ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第21回政策評価に関する有識者会議 議事録(2015年3月19日)




2015年3月19日 第21回政策評価に関する有識者会議 議事録

○日時

平成27年3月19日(木) 10:00~12:05


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階)


○出席者

高橋座長、渥美委員、井部委員、河北委員、菊池委員、篠原委員、野川委員、高橋委員、森田委員、安永委員、堀田委員、本田委員、山田委員

○議事

(以下、議事録)

○高橋座長

 それでは定刻になりましたので始めます。ただいまから第21回政策評価に関する有識者会議を開催いたします。年度末大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。事務局からの報告では阿部委員と梅田委員は御欠席ということです。それでは今日の議事について事務局より説明をお願いします。

 

○政策評価官

 本日は議事次第にありますように、大きく2つ皆様に御議論、御意見を頂きたいと思っております。1点目、来年度厚労省における基本計画()、実施計画()、実施要領()、それぞれ今回改正したい点が幾つかありますので、その点について御意見を頂戴したいと思います。2点目、後半部分は来年度に実施する厚労省の施策で再来年度平成28年の夏に3つのワーキンググループそれぞれで委員の皆様方に御議論いただきたい14本の施策について事前分析表がそろっておりますので、それについて皆様方から忌憚のない御意見を頂ければと思っております。以上です。

 

○高橋座長

 それでは議事に入ります。はじめに平成27年度の厚生労働省の基本計画、実施計画及び実施要領の()についてということです。議事2、事前分析表()については担当課がヒアリング対象として対応するということですので、幾つかの御報告をそれぞれの局から頂くという形式です。そのようなわけで多少時間を気にしながら、進行することを御了解くださるようよろしくお願いします。それでは議事1について事務局より説明をお願いします。

 

○政策評価官

 全部まとめて御説明したいと思いますので、御質問、御意見等がありましたら、最後にお願いいたします。まず、修正について先ほど申したように、基本計画それから実施要領、実施計画3本について修正したいと思っております。まず、1点目の基本計画の関係です。これは厚労省の施策あるいは予算に一部変更が生じたことに伴い、基本計画では厚労省の政策を体系化した、政策体系を記載しておりますが、その改正を一部行う必要が生じたことによるものです。この関係が資料1-11-2です。基本計画についてまず御説明します。資料1-1、今の厚労省の基本計画(3)ということで、平成24年度から28年度までの5年間の政策を体系づけているわけで、資料1-12枚目、3枚目以降に新旧対照表の形で、全部で72の施策を載せております。この中で黄色の部分について変更したいと思っており、その概要ペーパーが資料1-11枚目です。大きく3点変更したい部分があり、1つ目が削除する施策目標です。これは施策目標の6-3-1、「子ども及び子育て家庭を支援すること」という部分です。具体的には児童手当の支給に関する部分で、御承知のとおり、この4月から「子ども・子育て支援法」という新しい法体系が施行されることに伴い、児童手当の所管が厚労省から内閣府に移ります。この関係で厚労省の政策体系からは削除したいというものです。

2点目の変更点が名称変更です。具体的には2つあり、1点目が医療関係です。1-8-111-2-1について変更したいと思っております。これも背景としては、今度の4月から()日本医療研究開発機構が発足することに伴ってのものです。その独法ができるに当たり、去年の夏に健康・医療戦略が閣議決定されましたが、そこでも国が行う医療分野の研究開発を推進するためには、その新しい独法が医薬品、医療機器、医療技術に係る医療分野の研究開発業務に関して、研究費の配分機能をそこに集約して、一体的な資金配分を行うとともに、各省それぞれが実施してきた医療分野の研究開発についても、基礎から実用化まで切れ目ない研究支援を一体的に行うこととされておりました。このため、来年度から新しい日本医療研究開発機構に対する補助金を厚労科研費に一体的に計上することにしましたので、そのための変更です。下線を引いている新医薬品・医療機器の開発に関して、1-8-1から11-2-1の科研費に移すことになります。名称変更の2つ目が、最賃の関係です。これも昨年、「日本再興戦略改訂2014」などにおいて、最賃引上げに向けた環境整備として、中小企業それから小規模事業者への支援を図るとされておりますので、それと表現をそろえるという趣旨での変更です。

3点目の修正点、統合する施策目標が1つあるということで、これも新しい制度が来年度から始まることに伴ってのものです。この4月から「生活困窮者自立支援法」と「改正生活保護法」が施行されますが、その中で生活保護に至る前段階での生活困窮者の自立支援の促進も一体的に図っていくことを目的の1つとしておりますので、今まで2つに分かれていた施策目標を一緒にする趣旨です。以上が基本計画の関係の修正で、資料1-2はそれを基本計画そのものに溶け込ませたものなので、御参照いただければと思います。

 次が実施要領の改正の関係で、資料2-1と資料2-3です。資料2-1が概要で、こちらで御説明いたします。これも大きく分けて3点改善したい点があります。具体的には実績評価書は夏に皆様方にワーキンググループで御覧いただくことになると思いますが、その実績評価書の様式の変更です。実績評価書は後ろの別添1に付けておりますので、御覧いただければと思いますが、この中で黄色の部分について、今回追加したいと思っておりますのと、水色の部分が別添11枚目とその裏に2か所ありますが、そこについて様式自体は変更しませんが、記載すべき内容について少し考え方を変更したいと思っておりますので、それについて御説明いたします。

 まず、1点目の黄色の部分です。これは測定指標欄に指標の選定理由、目標値の設定の根拠の部分を追加したいというものです。これは事前分析表にはこの内容を書くようになっていますが、実績評価をする際にも、ここに書くことによって、効果等、政策評価をするに当たって、指標、目標値の妥当性について検証しやすいようにということで、入れたらどうかということです。

2点目、「達成」の欄の部分についての記述です。これは資料2-11枚目です。今の基準は測定指標の達成欄、それぞれ指標ごとに「○△×-」という4つのランクで記すことになっており、それぞれどういう定義をしていたかですが、「達成」「概ね達成」「未達成」「判定不能」という4つの定義で区分けをしておりました。このように評価は1年間してきましたが、総務省の点検などにおいても何をもって△とするかは余り基準が明確ではないのではないかという御指摘もありましたし、我々も各局とこういう話をする中で、難しい部分もありましたので、ここで少し基準を明確に次からさせていただきたいと思っており、以下のような定義に少し変えたいと思っております。○の達成というのが目標値を100%以上達成した場合、△は100%には届かないのですが、80%以上の達成の場合。×は80%未満。そういう形でしたいと思っております。

 修正の3つ目です。これは実績評価書でいうと、目標達成度合いの測定結果の欄で、測定指標の○△×を総合的に勘案して、資料2-1でいう1枚目の概要ペーパーの3の1~5のいずれかの定義のどれに該当するかということで、定義の見直しをさせていただきたいと思っております。詳細は資料2-1の最後のページ、別添2です。これは一番左が平成2512月に目標管理型の評価に当たって各省共通の基準として総務省が示したガイドラインの定義です。真ん中が現在の基準で、皆様方にも去年の今ごろ御議論いただいた上で、決めさせていただいた今の基準です。それを右のような見直し案にさせていただきたいということで、この見直し案が資料2-11枚目に書いてあるものです。

 具体的には2つ考え方を変えたいという点があり、1つ目が12の目標超過達成、目標達成に関わる部分です。真ん中の今の基準を御覧いただくとお分かりになると思いますが、12は測定指標の達成状況が○又は△ということで今までさせていただきました。ただ△というのは先ほど御覧いただき、御説明したように、達成までいかない、概ね達成ということと、今後△を80%以上ということで、100%にいかないという定義でさせていただきたいと思っており、やはり12は△を入れるのはどうかなということで、全ての測定指標の達成状況が○の場合だけを1か2に位置付けたいと思っております。そういう意味で基準が厳格になるということです。

2つ目の考え方の変更点、3と4の違いになります。3と4の今までの基準というのは、一部の測定指標の達成状況で×があるのですが、主要な測定指標は○でというのが3で、主要な測定指標の達成状況が△でというのが4という、主要な測定指標が○か△かで3か4かに分かれることになっておりました。ただ実際に去年の夏を皆様思い出していただければと思いますが、主要な測定指標は1つだけではなく、施策によっては複数付けてくる所もありましたので、その場合3なのか4なのかは分かりづらかったので、それを整理したのが今度の見直し案です。文章が長くなっておりますが、主要な測定指標で半数以上が○の場合が3、半数に届かなかった、半数未満の場合が4、そういう複数の指標があった場合もきちんとどちらに該当するか分かるような形にしたいと思っております。以上が実施要領の改正点です。それを溶け込ませたのが資料2-3で、これは後で御覧いただければと思います。

 資料2-2が来年度の事後評価の実施に関する計画()です。この実施計画は毎年、この案でも最後のページ、別紙1に平成27年度に具体的に評価をする施策目標を書いてありますが、これをこの実施計画に付けるとともに、中身は基本的に平成26年度を27年度に直すなど、形式的なものですから、説明は省略させていただきたいと思います。早口で分かりづらかった面があったかもしれません。以上でございます。

 

○高橋座長

 いかがでございましょうか。平成27年度の厚労省の評価の基本計画、実施計画、実施要領の()について御説明いただきました。何か御意見、御質問はございますか。

 

