ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 雇用環境・均等局が実施する検討会等> 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会> 第7回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会(2015年3月20日)




2015年3月20日 第7回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成27年3月20日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)


○出席者

委員

佐藤座長、池田委員、石山委員、神吉委員、武石委員、田代委員、中井委員、両角委員

厚生労働省

安藤局長、木下大臣官房審議官、蒔苗職業家庭両立課長、飯野職業家庭両立課育児・介護休業推進室長、中井職業家庭両立課長補佐、川島老健局振興課長補佐

○議題

1 有識者等からのヒアリング
  ドイツ・イギリスにおける仕事と介護の両立支援(池田委員)
2 平成27年度仕事と家庭の両立支援に関する実態調査項目案について(育児)
3 個別課題についての検討

○配布資料

資料1 ドイツ・イギリスにおける仕事と介護の両立支援(池田委員資料)
資料2  平成27年度仕事と家庭の両立支援に関する実態調査項目案について(育児)
資料3 これまでの議論の整理
資料4 個別課題についての検討(1)
資料5 今後のスケジュール(案)
参考資料1 個別課題についての検討(1)に係る補足資料
参考資料2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」平成21年12月28日通達(抄)「第1総則の2定義部分」

○議事

○佐藤座長 定刻になりましたので、ただいまから「第7回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」を始めさせていただきます。お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は最初に議事にありますように、研究会メンバーの池田委員から、「ドイツ・イギリスにおける仕事と介護の両立支援」について、御報告頂きます。

 その後、質疑応答の時間を設けて、更にその後は事務局から議題2として、平成27年度仕事と家庭の両立支援に関する実態調査(育児の調査)項目案について御説明いただき、皆様から御意見を伺えればと思います。

 また、議題3として、今まで議論してきたものを整理していただいていますので、それに基づいて個別課題について議論したいと思います。毎回同じように、これまでの研究会の資料がお手元にありますので、適宜、御覧いただければと思います。

 それではまず、池田委員から御説明をお願いします。

○池田委員 池田です。よろしくお願いします。前回の研究会で、諸外国における仕事と介護の両立支援の状況を文献サーベイに基づいて、お話させていただきました。その文献サーベイの結果、ドイツとイギリスの両立支援の施策が参考になるのではないかと思いまして、昨年の秋と今年の1月に現地に行ってまいりました。その状況を、これからお話したいと思います。

 お手元の資料1に沿って御説明させていただきます。最初に、どういう調査計画で調査をしたのかということが、スライド3枚ぐらいで書いてあります。この研究会で介護休業を巡る一つの問題意識としては、制度があるのに、なかなか利用されないという状況があります。また、これからいろいろな制度を作ったとしても全く利用されていないということでは非常に困るということで、海外ではどうなのかと、どういう介護場面を想定して制度が作られて、また、どういった場面で実際に利用されているのかということを調べてこようということで調査を企画いたしました。

 前回も少しお話させていただきましたが、その対象国として、ドイツというのは法定の介護休業制度と介護保険による介護サービスが提供されています。外形的に日本と非常によく似た体制をとっているということで、ドイツを一つの参考にしてみたらどうかということになりました。

 もう一つの国、イギリスはドイツと対極にあります。介護のための法定制度は、ごくごく限られて、長期の介護休業もないという状況です。また、介護サービスについても日本のような介護保険というよりは、少しは民間サービスを活用するというようなところで、少しやり方が違うと。ただ、前回も文献を読み解いて少しお話しましたが、法定外のいろいろな自主的な取組を企業に促していくという面で、非常に活発な取り組みをしています。日本でも実際に法定制度があっても使われていなくて、法定外のいろいろな制度が使われているという話は今までもありました。そういった日本の実態も踏まえて、イギリスを調査してこようということになりました。

 訪問先等はスライドを見ていただきたいと思います。基本的には労使団体、あるいは企業、それから、それに関連するような民間団体に聞き取りをしてきました。少しずつ国の実情は違うので、調査している内容も違うのですが、ドイツにおいては集団的な労使協議が定着している国ですので、政府と労使団体に行ってきました。イギリスにおいては、少しそれとは違う観点で、個別の企業ですとか民間団体に調査をしてきて、実際に介護の実態や現場がどうなっているのかという聞き取りをしてきました。

 ドイツのほうから話したいと思います。前回、少し制度の概略等をお話させていただいたので、その辺は余り詳しく話すことはしないで、聞き取ってきた内容を中心に話していきたいと思います。スライドの5番を見てください。ドイツにおける仕事と介護の両立支援の現状ですが、前回も文献でちょっとお話しましたが、まずドイツには、日本の介護休業とよく似た「介護時間」という法制度があります。これは6か月1回という規定になっているのですが、日常的な介護を想定しているという点で日本の介護休業とは違います。

 日本の介護休業が想定している介護の準備や態勢作りのための休業としては、101回の「介護時間」があります。これには短期の介護時間と長期の介護時間があります。この10日間で態勢作りをして、6か月で実際に介護に当たるという建て付けになっています。ちょっと「介護休業」や「介護休暇」と似ているのですけれども、趣旨が違うということを御留意ください。

 この6か月が、なぜ6か月なのか、短くないですかという話を現地で聞いてきたのですが、日本の厚生労働省に当たる現地の行政機関では、6か月というのは労使交渉の妥結の結果ということでした。ドイツの場合は集団的な労使交渉は非常に発達していますので、そういったことがあっての、この交渉の結果ということになっています。

 一方、日本の短時間勤務に相当する制度として、2年間の「家族介護時間」という制度が設けられております。これは前回も少しお話しましたが、週15時間を下限に従前の半分まで労働時間を短くできるというものです。この2年という期間は、アンケート調査を行った介護期間の中央値を取っているという話でした。専門的に言うと、この中央値という数値の取り方がポイントです。平均を取ると、やはり十何年もやっている人がいるじゃないかということに引っ張られるのです。統計的にいうと、外れ値といって極端に大きな値があると、平均値というのは非常にぶれやすいので、そこで中央値を取るという形で制度設計をしているということです。これは非常に面白いなと思いました。

 また、週15時間という勤務時間の下限は、介護保険での在宅サービスを利用できる時間に対応しているということです。「介護時間」と「家族介護時間」をどのように使い分けるかということについては、やはり、介護保険との関係が一定程度、念頭に置かれているということでした。そういう意味では、かなりきちんと制度設計されているのですが、介護時間も家族介護時間も余り利用されていないという状況です。

 その一つの理由としては、労使双方に言い分があるのです。現地でTUC(ナショナルセンター)の労働組合に行って話を聞いたのですが、やはり労働者サイドは所得保障が不十分であるということが一つの大きな理由として挙げられています。後ほどお話しますが、特に低賃金というか、収入が比較的少ない人にとっては、こういう制度は大事なのですが、そういう人たちが十分使えるものになっていないということでした。一方、使用者側は、これは法学者の方はよく御存じだと思いますが、もともといろいろな協約や、EU統一のルールの下でパートタイムの契約変更が比較的容易にできたり、それに伴う不利益取扱いの禁止ということが徹底されていますので、そもそも介護のための制度がなくても協約などに基づいてやっていたことであって、そういう意味で要らないという評価をしていました。 資料7ページ以降に、今の話を少し具体的に載せています。ドイツの介護休業については、今お話したとおりです。

 最長6か月の長期休業というのが一つのポイントになるのですが、15人以下の事業所は適用除外になっているという所だけは、押さえておいてください。実態として介護時間は余り利用されていないということなのですが、これは2010年に1,500世帯を対象にした調査の結果、短期の介護時間の利用率が6%、長期休業に至っては4%ということでした。これは請求の要件を満たす者に占める取得者の割合ということで、実際に家族を介護する資格適用対象になるという人を対象にしています。取得しない理由として、2006年施行の法律なので、知らなかったというのはあるのですが、やはり必要なかったという割合が、短期、長期ともに約半数ぐらいいて、決して低くない値です。日本でも介護休業を取らない理由で、そもそも普段の有給休暇などで、介護のための制度が必要なかったという回答がありますが、ドイツでも少し似た傾向が見られます。

 次に、ドイツの短時間勤務として、先ほど述べた「家族介護時間法」というものがあって、最長2年、時短ができるということになっているのですが、所得保障が不十分ということに関して前回も少し述べましたが、この短時間勤務に所得保障がついているというのはドイツの制度の少し独自なところです。ここに例が載っていますが、例えば週40時間勤務から週20時間勤務に短縮した場合、その減らした20時間のうちの半分ですから、10時間分を所得保障として使用者から支払いを受けることができると。ただ、10時間分というのは、もらえるものではなくて借りている状態です。フルタイムに復職した後で、返済期間中は、40時間働いていても賃金は30時間分になるということです。

 ドイツはもともと時間貯蓄制度などがあり、賃金と労働時間の関係については、今、働いて、その月に残業手当をもらうのではなく、長期的に賃金と労働時間を決済するというカルチャーがあります。そういう一つの文化的な土壌の下にこういった制度があるのです。かなり便利な制度だなと思ったのですが、現実としては余り利用されていないということで、2012年の施行から2014年の間で、人数ベースで合計5,000人、ドイツ全国で5,000人ということですから、余り利用されていないということです。これはちょっと、いろいろ利用しにくいことがあって不便なのではないかということになり、2015年から「改正家族時間法」ができて、従来の介護時間と家族介護時間を一つの法律に統合しています。

 どういう改正をされているかというと、まず家族介護時間については、もともと労使の合意でやると言っていたものを完全に義務化したという点が大きな改正です。その上で、もともとは介護時間と家族介護時間を通算すると26か月使えたのですが、これを全部2年の期間に収めることに変わりました。これは労働側としては、やはり当然、悪いほうに改定されたと言っているわけですけれども、既に、この法案は通っております。

