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2015年2月13日 第6回心臓移植の基準等に関する作業班 議事録

○日時

平成27年2月13日(金)13:00~15:00
 

 

○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)

○議題

1.心臓移植希望者(レシピエント)選択基準の見直しについて
2.その他

○議事

 

○田中補佐 定刻になりましたので、ただいまより第6回「心臓移植の基準等に関する作業班」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本作業班は、前回の会議から約3年ぶりの開催となっております。本日から新たな体制で御議論いただくこととなります。まず、事務局から委員の先生方のお名前と御所属を五十音順に御紹介させていただきます。

 東京医科歯科大学循環器内科教授の磯部光章先生です。国立循環器病研究センター名誉総長の北村惣一郎先生です。東北大学心臓血管外科教授の齋木佳克先生です。国立循環器病研究センター移植部部長の中谷武嗣先生です。東京女子医科大学循環器小児科教授の中西敏雄先生です。東京女子医科大学東医療センター心臓血管診療部教授の布田伸一先生です。国立感染症研究所感染病理部長の長谷川秀樹先生です。大阪大学医学部附属病院未来医療開発部特任教授の福嶌教偉先生です。長野県立こども病院循環器センター長の安河内聰先生です。東京大学医学部附属病院心臓外科教授の小野稔先生は少し遅れてくるとの御連絡を頂いております。

 事務局の紹介をさせていただきます。室長の阿萬です。室長補佐の馬場です。私は室長補佐の田中です。

 会議を進めさせていただきます。今回の会議は、前回の作業班と引き続き、北村惣一郎先生に班長をお願いしたいと考えております。以降の議事進行は北村班長にお願いいたします。

○北村班長 この会は、前回からほぼ3年を経、それから、心臓移植症例数が200を超えたその時点で、レシピエント年齢を65歳へ引き上げたことで何らかの問題が発生するかどうかということを検証する班会議を開催しようということで結論付けられておりました。今回は厚生労働省のほうも、それに従って、ちょうど3年と200例を超えるということをほぼ満たす状況の下で会を開いていただくことになりました。皆様方も大変お忙しい中、新しいメンバーとして御紹介いただきましたが、作業班としての業務を真摯に務めてまいりたいと思います。まず、配布資料の確認をお願いします。

○田中補佐 配布資料については、議事次第に資料一覧を書いてあります。配布資料、参考資料とありますので、そちらで御確認をお願いいたします。資料の不足、落丁等がありましたら、随時事務局までお知らせください。1点、日本循環器学会の磯部先生よりいただきました「心臓移植自施設内判定について()」を机上配布しております。こちらは後ほど御説明があります。

○北村班長 本日初めてこの作業班に参加される先生方もおられますので、事務局から心臓移植のレシピエントの選択基準についての説明をお願いします。

○阿萬室長 資料1に基づき、全体の概略の御説明をさせていただきます。資料1「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準について」です。現状については御覧いただいているとおりです。平成9年にレシピエント選択基準が心臓に関して制定されております。それ以降、臓器移植法の改正や、その他諸々の状況に応じ、過去5回の改定が行われております。改定の経緯の日付は局長通知の発出日です。平成13730日の改定から5回の改定が行われ、最後は平成24119日付けで発出された改定の中で、レシピエントの年齢の上限の拡大ということで、これは後ほど御説明いたしますが、レシピエントの適応基準の話です。その年齢の上限を60歳未満から65歳未満へという拡大に伴い、選択基準においても年齢、具体的選択方法についての改定が行われています。

2ページと3ページについては周辺状況として、「臓器提供者数の推移」「心臓移植件数の推移」についてそれぞれ年別の資料及び平成27年については1月いっぱいまでの資料を添付しております。2ページは、いろいろな所で言われている話ですが、平成22年をピークにして脳死下での提供自体は少しずつ増えておりますけれども、心停止下での提供が減っていることもあり、全体での提供数は減少傾向です。ただ、平成271月は脳死下での提供、心停止下での提供を合わせて11件の提供が既に行われております。2月に入っても既に何件かあります。

 その中で、心臓移植件数の推移が3ページです。これは心肺の同時移植は除き、心臓のみの移植の件数を記載しております。平成22年からいくと、平成24年が少し減っておりますけれども、平成25年、平成26年は同じく37件の心臓移植が行われています。以上は数の関係です。

4ページは、今回初めて御参加の先生方もおられますので、一般的な情報として、臓器提供から移植への流れと、ドナーの適応基準、レシピエント選択基準などとの関係ということで、具体的に今はどのような形で実務が行われているかを少し御説明させていただきます。日本臓器移植ネットワークを真ん中に置き、左が臓器提供施設、右が移植実施施設ということで配置しております。

 右上を御覧ください。移植実施施設の登録及びその移植実施施設を通じた患者さんの登録について、それぞれ基準があります。それらについては各学会の先生方の自主的な基準ということで、具体的には移植関係学会合同委員会の下での活動の中で、そういう登録の手続が行われています。日本臓器移植ネットワークにおいては、その学会の先生方の活動の中での基準に基づき登録申請のあったものについては全て登録する形となります。

 次に、下半分を御覧いただきますと、臓器提供施設において、個別の事例で臓器提供があったと。その場合に、まずドナー御自身の臓器が移植に利用可能かどうかを、JOTにおいて判断するための基準として、ドナー適応基準が定められております。それに合わせ、個別に、既に登録されているレシピエントについて臓器のあっせんを行う優先順位を判断するための基準として、レシピエントの選択基準が定められております。この2種類については国において定めた上で、JOTの責任で運用する基準ということで、この作業班において御議論いただく内容はこの点です。

 これについて、前回の改定においては右上のレシピエント適応基準、患者さんを登録するところの基準が60歳未満が望ましいとなっていたのを、5歳上に上げることを適応基準の中で改正されたことから、それに対応して選択基準はどのようにするかを御議論いただいて、現在の基準になっています。

○北村班長 大変明確にしていただきました。この作業班の業務というのは、下のほうに書いてあるようにドナーの適応基準、あるいはレシピエントの選択基準をどうしていくかということで、皆さんの意見を集約するということです。脳死からの移植提供者の数が減っているというのは、ここの場の議題には合いませんが、議論し出すと何時間でもかかるのかもしれません。心臓移植については脳死だけですので、数は40例近くを今年も期待できるのですが、全体がちょっと減っているという報告でした。御質問はありませんか。

 よろしいようでしたら審議に入ります。資料2-1と資料2-2に基づいて議論を始めます。資料2-1「心臓移植の基準等に係る作業班での議題について」の説明をお願いします。本日議論していただくのは3つのポイントです。そこも踏まえて事務局から説明をお願いします。

○田中補佐 本日御議論いただきたい議案について御紹介いたします。資料2-11ページを御覧ください。「心臓移植の基準等に係る作業班での議題について」とあります。心臓移植のレシピエントの選択基準については、平成9年の制定後に、過去5回の改定が行われております。最近では平成24年に、レシピエントの適応年齢を60歳以上(65歳未満)に拡大することに伴い、拡大対象となった年齢層への移植の優先順位等を定めるための改正を行っております。改正基準の施行後、平成2521日からこちらの改正基準が施行されておりますが、約2年が経過いたしました。131日現在、226例の心臓移植が行われております。こちらは、心臓移植単独の数です。改正後の本邦の心臓移植の成績等を踏まえ、今回は現在の選択基準に対して検証をさせていただきたいと思っております。医学の進歩に伴った、医学の知見等に基づいて表出された問題についても併せて御議論いただければと思っております。

 本日御議論いただきたい議案については、挙げております3つの議案について御議論いただければと思います。(1)は、60歳以上(65歳未満)のレシピエントの取扱いについてです。(2)は、現行のレシピエント選択基準における、ドナーが18歳未満であった場合の年齢別の優先順位についてです。(2)に関しては、(1)での御議論の結果により、議論するかどうかが決まりますので、こちらについてはのちほど御説明させていただきます。(3)は、ドナーが18歳未満の場合における、18歳未満の移植レシピエントの優先について、また、上記に伴う、優先する年齢についてです。こちらは端的に申しますと、小児のドナーから小児のレシピエントへの移植について、優先するかどうかということです。優先するということとなれば、どのような年齢について、どのような条件において優先するかが問題になってくるかと思われます。(3)については本日決定事項とするわけではなく、先生方の御意見を広くお伺いできればと考えております。議案については以上です。

○北村班長 まず、議題1は資料2-12ページに「議論1」と書いてある所です。60歳以上のレシピエントの取扱いというのは、前回平成2411月に決定していただき、65歳まで広げる。この背景が幾つかありましたが、どこかに資料はありますか。出ていないですか。例えば、補助人工心臓の適応年齢と合わせるとかそういうことですが、どこかに資料がありましたよね。

○田中補佐 議論1の背景の所に少し経緯は書かせていただいておりますが、資料としてはありません。申し訳ありません。

○北村班長 結果的に、御存じのとおり65歳まで心臓移植の年齢を拡大したときに、高齢化社会において非常に大量の患者さんが移植のほうに回ってくることがあり得るのか、そういうことが起こらないのかというのが、日本においては未知数でした。冒頭に申しましたように200例の移植例、施行してからその時期に見直しを行おうということになっておりました。本日この現状を見ていただいて御意見を頂きたいと思います。65歳で新規に希望者で登録したレシピエントの平成26年度の移植実績は僅かに1名です。むしろ非常に少ないと。これには何が働いているのか、いろいろな要素があると思うのですが、社会通念的なものも働いているのかもしれません。要は、このままの状況で変更必要なしとするのか、いろいろな問題を感じていて変更したほうがいいというお考えがあるのかです。福嶌先生が資料を提出されておりますので、それを御説明いただけますか。

○福嶌班員 参考資料1を御覧ください。60歳以上で移植された方というのは、60歳未満で登録されて移植された方を含めてあるわけですが、そんなに数は多くありません。移植施設の御協力を得て、去年末までのデータを全てまとめたものを本日提出させていただきました。1ページは、脳死移植の全体の数が47例から50例と少し増えているという話。2ページにはその総数が、去年は37例で一昨年と一緒だった。その結果、平成24年にこの作業部会を開いた後の3年間に、黄色の海外で移植した人数を、日本で移植した人数が上回った。しかも総数が200例を超えたということで、今回この検討時期かと考えられます。

