ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会> 第7回 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会(2015年3月16日)




2015年3月16日 第7回 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会

医薬食品局食品安全部監視安全課

○日時

平成27年3月16日(月)13:30~15:30


○場所

全国町村会館2階ホールB
(東京都千代田区永田町1丁目11番35号)


○議事

○山本座長  定刻より前ですが、委員の皆様方もそろっておられるようですので、食品製造における HACCP による工程管理の普及のための検討会を開催いたします。開会に先立ちまして、事務局より人事異動の報告があるということですので、まずはお願いします。

○仲庭 HACCP 企画推進室長補佐 12 月に事務局で人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。國分企画情報課長の後任として依田企画情報課長が着任しました。着任後初の検討会ということで、御紹介させていただきます。

○依田企画情報課長  依田です。

○山本座長  本日は、池戸委員と大澤委員が所用のため欠席するとのことです。また、オブザーバーとして農林水産省食料産業局企画課食品企業行動室の上久保課長補佐に御出席いただいております。

 それでは、議事に入る前に事務局から配布資料の確認をお願いします。

○仲庭 HACCP 企画推進室長補佐  それでは、配布資料の御確認をさせていただきます。まず資料の番号が 1 6 まであります。まず議事次第で、構成員名簿、それから検討会の本日の配置と配布資料の一覧です。これが 1 6 まであります。それから、参考資料が 1 6 まであります。まず、資料 1 「これまでの議論の整理」、資料 2 HACCP に関する条例改正の進捗状況」、資料 3 「具体的な普及方策として考えられるもの ( 素案 ) 」、資料 4 HACCP 自主点検票 ( 一般食品 ) 【案】について」、資料 5 「平成 27 年度地域連携 HACCP 導入実証事業 ( モデル事業 ) 」、資料 6 「各自治体における取組について」が資料として 1 6 まであります。参考資料の 1 6 は、これまでの検討会で提示した資料です。資料の不足等はございませんか。

○山本座長  よろしいでしょうか。それでは、途中でお気付きになったときには言っていただければと思います。

それでは議事に入ります。前回の検討会では、我が国における HACCP 普及状況を踏まえた更なる普及のための具体的な方策を検討するために、業界団体、事業者、消費者の取組やニーズを紹介してもらいました。今回は、これまで検討してきた「更なる普及方策の方向性の基本的な考え方」の 5 つの項目に沿って、具体的な普及方策について検討していきたいと思います。

 それでは、まず資料に沿って、これまでの検討会での議論の整理及び HACCP に関する条例改正の進捗状況について、事務局より説明をお願いします。

○先崎監視安全課長補佐  それでは、資料 1 及び資料 2 について御説明いたします。資料 1 は、検討の趣旨やこれまで御議論いただいてきた普及方策の方向性といった総論的な部分について、これまでの検討会の資料や御意見を基に、文書の形で改めて整理をしたものです。なお、後ほど御議論いただきますが、資料 3 以降については、資料 1 のこれまでの議論の整理を踏まえて、今後の具体的な方策について精査しようという位置付けになっております。

 それでは、まず資料 1 について御説明いたします。「 1  検討趣旨」ですが、我が国における食品等事業者の確実かつ効率的な衛生管理等を可能にするためには、 HACCP による衛生管理の普及は必須となっています。また、輸入食品の安全対策としても、 HACCP による衛生管理を相手国に対して求めていくためにも、国内における HACCP の普及が前提となっております。さらに、日本の食品の安全・安心を世界に発信するためにも、海外の安全基準に対応する HACCP の普及を図ることが重要な課題とされています。本検討会においては、平成 25 12 月に中間取りまとめを行い、これに基づき取組を進めております。国においては、と畜場法施行規則及び食鳥処理事業の規制及び食鳥検査に関する法律施行規則を改正し、 HACCP に基づく衛生管理を規定するとともに、食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針、ガイドラインについても同様の改正を行って、現在、自治体において関係条例の改正が進められています。条例改正の進捗状況については、資料 2 で触れさせていただきます。

 こういった進捗状況等を踏まえながら、本検討会においては、昨年の 8 月以降に更なる普及方策について検討してきました。 3 つ目の○は、検討会で御議論いただいたところです。我が国における HACCP の普及は大企業を中心に進んでおりますが、中小事業者の導入率は 3 割程度に留まっていまして、食品産業の大宗を占める中小事業者等を念頭に置いて、 HACCP が一部の先進的な事業者のみの取組とならないように、関係者の協力も得ながら支援策を推進することが必要と考えています。また、流通・販売業界においても HACCP への関心が高まっています。中小事業者にも幅広く HACCP の普及を進めていくためには、食品衛生の観点から、事業者に求める内容について、コーデックス委員会が推奨する HACCP 7 原則 12 手順に沿ったものとなるよう、関係者の本質的な理解の醸成を図ると。そのための情報を発信していくということが、前回の検討会でも御議論がありました。また、消費者にとっても、食の安全確保への関心が高く、 HACCP に基づく取組について、事業者と消費者のコミュニケーションが促進されることが、消費者からの信頼性の向上にも資すると考えられます。こういった検討会で御指摘を頂いていた視点を踏まえて、中小事業者も含めて、 HACCP 7 原則 12 手順に沿った自主管理が徹底されるように、必要な普及方策について検討してきました。

 続いて、「 2  我が国における HACCP 普及状況」です。 HACCP 手法の導入状況の実態調査については、この検討会でも紹介させていただきました。 2 ページですが、大規模層では 8 割の事業者が導入済みである一方、中小規模層では約 3 割に留まっています。詳細の数字は、下の現状分析と書いている表を御参照いただければと思います。一方、同調査において、 HACCP の「導入を検討している」及び「今後、導入を検討する予定」という事業者が全て仮に導入した場合の導入率は、中小事業者も含めた導入率になりますが、一定の業種においては約 5 割を超えるということで、その下の業種別の HACCP 導入状況という棒グラフでお示ししています。これを踏まえれば、中小事業者も含めて、 HACCP の導入に関心を持ってくれる業者は少なくないと考えられます。こういった事業者において着実な導入を推進することは、ひいては、今現在は HACCP に関心がないという事業者においても導入を検討するきっかけになるということで、我が国における HACCP の普及にとって重要なことではないかと考えております。

 続いて「 3  更なる普及方策の方向性」です。前々回の資料でパワーポイントの形でお示ししたものについて、文章の形で整理をしております。まず、 (1) HACCP 導入に前向きな事業者やニーズが高い業種に対する助言等の支援」です。中小事業者を含めて導入の検討に前向きな事業者は少なくないと考えられます。まず、導入に前向きな事業者における HACCP の導入を実際のものにしていくことが、先ほど申し上げたように、今は関心がない事業者にも関心を持ってもらうきっかけになるということで、今後こういった HACCP の導入を一層促進することが重要であると考えています。

 また、 HACCP は幅広い食品等事業者に対して普及推進するとしておりますが、特に HACCP の導入の必要性やニーズが高いと考えられる事業者については、重点的に導入支援を行う必要があるのではないかということで、 3 ページ目に 3 つのポツを記載しております。まず 1 つ目のポツですが、衛生管理の徹底という観点から、フードチェーンにおいて、多くの事業者が関与する業種や、いざ食中毒が起こった場合には広域化・大規模化するおそれが高い業種、あるいは 2 つ目のポツですが、輸入食品の安全性を確保するということで、相手国に対して適確な HACCP の実施を求めていく必要性の高いもの、あるいは輸出促進の観点から、諸外国への輸出ニーズが高い業種については重点的な導入支援というのが必要でなかろうかということです。

 続いて、 (2) 「消費者や流通・販売業界も含め、 HACCP に対する本質的な理解・関心の醸成」です。中小事業者からの直接の購入者としては、消費者ももちろんそうですが、流通・販売業界を経由して販売することも多かろうと考えられます。こういった消費者や流通・販売業界も含めて、 HACCP に対する本質的な理解や関心が高まっていけば、業者としても導入に積極的になるということが期待されます。

 一方、食品衛生の観点から求められる HACCP の内容というのが、この検討会にもこれまでお示ししていますけれども、コーデックスの示す国際法に沿った HACCP の考え方に合致したものになるように、関係者における理解の共通化のための取組を進めていく必要があるのではなかろうかということです。

(3) 「コーデックス委員会の柔軟性の考え方も踏まえた、事業者の導入負担の軽減」です。中小事業者において導入が伸び悩んでいるという状況ですが、まだまだ HACCP は高度で難しいものだというイメージが根強いのではなかろうかということで、これまで既に導入のための手引や DVD などを厚労省でも作成しておりますが、導入事業者からは、やってみると次第に定着していくとか、従業員のモチベーションが行動につながっていくとか、そういった感想も寄せられています。導入に当たっての心理的ハードルを解消するための普及啓発と、実際にその事業者が現場でそのまま活用できるようなツールを整備していくことが必要ではなかろうかと。また、コーデックス委員会が示す柔軟性の考え方も念頭に置いて、中小事業者であっても確実にこういった手順を実施していくための方法について示していくことが必要ではないかということです。