 これに伴って、日本では不利益取扱いですが、ドイツでは特別解雇規制というのですが、その保護の対象期間が少し短くなっているということも、当然、労働側は問題にしています。それから先ほど言った前借に当たる所得保障の部分を、事業主からの前借ではなくて、BAFzAという公的機関から借り受けることができるようになりました。これは使用者サイドが、もともと前借りするだけの資金力がない場合に、このBAFzAという所からお金を借りて、それを貸し付けていたということがあるのですが、その手続を簡略化するためにBAFzAから労働者が直接借りるようなローンに変わったということです。ただ、労働者サイドの見解は、これは借金であることには変わりがないということです。また、貸し主が事業主でなくなったことによって、それまでは、フルタイム復帰後の「清算期間」も特別解雇規制の対象になっていたのです。つまり普通解雇ではなくて介護者として特別に保護されていたのですが、貸し主が事業主ではなくなったので、清算期間は特別介護規制の対象外になったということです。

 また、10日間の介護時間に限って、無給だったものが介護保険制度から手当が出ることになりましたという改正がされています。これで実際に利用できるようになるのかということなのですが、ちょうど昨年11月にドイツに行ったときに、改正法案がほぼ固まって、労使双方がそれについてコメントを出すという段階になったのです。しかし、労使双方とも、余り芳しい評価はしていないという状況でした。

 先ほど申しましたが、労働者側としては、制度利用中の所得保障が不十分だということを強調しています。端的に言って、家族介護時間中の所得保障というものは、単なる借金に過ぎないということがあります。

 もう一つ、これはかなりナショナルセンターの労働組合では問題にしていたのですが、15人以下の事業所が適用除外であるということです。これは何を意味しているかというと、介護者に占める割合の女性比率が高いサービス業、特に零細事業所が多く適用除外になってしまうということで、実際に介護している女性が使えないということだと意味がないだろうという指摘でした。また、通常のパートタイム労働での契約変更でも、当然両立はできるのですが、そうするとやはり賃金は下がってしまう。その賃金が下がることで誰が苦しいかというと、やはりサービス業のような決して収入が高くないセクターで働いている女性だろうということで、実質的な介護者の多くを占める女性に対して、ほとんど使える制度になっていないということを問題にしました。また、高収入ではない女性にとっては、フルタイム復帰後に借金を返さなければいけないということは、当然その後の生活も負担になるということで、非常によろしくないということでした。

 使用者サイドは逆に通常のパートタイム労働への契約変更で十分ではないかということを言っています。また、家族介護時間法ができる前から、労使協約に基づいて似たようなことをしてきたと。法制化よって、かえってそういった多用性が失われて硬直化してしまったということを問題にしています。法定を下回る労使協約というものも当然あるのですが、ドイツでは解放条項といって、要するに除外規定ですね。労使でこういう合意であった場合は、これについては除外できるという解放条項というものがあるのですが、その解放条項に対する規定が、家族介護時間法にないということで、非常にやりづらい法律になっているという話でした。

 では実際に労使双方で協約に基づいて、どういうことをしてきているのかを11ページに、幾つか聞き取ってきた話を載せています。短い聞き取りで、先方がこんなのや、あんなのもありますという話を書き取ってきただけなので詳細は分からないことも沢山あるのですが。一つは、ホームオフィスという形でやっている在宅勤務制度、これは主にホワイトカラー向けにやっている企業が大体20%ぐらいあります。これはBDAという使用者側のナショナルセンターの会員企業の情報ですが、20%ぐらいの企業がやっていると。

 両親と離れて住む労働者が遠距離介護みたいな場面を少し想定しているのですが、一定期間出社せずに、両親の家に泊まりつつ介護を行うことができるというメリットがあるということで、いわゆる部分在宅ではなくて、その期間だけ完全在宅という形で介護においては在宅勤務をするケースがあるようです。

 それから、法定を上回る1年の介護休業、あるいは3年の介護休業ということで、一応、名前は伏せていますが、皆さん、言えば誰でも知っているような、いわゆる大手企業ですね。日本でも名前の知れた大手企業では、そういうことをやっています。

 それから先ほど言った家族介護時間の所得補償は借金ではないかという話については、フルタイムの就労時の賃金額も維持したまま、要するにフルペイの状態で3年間パートタイム就労ができますということをやっている企業もあります。

 ただ、これらは大体、大手企業の話です。中小の場合では、先ほどの時間貯蓄制度というものですが、残業した分を残業手当にしないで、そのまま積み立てておけるのですね。それを大体、多くの場合は1年ぐらいの間に清算する。そうすると例えば、かなり溜まったからその分、休暇を取ったり、あるいはパートタイムをしたりすることはできる。日本の「変形労働時間」に近い発想ですが、そういうことをやっています。その清算期間を3年ぐらい長くして、家族の介護が必要になったときに、一昨年たくさん残業した分でパートタイムできるというようなことを、中小ではやっているケースが結構あるということでした。また介護離職者の再雇用制度は、前回お話したかと思いますが、介護サービスのほうのいろいろな斡旋をしたり、大きな所ですと、自分の所で介護事業者と提携して、そこを使えるようにしたりといったこともやっているというお話でした。

 法定制度以外の所で、いろいろ労使が協約に基づいてやっているということを、使用者側としては尊重してほしいと。ただ、協約に入っていない企業や労働者もいますので、そういう意味では、あくまでも協約で守られている範囲の話というところが、もう一つ、こういう法律が必要になる背景にもなつているということであります。

 続きまして、イギリスの話に行きたいと思いますが、イギリスは先ほども言いましたように、長期の介護休業の規定というものはないです。ドイツの短期介護時間に似たような制度として、緊急時のtime offというものが法制化されています。ただこれは、具体的な期間の規定はなく、「合理的な長さ」として、大体それでも数日ぐらいという目安で法律化されています。これについては、取ったことによる不利益取扱いということは禁止されています。

 長期の介護休業、あるいは先ほど言った家族介護時間のような短時間勤務や、そういったものというのは、介護のためにということでは、もう今の段階ではないのですが、もともと子育てのために法制化されていたflexible workingですね。これが2006年に子育てから介護に拡大されて、介護でも使えるようになったというのが、両立支援としての介護として、イギリスで最もよく利用されているものです。ただ今は、家族的責任を負わない一般的な労働者にも、昨年から広がっているという状況になっています。

 次にflexible workingの選択肢としては、パートタイムワーキング、短時間勤務やパートタイム労働というのがポピュラーです。しかし、介護においては、どちらかといえば労働時間を減らさずに、勤務時間を変更する方法が好まれるという話でした。後でデータを示しますが、フレックスタイムというのが非常に重要なのですが、例えば日本でいう、ちょっとした時差出勤、1時間ちょっと遅れて出勤するといったことで、なるべく労働時間を減らさないほうが好まれるということです。この一つの理由は経済的な理由です。

 それから企業においては、ここにある以外に様々な両立支援制度が導入されていて、企業の取組推進方法としては、後で紹介しますが、民間の支援団体が企業に対していろいろなセミナーを開いたり、事例を紹介したり、あるいは企業同士でピアグループを作って情報交換をするといったことをやっています。この民間団体の活動というのを、政府がいわばちゃんとした施策推進の一つの計画の中に位置付けてバックアップしているというところにイギリスの特徴があります。

 どういう制度かということを、もう一回お話しますが、介護のための休暇としては、先ほど言いましたが、扶養家族のための休暇(time off)というのが、「合理的な長さ」「無給」として設けられているということだけになっています。では実際に、このtime offを使っているのかというと、後でお話しますが、個別の企業に聞いても余り使われていないようです。

 では、どういう制度が使われているのかというと、14ページに行きますが、やはり年休を使う人が多いです。介護のために利用している休暇制度として38%の人が年休を使っています。それ以外に扶養家族のための休暇ということでは7%ぐらい、あるいは介護者のための休暇は、個別企業で独自に設けている、この研究会でもNECの事例等を御紹介頂きましたが、そういったものを取っているといったようなことです。介護のために年休を使うというのは、日本とよく似ているなということで、実際に企業でどういうことをやっているのかを聞いてきましたが、イギリスの大手企業の、介護のために使える休暇制度の概略を15ページに載せています。

 一つが「計画的介護者休暇」です。これはNECや東芝さんの積立休暇に近いような感じですね。会社が独自に持っている介護者のための有給の休暇ということです。これは2週間を上限に年休と併せて取るという計画になっています。例えば、1か月間丸々、介護のために有休を使えるのですが、そのうち半分は年休を消化しなければいけないという設計になっています。何でそうしているのか、今一つ、よく分からなかったのですが、もともと介護のために年休を取るというところに、付加的に、そういう特別休暇を乗せている制度設計になっているようです。それから先ほど言った法定のtime offはこの2番の介護休暇ということです。

 それから3番目に、キャリアブレイク制度として、より長期の介護に専念するために、3か月から2年の期間で取得可能な、いわゆる長期介護休業というのもあります。それ以外に、何かそれでも足りなかった場合は言ってきてくださいということで、ケースバイケースで追加的な休暇も取れるということになっているのですが、実質的には長期のキャリアブレイクを取得する人はいないということでした。その理由として、一人の介護者が付きっきりで在宅介護するということは、ほとんどないということです。ほとんどが有給休暇の範囲に収まるので、余りそんなに長く取る必要はないということでした。

 次に、「介護のための柔軟な働き方」ですが、これはパートタイム労働やフレックスタイムなどを利用できると。もともとは子育てのために利用できたものを、2006年から成人の家族等の介護・看護を行う労働者に拡大して、ちょうど2014年からは、そういった家族的責任を持たない一般の労働者にも拡大されて現在に至っているという状況です。ただ、このflexible workingに関しては、使用者が断れる余地が結構大きいです。申請権ではなく、単に請求して後は労使で話し合ってやっていくということです。結構断れるというのは、例えば追加コストの負担が伴うときや、顧客需要に損害を与える、あるいは従業員間での業務の再編成が難しい場合、あるいは別の従業員を雇用できない、仕事の質の低下が懸念される等、業務執行に損害を与える。要するに、例えば会社としては人手不足で、これ以上休めないから無理ですと言われたら、使用者の言い分のほうが通るということです。

