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2015年2月17日 平成26年度第4回遺伝毒性評価ワーキンググループ

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成27年2月17日(火) 13:30~


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○議事

○北村有害性調査機関査察官 本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。ただいまより、第4回遺伝毒性評価ワーキンググループを開催いたします。本日は委員の皆様、全員に御出席いただいております。以後の進行は座長の清水先生にお願いいたします。

○清水座長 お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。議事に入る前に、事務局から議事次第と資料の確認をお願いいたします。

○北村有害性調査機関査察官 本日の議事は、「平成26年度の既存情報による遺伝毒性評価について」を予定しております。資料を確認いたします。資料と参考資料を別に、右下に通し番号を振っております。まず資料1-1、「平成26年度の遺伝毒性評価ワーキンググループにおける遺伝毒性評価の進め方」です。資料1-11ページからです。資料1-2が平成26年度の遺伝毒性評価ワーキンググループの評価対象物質の表で、A4の横表になっております。資料1-2-アが5ページから、資料1-2-イが21ページから、資料1-2-ウが31ページから、資料1-2-エが37ページとなっております。資料1-3が本日議論いただく物質の表で、A3横の資料となっております。資料1-3-アが39ページから、資料1-3-イが83ページから、資料1-3-ウが87ページから、資料1-3-エが91ページからとなっております。資料1-3-オは机上のみの配布としております。資料2が今後の予定です。参考資料はひとまとめでホチキスで止めております。

○清水座長 資料はおそろいでしょうか。それでは議題1に入ります。まず、平成26年度の既存情報による遺伝毒性評価について、事務局から御説明をお願いいたします。

○北村有害性調査機関査察官 まず資料1-1について御説明いたします。「平成26年度の遺伝毒性評価ワーキンググループにおける遺伝毒性評価の進め方」です。この資料は前回、第3回のワーキンググループでも御説明しております。今回は数字の入替えのみですので、前半の説明は省略させていただきます。

3ページの「4 委員の合議による評価【ワーキンググループにおける審査】」を御覧ください。今回評価いただく物質は、7月に行われた第3回ワーキンググループで評価が行われていなかった85物質について、委員の皆様に分担していただき、「強い遺伝毒性あり」「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」「遺伝毒性の有無の判断困難」と評価された物質を評価することとしております。特に「強い遺伝毒性あり」については今後、変異原性物質としての行政指導の要否を含め、検討することといたします。

 「5 評価結果を踏まえた対応」は、本日の評価結果を踏まえ、以下のように対応することを予定しております。まず1の「遺伝毒性なし」と評価されたものは、来年度以降のBhas形質転換試験の候補物質の選定対象物質となります。「弱い遺伝毒性あり」というのは、本日で評価作業を終了いたします。「強い遺伝毒性あり」とされたものは、まずは行政指導の対象物質に選定され、それに加えて、委託事業で行っている、中期発がん性試験の候補物質になります。前回の評価でもありましたが、「強い遺伝毒性あり」とされているもので、発がん性試験の情報が別途見つかった場合、行政指導の対象とするかは、また別途検討させていただきます。4の「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」と、5の「遺伝毒性の有無の判断困難」の2つの評価がされたものは、今後エームス試験の候補物質となります。

 次に資料1-2について説明いたします。A4の横長の表で、数字自体は非常に細かいので詳しい説明はしませんが、資料1-2-ア、通し番号5ページの物質です。平成26年度の第3回と本日の第4回で評価いただく物質の総数が、679物質ということでリストになっております。

 次に通し番号21ページの資料1-2-イ、文献で試験結果全てが陰性だった物質については専門家の御評価はいただかず、事務局で全て判断し、これら388物質については「遺伝毒性なし」という結果となっております。

 次に31ページの資料1-2-ウです。こちらが先生方に御評価いただいた物質で、トータル249物質ありました。このうち第3回ワーキンググループで評価いただいたのが164物質あり、今回は残りの85物質を評価いただくことになります。

 最後の37ページの資料1-2-エ、「エームス試験の結果なし」というのが29物質あります。エームス試験の結果がないものは一旦評価を保留し、構造活性相関予測を実施するというスキームになっております。29物質のうち18物質については、本年度の委託事業で構造活性相関予測を実施済みです。

 次に資料1-3A3横長の表を御説明いたします。これは本日、先生方に評価いただく物質の資料です。資料1-3-アが事前に先生方に評価いただき、「強い遺伝毒性あり」と評価いただいた20物質です。後ほど先生方に1物質ずつ御説明いただき、ほかの先生方と合議の上、評価結果を決めたいと思います。