○安永委員

 以前ワーキングでもほかのメンバーの方から同様の趣旨の発言があったと記憶しておりますが、中期的な目標値を年度の途中で大きくクリアした場合、そのときの目標設定の在り方、どのようにローリングをかけていくかといったようなことについて、基本的な考え方があればお聞かせ願いたいと思います。また逆に大きく未達成で、もはや現実的な目標値ではないといったようなことがあるとすれば、そういったときにはどのように目標を見直していくのか。そういうことについて統一的な考え方があればお聞かせいただきたいと思います。

 

○政策評価官

 実施要領、資料2-3です。先ほど改正したい点を幾つか申し上げましたが、資料2-3の後ろに別紙1-3の様式があります。その後ろに別紙1-4で記載要領もございます。実績評価書様式では先ほど1~5までランク付けしたいという目標達成度合いの測定結果は裏面にありますが、その下にまた更に総合判定欄がございまして、そこに何を書くかですが、別紙1-43ページの17です。今まで申し上げたような○△×を判定して、1~5までの達成状況を記します。その結果、評価結果と今後の方向性ということで、「A」目標達成、「B」達成に向けて進展あり、「C」達成に向けて進展がないというような形で、「A」「B」「C」と分けますが、その「A」「B」「C」に出た結果について、今後どうするかという方向性について次、4ページの19です。ABCの判定について、やはり安永委員が御指摘のように、それを踏まえてどうするかについて、次のように記載してほしいということも示しております。具体的には5ページの※です。Aのときであれば更に効率的、効果的な実施に向けた工夫もあるのですが、そもそも目標設定が妥当だったかの検討も一つあり得るのかなということで明記しています。逆にCの場合であれば、目標の設定、指標、達成手段である事業についての大幅な見直しもきちんと検討することにしているので、ここについて私どもも皆様方に御審議いただく資料を作るに当たっても、これからも関係局にもできるだけ分かりやすく書いてもらう形で今後やっていきたいと思っております。

 

○山田委員

 今の安永委員のところに関係しますけれども、測定指標の選定理由及び目標値で毎年度設定していますが、指標によっては例えば今年度以上とか、幾つか上乗せしたパーセンテージを乗せていますけれども、その根拠を明記していただかないと、どうして前年以上という書き方でいいのか、又は例えば80%のものが83%と、なぜ3%伸びたのかというのが分からないのです。ですからそこのところも内規で明記するようにしていただく工夫をすると、どうして達成できなかったのかということも分かると思います。繰り返しになりますが、測定指標の選定理由及び目標値の設定の根拠のところで、どうしてそういった数字を置いたのかの根拠についても、明記していただかないと、評価の際も大幅に満たせなかった場合、どうしてなのだろうということになりますので、裏付けが取れますので、そこの部分についても是非、このマニュアルで工夫していただきたいと思います。私からは以上です。

 

○高橋座長

 よろしいですか。是非、今の御意見は踏まえて、御検討いただき、具体的に反映をすることができれば、反映していただくというような感じで対応していただけるとよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○政策評価官

 承知いたしました。

 

○高橋座長

 それでは時間のことも気になり始めました。12時には終えたいと思っておりますので、ほかになければ今の御意見を踏まえた対応をよろしくお願いして、平成27年度の基本計画、実施計画、実施要領を作成いただくことにしていただければと思います。それでは次の議題、平成27年度実施施策に係る政策評価の事前分析表()について、よろしくお願いいたします。進め方について説明をお願いします。

 

○政策評価官

 資料3-1を御覧ください。これはこれまでの会議でもお配りしていますように、いつ、どの施策目標について皆様方に見ていただくといいますか、それぞれ目標ごとの政策評価の実施予定時期を示したものです。今回見ていただくものは、平成27年度に実施する施策の事前分析表のうち、平成28年度の夏に各ワーキンググループで御議論いただくものでして、赤枠で囲っている14個の○が付いている部分のものです。

3つのワーキンググループごとに区切って、順番に皆様に御議論いただければと思っています。最初に医療・衛生WGに該当する施策、次が労働・子育てWGに属するもの、最後に福祉・年金WGに属するものということで、グループごとに担当部局の入替えを行いたいと思っています。座長にも時間を御心配いただいていますが、1つのWGの単位ごとに大体30分ぐらいでお願いできればと思っています。事前分析表は内容が詰まっていますが、特に目標の達成度を測るための施策目標ごとに設定している測定指標、それが妥当かどうかという点について、是非アドバイスといいますか、御意見をいただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 

○高橋座長

 おそろいで御着席いただいていますので、「平成27年度実施施策に係る政策評価の事前分析表」ですが、医療・衛生WGに関わる事項について、事前分析表に関連する施策についての質疑をお願いします。資料1-3-2「医療安全確保対策の推進を図ること」、1-9-2「生活習慣病対策や長期入院の是正等により中長期的な医療費の適正化を図ること」、1-10-1「地域住民の健康の保持・増進及び地域住民が安心して暮らせる地域保健体制の確保を図ること」、2-3-1「規制されている乱用薬物について、不正流通の遮断及び乱用防止を推進すること」、2-5-1「生活衛生関係営業の衛生水準の確保及び振興等により、生活衛生の向上、増進を図ること」の5施策目標です。早速ですが、どなたか御質問、御意見等があれば、よろしくお願いします。取り分けWGの先生方、ひとつよろしくお願いします。

 

○安永委員

 ワーキングは違うのですが、医療安全確保対策の推進を図ることについて、質問なり意見を申し上げたいと思います。1ページの1に関連して、昨年の医療法改正によって新たな医療事故調査制度が創設されて、101日の施行に向けて運用指針の検討が行われている段階だと承知をしています。

 しかし、新聞にもその検討会の議論について「紛糾」と報道されていますように、例えば調査の報告書は家族に提供しなくても良いとか、再発防止策は記載しなくても良いとか、法律の趣旨に関わる心配な議論が展開され、結局、現在まで最終的な取りまとめには至っていないとお聞きをしています。この制度は、患者と医師の信頼関係をより強めていく、強固にしていくための必要なものだと考えていますので、患者の懸念を払拭できる運用指針になるように、この場を借りてお願いをしておきたいと思います。その上で新たな医療事故調査制度の施行後には、これが測定指標の中に盛り込まれることになるのかどうか、そこについてお聞きをしておきたいと思います。

 また、医療安全の推進という観点からは、明らかになった医療事故の原因とか、再発防止策がどれだけ普及したのか、そういう指標こそが重要と思っていまして、4に書かれた産科医療補償制度では、原因究明と再発防止策を取りまとめた報告冊子が作成、配布されていますように、単に届出件数や分析件数だけを見るのではなく、具体的な取組、例えば報告書がどれくらい配布されているのかということについての評価などについても、定性的な指標ではありますが、見ていくことが必要ではないかと思っていますので、御見解をいただければと思います。

 

○高橋座長

 この件について御質問がありましたので、担当部局は医政局ですね。

 

○医政局総務課医療安全推進室室長補佐(井上)

 御質問いただきました2点について、1点目の医療事故調査制度ができたときに、測定指標に定量的な指標が掲載できるのかという御質問に関してですが、今現在、医療事故調査制度の施行にかかる省令等について、御指摘のありましたとおり検討を行っているところです。定量的な指標については、例えば医療機関からの医療事故調査・支援センターに対する医療事故の報告の件数とか、あるいは医療事故調査・支援センターが行った調査の件数とか、そういった何かしらの指標という形で測定指標に定量的な指標は記載できるものと考えています。

 もう1点御指摘のありました産科医療補償制度の再発防止に関する分析件数について、どれだけ普及したのかを、定量的な目標でなくてもということですが、こちらについてはより把握できる指標ということで再発防止に関する分析件数を記載しているのですが、御指摘のありました所に関しては、そういった記載ができないか検討をさせていただいて、できる限り記載する形にしたいと考えています。

 

○菊池委員

 これはむしろ総論的なお話で政策評価官室にお答えいただいたほうがいいかと思うのですが、先ほどの山田委員の御質問に関わるのですが、全体として目標値は前年度以上、前年度以下は、かなり多い印象を受けます。なぜかという根拠です。多分、具体的に80%とか、そういう数値を出すと、なぜ80かという根拠を問われることになるのだろうと思うのです。ぎりぎり考えたけれども、これはやはり前年度以上、以下でしか出せないと、そういうことなのか。そうではなく、そういう具体的な数値は根拠を問われるとなかなか厳しいので、前年度以上、以下にしておこうと、それは随分違うと思うのです。それは正に全体として政策評価をどう取り組むかという根幹に関わるので、総論的な話だと思うのです。そこを政策評価官室はどのようにお考えで、全体に周知されているのかを、是非お聞きしたいと思います。

 もう1つ細かい点ですが、言葉の意味としては、前年度以上というのは前年度と同じが含まれていますので、前年並でもいいのだということにもなるので、そういうことでいいのかと、それも含めてお聞きしたいと思います。

 

○高橋座長

 いつもテーマになる大変根幹的な御質問でもあります。現時点での考え方を政策評価官のほうで、答えられる限りということになるかと思いますが。

 