 少し補足的に聞いてみると、例えばAさんが先にパートタイム労働に契約変更した後で、

Bさんが申請したら、いや、もうAさんがやっているから駄目というのは通ることがあるみたいですね。要するに、できるときはできるけれども、できないときはできないみたいな要素が結構大きいみたいです。ただ、そのときに、やはり家族的責任を持っている人に関して言うと、「そういう理由があるから駄目です」と使用者が言っても、やはり差別禁止ということに抵触する場合は、使用者の言い分が通らないということになります。

 多くの場合、例えば女性の子育てでもそうですが、最近では男性の場合もそうですけれども、いろいろ追加的なコストが発生するから駄目ですよと言っても、それは間接差別を疑われることが結構あります。ACASという行政機関が出しているガイドラインの中にも、例えば、こういう理由で駄目ですと言うことが間接差別に当たる可能性がありますから、そこは注意してくださいというようなことを書いています。この差別禁止というものが、家族的責任を持っている人の、特に性差別の問題に抵触する可能性があるというところで、実質的な保護になっているという話でした。

 それで、実際にどの程度、利用されているかということですが、2012年にイギリスでやりましたワークライフバランス・サーベイの従業員調査の結果を、次のスライドに引用してあります。ケアラー(介護をしている人)と、育児をしている人と、Not carerという、それ以外の人との数字をそれぞれ載せています。これは100%は、あなたの会社、勤務先でこういう制度が使えますかと言って、使えるというのがアベイラビリティに該当する。言い方はちょっと独特なニュアンスを伴っているのですが、そのアベイラビリティがある人の中で実際に使っている人の割合なので、介護者全体の半分がフレックスタイムを使っているという調査ではないということです。100%の理解は難しいのですが、そのように見ると、やはりフレックスタイムを使っている人が多いです。

 その次はパートタイム、在宅勤務と、介護については並んでいるのですが、例えば一般の人と比較した場合に、在宅勤務に関しては、一般の人も43%ぐらい使えるということで、どちらかといえば在宅勤務の場合は、介護のためにとか、子育てのためにそれを認めるとか、そういうニュアンスよりも、もともと別の企業の事業上の理由で在宅勤務をやっているという、そこで介護している人も、その恩恵に預かっているというニュアンスが強いです。

 それに対して、一般よりも数値が高い所は、やはりそういう特別な事情を持った人に対して、そういう事情の下に使っているというニュアンスが強いという数字の読み方になります。そういう意味で言うと、フレックスタイムとパートタイムの割合が高いという結果の解釈になるということです。パートタイムよりもフレックスタイムのほうが利用されているということで、現地でも余り給料を減らしたくないということで、なるべくフルタイムの範囲で調整したいというお話でした。

 そういったことで、flexible workingが使われるかどうかということは、両立にとってイギリスでは一つの大きなキーポイントになっているわけですが、それ以外にも企業でいろいろな取組をやっています。例えば、前回もお話しましたが、従業員を支援する制度として、従業員同士がつながるネットワークを従業員が作ったものを、会社側が支援するということを先ほど示した企業ではやっています。

 あるいは、仕事や介護のことを含む様々な事柄にカウンセリングや助言を受けることができる支援制度、いわゆる相談、そういったものに対する支援をやっていたり、あるいは、勤務時間中に介護の用事で電話をする権利を、あらかじめラインマネージャーの了解を取って認めたり、介護研修ということで、将来の介護に備えた研修をやるということ、あるいは、現場の管理職向けに、どういった心掛けを持っておかなければいけないかということを研修等を実施する。

 調査に行った企業の人事担当者の人が実際に言っていたお話ですが、やはりイギリスでも、Hidden carerという隠れた介護者の存在、つまり会社に言わないで両立を図っているという人の問題もあるようです。やはり、年休で両立するとか。そのために、「隠れた介護者」の存在を表に出していく意味で、そういった研修をしていく必要があるというお話でした。

 実は、この会社は介護支援をしている民間団体の会長企業なんですね。例えば、その企業がやっているノウハウを、ほかの企業がその事例を共有したり、あるいはその民間団体が今度開発した研修プログラムを個別の企業でやってもらうようなことをやったり、民間の支援団体を媒介にして、こういう取組を普及させていくことを政府もバックアップしながらやっているようです。

 最後にまとめとして載せているのですが、日本、イギリス、ドイツの類似点として、イギリス、ドイツの両国とも、長期の介護休養に関する労働者のニーズというのは、そんなに高くないみたいです。しっかりした6か月に1回という制度があるドイツでも使われていないし、イギリスで企業が独自にそういう制度を設けても、実際には使われていないと。一つの大きな理由は、やはり経済的な理由で、経済的なロスを抑えたいというのが一つの理由にあるみたいです。それでもなるべく出勤しながら介護との両立を図る労働者が多いという話でした。

 ただ、法定の両立支援制度が、例えばイギリスのように余りなかったり、あるいはドイツのようにあっても使われていないという場合であっても、ドイツでもイギリスでも働き方の柔軟化というのは、一つの人事労務管理の施策として、非常に関心が高く、また普及もされていて、先ほどflexible workingが一般の労働者に拡大されたという話がありましたが、介護している人以外の人も含めて、柔軟な働き方を進めていくというところの中で、介護をしている人も両立を図れる環境を使ったり、あるいは先ほど言った企業独自の両立支援制度を個別に設ける。それを例えばドイツでは、労使協約という労使関係の中で、集団的な労使関係の中で支援メニューをお互いに話し合いながら、開発していく。イギリスでは民間団体や個別の企業の取組を、また政府もバックアップしながら支援メニューを開発していって、それを利用していくということが一方で行われている。

 日本も(1)の部分が、今、育介法の文脈で議論されていますが、(2)の部分でいうと、また別のところで実証実験の話が前回あったようなことが行われていたり、そういう意味で両立支援の推進体制として、よく似た部分があると思います。ただ、 (2)の部分があれば(1)が余りなくてもいいじゃないか、とは言い切れない部分があります。

 例えばドイツでは、(2)の部分で労使協約だとか通常のパートタイムの労働契約変更との関係で、特別解雇規制の適用対象から外れるということが、労使の大きな一つの争点になっています。またイギリスでも柔軟な働き方が、できる所ではできるし、できない所ではできないといっても、やはりそれは最終的には差別禁止というものできちんと保護できているかどうかということが一つのポイントになりますし、また、その制度の設計において、イギリスやドイツでも、やはり(1)の部分の法定制度をしっかりと整備していくことへの問題意識が低いわけではないということです。そういう意味では、イギリス、ドイツの何かを真似できるのかなと思って現地に行ってみたのですが、非常に問題意識がよく似ているなという調査後の実感を持ちました。

 駆け足でしたので、端折った部分もあります。何か御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。

○佐藤座長 もう少し説明してほしいというようなことでも結構ですし、ドイツ、イギリスの事例から、こんなことが日本でもというような御意見でも何でも結構ですがお願いします。

○両角委員 ドイツのことについて質問します。ドイツでは、法律上は長期の休業があるけれども、実際に使っている人はそれほどいないということでした。ところが6ページを見ると、すごく在宅介護が多いと書かれています。逆に、必要がなかったから取らなかった人が多いというのが7ページにあります。これは一体どういうことなのでしょうか。

○池田委員 1つは、要介護者1人につき、介護を担う家族が3人ぐらいいるという話がありました。イギリスでも同じ話です。日本でも、よく問題になる親1人子1人で、ちょっと離れた所に住んでいる親を、たった1人の子供が付きっきりで介護しなければいけない、そういう場合はどうするのですかと言ったら、日本ではそんなことになっているのですかと、逆に驚かれました。大前提として、今の介護者になっている現役世代の家族規模が、日本よりはある程度あって、大体交替で親を看られる体制がまだあるということです。

 例えば、介護保険と介護休業の関係だけで言うと、介護保険の適用範囲が日本より狭くて、ざっくり言うと、日本の要介護度3以上の人が介護保険の対象になります。それ以外は家族が看ています。家族が看るといったときに、ある程度家族の中で交替で看ることが前提になっているので、仕事を丸々休まなくても済んでいるということがありました。

 あとは、はっきりと現地でそうだという話ではないのですけれども、ドイツでも年休の未消化というのはある程度あるみたいです。余った年休を介護に充てるということは、ドイツでも多少やっているみたいです。調査の合い間に漏れ聞いた話なのですけれども、そういう意味で6か月間介護時間を取る状況にはなかなかならないということみたいです。

○武石委員 前回に引き続きありがとうございます。すごくよく分かりました。3つお聞きします。今の話とも関連するのですが、介護離職というのは、ドイツやイギリスでは問題になっていないのかが1点目です。2点目は、こういう制度を利用しないで家族がやるのは分かるのですが、介護のサービスが足りないというような議論はないのかどうか。3点目は、最後のまとめの課題の所とも関連するかもしれないのですが、イギリスのflexible working法で、全従業員に拡大された中で、育児とか介護の場合は特別手厚い制度というものはなくても、全員が同じようにリクエストができる制度に今はなっているのでしょうか。要は、育児介護だったら、事業主がそのリクエストをきちんと考えなくてはいけないとか、私は法律のことはちゃんとフォローしていないものですから。

○池田委員 法律レベルでということですか。

○武石委員 はい。そこはどうなのかを教えてください。

○池田委員 介護離職に関しては、イギリスでもドイツでも問題になっています。イギリスでは実際にその統計が取られていて、離職だけではなくて短時間勤務にしたとか、いろいろなことも含めてということでいろいろなデータを取っています。離職だけを取り出すと、介護者によって10%ぐらいです。