 次に83ページの資料1-3-イ、事前の評価で「弱い遺伝毒性あり」とされた物質が37物質ありました。ただ、このうち、事務局の手違いにより、強い変異原性の物質として行政指導の対象となっていた物質は評価の対象から除いていたはずですが、漏れているものがありました。左端の連番の所に星印が付いている、通し番号でいくとS-0074については行政指導の対象となっているのですが、今回、事前評価では「弱い遺伝毒性あり」とされたものです。本日、先生方に御議論いただいて、引き続き行政指導の対象とするかどうか、御議論を頂ければと思います。

 次が通し番号87ページ、資料1-3-ウです。こちらの物質も先ほどと同じく、事前の評価では「遺伝毒性の有無の判断困難」と評価された物質ですが、現在は行政指導の対象になっている物質です。こちらも本日、先生方に御議論いただき、引き続き行政指導の対象とするかどうか、御議論いただければと思います。

○清水座長 今までの説明で何か御意見、御質問はありますか。

○角田化学物質評価室長 参考資料の5ページに、今のフロー図をまとめておりますので、これを御参考にしていただければと思います。横長のフロー図です。前回も同じようなものを出したのですが、今回は数字を一部訂正して再集計したものです。真ん中辺りに太い枠で「遺伝毒性あり」となっておりますが、ここに(4WG)と括弧で書いてあるのが、今回資料を整理しているものです。今の説明のとおり、強い20物質、弱い37物質、強弱の判断困難とあり、この中では特に20を中心に、今日御議論いただきます。これと右のほうの「遺伝毒性なし」「遺伝毒性有無の判断困難」というのが、第4回の所に1211とあり、第4回の部分を全部足すと85になります。補足は以上です。

○清水座長 何か御質問はありますか。よろしいですか。それでは、事前に各委員の先生方に評価いただいた物質のうち、資料1-3-アの「強い遺伝毒性あり」の20物質の行政指導の要否について、1物質ずつ順に議論をしたいと思います。御担当の物質について、まず荒木委員から御説明いただきたいと思います。S-0060からですね。この物質の試験結果の概要と、行政指導の要否についてお願いいたします。

○荒木委員 S-0060、ベンゼンジカルボン酸クロライドです。エームス試験による研究論文のデータがあります。3537のデータがないので菌数が足りないのですが、比活性はTA104-S91.3×103 S9ありで1.8×11^3WP2uvrA/pKM101S9なしで1.5×103 S9ありで1.5×103 です。スキームに従えば、これは「強い遺伝毒性あり」になろうかと思います。

○清水座長 よろしいでしょうか。それでは先に進んでください。

○荒木委員 S-02454,4'-ビスクロロメチルビフェニルです。これはGLPで実施された既存点検のデータがあります。エームス試験及び染色体異常試験で陽性で、エームスのデータでは、TA100-S91.43×105 です。染色体異常でD20値は0.0011mg/mLですので、スキームに従うと「強い遺伝毒性あり」と判断できると思います。

○清水座長 いかがでしょうか。特に御意見がなければ、次にいきます。

○荒木委員 S-0253、多価アルコールグリシジルポリエーテルです。これもGLPで実施された既存点検のデータがあります。エームス試験及び染色体異常試験で陽性で、エームス試験のデータではTA100-S92.15×103 です。スキームに従い、「強い遺伝毒性あり」と評価できます。なお、染色体異常試験のD20値は0.051mg/mLとなっております。

○清水座長 いかがでしょうか。よろしいですか。では、次をお願いします。

○荒木委員 S-0915N-フェニルマレイミドです。これもGLPで実施された既存点検のデータがあります。エームス試験及び染色体異常試験で陽性で、エームス試験のデータではTA98-S94.64×103 、染色体異常試験のD20値は0.005mg/mLです。スキームに従って「強い遺伝毒性あり」と判断できます。

○清水座長 みんなエームスだけでも103 以上、染色体異常試験のD20値でもかなり低いものがあるということで、御報告の物質に関しては全て「強い遺伝毒性あり」ですが、いかがでしょうか。特に御異存はないですか。なければ、次に太田委員にお願いします。

