等の課題につきまして、雇用均等・児童家庭局長の私的懇談会、学識者等の皆様方にお集まりいただきまして検討を行うというものでございます。

 また、本検討会の構成員につきましては、開催要綱の裏に別紙ということでつけてございまして、後ほど構成員の皆様方を御紹介させていただきますとともに、座長の選任を行わせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 資料1の3の検討事項につきましては、資料3「『保育士養成課程等検討会』における当面の検討項目」ということで、資料をお出ししております。

 1番のところに「当面の検討項目」ということで書かせていただいておりまして、保育士を目指す方に多様な選択肢を提示しまして、より保育士を目指しやすくするということで、保育士試験におきます実技試験に代わる講習又は実習に関する事項につきまして、検討いただきたいというのが(1)の項目でございます。

 それに際しましては、「講習又は実習の科目・時間・内容・開催時期」などについても御検討いただきたいというふうに書いてございます。

 (2)のほうでございます。保育士になるには、指定保育士養成施設を卒業するというルートと、保育士試験に合格するというルートがございますけれども、これにつきまして同等の質の水準を確保する必要があるということで、ここに書いてございますように、指定保育士養成施設の養成課程の内容と保育士試験の試験問題の内容との整合性に関する事項について、御検討いただきたいということが2番目の項目でございます。

 (3)につきましては、今回御検討いただく中で出てまいりました課題も含めまして、保育士の養成課程や試験に関することにつきまして、専門的な検討を要する事項について御検討いただきたい。この3つを「当面の検討項目」ということで挙げさせていただいております。

 開催要綱については以上でございます。

 次が資料2「検討会の公開の取扱いについて」ということで、資料をつけさせていただいております。

 本検討会につきましては、原則公開で開催させていただきます。資料及び議事録につきましても、公開することを原則ということでさせていただきますが、必要に応じまして一部非公開とする場合もございますので、よろしくお願いいたします。具体的にどういう場合かというのが資料2のところに少し書いてございます。説明は省略させていただきます。

 それでは、本日は1回目の検討会になりますので、まず構成員の皆様方を御紹介させていただきます。

 先ほど見ていただきました資料1の裏面にあります別紙に名簿を記載してございますので、その名簿の順に御紹介をさせていただきます。

 まず、大妻女子大学家政学部教授の阿部和子構成員でございます。

○阿部構成員 どうぞよろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、東京家政大学子ども学部特任教授の網野武博構成員でございます。

○網野構成員 網野と申します。よろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、神奈川県県民局次世代育成部次世代育成課長の石渡美枝子構成員でございます。

○石渡構成員 どうぞよろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、慶應義塾大学経済学部教授の河端瑞貴構成員でございます。

○河端構成員 どうぞよろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、秋草学園短期大学学長の近喰晴子構成員でございます。

○近喰構成員 どうぞよろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、白梅学園大学学長の汐見稔幸構成員でございます。

○汐見構成員 汐見です。よろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、東洋大学社会学部教授の藤林慶子構成員ございます。

○藤林構成員 東洋大学の藤林と申します。よろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、浦安市立東野保育園副園長の三代川紀子構成員でございます。

○三代川構成員 三代川と申します。よろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、全国保育士会副会長の村松幹子構成員でございます。

○村松構成員 村松でございます。よろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 続きまして、関西大学人間健康学部教授の山縣文治構成員でございます。

○山縣構成員 山縣です。よろしくお願いします。

○田野課長補佐 それから、甲南大学マネジメント創造学部教授の前田正子構成員と岡崎女子大学子ども教育学部教授の矢藤誠慈郎構成員につきましては、本日は所用により御欠席いただくということで御連絡をいただいてございます。

 また、東京都市大学人間科学部教授の小川清美構成員につきましては、所用により少し遅れて御出席をいただけるということで御連絡をいただいておりますので、お越しになりましたら御紹介をさせていただきたいと思います。

 次に、事務局の職員を御紹介いたします。

 先ほど御挨拶をさせていただきました雇用均等・児童家庭局長の安藤でございます。

○安藤雇用均等・児童家庭局長 よろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 保育課長の朝川でございますが、少し遅れて参りますので、大変申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

 保育指導専門官の馬場でございます。

○馬場保育指導専門官 馬場でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田野課長補佐 私、先ほど自己紹介をしましたけれども、保育課の課長補佐の田野と申しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事のほうに入らせていただきます。

 最初に、座長の選任を行わせていただきます。私ども事務局のほうからは、汐見構成員に座長をお願いしたいと考えてございますが、構成員の皆様方、よろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○田野課長補佐 ありがとうございます。

 それでは、本検討会の座長は汐見構成員にお願いしたいと思います。

 大変恐縮でございますけれども、汐見座長におかれましては、お席を御移動いただきますようによろしくお願いいたします。

(汐見構成員、座長席へ移動)

○田野課長補佐 それでは、汐見座長より一言御挨拶をお願いいたします。

○汐見座長 保育士養成課程等検討会の座長を仰せつかりました汐見と申します。多分前回も会議がございまして、養成校のカリキュラムについて熱心な議論をさせていただいた覚えがあるのですが、そのときのことをある程度ちゃんと覚えている人間がこれをやるのがよろしかろうということで、座長を仰せつかったと思いますが、ちょうど新制度が始まりまして局面もまた新たになってまいりましたので、そういうことを踏まえて、日本の保育の発展のためにいい制度をつくるということを心がけて議論してまいりたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。

○田野課長補佐 ありがとうございました。

 以降の議事進行につきましては、汐見座長のほうにお願いいたします。

○汐見座長 それでは、早速議事に入らせていただきます。

 この検討会のこれからの会議のあり方につながるのですが、議事の進め方について、あらかじめ考えていることについて、事務局より説明のほうをお願いいたします。

○田野課長補佐 事務局でございます。                      

 先ほどちょっと見ていただきましたけれども、資料3を御覧ください。資料3の当面の検討項目の2番目のところに「今後の予定」ということで、少し書かせていただいております。本検討会の今後の具体的なスケジュールでございますけれども、まずは検討項目の(1)のところにございます地域限定保育士試験における実技試験に代わる講習又は実習の内容につきまして、ここにありますように第2回、第3回で先に御議論いただきたいというふうに考えてございます。

 その後、(2)のほうの課題になっております指定保育士養成施設の養成課程と保育士試験の試験問題との整合性についての御議論をしていただきたい。そのようなスケジュールで考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○汐見座長 大きく2つの検討項目があるということでございます。地域限定保育士等については、ほかの議論にもかかわっているわけですが、その概念をはっきりさせながら、実技試験に代わって講習あるいは実習に移すということはいかがなものかということで、その中身等について議論していただきたいということ。

 もう一つは、保育士試験を受けて保育士になる方と、養成校、養成課程のカリキュラムをきちんとこなして保育士になる方との間の整合性に関して少し詰めていただきたいということであります。

 特に問題がなければそれでいいのですけれども、実際は幾つか課題があるということでございますので、この2つを主な議論として、その他、必要なテーマが浮かんできたら、その後にということでございますが、今の検討スケジュール、まずは地域限定保育士における実技試験に代わる講習又は実習に関して議論するということから始めたいというスケジュールについて、何か御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。

 いずれまた中身についてはその都度議論になると思いますので。

 では、一応スケジュールについては確認されたということで、進めたいと思います。

 それでは、議事の3、保育士試験の実技試験についてのことなのですが、まず事務局より説明をお願いいただけますでしょうか。

○田野課長補佐 事務局でございます。

 資料4から資料7までを御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料4は「保育士試験の概要」ということで、1枚紙をつけさせていただいております。御案内のとおり、保育士の資格につきましては、児童福祉法に規定する国家資格ということでございまして、ただ、試験の実施につきましては都道府県知事が行うという仕組みになってございます。