 ドイツでは、離職に関する正確なデータはまだ取れていないのですが、何で労使協約に基づいて、企業がここまで自主的な取組をするかということの1つの背景としては、やはり人材の確保が大きな問題になっています。特に、高度専門人材といいますか、高度なスキルを持った人材の離職を防ぎたいということがあるみたいです。

 それから介護サービスは足りているのか足りていないのかということですが、ドイツに関しては足りているとは言えないです。ただ、これはヨーロッパ特有の話で、保険外のケアワーカーが結構います。それは、今EUが拡大していて、東欧からケアワーカーが低賃金で来ています。例えば、足りていない部分は、そういう人を住み込みで雇ってケアに当たってもらうことも実態としてはあるみたいです。

 イギリスの場合は、足りていないという話ではないのですが、これも調査の過程で漏れ聞いた話のなのですが、総量として足りていないわけではなくて、ケアの質の面で言うといろいろ不満が多いみたいです。そこは市場サービスの部分があるので、単純に自分の収入に見合うケアサービスの質が良くないということです。統計的に言うと分散が大きいという意味で、足りているとは言えない面があるみたいです。

flexible workingについて、詳しいことはイギリスの専門家の神吉委員がいらっしゃいますので、あれですけれども、育児・介護だから特別にということはないみたいです。育児・介護だから特別にの部分に関して、やはり差別禁止に当るということが1つの特別な保護に相当するようなものになるだろうというのが、ACASの担当者の説明ではそういうことでした。現地の聴き取りのニュアンスで言うと、一般労働者に拡大されたことにより、育児や介護をしている人に対する特別な措置という従前の意味合いが、今後どの程度残るのかということは問題としてちょっとあるかなという印象を受けました。在宅勤務の話が典型的ですが、要するに業務の性質上できる所ではできるし、できない所はできないしということになってしまうと、両立支援としてはどうなのかなという面があります。

 個別企業に関して言うと、先ほど大手企業の例も話しましたが、そういうプラットフォームの下に育児の人向け、介護の人向けということは、個別の企業ではやっています。そのようなことで、この後そこは見ていく必要があるかと思います。

 一般労働者に拡大したことで、特別な事情を持っている人が埋もれてしまうことがあると、両立支援としては逆に使いづらくなっている面はあります。今後フォローしていく課題として問題意識を持っています。

○佐藤座長 一番最後の件で言うと、全体に広がることによって、もしかすると在宅もいろいろな働き方に広がる可能性もあります。広がって、従来の介護や子育ての人だったら使いにくかった状況が、職場全体の仕事の仕方を変えていくというプラスもあるかもしれないですね。

○池田委員 そうです。

○佐藤座長 だから、これは少しウォッチしていかなければいけないことです。あとは、離職者がいるかどうかは分からないのですけれども、ドイツで言うと再雇用制度の中に入れているというのは多分そういうことです。離職者がいるから入れているのだから。

○池田委員 そうです。

○神吉委員 最後に出てきた差別禁止との関係ですが、ちょっと感じるのはエンフォースメントの関係が多分あると思うのです。池田さんから詳しく説明があったように、flexible workingは単なる申請権にすぎなくて、請求権ではないので、使用者からの拒否ということがかなり幅広く認められています。その場合に、実務上問題になってくるのはどちらの言い分が正しいかということで、これを争う場合に、基本的には雇用審判所に持っていかないといけないのです。雇用審判所に持っていくことで、ACASのあっせんも同時に始まるのですが、ただ労働者にとっては訴訟みたいなものなので、かなり負担が大きいということです。

 これを差別禁止というように問題を構成すると、EOCの訴訟援助が受けられます。EOCというのは英国雇用均等委員会ですが、そこはかなり差別禁止に対するいろいろなケースに対応する専門性を持っているので、そこの助力が受けられると非常に大きいと思うのです。そういう意味で制度設計する際に、まず権利として何を規定するかという問題と、それは権利として使い勝手がいいかを今考えていることがあります。それにプラスして、その権利が実現されなかった場合に、それをどのように回復していくかという視点も恐らく今後加味されていくべきなのかと思いました。

○池田委員 私が聴き取ってきた話の詳細は、多分そういうことだと思います。

○田代委員 企業側の支援という観点でお聞きします。調査した企業の例では、特に金銭的な援助はないということでした。大体一般的に有給休暇の付与以外に、そういう金銭的な援助はないものなのか。それ以外に企業が何かやっている支援制度として、この企業の例は極めて進んだ例で、実態は企業側としては余りやっていないのか、その辺の事情が分かれば教えてください。

○池田委員 ワークライフバランス・サーベイの企業調査が、ついこの間公表されたのですが、いろいろ忙しくてまだフォローできていません。介護の話が載っていたかどうか、そこはまた調べてみます。調査した企業の事例は先進的ではあるのですけれども、民間団体に1つプログラムとして、こういうノウハウは、Carers UKという、大きな介護者支援団体があります。そこがEmployers for Carersという別団体を関連会社みたいなので持っています。そこは、使用者とEmployers for  Carers UKが連携して作っている民間団体です。

 そこで、会員企業から会費を取って、いろいろな企業からの相談を受け付けたり、あるいは企業がこういうことで困っているのだと言うと、こういう両立支援のプログラムがありますという指導をやっています。その中で研修プログラムとして、介護者向の研修とか、ラインマネージャー向の研修プログラムというのは、例えばEmployers for Carersでも、会員企業に対して両立支援のプログラムとして提供しています。ポイントは、調査した企業が個別でこういうことをやっていることも1つ大事なのですけれども、それを横展開していくルートを民間団体が持っていて、それを政府の中でも、そういう所を積極的に施策の中に位置付けて、Employers for Carersの役割を認めているのがイギリスのやり方かと思います。

○佐藤座長 本日お話を伺っていると、家族の在り方というのは、確かに比較するときには考えなければいけないのだと思いました。もう1つは、公的なものであれ、民間であれ、サービスの質なり供給のされ方も視野に入れながら比較しないといけないかと思いました。どうもありがとうございました。

2つ目の議題として、平成27年度仕事と家庭の両立支援に関する実態調査、育児調査の項目について事務局から説明をお願いします。

○中井職業家庭両立課長補佐 資料2を御覧ください。平成27年度仕事と家庭の両立支援に関する実態調査として、仕事と育児の両立をテーマとして委託調査を実施したいと考えております。この調査結果についてですが、調査は予算の関係で4月からスタートになってしまいますので、スケジュール的には厳しいところがあるのですが、この研究会の中で結果についてはお出ししたいと考えております。

 調査は、「企業調査」と「労働者調査」の2つを予定しております。企業調査は5,000社を対象に、回収率20%を目指して、労働者調査は一般の調査と、それとは別途、男性の育児休業取得者を対象にして行いたいと考えております。一般の調査については、男性は20代から40代の末子が3歳未満を持つ会社員、女性は20代から40代の末子が小学校就学前の会社員、回収数は2,000人を予定しております。また、男性の育児休業取得者のほうは、20代から40代の末子が3歳未満の会社員を1,000人と考えております。

2の調査項目としては、研究会の研究課題の項目に沿い、関連事項を調査したいと考えております。その中で前回の育児・介護休業法の改正事項のフォローアップを行いたいと思っております。さらに前回の改正の際の附帯決議に関連する事項についても取れるようにと考えております。それに関しては5ページに、対応する前回の改正事項及び附帯決議について載せておりますので参考にしていただければと思います。

(1)企業調査の項目としては、「育児休業」「育児期の柔軟な働き方の充実」「男性の仕事と家庭の両立」「非正規雇用の労働者の育児休業」を大きな項目として考えております。例えば、「育児休業」の中では、2ページの上から3つ目の矢印が、前回の改正事項になります。育児休業の再度取得の制度の状況なども取りたいと考えております。「育児期の柔軟な働き方の充実」については、子の看護休暇制度、所定労働時間の短縮措置、所定外労働の免除等、育児を理由としたテレワークの利用実績、これらについて取りたいと考えております。「男性の仕事と家庭の両立」に関連しては、男性の育休取得促進のために特に取り組んでいること。子の出生8週以内に育児休業した場合の再度取得の制度の認知度等、パパママ育休プラスの認知度、利用状況等について取りたいと考えております。「非正規雇用の労働者の育児休業については、取得状況等を調査したいと考えております。

(2)労働者調査ですが、まず一般家庭について、「育児休業」、育児期の柔軟な働き方の充実、非正規雇用労働者の育児休業に関する項目を考えております。育児休業については、取得の実績(連続取得日数、子の対象年齢)及び希望など。育児期の柔軟な働き方の充実に関しては、子の看護休暇、所定労働時間の短縮措置、所定外労働の免除等、育児を理由としたテレワークの利用実績、希望等について項目としております。非正規雇用労働者の育児休業については、例えば「産前産後休業を取得したか」等、御覧の項目について調査したいと思っております。

4ページで、附帯決議の対応事項として、ひとり親についても育児休業であったり、子の看護休暇に係る実態について調査をしようと考えております。さらに、男性の育児休業取得者に対しては、育児休業の取得実績及び希望、取得理由、その他パパママ育休プラスの利用状況や認知度、あるいは出産後8週以内、それ以降の育児休業に関する事項を調べたいと考えております。加えて、妻の就労状況、就労形態別等に応じた状況についても調査をしたいと考えております。資料の説明は以上です。

○佐藤座長 調査ですので、質問は余り増やせないということはあります。調査項目の途中からの基本調査で分かるものは落とすし、この前の法改正のときの事項に関わるとか附帯決議はマストで入れなければいけないということで、その範囲内で御意見があれば多分調整していただけると思いますが、いかがでしょうか。