○太田委員 S-1397、ニトロ-クロル安息香酸です。これはエームス試験がTA10098だけでやっておりますから、厳密に言いますと菌株不足となるのですが、TA100で陽性になっており、非活性が1.3×103 です。そういうことで、もうこの時点で「強い遺伝毒性あり」になりますので、仮に菌株不足がいっぱいあったとしても、これ以上の評価はありませんから、特にここは問題にしなくてもいいかと思っており、「強い遺伝毒性あり」と判断いたしました。

○清水座長 いかがでしょうか。菌株は不備ですが、TA100では103 の値ということでよろしいでしょうか。では「強い遺伝毒性あり」といたします。

○本間委員 ここの記載では「エームス試験不備なし」と書いてありますが、これは「不備あり」ですよね。

○太田委員 そうですね。評価上は問題ないと思うのですが、規則どおりいけば「不備あり」ですね。しかしやり直す必要はないと思っております。

○清水座長 よろしいですか。特に御意見がなければ次に進みます。

○太田委員 S-1499、ジメチルアミノクロルエタンです。これはエームス試験でやっており、大腸菌株で非活性が104 以上になっております。そういうことで「強い遺伝毒性あり」と判断いたしました。ほかの遺伝毒性試験の情報はありません。

○清水座長 「不備なし」でいいわけですね。

○太田委員 はい。

○清水座長 1499ですが、いかがでしょうか。特に御意見がなければ、次をお願いいたします。

○太田委員 S-1530N,N'-メチレンビスアクリルアミドです。このエームス試験はTA1535で「弱い陽性」、非活性がミリグラム当たり10です。ですから「弱い遺伝毒性あり」ですが、in vitroの染色体異常は陽性になっており、強さ云々よりもin vivoの小核試験が陽性になっております。そういうことでin vivo試験が陽性で、「強い遺伝毒性あり」と判定いたしました。

○清水座長 エームスは10で、in vivoの小核で陽性であるということで、「強い遺伝毒性あり」という判断ですが、よろしいでしょうか。なければ次に進みます。

 次は私です。S-1566、ジヒドロキシアントラキノンです。これはエームス試験の不備はありませんでした。実際の強さの数値はないのですが、プラスマイナスで表現されていて4+でした。そういうことで一応これは「強い陽性」と判断しました。生の数字がないので、文献の4+で評価しております。いかがでしょうか。よろしいですか。

 特に御意見がなければ、次はS-1975です。これはエームスのTA10098+S9で陽性です。これはNTPの試験ですが、出ている数値を見ますと1.7×104 とか、8.7×104 ということで、TA100でもTA98でも104 の強さでした。それから、マウスのリンフォーマの試験で10倍の強さを示しておりますし、染色体異常試験ではD20値が0.13で、SCでもプラスという報告です。そういうことで一応「強い遺伝毒性あり」と判断いたしました。エームスは2菌株しかやっていませんが、不備はあっても「強い遺伝毒性あり」と判断しました。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 特に御意見がなければ、次はS-2048です。これもエームス試験は2菌株しかやっていませんでした。TA1001.4×104 という強さです。これもNTPの試験です。染色体異常試験はネガティブですが、SCEではプラスという報告でした。そういうことで、一応基準では104 ですので、「強い遺伝毒性あり」と判断いたしました。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 特に御意見がなければ、次はS-2244です。エームスに関しては5菌株やってあり、TA1001.6×103 です。これが-S9のときです。+S9のときには1.3×103 です。ほかにはラットで小核がネガティブ、染色体異常試験、CHLを使ってネガティブでした。しかしエームスで103 ということで、今までの基準からいってこれも「強い遺伝毒性あり」と判断いたしました。いかがでしょうか。よろしいですか。

 特に御意見がなければ、次はS-2246です。この物質に関してエームスは4菌株、E.coliはやっておりませんでしたが、TA100102 TA98+S9のときには103 でした。染色体異常試験はマイナス、SCEもマイナスでしたが、一応基準から103 を示したので「強い遺伝毒性あり」と判断しました。いかがでしょうか。よろしいですか。特に御異存がなければ、次に進みたいと思います。次は本間委員からお願いします。

○本間委員 S-25672-ペンチルアンスラキノンです。エームス試験、染色体異常試験とも日本でGLPで行われております。微妙ですが、エームス試験の非活性がTA1537422、染色体異常のD20値が0.098と、どちらのクライテリアも「強い陽性」ではありません。しかし、この基準で中低度の遺伝毒性というのはないので、2つ陽性で、しかも非活性に関しても3桁、D20値に関しても90μg/mLということで、2つの合わせ技で強いという判断でいいのではないかと考えましたが、いかがでしょうか。

