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2015年3月3日 歯科診療情報の標準化に関する検討会(第5回)議事録

医政局 歯科保健課

○日時

平成27年3月3日(火) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第23会議室


○議題

1.平成26年度歯科診療情報の標準化に関する実証事業の実施状況について
2.その他

○議事

○大島課長補佐 

定刻となりましたので、ただいまより、歯科診療情報の標準化に関する検討会 ( 5 ) を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日はオブザーバーとして、警察庁刑事局より田中課長補佐、門井課長補佐に御出席いただいております。また、参考人として、一般社団法人新潟県歯科医師会の松崎様、瀬賀様に御出席いただいております。

 なお、今回の検討会につきましては、公開となっていますが、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。

 続いて、資料の確認をお願いいたします。議事次第に続いて、座席表となっています。続いて資料一覧です。右上に資料番号を振っています。資料 1 は本年度の歯科診療情報の標準化に関する実証事業 ( モデル事業 ) に関する資料として、参考人から御提出いただいています。また、資料 2 に関しては、「歯科診療情報の標準化に関する実証事業の概要と今後の展望について」として、事務局より提出させていただいています。参考資料 1 は、本検討会の設置要綱です。参考資料 2 は、前回 11 月に行われた検討会の議事録となっています。乱丁や落丁等がありましたら事務局までお知らせください。

 それでは、座長の住友先生、よろしくお願いいたします。

 

○住友座長 

皆さんこんにちは。年度末の本当にお忙しいときにお集まりいただきまして、ありがとうございました。平成 25 年度から開始しました本事業も、 2 年目の実施報告の日となってまいりました。今日は早速ですが、この検討会の式次第の議題の (1) 「平成 26 年度歯科診療情報の標準化に関する実証事業の実施状況について」、事業委託先であります新潟県歯科医師会から報告をお願いし、続き、補足説明として、玉川委員によろしくお願いいたします。それでは、新潟県歯科医師会、よろしくお願いいたします。

 

( 一社 ) 新潟県歯科医師会松崎参考人 

新潟県歯科医師会の松崎です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 新潟県歯科医師会では多くの会員の下、昨年度より実証事業を実施してきました。身元検索のための歯科情報として、 26 項目を基礎とする歯科情報、すなわち標準プロファイルがあれば極めて高精度に身元の絞り込みが可能であることを実証してまいりました。今年度はこの結果を踏まえまして、具体的にどのようなデータセットにすべきかを検討しています。さらに、歯科用レセコンの中に身元確認支援機能を搭載する方法も検討しています。また、標準化に向けて各県で意見聴取や周知も図ってきましたが、関係各位の理解、協力もありまして、最近は標準化の認識はかなり深まってきました。多くの県では、新潟県のやっているこの事業について支援する、応援するという御意見もいただいています。一刻も早く歯科情報のデータに取り組みたい、そのためにも是非とも早く標準化を策定してほしい、こういう意見も多くいただいています。

 住友先生、青木先生を始め、委員の先生方の御尽力によりまして、ようやく標準化の姿が見えてきたものと思っています。今後、データの保存、バックアップ等、議論すべき課題も山積とは思いますが、本日の検討会におきまして、皆様方の御意見を伺いながら、今年度事業のまとめに取りかかりたいと思っています。

 以上、今年度事業の詳細につきましては、担当の瀬賀より御説明させていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 

( 一社 ) 新潟県歯科医師会瀬賀参考人 

新潟県歯科医師会の瀬賀です。今日はどうぞよろしくお願いします。私から御説明させていただきます。お配りした資料の中で、資料 1 、スライドの資料があります。それと併せ、また後ほど別紙 1 、横長の A3 の資料も配布していますけれども、これを併せて御覧いただきたいと思います。

 まず、資料 1 です。前回、第 4 回の検討会において、私ども実証事業について御報告申し上げましたとおり、本年度は大きく分けて、スライド 2 番にあります 3 つの事業を中心に実施いたしております。まず、 1 つ目が、口腔状態標準データセットの策定です。これは昨年度の事業成果を踏まえ、歯科診療情報の標準化を行うには、いかにすべきか、より具体的なデータ形式をどうすべきかということを検討いたしました。このデータセットについては前回御説明いたしましたが、 ISO とか ANSI/ADA 、米国の歯科医師会ですけれども、そういったもののほかに、更に医科等で、今、実際に運用されていますけれども、 SS-MIX2 といった規格があります。医科の標準規格になるのですが、こうした規格も考慮した上で、検討をしています。

2 つ目は、標準データによる歯科レセコンの活用の検証になります。歯科医院にあるレセプトコンビュータ、レセコンと呼んでいますが、その中に警察等からの依頼により、身元検査を行うための支援を行う機能、これをいかにして付加していくか。当然このレセコンについては一々患者さんの歯科情報を 1 から 10 まで全部院長先生が入力するようなことではなくて、極力先生の手を煩わせることなく、レセコンから自動的に歯科情報を抽出しまして、必要に応じてこの歯科情報を追記とか修正しながら、歯科情報の照合、身元検索を行う機能も付加してまいります。そうしたものを、今検討しています。

3 つ目は、歯科情報の包括的な標準化に向けての検討になります。この検討会において議論いただいているのが生前の歯科情報についてです。ここで検討された標準化情報を、平時や災害時を含め、身元確認を行う検死業務においてどのように活用していくのか。生前と死後との歯科情報の整合性、前回も御意見が出ていましたけれども、これが当然不可欠になりますし、警察の方々との協議も当然必要になってまいります。そのほかに実際に検死業務に従事された歯科医の先生方の意見も取り入れながら検討してまいりました。またせっかくこういった形で今後、生前の歯科情報が標準化されてまいりましても、これをどのような形で保管するのか、またデータのバックアップの部分も検討が必要になってまいります。さらに、この歯科情報をどのようなルートで収集するのか、またどういった形で情報提供をしていくのか等も、これからまた議論が必要な部分になってくると思います。こうした点を踏まえ、一応私ども今年度の事業を実施しました。

 資料をめくりまして、スライドの 3 4 番を御覧ください。スライド 3 は、標準プロファイル 26 項目 ( 昨年度策定 ) とありますが、先ほどもお話しましたとおり、昨年度私ども会員の先生の御協力を頂きまして、レセコンから抽出した歯科情報、それと実際に歯科医院さんに来院された患者さんの情報を、口の中を診察しまして、そうした情報を基に匿名化しまして、照合、検索の実験を行いました。その結果ですが、保険診療に基づく 26 項目、標準プロファイルと我々は呼んでいますけれども、この情報量を持てば極めて高い精度で絞り込みが可能であることが、一応昨年度、分かっています。今年度はこれをベースにして、具体的な標準データセットを検討いたしました。

 その下にあるスライドの 4 番、マークシートの部分は、以前も皆様には既に御覧いただいていますけれども、これがいわゆる標準プロファイル、 26 項目を基礎としたマークシートになります。マークする項目については通常の保険診療、診療内容に基づくものですので、歯科医であれば全く問題なく記入いただけるものです。また歯科医でない方、例えば警察の関係者とか、海上保安庁の関係者、また一般の行政の方もそうですが、そういった方なども、例えば既存のデンタルチャート、手書きのデンタルチャートがありますけれども、そうしたものから、このマークシートに情報を転記するようなことも体験していただいたのですが、ほんの数例、記入例を幾つか御説明するだけで、ほぼ皆さん歯科医でない方でも比較的スムーズに転記できる。そんなことも私どもが昨年度の検討した中で分かっています。

 資料をめくりまして、スライドの 5 番、 6 番を御覧ください。順に御説明いたします。最初に口腔状態で、標準データセットの部分です。この部分については、身元検索に有効となる標準的なデータ形式を定義するものになります。先ほどの御説明のとおり、この 26 項目の情報量があれば、極めて高精度に身元の絞り込みができます。この実験結果や全国各地の歯科医師の先生、また警察の方々、そういった様々な方々に広く意見聴取を行った結果、身元確認に資する歯科情報として、この標準プロファイル 26 項目をベースとして項目を単に平面的に羅列するのではなく、先ほど 26 項目一覧表がありましたけれども、これをただ 26 項目を平面的に並べるのではなく、前回の検討会でも御説明申しましたとおり、黄色い部分がありますが、階層構造に整理して様々な詳細度に対応が可能であり、かつ拡張性も供えたものとして策定しています。また、一番下にもありますが、 ANSI/ADA とか、米国歯科医師会発行の 1058 といった、そういう仕様書があるのですが、その互換性にも配慮しています。