 次は3ページで、原疾患で本日の討論のところではありませんが、75%が拡張型心筋症か肥大型心筋症。実施施設としては3施設が主にやっています。4ページが人工心臓に関してまとめたものですが、従来、黄色の体外式の人工心臓が大半であったのが、法改正後、それ以外の埋込型人工心臓がが増えています。現実に年度別で見たらどうかを、改めて4ページの下に作りました。見ていただいたら分かりますように、2013年度、2014年度は体外式よりも、埋込型のほうが明らかに多くなったということで、状況が大分変わっていることが分かります。

 次は予後ですけれども、免疫抑制剤はプログラフが多いということと、今までに心臓移植後に亡くなった方が220例中16名です。ただ問題は、移植症例も増えましたが、5ページの下の折れ線にありますように、日本循環器学会の新規申請者数の方がどんどん増えていって、同時に登録患者が増えています。法改正後心臓移植件数は増加しましたが、人工心臓を付けた患者さんが移植になるということも、待機期間が長いということもほとんど変わらないのではないかということがこれで予想されます。

6ページの上の折れ線グラフを見てください。これが平均の待機期間です。移植法が改定されて、それが増えれば待機期間が短くなるのではないかと予測していたわけですが、現実は全然変わらず、むしろ長くなるのではないかということが今後予想されています。大体900日待たないと移植に至らないことになっています。

 トータルの成績を示したのがその下です。前と比べると幾分悪くなって、10年生存率が89.3%が現状で、海外と比べたら良いというデータだと思います。

 その次は、改正前後で成績がどうかということです。有意差はありませんが、改正後のほうが幾分悪くなっているのが現状です。これは年齢が左右しているのか、マージナルドナーを移植しているせいなのかはわかりませんので、今後原因を検討する予定です。

 今回の話題に最も関係するデータは、年齢毎の累積生存率を検討するということです。まずは、60歳以上と60歳未満に分けて検討しようかと考えたのですが、やはり数が少ないので、ここでは私が勝手に数字を出させていただいて申し訳ないのですが、10歳未満、1017歳、1829歳、3054歳、55歳以上という5つのグループに分けて書いています。55歳以上というのが、2010年に法律が通ってから増えていることが分かります。

 実際に生存率がどうかを8ページの上に示しております。10歳未満で移植した方、あるいは18歳未満で移植した方は、両方とも10年で死亡された方はいないという状態です。その状態で、1829歳は、10年生存率が89.9%、3054歳が91.7%、それに対して55歳以上の方は69.5%と有意に成績が悪いという結果が出ています。特に急性期に亡くなられている方が多いということです。これだけで一概に高齢者の心臓移植の予後が悪いというのは難しいかもしれませんが、今回は55歳というくくりで見ても、高齢者のほうがやや予後は悪いのではないかというデータが出ました。

 この後の子どものところについては、また18歳未満のことで討論があると思いますので、ここまでにさせていただきます。

○北村班長 これが、今までに行われた222例の分析をしていただいた資料です。生存率の年齢というのは、レシピエントの年齢ですね。

○福嶌班員 移植時年齢です。

○北村班長 レシピエントが高齢になるほど、長期生存率が悪いというのは世界的に認められていることで、我が国でもこの傾向が見えてきているのだと思います。この資料をもって、適応の年齢を、今、何らかに改正したほうが良いのかどうかということです。60歳から65歳に上げた2年半ぐらい前のことを見直す必要性はあるでしょうか。御意見はありますか。もうしばらく現行のままで見ざるを得ないというか、見ていったほうが良いというのか。

○中谷班員 前回の議論からいくと、その後の2年間で議論すべき対象が多く出てきたかというと、今の報告にあったように、まだないとすべきだと思うのです。60歳以上で心臓移植希望登録されているのはまだまだ少ない状況です。福嶌先生が、正に60歳以上でデータとして出せないというぐらいの少ない数のときに、少なくとも現状で、あの時に適応を65歳に引き上げたことで北村先生も言われたように、補助人工心臓によるBridge to Transplantとしての道を開くことも意味があるということが議論されました。実際そのような形で行われています。

 しかし現状ではその成績もまだはっきりしていないということを考えると、現時点ではこのままとして、次はどこで見直すかということのポイントは決めておいたほうがいいと思います。前回の変更から現在に至るまで大きな問題はないですね、というぐらいの結論しか出せないのではないかと思うのです。

○中西班員 日本では1例だけなのであれですけれども、海外ではどうなのですか。60歳以上と、それよりちょっと低い方と比べると生存率はどうなのですか。

○布田班員 60歳を超えてきますと、生存率は少し悪くなります。

○中西班員 そのデータはあるのですか。

○布田班員 国際心・肺移植学会のデータにあります。

○中西班員 あるのなら、それを見たいですね、どれぐらい悪いのか。

○   班員 それがあるので、日本のルールは60歳未満にもともとしたのです。

○中西班員 それは、何か出てこないですか。どれぐらい違うのか。

○布田班員 国際心・肺移植学会のデータに載っています。

○中西班員 それが1つです。つまり、60歳以上のほうが悪いということですね。

○布田班員 高齢者ほど悪いと考えられます。

○北村班長 高齢者のレシピエントについて、アメリカの場合はドナーの年齢が若いレシピエントの場合と大体同じなのです。20歳代、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代のレシピエントに対して提供しているドナー側の年齢というのは、大体30歳代、40歳代なのです。ですから、同じドナーの年齢であれば、圧倒的に生存率は、レシピエントの高齢者に悪い。それは、人間は必ず死ぬという摂理に基づいているかもしれません。

○福嶌班員 そもそも余命が違うわけです。病気もプラスされて、その差が大きくなるというのは長年の常識になっているところなので、これはあえて資料は作りませんでした。

○中西班員 それは、例えば半分なのか、ちょっと低いのか。

○福嶌班員 半分まではいかないですけれども、今回はそれが悪いという前提の下で、日本でも本当にそういうデータが出るのかを出したくて出したら、やはりそうだったという結論なので、多分それはそうだと思います。

○中西班員 日本ではまだ1例しかないわけですね。

○福嶌班員 それは60歳以上で、登録された人です。

○北村班長 5例あります。

○福嶌班員 でも、60歳未満と60歳以上で登録した人も含めてこの55歳なのです。それで、55歳ですら予後が違うわけですから、60歳に上げていく根拠があるのかという話です。

○中西班員 資料4を読むと、今は36名待っておられるわけですよね。

○福嶌班員 待機患者です。

○中西班員 待っている患者さん全体の1割ですよね。

○福嶌班員 はい。ただし、これは16名が60歳以上で登録した人で、残りの29名は60歳未満で登録して60歳を過ぎた人なのです。

○中西班員 今はそうなっていると。

○福嶌班員 そういうことです。ですから、ちょっと難しいのですけれどもそういう状態です。

○中西班員 その辺の数がどのぐらい、本当に60歳以上になってから適応になり、それで今待っている方がどれぐらいおられるかということです。今は待機期間がどんどん延びている現状では、今の生命予後、今から増えていくだろうということを考えると、やはり若い方を優先にということが良いような気がします。

○磯部班員 私は、60歳を65歳にすることについてを協議会で議論してもらった記憶があります。その時の論点の1つは、先生方がおっしゃったように、60歳以上の方の成績がどうかが議論になったと思います。もう1つはドナーの数が非常に限られていて、件数が少ない現状で、その限られたドナーの心臓を、なるべくもともと生命予後が長い若い方にあげたいという非常に強い議論がありました。それで、65歳まで引き上げるけれども、優先順位を下に下げるという議論をしたことがあります。そういう観点からすると、成績のことは先生方の御議論があったとおりだと思います。それから、ドナーの数が当初期待したほど飛躍的に増えているわけではありませんので、この段階でこの順位を変える必要は現状ではないと思います。

○北村班長 我が国と外国でも、同じように生存率からものを申しますと、データがあるにしても、例えばアメリカでは70歳以上の移植を禁止しているわけではありません。しかし、日本ではある意味、登録時65歳が68歳まで待たれた場合は致し方ありませんけれども、65歳で切っている状況なのです。登録時65歳で切っている。外国ではそれをしていないこともありますし、御存じのようにアメリカの副大統領も70歳を超えて心臓移植を受けています。ですから、社会的な要素の大変大きい医療ですので、年齢を規約、あるいは法律でなくても基準で規約することに、社会に対する説明責任がある。そのためにはやはり、科学的にしてはいけないというようなエビデンスがある場合を除いては、余り大きな、社会的に年齢で差を付けていってしまうことについては、懸念があり得るというのが前回の議論の1つでもありました。

 人工心臓のほうは、いろいろな発展・発達がその間に著しくあり、現在は30か所ぐらいの施設で、65歳までを年齢制限として利用が認められています。保険医療で認められているという状態になりますので、65歳を今変えることについては、多少いろいろ複雑な要素が絡んできているかもしれません。

 要約すると、日本では、はっきりとしたエビデンスがまだ出しにくい状態があることは事実です。この点については2つの意見が出ていますが、もう少しこのまま現状維持をしたほうがよいのではないかという意見、むしろ若い人のほうがいいというのであれば、そう変えろという意見も当然あり得るわけです。エビデンスというレベルから見て、日本ではまだちょっと難しい気もするのですが、いかがですか。

○齋木班員 確かに提示された数で結論を導くには統計学的には不十分かもしれませんが、福嶌先生がまとめてくださった最後の資料は、今の日本における精一杯のデータでとても重要ではないかと思います。これをもって、私は現行のルールは妥当なのではないかと思います。そのように結論づけるための前提条件は1つありまして、55歳以上の方の成績がやや落ちることが、その年齢によって優先順位を分けてきた影響ではないということだけ除外できていればいいと思います。

