ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会> 第3回 有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会 議事録(2015年3月17日)




2015年3月17日 第3回 有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会 議事録

医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

○日時

平成27年3月17日(火)15:00~16:40


○場所

経済産業省本館2階西3共用会議室


○出席者

検討員(五十音順、敬称略)

有田 芳子、奥田 晴宏、河上 強志、岸本 充生、清水 政男、白石 寛明、田中 明人、中杉 修身、中澄 博行、中野 武、広瀬 明彦、増沢 陽子、御園生 誠

オブザーバー

化成品工業協会 森安技術部長

事務局

厚生労働省 化学物質安全対策室 倉持室長 他
経済産業省 化学物質安全室 田中室長 他
環境省 化学物質審査室 福島室長 他
株式会社島津テクノリサーチ 高菅事業部長、岩田主査 他

○議題

 (1)企業における品質管理のあり方
 (2)有機顔料中に副生するPCBの実態と適切な管理方策
 (3)その他

○配布資料

資料1 企業における品質管理のあり方
資料2 有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する報告書(案)
参考資料1 有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会 検討員名簿
参考資料2 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(抜粋)

○議事

○経済産業省

定刻になりましたので、ただ今から『第3回有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会』を開催いたします。本検討会は厚生労働省、経済産業省、環境省の三省の合同検討会として開催するものでございます。

本日、事務局の進行を務めさせていただきます、経済産業省化学物質安全室の平山と申します。よろしくお願いいたします。

検討員の皆様におかれましては、本日お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の検討会には15名の検討員のうち、13名の方にご出席を頂いております。また、今回はオブザーバーとして化成品工業協会の森安部長にもご参加を頂いております。

議題に入る前に、お手元にお配りしました資料について確認をさせて頂きます。

資料1といたしまして、「企業における品質管理のあり方」という2アップ、カラーの資料を配布させて頂いております。資料2といたしまして、「有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する報告書(案)」を配布させて頂いております。その次に、参考資料1といたしまして、「有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会 検討員名簿」を配布させて頂いております。そして、参考資料2といたしまして、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(抜粋)」を配布させて頂いております。

資料の過不足等がございましたら、事務局までお知らせただければと思います。

それでは、これ以降の進行につきましては、御園生座長にお願いしたいと思います。なお、冒頭カメラ撮りにつきましては、議題1の説明が始まる前までとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。では、御園生座長よろしくお願いいたします。

○御園生座長

御園生です。順番ということで三座長の一人として今日は進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。それでは議事次第に沿って進めていきたいと思います。

本日の議題は大きく分けて二つございます。一つ目は企業における品質管理のあり方。二つ目は有機顔料中に副生するPCBの実態と適切な管理方策についてです。今回一つ目の議題として、企業における品質管理のあり方について取り上げることとした背景について、簡単にご紹介させて頂きます。

本検討会は平成24710日に第1回検討会を開催した後、事業者からのヒアリングを非公開の形で7回ほど開催しました。その後、昨年3月に第2回検討会を非公開の形で開催し、ヒアリング結果についての取りまとめを行いました。事業者の皆様からヒアリングにおいて様々な取り組みについてお伺いしてきたわけですが、今回報告書の取りまとめにあたり、事業者における品質管理の実情を勘案することが重要であるとの認識に至りました。ヒアリングについては企業秘密保護の観点から非公開で実施してまいりましたので、今回化学業界において品質管理がどのように行われているか等について、個社の企業秘密に触れない形で化成品工業協会から説明を頂くものです。

ということで議題1に入りたいと思います。議題1の「企業における品質管理のあり方」について化成品工業協会の森安部長よりご説明をお願いいたします。

○オブザーバー(化成品工業協会)

それでは説明させて頂きます。化成品工業協会の森安と申します。「企業における品質管理のあり方」と偉そうな題名になっておりますが、実は本当はお願いのつもりでやって参りました。まず、化学製品で品質管理に規格が設けられている場合、企業はどういうことに一応気を付けてやっているかということと、それから、それを有機顔料の副生PCBに置き換えた場合どういうことになるかということと、最後にお願いという形でさせて頂きます。

まず2ページ目、表題の次の下の2ページ目ですけど、これは少し私の実体験に基づいているものです。たまたまここにボトルがありますけど、ここに蒸気圧の異常に高い薬剤が入っていて、中身が劇物であったとして、漏洩しないようにということで当然スクリューキャップのみで漏洩しないようにはできるわけですけれども、更に念には念を入れまして、ガスバリア製のフィルムでこの口のところにシールをすると。その場合どうしても工程のところで中心からずれが起きます。当然シールの方が大きいわけでして、口のところにも肉厚があるからある程度余裕はあるのですけれども、たとえば規格が1mmとすると企業としてはブレがあった場合が非常に怖いですから、0.5mm以内での管理を目指すわけです。これはダブルスタンダードというわけではなくて、その基準を、万全を期すためにやるというそういう心構えでやるわけです。そういう例を、事例的にここで挙げさせて頂いています。

全てこうやっているというわけではないのですけれども、例えば顔料であれば水分の管理であるとか、篩残分の管理であるとか、これは顧客の要求というものがあるのですけれども企業としてはそれよりはかなり余裕をもって管理をしていると。それから塗装の物性についてもそうですし、あと、たまたま化粧品原料と書いてありますけれども金属の管理についてもそうですし、あとは製品に限らず環境への排出なんかは平均値で要求される場合が多いのですけれども、企業としてはピーク時で超えないように目指すと。ピーク濃度が下回っていれば平均は必ず下回るはずだと、そういう形でやるわけです。

有機顔料で今回の副生PCBの場合どうなるかというのを考えてみました。以前、このような事例をお見せしたかと思うのですけれども、私は最初PCBの副生量はある程度正規分布に従うのではないかと自分なりの仮説もありまして、メーカーさんにデータを提供してもらったわけなのですけれども、ものすごくばらついたデータが出てきます。

これはなぜかというと理由がありまして、化学製品というのは昨日作ったものと今日作ったものと明日作ったものと同じにするために製造法が標準化されているのが普通だと思っていたら、どうもそうではなくて製品を一定にするために微妙に製造の方の、例えば温度条件を変えたりだとか、熟成を変えたりだとかそういうことをやっているということで、どうもPCBの方がこれでばらつくのではないかと。こういうような製品というのは事業を諦めるか、諦めて毎ロット管理で対応するしかない。それで、この製品Aについてはこれを提供してくれた会社さんについてはこの製品は既に諦めた形になっております。じゃあ、顔料っていうのは全部そういう風に作るのかというとそういうことではなくて、製造工程の方が一定のものも数多くありまして、それらは完全に区別することができます。例えばこちらの製品Bについてですが、267ロットデータが揃っている製品がありましたのでデータを提供していただきました。分析値の分布を見ていただくと、正規分布とはやや違ってはおりますが、平均値1.7よりは心持低めのところに数値が集中するようになっております。ただその後、だらだらと右の方にも数値が続いていきまして、最後にポツンと一つだけ、偏差値で表現すると100越えの値が存在しております。実は、267もデータがある製品は少ないのですが、それでも20個とか15個のデータが揃っている製品はありますから、それらの分布を見てみても、結構似たような分布を示している。これって顔料PCBの典型的なパターンなのかなと思われます。

製造法については標準化して、しっかり管理していると思うのですけども、こういう風にポツンと一つ異端児が出てくる。品質に影響する要因はよく4M(Material, Machine, Method, Man)と言われるのですけれども、おそらくそれ自体が非常に複雑で多変数関数のイメージなのかなと。このあたりが現時点なかなか制御しきっていないと。これくらいのデータを持っている会社が実は珍しくって中小企業の中には年間2ロットとか3ロットの製品もございますので、なかなかここまでデータ取れないと。これで上限をどうするかという形になって、何年か前のHCBみたいにぎりぎりのところでやると、事業者としては非常に苦しいような状況になるのかなという風に考えています。