 下の、この黄色い部分は今回のデータ形式に当たり、特徴はここに書いてあります木構造、ツリー構造の表現を用いたことになります。先ほどお配りした、資料で A3 の横長の資料、別紙 1 、口腔状態標準データセットの紙になりますけれども、併せて御覧いただければと思います。まず、別紙 1 の部分ですが、これは前回の検討会で御提示しました、口腔状態標準データセットをまた練り直して検討しました直近のものになります。表の向かって左側にいくにしたがって詳細度が粗くなります。御覧いただければ分かるのですが、歯があるのかないのか、そうした粗い情報が左側の列です。もっと左側にいくと、歯の番号や日付といった情報もあります。一方、右側の部分はより細かい情報で、歯の面の情報や歯の治療した材料、そういった細かい情報になります。これはいわゆる各歯ごとのデータセットの形になりますけれども、左下にありますように、義歯とかブリッジといった複数の歯にまたがる情報については、一応、別に情報をもって表現しています。これが別紙 1 の部分です。

 別紙 2 は、先ほど少しお話しました米国の歯科医師会 ADA のデータセットになります。皆様御承知のとおり、日本においては、この優れた医療保険制度がありますけれども、この部分については米国と必ず一致しない部分も当然あります。そうした部分もありますけれども、このデータセットにおいては、相互のデータ交換も十分に配慮されたもので、黄色い部分を御覧いただければと思います。これが別紙 1 2 になります。

 めくりまして、今度は縦長の別紙 3-1 、順にその裏に別紙 3-2 、別紙 3-3 3 種類のものを書いています。これはそれぞれ同じ状態の歯をこのデータセットを用いて、詳細度が高いものが 3-1 です。次に東日本大震災等でデンタルファインダーといったものを使いましたけれども、それによる表現がその裏の別紙 3-2 になります。 3 番目のものが極めて大雑把な区分と御理解いただければ結構です。要するに、歯があるのかないのかそうした区分 2 分類のものが 3-3 です。

 まず、別紙 3-1 から簡単に御説明いたします。これが最も詳細度が高い表現です。向かって左側の黄色い部分、歯で言うと右側の部分になりますが、 2015 3 1 日右下 7 番の全部金属冠の記録ということで、この部分、 ToothNumber とか、 ToothDate 、そういった情報がいろいろと記載されています。これが 7 番の情報で、非常に項目が多く書いています。その下は同じくデータの上書きになりますけれども、更に 2018 1 5 日右下 7 番の部分がインプラントの治療が施されています。この部分が情報として上書きされています。その下については、 2015 2 28 日右下 6 番のインレーの記録、 ToothNumber から ToothDate とそのほか詳細の部分、歯の部分や保険の有無、あと歯の面、そうした情報まで記録されています。いわゆるこの部分については最も詳細度が高い表現ですので、その下の黄色い部分全部がカバーされた状態です。先ほどお話しました木構造の部分が全部網羅されているものが、 3-1 になります。

 次に、 3-2 が、先ほどお話しました東日本大震災で用いたデンタルファインダー等の部分ですけれども、下の黄色い部分を見ると、先ほどの表と一目瞭然だと思います。例えば右下の 7 番は、項目、 ToothNumber ToothDate と、 Pre Res FRes 、要するにこの 5 項目で、先ほどと比べて項目数が随分減っているのがお分かりになるかと思うのですが、 5 分類表現にした場合の部分で、黄色い部分についても先ほどと比較していただければ分かりますが、圧倒的に少なくなっている。これが 3-2 です。

 次の資料の 3-3 が、最も情報量としては粒度の粗い 2 分類表現、歯があるのかないのか、そういった部分で表現したものになります。例えば今お話した部分は、歯があるかないかですので、当然下の黄色い部分は、先ほどのものと比べてこの部分の情報量が少なくなっています。こうした形の 3 つの表現それぞれ詳細度は異なるのですが、詳細度に違いがあってもこのように、 1 つのデータセット、木構造のデータセットの中で全て表現できます。これが先ほどから御説明しています木構造の特徴と言えるかと思います。このデータセットの部分については、またあと、青木先生から詳細を御説明いただければと思いますので、あとで青木先生、よろしくお願いします。

 先に私からざっくり御説明いたします。またスライドに戻りまして、スライド 7 、標準化情報によるレセコン活用検証の部分になります。標準化データセットについてはただいま御説明のとおりですが、このデータ形式が決まりますと、各歯科医院にあるレセコンの中に身元確認を支援する機能として、標準情報の入・出力、標準情報を読み込んだりとか、データとしての出力、紙とか、ほかの媒体に出力、印刷する機能、更に医院内のレセコンで個人を検索する機能を付加することができます。今年度事業の中でこういったレセコン付加機能について検討を行っています。

 次のスライド 8 番は、レセコン内部データと標準データです。各歯科医療機関はこういったレセコンを使っていますけれども、そうした様々なベンダーさんがあります。各社によりその機能も異なりますし、データの互換性が実はありません。レセコンの中にはどの機種の中でも、当然レセコンですから、歯科診療請求用の内部データ、そういったものも当然保存してあります。センター方式ですとこれが別のデータセンターに保管されているケースもありますけれども、これがいわゆる現在のレセコンの内部データとして入っているものです。これが先ほどお話したとおり互換性がありません。

 今、我々が検討していますのは、この内部データについては基本的にそのままになりますけれども、この内部データにある患者さんの歯科情報を基にして、先ほど説明した黄色い部分になりますが、口腔状態標準データセットに対応する項目を抽出し、標準データとして別に書き出します。これが今お話した部分の標準データの書出しというイメージになりますけれども、標準データについては必要に応じて、例えば院長先生が追記したり、修正も可能なものにしていますし、また新規データの追記も可能としています。先ほどお話したとおり、警察等からもし御依頼があればこの提供された、当然警察もこうした形で標準化情報という形でいただければ一番よろしいのですが、該当する方がいるかどうかを簡単に検索可能になってきます。これが今のイメージになります。

 次にスライド 9 10 です。今の話の部分ですが、既存のレセコンベンダーさん各社の内部データの、あくまでもこれはイメージとして、概念的に捉えていただければ結構です。例えば右上の歯牙の情報がレセコンの中に入っているとします。右上 8 番から欠損、 7 番が全部金属冠、ポンティックとありますけれども、そうしたいろいろな歯の状態があります。例えば A 社のレセコンでは、欠損という情報を、 10 というコードを用いて書くかもしれませんし、 B 社であれば同じ欠損という情報であっても、 M とか、 C 社が出ればこの 8 、というようなイメージコードで書くかもしれません。お話したとおり、同じそうした歯牙の状態であっても、レセコンのベンダーさんの中では、データの互換がありませんので、全く違う体系でデータが書い

てあります。

 その下のスライドになりますが、標準化がなされるとベンダーさんの各社の、まず内部データはそのままになりますけれども、各社、別の標準データとして共通の様式で階層型のデータとして情報をもつことができます。しかし、このレセコンによっては、メーカーさんによってもそうですけれども、機能も異なりますし、電子カルテに近いような非常に詳細な情報を持つレセコンもあるかもしれませんし、反対に、非常に乏しい情報しか書き出せないレセコンもあるかもしれません。例えばこれはあくまでも参考例ですが、スライド 10 の、右上の 8 、欠損という状態があったとします。欠損であれば Miss 、その下に NRep とありますけれども、例えばこうした形で普通は情報をもつにも関わらず、その下の A 社の場合、水色で塗っていますが、 A 社は非常に性能的に乏しいというようなレセコンであると、この Miss しか情報をもっていない。こうしたこともあるかもしれません。あくまでも例えばの話ですが、こうした形です。

 そのほかに、例えば右上の 4 番の、インレー部分ですが、標準的にはこの Pre から始まり、大体 5 つ程度の項目をもっている。ただし、先ほどもお話しましたが、この中には日付の情報とかそういうものも入っていますけれども、一応ここの中で必要なものだけ抜粋したものの記載になります。

 その下の A B C 社とありますけれども、本来標準的なレセコンであれば 5 つぐらいの情報をもっているのかもしれませんけれども、 A 社であれば、その 3 つぐらいしか情報をもっていない。 B 社であったら 4 つぐらいしかない。そういうこともあるかもしれません。当然これはレセコンのベンダーさんによって異なってはきますけれども、この中で標準化を行って、各社こうした形、標準化の様式で出せたとしても情報量としては若干違いがあるのですが、違いがあっても階層型によるデータ構造であるということを踏まえますと、互換については全く問題ないと。そう御理解いただければ結構です。これが今のレセコンの部分です。これについては、今現在、検討している段階です。