○清水座長 構造的にはキノン系の物質ですね。

○山田委員 TA1537でこんなに出ることは、めったにないと思うので、いいのではないでしょうか。

○清水座長 では、そういう御意見もいただきましたので、これは「強い遺伝毒性あり」と判断してよろしいですね。

○本間委員 S-41462-メトキシ-4-ニトロアニリンです。こちらもエームス試験、染色体異常とも既存点検で、日本でGLPで行われております。エームス試験のほうは非活性が2万以上、TA100+S9あります。染色体異常も陽性ですが、D20値のほうは記載がありません。ただ、エームス試験から考えても、「強い陽性」で良いと判断しました。

○清水座長 ニトロアリニンの化合物ですが、いかがでしょうか。特に御意見はありませんか。それでは次をお願いします。

○本間委員 S-41841,2-ビス(2-クロロエトキシ)エタンです。こちらも既存点検でエームス試験、染色体異常試験とも実施されております。最初のケースと同じように、エームス試験は陽性です。これには菌株が書いていないのですが、最大比活性値は60.7と非常に低いです。染色体異常のほうも陽性で、こちらもD20値は20μg/mLです。先ほどのはTA1535+S9ですが、2つとも陽性です。しかも染色体異常のほうが少し強めかなという印象を受けたので、「強い陽性」と判断しました。

○清水座長 D20値は分からないのですね。

○本間委員 D20値は20μg/mLです。化審法の「強い陽性」は10μg/mL以下ですので、ボーダーに近いところに来ているのではないかと判断しました。

○清水座長 いかがでしょうか。

○太田委員 これはエームスのほうが非常に弱いですよね。先ほどの……4737400……というのは、確かにバックグラウンドを考えるとかなり活性……ですね。

○清水座長 そうですね。

○本間委員 染色体異常をどう考えるか。

○太田委員 これが一番微妙なところなのです。

○本間委員 安全サイドの考えでいいかと思います。

○清水座長 ほかに御意見はありますか。安全サイドから「強い遺伝毒性あり」ということで判断いたしますか。よろしいですか。それでは、これは「強い遺伝毒性あり」ということにいたします。次をお願いします。

○本間委員 次はS-41874,4'-オキシビス(ベンゼンスルホノヒドラジド)です。こちらの試験も同じように、既存点検でエームス試験、染色体異常試験ともGLPで行われております。エームス試験は最大比活性値1535+S911,475、染色体異常のD20値は788です。こちらは染色体異常はそれほど強くはありませんが、エームス試験がかなり強いということで、「強い陽性」と判断しました。

○清水座長 1535104 という非常に強いと思います。それだけで「強い遺伝毒性あり」と判断できるかと思います。これもよろしいですか。では、次をお願いします。

○本間委員 私の担当の最後はS-4212、ベンジル(トリメチル)アンモニウム=クロライドです。こちらはやはりエームス試験、染色体異常試験とも既存点検で、GLPで行われております。もう1件、エームス試験としてNTPのデータがあります。エームス試験は全て陰性、染色体異常試験のほうはEquivocalという形になっておりますが、NTPのデータは小核試験で陽性の結果が出ています。これまでの慣例に従って小核試験で陽性ということで、「強い陽性」と判断させてもらいました。

○清水座長 in vivoの小核試験で陽性ということで、エームスがネガティブ、染色体がEquivocalということで、「強い遺伝毒性あり」と判断すると。これまでもそうしてきたということですが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、これも「強い遺伝毒性あり」と判断いたします。次は山田委員、お願いいたします。

○山田委員 私のは3つありまして、S-5091とジアミノトルエンなのです。これは、エームス試験だけがあって、TA98しか使っていないので、先ほどから時々ありましたが、エームス試験としては不備があるのです。これは元の文献を確認して、ちょっと数字が出てこないのですが、この低い濃度でTA982倍以上になったら比活性値は1,000を超えるはずなので、それで「強い遺伝毒性あり」と判断したのだと思います。

○清水座長 103 を超えるのですか。

○山田委員 103 を超えるだろうということです。ちょっと今、正確な数字をすぐ出せないのですが。

○清水座長 はい。

○山田委員 元文献は確認しています。

○清水座長 エームスだけで判断するということですが。

○山田委員 そうです。

○清水座長 103 ということですので、今までの例からでも、一応、これは「強い遺伝毒性あり」と判断するということでよろしいですか。はい。では、その次をお願いします。