 1つ目に保育士試験の受験資格が書いてございます。

 簡単に御説明しますと、1つ目の○のところに、大学に2年以上在学していらっしゃって、62単位以上取得した方などについて受験資格があるということが書いてございます。

 2つ目が、高等学校を卒業された方につきましては、一番最後のほうに書いてございますが、「児童福祉施設において、2年以上児童の保護に従事した者」ということで、保育所とかそれ以外の児童福祉施設等で2年以上、直接お子さんの保護に従事した方について、保育士試験を受験する資格があるということが書いてございます。

 同じように、特に高校卒業が要件になっていない場合が3つ目に書いてございます。児童福祉施設等におきまして5年以上児童の保護に従事した方ということでございます。

 4つ目の○です。これは知事認定というふうに言っておりますが、厚生労働大臣の定める基準に従いまして、都道府県知事において適当な資格を有すると認めた方につきましては、試験の受験資格があるというふうになってございます。

 2番目が試験の科目ということで、現行こういうふうになっているということでございます。

 保育士試験につきましては、筆記試験と実技試験がございます。

 筆記試験につきましては、ここに○印で保育原理、教育原理及び社会的養護等書いてございますけれども、9科目ございまして、実際の試験はそれぞれ○印の科目ごとに20問で、試験自体は各科目60分で実施しておりまして、科目ごとに6割以上とられた方について、1科目、例えば保育原理であれば、保育原理で6割以上得点がとれたら、その保育原理の科目については合格ということになっております。筆記試験に合格された方について、次の実技試験に進めるということになっております。

 実技試験といたしましては、保育実習実技ということで、音楽表現、造形表現、言語表現、この3科目のうち2科目を選択して受験していただくというふうになっております。

 それぞれにつきまして50点満点になっておりまして、6割以上とれた場合が合格ということになっております。実技試験の内容につきましては、また後ほど御説明をさせていただきます。

 3番目、試験科目の免除というものが制度上ございます。

 「(1)前年、前々年の一部科目合格者」と書いておりますけれども、先ほど言いました9科目のうち、科目ごとに合格が判断されまして、合格した科目については、その後2年間持ち越しといいますか、受験する際に合格をした科目ということで、改めて試験を受けなくていいということになっております。「一部科目合格」という言い方をしてございますが、そういう仕組みになっております。ですので、実際は2年とか3年かけまして全部の科目を合格して保育士試験に合格される方というのがかなりの数いらっしゃいます。

 (2)が「保育士試験免除指定科目専修者」ということで、厚生労働大臣が指定した学校等におきまして指定された科目を受講された方については、受講された科目について試験が免除になるということでございます。

 (3)が幼稚園教諭免許状を所有される方の場合でございます。(3)の1にございますように、幼稚園教諭免許状を持っていらっしゃる方については、試験科目の「教育原理」と「保育の心理学」が免除になるということと、あと、実技試験自体が免除になるという取り扱いになってございます。

 2が「指定保育士養成施設において履修した科目」ということで、幼稚園教諭免許状を持っていらっしゃる方で指定保育士養成施設において試験科目に対応する教科目を履修した方については、その科目については筆記試験が免除になるという取り扱いになってございます。

 3が平成26年の試験からの実施になっておりますけれども、一定の実務経験、これは3年かつ4,320時間以上というふうになってございます。一定の実務経験があって、4科目8単位の特例教科目というものを別途設定しておりまして、それを受講された方については、保育士の筆記試験が全部免除になるという取り扱いになってございます。

 3につきましては、子ども・子育て支援新制度の中で幼保連携型認定こども園は保育士の資格と幼稚園教諭の免許の両方持つ方が必要ということになりましたので、そのために設けました特例の措置でございます。

 裏を見ていただきますと、「保育士試験の受験者・合格者の推移」ということで、過去10年間の試験の状況を載せさせていただいております。直近の平成26年で見ていただきますと、受験者数が5万1,257名ということで、この受験者数は、先ほど科目免除のところで御説明いたしました中で、全科目が免除になっている方を除いた人数になってございます。

 5万1,257名のうち、右のほうの「筆記・実技試験」というところの合格者数の一番下のところを見ていただきますと、9,894名ということで、約2割、19.3%の方が試験に合格をしているという状況になってございます。

 その右側にあります3,880名というのが、全科目免除によりまして合格された方ということで、別掲で書き出しをしております。

 資料4については以上でございます。

 続きまして、資料5は、保育士の養成課程の教科目と保育士試験の試験科目の対応といいますか、対比をさせていただいております。

 左側が養成課程の教科目になっております。

 色分けをさせていただいておりますけれども、おおむね養成課程の教科目と保育士試験の科目というのが対応するような内容になっているということでございます。色分けに入っていない部分、1の保育者論と3の保育課程論は、前回の保育指針の改定のときに加わりました養成課程の教科目でございまして、これにつきましては、当時御議論いただいた中で、保育者論と保育課程論につきまして、保育士試験の試験科目ということで新たに設定し科目を増やすと、受験者の方の負担になるということで、この内容につきましては、例えば保育原理等の中に溶け込んでいるといいますか、他の科目の中で出題をされるという取り扱いになってございます。

 今回議題に挙げさせていただいております実技試験につきましては、保育士試験科目の一番下の「保育実習実技」というのが実技試験に当たる部分でございます。

 これに対応しますのが養成課程の教科目の4の「保育の表現技術」という部分でございます。保育の表現技術の内容につきましては、保育実習実技と、その上にあります保育実習理論という保育士試験の試験科目に対応する内容ということになっております。

 資料5についての説明は以上でございます。

 続きまして、資料6でございます。ここでは介護福祉士の国家試験の概要をつけさせていただいております。この資料をつけさせていただいておりますのは、今回、実技試験を講習又は実習に代えることができないかということで、検討をお願いするに際しまして、先行して実際に実技試験を講習に代えている事例ということで、資料をつけさせていただいております。

 介護福祉士の国家試験につきましても、2のところにございますように、試験科目につきましては、筆記試験と実技試験を受験していただくということになっております。

 3のところに書いてありますように、実技試験の免除ということで、介護技術講習や実務者研修を修了することによりまして、実技試験を免除するという取り扱いになっております。

 この介護技術講習の概要につきましては、1枚おめくりいただきまして、別紙1「介護技術講習について」ということで概要をつけさせていただいております。

 これにつきましては、3のところに「実施年度、免除の回数」ということで書いてございますけれども、介護技術講習は平成17年度から実施されておりまして、平成18年の試験から適用されているということでございます。実技試験の免除につきましては、介護技術講習修了後に引き続いて行われる3回の実技試験について免除がされるという取り扱いになっているということでございます。

 1枚おめくりいただきまして、裏に介護技術講習の内容と時間数を載せさせていただいております。ここにありますように、(8)の総合評価も入れますと8つの項目と内容になってございまして、時間数で見ますと、合計32時間の講習の内容になっております。

 実際に介護技術講習をやっていらっしゃる養成施設のホームページを見ますと、大体4日間で32時間の講習をやっているという状況のようです。土曜日、日曜日を使って開講していただいているような養成施設もございました。というのが介護技術講習の概要になっています。

 その次が別紙2「実務者研修について」ということで、資料をつけさせていただいております。これは参考ということで、趣旨のところにちょっと書いてございますが、実務経験3年以上で、平成24年以降に実務者研修を受講し修了した方については、実技試験を免除するという内容になっております。

 これは経過的に取り扱われている措置ということになっておりますので、今回実技試験の免除の取り扱いについて検討する事例とは違いますが、参考につけさせていただいております。

 資料6については以上でございます。

 続きまして、資料7が今回の実技試験のあり方等についての論点ということで、事務局のほうで整理をさせていただいた資料でございます。

 1つ目が「現状」ということで、現行の保育士試験の実技試験の内容を書き出させていただいております。大きな○の下のところに保育士試験の出題範囲を書き出させていただいておりまして、その出題範囲の中の保育実習理論と保育実習実技の内容を抜粋したものでございます。この内容につきましては、その下の括弧書きに書いてございますように、「保育士試験の実施について」ということで、今回参考資料2でつけさせていただいております局長通知に書かれている内容でございます。

