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2015年5月19日 第7回心臓移植の基準等に関する作業班 議事録

健康局疾病対策課移植医療対策推進室

○日時

平成27年5月19日(火)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○議題

1.心臓移植希望者(レシピエント)選択基準の見直しについて
2.その他

○議事

○田中補佐 ただいまより、第7回「心臓移植の基準等に関する作業班」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。なお、本日は磯部委員、長谷川委員、安河内委員から欠席の御連絡を頂いております。頭撮りはここまでといたしますので、カメラは控えてください。以降の議事進行は北村班長にお願いいたします。

○北村班長 まず、事務局より資料の確認をお願いします。

○田中補佐 議事次第の中に、配布用資料と、参考資料の記載がありますので、それを参考にお手元の資料を御確認ください。資料の不足や、落丁等がありましたら、随時事務局までお知らせください。

○北村班長 次に、事務局より「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準について」、現状と今回の会議に至る経緯等を、資料1に基づいて説明をお願いします。

○阿萬室長 資料1に沿って御説明いたします。資料1は、既に前回の作業班でもお出ししておりますので、簡潔にとどめます。改正の経緯を御覧いただくと、平成13730日以降、御覧のような形で、平成24119日まで、過去5回にわたって改正が行われています。今回、更に追加での改正を行うかどうかについて御検討をお願いしております。

2ページと3ページは、臓器提供者数の推移及び心臓移植件数の推移ということで、年別のデータをお出ししております。前回2月の作業班の際には、平成27年の分については1月のデータのみを掲載いたしました。今回は、平成274月一杯まで、1年の3分の1経過時点での数を一番右の所に掲載しております。これに基づいて見ると、脳死下での提供が21件、心停止下での提供が11件です。これを前年同月比で見ると、昨年1月から4月までのデータでは、脳死下での提供が16件、心停死下での提供が6件、合計22件でしたので、前年同月比で比べると、今年はかなり提供数が増えている状況だと認識しています。ただ、今後の状況については見ていく必要があると思います。

 心臓移植件数については、平成271月から4月までの4か月間で15件です。前年同月比で見ると、昨年1月から4月までで14件でした。ドナーの医学的な状況などにより、心臓の提供が行われない場合もありますので、脳死下での提供の件数の増え方の割には増えていないという話もあるかもしれませんが、いずれにせよ心臓の移植についても現在は増えている状況です。私からの説明は以上です。

○北村班長 今の説明に御質問等はありますか。一応年間50例の心臓移植に届くようには期待が持てるときに入ってきたかという感じがします。

 よろしいようでしたら、続いて議事に入ります。資料2に基づいて議論を進めます。資料2「心臓移植の基準等に係る作業班での議題について」の説明をしていただき、前回の作業班で検討事項になった議題について御意見を賜ります。先ず事務局から説明をお願いします。

○田中補佐 本日御議論いただきたい議題について、資料2に基づいて御説明いたします。1ページに、「心臓移植の基準等に係る作業班での議題について」とあります。心臓移植希望者(レシピエント)選択基準については、制定後、過去5回の改定が行われております。直近では平成24年に、レシピエントの適用年齢が60歳以上まで拡大されたことを受け、本年213日に開催された第6回心臓移植の作業班において、心臓移植のレシピエントの選択基準の見直しに関する議論を行っていただきました。

 その際の御議論では2つの項目について結論が付けられております。1つ目は、60歳未満の心臓移植希望者(レシピエント)の優先です。これは、現行基準の維持となります。2つ目は、臓器提供者(ドナー)18歳未満の場合の心臓移植希望者(レシピエント)の優先順位の細分化です。これは、ドナーが18歳未満の場合も、ドナーが18歳以上のときと同様に、18歳未満、18歳以上60歳未満、60歳以上という順に優先をすることとなります。この2つ目については基準の改定をすることとなります。

 本日の会議においては、前回の会議で検討事項となった、臓器提供者(ドナー)が小児の場合の小児心臓移植希望者(レシピエント)への優先及び優先年齢について、本邦の移植成績及び心臓移植に関わるデータを基に御議論いただければと思います。

2ページは、前回の作業班で決定したレシピエント選択基準の改定の、実際にリスト化したときにどうなるかというものをお示ししております。上段が現行のレシピエント選択基準です。ドナーが18歳未満の場合、ドナーの年齢は18歳未満と18歳以上で優先度が異なっていて、Statusによって順位付けをされているものが現行の基準となります。それを、前回の御議論により改定することにより、年齢を18歳以上とくくっていたものを、18歳以上60歳未満、60歳以上と分け、同じStatusの中では、若年齢のグループを優先することとなりました。これは、ドナーが18歳以上の場合は、既にこのような基準になっておりますので、ドナーが18歳以上の場合と同等の扱いとなります。ここまでが、前回に決定したことのまとめです。事務局からは以上です。

○北村班長 ここまでで何か御質問はありますか。皆さんは前回も御出席いただいておりますので、大体状況はお分かりのことと存じます。臓器提供者(ドナー)が小児の場合の、小児心臓移植希望者(レシピエント)への優先性をどうするか、あるいはどう考えるか、並びにその優先年齢についての議論に入ります。資料23ページを参考にしながら、事務局から説明をお願いします。

○田中補佐 資料23ページです。本日御議論いただきたい議題について御説明いたします。議論1は、臓器提供者(ドナー)が小児の場合における小児移植希望者(レシピエント)の優先について及び優先年齢について、本日は御議論いただきます。枠内ですが、現行の基準では、臓器提供者(ドナー)18歳未満の場合、Status118歳未満のレシピエントの次に、Status118歳以上のレシピエントが優先されており、Status1のレシピエントの意思確認が終了しないと、Status218歳未満のレシピエントは意思確認が行われないため、Status218歳未満のレシピエントは移植を受けることがなかなかできないという現状があります。ドナーが小児の場合においては、Statusに関係なく小児のレシピエントを優先するかどうか、また優先する年齢は何歳未満にするのがよいかということについて御議論いただければと思います。

 このような御議論をしていただく背景について御説明いたします。ドナーが小児の場合、ドナー家族の心情として、「子どもの臓器は子どもに提供したい」という感情があるとお聞きしています。また、本邦の現状として、現行のレシピエント選択基準において実施された、18歳未満からの臓器提供については8例あり、全例18歳未満のレシピエントに移植が行われております。内訳としては、Status1の方が7例、Status2の方が1例となっております。海外の状況ですが、海外のレシピエント選択基準については、ヨーロッパではドナーが小児の場合は、レシピエントについても小児優先を規定しているものもあります。アメリカにおいては、日本のレシピエント選択基準と同様に、移植の緊急度が優先されていて、ドナーが18歳未満の場合でも、18歳未満のレシピエントが、18歳以上のレシピエントよりも優先されるのは、同じStatusである場合に限ることになっております。

 現在の日本におけるStatus2のレシピエントの方の現状ですが、18歳以上・未満を含め、心臓移植が実施されたStatus2の方は1例のみです。一方、現在の日本の現状として、特に小児のレシピエントについては体格が小さく、人工心臓が装着できないため、Status2であっても心臓移植待機中に死亡することが多いと言われております。

4ページでは、このような背景を踏まえ、前回の会議での御議論のまとめです。ドナーが小児の場合は、Statusに関係なく小児のレシピエントに優先的に臓器が提供されることが望ましいのではないかという形の御意見がまとめられております。上記の運用に際しては、下記の3つの点について検討を行う必要があると考えられます。1、優先されるレシピエントの年齢の上限は何歳と規定するか。2、上記1を上限とした小児のレシピエントについて、Status2の全てのレシピエントを優先するのか、あるいは優先されるべき疾患を規定するのか。3上記2において新たに優先される年齢より少し上の年齢層への影響を考慮して、施行の猶予期間を設定する等の必要があるかどうか。必要がある場合にはどのようなものとするか。以上の3つについて検討する必要があると考えられます。

 検討に際しては、本件に関して医学的・社会的に説明可能となるようなデータを基に議論が行われるべきであるということとなりましたので、今回の会議で御議論いただく医学的データについて、参考資料1から参考資料4まで御用意いたしました。後ほど、各資料に関しては先生方に御発表いただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、事務局より小児のレシピエントから小児ドナーへの優先を行う際の、実際の運用案に関して3つの案を挙げております。5ページは、選択基準の変更のイメージの1です。優先されるレシピエントの年齢が18歳未満となり、かつ、その対象者がその一部に限定されないものとした場合です。実際の移植待機者のリストのイメージを5ページにお示ししております。18歳未満のStatus2のレシピエントについては、優先度が上がることになります。Status118歳未満のレシピエントに次いで優先されることとなりますので、順位が上がることになります。Status218歳未満の全体の順位が上がっております。

6ページは、選択基準変更のイメージ2としております。こちらでは、優先されるレシピエントの疾患が限定された場合の運用方法として、2つの案を挙げております。1つ目の方法としては、優先することとした疾患のStatus2の方のみ優先し、その他の疾患のStatus2の方のレシピエントの順位はそのままとするものです。6ページにはリスト化したものをお示ししておりますが、18歳未満の優先疾患のStatus2のレシピエントのみ優先され、優先疾患以外のStatus218歳未満のレシピエントの優先順位は、これまでと同様の順位付けとなります。これが1つ目の方法です。

7ページにはもう1つの案を挙げております。基準における医学的緊急度の箇所を改正して、優先することとした疾患は、Status1とするものです。現行のレシピエント選択基準の中に、医学的緊急度の定義があります。Status1の中に()とあり、補助人工心臓装着中の状態というものがあります。()の補助人工心臓装着中の状態の中に、横に吹き出しで書いておりますが、「例えば」とあります。ある疾患の場合には、補助人工心臓を装着することが困難な状況があることを踏まえ、登録時18歳未満の者に限り、補助人工心臓装着中の状態と同等の状態とみなすという形で、Status1の定義の中に盛り込むという方法です。以上、小児レシピエントから小児ドナーへの優先を行う場合の運用案についてお示しいたしました。