○政策評価官

 先ほど山田委員から御指摘もいただきましたし、目標は本当に御覧いただくとお分かりのように、前年度以上というのも多いですし、いろいろあります。一定比率以上とか、一定数上乗せとか、本当にいろいろ考えられますし、これだけは必要ということで最低限クリアすべき水準という場合もあるかもしれません。いずれもその施策が全体として何を目標にしているかによるのだと思うので、どういう目標水準が適当かは当然一律に決められるものではなくて、個々に考えて判断するほかないと思っています。

 ただ、それが書かれたものが、あるいは、原局で設定したものが本当にそういう判断の上で適切に設定されたものかどうかを、ペーパー上もできるだけ分かるようにしたほうがいいというのは、私どもも思っていまして、資料を作るに当たっても、各局から出されたものをそのままということではなくて、いろいろ調整して、調整というのは変な言い方かもしれませんが、できるだけ分かりやすく書いてもらって、説明責任を果たしてもらうという形で話をしています。結果的にどうしてもばらつきが少し出ているのは正直なところでして、そこは我々の力不足の部分もあるかもしれませんので、申し訳ありません。

 今後は、先ほどもありましたように、先生方からもそういう強い御要望もありますし、我々も以前からそう思っていますので、そこはしっかり対応していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 

○河北委員

 私は医療事故情報収集等事業と産科医療補償制度の当事者ですので、意見を述べさせていただきます。「医療事故情報収集等事業に参加をする医療機関の数」と書いてありますが、参加している医療機関は、義務的に参加をしなければいけない医療機関が270280あります。任意で参加をしている医療機関もあります。ところが、義務として参加をしている医療機関の中で、例えば特定機能病院は義務になっていますが、報告が上がってきません。なぜ報告が上がってこないかというと、病院の中で院長にすら事例の報告が上がってきていないと。ですから、参加の医療機関を増やすということよりも、院長にきちんと病院の中で報告が上がってくるような管理責任を問うということを仕組みとして変える、あるいは文化をつくることのほうがよほど大切なのです。例えば、群馬大学の問題にしても、2009年に起こったもの、あれは日本医療機能評価機構の認定病院ですから、事故が起こったら45日以内に日本医療機能評価機構に報告義務が契約の中であるのですが、2009年のものが報告されたのが今年です。ですから、そういう状態であるものが、これは数だけ増やしても何にもならないと私は思います。

 産科医療補償制度の分析は個別の分析をしていますので、実は原因分析委員会で非常にいい分析がされていて、それが再発防止に向かって幾つかの国際的に非常に重要な再発防止の役割が報告書で出ています。ですから、数ということではなくて、定性的にきちっと評価をすることのほうがよほど大切であって、実はその2つを合わせて医療事故調との話があるのですが、医療事故調の議論だけが紛糾してしまっていることは、非常に情けない話だと思っています。

 

○高橋座長

 これは施策過程の中身の議論に踏み込みますが、評価の運用の中でそういう御指摘を踏まえながら厳正な評価をしていただくという趣旨かと思いますので、実施過程においてこの御意見を踏まえた整理を、やはり量の問題と質というか、正におっしゃっていただいた質があって量が出てくる話で、何かその辺が逆になってもいけないと、そういう御指摘かと思います。きちんとしたデータを取れる体制を整備する努力を施策としてどれだけできるかと、そういうお問いがけであったかと思います。

 

○河北委員

 施策だけではなくて、医療現場の責任、医師の社会的なコミットメントをもっときちっと定着させることが大切であって、行政だけでできることではないので、医療の現場で徹底するというために、日本医療機能評価機構ができているわけです。

 

○高橋座長

 了解です。という御指摘を踏まえていただきます。

 

○本田委員

 今の河北委員のお話は、私も本当にそのとおりだと思っています。例えば、医療事故の項目だけではなくて、「生活習慣病の長期入院の是正等」とか、そういう問題の所でも、この測定指標で確かに行政的に測れるのはこういうものかもしれないのですが、いったいどのように評価したらいいのかを、いつも参加するときに悩んでしまいます。

 例えば、平均在院日数が減少しているからこれで達成できているのかと言われると、確かに数字的にはクリアしたのかもしれないけれども、実際、現場でどのようなことが起きているのか、長期入院是正といっても、単に病院から出せば、それでいいのか、実際に退院調整の現場でどのようなことが行われていて、長期入院をしないで済むようにするためには何が必要かということまで考えないと、この数字をクリアしたことに意味があるのかどうかをすごく感じているので、数字的に評価するのは難しいのかもしれませんが、何かしらそういうことを考えるような項目を、たとえばこの点についても常々感じているので、御検討いただければと。とても難しいことなので、私もどのように評価の指標をやったらいいのか分からないのですが、その辺の苦悩とか考えているのがにじみ出ると有り難いと感じています。

 

○山田委員

 同じ点ですが、保険局の資料で、例えば、これは1の「特定健診実施率」で、平成2529年度第二期医療費適正化計画に「目標として70%以上が特定健診を受診すること」と書かれているのであれば、設定の根拠としては70%を平成29年度に置いて、そこまで線形にするのか非線形にすべきかはよく分からないのですが、設定すべきだと思うのです。それを「前年度以上」とするのは多分2つ考え方があって、とても第二期医療費適正化計画が無理だと言っている場合、若しくは計画を立てること自体が困難だと言っている場合。2つ考え方があると思うのですが、計画があるのに、計画の平成29年度に向かって、今出ている数字では46.2%ということですが、それでいいのかどうかは、私は政策評価一般をやっている立場からすると、もう少し書き込み方はあると思うのです。

 あと、今、本田委員が御指摘になった平均在院日数の減少も、これは明らかに単に短縮すればいいわけではないです。例えば、同じ疾病に関して再入院がどれぐらいあったかとか、そういったことは指標として持ってこないと。定性的な評価も重要だという河北委員の議論については私も全面的に賛同するのです。ただ、まだできることがあるのではないか、今、保険局を例に取って申し上げましたが、強く感じています。繰返しになりますが、特に設定の根拠については、きちっとしたものを、国民が見て納得がいくものになるような説明の仕方が必要ではないかと思います。

 

○高橋座長

 これをお答えいただくまでもないけれども、何かコメントなりレスポンスをしてください。

 

○保険局医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室室長補佐(加藤)

 御指摘のありました今の目標は、第二期の医療費適正化計画にそれぞれ掲げているものであり、高齢者医療が伸び行く中で、直接医療費適正化に関わるものとして平成20年度当初から定めているものです。ただ、確かに平成29年度までの定点で目標がありますので、それを線形で区切って毎年度目標を定めるかどうかということはあるかと思いますが、もちろん平成29年度の目標実現を目がけて毎年度計画的に取り組んでいくというところは、確かに御指摘のとおりだと思いますので、御意見を踏まえさせていただきたいと思います。

 あと、指標について、平均在院日数をもっと病床機能ごとに細分化したほうがいいのではないかとか、そういう御意見もあるかと思いますが、こちらも問題意識は同じで、まさに今回の通常国会に提出している医療保険制度改革法案の中で医療費適正化計画の見直しも掲げています。計画の具体的な指標についても、今後、医療費適正化効果のあるものをより明確にして、指標としてふさわしいものを検討していこうと考えていますので、その検討を通じて指標の見直しにも取り組んでいきたいと思っています。

 

○森田委員

 私自身も医療費のほうをやっていますから、評価される側の視点にも立って聞いていました。これだけではなくて全般に言えることですが、こうした評価をする場合に、最終的な目標は、アウトカムの指標です。医療安全ならば医療事故を最少化することだと思います。そのために何をしなければいけないかという政策があって、その政策としてやること、その結果がアウトプットになります。その最終的な結果はアウトカムです。そのアウトプットを出すために、予算措置もそうですが、いろいろな所でどれだけ活動したかがアウトカムを生み出す社会的プロセスへのインプットだとしますと、そこのロジックというか、因果関係がはっきりとしているかどうかが1つのポイントになると思います。

 本来ならば、事前にその因果関係といいましょうか、どういうプロセスで、どういう要素が重要であって、それをどう達成すれば最終的な結果に結び付くのかをきちっと示すのがプログラムで、それの評価がプログラム評価になるわけですが、そうした発想でこうした評価指標を立てられているかどうか。そうでないと、評価指標のある所だけ高かったとしても、それは最終的な結果に結び付かないことも多分にあると思いますし、もっと申し上げますと、最終的な社会的な効果、アウトカムに対して、行政が成し得るアウトプットは、ある程度限界があると思います。

 アウトプットをやれば、必ず最終的な効果が出るというものでもないのですが、そうしたことについての政策評価の世界で言いますと、プログラム評価で、国の、総務省ですとロジックモデルという言い方をしていますが、そうしたものをある程度きちっと想定して、従って行政の政策についてはこういうアウトプット指標が非常に意味を持つと、そうした御説明といいましょうか、それを用意していただければ、最終的な評価のときに非常に適正な評価がなされるのではないかと思います。

 