(4) HACCP 導入に取り組むメリットを向上させる仕組みづくり」です。本検討会の中間取りまとめにおいても同様の指摘がされておりますが、事業者において HACCP に取り組むきっかけを作っていく、そういった取組を進めていく上で、メリットが感じられるような環境作りが求められているのではなかろうかということです。流通製造業界等においては、製造業者等の取組が分かるようにしてほしいというニーズもあります。

 一方で、これまで総合衛生管理製造過程の承認等の取組も進めてきましたが、 HACCP の実施そのものよりも、その認証を取得することが目的化してしまったことや、認証を求める一部の事業者のみが取り組めばいいものだと認識されてしまったことも踏まえる必要があります。 HACCP の本質は事業者において自主的な衛生管理の取組が継続的に実施されるということですので、そういった点について、中小事業者も含めて取組が進むように、事業者が自らも衛生管理の状況についてコーデックス委員会の示す HACCP に適合しているかどうかを自主点検して、行政としても、こうした事業者の取組を公表し、後押ししていく仕組みについても検討すべきではないかということです。

(5) 「食品産業全体での推進の必要性」です。食中毒の未然防止や食中毒発生時における迅速・適確な原因究明、再発防止等の対応など、 HACCP の導入効果については、食品の製造、加工、流通、販売に至るフードチェーン全体で、 HACCP による衛生管理が実施されることによって最大化されると考えられます。幅広い業種、関係者において HACCP が導入されて、我が国における食品産業全体の信頼感の醸成、あるいは国際的評価の向上を図っていくためにも、食品産業全体で HACCP の普及を推進することが求められているのではなかろうかということで採用を推進します。以上のような形で、これまでの議論の総論的な部分を整理しております。

 続いて、資料 2 について簡単に説明をさせていただきます。

○仲庭 HACCP 企画推進室長補佐  それでは、資料 2 HACCP に関する条例改正の進捗状況」について簡単に説明させていただきます。大変申し訳ありませんが、この資料の 2 行目の「本年 5 月」と書いてある記載が間違っておりまして、「昨年 5 月」の間違いです。

 昨年 5 月に管理運営基準、いわゆるガイドラインを改正して、将来的な HACCP による工程管理の義務化を見据え、都道府県等における関係条例の改正を依頼しました。今般、平成 27 年、本年の 1 31 日現在の HACCP に関する条例改正の進捗状況について各都道府県に確認した結果を取りまとめました。

 対象自治体は、都道府県、指定都市、中核市、計 110 自治体となりまして、主な調査内容は、 (1) 関係条例改正の進捗状況、 (2) 条約改正を議会に諮る具体的な時期、 (3) 改正条例の施行予定日となっております。

3 の調査結果の概要ですが、 (1)110 自治体のうち、条例改正済みは 9 自治体、議会に諮る段階あるいは法令担当部局等と調整中など、条例改正に向けて対応している自治体の数は 107 自治体、 97.3 %となっておりました。 (2) 条例改正を議会に諮る予定の期日は、今後議会に諮らなければならない 93 自治体のうち、平成 26 3 月中までに諮る自治体が 75 自治体、 80.7 %になりまして、平成 27 年度に議会で諮る予定の自治体が 18 自治体、 19.3 %でした。 (3) 条例の施行予定日は、本年の 4 1 日が最も多く 70 自治体、 65.5 %になりまして、 4 1 日までに施行予定の自治体が 74 自治体となりました。めくっていただいて、表が 2 つありますが、左側が今回の 1 30 日現在のもので、右側が参考として昨年 10 16 日現在で調査してまとめたものをお示ししております。以上です。

○山本座長  それでは、資料 1 と資料 2 の説明について、御質問、御意見ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。

○内堀委員  改正状況の進捗ですよね。 2 ページにパブコメの準備・実施中という所があるのですが、具体的にどんな意見が出てきているのか、もし分かれば教えてください。

○仲庭 HACCP 企画推進室長補佐  大変申し訳ございません。その中身まではまだ。各自治体により異なりますので、こちらではまだ把握しておりません。

○山本座長  今後我々の検討会としての取りまとめをしていくことになりますので、この資料の 1 は、恐らく総論的なこととして最初に提示したということになるのかと思います。皆さんがその方向性でよろしければ、ここに書かれているような方向で行くと。

 あと、もう少し具体的なところ、これまで 8 月から検討してきた中身を含めて、報告書の形で取りまとめたいとは思っているのですが。その中身については今日資料 3 のところを議論したいと思います。前半部分の御説明で何か追加しておいたほうがいいことがありますか。特にありませんか。特にないようでしたら、また各論の議論の中ででも御意見を頂くことにして、先に進めたいと思います。

 それでは、資料の 3 5 ですね。具体的な普及方策等について、事務局より説明をお願いいたします。

○先崎監視安全課長補佐  それでは、資料 3 5 について御説明いたします。

 まず資料 3 です。先ほど説明いたしましたが、これまでの議論の整理を基に検討会で御紹介いただいた取組内容や意見等について、資料 1 5 つの観点から具体的な普及方策と考えられるもの「素案」という形で整理させていただきました。先ほど来申し上げておりますが、我が国の食品等事業者の大宗は中小事業者です。食品衛生の確保を図るという観点からは、その導入率が低い中小の事業者において、取組をいかに促進していくかということは課題となっていると認識しております。

 一方で、中小事業者にとって、認証という形での普及ということについては、申請書や関係書類の整備、又は費用負担等が支障になることも考えられるところです。このため、幅広く中小事業者も含めて普及していくという観点から、 HACCP が事業者における自主的な衛生管理の手法であるということに鑑みまして、事業者が自ら衛生管理の取組状況を確認する「自主点検」を推進するための環境整備が望まれているのではということです。

 また我が国においては、 HACCP 普及を進める上で、検討会でも議論がありましたが、中小事業者等が取り残されることがないように、国、自治体、医学知識経験者、食品関係団体、消費者団体者等が連携をしながら HACCP の導入気運を高めるとともに、丁寧な支援等を進める必要があるということです。具体的な方策の素案を次ページ以降に整理しております。

2 ページです。 (1)HACCP 導入に前向きな事業者やニーズが高い事業者に対する助言等の支援ということで、資料 1 の説明の際にも申し上げましたが、前向きな事業者だけに支援をするということでは決してありません。現時点でもこういった検討をしているというところもありますので、そういったところに実際に導入してもらうということで、普及が進んでいけば、今、検討していないところについても、その検討のきっかけとなって更なる普及につながっていくであろうと考えているところです。1は HACCP の自主点検票による事業者の自主的な取組の促進です。自主的な衛生管理の手法である HACCP の普及のために事業者が自らの衛生管理について、 HACCP に適合しているかを確認するというツールとして、 HACCP の自主点検票を作成し、その活用を促進するということを考えております。

 資料 4 を簡単に後ほど紹介いたしますが、現時点の案についてお示ししております。その中身についても御指摘がありましたら、議論の際に御指摘いただければと考えております。2は HACCP の導入の手引書や様式等の作成・普及です。これまでも手引書等を作成してこの検討会でも紹介しておりますが、導入促進を図っていくというためにそのまま使えるような様式であるとか、その後に導入しようとするときに参考にできるようなものということで、標準的な作業手順等を念頭に置いて、そのまま現場で活用できるような手引や、これをまとめて見ていただくことに使っていただけるような様式等を作成・普及を推進することが必要ではないかということです。3は前回の検討会でも紹介いただいたものとも関係がありますが、専門的な知見を有する人材の育成・活用ということで、 HACCP の導入を支援するために食品団体等において、 HACCP に関する指導者の養成も進め、コーデックスが示す 7 原則 12 手順について統一的な指導・助言ができるような人材を育成するということです。食品関係団体が確保した人材を活用し、自治体と連携しながら事業者における HACCP 導入を支援することが必要ではないかということです。4は現在も自治体の協力を得まして、営業許可施設等に対して、 HACCP 導入の状況調査を実施していただいておりますが、こういった導入状況調査において、マクロの普及状況を把握するとともに、個別のアンケートの結果で導入を検討するとか、個々の事業者の状況も把握できることだと思いますので、導入を検討されているようなところに対して、助言・指導を行って、実際にその導入を形にしていくということが必要ではないかということです。