8ページは、今、御説明した運用案についての考え方をお示したものです。先ほどお示しさせていただきましたイメージ1及びイメージ2の比較とあります。この改定により、優先されるレシピエントの位置付けについての比較が書いてあります。イメージ1及びイメージ2-1のように、18歳未満のレシピエント全体(又は一部)についてStatus2でも、18歳以上のStatus1よりも優先することとした場合には、いずれにせよ18歳未満の中では、Status1の患者と比較して優先順位は劣後することとなります。イメージ2-2のように、特定疾患について、18歳未満という条件を付けた上でStatus1と位置付けするのであれば、他のStatus1の患者と優先順位は同じことになりますので、当該患者については、前者であるイメージ1よりも更に優先順位を上げることとなります。よって、3つの案によって優先されるレシピエントの位置付けが異なるということです。

 また、一定の年齢未満の小児レシピエントの優先が決定となった場合の、猶予期間の考え方についてです。現在の現状ということで御説明いたします。現行のレシピエント選択基準では、レシピエントの年齢は、日本臓器移植ネットワークに登録を行った時点における年齢に応じてレシピエント選択基準の具体的選択方法に示す区分に従い、優先順位を定めております。

 また、一定の年齢未満の小児レシピエントを優先することとなれば、本案施行後に、心臓移植の登録を行った、「一定年齢以上で、一定年齢付近のレシピエント」にとっては、18歳未満のドナーから心臓提供があった場合、現行のレシピエント選択基準の選択の場合よりも優先順位が低くなることが生じることになります。ただし、実年齢が上記で定められた「一定の年齢」よりも高い場合でも、日本臓器移植ネットワークに登録を行った時点の年齢が「一定の年齢未満」の基準を満たしていれば、優先されることとなります。

 以上事務局より、本日の議案及びレシピエント選択基準の改正に当たっての運用案について御説明させていただきました。事務局からは以上です。

○北村班長 本日議論をして、皆さんの御意見を賜り、あるコンセンサスを得たいと思っております。今の案は中心となることです。それに前回の議論も踏まえ、どのような科学的根拠で理解が得られる案に作り上げることができるか。これは科学的な面と、移植という社会医学的な面もあります。そのデータはいかなるものが我々の掌中にあるのかということで、本日は3人の先生から、各自の立場からのデータを提示していただきます。まず、循環器学会の心臓移植委員会のほうから、布田先生に、参考資料1を用いて説明をしていただきます。

○布田班員 本日は、日本循環器学会心臓移植委員会委員長の磯部が欠席しておりますので、適応検討小委員会の委員長をしております布田から発表させていただきます。参考資料1を御覧ください。1997年に、心臓移植委員会が立ち上がってから、1,300例以上の心臓移植の適応検討をやっています。2010年の改正臓器移植法の周辺の年でいろいろなものが変わりました。今回は、改正臓器移植法以降の、つまり法律においては欧米並みになり、薬物療法、非薬物療法もある程度一定になって、植込み型VADも国内で認可されるようになった頃以降の症例、約500例に限定して検討を行いました。

 対象は資料に提示してあるように、日本循環器学会心臓移植申請受付日以降の予後について、改正臓器移植法以降の症例に限定して検討いたしました。また改正臓器移植法施行以降に、成人では65歳未満まで申請範囲が広げられましたが、条件を一定にするために、成人は受付時60歳未満までといたしました。end-pointは死亡又は移植とし、以下の4群でカプラン・マイヤー曲線を作成し、5%以下を有意差ありと判定しました。各群の内訳は、1860歳未満、いわゆる成人の受付時Status1が一番多く284例です。年齢は1859歳、平均が40.5歳です。18歳未満の受付時Status1、いわゆる小児のStatus184例、017歳、平均が8.8歳です。1860歳未満の受付時Status282例です。1859歳で、平均が43.3歳です。Status2の小児が34例で、016歳、平均が6.3歳です。 2ページは、申請時の原疾患について、4つの円グラフで書かれています。上の2つが成人で、下の2つが小児です。左側がStatus1で、右側がStatus2です。成人のStatus1Status2ともに一番多いのは拡張型心筋症(DCM)です。以下、dHCM等々につながってまいります。小児の18歳未満のStatus1で一番多いのは拡張型心筋症(DCM)です。以下RCMdDHCMという症例です。心筋炎もありますが、心筋症の中ではそのような割合になっています。ただ、18歳未満のStatus2になると、一番多いのはやはりDCMですが、2番目に多いのはRCMで、他の3つの円内の構成疾患に比べて少し注目される点かと思われます。

 成人と小児におけるカプラン・マイヤー生存曲線ですが、先ほど申しましたように、end-pointを、死亡と移植の時点にしております。深緑が小児のStatus1(18歳未満)84例のカプラン・マイヤー曲線です。その右横の紫が小児のStatus234例です。さらにその右の青ラインが成人のStatus1284例で一番多かったものです。黄緑の一番薄いラインが成人のStatus284例です。

18歳未満の小児においては、日本循環器学会(日循)受付時のStatus1Status2において、予後に有意差は認められませんでした。成人の1860歳未満、いわゆる成人においては、Status1Status2に比べて有意に予後が悪いという結果でした。Status1で検討すると、受付時Status1は、小児が成人よりも有意に予後が悪く、小児のStatus2は、成人のStatus1Status2よりも予後が悪いという結果でした。グラフの右のほうに説明が書いてありますので、御理解いただけるかと思います。

 今、述べたことが、3ページにも書いてあります。総括としては、改正臓器移植法以降の症例に限定して検討した結果、小児(18歳未満)では、Status1Status2において、予後に有意差は認めず、成人ではStatus1Status2に比して有意に予後は不良で、Status1は小児が成人よりも有意に予後は悪く、Status2においても予後は悪いという結果でした。以上です。

○北村班長 ありがとうございました。何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○小野班員 本日の議論とは直接関係しないかもしれませんが、この対象になったのが改正臓器移植法以降、20107月以降で、まだ5年たっていないと思います。18歳未満のStatus1Status2のカプラン・マイヤー曲線は5年を超えて引かれていますが、これはどうしてこういう形になったのか。改正臓器移植法の前に登録している患者さんも入っているのではないかと、カプラン・マイヤー曲線だけみると見えてしまいます。議論の正確性を期するするために一応お伺いします。

○北村班長 正確には、今までで5年弱になります。

○小野班員 だから、1,825日あると、絶対にこういうはずは。

○布田班員 改正臓器移植法以降で統計されたと思っております。そのNだけを拾い集めて全部解析した結果と思いますが、急遽、再確認します。

○小野班員 そうすると、登録後の日数が間違っていることになってしまいます。

○福嶌班員 1,825日を超えることはないのではないですか。

○小野班員 5年弱を超えて、カプラン・マイヤー曲線が引けるはずがないのです。これは、成人のStatus1Status21,500日ちょっとぐらいで切れていますけれども、データが正確であれば、本来こことカーブの終了がほぼ一致するはずなのです。

○布田班員 それについては、今すぐにはお答えできません。大至急、再検討させていただきます。

○小野班員 大きくは変化しないだろうとは思うのですが、データとしてこういうデータが公表されると、これは不正確なので誤解を招くと思いましたのでコメントさせていただきました。

○北村班長 今の御質問で、他にもリライアビリティの疑いがあるというように、大げさに取りすぎる必要はないのかもしれませんけれども、他に御意見はありますか。

○中西班員 統計のソフトでこっちへ行ってしまったのかもしれないですね。

○福嶌班員 これは、2つのグラフがあったのではないですか。最初に見せていただいたものは、ちゃんとここで止まっていたと思うのです。このグラフは、子供と大人を合体させていたのではないかと思うのです。その時に、子供のほうを端までやってしまったのではないかと思うのですけれども、違いますか。

○布田班員 統計ソフトのこともありますけれども、そこは大切なことですのでもう一回確かめさせていただきます。

○福嶌班員 最初出していたスライドでは分かれていましたよね。子供と大人と別々のスライドがあったと思うのです。

○小野班員 そうですか。

○福嶌班員 もしかしたらそうかもしれません。

○小野班員 これはおかしい。

○福嶌班員 確かに、これはおかしいですね。

○小野班員 これも、大きくは変わらないとは思っているのですけれども、ただ正確性のために。

○北村班長 本来ならば、どこに線が引かれるべきなのでしょうか。今までに何日になる。

○福嶌班員 1,500日ぐらいです。

○小野班員 この線と、この線が終了している所と同じ所で。

○北村班長 この辺で……ので、この2つの所ね、なるほど。そうすると、18歳未満のほうが長すぎるということだよね。

○福嶌班員 これ、両方伸びてしまったので、何か2つのグラフをもしかして入れたのですよね。

○小野班員 サンプルのときか何かに間違えたのかな。

○福嶌班員 元のものがあるのではないですか。

○阿萬室長 元のものがあります。今回御発表いただくときに、全体を短くしました。最初のときに我々が頂いたものをお回しいたします。

○福嶌班員 重ねたときに、片方、子供のほうが伸びたのだと思います。

○北村班長 まず小野先生に見ていただいて、分かりましたと言える範囲なのかどうか。

○小野班員 これだと何年だ、6年ぐらいまで伸びていると。

○福嶌班員 そうしたら、1年余には完全に入っているということですか。

○小野班員 北村先生に御覧いただくと。

○福嶌班員 そうか。

○小野班員 これは、5年となるとこの1,800日ですから、この辺のはずですね。300だから。

○北村班長 この横になっている水平の所で下がってはいないのだけれども、この辺りになるわけだね。

○小野班員 1,865なので、この辺。

○北村班長 この辺か。この最後の下がりが消えるかもしれないわけですね。

○小野班員 はい、そうかもしれません。福嶌先生も見ますか。

○福嶌班員 すみません。

○小野班員 3,000日まで来ていますから。

○福嶌班員 これは、ちょっとおかしいですね。

○小野班員 そうですね。

○福嶌班員 しかも3,000日か。

○小野班員 これ3,000日まで出ています。

○福嶌班員 最初、これは全部だったのです。それの改正後だけが出てきたからややっこしいのです。

○小野班員 私が思うには、改正後ではなくて、改正前も入れてしまったのですね。

○福嶌班員 そうみたいですね。

○北村班長 これは、予想外の展開なのですけれども。この資料は第1次的な解析資料で、もちろんピアレビューも受けていない中でこういう御指摘があって、この最後の線の所が大きく影響する範囲かどうかです。つまり、18歳未満の成績が低すぎる形で表されてしまっているのかどうか。そういうことは、統計解析の線でこうなってしまっている可能性もある。ちょうど横になって、長く水平につながる線の所がかかるかどうか。