 スライド 11 です。レセコンの部分について、私どもは今実験を行っている段階です。昨年度、私どものほうで会員の先生に御協力いただき、歯科情報 1,704 件のレセコンのデータとマークシートのデータを抽出しています。今年度はこのデータを用いて新たに実験を行っています。先ほどお配りした資料の横長のものですが、別紙の 4 5 6 です。この部分も難しい内容ですが、またあとで青木先生から補足説明をお願いできればと思うのですが、私のほうでも簡単に説明します。先ほどの表の 3-1 3-2 3-3 で示しました 3 種類ですが、こうした詳細度の異なるものがありました。これをレセコンにある歯科データを、先ほどの詳細度の 3 種類の異なるデータと仮定して、これを前回の、昨年度の実験でも行いました CMC 曲線を使って、性能評価を行っています。

 簡単に言いますと、恐らく一番分かりやすいと思いますが、別紙 6 の下のグラフですが、 3-1 であれば 26 項目フルにカバーしているもの、 3-2 5 分類のもの、 3-3 2 分類の歯があるのかないのか、これがロジック 1 2 3 になります。この 1,704 名のデータを用いて、上位 1 %への絞り込み、例えば 1,000 人の集団から 10 人に歯科情報を絞り込む。絞り込みという観点で考えますと、フルに 26 項目の情報量を持っていると、あくまでもレセコンの中のデータにもかかわらず、全体の約 76 %の人が見つかるそんなイメージになります。その下の、例えば表で 3-2 の部分の図であっても全体の 70 %。更に 3-3 2 分類、歯があるのかないのかという情報であったとしても、全体の約 66 %の人が見つかるという、実験の途中ですけれど、こんなデータが出ています。これについてもあとで青木先生から補足いただければと思います。

 スライド 12 、これは前回の検討会でも御説明申し上げましたところですが、各社のレセコンに身元確認を支援する機能が付加されてきますと、例えば警察からの依頼、標準化されたデータを、こうした依頼がなされてくると各医院で様々な異なるレセコンを使っていたとしても、共通の様式に基づき容易に検索することが可能になります。歯科医院さんは大体 1 軒当たり 5,000 人とか 6,000 人ぐらいの患者さんの歯科情報を持つと言われています。こういった中で院長先生が 5,000 人全員のカルテを調べるのではなくて、標準化機能、もしレセコンであればこうした情報提供をいただければ、瞬時に検索が可能となります。これには当然歯科医療機関による情報管理の、原則院長がきちんと管理するという、その下で行われることになります。

 スライド 13 、最後のスライドになります。標準化によって何が可能になるかということで、前回の検討会の中でも御説明、御議論申し上げましたが、例えば 1 つ目、災害・事故等を含む緊急時における情報提供の迅速化。例えばマークシートでもいいですし、ウェブ等を介し、行方不明者の歯科情報を迅速に提供することが可能になります。 2 つ目、互換性のある歯科情報検索ツールの開発。いろいろなレセコンのベンダーさんが互換ツールを容易に開発することができます。 3 つ目、こうした身元不明者の検索、行方不明者の情報提供。身元不明もそうですし、警察に届けられる特異行方不明者、家出人もそうですが、歯科情報をかかりつけの歯科医院さんから入手する。こうしたことが容易になります。当然社会問題となっています認知症の部分、こういうものについても考えられるかもしれません。

4 つ目が、デジタル情報のお預かり・お渡しサービスです。例えば QR コードでもかまいませんけれども、診察券に QR コードを印刷し、治療が終わった段階で情報提供をする。若しくは紙に印刷したものをお渡しする。個人が自分の情報を管理するという考え方にもありますが、こうした形でデジタル情報をお預かりする。若しくはそれをお渡しする、若しくは歯科医院さんでお預かりすることもできます。 5 つ目、歯科健診所見のデジタル保存。学校歯科健診といったものがありますけれども、そのほかに、職場での歯科健診、あと節目健診や、更に後期高齢者の歯科健診が行われています。そうしたものをデジタル歯科情報として保存すること。こうした歯科健診の場合は、お話しましたように、情報量としては非常に少ないですけれども、先ほどの木構造による階層化により、これでも十分活用が可能になってくると思います。これも今後、有効に活用が期待される部分になってくるのではないかと思っています。

 データベース、データバックアップの部分は、両者密接に関係してくるものになるのですが、生前歯科情報の標準化、こうした形がようやく形になりつつあるかと思います。当然今後これを活用するに当たり、データの保管、バックアップといった部分が大きな課題になってくるかと思っています。

 以上が標準化によって可能になるもの、主なものを説明いたしましたが、ほかにも様々な活用方法があるかもしれません。いずれもこうした社会的にも極めて有益なものになるかと思います。それが私から今年度の説明になりますけれども、最後になりますけれども、昨年度も申し上げましたが、この歯科情報については非常に貴重な社会的共通の資本と言えます。これを有効活用するために、まずこの情報を標準的なものにする。標準化が急務であることを申し上げまして、説明を終わらせていただきます。

 また玉川先生から追加があるのですが、先に青木先生から、私の説明で至らぬ箇所が多々あったと思いますので、青木先生に詳細の御説明をいただければと思います。

 

○住友座長 

玉川委員ではなくて青木委員が先ということでいいのですね。 ICT の専門的な用語があったら、少し解説を付けたりして分かりやすく御説明いただければと思います。

 

○青木委員 

私が説明すると、分かりにくくなるかもしれませんが、一応、手短に考え方だけ御説明します。 A3 の別紙 1 、「口腔状態標準データセット」につきましては、新潟県歯科医師会を御支援したという立場で私からあくまで補足ということでお話いたします。この仕様ですが、各方面の御意見を取り入れつつ、実際には合計で 10 回弱の専門部会の打合せを行って、策定を行ってきました。本検討会でも、前回、既に原案をお出ししているものです。

 別紙 1 を御覧いただきますと、これは先ほど御説明いただいたとおりですが、一番左上に歯の番号がありまして、各歯について特徴が記述されます。そして、その歯の状態を表すために、黄色いセルの特徴を必要に応じて組み合わせて表現するというものになります。右下の枠のメモでいろいろ書いてあるのですが、特徴のことをここでは特徴を記述するものという意味で、少し難しいのですが「特徴記述子」と呼んでいます。英語で descriptor というものですが、これは単にこういう記号を決めますということです。

 短縮記号を各セルに示してあります。例えば、瀬賀さんが先ほど言っていた、中央部にある「歯牙あり」という特徴については、「 Pre 」という記号で表現しています。これは、 Tooth Presence の「 Pre 」という意味で略称を示しているということです。こういうものの組合せで口腔内の所見を表現するのだということです。

 なお、先ほど出てきましたが、別紙 1 は階層構造となっていまして、左側の上位層に行くほど情報の分解能が粗い。右に行くほど細かいという格好になっています。これによって様々な分解能、詳細度、粒度の特徴記述子によって口腔内を表現することが可能になります。

 なぜ、これがこういう階層構造を使っているかを御説明いたします。このように概念が階層的に整理されているため、特徴の意味や、お互いの従属関係が明確になります。これが何の役に立つかと申しますと、第 1 に、レセコンや電子カルテのベンダーが、自社のシステムからこれらの特徴記述子に対応するデータ、ここではこれを「標準データ」と呼んでいるわけですが、この「標準データ」を抽出するためのルールを明確にできるということです。曖昧さがなくなるということです。しかも、階層構造になっていますので、それぞれの会社の事情に応じた情報の細かさで「標準データ」を取り出すことができます。このようにルールが明確であるということは、取りも直さず開発者が簡単に「標準データ」を抽出するプログラムを開発できることになりますので、標準化がいち早く社会に浸透することにつながるということです。これが第 1 の利点です。

 第 2 の利点として、実は階層構造の概念整理を行うことによって、異なる細かさで記録された歯科情報を非常に分かりやすい検索ロジックで絞り込むことが可能になります。これについては、後で実験の結果をお示しいたします。これら 2 つの点が利点になるということです。

 また、 ANSI/ADA の部分(別紙2)は先ほど御説明があったとおりです。別紙 3-1 3-2 3-3 、これについても御説明のとおりです。これらは同じ口腔内の全く同じ所見ですが、いろいろと分解能を変更して記録できるように配慮をしています。例えば、 3-2 は、東日本大震災の 5 分類です。正確には小室先生がおっしゃっていたのは 4 分類ということだと思うのですが、情報なしを除くと 4 分類になるわけですが、こういったところも配慮してこういう記述、「全部修復」、「部分修復」、「欠損」、「 Virgin Tooth 」といったものも表現できるように配慮をしてまいりました。こういったところが、別紙 3-1 3-2 3-3 で説明したかった内容になります。

