ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(指定薬物部会)> 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録(2015年3月24日)




2015年3月24日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成27年3月24日(火)18:00~


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

出席委員(8名)五十音順

石郷岡   純、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、
曽 良 一 郎、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹、○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名)五十音順

関 野 祐 子、 妹 尾 栄 一、 成 瀬 暢 也

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
赤 川 治 郎 (監視指導・麻薬対策課長)

○議事

 

○監視指導・麻薬対策課長 ただ今から薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催いたします。本日は大変お忙しい中、委員の先生方には御出席を頂き、誠にありがとうございます。

 本日は関野委員、妹尾委員、成瀬委員から、欠席の御連絡を頂いております。現在のところ、当部会の委員数11名のうち8名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 本部会の公開、非公開の取扱いについては、総会における議論の結果、会議を公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。

 それでは、以後の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日の資料は資料が1と2、参考文献が1から12、参考資料が1から3となっております。それとは別に、当日の配布資料を1部配布いたしております。以上です。

○鈴木部会長 資料がお手元にない場合には、お知らせ願います。よろしいでしょうか。

 本日の議題は、指定薬物の指定についてです。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回御審議いただきたい物質につきましては、国や都道府県で試買調査等をして製品の分析を行った結果、国内で流通実態が認められた物質、海外では流通が認められたものの、国内ではいまだ流通実態が確認されていない物質になります。

 資料1は各物質の名称、別名、構造式1から16まで、それぞれ記載しております。これらの物質について、指定薬物として指定し、規制対象とする必要があるか否かについて、御審議を頂きたいと思っております。

 資料2は、各物質について行われた国内外の各種動物実験や基礎研究等のうち、中枢神経系への影響を中心として取りまとめたものです。まず、資料2-1から資料2-5について説明させていただきます。

資料2-1を御覧ください。通称5F-SDB-006です。指定薬物であるSDB-006と構造が類似する化合物です。CB1及びCB2受容体との親和性は35Sで標識したグアノシンγチオ三リン酸を用い、EC50を算出したところ、3.67×10-9乗mol/L2.26×10-10mol/Lとなっております。本物質の海外における流通状況は、2013年にフィンランドでの流通が確認されております。

 資料2-2です。通称JWH-145です。指定薬物であるJWH-030などと構造が類似する化合物です。こちらもCB1及びCB2受容体との親和性を35Sで標識したグアノシンγチオ三リン酸を用いてEC50を算出したところ、8.58×10-10mol/L2.98×10-10mol/Lとなっております。本物質の海外における流通状況は、2013年にドイツでの流通が確認されております。

 資料2-3です。通称はJWH-368ですが、指定薬物であるJWH-307などと構造が類似する化合物です。CB1及びCB2受容体との親和性を35Sで標識したグアノシンγチオ三リン酸を用い、EC50を算出したところ、それぞれ2.06×10-9乗mol/L4.68×10-10mol/Lとなっております。本物質の海外における流通状況は、2013年にラトビアでの流通が確認されております。

 資料2-4です。通称は4AcO-MIPT及び4OH-MIPTと呼ばれる物質です。指定薬物であるMIPTなどと構造が類似する化合物です。4AcO-MIPTは常温で分解し、4OH-MIPTとなることが知られており、実験は全て4OH-MIPTで行われたものです。この物質については、□□□□□□□□□□□□□により試験が行われております。中枢・自律神経症状観察は、2,20,100mg/kgの各濃度で経口投与した結果、2mg/kgでは耳介反射や払いのけ行動の亢進がやや強い個体が認められております。20mg/kgでは、2mg/kg投与時の症状が、自発運動では立ち上がり動作を除いて、より強く現れており、瞳孔散大、眼瞼開裂などが見られております。100mg/kg投与では、そのほか洗顔運動の抑制が認められております。HEK293細胞を用いたモノアミン再取込阻害作用も検討しており、IC50の値がセロトニントランスポーターでは7.9×10-6乗mol/L、ドパミントランスポーターでは作用が見られておりません。これはコカインとの比較では、セロトニントランスポーターで約16倍となっております。マイクロダイアリシス法によりモノアミンの経時変化を観察したところ、セロトニンは本物質投与後にすぐに上昇し、3時間程度増加した状態が持続しております。なお、ドパミン、ノルアドレナリンについては測定ができなかったということです。また、20mg/kgを経口投与し、自発運動量を測定したところ、投与後80分、90分、150分に、有意な増加が確認されております。

