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2015年2月20日 医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験制度改善検討部会 議事録

○日時

平成27年2月20日(金)10:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(12名)五十音順

◎赤 池 昭 紀、 入 江 徹 美 ○太 田   茂  奥   直 人、
  亀 井 美和子、 田 尻 泰 典、 政 田 幹 夫、 松 木 則 夫、
  松 本 宜 明、 望 月 眞 弓、 山 本 信 夫、 吉 富 博 則
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(2名)五十音順

 木 津 純 子、 平 井 みどり

行政機関

神 田 裕 二(医薬食品局長)、成 田 昌 稔(大臣官房審議官)
鎌 田 光 明(総務課長)、 田 宮 憲 一(医薬情報室長)
紀 平 哲 也(総務課長補佐) 他

○議事

○紀平課長補佐 事務局より御連絡をいたします。傍聴の方におかれましては、カメラ撮りは部会長選出までとさせていただきますので、その旨よろしくお願いいたします。

 定刻となりましたので、ただ今から平成26年度第1回医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験制度改善検討部会を開催いたします。本部会の委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、御出席をいただき誠にありがとうございます。本部会の部会長が選出されるまでの間、事務局で進行役を務めさせていただきます。なお、本日の部会については、会議、議事録、配布資料について公開といたします。次回以降、国家試験の問題作成や採点方法、公開できない情報やデータに基づく議論を行う場合には、非公開といたしますので御承知おきください。

 本日は本部会の委員14名のうち11名の委員に御出席いただいており、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。また、文部科学省高等教育局より、オブザーバーとして本部会にお越しいただいております。事務局より、委員及びオブザーバーの皆様を御紹介いたします。お手元の資料の3枚目に委員名簿をお配りしておりますので、そちらを御覧ください。

 赤池昭紀委員。入江徹美委員。太田茂委員は少し遅れていらっしゃいます。奥直人委員。亀井美和子委員。木津純子委員は本日御欠席です。田尻泰典委員。平井みどり委員は本日御欠席です。政田幹夫委員。松木則夫委員。松本宜明委員。望月眞弓委員。山本信夫委員。吉冨博則委員です。

 オブザーバーは、文部科学省高等教育局医学教育課の平子企画官です。同じく医学教育課の丸岡薬学教育専門官です。

 続いて、事務局を御紹介いたします。医薬食品局長の神田です。大臣官房審議官医薬担当の成田です。医薬食品局総務課長の鎌田です。同じく、総務課医薬情報室長の田宮です。総務課課長補佐の茂木です。総務課の蓮見です。最後に、私は総務課課長補佐の紀平と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 続いて、部会の開催に当たり、神田医薬食品局長から御挨拶申し上げます。

○神田局長 皆様、おはようございます。部会の開催に当たり、一言、御挨拶をさせていただきます。まずは、皆様方におかれましては大変御多忙の中、今回、委員をお引き受けいただき、誠にありがとうございます。また、本日はお忙しい中、御出席を賜り誠にありがとうございます。

 医療の高度化や高齢化といった薬剤師を取り巻く環境の変化に応じ、高い倫理観、医療人としての教養、臨床現場における高い実践的な能力を目標にして、平成18年度から薬学教育の6年制が導入されております。平成24年度から6年制の新カリキュラムの教育を修めた薬剤師が誕生し、一線で活躍し始めております。

 また、この度、薬学教育のモデル・コアカリキュラムが改訂をされ、平成27年度に入学する学生から適用されることになっております。その中では、薬剤師として求められる資質を明確にして、その資質を身に付けるために学ぶ形にするといった改訂がなされることとなっております。一方で、6年制教育になり、薬剤師国家試験も次の試験で4回目になります。こういったことを踏まえ、薬剤師の国家試験制度改善検討部会を開催し、平成22年に取りまとめられた「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」に従った必要な改善事項について検討していただくこととした次第です。

 先ほど申し上げたような、薬剤師像、薬剤師を輩出するのにふさわしい国家試験の在り方について、薬学教育、薬剤師の養成に対して高い見識をお持ちの皆様方に御意見を賜り、良い制度となるように御議論を賜りたいと考えております。皆様方におかれましては、専門分野における知見や御経験を踏まえ、忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げ、冒頭に当たっての挨拶とさせていただきます。何とぞ、よろしくお願いいたします。

○紀平課長補佐 ただいま、太田茂委員がお見えになりました。続いて、配布資料の確認をいたします。上から順番に、座席表、議事次第、委員名簿を各1枚ずつお配りしております。資料1「薬剤師国家試験の現況について」、資料2「薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版に)ついて」、資料3「今後の議論の方向性、検討すべき事項()」です。

 参考資料1「医道審議会令」、参考資料2「第99回薬剤師国家試験の合格発表を行いました」というプレスリリース資料、参考資料3「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」、参考資料4「薬剤師国家試験出題基準」、参考資料5「薬剤師国家試験出題制度検討会報告書」です。それから、番号は付いておりませんが、参考資料6として、薬学教育モデル・コアカリキュラムの緑色の冊子を委員の皆様方のみ席上配布しております。もし、資料の不足、落丁等ありましたら、事務局までお申し出いただければと思います。また、会議の途中で何かお気付きの点がありましたら、お知らせください。

 続いて、部会長・部会長代理の選出に移ります。医道審議会薬剤師分科会においては、昨年11月に2年の任期満了に伴い、委員の改選が行われております。そのため、改めて部会長の選出を行う必要があります。部会長の選出は、医道審議会令第6条第3項の規定により、当該部会に属する本委員の互選により選任することとされております。当部会の委員のうち本委員であるのは、赤池委員と山本委員になります。本日の会議に先立ち、事前に山本委員より「薬剤師の職種の代表者である日本薬剤師会会長という立場であるので、部会長は薬剤師教育、薬剤師制度に精通しておられる赤池委員に行っていただくのがよろしいかと考えます」との御意見を頂いております。その結果、部会長には赤池委員が互選されましたので御報告いたします。

 では赤池委員、部会長席にお移りいただきますようお願いいたします。では、赤池部会長から御挨拶と、以降の進行をお願いいたします。

○赤池部会長 部会長に選任されました赤池です。どうぞ、よろしくお願いいたします。これまで、望月正隆先生が部会長を務められており、その後任となります。大変重責を感じております。ただ、この検討会は、先ほどの医薬食品局長様の御挨拶にもありましたが、6年制の新しい薬学のカリキュラムが始まって初めての制度検討委員会となります。また、実際にそれに対応した薬剤師国家試験が進められている状況です。さらには、昨年、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂が行われた時期に、この検討会が行われるということで、是非、先生方にいろいろと御意見、協議を頂き、新しい基本方針の取りまとめを進めていけたらと思います。御協力、よろしくお願いいたします。

 まず、部会長代理の指名に移ります。医道審議会令第6条第5項によりますと、部会長があらかじめ指名すると定められております。薬剤師教育に対する知識と経験が豊富な太田委員にお願いしたいと思います。太田委員、部会長代理席にお移りください。

 それでは、議事を進行いたします。その前に、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○紀平課長補佐 傍聴されている方にお伝えいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

○赤池部会長 本日の主たる議題は、「薬剤師国家試験制度の検討について」です。まず、事務局より薬剤師国家試験の現状について説明をお願いいたします。

○紀平課長補佐 資料1に基づき「薬剤師国家試験の現況について」、御説明いたします。資料1の1ページの下の段ですが、薬学教育は従来4年制で行われていたものについて、薬剤師の養成のための薬学教育が6年制の課程が設けられました。4年制も併存しておりますが、こちらは研究者の輩出を目的としているものです。

 2ページの上段。6年制教育については、22週の実務実習が設けられたというところと、医療薬学などについて充実が図られたということです。また、4年制学部についても、経過措置として、平成29年度の入学生までは一定の要件を満たした方については、国家試験の受験資格が与えられるというものです。

 続いて下段、「薬剤師国家試験」の状況です。薬剤師法に、国家試験の規定があります。こちらの第12条の2で、医道審議会の意見を聴かなければいけないという規定が平成18年に改正され、平成20年から施行されている状況ですので、こちらの部会で御意見を伺っております。

 続いて3ページの上段です。薬学6年制の制度が始まったことに伴い、前回、国家試験の制度について御検討いただいたときの経緯です。当初は医薬食品局長の私的検討会として、薬剤師国家試験出題制度検討会で検討されております。こちらの報告書が、参考資料5として配布しているものです。そのあと、平成20年に医道審議会に薬剤師分科会が設けられたのに伴い、引き続きこちらの薬剤師分科会の下に設置されました薬剤師国家試験制度改善検討部会で検討が行われております。その結果として、平成22年に省令改正と新薬剤師国家試験について、参考資料3で配布しております基本方針が取りまとめられております。こちらの基本方針に従って、出題基準を更に細かいものを作るということで、同じ薬剤師分科会の下に薬剤師国家試験出題基準改定部会を設け、こちらで出題基準が取りまとめられたのが平成22年9月で、参考資料4として配布しているものです。

 薬剤師国家試験は現在2日間で行われており、このような時間割りで実施されております。4ページは、各科目とそれらの問題数についての現在の規定です。今は、このような形で試験が実施されております。薬剤師国家試験の受験者数、合格者数、合格率の推移について、4ページの下にはグラフ、5ページ以降にそれぞれの数字を掲載しております。6年制については、これまで3回試験が行われ、合格率などについてはこちらのような推移をたどっております。

 6、7ページは、昨年3月に合格発表が行われました第99回薬剤師国家試験の大学別の合格者数、こちらは公表資料でプレスリリース資料にも入っているものですが、こちらを掲載しております。

 8ページ以降については、参考までに薬学教育協議会で取りまとめられております卒業生の就職状況についての資料です。8、9ページが、6年制を卒業された学生の就職状況です。9ページに各就職先の状況が掲載されており、一番上の段が薬局、3番目の段が病院・診療所という括りになっており、こちらは「薬局」と書いてありますが、恐らく薬剤部に相当するものかと思います。こちらの就職人数等については、このような状況になっております。

