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2015年2月19日 精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第1回)議事録

○日時

平成27年2月19日(木)17:00~


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

構成員

安西構成員、有井構成員、岩坂構成員、栗原構成員、後藤構成員、富岡構成員、西村構成員

○議題

1.開会

2.議事
(1) 精神・知的障害に関する障害認定基準等について
(2) 障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査について
(3) その他

3.閉会

○議事

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 それでは定刻になりましたので、ただいまより精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会を開催いたします。

 本日は、大変お忙しい中、本検討会にご参集いただきましてまことにありがとうございます。

 座長に議長をお願いするまでの間、事務局のほうで進行役を務めさせていただきます。

 私は、年金局事業管理課給付事業室で室長補佐をしております和田と申します。よろしくお願いいたします。

 今回は初の会合でございますので、大臣官房年金管理審議官よりご挨拶させていただきます。

 

(樽見年金管理審議官)

 年金管理審議官の樽見でございます。

 本日は、ご多忙のところ、この検討会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 皆様方におかれましては、日頃から厚生労働行政にご協力いただき、また、このたびは本会合へのご参加を快くお引き受けいただきまして、大変感謝をいたしておる次第でございます。また認定医の皆様方には、診療でお忙しい中、障害年金の認定を行っていただいていることに、この場をお借りしまして、改めて御礼申し上げます。

 昨年、障害基礎年金の認定の地域差について調査を行いましたところ、都道府県ごとに認定の全体的な傾向に違いがあるということが分かった訳でございます。これを踏まえて、今回このような会を開催し、検討をお願いしたいと考えたものでございます。

 皆様方よくご承知のとおり、障害年金は病気やけがなどによって障害となったために、日常生活に著しい制限を受けた方々に支給されるというものでございまして、こうした方々の生活を保障する上で大変重要な役割を果たしています。

 年金制度に対する国民の信頼、あるいは期待という点でも大変大きな意味を持つ給付でございまして、そのような意味からも、この障害年金制度を公平かつ適正に運営すること、すなわち提出された診断書などを障害認定基準に基づいて公平に評価し、適正に認定するということが不可欠であるというふうに考えております。

 この検討会では、精神障害及び知的障害の認定において地域差による不公平が生じないようにするという観点から、等級判定のガイドラインとなる客観的な指標でありますとか、あるいは就労状況の評価のあり方でありますとか、そういったものについて専門的な見地からのご意見、ご助言をいただきたいと考えているところでございます。

 できますれば、夏頃までに議論の取りまとめを行いたいというふうに考えておりますので、限られた時間ではございますけれども、どうか密度の高いご議論をいただきますようお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども、この会の開始に当たりましての私からのご挨拶とさせていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 それでは続きまして、検討会の構成員の皆様方をご紹介させていただきます。

 資料1のほうに「構成員名簿」を添付させていただいておりますので、本日ご出席の方についてお名前をご紹介させていただきます。

 五十音順ですけれども、有井構成員でございます。

 安西構成員でございます。

 岩坂構成員でございます。

 栗原構成員でございます。

 後藤構成員でございます。

 富岡構成員でございます。

 西村構成員でございます。

 なお、青木構成員、青嶌構成員につきましては、本日ご欠席のご連絡をいただいております。

 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。

 初めに、制度を所管する厚生労働省年金局ですが、ただいま挨拶を申し上げました大臣官房年金管理審議官の樽見でございます。

 年金局事業管理課長の大西でございます。

 事業管理課給付事業室長の池上でございます。

 事業管理課障害認定企画専門官の大窪でございます。

 年金局事業企画課長の赤澤でございます。

 事業企画課年金事業運営推進室長の梶野でございます。

 事業管理課医療専門官の前田でございます。

 また、私は事業管理課給付事業室長補佐の和田でございます。

 続いて、障害年金の認定実務を行っている日本年金機構を紹介させていただきます。

 年金給付業務部門担当理事の大澤でございます。

 給付企画部長の向山でございます。

 障害年金業務部長の林でございます。

 給付企画部の大平でございます。

 給付企画部の桂でございます。

 以上、事務局ですが、よろしくお願いいたします。

 続きまして、本日の会合資料の確認等をさせていただきますが、ここでちょっと着席して説明させていただきます。

 お手元の議事次第のもと、資料1といたしまして「専門家検討会開催要綱」、資料2といたしまして「国民年金・厚生年金保険障害認定基準〔第8節/精神の障害〕」、資料3といたしまして「障害年金の診断書〔様式第120号の4〕」、資料4といたしまして「平成23年及び平成25年の精神・知的障害に関する認定基準及び診断書の改正について」、資料5といたしまして「障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査」、資料6といたしまして「青木構成員提出資料」、以上の資料のほか、参考資料1としまして「障害年金の受給者数等に関する統計資料」、参考資料2として「手帳制度及び就労支援に関する資料」、参考資料3として「日本年金機構の障害年金に係る実施体制」、参考資料4として「障害年金の支給決定等に関するデータ」をお配りしております。お手元にございますでしょうか。不足等ありましたらお申し出いただければと思います。

 それから、この会合の趣旨等につきまして、資料1をもとに説明をさせていただきますので、資料1の開催要綱をごらんください。

 まず、専門家検討会の開催の趣旨でございます。

 冒頭、挨拶でもありましたけれども、都道府県下における障害基礎年金の認定事務の実態を調査しましたところ、精神障害及び知的障害の認定において、地域によりその傾向に違いがあることが確認されました。

 その結果を踏まえまして、精神・知的障害の認定において地域差による不公平が生じないようガイドラインとなる客観的な指標などを検討するため、大臣官房年金管理審議官が専門家の参集を求め、開催するものでございます。

 検討事項としましては、精神・知的障害の等級判定のガイドラインとなる客観的な指標、精神・知的障害の就労状況の評価のあり方、その他としております。

 構成員は、精神・知的障害に関する専門家9名で構成し、座長は後ほど互選で選出していただきます。また、座長は必要に応じて関係者等に出席を求め、意見を聴取することができます。

 運営についてですが、本検討会は原則公開といたしますが、個人情報を取り扱う際には非公開といたします。また、資料につきましても原則公開としますが、個人情報を取り扱う際には非公開といたします。会合の内容については、非公開の場合以外は、厚生労働省のホームページに構成員名も含め議事録として掲載する予定ですので、あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。

 なお、会合におきまして発言される場合ですが、お手元のマイクボタンを押すと赤いランプがつきますので、それからご発言いただければと思います。発言が終わりましたらまたボタンを押すとランプが消えてオフになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、本検討会の座長をお選びいただきたいと存じます。

 互選ということですので、どなたかご推薦をいただけますでしょうか。

 岩坂構成員お願いいたします。

 

(岩坂構成員)

 元国立精神医療研究センターの副院長で、厚生労働省の障害認定区分の専門委員会専門委員、あるいは研究班の重症度区分の班長もされていた安西信雄先生が適任であると考えます。

 

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 今、安西先生にというお話がありましたけれども、構成員の皆様よろしいでしょうか。

 特に異議もないようですので、安西構成員に座長をお願いすることとさせていただきたいと思います。

 それでは、座長席に移動していただきまして、一言ご挨拶をお願いできればと存じます。

 

(安西座長)

 安西信雄でございます。ただいまご推薦いただきましたので、座長を務めさせていただきます。

 先ほど樽見年金管理審議官からお話ございましたように、大変重要なテーマでございまして、大変大きな役目で、大変緊張いたしておりますけれども、先生方のご協力をいただきましてこの役目を果たしていきたいというふうに考えておりますので、ご協力をよろしくお願いします。

 それでは、着席させていただきます。

 早速議事に入らせていただきたいと思います。

 初めに、精神と知的障害に関する、この認定基準などにつきまして、事務局のほうからご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは資料2の認定基準、資料3の診断書、それから資料4につきまして順にご説明をさせていただきたいと思います。

 まずは、資料2をごらんください。

 精神の障害の認定基準につきましてご説明をさせていただきます。

 初めに、本資料の構成からご説明させていただきますけれども、1ページから7ページにつきましては、現在運用している障害認定基準の中から、第8節精神の障害を抜粋したものでございます。9ページ以降は、近年の精神の障害の認定基準に関する改正についての資料となっておりまして、9ページからは平成23年の知的障害及び発達障害に関する改正について、13ページからは平成25年の高次脳機能障害等に関する改正について、それぞれ認定基準の新旧対照表を載せております。

 なお、それぞれの改正内容につきましては、後ほど資料4の説明とあわせてご説明させていただきたいと思いますので、この場につきましては現行の認定基準について、簡単にですが、ご説明をさせていただきます。

 それでは、1ページ目をご覧ください。 現行の精神の障害の認定基準でございます。

 なお、下線を引いてございますが、こちらは事務局のほうで加筆したものでございます。

 まず、「1 認定基準」についてです。障害年金は障害の程度が重いものから1級、2級、3級がございまして、さらに一時金として障害手当金がございます。各等級に該当する障害の状態は、傷病ごとに国民年金法施行令別表及び厚生年金保険法別表第1、第2にそれぞれ規定されております。ご覧いただいております表は、精神の障害に関する国民年金法及び厚生年金保険法施行令別表に規定する障害等級ごとの障害の状態をあらわしたものになります。

 また、表の次に、精神の障害の認定の基準を規定しております。下線の部分を読み上げさせていただきますが、精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により総合的に認定するとあり、各等級の障害状態については、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの、及び労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものを3級に該当するものと認定するとなっております。