 この出題範囲につきましては、「第1 出題の基本方針」ということで書いてございますが、「保育に関する教科全体の知識・技術を基礎とし、子どもの保育及び保護者への支援について総合的に理解し、実践する応用力を問うことを基本とする」という基本方針が書かれております。

 ちょっと飛ばしまして、第2のところに出題範囲が書いてございます。Bのところに「保育実習実技」ということで、実技試験についての出題範囲が書いてございます。

 1が「音楽表現に関する技術」、2が「造形表現に関する技術」、3が「言語表現に関する技術」ということになっておりまして、具体的内容はこの後に御説明をいたします。

 第3が「出題上の留意事項」ということで、「保育に関する知識、技術や受験者の思考力や創意工夫が総合的に把握されやすい内容を選択する」とか、「必要度及び活用度の高い内容を重視する」とか、「児童の遊びを豊かに展開するための技術とその応用力についても考慮する」とか、「保育実習実技の受験者が多い場合、多人数が同一条件のもとに受験できるよう配慮する」というような留意事項が書いてございます。

 2ページ目には現行の保育士試験の実技試験の内容を書き出させていただいております。これは平成27年保育士試験の「受験の手引き」ということで、机上にお配りしておりますピンク色の「受験の手引き」に書かれている内容を抜粋させていただいております。

 (1)といたしまして「音楽表現に関する技術」ということで、「幼児に歌って聞かせることを想定して、課題曲(2曲)の両方を弾き歌いする」というのが試験の内容になってございます。

 求められる力ということで、「保育士として必要な歌、伴奏の技術、リズムなど、総合的に豊かな表現ができること」ということを書いてございまして、実際に楽器は決まっておりまして、ピアノ、ギター、アコーディオンのいずれかを演奏すると。楽譜の持ち込みは可ということになってございます。ピアノを弾きながら歌を歌って聞かせるというような場面を想定して試験を行うということになってございます。

 平成26年の試験ですと、「おつかいありさん」と「おへそ」という課題曲の両方を弾き歌いするというような内容になってございました。

 (2)は「造形表現に関する技術」ということで、保育の一場面を絵画で表現するという試験内容になってございます。

 求められる力ということで、「保育士として必要な造形表現(情景及び人物等を豊かにイメージした描写や色遣いなど)ができること」ということ。

 この科目につきましては、試験当日に問題文が示されるということになってございます。こういう場面で書いてくださいということと、あと、条件を提示して、その条件を満たした内容を表現するということになっております。イメージといたしましては、一場面ということで、公園へ散歩する場面を描いてくださいということとか、その場合の条件ということで、きちんと場所、公園ということがわかるようにということですとか、あと、色鉛筆で色をつけるようにとか、子どもだけでなくて保育士さんもきちんと描くようにというような条件を付した上で試験を行っているということでございます。

 (3)が「言語表現に関する技術」ということで、これにつきまして想定しておりますのは、3歳児のクラスのお子さんに3分間のお話を読み聞かせをするということで、事前に4つのお話を提示しておりまして、そのうちの1つを選択して、お子さんが集中して聞けるようなお話の仕方をしていただくということになっております。

 求められる力ということで、「保育士として必要な基本的な声の出し方、表現上の技術、幼児に対する話し方ができること」というのをポイントに試験をしております。平成26年ですと、例えば「うさぎとかめ」とか、「おむすびころりん」とか、「3びきのこぶた」とか、4つの話のうち1つを選択して、3分間で絵本を見ずに読み聞かせをするという内容になっております。

 3ページは、実技試験の内容に当たります保育士養成課程の「保育の表現技術」の内容について書き出しをしております。

 これにつきましても、参考資料3ということでつけさせていただいておりますけれども、「指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について」という局長通知の中から抜粋した内容、実技試験に関する部分を書き出しております。

 「目標」ということで書いております。

 1つ目が「保育の内容を理解し、子どもの遊びを豊かに展開するために必要な知識や技術を習得する」。これは養成課程のほうで学んでいただく内容ということでございます。

 2番目が「身体表現、音楽表現、造形表現、言語表現等の表現活動に関する知識や技術を習得する」ということ。

 3番目は、「表現活動に係る教材等の活用及び作成と、保育の環境構成及び具体的展開のための技術を習得する」というのを目標に設定して、それぞれの学校で科目を設けていただいております。

 内容につきましては、特に実技試験の内容に当たる部分を黒の太枠で囲っております。先ほどの試験のほうの科目と対応しておりますけれども、音楽表現、造形表現、言語表現等に関する知識、技術ということになっておりまして、具体的に養成課程の中で実施していただく内容につきましては、それぞれの学校でそれぞれの学校のシラバスによりまして特色を持って実施していただいておりますので、どんな内容というのは御説明しづらい部分があるのですけれども、特色を持って、音楽表現であればミュージカルを取り入れていたり、それぞれの学校によりまして内容といいますか、目指すところは同じなのですが、実施の仕方を工夫してやっていただいております。

 1枚おめくりいただきますと、4ページ目からが具体的な論点「保育士試験の実技試験のあり方について」ということで書いております。

 1つ目の大きな○でございます。試験の合格後の保育士としての質を確保しながらも、受験者に対しまして多様な選択肢を提供するということを考えておりまして、実技試験につきまして、講習又は実習に代えることについてどう考えるかということを書いてございます。

 その下の1つ目のポツが、仮に実技試験を講習又は実習に代えることとする場合には、全国で実施するということではなくて、まずは地域限定の保育士の試験、今後国会で法案が成立して実施できるということになりましたら、そちらのほうから実施していくということについて考えたいということが書いてございます。

 2つ目のポツが、実技試験に代える場合に考えられることということで、アは「講習に代えることとした場合」ということです。指定保育士の養成施設におきましては、先ほど見ていただきました保育表現技術については、講義というよりも演習ということで、より実践的な、実際に体験していただくようなやり方をしているということ。

 イでは「実習に代えることとした場合」ということで書いてございます。1つ目のポツが、実習に代えるということですので、保育所等保育現場で実際に実践的に保育の内容等を学ぶことができるということ。

 2つ目のポツに書いてございますのが、保育現場を知ることができるために、その後、お勤めいただく場合に保育の現場に入りやすくなるということ。

 直接お子さんと接することになりますので、子どもに対する理解が進むということが、実習に代えた場合にはメリットといいますか、考えられますということを書いています。

 矢印のところで書いてございますのは、こういうふうな取り扱いにする場合でも、受講者の希望によりまして、講習と実習のいずれかを選択して受講できるようにして、いずれかを受講すれば保育士試験の実技試験を免除するということを検討してはどうかということです。

 「また」のところにつきましては、講習または実習ではなくて、実技試験の受験を希望する方もいらっしゃると。実技試験については1日で終わりますけれども、講習、実習についてはある程度時間がかかりますので、実技を希望される方もいらっしゃるということを考えますと、一律受験者の方に講習、実習を受講していただくということでなくて、受験前に講習または実習を受講した場合には実技試験を免除するというような取り扱いを考えてはどうかということを書いてございます。

 次の5ページ目が「講習又は実習の内容について」ということで書いております。

 ここで書いてございますのは、大きな○ですけれども、実技試験におきましては、先ほど見ました音楽表現等3つの課題のうち、受験者が2つを選択して試験を行っているということがございます。実技試験の内容を踏まえて考える必要があるのではないかということを書いてございます。

 先ほどから講習というふうに言っておりますが、想定しておりますのは講義と演習ということで、ただお話を聞くということだけを想定しているわけではありません。

 というのが1つ目の大きな○になっております。

 2つ目の○が「講習又は実習のカリキュラムの教授内容」ということで、今、見ました実技試験の出題内容ですとか、先ほど見ました指定保育士養成施設の養成課程を踏まえたものにする必要があるのではないかと。あくまで実技試験にかわるものなのでということで書かせていただいております。

 最後の6ページ目でございます。

 「4.講習又は実習の時間数や日数について」ということです。これにつきましては、1つ目の○は、カリキュラムの内容が確実に実施でき、受講者がその内容を習得できるように設定する必要がありますということ。