 また参考までに、1011ページには4年制の学科を卒業された学生の就職状況について、同じように取りまとめられた資料です。こちらは、やはり進学ということで大学院に進まれた学生が多い状況です。以上です。

○赤池部会長 ただいまの資料1について事務局の説明がありましたが、現時点で、もし確認しておきたいこと等がありましたら御発言ください。よろしいですね。

 それでは、次に薬学教育にとって非常に重要な薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂が、先程来話が出ておりますが、平成25年度に行われました。これが、薬剤師国家試験制度を考える上で、非常に重要な点となってまいります。その薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)が緑の冊子にまとめられておりますが、文部科学省に設置されました薬学教育モデル・コアカリキュラム専門研究委員会の副座長でもありました太田委員に説明をお願いしたいと思います。

○太田部会長代理 資料2を御覧ください。簡単に、モデル・コアカリキュラムについてお話したいと思います。まず、現行のモデル・コアカリキュラムは、日本薬学会が平成14年8月に「薬学教育モデル・コアカリキュラム」というものを作成いたしました。そこに書いてありますように、薬剤師、薬学研究者等を目指す学生が学んでほしい内容を整理した薬学専門教育のガイドラインということで、必ずしもこの時点において薬剤師教育に特化したものにはなっておりませんでした。

 一方、平成1512月に文部科学省が主導していただき、「事前学習・病院実習・薬局実習モデル・コアカリキュラム」を作成いたしました。トータルで、1,145項目の目標が掲げられたわけです。これにより、現状の薬学教育の骨子といいますか、モデル・コアカリキュラムができまして、現在このモデル・コアカリキュラムに沿って学生たちは学んでいることになっております。これは、全体の教育の7割がコアカリキュラムで、残りの3割は大学独自のオリジナル教育を行い、大学の特徴を出すことが掲げられ、モデル・コアカリキュラムがスタートしましたが、現状でなかなかこの1,145項目が項目的にかなり多いこともありましたし、積上げ方式で作ったこともあり、改訂することが決められました。

 次のページが、改訂の体制についてです。右側は、現状のモデル・コアカリキュラムがどうしてできたかを図示したもので、ただいまお話をしたとおりのことです。左側は、今回平成25年度に改訂されたモデル・コアカリキュラムは、文部科学省が主体的に改訂を決定する組織を作り、その下で日本薬学会が具体的なモデル・コアカリキュラムの改訂の調査研究チームを立ち上げ、個々の具体的な項目について検討を加え、それを文部科学省に設置された専門研究委員会に報告をし、専門研究委員会が取りまとめて検討会に報告をし、決定されたものです。そのようなあらましで、このモデル・コアカリキュラムが改訂されました。

 それでは、具体的に概要についてです。基本方針として、今回の平成25年度のモデル・コアカリキュラムは、6年制学部・学科の学士課程教育に特化した内容とすることにいたしました。それから、薬学教育モデル・コアカリキュラム、実務実習モデル・コアカリキュラムの二つを関連付けて、一つのモデル・コアカリキュラムとして作成することが大方針として掲げられました。それに従って、作られております。それから、薬剤師として求められる資質を明確にし、これは10項目あるのですが、その資質を身に付けるために学ぶ形に変更いたしました。ですから、卒業時に目標が、薬剤師として求められる資質が目標になっていることが、現行のモデル・コアカリキュラムと比較してかなり大きな変更点です。具体的には、平成27年度、つまり今年の4月から、各大学において新たな教育が開始されるというタイムスケジュールになっております。

 3ページでは、平成27年度から実施の薬学教育モデル・コアカリキュラムの具体的な中身についてのお話です。まず、大学に入学した学生にとって、最初は薬学準備教育ガイドライン、これは例示として掲げられておりますが、このようなものを経まして、モデル・コアカリキュラムとしてAの「基本事項」、Bの「薬学と社会」を学び始めます。このA、Bは、従来と違いまして、卒業まで継続して学習をすることが特徴になっております。それと並行しまして、Cの「薬学基礎」。これは、物理、化学、生物というような基礎系科目がこの薬学基礎にまとめられております。

 それから、Dの「衛生薬学」です。従来からこのようなものはあったのですが、見出しとして衛生薬学というものが出てまいりました。それから、Eの「医療薬学」です。これは、従来でいいますと薬物治療や薬理学というような内容を含んでいるもので、今回の改訂により、Eの「医療薬学」というところがかなりボリュームの比重が増している形になっております。これらのC、D、E、それとA、Bを加えたものを行い、それを経由して「薬学臨床」Fというものを行うことになっております。この薬学臨床というのは、早期臨床体験、実務実習の事前学習というものも当然含んでおり、それでスムーズに病院及び薬局の実務実習。これは、現行どおり22週を基準としておりますが、こういう実務実習につないでいくということです。

 もう一つ、従来では明示されていなかったものとして、Gの「薬学研究」が掲げられております。これは、各大学に存在している卒業研究というようなものを、薬学研究という名前の下に整理をして明文化したものです。ですから、全ての学生はこのA~Gを6年間の間に学んで、薬剤師国家試験を受験することになります。これ以外にも、大学独自のカリキュラムを3割方入れることも申し合わせております。

 それでは、具体的に「薬剤師として求められる基本的な資質」はどういうものかということで、このページの下から次のページにかけて10項目が掲げられております。薬剤師としての心構え、患者・生活者本意の視点、コミュニケーション能力、チーム医療への参画、基礎的な科学力、薬物療法における実践的能力、地域の保健・医療における実践的能力、研究能力、自己研鑽、教育能力という10項目です。繰り返しになりますが、これらの項目を卒業時の目標として、学生はこれらに向かってそれぞれのモデル・コアカリキュラムに示されました事項について学んでいくということです。改訂前と改訂後の対応表が、このページに書かれております。

 次のページは、「改訂版モデル・コアカリキュラムの特徴」です。繰り返しになりますが、まずAの「基本事項」は、生命・医療倫理、チーム医療とコミュニケーションなどという、極めて基本的な薬剤師になるためには必ず学ばなければならないようなものがここに入っており、6年間を通して学ぶ形に作られております。Bの「薬学と社会」は、薬剤師と医薬品等に係る法規範、それから社会保険制度と医療経済というように、これもまた6年間を通して学ぶ形で、このA、Bともに6年間を通して学ぶ形に作られております。

 Cは「薬学基礎」で、物理、化学、生物です。それぞれ整理をいたしましたが、基本的には現行のモデル・コアカリキュラムを整理、統合して、ブラッシュアップした形になっております。

 Dは「衛生」です。これは、健康と環境という二つのパートに分け、これも基本的には現行のものと大きく変わってはいないと思います。

 Eは「医療薬学」で、薬理と病態・薬物治療を融合した形になっており、薬物治療に役立つ情報や薬の生体内運命や製剤化のサイエンスというものも含み、医療薬学としてまとめた項目としております。

 これらのA~Eまでの項目を通して学んで、スムーズに薬学臨床、薬局実習と病院実習を分けずに記載してある「薬学臨床」という所にいくわけです。従来、この実務実習系のものに関しては、現行のコアカリキュラムはその実行に問題があるというような懸念もありましたので、最初のことでしたので方略というものを入れておりましたが、今回の改訂のときに方略はできる限り排除して、ほかのモデル・コアカリキュラムと同じような立ち位置に付けて整理をしております。ただし、方略をできる限り排除とは言いましたが、大学で事前に修得しておくべき項目については、別途、前という形で目立つように表記をして、大学で実務実習に行く前に確実にこれは学習をしておく必要があるものに関しては表記をしております。

 もう一つ重要なポイントとして、「薬学臨床」を学ぶ上において代表的な疾患を8疾患規定いたしました。ですので、この実務実習を履修する際、できる限りこの8疾患を現場で体験実習をすることを求めております。

 最後は、卒業研究について「薬学研究」です。

 最後のページを御覧ください。「今後のスケジュール」です。現在、平成25年度にモデル・コアカリキュラムの完成を見まして、平成26年度は各大学においてカリキュラムの改訂作業を行っているところです。ほぼ、どの大学もこの4月からの実施に向けて終わっていることと思います。それと同時に円滑な実務実習に向けての検討を行っており、これは薬学実務実習に関する連絡会議等で、例えば具体的なガイドラインを作成し、大学はじめ実習施設に周知を徹底して、きちんと実行できるように図っているところです。

 この4月から新カリキュラムは適用され、1年次から順次スタートしてまいります。次々と年次に従って行い、平成30年度には改訂コアカリキュラムに基づく共用試験が開始されますし、平成31年度5年次制になり、改訂コアカリに基づく実務実習を実施する予定になっております。いずれにしても、この4月からモデル・コアカリキュラムが実施をされますし、5年後の平成31年度からは、それに基づいて実務実習を行うということのタイムスケジュールが、正にこの4月からスタートするということです。以上で説明を終わります。

○赤池部会長 改訂されましたモデル・コアカリキュラムについて御説明いただきましたけれども、現時点でもし確認しておきたいこと等がありましたら御発言ください。御追加も含めて、よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

 ここまで御説明いただきました状況を踏まえ、事務局より今後の議論の方向性、検討すべき事項について御提案を頂いています。事務局よりその説明をお願いいたします。説明のあとで、これからの検討方針などについて、フリーディスカッションという形で意見交換を行いたいと思います。

○紀平課長補佐 資料3を御覧ください。併せて参考資料の3と4も御用意いただければと思います。今回モデルカリキュラムが改訂されたことで、薬剤師国家試験の方をどのようにしていくかということを、この部会で御議論いただくこととしています。つきましては、資料3に御議論いただくたたき台のような形で幾つか論点の案を挙げさせていただいていますので、こちらを御参考にいただければと思います。

 まず1点目として、参考資料3に現行の国家試験の出題に関する基本方針がありますので、今回のコアカリキュラムの改訂に向けた議論についても、この基本方針をベースにして、これまでの国家試験の実施状況やコアカリキュラムの改訂の内容を踏まえ、必要なものを見直していくということでどうかということです。