 その観点からも、4年目までに亡くなった55歳以上の方の死因にも目を通しておいたほうがいいのではという気がいたします。

○福嶌班員 多くは感染症と多臓器不全です。やはり、直後から悪い人たちが多いのが、1つ高齢者の特徴かと思います。

○北村班長 福嶌先生からお出しいただいた8ページの資料は、54歳という年齢でくくっています。今、議論している65歳という数値で見たらどうなるかについては余りにも数が少なく、全部合わせても5名しかいないということがあります。これを変えろという科学的根拠はちょっと乏しいかという気もいたします。我が国で1,000例に達して、60歳以上が解析に耐え得るぐらいで、有意差が明らかに低いという場合は、選択順位をずっと下げていく。しかし、ドナーが58歳であれば、選択に最後は残ってくる可能性もあるわけです。どこでも移植手術に使用するのは難しいという判断をされると。今のところ、65歳を変えるのは科学的に難しいかと思いますが、中西先生は了解できますか。

○中西班員 はい。

○北村班長 そしたら賛否を問うまでもなく、中西先生も、現状はいろいろな状況を鑑み、もう少し我が国で科学的なエビデンスが出て、60歳と65歳とでは大きな違いがある、これで選択基準を変える必要があるということが出るまで、もう少しこのまま維持してもよろしいですか。ありがとうございました。それでは、これについては現行のままにするということで、引き続きエビデンス構築のために、レジストリーは大変しっかりしたものができていますので、お願いしたいと思います。各学会の代表者が多いと思いますので、各学会においてもよろしくお願いします。

 議題2に入ります。次は若い人の場合です。現行の選択基準である18歳未満のドナーにおける年齢別の優先順位についてです。現行のレシピエントの選択基準において、ドナーが18歳未満であった場合のレシピエントの選択について、改めて議論をしたいと思います。現状の説明文書では、ちょっと言葉足らずの所も見付かっておりますので、その辺も含めて事務局から説明をお願いします。

○田中補佐 資料2-14ページの議論2、「現行の選択基準におけるドナーが18歳未満であった場合の年齢別の優先順位について」を御議論いただきたいと思います。平成24年のレシピエント選択基準の改正の際に、60歳以上(65歳未満)の心臓移植については、可能とした一方で、60歳未満の移植候補者が受諾しなかった場合に限って意思確認が行われるものとしております。これはドナーが18歳以上の場合にはそのような考え方となっておりますが、現行の選択基準においてはドナーが18歳未満であった場合には、その考え方が考慮されていないのが現状です。そこで、ドナーが18歳未満の場合もレシピエントの優先順位は年齢別に18歳未満、18歳以上60歳未満、60歳以上という優先順位にして良いかということについて、御議論いただければと思っております。

 背景としては先ほど申し上げたように、現行のレシピエント選択基準では、ドナーが18歳未満の場合と18歳以上の場合とで、60歳以上のレシピエントの取扱いが異なっているということがあります。こちらの検討ポイントとしては、ドナーが18歳未満の場合に60歳以上のレシピエントに対し、60歳未満のレシピエントと同等の移植機会を与えることによる影響はどうか、ドナーが18歳未満の場合に、60歳以上の高齢者に心臓移植を行うことによる心臓移植の成績への予測される影響はどうか、という2つのポイントについて御検討いただいた上で、ドナーが18歳未満の場合の60歳以上のレシピエントの取扱いについて御検討いただければと思います。

 資料2-23ページの上段の「議論2」で、実際にリスト化されたものがあります。左側が、ドナーが18歳未満の場合に60歳以上についての取扱いを現行のままとするものです。現行のレシピエント選択基準のドナーが18歳未満の場合と同じです。右側がドナーが18歳以上の場合に、60歳以上のレシピエントと60歳未満のレシピエントに優劣を付ける場合のリストです。ここでは18歳以上が、18歳以上60歳未満と60歳以上という形で優先順位が分かれているのが変更点です。このような変更をして良いかどうかについて、先生方に御議論いただきたく思います。

○北村班長 ここまでで御質問はありますか。よろしいですか。それでは、この点に関しても福嶌班員から資料の提出を頂いておりますので、御説明をお願いいたします。

○福嶌班員 議論2に関しては8ページの下からがその資料です。というのは、18歳未満で実際にどういうドナーがあったのかという話になるからです。18歳未満については1月に、6歳未満の方の提供がありましたが、その方は心臓の提供がありませんでしたので、心臓の提供があった8名をまとめさせていただいております。全てが18歳未満の患者様に心臓移植されていますので、今回は18歳以上の人たちのデータがありません。ですから先ほどの議論と同じように、純粋に18歳以上の中に、60歳未満と60歳以上の差を付けるのかどうかということについて、御議論を頂ければ有り難いと思います。その次の説明は、議論3で御説明させていただきます。

○北村班長 「議論2」と書いているものの向かって左の表、現状はそのように行っているのですが、実際には18歳以上は提供されていないのです。これは提供数が大変少ない一方で、18歳未満のレシピエントが待っておられるために、18歳未満のStatus1で一致、適合という順番で選択する基準にはまってしまっている。しかし、もしも合わない場合は6465歳の人に行っても、それは順番次第、あるいは施設がゴーサインを出すかどうかによっているわけで、実際には不都合が生じてはおりませんでした。しかし今後のことも鑑みますと18歳以上60歳未満、60歳以上というのをこの項目にも加えるべきかどうか。これは要らない、今までどおり各施設の判断に任せるという形を取るかです。厚生労働省としての意見はありますか。やはりこういうものはきちんとしておかないといけないという点もあるのでしょうね。

○阿萬室長 医学的な観点なども含めてどのようになるかということで御議論いただければと思っておりますが、ドナーの年齢によってレシピエントの扱いが異なるのもいかがなものかという指摘もあるかとは思います。ドナーの年齢が18歳未満の場合においても、60歳を超えるところと超えないところで差を付けるという話は、1つの整理ではないかと思います。

○北村班長 室長から厚生労働省としてのお考えを伺いましたが、皆さんの御意見はどうでしょうか。

○福嶌班員 この点については、実は平成24年に決まるときにも、こうしたらどうかということは御提案させていただいたのですが、議案の中にこの案が出ていなかったのです。そのために、今回はそのままでいこうというお話になりました。今回、議論1がそのまま保留されるというのであれば、それをそのままここに入れていただいて、18歳以上60歳未満と60歳以上の間に、18歳未満のドナーが出たときもしたほうがいいのではないかと思います。

○北村班長 こうしたほうが分かりやすいと。年齢を途中で切るというのも、なかなか理屈が要りますので、65歳に延長した部分とそれ以下というところで、赤枠でくくっていただいている所を付加してはどうかという御提案です。ほかにいかがですか。

○中谷班員 先ほど福嶌先生が言われたように、まず先に18歳未満のドナーに関する協議があって、次にレシピエントの60歳上限引き上げの話がありました。基本的なコンセプト、考え方からいくと、60歳上限引き上げの話になったときに成績や提供される方なども踏まえて、65歳未満への引き上げが決まったという経緯からいったら、今提案されているような、18歳以上60歳未満というくくりを付けることは、改定の議論の趣旨から何らそぐわないことはないと思うのです。18歳未満ドナーの扱いとレシピエントの65歳未満への引き上げをみんなに説明しようとするときに、現行のほうが説明しにくいのです。なぜ18歳未満の場合に、18歳以上だったらひとくくりになって、レシピエントでは6064歳と上のほうだけ差がついているのかについて説明がしにくいのです。

 そういう意味から、これまでの議論をもう一度考えれば、今提案されているほうに変えるほうが、趣旨に合った形になる。いろいろな議論があったし、北村班長も言われた年齢云々ということは、もう既に議論した上でこれが決まったわけですから、私としては福嶌先生が言われたように今回提案されているほうが、正にこれまでの議論を踏まえた形になると思います。本日の1番が現状維持で決まった以上は、こちらにしたほうがすっきりする。これまでの議論の流れからいっても、総意からこうなるべきではないかと私は思います。

○北村班長 ほかにいかがですか。

○布田班員 私も新しい案、第2案に賛成します。その理由としては、ドナーが非常に少ない状況ですので、施設間で違わないように理路整然としておいたほうがよろしいのではないかと思います。

○北村班長 大体皆様の意見をお聞きしても、ドナーが18歳未満の場合も18歳以上の場合と同様に、60歳未満のレシピエントが60歳以上のレシピエントよりも優先されるべきという意見でよろしいですね。したがって、事務局で改定案として出していただいた選択基準で、改定の準備をお願いしたいと思います。

 それでは議題3に入ります。ドナーが18歳未満の場合においては、レシピエントも18歳未満が現状でも優先されるわけです。前回はアメリカのUNOSのデータで、米国は18歳からが成人になっているという形で、そのデータしかなかったのです。その場合は、小児から小児への心臓移植の成績が最もよろしいと。むしろ高齢者があまり若い人の心臓をもらっても、寿命はあまり延びていないというデータです。エビデンスに基づいて、我が国の成人は二十歳となっておりましたが、そのデータに基づいて、18歳で切ろうという形で決定したという経緯があります。ヨーロッパにはまた違うデータもあるようで、これについても事務局から説明いただき、引き続き福嶌先生からお願いしたいと思います。

○田中補佐 議論3について、資料2-15ページに沿って御説明させていただきます。先ほど先生方から議題についての御提示がありましたが、現在の基準においては、ドナーが18歳未満の場合は、Status118歳未満のレシピエントが選択され、その次にStatus118歳以上のレシピエントが優先されているという状況です。ですからStatus1の成人のレシピエントの意思確認が終了しないと、Status218歳未満のレシピエントには意思確認が行われないという状況がありますから、Status218歳未満のレシピエントが、なかなか移植を受けられないという現状があります。そこで、ドナーが18歳未満の場合においては、Statusに関係なく、18歳未満のレシピエントを優先するかどうかについて御意見を頂ければと思います。また、優先する年齢について、現在は18歳で切っておりますが、18歳未満で良いかについても御議論いただければと思います。