○高橋座長

 全体の基本的な考え方について、それぞれの部局はそれぞれの何か伝統があって、いろいろな統計の作り方があるのか、それをもう一度整理して、アウトカムと先ほど言った構造的な関係に戻して、それぞれを表示するような努力をしていただいたかどうかを、またワーキングでも議論と。この議論は再三、いつも出ていますが、これは何回も繰返しで非常に重要な、単なる資料の羅列に近いものにならないで、きちんとした評価の目的に一歩一歩近付いていく努力が見られるかどうかが、多分WGの先生方はこれから、夏頃またいろいろやるわけですよね。そういうことを踏まえて今の森田委員の議論をもう一度内部で検討していただきますよう、是非よろしくお願いをする次第です。これも政策評価官室でそれぞれの部局にお願いする段階で、改めてそのことを注意喚起をする。これは一方で言うと、我々の研究領域の課題でもあるわけです。行政の実務とそれぞれの領域の専門的知見が両々相まって政策評価が可能になるということです。これは単にそれぞれの部局にお願いすると同時に、それは直ちに我々にも跳ね返ってくるという話でもあろうかと思いますので、是非よろしくお願いをします。

 

○河北委員

 せっかく森田先生がいらっしゃるので、マイナンバー制度をこういったものにどうやって活用できるかということで、実はマイナンバー制度は、年金とか社会保険には関わるわけですが、今、医療の内容にかかわらないということになってしまっているわけです。私はそれは結び付けるべきだと思うのです。ですから、こういう所でそういう意見があったことは是非出しておかないと、医療の内容と社会保険とか年金と結び付かないということ自体が、社会的に壮大な無駄だと私は思います。是非、それは検討していただきたいと思います。検討ではなくて、実行していただきたいと思います。

 

○高橋座長

 ある意味では森田先生のお仕事の絡む話になってくるかと思いますので、これは前からいつもときどき議論になっている政策評価法に基づく評価の議論と、全体の本来の国民の福祉の向上に寄与する政策評価という議論の階層がありますので、正に河北先生がおっしゃったことは、政策評価法による評価と同時に、全体政策の在り方という議論にもなりますので、御発言を是非それぞれのお立場で肝に命じていただければと思っています。

 

○井部委員

 私は医療・衛生ワーキングのメンバーですので、実務的な確認をしたいと思います。資料3-2を拝見しますと、定量的な指標は大体出ているのですが、「定性的な指標」を見ますと、ある項目とない項目があるのです。例えば、「定量的」ということで、5ページで「測定指標(定性的)」という所は空欄ですが、これは定性的な目標はないもしくは、設定してないと考えてよろしいのですか。

 

○政策評価官

 そうだと思いますが、書いてないということは設けてないということですが。

 

○井部委員

 そうしますと、今、議論にありましたように、定量的な目標だけでは不十分だという指摘がありますので、空欄の所はもう少し考えてもいいのではないかと思います。と申しますのは、最初に政策体系上の位置付けで基本目標1に「安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること」と、これが大きなアウトカムだと考えますと、国民は今の医療に安心・信頼しているのかという、抽象的ですが、それを何か定性的に探ることは考えられないのかと思います。

 

○高橋座長

 これから少し検討していただいて、今の井部委員の発言の趣旨を踏まえたことができるかどうか、検討していただくと、これは宿題ということでよろしいですか。ほかになければ、医療・衛生WGの議論については、これで終わりにさせていただきます。

 今、いろいろな御議論、御指摘、かなり難しい注文も含めてあったかと思いますが、是非、今の議論をきちんと踏まえながら、測定指標の追加・変更、全体の考え方の再整理をしていただいて、よりよいものにしていく努力をしていただいて、また夏のセッションに望んでいただくということになりますので、ひとつよろしくお願いします。それでは、どうも御苦労さまでした。

 

(メインテーブル入替え)

 

○高橋座長

 次の労働・子育てWGに関する施策について、質疑を行います。資料3-3に事前分析表が整理されています。対象施策目標は3-3-2「被災労働者等の社会復帰促進・援護等を図ること」、3-7-1「個別労働紛争の解決の促進を図ること」、4-5-1「求職者支援訓練の実施や職業訓練受講給付金の支給等を通じ、雇用保険を受給できない求職者の就職を支援すること」、6-5-1「ひとり親家庭の自立のための総合的な支援を図ること」、この4つの施策目標です。

 早速ですが、事前分析表についての御意見をそれぞれお願いいたします。取り分け、労働・子育てWG関係の皆様から、それでは野川委員からお願いいたします。

 

○野川委員

 時間もありますので、まとめて3点御質問させていただきます。

1つは素朴な質問で、1から4まで、4つ施策の目標がありますが、このうち1と4、2と3で、予算の桁が1桁違うわけです。1と4は1,000億単位、2と3は100億単位です。予算の額はそれなりに施策の重要性を反映しておりますから、したがってその施策の達成等についての評価も重要だと思います。同じ大変多額の予算を費やしている施策の中で、1は1ページから14ページまで、非常に細かくアウトカム、アウトプットに分けて、それぞれの細かな達成手段について検討していますが、4の子育てについては非常に簡単な内容の事前分析表になっています。

1つは、同じようにかなり多額の予算を使っての対応であって、重要度はそれほど変わらないのに、これだけ違いが出るのはなぜでしょうか。

 もう2つは若干細かくなります。1点は、「個別労働紛争の解決促進」です。これは施策目標と施策の概要に私は若干ずれがあるのではないかという印象を持っております。

 というのは、施策目標の個別労働紛争の解決促進を図ることというだけですと、公的な紛争解決機関を利用した場合に、円滑にそこで解決がきちんと図られているかということになると思います。したがって、紛争機関を利用してから後の内容になります。しかし、施策の概要を見ると、総合的な個別労働紛争解決システムの整備を図るということになっておりまして、これは、ある個別紛争が起こったときに、どのように自分はそれについて解決を求めることができるのかというところから始まります。したがって、具体的には、このような紛争解決機関がある、こういう紛争解決のルートがあるということが、どれだけ国民に普及されていて、特に働く現場で普及していて、もちろん企業内での自主的な解決が基本ではありますが、それに加えてオルタナティブとしてこれだけのものがあるということがどれだけ普及し、国民がそれについてのアクセスを円滑にすることができているかも当然含まれるのであって、私は実質的な政策の在り方からすれば、むしろそちらのほうが重要ではないかと思っております。

 しかも、この施策目標と施策の概要の間のずれを考えますと、施策の概要の観点から見れば、そのような測定目標、つまり国民にどれだけ紛争解決機関というものの存在及びその機能が普及し、かつアクセスが容易になっているかということについての測定指標があってもよかったのではないかということです。

 第3点目は、次の求職者支援訓練の実施の問題です。これも施策目標は訓練の実施や給付金の支給等を通じて求職者の就職を支援すると、大雑把ですが、施策の概要の目標の1の所に、「雇用保険を受給できない求職者に対して職業能力開発の機会を確保すること」とあります。実は私は労働政策審議会の雇用保険部会で、この求職者支援法を制定する前段階の議論を行ったときの公益委員ですので、その間の議論も踏まえて申し上げますと、訓練機関の在り方、つまり給付金を受けながら実際に訓練をして、それが就職につながるまでの訓練機関がどれぐらいあって、かつどういうような主体がその訓練機関を運営していて、適切で妥当な訓練が本当になされているのか、それに対して訓練を受けた者がどれぐらい満足しているのか、あるいは就職に当たって求人する企業等が、その訓練機関で受けた訓練について、どのように評価をしているのかといったことが、ここには含まれておりません。

 求職者支援訓練修了者における満足度はありますが、訓練機関に関する満足度、つまり求人側の評価であるとか、あるいはどれぐらい求職者がチョイスできたかも必要ではないでしょうか。たとえば、訓練機関について紹介されたら、自動的にそこに行くことにならざるを得ません。ところが、それが非常に数が少なければ、よんどころ無く、仕方なく、私の住んでいる地域でやるならここしかないというようなことになってしまっていないかといったことをチェックする契機というものが、この施策の概要の目標1の中には含まれているのではないかと思いますので、この点について、どのようにお考えなのか。3点です。

 

○高橋座長

 詳細な御指摘を頂きました。それぞれの担当部局からお答えを頂きたいと思います。まずは、ひとり親の話は少し薄いのではないかということです。

 

○雇用均等・児童家庭局家庭福祉課課長補佐(度会)

 ひとり親家庭の自立のための総合的な支援を図ることについてですが、御指摘のように全体的な予算額については、平成27年度で1,837億という金額になっております。

 この1,837億の内訳は、このうちの1,717億が児童扶養手当の制度に使われています。この児童扶養手当という制度は、離婚などによりひとり親家庭になった場合に、家庭の生活の安定と児童の福祉の増進を図るという目的で、法律に基づき手当が支給される形になっております。この児童扶養手当の目標値を設定するのが難しいということがあり、そこができていない形にはなっております。そういった点になります。

 

○高橋座長

 引き続き、今度は職業安定局の事項です。よろしくお願いいたします。

 

○職業安定局総務課訓練受講者支援室長(浅野)

 指標として十分かということについては、検討する余地があると考えていますが、そもそもこの事業の一番の目的は雇用保険を受給できない求職者の就職を支援することということですので、その就職率がメインで、それを補完するものという考えで、今回はこの2つを出させていただいております。

 