○山田委員 次のS-5099というのは、実際はm-ニトロ安息香酸です。これは、エームス試験が3つあって、あと染色体異常試験もあります。染色体異常試験の結果はD20値、3.1mg/mLでそれほど強いものではないのですが、エームス試験は個票の最初のページにあります。3つあるうちの1つは厚生省の委託の試験で、これは不備がありません。比活性値が1,378ということで、1,000を超えていますので、これで強い陽性と判断しました。  ○清水座長 103 であるということで、これも「強い遺伝毒性あり」ということになります。その次も同じ物質ですか。

○山田委員 物質は違うのだと思うのです。

○清水座長 違うのですか。

○山田委員 個票がないものなのでここに資料はないのですが、これは元文献があって、それを確認しています。そこは、TA100TA98しかassayには使っていないのですが、比活性値の一覧表があって、それで確認しまして、ニトロ安息香酸に当たるものを確認しまして、やはり、mg当たり103 を超えた復帰変異数の増加があったということなので、強い陽性と判断しました。

○清水座長 その1つ手前はモノですか。

○山田委員 モノですね、1つ手前のものはモノだから、そうですね、モノニトロベンゾイックアシドということで、モノのほうです。2つ目の個票がないものはジニトロ安息香酸でした。

○清水座長 ということで、一番最後の物質も103 ということで、「強い遺伝毒性あり」ということになります。それで、もう一度、少し最初に戻りますが、それぞれの委員の先生方に御判断いただいたものの中で、行政指導が必要かどうかを判断していただきたいのですが、荒木委員のほうから、この4物質の中で特に行政指導を必要とするかどうか。

○荒木委員 この4物質については、エームス試験で比活性値が103 以上ということですので、行政指導の対象になると考えています。

○清水座長 はい。この4物質全部が行政指導の対象になるということですが、何か御意見、ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、一応、事務局よろしいですか。荒木委員担当の4物質は行政指導の対象とする。

○北村有害性調査機関査察官 はい。

○清水座長 それから、太田委員のところはいかがでしょうか。

○太田委員 書いてないのですが、エームス試験は全部やってあります。それで、これらの強い陽性という判断ですので、同じでよろしいかと思いますが。

○清水座長 この3物質全て行政指導の対象になるということで、御意見、ほかの委員の方々はいかがでしょうか。よろしいですか。少し私のところをスキップして、本間委員のほうを先にいかがでしょうか。

○本間委員 私のほうも、エームス試験の強い陽性ということで、2番目の4146と、1つ飛ばして4187、この2つは一万以上のリバータントがありますので、この2つは行政指導の対象でよろしいかと思います。御意見をいただきたいのは、一番最初の1567です。こちらはエームス試験とも陽性で、ただ、比活性値が422、これは1537ですが、先ほど山田委員のほうから1537でこれだけ強いのはめったにないという意見がありましたので、これに関して、エームスの強さを考えて行政指導の対象にしたほうがいいかどうか意見をいただきたいと思います。

○清水座長 この物質は、2-ペンチルアンスキラノンですね。

○本間委員 はい。

○荒木委員 これは、スペシフィックに37だけ出ているのですよね。そうなると、37で出るものはやはり少ないですから、あと、もっとバックグラウンドは低いですから、それほど大きな非活性にならないと思います。

○太田委員 それから、TA97を使うと、103 を超す可能性は十分ありますので。

○本間委員 でも、これはフルでやっているのです。

○太田委員 えっ、97やって。

○本間委員 97はやっていないか。

○太田委員 そう、PKには入っていますね。

○本間委員 そうです。

○太田委員 ですから、指導に入れたほうがよろしいのではないでしょうか。

○本間委員 分かりました。では、これも入れて、私の担当合計3つを。

○清水座長 そうすると、S-4184は、これは行政指導としないということでよろしいですか。

○本間委員 先ほどあって、少しどちらも弱い傾向がありましたということと、最後の4212は、エームス染色体異常とも、陰性ですが小核があったということで強い陽性としましたが、個人的には、やはりエームスの結果が重要視されるべきではないかと思っていますが、皆さんの意見はどうでしょうか。