 このような御議論を頂く背景としては、ドナーが18歳未満の場合にドナー側の心情として、子どもの臓器は子どもに提供したいという感情があるとお聞きしております。現状として、現行のレシピエント選択基準において実施された18歳未満の臓器提供事例は8例ほどありますが、全例が18歳未満のレシピエントに移植が行われております。8例の内訳ですが、Status17例、Status21例行われております。また、Status2のレシピエントについては18歳以上、18歳未満も含め、心臓移植に関しては1例のみ行われております。これが先ほどの18歳未満の事例です。

 また、海外の状況ですが、海外のレシピエント選択基準においてはEurotransplantにおいて、小児優先の規定があります。こちらは後ほど福嶌先生に御説明していただきます。ドナーが16歳未満の場合に、16歳未満及び16歳以上でも骨の成熟が遅延している者に関しては、優先的に配分されるという規定があります。また、アメリカのUNOSは日本のレシピエント選択基準と同様に、ドナーが18歳未満の場合は同じStatusでは18歳未満のレシピエントが優先されることになっております。

6ページで、議論に関する検討ポイントを御提示させていただきます。検討ポイントとしては、ドナーが18歳未満若しくはある一定の年齢未満の場合に、Statusに関係なく、ある一定の年齢未満の方のレシピエントを優先することによる影響はどうかということについて、御検討いただければと思います。これについて、考えられる影響は2つあるかと思います。1つ目は、移植成績の向上につながるかという医学的影響があります。2つ目は、18歳未満若しくはある一定の年齢未満を優先することにより、移植を受ける機会が減少してしまう可能性がある18歳以上のレシピエントの理解が得られるか、という社会的な影響です。これらを考慮しても小児が優先されるべきかどうか、御検討いただければと思います。

 また、Status218歳未満若しくはある一定の年齢未満のレシピエントが、Status118歳以上のレシピエントよりも優先されるべき医学的、社会的理由があるかについても、御検討、御意見を頂ければと思います。そして優先するとなれば、優先されるべき年齢は18歳未満で良いかということについても、御検討いただければと思います。優先されるべき年齢に関する医学的な説明が可能かどうかについても、先生方の御意見を広くいただければと思います。

○北村班長 これは本日、最も重い議題です。先ほど事務局からもありましたように、これは本日の決定事項とするわけではありません。こういう方向に向かうべきだという御意見を、広く伺いたいという趣旨が事務局のほうにあります。今日、そうしようという形でここで決めるわけではありませんが、まず御議論を賜り、それを煮詰めていきたいと思います。引き続いて福嶌先生から説明を頂きますが、現状はStatus1の人は年齢が18歳以下のドナーであっても、レシピエントはStatus1が優先され、18歳以下のStatus2の人にはなかなか来ないということがあるわけですね。現状の表は、これでいったらどれになるのですか。この表ですか。

○福嶌班員 そうですね。もともとの表です。

○北村班長 それでは福嶌先生のお考えも含めて、資料の説明をお願いします。

○福嶌班員 まずは海外のデータからお話します。参考資料6を見てください。まず、子どもの心臓移植をした場合のドナー年齢の影響ということで、Pediatric Transplantの論文を引用しております。その代表的な図をここに出しております。ドナーの年齢が20歳以上か20歳未満かで、子どもの移植後の成績がどうかというのが出ています。保存時間を重ねて書いてあるのでややこしいのですが、その場合に、225分を超えている場合と超えていない場合のどちらも、ドナーの年齢が上がると長期予後が悪くなる。これは1年以内の予後が有意差をもって悪くなるので、子どもには子どもの心臓を与えたほうがいいというデータです。大体こういうものが基本的なデータです。これはかなり多い数の移植例を全てまとめた例ですので、一番確かなデータだと思います。それが1つ目です。

 このほかにもう1つの問題点として、遠隔予後を決めるという意味では、移植後冠動脈疾患が実際に遠隔期にどう変わるかというのも大事なデータですので、それを調べたのが次の論文です。これはUnivariate analysisのデータだけをお示しします。表の上から4つ目ぐらいに、Donor ageというのがあります。年齢が1歳から4歳、5歳から9歳、10歳から18歳、18歳以上と上がるにつれ、Hazard ratioがどんどん上がっていくのが分かっていただけると思います。ドナー年齢が上がるほど、移植後に起こってくる冠動脈硬化症が増えていくというデータです。そういうことで遠隔予後もこれで変わってくるというデータも実はあるのですが、そういった意味合いからしますと、やはり長く生きるべき子どもさんには子どもさんの心臓を移植したほうが、医学的にはいいのではないかというデータです。

 そういったものを受けて、国ごとに考え方がちょっと違うのですが、3ページがEurotransplant、ドイツを中心とする国々の基準です。2000年にルールが変わって、子どものドナーが出たら、子どものレシピエントを選びなさいというルールになっています。ただ、まずはStatus1を選ぶと。Eurotransplantでは、「Status1」という言い方ではなく、high urgencyurgencyelectiveという3つの基準になります。まずは16歳未満の中でその3つを選んで、それから大人にという基準になっています。

 それに対して4ページのUNOSは、日本で改定されるちょっと前の2008年ぐらいに変わったルールです。実はアメリカにはずっと、子どもが優先されるというルールはありませんでした。2008年にようやくこのルールができて、このルールは今の日本と同じ基準です。ですからこれを参考に日本のルールを作らせていただいたということになります。ただ、大きな国ですので、ゾーンがいろいろあって複雑です。基本的にはStatus1Aの子どもを選んで、その人がいなければStatus1Aの大人を選ぶ。その後、Status1Bの子どもを選んで、Status1Bの大人を選んで、その後にStatus2に行くという形になりますので、今の日本と同じように、医学的緊急度を年齢の中に入れた基準です。ですから、この場合であれば子どもさんのドナーが出ているけれども、子どもに行かずに大人に行く場合があり得るというルールがアメリカです。

 そういったデータですが、日本の現状について、ちょっとだけお話させていただきます。まずはもう一度、8ページの下に戻っていただきたいと思います。18歳未満のドナーが出たときは、全て子どもだというお話をさせていただいたのですが、1つだけ特殊な例があります。それは左から3つ目の2012615日の例です。6歳未満のドナーが出たとき、Status210歳未満の人に移植が行っているのです。このときにどういう選定が行われたかについて、お話したいと思います。まず、Status1の子どもさんは全部話が出たのです。しかし、そのときはその体の大きさの子どもさんがいらっしゃらなかったのです。ですからStatus1はいなかった。そうなってからStatus1の同じ血液型、A型の大人が全部選定に入ったわけです。50何人選定してから、Status2の子どもにやってきたわけです。

 本当に具体的な話をしますと、それを待っていたら、この患者さんを大阪に呼ぶことはできませんでした。夜中で、その患者さんは遠方にいらっしゃったものですから23時間かかりますから、呼べなかったらその患者さんは移植できなかった可能性がありました。そういうことで、本当に体の小さい子どもさんのドナーが出たときに、18歳以上の選定を待たなければいけないのかどうかというのが1つの議論です。これはStatus1とか2ということではなく、できなくなる可能性を秘めているということを、まず御紹介したいと思います。その上で日本の現状をお話します。

 次が9ページです。ここでは18歳未満で移植した人が14人になっています。なぜかといいますと、大人の心臓をもらう子どもさんがいらっしゃるからです。6歳未満で移植した人が3人、10歳から17歳までの人が11人います。2010年に法律が変わってから子どもさんの移植が増えているのは、見ていただければ分かるかと思います。具体的にどういう人たちが移植したか、その14例をまとめたものが下にあります。男児が9例、女児が5例、成人から移植した人が6例、小児から移植した人が8例です。移植時年齢は比較的高く、12.4歳が平均です。疾患群を見ていただいたら分かりますように、全てが心筋症に属しますが、黄色で書いた拘束型心筋症を除いたほとんどが、拡張相の肥大型か、いわゆる拡張型心筋症の病態を呈する人しか受けられていないことが、1つの特徴だと思います。

 実際にその患者さんが移植を受けたときの状態を、10ページに書きました。赤で書いているように、Status2の人は1人だけでした。強心剤の人が3人で、残りの10人は人工心臓が付いている。ですから非常に重篤な患者さんが移植を受けることになります。ここで海外との比較をしておく必要があるかと思い、日本から海外に渡って移植を受けた人のデータを、その下に示しています。改正法が施行されて一時減る傾向にあったのですが、実は去年、また一昨年の数を上回っております。ですから海外渡航がまた増えつつあるという現状をお示ししています。

 移植を受けられた104名のデータを11ページにお示ししました。ここに書いているのは疾患で、赤が拡張型心筋症です。日本でほとんど移植されているのはこの疾患ですが、海外渡航の場合は26例が拘束型心筋症で、この患者さん達のほとんどがStatus2なので日本では移植が受けられない状況にあります。大体7歳から10歳ぐらいの拘束型心筋症で、心室が小さいですから人工心臓は付けられないので、Status2の状態でないと移植ができないという群が、日本で移植を必要とする子どもの中にかなりたくさんいるということが、ここで分かっていただけるかと思います。ですからStatus2を優先してもいいのではないかというのが、ここで考えられる1つの医学的事象です。

 次が11ページの下です。イスタンブール宣言が出たこともあり、海外で移植された患者さんは、ほとんどがカナダとアメリカに限られています。その次のスライドを見ていただければ分かりますが、104例中69例が人工心臓が付いていないのです。ですからStatus2の人が移植を受けられているわけです。これは、たとえStatus1を優先するアメリカのルールであっても、子どもさんのドナーは比較的たくさん出ますから、子どもさんがStatus2の状態で移植が受けられているという外国の現状があります。日本だと、こういった人たちはほとんど移植を受けられていないということになります。

 下に生存率を書きました。最初に移植した患者さんが11年目に腎不全で亡くなっておりますので、そこで1人亡くなっていますが、日本で移植した子どもさん14名のうち、亡くなったのは1人だけです。海外で移植した子どもさんについては25年生存率が76.7%ですから、海外と比べて非常に成績が良いことが分かっていただけるかと思います。以上がデータです。そういったことから考えて、子どもさんのドナーは可能な限り、子どもさんに行ってほしいということと、Status2まで行くかどうかについては、皆さんも客観的な御意見があると思いますので、それをお願いしたいと思います。