○福嶌班員 確かに数からいって、法改正後にStatus2症例が34例もの申請があったようには思われないです。これは、全例かもしれないです。

○小野班員 全例を入れてしまったので、そうすると厳密に言うと古い症例はより悪くなります。

○福嶌班員 悪くなる可能性があります。

○北村班長 そうしたら、2番目の対象と方法の赤い丸、1ページに書いてある2つ目の所が間違った記述であることになるわけですね。

○小野班員 間違っているとは必ずしも言えませんけれども、果たしてこれが正しいかどうかは言えないということです。

○北村班長 ここでは、成人では65歳未満まで申請範囲が広げられたが、条件を一定にするため、60歳未満までとしたと。以降にですから、成人に対してだけモディファイしているわけです。対象としている症例は、1997年以後の予後について、改正臓器移植法以降の症例に限定したと書いてある。赤の丸の1です。これが改正臓器移植法以前の症例が入っていると考えられるわけですかね。

○小野班員 そうですね。

○北村班長 こんな要らんこと書かなくてもということにもなるわけですね。それが、こういう解析結果にどういう影響をするかというのが一番重要な問題なのです。弱りましたね、これの成績についての。

○福嶌班員 Status2の子供に関して、日本では移植が1例しか行われていないので。

○北村班長 そうですね、ちょっと表示の症例が多いですね。

○福嶌班員 それで、多分こんな感じの書き方なのでしょうね。

○北村班長 この点はちょっと置かせてください。他にこの件について御質問はありますか。このデータの理解の仕方、あるいはリライアビリティについてはちょっと置かせていただきます。

○福嶌班員 後半のことと重なるかもしれないのですが、もし解析し直すのであれば、Status2の中のRCMDCMを分けたのを出していただければ、より疾患を分けるという意味合いのデータも出るのではないかと思うのです。

○北村班長 それも、前にディスカッションしたことがあるのですが、症例数の問題で難しかったのかな。

○福嶌班員 1314でどうなのかなと。

○北村班長 そうですね、それも解析し直してもらうということでの結論を出しておりませんので、ちょっと。

○福嶌班員 それは、コメントだけです。

○北村班長 次に、参考資料2で、福嶌先生からBerlin Heartの件と、拘束性心筋症についての自施設でのデータの発表をお願いします。

○福嶌班員 参考資料2と参考資料3と参考資料2の補足資料を御用意ください。論文を読んでいると時間がかかりますので、参考資料23では簡略にした代表的な図を出させていただいています。

 まず、参考資料2です。これは大阪大学で拘束型心筋症の心臓移植適応と判定された子の予後について検討したものです。背景としては、こちらの参考資料2の補足資料の1Circulationに載っている論文を引用させていただいていますが、ここのスライドにありますように、RCMDCMよりも予後が悪い。HCMと比べるのは医学的に余り意義がないのですが、少なくともDCMよりも予後が悪いというデータがあります。そういったことで、日本の症例でどうかということを検討させていただきました。

2ページも同じような論文ですが、Circulationで大人はRCMDCMで差がないというデータです。American Journal Cardiologyでも、これもRCMの子供はDCMと差があるというデータが出ております。そういったことで、その下にありますが、大阪大学でこれまで、1994年以降20年間にわたり、23例の心臓移植適応と判定したRCMの子供さんがいらっしゃいますが、実はRCMと言っても2種類の疾患群に分かれるものですから、それを分けて検討させていただいています。

1つ目は、いわゆる特発性心筋症で、普通に育っていた子供さんが、だんだん心臓が硬くなってRCMになったというもので、医学的に言えば両心房の拡大、左室のサイズは正常範囲内で、収縮機能も保たれているけれども拡張機能が悪いという群が19人です。

 先天性のRCMというのは、左心低形成に非常に似ていますが、大動脈球は細くないということと僧帽弁が閉じていないという意味で、違う疾患群と考えられる、左室の形成不全症を伴うRCMということになります。

 診断時の年齢は、当然、先天性のほうは小さくなりますので、ほとんどが全て1歳未満ということになります。この多くの症例がどういった診断時の症状かということですが、1歳未満の子供さんは、3ページの下に書いてありますが、心不全症状で見つかることが多いのですが、6歳を超えてくると偶然発見されることがあるというのが特徴です。

4ページのスライドは、そのときの血行動態を書いておりますが、どちらの群も、診断時にはBNPが高く、肺動脈圧も比較的高い状態です。肺血管抵抗としては34ということですので、ほかの疾患群と比べるとやや高いということになります。

 次のスライドが、やはりその中で非常にPVRの高い、6を超える疾患群があり、この2例は心肺同時移植の適用ということになりまして、実はスライド図の上の方の点が、日本で実際に心肺同時移植を受けております。

 次が、その患者さんの予後です。診断時年齢に分けて書いておりますが、診断時年齢が6歳未満の者が多く移植になっているか、心不全などで亡くなっていることが多いということになります。診断時年齢が6歳以上の症例は2人亡くなって、4例が移植をしているという結果です。そういったものを全部混ぜておりますが、移植を受けられなかった症例の予後は、ここに書かせていただいてように、2年でほぼ全員亡くなってしまうということで、この疾患群は、移植を受けられないと亡くなってしまう。それに比べて、移植例は13例中2例亡くなっていますが、すごく予後が良いということで、移植を受けた場合と、受けなかった場合の予後が大きく違うということを出させていただきました。発表者の高橋先生がまだ論文にしておりませんので、申し訳ございませんが、まだ論文にはなっておりません。これが1つ目です。

 もう1つの参考資料3、本日討論すべきこととしまして、拡張型心筋症のStatus2をどう扱うかを考える際に根拠となる資料です。DCMStatus2の患者が循環遮断に陥ったときに、小さい子供の場合はEXCORしか載せるものがありませんので、このEXCORの臨床的意義についても少し検討いただいたほうがいいだろうということで、アメリカで行われた204例のデータについてのまとめをここに示させていただいております。これはAのグラフを見ていただいたらお分かりだと思いますが、緑の線が生きている率ですが、心臓移植をしたか、死んだかというのがこのラインです。6か月たったところでほとんど全員、移植したか、亡くなっているという状態で、見ていただいたら分かりますように、紫が移植をした群ですが、大体6か月以内に、移植を受けられる人は受けられているということ、この症例たちが生き残ったということでして、6か月以内にもし移植ができないのであれば亡くなる確率が非常に高いものであろうと想像ができます。

 次のスライドは、更にもっと状態が悪い症例で、両側の心室にEXCORを必要とした症例が76例ありますが、そちらのほうが予後が悪く、両方合わせてEXCOR装着後、移植若しくは離脱できない症例は200日以内にほぼ死亡していたということで、78か月ぐらいまでの間に移植に至らないと死亡するという意味合いでは、Status2で急に循環遮断に陥ってEXCORが付いた症例も決して予後がいいわけではない。日本でドナーが少なく、結局、日本で付けたEXCORの多くの子が海外に行って移植をしている現状を考えますと、Status2の拡張型心筋症もある程度のウェートを与えたほうがいいのではないかということで提示させていただきました。以上です。

○北村班長 ありがとうございました。何か御質問はありますか。これは次の中西先生からの御報告で、同等の追加がありますので、引き続いてお伺いしてよろしいですか。特に今、福嶌先生のほうに御質問はよろしいですか。

 それでは、中西先生のほうから参考資料4に基づいて、小児心筋症の予後調査について御発表をお願いします。

○中西班員 参考資料41ページは、今まで出てきた論文、アメリカの3,000何例かのまとめです。Aが死亡です。この直線がRCM、一番上の一番いいのがHCM、その真ん中がDCMです。BTransplantで、やはり一番下がRCM、真ん中がDCM、一番上がHCMです。Cが死亡ないしTransplantということで、5年で、最終的にはRCM20%ぐらい、DCMが年が至るにつれてだんだん落ちていく、HCMは比較的良いけれども最近は80%ぐらいというところだと思います。これはアメリカの18歳未満のデータです。DCMに限ると14年で42%、RCM20%、HCM80%というデータです。

2ページは、平成25年から平成27年までの厚労省の科学研究費を頂いて、711例の18歳未満の症例を集計しました。まずはDCMのデータですが、5年で65%、10年で60%ということで、これは上がその全年齢のまとめです。その下が年齢別になって、「20歳」と書いていますが「18歳未満」の間違いです。これも統計的に有意差はなくて、ほぼ全年齢同じように落ちていくということで、結論的には5年で65%、10年で60%というデータです。これがDCMの全体像です。

3ページが、上が死亡の回避率、その下が移植の回避率ということで、米国との大きな違いは、死亡のほうが率がどんどんカーブが下がっていっている。移植の回避率は下がりが少ないということで、いかに移植が少ないかということを表していると思います。ただ、移植ないし死亡というトータルでいくと、アメリカと変わらないというデータだと思います。ほぼ同じか、日本のほうが若干良いかというぐらいのデータです。

 今回のデータは小児に限っての集計で、成人と比べるという意図がなかったものですから、4ページに今まで行われた我が国での厚労省科学研究費報告ということで、これは2008年に三浦先生が報告されていて、これでいくと60歳以上が少し悪いですが、大体、5年生存率が80%強ぐらいのところで、成人と小児を比べると、2つの違うデータですが、小児のほうが悪いというデータです。以上がDCMのデータです。