(2) HACCP に対する本質的な理解の醸成です。1のコーデックス委員会が示す HACCP7 原則 12 手順の周知については、食品衛生管理の観点から求められる HACCP の内容について、共通の理解が進むように、コーデックス委員会が示す HACCP 7 原則 12 手順について正しい理解を促進するため、国、自治体、食品関係団体等において、ホームページや DVD とか、リーフレット等を活用して情報発信や周知に努める必要があるのではないかということです。2は中小事業者等に対する HACCP 導入に関する講習会の実施です。厚生労働省においても、関係省令やガイドラインの改正を行い、自治体においても条令改正が進められているところです。 HACCP による衛生管理を中小事業者も含めて実際に導入していただけるように手引書等を活用して、事業者に対する講習会も開催していく必要があるのではないかということです。3は食品衛生監視委員等における統一的な理解の醸成です。コーデックスの HACCP に関する共通の理解を基に統一的な内容の指導、助言がされるように国において手引書等を活用し、その自治体向けの講習会をやっていく必要があるのではないかということです。4はこれも後ほど説明する (4) のメリットを感じられるような環境整備のところにも関係しますが、 HACCP の認知度を向上させ、理解、促進に資するロゴマークの作成、活用促進ということで記載しております。消費者も含めて HACCP に関する認知度と理解を向上すれば、事業者が自ら競争力を高めるという観点から導入に前向きになることも期待されるところで、 HACCP に基づき衛生管理を行っていることをアピールすることができるようなロゴマークを作成し、それを活用して HACCP の認知度向上等を促進することも検討しようと考えております。

(3) はコーデックスの柔軟性の考え方も踏まえた事業者の導入負担の軽減です。 HACCP 導入の心理的ハードルを解消するための動画等の普及です。これまでの議論の整理の中でも説明しましたが、中小事業者も含めて、やってみると定着していくとかそういった御感想もいただいているところです。まず、取り掛かるという心理的ハードルをいかに乗り越えるかということで、実際に実施可能なものですというイメージを持ってもらえるように、導入のための動画等について、検討会でも紹介させていただいたかと思いますが、厚生労働省で作成し DVD の形で普及等をしているところですが、これを引き続き周知していくことが重要ではないかということです。2は地域連携 HACCP 導入実証事業です。モデル事業の実施ということで、実際に地域の中小事業者において、導入していただく具体的な取組の事例を積み重ねていき、その際に、コーデックスの柔軟な考え方を踏まえてそういった取組を蓄積し、その成果を全国に普及させていくために自治体とか、食品関係団体等が連携して支援を行うモデル事業を実施しました。その中で、実際にその手引書や様式であるとか、そういったツールも使っていただきながらよりよいものにしていくために、事業者において主体的に HACCP が導入される過程をまとめた事例集を作成し、全国的にその成果を普及してはどうかというように考えております。3は再掲になりますが、中小事業者も含めて導入促進を図っていく上で、標準的な作業手順を念頭に置いて、手引や様式等を作成・普及を推進するということも、実際のその導入促進につながっていくのではないかと考えております。

(4) HACCP 導入に取り組むメリットを向上させる仕組みづくりです。1と2は関連する一体的な取組として考えておりますが、1は HACCP の導入メリット等を関係者が幅広く共有するための Web サイトの構築ということです。 HACCP 導入によるメリットを関係者が共有することができるようにするために、コーデックスの HACCP の内容や実際に導入した際の効果、あるいはそういった実証事業、モデル事業で蓄積された具体的な導入事例が、その中でどういった効果があったのかということも積み重ねていくことを考えておりますが、そういった成果等々について、一元的に情報発信をしていくような Web サイトを構築してはどうかということです。2は HACCP 自主点検を行った事業者の名称等の公表です。 HACCP チャレンジ事業として、これまでも検討会の中で進めてきたものですが、事業者における HACCP の自主点検を推進するために、自主点検票を活用して HACCP の自主点検を行ったその事業者からの登録を受けて、その事業者の名称とか、その企業における取組の方針等について、1に記載した一元的な情報発信をしていくというような Web サイトの中で公表をしていき、そのところに名称等が載っているということで、関係業界へのアピールを後押しするということを HACCP チャレンジ事業という形で進めてはどうかと考えております。3は、こちらも再掲になりますが、そういった事業者における自主点検、衛生管理の取組をアピールするということにもロゴマークを作成し活用していただくことが資するのではないかということで作業をしております。

(5) は食品産業全体での推進の必要性です。国、自治体、食品関係団体、消費者団体等が参画する連絡協議会の設置ということで、食品産業全体での HACCP の普及推進、また、関係者において、 HACCP のコーデックスの 7 原則 12 手順について、理解が共通化され実現することを確保していくために、国、自治体、食品関係団体、消費者団体等が情報交換、意見交換を行う場として、 HACCP 普及推進連絡協議会、仮称ですが、これを中央の国レベル、あるいは地方のブロックごとに設けることを検討してはどうかということです。

 地方で実際に、地域地域の普及状況もあるでしょうし、実際にそれを運用していく中で、どういった業績について、どういった課題があるとか、ここはこういった取組が望まれるのではないか、そういったことも吸い上げをしていき、国レベルでいろいろなツールに反映させるとか、更なる普及策の検討にも活用を定めていくのではないかということで、こうした場を活用してということで書いてありますが、関係者における認識の共通化を推進するとともに、連携して普及、施策に関する現場ニーズの把握であるとか、地域における普及状況のフォローアップ、また、実証事業等で蓄積される具体的な導入事例の共有等を行っていくことが有効ではないかということで整理しております。資料 3 については以上ですが、資料 4 、資料 5 についても簡単に説明いたします。

 資料 4 は、 HACCP 自主点検票 ( ) です。これまで検討会でお示ししたものを入力していただき、中小事業者にとっても使い勝手のいいものということで、工夫し整理をして、現在の案をお示ししております。 1 2 3 番については、位置付けとか、使用方法、注意事項等について記載しております。コーデックスの国際標準となっている HACCP の内容に従って作成したものです。

 一番上に書いてある中身については、実際に 2 枚目以降を御覧いただきながら簡単に御紹介いたします。 2 枚目が自主点検票です。運営施設名や所在地、その自主点検の点検日等を記載する形になっております。対象製品等という形で書いていますが、施設、つまり工場全体でこのチェックをしていただくことももちろんできますし、工場の中で複数のラインがあって、一部の製品について HACCP を導入する場合には、対象製品等の所に、実際に導入をした内容について書いていただき、できているところからチェックしていただくことも可能であると思っております。

1 枚目は手順 1 12 について、それぞれ項目と説明についてできるだけ分かりやすい形で解説しています。一番右に評価がありますが、手順 1 ができていれば、○とかそういったことを書いていただけるような形になっております。

 具体的に手順 1 ができているか、手順 2 ができているかをチェックリストとして、 3 枚目以降に、それぞれの手順番号について、実施すべき内容を細分化して、上のほうから見ていけば、ステップバイステップでチェックができるように記載しています。各手順についてチェックと書いてある所が、 3 つある所は 3 つ全てチェックが付けば、その手順は○ということで点検票の先ほどの 2 枚目にも○を付けていただくというような構成で考えているところです。めくっていただくと、 3 枚程度になっていますが、あまりその分量が多くならないような形で整理しております。簡単ではありますが、後ほど御質問等があれば、資料 4 についても御指摘いただきたいと思います。

 資料 5 は、資料 3 でも言及しておりました、平成 27 年度予算事業として、地域連携 HACCP 導入実証事業、モデル事業を検討しているところです。この事業の目的としては、 HACCP の普及促進を図るということで、食中毒の未然防止や食中毒の発生時における適確な対応等を確保していくということで、更には対外的な輸出促進を視野に入れて国際的な対応を可能にするということを目的とするものです。また、こういった取組を実際に蓄積していくことで、一部の地域で中小事業者も念頭において実施するものですが、その成果をこのようにやれば中小の事業者でうまく導入ができたという事例を蓄積して、全国的に普及させていくことを目的としております。

 事業内容については、1~3で簡単に記載しておりますが、自治体において、近隣の自治体とも連携していただき、又は地方厚生局や関係団体、関係機関とも協力しながら、実際にその地域で、具体的にその事業者で HACCP 導入をいただくための普及策を策定していくこと。実際にその事業者に対して、自主点検票のツールを使っていただきながら、導入支援をしていただいて、導入していく過程で生じた課題、例えば手引書のここがもう少しこうしたらいいのではないかとか、自主点検票の内容についての課題と、いろいろあると思いますが、そういった課題に対して記録をして、また施設の導入の状況の変遷も見える形で写真等に記録をしながらまとめていって、国に報告していただく。併せて実際に導入した事業者において、従業員の認識がどのように変化したかとか、生産性の向上とか、実際の HACCP 導入の効果についても調査して、その成果を国にフィードバックしていただき、下の絵の左下の所ですが、その成果を厚生労働省としてもその結果を取りまとめて公表し、結果を全国的に共有していくという導入時の事例集として活用し、普及していくことで、更なる方策の強化等につなげていってはどうかという取組です。資料 3 5 について、説明は以上です。

○山本座長  資料 3 5 まで説明いただきましたが、資料 6 は、資料 3 に関連した項目を含んでいますので、引き続き長くなりますが、各自治体における取組について、田崎委員より説明をお願いいたします。

○田崎委員  各自治体の HACCP の取組について、各自治体の全事例を紹介できればいいのですが、時間の関係もありますので、東京都と北海道の例を挙げさせていただきます。まずは、東京都から紹介いたします。