○太田委員 いや、私は、先ほどの3つ目のは、エームスは大したことがなかったのですが、小核と染色体が陽性だったので入れたのですが。

○本間委員 そうですか。

○太田委員 vivoの試験はちょっとどういうものでしょうか。

○本間委員 では、それは入れましょうか。

○太田委員 合わせますが。

○本間委員 合わせましょうか、では。

○太田委員 合わせますというか。

○清水座長 では、これも。

○本間委員 これも、ただNTPの試験なので、少し信頼性が今ひとつよく分からない部分があったものですから。

○荒木委員 連続投与ですよね、それね。

○本間委員 そうですね、プロトコールはOECDのプロトコールとかなり違うのではないかという気がしているのですが、何か。ただ、投与量が100mg以下で出ていますから、もしそれが本当に出るのでしたら、小核の中では結構強いほうかもしれないですね。そういうことを鑑みて、安全性サイドに立って少し見てみますか。

○荒木委員 私のほうもNTPなのですが、そこは少しデータにつながっているのですが。

○本間委員 そうですか。では、分かりました。合わせましょう。4212も、それでは。

○清水座長 4212

○荒木委員 やはり、行政の報告会というのは、安易にネグらないほうがいいと思いますので。

○本間委員 はい。では、了承しました。

○清水座長 では、1物質だけ行政指導にはしない、それは4184ですね。

○本間委員 4184、はい。

○清水座長 これだけは行政指導とはしないということで、残り4物質は行政指導にするということでよろしいですか。事務局はよろしいでしょうか。

○北村有害性調査機関査察官 確認なのですが、S-4184は、評価自体は「強い遺伝毒性あり」だけれども行政指導の対象とはしないという整理ですね。

○清水座長 はい。

○北村有害性調査機関査察官 分かりました。

○清水座長 それから、山田委員のほうはいかがでしょうか。

○山田委員 私のは、どれもエームス試験が比活性値が1,000を超えていましたので、行政指導の対象にしていいかと思います、3つとも。

○清水座長 はい。いかがでしょうか。103 をみな超えていることになるということで、行政指導の対象とすると、よろしいでしょうか。特に御意見は、御異存はないですか。なければ、3物質とも行政指導の対象とするということで進めさせていただきます。

 最後は私の部分ですが、5物質あります。上から、1566からです。これも、強さの表現はないのですが、「4+」という表現であったので、やはり、多分103 は出ているのではないかと。生データが見られませんのでそういう判断をしています。そういうことで、これも強い陽性で行政指導対象とすると。特に、アントラキノン、構造的にも少し心配です。

S-1975、これも104 オーダーのもので、ほかにもマウスリンフォーマなどで10倍の強さですので、やはり行政指導の対象にしたいと思います。

2048ですが、これも104 オーダーの強さでしたので、行政指導の対象としたいと思います。

 S-2244ですが、これも103 オーダーということで、TA100ですので、一応、行政指導の対象としたいと思います。

2246ですが、これもTA98103 ということで、対象としたいと思います。ということで、私の部分の5物質は全て行政指導の対象としたいと思います。全体で何か御意見ありますか。よろしいですか。特に御異存がなければ、次に進みたいと思います。

 次は、資料1-3-イ、83ページからの「弱い遺伝毒性あり」という37物質について、議論を進めたいと思います。この物質は、「弱い遺伝毒性あり」と評価したもののうちの、S-00741-クロロ-4-(クロロメチル)ベンゼン、これについて御議論を頂きたいと思います。これは、先ほど事務局から説明がありましたが、「強い変異原性あり」ということで行政指導にされていたということなのですが、今回の荒木委員の判定では「弱い遺伝毒性」であることになっています。その辺を少し、荒木委員から御説明をお願いし、行政指導にすべきかどうかの御判断をお願いします。

○荒木委員 S-00741-クロロ-4-(クロロメチル)ベンゼンですが、これはGLPで実施された既存点検のデータがあります。エームス試験は陰性で、染色体異常試験でD20値が-S90.015mg/mL、これは計算値で出されていますが、スキームに従うと、これは「弱い遺伝毒性」となるのですが、既存データ、実はこれは、厚生労働省でも労働側のほうの既存点検で実施されたデータです。D20値は0.0129.5%の構造異常です。それから、0.01835%なので、0.0120.018の間にあると考えられるのですが、これを計算すると、実はこの上で、かなり高い数値が出ていたので、強い変異原性とされたのだろうと推定されます。データ自体を見ると余り大きな差がないので、今までどおり、これも「強い変異原性がある」ということで行政指導から外さなくてもいいのではないかと私は考えています。