5ページはRCMです。全体でいくと、54例からスタートして、5年で40%まで下がるというデータです。年齢が、下の年齢別ですが、数が少なくなってくるものですから、随分ばらばらになってしまって、緑で書いてある5歳未満などは5年で15%ぐらいまで下がるということで、非常に悪いですが、逆に1歳未満は90%ぐらい生きているなどというのがあって、年齢別の信頼性は、数が少ないゆえに余り言えないかなと思います。

6ページです。死亡と移植とに分けますと、RCMに限っては結構移植をされているのです。渡航移植をされていて、これは、今、福嶌先生が言われたように、RCMが悪いということで、積極的に渡航移植の方向に進んだという結果ではないかと類推しています。結構移植されています。そうは言っても、全体でいくとRCMは悪いというデータです。成人のRCMはどうかというと、最近の成人のRCMに限ってのデータがなかったものですから、少し古くなりますが厚労省の1990年の報告で、しかも全年齢ということで、成人と言えないと思いますが、このデータでは10年近くで38%の死亡率だったというデータがあります。日本には余り良いデータがなかったのでアメリカのデータを見ますと、5年で生存率が64%ということで、やはりRCMについても小児のほうが予後は悪いと言えると思います。

8ページはHCMに関してです。これはかなり予後は良くて、小児では10年で90%の生存率。年齢による差はない。次の9ページですが、死亡もやはり95%ということ。小児の移植はありません。成人のデータは1983年、随分古いですが、5年の生存率が92%、10年で82%と報告されていました。ほぼ、小児も成人もかなり予後が良いのではないかというところだと思います。余り差はないようなデータです。

 今回の調査の概要ですが、我が国の小児のDCMRCMHCMの経過は、死亡プラス移植というのをend-pointにすれば、米国とほぼ同じである。死亡をend-pointにすれば、我が国の小児のDCMRCMの経過はUSAより悪い。我が国の移植例が少ないということ。移植をすれば生存すると仮定すれば、もちろん亡くなる方はおられるのですが、我が国の小児のDCMRCMの予後は、米国より悪い可能性があると言えると思います。小児のDCMRCMの予後は、成人より悪い可能性があるということが言えると思います。

 本日の命題の1つである小児のStatus1Status2と、成人のStatus1Status2、それぞれの比較ということで、先ほど日循からのデータがありましたが、米国からの報告では、Aの小児のデータでは、これはStatus11A1B2と分けてあります。Status1Aurgent caseということで、補助循環装置が入っているような症例をStatus1Aということにしています。そういうふうに1A1B2に分けると、小児でいくと1Aは青ですが、これが6か月までのデータで、これが一番予後が悪い。Status1BStatus2は有意差はなかったという報告です。それでもやはり、78割ぐらいまでは落ちるということです。

 その下の成人のデータですが、これも上の半年と比べると0.5の所を見ていただくと、やはりStatus1Aが悪くて、半分ぐらい亡くなられる。Status1B30%近く。これは私が計算したものですが、小児はStatus1A40%、成人が48%、Status1Bでは小児が65%、成人が72.5%。Status2でいくと、小児が80%、成人が97%ということで、小児が概して悪いわけですが、小児のStatus280%ですので、そうすると成人のStatus1AStatus1Bと比べても、成人のStatus1よりも悪いと言うことはできないのではないか。このデータはそういうデータだと思います。

 ということで、今回行いました調査の報告と、Status1Status2との考察ということで、述べさせていただきました。以上です。

○北村班長 ありがとうございました。ただいまの中西班員からの説明に対して御質問、御意見等はありますか。

○福嶌班員 先生の班研究でされている拡張型心筋症、拘束型心筋症の、これは移植適応になった患者ですか。

○中西班員 違います。

○福嶌班員 違うのですよね。ですから、これは本日の他の検討資料と比べた場合、かなり違っている因子が入っていますよね。

○中西班員 そうです。

○福嶌班員 それが1つと、もう1つは、最後のスライドですが、これは6か月前で一気に生存率がStatus2は落ちるのですね。ですから、Status2のこの生存率は、多分、6か月は50%だと思うのですが。

○中西班員 小児で。

○福嶌班員 はい。これは、多分そういう結果になる。5か月ぐらいでドーンと落ちるというのが子供の特徴ですので、これは、それを表しているものであって、6か月の生存率80%ではなく、これは緑の線ですから40%というのが、多分、答えだと思うのですが。ですから、1年待てないというのが、多分、Status2でも子供なのだということが言えると、私はこのスライドを見て思うのですが、いかがでしょうか。

○中西班員 そうですね。往々にしてこのカプランマイヤーで下に落ちる所がありますよね。

○福嶌班員 はい。

○中西班員 一番最後まで落ちて、もう少しあるとデータ的にあれですが。

○福嶌班員 というのは、Status2がアメリカで移植に当たるのに、大体4か月か6か月かかるのです。ですから、そこでボンと減るということになりますので、それよりも前で取ってしまうと、ほとんど当たってもこないし、亡くなりもしないという変な格好のカーブになるので、ちょっとその辺りをできたら1年ぐらいで評価していただいたほうが。

○中西班員 ちょうどここの所は落ちているので。

○福嶌班員 そうなのです。

○中西班員 6か月というのを。

○福嶌班員 切るのはちょっとあれで、できたら1年で生存率の比較を見直していただきたいと。

○中西班員 データを見たいところですけれどもね。

○福嶌班員 そうです。

○小野班員 今、福嶌先生が御質問されたCirculation2009年のペーパーのこのカプランマイヤーカーブのprobability of survivalと書いていますが、これは移植はどういう扱いになっているのですか。これは打切りになっているのですか。

○中西班員 このデータに関しては移植は入っていません。

○福嶌班員 mortalityだけ。

○中西班員 はい。

○小野班員 mortalityのみ。そうすると、移植の場合は打切り、センサーされているのですか。

○中西班員 いいえ、これはestimated survivalなので、移植は考慮されていないデータだと思います。

○福嶌班員 だから打切りになっているということですよね

○小野班員 打切りということですよね。

○中西班員 そうです。

○福嶌班員 そこまでは行っていたということで、その後は見ないということですね。

○中西班員 そうです。

○福嶌班員 ですから、Status2はこんな感じのカーブに多分なるのだと思うのですが。

○小野班員 私もそうだとは思ったので、一応、確認で、両方が入っていると、ちょっとまた変なので。

○福嶌班員 両方入ると、これはどんどん、多分下がっていくと思います。

○小野班員 そうですね。もっと下がると思います。

○北村班長 布田先生の所のend-pointも、移植あるいは死亡となっていますよね。

○布田班員 はい。

○北村班長 その移植の取扱いは、そこで打切りですか。

○布田班員 それでend-pointとしています。

○北村班長 打ち切ったので、その時点で症例から省かれていくと。

○布田班員 はい、そこでend-pointとしています。

○北村班長 だから、1年目に移植を受ければ、1年までのデータが生きていて、1年後のデータはもう消えていく、その症例から省かれているという形でよろしいですか。

○布田班員 そういう形になります。

○小野班員 最初の資料の、布田先生が発表されたのは、移植は死亡と同等に扱っています。

○布田班員 そうです。

○小野班員 打切りではなくて、end-pointになっていますので、だから非打切りです。

○北村班長 そうしたら、死亡という観点だけから考えたら。

○福嶌班員 それはデータがないので分からないです。移植できなかった症例だけの生存率を挙げれば一番はっきりしますが、それは出ていないと思います。

○北村班長 難しい解釈ですね。

○福嶌班員 ですから、そういう意味合いで、私のもので移植できなかった人の死亡率を出させていただいたのは、そういうデータがないので、あえてそういうスライドでRCMで解析したということになります。

○北村班長 布田先生のものは、移植をもって打切りになっているのではないのですか。

○福嶌班員 非打切り。

○布田班員 移植と死亡と同じ取り扱いです。

○福嶌班員 だから、end-pointということですから。

○北村班長 移植したときは、もう死亡と同じ取り扱いになっているわけですね。

○布田班員 はい。

○北村班長 そうしたら、異常に死亡率が落ちている可能性はやはりあるわけですか。

○布田班員 移植を死亡と同等に見ていますので。

○北村班長 現実はもう少し良いと。

○福嶌班員 生きていると思います。

○小野班員 つまり、ある意味、自己心の生存率みたいなイメージです。

○北村班長 自己心の生存率。

○小野班員 VADが付いても、またちょっと違うかもしれませんが。

○北村班長 人間ではなくて、心臓の生存率と考えているという形になるのか。

○福嶌班員 だから、Status2RCMの子は、日循の判定をもらったら3か月以内に、大体、渡米しますので、それで1年以内に移植をしてしまうので、そういった子らが死亡の扱いになりますから予後が悪く見えるというのが、多分、日循の結果だと思うのです。

○布田班員 そのことも考えまして、渡航移植を省いたものを解析しています。その結果ですと、小児のStatus2と成人のStatus1の間には有意差がなくなります。それは、裏返してみれば、小児の渡航しなかった方のStatus2は、成人のStatus1と同等の悪さであるということを意味しています。

○福嶌班員 それぐらいが、多分本当の数字だろうとは思います。

○布田班員 渡航してしまうと、やはり日本よりも少し早く移植されるのではないかなというところで、今、お話ししましたデータを出してみたわけです。

○北村班長 ただいまの中西先生からの御報告をもちまして、さて、この委員会で、臓器提供の小児の場合のドナーの取扱いについてどのようにするかということで審議に入らせていただきたいと思います。