 これは、例えば、レセコンや電子カルテのベンダーさんが分解能の粗い情報しか出せませんという場合がある。あるいは細かく情報を蓄積する電子カルテの場合で、昨年度の例ですとオプテックさんが電子カルテの非常に緻密なものを持っておられて、そうなりますと細かい情報まで出せると。そういった多様なケースに柔軟に対応できる。それから、例えば警察ではもう少し粗い分解能で登録をしたいといったときに、そういった情報も表現できるようにということで、少し苦労しながら配慮してきたということです。

 「口腔状態標準データセット」が、身元検索とか、あるいは、より分かりやすく言いますと、個人の絞り込みという意味で、どの程度有効であるかを検証する実験を行いましたので、御説明いたします。ここは新しい発見がありましたので、少しだけ御説明させていただきます。別紙 4 を御覧ください。上段は細かいので省略いたします。ただ、これを書いておきますと、理工系の人間であれば完全に同じロジックを組むことができますので、一応、メモだけ書いておきました。

1 点のみ補足しますと、歯科情報を基に個人を絞り込む場合は、そのための検索のロジック、論理といいますか、アルゴリズムと言ったりするのですが、ロジックが必要になるわけですが、ここでは 3 つの検索ロジックを検討しています。上の右にロジック 1 2 3 とありまして、瀬賀さんから先ほど御紹介がありましたように、「ある、なし」検索がロジック 1 。ロジック 2 は、ある意味で「 5 分類検索」とほとんど同じです。ロジック 3 は、全部の特徴記述子を使った検索。こういう検索を表しています。

 その下の段を御覧ください。実験で使用したデータのことが書いてありまして、左下の図ですが、今回は昨年度事業で収集したデータの一部を使用しています。昨年度のデータの収集の流れが左下の図にありますが、 37 の医療機関の御協力を得て、昨年度策定しました 26 項目のマークシートがあり、御記憶されていると思いますが、これを用いまして同意を得た患者の 1,704 名分の口腔内を直接診査することによって、理想的な歯科情報を入手します。つまり、直接口腔内を診ていますので、全部の歯についてかなり丁寧な情報があると考えていただいて結構かと思います。これがマークシートの情報です。

 一方、新潟県歯科医師会と企業で共同開発、運用してきたレセコンが既にありますので、この内部データから、今マークシートで集めた同じ患者の 1,704 名分の標準データを抽出いたしました。この標準データと申し上げていますのは、先ほどの階層型の口腔内標準データセットに基づいて、そのデータをプログラムにより自動抽出したということです。これが 1,704 名分あるということです。ここで御注意いただきたいのは、マークシートのデータは、これは先ほども申し上げましたが、口腔内を診ていますので、ある意味で情報のたくさん詰まった理想的なデータであると。一方、レセコンから抽出した情報は、ごく限られた来院期間において保険請求された治療の特徴のみが抽出されています。そういうかなり情報量が少ないデータになります。

 右下の図にありますように、レセコンデータ 1,704 名分を、いわゆるこれはレセコンですから生前のデータであるとします。一方、マークシートで採取したデータは仮想的に死後のデータと考えます。大変失礼ですが、仮想ですので、そういった仮想実験を行います。こうしますと、どういうことが分かるかと言いますと、情報量が限られているレセコンの生前データが、いったいどれだけ身元確認に利用できるのかということが、結論として本検討会で分かることになります。こういう実験を行ったということです。

 別紙 5 を御覧ください。これも省略をいたしますが、これは 1,704 名分のデータが「口腔状態標準データセット」の各特徴記述子、先ほどの記号ですが、これにどの程度該当したのかという統計を示しています。各セルに記載した数字は、分母にある赤字がマークシートのデータです。青字がレセコンデータになります。当然ですが、赤のマークシートデータが、全般的に情報量が多いという結果になります。

 なお、右下に小さい棒グラフがありますが、これはレセコンデータ及びマークシートデータでの有効歯、有効だった歯の平均本数を示しています。実は昨年度事業では、階層構造のデータ表現を採用していませんでしたので、「歯牙あり」及び「欠損」といった情報をきちっと有効に活用していませんでした。今年度事業では階層構造で全部集計しまして、この歯が「あるか、ないか」という情報を入手した場合、つまり歯があるかないかが分かった場合、それも有効な情報だということで、有効歯に 1 本とカウントすることにいたしました。歯があるかないかということですから、非常に少ない情報ではあるのですが、レセコンでは歯のメンテナンスを行っているケースが非常に多いので、そういうことを考えて情報収集し、有効歯がレセコンであっても 27.5 本となっています。当然、マークシートでは、 30 本を超える有効な歯の情報があります。

 最後に、別紙 6 を御覧ください。これは昨年に引き続きグラフの見方が難しいので、結論のみ、先ほど瀬賀さんの言ったことを定性的に補足いたします。今回の実験では、端的に言いますと、全体の 76 %の方について、歯科情報の絞り込みによって、本人が見つかるのだということが分かりました。内訳をまとめますと、赤いラインが検索ロジック 1 です。「ある、なし」検索です。このように歯があるかないかの情報のみで、ほぼ 66 %の方が集計を階層的に行うと、見つかると。さらに、使用する記述子を増やしていきますと、それに応じて対象者が見つかる可能性が 76 %まで増大していきます。これに対して、まだ現在考慮していないものが、ブリッジとか義歯のデータです。これを今後取り入れていくと、更に性能が上がっていく可能性は十分あると考えています。現在、歯の情報だけで 76 %まで増加しているということです。

 ここで「見つかる」という言葉を補足しておきますと、どういう意味で見つかるのかということですが、例えばこれは 1,000 人のデータベース母集団があったときに、候補者が確実に 10 人以内に絞り込まれる。そういう意味で見つかるということを言っています。鑑定で判定できるということではなくて、あくまで身元確認ではなくて、身元の絞り込みでヒットしてくると。そういうことを「見つかる」という言葉で表現をしているということです。

76 %の方が絞り込みに成功するということは、実は私自身の東日本大震災の身元確認実務を対応した経験と照らし合わせますと、非常に有効であると結論できます。実際に宮城県の対応例では、 7 割の犠牲者の方に対して、歯科情報の検索が有効であるというエビデンスが得られています。 7 割といいますのは、生前情報がもしあった場合という前提条件が付きますが、そういう場合は 7 割方の犠牲者が見つかってくるということがデータとして得られています。今回の実験では、それと同等以上の性能がレセコンの限られた歯科情報を用いても、原理的にそういうことが可能であるということを示しています。個人的には、非常に驚きました。それと同時に、現在の事業の方向性が正しいことを確信させる結果であると個人的には思われます。

 以上、まとめさせていただきますと、今回は階層構造の「口腔状態標準データセット」を策定いたしました。この階層構造の表現は、 2 つの点で有効であります。第 1 に、データの収集に関する有効性です。これは、レセコンや電子カルテのベンダーがそれぞれの会社の事情に応じた情報の細かさで標準データを抽出・保存・活用することができるという意味で、広く適応可能な柔軟な表現であるということです。

 第 2 に、検索絞り込みに関する有効性が挙げられます。階層構造で特徴を整理しまして、これを検索ロジックの中で利用することによって、レセコンに蓄えられている、ある意味不完全なデータであっても、高い絞り込み性能を達成できました。委員の先生方の御協力によって、これが策定になりますと、東日本大震災で学んだ教訓の社会実装へ大きな一歩になるのではないかというように、これは一個人としても希望をしているところです。

 

○住友座長 

玉川委員、お願いします。

 

○玉川委員 

資料 1 に戻ってください。スライド 15 ページです。今、青木先生から、現存するデータとして、レセコンにあるデータを使えば、このような高い確率で見つかる可能性があるというお話がありましたが、レセコンの入ったコンピュータ自体が流れてしまったらどうなるかということも、この検討会では視野に入れておくべきということを、専門部会でお話させていただきまして、バックアップということで御説明いたします。

 ただ、バックアップといいますのも幾つか考え方がありますので、その考え方の整理の部分が 15 16 ページ、現在のものに対してどうすればいいかが 17 18 ページです。 15 ページにありますのは、バックアップとは何ぞやということでして、 1 つはフルバックアップ、もう 1 つは診療情報の交換も視野に入れたバックアップと、その 2 つに大きく分けて考えています。