 2つ目の○が、そうはいいましても、実技試験にかえて行うものということを踏まえまして、受講者の方に過度な負担にならないように、時間数とか日数についても配慮する必要があるのではないかということです。

 特に実技試験につきましては、3つの科目のうち2科目の選択式になっているということも考慮する必要があるのではないかということを3つ目の○に書いてございます。

 5番が「講習又は実習の開催時期について」ということでございます。

 1つ目の○は、講習または実習の開催時期につきましては、今、想定しております地域限定の保育士試験の実施時期等を勘案して設定する必要があるのではないかということです。

 直近ですと、平成27年の保育士試験があるのですけれども、これから御検討いただくということもありますので、平成27年の試験は当然間に合わないというふうに思っておりますので、平成28年の保育士試験での実施の検討ができないかということでございます。

 ここに※で書いてございますのは、今年もそうですが、通常の保育士試験につきましては8月の実施ということになっておりますが、実は昨年、保育士試験を8月に実施した際に、西日本の方につきましては、台風の影響で試験が実施できずに、10月に延期をさせていただいたという経緯がございます。もう少し台風の影響を受けない時期に実施したいという思いもありまして、平成28年の保育士試験については、1回目を4月に実施したいというふうに考えております。

 4月に実施するのが通常の試験ということで、2回目の試験を10月に実施するということを検討していますということをここに書いていますが、2回目の試験のほうは地域限定の保育士試験を想定しておりまして、平成2810月に行います試験におきまして、講習又は実習に実技試験を代えるということを検討できないかということでございます。

 下の○に書いていますように、特に地域限定保育士試験の受験申請の時期、もし10月に実施できるということになりますと、大体2カ月前ぐらいが受験申請の締め切りになりますので、それまでに講習又は実習の受講が可能となるような実施時期の配慮というのも必要があるのではないかということを論点ということで書かせていただいております。

 すみません、長くなりました。資料7についての説明は以上でございます。

○汐見座長 ありがとうございました。

 何点かございましたが、丁寧に理解してこれからの議論に備えなければいけませんので、本日はここを議論しなければいけないということが決まっているわけではございませんで、大体こういうことをやるということについてしっかり理解して、あらかじめここは少し確かめておかなければいけないというところをどんどん出していただいて、これからの議論の礎みたいなものを築きたいと思っております。

 今の御説明についての御質問についても結構ですし、内容上の理解にかかわるようなことでも構いませんし、これからの議論のテーマにかかわることでも構いませんので、御自由に意見を出していただきたいと思います。

 先ほど言っていただいたのですけれども、一応記録をとらなければいけないということもありますので、私のほうから「河端構成員、お願いします」ということを言いますので、しゃべるときに、「河端でございます」とかなんとかと言ってからしゃべっていただきたいと思います。すみません、よろしくお願いします。

 では、河端構成員、お願いします。

○河端構成員 河端です。

 私の専門とは保育士とは関係がなく、保育士に関する知識が乏しいので確認させていただきたいのですが、資料3の「実技試験に代わる講習又は実習」について、講習と実習はどこで受けることを想定しているのか、教えていただきたいと思います。例えば講習は保育士養成課程のようなところで受けるのか、実習といった場合は実際の保育所で受けるのか、その点について確認させてください。

 子どもの年齢によって保育士に求められる技術はかなり異なってくると思いますが、今までの議論を聞いていますと、大体3歳以上を対象にした技術にフォーカスしているように見受けられたのですが、保育園は0から2歳の対応も大変重要だと感じております。乳児のように幼い子供たちに対する技術は、どのように試験の中に盛り込まれているのか確認したいと思いました。

 資料4の裏面の「保育士試験の受験者・合格者の推移」を拝見すると、受験申請者数は年々かなり増えていて、これがなぜ増えているのかをおわかりになるようでしたら、教えていただきたい。

 一方で、幼稚園教諭免許所有者の受験者数は、平成22年から25年あたりは増えていますが、平成26年で減っているので、理由がもしあるようでしたら教えていただきたいと思いました。

 これは意見ですが、資料7の4ページ目の最後の2行目に書かれているような案は、保育士の受験者数を増やす、保育士を増やすという点では効果的であるように思いました。受験に際して、受験者を一律講習または実習を受けさせるのではなく、受験前に講習又は実習を受講すれば、実技試験を免除するというようにすると、受験者にとっては受けやすいように思いました。

 以上です。

○汐見座長 今、3つのご質問、ご意見がありましたけれども、それについても議論していただきたいということがございましたら、それでも結構ですし、あらかじめこういうふうに想定しているということだったら、そういうふうに説明していただければと思います。では、お願いいたします。

○田野課長補佐 事務局でございます。

 まず最初に、どこで実習なり講習を受講することを想定しているかということでございます。これは御議論いただく中で御相談させていただく部分でもあるかと思いますが、実習と言いますと、保育士の現場ですので、保育所のほうに受け入れていただくということを想定しております。ただ、やり方につきましては、誰が実習先を選定するかということもございますので、また考えていかなければいけないということもございますし、いろいろお知恵をいただけたらというふうに思っております。

 講習につきましては、考えられますのは、まず一番は、指定保育士養成施設、ノウハウを持っているところにお願いして、講習を実施していただくということが念頭にございます。

 場合によっては自治体のほうで設定するということも考えられますけれども、一番ノウハウを持って実施していただいているのが指定保育士養成施設でございますので、そちらにお願いをするというのが現実的といいますか、実際なのかなというふうに考えております。

 2つ目のお子さんの年齢ということで、先ほど私のほうの説明が中途半端といいますか、あまり適切でなかったのかなと思いましたけれども、この試験自体は3歳以上を想定して試験を行っているということではございませんで、実際に乳児保育で必要な知識とか技術というものにつきましては、筆記試験の内容でも入ってございますし、先ほど実技試験のところで3歳以上のお子さんを想定して読み聞かせをするというふうな御説明をさせていただいたのですが、対象になる年齢のお子さんがわからないと、実際試験の際にお子さんがいるわけではないものですから、どれぐらいのお子さんに話しかける想定でその試験をやるかということで、3歳のお子さんに語りかけるような読み聞かせの場合の想定をしているということで、先ほど3歳ということを御説明させていただいたのですが、試験の内容自体は、乳児の保育ももちろん大事ですので、そういった知識も当然必要だということがございます。実技試験のほうではうまく表現ができていないのかもしれないのですけれども、筆記試験のほうには入っておりますし、絵画を描いて見せるというのは、乳児も想定した試験の内容にはなっているということでございます。

 資料3のところにございました受験者数の推移でございますが、受験者数自体が増えているということにつきましては、保育所が不足しているということで保育に対するニーズが増えている、保育士の数が必要だということが受験者、学生の方にも伝わっているのかなという推測はしてございますけれども、具体的に詳細な分析はしていないということでございます。

 幼稚園免許状の所有者につきまして受験者数が減っているではないかということでございますが、平成25年までの数字につきましては、このときも全部科目が免除になる方というのも実際はいらっしゃいまして、平成25年の数字には幼稚園教諭免許状を持っていらっしゃって、全部科目が免除になる方というのが実は含まれています。ただ、平成26年につきましては、先ほど言いました特例教科目ということで、新制度の中で幼稚園教諭免許状を持っていらっしゃる方が保育士の資格を取りやすくなるような仕組みを設けたということがありまして、この数字については、別に全部科目免除になっている方の数字というのを把握するようにしておりまして、平成25年と平成26年を比べて、幼稚園教諭免許状を持っていらっしゃる方の受験申請者数を単純に見比べるということでありますと、8,463名に、平成26年のところの欄を右にたどっていただきますと、全部科目免除による合格者数3,880名とあるのですけれども、これを合計した数字が実際には幼稚園教諭免許状を所有している方で受験申請をしている方というふうになっております。