 2点目以降については、参考資料3の基本方針の2ページから、現行の基本方針が項目別に書かれています。()試験科目についてです。コアカリキュラムの改訂に伴い、変更する必要がないかどうかというところです。現行の試験科目につきましては、2ページの真ん中辺りに括弧書きで並んでいますが、物理・化学・生物、衛生、薬理などの括りで科目が規定されているところです。例えば今回のコアカリキュラムの改訂で、先ほど太田委員から御説明いただきました資料2の5ページにもありますが、薬理と病態・薬物治療が統合されているというのがあります。こちらは現在国家試験の科目としては分かれているのですが、コアカリキュラムが統合されるということで、科目の方を見直す必要がないかどうかという議論もあるのではないかと思っています。

 続いて()出題基準についてです。細かい出題基準については、また今後、出題基準改訂部会の方で検討をいただくことになるのですが、出題基準の全体的な体系として、現行では、大項目、中項目、小項目という項目に分かれており、その小項目については、具体例が例示されています。どのようになっているかは参考資料4の4枚目以降に、横表の形になっているものが現行の出題基準です。こちらの横表の方で、左から大項目、中項目、小項目となっており、各小項目の所に具体的な例示が記載されているのが現在の出題基準の体系になっていますので、この形式を踏襲することでよろしいですかというものです。

 続いて()試験出題形式と解答形式についてです。参考資料3の3ページです。基本方針では段落が三つありますが、一つ目が問題形式。現在、正答肢を選択する問題を基本とするということ。必須問題などについては、設問の正誤を一問一答形式で問うことを基本とするとしています。このような方針をそのまま踏襲することでよいかどうかという点です。

 2点目が、また、という段落になります。現在の基本方針では、例えば小冊子ですとか、画像等の資材を問題とともに配付・供与した上で出題する。それを活用して解答を導くといった方式などについても、積極的に取り入れるとしてはどうかということです。現行の試験では、こうした別配付のような形まではできてはいないのですが、一部の問題で写真等や画像、イラストについてはできるだけ活用するなど、こうした方針をできるだけ取り入れているような形ですが、そのような形を継続することでよいかどうかということです。

 基本方針の()のなお書きですが、薬剤師として選択すべきではない選択肢、いわゆる禁忌肢というものが問題の形式としてあるのですが、こちらも導入については今後の検討課題とされているところです。こちらも今後どうしていくか御議論いただく点かと思います。

()試験問題数についてです。こちらは、現行は各科目ごとに問題数を基本方針の方で決めて、それに従って出題しているところですけれども、この問題数について、どのように考えていくかということです。

 それから()合格基準です。基本方針の方は4ページになります。現行の合格基準については、全問題への配点の65%が基本となっており、問題の難易を補正するということも規定しています。また各科目ごとの得点についても基準を定めているところですけれども、こうした合格基準について今後どのように考えていくかという点も、論点の一つかと思っています。

()過去に出題された試験問題の取扱いについてです。現在の基本方針では、旧来の制度と同様に、20%程度は過去問を活用するという方針になっていますけれども、現在6年制になってからの出題問題が、実質の回数が少ないこともあり、過去問もまだ蓄積されていないというところで、実際にはまだ利用していない段階です。その辺りも基本方針でも十分に蓄積されるまでの間は、活用する場合はこの20%にこだわるものではないとされていますが、基本このまま踏襲する形でよいのかということです。

 またその他ですが、今回、基本方針を見直していただくとして、先ほど御説明いただきましたように、コアカリキュラムが改訂されたものは、次の4月に入学される学生さんから適用されます。その学生さんたちが初めて受験することになるのが平成32年度に実施される試験となりますけれども、こちらで適用するのでよいかという点です。また、頂く御意見の内容によってはそれ以前の国家試験にも適用できるものがあると思いますので、そうしたものを前倒しで取り入れることも考えていいのではないかということを論点として挙げています。以上です。よろしくお願いします。

○赤池部会長 御説明ありがとうございました。これより、薬剤師国家試験制度の検討について意見交換にまいります。本日は、先ほど来お話が出ていますけれども、6年制の薬剤師国家試験が開始されてから初めての制度改善検討部会となりますので、ただいま事務局から説明がありました薬剤師国家試験等を取りまく状況、それから、先ほど太田部会長代理から説明がありました改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムの状況を踏まえ、また今御説明いただきました資料3の内容も活用しながら、フリーディスカッションにさせていただきたいと思います。

 まず、資料3をもう一度御覧いただけますでしょうか。表の方になります。一番上ですが、一つ目の○。医道審議会薬剤師分科会で取りまとめた薬剤師国家試験の在り方に関する基本方針の内容をベースに、6年制教育に対応した薬剤師国家試験の実施状況や、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂を踏まえ、基本方針に挙げられた項目に沿って、必要な改善事項について検討していくことにしてはどうかということになっていますけれども、これについては、このような方針でまず検討を進めていくということでよろしいでしょうか。

 よろしいですね。どうもありがとうございます。この方針に従いまして、これからの検討を進めていくことにいたします。本日はフリーディスカッションということで、議事進行が非常にスムーズに進みまして、12時までということですので、まだ1時間ちょっとあります。全部使う必要はないのかもしれませんが、お忙しい先生方がせっかくこうして14名中12名も集まっていただいていることもありますし、この検討会の最初の会ということもありますので、必要に応じて私も少し御指名させていただくかもしれませんが、是非、先生方皆様から活発な御意見を頂けたらと思います。

 議論の進め方ですけれども、資料3になりますが、論点を整理していただいていますので、全部で7項目あります。特に時間を切る必要もないかもしれませんけれども、それぞれ10分程度ぐらい時間をかけて、今日は何か決めるというよりも、先生方の御意見をいろいろ頂戴して、2回目、次回以降に進めていく判断材料になるのではないかと思います。そういった観点で御意見を頂けたらと思います。よろしくお願いいたします。

 ここは結構、皆様御意見が出てくるのかなと思いますけれども、()試験科目についてですが、今般のコアカリキュラムの改訂に伴い、変更する必要がないか。特に、薬理と病態・薬物治療については、従来のコアカリキュラムでは別々の項目として扱ってきたが、改訂されたコアカリキュラムでは一つの項目としてまとめられたことを踏まえ、試験科目の変更が必要か、ということが掲げられています。特に薬理と病態・薬物治療に限ったことではありませんけれど、全体として太田先生からも御説明がありましたが、決して細かいSBOで見たときに、ガラッと入れ替わったというわけではありませんけれども、やはり薬剤師コンピテンスィーということで、outcome-based educationの形で組み方が変わりまして、大項目の名称、組み方というものも、これについては大幅に変更されているわけです。

 こうしたことを踏まえ、これから薬剤師国家試験の制度の改訂に関する検討を進めていくわけですけれども、大きなレベルでの話でも結構ですし、各論でも結構だと思います。変更ということに関して、もし意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。松木先生、よろしくお願いいたします。

○松木委員 最初に全体の話をさせていただきますと、モデル・コアカリキュラムの改訂の大きな目的というのは、実務実習の充実というところと、卒業研究を入れたところ、それから、コアの部分のあとで大学が3割ぐらいはそれぞれの独自性を発揮してもらいたいところです。どうしても国家試験ですと、知識偏重になってしまい、せっかくの目玉のところがなかなか入りにくいというところがあると思うのです。ですから、そこをどうやって工夫してやっていくかというところを、これからいろいろな機会で私は発言していきたいと思います。

 試験科目について、薬理と病態・薬物治療について分けたというのは、従来の書き方としては、これも太田先生がお話になったように積上げ方式なのですね。SBOが授業の1コマに対応し、それが集まって1科目の、1学期に相当するという形になってきているので、逆に言えば、SBO1個に一つというように問題が出しやすかったわけです。今度のコアカリは学生の立場に立って何を学ばなければいけないかという観点なので、例えば薬理と薬物治療だと、薬理のところではこの疾患に関しての代表的な薬について理解するというものが、薬物治療では更にもう少し細かくということで、両方の科目で同じ疾患も理解しなければいけないし、薬の作用も理解しなければいけないということでした。この科目を分けるのは教える方の都合であって、学生にとっては理解は一つであるということで大体一緒にしたわけです。

 ところが、コアカリの改訂のところで議論を進めていくときに、いろいろな先生が言われたのは、これは誰が教えるのだと。どの科目で教えるのだと。だから科目とか関係なくて、最終的な到達点なのですと言っても、なかなか理解してもらえないところがあったので、またこの従来の科目名をここに付けてしまうと、これは自分が教えなくていいとか、多分そういうところで切り分けられてしまうという気がしますので、今回は思い切って変わったのだということです。

 それから、せっかく薬剤師として必要な資質ということで10項目を挙げたのですが、知識以外の技能や態度が多く、なかなか試験科目としては出題しにくいのかもしれないのですが、なんとかそれを入れていくような方向でやっていきたいと思います。私としては、次の時間配分の議論になってしまうかもしれませんが、問題を一挙に配り、半日ぐらいじっくり考えてもらうぐらいの方がいいのではないかなと思います。試験科目については、今回コアカリが変わったからそれに合わせて変わるというようなコアカリの改訂ではないということです。コアカリの改訂方針がそもそも全くがらっと変わっているというところで、考えていただきたいということです。

○赤池部会長 どうも重要な御意見ありがとうございます。確かに松木先生おっしゃるとおりで、薬学会の方で文部科学省から付託を受けて、実際の改訂作業を行いましたけれども、そちらの委員長を務めていただきまして、私もその下でいろいろと改訂作業を行わせていただきました。関わった先生方はここにたくさんいらっしゃるわけです。まさに松木先生もおっしゃいましたように、太田先生も御説明になりましたが、方略ともちろん連動はしてまいりますけれども、方略そのものではないと。あくまで目標であるということは重要なポイントだろうとは思います。そういった意味で、これはあくまで例として非常に分かりやすいので出ていると思いますけれども、こうした薬理、病態・薬物治療の組み方の考えについても、松木先生がおっしゃいましたように、すぐに連動して考える必要は恐らくないだろうと思います。

 逆に薬剤師国家試験の在り方として考えますと、御指摘いただきましたけれども、薬剤師の資質ということが薬学教育の目標としてしっかりと掲げられておりますので、そういったものを、むしろこれから改訂を考えていく薬剤師国家試験にどのように取り入れるか、あるいは反映していくか、リンクさせていくかということが重要なポイントになるのではないかと思います。