 もう1つは、先ほどの事例です。本当に小さい子どもさんが出たときに、大人を全部選定しなければならないのかどうか。そこに体重を入れるかどうかは分からないのですが、何らかの選定基準を御検討いただければ有り難いと思っております。

○北村班長 先ほど事務局からの報告にもありましたように、やはり子どもの臓器が子どもに行くことについては、提供される御両親に心情的な救いがある。それが高齢者のほうに行く場合に、心情的に「うーん」というところがあると。これは、感情としてはよく理解できます。ここで、先ほどお示しいただきました8番の表を見ても、若い提供者からの臓器が高齢者へ行っているのは、腎臓とか肝臓も含めて、ほかの臓器にも結構ありますね。これを心臓だけそういう形でする場合に、ほかの臓器がそういうことをやらない場合には、整合がどのように問題になるのか、考えられる点があるかもしれません。ここでこの表を拝見しますと、施設の判断と大きさというものが大変重要ですから、心臓はうまいことこういう形でまとまってきているのですが、腎臓などは60歳以上の人への移植が普通に行われているようですし、肝臓でも60歳以上の方もおられると。他臓器との整合という観点から見て、何か御意見はありますか。

○阿萬室長 意見ということではないのですが、一応今の状況を紹介いたします。この心臓の作業班とは別に、腎臓の作業班も今動いております。昨年の12月に1回検討をやっていただいておりまして、その中で正に同じ御意見を頂いております。今後2回目をやるということで、データの整理なども事務局でやることになります。その中で、小児から提供される腎臓についてはできるだけ小児のほうに提供されるような形にすべきではないかという議論がありますので、そちらのほうで議論がなされる形になろうかとは思います。

○齋木班員 確かにこのテーブルを見たときに、他臓器との整合性はやや気になるのですが、心臓と他の臓器との違いを認識する必要があります。やはり肺も肝臓も腎臓も脳死移植という選択肢の他に生体移植という選択肢が現実としてありますので、その点において心臓だけの特殊性がありますから、あえてそこで整合性を持たせなくても私はいいのかなと思います。

○中谷班員 今のこの扱いでは、幾つかの論点から言われたと思いますが、1つだけ明らかに心臓と他臓器で違うところは、小さい心臓は、大きい人に持っていくことはできないことです。腎臓などに関しては何らかのやり方や、肝臓などは機能面も含めて、ある程度小さい人から大きい人に持っていけるという臓器の持っている特殊性もあると思うのですね。そういう意味から、あまり臓器による違いは重視しなくてもいいのではないかと思います。

 それに絡んで、正に福嶌先生が言われた、実は小児のドナー情報があったときに我々の所にも、小児といっても17歳で体重が70キロ弱ある候補者がいました。小児枠として情報が回ってくるのは仕方ないとしても、どうされますか、施設としても断りますかというようなことを聞かれましたが、この作業を移植施設全部に聞いて回ることになります。例えば体重が20キロ以下であれば、もう18歳以上で受けることはまずあり得ない。どこで切るかは、今明言できませんが、その辺りのところは現実的に明らかにすべきです。現実的に体重の小さい小児しか対象になり得ないグループは確かにあるわけなので、少なくともその人たちに対してはStatus2であろうが1であろうが、そのグループ内でやることは絶対必要だと思うのです。しかしそれを18歳未満で区切るのかに関してはかなり議論が出てくるだろうと私は思います。その辺りもあるので、単純に十把一絡げというと怒られますが、そういう問題もあるということは踏まえた上で議論をすべきです。やはりそうしなければならないある年齢層があるのは事実ですので、それも踏まえた上で議論していただきたいと思うのです。

○福嶌班員 実務的な話から言いますと、心臓で選定されてくると、クロスマッチをしなければいけないのです。その検査に用いるドナーの血液はそんなにたくさん取れませんので、候補者の列が長くなるとドナーの血液を確保することが難しくなってくるというのが1つ目の課題です。しかも、子どものドナーですから、多量に採血できない状態ですので、やはり、まずレシピエントとして選定される可能性の少ない、身体の大きい候補者のマッチングをしないようにした方が良いと思います。

 もう1つの課題は、心臓以外の臓器とのことなのですが、これはまだ肝臓のほうから話が出ておりませんが、肝臓は実は子どもが選定された場合、1点増点ということになります。この間、私どもの所で臓器提供があったときに、1点増点だと実は9点という劇症肝炎の子どもさんが誰もいらっしゃらなかったのですね。しかし、6点で待っておられる子どもさんがたくさんいらっしゃって、本来そちらの患者さん提供された方が良かったと思われるのにそうならなかったということがあります。しかし、今のところは肝臓移植の先生方の中でも、実は子どもの移植をされている先生方とそうでない先生方で意見が一致しておりません。子どもに5点増点するような意見を作れないかということを検討はされているので、臓器ごとにそういった同じ意見になりつつあるということは確かだと思います。肺は、今のところまだだと思います。

○北村班長 心臓の特殊性から考えて、他臓器との整合は不要ではないかという御意見と、整合の必要性うんぬんよりも、ほかの臓器においても年齢のマッチを考え始めているのが現状であるということを伺いました。そうしますと、こういうややこしいことが起こるのは、18歳という年齢で切るからじゃないですか。例えば、はっきりと8歳以下、あるいは9歳以下か8歳以下かそれは根拠がいりますが、そういう明らかに小さいという心臓を成人に持っていくのも難しい状況がありますので、年齢をもう少し変える可能性はいかがですか。

○福嶌班員 小児心臓移植の施設基準が10歳以下となっておりますので、10歳で区別していただくのはちょうど大きさ的にもいいのかなとは思っております。

○北村班長 現実としては、実際にそれにマッチされるように施設判定されているわけですが、明らかに高齢者に行くことを心臓の大きさという形から止めることができるのは、実際体が小さいということ。18歳というのは全く成人と変わらない体格の子もたくさんいると思うのですね、15歳を超えてきますと。どこで年齢を切るかという根拠は何かありますか。10歳というのは、何が10歳で違ってくるとされているのですか。

○福嶌班員 あれは、あまり根拠がない。

○中西班員 私は今言った体格とか、年齢の10歳というのは1つの要素だとは思います。では、そうすると、例えば10歳から18歳の間で体格の小さい人も出てくる、人工心臓も入れられないという人も出てきますので、やはり社会的な影響といいますか、10歳未満のドナーがこれだけ少ないということから考えると、これは高齢者に対する影響はほとんどないだろうと。それから、心情的に18歳未満の子どもは、ほぼ子どもに行くのだというようなキャンペーンといいますか、日本全国民がそれを知っていると。もしかしたら、場合によっては大人に行くのではないかというのはほぼないよというようなキャンペーンなどがあれば、今のこの少ないドナーを少しでも増やせるかという思いもあります。ですから、小児を18歳で切るのが、体格とか10歳未満というと、またややこしいことになります。確かに小さい子どもにはテクニカルな問題はあると思います。ただ、ドナーを増やすという面からいうと。

○福嶌班員 ただ、Status2を優先することが許されるのなら、先生の御意見でいいのですが、そこのところですね。

○中西班員 いや、私は是非それをやっていただきたいと思います。

○福嶌班員 ヨーロッパは、実はアメリカに比べて子どもの心臓移植がすごく少ないのですね。子どものドナーが少ないので、子どものドナーを増やそうというのが1つの大きなあれで、子どものドナーが出たときには子どもに移植をすると。ですから、Status2も優先するのだというのが、このEurotransplantで決まった1つの動機ではありますので、今、正に言われたところです。ただ、アメリカはそこまでは従っていません。

○中西班員 ただ、アメリカはドナーが多いので、この日本の現状を鑑みると、やはり子どものドナーは子どもで行くのだということが非常に大切だと思います。

○福嶌班員 今、アメリカでは、大人も子どもも合わせて2,000例ほど移植されていて、ヨーロッパが2,000例なのですが、子どもは300例と100例なのですね。圧倒的に、子どもはヨーロッパよりアメリカに多いから、今のルールでもStatus2の移植が行われます。子どものドナーの出ていないヨーロッパの場合、実際日本から渡航しても待っている期間も圧倒的に違いますから。そうしないと子どものドナーは出ないよねというのがヨーロッパの考え方でもあります。

○北村班長 そういう社会的ファクターも考慮する必要は、確かに移植はあるでしょうね。

○安河内班員 Status2といっても、例えば先ほどおっしゃっていた拘束型心筋症の人たちは、割とギリギリまで元気ですが、悪くなると突然悪くなることが多いと思います。実際に統計を見ても2歳以下のRCMの死亡率は、15歳以上のRCMの人たちよりも圧倒的に悪いですよね。そうすると、Status1でなければ駄目と言われてしまうと、先ほどおっしゃったように拘束型心筋症の子どもには、まず順番としては回ってこなくなってしまうことになります。その結果、そういう人たちは、待機していてもどんどん亡くなっていってしまうということになってしまいます。したがって拘束型心筋症の小児はそれだけでstatus1にするという必要があるのではないでしょうか。ただ、疾患によってstatusを区別をするようになると、また話がややこしくなってしまうので、シンプルに話をすれば18歳以下の拘束型心筋症の人たちはStatus1とするとかできないでしょうか。もちろん、疾患によって区別するかどうかは別ですが、現状としては、そういうことも一つのファクターとしてあるような気がしますが。

○北村班長 それを前回は考慮して、小児においては強心剤の投与を続けている場合は、もうStatus1に上げましょうという形も取ってきました。今、拘束型の場合は、子ども用の人工心臓はなかなか難しい。

○福嶌班員 脱血管を左心房から入れないと駄目なので、予後がすごく悪いですね。何例か人工心臓を装着しましたが、みんな亡くなっていますので。それと、あとは拘束型心筋症の子は、そのまま待っていると肺高血圧になります。実際には2年前に大阪大学で移植した子も、ずっと拘束型で診ているうちに肺高血圧になって、それで心肺同時移植をせざるを得なくなったのですね。そこまでまだ持てばいいのですが、持ったとしても心肺同時移植ということを考えますと、心臓だけで済んだ病気がそうならないということもありますので。