 資料のつくりがわかりにくくて申しわけなかったのですが、受験者数で見ますと、そういうことになっております。合計の申請者数につきましても、ここでは全部科目免除者を除きました5万1,257名となっておりますけれども、保育士試験の科目免除の仕組みで、全部科目免除になる方も保育士試験の受験申請をしていただくということになっております。申請した上で科目が免除されて合格になるという仕組みになっておりますので、全科目免除者につきましても、実際には受験申請者数に含めた数字が全体の数というふうになるということでございます。資料のつくりがわかりにくくて申しわけなかったのですけれども、そういう見方をしていただけたらというふうに思います。

 私のほうからは以上でございます。

○汐見座長 よろしゅうございますか。

○河端構成員 ありがとうございました。

○汐見座長 本当に御自由に御質問、御意見をお願いいたします。

 それでは、順番に藤林構成員からお願いいたします。

○藤林構成員 質問です。実技試験の合格者が大体8~9割です。8~9割ということは、結局、1~2割は落ちているということになりますと、落ちている1割、2割という人も講習や実習で合格してしまうレベルに今度はなるという意味なのでしょうか。

 そうしますと、講習は受けさえすればいいですね。実習は誰かが判定して、この人は不適格みたいなことがあり得るのかどうかということ。まず、それが1点です。

 もう一点は、社会福祉士も介護福祉士も実習指導者講習会というのを受けて、ある一定レベルの実習指導者という人が、最終的に学生の実習について現場からの意見を言うのですけれども、最終的にこの学生が実習という単位を取れるかどうかは私たち教員の判断になるのです。その辺で講習とか実習というもののときに落ちる人がいるのかどうかということと、その場合の判断は誰がするのか、どういうことが想定されているのか、教えていただきたいと思います。

○汐見座長 では、お願いします。

○田野課長補佐 事務局でございます。

 これから仕組みをつくっていくということがございますので、断定的な言い方はなかなか難しいのですが、確かに実習をする場合には、現場の方に評価していだたくということもございますけれども、どういう仕組みを入れるかというのは、また御相談なのかなというふうに思っております。受講しやすいような形でということで、試験以外のやり方も御提示したいということがまず念頭にございます。かといって、出席が足りないとか、実習してもきちんとできていないという場合に、それを認めていいのかという御意見ももちろんあると思います。評価の仕組みを入れるかどうかというのは、また御意見をいただけたらというふうに思います。

○汐見座長 ということは、そのあたりについては、細かに想定する手前といいますか、課題であるということでよろしいでしょうか。

 例えば保育所にお願いするとしても、あそこの保育所は甘いよとか、あそこは厳しいからやめたほうがいいよとかというふうな形の差がいつの間にか伝わってくるのではまずいわけですね。ですから、引き受けた側には、私どものほうからオーケーである判定基準について、ある程度丁寧な基準はつくっておかなければいけなくなりますし、今回は大変新しいことで、今までは試験を受けた方が必ずしも現場に出ないまま行ってしまうということを少しクリアして、少し現場の体験をしていただくということになります。これは試験ではないのです。

 これが試験のほうでなるということと、2つ兼ねたテーマになっていますので、そのあたりが多分微妙な論点になってくるのだと思うのです。ですから、そういうことも含めて、どういう制度が合理的なのかということについて、少し突っ込んで議論していただきたいということだと御理解いただきたいと思います。

 それでは、村松構成員、お願いいたします。

○村松構成員 村松でございます。

 今のお話と重複するかもしれません。保育所へ実習受入れ依頼された場合、私たち保育の現場の現実を考えますと、そこまでの余裕はないのです。日々子どもたちの保育に必死になっておりますし、いわゆるゆとりのある人員配置の中でやっているというわけでもありません。

 一方で、量の確保、質の確保、両方確保しなければいけないということも重々わかっておりますし、実習の受入れの充実が私たち保育現場にも返ってくるという意味では、保育士資格を持って世に出てくださる方が増えて欲しいというのは同じ思いです。

 ただ、保育所に講習なり実習が委託された場合、その現場の疲弊感というものも考慮していただきたいと思います。

 同時に、先ほど誰が評価するかという話にもなっておりましたが、現在の枠組みの中では、私たちは客観的な評価をする自信はありません。現在、実習生の評価をさせていただいていますが、そのときの実習生の評価については、養成校から、現場の目で正直に感じたことを評価してくださいと言われています。それが成績に参考とはなるものの、直接成績と結びつくものではないと言われておりますので、私たちは忌憚のない評価をしているところでもあります。

 ところが、今話されているような状況となりますと、客観性が求められてきますし、その意味では、現場の者たちにも客観的な評価をするための研修やマニュアルがないことには、引き受けることは難しいところもあると思っています。

 実習を受けている保育所に養成校の先生がお見えになって、客観的な目で実習の内容や受入れ体制を見てくださるというようなシステムになるのであれば、さらに充実した実習を引き受けることが可能となると思います。

 試験だけではなく、現場の中で、自分がどのような動きをするべきかということを考えながら実習をしていただいたうえで資格を得て、現場に出ていただくという意味では、とてもいい制度になるのかというふうに思います。

 以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。

 現場がさまざまな課題を抱える中で、なかなか難しいことがまだありそうだということであります。

 それでは、山縣構成員、お願いいたします。

○山縣構成員 山縣です。

 質問と意見を絡めたようなものが3点、単純な意見が1点です。

 質を落とさずに量をどう確保するか。なかなか難しい課題に我々は挑戦するわけですけれども、まず1点、聞き漏らしたかもしれないのですが、地域という考え方、地域というのは一体何なのか。恐らく都道府県ではないかというふうに文章等を見ていたら思うのですけれども、これが全県で来年から同時実施可能なのか、それとも保育士が不足している地域、準備が整ったところから順次やっていくことなのか。

 後者の場合、これはコストもかかる話ですから、税金の無駄遣いをしてはいけないと考えたときに、単独県でやるほどの量ではない、しかし、2県でやると必要なのですよと。そういうふうなときに広域型というのは可能なのかどうかというのが1点です。

 2点目は、それと絡むのですが、とりわけ保育士が不足している地域で働きたいと。保育士がたくさんいる、そういうところに住んでいるけれども、保育士が足りない地域で働きたいときに、試験のほうは1日だから何とかなると思うのですが、講習と言われる部分が、介護福祉士をベースに見たら、4日間ぐらいかかるといったときに、当該地域まで行って講習を4日間受けないといけないのか、それとも所在の県でそれがあれば、それが代替できるのかどうか、その辺で移動の問題が出てくるのかな。この辺をどう考えるかというのが2点目です。

 3点目は、一番最後に話をされた年2回実施をすると。従来型と新しいタイプとなったときに、試験科目のほうは同等の質であるということを前提とした場合、これは一部免除において年に2回チャンスがあると。4月の試験でこれとこれが通ったけれども、幾つかは落ちた。当該地域であったから、秋の試験でもう一回チャレンジした。落ちていた分がそこで取れたとしたときに、合算して一部免除がその後できるのかどうか。ここもちょっと考える必要があるのかなということです。

 最後は単純な意見なのですけれども、特に4月実施という制度。ここは試験の方法、内容は従来型ですから変わらないとしたときに、時期がこれだけずれるというのは、受験者にとっては大きな変化だと思うのです。そうすると、来年の夏よねというふうに思っていたときに、4月だというのが秋口にわかると、結構慌てられるのではないかなと思います。この分については、実施時期だけは早目に公開したほうがいいのではないだろうか。地域限定については、決まっていないことを公表するとややこしくなりますから、それは無理だとしても、4月分については、早目に国民のほうに伝えるようなことができたらなということを思っています。

 以上です。

○汐見座長 今のことについて、事務局のほうで今、答えられることを答えていただく前に、ちょっと確認しておきたいのですけれども、きょうの提案は、4月と10月にやるということで、後者のほうが地域限定と。今、法律で考えられている地域というのは、具体的にどういうところが想定されているかということについて、ちょっと御説明いただきたいのです。

 同時に、今、山縣構成員のほうから御質問がありましたが、4月と10月にやった場合、限定されている地域については2回受けることができるのかという問題があります。そういうことについては、今、保養協との関係でどういうふうに考えられているのかということをあわせて御説明いただきたいということ。