ここからが少し心苦しいお願いなのですけども、先ほどのものは規格というのがしっかり決められていて、それをしっかり守るために技術的には余裕をもってやりますという話だったのと逆の話になりまして、技術的に今こういう状況なので、上の方の数値、例えば出荷の可否を判断する数値につきましてはある程度余裕が欲しいと、そういうお願い(です)。事業者の立場としては非常に心苦しいのですけれど、今のところ、どうしても、そうせざるを得ないと。管理のあり方としてお願いなのですけれども、事業者は出荷の可否判断の数値、それは少し余裕を持つことを許していただいて、但し別の管理値、目標値、目安値をしっかり設定をいたしまして、それを元に、さらに削減化に向けてPDCAを回していくと。数値が例えば自分たちが思っている数値より少し高いようなことがありましたら、すぐに原因究明をやって対策をやって、低減化対策をやって様子を見ながら更に目標を下げてと、このような仕組みで回していくことを是非ご勘案頂けたらなというふうに協会としては考えております。よろしくお願いいたします。

○御園生座長

どうもありがとうございました。それではご説明頂きました内容に関してご意見ご質問がございましたら、お手元のネームプレートを立ててください。こちらから指名させて頂きます。

よろしゅうございますか。どうぞ。

○有田検討員

最後の6ページのところですけれども、信頼をするとしましても、今までもPDCAを回していくことで信頼をしてほしいとして、他の分野で信頼している企業がその後に信頼を裏切ることがままありました。私達も悪い企業ばかりではないと言ってきてもそのような事があると、中々直ぐに承認できない。信頼するための担保は、化成品工業協会の中で、今後どういうふうに行おうと考えているのでしょうか。

○オブザーバー(化成品工業協会)

上の方の規格値とは別に管理値につきましても、しかるべきところに、当局に報告するような形で、管理状況についても製品によって濃淡は出てくると思うのですけれども、報告すると。あるいは数値の異常がみられた場合につきましてもしっかりと記録を残すと。そのようなところがいいのではないのかなと、今のところ考えております。

○御園生座長

他はいかがでしょうか。次の議題の時にまたご発言頂いてもいいかと思うのですが、よろしゅうございますか。どうぞ。

○広瀬検討員

理解したいというだけですが、偏差値が100を超える、5ページのグラフで言うと飛び地のように出てくるやつはどうも避けられそうにないっていうのは、理由というわけではないのですね。この性質はどんなにやってもなくならない気がしたので、難しいですが、常に5.6とか6.3以内ならなんとなくできそうだけど、必ずしも飛び地が出てくる性質のものであるのを仕方がないので、今後検討して管理をやっていくという話であっても、理由がわからないので解決できないではないかと思ったのですが。

○オブザーバー(化成品工業協会)

今のところ理由はわからないです。また、この現象自体が事例としても、データとして全ての顔料でこういうデータが揃っているわけでもないのです。顔料に限らず意外と、こういうことは起きるのかなと思うのですけれども。本当に不純物をこのレベルでしっかり、例えばこれが50を超えることはまずないと思うのですけれど、10だったとすればやはり事業者としては自信がないのではないかなと思うのです。単に267のデータを普通の公式に当てはめると7.7というのは偏差値で例えますとだいたい100くらいに相当して確率からいうと何ppmのはずですけれど、これが267のうちに出てしまうと。他のデータ、267もなくて例えば20とかでも少しこういう傾向は見られるのですね。例えば去年たまたま作って3ロットとも10以内だったから自主管理上限値10でやります、というなかなか今の状況として、そこまで勇気持てる事業者はいないと思うのです。

○広瀬検討員

言いたかったのはそういうところで、6ページの表を見ていると、1回そういう事例があったら管理値をぐっと下げるという話で書いてありますけれど、その前からすでにもう99.9%くらい大丈夫だというのに、更に管理値を下げるのはやりすぎじゃないかなという意味で、どっちが原因かわからないのでという意味で。

○オブザーバー(化成品工業協会)

そうですね。要はこういう非意図的物質、POPsというのは下げなければいけない、廃絶しなければいけないという目標がありますので、それを忘れちゃいけないというそういうことです。何も正直申しまして自分からバンバン下げていきますとか、私の立場でいうのは簡単ですけれども事業者、会員さんにはとてもそれは言えません。ただ、廃絶していく、とにかく限りなく0に持っていくという目標はあるのだろうと思っていますので。

○御園生座長

なかなか。これは後のまとめのところでこういう分野にご専門の先生がいらっしゃいますので、そこでまたご議論いただいて、非常に異常な値をどういう風に取り扱ったらいいか、いくつか対応策があるのだと思うのですが、そのあたりはまとめのところでお知恵を拝借したいと思いますので、そこで改めてご意見いただければと思います。そういうことでよろしいですか。どうもありがとうございました。

では、二つ目の議題に移りたいと思います。有機顔料中に副生するPCBの実態と適切な管理方策について、今日取りまとめをしたいということでございますが、事務局からご説明をお願いいたします。

○厚生労働省

それでは資料2をご覧いただければと思います。有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する報告書案について事務局からご説明いたします。まず、ページをおめくり頂きまして1ページ目、第1部「検討の経緯、背景」につきまして、厚生労働省からご説明いたします。まず、1.はじめにですが、PCBはポリ塩化ビニル化合物の総称でありまして、その有する性質から絶縁油や複写紙、潤滑油など様々な用途に使用されてきましたが、環境汚染問題の発生を契機といたしまして化審法が昭和48年に制定された、と書いてあります。化審法においてPCBは難分解性、高蓄積性、長期毒性を有するものですので、第一種特定化学物質として指定されまして、製造、輸入、使用について事実上禁止されています。平成231月には非意図的に生成したPCBがある種の顔料に含まれることが国際団体により公表されまして、これを受けて事業者が有機顔料の分析調査を行いまして、平成242月以降、厚労省、経産省、環境省の三省により結果が公表されてきたところです。

この過程で平成243月には有機顔料中に副生するPCBに関するリスク評価検討会が設置されて検討が開始されまして、人や生態系への影響や消費者の健康への影響などにつきまして平成253月にその評価結果が取りまとめられたところです。一方、平成247月には副生PCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会が設置されて検討が開始されまして、PCB副生の原理や分析方法などについて検討されていきました。本報告書は合計10回の会合における検討結果をまとめたものでございます。

続きまして2.PCB副生事案の経緯でございますが、先ほどはじめにで申し上げたところと重複するところがございますので省略させて頂きますが、副生PCBが含有することが判明した後は平成242月には、2ページ目に移って頂きまして、国際的な動向を踏まえまして、国際的な動向というのは別紙3に書いてありますようにPOPs条約における規制とか、EUにおける規制とか、あるいは米国・カナダなどにおける規制、そういった動向を踏まえまして、化審法に基づきまして緊急的・暫定的措置といたしまして50ppmを超えてPCBを含有することが判明した有機顔料の製造輸入の中止や回収などの行政指導を行いました。2.1PCB含有実態の把握でございますけれども、これは化審法に基づいて届出のあった全事業者に対しまして副生PCBの有無などについて確認を要請しました。これを踏まえまして0.5ppmを超えることが判明した23種の有機顔料について実態調査の結果を平成245月と平成248月それぞれ公表したところです。その結果は同2ページ目の下の表1-1にまとめてあります。2.2再分析の実施でございますが、一方で分析の前処理方法等によりまして測定結果に差が出ることが明らかとなりまして、そこで事業者に再分析を依頼しまして再分析の結果を平成255月に公表したところです。それが次のページの表1にまとめているところでございます。2ページ目に戻って頂きまして、これらの実態把握の結果につきまして、17製品については50ppmを超えるPCBの含有が確認されましたので、当該全製品の製造輸入が中止されたところです。その17製品といいますのは4ページ目の表1-3に掲げられている有機顔料ということになります。