○高橋座長

 引き続き、地方課の所管のテーマですが。

 

○大臣官房地方課労働紛争処理業務室長(大塚)

 先生の御指摘になった2点目の件について、紛争解決機関の存在・機能が普及して、アクセスしやすいような目標を設定すべきではないかという御指摘だったかと思います。

 私どもが行っている個別労働紛争の相談、助言・指導、あっせんの機能ですが、これは裁判所を頂点として、様々なADR機関がある中で、特に重視しているのが法の施行機関と一体となって、法違反と民事の複合事案についても迅速に解決を図る。この「迅速に」というのが、最も大事な点かと思っております。

 もちろん先生から御指摘のあったような、存在・機能が普及して、国民にとって周知されているということも、これも制度を利用してもらうという観点では非常に大事なことだと思っておりまして、私どもも積極的に周知を行ってきておりました結果、この制度が一番最初にできたときには総合労働相談件数は60万件台だったのが、今は100万件台で推移しており、相当程度普及は進んでいると思います。

 また、国民に対して紛争の性質、当事者の意向に従って、様々なADR機関の特徴を周知して、お互いに縦割りではなく、横に連携しながら、またお互いに周知しながら、国民に対してよりよい選択肢を示していくという観点も重要です。

 このため、各地では各局ごとに、紛争解決機関の連絡協議会というものを結成し、裁判所、社労士会、弁護士会、法テラスなども入っており、お互いの周知ですとか、案内のための様々な工夫のための会議を行っているところです。

 先生の御指摘の点は非常に大事だと思っておりますし、私どもも取り組んでいきたいと思っているのですが、なかなかこれを数値にして目標設定すると、果たしてどのような目標設定にしたらいいのかなというのがあり、そこで私どもとしては、この制度の一番重要な点である迅速な解決、そのための目標設定にさせていただいているところです。

 

○高橋座長

 よろしいですか。何か追加はありますか。

 

○職業能力開発局能力開発課職業能力形成システム企画官(六本)

 野川委員の訓練機関についての御指摘について補足いたします。この求職者支援制度については、民間の訓練機関が行う訓練を大臣が認定し、奨励金を支払うということにより、訓練機会を確保するという仕組みにしておりますが、同時にその質を担保することは非常に重要だと考えており、認定をする際に2段階のハードルを設けております。

 まず、認定基準として、講師要件、組織、絶対的に満たさなければならない水準があります。また、その水準を満たした訓練機関について、その訓練の定員枠を定めて認定申請を募集するわけですが、申請が多かった場合には競争になりますので、選定をしなければなりません。その選定をする際の評価要素というものが出てきます。

 これについて、労働政策審議会の報告を踏まえ、平成264月から改善も行っており、例えば質の向上に取り組んでいるかどうかといったようなことも、選定の際の評価要素として見ます。そういった強化には取り組んでいるところです。

 そういった訓練機関の質の確保、質の向上というものが、最終的には就職率や受講者の満足度になって表れるであろうということで、現在の評価指標を設定しているところですが、先生方のお知恵も頂きながら、より適切な評価指標があるかどうか検討していきたいと思います。

 

○高橋座長

 補足はありますか。

 

○山田委員

 先ほど雇用均等・児童家庭局から児扶手の話がありましたので、そこについてコメントいたします。測定指標に関しては、施策の目標としては、「ひとり親家庭の自立のための総合的な支援を図ること」とありますので、こうした自治体の割合とか、配置数、相談件数ではなくて、どういうアウトカムが得られたのかという観点が必要で、例えば就職率、貧困率、所得代替率、特に母子家庭、父子家庭を対象とした調査をしておりますから、それを用いてこうした測定指標を入れるというのが必須だと思います。

 これでは、なかなかこの施策目標に対する効果は分かりかねます。しかも、釈迦に説法でありますが、子供の貧困大綱に関してもいろいろな指標が提示されているわけですから、そちらを全く無視して、こうした施策目標が立てられるというのは、御存じのようにひとり親家庭と貧困というのはものすごく密接に結び付いているものですから、OECD加盟国の中でも50何%という突出した貧困率ですから、そうした指標が一切測定指標の中に含まれないというのは、問題があると思いました。

 既に御覧になっていると思いますが、子供の貧困に関する指標としては、ひとり親関係については、例えば就園率、進学率、就職率といろいろとあります。もちろん貧困率というのもありますので、そういったものは必ず入れていかなくてはいけない指標だと考えます。

 

○高橋座長

 何かいかがですか。

 

○雇用均等・児童家庭局家庭福祉課課長補佐(度会)

 御指摘の点は非常に重要なことだと思っております。先ほど調査の御紹介もありましたが、現状で申し上げますと、調査の期間は5年に1回で行っております。5年に1回にしているというのは、隔年にできれば非常に我々としてもそうしたいのですが、予算規模、地方自治体の協力の関係を築くという形で、なかなか難しい実態になっております。今、先生が御指摘の点については、検討させていただければと思います。

 

○山田委員

 データに関しては、確かに母子・父子家庭に関する調査は5年に1度ですが、国民生活基礎調査といったものもありますので、そういったものは3年ごとに大調査年がありますので、利用すればもう少し間隔は短くできると思いますし、もう少しいろいろな工夫をして、先ほど申し上げたような類の指標を入れていただくようにお願いしたいと思います。

 

○高橋座長

 是非御検討いただくべきことかと思います。

 

○渥美委員

 私から2点意見を申し上げます。

1点目は、個別労働紛争の解決促進の部分です。先ほどの野川先生の御指摘にとても共感したところです。私の専門分野に引き付けて、幾つか情報提供させていただきます。

 私はダイバーシティとかワークライフバランス、少子化対策の研究をしています。例えば個別労働紛争のテーマの1つで、最近はマタハラは非常に注目されていまして、去年は流行語大賞も取っています。私は今「マタハラ白書」というものを作っています。マタハラネットというNPO法人があるのですが、この間アメリカ大使館で表彰された、世界で活躍している女性で、小酒部さんが代表を務めています。

 そのマタハラネットから御依頼を受けて、実際にマタハラを受けた人たち200人にアンケートを取って、何人かにはヒアリングも行っています。労働局への相談は、このマタハラネットのアンケートに回答した200人ですと、28.5%は相談した、71.5%は相談していません。

28.5%は私は高い数字だと思っています。そもそも安定の多寡があって、マタハラネットのようなところにつながっている、そもそも意識の高い被害者が回答しているので、恐らく実際のADR1つとしての労働局への相談の数字は低いと思っています。

 実際に3割近い利用者の満足度は、残念ながら余り高くありません。「不満足」「対応が不十分」という認識が過半数です。これはいずれ白書で公表されるので、そちらを御覧いただければと思うのですが、先ほどの御質問に対する回答を伺っていても、ADRが複数ある、それがお互いに連携して情報共有しているというのは、あくまでも供給者サイドのロジックなのです。需要者サイドというのは、紛争が起きたときに、それをどうしてADR1つである労働局への相談がないのか、やはり先生が御指摘されているように、周知が足りないと思います。教育現場において、そもそも義務教育の中で、労働者として巣立っていく学生たちにADRの選択肢というのは知らせておくべきだし、その1つとして労働局というところがないと、数字は上がってこないと思います。

 もう1つは、私は企業の現場でこういう問題の解決を図るコンサルをしていますので、企業に相談窓口を作ったら、必ず匿名アンケートを取って、利用されているのかされていないのか、されていないとすればなぜなのかというところは、かなり詰めます。また、利用者のアンケートは、もちろんこういう紛争は一方の意見を過度に評価するとまずいので、中立的な立場であるということも理解していますから、そこは当然双方の意見に耳を傾けるべきですが、そもそもの問題意識に書かれているように、労働者のほうが立場は弱いので、その立場が弱い人たちが増えている中での紛争の増加という背景がある以上は、やはり利用者が実際に利用してどうだったのか、そういうところの満足度が上がってこないと、どうせ相談しても解決しないからというので利用も遠のくという、負の連鎖に陥りかねない、そこは非常に危惧します。

 この制度自体は非常に有意義なものだと私は思っていますし、今までも取組自体がそもそもシステムとしては評価できると思うのですが、それをきちんと、紛争解決のための1つの選択肢でありますが利用されて、利用された人が相談してよかったと思えるようなサイクルを動かすことは、もう少しできるのではないか。需要者側に立った指標も、特定のNPOと組むというのもあり得ないと思いますから、なかなかここの指標に落とすのは難しいと思ってちゅうちょしていたのですが、供給者サイドのロジックだと、迅速さだけだと少し違うのではないかという違和感を覚えます。これが1つ目です。

2つ目は、ひとり親の部分です。自立促進ということ自体は、先ほど回答のあったことだとは思うのですが、私はそもそもひとり親家庭の支援はひとり親家庭の支援にとどまっている限り解決はかなり難しいというのは、この間の上村君の事件で、お母様の状況に関して、そもそももっと何とかならなかったのかというところは、かなり社会的に問題意識が高まっているところだと思います。そもそもひとり親で、5人のお子さんもお持ちで引っ越してきたという情報が入った時点で、何らかのサポート体制を組まないと、地域で民生委員、あるいは学校、いろいろなサポートできる人たちが連携を組んで見守るネットワークを作らないと、ひとり親支援というところにとどまっている限りは、なかなか実際問題、あのような事件はこれからも起き続けるような気がいたします。