○清水座長 ありがとうございます。今、外す必要はないであろうという御意見ですが、いかがでしょうか。

○太田委員 私、このD20値というのはあくまで計算値であって、ドーズが少ないところで取って強引にやりますので、どうしても2倍ぐらいの差が出てきやすいのです。ですから、先ほどの本間先生のときも0.02のところも「強い」に入れますが、これくらいになってくると本当にボーダーなので、余り杓子定規に15だからいいとか言わずに、やはり、強いということでやっておいたほうが無難だからとも思います。

○清水座長 ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。

○本間委員 私も同意します。

○清水座長 はい。では、御異存ないようですので、これは今までどおり、通達のまま「強い変異原性あり」ということで行政指導の対象としてお願いします。

○北村有害性調査機関査察官 分かりました。

○清水座長 ありがとうございました。ほかに何か御意見ありませんね。では、次は、資料1-3-ウに移ります。87ページになります。これは、「遺伝毒性ありだが、強弱の判断不能」+「遺伝毒性有無の判断困難」というものです。遺伝毒性の有無の判断は困難と評価したもののうちで、この表の下から3つ目に9343、通し番号ではS-4285p-パラアミノフェノール、これが先ほどと同じように「強い変異原性」ということで行政指導の対象になっています。ただ、今回の山田委員の御評価では「遺伝毒性の有無の判断が困難」となっていますが、まず、山田委員から試験結果の概要と行政指導の要否について御説明をお願いします。

○山田委員 個票を見ていただいて、エームス試験は既存点検のものなので不備がなくて、エームス試験は陰性だったのです。染色体異常試験は陽性なのです。あと、小核試験も出ているのです。私は、この小核試験がなくて染色体異常試験が陽性でエームス試験が陰性だということから考えて、遺伝毒性の有無の判断ができないと判断させていただいたのです。が、先ほどから、小核試験が出ていたら陽性にするとなっているので、そうしますと「遺伝毒性はあり」ということでいいと思うのです。次に、染色体異常試験が非常に強いのです。染色体異常試験の結果というのを考慮しないことにして全体で判断していたので、これを入れると、今までの御議論の流れから、これはそのまま強い陽性となるのではないかと今は考えています。

○清水座長 エームスは5菌株でやっていますがネガティブであったと。染色体異常試験は非常に低濃度のところで連続処理、短時間処理が行われて陽性であると。非活性、-S9のほうですね、連続処理のほうで出ていますかね、短期間処理かな。それで、あとは小核試験では、GLPで行っている試験で陽性であるということで、最初の「強い遺伝毒性あり」という評価をしていたときにも、小核試験で陽性のものについては強い陽性で行政指導が必要だと判断をしたわけですが、それに類似するだろうということから、行政指導はそのままにするという御意見ですが、いかがでしょうか。よろしいですか。

○本間委員 染色体異常のD20値の記載はなかったのですか。

○山田委員 個票には書いてないのですが、実際は、連続処理と-S9のときに有意に増加しているということです。値が要約の所に書いてない。すみません。報告書に記載がないのです。

○清水座長 特にD20値の記載はないのですね。

○山田委員 記載がないのです。要約の所に書いてなくて、そのほかの所にもないので。

○太田委員 でも、in vivo試験が陽性ですので、スキームからいけばそれは全て強い陽性。

○山田委員 そうですね、そうなっています。

○清水座長 いいですね。先ほどの、最初のときの議論で小核陽性ですから。では、D20値までは分かりませんが、多分、これはかなり低い濃度でやっていますから高くなるのではないかと思うのですが。では、これも行政指導が必要と判断したいと思います。ほかに何か御意見はありますでしょうか。

○荒木委員 私がやった所に、実は、グルタチオンが入っていて、これは、いわゆるアミノ酸3つでできている。あと、生体の成分なので判断できませんが、行政指導は特に必要はないものだと考えています。  

○清水座長 上から3つ目ですね。

○荒木委員 はい。

○清水座長 S-1252ですね。では、ほかには何か御意見ありますか。一応、以上で議題は一通り終わることになると思います。何かほかに事務局から。

○北村有害性調査機関査察官 資料1-3について最終的に確認をしたいのですが、よろしいでしょうか。まず、「遺伝毒性あり」と判断した物質、表上は20となっていて、評価結果自体は20物質全てが遺伝毒性強いという判断で、ただ、行政指導の対象とするのは1物質を除いて19ということです。S-4184は除いて、19物質を行政指導の対象とするということでよろしいでしょうか。

○清水座長 はい。

○北村有害性調査機関査察官 次に、1-3-イの、「弱い遺伝毒性あり」ですが、S-0074は引き続き行政指導の対象ということですので、遺伝毒性の評価は2ではなくて、「強い遺伝毒性あり」という評価に変わるということですか。