 東京都による食品衛生自主管理の推進と認証制度についてです。こちらは、従来型の衛生管理の事業者の責務ということで、基準を遵守しているという前提です。下のほうに書いてありますが、規定の内容、従来型の形で、誰が、どのように、具体的な方法の形という規定はありません。自主管理の推進の所を見ていただくとわかりますが、基本的には自主的衛生管理なのです。

自らが、誰がいつどのような形で方法を決めて、よりよい方向へと改善していく活動を行うということが、認証という名称を使っていますが、マニュアル化とその実施ということです。

 今、 HACCP の導入、推進という形ですすんでおりますが、従来型と HACCP 導入型管理については、条例上の基本的は同じです。どちらの衛生管理にしても、同じ効果があるということですが、やり方が異なるといった点において、科学的な知識と技術、それから支援策の検討なども行ってきています。

 前回、お話をしたと思いますが、多摩地域は比較的に大きな工場があり、それから特別区は飲食店等の比較的小さな事業者の方が多い地区です。自主管理の推進という形で、都独自の自主管理を進めさせていただいていますが、まずは、 HACCP の基盤となる一般的衛生管理をまず充実していく方向です。これは段階的な形で徐々に上がっていくのですが、これはステップが進むという意味で、高いレベルのものを求めているわけではありません。

HACCP 独自の活用意義の所を御覧ください。ここでは、やり方として、 HACCP の基礎となる一般的衛生管理を充実します。さらに、全ての事業者を対象にさせていただき、民間の指定審査事業者という別の事業者の力を借りて、この事業者の方々にコンサルタントやあるいは指導も行なっていただく手法を取り入れています。したがって、最終的には、各保健所が監視の際に確認できますが、認証を取るまでのステップは民間の事業者の方に力を借りて、柔軟に衛生管理を従事していきます。

 右片に、到達基準をみえる化しておりまして、エントリーステージと、 1st ステージ、 2nd ステージという形で、最終的には東京都の認証レベルに到達し、さらに HACCP の衛生管理への、ステップとして活用させていただくという方向です。

 ここでは、都認証の衛生管理の工程が要求という言い方で記載されていますが、 12 手順で、どの程度のレベルで確保されているのか、確定しているのかということが一番右の図になっております。 HACCP チームを衛生から手順 3 までは確実にできているということではありません。手順 4 については、製造工程の一覧図の各作成、御覧になっているとおり、 HA が△、コストパフォーマンスの面において、中小事業者の方は取り組みにくいというところがあります。一方、 CCP については、経験的に自主的に事業者の方は分かっていらっしゃいますので、 CCP はある程度クリアできると考えます。

 あとは、モニタリングを設定していて、検証手順も確実に求めているわけではないので、△ということです。導入型管理の 1 歩手前まで確実に求めている制度が東京都の HACCP です。

 次ページは、北海道 HACCP です。こちらは最終的に、厚生労働省が考えていらっしゃる HACCP まで到達できる内容となっています。平成 14 年から実施している事業です。

こちらの制度にも認証の基準があります。北海道の独自作成です。 1 8 までで段階で評価を行っています。段階評価は真ん中の右の表になっております。 1 段階から 6 段階までは自主的にやる。各保健所がその取組についてレベルに基づいた指導を行って、認証制度を民間が認証して、最終的に HACCP までもっていくという仕組みです。この点が特徴的な制度です。

これは、実績等が書かれています。課題になっているのが、社内で、 HACCP 導入をリードする人材とか、ノウハウが不足していると、この辺は、先ほどの厚生労働省の説明の中で、人材育成などに関係がございます。それから、導入の設備投資なども必要だと、ソフト面ではなくて、ハードがかなり必要ということで誤解しているところもあって、これも普及啓発が必要なのかということです。

HACCP の手法に基づく衛生管理についての有用性やメリットについて、必ずしも浸透していないこともあり、この辺の普及啓発のレベル間がまだまだ浸透していないというところです。 HACCP の普及の推進活動については、様々な手法を使って宣伝というか、そういう形で情報提供をしている仕組みです。

 申し遅れましたが、東京都の場合も、ネット等で認証された施設については、掲載し、一定レベルの間を充足した、ある程度衛生管理もきちんとできているという点について、公表し、事業者の努力を啓発させていただくという仕組みになっております。

 資料については、お手元に北海道の資料、それから、東京都の推進プログラム、整備の概要を書かせていただいております。これは後ほど御覧になっていただこうと思います。簡単ではありますが、以上です。

○山本座長  資料 3 は、「今後の具体的な方策」ということでまとめてきたものです。細かい点、具体的な所は少し書き足さなければいけないところもありますけれども、大きな目玉になるようなところは、取りあえずこの資料の中に凝縮していただいていることになろうかと思います。資料 4 は、「自主点検票」ということで、これを見ながら業界団体の方々が自分で点検をして、 HACCP を導入していっているかということになります。その規格というか基準というか、そういうものになっていくようなものかと思います。これは、 1 回出来上がったらそれでおしまいというものでもないような気もします。そういうことも含めて皆様方の御意見を頂きたいということです。

 それから、実際には、「平成 27 年度の地域連携 HACCP 導入実施の事業」ということで、これはモデル事業を 4 月から展開するということでよろしいですね。

○梅田 HACCP 企画推進室長  事務局からの説明にもありましたように、これは予算の事業としておりますので、今、国会で予算の御議論を頂いています。それが成立した後、このようなことでやっていきたいということでの御説明です。

○山本座長  これは、何自治体かに手を挙げていただいて、というようなことまで説明を受けたように思うのですけれども、そういう形で全部にばらまくのではなくて。

○梅田 HACCP 企画推進室長  希望する事業者、それから都道府県があります。この事業自体は都道府県を主体とした事業になっています。都道府県のほうで、こういう事業を行いたいという希望のある所を募って、その中身をこちらと調整した上でやっていただくということで考えております。

○山本座長  いろいろなレベルの導入の仕方を含んでいるのかもしれませんけれども、できれば HACCP 導入まで持っていっていただければという気がします。

○梅田 HACCP 企画推進室長  基本的には「実証事業」と書いてありますけれども、地域ごとになるべく我々がこの検討会でも御議論いただいたような、お金を掛けずに、余り負担のないことをいかに分かっていただくかということで、余り大規模の事業者ということではなくて、言ってみれば身近な施設に取り入れていただくということで検証していきます。その中での問題が今後の普及に当たっての我々の課題となってくるかと思いますので、そういう問題点の把握等にもなるような事業を実施していきたいということです。

○山本座長  ただいま様々な説明があって、自治体においては認証制度みたいなものに取り組んでいるということですけれども、将来的に HACCP は義務化ということになると、押しなべて全ての食品製造業が導入していかなければいけない、義務化になると、ということになろうと思います。それを見据えた準備段階が始まっているところだと思います。と蓄場や食鳥処理においても、そういう方向で取り組んでいくということなので、それは将来的には農場での生産まで影響が出てくるような形にもなるのかという気もしております。

 義務化ということになると、認証とかそういう制度ではなくなりますので、全てがやらなければいけないことになると、それのレベルをどのように持っていくのかというのが、非常に大事なことになってくるかと思います。その辺も含めて長く説明していただいたので、いろいろな資料がありますけれども、それぞれ皆さんの中で御質問がありましたら、どこからでもよろしいかと思いますので、御意見、御質問を頂ければと思います。

○川崎委員  食品産業センターの川崎です。 1 点質問ですが、 HACCP の自主点検票なのですけれども、前回お示しいただいたものに比べると非常に分かりやすく、事業者にとって使い勝手の良いものになったと思います。前回指摘があったと思うのですけれども、まず最初に○が付かないもの、△とか×のものをどうやって○にしていくかというところが、 HACCP の普及にとって非常に重要だという指摘があったと思います。これについてどう考えているか、あるいは今後どういう論議をしていくのかをお聞かせください。

○先崎監視安全課長補佐  自主点検票で○が全部付けば、自主点検の結果 HACCP ができているということなのです。△とか×の所はどうしていくか。こういう場でいろいろ御指摘等を頂ければと思います。資料 3 2 ページの「具体的な助言等の支援」の所で書いているように、事業者自らかが使えるように手引書みたいなもので取り組んでいただくということもあります。前回、人材バンクというような取組も御紹介いただきました。点検してみて、ここが△になっているのだけれどもということで、それについて重点的に指導していただけるような方に来ていただいて指導していただく。自主点検票がいうなれば自己診断といいますか、カルテみたいな形で、ここまでできているのだけれども、ここができていないという形で、コミュニケーションのツールにもなっていけば、 2 ページに書いているような、我々のほうが考えている普及の支援とも有機的につながっていって、普及が進んでいく形になればいいのかと考えております。

○山本座長  自主点検票自体は、保健所を通じてもらってというよりも、そういう形で集めることをイメージすればいいのでしょうか。

○先崎監視安全課長補佐  自主点検票自体は、恐らくホームページであるとか、保健所であるとか、厚生労働省の関係ですとか、関係省庁等にも御協力いただければ、そういう所も通じて広く入手できるような形で配布等をしていくことになろうかと思います。