 資料2-5です。通称は4-OH-METです。指定薬物であるMIPTなどと構造が類似する化合物です。5-HT2A受容体との親和性を確認するため、ヒト由来の5-HT2A受容体を発現させたチャイニーズハムスター卵巣細胞を用い、EC50を算出したところ、1.7×10-8乗mol/Lとなっております。運動活性に対する影響ですが、マウスに5mg/kgを腹腔内投与したところ、投与後1時間及び投与後3時間までの合計自発運動量に有意な減少が見られております。

 以上の6物質について、指定薬物として差し支えないと考えておりますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 6物質ですか。

○事務局 資料2-4の4AcO-MIPTと4OH-MIPTの両方を指定するということで御審議いただきたいと思っております。

○鈴木部会長 それで6物質ということですね。

○事務局 はい。

○鈴木部会長 分かりました。

 事務局より説明のあった6物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。□□委員から流通実態の報告を頂けますでしょうか。

○□□委員 □□□□で行いました流通実態調査の結果について、御報告いたします。まず、資料2-1から資料2-4の化合物、このうち4AcO-MIPTに関しては国内に白色粉末の形での流入を認めております。また、資料2-5の4-OH-METに関しては、液体の製品中からの検出を認めています。

○鈴木部会長 1から3に関しては国内では流通実態はないけれども、海外で見られているという報告を頂いております。御意見はいかがでしょうか。

○□□委員 資料2-4ですが、先ほど事務局から説明があったように、二つの物質をまとめて指定薬物に指定するという話で、作用等のデータは全て4OH-MIPTで出してあります。常識的に考えて4AcO-MIPTは加水分解されて、4OH-MIPTになると理解はできるのですが、過去の経緯として、4AcO-MIPTで実験をやらなくても、代謝活性体(4OH-MIPT)を使った実験で予測して、前駆体(4AcO-MIPT)も含めてしまうというのは問題のないやり方でしょうか。

○事務局 本物質については、特に4AcO-MIPTという形態で国内に入ってこようとしているという状況が確認されておりますので、まずはその物質を規制する。ただ、この物質については先ほども御説明しましたように、容易に分解するということがありますので、その分解体(4OH-MIPT)も活性があるということで、この両者を指定させていただければということで。

○□□委員 4AcO-MIPTのデータというのはどこかにあるのですか。私が見落としたのでしょうか。

○事務局 今の分は全て4OH-MIPTの方でデータを出しています。

○□□委員 そうですよね。

○事務局 1物質ですが、過去に前駆体としても一切作用がないのですが、やはり分解して危険なものになるということで指定をさせていただいている物質もありますので、そういった意味もあり、今回この2物質を両方を指定させていただく形で出しております。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。

○□□委員 はい。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

○□□委員 同じ意見なのですが、「常温下で保管した場合に容易に分解する」ということで、「容易に」というのは具体的にどの程度のことなのでしょうか。

○□□委員 私どもの経験では、4AcO-MIPTを分析しますと、クロマトグラム上、4OH-MIPTが検出されるレベルの分解は認められます。きちんとした分解曲線を見ているわけではないのですが、特に溶液にした場合は、普通に保管していても分解することはあると思います。

○□□委員 時間のレベルなどがあるのですか。

○□□委員 いちゃもんをつけるつもりはないのですが、4AcO-MIPTは普通には分解しないと思いますので、最初から4OH-MIPTが不純物として入っていて、それを見ていらっしゃるのではないですか。だから、純粋な4AcO-MIPTを調製されれば、それが空気中で容易に加水分解するということは考えられないのですが、どうですか。