続いて5ページ目に移って頂きまして、3.副生する第一種特定化学物質に係る考え方でございますけれども、化審法における規制は先ほど申し上げたところで省略させて頂きますけれども、2段落目ですが、副生する第一種特定化学物質につきましては利用可能な最良の技術、Best Available Technologyを適用し工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減すべきとの考え方に基づきまして運用を行っているところです。PCBにつきましても同様に可能な限りその生成を抑制するとの観点からBATを適用しまして、副生成物として微量含まれる場合であって人の健康を損なうおそれや動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼすおそれがなく工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減していると認められるときは第一種特定化学物質としては取り扱わない、という考え方を踏襲しまして運用を行っております。

続きまして3.1.副生する第一種特定化学物質の過去の事例ですけれども、過去の類似事例としてはテトラクロロ無水フタル酸(TCPA)などの製造過程において副生するヘキサクロロベンゼン(HCB)の例がございます。具体的には副生する第一種化学物質が微量含まれている事実を認識した場合はBATの原則に基づきまして事業者は含有量の上限値、自主管理上限値を設定しまして、含有量の低減方策と併せて妥当性を説明することとされております。更に含有量が自主管理上限値を超えていないということを常時確認しまして引き続き含有量低減に取り組むこととしております。また、3省からの要請に応じて管理状況を報告することが求められている、そういったことが具体的になされています。

6 ページ目に移って頂きまして、先ほど申し上げましたHCBの事例は参考にはなりますけれども、PCBにつきましては副生する有機顔料の種類や事業者がHCBの場合と比べて多いということや、事業者、製品ごとに製法が異なるという点に留意が必要ということであります。

続きまして7ページ目に移って頂きまして、4.副生PCBのリスク評価についてですが、リスク評価検討会の設置の話は先ほど申し上げましたので省略させて頂きますが、平成253月にリスク評価結果を取りまとめたということでございます。その結果につきましては以下に書いてございますように、4.1.1製品の健康リスク評価でございますけれども、印刷インキ、塗料、合成樹脂、繊維、クレヨンなどそういったものの製品に応じて摂取経路と代表的な暴露シナリオを作成いたしましてリスク評価を行った結果、これらの製品の使用に伴う重大な健康リスクは想定されないと評価されております。更に回収措置を含む追加措置の必要性についても検討されましたけれども、同じように重大な健康リスクは想定しないと評価されまして、回収など特段の措置を取る必要はないと結論付けられております。4.1.2人や生態系への影響に関するリスク評価ですけれども、これについては有機顔料の用途ごとに環境への排出量を網羅的に推計しまして、暴露シナリオを抽出してリスク評価を行った結果、環境経由での人健康及び生態系への影響は低いと評価されております。駆け足でございましたけれども、第1部につきましては以上でございます。

○経済産業省

続きまして、第2部「有機顔料中に副生するPCBの実態と適切な管理」について、経済産業省からご説明をさせて頂きます。

第2部につきましては、二つのパートに大きく分かれてございまして、一つ目のパートは、「有機顔料の製法、PCB副生の原理及び低減策」についてです。

二つ目のパートは、「副生PCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルと適切な管理」についてです。

では、一つ目のパートからご説明をさせて頂きます。

1.1 といたしまして有機顔料の分類ということで、これまで有機顔料はかなり古くから、開発され、使われてきているものでございますけれども、2004年に発行されたカラーインディックス・インターナショナル第四版では、こちらに記載してあるように、700近い有機顔料が登録されています。それら全てについて、こちらで記載するのはなかなか難しいところでございますので、PCBの副生が今般のように明らかとなった顔料について、基本構造等に基づく分類に沿った形でご説明、ご紹介をさせて頂いているところでございます。

こちらの8ページの有機顔料の分類の図の中で申し上げますと、アゾ顔料のうち、不溶性アゾ顔料の3つの小分類、それからナフトールAS顔料、それから大分類の中では、フタロシアニン顔料、多環式顔料の中ではジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、といったところが具体的にはPCBの副生が明らかとなった有機顔料でございまして、この後ろでそれぞれについてご紹介をさせて頂いております。

9ページに進んでいただきまして、1.2といたしまして、非常に有機顔料の中で多くの割合を占めていると言われております、アゾ顔料について、記載しています。

アゾ顔料は、その構造等に基づいて、だいたい6つくらいの中分類に分けられるかと思いますが、今回PCBが副生することが明らかになったのは、モノアゾイエロー、オレンジ顔料、それからジスアゾ顔料、ピラゾロン顔料、ナフトールAS顔料でございます。

続いて1.2.1といたしまして、これらの顔料の一般構造、その代表的な顔料の構造を紹介させていただいております。

続いて10ページ、1.2.2といたしまして、アゾ顔料について、一般的にどのようなプロセスで製造されるのか、それから、そのプロセスの中でどういったところでPCBが副生するのかということについて記載をしています。

アゾ顔料に関しては、一般論として申し上げますと、まず、11ページにプロセスのフローが記載してございますけれども、原料をジアゾ化しまして、ジアゾカップリング反応を行った上で、粒径を揃える等の熟成を経て、顔料としていきます。その上で、ろ過ですとか、水洗、それから乾燥、粉砕といった工程を経て、顔料が製造されていく、ということです。

この中で、PCBの副生が、どこで発生しているのだろうか、ということに関しましては、カップリング反応のところ、それから、顔料化を行う熟成のところ、この二つの部分において、反応時に添加される化学物質、あるいは、未反応の化学物質が原因となってPCBが副生されると分析、評価されています。

続きまして1.3といたしまして、フタロシアニン顔料についてです。

フタロシアニン顔料は、非常に特殊な構造で、工業的にも重要なものでして、単純に顔料としてだけではなく、触媒や素子の材料としても用いられています。

続いて12ページに、その主な構造について、記載させて頂いております。その一般的な製造のプロセスといったものについては、13ページに記載させていただいておりますけれども、このフタロシアニン顔料については、原料から製品まで国内で一貫して製造するという場合、それから、クルードと呼ばれます粗い顔料を外国から購入、輸入してきまして、顔料を製造していく、という場合がございます。

国内で一貫して製造するという場合、左側のプロセスの方で少しご説明を致します。まず、フタル酸を原料として、フタロシアニンを合成する、そのフタロシアニンをハロゲン化することによって、顔料化を行っていく、ということになるわけですけれども、このハロゲン化を行う、というところにおいてPCBが副生しているのではないか、ということが考えられています。

従いまして、右側のクルードを輸入してくるというようなプロセスを経る場合には、輸入してくる段階のクルードの時点で、既にPCBが副生されている可能性があるということになろうかと思います。

続きまして、1.4多環式顔料についてです。こちらについては、定義については必ずしもこれといったものがあるわけではない、との指摘がございますが、こちらでは、個々に多環式顔料に該当するものであり、なおかつ今回PCBの副生が明らかになったものとして、ジオキサジン顔料とそれからジケトピロロピロール顔料について、主な構造をご紹介させていただいております。