 それから、先ほどの説明では、今の保育士試験は、最初の知識のほうの試験が受かった後にこの実技をやっています。今回は講習あるいは実習を事前にやってもいいのではないかというニュアンス。実際の実技は選択できるような形にということになりますから、後にというふうに必ずしも限らなくなってしまうということになる可能性がありますので、そのあたりの構造というか、関係というのはどうなっていくのか、あわせて御説明いただけないでしょうか。

○朝川保育課長 遅れて参りましてすみません。保育課長です。

 まず、1つ目の地域は何かというのは、原則は、地域限定保育士でいう地域は都道府県なのですけれども、今日神奈川県さんがいらっしゃっていますが、神奈川県さんがもしその地域限定保育士試験をやれば、神奈川県の中のエリアを指しているということです。これが原則形なのです。

 ちなみに、地域限定保育士試験、法律が今、国会で審議中ですけれども、通ったら実施予定にしているのですが、今年度やろうと手を挙げていただいているのが、神奈川、大阪、沖縄、千葉の4府県です。この中で千葉県はちょっと特殊性がありまして、これは国家戦略特区という仕組みから来るのですが、千葉県だけは国家戦略特区の区域が成田市に限定して行われていまして、千葉県がやった試験でも成田市のみで効力が3年間は発生するという形になります。したがって、「地域」と言ったときに、原則形は都道府県なのですけれども、場合によっては県内のあるエリアに限定される場合もあり得るということになります。

 広域型が実施可能かという点については、いずれにしても今年度行うものも来年度行うものもそうなのですが、特に来年度行うものについては、2回目の試験である10月の試験については、地域限定の保育士試験と通常の保育士試験、どちらで実施するかは都道府県が選べるようにしたいと今は考えてございまして、その場合はどちらを選んでも同じ試験問題です。実際上、保養協が指定されると思いますけれども、保養協が作成する同じ試験問題で受験をするということになりますので、そういう意味では、そもそも広域で可能だということです。要するに、東京に住んでいる人が神奈川で受けることは可能ですという意味です。

 きょう議論していただいている実習、講習にかえるということが実現すると仮定したときに、実習、講習を広域でやれるのかという御質問だったとすれば、それは論理的には多分可能だと思います。ただ、実施上、近隣県でうまく調整がつくかどうか。そこはちょっと考えなければいけませんが、広域実習は、やろうと思えば可能であると思います。

 2つ目の御質問、所在の県で実習、講習が受けられるかという点は、地域限定保育士試験でやるということを考えますと、また神奈川県さんを例にとって申し上げれば、神奈川県の試験の一部を構成するものなので、通常は神奈川県の中の講習、実習を受けていただくというのが自然で、かなり離れた例えば秋田とか、そういう全然違うところで働こうとしている人であっても、秋田とかいうところではそういう実習、講習をやっていませんので、神奈川県で受けていただくという感じだと思います。

 3点目の一部免除の科目について合算できるかという点は、合算できるようにしたいと考えています。

○汐見座長 保育士試験というのは国の試験で、実施主体が今、都道府県になっていまして、ただ、今やっているやつは、どの県で受けて受かっても全国で通用する資格ですので、今回は本当に保育士が足りないところで、地域限定でもう一回試験をやるということで、何とか養成数をふやしたいということですけれども、それで取った資格は別にどこで使っても大丈夫ということになるわけですね。

○山縣構成員 3年間だけ。

○朝川保育課長 3年間だけはそのエリアで有効で、4年目以降は全国どこでも通用と。

○汐見座長 今、地域限定の試験の中に新しい実習、講習を入れたらどうかという提案だったのですが、試験全体の構造の中に組み込まれていますから、多分ほかのところに実習、講習だけを受けに行くということは実際はちょっと難しいような感じがいたしますね。

 どうぞ。

○山縣構成員 山縣です。

 私が言ったのは、例えば保育士養成校にいない、でも、大学等を出て一定の保育士受験資格はあると。それが過疎地の県に住んでいて、保育士が足りないから、次年度から東京で働きたいとしたときに、地方にいて、この講習のために4日間東京に行かないといけないということなのかどうか。それだったら、近くのところで代替できるならばいいのかなという、そういうイメージを持ったということです。これは絶対してくださいというわけではなくて、より資格取得者をふやすにはそういうことも考えられるかもしれないという意味合いです。

○汐見座長 それはどうでしょうか。

○朝川保育課長 ありがとうございます。

 今、お伺いした例でいくと、地域限定保育士試験は、今年度で4府県です。来年度はどれぐらい手を挙げていただけるかはわかりませんが、いずれにしても、国家戦略特区の区域がそんなにあるわけではないので、大勢を占めるという感じではないと思うのです。そうすると、例えばどこかの地方に在住の方が神奈川県で働きたいという場合は、神奈川県の特区試験を受けていただくことになるわけですけれども、それに加えてこの講習、実習にかえる部分を地元で受けられるかというと、恐らくその地元は全然特区試験を考えていない地元なので、それに相当する研修、実習は事実上やっていないということになると思うのです。ということなので、恐らく神奈川まで行って受ける必要が出てくるのが通常ではないかと。

 ただ、論理的には地元で実習する場所を指定なりして、ここでもいいですよとすることはあり得るとは思いますけれども、事実上あまりないのではないかと思います。

○汐見座長 ありがとうございました。

 こういう細かなことがこれからたくさん出てくると思います。

 先ほど現場の保育所でそれに対応できる余裕があるかどうかというようなことがございましたけれども、養成校はどうですか。では、阿部構成員のほうからお願いいたします。

○阿部構成員 大妻女子大学の阿部でございます。

 先ほどからのお話を伺って大変なことだと思っております。しかし、保育の量を増やしながら質も担保することも並行して考えなければならないとしたときに、やはり現場の経験というのがすごく大切と思います。その部分を全く現場だけにお任せするというのは難しいと思いますので、講習と実習を組み合わせた形にするということで、現場と養成校でこの質の担保に当たるということを考えてみました。できるだけ、養成校の実習に近い形にしたいと思います。

 例えば養成校ですと、理論を学んで現場に行って、その実践を持ち帰って、理論と実践の往還をしながら、保育者の力量というか、学びを深めていくというような取り組みをして、その効果をあげているわけです。そのような形にできるだけ近いような講習と実習ができれば、現場のほうも全部引き受けるよりは負担がないし、養成校でも保育士を養成するという役割を持っているわけですから、お互いにとって、これまで以上に協力しあわなければならないと思いながら、これまでの話を聞いていました。

 以上です。

○汐見座長 むしろ2つを組み合わせるような形も考えられるのではないかと。

 先ほど4日間という話がございましたね。例えば1回は現場に行っていただいて持ち帰って、演習的に少しやるような形もやるというような、そういうこともあり得るのではないかという御提案でした。

 では、村松構成員、お願いいたします。

○村松構成員 村松です。

 そのような形をとっていただければ、養成校の水準まで引き上げていただくことができると思います。

○阿部構成員 養成校の実習期間はかなり長いですので、そこまでの効果を期待できるかどうかはわかりませんが、知識だけの試験よりは保育者の専門職としての態度(振り返りを通して、知識と実践を往還させるという)の形成に寄与できるのではないかと期待しています。もちろん、期待ですので、また、どういう方たちが受けられるのかわからないので、やってみないとわかりません。ちょっと事例が違いますが、今、本学では、特例講習を実施していまして、私は乳児保育を担当しております。1週間ぐらいで単位を出すのですが、その中で1日だけ、9時から4時まで保育所に参加観察に行きます。子どもや保育者にとっては、本当に迷惑な話だと思いますが、引き受けていただきました。

 保育所側にとってのメリットというのは、特例生を受けることで研修になる。つまり、特例生がそこで、子どもと関わり、保育者の子どもへのかかわりを見て学んで、お昼の時間、子どもたちの午睡の時間、先生方にはその時間に予定しているさまざまな仕事を後回しにしていただいて、グループに分かれて、質疑応答をしてという時間を40分ぐらい取りました。保育園の先生方は、自らの保育を他者に説明しなければならないという時間になり、園長先生から園内研修になったという言葉をいただきました。