○□□委員 私もどうこう言うわけではないのですが、おっしゃるとおりで、指定の手順としてどうなのかというのは気になります。

○□□委員 取りまとめると、実際にデータを出すときに純粋な4AcO-MIPTが手に入らなかったので、4OH-MIPTで実験をやったというような解釈なのですか。

○事務局 明確なお答えになるか分からないのですが、□□□での試験において、4AcO-MIPTから4OH-MIPTに、1日置くと半分ぐらいは分解してしまうということを聞いております。明確な文書の報告があるわけではないのですが、□□□の実験をされた方によると、そういう報告を頂いておりますので、4OH-MIPTで今回のデータを取ったというところです。

○鈴木部会長 □□委員、いかがでしょうか。

○□□委員 実際に実験をやる方の事情がおありだというのは分かりますので、そういう前例があるならばそれで結構です。

○鈴木部会長 間違いがあってはいけないので、間違いがあれば正していただいた方がよろしいかと思います。

○□□委員 本来、できれば純粋の4AcO-MIPTを用意して実験をやられればよかったと思うのですが、今回はこれで結構です。

○鈴木部会長 よろしいですか。

○□□委員 ただ一つ、9ページの総運動量のデータは、4AcO-MIPTを用いたように書いてあるのですが、これは間違いですか。

○事務局 これは間違いでございます。4OH-MIPTです。申しわけございません。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただいた6物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 続いて、資料2-6から資料2-10について説明させていただきます。

資料2-6です。2-エチルアミノ--(-メチルフェニル)ヘキサン--オンです。指定薬物である3,-Dimethyl-α-ethylamino-pentiophenoneなどと構造が類似する化合物です。この物質のモノアミン再取込阻害作用について、ラット脳より調製したシナプトソーム画分を用いて検討したところ、IC50の値がドパミントランスポーターで5.83×10-7乗mol/L、ノルエピネフリンで2.7×10-8乗mol/L、セロトニントランスポーターで5.73×10-7乗mol/Lとなっております。

 運動活性に対する影響も調べています。マウスに5mg/kg量を腹腔内投与したところ、投与直後に有意な自発運動量の増加が認められております。

 資料2-7です。3,-Dimethyl-α-PVPと呼ばれる物質です。指定薬物である4-Methoxy-α-PVPなどと構造が類似する化合物です。この物質のモノアミン再取込阻害作用について、ラット脳より調製したシナプトソーム画分を用いて検討したところ、IC50の値がドパミントランスポーターで6.86×10-7乗mol/L、ノルエピネフリンで6.82×10-9乗mol/L、セロトニントランスポーターで3.01×10-7乗mol/Lとなっております。

 運動活性に対する影響も調べており、マウスに5mg/kg又は50mg/kg量を腹腔内投与したところ、50mg/kg投与時に有意に運動促進作用が見られております。

 資料2-8です。1-(-フルオロフェニル)--(メチルアミノ)ヘキサン--オンです。指定薬物である4F-Octedroneなどと構造が類似する化合物です。この物質のモノアミン再取込阻害作用について、ラット脳より調製したシナプトソーム画分を用いて検討したところ、IC50の値がドパミントランスポーターで1.92×10-6乗mol/L、ノルエピネフリンで5.99×10-7乗mol/L、セロトニントランスポーターで1.04×10-6乗mol/Lとなっております。

 運動活性に対する影響も調べております。マウスに5mg/kg若しくは50mg/kgを腹腔内投与したところ、投与4時間後に5mg/kg投与群では運動量の減少が、50mg/kg投与群では運動量の増加が見られております。また、50mg/kg投与群では、投与直後より挙尾や歩幅不均一などの症状が見られております。