 フルバックアップと申しますのは、例えば右側に写真を出しておきましたが、ある医院なり医療機関なりで入れたデータとそのデータが動いているシステムとの両方をそのまま全部バックアップしておこうという考え方です。災害が起こった後、医療機関が再開したらどうするかというときに、システムだけ持ってきても駄目ですし、データだけでも駄目ですので、両方をしまっておこうと。これを「フルバックアップ」と呼んでいまして、両者の関係が固定ですので、ものをとりあえずしまっておくだけということでできようかと思います。先ほど瀬賀委員から、クラウド上のそういうデータ保管もありますという御紹介がありましたが、既にベンダーさんによってはそういうことをサービスとして提供している所もあります。

 今回、我々が目指すべきは、フルバックアップではなくて、診療情報の交換も視野に入れたものがよいだろうと考えています。診療情報の交換とはどういうことかと言いますと、 1 つの医療機関の中だけで情報交換できるようなケースもあるでしょうし、 2 つ目に挙げましたように、医療機関間で情報交換する考え方もありますし、 3 つ目に挙げておきましたように、医療機関間と時間も含めた過去履歴の診療情報交換もあるだろうということで、 3 つのステップがあると思うのです。

1 つの医療機関の中での情報交換としては、例えば診療所でレセコンをお使いで、画像は別のシステムをお使いのような場合に、画像とレセコンの間の患者情報をつなぐ仕組みに関してどこでバックアップを持つかという話になってまいるかと思います。これもフルバックアップに近い形と考えられまして、特定のメーカー同士であればデータ交換が多分できるようになっていますので、このあたりまでは既存のものにお任せしていいのではないかと思います。

 次に我々が目指すべきところといいますか、本来考えるべきところはその 2 つ目でして、医療機関間の情報交換です。もう少し簡単に言いますと、青の括弧で書いてある情報です。患者が継続して診療を受けることを担保できる診療情報、これを医療機関間で交換できるようにしておきますと、仮にある患者が通っていた診療所のデータがなくなったとしても、別の診療所の先生がそのバックアップしてあるデータを見て、では、この人に対して次は何に気をつけるべきかを判断できると。そういう情報交換の粒度があろうと思います。今回、歯の情報については、およそこういう形で共通に保存しましょうという形ができましたので、次はそれを医療機関の間で共通で利用するには、どうしたらよいかを考える必要があることを、専門部会で述べさせていただきました。

 では、この 2 つといいますか、継続して診療を受けられる内容を担保しようと思いますと、なかなか難しいのですがお手本がありまして、それが 16 ページに書いてあります。これは国立大学附属病院のバックアップの例です。昨年度、文部科学省の予算案で、全国の国立大学の病院情報システムに対して、こういうふうにバックアップしましょうというシステムの予算が付きました。そして、現在、動いています。

 具体的には、右側に図がありますが、日本を地理的に東と西に大きく分けまして、フルバックアップに関して、東日本の大学博多にあるデータセンターに保管しようと。西日本の大学は、これは多分北海道の札幌だと思うのですが、東に保管しようということでありまして、フルバックアップは地理的に離れた所にしまっておくということです。

 万が一の緊急時には、フルバックアップのデータを戻すわけにいきませんので、もう少し簡略化された形でデータを持ちましょうということで、「 SS-MIX 」と書いてありますが、これは自分たちの大学の近くで東日本では西日本以外にもう 1 か所置いておくと、そういう形にしています。 SS-MIX のデータとは何かといいますと、これは具体的には病名とか、その患者が飲んでおられる薬とか、検査の結果とか、アレルギーの情報とか、そういったものが含まれています。、診療録の全体を保管するのではなくて、その中から重要なものだけをピックアップして保管しておこうと。それは比較的近い所にも保管しておいて、ネットワーク経由で SS-MIX を見にいくための端末を別途用意して、災害時に来られた DMAT のメンバーもそれなりのオーソライズといいますか、権限を与える、与えないのステップを経て、そのデータを見にいくようにしようということです。

 ですので、国立大学の病院情報としましては、フルバックアップのほかに、簡略版の SS-MIX という形のバックアップがあるということで、緊急時は SS-MIX の形式のものを見にいきましょうとなっています。そして、災害があった後何週間かしますと、ネットワークも回復するでしょうし、電気も回復するでしょうから、そういう状態になったら、遠い所に置いてあるデータセンターのデータを箱ごとと申しますか、ハードディスクごとといいますか、車で運んで、病院の情報システムとしてデータとシステムの両方を回復させるという仕掛けになっています。言うならば、全部バックアップするものと短縮版と 2 通りのデータを持っておいて、災害の後すぐ、あるいは災害の後しばらくたってからそれぞれわけて対応できるような仕掛けが動いています。

17 ページに行きます。ここでは SS-MIX の形式を利用して歯科のデータをどのように持てばよいかということの概念を書いています。口腔状態スナップショットということで、前回の検討会でも一部御説明いたしました。患者の最終来院時の口腔状態を 1 つの医療機関にある電子データで表現するということでして、具体的には口腔状態の標準データセット、これは今、青木先生たちを含めて標準化されつつあるこのデータセットです。それに初診時の口腔状態、例えばこの患者の粘膜に何か特徴がありますとか、顎骨に何か特徴がありますとか、そういう初診時の特徴、あるいは自費のコード、そういうものも含めたコード群も追加するほうがいいだろうと思っています。スナップショットの基本は現在ここに出ています標準データセットですが、それプラス口腔状態として歯式のコードや病名のコード、これらは支払基金のコードがすでにありますので、後どういう治療がなされたかに関しても表現できます。そして口とは別に取り外しができる人工物、具体的にはデンチャーということになろうと思いますが、そういうものに関するコード群も一緒に持って、それを SS-MIX の形式で保存しておくとよいのではないかと、そういう提案です。

17 ページの右側に赤と青でコードの構造が示してありますが、赤い部分がツリー構造を持った現在のコード体系で、青い部分がそれにプラスアルファすればいいのではないかという部分です。具体的には根管の状態などが右の下のほうにあります。それから、レントゲン所見や粘膜、舌、そういう所の所見を追加した方が良いものです。そういうものが追加されると、新しいコード体系ができるのではないかと考えています。

 以上、まとめましたのが、 18 ページにあります口腔状態のスナップショットでして、初診の情報、再診の都度更新される情報、そして技工装置の情報と合わせて持つことで、将来的にデータのバックアップ、そしてそのデータを医療機関間で参照できるようになると。そう考えています。

 

○住友座長 

今、 3 名の委員から説明がありました。委員を指名するか、若しくは内容を示すかということで、発言者は委員名を述べてから質問に入っていただきたいと思います。質問をお受けいたします。よろしくお願いします。青木先生、何か補足の御説明はありますか。

 

○青木委員 

英語が出てきたりしてなかなか分かりにくいのですが、一応、先生方が御発言していた部分は、できるだけ吸収して、統一的なものの中に取り込んでいけるようにということで工夫をしてまいりました。検索の部分は、私たちは「口腔状態標準データセット」ということで、こういう情報が必要なのではないかということですが、それに対して玉川先生のバックアップといった場合は、もう少し範囲を広げて拡張しておきたいという話です。

 そういう意味で言いますと、昨年度やった事業から、拡張してあると言っても、たくさんの情報を出さなくてはいけないというのではなくて、できる部分だけお使いいただくという格好で拡張してきました。さらに、玉川先生のお考えで拡張していくと。それも全部出すというのではなくて、必要な部分を利用いただくという格好です。標準としては、全部ある程度網羅的に作っておいたほうがいいのではないかと、そういう専門部会の意見になっております。

 

○住友座長 

平成 26 年度の事業内容として、ある意味すごくいいプロダクトができていると認識します。これで平成 26 年度の成果は上がったと理解をしていますが、皆様方、御意見をお願いいたします。バックアップの在り方については、また後でお話があるかもしれませんが、次の年度でかなり進めていこうと伺っていますが、何かありますか。

 

○小室委員 

日本大学の小室です。詳細なデータを御説明いただきまして、ありがとうございました。単純な質問になってしまって申し訳ないのですが、別紙 6 として最後の縦長の事業のロジック 1 2 3 の図があるわけですが、レセプト情報は何箇月分を収集して検討しているものですか。何箇月分ぐらいですか。それが 1 つです。

 

○瀬賀参考人 

レセプト情報ですが、一応これは昨年度事業で収集したデータが基になっていますので、その事業の実施期間でお考えいただければと思います。

 

○小室委員 

そうすると、レセプト 1 枚ということもあるし、ある人によってはレセプト 5 枚ということもあるわけですね。

 

○瀬賀参考人 

そうです。多い情報を持っている方も当然います。

 