 今までの外国のデータ並びに我が国の御発表いただいたデータ等も踏まえまして、小児からの提供の心臓を小児に優先的にする。そのためには、小児でない、18歳以上の人たちのStatus1よりも、Status12とも優先させると。しかし、小児の中には、先ほど田中補佐から御説明がありましたように、小児のStatus1の下にStatus2を置いて優先させるか、あるいは、特に議論になりました人工心臓が導入されましたが、非常に使用しにくいRCMという疾患群に対して優先的にStatus1と同等に見なすということで、小児の中においてもStatus1群のほうに取り込ませると。いろいろな考え方の案をお示しいただいておりますが、その根拠となる科学的な事実から、社会的には小児の提供者は、小児の心臓移植に使っていただいたほうがうれしいと。そして、小児から小児への移植は、世界的に見ても、ヨーロッパはrecommendする。アメリカも書類上は日本の現状と一緒になっていますが、多くが提供されている。現状の我が国を見ますと、小児からの提供は、なぜかというか、ほとんどが小児に提供されてきている現実があるわけです。

 その中で、これを指針として、ガイドラインとして明白化して、選択基準を変えていくかということについて、皆さんの御意見を頂きたいのですが。本日の御報告の中で、まず大きくは、やはり小児全般を捉えて、先ほどのデータにありましたように、RCMは少ないので、どうしてもDCMも混ざったデータで見ても、成人よりも小児の死亡率のほうが高いのではないかということ。それについて、フォローアップ機関の問題も小野班員から指摘されましたが、そういう現実があるし、外国論文にもそれをサポートするデータは少なくはないと。

 一方、成人におけるStatus2を飛び越せるだけの意義付けは、今も必ずしも明確ではないのかもしれませんが、社会事情的には小児から小児という状況が求められているということ。

 一方、ここは心臓移植だけについて考えればいいのですが、そういうところが他臓器の移植においても小児から小児ということが優先されていくのに影響を与えることも考えられます。そういう諸般の事情を含めて、今の科学的データの中からどのように皆さんは判断されるか、お伺いさせていただきたいと思うのです。

○中西班員 小野先生に質問です。もしBerlin Heartが認可されたら、先ほどからの背景などでRCMには使いにくいのではないかということがありましたが、それはどうですか。

○小野班員 私個人というよりは、今後の補助人工治療関連学会協議会等で最終的な適応を決めていくというか、それは既に相談をしていますが、基本的には排除すべきではないということだと思っています。

 先ほど福嶌先生がBerlin Heart204例のアーモンドの発表、Circulationのものを出していただいたのですが、これは治験を含む全体の中の、いわゆるリアルワールドのデータなのです。そうすると、この中には単心室系のものも入っていますし、拘束型心筋症も入っている治験です。ただ、治験では単心室型とかRCMは除外されているので、非常にいい成績になるのです。

 ですから、リアルワールドだと、ある程度は落ちるけれども、それなりの成績は維持できているということでもあります。日本の中で、Berlin Heartでそれなりのいい成績を担保することは大事だとは思いますが、やはりそれよりは医療の均てん性を確保するという意味で、これは私個人の意見になってしまいますが、排除すべきではないと思いますし、そのように先生方とも最終的な適応の御議論は詰めていきたいとは思っています。

○中西班員 私の質問は、RCMに対してBerlin Heartを装着する。

○福嶌班員 私がお答えしたほうがいいかなと思います。我々が経験したRCM25例でBerlin Heartを入れられるような症例はありませんでした。1例だけ、LA脱血をした症例はありますが、心尖が小さいですから、心室には脱血管が入りません。ですから、RCMの子には全部入れられないと考えていいと思います。そういった子が心臓移植の適応になると言ったほうが正しいですけれども。

 いくら小さくても径がありますので、心尖を放り込んでしまうと、もう吸い付いてしまって全然脱血できないのです。ですから、LAに脱血管を入れないといけないようになります。そうしますと、当然血栓が多くなって、昔のLA typeNIPRO-LVASの成績になりますから、すごく悪くなってしまいます。ですから、私は拘束型心筋症は人工心臓は付けられないと考えています。

○中西班員 それは文献的というか。

○福嶌班員 経験的にできないです。

○中西班員 経験は大切ですが、文献的にはどうですか。

○福嶌班員 文献的には入れていないと思いますが。

○中西班員 RCMに対してBerlin Heartは使えないという記載はあるのですか。

○福嶌班員 使えないというか、実際に外科医として入れられるかどうかの判断ですので、心尖の先の大きさが、その子どもの体に合う脱血管よりも細いわけですから、それを入れろと言われても入れられないわけです。

○中西班員 私が言っているのは、そういうことが教科書に載っているとか。

○福嶌班員 それを踏まえて、EXCORの適応基準から拘束型心筋症を外したわけですよね。

○小野班員 実際の承認の段階では外す予定が。

○福嶌班員 それはそうですが、治験のときに外したのは、ほとんどの例でやられている。

○小野班員 治験の場合に外したのはFDAIDE trialharmonizeするために外したのです。

○福嶌班員 そうです。FDAもそういう考え方で、治験をやったわけですよ。

○小野班員 例えば、先ほど福嶌先生がRCMのタイプのことをお話いただいて、いわゆる成人型に近いタイプの、左室径は多少小さいけれども、心房は拡張するタイプと、いわゆるEFEのような形の本当に拘束的に左室の小さいタイプとあると思うのですが、そういうタイプというのは、心尖のカニューラを入れられないと思うのですが、そうでないタイプのRCMの場合には、いわゆる成人型に近いようなものは入れられると思うのです。

○福嶌班員 体の大きな子はそうだと思います。

○小野班員 もう1つ言えることは、RCMの場合はLVADだけでできないことが多くて、BVADになってしまうことが。拡張障害は両心ともあって、LVADだけでは十分にフローが出なくて、私の経験だとBVADになってしまうという可能性は高いと思います。

○北村班長 参考資料2の補足資料として外国の論文ですが、子供のRCMPhenotypeによる成績が出ていますが、移植をしなければ子供のRCMの予後は悪いという結論です。

RCMHCMと混ざったようなPhenotypeがあるそうですが、それは純粋のRCMよりもよろしいという資料。

 それから、biventricularBerlin Heartを子供に入れているデータが参考資料3の補足資料1の英語の論文が付いています。ここには疾患がRCMとかDCMなどに分けた形で記録はされておりませんね。

○福嶌班員 5ページですが、RCMで死亡した例が4例あると書いてあるのですが、それが全体の25%ですから、16例ぐらいはRCMが付けられているのではないかと思います。

○北村班長 後のほうの論文の5ページの真ん中に表がありますが、そこにCardiac diagnosisというのがあります。DCMが圧倒的に多いですが、Restrictive cardiomyopathyN4とかです。

○福嶌班員 そうですね。それが全体の25%ということですので、多分16例ぐらい付けられていると思います。

 それに対してDCM110例が亡くなっていて、それが15%だとすると、800例ぐらい付けていますので、ほとんどRCMは付けられていないということになるのではないかと思います。

○北村班長 皆さん、移植の現場におられて、子供の移植の場合に、まずは成人のStatus1と子供のStatus2とは生存率が変わらないというデータがはっきりあると、布田先生がそういう旨を御報告になりましたが、そうするとRCMに限って特別的に考えたいと思われますか。それとも先ほどの中西先生のデータによると、一番多いのがDCMで、そのDCMを含めても小児の移植が必要と判断された患者はStatus1Status2もともに、小児においては悪い。問題は多少あるにしても、布田先生の御報告でも小児のほうが一般的に悪いという報告がありましたが、皆さんのお考えとしてはどの方向に、小児から小児の優先を位置付けてあげれば、ドナー側もレシピエント側も、公平性を保ちながら科学的に意義付けができていくのかというところで、皆さんの御意見を1人ずつ伺ってよろしいでしょうか。手を挙げてもらうとなると、なかなか手を挙げられる人も少なくなってくるかもしれませんので。

 まず、どの方向性で進むか、方向性についての皆さんの意見を確かめたいと思います。それから、小児全体的に考えるべきであるというのか、まずは小児の中でも、確かに小さければ人工心臓が適応されない、大人になってくればRCMも変わってくるようですし、子供のRCMに特に特化すべきであると考えるか。ただ、症例数が多くはないのは事実です。そのために特別に変える必要が、どこまであるのか。そうすれば小児全般で変えるべきか、科学的根拠がなければいけないのですが、その辺りのお考えを、では福嶌先生からお伺いできますか。

○福嶌班員 1つはRCMなのですが、私ども大阪大学の25例を出させていただきましたが、心臓移植がほぼ適応だと決まった症例は、日本全体で40例ぐらいあるのですが、非常に予後が悪いですし、アメリカのこのデータは152例出ていますが、登録された患者のうち20数例は日本から送った患者がここに含まれていて、予後は更に悪くしています。

 だから、非常に日本に固有の疾患であるというところもあり、Status2では絶対に移植できないという日本の環境の中で、海外に送り続けるのかということを含めて、社会的な意味合いも考えますと、私はRCMは優先していくべきだろうと考えています。

 それと、もう1つのDCMについてですが、体重が30kgあれば埋込型が入れられるので、決して大人と比べて予後は悪くはないのだと思います。ですから、そこにもう1つ線を引くのかどうかというのが1つのポイントですが、30kgを切るような子供の場合は体外式しかありませんので、たとえStatus2でもStatus1でカテコラミンに依存している子でも、次のステップが体外式しかないという意味で、急いであげるべきなのではないかと考えます。

○北村班長 まずはRCMでどうかという御意見と理解してよろしいですか。

○福嶌班員 そうですね。DCMも優先はしてあげてほしいのですが、そういうことです。

○北村班長 皆さんのお手元にある参考資料5「国内の心臓移植の現状報告」の9ページに、「国内小児心臓移植(N14)」というのがありますが、その中では拘束型心筋症が1なのです。ところが、11ページを見ていただきますと、「小児海外渡航心臓移植(N104)」を見ると、拘束型心筋症が26あるわけです。ですから、多くは海外への渡航に急がれているという現状はあるのかもしれませんね。