○山本座長  実際に点検した結果を、今度は保健所等に上げていくことになるわけですよね。

○先崎監視安全課長補佐  あくまで自主点検のためのツールですから、必ずそれを保健所に届け出るとか、郵送するとか、そういう類のものではないと思っていますが、保健所等が実際に監視指導に来られたときに、その自主点検の内容を基に、自主点検がちゃんとできて、自主点検した結果に基づいて HACCP ができているかどうかの確認をしていただくこともできると思います。

 もう 1 つはチャレンジ事業という形でお示しましたけれども、 HACCP の自主点検票でチェックが全部付いた、 HACCP で自主点検ができた所は、それを使って、自主点検できているということで、その他最低限の確認をするのだと思いますが、ホームページ等においてその事業者名とか、自主点検できているということで公表をしていくということで活用していただけるのではないかと思っております。

○梅田 HACCP 企画推進室長  補足させていただきます。川崎委員からお話があったように、これが 1 つのコミュニケーションのツールになれば、自己点検をやって、全部を満たさなかったとして、どうやればいいか分からないことがあれば、保健所に相談して、どうすればいいのですかというようなことから始まって、保健所のほうではそれに対する助言もできるようになってくるというように考えれば、これが事業者と保健所との間を取り持つきっかけづくりになって、有意義なものになるのではないかと思っております。

○高谷委員 HACCP というのは何のためにやるのだというと、製造工程中のハザードを見付けて、それを排除するのが第 1 点です。それをするためにどうやっているのだろうと思うのです。点検票にいっぱい書いてくれたのですけれども、 2 枚目から大分易しく書いてくれています。チームを作るのがそもそもの目的かというと、そうではないのだろうと思うのです。その辺をもう少し易しく書いていただけませんか。どんなのでも代用できますよとか。要するに柔軟性の意味からすると、必ず出ているのは全部やらせると。この点検票を見て 12 手順をやれば、 7 原測をやっていることになるからこれでいいのです。そのためには、こういう所をもう少しブレイクダウンして、どういう形でもやれるようなことが分からない。これを見たらウーンとうなってしまうのではないかと思うのです。そこは、もう一度お考えいただきたいと思います。

 もう 1 つは、ハザードをいかになくすのかというのが HACCP の目的だとすれば、既にここで前にも言ったかと思うのですけれども、日本の食中毒の発生状況は、平成 24 年と平成 25 年を見ると、飲食店業が 75 %と 76 %なのです。これは、食中毒を発生している施設です。彼らを置いて、他の中小企業でも製造業ばかりターゲットにするかという話は、そこはどうするのかと思っています。飲食店業でも大きい所があるではないですか。セントラルキッチン方式で作って、各店舗に配送しているところ、例えばファミリーレストランのようなお店です。彼らの所は、集団給食施設みたいな所をターゲットにしてやっておかないと、一方では飲食店業ではあるけれども、実際には製造業みたいなものではないですか。そこもターゲットにして、彼らも一緒に巻き込んでいかないと、日本の食中毒を減らすことにはならないのではないかと思います。

 輸出も大事ですけれども、国内を見れば、食中毒が 75 %も 76 %も飲食店業から出ています。国内はほっておいて、外に向くのかという話になりませんか。確かに輸入食品の安全性を確保するには、相手に衛生管理をどのようにやれというときに、自分の所でやっておかないと、相手に要求もできないことはよく分かります。そういうところも含めて、言いたかったのは、点検票をもう少しブレイクダウンして、いただきたいということです。

○山本座長  確かに HACCP チームと言われても一体何なのかというところはあるかもしれません。事務局からお願いします。

○梅田 HACCP 企画推進室長  今の御指摘は 2 点ですが、まず 1 点目は点検票の表現ぶりについては、これまでにも御指摘を頂いております。何とか分かりやすくということで工夫したつもりなのですけれども、確かに「チーム」と言った途端に、かなり大ごとのような受け止め方をされてしまい、 1 人でやっているような所だとチームはできないので、×が付いてしまうのではないかと思われてもいけません。その辺りは更なる工夫をさせていただければと思います。

2 点目は、食中毒の原因として飲食店、特に大量調理施設についての取組の普及を図っていく必要があるということです。これは、これまでの議論でも御指摘いただいていたとおりです。我々としても、国内の食中毒対策という点で、そういう業種に対しての HACCP 導入の必要性は高いと認識しております。 5 つの柱のうちの 1 番目にあるような業種に対しての助言をしっかりしていくことにつながっているわけです。

 大量調理施設については、既に手引書で 8 つ作りましたけれども、そのうちの 1 つが大量調理施設を対象にしておりますので、それを基に HACCP の普及を進めていきたいと思っています。そこから発展させて、中小の多くの飲食店に対しての具体的な普及の仕方というものも、柔軟性を含めた考え方を基に、今後更にお示ししていきたいと思っております。

○工藤委員  同じく自主点検チェックリストに関してですが、いわゆる HACCP 導入のきっかけづくりということで、これを利用するのはとても良いことだと思います。例えば 20 人ぐらいで、友達とつくった食品企業があったとして、うちの HACCP はどうだろうということで、これを取り寄せてやってみたところ、まず 1 番からお手上げになります。

 そういうことも含め、これを拝見しても評価できないこともあります。そういう場合に、このまま無駄にせず、ダウンロードしたホームページ、厚生労働省にあるか分かりませんけれども、そこで聞ける。あるいはここのモデル事業には書いてありませんが、地方の保健所です。ただ、保健所は大分少なくなりましたので、地方自治体の中のどこかにとか。せっかくのチェックリストですので、自己点検とは言いながら、やはり採点も欲しいので、ここまで取り寄せたからには、きっかけの 1 つになるためには、何とかしてやってみたいと思う人も多いと思います。そういうことを簡単に聞ける所、または説明書を作るとか、その辺の御検討を頂ければと思います。

○梅田 HACCP 企画推進室長  今の御指摘について、どういう形でお示しできるかは少し検討させていただければと思います。

○田崎委員 HACCP をやろうという方々が、例えば保健所に押し寄せると、今の保健所の人員と仕事を考えたら、とてもとても無理だろう、倍増しても無理かなという状況にあります。もちろんそういった意識の方が増えるのはよいことだと思いますけれども、なかなか難しい点がありますので、その辺は 1 つ工夫の必要があると思います。

 工藤委員のお話にもありましたように、中小の方が多いという業態で、中毒もそこから発生しています。 7 原則 12 手順、単純な比較的大手の、大きな工場形態で作るものについては HACCP の導入は、マッチします。

一方、小さな飲食店や、製造工場になればなるほど小規模多品種で、多様な商品を作らなければいけない現状もあります。狭い調理場とか工程の中で、複雑なものについては HACCP が導入できずに事故が発生している現状もあります。

重要なことは、コーデックが示すように、柔軟性というところが、今後どういう形で実現できて、そこへ持っていくのかというのは、将来の義務化をかんがみて、今後も議論が必要かと考えます。

 手引書については、全業種について是非とも作っていただきたいのです。それから、 HACCP の自主点検チェックリストについては高谷委員からもお話がありましたが、易しく導入していく、例えば EU HACCP レベルのことも考えないと、いきなり HACCP 義務化の前提で、現状のレベルで統一していくのはなかなか難しいのかと思います。事業者自身が難しいというのもありますので、その辺も議論を深めていく必要があるのかと思います。

○梅田 HACCP 企画推進室長  御指摘を頂いた点ですけれども、先ほど工藤委員からもありましたような問い合わせ先について書ければいいと申し上げましたが、田崎委員からありましたように、これまでの議論にもあったような、行政が何でもかんでもできるかということについてはマンパワーの関係もありますので、事業者団体の取組といったものと連携しながらやっていかないといけないということです。事業者団体としての人材の育成の中で、そのコンサルタント、相談に乗れるような仕組みづくりということも今後は取組として出てきますので、そういうものと連携しながらやっていくことになろうかと思います。

 中小事業者に対して、どのように HACCP を導入するかということが、この検討会のメインテーマでずっと御議論いただきました。資料 2-3 にあるような、柔軟性という議論もこれまで何回か諸外国の状況を含めて議論いただいております。その中でこういう議論を踏まえてということでは書かせていただいています。柔軟性といっても、 HACCP 7 原則をやらないでいいとか、簡単な HACCP をやればいいということでは決してなくて、コーデックスのガイドラインにもあるように、 7 原則を実施することを基本に置いています。その原則の考え方をどのように適用していくかが、柔軟性ということです。

 例えば、コーデックスのガイドラインで言えば、御議論いただきましたけれども、心理的なハードルということで、事業者自身が HACCP に対するイメージがかなりハードルの高いもののように受け止めているということで、そういった現状分析をした上で、それに対して国や事業者団体がどのようにやっていけばいいのか。あるいは 7 原則を適用するに当たり、具体的に施設内でどのようにすればいいのかということです。国レベルでどのように対応していくのか、適用する施設においてどのように適用していくのかということがガイドラインにも書いてあったわけです。

