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2015年3月27日 第89回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

○日時

平成27年3月27日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○議題

(1)雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)新ジョブカード制度推進基本計画について
(3)2014年度の年度目標の中間評価について
(4)その他

○議事

○小杉分科会長 それでは定刻となりましたので、定足数に達しております。ただいまから「第89回労働政策審議会職業能力開発分科会」を開催します。本日は年度末のお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日の出欠状況ですが、高橋了委員、上原委員、大隈委員、大野委員、河本委員が御欠席です。まず、議事に移る前に事務局から報告が1件あるとのことですのでお願いいたします。


○宮下総務課調査官 長らく御議論を頂きまして、2月27日に法案要綱について答申を頂きました、職業能力開発促進法の改正等を含む「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案」については、3月17日に閣議決定を経て、閣法第50号として国会に提出されました。長らく御議論を頂きまして、ありがとうございました。今後とも御指導のほど、よろしくお願いいたします。


○小杉分科会長 それでは議事に移ります。議事次第にありますとおり、本日の議題は「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」「新ジョブカード制度推進基本計画について」「2014年度の年度目標の中間評価について」「その他」の4件です。まず、議題1「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」です。これは本日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に諮問がなされたところであり、これを受けて本分科会において実質審議を行うものです。内容について事務局から説明をお願いします。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 それでは、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について御説明いたします。資料1-1として、改正省令案の要綱を添付しております。こちらは改正省令案の職業能力開発関係部分の抜粋となっております。改正内容については、キャリアアップ助成金制度の改正。認定訓練助成事業費補助金制度の改正。キャリア形成促進助成金制度の改正。企業内人材育成推進助成金制度の創設。この4点となっております。
 資料1-2に改正省令案の概要を添付しておりますので、こちらで御説明をいたします。7ページを御覧ください。まずはキャリアアップ助成金、人材育成コースの関係です。本助成金は、非正規雇用労働者の人材育成の取組を実施した事業主に支給する助成金です。改正の概要としては、枠囲みの右下の部分ですが、「OJT」と書いてあるところです。有期実習型訓練の中小企業のOJTの実施助成額を700円から800円に引き上げを行います。また、左側のコースの欄ですが、マル4育児休業中の非正規雇用労働者にOFF-JTの訓練を実施する場合の助成措置を創設するということにしており、その内容については次のページに概要を付けております。
 続きまして、次のページ、認定訓練助成事業費補助金の改正についてです。今般の改正では、建設又は介護の事業に係る認定訓練助成事業費補助金に関する暫定措置を実施します。これは人材不足分野である建設、介護の分野の認定職業訓練について、国と都道府県の補助額の合計が補助対象経費の3分の2又は国の補助対象基準額のいずれか低い額に満たない場合。その不足額を増額、補助できることとするというものです。
 また、その下の欄ですが、東日本大震災により被災した施設の復旧に係る施設費等の補助率の引き上げについて、平成28年3月31日まで延長いたします。
 次のページ、キャリア形成促進助成金については、主に正規雇用労働者を対象に職業訓練を実施した場合に、訓練経費や賃金の一部を事業主に支給する助成金です。今般の改正は、次の4点です。まず、1点目として、ポンチ絵の上、黒マル1(白抜き)、ものづくり人材育成訓練の創設です。次のページを御覧ください。基幹産業である製造業や建設業における技能継承及び中核人材の育成を緊急に進めるために、企業が地域の事業主団体等と連携等を図りながら、雇用する労働者にOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を実施する場合に、訓練に要した費用の一部を助成するものです。
 ものづくり人材育成訓練の活用パターンとして、企業単独型、企業連携型、事業主団体等連携型の3つがあります。助成額については、OFF-JT賃金助成が1時間当たり中小企業で800円。大企業で400円。OJT実施助成が1時間当たり、中小企業が700円、大企業が400円。OFF-JT経費助成が、中小企業及び事業主団体については、要した費用の3分の2、大企業が2分の1となっております。
 前のページに戻って、2点目ですが、真ん中のマル4熟練技能育成・承継コース及びマル5若年人材育成コースについては、助成対象企業に大企業を追加いたします。3点目は、マル6育休中・復職後等能力アップコースの経費助成率について、中小企業は2分の1から3分の2へ、大企業は3分の1から2分の1へ引き上げを行います。4点目は、一番下の黒マル4(白抜き)、団体等実施型訓練に育児休業中・復職後・再就職後の能力アップのための訓練を追加して、3分の2の経費助成を行うことといたします。また、欄外に注書をしておりますが、東日本大震災に伴う特例措置として、特定被災区域内の事業主を対象とする特例措置について、平成28年3月31日まで延長することとしております。
 続きまして、12ページ、新たな助成制度として、企業内人材育成推進助成金を創設いたします。個別企業助成コースでは、人材育成制度を就業規則等に規定して、制度を導入し、従業員に実施した事業主に一定額を助成するものです。
 助成内容については、マル1教育訓練・職業能力評価制度については、従業員に教育訓練や職業能力評価をジョブ・カードを活用しつつ行うという制度です。こちらは制度導入を行った場合に50万円、大企業の場合は25万円。1人当たりの実施助成を10人までを上限として、1人当たり5万円、大企業は2万5,000円としております。
 マル2のキャリア・コンサルティング制度については、従業員にキャリア・コンサルティングを、ジョブ・カードを活用しつつ行う制度です。こちらも制度導入助成が30万円で、大企業が15万円。同様に1人当たり実施助成5万円、大企業は2万5,000円。また、従業員をキャリア・コンサルタントとして育成する場合の加算としては、1人当たり15万円、大企業7万5,000円としております。
 マル3は、技能検定合格報奨金制度として、技能検定に合格した従業員に報奨金を支給する制度です。これを導入された場合は20万円、大企業は10万円。同様に1人当たり実施助成5万円、大企業2万5,000円という制度です。
 一番下にありますが、事業主団体助成コースとして、ここでは従業員に教育訓練や職業能力評価を行う構成事業主を支援する事業主団体に対して、構成事業主に制度を導入・実施させた場合に、支援に要した費用の3分の2を助成するものです。上限額は500万円としております。説明は以上です。


○小杉分科会長 それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがですか。


○豊島委員 今御説明いただいた中で、今回新設される企業内人材育成推進助成金について質問を2つさせていただきます。
 1つは、この助成金では従業員をキャリア・コンサルタントとして育成した場合に助成を行うとされております。助成対象とするキャリア・コンサルタントは、本分科会でも専門性について議論があった登録キャリア・コンサルタントではなく、標準レベル以上のキャリア・コンサルタントであるという理解でよいでしょうか、というのが1点目です。
 もう1つは、1月23日の職業能力開発分科会の報告の中で、キャリア・コンサルタントの配置を推進することが必要であるということを書いていただいた上で、加えて、企業内における機会の整備に向けて、企業の取組を尊重しつつ、企業内でのキャリア・コンサルティングに係るマインドやスキルを更に広めるために、国が企業に対して好事例の周知等の支援を行っていくことが求められるということが明記されております。
 国が企業に対して、好事例の周知等の支援を行っていくということだと思いますが、この好事例の収集、周知等についてどのような方策を、どのようなタイミングで実施しようと考えておられるのでしょうか。具体的に今後のことについて、更に言えば、どういう部署で、どういう担当を置いて実施されるのかという体制面も含めて、お考えがあれば伺いたいと思います。


○小杉分科会長 それでは、事務局からお願いします。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 1点目については、標準キャリコンということでよろしいと思います。


○藤浪キャリア形成支援室長 2点目の御質問については、国が企業に対して好事例の周知等の支援を行っていくということですが、現在、本年度のキャリア・コンサルティング研究会におきまして、各企業におけるキャリア・コンサルティングに係る好事例等の収集を行ってきたところで、今年度中に取りまとめを行う予定です。これについては、4月以降、できるだけ早めにこの分科会でも内容等について御紹介をさせていただきたいと考えております。
 また、そういった内容については、今、委託により行っているキャリア・コンサルネットというサイトがありますので、またサイトも分かりやすくリニューアルをして、更にその好事例も分かりやすい形で加工して、できるだけ早い段階で掲載できるよう考えているところです。


○豊島委員 ありがとうございました。年度内で好事例を収集されて、それを分かりやすく広げていただくということですが、昨年の11月20日、分科会で具体的にその整理をしていただいております。ジョブ・カードの活用であるとか、キャリア・コンサルタントがどういうタイミングでキャリア・コンサルティングを実施しているか、ということです。この具体的な整理に合わせて、それぞれ企業、あるいは労働者が活用できるようにしていただきたいということですが、制度を広げていくためには、人が動かないといけないのではないでしょうか。ネットに上げました、ポスターを貼りました、ということだけで広がるものではないと思います。既に企業の中で1つのパターンがあって、事業の育成、キャリアアップのプログラムを持っている所が多いと思います。ジョブ・カード300万目標、そして労働者にとっても、企業にとってもプラスになるようなものとして活用されるわけですから、是非、所期の目的が達成されるように御尽力をお願いしたいと思います。以上です。


○原委員 関連して、同じく企業内人材育成推進助成金に関して、今、豊島委員から、好事例の収集をお願いしたいというお話がありましたが、私はやはり、ここに挙げられているジョブ・カードやキャリア・コンサルティング制度の効果が分かるような情報の収集もお願いしたいと思います。
 例えば、企業内訓練を促進するというのがほかの助成金だと思いますが、日本の人的資本蓄積を促進するということで、異論は少ないものだと思います。あと、2000年代以降の経済学の分野で、企業内訓練をすることには効果がある、賃金に代表されるような労働者の職業生活にプラスの影響を及ぼすことは明らかになっています。そういうエビデンスを受けて、もし企業内訓練が十分には行われていない状況であれば、私は助成金等で政策的に支援していくことは妥当だと思います。
 話は戻って、今回の人材育成推進助成金のほうですが、それと比べてジョブ・カードやキャリア・コンサルティング制度の効果に関しては、情報の蓄積が不十分ではないかと思っています。キャリア・コンサルティング研究会でいろいろなさっているということはお伺いしているところですが、好事例の収集と共にこういった制度がない場合と比べて、ある場合のほうはどれだけ効果があるのか。それが職場にどういうプラスの効果があるのか、補足するような工夫をしていただいて、エビデンスを蓄積していただいて、新しい制度の策定、運用等にいかしていただければと思いますので、要望です。