15 ページに、多環式顔料の一般的な製法、それから副生PCBの生成要因について、記載をしていますが、多環式顔料につきましては、多くの事業者が、クルードを外国から輸入し、それを顔料化の処理をして製品をつくっていくという工程を取られています。従いまして、外国から輸入されてくるクルードの段階で、既に、PCBが副生され含有しているのではないか、と考えられます。

以上のような形でPCBの副生が明らかとなった有機顔料というものは、製造され、またその製造のプロセスの中でPCBが副生してくる、生成されてくることが明らかとなるというわけですけれども、そういった副生するPCBをどのように低減化するのか、していくのかということについて、1.5副生PCBの低減策ということで、記載をさせて頂いてございます。

まず、顔料を一貫して製造している場合、こういった場合については、製造するいろいろなプロセスの中で、なんらかの化学反応をさせる際に添加される化学物質、これを慎重に選ぶといった工夫をするということ、それから、化学反応をさせる際の温度ですとか、そういった様々な条件を見直し、しっかり管理するということ、さらには過剰にモノが入って残ってしまった、あるいは、本来欲しいものではない不純物を除去していく、ということ等が製造する場合についての低減策としては考えられるのかな、ということでございました。

また、クルードを輸入する場合、あるいは顔料を輸入する場合については、購入する時点で、副生したPCBが含有されているということになりますので、購入する時点で、可能な限りPCB含有量の少ないものを購入するように工夫していただくということ、それから輸入したクルードを使用する前に洗浄する工程を入れるということ等が低減策として考えられるかと思います。

次のページにまいりまして、副生PCBを低減させていくことを技術的に検討されているわけですが、製法を変えた場合に、顔料として非常に重要な要素である、色の属性とか透過性等が変化してしまうことが理由となり、技術的な制約が非常に大きいというご指摘もあったかと思います。

また、顔料については、非常に厳しい国際競争が行われているということ、事業者の規模も様々であること等を背景とし、事業継続の観点に基づく経済的な制約というものも存在している、というご指摘、ご議論があったと思います。

続きまして、二つ目のパートとしまして、先ほど冒頭でご紹介いたしました「副生PCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルと適切な管理」と題した部分について、ご紹介、ご説明させていただきたいと思います。

これまで化審法の運用では第一種特定化学物質、化学物質を製造する際に副生する第一種特定化学物質について、可能な限りその生成を抑制するという観点に立って取組をしておりまして、利用可能な最良な技術を適用して副生成物として第一種特定化学物質が微量に含まれる場合であっても、その副生成物によって環境が汚染され、それを通じた人の健康を損なうおそれですとか、あるいは、動植物の生息、または生育に支障を及ぼすおそれがない場合について、工業技術的に可能なレベルまで低減していると認められる場合には、その副生成物については第一種特定化学物質としては取り扱わないものとして、運用してまいりました。こちらについては、別紙6に関連する文章を添付しております。

先ほど、第1部についての説明のところでも申し上げてまいりました通り、平成242月に今回のPCBの非意図的に副生して含有する可能性がある有機顔料の存在が明らかになって以降、50ppmを超えてPCBを副生する有機顔料については、製造や輸入を中止するという行政指導をさせていただきました。実際にその製造等については50ppmを超えて含有するものについては、その製造等は中止されている状況にあると思います。

また、これまで議論の中で、リスク評価検討会での検討結果を踏まえれば、仮に50ppmよりも高い濃度で含まれていたとしても、その製品による健康リスクですとか、あるいは環境汚染を通じたリスクといったものは低いという評価がされているところでございます。

なお、有機顔料中に副生するPCBについては、非常に多くの種類がございまして、それを製造、あるいは輸入する事業者もとても多いという状況がございますので、製造事業者ですとか、製品ごとに当然その製造プロセス等は異なってまいりますので、個別に工業技術的・経済的に低減可能なレベルは異なってくるということが、議論の中で明らかとなってきたものです。

これまでの議論等を踏まえますと、現在の措置、副生するPCBの含有濃度が50ppmを超える有機顔料については、製造・輸入及び出荷の停止を求めるという措置については、引き続き、継続することが適当ではないかと考えられます。

一方で、50ppm以下のものについては、それぞれの事業者において、個別に適切な利用可能な最良の技術を適用していただくことで副生するPCBの含有濃度を可能な範囲で低いレベルでしっかり管理をして頂き、さらに、より一層低減すべく努めて頂くことが適切と考えられます。

このためには、管理方法や分析方法を国に報告して頂くとともに、その報告の中で、工業技術的・経済的に可能なレベルまで、PCBの含有濃度を低減していると認められ、さらに事業者にとって出荷の是非を判断する基準となるような自主管理上限値といったものを示して頂き、当該濃度を超えたものが間違って出荷されることがないように、しっかりと個別に管理して頂くことが適当ではないかと考えられます。

また、こうした適切な管理をして頂くということに加えて、有機顔料中に副生するPCBの含有濃度については、事業者や製品によって差があるので、より低い水準で管理されるように政策的に促していくことが重要ではないかという議論があったかと思います。

従いまして、副生PCBを含有するすべての有機顔料について一律の管理といいますか、一律の報告といったものを求めるのではなくて、その個別の事業者、製品の管理状況に応じて、例えば分析をする頻度ですとか、低減化させる方策等に関する国への報告の頻度、こういったところに差異を設けるといったところが考えられるのではないかということでございます。その具体的なイメージといたしましては、50ppmの範囲の中で比較的高い濃度で管理が行われている場合については、比較的高い頻度での報告をして頂くことが、事業者にとって低い水準での管理を促す手法として有効ではないかと思います。

また、次のページに参りまして、本日、化成品工業協会にもご説明頂きましたけれども、こういった業界団体において、関連する事業者の中で適切な管理が行われるように、ガイドラインのようなものを設けて頂くことがやはり期待されるのではないかと思います。更に、個別の事業者さんにおいては、様々な技術の進展なども踏まえながら、更に今以上に副生するPCBの低減化に継続的に取り組んでいただくということが望ましいのではないかということでございます。

最後に、「なお書き」の形で記載しておりますが、副生PCBについては、継続的な低減に繋げていくということが適切ですので、今後、事業者から報告される管理状況、低減化に関する技術の動向、副生するPCBをめぐる国際的な動向を踏まえて、必要に応じて、取り組みの見直しを今後も行っていくことが求められるのではないかということを記載させて頂いております。本検討会は、有機顔料中に副生するPCBについて議論する場ですが、PCB以外の第一種特定化学物質の副生についても、本検討会での検討結果や事業者から提出される報告をもとに、必要に応じて、見直しを行っていくことが期待されるため、本報告書案に記載させて頂いています。第2部は以上でございます。

○環境省

続きまして、第3部「分析方法」につきまして環境省よりご説明させて頂きます。18ページをご覧ください。ただ今、第2部の中で適切な管理の中での分析方法のご説明もありましたけれども、本検討会におきましてPCBにつきまして分析法、前処理方法等によって分析結果に大きな差異が生じるということが明らかになりましたので、適切な分析方法についてもこの検討会で検討を行っていただきました。これにつきまして、この第3部では検討の経緯、使用可能な分析方法について整理を行ってございます。

分析法検討の経緯でございますけれども、まず事業者に対して副生するPCBの有無等につきましては確認するよう要請しましたけれども、その後、分析方法によって値が変わるということがわかりました。本検討会におきましてこの対応について検討を行っていただきまして、平成2411月に中間取りまとめを公表させていただいております。こちらの別紙9となりますので、まずそちらをご覧いただきたいと思います。おめくりいただきまして、後ろから4枚ほどめくって頂きますと別紙9がございます。別紙9「有機顔料中に非意図的に副生するPCBの再分析の方法に関する検討について」というタイトルでございます。再分析を行っていただくにあたっての分析方法について検討会で検討いただいた内容でございます。