○両角委員 意見というよりも、4ページの男性の育休取得者の所で、3番目に「育児休業の未取得理由」とあるのですが、これは取得した人が対象だから要らないのではないかと思いました。これは項目として入れられるかどうか分からないのですが、取得してどうだったかみたいなことは聞かなくてもいいのかと思いました。もし聞くとしたら、妻にも聞いたほうがいいのではないかと思いました。

○佐藤座長 いろいろ御意見を伺っておいてという趣旨でいいですか。

○中井職業家庭両立課長補佐 はい。

○佐藤座長 今ので言うと、育児休業を取得した人ですね。上のほうで、(2)労働者調査の(1)家庭のほうの、この男性は育休を取得した人は外すというわけではないのですか。可能性としてはこっちにも入ってくるのね。

○中井職業家庭両立課長補佐 それを外すことは考えていないです。

○佐藤座長 こっちも合わせて、就調に合わせるというか、上は余りそういうことはやらないほうがいいわけですね。だから、ごく少数は入る。

○中井職業家庭両立課長補佐 そうです。それは多分自然に入ってくるかと思います。

○佐藤座長 女性のほうのサンプルで、夫が取得したかどうかを聞くかというのはあり得るということだね。

○中井職業家庭両立課長補佐 はい、それはあり得るかと思います。

○佐藤座長 あり得るかもしれない。やれるかどうかは別です。

○池田委員 個人調査の、家庭調査の3ページで、ひとり親と、ふたり親は別々にサンプリングするのですか。記述の内容の確認です。労働者調査の1ページの(1)「家庭(ひとり親含む)」と書いていて、次に3ページの(1)「家庭(ひとり親含む)」とした上で、ふたり親、ひとり親としているのはどういう調査の設計になるという理解ですか。

○中井職業家庭両立課長補佐 この紙上は、全体の中でひとり親も拾えればと思ったのですけれども、おっしゃるとおり、ひとり親は多分サンプル数が非常に少なくなる可能性もありますので、そこはまた別途に取ることも検討したいと思います。そこは御相談したいと思います。

○佐藤座長 枝分かれでもいいのではないですか。あるいは、基本的に同じ質問で聞いて、属性で結果的に分けるというような感じになるということですね。

○中井職業家庭両立課長補佐 一応そういう想定でおりましたけれども、それではなかなかひとり親が拾えないということもあるかもしれません。

○佐藤座長 今は、ひとり親といっても相当入ってくる。私の感じでは結構多いのではないかと思います。それでいいですか。

○池田委員 はい、よろしいです。

○武石委員 男性の育児休業取得者を対象にする場合に、父親休暇は外すということだったら、それは明確にしておかないと、配偶者出産休暇の人たちが入ってきてしまうとまずいというのが1つです。

 ちょっと項目が多くなってしまうので御検討いただければと思うのですが。勤務時間の短縮の所で、附帯決議の所の旧なのですけれども、所定労働時間の短縮とか、そういうのを年齢を拡大するというのがあります。先ほどの池田委員からのイギリスの御紹介のように、フレキシブルな働き方があると、わざわざ勤務時間を短縮しなくてもいいというのが、イギリスなどで聞くとよく出てきます。要は、自分の会社に、短時間勤務以外のフレキシブルな働き方がどのぐらいあって、その中で短時間勤務が使われているかという状況が分かるといいかと思いました。

 それから、非正規の方はすごく重要だと思うのです。要は、制度がなくて辞めていってしまう人たちをどのように捉えたらいいのか。この取得率だと、出産時に働いている人のうちの取得率になってしまうので、その前に制度がないので諦めて辞めていっている人たちはなかなか捉えにくいので、何らか取れるといいかなということです。

○佐藤座長 この労働者調査のほうは、無業の人も入るのですよね。女性で現在は無職、出産したときに働いていたというサンプルが入るというわけではないのか。

○中井職業家庭両立課長補佐 無職も入ります。

○佐藤座長 これは、有職、無職と書いてある。

○池田委員 1ページの書き方が、調査対象は下記の条件を満たす男女で、回収結果が就調の年齢、有職、無職、正規、非正規、職種の分布に近似するように設定するという意味では、無職が入っているのですけれども。

○佐藤座長 年齢の所。

○池田委員 ただ、会社員としているので。

○佐藤座長 雇用者か。

○池田委員 そうすると、有業者限定という抽出になります。有業者、かつ会社員というと、民間企業勤務ということに、そこは。

○中井職業家庭両立課長補佐 そこは、恐らくおっしゃるとおり、辞めてしまった人をどのように取るかということもあると思いますので、特段、別に排除しようとは考えていません。そこは工夫したいと思います。

○佐藤座長 これは、確かに難しい。今は3歳以下だけれども、その一番下を取るか一番上を取るかは別として、末子を妊娠したときに働いていたか働いていなかったかなのです。そのときに、取得したか取得しなかったかという感じで聞かないと。男性のほうも、自分が取得したときに、妻が働いていたか働いていなかったかなのです。今ではなくてです。妻がその子を妊娠したときとか、出産したときです。だから、その辺の聴き方を整理しないと。

○池田委員 そうです。女性の継続就業は、第1子出産前後。

○佐藤座長 妊娠・出産辺りのところですね。だから、そこで辞めているという問題があるから。その辺は設計のところで、いつの時のことを聞くかです。

○池田委員 そうです。

○佐藤座長 だから、いつの時の就業形態かです。今はパートで働いているといっても、それは再就業したのかも分からないから、妊娠・出産の頃に、又はその前、直前が正社員かどうかで、取得した頃、今がどうかが分かるようにしたほうがいいです。

○池田委員 はい。

○佐藤座長 ちょっと難しいけれども。そうしないと、有期で働いていて、妊娠・出産で産休・育休というのは自分では取れないと思って辞めてしまったというのは、そうしないと分からないです。

○池田委員 そうです。

○佐藤座長 今は無業だという人で、その時は有期で働いていたのか、正社員だったのか。よろしいでしょうか。設問が増えない範囲で。ただ大事なのは、末子で聞くのかどっちでもいいのだけれども、1番目で聞くのかどうかです。特定化した子供を妊娠・出産した頃の話の働き方とか、その時に取得したのか取得しなかったのか、という感じで聞いてもらうということでいいですか。

○両角委員 分からないですけれども、子供が3人いたとしたら、3人目のときのことを聞くのですか。

○佐藤座長 どうするかです。全部聞くというやり方もあるけれども、設問上どうするかです。どこかで絞らないと聞けないので。だから、1子のほうが大事と考えるか。そうか、でも1子目か。

○武石委員 1子目ですよね。

○佐藤座長 最初の子だね。でも、男性のほうは2人目の可能性もある。

○両角委員 男性は2人目だと思います、そうですよ。

○佐藤座長 男性の場合は取得したときのことで、誰でもいいのだ。

○両角委員 男性は、取得するのは2人目、3人目ですよね。

○中井委員 1子よりは、そうだと思うのです。

○佐藤座長 男性の場合はどの子でもいいから、取得したときです。多分、女性は1子のところですね。

○池田委員 はい。

○佐藤座長 結構難しい。全部聞くのもあるけれども、それは幾ら何でもね。1人目のとき、2人目のときはできるけれども、それぞれの時の働き方を聞かなければいけなくなってしまうので、すごいボリュームが増えてしまう。

○池田委員 女性の継続就業は、まず1子で。

○佐藤座長 大事なのは1人目だろうね。

○池田委員 男性の場合だと直近の子供とか、実際に取得したときの子供とか。

○佐藤座長 男性の場合は、実際に取得したときで聞くしかないだろう。

○両角委員 いつ取得しましたかと聞いたらいいのではないですか。

○佐藤座長 そうですね、そういう形で。その時に配偶者が正社員だとか、そういうことが分かるようにする。

○両角委員 はい。

○佐藤座長 だから、男性も今の就業形態ではない。自分が取得する少し前ぐらいの配偶者の就業形態を聞かなければいけないので。

○池田委員 ひとり親は、シングルファーザー、シングルマザーの両方を含むのですか。

○中井職業家庭両立課長補佐 はい、そのように考えております。

○池田委員 それは、主には何を想定した話なのですか。要するに、今1人で子育てしている状況なのか、当の子供が生まれたときの話なのか。

○両角委員 シングルファーザーは、育休は絶対に取得しないのではないか。子供が生まれるときからシングルファーザーというのはありますか。

○佐藤座長 確かにひとり親で。もちろん生まれたときの課題はあるけれども、普通は1人になってから子育ての両立の話で、それも大事です。だから、そこをどうするかを考えたほうがいいです。そうすると、看護休暇みたいな話になると、出産のときではなくて、1人で子育てするときの両立でどうかという話ですよね。そこに焦点を絞るというのはあり得るとは思います。

○中井委員 その調査の男性が、末子が3歳未満になっているのですけれども、そこをどうするか。

○佐藤座長 だから、女性も末子で取るのがいいのかです。第1子が何歳とかというようにやるかのほうがいいかもしれない。

○池田委員 前回改正後のフォローアップということで言うと、例えば今の年齢の抽出で言うと、うちみたいにたくさんいると、長子のときは改正前だったりするので。

○佐藤座長 なるほど、その問題もあるのか。

○池田委員 そうです。そうすると、いっぱい取得できているようだけれども、例えば女性の継続就業第1子出産前後というと、ずうっと遡っていくことになります。

○佐藤座長 これは難しいな。

○池田委員 Webモニターの調査なので、改正法施行後20106月でしたか。

○中井職業家庭両立課長補佐 平成226月です。

○池田委員 平成226月以降の子供を産んだというようにしてコントロールする。

○佐藤座長 出産時期でいくのも1つかも分からないな。

○池田委員 何を知りたいサンプルが取れるかということになったときに。

○佐藤座長 それは、2人目の人が入ってきてしまうのはしようがなくてね。

○池田委員 そうです。

○佐藤座長 それを、その時の子供にするか。

○池田委員 そうですね。

○佐藤座長 2人いても、それ以降に産んだ子だよね。それ以降で一番最初とか何とかというのかな。

○池田委員 やはり、男性の育児休業に関して言うと、本当に末子3歳未満でも、2010年ぐらいより前だと、本当に取得するという意識が全然違うのです。前回改正で、イクメンプロジェクトが始まる前と後とでは。そうすると、サンプルのロスが結構大きくなる可能性があるので、そこはまた。