○小杉分科会長 事務局からお願いします。


○藤浪キャリア形成支援室長 先ほどお話したキャリア・コンサルティング研究会の好事例収集については、今回は単に事例を集めるというだけではなく、正に今御指摘があった効果についても着目をして、その点も含めた収集を行っております。定量的に成果が見えるというのはなかなか難しいのですが、定性的であっても、できるだけこういった効果が見られるということも含めた紹介をしていきたいと考えております。


○大久保委員 同じところで、企業内人材育成推進助成金について質問したいのですが。従業員をキャリア・コンサルタントとして育成した場合に加算する15万円ですが、企業に助成されるようですが、その後個人に対して、1つの報奨金のような形でお金が流れていくという仕組みなのでしょうか。
 キャリア・コンサルタントの養成機関に通っている人たちの多くは、自費で行っていると思います。一方で15万円は会社に払わられるわけです。会社に払わられた後、個人に報奨金としてお金がいくのか。この辺りのニュアンスを確認したいのです。


○小杉分科会長 事務局はどちらですか。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 これについては、業務命令として、会社が全額負担した場合という分で、想定している分の半分程度という金額で見ています。


○大久保委員 これは会社が養成機関で係る経費を負担した場合にという前提ですか。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 そういうことです。


○大久保委員 分かりました。


○小杉分科会長 ほかはいかがですか。


○田口委員 認定訓練助成事業の補助については、今回拡充をしていただいて大変有り難いと思っております。認定職業訓練校の新年度の入校生は、私たちの全建総連という組合の関係ですと、東京に2つ学校がありますが、1つは例年20人だったのが、今は倍の40人になりました。もう1つの所も、20人だった所が30人。埼玉県は2割、神奈川県は1割です。そういう訓練生の入校が増えてはいるのですが、地方のほうが依然として減少しているということです。
 これは多分来年の話になるのですが、特例措置で5年ですが、これをもう少し状況を見て弾力的に運用していただくとか、あるいは都道府県の助成自体も削減される傾向にありますので、こういう点についてもっと自治体に対する指導はできないと思いますが、働きかけをもっと強めていただければと思いますので、よろしくお願いします。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 5年間の暫定措置で取りあえず始めますので、始めてみてから状況を見て、その辺の運用は必要ならば検討していくべきことかと思います。
 あと都道府県に対しては、それぞれがちゃんと財政の改善をするような見直しの計画を一応持ってもらうようにしていこうと思っていますので、それでちゃんと措置をしていただけるような指導につなげていければと考えております。


○豊島委員 先ほどと同じ所についてお聞きします。企業内人材育成推進助成金のどれもそうですが、教育訓練・職業能力評価制度ということで、例えばマル1の従業員にジョブ・カードを活用しつつ教育訓練や職業能力評価を行う制度に関しては、制度を導入したら50万円が助成されます。1人当たりであれば5万円、2.5万円で10人まで助成されます。これは最初のインセンティブということで、制度を始めてください、制度を始めていただければ助成しますということですが、その後のフォローアップみたいなことも考えておられるということでよろしいのでしょうか。ある企業がこの制度を導入しました、始めました、という場合に、インセンティブとして助成しまして、その後のフォローをされるのかどうか、についてです。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 その後について、10人以上というか、その後をやった場合。


○豊島委員 制度が企業内で定着しているかどうか、についてです。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 就業規則等に書いていただくことが一応条件になりますので、制度としては定着しているのだろうと思います。その後の実施については、あとはキャリ形の活用ということになっていると思います。


○豊島委員 マル2の方はどうでしょうか。

○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 10人を超えて、その後制度を活用していく場合。


○豊島委員 例えば、ジョブ・カードを活用しつつ訓練、職業能力評価を行うということに関して、マル1マル2マル3はそれぞれ独立しているのですよね。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 はい。


○豊島委員 マル1を実施して、制度を導入しました、50万円の助成を頂きました。1人当たり5万円、あるいは2.5万円助成しますということで10名、そういう対象者がいました、とします。制度を導入すれば、11名、12名、13名と、その後に続く人が当然いると思うのですが、その後の広がりについてフォローをされるのでしょうか、ということです。私が言っているのは、制度導入時の1発目だけで終わりではないのでしょう、ということです。


○吉永総務課長 この制度は新たに創設するので、今、御説明させていただいたとおり、就業規則に書くということで、パーマネントの制度として導入することを前提としておりますが、もちろんこの助成金が10人で終わりということであっては効果の意味がないですから、必要に応じて状況を把握しながら、今後どういう施策が必要かという辺りについて、今後の展開という意味で見ておく必要があるのだろうと思っております。その辺りは必要に応じて実施状況について確認して、政策につなげていくということだろうと思います。


○小杉分科会長 よろしいですか。ほかにありますか。


○新谷委員 今話題になっている最後のページで、新たに創設される企業内人材育成推進助成金についてです。聞いていてだんだん分からなくなってきました。マル1で、先ほど原先生が、政策効果はどうなのか、政策効果に関する情報があるべきではないかと言われたのですが、これは何なのでしょうか。就業規則によって、教育訓練や能力評価を行うときに、ジョブ・カードの活用が支給要件になるということなのでしょうけれど、今は多分どんな会社でもパーソナルシートというか、必ず個人ごとの履歴を持っていて、入社の履歴はどうだったかとか、どういう学歴なのかとか、どういう資格を持っているのかとか、これらの情報を個人ごとに管理するために絶対必要最低限は持っていると思います。それとは別にジョブ・カードを使えという、ジョブ・カードを中心に組み立ててある、ということでしょうか。教育訓練はそういったジョブ・カードがなくてもできますし、能力評価はジョブ・カードがなくてもできるのですが、この助成金はジョブ・カードを使え、という政策誘導のためのもので、ここだけが50万円という、一番高いランクの金額になっています。かつ一番下に、これもよく分からないのですが、最大上限500万円、費用の3分の2を受給できるとなっています。事業主団体に対して、今、50万円受給できるとなっています。要するに制度を導入した事業主団体に関連している事業主が、1回50万円もらって、更に事業主団体にも3分の2上限500万円を渡し切って、これでジョブ・カードに誘導していくということなのでしょうか。
 要するに、新規発行300万人という目標数値に向けて、何が何でもジョブ・カードを使えということが、政策誘導の目的みたいになっています。一体これは訓練というものの成果をどう測るのか、あるいは能力評価というものに対しての評価をどう測るのか、というところが欠落しているのではないかという気がします。何か見解があれば教えていただけませんでしょうか。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 仕組みとしては、ジョブ・カードを活用させることを誘導するというのは、もともと制度を作ろうとしたときは再興戦略とかの指摘を受けて、そういうふうに作ったものです。
 団体のほうの話ですが、団体のほうは個別の企業では導入できないような企業さんに導入をさせた場合の支援を団体にするということですので、団体のほうで制度を導入した企業さんは、併給にはならないという仕組みです。個別の企業が申請できる場合は、上のほうのマル1マル2マル3を使っていただくという仕組みにしております。


○吉永総務課長 御指摘をいただきましたように、既に特に大きな企業を中心として、人事管理制度をきちんと持っている場合、そういうところについてジョブ・カードが必要かというと、そこまでの必要性はないのだろうと思っております。
 ただ、そういった制度を持たないような企業において、人事管理制度がまだ過渡期的なところについて、教育訓練や評価制度を新たに組み立てる必要があるだろうと。そういう中で、ジョブ・カードを活用していただくことを誘導していこうという政策として立案したものです。
 ジョブ・カードについては、後ほどジョブ・カード推進計画について御報告させていただきますが、そのような形で企業内での対策としての活用を政策的に誘導していくという観点から設けた助成金です。
 必要のない所に作っていただくということではありませんが、個別の企業において必要性がある所について職業能力評価制度、あるいはキャリア・コンサルティングを導入するに当たってここは定着ということを念頭に置いて政策提起したものです。


○新谷委員 制度の創設ということですので、本当はもう少し情報があったほうがいいと思います。たった1行か2行で要件を全て読み取れというのは無理なわけで、併給ができる、できないというのはどこにも書いていない内容です。
 事業主団体の助成コースについても、ここに書いてあるのを見れば、要件も分からなくて、例えば事業主については3つの事業主以上と書いてあります。3つの事業主のうち、1つがマル1を申請していれば、それは支給要件を満たさないということなのか、その辺も全然分からないのです。併給できないというのも今初めて聞きましたが、このような制度を創設するということであれば、もう少し全体の形が分かるものがないと、何が目的で何をやりたいのかというのが、これだとよく分からないのです。ねらっているところは、ジョブ・カードの普及促進をねらっているのでしょうが、別にジョブ・カードがなくても、教育訓練の仕組みを作れとか、能力開発の能力評価を作れということはできるでしょう。まず300万人分のジョブ・カード新規発行が目標に立てられていて、それに向けて雇用保険二事業のお金をトライ・アンド・エラーみたいな形でやってみてだめだったら、何かつぶすという感じになっています。そのため、もう少しフィージビリティ・スタディを含めて、何が目的でこの制度を創設するのかというところの論議が必要ではないかと、この論議を聞いていて思いました。以上です。


○吉永総務課長 資料の作り方については誠に申し訳ございません。もう少し丁寧な形で早速作り変えたいと思います。通常、私どもの制度としての助成金について、団体助成と個別助成がある場合については、当然併給ができないということを前提に、私どもは考えておりましたが、御指摘についても留意した上で、今後資料の作成等進めていきたいと考えております。申し訳ございませんでした。