 この点いかがでしょうか。あるいはほかの点でも結構です。フリーディスカッションということですので、今日は必ずしもそういう意味では積上げ方式でやっていく必要はないかとは思います。急に振ってすみませんけれど、太田先生いかがですか。

○太田部会長代理 今の試験科目ですけれども、薬理と病態・薬物治療は従来分かれていたのですが、今回、コアカリで統合して医療薬学という名目に変更されております。しかし実態は薬理は薬理の先生、それから薬物治療は臨床系の先生が出題をなさっているように思います。それが逆に問題の作成を阻害してしまうことがあるのであれば、医療薬学という括りにして、複数名の先生方に共同して作っていただくということで、外から見ると一体化しているような形でスタートした方がいいのではないかと思います。これは、松木先生の御意見を伺って思ったのですが。ただ、然は然りながら、作成をするという立場に立つと、なかなか困難ではと思います。作成委員を決めるときは、かなり具体的な話で申し訳ないですけれども、考慮が必要かなというようには思いました。

○赤池部会長 どうもありがとうございます。試験科目については大体同じような形の意見ですけれども、ちょっと違うという御意見はありませんでしょうか。別にここで何かディベートというか、議論を交わすというよりも、少し他方面からいろいろと御意見が出た方がいいかなと思いますけれども、いかがでしょうか。例えば基礎の取扱いとかそういうのも含めて。

○望月委員 私も基本的には松木先生の御意見に賛成です。実は科目という括りの仕方をしている中に、ちょっと違う領域が入ったりしていますと、その科目の担当の中で、また、いろいろなコンフリクトがあるようなことも出題委員の先生方から聞いています。アウトカムにどう近づけていくかということを出題者が意識ができるような形で、薬理から薬物治療がきちんとつながるような作問になるとよいと思います。出題委員がもしかしたら薬理しか教えていない委員かもしれないし、薬物治療しか教えてない委員かもしれないのですが、出題委員がそこに集まって一緒に考えていくという作業をしていただくことも、重要なことかと思います。という意味では、科目という形がいいのかどうか分かりません。まだ、ちょっとアイディアはないですけれども、今回は領域を分けるときには、そういう分け方を意識した方がいいのではないかと思います。

○赤池部会長 ありがとうございます。この件について、ほかに御意見はいかがですか。

○亀井委員 日本大学の亀井でございます。今、望月先生が言われたことと同じことを私も考えていたのですが、先ほど松木先生もおっしゃっていましたけれども、やはり今までのコアカリキュラムですとSBOも積上げ式だったということで、出題基準もそれに沿って、科目という考え方で作られていました。新しい今回の改訂コアカリキュラムは、10の資質を薬剤師の資質というように決めてからSBOを考えているというところで、評価すべきところは、科目という視点よりは資質の方を重視する、そういう形にしていくということになろうかと思います。現実的な話として、科目という形で分けることが作業としては非常にやりやすいかと思うのですが、少なくとも10の資質を意識したそういった設定というか、具体的にはちょっと提案はできませんけれども、そういうことが必要なのではないかと思います。

 また科目ということを考えますと、改訂のコアカリキュラムでは基本事項という、今までになかった分野がありまして、そういったものの取扱いなどもこれから考えていかなければいけないと思いますので、そういった議論もしていただけると大変有り難いと思います。

○赤池部会長 そうですね。基本事項の中に、例えばコミュニケーションとか、あるいはリスク管理のようなものも結構重要なポイントとして入っていると思います。こういったところは、五肢選択のような形で問うといったときには問題を作りやすくはない、むしろ作りにくい内容だろうと思います。そうしたことをどのように工夫していくかということです。ということも、この委員会で何らかの結論が出せるような形で検討をしていく必要があるかと思います。知識を問う形の問題ですので、その辺が非常に難しい点ではあろうかと思います。

○吉冨委員 改訂モデル・コアカリキュラムで、DとかEというのは、やはり基礎がないと分からない項目ですから、この分類自体はいじっても、いじらなくてもあまり関係ないような気がしますけれど。ただ、新しいカリキュラムが、これまで薬を取扱うというよりも、薬を患者に適用したあとの患者の状態をもうちょっと責任をもてと、そういう視点が非常に高くなっているので、薬自体の性質よりも、せっかく実習に行って患者の方に向いたり、医療の方に向いたり、他の医療関係者とのコミュニケーションとかに向いた、その方向性を検証するような試験になっていただくと有り難いなと思っています。

 当然、基礎も大事ですが、元の基礎のところの、患者に対してどのように関係があるのかよく分からないところを、今までどおりに出すよりは、その辺をちょっと検証し直していただいた方が有り難いと思いますけれど、実は具体的にどうだと言われると私も困るのですが。

○赤池部会長 この委員会の前の平成22年に結論を出した委員会でも、その基礎の取扱いというのは大激論が取り交わされたところだと記憶しています。これも、もちろん先生方いろいろな御意見があろうかと思いますし、また、ここでもしっかり議論いただきまして、全体としての薬剤師国家試験制度の中での位置づけというものが、最終的に取りまとめとして皆様にお示しできる形にする必要があろうかと思います。

 かなり議論が出てまいりましたけれど、ほかによろしいでしょうか。

○入江委員 熊本大学の入江でございます。今、先生方が言われていることに対して私も同じような感覚は持っています。ただ、なかなか具体的に、それではどうすればいいのかというところが見えてこない状況です。今回のコアカリ改訂で10の基本的資質を達成するための学習成果基盤型教育にした背景には、医学や歯学のコアカリ改訂の動きと連動していると思います。そうしますと、医学や歯学で従来のものから国家試験の在り方がどのように変わったか、アウトカムを達成するために、能力評価をどういう工夫をして試験の中に取り入れてあるのか、私たちが今から在り方を考えていく上で参考になるのではないかと思います。そのような情報を得た上で、今後の議論をしてはと思います。

○赤池部会長 やはり同じ医療系ということで、更に少し先行して進められていますので、今後、議論を進めるときに参考としては是非すべき内容だろうと思います。

○山本委員 資料の2の2ページと3ページの新しいモデル・コアカリキュラムの中で、A、Bとそれ以下が同時に6年間進められるということになったことと同時に、outcome-based educationに力点を置くという方向が示されていることには、私もそれには大賛成です。

 論点整理の中の()()を比べて見ると、それぞれ学校の中で授業をされる先生方は、科目に大変こだわられるのだろうと思うのですが、私ども受け入れる側は、薬剤師として資質がきちんと確認できていればいいという極めて単純な発想です。そのoutcome-based educationに力点を置くのだということで報告書が出た。しかし、なお分からないという議論では、報告書は大丈夫かと思います。受ける側としては、()()できちんと資質の確認ができればいいということですので、どなたが薬理を教えて、どなたが何を教えるか、結果として分かればいいのではないかと思います。そういう試験にしていただければ特段に異存はありませんので、よろしくお願いします。

○政田委員 私はずっと臨床系にいたものですから、恐らくそれぞれの学部の先生方は私がこれを教えているからというので、もう何というか、専門性意識がきついと思うのです。今では臨床で20年ぐらい、臨床の場にいて本当に鍛えられた若手の、若手といっても40歳過ぎますが、この若者たちは、要するに基礎から臨床全ての薬理と病態、あるいは体内動態等全てを理解し、要するに基礎から全てが分かってないといけないような、そういう薬剤師で臨床家というのがものすごく増えてきていると思うのですね。まともな若い子で。そういう子をどうやって生かしていって、そういう子たちを試験委員にするとか、何か考えていくと、すごく融合問題などやりやすいと思うのですね。

 恐らく医学部の臨床がそうだと思うのです。医学部の臨床家の先生方は、医学部の医者の方の試験問題はそうなっていると思います。だから、その辺はもう今の古い先生方には理解できないかも分からないですけれども、今の若い子は本当に素晴らしいですよ。その素晴らしい子を選ぶと。40代でいろいろな子がいると思うのですね。そういう子たちを選ぶような環境を作っていけば、かなり薬剤師の国家試験としては良い問題ができるのではないかと。医学部などは完全にそうですよね。その辺の臨床現場で2030年おられる方が作っておられるし、その人たちは基礎をちゃんとやっていますし。そういうことを少し考えながらやっていかないと、古い考え方だけではちょっと駄目なのではないかなと思います。

○田尻委員 薬剤師会の田尻です。やっとうちの会長が物申したので、やっとこれで解き放たれるかなと思いつつ。まさしく現場、いわゆる卒業生を期待する現場からすれば、4年制から6年制になったというのが、ここ書いていますように、臨床に関わる実践的なというところが一番のお題目だったのでしょうけれども、実際のところ国家試験を私は詳しく中をのぞいたことはありませんけれども、それが現場の先生含めて言われたように、試験内容にそういう格好で反映されているのかというのは非常に疑問に思う。大昔の4年制の薬学部の国家試験というのは、薬剤師というより、いろいろなことでの化学者も含めての試験に近かったような部分。現場で必要かもしれないけれども、直面するような問題は一切なかった時代で育てられた人間からすれば、やはり6年制になって、そしてなおかつ22週現場で実習を受ける学生さんたちのことを思えば、非常に期待している部分もあるものですから。

 ですからそういう意味で、問題自体がどうということも私の立場でどうこう言う立場にはないのかもしれませんけれども、やはり現場ですぐ生かせるような能力を持つ子たちが、きちんとそれなりの成果が出せる問題になれば、これは一番、受ける側も。目標もある程度はっきり、また試験の場ではっきりする部分があるのかなと思った場合に、せっかくモデル・コアカリが変わるわけですから、それこそ、そこら辺のところを非常に期待しつつ今日参加させていただいていますので、何卒よろしくお願いいたします。