○佐藤座長 これは、ここでかなり大枠の起用しなければいけない部分もあるかも分からないので、時間のこともありますので、池田委員などと相談しながら、私も相談に乗ります。趣旨はよく分かったのですが、結構難しいということも分かりました。皆さんの意見を踏まえながら、もう一度検討していただくようにしましょう。どうもありがとうございました。大事な点だと思います。

 引き続き議題3ということで、これまでの議論を整理していただいていますので、個別課題について検討に入ります。説明をお願いします。

○中井職業家庭両立課長補佐 資料3、資料4、資料5が関連資料になります。資料3は、前回までにお出しいただいた御意見をまとめたものですので、これまでもお出ししたものですが、これは適宜御覧いただければと思います。また、資料5は、「今後のスケジュール()」をまとめたものです。各論の論点の個別検討と意見の整理を、本日を含め4回程度で行っていただいて、報告書の素案の議論に入りたいと考えております。

 資料4が個別課題についての検討ということで、これまでしていただいた御議論を踏まえて、個別課題についての論点を整理しました。今回は「仕事と介護の両立のあり方」についての論点を整理しております。これに基づいて、本日と次回で、まず仕事と介護の両立支援について御議論いただければと思っております。なお、各項目の後に、【参考資料1】と書いている部分があるのですが、それは資料として参考資料1を付けております。参考資料1「個別課題についての検討(1)に係る補足資料」を用意してありますが、これまでの研究会で既に出されたものが大半ですので、これについての説明は省きますが、こちらも適宜御参照いただければと思います。

 「個別課題についての検討(1)」のペーパーで、まずは「総論的課題」として6つ挙げております。○の1つ目として、介護期間は(育児とは異なり)長期間にわたりうる(平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性で約13)。このため、労働者にとってはいつまで続くか分からないという不安があること。○の2つ目として、同様に、介護期間は長期間にわたりうるため、法律上の休業制度でカバーできる部分は限定されており、介護を抱える従業員以外を含め、会社全体として柔軟な働き方ができる環境を整備することが必要であること。○の3つ目として、企業において両立支援の取組を進めるため、(1)従業員の実態把握、(2)制度設計・見直し、(3)介護に直面する前の従業員への支援、(4)介護に直面した従業員への支援、(5)働き方の改革、が必要であることを掲げております。これは第5回の研究会で事務局より説明した、平成25年度の仕事と介護の両立支援事業の成果物である「介護離職を予防するための職場環境モデル」の内容から記載しているところです。○の4つ目として、介護には、(1)突発的、緊急的対応が必要なもの、(2)定期的、長期の対応が必要なものの2種類がある。また、介護の状況は個別の事情(遠距離かどうか等)によるところが大きいこと。○の5つ目として、労働者が自ら介護をすると、結果として離職につながるのではないか。介護をしながらも継続就業することができるために必要な制度的対応は何かという視点が必要であること。最後に、両立支援制度の整備に加えて、施設介護含め介護保険サービスの適切な活用も重要。育児・介護休業法と介護保険サービスは、利用する側から見ると車の両輪のようなものであるという実態に即して考える必要があるということです。

 次に、「議論のための視点」としたのは、個別の論点を議論していただくために念頭に置いていただければと考える視点です。「仕事をしながら介護をする上で、具体的な場面・ケースごとに必要な制度」とは何かという視点。また、実際に制度化した場合に企業に導入していただくことになるわけですので、「必要な制度と企業の負担との関係」という視点。また、「法制度上の措置として行うべきか、その他の手段で行うべきか(権利の強さ、実効性)」と書いてありますが、これは権利の強さをどうするのか、実効性はあるべきかという観点から、例えば法律上の義務とするのかとか、指針上に位置付けるのか、他の予算措置で行うべきなのかといったような視点です。次に、「現行制度との関係」という視点です。これは「現行制度における制度趣旨との関係」をどのように考えるべきか。「現行制度でカバーされているもの、されていないもの」は何なのかという視点です。

 ここからは個別論点です。(1)介護休業のあり方、■総論として、介護休業を取得して休む場合としてどのような場合があるか。その休業のニーズに現行制度は対応できているかとしております。■の2つ目、「介護休業の期間・分割取得」については、以下のような論点が挙げられます。○の1つ目として、現行の介護休業期間(93)は適切か。○の2つ目として、「要介護状態ごとに1回」という現行の制度に対し、複数回取得できるようにすることについてどう考えるか。○の3つ目として、複数回取得できることとする場合、どのようなニーズに対応するものとして位置づけるべきか。○の4つ目として、複数回取得できることとする場合、その回数、最低取得単位、取得可能な期間の範囲についてどう考えるか。この際に、現行制度では、最低取得単位について制限をしていないこと。あるいは、現行制度は、取得可能な期間の範囲について制限をしていない。これに留意する必要があります。○の5つ目として、現行、短期の休みのニーズについては介護休暇で対応しているが、介護休業を短期で複数回取得できることとする場合に、介護休業と介護休暇の関係についてどう考えるかという論点もあります。また、介護休業は介護をするためにする休業とされている一方で、現在、介護休暇は介護サービスの手続等でも利用できるとされているように、介護休業と介護休暇の関係を考えることに関連して、その次の○ということで、介護休業の定義である『介護をするためにする休業』について、自ら介護する場合以外も介護休業の対象となるとすることについてどう考えるかという論点も考えられます。更にこのページの一番下の○として、複数回取得できることとする場合、給付についてどのように考えるかという論点が考えられます。

 次ページですが■介護休業の対象となる要介護者についてです。これについては、○の1つ目として、要介護の判断基準(「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」)について、現在の介助のあり方を踏まえ、事項・行動の内容を修正すべきではないかという論点が挙げられます。加えて、○の2つ目として、「要介護状態」の対象範囲は適切かという論点も挙げられます。この点に関しては、参考資料2を御覧いただければと思います。

 参考資料2は育児・介護休業法の解釈通達の抜粋になっております。2ページ目の下の枠囲いをしている部分ですが、育児・介護休業法第2条第3号において、要介護状態とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間、こちらは2週間と定められているところです。2週間にわたり常時介護を必要とする状態とされております。イにあるとおり、この「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」とは、負傷又は疾病による場合、負傷又は疾病にかかり治った後障害が残った場合及び先天的に障害を有する場合を含むと解釈されているところです。つまり、育児・介護休業法は高齢者だけではなく、子供を含む対象家族全体について、その介護を必要とする状態に着目してカバーすることとされています。この要介護状態の範囲についてどうなのか、適切かどうかという論点です。

 続いて、■経済的支援です。論点として、介護休業中の経済的支援について、どのように支援することが適当か。現在、介護休業給付や企業などによる支援があると挙げております。

 次ページの(2)介護期の柔軟な働き方の充実についてです。■の1つ目、「介護休暇」に関する論点としては、下の4つが考えられます。1つ目は、介護休暇を取得して休むケースとしてどのような場合が考えられるか。その休暇のニーズに現行制度は対応できているか。例えば、その下のポツとして、石山委員からのヒアリングでは、介護保険を利用する上で家族に対応が求められる場合があるということでした。また、ポツの2つ目ですが、現行の介護休暇では、対象家族の介護、対象家族の通院の付き添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行、この場合に介護休暇が利用できるとされているところです。また、そのほかの論点として、○の2つ目、日数(現在、対象家族が1人であれば5日、2人以上であれば年10)となっていますが、これは適当か。次の○として、半日単位、時間単位の取得の必要性についてどう考えるか。また、先ほど介護休業でも同じような論点がありましたとおり、仮に日数を延長する場合に、介護休業との関係についてどのように考えるか。以上このような論点があるところです。

 次に■介護のための柔軟な働き方に関する制度については、以下のような論点が挙げられます。○の1つ目で、所定労働時間の短縮措置(現行、介護休業と合わせて93)について、93日から切り出すことについてどう考えるか。介護休業等のあり方と併せて考える必要はないかということです。これは介護休業の期間とか分割取得、あるいは介護休暇の日数の在り方などについて、議論を踏まえながら所定労働時間の短縮措置の93日からの切出しの是非等について考える必要があるのではないかということで挙げております。

 また、そのほかの論点として、所定労働時間の短縮措置以外のメニュー(介護休業と合わせて93)は、現在のメニューとしてはフレックスタイム制度、時差出勤の制度、介護サービスの利用補助、これが所定労働時間の短縮措置以外にあるところですが、これについてはどう考えるかということです。このページの一番下の○ですが、その他の柔軟な働き方(テレワーク、残業や休日労働を免除する所定外労働免除の制度等)についてどうなのかというところです。

 次ページの(3)その他として、■労働者のニーズ把握については、以下の論点があります。労働者の仕事と介護の両立に関する全体のニーズについて会社側が把握できるようにすることが重要であるが、どのような仕組みとすべきか。また、現状においては会社として個々の労働者が介護を行っているかどうか把握が困難であるが、どうすれば把握が可能となるか。このような論点が考えられるところです。

 次に、■労働者に対する情報提供としては、介護保険の被保険者となる前後において、どのような情報を誰から提供すべきかという論点があります。「どのような情報」ということに関して、例えば介護保険サービス関連情報、あるいは育児・介護休業法に規定される両立支援制度に係る情報、企業が提供している両立支援制度その他支援制度に係る情報、これらが候補として考えられます。「誰から」ということに関して、例えば国、企業、労働組合、地方自治体(県、市町村、地域包括支援センター)、あるいはその他などが候補として考えられるが、どうかという論点です。