1 番は分析方法について大きく異なる値が得られる主な原因でございまして、(1)にありますように測定機器にGC/ECDを用いた場合につきましてはPCBの正確な定量、PCBの判別が中々難しいということで困難であるということがございました。また(2)にありますように、モノクロロビフェニル及びジクロロビフェニルにつきましては分析の前処理において用いる硫酸によってスルホン化されやすいということがわかり、分析値が低くなることがあるということもわかってございます。これを受けまして、3番目でありますけれども、再分析において留意すべき事項ということでこの中間取りまとめの中でまとめて頂いております。(1)でありますけれども、測定の際にはGCの低分解能質量分析計または高分解能質量分析計を用いて分析を行うことが望ましいとしております。ただし書きがありますけれども、デカクロロビフェニルが主に副生すると考えられる場合につきましてアルカリ処理をしない場合はGC/ECDでもいいのではないかということが決められております。また低分解能の質量分析計を用いる場合には、有機顔料の構造等の情報を元に、PCBの異性体を想定して保持時間等を確認した上で分析を行うことが望ましいということもまとめていただいております。また(2)でありますけれども、モノクロロビフェニル、ジクロロビフェニルが副生する可能性のある有機顔料の分析を行う場合には、前処理の際にあらかじめヘキサン等の有機溶媒を加えてから硫酸を加えることと、また温度上昇に注意すること、また5分以上振とうすること、試料が完全に溶解したことを確認した上で次の手順に進むことが重要であるといったことをまとめていただいております。この中間とりまとめをもとにして、この検討会の中の取りまとめいただく内容としましては、また本文に戻ってまとめてございます。

18 ページにお戻りいただきまして、「3適切な分析法の検討」でございます。まず分析法につきましては定量限界として、自主管理上限値の1/10程度の濃度が安定して測定できる濃度であり、有機顔料中に副生するPCBの測定方法として適切との評価が得られている方法を採用すべきと考えてございます。有機顔料は多くの有機溶媒に不溶でございまして、顔料が溶けずに低く見積もる可能性があることが明らかとなっております。また使用する分析機器によりましては、塩素数の少ないPCBにつきましてピークを分離し同定することが困難であるということがありまして、前処理方法であるとか分析の測定操作であるとか、そういったところに留意する必要があるということを3.1からまとめてございます。

まず前処理方法でございますけれども、先ほどの中間取りまとめとほぼ同じ内容でございますけれども、モノクロロビフェニル、ジクロロビフェニルが副生する可能性がある場合には、硫酸によってスルホン化されやすいので、予めヘキサン等の有機溶媒を加えて溶媒中に試料を分散させてから硫酸を加えるということが必要ということであります。分かりやすくまとめているのが表3-1ということで19ページをご覧ください。直接硫酸を加える方法をAとしていますけれども、直接硫酸溶解法につきましてはモノクロロビフェニル、ジクロロビフェニルが副生する可能性のある顔料につきましては好ましくないということにしております。またその他の顔料につきましては操作上の利点もありますので「○」ということにしております。一方、溶媒、例えばヘキサンを先に加えまして後で硫酸を加える方法につきましてはどちらの顔料でも使えるということでありますし、またこの方法を行った上でモノクロロビフェニルやジクロロビフェニルが副生しなければ上の方法に戻っていただくということも考えられるということでございます。

続きましておめくり頂き、21ページの測定方法でございます。こちらも先ほどの留意点としてありました測定方法についてまとめてございます。GCの高分解能質量分析計を用いた分析では特に対象は選びませんけれども、低分解能の質量分析計を用いる場合にはあらかじめ副生するPCBの異性体の種類を想定し、評価した上で分析を行うことが望ましいとしております。またGC/ECDを用いる場合には副生するPCBが主にデカクロロビフェニルで、かつアルカリ処理を行う場合には適切であるというふうにしております。表3-3に分かりやすくまとめてありますけれども、高分解能質量分析計を用いる場合には◎と、どちらも可能であるとしておりますけれども、低分解能質量分析計を用いる場合には注意書きとしまして備考の内容を踏まえる必要があるということですし、GC/ECDにつきましてはデカクロロビフェニルのみに用いることができますけれども、それでもアルカリ処理をしない場合に限るということでございます。

今までのものが適切な方法として検討会でご議論頂いた内容でございます。次に「4に分析方法のまとめ」とさせていただいております。こちらA.直接硫酸溶解法とB.溶媒分散-硫酸溶解法の他にも、ヒアリングで事業者さんから色々ご提示がありまして様々な前処理方法も考えられますし、また測定方法についても様々な方法が想定されるということであります。これ以外の分析方法でも適切な分析方法はおそらく存在し得ると考えられますし、それが本検討会でも事業者さんから紹介された方法で適切に溶解できる方法があったというふうに考えてございます。また今後技術の進歩もありますし、新たな知見の獲得ということも考えられますので、今後、より効率的、効果的に新しい分析方法が開発されるということも考えられます。そこでこのような場合につきまして測定対象とする顔料試料についてABの方法と同等の精度で測定できることを確認した上で用いれば、それを使っても良いのではないかというふうに考えてございます。同等精度で測定できる確認の方法につきましては、これらご提示した方法との測定値の差の範囲であるとか、繰り返しの変動係数とか検出下限値とかをご提示いただき、それらを確認することを想定してございます。以上で分析方法の説明を終わらせて頂きます。

○御園生座長

どうもありがとうございました。1部、2部、3部まとめて報告頂きましたが、報告書案に関しましてご意見ご質問がございましたらお手元のネームプレートを立ててください。順に指名させて頂きます。いかがでしょうか。これまでご議論いただいたものをこの検討会としてこのようにまとめてはどうかという案でございます。

○白石検討員

確認になるのかもしれないのですけれども、有機顔料中に副生するPCBの有機顔料ですが、たくさんありますよ、というお話だったんですが、どこまでを含めているかが、いまいち明確にわからなかったのですが、8ページ目に色々な種類のものがありますよ、とご提示いただいたのですけれども、これのうちの口頭で述べられたいくつかのものについて対象にするということなのでしょうか。

あともう一つ同じことですけれども、2ページ目に今の知見として表の1-1というのがございますということで、23種と23種以外というものがあるのですけれども、任意の実態調査で含めた23種以外というのが、リストがないのでわからないのですけれども、それも含めてこういう管理の中に含めて、今のBATの対象とするということでしょうか。あと上限値だけ50ppmが決まっているのですけれども、この調査で0.5ppm以下というものがだいたい68%くらいあるのですが、それはどのようにお考えなのかなと。

経済産業省

では、経済産業省から、回答させて頂きます。まず、今回、PCBが副生するおそれのある有機顔料につきましては、行政指導等を行っていくなかで、3つの要件として、化学構造に塩素原子を含む顔料、塩素原子を含む原料を使用する顔料、合成工程において、塩素芳香族系の溶媒を用いる顔料について、確認をお願いしています。これに該当するものを広く確認させていただいた結果、先ほどご説明申し上げたような顔料についてPCBの副生が明らかとなったと考えています。