 さらに、精神の障害は多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様であることから、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮するとなっております。

 次に「認定要領」についてご説明いたします。

 認定要領は、政令別表で定められている各等級の障害の状態を対象傷病の具体的な病状に当てはめて示すとともに、認定する上での具体的な評価方法や留意すべき事項などを記載しており、認定実務上の指針となっているものでございます。

 精神の障害の認定対象となる傷病は、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」となっており、障害ごとに認定要領を規定しております。

 このうち、「A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害」の認定要領を例に内容をご説明させていただきます。

 2ページをご覧ください。

 まず、(1)でございますが、各等級に相当すると認められる障害の状態の一部について例示をしています。

 統合失調症及び気分(感情)障害の各病態像によって1級は常時の援助が必要なもの、2級は日常生活が著しい制限を受けるもの、3級は労働が制限を受けるものとなっております。

 次に(2)ですが、統合失調症及び気分(感情)障害の認定をするに当たって考慮すべき点を規定しております。

 続いて(3)ですが、こちらでは日常生活能力等の判定について規定しております。読み上げますと、日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断することとなっております。

 次の「B 症状性を含む器質性精神障害」から「E 発達障害」につきましても、今ご説明した統合失調症と同様の認定要領が定められておりますので、時間の関係もありますことから、ここでの説明は省略させていただきます。

 以上、精神の障害に関する現行の認定基準の説明を終わります。

 続けてご説明させていただきます。

 続いては、精神の障害の診断書についての説明です。資料3をご覧ください。

 こちらの資料の構成からご説明させていただきます。1ページから3ページまでが現在使用している診断書になります。実際の大きさはA3判の両面刷りとなっておりますけれども、ここでは説明用に縮小したものをご覧ただいております。また、赤字の部分につきましては、実際の診断書でも赤字になっております。

 では、中身についてご説明します。

 まず、1ページの左上から氏名、生年月日、性別、住所をまず記載いただきます。その下の記入欄からは番号が付いておりまして、マル1欄からマル8欄までは他の障害、例えば肢体などの外部障害用や内部障害用の診断書と共通の記入項目となっております。

 また、マル7欄でございますが、精神の障害の特性に鑑み、医師が患者本人からではなく、家族等から症状等の聞き取りを行う場合などを想定しまして、陳述者の氏名、請求者との続柄を書くようになっております。

 続いてマル9欄でございます。ここは「ア 発育・養育歴」から「エ 治療歴」までの4事項を記載するようになっております。必ず4項目に記載すべきものではなく、個々の請求者の状況に従って該当する欄に記載していただくものでございます。

 続いて「マル10障害の状態」欄をご説明します。まず、「ア 現在の病状又は状態像」でございます。ローマ数字1から11まで請求傷病の現在の病状について該当する箇所を丸で囲むようになっております。

 続いて、右隣のイの欄でございますが、ここにはアの丸で囲んだ病状等につきまして、より具体的な状態像やそれに伴う日常生活や労働への支障度合い、さらに治療に使用している処方薬の種類や容量などを記載していただく欄になっております。

 次に2ページに移ります。こちらは診断書の裏面になります。

 「マル10障害の状態」欄の続きとなっておりまして、「ウ 日常生活状況」を確認する欄となっております。

 まず、「1 家庭及び社会生活についての具体的な状況」では、現在の生活環境や家族等との対人関係について記載していただきます。

 次に、「2 日常生活能力の判定」でございますが、ここは「(1)適切な食事」から「(7)社会性」までの7項目全てについて該当箇所にチェックを入れていただきます。

 なお、赤字の括弧書きにございますように、ここでのポイントは家族などからの保護的な環境下ではなく、請求者が単身で生活したとしたならば可能か、できるかどうかで判断していただく項目になります。

 また、判断に当たりましては、7項目それぞれにできる具体例を記載しております。例えば「(1)適切な食事」のところですと、配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるかどうかで判断をしていただくことになります。(2)から(7)についても同様になっております。

 次に、「3 日常生活能力の程度」についてでございますが、ここでは(精神障害)と(知的障害)に記載欄が分かれておりまして、それぞれ(1)から(5)の該当箇所にチェックを入れることになっております。ここでも赤字で留意点が書いてありますが、日常生活能力の程度を記載する際には、精神障害または知的障害のどちらか、請求者の状態を最も適切に記載できるほうを使用していただきます。このようにしておりますのは、例えば発達障害ですと、基本的には精神障害のほうに記載していただくことになるのですが、発達障害に知的障害が併存する場合などで、さらに知的障害の症状が顕著である場合などは、知的障害の欄に記載することもできるようにするなど、個々の状態に応じて最も適切に記載できるほうに記載していただくようにするためにございます。

 また、(1)から(5)のそれぞれに日常生活能力の程度の具体例を記載しております。例えば(精神障害)の(2)をご覧いただきますと「精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。」となっておりますけれども、これの具体的な生活状況とは「(たとえば日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある。社会行動や自発的な行動が適切に出来ないこともある。金銭管理はおおむねできる場合など。)」を指しております。

 同様に(知的障害)のほうにつきましても、(1)から(5)、それぞれに具体例を記載しています。

 次に「エ 現症時の就労状況」についてです。

 この欄は、他の障害とは異なり、客観的な検査数値等から障害の程度を判断することが難しい精神障害や知的障害におきまして、日常生活状況を確認する一つの客観的な指標として設けているものでございます。先ほどご説明しました認定基準にも規定しておりますように、認定に当たりましては労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したものとは捉えず、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認した上で、日常生活能力を判断することとなっておりますので、診断書の記載項目としましては、同じく仕事の種類、内容、仕事場で受けている援助の有無や他の従業員との意思疎通の状況などを記載していただくこととなっております。

 次に「オ 身体所見」、「カ 臨床検査」の欄でございますが、それぞれ請求者の身体所見及び各種臨床検査の結果を記載していただく欄になっております。

 次に「キ 福祉サービスの利用状況」欄では、障害自立支援法、現在は障害者総合支援法でございますが、こちらによる障害福祉サービスを利用している場合、その種類やサービス内容について記入をしていただきます。

 このほかマル11欄、マル12欄を記載していただくこととなっており、これらの記載内容も勘案した上で障害の程度を判断することとなります。

 最後に3ページをご覧ください。

 こちらは診断書の記入上の注意を列記しているものでございます。1をご説明させていただきますが、ここではご覧いただいておりますように、精神科以外の医師であっても、請求者の疾患の専門医として従事している場合については、本診断書を作成することができる旨記載しております。

 以上、駆け足ではございますが、現在の診断書の内容に関する説明を終わります。

 続いて、資料4をご説明させていただきます。

 資料4「平成23年及び平成25年の精神・知的障害に関する認定基準及び診断書の改正について」でございます。

 この資料では、精神障害及び知的障害に関する近年の改正についてまとめております。

 まず、1ページをご覧ください。

 1ページ上段に、平成23年改正の経緯を記載しております。3段落目にありますけれども、平成22年の障害者自立支援法及び児童福祉法の一部改正によりまして、発達障害が同法の対象として明確に定義されたことや、精神障害者保健福祉手帳制度の一部改正によりまして、発達障害及び高次脳機能障害の症状や状態像を適切に把握するため、判定基準及び診断書が改定されたことを踏まえまして、年金についても見直しを行うこととしたものでございます。

 この見直しに当たりましては、認定事務の運用現場や障害者団体からの意見を参考とし、さらに障害年金の認定に関する専門家会合による議論を踏まえまして、認定基準と診断書を改正しております。

 この改正当時の課題としましては、認定基準に日常生活能力の判定に係る客観的、具体的な評価方法が十分に示されていないことや、当時、発達障害の取り扱いが認定基準に規定されていないというものがございました。

 こうした課題にも対応するため、専門家会合では、まず1点目に、日常生活能力の判定の客観的、具体的な評価方法をどのように規定するか、特に知的障害のある方が就労している場合に日常生活能力をどのように評価するか。2点目に、発達障害の重症度や日常生活能力の判定について、どのように認定基準に規定するか。3点目に、診断書作成医や認定医が日常生活能力などを客観的に判断するために診断書の評価項目をどう見直すかについて検討いたしました。

 続けて2ページをご覧ください。

 今ご説明いたしました改正当時の認定医からの意見をまとめたページになっております。

 1点目は、知的障害者は、支援施設や保護的配慮のある事業所等で就労しており、一般の障害者の就労とは全く異なる状況であるにもかかわらず、継続的な就労がある現状から「就労しているイコール日常生活能力が向上した」と見なし、障害年金が支給停止となる事例があることを課題としております。

 2点目は、発達障害により日常生活に支障をきたしている者の認定基準がないため、基準を作成する必要があるというものです。

 3点目は、診断書を作成する医師の範囲が拡大され、精神科の医師でなくとも診断書の作成が可能となったこともあり、診断書の日常生活能力の判定や日常生活能力の程度の欄の記載内容が必ずしも本人の障害の状態を反映しておらず、判断に苦慮することが増えているというものでございます。

 続きまして、3ページ及び4ページをご紹介させていただきます。

 こちらは、平成23年改正当時に障害者団体から上がっていた障害認定基準等に関する要望について、日本年金機構から厚生労働省年金局に提出された資料「障害者団体からの要望について」から抜粋させていただいたものです。