○小杉分科会長 若干、政策目的に関するところですが、私のこの立場というよりは、研究者の立場で、これまでジョブ・カード等をはじめ、能力評価基準や企業内の訓練システム、そういうものがどういうふうに広が得るのか。どういうふうな効果を持つのか研究してきた立場として、過去のジョブ・カードを入れた雇用型訓練が特に小さい企業に対して能力評価の基準を入れて、それに対応した形で訓練を組み立てていくことを大変促進する効果があった。そういう効果を厚労省のほうにも伝えておりまして、それを基に小さな企業、それまで自前の訓練の仕組みや、評価基準を持っていない所に対して、このジョブ・カードの仕組みを提供していくことは、全体の底上げのために大変効果がある。その辺りまでは研究で言えているところです。それにのっとった制度の組み立てと私は理解しておりますので、300万人ありきで、それに向けての数合わせというよりは、根本的にそこの部分が大事という認識に立った制度と私は理解しておりますので、是非、その辺りも御理解いただきたいと思います。


○高橋(弘)委員 企業内人材育成推進助成金について、今、新谷委員が指摘されたように、ジョブ・カードの活用が義務付けられていますよね。冒頭に御説明があったとおり、現在、国会に提出されている新しい法案が可決成立すれば、ジョブ・カードは新ジョブカードとして新しく衣替えをします。
 現行の助成コースのままであれば、旧制度のジョブ・カードの活用も可という制度のようにも見えますが、せっかく新しい制度に移行していくならば、新しい制度の普及を目的に事業を展開していったほうが、よろしいのではないかと思っております。旧制度の活用も可とするという制度については少し疑問があると言わざるを得ないと思います。
 2点目は、8頁にあります育児休業中の女性等に対する助成措置についての単純な質問です。休業中の方に事業主が業務命令で教育訓練を指示することは、通常考えられないと思います。もしそういうことをするならば、賃金の支払いなども課されてくると思います。この育児休業中の方が自発的な訓練をするというイメージが私としては湧きにくいので、どういうような場合に助成をしていく制度なのか、分かりやすく御説明を頂ければと思います。


○吉永総務課長 もとより、育児休業中ですので、細かく言えば育児休業に出勤するということはあり得ないわけではないですが、通常想定しているのは、休業期間中に本人が自発的に訓練をしたいというときに、企業が福利厚生の一環としていろいろなコースを用意して、その費用を負担するケースがあります。そういったものを企業が負担して、そういう訓練コースを用意して、本人がやりたいという形で受講するような場合。もちろん育児休業中ですから、通学制はなかなか難しいので、通信制やEラーニングというものが中心になるかとは思いますが、そういう講座を受講する場合、費用を支援するというフレームワークです。そういう意味で、業務命令を想定しているものではありません。


○小杉分科会長 新ジョブカードのことについては。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 新ジョブカードを対象にしないのかというところですが、これも資料の作りが悪くて申し訳ございません。当面新ジョブカードの制度が施行するまでは、今のジョブ・カードを対象として、新ジョブカードが施行された場合にはそちらを対象にしていくということで、両方を対象にして予算の措置はさせていただいております。


○高橋(弘)委員 新ジョブカードを普及させるという趣旨を踏まえますと、旧ジョブ・カードと新ジョブカードが同じ扱いとなるのはおかしい。新ジョブカードがより普及するようなインセンティブが湧く制度設計があるのではないかと思います。


○吉永総務課長 基本的に想定しているのは、正に企業の中でジョブ・カード制度を活用したいということですので、そういう意味で、企業の中での活用ということは、正に新ジョブカードを念頭に置いた制度です。そういう意味で、新ジョブカードにおいて助成金が活用されるような形で、具体的な運用を進めていきたいと考えております。


○小杉分科会長 意図としては、もちろん新ジョブカードを活用させたいということだとは思いますが。新しいジョブ・カードというのは、やはり企業内活用というのはかなり念頭に置いた作りになっておりますので、そちらのほうが当然使い勝手がいいということになるのではないかと思います。新しい制度になったときには、当然、古い制度そのものは残らないということですよね。


○諏訪委員 新ジョブカードと今までのジョブ・カードが、当面混在するという形になるのですか。やはり、使われる方のことを考えると、そこは混乱しないようにしていただきたいと思います。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 新ジョブカードの、例えば評価シートに相当するものについては、基本的にはナンバーが変わっただけのようなものもあります。旧ジョブ・カードで作られた評価シート辺りは、当然のことながら中身はほぼ同じですので、その後求職活動でお使いになるときには、そのカード自体は使える形で考えております。


○諏訪委員 名称は2つになるのですよね。ジョブ・カードになるのですか。


○小杉分科会長 名称は確かに今のところ新ジョブカードと名前は変わっているのですが、内容を構成しているパーツは、特にここで言う重要な能力評価のシートなどは全く同じ形をしています。ほとんど同じ形ですので、そのままどちらと言えず使えるということでは
ないかと思います。


○新谷委員 細かな話で申し訳ないのですが、先ほど高橋委員が御指摘をされた8ページの「育児休業期間中の女性等に対する助成措置の創設」のところについてです。これも要件がよく分からないのですが、対象者について「育児休業期間中の非正規雇用の助成等」と書いてある「等」は何に入っているのでしょうか。それから、「非正規雇用の助成」という定義が、どのように定義をされているのでしょうか。かつて厚労省で「望ましい働き方ビジョン」というのを作られたときに、正規雇用の定義付けを試みられたことがありました。あのときに「直接雇用で、無期で、フルタイム」というのが主な正規の要件である、それを外れると非正規であるという整理をされたと思います。ここで言っている非正規雇用の場合、例えば、派遣労働者は間接雇用になるのですが、派遣労働者についての助成は入ってこないのかとか、これだけではよく分からないのです。
 これも先ほど高橋委員が指摘されたように、自発的な訓練というときの「自発」というのは、企業がボランタリーに訓練することなのか、労働者自らが自発的に訓練する話なのか、これもよく分からないのです。制度としては多分良い制度だと思うのですが、我々としては広く周知し、浸透させるためにも、これは一体どういうねらいで、どういう対象者に行う助成なのか教えていただきたいと思います。


○小杉分科会長 説明をお願いいたします。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 まず、助成等の「等」ですが、これは育児休暇をお取りになっている男性も含んでという意味です。また、非正規雇用の方は、派遣労働者の方も含んで考えておりまして、男性の方、派遣労働者の方も含む非正規雇用の方が対象になってくるかと思います。


○小杉分科会長 「自発的」というのは、誰が自発的かということも質問にありましたが。「自発的な」というのは、労働者本人の自発という意味ですかということです。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 はい。労働者の御本人がいろいろな通信教育等を含めて、自らが自発的に訓練をされるということを想定しております。


○新谷委員 非正規という答えをいただいていません。先ほど申し上げたように、厚労省の職業安定局が、もともとは雇用政策研究会からの提言を受けて、「望ましい働き方ビジョン」という中で、非正規の定義付けを試みた経緯があります。そのときは「無期で、直接雇用で、フルタイム」というのが主な正規雇用の要件で、そのほかに長期的な賃金体系と残業命令があるかないかという5つの要件を満たせば正規雇用であるというのがあったのですが、ここで言っている非正規の定義はどうされているのか聞きたいのです。
 そうすると、正規の人が自分で自己啓発をやった場合には助成の対象にならなくて、非正規だけを誘導するというのは、既に正規を対象とした別の助成があるのか、ということもお聞きしたいのです。「自発的に」ということですから、多分、おっしゃっているのは通信教育とか、Webの教育などを自ら費用をかけてやることに対して、事業主が助成をする。その事業主に対して助成金を出すということなのでしょうけれど、その辺のロジックがよく分からないなというのがありまして、改めて教えていただけませんか。


○小杉分科会長 既に正規の助成に対しては、こういう制度があるという前提なのですね。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 正規の雇用労働者については、キャリア形成助成金のほうで対象にいたします。それ以外の方についてはキャリアアップ助成金のほうで、同じような育児休暇中の訓練に対する支援を行うという形で今考えております。


○竹内能力開発課(併)育成支援課主任職業能力開発指導官 正規については、10ページの資料のマル6に既に育休中・復職後等能力アップコースがあります。こちらは成功して制度を定めておりましたので、それを同様にキャリアアップ助成金のほうにもコースを設けようということにしたものです。


○大久保委員 関連して、お聞きしたのですが、正規のキャリア形成促進助成金は、育休と復職をした者の教育を対象にしていますよね。この非正規のほうはどうなのですか。これは同じように復職というか、育休明けで会社に出てきてからしばらくのところも対象になっているのですか。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 育児休暇中の自発的な訓練について、今回、新たな制度で対象となります。あと復職後、例えば短時間就労とかになった場合は、従前からもキャリアアップ助成金の対象となっておりますので、従前どおり対象にしながら支援をしていくという構成になるかと思います。


○大久保委員 短時間勤務のときだけではないですよね。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 非正規雇用という形で訓練を受けられる場合については対象になってまいります。


○大久保委員 復職後でも。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 はい。


○小杉分科会長 そうすると、今までの正規の方及び非正規の方でも、復職後だったらば助成金があったということですね。これまでになかった部分を、今回は埋め合わせたと考えてよろしいのですか。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 はい、そうです。


○新谷委員 今の御説明で、大体概要は見えてまいりました。また改めて図示したものを頂ければ、今の政府の政策がどのようになっているか、より理解できると思います。
本当はこうした議論の際に一緒に出していただくと、一番理解は進んだと思うのですが、次回からまた工夫をお願いしたいと思います。以上です。


○小杉分科会長 よろしいですか。それでは、ここまでで議論は終わらせていただきます。
 以上の質疑を受けて、当分科会としては、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について、妥当と認める旨を私から労働政策審議会会長宛に御報告したいと思いますが、よろしいですか。