○北村班長 何か外国では、拘束型の心筋症の場合には、レベルあるいは点数を上げようという試みをされていませんか。

○福嶌班員 それはないです。Status2でも移植ができるので、ないと言ったほうが正しいです。

○北村班長 確かに、アメリカは大人でもStatus2で行われますし、子どもであればなおさらで、小さい体であれば選択的に小児へ提供されている。

○福嶌班員 ヨーロッパでは、拘束型心筋症の子はほとんど移植されずに亡くなっているのです。アメリカは、移植に至っています。ですから、こういう言い方をしてはあれですが、海外渡航を前にしていたときから、アメリカにしか拘束型心筋症の子は私たちは紹介していないですね。送っても助からないから。

○北村班長 特殊な疾患も、幸いにも拡張型と比べるとかなり少ないですから良いですが、大人の立場から見て、大人にはもう渡さないよという形を明文化することについて、大人といっても19歳以上、20歳、21歳、22歳がどこで差をつけられるのかという観点もあろうかと思うのですが。東京大学の小野先生が来られました。

○小野班員 業務があり、遅れて申し訳ありません。

○北村班長 何か御意見はありますか。

○磯部班員 私も、子ども優先ということには賛成なのですが、今の拘束で急に悪くなる方は多いのですが、データとして子どものStatus2が拘束型も含めて実際に予後がどうであるか。登録されたStatus2のお子さんは結構な数になっていると思いますので、その方たちが悪いというデータを出さないと、子どもだからということで優先するのは、大人の方から不公平感が出てもやむを得ないと思うのですね。ですから、そういう意味では本当に子どもの拘束も含めた予後のデータを一旦出したらよろしいのではないでしょうか。

○福嶌班員 それは、登録されている患者ということですよね。ということになりますと、実は拘束型は日本では登録していませんので、全て拡張型のStatus2しか登録していませんので、データがほかの施設であれば別ですが。

○磯部班員 拡張型だけでもいいと思います。

○福嶌班員 拡張型だけならば、多分データは出ると思います。

○磯部班員 結構な数ですよね。

○福嶌班員 そうですね。

○磯部班員 加えて、拘束型はそういう状況で、登録さえできないということが社会で認知してもらうことが必要なのだろうと思います。

○福嶌班員 分かっていただければですね。

○布田班員 拘束型心筋症でも、今、年齢のことが出ましたが、小さい、つまり10歳未満の拘束型心筋症は特に予後が悪いですね。ところが、小学校の高学年ぐらいになってくると、比較的良くなってきます。これはまた年齢が18歳なのか10歳なのかという議論にもつながります。特に拘束型心筋症は、Status2でも突然死する症例がありますが、それは多くは10歳未満の小さい症例です。渡航移植した方はカテコラミンが投与されてStatus1に上がった状態でウエーティングが短くて移植できるのですが、日本の場合はそれができません。そうすると、例えば拘束型心筋症で10歳未満の方はStatus2でも移植できるというような環境になれば、いいのではないかと思います。

○齋木班員 現状ではStatus1を優先しており、それはStatus1の予後が悪いという大前提を基にしてそのように実施しているわけですが、今の日本はその大前提が揺らいでいるのではないかと思いますね。実際に、Status2の患者の予後が想定以上にが悪いという論文が、東大の絹川先生、小野先生のグループから出ていたと思います。LVADの成績が安定してきてStatus1状態の患者の予後が飛躍的に改善し、逆にLVADを付けていない人の予後に光を当てると、思いのほか悪いのだと。つまり、Status12の優先順位の前提がちょっとぐらついているとも言えます。まして、子どもは成人用のLVADを装着できないですから、Status2のままでぎりぎりの管理を強いられつつ移植を待機するという現状を鑑みた時、Statusを優先してきた現状は再考に値するのではないかと思います。

 アメリカがStatus2に対して1を優先しているのは、Status2で心臓移植手術を受けられている方がかなりいらっしゃるということで成り立っています。ですから、Statusを跨いで優先順位を考慮できるわけですが、日本の場合はそれができない。Status2の患者はほとんど移植を受ける機会がない。ですので、Status2にもう少し光を当てたほうがいいかと思います。子どもの場合は、現行の基準に基づくStatus分類を優先した考え方を見直したほうがいいと思います。

○北村班長 子どもの場合。例えば、拘束型の10歳未満の子供の状態が突然悪化して死亡するのは、よく私も耳にするのですが、そういう日本人の子どもの拘束型心筋症の予後は、何かスタディーがあるのですか。それならば、おっしゃったように拘束型心筋症10歳未満の場合は、確定診断ができているのであれば、全てStatus1と見なすという形で対応するということも出来ますね。

○福嶌班員 私の所で論文にはしていませんが、拘束型の10歳未満の25例を論文にまとめていますので。

○北村班長 何か書いてあるのを見たことありますよ。

○福嶌班員 非常に予後が悪いのですが、ただ、予後が悪いと思って海外に送って、向こうで移植している人たちをどのような統計に入れるかがちょっとありますのであれですが、それは出せるかなとは思います。

○北村班長 いや、もうエンドポイントは、死亡か移植かにしたほうがいいです。

○福嶌班員 それならば、出せます。

○北村班長 あるいは、やむを得ずLA、左心房から人工心臓を付けても、しばらくは生存できるかもしれませんが。

○福嶌班員 1年ぐらい持たせたのですが、2人ぐらい亡くなりましたので。

○北村班長 その3つぐらいをエンドポイントにしたら分かると思います。

○福嶌班員 それを今度までに出させていただきます。

○安河内班員 その場合は、RCMを少し特異なカテゴリーとして考えてということですよね。そうすると、多分小児循環器の学会等のサーベイランスでも、一応調査項目があるので、一部中西先生もそういう心筋症のことをされておりますから、逆に拘束型心筋症だけ取り上げて予後調査という形でやれば大丈夫だと。

○中西班員 今、厚労省の科学研究費で班会議もやっておりますので、あと12か月待てば。今、下のほうでやらせていますので、1,000人近くの心筋症のデータを集めていますので、あと数箇月待っていただくとデータが出てくると思います。

○北村班長 そうですか。

○福嶌班員 あれは拘束型も入っていますか。

○中西班員 全部入れています。

○北村班長 是非、年齢別など、そういったもの、自然予後なのかどうか。よく内科系の人が作った論文の生存率には、いろいろなものが混ざり込んでいるのがありますね。内科治療に限った場合のものとかに分けてもらわないと、何らかの形の手術を受けたりしているのが一緒くたに入ってしまって。

○福嶌班員 心筋症ですから、ほとんどないですね。バチスタをやっているか、CRTをやっているかだけなので。

○北村班長 弁膜症もあり得るけれども、少ないですね。

○福嶌班員 そうですね。

○北村班長 そうすると、今までの御意見では、1つは粗方は子どもの心臓については、他臓器の整合ができれば結構だと。しかし、心臓単独でもある程度若年者から若年者ということは考えてみるべきだという意見で、皆さん大体よろしいですか。その中で問題になっているのは、1つは年齢を18歳から、学会が経験的につけている10歳という年齢層に下げて検討するのか、あるいは齋木先生が言われましたように、特殊な疾患でそれが問題になっているのであれば、Statusを上げる。

 端的に言うと、今度中西先生が出されるデータなども参考にしながら、あるいは福嶌先生のデータを分析し直してもらうなどしながら、拘束型10歳未満の予後が大変悪い、人工心臓も付けにくいという形であれば、この疾患が確定すればStatus1として登録してよろしいという形を認めるという方法も、方向性としてはあると。そのほか、何かありますか。

○磯部班員 心臓移植委員会として適応検討に登録された方だけであれば、18歳未満の方のStatus2の予後調査はきちんと出すことができます。それは、移植委員会の責任でしたいと思います。

○北村班長 一方、18歳レベルで子どもであっても体重が大人と違わない年齢層では、なぜ20歳が除外されるか、減らされるのかという社会的な心情も、逆の心情もあり得るという、磯部先生の言われたとおりだと思います。やはり、ここは何らかのデータに基づいて暫定的にでも行って、また見直しをする機会を残すという形で進めていくのが、一番社会から好感をもって迎えられて、延いては移植ドナーの数も増やせるという形になれば一番有り難いことです。どのぐらいでもう一度話し合いをすれば結論を出せますか。厚生労働省としては、この会議をまた次回開いてもいいですよとおっしゃっておられますが、この期間はデータがそろってきたところでよろしいのでしょうか。

○阿萬室長 もう1つありますのは、この作業班で合意をされる内容について、臓器移植委員会に報告をした上で、最終的には同委員会の了解を頂くという話が出てこようかと思います。その関係で申し上げますと、まだ日程調整等は全く行っておりませんが、事務局の想定とすると、例えば夏ぐらいまでにはもう1回というようなこともあります。ただ、データがきちんとそろわないと、当然そこはできません。

 例えば、4月、5月ぐらいにもう1回開催する形にしていただいて、それまでに議論できるようなデータがそろえば、そこである程度作業班としての意見をおまとめいただいた上で、その次の臓器移植委員会にかけるという話もできようかと思います。ただ、臓器移植委員会もそれで終わりということではありませんので、次の臓器移植委員会にかけるという前提でいけば、データをおまとめいただく時間的余裕は出てこようかと思います。そういう意味では、結論とすると、まずはここで御議論いただくために必要なデータがどれぐらいでまとまるかを先決問題として確認させていただき、そのデータが集まったところで次回の会議を開催するのがリーズナブルかと思います。

○北村班長 何らかのサポーティングデータを出せそうだとおっしゃったのが、福嶌班員、中西班員、磯部班員ですが、それに限らず、もし何かありましたらお願いいたします。そうすれば、18歳のまま小児優先を認めるという、ここの表も作っていただいておりますが、これは今日決めなくていいのですね。18歳未満のまま、Status23番、4番に上げてくる方法を取りたいというか、学会、施設等で決めておられる10歳というのが何らかの根拠をもって年齢を10歳に下げて、Status218と書いてある表を10歳に下げたほうがよいという根拠があるならば、それと。それから、疾患の特異性を考えて、小児の場合にStatus1とすると。診断がついたときから1に置く形がいいのか。それらのデータを持ち寄って、もう一度判断する形でよろしいですか。