DCMと比べて、国内では10分の1ですが、海外へは3分の1以上、4割近くを拘束型が占めていますね。

○福嶌班員 しかも、9ページの1例は10歳代のRCMですので、小さな子供のRCM1例も受けられていないという現状です。

○北村班長 それでは布田先生はいかがお考えですか。

○布田班員 私自身の意見としましては、まだ小児の例数がそれほど多くないというので、統計的に難しいと思うのですが、小児の場合は治療の手段が限られていることもあり、日循のデータでも小児Status2と成人のStatus1が大体同じぐらいの予後というデータより、ドナー家族の心情を考えますと、生存権という理由で小児Status1の対象患者がいない場合にStatus160歳まで成人に広げるというよりは、やはり小児ドナーは小児に移植したほうが良いのではないかと思います。

 なお、RCMDCMよりも優先するというのはなかなか難しいと思います。結論としてStatus2を成人のStatus1より優先させるということの方がよろしいのではないかと思っております。

○北村班長 そのときは小児のStatus2は小児のStatus1の後でよろしいか。

○布田班員 後でよろしいと思います。

○北村班長 福嶌先生は、RCMは診断の付いたところでStatus1と同等にすると。

○福嶌班員 それは後でいいと思います。Status1が全部あって、それからStatus2でいいと思います。EXCORに載っている子供がいたとしたら、そちらを優先してあげないと、多分助けられないと思いますので、Status1の子供はRCMよりも前ということでいいかなと思います。

○布田班員 日循に申請された例で、移植されない18歳未満のRCM7例あります。そのカプラン・マイヤー曲線では、約1,000日で20%ぐらいまで生存が低下してしまいます。

 ですから、RCMの予後は悪いのですが、Nがたった7例しかないということです。その判断をきちんとするには症例数が少ないと思います。DCMも同じかもしれません。

○北村班長 中西先生、いかがでしょうか。

○中西班員 RCMは置いておいて、全般的に言えば小児のStatus2と成人のStatus1を比べると、小児のStatus2が悪いということは言えないと思うのですが、1つは補助人工心臓の体外式、植込型は植えられない方がおられるということと、今は小児に対するドナーが少ないということを考えると。3つ目は、例えばBerlin HeartDCMに関してもBerlin Heartを認可の後は入れていかれるわけですが、それが全部海外に行ってしまうということになると国際的な問題になるということもあるし、そういうことを考えると、小児のドナーというのは、やはり小児に行く、Statusを超えてでも行くという必要性があるのではないか。医学的には、RCMを除いた大きな根拠はないかと思いますが、社会的な状況を考えると、Statusを超えていくべきだと思います。

○北村班長 小野先生。

○小野班員 先ほど布田先生から御発表のあったデータは、多少データの計算の間違いがあったようですが、おおむね私自身、東大の患者を診ている印象からいっても、そんなに間違っているものではないだろうと感じております。

 そういった意味で、先ほど布田先生がおっしゃったように、小児のStatus2は成人のStatus1とほぼ同等ぐらいの予後であるというのは、現状を反映していると思いますし、今後小児のドナーを増やしていく、いわゆる社会的なmovementを推進する上でも、小児は小児へというのを優先的に決めたほうがいいだろうと。これは前回にも私が申し上げましたが、そのように思いますので、私の意見としては小児のドナーが出た場合に、小児のStatus1、次は小児のStatus2、それから成人とするのがいいのではないかと考えます。

○北村班長 齋木先生はいかがでしょうか。

○齋木班員 今日は3人の先生から非常に膨大なデータの解析、長期にわたる臨床経過のまとめを報告していただき、非常に感謝しています。

 私は3人の先生方のデータから、小児の心筋症の患者の予後が成人より悪いということは、ほぼ科学的にしっかりと証明されたのではないかと感じました。前回の会では、小児のほうが悪いというのは経験論的であったり、概念的である印象があったわけですが、今回はしっかりとしたデータを幾つも重ねていただいたと思います。

 したがって、それが小児を優先させる根拠にはなり得るだろうと思います。もともと成人のほうは、重症とはいえ代替手段があって、しかも小児に比べて重症度は少し低くなる。一方で小児のほうは、移植対象者数が少なく、かつ重症度が高い。そういう状況下に小児のドナーが現われたときの話をしていますので、大人のドナーを小児に持っていくということではないのですから、小児のドナーが出た少ない貴重な機会は、必ず小児のほうに生かしてやるというのがフェアではないかと思いました。

 それから、RCMに関しては、私も間違いなく臨床上は最も重症であると感じています。ですから、私もその方々を優先的に移植してあげたいという気持ちにはなりますが、それを優先させるということをこの段階で決めるとなると、今までにない新しい概念を持ち込むということになると思うのです。すなわち、疾患あるいは病態で優先順位を変えるというのは、今まではしてこなかったことだと思うのです。

 つまり、それぞれの施設では、VADは付いているけれどもいろいろな合併症があって、例えばdrivelineが感染で劣悪な状態になって、どうしても移植を急いであげたいと考えられる状況、これも重症度の高い病態ですが、決してそういった方を優先させるルールというのはこれまでなかったのです。ですから、今回初めて疾患を優先させるというのを導入するとなると、結構大掛かりな準備が必要かと思いました。

 例えば肥大型心筋症は、診断確立時からの経過を見れば予後がいいということになりますが、先ほど福嶌先生もおっしゃったように、移植に至るような本当の重症になった方、その中でも本当に末期状態に陥った方は、拡張層の肥大型心筋症の中でも非常に予後が悪いと言えると思います。私たちの単一施設での経験ですが、データを見ますと、成人の中でも拡張型心筋症と肥大型心筋症の予後を比べると、VADを装着した術後経過にものすごい差が出て、明らかに拡張相の肥大型心筋症が悪いというデータがあります。もしここでRCMの人を優先するとなると、今度は今述べたようなdHCMの人たちが、私も優先させてくれというようなことを言われたときに、それを否定するような説明をしづらくなるということもあり、単一疾患だけに限ると問題が出るかなと思います。

 もう1点は、日本のRCMの比率を見ますと外国よりは確かに多くて、日循の資料をざっと見て計算しますと小児の中でも16%ぐらいで、アメリカの6%に比べると多いのですが、全体的に見ますとまだまだ少ない。RCMに小児優先を適用すると、残りの84%の人が、このままだと報われないことになるので、やはり小児全体を救うためには特定の疾患を限定しないほうがいいかなというのが私の印象です。

○北村班長 それでは中谷先生。

○中谷班員 今日の議論には上がってきていないのですが、小児のドナーの特性として、大人のドナーとの大きな違いである体格、特に10歳以下とすると全く大人には合わない。それらも十把一絡げの形で、Status1Status2の順で意思を確認するのが、現在の状態です。やはり体格も考慮に入れる必要があるのと考えます。

 ここで大きな問題になるのは、18歳前後の人たちをどうするかということだと思います。

 それに対しては、今回示された日循のデータで、18歳で区分して明らかに差があるとなっています。現在疑義がでている点ははっきりさせることが、最後に必要になるとは思うのですが、一応この結果からは、レシピエントサイドというか、候補者の立場からいっても、18歳未満のStatus2と大人のStatus1と、ほぼ差がない、ないしは小児のStatus2が少し悪いぐらいということになってくると、レシピエントのサイドからいっても、18歳未満で小児を優先するということが科学的にも問題がないということであれば、体格面も大人と違っているということも加味したら、まずは18歳未満のドナーに関しては18歳未満の候補者に優先させるのでよいと考えます。

 その中でStatus1Status2はどうするかですが、これに関しては、まず従来どおりのコンセプトでやらざるを得ないと考えます。それで、小児でもStatus2で待っていたら、チャンスがあり得るということがまず確立されるべきです。その上で、やはり拘束型を優先すべきと考えるかは、次のステップでやるべき現状だと思います。

 だから、現状では18歳未満のドナーに対しては18歳未満のレシピエント候補で、まず検討して、その上で、もしなければ18歳以上の成人で検討するという形に持っていくのが、一番受け入れやすいと思います。サポートするデータとして、一番決め手となり得るのは日循のデータになると思うので、先ほど議論になった点だけはクリアしてほしいのですが、それさえなれば問題ないと思うのです。

○北村班長 福嶌先生も小児から小児と、普遍的にできるのであれば、それに越したことはないというお考えだと想像しますが、それでよろしいですか。

○福嶌班員 はい。

○北村班長 現実として、18歳以下の提供は現在はまだまだ少ない。しかしながら、ドナーの方も18歳未満のレシピエントに全てがわたっているわけです。Status2の方も1例含めてです。ということは、社会的には、そういうコンセンサスが移植施設にも、社会的にも、ある程度根底にあるのだろうと思います。

 その中で、今、中谷先生も指摘された、そうすると19歳以上の方々に対する影響はどのようなものか。子供から子供へということをしてほしいということを、臓器移植検討委員会、上の会議に上げた場合に、その影響はどのようなものか、不公平感がそれ以上の年齢層に生じるのではないか。

 一方、年齢も最初のテーマに上がっていましたが、18歳で切らずに、もっと低い年齢層で切ってはどうかという意見も、言い出したらきりがないところなのですが、今のところアメリカのデータも参考にしておりますので、18歳という年齢をこの場で変えて、例えば5歳以下のRCMに限ろうということは、余りにも科学的根拠がなさすぎるということになりますので、一応18歳で成人と子供を分けるという、このままの方針は続行してよろしいですか。

(異議なし)

○北村班長 そうしますと、これを19歳以上の人に対してどのような影響が生じるか、結果的に言えば、猶予期間を設けて、待っている19歳以上の人が移植が終了する時期までずらすべきではないかという考え方に対して、実際のデータに基づいてどうかということを、一応厚生労働省室長のほうも検討していただいているようですので、室長からお話いただけますか。