○赤池部会長 どうもありがとうございます。現行の薬剤師国家試験のお話も出ましたけれど、そういった意味で出題委員長も務められまして、松本先生いかがですか。

○松本委員 まず最初に、太田先生から出題委員のことも考えること、それから実際に本当に良いモデル・コアカリキュラムの10の資質というのをいかに確認するかということとありました。それで、今お話になったような形で言えば、政田先生が若いということではないのですが、学問体系的に若いものですから、そういうところをうまく組み上げていくということが必要だと思います。

 少しお願いというか、実際に今の現状の国家試験で、例えば複合問題とか臨床系の問題がどんな具合でできているかとか、もちろん各大学でされているのですが、3回の蓄積のデータをどこでどのぐらいの点を取れているのかと、あまり公表できるわけではないと思いますが、そういう今現在の、作った側としてはもっと細かく見て、どこで合否が決まるというか、どのぐらいできているのかとか。その都度KV委員会においてやっているので分かっているのですが、少しまとめて見て、もう少し出し方を考える上では過去のでき具合を検討というか、調べていただきながら、土台にしていただくといいなと思っています。本当に、先生方のおっしゃるとおりの進め方でよろしいかと思います。

○赤池部会長 もちろん現状で出題委員会の方でこういうことをしているから、それに伴って必ずこうしてくださいとか、そういうことはないとは思うのですが、ただ、少なくとも現状でどのように出題、問題が作られて、あるいは現場で実際、出題委員会の中で、私もだいぶ前に出題委員を務めていますが、やはり非常に御苦労されています。そういった意味で、現実にその中でできることと、できないことというのも恐らくあろうかと思いますので、これは次回以降ということになると思いますけれども、ちょっとオープンでできない部分もあるかもしれませんが、現行でどのように出題問題が作られていて、どのような形で委員の方が構成されたのか、そうした現状分析といったようなことを聞かせていただく機会も是非設けていただいたらと思いますので、それはよろしくお願いいたします。

 あと、すみませんがここの科目の部分、だいぶ項目が残っていますけれども、試験科目は非常に重要だろうと思います。あと、唯一御発言されていないのが奥先生ですので、是非ご発言いただけませんでしょうか。

○奥委員 今日は聞かせていただいてからゆっくり考えようと思っていたのですが。大筋としては皆さんの御意見が、やはりコアカリが変わったので、その方向というのはいいと思うのですが、例えば薬理と病態・薬物治療を分ける分けないとか、そういう問題というのは割合と技術的な問題もあるし、それから出題委員を分けたとしても、それを統合して出すとか、そういうことができると思うので、一番、多分、問題になるのは、基礎の扱いをどうするかという辺りだと思うのです。だからそこら辺を大幅に変えるのか、それとも今までに近い形でやはり基礎から十分に理解する薬剤師をつくっていくのかという辺りが、一番、今後議論をしなければいけないところだろうと。

 もう一つ簡単な話からいうと、多分、国家試験を今は2日でやっていますけれども、それを増やすという、3、4日にするという意見は出ないのではないかと思うのです。そうすると、出題数自体はあまり変わらないだろうと。そこら辺のコンセンスが得られやすいところから得ていって、あとは科目をどういじっていくかというような問題になってくるのかなという気がしています。

 皆さんの御意見を聞きながら、徐々に意見を言わせてもらいますけれども、今日のところはそういうところで、問題になるところはその切り分けの問題よりかは、科目そのものをどう扱っていくか。つまり薬剤師としてどういう国家試験を目指していくかというところが、多分、一番問題になるのではないかなという気がします。

○赤池部会長 どうもありがとうございます。やはり基礎の取扱いというのは、非常に重要な論点になろうかと思います。今日はフリーディスカッションですので、問題提起をそれぞれいただきまして、これを受けてまた次回以降、検討を進めていくことになりますので、これについてどうするか、どのように結論を出していくかというのは、次回以降の重要な事項にさせていただきたいと思います。

 これで全員御意見を頂きまして、ほかに何か御追加等はありますでしょうか。よろしいですか。試験科目についてというのが全部で7項目、厚生労働省で取りまとめていただいていましたけれども、恐らく一番重要なポイントになろうかと思いましたので、時間をかけて議論をさせていただきました。

 時間の関係もありますので、次に2番目のポイントになってきますけれども、()出題基準について。これも、もう既に()の試験科目についてでも少し御意見が出ていたと思います。現行の出題基準がここに書かれていますけれども、各科目の出題について、コアカリキュラムを基本としているということから、改訂されたコアカリキュラムに合わせて見直すということでどうでしょうか、ということが一つのポイントです。

 もう一つは、出題基準の体系になってまいりますが、コアカリキュラムの項目を基本として、大項目・中項目・小項目と現行ではなっていますけれども、その小項目については具体例を例示するとしているところ、現行の方針どおりでよいかどうかという点です。この二つの点ですが、いかがでしょうか。

 ここはまあ、それほど大きくいじる必要はないかなと思います。特に何か御意見はありますでしょうか。

○亀井委員 出題基準が、大項目・中項目・小項目となっていますが、これはコアカリキュラムに沿って作成されています。改訂されたあとのコアカリキュラムについても、同じように出題基準をまとめることはできるかと思いますが、改訂のコアカリキュラムでは、それぞれのSBOが10の資質と関連しているということがあります。恐らく私は大学でもいろいろと学生を教えていますと、どうしても一つのSBOを考えると、それだけをいかにどのように教えるか、あるいはどういった問題を作るかと考えてしまいますが、そうではなくて、この出題項目がどういった資質と関わっているのかという、そうしたところを意識するような。これはもちろんできた問題によって同じ小項目でもこの資質、あるいはこちらの資質と変わってくる可能性はありますけれども、そういう資質を意識した出題基準といいますか、今は具体的には提案ができないのですが、そういった検討ができればよいと思います。

○赤池部会長 それは逆に今度は大きく考えると、出題科目という一つずつの括りがありますけれども、そうしたものがどの資質に関わっていくかというようなことも、もし可能であれば何か明示できるとよろしいかもしれないですね。

 ほかにいかがでしょうか。フリーディスカッションということで、もしいろいろ御意見を頂けましたら。よろしいですか。出題基準については、今、亀井先生から御意見を頂きましたけれども、やはり資質との関連というところが何か明示するなり、ある程度議論の中で、あるいは実際に最終的に取りまとめた、これは出題基準についてはまた最終的に出題基準検討委員会、別の委員会で作成していただくことになりますけれども、そちらの方にこういった方針も考えていただきたいということをお願いすることも可能だと思います。()の出題基準については、このぐらいの議論で終わらせていただいてよろしいですね。

 今後の検討は更に続けますけれども、取りあえず今日の議論はここで終わりまして、次に()試験出題形式及び解答形式についてになります。試験については先ほど来説明もありますし、先生方も御存じのように、現行では正答肢を選択する問題、いわゆる一問一答形式と、そうでない組合せの中から正答肢を選択する形式を基本として、特に必須問題などの場合では、設問の正答を一問一答形式で問うという形で出題が行われているということです。

 また、実務に即した技能・態度等を確認するための手段としては、現状では実務以外にもほかのところでも入っていますけれども、一部の問題で写真や映像、イラスト等を活用することである程度の対応をするとなっています。そのような方針でよろしいかどうかという点。これが出題形式、解答形式の二つ目のポイントとなります。

 現行の基本方針では今後の検討課題とされてきたところですけれども、薬剤師として選択すべきでない選択肢といった禁忌肢と呼ばれますし、場合によっては地雷問題という言い方もされていると思います。こうした問題を含むということです。これは前回も今後の検討課題として終わっていますけれども、やはり薬剤師の資質とも関わってきますけれども、こうしたものを入れるかどうか、非常に重要なポイントの一つになろうかと思います。

 大きくはこの三つのポイントを挙げていただいています。これについて先生方、フリーディスカッションで御意見を頂けましたらどうぞ、いかがでしょうか。政田先生、何かありますか。

○政田委員 恐らく、一問一答形式でしかやりようがないのではないかと思うし、イラストや画像は当然、これから対応していかないといけないことではないかと思います。いわゆる禁忌肢の問題ですね、これは私はあった方がいいと思います。医師の方はあると思います。だから、その辺は医師国家試験のときにどういうふうになっているのかということを調べて、薬剤師の方にもそれは入れた方がいいと思うので、その辺を調べてからにした方がいいのではないか。

○山本委員 私も()の部分ですけれども、三つのパラグラフがあって、現行のままでいいかというと、多分、答えの仕方は一問一答なのだろうと思います。2番目のところは、この国家試験は確認試験です。目的は薬剤師としての資質があるかどうかを確認しているので、実務に即した試験を様々なデバイスを使ってなさるのは結構です。しかし、薬剤師としての資質があるかどうか確認できる範囲を逸脱するような試験は、試験として問題があると思うので、その範囲をとどめていただきたい。

 その上で、「禁忌」の選択肢を入れるべきだと私は思います。昨今の現場でおきている事例を考えてみますと、基本的な資質のない者が国家試験に受かっているのではと疑いたくなります。そうした現状をみると、禁忌肢がないと倫理を問うのであれば確実に問題になってきますし、また、資質のない者が薬剤師になるというのは、薬剤師でなく国民が不幸になりますから、そうした観点から禁忌肢は私は入れるべきだと思います。

○赤池部会長 ありがとうございます。

○田尻委員 この御時勢、非常に成績の良い子は国家試験に受かってくるのです。ただし中には、ごめんなさい、言葉が稚拙で品がないのですが、「こいつはな」という人がいますので、禁忌肢の件ですけれども、それも含めて何題か出題して、何かの間違いで地雷を踏んでしまう子もいるかもしれませんが、二つ三つ踏んだら確信犯だなと分かるような意味合いでの禁忌肢を含んだ出題は、検討されるべきことかなと個人的に思っています。

○松木委員 一問一答形式というのは、マークシートだと仕方がないのかもしれませんが、ただ、あまりにもクイズの早押しみたいな、これを知っているかどうかで、そこで知らないと0点になってしまうという問題が多い。例えばAに属するものが次のどれかというので単語だけ五つ並べてあって、これは出題者からしてみると、あとで問題に疑義が出される心配が全くないので非常に出しやすいのですが、問題としては良くない。課題解決型薬剤師をいかに輩出するかというのも、今回のコアカリュラム改訂の目的だったので、例えば大きな問題を作って、その中の枝問をそれぞれ選択して考えをどんどん掘り下げさせていく。ある程度、最初に文章を読んだりデータを見たりして、それを理解する力があるかどうかというところで工夫してやっていかないといけない。あるいは、例えばAに属するものは以下のどれかというより、Aという定義をちゃんと知ってもらうことが必要なわけですから、それに関しての質問をするとか、全体の出題の方法のところを是非考えていただきたいと思います。