 資料2-9です。2-Methoxy-,-methylenedioxy methcathinoneと呼ばれる物質です。指定薬物であるbk-MBDBなどと構造が類似する化合物です。この物質のモノアミン再取込阻害作用について、ラット脳より調製したシナプトソーム画分を用いて検討したところ、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニントランスポーター、いずれも作用は確認されておりません。また、細胞レポーターアッセイ法を用いて、5-HT2A受容体に対する親和性も検討されておりますが、こちらも作用は確認されておりません。

 運動活性に対する影響を調べており、マウスに5mg/kg又は50mg/kg量を腹腔内投与したところ、5mg/kg投与群では運動量の有意な変化は確認されておりませんが、50mg/kg投与群の方では、投与20分後に挙尾反応、間代性痙攣が起こり、投与群4匹全てが死亡しております。

 資料2-10です。通称bk-2C-Bですが、指定薬物である2C-Nなどと構造が類似する化合物です。5-HT2A受容体との親和性を確認するため、ヒト由来の5-HT2A受容体を発現させたチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて、EC50を算出しましたところ、2.6×10-6乗mol/Lとなっております。また細胞レポーターアッセイ法を用いた5-HT2A受容体に対する親和性も検討されており、こちらではEC503.3×10-7乗mol/Lとなっております。

 運動活性に対する影響を調べており、マウスに5mg/kg又は50mg/kg量を腹腔内投与したところ、5mg/kg投与群では運動量の有意な変化は確認されておりませんが、50mg/kg投与群では投与直後に有意な自発運動量の減少が見られており、また3時間の合計自発運動量も有意に減少しております。

 以上の5物質について指定薬物として差し支えないと考えておりますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 事務局より説明のありました5物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。□□委員から流通実態の御報告をお願いできますでしょうか。

○□□委員 ただ今御説明のありました資料2-6から資料2-10の化合物については、資料2-9の化合物は乾燥植物採片1製品から検出されており、その他の化合物は、白色粉末の形で国内流入が認められています。

○鈴木部会長 御意見はいかがでしょうか。

○□□委員 指定することを否定する意見ではないのですが、資料2-6の物質に関して、運動活性に対する影響について、ほかの薬物に関しては5mg/kg50mg/kgの2点で運動活性に対する影響を見られていますが、この6に関しては1点のみで見られているのは、5mg/kgで直後に有意な運動活性の増加が見られたということで、50mg/kgをやっていないということでしょうか。

○鈴木部会長 □□委員、お願いできますか。

○□□委員 この化合物については、5mg/kgで腹腔内投与したときに、数値としても自発運動量に有意差が出たこと、目視の観察結果でも興奮作用が認められたこと、またin vitroの実験結果で、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニンのいずれに対しても再取込阻害活性が強かったことを踏まえて、検討を行っております。50mg/kgは行っておりません。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

○□□委員 資料2-10の物質のアフィニティは大したことはないようなのですが、今回指定の根拠というのは、運動量に対する影響ということからということですか。

○鈴木部会長 これは事務局からお願いいたします。

○事務局 おっしゃるとおりでして、確かにvitroでは4乗オーダー若しくは3乗オーダー、陽性対照物質より弱いという結果が出ていますが、50mg/kg投与で、投与直後に有意な減少が確認されていますので、これで精神毒性の蓋然性というのは評価できるのではないかと考えております。

○□□委員 教えてもらいたいのですが、資料2-7の物質の14ページに、取込阻害の表がありますが、一番下の段に三つの物質が並んでいるのは、右側の数字の対比はどのように見るのですか。三つの物質のそれぞれの値が、ドパミン、ノルエピネフリン、セロトニンという意味でしょうか。この表の読み方を教えてください。

○□□委員 こちらに関しては、文献5を御覧いただきたいと思います。それぞれ、ドパミンの再取込阻害活性を見る陽性対照として、GBR12909を用い、またノルエピネフリンの再取込阻害活性の陽性対照としてディスプラミン、またセロトニンの陽性対照としてイミプラミンを用いたということだと思います。