 まず、1つ目ですが、こちらは診断書を作成する医師が、精神障害者の日常生活状況を適切に把握、記載できるよう診断書を改善して欲しいというご要望です。

 2つ目は、現在の認定基準には、知的障害の日常生活における能力や困難性の評価、方法に客観的な仕組みがなく、所得保障との必要性の尺度との関連性も不明瞭であることから、認定基準と認定方法を抜本的に見直す必要があるというご要望です。

 4ページに移ります。

 3つ目でございますが、障害年金の支給要件には未就労というのは記載されておらず、所得が一定額を超えない限り、減額ないし支給停止にはならないはずであるのに、現状は所得額には関係なく支給停止等が行われており、問題があるというご意見です。

 4点目は、現行の診断書は知的障害の特性を記入しにくいため、精神障害と知的障害それぞれ専用の診断書に分ける必要がある。また、診断書を作成する医師が請求者の状況を適切に反映した記入ができるよう記入要領等に配慮する必要があるというご意見です。

 以上、ここまで障害者団体からの要望でございます。

 次に、5ページをご覧ください。

 ここまでご説明してまいりました課題及び専門家会合での議論を踏まえまして、平成23年の精神・知的障害に関する認定基準及び診断書の改正事項を記載しております。

 まず、認定基準についてですが、知的障害について2点改正を行っております。

 1点目は、日常生活における困難度を具体的に判断できるよう「食事や身のまわりのこと」及び「会話による意思の疎通」など日常生活における制約について、各障害等級に相当する障害の状態の例示に加えたことでございます。

 具体的にどのように認定基準を改正したかにつきましては、資料2の9ページでご説明したいと思いますので、資料2をご覧いただけますでしょうか。

 9ページの表、左側が平成23年改正後の認定基準、右側が改正前の認定基準となっておりまして、中段に「D 知的障害」がございます。こちらの(2)に各等級に相当すると認められるものの一部例示がございます。下線部分が改正箇所となっており、改正後の例示につきましては、食事や身のまわりのことや、会話による意思の疎通などの日常生活における制約の状態が加わっており、日常生活における困難性や支援の必要度を明示しております。

 資料4に戻らせていただきます。

 知的障害の2点目の改正事項でございますが、日常生活能力を判定するに当たり、就労することをもって直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その状況等を十分確認した上で判断することを記載するとしたことでございます。

 こちらも、再度資料2をご覧いただければと思います。

 資料2の10ページになりますが、(5)の規定が該当箇所となります。改正前ですと、(4)の「また、」以降の部分をより詳しく規定したものとなっており、改正後は就労の状況を十分確認して日常生活能力を判断することについて追記されていることがお分かりになると思います。

 続いて、資料4の発達障害についての基準の改正についてご説明します。

 ここでは3点の改正事項を挙げておりますが、具体的な改正内容を引き続き資料2とあわせてご説明させていただきます。資料2の10ページもあわせてご覧ください。

 この「E 発達障害」が該当箇所になります。10ページをご覧のとおり「E 発達障害」の認定基準は、この平成23年改正で新たに追加されたものでございます。

 改正事項の1点目は、発達障害について定義し、その特性を考慮し、認定上の留意事項を設けることとしたことでございまして、資料2では(1)が該当箇所となります。

 2点目の改正事項は、日常生活の困難度を具体的に判断できるよう社会性やコミュニケーション能力及び社会行動など日常生活における制約について、各障害等級に該当する障害の状態を例示することとしたことでございます。

 同じく資料2では(4)の部分が該当箇所になります。こちらでは、改正後は社会性やコミュニケーション能力、また、社会行動などの日常生活における制約の状態を加えており、日常生活における困難性や支援の必要度をそれぞれ明示しています。

 3点目の改正事項は、日常生活能力を判定するに当たり、就労することをもって直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その状況等を十分確認した上で判断することを記載するとしたところでございます。

 同じく資料2では11ページの(6)が該当箇所になります。こちらの記載内容は、知的障害での規定と同じ内容になっておりますので、説明は割愛させていただきます。

 また、資料4に戻らせていただきます。

 平成23年改正の診断書の改正事項をご説明させていただきます。あわせて資料3もご用意ください。

 1点目は、「現在の病状又は状態像」欄に発達障害関連症状の項目を設けることとしたことでございます。資料3、1ページの現行の診断書をご覧ください。

 左下の「ア 現在の病状又は状態像」欄のローマ数字8番目にある「発達障害関連症状」が該当箇所になります。平成23年改正前の診断書で同じ場所を見ていただきますと、この項目が載っていませんので、新しく改正になったものでございます。

 2点目は、各障害等級に相当する障害の状態を判断しやすくするため、「日常生活能力の判定」欄に説明書きを加えることとしたことでございます。こちらも現行の診断書の日常生活能力の判定欄をご覧ください。先ほどご説明したように、7項目それぞれに小さい字ですが、説明書きがございます。

 3点目は、「日常生活能力の程度」欄を「精神障害」と「知的障害」に分けて、それぞれの日常生活能力の程度について具体的な例示を加えることとしたことでございます。こちらも、先ほど現行の診断書でご説明させていただきました。

 最後に、4点目ですが、就労状況を十分に確認するため、「現症時の就労状況」欄を設けることとしたことでございます。こちらは、平成23年の改正前の診断書では同じ欄が設けられてはおらず、就労状況を書く場合には、「エ 社会復帰施設、グループホーム、作業所等の利用状況、期間等」の欄に記載するようになっておりました。

 以上が、平成23年の認定基準及び診断書の改正事項になります。

 続きまして、6ページ及び7ページをご覧ください。

 こちらは、平成23年に行いました「障害年金の認定(知的障害等)に関する専門家会合」の第2回会合で、事務局が議論の参考として提出した資料でございます。この資料は、その後に認定医や機構の事務担当者に対して示されてはおりませんけれども、当時の会合で日常生活能力の程度の評価に対する考え方がお分かりになり、本検討会の参考にもなるものと考え、今回提示させていただきました。

 6ページは知的障害について、7ページは発達障害について表が作成されております。例えば6ページの右側、「日常生活能力の程度」欄が(3)の場合には等級が2級、または3級に相当するというふうに書かれております。

 続いて、8ページをご覧ください。

 「平成25年当時の改正経緯及び課題」、さらに「平成25年の精神障害に関する認定基準及び診断書の改正事項」についてです。具体的な認定基準と診断書の改正事項についてですが、高次脳機能障害について定義するとともに、疾患の特性や主な症状を明記し、認定上の留意事項を設けました。

 2つ目の改正事項はご覧のとおりでございます。こちらの記載につきましては、平成23年で取り込みました就労に関する規定を、症状性、器質性の精神障害や統合失調症の認定基準にも盛り込むこととしたものでございます。

 また、診断書の改正につきましては、「現在の病状又は状態像」欄に高次脳機能障害関連症状の項目を設けることとしたことでございます。

 以上、資料4に関するご説明を終わらせていただきます。

 駆け足ですが、説明を終わります。ありがとうございました。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 続いて、ちょっと説明が長くなりまして恐縮ではございますけれども、お手元にある参考資料の1と2につきまして、概要を説明させていただきたいと思います。

 この参考資料の1と2については、今後議論を進めていく上での参考となるべく、事務局のほうでまとめさせていただいたものでございます。

 まず、参考資料の1、横長の資料でございますけれども、「障害年金の受給者数等に関する統計資料」について簡単にご説明いたします。

 資料をおめくりいただきまして、1ページ目でございますけれども、平成15年度から平成24年度までの障害年金の受給者数の推移であります。ここ10年間で28万人ほど増加をしております。

 2ページ目は、障害基礎年金の受給者数の推移でございます。平成16年度より隔年で等級別の表にしております。1級の受給者数についてはほとんど変化がございませんけれども、2級の受給者数については年々増加傾向にあります。

 3ページ目は、障害厚生年金の受給者数の推移です。こちらも1級と3級はわずかに増加しておりますが、2級については大幅な増加傾向にあります。

 なお、障害基礎年金、障害厚生年金ともに昭和61年以前に発生した旧法の障害年金も含まれております。

 4ページ目については、「障害年金受給者実態調査」の結果に基づくものでございますけれども、精神障害、知的障害に係る受給者数の推移を、平成21年度の調査と、それ以前に調査したものとを比較した表です。障害基礎年金、障害厚生年金いずれも障害年金全体の傾向と同様、増加している傾向になってございます。

 続いて、5ページ目でございます。

 患者調査に基づく精神疾患の患者数の推移ですが、平成23年は集計できない県がありましたので確かなことはわかりませんけれども、全体に増加傾向にあることが伺えます。

 6ページ目の表につきましては、障害年金の支給割合の傾向と精神疾患の患者数に相関関係があるかどうかを見るために、支給割合の低い順番の都道府県ごと、左側からですが、人口10万対の患者数を表にしてみたものです。患者数についても都道府県により違いがあるものの、障害基礎年金の支給割合との相関関係は特に見られませんでした。

 同様に、7ページでは精神障害者保健福祉手帳、8ページでは療育手帳、9ページは精神科医療機関数、最後の10ページは医療施設従事精神科医師数をやはり同じように都道府県ごとに並べてみましたけれども、いずれも相関関係は見られないという結果になってございます。