○小室委員 

そうですね。そうすると、情報量としては恐らく一様ではないですから、様々な状況でロジック 1 2 3 を検討されてこのようなグラフが出来上がっているということは、情報量が少ないので、 1 2 3 に分けたとしても、きっと余り差が出てないということになるのですよね。

 それを考えつつ見ていますと、 76 %の人が 10 位以内に入ってきて何とかなるということですが、そうすると逆に考えると、後の 24 %の人はレセコンでは無理ということになるのですかね。

 

○青木委員 

実はこれはまだ完全に全部の情報を使っているわけではなくて、例えば今後いろいろ考えなくてはいけないと思うのは、ブリッジとか、デンチャーとか、こういった部分は一切手付かずで、時間がなくて、これはやっておりません。

 

○小室委員 

そういうようにおっしゃっていましたね。そうするとロジック 3 、あるいは 4 となるのかどうか知りませんが、 4 5 6 といくに従って、グラフは当然上に上がっていくわけですよね。

 

○青木委員 

はい。

 

○小室委員 

それをどの程度までに上げていくかということになるのですが、いずれにせよ伸びていってもどこからはプラットになってくるわけですから、上げる部分の位置がどこかが、レセプト上では最終的に検討しておかないといけないことですかね。それをしたほうがよろしいかと思ったりしてみて、聞いていました。

 そうすると、レセプト以外にあったほうがいいことは当然分かってきていますので、残りの情報をいかようにして集めるかということの方策を考えていくかですが、先生もおっしゃっていましたが、それがない限りにおいては、これはどうしても限界があるわけで、そこをクリアしないとこの事業が伸びないことになりますので、ここを検討すべきかと思いましたね。

 

○青木委員 

私自身、逆に 7 6 分見つかるということに大きく驚きまして、非常にヒット率が高いというのが私の印象です。それから、先生がおっしゃるように、どういう部分が抜けているかと言いますと、 1 号用紙の部分です。先生は御存じだと思いますが、これは 1 号用紙を入力するように、実は BSN アイネット、新潟の企業のレセコンも入力はできるのですが、それを活用していない部分もありまして、そういう意味で言うと、現在は、初診時の情報は使ってない検索であるというのが第 1 点です。

 ですから、これは先生方のお考えにも、歯科業界のお考えにもよるのですが、こういった部分をきちっと入れるようにするのかしないのかも含めて、これは日本歯科医師会等のお考えもあると思うのですが。こういった部分(初診時の情報)はない情報でやるとこうなるということ。これが第 1 点です。

 もう 1 点は、自費治療の部分です。レセプトコンピュータの内部データを使っています。レセプトコンピュータに蓄積されていて、治療のために色が、歯の特徴が変わっていくような、その状態の情報を使っていますので、そういう意味では、それでもレセプトで請求した部分の歯の情報しかない。そうなってきますと、保険適用外の治療の情報はありません。保険適用外の治療となりますと、昨年度のオプテックさんの電子カルテですね。レセプトコンピュータではなくて電子カルテに発展させた形態のソフトウエアを使っておられましたが、ああいうものであると、自費の部分もある程度データとしては標準フォーマットの中に出てくると。その 2 点は、今後、非常に大きな重要な情報のソースにはなるのではないかということです。

 

○小室委員 

確かにレセコンだけで 10 人ぐらいに絞り込めるのは、これは大変なことだと思うのですが、私たちから言うと、 10 人に絞り込むことが目的ではなくて、せいぜい 30 人ぐらいまでに絞り込めばいいかという気がしますよね。 30 人ぐらいに絞り込めば、後は歯科医師が目で見れば分かることがありますので、さほどこれを高めにしなくても、グラフ的には低くても 30 40 人ぐらいに収まれば十分かと思ったりもします。

 

○青木委員 

小室先生がおっしゃることは、多分、警察の中の話もあると思いますので、そうしますと、どのレベルの検索精度がよいか。一方、医療機関がといいますか、歯科の分野としてはできるだけ多い情報を取っておきましょうという考えがあります。これは鑑定にも役立つ情報を取っておくのです。ただ、警察の中でどのレベルの精度で、あと労力もありますので、ものをつくっていくかは、それはそれでまた御検討いただく必要があるのではないかと個人的には思います。ただ、歯科医療の分野としては、できるだけその後の鑑定にもお使いいただける精度の情報のバックアップをきちっと取っておくのは、非常に重要なポイントではないかと思います。そこはまた、警察の関係の皆さんと御議論いただく必要がある部分ではないかと思います。

 

○住友座長 

柳川委員、お願いします。

 

○柳川委員 

ここまで標準化について詳細に御検討いただき、成果を挙げていただいた新潟県歯科医師会と、青木先生、玉川先生に、私から御礼を申し上げます。

 今の御指摘にあった点とは全く違う質問なのですが、もともとが身元確認に資する歯科情報ということで、東南海辺りの、東日本よりももっと大きな地震がきたときにどう対応できるか。具体的なイメージでいうと、歯科情報で何万体というスクリーニングが可能になるというのが目指すところだと思いますので、その上で御質問します。

 標準化、来年、再来年の事業を厚労がお考えだと思いますが、後ほど話があると思います。私が玉川先生、青木先生辺りに伺いたいのは、各ベンダーさんが協力して、歯科界が標準化について同じ認識を持つ、同じ様式にするということが標準化だと思っていたのですが、どの段階で標準化できたと言えるのかが難しい感じがするのです。最後に玉川先生の説明でも、「目指すところ」という御説明がありましたが、果たして標準化はこれで一段落して、今後は活用をどうするかという話をしましょうというところの段階というのはいつなのか、どういう段階で標準化できたと考えていいのか、ぼんやりした質問かもしれませんがお答えいただければ有り難いと思います。

 

○住友座長 

どなたがお答えしますか。

 

○玉川委員 

大変難しい御質問だと思います。標準化のそもそもの目的があると思いますので、その目的に合う粒度で共通のものができれば、それを標準化と呼んでいいと思いますし、足りないものを追加、削除していくという作業を含めて、理想のものができなかったら標準化ではないのかというと、そうではないと思うのです。

 そういう意味で、今回なぜこのレセプトコンピュータかという話になりますと、日頃の診療に加えて、身元確認のためのデータを新たに何か入れるという労力を現場の先生方におかけしないでも、普段の診療の情報を集めてくるだけで何とか身元を検索できるようにしましょうと。そのために必要なデータはここまでの範囲ですよというのをお見せするのが、今回の標準化のゴールだと思っております。

 先ほどスライドで示しましたが、もっと長い時間をかけて、その方の健康履歴を全部見ましょうというところまでは、今回のスコープというか、標準化の視野の中には入っていないと理解しています。

 

○小室委員 

それに関係すると思うのですが、 1,704 名について、ロジック 1 、ロジック 2 、ロジック 3 で検討されていますが、全部を集合した 1,704 名をロジック 1 、ロジック 2 、ロジック 3 で検討することも、確かにこの場所に出ていますから効果があるのですが、 2 分類でやらなければいけないというのは、 2 分類しかないからそれしかできない列群はあるはずですよね。ですから、ロジック 1 に合う、ロジック 2 に合う、ロジック 3 に合うような 1,704 名を振り分けた形で検討してやると、もっと精度が上がりますかね。

 

○青木委員 

はい。

 

○小室委員 

それを知っておいたほうが、レセプトの基準がないような感じがするのです。

 

○青木委員 

各メーカーさんによって違うと思います。例はいいかどうか分かりませんが、モリタさんのレセコンだと非常にいろいろなものを持っていて、性能がある程度出るということもありますし、そういうものをほとんど取っていないようなメーカーですと、 2 分類情報のみは、普通はあると思います。お掃除したところの情報などが入っています。そういったメーカーもあり得ます。

 ですから、どちらかというとベンダー間の違いみたいなものを、分析をするのがいいのかどうか分からないのですが、一旦こういうものを決めたら、それぞれのメーカーさんで対応状況はどのぐらいできるかという情報を取ってみる必要がある。ただ、それを全部表に出して、 A 社、 B 社、 C 社のどれがいいかということを議論するというよりは、一応データとしては調査をしてみるほうがいい。それをスタート点にして、先生のおっしゃるような。

 

○小室委員 

7 から 7 まで書いてあって、 P とあったら、それはどう考えても 2 分類でやるしかないのですよね。

 

○青木委員 

そうです。

 

○小室委員 

そうすると、そのことがパーセンテージを下げている結果にもなっているわけですよね。

 

○青木委員 

はい。ですから逆に言うと、私は少し驚いたのは 2 分類だけでも意外と役に立つなという、先生が普段おっしゃっているような部分なのですが、これはこれで面白いなと思いました。