(異議なし)


○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から報告文案の配布をお願いいたします。


(報告文案配布)


○小杉分科会長 それでは、お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛に報告することにしてよろしいですか。


(異議なし)


○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。それでは、議題2に移ります。議題2は「新ジョブカード制度推進基本計画」についてです。内容について、事務局から説明をお願いいたします。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 資料2「新ジョブカード制度推進基本計画(案)」です。現行のジョブ・カード制度は、平成23年に内閣府のジョブ・カード推進協議会におきまして、本制度の普及方針、促進方策などを盛り込みました新全国推進基本計画を定めて普及促進を図っております。ジョブ・カードの見直しに伴い、新たな基本計画の策定が必要となってまいります。本日、本分科会におきまして新たな基本計画(案)について御議論いただき、その後、内閣府のジョブ・カード推進協議会を引き継ぎました関係省、労使、有識者、関係機関から構成されますジョブ・カード制度推進会議において議論いただき、取りまとめを行っていきたいと考えております。
 資料2の新たな基本計画(案)です。この計画(案)は「キャリア・パスポート(仮称)構想研究会」、また、本分科会での議論などを踏まえて作成した案です。計画の構成は、1ページの目次の部分です。構成は、「1 ジョブ・カードを取り巻く状況」、「2 主な課題等」、「3 コンセプト等」、「4 主な活用方法」、「5 目的」、「6 関係施策の推進」、「7 推進体制」、「8 その他」です。1~4と6の関係施策については、構想研究会報告書とおおむね同様の内容としており、普及促進方策などとして、5の目標、7の推進体制などを新たに記載した内容となっております。
 39ページのコンセプト、目的等の概要のポンチ絵です。ジョブ・カードを見直し、分科会で御議論いただきました名称の「新ジョブカード」としてで、個々の労働者の状況に応じた職業能力開発、多様な人材の円滑な就職等を促進するため、生涯を通じたキャリア・プランニングのツール、円滑な就職のための能力証明のツールとして、生涯を通じて活用するものとしております。活用の形態・様式ですが、職業人生を通じて個人が各情報を個別に記入し、原則、電子化し継続的に蓄積、場面に応じて抽出・編集して活用するものとしております。
 8ページに戻り、主な活用方法についてです。(2)在職者を含めた職業生涯を通じた活用として、マル1キャリア・プランニングでの活用、マル2在職労働者の実務経験を通じて発揮される能力の評価での活用、マル3「業界検定」等での活用、マル4専門実践教育訓練での活用、マル5離職予定者を対象とした活用。10ページのマル6在職労働者へのキャリアコンサルティング等での活用。(3)求職者に特化した活用。11ページからは(4)教育訓練の場面に特化した活用。13ページに(5)学生を対象とした活用などを記載しております。
 次は目標です。42ページのポンチ絵です。真ん中の流れが活用の流れです。まず、自己理解を行う、キャリア・プランを作成する、職業能力開発を行い就職活動を行うという新ジョブカードの活用の中でキャリア・プランの作成、また、希望する仕事への応募の部分に具体的な目標を設定しております。左側の囲みの所です。キャリア・プランニングのツール関係の目標として、より多くの方が生涯を通じて新ジョブカードを活用してキャリア・プランを作成し、当該キャリア・プランを踏まえて職業能力開発を行うことが重要です。これらを踏まえて、平成22年の閣議決定、新成長戦略などで示されました新ジョブカード取得者数を2020年までに300万人にすることを引き続き目標案としております。ジョブ・カード取得者数については、新ジョブカードを活用したキャリア・プランの作成数をカウントします。
 43ページを御覧ください。2020年、300万人については、これまでの取得者数が平成26年12月の速報で123万人、2020年までの6年間で残りの177万人の取得が必要です。うち半数強は訓練受講者の取得、また、半数弱が求職者、在職者、学生等が新たな取組などで取得することにより達成できる値であると考えております。
 42ページの目標に戻り、左下の囲みです。職業能力証明関係のツールとしての目標です。多様な人材の希望に応じた必要な分野への円滑な就職等を実現するためには、職業能力の「見える化」が必要であり、具体的な訓練、また、実務経験の成果を評価した職業能力証明、(訓練成果・実務成果)シートの活用が重要です。これらを踏まえまして、当該シート等を持ち就職活動を行う方のうち、このシート等を応募書類として活用された方の割合を、期限としては同じ2020年までの間、おおむね増加させることを目標案としております。
 16ページに戻り、推進体制です。(1)国が中心となった推進体制を構築する。「ア 文部科学省」は、キャリア・プランニング、キャリア教育、就職等の際に活用されるよう教育機関に対して周知・理解の促進。「イ 厚生労働省」は、求人・求職時、労働者等のキャリア形成支援等の場面で活用されますよう関係機関に対する周知・理解の促進。また、電子化のためのソフトウェア提供、サイトの設置・運営、制度推進会議の運営、ジョブ・カードセンターに関する業務委託。「ウ 経済産業省」は、求人・求職時、労働者等のキャリア形成支援等の場合での活用がされますよう関係機関に対する周知・理解の促進。
 (2)ですが、制度推進会議を開催して基本計画を作成するとともに本計画のフォローアップを行い、必要に応じて本計画を見直す。
 (3)ですが、地域の運営本部を労働局に置き、国が中心となり関係機関等の密接な連携・協力体制を構築。同本部におきましては、制度の推進方法、役割、連携体制等の検討を行い「地域推進計画」を作成するとともに、必要に応じてこの計画の見直しを行う。特に、新制度の推進においては、様々な関係者に対して役割、活用方法を説明して理解を求め取組を促すことが非常に重要で、地域推進計画等に基づきまして関係機関が連携し、これらを実施するとともに好事例の把握・収集に努める。
 (4)都道府県の労働局です。業界団体、教育訓練機関、職業紹介事業者などの関係者に対して、説明会等の様々な機会を活用して役割、具体的な活用方法等を説明し、活用・普及に向けた取組を促します。その際には、ジョブカードセンターでの援助や関係情報の提供などの支援、また、例えば離職予定者に対する新しいジョブカードを活用した書面の交付などの新しい活用方法などについても説明いたしまして、活用の普及に向けた取組を促進いたします。また、先ほどのジョブ・カードの地域の運営本部の運営を行います。
 41ページのポンチ絵は、都道府県の全体像です。都道府県の労働局、また、地域の運営本部が普及・促進について計画し、広範な関係者への周知・広報、説明・連携などにより取組を促します。各機関が企業や受講者といった対象者の方に説明、理解の促進を求め各対象者は新ジョブカードのサイトにアクセスしてより具体的な情報を入手して活用していただくという流れを想定しております。
 18ページへ戻り、ハローワーク、安定所です。アの求職者に対しては、時間をかけて職業相談、紹介を行う際には、生涯のキャリア・プランニングのツールとして積極的に活用、また、公共職業訓練等の受講指示に当たりましては、訓練の必要性を明確にするためジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングの実施の促進。イとして、雇用型訓練の実施企業に係る求人開拓。ウが新たに追加した部分ですが、職業能力証明(訓練成果・実務成果)のシートをお持ちの求職者に対して、このシートの活用を促すとともに、応募先の企業に対しても選考書類としての活用を促していきます。
 (6)ジョブカードセンターです。アの(イ)です。地域の企業、業界団体等に対して広く周知・広報。(ロ)は雇用型訓練の実施です。この実施企業に対しては、具体的に訓練実施計の作成支援、訓練担当者や評価者への講習、訓練や評価の実施方法に係る具体的な助言、援助等を行います。(ハ)は地域の企業に対して新ジョブカードを活用した在職労働者の実務経験の評価の実施を促していきます。この実施企業に対しては、評価基準、シートの作成支援、評価担当者への講習、評価の実施方法に関する具体的な助言や指導を行ってまいります。(ニ)は地域の企業に対して、在職労働者への新ジョブカードを活用したキャリアコンサルティングなどの職業生活設計に即した取組を促してまいります。企業に対して、これらの具体的な実施方法に係る助言・指導を行ってまいります。(ホ)は地域の企業に対して新ジョブカードの応募書類としての活用を促します。ジョブ・カード普及サポーター企業については、採用時の活用だけではなく在職労働者に対する活用を行っている企業として、当該企業の開拓などを行ってまいります。
 中央ジョブカードセンターですが、周知・広報、また、地域センターに対する助言指導を行ってまいります。
 (7)は機構、また、都道府県、求職者支援訓練等の訓練実施機関です。訓練において新ジョブカードを活用したキャリアコンサルティング、訓練成果の評価を実施してまいります。また、訓練生に対してジョブ・カードの応募書類としての活用について設明し理解を求めるとともに、応募先の企業に対して応募書類の1つとして受け付けていただくよう説明して理解を求めてまいります。
 (8)は、先ほどの公的訓練以外のいわゆる職業能力形成プログラム以外の教育訓練についても、企業訓練の評価を職業能力証明(訓練成果・実務成果)シートへの記入を促してまいります。
 (9)は大学、高等専門学校、専修学校等の状況を踏まえて学生のキャリア・プランニングのツールとして、キャリア教育、就職指導等の際に活用します。
 (10)企業です。各企業の状況を踏まえまして、キャリア・プランニング、職業能力証明のツールとしての活用を促していきます。
 (11)は若者サポートステーション等の状況を踏まえて、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングの実施。
 (12)は職業紹介事業者の状況を踏まえまして、履歴書に加えて新ジョブカードを応募・採用等の書類としての活用を促してまいります。
 「8 その他」です。ジョブ・カードの様式を法令で定め新ジョブカードの普及・促進に努めることとしております。また、集中的な周知・広報を行い、平成27年10月より新様式に移行するとともに、順次、普及促進対策等を実施することとしております。また、登録キャリアコンサルタントの名称は、6の関係施策に、分科会での報告を踏まえまして、有資格者との差別化を図るため、名称をジョブ・カード作成アドバイザーに見直すことを記載しております。以上が資料2の説明です。