 続きまして、参考資料の2、縦長の資料でございます。

 手帳制度と就労支援制度でございますけれども、まず、1ページから3ページまでが、精神障害者保健福祉手帳の障害等級判定基準となります。

 1ページ目が、まず1級でございます。左側に「障害等級」「1級」と書いておりまして、あと2つ欄がありまして、「精神疾患(機能障害)の状態」と「能力障害(活動制限)の状態」ということで、これらを見て判断をするというようになってございますけれども、1級については、高度の症状があり活動ができないという状態ということで、そのできない状態が右側にありますような「適切な食事摂取」など、8項目のうち幾つかに該当するものというようにされております。

 2ページ目が「2級」、3ページ目が「3級」ですけれども、それぞれ同じように活動制限の状況で、「適切な食事」など8項目のうち幾つかに該当するものというようなことで規定をされております。

 続いて、5ページ目と6ページ目でございますけれども、こちらが精神障害者保健福祉手帳の診断書でございます。5ページの表面のマル4が「現在の症状、状態像等」を記載する欄になっておりまして、6ページの裏面のマル6が「生活能力の状態」として8つの事項の「日常生活能力の判定」と、5段階の「日常生活能力の程度」をそれぞれ記載することになっております。

 続いて、療育手帳制度でございますけれども、7ページをご覧ください。

 重度の場合の「A」と、その他の場合「B」の2つに区分されておりますが、第3の項番2に書いてありますけれども、「中度等の他の区分を定めることもさしつかえないもの」というようにされております。重度の場合については、日常生活において常時介護を要する程度のものとされておりますけれども、対象者としては、次の8ページの1の(1)にありますように、「知能指数がおおむね三五以下と判定された知的障害者であって、次のいずれかに該当するもの」、一つは「日常生活における基本的な動作が困難であって、個別的指導及び介助を必要とする者」、もう一つは「問題行為を有し、常時注意と指導を必要とする者」が対象者とされております。

 9ページ以降は障害者の就労支援に関するものであります。

 まず、マル1として福祉施策における対応ですけれども、就労型障害福祉サービスにおいて3つの事業形態がございまして、「就労移行支援事業」と「就労継続支援A型事業」「B型事業」でございます。表の下のほうに、ちょっと小さい字で恐縮でございますけれども、事業所数、利用者数の年度推移があります。ご覧いただきますと、5年ほどの間に大幅に増加していることがうかがえます。

10ページについては、一般就労への移行状況と平均工賃(賃金)でございます。

 上の図を見ていただきますと、就労移行支援の利用者が全体で21.3万人の方がいらっしゃいますが、このうち右のほうに矢印でありますけれども、平成25年に1万人程度の方が一般企業等へ就労移行されているという状況でございます。

 下の表に平均工賃がございまして、平成25年度の平均額では就労継続支援A型が月額6万9,458円、B型が月額1万4,437円というふうになっております。

11ページには、A型、B型それぞれの平成18年度と平成25年度の平均賃金月額の分布図がございますのでご覧いただければと思います。

12ページ以降は労働施策における対応でございますが、下の図は障害者雇用対策の全体像です。

13ページ目は、障害者雇用率制度の概要です。身体障害者及び知的障害者については、障害者雇用率を設定し、事業主等に達成義務を課しております。精神障害者については、雇用義務の対象ではありませんけれども、実質雇用率の算定時には障害者数に算入することができるとされております。そうした障害者雇用のための各種の助成措置が下のほうにありますけれども、事業主に対して行われております。

14ページは、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援に関するもので、下のほうが障害者就業・生活支援センターに関するものでございます。

15ページのほうですけれども、上のほうが障害者雇用の状況でございます。雇用者数は11年連続で増加しており、精神障害者、知的障害者の雇用者数も年々増加傾向にあることがうかがえます。平成25年度の「障害者雇用実態調査」の結果によりますと、下のほうですけれども、民営事業所に雇用される知的障害者の平均賃金は、30時間以上の労働時間の方では13万円、16ページにありますけれども、精神障害者の平均賃金は、30時間以上の労働者時間の方では、精神障害者の障害の程度や疾病ごとに異なりますけれども、全体では196,000円というようになっているところでございます。

 以上、大変駆け足で恐縮でございますけれども、参考資料についての説明を終わらせていただきます。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 ただいま、まず、認定の基準についてご説明いただきまして、その後、診断書についてご説明いただきました。さらに、改正の概要とか関連資料についてご説明をいただいております。

 かなりたくさんの情報でございましたけれども、大変重要な事項でございました。これらにつきましては、構成員の先生方から何かご質問等ございましたら出していただきたいと思います。

 議論につきましては、この後、議論の時間を設けておりますので、事実の確認という範囲で何かございましたら、ご質問をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 それぞれ大変重要な事柄でありましたけれども。

 よろしいでしょうか。

 続きまして、「障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査」などにつきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

 

(向山日本年金機構給付企画部長)

 それでは、地域差の調査の概要等につきまして、説明させていただきます。

 お手元の資料5と、それから関連して参考資料の3及び4について説明させていただきますのでご用意をお願いいたします。

 冒頭にお話がございましたように、本検討会の発端となりました調査を日本年金機構において実施しました。

 資料5の1ページ目に調査の概要を記載してございます。

 障害基礎年金の請求があった場合の審査・決定事務につきましては、機構の事務センターにおいて実施をしているということでございまして、この実施体制につきまして、参考資料3の1ページ目に図が出ております。よくご存じのことと思いますが、改めて、日本年金機構におきましては、本部、ブロック本部という形で管理運営の組織がございますが、業務の実施主体としましては、そこに「拠点」と書いてあります事務センター及び年金事務所が当たっております。

 その中で、基礎年金のみの方と、それから基礎年金、厚生年金、両方の請求をされる方で審査の実施体制が異なっております。図では若干わかりにくいのですが、障害基礎年金のみの方について「障害基礎」と書いてあるところでご覧いただきたいと思いますが、受付・点検を市区町村及びそれを進達された年金事務所で行った後で、審査・決定につきましては全国に置かれております事務センターで実施をしております。

 事務センターは全国1カ所ずつございましたが、機構が成立したときの方針として、一定の時間をかけて広域の集約化を図っていくということになっておりまして、今年2月1日現在では3カ所が統合されて、現在44カ所になっております。

 一方、障害厚生年金を含む請求の場合には、これは受付を年金事務所で行いまして、事務センターを経由しまして本部の障害厚生年金業務部において審査・決定事務を行っております。

 資料5のほうに戻っていただき、先ほどの調査の趣旨でございますが、このたび、都道府県ごとの障害基礎年金の不支給割合、これは障害基礎年金について各事務センターで行っている決定事例のうち、不支給と決定された件数の割合、これが22年度から24年度までの3年度分でとってみましたけれども、地域差があることが分かったということで、その実態を把握した上で原因を明らかにするための調査を行ったものでございます。

 この地域差が分かったという具体的なデータは、この資料5の8ページ、飛んで恐縮でございますが、おめくりいただきたいと思います。

 これが平成22年度から24年度の3カ年の平均の各都道府県別の状況でございまして、上からブロック別に並べてございますが、右側に色がついていると思いますけれども、下に注が書いてありますが、不支給割合が低い10県、上から低い順に並べた10県を赤、不支給割合が高い10県を青で色づけをしております。

 平均では12.5%の不支給割合ということになっておりますが、ご覧いただきますように、赤いほうでいきますと上のほうの栃木県が4.0%となっております。一方で、下のほうの大分が24.4%ということでございまして、こういった地域差があるということになってございます。

 なお、ここで念のために申し上げたいと思うのですが、この米印の注に書いてございますが、この不支給割合と申しますのは、データのとり方の関係で、厳密には各事務センターで行っている認定審査の結果の割合とは異なっております。具体的には、事業年報の数字で決定件数のほうを拾っておりますけれども、決定件数につきましては基礎年金のみの方だけではなくて、基礎年金と厚生年金の両方の請求をしている方も、裁定件数には含んでおります。そういった関係上、厳密にはこの割合がそれぞれの拠点の割合とは合ってこない訳でございますが、傾向としてはこういった傾向で読み取れるということでございます。

 こういった実態を把握した上で、1ページ目にお戻りいただきたいと思いますが、今回の調査の内容でございます。

 まず、ローマ数字2の調査事項のところでございますが、全体の不支給の状況を把握した上でさらに詳しく障害の種別ごとの割合に差異があるかということを確認するということが一つの目的でございます。

 それから2番目に、精神障害と知的障害ということで後ほど出てまいりますけれども、その中でどのような状態像との関連があるかというところで日常生活能力と就労状況の評価、それぞれの評価との関連を調査しております。

 それから3番目に、初診日の判定に差異があるかという点、それと、近年の状況、経年的な状況は変化があるかというところでございます。

 調査の内容といたしましては、ローマ数字5に書いてあるところでございまして、それぞれの不支給の状況によって多少調査サンプル数に差をつけておりますが、今実施をしておると。

 それで、次の2ページ目にいっていただきまして、2つに大きく分けまして、まず、とったサンプルの定量的な調査を行っております。

 それから、あわせて不支給割合の高いほう、低いほうでそれぞれにヒアリングを実施いたしました。そういったものが調査の概要でございます。

 結果でございますけれども、3ページ以降にまとめておりますが、具体的には表のほうでご覧いただきたいと思います。まず、障害の種別ごとの等級非該当割合というのが9ページでございますが、ここから先は24年度のデータでご説明したいと思います。後ほど22年度分の同じものが出てまいりますが、24年度のほうでご説明します。表2でございますけれども、全体の動向の中で、精神障害・知的障害、肢体、内部、それから肢体以外の外部ということで分けた場合に、この表の見方としましては、先ほど表1のほうで赤い色づけをした10県、これを上のほうに並べております。という形で不支給割合別に並べております。