 それが今回はたくさん取れましたので、それで全体的にベースが上がっている、全部押し上げているというような観点もあるのです。

 

○小室委員 

先生もおっしゃっていましたが、 2 分類は駄目ではなくて、 2 分類でもできるものもあるし、 3 分類でもできるものもあると。こういう言い方ですよね。

 

○青木委員 

はい。それが複合的に存在していることになります。

 

○住友座長 

ほかにどなたかございますか。先ほどの柳川先生の質問なのですが、次回の話になってくるのだと思うのですが、スライドの 13 ページに標準化とあります。今後、標準化によって可能になるものという形のようですが、求めるレベルで標準化のレベルが変わるような気がするのです。それはそれでもいいのではないか、全部一律というわけにはいかないだろうと思うし。

 それから、話は戻りますが、自費がどういうようにするのかというので興味を持っていたわけですが、電子カルテ的なものを入れてくれればいいのだろうけれども、そこは今はそこまで求めるのは難しい。だから、そこをどのように今後対応していくかということなのですが、青木委員はどのように考えますか。

 

○青木委員 

村岡先生に聞いたほうがいいと思いますが、私から前振りで言いますと、今回の新潟の実験では、先ほどの数字は自費のものがほとんどない状態です。マークシートは観察したので分かるのですが、マークシートは医師が見て付けていますので、インプラントも分かれば書いています。ただ、レセコンの中にはインプラントのようなものは一切入っていない状態です。

 ですから、新潟の実験は、いわゆる先生がおっしゃる中のレセコン的なものだけで検索をした結果で、こうなっていると思います。

 おっしゃるように、自費とかいろいろな電子カルテ的なものが広まってきますと、いろいろと精度が上がってくることは十分あると思いますが、医療機関でレセコン、電子カルテがどの程度普及しているかというと、楽観できるかどうかは私も存じ上げないので、そこら辺は歯科医師会の先生の感覚のほうがいいのではないかと思います。

 

○村岡委員 

今までの議論も含めて、幾つかお話をさせていただければと思います。

 最初に、最後に出た問題を先にクリアしておきたいのですが、電子カルテと自費の部分は別の問題として考えたいと思います。電子カルテというのは電子化したカルテですので、自費のものが入っているかどうかというのは、電子カルテでなくても、 1 号様式の最初に書き込めば済むことです。ですから、電子カルテをどうするかということでなくて、どのように情報を持つかということだと思います。

 それから必要なことは、残念ながら亡くなられた方の直前の最終型をその方のデータとして持っていることが大事だということです。それを考えて、ものを考えていきたいと思っています。

 今まで実証事業でやってきたことは、 3 つぐらいのレベルを見て、どのぐらいの率で上位 1 %に上がってくる可能性があるかを見たという実証事業だと思いますので、それをどのレベルのもので我々は良しとするかというのは、今後決めていかなければ問題だと思います。

 そのときに、今までこれはこういう方法でやってきたけれども、このレベルでいいとなればその方式を採用して、高度のソフトを作っていただいて、各ベンダーさんがそれに準拠したそれぞれのレセプトソフトを作っていただければいいと思います。

 その 1 号カルテにどのように書き込んでおくかということ、それを吸い上げるかということが、玉川先生のスライド 17 に出ている最初のスナップショットと口腔標準データセットで、きちんと取り上げられれば、そこは全部クリアできると思っておりますので、そういうことを含めて、この標準化は柳川委員が言われたように、今後どこをもって「これでいいね」という形にするかということになってくると思いますので、これらの 3 つの方法をやって、どれがよかった、これでもいいねとか、このほうがいいねという結論を出したところで、あとそこに具備すべき条件をどう付けるかということで、ほぼ終わるのではないかと理解をしております。

 

○住友座長 

玉川委員、今、村岡委員からお話のあった先ほどの 17 番ですが、この可能性というか、このように進めていくということですね。これは平成 27 年の話になってくるのだろうと思うのですが、この見通し等について何かあれば、お話いただければと思います。そして、次の資料 2 の話に入っていこうかと思います。お願いします。

 

○玉川委員 

見通しということですと、コード体系そのものを作ることはできると思います。というのは、現在、いわゆる基金の情報として診療行為も入っていますし、特に難しいところは軟組織をどのように扱うかだと思うのですが、硬組織に関しては、あるいは技工装置に関してはほぼ決まったものがありますので、そこの部分は見通しとしてはあると思います。

 これも補足になりますが、今回の口腔状態の標準データセットというのは、どのようなレセプトコンピュータのメーカーであっても、そのデータを出せるよと。それの受け皿ですという意味がありますので、小室先生が言われたように、うちは 2 分類しか出せませんというメーカーさんであっても、この形式で出してもらえば検索することができるようになるということで、データを出せるベンダーさんを増やすという意味もありますので、決して 23 でなければ駄目といっているわけではなくて、たくさん集められるように、いろいろな場所に受け皿として設けてあるのが「標準」という意味ではないか。それと同じようなことができると思っています。

 

○住友座長 

それでは、事務局から平成 27 年度の事業等に関する説明をお願いします。

 

○大島課長補佐 

資料 2 「歯科診療情報の標準化に関する実証事業の概要と今後の展望について」です。本事業に関しては、昨年 ( 平成 26 )6 月に閣議決定された死因究明等推進計画にも位置付けられており、この図の左下にも示していますが、 1 点目が、歯科医療機関で使用されている電子カルテ等に必要な情報提供機能を搭載できるための周知及び支援、2点目として、災害時に歯科診療情報が消失した際に備えるためのバックアップを推進する方策の在り方に関する検討、この 2 つを進めていくこととしております。

 平成 26 年度に関しては、先ほどの御説明にもありましたとおり、電子カルテやレセプトコンピュータ等に身元検索が可能な機能を搭載できるよう、歯科診療情報を標準化するためのデータ様式、ここでは口腔状態標準データセットと称しておりますが、この案をお示ししたところです。

 今年度の事業結果を踏まえて、平成 27 年度に関しては、このようにして提示された標準化のデータ形式案について、その実現可能性について確認するとともに、災害時に歯科診療情報が消失した際に備えるため、先ほど玉川委員から御説明があったところですが、バックアップの方策の在り方について検証することとしております。したがって、今年度同様に次年度も検討会を 2 3 回程度開催するとともに、委託事業においてモデル事業を実施し、検証を行っていきたいと考えております。予算案額に関しては、 1,163 8,000 円ということで、国会に提出しているところです。

 現在、国際標準化機構 (ISO) においても、災害による犠牲者の身元確認に資する歯科情報の標準化について協議が行われていると把握しており、この動向を踏まえつつ、本事業において検証を重ねて、死因究明等推進計画に記載されているとおり、身元確認に資する歯科診療情報を提供する環境の整備を進めていきたいと考えております。皆様におかれましては、次年度以降も引き続き御協力を賜ればと思っております。以上、簡単ですが、事務局からの説明とさせていただきます。

 

○住友座長 

平成 27 年度の事業計画について、質問がありましたらお受けいたします。

 

○多貝委員 

平成 26 年度におきまして、データセット、情報の要素、特徴記述子という辺りまでは整理されたかと思うのですが、実際にどういう形式で書き出したらいいか、歯科用コンピュータから書き出す形式については、まだ策定できてないので平成 28 年度以降、複数社で実装ということを考えると、その辺のデータ形式までを決定する必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

 

○住友座長 

事務局、いいですか。

 

○大島課長補佐 

御指摘のとおりであるかと思っております。平成 27 年度にどこまで進捗するかは今の時点では何ともいえないのですが、可能な範囲で、委託先業者とも協力の上、データの様式、出力方法等について検証していきたいと思っております。

 

○住友座長 

今の御質問で、何か追加はございますか。「平成 28 年度以降」と書いてある図の部分を、少し平成 27 年度に組み込むという理解でいいですか。

 

○多貝委員 

というよりは、平成 28 年度以降に複数社でやっていこうと思うと、平成 27 年度のうちに実際の、例えば XML でこういう記述をするというような辺りを、できれば詳細な情報があるケースや最低限の情報しかないケースを含めて、サンプルのようなものを示していただけると、実装を各社取り組んでいけるかなと思います。

 

○住友座長 

事務局、今の要望はどうでしょうか。

 

○玉川委員 

SS-MIX を前提にしますと、 XML という形式で SS-MIX 自体が動いていますので、そういう形になろうかと思いますが、具体的にどの形かというのはまだ検討していませんが、多分そういうことになると思いますし、工業会のメンバーの方々を含めた検討が必要だと思います。

 