○福嶌班員 そうですね。これは、体重のことになってしまうのかもしれませんが、10歳未満のDCMBerlin Heartしかないのですね。埋込みが植えられない体の大きさですので、Status2で悪くなった場合に予後が悪いというのも出てまいりますので、疾患は関係なく、10歳を1つの基準としても考えられるのではないかとは思います。

○北村班長 今、Berlin Heartが治験していて、年齢は何歳にしているのですか。

○小野班員 特に年齢は設けていません。生後3か月ぐらいから大体可能という形は取っております。

○福嶌班員 10歳を過ぎてくると何とか、JarvikとかHeartWareなどを入れる子たちがたまにいるのですが。

○北村班長 18歳になっていれば、そういう子の率は圧倒的に上がりますね。

○福嶌班員 圧倒的に、ほとんどが埋込みになりますので。やはり体外式しか使えない子は優先してあげてほしいなというのも、データとして出せるかどうかも。

○北村班長 そうしたら、まず年齢も22歳、25歳の人の感情を考えれば、小児優先、18以下をみんな優先というのではなくて、何らかの工夫がいる形で、小児特異性の疾患のStatusを上げるのか。今の拘束型は人工心臓が使えないですね。ですから、人工心臓も認可されるかと思いますので、4月以降、もう少し広く使えるようにすると厚生労働省の医薬食品局も言っていました。人工心臓の年齢を見て10歳、あるいは施設で10歳を決めているのは何を決めているのですか。

○福嶌班員 あれは、ISHLT10歳から17歳を1つ分けているのですね。それで、子どもと言っても小さい子どものほうが手術的にも難しいということで10という数字で、もともとは実は10歳未満の予定でしたが、決まったときには10歳以下になっていたのですね。そこは、すみません、どうして未満が以下になったのかは分かりません。施設によっては10歳以下です。

○中谷班員 12歳とか13歳のDCMは大人の体格に近いのですが、このような患者が小児施設以外ではできなくなってしまうことも問題だとなり、それで10歳以下を小児の施設を限ることになりました。10歳未満で区切ることでいわゆる通常の手術をやる所はそのままどおり行えることとなり、10歳未満で区切ることが受け入れられています。しかし、以下と未満はまたいつものごとくよく分からない形で決まってしまったところです。

○北村班長 論文では、有意差が出る年齢で切りますので、各研究者によってバラバラしてくると思います。各年齢ごとにかなりたくさんの数がないと有意差が認められないですね。それでは、今日は結論を決して求めるものではありませんという厚労省のお考えですし、次回の作業班には専門家からの、社会を説明するに足る資料を集めたいという形で、18歳のまま優先すべきか、年齢を10歳レベルに下げて優先すべきか、特殊疾患においては、Statusを考え直してはどうかと、これぐらい。人工心臓の利用も踏まえ、3つ、4つの意見を頂きました。

○小野班員 おまとめになっている最中に申し訳ありません。遅れてきて、全ての議論を聞いていないので、少し重複したことになるかもしれません。私が感じていることを一言だけ。何も発言していなかったので。18歳未満、小児優先にするということについて、実際提供する判断をされるのは、18歳未満の場合はまず間違いなく親御さん、御両親だろうと思います。もちろん、20代前半でも御両親になることが多いとは思いますが、やはり学生の時期は御両親が判断されます。全ての御両親が同じように考えられるかどうかは、私もそのバックグラウンドはよく把握しておりませんが、よく報道されるものとしては、自分の息子あるいは娘の心臓が誰か別のお子さんの中で生きてほしいと言われることが、しばしばそういう感動的なイメージも含めて報道されます。学問的な話をしているときに感情的な話をするのがふさわしいかどうかは分かりませんが、自分がそういう立場になると自分の子どもの臓器は子どもで生きてほしいなと感じます。ですから、こういう自然の感情は大事にすべきだと思っております。

 一方で、小児の提供が少ないこともあり、小児の提供を増やす1つの切っ掛けとして、小児優先提供の年齢をあまり低くすると、例えば中学生、高校生ぐらいが脳死になっても、今回提供してもそれが大人のほうに行ってしまうのであればやめようかなというような気持ちが働くかどうか分かりませんが、自分の子どもの心臓はどこか別の子どもの中で生きてほしいと思っている親御さんが多いのであれば、やはり18歳未満のままにしておくのが、小児の提供を増やす1つの切っ掛けを維持しておくにはいい意味で働くのではないかと感じました。学問的なバックグラウンドはありませんが、一言言わせていただきました。

○北村班長 それは、先ほども議論したのですが、厚生労働省もそれは感覚的につかんでおります。やはり、子どもの心臓が60歳以上の高齢の方にというのはいかがなものかという意見も社会にはあると。

○福嶌班員 日本で7例目の子どもさんの提供の北海道の例なのですが、心臓は提供が少ないからといって心臓だけ提供されたのです。ですから、心臓の子どもに行くというイメージが、ドナーの御家族になられる人たちの感覚として非常に強いことは確かだと思います。

○小野班員 ですから、それを逆に10歳以下、未満を小児優先にしてしまうと、そういう親御さんの、子どもから子どもにという思いからの提供につながる切っ掛けがなくなってしまうのではないかということが。

○福嶌班員 ですから、その子どもさんが。

○北村班長 それは一方で考えられる反面、先ほども磯部先生が言われたように、20歳、21歳というのが別枠に入ってしまうということで、体格的にも合致すれば我々のほうが人工心臓を付けて長いこと待っているのにと、例えばStatus2の子どものほうに行ってしまうことについては許容できるのかという問題が一方であるということだと思います。体格的に合わないものを見込んで年齢を下げて、子どもに行きますよという形を取ったほうがいいのか。移植というのは、社会的には非常に医学以外のニュアンスの大きい、ドウネイションに関しては全く社会科学ですので、提供される側の気持ちを考えるのは極めて重要であるということも、先ほど話し合っていました。

○小野班員 ドナーアクションの観点からも、やはりいいのではないかと思います。

○北村班長 小野先生は、18歳のままで優先をつけたらいいのではないかというお考えとしてよろしいですか。

○小野班員 ドナーがゆっくりゆっくりですが、確実に増えているように。

○福嶌班員 先ほど北村先生がおっしゃられた、18歳の中だけれども、10歳のStatusだけをさらにその中で優先するということであればいいのですね。

○小野班員 そういうことです。拘束型心筋症は、本当に10歳未満の拘束型心筋症が悪いというのは、もう実感として分かっていますので、そこはまたそれとは別の議論です。

○北村班長 ここなのですよね。厚生労働省の議論3の右の図なのですが、18歳未満の場合はStatus12も、1234と優先するという形なのですよね。ここの問題で今申し上げました20歳、25歳のStatus1を飛び越して18歳未満が行くということについての。60歳を超えている人は例外的だとしても、非常に数の多い20歳代のレシピエントの感覚がどう動くかと。そこで、18歳未満というのをもう少し年齢を変えてみるか、あるいは非常にStatus2で悪くなる子どものStatusを上げてみようかと。これも、齋木先生のなかなか良い考えだと思いますが、どういう形で動かすかと。常に、社会的に提供を受ける人たちがどういう感覚を持ってくれるかが極めて重要だというのが、小野先生のお考えどおりだというのは、私どもも厚生労働省も一致した考えではないかと思います。

 それでは、少しデータが集まりましたら、阿萬室長宛てにまとめましょうか。

○阿萬室長 窓口は田中にやってもらっておりますが、もし可能ならばデータを頂くことができる、本当にめどで構いませんので、例えば3か月後ぐらいでしたら大丈夫だというめどだけでもお教えいただけると、次の会議の開催がどれぐらいになるのかを事務的にある程度めどをつけることができると思いますので、そこだけお願いできればと思います。

○福嶌班員 私は3か月で。

○磯部班員 私も、恐らく数箇月でやりたいと思います。

○阿萬室長 そうすると、中西先生も。

○中西班員 今年度の報告書には、入れたいなと思っていますので。

○阿萬室長 そうすると、5月ぐらいにまとまる前提ですと、例えば6月ぐらいに開催するですとか、5月の後半というのもあるかもしれませんが、それぐらいのめどで日程調整なども含めてさせていただければと思います。

○北村班長 それでは次は磯部先生から、日本循環器学会の対応について付加資料で御説明を頂きたいと思います。

○磯部班員 資料の提出が遅れまして恐縮でございます。昨年9月の合同委員会の自施設内判定は可能とすることを骨子とした決定を受けまして、循環器学会の心臓移植委員会でその判定を自施設内で行うことについての基準と実際の作業を進めております。

 簡単に説明すると、1ページに()と書いてありますが、心臓移植関連学会協議会の中で審議中です。締切りは今日になっておりますが、ほとんど反対意見は出ておりません。1から6の骨子は、1は合同委員会の決定に「適切であると判断される施設においては、自施設内でやってもいい」という文言がありましたので、それを担保するための条項です。心臓移植の実施実績が50症例以上ある、かつ適応判定、移植医療が適正に行われていると心臓移植委員会が判断する施設。これは委員会を別途設けて、審査いたします。

2は恐らく数施設が自施設内判定の対象になるので、その場合に各施設で判定の基準が微妙に異なってはまずかろうということで、その調整を心臓移植適応検討小委員会と各自施設が含まれている実施施設小委員会で協議を行っていただき、もちろん適応の基準はきちんと決められているわけですけれども、個々の症例の評価、判断については迷うこともよくございますので、その辺の調整をしていただく。3も合同委員会の決定にありましたが、必要があれば、特に患者の希望等を踏まえて、必要があれば心臓移植委員会、従来の体制で適応検討を行うことができる。

4も合同委員会にありますが、移植が行われた後に事後検証を全例、心臓移植委員会で行う。5は合同委員会にはありませんが、各施設で適応と決めて、ネットワークに登録することになると、どの程度の症例が、どういう形で登録されるか等の現状が把握できなくなるので、これは報告していただく形で、全例の報告を1か月以内にしていただくことを定めたものです。6ですが、小児に関しては、この基準には沿わないことが書いてあります。