 見ましたときに、精神障害・知的障害、左の欄につきましては、全体の右側の合計と似た分布になっております。一方、肢体の障害以下右側の3つにつきましては、真ん中の区分についてかなり混在がございますし、特に肢体につきましては、上のほうの不支給割合の低い県において必ずしも肢体の障害については不支給割合が低くはないというようなこともございまして、全体の不支給の分布に影響を与えているのは精神障害・知的障害という形で結果があらわされているということでございます。

 続きまして、10ページでございますが、表3は、先ほど日常生活能力の程度、5段階別に区分した不支給割合の分析の結果でございます。

 結果といたしまして、不支給割合が低い10県、上の10県につきましては、日常生活能力の程度が(2)と評価されている場合には等級非該当が5.3%という形でございまして、かなり低い数字になっております。

 一方、不支給割合が高い10県のほうは(2)と評価されているものにつきましては、70.8%が等級非該当になっております。

 したがいまして、不支給割合が低い10県における精神障害、知的障害の支給状況を見ますと、(2)相当で障害年金を支給する目安としていると。一方で、不支給割合が高い状況についてはおおむね(3)相当が支給する目安になっているというように考えられるということでございます。

 次に11ページ、表4でございますが、これは診断書の日常生活能力の判定の区分、24年度の診断書では7項目ございまして、7項目ごとに重いほうから2番目までのチェックがされている項目の数を拾って、その分布を、区分ごとの数字を拾ったものでございます。

 数が7つに分かれているということで、多少少なくなっているという部分がございますけれども、この結果を見たところでは障害基礎年金の目安となっている水準というのは、この表からは読み取れないのかなという結果になっております。

 それから、後ほどヒアリングについてもご説明いたしますが、就労状況の評価につきまして、表の5、12ページでございます。

 こちらには、診断書における就労欄の記載のある・なしで区分をして比較しております。それぞれの結果は不支給の割合ごとに出ておりますけれども、全体で見ましたときに就労欄に記載のあるものの等級非該当割合は12.5%、記載のない場合が11.9%ということでございまして、結論的にはこの大きな差異はなかったと。かつ不支給割合が高い県、低い県を比較してみましたときにも特に大きな、特段の傾向は見られなかったということでございます。これについては後ほどヒアリングの内容についてご説明をいたします。

 最後に、初診日不明の却下割合の地域差、表6でございます。13ページでございますけれども、今回のサンプル調査では全体5,996件の調査が平成24年で行われましたが、初診日不明という理由で却下したものは40件、0.7%ということでございます。結果的に低いということで、最も割合が高いところが2.9%ということになっておりまして、静岡ですけれども、そういう状況でございます。全体として件数が少ないのですが、初診日判定に係る地域差の傾向というのはこの中で読み取れることができなかったという結論でございます。

22年度の同じ分析が16ページ以降、表3以下にございます。傾向としては24年度と同様でございますので、説明を省略したいと思います。

 ちなみに、22年度は就労の記載がございませんでしたので、資料には入れてございません。

 続きまして、資料5の参考2、一番最後のページをご覧いただきたいと思います。

 障害基礎年金の地域差のヒアリングで得られた主な意見を抜粋して記載させていただきました。不支給割合が低い県、高い県で、それぞれにヒアリング事項として日常生活能力の評価についての2級該当の目安があるかどうかというのが1点目でございます。これにつきましては、不支給割合が低い県については、(2)に丸がついていれば2級の目安というところが多かったということでございます。一方、不支給割合が高い県は(3)(4)が目安であるというようなご意見がございましたけれども、診断書の作成医の特徴が出るという場合もあるので、必ずしもそこだけではなくて、当然ですが、表面の症状と合わせてチェックをしているということ、これはいずれの拠点においても同様でございました。

 その下ですけれども、日常生活能力の程度と判定とどちらを重視するかという問いに対しましては、程度のほうを重視するという拠点がございました。

 一方で、認定する際に重視する診断書の記載事項を伺いました。不支給割合が低い県では、日常生活能力が病状と乖離している場合には日常生活能力を重視しているというご意見。それから、表面を見るときには診断書のマル10のア、イ欄に記載されている病状を主として状態像を把握しているというご意見がございました。不支給割合が高いほうの拠点では、同様のご意見もございましたし、特にこの拠点では単身生活についてはその理由、背景を含めて確認していると。それから、表面のほうの項目についてもここに記載のような項目を見て整合性を確認しているということでございます。

 3点目の診断書以外に参考としている提出資料の有無ということで、これにつきましては療育手帳、精神保健福祉手帳が出ておりますけれども、齟齬が出ないような参考としての扱いということでほぼ共通しているというように考えております。

 4点目の就労していた場合の重視するポイントでございますけれども、不支給割合が低い県では勤続年数を重視しているというご意見がございました。長い場合にはそれなりに考慮するが、一般就労であったとしても1年未満ということであれば、継続して就労しているとはみなさないというご意見でございます。不支給が割合高い拠点におきましても同様に勤続年数と頻度を重視しているというご意見が多かったと。それから、一般就労と就労支援施設との違いというのは当然ですけれども、考慮してご判断をいただいていると、これは共通しているというように考えております。

 以上が調査結果でございますけれども、関連しまして、今後のといいますか、この地域差の調査の結果を踏まえまして、機構としての今現在の実施体制について参考資料3で簡単にご説明いたします。

 先ほどの体制の次に、3ページに障害認定医の状況の推移を記載しております。

 平成26年4月1日現在で、都道府県事務センターに216名の認定審査医の先生に従事していただいております。22年からの4年間の間に2割程度の増加がございます。

 4ページがそれぞれのさらに細かい内訳でございますが、担当の障害別に障害基礎年金と厚生年金の割合がございます。最も多い県では障害基礎年金では11人、最も少ない県は3人。ご覧のような状況がございます。

 それから5ページでございますけれども、この地域差が現在発生している一つの原因として、日本年金機構において障害認定医の先生、あるいは担当者の間での情報共有がきちんとできていたのであろうかという問題のご提起を受けております。そういった中で、今回の地域差の検討もあわせていく中で、そういった面も見直していく必要があるということで、障害認定医会議につきましては、今現在は、マル2のところに書いておりますような形で運営をしておりましたけれども、今後につきましては、認定基準の改正にとどまらず、今後認定事務の標準化に向けた課題に関する論点の提示、意見交換といったものをより積極的に行っていきたい。事務打合せ会、(2)のほうにおきましても、こういった現場の問題をきちんと集約をして、必要な情報の共有でありますとか、あるいは場合によってはその取り扱いの改正の必要等について厚生労働省との協議をするというような形での取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

 参考資料4でございますけれども、バックデータとして整理をしたものでございますので、おつけしました。

 新規請求に関しましては、先ほどの資料5に出ておりますものの下敷きになるような部分でございます。一方、再認定に関するデータ、2ページ目でございますけれども、これにつきましては、今までのほうは説明が裁定請求に関する地域差ということでございましたが、再認定に関しましても同様な問題があるのかどうかということについて、やはり同様にご提起をいただいております。

 ご覧いただきますように、この表は、非常に整理ができていないというか、数字が非常に抜けている部分が多いという状況でございます。障害状態確認届という届書をご提出いただきまして、それに対してその状況を確認するということでございますが、現時点では機構全体としての数字のとり方がまだ十分できておりませんで、等級に変更がない場合というのはこの障害状態確認届というのは処分を行わないということもございまして、諸変更という扱いになっておりますので、システム的にその件数を集計できる仕様になっていないという現状がございます。現状では、このように事務センターごとに受付から審査、その結果ということの管理を行っているという状況ですが、必ずしも十分できていない拠点もあるということでございます。こういったところで地域差があるのかどうかということも把握できないということになっておりますので、今後システム的にその等級の変化の有無を拾えるような仕様に改めるような方向で、内部的に調整をしていたしております。

 ご説明は以上でございます。

 

(安西座長)

 あとはよろしいでしょうか。

 どうもご説明ありがとうございました。

 これまでのところで、障害認定の地域差とか調査結果につきまして、また関連資料等をご説明いただきました。いかがでしょうか。それぞれまた重要な資料、情報であったと思いますが、事実確認ということで構成員の先生方から何かご質問等ございましたら出していただきたいと思いますが。基本的な情報を共有した上でご議論いただくということで、ただいま事務局から報告いただいたわけでございますが、いかがでしょうか。

 地域差に関しましても得られている情報をまとめてご提示いただいたということでございますが、事実確認に関しましてはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、この次に、意見交換に移らせていただきたいと思います。

 意見交換に際しまして、最初に、本日ご欠席なんですけれども、青木構成員から意見を頂戴しております。青木構成員からの意見につきまして、これは事務局のほうからご説明いただけますでしょうか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、資料6をご覧ください。

 本日ご欠席の青木構成員よりご意見をいただいておりますので、簡単にではございますが、事務局よりご説明をさせていただきます。

 大きく4点ご意見をいただいております。

 初めに1つ目でございますけれども、内容を要約いたしますが、障害年金の認定における論点は、労働ではなく日常生活だと言えるが、障害認定において日常生活能力を表す客観的な指標の一つとして労働を用いているのが実態であることから、少なくとも診断書作成段階や認定審査の段階において差異が出ないように、日常生活能力と労働との関係は明確化する必要があると言われております。