○□□委員 分かりました。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

○□□委員 資料2-9です。この物質もIC50などを見ていると、そんなに強くない感じなのですが、結果的に死んでいます。結果的に死んだというのは非常に大変なことで、それだけで重大だと思うのですが、実験系としては何を見ればいいのか分からないのですが。可能性として、どのようなものなのでしょうか。

○鈴木部会長 □□委員、お願いいたします。

○□□委員 それは大変重要な御指摘だと思います。この化合物の構造を見ますと、例えばメチロンの2メトキシ誘導体とも言えますし、またMMDAという麻薬の構造類似化合物とも言えます。そのため、我々としては、まず、神経終末におけるモノアミンの再取込阻害を検討し、更にはフェネチルアミン系の幻覚剤の可能性も考慮して、セロトニン受容体のアゴニスト活性も検討しましたが、いずれも活性はありませんでした。しかし、実際にマウスに投与をすると、5mg/kg25mg/kg投与では、行動活性に差はなかったのですが、50mg/kg投与において4匹中4匹が同じような形で、投与20分後ぐらいに突然、挙尾反応を起こして、転げ回るような、「間代性痙攣」という言葉で代表されるような症状で死亡してしまいました。これは再現性がある実験でしたので、少なくとも非常に危険性のある化合物であると考えております。

○鈴木部会長 よろしいですか。

○□□委員 はい。

○鈴木部会長 それ以外のグルタミン酸系やGABA系にも作用している可能性があるということですね。ただ、今回死亡しているというのがかなり重大だと思いますので、早期の指定がふさわしいと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただきました5物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であるとして、決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 続いて、資料2-11から2-15について説明いたします。

資料2-11は、通称Allylescalineですが、麻薬であるメスカリンなどと構造が類似する化合物です。5-HT2A受容体との親和性を確認するため、ヒト由来の5-HT2A受容体を発現させたチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて、EC50を算出したところ、7.2×10-8乗mol/Lとなっております。また、レポーターアッセイ法を用いた5-HT2A受容体に対する親和性も検討されており、こちらではEC503.4×10-8乗mol/Lとなっております。こちらは、当日差し替え資料で差し替えをしております。

 運動活性に対する影響も調べております。マウスに5mg/kg又は50mg/kg量を腹腔内投与したところ、5mg/kg投与群では、投与後1時間後は運動量の有意な増加がみられております。50mg/kg投与群では、投与直後に有意な自発運動量の減少がみられており、3時間後には有意な増加が確認されております。

 資料2-12は、通称2C-Pなどと言われている物質ですが、指定薬物である2C-Nなどと構造が類似する化合物です。こちらの物質については、□□□□□□□□□□□□□により試験が行われております。中枢・自立神経症状観察ですが、2,20,100mg/kgの各濃度を経口投与した結果、2mg/kgでは痛反応、角膜反射のやや強い個体が見られております。20mg/kgでは、2mg/kg投与時の症状がより強く現れたほか、外界反応や眼裂などの抑制がみられ、100mg/kg投与では一部を除き20mg/kg投与時の症状が強く現れたほか、触反応や立ち上がり動作の抑制などが見られております。

 HEK293細胞を用いたモノアミン再取込阻害作用も検討されており、IC50の値がセロトニントランスポーターでは4.2×10-5乗mol/L、ドパミントランスポーターでは作用がみられませんでした。これは、コカインとの比較ではセロトニントランスポーターで約88倍となります。マイクロダイアリシス法により、モノアミンの経時変化を観察したところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、いずれも明確な変化は確認されておりません。また、20mg/kgを経口投与し自発運動量を測定したところ、投与後150分後には有意な増加が確認をされております。

 資料2-13は、通称3C-Eですが、麻薬であるメスカリンなどと構造が類似する化合物です。5-HT2A受容体との親和性を確認するため、ヒト由来の5-HT2A受容体を発現されたチャイニーズハムスター卵巣細胞を用い、EC50を算出したところ、9.2×10-8乗mol/Lとなっております。また、細胞レポーターアッセイ法を用いた5-HT2A受容体に対する親和性も検討されており、こちらではEC508.6×10-8乗mol/Lとなっております。こちらも、当日の差し替えの部分です。