○小杉分科会長 それでは、この件について御質問、御意見をお伺いしたいと思います。


○高倉委員 今回の新ジョブカードの目標についてお聞きします。今説明があったとおり2010年の閣議決定で2020年までに300万という目標は継続するということなのですが、今回、大きな変更点がありますね。職業訓練の受講者を中心に活用してきたものから対象を広げるということですから、例えば300万の目標の中での組立てに際して、離職者や学生、在職者がどれぐらいかということがあれば聞かせてください。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 この300万の目標ですが、現状、ジョブ・カードの取得者数は大体、年間で20万です。先ほども説明いたしましたが、現在までに123万で大体9割強が訓練受講者という状況です。今後、6年間で300万に到達するためには、177万の取得が必要です。これまでの状況を踏まえますと、177万のうち半数強が訓練受講者の方が取得し、これまで大体10%弱の10万程度しか取得されておりませんが、求職者、在職労働者、学生等が半数弱を新たな取組により取得して到達できる目標であると考えております。
 ただ、分野別の細かな目標については、例えば訓練受講者についても最近、若者チャレンジ訓練などの事業追加等により大きく変化している、また、現時点では在職労働者の実績が現在ほとんどなく見通しが立てにくいということなどから、細かな分野別の部分については、設定していないという状況です。


○高倉委員 発行数をどんどん増やすのが目的ではなくて、それが効果的、有効的に使われるかということが一番大事なポイントですので、例えば、発行数の目標値以外に実際に有効的に使われたカードの数を目標にするとか、政策目標をしっかりと位置付けた上で、できれば数値目標を掲げた上で実施すべきではないでしょうか。普及促進策をいろいろ推進されるわけですが、有効的に使われるものが増えていかないのであれば、普及促進策すら見直さないといけないということにもなるわけです。そういうことで取り組まないと、ただ目標は目標という感じになることを危惧しております。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 これにつきましては、単なる300万というわけではなく、目標の所にも書いておりますが、あくまでもより多くの方がキャリアプランニングを作成して、職業能力開発を行うことが重要であるという観点でプランを作っていただき、今後は一過性のものではなく生涯にわたってそれを見返していただくということが1つです。あと、例えば、現在は多くの方が訓練で具体的な訓練成果等が書かれた評価シートを作られています。ただ、これについては、マッチングという部分、つまり応募書類としての活用は非常に低調でした。
 今後については、このシートをお持ちの方について、就職活動されたときに使われたかどうかについてもきちんと補足するということで、今まで百数十万の方が、今まで作成で止まっている、これを就職の場面でお使いいただくということも1つの目標の値として入れて、作っただけということが目的ではなく、それが活用されるようにする。また、例えば応募書類としての活用の所は多様な人材の方が円滑に就職する、見える化が重要など、きちんと何のためにどういう目的のためということを明確にしながら、個々の目標値を補足し評価していくものにしています。今後、地方の計画でも作ってまいると思いますがこれらを徹底していきたいと考えております。


○原委員 多分、高倉委員と気持ちは同じなのかと思ったのですが、今回、資料2に「新ジョブカード制度推進基本計画」となっています。事前に受けた説明でも少し分からなかったので質問ですが、今の御説明だと、新ジョブカード推進基本計画なのかと受け止めました。現行のジョブ・カード制度は、政策目的としては労働市場で弱い立場にある人のキャリアアップやキャリア形成を促進することを目的にしている。その要素としてキャリコンで訓練、評価ですね。これは三位一体でうまく機能させる。機能させるための道具として、ジョブ・カードを使っていく、それが制度の枠組みだったと私は理解しています。そうすると、ジョブ・カードは制度の中のパーツの1つに過ぎないような気がするのです。そうすると、ジョブ・カードは制度ではなくてカード自体のお話がすごく中心になっていて、カードだけの見直しなのか、きっと本質は変わっていないと思うのです。だったら新ジョブカード推進基本計画でいいのではないかと思ったりしています。
 2番で「ジョブ・カードの主な課題等」で、ジョブ・カードをパーツの1つについては良く書かれているのですが、あくまでもパーツに過ぎなくて制度自体は、キャリコン、訓練、評価の3つが大事になってくるわけですよね。その点については、18ページの中でも、今後もキャリア・プランニングのツールとして活用していくとか、雇用型訓練を実施してくれる企業を開拓していくとか、職業能力証明のツールとして使うとか入っているのですが、それが前面に出ていないので、ジョブ・カード制度の本質が何かということをここに説明として加えていただかないと少し誤解が生じるかなと思いました。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 この辺については、資料の4ページ目辺りに、今回何のために見直すかということを記載しているつもりです。2ページに背景として、個々の労働者に求められる能力の変化、個々の労働者の状況に置かれた職業能力開発が重要である。もう1つ、「さらに」の所辺りで、産業構造、職業構造の変化等も進んでおり個人のキャリアアップや必要な分野へのキャリアチェンジ、円滑な就職支援も一層重要という中で個人主導のキャリア形成とか職業能力の「見える化」ということが課題になり、その後、4ページ目辺りで、コンセプトとしては、今回、個人のキャリアアップ、また、多様な人材、これまでも対象となっていた訓練機会が恵まれない方を含めた円滑な就職支援ということで、目的を書きながら、その後にツールという意味ではキャリアプランニングのツール、職業能力証明のツールというように書き込んで考え方をお示しして案にしております。


○小杉分科会長 制度ではなくて、カードになったということをお話いただいたほうがいいのではないかと。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 カードの制度になっています。


○小杉分科会長 検討してきたのは、カードであって。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 現行のジョブ・カード制度は、ジョブ・カードの部分と職業能力形成プログラム、この2つの柱を設けながらジョブ・カード制度にしていました。今回の見直し案は、ジョブ・カード自体の部分を単独で、これを制度としております。


○原委員 そうすると、ジョブ・カード制度はジョブ・カード制度のままで、その中で使われるジョブ・カードが新ジョブカードに移行するという理解ですか。そうしたら、もしかしたら「新ジョブカード制度推進基本計画」というタイトルを私みたいに誤解する人間がいると思います。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 最初はジョブ・カードを見直して抜本的に変えてキャリアパスポートにするようにというのが、示された内容であることから、ジョブ・カードがこういう形で変わったということもお示しした上で、新しい制度ということで、前回、分科会でも御提案がありました「新ジョブカード」を使わせていただいて、計画名の所に付けているという案です。


○小杉分科会長 ジョブ・カードが変わって、それにつれて制度の性質も変わっているということです。


○原委員 性質が変わったところ、どこか。


○小杉分科会長 その辺、御説明はありますか。


○吉永総務課長 全体として、いろいろとキャリアコンサルタントなどの制度を見直しを今進めているところです。その大きな制度の中でジョブ・カードをどう位置付けていくべきかということが、もちろん制度としてあります。今回その中のジョブ・カードの運用について、過去の経緯もありますので制度という名をそのまま踏襲しました。制度と言っても大きなフレームワークというよりは、小さなフレームワークの中のものをこういう形で名乗っているということで御理解いただければと考えております。


○高橋(弘)委員 高倉委員の御指摘と重なりますが、300万人というマスの数字を引き続き維持するということに関して申し上げます。今回新しくカードそのものが大きく変わりますが、引き続き300万人の目標を維持しますと、例えば、既にジョブ・カードを取得されている方122万人が、取得し直せばいきなり244万人になります。300万人という目標自体にどれだけの意味があるのだろうかという疑問があります。まして、これまでの過去の経過を振り返っても300万人という数字に捉われ過ぎた結果、見直しに追い込まれたのではないかという個人的な見解を持っておりまして、ジョブ・カード自体が大きく性格を変えていく今となっては、過去の目標をいたずらに引きずることなく、取得すること自体に意味のあるカードではなくて、使われて初めて意味のあるカードにすべきだと思うのです。そういう意味では目標の立て方を成果目標にもっと変えていくことのほうが、私は好ましいのではないか。
 取得者数に関しては、あくまで参考情報として確認して取っていくという形の位置付けにすべきではないかと意見を持っています。以上です。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 若干、今までの300万の性格と少し違っておりまして、今まで取得された方については一過性の活用ということになります。例えば訓練を受ける前に作って訓練が終了しました、それで終わりでした。今後の300万については、キャリア・プランを作成された方、しかもこれを一過性のものではなく、できれば退職に至るまでずっと持ちながら時々、見返す、また、時々キャリアコンサルタントのアドバイスも受けながら考えていく、そういう300万になります。自らが支援を受けながらキャリア・ブランを作っていただく、その数が300万という位置付けになるという意味では、今までの300万、ポイントで訓練を受けるときに作ってそのままになっている現状とは若干、中身が変わった300万の数字になるのではないかと思います。


○大久保委員 高橋委員からの御発言や先ほどの高倉委員からの御質問に関連してです。ジョブ・カードの目標について本文の中にも書いてあるのですが、確かここの目標に関しては、まず何よりも新ジョブカードについてキャリア・プランの作成ツールとして、そして求職活動時における職業能力証明ツールとして活用することを中心に、労働市場インフラとしてジョブ・カードが機能するように運営していくということを目標として書くべきだと。
 いきなり300万人と書いてありますが、300万人の意味を広げるのではなくて、まず、本来の目的をきちんと書いてそれを伝えることが大事であって、そのときの管理目標の1つとして300万人もあるし、キャリアプランニングとして活用しているかというKPIみたいなものを持って捉えていただきたいと思います。ジョブ・カードの目標が300万人と書いてあると少しメッセージとしては、説明不足だと思います。
 42ページにジョブ・カードの目標の説明が書いてある図があります。この左下の箱の中に「当該シート等を応募書類として活用した者の割合を2020年までに概ね増加させること」。概ね増加させるというのが、どうしても気になっています。こういう日本語があるのかどうかよく分からないのですが、せめて、概ねというのは取ったらどうですか。以上です。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 概ねを付けましたのは、2020年までに直線でスッと上がるのではなく、例えば、ある年は若干横に寝たりするということも状況によってはあるということも含めて、2020年までに大体、上昇傾向にというニュアンスのために、概ねというのを入れたところです。