 また、明確化すべき理由として2点挙げられておりまして、1点目は障害年金は働くと支給停止になるというような声が、診断書に就労欄が設けられて以降、顕著に聞かれるようになっており、こうしたことが広まると障害者の就労を阻害することにもなりかねないということでございます。

 また、2点目の理由ですけれども、本人は労働時間や収入額を論点にして障害認定をされると、障害年金を用いた自立した暮らしが難しくなってしまう。働けているから障害が軽快しているのではなく、障害年金を活用することによって障害を一定程度客観的に受容でき、それによって周囲の支援を積極的に得られた結果、一定額の収入が得られるようになったと捉えるほうが的を射ているとなっております。したがいまして、診断書作成や障害認定において労働は日常生活能力を把握するための貴重な情報源にはなり得るものの、着眼すべきは日常生活であることを共通理解とすることが大切だというご意見になっています。

 次に、2点目でございます。

 こちらは診断書の裏面に設けられました「現症時の就労状況」欄の中では、仕事の内容、仕事場での援助の状況や意思疎通の状況こそが必要な情報だと言える。ところが、医師がこれらの事項について本人や家族から詳細な情報を得ることは難しいと言わざるを得ない。それに比し、勤続年数や給与等の事柄は客観的な情報であるため得やすい。この結果、客観的な事実として何時間働いているという事柄だけが独り歩きしがちである。本来、就労に関しては勤続年数などといった結果に至るプロセスや職場の協力、家族や専門職の支援などの背景こそが重要なのである。よって、日常生活能力を測る上では就労のプロセスや背景が可視化できる項目をつくることが大切だというご意見となっています。

 次に、3つ目でございます。裏面をご覧ください。

 こちらの意見を要約いたしますと、診断書作成及び障害認定に当たって、診断書の日常生活能力の判定欄は判断にばらつきが出やすい。しかしながら、1つ目の視点として、赤字の括弧書きで、「(判断にあたっては、単身で生活するとしたら可能かどうかで判断する)」と記載されていることは意義深い。これに加えて、「1年間を通しての障害状態の波」という2つ目の視点を取り入れることを提案したい。これを取り入れることによって日常生活を反映したものになるというご意見となっております。

 最後に、4つ目についてでございます。こちらを要約いたしますと、日常生活の具体的な情報を得るためには、本人や家族、身近な支援者の情報が重要だと考えられる。現状では、「病歴・就労状況等申立書」がその役割を担っているが、必ずしも十分に記載されていなかったり、認定審査での活用に差異が見られる。診断書を作成する医師が、生活支援を担うソーシャルワーカー等と連携しながら、本人や家族より日常生活の情報収集を得るシステムを構築することが重要であり、そのことによって本人の日常生活における障害状態が反映された障害認定につながるのではないかという意見となっております。

 以上、簡単にではございますが、青木構成員提出資料についてご説明させていただきました。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 青木構成員からの提起につきましては資料6を、重要なポイントをご説明いただきました。

 日常生活能力をどういうふうに捉えるかということと、就労状況をどういうふうに重みづけるかと、大変重要な問題提起であろうかと思います。こういった青木先生のご意見も踏まえながら、これから意見交換を先生方でお願いしたいというふうに思っております。

 最初に審議官からもお話ございましたように、今回、ご議論いただく内容につきましては、精神障害及び知的障害の認定において地域差における不公平が生じないように、等級の判定のガイドラインとなる客観的指標とか就労状況の評価をどうするかと、こういった事柄について検討するのがこの会の趣旨でございますので、こういったことで先生方、構成員の皆様からご意見をいただきたいというふうに思います。

 全体の話の進め方ですけれども、先ほど審議官からお話ございましたように、夏ごろまでに大体意見の取りまとめを行うというのが前提というお話ございますので、構成員の先生方の中には抜本的に考えたいという方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、今回のこの検討会の目的は現行の認定基準を前提として、診断書とかそういった資料に基づいて個別の事例の判定をどう進めればいいかという、その指針のようなものを設定していきたいということが議論の狙いということでございますので、そういったことにもご配慮いただきながら、先生方からご意見をいただきたいというふうに思います。

 全体としましては、今いろいろな資料、情報をご報告いただいたんですが、地域差という点、あるいは判定のばらつきという点では、2級相当というあたりが、どの辺で2級相当と考えるかというあたりが、このばらつきが見られるのかなというふうな気がいたしますので、実際に認定に当たっておられる先生方から、2級相当というのを、目安をどの辺でお考えかというのをそれぞれお出しいただけるとありがたいかなというふうに思っております。時間の関係でそれぞれ大変恐縮なんですけれども、3分ぐらいでご意見をいただければありがたいというふうに考えておりますが、よろしいでしょうか。

 それではどうでしょうか、有井構成員のほうから。

 

(有井構成員)

 どうも有井です。

 2級判定の目安は、やっぱり主に診断書の裏面に絡んでくることですけれども、生活と、厚生労働省の方がまとめてくださったデータにもありましたけれども、うちは高い県に含まれますけれども、それで生活能力判定の(1)から(5)の5段階評価で、まず軽いほうからの(1)と(2)の場合は2級を該当する方はまずないかなということを考えて、例外的にはその脳外の先生とかが書いてこられるような診断書が異常にADL評価が軽くても、かなり深刻な場合があったりするので、それを認めるときはありますけれども、例外的な話で。

 一般の精神科医の先生方がADL(1)ないし(2)で持ってこられた場合には認めることはまずないと、(3)以降の(3)(4)(5)ですか。まあまあ、(5)となれば無論1級が、当然範疇に入ってくるので、そういう意味では、(3)あるいは(4)のADL評価を対象に2級は考えていっているかなというのが現状です。ただし、(3)であればほぼ認めているかというと、そこはそうでもないというようなところもあって、その場合は左枠の4段階評価、ABCD評価とでもいいましょうか、あちらのほうを見ながら、あるいはそれこそほかの症状、病歴、生活状況みたいなものも考えながら見ているというのが大体になります。

 もうちょっとだけいいですか。

 

(安西座長)

 はい、どうぞ。

 

(有井構成員)

 実は、資料5の高い県の意見の、18ページですか、右側、不支給率が高い県の中段の単身生活を重視しているというか、単身生活である場合にはもう一度その背景をチェックするようにしているというのも、これ僕もそのとおりと思っている点があって、単身の方の場合にはどのような経過でなったのかと、親御さんが高齢になって施設入所で、結果単身となられる方もおられるでしょうし、あるいは病識が全くなくて、頑としてヘルパーさんなり訪問看護さんなりの介入を拒否しているような場合で、更には清潔の類いが全く成り立ってなくて、診察に来るとほかの患者さんが待合から逃げていくような感じだとか。そのような場合、無論認めることになると思うんですけれども、そういったことは全くなしで普通に単身生活が援助なしにできておられるような方の場合は、仮に先ほどの生活能力(3)(4)で出ていても、そこには矛盾があるかなと思って診ていくようなこともあったりします。そんなところですけれども。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 大体、お席の順番に伺いたいと思っておるんですが、岩坂先生は知的及び発達障害の専門家の先生でいらっしゃいますが、最初に各県で認定をやっていらっしゃる先生からご意見を伺うということで、岩坂先生には後でコメントをいただくということにさせていただきます。

 じゃ、栗原先生。

 

(栗原構成員)

 資料3の現行の診断書2ページ目なんですが、そこの左の欄の「日常生活能力の判定」、一番左端の「できる」から「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」、そういうのが7項目あります。その右の欄に、「3 日常生活能力の程度」というのが精神障害、知的障害ともに5段階あります。まず、左の2のほうのチェックをもとにしてその右の「3 日常生活能力の程度」を決定されると思いますので、まずそこに目をやって、2級というのは1級でもなく、かつ3級でもなく、かつ3級非該当でもないということで、まず、右の「日常生活能力の程度」が(1)あるいは(5)にチェックされているものは、2級とはほぼ考えていません。ですから、(2)か(3)か(4)か、100%ではないですけれども、(2)か(3)か(4)かに丸がついていると、まず2級のほうから考えて、そこからフィードバックして左の欄に戻り、さらに1ページ目の詳細な記載に戻って、果たして2級で妥当なのかどうかというふうに判定しています。

 

(安西座長)

 この3の評価を踏まえて、その2番の評価でチェックすると、あるいは症状記載も確認するということですね。ありがとうございます。

 それじゃ、続きまして、後藤構成員からお願いします。

 

(後藤構成員)

 当県ではですね、今の栗原構成員とほぼ近い感じではあるんですけれども、裏面の「3 日常生活能力の程度」の(2)から(4)のところで2級に入るかどうかという判断を、左のほうの「日常生活能力の判定」というところを使って考えると。

 それから、1級に関しても(4)(5)の中で1級に入るかどうかということを左の「日常生活能力の判定」及び表面の症状、それから就労等の附帯的な情報によって決定すると。基本的にはもうずっと等級の判断は総合評価だということですね。それでやってきていますので、やはり全体を勘案するって非常に曖昧なことになってしまうので、当県は割と不支給が低いということなんですけれども、これをいろいろ考えて見ますと、基本的には出してきた人をできるだけ支給しようという体制がずっと続いていたというふうに当県では考えています。