 運動活性に対する影響も調べております。マウスに5mg/kg又は50mg/kg量を腹腔内投与したところ、5mg/kg投与では、有意な変化は認められておりません。50mg/kg投与群では、投与後2時間と3時間で有意な自発運動量の増加がみられております。

 資料2-14は、通称25-NBOMeと呼ばれる物質ですが、指定薬物である25-NBOMeなどと構造が類似する化合物です。こちらの物質については、□□□□□□□□□□□□□により、試験が行われております。中枢・自立神経症状観察ですが、各濃度で経口あるいは腹腔内投与した結果、経口投与では低用量から触反応や耳介反射の亢進した個体が認められておりますが、短時間のうちに作用が消失しております。腹腔内投与では、11mg/kg投与で、攻撃性、触反応などのやや強い個体がみられ、27.5mg/kg投与では、11mg/kg投与時に見られた症状がより強く現れたほか、耳介反射が認められております。

 5-HT2A受容体との親和性を確認するため、ヒト由来の5-HT2A受容体を発現させたチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて、EC50を算出したところ、2.2×10-10mol/Lとなっております。HEK293細胞を用いたモノアミン再取込阻害作用も検討されており、IC50の値がセロトニントランスポーターでは2.8×10-6乗mol/Lとなり、ドパミントランスポーターでは作用が認められておりません。これは、コカインとの比較ではセロトニントランスポーターで約6倍となっております。

 モノアミンの経時変化を確認したところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、いずれも明確な変化は確認されておりません。また、1.1mg/kg経口投与をして自発運動量を測定したところ、有意な変化は確認されておりません。

 資料2-15は、通称Org27569と呼ばれる物質です。CB1及びCB2受容体との親和性は35Sで標識したグアノシンγチオ三リン酸を用いて、EC50を算出したところ、4.69×10-10 mol/L4.76×10-10mol/Lとなっております。本物質の海外における流通状況については、2011年にフィンランドでの流通が確認されております。

以上5物質について、指定薬物として差し使えないと考えておりますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 事務局より説明のありました5物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○□□委員 それでは、□□□□における流通実態調査の結果を御報告いたします。まず、資料番号2-11Allylescalineですが、こちらは白色粉末の形で流入が認められているとともに、製品からも液体の形で検出されております。2-12の2C-Pに関しては、□□□□では検出事例はありません。2-13、3C-Eに関しては、白色粉末の形で国内流入が認められております。2-1425-NBOMeに関しては、白色粉末の形での流入が認められているとともに、製品からも1製品から検出されております。2-15に関しては、□□□□での検出事例はありません。なお、ただ今御説明がありましたセロトニン受容体に関する文献3及び文献8の結果ですが、こちらは親和性ではなく、アゴニスト活性を見た結果となっております。

○鈴木部会長 委員の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。□□委員、2-12の物質は、セロトニン2Aのバインディングを見た場合に13と比較すると、バインディングで出そうに見えるのですが、いかがでしょうか。□□□のデータですよね。

○□□委員 はい。

○鈴木部会長 13は□□□□のデータではありませんか。

○□□委員 2C-Pに関しては、□□□□で検討はしておりませんが、2,-ジメトキシフェネチルアミンの4位にプロピル基が導入されている構造ですので、恐らくセロトニン受容体活性がある、いわゆるフェネチルアミン系幻覚剤としての活性があるのではないかとは考えております。

○鈴木部会長 そういうことで考えると、行動変化しかここでは明確な結果が出ていないのですが、幻覚様の行動変化で評価していくしかないと考えてよろしいでしょうか。

○□□委員 はい。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○□□委員 今の話は、基本的に2Cシリーズは一般的にそんな感じだったかなという気がします。