 自立というのはいろいろな側面がありますので、なさっていること自体は、私はとても有意義なことをなさっているとは思うのですが、ネットワークです。これからはネットワークでいかにサポート体制を組むかというのが、こういう社会的弱者に関しては非常に重要だと思っています。ですから、それをどういう政策に落ちていくのか、どういうのが可能なのかは私もイメージできていないので申し上げるのは恐縮なのですが、そういう自立を促すサポート体制、ネットワークの構築というのは是非視野に入れていただきたいところです。

 

○高橋座長

 非常に多岐にわたる御指摘ですが、いかがですか。地方課、雇用均等・児童家庭局の順で手短にお願いします。

 

○大臣官房地方課労働紛争処理業務室長(大塚)

 今の渥美先生から非常に大事な御指摘を頂いたかと思っております。まずマタハラ問題に関しては、育休、産休の不利益取扱いをはじめ、育児・介護休業法等に法律の規定があり、その法の施行と絡めて、労働局内では雇用均等室で紛争処理も含めて対応しております。そういう意味では、私どもの総合労働相談のほうは、そういった均等室への取次ぎなどを適切に行うというのが使命なのですが、利用者の満足度を図るというのも非常に大事なことだと思っております。

 今の御指摘は雇用均等・児童家庭局とも共有して取り組んでいきたいと思いますが、利用者側への周知、特に教育現場への周知という御指摘も非常に大事だと思っております。私ども、労働局長が大学等で行う講義などでも、様々な労働法の周知、講義などを行っているところです。

 ここの会議の場に来る前にも、実は私はADRの各機関について、近日中に分かりやすく国民の皆様に示すリーフレットを作るための検討をしてきたのですが、近日中に労働局に発出いたしまして、それぞれのADR機関でどのような特徴があるのか、それをどうやって国民の皆様に周知していくのかということについて、迅速に取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続き御指導方よろしくお願いいたします。

 

○雇用均等・児童家庭局家庭福祉課課長補佐(度会)

 先ほどのネットワークのお話ですが、非常に大事な話だと受け止めております。それをまた予算との関係で、どのように示していくかについては、また勉強させていただければと思っております。

 

○高橋委員

2点ほど指摘いたします。1点目は労災保険に関するものです。資料の1ページに1つの測定指標がありますが、全23事業にわたる多岐の事業について、単一の測定指標でいいかどうかということについては、問題意識を持っています。

 と申しますのは、未払賃金立替払制度というのがあるからです。この資料で2ページ目に(4)としてありますが、そこの「達成手段の概要等」の下から2行目の所に、「本事業は被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者及びその遺族の援護等」と書いてありますが、未払賃金立替払事業はこうした事業ではありません。事実関係と異なる記述がなされているということに、私は非常に問題意識を持っています。そうしたものも含めて、トータルで1本の測定指標でいいのかどうか。

 また、未払賃金立替払制度については、8ページの所に具体的なアウトカム指標、アウトプット指標がありますが、一番大事なことは債権回収をしっかりするということです。そうしなければ、完全にモラトリアムを国が認容するという形になっていると思うのですが、これのどこを見ても、債権回収の割合が目標に立っていない。そうしたおかしな目標を立てながら、達成状況は「○」になっている。そうしたものを含めて、全23事業のうちで、達成事業が何パーセントかということ自体に、私は大変疑問を感じています。

 こうした本来の制度と全く異なる事業については、別途測定指標を立てて、トータルのものとはまた別の目標を立てるなりの工夫をする。あるいは雇用保険二事業のように、目標の達成と予算の執行で2軸を取って、ABCDを作り、2年連続でDになるものをゼロにするといったような個別の事業についても目配りできるような測定指標を立てていくということも考えられるのではないかと思っています。

 もう1点は、16ページの「求職者支援制度」です。今回、測定指標の2番目に「求職者支援訓練修了者における満足度」ということで、80%以上ということがあります。これも非常に疑問があります。もともとこの訓練は御承知のとおり無料で行う原則で、そうした訓練について単に「役に立った」とか「まあまあ役に立った」といった、何に対して役に立っているのかもよく分かりませんが、これが80%以上というのは、極めて緩い基準です。こうした制度については、満足度を聞くにしても、就職に結び付けていくための制度ですから、やはり就職に有用であったかどうかということについて、もう少し高い水準の目標設定をするべきではないかと思っています。

 

○高橋座長

 それでは、労働基準局から。

 

○労働基準局労災管理課課長補佐(千原)

 今の委員の御指摘について御回答させていただきます。

 まず1点目の全部一括で1つの指標でいいかということです。この目標としては、労災保険制度における社会復帰等促進事業、いろいろと事業がございますが、それについて全体的には1つの、全体的に何パーセントを達成するかという指標を掲げています。個々の事業については、資料も付しておりますが、事業主の参画を得ている社会復帰等促進事業に関する検討会、また労働政策審議会における労災保険部会において、個々の事業についてしっかりと目標管理を立て、その評価如何によっては、それを次年度の予算に反映させていくという取組、雇用保険二事業と同じですが、PDCAサイクルで回した取組をしています。

 個々の事業について、アウトカム指標、アウトプット指標を記載しておりますが、これはそういったところで議論したものを書いています。御指摘のとおり、こういった一括の全体で何パーセントということを達成すればいいかということではなく、意識としては個々の事業について定めている目標を、しっかりと11つクリアしていくことが重要だと思い、またそれについて達成しないものについては、しっかりと予算に反映させていく、若しくは事業の見直しをしていきたいと思っております。

 また、立替払いについて、この政策評価の枠組みの中で、1つの項目ではなくて別途の項目として分けるかどうかについては、全体のしきりの中で今後検討していきたいと思っております。

 

○職業安定局総務課訓練受講者支援室長(浅野)

 御指摘いただき、ありがとうございます。2つ目の指標である満足度について、聞き方が曖昧ではないか、また低すぎるのではないかということですが、指標の設定に当たり、求職者支援訓練自体、出席要件や就職に向けての取組など、全体にかなり厳しいルールの下で運営しているということから、今回は80%という数字を設定したものです。

 御指摘も踏まえて、水準や内容について検討していきたいと考えております。

 

○高橋座長

 河北委員、よろしくお願いします。

 

○河北委員

 最後のひとり親の所です。中央政府というのは国民から見て、非常に遠い存在であって、国民に近い政府というのは区市町村という自治体になると思いますが、自治体あるいは先ほど渥美委員が指摘されたような、その地域のネットワークが動けるような施策をきちんと作るということのほうが、中央政府がいろいろなことに補助金を付けるよりも、よほど身近に情報と支援を届ける、来たら見てやるというのではなく、届けるような細かく配慮したサービスが必要なのだろうと思うのです。

 そういうことで中央政府ができることというのは、省庁間の縦割りを排除していくことが、こういったひとり親の政策というのは非常に大切であって、お金を付ければいいというものではなくて、例えば文科省あるいは警察庁、総務省の住民基本台帳といったところをきちんと結び付けられるような施策を作っておいて、自治体あるいは地域のネットワークが動きやすい環境作りをするということが大切だと思いますので、政策評価の指標ではないのですが、是非中央政府の役割と、身近な政府の役割をどのように組み立てていくかということを施策の中に入れていただければと思います。

 

○高橋座長

 これはメタ政策評価論みたいな話になってしまうのですが、先ほどの森田先生が、アウトカムとインプット、アウトプットということで、それをプログラム的に整理して、施策の貢献度というものがあるだろうというお話をされました。

 その中で、今回はそれぞれの部局が所管している予算及び施策が、どれだけアウトカムの実現に寄与し得るか。そして、取り分け厚生労働省はやたらにプログラムの多い、多分省庁の中で一番多いはずです。それが、おっしゃったように地方自治体を通じて、地方自治体が直接のアクターになって施策を推進するという世界。

 厚生労働省の場合は、労使という組織との関係があるので、その施策がどこの経路を通じて実現されていくのかという問題を避けて通れないのですが、そういうことを含めて、トータルシステム論の世界と、ここで政策評価である各部局が取る施策の評価というのが、どうしても重層的関係というか、レイヤーがいくつもあるという関係だと思いますので、そこら辺のことを踏まえながら、これは法律でどこがアクターか決まっているわけですから、それに対してどれだけの効果的な施策を打てたかという評価の議論というのは、非常に重要かと思います。メタ政策評価と申しましたが、施策がどういう形でアウトカムにたどり着くのかという辺りの議論は意識して、そうしないとアウトプット指標がアウトカム指標になってしまうというのは、いつもその問題があるのでそうなるわけです。予算を積んで、対前年比でこれだけになったからよかったというような話になってしまうので、そこら辺はなかなか悩ましい、取り分け厚生労働省の施策は多様なアクターを対象にした施策が多いものですから、それはそれとして厚生労働省における評価の在り方の議論は、他省庁ももちろんそうなのですが、よりそういうものが多いと認識しておりますので、そこら辺のことを含めて、検討は評価官室のレベルでも、そこら辺の配慮をしていただきながら評価の在り方をモニタリングしていただくことになるかなと思います。私のほうで、今の御質問はまとめさせていただきました。ほかになければ。