このような形で、1日だけで4コマ分を終える。次の日、大学に帰ってきて、4コマ分、先日の子どもたちの姿を確認し、その子どもたちの様子を前提にして指導案をつくり、それについて教員がコメントをしたり、受講生同士で、意見を言い合ったりというような形で実習と振り返りをしたばかりです。

 受講生の感想として、行く前は実習場所に行くのがすごく嫌だったということですが、行ってみたら、子どものかわいさがわかったり、先生方がどういう形で動いているか多少は理解できたということ、それから指導案の作成に関しても、どのように展開するのかというところが受講生なりにわかったというようなことがありました。長い時間をかけた実習でなくても、教室での講義や演習だけよりは、質を考えたとき、比較の問題ですがよろしいか思って提案をさせていただきました。

○汐見座長 現実的な可能性についてはまた詰めることにして、一応考え方としてそういう考え方があり得るのではないかという御提案ですね。

 では、藤林構成員、お願いいたします。

○藤林構成員 藤林です。

 保育士と介護福祉士の講習とかを考えたときに、大きな違いは、介護福祉士は実務経験があるか、高校とか中等教育で福祉に関するお勉強をしている。だけど、保育士の場合は、例えば保育の勉強をしていなくても、大学で2年以上在学していれば受験できるのですね。だから、基本が違って、いきなり実習というときに、例えば本学の全然福祉に関係ない学部の学生が、2年間の単位で実習に行って大丈夫かなという心配はあることはあります。

 介護の場合はそれがちょっと違うパターンなので、その辺の実習の質をどういうふうに担保するかというのが重要な問題ではないかと思います。

○汐見座長 介護と同じような形でアナライズしながら進めるというわけにもいかないのではないかという御意見ですが、きょう初めてですので、一応全ての方に発言だけはしていただきたいと思っております。では、網野構成員、お願いいたします。

○網野構成員 今回の検討会の最初に説明いただいた検討事項4つ、特に(4)は、さらにという趣旨も含めて後半のほうでということですが、今の議論もそうですが、関連する部分が非常に多いかと思います。保育士となるプロセスで、日本では養成校で必要な内容、単位を取得し卒業して、登録してという資格の取り方と、それからいわゆる保育士試験で合格して資格を取得する。この2つがずっと並列している。歴史的に見ますと、一時期本当に保育士が足りなくて、養成校が不足しているというような状況の中で保育士試験の受験者数が結構出てきた経緯がありますが、本来同じ質を持った保育士でなくてはいけないという前提があると思うのですね。

 その場合、今回重要な検討事項を私どものここの検討会で進めるに当たって、総じて今までの経緯とこれからのことを考えた場合、2点申し上げたいと思います。

 1つは、保育士養成校を卒業して資格を取得した人と、保育士試験に合格して資格を取得した人との間での違いということで出てきた問題は、今回の実技試験をどうするかということと関係して、実習とか講習とか実技試験と関連するところでのウエートの違いといいますか、養成校では2年間、あるいは3年間、4年間びっしり勉強して、かつ実習をして、理論も実践も座学も実学もおおよそ体験した上で取得するという流れですけれども、保育士試験の場合は、ひょっとしたら頭でっかちだけで保育士になれるのではないか。これはずっとありましたね。その場合に、だから、実技試験があるのだとは言っても、相当な差があります。今回の検討は、そういうことをもう一度本質的に検討するという意味でも大事な部分が随分あるかと思います。

 現在は養成校を卒業しても、その次に国家試験として保育士試験があるというわけではありませんので、この違いというものは相当大切に考えて、行く行くは検討事項の(4)にあるような整合性というものの方向を出せる部分もあるのではないかなというふうに思いました。

 具体的には保育士試験だけを受けた人は、やはり保育とは何か、子どもとかかわるとは何か、保護者とかかわるとは何かという点で不安な面がある。その後にまたもう一つ、幼稚園教諭免許を所有している方の特例が出てきて、これについても批判というか、疑問があります。3歳以上だけの保育をしっかり学んできているけれども、0歳、1歳、2歳、いわゆる乳児保育的段階の経験なく保育士になれるということへの疑問がこのところ出てきていると思います。

 そういう意味から言うと、ここで何を検討して、実技試験にかわるものということの重さを、もう既に幾つか出ておりますが、いろんな点から議論していただくことで、質の担保なり質の確保ということでよい方向が見出されれば非常にありがたい、大事なことかと思います。

 もう一つは、保育士とは何かという論議をもっと踏まえて進めなくては、ちょっと難しい問題が出てくるかなと思います。

 今、議論されている中でも、圧倒的に保育園を土壌とした保育士のあり方での議論のウエートがどうしても多いかと思います。したがって、3歳以上の部分については、幼稚園教諭もそうですが、就学前までの子ども達に関する保育士の役割なり専門性はかなり確保できると思うのですが、0歳から18歳未満までの子どもにかかわる、保護者にかかわるのが保育士ですので、そうしますと、今度のここの議論をする場合にも、やはり0歳、1歳、2歳、この段階での考慮、さらには学童期、思春期、もっと大きい子どもたちに対しても確実に保育士として仕事をするわけで、実技試験に代わるものというときに、その面が何ら考慮されずにというのは、どこか問題が出そうな気がします。

 具体的に言えば、養成校は、視点としては18歳未満までの全ての子どもの保育、保護者の支援ということを眼中に入れていますが、しかし、圧倒的に保育園関係、保育サービス関係が多いですね。そうした場合に、実技試験に代わるものという中に、例えば乳児院、児童養護施設、あるいは情短施設、このようなところも十分に視野に入るわけで、そのあたりの具体的な講習や実習のあり方というのも、ぜひこの議論の中に考慮しておいていただければと思います。

○汐見座長 ありがとうございました。

 一通り発言だけ。では、石渡構成員、お願いできますでしょうか。

○石渡構成員 神奈川県でございます。

 自治体の立場から参加させていただいております。本県では、先ほどから出ております地域限定保育士試験を本年度実施したいということを表明しております。今、法案の動向を見守っている状況でございます。

 本日のこの検討会の当面の検討項目、資料3にございますように2点あると思うのですが、地域限定保育士試験における実技試験に代わる講習、実習については、保育士不足への対応として、受験しやすくするために選択肢を増やすという意味でこうした取組みがなされることは、自治体としては望ましいと考えております。

 一方で、先ほど村松委員がおっしゃったように、保育現場の疲弊感、といった御意見も十分理解するところでございます。そうしたところを含めて、この検討会の中で実りのある検討がなされればよいと思っております。

 (2)の養成校と保育士試験、それぞれの合格者については、どちらについても利点があり、どちらについてもよくない点があるという御意見をいただいておりますので、この整合性がとれるということをここの場で検討されるということは非常に有効だなと思っております。

 よろしくお願いいたします。

○汐見座長 小川委員がいらっしゃいましたが、後でちょっと。

 では、近喰構成員、お願いいたします。

○近喰構成員 近喰と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は日ごろ保育者養成にかかわっております。したがいまして、保育現場の先生たちからは、学生の指導ということでいろいろと御指導いただいております。私自身も今後、実技試験のあり方について、演習系の実技と実習についてはこれから検討しなければいけない、検討事項だというふうに感じておりますけれども、私たちの学生の実習というのは、演習も含めた総合的な学習の場としてお願いしております。したがいまして、阿部先生がおっしゃいましたように、演習と実習を含めた形で今後検討されていくといいのかなというふうに思っております。

 また、保育士試験そのものが、どちらかといいますと保育所保育士を目指したものであることについては、そのとおりだと思っております。そういった意味で、先ほど実技が幼児に限定されているのではないかという御意見もございましたけれども、演習系の教科であります保育内容が、幼稚園教諭との整合性を図るために幼稚園教育要領に準じた形で行っておりますので、どうしてもそこに集中してしまうのではないかなというふうに感じております。