 そういう意味では、前者の、国でどのように中小企業に対して HACCP を普及していくかというのは、正にここで議論をして頂いている内容そのものだと思うのです。つまり、具体的な支援をどのようにやっていくかということで、分かりやすいテキストを作って、考え方を示していくことなどが、柔軟性の大きな 1 つであると思います。

 もう 1 つは、企業内で考えたときに、人的な資源がないとか、専門的な知識を有した人がいないとか、施設が古くてとても HACCP を入れられないのではないかといった恐らく誤解に基づいた心理的ハードルにつながっているのかもしれません。そういうハードルがあるとすれば、自主点検票に人的な要因については外部からの支援を活用することができるということで書かせていただいています。そういう支援をどのようにやっていくかということが、その柔軟性につながっていくものだと思っています。

 そのような大きな施策としての柔軟性の在り方というものは、本日あるいは次回のこの検討会の中でおまとめいただく中にある程度書くことができるのではないかと思っています。また、個別の事案については、既に点検票などで書ける所は書いていっていまして、今後の、例えば実証事業、モデル事業を実施していく中でも問題点として出てきます。こういうやり方をすればスムーズに導入できたという良い事例なども出てくるでしょうから、そういうものは Q&A あるいは事例集として示していくことがいいのではないかと思っております。

○山本座長  大企業はある程度できてきているところがあります。ただ、 1 億~ 50 億円ぐらいの売上げの中小企業に対して、今後普及を推進していくことになるわけです。製造業に限らずやっていくとなったときには、どの範囲までというのは難しい議論になるのかという気がします。アメリカは連邦制ですので、国を越えて、つまり州を越えて流通するような食品に対して規制がかかる。ただ、今度の食品安全強化法の場合には、全ての食品に対してということになりますので、更に規制が厳しくなるというような感じなのです。 HACCP そのものが、本当に規制を強化しているのかどうかというところにあります。従来やっていることを、ちゃんとやっていればできるはずのことを、ちょっと言い方を変えてやっているだけかもしれませんので、その辺はもう少し柔軟に考えていったほうがいいのかという気が個人的にはしています。

○五十君委員  今の関連でコメントさせていただきます。資料 1 2 ページの「現状分析」という表を見せていただき、愕然としました。この委員会の議論では、大規模は大丈夫だ、あとは小規模を何とかすればという議論になっています。資料 3 でもその論調で書いてあります。この現状分析の大規模層の 50 億~ 100 億円を見ると、導入率が 10 %アップしたりダウンしたりしています。 HACCP を正確に理解していれば、 1 回導入して、戻るというのは本当に理解しているのかと考えてしまいます。工程管理には不断な努力がないと、管理できないということは基本なのですが、大規模の内小さいとされる群では数字が行ったり来たりしているのは、本当に理解しているのかと疑われます。このデータを見て私は愕然としました。敷居を低くして導入するのはいいのだけれども、この理解は正確にしていかなければいけない。学問的な理解は正しくしておかなくてはいけない。このデータを見たときにこの数字が正しければ、気になるという印象を受けました。

 ここから先は意見になります。資料 3 2 枚目に、不十分な理解を解決する提案だろうと思うのですけれども、 (1) の3に「専門的知識を有する人材の育成・活用」とあります。すなわち、指導的立場、正確に理解した人をいかに増やしていって、それを浸透させていくか。そこのところは本当に力を入れていかないと、先ほど述べたようなギョッとしたことが起こってきてしまう可能性がある。この3について指導者を育成し、そういう方がどんどん増えていけば、正確な知識や対応となって、先ほど危惧した後戻りは起こらないのではないかと思います。この辺を、何とかもう少し強化できないかということを強く感じました。

○山本座長  いろいろあると思います。それでは農林水産省のほうから。

○農林水産省上久保課長補佐  資料 1 の現状分析の統計調査、私どもの調査の関係で少し補足させていただきます。これは実は全数調査ではなく抽出調査で、全体の導入率のところで、ある一定の標準誤差率を置き、それで抽出している関係があり、特に大規模層はそもそも事業者数が少ないことから非常に誤差が大きな数字になっていることから、私どもも使うときはあくまでも参考として、いろいろな説明のときに使っているところです。大規模層の傾向ということで、数字は御理解いただければと思っております。

 また、大規模層の場合は、例えば ISO-9001 といったマネジメントシステムと独自の衛生管理を組み合わせて、正式には HACCP といえないのかもしれないのですが、そういった取組をされているということで、私どもは理解をしております。

○山本座長  では、厚生労働省から。

○先崎監視安全課長補佐  先ほど補足いただいたとおりかと思います。御指摘は指導する側も統一的にそういった指導ができるようにということと、行政としてもそういった内容についてしっかり発信していくということの御指摘だと思います。御指摘を踏まえて進めていけるようにしたいと考えています。

○梅田 HACCP 企画推進室長 1 点補足いたします。私どものほうでも、今後継続的に普及率については調査をするということで、業種ごとの悉皆調査をしていくことを考えています。それによって導入率が把握できるとともに、逆になかなか伸び悩んでいるところはどういう問題があるかということも、把握できるようなことになるかと思いますので、そういう調査は今後継続的にやっていきたいと思っているところです。

○山本座長  委員の質問に対して、これまで 15 年たって、教育してきた経緯はあるわけなのですよね。その関係で、食品産業センターの委員とか、高谷委員の御意見を聞いておきたいのですが、これまでのことと、今後どうしたら民間が使えるかということなのですが、川崎委員からお願いします。

○川崎委員 HACCP を普及していくツールはたくさんあると思うのです。分かりやすい手引書、マニュアル、親切なセミナーとか研修会、これは民間でもやられています。それから、手前どもの話だと、農水省の補助事業という形で、毎年中小事業者を中心に HACCP の理解を促進するというセミナーとか研修会、そのための教材作り、何かあったときに調べていただくようなホームページ、データベース。今日の施策の中にも出されていますが、消費者の皆さんに HACCP とは何かということを理解していただくための、消費者の皆さんに対するセミナー等も開いている。

 ただ、現実的には特に中小事業者における HACCP の導入率という数字がなかなか上昇していかない原因は何なのかをきちんと押さえなければいけないと思います。

 何回かこの検討会でも申し上げたとおりなのですが、先ほどの御指摘にもあったように、そういういろいろあるツールをもう一歩突っ込んで、現場の実情に合わせて、きちんと相談に乗っていく、いわゆる指導あるいは助言をしていくというアドバイザーとかファシリテーターといえる人たちをしっかり組織化して、派遣の仕組みを作っていくということが、 HACCP 導入とそれを通じた食品の安全、衛生レベルの向上につながっていくと言えるのではないかと思います。

 更に申し上げると、厚生労働省さんは今日お示しになったような施策の中で、保健所の食品衛生監視員の皆さんが、その辺のところを推進することが計画の 1 つの中心になっていると思います。

 私は、それは是非やって頂く必要があると思うのですが、お聞きしている現状の人数や、また大変お忙しいと聞いていますので、それは民間とか、ほかの団体と一緒になって検討して、前回高谷委員が構想及び計画をお示しになった、人材バンクのようなものを官民が協力して作り具体的に指導、アドバイスを行う派遣のシステム作りをやっていくことが必要な時期に入ってきたのではないかと思います。

○高谷委員  日本食品衛生協会がやってきた経緯をお話しますと、 1 つは総合衛生管理製造過程が平成 7 年の法律改正で認められ、 HACCP 連絡協議会を厚生、農水省両方の意をくんで、食産センターさんをはじめ、食品事業者の団体を集めて、 HACCP 連絡協議会と作って、それは総合衛生管理製造過程の承認施設をもう少し増やそうというので、その業種だけをターゲットに、その中で働いている方々を育成していくということで始まっております。

 したがって、そのときはそこの自社の工場を総合衛生管理製造過程の承認を受けるようにするということと、従業員教育をすることにとどめていて、他の企業に行って講師をする、アドバイスをするということではなかったのです。

 もう一方、平成 15 年から農林水産省の補助金を頂いてこの人材育成をやったのですが、これもそれぞれの施設で、そこの中で HACCP というものを組み立てて、その中で従業員教育をしていく。それ以外に、他社に出かけて行って教育をするというところまでは、そういう養成の仕方をしていなかったですから、余り他の会社に行ってアドバイス、助言をすることまではやっていないというのが現状なのです。今は大分様相が違ってきているのだと思うのですが、そういう状況にあります。

2 点目です。資料 3 3 ページの (2) の4です。ここでロゴマークですが、厚生労働省も方向が変わったかなと。余りマークは付けさせないようなことをおっしゃっていたのが、やる気になったかなと思っていました。