また、0.5ppm以下という低い水準のものが一定程度の割合であるというご指摘につきましては、ご指摘の通り、非常に低い水準で管理されているものもあるということは、重要な事実と考えています。このような状況の中で、50ppmに比較的近い数値で分析すると、PCBが検出されてくる顔料も存在しているという状況ですので、それぞれの顔料の種類や製造プロセスに応じて、低いところに管理しやすいもの、そのハードルが技術的に高いものは、あるかと思います。しかし、副生という形で、製造されてしまうPCBの量をなるべく減らしていくという観点に立って考えますと、比較的高い数量をより低くするように意識をもって管理して頂くことが重要と考えています。低くできるものが一部あるものについて、低いところで線を引くというということも、ひとつの考え方としてはあるのかもしれませんが、それをさらに低くしていくということよりも、全体として生成されてしまうPCBの量をより低く減らしていくという観点にたつと、50ppmをひとつの値として、引き続き採用した上で、そこに近い水準で管理しているものに重点をおいて、より低くして頂くように管理していくことが適切と言えるのではないか、と考えています。

○白石検討員

顔料の定義というのは、これまで3つの要件ですか、それを含むものである、ということでしょうか。

○経済産業省

はい、ご指摘の通りです。

○御園生座長

他はいかがでしょうか。先ほどご指摘のあった部分は、ご納得いただけましたでしょうか。

○白石検討員

だいぶ範囲が広いので大変だろうとは思います。

○増沢検討員

全体は拝見いたしましたのですが、2つくらい少し気になった点がありまして、基本的にはこの報告書の16ページに関する部分ですけれども、1つは、50ppmという数字は引き続き上限といいますか使っていくということですけれども、その50ppmという数字がどういう意味のある数字なのかということについて、最初の方に国際状況を踏まえたという記載はあったのですけれども、それ以外に50ppmという数字の意味についての説明が特に報告書に見られないのですが、これを記載することが必要ではないかという気がいたしました。例えば、「可能な限り生成を抑制する」ということにされているので、既に停止されているもの、だと思いますが、継続する、という趣旨なのか、国際的にある種のデファクトスタンダードになっている、かどうか分からないのですけれども、仮にそういったことであるとしますと、であれば当然守られているはずだ、といった、50ppmという数値の意味合い、それをここで使うということの理由、ということの説明が必要かなというふうに思います。それが1つ。

2 つ目としまして、このBATということの使い方ですけれども、例えば「各事業者において、それぞれ適切なBATを適用する」といった記述が見られるのですけれども、あたかも事業者一人ひとりにBATとしていろいろなものが別々にある、というような印象を受けたりするのですけれども、化審法のこの通知でいうところの「工業技術的・経済的に可能なレベル」というものの解釈というのは少し置いておきまして、一般的なBATといった場合のニュアンスとしまして、どちらかと言いますと、業種とか施設であるとかある程度そういったグループごとに、このくらいはできるでしょうという水準を示して、それより上の場合はそれに向かって努力するとか、そういった場合にBATということを使うケースが割と多いのかなあと、そう思っていたものですから、こんなに事業者ごとにいろいろBATがあるということを強調しすぎるのはどうかな、とかいうふうに思いまして、せめて、例えば、「その製品や事業形態ごとに適切なBAT」とか、事業者それぞれ、何をBATにしてもいいという、多少そうした印象を受けるような書き方を、そもそもBATという言葉を使うのがいいかどうか分からないのですけれども、そのあたりのところが少し気になりました。

○経済産業省

ご指摘ありがとうございます。まず、一点目の50ppmをどのように考えるのかという点、そして、50ppmを使う理由についてですが、ご指摘頂いた現状の暫定的な運用の中で50ppmをしっかり守って頂いていると考えています。従って、50ppmより高いところというのは、出てこないといいますか、工業技術的・経済的に、一定程度達成しているラインという言い方はできるかと思います。また、国際的に50ppmで規制をしている国や地域というのがあるという意味でも、国際社会をみても達成されているような水準だと思います。ただ、「国際的」という文言を一つの枕詞として記載させて頂いているのは、現在、わが国において、50ppmが暫定的な運用の中で、概ね達成されてきているということで、それより高い数値での設定というのはないであろうと、それよりも低い数字というものを目指して低減を図って頂きたいという趣旨で記載したものです。しかし、もう少し、明確な書きぶりを入れるということについて、どこの部分にどのような表現を入れるのが適切なのか、今すぐに一案を示すことが難しいので、検討の余地はあるのかと考えております。

また、BATの使い方ということについても、「各事業者において」というところの記載がある意味、各事業者それぞれ好き勝手に自由に設定してしまうということに対するご懸念があるようでしたら、国に対して管理方法や分析方法を報告していただく中で、工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減されていると認められるかどうかを行政指導の範囲で、指摘や再度の検討等をお願いするということが考えられるかと思います。このため、本報告書案に、事業者ごとにという表現、各事業者においてという記載を入れることで、必ずしも各事業者が、本当に何も考えずに自由に設定してしまうというような懸念は、ないのかなという気もしております。一方、ご提案いただいたような製品や事業形態を踏まえて、適切なBATを適用するという書き方でも、その大きく趣旨が変わってくるということではなくて、そういったご懸念が軽減されるのであれば、そのあたりの書き変えといったことについても、ご議論いただいて変えていくということはあるのかと考えています。

○御園生座長

よろしいでしょうか。この書きぶりを客観性な妥当性が見えるように変えていただきたいというご提案です。

○環境省

補足でございますけれども、基本的には今経産省さんからご説明があったとおりでして、補足させて頂きますと、別紙5というのがございまして、これは当初の問題が発覚した時の、指導、行政指導の文書でございますけれども、別紙5の一番最初、別紙5-1でございます。そこで、記の下の1でございますけれども、「可能な限りその生成を抑制するという観点から利用可能な最良な技術(BAT)を適用し」、3行下までいきまして、「工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減してもらう」という考え方でありまして、これは、今回言葉を少し縮めすぎたもので、16ページではやや曖昧になったのかな、というふうに思っております。報告書案では単にBATという書き方はしておりますけれども、工業技術的・経済的にできるところまではしっかりやってもらおうという考え方ではございますので、そういう書き方で報告書の実際の文言ですとか、具体の取込につきましては関係省庁、経産省さん厚労省さんと三省でしっかりやっていきたいと思っております。

あと、先生ご指摘の、国際的に言われているBATと、少し差があるな、というのは同感でありまして、BATというよりはBEPも含まれるな、と思うのですけれども、化審法の中ではこういう使い方をしてきているという経緯もございますので、そこは他の環境法の分野と齟齬のない形、あと、化審法のこれまでの運用と齟齬のないような形で3省で知恵を出して相談していきたいな、と思っております。

○御園生座長

ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○中野検討員

先ほど、経産省の方で国に対して管理方法、分析方法を報告していただく、各事業者に報告していただく、ということがありまして、その分析法について環境省の方かもしれませんけれども、例えば色々な事業者の方が自主測定された結果を報告していただくという時に、ダイオキシンの時でもそうですけれども、それぞれの事業者は自主測定した結果を報告する、同時にかなりたくさん出そうなところというのは各自治体がそういう自主測定にあわせて(測定する)ということをしたことがあるのですけれども、今回の顔料の場合にはそういったことは、想定されているのか。また、二重測定でも分析を外部の分析機関に委託する場合と、それから自社ですべて回している、どちらかと言うと製品の管理のために分析をどんどんされているという場合もあると思いますけれども、そういう自社で分析をされていて、特に今のAとかBとかと、合わないような場合でやられているところもあると思うのですけれども、そういう場合に対する対応というのはどんなふうにお考えでしょうか。