 

○山田委員

 たくさん事業があるときに福祉・年金WGでも、梅田先生から3つの軸があるだろうということを御紹介いただきました。1つは、国民に予算を使った効果を説明するために、大きな予算については指標に含めるべきだろうと。2つ目としては、ホットトピックになっているものは含めるべきだろう。あとは行政としてこれから追求していく価値を表す指標については入れなければいけない。

 そういったことというのは、もう少し政策評価官室としても、個別の局に、何を指標に入れなくてはいけないかというのは、非常に明確な整理だと思いますので、もう1度分かりやすい形で、マニュアル等で説明していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○河北委員

 労災病院のことですが、労災病院というのは、本当にそんなに専門性が高いものであるのかどうか。労災の認定というのか、労災に関わった患者さんたちが労災病院にかかっている比率というのは、どのぐらいなのか。それに対して、労災病院の運営資金というのは適正であるかどうかということは、是非考えていただきたいと思います。

 

○高橋座長

 何かありますか。

 

○労働基準局労災管理課課長補佐(千原)

 何パーセントという数字はございませんが、労災ということで脊損ですとか、最近では胆管がんといったような、労働災害特有の疾病というものがありまして、そういったところについて労災病院はその特徴を活かし、対応しております。

 ちなみに労災病院についてですが、運営費交付金からお金は入れておらず、全部自前収入で運営しています。

 

○高橋座長

 いろいろな御質問、御意見を頂き、それぞれの部局からお答えいただきましたが、この議論を踏まえながら測定指標の検討のフレームに関わる議論もございました。いろいろなところで議論を踏まえて、よりよい評価ができるような検討をよろしくお願いいたす次第です。次のテーマに移りますので、入替えをさせていただきます。どうも御苦労様でした。

 

(メインテーブル入替え)

 

○高橋座長

 それでは、福祉・年金WGに関する施策の質疑です。資料3-4です。対象施策目標は7-3-4「旧陸海軍に関する人事資料を適切に整備保管すること及び旧陸海軍に関する恩給請求書を適正に進達すること」、8-1-1「障害者の地域における生活を支援するため、障害者生活の場、働く場や地域における支援体制を整備すること」、10-1-2「二国間の国際協力を推進すること」11-2-1「厚生労働科学研究事業の適正かつ効果的な実施及び医薬品等の研究開発の促進を図ること」、12-1-2「社会保障全般の制度について国民の理解を得ながら、国民の利便性の向上を図ること」それぞれ多様な施策目標が並んでおりますが、これについて質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。それでは、どなたか御意見、御質問等はありますでしょうか。

 

○堀田委員

2点質問させていただきます。1つは3ページの障害者関係の測定指標は、ほかの例に比べても真正面から取り組んでおられまして、しかも施策目標をなるべく地域に戻って尊厳を持って暮らしてほしい、そのために早く地域へ戻ってほしいという指標、それから、地域に戻ってしっかり働けるかといったような指標にして取り組んでおられますので、全般として、政策評価にもしっかり意を用いながら施策を遂行しておられることが分かっていいと思います。地域に戻ってその人らしく暮らしてもらうことが一番大事ですので、基本施策にも地域で共に生活し、活動するということになっております。

 では、地域に戻ってどうなのか。測定指標が6つありますが、指標46が就労について、これはなかなか就労が大変ですので、ここの指標を重視し、そこに努力を傾注しておられることは大変結構です。ただ、生活地域に戻ってからの生活のほうも安定し、地域の中で言わば共生できるというそこのところが言ってみれば、地域に戻った一番基本なのではないかと思います。そこのところの定量的な数値化は難しいと思いますが、グループホームがそうだと言えば言えるのでしょうが、ほかに地域生活の分がないのがちょっと寂しい。

 予算の達成手段は事業経費のほうもしっかりそろえられていて、これも頑張っておられますが、地域の生活の面で見ると、9ページの達成手段No47の地域生活支援拠点等整備推進モデル事業の平成27年度からの分。いろいろほかの分野でも地域に戻る、地域で支えるという施策が遂行されていますので、これと協力しながらしっかり生活を支えるという施策を遂行していただくことが、これから非常に重要だと思いますが、例えばこのNo47の地域生活支援拠点と整備事業等について、何らかの指標化をお考えになっているかどうか。具体的にこの中で挙げるかどうかは別として、やはりそれがどのように成果を上げていっているか、施策の遂行者は注意して見なければいけない点だと思います。どういう点を見ていこうとしておられるか、ほかとの協力の問題があると思いますので難しいと思いますが、その点について、施策遂行者の意識をお教えいただければと思います。それが1点です。

 もう1点は、最後の14ページの社会保障・税番号です。定量的、定性的に測定指標が上がっております。これを見ると、ハードやソフトを進めればそれに尽きるのだという、そういうことはないと思いますけれども、指標としてはそういう指標になっています。これは、十分御認識のとおり大変センシティブな問題で、過去にも例がありますが、技術的にしっかりやってきたところ、突然、大嵐が吹いて国民の理解が得られず、政治やマスコミで大問題になってひっくりかえってしまうという例があります。この政策もそういう可能性がないわけではない。今までのところは、大変上手に静かに進めてきておられると思いますが、いつどんな嵐が吹くかも分かりません。そういう点について結局、国民の理解やマスコミの理解を得るために、ほかの省庁との協力関係の問題だとも思いますが、その辺りといかに連携しながら、どのように国民の理解に目配りしながらこの政策をお進めになっているか、その点について御説明いただければと思います。以上、2点です。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。それぞれ膨大なコンテンツに対する質問ですが、まず、障害保健福祉部企画課長から。

 

○障害保健福祉部企画課長(川又)

 堀田先生から御意見を頂きましてありがとうございます。御指摘いただいたように私どもの指標の考え方としては、1つは地域へ移行すること。それから、そこで働くことを重点に指標を設定させていただいております。

 障害福祉の分野では、3年ごとのタームで自治体に計画を作っていただき、それを目標として3年間施策を遂行するという設定になっております。次期計画が平成27年度から平成29年度までの3年間ということで、今、自治体において、自治体の障害福祉計画の目標値の積み上げ作業をしているところです。ただ、単に出てきたものを積み上げるということではなくて、実は去年5月に国から一定の指針というものを示しております。例えば、地域生活への移行ということでは、施設入所者を平成25年度末から4%以上を削減させるとか、精神病院の1年以上の入院、1年時点の退院率を91%以上にするとか、就労の関係では、就労移行支援事業の利用者数を平成25年度末から6割以上の増加をするとか、かなり具体的、定量的に国全体としての目安というか、目標を示し、それに沿って積み上げてくださいというお願いをしております。今、積み上げていただいているところです。そういう意味では、地域生活への移行と就労での指標ですが、御指摘のとおり、定着を何で測るかということはなかなか難しいことだと感じております。

1つは、先ほど御指摘いただいたグループホームの利用者数ということで、施設ではなく、住まいを増やしていくということでは1つの指標であると考えております。達成手段のNo47の所で御指摘があった地域生活の支援拠点については、その障害福祉の圏域ごとに拠点として住んでいる方を支える。例えば、いつも相談に応じるとか、緊急的な通報に応じるとか、何かあったときはショートステイとして、そこに何日間か泊まれるような機能を持った拠点をできれば、障害福祉の圏域の中に1つずつ作ってくださいというようなことを先ほどの指針の中でも言っております。そういう意味では、この政策指標として、設定できるかということは検討したいと思います。ただ、地域生活拠点を作れと言われても、自治体もなかなかイメージが湧かないと、どのような仕組みで、どういった運営の仕方の悩みがあるというような話を伺っております。その意味で、来年度のモデル事業でいろいろな先進的な事例や、あるいはモデル的な事例をやっていただき、検証してモデルとして全国に普及していきたいということで、来年度からモデル事業を組んでいるところです。これからイメージを形作っていくという途上の地域生活支援拠点ですが、それを定量的にいつまでにという形で示せるかどうかというところがありますが、検討したいと思います。ありがとうございました。

 

○高橋座長

 それでは、政策統括官付情報政策担当参事官室室長補佐、どうぞ。

 

○政策統括官付情報政策担当参事官室室長補佐()

 御指摘いただいた点について御説明いたします。先生、御存じのようにマイナンバー制度については、平成281月から一部制度がスタートします。その後、完全に制度がスタートするのが平成297月に予定されており、目標に書かせていただいているとおり、まずは今、ハードとソフトをしっかり効率的にそろえるというところが必要な部分です。国民への理解の点で御指摘いただきましたが、ハードやソフトをそろえると同時に国民の皆様にしっかり周知して理解していただくことは、非常に重要だと思っております。

 マイナンバー制度については、霞ヶ関全体として、内閣官房の社会保障改革室の所でリーダーシップをとっていただき、厚生労働省や国税庁、総務省等々が協力するような形で進めさせていただいております。国民の皆様への周知もそういった形で行っておりますが、重要な点が国民の皆様向けには3点あると思っております。まず1つは、セキュリティー上、重要であり、安全であることをしっかり理解いただくことがまず大事だと思っております。内閣官房からも決して皆様の重要な情報が1か所にまとまって、それが誰でも見られるのだということではないということ。お配りするカードそのものに、何か国民の皆様の機微な情報が入るわけではないのだという、その辺を分かりやすい言葉で周知することが重要ということでやっております。