 最後に、■ケアマネジャーの役割として、論点を挙げております。家族支援、企業支援という観点から、ケアマネジャーの役割が重要であることを踏まえ、仕事と家庭の両立に関して、すべてのケアマネジャーに更なる知識を付与することが必要ではないか。また、同様の観点から、例えば、企業内での研修講師や相談窓口となってもらうことを想定して、ケアマネジャーに仕事と家庭の両立について、上乗せ的に特別な知識を付与することも考えられるのではないか。以上のような論点が挙げられます。資料の説明は以上です。

○佐藤座長 これまで研究会で皆さんに出していただいた御意見を整理して個別課題の論点とさせていただきました。もちろん、これ以外についても大事なものが落ちていれば、入れていただくこともありますし、もう1つは今日出していただいたものをどうするかということについて御意見があれば、残った時間で御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いします。

○両角委員 これは総論的課題のところになるかと思うのですが、2番目とか3番目についてです。法律上の制度でカバーできる部分は限られているので、自主的な柔軟な働き方を促進していくことが大事だというのはそのとおりだと思うのです。ただ、私は個人的には、日本ではある程度詳しい法制度化というか、権利化が必要ではないかと思っています。それはどうしてかというと、今日、池田委員のお話でもあったように、例えばドイツでは労働協約で労使で法律を超えていろいろなことがされているということがありましたが、産別協約ですよね。なので、私はドイツのことは知らないのですが、スウェーデンとかあれからすると、1つの産別協約は、労使でちゃんと紛争処理の制度があったりとか、制度について何か紛争が起きたときに、それを処理できる体制はちゃんと整っているかと思うのです。産別協約だと、ある程度安定性もあると思いますし、その枠内で個々の職場でいろいろな取組がされるということではないかと思います。

 先ほど神吉委員が指摘されたように、イギリスでも差別禁止というアプローチからもエンフォースメントについて配慮がされているということなので、そうすると今のところ日本では、それに該当するような仕組みが余り思いつけないので、制度としては、例えば就業規則とか協約とか職場で制度ができたときに、これについて紛争が起きたときということを考えると、ある程度制度化しておくことが必要ではないかと思います。

 もう1つ、法制度化が必要かと思う理由としては、先ほど池田委員のもう1つのお話でもあったように、恐らく日本の介護の状況は、これからかなり厳しくなって、つまり単身で介護するとか、育児と介護が重なるとか、遠距離であるとか、そういうすごく厳しい状況にある人が増えてきたときに、分からないですが、企業とWin-Winで進められる範囲を超えてくるのかという気もして、そうすると、もうちょっと社会的な観点から、そういう一番厳しい状況にある人をどうするかということも多分問題になるということで、そこの点からも法制度が重要かなという気がしております。以上です。

○石山委員 まず、質問なのですが、今日出された個別の課題については、今後、検討する機会があると考えてよろしいですか。それとも今日この場でということでしょうか。

○佐藤座長 まだ議論する機会はある。

○蒔苗職業家庭両立課長 今日と次回で、この介護を。

○石山委員 分かりました。ありがとうございます。では、2点申し上げます。まず、1点目ですが、総論的課題の○の最後ですが、「両立支援制度の整備に加えて、施設介護含め介護保険サービスの適切な活用も重要。」の所ですが、老健局から出されているものでは、施設から在宅へ、地域へという流れにある中で、この書きぶりについて、若干どうなのかというところがあるのです。また、実際に単身でとか、在宅で介護をしていくということになる上で、両立支援ですと、いかに在宅で仕事をしながらやっていくかというところが困難性なので、ある意味、施設に入ってしまうと、就労の継続性はその時点で保障されるかなというところがありますので、在宅にいながらにしてどのように仕事を続けられるかというところに焦点を絞ったほうがいいのかと感じました。

 もう1点なのですが、5ページの「■ケアマネジャーの役割」で、今後、議論というので間に合うかなという心配からの話です。○の1つ目のポツの1つ目、「仕事と家庭の両立に関して、すべてのケアマネジャーに更なる知識を付与することが必要ではないか。」ということで、新たなカリキュラムが示されて、ガイドラインについて、この3月で完了し、委託をされていた所から厚生労働省にそのガイドラインの案が報告されるという段階にあるのです。その関係法律に関する項目の中に、参考資料116ページの表の右側、2つ目の科目で「ケアマネジメントに係る法令等の理解()」という科目がありますが、恐らく現時点で、この科目の中に、育児・介護休業法が関連法として組み込まれていないのではないかと思いますので、老健局とこちらについては連携を取っていただいて、恐らくガイドラインに入っていない状態で報告がなされると思いますので、調整いただければと思います。以上です。

○佐藤座長 多分、今の後半のほうで言うと、「すべてのケアマネジャーに更なる」という所でやれるかどうかということですよね。そうすると、今までの法を変えなければいけない。「すべての」というと、多分いわゆる厚生サイドのほうでやってもらうところを変えなければいけなくて、下のほうの「例えば」の所は上乗せだから、ここは特定の人たちと。これはちょっとポツのほうが違うのだな。そこは分かりました。あと、1ページの総論的課題の所は、家族の在り方は、1つはヨーロッパもそうですが、基本的に家族が働いているような状況がどんどん増えてくると。もう1つは、家族のあり方も相当変わってきている。もう1つは、日本でいうと基本的に在宅から始まると。そういう意味で、働いている家族が在宅で親の介護からスタートするということで、そこをどう両立させるかということは大きな課題だと。そういう意味では非常に難しいのですが、ちょっと分かるように書くのは大事かもしれないですね。ほかにはいかがですか。

○池田委員 1ページの総論部分でいいますと、述べられたことは本当にそのとおりだと思うのですが、一番大きな視点として念頭に置くのは、認知症の問題を少し想定して制度を考えていくことは、今までの議論を踏まえると大事かと思います。老健局からも認知症についてお話がありましたし、認知症の家族を家に鍵を掛けて置いておくこととかが、是か非かというお話は石山委員からもあったと思いますので、制度設計に当たって、もともと脳血管疾患に伴う寝たきりというところからスタートしたこの制度について、認知症の人を入れていくことは1つあるかというのは感想というか、コメントです。

 もう1つ、要介護状態の対象範囲が適切かというお話でしたが、これはどうなのですか。法改正というか、解釈通達のレベルかと思うのですが、介護に伴う、実際に身体的なケアをすること以外の付随的なものが含まれるという解釈は、ある程度周知するということで、子育ても同じだと思うのです。実際問題、目の前にケアが必要な人がいて、それを放っておくということは当然ないわけですから、ただ、そればかりではないという理解をちゃんと広めていく。

○佐藤座長 育児休業もそうですね。

○池田委員 ケアマネとの打合せとか、いろいろな事務手続も、それに付随することも介護の一環に含まれるという理解が、実際に企業の人事の担当者と話をすると、まだないので、そこは行政として情報発信が必要かと思います。

 もう1つ、対象家族の続柄の範囲について、私は問題意識としては持っているところで、ヒアリングでも単身の一人暮らしをしている人が、おじ・おばの介護をしているとか、企業の話を聞くと、同居している祖父母の介護なのですが、扶養はしていないというときにどうするのですかという話で、お母さんと娘さんが2人で交替でおばあちゃんの介護をしているときに、娘さんのほうは制度が使えないという場合どうしますかと。ポツポツと問題意識が上がってきているので、すぐにどうこうということではないですが、少し念頭には置いておいたほうがいいかという感想を持ちました。以上です。

○中井委員 今の池田委員の御意見なのですが、たまたま私どもで若年層の介護の調査をしたときに、実際に介護をされている方は少なかったのですが、中で特徴的なのは祖父母。

○佐藤座長 そうなのです。結構いるのです。

○中井委員 祖父母の介護をされている方が、人数は少ないですが、介護をされている中では割合が多かったので、今おっしゃられた点は議論する価値があるのかと思います。

○佐藤座長 海外でも若い人たちの介護は結構、課題になっていて、大学生などで祖父母の介護などは、海外でも結構テーマになるぐらいの話なので。

○池田委員 そうなのです。

○神吉委員 総論の一番最後のポツなのですが、育介法と介護保険サービスが利用する側から見ると車の両輪のようなものであると。実態はもちろん、大部分の人にとってはそうだと思うのですが、介護保険に限らないというのが制度設計上なのです。大部分だとしても、もしかすると介護保険サービスというものがしっかりしているからこそ、両立が問題になり得るというパターンなのかもしれないということで、介護保険を利用できない外側の人たちにとって、それが阻害されていると思われないような書きぶりは大事かと思います。以上です。

○佐藤座長 つまり、高齢者介護までを考えたときにということですね。高齢者については入るけれども、それ以外、介護休業法の対象範囲の中の人についてだとちょっと。もちろん障害者は自立支援法とか、そっちのほうがあるのですが、確かにそれは分かります。

○神吉委員 そういってくると、「■ケアマネジャーの役割」という所も介護保険に関する話なので、本当はきっとこれにパラレルに、いろいろな分野でキーパーソンとなる方がいるはずなので、その点、もし配慮があればと思います。

○佐藤座長 それは総論の所で、どういう範囲で議論するかとか、こっちもちゃんと分かっているけれども、当面ここはここでというのが分かるような書き方をするかどうかですね。ですから、そういう意味で、3ページの「介護休業の対象になる要介護者」も、基本的には介護休業法上ではかなり広いですね。ただ、企業からすると、数としては今後、高齢者介護のほうが増えてくるので、そうしたときに、この基準はこういう基準で、つまり当然、高齢者以外をカバーできるような対象にしておかなければいけない。ただ、もしかしたら企業にしては、そこの部分については法律上ではないにしても、介護認定のほうで認めるというのは、つまり企業内ではあり得るということですね。企業というのは、上乗せというのかよく分からないけれども、それは運用上はあり得るかなと。