 ただ、養成校におきましては、乳児から一貫した保育内容ということで、演習系の教科を学生には指導しておりますけれども、どうしても幼児向きの指導になってしまいがちということは、養成校においてもやはり感じております。

 そんな観点でこれから演習と実習を統合したような形での実技、講習というのを検討していただけたらというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○汐見座長 ありがとうございました。

 先ほどの阿部構成員と同じように、現場に行くということと講習を受けるということをあわせてやったほうがいいのではないかということでございました。

 では、三代川構成員、お願いいたします。

○三代川構成員 浦安市の東野保育園の三代川と申します。よろしくお願いいたします。現場の職員でありますので、こういう場に立つのが非常に不慣れなもので、緊張していますが、よろしくお願いします。

 先ほど村松先生のほうからも、現場のほうが職員の数も少なく、養成校の実習生を受け入れている中でもちょっと大変だというお話があったのですけれども、浦安市の場合ですと、それ以外に、地元にあります看護科のほうの看護実習生の受け入れですとか、あと、保育ママさん、家庭的保育者の実習の方ですとか、ボランティアの方ですとか、そういった方がトータルすると年間2030人ぐらい実習に入られているかなというふうに思っております。

 公立の保育所なので、民間の保育園に比べれば人員の配置とかも確保できているところだと思うのですが、先ほど村松先生もおっしゃっていたように、評価というところになってくると、養成校の先生方の評価するポイントとこの試験としてのポイントというところが非常に難しいなというふうに思っています。なので、養成校のほうの講習と実習とまぜ合わせていただけると負担のほうは少ないかなと感じました。

 以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。

 今、小川構成員がお見えになりましたので、簡単に自己紹介をしていただきながら、きょう参考資料4に小川構成員のほうから考えている事柄というメモが出ております。それを御説明いただきながら、ちょっと御発言をお願いいたします。

○小川構成員 第1回から遅刻して申しわけございません。同時間に法務省のほうの会議がございまして、そちらが終わって駆けつけた次第でございます。もしかしたら参加できないかもしれないと思いましたので、紙媒体で意見という形で出させていただいて、それが参考資料4というところにあるので、それをごらんいただければと思うのですが、今、二、三の先生方のお話を伺って、講習だけでなくて、保育現場での実習もということをお聞きして、それができたらいいなというふうに思っております。

 私が考えたときは、現場がこれから試験を受ける方たちを実際に実習というか、いろいろな形があると思うのですが、現場に入れていただけるだろうかという心配をいたしました。といいますのは、年間を通しまして保育士養成校からの実習生であふれかえっておりますので、その中に試験をこれから受ける人、そういう方が現場に入ることが一体どうなのかしらというふうにちょっと考えました。ただ、今回特定のところ、4カ所ですか、その地域のところから始めてみれば、それもできるのかもしれませんが、では、それを全国にとなったときに、どのぐらいの現場がそういう方を実際に受け入れてくださるだろうか。それが一番の心配でした。

 というわけで、多分無理ではないかということで、研修、いわゆる講習会のところでどんなことがあればいいかと考えたことをそこに記しましたので、後でまた読んでいただければと思います。

○汐見座長 先ほど村松構成員のほうからも、保育の現場は、制度になりましたから、では、やりましょうというふうに簡単にいかない事情があるというお話がございました。

 ただ、多分このことだけではなくて、保育者養成そのものについて、今、2年でなれるというのを、もう少し専門性を上げるために4年にするということがずっと検討されていまして、もし4年にするとしたら、実習期間をもっと充実させるということは必須の課題になってまいります。そうすると、現場と一緒になって育てていくということになりますので、現場の中に未来の保育士となる方を一緒になって育てていく専門の担当者を置かなければいけないというようなことまで出てくるわけです。

 子育て支援の主管の先生がいらっしゃるということ、新しい措置が始まっていますけれども、保育者養成を一緒にやっていくという方についても必要になってくる。そういうことを含めて、現場というものと一緒にやっていくということになると、大変だから、それは無理ですねというふうにも簡単にならないのですね。そのあたり、将来的な展望を踏まえて今回はというような議論になっていくのではないかなと思っております。大事な論点を出していただいたということはそのとおりなのですが。

 きょうは初回ですので、どういうことなのだろうということで、率直な御意見、御質問を出していただいたら助かるのですが。時間もあまりないのですが、どうしてもほかにこういうことはということがございましたら、お受けいたします。では、村松構成員、お願いします。

○村松構成員 村松です。

 今後、地域限定保育士が現場に入ってくるということになりますが、そこで考えなければいけないのは、現行の制度で2年なり4年なり養成校で学び、実習も積んでこられた方と、地域限定保育士という新たな制度で、試験もしくは講習・実習により資格を取得した方は同じではないと私は思います。

 それは採用した側の姿勢にもかかわってくるかと思いますが、地域限定保育士が誕生した場合、3年という地域限定期限終了時にもう一つハードルを設置して、講習等を受けて、保育士試験合格者と同等の質を得た上で全国で保育士として働くよう具体的に質を担保するような取り組みが必要ではないでしょうか。

 確かに保育士がいないのは困ります。しかし、私の経験の限りでいえば、背に腹はかえられないといって採用した保育士に限って裏切られることが非常に多いと感じています。

 よって、きちんと選考して保育士を採用したいと思いますが、保育のことをしっかり学んでくださった方たちが保育の現場に出てきていただけることがお互いのためにもなることかと思います。そういう意味では、地域限定保育士による量の確保と同時に、さらなる質の確保の取り組みも考えていただきたいと思います。

 以上です。

○汐見座長 ありがとうございました。

 論点を改めて整理していただいて、次回以降少し絞った議論にしていきたいと思いますが、時間も参りましたので、今日はこのあたりにしておきたいと思います。

 私はあまり意見を言う立場ではないのですが、今回のこれは、先ほど網野構成員もおっしゃっていましたけれども、実は大変大きな問題を議論していることにリンクしていると思っています。保育士養成には2系統があって、本当は養成校でちゃんと勉強していただいてというのがオーソドックスなのですね。

 ただ、それ以外の方がなるチャンスがなかなかないということで開いているのですが、現場に出たことがない人が来る等で多少ぎくしゃくがどうしても残る。それを少しでも克服していこうというのが狙いなのですが、保育士試験を受けて現場に行く人をどうフォローしていくかというのは、もっといろんなやり方が考えられます。

 例えば初任者研修というのは保育士にはないわけですね。小学校の先生のように、1年間はきっちりとした研修をする。保育士試験で来た人と養成校から来た人の初任者研修の中身をきちんと区別しながらやっていくというような形で対応することも可能と言えば可能なのですね。

 ですから、そういうことも含めて、将来的な、こういうふうにしていこうということを少しずつ議論しながら、今回はここに出されたことについて、こういう形で具体化したらどうかというような形でまとめていければいいかなと思っておりますので、よろしく御協力のほどお願いしたいと思います。何とかいい案をつくりたいと思っております。

 それから、1つやり残したことがございます。今後の議論、かなり集中してやらなければいけないこともあるかもしれませんが、事務局と私1人ではちょっと自信がないものですから、副座長を置かせていただきたいと思っております。私がちょっと体調が悪いときなどもかわっていただく。今いらっしゃった小川構成員、保育学会の要職も務めておられる方で、このことについて造詣が深いということで、小川構成員にお願いしたいと思いますが、皆さん、よろしいですか。

(「はい」と声あり)

○汐見座長 よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

 それでは、次回等のことについて、事務局からお願いいたします。

○田野課長補佐 事務局でございます。

 皆様、本日は誠にありがとうございました。

 次回の検討会の日程につきましては、構成員の皆様方と調整させていただきたいと存じますので、後日、事務局より御連絡をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○汐見座長 それでは、今日はどうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 雇用均等・児童家庭局が実施する検討会等> 保育士養成課程等検討会> 第1回保育士養成課程等検討会(2015年6月5日)

ページの先頭へ戻る