 ですので、例えば日常生活の程度が5段階のうちの(2)であって、左側がですね、左から2番目の助言・指導を必要とするところぐらいのチェックであっても、以前というか、最近までですけれども、このままですと不支給になりますよというふうに主治医のほうに返すということをしておりました。そこでもう一度考えてもらう。本当にそうですかと。これはもちろん表面の症状とか経過から見て、ちょっと軽いんではないかというふうなときにはそうするというふうにやってきております。それは、そうして返してきた場合に変わらないという場合ですと、じゃ、それは主治医の判断としても不支給であるということかというふうに理解をしている、そういうふうなことをやってきたことがあります。

 それから、ちょっとこの話と違うんですが、さっきのデータのところで、どう見ても不支給率が低いところって北というか東のほうですよね、全体で。1県、2県違うんですが、赤はどうも東のほうに偏っている。青は西のほうに偏っていて、これは前に認定医会議なんかで見ても、どうも西厳しいよねという感じは何となく感じていたんですが、これは何かシステム上というか、何かの違いはあるのかどうかというのは後で事務方にお話をいただければというふうに思いますけれども。

 

(安西座長)

 後でその点についてはまたご意見を伺いたいと思います。

 それでは、後藤先生よろしいですか。

 後藤先生のお話は、全体の病像とか状態像から見てどうかというときは、主治医にもう一回記載の確認をしてもらうというお話がございました。

 富岡構成員のほうからご意見をお願いします。

 

(富岡構成員)

 地域差という問題ですけれども、もう一つ、病気によってどうかなと思うんですね。私たちの地域でも3県のディスカッションしたことがあって、その中で例えば神経症だともう入れない、あるいは神経症を入れる、そういった違いがあったり、そういう問題。

 それから、統合失調症の場合と躁鬱病の件ですね。感情障害の場合とでは、例えば日常生活能力の評価というのは随分違うような印象なんです。全体を読んでいるとかなり重症を思わせるようなものでも、割合、感情障害の人は日常生活能力がよかったりします。それで、またてんかんとか知的障害なんかは精神科医でなくて、ほかの科の先生たちが書かれます。そうすると、そういった日常生活能力について十分な記載が、我々からすると十分とは思われないような点があります。そういった点が目立てば、先ほど言われましたように主治医に照会して、この障害年金のためのテキストのところなんかを示唆して訂正してもらったりしています。

 基本的には2級と3級との間の問題で、そのあたり問題があればかなり患者さんや家族の証言、それから場合によっては主治医の証言なんかをとりながら対応しています。

 以上です。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、西村構成員のほうから厚生年金の評価につきましてお願いします。

 

(西村構成員)

 厚生年金では、2級の基本は日常生活能力程度の(1)から(5)のうち(4)であります。疾患の、もちろん性質や日常生活能力の判定ももちろん総合的に評価いたします。(5)や(3)でも2級になり得ることはもちろんございますが、それらは例えばてんかんの発作のタイプとその頻度の記載を重んじることもあれば、先ほど出たようにリハビリや脳外の先生方が歩けてしゃべれればかなり軽く書かれることが多いので、その他の記載から総合的に判断することもありますし、心理検査の結果なども総合的に判断します。さらに、主治医に照会したりカルテのコピーをお願いしたりすることも行っています。

 以上です。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 続きまして、岩坂先生のほうから知的障害及び発達障害の専門家の立場からよろしくお願いします。

 

(岩坂構成員)

 2級に絞らなくても知的、発達全体のことということでよろしいですね。

 

(安西座長)

 どうぞ。

 

(岩坂構成員)

 まず、知的障害につきましては、今もお話ありましたように精神科以外のドクターが書かれることがあって、その場合、軽目に書くということは当然ある。もう1点、私は書く側で精神、発達障害、知的、よく書くんですけれども、特に、以前の病院で療育手帳を出す更正相談所が併設されている病院に勤務しているときは年間200ぐらいは知的の方の診断書を書いていました。知的障害の方だと普段通っておられる精神科の病院がないことが多いので、主治医でないけれども、書かなければいけないということになります。

 そういったことで情報が少ない中で大量に書くということで、そういったところの医師、あるいは主治医でないけれども、最近は開業医の先生も書いてくださる。情報不足で書くということが知的の方の場合はこれから出てくる。今までもあったし、これからそういった情報不足でどういった書き方がいいのかというのをわかりやすく示すという必要があるかなというふうに感じております。

 続いて、発達障害につきましては、発達障害に関しては診断書の表面の精神症状の書き方がとても書きやすくなった。コミュニケーションの問題にあわせて遂行機能とか注意力がないという、誰しもあるようなことでのチェックがつけられるということで、非常につけやすくなってきています。そして、知的障害なり、アスペルガー、高機能自閉症、ADHDの方が精神保健福祉手帳を書くということも主治医として非常にふえてきていまして、その方々がこれから年金年齢に入ってきているということで、そういった方々がちょうど診断書の書式も同じようなものですので、そういったときには診断書の裏面の日常生活がどうなのかといったときに、程度でいえば2の方は結構多いんですが、コミュニケーションがかなりしんどくて、実際は社会生活上、あるいは就労にも大きな影響が出てきているということもあって、そうなってくると就労の記載です。実際どれだけ勤められていて、就労、賃金がどれぐらいあるのかというあたりを書いて、それをどう判断されるかということをお話ししながら書いていくことになるんですが、そういった点に関してもやはり就労の具体的記載との関連づけということが出てくると思います。

 もう1点、発達障害というのは小さいころから出ることになっているんですが、二次障害が出てきて急激に落ちたり、あるいは環境がうまくマッチする、仕事場とか家庭が、かかわりがうまくいくということで、日常生活が楽になると、かなり変動するということもありますので、そういった変動という意味では、青木構成員が書かれていた1年間の様子としてどうなのかという視点、そういったのも精神の方と同様に発達障害の方も重要なことになってくるんじゃないかと思います。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございました。

 今ご発言いただいた中で、お互いの意見交換も少しいただけるといいかなと思うんですが、有井先生と栗原先生は、どっちかというと厳しいほうの県というふうに伺っておりまして、それから、後藤先生と富岡先生はやや寛大といいますか、不採択率が低いという県というふうに伺っているんですが、今先生方からご意見いただいて少し雰囲気としては違いがあるのかなというのがわかったわけですけれども、この検討会として全体の基準の一致を図っていこうという趣旨から考えますと、どの辺が基準一致のためのポイントなのかなと。今日、第1回ですので、煮詰めなくても結構なんですけれども、問題の所在といいますか、その辺についてお互いのご意見を聞いていただいて、あるいは知的・発達障害の意見も聞いていただいて、今後の基準のすり合わせのための目安で何かお気づきのことがあったら出していただきたいと思いますけれども。

 今の岩坂先生のご意見は、発達障害に関しましては、基準そのもののつくり方でより一致度が高まるような書きやすい書き方があるので、それは一致度の促進に役立つかなというふうなご意見もありました。

 先ほどの有井先生のお話は、実際に単身の人とそうではない人との重み付けがやっぱり若干変わってくるかなとか、そういう実際の生活状況と単身の場合を想定して書いてくださいというのは若干重み付けが変わるかなと。

 いかがでしょうか。お互いに何かありましたら、出していただけたらと思いますが。

 有井先生。

 

(有井構成員)

 すみません、西村先生にお伺いしたいんですけれども、生活能力(4)を中心に2級を判定していっておられると。これはどうなんでしょう、障害厚生年金では以前からその水準でやっておられるということなんでしょうか。それともだんだん変化して今は(4)を中心にした判定に至っているというふうなことなんでしょうか。あるいはそれと、障害基礎と障害厚生は、基準に関してはちょっとギャップが出てくるような話にもなってくるような気もするんですけれども、そのあたりはどうお考えになられるかというふうなことについて、お願いします。

 

(西村構成員)

 大体十数年やっていますけれども、大体先ほど申し上げたような感じだと思います。(4)は基本ということで。

 

(安西座長)

 いかがでしょうか。何か先生コメントございますか。

 

(有井構成員)

 精神を3からというふうな、最初に言ったような。

 

(西村構成員)

 厚生年金は3級で支給があるので、基礎で3級は出ないのとはやっぱり大きな差があるというのは昔から、それは伺っています。

 

(安西座長)

 そうですか、そこら辺があるんですね。だから、基礎年金のほうが3級だと支給がないと、厚生だと支給があるということで、ベースラインというか基準の置き方が若干違うということですね。

 

(西村構成員)

 結果的にそうなっているんだと思います。

 

(有井構成員)

 そこからの差なんですかね。逆に障害厚生3級というのはADL評価でいくとどのあたりになっていますか。

 

(西村構成員)

 先ほどの(1)から(5)のうち(3)が基本です。

もちろん(2)になることも、日常生活能力がすごく低い方で認められることもあるし、それから、やっぱり疾患の特性があるので、慢性的なものなのか、それともそうでもないのかとかいうことも考え合わせます。それはやっぱり就労歴も、表面の学歴から就職の職歴なども勘案して、社会生活をどれだけ支障されているかというところがやはり総合的な判断に入ってくると思います。

 

(安西座長)

 いかがでしょうか、ほかにご意見ございますでしょうか。

 日常生活能力の程度の評価と、それから2番目の日常生活能力の判定ですね。適切な食事とか、ADLといいますか、それの評価と突き合わせをしておられるところも多いんですけれども、少しこの辺の関係については、先ほど厳し目の県のほうだと、例えば(2)ということであれば、(2)の日常生活能力の判定でどのくらいかというので、あんまりこれに該当するものがなければ、判定としては不採択の傾向にいくとか、そういう傾向なんでしょうかね。

 