○田代委員 総論とかいろいろな所に、「ニーズの把握」、「実態の把握」という文言が出てまいりますが、現実にはなかなか企業側が積極的に従業員調査をするなどというのは、逆に言うと、これはプライバシーとか個人情報保護の問題とか、積極的な対応という面では限界があるのではないかと思います。ただ一方で、国全体として、社会全体としても、かなりいろいろなケースの蓄積が出てきていると思いますので、むしろいろいろなケースがあることを社会的、あるいは国、自治体からオープンにしていただいて、それを企業側が認識して、いろいろな仕組みを作るという順番かなと。それから、例えば節目、45歳前での研修などを通じて介護保険制度を周知したり、そういうことをやっていく中で自然と従業員サイドからいろいろな声が上がってくると。そういう順番であって、最初にニーズ把握、実態把握をしなければ先に進まないと、そういうものではないのではないかと思います。

○両角委員 3ページの「■経済的支援」なのですが、介護休業中の給付は、最低限の保障などはないのですよね。40%ということで、今、休業前の所得の40%、どんなに低くても40%なのです。

○佐藤座長 育児休業も基本的に同じですね。

○両角委員 北欧などだと基本そうなのですが、最低保障があって、給料がこれより低くても最低限これだけはもらえますみたいなものがあって、もし経済的な理由で取得できないという問題があるようであれば、低所得者についてはそういうことも検討してもいいかなという気がします。

○佐藤座長 実際のルールとしてはどうなのですか。最低あるわけではないですか。

○飯野職業家庭両立課育児・介護休業推進室長 ないです。

○蒔苗職業家庭両立課長 むしろ上が切られる。

○佐藤座長 逆に上が切られる。確か上を切っていますね。

○両角委員 上も下も切っているのです。

○飯野職業家庭両立課育児・介護休業推進室長 保険制度が適用されている。

○佐藤座長 それは議論するとすれば育児休業も含めてですね。

○両角委員 はい。

○佐藤座長 もう1つは、育児のほうは給付の面から5割から上がってきたのですが、もともとは失業給付と対応させてはじめてきたわけです。だけど、育児のほうはそれとは別に動いてきたから、そのときに介護のほうは動かさなくていいかどうかはありますね。これは議論としては、もともと両方とも失業給付のほうでというのなら、それは1つのロジックだったのですが、育児のほうはそこからは切れたわけです。切り離されてしまった水準になってきてしまっているから、4割をどうするかは、多分そういう趣旨で書いていると思うのです。

○武石委員 介護休業と介護休暇との関係が結構難しいと思っていて、更に介護休暇が時間単位で取れるようになっていくと、今度は短時間勤務の措置とオーバーラップしてきて、結構、全体の整理が必要だなと。だから、どうすればいいということではないのですが、先ほどの池田委員のお話にもあったように、時間短縮以外のフレキシブルな働き方が結構有効な場合があって、イギリスなどは圧縮勤務とか、金曜日は休むとか、いろいろあります。全体の働き方をフレキシブルにしていく中で、この短時間勤務を位置付けていく、あるいは短時間勤務だけが良い制度でということになっていくと、今の育児の所の短時間勤務の制度のようなことになっていくと、ちょっと違うのかなという気がしています。全体の働き方を柔軟にしていく中で休業と勤務時間短縮と、あるいは休暇と勤務時間短縮が同じになっていくのか分からないのですが、そういう議論が必要かなという印象があります。

 先ほどのプライバシーの問題は、私もすごく気になっています。企業の方とお話をすると、プライバシーのことはどこまで聞いていいか分からないので、非常に聞きにくいというお話があるので、こういうことをきちんと把握することが望ましいとか、そういうことを把握しておかないと人事管理ができないというメッセージがこういう場で発信できると、企業の方もそういう情報が把握しやすいのかということを感じました。

○佐藤座長 前半のほうだと、子育ての場合の短時間勤務、一時、保育サービスの時間の問題などがありましたが、通勤時間とか。そういう意味で、一定期間短時間、ずっと継続して短時間ですが、仕事と介護両立の場合はずっとという必要があるかどうかということだと思うのです。フレックスとか時差出勤とか、あるいは週2回だけ短時間とか、多少その辺は違うのかもしれないと思います。介護休業と介護休暇の関係をどうするか、特に分割できるようになると。私も知らなかったのですが、介護休業のほうは1日でも取れるという形になっているので、介護休暇ができる前にできたから、多分、介護休業は1日でも取れるようになり、介護休暇が入ったときもそのままになってしまったのですね。だから、悪いというわけではないですけれども。

 もう1つ、介護休業の子育てとの違いは、子育て中の場合だと、ひとり親は別で、夫婦で働いていれば、夫婦で10日あるのです。介護の場合、なかなか難しいのは、兄弟など取得が人によって違って、実は15日とか20日ある人もいるのです。子育ての場合は普通は夫婦なので10日なのですが、介護休暇はいろいろです。なかなか難しいというか、範囲が子育ての場合はカップルでという感じなのですが、介護の場合、もちろん1人の人もいれば、かなり広い人もいるわけです。実は、これもどう考えるか難しいかと。

○池田委員 私も似たようなことを問題意識として持っています。まず柔軟な働き方の部分については、子育てと介護はケアに関わる時間的な拘束の度合とか質が違うということで、今、佐藤座長がおっしゃったみたいに、必要なときにスポット・スポットで柔軟にと。ずっとある期間、定常状態として短時間などということとはちょっと違うのかなというのは、私も現場の聞き取りをして思うところなので、そこは子育てがこうだから、介護もこうというのは、また作ったけれども使われないということになりかねないということです。

 もう1つ、現状の介護に関しては、残業や休日労働を免除する所定外労働免除の制度が入っていないのです。今そういうことを言っておきながらまたあれですが、子育てに関して言うと、短時間勤務だけれども残業している人は結構いるのです。所定4時半のはずなのに、いつも7時ぐらいまでいる人などが結構いたりして、残業免除と両方で規制しないと、実質的な時短にならないということがあるので、これは規制の掛け方の問題として、御参考になればと思います。

 そういう意味で、所定外労働免除はやはり、なるべくフルタイムで柔軟にしていくという今の武石委員のお話は、先ほどのイギリスの話もそうですが、日本の現場で見ていても同感に思うところなので、そこはまた参考にしていただければと思います。

 介護休業と介護休暇の切り分けの部分で言うと、これは政策的な技術論になるので、私が言うことではないのかもしれないですが、これまでの議論を踏まえると、介護休暇に関しては石山委員に資料として出していただいたのですが、諸手続に関わることは、神吉委員がおっしゃるように、必ずしも高齢者介護に限らず、家族に何かがあったときに、定期的にいろいろなことが発生するという実態を踏まえて、日数などをやっていくことが大事だと思います。介護休業についても、どういう場面を想定するかということをもう1回考えた上で、どのぐらいの期間を取るかということです。あとは最低取得期間を設けないといけない、という問題についてですが、例えば回数を設けるというのも1つのやり方かと思うのです。どう取ってもいいけれども、少なくともとりあえず2回は取れるようにしたら、先ほどの取り控えの問題などを解消できるのだったら、1日と92日でもいいから2回とかですね。

○佐藤座長 分割1回ということで、2回取れるということですね。

○池田委員 2回。だから、回数のほうで規定を作っていくというのも、本当にブレインストーミング的なアイディアの出し方で言えばあるかと思います。

○佐藤座長 これは介護休暇の5日も、介護の休暇の5日が先でしたか。これは一緒でしたか。

○池田委員 先ですよね。看護ができて。

○中井職業家庭両立課長補佐 子の看護休暇が先です。

○佐藤座長 だから、その5日で5日にしたので、多分そっちが大きいと思う。こう言うと怒られてしまうのですが、石山委員みたいなデータで、どのぐらい必要かという話はそんなにしていないのかもしれないのです。だから、そろえる必要もなくて、それぞれの必要性として、実態と先ほどの中央値ではないけれども、これはどのぐらいが適切かという議論はしたほうがいいかもしれないですね。

○池田委員 はい。

○佐藤座長 もう1つ、今回の基準法改正が通れば、フレックスも3か月の清算期間になってくると、特に介護のほうなどは、もしかしたらそういうほうが使い勝手はいいかもしれないですね。子育ても、ある年齢層になれば、夏休みなどはいいというような議論はあります。ですから、そういうものも視野に入れながら。

 もう1つ、総論の所で、高齢者介護について言えば、家族の在り方が変わってきているとか、働くような介護者が増えてくるとかですね。あと1つは在宅から始まるということを少し書いていただく。他方で当然、高齢者介護だけではないので、全体のほうも視野に入れるということは書いていただくような形にしたいと思います。

 もう一度議論するということだと思いますが、今日はいいですか。それでは、まだいろいろあるかと思いますが、今日一応出していただいたのはここまでとして、今日の議論を踏まえて、また少しバージョンアップしていただくようにいたします。今日はここまでということで、次回は介護調査ですね。先ほどは育児、子育てのほうの調査の説明をいたしましたが、介護のほうの調査をやっていますので、その調査結果について報告いただくとともに、今日のこれをバージョンアップしたものについて、もう一度議論するというようにさせていただければと思います。次回の日程について、御説明をお願いします。

○中井職業家庭両立課長補佐 本日は誠にありがとうございました。次回の日程は、410()午前10時から12時です。場所については、厚生労働省12階専用第12会議室になります。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。


(了)
<<照会先>>

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
電話 03-5253-1111(内7864)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 雇用環境・均等局が実施する検討会等> 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会> 第7回 今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会(2015年3月20日)

ページの先頭へ戻る