○大久保委員 いらないと思います。


○小杉分科会長 長期的に見て増加させるとか、単年度の上下ではなくて増加傾向に落ち着かせるという意味が見たいと、それに合うような言葉を是非探してください。


○高倉委員 今、高橋委員が言われた点についてです。今現在、既にジョブ・カードを取得している人が新ジョブカードに切り替えたら、新規という扱いにはならないわけですね。要するに122万人の人が新ジョブカードに切り替えたら取得者が倍になるわけでしょうか。新ジョブカードで300万人をめざすというのならば分かります。しかし、同じ人が現行のジョブ・カードから新ジョブカードに切り替えたといって、重複してカウントするのでしょうか。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 いえ、重複ではなくて、もう作っていらっしゃる方は作っていらっしゃる方で既にカウント。その方が更新みたいな形で新しいジョブ・カード
を使ってもカウントするというわけではありません。


○高倉委員 重複してカウントすることはない、という理解でいいですか。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 新規に177万人を6年間で作るということになります。


○高橋(弘)委員 資料42ページの左の上の枠の中の括弧の中に、新ジョブカードを活用したキャリア・プラン作成者数を、これまでの作成者数も含めて300万人以上と書いているのではないですか。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 この300万の内訳は、もう既に作っていらっしゃる123万を置いておいて、あとは新規にこれ以外の方がジョブ・カードをダウンロードして電子化などで作られた方が177万という趣旨で書いたつもりですが、誤解を生むようならもう少し記載していきたいと思います。


○小杉分科会長 新ジョブカードになってから、177万人ということが言いたいということですね。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 はい、そういう意味です。


○水町委員 同じようなことを形を変えて質問するのかもしれませんが、国や関係機関が訓練をしたり求人をしたり、そこで就業されている方がキャリアを展開される上で、このジョブ・カードないし新ジョブカードの活用というものは、もう既に進んでいるのか、それとも今後予定されているのかということを教えてください。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 訓練の分野については、義務化しているもあって進んでおりますが、それ以外の在職労働者、求職者、学生については、ほとんど進んでいない状況です。今までも9割強が訓練関係、10%に満たない数が残りの在職、求職、学生の方という状況です。


○水町委員 例えば、今後厚生労働省で働かれている人もほとんどが新ジョブカードを持ってキャリアを展開されるということは、予定されているという理解でよろしいですか。


○吉永総務課長 現状のジョブ・カードですと、キャリアコンサルタントがこういうことをやったほうがいいなど、いろいろな課題も書いておりますので、応募書類として使うことがなかなか難しかったと思います。
 一方、公務員について言えば、採用選考で試験制度などという形で任用しているところです。いずれにしても今回の見直しの中で、応募書類としても通常の履歴書用紙としても打ち出せる形で、電子化を進めていこうという形になっております。公務員試験の申請の様式とそろえられるかという課題はありますが、いずれにしても全体として学生の方などにジョブ・カードを作っていただいて、それを就職の際に役立てる形で活用していくということでありますので、そういうことが可能かどうかということがありますが、方向としてはそういう方向が望ましいと考えております。


○水町委員 就職のときだけではなくて、我々が認識しているのは定年を前に公的な機関以外に転職されたり再就職される方もたくさんいらっしゃって、その方もこの制度趣旨からすれば、当然、活用されるのにふさわしい、そういう意味で全ての方が活用されるような制度として想定されているとすれば、ほかの所に使ってください、使ってくださいと税金を使ってやるのと同時に、まず自分たちもやれるような制度に、そういう意味で使いやすい制度に中身をきちんとしていくという視点から改革されればいいのかという気がしました。


○小杉分科会長 この件に関して、ほかに御発言ございますか。


○三村委員 先ほどからカードを変えたのか、制度を変えるのかという議論があったと思うのですが、直近のキャリコン、訓練、評価、マッチングというところから長いスパンで職業人生を見つめながら、今の自分の在り方を考えるということでは大きな変化だと思っています。特に学校教育でも高校から大学受験で合否だけで進路指導をしているのか、あるいは全体のスパンで進路指導をしているのかということで、キャリア教育の導入で大きな転換が起こっているのと同じような形で、職業世界でも求められているという感じがしました。なかなか、この変化というのは学校教育の中では難しくて、やはり直近の利益というものにはなかなか代え難いものがありまして、ライフスパンでものを見るというのは、かなり重要なコンセプトの変換や位置付けを明確にしないと、なかなかぶれてくるということを私はすごく心配しております。
 もう1つは、先の話になるかもしれませんが、今回は大学や高等教育機関を対象にジョブ・カードの普及というものも1つ目指されておるところが大きな目標かと思います。その点で幾つか質問です。大学でも先行的に活用したキャリアセンターの方などを使いますと、なかなか学生が乗ってこないというのが現状で、その辺は前回もお話をしました。いわゆる大学生はプレサービスで、仕事をしている方はインサービスです。そうすると、同じようなジョブ・カードで、それがカバーしきれるかどうかというところは非常に1つ心配しております。
 もう1つは、先ほどの企業内人材育成推進助成金という形で、事業所ではジョブ・カードを使うと助成金がある。大学ではそういうものが予定されているのかというところも1つのポイントと思っております。その点で、正に大学生も同じようなもので行くのかということと、助成金に関しては大学等は使いなさいという、ただの省令だけで終わるのか、その辺の2つをお聞きしたいと思います。


○塚本実習併用職業訓練推進室長 まず、最初に学生の利用ですが、一般の労働者の方ですと職務経験の棚卸し等が行えますが、学生はこれができないということもありますので、学生の方を中心にした様式を別途設けまして、学生の方がキャリアプランニングを作成できるようにしていきたいと考えております。
 学生に係る助成金関係については、文部科学省等も関係省庁に入っておりますので、投げ掛け等を行っていきたいと考えております。


○小杉分科会長 よろしいですか。


○高橋(弘)委員 こだわるようですが、大事な点なので確認させていただきたいと思います。先ほどの300万人という目標について、これまで取得した人を除くという理解だと、私は受け止めたのですが、既存のジョブ・カードを取得されている方は当然、その後、転居を伴ったり職業をチェンジされたりする中で名寄せをして、本当にこれまで取得した人ではない人を技術的に純粋に取れるのか非常に疑問があるのですが、本当に先ほどの答弁に間違いはないのでしょうか。・


○塚本実習併用職業訓練推進室長 これまでの作成された方を加えた形での300万ですから、新しく177万人の方が作るということです。あと、カウントの仕方については少し工夫していきたいと考えております。例えば、電子化ソフトで作っていくに際しては。


○高橋(弘)委員 そうではなくて、私の質問は本当に名寄せをして重複を完全に排除できるのですか、ということです。


○宮川職業能力開発局長 今でもジョブ・カードの取得について特段、名寄せはしておりません。それはなぜかと申せば、ジョブ・カードは、本来そうやたらに出るような形のものではないであろう。ただ、ジョブ・カードが新ジョブカードに変わったということを契機として、今までジョブ・カードを作っていた人たちが新ジョブカードを作るということは、当然、大いに有り得ると感じます。
 先ほど室長からお話させていただいたのは、その際には何らかの形で、例えば、先ほど申しましたようにいろいろな形での電子的なところを取るという工夫をしようと思っております。その際には取るときに当たって、例えば、「今までジョブ・カードを取ったことがございますか」という質問を作って、それを「作りました」という方についてはカウントしないという工夫をすることによって、もともとは厳密の意味で名寄せをして300万という意味ではなかったものですが、ただ、そうは言っても水増しするのも変な形ですので、そういう工夫をしたいと考えております。


○小杉分科会長 よろしいですか。それでは、この議論はここまでといたします。議題3に移ります。議題3「2014年度の年度目標の中間評価について」です。内容について、事務局から説明をお願いします。


○宮下総務課調査官 資料3です。中間評価自体については、2009年、平成21年ですが、12月に閣議決定された新成長戦略基本方針などを踏まえ、2010年度からPDCAサイクルの観点から実施しているものです。
 3ページです。「中間評価」で、関連する2020年までの目標ということで4つほど並べております。これを基本として、2014年度についても目標を立てて、それぞれマル1~マル5の項目について評価をしており、今回は中間報告ということで、今年度4月から10月までの実績について、一番右にありますが、「2014年度実績」ということでまとめて御報告させていただくというものです。
 マル1ニートの縮減です。2万人という目標に対して、1万2,119人ということで、ほぼ達成する見込みと予測しております。マル2ジョブ・カード取得者数です。23.2万人という目標ですが、10.5万人ということで目標達成が困難ではないかということです。若者チャレンジ訓練の新規開始の終了や、求職者支援訓練の受講者数の減少といったものが主な要因として考えられていますので、今後引き続き周知の徹底を行ってまいりたいと思っております。マル3公共職業訓練です。施設内訓練80%、委託訓練70%に対して、それぞれ82.4%、73.7%ということで、ほぼ達成が見込まれる状況です。マル4求職者支援制度による職業訓練です。基礎コース55%、実践コース60%に対して、53.2%、55.7%ということで、年度当初に開始したコースの値が出てきていますが、年度最後まで見ると目標の水準を達成することを期待しております。マル5については、能力開発基本調査から抽出するデータで、年度の中間目標でお示しすることがなかなか困難ということです。来年度のしかるべき時期にマル5の点も合わせて、年度の確定値などを御報告させていただきたいと思います。以上です。