 次のページ、内部の手順書ですので、省略いたします。次もこの適応判定審査委員会を設けるための内規ですので、いずれも日本循環器学会の理事会で承認されておりますが、これも省略いたします。

 次のページに委員会の名簿があります。既に委員の4名と幹事1名を選出して、これから審議に入ろうかという体制で横山先生に委員長をお願いしております。今後の手順としては、1枚目の1から6項目が恐らく近日中に協議会で決定されるので、それを踏まえて、来週以降、公募の形ではなく、現在50症例以上というのは3施設に限られておりますので、その施設に声掛けをして、先ほどの手順書にあるような書類の提出を頂き、3月半ばにもこの審査委員会で御審議いただき、適切であると判定された施設については、このシステムで自施設内判定をしていただくということで、できれば51日からこのシステムを動かしたいという手順で今、作業を進めております。以上、御報告を申し上げました。

○北村班長 この業務は先ほどの組織図の中では、上のほうにあるアカデミアの領域で、厚生労働省としては直接タッチはしていないところではありますが、こういった50症例以上の3施設について、自己判断を認めた後、それのモニターを日循がやっていく形ですが、厚生労働省側から何か御意見はありますか。

○阿萬室長 いえ、正に昨年の合同委員会の趣旨を踏まえて、このような形で御検討いただいていることについては、我々としても感謝申し上げております。ありがとうございます。

○北村班長 はい、そういうことですので、明日か明後日に委員会があり、決定するような。

○磯部班員 今、メールで審議中ですので。何度も会って話をしている内容ですので、最終的な文言を。

○北村班長 私にも何かきてました。

○磯部班員 よろしくお願いします。

○北村班長 ありがとうございました。よく書けておりましたけれども、この中で適応委員会で、齋木先生は利益相反になりませんか。

○齋木班員 利益相反にはなりません。

○北村班長 ならないのですね。

○齋木班員 当施設では心移植症例数はまだ10例しかやっておりませんから。

○北村班長 入っていないからいいのですか。そうですか。いずれ入るのですか。

○齋木班員 50症例に達するにはずいぶんと時間がかかると思います。何年かかるか分かりません。

○福嶌班員 増えないと、あとの施設が大変なので。

○北村班長 はい、ではこの日循での委員会の御報告を頂きましたので、これも1つの進歩、皆さんの努力でここまでできてきたということだと思います。ほかに自由な御意見がありましたら、今までの議題にかかわらず5分ほど使っても結構ですので、どうぞ。

○中谷班員 またStatusの見直しの話が出ていましたけれども、実はそのStatus1で、実際上植込型補助人工心臓を装着した人で、安定している人が出てきていて、米国などでいわゆる1A1Bという形のurgentという形のものを作っていますね。やはり補助心臓を付けている人でも例えば、体外設置型は現行どおりでいいと思いますが、植込型の場合でも例えば、年次はまだ短くても感染症が絡んできていて、明らかにある時期までであれば、感染症がない状態とほとんど差がなく手術ができる。それは各施設で、数例経験していると思いますが、今のルールだと他の症例と同じように待たざるを得ない。この小児の話とは別に、このような患者への対応の検討は、ここである程度やらざるを得ないと思います。

 すごく緊急だとは言いませんが、この小児の話がついた次の段階で、是非、検討を始めていただければと思います。というのは補助人工心臓を付けて、植込型でかなり調子がいい人が、5年とか経って、突然移植の順番が回ってくることも起こり得ることが想定されるのです。その人たちをどうするかということではないのですが、安定している人とは別に、感染症などでurgentになった段階で、何とか日本の少ないドナーで補助人工心臓と移植がうまくリンクして、治療の選択として本当にうまくやっていけるようにするためには、そういうことを考える時期だと思うので、是非その次の話題としていただければと思います。

○北村班長 非常に長期、血栓症あるいは逆の出血も含めて、あるいは感染症を頻回に起こす人、割に少なくて安定している人、個体差がありますね。その中で人工心臓を付けていると全てStatus1となっている日本も、アメリカのようにABに分類していく時代ではないかと思います。確かにおっしゃるとおり人工心臓も多種類が保険適用になりましたし、埋込み施設も30か所近くある中で、どれもこれもStatus1になると、移植施設は9つしかありませんから、30施設で植えられた人工心臓の人が、9つの移植施設に登録されるわけですからね。やはり移植を前提とした人工心臓と決まっていますので、将来デスティネイションの形をやっていくように流れは行くと思いますが、それが現状ではありませんので。デスティネイションに移行しえるようなタイプの人が出てきているという御意見だと思います。

○阿萬室長 事務局としては、基本的な議論自体は正に医学の進歩に伴い、ここで先生方にいろいろ御議論いただいて、その結果、適切なものが反映される形でやる分については、我々としてもそういう形で進めていただければと思います。今のお話でいうと、基本的にはStatus123自体は医学的緊急度がどうかという判断のところだと思いますので、それについてはこの場で、次回にそこまで議論できるのかどうかは時間の関係もあろうかと思いますが、中谷先生がおっしゃったとおり、ここで議論していただくことだと思います。ただ、あとはそれぞれの個別の御提案については、具体案、エビデンス、御存じの論文、データなども含めて御提示いただければ、事務局でそれを整理した上で、この中身でいうと、例えばこういう形でルールを変えることもあり得ますということで、今回のような形で御提案はできます。

○北村班長 良い御提案でしたけれども、小野先生、福嶌先生、御意見はありますか。

○小野班員 もう1つはBiVADです。BiVADがやはり長く待てない。特に体外式が入るBiVADの人は一番予後が悪いので、その辺のurgentも、一遍相談してからのほうが多分いいですね。バラバラで出してくるとこれは。

○中谷班員 そういうことも含めて検討するのがいい。

○北村班長 ここでの検討項目だと思います。レシピエントの適応ですからね。

○中谷班員 今までだとバラバラに問題となっていましたが、そういうurgentというコンセプトをまず作るような形にしてほしいというのが私の今回の提案です。この小児に関する検討の2回目か3回目でいいと思いますが、皆で考えて提案をしたいと思います。

○北村班長 大変結構な御提案だと思いますので、今、阿萬室長が言われたように、次回できるかどうかですが、BiVAD、右室、左室の両方に付けているもの。

○小野班員 体外設置型でどうしてもいかざるを得ない症例、拘束型心筋症などは心房脱血でやらざるを得ない、大人の場合も。やはりこれも該当するだろうと思います。

○北村班長 日本はそういうので人工心臓を付けたStatus1だけですけれども、それにさらにアメリカでいう1Aを。アメリカの場合は1Aになると、大体待機期間が1か月で移植できる。1Bになっても半年ぐらいですか。半年かかっていないのではないかな。

○福嶌班員 3か月ぐらいですね。

○北村班長 かかってないですね。それぐらい早くドナーがあるわけですけれども、それはすぐには望めないにしても、1か月で入れる最重症例というのを少し分けてはどうかと。逆に非常に安定していて、心臓移植しないで、こちらのほうがいいという人がいるという話を聞いたことがある。人工心臓のほうが始終お医者さんに行かないでいいなどと言っている人がいるらしいのです。そういう患者さんがどれくらいあるのか。それも何かデータは作れますか。

○中谷班員 やっと長く在宅で過ごす人たちが出だしたので、ようやくそういう人たちが本当に土俵に上がってきたというのが現状だと思います。

○北村班長 そういうのをここの委員の方々に集める。長期間で心臓移植は不要ではないかと思える症例がどのような人か、そのようなものを集めればファクターも出てくるかもしれない。

○中谷班員 なかなか増えていくのは難しいように思います。

○北村班長 いわゆるurgentというのは、感染が絡んでいるとか、それからBiVADとか、今、言われたように体外設置型しかいけない。それからカテコラミンでしかいけない。BiVADができないからカテコラミンで行こうとか、そういうカテゴリーをそれなりにみんな持っていると思うのです。その人たちに対して、urgentにできる。皆が納得できる形、やはり本当に補助心臓で数年間いけるのが現実のものになりましたから、やはりもう考える時期だと思います。

○福嶌班員 このurgentの人は移植後の予後が悪い可能性もあるので。

○北村班長 ありますね。

○福嶌班員 そこも全部加味してやらないと。今はただurgentの人にマージナルドナーの移植をどちらかと言えばやっている。一番悪いことを今やっていますので、それをもう少し改善したい。

○中谷班員 そうですね、だからurgentも、あるタイミングがあると思うのです。最後の最後まで待てるのかというのはないと思うので、その辺はかなり細かくなると思います。今まさにStatusを再考すべき時期に来ているということです。

○北村班長 分かりました。

○阿萬室長 1点だけ、先ほどの話の中で、そもそも心臓移植の適応になるかどうかという人もおられるというお話でしたが、適応かどうかという御判断になると、正に学会の先生方の適応基準の話だと思いますので、それはそれでよろしいのですよね。臓器移植ネットワークに登録されている患者さんの優先順位の話でよろしいですか。

○中谷班員 そういうことです。

○阿萬室長 それなら結構です。

○福嶌班員 その優先基準、選択基準のことです。

○阿萬室長 分かりました。

○北村班長 ほかにどうしてもという方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。それではありがとうございました。事務局からの御報告を頂きまして、本日の会議は終了します。何かありますか。よろしいですか。

○田中補佐 本日は御活発な御議論ありがとうございました。本日、決まった事項としては、ドナーが18歳未満の場合のレシピエントの優先順位付けということで、18歳以上を、18歳以上60歳未満、60歳以上に分ける形で決定することにいたしますので、そちらの準備を進めます。本日は誠にありがとうございました。

○北村班長 議題1は決まって、1はそのまま、2を変えるということに決まって、3を今から集めてやっていただくということですね。

○田中補佐 はい、そのようにさせていただきます。

○北村班長 ありがとうございました。それでは終了いたします。

 

(了)
厚生労働省健康局疾病対策課移植医療対策推進室: 代表:03(5253)1111
内線:2365

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