○阿萬室長 その前に、今、先生方が議論されていることについて、我々事務方としては少し別の観点で整理ができればと思っている部分があります。それは何かと申しますと、先生方は「小児から小児へ」という形で御議論されているかと思いますが、先生方の御主張を伺っていると、小児の心臓だからという理由で小児に提供すべきだというお話よりは、やはり小児で心臓移植が必要な方々というのはStatus1Status2に限らず予後も悪く、素人的な言い方をしますと、より早く移植ができるようにしてあげる必要があると。ある意味レシピエント側の事情ということで言われているとお見受けします。

何を申し上げたいかと言いますと、「小児の心臓であるから小児へ」ということになると、それは医学的判断というよりも、ある意味社会的、または価値判断、あるいは哲学的な話になってきますので、慎重な議論が必要になってくる部分があろうかと思います。

 一方で、小児のレシピエントの方については、Status1Status2関係なく予後が18歳以上の大人の方よりも悪いので、そういう方々に優先的に心臓が提供されるようにすべきであるという前提に立つと、例えば、ここから先は先生方は議論されていないことなので私が勝手に申し上げますと、それを突き詰めると、例えば18歳以上のドナーの方からも小児へ優先すべきだという話にも、理論的に言うとなり得る話ですが、それはやらないと。なぜかと言うと、ある程度、そこは今の枠組みに沿って考えると、小児のドナーからの提供については小児のレシピエントに優先する形になると。さらにその中で、18歳未満のStatus2の方をStatus118歳以上の方よりも優先するということで議論されているとお見受けしました。

そういう前提での議論として理解させていただければ良いのであれば、我々とすると猶予措値そのものは実は余り必要は無ないのではかと思っております。なぜ猶予措値が必要になるかということを考えますと、例えば変更によりまして大きな影響が予想されて、かつ、変更前のルールの適用があった方を保護する必要がどれぐらいあるかというところの判断が出てくるわけです。

 まず1つあるのが、少なくとも今回の変更については18歳未満のドナーの方に限られる措置ということであれば、まずトータルの件数に対する割合は非常に小さいということもあるので、定量的な意味での影響はそんなに大きくはないと考えられることが1点です。

 次に、先ほど私が前提として申し上げたように、「小児ドナーの提供だからこそ小児レシピエントを優先する」という話であると、それは医学的判断というよりも、これは価値判断が入ってくることになり、哲学の問題ということになりますので、それは変更前の条件が適用されている方を保護しなければいけないという要請は強くなると思います。ただ、今の先生方の御議論を拝見すると、基本的には移植を受ける必要性の緊急度が、小児の方は緊急的に心臓を移植する必要があるからだと考えておりますので、そう考えると、ある意味、新たな知見により移植を受ける緊急度の判断が更新されたということになると思います。そういうことであれば、猶予措置の必要性はそんなにはないのかなとも思います。

 また、3つ目は蛇足ですが、そもそもの前提として申し上げますと、臓器提供の数自体が今後そんなに変わらないことを前提とした議論に恐らくなっていると思います。移植の数が変わらないことを前提にその取り合いにどうなるかという話になるかと思いますが、今後、別の話ですが、臓器提供施設の負担軽減などもいろいろ進めている中で、恐らく今後臓器提供数及び心臓移植の件数は増えていくだろうという見通しは持っているところです。そう考えると、絶対的な意味で、ある方が移植を受けようと思ったが受けられなかったかどうかという意味での、個人個人の方の影響で言うとそんなに大きくないというか、少し減ってくるということもありますので、トータルで考えると、猶予措置ということまでは必要ないかと今思っているところです。

 なお、先ほど田中のほうからも少し申し上げましたが、実際の年齢の基準がJOTへの登録時ということになります。ということは、登録するときの手続きの関係ももう少し精査して、そのときに例えば18歳直前で申請をして、18歳を超えてから正式に受理になった場合はどうするのかとか、そういう細かい話はいろいろありますが、そこはJOTと最終調整をしますのでお任せいただければと思います。そのような、本当に事務的な話を除いたほかは、特段の経過措置という話にはしなくてもいいのではないかと、我々のほうとしては思っているところです。また御議論を頂ければと思います。

○福嶌班員 18歳未満で紹介された患者は、18歳未満の内に登録するというのは私たちの務めですので、そのタイミングで遅れるようなことは、もちろん1日しかなかったらそれはれ無理だと思いますが、1か月ぐらい余裕があれば、まず間違いなく18歳未満で登録はさせていただいていると思います。

 あともう1つは、今既に19歳になっている方でも、その方が17歳で登録されていたら、きっちりその人たちは優先されるということですから、猶予措置は特に私はいらないのではないかと思うのですが。そういうふうな患者さんに対するインフォームド・コンセントも、登録の時点の年齢が優先されるということでずっとやってきていますので、それがStatus2に延びるということは、実は今待っている人も猶予されることになるので優位になるわけですから、メリットは十分にあるのかとは思っております。

○北村班長 厚生労働省としても一番懸念されているのは、小児から小児というのは、子供を救うためには、やはり余命が長い人ということになりますので、その余命の長い心臓提供は生存率を上げると。これはデータがあります。ですから、逆に60歳以上の方の提供を小児に入れた場合の予後というのは、やはり動脈硬化性病変の持込みとかいろいろなことがあって、そもそも移植という医療は若い人に一番結果が良く出てきている。術後の急性期のことは違いますが、遠隔期成績は若い人のほうが長生きするという形があります。ですから、他臓器の移植においても、小児小児がありきという走り方が、厚生労働省としても懸念されているところがあるのかもしれませんが、心臓については、小児の心臓疾患で移植を登録することは人工心臓の合併症も多い……療法も難しいから、特殊な疾患においては人工心臓の装着そのものが難しい。総じて、RCMを先頭にDCMを含めて、死亡率は成人のStatus2よりも劣らない、同じぐらいか、あるいはそれより悪いことが言えるという形の中で、科学的にも小児の提供が出た場合には、小児に与えていくのを優先していこうという形の御意見であろうかと思います。

 ただ、もう1つの会議を通すためにも、是非布田先生にお願いしたいと思うのは、今のフォローアップ期間の問題で、それを精査していただいて、カーブを書き直していただいたときに、やはり同等なことが言えることを確認したいと思うことが1つです。

 それから、Transplantation end-pointではなく、残念ながら移植に到達できなかった、いわゆるオンリストデスのサバイバルカーブが必要ではないか。もし出せるのであれば出してほしい。渡航移植の部分も含めて、渡航移植できなかった、移植にたどり着かなかった子供も何人かいます。そういったものも含めて、小児の渡航移植を7含めてTransplantationend-pointとしないオンリストモータリティのカーブが成人と違うのかと。Status1プラス2で、それが成人の1プラス2よりもはるかに悪いことも1つのサポーティングデータになると思いますので、人工心臓を付けていたら成人のほうはかなりいいと。デスティネーションということさえ言われているところですので、人工心臓のあるなしでは子供は不利です。それは明らかですので、そういうことも含めて、何らか心臓においては小児から小児を全般的に優先すべきであるということをもう一度確認するために、布田先生のデータの解析をお願いしたいと思います。

○布田班員 幾つか考えて検討してみたいと思います。

○北村班長 それは会議が開ければいいですが、できなければ座長とそのデータをお持ちいただいた布田先生、あるいは御希望の委員の方に厚生労働省に集まっていただいて、もう一度審議の必要ありということでしたらやらせていただいて、正式な形でやる間があるのかどうかは事務局にお任せしたいと思いますが。そのデータは大きくは変わらないとは思いますので、小児から小児の優先という形で科学的理由も心臓についてはありますと。いろいろな臓器でも、小児から小児をどうするかは検討が始まっているともちょっとお伺いしましたが、まだ結論が出ていないこともあろうかと思います。

 それでは、委員会としては小児の心臓移植を必要とする子供たちの予後は、成人の心臓移植を必要とする人たちよりも全般的に悪い。小児のStatus2は、成人のStatus1と同等か、そのぐらいに位置するということで、小児から小児への優先移植とする。表になりますと、指摘されたイメージ1になるのですよね。この中で、RCMStatus1に混ぜ込むかという意見ももちろんあると思いますが、資料25ページになります。やはり、小児というか、18歳未満の中でもStatus1には残すという形で皆さんよろしいですね。

 その中でも数が増えてくれば、RCM1にすべきだということはまた別の機会にしか仕方ありませんし、数が少ないので、現在それを強調するポイントはないような気がします。5ページにあるイメージ図1の形で変更して、作業班としてはしたいということで、全員一致でよろしいですか。

(異議なし)

○北村班長 それでは、この委員会としてはこの案で、小児から小児優先、そして小児の中のStatus11番とし、次にStatus2とし、その次に成人のStatus1を持ってくると。お示しいただいた選択基準変更イメージ1にのっとってやると。そのためにもう少し指摘されたデータ、特に布田先生、磯部先生のデータをもう一度検討していただくと。それをどうするかの取扱いについては厚生労働省のほうで検討していただき、座長あるいはこの中で判断させていただくか、もう一度こういう会議を開いたほうがいいのかを御判断いただきたいと思います。もちろんみんないて、私も意見を言いたいという方がおられましたら案内は出すということにしましょうかね。ただ、こういう公式な形で予定が取れるかどうかはありますが。今、ある程度何か言えますか。

○阿萬室長 事務局からです。一応、次回の臓器移植委員会は恐らく夏ごろに開催をさせていただく形で調整したいと思っております。ということで、お忙しい先生方ばかりですので、それまでにこういう形で集まっていただくということは正直難しいかという気もします。ということで、我々のほうで布田先生、磯部先生のほうからデータをまた頂いて、班長とも御相談させていただいた上で、まずデータを確認して、特段それが先ほどの班の結論と齟齬のないようなデータがきちんとあることを確認した段階で、全員の先生方にメールか何かで、臓器移植委員会にかける改正の案という形で先生方に1回御確認いただいて、それでオーケーという形であればそのまま事務方で引き取らせていただいて、あとは班長と御相談しながら次の委員会に御報告、諮問するという形をとらせていただきます。