○鈴木部会長 そうですね。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは発言が出尽したと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただきました5物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。それでは、事務局より本件に関わる今後の手続、スケジュール等について説明をお願いいたします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本日の結果については、6月に開催が予定されております薬事分科会で報告する予定です。本日の結果を受けて、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進めます。また、いわゆる正規用途については、今のところ今回審議された16物質のうち、物質No.11、2-アミノ--(-ブロモ-,-ジメトキシフェニル)エタノンと、物質No.13、2-(,-ジメトキシ--プロピルフェニル)エタンアミンの2物質について、化学合成用途での有用性があるとの情報を確認しております。いずれにしても、可能な限り適正な使用に支障を来さないように対応する所存です。

○鈴木部会長 本日の議題は以上ですが、事務局よりお願いいたします。

○事務局 次回の指定薬物部会の日程ですが、4月中の開催を予定しております。正式に決まり次第、また御連絡いたします。また、本部会の資料は回収いたしますので、そのまま机の上に置いておいていただければと思います。

○鈴木部会長 委員の先生方。□□委員どうぞ。

○□□委員 しつこいようですが、資料2-4のことです。結局、今日のこの審議は4AcO-MIPTと4OH-MIPTは4AcO-MIPTの方がプロドラッグのようなもので、活性体は4OH-MIPTであるので、4OH-MIPTのデータを出したと。もう一つは、現場の事情として、純粋な4AcO-MIPTを使った実験がやれなかったと。それは理解できたのですが、将来的にこういうプロドラッグに関して、我々が導入したような包括指定のような概念で、この化合物のプロドラッグは一括してとにかく指定に入れるような対応ができるようになれば良いと思います。例えばこの場で議論することは、それがプロドラッグであるという代謝的なデータさえあれば、あとは活性体がその指定薬物になっているから、これも当然指定薬物だということで、手っ取り早く新しい薬物も指定にできると思うのですね。

 考えれば、これは4AcO-MIPTですが、アセチルエステルでなくて、プロピオン酸エステルや、ブチル酸エステルにしても、多分同じような活性があると思います。何か、そういう方法をこれから考える方法もあるのではないかと思い、発言させていただきました。

○鈴木部会長 これは、赤川課長からお答えいただけますか。

○赤川課長 こういうものは、どこまで拡張して包括的に考えるかは、個別に実際に流通しているものが今回はあり、それの代謝物で実験がやられていて、その関係を本当はもう少しデータとしてお出しした方がよかったのかもしれません。そこは、大変申し訳ありません。かなり蓋然性が高く、アセチル基が加水分解することが分かっているのであれば、この指定薬物制度はもともと蓋然性が高いところで指定していただくものですから、先生方におかれましてもそういうことも御勘案の上、そういう推認ができる場合には指定の御審議を頂くということで御了解いただければと思っております。

○□□委員 一つ、参考になるのではないかと思うのは、医薬品の国際一般名というのは、プロドラッグについてはWHOは名前を付けてなく、活性本体に対してのみ一般名を決めますと、あとのエステル体のようなプロドラッグは、もう各国が自由に決めなさいという形で、WHOの会議からは外しています。そのような形で、この4OH-MIPTが活性本体だと決めてしまえば、プロドラッグは包括してやるという方法は取れるのではないかと思います。

○□□委員 その場合は、4AcO-MIPTに活性がないというデータはないので。

○□□委員 いや、それは実は医薬品の方でもそれがよく議論にもなり、プロドラッグと言っているけれども、それは例えば徐々に加水分解されるから、それが逆に効いているのではないかということがあります。結局、活性体といわれているものよりも、より強い活性が証明されない限り、もうそれは一括してプロドラッグという取扱いを医薬品の世界ではやっています。ですから、これは活性があるないは全然関係なく、もしも4AcO-MIPTの方が4OH-MIPTよりもっと強い活性があると。例えば、帯留性が高まって活性があるとなると、また別ですが。

○鈴木部会長 今、赤川課長にまとめていただいたような形で、こういうことも勘案しながら、今後検討していただくということで、お願いいたします。それでは、以上をもちまして、平成26年度第8回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。

 


(了)

備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 渕岡(2779)

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