○環境省

分析方法ですけれども、先生仰るように、管理として実施するようなもので、変動の大きいものを出されても、なかなか分析法自体が正しくないという時には管理がしっかりできているかということを、確認できないと思います。最初にその自主管理基準値を報告いただくときに、分析方法も確認させていただきますし、その中で22ページのところにまとめておりますけれども、例えば独自にやられている場合には、A法とかB法と測定値を比べていただいて、例えばプラスマイナス20%以内とここには書いていますけれども、こういったA法、B法と検証していただきまして、それが妥当かどうかその方法が妥当かどうかきっちり示していただいて、それできちんとできそうな方法であれば、その方法で管理していただければ思いますし、ここであまりにもずれているようであれば、それは難しいのではないのですか、とこちらから言わせていただくというような形かな、とは思っております。

○御園生座長

ありがとうございました。

○有田検討員

この委員会の中で数値も検討したと記憶しています。その中で、数値をいくらにするかというときに、増沢検討員が50ppmでいいと思うというふうに一度発言されたのを記憶しているのです。この中間とりまとめ、報告書をつくることによって、50ppmという数値をこの委員会が決めるという事で、進めているというふうに理解してよろしいでしょうか。要するに、数値をいくらにしましょうかという議論があったはずです。その議論の結果、50ppmに決める背景があったと理解しているので、そういうことは記載しなくていいのでしょうか?というふうに増沢さんがおっしゃたように私は理解したのですが違いますか。

○御園生座長

 そういう議論はあったとは思うのですが、決めるという議論はどうも私にも・・・

○増沢検討員

すみません、私の記憶が悪いものですから、検討会の席、たぶん非公開の席だったのかもしれませんが、50ppmでいいということをこの場で発言した記憶があまりないものですから、すみません、あとで一度確かめて、もしはっきり言っていたらお詫びしますけれども、基本的に少し今思い出す限りではそのように言ったつもりはないように思っています。というのが一つです。

二つ目としまして、先ほどの質問の50ppmということ、50ppmをBATにせよというつもりで言ったわけではなく、まさに私の発言した通りの趣旨であります。50ppmという値を表に出す以上は、その50ppmなる数値がいかなる意味のある数値かということをはっきりしておく必要があるのではないかと、という話をしておるのでございます。

○中杉検討員

この50ppmという数字がどういう意味をもっているかというのは、一番最初にクレヨン等を使った時に50ppmでリスクがあるかどうかという計算をしていまして、一応あの時の計算で、50ppmで特に問題はないだろう、という計算をして、確認はしている。それから国際的には一応50ppmという数字が共通としてある、だからとりあえず50ppmにしましょう、だけどこの委員会として50ppmであれば絶対大丈夫というふうな判断を必ずしもしているわけではないので、50ppmは超えてはいけないという線であって、できるだけ下げましょう、努力して下げていただきましょう、という考え方で整理をしているというように私は理解しています。

○御園生座長

50ppm というのが、ご説明のあった線で、ここで決めていただければいいんだと思います。実際、分析データもだいぶ低いので、そっちを目指して継続的な努力をするという二点セットでここではとりまとめよう、ということでしょうか。それと、リスク評価でもっと高い値が出ていましたね。

○環境省

ここで補足させていただきますと、リスク評価の中では、平成24年当時報告があったワーストケースというのでしょうか、一番高かったケースの2000ppmでリスク評価をしても、健康被害の懸念はないだろう、という評価がなされております。

後は、環境省としての理解ですので、経産省さん厚労省さんに補足していただきたいのですけれども、何がBATかということが、先ほど経産省さんから説明があった通り、非常に製品なり製法にバラエティがあるものですから、一律に国の方でどうこうというのは技術的に困難である、と。50ppmというのは、国際動向や海外の規制なども見た上で、絶対守っていただくべき上限値として、かつ、2000ppmというリスク評価の数値からみても十分大丈夫であろうという数値として設定するものです。

そこからどこをどう下げるのかというのは、事情に応じて、製品に応じて、製法に応じて、そこは事業者さんに可能な限り頑張っていただくこととして、どういう頑張りをしていただくのか、個別に国の方に報告いただいて、国が確認をするというのが私どもの理解でございますが、よろしゅうございますか。

○経済産業省

経済産業省としても、環境省の考えともちろん同じでございまして、50ppmの理由のところの書きぶりという意味では、やはり国際的にそうであるということはひとつ大きな理由かと思ってはおりまして、あとはリスク評価の結果で非常に高い2000ppmのレベルでも大丈夫だったということ、また、この非公開ヒアリングの場で、私はこの非公開の会議に1回も出てないので議事録を確認したところ、事業者さんの方では、50ppmにしてほしいという意見が多かったということも、議事録上では見ましたので、そういったところを総合的に踏まえて50ppmというところを、超えてはいけないレベルとして設定をする、というふうに考えるということは妥当かと考えております。

それに加えて、先生もおっしゃいましたけれども、事業者の方でも工夫をして下げていただくということが大事かと思っておりますので、そのような形で関係省庁と一緒に取り組んでいきたいと思っております。

○厚生労働省

50ppm という上限だけを今日決めるというわけではなくて、継続的に低減に向けた努力をするということも含めて、議論していただいているということだと思いますので、ご理解いただきたいと思います。

○御園生座長

では続きまして、順番にお願いいたします。

○奥田検討員

私も50ppmがBATというわけではないだろうと思っています。それで16ページの1.副生PCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルの管理というところの文章で、中ほどから少し下に、「以上を踏まえると」、というふうに書いてあって、そこの段落ですけれども、この「適当と考えられる」という最初のところが50ppmを超えるものについては停止という措置というものはそれでいいのだろうと思いますが、その次のところが実は分からなくて、「適切なBATを適用する」という、それは今の説明でいろいろな事業形態、また製品も違うということで、一律には決めがたいということで、そうなのかもしれませんが、この部分というのは、このBATレベルというのは、目標値であって、低減に努めていく、ということが適当と考えられると書いてある。その次ですけれども、その次は、BAT値というのはとりもなおさず、自主管理上限値で、その値は出荷の是非を判断する際の基準なのですね。しかもその基準値というのは、「自主管理基準値を示し」と書いてある。その濃度をこえないように云々と書いてある、その示される相手というのは、これは国なのでしょうか。その辺の運用にも関わってくるのですけど、少し整理をして、認識をあわせておきたいな、と思うのですけれども。

○経済産業省

経済産業省からご説明をさせて頂きます。先ほど、説明がわかりにくかった点、失礼いたしました。50ppmを超える濃度でPCBが副生し含有する場合については、絶対出荷をしないという水準は最低限50ppmにとって頂きたい、というのがひとつのポイントだと思います。

一方、議題1で化成品工業協会からもご説明いただきましたように、実際に事業者さんの中でPCBに限らない形とは思いますけれども、ある種の数値の管理をするときに、これ以上の数字のものは出荷しないという規格のような数字は当然あるわけです。しかし、それだけで管理しているわけではなくて、それより低い、よりハードルの高いところで管理をしていて、通常、そこを超えることはないため、その規格のところに触れてしまうことはありえないといった管理をされていると、本日、化成品工業協会からもご紹介して頂きました。また、非公開のヒアリングの中でも、そういったご紹介はあったと考えています。

これらを踏まえて、本報告書案に記載させて頂いているところですが、事業者におかれましては、出荷の基準となる商品の規格を示すような自主管理上限値として、これ以上では出しませんというのはご報告して頂きますが、それだけでなく、より低い水準で実際は管理しているという場合については、その濃度を超えないようにするために、例えば、1/31/4の濃度で管理していますというように、超えないように適切に管理をしている部分についても、しっかり取り組んで頂いた上でご報告して頂きたいということです。

○奥田検討員

どうしてそういう質問をしたかといいますと、北米地区では例えば平均25 ppmだという数字(があります)。あれがBATだとすると、その25 ppmという数字は出荷の是非を判断するためのダイレクトな基準にはなってないのですよね。そのロットをね。