(栗原構成員)

 現行の診断書裏面2の、7つ項目ありますけれども、左の「できる」というのは、2級という視点では論外といいますかね、ですから、少なくとも左から2つ目の「助言や指導を必要とする」、「あればできる」、「できない若しくは行わない」、右もやはり明らかに1級のほうに傾く表現だと思いますので、だから、左から2番目、あるいは3番目を重視しているようにしております。

 

(安西座長)

 そうですね。

後藤先生。

 

(後藤構成員)

 今、栗原先生のお話を聞いて、ほとんど僕も同じように考えているんですが、そこでちょっと違いが出てくるのは、やっぱり地域差というのはどうして出るのかというのは非常に不思議なところだなというふうには思っているんですね。

 それで、ほかの先生方にもお聞きしたいんですが、さっきちょっと言いましたけれども、(1)とか(2)の判定があって、そこのところをもう一回聞くということはほかの県ではされておられるかどうかということを、このままだととれませんよという形で記載の医師のほうにもう一回聞き直すということは、ほかではされておられるかどうか、ちょっとお聞きしたいんですけれども。

 

(安西座長)

 この全体の記載で本当は必要そうなのに、主治医の判定が不釣り合いに低いなというときには確認されているかどうかというあたりの質問ですが、いかがですか。

 

(栗原構成員)

 まず、しておりません。提出者、患者さん本人が自分でチェックするリスト等は隅々までどこにチェックしているか、どういう文章があるかは見ますけれども、質問形式でいうのはまずしておりません。当方が質問書を出す場合は、明らかにちょっと整合性がない場合であるとか、そういうときはB5の横長の紙で出しますけれども、それ以外はしておりません。

 

(安西座長)

 有井先生のほうではいかがですか。

 

(有井構成員)

 他科の先生の出す診断書に関しては割と聞くことあります。脳外科から小児科から精神遅滞、あるいは事故後の高次脳機能障害みたいなものとか、ADLが余りに低い場合には、これ日常生活、単身の生活を想定してのADL評価でしょうかみたいなことで、これじゃ通りませんとまでは書かないんですけれども、

 

(後藤構成員)

 はっきりそういうわけじゃないですね。

 

(有井構成員)

 そういうことですけれども、「変更しませんか」みたいな話では出すことは、割と時々はありますけれども、精神科医の場合にはそれは、精神科のドクターの場合にはしていないような気がしますね。ADLが(1)ないし(2)で書いてこられる診断書では、もうそれは要らんのですわというふうに、ドクター側が判断していると考えています。いろいろな事情で診断書を提出しましたけれども、該当じゃないと思いますと仰っていると。そのような考えです。

 多くは、やっぱり知的障害、発達障害の方じゃなしに、それ以外の一般の精神障害の(背景を有する)患者さんにそういう診断書が見られるような気がしましたけれども、主治医もこれは当たらないと見ているなと、わかりやすく思えるようなものもやっぱり出ているのは確かだと思います。どこの県でもそれはやっぱり落とすことになっているんじゃないのかなと思いますけれども。

 

(安西座長)

 有井先生がおっしゃるのはごもっともなんですけれども、現場の医者の意見としては、あんまりよう知らん……そういうことを言っては失礼かもしれないんですが、お書きになるドクターの中に、やはり生活状況をよく知らないとか、(1)か(2)に記載すると不採択の可能性高いよというのを余り考えずに、目の前の患者さんがこうだからこうじゃないかということで、それだけで書いていらっしゃる先生もいるのかもしれないと。要するに記載の精度の問題と、それから審査のほうの判定基準と、両方の面から考える必要があるかなという気がいたしましたけれども、いかがでしょうか。

 

(富岡構成員)

 一つには、日常生活の判定というのは基本的にはできないということと、できるということ、その真ん中に2つあるわけですね。このようにすると、そういう判定よりも、これができるかあれができるかというような判定になっちゃうわけです。例えば適当な食事という問題になると、例えばできるとしてある。よく読んでみると、食事をつくっているのはラーメンにお湯を入れてそして食べている。それでも食事はできる、そういう考えがあるわけですね。そうすると、やっぱりこの日常生活能力の判定の評価の出てくる、我々が評価するときの難しさというのがあるんです。

 それともう一つ、これはこっちの3の日常生活能力の程度の精神障害の(1)、(2)、(3)あります。(2)のところは「社会生活には、援助が必要である。」、(3)は「時に応じて援助が必要である。」、どっちのほうが援助が多いとみんな判断するのか。この文章で、だから、先ほど言われたように、比較的若いドクターが書いてこられるような書類にはやはりそのあたりに迷っているようなところはありますね。

 だから、判定の問題、ちょっとそんなことを思ったんですが。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。この例示があって、多分大分改善しているはずなんですけれども、その書き方が。

 後藤先生。

 

(後藤構成員)

 私も全部返しているわけじゃなくて、先ほど有井先生が言ったみたいに、(1)で全部できると、これはもう明瞭に不支給になるという、それはもう、しかも、当県の場合には書く医師が、誰が書いているかほとんど知り合いというか、ほとんど知っているので、若い先生とかが書いてきたときにある意味、こんなことを言うのも口幅ったいんですけれども、教育的な指導の面も含む、こういうこと、これはもちろん認定医の役割じゃないんですけれども、やっぱりちょっとこの辺、もうちょっと違うんじゃないかというふうなのをやはり返す場合があるかなというふうに思います。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 今回、初回ということで議論も煮詰めるところまでは当然いかないわけですけれども、全体の問題の所在ということで、先生方からご意見をいただきたいと思っておるんですが、先ほど青木先生からのご提起にありましたように、就労の問題をどう評価に反映させるかというので、青木先生からご提起がございましたけれども、この点についてご意見のある先生から二、三ご意見いただけたらと思うんですが。

 あと大体時間が迫っておりまして、もう少しで終わらないといけないんですが、何かご意見ございましたら出していただきたいと思うんですが。就労に関しましてはいかがでしょうか。

 

(後藤構成員)

 すみません。もう私も20年以上認定医をしておりまして、最初のころ、精神障害、知的障害で就労していてある程度収入があるというのは極めて少なかったんですね。そこがこの障害認定の問題になって、この診断書が改定されたように、最近はやはり障害雇用、それから一般就労もありますし、就労支援A、B等が整備されてきて、そこがやっぱり判断しなくちゃいけなくなってきたなという、それは近年の問題だという気がいたします。

 ですから、以前はだから、働いているから不支給と、もうほぼ、私経験がなかったと思います。それは、多分そこがさっき言った、ちょっと西と東の違いのような気がしています。西のほうはかなりそういう障害者雇用とかいろいろなところが整備されるのが早かったんではないかというふうな感じを持っていますね。東京もそうなんですけれども。

 そういうところを含めて、青木先生の意見書にもあったみたいに、働くと障害年金を切られるよというのは最近のことではなく、最近はあんまり言われない。むしろ昔のほうが年金を申請するときに、これはもう一生スティグマ押されちゃうものだというふうに解釈して踏み切らなかった人たちが随分いたというふうに思っています。ところが、最近はむしろ本当に軽くても、うつ病の方でも申請するというふうになってきたので、いろいろな2級判定の問題が出てきたのかなと思います。

 その際に僕らが言っていたのは、2、3年継続して働いて社会保険がとれるようにならなければ、年金は止められないよという形でソーシャルワーカーとか私たちは説得というか、出してもいいよというふうにむしろ言っていた気がします。ですから、今でも私の考えとしては、やっぱり社会保険がとれて2、3年もう本採用で継続するぐらいじゃないと判定の材料にはならないのではないかというふうに考えております。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 そろそろ締めくくらないといけないんですが、もうお一人ぐらい、この就労の認定に関連して何かご意見ございましたら出していただきたいと思うんですが。

 後藤先生から今、特に最近精神障害を持つ人の就労が進んでまいりまして、ハローワークへの求職者数が、平成25年ですかね、3障害の中で知的、身体よりも精神がナンバーワンになったと。実際働いている方は身体障害が一番多いんですけれども、ということで、精神障害を持つ方々も社会に出ていくようになっているという状況の中で、この認定の問題がますます重要になっているということもあろうかと思うんですが。

 あとよろしいでしょうか。

 大体時間がまいっておりますので、締めくくらざるを得ないんですが、先生方の中でこれは言い残したという何かございましたら出していただきたいんですけれども。

 よろしいでしょうか。

 そういたしましたら、今回は第1回ということで、構成員の皆様から一通りご意見をいただきました。いろいろ今後検討すべき論点といいますか、重要なポイントが出てきたかと思います。きょうのところはこれで議論を締めくくりたいというふうに思います。

次回の進め方や日程等につきまして事務局のほうからお話をお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 長時間ありがとうございます。

 次回の会合でございますが、過去に提出された実際の個人の診断書をもとに認定の傾向について比較検討したいというふうに考えております。個人情報保護の観点から非公開で開催させていただきたいと思います。日程につきましては調整の上、後日ご連絡を差し上げたいと存じます。どうぞよろしくお願いします。

 

(安西座長)

 ただいま事務局からお話ございましたように、次回は非公開で、具体的な事例に基づいてどういうふうに判断するかということを構成員の先生方にご検討いただくという形で実施したいというふうに思います。

 それでは、本日の会合はこれで終了とさせていただきます。

 構成員の皆様には、長時間にわたりましてご議論いただきましてありがとうございました。

 以上で終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表: 03-5253-1111(内線3603)

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