○住友座長 

事務局、今の御意見を踏まえて検討しておいてください。よろしくお願いします。先ほど事務局から話のあった ISO の歯科専門委員会で、歯科情報の標準化、歯科情報による身元確認という TC106/SC3 のワーキングの 5 で、東北大の佐々木先生が出ておられると思います。このことについて、村岡委員から情報提供をお願いできますでしょうか。

 

○村岡委員 

私から ISO TC106 の会議について、経緯についてお話をさせていただきます。もともとは 2012 9 30 日から開かれた第 48 回のパリで開催された会議において、議長であるジョーンズさんから、東日本大震災において歯科所見による身元確認では歯科従事者の重要な働きを再認識したということで、そこについて今後新しい事業として、 ISO で取り組むべきではないかという御提案が出されました。

 そのときにアメリカ歯科医師会の標準化委員会から災害犠牲者の同定ということで、ある程度検討しているということが報告され、これは課題として今後取り上げていく方向で考えましょうということになり、次の 49 回は韓国のインチョンで行われましたが、その会議において、先ほどお話のあった SC3 のワーキング 1 で、身元確認についての部会が出来上がり、そこにはオーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、日本、韓国、ノルウェー、タイ、アメリカの 9 か国が参加され、ワーキングが開催されました。

 そこで、先ほどお話がありましたように、佐々木先生が東日本大震災のときの状況を詳細にお話をされました。その会議の結果、歯科的情報による身元確認の重要性とデータセットの標準化の必要性が各国と共通認識として確認されました。

 その後、ワーキンググループをきちんと立ち上げるということで話合いがなされ、そこでは最終的には 6 か国、オーストラリア、ベルギー、フランス、イタリア、日本、アメリカの参加の下でのワーキングを設置するということになりました。

50 回の会議は 2014 年のベルリンでしたが、身元確認という検討グループでは 11 か国が入りましたが、そこで生前データと死後データの比較が容易になるためのデータの互換性を持つことが大変重要なので、そのことを考えて進めていきたいという話が出て、インターポール、アメリカ、イタリア、日本というところから現状の説明があり、もう 1 度新たにワーキングを立ち上げるということで、アメリカが座長、日本がサブとなり、そこで標準化コードということで動き始めました。

 先ほど青木委員から、 ADA の詳細なツリー構造のものが示されましたが、これがこのワーキングではたたき台になり、そこにどうやっていくかということで、逆に言うと、今日本でやっているものが、ここに載せる日本的なものの考え方ということで、詰めをしていると認識をしていいかと思っています。今、状況としてはそういう状況になっています。

 

○住友座長

今の村岡先生の情報提供について、御意見はございますか。これは国際標準というところまで考えておられるのですよね。

 

○村岡委員 

このワーキングである程度合意が得られ、それが親会議で承認されれば、世界基準というか、 ISO の基準ということになるかと思いますが、そこにはある程度、一緒に検討しているグループの中はもちろんのことですが、自分たちが持っているもののほうが都合はいいわけですから、そのところでどのぐらいのすり合わせをされるかということになるかと思います。少なくともこの分野において、アメリカと日本は世界の中ではトップクラスですので、そこでやっているものがより様々な面で検討された上での出来上がりのものですので、その線に沿って標準化というか、 ISO の基準になるという可能性は十分にあると思っております。

 

○住友座長 

このワーキンググループの 5 となって、歯科情報による身元確認ということですが、これはターミノロジーの分類に入っているのです。ですから、システムというより用語の形が、ここのポイントだろうとは思っております。また村岡委員から情報提供いただければと思います。今年はどこでやるのですか。

 

○村岡委員 

把握しておりません。

 

○住友座長 

今年もこの話が行われると理解してございます。

 

○小室委員 

このような形で進んでいくというのは、非常に期待を持つわけですが、いわゆるインターポールの DVI システムがこれまではあって、それを進めていくような感じがいいのではないかという話もあったのですが、それとの住み分けはどうなっていますでしょうか。

 

○村岡委員 

これには日本歯科医師会の器材薬剤担当の冨山常務が団長として出席しておりますので、そこから報告を受けている範囲では、今、立ち上がっているアメリカを座長としているワーキングで検討していますので、そこにインターポールの様式がどのぐらい入ってきているかというのは、今の段階ではあまりないようです。向こうの意見として伺っているけれども、差し当たって、今ここにあるものを重点的にきちんと整理していこうという流れのようですので、その後、答えがワーキングで上がってきたものが揉まれる可能性はありますが、今の段階ではそういう流れでやっているようです。

 

○柳川委員 

村岡先生がお答えになったとおりなのですが、 3 年ぐらい前に、当初日本に依頼があったときに、私が日本 ISO 委員会に行って状況説明した後、オーダーがあったのは、被災地の歯科医師の話を聞きたいということで、青木先生経由で東北大にお願いしたのですが、どうもそこのニュアンスからもう大分進んでいるのですが、もともと大規模災害を想定した身元確認目的ということではなくて、各国のニュアンスは違うようです。

DVI に必ずしも統一しようという流れはそんなにあるわけではなくて、互換性というのでしょうか、アメリカ国内でも 1 つになっていない。例えば軍が持っている様式と、ある州政府が持っている様式、あるいは日本の厚生労働省に当たる所が考えている様式は違うようで、その辺も含めて、全く 1 つに統一しましょうというよりは、互換性を持たせるというようなニュアンスに伺いました。

 

○小室委員 

結構温度差があるのですよね。アメリカは座長になって頑張っているのは、テロとか、語弊がありますが戦争などで亡くなるケースも多いということで、かなり力が入っていますが、例えばカナダというのはほとんど災害がないですから、日本国内でも温度差があるのに、おそらく世界的に見るともっとその差は大きいのだろうと思います。せいぜい集まっても 11 か国ですものね。

 

○住友座長 

加わっている 6 か国の名を見ると、災害の多い国が残っているようにも見えますね。委員の方々、何か御発言がございましたらお受けいたします。

 

○柳川委員 

先ほど座長からもお話のあったスライドの 13 番で、標準化によって何が可能になるかという図があります。右下に「身元不明者の検索」「行方不明者情報提供」と書いてあります。今日は警察庁からオブザーバーでお見えですが、お答えはなかなか厳しいかと思うのですが、先ほど厚生労働省から次年度事業についての説明があったときに、死因究明の推進計画が左下に書いてあります。ここの同じ第 2 条の 7 項でしたか、重点施策の中に身元確認に係るデータベースの整備というのがあって、今回バックアップうんぬんについてもここに書いてあるというところだったのですが、これは厚生労働省のものですが、警察庁は、行方不明、特異家出人捜索といったことについて、もともとたくさんご遺体が出てくるから、 DNA 型の情報だとか歯科情報を整理・保管・対照するような仕組みを構築する、ということが書かれていたと思いました。

 ですから、当検討会の成果をできるだけそれに活用できるような対応を、ここで標準化が終わらないと対応できないということではないと思いますし、もう既に進められていると思うので、もし今はこのような状況だというのが分かれば、こういうことを当検討会の標準化の結果を受けて、歯科情報も取り入れるというか、活用していくのだということがあればお教えいただきたいと思います。お答えが難しければ、要望させていただきます。

 

○住友座長 

発言がございましたらお願いいたします。

 

○警察庁刑事局犯罪監識官付門井課長補佐 ( オブザーバー )

お尋ねの件でございますが、御承知のように死因究明等推進計画において、警察としては身元確認のため遺伝子情報及び歯科所見情報を活用する仕組みの構築を求められております。

報道等で御存じかもしれませんが、警察においては、本年4月1日から遺伝子情報つまりDNA型の情報を身元確認のため活用する仕組みを構築することとしております。
  歯科所見情報については、前回の検討会でも御説明したとおり、本検討会の議論の把握に努めつつ、引き続き検討してまいりたいと考えております。

 

○住友座長 

ここの検討会の最初から、例えば認知症等の身元不明者に活用できないか。前回もそういう話が出て、今回事務局から話がありました。そういうものも、また展開できればと思って、 13 番の可能性というものに大いに期待ができるのだろうと思います。

 本日は時間内ということで、皆様方の御協力に感謝申し上げます。次回等のスケジュールの情報提供がございましたら、事務局からお願いいたします。

 

○大島課長補佐 

本日は御審議いただき、ありがとうございました。次回の検討会は、次年度の委託業者の選定状況、選定時期にもよりますが、 6 月頃を目途として開催を予定しております。日程調整の際は改めて御連絡を差し上げますので、委員の皆様におかれましてはお忙しいところを恐縮でございますが、何卒よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

 

○住友座長 

それでは、これをもちまして閉会といたします。御協力ありがとうございました。


(了)

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