 それから、出題科目、試験科目のところで私がこういう発言をするのは意外かもしれませんが、コアカリキュラムのときには基礎は絶対に入れてくださいと言ったわけです。それはなぜかと言うと、これは薬剤師の養成でもあるけれども、大学として学士を養成している場所でもあるわけです。ですから、学士としての能力が付かないようなことはいかんということで強く言ったわけですが、国家試験は薬剤師としての能力があるかどうかに特化しているところがあるわけで、卒業時の学士力は各大学の責任だと思います。知識がなくていいわけでは全然ないので、コアカリにある基礎知識はある程度問うのですが、コアカリキュラムに書いてあるからどうかだけではなく、出題にあたっては濃淡があって然るべきです。特に複合問題とか本当に臨床現場でちゃんと考えたことがあるということが分かるような試験、あるいは言われたことだけを丸暗記するのでなく、考えて何か課題を解いたということが生かされるような出題にする。

 言うのは簡単です。「じゃ、お前作れ」と言われるとなかなか大変ですが、それを是非やっていただかないと、結局、知識だと知っているか知らないかですので、受験生はものすごく不安になるわけです。6年の最後の段階で知識の多寡だけを問われると、真面目な学生はすごく不安になってしまう。せっかく4年までで基礎知識は終わって、5年生、6年生で現場に行って、現場で疑問に思ったことを解決する卒業実習、卒業研究などをするように改訂コアカリではしているのに、結局、知識の詰め込み期間が4年から6年に延びただけで終わってしまっているところが非常に多いのです。ですから、本当に現場で一生懸命考えた学生が有利になるような問題にする。これはテクニカルには難しいから、最初から駄目だと言ってしまうと駄目だし、アナウンス効果というのがあるので、そういうことでないと解けないよとアナウンスするだけでも結構重要なところだと思います。今日はフリーディスカッションなので、言いたいことを全部言わせてもらいました。

○吉富委員 今、松木先生が言われたことは非常に思いを整理されて、いい意見だなと思いました。実は国家試験の形式が、マークを塗ること以外の論述試験とかOSCE的な実技試験を入れようがないので、どうしても今の状態にならざるを得ないのです。結局、基本的な資質というのは技能や態度も本当は求めているのですが、実は技能や態度の根底には一定の知識がないとできないわけですから、その技能や態度に必要な根本的な知識として、こういうことがないとそういう態度は意味がないでしょうという整理をして、基本的な資質を実現するのに必要な知識を問うことを、問題を作るときに指向しないと、今までと同じ問題ではまずいのではないかと思います。ただ、具体的にどうすればいいか私も分かりません。

 もう一つ、いわゆる爆弾問題の話で、倫理的におかしいのを弾こうというのは最初のうちは正しいですけれども、実はそういうのを毎年、毎年新しい形式で問題を作っていくというのは非常に難しく、それこそ、こういうのを覚えておけばこれで通るらしいという形に将来的になりかねないので、そういう爆弾問題を作るのは最初のうちはいいとしても、後の方ではあまり役に立たないような気がします。本来は、そういう人間を出さないのは大学の責任であって、本当は薬剤師の国家試験の問題ではないのです。あまり妙な正論を吐くと自分にかかってきて、お前の所の卒業生は何だと言われると困るのですけれども。

○政田委員 確かに松木先生が言われたように、考える問題をやらないと。問題を見た途端に答えが出てくるという問題だけではなく。問題数をそんなに増やすのでなく考える問題を出す。例えば治験のデータなどを出して、これから考えさせるとなると、医薬品情報学が要るし生物統計学が要るし、病態が要るし体内動態が要るから複合問題がきっちりできると思います。だけど、それを解くには恐らく時間がかかると思いますから、それに関してはそういうふうなものをうまく作って。即答できるものでなく、時間配分を考えていかなければいけないし、恐らく根本的に考え直していかないといけないと思います。

 最近だったら治験のデータから、あるいは国際共同治験のデータからなど、問題を作ろうと思ったらいくらでもできると思います。それは本当に複合問題で、1人の先生が考えてもできないことだと思います。そういうのも考えていかないと。即答の問題はある程度絞って、何かそういうふうな形で実際に2年間研究をやったり、あるいは実際に病棟に行ったりしているので、そういうことができる問題を考えていくことが一つ重要ではないかと思います。

 禁忌肢の問題に関しては、医学部で実際に今までやっておられるのを考えながらやっていかないと、我々だけでは考え付かないところもあるので、それは次回以降に考えたらいいのではないですか。

○奥委員 最初の出題形式とかイラストなどを使うというのは、皆さんの意見と大体同じなので飛ばして、禁忌肢の問題ですけれども。確かに入れる、入れないという問題以前に一つだけ言いたいのは、今、薬剤師国家試験の必須問題でも足切りがものすごくたくさんあるわけです。必須問題が足切りを作った一つの理由は、禁忌肢まではいかないけれども、ある程度近いところがあったのではないかという気がするのです。だから禁忌肢を入れる、入れないはどちらでもいいし、入れてもいいと思いますが、その場合に足切りの在り方、特に必須問題の足切りの在り方も含めて考えないと、やたら薬剤師国家試験で、これも引っ掛かる、これも引っ掛かるといろいろな所に爆弾を仕掛けてやっているというか、実際にそこで足切りで引っ掛かっている人は多くはないと思いますが、そういう細かくやるより、もし禁忌肢の問題も含めてやるとしたら、そこは整理していただきたいという気がします。

○山本委員 先ほどの発言で誤解が生じているようなのですが、禁忌肢を入れることは倫理だけでなく、ほかのことも含めて禁忌というのがあると思います。お言葉を返して申し訳ないですが、これだけで足切りがあって、かつ禁忌肢が入ったらどうするかとのことですが、現場では禁忌肢を踏んだら患者さんは健康被害を受け、時には死亡事例にもつながります。試験は済んでも現場では大問題となります。そのことを考えると禁忌肢が良いか悪いかでなく、部分足切りが何点であろうと禁忌肢を踏むような薬剤師が現場に出るとどうなるか?そのことを考えて国家試験を作っていただくなり、薬剤師の養成をしていただかないと、社会に出た薬剤師は、禁忌肢を踏むようになってしまうということで禁忌肢は要るだろうということです。倫理が良い悪いでなく、薬剤師としてやってはいけないこと、それがすなわち倫理だと思うのですが、そのことを禁忌肢として入れるべきではないかということで、それをお考えいただければ結構です。

○奥委員 ちょっと誤解があるようです。別に禁忌肢を入れないとか言っているのではなく、入れるのはいいのですが、入れるときにそういう全体的な枠組みを含めて考えてほしいと言っただけです。

○赤池部会長 私も山本先生がおっしゃったことと、奥先生がおっしゃったことは、そうコンフリクトするような内容ではなかったと思います。奥先生も禁忌肢を否定するというよりも、それを含めて必須問題の足切りの問題ということで御提案いただいたのだろうと思います。必須問題の取扱いというのが、足切りも含めて一つの重要なポイントになるのかなと私も思います。

○望月委員 まだ私も考え方が整理できていないのですが、知識として問うべきところと態度をどう問うかというところが、出題形式、解答形式で見直すときには重要なのかなと感じています。先生方はそういう御意見だったと思います。試験科目の先ほどの議論で、どういう領域というか分野に科目を分けていくかによりますけれども、もしかしたらその中で知識を問うのを主体にする領域と、知識だけでなくそれを応用して更に態度も問う領域というのは、少し分かれてくるのかなと思っています。

 特に態度系の評価でどういうやり方があるのかというのは、もう少しいろいろな情報を集めた方がいいのではないかと思います。先ほどから医学、歯学が先行しているので視野に入れつつというお話も出ていましたので、そうした領域の情報をもう少し集めていただくことが一つです。もしかしたら看護とかどうなのでしょうか。態度系になるとそちらも結構あるのではないかと思いますし、医師だけでなく看護とかも含めて情報を集めていただいて、日本のやり方は、今こういうやり方をしていると。もしかしたら少しエフォートが大きくなる可能性もあるかもしれないですが、できるだけいろいろな情報を見るという意味では諸外国のやり方も見つつ、日本の中でできる範囲としてどう取り入れられるか考えていきたいと思います。

○赤池部会長 それは、何か情報として御提供いただけますでしょうか。例えば医師、歯科医師、看護、場合によっては諸外国、欧米が中心になると思いますけれども。

○田宮情報室長 何人かの先生方から御意見を頂いていますように、医師とか他職種の国家試験での実際の運用とか、特に例えば先ほどの禁忌肢の話とか、そういったところの情報につきましては我々の方でお調べしたいと思います。今、医師の国家試験について手元の資料によると、例えば禁忌肢については、昨年の国家試験の合格基準の中に、禁忌肢の問題選択数は3問以下というのがあります。つまり幾つか問題があった中で、禁忌肢を選んだ問題数が3問以下でないと合格できない、4問以上選択してしまったら不合格ということかと思います。禁忌肢が何問あるか、どの問題が該当するかは公表されていませんが、そういった運用のところも含めてできるだけお調べし、機微な情報を取り扱う場合には非公開という形で御議論いただくことになろうかと思いますが、情報をできるだけ集めて御提供したいと思っています。

○赤池部会長 ありがとうございます。

○松木委員 今日は言いたいことを言っていいと思うので。先ほどからすぐ医師、歯科医師、看護師はどうか、あるいは諸外国はどうかという話になります。それはそれでいいのですが、学生にいかに課題解決型の思考をさせるかを議論しているのですから、先生方も手本を探すだけでなく、薬剤師の特徴や能力をもうちょっと考えましょう。何が薬剤師にとって必要かということを、最初から参考にするお手本を見て、それで倣いましょうというのではなく、日本の医療をリードするぐらいのつもりで議論しましょうと苦言を少し呈したいと思います。