 ただ、そうすると、前回も申し上げたと思うのですが、昨年ヨーロッパに行ったとき、コーデックスで SLDB のことについて、どう柔軟な対応をしていけばいいのかということを聞きしましたときにコーデックスが言ったのは、「そんなに焦って、一気に HACCP をやっていかなくてもいい。段階を踏んでゆっくりいくべきだ」ということをおっしゃっていました。急に HACCP までいくのは大変だから、ステップを踏んで徐々にやっていけばいい。そうすると、東京都の出された図で、「 entry stage 」「 first stage 」「 second stage 」「都で認証」、認証までいかなくてもいいのですが、こういう段階を踏んだ教育をしていかないと、下のほうはなかなか付いていかないのではないかと思うのです。これは認証になっていますから、東京都さんのこの考え方も、かなり検討に値するのかなと思いまして、都が始めてみて、こういう方策も進めていくには、普及していくにはいいのかなという気がしてのこれについては、またもう 1 度事務局でお考えいただき、この委員会でお考えいただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○山本座長  段階的な導入というのと、どういう形で取り込んでいくかというのは、モデル事業の中で、できれば検討していただくこともあるのかなと思いますし、一気に HACCP というのもなかなか難しいものもあるかもしれません。段階的というと、どこまでいけばどういう段階にあるのかという基準作りも、なかなか難しいというところもあるかもしれません。

 もう 1 点、前回でしたか食品衛生協会さんからの技術的なものということで御提案いただいたことがあったと思うのですが、人材としての指導者になるべき人たちをどう作っていくかというのは、非常に大事なところだと思うのです。そこのレベルがバラバラですと、なかなか底上げというわけにはいかなくなると思うのですが、その辺に関しても、今の現役の職員は当然指導していかなければいけないのですが、 OB の方たちの活用とか、そういうことも含めて検討が必要なのかなという気もしますが、その辺のことは事務局は何か考えておられますか。

○梅田 HACCP 企画推進室長  今年度、 8 ブロックにわたって食品衛生監視員向けのトレーニングをやりました。その中でいろいろと問題点なども把握できましたので、今後来年度に向けてはしっかりと、それを踏まえた仕組みでやっていくということを考えています。

 具体的に言うと、これはマル総のときもそうだったのですが、裾野を広げていくというためには、しっかりとトレーニングのカリキュラムを組んでやってもらわないといけないと思っています。そういう指導者の立場の方を作って、更にそれが地域ごとに、その指導者の方が講師となって普及するようなトレーニングをしていくということで、やはり一堂に集めた形ではなくて、地域ごとにしっかりと施設に入り込んでということも必要でしょうし、そういう意味ではブロック単位ということを念頭に置いていますが、まず地域ごとにそういった指導者を作って、裾野を広げていくことが必要ではないかと思っているところです。

○滝本監視安全課長  先ほど高谷委員から EU の話がございましたが、この HACCP の導入については諸外国と我が国とは、全くその入り方が違っていたということで、我が国は周回遅れどころか 2 周ぐらい遅れているという状況にあると思っています。 EU やアメリカはリスクの高い食品から、あるいは規模の大きな所から順次義務的導入を始めていって、それが今全ての食品、あるいは全ての小さな営業所まで、フレキシビリティを導入しながら、義務化をしている。我々はこれから義務化に向けて、その作業を一気にしていかなければいけないという状況ですので、余りのんびりもできないのかなと思っています。

 それから、段階的導入というお話がありました。これも認証という形ではなくて、自主点検票、 HACCP というのはあくまでも自主衛生管理ですから、それぞれの営業者の方々が責任をもってやっていただくことですから、まずは自分で点検をしていただいて、この入り口に入ってきていただこうと考えています。その入り口の門戸を広くして、入りやすいような仕組作りをして、現時点では義務化はいつからとは言えないかもしれませんが、義務化へ向かってのスピードアップを図っていかないと追い付かないのかなと思っておりますので、その辺も含めて御議論いただければ有り難いなと思っております。

○山本座長  導入促進という観点からいくと、大企業が先に入ってくるというのは普通の考え方です。次の中小をどうしようかというところに、議論はきているかと思います。大企業も 100 %入れているわけではないという状況の下で、今後やっていかなければならない。

 そうなったときに、諸外国という言い方は変ですが、アメリカ、ヨーロッパは最初の取り掛かりの導入のしやすい環境があるわけです。つまり、アメリカの場合は州を超えるものというような制限は作れますし、ヨーロッパの場合でも EU 内、国を超えて流通するようなものに関して、広域流通するようなもの、しかも大量に流通するようなものに対して網掛けをするというようなことが、最初に行われているということだと思うのです。

 対面販売しているようなレストランを急に入れろといってもなかなか難しいので、そこは徐々にということになるかと思いますが、日本の場合は一国全体で考えていくとなると、本当に地域だけで流通しているようなものは、もう少しゆっくりで、大量に出回っている高谷委員がおっしゃっていたような、食中毒の原因となるような施設と考えられるようなものには、早急にというようなスピード感なのかなという気がしました。

○五十君委員  今スピード感の問題が出てきたのですが、そういう意味からいうと大規模層というのは、ここに示された値をどう見るかというと、私は低いのではないかと思うのです。ですから、今のお話ではないのですが、大規模層はおそらく海外にも輸出しているわけで、そういったスピード感から見たら、義務化は当然と言えます。ところが導入は 70 %台とか 80 %台というのは、決して高くはなくて、工程管理不十分な危ない状態で、本当に未導入な大企業はもちこたえているのかと思うのです。

 今回の議論では、中小から何とかパーセンテージを上げていこうという話ですが、スピード感からいったら、シェアの大きな大手から義務化して、ほぼ 9 割以上という状態に持っていくというのも、 1 つの戦略になるのではないかと思います。

○山本座長  難しいところなのですが、製造過程のときの導入状況で、余りにも一般的衛生管理のために施設設備を充実させろみたいな方向に動いたというのが大きくあって、そこから、もうそれには耐えきれないというので返上するとか、そういうことが起こってしまった所もあったように聞いております。一概には言えないのですが、その辺のところで、一般的衛生管理と言われている部分の整備をどのように考えるかというのも、 HACCP 導入には必要、重要な論点だと思います。必ず prerequisite program といって前提条件としてそれが必要だということをいうと、ではどのレベルまで、どこまでいったらゴールなのかというのを示しておかないと、本当は導入が難しくなる、いつまでたっても一般的衛生管理が改善していかないということになり兼ねないのではないかという懸念が、若干ありますね。

 ただ、東京都が示しておられるような認証制度で、ここまでいけば一般的衛生管理としてできています。次は CCP HACCP ですよというところが、ある程度の基準としてあるのであれば、その辺までは到達できるということでやっておられるのだと思うので、その辺は 1 つの目安として使わせていただけるのかなという気はします。その辺について、高谷委員どうですか。

○高谷委員  事務局に聞いてみますか。

○山本座長  事務局、お考えを。

○梅田 HACCP 企画推進室長  日本の場合、一般衛生管理は管理運営基準で、事業者さんが講ずべき衛生基準が条例によって定められていますので、基本的にそれは守られなければいけないということが前提で、議論をするのかしないのかということがあるのかもしれません。

 そういう意味では、 HACCP の考え方を取り入れることによって、その前提である一般的な衛生管理についてもハザード分析する中で、弱点というものが見えてくることになろうかと思いますので、不足しているところを充実していくことにもつながるということで考えれば、一般衛生管理と HACCP を切り分けて、一般衛生管理がどのレベルまでいかないと HACCP ができないという考え方をしなくても、現状やられている一般衛生管理の中で、 HACCP をどのように位置付けていくかというような整理をしていただくことでスムーズに移行できるのではないかと思っています。

○山本座長  結局は HACCP 型ということですので、 HA の部分ですね、危害要因をどう分析するかというところができるかできないかというところで、一般的衛生管理のレベルも自ずと決まってくることになろうかと思います。

 今のこと以外のことで、何か御意見がございましたらお願いします。

○五十君委員  確認です。資料 3 6 ページの「産業全体での推進の必要性」の所に、「自治体、国、食品関連団体、消費者団体等が意見交換、情報交換を行う場として、 HACCP 普及推進連絡協議会 ( 仮称 ) を設定する」とあるのですが、このイメージがよく分からないので、もう少し具体的にお願いします。もうある程度こういう形でいったらよさそうだというイメージがあると思うのですが、その辺りを説明していただけますか。

○先崎監視安全課長補佐  御質問いただいた記載の部分ですが、具体的にはこの検討会でまとめていただいて動き出すということで、それから関係者の調整も本格的にと考えてはおりますが、イメージとしては、この検討会でこういう普及方策をやっていくべきだという方策について御提言いただければ、それを実際にやっていくという段には、実施状況であるとか、改善すべき点の先い出しというのをしながら、 PDCA というか、チェックしていくための場として、こういった国レベルあるいは地方レベルでの情報、意見交換を行うような形の会が設けられないかということで、連絡協議会ということで何か新しく団体というか、そういうものを作るということではなくて、あくまでも会議というか、そういう場、関係者と一堂に会してやるような場を作っていけないかということで考えております。そこに各関係者が御参加いただくことで、連携して取り組むという形にもなりますし、実際に御参加いただきながら連携して、一体感をもってやっていくということにも活用していけるのではないかと考えています。