ですから、そういう意味で、今議論しているBATというのが、どういうものかなのかは、ちょっと(分からない)。化成品工業協会さんの説明では、BAT、とりもなおさずそれは自主管理基準値として決めれば、通常であれば、その値を超えると出荷をしない、という意思決定に非常に近くなるものと、いうことで多分おっしゃられたのかな、と思ったんですけど、それは合っていますか。

○オブザーバー(化成品工業協会)

今のHCBなんかの運用を見ると、やはりどうしてもそのように解釈せざるを得ませんし、ですから自主管理上限値というのは、出荷の可否を決めるものだと。ただし、PCBにはいろんな(製品がありますので)、先ほど、それを少し余裕を持って設定することをお許しください、ということなのです。

○御園生座長

よろしいですか。はいどうぞ。

○経済産業省

補足をさせていただきますと、今、化成品工業協会からHCBの運用についてのお話がありましたけれども、平成201226日に発出した三省連名のお知らせがございます。この中で、「自主管理上限値」を言葉として、既に使用しております。この言葉の意味するところは、「自主管理上限値以上のものは出荷しない」という趣旨で、既に使用しているということがひとつあります。また、今回、有機顔料中に副生するPCBということで、運用の枠組みをつくっていくときに、同じような趣旨の数字を別の名称で、よりわかりやすい形に改めるというのは一つの考え方としてはあるとは思います。また、これまでの運用の中で、そういった意味合いで使用している用語がありましたので、こちらについては「自主管理上限値」という書き方をさせて頂きました。単に、「自主管理上限値」という表現を使用すると、ご指摘のように、ターゲットとして目指す数字なのか、1ppmたりとも超えたら絶対に出荷しないという、厳守するポイントなのかというところが、曖昧になるのではないかと懸念されるということなので、本報告書案で「自主管理上限値」と書くときに、枕詞として「事業者にとって出荷の是非を判断する際の基準」であるということを記載することで、事業者が管理するときの規格値に該当するものであることを明示させて頂いたところです。

○御園生座長

きっと、その50ppmという上限と、自主管理の上限と、その各事業者が管理する値と、こう三段階あるということなのでしょうね。その辺をもう少しわかりやすくしていただくと。

○岸本検討員

まさに、そのことの確認をしたかったのです。僕もうっかりしていましたが、前回HCBのときは、BATレベルを決めたんですよね。今回も検討会の名前がBATレベルを目的としていたので、僕もずっとBATレベルを決める検討会だと思っていました。今回の結果を受けて我々委員が検討結果について他で喋る場合には、言い方を統一しておかないといけないだろうと思いました。すなわち、今回はBATレベルを検討することを目的とする委員会だったけれども、BATレベルは決めなかったと。前回のHCBの場合はBATレベルを200ppmに決めたのですが、今回は一律のBATを決めなかった、と。検討会の目的の文言を見ると、「BAT」と「工業技術的・経済的に可能なレベル」と言う言葉が両方あり、「BAT」はやや理念のような感じで、「工業技術的・経済的に可能なレベル」というのは割と具体的な話なのですけど、この委員会の目的のところには、「工業技術的・経済的に低減可能なレベル(BATレベル)」とイコールのような形で書いてあるので少しややこしくなっています。そのため、どこかに注釈でもつけて、前回の200ppmというのはBATレベルとして決めたけれど、今回はBATレベルは決めなかった、ということを明記して、50ppmの位置づけを書いたうえで、BATレベルはそれぞれ、要するに製法だとか製品とかさまざま多様なので、各自決めるといっていいかはわからないのですけれども、異なるんだといったことを、わかりやすく書いた方がいいのかな、というふうに思います。

○御園生座長

わかりました。BATレベルを決めなかったと書いた方がいいのか、一律にはしなかったというべきなのか、そのあたりは検討が必要かなと。では中杉先生。

○中杉検討員

BATの定義はいろいろあるのでなかなか難しいんですけれども、基本的には事業者の努力目標ということで、その努力目標が50ppmを超えていたら駄目ですよということで決めました。出来るだけ下げてくださいと、そこら辺が重要で前回も非公開でヒアリングを色々させて頂いた時に、事業者の方の努力の仕方が印象としては非常に差があったので、そこら辺をうまく反映させるような形にしてください、より低い方に誘導するような形にしてくださいということを申し上げたのが、多分この16ページの下から2行目あたりに書いてあるものだろうと思います。このことは非常に肝だろうと思いますので、こういう具体的な数字がどうするかということは行政の方で決められると思いますけれども、ここをうまく運用していかないと実際に下げていく方向に行かないし、事業者の方もどんどん測って報告していったら申告したところよりも低いところでずっと並ぶから、そういう下げられると自信があるところは下げられることになるし、また別の方法を考えれば下げることになるし、そういう性格のものだろうと思います。そこのところ非常に重要だと思いますので、もちろん使われる方、行政の方はお分かりだと思いますが、そこのところしっかりとらえて頂ければと思います。

○御園生座長

今の点ですけれども、それはご認識されているのですけれども、報告の頻度とか分析の頻度等に触れているわけで、この辺が、今中杉先生がご指摘されたような点が読み取れるようになっていると好ましいということです。

○有田検討員

ヒアリングは、クローズドでしたし、資料も回収されました。全く信じられないような開き直った報告をされる事業者の方と、非常にまじめに取り組まれている事が伝わってくる事業者と大きな差がありました。その様な違いのある事業者間に同じような工業技術的・経済的に可能なレベルとして当てはめられると信用ができない事業者も出てくる。ですから届出とか、管理など信頼できる方法が必要だと思っています。

○御園生座長

どうもありがとうございました。今日は事業者さんが聞いておられるということで、その辺はよく理解いただけるのではないかと思います。おっしゃる通り、ずいぶん差があったと。他に先生なにか言うことはないでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、どうもありがとうございました。まだまだ、ご議論あるかと思いますが、このあたりで議題2についての議論は終えたいと思います。今回、ご発言頂けなかった先生方においても、いろいろお考えがあるかと思いますが、それは後日、事務局の方に出していただいて結構だと思います。頂きましたご意見につきましては、精査したうえで最終的報告に反映できればと考えています。報告書の修正取りまとめについては、三座長、奥田先生、中杉先生と私(御園生)で当事務局と相談させて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。ご意見の方、是非、事務局にお寄せいただければと思います。

それでは報告書につきましては先ほど申しましたように進めさせていただきたいと思います。それでは最後に議題3その他についてですが、事務局から何かございますか。

○経済産業省

ありがとうございました。今後の予定について、簡単に、説明させて頂きます。ただ今、三座長で修正取りまとめをして頂くこととなりました報告書案につきましては、なるべく早い段階でパブリックコメントを実施したいと考えております。パブリックコメントの終了後、厚生労働省、経済産業省、環境省のホームページで公表をさせていただく予定です。また、その報告書を踏まえ、「副生第一種特定化学物質を含有する化学物質の取り扱いについて(お知らせ)」についても修正し、公表することを予定しています。以上です。

○御園生座長

どうもありがとうございました。以上で本日の予定された議事は全て終了いたしました。では進行を事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いします。

○経済産業省

皆様には、ご多忙中のところ、お集まり頂きまして、また、大変活発なご議論を頂きまして、誠にありがとうございました。以上をもちまして、本日の検討会を終了します。どうもありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

電話: 03-5253-1111 (内線2427)
FAX: 03-3593-8913

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会> 第3回 有機顔料中に副生するPCBの工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する検討会 議事録(2015年3月17日)

ページの先頭へ戻る