○小杉分科会長 それでは、ただいまの説明について御質問、御意見を伺います。


○板垣委員 求職者支援制度による職業訓練の就職率という点について、発言させていただきます。求職者支援制度の目標が今年度から雇用保険適用の就職率ということで変更されています。現時点での状況ということで、ただいま御説明を頂きましたが、2ページにある目標達成施策について、是非しっかりと取組強化をお願いしたいというのが1点目の要望です。
 続いて、その一方で、基礎コース、応用コースともに雇用保険適用の就職率が5割強という今の状況は、そもそも制度創設当初の見込みどおりなのかという点について、是非、見解を伺いたいと思います。


○藤枝能力開発課長 求職者支援制度については、本年度から雇用保険被保険者として就職した数字を就職率としてカウントして評価するということで、まだ今年度4月からスタートした訓練で、7月に終了した数がここの速報値という形で出ております。おっしゃっていただいたように、雇用情勢が改善する中でも非常に就職が難しい方が対象になってまいりますので、その就職支援については、ハローワークと訓練機関としっかり連携を図りながら、更に強化してまいりたいと思っています。
 数字のレベルについては、目標設定をしていただくときに、55%、60%ということで、当時の実態を踏まえた数字という形でこういう設定をさせていただいております。まず今年度の状況をしっかり見た上で、その目標値の水準については検討し、また御議論いただきたいと思っております。


○大久保委員 今回、委託訓練の目標を65%から70%に上げて、中間段階においてもそれを上回る数値になっていることは大変結構なことだと思います。それと少し離れて、就職率の目標なのですが、この就職率の目標に対して、数値が良いという要素は、これは関係する方々の努力のたまものの部分もあると思うのですが、もう1つはやはり、大変な人材不足、人手不足によって就職環境がいいということの両方の意味合いがあるのだと思うのです。これは中間報告の話ではなく、この目標の持ち方の話なのですが、景気が非常にいいときも、大変厳しいときも、常に同じ目標を持ち続けることが、政策目標として適切なのかどうかというのは長期的には考えたほうがいいのではないかということだけ、一言申し上げたいと思います。


○藤枝能力開発課長 御指摘はそのとおりだと思っております。委託訓練については、雇用情勢の改善、これまでの実績も踏まえて、前回の目標設定のときに65%から70%に引き上げさせていただいているということ。施設内訓練については、そのときも御議論いただいたようですが、80%を引き上げればいいというものではなくて、80%以上を維持するということに意味を見いだして、80%でいいのではないかという御議論を頂いたと承知しております。
 いずれにしましても、当然、訓練機関やハローワークの努力だけではなくて、雇用情勢全体の改善の中で数字は動いていきますので、過去の推移なども少し分析をさせていただいて、次回の目標設定のときには検討させていただきたいと思っております。


○高橋(弘)委員 目標に対する考え方について申し上げますと、中間評価をして、更に取組を深めていくのは大変望ましいやり方だと思います。その観点から考えると、中間評価ができない目標を立てることが本当にいいのかどうかという問題があります。来年以降の目標設定のときに、またこの場で皆さんと御議論させていただきたいと思っております。


○新谷委員 今、高橋委員から、目標設定の際の目標の在り方についての御提起を頂いたわけですが、私もそういう思いがあります。特に3ページの一覧が出ていますが、マル5の自己啓発を行っている労働者の割合、これは多分、能力開発基本調査に基づき、数字を年に1回しか把握できないものだと思います。ただ、この並びを見たときに、ニートから始まってジョブ・カードがあって、離職者の訓練があって、正しく雇用保険適用にならない求職者の訓練があって、それでいきなり自己啓発です。そうすると、この目標の大きなところが抜けているのではないかと思います。
 これは能力開発基本調査でも統計が出ていますが、やはり圧倒的多数の労働者、在職者に対する訓練、その訓練の主体は当然企業がOJTを中心に実施されているのだと思います。そういった本当に能力開発のボリュームゾーンとしての訓練に対する目標がないのではないかという気がします。在職者訓練の主流は自己啓発ではないだろうというふうに思うわけです。
 ですから、次年度の目標を立てる際に、企業の側の教育投資の金額がどんどん下がってきている実態がある中で、やはり在職労働者への能力開発というところを、政府として政策を持つというのであれば、目標を立ててそれを検証するというものがないと、何かこれをパッと見たときに、大きなところが抜けているという気がしましたので、次の検討の際に考えていただきたいと思います。
 その上で、この自己啓発を行っている労働者の割合、これは能力開発基本調査によるのですが、労働者の調査はどうやって実施されているのでしょうか。サンプルをコホート形式でずっと追い掛けているのでしょうか。多分その都度、調査対象を取っているのではないでしょうか。後者であればサンプルの変化で結果にばら付きがあると思いますが、近年のピークはどれくらいだったのかというのを教えていただきたいと思います。
 それと、取組として、5ページにキャリア形成助成金の支給決定件数が書いてあります。これがよく分からないのですが、これは多分、キャリア形成助成金に関して先ほども論議になったところの、自己啓発を行っている労働者に対する支援について経費の2分の1を助成するというものがあったと思うのです。ただ、中身を見てみると、就業規則や労働協約で、経費補助や教育休暇を導入したことに対して助成をするということになっているのですが、取組としては正社員と非正社員を分けていますよね。キャリア形成助成金の中で、目標達成の状況を見てみると、達成率が悪いのは非正社員なのです。その非正社員に対して何らかの政策を打っているのでしょうか。年に1回しか評価できないということもあるのですが、やはり待ちの姿勢であってはいけないだろうと思うのです。目標達成率の悪い非正社員への取組をどうされているのかというのをお聞かせいただきたいと思います。


○稲原基盤整備室長 能開基本調査についてです。ピークの自己啓発を行った労働者ですが、御承知のとおり、能開基本調査の個人調査の部分から自己啓発を行った割合ははじき出しておりますが、58.1%というのが正社員の中で過去の基本調査のピークで、ここ最近は40%強の部分で正社員は推移しているという状況です。ピーク時が平成20年度が58.1%、平成19年度が56.4%と、50%を超えているのはこの2か年度だけでした。


○小杉分科会長 今のは正規の話ですね。


○稲原基盤整備室長 はい。正社員以外については、ここ最近の数字は非常に小さい数字ですが、これもピークにおいては平成19年度、平成20年度が30%以上、ピークでは37.3%という数字が出ています。


○小杉分科会長 数字はそういうところで、政策的な対応という御質問があったかと思いますが。


○高橋(弘)委員 この自己啓発は、調査の対象者は変わるのですよね。


○稲原基盤整備室長 変わります。


○小杉分科会長 そうですね。企業さんから配っていただくという形ですので。そういうことで、これは安定的でないのはしょうがないというところなので、ちょっとその辺りはどこを取るかというのは考えたほうがいいですよね。


○原委員 調査の対象は悉皆ではなくて、毎回サンプリング調査であると。多分、業種と規模に関しては代表性が保てるようにしてあるのですが、そもそも調査対象が30人以上の事業所に勤務する正社員と非正社員なので、30人以上というとかなり大きな所に限定された調査ではあるということですよね。


○宮川職業能力開発局長 非正規対策については、現在、キャリアアップ助成金という別の助成金制度で、これはいわゆる能力開発のみならず、様々な施策を総合した形での助成制度で、安定局と能開局でやっているものです。そういう意味で、キャリア形成促進助成金とはちょっと別ですが、キャリア形成促進助成金と似たような手法も取り入れた形での非正規対策という形で進めさせていただいていますが、その部分についての評価がどうあるべきかということについては、また本日の御議論も踏まえた上で、来年度どうするかについては考えていきたいと思っております。


○新谷委員 先ほども近年の状況をお聞かせいただいて、2008年度がピークなのですね。おっしゃっているように、正社員で58.1%、非正社員で37.3%という結果があって、リーマンショックを受けてガクンと下がった。その後に、だんだん上ってきて、去年また下がってしまったという状況なのです。なぜ下がっているのかというのが、調査のやり方自体の問題もあるのですが、これを政府の政策目標として掲げることに関して、安定的な調査の基盤がないということもあって、目標達成は非常に難しいのではないかと思われます。
 もう1つは先ほど申し上げたように、能力開発という中で、在職者の訓練に対する政策目標がないというところの問題が大きくて、自己啓発は在職者訓練のメインではないのだと思うのです。やはり、在職労働者への訓練というのはOJTを中心とする企業主体の訓練であるべきというか、それが一番効果を発揮すると言われていますので、そこの政策目標をやはり掲げるべきだと思いますので、検討をお願いしたいと思います。
 併せて、自己啓発も決して悪い話ではないので、もしこれを掲げるとすれば、非正社員が達成できていないのだから、その非正社員に対する自己啓発を誘導するような政策は何なのかということを、是非、職業能力開発局は考えてください。
 それと、これに関連して申し上げると、教育訓練給付を拡充した専門実践教育訓練についてです。2014年10月から実施されて、スタートの時点では16講座しか開講できなかったわけですが、あの受講実績がまだ出ていないのです。もともと16講座しか開講できていないので、どれぐらいの方が利用されているのか全く見えないのですが、2015年4月からもう少し拡充していくということですので、開講する講座の実績だけではなくて、受講されている人の数を早くデータを示していただかないと、今後の論議にならないと思っています。


○小杉分科会長 これを受け止めていただくということです。
 最後にもう1つの議題があります。「その他」としまして、「職業訓練実施計画について」と「職業能力開発促進法施行規則の一部改正について」の事務局からの報告です。内容について事務局から説明をお願いいたします。