○清水座長 そういうことになりますね。

○北村有害性調査機関査察官 資料1-3-ウも、同じく、S-4285については、「遺伝毒性の有無の判断は困難」ではなく、「強い遺伝毒性あり」ということで、引き続き行政指導の対象とするということですね。

○清水座長 はい。

○北村有害性調査機関査察官 最後に、荒木先生のほうからありましたグルタチオンですが、遺伝毒性の有無の判断は困難ということで、スキーム上はこういう評価がされたものというのは、今後はエームス試験の対象物質になっていくわけですが、それは必要ないということでしょうか。

○荒木委員 結構これは試験されていまして、特殊な条件、いわゆる腎臓のS9に使ったような場合で、γリアーゼの活性を上げてやると切れるので、システインの残基の所で変異原性が出ると言われていて、多分、塩素系の代謝物とか、それからあと、いわゆる自然発生腫瘍には非常に重要な働きをしているのだろうとは考えられているのですが、実際に変異原性があるからといって何かどうこうできるというものでもないので、行政指導は必要ないということで、これ以上の試験はやらなくてもいいのではないかと思います。

○北村有害性調査機関査察官 はい。

○清水座長 生体成分でもあると思いますね。よろしいでしょうか。

○北村有害性調査機関査察官 ありがとうございます。

○清水座長 ほかには何か御意見ありますか。特になければ、あとは「その他」ということでよろしいですか。

○北村有害性調査機関査察官 資料2の説明をする前に、参考資料の束の一番最後について簡単に御説明いたします。参考資料5、通しページですと11ページになります。前回、第3回ワーキングで「強い遺伝毒性あり」と先生方に評価していただいた物質は33物質ありました。このうち、第3回の会議でも、がん原性指針の対象物になっていたり、特定化学物質になっているものは除外しますということは御説明しましたが、その後も、既に変異原性の物質として行政指導の対象済みであるとか、がん試験の結果があったという物質が見つかりまして、先生方には昨年のうちにメールでも御相断させていただいておりますが、最終的に、33物質ではなく20物質について、昨年の123日に労働基準局長の通達で行政指導の対象としています。御報告は以上です。

○清水座長 何か御質問はありますか。よろしいでしょうか。では、特にないようです。

○北村有害性調査機関査察官 では、資料2「今後の予定」について御説明いたします。

○山田委員 すみません、資料がないのです。1枚紙ですね。ありがとうございます。

○北村有害性調査機関査察官 よろしいですか。今後の予定について。まず、行政検討会遺伝毒性評価ワーキンググループについて、本日、全ての物質について評価が終わりましたので、319日に第5回を予定していましたが、こちらについては開催をしないということで、よろしくお願いします。

 平成27年度になりますと、本年度、委託事業でBhas形質転換試験を行っています。それから、エームス試験も実施していまして、その試験結果について評価を頂くことを予定しています。また、平成27年度も同じように形質転換試験を実施する予定としていますので、その被験物質についても選定をいただくことを予定しています。

 委託事業について、本年度の実施状況について御説明いたします。まず1つ目です。遺伝毒性情報等の収集、整理を引き続き実施しています。今年度については、4,000物質について発がん性等遺伝毒性情報を収集していまして、そのうち、100物質程度については遺伝毒性に関する詳細情報を収集している状況です。これらの物質については、事務局で取りまとめて先生方に、ワーキンググループで議論をいただくことになります。形質転換試験については、16物質を実施していて、3月末まで実施しています。エームス試験については、26物質について実施しています。それから、構造活性相関予測については、約500物質について実施している状況です。

 次に、来年度の実施予定です。今年度とほぼ同じで、まず、文献収集を行うことと、形質転換試験、エームス試験を実施するということです。また、構造活性相関予測についても同じように実施することを予定しています。事務局からは以上です。

○清水座長 何か御質問ございますか。4,000物質に関しては平成27年度でやるのですか。

○北村有害性調査機関査察官 いえ、4,000物質については今年集めていて、そのうち詳細な情報を集めているのが約100物質程度ということです。

○清水座長 平成26年度の事業で。

○北村有害性調査機関査察官 そうです。

○清水座長 4,000をやっているわけですか。

○北村有害性調査機関査察官 はい。

○清水座長 何か御質問ありますか。特になければ、本日のワーキンググループはこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

 


(了)

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