○五十君委員  具体的には、現在、食品衛生ですと全国ネットワーク的なものとして、食品衛生協会などのシステムがあると思うのですが、こういったものとの振分け、位置関係がどうなるのかが分からなかったものですから。

○先崎監視安全課長補佐  今後詰めていくところでもありますが、各関係団体で持っているネットワークもあるかと思いますので、中央レベルと都道府県レベルというか、それぞれあると思うので、中央レベルでは中央の関係団体さんにも御参加いただいて、例えば地域ブロックで開催するときには、地域の自治体もそうですし、関係団体の地域の取組というものも御紹介いただくような形で、関係団体の地域支部というか、そういうところにも御参加いただくといった形で、今あるそれぞれのネットワークを中央レベルと地域レベルで、それぞれ有機的に結び付けるような場の設定を考えているところです。

○梅田 HACCP 企画推進室長  補足させていただくと、前回マル総のときに、先ほど御紹介いただいた、同じ連絡協議会というような名称であったのですが、それは食協と食産センターとで。

○高谷委員  全盛期は食品加工業界とかみんな入っています。

○梅田 HACCP 企画推進室長  そうですね。もともとそこから始まったわけですが、組織を作ったということだったのですが、そうすると会長を誰にするかとか、会則などを作るということになるのでしょうけれども、そういうものではなくて、先ほど説明させていただいたような、この検討会が御議論いただいて、方針を示していただく機関だとすると、その方針に基づいていろいろな具体的な施策を事務局案なりで、私どもから提案させていただいて、またこの場で御議論いただいて、その方向性で御了解いただくということが決まって、その施策を実際に執行していくという段において、関係者の意見をお聞きするとか、実際にその地域の事業者さんに参加いただき、いろいろな事業、ここでいうようなチャレンジ事業なりモデル事業といったものをやっていく中で、協議会を通じて我々のやろうとすることをお伝えしたり、問題点を集めたり、そういう場にしていくことが、みんなで連携してやっていくことになっていくのではないかと思っています。

 また、我々が主体となっている事業だけではなくて、先ほど来出ているような民間団体がやられているような人材育成事業も、こういう場を通じて受け皿として活用いただくということが、食品産業全体で取り組むことにつながっていくのではないかと思っているところです。

 具体的なイメージはまだ固まっていないわけですが、この場において、今後普及に当たって仕組という点で、そういうことが必要だということで提言いただければ、どういう体制でやっていくかを具体化していきたいと思っているところです。

○川崎委員  今の連絡協議会の件ですが、ここに書かれた関係する所が集まって、情報交換、意見交換をするということは HACCP の推進にとって大変重要なことだと思いますが、そこにとどまっていいのかという感じがあります。先ほどの発言でも申し上げたのですが、国といっても農林水産省さんもいらっしゃれば厚生労働省さんもいらっしゃる、また地方自治体、業界団体、民間の団体から、それぞれ HACCP 推進という同じ目的に向かっていろいろな活動をしており、研修会とかセミナー等のツールは結構あるのです。

 それらにはダブりもありますし、一緒にして効果を発揮するような取組があると思いますので、今日御提案の連絡協議会のようなものを通じて、情報交換、意見交換だけではなくて、次につながる新たな取組を生み出していくような場にしていくことが重要ではないかと思います。

○山本座長  具体的に推進するためというのは、一気に作るのは難しいと思うのですが、高谷委員どうですか。今までの連絡協議会の経験も踏まえて。

○高谷委員  業界団体が集まって仲よく連絡を取り合っていこうというのは、波風立たないのかもしれないのですが、ここでいっているように、地方でも何でもやってというと、そういうところがたくさんできてしまって、進んでいかないのではないかと心配をしているのです。大きなところで、全体で国が集めてやっていただいて、連絡を取って情報交換していけばいいのですが、それをまたブレイクダウンして、またどこか地方へいってやってというと、同じ情報がきちんと伝わるかというのも心配ですし、かえって混乱を招くのではないか、そこかが一番心配なのです。組織みたいなものがたくさんできたら、できただけで大変ではないですか、上から下まで下りていくの、そこを心配しているのです。団体を作って情報交換して、スムーズに進めましょうという考え方はいいと思うのです。それを上手にやれるという自信があるなら。

○梅田 HACCP 企画推進室長  今、川崎委員からも御指摘があったように、標準化をしていくということは非常に重要な話であると思いますので、先ほど御説明させていただいたように、いかに統一的に普及をしていくか、うまくこの仕組みを使えればと思っていますので、その組織の在り方というものは、高谷委員からあったように、地方でそういう形で作ることが、果たしてそれに向けて良いのか悪いのかという点は、よくよく検証しながら決めていかないといけないと思っています。

 ただ、実際に根付かせていくという点においては、中央でやるというよりも、実際の地域でやっていくということが、先ほど地域でやらないとなかなか人材が育っていかないのではないかということを申し上げましたが、 1 つそういうことを例に取っても、地域で根付かせたものを作っていくためには、こういう組織も重要なのではないかと思っています。いずれにせよ、何を役割として、機能として持たせるのかといったところ、そのための組織としてどこまでやればいいか、どういったものが必要なのかということは、十分に検討していきたいと思います。

○山本座長  川崎委員、高谷委員がおっしゃっていたように、食産センター、日本食品協会を通じて、これまでも随分そういう教育プログラムというのは動いていることですので、それをもう一度見直していただいて、有機的に結合するのか、それともどういう形で展開していくか。地方の食品衛生協会さんの中でも、それをマネージしてやっているところも聞いておりますから、そういうのもうまく活用して広げていく、そして地方自治体ブロックごとの食品衛生監視員、若しくはそれの OB 等の力を利用しながら広げていっていただければなという気はしております。

 教育等はまだまだあると思うのですが、もう 1 つは、手引書のような教材もそうなのですが、教材が出来上がった後にワークショップ的なものをどうするかというところも、今後のプログラム自体を有効に作り上げておかないと、やはりできないのではないかという気がしますので、その辺が次のステップかなと思います。ほかに何か御意見はございますか。

○工藤委員  議論が戻ってしまうかもしれないのですが、資料 1 にある HACCP に対する本質的な理解、消費者や流通販売業界ということがあるのですが、 HACCP に対する理解というのは、なかなか消費者というのは身近なようで身近でないということです。残念ながら食品事故のようなものが起きると、工場の中のことが新聞記事等に上がるので、このようになっているのだなというところが多くありますので、普段はなかなか理解できないというのが、正直なところだと思います。

 それに引き替え、私たちエンドユーザーというのは流通だとか、販売店で食品を買いますので、そこが一番最初に触れ合うところです。そういった所の HACCP の導入率が低いと聞いたこともあるのですが、今後そこへの取組は、製造業者とは別個に考えているのか、同時進行ということなのか教えて下さい。

○山本座長  事務局いかがですか。

○梅田 HACCP 企画推進室長  今回の取組の対象は特に限定したものではなくて、食品等取扱業者ということで、食品を扱う事業者さんにおかれては、 HACCP による管理をしていただくことを前提にはしております。

 ただし、これまでの議論にもあったような、優先順位というものはあるでしょうから、そこは必要性の高いもの等の要因を鑑みながら、普及についての重点的な取組先を決めていくことになると思います。

 併せて、先ほど飲食店等における HACCP の普及や販売、流通事業者さんにおいても、どのような考え方を適用していけばいいのかというようなことは併せて議論していきたいと思っております。

○山本座長  なかなかそこにメスを入れるのは難しいところはあるのですが、当然スーパーのバックヤードとか、そういうところも考えなければいけないものだとは思うのですが、それも規模によりますかね。そこから、大きいほうから順番に攻めていかないと難しいかもしれません。その辺も、この検討会の議論の一部になっており、提言もそちらが優先だということになれば、そういう提言の仕方もできるということですので、よく議論していきたいと思います。

 時間がもうそろそろなのですが、更にここでという方はございますか。それでは、本日の御意見を踏まえ、更なる HACCP の普及方策ということで、検討会としての提言をまとめることを考えております。次回の検討会の日程は 27 日と聞いておりますが、なかなか時間が立て込んでおりますので、皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。

 議題 2 に「その他」とありますが、事務局から何かございますか。

○仲庭 HACCP 企画推進室長補佐  ございません。

○山本座長  それでは、今後の予定について、事務局からお願いいたします。

○仲庭 HACCP 企画推進室長補佐  次回は 3 27 ( ) 16 時から 18 時で開催させていただきたいと考えております。場所は砂防会館です。開催案内等については、改めて御連絡させていただきたいと思います。

○山本座長  本日の検討会はこれで終了いたします。長時間ありがとうございました。


(了)

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