 データを御覧になって、やはりもう1回集まる必要があるというお話にもしなるのでしたら、まずこの作業班の中で合意されることが最優先だと思いますので、そのときには次回の臓器移植委員会ではかけるのが難しくなって、その次の臓器移植委員会のほうにまたかけると。臓器移植委員会は夏で終わりではありませんので、その次にかけるということも踏まえつつ、事務局のほうで調整をしたいと思います。

○北村班長 よろしくお願いします。座長から中西先生にできればお願いしたいのは、こうして小児のほうは集めていただいて、目的が成人との比較ではないということでありますので、小児の生存率のデータ、DCMRCMといろいろ分けてありますが、これが布田先生のデータの小児のものと齟齬がないかどうか。大体同じものなのかどうか、どうなのでしょうか。

○小野班員 母集団が結構違います。

○中西班員 結構難しいですね。

○北村班長 やはり小児は成人と比較がないから難しいか。中西先生のデータは疾患別のものですね。

○中西班員 そうです。

○福嶌班員 しかも、適応ではない、βブロッカーが効くようなものも全部入ってますので。

○中西班員 それで、特にRCMというのは、いい人は結構いいのです。この見極めがすごく難しく、リストに載るとこれは当然悪いと。しかし、載らない人で結構いい人もいるのです。そうすると、私のデータが全体像を捉えてしまうので、リストに載った人のRCMと、全体のRCMというのは結構違うのです。

○北村班長 この移植対象の、先生のところは移植対象だし、先生のも移植対象。

○中西班員 載るという場合は1つ、かかるということになります。

○北村班長 病気の重症度のデータと。

○中西班員 全体像ということになります。

○北村班長 何でも診断が付いたら、その診断名に基づいてやっているということですね。比較は難しいですね。

○小野班員 そうそう。座長の意向としては。

○北村班長 何かいかせる方法はないかな。小児から小児へと、特に子供を優先すべきだというものに。その中でもRCMは先生のものでも悪いことは悪そうなのですかね。

○中西班員 そうです。1つはRCM54例と少ないので、頂いた施設にもう1回遡ることはできると思います。そうすれば。

○北村班長 最後の11ページの所に、「短期の比較では、小児Status2が、成人Status1より悪いとは言えない」と書いてありますが、良いとも言えないのですか、良いと言えるのですか。

○中西班員 これは優位というあれが統計ができないのです。

○北村班長 できない。

○中西班員 はい。違うデータベースです。

○福嶌班員 これは先ほども申し上げたように、180日の生存率は実は40%なので、決して良いわけではないのですね。

○中西班員 どこを取るかによって。

○福嶌班員 要するに、それは6か月から1年の間に亡くなる子が多いですから、これは1年で取ると多分予後は大きく差が出てくると思いますので、この結論は私は間違いだと思います。

○中西班員 ですから、どこの点を取るかによってですね。

○福嶌班員 そういうことです。

○中西班員 175日ぐらいを取ればこうなるということなので、非常に言葉的には「半年を越したデータ」というのがないのですよね。

○福嶌班員 越したデータも論文はあると思いますけれども。

○北村班長 それでは今の阿萬室長からの今後の方針等、座長からのお願いを併せて、最終判断と申しますか、最終資料として臓器移植委員会に持っていく資料を検討させていただきます。何人かの方々には御相談申し上げると思いますが、一応、小児の心臓移植においては小児ドナーを小児レシピエントに優先させるということが最も医学的に見て妥当である。それが小児の救命率、あるいは生存率に貢献するところが十分あるという結論を間違いなくできるとは思うのですが、その方向でガイドラインを改訂するという形で、当班会議を終了したいと思います。あと最後に何かありましたらどうぞ。

○田中補佐 本日は御活発な御議論をいただき誠にありがとうございました。本日、先生方にお示しいただきました事項については、事務局にて速やかに準備を進めさせていただきたいと思います。先生方に次回の臓器移植委員会にお諮りできるよう準備をさせていただきたいと思います。また、先生方には御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○小野班員 前回65歳未満に年齢を上げるときに、それがふさわしいかどうか見直すために2年又は移植が200を超えたときにやるということで、今回これが開催されたと記憶しております。

○北村班長 前回はね。

○小野班員 今回も65歳未満についての話はよくて、あとは少し小児の提供の順番を変えるということを今回こういう形でまとまると思うのですが、今後、今回積み残しになった疾患別の優先を考慮すべきかどうかというのは、やはり今後検討していく必要はあるかと思いますので、どのぐらいが適切かどうか一概には言えませんが、例えば2年、あるいは移植が350例になったとか、一定の期間でもう一度こういうものを継続的に検討していく形をするのがいいのではないかと私は思うのですが、いかがですか。

○北村班長 ありがとうございます。

○中谷班員 前回お願いしたところで、齋木先生も少し言われましたが、補助人工心臓の感染症があって、非常に状態が悪いが、今なら心臓移植で対応できる状況であっても、今のところは全く考慮することができません。今回一度検討してみてはどうかということが話に出たと思いますので、急ぐというわけではないですが、今回の小児のことに対応したあと、今、小野先生が言われたことも含めて、今既にそういうことにみんな直面しているところですので、特に緊急度の高い症例の取り扱いに関しての検討は是非していただきたいと思います。

○阿萬室長 我々事務局だけで、なかなか医学的なところも含んだ検討は難しいかと思いますので、是非先生方のほうで、そういう具体的な御提案をいただければ、この作業班の中で先生方に御検討、御議論をいただくためのセッティングというか、そういうことをさせていただくことは当然我々の務めだと思っておりますので、そこは具体的な御提案をお願いできればと思います。それが1点です。

 あと、先ほど小野先生がおっしゃったところについては、まだこれも具体的な臓器移植委員会に諮問する改正案を先生方に御相談させていただくときに併せてお送りしますが、実際のレシピエントの選択基準の中には、最後に「その他」ということで、付則みたいなところで、例えば先ほど小野先生がおっしゃったように、何例、今後やった場合には、また見直しを行うこととするとか、こういうことについて再度見直しを行うみたいな記載する部分はありますので、今御指摘があったような所については、今回、臓器移植委員会に改正案ということで諮問をすることになると、一応区切りとしてはひと区切りつくことになります。今後そういう議論もするのだということを作業班の意思としてきちんと示すために、そこに少し書き加えることはできると思いますので、そこは事務局のほうで案文を考えて、また先生方のほうに御相談をさせていただければと思います。

○中西班員 ユーノスで1A1Bと分けています。日本は12になっていますが、これは何か経過というか、以前そういうことはあったのですか。1にしようみたいな。1Aは作らないみたいな。今の話は1Aでの話ですよね。

○北村班長 そこまでは、提供しても余り。

○中谷班員 1997年の臓器移植法が成立した段階では、アメリカでもStatus12しかなかったのです。米国でそのあと比較的早い段階で、Status11A1Bに分けました。要するにStatus1の中でもさらに緊急性が高いものに対応するという形で出てきたのです。そのとき日本ではまだ症例数が少ないので、それなりに必要はあるなということは思いとしてありましたが、とてもそこまで分ける状況ではないということで、、12のままできているのです。現状では植込型補助心臓による在宅管理が行われるようになり、かなり状況は変わってきています。正にアメリカの1A1Bがいいのかどうか、それは分かりませんが、日本でもそういう意味での検討はすべき時期に来ていると思います。それで前回、小児のあとで是非そういう検討もしていただきたいということでお話していました。小児が終わったらそういうことを考えましょうぐらいの形でしたが、考える時期と思います。

○福嶌班員 臓器提供の数が全然違いますので、向こうのものをそのままとり入れるというのは難しいという判断です。

○北村班長 Aにしているところで、意味がない。最後に。

○布田班員 小野先生からご指摘頂いた点ですが、確かに日循からのデータで5年を超えている小児は含まれておりました。大至急、カプラン・マイヤー曲線を再作成したのですが、結果は同じでした。

○小野班員 是非それで出して、改めて送っていただけますか。

○布田班員 了解致しました。

○北村班長 Transplantは残ってしまっていると異常に持ち上げている可能性があって、小児と成人とのTransplantの率は大きく違いますか。

○福嶌班員 そうですね。Status2で日循に出している子はほとんど海外渡航目的が多いので、海外に行って移植してしまっていますから、大きく違うと思います。

○布田班員 Status2RCMで多くなっています。

○福嶌班員 そういうことになります。

○北村班長 しかし、先生のものは海外渡航は入っていないですよね。

○福嶌班員 入っています。

○布田班員 日循のデータにも入っています。

○北村班長 小児も入っている。

○福嶌班員 海外に渡航する患者も必ず日循に申請しますので。

○北村班長 そうしたら、それを省いたらもっとひどい結果になる。

○布田班員 先ほど先生がおっしゃいましたように、移植しないで亡くなる人で検討しますと本当にNが少なくなってしまい、また国内で移植した人も非常に少ないので、それで海外渡航移植を加えました。同時に、他の条件を少しでも同じにしなければいけないと思いまして、改正臓器移植後という括りで検討したわけです。

○北村班長 もし23では話になりませんが、10近くあれば何とかTransplantを省いたオンリストモータリティというのが出れば、小児のほうがもう1つ悪いような気も少し想像しますが。もしデータが出れば御検討を賜りたいと思います。

○布田班員 幾つかは検討できると思いますので、皆様に御提示させていただきたいと思います。

○阿萬室長 事務的な観点で申し訳ありませんが、先ほどの参考資料1で、この作業班自体が公開になっておりまして、更に資料自体全てホームページに掲載されることになります。今のところについては、本日配らせていただいたものについては、取りあえずペンディングといいますか掲載しないことにして、修正を頂いたものをホームページには公開するという形にさせていただきます。

 あと、班長のほうから御要請があったものについては、別途追加資料のような形で、同じく作業班の資料のところに追加するような形でさせていただきます。

○北村班長 ありがとうございます。よろしゅうございますか。それではちょうどお時間となりましたので、班会議を終了させていただきます。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局疾病対策課移植医療対策推進室

代表:03(5253)1111
内線:2365

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