2つ目は、かつそれを使っていただければ、国民の皆様にもメリットがあり、あとは、公平な社会を実現すると、やや大局的な視点ですが、今後、何十年先の未来を考えたときに、非常に重要だということを御理解いただくことが重要な点かと思っております。

3つ目は、実運用の段階で皆さんに番号を受け取っていただき、身近なものとしてきちんと保管していただくことについて、実務的な周知を図ることが重要だと思ってやっております。あとは、事業主団体の皆様や地方公共団体の皆様と協力させていただきながら、何とか平成297月の施行までひっくりかえらずというか、きちんと効率的に話が進んでいくように気を付けてやっております。そういう取組は進めていきたいと思います。

 

○高橋座長

 この領域は、まだ政策を作り上げるベースのインフラに対して、予算が投入されていますので、先ほどのアウトカムという議論にはちょっとなじまない。制度構築プロセスでの政策評価ということかと思います。これからそういう視点で国民に理解していただくための評価を、きちんとしていただくことだと理解しております。いかがでしょうか。

 

○安永委員

 私からは、「二国間等の国際協力を推進すること」という中の13ページにある、測定指標4「技能実習生受入れ企業・団体に対する巡回指導件数」について申し上げます。連合にも技能実習生の皆さんから様々な相談などを受けています。その観点から2点ほど質問させていただきます。

 まず1点目は、この欄の右側、測定指標の選定理由及び目標値の設定の根拠の所に、「巡回指導は法令違反の是正を図ることを目的としており、件数自体が増加することは必ずしも望ましいものではない」と記載されております。確かに巡回指導を行った結果、法令違反や不正行為の件数が増えることは望ましいことではないことは理解しております。ただ、巡回指導件数自体を減らすということは、不正行為を見過ごしてしまうことになるのではないかと思います。現在の国際研修協力機構(JITCO)による巡回指導の実効性については、ただでさえ課題が指摘されている状況にあります。現に、総務省からも地方入管が不正行為認定をした事案のうち、JITCOの巡回指導ではその98%を見過ごしているという行政勧告もなされているところです。その実習実施機関を適正に監督する意味では、巡回指導件数を一律に減少させるべきではないかと思います。この点について、事務局の見解をお伺いしたいと思います。

2点目は、今申し述べたJITCOの巡回指導の実効性の問題を解消するために、外国人技能実習機構を設立して、管理体制を抜本的に強化するという法案がこの国会に提出されております。この法案が成立した際には、JITCOによる巡回指導という概念自体が存在しなくなると思われますが、そういった中で目標値として掲げている意義について見解を頂けたらと思います。以上です。

 

○高橋座長

 よろしくお願いします。

 

○職業能力開発局外国人研修推進室(山田)

 技能実習を担当している外国人研修推進室長です。1点目のお尋ねですが、巡回指導の件数について、このような書かれ方がされていますが、現に平成26年度の目標値は7,000件、平成27年度は6,500件となっております。これについて御説明すると、今、2番目の御質問で御指摘があった外国人技能研修機構を新たに作って、今後は法律上の権限を持って巡回指導、法律上は、今提出している法案の中では、実地に検査ということを法律上で書かせていただいておりますが、そういったところで今後はやっていく方向が示されています。

 また、そういったことも踏まえ、昨年の日本再興戦略の中で新しい技能実習制度の見直しに向けて、平成27年度中に新しい制度の移行を目指すことが書かれている方向を踏まえて、今回の平成27年度のこれまでの延長での予算事業については、法律が通るかどうかは国会の御審議ですが、仮に法律が通って、新しい機構ができてそれが実際に今後監督指導ができるということは、恐らく来年の3月とか、それぐらいではないかということをある程度見込んだ上で、平成27年度については予算上は、従来の12分の11ということで計上させていただいております。

 併せて、今後どうするかは、外国人技能研修機構については、これまで技能実習制度について様々な問題点があったということを踏まえて、きちんとした法律上の権限を持った機構を設立して、監督、指導、実地に検査を行うということです。しっかりした体制を組んでやっていこうと思っておりますが、私どもの目途としては、今、全国に監理団体が約2,000あります。これについては年1回程度回ることができる。さらに実際に受け入れをしている実習実施期間については、約3万あります。これについては、3年に1度はそこに入って行くことができる。今、実習生を最大で3年間受け入れることができますので、実習生がいる間に1回はその機関の中へ入って、必要に応じて適切な指導をしていくということができるような体制を組んでいきたいと思います。この予算の中では、そこまでのものは見えておりませんけれども、新しい機構ができたらより充実した体制で、指導体制を組んでいきたいと考えております。

 

○高橋座長

 これは平成27年度の評価なので、その辺を留意しながら評価のどこかに、そういう新しい体制の移行ということを入れられるかと理解しております。ほかに何か、このグループでありますか。それでは、時間がきておりますので、最後ということで。

 

○山田委員

 特に指標関係についてどうこうという話ではありませんが、障害に関しては、やはり障害者全体を捉えるような調査、いろいろな困難があることはよく理解しておりますが、総合的に障害者の生活とか、所得とか、そういったものを捉える調査が明らかに不足していると考えておりますので、そちらのほうを将来的に測定指標とか何かに組み込めるようにいろいろと開発していただきたい、ということが1点目です。

 もう1点は、先ほどの堀田委員の話とも重なるのですが、特に最後の社会保障・税番号については、セキュリティーの問題が非常に国民にとっても懸念材料ですので、ハードの部分が書いてありますが、セキュリティー関係の部分についても、分かるようにして表に出すと国民の理解もより得られるのではないかという印象を持ちました。私からは以上です。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。時間もきておりますので、ほかにもあると思いますが、質問がなかった施策目標もありましたけれども、本日、3つのグループをやらせていただきました。今回もそれぞれの特性を踏まえて、改めてより分かりやすく、有効な測定指標等の検討を是非お願いしたいと思います。全体として、これも前から森田委員が御指摘いただいたことですが、アウトカムとインプットとアウトプット、それからその施策のアウトプットの貢献度のようなものが、それぞれの施策目標は非常に多様ですので、これ1本でいくわけにはいきませんけれども、それぞれの予算規模、カバーの範囲、それから対応のことも踏まえながら、最終的には、国民に分かりやすい政策の在り方を情報提供するという機能も相当、政策評価は自己評価ですので、それを通じて厚生労働省は何の仕事をしているのかということをお伝えする大変重要な媒体の役割も果たしておりますので、それを踏まえながら是非この指標の改善をして、政策評価や自己評価の改善に取り組んでいただき、中間評価が年度の半ばぐらいに予定しているようですので、その段階でワーキンググループの先生に御参画いただきながら、初期の目的を果たせるような形にしていきたいと思っております。本日は御苦労様でした。それでは、退室していただいて結構です。

 

(所管部局退室)

 

○高橋座長

 それでは、最後に政策評価官から発言ください。

 

○政策評価官

 本日は2時間の長時間、また朝早くからお忙しいところ、どうもありがとうございました。2点の御審議をいただきましたが、前半の基本計画や実施要領等の修正については、所要の手続を経まして、今度の4月から実施していくとともに、更に改善点がないか不断の見直しをしていきたいと思っております。後半部分で見ていただいた事前分析表についても、それぞれに御指摘をいろいろ頂きましたので、再度見直しし、必要な修正を行っていきたいと思います。

 先ほど、座長にまとめていただきましたが、それぞれの施策目標は非常に大きなテーマで設定しております。それぞれの施策目標に対して測定指標をどう設定するか、それからその水準をどうするか、達成手段も含めてどうつながるかという部分について、事前分析表の中でもできるだけそれが分かるような形にしていきたいと思います。その指示を形式的に実施要領などで書くかどうかは、またこちらで検討したいと思っておりますが、各局にはその点はきちんと徹底したいと思います。

 次回は7月頃になるかと思いますが、3つのワーキンググループで昨年度実施した施策についての評価を皆さんにお願いいたしますが、そのときは本日とは違って、まず各局から一通りの説明をさせていただきます。その際、本日のような御指摘について、できるだけ原局が説明できるようにしたいと思っております。また、夏になりますが、今後とも、皆様の御指導をよろしくお願いいたします。

 

○高橋座長

 最後に森田先生から御発言です。

 

○森田委員

 先ほどから聞いていて気付いたことですが、本日申し上げておいたほうがいいと思いましたので、一言だけ簡単に言いますと、先ほどからアウトカム指標とアウトプット指標がありますが、もう1つは、満足度、その他の印象指標というか、あるいはホームページのアクセス数とか、そういった形の指標があります。それらについてはできればアウトカム指標、難しいときにはアウトプット指標、そして、そうした印象の指標は、どうしてもやむを得ない場合以外は避けてもらうという形で、その測定指標というものを考えていただくほうがいいのではないかということです。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。政策評価官室が対応する上で大事な御発言を頂きました。それでは、本日の議事はこれで終わります。5分オーバーして大変恐縮です。御熱心に御議論いただきましてありがとうございました。



(了)

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