○赤池部会長 ただ、これは言いたい放題言える会ですから、今日の時点では。望月先生は別に考えないという意味ではなくて、考えた中にそういう情報もあったらどうかという御提案だったと思います。

○望月委員 やはり、いろいろな方針を決めるときの攻め方があると思いますが、最終的にはそれがどの程度実行できるか。それが薬剤師の資質を問うために必要であれば、ある程度無理をしてでも、実行することをしていかなければいけない場合もあると思います。そのために実行可能性も含めてデータは集めておいた方がいいという意味で申し上げています。考えないというわけではありません。

○赤池部会長 我々は日本の薬剤師国家試験制度を考えていますから、まず我々が考えていろいろ進めていくのが大前提だろうと思います。情報もいろいろ取っていくことを並行して行うということだろうと思います。ほかに、いかがですか。

○松本委員 実際、試験問題の出題形式で松木先生もおっしゃいましたが、今、必須問題と別枠の構造になっているので、まとめて関連があるということを含めて必須を解いていただく方向性というのは、いかがでしょうか。というのは、実際に薬剤師国家試験の出題基準として、例えば参考資料4の2ページの. に、「必須問題は、医療の担い手である薬剤師として特に必要不可欠な基本的資質を確認する」と書いてあります。実際、そういうふうに出してはいるのですが、例えば4年次のCBTもありますし、あまり単独で出すよりは、統合的に出すような形式が可能なのかどうかも、今後検討していただいて、単発的な知識を問うというよりは、複合的に関連する問題の中に入ると必須問題もいいと思います。作る方は大変なことになると思いますが、必須だけ作ると今はこういうことになっていますので、実際にはいろいろな角度から統合的に考えられる必須問題という方向性は、いかがなものかなというふうに思います。いかがでしょうか。

○赤池部会長 確かに必須問題と一般問題という形で、分けて問題を作っていただくことで進めていますが、こういった分け方でいいかどうかも含めてだろうと思います。これも非常に重要な検討項目になろうかと思いますし、またよろしくお願いいたします。

 ほかによろしいでしょうか。議論が非常に活発に進んでいますが、()から()まで4項目残っていますので次のポイントに移らせていただきたいと思います。資料3の裏側になります。()試験問題数について、現行のものをベースとしてよいかということ。それから、もう既に少し議論が出ていますけれども、その上で、複合問題については、科目の組合せや科目ごとの出題数についてどのように考えるかです。ベースにしてよいかというのは、そのままでよいかという意味ではないと思います。これをたたき台にして進めるという考え方でよろしいでしょうかということですが、これについていかがでしょうか。現行で行われていますので、これを抜きにして議論を進めるのは困難なことになりますので、これについては()で提案していただいているような進め方で、あまり座長が意見を言ってはいけないのでしょうけれども、よろしいかなと思います。いかがでしょう、何か御意見がございましたら。

○亀井委員 部会長がおっしゃるのは、現行のものをベースとして考えていくということでしょうか。

○赤池部会長 このままでいくという意味でなく、まず現行のものを見て、そこから必要であれば変えますかといった議論の進め方かなと。

○亀井委員 分かりました。先ほど松木先生からの、複合問題でも深く考えさせていくというステップがあると、基礎領域と実務領域の組合せを更に発展させて、基礎、実務といういろいろな組合せを深く考えさせるものになっていくということを考えると、科目ごとの出題数を考えながらやっていかなければいけないので、結構、この辺は大きな問題なのかなと思いましたので確認でした。ありがとうございます。

○赤池部会長 出題委員会が行っていく上で技術的に可能かどうかという問題が、もしかしたら入ってくるかもしれませんが、今、基本的に複合問題というのは二つの問題の組合せが多かったと思います。それをもう少し大きく括れるような形でだんだんと掘り下げていくとか、大きな文章なりケースのようなものがあって、それについて関連する問題が続いていくことがもし可能になると、確かに非常に考えさせるというか、またいろいろ御意見も出ていましたけれども、医療の現場のニーズに合った試験問題にもなっていくと思います。

 ただ、そうしますと科目数をどう数えるか。どのように出題していくか。あと毎年、毎年、問題を出していかなければいけないとなってくると、これはフリーディスカッションですから勝手なことを言って申し訳ないですが、数年はいいとしても、5年、6年となってきたときに問題が枯渇してこないか。そうするとプール問題をどうするかといったことも恐らく入ってくると思います。そういったことも最終的に含めて総合的に判断していくことになろうかと思いますが、そういう意味でも複合問題をどうしていくかしっかりと御検討いただく必要があろうかと思います。

○望月委員 題数ということは、先ほどからお話にあったように科目をどう考えるかによって結構影響される部分もあるので、今は2日間でやっていますが、題数はどんなふうに問題を作るかで変わってくると思います。1題がすごく重たい問題になるかもしれませんし。それを考える前にまずは2日間を3日間にするとか、そういうことがあり得るのかどうかです。2日のままでいくとか、確かに以前の検討のときには、3日にするのは無理だという話で2日になった記憶があるのですが、そこが結構、肝になるのかなというふうに思っています。

○赤池部会長 そこは、多分、現行の薬剤師国家試験をベースとするかどうかに含まれていると思います。

○吉富委員 私も同じ視点で、2日間という時間は恐らく体力の限界で、それ以上は無理だと思っています。考えさせる問題を重要視すればトータルとして問題が減っても仕方がないという視点で、2日以上に延ばすのはやめようとか、ある一定の限界は作っておいた方がいいのではないかと思います。どんどんいろいろなことを考えて3日やろうとか、そういうふうにやり始めると切りがなくなるので。

○奥委員 一番最初に発言させていただいたのですが、なぜあれを発言したかというと、ある意味で枠を決めておかないとどんどん延びてしまうと思います。だから、ある意味でコンセンサスが得られそうなところは、コンセンサスを得ておいて進めた方がいいのかなということですが、望月先生、どうですか。

○望月委員 多分、実行可能性から考えると2日間なのかなと思っています。ちょっと議論がここから離れるかもしれないですが、OBEを目指した教育をしていくということで、そのアウトカムがとても大切です。資質がそこに到達できているかどうかを問うというのが、今回の国家試験の目標であるように思いますが、国家試験でどこまで問うかは、医療現場の先生がどこまでを卒業時点で考えていらっしゃるのか。

 ここでの議論とは違うかもしれないのですが、医師は国家試験を通った後、さらに臨床研修を2年間やって一人前というか、そういう形を教育において取っている中で、薬剤師は6年間終わって国家試験を通ったら、そこから先そういったことはなく一人前と。もちろん国家試験の水準は合格していますから一人前と言えば一人前だと思いますが、どの水準までを6年間のところで担保しておくべきなのかというのが、ちょっと私は見えないところがあります。今日、せっかく現場の先生方もいらっしゃっているので、その辺をどう考えていらっしゃるか聞いてみたいと思います。

○赤池部会長 ありがとうございます。これは非常に重要な問題です。ただ、ちょっと時間の関係もありますし、この点は非常に重要な点なのでしっかり検討する必要があろうかと思いますので、時間をかけて次回以降、御意見も伺いながら検討していく必要があろうかと思います。

 それと関わってくるのが、試験問題数もそうですけれども、そういう意味で合格基準も関わってきます。極端な話ですが、問題数を考えてやっても、例えば合格基準をうんと下げてしまえばパッと通ってしまうわけですし、逆に合格基準を上げれば非常に通りにくくなる。そういうテクニカルなことも当然生じるわけです。そういう意味でこれは極端な例を申し上げていますけれども、現行の合格基準は65%でしたね。あと足切りがありますけれども、これについてどのように考えるかも一つポイントとして挙がっていて、常に重要になってきます。これが、恐らく問題数あるいは難易度も含めてリンクしてくるところかと思います。これについてまた議論しだしたら際限のないところですけれども、もし何か特段の御意見がありましたら、どうぞ。

○山本委員 今、合格率の是非ではなく、結果として影響を受けるのが現場ですので、現場の者として申し上げれば、これまでの国家試験も含め、これから問題が変わったり性格が変わると思いますが、今回の新しいモデルカリキュラムでは、薬剤師としての資質を確認する試験に変わるということです。そういう中で合格率が低い。結果として薬剤師が不足する。だから全部通せとか、あるいは落ちた者をどうにかしろといった意見があるようですが、いささか筋違いの議論だと思います。

 いずれにしてもお手元の資料2の3ページにありますように、上の方の絵は薬学準備教育ガイドラインを例示するものだということで、ここに書いてあるのは薬学部に入ってからのガイドラインなのか、入る前のガイドラインなのかと考えてみると、薬学、英語、物理などはそもそも薬学部に入るときに必要ではないでしょうか。それを学校に入ってから教えるのであれば、何のために薬学部に入ったのか。そんな気がするのが1点あります。それを含めて考えれば、確かにふさわしいものについては一定程度ふるいにかけるのは致し方ないと思いますし、社会的状況やら医療ニーズも踏まえた上で、一定程度合格率の見直しは必要でしょうけれども、ただ、その結果、輩出される薬剤師の質が極めて低下することになるのは避けた方がいいだろうという気がします。

 その一方で、国家試験の合格率を65%で切って調整する方法の中で処理はされますけれども、それ以前に、この新しいモデル・コアカリキュラムにせよ現行制度にせよ、入学させて教育をして、薬剤師国家試験とは薬剤師としての資格確認試験的性格を持っていますので、6年間ないし4年間その学校で教えた結果、65%で整理をして、一定程度の補正を掛けるレベルにまで達することができないような、そんな学生しか育てられないことにも問題があるのではないか。そういった意味で合格率はそこにも当然影響しますので、薬剤師として仕事をするためのアドミッションとしての国家試験と、薬剤師になるためのアドミッションとしての入学試験は、当然、対極にあるべきなので、その両方が担保されないと、いくら国家試験の結果を調整をしても問題のある薬剤師ができることになりますから、是非、その辺りも踏まえた上で、合格率についてはお考えいただければ大変有り難いと思います。