○藤枝能力開発課長 資料4-1です。職業訓練実施計画、公共職業訓練の年度計画を御報告いたします。来年度の予算案については、今、国会で審議中ですが、その予算案を踏まえた内容で計画を作成させていただいております。
 主な平成26年度との違いの部分を下線を引いてお示ししておりますが、3ページです。まず3の取組の中で、(1)離職者訓練ですが、平成27年度については対象者数14万1,000人、うち委託訓練は11万4,000人を予定しております。こちらは平成26年度計画は14万8,500人ということで、雇用情勢の改善を踏まえて7,500人ほど減少の数字にはなっていますが、内容的には地域ニーズへの対応や、建設、介護、保育への重点化など、メリハリを付けた内容で実施してまいりたいと思っております。訓練の内容も、繰り返しますが、地域、産業ニーズに沿ったものの設定を推進すること、あるいは母子家庭の母等、求職者の特性に応じた訓練を実施してまいります。特に地域ニーズ、産業ニーズの把握ということでは、(1)の最後の所にもアンダーラインを引かせていただきましたが、現在、コンソーシアムという形で、都道府県、労働局、地域の労使団体、訓練実施機関に参画いただいて、各都道府県ごとに、その地域のニーズに合った委託訓練の開発・試行を実施させていただいております。概要のポンチ絵を一番最後から2番目の資料に付けておりますが、今年度10か所で既にやっており、来年度については更に15か所に数を増やしてこういった取組を推進してまいりたいと思っております。
 3ページの(2)在職者訓練です。今も御指摘がありましたが、ポリテクセンター等でものづくり分野について在職者訓練を実施しております。平成27年度については今年度と同様、5万7,000人を計画しております。ただ、内容については、より利用しやすいものとするよう、土日コースの設定に努めたり、あるいは周辺企業のオーダーメイド型の在職者訓練の開発を進めたりという形で内容の充実を図ってまいりたいと思っております。
 4ページです。(3)学卒者訓練です。こちらについては、いわゆるポリテクカレッジ等で、ものづくりの戦力となる高度な実践技能者を育成するということで進めており、来年度についても5,900人を予定しております。
 (4)障害者に対する職業訓練ですが、1万1,500人を予定しております。国立の障害者校が13校ありますが、それに加えて委託訓練、これは企業や社会福祉法人にお願いをしている訓練であります。その委託訓練としては、内数として7,900を予定しております。障害者についても、障害者の雇用率の引き上げ等を踏まえて、障害者の求職者は増えています。特に精神障害者の方の増加も顕著ですので、そういった精神障害者の方に対応したコースの開発の推進等を通じて、一層推進してまいりたいと考えております。
 5ページの4ですが、先ほど求職者支援訓練についての御指摘がありましたが、職業訓練の目的は就職であり、それが目標ですので、雇用情勢が改善する中でも、やはりコースの設定状況によっては就職率が必ずしも芳しくないところもありますので、コースの見直しや、就職支援についてはしっかりと対応したいということで、あえて就職支援についての記載を今回の計画には書かせていただいております。以上の内容について、予算成立後に大臣告示という形で告示をさせていただきたいと思っております。
 併せて、資料4-2で、求職者支援訓練について、全国職業訓練実施計画を定めることとしておりますので、こちらも御報告させていただきます。求職者支援訓練については、中央訓練協議会、労使、学識経験者のほか、訓練実施機関である都道府県や訓練機関、専修学校等にも御参加いただいている協議会ですが、そこで先月、御議論をしていただいて、その内容を踏まえて作成しております。
 3ページですが、平成27年度においては、こちらも雇用情勢の改善を受けて、訓練受講者数が減少しているという状況も踏まえて、来年度については5万4,000人に訓練機会を提供するということで、訓練規模としては8万3,000余を予定しております。
 また、訓練コースについてはその下にありますが、基礎コースと実践コースとがあり、基礎コースは全体の30%、実践コースは70%という割合で設定します。また、実践コースについては、これまで介護、医療、情報の3分野を重点分野としまして、それぞれ分野ごとに設定割合を決めておりました。今回は、より地域のニーズに応じてフレキシブルに対応できるようにという観点から、3分野合わせて45%という形で、介護、医療事務、情報、それぞれ下限を目安として示すという形にしております。
 それから、地域ニーズ枠と呼んでおりますが、やはり先ほどと同じように、各地域ごとに地域ニーズに応じた訓練コースを設定していくことを推進するという観点から、特定の地域や特定の対象者に限定した形でのコース設定を、各都道府県で行うということを今回の計画の中には定めております。
 以上が、求職者支援訓練の計画です。今御説明したように、この公共職業訓練の計画と求職者支援訓練の計画は、これまでそれぞれ別に定めておりました。一方で、やはり地域、地域で訓練を一体的に、総合的に推進していく必要がありますので、本省レベルにおいても、平成28年度には両計画を一本化した形にしてまとめて、1つの大臣告示にしたいと思っております。それにより、各都道府県における一体的な訓練の計画作りといったものを推進していければと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。


○小杉分科会長 ここで質疑なのですが、時間が迫っておりますので、続きまして、残りの「職業能力開発促進法の規則の一部改正について」につきましても事務局から説明をお願いいたします。


○伊藤能力評価課長 資料5に基づいて、説明事項の2点目について御報告申し上げます。技能検定に係る職業能力開発促進法施行規則の改正に関する事項です。技能検定に関しては、御案内のように職種ごと、現在128の職種があります。また、等級ごとに同一職種の中に複数の有力な工法等がある場合には、必要な作業(選択科目)を定めた上で、それぞれ出題範囲をこの職業能力開発促進法施行規則により定めるといった枠組みになっております。これら試験科目や出題範囲に関して、それぞれの試験科目ごとの受検者数の実績、また、技術動向、関係法令の改正などを踏まえて、専門家による専門調査員会での検討を踏まえて、所要の技術的な改正を行うといった内容です。大きくは2点あります。
 1つ目は「試験基準の見直し」ということで、今ほど申し上げました個々の出題範囲、内容に係る事項です。おおむね各職種ごとに10年サイクルで見直し検討、検証を行っております。その結果、今回はここにあります農業機械整備、酒造、防水施工の3つの職種に関して、近年の関連分野での新たな法整備や法改正、あるいは工法の変化といった内容を踏まえて、学科試験又は実技試験に関して、ここにあるような追加又は削除を行わせていただくといった内容です。
 大きな2点目は(2)作業の統廃合、選択科目そのものの設定です。こちらに関しては、選択科目数やそれぞれの受検者数の実績を踏まえて、いろいろな類型があるのですが、イメージで申し上げると、全国で20名あるいは30名といった基準を下回るごく少数の受検者数しかいない選択科目に関して、各業界団体からのヒアリング等を通じ、継続実施の必要性を見極めた上で、関係者のコンセンサスの下で、取り分け実績が低い選択科目に関して、必要に応じ統廃合を行うといった考え方で運用しております。そうした考え方に基づき、ここにありますように、機械加工職種に係るラップ盤については廃止です。次のページの紳士服製造職種に関しては、型紙と縫製の統合です。次の陶磁器製造職種に関しては「手ろくろ成形」という科目の廃止です。そういった措置を講ずるというものです。
 (3)は、今申し上げました作業選択科目の廃止に伴い、同じ職業能力開発促進法施行規則の中で、検定の免除を受けられる訓練の基準や、学科と実技のこの選択科目を組み合わせて受検合格をすると技能士が取れるといった対応関係の別表があり、これらについての形式的な整備を行うという内容です。
 以上のうち、(1)の部分は速やかに実施することが適当ということで、新年度4月1日から、作業の統廃合に係るものに関しては、受検ニーズが全くゼロということではありませんので、新年度に最終試験を実施した上で1年後に措置を講ずるということで、施行の時期については平成28年4月といった内容になっております。以上です。よろしくお願いいたします。


○小杉分科会長 ただいまの2つの報告について御質問、御意見を伺います。


○水町委員 資料4-1の4ページです。障害者に対する職業訓練の所ですが、障害者雇用促進法改正によって法定雇用率が引き上げられることに伴う措置ということで、ここの職業訓練は、その職業訓練を受ける労働者に対してということと併せて、企業のニーズに対して企業の開拓を図るという、少し違う視点が入ってきていると思います。実際上、特例子会社を持たずに、かつ、障害者を積極的に雇用した経験のないような企業で、これからどうやって障害者を雇用したり、職業訓練をしていけばいいのかというニーズが非常に高く上がってきている中で、こういう政策がここの中で位置付けられているのかなという気がしますが。どういう形で企業を開拓するというときに、どういう形で企業を開拓していくのか。厚生労働省全体としての、企業ニーズに対して政策をどう展開していく中での1つの政策なのかというのを、分かる範囲で教えていただければと思います。


○藤枝能力開発課長 御指摘のとおり、実は今年度からやっているのですが、障害者を雇い入れたことがないような、経験の少ない企業にとって、やはりサポートがないとなかなか受入れが進まないところがありますので、訓練を受けていただくときにも、例えば精神障害者の方をサポートできるような支援団体の方にお願いして、企業に対して、どういった受入れ方をしたらいいかとか、どういった点に気を付ければいいかといったサポートをしていただくような事業を今年度から始めているところです。ただ、いずれにしても、まずは障害者雇用率ということで、雇入れを優先させる企業も多い状況の中で、やはり受け入れる前に訓練をしていただいて、お互いに慣れていただくということも重要だと思っております。
 労働局とハローワークで、障害者の雇用やトライアル雇用に対しては積極的に周知を行っているのですが、職業訓練については今一つ周知が十分でなかったこともありますので、都道府県だけではなくて、労働局やハローワークにもこれから周知をお願いしたいと思っていまして、全体として企業が障害者雇用を進める上でのツールとして活用いただくように進めてまいりたいと思っております。

 

○水町委員 ありがとうございます。


○小杉分科会長 ほかになければ本日の議論はこれまでとしたいのですが、ほかにありませんか。それではここまでとさせていただきます。
 次回の日程については、改めて事務局から連絡させていただきます。なお、本日の議事録の署名人ですが、労働側が高倉委員、使用者側が諏訪委員にお願いいたします。本日はこれで終了いたします。御協力ありがとうございました。


(了)

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