○赤池部会長 ありがとうございます。実務実習という言葉がいいのかどうか分かりませんが、そういった実習との関係ということですね。ほかに、よろしいですか。

○松木委員 国家試験の比率が非常に高い教育を今までやってきたのは確かですが、それが全てではないのです。どうしてもマークシート方式で出題できる内容は限られてくるし、今、おっしゃったような基礎的な能力というのは学士力などにもつながるところがあるので、それは他の学部などもそれぞれの大学の責任で担保しているところがあるわけです。ですから、そこまで国家試験で問えるかどうか。それから臨床能力も、例えば今、OSCEは現場に出る前しかやっていないのですが、卒業の時点でできるかどうかも重要です。これは医学部でも既に実行している所があるみたいですので、それぞれの大学が国家試験だけでなく、本当に良い薬剤師を輩出しようと思ったら、それぞれ独自にオリジナルのカリキュラムを作り、学生の資質を独自に評価することもありうると思います。

 試験の方に立ち返って、先ほどから考えるような問題とか資質を問う問題という話がありますが、それができるかどうかはここの議論にかかっていると思います。そういう良い問題がたくさんできるのであれば、そっちを中心に議論をする感覚でもいいと思います。複合問題とか課題を解決させるような問題については比重を高くするとか。結局、いろいろ考えてみたけど態度を問うような問題とか、あるいは現場で能力を問うような問題はできないねとなったら、そんなに大きくは変えられないことになってきてしまいます。私に具体的な出題のアイディアが全くないわけではないので、何かそういうところをどこかで皆で話し合えればと思います。

○赤池部会長 是非、よろしくお願いいたします。いずれにしても薬剤師国家試験というのは薬剤師の制度として非常に重要な試験ですが、極端な言い方をすると、これがオールマイティではないところも事実で、それは山本先生がおっしゃるように確認試験というのが非常に的確な表現だろうと思います。そういう意味では大学での教育が非常に重要です。それがベースとなって、あくまで薬剤師国家試験というのが存在するというものだろうと思います。

 私の議事進行が上手でない関係で、まだ()()が残っています。残り10分を切ってしまいましたので移らせていただきます。()過去に出題された試験問題(既出問題)の取扱いについて、いわゆるプール問題というものになってきますが、この取扱いは現行どおりでよいでしょうかというポイントが挙げられています。松本先生、いかがでしょうか。

○松本委員 今、新国家試験になって3回しかないですが、過去の良い問題を残していくという意味では、このとおり進めていただく方がよろしいかと思います。

○赤池部会長 あと、もっと積極的にデータベース化するとか、いろいろなアイディアがもしかしたらあるかもしれません。

○松本委員 実際に今までの問題で識別指数とかいろいろあり、その場で終わって事後評価もしていますけれども、長い目で見た場合、過去に遡るとかなり良い問題があるものですから、それを使えるような形でデータベース化することができればと思います。

○赤池部会長 そうですね。ただ、一方で情報セキュリティの問題もありますから、そう簡単ではないというところはあろうかと思います。ここはそのぐらいの議論でよろしいでしょうか。

 それでは()ですが、これは非常に重要なポイントになってきます。()改訂された基本方針の適用時期について、改訂されたコアカリキュラムについては、平成27年度の薬学部入学生から適用されるところ、その学生らが初めて受験する第106回国家試験(平成32年度実施)より改訂された基本方針を適用する方向性でよいか。あと項目によっては少し前倒しできるものもあるかもしれませんが、そういったものを前もって取り入れていく可能性についても、いかがでしょうかということです。この点についてはいかがでしょうか。

 基本的には、新コアカリキュラムに対応した学生が卒業するときに適用するということしかないと思いますし、項目で前倒しできるような、例えば禁忌肢などについては非常に重要で取り入れるとなり、必要であれば前に入れる。これはあくまで仮の話ですから、そうするというわけではないですけれども、一つの例としてですが、現行にも反映できるものがあれば、事前に情報としてお知らせしてからとなるかもしれませんが、そういった方法も含めて前倒しもあるかもしれないということです。この点、よろしいでしょうか。ありがとうございます。あと全体を通して御意見、ございますか。

○政田委員 一つだけお聞きしたいのですが、資料1の国家試験の現況についての5ページです。95回、96回は別物なので、99回を除いて新卒学生の合格率は8590%あると思います。99回だけ新卒が70%というところの解析はされているのでしょうか。お答えにくいかもしれませんが、いつか教えていただければと思います。この回だけ特別ですよね。

○田宮情報室長 数値としては、このような残念な結果になっているところです。例えば科目ごとに足切りがどうなっているかといった細かいデータは、また次回以降に整理して御説明させていただきたいと思います。定性的な話で申し上げると、松本先生もいらっしゃいますけれども、4年制から6年制の国家試験に移行するに当たって、当然、臨床的、実践的な能力を有する薬剤師を輩出する、それを確認するための国家試験ということで、先ほどからまだまだ不十分だという御指摘も頂いていますが、単なる暗記だけで答えるということでなく、自分が知っている知識で考えて答えを導く。あるいはできるだけ具体的な症例を提示して、それについてこのケースでどうかという問題など、そうした点を意識して作問されていることは事実です。傾向としてよく考えさせる問題を指向しているところがあるので、それに対応できなかったところがあるのかなと思っています。いずれにしろ科目ごとの状況などについては、また分析をお示しさせていただければと思います。

○神田局長 私どもの方から申し上げるべきことかどうかというのはありますが、先ほど山本委員からもお話がありましたように、国家試験というのは薬剤師供給のバルブであるという側面も、率直に言ってあるのだろうと私どもは思っています。同じ資料の4ページを御覧いただくと、合格者数も99回は下がっていますし、合格率もかなり下がっています。山本委員からお話があったように、それだけをもって合格基準を緩めるとか、そういうことがあるべき姿だとは思いませんが、供給バルブであるということは確かですので、正直、病院団体とか薬局をやっている団体、薬剤師会さんもおられますが、ほかの薬局開設者の団体等から、薬剤師の確保が非常に難しくなっているという御意見を頂いていることは確かです。

 それから、それだけのためにと申し上げるつもりはありませんが、そういう中長期の需要を見越して合格の基準がどうあるべきかというのも、一つ大事な視点ではないかと思います。医師、歯科医師の試験を真似る必要は全くないと思いますが、65%とか70%、科目別を見て35%など、数値そのものに絶対的な意味があると私自身は思っていませんので、どういうものがあるべき合格基準かもよく御議論いただきたいと思っています。

 このカリキュラムが適用される学生が受験するのは平成32年からということですが、需給、供給ということを考えると各年でぶれるというのは正直、私個人としては好ましくないと思っています。それは試験が大きく変わることによって、合格率が大きくぶれることが必ずしも望ましいことではないことを考えると、32年から適用するのが本来あるべき姿だとは思いますけれども、順次、先ほどおっしゃったような基礎的な資質、臨床現場における能力、考える力を問うというのを少しずつ入れていき、試験問題が大きく変わることによってまた供給が大きくぶれることがないよう、よく配慮しながら進めていく必要があるのではないか。行政の立場としてはそのように考えています。

○赤池部会長 ありがとうございます。

○吉富委員 私、最初、禁忌肢というのは成り立たないと思っていたのですが、山本先生の意見を聞いてそれは考えなければいけないと思ったのです。実は禁忌肢について皆さんの考えが同床異夢で、どういう問題を禁忌肢と考えているかというのは微妙にみんな違うみたいですから、将来、こういうのを考えるときに、例えば委員から1題か2題ずつ、具体的にこんなものは禁忌肢ではないかという問題を集めて、具体的に議論する機会を作っていただくと、実は禁忌肢についてのコンセンサスが取れるのではないか。最後のコメントです。

○赤池部会長 ありがとうございます。

○亀井委員 先ほどから禁忌肢の話があって、それと足切りとの関係ということで先ほど奥先生が言われましたが、足切りの現状についても少しデータに基づいて検討する必要があるのではないかと思います。今後、そういったデータとして、今、足切りでどういう領域で、どれぐらいの方が、その方が資質のバランスが悪いのかどうかも含めて、データをお示しいただけると大変有り難いと思います。

○赤池部会長 なかなか公開できない情報もあろうかと思いますので、ケース・バイ・ケースで、非公開の場でお示しいただいて検討することになるのではないかと思います。あと、一つは非常に優れた資質の方を出していくことは重要ですけれども、もう一つ供給という観点ですね。いろいろ国家試験制度が変わった場合に混乱が生じないようにすることも含めて、いろいろ配慮していく必要もあろうかと思います。そういったことも含めてこれから是非、検討いただけたらと思います。

 まだ議論がいろいろあろうかと思いますが、申し訳ありません。12時を過ぎてしまいました。シナリオでは「そろそろ予定の時間が迫ってきましたので」となっていますが、過ぎてしまいましたので、本日の検討はここまでとしたいと思います。大変実りのある検討をしていただきまして感謝いたします。今後の検討の進め方につきまして、事務局より連絡事項をお願いいたします。

○紀平課長補佐 今日はありがとうございました。本日、頂きました御意見、それからこういったデータがあったらという御意見も頂きましたので、事務局で整理して次回の部会に御提示させていただきたいと思います。また、今月末に第100回の国家試験もありますけれども、その国家試験の結果が出る頃を見計らって、5月頃でいかがかと考えていますので、また日程調整を追って御連絡させていただきます。

 なお、今日、御意見の中でも出ましたし会議冒頭でも申し上げましたが、次回以降、国家試験の問題作成や採点方法、点数など、公開できない情報や機微に触れるデータに基づく議論を行うときには非公開とさせていただきますので、御承知おきいただければと思います。

 それから、恐れ入りますが、お手元にお配りしている緑色のコアカリの冊子につきましては部数の都合上、机の上に置いてお帰りいただきますよう、お願い申し上げます。以上です。

○赤池部会長 ありがとうございます。そのほか、委員の皆様から何かございませんでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。委員及びオブザーバーの皆様、ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

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(代表): 03-5253-1111(内線)2711,2714

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